(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(54)【発明の名称】ガラスセラミック製品
(51)【国際特許分類】
B32B 17/10 20060101AFI20220126BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20220126BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220126BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20220126BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220126BHJP
C03C 17/32 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
B32B17/10
B32B27/20 A
B32B27/00 101
C09D183/04
C09D7/61
C03C17/32 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533239
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019085310
(87)【国際公開番号】W WO2020127020
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504374919
【氏名又は名称】ユーロケラ ソシエテ オン ノーム コレクティフ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ロマン ビアンディエ
(72)【発明者】
【氏名】エルワン リュエ
(72)【発明者】
【氏名】パブロ ビラト
【テーマコード(参考)】
4F100
4G059
4J038
【Fターム(参考)】
4F100AA01
4F100AA01B
4F100AG00
4F100AG00A
4F100AK52
4F100AK52B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA13
4F100CA13B
4F100CA23
4F100CA23B
4F100CC00
4F100CC00B
4F100DE00
4F100DE00B
4F100EH46
4F100EH46B
4F100GB07
4F100GB81
4F100HB31
4F100HB31B
4F100JJ03
4F100JJ07
4F100YY00B
4G059AA01
4G059AC08
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4G059FB03
4J038DL031
4J038HA166
4J038HA266
4J038HA536
4J038KA08
4J038KA20
4J038PB01
4J038PB02
4J038PC03
(57)【要約】
本発明は、ガラスセラミックで作られたプレートなどの少なくとも1つの基材を含む、物品、特にクックトップ又は家具要素に関し、この基材は、少なくとも1つの領域において、少なくとも下記を含む塗料でコーティングされている、:
(1)メチル基及びフェニル基を含むシリコーン樹脂、
(2)メチル基を含むシリコーン樹脂、
(3)2μm未満の厚さを有し、かつ少なくとも80重量%について10μm未満の横方向寸法を有し、タルク及び/又は1若しくは複数の炭酸塩を含む、1又は複数の薄板状無機充填材、
(4)1又は複数の黒色顔料。
本発明はまた、この物品を得るための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスセラミック製の少なくとも1つの基材を含み、前記基材が、少なくとも1つの領域において、少なくとも下記を含む塗料でコーティングされている、物品、特にクックトップ又は家具要素:
(1)メチル基及びフェニル基を含むシリコーン樹脂、
(2)メチル基を含みかつフェニル基を含まないシリコーン樹脂、
(3)2μm未満の厚さを有し、かつ少なくとも80重量%について10μm未満の横方向寸法を有し、タルク及び/又は1若しくは複数の炭酸塩を含む、1又は複数の薄板状無機充填材、
(4)1又は複数の黒色顔料。
【請求項2】
前記塗料のシリコーン樹脂は、下記の官能基のうちの1又は複数を有さず:ハロゲン、エポキシ、ポリエステル、アルケニル、ビニル、アリル、アルキニル、メルカプト若しくはチオール、又はアクリル;特に、メチル/フェニルタイプの樹脂に関して、1若しくは複数のポリフェニルメチルシロキサン樹脂、及び/又は1若しくは複数のポリジフェニルジメチルシロキサン樹脂であり、かつ、メチルタイプの樹脂に関して、1若しくは複数のポリメチルシロキサン樹脂、及び/又は1若しくは複数のポリジメチルシロキサン樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載のガラスセラミック物品。
【請求項3】
前記塗料が、シリコーン樹脂として、存在するシリコーン樹脂の総重量に対して、少なくとも75重量%のメチル/フェニルタイプ及びメチルタイプのシリコーン樹脂、特に少なくとも80重量%、有利には100重量%のメチル/フェニルタイプ及びメチルタイプのシリコーン樹脂を含むこと、及び
前記塗料が、アルキドタイプ及び/又はエポキシタイプ及び/又はポリエステルタイプのシリコーン樹脂を含まないこと、
を特徴とする、請求項1及び2のいずれかに記載のガラスセラミック物品。
【請求項4】
前記シリコーン樹脂の含有量が、前記塗料の20重量%~50重量%であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項5】
前記薄板状充填材の含有量が、前記塗料に対して、5重量%~20重量%であり、かつこれらの充填材が好ましくはマイカ粒子を含まないことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項6】
前記顔料の含有量が、10重量%~30重量%であること、及び前記顔料の粒子の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、実際には少なくとも90重量%、実際には更に100%が、1μm未満の寸法を示すことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項7】
前記塗料コーティングの厚さが、20~40μmであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項8】
前記塗料コーティングが、5未満の明度L*を示すことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項9】
少なくとも1つの領域において、ガラス-セラミック基材を、少なくとも下記を含む塗料でコーティングする、請求項1~8のいずれか一項に記載のガラス-セラミック物品の製造方法:
(1)メチル基及びフェニル基を含むシリコーン樹脂、
(2)メチル基を含むシリコーン樹脂、
(3)2μm未満の厚さを有し、かつ少なくとも80重量%について10μm未満の横方向寸法を有し、タルク及び/又は1若しくは複数の炭酸塩を含む、1又は複数の薄板状無機充填材、
(4)1又は複数の黒色顔料。
【請求項10】
前記塗料を、前記ガラス-セラミック基材にスクリーン印刷によって適用し、使用されるスクリーン印刷スクリーンが、優先的には32本/cm~43本/cmの間の糸の数を示すように選択され、前記塗料を、350~480℃の温度で40~60分間にわたって焼成することを特徴とする、請求項9に記載のガラス-セラミック物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスセラミックの分野に関する。より具体的には、本発明は、特に、加熱要素(例えばクックトップ、オーブンドア、暖炉インサート、防火ガードなど)を覆うか又は受け取ることを意図し、かつ/又は家具の部分(適切であれば、例えば、台所又はダイニングルームのためのセントラルアイランドの場合に加熱要素と組み合わせて)の表面として作用することを意図したガラスセラミック物品(又は製品)に関する。「ガラスセラミック物品」という用語は、ガラスセラミック材料(ガラスセラミックプレートなど)から作製された基材に基づく物品を意味すると理解され、この基材は、適切であれば、その最終用途のために必要とされる追加の付属品又は要素(装飾的又は機能的)が提供されることが可能であり、この物品は、基材のみを示すこと、及び追加の付属品が提供されること(例えば、その制御パネル、その加熱要素などが設けられたクックトップ)が可能である。
【背景技術】
【0002】
一般的に使用されているいくつかのガラスセラミック製品、特にガラスセラミッククックトップが存在し、これらは、家電ベンダー、家電メーカー、利用者の間で大きく成功している。この成功は、特に、これらのトップの魅力的な外観、及びそれらの洗浄の容易さによって説明される。
【0003】
ガラスセラミックは、前駆体ガラス(又は親ガラス又はグリーンガラス)と呼ばれるガラスとして出発し、その特定の化学組成は、セラミック化処理と呼ばれる適切な熱処理によって、制御された結晶化をもたらすことを可能にする。この特定の部分的結晶構造は、ガラスセラミック上にユニークな特性を付与する。
【0004】
現在、種々のタイプのガラスセラミックプレートが存在する。所望の特性に好ましくない効果を有する危険性なしに、これらのプレート及び/又はその製造方法を改変することは非常に難しいことを考えると、各々の変形は、主要な研究の結果であり、多数の試験の結果である。特に、クックトップとして使用することができるように、ガラスセラミックプレートは、一般に、下にある加熱要素がオフにされているときにはその加熱要素の少なくとも一部を隠すのに十分に低い可視光領域における透過率を有し、かつ状況(放射加熱、誘導加熱など)に応じて、使用者が、安全の目的のために、動作状態の加熱要素を視覚的に検出するように十分に高い可視領域の波長における透過率を示さなければならない。また、ガラスセラミックプレートは、特に放射加熱要素を有するプレートの場合に、赤外領域の波長において高い透過率を示すべきである。ガラスセラミックプレートは、それらの使用分野において必要とされる十分な機械的強度も示さなければならない。特に、家電分野のクックトップとして、又は家具の部分の表面として使用するためには、ガラスセラミックプレートは、圧力、衝撃(家具の支持及び落下等)等に対する良好な抵抗性(例えば、標準EN 60335-2-6に準拠して定義される)を示さなければならない。
【0005】
最も広く普及している現在のクックトップは、暗色、特に黒色であるが、より明るい外観(特に、例えば、特許FR 2 766 816に記載されているように、少なくとも50%のヘイズを示す白色)を有するプレートも存在し、実際には、不透明化コーティングが設けられた透明プレートさえ存在する。
【0006】
ガラスセラミックプレートに公知の(機能性及び/又は装飾性の)コーティングは、従来、ガラスフリット及び顔料に基づくエナメル、並びに高温に耐性のある種の塗料、例えばシリコーン樹脂(主にシリコーンアルキドタイプ)に基づく塗料を含む。エナメルは、特に、セラミック化の前に前駆体ガラス(又は母体ガラス又はグリーンガラス)上に堆積することができ、またセラミック化の間に焼成することができるという利点を示し、かつ高温に耐えることができる(プレートのための異なる加熱手段の使用を可能にする)という利点を示す。しかし、それらは、ガラス-セラミックプレートの機械的強度を局所的に低下させることがあり、特に非常に厚い堆積物又は数回のパスで生成された堆積物に関しては、剥離することがある。更に、特定の強い色が得られにくく(特に、単一のパスで)、エナメルの焼成は、しばしば、望ましくない色相(例えば、黒色エナメルでは茶色又は灰色)の出現をもたらす。特に、従来のエナメルを使用することによっては、ガラス-セラミックの表面において、干渉色相なしで強い黒色又は白色の装飾を得ることは困難である。
【0007】
塗料は、その部分のために、必要であれば、いくつかの層で適用することができ、様々な色を呈することができる。しかし、塗料は、セラミック化後に適用しなければならず、したがって、追加の焼成を必要とし、一般に、クックトップの場合、誘導バーナー(より低い温度で作動する)のためのプレートに制限されたままである。また、エナメルについては、強い黒色や白色の装飾を得ることが難しい。特に、「濃い黒」色は、達成することが非常に困難である。シリコーン樹脂をベースとする既存の配合物中では、黒色顔料は熱的に安定ではなく、これは色の変化をもたらすことがあり、特に高比率の顔料を提供することを必要とし、更にシリコーンバインダーは、顔料によってさらに大きく吸収され、したがって、末端において、機械的に脆い塗膜を生成し、これは場合によっては、熱機械的応力の影響下で分割又は剥離することがある。したがって、高温に耐性である既存の黒色塗料は、一般に、十分に黒色ではなく、かつ/又はガラスセラミック基材に十分に接着せず、かつ/又は本発明において目的とされる用途において所望される特定の熱機械的応力に対して十分に耐性ではない。これらの欠点を最小限にするために、又はより強い色を得るためには、特に、既存の塗料を、塗料の覆い層(特に透明なもの)及び/又は有機金属ペースト(特に黒色のもの)又は樹脂の層で覆うことが必要である。しかし、これらの解決手段は、比較的高価であり、かつ場合によっては亀裂の形成を防止しない。
【0008】
反射層に基づくコーティングも存在し、これは、エナメル層又は塗料層との並置によって、審美的及び/又は機能的理由のために所望される効果を特に得ることを可能にするする。しかし、これらのコーティングは、一般に、特定の設置を必要とし、セラミック化後にオフラインで行われるそれらの製造がより複雑又は問題であるので比較的高価であり、塗料の場合でのように、誘導バーナー用のプレート(クックトップの場合)に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ガラスセラミック、特に透明なガラスセラミックから作られた基材に基づく新規なガラスセラミックプレート(特に、例えばクックトップのような加熱要素を覆うか又は受け取ることを意図し、かつ/又は随意に、適切な場合には加熱要素と組み合わされた家具の部分の表面として作用することを意図した新規なガラスセラミックプレート)を提供することであった。ここで、このガラスセラミックは、少なくとも1つの領域において、適切な場合にはコーティングされた基材に課された熱機械的応力にもかかわらず色が持続する強い暗色のコーティングを示す。このコーティングは、このガラスセラミックを弱くすることを最小限にしつつ、良好な機械的強度、耐熱性及び耐摩耗性、並びに良好な持続性を示し、かつ得ることが経済的かつ簡単であり、かつガラスセラミックに十分に接着することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、本発明による物品(又は製品)によって得られ、この物品は、特に、クックトップ又は家具要素(家具の部分又は家具の部分の一部)であり、この物品は、ガラスセラミックで作られたプレートなどの少なくとも1つの基材を含み、この物品及び/又はこの基材は特に、少なくとも1つの光源及び/又は少なくとも1つの加熱要素と共に(特に覆う又は受けるために)使用されること、及び/又は家具の部分の表面として(適切であれば、1又は複数の加熱要素及び/又は1若しくは複数の光源と組み合わせて)作用することを意図しており、この基材は、少なくとも1つの領域において、少なくとも下記を含む(又は下記で形成された)塗料でコーティングされている:
(1)メチル基及びフェニル基を含むシリコーン樹脂、
(2)メチル基を含む(かつフェニル基を含まない)シリコーン樹脂、
(3)2μm未満の厚さを有し、かつ少なくとも80重量%(又はD80)について10μm未満の横方向寸法を有し、タルク及び/又は1若しくは複数の炭酸塩を含む、1又は複数の薄板状無機(又は鉱物)充填材(又は充填物)、
(4)1又は複数の黒色顔料。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による物品は、少なくとも1つのガラスセラミック基材を含むか、又はそれから形成される。好ましくは、この基材(又は、基材のみから形成される場合、物品自体)は、特に、少なくとも1つの光源及び/又は1つの加熱要素を覆うか、又は受けることを意図されるプレートである。この基材(又はそれぞれこのプレート)は、一般に幾何学的形状、特に長方形、実際には正方形、実際には円形又は楕円形などであり、一般に、使用位置において「上側」又は「外部」面(可視又は使用者に向いている面)、及び使用位置において別の「下側」又は「内部」面(一般に、例えば、家具の部分のフレームワーク又はケーシングにおいて隠れている面)、及びエッジ面(又はエッジ又は厚さ)を示す。上面は、概して平坦で滑らかであるが、少なくとも1つの突出領域及び/又は少なくとも1つの陥凹領域及び/又は少なくとも1つの開口部などを示すこともできる。下面は、本発明によれば、優先的に平坦で滑らかであるが、適切であれば、構造を示すこともできる。
【0012】
ガラスセラミック基材の厚さは、特に少なくとも2mm、特に少なくとも2.5mmであり、有利には15mm未満であり、特に3~15mm、特に3~6mm程度である。基材は、平坦又は事実上平坦なプレート(特に、プレートの対角線から0.1%未満、好ましくはゼロの位の撓みを有する)であることが好ましい。
【0013】
基材は、任意のガラスセラミックに基づくことができ、この基材は、ゼロ又は実質的にゼロのCTE、特に20~300℃の間で(絶対値で)30×10-7K-1未満、特に20~300℃の間で15×10-7K-1未満、実際には5×10-7K-1未満のCTEを有利に示す。
【0014】
好ましくは、透明又は半透明の基材、特に50%超、特に50%~90%の光透過率TL(可視波長範囲で積分)を本質的に有する任意のガラスセラミックに基づく透明又は半透明の基材が、使用される。用語「本質的に」は、プレートが、コーティングの存在なしに、それ自体でそのような透過率を有することを意味すると理解される。光透過率TLは、規格NF EN 410に従って、D65光源を用いて測定され、全透過率(0.38μmと0.78μmとの間の波長の可視領域で積分)であり、直接透過と可能な拡散透過の両方を考慮に入れており、測定は、例えば、積分球を備えた分光光度計を用いて行われ、所定の厚さでの測定が、その後、適切であれば、規格NF EN 410に従って、基準厚さ4mmに換算される。
【0015】
特に、残留ガラス相内にβ-石英構造の結晶を一般に含み、有利には絶対値で15×10-7/℃以下、実際には5×10-7/℃の膨張係数を示す透明なガラスセラミック基が使用を使用する。このガラスセラミックは、例えば、Eurokera社によってKeraLiteの名称で販売されているプレートである。このガラスセラミックは、特に、以下の番号で公開された特許出願に記載された組成を有することができる:WO2013/171288、US2010-167903、WO2008/065166、EP2,086,895、JP2010-510951、EP2,086,896、WO2008/065167、US2010-099546、JP2010-510952及びEP0,437,228。このガラスセラミックは、特にリチウムアルミノケイ酸塩ガラスセラミックである。必要に応じて、この基材/ガラスセラミックは、その本体が着色されており、かつ/又は半透明であってもよい。
【0016】
本発明によれば、基材は、基材の少なくとも1つの面(特に(上側又は下側の)主面の一方の面)の1又は複数の領域上に又は領域内に、一般にその下側面又は内側面に、特にこの面の(表面の)大部分(少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、実際には少なくとも90%)に、本発明で定義される塗装(又は塗装で形成されたコーティング又は1若しくは複数の塗装の層)を有する(具備する又はコーティングされている)(この塗装は、適切であれば、乾燥又は焼成前の、基材に適用されるときのその初期組成によって定義される)。ただし、適切であれば、ディスプレイデバイス又はディスプレイ領域を例外とする(これのためには任意のコーティング又は上記の面のベースコーティング(又は主なコーティング)よりも比較低不透明ではないコーティングが、ディスプレイのスイッチがオフになっているときにはディスプレイの電子機器を隠し、かつディスプレイのスイッチがオンになっているときにはディスプレイの光を通すために好ましい)。適切であれば、本発明による塗料は、局所的に使用し、それによって特に、装飾及び/又は機能パターンを形成することができ(例えば加熱領域の範囲を定めるために);また適切であれば、第2のコーティング(例えば異なる色相又は不透明度する本発明の塗料から形成されており、又は随意に別の塗料又は異なる性質の層で形成されている)を使用して、基材の他の部分を覆うこと、及び/又はコントラストを形成することができる。
【0017】
この塗料は、特にバインダーとして、メチル基及びフェニル基を含む樹脂から選択される1又は複数のシリコーン(又はポリシロキサン)樹脂(特に「メチル/フェニルタイプのシリコーン樹脂」として知られる)、及びメチル基を含みかつフェニル基を含まない樹脂から選択される1又は複数のシリコーン樹脂(特に「メチルのシリコーン樹脂」として知られる)を使用する。「メチル/フェニルタイプのシリコーン樹脂」として知られるこれらの樹脂は、有機基又は置換基として(又はそれら若しくはそれらの混合物によって官能化され、又はそれらを添加され若しくは導入され、又はそれら若しくはそれらの混合物によって置換され若しくは変性される)、メチル基及びフェニル基(又は官能基又はラジカル)を有する。また、「メチルタイプのシリコーン樹脂」として知られるこれらの樹脂は、有機基又は置換基として、メチル基を有する。本発明により使用されるメチル/フェニルタイプのシリコーン樹脂、及びメチルタイプのシリコーン樹脂は、特に、有機置換基がメチル及びフェニル基(又は官能基)から本質的に又はのみから構成されるタイプの樹脂(メチル/フェニルタイプの樹脂の場合)、又は有機置換基がメチル基(又は官能基)から本質的に又はのみから構成されるタイプの樹脂(メチルタイプの樹脂の場合)である。これに対して、他のタイプのシリコーン樹脂、例えば、アルキド、エポキシ又はポリエステル樹脂である有機樹脂によって変性されているシリコーン樹脂があり、これらは、特に「(変性)エポキシタイプの樹脂」(エポキシ基によってハイブリダイズ/変性/置換されている)、又は「(変性)アルキドタイプの樹脂」(アルキド基によってハイブリダイズ/変性/置換されている)、又は「(変性)ポリエステルタイプの樹脂」(ポリエステル基によってハイブリダイズ/変性/置換されている)などによって示される。本発明によるこれらの選択された樹脂は、特に、1又は複数の以下の基又は官能基を有さない(又はそれらによって官能化されていない):ハロゲン、エポキシ、ポリエステル、アルケニル、ビニル、アリル、アルキニル、メルカプト若しくはチオール、又はアクリル。好ましくは、本発明による塗料は、シリコーン樹脂として、少なくとも75重量%(存在するシリコーン樹脂の総重量に対して)のメチル/フェニルタイプのシリコーン樹脂及びメチルタイプのシリコーン樹脂(この75%の含有率は2つのタイプの樹脂の混合物の含有率)、特に少なくとも80重量%、有利には100重量%のメチル/フェニルタイプのシリコーン樹脂及びメチルタイプのシリコーン樹脂を含む。特に、本発明による塗料は、(変性)アルキドタイプ及び/又は(変性)エポキシタイプ及び/又は(変性)ポリエステルタイプを含まない。
【0018】
特に、使用されるシリコーン樹脂は、(コ)ポリマー及び/又はオリゴマーの形で、特に架橋性であるか又は適切な場合には既に架橋されている(コ)ポリマー及び/又はオリゴマーの形で提供することができる。これらの樹脂は、有利には無色であり、350℃を超える、特に350℃~700℃の分解温度、及び特に2000~300,000g/mol(又はダルトン)の平均分子量(Mw)を有利には示す。本発明による塗料において優先的に使用されるシリコーン樹脂は、特に、メチル/フェニルタイプの樹脂に関して、ポリフェニルメチルシロキサン(又はフェニルメチルシロキサンポリマー)及び/又はポリジフェニルジメチルシロキサン(又はジフェニルジメチルシロキサンポリマー)などから選択される1又は複数の樹脂であり、かつポリメチルシロキサン及び/又はポリジメチルシロキサンなどから選択される1又は複数の樹脂である。
【0019】
好ましくは、本発明による塗料において、シリコーン樹脂(好ましくは、選択される樹脂から本質的になる又はのみからなる)の含有量は、塗料の20重量%~50重量%、特に28重量%~40重量%であるか(これらの含有量は、基材上に堆積され、かつ適切な場合には、その後の乾燥及び/又は焼成によって除去される溶媒を含む全組成物に関して与えられる)、又は塗料の固形分の30重量%~80重量%である。
【0020】
本発明に従って定義されるように、塗料はまた、1又は複数の無機(又は鉱物)充填材を含む。これらの充填材は、特に焼成中に溶融せず、不溶性である。これらの充填材は、特に強化の役割を有し、組み合わされた生成物の凝集力及び熱抵抗性にも関与し(しかし、顔料と比べると、低い不透明度しか寄与せず、かつ色相にほとんど影響を及ぼさない)。これらの充填材は、本発明に従って選択される、特定の形状(薄板状)及び寸法の(2μm未満の厚さ及び10μm未満の横方向寸法)、少なくとも1種又は複数のタルク及び/又は炭酸塩の粒子(例えば、炭酸カルシウム及び/又は炭酸バリウムから選択される)を含む。選択される少なくとも1種又は複数のタルク及び/又は炭酸塩の粒子は、本発明による塗料中において、機械的強化に十分に寄与し、かつ他の充填材の存在を必要としない。好ましくは、本発明による塗料は、充填材として、少なくとも90重量%(存在する充填材の総重量に対して)の、本発明により選択される形状及び寸法の、タルク及び/又は炭酸塩の粒子を含み、有利には100重量%のタルク及び/又は炭酸塩の粒子を含む(言い換えれば、存在する充填材は、タルク及び/又は炭酸塩の粒子のみ構成されるか、又はこの混合物のみからなる)。好ましくは、塗料、及びさらにはこれらの充填材は、特にマイカの粒子を含まない。
【0021】
本発明に従って選択されるようなこれらの充填材は、薄板状形状の充填材であり、すなわち、それらの「横方向」寸法(板状体のそれぞれの平面内の寸法)と比較して薄い板状体の形態である。これらの板状体の厚さ(又は最小寸法)は、本発明によれば、2μm未満(特にすべての粒子について)である。それらの「横方向」寸法は、本発明によれば、それらの粒子の少なくとも80重量%(D80)について、(厳密に)10μm未満である。適切であれば、板状体は、凝集体又は凝集塊を形成することによって局所的に凝集していてもよい。用語「横方向寸法」は、各板状体について、板状体の平面内の寸法を意味すると理解される(特に、長さ(最大寸法)及び幅(長さ方向に対して垂直な方向の最大寸法)。ここで、この幅は、一般に、長さよりも短い(多かれ少なかれ細長い又は長方形の板状体の形状を与える)が、任意に、長さに近い長さであってもよい(多かれ少なかれ円形の範囲内の不規則な板状体形状を与える)。これらの横方向寸法の評価のために、粒子の少なくとも80重量%の寸法に対応する寸法パラメータD80を、ここでは考慮する。このパラメータは、特に標準ISO 13320:2009に従った粒子寸法測定又はレーザ回折による粒子寸法分析によって評価される。充填材の形状は、特に、塗料中に組み込まれる前には、光学顕微鏡によって、又は塗料中に組み込まれた後には、走査電子顕微鏡(SEM)によって観察することができる。これらの充填材は、特に、選択された寸法が得られるまで粉砕することによって得られる。
【0022】
本発明による塗料において選択される充填材の含有量は、塗料(基材上に堆積されるままの、適切な場合には、乾燥及び/又は焼成によってその後に除去される溶媒を含む全組成物)に関して、優先的には5重量%~20重量%、好ましくは10重量%~20重量%である。
【0023】
上に示されるように、本発明により使用される塗料はまた、黒色顔料から形成され、顔料(好ましくは黒色顔料からなる顔料)の含有量は、塗料の10重量%~30重量%(両端の値を含む)であり、好ましくは塗料の15重量%又は20重量%~30重量%である。
【0024】
塗料を調製するために使用される顔料は、好ましくは無機顔料(のみ)であり、好ましくは黒色顔料のみである。それらは、金属酸化物に基づく黒色顔料、特に酸化クロムに基づく黒色顔料、酸化銅に基づく黒色顔料、酸化鉄に基づく黒色顔料、及び/又は酸化マンガンに基づく黒色顔料から優先的に選択される。上記顔料の例は、例えば特に、KremerによってPBk 26.77494として販売されており、又はTomatecによって42-303Bとして販売されており、又はAsahi Sangyoによって3250LMとして販売されており、又はShepherdがBlack 430として販売されている。
【0025】
顔料は、特に、上記のシリコーン樹脂(単数又は複数)(バインダーとして作用し、用語「シリコーンバインダー」は、シリコーン樹脂を示すためも使用されることがある)、かつ/又は添加される媒体(後に特定されるように)中に分散される。顔料は、一般に、バインダー又は媒体中に懸濁又は分散される前に、粉末形態で提供される。顔料は、本発明において、顔料の粒子の少なくとも50%(数で)、好ましくは少なくとも75%、実際には少なくとも90%、実際には更には100%が、これらの粒子の形状が何であれ、1μm未満の寸法を示すように優先的に選択される。
【0026】
用語「粒子の寸法」は、その等価直径、すなわち、考慮中の顔料を形成する粒子(又はその粒子から形成される粉末)の粒子寸法分析の間に同一に挙動する球の直径を指し、粒子寸法分布(組み合わされた粒径)は、特にレーザ粒径測定によって測定される。
【0027】
上述のシリコーン樹脂は、特に塗料中の顔料粉末をコーティングし、かつ固体塗料層を形成するために、乾燥後の粒子のバルク凝集を可能にする。適当であれば、塗料、特に堆積準備が完了した形態の塗料は、顔料を結合するシリコーン樹脂の他に、塗料組成物に添加したときにシリコーン樹脂の一部を形成する(若しくはシリコーン樹脂とともに添加される)かつ/又は塗料の一部を形成する(若しくは塗料とに加えられる)、少なくとも1つの(他の)媒体又は溶媒も含有する。この溶媒は、基材への適用に所望される粘度の達成を可能にし、かつ塗料の基材への予備結合を可能にする。溶媒としては、例えば、ホワイトスピリット(又はヘビーナフサ)、トルエン、芳香族炭化水素タイプの溶媒(例えば、ExxonによりSolvesso 100のブランド名で販売されている溶媒)を使用することができる。堆積の間の塗料中の溶媒の含有量は、一般に、塗料の約25重量%~45重量%であり、溶媒は、最終的な層を得るためにその後で除去される(この除去は、特に乾燥及び/又は焼成中に行われる)。好ましくは、本発明に従って使用される塗料は、特により良好な使用のために、水又は水性溶媒を含まない。
【0028】
塗料は、任意に、他のタイプの成分、例えば、分散剤(例えばByk又はEvonikによりDysperbyk-102又はTego Dispers 689として販売されているもの)、空気放出添加剤(例えばByk又はEvonikによりByk A506又はByk A530として販売されているもの)、湿潤剤、安定化剤、界面活性剤、pH又は粘度調整剤、殺生物剤、消泡剤、酸化防止剤、乾燥剤から選択される1又は複数の添加剤を、添加剤の合計含有量が10重量%を超えず、特に1重量%~10重量%の間の量で、含むことができる(上記のシリコーンバインダー、顔料、充填材及び溶媒に加えて)。
【0029】
エナメル組成物とは異なり、本発明による塗料組成物は、ガラスフリットを含まず、又は一緒になってガラス状マトリックスを形成することができる成分を含まない。本発明による塗料組成物は、分散体の形態での堆積のために提供され、また有利には、組成物のより良好な使用のために(加水分解物又はゾル-ゲルとは異なり、特に、形成及び使用がより単純である)、シリカゲル又はコロイダルシリカを含まない。
【0030】
本発明による好ましい実施形態では、本発明による塗料は、以下の組成を示す(又は以下に定義される境界内(両端の値を含む)の以下の成分を含む)。割合は、重量パーセント(堆積の準備ができている塗料組成物の総重量に対する割合)として表される:
- メチル/フェニルタイプのシリコーン樹脂:10~25%、好ましくは12~20%、
- メチルタイプのシリコーン樹脂:10~25%、好ましくは12~20%、
- 黒色顔料:10~30%、好ましくは18~25%、
- タルク及び/又は炭酸塩をベースとする薄板状充填材:5~20%、好ましくは10~20%、実際には15~20%、
- 分散剤及び脱泡剤:1~10%、好ましくは2~5%、
- 溶媒:25~45%、好ましくは28~45%。
【0031】
硬化後の塗料コーティングは、上記のシリコーン樹脂、充填材及び顔料から主に形成される。堆積前の塗料は、一般に、ペースト状のコンシステンシーの安定な液体/固体の混合物の形態で提供される。塗料の堆積時の粘度は、優先的に、1000~3000mPa・s、特に1300~1800mPa・sである。
【0032】
塗料は、必要な割合でその成分を混合することによって直接に形成することができ、粘度は、必要に応じて、溶媒の添加によって調整される。
【0033】
最終的な塗料コーティング(乾燥後)の厚さは、優先的に20~40μm、特に25~35μmである。
【0034】
本発明による解決策は、簡単かつ経済的な様式で、複雑な操作なしに(塗料層は、特に、スクリーン印刷によって有利にかつ単純に堆積される)、持続的な様式で、かつ非常に柔軟性を伴って、本発明によって所望とされる製品を、得ることを可能にする。得られたコーティング(乾燥/焼成後)は、特に深い黒色であり、5未満の異常に低い明度L*を特徴とする(目的の用途のための既存の塗料の明度は一般に少なくとも12である)。明度L*は、CIE比色系において規定された成分であり、そして公知の方法で、特にByk-Gardner Color Guide 45/0比色計(反射における比色法)を使用して、D65光源で、基材の上面に関して評価される(塗料の明度の測定のために使用される基材は、4mmの厚さを有し、85~90%の光透過TL(可視波長範囲で積分)を本質的に有し、不透明な白色背景上に配置された透明ガラスセラミック基材である)(試料は45°の直角下で照射され、0°角度で観察される)。さらに、塗料は、ガラスセラミックの通常の熱機械的応力に対して良好な耐性を示し、特に500℃までの温度変動の場合に、変色又は剥離が観察されない。塗料組成物は、ガラスセラミック基材の任意の領域が高温及び/又は強い照明にさらされる場合でさえ、これらの領域において使用することができる。塗料の基材への良好な接着も観察され、この塗料は、さらに、良好な耐引っ掻き傷性、特に、標準ISO 15184に従う2B鉛筆に対する耐性、及び標準ISO 1518-1に従う少なくとも1Nの耐性を示す。
【0035】
適切であれば、基材は、1又は複数の追加のコーティング、特に局所的コーティング(例えば、ロゴ又は単純なパターンを形成するために、上面のエナメル)を含むことができる。有利には、選択された塗料は、上層又は下層の必要なしに、本発明による基材をコーティングする。
【0036】
本発明による物品は、基材の下面に配置された少なくとも1又は複数の光源及び/又は1若しくは複数の加熱要素(1又は複数の誘導加熱手段など)を含むことができる。光源は、表示装置タイプ(例えば、「7セグメント」発光ダイオード)の1又は複数の構造、タッチ感知デジタルディスプレイ電子制御パネル、LCDスクリーンなどに一体化/結合することができる。光源は、有利には、多かれ少なかれ間隔を空けた発光ダイオードによって形成される。
【0037】
本発明による物品は、適切であれば、他の要素を含むことができ;例えば、調理部又はクックトップの場合、物品は、追加の機能的又は装飾的要素(枠、コネクタ、ケーブル、制御要素)などを備えることができる(又は組み合わせることができる)。
【0038】
本発明は、ガラスセラミック基材が、上記で選択されるような塗料で少なくとも1つの領域に関してコーティングされる、本発明による物品の製造方法にも関する。
【0039】
記録のために、ガラスセラミック板の製造は、一般に次のように行われる。すなわち、ガラスセラミックを形成するために選択された組成のガラスを、溶融炉で溶融し、その後、溶融ガラスを転動ロール間に通過させることによって溶融ガラスを圧延して標準的なリボン又はシートを与え、そしてガラスリボンを所望の寸法に切断する。このように切断されたプレートは、その後、それ自体は既知の方法でセラミック化する。セラミック化は、ガラスを「ガラスセラミック」として知られる多結晶材料に変換するために選択された熱プロファイルに従って、プレートを焼成することからなる。ここで、この多結晶材料の膨張係数は、ゼロ又は事実上ゼロであり、かつ700℃までの範囲であり得る熱衝撃に耐える。セラミック化は、一般にガラスの転換範囲の近傍の核形成範囲まで温度を徐々に上昇させる段階、数分で核形成間隔を通過させる段階、セラミック化固定相の温度まで温度をさらに徐々に上昇させる段階、セラミック化固定相の温度を数分間にわたって維持する段階、次いで、周囲温度まで急冷する段階を、一般に含む。
【0040】
本発明により選択される塗料は、(1つ又は複数の層で、好ましくは1つの層で、)迅速かつ簡単に、スクリーン印刷によって(適切な場合には、表示領域内の透明な間隔を伴って、無地のトーンの形態で)、ガラス-セラミック基材に(この堆積は、基材の任意のセラミック化の後に実施される)、有利にはガラス-セラミック基材の下側面に、適切な領域(例えば、放射領域に関する)において、優先的に適用される。
【0041】
好ましくは、例えばポリエステル又はポリアミドの糸の織物から構成される使用されるスクリーン印刷スクリーンは、cm当たり32~43糸の間の、cm当たり糸の数を示すように選択され、それによって塗料コーティングの特に適切な厚さ及び定義を得ることを可能にする。
【0042】
堆積された後の塗料は、セラミック化された基材上で乾燥(例えば、160℃で数分間)され、350~480℃の間の温度で40~60分間にわたって焼成(オフライン)され、得られる最終的な塗料コーティングは、ポリマーに基づく層を形成する。
【0043】
適切な場合、この方法は、切断操作(一般にセラミック化前)を含み、これは、例えば、水のジェット、切断ホイールを使用する機械的マーキング等を使用し、その後、成形操作(研削、面取り等)を行う。
【0044】
本発明及びその利点のより良い理解は、以下の比較例を読むことによって得られる。これらの比較例は、例示としてのみ与えられ、制限されるものではなく、使用されるガラスセラミック基材は、欧州特許出願公開第0 437 228号明細書に定義される透明基材である。
【実施例】
【0045】
本発明による実施例1:
使用される塗料は、下記を混合することによって調製される:
- 15重量%の、RSN-0249としてDow Corningによって販売されている、メチル/フェニルタイプのシリコーン樹脂、
- 15重量%の、Bayer P850としてBayerによって販売されている、メチルタイプのシリコーン樹脂、
- 20重量%の、PBk 26.77494としてKremerによって販売されている、寸法分布が0.5μm未満の、鉄及びマンガンの酸化物に基づく黒色顔料、
- 18重量%の、Imerysによって販売されている、薄板状、厚さが2μm未満、D80が9μmの、タルク(の形態の充填材)、
- 1重量%の、Disperbyk 103としてBykによって販売されている、分散剤、
- 1重量%の、Byketol OKとしてBykによって販売されている、脱泡剤、
- 30重量%の、Solvesso 100としてExxonによって販売されている、ナフサタイプの溶媒。
【0046】
続いて、この塗料を、基準32(1cm当たり32本の糸)のメッシュを有するスクリーン印刷によって、基材に適用し、次いで、160℃で4分間乾燥させる。その後、350℃~450℃で45分間の熱処理を用いて焼成する。
【0047】
本発明による実施例2:
使用される塗料は、下記を混合することによって調製される:
- 15重量%の、Silres 604としてWackerによって販売されている、メチル/フェニルタイプのシリコーン樹脂、
- 15重量%の、Bayer P850としてBayerによって販売されている、メチルタイプのシリコーン樹脂、
- 20重量%の、PBk26.77494としてKremerによって販売されている、0.5μm未満の寸法分布の、鉄及びマンガンの酸化物に基づく黒色顔料、
- 18重量%の、Imerysによって販売されている、薄板状、厚さが2μm未満、D80が9μmの、タルク(の形態の充填材)、
- 1重量%の、Disperbyk 103としてBykによって販売されている、分散剤、
- 1重量%の、Byketol OKとしてBykによって販売されている、脱泡剤、
- 30重量%の、Solvesso 100としてExxonによって販売されている、ナフサタイプの溶媒。
【0048】
続いて、この塗料を、基準32のメッシュを有するスクリーン印刷によって基材に適用し、次いで、160℃で4分間乾燥させる。その後、350℃~450℃で45分間の熱処理を用いて焼成する。
【0049】
本発明によらない参考例1:
使用される塗料は、下記を混合することによって調製される:
- 35重量%の、RSN-0249としてDow Corningによって販売されている、メチル/フェニルタイプのシリコーン樹脂、
- 25重量%の、42-303BとしてTomatecによって販売されている、0.6μmの寸法分布の、銅、クロム及びマンガンの酸化物に基づく黒色顔料、
- 8重量%の、Imerysによって販売されている、薄板状、厚さが2μm未満、D80が8μmの、タルク(の形態の充填材)、
- 1重量%の、Disperbyk 103としてBykによって販売されている、分散剤、
- 1重量%の、Byketol OKとしてBykによって販売されている、脱泡剤、
- 30重量%の、Solvesso 100としてExxonによって販売されている、ナフサタイプの溶媒。
【0050】
続いて、この塗料を、基準32のメッシュを有するスクリーン印刷によって基材に適用し、次いで、160℃で4分間乾燥させる。その後、350℃~450℃で45分間の熱処理を用いて焼成する。
【0051】
本発明によらない参考例2:
使用される塗料は、下記を混合することによって調製される:
- 35重量%の、KR-220Lとして信越によって販売されている、メチルタイプのシリコーン樹脂、
- 20重量%の、PBk 26.77494としてKremerによって販売されている、寸法分布が0.5μm未満の、鉄及びマンガンの酸化物に基づく黒色顔料、
- 13重量%の、Imerysによって販売されている、薄板状、厚さが2μm未満、D80が8μmの、タルク(の形態の充填材)、
- 1重量%の、Disperbyk 103としてBykによって販売されている、分散剤、
- 1重量%の、Byketol OKとしてBykによって販売されている、脱泡剤、
- 30重量%の、Solvesso 100としてExxonによって販売されている、ナフサタイプの溶媒。
【0052】
続いて、この塗料を、基準32のメッシュを有するスクリーン印刷によって基材に適用し、次いで、160℃で4分間乾燥させる。その後、350℃~450℃で45分間の熱処理を用いて焼成する。
【0053】
各塗料が設けられた各ガラスセラミックのサンプルを、続いて、加熱要素上に配置する。コーティングで測定される温度は260℃(ソーセージタイプの食品の調理中にコーティングが受ける温度に対応する)である。続いて、260℃で15分間の加熱サイクルを数回行い、その後、周囲温度まで冷却する(各サイクルの合計持続時間は20分間)。
【0054】
本発明による実施例における塗料は、分離、又は割れ若しくは剥離を示すことはなく、少なくとも1500回の加熱サイクルに耐える、一方で、基準比較例では、塗料は100サイクル後に、分離し/割れ及び剥離を示す。さらに、本発明による実施例の塗料は、特に黒色(L*<5を有する)であり、ガラスセラミック基材に良好に接着し、標準ISO 15184及びISO 1518-1による引っ掻き試験は、それぞれ、2B鉛筆に対する抵抗性及び少なくとも1Nの力に対する抵抗性を与える。
【0055】
本発明による物品、特にプレートは、特に、台所範囲又は調理表面のための新規範囲のクックトップ、又は新規範囲の作業台、コンソール、セントラルアイランドなどを製造するために有利に使用することができる。
【国際調査報告】