(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(54)【発明の名称】勾配コイルシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20220127BHJP
G01N 24/00 20060101ALI20220127BHJP
G01R 33/385 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A61B5/055 340
G01N24/00 610Y
G01R33/385
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021533561
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 AU2019051276
(87)【国際公開番号】W WO2020118352
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517055036
【氏名又は名称】マグネティカ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リュウ フォン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ リユー
(72)【発明者】
【氏名】タン ファンファン
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB33
4C096AC01
4C096AC08
4C096AC10
4C096AD09
4C096CA25
4C096CB05
4C096CB07
4C096CB20
(57)【要約】
MRIシステムでの使用に適した勾配コイルシステム。勾配コイルシステムは、それを通って延びるボアを有する勾配本体と、ボアの周りに配置された少なくとも1つの円錐台部とを有する。ボアの第1の端部の直径は、ボアの第2の端部の直径よりも大きい。勾配コイルシステムはまた、本体の少なくとも1つの円錐台部に実質的に適合する少なくとも1つの円錐台部を有するボアの周りに配置された勾配コイルアセンブリを含み、勾配コイルアセンブリは、医用撮像のための球状体積(DSV)の直径に勾配磁場を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MRIシステムでの使用に適した勾配コイルシステムであって、
前記勾配コイルシステムは、
貫通して延びるボアと、前記ボアの周りに配置された少なくとも1つの円錐台部とを有する勾配本体であって、前記ボアの第1の端部の直径が前記ボアの第2の端部の直径より大きい勾配本体と、
前記ボアの周りに配置された勾配コイルアセンブリであって、前記勾配コイルアセンブリは、前記本体の前記少なくとも1つの円錐台部に実質的に適合する少なくとも1つの円錐台部を有し、前記勾配コイルアセンブリは、医用画像用の球状体積の直径(DSV)内に勾配磁場を生成する、勾配コイルシステム。
【請求項2】
前記勾配本体は、前記ボアの周りに配置された1つ以上の円筒部を備え、前記1つ以上の円筒部のうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つの円錐台形部のうちの1つ以上に隣接する、
請求項1に記載の勾配コイルシステム。
【請求項3】
直径を有する第1の円筒部は、直径を有する第2の円筒部に隣接し、前記第1の円筒部の直径は、前記第2の円筒部の直径よりも大きいことを特徴とする、
請求項2記載の勾配コイルシステム。
【請求項4】
前記勾配本体は、階段状直径ボアを画定する、複数の円錐台部及び/又は複数の円筒部を備える、
請求項1に記載の勾配コイルシステム。
【請求項5】
前記勾配コイルアセンブリは、少なくとも1つの実質的な円錐台部を有する一次コイル構造を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項6】
前記勾配コイルアセンブリは、前記一次コイル構造の前記少なくとも1つの円錐台部に対応する少なくとも1つの実質的な円錐台部を有するシールド層構造をさらに備える、
請求項5に記載の勾配コイルシステム。
【請求項7】
前記一次コイル構造は、前記DSV領域内に3つの直交する線形一次勾配磁場を生成する第1、第2及び第3の一次コイルセグメントを含み、
前記第1の一次コイルセグメントは、z軸に沿って勾配磁場を生成し、
前記第2の一次コイルセグメントは、x軸に沿って勾配磁場を生成し、
前記第3の一次コイルセグメントは、y軸に沿って勾配磁場を生成する、
請求項6に記載の勾配コイルシステム。
【請求項8】
前記第1の一次コイルセグメントは、z軸に対応する長手軸に沿って第1の一次勾配磁場を生成する軸方向コイルを含み、前記第2及び前記第3の一次コイルセグメントは、互いに90度回転し、それによって互いに直交する第2及び第3の一次勾配磁場及び前記第1の一次勾配磁場を生成する横方向コイルをそれぞれ含む、
請求項7に記載の勾配コイルシステム。
【請求項9】
前記シールド層構造は、第1、第2及び第3のシールドコイルセグメントを含み、
前記シールド層構造の前記コイルセグメントの各々が、前記一次コイル構造の対応するセグメントによって生成される前記勾配磁場と反対の直交勾配磁場を生成するように構成され、前記一次勾配磁場を能動的に遮蔽し、磁石及びDSVにおける渦電流を低減し、
前記第1のシールドコイルセグメントがx軸に沿った勾配磁場を生成し、
前記第2の一次コイルセグメントがy軸に沿った勾配磁場を生成し、
前記第3の一次コイルセグメントがz軸に沿った勾配磁場を生成する、
請求項6~8のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項10】
前記シールド層構造は、前記一次コイル構造の周囲に設けられ、前記ボアの軸方向の長さに実質的に沿って延び、前記シールドコイルセグメントの各々の直径は、前記一次コイルセグメントのいずれかの直径よりも大きい、
請求項6~9のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項11】
前記シールドコイルセグメントは、対応する前記一次コイルセグメントの形状に対応する円錐台形及び/又は円筒形である、
請求項6~10のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項12】
前記一次コイル構造のコイルの極性は、前記シールド層構造のそれぞれのコイルの極性と反対である、
請求項6~11のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項13】
前記システムは、1つ以上のシムポケットと、各シムポケット内に配置されたシム部とをさらに含み、使用時に、前記シム部がDSVを受動的にシミングして所定の磁場(B
0)均一性レベルを達成する、
請求項1~12のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項14】
前記シム部は、強磁性材料又は強磁性材料を含む、
請求項13に記載の勾配コイルシステム。
【請求項15】
前記勾配コイルアセンブリの各一次コイルセグメントは、前記一次コイルセグメントの形状に適合する形状を有する関連するシムポケット及び前記シム部を有する、
請求項13又は14に記載の勾配コイルシステム。
【請求項16】
前記シム部は、前記一次コイル構造と前記シールド層構造との間に配置される、
請求項13~15のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項17】
前記シム部は前記シールド層構造の外側に位置する、
請求項13~15のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項18】
前記シム部は、前記勾配コイルアセンブリを囲むマグネットチャンバと前記勾配コイルアセンブリとの間に配置される、
請求項13~15のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項19】
前記システムは、1つ以上のアクティブ磁気シム装置をさらに備える、
請求項13~15のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項20】
前記勾配コイルアセンブリは、2つの円錐台部を含む、
請求項1~19のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項21】
前記2つの円錐台部のうちの第1の部分の角度は0°~10°であり、
前記2つの円錐台部のうちの第2の部分の角度は、前記本体の長手軸に対して5°~30°である、
請求項20に記載の勾配コイルシステム。
【請求項22】
前記2つの円錐台部のうちの第1の部分の角度は5度であり、前記2つの円錐台部のうちの第2の部分の角度は前記本体の長手軸に対して16度である、
請求項21に記載の勾配コイルシステム。
【請求項23】
前記2つの円錐台部のうちの第2の部分の長さが、前記2つの円錐台部のうちの第1の部分の長さよりも大きく、磁場勾配の効率及び線形性を増大させる、
請求項22に記載の勾配コイルシステム。
【請求項24】
前記一次コイル構造の前記コイルセグメントは、隣接する前記ボアから隣接する前記シールド層構造に向かって、前記第1の一次コイルセグメント、前記第2の一次コイルセグメント及び前記第3の一次コイルセグメントの順に配置されていることを特徴とする、
請求項1に記載の勾配コイルシステム。
【請求項25】
前記シールド層構造のコイルセグメントは、隣接する前記一次コイル層から隣接する前記勾配コイルアセンブリを取り囲む磁石に向かって、前記第1のシールドコイルセグメント、前記第2のシールドコイルセグメント及び前記第3のシールドコイルセグメントの順に配置される、
請求項24に記載の勾配コイルシステム。
【請求項26】
前記ボアは、前記勾配コイルアセンブリの前記2つの円錐台部に対応する2つの円錐台部を含む、
請求項20に記載の勾配コイルシステム。
【請求項27】
前記勾配コイルアセンブリは、3段の円筒部を備え、各円筒部は異なる直径を有し、前記ボアは、前記勾配コイルアセンブリの3段の円筒部に適合する3段の円筒部を備える、
請求項1に記載の勾配コイルシステム。
【請求項28】
前記勾配コイルアセンブリは、前記円筒部の2つの間に延びる円錐台部を備える、
請求項27に記載の勾配コイルシステム。
【請求項29】
前記勾配本体は、前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記ボアの長さに沿って延びる単一の円錐台部をさらに含む、
請求項1に記載の勾配コイルシステム。
【請求項30】
前記勾配コイルシステムは、前記勾配コイルアセンブリと前記ボアとの間に配置された1つ以上の無線周波数(RF)コイルをさらに含む、
請求項1~29のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項31】
前記RFコイルは、前記ボアの形状に適合する円錐台形及び/又は円筒形である、
請求項30に記載の勾配コイルシステム。
【請求項32】
前記RFコイルは、前記ボアを囲む前記本体の内面に配置される、
請求項30又は請求項31に記載の勾配コイルシステム。
【請求項33】
前記ボアの前記第1の端部の直径は、肩アクセスを可能にするために500mmより大きく、
前記ボアの前記第2の端部の直径は、約100mm~500mmである、
請求項1~32のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項34】
前記ボアの前記第1の端部の直径は500mmから600mmであり、
前記ボアの前記第2の端部の直径は100mmから500mmである、
請求項33に記載の勾配コイルシステム。
【請求項35】
前記ボアの前記第1の端部の直径は600mmであり、
前記ボアの前記第2の端部の直径は120mmである、
請求項34に記載の勾配コイルシステム。
【請求項36】
前記ボアの前記第1の端部の直径が500mm~600mmであり、
前記ボアの前記第2の端部の直径が150mm~300mmである、
請求項33に記載の勾配コイルシステム。
【請求項37】
前記ボアの前記第1の端部の直径は560mmであり、
前記ボアの前記第2の端部の直径は210mmである、
請求項36に記載の勾配コイルシステム。
【請求項38】
前記DSVが300mm(x-)×300mm(y-)×300mm(z-)の寸法を有する、
請求項1~37のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【請求項39】
前記勾配本体は、磁石のチャンバ内に配置されている、
請求項1~38のいずれか一項に記載の勾配コイルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング(MRI)デバイス及び装置において使用するための勾配コイルシステムに関する。特に、本発明は、イメージングを改善するためにシミングを使用する円錐台形勾配コイルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の方法、装置又は文書への言及は、それらが共通の一般的知識の一部を形成し又は形成する証拠又は自白を構成するものとはみなされない。
【0003】
磁気共鳴イメージングは1980年代に導入され、主要な医学イメージング法に発展した。
【0004】
臨床MRIの成功は、強力で均一な磁場の発生にかかっている。MRI装置は、当技術分野において「直径球面イメージング体積」又は「DSV」として知られる所定の領域にわたって実質的に均一であることが要求される静磁場を生成するように設計される。DSV上の静磁場の均一性からの偏差は、典型的には、20ppmピークツーピーク(又は1ppm rms)未満であることが要求される。
【0005】
MRI装置は最初の閉鎖円筒システムの導入以来、多くの改良を受けてきた。特に、信号対雑音比を改善し、高磁場磁石及び超高磁場磁石を導入することにより、画像の品質/解像度が改善された。画像の解像度の向上により、構造解剖学的及び機能的なヒトMRI画像の両方のための専門家の数が増加しており、MRIが選択されるモダリティとなっている。
【0006】
ヒトの研究のための診断画像を生成するための典型的な磁気共鳴システムの基本的な構成要素は、メイン磁石(通常、DSVに実質的に均一な静磁場(B0フィールド)を作り出す超伝導磁石)、1つ又は複数のシムコイルのセット、1つの勾配コイルのセット、及び1つ又は複数のRFコイルを含む。MRIの議論は、例えば、Haackeら、Magnetic Resonance Imaging: Physical Principles and Sequence Design, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999に見出すことができる。Crozierら、米国特許第5818319号明細書、Crozierら、米国特許第6140900号明細書、Crozierら、米国特許第6700468号明細書、Dorriら、米国特許第5396207号明細書、Dorriら、米国特許第5416415号明細書、Knuttelら、米国特許第5646532号明細書、及びLaskarisら、米国特許第5801609号明細書も参照されたい。
【0007】
全身MRI磁石は、典型的には、長さ約1.6~2.0メートルの円筒形であり、0.6~0.8メートルの範囲の軸方向開口を有する。通常、磁石は、DSVの中点が磁石の主軸に沿って磁石構造の幾何学的中心に位置するように対称である。当然のことながら、多くの人がこのような空間に置かれると閉所恐怖症に苦しむ。また、撮像される対象の身体の部分と磁石システムの端部との間の距離が大きいことは、医師がMRI処置中に対象を容易に補助したり、個人的に監視したりすることができないことを意味する。
【0008】
対象に対するその効果に加えて、磁石のサイズは、MRI装置のコスト及びそのような装置の設置に伴うコストを決定する主要な要因である。他の重要な考慮事項は、システムを極低温に維持するために必要なヘリウムの体積である。そのような全身磁石は、その大きなサイズのために、頭部、四肢、新生児などの小さなサイズの物体の画像を生成する際に使用するには高価である。
【0009】
上述したように、勾配コイルは、走査中に核磁気共鳴(NMR)信号の空間的符号化を提供する磁気共鳴イメージング(MRI)スキャナにおける必須のシステム構成要素である。強力な線形磁場勾配は、拡散強調イメージングやエコープラナーイメージング(EPI)などの高速イメージングモダリティに必要である。全身勾配強度の改善はコイルにより多くのワイヤ巻数を加えることによって簡単に達成できるが、このアプローチはインダクタンスと抵抗の増加をもたらす。
【0010】
より強力な勾配増幅器を使用することによって勾配強度を改善することもできるが、この方法はコスト効率が悪い。より大きな勾配電力/電流を用いることはまた、人体に誘導されるより大きな電場をもたらし、末梢神経刺激(PNS)を引き起こす可能性がある。
【0011】
勾配強度を増加させる別の実際的な方法は、全身MRIシステム内に挿入可能なヘッドコイルなどの局所勾配コイルを適用することである。挿入可能な勾配コイルは、勾配強度を高め、インダクタンスを最小にするなどの利点を示し、高いスイッチング速度と潜在的により高いPNS限界を示す。
【0012】
幾何学的には、コイルへのヘッドアクセスは、肩の寸法によって制限されるので、ヘッド勾配コイルは、通常、非対称構成を使用する。
【0013】
したがって、MRIシステムで使用するための改良されたコイルシステムが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5818319号明細書
【特許文献2】米国特許第6140900号明細書
【特許文献3】米国特許第6700468号明細書
【特許文献4】米国特許第5396207号明細書
【特許文献5】米国特許第5416415号明細書
【特許文献6】米国特許第5646532号明細書
【特許文献7】米国特許第5801609号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Haacke et al., Magnetic Resonance Imaging: Physical Principles and Sequence Design, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上記の欠点又は問題の1つ以上を克服又は改善するか、又は少なくとも有用な商業的代替を提供する勾配コイルシステムを提供することである。
【0017】
本発明の他の好ましい目的は、以下の説明から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の態様において、本発明は、1つ以上の円錐台形状の部分、異なる半径を有する1つ以上の円筒部、又は1つ以上の円錐台形状の部分と1つ以上の円筒部の組み合わせを有する勾配コイルシステムに存在する。
【0019】
別の態様では、本発明は、MRIシステムでの使用に適した勾配コイルシステムであって、
この勾配コイルシステムは、
貫通して延びるボアと、ボアの周りに配置された少なくとも1つの円錐台部とを有する勾配本体であって、ボアの第1の端部の直径がボアの第2の端部の直径より大きい勾配本体と、
本体の少なくとも1つの円錐台部に実質的に適合する少なくとも1つの円錐台部を有する勾配コイルアセンブリ、
を含む。
【0020】
好ましくは、使用時に、システムに関連する球状体積の直径(DSV)をシステムの幾何学的中心からシフトさせて、頭部及び四肢の両方のより容易な画像化を可能にする。
【0021】
いくつかの実施形態では、勾配コイルアセンブリの基本断面の高効率(すなわち、高いスルーレートと勾配強度)は、より高い最大走査速度(すなわち、高速イメージング)を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態では、システムの勾配本体は、第1の端部と第2の端部との間のボアの長さに沿って延びる1つの(又はシングル)円錐台部を含む。
【0023】
好ましくは、本体は、ボアの周りに配置された少なくとも1つの円筒部を含む。好ましくは、円筒部が円錐台形部に隣接する。代替的に、又は追加的に、直径を有する第1の円筒部は、直径を有する第2の円筒部に隣接し、第1の円筒部の直径は、第2の円筒部の直径より大きい。好ましくは、複数の円錐台部及び/又は円筒部は、階段状直径ボアを画定する。
【0024】
いくつかの実施形態では、勾配コイルアセンブリは、少なくとも1つの実質的な円錐台部を有する一次コイル構造を含む。
【0025】
勾配コイルアセンブリは、少なくとも1つの実質的な円錐台部を有するシールド層構造をさらに含んでもよい。
【0026】
好ましくは、勾配本体は、磁石のチャンバ内に配置される。
【0027】
好ましくは、一次コイル構造は、DSV領域内に3つの直交する線形一次勾配磁場を生成する第1、第2及び第3の一次コイルセグメントを含む。好ましくは、第1の一次コイルセグメントは、長手軸(z軸)に沿って第1の一次勾配磁場を生成する軸方向コイルを含む。好ましくは、第2及び第3の一次コイルセグメントは、互いに90度回転し、それによって互いに直交する第2及び第3の一次勾配磁場及び第1の一次勾配磁場を生成する横方向コイルをそれぞれ含む。好ましくは、第2の一次コイルセグメントは、第1の一次コイルセグメントと第3の一次コイルセグメントとの間に配置される。
【0028】
好ましくは、シールド層構造は、第1、第2及び第3のシールドコイルセグメントを含む。好ましくは、シールド層構造の各コイルセグメントは、一次コイル構造の対応するセグメントによって生成される勾配磁場とは反対の直交勾配磁場を生成するように配置され、それによって、一次勾配磁場を能動的に遮蔽し、磁石及びDSV内の渦電流を低減する。好ましくは、シールド層構造は、一次コイル構造の周囲に設けられ、ボアの軸方向の長さ全体に実質的に沿って延びる。好ましくは、各シールドコイルセグメントの直径は、一次コイルセグメントのいずれか1つの直径よりも大きい。シールド層構造及び関連するコイルは、磁気コイルによって生成される磁界から環境をシールドするように作用する。
【0029】
好ましくは、ボアの第1の端部の直径は、肩アクセスを可能にするために500mmより大きい。好ましくは、ボアの第2の端部の直径は、約100mm~500mmである。これは、四肢へのアクセスを依然として提供しながら、磁場のより短い勾配長(B0)に加えて、磁場勾配のより高い効率及び直線性を提供する。
【0030】
好ましくは、シールドコイルは、一次コイルから離れて配置される。好ましくは、シールドコイルは円錐台形及び/又は円筒形である。
【0031】
好ましくは、勾配コイルシステムは、ヘッド撮像のための高効率、勾配強度及びスルーレートの増加、及び短い勾配長のための磁場勾配の良好な直線性を提供し、ヘッド及び四肢アクセスに適している。
【0032】
好ましくは、一次コイル構造のコイルの極性は、シールド層構造の各コイルの極性と反対である(すなわち、それらは反対方向に電流を運ぶ)。
【0033】
好ましくは、システムは、1つ以上のシムポケットをさらに含む。好ましくは、シムポケットは円錐台形及び/又は円筒形である。好ましくは、シム部は、各シムポケット内に配置される。好ましくは、シム部分は、強磁性又は強磁性材料を含む。好ましくは、勾配コイルアセンブリの各一次コイルセグメントは、勾配コイルの形状に適合する形状を有する関連するシムポケット及びシム部分を有する。好ましくは、シム部分は、DSVを受動的にシミングして、好ましい磁場(B0)均一性レベルを達成する。好ましくは、シム部は、一次コイル構造とシールド層構造との間に配置される。いくつかの実施態様において、シム部分は、シールド層構造の外側に配置される。好ましくは、シム部分は、磁石と勾配コイルとの間に配置される。
【0034】
好ましくは、システムは、1つ以上のアクティブ磁気シム装置をさらに含む。
【0035】
好ましい実施形態では、DSVは300mm(x-)×300mm(y-)×300mm(z-)の寸法を有する。好ましくは、勾配コイルアセンブリは、2つの円錐台部を含む。好ましくは、2つの切頭円錐部のうちの第1の切頭円錐部の角度は、本体の長手軸に対して0度から10度の間であり、2つの切頭円錐部のうちの第2の切頭円錐部の角度は、5度から30度の間である。より好ましくは、2つの円錐台部のうちの第1の部分の角度は5度であり、2つの円錐台部のうちの第2の部分の角度は、本体の縦軸に対して16度である。
【0036】
好ましくは、ボアの第1端の直径は500mm~600mmであり、ボアの第2端の直径は100mm~500mmである。より好ましくは、ボアの第1の端部の直径は600mmであり、ボアの第2の端部の直径は120mmである。
【0037】
好ましくは、2つの円錐台部のうちの第2の部分の長さは、2つの円錐台部のうちの第1の部分の長さよりも大きく、磁場勾配の効率及び直線性を増大させる。好ましくは、一次コイル構造のコイルセグメントは、内側(ボアに隣接)から外側(シールド層構造に隣接)に向かって、z一次コイル、x一次コイル、y一次コイルの順に配置される。好ましくは、シールドコイル層のコイルセグメントは、内側(一次コイル層に隣接)から外側(磁石に隣接)に向かって、xシールドコイル、yシールドコイル、zシールドコイルの順に配置される。好ましくは、ボアは、勾配コイルアセンブリの2つの円錐台部に適合する2つの円錐台部を含む。
【0038】
別の好ましい実施形態では、DSVは、300mm(x-)×300mm(y-)×300mm(z-)の寸法を有する。好ましくは、勾配コイルアセンブリは、3段の円筒部を含み、各円筒部は異なる直径を有する。好ましくは、勾配コイル組立体は、2つの円筒部の間に延びる切頭形部分を含む。好ましくは、ボアの第1端の直径は500mm~600mmであり、ボアの第2端の直径は150mm~300mmである。より好ましくは、ボアの第1の端部の直径は560mmであり、ボアの第2の端部の直径は210mmである。好ましくは、ボアは、勾配コイルアセンブリの3段に円筒部に適合する3段の円筒部を備える。
【0039】
好ましくは、勾配コイルシステムは、勾配コイルアセンブリとボアとの間に配置された1つ以上の無線周波数(Radio Frequency, RF)コイルをさらに含む。好ましくは、RFコイルは、ボアの形状に適合する円錐台形及び/又は円筒形である。好ましくは、RFコイルは、ボアを取り囲む本体の内面に配置される。
【0040】
MRIシステムでの使用に適した勾配コイルシステムであって、
前記勾配コイルシステムは、貫通して延びるボアと、ボアの周りに配置された少なくとも1つの円錐台部とを有する勾配本体であって、ボアの第1の端部の直径がボアの第2の端部の直径より大きい勾配本体と、
前記ボアの周りに配置された勾配コイルアセンブリであって、前記勾配コイルアセンブリは、前記本体の前記少なくとも1つの円錐台部に実質的に適合する少なくとも1つの円錐台部を有し、前記勾配コイルアセンブリは、医用画像用の球状体積の直径(DSV)内に勾配磁場を生成する、勾配コイルアセンブリと、
を含む。
【0041】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
一例に過ぎないが、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【
図1】本発明の第1の実施形態による磁石本体内の円錐台形勾配コイルシステムの概略断面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による、円錐台部及び円筒部を有する階段状勾配コイルシステムの概略断面図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態による、円錐台のラジオ周波数(RF)コイルを磁石本体内に有する円錐台勾配コイルシステムの概略断面図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態による円筒形RFコイルを有する階段状勾配コイルシステムの概略断面図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態による2つの円錐台部を有する円錐台形勾配コイルシステムの概略断面図である。
【
図6】
図5に示す円錐台形勾配コイルシステムの軸方向(z)コイル一次パターン及びシールドパターンを示す。
【
図7a】
図5の円錐台形勾配コイルシステムの横断(xとy)コイル一次及びシールドパターンを示す。
【
図7b】
図5の円錐台形勾配コイルシステムの横断(xとy)コイル一次及びシールドパターンを示す。
【
図8】
図2に示す階段状勾配コイルシステムの断面図である。
【
図9】
図8に示す階段状勾配コイルシステムの軸方向(z)コイル一次パターン及びシールドパターンを示す図である。
【
図10】
図8の階段状勾配コイルシステムの横断(xとy)コイル一次及びシールドパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、1つ以上の円錐形状(又は原始的な形をした)部分と、いくつかの実施形態では、1つ以上の円筒形状部分とを有する勾配コイルシステムを提供する。本発明は、磁気共鳴画像の信号符号化及びDSV内の静磁場均一性の向上を容易にし、特に、ヒトの頭部、四肢及び/又は新生児画像などに有用である。
【0044】
勾配コイルシステムは、2つの端部を有し、一方の端部はショルダーアクセスを可能にするための大きなボア直径を有し、他方の端部は、勾配効率及び磁場勾配の直線性を改善し、勾配長を短くするために、著しく小さいボア直径を有する。
【0045】
より小さい勾配ボアはまた、整形外科的イメージングのための四肢アクセスを可能にする。
【0046】
いくつかの実施形態では、円錐台形又は円筒形のパッシブ/能動シミングは、球状体積の直径(DSV)の領域内の磁場(B0)をシミング(すなわち均質化)するための勾配システムに含まれる。
【0047】
勾配コイルシステムは、複数の円錐台及び/又は円筒部を有する一次層構造を有する勾配コイルアセンブリと、磁石構成に応じて円錐台又は円筒形のいずれかであり得るシールド層構造とを含む。
【0048】
一次層構造は、DSV領域に3つの直交する線形勾配磁場を生成する3つのコイルセグメントを含み、そのうちの1つは、縦軸(z軸)に沿って勾配磁場を生成する軸コイルと呼ばれ、他の2つは、互いに90度回転する横コイルと呼ばれる。
【0049】
シールド層構造はまた、関連する一次コイルによって生成される勾配磁場とは反対の3つの直交勾配磁場を生成する3つのコイルセグメントを含み、これにより、一次勾配磁場を能動的にシールドし、磁石及びDSV内の渦電流を低減する。
【0050】
一次コイルでは、幅の広いボアの直径は、ショルダーアクセスを可能にするのに十分な大きさであり、好ましくは500mmよりも大きく、一方、幅の狭いボアの直径は、より短い勾配長さ(純粋に円筒形のシステムと比較して)だけでなく、磁場勾配の高い効率性及び直線性を有するのに十分な小ささであると想定され、依然として四肢へのアクセスを提供する。この点に関して、狭いボアは、直径が100mmから500mmであると想定される。
【0051】
シールド性能を改善又は最適化するために、シールドコイルは、一次コイルから可能な限り離れて配置される。その結果、シールドコイルは、円筒形磁石ボアに対して円筒形とすることができる。
【0052】
ここで
図1を参照すると、磁気共鳴イメージング(MRI)システムで使用する円錐台形勾配コイルシステム01が示されている。円錐台形勾配コイルシステム01は、関連する球状体積(DSV)111の直径を有する磁石101のチャンバ、すなわち軸方向開口内に挿入された円錐台形勾配本体102を含む。
【0053】
勾配本体102は、勾配102の長さに沿って軸方向に延びる実質的に円錐台形のボア104を画定する。図から分かるように、ボア104は、第1の開口部104a及び第2の開口部104bを含む。第1の開口部104aは、画像化のために患者の肩へのアクセスを可能にするように意図されており、したがって、それに応じたサイズにしなければならない。
【0054】
簡単に上述したように、第1の開口部104a(すなわち、より大きな開口部)は、患者の肩にアクセスできるように適切なサイズにされることが期待される。従って、第1の開口部104aは500mm以上の直径D11を有し、一方、第2の開口部104b(すなわち、より小さい開口部)の直径D13は、より短い勾配長さだけでなく、勾配磁場の高効率及び勾配線形性を提供するのに十分に小さくなければならず、例えば、手及び腕などの四肢へのアクセスを提供することが想定される。
【0055】
勾配本体102内には、勾配コイルアセンブリ120が配置されている。勾配コイルアセンブリ120は、一次コイル121を構成する3つの円錐台部121a、121b、121cと、シールドコイル122を構成するシールドコイル122a、122b、122cの3つの円錐台部とを含む。一以上のシム部分を収容するシムポケットを含む円錐台形パッシブシム装置123もある。シム部分は、磁界のパッシブシミングを提供し、強磁性材料を含む。
【0056】
各一次コイル部121a、121b、121cは、磁石101の長手軸105に対して異なる角度θ1a,θ1b,θ1cを有し、異なる平均径D11、D12、D13を有する。但し、各シールドコイル部122a、122b、122cの角度θ2a、θ2b、θ2cは、同一であっても異なっていてもよい。有利には、一次コイル部121a~c及びシールドコイル部122a~cの異なる角度によって提供される様々な構成は、DSV内に最適かつ所望の磁場を生成し、浮遊磁場を最小にする。
【0057】
ボア104の第1の開口部104aに関して説明したように、最も内側の一次コイル部、一次コイル121aの直径は、患者の肩部にアクセスできるように十分広い間隔で配置されている。従って、第1の開口部104aと同様に、一次コイル121aの最大径は500mm以上であることが好ましいが、一次コイル121aの大きさは任意であると考えられる。
【0058】
一次コイル121及び二次コイル122のそれぞれは、3つの直交するz、x及びy軸において3つの直交する勾配磁場を生成する3つのコイルセグメント(z、x、yコイル)を含む。
【0059】
シールドコイル122の電流方向は、各一次コイル121の電流方向と逆方向である。これは、さらなる実施形態に関する後の図でより明確に示される。
【0060】
図示されるように、一次コイル121とシールドコイル122とは、パッシブシムポケット123が勾配本体102の狭い端部(第2の開口部104bに隣接)から勾配本体102の広い部分(第1の開口部104aに隣接)まで延びるように十分に離間されている。
【0061】
パッシブシムポケット123を一次コイル121とシールドコイル122との間に配置することによって、シム部分をシムポケット123内に配置し、それによって磁石DSV111を所望の磁場均一性レベルにシミングすることができる。
【0062】
図2に示す勾配コイルシステム02は、関連する球状体積(DSV)211の直径を有する磁石201のチャンバ(すなわち軸方向の開口部)内に挿入される三段の勾配本体202を含む。
【0063】
勾配本体202は、勾配本体202の長さに沿って軸方向に延びる階段状ボア204を画定する。図から分かるように、ボア204は、第1の開口部204a及び第2の開口部204bを含む。
【0064】
第1の開口部204aは、画像化のために患者の肩へのアクセスを可能にするように意図されており、したがって、それに応じたサイズにしなければならない。関係システム01に関して上述したように、第1の開口部204a(すなわち、より大きな開口部)は、直径が500mm以上であり、一方、第2の開口部204b(すなわち、より小さい開口部)は、勾配磁場の高効率及び勾配線形性、並びに、より短い勾配長さを提供し、さらに、例えば、手及び腕のような四肢へのアクセスを提供するのに十分に小さくなければならない。
【0065】
勾配本体202内には、一次コイル221を構成する三段の円筒状一次コイル部221a、221b、221c及び円錐台形一次コイル部221dと、シールドコイル222を構成する三段の円筒状シールドコイル部222a、222b、222c及び円錐台形シールドコイル部222dが配置されている。
【0066】
また、2段の円筒状のパッシブシム装置223a、223bが設けられている。各シム装置223a、223bは、強磁性材料の1つ以上のシム片を収容するシムポケットを有する上述のシム装置123と実質的に同様である。
【0067】
図から分かるように、一次コイル部221aとシールドコイル部222a、及び、一次コイル部221cとシールドコイル部222cの部分は、径方向に分離され、ボア204の周りに間隔を置いて配置されており、シム装置223a、223bがそれらの間にそれぞれ配置されるための空間を提供している。上述したように、シム装置223a及び223bのシムポケット内に位置するシム片は、協働して、磁石DSV211を所要の磁場均一性レベル(例:300mmDSVで10ppm)までシミングする。
【0068】
一次コイル部221a、221b、221c、221dの各段は、それぞれ平均径D21、D22、D23、D24が異なる部分を有する。
【0069】
部分221aの直径D21は、患者の肩へのアクセスを可能にするのに十分な大きさであるべきであり、部分221cの直径D24は、四肢へのアクセスを可能にするのに十分な大きさであるべきである。
【0070】
一次コイル部221a~cの各ステップの直径D21~D24は異なるが、各シールドコイル部222a~cの直径は、任意に異なるか、又は実質的に等しい。
【0071】
一次コイル221及びシールドコイル222の両方を含む勾配コイル220の各部分は、z、x及びyコイルと呼ばれる3つのコイルセグメントを含み、3つの直交z、x及びy軸において3つの直交勾配磁場を生成する。
【0072】
シールドコイル222a~cの電流方向は、各一次コイル221a~cの電流方向と逆向きである。
【0073】
図3を参照すると、円錐台勾配コイルシステム03の形態の本発明のさらなる実施形態がある。円錐台勾配コイルシステム03は、上述した円錐台勾配コイルシステム01と実質的に同様である。しかしながら、一次コイル部321aは、勾配したシステム01の一次コイル部121aとは対照的に、磁石301の長手軸305に平行である。
【0074】
円錐台形勾配コイルシステム03は、関連する球状体積(DSV)311の直径を有する磁石301のチャンバ内に挿入された円錐台形勾配本体302、すなわち軸方向開口を含む。
【0075】
勾配本体302は、勾配302の長さに沿って軸方向に延びる実質的に円錐台形のボア304を画定する。図から分かるように、ボア304は、第1の開口部304a及び第2の開口部304bを含む。第1の開口部304aは、画像化のために患者の肩へのアクセスを可能にするように意図されており、したがって、それに応じたサイズにしなければならない。
【0076】
簡単に上述したように、第1の開口部304a(すなわち、より大きな開口部)は、患者の肩にアクセスできるように適切なサイズにされることが期待される。従って、第1の開口部304aは500mm以上の直径D31を有し、一方、第2の開口部304b(すなわち、より小さい開口部)の直径D33は、より短い勾配長さだけでなく、勾配磁場の高効率及び勾配線形性を提供するのに十分に小さくなければならず、さらに、例えば、手及び腕などの四肢へのアクセスを提供することが想定される。
【0077】
勾配本体302内には、勾配コイルアセンブリ320が配置されている。勾配コイルアセンブリ320は、一次コイル321を構成する3つの円錐台部321a、321b、321cと、シールドコイル322を構成するシールドコイル322a、322b、322cの3つの円錐台部とを含む。一以上のシム部を収容するシムポケットを含む円錐台形パッシブシム装置323もある。シム部は、磁界のパッシブシミングを提供し、強磁性材料を含む。
【0078】
一次コイル部322c,322bは、それぞれ磁石301の長手軸305に対する角度θ3a、θ3bが異なり、平均径D31、D32、D33が異なる。但し、各シールドコイル部322c、322bの角度θ3c,θ3dは、同一であっても異なっていてもよい。有利には、一次コイル部321a~c及びシールドコイル部322a~cの異なる角度によって提供される様々な構成は、DSV内に最適かつ所望の磁場を生成し、浮遊磁場を最小化する。
【0079】
ボア304の第1の開口部304aに関して説明したように、最も内側の一次コイル部、一次コイル321aの直径は、患者の肩部にアクセスできるように十分広い間隔で配置されている。従って、第1の開口部304aと同様に、一次コイル321aの最大径は500mm以上であることが好ましいが、一次コイル321aの大きさは任意であると考えられる。
【0080】
一次コイル321及びシールドコイル322の各々は、3つの直交するz、x及びy軸において3つの直交する勾配磁場を生成する3つのコイルセグメント(z、x、yコイル)を含む。
【0081】
シールドコイル322の電流方向は、各一次コイル321の電流方向と逆方向である。
これは、さらなる実施形態に関する後の図でより明確に示される。
【0082】
図示されるように、一次コイル321とシールドコイル322とは、パッシブシムポケット323が勾配本体302の狭い端部(第2の開口部304bに隣接)から勾配本体102の広い部分(第1の開口部304aに隣接)まで延びるように十分に離間されている。
【0083】
パッシブシムポケット323を一次コイル321とシールドコイル322との間に配置することによって、シム部をシムポケット323内に配置し、それによって磁石DSV311を所望の磁場均一性レベルにシミングすることができる。
【0084】
さらに、円錐台形勾配コイルシステム03は、勾配本体302を貫通して延びるボア304の内面に配置された円錐台形無線周波数(RF)コイル303も含む。RFコイルは、体積コイル、表面コイル、又はこれら2つの組み合わせのいずれであってもよいことが理解されよう。
【0085】
これらの円錐台状RFコイル303は、磁気共鳴撮像システムの無線周波数信号を受信するように構成された受信機として構成される。
【0086】
システム01と同様に、各一次コイル321及びシールドコイル322は、それぞれ、3つの直交z、x及びy軸において3つの直交勾配磁場を生成する3つのコイルセグメント(z、x、yコイル)を含む。シールドコイル322a~cの電流方向は、各一次コイル321a~cの電流方向と逆向きである。
【0087】
階段状勾配コイルシステム04の形態の本発明の別の実施形態を
図4に示す。
【0088】
階段状勾配コイルシステム04は、
図2に示した上述の勾配コイルシステム02と実質的に同様である。しかし、階段状勾配コイルシステム04は、勾配本体202を貫通して延びるボア204の内面上に配置された円錐台形無線周波数(RF)コイル203をさらに含む。
【0089】
これらの円錐台状RFコイル203は、磁気共鳴撮像システムの無線周波数信号を受信するように構成された受信機として構成される。
【0090】
本明細書に記載する実施形態と同様に、シールドコイル222a~cにおける電流方向は、それぞれの一次コイル221a~cにおける電流方向と逆である。
【0091】
図5に示す特に好ましい実施形態では、基本勾配コイルシステム05のDSV511は、勾配コイルシステム01と実質的に同様であり、300mm(x-)×300mm(y-)×300mm(z-)の寸法を有する。
【0092】
勾配コイルシステム05は、勾配本体502に形成された広い部分502aと狭い部分502bの2つの円錐台部を含む。
【0093】
勾配コイルアセンブリ520は、一次コイル521を含む2つの円錐台部521a及び521bと、シールドコイル522を含むシールドコイル522a及び522bの2つの円錐台部とを含む。
【0094】
勾配の軸方向(線505で表される)に対して、広い部分502aの角度θ5aは5度、狭い部分502bの角度θ5bは16度である。
【0095】
最も広い勾配ボア504aの最大半径R51は300mm(直径600mmに等しい)であり、最も狭いボア504bの最小半径R52は60mm(直径120mmに等しい)である。
【0096】
この特に好ましい実施形態では、狭い部分502bの長さは広い部分502aの長さよりもかなり長く、システム05の磁場の効率と直線性の両方を高める。
【0097】
図示された図に示すように、一次コイル521及びシールドコイル522は、内側から順にz一次コイル、x一次コイル、y一次コイル、xシールドコイル、yシールドコイル、zシールドコイルの順に配置されている。
【0098】
シム装置523は、上述したシム装置123と実質的に同様であり、一次コイル521とシールドコイル522との間に配置される。
【0099】
シールドコイル522の電流方向(
図6、
図7a及び
図7bに示す)は、各一次コイル521の電流方向と逆方向である。
【0100】
使用に際して、上述の実施形態は、磁場勾配の高効率及び直線性を提供する。さらに、システム05は、第1端で5度の小さい角度を使用し、第2端で16度の大きい角度を使用して、患者の肩に対する適切なアクセスを提供する。
【0101】
図8による別の特に好ましい実施形態では、三段勾配コイルシステム06は、三段勾配コイルシステム02と実質的に同様であり、多くの同様に番号が付された部品を使用し、300mm(x-)×300mm(y-)×300mm(z-)の寸法を有するDSV611を有する。
【0102】
上述したように、勾配コイルアセンブリ220は、三段の円筒部202a、202b、202cと、円筒部202bと202cとの間に位置する円錐台形部202dとを含む。各部分202a~dは、それぞれ異なる半径R21、R22、R23、R24を有する。
【0103】
最も幅の広い勾配ボア204aの半径R21は280mm(直径560mm相当)であり、最も狭いボア204bの半径R24は105mm(直径210mm相当)である。
【0104】
一次コイル221及びシールドコイル222は、内側(ボア204に隣接)から外側(ボア204から半径方向外方に移動)に向かってz一次コイル、x一次コイル、y一次コイル、xシールドコイル、yシールドコイル、zシールドコイルの順に配置されている。
【0105】
シールドコイル222の電流方向(
図9及び10に示す)は、各一次コイル221の電流方向と逆方向である。
【0106】
使用時には、上述のシステム06は、磁場の高効率及び直線性を維持しながら、最も広い勾配ボア204aにおける患者の両肩及び最も狭いボア204bにおける四肢へのアクセスを提供する。
【0107】
いくつかの実施形態では、円錐台ボアによって提供される大きな開口部(円筒座標系に関連)は、システムに必要な磁石の全長を短くすることができる。
【0108】
本明細書に記載する実施形態は、パッシブ磁気シム装置を含むが、代替実施形態は、アクティブ磁気シム装置も含むことができる。
【0109】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、高効率、高勾配強度を提供することを目的とし、したがって、ヘッドイメージングのための改良されたスルーレート、短縮された勾配長のための改良された直線性、及びヘッド及び四肢アクセスに適したシステムを提供する。理解されるように、増加した勾配強度及び高いスルーレートは、心臓及び頭部(すなわち脳)のイメージングにとって特に重要であり得る(しばしば必要である)。
【0110】
さらに、本発明の実施形態は、核磁気共鳴(NMR)信号の効率的かつ高速な空間符号化を提供するシミング、肩部及び四肢部の両方のMRIシステムへの容易なアクセスを含む、異なる角度及び直径を有する円錐台勾配コイルの複数の部分を有する。
【0111】
異なる角度に配置された一次コイル部を有する本発明の実施形態は、DSVに最適な磁界を生成し、漂遊磁界を最小化する。
【0112】
有利には、本発明の様々な実施形態に関連して上述した構成要素の円錐台形の性質は、DSVをボアの中心からシフトさせることを可能にする。これは、DSVが中心に配置される典型的な円筒形設計のDSVとは対照的である。本明細書に記載する本発明の実施形態では、これにより、撮像ゾーン内での頭部撮像(広い端部から)及び四肢撮像(狭い端部から)のための患者の位置決めが容易になる。
【0113】
さらなる利点として、本発明の実施形態の円錐台形状の設計は、より小さい磁石を使用することを可能にし、それによって、材料及び設置に関連するものを含む、電力消費及び全体的なコストを低減する。さらに、より小さいサイズのスキャナは、設置のためのより少ないスペースを必要とし、それによってスキャナのフットプリントを最小にする。これは、現代の病院にスキャナを設置する際に重要な考慮事項となり得る。
【0114】
本明細書において、第1及び第2、左及び右、上及び下などの形容詞は、必ずしも実際のそのような関係又は順序を必要とせず又は暗示することなく、単に1つの要素又は動作を別の要素又は動作から区別するために使用され得る。コンテキストが許容する場合、整数又はコンポーネント又はステップ(その他)への参照は、その整数、コンポーネント又はステップの1つだけに限定されると解釈されるべきではなく、むしろその整数、コンポーネント又はステップなどの1つ以上であり得る。
【0115】
本発明の様々な実施形態の上記の詳細な説明は、関連技術の当業者に説明の目的で提供される。本発明を単一の開示された実施形態に限定することも意図しない。上述したように、本発明の多数の代替及び変形が、上記教示の当業者には明らかであろう。したがって、いくつかの代替の実施形態が具体的に議論されてきたが、他の実施形態は、当業者によって明らかであるか、又は比較的容易に開発されるであろう。本発明は、本明細書で議論されてきた本発明のすべての代替、修正、及び変形、ならびに上記の本発明の精神及び範囲に入る他の実施形態を包含することを意図している。
【0116】
本明細書において、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、又は同様の用語は、非排他的包含を意味することを意図しており、要素のリストを含む方法、システム又は装置は、それらの要素のみを含まず、リストされていない他の要素を含んでもよい。
【0117】
明細書及び特許請求の範囲(存在する場合)全体を通じて、文脈上他に要求されない限り、「実質的に」又は「約」という用語は、その用語によって限定される特定の値又は範囲に限定されないと理解される。
【国際調査報告】