(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(54)【発明の名称】ミスフォールドTDP-43に対する抗体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220127BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20220127BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220127BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20220127BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20220127BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220127BHJP
C12N 15/06 20060101ALI20220127BHJP
C07K 1/22 20060101ALI20220127BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220127BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220127BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220127BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220127BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20220127BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20220127BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220127BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220127BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20220127BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220127BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220127BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C07K16/18
C07K16/46
C07K19/00
C12N15/06 100
C07K1/22
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C12Q1/02
A61K39/395 N
A61P21/00
A61P25/02
A61K48/00
A61K31/7088
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533492
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 CA2019051823
(87)【国際公開番号】W WO2020118458
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】300066874
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュ・コロンビア
(71)【出願人】
【識別番号】514316411
【氏名又は名称】プロミス、ニューロサイエンシズ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PROMIS NEUROSCIENCES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100155631
【氏名又は名称】榎 保孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137497
【氏名又は名称】大森 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100207907
【氏名又は名称】赤羽 桃子
(74)【代理人】
【識別番号】100217294
【氏名又は名称】内山 尚和
(72)【発明者】
【氏名】ニール、アール.キャッシュマン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネ、カプラン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ02
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QR48
4B063QR56
4B063QS33
4B063QX02
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4B064CA19
4B064CA20
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BA08
4B065CA25
4B065CA44
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4C084MA55
4C084MA58
4C084MA66
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4C084ZA22
4C084ZA94
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085FF01
4C085FF02
4C085FF12
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA55
4C086MA58
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA22
4C086ZA94
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、DAGWGNL(配列番号1)との関係においてW68に特異的に結合する抗体に関する。単離ペプチド、単離核酸、免疫原、組成物、キット、およびミスフォールドTDP-43を検出するための前記試薬を使用する方法も提供される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然TDP-43と比較してミスフォールドTDP-43におけるTDP-43配列DAGWGNL(配列番号1)に結合する、抗体。
【請求項2】
前記抗体が、DAGWGNL(配列番号1)との関係において少なくともW68に特異的に結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体が、ストレス顆粒に関連しないミスフォールドTDP-43に優先的に結合する、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体が、DAGWG(配列番号2)、AGWGN(配列番号3)、GWGNL(配列番号4)および/またはDAGWGNL(配列番号5)に結合する、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、天然TDP-43と比較して少なくとも2倍、3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍または少なくとも20倍ミスフォールドTDP-43に対してより選択的である、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が、
i.DAGWGNL(配列番号1)の全部もしくは一部を含んでなる単離ペプチド(ここで、前記一部は、少なくとも5個以上の隣接アミノ酸であり、かつGWGを含んでなり、場合により、前記一部は、DAGWG(配列番号2)、AGWGN(配列番号3)、もしくはGWGNL(配列番号4)である);または
ii.ペプチドを含んでなる免疫原(前記ペプチドは、DAGWGNLの全部もしくは一部を含んでなり、ここで、前記一部は、配列番号1の少なくとも5個以上の隣接アミノ酸であり、場合により、i)前記免疫原は、複数のペプチドを含んでなり、各ペプチドは、DAGWGNL(配列番号1)の全部もしくは一部を含んでなり、ここで、前記複数のペプチドは、多抗原性ペプチド(MAP)として合成され、もしくはii)前記ペプチドは、担体タンパク質もしくは免疫原性増強成分と共役し、場合により、前記担体タンパク質は、ウシ血清アルブミン(BSA)であり、もしくは前記免疫原性増強成分は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)であり、場合により、前記免疫原は、DAGWGNL(配列番号1)との関係において少なくともW68に特異的に結合する抗体を産生するために使用され、好ましくは、ここで、前記抗体は、ミスフォールドTDP-43に優先的に結合する)、
を使用して産生および/またはスクリーニングされる、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体が単鎖抗体である、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体が、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、dsFv、ds-scFv、二量体、ナノボディ、ミニボディ、ダイアボディ、およびそれらの多量体から選択される結合フラグメントである、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体がアフィニティー精製される、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項12】
軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなり、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDR-H3のアミノ酸配列は、配列:AGGPTGNSHFTL(配列番号12)、ARNPVGSVNL(配列番号18)、ARRYTGDTYLGNFNL(配列番号24)、GRGDI(配列番号36)、ARDIFRTNTNL(配列番号48)、VRSSGSDWWFHI(配列番号122)、またはVRQNYEGAY(配列番号132)を含んでなる、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項13】
軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなり、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDR-H3およびCDR-L3のアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H3はAGGPTGNSHFTL(配列番号12)を含んでなり、CDR-L3はSGYKRVTTDGIA(配列番号15)を含んでなる;
CDR-H3はARNPVGSVNL(配列番号18)を含んでなり、CDR-L3はAGWRGARTDGVD(配列番号21)を含んでなる;
CDR-H3はARRYTGDTYLGNFNL(配列番号24)を含んでなり、CDR-L3はAGGWRSLNA(配列番号27)を含んでなる;
CDR-H3はGRGDI(配列番号36)を含んでなり、CDR-L3はLGNYDCSSVDCGA(配列番号39)を含んでなる;
CDR-H3はAGGPTGNSHFTL(配列番号42)を含んでなり、CDR-L3はAGYKSPTTDGIA(配列番号45)を含んでなる;
CDR-H3はARDIFRTNTNL(配列番号48)を含んでなり、CDR-L3はLGGYDCSSRVCGA(配列番号51)を含んでなる;
CDR-H3はVRSSGSDWWFHI(配列番号122)を含んでなり、CDR-L3はQGYFSGFITT(配列番号125)を含んでなる;または
CDR-H3はVRQNYEGAY(配列番号132)を含んでなり、CDR-L3はFQSSHVPWT(配列番号135)を含んでなる、
請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項14】
軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなり、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: GFSLSRYY 配列番号 10;
CDR-H2: IIPGGTT 配列番号 11;
CDR-H3: AGGPTGNSHFTL 配列番号 12;
CDR-L1: ESVYNNNH 配列番号 13;
CDR-L2: EAS 配列番号 14;および
CDR-L3: SGYKRVTTDGIA 配列番号 15、
CDR-H1: GFSFSSNYV 配列番号 16;
CDR-H2: IWFAGIVDTT 配列番号 17;
CDR-H3: ARNPVGSVNL 配列番号 18;
CDR-L1: ESVYSNNR 配列番号 19;
CDR-L2: YAS 配列番号 20;および
CDR-L3: AGWRGARTDGVD 配列番号 21、
CDR-H1: GFSFSSSYV 配列番号 22;
CDR-H2: SDTGINT 配列番号 23;
CDR-H3: ARRYTGDTYLGNFNL 配列番号 24;
CDR-L1: QSVYKNNY 配列番号 25;
CDR-L2: KAS 配列番号 26;および
CDR-L3: AGGWRSLNA 配列番号 27、
CDR-H1: EFSFSSRYW 配列番号 28;
CDR-H2: IYTGSIDAT 配列番号 29;
CDR-H3: VRGSDAWGLYFNL 配列番号 30;
CDR-L1: QSIHKNNY 配列番号 31;
CDR-L2: FAS 配列番号 32;および
CDR-L3: AGVYSGRIFA 配列番号 33、
CDR-H1: GFSLSSYT 配列番号 34;
CDR-H2: IYGGIGST 配列番号 35;
CDR-H3: GRGDI 配列番号 36;
CDR-L1: QSVYKNR 配列番号 37;
CDR-L2: GAS 配列番号 38;および
CDR-L3: LGNYDCSSVDCGA 配列番号 39、
CDR-H1: GFSFSAYY 配列番号 40;
CDR-H2: TIPIGRT 配列番号 41;
CDR-H3: AGGPTGNSHFTL 配列番号 42;
CDR-L1: ESVYNNNQ 配列番号 43;
CDR-L2: QAS 配列番号 44;および
CDR-L3: AGYKSPTTDGIA 配列番号 45、
CDR-H1: GFSLSSYA 配列番号 46;
CDR-H2: IYNYET 配列番号 47;
CDR-H3: ARDIFRTNTNL 配列番号 48;
CDR-L1: QSVYKNNG 配列番号 49;
CDR-L2: FTS 配列番号 50;および
CDR-L3: LGGYDCSSRVCGA 配列番号 51、
CDR-H1: GFSLSSYN 配列番号 120;
CDR-H2: IGTGGIT 配列番号 121;
CDR-H3: VRSSGSDWWFHI 配列番号 122;
CDR-L1: QSVYNNNN 配列番号 123;
CDR-L2: RAS 配列番号 124;および
CDR-L3: QGYFSGFITT 配列番号 125、
CDR-H1: GFTFSSYY 配列番号 130;
CDR-H2: INSNGGST 配列番号 131;
CDR-H3: VRQNYEGAY 配列番号 132;
CDR-L1: QSIVHSNGNTY 配列番号 133;
CDR-L2: KVS 配列番号 134;および
CDR-L3: FQSSHVPWT 配列番号 135、または
CDR-H1: GFTFSSYY 配列番号 140;
CDR-H2: INTNGGST 配列番号 141;
CDR-H3: VRQNYEGAY 配列番号 142;
CDR-L1: QSIVHSNGNTY 配列番号 143;
CDR-L2: KVS 配列番号 144;および
CDR-L3: FQSSHVPWT 配列番号 145、
請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項15】
前記抗体が、i)配列番号98において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号98に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号10~12において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体が、i)配列番号99において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号99に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号13~15において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号76において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または、前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号77において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項16】
前記抗体が、i)配列番号100において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号100に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号16~18において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または前記抗体が、i)配列番号101において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号101に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号19~21において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号78において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または、前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号79において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項17】
前記抗体が、i)配列番号102において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号102に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号22~24において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体が、i)配列番号103において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号103に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号25~27において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号80において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または、前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号81において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項18】
前記抗体が、i)配列番号104において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号104に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号28~30において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体が、i)配列番号105において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号105に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号31~33において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号82において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または、前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号83において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項19】
前記抗体が、i)配列番号106において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号106に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号34~36において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体が、i)配列番号107において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号107に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号37~39において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号84において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または、前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号85において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項20】
前記抗体が、i)配列番号108において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号108に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号40~42において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体が、i)配列番号109において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号109に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号43~45において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号86において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または、前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号87において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項21】
前記抗体が、i)配列番号110において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号110に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号46~48において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体が、i)配列番号111において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号111に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号49~51において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号88において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または、前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号89において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項22】
前記抗体が、i)配列番号128において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号128に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号120~122において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体が、i)配列番号129において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号129に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号123~125において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号126において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または、前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号127において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項23】
前記抗体が、i)配列番号138において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号138に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号130~132において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体が、i)配列番号139において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号139に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号133~135において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号136において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または、前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号137において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項24】
前記抗体が、i)配列番号148において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号148に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号140~142において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体が、i)配列番号149において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号149に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号143~145において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号146において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または、前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号147において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体および検出可能な標識を含んでなる、免疫複合体。
【請求項26】
DAGWGNL(配列番号1)の全部または一部を含んでなる単離ペプチドであって、前記一部は、少なくとも5個以上の隣接アミノ酸であり、かつGWGを含んでなる、単離ペプチド。
【請求項27】
前記一部が、DAGWG(配列番号2)、AGWGN(配列番号3)、またはGWGNL(配列番号4)である、請求項26に記載の単離ペプチド。
【請求項28】
ペプチドを含んでなる免疫原であって、前記ペプチドは、DAGWGNLの全部または一部を含んでなり、ここで、前記一部は、配列番号1の少なくとも5個以上の隣接アミノ酸である、免疫原。
【請求項29】
複数のペプチドを含んでなり、各ペプチドは、DAGWGNL(配列番号1)の全部または一部を含んでなり、ここで、前記複数のペプチドは、多抗原性ペプチド(MAP)として合成される、請求項28に記載の免疫原。
【請求項30】
前記ペプチドが、担体タンパク質または免疫原性増強成分と共役し、場合により、前記担体タンパク質はウシ血清アルブミン(BSA)であり、または、前記免疫原性増強成分はキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)である、請求項29に記載の免疫原。
【請求項31】
前記免疫原が、ミスフォールドTDP-43に特異的に結合する、DAGWGNL(配列番号1)に特異的に結合する、かつ/または、DAGWGNL(配列番号1)との関係において少なくともW68に特異的に結合する抗体を産生するために使用される、請求項28~30のいずれか一項に記載の免疫原。
【請求項32】
前記抗体が、ミスフォールドTDP-43に優先的に結合する、請求項31に記載の免疫原。
【請求項33】
場合により、ベクターに含まれる、請求項26~27のいずれか一項に記載の単離ペプチド、請求項28~32のいずれか一項に記載の免疫原、または請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体のアミノ酸残基をコードする、単離核酸。
【請求項34】
請求項26~27のいずれか一項に記載のペプチド、請求項28~32のいずれか一項に記載の免疫原または請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体を組換え発現する細胞であって、場合により、前記細胞は、抗体を発現する場合にハイブリドーマである、細胞。
【請求項35】
場合により、希釈液、および薬学上許容可能な担体とともに、請求項26~27のいずれか一項に記載の単離ペプチド、請求項28~32のいずれか一項に記載の免疫原、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体、請求項25に記載の免疫複合体、請求項33に記載の単離核酸または請求項34に記載の細胞を含んでなる、組成物。
【請求項36】
請求項1~24のいずれか一項に記載の2つ以上の抗体または請求項25に記載の2つ以上の免疫複合体を含んでなる、組成物。
【請求項37】
アジュバントをさらに含んでなる、前記免疫原を含んでなる、請求項35に記載の組成物。
【請求項38】
前記アジュバントが、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ミョウバン、モノホスホリルリピドAおよび/またはQS21である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
対象を治療する方法であって、有効量の請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体、請求項25に記載の免疫複合体、請求項33に記載の核酸または請求項36~38のいずれか一項に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる、方法。
【請求項40】
前記対象が、TDP-43タンパク質症を有すると疑われる、それを発症するリスクにある、またはそれと診断されている、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記TDP-43タンパク質症が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭葉変性症(FTLD-TDP)、原発性側索硬化症、進行性筋萎縮症、および大脳辺縁系優位型老年期TDP-43脳症(LATE)から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記抗体、免疫複合体、または組成物が、別のTDP-43タンパク質症の治療と組み合わせて投与される、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
TDP-43細胞伝播を阻害する方法であって、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体、請求項25に記載の免疫複合体、請求項33に記載の核酸または請求項36~39のいずれか一項に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる、方法。
【請求項44】
前記抗体、免疫複合体、核酸または組成物が、非経口投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、頭蓋内投与、脳室内投与、くも膜下腔内投与、眼窩内投与、眼投与、脊髄内投与、槽内投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、エアロゾル投与または経口投与により投与される、請求項39~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記抗体、免疫複合体、核酸または組成物が、血液脳関門を介する輸送を促進することで知られる生物活性分子と同時投与される、請求項39~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
i.請求項26~27のいずれか一項に記載の単離ペプチド;
ii.請求項28~32のいずれか一項に記載の免疫原;
iii.請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体;
iv.請求項25に記載の免疫複合体;
v.請求項33に記載の単離核酸;
vi.請求項34に記載の細胞;ならびに/または
vii.請求項35~38のいずれか一項に記載の組成物;ならびに
viii.前記単離ペプチド、免疫原、抗体、免疫複合体、単離核酸、細胞、および/もしくは組成物を収容するためのバイアルなどのコンパートメント、ならびに
ix.場合により、ELISAもしくは本明細書に記載の方法における使用説明書
を含んでなる、キット。
【請求項47】
請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体を作製する方法であって、請求項28~32のいずれか一項に記載の免疫原または請求項28~32のいずれか一項に記載の免疫原を含んでなる組成物および場合により薬学上許容可能な担体を非ヒト対象に投与すること、ならびに投与された単離ペプチド、免疫原、または組成物に対して選択的である抗体および/または抗体を発現する細胞を単離することを含んでなる、方法。
【請求項48】
抗体を調製する方法であって、請求項28~32のいずれか一項に記載の免疫原、または請求項28~32のいずれか一項に記載の免疫原を含んでなる組成物で非ヒト対象を免疫化することを含んでなる、方法。
【請求項49】
DAGWGNL(配列番号1)との関係においてW68に特異的に結合する抗体を単離することをさらに含んでなる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
抗体産生ハイブリドーマを形成することをさらに含んでなる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
請求項48~50のいずれか一項に記載の方法により産生される、抗体。
【請求項52】
細胞質/凝集および/またはミスフォールドTDP-43を含んでなることが疑われるサンプルが、細胞質/凝集またはミスフォールドTDP-43を含有するかどうかを決定する方法であって、
a.前記サンプルを、抗体:ミスフォールドTDP-43複合体を形成することを許容する条件下で、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体と接触させること;および
b.任意の複合体の存在を検出すること
を含んでなり、
ここで、検出可能な複合体の存在は、前記サンプルが細胞質/凝集および/またはミスフォールドTDP-43ポリペプチドを含有し得ることを示すものである、方法。
【請求項53】
前記サンプルが、対象から得た生物サンプルである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記サンプルが、血液、血清、血漿および/または固形組織、場合により、脳、CSFおよび/または血液由来の細胞外小胞を含んでなる前述のもののいずれかの画分を含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記サンプルが、場合により、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTD)、原発性側索硬化症、または大脳辺縁系優位型老年期TDP-43脳症(LATE)を有するまたは有すると疑われる対象由来のヒトサンプルである、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなる抗体であって、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: GFSLSRYY 配列番号 10;
CDR-H2: IIPGGTT 配列番号 11;
CDR-H3: AGGPTGNSHFTL 配列番号 12;
CDR-L1: ESVYNNNH 配列番号 13;
CDR-L2: EAS 配列番号 14;および
CDR-L3: SGYKRVTTDGIA 配列番号 15、
CDR-H1: GFSFSSNYV 配列番号 16;
CDR-H2: IWFAGIVDTT 配列番号 17;
CDR-H3: ARNPVGSVNL 配列番号 18;
CDR-L1: ESVYSNNR 配列番号 19;
CDR-L2: YAS 配列番号 20;および
CDR-L3: AGWRGARTDGVD 配列番号 21、
CDR-H1: GFSFSSSYV 配列番号 22;
CDR-H2: SDTGINT 配列番号 23;
CDR-H3: ARRYTGDTYLGNFNL 配列番号 24;
CDR-L1: QSVYKNNY 配列番号 25;
CDR-L2: KAS 配列番号 26;および
CDR-L3: AGGWRSLNA 配列番号 27、
CDR-H1: GFSLSSYT 配列番号 34;
CDR-H2: IYGGIGST 配列番号 35;
CDR-H3: GRGDI 配列番号 36;
CDR-L1: QSVYKNR 配列番号 37;
CDR-L2: GAS 配列番号 38;および
CDR-L3: LGNYDCSSVDCGA 配列番号 39、
CDR-H1: GFSFSAYY 配列番号 40;
CDR-H2: TIPIGRT 配列番号 41;
CDR-H3: AGGPTGNSHFTL 配列番号 42;
CDR-L1: ESVYNNNQ 配列番号 43;
CDR-L2: QAS 配列番号 44;および
CDR-L3: AGYKSPTTDGIA 配列番号 45、
CDR-H1: GFSLSSYA 配列番号 46;
CDR-H2: IYNYET 配列番号 47;
CDR-H3: ARDIFRTNTNL 配列番号 48;
CDR-L1: QSVYKNNG 配列番号 49;
CDR-L2: FTS 配列番号 50;および
CDR-L3: LGGYDCSSRVCGA 配列番号 51、
CDR-H1: GFSLSSYN 配列番号 120;
CDR-H2: IGTGGIT 配列番号 121;
CDR-H3: VRSSGSDWWFHI 配列番号 122;
CDR-L1: QSVYNNNN 配列番号 123;
CDR-L2: RAS 配列番号 124;および
CDR-L3: QGYFSGFITT 配列番号 125、
CDR-H1: GFTFSSYY 配列番号 130;
CDR-H2: INSNGGST 配列番号 131;
CDR-H3: VRQNYEGAY 配列番号 132;
CDR-L1: QSIVHSNGNTY 配列番号 133;
CDR-L2: KVS 配列番号 134;および
CDR-L3: FQSSHVPWT 配列番号 135、または
CDR-H1: GFTFSSYY 配列番号 140;
CDR-H2: INTNGGST 配列番号 141;
CDR-H3: VRQNYEGAY 配列番号 142;
CDR-L1: QSIVHSNGNTY 配列番号 143;
CDR-L2: KVS 配列番号 144;および
CDR-L3: FQSSHVPWT 配列番号 145、
抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年12月14日に出願された米国仮出願第62/779,904号、および2019年10月21日に出願された同62/923,789号の優先権に基づく35U.S.C.§119の利益を主張する特許協力条約出願であり、これらの出願の各々は、引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる。
【0002】
配列表の組込み
EFS-WEBを介して提出され、2019年12月12日に作成されたコンピューター可読形式の配列表「PP54811PC00 PC00_ST25」(58,887バイト)は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0003】
分野
本開示は、TDP-43抗体、より具体的には、ミスフォールドTDP-43を検出するための抗体およびミスフォールドTDP-43を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
43kDaのトランス活性化応答(TAR)エレメントDNA結合タンパク質(TDP-43)は、414アミノ酸タンパク質であり、N末端ユビキチン様ドメイン(NTD、残基1~80)、残基106~177(RRM1)および残基192~259(RRM2)から構成される2つのRNA認識モチーフ(RRM)、ならびにC末端ドメイン(CTD、残基274~414)から構成される。NTDは、核局在化(残基82~98におけるNLSモチーフ、NLS1 K82RK84およびK95VKR98)を指示するドメインに隣接する。RRM2は、残基239から250にかけて核外搬出シグナル(NES)を含む。
【0005】
TDP-43は主に、RNA代謝において中心的役割を果たす核タンパク質である。罹患ニューロン内の病原性封入体は、翻訳後修飾されたTDP-43を含み得るため、TDP-43は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および前頭側頭型認知症(FTD)疾患スペクトラムにおける研究の焦点となっている。TDP-43のCTDは疾患と特に関連しているが、それは、ほぼ総ての家族性ALS/FTD関連変異がTDP-43において認められる場所であるからである。
【0006】
他の変異としては、ベータストランド4と5との間のRRM1に位置するD169G、NLS領域における変異であるA90V、ならびにRRM2とC末端ドメインとの間のリンカーに存在する変異K263EおよびN267Sが挙げられる。
【0007】
RRM1およびRRM2は、NMRにより構造決定されている。例えば、RRM1は、原子分解能三次元構造データのデータベースである蛋白質構造データバンク(PDB)において、PDBエントリー4IUFとして入手可能であり、一方、RRM2は、PDBエントリー1WF0として入手可能であり、NTDは、PDBエントリー5MRG、2N4Pおよび6B1Gとして入手可能である。
【0008】
4IUFの構造は、Kuoら[1]において報告されている。1WF0の構造は、Heら[2]において報告されている。2N4Pの構造は、Mompeanら[3]において報告されている。
【0009】
TDP-43は、孤発型および家族型両方のALSおよびFTDを有する患者の神経封入体において高リン酸化、ユビキチン化、および断片化されることが認められた[4]。
【0010】
機能的TDP-43は、細胞ストレス時に形成される細胞質凝集体と区別される核オリゴマーとして存在し得る。機能的TDP-43のオリゴマー化は、そのRNAスプライシング機能のために必要である。核におけるNTDにより駆動されたTDP-43のオリゴマー化は、細胞質誤局在化および病的凝集の形成を阻害し得る[9]。
【0011】
生理学的TDP-43オリゴマー化は、核磁気共鳴分光法および電子顕微鏡法の組合せでの2.1A結晶構造により明らかにされた、動的なソレノイド様構造を採用し得る、そのN末端ドメインにより媒介される[9]。
【0012】
TDP-43の凝集体(封入体)は現在、ALSのほぼ総て(およそ97%)の症例およびFTDの症例のおよそ半数(およそ45%)において認められている。TDP-43は、ALS患者の運動ニューロンにおいて認められる細胞質封入体の主成分の1つである。
【0013】
TDP-43封入体の前駆体は、機能的TDP-43よりはるかに低い濃度を有し得る。ミスフォールドTDP-43が低濃度であることによって、この標的がとらえにくいものとなっている。
【0014】
細胞質ヒトTDP-43を発現するトランスジェニックマウスおよび非トランスジェニックマウスにおける脳由来病的TDP-43 FTLD-TDP種子の脳内注射は、時間依存的に脳に伝播したデノボTDP-43病変の誘導をもたらしている[10]。
【0015】
TDP-43に結合する抗体がこれまで記載されてきた。
【0016】
「神経変性疾患の予後および/または診断のための方法、候補化合物および神経変性疾患を治療するための化合物の同定方法」と題するWO2012174666は、抗TDP-43抗体を使用して、TDP-43とNF-kB p65との間の相互作用の評価を通じて、ALSおよびFTDなどの神経変性疾患を診断する方法を開示している。
【0017】
「神経変性疾患の治療に有用なTDP-43結合性ポリペプチド」と題するWO2016086320は、ALSおよびFTDの治療のための、TDP-43のRRM1ドメインに結合して、NF-kBとのその相互作用を妨害する抗体を開示している。
【0018】
天然に折り畳まれたTDP-43よりもミスフォールドTDP-43に優先的に結合する抗体が望まれる。
【発明の概要】
【0019】
概要
本発明者らは、天然に折り畳まれた核または細胞質TPD-43ではなく、TDP-43凝集体に優先的に結合する抗体を同定した。本発明者らは、ミスフォールドTDP-43において差次的にアクセス可能なエピトープを同定し、ミスフォールドTDP-43凝集体における前記エピトープを認識する抗体を産生した。本明細書において示されるように、前記エピトープは、ミスフォールドTDP-43(溶媒がアクセス可能)における結合のために利用可能であるが、天然に折り畳まれた非疾患関連TDP-43においては利用不可能である。特に、本発明者らは、W68が、ミスフォールドTDP-43凝集体に対する抗体特異性を付与するのに重要な残基であることを決定した。このような抗体は、一般にストレス顆粒と関連しない凝集TDP-43を認識し、病原性TDP-43の細胞間伝播を阻害し得る。
【0020】
したがって、ある側面は、DAGWGNL(配列番号1)の全部または一部を含んでなる単離ペプチドであって、前記一部は、少なくとも5個のアミノ酸であり、かつGWGを含んでなる、単離ペプチドを含む。
【0021】
別の実施形態において、前記一部は、DAGWGNL(配列番号1)の少なくとも6個の隣接アミノ酸である。
【0022】
ある実施形態において、前記ペプチドは、最大21残基であり、場合により、W68は、好ましくは、前記ペプチドの三分割中の中央に位置する。
【0023】
別の側面は、ペプチドを含んでなる免疫原であって、前記ペプチドは、DAGWGNL(配列番号1)の全部または一部を含んでなり、ここで、前記一部は、DAGWGNL(配列番号1)の少なくとも5個のアミノ酸、場合により、少なくとも6個のアミノ酸である、免疫原を含む。
【0024】
ある実施形態において、前記免疫原は、複数のペプチドを含んでなり、各ペプチドは、DAGWGNL(配列番号1)の少なくとも5個のアミノ酸、場合により、少なくとも6個のアミノ酸を含んでなり、ここで、前記複数のペプチドは、多抗原性ペプチド(MAP)として合成される。
【0025】
別の実施形態において、前記ペプチドは、担体タンパク質または免疫原性増強成分と共役する。
【0026】
別の実施形態において、前記担体タンパク質はウシ血清アルブミン(BSA)であり、または前記免疫原性増強成分はキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)である。
【0027】
ある実施形態において、前記免疫原は、ミスフォールドTDP-43に選択的に結合する抗体、かつ/または、DAGWGNL(配列番号1)との関係において少なくともW68に特異的に結合する抗体を産生するために使用される。ある実施形態において、前記抗体は、ミスフォールドTDP-43に優先的に結合する。
【0028】
さらなる側面は、TDP-43に結合し、かつ、天然TDP-43と比較してミスフォールドTDP-43に優先的に結合する抗体を含む。
【0029】
ある実施形態において、前記抗体は、DAGWGNL(配列番号1)との関係において少なくともW68に特異的に結合する。
【0030】
ある実施形態において、前記抗体は、本明細書に記載のペプチドまたは免疫原を使用して産生またはスクリーニングされる。
【0031】
ある実施形態において、前記抗体はモノクローナル抗体である。
【0032】
ある実施形態において、前記抗体はヒト化抗体である。
【0033】
ある実施形態において、前記抗体は単鎖抗体である。
【0034】
ある実施形態において、前記抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、dsFv、ds-scFv、二量体、ナノボディ、ミニボディ、ダイアボディ、およびそれらの多量体から選択される結合フラグメントである。
【0035】
ある実施形態において、前記抗体はアフィニティー精製される。
【0036】
さらなる側面は、本明細書に記載の抗体および検出可能な標識を含んでなる免疫複合体を含んでなる。
【0037】
さらなる側面は、本明細書に記載のペプチド、免疫原、または抗体のアミノ酸残基をコードする単離核酸、ならびに、例えば、本明細書に記載のペプチド、免疫原または抗体を送達および/または発現するための、前記核酸を含んでなるベクターを含んでなる。
【0038】
さらなる側面は、本明細書に記載のペプチド、免疫原または抗体を組換え発現する細胞を含んでなる。
【0039】
ある実施形態において、抗体を発現する場合の前記細胞は、ハイブリドーマである。
【0040】
さらなる側面は、本明細書に記載の単離ペプチド、免疫原、抗体、免疫複合体、単離核酸、または細胞を含んでなる組成物を含む。
【0041】
ある実施形態において、ペプチドまたは免疫原を含んでなる場合の前記組成物は、アジュバントをさらに含んでなる。
【0042】
ある実施形態において、前記アジュバントは、不完全フロイントアジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ミョウバン、モノホスホリルリピドAおよび/またはQS21である。
【0043】
単離ペプチド、免疫原、抗体、免疫複合体、単離核酸、細胞、および/または組成物ならびに前記試薬を収容するためのコンパートメントを含んでなるキットも提供される。
【0044】
別の実施形態において、前記キットは、本明細書に記載の方法のためのELISAにおける使用説明書をさらに含んでなる。
【0045】
さらなる側面は、抗体を作製する方法であって、本明細書に記載の単離ペプチド(例えば、DAGWGNL(配列番号1)の少なくとも5個のアミノ酸、場合により、少なくとも6個のアミノ酸)、免疫原、または組成物を非ヒト対象に投与すること、またはそれで非ヒト対象を免疫化することを含んでなる方法を含む。
【0046】
ある実施形態において、前記方法は、DAGWGNL(配列番号1)との関係においてW68に特異的に結合する抗体を単離することをさらに含んでなる。
【0047】
ある実施形態において、前記方法は、抗体産生ハイブリドーマを形成することをさらに含んでなる。
【0048】
別の側面は、本明細書に記載の方法により産生される抗体を含む。
【0049】
さらなる側面は、サンプルがミスフォールドTDP-43を含有するかどうかを決定する方法であって、前記サンプルを、抗体:ミスフォールドTDP-43複合体を形成することを許容する条件下で、本明細書に記載の抗体と接触させること、および任意の複合体の存在を検出することを含んでなり、ここで、検出可能な複合体の存在は、前記サンプルがミスフォールドTDP-43ポリペプチドを含有し得ることを示すものである、方法を含む。
【0050】
ある実施形態において、前記サンプルは、対象から得た生物サンプルである。
【0051】
ある実施形態において、前記サンプルは、血液、血清、血漿および/または固形組織を含んでなる。
【0052】
ある実施形態において、前記サンプルはヒトサンプルである。
【0053】
ある実施形態において、前記対象は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭型認知症(FTD)を有する、またはそれを有すると疑われる。
【0054】
対象を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載の抗体、免疫複合体、核酸または組成物を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる方法が、さらに提供される。
【0055】
本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の趣旨および範囲内での種々の変更および改変は、この詳細な説明から当業者に明らかになるであろうから、詳細な説明および具体例は、本開示の好ましい実施形態を示す一方で、単に例示として示されるものであると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
ここで本開示の実施形態を図面と関連して説明する:
【0057】
【
図1】
図1A~2Lは、核局在化シグナルにおける三重ミスセンスタンデム変異を有するTDP-43構築物、野生型TDP-43、または空ベクターでトランスフェクトしたHEK-293細胞を示す。前記細胞におけるTDP-43は、本明細書に記載のDAGWGNL(配列番号1)ペプチドを含んでなる免疫原に対して産生されたDAGWGNL(配列番号1)ペプチドアフィニティー精製ウサギポリクローナル抗TDP-43抗体(GS240)、またはTDP-43-HA融合構築物と反応する抗HAタグ抗体を使用して検出した。
【
図2】
図2A~2Lは、核局在化シグナルにおける三重ミスセンスタンデム変異を有するTDP-43-HA構築物、野生型TDP-43-HA、または空ベクターでトランスフェクトしたHEK-293細胞を示す。TDP-43は、本明細書に記載のDAGWGNL(配列番号1)ペプチドを含んでなる免疫原に対して産生された精製ポリクローナル抗TDP-43抗体(GS243)、または抗HAタグ抗体を使用して、前記細胞において検出した。
【
図3】
図3A~3Eは、マウス(3Aおよび3B)ならびにウサギ(3C、3Dおよび3E)モノクローナル抗体の結合速度論を示すグラフである。
【
図4】
図4Aおよび4Bは、天然に折り畳まれたTDP43N末端ドメインではそうではないが、変性TDP43N末端ドメインにおける抗体によるエピトープの認識を示す。
【
図5】
図5Aおよび5Bは、ウサギポリクローナルGS240抗体によるFTD脳(5A)およびALS脊髄(5B)由来の切片の染色を示す画像であり、
図5C~5Eは、マウスモノクローナル抗体によるFTD脳由来の切片の染色を示す画像である。
【
図6】
図6は、WT核TDP-43-HAではそうではないが、ΔNLS-TDP43-HAトランスフェクト細胞における細胞質TDP43凝集体を用いた、マウスモノクローナルAb 2F7染色の共局在を示す一連の画像である。
【
図7】
図7Aおよび7Bは、疾患関連N末端TDP43エピトープに対する3F11マウスモノクローナル抗体は、生理学的ストレス顆粒と反応しないことを示す画像である。
【
図8】
図8は、ΔNLS-TDP-43-W68Sトランスフェクト細胞ではそうではないが、ΔNLS-TDP-43トランスフェクト細胞における細胞質TDP43凝集体を用いた、ウサギモノクローナルAb 28H3染色の共局在を示す一連の画像である。
【
図9】
図9は、HEK293細胞におけるミスフォールドTDP-43伝播の抗体遮断を示す。
【発明の具体的説明】
【0058】
本開示の詳細な説明
実施例に記載の通り、本発明者らは、ミスフォールドTDP-43において特異的にアクセス可能なエピトープを同定した。本発明者らは、前記エピトープに特異的に結合する抗体を産生した。さらに、本発明者らは、DAGWGNL(配列番号1)との関係においてW68の重要性を決定した。このペプチド配列に対して産生された抗体は、天然TDP-43と比較してミスフォールドTDP-43に優先的に結合することが示されている。
【0059】
I.定義
本明細書で使用する場合、「TDP-43」(トランス活性化応答エレメント(TAR)DNA結合タンパク質43)、あるいは「TDP43」、または特に限定されない限り「TDP」という用語は、本明細書で使用する場合、野生型TDP-43、天然TDP-43、ならびに総ての種由来の変異型およびその類似体を含むミスフォールド型を含むあらゆる形態のTDP-43、特に、ヒトTDP-43(すなわち、hTDP-43)を意味する。ヒトTDP-43は、一般に414アミノ酸残基のタンパク質であり、アミノ酸配列(例えば、Uniprotアクセッション番号Q13148)およびヌクレオチド配列(例えば、アクセッション番号HGNC:11571)は、以前に特徴付けられている。
【0060】
「野生型」は、本明細書で使用する場合、非変異タンパク質または天然に存在するタンパク質の一次アミノ酸配列を指す。
【0061】
「天然」は、本明細書で使用する場合、特定のタンパク質またはその一部の正常な三次元構造を指す。天然TDP-43は、場合により、「天然に折り畳まれた」TDP-43、「正常に折り畳まれた」TPD-43および/または「健常な」TDP-43という。したがって、用語「天然TDP-43」、または「天然に折り畳まれたTDP-43」は、本明細書において、新生翻訳後に天然に折り畳まれたTDP-43、および/または、限定されるものではないが、X線結晶解析においてもしくは核磁気共鳴スペクトルから再構築された天然構造を示す非共有結合された個々のTDP-43ペプチドを含んでなる分子構造を有する、非病態(例えば、正常細胞)において折り畳まれた、二量体TDP-43および三量体TDP-43を含む多量体を指す。天然TDP-43は、そのNTDを介して多量体を形成し、天然に折り畳まれた場合のTDP-43は、一般に核である。TDP-43のミスフォールド凝集体は、細胞質であり得、一般に細胞質である。
【0062】
「ミスフォールド」は、本明細書で使用する場合、ポリペプチドまたはその一部の二次構造および三次構造を指し、ポリペプチドが、その適切に機能する状態でのそのポリペプチドに関して正常ではないコンフォメーションをとっていることを示す。ミスフォールディングは、タンパク質における変異、例えば、アミノ酸の欠失、置換、または付加により生じ得るが、野生型配列タンパク質も、疾患においてミスフォールドされ得、例えば、微小環境条件および/またはアミノ酸修飾、例えば、ニトロ化、酸化、カルボニル化もしくは他の修飾の結果として、疾患特異的エピトープを露出させ得る。他の翻訳後修飾としては、異常なユビキチン化、リン酸化、アセチル化、SUMO化、およびC末端フラグメントへの切断が挙げられる。ミスフォールドTDP43は、凝集および/または細胞質であり得る。TDP-43の文脈において、天然TDP-43は、そのNTDを介して多量体を形成する。ミスフォールド多量体(例えば、疾患関連オリゴマー)は一般に、タンパク質の他の領域、例えば、そのLCDおよび/またはRRM1ドメインを介してオリゴマー化する。したがって、「ミスフォールドTDP-43ポリペプチド」、または本明細書においてポリペプチドに言及する場合の「ミスフォールドTDP-43」は、細胞質であるかつ/または凝集している、そのLCDおよび/またはRRM1ドメインを介してオリゴマー化しているTDP-43ポリペプチド、非天然二量体および三量体、ならびに大型の凝集体(例えば、5個以上のサブユニット)を含む。ミスフォールドTDP-43は、タンパク質機能の喪失、毒性、アミロイド様特徴(例えば、コンゴーレッド染色)の獲得および病原性凝集体の伝播をもたらす凝集体を形成する傾向がある。
【0063】
用語「変異体TDP-43」は、TDP-43の形態、特に、例えば、[6]に記載のバイオインフォマティクスツールに記載の変異を含む、例えば、FTDまたは家族性ALSの特徴である置換などのアミノ酸置換をもたらす遺伝子変異の結果として生じるTDP-43の内因型を指す。
【0064】
用語「DAGWGNL(配列番号1)」は、配列番号1において示されるアミノ酸配列:アスパラギン酸、アラニン、グリシン、トリプトファン、グリシン、アスパラギン、およびロイシンを意味する。同様に、GWGは、一文字アミノ酸コードにより同定されるアミノ酸配列を指す。文脈に応じて、アミノ酸配列への言及は、TDP-43または単離ペプチドにおける配列を指し得る。配列DAGWGNL(配列番号1)は、TDP-43のアミノ酸一次配列における残基65~71に相当する。
【0065】
「エピトープ」は、本明細書で使用する場合、B細胞もしくはT細胞受容体、または抗体もしくはその結合フラグメントにより認識されるタンパク質の領域を意味する。エピトープは、場合により、本明細書において、抗体により認識されるタンパク質の直鎖状アミノ酸配列または領域で表される。エピトープは、1以上の抗原決定基を含んでなり得る。例えば、ミスフォールドエピトープに相当する単離ペプチドに対して作製された抗体は、前記エピトープ配列の一部または全部を認識する。実施例に示されるように、抗体は、結合のためにTrp68を必要とし得る。配列番号1の少なくとも5個、場合により、少なくとも6個の残基を含んでなる免疫原は、ミスフォールドTDP-43に優先的に結合する、例えば、配列番号1またはDAGWGNL(配列番号1)との関係においてW68に結合する抗体を産生するために使用され得る。「DAGWGNL(配列番号1)または関連エピトープ」への言及は、例えば、DAGWG(配列番号2)、DAGWGN(配列番号3)、AGWGN(配列番号4)、AGWGNL(配列番号5)およびGWGNL(配列番号6)などのTDP-43ペプチド配列を含んでなる免疫原により産生された抗体により結合されるTDP-43上の直鎖状ペプチドまたは領域のいずれかにおける、配列番号1またはその一部を意味する。
【0066】
用語「類似体」は、本明細書で使用する場合、本明細書に記載のペプチド、タンパク質または核酸分子と実質的に同じ機能を実質的に同じ様式で果たす、本発明のアミノ酸およびヌクレオチド配列の部分、伸張、置換、バリアント、修飾または化学的等価物およびそれらの誘導体を含む。ペプチドの類似体は、TDP-43ペプチドに対する付加および欠失も含む。核酸の類似体は、本発明の単離ペプチドをコードする変性ヌクレオチド置換を含む。さらに、類似体ペプチドおよび類似体ヌクレオチド配列は、それらの誘導体を含む。
【0067】
用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸および修飾L-アミノ酸およびD-アミノ酸の総てを含む。アミノ酸の原子は、例えば、異なる同位体を含み得る。例えば、アミノ酸は、水素に対して置換された重水素、窒素14に対して置換された窒素15、および炭素12に対して置換された炭素13および他の同様の変化を含んでなり得る。
【0068】
「保存的アミノ酸置換」は、本明細書で使用する場合、1つのアミノ酸残基が、タンパク質の所望の特性を消失させることなく、別のアミノ酸残基と置き換わるものである。好適な保存的アミノ酸置換は、類似の疎水性、極性、およびR基のサイズを有するアミノ酸を互いに置換することによって行うことができる。保存的アミノ酸置換の例としては、以下のものが挙げられる:
【0069】
【0070】
用語「抗体」は、本明細書で使用する場合、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単鎖、ヒト化および他のキメラ抗体、または完全ヒト抗体、ならびにそれらの結合フラグメントを含むものとする。ベクター化抗体またはイントラボディも含まれる。抗体は、組換え源由来のものでもよく、かつ/または、トランスジェニック動物において産生されたものでもよい。生化学的技術を使用することによって産生され得る、または、ライブラリーから単離され得るヒト抗体も含まれる。ヒト化抗体またはキメラ抗体は、1以上のアイソタイプまたはクラス由来の配列を含んでもよい。
【0071】
句「単離抗体」は、抗体の産生源、例えば、動物、ハイブリドーマまたは他の細胞株(例えば、抗体を産生する組換え細胞)から除去されている、イン・ビボ(in vivo)またはイン・ビトロ(in vitro)で産生された抗体を指す。単離抗体は、場合により「精製」され、それは、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の純度を意味する。
【0072】
用語「結合フラグメント」は、本明細書で使用する場合、インタクトまたは完全な抗体または抗体鎖よりも少ないアミノ酸残基を含んでなり、かつ抗原に結合する、またはインタクト抗体と競合する抗体または抗体鎖の一部または部分を指す。例示的な結合フラグメントとしては、限定されるものではないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、dsFv、ds-scFv、二量体、ナノボディ、ミニボディ、ダイアボディ、およびそれらの多量体が挙げられる。フラグメントは、インタクトまたは完全な抗体または抗体鎖の化学的処理または酵素処理により得ることができる。フラグメントは、組換え手段によっても得ることができる(下記参照)。例えば、F(ab’)2フラグメントは、抗体をペプシンで処理することにより作製することができる。得られたF(ab’)2フラグメントは、ジスルフィド架橋を還元するために処理して、Fab’フラグメントを産生することができる。パパイン消化は、Fabフラグメントの形成をもたらし得る。Fab、Fab’およびF(ab’)2、scFv、dsFv、ds-scFv、二量体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体フラグメントおよび他のフラグメントは、組換え発現技術により構築することもできる。抗体が、DAGWGNL(配列番号1)などの特定の残基内のエピトープに結合すると言われる場合、それが意味するものは、抗体は、特定の残基またはその一部、例えば、(配列番号1)などの特定の残基との関係において少なくとも1個の残基または少なくとも2個の残基を含有するポリペプチドに選択的または特異的に結合する、ということである。このような抗体は、必ずしもDAGWGNL(配列番号1)の総ての残基に接触するわけではなく、前記エピトープ内の総ての単一アミノ酸置換または欠失は、必ずしも結合親和性に重大な影響を及ぼすまたは等しく影響を及ぼすわけではない。
【0073】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、本明細書で使用する場合、エピトープ結合に寄与すると一般に推定される抗体の特定の超可変領域を指す。CDR配列を同定する計算法としては、Kabat、Chothia、およびIMGTが挙げられる。本開示において列挙されるCDRは、IMGT Blastを使用して同定されている。当業者ならば、本明細書に含まれる配列を考慮して、KabatおよびChothiaなどに基づいてCDR配列を同定することもできるであろう。
【0074】
用語「検出可能な標識」は、本明細書で使用する場合、本明細書に記載のペプチド、抗体または他の化合物に付加または導入することができるペプチド配列、蛍光タンパク質などの部分であって、直接的にまたは間接的にのいずれかで検出可能なシグナルを発生することができる部分を指す。例えば、標識は、放射線不透性の陽電子放出放射性核種(例えば、PETイメージングにおける使用のための)、もしくは放射性同位体、例えば、3H、13N、14C、18F、32P、35S、123I、125I、131I;蛍光(フルオロフォア)もしくは化学発光(発色団)化合物、例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミンもしくはルシフェリン;酵素、例えば、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼもしくは西洋ワサビペルオキシダーゼ;造影剤;または金属イオンであってもよい。検出可能な標識は、例えば、二次抗体を使用して間接的に検出可能なものであってもよい。
【0075】
用語「ミスフォールドTDP-43において選択的に提示されるまたはアクセス可能であるエピトープ」は、本明細書で使用する場合、単量体型、二量体型または凝集型であるか否かを問わず、例えばALSまたはFTD(例えば、疾患関連ミスフォールドTDP-43)において存在するミスフォールドTDP-43上で選択的に提示されるまたは抗体がアクセス可能であるが、TDP-43の天然の正しく折り畳まれたホモ二量体型の分子表面上ではそうではないエピトープを指す。本明細書において示されるように、W68は、ミスフォールドTDP-43において選択的に提示されるまたはアクセス可能である。
【0076】
用語「大きな親和性」は、本明細書で使用する場合、抗体Xが、標的Zよりも強力に(Kon)かつ/または小さな解離定数(Koff)で標的Yに結合する、抗体結合の程度を指し、この文脈において、抗体Xは、Zよりも標的Yに対して大きな親和性を有する。同様に、用語「小さな親和性」は、本明細書において、抗体Xが、標的Zよりも弱い強さおよび/または大きな解離定数で標的Yに結合する、抗体結合の程度を指し、この文脈において、抗体Xは、Zよりも標的Yに対して小さな親和性を有する。抗体とその標的抗原との間の結合の親和性は、1/KDに等しいKAで表すことができ、ここで、KDはkon/koffに等しい。konおよびkoff値は、表面プラズモン共鳴を使用して測定することができる(例えば、Biacoreシステムを使用して測定可能)。
【0077】
また、本明細書で使用する場合、用語「免疫原性」は、抗体の産生を誘発し、免疫原の抗原部分に対して指向したT細胞および他の反応性免疫細胞を活性化する物質を指す。
【0078】
「免疫原」は、本明細書で使用する場合、免疫応答を誘発する、かつ/または、抗体の産生を引き起こす物質を意味する。免疫原性化合物に加えて、例えば、KLHにコンジュゲートした単離化合物、同定されたエピトープ、例えば、DAGWGNLおよび/または関連エピトープ、例えば、DAGWG(配列番号2)、DAGWGN(配列番号3)、AGWGN(配列番号4)、AGWGNL(配列番号5)およびGWGNL(配列番号6)に対する交差反応性抗体を誘発するペプチド模倣物を含む、本明細書に記載の複合体および融合体が使用され得る。有用な免疫原としての役割を果たすために、TDP-43ペプチドは、望ましくは、最低約5、6、または7個のTDP-43残基および最大約15、17、19、20または21個のTDP-43アミノ酸を組み込み、場合により、例えば多抗原性ペプチド(MAP)において使用されるリンカーまたは足場を介して、KLHなどの免疫原性増強剤を場合により組み込む。
【0079】
用語「核酸配列」は、本明細書で使用する場合、天然に存在する塩基、糖および糖間(骨格)結合からなるヌクレオシドまたはヌクレオチドモノマーの配列を指す。この用語は、天然に存在しないモノマーまたはその部分を含んでなる修飾または置換された配列も含む。本出願の核酸配列は、デオキシリボ核酸配列(DNA)またはリボ核酸配列(RNA)であってもよく、アデニン、グアニン、シトシン、チミジンおよびウラシルを含む天然に存在する塩基を含んでもよい。配列は、修飾された塩基を含有してもよい。このような修飾された塩基の例としては、アザおよびデアザのアデニン、グアニン、シトシン、チミジンおよびウラシル;ならびにキサンチンおよびヒポキサンチンが挙げられる。核酸は、二本鎖または一本鎖のいずれかであり得、センス鎖またはアンチセンス鎖を表す。さらに、用語「核酸」は、相補的核酸配列ならびにコドン最適化等価物または同義コドン等価物を含む。用語「単離核酸配列」は、本明細書で使用する場合、組換えDNA技術により産生された場合には細胞材料もしくは培養培地を、または化学的に合成された場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない核酸を指す。単離核酸はまた、核酸が由来する核酸に天然的に隣接する配列(すなわち、核酸の5’および3’末端に位置する配列)も実質的に含まない。
【0080】
「動作可能に連結された」は、核酸が、核酸の発現を可能にする様式で調節配列に連結されていることを意味するものとする。好適な調節配列は、細菌、真菌、ウイルス、哺乳動物、または昆虫の遺伝子を含む、種々の源に由来し得る。適当な調節配列の選択は、選択される宿主細胞に依存し、当業者により容易に達成され得る。このような調節配列の例としては、転写プロモーターおよびエンハンサーまたはRNAポリメラーゼ結合配列、リボソーム結合配列(翻訳開始シグナルを含む)が挙げられる。さらに、選択される宿主細胞および使用されるベクターに応じて、他の配列、例えば、複製起点、さらなるDNA制限部位、エンハンサー、および転写の誘導性を付与する配列を、発現ベクターに組み込んでもよい。
【0081】
用語「ベクター」は、本明細書で使用する場合、核酸分子が、例えば、原核細胞および/または真核細胞に導入される、かつ/または、ゲノムに組み込まれることを可能にする、核酸分子のための任意の中間ビヒクルを含んでなり、プラスミド、ファージミド、バクテリオファージまたはウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベースのベクター、アデノ随伴ウイルスベクターなどを含む。用語「プラスミド」は、本明細書で使用する場合、一般に、染色体DNAを独立に複製することができる、染色体外遺伝物質の構築物、通常、環状DNA二本鎖を指す。
【0082】
「少なくとも中等度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、溶液中での2つの相補的核酸分子間の選択的ハイブリダイゼーションを促進する条件が選択されることを意味する。ハイブリダイゼーションは、核酸配列分子の全部または一部に対して生じ得る。ハイブリダイズ部分は、一般に、少なくとも15(例えば、20、25、30、40または50)ヌクレオチド長である。当業者は、核酸二本鎖またはハイブリッドの安定性は、ナトリウム含有緩衝液中において、ナトリウムイオン濃度および温度の関数(Tm=81.5℃-16.6(Log10[Na+])+0.41(%(G+C)-600/l)、または類似の式)により決定されることを認識するであろう。したがって、ハイブリッドの安定性を決定する洗浄条件におけるパラメーターは、ナトリウムイオン濃度および温度である。公知の核酸分子と類似であるが同一ではない分子を同定するために、1%のミスマッチはTmの約1℃の減少をもたらすと想定され得、例えば、核酸分子が95%超の同一性を有するようにする場合、最終洗浄温度は約5℃減少する。これらの考察に基づき、当業者は、適当なハイブリダイゼーション条件を容易に選択できるであろう。好ましい複数の実施形態において、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が選択される。例として、ストリンジェントなハイブリダイゼーションを達成するために以下の条件が使用され得る:上記の式に基づいたTm-5℃における5倍塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)/5倍デンハルト溶液/1.0%SDSでのハイブリダイゼーションに次いで、60℃での0.2倍SSC/0.1%SDSの洗浄。中等度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、42℃での3倍SSC中の洗浄工程を含む。しかしながら、等価なストリンジェンシーは、代替の緩衝液、塩および温度を使用して達成され得ると理解される。ハイブリダイゼーション条件に関するさらなる指針は、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y., 2002、およびSambrook et al., Molecular Cloning: a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001において見出され得る。
【0083】
本明細書で使用する場合、抗体に関して「特異的に結合する」とは、抗体が、その標的抗原を認識し、かつ構造的に異なる抗原および/または修飾配列もしくは変異配列を有する抗原に対するよりも大きな親和性でその標的に結合することを意味する。例えば、多価抗体は、少なくとも1e-6、少なくとも1e-7、少なくとも1e-8、少なくとも1e-9または少なくとも1e-10のKDでその標的に結合する。少なくとも1e-8超の親和性が好ましい。1つの可変ドメインを含んでなるFabフラグメントなどの抗原結合フラグメントは、非フラグメント化抗体との多価相互作用よりも10倍または100倍小さな親和性でその標的を見出し得る。
【0084】
用語「選択的」または「優先的」は、ある形態のTDP-43(例えば、天然タンパク質またはミスフォールドタンパク質)に選択的/優先的に結合する抗体に関して本明細書で使用する場合、結合タンパク質が、少なくとも3倍、または少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも100倍、少なくとも250倍、または少なくとも500倍以上の大きな親和性でその形態に結合することを意味する。したがって、特定のコンフォメーション(例えば、ミスフォールドタンパク質)に対してより選択的な抗体は、別の形態と比較して、少なくとも3倍、または少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも100倍、少なくとも250倍、または少なくとも500倍以上大きな親和性で、特定の形態のTDP-43に優先的に結合する。
【0085】
用語「ミスフォールドTDP-43におけるTDP-43配列DAGWGNL(配列番号1)に結合する抗体」は、本明細書で使用する場合、天然TDP-43と比較して、ミスフォールドTDP-43の文脈において、前記配列または前記配列の任意の部分に特異的または優先的に結合するが、無関係の配列には結合しない、結合フラグメントなどの抗体を意味する。
【0086】
用語「リンカー」は、本明細書で使用する場合、DAGWG(配列番号2)、DAGWGN(配列番号3)、AGWGN(配列番号4)、AGWGNL(配列番号5)およびGWGNL(配列番号6)を含んでなるペプチドまたは配列番号1エピトープペプチドの全部と共有結合され得る化学的部分を意味する。リンカーは、グリシン残基および/またはPEG部分ならびに1以上の機能化可能部分、例えばシステイン残基を含んでなり得る。リンカーは、機能化可能部分を介して、担体タンパク質または免疫原増強成分、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と連結され得る。リンカーは、例えば、1~9個のアミノ酸であり得、機能化可能部分単独であり得る。
【0087】
用語「機能化可能部分」は、本明細書で使用する場合、別の原子団または単一原子(いわゆる「相補的官能基」)と反応して、2つの団または原子の間の化学的相互作用を形成する原子団または単一原子を本明細書で使用する場合に指す「官能基」を有する化学的実体を指す。システインの場合、官能基は、ジスルフィド結合を形成するために反応され得る-SHであり得る。別の原子団との反応は、共有結合または強力な非共有結合であり得、例えば、ビオチン-ストレプトアビジン結合の場合、Kd約1e-14を有し得る。強力な非共有結合は、本明細書で使用する場合、少なくとも1e-9、少なくとも1e-10、少なくとも1e-11、少なくとも1e-12、少なくとも1e-13または少なくとも1e-14のKdでの相互作用を意味する。
【0088】
タンパク質および/または他の剤は、免疫原性を促進するため、または、イン・ビトロ試験におけるプローブとしての役割を果たすためのいずれかのために、ペプチドに対して機能化(例えば、共役/コンジュゲート)され得る。この目的のために、反応する(例えば、共有結合または非共有結合であるが強力な結合を作る)ことができる任意の機能化可能部分を使用してもよい。一つの特定の実施形態において、機能化可能部分は、例えば、イン・ビトロ免疫ブロットまたは免疫組織化学アッセイのために使用される、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などの免疫原性増強成分、またはウシ血清アルブミン(BSA)などの担体タンパク質であり得る、目的のタンパク質上の不対システインとジスルフィド結合を形成するために反応されるシステイン残基である。
【0089】
用語「動物」または「対象」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物、場合により、ヒトを含むまたは除く、動物界の全メンバーを含む。
【0090】
用語「治療すること」または「治療」は、本明細書で使用する場合、および当技術分野で十分理解されるように、臨床結果を含む、有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチを意味する。有益なまたは所望の臨床結果は、限定されるものではないが、検出可能であるか検出不能であるかを問わず、1以上の症状または状態の軽減または改善、疾患の程度の減少、疾患の安定化した(すなわち、悪化していない)状態、疾患の伝播の予防、疾患進行の遅延または緩徐化、病態の改善または緩和、疾患の再発の減少、および寛解(部分または完全を問わず)を含み得る。「治療すること」および「治療」は、治療を受けない場合に予想される生存と比較して、生存を延長することも意味し得る。「治療すること」および「治療」は、本明細書で使用する場合、例えば、家族型のALSなどの家族型と関連する変異を有すると同定された対象における予防的治療も含む。ALSなどのTDP-43タンパク質症を有する対象は、疾患進行を遅延または緩徐化するために治療され得る。対象は、進行を予防するために、本明細書に記載の化合物、抗体(ベクター化抗体もしくはイントラボディを含む)、免疫原、免疫複合体、または組成物で治療され得る。
【0091】
本開示の範囲の理解において、用語「からなる」およびその派生語は、本明細書で使用する場合、言及された特徴、要素、成分、群、整数および/または工程の存在を指定し、かつ他の言及されていない特徴、要素、成分、群、整数および/または工程の存在を除外する限定的な用語であるものとする。
【0092】
本明細書における終点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される総ての数および分数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.90、4および5を含む)。総ての数およびそれらの分数は、用語「約」により修飾されると想定されることも理解される。さらに、「a」、「an」および「the」は、内容によってそうではないことが明確に指示されない限り、複数の指示対象を含むと理解されるべきである。用語「約」は、言及されている数のプラスまたはマイナス0.1~50%、5~50%、または10~40%、好ましくは、10~20%、より好ましくは、10%または15%を意味する。
【0093】
さらに、特定の項に記載の定義および実施形態は、当業者により理解されるように、それらが好適である本明細書に記載の他の実施形態に適用可能であるものとする。例えば、以下の節において、本発明の異なる側面がより詳細に定義されている。そのように定義された各側面は、そうではないことが明確に示されていない限り、任意の他の1つの側面または複数の側面と組み合わせてもよい。特に、好ましいまたは有利であると示された任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示された任意の他の1つの特徴または複数の特徴と組み合わせてもよい。
【0094】
II.DAGWGNL(配列番号1)の全部または一部を含んでなるペプチドおよびそれらに関連した免疫原
本開示は、ミスフォールドTDP-43上のエピトープを同定しており、それに相当するペプチドを使用して産生された抗体は、ミスフォールドTDP-43を優先的に認識する。実施例において示されるように、エピトープ、特にW68は、天然に折り畳まれたTDP-43においてアクセス不可能であるか、またはさほどアクセス可能ではない。本発明者らは、TDP-43上のアミノ酸残基65~71に相当するTDP-43ペプチドDAGWGNL(配列番号1)を含んでなる免疫原を使用して、抗体を産生した。以下に示すように、この残基に関して変異したTDP-43と明らかには反応しない前記免疫原を使用して、抗体を産生した。
【0095】
したがって、ある側面は、DAGWGNLの全部または一部を含んでなる単離ペプチドであって、前記一部は、少なくとも5個のアミノ酸であり、かつGWGを含んでなる、単離ペプチドを含む。
【0096】
ある実施形態において、前記一部は、配列番号1の少なくとも6個の隣接アミノ酸である。
【0097】
前記ペプチドは、さらなるTDP-43連続配列、例えば、最大11個のアミノ酸、最大13個のアミノ酸、最大15個のアミノ酸、最大17個もしくは19個または最大21個のアミノ酸を含んでなり得る。好ましくは、前記配列は、W68上の中心またはほぼ中心に位置する。例えば、前記ペプチドが21アミノ酸長である場合、W68は、残基8、9、10、11または12であってもよい。一つの実施形態において、前記ペプチドは、EGILHAPDAGWGNLVYVVNYP(配列番号7)であるか、または最低GWGを含んでなるその一部である。
【0098】
ある実施形態において、前記ペプチドは、TDP-43の残基1~80に相当する、TDP-43のN末端ユビキチン様ドメイン由来の連続配列を含んでなるか、またはそれである。
【0099】
前記単離ペプチドは、非TDP-43配列、例えば、TDP-43連続配列に対する、例えば、1~9個のグリシンおよび/もしくはPEG部分ならびに/またはCys残基N末端および/もしくはC末端を含んでなるリンカーも含んでなり得る。
【0100】
ペプチドは、固相合成または均一溶液中での合成などの、タンパク質の化学において周知の技術を使用した化学合成により、調製してもよい。
【0101】
本明細書に記載のDAGWGNL(配列番号1)との関係においてエピトープW68は、TDP-43のミスフォールド伝播株における潜在的な標的であり得、前記エピトープを認識する抗体は、例えば、このような伝播株の検出に有用であり得る。
【0102】
別の側面は、DAGWGNL(配列番号1)、場合により、DAGWG(配列番号2)、DAGWGN(配列番号3)、AGWGN(配列番号4)、AGWGNL(配列番号5)およびGWGNL(配列番号6)の少なくとも5残基、場合により、少なくとも6残基を含んでなるペプチドを含んでなる免疫原を含む。ある実施形態において、前記免疫原のペプチドは、DAGWGNLを含んでなる。前記免疫原は、本明細書に記載のさらなるTDP-43または非TDP-43残基を有するペプチドも含んでなり得る。ある実施形態において、前記免疫原に含まれるペプチドは、TDP-43の残基1~80に相当する、TDP-43のN末端ユビキチン様ドメイン由来の連続配列を含んでなるか、またはそれである。
【0103】
実施例に記載のように、免疫原は、固相合成または均一溶液中での合成などの、タンパク質の化学において周知の技術を使用して、場合により、C末端システイン残基またはN末端システイン残基(例えば、cDAGWGNL(配列番号8)もしくはDAGWGNLc(配列番号9))を有する、DAGWGNL(配列番号1)、DAGWG(配列番号2)、DAGWGN(配列番号3)、AGWGN(配列番号4)、AGWGNL(配列番号5)またはGWGNL(配列番号6)などのペプチドを化学合成することにより、調製することができる。前記ペプチドは、N末端アセチル化またはC末端アミド化され得る。前記ペプチドは、例えば、C末端システイン残基もしくはN末端システイン残基または他の機能化可能部分を介して、免疫原性増強剤にコンジュゲートされ得るか、またはそうでなければ免疫原性を増大させるために修飾され得る。
【0104】
ある実施形態において、前記免疫原は、複数のペプチドを含んでなり、各ペプチドは、DAGWGNL(配列番号1)の全部または一部を含んでなり、前記一部は、DAGWGNL(配列番号1)の少なくとも5個、場合により、少なくとも6個の残基を含んでなり、ここで、前記複数のペプチドは、多抗原性ペプチド(MAP)として合成される。MAPは、分岐鎖状ポリリシンデンドリマーである。複数のエピトープペプチドは、例えば、リシンのアミノ末端および側鎖の一方または両方に結合する。
【0105】
ある実施形態において、前記ペプチドは、担体タンパク質または免疫原性増強成分と共役する。前記免疫原性増強成分は、例えば、アミド結合、ジスルフィド結合を介して直接的、またはリンカーを介して間接的のいずれかで、化合物と共役し得る。
【0106】
免疫原性増強成分を有する免疫原は、例えば、Lateef et al 2007に記載の方法(引用することにより本明細書の一部とされる)を使用して、前記ペプチド、およびシステインなどの機能化可能部分を含んでなるリンカーを、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などの免疫原性増強成分またはウシ血清アルブミン(BSA)などの担体とコンジュゲートすることにより、産生することができる。ある実施形態において、実施例1に記載の方法が使用される。
【0107】
さらなる側面は、ミスフォールドTDP-43、例えば、本明細書に記載の免疫原により産生された細胞質および/または凝集ミスフォールドTDP-43に優先的に結合する抗体を含む。
【0108】
ある実施形態において、産生された抗体は、DAGWGNL(配列番号1)との関係において少なくともW68に特異的に結合する。
【0109】
III.抗体、免疫複合体、細胞および核酸
DAGWGNL(配列番号1)または関連エピトープおよび上記の免疫原を含んでなる単離ペプチドは、天然TDP-43と比較してミスフォールドTDP-43に優先的に結合する抗体を産生するために使用され得る。
【0110】
したがって、ある側面は、天然TDP-43と比較してミスフォールドTDP-43に結合する抗体を含む。
【0111】
ある実施形態において、前記抗体は、TDP-43配列DAGWGNL(配列番号1)、その関連エピトープまたはその一部に結合し、ここで、前記抗体は、天然TDP-43と比較してミスフォールドTDP-43に優先的に結合する。
【0112】
ある実施形態において、前記抗体は、DAGWGNL(配列番号1)との関係においてW68、その関連エピトープまたはその一部に特異的に結合し、ここで、前記抗体は、天然TDP-43と比較してミスフォールドTDP-43に優先的に結合する。
【0113】
ある実施形態において、前記抗体は、天然TDP-43に特異的に結合しない、かつ/またはそれに対して選択的ではない。選択的結合は、本明細書に記載のように、ELISAまたは表面プラズモン共鳴測定を使用して測定することができる。
【0114】
ある実施形態において、前記抗体は単離される。
【0115】
さらなる側面は、TDP-43上に存在するエピトープに特異的または選択的に結合する抗体であり、ここで、前記エピトープは、前記抗体に対する結合に主に関与する少なくとも1つのアミノ酸残基を含んでなるか、またはそれからなり、ここで、少なくとも1つのアミノ酸は、DAGWGNL(配列番号1)との関係においてW68である。ある実施形態において、前記エピトープは、前記抗体に対する結合に主に関与する少なくとも3つの連続したアミノ酸残基を含んでなるか、またはそれらからなり、ここで、前記少なくとも3つの連続したアミノ酸は、DAGWGNL(配列番号1)内に含まれるGWGである。
【0116】
モノクローナル抗体を産生するために、抗体産生細胞(リンパ球)を、本明細書に記載の免疫原で免疫化された対象から回収し、標準的な体細胞融合手順により骨髄腫細胞と融合させ、それにより、これらの細胞を不死化し、ハイブリドーマ細胞を得ることができる。このような技術は当技術分野で周知であり(例えば、Kohler and Milstein (Nature 256:495-497 (1975)により最初に開発されたハイブリドーマ技術)、ならびに他の技術、例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al., Immunol.Today 4:72 (1983))、ヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Cole et al., Methods Enzymol, 121 : 140-67 (1986))、およびコンビナトリアル抗体ライブラリーのスクリーニング(Huse et al., Science 246:1275 (1989))も周知である。ハイブリドーマ細胞は、所望のエピトープと特異的に反応性である抗体を産生するために、免疫化学的にスクリーニングされ得、モノクローナル抗体は単離され得る。
【0117】
特定の抗原または分子に対して反応性である特異的抗体、または抗体フラグメントは、細胞表面成分を有する細菌において発現される免疫グロブリン遺伝子、またはそれらの部分をコードする発現ライブラリーをスクリーニングすることにより、作製してもよい。例えば、完全なFabフラグメント、VH領域およびFV領域は、ファージ発現ライブラリーを使用して、細菌において発現させることができる(例えば、Ward et al., Nature 41:544-546 (1989); Huse et al., Science 246:1275-1281 (1989);およびMcCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990)参照)。
【0118】
非ヒト種由来の(例えば、マウスまたはウサギ由来の)抗体のヒト化は、文献において十分に記載されている。例えば、EP-B1 0 239400およびCarter & Merchant 1997 (Curr Opin Biotechnol 8, 449-454, 1997、引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる)参照。ヒト化抗体はまた、容易に商業的に得られる(例えば、Scotgen Limited, 2 Holly Road, Twickenham, Middlesex, Great Britain)。
【0119】
ヒト化型の齧歯類抗体は、CDRグラフティングにより容易に作製される(Riechmann et al. Nature, 332:323-327, 1988)。このアプローチにおいて、齧歯類モノクローナル抗体の抗原結合部位を含んでなる6個のCDRループは、対応するヒトフレームワーク領域に連結される。フレームワーク領域のアミノ酸は、抗原認識に影響を及ぼし得るため、CDRグラフティングはしばしば、親和性が低い抗体をもたらす(Foote & Winter. J Mol Biol, 224: 487-499, 1992)。抗体の親和性を維持するために、部位特異的変異誘発または他の組換え技術により特定のフレームワーク残基を置き換えることがしばしば必要であり、抗原結合部位のコンピューターモデリングにより支援され得る(Co et al. J Immunol, 152: 2968-2976, 1994)。
【0120】
ヒト化型の抗体は、場合により、リサーフェシングにより得られる(Pedersen et al. J Mol Biol, 235: 959-973, 1994)。このアプローチでは、齧歯類抗体の表面残基のみがヒト化される。
【0121】
特定の抗原に特異的なヒト抗体は、ファージディスプレイ戦略により同定してもよい(Jespers et al. Bio/Technology, 12: 899-903, 1994)。1つのアプローチにおいて、特異的抗原に対して指向する齧歯類抗体の重鎖が、クローン化され、繊維状ファージ上でのFabフラグメントとしての提示のためにヒト軽鎖のレパートリーと対にされる。ファージは、抗原に対する結合により選択される。選択されたヒト軽鎖はその後、ファージ上での提示のためにヒト重鎖のレパートリーと対にされ、ファージは、抗原に対する結合により再度選択される。結果は、特定の抗原に特異的なヒト抗体Fabフラグメントである。別のアプローチにおいて、メンバーがそれらの外表面上に異なるヒト抗体フラグメント(FabまたはFv)を提示する、ファージのライブラリーが作製される(Dower et al., WO 91/17271 and McCafferty et al.、WO92/01047)。所望の特異性を有するファージディスプレイ抗体は、特異的抗原に対するアフィニティー濃縮により選択される。いずれかのアプローチから同定されたヒトFabまたはFvフラグメントは、哺乳動物細胞におけるヒト抗体としての発現のために再クローン化してもよい。
【0122】
ヒト抗体は、場合により、トランスジェニック動物から得られる(米国特許第6,150,584号;同第6,114,598号;および同第5,770,429号)。このアプローチでは、キメラまたは生殖系列変異マウスにおける重鎖連結領域(JH)遺伝子が欠失される。ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイが、その後、このような変異マウスに導入される。そして、得られたトランスジェニックマウスは、抗原チャレンジ時にヒト抗体の完全レパートリーを産生することができる。
【0123】
ヒト化抗体またはヒト抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAまたはIgEを含む免疫グロブリンの任意のクラス、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む任意のアイソタイプから選択される。ヒト化抗体またはヒト抗体は、1以上のアイソタイプまたはクラス由来の配列を含んでもよい。さらに、これらの抗体は、抗原結合フラグメント、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fvおよびシングルドメイン抗体フラグメントとして、または重鎖および軽鎖がスペーサーにより連結されている単鎖抗体として、一般に産生される。また、ヒト抗体またはヒト化抗体は、単量体型または重合体型で存在してもよい。ヒト化抗体は、場合により、1つの非ヒト鎖および1つのヒト化鎖(すなわち、1つのヒト化重鎖または軽鎖)を含んでなる。
【0124】
さらに、本明細書に記載のエピトープに対して特異的な抗体は、抗体ファージディスプレイライブラリーをスクリーニングすることにより、容易に単離される。例えば、抗体ファージライブラリーは、場合により、疾患特異的エピトープに対して抗体フラグメントを同定するために、本発明の疾患特異的エピトープを使用することにより、スクリーニングされる。同定された抗体フラグメントは、場合により、本発明の異なる複数の実施形態を有する有用な種々の組換え抗体を産生するために、使用される。抗体ファージディスプレイライブラリーは、例えば、Xoma社(バークレー、カリフォルニア州)を通じて市販されている。抗体ファージライブラリーをスクリーニングする方法は、当技術分野で周知である。
【0125】
したがって、ある実施形態において、本明細書に記載の抗体は、場合により融合した、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなり、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDR-H3のアミノ酸配列は、配列:AGGPTGNSHFTL(配列番号12)、ARNPVGSVNL(配列番号18)、ARRYTGDTYLGNFNL(配列番号24)、GRGDI(配列番号36)、ARDIFRTNTNL(配列番号48)、VRSSGSDWWFHI(配列番号122)、またはVRQNYEGAY(配列番号132)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3の配列は、配列AGGPTGNSHFTL(配列番号12)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3の配列は、配列ARNPVGSVNL(配列番号18)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3の配列は、配列ARRYTGDTYLGNFNL(配列番号24)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3の配列は、配列GRGDI(配列番号36)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3の配列は、配列ARDIFRTNTNL(配列番号48)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3の配列は、配列VRSSGSDWWFHI(配列番号122)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3の配列は、配列VRQNYEGAY(配列番号132)を含んでなる。
【0126】
したがって、ある実施形態において、本明細書に記載の抗体は、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなり、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDR-H3およびCDR-L3のアミノ酸配列は、配列:AGGPTGNSHFTL(配列番号12)およびSGYKRVTTDGIA(配列番号15);ARNPVGSVNL(配列番号18)およびAGWRGARTDGVD(配列番号21);ARRYTGDTYLGNFNL(配列番号24)およびAGGWRSLNA(配列番号27);GRGDI(配列番号36)およびLGNYDCSSVDCGA(配列番号39);AGGPTGNSHFTL(配列番号42)およびAGYKSPTTDGIA(配列番号45);ARDIFRTNTNL(配列番号48)およびLGGYDCSSRVCGA(配列番号51);VRSSGSDWWFHI(配列番号122)およびQGYFSGFITT(配列番号125);またはVRQNYEGAY(配列番号132)およびFQSSHVPWT(配列番号135)を含んでなる。
【0127】
一つの実施形態において、前記CDR-H3およびCDR-L3のアミノ酸配列は、配列:AGGPTGNSHFTL(配列番号12)およびSGYKRVTTDGIA(配列番号15)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3およびCDR-L3のアミノ酸配列は、配列:ARNPVGSVNL(配列番号18)およびAGWRGARTDGVD(配列番号21)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3およびCDR-L3のアミノ酸配列は、配列:ARRYTGDTYLGNFNL(配列番号24)およびAGGWRSLNA(配列番号27)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3およびCDR-L3のアミノ酸配列は、配列:GRGDI(配列番号36)およびLGNYDCSSVDCGA(配列番号39)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3およびCDR-L3のアミノ酸配列は、配列:AGGPTGNSHFTL(配列番号42)およびAGYKSPTTDGIA(配列番号45)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3およびCDR-L3のアミノ酸配列は、配列:ARDIFRTNTNL(配列番号48)およびLGGYDCSSRVCGA(配列番号51)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3およびCDR-L3のアミノ酸配列は、配列:VRSSGSDWWFHI(配列番号122)およびQGYFSGFITT(配列番号125)を含んでなる。一つの実施形態において、前記CDR-H3およびCDR-L3のアミノ酸配列は、配列:VRQNYEGAY(配列番号132)およびFQSSHVPWT(配列番号135)を含んでなる。
【0128】
ある側面において、本開示は、場合により融合した、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなる抗体であって、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: GFSLSRYY 配列番号 10;
CDR-H2: IIPGGTT 配列番号 11;
CDR-H3: AGGPTGNSHFTL 配列番号 12;
CDR-L1: ESVYNNNH 配列番号 13;
CDR-L2: EAS 配列番号 14;および
CDR-L3: SGYKRVTTDGIA 配列番号 15、
抗体を提供する。
【0129】
ある側面において、本開示は、場合により融合した、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなる抗体であって、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: GFSFSSNYV 配列番号 16;
CDR-H2: IWFAGIVDTT 配列番号 17;
CDR-H3: ARNPVGSVNL 配列番号 18;
CDR-L1: ESVYSNNR 配列番号 19;
CDR-L2: YAS 配列番号 20;および
CDR-L3: AGWRGARTDGVD 配列番号 21、
抗体を提供する。
【0130】
ある側面において、本開示は、場合により融合した、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなる抗体であって、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: GFSFSSSYV 配列番号 22;
CDR-H2: SDTGINT 配列番号 23;
CDR-H3: ARRYTGDTYLGNFNL 配列番号 24;
CDR-L1: QSVYKNNY 配列番号 25;
CDR-L2: KAS 配列番号 26;および
CDR-L3: AGGWRSLNA 配列番号 27、
抗体を提供する。
【0131】
ある側面において、本開示は、場合により融合した、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなる抗体であって、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: EFSFSSRYW 配列番号 28;
CDR-H2: IYTGSIDAT 配列番号 29;
CDR-H3: VRGSDAWGLYFNL 配列番号 30;
CDR-L1: QSIHKNNY 配列番号 31;
CDR-L2: FAS 配列番号 32;および
CDR-L3: AGVYSGRIFA 配列番号 33、
抗体を提供する。
【0132】
ある側面において、本開示は、場合により融合した、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなる抗体であって、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: GFSLSSYT 配列番号 34;
CDR-H2: IYGGIGST 配列番号 35;
CDR-H3: GRGDI 配列番号 36;
CDR-L1: QSVYKNR 配列番号 37;
CDR-L2: GAS 配列番号 38;および
CDR-L3: LGNYDCSSVDCGA 配列番号 39、
抗体を提供する。
【0133】
ある側面において、本開示は、場合により融合した、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなる抗体であって、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: GFSFSAYY 配列番号 40;
CDR-H2: TIPIGRT 配列番号 41;
CDR-H3: AGGPTGNSHFTL 配列番号 42;
CDR-L1: ESVYNNNQ 配列番号 43;
CDR-L2: QAS 配列番号 44;および
CDR-L3: AGYKSPTTDGIA 配列番号 45、
抗体を提供する。
【0134】
ある側面において、本開示は、場合により融合した、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなる抗体であって、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: GFSLSSYA 配列番号 46;
CDR-H2: IYNYET 配列番号 47;
CDR-H3: ARDIFRTNTNL 配列番号 48;
CDR-L1: QSVYKNNG 配列番号 49;
CDR-L2: FTS 配列番号 50;および
CDR-L3: LGGYDCSSRVCGA 配列番号 51、
抗体を提供する。
【0135】
ある側面において、本開示は、場合により融合した、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなる抗体であって、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: GFSLSSYN 配列番号 120;
CDR-H2: IGTGGIT 配列番号 121;
CDR-H3: VRSSGSDWWFHI 配列番号 122;
CDR-L1: QSVYNNNN 配列番号 123;
CDR-L2: RAS 配列番号 124;および
CDR-L3: QGYFSGFITT 配列番号 125、
抗体を提供する。
【0136】
ある側面において、本開示は、場合により融合した、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなる抗体であって、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: GFTFSSYY 配列番号 130;
CDR-H2: INSNGGST 配列番号 131;
CDR-H3: VRQNYEGAY 配列番号 132;
CDR-L1: QSIVHSNGNTY 配列番号 133;
CDR-L2: KVS 配列番号 134;および
CDR-L3: FQSSHVPWT 配列番号 135、
抗体を提供する。
【0137】
ある側面において、本開示は、場合により融合した、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなる抗体であって、前記重鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含んでなり、前記軽鎖可変領域は、相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含んでなり、前記CDRのアミノ酸配列は、以下の配列を含んでなる:
CDR-H1: GFTFSSYY 配列番号 140;
CDR-H2: INTNGGST 配列番号 141;
CDR-H3: VRQNYEGAY 配列番号 142;
CDR-L1: QSIVHSNGNTY 配列番号 143;
CDR-L2: KVS 配列番号 144;および
CDR-L3: FQSSHVPWT 配列番号 145、
抗体を提供する。
【0138】
ある実施形態において、前記抗体は、i)配列番号98において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号98に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号10~12において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または前記抗体は、i)配列番号99において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号99に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号13~15において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号76において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号77において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる。
【0139】
ある実施形態において、前記抗体は、i)配列番号100において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号100に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号16~18において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体は、i)配列番号101において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号101に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号19~21において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号78において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号79において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる。
【0140】
ある実施形態において、前記抗体は、i)配列番号102において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号102に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号22~24において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または前記抗体は、i)配列番号103において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号103に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号25~27において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号80において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号81において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる。
【0141】
ある実施形態において、前記抗体は、i)配列番号104において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号104に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号28~30において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体は、i)配列番号105において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号105に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号31~33において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号82において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号83において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる。
【0142】
ある実施形態において、前記抗体は、i)配列番号106において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号106に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号34~36において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または前記抗体は、i)配列番号107において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号107に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号37~39において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号84において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号85において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる。
【0143】
ある実施形態において、前記抗体は、i)配列番号108において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号108に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号40~42において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または前記抗体は、i)配列番号109において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号109に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号43~45において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号86において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号87において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる。
【0144】
ある実施形態において、前記抗体は、i)配列番号110において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号110に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号46~48において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体は、i)配列番号111において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号111に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号49~51において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号88において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号89において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる。
【0145】
ある実施形態において、前記抗体は、i)配列番号128において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号128に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号120~122において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または前記抗体は、i)配列番号129において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号129に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号123~125において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号126において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号127において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる。
【0146】
ある実施形態において、前記抗体は、i)配列番号138において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号138に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号130~132において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体は、i)配列番号129において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号129に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号133~135において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号136において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号137において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる。
【0147】
ある実施形態において、前記抗体は、i)配列番号148において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号148に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号140~142において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる重鎖可変領域を含んでなり;かつ/または、前記抗体は、i)配列番号149において示されるアミノ酸配列、ii)配列番号149に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、ここで、CDR配列は配列番号143~145において示される、もしくはiii)i)の保存的置換アミノ酸配列、を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなり、場合により、前記重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号146において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされ、かつ/または前記軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号147において示されるヌクレオチド配列またはコドン縮重もしくはその最適化バージョンによりコードされる。
【0148】
ある実施形態において、前記抗体は、配列番号98、100、102、104、106、108、110、128、138、または148のいずれか1つにおいて示される保存的置換アミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域を含んでなる。ある実施形態において、前記抗体は、配列番号99、101、103、105、107、109、111、129、139、または149のいずれか1つにおいて示される保存的置換アミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域を含んでなる。例えば、前記重鎖可変領域および/または前記軽鎖可変領域、場合によりフレームワーク領域1、2および/または3は、1、2、3、4または5個の保存的アミノ酸置換を含み得る。
【0149】
ある実施形態において、前記抗体はモノクローナル抗体である。ある実施形態において、前記抗体は、キメラ抗体、例えば、ヒト化抗体である。ある実施形態において、前記抗体は単鎖抗体である。
【0150】
ある実施形態において、前記抗体はアフィニティー精製される。
【0151】
ある実施形態において、前記抗体は、本明細書に記載の単離ペプチドまたは免疫原を使用して産生またはスクリーニングされる。
【0152】
別の側面は、本明細書に記載の抗体、場合により、本明細書に記載のCDRセットを含んでなる抗体と、ヒトミスフォールドTDP43に対する結合に関して競合する抗体を含む。
【0153】
抗体間の競合は、例えば、供試抗体が共通抗原に対する参照抗体の特異的結合を阻害するその能力に関して評価されるアッセイを使用して、決定することができる。過剰な試験抗体(例えば、少なくとも2倍、5倍、10倍または20倍)が、競合結合アッセイにおいて測定された結果、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%、参照抗体の結合を阻害する場合、試験抗体は参照抗体と競合する。
【0154】
さらなる側面は、検出可能な標識にコンジュゲートされた抗体である。ある実施形態において、検出可能な標識は、陽電子放出放射性核種である。陽電子放出放射性核種は、例えば、PETイメージングにおいて使用され得る。
【0155】
したがって、ある実施形態は、本明細書に記載の抗体および検出可能な標識を含んでなる免疫複合体を提供する。
【0156】
さらなる側面は、本明細書に記載の抗体および/またはその結合フラグメントおよびミスフォールドTDP-43を含んでなる抗体複合体に関する。さらなる側面は、本明細書に記載の抗体またはその一部をコードする単離核酸である。
【0157】
重鎖または軽鎖をコードする核酸、例えば、本明細書に記載のCDR-H1、CDR-H2および/もしくはCDR-H3領域を含んでなる重鎖をコードする、または本明細書およびより詳しくは表3に記載のCDR-L1、CDR-L2および/もしくはCDR-L3領域を含んでなる軽鎖をコードする核酸も提供される。
【0158】
例えば、核酸配列は、配列番号76~89、配列番号126~127、配列番号136~137および/または配列番号146~147のいずれか1つを含んでなる。
【0159】
本開示はまた、本明細書に開示される抗体をコードする核酸配列のバリアントを提供する。
【0160】
例えば、前記バリアントは、少なくとも中等度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で本明細書に開示される抗体をコードする核酸配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列、またはコドン縮重または最適化配列を含む。別の実施形態において、バリアント核酸配列は、配列番号76~89、配列番号126~127、配列番号136~137および/または配列番号146~147のいずれか1つを含んでなる核酸配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、最も好ましくは、少なくとも80%、さらにより好ましくは、少なくとも90%、さらに最も好ましくは、少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0161】
さらなる側面は、本明細書に記載の単離ペプチド、免疫原、または抗体のアミノ酸残基をコードする単離核酸を提供する。
【0162】
別の側面は、本明細書に開示される核酸を含んでなる発現カセットまたはベクターである。ある実施形態において、前記ベクターは単離ベクターである。
【0163】
前記ベクターは、抗体および/もしくはその結合フラグメントを産生する、または本明細書に記載のペプチド配列を発現するのに好適なベクターを含む、任意のベクターであり得る。
【0164】
核酸分子は、タンパク質の発現を保証する適当な発現ベクターに、公知の様式で組み込んでもよい。可能性のある発現ベクターとしては、限定されるものではないが、コスミド、プラスミド、または改変ウイルス(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)が挙げられる。ベクターは、使用される宿主細胞に適合するべきである。発現ベクターは、「宿主細胞の形質転換に好適」であり、それは、発現ベクターが、本明細書に記載のエピトープ/ペプチドまたは抗体に相当するペプチドをコードする核酸分子を含有することを意味する。
【0165】
ある実施形態において、前記ベクターは、例えば、単鎖抗体(例えば、イントラボディ)を発現するのに好適である。好適な調節配列は、細菌、真菌、ウイルス、哺乳動物、または昆虫の遺伝子を含む、種々の源に由来し得る。このような調節配列の例としては、転写プロモーターおよびエンハンサーまたはRNAポリメラーゼ結合配列、リボソーム結合配列(翻訳開始シグナルを含む)が挙げられる。さらに、選択される宿主細胞および使用されるベクターに応じて、他の配列、例えば、複製起点、さらなるDNA制限部位、エンハンサー、および転写の誘導性を付与する配列を、発現ベクターに組み込んでもよい。ある実施形態において、前記調節配列は、神経組織および/または細胞における発現を指示するまたは増大させる。ある実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。組換え発現ベクターは、本明細書に記載の抗体またはエピトープペプチドを発現するためのベクターで形質転換、感染またはトランスフェクトされた宿主細胞の選択を容易にするマーカー遺伝子も含有してもよい。組換え発現ベクターは、組換えペプチドの発現または安定性の増大;組換えペプチドの溶解性の増大;ならびに、例えば、本明細書に記載のタグおよび標識を含む、アフィニティー精製におけるリガンドとして作用することによる、標的組換えペプチドの精製における支援をもたらす、融合部分(すなわち、「融合タンパク質」)をコードする発現カセットを含有してもよい。さらに、融合タンパク質の精製に次ぐ融合部分からの組換えタンパク質の分離を可能にするために、タンパク質分解切断部位を標的組換えタンパク質に加えてもよい。典型的な融合発現ベクターとしては、組換えタンパク質に対してそれぞれグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを融合しているpGEX(Amrad Corp.、メルボルン、オーストラリア)、pMAL(New England Biolabs社、ビバリー、マサチューセッツ州)およびpRIT5(Pharmacia社、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)が挙げられる。
【0166】
別の側面において、本明細書に記載の抗体を発現する細胞も提供される。ある実施形態において、前記細胞は、本明細書に記載の抗体を発現するか、または本明細書に開示されるベクターを含んでなる、単離細胞および/または組換え細胞である。ある実施形態において、前記細胞は、融合細胞、例えば、ハイブリドーマである。
【0167】
前記組換え細胞は、ポリペプチドを産生するのに好適な、例えば、抗体および/またはその結合フラグメントを産生するのに好適な任意の細胞を使用して、作製することができる。例えば、細胞に核酸(例えば、ベクター)を導入するために、前記細胞を、使用されるベクターに応じて、トランスフェクト、形質転換または感染させてもよい。
【0168】
好適な宿主細胞としては、多種多様な原核生物および真核生物宿主細胞が挙げられる。例えば、本明細書に記載のタンパク質は、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルスを使用して)、酵母細胞または哺乳動物細胞において発現させてもよい。
【0169】
ある実施形態において、前記細胞は、酵母、植物、蠕虫、昆虫、鳥、魚、爬虫類および哺乳動物の細胞から選択される真核細胞である。
【0170】
別の実施形態において、前記哺乳動物細胞は、骨髄腫細胞、脾臓細胞、またはハイブリドーマ細胞である。
【0171】
ある実施形態において、前記細胞は神経細胞である。
【0172】
抗体またはペプチドを発現するのに好適な酵母および真菌宿主細胞としては、限定されるものではないが、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ピキア属またはクリベロマイセス属および様々な種のアスペルギルス属が挙げられる。酵母S.セレビシエにおける発現のためのベクターの例としては、pYepSec1、pMFa、pJRY88、およびpYES2(Invitrogen Corporation、サンディエゴ、カリフォルニア州)が挙げられる。酵母および真菌の形質転換のためのプロトコールは、当業者に周知である。
【0173】
好適であり得る哺乳動物細胞としては、とりわけ、COS(例えば、ATCC番号CRL1650または1651)、BHK(例えば、ATCC番号CRL6281)、CHO(ATCC番号CCL61)、HeLa(例えば、ATCC番号CCL2)、293(ATCC番号1573)およびNS-1細胞が挙げられる。哺乳動物細胞における発現を指示するための好適な発現ベクターとしては、一般に、プロモーター(例えば、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびサルウイルス40などのウイルス材料由来)、ならびに他の転写および翻訳調節配列が挙げられる。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8およびpMT2PCが挙げられる。
【0174】
ある実施形態において、前記細胞は、融合細胞、例えば、ハイブリドーマ細胞であり、前記ハイブリドーマ細胞は、例えば、ミスフォールドTDP-43に選択的に結合するものを含む、本明細書に記載のエピトープまたはエピトープ配列に対して特異的な抗体および/または選択的な抗体を産生する。
【0175】
さらなる側面は、本明細書に記載のエピトープに対して特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株である。
【0176】
IV.組成物
さらなる側面は、本明細書に記載の単離ペプチド、免疫原、抗体、または免疫複合体を含んでなる組成物である。本明細書に記載の単離ペプチド、免疫原、抗体、または免疫複合体のうち2つ以上を含んでなる組成物も提供される。
【0177】
ある実施形態において、前記組成物は、希釈液を含んでなる。核酸およびベクターのための好適な希釈液としては、限定されるものではないが、水、生理食塩水およびエタノールが挙げられる。
【0178】
抗体もしくはそのフラグメントを含むポリペプチドおよび/または細胞のための好適な希釈液としては、限定されるものではないが、生理食塩水、pH緩衝液ならびにグリセロール溶液またはポリペプチドおよび/もしくは細胞を凍結させるのに好適な他の溶液が挙げられる。
【0179】
本明細書に記載のペプチド、化合物または免疫原を含んでなるある実施形態において、前記組成物は、アジュバントを含んでなる。
【0180】
ある実施形態において、前記アジュバントは、ミョウバン、モノホスホリルリピドAおよびQS21から選択される。
【0181】
使用され得るアジュバントとしては、例えば、通常、ワクチンとして使用される死滅細菌または弱毒細菌の成分である内因性アジュバント(リポ多糖など)である。外因性アジュバントは、一般に抗原と非共有結合され、かつ宿主免疫応答を増強するために処方される免疫調節剤である。水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウムおよびリン酸アルミニウム(まとめて一般にミョウバンという)が、アジュバントとして慣例的に使用される。広範な外因性アジュバントが、免疫原に対する強力な免疫応答を誘発し得る。これらには、サポニン、例えば、Stimulon(QS21、Aquila社、ウースター、マサチューセッツ州)またはそれから作製された粒子、例えば、ISCOMおよび(免疫刺激複合体)および膜タンパク質抗原と複合体を形成した(免疫刺激複合体)ISCOMATRIX、鉱油を有するプルロニックポリマー、死滅マイコバクテリアおよび鉱油、フロイント完全アジュバント、細菌産物、例えば、ムラミルジペプチド(MDP)およびリポ多糖(LPS)、ならびにリピドA、およびリポソームが含まれる。
【0182】
ある実施形態において、前記アジュバントは水酸化アルミニウムである。別の実施形態において、前記アジュバントはリン酸アルミニウムである。水中油型エマルションとしては、スクアレン;落花生油;MF59(WO90/14387);SAF(Syntex Laboratories社、パロアルト、カリフォルニア州);およびRibi(商標)(Ribi Immunochem社、ハミルトン、モンタナ州)が挙げられる。水中油型エマルションは、免疫刺激剤、例えば、ムラミルペプチド(例えば、N-アセチルムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、-アセチル-ノルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(nor-MDP)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミル-L-アラニン-2-(1’-2’ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(MTP-PE)、N-アセチルグルコサミル-N-アセチルムラミル-L-Al-D-イソグル-L-Ala-ジパルミトキシプロピルアミド(DTP-DPP)テラミド(商標))、または他の細菌細胞壁成分とともに使用してもよい。
【0183】
前記アジュバントは、単一組成物としての免疫原とともに投与してもよい。あるいは、前記免疫原の投与の前、それと同時および/またはその後に、アジュバントを投与してもよい。
【0184】
ある実施形態において、前記組成物は、本明細書に記載の抗体またはその一部を含んでなる。別の実施形態において、前記組成物は、本明細書に記載の抗体またはその一部および希釈液を含んでなる。ある実施形態において、前記組成物は無菌組成物である。
【0185】
いくつかの実施形態において、前記組成物は無菌である。
【0186】
ある実施形態において、前記組成物は、ミスフォールドTDP-43を検出することなど、本明細書に記載の方法のためのものである。
【0187】
ある実施形態において、前記組成物は、薬学上許容可能な担体、希釈液、および/または賦形剤を含んでなる。ある実施形態において、前記組成物は、例えば、それを必要とする対象、例えば、TDP-43タンパク質症を有する対象を治療することなど、本明細書に記載の方法のための医薬組成物である。
【0188】
前記組成物は、本明細書に記載の1以上の抗体を含んでなり得る。
【0189】
V.キットおよびパッケージ
さらなる側面は、無菌バイアルなどのバイアルまたは他の収容容器に含まれた、i)単離ペプチド、ii)免疫原、iii)抗体、iv)免疫複合体、v)単離核酸、またはvi)組成物、ならびに場合により、参照剤および/またはその使用説明書を含んでなるキットまたはパッケージに関する。
【0190】
ある実施形態において、前記キットはELISAである。ある実施形態において、前記キットは、例えば、MesoScale社、Quanterix社またはSingulex社を通じて入手可能なものと類似した、または本明細書に記載の方法を実施するための、マルチプレックスアッセイまたは平面アレイキットである。
【0191】
ある実施形態において、前記キットは、無菌バイアルなどの容器に含まれた本明細書に記載の抗体を含んでなる。
【0192】
ある実施形態において、前記キットは、ELISAまたは本明細書に記載の方法のための使用説明書を含んでなる。
【0193】
VI.方法
本明細書に記載の単離ペプチド、免疫原および抗体を作製する方法が含まれる。
【0194】
特に、DAGWGNL(配列番号1)との関係においてW68または関連エピトープに対して選択的な抗体を作製する方法が提供される。ある実施形態において、前記方法は、本明細書に記載の単離ペプチド、免疫原、または組成物を非ヒト対象に投与すること、ならびに免疫原および/またはミスフォールドTDP-43のTDP-43ペプチドに選択的に結合する抗体を単離することを含んでなる。例えば、抗体を単離することは、本出願に記載の1以上の方法が関与し得る。
【0195】
ある実施形態において、前記方法は、免疫グロブリン遺伝子、またはそれらの部分をコードする発現ライブラリーから、免疫原および/またはミスフォールドTDP-43のTDP-43ペプチドに選択的に結合する抗体を単離することを含んでなる。場合により、前記発現ライブラリーはファージディスプレイライブラリーである。
【0196】
さらなる側面は、非ヒト対象において免疫応答を誘導する方法であって、本明細書に記載の化合物、免疫原および/または化合物を含んでなる組成物を前記対象に投与すること;ならびに場合により、投与された化合物または免疫原に特異的に結合する細胞および/または抗体を単離することを含んでなる方法を含む。
【0197】
ある実施形態において、前記方法は、DAGWGNL(配列番号1)との関係においてW68または関連エピトープに特異的に結合する抗体を単離することをさらに含んでなる。
【0198】
ある実施形態において、前記方法は、抗体産生ハイブリドーマを形成することをさらに含んでなる。例えば、上記で考察したように、モノクローナル抗体は、本明細書に記載の方法を使用して作製することができる。
【0199】
さらなる側面は、本明細書に記載の方法により産生される抗体を提供する。
【0200】
さらなる側面は、サンプルがミスフォールドTDP-43を含んでなるかどうかを検出する方法を提供する。
【0201】
ある実施形態において、前記方法は、
a.前記サンプルを、抗体:ミスフォールドTDP-43ポリペプチド複合体を産生することを許容する条件下で、本明細書に記載の抗体と接触させること;および
b.任意の複合体の存在を検出すること
を含んでなり、
ここで、検出可能な複合体の存在は、前記サンプルがミスフォールドTDP-43ポリペプチドを含有し得ることを示すものである。
【0202】
別の実施形態において、前記方法は、
(a)前記対象の試験サンプルを、抗体-抗原複合体を産生することを許容する条件下で、本明細書に記載の抗体と接触させること;
(b)前記試験サンプル中の抗体-抗原複合体の量を測定すること;および
(c)前記試験サンプル中の抗体-抗原複合体の量を対照と比較すること
を含んでなり、
ここで、対照と比較して前記試験サンプル中の抗体-抗原複合体を検出することは、前記サンプルがミスフォールドTDP-43を含んでなることを示すものである。
【0203】
前記測定することは、例えば、免疫蛍光によるものであってもよい。前記方法は、共局在染色、例えば、pan-TDP-43染色も含み得る。
【0204】
ある実施形態において、前記サンプルは生物サンプルである。ある実施形態において、前記サンプルは、血液、血清、血漿、脳組織、脊髄組織もしくはその抽出物および/またはCSFを含んでなる。前記サンプルは、画分でもあり得る。例えば、前記サンプルは、脳、CSFおよび/または血液由来の細胞外小胞を含んでなり得る。ある実施形態において、前記サンプルは、ヒト対象から得られる。
【0205】
ある実施形態において、前記サンプルは、ALSを有する対象に由来する。別の実施形態において、前記サンプルは、FTDを有する対象に由来する。ある実施形態において、前記サンプルは、大脳辺縁系優位型老年期TDP-43脳症(LATE)に由来する。
【0206】
イムノアッセイ、例えば、フローサイトメトリー、ドットブロットまたはスロットブロット、ウエスタンブロット、ELISA、および免疫沈降に次いでSDS-PAGE免疫細胞化学を含む、多数の方法を使用して、ミスフォールドTDP-43ポリペプチドがサンプル中に存在するかどうかを、本明細書に記載の抗体を使用して決定することができる。使用することができる他の免疫ベースの方法としては、シングルプレックスおよびマルチプレックスイムノアッセイプラットフォームが挙げられる。
【0207】
個々の免疫複合体が常磁性ビーズ上に単離され、検出されるシングルプレックスビーズベースのプラットフォームを使用することができる。好適なビーズベースのシングルプレックスプラットフォームとしては、Quanterix社から入手可能なものが挙げられる。
【0208】
これらの目的に好適なマルチプレックスイムノアッセイプラットフォームとしては、ビーズまたは粒子ベースのプラットフォーム、および平面アレイプラットフォームが挙げられる。
【0209】
捕捉抗体が、粒子、例えば、蛍光色素ビーズまたは常磁性ビーズ上に固定化され、分析物が第2の検出抗体で検出される、ビーズベースまたは粒子ベースのプラットフォームを使用することができる。好適なビーズベースのマルチプレックスプラットフォームとしては、例えば、AbCam社製のLuminex(登録商標)、AbCam社製のFirePlex(商標)、およびQuanterix社から入手可能なものが挙げられる。
【0210】
捕捉抗体が、固体表面、例えば、メンブレン、ガラス表面、または例えば96ウェルプレートもしくは384ウェルプレートの個々のウェル上にマイクロアレイ形式で固定化され、分析物が第2の検出抗体で検出される、平面アレイプラットフォームを使用することができる。マイクロアレイプラットフォームの空間的分離のために、スポット座標を使用して、検出された分析物を同定することができる。好適な平面アレイプラットフォームとしては、例えば、Quaternix社またはMesoscale社から入手可能なものが挙げられる。
【0211】
蛍光標識検出抗体を利用したビーズベースまたは粒子ベースのアッセイに次いで、検出抗体を、免疫複合体から溶出し、かつキャピラリー流体工学およびレーザーを使用して個々の蛍光分子を検出および計数することにより定量化する、単一分子計数を行ってもよい。好適な技術としては、例えば、Singulex社から入手可能なものが挙げられる。
【0212】
コンフォメーション特異的結合を評価するために、表面プラズモン共鳴を使用することができる。
【0213】
本明細書に記載の標識抗体は、ミスフォールドTDP-43の位置を検出するために、対象に投与することもできる。
【0214】
ミスフォールドTDP-43細胞間伝播を阻害する方法であって、本明細書に記載の抗体を、それを必要とする対象、例えば、TDP-43タンパク質症を有すると疑われる、それを発症するリスクにある、またはそれと診断されている対象に投与することを含んでなる方法も提供される。
【0215】
TDP-43タンパク質症を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載の開示の抗体、免疫複合体、免疫複合体の前記抗体を含んでなる組成物を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる方法も提供される。
【0216】
ある実施形態において、前記TDP-43タンパク質症は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭葉変性症(FTLD-TDP)、原発性側索硬化症、進行性筋萎縮症、および大脳辺縁系優位型老年期TDP-43脳症(LATE)から選択される。
【0217】
さらなる側面は、有効量の本明細書に記載の開示の抗体もしくは免疫複合体、または前記抗体もしくは免疫複合体を含んでなる組成物を、場合により、別のTDP-43タンパク質症治療と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含んでなる、対象を治療する方法である。他のTDP-43タンパク質症治療としては、限定されるものではないが、ALSに対する治療、例えば、リルゾール(リルテックまたはTiglutik(商標))、エダラボン(ラジカヴァ(商標))、およびニューデクスタ(商標)(デキストロメトルファンおよびキニジンの組合せ)が挙げられる。
【0218】
前記抗体は、例えば、薬学上許容可能な担体、希釈液および/または賦形剤と例えば組み合せて、本明細書に記載の組成物に含まれ得、かつ例えば、送達を改善するためのベシクルにおいて処方され得る。抗体(例えば、2以上の抗体)および/または免疫複合体の組合せも使用することができる。
【0219】
本明細書に記載の組成物、抗体、免疫原、および免疫複合体は、例えば、非経口投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、頭蓋内投与、脳室内投与、くも膜下腔内投与、眼窩内投与、眼投与、脊髄内投与、槽内投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、エアロゾル投与または経口投与により投与され得る。
【0220】
特定の複数の実施形態において、前記組成物は全身投与される。
【0221】
他の複数の実施形態は、本明細書に記載の組成物、抗体、および免疫複合体の、血液脳関門を介する輸送を促進することで知られる生物活性分子との同時投与を企図する。
【0222】
特定の複数の実施形態において、米国特許第7,012,061号「血液脳関門の透過性を増大させる方法」(引用することにより本明細書の一部とされる)に記載のように、血液脳関門の透過性を一過性に増大させるように向けられたものなど、血液脳関門を介して本明細書に記載の組成物、抗体、および免疫複合体を投与する方法も企図される。
【0223】
それを必要とする対象または細胞における本明細書に記載の1以上の抗体の発現のための、本明細書に記載の組成物および/または核酸のウイルス送達も、本明細書において企図される。ある側面は、有効量の本明細書に記載の開示のベクター化抗体、または前記ベクター化抗体を含んでなる組成物を、場合により、別のTDP-43タンパク質症治療と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含んでなる、対象を治療する方法を含む。一つの実施形態において、前記ベクター化抗体は、本明細書に記載の抗体をコードする核酸を含んでなるウイルスベクターである。一つの実施形態において、前記方法は、それを必要とする対象におけるイントラボディの細胞内発現のためのものである。イントラボディは、例えば、細胞内ミスフォールドTDP-43凝集を阻害し得るか、またはミスフォールド凝集体のクリアランスを促進する。
【0224】
前記ベクター化抗体は、組成物中のものであり得る。非ウイルスベクター、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV、例えば、AAV9)およびレンチウイルスベクターなども使用することができる。特定の複数の実施形態において、前記核酸および/またはベクターは、脳室内注射またはくも膜下腔内注射され得る。
【0225】
上記の開示は、一般に、本出願を説明するものである。より完全な理解は、以下の具体的な実施例を参照することにより得ることができる。これらの実施例は、例示の目的のためにのみ説明され、本出願の範囲を限定することを意図したものではない。状況が便宜を示唆し得るか、与え得る限り、形態の変更および均等物の置換が企図される。特定の用語が本明細書において使用されているが、このような用語は、説明的な意味であることを意図し、限定の目的のためのものではない。
【0226】
以下の限定されない例は、本開示の例示的なものである:
【実施例】
【0227】
実施例1
TDP-43エピトープ
TDP-43 NTDは、ユビキチン様ドメインを含んでなる。TDP-43 NTD Trp68は、タンパク質を含有する他のユビキチン様ドメイン(例えば、ヒトユビキチン、アキシン1、ヒトおよびDvl-2)と整列される場合、TDP-43に一意的に存在する[9]。Trp68は、PDBID 2N4Pおよび6B1GなどのPDB構造において溶媒露出されていないことを決定した。Trp68(すなわち、NM_007375.3において表されるヒト配列中の位置)は、ミスフォールドTDP-43において溶媒露出されている(抗体がアクセス可能)であろうと仮定した。トリプトファン68を中心とする7個のアミノ酸ペプチドを選択し、実施例2に記載の通りに免疫原を設計した。
【0228】
実施例2
免疫原の構築
ペプチドDAGWGNLc(配列番号9)を、標準的なプロトコール(GenScript USA Inc、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)に従って合成した。前記ペプチドのN末端をアセチル化した。
【0229】
次いで、合成されたペプチドを、C末端cys残基を介してキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)(免疫化用)またはBSA(スクリーニング用)にコンジュゲートし、実施例3において使用する免疫原を産生した。
【0230】
実施例3
ポリクローナル抗体の作製および選択
C末端システインを介してKLHに連結されたペプチドDAGWGNL(配列番号1)を含んでなる免疫原を使用して、ポリクローナル抗体を産生した。
【0231】
免疫化
2匹のニュージーランドウサギ(GS240およびGS243と名付けた)を、実施例2に記載のKLHコンジュゲートDAGWGNLc(配列番号9)ペプチドを使用して、免疫化した(動物あたり一次免疫および2回の追加免疫注射)。3回目の免疫化後、血液を各ウサギから採取し、抗血清を単離した。保存剤(0.02%アジ化ナトリウム終濃度)を、各単離抗血清(未精製抗血清)に加えた。免疫前血清も各動物から得、保存剤(0.02%アジ化ナトリウム)と合わせた。
【0232】
アフィニティー精製
各ウサギ抗血清のIgG画分を、硫酸塩沈殿により単離した。次いで、沈殿を、樹脂をDAGWGNLペプチドで調製したアフィニティーカラム沈殿に供した。抗血清をカラム中でインキュベートした後、PBS中のステップワイズpHグラジエントを使用して、抗体を溶出させた。終濃度をBCAアッセイにより決定し、滴定をELISAにより行った。GS240由来のアフィニティー精製抗体は、約0.5mg/mlの濃度を有し、GS243由来のアフィニティー精製抗体は、約0.6mg/mLの濃度を有していた。
【0233】
ELISA条件:
ELISAプレートを、4μg/ウェルのDAGWGNL(配列番号1)ペプチド、PBS(pH7.4)中100μL/ウェルで、4℃にて一晩コーティングした。
【0234】
使用した二次抗体は、HRPにコンジュゲートした抗ウサギIgG Fcモノクローナル二次抗体(GenScript社、カタログ番号A01856)であった。
【0235】
ELISAの結果を表1Aおよび1Bに示し、それらは、未精製抗血清(1A)および免疫化ペプチドに対して作製されたアフィニティー精製抗体(1B)の段階希釈の結合を示す。
【0236】
【0237】
【0238】
実施例4
ミスフォールドTDP-43の検出
アフィニティー精製抗体を、免疫細胞化学を使用した細胞トランスフェクションアッセイにおいて、天然TDP-43ポリペプチドおよびミスフォールドTDP-43ポリペプチドに結合するそれらの能力に関して試験した。
【0239】
方法
使用した細胞培養および免疫組織化学法は、Pokrishevsky E, Grad LI, Cashman NR. (2016) TDP-43 or FUS-induced misfolded human wild-type SOD1 can propagate intercellularly in a prion-like fashion. Sci Rep. 2016;6:22155. doi: 10.1038/srep22155(引用することにより本明細書の一部とされる)において以前に記載された方法に基づいている。
【0240】
簡単に述べれば、0.01%ポリ-Dリシンでプレコートされたホウケイ酸塩カバーガラス上で、10%FBS、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンおよび2mM L-グルタミン(ThermoFisher Scientific社、マサチューセッツ州、米国)を含有する完全ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、ヒト胚性腎臓細胞(HEK293FT;ATCC、マナッサス、バージニア州)を培養した。細胞を、製造業者の説明書に従って、リポフェクタミン(商標)LTX(ThermoFisher Scientific社、マサチューセッツ州、米国)を使用して、キメラレポータータンパク質を有する異なるTDP-43 DNAプラスミド構築物でトランスフェクトした。使用した構築物は、空ベクター、核局在化シグナルにおける三重ミスセンスタンデム変異を有するHA-タグヒトTDP-43(ΔNLS-TDP-43)、本来のNLS配列を有するヒトTDP43(WT-TDP43)、およびトリプトファン68がセリンに変異したΔNLS-TDP43(W68S)であった。
【0241】
トランスフェクションの48時間後、細胞を4%パラホルムアルデヒドに37℃にて1時間固定し、冷PBS中で迅速に洗浄し、PBS中0.01%トリトンXにおいて10分間透過処理し、次いで、10%正常ヤギ血清(NGS)で室温にて1時間ブロッキングした。染色のために、実施例3に記載のアフィニティー精製ウサギ抗体を、PBS中10%NGSに希釈し、抗血清GS240については約0.5μg/mL、抗血清GS243については約0.60μg/mLとし、1μg/mlラット抗HAタグを対比染色として使用した(Roche Diagnostics社、インディアナ州)。細胞を両抗体で4℃にて一晩インキュベートし、次いで、PBS中で3回洗浄した後、Alexa Fluor(商標)-568または647蛍光色素(Life Technologies社、カールスバッド、カリフォルニア州;1:1000希釈)にコンジュゲートした二次抗体で、暗所にて室温で1時間インキュベートした。DNAを、2μg/mlビス-ベンズイミドH33342三塩酸塩(ヘキスト33342)を使用して1分間対比染色した。最後にPBS中で4回洗浄した後、Fluoromount-G(SouthernBiotech社、バーミンガム、アラバマ州)を滴下したスライドガラスに細胞を載せた。個々の切片の共焦点画像を、LAS-X(商標)ソフトウェアを用いたLeica TCS SP8(商標)顕微鏡(Leica Canada社)を使用して、撮影した。
【0242】
結果:
結果を
図1A-1Lおよび2A-2Lに示す。
【0243】
図1A、1E、1I、2A、2Eおよび2Iにおいて、核局在化シグナルにおける三重ミスセンスタンデム変異を有するHA-タグTDP-43構築物によりトランスフェクトしたHEK293細胞は、HA抗体により検出された、細胞質におけるTDP-43凝集体を示している。HA陽性凝集体も、ΔNLS-TDP-43 W68Sトランスフェクト細胞では明らかである(
図1B、1F、1J、2B、2Fおよび2J)。アフィニティー精製ポリクローナル抗体GS240(
図1)およびGS243(
図2)は、トリプトファン68残基(Trp68)を含んでなる、ΔNLS-TDP-43トランスフェクト細胞における凝集体を認識するが(
図1A、1E、1I、2A、2Eおよび2I)、Trp68がセリンに変異している場合、同じ反応性は示さない(
図1B、1F、1J、2B、2Fおよび2J)。したがって、抗DAGWGNL(配列番号1)ポリクローナルウサギ抗体は、Trp68残基を含んでなるミスフォールドTDP-43NTDに対する選択性を有する。
【0244】
HAタグ野生型TDP-43は、核局在化シグナルに変化をもたらさずに過剰発現する場合、一般に核に局在化し、核TDP-43は、GS240またはGS243アフィニティー精製血清に結合しない(
図1C、1G、1K、2C、2Gおよび2K)。興味深いことに、GS240およびGS243は、これらの細胞の細胞質に存在する場合、依然として野生型TDP-43に結合し(
図1Kおよび2K)、それにより、N末端ユビキチン様ドメイン(NTD)は、細胞質に誤局在する場合、WT-TDP43においてミスフォールドされ得ることが示唆される。
【0245】
GS240およびGS243ポリクローナル抗体は、TDP-43凝集体の非存在下で最小の反応性を示す(
図1Lおよび2Lのバックグラウンド染色、空ベクタートランスフェクションにおいて認められるように)。両抗体の反応性は、細胞質中の凝集体におけるミスフォールドTDP-43に対して選択的であり、Trp68の存在を必要とする。
【0246】
実施例5
マウスモノクローナル抗体の産生
KLHに連結されたcDAGWGNL(配列番号8)またはDAGWGNLc(配列番号9)などのDAGWGNL(配列番号1)を含んでなるペプチドを、モノクローナル抗体を産生するために使用することができる。
【0247】
免疫化 簡単に述べれば、長期間にわたる一連の水溶液皮下注射によりマウスを免疫化し、その後、マウスを安楽死させ、ハイブリドーマ細胞株の作製のためにリンパ球を回収する。
【0248】
融合体/ハイブリドーマの発生 リンパ球を単離し、ポリエチレングリコール(PEG1500)の存在下でマウスSP2/0骨髄腫細胞と融合させる。融合細胞を、HAT選択を用いて培養する。この方法は、半固体メチルセルロースベースのHAT選択培地を使用して、ハイブリドーマの選択およびクローニングを1つの工程にまとめるものである。単一細胞由来ハイブリドーマは、成長し、半固体培地上でモノクローナルコロニーを形成する。融合事象のおよそ10日後、得られたハイブリドーマクローンを、96ウェル組織培養プレートに移し、対数増殖中期に達するまで(およそ5日)、HT含有培地中で成長させる。
【0249】
ハイブリドーマ分析(スクリーニング)
ハイブリドーマ由来の組織培養上清は、スクリーニング抗原に対する間接的ELISAにより試験することができ、ヤギ抗IgG/IgM(H&L)-HRP二次を用いてIgG抗体およびIgM抗体の両方を探索し、TMB基質で展開することができる。
【0250】
陽性培養物を、分泌を確認するためのスクリーニング抗原、および無関係の抗原(ヒトトランスフェリン)に対して再試験する。目的のクローンを、それらがIgGまたはIgMアイソタイプであるかどうかを決定するために抗体捕捉ELISAによりアイソタイピングし、例えば、try68を欠く他のペプチド-BSAコンジュゲートに対する間接的ELISAにより、試験することができる。
【0251】
陽性IgG分泌クローンを大規模生産に供する。
【0252】
アイソタイピング
ハイブリドーマ抗体を、抗体捕捉実験を用いてアイソタイピングする。捕捉プレートを、100uL/ウェル炭酸コーティング緩衝液pH9.6にて、1:10,000ヤギ抗マウスIgG/IgM(H&L)抗体で、4℃にて一晩コーティングする。一次抗体(ハイブリドーマ上清)を100ug/mLで加える。二次抗体を1:5,000で加える。ヤギ抗マウスIgGγ-HRPまたは1:10,000ヤギ抗マウスIgMμ-HRPを、PBS-ツイーン中の100uL/ウェルで、37℃にて1時間振り混ぜながら加える。全洗浄工程は、PBS-ツイーンで30分間行う。基質TMBを50uL/ウェルで加え、暗所で展開し、等容量1M HClで停止する。
【0253】
抗体含有ハイブリドーマ組織培養上清を、免疫グロブリン型に関して分類し、陰性対照ペプチドおよびBSAに対してスクリーニングする。陰性対照ペプチドまたはBSAに結合しないIgG産生クローンを、ペプチドDAGWGNL(配列番号1)への結合に関して、ELISAにより試験する。
【0254】
実施例6
ウサギモノクローナル抗体の産生
C末端システインを介してKLHにコンジュゲートしたDAGWGNL(配列番号1)ペプチド(ペプチド-KLH)を、TDP-43ペプチドに特異的なモノクローナル抗体を分泌するB細胞の作製のためのウサギ免疫化に使用した。単離B細胞の間接的ELISA試験に基づき、B細胞を、RNA単離および組換えプラスミドDNAの作製のために選択した。精製mAbの作製のために、機能的抗原結合組換えmAbをトランスフェクトし、発現させた。
【0255】
免疫化:
2組のウサギを同時に免疫化した:1組は、迅速なウサギ(28日)免疫化によるものであり、1組は、標準的なウサギ(78日)免疫化によるものであった。
【0256】
迅速なウサギ免疫化:2匹のニュージーランドホワイト(NZB)ウサギを、200μgのペプチド-KLHの皮下注射(SC)により免疫化した。免疫化後7および14日目に、ウサギに対して、100μgのペプチド-KLHの1回目および2回目の追加免疫注射(SC)を行った。21日目に、試験出血を行い、IgGに対する間接的ELISAプロービングにより、血清を滴定した。28日目に、ヘパリン加全血採取および下流でのウサギモノクローナル抗体の展開のために、ウサギを放血させた。適当な力価は、1:64,000希釈での0.300OD超である。
【0257】
標準的なウサギ免疫化:2匹のニュージーランドホワイト(NZB)ウサギを、250μgのペプチド-KLHの皮下注射(SC)により免疫化した。免疫化後28および47日目に、ウサギに対して、250μgのペプチド-KLHの1回目および2回目の追加免疫注射(SC)を行った。58日目に、試験出血を行い、IgGに対する間接的ELISAプロービングにより、血清を滴定した。66日目に、250μgのペプチド-KLHの3回目の追加免疫を投与した(SC)。78日目に、ヘパリン加全血採取および下流でのウサギモノクローナル抗体の展開のために、ウサギを放血させた。適当な力価は、1:64,000希釈での0.300OD超である。日数は、+/-1~2日変動し得る。
【0258】
B細胞の単離、濃縮およびスクリーニング - 14日
B細胞のイン・ビトロ培養 - 7日:ウサギ由来のB細胞を、ヘパリン加全血から単離し、培養した。TDP43ペプチドを用いて、バイオパニングを行った。さらなる培養およびスクリーニングのために、抗原特異的B細胞をその後に蒔いた。
【0259】
抗体分析(スクリーニング) - 7日:プレートからのB細胞培養上清を、間接的ELISAによりBSAコンジュゲートTDP43直鎖状ペプチドに対して試験した。これは、ウサギIgG抗体に対する二次抗体で探索した。最も応答性を示した抗原特異的B細胞を、新しいプレートに移した。次いで、クローン上清を、BSAコンジュゲートTDP43直鎖状ペプチドに対する間接的ELISAにより滴定し、トップクローン選択を位置付けるために捕捉した。
【0260】
実施例7
モノクローナル抗体のクローニングおよびシークエンシング
マウスmAbのクローニング
いくつかのマウスハイブリドーマクローンに関する重鎖免疫グロブリン遺伝子および軽鎖免疫グロブリン遺伝子の可変領域を同定し、配列決定した。
【0261】
方法
全RNAをハイブリドーマ細胞から単離し、アイソタイプ特異的アンチセンスプライマーまたはユニバーサルプライマーのいずれかを使用して、cDNAに逆転写した。重鎖および軽鎖の抗体フラグメントを、cDNA末端の迅速増幅(RACE)により増幅した。増幅した抗体フラグメントを、標準クローニングベクターに別々にクローン化した。コロニーPCRを行い、正確なサイズのインサートを有するクローンに関してスクリーニングした。ハイブリドーマ細胞株あたり、5個のクローンを選択し、重鎖および軽鎖の両方に関して配列決定した。5個のクローンを用いて配列アラインメントを行い、各モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖配列を確信的に決定した。
【0262】
配列を以下の表2、3および4に示し、重鎖および軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3領域を、表3および4において下線および太字で示す。
【0263】
ウサギmAbのクローニング
クローニング - 14日:トップクローンに関して、抗体RNAの単離および組換えプラスミドDNAの作製を行った。各トップクローンに関して、重鎖および軽鎖可変領域を、ウサギ重鎖およびカッパ定常領域を含有する別々の哺乳動物発現ベクターにクローン化した。
【0264】
発現 - 14日:重鎖ベクターおよび軽鎖ベクターを、小規模トランスフェクションのために哺乳動物細胞にコトランスフェクトした。上清をBSAコンジュゲートTDP43ペプチドに対する間接的ELISAによりスクリーニングし、機能的組換えmAbが作製されたことを確認した。
【0265】
精製:トップ組換えmAb(1つの重鎖および1つの軽鎖を含有するDNA構築物)を、以下の表2、3および4に示すように配列決定し、重鎖および軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3領域を、表3および4において下線および太字で示す。さらなるmAbを配列決定し、配列番号52~75、90~97、および112~119を有していた。
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
実施例8
直接結合アッセイ
ペプチド(BSAにコンジュゲートした)に対する抗血清、ハイブリドーマ上清または精製抗体の結合は、Biacore(商標)3000機器(GE Healthcare社)を使用した表面プラズモン共鳴により調べることができる。
【0270】
高密度(少なくとも1000レスポンスユニット(RU))のフローセルに固定化された抗原を使用して、結合分析を行う。選択されたクローンの希釈を、結合を評価するための表面に逐次的に注入する。
【0271】
親和性速度論および特異性分析のために、DAQWGNL(配列番号1)またはGWGを含んでなり、かつBSAにコンジュゲートされたペプチドを、隣接するフローセルに低密度(50~100RU)で固定化する。次いで、選択されたクローン(4.7nM~75nM)の段階2倍希釈を、60μl/分で3分間表面に逐次的に注入した後、解離相が続く。二重参照減算の後、センサーグラムをラングミュア1:1結合モデルに当てはめる。同じセンサーチップおよび同じ条件を用いて、最大3回の別々の分析を、連続した3日間で行う。
【0272】
結合分析は、Molecular Affinity Screening System(MASS-2)(Sierra Sensors GmbH社、ハンブルク、ドイツ)を使用して行うこともできる。MASS-2は、高強度レーザー光および高速光学走査を使用して、結合相互作用をリアルタイムでモニタリングする表面プラズモン共鳴(SPR)イメージング分析バイオセンサーである。ペプチド-BSAコンジュゲートを、標準的なアミンカップリング化学を使用して、High Amine Capacity(HAC)センサーチップの別々のフローセルに共有結合的に固定化し、未反応部位を遮断する。隣接するフローセルを、参照対照表面としてのBSAで同様に固定化する。
【0273】
モノクローナル抗体の結合速度論
表面プラズモン共鳴(SPR)分析を用いて、ペプチドエピトープに対するモノクローナル抗体の結合速度論を測定した。ウシ血清アルブミン(BSA)にコンジュゲートしたペプチドを、センサーチップのフローセルに非常に低密度(およそ50RU)で固定化した。31.25nMから0.24nMに4倍希釈した精製マウスまたはウサギモノクローナル抗体を、表面におよそ5分間逐次的に注入した後、緩衝液における解離および表面再生が続いた。速度論曲線当てはめおよびラングミュア1:1相互作用モデルを用いて、結合パラメーターを計算した。マウスおよびウサギ両方のモノクローナル抗体は、
図3A~3Eおよび以下の表5に示すように、ペプチドエピトープに対してナノモル以下の高い親和性を示した。ウサギモノクローナル抗体は、マウスモノクローナル抗体(10
-10nM範囲)と比較して大きな親和性(10
-11nM範囲)を示した。
【0274】
【0275】
実施例9
エピトープは、天然に折り畳まれたTDP N末端ドメインではそうではないが、変性TDP N末端ドメインにおける抗体により認識される
TDP-43のN末端ドメイン(残基1~80)を、大腸菌におけるプラスミドから発現させ、以前に記載の通りに精製した(Wang et al. 2018 EMBO)。精製TDP-43 NTDをPBSに対して透析し、0.5mg/mlに濃縮し、-80℃で保存した。ウエスタンブロット解析のために、製造業者の仕様書に従って、Novex Bis-Trisシステムを使用してネイティブPAGEを行った。タンパク質サンプルを、NativePAGE(商標)Sample Bufferと混合した。プレキャストNativePAGE(商標)4~16%Bis-Trisゲルを、4℃にて150V定電圧で60分間、次いで、250Vで30分間ランした。製造業者の仕様書に従って、Novex Bis-Trisシステムを使用して変性SDS-PAGEを行った。タンパク質サンプルを、NuPAGE(商標)LDS Sample Bufferと混合した。プレキャストNuPAGE(商標)4~12%Bis-Trisゲルを、室温にて200V定電圧で35分間ランした。次いで、製造業者のプロトコールに従って、XCell II Blot Module(Invitrogen社、米国)を使用してタンパク質をPVDF(Thermo Fisher Scientific社、米国)メンブレンにブロットした。ブロットをTBST中5%粉乳においてブロッキングし、次いで、精製ウサギポリクローナル抗体GS240で4℃にて一晩インキュベートした。ChemiDoc MP(Biorad社、米国)での検出のために、ロバ抗ウサギIgG HRP標識二次抗体(GE Healthcare Life Sciences社、米国)を使用した。SuperSignal West Femto(Thermo Scientific社、米国)基質を、製造業者の説明書に従って使用した。
図4Aに示されるように、抗体は、SDS-PAGEゲル上の変性TDP-43 NTDのみを認識および染色し、ネイティブPAGEゲル上のTDP-43 NTDに対してはそうではなく、それにより、エピトープは、天然に折り畳まれたTDP-43においてアクセス不可能であり、ミスフォールディング時に露出するようになることが確認された(レーン1、2、3は、それぞれ0.6、0.3、0.15μg/レーンを含有する)。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(
図4B)は、天然型または変性型のTDP-43 NTDは、単量体のままであることを示している。参考のために、分子量マーカーを重ねている。Superdex 75(10/300)HPLCカラム(GE Healthcare Life Sciences社、米国)上の高速液体クロマトグラフィー機器を使用して、SECを行った。6Mグアニジン-HCl、50mMトリス-HCl緩衝液(pH7.5)、150mM NaCl、20mM DTT中での37℃における10分間のインキュベーションにより、TDP-43 NTD(0.5mg/ml)を変性させた。得られたタンパク質サンプル(100μl)を、同じ緩衝液で前平衡化したカラムにロードし、0.5ml/分で溶出させた。天然型を、5mM DTTを含有する1倍PBS緩衝液で前平衡化したカラムにロードし、0.5ml/分で溶出させた。
【0276】
実施例10
患者サンプルの免疫組織化学
脳および脊髄サンプルをNetherlands Brain Bankから得、Netherlands Institute for Neuroscience(アムステルダム、オランダ)にて処理および染色した。ホルマリン固定、パラフィン包埋組織からの切片(8μM厚)を、Superfrost plus組織スライド(Menzel-Glaser社、ドイツ)に載せ、37℃で一晩乾燥させた。切片を脱パラフィンし、その後、リン酸緩衝食塩水(PBS)中0.3%H2O2に30分間浸漬し、内因性ペルオキシダーゼ活性をクエンチした。ホルマリン固定は、組織標本における抗原部位を遮蔽し得るタンパク質架橋を形成する。タンパク質架橋を壊すために、スライドを熱およびトリス-EDTA(pH9)で前処理した。一次試験抗体を抗体希釈液(Sigma社)で希釈し、1:4000(ウサギポリクローナルGS240抗体、3E8マウスモノクローナル抗体)または1:2000(マウスモノクローナル抗体3F11および2F7)の希釈で、4℃にて一晩インキュベートした。二次EnVision HRPコンジュゲートヤギ抗ウサギ/マウス抗体(EV-GαM HRP、DAKO社)を室温で30分間加え、次いで、色素原3,3,-ジアミノベンジジン(DAKO社)を10分間加えた。切片をヘマトキシリンで対比染色して細胞の核を可視化し、脱水し、Quick-D封入剤(Klinipath社)を使用して封入した。
【0277】
前頭側頭葉変性症(FTLD)B型患者由来の脳切片の染色を、
図5A、5C、5Dおよび5Eに示す。
図5Aに示されるように、ウサギポリクローナルGS240抗体は、白質(WM)および灰白質(GM)の両方において病的TDP43の染色を示している。3F11(
図5C)および3E8(
図5E)モノクローナル抗体は、GMにおいて病的TDP-43を主に検出しているが、一方、2F7モノクローナル抗体(
図5D)は、WMおよびGMの両方において染色を示している。ウサギポリクローナルGS240抗体は、ALS脊髄切片(
図5B)でも試験し、運動ニューロンおよび周囲組織において陽性を示した。これらの結果は、抗体は、患部組織においてin situで示される病原性TDP-43のエピトープを認識できることを示している。
【0278】
実施例11
モノクローナル抗TDP43抗体によるトランスフェクトHEK293細胞の代表的な染色
実施例4に記載のように、免疫組織化学を使用した細胞トランスフェクションアッセイにおいて、マウスモノクローナル抗体およびウサギモノクローナル抗体を、ミスフォールドTDP-43に対する選択的結合に関して試験した。簡単に述べれば、HEK293FT細胞を、HAタグΔNLS-TDP43(細胞質凝集体を形成する)もしくはHAタグ野生型(WT)TDP-43(核において発現した)をコードするプラスミドまたは空ベクターでトランスフェクトした。抗TDP-43抗体を、染色のために10ug/mlに希釈し、蛍光標識抗ウサギIgGまたは抗マウスIgGを、検出用二次抗体として使用した。ニワトリ抗HAタグ抗体、次いで蛍光標識抗ニワトリ二次抗体を、トランスフェクトTDP-43の検出のために使用した。2F7マウスモノクローナル抗体で得られた代表的な結果を、
図6に示す。トランスフェクトΔNLS-TDP43は、細胞質に誤局在し、そこでは、抗HAタグ抗体での染色により容易に検出される凝集体を形成する。2F7抗体は、マージ画像における2個の染色シグナルの共局在により確認されるように、同じ凝集体を認識した。対照的に、HAタグ抗体により核において検出されるトランスフェクトWT TDP43は、2F7抗体により染色されなかった。予想されたように、空ベクターでトランスフェクトした細胞は、HAタグ染色を全く示さない。それらは、2F7抗体による染色を全く示さず、これにより、2F7は内因性核WT TDP-43の認識もできないことが示された。
【0279】
試験した他の抗体でも同様の結果が得られ、それらを表6に要約する。試験した抗体による染色のこのパターンは、WT TDP-43と比較したTDP-43のミスフォールド病原性凝集体に対するそれらの選択性を示している。
【0280】
【0281】
実施例12
生理学的ストレス顆粒の免疫細胞化学
ミスフォールドTDP-43に対するモノクローナル抗体が生理学的ストレス顆粒と反応したかどうかを決定するために、ストレスを受けたHEK293FT細胞に対して染色を行った。簡単に述べれば、HEK293FT細胞に対して、1nM亜ヒ酸ナトリウムへの60分間の曝露により、ストレスを与えた。次いで、細胞を、ストレス顆粒マーカーG3BP1に対する蛍光標識抗体または10ug/mlのモノクローナル抗TDP-43試験抗体で染色した後、標識二次抗体で検出した。マウスモノクローナル抗体3F11で得られた代表的な結果を、
図7Aおよび7Bに示す。1つの抗体を除いて、試験した他の抗体で同様の結果が得られ、それらは以下の表7に含まれる。ストレスを受けた細胞は、細胞質におけるG3BP1+ストレス顆粒の大量の点状の染色を示した(
図7A)。比較して、3F11抗体で染色した同じ細胞(
図7B)は、G3BP1染色の位置において細胞質顆粒の存在を示さず、3F11はこれらの細胞におけるストレス顆粒と反応しないことが示された。生理学的ストレス顆粒におけるTDP-43に対する試験した抗体の結合の欠如は、それらがこれらのストレス顆粒の保護機能を妨げる可能性は低いことを示唆するものである。
【0282】
【0283】
実施例13
選択されたmAbのキャラクタリゼーション
トリプトファン68(Trp68)がセリンに変異したHAタグΔNLS-TDP-43(W68S)との比較でHAタグΔNLS-TDP-43でトランスフェクトしたHEK293FT細胞において形成された細胞質凝集体の認識に関して、モノクローナル抗体を実施例4に記載のように試験した。空ベクターを対照として使用した。
図8に示される代表的な例において、細胞を、2μg/mlのTDP-43ウサギモノクローナル抗体28H3-28K1、1μg/mlのマウスpan-TDP43、または0.5μg/mlのニワトリ抗HAタグのいずれかで染色した。蛍光標識二次抗体Alexa Fluor 488-抗ウサギ、Alexa Fluor 647抗マウスおよびAlexa Fluor 568-抗ニワトリを、結合一次抗体の検出のために使用した。核をヘキスト33342色素で染色した。HAタグΔNLS-TDP-43でトランスフェクトした細胞において、28H3-28K1抗体は、ミスフォールドΔNLS-TDP-43のHA陽性凝集体とともに共局在した細胞質凝集体を染色した。対照的に、Trp68を欠くΔNLS-TDP-43-W68Sにより形成された細胞質凝集体の染色は認められなかった。予想されたように、空ベクターでトランスフェクトした細胞は、HAタグ染色を全く示さなかった。それらは、28H3-28K1による染色を全く示さず、これにより、抗体は内因性核WT TDP-43を認識しないことが確認された。pan-TDP-43抗体は、両形態のトランスフェクトTDP-43および内因性核TDP-43により形成された細胞質凝集体を認識した。
【0284】
試験したほとんどの他の抗体でも同様の結果が得られ、それらを表8に要約する。ポリクローナルウサギ抗体で認められたように、試験したモノクローナル抗体による染色のこのパターンは、溶媒露出Trp68残基を含んでなるミスフォールドTDP-43 NTDに対するそれらの選択性を示している。ΔNLS-TDP-43-W68Sのいくつかの凝集体に結合したクローン20は、生理学的ストレス顆粒に結合した。
【0285】
【0286】
実施例14
HEK293細胞におけるミスフォールドTDP-43伝播の抗体遮断
ドナーHEK293細胞を、ミスフォールドTDP-43を発現させるために、TDP-43のHAタグ核局在化シグナル欠損変異体、HA-ΔNLS-TDP43で一過性にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、条件培地をドナー細胞から回収し、1,000gで10分間遠心分離して、浮遊細胞デブリを培地から除去した。清澄な条件培地を、30ug/mlの各個々のTDP-43ミスフォールディング特異的抗体または対照マウスIgG1(Biogen社)で、室温で1時間、一定に回転させながらインキュベートした後、それにナイーブレシピエントHEK293細胞を加えた。試験した抗体には、TDP-43のN末端エピトープに対する3つのマウスモノクローナル抗体(3F11、2F7、3E8)および立体構造RRM1エピトープ(WO2018/218352として発表されているPCT CA/2018/050634)に対する2つの抗体(9C5、5B7)が含まれた。インキュベーションの48時間後、レシピエント細胞培地を除去し、細胞を冷PBSで2回洗浄し、2%SDSに溶解した。タンパク質濃度は、BCAアッセイを使用して測定した。25ugのライセートを10%NuPageゲル(Thermo社)上で分離し、PVDFメンブレンに移し、次いで、HAタグ(Abcam社、ウサギ、1:1000)またはローディング対照としてのGAPDH(Thermo社、マウス、1:50K)に対する抗体を用いたウエスタンブロッティングを行った。HAおよびGAPDH免疫反応性をChemiDoc Imaging Systemで検出し、Image Labを使用して強度を定量化した。
【0287】
HA-dNLS-TDP43でトランスフェクトしたドナー細胞は、多量のHAタグTDP-43を含有していた。対照マウスIgG1(mIgG1)で処置したドナー細胞上清でインキュベートしたナイーブレシピエント細胞は、検出可能な量のHAタグTDP-43を含有しており、HA-dNLS-TDP-43タンパク質のミスフォールド凝集体が、ドナー細胞からレシピエント細胞へと細胞外伝播したことが示された。ミスフォールディング特異的TDP-43抗体で前処置したドナー細胞上清でインキュベートしたレシピエント細胞は、比較的少ない量のHAタグTDP-43を含有しており、抗体による伝播の阻害が示された。陰性対照として、非トランスフェクトドナー細胞由来の上清でインキュベートしたレシピエント細胞は、検出可能なHAタグTDP-43を全く含有していなかった。ウエスタンブロットの定量分析を
図9に示す。各抗体に関して、HAタグシグナルをGAPDHシグナルに対して最初に正規化し(HA強度/GAPDH強度)、試験抗体に関して得られた値を、対照mIgG1で得られた値で割った。対照mIgG1と比較して、試験した総ての抗体は、ドナー細胞上清からミスフォールドHA-dNLS-TDP-43の伝播を阻害し、レシピエント細胞における低レベルのHAタグTDP-43をもたらした。
【0288】
実施例15
ミスフォールド疾患関連TDP-43に対して選択的な抗体の作製
TDP-43のミスフォールド分子種は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および前頭側頭葉認知症(FTLD)における神経毒性およびプリオン様細胞間伝播に関係している。TDP-43 N末端ドメイン(NTD)におけるトリプトファン(Trp68)は、天然に折り畳まれたNTDにおいてアクセス不可能であるにもかかわらず、SOD1ミスフォールディング伝播の交差播種に関与することが見出された[9]。TDP-43が細胞質に誤局在/凝集する場合、NTD Trp68は露出するようになると仮定した。
【0289】
デザイン/方法
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体(pAb、mAb)を作製するために、Trp68を含む、折り畳まれていないNTD直鎖状ペプチドエピトープでウサギを免疫化した。mAbを作製するために、同じエピトープでマウスを免疫化した。免疫化ペプチドに対するモノクローナル抗体親和性を、表面プラズモン共鳴(SPR)により決定した。NTDを大腸菌において発現させ、適切に折り畳まれたモノマー状態をサイズ排除クロマトグラフィーにより確認し、次いで、変性およびネイティブゲル電気泳動ならびに免疫ブロットを用いた試験を行った。抗体特異性を、患者サンプルに対する免疫組織化学(IHC)、および核局在化配列のTDP-43三重タンデム変異(ΔNLS)でトランスフェクトしたHEK293細胞の免疫細胞化学(ICC)により確認した。ミスフォールドTDP-43の細胞間伝播を阻害する抗体の能力を、イン・ビトロで評価した。
【0290】
結果
mAbのSPRは、エピトープに対するピコモル親和性を明らかにした。組換えNTDは、変性条件下でのみpAb免疫反応性を示した。正常CNSではそうではないが、ALS/FTLD CNS切片のIHCは、抗体に対して反応性であった。ICCは、核野生型TDP-43ではそうではないが、誤局在/凝集したΔNLS-TDP-43に対する免疫反応性を明らかにした。抗体は、HEK293細胞における生理学的ストレス顆粒においてTDP-43を認識することもできなかった。Trp68がセリンに変異したΔNLS-TDP-43構築物は、トランスフェクト細胞において免疫反応性を示さず、Trp68は免疫化ペプチドにおいて免疫優性であることが示された。細胞培養アッセイにおいて試験した抗体は、病因の中心であると考えられているプロセスである(参考文献10、11、12)、ミスフォールドTDP-43の細胞間伝播を阻害することができた。
【0291】
結論
生理学的に重要な分子種を残しながら、ミスフォールド/凝集した疾患関連TDP-43に対して選択的であるNTD Trp68の溶媒露出に感受性が高い抗体のファミリーを開発した。これらの抗体は、TDP-43関連疾患に対するバイオマーカーおよび免疫療法の用途において有用性を見出し得る。
【0292】
好ましい実施例であると現在考えられているものを参照して本出願を説明したが、本出願は開示された実施例に限定されないと理解されるべきである。反対に、本出願は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる種々の改変および均等な構成を網羅することを意図するものである。
【0293】
総ての刊行物、特許および特許出願は、各個々の刊行物、特許または特許出願が、引用することによりその全内容が本明細書の一部とされると具体的かつ個別に示された場合と同程度に、引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる。具体的には、例えば、表または他所に示されるアクセッション番号および/またはバイオマーカー配列(例えば、タンパク質および/または核酸)を含む、本明細書において示される各アクセッション番号に関連した配列は、引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる。
【0294】
特許請求の範囲は、好ましい実施形態および実施例により限定されてはならないが、全体として明細書と一致する最も広い解釈が与えられるべきである。
【0295】
明細書において言及された参考文献の引用
[1] Kuo PH, Chiang CH, Wnag YT, Doudeva LG, Yuan HS, The Crystal Structure of TDP-43 RRM1-DNA Complex Reveals the Specific Recognition for UG- and TG-Rich Nucleic Acids. Nucleic Acids Res., 2014, vol 42, 4712.
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【配列表】
【国際調査報告】