(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-04
(54)【発明の名称】積層装置およびそのプロセス
(51)【国際特許分類】
B32B 37/10 20060101AFI20220128BHJP
H01L 31/18 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
B32B37/10
H01L31/04 400
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533539
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 IB2019060592
(87)【国際公開番号】W WO2020121178
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2018/059995
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビニャル,ルノー
(72)【発明者】
【氏名】ウーターズ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】フォドリニエール,リオネル
【テーマコード(参考)】
4F100
5F151
【Fターム(参考)】
4F100AB01A
4F100AR00B
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100EJ24
4F100EJ42
4F100GB41
4F100JN00B
5F151AA01
5F151DA03
5F151JA02
5F151JA09
(57)【要約】
本発明は、プロファイル金属パネル(28)上に光起電力スタック(32)を積層するための積層装置(1)に関し、積層装置は、蓋(3)であって、換気または排気され得る気密な上部チャンバ(10)を形成するように、その下側が上部可撓性圧力膜(20)で覆われた、かつ/または、その底部側が刻み目のある形状を有する上部加熱装置(11)を備える蓋(3)を備え、装置はまた、シャーシ(2)であって、換気または排気され得る気密な下部チャンバ(7)を形成するようにその頂部が下部可撓性圧力膜(6)で覆われた、かつ/または、その上側が上部加熱装置の底部側の刻み目のある形状とは異なる断面を有する下部加熱装置(23)を備えるシャーシ(2)も備え、蓋は、そのようにして形成されたキャビティが気密であり、換気または排気され得るようにシャーシ上に密封可能に置かれることができる。本発明はまた、対応するプロセスにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロファイル金属パネル(28)上に光起電力スタック(32)を積層するための積層装置(1)であって、積層装置(1)は、
下部チャンバ(7)を形成するシャーシ(2)であって、その頂部に下部加熱装置(23)を備え、刻み目のある断面がプロファイル金属パネルの形状に適合されるように、その上側が少なくとも第1の下端部分(24)、第1の上中央部分(25)、および第2の下端部分(26)を連続して具備する刻み目のある断面を有する、シャーシ(2)と、
蓋(3)であって、換気または排気され得る気密な上部チャンバ(10)を形成するように、その下側が上部可撓性圧力膜(20)で覆われた蓋(3)と、
を備え、
蓋は、上部可撓性圧力膜の下に位置する下部チャンバが気密であり、換気または排気されることができるように、シャーシ上に密封可能に置かれることが可能である、積層装置(1)。
【請求項2】
下部加熱装置(23)は、その上側が略平坦である基部(17)と、刻み目のある断面を得るように基部の上側に結合された少なくとも1つのインサート(18)とを備えている、請求項1に記載の積層装置。
【請求項3】
下部加熱装置(23)は、多数の長手方向セグメント(19)を備え、その各々が垂直方向に摺動可能である、請求項1に記載の積層装置。
【請求項4】
蓋(3)は、上部可撓性圧力膜(20)の下に位置する離型シート(22)をさらに備えている、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項5】
下部加熱装置(23)の刻み目のある断面は、第1の下端部分、第1の上中央部分、下中間部分、第2の上中央部分、および第2の下端部分を連続して備えている、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項6】
第1の上中央部分と第2の上中央部分とが同じ水平面内にある、請求項5に記載の積層装置。
【請求項7】
下部加熱装置(23)の頂部は、コンベヤベルト(27)で覆われている、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項8】
プロファイル金属パネル(28)上に光起電力スタック(32)を積層するための積層装置(1)であって、積層装置(1)は、
シャーシ(2)であって、換気または排気され得る気密な下部チャンバ(7)を形成するように、その頂部が下部可撓性圧力膜(6)で覆われたシャーシ(2)と、
上部チャンバ(10)を形成する蓋(3)であって、その下側に上部加熱装置(11)を備え、刻み目のある形状がプロファイル金属パネルの形状に適合されるように、その底部側が少なくとも第1の上端部分(12)、第1の下中央部分(13)、および第2の上端部分(16)を連続して備える刻み目のある形状を有する、蓋(3)と、
を備え、
蓋は、下部可撓性圧力膜の上に位置する上部チャンバが気密であり、換気または排気されることができるように、シャーシ上に密封可能に置かれることが可能である、積層装置(1)。
【請求項9】
上部加熱装置(11)は、その底部側が略平坦である基部(17)と、刻み目のある形状を得るように基部の底部側に結合された少なくとも1つのインサート(18)とを備える、請求項8に記載の積層装置。
【請求項10】
上部加熱装置(11)は、多数の長手方向セグメント(19)を備え、その各々が垂直方向に摺動可能である、請求項8に記載の積層装置。
【請求項11】
蓋(3)は、上部加熱装置(11)の下に位置する離型シート(22)をさらに備えている、請求項8~10のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項12】
上部加熱装置(11)の刻み目のある形状は、第1の上端部分(12)、第1の下中央部分(13)、上中間部分(14)、第2の下中央部分(15)、および第2の上端部分(16)を連続して備える、請求項8~11のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項13】
第1の下中央部分(13)と第2の下中央部分(15)とが同じ水平面内にある、請求項12に記載の積層装置。
【請求項14】
下部可撓性圧力膜(6)の頂部は、コンベヤベルト(27)で覆われている、請求項8から13のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項15】
プロファイル金属パネル(28)上に光起電力スタック(32)を積層するための積層装置(1)であって、積層装置(1)は、、
蓋(3)であって、換気または排気され得る気密な上部チャンバ(10)を形成するようにその下側が上部可撓性圧力膜(20)で覆われており、かつ上部可撓性圧力膜の上に位置する上部加熱装置(11)を備え、その上部可撓性圧力膜(20)の底部側は、少なくとも第1の上端部分(12)、下中央部分(13)、および第2の上端部分(16)を連続して備える刻み目のある形状を有する、蓋(3)と、
シャーシ(2)であって、換気または排気され得る気密な下部チャンバ(7)を形成するようにその頂部が下部可撓性圧力膜(6)で覆われており、かつ下部可撓性圧力膜の下に位置する下部加熱装置(23)を備え、その下部可撓性圧力膜の上側は、上部加熱装置(11)の底部側の刻み目のある形状とは異なる断面を有する、シャーシ(2)と、
を備え、
蓋は、下部可撓性圧力膜と上部可撓性圧力膜との間のキャビティが換気または排気され得る気密な中間チャンバ(21)を形成するようにシャーシ上に密封可能に置かれることが可能である、積層装置(1)。
【請求項16】
下部加熱装置(23)の上側の断面は平坦である、請求項15に記載の積層装置。
【請求項17】
下部加熱装置(23)の上側の断面は、第1の下端部分(24)、第1の上中央部分(25)、および第2の下端部分(26)を備えている、請求項15に記載の積層装置。
【請求項18】
下部加熱装置(23)の上側の断面は、第1の下端部分(24)、第1の上中央部分(25)、下中間部分、第2の上中央部分、および第2の下端部分(26)を備えている、請求項15に記載の積層装置。
【請求項19】
プロファイル金属パネル(28)上に光起電力スタック(32)を積層するためのプロセスであって、
(i)下部加熱装置(23)の刻み目のある断面がプロファイル金属パネル(28)の形状に適合される、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層装置(1)を設けることと、
(ii)積層装置に、積層されるべき光起電力スタック(32)で覆われたプロファイル金属パネル(28)を挿入することと、
(iii)上部可撓性圧力膜(20)が光起電力スタック(32)を下部加熱装置(23)に押し付けるように下部チャンバ(7)を排気し、上部チャンバ(10)を換気することと、
(iv)プロファイル金属パネル(28)がその初期位置に戻り、取り外されることができるように下部チャンバを換気することと、
を備える、プロセス。
【請求項20】
プロファイル金属パネルは、その第1の長手方向縁部(29)に沿った第1の長手方向リブ(33)と、その第2の長手方向縁部(31)に沿った第2の長手方向リブ(34)と、それらの間の中央部(30)であって、光起電力スタック(32)によって少なくとも部分的に覆われることが意図されており、第1のフランジ(35)、隆起した台地部(36)および第2のフランジ(39)を連続して具備する中央部(30)と、を備え、ステップ(iii)の間に、下部加熱装置(23)の刻み目のある断面の下端部分(24、26)がプロファイル金属パネルのフランジ(35、39)と接触する、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
プロファイル金属パネル(28)上に光起電力スタック(32)を積層するためのプロセスであって、
(i)上部加熱装置(11)の刻み目のある形状がプロファイル金属パネル(28)の形状に適合される、請求項8から14のいずれか一項に記載の積層装置(1)を設けることと、
(ii)積層装置に、積層されるべき光起電力スタック(32)で覆われたプロファイル金属パネル(28)を挿入することと、
(iii)下部可撓性圧力膜(6)が光起電力スタック(32)を上部加熱装置(11)に押し付けるように上部チャンバ(10)を排気し、下部チャンバ(7)を換気することと、
(iv)プロファイル金属パネル(28)がその初期位置に戻り、取り外されることができるように上部チャンバを換気することと、
を含む、プロセス。
【請求項22】
プロファイル金属パネルは、その第1の長手方向縁部(29)に沿った第1の長手方向リブ(33)と、光起電力スタック(32)によって少なくとも部分的に覆われることが意図された中央部(30)と、その第2の長手方向縁部(31)に沿った第2の長手方向リブ(34)と、を備え、ステップ(iii)の間に、上部加熱装置(11)の刻み目のある形状の上端部分(12、16)がプロファイル金属パネルの長手方向リブ(33、34)と接触する、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
2つの異なるプロファイル金属パネル(28)上に光起電力スタック(32)を連続して積層するためのプロセスであって、
(i)上部加熱装置(11)の刻み目のある形状が第1のプロファイル金属パネル(28)の形状に適合され、下部加熱装置(23)の断面が第2のプロファイル金属パネル(28)の形状に適合される、請求項15から18のいずれか一項に記載の積層装置(1)を設けることと、
(ii)積層装置に、積層されるべき光起電力スタック(32)で覆われた第1のプロファイル金属パネル(28)を挿入することと、
(iii)下部可撓性圧力膜(6)が光起電力スタック(32)を上部加熱装置(11)に押し付けるように上部チャンバ(10)および気密な中間チャンバ(21)を排気し、下部チャンバ(7)を換気することと、
(iv)第1のプロファイル金属パネル(28)がその初期位置に戻り、取り外されることができるように上部チャンバ(10)および気密な中間チャンバ(21)を換気することと、
(v)積層装置に、積層されるべき光起電力スタック(32)で覆われた第2のプロファイル金属パネル(28)を挿入することと、
(vi)上部可撓性圧力膜(20)が光起電力スタック(32)を下部加熱装置(23)に押し付けるように下部チャンバ(7)および気密な中間チャンバ(21)を排気し、上部チャンバ(10)を換気することと、
(vii)第2のプロファイル金属パネル(28)がその初期位置に戻り、取り外されることができるように下部チャンバ(7)および気密な中間チャンバ(21)を換気することと、
を備える、プロセス。
【請求項24】
第1のプロファイル金属パネルは、その第1の長手方向縁部(29)に沿った第1の長手方向リブ(33)と、光起電力スタック(32)によって少なくとも部分的に覆われることが意図された中央部(30)と、その第2の長手方向縁部(31)に沿った第2の長手方向リブ(34)とを備え、ステップ(iii)の間に、上部加熱装置(11)の刻み目のある形状の上端部分(12、16)が第1のプロファイル金属パネルの長手方向リブ(33、34)と接触する、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
第2のプロファイル金属パネルは、その第1の長手方向縁部(29)に沿った第1の長手方向リブ(33)と、その第2の長手方向縁部(31)に沿った第2の長手方向リブ(34)と、それらの間の中央部(30)であって、光起電力スタック(32)によって少なくとも部分的に覆われることが意図されており、第1のフランジ(35)、隆起した台地部(36)および第2のフランジ(39)を連続して具備する中央部(30)とを備え、ステップ(vi)の間に、下部加熱装置(23)の断面の下端部分(24、26)が第2のプロファイル金属パネルのフランジ(35、39)と接触する、請求項23または24のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル上、特にプロファイル金属パネル上に光起電力スタックを積層するための積層装置に関する。本発明はまた、1台の単一の積層装置を用いて2つの異なるプロファイルの金属パネル上に光起電力スタックを連続して積層するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2012/120489号から、本特許の
図8に示されているように、圧延機によって加えられる圧力および温度チャンバによって供給される熱によって、プロファイル金属パネル上に、光起電力太陽集熱器ユニットの異なる層を合わせて積層することが知られている。このプロセスの間、太陽電池を取り囲むフィルムは、集熱器ユニット内にそれらを融合して埋め込む。それにもかかわらず、圧延機は、プロファイル金属パネルの全長に集熱器ユニットの均一な積層を提供するのに十分なほど均等な圧力を提供せず、これは集熱器ユニットの性能に影響を及ぼす。
【0003】
さらに、積層される形状に装置を適合させるために、装置を停止させることなく、異なる形状を有する金属パネルを連続して積層することができる積層装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の第1の目的は、プロファイル金属パネルを積層するときに均一な積層を提供する積層装置を提供することによって、先行技術のプロセスおよび機器の欠点を改善することである。
【0006】
したがって、本発明の第2の目的は、異なる形状を有する金属パネルを連続して積層することができる積層装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明の第1の主題は、プロファイル金属パネル上に光起電力スタックを積層するための積層装置からなり、積層装置は、
下部チャンバを形成するシャーシであって、その頂部に下部加熱装置を備え、下部加熱装置は、その上側が少なくとも第1の下端部分、第1の上中央部分、および第2の下端部分を連続して具備する刻み目のある断面を有する、シャーシと、
蓋であって、換気または排気され得る気密な上部チャンバを形成するように、その下側が上部可撓性圧力膜で覆われた蓋と、
を備え、
蓋は、上部可撓性圧力膜の下に位置する下部チャンバが気密であり、換気または排気されることができるように、シャーシ上に密封可能に置かれることが可能である。
【0008】
この積層装置はまた、個別にまたは組み合わせて考慮される、以下に記載される任意選択の特徴機能も有し得る。
刻み目のある断面は、その刻み目のある断面がプロファイル金属パネルの形状に適合されるようなものとなっている、
下部加熱装置は、その上側が略平坦である基部と、刻み目のある断面を得るように基部の上側に結合された少なくとも1つのインサートとを備えている、
下部加熱装置が多数の長手方向セグメントを備え、その各々は垂直方向に摺動可能である、
蓋が、上部可撓性圧力膜の下に位置する離型シートをさらに備えている、
下部加熱装置の刻み目のある断面が、第1の下端部分、第1の上中央部分、下中間部分、第2の上中央部分、および第2の下端部分を連続して備えている、
第1の上中央部分と第2の上中央部分とが同じ水平面内にある、
下部加熱装置の頂部はコンベヤベルトで覆われている。
【0009】
本発明の第2の主題は、プロファイル金属パネル上に光起電力スタックを積層するための積層装置からなり、積層装置は、
シャーシであって、換気または排気され得る気密な下部チャンバを形成するように、その頂部が下部可撓性圧力膜で覆われたシャーシと、
上部チャンバを形成する蓋であって、その下側に上部加熱装置を備え、上部加熱装置の底部側は、少なくとも第1の上端部分、第1の下中央部分、および第2の上端部分を連続して備える刻み目のある形状を有する、蓋と、
を備え、
蓋は、下部可撓性圧力膜の上に位置する上部チャンバが気密であり、換気または排気されることができるように、シャーシ上に密封可能に置かれることが可能である。
【0010】
この積層装置はまた、個別にまたは組み合わせて考慮される、以下に記載される任意選択の特徴機能も有し得る。
刻み目のある形状は、その刻み目のある形状がプロファイル金属パネルの形状に適合されているようなものとなっている、
上部加熱装置は、その底部側が略平坦である基部と、刻み目のある形状を得るように基部の底部側に結合された少なくとも1つのインサートと、を備えている。
上部加熱装置は多数の長手方向セグメントを備え、その各々は垂直方向に摺動可能である、
蓋は、上部加熱装置の下に位置する離型シートをさらに備えている、
上部加熱装置の刻み目のある形状は、第1の上端部分、第1の下中央部分、上中間部分、第2の下中央部分、および第2の上端部分を連続して備えている、
第1の下中央部分と第2の下中央部分とが同じ水平面内にある、
下部可撓性圧力膜の頂部はコンベヤベルトで覆われている。
【0011】
本発明の第3の主題は、プロファイル金属パネル上に光起電力スタックを積層するための積層装置からなり、積層装置は、
蓋であって、換気または排気され得る気密な上部チャンバを形成するようにその下側が上部可撓性圧力膜で覆われており、かつ可撓性圧力膜の上部に位置する上部加熱装置を備え、その可撓性圧力膜の底部側は少なくとも第1の上端部分、下中央部分、および第2の上端部分を連続して備える刻み目のある形状を有する、蓋と、
シャーシであって、換気または排気され得る気密な下部チャンバを形成するようにその頂部が下部可撓性圧力膜で覆われており、かつ下部可撓性圧力膜の下に位置する下部加熱装置を備え、その可撓性圧力膜の上側は上部加熱装置の底部側の刻み目のある形状とは異なる断面を有する、シャーシと、
を備え、
蓋は、下部可撓性圧力膜と上部可撓性圧力膜との間のキャビティが換気または排気され得る気密な中間チャンバを形成するように、シャーシ上に密封可能に置かれることが可能である。
【0012】
この積層装置はまた、個別にまたは組み合わせて考慮される、以下に記載される任意選択の特徴機能も有し得る。
下部加熱装置の上側の断面は平坦である、
下部加熱装置の上側の断面は、第1の下端部分、第1の上中央部分、および第2の下端部分を備えている、
下部加熱装置の上側の断面は、第1の下端部分、第1の上中央部分、下中間部分、第2の上中央部分、および第2の下端部分を備えている。
【0013】
本発明の第4の主題は、プロファイル金属パネル上に光起電力スタックを積層するためのプロセスからなり、このプロセスは、
(i)下部加熱装置の刻み目のある断面がプロファイル金属パネルの形状に適合される、本発明の第1の主題による積層装置を設けることと、
(ii)積層装置に、積層されるべき光起電力スタックで覆われたプロファイル金属パネルを挿入することと、
(iii)上部可撓性圧力膜が光起電力スタックを下部加熱装置に押し付けるように、下部チャンバを排気し、上部チャンバを換気することと、
(iv)プロファイル金属パネルがその初期位置に戻り、取り外されることができるように、下部チャンバを換気することと、
を備える。
【0014】
このプロセスはまた、それに従って、プロファイル金属パネルは、その第1の長手方向縁部に沿った第1の長手方向リブと、その第2の長手方向縁部に沿った第2の長手方向リブと、それらの間の中央部であって、光起電力スタックによって少なくとも部分的に覆われることが意図された、第1のフランジ、隆起した台地部および第2のフランジを連続して具備する中央部とを備え、ステップ(iii)の間に、下部加熱装置の刻み目のある断面の下端部分がプロファイル金属パネルのフランジと接触する、任意選択の特徴も有し得る。
【0015】
本発明の第5の主題は、プロファイル金属パネル上に光起電力スタックを積層するためのプロセスからなり、このプロセスは、
(i)上部加熱装置の刻み目のある形状がプロファイル金属パネルの形状に適合される、本発明の第2の主題による積層装置を設けることと、
(ii)積層装置に、積層されるべき光起電力スタックで覆われたプロファイル金属パネルを挿入することと、
(iii)下部可撓性圧力膜が光起電力スタックを上部加熱装置に押し付けるように、上部チャンバを排気し、下部チャンバを換気することと、
(iv)プロファイル金属パネルがその初期位置に戻り、取り外されることができるように上部チャンバを換気することと、
を備える。
【0016】
このプロセスはまた、それに従って、プロファイル金属パネルは、その第1の長手方向縁部に沿った第1の長手方向リブと、光起電力スタックによって少なくとも部分的に覆われていることが意図された中央部と、その第2の長手方向縁部に沿った第2の長手方向リブとを備え、ステップ(iii)の間に、上部加熱装置の刻み目のある形状の上端部分がプロファイル金属パネルの長手方向リブと接触する、任意選択の特徴も有し得る。
【0017】
本発明の第6の主題は、2つの異なるプロファイル金属パネル上に光起電力スタックを連続して積層するためのプロセスからなり、このプロセスは、
(i)上部加熱装置の刻み目のある形状が第1のプロファイル金属パネルの形状に適合され、下部加熱装置の断面が第2のプロファイル金属パネルの形状に適合される、本発明の第3の主題による積層装置を設けることと、
(ii)積層装置に、積層されるべき光起電力スタックで覆われた第1のプロファイル金属パネルを挿入することと、
(iii)下部可撓性圧力膜が光起電力スタックを上部加熱装置に押し付けるように上部チャンバおよび気密な中間チャンバを排気し、下部チャンバを換気することと、
(iv)第1のプロファイル金属パネルがその初期位置に戻り、取り外されることができるように上部チャンバおよび気密な中間チャンバを換気することと、
(v)積層装置に、積層されるべき光起電力スタックで覆われた第2のプロファイル金属パネルを挿入することと、
(vi)上部可撓性圧力膜が光起電力スタックを下部加熱装置に押し付けるように下部チャンバおよび気密な中間チャンバを排気し、上部チャンバを換気することと、
(vii)第2のプロファイル金属パネルがその初期位置に戻り、取り外されることができるように下部チャンバおよび気密な中間チャンバを換気することと
を含む。
【0018】
このプロセスはまた、個別にまたは組み合わせて考慮される、以下に記載される任意選択の特徴機能も有し得る。
第1のプロファイル金属パネルは、その第1の長手方向縁部に沿った第1の長手方向リブと、光起電力スタックによって少なくとも部分的に覆われていることが意図された中央部と、その第2の長手方向縁部に沿った第2の長手方向リブとを備え、ステップ(iii)の間に、上部加熱装置の刻み目のある形状の上端部分が第1のプロファイル金属パネルの長手方向リブと接触する、
第2のプロファイル金属パネルは、その第1の長手方向縁部に沿った第1の長手方向リブと、その第2の長手方向縁部に沿った第2の長手方向リブと、それらの間の中央部であって、光起電力スタックによって少なくとも部分的に覆われていることが意図された、第1のフランジ、隆起した台地部および第2のフランジを連続して具備する中央部とを備え、ステップ(vi)の間に、下部加熱装置の断面の下端部分が第2のプロファイル金属パネルのフランジと接触する。
【0019】
本発明の他の特性および利点は、図面を参照して、以下の説明においてより詳細に説明され、以下の説明は単に説明の目的で提供され、いかなる点においても限定的であることが意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一変形例によるプロファイルパネルの斜視図である。
【
図2】本発明の第2の変形例によるプロファイルパネルの断面図である。
【
図3】本発明の第3の変形例によるプロファイルパネルの断面図である。
【
図4】本発明の一変形例による積層装置の断面図である。
【
図5】本発明の一変形例による上部加熱装置の断面図である。
【
図6】本発明の別の変形例による上部加熱装置の断面図である。
【
図7】本発明による積層プロセスのステップ(ii)の間の積層装置の断面図である。
【
図8】本発明による積層プロセスのステップ(iii)の間の積層装置の断面図である。
【
図9】本発明による積層プロセスのステップ(v)の間の積層装置の断面図である。
【
図10】本発明による積層プロセスのステップ(vi)の間の積層装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本出願で使用される「上部」、「下部」、「下方」、「上方」、「下」などの用語は、積層装置が使用可能な状態で地面に立っているときの積層装置の様々な構成要素の位置および向きを指すことに留意されたい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「接触している」という用語は、「直接接触」(中間材料または要素が間に配置されていない)および「間接的に接触している」(中間材料または要素が間に配置されている)を包括的に含むことに留意されたい。例えば、刻み目のある形状の上部分を長手方向リブと接触させることは、それらを直接接触させること、ならびに上部分と長手方向リブとの間に可撓性圧力膜および/または離型シートを押し込ませることであり得る。
【0023】
本文を通して、光起電力スタックは、太陽エネルギーを電気に変換することができ、絶縁層によって外部から保護された層を備える複数の層のスタックを意味すると理解される。光起電力スタックは、通常、バックシートと呼ばれる絶縁材料の箔、封入材料の第1の層、リボンを介して接続された太陽電池、封入材料の第2の層、およびフロントシートと呼ばれる絶縁材料の透明箔を備える。太陽電池は、通常、それ自体がいくつかの層、その中には基板、背面電極、pn接合および表面電極の層から構成される。電池は、特に、ウエハベースの結晶シリコンセルまたは薄膜セルであり得る。
【0024】
本文を通して、パネルは、平坦な形状を有する、すなわち、その厚さが他の寸法と比較して小さい要素を意味すると理解される。一般的には、その厚さは、その幅の500分の1~4000分の1の大きさである。パネルは、単一の材料または複合アセンブリで作られ得る。複合アセンブリの場合、パネルは、同じ材料または異なる材料の複数の層のスタックである。問題の材料は、特に、金属材料またはポリマーであり得る。金属材料の非限定的な例として、鋼、アルミニウム、銅、および亜鉛が挙げられる。パネルは、好ましくは、金属シートである。これは、好ましくは、腐食から保護するために、予め亜鉛めっきおよび塗装された鋼で作られる。パネルは、任意選択で、その底面上で発泡され、それによってサンドイッチパネルの外面を構成してもよい。
【0025】
本発明の枠組み内で、パネルは、非限定的な例として、プロファイルパネルを得るように、曲げ、成形、スタンピングおよび鋳造を含む任意の公知の成形方法を用いて前もって形成されている。「プロファイルされた」とは、パネルの表面がもはや平坦ではないことを意味する。
【0026】
この成形は、例えば、シートの表面上にリブ、突出部、補強材または溝を形成することにつながる。本文を通して、リブは、シートの表面に形成された突起を意味すると理解される。リブは、例えば、台形形状、または長方形、波形、正弦波形、もしくはオメガ形状さえも有し得る。リブは、一般に、頂部中央部および2つの側方翼部を含む。補強材は、一般にリブの10分の1~30分の1の、制限された高さのリブである。溝は、パネルの表面に形成されたくぼみである。溝は、リブに提供されるものと同様の形状を有することができる。リブ、補強材または溝は、一般に、特にシートをより剛性にするために、シートの長手方向縁部に平行に配置される。
【0027】
プロファイルパネルは、好ましくは建築用パネル、すなわち建物外皮の構築を意図された、より具体的には光電池を支える建物屋根の構築のために組み立てられることを意図されたパネルである。
【0028】
プロファイルパネル28は、主に、第1の長手方向縁部29と、光起電力スタック32によって少なくとも部分的に覆われていることを意図された中央部30と、第2の長手方向縁部31とを備える。
【0029】
図1に示される本発明の一実施形態によれば、パネル28は、その長手方向軸線に垂直な断面において、その第1の長手方向縁部29に沿った第1の長手方向リブ33と、平坦な中央部30と、その第2の長手方向縁部31に沿った第2の長手方向リブ34とを備える。第1および第2の長手方向リブは、2枚のパネルが建造物上で組み立てられるときに、一方が他方と重なり合うことができるように、同じ高さおよび対応する形状を有する。一変形例によれば、中央部30は、中央部を2つの平坦なサブ部分に分割する中央リブを備え、それらの各々が光起電力スタック32によって少なくとも部分的に覆われていることが意図されている。好ましくは、中央リブは、長手方向リブと同じ高さを有する。
【0030】
図2に示される本発明の別の実施形態によれば、パネルは、その長手方向軸線に垂直な断面において、その第1の長手方向縁部29に沿った第1の長手方向リブ33と、その第2の長手方向縁部31に沿った第2の長手方向リブ34と、それらの間の中央部30とを備え、中央部30は、第1のフランジ35と、光起電力スタック32によって少なくとも部分的に覆われていることが意図された上部分37および上部分の両側から下方に延在する2つの側方翼部38を備える隆起した台地部36と、第2のフランジ39とを連続して備える。第1および第2の長手方向リブ33、34は、2枚のパネルが建造物上で組み立てられるときに一方が他方と重なり合うことができるように、同じ高さおよび対応する形状を有する。隆起した台地部36は、隆起した台地部36を覆う太陽電池が、パネルの組み立てによって形成された屋根の水密性が維持されると同時に、リブの影にならないように、リブよりも隆起が小さい。
図3に示される変形例によれば、パネルは、好ましくは長手方向リブと同じ高さの中央リブ40によって分離された、2つの隆起した台地部36を備える。
【0031】
図4を参照すると、本発明による積層装置1は、まず、シャーシ2と、シャーシ上に密封可能に置かれることが可能である蓋3とを備える。
【0032】
シャーシ2は、概略的には、この説明の残りの部分で下部チャンバ7と呼ばれる、凸状のキャビティを形成するように底部4と底部を取り囲む側壁5とを有する箱である。
【0033】
蓋3は、概略的には、頂部8と、この説明の残りの部分で上部チャンバ10と呼ばれる凹状のキャビティを形成するように上部を取り囲む側壁9とを有する箱である。蓋3の形状は、蓋がシャーシ上に置かれ、シャーシと蓋との接続によって形成されるキャビティが気密であることを可能にすることができるように、シャーシ2の形状に適合される。そのキャビティは、下部チャンバ7、上部チャンバ10、または後の1つで記述される中間チャンバのいずれかであり得る。キャビティは、よって、換気および排気されることができる。「換気される」とは、空気またはガスが大気圧または過圧でキャビティに入り得ることを意味する。「排気される」とは、空気またはガスがキャビティから空気またはガスを除去され得ることを意味する。どちらの場合も、空気またはガスの代わりに油などの流体が使用されてもよい。
【0034】
特に、側壁9の下縁部は、シャーシの側壁5の上縁部の形状に適合される。好ましくは、蓋の側壁の下縁部および/またはシャーシの側壁の上縁部に周継手が配置される。
【0035】
本発明の第1の変形例によれば、シャーシは、その頂部が可撓性圧力膜6で覆われており、可撓性圧力膜6は、この説明の残りの部分で後述される上部可撓性圧力膜とは対照的に、下部可撓性圧力膜と呼ばれる。「可撓性圧力膜」とは、フィルムの上下に加えられる圧力に応じて、その形状およびサイズを適合させることができる、柔軟で弾性のある材料で作られたフィルムを意味する。材料は、特に、シリコーンまたはPTFEであり得る。下部可撓性圧力膜は、例えば、締付装置を用いてシャーシ上に気密に締め付けられ、その結果、下部チャンバ7は気密になる。この気密チャンバは、シャーシの底部4および側壁5と、下部可撓性圧力膜6とによって画定される。気密チャンバは、換気または排気されることができる。
【0036】
本発明の第1の変形例によれば、蓋は、その下側に加熱装置を備え、加熱装置は、この説明の残りの部分で後述される下部加熱装置とは対照的に上部加熱装置11と呼ばれる、例えば電気加熱板や熱交換装置を備える。加熱装置は、加熱装置と下部可撓性圧力膜6との間に、蓋3がシャーシ2上に置かれたときに、パネルが積層されるのに十分な空間があるような高さで上部チャンバ10内に取り付けられる。
【0037】
上部加熱装置11および下部可撓性圧力膜6のおかげで、積層装置に挿入されたプロファイルパネルは上部加熱装置に押し付けられることができ、光起電力スタックは積層されることができる。これは、積層プロセスを説明するときにより詳細に説明される。このような「上記による」積層方法は、積層品の品質に関して利点を提供する。特に、下部可撓性圧力膜は、光起電力スタックを上部加熱装置に均一に押し付ける。これにより、光起電力スタックの異なる層が互いに対して移動するリスクが大幅に低減される。さらに、光起電力スタックは、上部加熱装置に押し付けられるときにのみ加熱されるため、平坦なままであり、光起電力スタックの表面領域にわたってより効果的かつより均一に架橋されることができる。さらに、2枚の金属シートの間に絶縁層を備えるサンドイッチパネル上に、光起電力スタックを積層することが可能である。
【0038】
加熱装置11の底部側は、特に
図1~
図3に示されるように、プロファイル金属パネルを積層することが可能になるように、刻み目のある形状を有する。刻み目のある形状は、その刻み目のある形状がプロファイル金属パネルの形状に適合されるように、少なくとも第1の上端部分12、第1の下中央部分13、および第2の上端部分16を連続して備える。「適合される」とは、刻み目のある形状が、光起電力スタックがプロファイル金属パネルの長手方向リブによって上部加熱装置に押し付けられるのを妨げられないようにするものであることを意味する。
【0039】
刻み目のある形状の各部分は、垂直であってもなくてもよい翼部によって隣接する部分から分離されている。好ましくは、刻み目のある形状はプロファイルパネルの形状のわずかな変動に耐えることができるように、翼部の向きはパネルリブの対応する側方翼部の向きとは異なり、これらのわずかな変動は製造公差に起因するものである。三次元では、上部加熱装置の底部側は、よって、上部位置および下部位置に代替的に配置された、一連の平坦な台地部である。刻み目のある形状によって、プロファイルパネルからの長手方向リブは、プロファイルパネル内に著しい温度勾配が生じないように長手方向リブを熱源から十分近くに維持しながら、下部可撓性圧力膜が光起電力スタックを上部加熱装置に押し付けるのを妨げない。さらに、2つの上端部分は、刻み目のある形状の下中央部分との片持ち梁構成にあるプロファイル金属パネルの長手方向リブに対して下部可撓性圧力膜が過度の圧力を加えている場合に、パネルが著しく曲がるのを防ぐことができる。プロファイルパネルの形状と同様に、第1の上端部分および第2の上端部分は、好ましくは、同じ水平面内にある。
【0040】
プロファイルパネルが
図3によるものである場合、刻み目のある形状は、第1の上端部分12、第1の下中央部分13、上中間部分14、第2の下中央部分15、および第2の上端部分16を連続して備える。プロファイルパネルの形状と同様に、第1の下中央部分および第2の下中央部分は、好ましくは同じ水平面内にある。同様に、第1の上端部分、上中間部分、および第2の上端部分も、好ましくは同じ水平面内にある。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、光起電力スタックの積層中のプロファイルパネルの長手方向リブと上部加熱装置の上部分12、16、任意選択で14との間にはギャップがある。ギャップは、長手方向リブがプロファイルパネル内の温度勾配を制限する上部加熱装置によって温められるように、かつ/または、下部可撓性圧力膜がパネルの長手方向リブに過度の圧力を加えている場合に、2つの上端部分12、16が、プロファイル金属パネルが著しく曲がるのを防ぐことができるように、好ましくは、8mm未満である。
【0042】
好ましくは、刻み目のある形状は、下部可撓性圧力膜6によって上部加熱装置11に押し付けられるときに、プロファイルパネルが湾曲しないように調整される。実質的には、これは、下中央部分13、任意選択で15が光起電力スタックと接触している間、刻み目のある形状の上部分12、16、任意選択で14がプロファイルパネルの長手方向リブと接触していることを意味する。言い換えれば、上部分と下中央部分との間の高さは、長手方向リブの頂部と光起電力スタックとの間の高さに対応する。積層プロセス中にパネルが湾曲するのを防ぐこと、すなわちパネルを平坦に保つことは、光起電力スタックに加えられる圧力を均等化にするのにさらに役立ち、光起電力スタックに閉じ込められる気泡の数を減らすのに役立つ。
【0043】
図5に示されるように、上部加熱装置11は、好ましくは、底部側が略平坦である基部17と、刻み目のある形状を得るように基部の底部側に結合された少なくとも1つのインサート18とを備える。インサートは、好ましくは、ねじや締付装置などの機械的締結具を介して基部に結合される。あるいは、基部底部側は、インサートが摺動することができる溝を備える。この変形例によって、上部加熱装置の形状は、積層装置内の(1つまたは複数の)インサートを別の形状の(1つまたは複数の)インサートで置き換えることによって容易かつ迅速に変更されることができる。
【0044】
インサート18は、加熱装置の基部17と同じ材料、またはそれが熱伝導性である限り任意の他の材料で作られることができる。これは、例えばアルミニウムで作られることができる。
【0045】
あるいは、
図6に示されるように、上部加熱装置11は、多数の長手方向セグメント19を備え、これら長手方向セグメントは、その各々が垂直方向に摺動可能である。各セグメントの高さは、上部加熱装置の形状が別のプロファイルパネルに適合するよう容易かつ迅速に変更されることができるように容易に調整されることができる。
【0046】
本発明の第2の変形例によれば、蓋3は、その下側が、この説明の残りの部分で上部可撓性圧力膜20と呼ばれる可撓性圧力膜で覆われている。これは、下部可撓性圧力膜と同様である。上部可撓性圧力膜20は、上部チャンバ10が気密であり、換気または排気され得るように、蓋に気密に締め付けられている。これは、例えば、締付装置を用いて蓋側壁9上に気密に締め付けられることができる。この気密な上部チャンバ10は、蓋3の頂部8および側壁9と、上部可撓性圧力膜10とによって画定される。上部チャンバ10の気密性によって、上部可撓性圧力膜20は、有利には、積層プロセスに関連して後でより詳細に説明されるように、プロファイルパネルをシャーシ2に押し付けるように換気されることができる。ゆえに、蓋がシャーシ上に密封可能に置かれているとき、上部可撓性圧力膜の下に位置するシャーシの下部チャンバ7は、気密であり、換気または排気され得る。
【0047】
本発明の第2の変形例によれば、シャーシは、下部加熱装置23、例えば、電気加熱板や熱交換装置を備える。下部加熱装置は、下部チャンバ7内に位置し、積層プロセス中にプロファイルパネルが押し付けられることができるようにチャンバ内で十分な高さに配置される。下部加熱装置は、積層に必要な熱を光起電力スタックに供給することが意図されており、それが可能である。言い換えれば、下部加熱装置は、光起電力スタックを架橋温度まで加熱することができる。
【0048】
この第2の変形例によれば、下部加熱装置23の上側は、特に
図2および
図3に示されるように、プロファイルパネルを積層することが可能であるように、刻み目のある断面を有する。
【0049】
プロファイルパネルが
図2によるものである場合、下部加熱装置の上側は、
図4に示されるように、第1の下端部分24、第1の上中央部分25、および第2の下端部分26を備えることができるので、刻み目のある断面は、プロファイル金属パネルの形状に適合される。各部分は、垂直であってもなくてもよい翼部によって隣接する部分から分離されている。好ましくは、下部加熱装置の上側の断面がプロファイルパネルの形状のわずかな変動に耐えることができるように、翼部の向きはパネルリブの対応する側方翼部の向きとは異なり、これらのわずかな変動は製造公差に起因するものである。3Dでは、下部加熱装置の上側は、よって、上部位置および下部位置に代替的に配置された、一連の平坦な台地部である。この断面によって、プロファイルパネルからの長手方向リブは、プロファイルパネル内に著しい温度勾配が生じないようにフランジ35、39を熱源から十分近くに維持しながら、上部可撓性圧力膜が光起電力スタックおよびプロファイルパネルの隆起した台地部の上部分を下部加熱装置に押し付けるのを妨げない。さらに、2つの下端部分24、26は、下部加熱装置の上側の上中央部分25との片持ち梁構成にあるプロファイル金属パネルの長手方向リブに対して上部可撓性圧力膜が過度の圧力を加えている場合に、パネルが著しく曲がるのを防ぐことができる。
【0050】
プロファイルパネルが
図3によるものである場合、下部加熱装置23の上側は、第1の下端部分、第1の上中央部分、下中間部分、第2の上中央部分、および第2の下端部分を連続して備える。プロファイルパネルの形状と同様に、第1の上中央部分および第2の上中央部分は、好ましくは同じ水平面内にある。同様に、第1の下端部分、下中間部分、および第2の下端部分も、好ましくは同じ水平面内にある。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、光起電力スタックの積層中のプロファイルパネルのフランジ35、39と下部加熱装置の下端部分24、26、任意選択で下中間部分との間にはギャップがある。ギャップは、フランジがプロファイルパネル内の温度勾配を制限する下部加熱装置23によって温められるように、かつ/または、上部可撓性圧力膜がパネルの長手方向リブに過度の圧力を加えている場合に、2つの下端部分24、26が、プロファイル金属パネルが著しく曲がるのを防ぐことができるように、好ましくは、8mm未満である。
【0052】
好ましくは、下部加熱装置23の上側の断面は、上部可撓性圧力膜20によって下部加熱装置23に押し付けられるときに、プロファイルパネルが湾曲しないように調整される。実質的には、これは、上中央部分25、任意選択で第2の上中央部分が、プロファイルパネルの隆起した台地部の上部分と接触している間、断面の下部分24、26、任意選択で下中間部分が、プロファイルパネルのフランジ35、39と接触していることを意味する。言い換えると、下端部分と上中央部分との間の高さは、フランジと隆起した台地部の上部分との間の高さに対応する。積層プロセス中にパネルが湾曲するのを防ぐこと、すなわちパネルを平坦に保つことは、光起電力スタックに加えられる圧力を均等化にするのにさらに役立ち、光起電力スタックに閉じ込められる気泡の数を減らすのに役立つ。
【0053】
図5に示される上部加熱装置11と同様に、下部加熱装置23は、上側が略平坦である基部と、断面を得るように基部の上側に結合された少なくとも1つのインサートとを備えることができる。インサートは、好ましくは、ねじや締付装置などの機械的締結具を介して基部に結合される。あるいは、基部上側は、インサートが摺動することができる溝を備える。この変形例によって、下部加熱装置の断面は、積層装置内の(1つまたは複数の)インサートを別の形状の(1つまたは複数の)インサートで置き換えることによって容易かつ迅速に変更されることができる。
【0054】
あるいは、
図6に示される上部加熱装置11と同様に、下部加熱装置23は多数の長手方向セグメント19を含むことができ、これらセグメントは、その各々が垂直方向に摺動可能である。各セグメントの高さは、下部加熱装置の断面が別のプロファイルパネルに適合するよう容易かつ迅速に変更されることができるように容易に調整されることができる。
【0055】
本発明の第3の変形例によれば、蓋3は、その下側に、上述のような上部加熱装置11と、上部加熱装置の下に、上述のような、上部可撓性圧力膜20とを備える。シャーシ2に関して、シャーシ2は、その頂部が、上述のような、下部可撓性圧力膜6で覆われており、下部可撓性圧力膜の下に配置された、上述のような、下部加熱装置23をさらに備える。
【0056】
ゆえに、蓋がシャーシ上に密封可能に置かれているとき、下部可撓性圧力膜と上部可撓性圧力膜との間の空間は、換気または排気され得る気密な中間チャンバ21を形成する。
【0057】
この第3の変形例によれば、下部加熱装置23の上側は、上部加熱装置によって、その形状が積層されたプロファイルパネルの形状と異なる、特に
図1から
図3に示されるような、プロファイルパネルを積層することが可能になるように、上部加熱装置11の底部側の刻み目のある形状とは異なる断面を有する。
【0058】
プロファイルパネルが
図2または
図3によるものである場合、下部加熱装置の上側は、本発明の第2の変形例について説明されたものと同様の断面を有することができる。
【0059】
特にこの第3の変形例では、プロファイルパネルが
図1によるものである場合、プロファイルパネルからの長手方向リブが、上部可撓性圧力膜20が光起電力スタック32およびプロファイルパネルの平坦な中央部30を下部加熱装置23に押し付けるのを妨げないため、下部加熱装置23の上側は平坦であり得る。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、蓋は、上部加熱装置11の下または上部可撓性圧力膜20の下に配置された離型シート22をさらに備える。積層プロセス中、離型シートは、よって、光起電力スタックと上部加熱装置または上部可撓性圧力膜のどちらかとの間に配置される。これは、プレス中に光起電力スタックから放出されるフィルム残渣などの積層残渣を吸収し、それによって加熱装置または上部可撓性圧力膜を汚染から保護する。離型シートは、好ましくは、ガラス繊維織物で作られている。離型シートは、積層装置内に位置する離型シートの部分が時々に非常に容易に交換され得るように、積層装置の入口でコイルから巻き出され、積層装置の出口で巻き戻されることができる。これにより、離型シートの清掃が容易になる。離型シートはまた、エンドレスベルトの形態とすることもできる。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、下部可撓性圧力膜6または下部加熱装置23は、その頂部がコンベヤベルト27で覆われている。コンベヤベルトは、積層装置を通って走り、プロファイルパネルを、積層装置を通して、積層装置の中に、または積層装置の外に搬送する。コンベヤベルトは、エンドレスベルトの形態とすることができる。コンベヤベルトは、例えば、炭素繊維で作られることができる。
【0062】
下部加熱装置23の刻み目のある断面は、その頂部が、もしあれば、下部柔軟膜6および、もしあれば、コンベヤベルト27以外の積層装置の他のどんな部分によっても覆われていない。言い換えれば、第1の下端部分24および第2の下端部分26は、その頂部が、積層装置の構造部品によって、すなわち、プロファイル金属パネル、特にその平坦な中央部30が第1の上中央部分25に押し付けられるのを妨げることになる、積層装置のどんな部分によっても覆われていない。
【0063】
同様に、上部加熱装置11の刻み目のある形状も、その下側が、もしあれば、上部可撓性圧力膜20および、もしあれば、離型シート22以外の積層装置の他のどんな部分によっても覆われていない。言い換えれば、第1の上端部分12および第2の上端部分16は、その下側が、積層装置の構造部品によって、すなわち、プロファイル金属パネル、特にその平坦な中央部30が、第1の下中央部分13および、もしあれば、第2の下中央部分15に押し付けられるのを妨げることになる、積層装置のどんな部分によっても覆われていない。
【0064】
積層プロセス中、その形状が加熱装置の形状と適合するプロファイルパネル28と、パネルの中央部に配置された少なくとも1つの光起電力スタック32とが、積層装置1に導入される。これは、任意選択で、コンベヤベルト27によって行われることができる。積層装置は、次いで、シャーシ2上の蓋3を閉じることによって気密に閉じられる。次いで、プロファイルパネルおよび/または加熱装置を備える気密チャンバ(それぞれチャンバ)は、残りの気密チャンバが換気されている間に排気される(それぞれ排気される)。ゆえに、光起電力スタックは加熱装置に押し付けられ、熱の作用によって積層される。次いで、排気されたチャンバ(それぞれのチャンバ)は、プロファイルパネルがその初期位置に戻り、取り外されることができるように、再度換気される(それぞれ換気される)。
【0065】
積層装置が本発明の第1の変形例によるものである場合、上部チャンバ10が排気され、下部チャンバ7が換気され、その結果として、プロファイルパネルが下部可撓性圧力膜6によって持ち上げられ、光起電力スタックが上部加熱装置11に押し付けられる。次のステップで、上部チャンバ10は、プロファイルパネルがその初期位置に戻り、取り外されることができるように換気される。任意選択で、下部チャンバの換気は、圧力を下げることによって調整されるか、または下部チャンバは、下部可撓性圧力膜がより容易にその初期位置に戻るように排気される。
【0066】
積層装置が本発明の第2の変形例によるものである場合、上部可撓性圧力膜20が光起電力スタック32を下部加熱装置23に押し付けるように、上部チャンバ10が換気され、下部チャンバ7が排気される。次のステップで、下部チャンバ7は、プロファイルパネルがその初期位置に戻り、取り外されることができるように換気される。任意選択で、上部チャンバの換気は、圧力を下げることによって調整されるか、または上部チャンバは、下部可撓性圧力膜がその初期位置により容易に戻るように排気される。
【0067】
積層装置が本発明の第3の変形例によるものである場合、
図7に示されるように、その形状が上部加熱装置11の形状と適合するプロファイルパネル28と、パネルの中央部に配置された少なくとも1つの光起電力スタック32とが、下部可撓性圧力膜6の上に置かれるように積層装置1に導入される。これは、任意選択で、コンベヤベルト27によって行われることができる。積層装置は、次いで、シャーシ2上の蓋3を閉じることによって気密に閉じられる。次いで、
図8に示されるように、中間チャンバ21および上部チャンバ10が排気され、下部チャンバ7が換気され、その結果として、プロファイルパネルが下部可撓性圧力膜6によって持ち上げられ、光起電力スタックが上部加熱装置11に押し付けられ、熱の作用によって積層される。
【0068】
光起電力スタック32が上部加熱装置11に押し付けられた後、中間チャンバ21および上部チャンバ10は換気され、下部チャンバ7は、プロファイルパネルがその初期位置に戻るように排気され得る。
【0069】
プロファイルパネルが積層装置から取り外されると、異なるプロファイルのパネルが積層されることができる。したがって、その形状が下部加熱装置の断面と適合する異なるプロファイルのパネル28と、パネルの中央部30に配置された少なくとも1つの光起電力スタック32とが、下部可撓性圧力膜6の上に置かれるように積層装置に導入される。積層装置は、次いで、シャーシ上の蓋体を閉じることによって気密に閉じられる。次いで、中間チャンバ21および下部チャンバ7が排気されている間に上部チャンバ10が換気され、その結果として、プロファイルパネルおよび光起電力スタックは、上部可撓性圧力膜20によって下部加熱装置23に押し付けられる。光起電力スタックが下部加熱装置に対して積層された後、下部チャンバ7および中間チャンバ21は換気され、上部チャンバ10は、異なるプロファイルのパネルがその初期位置に戻るように排気され得る。
【0070】
よって、第3の変形例による積層装置の結果、ある種類のプロファイルパネルから別の種類のプロファイルパネルに製造を切り替えることが非常に容易になる。これは、装置を新しい形状に適合させるために装置を停止させることなく非常に迅速に行われる。さらに、最初のプロファイルパネルが上部加熱装置11に対して積層されるとき、光起電力スタック32は上部加熱装置と直接接触しない。これは、特に、光起電力スタック内に閉じ込められる気泡の数をさらに減らすという点で、積層された光起電力スタックの品質を改善したことが確認された。
【0071】
好ましくは、異なるプロファイルのパネルが積層装置に導入されるとき、下部可撓性圧力膜6は、プロファイルパネルが下部加熱装置23からある距離にあり、下部加熱装置に押し付けられる前に架橋温度に達しないように換気される。これにより、光起電力スタック内の気泡の捕捉が制限される。
【国際調査報告】