(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(54)【発明の名称】ポリオレフィンおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20220127BHJP
C08F 210/02 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F210/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533173
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 KR2019012003
(87)【国際公開番号】W WO2020122371
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0158913
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ナ イェウン キム
(72)【発明者】
【氏名】スン へ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ウン ジュン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジ スン キム
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA02P
4J100AA19Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA09
4J100FA10
4J128AA01
4J128AB00
4J128AC01
4J128AD08
4J128AD13
4J128BA00A
4J128BA02B
4J128BB00A
4J128BB01B
4J128BC13B
4J128BC15B
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB07
4J128EC02
4J128FA02
4J128FA09
4J128GA01
4J128GA04
4J128GA06
4J128GA08
4J128GB01
(57)【要約】
ポリオレフィンおよびその製造方法が提供される。ポリオレフィンはオレフィン系単量体と共単量体が化学式1で表されるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒下で重合された共重合されて形成され、重量平均分子量(Mw)が2万以下であり得る。化学式1に係る説明は発明の説明で叙述した内容と同一である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン系単量体と共単量体が下記化学式1で表されるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒下で共重合されて形成され、重量平均分子量(Weight average molecular weight,Mw)が2万以下である、ポリオレフィン。
<化学式1>
【化1】
(前記化学式1において、
Mはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Xはそれぞれ独立してハロゲン、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミドまたはC
1-20アルキリデンであり、
R
1~R
4はそれぞれ独立して水素、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミドまたはC
1-20アルキリデンであり、
R
5およびR
6はそれぞれ独立してC
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミドまたはC
1-20アルキリデンであるか、互いに連結されて置換または非置換されたC
4-20環を形成し、
R
7~R
10は隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換されたC
4-20環を形成する。)
【請求項2】
177℃で測定された粘度が5000cP~10000cPの範囲を有する、請求項1に記載のポリオレフィン。
【請求項3】
数平均分子量(Number average molecular weight,Mn)が1万以下であり、
下記数式1で定義される分子量分布(Molecular Weight Disribution,MWD)が2~3の範囲を有する、請求項2に記載のポリオレフィン。
<数式1>
【数1】
【請求項4】
前記オレフィン系単量体はエチレンであり、前記共単量体は1-オクテンである、請求項1に記載のポリオレフィン。
【請求項5】
前記Xはそれぞれ独立してハロゲンまたはC
1-20アルキルであり、
前記R
1、R
3、およびR
4はそれぞれ水素であり、
前記R
2はC
1-20アルキルであり、
前記R
5およびR
6はそれぞれ独立してC
1-20アルキルまたはC
6-20アリールであるか、互いに連結されて置換または非置換された脂肪族C
4-20環を形成し、
前記R
7~R
10は隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換された芳香族C
5-20環を形成する、請求項1に記載のポリオレフィン。
【請求項6】
前記R
5およびR
6はそれぞれ独立してメチル(methyl)であるか、互いに連結されて脂肪族C
4環を形成する、請求項5に記載のポリオレフィン。
【請求項7】
前記R
7~R
10は隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換された芳香族C
6を形成する、請求項5に記載のポリオレフィン。
【請求項8】
前記化学式1は、下記化学式1-1ないし化学式1-12の少なくともいずれか一つである、請求項1に記載のポリオレフィン。
<化学式1-1>
【化2】
<化学式1-2>
【化3】
<化学式1-3>
【化4】
<化学式1-4>
【化5】
<化学式1-5>
【化6】
<化学式1-6>
【化7】
<化学式1-7>
【化8】
<化学式1-8>
【化9】
<化学式1-9>
【化10】
<化学式1-10>
【化11】
<化学式1-11>
【化12】
<化学式1-12>
【化13】
(前記化学式1-1ないし化学式1-12において、
Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、
Xはそれぞれ独立してハロゲンまたはC
1-20アルキルである。)
【請求項9】
前記化学式1は、下記化学式Aないし化学式Dの少なくともいずれか一つである、請求項8に記載のポリオレフィン。
<化学式A>
【化14】
<化学式B>
【化15】
<化学式C>
【化16】
<化学式D>
【化17】
【請求項10】
下記化学式1で表される遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒下に、オレフィン系単量体と共単量体を重合してポリオレフィンを形成する段階を含む、ポリオレフィンの製造方法。
<化学式1>
【化18】
(前記化学式1において、
Mはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Xはそれぞれ独立してハロゲン、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミドまたはC
1-20アルキリデンであり、
R
1~R
4はそれぞれ独立して水素、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミドまたはC
1-20アルキリデンであり、
R
5およびR
6はそれぞれ独立してC
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、C
6-20アリールアミドまたはC
1-20アルキリデンであるか、互いに連結されて置換または非置換されたC
4-20環を形成し、
R
7~R
10は隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換されたC
4-20環を形成する。)
【請求項11】
前記化学式1は、下記化学式1-1ないし化学式1-12の少なくともいずれか一つである、請求項10に記載のポリオレフィンの製造方法。
<化学式1-1>
【化19】
<化学式1-2>
【化20】
<化学式1-3>
【化21】
<化学式1-4>
【化22】
<化学式1-5>
【化23】
<化学式1-6>
【化24】
<化学式1-7>
【化25】
<化学式1-8>
【化26】
<化学式1-9>
【化27】
<化学式1-10>
【化28】
<化学式1-11>
【化29】
<化学式1-12>
【化30】
(前記化学式1-1ないし化学式1-12において、
Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、
Xはそれぞれ独立してハロゲンまたはC
1-20アルキルである。)
【請求項12】
前記化学式1は、下記化学式Aないし化学式Dの少なくともいずれか一つである、請求項11に記載のポリオレフィンの製造方法。
<化学式A>
【化31】
<化学式B>
【化32】
<化学式C>
【化33】
<化学式D>
【化34】
【請求項13】
前記オレフィン重合触媒は、触媒活性が160kg-PE/g-Cat~200kg-PE/g-Catの範囲を有する、請求項12に記載のポリオレフィンの製造方法。
【請求項14】
前記ポリオレフィンは、重量平均分子量(Weight average molecular weight,Mw)が2万以下である、請求項10に記載のポリオレフィンの製造方法。
【請求項15】
前記ポリオレフィンは、177℃で測定された粘度が5000cP~10000cPの範囲を有する、請求項14に記載のポリオレフィンの製造方法。
【請求項16】
前記ポリオレフィンは、数平均分子量(Number average molecular weight,Mn)が1万以下であり、下記数式1で定義される分子量分布(Molecular Weight Disribution,MWD)が2~3の範囲を有する、請求項15に記載のポリオレフィンの製造方法。
<数式1>
【数2】
【請求項17】
前記オレフィン系単量体はエチレンであり、前記共単量体は1-オクテンである、請求項10に記載のポリオレフィンの製造方法。
【請求項18】
前記オレフィン重合触媒は、助触媒化合物をさらに含む、請求項10に記載のポリオレフィンの製造方法。
【請求項19】
前記助触媒化合物は、下記化学式Iで表される化合物、化学式IIで表される化合物および化学式IIIで表される化合物の少なくともいずれか一つを含む、請求項18に記載のポリオレフィンの製造方法。
<化学式I>
【化35】
(前記化学式Aにおいて、nは2以上の整数であり、
R
aはハロゲン原子、C
1-20炭化水素基またはハロゲンに置換されたC
1-20炭化水素基である。)
<化学式II>
【化36】
(前記化学式Bにおいて、Dはアルミニウム(Al)またはホウ素(B)であり、
R
b、R
cおよびR
dはそれぞれ独立してハロゲン原子、C
1-20炭化水素基、ハロゲンに置換されたC
1-20炭化水素基またはC
1-20アルコキシ基である。)
<化学式III>
【化37】
(前記化学式Cにおいて、Lは中性またはカチオン性ルイス塩基であり、
[L-H]
+および[L]
+はブレンステッド酸であり、
Zは13族元素であり、
Aはそれぞれ独立して置換または非置換されたC
6-20アリール基であるか置換または非置換されたC
1-20アルキル基である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリオレフィンおよびその製造方法に関し、より具体的にはオレフィン重合触媒用遷移金属化合物を用いて低分子量および低粘度の特性を有するポリオレフィンおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの重合に用いられる触媒の一つであるメタロセン触媒は遷移金属または遷移金属ハロゲン化合物にシクロペンタジエニル基、インデニル基、シクロペンタジエニル基などのリガンドが配位結合された化合物としてサンドイッチ構造を基本的な形態として有する。
【0003】
メタロセン触媒は前記メタロセン化合物とメチルアルミノキサンなどの助触媒を含んで構成されるシングルサイト触媒(single-site catalyst)として、前記メタロセン触媒で重合された高分子は分子量分布が狭く共単量体の分布が均一であり、チーグラ-ナッタ(Ziegler-Natta)触媒に比べて共重合活性度が高い。
【0004】
ただし、依然として商業的に用いるには多くの困難があるため、高温でも高い安定性またはオレフィンとの優れた反応性を有する触媒の開発および経済性に基づいく製造技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物とそれを含んで高温でも高い安定性とオレフィンとの優れた反応性を有するオレフィン重合触媒およびこれを用いて重合されることによって低分子量および低粘度などの優れた物性を有するポリオレフィンを提供することにある。
【0006】
本発明の課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための一実施例によるポリオレフィンは、オレフィン系単量体と共単量体が下記化学式1で表されるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒下で共重合されて形成され、重量平均分子量(Weight average molecular weight,Mw)が2万以下であり得る。
【0008】
<化学式1>
【0009】
【0010】
(前記化学式1において、Mはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、Xはそれぞれ独立してハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであり、R1~R4はそれぞれ独立して水素、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであり、R5およびR6はそれぞれ独立してC1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであるか、互いに連結されて置換または非置換されたC4-20環を形成し、R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換されたC4-20環を形成する。)
【0011】
前記ポリオレフィンは、177℃で測定された粘度が5000cP~10000cPの範囲を有し得る。
【0012】
前記ポリオレフィンは、数平均分子量(Number average molecular weight,Mn)が1万以下であり、下記数式1で定義される分子量分布(Molecular Weight Disribution,MWD)が2~3の範囲を有し得る。
【0013】
<数式1>
【0014】
【0015】
前記オレフィン系単量体はエチレンであり、前記共単量体は1-オクテンであり得る。
【0016】
前記Xはそれぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり、前記R1、R3、およびR4はそれぞれ水素であり、前記R2はC1-20アルキルであり、前記R5およびR6はそれぞれ独立してC1-20アルキルまたはC6-20アリールであるか、互いに連結されて置換または非置換された脂肪族C4-20環を形成し、前記R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換された芳香族C5-20環を形成し得る。
【0017】
前記R5およびR6はそれぞれ独立してメチル(methyl)であるか、互いに連結されて脂肪族C4環を形成し得る。
【0018】
前記R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換された芳香族C6を形成し得る。
【0019】
前記化学式1は、下記化学式1-1ないし化学式1-12の少なくともいずれか一つであり得る。
【0020】
<化学式1-1>
【0021】
【0022】
<化学式1-2>
【0023】
【0024】
<化学式1-3>
【0025】
【0026】
<化学式1-4>
【0027】
【0028】
<化学式1-5>
【0029】
【0030】
<化学式1-6>
【0031】
【0032】
<化学式1-7>
【0033】
【0034】
<化学式1-8>
【0035】
【0036】
<化学式1-9>
【0037】
【0038】
<化学式1-10>
【0039】
【0040】
<化学式1-11>
【0041】
【0042】
<化学式1-12>
【0043】
【0044】
(前記化学式1-1ないし化学式1-12において、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、Xはそれぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルである。)
【0045】
前記化学式1は、下記化学式Aないし化学式Dの少なくともいずれか一つであり得る。
【0046】
<化学式A>
【0047】
【0048】
<化学式B>
【0049】
【0050】
<化学式C>
【0051】
【0052】
<化学式D>
【0053】
【0054】
前記課題を解決するための一実施例によるポリオレフィンの製造方法は、下記化学式1で表される遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒下に、オレフィン系単量体と共単量体を重合してポリオレフィンを形成する段階を含み得る。
【0055】
<化学式1>
【0056】
【0057】
(前記化学式1において、Mはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、Xはそれぞれ独立してハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであり、R1~R4はそれぞれ独立して水素、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであり、R5およびR6はそれぞれ独立してC1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであるか、互いに連結されて置換または非置換されたC4-20環を形成し、R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換されたC4-20環を形成する。)
【0058】
前記化学式1は、下記化学式1-1ないし化学式1-12の少なくともいずれか一つであり得る。
【0059】
<化学式1-1>
【0060】
【0061】
<化学式1-2>
【0062】
【0063】
<化学式1-3>
【0064】
【0065】
<化学式1-4>
【0066】
【0067】
<化学式1-5>
【0068】
【0069】
<化学式1-6>
【0070】
【0071】
<化学式1-7>
【0072】
【0073】
<化学式1-8>
【0074】
【0075】
<化学式1-9>
【0076】
【0077】
<化学式1-10>
【0078】
【0079】
<化学式1-11>
【0080】
【0081】
<化学式1-12>
【0082】
【0083】
(前記化学式1-1ないし化学式1-12において、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、Xはそれぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルである。)
【0084】
前記化学式1は下記化学式Aないし化学式Dの少なくともいずれか一つであり得る。
【0085】
<化学式A>
【0086】
【0087】
<化学式B>
【0088】
【0089】
<化学式C>
【0090】
【0091】
<化学式D>
【0092】
【0093】
前記オレフィン重合触媒は、触媒活性が160kg-PE/g-Cat~200kg-PE/g-Catの範囲を有し得る。
【0094】
前記ポリオレフィンは、重量平均分子量(Weight average molecular weight,Mw)が2万以下であり得る。
【0095】
前記ポリオレフィンは、177℃で測定された粘度が5000cP~10000cPの範囲を有し得る。
【0096】
前記ポリオレフィンは、数平均分子量(Number average molecular weight,Mn)が1万以下であり、下記数式1で定義される分子量分布(Molecular Weight Disribution,MWD)が2~3の範囲を有し得る。
【0097】
<数式1>
【0098】
【0099】
前記オレフィン系単量体はエチレンであり、前記共単量体は1-オクテンであり得る。
【0100】
前記オレフィン重合触媒は助触媒化合物をさらに含み得る。
【0101】
前記助触媒化合物は、下記化学式Iで表される化合物、化学式IIで表される化合物および化学式IIIで表される化合物の少なくともいずれか一つを含み得る。
【0102】
<化学式I>
【0103】
【0104】
(前記化学式Aにおいて、nは2以上の整数であり、Raはハロゲン原子、C1-20炭化水素基またはハロゲンに置換されたC1-20炭化水素基である。)
【0105】
<化学式II>
【0106】
【0107】
(前記化学式Bにおいて、Dはアルミニウム(Al)またはホウ素(B)であり、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立してハロゲン原子、C1-20炭化水素基、ハロゲンに置換されたC1-20炭化水素基またはC1-20アルコキシ基である。)
【0108】
<化学式III>
【0109】
【0110】
(前記化学式Cにおいて、Lは中性またはカチオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+はブレンステッド酸であり、Zは13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換または非置換されたC6-20アリール基であるか置換または非置換されたC1-20アルキル基である。)
【0111】
その他実施例の具体的な内容は詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0112】
本発明の遷移金属化合物を含んで高温でも高い安定性を有し、オレフィンと反応するオレフィン重合触媒を用いて重合されたポリオレフィンは低分子量および低粘度などの優れた物性を有することができる。
【0113】
また、本発明の遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒は合成収率が高く経済的な方法によっても容易に製造できるので、商業的な実用性に優れる。
【0114】
本発明の実施例による効果は、以上で例示した内容によって制限されず、より多様な効果が本明細書内に含まれている。
【発明を実施するための形態】
【0115】
本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は、添付する図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になる。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現することができ、本実施例は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。
【0116】
本明細書で、用語の「CA-B」は「炭素数がA以上であり、B以下」であることを意味し、用語の「A~B」は「A以上でありB以下」であることを意味し、用語の「置換または非置換された」において「置換された」は「炭化水素化合物または炭化水素誘導体の少なくとも一つの水素がハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンに置換された」ことを意味し、「非置換された」は「炭化水素化合物または炭化水素誘導体の少なくとも一つの水素がハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンに置換されていない」ことを意味する。
【0117】
本発明の一実施例によるポリオレフィンは、オレフィン系単量体と共単量体が共重合されて形成されることができる。
【0118】
ポリオレフィンは、例えばフリーラジカル(free radical)、陽イオン(cationic)、配位(coordination)、縮合(condensation)、添加(addition)などの重合反応によって重合された単独重合体(homopolymer)または共重合体(copolymer)であり得るが、これに制限されるものではない。
【0119】
例示的な実施例で、ポリオレフィンは気相重合法、溶液重合法またはスラリー重合法などで製造されることができる。ポリオレフィンが溶液重合法またはスラリー重合法で製造される場合は使用できる溶媒の例として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカンおよびこれらの異性体のようなC5-12脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子に置換された炭化水素溶媒;これらの混合物などが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0120】
オレフィン系単量体は、C2-20α-オレフィン(α-olefin)、C1-20ジオレフィン(diolefin)、C3-20シクロオレフィン(cyclo-olefin)およびC3-20シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選ばれる一つ以上であり得る。
【0121】
例示的な実施例で、オレフィン系単量体は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ハプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセンおよび1-ヘキサデセンなどであり得、ポリオレフィンは前記例示したオレフィン系単量体を1種のみ含む単独重合体であるか2種以上含む共重合体であり得る。
【0122】
好ましくは、ポリオレフィンはエチレンと1-オクテンが共重合された共重合体であり得るが、これに限定されるものではない。
【0123】
本発明の一実施例によるポリオレフィンは、重量平均分子量(Weight average molecular weight,Mw)が2万以下であり得る。
【0124】
ポリオレフィンは後述するオレフィン重合触媒用遷移金属化合物を含む触媒下に重合され、同じオレフィン系重合体に比べて低分子量および低粘度の特性を有することができる。前記遷移金属化合物はオレフィン系単量体に対して高い触媒活性を有し、比較的に少ない量の水素(H2)の注入時にも低分子量のポリオレフィンを重合することができる。本発明の一実施例によるポリオレフィンは、低分子量を有することによって低粘度特性が示され、そのためポリオレフィンはワックス(Wax)、接着剤の原料として使用することができる。
【0125】
本発明の一実施例によれば、ポリオレフィンは177℃で測定された粘度が5000cP~10000cPの範囲を有し得る。これに係る詳しい説明は実験例を参照して後述する。
【0126】
また、本発明の一実施例によれば、ポリオレフィンは1万以下の数平均分子量(Number average molecular weight,Mn)を有し得、下記数式1で定義される分子量分布(Molecular weight distribution,MWD)が2~3の範囲を有し得る。
【0127】
<数式1>
【0128】
【0129】
一方、前述したように、本発明のポリオレフィンはオレフィン重合触媒下にオレフィン系単量体を重合させて形成され得る。
【0130】
本発明の一実施例によるポリオレフィンは、下記化学式1で表されるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒下で重合され得る。
【0131】
<化学式1>
【0132】
【0133】
前記化学式1において、Mはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり得る。具体的には、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり得る。
【0134】
Xはそれぞれ独立してハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであり得る。具体的には、Xはそれぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり得る。より具体的には、Xはそれぞれ独立して塩素(Cl)またはメチル(methyl)であり得る。
【0135】
R1~R4はそれぞれ独立して水素、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであり得る。具体的には、R1、R3およびR4はそれぞれ水素であり、R2はC1-20アルキルであり得る。より具体的には、R1、R3およびR4はそれぞれ水素であり、R2はノルマルブチル(n-butyl)であり得る。
【0136】
R5およびR6はそれぞれ独立してC1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミドまたはC1-20アルキリデンであるか、互いに連結されて置換または非置換されたC4-20環を形成することができる。具体的には、R5およびR6はそれぞれ独立してC1-20アルキルまたはC6-20アリールであるか、互いに連結されて置換または非置換された脂肪族C4-20環を形成することができる。より具体的には、R5およびR6はそれぞれ独立してメチル(methyl)であるか、互いに連結されて脂肪族C4環を形成することができる。
【0137】
R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換されたC4-20環を形成することができる。具体的には、R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換された芳香族C5-20環を形成することができる。より具体的には、R7~R10は隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換された芳香族C6環を形成することができる。R7~R10のうちの隣り合う2個とは、R7とR8またはR9とR10を意味し得る。
【0138】
前記芳香族C6環はハロゲン、C6-20アリール、C1-20アルキルシリル(alkylsilyl)、C1-20アルキルオキシ(alkyloxy)およびC1-20アルキルアミノ(alkylamino)の一つ以上に置換され得る。具体的には、前記ハロゲンは、フッ素(F)であり、前記C6-20アリールはフェニルであり、前記C1-20アルキルシリルはトリメチルシリル(trimethylsilyl,-SiMe3)であり、前記C1-20アルキルオキシはメチルオキシ(methyloxy[methoxy],-OMe)であり、前記C1-20アルキルアミノはジメチルアミノ(dimethylamino,-NMe2)であり得る。
【0139】
前記遷移金属化合物は具体的には、下記化学式1-1ないし化学式1-12の少なくとも一つで表される。
【0140】
<化学式1-1>
【0141】
【0142】
<化学式1-2>
【0143】
【0144】
<化学式1-3>
【0145】
【0146】
<化学式1-4>
【0147】
【0148】
<化学式1-5>
【0149】
【0150】
<化学式1-6>
【0151】
【0152】
<化学式1-7>
【0153】
【0154】
<化学式1-8>
【0155】
【0156】
<化学式1-9>
【0157】
【0158】
<化学式1-10>
【0159】
【0160】
<化学式1-11>
【0161】
【0162】
<化学式1-12>
【0163】
【0164】
前記化学式1-1ないし化学式1-12において、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、Xはそれぞれ独立してハロゲンまたはC1-20アルキルであり得る。
【0165】
例示的な実施例で、前記遷移金属化合物は、下記化学式Aないし化学式Dのいずれか一つ以上であり得る。
【0166】
<化学式A>
【0167】
【0168】
<化学式B>
【0169】
【0170】
<化学式C>
【0171】
【0172】
<化学式D>
【0173】
【0174】
好ましくは、前記遷移金属化合物は前記化学式Aの化合物であり得る。化学式Aは中心金属としてハフニウム(Hf)を含むことによって、化学式Aを含むポリオレフィン重合用オレフィン重合触媒はポリオレフィンの分子量調節と共重合性において優れた特性を有することができる。また、化学式Aの遷移金属化合物において、シクロペンタジエン(Cyclopentadiene)基の間のブリッジ置換基がシクロブチル基(Cyclobutyl)である場合、前記ブリッジ置換基がアルキル(alkyl)である場合に比べてオレフィン重合触媒の活性および重合性能に優れる特徴がある。
【0175】
一方、本発明の一実施例によるポリオレフィン重合用オレフィン重合触媒は、前記例示した遷移金属化合物の一つ以上と助触媒化合物を含み得る。
【0176】
助触媒化合物は、下記化学式Iで表される化合物、化学式IIで表される化合物および化学式IIIで表される化合物の一つ以上を含み得る。
【0177】
<化学式I>
【0178】
【0179】
前記化学式Iにおいて、nは2以上の整数であり、Raはハロゲン原子、C1-20炭化水素基またはハロゲンに置換されたC1-20炭化水素基であり得る。具体的には、前記Raはメチル、エチル、n-ブチルまたはイソブチルであり得るが、これに限定されるものではない。
【0180】
<化学式II>
【0181】
【0182】
前記化学式IIにおいて、Dはアルミニウム(Al)またはホウ素(B)であり、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立してハロゲン原子、C1-20炭化水素基、ハロゲンに置換されたC1-20炭化水素基またはC1-20アルコキシ基であり得る。具体的には、前記Dがアルミニウムである時前記Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立してメチルまたはイソブチルであり得、前記Dがホウ素である時前記Rb、RcおよびRdはそれぞれペンタフルオロフェニルであり得るが、これに限定されるものではない。
【0183】
<化学式III>
【0184】
【0185】
前記化学式IIIにおいて、Lは中性またはカチオン性ルイス塩基であり、[L-H]+または[L]+はブレンステッド酸であり、Zは13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換または非置換されたC6-20アリール基であるか置換または非置換されたC1-20アルキル基であり得る。具体的には、前記[L-H]+はジメチルアニリニウム陽イオンであり得、前記[Z(A)4]-は[B(C6F5)4]-であり得、前記[L]+は[(C6H5)3C]+であり得るが、これに限定されるものではない。
【0186】
前記オレフィン重合触媒は担体をさらに含み得る。
【0187】
担体はオレフィン重合触媒用遷移金属化合物と助触媒化合物を担持できるものであれば、特に制限されない。例示的な実施例で、担体は炭素、シリカ、アルミナ、ゼオライト、塩化マグネシウムなどであり得る。
【0188】
担体にオレフィン重合触媒用遷移金属化合物および助触媒化合物を担持する方法として、物理的吸着方法または化学的吸着方法が用いられる。
【0189】
例示的な実施例で、物理的吸着方法はオレフィン重合触媒用遷移金属化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥する方法、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物と助触媒化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥する方法またはオレフィン重合触媒用遷移金属化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥してオレフィン重合触媒用遷移金属化合物が担持された担体を製造し、これとは別に助触媒化合物が溶解した溶液を担体に接触させた後乾燥して助触媒化合物が担持された担体を製造した後、これらを混合する方法などであり得る。
【0190】
例示的な実施例で、化学的吸着方法は担体の表面に助触媒化合物を先に担持させた後、助触媒化合物にオレフィン重合触媒用遷移金属化合物を担持させる方法、または担体の表面の官能基(例えば、シリカの場合はシリカ表面のヒドロキシ基(-OH))と触媒化合物を共有結合させる方法などであり得る。
【0191】
遷移金属化合物を含む主触媒化合物の担持量の総和は、担体1gを基準として0.001mmol~1mmolであり得、助触媒化合物の担持量は担体1gを基準として2mmol~15mmolであり得る。
【0192】
しかし、このような担体は必須として含まなければならないものではなく、必要に応じてその使用の有無を適宜選択することができる。
【0193】
本発明の遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒は高温で安定性を有してオレフィン、特にα-オレフィンとの反応性に優れるので、オレフィンを重合することが容易であり、高い触媒活性を有し、低分子量および低粘度の特性を有するポリオレフィンの製造が可能である。
【0194】
これは特に本発明の遷移金属化合物のうちのR7~R10の隣り合う2個が互いに連結されて置換または非置換された芳香族C6環を形成する場合は相対的に電子が豊富でオレフィンの(共)重合反応性が向上することに起因するものであり得るが、これに制限されるものではない。
【0195】
以下、本発明のオレフィン重合触媒用遷移金属化合物のうちの前記化学式AないしDで表される化合物に係る具体的な製造例について叙述する。
【0196】
<製造例1>化学式Aの化合物の製造
【0197】
製造例1-1:1,1’-binaphthyl-2,2’-dicarboxylic acidの製造
【0198】
2,2’-dibromo-1,1’-binaphthyl(3.85g、9.34mmol)をTHF(40mL)に希釈した溶液にt-BuLi(15.8g、41.1mmol、1.7M in pentane)を-78℃で添加した後1時間の間攪拌した。CO2気体を-78℃で3分間注入した後温度を徐々に常温に上げて12時間の間攪拌した。0℃で10%HClを添加して反応を終結した後真空下でTHFを除去した。Ethyl acetateで抽出して有機層を分離し、chloroformで再結晶して下記のような1H-NMRスペクトルを有する白色固体化合物である2,2’-dibromo-1,1’-binaphthyl 3.49g(quant.)を得た。
【0199】
1H-NMR(DMSO-d6,300MHz):δ12.4(s,2H),8.11-8.00(m,6H),7.54(t,2H),7.27(t,2H),6.87(d,2H).
【0200】
製造例1-2:7H-dibenzo[c,g]fluoren-7-oneの製造
【0201】
前記製造例1-1で製造した1,1’-binaphthyl-2,2’-dicarboxylic acid(3.02g、8.82mmol)とacetic anhydride(30mL)を混合して140℃で1時間30分間攪拌した。真空下でacetic anhydrideを除去した後残った反応液を300℃で3時間の間攪拌した。Dichloromethaneで濾過した後カラムクロマトグラフィー(hexane:dichloromethane=1:1,v/v)により下記のような1H-NMRスペクトルを有する赤色固体化合物である7H-dibenzo[c,g]fluoren-7-one 1.17g(47%)を得た。
【0202】
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ8.37-8.33(m,2H),7.92-7.87(m,2H),7.83(d,2H),7.77(d,2H),7.60-7.55(m,4H).
【0203】
製造例1-3:7H-dibenzo[c,g]fluoreneの製造
【0204】
前記製造例1-2で製造した7H-dibenzo[c,g]fluoren-7-one(641mg、2.29mmol)、N2H4・H2O(2.86g、57.2mmol)およびKOH(385mg、6.86mmol)をdiethylene glycol(30mL)に分散させた溶液を170℃で3時間の間攪拌した。0℃で10%HClを添加して反応を終結した後生成された固体を濾過した。真空下で乾燥して下記のような1H-NMRスペクトルを有する暗い茶色固体化合物である7H-dibenzo[c,g]fluorene603mg(99%)を得た。
【0205】
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ8.73(d,2H),7.97(d,2H),7.86(d,2H),7.73(d,2H),7.59-7.48(m,4H),4.13(s,2H).
【0206】
製造例1-4:(7H-dibenzo[c,g]fluorene) lithiumの製造
【0207】
前記製造例1-3で製造した7H-dibenzo[c,g]fluorene(585mg、2.20mmol)をdiethyl ether(50mL)に希釈した溶液にn-BuLi(980mg、2.30mmol、1.6M in Hexane)を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間の間攪拌した。生成された固体を濾過した後真空下で乾燥して黄土色固体化合物である(7H-dibenzo[c,g]fluorene) lithium598mg(100%)を得た。
【0208】
製造例1-5:9-[1-(2,4-Cyclopentadien-1-yl)-1-cyclobutyl]-7H-dibenzo[c,g] fluoreneの製造
【0209】
前記製造例1-4で製造した(7H-dibenzo[c,g]fluorene) lithium(596mg、2.19mmol)をdiethyl ether(35mL)に分散させた溶液に5-cyclobutylidene-1,3-cyclopentadiene(518mg、4.38mmol)をdiethyl ether(10mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて3日間攪拌した。反応終結後diethyl etherとaqueous NH4Clで抽出して有機層を分離した。Hexaneで再結晶して下記のような1H-NMRスペクトルを有する白色固体化合物である9-[1-(2,4-Cyclopentadien-1-yl)-1-cyclobutyl]-7H-dibenzo[c,g] fluorene654mg(78%)を得た。
【0210】
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ8.56-8.47(m,2H),7.95-7.89(m,2H),7.79-7.76(m,4H),7.50-7.44(m,4H),5.96-5.81(m,1H),5.74-5.67(m,1H),5.59-5.50(m,1H),4.42(d,1H),2.99-2.79(m,2H),2.58-2.44(m,2H),2.39-2.02(m,2H),2.01-1.94(m,2H).
【0211】
製造例1-6:Cyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithiumの製造
【0212】
前記製造例1-5で製造した9-[1-(2,4-Cyclopentadien-1-yl)-1-cyclobutyl]-7H-dibenzo[c,g] fluorene(319mg、0.83mmol)をdiethyl ether(35mL)に希釈した溶液にn-BuLi(741mg、1.74mmol、1.6M in Hexane)を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間の間攪拌した。生成された固体を濾過した後真空下で乾燥して黄土色固体化合物であるCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium368mg(quant.,ether adduct)を得た。
【0213】
製造例1-7:Cyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichlorideの製造
【0214】
前記製造例1-6で製造したCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium(342mg、0.86mmol)をtoluene(40mL)に分散させた溶液にHfCl4(277mg、0.86mmol)をtoluene(5mL)に分散させた溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間の間攪拌した。反応終結後tolueneで抽出して濾過した。真空下でtolueneを除去した後hexaneで洗浄して下記のような1H-NMRスペクトルを有する黄色固体化合物であるCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichloride335mg(61%)を得た。
【0215】
1H-NMR(C6D6,300MHz):δ9.10(d,2H),7.69(d,2H),7.39-7.24(m,8H),6.02(t,2H),5.44(t,2H),2.90-2.77(m,2H),2.58(t,2H),2.26-2.14(m,1H),1.88-1.74(m,1H).
【0216】
製造例1-8:Cyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dimethylの製造
【0217】
前記製造例1-7で製造したCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichloride(273mg、0.43mmol)をtoluene(20mL)に分散させた溶液にMeMgBr(448mg、1.30mmol、3.0M in diethyl ether)をtoluene(5mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後70℃でrefluxさせながら4時間の間攪拌した。反応終結後tolueneで抽出して濾過した。真空下でtolueneを除去した後hexaneで洗浄して下記のような1H-NMRスペクトルを有する黄色固体化合物であるCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dimethyl(下記化学式Aの化合物)182mg(71%)を得た。
【0218】
1H-NMR(C6D6,300MHz):δ9.22(d,2H),7.73(d,2H),7.46-7.22(m,8H),6.03(t,2H),5.40(t,2H),2.90-2.80(m,2H),2.68-2.58(m,2H),2.34-2.18(m,1H),1.92-1.84(m,1H),-1.37(s,6H).
【0219】
<化学式A>
【0220】
【0221】
<製造例2>化学式Bの化合物の製造
【0222】
製造例2-1:Cyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichlorideの製造
【0223】
前記製造例1-6で製造したCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium(127mg、0.32mmol)をtoluene(10mL)に分散させた溶液にZrCl4(74mg、0.32mmol)をtoluene(3mL)に分散させた溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間の間攪拌した。反応終結後tolueneで抽出して濾過した。真空下でtolueneを除去した後hexaneで洗浄して下記のような1H-NMRスペクトルを有するオレンジ色固体化合物であるCyclobutylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichloride(下記化学式Bの化合物)128mg(74%)を得た。
【0224】
1H-NMR(C6D6,300MHz):δ9.15(d,2H),7.72(d,2H),7.42-7.30(m,8H),6.11(t,2H),5.52(t,2H),2.92-2.82(m,2H),2.60(t,2H),2.28-2.16(m,1H),1.92-1.82(m,1H).
【0225】
<化学式B>
【0226】
【0227】
<製造例3>化学式Cの化合物の製造
【0228】
製造例3-1:2,2-[(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] propaneの製造
【0229】
前記製造例1-4で製造した(7H-dibenzo[c,g]fluorene) lithium(893mg、3.28mmol)をdiethyl ether(35mL)に分散させた溶液に6,6-dimethylfulvene(522mg、4.92mmol)をdiethyl ether(5mL)に希釈した溶液を-78℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間の間攪拌した。反応終結後diethyl etherとaqueous NH4Clで抽出して有機層を分離した。カラムクロマトグラフィー(hexane 100%)により下記のような1H-NMRスペクトルを有する薄い米色固体化合物である2,2-[(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] propane907mg(74%)を得た。
【0230】
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ8.61(d,2H),7.91(d,2H),7.74-7.66(m,2H),7.52-7.46(m,4H),7.41(d,1H),7.32(d,1H),7.00-6.64(m,1H),6.57-6.45(m,1H),6.16-5.87(m,1H),4.33(d,1H),3.24-3.08(m,2H),1.08(s,3H),1.07(s,3H).
【0231】
製造例3-2:Isopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithiumの製造
【0232】
前記製造例3-1で製造した2,2-[(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] propane (519mg、1.39mmol)をdiethyl ether(10mL)に希釈した溶液にn-BuLi(1.24mg、2.93mmol、1.6M in Hexane)を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間の間攪拌した。生成された固体を濾過した後真空下で乾燥して黄色固体化合物であるIsopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium600mg(quant.,ether adduct)を得た。
【0233】
製造例3-3:Isopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichlorideの製造
【0234】
前記製造例3-2で製造したIsopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium(566mg、1.47mmol)をtoluene(40mL)に分散させた溶液にHfCl4(472mg、1.47mmol)をtoluene(10mL)に分散させた溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間の間攪拌した。反応終結後tolueneで抽出して濾過した。真空下でtolueneを除去した後hexaneで洗浄して下記のような1H-NMRスペクトルを有する黄色固体化合物であるIsopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichloride549mg(60%)を得た。
【0235】
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ8.84(d,2H),7.95(d,2H),7.88-7.82(m,2H),7.61-7.54(m,4H),7.49(d,2H),6.30(t,2H),5.88(t,2H),2.48(s,6H).
【0236】
製造例3-4:Isopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dimethylの製造
【0237】
前記製造例3-3で製造したIsopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dichloride(400mg、0.65mmol)をtoluene(20mL)に分散させた溶液にMeMgBr(468mg、1.36mmol、3.0M in diethyl ether)をtoluene(2mL)に希釈した溶液を-30℃でゆっくり添加した後70℃でrefluxさせながら2時間の間攪拌した。反応終結後tolueneで抽出して濾過した。真空下でtolueneを除去した後hexaneで洗浄して下記のような1H-NMRスペクトルを有する黄色固体化合物であるIsopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] hafnium dimethyl(下記化学式Cの化合物)241mg(64%)を得た。
【0238】
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ8.92(d,2H),7.84(t,4H),7.60-7.46(m,4H),7.41(d,2H),6.23(t,2H),5.66(t,2H),2.26(s,6H),-1.82(s,6H).
【0239】
<化学式C>
【0240】
【0241】
<製造例4>化学式Dの化合物の製造
【0242】
製造例4-1:Isopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichlorideの製造
【0243】
前記製造例3-2で製造したIsopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] dilithium (176mg、0.46mmol)をtoluene(20mL)に分散させた溶液にZrCl4(107mg、0.46mmol)をtoluene(5mL)に分散させた溶液を-30℃でゆっくり添加した後温度を徐々に常温に上げて12時間の間攪拌した。反応終結後tolueneで抽出して濾過した。真空下でtolueneを除去した後hexaneで洗浄して下記のような1H-NMRスペクトルを有する赤褐色固体化合物であるIsopropylidene [(cyclopentadienyl)-(7H-dibenzo[c,g]fluorenyl)] zirconium dichloride(下記化学式Dの化合物)107mg(44%)を得た。
【0244】
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ8.87(d,2H),7.95-7.84(m,4H),7.62-7.50(m,6H),6.37(t,2H),5.94(t,2H),2.48(s,6H).
【0245】
<化学式D>
【0246】
【0247】
ポリオレフィン重合実施例(エチレン/1-オクテン共重合体の製造)
【0248】
<実施例1>化学式Aの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-オクテン共重合体の合成(1)
【0249】
前記製造例1で製造した化学式Aの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて次のようにエチレンと1-オクテンを共重合した。
【0250】
先に、温度調節用ジャケットを用いて850mLの反応器を140℃~150℃に加熱した後、ヘキサン(hexane)溶媒、1-オクテン(1-Octene,C8)、水素、スカベンジャーおよびエチレン(Ethylene,C2)を連続して供給しながら反応器の圧力を90barに維持した。触媒と助触媒はそれぞれ連続して反応器に直接注入し、助触媒の場合、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを使用し、スカベンジャーの場合、トリイソブチルアルミニウム(tri-iso-butylaluminium,TiBA)を使用した。
【0251】
触媒の場合、前記製造例1で製造した化学式Aの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて、触媒は一定量の化学式Aの化合物をヘキサン溶媒に溶かして、これをトリイソブチルアルミニウム(TiBA)で処理し、反応器に直接注入した。
【0252】
前記反応器で溶融した重合体は反応器排出ストリームを通過して分離器に入り、未反応のエチレンと1-オクテンをヘキサン溶媒から分離した後、これを80℃真空オーブンで12時間以上乾燥して[エチレン]-[1-オクテン]ポリオレフィンを製造した。
【0253】
前記製造過程で、オレフィン系単量体としてエチレンを8.3g/min、共単量体として1-オクテンを8g/minの流量で注入し、オレフィン重合触媒として前記製造例1の化学式Aを0.044g/min、水素(H2)を0.2g/hrの流量で投入してポリオレフィンを製造し、このように製造されたポリオレフィンを以下「実施例1」という。
【0254】
<実施例2>化学式Aの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-オクテン共重合体の合成(2)
【0255】
前記実施例1で、共単量体として1-オクテンを12g/minの流量で注入したことを除いては同様の方法でポリオレフィンを製造し、このように製造されたポリオレフィンを以下「実施例2」という。
【0256】
<比較例1>化学式Eの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-ヘキセン共重合体の合成(1)
【0257】
下記化学式Eの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて次のようにエチレンと1-ヘキセンを共重合した。
【0258】
<化学式E>
【0259】
【0260】
前記実施例1において、オレフィン重合触媒として前記化学式Eの遷移金属化合物を0.049g/minの流量で注入し、共単量体として1-オクテンを10g/min、水素(H2)を0g/hrの流量で注入したことを除いては同様の方法でポリオレフィンを製造し、このように製造されたポリオレフィンを以下「比較例1」という。
【0261】
<比較例2>化学式Eの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-ヘキセン共重合体の合成(2)
【0262】
前記比較例1において、共単量体として1-オクテンを12g/minの流量で注入したことを除いては同様の方法でポリオレフィンを製造し、このように製造されたポリオレフィンを以下「比較例2」という。
【0263】
<比較例3>化学式Eの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-ヘキセン共重合体の合成(3)
【0264】
前記比較例1において、共単量体として1-オクテンを8g/min、水素(H2)を0.3g/hrの流量で注入したことを除いては同様の方法でポリオレフィンを製造し、このように製造されたポリオレフィンを以下「比較例3」という。
【0265】
<比較例4>化学式Eの化合物を含むオレフィン重合触媒を用いたエチレンおよび1-ヘキセン共重合体の合成(4)
【0266】
前記比較例3において、共単量体として1-オクテンを12g/minの流量で注入したことを除いては同様の方法でポリオレフィンを製造し、このように製造されたポリオレフィンを以下「比較例4」という。
【0267】
<実験例>
【0268】
前記実施例1、2および比較例1~4でそれぞれ製造されたポリオレフィンの物性と前記化学式Aおよび化学式Eの触媒活性を測定し、その結果を下記表1に示した。下記表1において、各実施例および比較例における密度は常温で、分子量(3D-GPC)は160℃で、ブルックフィールド粘度(Brookfield,cP)は177℃で測定した。
【0269】
【0270】
前記表1に示すように、実施例1および2の場合、化学式Aの化合物を含むオレフィン重合触媒は高い触媒活性を有し、前記触媒下に重合されたポリオレフィンは低分子量および低粘度の特性を有することが分かる。これに対し、比較例1~4の場合、化学式Eの化合物を含むオレフィン重合触媒は低い触媒活性を有し、前記触媒下に重合されたポリオレフィンは高分子量を有することが分かる。
【0271】
特に、実施例1および2と比較例3および4を比較すると、実施例1および2に低い水素(H2)投入量を有するにもかかわらず、低分子量のポリオレフィンを製造することができた。また、注入される触媒の量が多いほど重合されたポリオレフィンの分子量が低くなる傾向性があるが、実施例1および2の場合、比較例1~4より小さい量の触媒を使用したが製造されたポリオレフィンがより小さい分子量を有することが分かった。
【0272】
すなわち、本発明の一実施例によるポリオレフィンは、高い触媒活性を有して分子量調節と共重合性に優れる遷移金属化合物を含むオレフィン重合触媒下で重合され、比較的に少ない量の触媒と水素が投入されても低分子量および低粘度の特性を有することができる。
【0273】
以上、例示した化学構造式と製造例などを参照して本発明の思想に属する実施例を具体的に説明した。ただし、例示した化学構造式と製造例などに本発明の思想が制限されるものではなく、例示した化学構造式と製造例などに基づいて本発明の思想は多様に変形することができる。例示した化学構造式と製造例などは発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の思想の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明の思想の権利範囲は請求項の範疇によってのみ定義される。したがって、上記一実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【国際調査報告】