(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(54)【発明の名称】化粧品に使用するための豆類デンプンをベースとしたフィルム形成組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20220127BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220127BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220127BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20220127BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220127BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/73
A61Q19/00
A61Q5/00
A61Q1/00
A61Q1/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533518
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 FR2019053059
(87)【国際公開番号】W WO2020128253
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】マンティンク、レオン
(72)【発明者】
【氏名】ルビアン、グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ビロー、ジェレミー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AD201
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD351
4C083AD352
4C083DD06
4C083DD12
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE28
4C083EE29
(57)【要約】
本発明は、適用している間良好な機械的強度を有し、また水で洗って容易に落とすこと、又は除去することができる、新規なフィルム形成組成物に関する。本発明はまた、フィルム形成組成物を含む化粧用のケア又はメイクアップ組成物、及びそれらの非治療的使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム形成組成物であって、
1重量%~20重量%の少なくとも1つの加水分解されアルキル化された豆類デンプンと、
1重量%~20重量%の少なくとも1つのポリオールと、
1重量%~10重量%の少なくとも1つのカラギーナンと、
を含み、ここで、パーセントは前記フィルム形成組成物の総重量に対する重量%で表される、フィルム形成組成物。
【請求項2】
前記豆類デンプンが加水分解されヒドロキシプロピル化されたデンプンであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ヒドロキシプロピル基の含有量が、ヒドロキシプロピルデンプンの乾燥重量に対して乾燥重量で0.1~20重量%、好ましくは1~10重量%であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの豆類デンプンがエンドウマメデンプンであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのポリオールが、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、グリセロール、グルコース、スクロース、ポリデキストロース、水素添加グルコースシロップ、デキストリン、マルトデキストリン、グルコースシロップ、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのカラギーナンが、イオタカラギーナン、ラムダカラギーナン、カッパカラギーナン、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
生理学的に許容される媒体中に、少なくとも1つの加水分解されアルキル化された豆類デンプンと、少なくとも1つのポリオールと、少なくとも1つのカラギーナンと、を含むフィルム形成組成物を含む、ケラチン性物質のメイクアップ、保護又はケアのための化粧品組成物。
【請求項8】
前記フィルム形成組成物が、
1重量%~20重量%の少なくとも1つの加水分解されアルキル化された豆類デンプンと、
1重量%~20重量%の少なくとも1つのポリオールと、
1重量%~10重量%の少なくとも1つのカラギーナンと、
を含み、ここで、パーセントは前記フィルム形成組成物の総重量に対する重量%で表されることを特徴とする、請求項7に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
前記ケラチン性物質に請求項7及び8に記載の少なくとも1つの化粧品組成物を適用することを含む、ケラチン性物質のメイクアップ、保護、又はケアのプロセス。
【請求項10】
肌の色の改善、均一な肌の色、均質な肌の色、肌のテカリの抑制、バリア効果、肌のスムージング、毛髪繊維の敏感な部分の保護、毛髪繊維のキューティクルのスムージング、毛髪繊維の被覆、睫毛のカール及び伸長から選択される少なくとも1つの特性と機械的衝撃に対する耐性とをケラチン性物質に与えるための請求項1~6に記載のフィルム形成組成物の非治療的使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム形成組成物、それを含有する化粧用のケア又はメイクアップ組成物、メイクアップ及びケアの化粧方法、及び様々な化粧品への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム形成剤は、それらが肌、毛髪、又は爪の上に連続フィルムを生成することができることから化粧品として知られている。
【0003】
典型的には、毛髪用化粧品組成物は毛髪上にコーティングフィルムを生成するためのフィルム形成ポリマーを含有する。これらの特性は特にヘアスタイルを強化するために使用される。
【0004】
肌に適用した場合、フィルム形成剤は水の蒸発を阻止し、したがって水分の喪失を少なくする。これらの薬剤によって、肌に深く持続して水分補給される。これらはまた、例えば、空気中に浮遊する微小粒子による汚れを含む汚れ、及び紫外線に対するバリア効果を有することから、肌の保護に役立つことがある。メイクアップにおいて、また典型的には、マスカラでは、フィルム形成剤は著しく睫毛のカールを向上させ、長さを伸ばす。日焼け止めでは、フィルム形成剤は、紫外線を遮断するフィルム、又は肌に達する線量を減少させるフィルムを形成することができる。
【0005】
天然由来のポリマーもまた、それらの強力な生物力学的及びフィルム形成特性によって第2の保護的皮膚としての性能を与える化粧品として使用されてきた。天然由来のポリマーとしては、再生可能な天然資源、すなわち植物から抽出された、又はそれから得られたもの、例えば、デンプン及びそれらの誘導体、セルロース及びそれらの誘導体、植物の種子又は滲出液由来のガム、キサンタンガム、カラギーナンなどの藻類、また例えば、真菌、バクテリアなどの微生物の発酵のいずれかから抽出されたガムが挙げられる。
【0006】
変形によって自然に引っ張られる肌の表面に適用される化粧用マスクタイプの製品に弾力性を与える成分の混合物を含む化粧品組成物が、文献として国際公開第2013/167835号に記載されている。典型的には、少なくとも1つのデンプン加水分解物、少なくとも1つのポリオール、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドンポリマー及びコポリマーから選択される少なくとも1つのポリマー、ラテックス、また場合により水からなる弾性フィルムを形成するために好適な混合物を含有する化粧品組成物が記載されている。
【0007】
これらのフィルム形成剤又は組成物は更に、かなりの分量の合成ポリマーを含有しており、すすいだり除去したりすることが困難である。また、適用している間良好に機械的に保持される組成物を得ることが困難である。
【0008】
したがって、適用している間良好に機械的に保持されることと、適用した後に、例えば洗って良好に落とすことができることとのバランスの取れた天然由来の化粧品用フィルム形成組成物を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本出願人の成果は、適用している間良好に機械的に保持され、単純にすすいだり洗ったりして良好に落とすことができる天然由来の化粧品に使用するための新しいフィルム形成組成物を開発したことである。
【0010】
これらのフィルム形成組成物はまた、ケラチン性物質に、肌の色を改善し、肌の色を均一にし、肌の色を均質にし、肌のテカリを抑え、肌をスムージングし、毛髪繊維の敏感な部分を保護し、毛髪繊維のキューティクルをスムージングし、毛髪繊維を被覆し、睫毛をカールさせ長さを伸ばす点と、機械的衝撃に対する耐性の点とで優れた特性を与える。別の効果としては、空気中に浮遊する微小な汚れ物質、紫外線、酸化剤など外部からの攻撃に対して真皮又はケラチン性物質への移行を制限又は防止するバリア効果がある。
【0011】
本発明はまた、天然由来のフィルム形成組成物を含む保護、ケア、又はメイクアップのための化粧品組成物、および本発明による少なくとも1つの化粧品組成物をケラチン性物質に適用することを含む、ケラチン性物質をメイクアップ又はケアする方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
したがって、本発明の第1の目的はフィルム形成組成物に関し、組成物は、
1重量%~20重量%の少なくとも1つの加水分解されアルキル化された豆類デンプンと、
1重量%~20重量%の少なくとも1つのポリオールと、
1重量%~10重量%の少なくとも1つのカラギーナンと、
を含み、ここで、パーセント(%)はフィルム形成組成物の総重量に対する重量で表されている。
【0013】
概して言えば、フィルム形成組成物とは、少なくとも1つのポリマー(フィルム形成剤)を含む組成物を意味するものと理解され、このポリマーは、溶媒、特に水の存在下で実質的に連続的なフィルムを形成することができる。本発明の目的において、フィルム形成組成物は特に、デンプンが主たるフィルム形成剤として使用されるという意味で、デンプンをベースとした天然由来のフィルム形成組成物である。
【0014】
「マメ科植物」とは、ジャケツイバラ亜科(cesalpiniaceae)、ネムノキ亜科、又はマメ亜科のファミリーに属する任意の植物を意味し、特に、例えば、エンドウ、サヤインゲン、ソラマメ、ホースビーン、レンズ豆、又はルピナスなどのマメ亜科のファミリーに属する任意の植物を意味する。
【0015】
好ましい実施形態によると、豆類デンプンはエンドウマメデンプンである。
【0016】
本発明による豆類デンプンは、25重量%~45重量%、好ましくは30重量%~45重量%、好ましくは35重量%~40重量%のアミロースを含有するデンプンから得られ、ここでパーセントは、豆類デンプンの乾燥重量に対する乾燥重量で表され、当該デンプンの加水分解及び/又はアルキル化などのいずれかの後続の処理を行う前に決定される。
【0017】
本発明による豆類デンプンは変性デンプンである。それは加水分解されアルキル化されたデンプンであり、好ましくはヒドロキシプロピルデンプンである。
【0018】
したがって、好ましい実施形態によると、本発明によるデンプンは、加水分解されヒドロキシプロピル化された豆類デンプンである。
【0019】
「ヒドロキシプロピル化デンプン」とは、本発明の目的において、当業者に公知の任意の技術、例えば、プロピレンオキシドを用いたエーテル化反応によってヒドロキシプロピル基で置換されたデンプンを意味すると理解され、特に、ヒドロキシプロピル化デンプンの乾燥重量に対して乾燥重量で0.1~20重量%、好ましくは1~10重量%、より好ましくは5~9重量%、特に7重量%に近いヒドロキシプロピル基含有量を示すものと理解される。具体的には、この含有量は、プロトン核磁気共鳴スペクトル法、特にEN ISO 11543:2002F標準に従って決定される。
【0020】
「加水分解デンプン」とは、本発明の目的において、加水分解操作、すなわち、その平均分子量を低下させる操作をされたデンプンを意味すると理解される。そのようなデンプンを得る方法は当業者に公知であり、例えば、酸化及び酸処理などの化学的処理によって、又は酵素処理によって得られる。当業者は、フィルム形成組成物に所望の粘度に基づいて、当然ながらデンプンの流動化レベルを調節することができる。
【0021】
本発明による加水分解されアルキル化された豆類デンプンはまた、本発明によるフィルム形成組成物中の当該デンプンの所望の特性を阻害しない限り、1つ以上の他の物理的及び/又は化学的変性を有してもよい。化学的変性の例としては、架橋である。
【0022】
特定の実施形態によると、本発明によるフィルム形成組成物のうちの加水分解されアルキル化されたデンプンは、更に他に変性されていてもよく、例えば、物理的に処理されていてもよく、具体的には、既知の糊化、α化、押出し、噴霧又は乾燥操作、マイクロ波又は超音波加工、可塑化又は造粒操作から選択される。
【0023】
特に、アルキル化及び加水分解の後のデンプンは、好ましくは非顆粒である。フィルム形成組成物が非常に良好なフィルム形成特性を示すように、有利には、任意の公知の技術によってそれを水に可溶性にする。
【0024】
したがって、有利な実施形態によると、本発明によるデンプンは可溶性にされていることを特徴とする。それは、当業者に公知の任意の技術によって可溶性にすることができ、技術としては、熱及び/又は機械的処理によるものが挙げられ、例えば、水性媒体中での加熱と、場合により粉末製品が好ましいとき、後続の乾燥工程とによるものが挙げられる。デンプンを可溶性にする操作は、デンプンをフィルム形成組成物に加える前に、又はフィルム形成組成物に添加した後に、デンプンのアルキル化及び/又は加水分解の前若しくは後の別工程として分けない方法で、例えば、その実施時にフィルム形成組成物を加熱加工することによって行うことができる。
【0025】
本発明による加水分解されアルキル化されたデンプンの好ましい平均分子量は、1~2,000kDaであり、好ましくは10~1,000kDa、より好ましくは20~1,000kDa、更により好ましくは100~1,000kDaである。例えば、分子量の範囲は、200~800kDa、200~500kDa、200~400kDa、又は200~300kDaであってもよい。平均分子量は、HPSEC-MALLS(多角度レーザー光散乱検出と直列に接続された高性能サイズ排除クロマトグラフィー)によって決定される。
【0026】
本発明によるフィルム形成組成物に好適な加水分解されたヒドロキシプロピルデンプンは市販されており、Beauty by Roquette(登録商標)ST720の商標名で本出願人から提供されている。
【0027】
フィルム形成組成物は、1重量%~20重量%、好ましくは1重量%~15重量%、特には1重量%~10重量%の加水分解されアルキル化された豆類デンプンを含む。ここで、重量パーセントはフィルム形成組成物の総重量に対して表されている。
【0028】
本発明によるフィルム形成組成物はまた、1つ以上のポリオールを含む。ポリオールは、フィルム形成組成物中に可塑剤として使用される。
【0029】
本発明によるフィルム形成組成物において、当業者に公知の任意のポリオールを使用することができる。
【0030】
特定の実施形態によると、ポリオールは、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、イソソルビド、グリセロール又はグリセリン、グルコース、スクロース、ポリデキストロース、水素添加グルコースシロップ、デキストリン、マルトデキストリン、グルコースシロップ、及びそれらの混合物からなる群から選択される。ポリオールは、好ましくはグリセロール及びソルビトールから選択される。
【0031】
フィルム形成組成物は、1重量%~20重量%、好ましくは1重量%~15重量%、特には1重量%~10重量%のポリオールを含み、ここで重量パーセントは、フィルム形成組成物の総重量に対して表されている。
【0032】
本発明によるフィルム形成組成物はまた、少なくとも1つのカラギーナンを含む。カラギーナンは、フィルム形成組成物中に増粘剤として使用される。
【0033】
好ましい実施形態によると、カラギーナンはカラギーナンイオタ、カラギーナンラムダ、カラギーナンカッパ、及びそれらの混合物から選択される。
【0034】
カラギーナンは、1~10重量%、好ましくは1~7重量%、更により好ましくは1~5重量%の量でフィルム形成組成物中に存在する。重量パーセントは、フィルム形成組成物の総重量に対して表されている。
【0035】
特定の実施形態によると、フィルム形成組成物は、塩化カルシウム、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム及び二塩基性リン酸カルシウムなどのカルシウム塩又はカリウム塩から選択される緩衝剤を更に含んでもよい。
【0036】
特定の実施形態によると、本発明によるフィルム形成組成物は水性組成物である。この特定の実施形態によると、それの乾燥物質の含有量は、1~50重量%、好ましくは2~40重量%、より好ましくは5~25重量%である。
【0037】
特定の実施形態によると、フィルム形成組成物は、
例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などの天然由来のポリマー、又はポリビニルアルコール(PVA)などの合成ポリマーである、本発明にしたがって使用される加水分解されアルキル化されたデンプン以外の他のフィルム形成剤、及び/若しくは
ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ポリソルベート、又はカルナバワックスなどのワックス、又は硬化ヒマシ油などの本発明によるポリオール以外の可塑剤を更に含んでもよい。
【0038】
しかしながら、実施を容易にするためには、使用する原材料の量を最小限にすることが好ましい。その結果、加水分解されアルキル化されたデンプン及びポリオールは、本発明によるフィルム形成組成物中でフィルム形成剤及び可塑剤それぞれのほとんど、好ましくは全てを優先して占める。
【0039】
有利には、本発明によるフィルム形成組成物の様々な化合物の量はまた、当該フィルム形成組成物の全乾燥物質の関数として表すことができる。実際、フィルム形成剤と可塑剤との比によって、特に可塑性、したがって形成されるフィルムの質が決定される。
【0040】
したがって、本発明によるフィルム形成組成物は、
20~60重量%、好ましくは30重量%~50重量%の少なくとも1つの加水分解されアルキル化された豆類デンプンと、
20~60重量%、好ましくは30重量%~50重量%の少なくとも1つのポリオールと、
5~25重量%、好ましくは10重量%~20重量%の少なくとも1つのカラギーナンと、を含む。
パーセントは、フィルム形成組成物の総乾燥重量に対する乾燥重量で表されている。
【0041】
有利な実施形態によると、加水分解されアルキル化されたデンプンと、ポリオールとカラギーナンとは合わせて、フィルム形成組成物の総乾燥重量に対して乾燥重量で20重量%~100重量%を占め、好ましくはフィルム形成組成物の総乾燥重量に対して30重量%~99重量%、より好ましくは50~99重量%、更により好ましくは95~99重量%である。
【0042】
特定の実施形態によると、フィルム形成組成物は、
20~60重量%、好ましくは30重量%~50重量%の1つの加水分解されアルキル化された豆類デンプンと、
20~60重量%、好ましくは30重量%~50重量%の少なくとも1つのポリオールと、
5~25重量%、好ましくは10重量%~20重量%の1つのカラギーナンと、
任意選択的に、カルシウム又はカリウム塩から選択され、好ましくは、塩化カルシウム、塩化カリウム、及び一塩基性リン酸カリウムの中から選択される0.01~0.5重量%の緩衝剤と、
任意選択的に、0~15重量%、好ましくは0~5重量%、より好ましくは0~3重量%、特には0~1重量%の別の成分と、を含む。
パーセントは、組成物の総乾燥重量に対する乾燥重量で表され、それらの合計は100重量%である。
【0043】
本発明のフィルム形成組成物は、フィルム形成組成物の所望の特性を阻害しない限り、他の成分を実際に含有してもよい。これらの他の成分は、例えば、界面活性剤、不透明充填剤、防腐剤、抗菌剤、甘味料、香味物質、染料、蛍光増白剤、又は更には潤滑剤であってもよい。
【0044】
本発明はまた、上記のように本発明によるフィルム形成組成物の化粧品への使用にも関する。
【0045】
また、本発明は、肌の色の改善、均一な肌の色、均質な肌の色、肌のテカリの抑制、バリア効果、肌のスムージング、毛髪繊維の敏感な部分の保護、毛髪繊維のキューティクルのスムージング、毛髪繊維の被覆、睫毛のカール及び伸長から選択される少なくとも1つの特性と、機械的衝撃に対する耐性とをケラチン性物質に与えるための、本発明によるフィルム形成組成物の非治療的使用に関する。
【0046】
実際に、その特性により、本発明のフィルム形成組成物は、肌の色を均一にし、一様で均質にして、テカリを抑えることができる。本発明による組成物のフィルム形成特性によって、上記のように、本発明による組成物をケラチン性物質、好ましくは顔又は身体の皮膚に適用した場合、肌がスムージングされ、欠点が隠されて、より均一かつ一様で均質になり、テカリが抑えられる。
【0047】
本発明の意味の範囲内のフィルム形成組成物は、毛髪繊維の敏感な部分を保護し、毛髪繊維のキューティクルをスムージングし、また毛髪繊維を被覆する。これらの特性は、毛髪繊維の表面上にフィルムを形成することによって得られる。
【0048】
本発明の意味の範囲内のフィルム形成組成物は、ケラチン繊維、好ましくは睫毛をカールさせ長さを伸ばすことができる。
【0049】
本発明の意味の範囲内のフィルム形成組成物は、ケラチン性物質にバリア効果を与える。実際に、本発明によるフィルム形成組成物は、それらを酸化させる、空中に浮遊する微小な汚れ物質、紫外線などの真皮又は毛髪繊維の芯への移動を制限又は防止することによって、それらによる外部からの攻撃からケラチン性物質を保護する。したがって、「バリア効果」とは、本発明の意味において外部からの攻撃に対するケラチン性物質の保護を意味すると理解される。
【0050】
フィルム形成組成物は、上記のように定義される。本発明はまた、生理学的に許容される媒体中に、少なくとも1つの加水分解されアルキル化された豆類デンプンと、少なくとも1つのポリオールと、少なくとも1つのカラギーナンと、を含むフィルム形成組成物を含む、ケラチン性物質のメイクアップ、ケア又は保護のための化粧品組成物に関する。
【0051】
加水分解されアルキル化された豆類デンプンと、ポリオールとカラギーナンと、を含むフィルム形成組成物は上記のように定義される。
【0052】
化粧品組成物は、上記で定義されたように緩衝剤を更に含んでもよい。
【0053】
一実施形態によると、ケラチン性物質のメイクアップ、ケア又は保護のための化粧品組成物中に存在するフィルム形成組成物は、
好ましくは少なくとも1つの加水分解されヒドロキシプロピル化されたエンドウマメデンプンである、1重量%~20重量%の少なくとも1つの加水分解されアルキル化された豆類デンプンと、
好ましくはソルビトール及びグリセロールから選択される、1%~20重量%の少なくとも1つのポリオールと、
1重量%~10重量%の少なくとも1つのカラギーナンと、
を含み、パーセントはフィルム形成組成物の総重量に対する重量で表されている。
【0054】
生理学的に許容される媒体は、好ましくは化粧用として又は皮膚科学的に許容されるものである。「生理学的に許容される媒体」又は「化粧用として許容される」又は「皮膚科学的に許容される」とは、本発明の目的において、有害な副作用を示さないこと、特に、化粧用製品の使用者に許容できない発赤、炎症、発熱、つっぱり感、又はヒリヒリ感を生じないことを意味すると理解される。したがって、媒体はヒトのケラチン性物質との適合性を有する。
【0055】
典型的には、ケラチン性物質は、肌、粘膜、頭皮又は毛髪、毛髪系、睫毛、眉毛、及び爪である。
【0056】
一実施形態によると、本発明の意味の範囲内のフィルム形成組成物は、化粧用メイクアップ又はケア組成物に、肌の色の均一さ、一様さ、均質さ、又は肌のテカリの抑制から選択される少なくとも1つの特性を与える。組成物のフィルム形成特性によって、組成物をケラチン性物質、好ましくは顔又は身体に適用して、肌を滑らかにし、欠点を隠して、より均一かつ一様で、均質な肌の色にして、またテカリを抑えることができる。
【0057】
別の実施形態によると、本発明の意味の範囲内のフィルム形成組成物は、メイクアップ又はケア用の化粧品組成物に、毛髪繊維の敏感な部分を保護し、毛髪繊維のキューティクルをスムージングし、また毛髪繊維を被覆するという特性を与える。これらの特性は、毛髪繊維の表面上にフィルムを形成することによって得られる。
【0058】
別の実施形態によると、本発明の意味の範囲内のフィルム形成組成物は、メイクアップ又はケア用の化粧品組成物にケラチン繊維、好ましくは睫毛をカールさせ長さを伸ばすという特性を与える。
【0059】
別の実施形態によると、本発明の意味の範囲内のフィルム形成組成物は、ケラチン性物質にバリア効果を与える。バリア効果とは、大気中の微小な汚れ物質、大気中の酸化物質若しくは化合物などの外部からの攻撃の原因となる薬剤、又は紫外線などの太陽光の、真皮又は毛髪繊維の芯への移動を防止又は制限することによって、本フィルム形成組成物がケラチン性物質を保護することを意味すると理解される。
【0060】
別の実施形態によると、本発明の意味の範囲内のフィルム形成組成物は、メイクアップ又はケア用の化粧品組成物にケラチン性物質の表面、典型的には爪の表面にフィルムを形成することによって、機械的衝撃に対する耐性という特性を与える。
【0061】
したがって、本発明はまた、上記で定義されたように肌の色の改善、均一な肌の色、均質な肌の色、肌のテカリの抑制、バリア効果、肌のスムージング、毛髪繊維の敏感な部分保護、毛髪繊維のキューティクルのスムージング、毛髪繊維の被覆、睫毛のカール及び伸長から選択される少なくとも1つの特性と、機械的衝撃に対する耐性とをケラチン性物質に与えるためのケラチン性物質のメイクアップ、保護又はケアのための化粧品組成物の非治療的使用に関する。
【0062】
本発明によるメイクアップ、保護又はケアのための化粧品組成物は、通常の局所適用に用いられる、エマルジョン(特にクリーム又はミルク)、ゲル、クリーム、溶液、ローション又はセラムの分散液のタイプ、脂質相の水相中への分散(水中油型エマルジョン、O/W)又はその逆(油中水型エマルジョン、W/O)によって得られる液体又は半液体の粘度のエマルジョン、懸濁液、ローション、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、イオン性及び/又は非イオン性タイプのベシクル微小粒子又は分散液、ポリッシュ、ボディオイル、マスク、クリーム、軟膏、及び濃縮溶液などの化粧品分野で使用される全ての剤形に形成することができる。これらの剤形は、当業者に公知の通常の方法に従って得られる。これらの剤形は、美容学的に典型的な許容される賦形剤及び担体を更に含有する。
【0063】
例えば、生理学的に許容される媒体は、脂質相及び/又は水相を含んでもよい。
【0064】
脂質相
【0065】
脂質相は、少なくとも1つの油を含有してもよい。
【0066】
本発明の目的において、「油」とは、室温(25℃)で液体であり、25℃で水に少なくとも1重量%の量で加えたとき、水に全く溶けないか、又は水に加えられた油の重量の10重量%未満の範囲で可溶である化合物を意味すると理解される。
【0067】
液体脂質相は、有利には、肌の軟化作用を示す1つ以上の不揮発性油を含む。セテアリルイソノナエート、イソトリデシルイソノナエート、イソステアリルイソステアレート、イソプロピルイソステアレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、イソノニルイソノネート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-ヘキシルデシルラウレート、2-オクチルデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステート又はラクテート、2-ジエチルヘキシルスクシネート、ジイソステアリルマレート、トリアセチン、トリカプリン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ココカプレートとカプリレートとの混合物、C12~C15アルコールのベンゾエート、ブチレングリコールココエートなどのグリコールエステル、グリセリルトリイソステアレート、トコフェロールアセテートなどの脂肪エステル、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸又はイソステアリン酸などの高級脂肪酸、オレイルアルコールなどの高級脂肪族アルコール、アボカド油、カメリアオイル、ヘーゼルナッツ油、ツバキ油、カシューナッツ油、アルガン油、大豆油、ブドウ種子油、ゴマ油、コーン油、胚芽油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、ホホバ油、ピーナッツ油、オリーブ油などの植物油及びそれらの混合物、シアバター、カメリアバターなどの植物バターを挙げることができる。
【0068】
これらの油はまた、パラフィン油、スクアレン、石油ゼリー、ジメチルシロキサン、及びそれらの混合物などの炭化水素又はシリコーンのタイプの油であってもよい。
【0069】
液体脂質相はまた、揮発性油を含んでもよい。揮発性油とは、室温及び大気圧で、1時間未満で肌から蒸発することができる油を意味する。揮発性油は、例えば、脂っぽい感触を減らすために、シリコーン油又は短鎖脂肪酸トリグリセリドから選択することができる。
【0070】
本発明による組成物の脂質相は、有利なことに親油性ゲル化剤、ワックス及び/又はペースト状化合物などの少なくとも1つの脂質相の構造化剤を更に含んでもよい。
【0071】
「ワックス」とは、可逆的に液体と固体の状態で変化し、30℃を超え、かつ概して90℃未満の融点を有する脂質物質を意味し、それは組成物の調製条件下で液体であり、固体状態では異方性結晶構造を有する。本発明による使用されるワックスは、極性又は非極性ワックス、又はこれらの2つの混合物からなっていてもよい。「非極性」とは、炭素、水素及び/又はリン原子、特に炭化水素のみを含有するワックスを意味する。
【0072】
極性ワックスは、エステルなどの極性基を有する動物ワックス、植物ワックス、及び合成又はシリコーンワックスから選択することができる。したがって、カルナバワックス、キャンデリラワックス、蜜ろう(セラアルバ)、中国昆虫ワックス(イボタロウムシ)、ジャパンワックス、木ろう、モンタンワックス、グリセリルトリベヘネートなどのC8~C20酸とグリセリンのトリエステル、商品名CETACENEでVEVYから市販されているアセチル化グリコールステアレート、及びそれらの混合物を挙げることができる。これらのワックスは、特に、キャンデリラワックスとホホバ種子油との混合物の場合のように、油中に予め分散された形態で使用することができる。
【0073】
「ペースト状化合物」とは、ワックスのように可逆的に液体と固体の状態で変化することができ、固体状態では異方性結晶構造を有するが、23℃の温度で液体部分と固体部分を有するという点でワックスとは異なる親油性脂質物質を意味すると理解される。
【0074】
水相
【0075】
本発明による化粧品組成物は、水と、任意選択的に1つ以上の水混和性有機溶媒及び/又は1つ以上のレオロジー剤と、を含む水相を更に含んでもよい。
【0076】
レオロジー剤は、特に、水相を増粘するための薬剤、ゲル化剤又は懸濁化剤が挙げられ、例えば、アラビアゴム、コンニャクガム、グアーガム又はそれらの誘導体などの植物由来ガム;アルギネートなどの藻類から抽出されるガム;キサンタン、マンナン、スクレログルカン又はそれらの誘導体などの微生物の発酵から得られるガム、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース及びその誘導体;デンプン及び具体的には特にアセチル化、カルボキシメチル化、オクテニルスクシネート化又はヒドロキシプロピル化された変性デンプン及びその誘導体などのそれらの誘導体;ポリアクリル酸又はカルボマーなどの合成ポリマーなどであってもよい。
【0077】
界面活性剤
【0078】
本発明による組成物はまた、好ましくは油中水型(W/O)又は水中油型(O/W)乳化剤から選択される1つ以上の界面活性剤を含んでもよい。
【0079】
水中油型(O/W)乳化剤は、特に、ポリエトキシル化されていてもよいソルビタンエステル、グリセロール脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル又はポリエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテル、アルキルポリグリコシド及び水素添加レシチンから選択することができるが、それらに限定されない。
【0080】
油中水型(W/O)乳化剤は、非エトキシル化ポリオール脂肪酸エステルから選択することができ、特に、グリセロール、ポリグリセロール、ソルビトール、ソルビタン、特にイソソルビド、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、スクロース、グルコース、ポリデキストロース、水素添加グルコースシロップ、デキストリン及び加水分解デンプンなどのアンヒドロヘキシトールの、非エトキシル化脂肪酸エステルから選択することができる。
【0081】
W/O乳化剤は、脂肪酸から得られる、若しくは油又は油の混合物をエステル交換して得られる、非エトキシル化ポリオール脂肪酸エステルから選択することができる。使用される脂肪酸は、8~22個の炭素原子、好ましくは10~18個の炭素原子、特に12~18個の炭素原子を有する。これらの酸は、直鎖であっても分枝であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、1つ以上の側方ヒドロキシル官能基を有してもよい。油は、飽和であっても不飽和であってもよく、室温で液体であっても固体であってもよく、任意選択的に、ヒドロキシル官能基を有してもよく、好ましくは1~145のヨウ素価、特には5~105のヨウ素価を有してもよい。
【0082】
W/O乳化剤は、有利には、商品名Beauty by Roquette(登録商標)DS146としてRoquette Freresから市販されている乳化系など、シクロデキストリン及び天然の油中水型乳化剤からなる乳化系から選択することができる。
【0083】
染料
【0084】
本発明による組成物は、少なくとも1つの水溶性又は脂溶性染料から選択される染料、顔料、パール剤、レーキ(不活性のミネラル担体上に吸着された水溶性染料)及びそれらの混合物などの組成物を着色する、及び/又は不透明化する、及び/又は唇を着色する効果を有する充填剤を更に含んでもよい。これらの染料は、シラン、シリコーン、脂肪酸石鹸、C9~C15フルオロアルコールのホスフェート、アクリレート/ジメチコンコポリマー、C9~C15フルオロアルコールのホスフェート/ケイ素の混合コポリマー、レシチン、カルナバワックス、ポリエチレン、キトサン、及び任意でラウロイルリジン、ジナトリウムステアロイルグルタメート及びアルミニウムアシルグルタメートなどのアシル化されていてもよいアミノ酸などの疎水性剤によって任意選択的に表面処理されてもよい。顔料は、無機であっても有機であってもよく、天然であっても合成であってもよい。顔料の例として、特に、鉄、チタン又は亜鉛の酸化物、また複合顔料及びゴニオクロマティック、真珠光沢、干渉、フォトクロミック又はサーモクロミック顔料があるが、それらに限定されない。
【0085】
充填剤
【0086】
本発明による化粧品組成物は、少なくとも1つの充填剤を更に含有してもよい。この用語は、任意の形状(特に球状又は層状)、無機又は有機粒子を意味することを意図し、それは組成物中に不溶である。充填剤の例としては、タルク、雲母、シリカ、カオリン、窒化ホウ素、デンプン、オクテニルコハク酸無水物で変性されたデンプン、ポリアミド、シリコーン樹脂、シリコーンエラストマー粉末、及びアクリルポリマー粉末、特にポリ(メチルメタクリレート)の粉末、又はスチレンアクリレートコポリマーの粉末(Dow製のSunsphere Powders)である。
【0087】
化粧品の適用
【0088】
一実施形態によると、ケア用化粧品組成物はマスクの形態である。したがって、本発明は、生理学的に許容される媒体中に、少なくとも1つの加水分解されアルキル化された豆類デンプンと、少なくとも1つのポリオールと、少なくとも1つのカラギーナンと、を含むフィルム形成組成物を含む、マスクタイプのケア用化粧品組成物に関する。
【0089】
当業者に公知の概念によれば、マスクタイプの組成物とは、ケラチン性物質、好ましくは肌にいくらかの厚さの層で適用されるように配合された化粧品組成物を意味すると理解される。マスクタイプの組成物は、一定の時間、例えば数分~数十分の間、ケラチン性物質上に置かれる。マスクタイプの化粧品組成物は、効果の持続のために一晩中ケラチン性物質上に置かれてもよい。所定の時間が終わった時に、マスク組成物は、水ですすいで落とすことができ、又は除去することができる。
【0090】
本出願人の成果は、本発明によるフィルム形成組成物により、良好に機械的に保持されることを含む優れた機械的特性を示し、及び適用した後に水で洗って迅速かつ容易に落とすことができる、マスクタイプの化粧品組成物を開発したことである。
【0091】
一実施形態によると、本発明はまた、フィルム形成組成物と少なくとも1つの化粧用活性成分とを含む、ケラチン性物質のメイクアップ、保護又はケア用の化粧品組成物に関し、このフィルム形成組成物は、少なくとも1つの加水分解されアルキル化された豆類デンプンと、少なくとも1つのポリオールと、少なくとも1つのカラギーナンと、を含む。
【0092】
化粧用活性成分又は化粧用活性物質とは、アンチエージング活性、水分補給活性、引き締め効果、色素沈着抑制活性、肌のブライトニング活性、テカリの抑制効果、スムージング効果、微小循環の刺激活性、セボレギュレーター活性、表皮の落屑活性を有する任意の成分又は物質、肌を清潔にする又は汚れ落としする、及び引き締め効果を有することを意図する成分又は物質を意味すると理解される。
【0093】
したがって、上記のフィルム形成組成物に加えて、本発明による化粧品組成物は更に、1つ以上の親水性又は親油性の活性成分を含んでもよい。特に、追加の活性成分は、ビタミン、酸化防止剤、アンチエージング剤、保湿剤、抗汚れ剤、角質溶解剤、収斂剤、抗炎症剤、白化剤、及び微小循環を促進する薬剤、セボレギュレーター、表皮落屑剤、又は引き締め効果を有する薬剤からなる群から選択することができる。
【0094】
好ましくは、上記のフィルム形成組成物に加えて、本発明による化粧品組成物は、アンチエージング剤、表皮落屑剤、セボレギュレーター、引き締め効果を有する薬剤、及びそれらの混合物、例えば、グルコノラクトン又はヒドロキシプロピルシクロデキストリンの中から選択される少なくとも1つの活性成分を含んでもよい。
【0095】
化粧用活性成分をフィルム形成組成物に組み込むために、当業者は任意の技術を使用することができる。
【0096】
典型的には、マスクタイプの化粧品組成物の場合、所望の化粧効果を得るために、マスクタイプの化粧品組成物をケラチン性物質、好ましくは肌及び毛髪に適用する際に、活性成分をフィルム形成組成物に組み込むことができる。
【0097】
グルコノラクトンは、そのセボレギュレーター特性、アンチエージング特性、及び表皮の落屑又は「ピーリング」の特性について公知の活性成分である。
【0098】
典型的には、グルコノラクトンは、得られる化粧品組成物にセボレギュレーター特性、アンチエージング特性、及び表皮落屑の特性を与えるために、フィルム形成組成物に組み込むことができる。
【0099】
典型的には、ヒドロキシプロピルシクロデキストリンは、その結果得られる化粧品組成物に引き締め効果及びしわ防止の特性を与えるために、フィルム形成組成物に組み込むことができる。
【0100】
本発明はまた、フィルム形成組成物からマスクタイプの化粧用フィルムを得る方法に関し、方法は、
フィルム形成組成物を供給するステップ;
当該組成物を40~90、好ましくは70~80℃の温度で加熱するステップ;
20~50℃の温度、及び10~50%の相対湿度で乾燥させるステップを含むことを特徴とする。
【0101】
供給されるフィルム形成組成物は上記のとおりである。
【0102】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つの化粧品組成物を当該ケラチン性物質に適用することを含む、ケラチン性物質をメイクアップ、ケア又は保護する方法にも関する。
【0103】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つのフィルム形成組成物を当該ケラチン性物質に適用することを含む、ケラチン性物質をメイクアップ、ケア又は保護する方法にも関する。
【0104】
本発明はまた、弾性フィルムの形成するための本発明によるフィルム形成組成物の使用にも関する。
【0105】
本発明による化粧品組成物の非治療的使用は、肌の外観を改善するための製品を含むマスクなどの全てのボディ及びスキンケアを含む。本発明による非治療的使用はまた、ネイルポリッシュ、マスカラ、口紅などのメイクアップ、又はシャンプー、コンディショナー、ケア製品、マスク、修復及び/若しくは保護用のヘアオイルなどの毛髪用製品を含む。有利なことに、本発明によるフィルム形成組成物は、全てのボディ及びスキンケア製品、並びに上記の全てのメイクアップ用製品に組み込むことができる。
【0106】
本発明による化粧品組成物の非治療的使用はまた、太陽光、特に紫外線に対するバリア効果又は第2の皮膚としての効果による全ての肌の保護を含む。
【0107】
本発明はまた、以下の実施例にも記載されるが、これは全く例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0108】
本発明による3つのフィルム形成組成物を、表1~3に記載の組成に従って調製する。
【0109】
【0110】
表1はフィルム形成組成物Aに対応する。
【0111】
【0112】
表2はフィルム形成組成物Bに対応する。
【0113】
【0114】
表3はフィルム形成組成物Cに対応する。
【0115】
組成物A、B、及びCを調製するプロトコルは以下のとおりである:
【0116】
水浴を75℃の温度に加熱する。
【0117】
全ての成分を、表1~3の番号順で1つずつ添加し、1つの成分が完全に溶解するのを待った後、次の成分を添加する。
【0118】
前のステップで得られた溶液の温度を72℃の温度に調整する。
【0119】
実施例2
フィルム形成組成物A、B、及びCを使用して、肌に適用するためのフィルムを調製する。これを行うために、各フィルム形成組成物について、実施例1で得られた均質な溶液を適切な平坦なガラス支持体上に注いでから、溶液がゲルになるまで数分間待つ。次いで、それを40℃のオーブン内にて、30%の相対湿度下で少なくとも24時間乾燥させる。このプロトコルの終わりに、肌への適用に十分な機械的強度を有し、水で洗うことにより溶解するように水に十分な溶解度を有するフィルムを得る。
【0120】
実施例3
本発明によるフィルム形成組成物で形成されたアンチエージングケアマスクを、表4の組成に従って調製した。
【0121】
【0122】
マスクを調製するために、グルコノラクトンを45℃の撹拌下で必要とされる量の水に完全に溶解させる。次に、グリセリン、ラムダカラギーナン、及び加水分解されたヒドロキシプロピルエンドウマメデンプンを順に添加し、それぞれを添加する間は45℃にして完全に溶解するまで待つ。次に、80℃に加熱して塩化カルシウムを添加し、完全に溶解するまで混合物を撹拌する。
【0123】
次いで、前に調製したマスク組成物を平坦なガラス支持体上に注ぎ、約3mmの厚さにする。その後、これを40℃のオーブン内にて、30%の相対湿度で少なくとも24時間乾燥させる。
【0124】
これにより、良好な機械的強度を有するフィルムを得る。これを、少なくとも一晩、肌に適用する。肌に対する引き締め効果がある。肌を水で洗ってマスクを除去した後、肌はより柔軟になり、引き締まって見える。
【国際調査報告】