(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-04
(54)【発明の名称】調整可能な数のトランザクションブロックと複数の仲介ブロックとを含むブロックを有するブロックチェーンの生成
(51)【国際特許分類】
H04L 9/32 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
H04L9/32 200Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532477
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019081111
(87)【国際公開番号】W WO2020120054
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】トゥーラウ,オリバー
(57)【要約】
本発明は、調整可能な数のトランザクションブロックと複数の仲介ブロックとを含むブロックを有するブロックチェーンを生成するコンピュータ実装方法、及び、そのようなブロックチェーンを有し、分散データベースシステムに参加するデバイスの、格納媒体に関する。ここでは、第1仲介ブロックが備えられ、少なくとも1つの第2仲介ブロックが生成され、第2仲介ブロックは、それに先行するブロックと、少なくとも第1仲介ブロックとを参照する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能な数のトランザクションブロック(T)と複数の仲介ブロック(A1、A(b-1)、Ab、A(n-1)、An)とを含むブロックを有するブロックチェーン(10、11、20、21、30、31、40、41)を生成するコンピュータ実装方法であって、
- 前記ブロックチェーン(10、11、20、21、30、31、40、41)は分散データベースシステム(NW)のコンポーネントであり、
- 前記ブロックが、前記ブロックチェーン(10、11、20、21、30、31、40、41)内に生成され、各々のブロックは各々の先行するブロックを参照し、
- 第1仲介ブロック(A1、G)が備えられており、
- 少なくとも1つの第2仲介ブロック(A2)が生成され、
- 前記第2仲介ブロック(A2)は、それに先行するブロックと、少なくとも前記第1仲介ブロック(A1、G)とを参照し、
- 前記第1仲介ブロック(A1、G)は先行する仲介ブロックである、
方法。
【請求項2】
前記第1仲介ブロックはジェネシスブロック(G)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ジェネシスブロック(G)が備えられ、さらに前記第1仲介ブロック(A1)が生成され、前記第1仲介ブロック(A1)は、それに先行するブロックと、少なくとも前記ジェネシスブロック(G)とを参照する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1仲介ブロック(A1)と前記第2仲介ブロック(A2)との間に、少なくとも1つのトランザクションブロックが生成される、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ブロックチェーン(10、11、20、21、30、31、40、41)を短縮させるために、少なくとも、前記第2仲介ブロック(A2)と前記第1仲介ブロック(G。A1)との間のトランザクションブロックの数が減少され、特に、前記第2仲介ブロック(A2)と前記第1仲介ブロック(G,A1)との間の全ての生成されたトランザクションブロックが除去される、請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
分散データベースシステム(NW)に参加するデバイス(100、200、300)によって、特に、クラウドのデバイス又はエッジデバイス又はIoTデバイスによって、短縮されたブロックチェーンが記憶される、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ブロックチェーン(10、11、20、21、30、31、40、41)を拡張させるために、記憶された短縮されていないブロックチェーンの前記第1仲介ブロック(G、A1)と前記第2仲介ブロック(A2)との間のトランザクションブロックが、照会され、そして、挿入される、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
参照されるブロックを参照することは、前記参照されるブロックのチェックサム又は前記参照されるブロックの一部のチェックサムを、参照を行うブロック内に格納すること又は記憶することを含む、請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1仲介ブロック(G、A1)及び前記第2仲介ブロック(A2)は各々トランザクションを含まない、請求項1~8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
さらなる仲介ブロック(A(b-1)、Ab、A(n-1)、An)が生成され、前記さらなる仲介ブロック(A(b-1)、Ab、A(n-1)、An)のそれぞれが、各々の先行するブロックと、各々の先行する仲介ブロックとを参照する、請求項1~9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2仲介ブロック(A2)の生成又は前記さらなる仲介ブロック(A(b-1)、Ab、A(n-1)、An)の各々の生成は、ルールベースで、特に、設定可能な時点に対して、又は、先行するブロックに対する設定可能な時間間隔で、又は、先行する仲介ブロックに対する設定可能な時間間隔で、又は、設定可能な数の生成されたトランザクションブロックの後に、又は、コンテキストベースのトリガ条件を用いて、実行されるか、又は、手動で実行される、請求項1~10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記さらなる仲介ブロック(A(b-1)、Ab、A(n-1)、An)のうちの少なくとも1つは、前記先行する仲介ブロックのうちの少なくとも2つを参照する、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
各々の仲介ブロックは、各々の先行する仲介ブロックを参照し、選択された仲介ブロックは、さらに別の先行する仲介ブロックを参照する、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
選択された仲介ブロックとして、仲介ブロックが、設定可能な時点に対して、又は、先行する仲介ブロックに対して設定可能な時間間隔で、又は、選択された仲介ブロックの前に、又は、設定可能な数の生成されたトランザクションブロック若しくは仲介ブロックの後に、又は、コンテキストベースのトリガ条件を用いて、生成されるか、又は、手動で生成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
分散データベースシステム(NW)に参加するデバイス(100、200、300)の、特に、クラウド内のデバイス又はエッジデバイス又はIoTデバイスの、記憶媒体にして、調整可能な数のトランザクションブロックと複数の仲介ブロックとを含むブロックを有するブロックチェーン(10、11、20、21、30、31、40、41)を有する記憶媒体であって、
- 前記ブロックチェーン(10、11、20、21、30、31、40、41)は前記分散データベースシステム(NW)のコンポーネントであり、
- 各々のブロックは各々の先行するブロックを参照し、
- 第1仲介ブロック(A1、G)と、少なくとも1つの第2仲介ブロック(A2)とを有し、
- 前記第2仲介ブロック(A2)は、それに先行するブロックと、少なくとも前記第1仲介ブロック(A1、G)とを参照し、
- 前記第1仲介ブロック(A1、G)は先行する仲介ブロックである、記憶媒体。
【請求項16】
前記記憶媒体は、エッジデバイス又はIoTデバイス上に実装されている、請求項5に記載の短縮されたブロックチェーンを格納している、請求項15に記載の記憶媒体。
【請求項17】
前記記憶媒体は、エッジデバイス又はIoTデバイス上に実装されており、請求項7に記載の拡張されたブロックチェーンを記憶した、請求項15に記載の記憶媒体。
【請求項18】
請求項15~17の何れか1項に記載の記憶媒体を有するエッジデバイス。
【請求項19】
コンピュータプログラムを備えるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムがプログラム制御された装置上で実行される場合、請求項1~14の何れか1項に記載の方法を実行する手段を有するコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整可能な数のトランザクションブロックと複数の仲介ブロックとを含むブロックを有するブロックチェーンを生成するコンピュータ実装方法、及び、そのようなブロックチェーンを含む、分散データベースシステムに参加するデバイスの記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
産業環境では、デバイス自体若しくはデバイスが存在している自動化システムに関するデータを、又は、デバイスの自動化システムで実行されるプロセスのデータを、保護してデバイスに記録することの重要性が高まっている。その際、特に、自動化制御からの品質データ、又は実行された操作動作、又は収集された状態データの履歴が重要である。そのようなデータを改ざん防止保護してデバイスに記録するために、ブロックチェーン、及び、ブロックチェーンネットワークへのアクセスが、適している。
【0003】
その際、産業環境では、例えばいわゆる公共の又はパブリックのブロックチェーン、又は、プライベートブロックチェーンが用いられる。パブリックブロックチェーンの場合、コンセンサス手続きはパブリックであり、すなわち、未知のユーザグループが、例えばパブリックインターネット上で、ブロックチェーンを確認又はバリデーションすることができ、より厳密に言うと、個々のブロックをいわゆるマイニングによりバリデーションすることができる。プライベートブロックチェーンの場合、コンセンサス手続きはコンソーシアム内で行われ、そのメンバーは、例えば、互いに又は管理機関に既知であるかについての、一定の信頼性レベルを満たしている。
【0004】
ブロックチェーン技術は、非中央集権分散データベースを実現し、該非中央集権分散データベースには、参加ノードによって生成されるトランザクションを改ざん防止保護して格納できる。その際、トランザクションはブロックに記録され、ブロックはチェックサム方法を用いて後続のブロックに連結される。ブロックチェーン技術の説明は、例えば、英語版ウィキペディアhttps://en.wikipedia.org/wiki/Blockchainを引用できる。ブロックには、1つ又は複数のトランザクションに加えて、例えば先行するブロックのハッシュ値が格納されている。ブロックは、それを生成したノードによってブロックチェーンネットワークに送信される。保護は、ブロックチェーンネットワークの複数の信頼性が高いノードによって実現され、当該ノードはブロックのバリデーションを実行する。ブロックチェーンに参加するノードのネットワークでは、新規ブロックが規則的な間隔で生成され、その際、既存のブロックのハッシュ値も共に格納される。間隔内にトランザクションがない場合、ブロックチェーンによってはブロックの生成は省略される。
【0005】
このようにして、ブロックチェーンは、確認のためにブロックチェーンに入力されたトランザクション又はブロックチェーンネットワークに供給されたトランザクションを、格納する。ブロックが各々のコンセンサス手続きにおいて確認されると、確認された各ブロックを有する有効なブロックチェーンは、その長さ、従ってそのサイズが拡大する。そのため、継続された又は確認されたブロックチェーン用の所要記憶スペースは、常に大きくなる。
【0006】
先行するブロックのチェックサム、特にハッシュ値は、各々の新規ブロックに挿入されるので、チェーンが生成される。他方、先行するブロックのチェックサムは、現在のブロックのトランザクションと共に、後続のブロックのチェックサム用のデータセットを構成する。ブロックは先行するブロックを参照する、とも表現される。このように、トランザクションが改ざんから保護されるのは、ジェネシスブロックとも称される最初のブロックまでのチェーンを、ブロックの連鎖に基づいて追跡することができるからである。トランザクションはブロックチェーンネットワークを利用可能であることから、チェーン内のどのブロックから、例えば、トランザクションのコンテンツが先行するバージョンと一致しなくなるのか、を追跡することができる。従って、トランザクションは、改ざん防止保護されて各検証済みブロックチェーンに格納される。既により早い時点でネットワークに形成されたブロックにおけるトランザクションの改変は、チェックサム形成が既存のブロックに関して再計算又はチェックされる場合、追跡可能である。ブロックチェーン内のブロック数が増加し続けることの基づき、リソースが限られているデバイスにおけるブロックチェーン技術の実装には、長期的に十分な記憶スペース(記憶場所)がないというリスクが存在する。例えば、自動化デバイス、HMIデバイスやエッジデバイス、又は、IoTデバイスの、記憶スペースリソースは、クラウドベースのシステムとは対照的に、限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような背景に対して、本発明の課題は、ノードにおけるブロックチェーン用の所要記憶スペースを低減できるようなブロックチェーンの使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本課題は、独立請求項の対象により解決される。有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明は、調整可能な数のトランザクションブロックと複数の仲介ブロックとを含むブロックを有するブロックチェーンを生成するためのコンピュータ実装された方法に関するものであり、当該方法では、
- ブロックチェーンは分散データベースシステムのコンポーネントであり、
- 複数のブロックがブロックチェーン内部に生成され、各々のブロックは各々の先行するブロックを参照し、
- 第1仲介ブロックが備えられており、
- 少なくとも1つの第2仲介ブロックが生成され、
- 第2仲介ブロックは、それに先行するブロック並びに少なくとも第1仲介ブロック、を参照する。
【0010】
ブロックチェーンは分散データベースシステムのコンポーネントである。ここで、分散データベースシステムは、データベースの情報、特にブロックチェーンの形態を有するチェーンが、複数の場所において又は複数の参加者間で、利用可能であるか又は格納可能であること、を意味する。分散データベースシステムにおけるブロックチェーンの原理は、ブロックチェーンからの情報が非中央集権的に存在すること、に基づいている。分散データベースシステムの参加者は、新規ブロックチェーンの生成に参与することができ、又はブロックチェーンを検査或いは検証することができる。さらに、参加者は、1つ又は複数のブロックチェーンにアクセスするだけであってもよく、又はブロックチェーンの1つ又は複数の個々のブロックを使用してよい。
【0011】
本出願によると、ブロックとしては、トランザクションブロック及び仲介ブロックが企図されている。先行するトランザクションブロックを参照するトランザクションブロックは、従来技術より知られている。特に、分散データベースシステムへトランザクションを転送し、既存のトランザクションブロックと連結して、トランザクションブロックを生成することにより、ブロックチェーンの構築が行われる。このようにして、既存のブロックチェーンは、いわば、継続又は拡張される。
【0012】
どの箇所で、又は、どの最後のトランザクション又はどの最後のブロックに基づいて、チェーンを継続するのかは、ブロックチェーン内の参照されるブロックを選択することによって、決定される。特に、ブロックチェーンを生成する際に参照されるブロックの選択は任意であってよい。有利には、分散データベースシステムによって確認された最新のブロックが参照用に選択される。このようにして、その有効性が確認又はバリデーションされたチェーンが効率的に拡張される。
【0013】
ここで、少なくとも1つの仲介ブロックを生成することが提案される。仲介ブロックは、規則的な、先行するブロックの参照に加えて、第2参照、つまり先行する仲介ブロックの参照を行う。参照という概念は、例えば、別のブロックとの連鎖、又は、別のブロックの統合であって、統合又は連鎖されるブロックに関するチェックサム処理を用いるもの、と理解される。この二重の参照によって、このようにして生成され、非中央集権ブロックチェーンネットワークによって確認されるブロックチェーンをフレキシブルにバリデーションすることが可能であり、一方では、生成されたブロック、特に全ての生成されたブロックの完全な追跡を実行することができる。また、チェーンは、仲介ブロックと、それらの、先行する仲介ブロックの参照とに基づいて追跡されてよい。チェーンの完全性が仲介ブロックを介して追跡される場合、2つの仲介ブロック間に位置するブロック、特にトランザクションブロックを、バリデーションの際にスキップすることができる。
【0014】
例えば、トランザクションブロックからなるチェーンに、第2仲介ブロックが生成される。第2仲介ブロックは、先行するブロックを略規則的に参照するように、生成される。すなわち、第2仲介ブロックは、既存のブロックチェーンを拡張又は継続する、ブロックチェーン内のブロックとして生成される。
【0015】
また、第2仲介ブロックは、少なくとも第1仲介ブロックを参照する。従って、第2仲介ブロックは、少なくとも2つの参照を含む。この場合、例えば、ブロックチェーンの2つの異なるステータスのチェックサムである。一方では、先行するブロックとの連鎖によって、ブロックチェーンは一般に継続される。先行するブロックは、特には、規則的なトランザクションブロックである。
【0016】
直前の先行ブロックを介して、第2仲介ブロックは、第2仲介ブロック自体までのブロックチェーンのチェックサムを含む。さらに、第2仲介ブロックは、生成された第1仲介ブロックのステータスに関する、ブロックチェーンのチェックサムも含む。これは、例えば、第1仲介ブロックの生成後又はバリデーション後のブロックチェーンの状態である。
【0017】
このようにして、第1仲介ブロックを参照する第2仲介ブロックを用いて、ブロックチェーンのより早い時点の状態への参照がなされる。
【0018】
有利には、ブロックチェーンは、第2仲介ブロックに基づいて継続されてよい。ブロックチェーンに格納されるトランザクションの完全性は、仮に第1仲介ブロックと第2仲介ブロックとの間に生成されたトランザクションブロック自体がもはや利用できない場合であっても、第2仲介ブロックと第1仲介ブロックを用いて実現可能である。
【0019】
有利には、提案される方法では、ブロックチェーンネットワークに利用可能であってチェーンに入れられることになる現在のトランザクションは、ブロックチェーンネットワークのトランザクションブロックの利用可能性と共に、全てのノードに利用可能になる。このようにして、調整可能な数のトランザクションブロックを有するブロックチェーンを生成する方法は、特に、現在のトランザクションブロックの利用可能性に影響を及ぼすことはない。
【0020】
仲介ブロックは、公知のトランザクションブロック生成方法、例えばマイニング、と同様に、ブロックチェーンネットワークによって確認されてよい。例えば、仲介ブロックは、プルーフオブワーク(Proof-of-Work)、又は、プルーフオブステーク(Proof-of-Stake)、又は、プルーフオブオーソリティ(Proof-of-authority)、に基づくメカニズムを用いて、生成される。
【0021】
特に、仲介ブロックの後にさらなるブロックを生成する際、仲介ブロックによる先行する仲介ブロックへの後方参照を特別に考慮する必要はない。特に、仲介ブロックのバリデーション及び連鎖も規則的に行われる。
【0022】
このようにして、さらなるノード、例えば、ブロックチェーンネットワークが分散されているクラウド内のノードは、1つ又は複数の仲介ブロックを有するブロックチェーンを規則的に処理することができ、例えば、各々の仲介ブロックの先行するトランザクションブロックへの参照のみ考慮する。
【0023】
ブロックチェーンの完全性は、第1仲介ブロックと第2仲介ブロックとの間に生成されたブロックなしで、第2仲介ブロックにおいて第1仲介ブロックを参照することによって、実現可能である。
【0024】
1つの構成によると、第1仲介ブロックはジェネシスブロックである。この構成では、第1仲介ブロックは特別な役割を果たし、それ自体がジェネシスブロックである。この場合、第2仲介ブロックは、先行するブロックに加えて、ジェネシスブロックを参照する。第1仲介ブロックがジェネシスブロックである変形例では、従って、第2仲介ブロックからのブロックのバリデーションは、ジェネシスブロックへの参照に基づいて行われてよい。ジェネシスブロックと第2仲介ブロックとの間のブロックに記憶されているトランザクションは、第2仲介ブロックからのブロックの完全性の追跡のためには、必要ない。
【0025】
1つの構成によると、ジェネシスブロックが備えられており、さらに第1仲介ブロックが生成され、その際、第1仲介ブロックは、それに先行するブロックと、少なくともジェネシスブロックとを参照する。有利には、第1仲介ブロックは、チェーンの性質に応じて、又は生成されるブロック、特に生成されるトランザクションブロックの頻度に応じて、ジェネシスブロックとは独立して、第2仲介ブロックのチェックサム形成又はハッシュ値形成のための参照及びデータセットとして用いてもよい。
【0026】
1つの構成によると、第1仲介ブロックと第2仲介ブロックとの間に少なくとも1つのトランザクションブロックが生成される。有利には、第2仲介ブロックは以下のような規則に従って生成される、すなわち、ブロックチェーン実装の与えられた状況又はブロックチェーンの性質を考慮し、これに応じて、一定の数のトランザクションブロックの後に仲介ブロックを取得するような規則に従って生成される。この場合、規則は、この目的を達成するために、様々なメカニズムを備えてよい。仲介ブロック間に備えられるトランザクションブロックが多ければ多いほど、仲介ブロックと、それらの、先行する仲介ブロックへの参照とに基づいてブロックチェーンを検査する際に考慮しなくてよいブロックが多くなる。
【0027】
1つの構成によると、ブロックチェーンを短縮させるために、少なくとも、第2仲介ブロックと第1仲介ブロックとの間のトランザクションブロックの数が減少される。特に、第2仲介ブロックと第1仲介ブロックとの間の全ての生成されたトランザクションブロックが排除される。
【0028】
第1仲介ブロックと第2仲介ブロックとの間に位置する1つ又は複数のトランザクションブロックが除去されることで、ノードにおけるブロックチェーンのサイズ、従って必要とされる記憶容量が、低減される。
【0029】
短縮を実行するノードは、ブロックチェーンネットワークに参加する任意のノードであってよい。有利には、短縮されたブロックチェーンにはもはや存在しないトランザクションブロックへ必要に応じてアクセスできるように、参加ノードの少なくとも1つに、全てのトランザクションブロックを含むブロックチェーン全体が記憶されるべきである。
【0030】
第2仲介ブロックの第1仲介ブロックへの参照を利用することで、短縮されたブロックチェーンは、完全性又は真正性について依然として検査することができる。このようにして、第1仲介ブロックへの参照によって、第1仲介ブロックと第2仲介ブロックとの間のトランザクションブロックが欠落していても、チェーンは中断されないので、ジェネシスブロックから第2仲介ブロックまでのブロックの完全性を検査することができる。特には仲介ブロックを含む全てのブロックにわたってチェックサム形成を実行することで、有利には、第1仲介ブロックより前の、短縮されたブロックチェーンにおいて依然として利用可能なトランザクションの真正性と、第2仲介ブロックより後のトランザクションの真正性との両方を追跡することができる。第2仲介ブロックも第1仲介ブロックのチェックサムを有しているので、チェックサムを用いることで、除去されたトランザクションブロックのギャップをまたいでも、ブロックチェーンを一貫して追跡できる。従って、除去されていないトランザクションブロックのトランザクションは、短縮されたブロックチェーンにおいても引き続き改ざん防止保護されて格納されている。
【0031】
第2仲介ブロック及び他の全てのさらなるブロックを信頼できることは、以下によって保証されている、すなわち、仲介ブロックも、通常のブロックチェーンネットワークでのように、ブロックチェーンのコンセンサスメカニズムによって確認されることによって、保障されている。
【0032】
ブロックチェーンを短縮することは、特に、限られた記憶容量を有するデバイスに備えられているノードにとって、有効である。この場合、例えば、産業分野においては、いわゆるエッジデバイスであって、当該エッジデバイスは、クラウドに対するインターフェースとして利用することができ、同時に、産業設備においてローカルで、設備にとって重要なデータを利用可能に維持すること又は処理することができる。
【0033】
特に、2つの仲介ブロック間の全てのトランザクションブロックが除去される。2つの仲介ブロック間のトランザクションは、従来のブロックチェーンにおける場合のように、全てが存在し、それに応じて全てのチェックサムを再計算することができる場合、漏れなく検査することができる。従って、短縮されたブロックチェーンが第2仲介ブロックと第1仲介ブロックとの間にトランザクションブロックを含まないことにより、ブロックチェーンの短縮を必要とされる記憶スペースに関して有利に最適化することができる。例えば、仲介ブロック生成の実行に関するポリシーに基づいて、又は、生成されるトランザクションブロックがないことに基づいて、2つの仲介ブロック間にトランザクションブロックが生成されなかった特別なケースでは、短縮は同様に実行されてよい。この場合、1つの仲介ブロックが、例えば、先行する仲介ブロックに関するチェックサムを2重に有しており、1度は直近の先行ブロックへの参照に基づき、もう1度は先行する仲介ブロックへの参照に基づく。ブロックチェーンの短縮は、この特別な場合においては、記憶スペースを減少させない。
【0034】
1つの構成によると、短縮されたブロックチェーンは、分散データベースシステムに参加するデバイスにより、特に、クラウド内のデバイス又はエッジデバイス又はIoTデバイスにより、記憶される。このようにして、記憶容量が限られているデバイスは、短縮されたブロックチェーンをフレキシブルに格納することができ、当該短縮されたブロックチェーンより僅かな記憶スペースを利用する。例えば、デバイスは、まず、短縮されていないブロックチェーンを記憶し、次いで、任意の仲介ブロック間のトランザクションブロックを削除することによって、これを短縮する。
【0035】
1つの構成によると、ブロックチェーンを拡張させるために、記憶された、短縮されていないブロックチェーンからの、第1仲介ブロックと第2仲介ブロックとの間のトランザクションブロックが照会され、挿入される。このようにして、有利には、短縮されたブロックチェーンを、再び、短縮されていないブロックチェーンに拡張することができる。この拡張は、選択された仲介ブロック間のトランザクションブロックに対して、又は、除去された全てのトランザクションブロックに対して、すなわち、以前に短縮された全ての仲介ブロック間のトランザクションブロックに対して、実行することができる。
【0036】
1つの構成によると、参照されるブロックの参照は、参照されるブロックのチェックサム又は参照されるブロックの一部のチェックサムが、参照実行ブロック内に格納されること又は記憶されることを含む。チェックサムとは、特に、ハッシュ値又は暗号学的ハッシュ値である。
【0037】
1つの構成によると、各仲介ブロックはトランザクションを含まない。仲介ブロックは、公知のトランザクションブロックの生成方法、例えばマイニングと同様に、ブロックチェーンネットワークによって確認される。この構成では、生成された仲介ブロックのコンテンツのみがユーザデータを含まない。短縮されたブロックチェーンの場合、短縮されたブロックチェーンには、トランザクションデータは特にほとんど残らない。1つのさらなる変形例によれば、仲介ブロックとは、それ自体がトランザクションを含むブロックを意味する。従って、仲介ブロックは、二重の機能を果たしてよく、一方では、ブロックチェーン内のトランザクションブロックであってよく、同時に、先行する仲介ブロックへのさらなる参照によって仲介ブロックの機能を果たしてよい。また、仲介ブロックの後に続くトランザクションブロックも、仲介ブロック自体を参照し、従って、そこに格納されたトランザクションを連結させるので、仲介ブロックのトランザクションも改ざん防止保護されている。しかし、仲介ブロックに記憶されるトランザクションは、ブロックチェーンを短縮させる際には、除去されない。
【0038】
例えば、ジェネシスブロックと第1仲介ブロックとの間、第1仲介ブロックと第2仲介ブロックとの間、第2仲介ブロックとさらなる仲介ブロックとの間など、存在する全ての仲介ブロック間のトランザクションブロックの除去は、短縮されたブロックチェーンに、生成された最後の仲介ブロックに後続するトランザクションのみが存在する、という結果を導く。このことは、最後に生成された仲介ブロックの前に連結されたトランザクションデータの履歴がもはや重要でない利用において、特に有利である。そのようなシナリオでは、特に大きく記憶スペースが解放され得る、或いは、ブロックチェーンは特に僅かな記憶スペースを必要とする、またそれにも関わらず、直近の過去の全てのトランザクションデータが利用可能である。トランザクション履歴が利用可能である期間は、有利には、仲介ブロックを生成するための規則を介して、又は、代替例では、削除されるべきトランザクションブロックの設定を介して、制御され得る。
【0039】
1つの構成によると、さらなる仲介ブロックが生成され、各々のさらなる仲介ブロックは、各々の先行するブロック並びに各々の先行する仲介ブロックを、参照する。この方法は、任意の数の仲介ブロックに拡張され得て、互いに連続する仲介ブロックは、各々、第1仲介ブロック及び第2仲介ブロックと同様に構成されている。従って、第3仲介ブロックは第2仲介ブロックに続いてよく、第4仲介ブロックは第3仲介ブロックに続いてよく、以下同様である。
【0040】
1つのさらなる構成によると、第2仲介ブロック又はそれぞれのさらなる仲介ブロックの生成は、ルールベースで、例えば、設定可能な時点に対して、又は、先行するブロックとの設定可能な時間間隔で、又は、先行する仲介ブロックとの設定可能な時間間隔で、又は、設定可能な数の生成されたトランザクションブロックの後に、又は、コンテキストベースのトリガ条件を用いて、実行される、又は、手動で実行される。有利には、生成される仲介ブロックの頻度又は規則性を、仲介ブロックを生成するためのルールを介して、決定することも可能である。利用状況に応じて、仲介ブロックは以下のように生成されてもよい、すなわち、フレキシブルにトランザクションブロックを所定の時間範囲から除去できるように、生成されてよい。
【0041】
従って例えば、格別に細かい粒度で、生成されるブロックは、選択可能な期間から、除去され得て、これは例えば、この期間に対するトランザクションの履歴がほとんど重要でない場合に、行われる。例えば、経験的に、トランザクションデータのうち最新のものだけが、その後、自動化設備内部のデバイス上で重要である利用状況においては、仲介ブロックはより大きな間隔で生成されてよい。トランザクションブロックをそのような範囲から除去することによって、2つの仲介ブロック間での削除動作により、一度に大きな記憶スペースの量を節約することができる。
【0042】
他の利用状況では、例えば、経験的に、生成されたトランザクションブロックの特定の部分のみが履歴分析に重要であり、他の部分を履歴から削除できる場合には、仲介ブロックはより小さい間隔で生成されてよい。
【0043】
有利には、特定の数のトランザクションブロックが生成された場合に、はじめて仲介ブロックが生成される。このことは、先行する仲介ブロックまでのトランザクションブロックの除去が、閾値としての特定の記憶スペース節約を超える場合に、はじめて仲介ブロックが生成される、という結果を導く。従って例えば、2つの仲介ブロック間のトランザクションブロックの除去が、ブロックチェーン全体のサイズ又は長さに僅かな影響しか及ぼさないことが、回避される。
【0044】
有利には、コンテキストベースの条件の場合、仲介ブロックの生成は、コンテキストに応じて、例えば自動化プロジェクトのコンテキストに応じて、行われる。例えば、ジョブシステムが仲介ブロックの生成を制御する。有利には、例えば、仲介ブロックは、バッチの始めに対してまたバッチの終わりの後に、生成されてもよい。従って、仲介ブロック間のトランザクションブロックを除去すること、又は、ブロックチェーン内にこれらブロックを維持することを、特定のバッチ又は特定のジョブのために、選択してもよい。
【0045】
更に、例えば仲介ブロックは、自動化されたプロセスにおいて新たなパラメータ設定が使用される場合に、例えば、工作機械において工具を交換した後に、又は、製造機械においてコントローラを環境への影響に応じて調整した後に、生成されてよい。
【0046】
1つの構成によると、1つの仲介ブロックにおいて複数の先行する仲介ブロックが参照されることによって、例えば、複数の先行する仲介ブロックのハッシュ値が各々の時点におけるブロックチェーンの状態を含むことによって、さらなる仲介ブロックのうちの少なくとも1つは、先行する仲介ブロックのうちの少なくとも2つを参照する。これにより、ブロックチェーンを、二重に参照を実行する仲介ノードから始まって、複数の長さに短縮することが可能になる。すなわち、例えば、二重に参照を実行する仲介ノードと参照されるより古い方の仲介ノードとの間のチェーンの部分、又は、二重に参照を実行する仲介ブロックと参照されるより新しい方の仲介ブロックとの間のチェーンの部分を、ブロックチェーンから削除することができる。
【0047】
1つのさらなる構成において、仲介ブロックは、例えば、全ての先行する仲介ブロックを参照してよい。一方では、仲介ブロックにおける参照のインフレーションにより複雑さが増すが、他方では、このようにして、1つのプロセスで非常に多数のブロックを、すなわちトランザクションブロック及び先行する仲介ブロックを、ブロックチェーンから除去することができ、従って、ブロックチェーンを効率的に短縮することができる。
【0048】
1つの構成によると、各々の仲介ブロックは、各々の先行する仲介ブロックを参照し、選択された仲介ブロックは、追加的にさらなる先行する仲介ブロックを参照する。このようにして、一方では、参照の数が、新規に生成された仲介ブロックに伴いインフレ的には増加せず、他方では、選択された仲介ブロックが、2つ以上の先行する仲介ブロックを参照するような、折衷方法をもたらすことができる。
【0049】
1つの構成によると、選択された仲介ブロックとして、仲介ブロックが、設定可能な時点に対して、又は、先行する仲介ブロックに対して設定可能な時間間隔で、又は、選択された仲介ブロックの前に、又は、設定可能な数の生成されたトランザクションブロック若しくは仲介ブロックの後に、又は、コンテキストベースのトリガ条件を用いて、生成される、又は、手動で生成される。二重又は多重の参照を行う、選択された仲介ブロックの生成をトリガするメカニズムは、仲介ブロックの生成と同様に選ばれてもよい。
【0050】
さらに、本発明は、分散データベースシステムに参加するデバイス、特に、クラウド内のデバイス又はエッジデバイス又はIoTデバイスの格納媒体に関しており、当該格納媒体は、調整可能な数のトランザクションブロックと複数の仲介ブロックとを含むブロックを有するブロックチェーンを含み、
- ブロックチェーンは分散データベースシステムのコンポーネントであり、
- 各々のブロックは各々の先行するブロックを参照し、
- 第1仲介ブロックと、少なくとも1つの第2仲介ブロックとを備え、
- 第2仲介ブロックは、それに先行するブロックと、少なくとも第1仲介ブロックとを参照する。
【0051】
1つの構成によると、格納媒体は、エッジデバイス又はIoTデバイス上に実装され、上記方法により短縮されたブロックチェーンを記憶している。
【0052】
有利には、ブロックチェーンネットワークにおいて、上記の仲介ブロックを有するブロックチェーンが、生成され、分散され、確認され、非中央集権的に管理され、又は、記憶される。これにより、ブロックチェーンネットワークのノードは、それが生成されたトランザクションブロック及び仲介ブロックを含む完全なブロックチェーンを記憶するか、又は、それが上記の方法に従ってブロックチェーンを短縮し、短縮されたブロックチェーンを記憶するか、を任意の方法で決定することができる。特に、利用可能な記憶容量が限られるネットワークのノードは、例えば、自動化システム内のエッジデバイス又はIoTデバイスは、有利に、短縮されたブロックチェーンを記憶できる。
【0053】
1つの構成によると、格納媒体は、エッジデバイス又はIoTデバイス上に実装されており、上記の方法により拡張されたブロックチェーンを記憶している。有利には、ブロックチェーンネットワーク内に、ブロックチェーン全体を確実に記憶する少なくとも1つのノードが備えられている。これは、クラウドに接続された自動化設備においては、これは設備オペレータのブロックチェーンノードであってもよい、又は、以下のようなクラウドサービスのブロックチェーンノードであってよい、すなわち、当該クラウドサービスのために設備オペレータがルールを決定し、また、当該クラウドサービスが全てのトランザクションブロックを含むブロックチェーン全体を記憶するクラウドサービスのブロックチェーンノードであってよい。これにより、この場合、例えば、短縮されたブロックチェーンのみを記憶した自動化設備のデバイスは、短縮されたブロックチェーンには含まれていないトランザクションブロックを照会し、それらを再びブロックチェーンに含ませることもできる。特に、このプロセスにおいては、ブロックのチェックサムを追跡することにより、照会され、供給された全てのトランザクションブロックが破損せずまた改ざんされずに存在しているかが、検査されてよい。このようにして、短縮されたブロックチェーンが記憶されたデバイスは、完全なブロックチェーンからのブロックを含ませた後に、拡張されたブロックチェーンを再び取得する。また、ブロックチェーンが拡張する一方で、完全なブロックチェーンと比べると依然として縮小されてエッジデバイス又はIoTデバイス上に存在するように、全ての除去されたブロック又は一部のみが照会されてよい。
【0054】
さらに、本発明は、格納媒体の上記の構成に従う格納媒体を備えるエッジデバイスに関する。
【0055】
さらに、本発明は、コンピュータプログラムを備えるコンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムがプログラム制御された装置上で実行される場合に、上記構成の1つに従う方法を実行する手段を有する、コンピュータプログラム製品、に関する。
【0056】
以下、本発明を、実施形態例に基づいて、図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】第1の実施例による2つのブロックチェーンの概略図である。
【
図2】本発明の第2の実施例による2つのブロックチェーンの概略図である。
【
図3】本発明の第3の実施例による2つのブロックチェーンの概略図である。
【
図4】本発明の第4の実施例による2つのブロックチェーンの概略図である。
【
図5】クラウド環境内部でのブロックチェーンネットワークノード及び自動化設備内のブロックチェーンネットワークノードの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の第1の実施例によれば、ブロックチェーンは以下のように生成される、すなわち、規則的な間隔の規則的なトランザクションブロックに加えて、仲介ブロックが生成されるように、生成される。この場合、ブロックチェーンはジェネシスブロックGに基づいている。トランザクションブロックは、ジェネシスブロックGに基づいて生成され、ブロックチェーンに連結される。
図1には、そのようなトランザクションブロックTが一例として示されている。説明を簡潔にするため、1つのトランザクションブロックのみに具体化のため参照符号を付した。ジェネシスブロックGに対する、設定可能且つフレキシブルに選択可能な時間間隔の後、第1仲介ブロックA1が生成される。これはそれ自体、トランザクションを含まないが、トランザクションブロックと同様にして生成され、ブロードキャストとしてブロックチェーンネットワークに送信され、ブロックチェーンで使用されるコンセンサスメカニズムによって確認され、ブロックチェーンに連結される。ここで、第1仲介ブロックA1は、慣用のように先行するトランザクションブロックを直接参照し、並びに、追加的にジェネシスブロックGを参照する。
【0059】
第1仲介ブロックA1が、ブロックチェーンを使用する、分散データベースシステムへの参加ノードによって、特にいわゆるマイニングによって、首尾よく確認されると、第1仲介ブロックA1は、規則的なブロックのように、ブロックチェーンを継続させる。
【0060】
第1仲介ブロックA1に対して所定の時間間隔をおいて、さらなる仲介ブロックが生成される。この並びでは、n-1番目の仲介ブロックAn-1も生成される。同様に、その時間間隔で、n番目の仲介ブロックANが生成される。このようにして生成されたブロックチェーン10は、本発明の第1の実施例に従い、ブロックチェーンネットワーク内で、例えばプライベートブロックチェーンネットワーク内で、分散される。例えば、ブロックチェーンネットワークは、製品を製造するために様々なオペレーション段階で協働している企業により構成される集合内に備えられる。この場合、全体的なブロックチェーン10は、例えば、参加している各企業のノードに記憶されている。
【0061】
また、自動化ネットワーク内に存在する個々の企業のノードも、ブロックチェーンネットワークのコンポーネントである。この自動化ネットワークは、ブロックチェーンネットワークNWに接続されている。例えば、ブロックチェーンネットワークのノードのうちの1つは、IoTデバイスに設けられている。このIoTデバイスでは、利用可能な記憶スペースは限られている。例えば、IoTデバイスは、設備内で制御タスクを担い、また同時に、オフィスネットワーク又はITネットワークに接続されている。IoTデバイスは、特にはインターネットを介して、応答可能である。IoTデバイスは、例えば現在の自動化プロジェクト又は現在のバッチに関するトランザクションを改ざん防止保護しつつ利用可能にするために、ブロックチェーンへアクセスする。これらトランザクションデータは、例えばパラメータセット又はコンフィギュレーションパラメータにより、構成されてよい。
【0062】
同様に、トランザクションデータは、タスクのオーダデータを含んでもよい。例えば、n-1番目の仲介ブロックAn-1の後に生成されたトランザクションデータを含むブロックチェーンの範囲は、IoTデバイスにとって重要である。
【0063】
有利には、IoTデバイスは、短縮されたブロックチェーン11を記憶できる。そのために、n-1番目の仲介ブロックよりも時間的に前に生成されたトランザクションブロックは、ブロックチェーンから除去される。その際、仲介ブロックはブロックチェーン内に保持される。従って、ジェネシスブロックG、第1仲介ブロックA1、場合によってはさらなる仲介ブロック、n-1番目の仲介ブロックAn-1、及びこれに続くトランザクションブロックからなるチェーンが生成される。このようにして短縮されたブロックチェーン11及びその中に含まれる現在のトランザクションブロックは、チェックサム形成が個々のブロックに渡って追跡され得ることで、ジェネシスブロックGから始まってバリデーション可能である。各々の先行する仲介ブロックのチェックサムが1つの仲介ブロックに含まれていることに基づき、ブロックのチェーンを、それが短縮ブロックチェーン11に含まれているように、バリデーションすることができる。
【0064】
短縮されたブロックチェーン11にとって必要な記憶スペースは、除去された全てのトランザクションブロックのサイズ分だけ、縮小された。n-1番目の仲介ブロックAn-1の生成すること、先行するトランザクションブロックを削除するための仲介ブロックとしてそれを選択することの両方を、自動化プロジェクトに適合させて実行することも可能である。仲介ブロックの生成が、先行する仲介ブロックに対して選択可能な時間間隔に、依存する場合、従って、ブロックチェーンを短縮する際に、ブロックチェーンの重要な部分の前に生成された仲介ブロックを選択することができる。
【0065】
図2には、本発明の第2の実施例が示されており、ブロックチェーン20は、
図1に基づいて説明したブロックチェーン10と同様に生成される。第1の実施例とは異なり、仲介ブロックA
nの前のトランザクションブロックを除去することによってブロックチェーン20を短縮するために、ブロックチェーンの一部は、仲介ブロックの除去から、除外される。b-1番目の仲介ブロックA
b-1とb番目の仲介ブロックA
bとの間にあるトランザクションブロックは、本発明の第2の実施例においては除去されない。このようにして、b-1番目の仲介ブロックA
b-1とb番目の仲介ブロックA
bとの間のトランザクションブロックまで、仲介ブロックA
nの前に生成されたより古いトランザクションブロックを除去する、短縮されたブロックチェーン21が生成される。
【0066】
従って、ブロックチェーン20は、短縮されたブロックチェーン21に効果的に縮小され、その際には、トランザクションブロックが除去されることで解放される記憶スペースが節約される。その一方で、ある時間範囲を狙って除外することにより、この時間範囲のトランザクションブロックは、短縮されたブロックチェーン21においても利用可能になる。例えば、このようにして、短縮されたブロックチェーン21では、プロセスシステム工学において知られており、現在の生産バッチのベンチマークを示す、いわゆるゴールデンバッチが、短縮されたブロックチェーンにおいても、バッチデータの対応的な比較を実行できるように、ブロックチェンジにおいて検索可能なトランザクションデータとして保持される。さらに、例えば、仲介ブロックAnの後に生成された最新のトランザクションデータは、履歴として保持される。
【0067】
本発明の第3の実施例によれば、ブロックチェンジ30は、例えば、n番目の仲介ブロックAnが、直前の先行するトランザクションブロックと最後に生成されたn-1番目の仲介ブロックAn-1とに加えて、例えば、第1仲介ブロックA1をさらに参照するように、生成される。1つの変形例では、n番目の仲介ブロックAnは、その上に、さらなる仲介ブロックを参照する(不図示)。ブロックチェーン30を短縮されたブロックチェーン31へと短縮する場合、従って、選択された時間範囲の間で、例えば第1仲介ブロックA1とn番目の仲介ブロックAnとの間において、この期間のトランザクションブロックに加えて、この期間に生成された仲介ブロックも、特にn-1番目の仲介ブロックAn-1も、除去され得る。
【0068】
それにも関わらず、ブロックチェーン鎖の完全な検査可能性(チェックアビリティ)は、短縮されたブロックチェーン31においては、n番目の仲介ブロックAnが第1仲介ブロックA1を参照することによって、保障されている。有利には、参照のインフレーション及びそれに関連した複雑さを避けるために、全ての仲介ブロックが複数の先行する仲介ブロックを参照するわけではないこと、が企図されている。より大きな時間間隔では、しかしながら、特にはチェックサムとして追加の仲介ブロックを含むような、仲介ブロックが備えられていてもよい。
【0069】
図4には、仲介ブロックを有するブロックチェーン40を生成する、さらなる可能な代替例が示される。ここでは、複数の又は特に全ての生成された仲介ブロックが、ジェネシスブロックGも参照する。この場合、短縮されたブロックチェーン41は、n-1番目の仲介ブロックA
n-1の前のトランザクションデータが除去されるように、生成され得る。これにより、ブロックチェーンは自動的に可能な限り小さい長さに短縮される。この構成は、以下のような利用状況にとって重要でありえる、すなわち、ブロックチェーンの初期段階でのトランザクションデータが重要ではない場合にとって重要でありえる、なぜなら、例えば、テストデータ又はテストコンフィギュレーションデータセットが、例えばそれらが不良な又は非最適化な設備状態を引き起こすため、さらなるプロセスにおいて参照されるべきではないからである。
【0070】
第1から第4の実施例に記載された仲介ブロックを参照する手段、及び、それに対応するブロックチェーンを短縮するための手段は、組み合わせて使用することもできる。例えば、ブロックチェーンの異なる時間区間に対して仲介ブロックを生成するために、異なるメカニズムを使用することができる。同様に、ブロックチェーン内に仲介ブロックを生成するためのトリガメカニズムは変化してもよい。例えば、自動化システムの初動時に新規に構築されるブロックチェーンの開始時には、固定された時間間隔が設定されていてもよく、他方、さらなるプロセスでは、仲介ブロックはコンテキストベースでトリガされてもよい。
【0071】
図5に基づいて、短縮されたブロックチェーン11、21、31が自動化設備の利用シナリオにおいてどのように使用されるか、明らかにする。
図5は、複数のブロックチェーンノード又はBlockchain-Nodes15、152、101、201、301から構成されるブロックチェーンネットワークNWを示している。図示上の理由から、ブロックチェーンネットワークNWに参加する5つのノードのみが示されている。特に、
図5の上半分に図示されているクラウド150には、多数のノードが参加する。クラウド150内のノード151、152は、ブロックチェーンネットワークNWを介して自動化設備101、201、301内のノードに接続されている。
【0072】
自動化設備のノードは、
図5の下半分に図示されている。この場合、例えば、工業設備であってよく、そこではノード101、201、301が、空間的に近傍に互いにまとまって存在しており、自動化設備の異なるデバイス100、200、300上に形成されている。同様に、ノードは、複数の空間的に分離した設備に備えられていてもよく、それらは例えば1つの企業に帰属する。さらに、
図5に示すノードは、異なる企業のネットワークに備えられていてもよい。
【0073】
図5には、クラウド150内のノードには、一般的に、十分な記憶スペースが利用可能であることが例示されている。他方、自動化設備内部のデバイス100、200、300上のノードにおいては、利用可能なストレージがしばしば制限要因となっている。
【0074】
例えば、第1自動化システムに、エッジデバイス100が備えられており、当該エッジデバイス100は、自動化デバイスの制御を調整する自動化ネットワークとクラウド150内の通信ネットワークとの間のゲートウェイとして、機能する。ここで、エッジデバイス100は、クラウド150内のサービスに使用することができる、自動化システムのデータを収集する。例えば、このようにして、クラウド150のビッグデータ分析に利用可能となるモニタリングデータが収集される。例えば、エッジデバイス100は、収集されたデータをクラウドに送信する前に、これを前処理する。その際、例えば、記録されたデータは匿名化される、又は、特定の期間からのデータが収集される、又は、期間に従ってソートされて利用可能となる。
【0075】
別の自動化設備には、例えば、さらにクラウドサービスと暗号化交換の権限を有するエッジデバイス200が、備えられる。
【0076】
別の自動化設備には、例えば、パッケージングプロセスを制御すると同時に、インターネット接続を介したロジスティクスプロバイダとの通信接続を有するIoTデバイス300が、備えられる。
【0077】
ここで、エッジデバイス100、エッジデバイス200及びIoTデバイス300に共通するのは、存在する記憶スペースが限られていることである。従って、デバイスにとっては、記憶スペースを節約することが重要である。本発明の第5の実施例によれば、さらにブロックチェーンアプリケーションがデバイス上に実装される。その際、各場合において、操作動作又は品質管理に関するデータは、ブロックチェーン上で保護されるべきである。これらデータは、証明可能な仕方で改ざんされずにブロックチェーン内に存在するべきである。
【0078】
さらに、上記のデバイス、エッジデバイス100、エッジデバイス200、及び、IoTデバイス300は、製品の製造及び処理において、略自動化されて使用される。すなわち、一般に、収集データのより新しい履歴はローカルに関連するものである。従って、この短期アーカイブデータは、有利には、各々のデバイス上で利用可能であるべきである。しかし同時に、ブロックチェーンは、各々のデバイス上において、可能な限り僅かな記憶スペースを要求するべきでもある。この課題は、各々のデバイス100、200、300における各々のノード101、201、301が、それぞれ、短縮されたブロックチェーン11、21、31を記憶することによって、解決される。短縮されたブロックチェーン11、21、31として、上記ブロックチェーンは考慮に値する。
【0079】
各々のノード101、201、301をどのように短縮されたブロックチェーンとするがには、複数の可能性がある。例えば、十分なストレージが存在する限りは、ブロックチェーンは、規則的に、短縮されることなく、維持されてよい。一定の割合の記憶スペースがブロックチェーンによって占有されるとすぐに、ブロックチェーンを短縮するメカニズムがトリガされる。この方法においては、各々の自動化デバイス上の各々のノードは、可能な限り多数のトランザクションブロックを、また従って、可能な限り多数の、例えば記録された品質データのような、実行されたトランザクションをも、利用可能な記憶スペースが十分でなくなるまで、利用可能な状態で有する。この時点から、再び記憶スペース占有に関する閾値が超えられるまで、例えば、規則的にブロックチェーンの一部を削除してよい、又は、例えば、ブロックチェーンのより大きな部分を一度に削除してよい。
【0080】
別の変形例では、自動化設備のノード101は、例えば、クラウドのノード152と通信することによって、ブロックチェーンの状態を規則的にネットワークから照会し、その際、重要でないトランザクションブロックを除去する。このようにして、略最初から、短縮されたブロックチェーンがエッジデバイス100に記憶される。
【0081】
有利には、ブロックチェーンの短縮を実行するノード上のブロックチェーンが増大し続けること、及び、ストレージのオーバーフローが引き起こされること、が回避される。
【0082】
特に、それ自体はトランザクションを含まず最後のブロック及び先行仲介ブロックへの参照のみを含む仲介ブロックにおいては、仲介ブロックのフットプリントは常に小さい。互いに連結された仲介ブロックの増加は、リソースが限られているデバイスにとっても、もはやリスクとはならない。
【0083】
ブロックの削除は、有利には、ローカルでブロックチェーンノード上で行われる。特に、このようにして、存在するリソースについて特定の制制限を有して、ブロックチェーンネットワークNW内に存在する任意の数のデバイスは、フレキシブルに、異なる時間範囲を、ローカルに記憶されたブロックチェーンから、除去することができる。短縮されたブロックチェーンについては、ストリップされたブロックチェーン(stripped blockchain)と称してもよく、短縮されたブロックチェーンを有するノードは、ストリップされたノード(stripped node)と称してもよい。
【0084】
提案される発明は、狙った削除を行うこと及び重要なペイロードデータを意図的に維持することを可能とし、当該ペイロードデータは、選択された期間にブロックチェーンに格納された
【0085】
短縮されたブロックチェーン又はストリップされたノードは、完全なブロックチェーン又はフルノード(Full Nodes)から既に削除されたブロックを再び要求することができ、削除として選択された仲介ブロック間の対応する範囲に連鎖させることができる。これは、以下の場合に、特に有利である、すなわち、例えばバッチに由来する製品の顧客がサプライチェーンに関する情報の取得を望むので、ブロックチェーンの除去された範囲のデータが後からの分析にとって重要である場合に、特に有利である。また、除去された範囲のデータは、制御設備の構成のためにも、参照データとして、必要とされ得る。
【0086】
更に、短縮されたブロックチェーンにおいても、現在のトランザクションがローカルで利用可能であることが、保障される。除去のための仲介ブロックがフレキシブルに選択可能であり、また従って、より最新の仲介ブロックを選択する必要がないこととは別に、最後に生成された仲介ブロックの後に生成された時間範囲は、データの削除から除外される。
【0087】
このようにして、現在のトランザクションは、それらのブロックのブロックチェーンネットワークにおける利用可能と共に、即座にどこででも利用可能であり、すなわち、最新の生産データの照会は、履歴データの照会と同様に、クラウドを介して可能である。
【0088】
従って、ブロックチェーンネットワーク内の履歴情報は、それが同じく重要であるブロックチェーンノード内にのみ、例えば長期アーカイブサーバ上又はクラウド内にのみ、存在すればよい。また、削除されたブロックチェーンの範囲をロードする必要がないので、例えば、縮小された又はストリップされたブロックチェーンノードを操作するIoTデバイスの起動は、はるかに高速である。
【国際調査報告】