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特表2022-512472暗視デバイスにおける明るいフラッシュ回復のためのデジタルシャッタ制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-04
(54)【発明の名称】暗視デバイスにおける明るいフラッシュ回復のためのデジタルシャッタ制御
(51)【国際特許分類】
   H01J 31/50 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
H01J31/50 D
H01J31/50 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533177
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 US2019066572
(87)【国際公開番号】W WO2020131714
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】16/223,558
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512169604
【氏名又は名称】エルビット システムズ オブ アメリカ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】バルボーニ,ジョン エー.
(72)【発明者】
【氏名】シャボー,レイモン リオ
(57)【要約】
暗視装置のための方法は、フォトカソードを有する光増倍器のための、フォトカソードに印加されるべき電圧を自動的に選択する自動輝度制御(ABC)手順を可能にするステップと、アノードによって引き出される電流をセンシングするステップと、アノードによって引き出される電流が、所定の閾値を超えることに応答して、フォトカソードをシャットダウンするステップと、ABC手順を無効にするステップと、電流が所定の閾値を超える場合に、ABC手順によって選択されている電圧値を格納電圧値として格納するステップと、を含む。第1所定期間の後、前記格納電圧値にしたがって前記フォトカソードに電圧を印加し、第2所定期間の後、ABC手順を再有効化して、フォトカソードに印加されるべき電圧として格納電圧値を選択する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体層を有するアノードと、マイクロチャネルプレートと、フォトカソードとを備えるイメージ増倍管の自動輝度制御手順を有効化するステップであって、前記自動輝度制御手順は、前記フォトカソードへの光入力に応答して、前記フォトカソードに印加される電圧を選択する、ステップと;
前記イメージ増倍管の要素によって引き出される電流をセンシングするステップと;
前記イメージ増倍管の前記要素によって引き出される前記電流が所定の閾値を超えることに応答して、前記フォトカソードをシャットダウンし、前記自動輝度制御手順を無効にし、前記電流が前記所定の閾値を超えたときに前記自動輝度制御手順によって選択されていた電圧値を格納電圧値として格納するステップと;
第1所定期間の後、前記格納電圧値にしたがって前記フォトカソードに電圧を印加するステップと;
前記自動輝度制御手順を再有効化し、前記自動輝度制御手順に前記フォトカソードに印加されるべき電圧として前記格納電圧値を選択させるステップと;
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1所定期間は約10msである、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1所定期間より長い第2所定期間の後、前記自動輝度制御手順を再有効化するステップ、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第2所定期間は、前記第1所定期間を含み、約45msである、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記電流をセンシングするステップは、
前記要素によって引き出される電流を検出するために使用される演算増幅器が飽和しているかどうかをセンシングするステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記イメージ増倍管の前記要素によって引き出される電流が所定の閾値を超えたときに前記フォトカソードに印加されていた変調にしたがって変調モードを格納するステップと、
前記自動輝度制御手順を再有効化するときに、前記フォトカソードに前記変調モードを適用するステップと、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記イメージ増倍管の前記要素は前記フォトカソードである、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記イメージ増倍管の前記要素は、蛍光体層を有する前記アノードである、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記イメージ増倍管のための電源内で実行される、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記所定の閾値は、明るい光フラッシュに応答して引き出される電流量に対応する、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
暗視デバイスであって、
蛍光体層を有するアノードと、マイクロチャネルプレートと、フォトカソードとを備える光増倍器と、
電源と、
前記電源に組み込まれたプロセッサであって、
前記光増倍器のための自動輝度制御手順を有効化し、前記自動輝度制御手順(ABC手順)は、前記フォトカソードへの光入力に応答して、前記フォトカソードに印加される電圧を自動的に選択し;
前記アノードによって引き出される電流をセンシングし;
前記アノードによって引き出される電流が所定の閾値を超えることに応答して、前記フォトカソードをシャットダウンし、前記ABC手順を無効にし、前記電流が前記所定の閾値を超えたときに前記ABC手順によって選択されていた電圧値を、格納電圧値として格納し;
第1所定期間の後、前記格納電圧値にしたがって前記フォトカソードに電圧を印加し;
前記ABC手順を再有効化し、前記フォトカソードに印加されるべき電圧として前記格納電圧値を選択する;
ように構成されたプロセッサと、
を備える、暗視デバイス。
【請求項12】
前記第1所定期間は約10msである、
請求項11記載の暗視デバイス。
【請求項13】
前記プロセッサは、
第1所定期間より長い第2所定期間の後、前記ABC手順を再有効化する、
ように構成されている、
請求項11記載の暗視デバイス。
【請求項14】
前記第2所定期間は、前記第1所定期間を含み、約45msである、
請求項13記載の暗視デバイス。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記アノードによって引き出される電流を検出するために使用される演算増幅器が飽和しているかどうかをセンシングすることによって、電流をセンシングする、
ように構成されている、
請求項11記載の暗視デバイス。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記アノードによって引き出される電流が前記所定の閾値を超えたときに前記フォトカソードに印加されていた制御パラメータにしたがってデューティファクタを格納し、
前記ABC手順を再有効化する場合に、格納された前記デューティファクタを前記フォトカソードに適用する、
ようにさらに構成されている、
請求項11記載の暗視デバイス。
【請求項17】
暗視デバイスのイメージ増倍器のための電源であって、
バッテリと、
メモリと、
プロセッサであって、前記プロセッサは、
前記イメージ増倍器のアノードによって引き出される電流に応答して、前記イメージ増倍器のフォトカソードに電圧を供給するスイッチをオフし;
前記メモリに格納電圧値として電圧値を格納し;
第1所定期間の後、前記スイッチをオンにして、前記格納電圧値にしたがって前記フォトカソードに電圧を再印加し;
前記格納圧値を使用して自動輝度制御手順を有効化する;
ように構成されている、プロセッサと、
を備える、電源。
【請求項18】
前記第1所定期間は約10msである、
請求項17記載の電源。
【請求項19】
前記プロセッサは、
第1所定期間より長い第2所定期間の後、前記自動輝度制御手順を有効化する、
ように構成されている、
請求項17記載の電源。
【請求項20】
前記第2所定期間は、前記第1所定期間を含み、約45msである、
請求項19記載の電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗視装置に関し、暗視装置用の電源に関し、より具体的には、暗視装置によって検出される明るいフラッシュの有害な影響の最小化に関する。
【背景技術】
【0002】
暗視装置は、多くの産業及び軍事の用途に使用されている。例えば、かかる装置は、パイロットのナイトビジョンを強化するため、天体を撮影するため、及び網膜色素変性症(夜盲症)の兵士又は患者にナイトビジョンを提供するために使用されることができる。この装置は、しばしば、低強度光を増幅するため、又は非可視光を可視容易な画像(readily viewable images)に変換するために使用されるイメージ増倍器を組み込んでいる。かかるイメージ増倍器の一つは、イメージ増倍管である。
【0003】
イメージ増倍管は、典型的には、真空ハウジング内に配置された、例えば、ガリウムヒ素(GaAs)活性層及びマイクロチャネルプレート(MCP)と共に、フォトカソードを含む。可視及び赤外エネルギーは、例えば、フォトカソードに衝突し、カソード活性層に吸収され、それによって電子/正孔対が生成され得る。生成された電子は真空キャビティ内に放出され、MCPによって増幅される。
【0004】
より具体的には、電子がフォトカソードから出るとき、MCPの入力表面とフォトカソードとの間の電位差によって、MCPの入力表面に向かって電子が加速され、この電位差は、MCP対カソード間隔及びMCP構成(フィルム化又は未フィルム化)に依存し、約200~900ボルトである。電子がMCPの入力表面に衝突すると、二次電子がMCP内で生成される。すなわち、MCPは、入力表面に入る電子1個につき数百個の電子を生成することができる。MCPはまた、その入力表面とその出力面との間の、典型的には約700~1200ボルトの電位差にさらされる。この電位差は、MCPにおける電子増倍を可能にする。
【0005】
増倍された電子がMCPを出ると、電子は、蛍光体スクリーンとMCPの出力表面との間のさらに別の電位差によって、蛍光体スクリーン(又は他のアノード表面)に向かって真空キャビティを通して加速される。MCPの出力表面の電位(This latter potential)は、約4200~5400ボルトのオーダーであり得る。
【0006】
電源は、概して、上述の種々の電位差を生成し提供するために、また、イメージ増倍管の種々の構成要素に制御電圧を提供するために使用される。電源及び増倍管は、例えば、比較的低光条件、比較的高光条件、及び明るいフラッシュ条件を含む様々な照明条件下で動作することが期待される。これらのすべての条件を取り扱うために電源を構成し制御することは、困難なことがある。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載されているのは、明るいフラッシュの光が存在する中での暗視装置(night vison equipment)からの光出力に対する影響を緩和するための方法である。一実施形態においてにおいて、方法は、蛍光体層を有するアノードと、マイクロチャネルプレートと、フォトカソードとを備える光増倍器の自動輝度制御手順を有効化するステップであって、自動輝度制御手順は、光入力に応答して、フォトカソードに印加される電圧値を選択する。方法はさらに、イメージ増倍器の要素によって引き出される電流をセンシングするステップと、イメージ増倍器の要素によって引き出される電流が所定の閾値を超えることに応答して、フォトカソードをシャットダウンし、自動輝度制御手順を無効にし、電流が予め定められた閾値を超えたときに自動輝度制御手順によって選択されていた電圧値を格納するステップと、を含む。第1所定期間の後、方法は、格納された電圧値にしたがってフォトカソードに電圧を印加するステップと、自動輝度制御手順を再有効化するステップと、自動輝度制御手順に、フォトカソードに印加されるべき電圧として格納された電圧値を選択させるステップと、を含む。
【0008】
このようなアプローチでは、自動輝度制御手順は、光のフラッシュからより迅速に回復することができる。本実施形態は、2~3msを超えることはないが、おそらく数百ミリ秒間にわたって暗視装置に有害な影響を与える可能性のある銃火器からの銃口フラッシュ(muzzle flashes from a firearm)のコンテキストにおいて特に有用である。本発明の実施形態は、暗視装置が約50msで回復することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態によるデジタル電源及び関連するイメージ増倍器のブロック図を示す図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による、増倍管のフォトカソードへの電圧印加を制御するために使用されるスイッチ構成の回路図を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による、明るいフラッシュの効果を緩和する一連の動作を表す状態図を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による、明るいフラッシュの効果を緩和する一連の動作を示すフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
同様の参照番号は、本開示全体を通じて同様の要素を識別するために使用されている。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態によるデジタル電源及び関連するイメージ増倍器のブロック図を示す。具体的には、図1は、デジタル電源150によって給電され制御されるイメージ増倍管110を示す。増倍管110は、フォトカソード112と、マイクロチャネルプレート(MCP)114と、蛍光体層118を含むアノード116とを含む。
【0012】
デジタル電源(又は単に「電源」)150は、電源150によって使用され、増倍管110に伝達される電力を供給するバッテリ155又は他のエネルギー源を含む。電源150は、特に、制御ロジック180及び状態変数185(以下にさらに説明する)を格納する中央処理ユニット(CPU)160及びメモリ170をさらに含む。バッテリ155は、制御電圧V1、V2、及びV3のそれぞれに電力を供給し、制御電圧V1、V2、及びV3はそれぞれ、増倍管110の構成要素に印加される。これらの制御電圧の値は、制御ロジック180から受け取った命令にしたがってCPU160によって設定されることができる。
【0013】
可能な実施形態では、CPU160は、フォトカソード112、MCP114及びアノード116への電圧V1、V2、V3の印加をそれぞれ制御する回路を制御する。演算増幅器195は、アノード116に流れる電流I3をセンシングするように構成される。電流I3は、フォトカソード112で受光されている光10の輝度を表し、ここで、V1及びV2は、蛍光体スクリーンの出力輝度を制御するように変更されていない。電流I3の値は、制御ロジック180及びCPU160によって使用されることができ、例えば、V1又はV2の値を調整することができる(例えば、高輝度については高いV1又はV2、低輝度については低いV1又はV2)。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態による、増倍管110のフォトカソード112への電圧印加を制御するために使用されるスイッチ構成200の回路図を示す図である。デジタル電源150を使用する一つの利点は、種々の電圧をオン又はオフに切り替えるだけでなく、例えばフォトカソード電圧V1及び/又は他の制御電圧の(1つ以上の)波形を操作することができることである。この点に関して、図2は、フォトカソード112のV1電源電圧への接続を示す。図示されるように、フォトカソード112の接続は、2つの高電圧トランジスタ210、212の間に配置され、2つの制御電圧からフォトカソード112を絶縁することができる。本明細書で示される可能な実施形態では、フォトカソード112のオフ状態は、MCP電圧V2からオフセット(例えば、15ボルト)をマイナスしたものであり、フォトカソード112がハードリセット又は逆バイアス状態になることを確実にする。
【0015】
図2のスイッチ構成200の動作では、両方のゲートドライブ(ゲートドライブ1、ゲートドライブ2)が同時にオンにならないように制御され、さもなければ、フォトカソード供給電圧V1はMCP供給電圧V2に短絡される。この回路は、ゲートドライブ1をオンにすることによって供給カソード電圧V1に設定されるゲートフォトカソード電圧(a gated photocathode voltage)V1’を光カソード112に供給することを可能にする。トランジスタ210がオンである限り、フォトカソード電圧は固定される。ゲートドライブ1がオフの場合、ゲートフォトカソード電圧V1”は浮動する。トランジスタ210へのゲートドライブ1信号のサイクリングは、増倍管110の「アップデート周波数」又は「リフレッシュレート」と称され得る。アップデート周波数パラメータ又はリフレッシュレートパラメータは、状態変数185の1つとして格納され、CPU160によって増倍管110を動作させるために使用され得る。ゲートドライブ2を開くと、ゲートフォトカソード電圧V1’がV2-15Vに引っ張られるか、又はフォトカソード112を逆バイアスする。これは、任意のフォトカソード電流がMCP114に到達するのを阻止し、効果的に増倍管110の出力を遮断する。
【0016】
上述したように、イメージ増倍器及びいくつかの制御電圧を印加する関連する電源は、暗いシーンにおける明るいフラッシュを含む広範囲の条件下で動作することが期待される。さらに上述のように、増倍管110は、低光シーンにおいて、MCP114を介してゲインを印加し、相応に比較的高いV2を印加する。かかるゲインが印加される場合に、例えば銃口(muzzle of a firearm)からの、明るいフラッシュは、アノード電流センシング演算増幅器195を圧倒し、すなわち飽和させることがあり、演算増幅器195が飽和状態から脱するまで、増倍器シーンを暗くさせ(すなわち、制御電圧は応答してダウン/オフされ得る)、制御アルゴリズムが制御を回復させることができる。この可能性のある「暗」時間の間、増倍管110は、ピーク出力輝度にあるか、又は、それ自体を保護するために完全に遮断される。いずれの状態でも、暗視装置のユーザは不利な立場に置かれる。
【0017】
いったん演算増幅器195が飽和状態から脱すると、一実施形態では、制御回路は、例えば「自動輝度制御」手順の形態で、MCP電圧V2、フォトカソード電圧V1、及びフォトカソードゲートデューティファクタ(又はアップデート周波数又は変調モード)を調整し、増倍器のゲイン及び出力輝度を制御状態に戻すために、有限の時間を要する。これは300ms~500ms程度の時間になる。例えば、MCP114は、その供給電圧V2の変化に応答するのに数百ミリ秒かかることがある。
【0018】
演算増幅器195を飽和状態にする時間フレーム及び輝度レベルの一般的な状況は、50口径マシンガンの発射であり、ほぼ100msの間隔を空けて2~3msだけ持続してドライブの回路を圧倒する。かかる場合、ユーザは暗視装置を回復させるために発射を一時停止し、その後再びシーンを見る必要がある。
【0019】
本発明の実施形態は、デジタル制御電源150のスピードを活用することによって、増倍管のフラッシュ応答時間を約50ms未満に減少させることによって、この問題に対処する。
【0020】
本発明の一実施形態では、一旦、アノード電流(I3)センシング演算増幅器195を飽和させるフラッシュ(又は任意の明るい光)が発生すると、制御ロジック180は、先行する「制御状態変数」(the previously “in control state variables”)(例えば、V1、V2、V3、及び/又はアップデート周波数/リフレッシュレート)を状態変数185の一部としてフリーズ又は別個に格納するように構成される。
【0021】
一旦、状態変数がフリーズ又は別個に格納されると、フォトカソード電圧V1は、CPU160の制御下で、例えば図2に示されるスイッチング構成200を使用して、直ちにオフにされる。これはフラッシュの効果を抑制する。
【0022】
また、自動輝度制御手順は、制御電圧がそれ以上変更されないように、ある期間、この時点で無効にされる。かかるステップがなければ、すべての制御パラメータが極端な値に押し上げられ、明るい光に応答して増倍管を暗くしようとする。
【0023】
短時間、例えば、6~10msのオーダー(「シャッタパルス持続時間」と称することができる)の後、フォトカソード112は、検出された明るい光/フラッシュの時点で格納/フリーズされた、既知の(previously known)「制御状態」、すなわち、最近の(most recent)電圧V1、及び他の状態変数185を印加することによってオンに戻される。これにより、フォトカソード112は、再び、シーンの光条件に応答し始める。しかしながら、制御ロジック180は、フラッシュの結果、アノード電流I3のレベルとして、合計約45ミリ秒(「シャッタフラッシュ遅延」と称される)の間、演算増幅器195の出力に依然として作用せず、演算増幅器195を、その時間の間、飽和したままにし、したがって、演算増幅器195の出力は、現在の光条件を確実に表さないことがある。銃口フラッシュシナリオの下では、6~10ms遅延後、全体シーンは、再び暗くなるはずであり、従前の状態(the prior state)(格納/フリーズされた)状態変数185が適用可能となるはずであり、結果として、自動輝度制御手順が再始動可能になるとすぐに、再び使用される。前述のように、自動輝度制御手順は、6~10msのシャッタパルス持続時間、I3電流が減衰してオペアンプ195が飽和状態から抜け出すことを可能にする期間を含む約45msの合計遅延の後に再有効化され得る。
【0024】
演算増幅器195が、シャッタフラッシュ遅延45msの後でも依然として飽和状態にある場合、これは、全体的なシーン輝度が変化したことを示唆し、自動輝度制御手順は、格納された状態変数185を使用する必要性がなく、したがって、制御電圧を調整することを許されるべきである。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態による、明るいフラッシュの効果を緩和する一連の動作を表す状態図を示す図である。310において、自動輝度制御手順(ABC)は、暗視装置のユーザのために適切な輝度レベルを維持するように動作する。ABCは、例えば、CPU160(すなわち、デジタル制御)と組み合わされた制御ロジック180の一部として動作してもよく、又はアナログプロセスとして機能してもよく、又はそれらの組み合わせでもよい。ABCは、自動ゲイン制御の一種であると考えられることができ、例えば、極低光条件から光10のある閾値レベルまで直線的に動作することができ(例えば、入力光の5%の増加の結果として、アノード116の蛍光体層118の輝度が5%増加する)、光閾値を超えて、入力光レベルに関係なく、蛍光体層からの所定の輝度レベルを維持するガバナとして、考えられてもよい。当業者には理解されるように、本明細書に記載の実施形態は、特定の種類の光事象又は状態、すなわち通常はABCによって十分に迅速に処理することができないフラッシュ光、に対する特定の反応を提供する。例えば、ABCはMCP114への電圧を制御することができるが、MCP 114への電圧が迅速にオフにされたとしても、MCP114が増倍管110の出力輝度を低下させるのに望ましい方法で反応するのに数百ミリ秒のオーダーを要する。
【0026】
したがって、312において、過剰(所定の閾値を超える)スクリーン電流(すなわち、アノード電流I3)が制御ロジック180によって検出される場合、プロセスの状態は314に進む。314において、制御ロジック180は、その制御電圧V1をオフにすることによってフォトカソードをシャットダウンし、(制御電圧が光事象に応答して潜在的に誤って調整されることを回避するために)ABCの動作を停止し、その時点で最新の(then-current)制御電圧、及び任意でフォトカソードリフレッシュレート又はアップデート周波数パラメータ、をフリーズ又は格納する。
【0027】
316において、例えば6~10msの、所定の時間(シャッタパルス遅延)の後、プロセスの状態は318に進み、ここで、制御ロジック180及びCPU160は、格納された制御電圧及びリフレッシュレートを再適用することによって、フォトカソードをオンにする。
【0028】
その後、プロセスは、320において、第2所定期間(シャッタフラッシュ遅延)だけ遅延され、322において、ABCがオンに戻される。322において、又はシャッタフラッシュ遅延320の間に、過剰電流が引き出されていないと決定された場合、これは、光イベントが単なるフラッシュであったことを示し、ABCは、以前に使用された格納値を使用して再有効化される。一方、322において、又は320のシャッタのフラッシュ遅延の間に、過剰電流が引き出されていたと決定された場合、これは、光事象がフラッシュに限定されず、実際には、全体的な光レベル変化であり得たことを示す。このシナリオでは、ABCは再有効化されるが、制御電圧を自律的に選択することが可能である。プロセスは、322から310に戻り、そこで、増倍管は、通常の条件下で動作する。
【0029】
図4は、本発明の一実施形態による、明るいフラッシュの効果を緩和する一連の動作を示すフローチャートを示す図である。動作は、410において、蛍光体層を有するアノードと、マイクロチャネルプレートと、フォトカソードとを備えるイメージ増倍管の自動輝度制御手順を有効化し、自動輝度制御手順は、フォトカソードへの光入力に応答して、フォトカソードに印加されるべき電圧を自動的に選択する。動作は、412において、イメージ増倍器の要素によって引き出されている電流をセンシングするように構成されている。414において、イメージ増倍管の要素によって引き出される電流が所定の閾値を超える場合、動作は、フォトカソードをシャットダウンし、自動輝度制御手順を無効にし、電流が所定の閾値を超えたときに自動輝度制御手順によって選択されていた電圧値を格納電圧値として格納するように構成されている。416において、第1所定期間(例えば、約10ms)の後、動作は格納電圧値にしたがってフォトカソードに電圧を印加するように構成されている。最終的に、418において、動作は、自動輝度制御手順を再有効化し、自動輝度制御手順にフォトカソードに印加されるべき電圧として格納電圧値を選択させるように構成されている。
【0030】
アノード電流I3は、光レベルの急激な増加を検出するために信頼される電流であることに留意されたい。しかしながら、当業者であれば、フォトカソード又はMCPによって引き出される電流は、本明細書に記載のフラッシュ回復方法をトリガするために用いることもできることを理解するであろう。
【0031】
要約すると、本明細書に記載された実施形態は、最新の(last known)「良好な状態」を格納し、適切な遅延後にこれらの設定を再適用することによって可能になったデジタルシャッタを使用することによって、イメージ増倍器のためのより速いフラッシュ応答時間を提供する。本明細書に記載された実施形態は、電源が、すべての背景光レベルについての光レベルの段階的変化に、より迅速に反応することを可能にする。
【0032】
開示された発明は、1つ以上の特定の実施例に具体化されたものとして本明細書に図示及び記載されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲と均等の範囲内で、様々な修正及び構造的変更を行うことができるため、示された詳細に限定されることを意図するものではない。さらに、実施形態のうちの1つからの種々の特徴を、実施形態の別のものに組み込むことができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、以下の特許請求の範囲に記載されている開示の範囲と一致する方法で広範に解釈されることが適切である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】