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特表2022-512421半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置及び加工方法
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  • 特表-半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置及び加工方法 図1(a)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(54)【発明の名称】半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置及び加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220127BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20220127BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20220127BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20220127BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20220127BHJP
   B24B 1/00 20060101ALI20220127BHJP
   B24B 57/02 20060101ALI20220127BHJP
   C09J 9/02 20060101ALN20220127BHJP
   C09J 201/00 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
H01L21/304 621B
H01L21/304 622F
B24B37/00 H
B24B37/00 K
B24B37/10
B24B37/12 D
B24B37/26
B24B1/00 Z
B24B57/02
C09J9/02
C09J201/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533602
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2019125072
(87)【国際公開番号】W WO2020119779
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】201811537196.2
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811537195.8
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513324321
【氏名又は名称】大連理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】董 志剛
(72)【発明者】
【氏名】時 康
(72)【発明者】
【氏名】康 仁科
(72)【発明者】
【氏名】欧 李葦
(72)【発明者】
【氏名】朱 祥龍
(72)【発明者】
【氏名】高 尚
【テーマコード(参考)】
3C047
3C049
3C158
4J040
5F057
【Fターム(参考)】
3C047FF08
3C047GG08
3C047GG20
3C049AA07
3C049AA09
3C049AC04
3C049BA02
3C049BA04
3C049BA05
3C049BA09
3C049CB03
3C158AA07
3C158AA09
3C158AC04
3C158BA02
3C158BA04
3C158BA05
3C158BA09
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3C158CB10
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3C158DA17
3C158EA11
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3C158ED02
3C158ED10
3C158ED11
4J040JB09
4J040JB10
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4J040PA00
4J040PA42
5F057AA03
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5F057CA11
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5F057EC30
5F057FA01
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5F057FA25
5F057FA30
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5F057FA42
5F057GA27
(57)【要約】
本発明は半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置及びその加工方法を開示し、ウェーハを導電性接着剤によって研磨ヘッドに粘着して固定し、ウェーハをその下方において導電スリップリングの内外輪の導線によって外部電源の正極に接続する。研磨パッドを対極盤底部に粘着し、対極盤を研磨ディスク底部に固定し、また対極盤の研磨ディスクに対応する位置に貫通孔を施し、対極盤をその上方の導電スリップリングの内外輪導線によって外部電源の負極に接続する。紫外線光源が発光する紫外線は貫通孔を通過してウェーハ表面に照射可能であり、研磨液も貫通孔に噴射されてウェーハと研磨パッドの接触領域に入ることができる。本発明が設計した光電気化学機械研磨加工装置は本発明に係る加工方法を好適に実現でき、加工装置は、操作が簡単で、実現しやすく、プロセスパラメータを柔軟に調節可能なメリットを有し、窒化ガリウムウェーハの実際加工で除去速度が速く、加工後の表面品質が優れる効果を図ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔付きの研磨パッドと、
研磨パッドを動かしてウェーハ表面に対して機械研磨を行うための貫通孔付きの研磨ディスクと、
研磨液が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハ表面に滴下するように研磨液を供給するための研磨液源と、
紫外線が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハに輻射するように紫外線を供給するための紫外線光源と、
外部電源と、を含み、
ウェーハが外部電源の正極に接続され、研磨ディスクが外部電源の負極に接続され、前記外部電源、ウェーハ、研磨ディスクが閉回路を構成する、半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【請求項2】
貫通孔付きの研磨パッドと、
研磨パッドを動かしてウェーハ表面に対して機械研磨を行うための貫通孔付きの研磨ディスクと、
研磨ディスクと研磨パッドの間に位置する貫通孔付きの対極盤と、
研磨液が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハ表面に滴下するように研磨液を供給するための研磨液源と、
紫外線が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハに輻射するように紫外線を供給するための紫外線光源と、
外部電源と、を含み、
ウェーハが外部電源の正極に接続され、対極盤が外部電源の負極に接続され、前記外部電源、ウェーハ、対極盤が閉回路を構成する、半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【請求項3】
前記研磨液は、研磨粒子を含有する化学研磨液である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【請求項4】
前記研磨ディスクと研磨パッドはウェーハの上方に位置し、紫外線光源は研磨ディスクと研磨パッドの上方に位置する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【請求項5】
前記研磨液源は前記研磨ディスクの上方に位置する研磨液ノズルである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【請求項6】
前記研磨ディスクの貫通孔は中心から外周へと放射状になるように分布され、好ましくは、貫通孔は、研磨ディスクの径方向に周期的に分布され、好ましくは、研磨ディスクの中心部に貫通孔を設けず、研磨ディスクの外周部のウェーハに接触する位置のみに貫通孔を設ける、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【請求項7】
前記研磨ディスク、対極盤、研磨パッドの貫通孔の分布が一致する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【請求項8】
前記印加電界を提供する電源は、直流電源、ポテンシオスタット、電気化学ワークステーション、乾電池のうちの1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【請求項9】
前記研磨パッドの面積はウェーハの面積より大きく、好ましくは、前記研磨パッドの半径は、ウェーハの直径より大きく、好ましくは、前記研磨ディスクの半径は、ウェーハの直径より大きく、好ましくは、前記研磨パッドの貫通孔は、ウェーハに接触する部位に設けられる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【請求項10】
光電気化学・機械作用面積比が1:12~1:1である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【請求項11】
貫通孔付きの研磨部材によってウェーハを機械研磨し、
研磨過程で、紫外線を、前記貫通孔を通過させて前記ウェーハに照射させ、
研磨過程で、研磨粒子を含有する研磨液を前記貫通孔を通過させてウェーハ表面に滴下させ、
研磨過程で、ウェーハを陽極として、印加電界で光電気化学酸化変性を発生させる、半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工方法。
【請求項12】
前記研磨部材は研磨ディスクと研磨パッドを含み、研磨ディスクの貫通孔と研磨パッドの貫通孔の分布が一致し、研磨ディスクを陰極とする、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ウェーハを導電性接着剤により導電体である研磨ヘッドに固定し、駆動することでウェーハを研磨ヘッドに伴って軸方向に回転させ、研磨パッドを研磨ディスクに粘着し、駆動することで研磨パッドをウェーハ表面に接触させて相対的運動を発生させるステップ(1)と、
ウェーハに正電位を施し、研磨ディスクに負電位を施すステップ(2)と、
研磨過程で、紫外線を順に研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過させて前記ウェーハに照射させ、研磨液を研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を経由させてウェーハと研磨パッドの接触領域に浸漬させるステップ(3)と、を含む、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記研磨部材は研磨ディスクと研磨パッドを含み、研磨ディスクと研磨パッドの間に貫通孔付きの対極盤を増設して陰極とし、前記研磨ディスク、対極盤、研磨パッドの貫通孔の分布が一致する、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
ウェーハを導電性接着剤により導電体である研磨ヘッドに固定し、駆動することでウェーハを研磨ヘッドに伴って軸方向に回転させ、研磨パッドを貫通孔が設けられた対極盤に粘着し、対極盤を研磨ディスクに固定し、駆動することで研磨パッドをウェーハ表面に接触させて相対的運動を発生させるステップ(1)と、
ウェーハに正電位を施し、盤状対極に負電位を施すステップ(2)と、
研磨過程で、紫外線を順に研磨ディスク、対極盤及び研磨パッドの貫通孔を通過させて前記ウェーハに照射させ、研磨液を順に研磨ディスク、対極盤及び研磨パッドの貫通孔を経由させてウェーハと研磨パッドの接触領域に浸漬させるステップ(3)と、を含む、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ウェーハを外部電源の正極に接続し、陰極を外部電源の負極に接続し、前記外部電源、ウェーハ、陰極が閉回路を構成する、ことを特徴とする請求項12又は14に記載の方法。
【請求項17】
光電気化学・機械作用面積比が1:12~1:1である、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記研磨ディスクと研磨パッドは半導体ウェーハの上方に位置し、紫外線光源は研磨ディスクの上方に位置する、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記研磨粒子は酸化セリウム又は酸化ケイ素であり、好ましくは、前記研磨粒子の粒径が6nm~100nmであり、好ましくは、前記研磨粒子の濃度が0.05~10wt%であり、前記研磨液の供給流量が50mL/min~100mL/minであり、前記ウェーハの回転速度が100~250rpmであり、研磨ディスクの回転速度が60~150rpmであり、研磨圧力が4~6.5psiであり、紫外線強度が50~175mW・cm-2である、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記半導体ウェーハは窒化ガリウムウェーハである、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨加工技術分野に関し、より具体的に言えば、半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置及び加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンドに代表される第3世代の半導体代表材料は、高い熱伝導率、高い破壊電界、高い電子飽和速度及び高い耐放射線性といった優れた性能を有するため、前世代の半導体材料に比べて高温、高周波数、高出力、耐放射線性の高出力デバイスの製作に適合するものとなる。
【0003】
GaN、SiC結晶材料をデバイスに用いる時に、材料に対して高い表面品質を有し、擦り傷、微小割れ、低い転位、残留応力等の表面/表面下損傷がないことを要求している。しかしながら、GaN、SiC結晶材料は、結合エネルギーが大きく、化学的不活性が強く、常温でいかなる酸塩基試薬との化学反応もほとんど発生せず、典型的な硬質脆性加工困難材料となり、これら2種の材料の加工過程で、望ましい表面品質と高い平滑度を達成するために、一般にダイヤモンド研磨粒子を用いて研削研磨加工を行っている。しかし、ダイヤモンド研磨粒子は硬度が大きいため、ウェーハへの表面/表面下損傷が不可避になる。Hideo Aida等の学者(Applied Surface Science 292(2014)531-536)は、GaN研磨加工でのダイヤモンド粒径を低減することでGaNウェーハの損傷深度を低くしていき、ダイヤモンド研磨粒子の粒径をそれぞれ500nmと50nmとに低くした場合に、GaNウェーハに対応する表面下損傷深度も1.6μmと0.26μmになっており、500nmと50nmのダイヤモンド研磨加工後の表面下損傷を完全に除去するために、次にSiO研磨粒子を用いて行った化学機械研磨(CMP)加工にそれぞれ150hと35hがかかった。
【0004】
以上から分かるように、従来のCMPによる表面下損傷除去加工過程で、材料の極めて高い化学的不活性によって、研磨加工除去率が非常に低くなり、更に加工時間が長くなり、コストが高くて低下させにくいなどの一連の問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の背景技術における問題点に鑑みて、本発明は、半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工方法を供する研究設計すると共に、この方法に対応する加工装置を設計提供する。本発明に記載の光電気化学機械研磨方法とは、従来の化学機械研磨を基に、紫外線を導入して直接被研磨半導体ワークに照射させ、印加電界の作用下で紫外線と協同して光電気化学酸化を発生させ、更に半導体ウェーハの酸化変性層を機械研磨して除去する加工方式である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工方法を提供する。貫通孔付きの研磨部材によってウェーハを機械研磨し、研磨過程で、紫外線を前記貫通孔を通過させて前記ウェーハに照射させ、研磨過程で、研磨粒子を含有する研磨液を前記貫通孔を通過させてウェーハ表面に滴下させ、研磨過程で、ウェーハを陽極として、印加電界で光電気化学酸化変性を発生させる半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工方法を提供する。
【0007】
好ましい技術的手段として、前記研磨部材は、研磨ディスクと研磨パッドを含み、研磨ディスクの貫通孔と研磨パッドの貫通孔の分布が一致し、研磨ディスクを陰極とする。
【0008】
好ましい技術的手段として、上記加工方法は、
ウェーハを導電性接着剤により導電体である研磨ヘッドに固定し、駆動することでウェーハを研磨ヘッドに伴って軸方向に回転させ、研磨パッドを研磨ディスクに粘着し、駆動することで研磨パッドをウェーハ表面に接触させて相対的運動を発生させるステップ(1)と、
ウェーハに正電位を施し、研磨ディスクに負電位を施すステップ(2)と、
研磨過程で、紫外線を順に研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過させて前記ウェーハに照射させ、研磨液を研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を経由させてウェーハと研磨パッドの接触領域に浸漬させるステップ(3)と、を含む。
【0009】
好ましい技術的手段として、前記研磨部材は、研磨ディスクと研磨パッドを含み、研磨ディスクと研磨パッドの間に貫通孔付きの対極盤を増設して陰極とし、前記研磨ディスク、対極盤、研磨パッドの貫通孔の分布が一致する。
【0010】
好ましい技術的手段として、上記加工方法は、
ウェーハを導電性接着剤により導電体である研磨ヘッドに固定し、駆動することでウェーハを研磨ヘッドに伴って軸方向に回転させ、研磨パッドを貫通孔が設けられた対極盤(本発明の対極盤とは、盤状の対極材料である)に粘着し、対極盤を研磨ディスクに固定し、駆動することで研磨パッドをウェーハ表面に接触させて相対的運動を発生させるステップ(1)と、
ウェーハに正電位を施し、盤状対極に負電位を施すステップ(2)と、
研磨過程で、紫外線を順に研磨ディスク、対極盤及び研磨パッドの貫通孔を通過させて前記ウェーハに照射させ、研磨液を順に研磨ディスク、対極盤及び研磨パッドの貫通孔を経由させてウェーハと研磨パッドの接触領域に浸漬させるステップ(3)と、を含む。
【0011】
好ましい技術的手段として、ウェーハを外部電源の正極に接続し、陰極を外部電源の負極に接続し、前記外部電源、ウェーハ、陰極が閉回路を構成する。
【0012】
好ましい技術的手段として、上記加工方法において、光電気化学・機械作用面積比が1:12~1:1である。
【0013】
好ましい技術的手段として、前記研磨ディスクと研磨パッドは、半導体ウェーハの上方に位置し、紫外線光源は、研磨ディスクの上方に位置する。
【0014】
好ましい技術的手段として、前記研磨粒子は、酸化セリウム又は酸化ケイ素であり、好ましくは、前記研磨粒子の粒径が6nm~100nmであり、好ましくは、前記研磨粒子の濃度が0.05~10wt%であり、前記研磨液の供給流量が50mL/min~100mL/minであり、前記ウェーハの回転速度が100~250rpmであり、研磨ディスクの回転速度が60~150rpmであり、研磨圧力が4~6.5psiであり、紫外線強度が50~175mW・cm-2である。
【0015】
好ましい技術的手段として、前記半導体ウェーハは、窒化ガリウムウェーハである。
【0016】
好ましい技術的手段として、前記紫外線光源は、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、LED水銀ランプ、重水素ランプ、キセノンランプのうちの1種又は複数種であり、波長<400nmである。
【0017】
本発明に記載の光電気化学・機械作用面積比については、研磨パッドと研磨ディスクの貫通孔の直径と数量により、ウェーハに接触する貫通孔の面積、即ちウェーハ表面における貫通孔によって露出した面積(紫外線照射部分のウェーハ表面に光電気化学酸化作用を生じる)とウェーハ表面において残される研磨パッドに遮られた面積(この部分が研磨パッドによって機械研磨作用を加えられる)の割合を算出して光電気化学・機械作用面積比とする。
【0018】
上記の光電気化学機械研磨加工方法を実現するために、本発明の別の態様では、光電気化学機械研磨加工装置を研究設計した。この方法を用いると共に加工装置を利用することで除去率がより速い加工効果を図ることができる。
【0019】
本発明に係る半導体ウェーハの光電気化学機械研磨装置は、貫通孔付きの研磨パッドと、研磨パッドを動かしてウェーハ表面に機械研磨を行うための貫通孔付きの研磨ディスクと、研磨液が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハ表面に滴下するように研磨液を供給するための研磨液源と、紫外線が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハに輻射するように紫外線を供給するための紫外線光源と、外部電源と、を含み、ウェーハが外部電源の正極に接続され、研磨ディスクが外部電源の負極に接続され、前記外部電源、ウェーハ、研磨ディスクが閉回路を構成する。
【0020】
本発明の別の態様である半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置は、貫通孔付きの研磨パッドと、研磨パッドを動かしてウェーハ表面に機械研磨を行うための貫通孔付きの研磨ディスクと、研磨ディスクと研磨パッドの間に位置する貫通孔付きの対極盤と、研磨液が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハ表面に滴下するように研磨液を供給するための研磨液源と、紫外線が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハに輻射するように紫外線を供給するための紫外線光源と、外部電源と、を含み、ウェーハが外部電源の正極に接続され、対極盤が外部電源の負極に接続され、前記外部電源、ウェーハ、対極盤が閉回路を構成する。
【0021】
好ましい技術的手段として、前記研磨液は、研磨粒子を含有する化学研磨液である。
【0022】
好ましい技術的手段として、前記研磨ディスクと研磨パッドは、ウェーハの上方に位置し、紫外線光源は、研磨ディスクと研磨パッドの上方に位置する。
【0023】
好ましい技術的手段として、前記研磨液源は、研磨液ノズルであり、研磨液ノズルが前記研磨ディスクの上方に位置する。
【0024】
好ましい技術的手段として、前記研磨ディスクの貫通孔は、中心から外周へ放射状に分布され、好ましくは、貫通孔は、研磨ディスクの径方向に周期的に分布され、好ましくは、研磨ディスクの中心部に貫通孔を設けず、研磨ディスクの外周部のウェーハに接触する位置のみに貫通孔を設ける。
【0025】
好ましい技術的手段として、前記研磨ディスク、対極盤、研磨パッドの貫通孔の分布が一致する。
【0026】
好ましい技術的手段として、前記印加電界を提供する電源は、直流電源、ポテンシオスタット、電気化学ワークステーション、乾電池のうちの1種又は複数種である。
【0027】
好ましい技術的手段として、前記研磨パッドの面積は、ウェーハの面積より大きく、好ましくは、前記研磨パッドの半径は、ウェーハの直径より大きく、好ましくは、前記研磨ディスクの半径は、ウェーハの直径より大きく、好ましくは、前記研磨パッドの貫通孔は、ウェーハに接触する部位に設けられる。
【0028】
好ましい技術的手段として、その光電気化学・機械作用面積比が1:12~1:1である。
【0029】
好ましくは、研磨パッドとウェーハの接触領域の1回りの円環のみに貫通孔を施し、好ましくは、この円環の幅は、ウェーハ直径の大きさである。
【0030】
好ましくは、貫通孔は、研磨パッドにおいて、研磨パッドの円心から外へ放射状に異なる直径の円周に分布してもよいし、放射状でなく異なる直径の円周に均一に所定数量分布してもよい。
【0031】
好ましい技術的手段として、前記装置は、更に前記研磨ヘッドと研磨ディスクを設ける研磨液収集溝を含む。
【0032】
好ましい技術的手段として、前記研磨パッドは、ポリウレタン研磨パッド、不織布研磨パッド、綿フランネル研磨パッドのうちの1種である。
【0033】
従来技術と比べると、本発明に係る光電気化学機械研磨方法及びその研磨装置は、以下のメリットを有する。
【0034】
(1)研磨除去効率が高い。
本発明は、紫外線を貫通孔を通過させてウェーハ表面に照射させ、ウェーハと対極盤にそれぞれ電位を施す(ウェーハを陽極とし、対極盤を陰極とする)ことによって光電気化学作用を結合することで、ウェーハを効率的に酸化変性可能であり、更に研磨パッドと研磨粒子によって酸化変性層を機械的に除去する。加工過程で、ウェーハと研磨ディスクをそれぞれ回転させて相対的運動を発生させると共に、紫外線を照射し、ウェーハと対極の間に電位差を発生させ、研磨液を送り込むことで、光電気化学変性作用と機械研磨作用を交替して発生させて、ウェーハに光電気化学機械加工を行う。光電気化学変性作用と機械研磨作用は、交替して発生し、この方法は、光電気化学変性と機械研磨を組み合わせることで、研磨除去速度が速く、研磨加工したウェーハの粗さが低いメリットを図ることができる。
【0035】
(2)光電気化学変性作用と機械研磨作用の割合が調節できる。
研磨ディスク及び底部研磨パッドにおける貫通孔の直径、貫通孔の数及び貫通孔の研磨ディスクでの分布は、いずれも人為的に最適化分布可能であり、それによって、光電気化学機械研磨加工過程でのウェーハの光電気化学変性作用と機械研磨作用の割合(即ち、光電気化学・機械作用面積比)は、任意に調節して最適化することが可能である。
【0036】
(3)研磨過程で酸化剤を添加する必要がない。
ウェーハは、研磨加工過程で、紫外線の励起する電子-正孔対が外部電場の施す電位によって分離可能であり、研磨液に別に酸化剤を添加して光生成電子を奪って電子-正孔の分離を促進する必要がない。
【0037】
(4)加工装置が簡単で、加工方法が実現しやすい。
望ましい加工効果を達成するために、本加工装置における加工パラメータ、例えば研磨圧力、ウェーハ回転速度、研磨パッド回転速度、溶液の種類と濃度、紫外線光源強度、光電気化学・機械作用面積比、ウェーハと対極の電位差は、いずれも実際のワークタイプに応じて調節可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明に係る半導体ウェーハの光電気化学機械研磨方法の模式図である。
図2】本発明に係る半導体ウェーハの光電気化学機械研磨方法での対極盤、研磨ディスク、研磨パッドにおける貫通孔についての模式図である。
図3】本発明に係る半導体ウェーハの光電気化学機械研磨装置の模式図である。
図4】本発明に係る半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置の上面図である。
図5】本発明に係る半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置を軸方向に観察した図である。
図6】GaNウェーハ表面の最初形貌であり、表面粗さの値Raが1.16nmである。
図7】実施例1の加工条件での光電気化学機械研磨加工後のGaNウェーハ表面の形貌図であり、ウェーハ表面粗さの値Raが0.48nmである。
図8】実施例2の加工条件での光電気化学機械研磨加工後のGaNウェーハ表面の形貌図であり、ウェーハ表面粗さの値Raが0.1nmである(原子間力顕微鏡視野5×5μm)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら本発明を更に説明する。
【0040】
(1)ウェーハを研磨ヘッドに固定し、駆動することでウェーハを研磨ヘッドに伴って軸方向に回転させ、ウェーハが導電性接着剤によって研磨ヘッドの金属部分に粘着されて導通され、研磨ヘッドが導電スリップリングの内輪導線に接続され、更に導電スリップリングの外輪に接続されて通路を形成する。
【0041】
(2)研磨パッドを対極盤に粘着し、対極盤を研磨ディスクに固定し、駆動することで研磨パッドをウェーハ表面に接触させて相対的運動を発生させ、対極盤が導電スリップリングの内輪導線に接続可能であり、更に外輪導線に接続されて通路を形成する。
【0042】
(3)対極盤と研磨ディスクに貫通孔が施されており、研磨パッド(好ましくは、対極盤底部に粘着する)にも貫通孔が対応して施されており、研磨過程で紫外線が研磨ディスクの上方に位置し、紫外線が研磨ディスク、対極盤及び研磨パッドの貫通孔を通過して直接前記ウェーハ表面に照射可能であり、研磨液が研磨ディスク、対極盤及び研磨パッドの貫通孔を経由してウェーハ表面に浸漬する。
【0043】
(4)印加される負電位は、順に対極盤上方の導電スリップリングの外輪導線と内輪導線を介して対極盤に施されることが可能であり、印加される正電位は、順にウェーハ下の導電スリップリングの外輪導線と内輪導線を介してウェーハに施されることが可能である。対極盤とウェーハのそれぞれに施される負、正電位は、両者の加工での電位差を形成可能である。
【0044】
前記半導体ウェーハは、好ましくは、窒化ガリウムウェーハである。
【0045】
本発明に記載の光電気化学機械研磨方法とは、従来の化学機械研磨を基に、紫外線を研磨ディスクにおける貫通孔を通過させて直接被研磨半導体ワークに照射させ、印加電界を研磨過程で半導体ワークと対極盤に施し、紫外線の照射と印加電界の作用で半導体ワークに光電気化学酸化変性を発生させ、次に研磨パッドによって変性層を機械的に研磨して除去する加工方式である。
【0046】
光電気化学機械研磨装置は、
ウェーハを固定することに用いられ、ウェーハとの間の導電性接着剤によってウェーハを外部回路に接続可能な研磨ヘッドと、
自体の裏面の接着剤層によって対極盤に粘着される研磨パッドと、
ねじによって研磨ディスクに固定され、研磨ディスクと同様な貫通孔が施されている対極盤と、
対極盤に接続され、研磨過程でウェーハに加圧し、貫通孔が設けられている研磨ディスクと、
前記研磨ディスクの上方に位置し、研磨液を噴射するために用いられ、供給される研磨液が貫通孔を通過して研磨領域に入ることが可能である研磨液ノズルと、
研磨ディスクに接続され、研磨ディスクを動かして固定軸の回りを回転させるための第1駆動伝動部と、
研磨ヘッドに接続され、研磨ヘッドを動かし更にウェーハを動かして固定軸の回りを回転させるための第2駆動伝動部と、
前記第1駆動伝動部、第2駆動伝動部、研磨ヘッド、研磨ディスク、研磨液ノズルを支持固定するための支持部と、を含み、
印加される負電位は、順に対極盤上方の導電スリップリングの外輪導線と内輪導線を介して対極盤に施され、印加される正電位は、順にウェーハ下方の導電スリップリングの外輪導線と内輪導線を介してウェーハに施されることが可能である。
【0047】
前記対極盤のウェーハ表面に接触する面に研磨パッドが設けられ、前記研磨パッドに貫通孔が設けられ、好ましくは、前記研磨パッドが、対極盤の底部に粘着され、また、対極盤と研磨ディスクには、貫通孔が対応して施されている。
【0048】
研磨ディスク、対極盤及び底部に粘着された研磨パッドのいずれにも貫通孔が施されており、ウェーハ加工過程で、研磨ディスク上方に位置する紫外線は、研磨過程で貫通孔を通過してウェーハ表面に到達し、印加電場作用の協同でウェーハに光点化学酸化作用を施して、紫外線が照射する部分のワークに変性を発生させることができる。
【0049】
好ましくは、研磨ディスクは、順に接続軸、弾性カップラーを介して駆動電動機に接続され、駆動電動機は、研磨軸を駆動して固定軸の回りを回転させることができる。
【0050】
前記装置は、更に研磨液収集溝を含み、前記研磨ヘッドと研磨ディスクが研磨液収集溝内に設けられる。
【0051】
研磨過程で研磨圧力は、研磨ディスクによりロード可能である。
【0052】
研磨パッドとウェーハは、それぞれ回転する時に両者に相対速度を発生可能である。
【0053】
前記装置は、更にモジュール表面板、ガイドレール、ガイドレールスライドブロック、モジュール底板を含むリニアモジュールを備え、ガイドレールがモジュール底板に固定され、スライドブロックが、モジュール表面板に固定され、ガイドレール上で直線摺動可能である。電動機、連結板及びリニアモジュール部分の自体重量は、光電気化学機械研磨の加工圧力源としてよい。
【0054】
モジュール表面板とモジュール底板の間にばねが設けられ、異なる反発係数のばねを交換することで研磨過程での加工圧力を定量調整でき、部分全体の自体重量が研磨圧力を満足しない時に、釣合重りを別に増加して大きい研磨圧力をロードすることができる。
【0055】
研磨ディスク、対極盤及び研磨パッドにおける貫通孔の位置と大きさは、いずれも最適化設計を実施可能であり、
更に、研磨パッド、対極盤及び研磨ディスクにおける貫通孔の大きさと分布位置は、最適化設計を実施可能であり、貫通孔の大きさと位置を変更することによって、加工過程で、ウェーハの紫外線に照射される部分と機械研磨部分の時間割合が調節可能になる。例えば、図2に示すように、研磨ディスクにおける異なる直径の同心円に貫通孔が均一に分布され、1回りの貫通孔毎に対応する同心円の半径(D又はD)は、最適化設計を実施可能であり、1回りの貫通孔毎に所在する同心円の間の距離も最適化設計を実施可能であり、また、各貫通孔の直径(d)、貫通孔の個数は、いずれも最適化設計を実施可能である。
【0056】
光電気化学機械研磨加工の時に、ウェーハと研磨パッドは、それぞれその駆動電動機によって駆動され、両者に相対的運動を発生し、研磨ディスク及びその駆動装置の自体重量は、加工圧力を提供し、紫外線は貫通孔を通過してウェーハ表面に照射可能であり、印加電界の電位は、それぞれウェーハと対極に印加可能であり、光電気化学機械研磨加工で、光電気化学酸化変性作用と機械研磨作用は、絶え間なく交替してウェーハに研磨加工を行う。
【0057】
図1に示すように、研磨液溝1、導電スリップリング2、研磨ヘッド3、ウェーハ4、研磨パッド5、対極盤6、研磨ディスク7、貫通孔8、研磨液ノズル9、紫外線ランプ10、導電スリップリング11、外部電源12を備え、前記ウェーハ4は導電性接着剤によって研磨ヘッド3に粘着固定され、導電スリップリング2の内輪導線はウェーハ4に接続されると共に、導電スリップリング2の外輪導線に接続されて更に外部電源12の正極に接続されることが可能であり、導電スリップリング2の内輪は研磨ヘッドの軸に固着されてそれに伴って回転可能であり、研磨ヘッド3は、電動機に駆動されてウェーハを動かして回転運動を行うことができ、前記研磨パッド5は、自体の裏面の接着剤層によって対極盤6の底部に粘着され、対極盤6は、更にねじによって研磨ディスク7に固定され、対極盤6は導電スリップリング11の内輪導線に接続され、更に導電スリップリング11の外輪導線に接続され、導電スリップリング11の外輪導線は外部電源12の負極に接続され、導電スリップリング11の内輪は、研磨ディスクの段付軸に固着されてそれに伴って回転可能である。研磨パッド5、対極盤6及び研磨ディスク7のいずれにも貫通孔8が施されており、前記紫外線光源10が発光する紫外線は、貫通孔8を通過してウェーハ4の表面に照射可能であり、また、研磨液ノズル9が噴射する研磨液も貫通孔8を通過してウェーハ4と研磨パッド5の接触領域に入ることができ、ウェーハ4は外部電源12の正極に接続され、対極盤6は外部電源12の負極に接続され、支持電解質として研磨液に導電媒体、例えば硫酸、硫酸カリウムが加えられ、ウェーハ4と対極盤6は研磨液によって導通可能であり、ウェーハ4と対極盤6は加工過程で、外部電源12によって電位差を提供されることが可能である。
【0058】
光電気化学機械研磨加工方法の過程は以下のとおりである。ウェーハ4を導電性接着剤によって研磨ヘッド8に粘着固定し、電動機によって駆動して研磨ヘッド8に伴って回転させ、ウェーハ4が順に導電性接着剤、研磨ヘッド3、導電スリップリング2の内輪導線、導電スリップリング2の外輪導線を介して外部電源12の正極に接続される。紫外線光源10が発光する紫外線は、研磨パッド5、対極盤6及び研磨ディスク7における貫通孔を通過してウェーハ4の表面に照射可能であり、対極盤6は順に導電スリップリング11の内輪導線、導電スリップリング11の外輪導線を介して外部電源12の負極に接続され、研磨液ノズル9が噴射する研磨液は、ウェーハ4と研磨パッド5の接触領域に入り、研磨液における導電媒体、例えば、硫酸、硫酸カリウムを支持電解質としてウェーハ4と対極6の間を満たすことができ、対極盤6とウェーハ4を導通し、ウェーハ4と対極盤6の間の電位差は、外部電源12によって提供される。紫外線光源10が発光する紫外線は、ウェーハ4の表面に照射し、紫外線照射と印加電界作用によって、ウェーハ4に光電気化学酸化変性作用を発生させることができる。研磨パッド5は、対極盤6の底部に粘着され、対極盤6は、ねじによって研磨ディスク7の底部に接続され、更に、電動機によって研磨ディスクを駆動して回転させて、研磨パッド5の回転とウェーハ4の回転に相対的運動を発生させる。研磨圧力Fを研磨ディスク7によってウェーハ4と研磨パッド7の接触領域にロードすることができる。圧力をロードした後、ウェーハ4と研磨パッド5の相対的運動によって、ウェーハ4に機械研磨作用を施して、光電気化学作用によるウェーハ4の酸化変性層を除去することができ、酸化変性層が機械的に除去された後、露出した新しい表面が再度光電気化学変性を発生し、このように循環して、光電気化学作用と機械研磨作用は、交替してウェーハ4に光電気化学機械研磨加工を行うことができる。
【0059】
次に、具体的な実施例を参照しながら、この加工方法を実現するために研究設計された加工装置を詳細に説明する。
【0060】
図3図4図5を参照し、4個のレベリングボルト13は、底板36を支持し、直角固定板14はねじによって底板36に取り付けられて研磨ヘッド3及びその駆動伝動部分を支持する。連結板15は、ねじによって直角支持板14に固定され、直角電動機19は、電動機ブラケット20に取り付けられ、電動機ブラケット20はねじによって連結板15に取り付けられる。ウェーハ4は、導電性接着剤によって研磨ヘッド3に粘着され、研磨ヘッド3は更にねじによって段付軸23に取り付けられる。
【0061】
研磨ヘッド3の導電性接着剤との接触部分は導電可能な金属であり、研磨ヘッド3における金属部分は導電スリップリング2の内輪導線に接続され、導電スリップリング2の内輪はねじによって段付軸23に固着され、この内輪導線は段付軸23に伴って同期して回転可能であり、導電スリップリング2の外輪導線は内輪導線に導通され、更にウェーハ4に導通される。段付軸23の1つのショルダーは、外球面軸受18の軸受内輪に当接し、外球面軸受18は、所定量の軸方向負荷を担うことが可能であり、且つ適切な調心作用を有し、ウェーハ4と研磨パッド5を接触させる時に、取付誤差又はウェーハ4と研磨ヘッド3の表面形状誤差が小さい時、外球面軸受18の適切な調心作用によって、ウェーハ4と研磨パッド5を、好適に平行させて貼り合わせて接触させることができる。外球面軸受18は、ねじによってフランジ17に固定され、フランジ17は、ねじによってクロスローラー軸受22aの内輪に取り付けられ、クロスローラー軸受22aの外輪は、ねじによってL状支持板16aに固定され、L状支持板16aは、更に、ねじによって連結板15に固定される。段付軸23は、ショルダーが外球面軸受18の軸受内輪に当接し、順にフランジ17(軸径がフランジ孔径より小さい)、クロスローラー軸受23a(軸径が軸受内輪孔径より小さい)及びL状支持板16a(軸径がL状支持板孔径より小さい)を通過して、弾性カップラー21によって直角電動機19の電動機軸に接続され、駆動トルクを伝達し研磨ヘッド3を支持する作用を果たす。研磨パッド5は、自体の裏面の接着剤層によって対極盤6に粘着され、対極盤6は、ねじによって研磨ディスク7に取り付けられ、対極盤6と研磨ディスク7は、紫外線光源10の発光する紫外線と研磨液がウェーハ4と研磨パッドの接触領域に入るための貫通孔が同様の位置に施されており(上面図4で観察できる)、研磨液タンク1は研磨液廃液を収集し且つ集中的に排出する。導電スリップリング11の内輪は段付軸II 24に固着され、内輪に伴って同期して回転され、内輪導線は対極盤6に接続され、対極盤6での電位は順に導電スリップリング11の内輪導線、外輪導線を経由して外部電源負極に接続可能である。研磨ディスク7は段付軸II24に固定され、段付軸II 24のショルダーはクロスローラー軸受22bの内輪に当接し、段付軸II 24はL状支持板16bを通過して弾性カップラー25に接続され、弾性カップラー25の他端は電動機27の電動機軸に接続される。電動機27は電動機ブラケット26に取り付けられ、電動機ブラケット26はねじによって連結板28に固定され、連結板28はねじによってモジュール表面板29に取り付けられ、モジュール表面板29は複数のスライドブロック32に接続され、スライドブロック32はガイドレール31上で直線運動可能であり、ガイドレール31はモジュール底板33に取り付けられる。モジュール表面板29とモジュール底板33の間に1つのばね30が直列接続される。研磨パッド5、対極盤6、研磨ディスク7、段付軸II 24、導電スリップリング11、クロスローラー軸受22b、弾性カップラー25、電動機ブラケット26、電動機27、連結板28、モジュール表面板29、ばね30、スライドブロック32といった部品の自体重量を光電気化学機械研磨加工時の研磨圧力源とすることが可能であり、研磨圧力を変える必要がある場合に、ばね30の反発係数を変えることで実現可能である。モジュール底板33は立て支持板34aに固定され、立て支持板34aは立て支持板34bに固定され、立て支持板34bはねじによって直角支持板35に固定され、直角支持板35は底板36に取り付けられて固定される。
【0062】
次に、本発明の加工装置を用いてこの加工方法を実現する具体的な一実施例によって本発明の技術的効果を説明する。
【0063】
本実施例で採用されたGaNウェーハはHVPE法で成長したGaN自己支持ウェーハであり、ウェーハ直径が1インチ(25.4mm)であり、ウェーハ厚さが約350μmであり、最初のウェーハにダイヤモンド研磨を施した後、表面形貌を原子間力顕微鏡で検出し、ウェーハ最初形貌を図6に示した。図6において、最初のウェーハ表面はダイヤモンド超硬研磨粒子によって研磨された後、表面粗さRa値が1.16nmになり、表面でダイヤモンド研磨による大量の擦り傷が観察された。
【0064】
ウェーハ除去率は精密天秤で加工前後の質量を称量し、加工前後の質量差を計算することで換算される。称量する前に、順にアセトン、アルコ-ル、フッ化水素酸、脱イオン水を用いてGaNウェーハを洗浄し、ウェーハ表面に付着したほこり等の付着物によるウェーハ質量称量誤差を除去する。
(1)GaNウェーハを導電性接着剤でウェーハクランプに粘着し、導電スリップリングの内輪導線によってクランプを導通し、ウェーハクランプを段付軸に取り付け、導電スリップリング内輪を段付軸に固着し、SUBA800を研磨パッドとし、
(2)光源がオンされると、紫外線がウェーハ表面に照射可能なように紫外線光源を研磨ディスクの直上に位置させ、
(3)外部電源負極を対極盤に接続し、外部電源正極をワークに接続し、
(4)研磨液ノズルによって研磨液を、貫通孔を通過させてウェーハと研磨パッドの接触領域に送り込み、研磨液供給流量を80mL/minにし、SiO研磨粒子質量濃度を10wt.%にし、SiO研磨粒子の質量粒径を25nmにし、研磨液の具体的な成分が表1に示され、
(5)GaNウェーハの回転速度を250rpmにし、研磨ディスクの回転速度を150rpmにし、研磨圧力を6.5psiにし、紫外線強度を175mW・cm-2にし、研磨時間を1hにし、
(6)導電性接着剤を加熱して溶解させ、ウェーハを取り出して順にアセトン、アルコ-ル、2wt%フッ化水素酸、脱イオン水を用いて洗浄した後、窒素を吹き付けてウェーハを乾燥させ、質量を称量し、研磨後の表面粗さを検出した。
【0065】
【表1】
【0066】
表1において異なる加工条件に対応するウェーハ光電気化学機械研磨加工は異なる除去速度に対応した。実施例1、実施例2の加工後のウェーハを取り、その表面品質を検出し、検出結果を、それぞれ図7図8に示した。図6における最初ウェーハ形貌と比べると、ウェーハ表面が明らかに改善されたことが分かった。表面粗さをそれぞれ0.48nm低減できた。図7においてウェーハ表面は比較的平らかで、明晰な原子レベルのステップが観察でき、図8において表面粗さRa値が0.1nmにまで至ることが認められた。最初ウェーハ表面のダイヤモンド研磨による擦り傷は全て研磨除去された。
【0067】
上記は、本発明の好ましい具体的実施形態に過ぎなく、本発明の保護範囲はそれによって限定されるものではなく、当業者であれば、本発明により開示された技術範囲で、本発明の技術的手段及びその発明構想に基づいて行った同等な取り替えや変更は、全て本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0068】
(付記)
(付記1)
貫通孔付きの研磨パッドと、
研磨パッドを動かしてウェーハ表面に対して機械研磨を行うための貫通孔付きの研磨ディスクと、
研磨液が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハ表面に滴下するように研磨液を供給するための研磨液源と、
紫外線が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハに輻射するように紫外線を供給するための紫外線光源と、
外部電源と、を含み、
ウェーハが外部電源の正極に接続され、研磨ディスクが外部電源の負極に接続され、前記外部電源、ウェーハ、研磨ディスクが閉回路を構成する、半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【0069】
(付記2)
貫通孔付きの研磨パッドと、
研磨パッドを動かしてウェーハ表面に対して機械研磨を行うための貫通孔付きの研磨ディスクと、
研磨ディスクと研磨パッドの間に位置する貫通孔付きの対極盤と、
研磨液が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハ表面に滴下するように研磨液を供給するための研磨液源と、
紫外線が研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過してウェーハに輻射するように紫外線を供給するための紫外線光源と、
外部電源と、を含み、
ウェーハが外部電源の正極に接続され、対極盤が外部電源の負極に接続され、前記外部電源、ウェーハ、対極盤が閉回路を構成する、半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【0070】
(付記3)
前記研磨液は、研磨粒子を含有する化学研磨液である、ことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【0071】
(付記4)
前記研磨ディスクと研磨パッドはウェーハの上方に位置し、紫外線光源は研磨ディスクと研磨パッドの上方に位置する、ことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【0072】
(付記5)
前記研磨液源は前記研磨ディスクの上方に位置する研磨液ノズルである、ことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【0073】
(付記6)
前記研磨ディスクの貫通孔は中心から外周へと放射状になるように分布され、好ましくは、貫通孔は、研磨ディスクの径方向に周期的に分布され、好ましくは、研磨ディスクの中心部に貫通孔を設けず、研磨ディスクの外周部のウェーハに接触する位置のみに貫通孔を設ける、ことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【0074】
(付記7)
前記研磨ディスク、対極盤、研磨パッドの貫通孔の分布が一致する、ことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【0075】
(付記8)
前記印加電界を提供する電源は、直流電源、ポテンシオスタット、電気化学ワークステーション、乾電池のうちの1種又は複数種である、ことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【0076】
(付記9)
前記研磨パッドの面積はウェーハの面積より大きく、好ましくは、前記研磨パッドの半径は、ウェーハの直径より大きく、好ましくは、前記研磨ディスクの半径は、ウェーハの直径より大きく、好ましくは、前記研磨パッドの貫通孔は、ウェーハに接触する部位に設けられる、ことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【0077】
(付記10)
光電気化学・機械作用面積比が1:12~1:1である、ことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工装置。
【0078】
(付記11)
貫通孔付きの研磨部材によってウェーハを機械研磨し、
研磨過程で、紫外線を、前記貫通孔を通過させて前記ウェーハに照射させ、
研磨過程で、研磨粒子を含有する研磨液を前記貫通孔を通過させてウェーハ表面に滴下させ、
研磨過程で、ウェーハを陽極として、印加電界で光電気化学酸化変性を発生させる、半導体ウェーハの光電気化学機械研磨加工方法。
【0079】
(付記12)
前記研磨部材は研磨ディスクと研磨パッドを含み、研磨ディスクの貫通孔と研磨パッドの貫通孔の分布が一致し、研磨ディスクを陰極とする、ことを特徴とする付記11に記載の方法。
【0080】
(付記13)
ウェーハを導電性接着剤により導電体である研磨ヘッドに固定し、駆動することでウェーハを研磨ヘッドに伴って軸方向に回転させ、研磨パッドを研磨ディスクに粘着し、駆動することで研磨パッドをウェーハ表面に接触させて相対的運動を発生させるステップ(1)と、
ウェーハに正電位を施し、研磨ディスクに負電位を施すステップ(2)と、
研磨過程で、紫外線を順に研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を通過させて前記ウェーハに照射させ、研磨液を研磨ディスクと研磨パッドの貫通孔を経由させてウェーハと研磨パッドの接触領域に浸漬させるステップ(3)と、を含む、ことを特徴とする付記12に記載の方法。
【0081】
(付記14)
前記研磨部材は研磨ディスクと研磨パッドを含み、研磨ディスクと研磨パッドの間に貫通孔付きの対極盤を増設して陰極とし、前記研磨ディスク、対極盤、研磨パッドの貫通孔の分布が一致する、ことを特徴とする付記11に記載の方法。
【0082】
(付記15)
ウェーハを導電性接着剤により導電体である研磨ヘッドに固定し、駆動することでウェーハを研磨ヘッドに伴って軸方向に回転させ、研磨パッドを貫通孔が設けられた対極盤に粘着し、対極盤を研磨ディスクに固定し、駆動することで研磨パッドをウェーハ表面に接触させて相対的運動を発生させるステップ(1)と、
ウェーハに正電位を施し、盤状対極に負電位を施すステップ(2)と、
研磨過程で、紫外線を順に研磨ディスク、対極盤及び研磨パッドの貫通孔を通過させて前記ウェーハに照射させ、研磨液を順に研磨ディスク、対極盤及び研磨パッドの貫通孔を経由させてウェーハと研磨パッドの接触領域に浸漬させるステップ(3)と、を含む、ことを特徴とする付記14に記載の方法。
【0083】
(付記16)
ウェーハを外部電源の正極に接続し、陰極を外部電源の負極に接続し、前記外部電源、ウェーハ、陰極が閉回路を構成する、ことを特徴とする付記12又は14に記載の方法。
【0084】
(付記17)
光電気化学・機械作用面積比が1:12~1:1である、ことを特徴とする付記11に記載の方法。
【0085】
(付記18)
前記研磨ディスクと研磨パッドは半導体ウェーハの上方に位置し、紫外線光源は研磨ディスクの上方に位置する、ことを特徴とする付記11に記載の方法。
【0086】
(付記19)
前記研磨粒子は酸化セリウム又は酸化ケイ素であり、好ましくは、前記研磨粒子の粒径が6nm~100nmであり、好ましくは、前記研磨粒子の濃度が0.05~10wt%であり、前記研磨液の供給流量が50mL/min~100mL/minであり、前記ウェーハの回転速度が100~250rpmであり、研磨ディスクの回転速度が60~150rpmであり、研磨圧力が4~6.5psiであり、紫外線強度が50~175mW・cm-2である、ことを特徴とする付記11に記載の方法。
【0087】
(付記20)
前記半導体ウェーハは窒化ガリウムウェーハである、ことを特徴とする付記11に記載の方法。
【符号の説明】
【0088】
1 研磨液タンク
2 導電スリップリング
3 研磨ヘッド
4 ウェーハ
5 研磨パッド
6 対極盤
7 研磨ディスク
10 紫外線光源
11 導電スリップリング
13 レベリングボルト
14 直角固定板
15 連結板
16a L状支持板
17 フランジ
18 外球面軸受
19 直角電動機
20 電動機ブラケット
21 弾性カップラー
22a クロスローラー軸受
23 段付軸I
24 段付軸II
25 弾性カップラー
26 電動機ブラケット
27 電動機
28 連結板
29 モジュール表面板
30 ばね
31 ガイドレール
32 スライドブロック
33 モジュール底板
34a 立て支持板
34b 立て支持板
35 直角支持板
36 底板
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】