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特表2022-512310金属硫化物触媒表面を使用する、窒素からのアンモニアの電解製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(54)【発明の名称】金属硫化物触媒表面を使用する、窒素からのアンモニアの電解製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/27 20210101AFI20220127BHJP
   C25B 15/023 20210101ALI20220127BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20220127BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20220127BHJP
   C25B 15/027 20210101ALI20220127BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20220127BHJP
   C25B 11/052 20210101ALI20220127BHJP
   C25B 11/075 20210101ALI20220127BHJP
【FI】
C25B1/27
C25B15/023
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B15/027
C25B15/08 302
C25B11/052
C25B11/075
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531333
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(85)【翻訳文提出日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 IS2019050015
(87)【国際公開番号】W WO2020110155
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】050246
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IS
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521234571
【氏名又は名称】アトモニア・イーエイチエフ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】スクラソン,エギル
(72)【発明者】
【氏名】アブグイ,ユネス
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4K011AA29
4K011DA01
4K011DA11
4K021AA01
4K021AB25
4K021BA02
4K021BA17
4K021DC03
4K021DC15
(57)【要約】
遷移金属硫化物触媒表面を有するカソードを含む電解セルに、Nを供給するステップを含む、アンモニアを製造するための方法が提供される。遷移金属硫化物触媒を含む、方法によりアンモニアを発生させるためのシステムも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを製造する方法であって、
カソード、アノード、電解質、および少なくとも1つのプロトン供給源を含む電解セルに、Nを供給するステップと;
前記Nを、前記電解セルにおいて前記カソードの電極表面と接触させるステップであり、前記電極表面は、少なくとも1種の遷移金属硫化物を含む触媒表面を含む、ステップ;および
前記電解セルに電流を通し、それによって窒素がプロトンと反応してアンモニアを形成するステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記触媒が、硫化イットリウム、硫化スカンジウム、硫化ジルコニウム、硫化チタン、硫化バナジウム、硫化クロム、硫化ニオブ、硫化ニッケル、硫化鉄、硫化マンガン、硫化コバルト、硫化イリジウム、硫化銅、硫化オスミウム、硫化ルテニウム、および硫化ロジウムからなる群から選択される、1種または複数の遷移金属硫化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒表面が、岩塩構造、NiAs型構造、または黄鉄鉱構造を有する少なくとも1つの表面を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒表面が、(100)面または(111)面を有する少なくとも1つの表面を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
アンモニアが、参照として可逆水素電極(RHE)を使用して、約-1.2V未満、より好ましくは約-0.6V未満、さらにより好ましくは約-0.3V未満の電極電位で、電解セルにおいて形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
形成されるNHのモルと比較して、50%未満、好ましくは20%未満、さらにより好ましくは10%未満のモルのHが形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記電解セルが、好ましくは水性電解液である、1種または複数の電解液を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記電解セルが、水性電解液、有機溶媒、好ましくは水性電解質に混合される水に混和性の有機溶媒を含む電解質からなる群から選択される液体電解質を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アンモニアの形成における前記プロトン供給源が、前記アノードでの水分解または前記アノードでのH酸化反応からのものである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記電解セルが、1つのセルコンパートメント内にアノード、および別のセルコンパートメント内にカソードを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
約0℃~約50℃の範囲、好ましくは約10℃~約40℃の範囲、より好ましくは約20℃~約30℃の範囲、さらにより好ましくは約20℃~約25℃の範囲の温度で実行される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
大気圧で実行される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
1~30気圧の範囲、好ましくは1~20気圧の範囲、好ましくは1~10気圧の範囲、より好ましくは1~5気圧の範囲の圧力で実行される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記電解セルにNを供給するステップが、前記電解セルに、ガス状の窒素、または空気、または溶解窒素を含む液体を供給することを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
アンモニアを発生させるためのシステムであって、少なくとも1つの電気化学セルを含み、前記電気化学セルは触媒表面を有する少なくとも1つのカソード電極を含み、前記触媒表面は1種または複数の遷移金属硫化物を含む少なくとも1つの触媒を含む、前記システム。
【請求項16】
前記1種または複数の遷移金属硫化物が、硫化イットリウム、硫化スカンジウム、硫化ジルコニウム、硫化チタン、硫化バナジウム、硫化クロム、硫化ニオブ、硫化ニッケル、硫化鉄、硫化マンガン、硫化コバルト、硫化イリジウム、硫化銅、硫化オスミウム、硫化ルテニウム、硫化ロジウム、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記触媒表面が、岩塩構造、NiAs型構造、または黄鉄鉱構造を有する少なくとも1つの表面を含む、請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
前記触媒表面が、(100)面または(111)面を有する少なくとも1つの表面を含む、請求項15から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記電解セルが、1種または複数の電解液、好ましくは酸性、中性、またはアルカリ性水溶液をさらに含む、請求項15から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記電解液が、水性水混和性有機溶媒を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記電解セルが、1つのセルコンパートメント内のアノード、および別のセルコンパートメント内のカソードを含む、請求項15から20のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロセス化学の分野内にあり、詳細には電解法を用いる窒素からのアンモニアの製造、およびそのための新しい遷移金属硫化物触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
序論
アンモニアは、世界的に最大量で製造される工業化学品の1つである。それは、いわゆるハーバー-ボッシュ法を用いて慣習的に製造され、エネルギーを要するものであり、高圧(150~350気圧)および高温(350~550℃)を必要とする。
【0003】
分子窒素Nにおける三重結合は非常に強く、結果として窒素は非常に不活性であり、しばしば不活性ガスとして使用される。窒素は、ハーバー-ボッシュ法における苛酷な条件によって分解されるが、ニトロゲナーゼ酵素を通した微生物による自然の方法において、周囲条件でも分解される。ニトロゲナーゼの活性サイトは、電気化学反応、
【0004】
【化1】
【0005】
を通して、溶媒和したプロトン、電子および大気窒素からのアンモニア形成を触媒する、MoFeNクラスターである。
このため、魅力的な考え方は、人造の商業的設備において自然酵素の方法を模倣することであり、この場合、別個のH(g)製造プロセスの代わりに、アノードでの水分解(water splitting)を介してプロトンが生成され、水溶液を通して輸送され、その間、電子は印加された電位によって電極表面に外部から送られる。それが実現した場合、小規模でより分散したアンモニアプラントを開発することができ、より穏やかな運転条件で運転することができる。本出願人らによる最近の努力によって、国際公開第2015189865号に記述する、新しい触媒表面を用いた、アンモニアを電気化学的に製造する実用的で低コストな方法がもたらされ、周囲の室温および大気圧で、低コストの装置を用いるアンモニア製造の方法およびシステムを提供した。
【0006】
2つの最近の刊行物は、これまで到達した最も高いアンモニア反応速度および電流効率が、周囲条件で0.25MのLiClO電解質中のNドープ炭素ナノスパイクを使用して、RHEに対して-1.19Vで、11.56%の電流効率とともに、1.59×10-9モルs-1cm-2であることを報告した(1)。他の研究は、Zhouらによって行われ、60%の最も高い電流効率が得られたが、4.1×10-12モルcm-2-1の反応速度でしかなかった(2)。しかしながら、穏やかな運転環境で商業的実現可能性に近づく生産速度には、まだ到達していない。N還元反応(NRR)は、N三重結合の並外れた安定性、および通常はより高い電流効率(CE)を有する競争反応である水素発生反応(HER)に起因して、周囲条件で水性電解質においてアンモニアに触媒するのは困難である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の上記の特徴は、追加の詳細とともに、以下の例においてさらに記述されるが、これは本発明をさらに説明することを意図するものであり、決してその範囲を限定することを意図するものではない。
【0008】
本発明者らは、ある特定の遷移金属硫化物触媒を、アンモニアを製造するための電気化学的方法に用いることができることを見出した。これは、周囲の室温および大気圧での効率的なアンモニア製造を可能にする本発明をもたらした。
【0009】
本発明は、アンモニアを製造する方法であって、カソード、アノードおよび電解質溶液を含み、少なくとも1つのプロトン供給源をさらに含む電解セルに、Nを供給するステップと、Nを、電解セルにおいてカソードの電極表面と接触させるステップであり、前記電極表面は、少なくとも1種の遷移金属硫化物を含む触媒表面を含む、ステップと、前記電解セルに電流を通し、それによって窒素がプロトンと反応してアンモニアを形成するステップと、を含む、方法を提供する。
【0010】
本発明は、アンモニアの発生のためのシステム、特に本明細書で開示するアンモニアを発生させるプロセス/方法を実行するシステムも提供する。従って、本発明は、触媒表面を有する少なくとも1つのカソード電極を含む少なくとも1つの電気化学セルを含む、アンモニアを発生させるためのシステムであって、触媒材料の成分が、1種または複数の遷移金属硫化物を含む、システムを提供する。
【0011】
当業者は、以下に記述する図が、単に例証目的のためであることを理解するであろう。図は、決して本教示の範囲を限定する意図ではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】金属硫化物の低指数表面(low-index surface)の単位格子および上面図の図である。
図2】硫化物の表面における、NNHの吸着自由エネルギーをHの吸着自由エネルギーと比較する図である。
図3】会合機構(associative mechanism)を介した、遷移金属硫化物の表面上でのアンモニア形成に対する自由エネルギーダイヤグラムの図である。
図4】解離機構(dissociative mechanism)を介した、硫化物の表面上でのアンモニア形成に対する自由エネルギーダイヤグラムの図である。
図5】解離機構に対して、硫化物の清浄表面上における、Nの吸着自由エネルギーをHの吸着自由エネルギーと比較する図である。
図6】会合機構に対する記述子としてのNNHの自由エネルギーの関数としての、中間体の自由エネルギー間のスケーリング関係の図である。
図7】解離機構に対する記述子としてのNの自由エネルギーの関数としての、中間体の自由エネルギー間のスケーリング関係の図である。
図8】(左)硫化物の表面上でのNNH吸着の自由エネルギーの関数としての、会合機構に対する、電位決定ステップ(potential determining step)(PDS)を示すボルケーノプロット(volcano plot)の図である。
図9】会合機構に対するNNH(上)、および解離機構に対するN(下)の結合エネルギーに対してプロットされた、金属硫化物表面上での電気化学的アンモニア形成のすべての基本反応ステップを示す、ボルケーノプロットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下で、本発明の例示的な実施形態を図を参照しながら記述する。これらの例は、本発明の範囲を限定することなく、本発明についてのさらなる理解を与えるために提供される。
【0014】
以下の説明では、一連のステップが記述される。当業者は、文脈により要求されない限り、得られる形態およびその効果にとって、ステップの順序は不可欠ではないことを認識するであろう。さらに、記述されたステップのいくつかまたはすべての間に、ステップの順序に関係なく、ステップ間で時間の遅れの存在または不在があり得ることは、当業者に明白であろう。
【0015】
本明細書で使用する場合、特に文脈で示されない限り、特許請求の範囲を含めて、用語の単数形は複数形も含むと解釈されるべきであり、逆もまた同様である。
従って、特に文脈で明確に指示されない限り、本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の参照を含むことに注意すべきである。
【0016】
明細書および特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」、「含む(including)」、「有する(having)」、および「含有する(contain)」という用語、ならびにそれらの変形は、「含むが限定されない」という意味であり、他の構成要素を除外する意図ではないと理解すべきである。
【0017】
本発明は、例えば、約、およそ、一般に、実質的に、本質的に、少なくともなどの用語と併せて、用語、特徴、値および範囲などが使用される場合、これらの正確な用語、特徴、値および範囲なども包含する(すなわち、「約3」は正確に3も包含する、または「実質的に一定」は、正確に一定も包含するものである)。
【0018】
「少なくとも1」という用語は、「1または複数」を意味し、従って、1または複数の構成要素を含む両方の実施形態を含むと理解すべきである。さらに、「少なくとも1つ」で特徴を記述する独立請求項に言及する従属請求項は、特徴が「その(the)」および「少なくとも1つ」の両方に言及する場合と同じ意味を有する。
【0019】
本発明の前述の実施形態に対する変形は、本発明の範囲内に依然として入りながら、行なわれ得ると認識されるであろう。明細書に開示される特徴は、特に断らない限り、同じ、同等、または類似の目的に貢献する代わりの特徴で置き換えることができる。従って、特に断らない限り、開示される各特徴は、同等または類似する特徴の一般的なシリーズの1つの例を表す。
【0020】
「例えば(for instance)」、「など(such as)」、「例えば(for example)」等などの例示的言語の使用は、単に本発明をよりよく説明する意図であり、特に請求しない限り、本発明の範囲の限定を示すものではない。明細書に記述される任意のステップは、特に文脈が明確に示さない限り、任意の順序でまたは同時に実施され得る。
【0021】
明細書に開示されるすべての特徴および/またはステップは、少なくとも一部の特徴および/またはステップが相互に排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせることができる。特に本発明の好ましい特徴は、本発明のすべての態様に適用することができ、任意の組合せにおいて使用され得る。
【0022】
本発明は、ある特定の遷移金属硫化物触媒の表面上で、周囲の温度および圧力で低い印加電位により、アンモニアを形成することができるという驚くべき発見に基づく。特に肥料製造におけるアンモニアの重要性、および、アンモニア製造中に典型的に使用される、エネルギーの集中的で環境的に不都合な条件を考えると、本発明は、様々な産業に重要な応用性を見出す。
【0023】
従って、本発明は、周囲の温度および圧力でアンモニアを発生させる方法およびシステムを提供する。本発明の方法およびシステムにおいて、本発明による特別な目的のカソードに適合することができる、従来の商業的に好適で実現可能な電解セル設計の範囲のいずれかであり得る電解セルが使用される。従って、一部の実施形態では、セルおよびシステムは、1つまたは複数のカソードセルおよび1つまたは複数のアノードセルを有する。
【0024】
本文脈での電解セルは、電気エネルギーがセルに加えられた場合、酸化還元反応を受ける電気化学セルである。
本明細書で記述される化合物は、それらの相または状態に関係なくそれらの化学式によって提供されることを、当業者は認識するであろう。特に、室温において純粋で単離された形態で存在する場合に、(N、HおよびNHなど)気体状態で存在する化合物は、本明細書ではそれらの化学式によって記述される。例えば、二窒素は、窒素ガスとして、個々の分子として、クラスターで、表面に結合して、または溶質として存在するかどうかにかかわらず、本明細書ではNと記述され、同じことは本明細書に記述される他の分子種に当てはまる。
【0025】
プロトン供与体は、電解セルにおいてプロトンを供与することができる任意の好適な物質であり得る。プロトン供与体は、例えば、任意の好適な有機酸または無機酸などの酸であり得る。プロトン供与体は、酸性、中性またはアルカリ性水溶液に提供され得る。プロトン供与体は、アノードでのH酸化によっても、または代わりに提供され得る。すなわち、水素は、プロトン供給源:
【0026】
【化2】
【0027】
と見なされ得る。
電解セルは、少なくとも3つの一般的なパーツまたは構成要素、カソード電極、アノード電極および電解質を含む。全体的なカソード反応は、
【0028】
【化3】
【0029】
として示され得る。
触媒表面は、1個の水素原子を添加することによって、一度に水素化され得、溶液からのプロトンおよび電極表面からの電子を表している。反応機構は、いわゆる会合機構を記述する以下の式4~9に示すことができ、アスタリスクは表面のサイトを意味する。
【0030】
【化4】
【0031】
解離機構に対して、反応機構は式10~16による。
【0032】
【化5】
【0033】
3(H+e)の添加後に1個のアンモニア分子が形成され、第2のものは6(H+e)の添加後に形成される。
異なるパーツまたは構成要素は別の容器で提供され得、または、それらは単一の容器で提供され得る。従って、アノードおよびカソードは、本発明の電解セルの1つの同じコンパートメントに配置され得るが、他の実施形態では、アノードは1つのコンパートメントにあり、カソードは別のコンパートメントにある。電解質は、イオンが溶解している水溶液であり得る。水溶液は、中性、アルカリ性、または酸性溶液であり得る。一部の実施形態では、水溶液は酸性溶液である。電解質は融解塩、例えば、塩化ナトリウム塩でもあり得る。
【0034】
一般論として、電極表面上の触媒は、理想的には以下の特性を有すべきである。(a)それは、化学的に安定であるべきであり、(b)それは、電解プロセス中に酸化または他に消耗されるべきでなく、それは、アンモニアの形成を促進すべきであり、(d)触媒の使用は、最低限の量の水素ガスの生成につながるべきである。さらに記述されるように、本発明による硫化物触媒はこれらの特性を満たす。
【0035】
本明細書でさらに説明され議論されるように、本発明の方法およびシステムにおける触媒は、一部の実施形態では、硫化イットリウム、硫化スカンジウム、硫化ジルコニウム、硫化チタン、硫化バナジウム、硫化クロム、硫化ニオブ、硫化ニッケル、硫化鉄、硫化マンガン、硫化コバルト、硫化イリジウム、硫化銅、硫化オスミウム、硫化ルテニウムおよび硫化ロジウムからなる群から選択される、1種または複数の遷移金属硫化物を含む。これらの2つまたはそれ以上の任意の混合物および組合せも、本発明で適用可能である。
【0036】
本発明の利点は、この方法が、好ましくは溶解した電解質(塩)を有する水溶液などの、水性電解質を使用して、好適に運転することができることである。従って、方法およびシステムの好ましい実施形態では、電解セルは、1つまたは複数のセルコンパートメントに、1つまたは複数の水性電解液を含む。水性電解質溶液は、様々な典型的な無機または有機塩、例えば、限定されるものではないが、塩化物、硝酸塩、臭化塩素酸塩などの可溶性塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、および他の好適な塩のいずれかを含み得る。水性電解質溶液は、アルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化ルビジウムおよび水酸化セシウム、の任意の1つまたは組合せも含み得る。水性電解質溶液は、さらにまたは代わりに、1種または複数の有機酸または無機酸も含み得る。無機酸としては、限定されるものではないが、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、および過塩素酸を含む、無機質の酸を挙げることができる。電解質は、有機溶媒、好ましくは、水性電解質に混合される水に混和性の有機溶媒も含むことができる。
【0037】
本明細書から見えるように、本発明の本質的な特徴は、カソード電極の組成および構造に関係する。遷移金属硫化物は、これらの化合物の表面エネルギーに影響を与え、それらの化学的特性に影響を及ぼす、多種多様な表面構造を有する。金属硫化物の表面上に存在する原子の相対的な酸性度および塩基度は、金属カチオンおよび硫黄アニオンの配位によっても影響を与えられ、それがこれらの化合物の触媒特性を変える。
【0038】
触媒の物質組成に応じて、好適な表面結晶構造が好ましい可能性がある。様々な異なる結晶構造が遷移金属硫化物に対して存在し、異なる構造は異なる成長条件で得ることができる。適切な表面結晶構造を選択するのは、当業者の範囲内である。
【0039】
一部の実施形態では、触媒表面は、岩塩構造、NiAs型構造、または黄鉄鉱(Pyrite)構造を有する、少なくとも1つの表面を含む。好ましい実施形態では、触媒表面は、(100)面(facet)または(111)面を有する少なくとも1つの表面を含む。他の結晶構造表面は、本発明の範囲内に同様に包含される(例えば、International Tables for Crystallography;http://it.iucr.orgを参照されたい)。
【0040】
本明細書でより詳細に記述するように、電解セルに電流を通すことによって、窒素がプロトンと反応してアンモニアを形成する化学反応がもたらされる。電流を通すことは、セルに電圧を印加することによって達成される。本発明は、低い電極電位でのアンモニアの電解製造を可能にし、これは、エネルギー効率および装置の要求の観点から有益である。
【0041】
理論によって拘束されるつもりはないが、硫化物触媒は、アンモニア合成のボトルネックをNの開裂から、その後の窒素-水素化学種(NH、NH、またはNH)の形成に移すことができ、それによって、より単純であるが、しかもより高い割合のアンモニア形成が期待されると考えられる。
【0042】
本発明のある特定の有用な実施形態では、約-1.1V未満、例えば、約-1.0V未満、約-0.9V未満、約-0.8V未満、約-0.7V未満、約-0.6V未満、約-0.5V未満または約-0.4V未満の電極電位でアンモニアは形成され得る。一部の実施形態では、アンモニアは、約-0.2V~約-1.1V、の範囲、例えば、約-0.3V~約-0.8Vの範囲、例えば、約-0.4V~約-1.1Vの範囲、または約-0.5V~約-1.01の範囲の電極電位で形成され得る。範囲の上限は、約-0.6V、約-0.7V、約-0.8V、約-1.0V、または約-1.1Vであり得る。範囲の下限は、約-0.2V、約-0.3V、約-0.4V、約-0.5Vまたは約-0.6Vであり得る。
【0043】
本発明の利点は、H形成を超えるNH形成の効率であり、これは従来技術の調査および試みでは難題であった。本発明のある特定の実施形態では、形成されるNHのモルと比較して、約50%未満のモルのH、好ましくは約40%未満のモルのH、約30%未満のモルのH、約20%未満のモルのH、約10%未満のモルのH、約5%未満のモルのH、約2%未満のモルのH、または約1%未満のモルのHが形成される。
【0044】
本発明のシステムは、上記のプロセスの特徴の1つまたは複数と適合するために、好適に設計される。システムを小さく、頑強で低廉に、例えば、肥料の生産に対してローカルに使用するために、意図した使用場所に接近して作られ得ることは、本発明の利点である。
【0045】
アンモニアは、ガスとして土壌へ注入することによって、これは加圧貯蔵タンクおよび注入機械に農業従事者による投資を必要とするが、例えば肥料として使用することができる。アンモニアは、典型的には二酸化炭素と反応することによって、尿素の形成にも使用され得る。アンモニアは反応して硝酸を形成することができ、硝酸は容易に反応して硝酸アンモニウムを形成する。従って、本発明のシステムおよびプロセスは、製造されたアンモニアを、他の所望の生成物、例えば、限定されるものではないが、上述のものに反応させるために、本発明の溶液と容易に組み合わせることができる。
【0046】
NOおよびSOは、一窒素酸化物および一硫黄酸化物、例えば、NO、NO、SO、SOおよびSOに対する総称である。これらのガスは、燃焼中に、特に高温で生成する。自動車交通量の多い地域では、これらの汚染物質の量は深刻であり得る。
【0047】
従って本発明の有用な態様は、ガスの流れを、流れにおいて、またはガスの流れへ流動的に接続することができるシステムにおいて、in situで発生するアンモニアと反応させることによって、ガスの流れからNOおよび/またはSOを除去するためのシステムに関する。システムは、本明細書に記述するアンモニアを発生させるためのシステム、特に、本明細書に記述する遷移金属硫化物触媒を含有する電解セルを含むシステムを含むことができる。この文脈において、in situは、システム内、例えばガス流れ内での、または、ガス流れに流動的に接続されたシステム内のコンパートメントでのアンモニアの発生として、理解されるべきである。このように発生したアンモニアは、ガスの流れと接した場合、NOおよび/またはSOらの毒性化学種を他の分子種、例えば、N、HOおよび(NHSOに変換するように、ガスの流れにおいてNOおよび/またはSOと反応するであろう。一部の実施形態では、システムは、自動車エンジン排気装置または他のエンジンにおいて使用することができ、ここで本発明による方法によって、アンモニアがin situで発生することができ、次に、エンジンからのSOおよび/またはNO排気ガスを低減するためにアンモニアが使用される。こうしたシステムは、車エンジンからの変換によって生み出された電流を、好適に使用することができる。従って、車エンジンからの電流を使用することによって、アンモニアをin situで発生させることができ、発生したアンモニアを、従って自動車のガス排気装置からのSOおよび/またはNOと反応させることができる。アンモニアは自動車で発生し、続いて、車排気装置に供給され得る。アンモニアは、また自動車排気システム内にin situで発生され得る。それによって、車排気装置からNOおよび/またはSOが除去され、排気装置における汚染物質の量を低減する。
【0048】
本発明は、本発明の特定の利点および実施形態をさらに記述する、以下の非限定的な例によって、ここで説明されるであろう。
【実施例
【0049】
実施例1:18種の遷移金属硫化物のDFT計算
酸素減極カソード用途(3)、水素化脱硫(4~6)、H発生反応(7~11)、CO水素化(12)およびCO還元反応(13、14)について、TMSの興味深い作用が主として報告されてきたが、周囲条件でのアンモニア形成への電気化学的NRRに対する、これらの材料の触媒活性に関して文献に報告された調査はない。この研究では、我々は、いくつかの安定な構造、NiAs型(空間群=P63/mmc(194))、岩塩(空間群=Fm3m(225))、および黄鉄鉱(空間群=Pa3(205))における、モノスルフィドおよびジスルフィドの両方に注視した。いくつかの3dモノスルフィド(VS、CrS、FeS、TiS、NiSおよびNbS)(15、16)によって想定されるモノスルフィドに対して、NiAs型は最も重要な結晶構造である。NiAs型構造では、六方晶系充填は八面体位置(octahedral site)を含み、八面体位置のストリングはc-軸と平行な共通の面を共有する。次に各アニオンは、三角錐に6つの最近接カチオンを有し、カチオンリッチな組成において、格子間位置(interstitial position)は部分的に占められる(図1参照)。岩塩(NaCl)構造では、ScS、YS、およびZrNのような初期のモノスルフィドが最も安定である(15、17)。黄鉄鉱構造は、3d(MnS、FeS、CoSおよびNiS)、4d(RuSおよびRhS)、ならびに5d(OsSおよびIrS)ジスルフィドに対して主要な構造である(16)。ここで、我々は表面上でのNHとHの吸着の間の競争を調査し、この情報に基づいて、我々は、我々が会合機構を探求したときに、HではなくNNHに結合するより高い可能性を示す、硫化物の触媒特性を研究した。我々は、表面上での2Nの吸着自由エネルギー(ΔG2*N)、ここで、ΔG2*Nはエネルギー発生性である、を調査し、N溶解に対する活性化エネルギーを計算することによって、解離機構を介した、これらの表面上でのアンモニア形成の可能性も同様に研究した。我々は、これらの硫化物の清浄表面上での、NおよびHの吸着自由エネルギーも計算し、窒素のアンモニアへの還元と水素発生反応との間の競争を調査した。会合機構および解離機構の両方を介して、我々はアンモニア形成に必要な開始電位(onset potential)を予測した。次に、我々は、中間体の吸着エネルギー間のスケーリング関係を使用して、ボルケーノプロットを作図した。
【0050】
DFT計算:
我々は、この研究で18種のTMSを考慮し、それらは、岩塩(100)構造でのYS、ScS、およびZrS、NiAs型(111)構造でのTiS、VS、CrS、NbS、NiS、およびFeS、ならびに黄鉄鉱構造での(100)および(111)配向の両方におけるMnS、CoS、IrS、CuS、OsS、FeS、RuS、RhS、NiSである。モノスルフィド表面は、4層中の32個の原子によってモデル化され、各層は、4個の金属原子と4個の硫黄原子からなる。ジスルフィドは、4層中の48個の原子によってモデル化され、各層は4個の金属原子と8個の硫黄原子からなる(図1参照)。底部2層は固定され、一方上部2層および吸着種は、完全に緩むことが許される。境界条件はxおよびy方向に周期的であり、表面は真空の14Åによってz方向に分離される。構造最適化は、すべての可動性原子上の任意の方向の力が、0.01eV/Å未満である場合、収束したと見なされる。各硫化物に対してRPBE格子定数が最適化され、スピン偏極が考慮された。
【0051】
すべての計算は、RPBE交換相関汎関数を使用する密度汎関数理論(DFT)を用いて実施される(18)。350eVのエネルギーカットオフで設定された平面波基底を使用して、Vienna Ab initio Simulation Package(VASP)コード(20~27)において実施される、核電子(core electron)のPAW表現(PAW representation)(19)で価電子を表す。Kohn-Sham状態の占有が、kT=0.1eVのスメアリングパラメータでFermi-Dirac分布に従ってスメアされて(smear)、Kohn-Sham Hamiltonianの反復対角化によって、自己無撞着電子密度を決定する。すべての表面に対して、4×4×1 Monkhorst-Pack k-pointサンプリングを使用する。
【0052】
図1は、この研究で使用される低指数表面:(A)岩塩(100)、(B)NiAs型(111)、(C)黄鉄鉱(100)、および(D)黄鉄鉱(111)の金属硫化物単位格子および上面図を示す。表面の単位格子は、横方向に1回繰り返された。硫黄原子は黄色の球によって、金属原子はライトグレー、ダークグレーまたは緑色の球によって表される。
【0053】
窒素の電気化学反応:反応に必要なプロトンは、H酸化反応またはアノードでの水分解を通して供給することができた。我々の絶対電位をSHEにリンクするために、我々はここで、プロトンおよび電子の好都合な供給源としてのみ、Hに言及する(28)。
【0054】
【化6】
【0055】
ここで、プロトンは、電解質に溶媒和される。N還元に関する全体的な反応は、
【0056】
【化7】
【0057】
である。
表面は、一度に1個の水素原子を添加することによって水素化され、溶液からのプロトンおよび電極表面からの電子を表す。ここで研究した会合機構は、上記発明を実施するための形態の節に示す式4~9に基づいている。
【0058】
解離機構については、反応機構は、上に示す式10~16による。
好ましい反応経路に基づいて、最初のNH分子は、3個または4個のプロトンが表面に添加された後に生成する。しかしながら、第2のNH分子は、合計で6個のプロトンの添加の後に生成する。次に、NNHの自由吸着エネルギーをHの自由吸着エネルギーと比較して、表面が、NHの形成に向けてか、またはHの発生に向けてより選択的であるかを探求する。NNH吸着の自由エネルギーをプロトン吸着の自由エネルギーと比較して、表面が、アンモニアの形成に向けてか、または水素の発生に向けてより選択的であるかを調査する。各基本ステップの自由エネルギーは、T=298Kにおいて、
【0059】
【化8】
【0060】
[式中、ΔEはDFTを使用して計算されるエネルギーである]によって、見積もられる。ΔE(ZPE)およびΔSは、それぞれ、零点エネルギーおよびエントロピーにおける、吸着種と気相分子の間の差異である。それらは調和近似内で計算され、値を表1に示す。すべての電気化学的反応ステップに対して、適用されるバイアス、U、の影響は、計算上の水素電極(CHE)(28)を使用して、n個の電子が関与する反応の自由エネルギーを-neUだけシフトすることによって、すべての電気化学的反応ステップに対して含まれ、そのため、各基本ステップの自由エネルギーは、pH=0において、
【0061】
【化9】
【0062】
によって与えられる。シミュレーションにおける水の明示的な包含(29、30)は、必要な計算上の努力を著しく増加させ、従って本研究に含まれていない。しかしながら、水の存在が、いくつかの化学種を水素結合を介して安定させることは知られている(31)。例えば、NHは水の付近でわずかにより安定であると期待されるが、Nは水の層によって影響されないであろう。以前の研究は、水の安定化効果が水素結合当たり0.1eV未満であると評価した(32)。結果的に、水素結合の包含によって、ここで報告する開始電位は0.1eV未満だけ変わると推測されるが、ここでは補正は含まれていない。
【0063】
結果および議論
触媒活性:ニトロゲナーゼがどのようにアンモニアを合成するかに類似する会合機構を考慮すると、N分子の水素化はそれが分割する前に表面で行なわれ、一方で解離機構では、N分子は最初に表面で分割し、次に水素化を開始する。競争する水素発生ではなく、アンモニアの形成により効率的な硫化物表面を見出すために、我々は表面でのNNHの吸着エネルギーを計算し、次に水素吸着と比較した。NNHおよび水素原子の両方は、それらの最も好ましい結合サイトを表面に見出すことができた。これは、触媒活性の調査および反応経路の探索前に、モノスルフィドおよびジスルフィドの両方の表面に対して行なわれた。図2は、破線が、これらの自由エネルギーが等しくなる場所を明示して、この分析の結果を表している。線の下に位置する硫化物は、プロトンによって毒されることなくNRRを開始するはずである。一方破線の上は、H形成をもたらすと見なされる。
【0064】
図2では、硫化物の表面上でのNNHの吸着自由エネルギーをHの吸着自由エネルギーと比較している。破線は、これらの自由エネルギーが等しい場所を示す。破線より下の硫化物は、プロトンによって毒されることなくアンモニア形成反応を開始することができる。
【0065】
NiAs型構造の硫化物上のみでNNHの吸着が好ましく、従って、より高い収率での電気化学的アンモニア形成にとって興味深いはずである。黄鉄鉱(111)において、FeS、CoS、およびRuSは、NNHおよびHの類似する結合自由エネルギーを有し、アンモニア形成についてさらに調査する価値がある。しかしながら、それらは、実験での水素の形成に加えられる電気の一部に寄与する可能性があり、これら3つの表面上にアンモニアおよび水素ガスの両方を予測することができる。我々はここでこれが、これらの表面上のNRRおよびHERに向けての単に第1ステップであることを指摘すべきであり、従って水の層の包含の影響およびプロトン化プロセスの活性化エネルギーの計算は、このプロセスに関するより包括的な洞察のために、今後研究されるべきある。
【0066】
会合機構:NiAs型におけるTiS、VS、NbS、およびCrS、ならびに黄鉄鉱(111)におけるFeS、CoS、およびRuSの触媒活性は、式4~9に示される会合機構を考察しながら、電気化学的アンモニア形成に向けてのDFTによって計算される。気相でのNおよびHを基準として、NからNHまでの各中間体の式17を使用して、自由エネルギーを計算することによって、各硫化物に対する自由エネルギーランドスケープが作図される。使用される自由エネルギー補正を、表1に示す。黄鉄鉱構造におけるCoSおよびFeSに対して、表面のさらなるプロトン化は、これらの硫化物の表面の歪みをもたらし、従って、不安定性に起因して、さらなる分析から除去される。図3は、これらの硫化物上でのアンモニア形成の自由エネルギーランドスケープを示し、ここには、各表面に対する対応する電位決定ステップ(PDS)も報告されている。そのステップは、すべての反応ステップが自由エネルギーにおいて下り坂になるのに必要な開始電位を決定する(28)。このステップは、アンモニア形成に向けての活性の尺度として見なされる。
【0067】
【表1】
【0068】
わかるように、すべてのNiAs型表面のPDSは、最初のアンモニア分子が形成された後のNH中間体の形成である。しかし黄鉄鉱構造のRuSについては、PDSは経路の初めでのNNHの形成である。しかしながら、そのステップは、常にNiAs型構造の硫化物上でのエネルギー発生性ステップである。興味深いことに、RuSは、わずか0.29Vの過電位を有する最も活性な硫化物であることが見出された。この硫化物は水素の形成にも同様に貢献することができ、従って、実験でアンモニア形成の収率を低下させるが、これは、さらなる実験的調査に対するRuSの重要性を減少させるべきではない。この硫化物は、例えば、2,6-ルチジニウム(LutH)(33)または二塩化チタノセン((η-CTiCl)(34)のような非水性電解質を使用する、実験的な試験をして、HERを弱めることができる。別の興味深い観察は、すべてのNiAs型構造および黄鉄鉱RuS上で、NNH形成に関連するステップが、N-N結合の解離ならびにNおよびNHの形成に、確かに熱力学的につながることである。従って、二窒素の解離は、これらの硫化物表面上で、比較的容易なはずである。VSは、その表面上でNNHNおよびNHに分割される、唯一の候補である。
【0069】
図3は、会合機構を介した、TMSの表面上でのアンモニア形成の自由エネルギーダイヤグラムを示している。NiAs型構造に対する電位決定ステップ(PDS)は、5番目のプロトン化ステップ、および最初のアンモニア分子の形成後のNHの形成であり、一方、黄鉄鉱RuS表面に対するPDSは、最初のプロトン化ステップ、NNHである。反応ステップは、清浄表面ならびに気相でのNおよびHを基準とする。青い線は、常にNHNH化学種を介する経路の代表であり、紫は、NHNH化学種に続くNHNH化学種を介する。
【0070】
解離機構:この機構では、窒素分子の解離は極めて重要な反応ステップである。このため、TMSの表面上での2個の窒素原子の吸着の結合エネルギーを、最初に、
【0071】
【化10】
【0072】
[式中、E(清浄+2*N)は、表面上に吸着された2個のN吸着原子を有するTMSの全エネルギーであり、E(清浄)は、吸着質がないTMS表面の全エネルギーであり、E(N2(g))はボックス中の窒素分子の全エネルギーである]に従って計算した。次に、ΔEは、TMSの清浄表面上の2個のN吸着原子の結合エネルギーである。表面上での、2個のN吸着原子の吸着の自由エネルギーを得るために、N(g)のエントロピーの損失を説明するための0.6eVの一定のシフトを適用した(ΔG=ΔE+0.6)(35)。ΔG≦0eVである場合、表面上での解離二窒素は、エネルギー発生性のはずであり、活性化エネルギーを計算する必要がある。ΔG>0eVである場合、二窒素の解離はエネルギー吸収性であり、よりエネルギー吸収性になるにつれて、周囲条件で克服するのは、熱力学的および動力学的により困難になる。この分析は本明細書で研究したすべてのTMSに対して行われ、結果を以下の表2に示す。この表で示されているように、これらの表面の一部に対する2Nの吸着は、表面原子の歪みをもたらす。そのため、これらの表面は不安定であると見なされ、解離機構についてさらに研究しなかった。
【0073】
【表2】
【0074】
ほとんどの他の硫化物については、N分割の反応自由エネルギーはエネルギー吸収性であり、エネルギー障壁は相応して高く、室温でそのステップを促進することはできなかった。これは、周囲条件のこれらの表面上で、解離機構が起こりそうもなくしている。しかしながら、表面上で、2Nの吸着が非常にエネルギー発生性である4つの候補:NiAs型構造のTiS、VS、CrS、およびNbSが存在する。興味深いことに、これらは、図3の会合機構を介して有望と予測されるものと同じ硫化物である。このため、表面上でのN分割の活性化エネルギーは、クライミングイメージナッジドエラスティックバンド(climbing image nudged elastic band)(CI-NEB)(36)を使用して計算され、表2に含まれる。TiSおよびVS上の障壁は、それぞれ0.59および0.40eVと比較的低く、周囲条件で穏やかな速度をもたらすであろう。しかしながら、CrSおよびNbS上に障壁は存在せず(それぞれ、0.02および0.00)、それらの表面上で解離は非常に容易であろう。この機構を介したアンモニア形成に向けた経路を、式10~16を介して、これらの硫化物上でも探求している。図4は、二窒素解離(EaN---N)の活性化エネルギーが含まれる、アンモニアへのNRRに対する自由エネルギーダイヤグラムを示している。
【0075】
示されたダイヤグラムでは、これらの硫化物のすべてに対する電位決定ステップ(PDS)は、5番目のプロトン化ステップ、および最初のアンモニア分子放出後のNH中間体の形成である。反応ステップは、清浄表面ならびに気相中のNおよびHを基準とする。青い線は、常にNH化学種を介する経路の代表であり、紫は、NHNHに続くNH NH化学種を介する。示されているように、最も好ましい経路は、NHNHを介したアンモニア形成、緑色の線である。
【0076】
解離機構を介してアンモニア形成を触媒することができる最も活性な硫化物は、RHEに対して約-0.76Vの予測開始電位を有し、わずか0.02eVの二窒素解離の活性化エネルギーを有するCrSである。NbSも、表面でNの容易な解離が起こり得て、開始電位がRHEに対して0.9Vであると計算される、興味深い候補であり得る。VSおよびTiSについては、非電気化学的N解離ステップは、周囲条件でより遅い速度で進行すると予測され、反応は、RHEに対してそれぞれ0.79および1.22Vで起こると予測される。これらの硫化物にとって、PDSは、経路に沿って最もエネルギー吸収性ステップである、NH形成である。加えて、競争する水素発生ではなく、アンモニア形成にとってより効率的である硫化物表面を見出すために、これらの硫化物の表面上でのNおよびHの吸着間の競争を研究している。この分析をすべての硫化物に対して行い、図5に結果を示す。この分析によれば、VS、CrS、NbS、およびTiSのNiAs型構造だけが、表面上でHではなくNの吸着に有利であり、一方で残りはH吸着に有利であり、従ってより高い水素発生をもたらす可能性がある。
【0077】
図5は、解離機構に対する硫化物の清浄表面上での、N吸着の自由エネルギーとH吸着の自由エネルギーの比較を示す。破線は、これらの自由エネルギーが等しい場所を表示している。破線の線より下の硫化物は、HよりNをより有利に結合することができ、従って、アンモニア形成にとってより効率的であると予想される。
【0078】
ボルケーノプロットの作図。会合機構および解離機構の両方に対するボルケーノプロットを作図するために、N還元機構の様々な中間体の結合エネルギーが、(会合機構に対する)NNHおよび(解離機構に対する)Nの吸着自由エネルギーと良くスケーリングすることが見出された。スケーリング関係を図6および7に示し、ボルケーノプロットを図8に示す。ここでは、PDSのみしか示されないが、図9では、すべての基本ステップが示される。
【0079】
図6および7は、それぞれ、会合機構に対する記述子としてのNNHの自由エネルギー、およびNの自由エネルギーの関数としての、中間体の自由エネルギー間のスケーリング関係を示す。
【0080】
図8(左)は、(黄鉄鉱構造であり、単一点としてボルケーノへ追加されたRuS以外は)NiAs型硫化物の表面上での、NNH吸着の自由エネルギーの関数としての、会合機構の電位決定ステップ(PDS)を示す、ボルケーノプロットである。線はスケーリング関係(図6を参照)から作図されているが、PDSに対して明示的なデータポイントが含まれる。岩塩構造ではYSおよびScSはより安定しているが、ボルケーノプロットの作図用により良好なスケーリング関係を得るために、我々は、本明細書でNiAs構造にそれらを含めた。同じ理由でFeSおよびNiSもここに含まれるが、図2によれば、それらはNHではなくHを放出すると予測される。(右)N吸着の自由エネルギーの関数としての、解離機構のPDSを示すボルケーノプロット。線はスケーリング関係(図7を参照)から作図されているが、PDSに対して明示的なデータポイントが含まれる。解離ボルケーノの上に位置するFeSおよびNiSは、それらがNよりHをより有利に結合すると予測され(図5による)、従って主としてNHではなくHを形成すると予想されるので、あまり有望ではない。
【0081】
図9は、会合機構に関するNNH(上)および解離機構に関するN(下)の結合エネルギーに対してプロットされた、金属硫化物表面上での電気化学的アンモニア形成の、すべての基本反応ステップのボルケーノプロットを示す。線は、図6および7に示されるスケーリング関係を使用して計算される。
【0082】
表面上で、NNH吸着に対してH吸着が優勢であるにもかかわらず、NiAs型構造のNiSおよびFeSもこの分析に含まれる。より良好な記述的ボルケーノを得るために、NiAs型構造のScSおよびYSも含まれる。これらの硫化物に対して見出された最善の記述子は、会合機構に対するNNH吸着の自由エネルギーおよび解離機構に対するN吸着の自由エネルギーである。会合機構にとって、PDSは、ボルケーノの右脚上に存在する候補に対するNNH中間体の形成であり、左脚上の候補に対するNHからNHへの還元ではない。NiAs構造で最も安定であり、HERではなくNRRに向けた傾向があると予測される(図2を参照)候補のみを考慮すると、会合機構を通るアンモニアへのNRRにとって、CrS、NbS、VSおよびTiSは有望な候補であると予測される。RuS(本明細書で、(111)表面を有するその黄鉄鉱構造に含まれる)にとって、PDSはNNHの形成であり、わかるように、それは会合性ボルケーノの頂上に位置し、本明細書で最も有望な候補である。しかしながら、RuSは、水性電解質中で使用するとアンモニアの収率を減少させる恐れがある、一部の水素発生への貢献も予想される。しかしながら、2,6-ルチジニウム(LutH)(33)または二塩化チタノセン((η-CTiCl)(34)のような非水性電解質を使用すると、HERを弱め、従って、アンモニアの収率にあまり影響しない可能性がある。解離機構にとって、これらのすべての硫化物に対するPDSは、ボルケーノの緑色の線上に存在するNHからNHへの還元である。FeSが解離ボルケーノプロットの頂上に位置したとしても、第1に、FeSはプロトンによって毒され、従って、水素発生に貢献すると予測され(図5による)、第2に、FeS上でのN解離が大きなエネルギー吸収性ステップである(表2によれば、2.87eVの自由エネルギーを有する)と見出されたので、FeSは本明細書では最も有望な候補ではあり得ない。これは、NiSにも同様に該当する。このため、FeSおよびNiSは、ボルケーノの頂上から少し下にある他の候補と比較して、水性溶媒中ではそれほど興味深くなくなる。しかしながら、CrS、NbS、VSおよびTiSは、すべて、やはりHよりNをより有利に結合する、本明細書で有望な候補と予測される(図5参照)。すべてのこれらの候補は、エネルギー発生性N解離ステップを有する。CrSおよびNbSは、ごくわずかなN解離のエネルギー障壁を有し、一方、VSおよびTiSではそれらの障壁はより高いが、周囲条件で乗り越えられるはずである(表2および図4参照)。このため、解離機構を介して、VS、CrS、NbS、およびTiSは、HERよりNRRに向けてより選択的であると予測され、一方、FeSおよびNiSはHERに向けてより選択的であると予想される(図5参照)。
【0083】
結論
周囲条件での電気化学的アンモニア合成にとっての、一連の異なる遷移金属のモノスルフィドおよびジスルフィドの表面の触媒能力を探求するために、DFT計算を使用して、反応経路に沿った中間体のエネルギー論を研究し、自由エネルギーダイヤグラムおよびボルケーノプロットを作図した。これは、遷移金属硫化物の表面上で、電気化学的アンモニア形成を触媒する可能性に関する、最初の報告である。表面上でHではなくNNHを吸着すると予想され、従って、H形成よりもN還元がより選択的であると見なされる硫化物について、触媒活性を研究し、電位決定ステップおよび過電位を、会合機構を介して予測した。NをHより有利に結合し、エネルギー発生性N解離ステップも必然的に伴う、硫化物表面上での解離機構も研究した。スケーリング関係のプロットから、両方の機構に対してボルケーノプロットが作図され、RuSは、会合機構を介した電気化学的アンモニア形成に向けて低過電位、または0.3Vを有すると予測される。この研究からの他の有望な候補、CrS、NbS、VS、およびTiSは、およそ0.7~1.1Vの過電位を有して、いずれかの機構を介して窒素をアンモニアに還元することができる。
【0084】
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図9
【国際調査報告】