(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(54)【発明の名称】抗体製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220127BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20220127BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220127BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220127BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220127BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220127BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220127BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220127BHJP
A61K 9/08 20060101ALN20220127BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K9/19
A61K47/18
A61K47/26
A61P35/00
A61P35/02
A61P29/00
A61P37/02
A61K9/08
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021525105
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2019085049
(87)【国際公開番号】W WO2020120730
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】316005432
【氏名又は名称】モルフォシス・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルックス,ボド
(72)【発明者】
【氏名】ケレラー,ロバート
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA30
4C076BB13
4C076CC05
4C076CC07
4C076CC50
4C076DD09F
4C076DD22Z
4C076DD23Z
4C076DD51Z
4C076DD60Z
4C076DD67Q
4C076EE23F
4C076FF36
4C076FF43
4C076FF61
4C076FF63
4C076GG07
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
(57)【要約】
本開示は、モノクローナル抗体などの薬学的に活性な抗原結合タンパク質の製剤に関する。特に、本開示は、抗CD38抗体の安定な凍結乾燥医薬製剤、そのような凍結乾燥製剤の再構成液体製剤、並びにそのような凍結乾燥及び再構成製剤の作製及び使用方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む凍結乾燥医薬製剤。
【請求項2】
請求項1に記載の凍結乾燥医薬製剤において、前記非イオン性界面活性剤がポリソルベート20であることを特徴とする凍結乾燥医薬製剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の凍結乾燥医薬製剤において、前記ヒスチジン緩衝液が約6.0のpHを有することを特徴とする凍結乾燥医薬製剤。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の凍結乾燥医薬製剤において、前記抗CD38抗体が、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有することを特徴とする凍結乾燥医薬製剤。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の凍結乾燥医薬製剤において、更にスクロースを含むことを特徴とする凍結乾燥医薬製剤。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の凍結乾燥医薬製剤を提供するステップと、前記凍結乾燥製剤を水の添加によって再構成するステップとを含む、抗CD38抗体の液体製剤を調製するための方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法によって得られる、抗CD38抗体の再構成医薬製剤。
【請求項8】
請求項7に記載の再構成医薬製剤において、前記非イオン性界面活性剤が、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)、好ましくは約0.1%(w/w)の濃度であることを特徴とする再構成医薬製剤。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の再構成医薬製剤において、前記ヒスチジン緩衝液が、5mM~15mM、好ましくは約10mMの濃度であることを特徴とする再構成医薬製剤。
【請求項10】
請求項7乃至9の何れか1項に記載の再構成医薬製剤において、前記スクロースが、150~350mM、好ましくは約260mMの濃度であることを特徴とする再構成医薬製剤。
【請求項11】
請求項7乃至10の何れか1項に記載の再構成医薬製剤において、前記抗CD38抗体が、55~75mg/ml、好ましくは約65mg/mlの濃度であることを特徴とする再構成医薬製剤。
【請求項12】
疾患又は障害の処置における使用のための請求項1乃至5又は7乃至11の何れか1項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
請求項12に記載の医薬製剤の使用において、前記疾患又は障害が癌であることを特徴とする使用。
【請求項14】
請求項13に記載の医薬製剤の使用において、前記癌が、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)及び多発性骨髄腫(MM)などの白血病、リンパ腫及び骨髄腫から選択される血液系癌、又は乳癌、卵巣癌、胃癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、黒色腫腫瘍、結腸直腸癌、頭頸部癌、膀胱癌、食道癌、肝癌、甲状腺癌及び腎臓癌などの肉腫及び癌腫から選択される固形癌であることを特徴とする使用。
【請求項15】
請求項12に記載の医薬製剤の使用において、前記疾患又は障害が炎症性障害であることを特徴とする使用。
【請求項16】
請求項15に記載の医薬製剤の使用において、前記炎症性障害が、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、アミロイドーシス、全身性エリテマトーデス(SLE)、アトピー性皮膚炎、ウェゲナー肉芽腫症、乾癬性関節炎から選択されることを特徴とする使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モノクローナル抗体などの薬学的に活性な抗原結合タンパク質の製剤に関する。特に、本開示は、抗CD38抗体の安定な凍結乾燥医薬製剤、そのような凍結乾燥製剤の再構成液体製剤、並びにそのような凍結乾燥及び再構成製剤の作製及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体の医薬的使用は、過去数年にわたって増加してきた。多くの場合、このような抗体は、静脈内(IV)経路を介して注射される。代替的な投与経路は、皮下又は筋肉内注射であり、これは例えば、患者の薬剤服用順守及び投与の容易さの点で、潜在的な利点を提供する。高度に濃縮された安定な医薬製剤が望まれることが非常に多い。また、貯蔵及び取扱いなどの理由により、凍結乾燥製剤が好ましいことが非常に多い。
【0003】
治療的抗体は、大きく複雑な分子であり、従ってそのようなタンパク質の製剤は、特別な課題を提起する。タンパク質が生物学的に活性のままであるためには、製剤は、タンパク質のアミノ酸の少なくともコア配列の立体構造完全性を保存すると同時に、タンパク質の複数の官能基を分解から保護しなければならない。抗体の製剤は短い貯蔵寿命を有し得、調製された抗体は、貯蔵中の化学的及び物理的不安定性により生物学的活性を失い得る。タンパク質分解のための3つの最も一般的な経路は、タンパク質凝集、脱アミド化及び酸化である(Cleland et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 10(4):307-377(1993))。特に、凝集は、潜在的に患者の免疫応答の増加につながる可能性があり、安全性の懸念につながり、最小限に抑えるか又は予防しなければならない。
【0004】
より高いタンパク質濃度を有する製剤は、特にタンパク質安定性、タンパク質-タンパク質相互作用及び粘度に関連して、なお更なる課題を提起する。粘度は、治療的タンパク質の生物物理学的及び生化学的特性に関する問題であるだけでなく、高度に濃縮されたタンパク質溶液の送達及び製造に関する問題でもある。溶液の粘度が高ければ高いほど、シリンジ及び針を介してそのような粘性溶液を注射するのにかかる時間が長くなる。従って、注射可能性の側面は、粘度によって影響され、高濃度製剤の開発中に考慮する必要がある。特定の抗体はまた、望ましくない自己相互作用の傾向を示し、これは、それらを高濃度製剤に比較的適さないものとする。この自己相互作用傾向は、高タンパク質濃度におけるオリゴマー化、凝集及び高粘度をもたらし得る。乳白光は、溶液中の凝集体又は液-液相分離の存在に起因する、製剤の物理的不安定性を示す1つのパラメーターであり、モノクローナル抗体(mAb)製剤に報告されている。
【0005】
これらの問題に対処するために、適切な製剤組成物の開発が最も重要である。凝集体の形成などの安定性の問題を回避するために、タンパク質又は抗体製剤を凍結乾燥することができる。
【0006】
CD38は、受容体媒介接着及びシグナル伝達において機能を有すると共に、そのエクト型酵素活性を介してカルシウム動員を媒介し、NAD+からの環状ADP-リボース(cADPR)の形成を触媒し、また、cADPRをADP-リボース(ADPR)へと加水分解するII型膜タンパク質である。CD38は、サイトカイン分泌、並びにリンパ球の活性化及び増殖を媒介し(Funaro et al,J Immunology 145:2390-6,1990;Guse et al,Nature 398:70-3,1999)、またそのNADグリコヒドロラーゼ活性を介して、調節性T細胞コンパートメントの調節に関与する細胞外NAD+レベルを調節する(Adriouch et al.,14:1284-92,2012;Chiarugi et al.,Nature Reviews 12:741-52,2012)。
【0007】
CD38は、悪性血漿細胞、及び他のリンパ球上に発現し、従って、多発性骨髄腫及び他の高γグロブリン血症の処置における治療標的となる。CD38はまた、固形癌、自己免疫障害及び多数の他の疾患を含むがこれらに限定されない他の適応症のために使用又は研究される標的である。
【0008】
国際公開第199962526号パンフレット(Mayo Foundation);国際公開第200206347号パンフレット(Crucell Holland)、国際公開第2005103083号パンフレット(MorphoSys AG)、国際公開第2006125640号パンフレット(MorphoSys AG)、国際公開第2007042309号パンフレット(MorphoSys);国際公開第2006099875号パンフレット(Genmab)、国際公開第2011154453A1号パンフレット(Genmab)、国際公開第2008047242号パンフレット(Sanofi-Aventis)、国際公開第2015066450号パンフレット(Sanofi)、国際公開第2012092616A1号パンフレット(Takeda)、国際公開第2012092612A1号パンフレット(Takeda)、国際公開第2013059885号パンフレット(Teva)、国際公開第2014178820号パンフレット(Teva)、国際公開第2015149077号パンフレット(Xencor)、国際公開第2017081211A2号パンフレット(University Hamburg-Eppendorf)及び国際公開第2017091656号パンフレット(Amgen、Xencor):を含むがこれらに限定されない、CD38に特異的ないくつかの抗体(二重特異性抗体及び他の構築物を含む)が使用又は開発されている。
【0009】
本開示は、患者への投与に適した、MOR202として知られる抗体などの抗CD38抗体のための非常に安定な製剤の開発及び使用に関する。
【0010】
治療的抗体のための医薬製剤は、先行技術において公知である。例えば、国際公開第2013016648号パンフレットは、抗PCSK9抗体、ヒスチジン緩衝液、非イオン性界面活性剤及び安定剤を含む医薬製剤を開示している。しかしながら、前記文書は、抗CD38抗体を開示していない。国際公開第2018204405号パンフレットは、抗TIGIT抗体、ヒスチジン緩衝液、非イオン性界面活性剤としてのポリソルベート-80、非還元糖及び抗酸化剤を含む製剤を開示しているが、これもまた抗CD38抗体を開示していない。国際公開第2017079150号パンフレットは、抗CD38抗体、ヒアロルニダーゼ(hyalorunidase)、ヒスチジン緩衝液、メチオニン及び非イオン性界面活性剤を含む皮下製剤を開示している。この文書は、組成物へのヒアルロニダーゼの添加を教示しており、MOR202又は凍結乾燥した凍結乾燥組成物を開示していない。
【0011】
従って、特に抗体MOR202を含む、抗CD38医薬の調製のための安定な凍結乾燥抗体製剤がなお必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
抗CD38抗体の製剤、特に、適切な貯蔵寿命を有する抗CD38抗体の製剤を提供することが本発明の目的である。
【0013】
治療的抗体の適切な製剤は、再構成されて患者への投与のための溶液を提供し得る水性医薬組成物又は凍結乾燥物であり得る。
【0014】
抗体を含む凍結乾燥医薬製剤を本明細書に提供する。本開示の態様において、医薬製剤は、抗CD38抗体を含む。本開示の別の態様では、医薬製剤は、MOR202として知られる抗体を含む。
【0015】
本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む、MOR202などの前記抗CD38抗体のための医薬製剤を提供する。
【0016】
一態様では、本開示は、抗原結合タンパク質のための医薬製剤を提供し、ここで前記抗原結合タンパク質は、抗CD38抗体である。
【0017】
特定の態様では、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。
【0018】
特定の態様では、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を含む。
【0019】
他の態様では、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。
【0020】
他の態様では、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を含む。
【0021】
一態様では、本開示は、MOR202などの前記抗CD38抗体のための医薬製剤を提供し、前記医薬製剤は、界面活性剤を含む。特定の態様では、前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。他の態様では、前記非イオン性界面活性剤は、ポリソルベートである。更に他の態様では、前記ポリソルベートは、ポリソルベート20(PS20)又はポリソルベート80(PS80)である。更に他の態様では、前記ポリソルベートは、ポリソルベート20である。
【0022】
一態様では、本開示は、MOR202などの前記抗CD38抗体のための医薬製剤を提供し、前記医薬製剤は、pH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む。特定の態様では、前記ヒスチジン緩衝液は、pH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液である。特定の態様では、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有する。特定の態様では、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有する。
【0023】
一態様では、本開示は、MOR202などの前記抗CD38抗体のための医薬製剤を提供し、前記医薬製剤は、濃度5mM~15mMのヒスチジン緩衝液を含む。他の態様では、前記ヒスチジン緩衝液は、8mM~12mMの濃度である。他の態様では、前記ヒスチジン緩衝液は、約10mMの濃度である。他の態様では、前記ヒスチジン緩衝液は、10mMの濃度である。
【0024】
一態様では、本開示は、MOR202などの前記抗CD38抗体のための医薬製剤を提供し、前記医薬製剤は、安定剤を含む。特定の態様では、前記安定剤は、二糖である。他の態様では、前記二糖は、スクロースである。他の態様では、前記スクロースは、150mM~350mMの濃度である。他の態様では、前記スクロースは、175mM~260mMの濃度である。他の態様では、前記スクロースは、約260mMの濃度である。他の態様では、前記スクロースは、260mMの濃度である。
【0025】
一態様では、本開示は、液体医薬製剤の凍結乾燥によって調製される、MOR202などの前記抗CD38抗体のための凍結乾燥医薬製剤を提供する。
【0026】
一態様では、本開示は、MOR202などの抗CD38抗体の液体製剤を提供し、前記方法は、凍結乾燥医薬製剤を提供するステップと、前記凍結乾燥製剤を再構成するステップと、を含む。特定の態様では、前記液体製剤は、水又は別の薬学的に許容され得る試薬を凍結乾燥製剤に添加することにより生成される。
【0027】
一態様では、本開示は、MOR202などの前記抗CD38抗体の再構成医薬製剤を提供する。
【0028】
一態様では、本開示は、MOR202などの前記抗CD38抗体のための医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、少なくとも55mg/mlの濃度である。
【0029】
一態様では、本開示は、MOR202などの前記抗CD38抗体のための医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、55~75mg/mlの濃度である。
【0030】
他の態様では、前記抗CD38抗体は、62.5~67.5mg/mlの濃度である。
【0031】
更に他の態様では、前記抗CD38抗体は、約65mg/mlの濃度である。更に他の態様では、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。
【0032】
一態様では、本開示は、MOR202などの前記抗CD38抗体のための医薬製剤を提供し、前記医薬製剤は、濃度0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の界面活性剤を含む。他の態様では、前記界面活性剤は、約0.1%(w/w)の濃度である。他の態様では、前記界面活性剤は、0.1%(w/w)の濃度である。
【0033】
一態様では、本開示は、対象における疾患又は障害の処置方法を提供し、方法は、有効量の本開示の医薬製剤を前記対象に投与することを含む。
【0034】
一態様では、本開示は、医薬の調製のための本開示の医薬製剤の使用を提供する。特定の態様では、前記使用は、疾患又は障害の処置のための医薬の調製のための使用である。特定の態様では、前記疾患又は障害は、癌又は炎症性障害である。特定の態様では、前記癌は、血液系癌又は固形癌である。特定の態様では、前記血液系癌は、多発性骨髄腫、リンパ腫、白血病、又はその任意の特定のタイプ若しくはそのサブタイプから選択される。特定の態様では、前記癌は、多発性骨髄腫である。特定の態様では、前記疾患又は障害は、癌又は炎症性障害である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図3A】予備製剤開発における安定性試験の結果。時点0
【
図3B】予備製剤開発における安定性試験の結果。時点0
【
図3C】予備製剤開発における安定性試験の結果。時点2週間、40℃/75% RH
【
図3D】予備製剤開発における安定性試験の結果。時点2週間、40℃/75% RH
【
図3E】予備製剤開発における安定性試験の結果。時点4週間、40℃/75% RH
【
図3F】予備製剤開発における安定性試験の結果。時点2週間、5℃
【
図3G】予備製剤開発における安定性試験の結果。時点4週間、5℃
【
図4A】リード緩衝系+様々な濃度のポリソルベート20の様々な試験の結果。T0、T24h及びT48hにおける剪断試験の結果
【
図4B】リード緩衝系+様々な濃度のポリソルベート20の様々な試験の結果。T0、T24h及びT48hにおける剪断試験の結果
【
図4C】リード緩衝系+様々な濃度のポリソルベート20の様々な試験の結果。T0、T24h及びT48hにおける剪断試験の結果
【
図4D】リード緩衝系+様々な濃度のポリソルベート20の様々な試験の結果。凍結/解凍試験の結果
【
図4E】リード緩衝系+様々な濃度のポリソルベート20の様々な試験の結果。凍結/解凍試験の結果
【
図4F】リード緩衝系+様々な濃度のポリソルベート20の様々な試験の結果。生理食塩水希釈試験の結果
【
図5】最初の凍結乾燥実験後のケーキを有するバイアル。
【
図6A】液体製剤についての安定性の結果及び不可視(subvisible)粒子。溶液の外観及びUVアッセイ
【
図6B】液体製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。溶液の外観及びUVアッセイ
【
図6C】液体製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。溶液の外観及びUVアッセイ
【
図6D】液体製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。pH及びSE-HPLC
【
図6E】液体製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。DLS
【
図6F】液体製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。DLS
【
図6G】液体製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。DLS
【
図6H】液体製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。HIAC
【
図7A】凍結乾燥製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。外観、UVアッセイ及びpH
【
図7B】凍結乾燥製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。DLS、ケーキの外観、再構成時間及び含水量
【
図7C】凍結乾燥製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。DLS、ケーキの外観、再構成時間及び含水量
【
図7D】凍結乾燥製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。DLS、ケーキの外観、再構成時間及び含水量
【
図7E】凍結乾燥製剤についての安定性の結果及び不可視粒子。SE-HPLC及び不可視粒子
【
図8】第5の凍結乾燥最適化後の薬物生成物の分析結果。
【
図9】第5の凍結乾燥最適化後のケーキを有するバイアル。
【発明を実施するための形態】
【0036】
当然ながら、本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物学的系に限定されず、これらは変化し得ることが理解されるべきである。同様に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみの説明を目的とし、限定的することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0037】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が特に明確な指示をしない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「ポリペプチド」への言及は、2つ以上のポリペプチドの組み合わせなどを含む。
【0038】
本明細書で使用される「約」は、量、時間的持続時間などの測定可能な値に言及する場合、特定の値から±5%、±1%、及び±0.1%を含む±20%又は±10%の変動を包含することが意味され、これは、そのような変動が、開示される方法を実行するのに適切であるためである。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が関連する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、本開示の試験の実施に使用することができるが、好ましい材料及び方法は、本開示を説明及び特許請求する際に本明細書に記載され、以下の用語が使用される。
【0039】
用語「医薬製剤」又は「製剤」は、有効成分の生物学的活性を有効にすることができるような形態であり、且つ製剤が投与される対象に対して許容できない毒性を有する追加の成分を含有しない製剤を指す。そのような製剤は、無菌(sterile)である。「無菌」製剤は、無菌性(aseptic)であるか、又は全ての生きている微生物及びそれらの胞子を含まない。
【0040】
用語「粘度」は、特定の温度で流体が示す、流れに対する内部抵抗、即ち剪断応力対剪断速度の比を指す。液体は、1ダイン/平方センチメートルの力が面積1平方センチメートル及び1平方センチメートル離れた2つの平行な液体表面を、1cm/秒の速度で互いに過ぎて移動させる場合、1ポアズの粘度を有する。1ポアズは、100センチポアズに等しい。一実施形態では、緩衝剤及び安定剤を含む製剤の粘度は、約50cP未満、約45cP未満、約40cP未満、約35cP未満、約30cP未満、約25cP未満、約20cP未満、約15cP未満、又は約10cP未満である。
【0041】
見掛け粘度に言及する場合、粘度の値は、測定が行われる条件、例えば、使用される温度、剪断速度及び剪断応力に依存することが理解される。見掛け粘度は、適用される剪断応力と剪断速度の比として定義される。見掛け粘度を測定するための多数の代替方法がある。例えば、粘度は、適切なコーン及びプレート、平行プレート又は他のタイプの粘度計又はレオメーターによって試験され得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「緩衝液」は、その酸塩基共役成分の作用によってpHの変化に抵抗する緩衝溶液を指す。本発明の緩衝液は、好ましくは、5.9~6.1の範囲のpH、好ましくは、約6.0のpH、より好ましくは、6.0のpHを有する。「ヒスチジン緩衝液」は、アミノ酸ヒスチジンを含む緩衝液である。ヒスチジン緩衝液は、本開示の好ましい緩衝液である。ヒスチジン緩衝液の例には、塩酸ヒスチジン、酢酸ヒスチジン、リン酸ヒスチジン、及び硫酸ヒスチジンが含まれる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「界面活性剤(surfactant)」は、界面活性剤(surface-active agent)を指す。界面活性剤の例としては、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80)、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)、Triton、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチルグリコシドナトリウム、ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、又はステアリル-スルホベタイン、ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、又はステアリル-サルコシン、リノレイル-、ミリスチル-、又はセチル-ベタイン、ラウロアミドプロピル-、ココアミドプロピル-、リノールアミドプロピル-、ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、又はイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル、;ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、又はイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン、;ナトリウムメチルココイル-、又はジナトリウムメチルオレイル-タウレート、及びMONAQUAT(商標)シリーズ(Mona Industries,Inc.、Paterson、NJ)、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、並びにエチレン及びプロピレングリコールのコポリマー(例えば、Pluronics又はPF68)が挙げられる。好ましくは、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。より好ましくは、前記非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート20である。ポリソルベート20は、PS20又はTween-20としても知られている。ポリソルベート80は、PS80又はTween-80としても知られている。
【0044】
前記界面活性剤は、異なる濃度で使用することができる。好ましくは、前記界面活性剤は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。より好ましくは、前記界面活性剤は、約0.1%(w/w)の濃度である。より好ましくは、前記界面活性剤は、0.1%(w/w)の濃度である。好ましくは、前記界面活性剤が0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度のポリソルベート20である。より好ましくは、前記界面活性剤が約0.1%(w/w)の濃度のポリソルベート20である。より好ましくは、前記界面活性剤が0.1%(w/w)の濃度のポリソルベート20である。
【0045】
特定の実施形態において、本開示による医薬製剤は、更なる賦形剤として安定剤を含み得る。安定剤としては、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、α-カゼイン、グロブリン、a-ラクトアルブミン、LDH、リゾチーム、ミオグロビン、オボアルブミン、及びRNase Aが挙げられるが、これらに限定されない。安定剤はまた、アミノ酸及びそれらの代謝産物、例えば、グリシン、アラニン、アルギニン、ベタイン、ロイシン、リシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、サルコシン、γ-アミノ酪酸(GABA)、オピン(アラノピン、オクトピン、ストロンビン)、及びトリメチルアミンN-オキシド(TMAO)を含む。安定剤はまた、糖アルコール及び/又はマンニトール、ソルビトール、トレハロース、デキストロース、ラクトース、スクロースなどの単糖、二糖又は多糖を含み得る。好ましくは、安定剤は、スクロースである。
【0046】
本開示の医薬製剤に関連して本明細書で使用される用語「再構成された」は、凍結乾燥され、再構成媒体の添加によって再溶解された製剤を意味する。再構成媒体は、水、特に注射用水(WFI)、注射用静菌水(BWFI)、塩化ナトリウム溶液(例えば、0.9%(w/v)NaCl)、グルコース溶液(例えば、5%グルコース)、界面活性剤、含有溶液(例えば、0.01%ポリソルベート20)、pH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝溶液)を含むが、これらに限定されない。
【0047】
一態様では、本開示の医薬製剤は、凍結及び解凍時に安定であり、「安定な」製剤は、意図される保存温度、例えば、2~8℃での保存時に、その中の全てのタンパク質がその物理的安定性及び/又は化学的安定性及び/又は生物学的活性を本質的に保持する製剤である。製剤は、本質的に、保存時にその物理的及び化学的安定性、並びにその生物学的活性を保持することが望まれる。保存期間は、一般に、製剤の意図される貯蔵寿命に基づいて選択される。更に、製剤は、製剤の凍結(例えば-70℃への)及び解凍後、例えば1、2又は3サイクルの凍結及び解凍後に安定であるべきである。タンパク質安定性を測定するための様々な分析技術が当技術分野で利用可能であり、例えばPeptide and Protein Drug Delivery’,247-301,Vincent Lee Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Pubs(1991)及びJones,A.Adv.Drug Delivery Rev.10:29-90(1993)に概説されている。安定性は、選択された温度で選択された時間測定され得る。安定性は、凝集体形成の評価(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、濁度を測定することによって、及び/又は目視検査によって);カチオン交換クロマトグラフィー又はキャピラリーゾーン電気泳動を使用して電荷不均一性を評価することによって;アミノ末端又はイヤボキシ(earboxy)末端配列分析;質量分析;還元及びインタクトな抗体を比較するためのSDS-PAGE分析;ペプチドマップ(例えば、トリプシン又はLYS-C)分析;抗体の生物学的活性又は抗原結合機能を評価することを含む、多様な異なる方法で、定性的及び/又は定量的に評価され得る。
【0048】
一実施形態では、本開示の医薬製剤は、静脈内、皮下又は筋肉内投与に適している。他の実施形態では、本開示の医薬製剤は、皮下投与される。別の実施形態では、本開示の医薬製剤は、静脈内投与される。
【0049】
用語「CD38」は、以下の同義語を有する、CD38として知られるタンパク質を指す:ADP-シボシルシクラーゼ1、cADPrヒドロラーゼ1、環状ADP-リボースヒドロラーゼ1、T10。
【0050】
ヒトCD38(UniProt:P28907)は、以下のアミノ酸配列を有する:
【0051】
本明細書で使用される用語「抗体」は、抗原と相互作用する、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含むタンパク質を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では、VHと略す)及び重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では、VLと略す)及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLを含む。VH及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域に更に細分することができ、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が点在する。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に以下の順序で配置された、3つのCDR及び4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、宿主組織又は因子(免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1の成分(C1q)を含む)への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。用語「抗体」は、例えば、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体及びキメラ抗体を含む。抗体は、任意のアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスのものであり得る。軽鎖及び重鎖の両方は、構造的及び機能的相同性の領域に分割される。
【0052】
「抗体断片」という表現は、本明細書で使用される場合、抗原と特異的に相互作用する(例えば、結合、立体障害、空間分布の安定化によって)能力を保持する抗体の1つ以上の部分を指す。結合断片の例としては、Fab断片、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片;F(ab)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片;VH及びCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片;VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546);並びに単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられるが、これらに限定されない。更に、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは、別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、VL領域とVH領域が対になって一価分子を形成する単一のタンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として公知である)として作製されることを可能にする合成リンカーによって、組換え方法を用いて連結され得る;例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426;及びHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879-5883を参照されたい)。このような単鎖抗体はまた、用語「抗体断片」内に包含されることが意図される。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技術を用いて得られ、断片は、インタクトな抗体と同じ様式で、有用性についてスクリーニングされる。抗体断片はまた、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NAR及びビス-scFvに組み込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson,(2005)Nature Biotechnology 23:1126-1136を参照されたい)。抗体断片は、フィブロネクチンIII型(Fn3)のようなポリペプチドに基づく足場に移植され得る(フィブロネクチンポリペプチドモノボディを記載する米国特許第6,703,199号明細書を参照されたい)。抗体断片は、相補的軽鎖ポリペプチドと一緒に一対の抗原結合部位を形成する一対のタンデムFvセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む単鎖分子に組み込まれ得る(Zapata et al.,(1995)Protein Eng.8:1057-1062;米国特許第5,641,870号明細書)。
【0053】
「ヒト抗体」又は「ヒト抗体断片」は、本明細書で使用される場合、フレームワーク領域及びCDR領域の両方がヒト起源の配列に由来する可変領域を有する抗体及び抗体断片を含む。ヒト抗体はまた、合成ライブラリーから、又はトランスジェニックマウス(例えば、異種マウス)から単離されてもよく、但し、各々の系が、フレームワーク領域及びCDR領域の両方がヒト起源の配列と同等である可変領域を有する抗体を提供することを条件とする。
【0054】
更に、抗体が定常領域を含む場合、定常領域も、このような配列に由来する。ヒト起源は、例えば、ヒト生殖系列配列、又はヒト生殖系列配列の突然変異バージョン、又は例えばKnappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57-86に記載されるようなヒトフレームワーク配列分析に由来するコンセンサスフレームワーク配列を含む抗体を含む。
【0055】
免疫グロブリン可変ドメイン(例えば、CDR)の構造及び位置は、周知の番号付けスキーム(例えば、Kabat番号付けスキーム、Chothia番号付けスキーム、又はKabat及びChothiaの組み合わせ)を使用して規定され得る(例えば、Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services(1991),eds.Kabat et al.;Lazikani et al.,(1997)J.Mol.Bio.273:927-948);Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edit.,NIH Publication no.91-3242 U.S.Department of Health and Human Services;Chothia et al.,(1987)J.Mol.Biol.196:901-917;Chothia et al.,(1989)Nature 342:877-883;及びAl-Lazikani et al.,(1997)J.Mol.Biol.273:927-948を参照されたい)。
【0056】
「ヒト化抗体」又は「ヒト化抗体断片」は、本明細書では、ヒト起源の配列に由来する定常抗体領域を有し、可変抗体領域又はその一部、又はCDRのみが別の種に由来する抗体分子として定義される。例えば、ヒト化抗体は、CDR移植され得、ここで、可変ドメインのCDRは非ヒト起源由来であり、一方、可変ドメインの1つ以上のフレームワークはヒト起源であり、定常ドメイン(存在する場合)はヒト起源である。
【0057】
用語「キメラ抗体」又は「キメラ抗体断片」は、本明細書では、1つの種に見出される配列に由来するか、又はそれに対応する定常抗体領域及び別の種に由来する可変抗体領域を有する抗体分子として定義される。好ましくは、定常抗体領域は、ヒトに見出される配列に由来するか、又はそれに対応し、可変抗体領域(例えば、VH、VL、CDR又はFR領域)は、非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ又はハムスター)に見出される配列に由来する。
【0058】
用語「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体又は抗体断片を実質的に含まない抗体又は抗体断片を指す。更に、単離された抗体又は抗体断片は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。従って、いくつかの態様では、提供される抗体は、異なる特異性を有する抗体から分離された、単離された抗体である。単離された抗体は、モノクローナル抗体であり得る。単離された抗体は、組換えモノクローナル抗体であり得る。しかしながら、標的のエピトープ、アイソフォーム又は変異体に特異的に結合する単離された抗体は、他の関連抗原(例えば、他の種(例えば、種ホモログ)由来の)に対して交差反応性を有し得る。
【0059】
用語「組換え抗体」は、本明細書で使用される場合、天然に存在しない手段によって調製、発現、作製又は分離される全ての抗体を含む。例えば、抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から単離された抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから選択及び単離された抗体、並びに、ヒト免疫グロブリン遺伝子、他のDNA配列への配列の全部若しくは一部のスプライシングに関与する任意の他の手段により調製、発現、作製若しくは単離された抗体、又はヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック若しくはトランスクロモソームである動物(例えば、マウス)若しくはそれから調製されたハイブリドーマから単離された抗体。好ましくは、このような組換え抗体は、フレームワーク及びCDR領域がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかしながら、特定の実施形態では、このような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(又は、ヒトIg配列についてトランスジェニックである動物を使用する場合、インビボ体細胞突然変異誘発)に供することができ、従って、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、関連するが、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在し得ない配列である。組換え抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。一実施形態において、本明細書に開示される抗体及び抗体断片は、HuCALライブラリーから単離される(Rothe et al,J.Mol.Biol.(2008)376,1182-1200)。
【0060】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して固有の結合特異性及び親和性を有する固有の結合部位を示す。
【0061】
一実施形態では、本開示の抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗体又はその断片である。別の実施形態では、本開示の抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗体である。別の実施形態では、モノクローナル抗体は、マウス、キメラ、ヒト化、又はヒト抗体である。別の実施形態では、モノクローナル抗体は、ヒト抗体である。別の実施形態では、モノクローナル抗体は、ヒト化抗体である。別の実施形態では、モノクローナル抗体は、キメラ抗体である。別の実施形態では、モノクローナル抗体は、マウス抗体である。
【0062】
一実施形態では、本開示の抗原結合タンパク質は、CD38に結合する。別の実施形態では、本開示の抗原結合タンパク質は、CD38に特異的に結合する。別の実施形態では、本開示の抗原結合タンパク質は、CD38に特異的である。別の実施形態では、本開示の抗原結合タンパク質は、CD38を特異的に認識する。
【0063】
問い合わせアミノ酸配列と対象アミノ酸配列との間の「パーセント同一性」は、パーセンテージとして表される「同一性」値であり、これは、対象アミノ酸配列がペアワイズBLASTPアラインメントを行った後に、問い合わせアミノ酸配列と100%の問い合わせ範囲を有する場合に、BLASTPアルゴリズムによって計算される。問い合わせアミノ酸配列と対象アミノ酸配列との間のこのようなペアワイズBLASTPアラインメントは、National Center for Biotechnology Instituteのウェブサイトで利用可能なBLASTPアルゴリズムのデフォルト設定を使用し、低複雑性領域用のフィルターをオフにすることによって行われる。重要なことに、問い合わせアミノ酸配列は、本明細書の1つ以上の特許請求の範囲において特定されるアミノ酸配列によって記載され得る。
【0064】
問い合わせ配列は、対象配列と100%同一であり得るか、又は%同一性が100%未満であるように、対象配列と比較して、ある整数までのアミノ酸改変を含み得る。例えば、問い合わせ配列は、対象配列と少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、又は99%同一である。このような改変は、以下のうちの少なくとも1つを含む:アミノ酸欠失、置換(保存的置換及び非保存的置換を含む)、又は挿入;ここで、前記改変は、問い合わせ配列のアミノ若しくはカルボキシ末端位置、又は問い合わせ配列中のアミノ酸の間に個々に、若しくは問い合わせ配列中の1つ以上の連続した基に散在する、これらの末端位置の間の任意の位置で生じ得る。
【0065】
「投与される」又は「投与」は、静脈内、筋肉内、皮内若しくは皮下経路などの注射可能な形態による送達、又は、例えば吸入のための鼻スプレー若しくはエアロゾルとしての粘膜経路、又は摂取可能な溶液、カプセル若しくは錠剤としての送達を含むが、これらに限定されない。
【0066】
化合物又は組み合わせの「治療有効量」は、所与の疾患又は障害及びその合併症の臨床症状を少なくとも部分的に停止させるのに十分な量を指す。特定の治療目的に有効な量は、疾患又は損傷の重症度、並びに対象の体重及び全身状態に依存するであろう。適切な投与量の決定は、日常的な実験を用いて、値のマトリックスを構築し、マトリックス中の異なる点を試験することによって達成され得、その全ては、訓練された医師又は臨床科学者の通常の技術の範囲内であることが理解されるであろう。
【0067】
「MOR202」は、「MOR03087」又は「MOR3087」としても知られる抗CD38抗体である。これらの用語は、本開示では互換的に使用される。
【0068】
Kabatにより定義されるMOR202 HCDR1のアミノ酸配列は:
SYYMN(配列番号1)である。
【0069】
Kabatにより定義されるMOR202 HCDR2のアミノ酸配列は:
GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)である。
【0070】
Kabatにより定義されるMOR202 HCDR3のアミノ酸配列は:
DLPLVYTGFAY(配列番号3)である。
【0071】
Kabatにより定義されるMOR202 LCDR1のアミノ酸配列は:
SGDNLRHYYVY(配列番号4)である。
【0072】
Kabatにより定義されるMOR202 LCDR2のアミノ酸配列は:
GDSKRPS(配列番号5)である。
【0073】
MOR202 LCDR3のアミノ酸配列は:
QTYTGGASL(配列番号6)である。
【0074】
MOR202可変重鎖ドメインのアミノ酸配列は:
である。
【0075】
MOR202可変軽鎖ドメインのアミノ酸配列は:
である。
【0076】
MOR202可変重鎖ドメインをコードするDNA配列は:
である。
【0077】
MOR202可変軽鎖ドメインをコードするDNA配列は:
である。
【0078】
MOR202は、IgG1 Fc領域を有する。
【0079】
本明細書で使用される用語「血液系癌」は、血液の癌を指し、中でも白血病、リンパ腫、及び骨髄腫を含む。「白血病」は、感染と闘う効果のない白血球が過剰に作られるため、血小板及び赤血球などの血液を構成する他の部分が押しのけられる血液の癌を指す。白血病の症例は、急性又は慢性に分類されることが理解される。白血病の特定の形態は、非限定的な例として、急性リンパ性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);骨髄増殖性障害/新生物(MPDS);及び骨髄異形成症候群を含む。「リンパ腫」は、中でも、ホジキンリンパ腫、緩慢性及び攻撃性の両方の非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、並びに濾胞性リンパ腫(小細胞及び大細胞)を指し得る。骨髄腫は、多発性骨髄腫(MM)、巨細胞性骨髄腫、重鎖骨髄腫、及び軽鎖又はベンス-ジョーンズ骨髄腫を指す。
【0080】
本明細書で使用される用語「固形腫瘍」又は「固形癌」は、通常は嚢胞又は液体領域を含まない、腫瘍を指す。本明細書で使用される固形腫瘍は、例えば乳房腫瘍、卵巣腫瘍、胃腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、黒色腫腫瘍、結腸直腸腫瘍、肺腫瘍、頭頸部腫瘍、膀胱腫瘍、食道腫瘍、肝臓腫瘍、甲状腺腫瘍及び腎臓腫瘍などの肉腫及び癌腫を含む。
【0081】
特定の実施形態では、本開示は、対象における疾患又は障害を処置する方法を提供し、方法は、有効量の本開示の製剤を前記対象に投与することを含む。特定の実施形態では、前記疾患又は障害は、癌又は炎症性障害である。特定の実施形態では、前記癌は、血液系癌又は固形癌である。特定の実施形態では、前記癌は、白血病、リンパ腫及び骨髄腫から選択される血液系癌である。特定の実施形態では、前記癌は、多発性骨髄腫である。特定の実施形態では、前記癌は、例えば乳房腫瘍、卵巣腫瘍、胃腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、黒色腫腫瘍、結腸直腸腫瘍、肺腫瘍、頭頸部腫瘍、膀胱腫瘍、食道腫瘍、肝臓腫瘍、甲状腺腫瘍及び腎臓腫瘍などの肉腫及び癌腫から選択される固形癌である。
【0082】
特定の実施形態では、前記炎症性障害は、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、アミロイドーシス、全身性エリテマトーデス(SLE)、アトピー性皮膚炎、ウェゲナー肉芽腫症及び乾癬性関節炎から選択される。
【0083】
特定の実施形態では、本開示は、医薬の調製のための本開示の医薬製剤の使用を提供する。特定の実施形態では、前記使用は、疾患又は障害の処置のための医薬の調製のための使用である。特定の実施形態では、前記疾患又は障害は、癌又は炎症性障害である。特定の実施形態では、前記癌は、血液系癌又は固形癌である。特定の実施形態では、前記癌は、白血病、リンパ腫及び骨髄腫から選択される血液系癌である。特定の実施形態では、前記癌は、多発性骨髄腫である。特定の実施形態では、前記癌は、例えば乳房腫瘍、卵巣腫瘍、胃腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、黒色腫腫瘍、結腸直腸腫瘍、肺腫瘍、頭頸部腫瘍、膀胱腫瘍、食道腫瘍、肝臓腫瘍、甲状腺腫瘍及び腎臓腫瘍などの肉腫及び癌腫から選択される固形癌である。特定の実施形態では、前記炎症性障害は、炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬、アミロイドーシス、全身性エリテマトーデス(SLE)、アトピー性皮膚炎、ウェゲナー肉芽腫症及び乾癬性関節炎から選択される。
【0084】
一実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及び緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及び緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及び緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及び緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。
【0085】
一実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及び緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、少なくとも55mg/mlの濃度である。一実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及び緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、55~75mg/mlの濃度である。一実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及び緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、62.5~67.5mg/mlの濃度である。一実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及び緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、約65mg/mlの濃度である。一実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及び緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。
【0086】
別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。
【0087】
別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度5mM~15mM及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度8mM~12mM及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度約10mM及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度10mM及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。
【0088】
別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度5mM~15mM及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度8mM~12mM及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度約10mM及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度10mM及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。
【0089】
別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度5mM~15mM及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度8mM~12mM及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度約10mM及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤及び濃度10mM及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。
【0090】
別の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、非イオン性界面活性剤及び緩衝液を含む医薬製剤を提供する。他の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、ポリソルベート及び緩衝液を含む医薬製剤を提供する。他の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、ポリソルベート20及び緩衝液を含む医薬製剤を提供する。他の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、ポリソルベート80及び緩衝液を含む医薬製剤を提供する。他の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、ポリソルベート20及び緩衝液を含む製剤を提供し、前記ポリソルベート20は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。他の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、ポリソルベート20及び緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度である。他の実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、ポリソルベート20及び緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度である。
【0091】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。
【0092】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。
【0093】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。
【0094】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。
【0095】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。
【0096】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。
【0097】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。
【0098】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。
【0099】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供する。
【0100】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、非イオン性界面活性剤及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。
【0101】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。
【0102】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。
【0103】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。
【0104】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.05%(w/w)~0.2%(w/w)の濃度である。
【0105】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度である。
【0106】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度である。
【0107】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度である。
【0108】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH5.9~6.1のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH約6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びpH6.0のヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度である。
【0109】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ヒスチジン緩衝液は、5.9~6.1のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有する。
【0110】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、5.9~6.1のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有する。
【0111】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、5.9~6.1のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有する。
【0112】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ヒスチジン緩衝液は、5.9~6.1のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有する。
【0113】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、5.9~6.1のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有する。
【0114】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、5.9~6.1のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有する。
【0115】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、5.9~6.1のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有する。
【0116】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、5.9~6.1のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有する。
【0117】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ヒスチジン緩衝液は、5.9~6.1のpHを有し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。
【0118】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、5.9~6.1のpHを有し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。
【0119】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、5.9~6.1のpHを有し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約6.0のpHを有し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20及びヒスチジン緩衝液を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有し、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、6.0のpHを有し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。
【0120】
一実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤、緩衝液及び安定剤を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤、緩衝液及び安定剤を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤、緩衝液及び安定剤を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤、緩衝液、及び安定剤を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤、緩衝液、及び安定剤を含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。
【0121】
一実施形態では、本開示は、抗原結合タンパク質、界面活性剤、緩衝液及びスクロースを含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤、緩衝液及びスクロースを含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤、緩衝液及びスクロースを含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤、緩衝液、及びスクロースを含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤、緩衝液、及びスクロースを含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202である。
【0122】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20、ヒスチジン緩衝液及びスクロースを含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約10mMの濃度であり、5.9~6.1のpHを有し、前記スクロースは、150~350mMの濃度である。
【0123】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20、ヒスチジン緩衝液及びスクロースを含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約10mMの濃度であり、5.9~6.1のpHを有し、前記スクロースは、175~300mMの濃度である。
【0124】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20、ヒスチジン緩衝液及びスクロースを含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約10mMの濃度であり、5.9~6.1のpHを有し、前記スクロースは、約260mMの濃度である。
【0125】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20、ヒスチジン緩衝液及びスクロースを含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体はMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、10mMの濃度を有し、約6.0のpHを有し、前記スクロースは、260nMの濃度である。
【0126】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20、ヒスチジン緩衝液及びスクロースを含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、濃度約65mg/mlのMOR202であり、前記ポリソルベート20は、約0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、約10mMの濃度であり、5.9~6.1のpHを有し、前記スクロースは、約260mMの濃度である。
【0127】
別の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、ポリソルベート20、ヒスチジン緩衝液及びスクロースを含む医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、濃度約65mg/mlのMOR202であり、前記ポリソルベート20は、0.1%(w/w)の濃度であり、前記ヒスチジン緩衝液は、10mMの濃度を有し、約6.0のpHを有し、前記スクロースは、260nMの濃度である。
【0128】
特定の実施形態では、本開示は、本発明に開示される医薬製剤の何れかから調製される凍結乾燥医薬製剤を提供する。特定の実施形態では、本開示は、本開示に記載される抗CD38抗体の医薬製剤の凍結乾燥により調製される、抗CD38抗体の凍結乾燥医薬製剤を提供する。
【0129】
特定の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体の液体製剤を調製するための方法を提供し、前記方法は、本開示による凍結乾燥医薬製剤を提供するステップと、前記凍結乾燥製剤を再構成するステップと、を含む。
【0130】
特定の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体の液体製剤を調製するための方法を提供し、前記方法は、本開示による凍結乾燥医薬製剤を提供するステップと、前記凍結乾燥製剤を再構成するステップと、を含み、前記再構成は、水又は薬学的に許容され得る試薬の添加を介して達成される。特定の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体の液体製剤を調製するための方法を提供し、前記方法は、本開示による凍結乾燥医薬製剤を提供するステップと、前記凍結乾燥製剤を再構成するステップと、を含み、前記再構成は、水の添加を介して達成される。
【0131】
特定の実施形態では、本開示は、本開示の凍結乾燥製剤の再構成によって得られる抗CD38抗体の再構成医薬製剤を提供する。特定の実施形態では、前記再構成は、抗CD38抗体を含む凍結乾燥溶液に、水又は薬学的に許容され得る試薬を添加することを介して達成される。特定の実施形態では、前記再構成は、抗CD38抗体を含む凍結乾燥溶液に水を添加することを介して達成される。
【0132】
特定の実施形態では、本開示は、液体製剤又は凍結乾燥製剤、又は凍結乾燥製剤から再構成された液体製剤を提供する。
【0133】
特定の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む再構成医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、55~75mg/mlの濃度である。特定の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む再構成医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、62.5~67.5mg/mlの濃度である。特定の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む再構成医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、約65mg/mlの濃度である。特定の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤及びpH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液を含む再構成医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。
【0134】
特定の実施形態では、再構成医薬製剤は、安定剤も含む。適切な安定剤には、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、α-カゼイン、グロブリン、a-ラクトアルブミン、LDH、リゾチーム、ミオグロビン、卵白アルブミン、及びRNase Aが含まれるが、これらに限定されない。安定剤はまた、アミノ酸及びそれらの代謝物、例えばグリシン、アラニン、アルギニン、ベタイン、ロイシン、リシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、サルコシン、γ-アミノ酪酸(GABA)、オパイン(アラノピン、オクトピン、ストロンビン)、及びトリメチルアミンN-オキシド(TMAO)を含む。安定剤は、糖アルコール及び単糖、二糖又は多糖、例えばマンニトール、ソルビトール、トレハロース、右旋糖、乳糖、スクロースなどを含み得る。好ましくは、安定剤はスクロースである。
【0135】
特定の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤、pH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液、及び安定剤を含む再構成医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、55~75mg/mlの濃度である。特定の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤、pH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液、及び安定剤を含む再構成医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、62.5~67.5mg/mlの濃度である。特定の実施形態では、本開示は抗CD38抗体、界面活性剤、pH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液、及び安定剤を含む再構成医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、約65mg/mlの濃度である。特定の実施形態では、本開示は、抗CD38抗体、界面活性剤、pH5.5~6.5のヒスチジン緩衝液、及び安定剤を含む再構成医薬製剤を提供し、前記抗CD38抗体は、65mg/mlの濃度である。
【0136】
特定の実施形態では、本開示の医薬製剤は、疾患又は障害の処置における使用のためである。特定の実施形態では、本開示は、対象における疾患又は障害の処置方法を提供し、方法は、有効量の本開示の医薬製剤を前記対象に投与することを含む。特定の実施形態では、本開示は、疾患又は障害の処置のための医薬の調製のための、本開示の医薬製剤の使用を提供する。
【実施例】
【0137】
実施例1:抗CD38抗体のための液体製剤
長期保存に適した抗CD38特異的抗体MOR202の液体製剤を開発した。
【0138】
製剤戦略は、熱安定性に基づく緩衝液及びpHスクリーニング、続いて凝集体形成に対する保護特性に重点を置いた賦形剤最適化からなっていた。示差走査熱量測定(DSC)によって緩衝液スクリーニングを行い、2つのリード緩衝液:ヒスチジン緩衝液(10mMヒスチジンpH6.8)及びリン酸緩衝液(10mMリン酸緩衝液pH6.6)を得た。これらの緩衝液を、NaCl及びスクロースと、完全実施要因計画で組み合わせた。
【0139】
サンプルを凍結解凍及び熱機械的応力に供し、乳白光及び粒子形成について視覚的に検査した。最後に、生成物を、UV分光測定、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び動的光散乱(DLS)によって、異なる製剤中で特徴付けた。分析結果の重み付けランキングは、最も好ましい組成物として125mM NaClを含むリン酸又はヒスチジン緩衝液を同定した。ヒスチジン緩衝液は、凍結解凍に対して優れた保護特性を示し、従って、最終製剤の基礎として選択された。
【0140】
この試験のデータと以前の予備製剤作業の経験に基づいて、以下の製剤(CMC-1製剤)が選択された:
10mM L-ヒスチジン、pH6.8
140mM NaCl
0.02% % Tween 20
【0141】
CMC-1製剤を、第I/IIa相臨床試験に使用した。
【0142】
実施例2:凍結乾燥製剤の予備製剤開発
予備製剤プロジェクトを開始して、第III相臨床試験及び市場供給のための抗CD38特異的抗体MOR202のための薬物生成物のための製剤を開発した。
【0143】
本試験の目的は、以下を含んでいた:
・ 最大化学的及び物理的安定性のpHの確認、並びに分子の安定性に対するタンパク質濃度の影響
・ 分子の物理的及び化学的安定性に対する剪断力(振盪)及び凍結解凍サイクルの影響の評価
・ 0.9% NaCl生理食塩水(通常の生理食塩水)で希釈した後のタンパク質の安定性の測定
【0144】
実施例2.1 原薬の濃度
MOR202原薬を、接線流濾過(Omega Centramate 30kD 0.02sqm、Pall)により、80~90mg/mlの最終濃度まで濃縮した。6psiを超えない膜間圧力を使用して、接線流濾過プロセスを監視した。得られた濃縮溶液をサブロットに分割し、Slide-A-Lyzer透析フラスコに装填し、24時間かけて各々の緩衝液(2.0リットル、少なくとも5×緩衝液交換)に対して透析した。0.3% NaClをクエン酸緩衝液マトリックスに添加して、イオン強度を増加させ、MOR202溶液を安定化させた。
【0145】
緩衝液交換の完了時に、MOR202濃度を測定した。続いて、溶液を各々の緩衝液で希釈し、0.22μmシリンジフィルター(PVDF、Millipore又はPALL)を用いて濾過した。次いで、濾過した製剤を5mlのガラスバイアルに充填し、栓をし、密封した。
【0146】
試験した主要な予備製剤を
図1に要約する。2つの異なるMOR202濃度:- 50g/l及び75g/lを試験した。予備実験及び経験に基づいて、2つの主要な緩衝系:ヒスチジン緩衝液及びクエン酸緩衝液を比較した。
【0147】
実施例2.2:安定性及びストレス試験
実施例2.1で調製した溶液を、様々な安定性及びストレス試験に供した。主な目標は、最適pHを決定し、タンパク質濃度の効果を研究することであった。
【0148】
安定性は、バイアルを異なる条件:5±3℃、25±2℃/60±5% RH、及び40±2℃/75±5% RH(RH=相対湿度)で保存することによって試験した。サンプルを特定の時点で調べた。実施した試験及び試験間隔を
図2に示す。
【0149】
剪断及び凍結解凍サイクルを用いて、製剤の任意の物理的安定性問題(例えば、凝集、外観)に効果的に対処するために、及び処理(例えば、混合、ポンプ輸送)中のAPIを保護するために必要とされる界面活性剤の濃度を調べた。以前の研究から、ポリソルベート20は分解及び凝集に対する保護を提供することが知られていた。以下のポリソルベート20濃度(w/v %)を試験した:0.02%、0.04%、及び0.1%。
【0150】
剪断試験のために、製剤をロータリーシェーカー上で40~60rpm、室温で24時間及び48時間撹拌した。物理的外観(視覚的)、純度(SEC)、タンパク質含有量(UV)及び流体力学的サイズ/可溶性凝集体(DLS)を分析した。
【0151】
凍結解凍試験のために、製剤を3回の凍結解凍サイクル(-70℃)に供した。サンプルを剪断試験と同様に分析した。
【0152】
生理食塩水希釈試験のために、製剤を通常の生理食塩水で1:100に希釈した。純度をSECで測定した。不可視粒子をHIACで測定した。
【0153】
実施例2.3:安定性試験の結果
安定性試験の結果を
図3A~3Gに要約する。以下の観察が行われた:
・ ヒスチジン緩衝液は、API(MOR202)の安定化において優れている。
・ 安定性試験の間、外観及びpHに有意差は観察されなかった。
・ 経時的にUV含有量に有意差は検出されなかった。最後のチェックポイントにおいて、全ての製剤についてタンパク質含有量の増加があるように思われた。タンパク質濃度の増加は、標準溶液について同じ増加が検出されるので、方法の変動性に帰することができる。
・ SECによる分析は、2週間後に凝集体及び汚染物質の増加を示すpH5.5 L-ヒスチジン(75g/L)製剤を除いて、5℃での全ての製剤の安定性を示す。
・ pHが増加するにつれて、1ml当たりの粒子の数が増加する。
・ DLSによって評価されたサイズは、安定性試験の期間にわたって不変のままである。
【0154】
これらをまとめて、以下のリード緩衝系を更なる開発のための基礎として選択した:
MOR202 75g/l
10mM緩衝液
L-ヒスチジン 1.552g/l
HCl pH6.0±0.1までq.s.
pH 6.0±0.1
【0155】
このリード緩衝系の結果は、以下のように記述することができる:
外観:溶液は、時点ゼロで透明であり、安定中に僅かに乳白色になり;色及び粒子の存在は、一定のままである
UV含有量:一定
pH:一定
HIAC:安定性試験中の粒子数は、各直径で同様のままであり、時点ゼロで最低である
SEC:%IgGは、5℃で一定であり、40℃で減少する
%凝集体は、5℃で一定であり、40℃で増加する
%汚染物質は、5℃で一定であり、40℃で増加する
この製剤は、凝集体の最低値及び時点ゼロでのIgGの最高値を有する。
DLS:DLSによって評価されたサイズは、安定性試験の期間にわたって不変のままである。
【0156】
実施例2.4 剪断試験、凍結解凍試験及び生理食塩水希釈試験の結果
MOR202溶液を、実施例2.3で同定したリード緩衝系中で試験した。ポリソルベート20の濃度を0.02%、0.04%及び0.1%に調整した。
【0157】
剪断試験の結果を
図4A~4Cに示す。
凍結/解凍試験の結果を
図4D~4Eに示す。
生理食塩水希釈試験の結果を
図4Fに示す。
【0158】
剪断試験の結果:
・物理的外観は、48時間剪断した後に乳白光が変化するだけである。0.02%ポリソルベート20を含む製剤は、最高グレードの乳白光を含む。繊維及び粒子の形状及びアスペクトは、生成物に帰するものではないように思われる。繊維及び粒子の存在は、外部起源であると考えられる。
・PS20を0.04%及び0.1%の濃度で用いた製剤では、UV含有量の僅かな減少がある。
・SECの結果は、全てのPS20濃度が%IgGの僅かな減少及び対応する%凝集体の僅かな増加によって特徴付けられることを示している。
・DLSによってサンプルを評価した場合、サイズ及び多分散性の大きな変化は観察されない。
【0159】
凍結解凍試験の結果:
・繊維及び粒子の形状及びアスペクトは、生成物に帰するものではないように思われる。繊維及び粒子の存在は、外部起源であると考えられる。
・全てのPS20濃度についてのUV含有量の僅かな増加は、方法の変動性に帰することができる。
・SEC結果に関して、全てのPS20濃度は、%IgGの僅かな減少及び対応する%凝集体の僅かな増加を示す。
・DLSによって評価されたサイズは、不変のままである。
【0160】
生理食塩水希釈試験の結果:
・SECによって評価して、全ての製剤において時点ゼロと時点24時間との間に有意差はない。
・全ての直径範囲についての粒子の数の増加が、光遮蔽によって観察された。最も高い増加は、0.04%ポリソルベート20を元々含む溶液で検出され、ここで、2μmのサイズ範囲については、粒子の数が4倍増加する。
【0161】
実施例2.5:予備製剤開発の最終結果
一連の予備製剤試験を行って、MOR202を安定化させるのに必要な最適pH及び賦形剤を選択した。これらの試験は、5.5~6.3の最適pHを確認し、凍結解凍及び撹拌に対するポリソルベート20の効果、並びに通常の生理食塩水で希釈した後のMOR202の安定性の試験を含んでいた。
【0162】
この分子は、10mMヒスチジン緩衝液(pH6.0)中で良好な化学的及び物理的安定性を示した。これらの試験の結果に基づいて、10mMヒスチジン緩衝液(pH6.0)が、MOR202の製剤のための最適マトリックスであると考えられた。
【0163】
剪断、凍結解凍、及び希釈試験のアウトプットに基づいて、ポリソルベート20の存在が重要であり、好ましいことが見出された。
【0164】
以下の組成物を、更なる製剤開発のための基礎として選択した:
MOR202 75g/l
ポリソルベート20 0.1%
10mM緩衝液
L-ヒスチジン 1.552g/l
HCl pH6.0±0.1までq.s.
pH 6.0±0.1
【0165】
この製剤の特徴は、以下のように要約することができる:
外観:溶液は48時間の剪断後にのみ乳白色になる
UV含有量:48時間の剪断後に低下を示し、3回目の凍結/解凍サイクル後に上昇を示す
SEC:剪断及び凍結/解凍サイクル試験後の%IgGの僅かな減少及び対応する%凝集体の僅かな増加。%IgG及び%凝集体は、生理食塩水希釈試験の間、一定のままである
HIAC:生理食塩水希釈試験中の全ての直径についての粒子数の増加。粒子の総数は、0.04% PS20を用いたものよりも有意に少ない。
DLS:DLSによって評価されたサイズは、不変のままである
【0166】
実施例3:MOR202の凍結乾燥製剤のための製剤開発
予備製剤に続いて、抗CD38特異的抗体MOR202のための薬物生成物のための製剤を開発するための新たなプロジェクトを開始した。
【0167】
本試験の目的は、以下を含んでいた:
・凍結乾燥プロセスとの適合性について評価される凍結乾燥MOR202プロトタイプ製剤の調製;
・凍結乾燥プロトタイプ製剤の安定性の分析;
・安定性データに基づく1つのリードMOR202凍結乾燥製剤の選択;
・選択されたリードMOR202製剤に基づく、凍結乾燥サイクルの開発及び最適化;
・充填/仕上げ施設でのプロセス移動及びスケールアップに適した凍結乾燥サイクルの推奨。
【0168】
実施例3.1:プロトタイプ製剤の熱評価
以前の知識及び予備製剤の研究で得られた情報に基づいて、以下の製剤が、凍結乾燥開発のためのスクリーニングに選択された:
【0169】
プロトタイプ製剤の熱特性を評価し、分析結果に基づいて、5つのプロトタイプ製剤に適した凍結乾燥サイクルが提案された。
【0170】
表1のプロトタイプ製剤の特性の熱評価後、MOR202の濃度を75mg/mLから65mg/mLに減少させた。API濃度の減少は、プロトタイプ製剤の熱特性に影響を与えなかった。
【0171】
表2の新たなプロトタイプ製剤は、F1~F5と呼ばれる。
【0172】
凍結、凍結乾燥、熱及び物質移動の物理化学に影響を及ぼすパラメーターの理解は、凍結乾燥サイクルのパラメーターの決定にとって重要である。サブアンビエント示差走査熱量測定(DSC)試験を、Pyris 1 Perkin Elmerシステムを用いて行った。使用したパラメーターを表3に示す。
【0173】
主な焦点は、結晶化が起こる温度(共晶点、Te)の同定及び最大凍結濃縮溶液のガラス転移温度(Tg’)の同定であった。全てのプロトタイプ溶液F1~F5についてのサーモグラム(凍結及び加熱ランプ)を得た。全ての結果を表4に要約する:
【0174】
5つの製剤の全ては同等の共晶点を有し、1回の凍結乾燥サイクルとの適合性を示唆する。製剤F2、F4及びF5は、僅かに乳白色に見えたが、目視検査によって沈殿物/凝集物は観察されなかった。製剤F2及びF4は、350mOsmol/kgに近い浸透圧を有し、これは依然として静脈内投与の許容範囲内である。しかしながら、標的浸透圧が300mOsmol/kgの標準により近い場合、F2及びF4のスクロース含有量を各々12及び10mg減少させ得る。これは、製剤の熱特性に影響を及ぼすことなく、浸透圧を310mOsmol/kgに近づけるはずである。
【0175】
これらの考察に基づいて、初期凍結乾燥パラメーターを最初の凍結実験について定義した。
【0176】
実施例3.2:プロトタイプ製剤の初期凍結乾燥
プロトタイプ溶液F1~F5(表2参照)を凍結乾燥した。初期パラメーターは、DCS試験の結果に基づく(実施例3.1参照)。
【0177】
調製されたバルク溶液を、0.22pmのPVDFフィルターを使用して濾過し、5.00mL+0.3mL過剰充填の充填容量で20Rバイアルに充填した。
【0178】
サイクルの長さは、約64時間であった。サイクルをリアルタイムで監視した。一次及び二次乾燥を、最初に提案した50時間から46時間及び20時間から8時間に各々減少させた。レシピを表5に示す。
【0179】
5つの全製剤のケーキは、十分に乾燥しているように見えた。全体として、外観は、次のように分類することができる(良好から不良):F3=F5>F2=F4>F1。この分類は、ケーキ中の亀裂の数、収縮のレベル、及び破壊の傾向を考慮に入れたものである。全ての製剤のバイアルの画像を
図5に示す。
【0180】
実施例3.3:凍結乾燥及び液体プロトタイプ製剤試験
液体及び凍結乾燥プロトタイプ製剤を、以下のパラメーターについて分析した:
・外観(液体及び凍結乾燥)
・含水量(凍結乾燥のみ)
・pH(液体及び凍結乾燥)
・サイズ排除クロマトグラフィー(液体及び凍結乾燥)
・不可視粒子(HIAC)(液体及び凍結乾燥)
・DLS(液体及び凍結乾燥)
・再構成時間(凍結乾燥)
・UV(液体及び凍結乾燥)
【0181】
製剤の安定性も、様々な温度(2~8℃、0% RH;25℃、60% RH;40℃、75% RH)での保存後及び様々な時点(0、2及び4週間)に試験した。
【0182】
液体製剤についての結果を
図7A~7Hに示す。凍結乾燥製剤についての結果を
図8A~8Eに示す。
【0183】
実施例3.4:最終結果
5つのプロトタイプ液体及び凍結乾燥製剤の徹底分析に基づいて、製剤F3を開発ステップのために選択した。
【0184】
製剤F3は、乳白光の程度が最も低かった。また、試験した他の4つの製剤とは対照的に、安定性試験の間、液体製剤についての不可視粒子の増加は見られなかった。更に、製剤F3はまた、再構成後の凍結乾燥製剤について最低の乳白光(opalescense)の程度を示し、安定性試験中に凝集体の増加は観察されなかった。
【0185】
実施例4:凍結乾燥の最適化
いくつかの後続のステップにおいて、凍結乾燥プロセスを最適化した。後続の各プロセスは、先行する実験中に得られた結果及び経験を利用した。凍結乾燥プロセスにおいて評価された重要なプロセスパラメーターは、温度、圧力及び時間である。
【0186】
実施例4.1:第1の最適化
第1の凍結乾燥実験(実施例3参照)において収集された結果に基づいて、このプロセスを改変した。主な目標の1つは、二次乾燥プロセスを短縮し、異なる凍結/加熱ステップに対してランプ速度を適合させることであった。第1の最適化の凍結乾燥レシピを表6に示す。全サイクルの長さは、約72時間であった。
【0187】
分析結果から、凍結乾燥された薬物生成物は予想された特性を示し、いかなる異常も示さないことが確認された。
【0188】
二次乾燥(ステップ8)の5時間後、残留水分量は0.9% w/wであり、従ってこのステップを更に3時間延長しなければならなかった。8時間後、残留水分量は0.3% w/w、即ち<0.5% w/wの目標未満であった。
【0189】
また、一次乾燥及び続く二次乾燥ステップの上昇(ramping up)を潜在的に短縮することができることも観察された。これは、プロセス全体の約4時間の追加の節約につながる可能性がある。
【0190】
全てのケーキを十分に乾燥させた。
【0191】
ケーキの外観を、ケーキ中の亀裂の数、収縮のレベル、及び破壊傾向を考慮して分類した。
【0192】
試験した24個のバイアルを以下のように分類した:
9個のバイアルは問題ない
非常に僅かな収縮を有する13個のバイアル
亀裂を有する2個のバイアル
【0193】
凍結乾燥顕微鏡(FDM)を使用して、薬物生成物の臨界温度を決定した。FDMはBTL Lyostat凍結乾燥顕微鏡(ID PDS 250)を使用して行った。
【0194】
1.5pLのサンプル溶液を分析して、サンプルの凍結乾燥のリアルタイム観察を可能にした。FDMから得られる情報は、製剤の崩壊点(Tc)及び共晶点(Teu)である。
【0195】
いくつかのサンプルは崩壊ゾーン挙動を示し、即ち、乾燥サンプルの構造は、明確な点ではなく、ある温度範囲にわたって徐々に失われる。
【0196】
崩壊の最初の徴候は、-26.8℃で観察された。昇華の進行及び温度の上昇に伴い、崩壊もより明白になった。表は、より低い崩壊ゾーン温度を要約し、一次乾燥温度及び圧力を再開する。
【0197】
以下の結論が導かれた:
・生成物の崩壊を防ぐために、温度は、理想的には、一次乾燥の間、各々の崩壊ゾーン下限未満に維持されるべきである
・生成物の追加の安全性及び品質のために、2℃~7℃の間の安全マージンを想定すべきである。これは、スケールアップ、技術移転、及び異なる凍結乾燥機の使用中に生じ得る僅かな変動に対応するものである
・一次乾燥温度を上昇させてはならない
【0198】
実施例4.2:第2の最適化
第1の最適化と比較して、第2の最適化では、一次及び二次乾燥のためのランプ速度が増加した。一次温度は-15℃に維持した。
【0199】
全サイクルの長さは、約66時間であり、即ち、第1の最適化よりもかなり短かった。
【0200】
分析結果から、凍結乾燥薬物生成物は、予想された特性を示し、いかなる異常も示さないことが確認された。
【0201】
全てのケーキを十分に乾燥させた。
【0202】
再び、ケーキの外観を、ケーキ中の亀裂の数、収縮のレベル、及び破壊の傾向を考慮して分類した。
【0203】
試験した29個のバイアルを以下のように分類した:
非常に僅かな収縮を有する27個のバイアル
非常に僅かな収縮及び表面上の亀裂を有する2個のバイアル
【0204】
次の最適化ラウンドのために行われた観察及び可能な変更:
・ 凍結乾燥ケーキは、異なるランプ及び条件を適用することによって改善されることはなく;ケーキの外観は、おそらく賦形剤及び薬物生成物によるものである。
・ 凍結ステップにおける1℃/分のランプは、一般的に使用される全ての凍結乾燥機では不可能であり、従って、安全範囲内で作業し、0.5℃/分の凍結ランプを用いることが推奨される。
【0205】
実施例4.3:第3の最適化
この最適化の主な焦点は、薬物生成物の品質が商業規模までのスケールアップの間に起こり得る温度及び圧力の可能な変動による影響を受けないことを確実にすることであった。最悪の場合の条件を試験するために、±3℃の温度変動及び±30μbarの圧力変動を評価した。
【0206】
堅牢性試験のために2つの凍結乾燥実験、HT/HP及びLT/LPを行い、実験室規模での外挿とGMP生産との間の橋渡しのために、実験室規模(0.5m2凍結乾燥ユニット)で試験を行った。
【0207】
この最適化は、高温及び高圧条件を調べることを目的とした。
【0208】
全サイクルの長さは、約64時間であり、即ち、再び最後の最適化よりも短かった。
【0209】
分析結果から、凍結乾燥燥薬物生成物は、予想された特性を示し、いかなる異常も示さないことが確認された。
【0210】
全てのケーキを十分に乾燥させた。
【0211】
再び、ケーキの外観を、ケーキ中の亀裂の数、収縮のレベル、及び破壊の傾向を考慮して分類した。
【0212】
試験した29個のバイアルを以下のように分類した:
24個のバイアルは、非常に僅かな収縮を有する粘着性の白色ケーキを有していた
非常に僅かな収縮及び表面上の亀裂を有する5個のバイアル
【0213】
実施例4.4:第4の最適化
この最適化は、低温及び低圧条件を調べることを目的とした。
【0214】
全サイクルの長さは、再び約64時間であった。
【0215】
分析結果から、凍結乾燥薬物生成物は予想された特性を示し、いかなる異常も示さないことが確認された。
【0216】
26のケーキは、全て十分に乾燥され、粘着性であった。26個のうち3個のバイアルは、欠陥とみなされない僅かな収縮を示した。
【0217】
これらの実験の結果は、選択された製剤が、凍結乾燥プロセスステップの間に温度及び圧力が僅かな変動を伴うとしても、首尾よく凍結乾燥され得ることを証明した。
【0218】
これは、大規模な経常的製造のための堅牢なプロセスを保証する。
【0219】
実施例4.5:第5の最適化
これまでに収集された全ての経験に基づいて、第5の最適化を行った。
【0220】
全サイクルの長さは、約66時間であった。
【0221】
分析結果から、凍結乾燥薬物生成物は、予想された特性を示し、いかなる異常も示さないことが確認された。
図8は、凍結乾燥薬物生成物の分析の結果を示す。再構成体積は、4.8mlであった。全てのケーキは、粘着性であった。
【0222】
215個のバイアルは適合していた。215個の適合バイアルのうち3個は、欠陥とみなされない表面上の亀裂を示した。60個のバイアルは、栓と首との間の薬物生成物のために拒絶された。この欠陥は、凍結乾燥プロセスではなく、充填プロセスに関連する。44個のバイアルは、栓の近くのバイアル上に汚点を示したか、又は栓とラックとの間に非常に少量の生成物が存在したかの何れかであった。この欠陥は、凍結乾燥機負荷中に生じたものと思われる。例示的なケーキの写真を
図9に示す。
【0223】
第5の最適化の結果は、このプロセスが堅牢であり、GMP材料の製造に適用するのに適していることを示した。
【配列表】
【国際調査報告】