(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(54)【発明の名称】相乗効果自己修復性耐腐食添加剤及びその応用
(51)【国際特許分類】
C23F 11/18 20060101AFI20220127BHJP
C09D 5/08 20060101ALI20220127BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220127BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
C23F11/18
C09D5/08
C09D7/61
C09D201/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021515012
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(85)【翻訳文提出日】2021-03-12
(86)【国際出願番号】 CN2019123645
(87)【国際公開番号】W WO2021097944
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201911154812.0
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521106463
【氏名又は名称】浙江▲豊▼虹新材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG FENGHONG NEW MATERIAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】王 春▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】廖 祥磊
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 金玲
(72)【発明者】
【氏名】李 静静
【テーマコード(参考)】
4J038
4K062
【Fターム(参考)】
4J038CG031
4J038CG141
4J038DB001
4J038DD001
4J038HA196
4J038HA216
4J038HA466
4J038MA08
4J038MA10
4J038NA03
4J038PC02
4K062AA03
4K062BA08
4K062CA04
4K062GA10
(57)【要約】
本発明は、防食用塗料技術の分野に関し、特に相乗効果自己修復性耐腐食添加剤及びその応用に関する。交換性陰イオンを含有するハイドロタルサイトと、交換性陽イオンを含有する沸石とを含む相乗効果自己修復性耐腐食添加剤であって、本発明は、従来技術に比べて、陽イオンおよび陰イオン交換性能を兼ね備えている。腐食性電解質が塗膜に入ると、即時にその耐食添加剤と接触し、腐食性イオン(例えば、塩素イオンまたはナトリウムイオン)を塗膜への浸透過程において吸着され、相応の防食陰イオンと陽イオンを放出し、塗膜に沈殿を析出することにより塗膜の間隙を閉鎖するか、または金属基材に移行して保護層を形成する。これによって、阻隔作用を発揮するとともに基材を保護し、塗膜の付着力を強化させ、防錆効果顕著、且つ鉛やクロム含有系防錆顔料に取って代わることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換性陰イオンを含有するハイドロタルサイトと、交換性陽イオンを含有する沸石とを含む、ことを特徴とする相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。
【請求項2】
前記ハイドロタルサイトの質量部が10~80であり、前記沸石の質量部が20~90である、ことを特徴とする請求項1に記載の相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。
【請求項3】
前記ハイドロタルサイトシート間には、炭酸基、モリブデン酸基、バナジン酸基、ピロバナジン酸基、メタバナジン酸基、リン酸基、亜リン酸基、ピロリン酸基、メタリン酸基、トリポリリン酸基、メタホウ酸基、クロム酸基および重クロム酸基のうちの1種または複数種の交換可能な陰イオンが含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。
【請求項4】
前記沸石の細孔には、三価アルミニウムイオン、二価亜鉛イオン、二価カルシウムイオン、二価バリウムイオン、二価マンガンイオン、三価鉄イオン、三価クロムイオン、二価ストロンチウムイオン、希土類元素イオンのうちの1種または複数種の交換可能な陽イオンが含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。
【請求項5】
前記ハイドロタルサイトの質量部が30~60であり、前記沸石の質量部が40~70である、ことを特徴とする請求項1に記載の相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。
【請求項6】
前記ハイドロタルサイトは、イオン交換法により調製され、交換性陰イオンを含有する変性ハイドロタルサイトである、ことを特徴とする請求項3に記載の相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。
【請求項7】
前記沸石は、イオン交換法により調製され、交換性陽イオンを含有する変性沸石である、ことを特徴とする請求項4に記載の相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。
【請求項8】
防食塗料の製造における、請求項1~7のいずれか一項に記載の相乗効果自己修復性耐腐食添加剤の応用
【請求項9】
前記防食のメカニズムは、環境中の腐食性物質を吸収して交換することにより、水に難溶性の沈積物を形成し、この堆積物を塗膜の間隙を自動的に充填・修復させることにより、腐食性物質のさらなる浸透を阻止するとともに、金属の表面に耐腐食保護層を形成する、ことを特徴とする請求項8に記載の応用。
【請求項10】
塗料であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の相乗効果自己修復性耐腐食添加剤を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料防腐技術の分野に関し、特に相乗効果自己修復性耐腐食添加剤及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
金属腐食による経済損失、人員死傷、環境汚染は、既に世界の国々が直面している重大な難題である。金属表面に対して塗料塗装を行うことは、金属腐食を防止して寿命を延ばすための主な措置である。英国BP社が開発した腐食抑制顔料は、カルシウム交換シリカゲルに属し、その調製方法が陽イオンカルシウムを球状シリカゲルの多孔質表面にイオン交換により進入させることであり、その作用原理には、腐食性イオンの吸着と、保護膜の金属基材界面への形成とが含まれている。まず、塗膜に浸透した腐食性イオン、例えば、ナトリウムイオンや水素イオンは、シリカゲル粒子の表面にてカルシウムイオンと交換し、カルシウムイオンを放出して金属基材の界面に移行する、一方、陽極領域にて金属鉄原子を亜鉄イオンに酸化され、さらに鉄イオンに酸化され、空気と水分が塗膜を透過できるため、さらに塗膜と金属基材との界面に浸透する。酸素は、水酸化物イオンに還元され、塗膜における水酸化物イオンの濃度によってシリカが多かれ少なかれケイ酸イオンに部分的に溶解することができ、ケイ酸イオンが界面にて鉄イオンとの反応により保護層を形成するとともに、シリカ表面のカルシウムイオンが放出され、かつ溶解性のケイ酸イオンと反応する。このように、金属界面の塩基性領域にケイ酸カルシウムの保護膜が形成され、ケイ酸カルシウムとケイ酸鉄との堆積により金属界面に複合的な保護膜層が形成され、保護層を強化した。その防食メカニズムは、周囲環境からの腐食性イオンが下塗り塗料を透過して顔料表面上のカルシウムイオンとを優先的に交換し、放出されたカルシウムが界面へ移行し、そこにカルシウムとシリカからなる厚さ約25Åの無機層が形成される。これらの保護層は、非浸透性を持ち、腐食環境を金属表面から隔離することも可能であり、それにより腐食過程を中止させる。
【0003】
これらの顔料は、従来の腐食抑制顔料に比べて、2つの利点がある:一つは、腐食性イオンが存在する場合にのみ防止剤イオンが放出されるため、溶解による消費された顔料を補償するために過剰な顔料を用いる必要がない。二つは、架橋反応が該顔料表面上で交換されるイオンの多さによって発生し、放出されたみ防止剤も塗料に不溶であるため、塗膜の穴の間隙が多くならず、一定の浸透性を保つことができる。したがって、カルシウム交換シリカ顔料の使用量は、従来の鉛顔料やクロム顔料よりも少なく、リン酸亜鉛などの他の低毒性顔料よりも少ない。
【0004】
カルシウム交換シリカゲルイオン交換顔料の足りないところは、塩素イオンに対する腐食抑制効果が不十分であり、鋼材塗膜界面環境には塩素イオンが存在する場合、腐食電池が発生する電界により塩素イオンが陽極領域に絶えず移行・富化していくことである。Fe2+とCl-は、水溶性のFeCl2を生成し、陽極領域外へ拡散し、本体溶液又は陰極領域のOH-とを「褐錆」という俗称で呼ばれるFe(OH)2生成し、穴の間隙溶液中の水と酸素に遭遇すると、即時に別の形式の錆に変換される。FeCl2からFe(OH)2を生成した後、同時にCl-を放出し、新たなCl-は、また陽極領域へ移行し、より多くのFe2+をもたらす。Cl-は、腐食生成物を構成せず、腐食過程にも消費されず、このように繰り返し腐食に対して触媒作用を発揮する。CI-は、鋼材の腐食に対して陽極脱分極という役割を果たし、鋼材の陽極反応を加速させ、鋼材の局所的な腐食を促進することが塩素イオンによる鋼材侵食の特徴であることが分かる。沿海地区や重点防食領域では、塩素イオン電気化学腐食は、一つのもっと大きい危害及び早急に解決すべき課題である。
【0005】
Buchheit(BuchheitRG、GuanH、MahajanamS、etal.Activecorrosionprotectionandcorrosionsensinginchromate-freeorganiccoatings[J].ProgressinOrganicCoatings、2003、47(3/4):174-182.)らは、共沈法を用いて、バナジン酸塩層間ハイドロタルサイトを作製し、腐食抑制性[V10O28]6-を層間に挿入した。ハイドロタルサイト骨格中のAl3+のZn2+への置換により、亜鉛/アルミニウム層状化合物主体に正電荷を付与する。挿入された[V10O28]6-は、ハイドロタルサイトのオープンチャネルに位置する。ナノ容器として、ハイドロタルサイトは、Cl-を含む侵食性電解質と接触すると、負電荷を持つCl-が急速に吸収され、同時に腐食抑制性陰イオン[V10O28]6-が放出される。
【0006】
EP0282619A1には、金属合金糸状腐食を抑制する塗膜技術が開示されている。ステアリン酸ナトリウムなどの有機酸塩変性ハイドロタルサイトを腐食抑制剤として、2%の腐食抑制剤を溶剤系アクリル酸焼付塗料に添加することにより、その耐糸状腐食能力を著しく向上した。
【0007】
EP1185839.5には、有機陰イオンを含む合成層状複水酸化物(ハイドロタルサイト)の防食塗膜技術が開示されている。直接沈殿法によりm-アミノベンゼンスルホン酸基を含む亜鉛/アルミニウムハイドロタルサイトを合成し、溶剤系エポキシ塗料における同じ添加量でエチレンジアミン四酢酸基を含む亜鉛/アルミニウムハイドロタルサイトよりも腐食抑制効果が3倍向上し、ハイドロタルサイトを添加しないものよりも腐食抑制効果が大きく向上した。
【0008】
変性ハイドロタルサイトは、腐食抑制剤として塩素イオンの電気化学的腐食を減弱または遅延させる一定の効果がある。塩霧や酸/塩基性の環境下で、変性ハイドロタルサイトのみを使用した場合、塩素イオンで交換された陰イオン、例えば、バナジン酸基、モリブデン酸基及びリン酸基から生成した塩や酸は、比較的大きい水溶性があるため、塗膜の内部や金属基材に安定した堆積保護膜を形成することができない。
【0009】
ChicoB、SimancasJ、VegaJM、etal.Anticorrosivebehaviourofalkydpaintsformulatedwithion-exchangepigments[J].ProgressinOrganicCoatings、2008、61(2/4):283-290.陰イオン交換型バナジン酸塩層間Al-Znハイドロタルサイトとカルシウム交換シリカゲルイオン交換顔料をアルキド樹脂塗膜に添加し、自然暴露、湿熱、塩水噴霧試験、電気化学インピーダンス分光法などの実験研究によって、2つの異なるイオン交換型腐食抑制充填剤を添加することは、塗膜下の炭素鋼基材への腐食に対して明らかな抑制作用があることが分かった。陰イオン交換性能を有するハイドロタルサイトは、侵食性媒体中のCl-をイオン交換により吸着できるため、塗膜が塩素含有環境でより良好な防食性能を示したが、カルシウム交換シリカゲルイオン交換顔料は、Ca2+と環境媒体中のH+とのイオン交換反応により、酸性や中性環境で良好な塗膜保護性能を獲得した。しかし、比較研究によって、低炭素鋼にアルキド樹脂を塗装した塗膜系の場合、2種類のイオン交換型充填剤の防食効果も従来のZnCrO4顔料充填剤の効果が出ないことが分かった。
【0010】
USP7481877B2には、少なくとも2つの成分を含む相乗腐食防止剤が開示され、一方の成分がハイドロタルサイト又はハイドロタルサイト様化合物であってもよく、他方の成分がリン酸亜鉛、リン酸カルシウムなどの無機リン酸塩又は2-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イルチオ)ブタン二酸などの有機酸であってもよい。リン酸亜鉛などの無機リン酸塩が存在する塗膜内部は、徐々にリン酸イオンに解離し、縮合リン酸イオンと金属表面との反応により、複雑な付着性のあるMe-Zn-P2O5化合物被覆膜を形成し、金属を不動態化させるか、あるいは金属表面と塗料の間に複雑な錯体を構成し、亜鉛イオンも難溶性錯体を形成し、陰極保護の役割を果たし、初期防食効果を改善する。しかし、他の背景技術と同様に、主に金属界面に堆積保護膜を形成し、受動保護を主とするため、塗膜の浸透膨潤による徐々に破壊することを避けることが困難となる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、陰イオンを特定交換する層状構造ハイドロタルサイトナノ容器と、陽イオンを特定交換する立方体、菱型体等の形状の沸石ナノ容器とからなる相乗効果自己修復性耐腐食添加剤を提供することである。
本発明の技術的な解決策は、下記のとおりである:
【0012】
交換性陰イオンを含有するハイドロタルサイトと、交換性陽イオンを含有する沸石とを含む相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。
【0013】
上記の技術的な解決策の好適な実施形態として、前記ハイドロタルサイトの質量部が10~80であり、前記沸石の質量部が20~90である。
【0014】
好ましくは、前記ハイドロタルサイトシート間には、炭酸基、モリブデン酸基、バナジン酸基、ピロバナジン酸基、メタバナジン酸基、リン酸基、亜リン酸基、ピロリン酸基、メタリン酸基、トリポリリン酸基、メタホウ酸基、クロム酸基および重クロム酸基のうちの1種または複数種の交換可能な陰イオンが含まれる。
【0015】
好ましくは、前記沸石の細孔には、三価アルミニウムイオン、二価亜鉛イオン、二価カルシウムイオン、二価バリウムイオン、二価マンガンイオン、三価鉄イオン、三価クロムイオン、二価ストロンチウムイオン、および希土類元素イオンのうちの1種または複数種の交換可能な陽イオンが含まれる。
【0016】
好ましくは、前記ハイドロタルサイトの質量部が30~60であり、前記沸石の質量部が40~70である。
【0017】
好ましくは、前記ハイドロタルサイトは、イオン交換法により調製され、交換性陰イオンを含有する変性ハイドロタルサイトである。
【0018】
好ましくは、前記沸石は、イオン交換法により調製され、交換性陽イオンを含有する変性沸石である。
【0019】
本発明の他の目的は、防食塗料の製造における上記相乗効果自己修復性耐腐食添加剤の応用を提供することである。
【0020】
好ましくは、前記防食は、耐塩水、耐塩霧及び耐酸/塩基性腐食である。
【0021】
好ましくは、前記防食のメカニズムは、環境中の腐食性物質を吸収して交換することにより、水に難溶性の沈積物を形成し、この堆積物を塗膜の間隙を自動的に充填・修復させることにより、腐食性物質のさらなる浸透を阻止することである。
【0022】
本発明は、従来技術に比べて、陽イオンおよび陰イオン交換性能を兼ね備えている。腐食性電解質が塗膜に入ると、即時にその耐食添加剤と接触し、腐食性イオン(例えば、塩素イオンまたはナトリウムイオン)を塗膜への浸透過程において吸着され、相応の防食陰イオンと陽イオンを放出し、塗膜に沈殿を析出することにより塗膜の間隙を閉鎖するか、または金属基材に移行して保護層を形成する。これによって、阻隔作用を発揮するとともに基材を保護し、塗膜の付着力を強化させ、防錆効果顕著、且つ鉛やクロム含有系防錆顔料に取って代わることができる。
【0023】
本発明の最大の利点は、従来技術に比べて、塗膜に自己修復防食機能を付与することである。塗膜が塩化ナトリウム及び酸/塩基のような腐食物質による侵食されたときに、水溶性の腐食性陰陽イオンを吸収するとともに、その場で水に難溶性の防食顔料を形成し、塗膜間隙を自動的に修復し、腐食性物質の金属基材へのさらなる浸透を遮断し、塗膜の寿命を延長する。交換可能な陰陽イオンは、更に幅広い選択性があり、異なる金属防食塗膜の需要に適応するために、陰イオンは、常用の炭酸基、バナジン酸基以外に、モリブデン酸基、リン酸基、メタホウ酸とクロム酸などの変性ハイドロタルサイトを利用することができ、陽イオンは、常用のカルシウム、亜鉛、鉄以外に、ストロンチウム、セリウム、ランタン、マンガン、バリウムなどの変性沸石を調製することができる。例えば、ビスフェノールa型エポキシ下塗り塗料においてセリウム変性モルデン沸石とリン酸ナトリウム変性ハイドロタルサイトとの相乗作用により、アルミニウム合金に対する防食効果は、典型的であるが有毒なクロム酸ストロンチウムより優れている。
【0024】
ハイドロタルサイト(LDHs)系層状化合物とは、近年急速に発展している陰イオン性層状粘土、層間陰イオンと正電荷を持つ層板により堆積してできた化合物であり、層板金属元素の割合が調整可能、層間陰イオンが交換可能であるという特徴がある。その化学式は、[M2+
1-xM3+
x(OH)2]x+(An-)x/n・mH2Oであり、ここで、M2+とM3+は、それぞれ層板上で八面体水酸化物の中心位置を占める二価と三価金属イオンを表し、ハイドロタルサイト層への進入を許容できるM2+とM3+は、Mg2+と同様のイオン半径を有する必要がある。
【0025】
典型的な二価金属イオンは、Mg2+、Zn2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、Mn2+、Fe2+があり、三価金属イオンは、Al3+、Fe3+、Cr3+がある。これらの二価と三価イオンの有効な組み合わせにより、二元、三元、さらに四元のハイドロタルサイトを形成することができる。M2+とM3+の半径が近いほど安定した層板が形成されやすい。
【0026】
An-は、層間陰イオンであり、F-、Cl-、Br-、I-、ClO4
-、NO3
-、ClO3
-、IO3
-、OH-、H2PO4
-、CO3
2-、SO3
2-、SO4
2-、CrO4
2-、PO4
3-、Fe(CN)6
3-、Fe(CN)6
4-、Zn(BPS)3
4-、Ru(BPS)3
3-、Mo7O24
6-、V10O28
6-、PW11CuO39
6-などが含まれる。一般に、陰イオンの数、体積、原子価および陰イオンと層板水酸基との結合強度は、陰イオン層状化合物の層間距離の大きさと層間空間を決定する。
【0027】
xはLDHsの構造パラメータであり、x=M3+/[M2++M3+]とする。したがって、x値の大きさは、生成物の成分に影響を直接に与え、一般的に、純粋なLDHsを合成するためには、0.17≦x≦0.34を満たさなければならず、x値の変化による異なる構造化合物の生成を招く場合がある。
【0028】
mは結晶水の数である。比率xの増加に伴い、結晶水の数は、少しずつ小さくなる。
【0029】
nは層間陰イオン電荷である。
【0030】
経済的価値のある天然ハイドロタルサイトは、自然界では数少ないであり、本発明で用いたハイドロタルサイトの製造方法は、共沈法、水熱法、イオン交換法、焼成還元法、および成核-結晶化分離法を含むことができる。
【0031】
沸石は、自然界に広く存在する鉱物であり、且つ多種多様の構造がある。例えば、方沸石、斜プチロル沸石、蝕沸石、エリオナイト、輝沸石など、今まで、40種類以上の天然沸石構造が発見されている。しかし、国際沸石学会により認定され命名された天然沸石の構造は、30種類もなく、最初に採用された人工合成沸石(分子篩)の合成方法は、天然沸石の地質生成条件を模倣し、高温水熱合成技術により沸石を合成されており、主にA型、X型、L型、Y型沸石、モルデン沸石、ZSM、MCM、リン酸アルミニウム分子篩などがある。沸石(分子篩)は、多孔質のかご形構造を有し、細孔タイプ複雑、孔径サイズ0.3nm~2nm、特殊設計された沸石(分子篩)20nm以上、陽イオン交換容量(CEC)が50~300mmol/100gであることが多い。適切な大きさの孔径とイオン交換容量を有する沸石(分子篩)は、本技術におけるナノ容器としての要求を満たす。多くの沸石(分子篩)の層間陽イオンは、ナトリウムイオンであり、イオン交換法により様々な層間陽イオンの沸石を調製することができる。
【0032】
本技術におけるナノ容器としての要求を満たす沸石(分子篩)を以下に列挙する。
【表1】
【0033】
以上説明したように、本発明は、下記の有益効果を有することになった:
本発明は、陽イオンおよび陰イオン交換性能を兼ね備えている。腐食性電解質が塗膜に入ると、即時にその耐食添加剤と接触し、腐食性イオン(例えば、塩素イオンまたはナトリウムイオン)を塗膜への浸透過程において吸着され、相応の防食陰イオンと陽イオンを放出し、塗膜に沈殿を析出することにより塗膜の間隙を閉鎖するか、または金属基材に移行して保護層を形成する。これによって、阻隔作用を発揮するとともに基材を保護し、塗膜の付着力を強化させ、防錆効果顕著、且つ鉛やクロム含有系防錆顔料に取って代わることができる。本発明の最大の利点は、従来技術に比べて、塗膜に自己修復防食機能を付与することである。塗膜が塩化ナトリウム及び酸/塩基のような腐食物質による侵食されたときに、水溶性の腐食性陰陽イオンを吸収するとともに、その場で水に難溶性の防食顔料を形成し、塗膜間隙を自動的に修復し、腐食性物質の金属基材へのさらなる浸透を遮断し、塗膜の寿命を延長する。
【0034】
また、本発明に係る相乗効果自己修復性耐腐食添加剤は、特定の陰イオン変性ハイドロタルサイトと、特定の陽イオン変性沸石とを比例的に混合して塗料に添加してもよいし、前両者を塗料にそれぞれ添加してもよく、塗料の製造および製造プロセスは、従来のものと同様である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。
図面を参照しながら以下に説明される実施例は例示的なものであり、本発明を解釈することを旨とし、本発明を限定するものと理解してはいけない。当業者であれば、本発明の明細書に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0037】
実施例1
5A沸石と、リン酸変性ハイドロタルサイトとからなる相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。具体的には、下記のとおりである:
1、ハイドロタルサイト100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、ハイドロタルサイトイオン交換容量の1.8倍でリン酸トリナトリウム75.26gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
2、5A沸石と変性ハイドロタルサイトとを交換後のイオンモル比1:1で物理的に混合し、耐腐食添加剤を得る。
【0038】
実施例2
亜鉛変性斜プチロル沸石と、モリブデン酸変性ハイドロタルサイトとからなる相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。具体的には、下記のとおりである:
1、斜プチロル沸石粉体100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、斜プチロル沸石イオン交換容量の1.8倍で硫酸亜鉛30.96gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
2、ハイドロタルサイト100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、ハイドロタルサイトイオン交換容量の1.8倍でモリブデン酸ナトリウム61.17gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
3、変性斜プチロル沸石とハイドロタルサイトとを交換後のイオンモル比1:1で物理的に混合し、耐腐食添加剤を得る。
【0039】
実施例3
ビスマス変性モルデン沸石と、バナジン酸変性ハイドロタルサイトとからなる相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。具体的には、下記のとおりである:
1、モルデン沸石粉体100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、モルデン沸石イオン交換容量の1.8倍で硝酸ビスマス52.9gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
2、ハイドロタルサイト100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、ハイドロタルサイトイオン交換容量の1.8倍でバナジン酸ナトリウム36.4gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
3、変性モルデン沸石とハイドロタルサイトとを交換後のイオンモル比1:1で物理的に混合し、耐腐食添加剤を得る。
【0040】
実施例4
アルミニウム変性斜プチロル沸石と、亜リン酸変性ハイドロタルサイトとからなる相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。具体的には、下記のとおりである:
1、斜プチロル沸石粉体100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、斜プチロル沸石イオン交換容量の1.8倍で硫酸アルミニウム43.7gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
2、ハイドロタルサイト100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、ハイドロタルサイトイオン交換容量の1.8倍で亜リン酸ナトリウム64.2gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
3、変性斜プチロル沸石とハイドロタルサイトとを交換後のイオンモル比1:1で物理的に混合し、耐腐食添加剤を得る。
【0041】
実施例5
セリウム変性モルデン沸石と、クエン酸変性ハイドロタルサイトとからなる相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。具体的には、下記のとおりである:
1、モルデン沸石粉体100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、モルデン沸石イオン交換容量の1.8倍で硝酸セリウム58.1gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
2、ハイドロタルサイト100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、ハイドロタルサイトイオン交換容量の1.8倍でクエン酸ナトリウム38.8gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
3、変性モルデン沸石とハイドロタルサイトとを交換後のイオンモル比1:1で物理的に混合し、耐腐食添加剤を得る。
【0042】
実施例6
アルミニウム変性斜プチロル沸石と、トリポリリン酸変性ハイドロタルサイトとからなる相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。具体的には、下記のとおりである:
1、斜プチロル沸石粉体100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、斜プチロル沸石イオン交換容量の1.8倍で硫酸アルミニウム43.7gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
2、ハイドロタルサイト100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、ハイドロタルサイトイオン交換容量の1.8倍でトリポリリン酸ナトリウム43.7gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
3、変性斜プチロル沸石とハイドロタルサイトとを交換後のイオンモル比1:1で物理的に混合し、耐腐食添加剤を得る。
【0043】
実施例7
亜鉛変性斜プチロル沸石と、リン酸変性ハイドロタルサイトとからなる相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。具体的には、下記のとおりである:
1、斜プチロル沸石粉体100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、斜プチロル沸石イオン交換容量の1.8倍で硫酸亜鉛31.0gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
2、ハイドロタルサイト100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、ハイドロタルサイトイオン交換容量の1.8倍でリン酸三ナトリウム75.26gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
3、変性斜プチロル沸石とハイドロタルサイトとを交換後のイオンモル比1:1で物理的に混合し、耐腐食添加剤を得る。
【0044】
実施例8
ランタン変性X型沸石と、クエン酸変性ハイドロタルサイトとからなる相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。具体的には、下記のとおりである:
1、斜プチロル沸石粉体100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、X型沸石イオン交換容量の1.8倍で硝酸ランタン110gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
2、ハイドロタルサイト100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、ハイドロタルサイトイオン交換容量の1.8倍でクエン酸ナトリウム58.2gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
3、変性X型沸石とハイドロタルサイトとを交換後のイオンモル比1:1で物理的に混合し、耐腐食添加剤を得る。
【0045】
実施例9
疎水変性5A沸石と、リン酸変性ハイドロタルサイトとからなる相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。具体的には、下記のとおりである:
1、5A沸石粉体100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、粉体質量の3%のオクチルトリエトキシシランを加えて疎水変性を行い、反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
2、ハイドロタルサイト100gを水2000gに加え、75℃で1h攪拌分散し、ハイドロタルサイトイオン交換容量の1.8倍でリン酸三ナトリウム75.26gを加えて反応を1h続け、反応終了後、遠心乾燥して粉体に研磨する;
3、変性5A沸石とハイドロタルサイトとを交換後のイオンモル比1:1で物理的に混合し、耐腐食添加剤を得る。
【0046】
相乗効果自己修復性耐腐食添加剤は、防食顔料又は着色顔料と併用することができ、塗料の高速分散と研磨段階の前に添加し、その添加量は、塗料配合総量の1%~10%であり、通常の添加量範囲は、2%~6%である。耐食性効果の評価方法は、ISO4628を用いて、さび度をそれぞれRi0:さび面積0;Ri1:さび面積≦0.05%;Ri2:さび面積≦0.5%;Ri3:さび面積≦1%;Ri4:さび面積≦8%;Ri5:さび面積40~50%の6クラスに分けている。ふくれをそれぞれ0:ふくれ無し;1:比較的少量のふくれ;2:見えるふくれが多く、粒径0.5mm未満;3:比較的多くのふくれ、粒径0.5~5mm;4:ふくれ発生、粒径5mm以上;5:厳重なふくれの6クラスに分けている。
【0047】
応用例1:相乗効果自己修復性耐腐食添加剤を水性アルキド樹脂塗料に応用した例。
【表2】
【0048】
具体的な操作:水、分散剤、消泡剤、湿潤剤、赤色酸化鉄、硫酸バリウム、タルク粉末、耐腐食剤及びベントナイトの8種類の材料を予め均一に分散させ、その後、アルキド樹脂、乾燥促進剤、レベリング剤、点錆防止剤、増粘剤を加え、再び均一に分散させ、水で適切な粘度に調節して得られた。
【0049】
上述した試験配合に基づいて塗料を調製してパネルに塗装し、室温で7日間放置し、80℃で1h焼付けた後、塩水噴霧試験箱に入れて500h放置した。試験結果を
図1に示す。
図1は、相乗効果自己修復性耐腐食添加剤の水性アルキド塗料における防食効果である((1)(〇付き数字1)は、本願で開示される耐腐食剤を添加したことを表す;(2)(〇付き数字2)は、耐腐食助剤を添加していないことを表す;(3)(〇付き数字3)は、競合品の耐腐食剤を表す)。競合品の耐腐食剤は、カルシウムイオン交換シリカゲルShieldexAC5を用いた。試験の結果から、本発明の処理により、水性アルキド塗料の防食効果を著しく向上したことが分かった。
【0050】
応用例2:相乗効果自己修復性耐腐食添加剤を水性エポキシ下塗り塗料に応用した例。
【表3】
【0051】
具体的な操作:水、分散剤、消泡剤、湿潤剤、チタン白粉、硫酸バリウム、タルク粉末、耐腐食剤を予め均一に分散させ、その後、エポキシ樹脂を加え、再び均一に分散させた後、点錆防止剤とレベリング剤を加え、均一に分散させて得られた。
【0052】
上述した試験配合に基づいて塗料を調製し、塗料量の20%変性脂環式アミンエポキシ硬化剤を加えて、パネルに塗装し、室温で7日間放置し、80℃で1h焼付けた後、塩水噴霧試験箱に入れて800h放置した。試験の結果から、本発明の処理により、水性エポキシ塗料の防食効果を著しく向上したことが分かった。
【0053】
応用例3:相乗効果自己修復性耐腐食添加剤を溶剤系エポキシ下塗り塗料に応用した例。
具体的には、下記の配合に基づいて防食エポキシ下塗り塗料を調製した。
【表4】
【0054】
具体的な操作:上記配合中の物質を均一に混合分散させて得られた。
【0055】
上述した試験配合に基づいて塗料を調製し、パネルに塗装し、室温で7日間放置し、塩水噴霧試験箱に入れて1000h放置した。試験の結果から、本発明の処理により、エポキシ下塗り塗料の防食効果を著しく向上したことが分かった。
【0056】
応用例4:相乗効果自己修復性耐腐食添加剤を水性アクリル塗料に応用した例。
具体的には、下記の配合に基づいて防食水性アクリル塗料を調製した。
【表5】
【0057】
具体的な操作:水、殺菌剤、分散剤、消泡剤、湿潤剤、ベントナイト、プロピレングリコール、造膜助剤、赤色酸化鉄、雲母、タルク粉末、耐腐食剤を予め均一に分散させ、その後、アクリル樹脂、レベリング剤と点錆防止剤を加え、再び均一に分散させた後、増粘剤で粘度を調整して得られた。
【0058】
上述した試験配合に基づいて塗料を調製し、パネルに塗装し、室温で7日間放置し、80℃で1h焼付けた後、塩水噴霧試験箱に入れて300h放置した。試験の結果から、本発明の処理により、水性アクリル塗料の防食効果を著しく向上したことが分かった。
【0059】
応用例5:相乗効果自己修復性耐腐食添加剤を塩化ゴム系樹脂塗料に応用した例。
具体的には、下記の配合に基づいて防食塩化ゴム系樹脂塗料を調製した。
【表6】
【0060】
具体的な操作:上記配合中の物質を均一に混合分散させて得られた。
【0061】
上述した試験配合に基づいて塗料を調製し、パネルに塗装し、室温で7日間放置し、塩水噴霧試験箱に入れて1000h放置した。試験の結果から、本発明の処理により、塩化ゴム系樹脂塗料の防食効果を著しく向上したことが分かった。
【0062】
応用例6:相乗効果自己修復性耐腐食添加剤を溶剤系アルキド樹脂塗料に応用した例。
具体的には、下記の配合に基づいて防食溶剤系アルキド樹脂塗料を調製した。
【表7】
【0063】
具体的な操作:上記配合中の物質を均一に混合分散させて得られた。
【0064】
上述した試験配合に基づいて塗料を調製し、パネルに塗装し、室温で7日間放置し、塩水噴霧試験箱に入れて800h放置した。試験の結果から、本発明の処理により、アルキド樹脂塗料の防食効果を著しく向上したことが分かった。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換性陰イオンを含有するハイドロタルサイトと、交換性陽イオンを含有する沸石とを含み、
前記ハイドロタルサイトの質量部が10~80であり、前記沸石の質量部が20~90であり、
前記ハイドロタルサイトシート間には、炭酸基、モリブデン酸基、バナジン酸基、ピロバナジン酸基、メタバナジン酸基、リン酸基、亜リン酸基、ピロリン酸基、メタリン酸基、トリポリリン酸基、メタホウ酸基、クロム酸基および重クロム酸基のうちの1種または複数種の交換可能な陰イオンが含まれ、
前記沸石の細孔には、三価アルミニウムイオン、二価亜鉛イオン、二価カルシウムイオン、二価バリウムイオン、二価マンガンイオン、三価鉄イオン、三価クロムイオン、二価ストロンチウムイオン、希土類元素イオンのうちの1種または複数種の交換可能な陽イオンが含まれ、
前記ハイドロタルサイトは、イオン交換法により調製され、交換性陰イオンを含有する変性ハイドロタルサイトであり、
前記沸石は、イオン交換法により調製され、交換性陽イオンを含有する変性沸石である、ことを特徴とする相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。
【請求項2】
前記ハイドロタルサイトの質量部が30~60であり、前記沸石の質量部が40~70である、ことを特徴とする請求項1に記載の相乗効果自己修復性耐腐食添加剤。
【請求項3】
防食塗料の製造における、請求項1~2のいずれか一項に記載の相乗効果自己修復性耐腐食添加剤の応用。
【請求項4】
前記防食のメカニズムは、環境中の腐食性物質を吸収して交換することにより、水に難溶性の沈積物を形成し、この堆積物を塗膜の間隙を自動的に充填・修復させることにより、腐食性物質のさらなる浸透を阻止するとともに、金属の表面に耐腐食保護層を形成する、ことを特徴とする請求項3に記載の応用。
【請求項5】
請求項1~2のいずれか一項に記載の相乗効果自己修復性耐腐食添加剤を含む塗料。
【国際調査報告】