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特表2022-512437グラフェンベース金属空気電池を使用するハイブリッド電力バックアップシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(54)【発明の名称】グラフェンベース金属空気電池を使用するハイブリッド電力バックアップシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20220127BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220127BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20220127BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20220127BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
H02J9/06
H02J7/00 302C
H02J7/10 P
H02J7/00 B
H02J7/02 F
H01M10/48 301
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533841
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 IN2019050925
(87)【国際公開番号】W WO2020121338
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】201811043053
(32)【優先日】2018-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521209373
【氏名又は名称】ログ 9 マテリアルズ サイエンティフィック プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LOG 9 MATERIALS SCIENTIFIC PRIVATE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】アクシャイ ヴィヴェック シンハル
(72)【発明者】
【氏名】アンシュル クマール シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】アンクシュ ライナ
(72)【発明者】
【氏名】ヘマント チャラヤ
(72)【発明者】
【氏名】アヌジ ジャイン
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G015FA12
5G015GB05
5G015HA02
5G015HA04
5G015HA15
5G015JA56
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503GB03
5G503GB06
5H030AA09
5H030AS03
5H030AS06
5H030FF23
5H030FF41
(57)【要約】
本明細書の一実施形態は、定置電力バックアップシステムであり、グラフェンベースの金属空気電池(GMAB)と、二次および追加のバックアップとして少なくとも1つの補助電源とを備える。GMABは、電解液を貯蔵する電解液貯蔵器と、複数のセルに電解液を送るためのポンプと、ポンプに結合され、セルを流れる電解液により生成された酸化アルミニウム粒子を捕捉し、電解液を金属酸化物粒子の不純物から解放するためのフィルタと、ポンプに結合された少なくとも1つの回転計と、電解液から金属酸化物粒子をさらに除去するための少なくとも1つの沈降タンクと、所望の組成になるよう電解液を補給する少なくとも1つのバッファタンクと、消費されたアルミニウムを機械的に取り出し、複数の新しいアルミニウムカセットをセルに同時に挿入するように構成された機械式燃料補給ユニットと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置電力バックアップシステムであって、
主電源であり、一次金属空気電池を含み、前記一次金属空気電池は、電力を生成するグラフェンベースの金属空気電池(GMAB)である、主電源と、
前記主電源に接続され、生成された前記電力を受け取り蓄積して、負荷に供給するための1つまたは複数の補助電源と、
前記一次金属空気電池モジュールのセルを通る電解液の循環を調整する電解液流管理システムと、
前記電解液の温度を、加熱冷却機構/システムによって所望の限界値またはプリセット範囲または閾値内に維持するための電解液特性管理システムと、
システム全体の温度、流れ、電力、およびエネルギーを調整するためのリアルタイム監視およびフィードバックシステムと、
スイッチング回路、DC-ACインバータ、DC-DCコンバータ、およびDC-DC充電器を含む電子電力制御システムと、
前記一次金属空気電池の動作中に発生する水素ガスを貯蔵する水素回収/収集システムと、
を備え、
前記1つまたは複数の補助電源が、負荷に電力を供給するために、前記GMABから生成された前記電力で充電され、前記1つまたは複数の補助電源が、前記スイッチング回路を介して前記負荷に接続され、前記補助電源の出力が、インバータを介して前記負荷に供給され、他の補助電源が前記負荷に電力を供給するために放電状態にある場合には、常に、1つの補助電源が前記GMABからの電力で充電状態にあり、(電池の残存電力量に関連する)充電状態SoCが継続的に監視され、前記補助電源がプリセットSoCレベルに達すると、前記負荷に電力を供給中の前記補助電源が前記スイッチング回路によって遮断され、前記GMABからの電力で充電状態にある第2の補助電源が前記負荷に電力を供給するためにスイッチオンされ、第1の補助電源が前記GMABからの電力で充電される、
ことを特徴とする、定置電力バックアップシステム。
【請求項2】
前記GMABは、複数のセルと、電解液を含む貯蔵器とを含み、前記電解液が互いに直列または並列またはそれらの組み合わせで電気的に接続された複数のセルに通され、前記セルは前記電解液で充填され、前記複数のセルは、前記複数のセルへの前記電解液の充填後に陽極と陰極で開始される反応に基づいて発電するように構成され、前記陽極の金属が金属酸化物に変換され、周囲空気からの酸素が空気陰極を介して拡散してOHイオンに還元されることによって電力を生成し、前記一次金属空気電池は、アルミニウム空気電池、亜鉛空気電池、リチウム空気電池、鉄空気電池からなる群から選択され、前記複数のセルは10~20000個の範囲である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のセルは1つまたは複数のフロアに配置され、前記1つまたは複数のフロア上の前記複数のセルは直列または並列またはそれらの組み合わせで電気的に接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電解液特性管理システムは、陽極および陰極との電解反応の副産物として生成され、前記電解液の流れとともに前記セルから収集される金属酸化物粒子を捕獲/捕捉する複数のフィルタカートリッジをさらに含み、前記フィルタカートリッジが、陽極および陰極との反応プロセスを妨げる金属酸化物粒子不純物を前記電解液から除去するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電解液特性管理システムは、前記電解液から金属酸化物粒子を除去するための複数の沈降タンクをさらに含み、前記複数の沈降タンクは、前記電解液から除去された前記金属酸化物粒子を受け取り、重力によって自然に、或いは、化学的に誘発される凝集または凝集プロセスによって強制的に、各タンクの底に沈降させるように構成された複数の電解液貯蔵タンクであり、前記凝集または凝集プロセスは、前記粒子のサイズを大きくし、金属酸化物粒子の迅速な沈降を促進するために行われる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
電解液特性管理システムは、前記電解液を所望の組成に維持するための複数のバッファタンクをさらに含み、前記電解液特性管理システムは、前記電解液に存在するすべての成分の濃度を定期的に監視するように構成され、前記バッファタンクは、前記電解液を前記所望の組成になるよう補給するために設けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記電解液特性管理システムは、電解液温度を10~80℃の範囲に維持し、前記電解液の連続浄化も行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記加熱冷却システムは、抵抗加熱器、誘導加熱器、ラジエータ、ファンまたは冷却液循環システムの1つまたは複数の組み合わせを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記電解液特性管理システムは、前記金属空気電池の動作中に形成されるスラッジを収集することによって入ってくる電解液を連続的に浄化するために、一連のスクリーンフィルタ、ディスクフィルタ、グラフェンベースフィルタ、またはこれらの複数からなる群から選択される前記複数のフィルタカートリッジを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
GMABに機械的に燃料を補給するための燃料補給機構が設けられ、該燃料補給機構は、消費された金属を機械的に取り出し、一度に複数の新しい金属カセットを前記セルに挿入するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記電解液流管理システムは、一次金属空気電池の前記セル内に前記電解液を送るために、1つまたは複数のポンプを備え、前記1つまたは複数のポンプは、ダイヤフラムポンプ、水中ポンプ、遠心ポンプ、容積式ポンプ、油圧ポンプ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記電解液流管理システムは、前記電解液を前記セル内に均一に分配するために、ゲート弁、電磁弁、およびねじ弁と一体化された1つまたは複数の回転計をさらに備え、前記回転計は1~1000lpmの容量を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記電解液流管理システムは、前記金属空気電池のすべてのセルから一貫した電力出力を維持するために、同じフロアおよび異なるフロアにある前記複数のセルへの制御された系統的な電解液の分配を行う1つまたは複数の分配器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記電解液流管理システムは、各フロアにこぼれた電解液を排出するためにリーク/オーバーフロー管理システムを備え、前記リーク/オーバーフロー管理システムは、各フロアに配置された排出パイプに接続された排出口を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記リアルタイム監視システムは、前記システム全体の前記温度、流れ、電力、およびエネルギーを調整するために1つまたは複数のフィードバックセンサを備え、前記1つまたは複数のフィードバックセンサは、温度測定用の熱電対、電解液浄化のために設置されたフィルタの交換の必要性を監視する濾過センサ、および前記1つまたは複数のフロアにある前記金属空気電池のセルを通る電解液の流れを制御する複数の流量計を備え、前記リアルタイム監視システムには、前記1つまたは複数のフィードバックセンサから取得されたリアルタイムデータを表示するための表示パネルが設けられ、前記リアルタイム監視システムには、前記補助電源のリアルタイムの充電状態(SoC)を正確に推定するアルゴリズムがロードされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記ハイブリッドシステムは、前記収集された水素ガスで動作し、前記電力バックアップシステムのエネルギー出力に寄与し増強する水素燃料電池を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記電力バックアップシステムは、前記電力バックアップシステムの動作中に発生するあらゆる種類の蒸気およびガスを除去するための排気セットアップを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つまたは複数の補助電源は、金属イオン電池、Ni-Cd電池、リチウムイオン電池、Naイオン電池、Kイオン電池、鉛酸電池、Ni-Cd電池、スーパーキャパシタ、ニッケル水素化物電池、レドックスフロー電池からなる群から選択され、前記レドックスフロー電池は、バナジウムレドックス電池、亜鉛-臭素電池、ポリスルフィド-臭化物電池のいずれか1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記貯蔵器が断熱層によって断熱され、前記電解液を最適な温度に加熱する加熱コイルが前記貯蔵器と統合され、前記電解液を冷却する冷却コイルが前記断熱層に取り付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
1つの補助電源のみを含み、1つの補助電源のみが使用されるとき、前記負荷がGMABで直接作動され、要求電力がGMABから供給される電力より大きいとき、電力の要求を満たすために前記補助電源が追加的に使用され、負荷の要求電力がGMABで発生される電力より小さいとき、GMABから前記負荷に供給される電力よりも余分の電力が前記補助電源の充電に使用される、請求項1に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本明細書の実施形態は、2018年11月15日に出願され、その後1か月後の2018年12月15日の日付にされた、題名「グラフェンベース金属空気電池を使用するハイブリッド電力バックアップシステムおよび方法」で出願された、シリアル出願番号201811043053のインド国仮特許出願の優先権を主張するものであり、その内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、燃料電池および電池の分野に関する。本明細書の実施形態は、特に、無停電電源装置のエネルギー貯蔵および電力バックアップのためのシステムおよび方法に関する。本明細書の実施形態は、より詳細には、グラフェンベースの金属空気電池を使用するエネルギー貯蔵およびハイブリッド電力バックアップのためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
洗練されたハイテク機械や設備を含む産業やビジネスから、厳しい環境条件の場所にある病院、下水処理場、電気通信、家庭など、過酷な環境条件の場所にある公共サービス機関に至るまで、すべての設備は、安定性、信頼性、品質および可用性が高い電力システムを必要とする。世界が急速な経済発展とデジタル化を目の当たりにし続ける中、この継続的かつ中断のない電力供給に対する需要は急速に高まっている。
【0004】
従来の電力網は、継続的な電圧変動、自然発生による完全な停電、および短期間の停電に定期的に悩まされている。そのため、万が一の事態が発生した際に必要となる、無停電電源装置を備えた電力バックアップシステムを設置することが不可欠である。さらに、世界中にさまざまな遠隔地があり、発電用のインフラストラクチャが開発されておらず、これらの電力バックアップを輸送して電力を供給することができる。
【0005】
ディーゼル発電機および鉛蓄電池に基づく電力バックアップシステムは、依然として非常に一般的であり、最も使用されている。しかし、地球温暖化と電池技術の進歩をきっかけに、現在ではリチウムイオン電池が電力バックアップシステムとして好ましい選択肢であり、その大規模な商用化もこの変革の実現に役立っている。リチウムイオン電池は、電力バックアップにクリーンで環境に優しいオプションを提供するが、エネルギー密度が低いため、相当量のエネルギー要求を満たすには、多数の電池セルを接続する必要がある。これにより、これらのセットアップを配置するために大きなスペースがさらに必要になり、再配置が困難になる。さらに、リチウムイオン電池はすでに理論上のエネルギー密度値に近づいており、さらに充電のためにグリッド電力を利用できる必要があるという事実も原因の解決にはならない。そのため、他の代替案を早急に探す必要がある。
【0006】
したがって、グラフェンベースの金属空気電池(GMAB)を使用する定置電力バックアップシステムが必要である。さらに、グラフェンベースの金属空気電池(GMAB)と1つの補助電源を使用する電源バックアップシステムが必要である。加えて、グラフェンベースの金属空気電池(GMAB)と2つ以上の補助電源を使用する電源バックアップシステムが必要である。
【0007】
上記の欠点、短所、および問題は、本明細書で対処されており、以下の明細書の説明を検討することによって理解されるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主な目的は、グラフェンベースの金属空気電池(GMAB)を使用する定置電力バックアップシステムを提供することである。
【0009】
本明細書の実施形態の別の目的は、アルミニウム空気電池、亜鉛空気電池、リチウム空気電池、鉄空気電池などの一次金属空気電池を含む電力バックアップシステムを開発することである。
【0010】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、10~20000個の範囲の複数のセルを含み、直列または並列またはそれらの組み合わせで配置された一次金属空気電池を備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0011】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、一次金属空気電池セルが単一または複数のフロアレベルに配置されている電力バックアップシステムを開発することである。
【0012】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、金属イオン電池、鉛酸電池、Ni-Cd電池、レドックスフロー電池、スーパーキャパシタ、およびニッケル水素電池からなる群から選択される2つ以上の補助電源を含む電力バックアップシステムを開発することにある。
【0013】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、生成されたDC電力をAC電力に変換して電気器具/負荷を作動させるためのインバータを含む電力バックアップシステムを開発することである。
【0014】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、一次金属空気電池を作動させることなく、補助電源によって短期間電力を供給することができる電力バックアップシステムを開発することである。
【0015】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、補助電源間の動的/手動切り替えを可能にする電子回路を含む電源バックアップシステムを開発することである。
【0016】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、1つまたは複数の補助電源が、電力バックアップシステムの動作中、いつでもインバータに電力を供給するように構成されている、電力バックアップシステムを開発することである。
【0017】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、電源バックアップシステムの動作中、いつでも一次金属空気電池によって1つまたは複数の補助電源が充電される電源バックアップシステムを開発することである。
【0018】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、一次金属空気電池と補助電源が、効率的な電流収集に使用されるダイオードおよびトランジスタを介して電気的に接続される電力バックアップシステムを開発することである。
【0019】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、システム全体の温度、流れ、電力、およびエネルギーを調整するための1つまたは複数のフィードバックセンサを含む監視システムを備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0020】
明細書の実施形態のさらに別の目的は、フィードバックセンサから取得したリアルタイムデータを表示するための表示パネルを備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0021】
明細書の実施形態のさらに別の目的は、補助電源のリアルタイムの充電状態(SoC)を正確に推定するアルゴリズムがロードされた監視システムを備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0022】
明細書の実施形態のさらに別の目的は、一次金属空気電池のセル内の電解液の循環を調整する流れ管理システムを備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0023】
明細書の実施形態のさらに別の目的は、一次金属空気電池のセル内に電解液を送るために1つまたは複数のポンプを含む流れ管理システムを備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0024】
明細書の実施形態のさらに別の目的は、1~1000lpmの範囲の1つまたは複数の回転計を備え、電解液の均一な分布を促進するためにゲート弁、電磁弁、およびねじ弁と一体化された流れ管理システムを備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0025】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、各フロア上の複数のセルへの制御された体系的な電解液の分配のために1つまたは複数の分配器を含む流れ管理システムを備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0026】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、各フロアにこぼれた電解液を排出/洗い流すリーク/オーバーフロー管理システムを含む流れ管理システムを備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0027】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、電解液の温度を10~80℃の範囲に維持し、電解液の浄化を行う電解液管理システムを含む電力バックアップシステムを開発することである。
【0028】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、抵抗加熱器、誘導加熱器、ラジエータ、ファンまたは冷却液循環システム、またはそれらの組み合わせを含む加熱冷却システム/セットアップを備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0029】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、金属空気電池の作動中に形成された流入スラッジを収集することによって電解液を浄化するための一連のスクリーンフィルタ、ディスクフィルタ、グラフェンベースフィルタまたはそれらの組み合わせを含む電解液管理システムを備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0030】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、一次金属空気電池の動作中に生成される水素ガスを収集するハイブリッドシステムを含む電力バックアップシステムを開発することである。
【0031】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、収集した水素ガスで動作し、電力エネルギー出力に寄与し役立つ水素燃料電池を含むハイブリッドシステムを備えた電力バックアップシステムを開発することである。
【0032】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、動作中に発生するあらゆる種類の蒸気および気体を除去するための排気セットアップ/システムを備える電力バックアップシステムを開発することである。
【0033】
本明細書の実施形態のさらに別の目的は、1つの補助電源のみを含み、その1つの補助電源が使用されるとき、負荷がGMABで直接作動され、要求される電力がGMABから供給されるより大きいとき、その電力要求を満たすために補助電源が追加的に使用され、負荷の要求電力がGMABで発生される電力より小さいとき、GMABから負荷に供給される余分の電力が補助電源の充電に使用される、電力バックアップシステムを開発することである。
【0034】
本明細書の実施形態のこれらおよび他の態様は、以下の説明および添付の図面と併せて考慮されると、よりよく認識され、理解されるであろう。ただし、以下の説明は、実施形態およびその多くの特定の詳細を示しているが、限定ではなく例示として与えられていることを理解されたい。本明細書の実施形態の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書の実施形態の範囲内で多くの変更および修正を行うことができ、本明細書の実施形態は、そのようなすべての修正を含む。
【0035】
発明の概要
この概要は、詳細な説明においてさらに開示される概念の選択を簡略化された形で紹介するために提供される。この要約は、特許請求する主題の範囲を決定することを意図したものではない。
【0036】
本明細書の様々な実施形態は、グラフェンベースの金属空気電池を使用して、家庭用電気器具および産業用の重機に、病院および通信塔などの重要設備に、および遠隔地の電源に電力を供給する定置電力バックアップシステムを提供する。
【0037】
本明細書の様々な実施形態は、主電源、1つまたは複数の補助電源、電解液流管理システム、電解液特性管理システム、リアルタイム監視システム、電子電力制御システム、および水素回収/捕集システムを含む定置電力バックアップシステムを提供する。
【0038】
本明細書の一実施形態によれば、主電源はグラフェンベースの金属空気電池(GMAB)である。このシステムの主電源は、電気エネルギーを発生して外部負荷に電力を供給する。GMABは、アルカリ性の電解液を含む貯蔵器を備えている。電解液は、直列または並列またはそれらの組み合わせで互いに電気的に接続されたセルのスタック(複数)を通過する。セルが電解液で満たされている場合にのみ、陽極と陰極で反応が開始される。陽極の金属粒子が金属酸化物に変換される。周囲の空気からの酸素が空気陰極を通って拡散し、OHイオンに還元される。その結果、電力が発生する。この反応は、電解液の温度がプリセット範囲内または閾値レベル内にある場合にのみ、最も効率がよい。
【0039】
本明細書の一実施形態によれば、1つまたは複数の一次金属空気電池は、アルミニウム空気電池、亜鉛空気電池、リチウム空気電池、および鉄空気電池からなる群から選択される。
【0040】
本明細書の一実施形態によれば、一次金属空気電池は複数のセルを含み、複数のセルは10~20000個の範囲である。
【0041】
本明細書の一実施形態によれば、一次金属空気電池セルは、1つまたは複数のフロア(単一または複数のフロア)に配置される。1つまたは複数のフロア(同じまたは異なるフロア)上のセルは、直列または並列に、またはそれらの組み合わせで電気的に接続される。
【0042】
本明細書の一実施形態によれば、電解液の温度を加熱冷却機構/システムによって所望の限界またはプリセット範囲または閾値レベル内に維持するために電解液特性管理システムが設けられる。
【0043】
本明細書の一実施形態によれば、電解液特性管理システムは、陽極および陰極との電解反応の副産物として生成され、セルから電解液の流れとともに収集される酸化アルミニウム粒子を捕捉/捕獲する複数のフィルタカートリッジをさらに含む。フィルタカートリッジは、陽極および陰極との反応プロセスを妨げる金属酸化物粒子の不純物を電解液から取り除くように構成される。
【0044】
本明細書の一実施形態によれば、電解液特性管理システムは、電解液から金属酸化物粒子を除去するための複数の沈降タンクをさらに含む。本明細書の一実施形態によれば、複数の沈降タンクは、複数の電解液貯蔵タンクである。電解液から除去された金属酸化物粒子は、各タンクの底に重力によって自然に、または化学的に誘発される凝集プロセスによって強制的に沈降される。凝集プロセスは、粒子のサイズを大きくし、金属酸化物粒子の迅速な沈降を促進するために行われる。
【0045】
本明細書の一実施形態によれば、電解液特性管理システムは、電解液を所望の組成に維持するために複数のバッファタンクをさらに含む。電解液特性管理システムは、電解液に存在するすべての成分の濃度を定期的に監視するように構成されている。バッファタンクは、電解液を所望の組成になるよう補給するために設けられる。
【0046】
本明細書の一実施形態によれば、電解液特性管理システムは、電解液温度を10~80℃の範囲に維持し、電解液の連続浄化も行うように構成される。
【0047】
本明細書の一実施形態によれば、加熱冷却システムは、抵抗加熱器、誘導加熱器、ラジエータ、ファンまたは冷却液循環システムの1つまたは複数の組み合わせを含む。
【0048】
本明細書の一実施形態によれば、電解液特性管理システムは、金属空気電池の動作中に形成されるスラッジを収集することによって入ってくる電解液を連続的に浄化するために、一連のスクリーンフィルタ、ディスクフィルタ、グラフェンベースフィルタ、またはこれらの複数からなる群から選択される複数のフィルタカートリッジを含む。
【0049】
本明細書の一実施形態によれば、GMABに機械的に燃料を補給するための燃料補給機構が設けられる。燃料補給機構は、消費されたアルミニウムを機械的に取り出し、一度に複数の新しいアルミニウムカセットをセルに挿入するように構成される。
【0050】
本明細書の一実施形態によれば、一次金属空気電池モジュールのセルを通る電解液の循環を調整するための電解液流管理システムが設けられる。
【0051】
本明細書の一実施形態によれば、電解液流管理システムは、一次金属空気電池のセル内に電解液を送るための1つまたは複数のポンプを備える。1つまたは複数のポンプは、ダイヤフラムポンプ、水中ポンプ、遠心ポンプ、容積式ポンプ、油圧ポンプ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0052】
本明細書の一実施形態によれば、電解液流管理システムは、電解液をセル内に均一に分配するために、ゲート弁、電磁弁、およびねじ弁と一体化された1つまたは複数の回転計を備える。回転計は1~1000lpmの容量を有する。
【0053】
本明細書の一実施形態によれば、電解液流管理システムは、同じフロアおよび異なるフロアにある複数のセルへの制御された系統的な電解液の分配を行うために1つまたは複数の分配器を備える。電解液の均一な分布は、金属空気電池のすべてのセルから一貫した電力出力を維持するのに役立つ。
【0054】
本明細書の一実施形態によれば、電解液流管理システムは、各フロアにこぼれた電解液を排出するためにリーク/オーバーフロー管理システムを備える。
【0055】
本明細書の一実施形態によれば、監視システムは、システム全体の温度、流れ、電力、およびエネルギーを調整するために1つまたは複数のフィードバックセンサを備える。1つまたは複数のフィードバックセンサは、温度測定用の熱電対、電解液浄化のために設置されたフィルタ交換の必要性を監視する濾過センサ、および1つまたは複数のフロアにある金属空気電池セルを通る電解液の流れを制御する複数の流量計を備える。
【0056】
本明細書の一実施形態によれば、監視システムには、1つまたは複数のフィードバックセンサから取得されたリアルタイムデータを表示するための表示パネルが設けられる。
【0057】
本明細書の一実施形態によれば、監視システムには、補助電源のリアルタイムの充電状態(SoC)を正確に推定するアルゴリズムがロードされる。
【0058】
本明細書の一実施形態によれば、一次金属空気電池の動作中に生成される水素ガスを貯蔵するためのハイブリッドシステムが設けられる。
【0059】
本明細書の一実施形態によれば、ハイブリッドシステムは、収集された水素ガスで動作し、電力バックアップシステムのエネルギー出力に寄与し増強する水素燃料電池を含む。
【0060】
本明細書の一実施形態によれば、電力バックアップシステムは、電力バックアップシステムの動作中に発生するあらゆる種類の蒸気およびガスを除去するための排気セットアップを含む。
【0061】
本明細書の一実施形態によれば、1つまたは複数の補助電源が、負荷に電力を供給するためにGMABから生成された電力で充電され、1つまたは複数の補助電源が、スイッチング回路を介して負荷に接続され、補助電源の出力がインバータを介して負荷に供給される。他の補助電源が負荷に電力を供給するために放電状態にある場合には、常に、1つ補助電源がGMABからの電力で充電状態にあり、その補助電源からの電力が、DC-ACコンバータを介してACで動作する家庭用電気製品に供給される。
【0062】
本明細書の一実施形態によれば、1つの補助電源が負荷に電力を供給するために選択され、他の補助電源がGMABからの電力で充電される。(電池の残存電力量に関連する)充電状態SoCが継続的に監視され、補助電源がプリセットSoCレベルに達すると、負荷に電力を供給中の補助電源がスイッチング回路により遮断され、GMABからの電力で充電状態下の第2の補助電源がスイッチオンされ、負荷に電力を供給し、第1の補助電源がGMABからの電力で充電される。
【0063】
本明細書の一実施形態によれば、1つまたは複数の補助電源は、金属イオン電池、Ni-Cd電池、リチウムイオン電池、Naイオン電池、Kイオン電池、鉛酸電池、Ni-Cd電池、スーパーキャパシタ、ニッケル水素化物電池、レドックスフロー電池からなる群から選択される。
【0064】
本明細書の一実施形態によれば、レドックスフロー電池は、バナジウムレドックス電池、亜鉛-臭素電池、ポリスルフィド-臭化物電池などのいずれかである。
【0065】
本明細書の一実施形態によれば、電力バックアップシステムは電気製品を動かすために、発生した直流電力を交流電力に変換するインバータを含む。家庭用電化製品は、工場、鉱山、病院などで使用されるエアコン、冷蔵庫、テレビ、扇風機、照明、コンピューター、重電気機器などである。
【0066】
本明細書の一実施形態によれば、電力バックアップシステムは、一次金属空気電池の動作を増進しないで、補助電源によって短期間の電力供給を行うように構成される。
【0067】
本明細書の一実施形態によれば、補助電源間の切り替えを可能にする電子スイッチング回路/デバイスが設けられる。
【0068】
本明細書の一実施形態によれば、1つの補助電源のみが使用される。システムに1つの補助電源しかない場合、負荷はGMABで直接駆動される。補助電源は、要求される電力がGMABから供給される電力を超える場合に、その電力要求を満たすために追加で使用される。GMABの発電電力より負荷の要求電力が少ない場合には、GMABから負荷に供給される電力の余りの電力が補助電源を充電するために使用される。
【0069】
本明細書の一実施形態によれば、グラフェンベースの金属空気電池デバイスは、電解液の温度を維持するために加熱冷却システムに結合された電解液貯蔵器を含む第1の層と、1つまたは複数のセルに電解液を送るポンプ、ポンプに第1の側から結合され、セルを流れる電解液により生成された酸化アルミニウム粒子を捕捉し、電解液を金属酸化物粒子不純物から開放するフィルタ、ポンプの第2の側に結合された少なくとも1つの回転計、周囲空気を含む少なくとも1つの電極、電解液から金属酸化物粒子をさらに除去するための少なくとも1つの沈降タンク、電解液を閾値と比較して所望の組成に補充するように構成された少なくとも1つのバッファタンク、および消費されたアルミニウムを機械的に取り出し、複数の新しいアルミニウムカセットをセルに同時に挿入するように構成された機械式燃料補給ユニットを含む第2の層と、1つまたは複数のセルを通って流れるときに電解液を排出するための少なくとも1つの排出口を含む第3の層と、を含む。
【0070】
本明細書の一実施形態によれば、いつでも、電力バックアップシステムの動作中に、1つまたは複数の補助電源がインバータに電力を供給する。
【0071】
本明細書の一実施形態によれば、いつでも、電力バックアップシステムの動作中に、1つまたは複数の補助電源が一次金属空気電池によって充電され、その後、放電中の補助電源が設定SOCまで放電されると、一次金属空気電池が電気器具に電力を供給するために使用される。
【0072】
本明細書の一実施形態によれば、定置電力バックアップシステムは、ハウジングと、ハウジング内に配置されたグラフェンベースの金属空気電池と、二次および追加のバックアップとしてハウジング内に配置された少なくとも1つの補助電源とを備える。グラフェンベースの金属空気電池は、貯蔵されたアルカリ性電解液の温度を維持するために加熱冷却システムに接続された電解液貯蔵器と、複数のセルに電解液を送るためのポンプと、ポンプに第1の側から結合され、セルを通る電解液の流れにより生成された酸化アルミニウム粒子を捕捉し、電解液を金属酸化物粒子の不純物から解放するためのフィルタと、ポンプの第2の側に結合された少なくとも1つの回転計と、周囲空気である少なくとも1つの電極と、電解液から金属酸化物粒子をさらに除去するための少なくとも1つの沈降タンクと、所望の組成を達成するために電解液を補充するように構成された少なくとも1つのバッファタンクと、消費されたアルミニウムを機械的に取り出し、複数の新しいアルミニウムカセットをセルに同時に挿入するように構成された機械式燃料補給ユニットと、を備える。
【0073】
本明細書の一実施形態によれば、定置電力バックアップシステムは、複数のセルを通過した後の電解液およびフロアにこぼれた電解液を排出するために各フロアに設けられた排出パイプラインに接続された少なくとも1つの排出口を備えるリーク/オーバーフロー管理システムをさらに備える。電力バックアップシステムは、陽極および空気陰極をさらに含む。セルが電解液で満たされると、陽極の金属粒子が金属酸化物に変換され、周囲空気からの酸素が空気陰極を介して拡散し、複数のOH-イオンに還元される。陽極と空気陰極での反応後に電力が発生される。電池は1つまたは複数のフロアに設置される。電解液は、少なくとも1つのセルを通過し、各フロアに装着/塔載されたパイプに接続された少なくとも1つの排水口から排出される。
【0074】
本明細書の一実施形態によれば、電力バックアップシステムは、水素回収のために、金属空気動作中に発生した水素を貯蔵する水素燃料電池をさらに含む。水素の貯蔵を基に、水素燃料電池は貯蔵した水素を発電に使用する。電気器具に電力を供給するのに最適なエネルギーと電力の組み合わせを達成する複合電源として機能するように、1つまたは複数のセルが、1つまたは複数のフロアに配置され、直列または並列またはそれらの組み合わせで接続される。1つまたは複数のフロアは、拡張/伸縮パターンで配置され、下部のフロアは、上部のフロア面レベルを超えて基部から突き出た拡張プラットフォームを有し、システムをあらゆる種類のリーク/オーバーフローまたは流出から保護する。1つまたは複数のフロアは、さらに貯蔵器に接続された共通の排水システムに接続される。
【0075】
本明細書の実施形態のこれらおよび他の態様は、以下の説明および添付の図面と併せて考慮すると、よりよく認識され、理解されるであろう。しかしながら、以下の説明は、好ましい実施形態およびそれらの多くの特定の詳細を示しているが、限定ではなく例示として与えられていることを理解すべきである。本明細書の実施形態の精神から逸脱することなく、本明細書の実施形態の範囲内で多くの変更および修正を行うことが可能であり、そのような修正はすべて本発明の範囲に含まれる。
【0076】
他の目的、特徴、および利点は、好ましい実施形態の以下の説明および添付する図面から当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】本明細書の一実施形態による、グラフェンベースの金属空気電池を有するハイブリッド電力バックアップシステムの斜視図である。
図2】本明細書の一実施形態による、電力バックアップシステムに設けられた加熱冷却システム/機構のブロック図を示す。
図3】本明細書の一実施形態による、電源バックアップシステムに設けられた補助電源の充放電回路のブロック図で、補助電源-1が充電状態にあるときの図である。
図4】本明細書の一実施形態による、電源バックアップシステムに設けられた補助電源の充放電回路のブロック図で、補助電源-2が充電状態にあるときの図である。
図5】本明細書の実施形態による、グラフェンベースの金属空気電池を使用するハイブリッド電力バックアップを介して負荷を給電する方法のフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態による、単一の二次電池を使用するスイッチング回路のブロック図である。
図7】本明細書の実施形態による、補助電源の充電状態を測定するクーロンカウント方法のフローチャートの一部を示す。
図8】本明細書の実施形態による、補助電源の充電状態を測定するクーロンカウント方法のフローチャートの残部を示す。
図9】本明細書の一実施形態による定置電力バックアップシステムのブロック図を示す。
【0078】
本明細書の実施形態の特定の特徴は、いくつかの図面に示され、他の図面には示されていない。これは便宜上行われているにすぎず、各特徴は、本明細書の実施形態に従って他の特徴のいずれかまたはすべてと組み合わせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面が参照され、実施可能な特定の実施形態が例示として示されている。これらの実施形態は、当業者がこれらの実施形態を実施できるように十分詳細に説明されており、これらの実施形態の範囲から逸脱することなく他の変更をなすことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定を意図するものと解釈すべきではない。
【0080】
本明細書の様々な実施形態は、グラフェンベースの金属空気電池を使用する定置型電力バックアップシステムのシステムアーキテクチャを提供し、電力バックアップシステムは、産業界において家庭用電気機器および重機に電力を供給するために、病院や通信塔などの重要設備の電力バックアップとして、および遠隔地での電力供給などに利用することができる。
【0081】
本明細書の様々な実施形態は、主電源、1つまたは複数の補助電源、電解液流管理システム、電解液特性管理システム、リアルタイム監視システム、電子電力制御システム、および水素回収/回収システムを備える定置型電力バックアップシステムを提供する。
【0082】
本明細書の一実施形態によれば、主電源はグラフェンベースの金属空気電池(GMAB)である。このシステムの主電源は、電気エネルギーを発生して外部負荷に電力を供給する。GMABは、アルカリ性の電解液を含む貯蔵器を備えている。電解液は、直列または並列またはそれらの組み合わせで互いに電気的に接続されたセルのスタック(複数)を通過する。セルが電解液で満たされている場合にのみ、陽極と陰極で反応が開始される。陽極の金属粒子が金属酸化物に変換される。周囲の空気からの酸素が空気陰極を通って拡散し、OHイオンに還元される。その結果、電力が発生する。この反応は、電解液の温度がプリセット範囲内または閾値レベル内にある場合にのみ、最も効率がよい。
【0083】
本明細書の一実施形態によれば、1つまたは複数の一次金属空気電池は、アルミニウム空気電池、亜鉛空気電池、リチウム空気電池、および鉄空気電池からなる群から選択される。
【0084】
本明細書の一実施形態によれば、一次金属空気電池は複数のセルを含み、複数のセルは10~20000個の範囲である。
【0085】
本明細書の一実施形態によれば、一次金属空気電池セルは、1つまたは複数のフロア(単一または複数のフロア)に配置される。1つまたは複数のフロア(同じまたは異なるフロア)上のセルは、直列または並列に、またはそれらの組み合わせで電気的に接続される。
【0086】
本明細書の一実施形態によれば、電解液の温度を加熱冷却機構/システムによって所望の限界またはプリセット範囲または閾値レベル内に維持するために電解液特性管理システムが設けられる。
【0087】
本明細書の一実施形態によれば、電解液特性管理システムは、陽極および陰極との電解反応の副産物として生成され、セルから電解液の流れとともに収集される酸化アルミニウム粒子を捕捉/捕獲する複数のフィルタカートリッジをさらに含む。フィルタカートリッジは、陽極および陰極との反応プロセスを妨げる金属酸化物粒子の不純物を電解液から取り除くように構成される。
【0088】
本明細書の一実施形態によれば、電解液特性管理システムは、電解液から金属酸化物粒子を除去するための複数の沈降タンクをさらに含む。本明細書の一実施形態によれば、複数の沈降タンクは、複数の電解液貯蔵器タンクである。電解液から除去された金属酸化物粒子は、各タンクの底に重力によって自然に、または化学的に誘発される凝集プロセスによって強制的に沈降される。凝集プロセスは、粒子のサイズを大きくし、金属酸化物粒子の迅速な沈降を促進するために行われる。
【0089】
本明細書の一実施形態によれば、電解液特性管理システムは、電解液を所望の組成に維持するための複数のバッファタンクをさらに含む。電解液特性管理システムは、電解液に存在するすべての成分の濃度を定期的に監視するように構成されている。バッファタンクは、電解液を所望の組成になるよう補給するために設けられる。
【0090】
本明細書の一実施形態によれば、電解液特性管理システムは、電解液温度を10~80℃の範囲に維持し、電解液の連続浄化も行うように構成される。
【0091】
本明細書の一実施形態によれば、加熱冷却システムは、抵抗加熱器、誘導加熱器、ラジエータ、ファンまたは冷却液循環システムの1つまたは複数の組み合わせを含む。
【0092】
本明細書の一実施形態によれば、電解液特性管理システムは、金属空気電池の動作中に形成されるスラッジを収集することによって入ってくる電解液を連続的に浄化するために、一連のスクリーンフィルタ、ディスクフィルタ、グラフェンベースフィルタ、またはこれらの複数からなる群から選択される複数のフィルタカートリッジを含む。
【0093】
本明細書の一実施形態によれば、GMABに機械的に燃料を補給するための燃料補給機構が設けられる。燃料補給機構は、消費されたアルミニウムを機械的に取り出し、一度に複数の新しいアルミニウムカセットをセルに挿入するように構成される。
【0094】
本明細書の一実施形態によれば、一次金属空気電池モジュールのセルを通る電解液の循環を調整するための電解液流管理システムが設けられる。
【0095】
本明細書の一実施形態によれば、電解液流管理システムは、一次金属空気電池のセル内に電解液を送るための1つまたは複数のポンプを備える。1つまたは複数のポンプは、ダイヤフラムポンプ、水中ポンプ、遠心ポンプ、容積式ポンプ、油圧ポンプ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0096】
本明細書の一実施形態によれば、電解液流管理システムは、電解液をセル内に均一に分配するために、ゲート弁、電磁弁、およびねじ弁と一体化された1つまたは複数の回転計を備える。回転計は1~1000lpmの容量を有する。
【0097】
本明細書の一実施形態によれば、電解液流管理システムは、同じフロアおよび異なるフロアにある複数のセルへの制御された系統的な電解液の分配を行うために1つまたは複数の分配器を備える。電解液の均一な分布は、金属空気電池のすべてのセルから一貫した電力出力を維持するのに役立つ。
【0098】
本明細書の一実施形態によれば、電解液流管理システムは、各フロアにこぼれた電解液を排出するためにリーク/オーバーフロー管理システムを備える。
【0099】
本明細書の一実施形態によれば、監視システムは、システム全体の温度、流れ、電力、およびエネルギーを調整するために1つまたは複数のフィードバックセンサを備える。1つまたは複数のフィードバックセンサは、温度測定用の熱電対、電解液浄化のために設置されたフィルタ交換の必要性を監視する濾過センサ、および1つまたは複数のフロアにある金属空気電池セルを通る電解液の流れを制御する複数の流量計を備える。
【0100】
本明細書の一実施形態によれば、監視システムには、1つまたは複数のフィードバックセンサから取得されたリアルタイムデータを表示するための表示パネルが設けられる。
【0101】
本明細書の一実施形態によれば、監視システムには、補助電源のリアルタイムの充電状態(SoC)を正確に推定するアルゴリズムがロードされる。
【0102】
本明細書の一実施形態によれば、一次金属空気電池の動作中に生成される水素ガスを貯蔵するためのハイブリッドシステムが設けられる。
【0103】
本明細書の一実施形態によれば、ハイブリッドシステムは、収集された水素ガスで動作し、電力バックアップシステムのエネルギー出力に寄与し増強する水素燃料電池を含む。
【0104】
本明細書の一実施形態によれば、電力バックアップシステムは、電力バックアップシステムの動作中に発生するあらゆる種類の蒸気およびガスを除去するための排気セットアップを含む。
【0105】
本明細書の一実施形態によれば、1つまたは複数の補助電源が、負荷に電力を供給するためにGMABから生成された電力で充電され、1つまたは複数の補助電源が、スイッチング回路を介して負荷に接続され、補助電源の出力がインバータを介して負荷に供給される。他の補助電源が負荷に電力を供給するために放電状態にある場合には、常に、1つの補助電源がGMABからの電力で充電状態にあり、その補助電源からの電力が、DC-ACコンバータを介してACで動作する家庭用電気製品に供給される。
【0106】
本明細書の一実施形態によれば、1つの補助電源が負荷に電力を供給するために選択され、他の補助電源がGMABからの電力で充電される。(電池の残存電力量に関連する)充電状態SoCが継続的に監視され、補助電源がプリセットSoCレベルに達すると、負荷に電力を供給中の補助電源がスイッチング回路により遮断され、GMABからの電力で充電状態下の第2の補助電源がスイッチオンされ、負荷に電力を供給し、第1の補助電源がGMABからの電力で充電される。
【0107】
本明細書の一実施形態によれば、1つまたは複数の補助電源は、金属イオン電池、Ni-Cd電池、リチウムイオン電池、Naイオン電池、Kイオン電池、鉛酸電池、Ni-Cd電池、スーパーキャパシタ、ニッケル水素化物電池、レドックスフロー電池からなる群から選択される。
【0108】
本明細書の一実施形態によれば、レドックスフロー電池は、バナジウムレドックス電池、亜鉛-臭素電池、ポリスルフィド-臭化物電池などのいずれかである。
【0109】
本明細書の一実施形態によれば、電力バックアップシステムは電気製品を動かすために、発生した直流電力を交流電力に変換するインバータを含む。家庭用電化製品は、工場、鉱山、病院などで使用されるエアコン、冷蔵庫、テレビ、扇風機、照明、コンピューター、重電気機器などである。
【0110】
本明細書の一実施形態によれば、電力バックアップシステムは、一次金属空気電池の動作を増進しないで、補助電源によって短期間の電力供給を行うように構成される。
【0111】
本明細書の一実施形態によれば、補助電源間の切り替えを可能にする電子スイッチング回路/デバイスが設けられる。
【0112】
本明細書の一実施形態によれば、グラフェンベースの金属空気電池デバイスは、電解液の温度を維持するために加熱冷却システムに結合された電解液貯蔵器を含む第1の層と、1つまたは複数のセルに電解液を送るポンプ、ポンプに第1の側から結合され、セルを流れる電解液により生成された酸化アルミニウム粒子を捕捉し、電解液を金属酸化物粒子不純物から開放するフィルタ、ポンプの第2の側に結合された少なくとも1つの回転計、周囲空気を含む少なくとも1つの電極、電解液から金属酸化物粒子をさらに除去するための少なくとも1つの沈降タンク、電解液を閾値と比較して所望の組成に補充するように構成された少なくとも1つのバッファタンク、および消費されたアルミニウムを機械的に取り出し、複数の新しいアルミニウムカセットをセルに同時に挿入するように構成された機械式燃料補給ユニットを含む第2の層と、1つまたは複数のセルを通って流れるときに電解液を排出するための少なくとも1つの排出口を含む第3の層と、を含む。
【0113】
本明細書の一実施形態によれば、いつでも、電力バックアップシステムの動作中に、1つまたは複数の補助電源がインバータに電力を供給する。
【0114】
本明細書の一実施形態によれば、いつでも、電力バックアップシステムの動作中に、1つまたは複数の補助電源が一次金属空気電池によって充電され、それらの補助電源は、その後、放電中の補助電源が設定SOCまで放電されると、電気器具に電力を供給するために使用される。
【0115】
本明細書の一実施形態によれば、定置電力バックアップシステムは、ハウジングと、ハウジング内に配置されたグラフェンベースの金属空気電池と、二次および追加のバックアップとしてハウジング内に配置された少なくとも1つの補助電源とを備える。グラフェンベースの金属空気電池は、貯蔵されたアルカリ性電解液の温度を維持するために加熱冷却システムに接続された電解液貯蔵器と、複数のセルに電解液を送るためのポンプと、ポンプの第1の側に結合され、セルを通る電解液の流れにより生成された酸化アルミニウム粒子を捕捉し、電解液を金属酸化物粒子の不純物から解放するためのフィルタと、ポンプの第2の側に結合された少なくとも1つの回転計と、周囲空気である少なくとも1つの電極と、電解液から金属酸化物粒子をさらに除去するための少なくとも1つの沈降タンクと、所望の組成を達成するために電解液を補充するように構成された少なくとも1つのバッファタンクと、消費されたアルミニウムを機械的に取り出し、複数の新しいアルミニウムカセットをセルに同時に挿入するように構成された機械式燃料補給ユニットと、を備える。
【0116】
本明細書の一実施形態によれば、定置電力バックアップシステムは、複数のセルを通過した後の電解液およびフロアにこぼれた電解液を排出するために各フロアに設けられた排出パイプラインに接続された少なくとも1つの排出口を備えるリーク/オーバーフロー管理システムをさらに備える。電力バックアップシステムは、陽極および空気陰極をさらに含む。セルが電解液で満たされると、陽極の金属粒子が金属酸化物に変換され、周囲空気からの酸素が空気陰極を介して拡散し、複数のOH-イオンに還元される。陽極および空気陰極での反応後に電力が発生される。電池は1つまたは複数のフロアに設置される。電解液は、少なくとも1つのセルを通過し、各フロアに装着/塔載されたパイプに接続された少なくとも1つの排水口から排出される。
【0117】
本明細書の一実施形態によれば、電力バックアップシステムは、水素回収のために、金属空気動作中に発生した水素を貯蔵する水素燃料電池をさらに含む。水素の貯蔵を基に、水素燃料電池は貯蔵した水素を発電に使用する。電気器具に電力を供給するのに最適なエネルギーと電力の組み合わせを達成する複合電源として機能するように、1つまたは複数のセルが、1つまたは複数のフロアに配置され、直列または並列またはそれらの組み合わせで接続される。1つまたは複数のフロアは、拡張/伸縮パターンで配置され、下部のフロアは、上部のフロア面レベルを超えて基部から突き出た拡張プラットフォームを有し、システムをあらゆる種類のリーク/オーバーフローまたは流出から保護する。1つまたは複数のフロアは、さらに貯蔵器に接続された共通の排水システムに接続される。
【0118】
本明細書の一実施形態によれば、電力バックアップシステムを介して負荷に電力を供給する方法は、グラフェンベースの金属空気電池システムをハウジング内に装着するステップ、電解液の温度を維持するために電解液貯蔵器を加熱冷却システムに接続するステップ、ポンプにより電解液を1つまたは複数のセルに送るステップ、フィルタをポンプの第1側からポンプに接続し、フィルタをポンプに第1の側から接続してセルを通る電解液の流れにより生成された酸化アルミニウム粒子を捕捉し、電解液を金属酸化物粒子不純物から解放するステップ、少なくとも1つの回転計をポンプの第2の側に接続するステップ、少なくとも1つの電極に周囲空気を保存するステップ、少なくとも1つの沈降タンクによって電解質から金属酸化物粒子をさらに除去するステップ、少なくとも1つのバッファタンクによって、電解質を閾値と比較して所望の組成に補充するステップ、機械的な燃料補給ユニットによって、消費されたアルミニウムを機械的に引き戻し、複数の新しいアルミニウムカセットをセルに同時に挿入するステップ、および1つまたは複数のセルを通って流れるときに、少なくとも1つの排出口によって電解質を排出するステップ、を含む。
【0119】
図1は、グラフェンベースの金属空気電池を使用したハイブリッド電源バックアップシステムの略図を示す。図1において、電解液貯蔵器101Aは、電解液から金属酸化物粒子を除去するための沈降タンク101B、電解液濃度を所定のレベルに維持するためのバッファタンク101C、および電解液の温度を維持するための加熱冷却システム(図2に示されている)を備えている。電解液はポンプ103によってセルに送られ、ポンプは一方の側からフィルタに接続され、反対側が1つまたは複数の回転計104に接続される。図によると、設置されたハイブリッドシステムは112で示され、ここに、金属空気動作中に発生した水素が貯蔵され、その後水素燃料電池によって発電に使用される。電解液はセルを通って流れると、各フロアに取り付けられたパイプを通って、排水口107から流出する。ハイブリッド電源バックアップの複数のフロアは116および105で示され、そこに個々の電池セルが直列または並列に、またはそれらの組み合わせで配置される。さらに、フロア106および115は、下部フロア115が基部から広がり、上部フロア106のプラットフォームよりも拡張されたプラットフォームを持ち、システムをあらゆるタイプの漏れ/オーバーフローまたはこぼれから保護するように、拡張パターンに配置される。すべてのフロアは、貯蔵器101に接続された共通の排水システム108にさらに接続される。定置支持構造114は、構造の基部に複数の区画を備え、インバータ109、本明細書の実施形態用に設計された回路システム111、および補助電源のコンパートメント110が配置される。支持構造は車輪113と一体化され、システムをある場所から別の場所に簡単に移動させることができる。
【0120】
図2は、本明細書の一実施形態による、電力バックアップシステムに設けられる、電解液の温度を所望の範囲内に維持するための加熱冷却システム/機構のブロック図を示す。図によると、電解液の貯蔵器は201で示され、断熱層202によって断熱されている。加熱コイル/ヒータ203は貯蔵器と統合され、電解液をグラフェンベースの金属空気電池が最も効率的に機能する最適な温度に加熱するのに役立つ。加熱コイル/ヒータの電気端子は204で表されている。図では、貯蔵器から一次金属空気電池への電解液流の出口チャネルは205で示されている。一次金属空気電池からの電解液が貯蔵器に入る入口チャネルは206で示されている。冷却コイル207が電解液を冷却するために貯蔵器に取り付けられ、サーモスタット弁208が、温度がしきい値を超えた場合にのみ冷却液を冷却コイル207に流すために設置されている。冷却液を蓄えるタンクは209で示され、ラジエーターキャップは210で示されている。膨張ブリード管とオーバーフロー排水管は、それぞれ211と212で示されている。凝縮器213がファン214に接続されている。最後に、冷却液を循環させるためのポンプが215で示されている。
【0121】
図3は、本明細書の実施形態による、電源バックアップシステムに設けられた補助電源の充放電回路のブロック図で、補助電源-Iが充電状態にあるときの図である。図3において、GMAB301からの電力は、いつでも、少なくとも1つの補助電源302、303を充電するために使用され、一方、他の補助電源302、303は、負荷305に電力を供給する(電池からの電力はDC形式であるため、一般にAC電源で動作する機器用にDC-ACコンバータ304が存在する)。充電状態SOC(電池残存電力量に関連する)が継続的に監視され、補助電源302が特定のSOCに達すると、この補助電源はスイッチング回路によって遮断され、GMAB301から充電されていた第2の補助電源303が負荷305に電力を供給し、一方、GMAB301が放電した第1の補助電源302を充電する。このサイクルは、システム300および図1のシステム100全体がオフになるまで続く。
【0122】
図4は、本明細書の実施形態による、電源バックアップシステムに設けられた補助電源の充放電回路のブロック図で、補助電源302が充電状態であるときの図である。図4において、システム400には1つの補助電源302が設けられているだけであるため、負荷305はGMAB301によって直接駆動される。要求される電力が、GMAB301が提供し得る電力より大きい場合には、その電力要求を満たすために補助電源302が作動する。負荷305が小さい場合、GMAB301からの余剰電力が補助電源302を充電する。
【0123】
図5は、本明細書の実施形態による、グラフェンベースの金属空気電池を使用するハイブリッド電力バックアップによって負荷を給電する方法のフローチャートである。図5において、この方法はステップ501で開始する。第2のステップ502において、充電および放電のために二次電池が選択される。ステップ503において、充電のために選択された二次電池が、スイッチングコンバータおよびスイッチを介して一次電池に結合される。ステップ504において、放電のために選択された二次電池が、スイッチを介して負荷に結合される。ステップ505において、放電中の二次電池のSOCが閾値未満であるかどうかの比較が行われる。その結果が「はい」の場合、制御はステップ506に進むが、その結果が「いいえ」の場合、制御はステップ505の比較に戻る。ステップ506において、すべての二次電池が一次電池および負荷から切り離される。ステップ507において、充電された二次電池が負荷に結合される。ステップ508において、放電された二次電池が、充電のために一次電池に結合される。ステップ509において、方法は終了する。
【0124】
図6は、本発明の一実施形態による、単一の二次電池を使用するスイッチング回路のブロック図である。図6において、単一の二次電池のためのスイッチング回路600が提示されている。このシステム600では、一次電池と二次電池と負荷605が並列に接続されて一緒に動作する。システム内のすべてのスイッチ603、604が有効にされる。一次電池の未調整電圧は、二次電池を充電するために、第1のスイッチングコンバータ603によって調整される。二次電池端子の電圧は、二次電池の充電状態(SOC)によって異なる。負荷端子に一定の/調整された電圧を提供するために、第2のスイッチングコンバータ604が使用され、これにより負荷端子605の電圧が安定になる。
【0125】
図7および図8は、本明細書の実施形態による、補助電源の充電状態を測定するためのクーロンカウント方法のフローチャートを合同で示している。この方法は、ステップ701で開始する。ステップ702において、周辺機器、すなわちグラフェンベースの金属空気電池などの電子デバイスが初期化される。ステップ703において、金属空気電池に接続されたEEPROMが読み出される。ステップ704において、電池電圧が測定される。ステップ705において、電圧基準からSOC値がEEPROMのルックアップテーブルから取得される。ステップ706において、比較、すなわち、ルックアップテーブルのSOCと同等の推定SOCが10%以上大きいかどうかの比較が行われる。その結果が「はい」の場合、制御はステップ707に移るが、「いいえ」の場合、制御は図8の接続点Aに移る。ステップ707において、新SOCが10%の許容値を持つ旧SOCに割り当てられる。ステップ802は、制御が接続点Aからステップ802に移った後で、SOCを表示するステップである。ステップ802は接続点Bで始まり、接続点Bから制御がステップ802に移る。ステップ803はタイマ割り込みを初期化することにより始まる。ステップ804において、図1の電子デバイス/電池の電流および電圧が測定される。ステップ805において、電子デバイス/電池は割り込みを待つ。ステップ806において、比較が行われ、すなわち、割り込みが有効であるかどうか比較される。その結果が「はい」の場合、制御はステップ807に移る。その結果が「いいえ」の場合、制御はステップ805に移る。ステップ807において、電流と時間が積算される。ステップ808では、SOCが計算される。ステップ809において、電圧基準から、EEPROMのルックアップテーブルからSOC値が取得される。ステップ810において、比較が行われ、すなわち、ルックアップテーブルのSOCと同等の推定SOCが10%以上大きいかどうかの比較が行われる。その結果が「はい」の場合、制御はステップ811に移る。その結果が「いいえ」の場合、制御はステップ812に移る。ステップ811において、新SOCが10%の許容値を持つ旧SOCに割り当てられる。ステップ812において、SOCが表示され、記憶される。
【0126】
図9は、定置電力バックアップシステムのブロック図である。このシステムは、主電源901、複数の補助電源902a、902b、....902n、電解液流管理システム903、電解液特性管理システム904、リアルタイム監視システム905、電子電力制御システム906、水素回収/収集システム907、スラッジ管理システム908、および機械的燃料補給システム909を備える。
【0127】
本明細書の実施形態は、一次電源として機能するグラフェンベースの金属空気電池を使用するハイブリッド電力バックアップのためのシステムアーキテクチャを提供し、一次金属空気電池は、アルミニウム空気電池、亜鉛空気電池、リチウム空気電池、鉄空気電池のいずれかである。
【0128】
本明細書の実施形態は、グラフェンベースの金属空気電池を使用するハイブリッド電源バックアップのためのシステムアーキテクチャを提供し、このシステムアーキテクチャは、産業界で家庭用電気機器および重機に電力を供給するために、病院や通信塔などの重要設備の電力バックアップとして、および遠隔地での電力供給などに利用することができる。
【0129】
特定の実施形態の前述の説明は、本明細書の実施形態の一般的な性質を完全に公開するものであるため、他の人が、現在の知識を適用することにより、一般的な概念から逸脱することなく、特定の実施形態などのさまざまな用途に合わせて変更および/または適応することができる。したがって、そのような適応および変更は、開示された実施形態の意味内および同等物の範囲内に包含されるものと理解されるべきであり、また意図されるべきものである。
【0130】
本明細書で使用される表現または用語は、説明を目的とするものであり、限定を意図するものではないことを理解されたい。したがって、本明細書の実施形態を好ましい実施形態の観点から説明してきたが、当業者は、本明細書の実施形態を様々に変更して実施することができることは理解されよう。ただし、そのような変更はすべて、特許請求の範囲内に含まれると見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】