(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(54)【発明の名称】オレフィン重合用触媒の調製方法
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20220126BHJP
【FI】
C08F4/6592
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533294
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 KR2019017052
(87)【国際公開番号】W WO2020122500
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0159163
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】イム ソンゼ
(72)【発明者】
【氏名】バク ヘラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウィガプ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン テウク
(72)【発明者】
【氏名】チョエ スンイル
【テーマコード(参考)】
4J128
【Fターム(参考)】
4J128AA01
4J128AB00
4J128AC28
4J128AD06
4J128AD13
4J128BA01A
4J128BA02B
4J128BB01A
4J128BB02B
4J128BC15B
4J128BC25A
4J128CA28A
4J128CB55A
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB09
4J128EC02
4J128FA04
4J128FA09
4J128GB01
4J128GB03
4J128GB06
(57)【要約】
本発明は、オレフィン重合用触媒の調製方法に関するものである。具体的に、本発明は、メタロセン担持触媒を帯電防止剤により処理することにより、オレフィン重合の際に操業安定性を向上させ得るメタロセン担持触媒の調製方法に関するものである。本発明の具体例によるメタロセン担持触媒の調製方法は、改善された方法により、メタロセン担持触媒を帯電防止剤により処理することにより、オレフィン重合の際に操業安定性を向上させることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1a)1つ以上の遷移金属化合物に助触媒化合物を添加する段階、または(1b)担体に助触媒化合物を添加する段階と、(2)遷移金属化合物を担体に担持させる段階と、(3)担持触媒を帯電防止剤溶液または懸濁液で1次処理する段階と、(4)担持触媒を帯電防止剤乾燥粉末で2次処理する段階とを含む、オレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項2】
前記遷移金属化合物は、下記化学式1で表されるものである、請求項1に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法:
【化1】
前記化学式1において、
Mは元素周期表の第4族遷移金属であり、
Qは炭素、シリコン、ゲルマニウム、およびスズのいずれか1つであり、
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数2~10のアルケニル基であり、
R
1~R
12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであるか、またはR
1~R
12のうち隣接する2つのR
nとR
n+1(nは1~11)とが炭素数1~4のアルキル基が置換または非置換の炭素数1~15の単環または多環式化合物を形成したとき、R
nとR
n+1とを除く残りのRはそれぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであり、
R
13とR
14とはそれぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~14のアリール基である。
【請求項3】
前記化学式1において、
前記Mがジルコニウムであり、
前記Qがシリコンであり、
前記Xがそれぞれ塩素であり、
前記R
1~R
12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであるか、または前記R
1~R
12のうち隣接する2つのR
nとR
n+1(nは1~11)とが、炭素数1~4のアルキル基が置換または非置換の炭素数1~15の単環または多環式化合物を形成したとき、R
nとR
n+1とを除く残りのRはそれぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであってよく、
前記R
13とR
14とはそれぞれ独立してメチル基である、請求項2に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項4】
前記化学式1の遷移金属化合物が、下記化学式1-1~1-16で表される化合物のいずれか1つである、請求項2に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法:
【化2】
【請求項5】
前記化学式1の遷移金属化合物が、前記化学式1-1で表される化合物である、請求項4に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項6】
前記助触媒化合物が、下記化学式2で表される化合物、下記化学式3で表される化合物、および下記化学式4で表される化合物からなる群より選択される1つ以上である、請求項1に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法:
【化3】
前記化学式2において、nは2以上の整数であり、R
aはハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、またはハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基であり、
前記化学式3において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、R
b、R
cおよびR
dはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基、または炭素数1~20のアルコキシ基であり、
前記化学式4において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L-H]
+および[L]
+はブレンステッド酸であり、Zは第13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換または非置換の炭素数6~20のアリール基か、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【請求項7】
前記化学式2で表される化合物が、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、およびブチルアルミノキサンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項6に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項8】
前記化学式3で表される化合物が、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、およびトリブチルボロンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項6に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項9】
前記化学式4で表される化合物が、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、およびトリフェニルカルベニウムテトラペンタフルオロフェニルボレートからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項6に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項10】
前記担体が、シリカ、アルミナ、および酸化マグネシウム(マグネシア)からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項11】
前記遷移金属化合物と前記助触媒化合物とが、単一種の担体に担持される、請求項10に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項12】
前記遷移金属化合物と前記助触媒化合物とが、シリカに担持される、請求項11に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項13】
前記担体に担持される前記遷移金属化合物の量が、担持触媒の総重量を基準に0.5重量%~3.0重量%であり、前記担体に担持される前記助触媒化合物の量が担持触媒の総重量を基準に20重量%~30重量%である、請求項11に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項14】
前記帯電防止剤が、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、トリステアリン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、および酢酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項15】
前記段階(3)において使用される帯電防止剤の量が、担持触媒の総重量を基準に0.01重量%~5.0重量%であり、前記段階(4)において使用される帯電防止剤の量が、担持触媒の総重量を基準に0.1重量%~5.0重量%である、請求項14に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【請求項16】
前記段階(3)において、帯電防止剤をヘキサン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、および酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1つの有機溶媒に、0.01重量%~5.0重量%の含有量で溶解または懸濁させた後、担持触媒を処理する、請求項15に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合用触媒の調製方法に関するものである。具体的に、本発明は、メタロセン担持触媒を帯電防止剤により処理することにより、オレフィン重合の際に操業安定性を向上させ得るメタロセン担持触媒の調製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オレフィンを重合するために用いられる触媒の1つであるメタロセン触媒は、遷移金属または遷移金属ハロゲン化合物に、シクロペンタジエニル(cyclopentadienyl)、インデニル(indenyl)、シクロヘプタジエニル(cycloheptadienyl)などのリガンドが配位結合された化合物としてサンドイッチ構造を基本的な形態として有する。
【0003】
オレフィンを重合するために用いられる別の触媒であるチーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒が、活性点である金属成分が不活性の固体表面に分散され、活性点の性質が均一でないのに対し、メタロセン触媒は、一定の構造を有する1つの化合物であるため、すべての活性点が同一の重合特性を有する単一活性点触媒(single-site catalyst)として知られている。このようなメタロセン触媒で重合された高分子は、分子量の分布が狭く、共単量体の分布が均一な特徴を示す。
【0004】
メタロセン触媒を用いて流動層反応器においてオレフィンを重合する場合、反応器の壁は、ポリオレフィンとの接触により(+)電荷を帯び、ポリオレフィンは(-)電荷を帯びるようになる。一方、メタロセン担持触媒は、反応器に投入されると(-)電荷を帯びる。ところで、(-)電荷を帯びるメタロセン触媒は、静電気力(electrostatic force)のため反応器の壁に移動し、その結果、反応器壁の近くでホットスポット(hot spot)や高分子シート(sheet)を形成して操業に深刻な悪影響を与え得る。
【0005】
このような操業不安定を軽減するために帯電防止剤を担持触媒と混合したり、重合の際に触媒と一緒に反応器に注入したりする試みがなされてきた。ところが、帯電防止剤を担持触媒と混合すると、帯電防止剤が触媒毒として作用して、触媒の活性が低下する問題があり、その改善が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、オレフィン重合の際に操業安定性を向上させ得るメタロセン担持触媒の調製方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するための本発明の一具体例により、(1a)1つ以上の遷移金属化合物に助触媒化合物を添加する段階、または(1b)担体に助触媒化合物を添加する段階と、(2)遷移金属化合物を担体に担持させる段階と、(3)担持触媒を帯電防止剤溶液または懸濁液で1次処理する段階と、(4)担持触媒を帯電防止剤乾燥粉末で2次処理する段階とを含む、オレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法が提供される。
【0008】
ここで、遷移金属化合物は、下記化学式1で表されるものであり得る。
【0009】
【0010】
前記化学式1において、Mは元素周期表の第4族遷移金属であり、Qは炭素、シリコン、ゲルマニウム、およびスズのいずれか1つである。
【0011】
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数2~10のアルケニル基である。
【0012】
R1~R12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであるか、またはR1~R12のうち隣接する2つのRnとRn+1(nは1~11)とが炭素数1~4のアルキル基が置換または非置換の炭素数1~15の単環または多環式化合物を形成したとき、RnとRn+1とを除く残りのRはそれぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであり得る。
【0013】
R13とR14とはそれぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~14のアリール基である。
【0014】
好ましくは、前記化学式1において、Mはジルコニウムであり、Qはシリコンであり、Xはそれぞれ塩素であり、R1~R12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであるか、またはR1~R12のうち隣接する2つのRnとRn+1(nは1~11)とが、炭素数1~4のアルキル基が置換または非置換の炭素数1~15の単環または多環式化合物を形成したとき、RnとRn+1とを除く残りのRはそれぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであってよく、R13とR14とはそれぞれ独立してメチル基である。
【0015】
より好ましくは、前記化学式1の遷移金属化合物が、下記化学式1-1~1-16で表される化合物のいずれか1つである。
【0016】
【0017】
最も好ましくは、前記化学式1の遷移金属化合物が、前記化学式1-1で表される化合物であり得る。
【0018】
一方、助触媒化合物が下記化学式2で表される化合物、化学式3で表される化合物、および化学式4で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1つを含み得る。
【0019】
【0020】
前記化学式2において、nは2以上の整数であり、Raはハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、またはハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基である。
【0021】
前記化学式3において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基、または炭素数1~20のアルコキシ基である。
【0022】
前記化学式4において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+はブレンステッド酸であり、Zは第13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換または非置換の炭素数6~20のアリール基か、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0023】
具体的に、前記化学式2で表される化合物は、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、およびブチルアルミノキサンからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0024】
また、前記化学式3で表される化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、およびトリブチルボロンからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0025】
また、前記化学式4で表される化合物は、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、およびトリフェニルカルベニウムテトラペンタフルオロフェニルボレートからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0026】
好ましくは、担体がシリカ、アルミナ、および酸化マグネシウム(マグネシア)からなる群より選択される少なくとも1つを含み得る。
【0027】
より好ましくは、遷移金属化合物と助触媒化合物とが、単一種の担体に担持され得る。具体的に、遷移金属化合物と助触媒化合物とがシリカに担持され得る。
【0028】
この際、担体に担持される遷移金属化合物の量は、担持触媒の総重量を基準に0.5重量%~3.0重量%であり、担体に担持される助触媒化合物の量は、担持触媒の総重量を基準に20重量%~30重量%であり得る。
【0029】
好ましくは、帯電防止剤が、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、トリステアリン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、および酢酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つを含み得る。
【0030】
前記1次処理の際に使用される帯電防止剤の量は、担持触媒の総重量を基準に0.01重量%~5.0重量%であり得る。また、前記2次処理の際に使用される帯電防止剤の量は、担持触媒の総重量を基準に0.1重量%~5.0重量%であり得る。
【0031】
好ましくは、帯電防止剤を、ヘキサン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、および酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1つの有機溶媒に0.01重量%~5.0重量%の含有量で溶解または懸濁させた後、担持触媒を1次処理する。
【発明の効果】
【0032】
本発明の具体例によるメタロセン担持触媒の調製方法は、改善された方法により、メタロセン担持触媒を帯電防止剤により処理することにより、オレフィン重合の際に操業安定性を向上させ得る。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明の一具体例によるオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法は、(1a)1つ以上の遷移金属化合物に助触媒化合物を添加する段階、または(1b)担体に助触媒化合物を添加する段階と、(2)遷移金属化合物を担体に担持させる段階と、(3)担持触媒を帯電防止剤溶液または懸濁液で1次処理する段階と、(4)担持触媒を帯電防止剤乾燥粉末で2次処理する段階とを含む。
【0034】
前記段階(1a)において、1つ以上の遷移金属化合物に助触媒化合物を添加する。
ここで、遷移金属化合物は、下記化学式1で表されるものであり得る。
【0035】
【0036】
前記化学式1において、Mは元素周期表の第4族遷移金属である。具体的に、Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、またはハフニウム(Hf)であり、より具体的には、ジルコニウムまたはハフニウムであり得る。
【0037】
Qは炭素、シリコン、ゲルマニウム、およびスズのいずれか1つである。具体的に、Qはシリコンであり得る。
【0038】
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数2~10のアルケニル基である。具体的に、Xはそれぞれ独立して、ハロゲンであり、より具体的に塩素であり得る。
【0039】
R1~R12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであるか、またはR1~R12のうち隣接する2つのRnとRn+1(nは1~11)とが、炭素数1~4のアルキル基が置換または非置換の炭素数1~15の単環または多環式化合物を形成したとき、RnとRn+1とを除く残りのRはそれぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであり得る。
【0040】
具体的に、前記単環式化合物は、脂環式化合物の単環式化合物であるか、または芳香族環式化合物の単環式化合物であってよく、前記多環式化合物は、脂環式化合物の多環式化合物であるか、芳香族環式化合物の多環式化合物であるか、または脂環式化合物と芳香族環式化合物との多環式化合物のいずれも含み得る。
【0041】
R13とR14とはそれぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~14のアリール基である。具体的に、R13とR14とはそれぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、より具体的にメチル基であり得る。
【0042】
好ましくは、前記化学式1において、Mはジルコニウムであり、Qはシリコンであり、Xはそれぞれ塩素であり、R1~R12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであるか、またはR1~R12のうち隣接する2つのRnとRn+1(nは1~11)が、炭素数1~4のアルキル基が置換または非置換の炭素数1~15の単環または多環式化合物を形成したとき、RnとRn+1とを除く残りのRはそれぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、および炭素数6~14のアリール基のいずれか1つであってよく、R13とR14とはそれぞれ独立してメチル基である。
【0043】
より好ましくは、前記化学式1の遷移金属化合物が、下記化学式1-1~1-16で表される化合物のいずれか1つである。
【0044】
【0045】
最も好ましくは、前記化学式1の遷移金属化合物が、前記化学式1-1で表される化合物であり得る。
【0046】
一方、前記段階(1a)の助触媒化合物は、下記化学式2で表される化合物、化学式3で表される化合物、および化学式4で表される化合物のうち1つ以上を含み得る。
【0047】
【0048】
前記化学式2において、nは2以上の整数であり、Raはハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素、またはハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素であり得る。具体的に、Raは、メチル、エチル、n-ブチル、またはイソブチルであり得る。
【0049】
【0050】
前記化学式3において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基、または炭素数1~20のアルコキシ基である。具体的に、Dがアルミニウム(Al)のとき、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立してメチルまたはイソブチルであり、Dがボロン(B)のとき、Rb、RcおよびRdはそれぞれペンタフルオロフェニルであり得る。
【0051】
【0052】
前記化学式4において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+はブレンステッド酸であり、Zは第13族元素であり、Aはそれぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~20のアリール基か、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。具体的に、[L-H]+はジメチルアニリニウム陽イオンであり、[Z(A)4]-は[B(C6F5)4]-であり、[L]+は[(C6H5)3C]+であり得る。
【0053】
前記化学式2で表される化合物の例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられ、メチルアルミノキサンが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0054】
また、前記化学式3で表される化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、およびトリブチルボロン等が挙げられ、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0055】
また、前記化学式4で表される化合物の例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート等が挙げられる。
【0056】
段階(1a)において、1つ以上の遷移金属化合物に助触媒化合物を添加する過程は、溶媒の存在下で行われ得る。この際、溶媒はヘキサン、ペンタンのような脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル系溶媒、アセトン、酢酸エチルなどと、ほとんどの有機溶媒であってよく、好ましくはトルエンまたはヘキサンであり得るが、これらに特に限定されない。
【0057】
段階(1a)において、1つ以上の遷移金属化合物に助触媒化合物を添加する過程は、0℃~100℃の温度、好ましくは10℃~30℃の温度にて行われ得る。
【0058】
また、段階(1a)において、1つ以上の遷移金属化合物に助触媒化合物を添加した後、5分~24時間、好ましくは30分~3時間これを十分に撹拌することが好ましい。
【0059】
前記段階(1b)において、担体に助触媒化合物を添加する。
なお、担体は、表面にヒドロキシ基を含有する物質を含んでよく、好ましくは、乾燥され表面に水分が除去された、反応性の大きいヒドロキシ基とシロキサン基とを有する物質が使用され得る。例えば、担体は、シリカ、アルミナ、および酸化マグネシウム(マグネシア)からなる群より選択される少なくとも1つを含み得る。具体的に、高温で乾燥されたシリカ、シリカ-アルミナ、およびシリカ-マグネシア等が担体として用いられ、これらは通常、Na2O、K2CO3、BaSO4、およびMg(NO3)2等の酸化物、炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩成分を含有し得る。また、これらは、炭素、ゼオライト、塩化マグネシウム等をも含み得る。ただし、担体はこれらに限定されるものではなく、1つ以上の遷移金属化合物と助触媒化合物とを担持し得るものであれば特に限定されない。
【0060】
担体は、平均粒度が10μm~250μmであり、好ましくは、平均粒度が10μm~150μmであり、より好ましくは20μm~100μmであり得る。
【0061】
担体の微細気孔の体積は0.1cc/g~10cc/gであり、好ましくは0.5cc/g~5cc/gであり、より好ましくは1.0cc/g~3.0cc/gであり得る。
【0062】
担体の比表面積は、1m2/g~1000m2/gであり、好ましくは100m2/g~800m2/gであり、より好ましくは200m2/g~600m2/gであり得る。
【0063】
好ましい一実施例において、担体がシリカである場合、シリカの乾燥温度は200℃~900℃であり得る。乾燥温度は、好ましくは300℃~800℃、より好ましくは400℃~700℃であり得る。乾燥温度が200℃未満であると、水分が多すぎて表面の水分と助触媒が反応することとなり、900℃を超えると、担体の構造が崩壊され得る。
【0064】
乾燥されたシリカ内のヒドロキシ基の濃度は0.1mmol/g~5mmol/gであり、好ましくは0.7mmol/g~4mmol/gであり、より好ましくは1.0mmol/g~2mmol/gであり得る。ヒドロキシ基の濃度が0.1mmol/g未満であると、助触媒の担持量が低くなり、5mmol/gを超えると、触媒成分が不活性化する問題が発生し得る。
【0065】
段階(1b)において、担体に助触媒化合物を添加する過程は、溶媒の存在下で行われ得る。この際、溶媒は、前記段階(1a)で説明したものと実質的に同一である。
【0066】
段階(1b)において、担体に助触媒化合物を添加する過程は、0℃~100℃の温度、好ましくは10℃~50℃の温度にて行われ得る。
【0067】
また、段階(1b)において、担体に助触媒化合物を添加した後、5分~24時間、好ましくは30分~3時間これを十分に撹拌することが好ましい。
【0068】
前記段階(2)において、遷移金属化合物を担体に担持させる。
具体的に、段階(1a)で遷移金属化合物に助触媒化合物が添加され活性化された遷移金属化合物を担体と接触させるか、段階(1b)で助触媒化合物が担持された担体に遷移金属化合物を接触させることにより、遷移金属化合物を担体に担持させ得る。
【0069】
段階(2)において、担体に遷移金属化合物を担持させる過程は、溶媒の存在下で行われ得る。この際、溶媒は、前記段階(1a)で説明したものと実質的に同一である。
【0070】
段階(2)において、担体に遷移金属化合物を担持させる過程は、0℃~100℃の温度、好ましくは室温~90℃の温度にて行われ得る。
【0071】
また、段階(2)において、担体に遷移金属化合物を担持させる過程は、遷移金属化合物と担体との混合物を5分~24時間、好ましくは30分~3時間、十分に撹拌することによって行われ得る。
【0072】
好ましくは、遷移金属化合物と助触媒化合物とが、単一種の担体に担持され得る。具体的に、遷移金属化合物と助触媒化合物とがシリカに担持され得る。
【0073】
この際、担体に担持される遷移金属化合物の量は、担持触媒の総重量を基準に0.5重量%~3.0重量%であってよく、担体に担持される助触媒化合物の量は、担持触媒の総重量を基準に20重量%~30重量%であり得る。
【0074】
前記段階(3)において、担持触媒を帯電防止剤溶液または懸濁液により1次処理する。
【0075】
好ましくは、帯電防止剤がステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、トリステアリン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、および酢酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つを含み得るが、特にこれらに限定されるものではない。好ましくは、帯電防止剤がステアリン酸アルミニウムであり得る。
【0076】
1次処理の際に使用される帯電防止剤の量は、担持触媒の総重量を基準に0.01重量%~5.0重量%であり、好ましくは、0.5重量%~5.0重量%、0.5重量%~4.0重量%、1.0重量%~5.0重量%、または1.0重量%~4.0重量であり得る。
【0077】
1次処理の際に帯電防止剤は、炭化水素溶媒などに均一に溶解または懸濁された状態で担持触媒に添加される。この際、溶媒は、段階(1a)で説明したものと実質的に同一であり得るが、特にこれらに限定されない。
【0078】
前記溶媒に溶解または懸濁される帯電防止剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは0.01重量%~5.0重量%、より好ましくは0.1重量%~4.0重量%であり得る。
【0079】
好ましい一実施例において、帯電防止剤を0.01重量%~5.0重量%の含有量で有機溶媒に溶解または懸濁させた後、カニューレを用いて反応器に投入し、窒素雰囲気下で60℃にて1時間撹拌し得る。ただし、帯電防止剤の1次処理方法が、このような具体的な実施例に限定されるものではない。
【0080】
本発明の具体例によるオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法は、帯電防止剤により1次処理された担持触媒を溶媒で洗浄し、乾燥させる段階をさらに含み得る。
【0081】
具体的に、帯電防止剤により1次処理された後、3分~3時間静置させ、担持触媒を沈殿させる。次いで、上澄み液を除去して担持触媒を分離した後、溶媒で洗浄し、室温~80℃の温度にて6時間~48時間乾燥させて担持触媒を得られ得る。なお、溶媒は、前記段階(1a)で説明したものと実質的に同一である。
【0082】
前記段階(4)において、担持触媒を帯電防止剤乾燥粉末により2次処理する。
この際、帯電防止剤は、前記段階(3)で説明したものと実質的に同一である。
【0083】
2次処理の際に使用される帯電防止剤の量は、担持触媒の総重量を基準に0.1重量%~5.0重量%であってよく、好ましくは0.5重量%~4.5重量%、1.0重量%~4.0重量%、または1.0重量%~3.5重量%であり得る。
【0084】
2次処理の際に、乾燥粉末状態の帯電防止剤と乾燥した担持触媒とを均一に混合する。具体的に、担持触媒と帯電防止剤との乾式混合は、帯電防止剤の粘り気のある粒子特性に起因して、触媒の流れ性を劣悪にし得るので、比較的低いせん断(shear)により短時間で均一に混合することが好ましい。
【0085】
本発明の一実施例において、帯電防止剤の2次処理のために、例えば、窒素雰囲気下のコニカルスクリューミキサー(conical screw mixer)、ヘリカルリボンブレンダー(helical ribbon blender)などのミキサーに、乾燥した担持触媒と0.1重量%~5.0重量%含有量の帯電防止剤とを投入し、常温の温度にて約200rpmの回転速度の条件で5分間乾式混合し得る。ただし、帯電防止剤の2次処理方法が、このような具体的な実施例に限定されるものではない。
【0086】
1次および2次処理の際における帯電防止剤のそれぞれの量が前記範囲を満足すると、調製された触媒が適切な活性と流れ性を示し得る。帯電防止剤の含有量が低すぎると、静電気防止の効果が微々として安定した操業の確保が難しく、帯電防止剤の含有量が高すぎると、触媒の活性と流れ性が低下して、高分子微粉末が生成されるか、安定した操業の確保が難しい。
【0087】
前述のように、1種以上の帯電防止剤により2回処理された本発明のメタロセン触媒システムは、気相重合またはスラリー重合によるポリオレフィンの調製の際、ポリマー粒子間の摩擦またはポリマー粒子と反応器内壁との摩擦によって発生する静電気を最小化できながらも、触媒の固有活性を安定して維持することができる。これは、メタロセン触媒システムが、反応器内に存在する高分子の粒子大きさとバルク密度とを、摩擦による静電気発生が最小化できる範囲に形成するからであると推定される。
【0088】
一方、本発明の具体例におけるオレフィン重合用メタロセン担持触媒の調製方法により調製された触媒の存在下でオレフィン系単量体を重合して、オレフィン系重合体を提供し得る。
【0089】
なお、オレフィン系重合体は、オレフィン系単量体の単独重合体(homopolymer)、またはオレフィン系単量体と共単量体との共重合体(copolymer)であり得る。
【0090】
オレフィン系単量体は、炭素数2~20のα-オレフィン(α-olefin)、炭素数1~20のジオレフィン(diolefin)、炭素数3~20のシクロオレフィン(cycloolefin)、および炭素数3~20のシクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選択される少なくとも1つである。
【0091】
例えば、オレフィン系単量体は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、または1-ヘキサデセン等であり、オレフィン系重合体は、前記例示のオレフィン系単量体を1種のみ含む単独重合体か、または2種以上を含む共重合体であり得る。
【0092】
例示的な実施例において、オレフィン系重合体は、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンが共重合された共重合体でよく、エチレンと1-ヘキセンとが共重合された共重合体が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0093】
この場合、エチレンの含有量は55重量%~99.9重量%が好ましく、90重量%~99.9重量%がより好ましい。α-オレフィン系共単量体の含有量は0.1重量%~45重量%が好ましく、0.1重量%~10重量%がより好ましい。
【0094】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体は、例えば、フリーラジカル(free radical)、陽イオン(cationic)、配位(coordination)、縮合(condensation)、添加(addition)などの重合反応により重合され得るが、これらに限定されるものではない。
【0095】
好ましい実施例として、オレフィン系重合体は、気相重合法、溶液重合法、またはスラリー重合法などにより調製され得る。オレフィン系重合体が溶液重合法またはスラリー重合法により調製される場合、使用され得る溶媒の例として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体のような炭素数5~12の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒;およびこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0096】
以下、実施例および比較例により、本発明をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を例示するためのものであるのみ、本発明の範囲がこれらのみに限定されるものではない。
【0097】
(調製例1)
グローブボックス内において、100mlのオートクレーブの中にrac-ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド(rac-dimethylsilylenebis(indenyl)zirconium dichloride)502mg(1eq.)とパラジウム/炭素(Pd/C)溶液とを入れた。Pd/C溶液は、5重量%のPd/C59.5mg(2.5mol%)をトルエン25mlに分散させて調製した。オートクレーブ内に水素30barを注入した後、70℃にて5時間撹拌した。反応終了後、オートクレーブ内の溶液をろ過し、トルエン25mlを用いて、生成済みの遷移金属化合物結晶を溶かした後、ろ過した。ろ過された溶液を集めて真空下で溶媒を除去した後、淡い緑色の固体化合物rac-ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド(rac-dimethylsilyl bis(tetrahydroindenyl)zirconium dichloride;化学式1-1)0.91g(90%)を得た。
【0098】
(実施例1)
グローブボックス内における2リットルの丸ガラス反応器に43.2gのメチルアルミノキサン(10重量%トルエン溶液)を添加して、調製例1で得た遷移金属化合物0.2281gを130mlのトルエン溶液に溶解させた後、カニューレを用いて反応器に投入し、25℃にて1時間撹拌した。一方、シリカ(XPO2402、Grace Davison社)10.87gを反応器に投入し、窒素雰囲気下で75℃にて3時間撹拌した。次いで、ジステアリン酸アルミニウム(Al-St)0.616gをトルエン100mlに溶解した後、カニューレを用いて反応器に投入し、窒素雰囲気下で60℃にて1時間撹拌した。Al-Stの1次処理が終わり、固体/液体が十分に分離された後、上澄み液を除去した。トルエンを用いて担持触媒を3回洗浄し、60℃の真空下で30分間乾燥させて、自由流動粉体状の混成担持触媒を得た。その後、乾燥触媒にAl-St粉末0.462gを添加して2次処理して、最終的な担持触媒15.4gを得た。帯電防止剤の2次処理の際、100mlのヘリカルリボンブレンダーに乾燥した担持触媒と帯電防止剤とを3.0重量%の含有量で投入し、常温の温度にて200rpmの回転速度の条件で5分間乾式混合を行った。
【0099】
(実施例2)
1次および2次処理時のジステアリン酸アルミニウムの量をそれぞれ0.308gおよび0.231gで使用したことを除いては、実施例1と同様の方法により担持触媒を得た。
【0100】
(実施例3)
1次処理時のジステアリン酸アルミニウムの量を0.616gで使用したことを除いては、実施例2と同様の方法により担持触媒を得た。
【0101】
(比較例1)
ジステアリン酸アルミニウムで2次処理を行っていないことを除いては、実施例2と同様の方法により担持触媒を得た。
【0102】
(比較例2)
ジステアリン酸アルミニウムで1次処理を行わず、2次処理の際にジステアリン酸アルミニウムの量を0.539gで使用したことを除いては、実施例1と同様の方法により担持触媒を得た。
【0103】
(比較例3)
1次処理時のジステアリン酸アルミニウムの量を0.231gで使用して、処理温度を30℃にし、2次処理の際にジステアリン酸アルミニウムの量を0.616gで使用したことを除いては、実施例1と同様の方法により担持触媒を得た。
【0104】
(比較例4)
1次および2次処理時のジステアリン酸アルミニウムの量をそれぞれ1.078gおよび0.231gで使用したことを除いては、実施例1と同様の方法により担持触媒を得た。
【0105】
前記実施例1~3および比較例1~4の触媒調製条件を下記表1にまとめた。
【0106】
(実験例)
実施例1~3および比較例1~4で得られたそれぞれの担持触媒を利用して、流動層気相反応器においてポリオレフィンを重合した。具体的に、流動層気相反応器を用いて、実施例1~3および比較例1~4で得られたそれぞれの担持触媒50mgと、スカベンジャーとして1Mのトリイソブチルアルミニウム(TIBAL)0.5mlとの存在下で、エチレンと1-ヘキセンとを1時間共重合した。反応器内の温度は約80℃に維持しており、エチレンおよび1-ヘキセンのほかに水素を添加して、調製されるエチレン/1-ヘキセン共重合体の重合度を調節した。この際、エチレンの圧力は14kgf/cm2、1-ヘキセンの量は15ccであった。連続運転が可能だった時間を下記表1に示した。
【0107】
【0108】
本発明の具体例による実施例1および比較例1~3を比較すると、実施例1の場合、100時間以上安定した連続操業が可能であった。一方、比較例1の場合、5時間の運転後、反応器の表面温度が下がりながら高分子シートが形成された。比較例2の場合、触媒注入初期にホットスポットが発生した。また、比較例3の場合、56時間の運転後、多量の高分子シート形成が発生した。一方、本発明の具体例による実施例2、実施例3、および比較例4を比較すると、実施例2および3の場合、触媒活性および触媒流れ性が適切に維持された。一方、1次処理時の帯電防止剤の含有量の高い比較例4の場合、触媒活性および触媒流れ性が良くなかった。これは、担体の気孔に吸着されなかった相当の量の帯電防止剤が担持触媒の外部に存在するからであると理解される。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の具体例の調製方法により調製された担持触媒は、オレフィン重合の際の操業安定性を向上させることができる。
【国際調査報告】