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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220131BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 47/66 20170101ALI20220131BHJP
   C07K 16/46 20060101ALN20220131BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A61K39/395 N
C12N15/13 ZNA
A61K38/17
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
A61K47/66
C07K16/46
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021511582
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(85)【翻訳文提出日】2021-04-13
(86)【国際出願番号】 US2019048919
(87)【国際公開番号】W WO2020047325
(87)【国際公開日】2020-03-05
(31)【優先権主張番号】62/823,994
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/734,948
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/724,592
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519302132
【氏名又は名称】シャタック ラボ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュライバー、テイラー
(72)【発明者】
【氏名】フロム、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】デ シルバ、スレシュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA22
4C084BA41
4C084BA44
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB072
4C084ZB261
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、特に、がん及び自己免疫のための免疫療法など、疾患を治療するための方法において使用が見出されるキメラタンパク質を含む組成物の組み合わせに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)と結合することが可能である抗体を含む、第1の薬学的組成物を前記対象に提供することと、
(i)
(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び
(ii)
(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される免疫療法を含む、第2の薬学的組成物を前記対象に提供することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記第1の薬学的組成物及び前記第2の薬学的組成物が、同時に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の薬学的組成物が、前記第2の薬学的組成物が提供された後に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の薬学的組成物が、前記第2の薬学的組成物が提供される前に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の薬学的組成物の用量が、前記第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記第1の薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
提供される前記第2の薬学的組成物の用量が、前記第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記第2の薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項1、2、または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象が、前記第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症及び体重低下を伴わない増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、前記第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
対象においてがんを治療するための方法であって、
(i)
(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び
(ii)
(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される免疫療法を含む、薬学的組成物を前記対象に提供することを含み、
前記対象が、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている、前記方法。
【請求項10】
前記対象に提供される前記薬学的組成物の用量が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である前記抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
対象においてがんを治療するための方法であって、
細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)と結合することが可能である抗体を含む、薬学的組成物を前記対象に提供することを含み、
前記対象が、
(i)
(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び
(ii)
(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される免疫療法よる治療を受けたことがあるか、または受けている、前記方法。
【請求項14】
前記対象に提供される前記薬学的組成物の用量が、前記(i)または(ii)から選択される免疫療法による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫療法が、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫療法が、実質的にPD-1の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記リンカーが、IgG4、例えばヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記リンカーが、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記異種キメラタンパク質が、
(a)一部CSF1Rを含む、第1のドメインと、
(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、
(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記異種キメラタンパク質が、
(a)PD-1の一部を含む、第1のドメインと、
(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、
(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記CTLA-4と結合することが可能である抗体が、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206;MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体が、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、ピディリズマブ(CT 011、Cure Tech)、RMP1-14、AGEN2034(Agenus)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む、第1の薬学的組成物を前記対象に提供することと、
(i)
(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び
(ii)
(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される免疫療法を含む、第2の薬学的組成物を前記対象に提供することと、を含む、前記方法。
【請求項29】
前記第1の薬学的組成物及び前記第2の薬学的組成物が、同時に提供される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の薬学的組成物が、前記第2の薬学的組成物が提供された後に提供される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の薬学的組成物が、前記第2の薬学的組成物が提供される前に提供される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の薬学的組成物の用量が、前記第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記第1の薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
提供される前記第2の薬学的組成物の用量が、前記第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記第2の薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項28、29、または31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が、前記第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症及び体重低下を伴わない増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項28~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記対象が、前記第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項28~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
対象においてがんを治療するための方法であって、
(i)
(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び
(ii)
(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される免疫療法を含む、薬学的組成物を前記対象に提供することを含み、
前記対象が、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストによる治療を受けたことがあるか、または受けている、前記方法。
【請求項37】
前記対象に提供される前記薬学的組成物の用量が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記対象が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である前記抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する、請求項28~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
対象においてがんを治療するための方法であって、
インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む、薬学的組成物を前記対象に提供することを含み、
前記対象が、
(i)
(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び
(ii)
(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される免疫療法による治療を受けたことがあるか、または受けている、前記方法。
【請求項41】
前記対象に提供される前記薬学的組成物の用量が、前記(i)または(ii)から選択される免疫療法による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記免疫療法が、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む、請求項28~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記免疫療法が、実質的にPD-1の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む、請求項28~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである、請求項28~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項28~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記リンカーが、IgG4、例えばヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記リンカーが、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項45または請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記異種キメラタンパク質が、
(a)一部CSF1Rを含む、第1のドメインと、
(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、
(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記異種キメラタンパク質が、
(a)PD-1の一部を含む、第1のドメインと、
(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、
(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記STINGアゴニストが、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、またはIMSA101からなる群から選択される、請求項28~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する、請求項28~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する、請求項28~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である、請求項28~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体が、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、ピディリズマブ(CT 011、Cure Tech)、RMP1-14、AGEN2034(Agenus)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される、請求項52または請求項53に記載の方法。
【請求項55】
治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を前記対象に提供することと、
PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む、第2の薬学的組成物を前記対象に提供することと、を含む、前記方法。
【請求項56】
前記第1の薬学的組成物及び前記第2の薬学的組成物が、同時に提供される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の薬学的組成物が、前記第2の薬学的組成物が提供された後に提供される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の薬学的組成物が、前記第2の薬学的組成物が提供される前に提供される、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の薬学的組成物の用量が、前記第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記第1の薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項55~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
提供される前記第2の薬学的組成物の用量が、前記第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記第2の薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項55、56、または58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が、前記第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症及び体重低下を伴わない増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項55~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記対象が、前記第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項55~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
対象においてがんを治療するための方法であって、
(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を前記対象に提供することを含み、
前記対象が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている、前記方法。
【請求項64】
前記対象に提供される前記薬学的組成物の用量が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される前記薬学的組成物の用量よりも少ない、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記対象が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する、請求項63または請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である前記抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する、請求項55~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
対象においてがんを治療するための方法であって、
PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む、薬学的組成物を前記対象に提供することを含み、
前記対象が、
(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの前記一部を含む、第1のドメインと、
(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの前記一部を含む、第2のドメインと、
(c)前記第1のドメイン及び前記第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている、前記方法。
【請求項68】
前記異種キメラタンパク質が、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、請求項55~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである、請求項55~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項55~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記リンカーが、IgG4、例えばヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記リンカーが、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項70または請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記異種キメラタンパク質が、
(a)CSF1Rの一部を含む、第1のドメインと、
(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、
(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む、請求項55~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する、請求項55~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する、請求項55~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である、請求項55~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体が、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、ピディリズマブ(CT 011、Cure Tech)、RMP1-14、AGEN2034(Agenus)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される、請求項55~76のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2018年8月29日に出願された米国仮出願第62/724,592号、2018年9月21日に出願された米国仮出願第62/734,948号、及び2019年3月26日に出願された米国仮出願第62/823,994号の利益及び優先権を主張し、その各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、特に、がん及び自己免疫のための免疫療法など、疾患を治療するための方法において使用が見出されるキメラタンパク質を含む組成物の組み合わせに関する。
【0003】
電子的に提出されたテキストファイルの記載
本出願は、配列表を含む。それは、「SHK-006PC_SequenceListing_ST25」と題されたASCIIテキストファイルとしてEFS-Webを経由して電子的に送信されている。配列表は、サイズが38,910バイトであり、2019年8月27日に作成された。配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
免疫系は、がん細胞及び疾患の原因となる異物に対する体の応答の中核である。しかしながら、多くのがんは、例えば、免疫抑制性シグナルを伝達または伝播することにより、免疫系を回避するメカニズムを発展させてきた。さらに、多くの抗がん療法は、免疫応答を直接的に刺激及び/または活性化しない。二重特異性抗体、連結されたscFv、またはT細胞誘導体との現在の併用免疫療法は、チェックポイント(免疫抑制シグナル)を遮断し、TNF受容体をアゴナイズ(刺激)することができていない。これは、複数の標的を一価の抗原結合アームで結合するように操作すると、これらの分子が標的結合活性を失うためと考えられる。したがって、少なくとも複数の機能を備えているが、それでも依然として標的結合活性を保持する、例えば、免疫抑制シグナルを逆転させ、抗がん免疫応答を刺激するような療法を開発する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0005】
したがって、様々な態様では、本発明は、がん免疫療法に有用な組成物及び方法を提供する。例えば、本発明は、部分的に、免疫チェックポイント分子に指向する少なくとも1つの抗体、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニスト、及び/または各キメラタンパク質が免疫阻害シグナルを遮断し、及び/または免疫活性化シグナルを刺激することが可能である、1つ以上のキメラタンパク質を投与する(同時にまたは連続的に)ことを含む、がんを治療するための方法に関する。
【0006】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)と結合することが可能である抗体を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、免疫療法を含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。免疫療法は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される。
【0007】
本発明の別の態様は、免疫療法を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、対象においてがんを治療するための方法を提供する。免疫療法は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される。この態様では、対象は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)と結合することが可能である抗体を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される免疫療法による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0009】
本発明の一態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、免疫療法を含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。免疫療法は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される。
【0010】
本発明の別の態様は、免疫療法を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、対象においてがんを治療するための方法を提供する。免疫療法は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される。この態様では、対象は、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストによる治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、(iii)PD-1と結合することが可能である抗体、(iv)OX40と結合することが可能である抗体、から選択される免疫療法による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0012】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む、異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0015】
本明細書に開示される任意の態様または実施形態は、本明細書に開示される任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】A~Dは、I型膜貫通タンパク質(図1A及び図1B、左のタンパク質)及びII型膜貫通タンパク質(図1A及び図1B、右のタンパク質)の概略図を示す。I型膜貫通タンパク質及びII型膜貫通タンパク質は、それらの膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインが取り除かれ、膜貫通タンパク質の細胞外ドメインがリンカー配列を使用して隣接し、単一のキメラタンパク質を生成するように操作され得る。図1C及び図1Dに示されるように、I型膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、例えば、PD-1及びCSF1R、ならびにII型膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、例えば、CD40L及びOX40Lは、単一のキメラタンパク質に組み合わせる。図1Cは、各タンパク質の膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを取り除いたI型膜貫通タンパク質及びII型膜貫通タンパク質の連結を示し、各タンパク質から遊離した細胞外ドメインがリンカー配列によって隣接されている。この描写における細胞外ドメインは、典型的には細胞膜の外側に局在するI型タンパク質(例えば、PD-1及びCSF1R)及び/またはII型タンパク質(例えば、CD40L及びOX40L)のアミノ酸配列全体、あるいは意図された受容体またはリガンドとの結合を保持するその任意の一部を含み得る。さらに、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、第1の細胞外ドメイン(図1C及び図1Dのキメラタンパク質の左端に示される)がその受容体/リガンドと立体的に結合することができ、及び/または第2の細胞外ドメイン(図1C及び図1Dのキメラタンパク質の右端に示される)がその受容体/リガンドと立体的に結合することができるように、ドメイン間の十分な全体的柔軟性及び/または物理的距離を含む。図1Dは、キメラタンパク質の各細胞外ドメインが「外向き」に面する、線形キメラタンパク質における隣接する細胞外ドメインを示す。
図2】本発明に関連する免疫抑制性及び免疫刺激性シグナル伝達を示す(Mahoney,Nature Reviews Drug Discovery 2015:14;561-585から)。
図3A図3B図3D及び図4A図4Cに開示したインビボ実験についての抗腫瘍処理スケジュールを示す表である。
図3B】対照処理についての腫瘍体積サイズにおけるインビボでの減少を示す。
図3C】本発明によるがん治療の方法に起因する腫瘍体積サイズにおけるインビボでの減少を示す。
図3D】本発明によるがん治療の方法に起因する腫瘍体積サイズにおけるインビボでの減少を示す。
図3E】ARC及び抗CTLA-4抗体(9D9)の組み合わせを投与することを含む、対照処理、及び本発明によるがん治療の方法に起因する腫瘍体積サイズにおけるインビボでの減少を示す。「ARC」という用語は、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質を指す。
図3F】全生存期間を評価するための(図3Eにおける処理群について生成された)カプランマイヤー曲線を示し、初期腫瘍接種後の35日目に全生存期間と良好に相関した腫瘍成長の制御を示す。「ARC」という用語は、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質を指す。
図4A】ARC及び抗PD-1抗体(RMP1-14)の組み合わせを投与することを含む、対照治療、及び本発明によるがん治療の方法に起因する腫瘍体積サイズにおけるインビボでの減少を示す。「ARC」という用語は、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質を指す。
図4B】全生存期間を評価するための(図4Aにおける処理群について生成された)カプランマイヤー曲線を示し、初期腫瘍接種後の35日目に全生存期間と良好に相関した腫瘍成長の制御を示す。「ARC」という用語は、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質を指す。
図5】少なくとも図3E及び図4Aのデータに従って処理したマウスについて、初期腫瘍拒絶及び再負荷腫瘍拒絶の比率を示す表である。この図では、「ARC」という用語は、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質を指す。
図6A】フローサイトメトリによる腫瘍微小環境におけるサイトカインレベル及び腫瘍免疫表現型を示す。これらの図では、ビヒクルと比較して、*はp<0.05に対応し、**はp<0.01に対応し、***はp<0.0001に対応する。
図6B】フローサイトメトリによる腫瘍微小環境におけるサイトカインレベル及び腫瘍免疫表現型を示す。これらの図では、ビヒクルと比較して、*はp<0.05に対応し、**はp<0.01に対応し、***はp<0.0001に対応する。
図7A】CT26腫瘍モデルにおけるPD-1-Fc-OX40Lキメラタンパク質及び抗CTLA-4抗体の組み合わせのインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図7B】CT26腫瘍モデルにおけるPD-1-Fc-OX40Lキメラタンパク質及び抗CTLA-4抗体の組み合わせのインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図7C】CT26腫瘍モデルにおけるPD-1-Fc-OX40Lキメラタンパク質及び抗CTLA-4抗体の組み合わせのインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図8A】対照処理についての腫瘍体積サイズにおけるインビボでの減少を示す。
図8B】本発明によるがん治療の方法に起因する腫瘍体積サイズにおけるインビボでの減少を示す。
図8C】本発明によるがん治療の方法に起因する腫瘍体積サイズにおけるインビボでの減少を示す。
図9A】CT26腫瘍モデルにおけるPD-1-Fc-OX40Lキメラタンパク質及びSTINGアゴニストの組み合わせのインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図9B】CT26腫瘍モデルにおけるPD-1-Fc-OX40Lキメラタンパク質及びSTINGアゴニストの組み合わせのインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図9C】CT26腫瘍モデルにおけるPD-1-Fc-OX40Lキメラタンパク質及びSTINGアゴニストの組み合わせのインビボでの抗腫瘍活性を示す。
図10】ネズミCSF1R-Fc-CD40L及びヒトCSF1R-Fc-CD40Lをそれぞれ使用する、ネズミ及びカニクイザルマカク研究(Luminex)における血清サイトカインレベルを比較するグラフを含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、部分的に、免疫チェックポイント分子に指向する少なくとも1つの抗体、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニスト、及び/または各キメラタンパク質が免疫阻害シグナルを遮断し、及び/または免疫活性化シグナルを刺激することが可能である、1つ以上のキメラタンパク質を投与する(同時にまたは連続的に)ことを含む、がんを治療するための方法の発見に基づく。
【0018】
重要なのは、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質が、例えば、その検出及び/または破壊を回避しようと試みるがん細胞に由来する免疫阻害シグナルの伝達を妨害、遮断、減少、阻害、及び/または隔離し、及び/または抗がん免疫細胞への免疫刺激シグナルの伝達を増強、増加、及び/または刺激することであり、本方法は、複数の異なる経路によって抗腫瘍効果を提供することができる。複数の異なる経路を介してがんを治療することによって、本発明の方法は、患者において任意の抗腫瘍効果を提供する、及び/または患者において増強された抗腫瘍効果を提供する可能性が高い。さらに、本方法は複数の異なる経路によって機能するため、少なくとも、経路のうちの1つを標的とする治療に応答しない、応答が不十分である、または抵抗性となる患者において有効であり得る。したがって、2つの経路のうちの1つを介して作用する治療に対して不十分な応答者である患者は、複数の経路を標的とすることによって治療効果を達成することができる。
【0019】
抗体
本発明の方法は、がんを治療するための方法を含み、これは、実施形態において、免疫チェックポイント分子と結合することが可能である抗体を含む免疫療法を施すことを含む。
【0020】
抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv、ダイアボディ、直鎖状抗体、二重特異的抗体、多重特異的抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及び抗体の抗原が結合する一部を含む融合タンパク質のうちの1つ以上から選択され得る。実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、例えば、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0021】
実施形態では、抗体は、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能であり、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能であり、例えば、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。かかる抗体は、PD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である。
【0022】
実施形態では、抗体は、CTLA-4と結合することが可能であり、例えば、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206;MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0023】
STINGアゴニスト
本発明の方法は、がんを治療するための方法を含み、これは、実施形態において、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む、薬学的組成物を投与することを含む。
【0024】
実施形態では、STINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、IMSA101、及びUS2014/0341976、US2018/0028553、US2018/0230178、US9549944、WO2015/185565、WO2016/120305、WO2017/044622、WO2017/027645、WO2017/027646、WO2017/093933、WO2017/106740、WO2017/123657、WO2017/123669、WO2017/161349、WO2017/175147、WO2017/175156、WO2017/176812、WO2018/009466、WO2018/045204、WO2018/060323、WO2018/098203、WO2018/100558、WO2018/138684、WO2018/138685、WO2018/152450、WO2018/152453、WO2018/172206、WO2018/198084、WO2018/234805、WO2018/234807、WO2018/234808、WO2019/023459、WO2019/046496、WO2019/046498、WO2019/046500、WO2019/074887、WO2019/079261、WO2019/118839、WO2019/125974、またはWO2019/160884に記載される任意のSTINGアゴニストからなる群から選択され、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
キメラタンパク質
本発明の方法は、がんを治療するための方法を含み、これは、実施形態において、免疫阻害性シグナルを遮断する、及び/または免疫活性化シグナルを刺激することが可能であるキメラタンパク質を含む薬学的組成物を投与することを含む。
【0026】
本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般的な構造を含み、式中、(a)は、I型膜貫通タンパク質の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカー、例えば、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含むリンカーであり、(c)は、II型膜貫通タンパク質の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、リンカーは、第1のドメイン及び第2のドメインを接続する。代替的に、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般的な構造を含み、式中、(a)は、I型膜貫通タンパク質の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカー、例えば、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含むリンカーであり、(c)は、別のI型膜貫通タンパク質の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、リンカーは、第1のドメイン及び第2のドメインを接続する。
【0027】
膜貫通タンパク質は典型的には、細胞外ドメイン、1つまたは一連の膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインからなる。理論に拘束されることを望まないが、膜貫通タンパク質の細胞外ドメインは、細胞外環境において、可溶性受容体またはリガンドまたは膜結合受容体またはリガンド(すなわち、隣接する細胞の膜)との相互作用に関与する。理論に拘束されることを望まないが、膜貫通ドメイン(複数可)は、膜貫通タンパク質を原形質膜に局在化させる原因となる。理論に拘束されることを望まないが、膜貫通タンパク質の細胞内ドメインは、細胞内シグナル伝達分子との相互作用を調整して、細胞内応答を細胞外環境と調整する(またはその逆の)原因となる。
【0028】
実施形態では、細胞外ドメインは、リガンドまたは受容体と結合するのに十分であり、細胞にシグナルを伝達するのに有効である膜貫通タンパク質の一部を指す。実施形態では、細胞外ドメインは通常、細胞または細胞膜の外部に存在する膜貫通タンパク質のアミノ酸配列全体である。実施形態では、細胞外ドメインは、細胞または細胞膜の外部にあり、当技術分野で既知である方法を使用してアッセイされ得るような(例えば、インビトロでのリガンド結合及び/または細胞活性化アッセイ)、シグナル伝達及び/またはリガンド結合に必要とされる膜貫通タンパク質のアミノ酸配列の一部である。
【0029】
シングルパス膜貫通タンパク質には、一般的に2つの種類があり、細胞外アミノ末端及び細胞内カルボキシ末端を有するI型膜貫通タンパク質(図1A、左のタンパク質を参照されたい)、及び細胞外カルボキシ末端及び細胞内アミノ末端を有するII型膜貫通タンパク質(図1A、右のタンパク質を参照されたい)である。I型及びII型膜貫通タンパク質は、受容体またはリガンドのいずれかであり得る。I型膜貫通タンパク質(例えば、PD-1及びCSF1R)について、タンパク質のアミノ末端は、細胞の外側を向いており、したがって、細胞外環境において他の結合パートナー(リガンドまたは受容体のいずれか)との相互作用に関与する機能ドメインを含む(図1B、左のタンパク質を参照されたい)。II型膜貫通タンパク質(例えば、CD40L及びOX40L)について、タンパク質のカルボキシ末端は、細胞の外側を向いており、したがって、細胞外環境において他の結合パートナー(リガンドまたは受容体のいずれか)との相互作用に関与する機能ドメインを含む(図1B、右のタンパク質を参照されたい)。したがって、これらの2つの種類の膜貫通タンパク質は、細胞膜に対して互いに反対の配向を有する。
【0030】
本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、PD-1及びCSF1Rから選択されるI型膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、ならびにCD40L及びOX40Lから選択されるII型膜貫通タンパク質の細胞外ドメインを含む。したがって、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、少なくとも、PD-1またはCSF1Rの細胞外ドメインを含む第1のドメインを含み、これは、CD40LもしくはOX40Lの細胞外ドメインを含む第2のドメインと直接的にまたはリンカーを介して接続される。図1C及び図1Dに示されるように、ドメインがアミノ末端からカルボキシ末端の配向に連結される場合、第1のドメインは、キメラタンパク質の「左」に位置し、かつ「外向き」となり、第2ドメインは、キメラタンパク質の「右」に位置し、かつ「外向き」となる。
【0031】
第1及び第2のドメインの他の構成、例えば、第1のドメインが内向きであり、かつ第2のドメインが外向きであること、第1のドメインが外向きであり、かつ第2のドメインが内向きであること、第1及び第2のドメインが両方とも内向きであることが想定される。両方のドメインが「内向き」である場合、キメラタンパク質は、II型膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、リンカー、及びI型膜貫通タンパク質の細胞外ドメインを含む、アミノ末端からカルボキシ末端への構成を有するであろう。かかる構成では、それは、キメラタンパク質の結合ドメインがその受容体/リガンドの一方または両方と結合することを可能にするために、本明細書の他の場所に記載されるように、キメラタンパク質が余分な「緩み」を含むことが必要であり得る。
【0032】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む。
【0033】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む。
【0034】
実施形態では、異種キメラタンパク質が、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む。実施形態では、第1のドメインは、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む。実施形態では、第2のドメインは、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0035】
実施形態では、異種キメラタンパク質が、実質的にPD-1の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む。実施形態では、第1のドメインは、実質的にPD-1の細胞外ドメイン全体を含む。実施形態では、第2のドメインは、実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0036】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、以下のアミノ酸配列を含むヒトPD-1の細胞外ドメインを含む:
LDSPDRPWNPPTFSPALLVVTEGDNATFTCSFSNTSESFVLNWYRMSPSNQTDKLAAFPEDRSQPGQDCRFRVTQLPNGRDFHMSVVRARRNDSGTYLCGAISLAPKAQIKESLRAELRVTERRAEVPTAHPSPSPRPAGQFQ(配列番号57)。
【0037】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、PD-1の細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、配列番号57と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。当業者は、例えば、Zhang et al“Structural and Functional Analysis of the Costimulatory Receptor Programmed Death-1”Immunity.2004 Mar;20(3):337-47、Lin et al“The PD-1/PD-L1 complex resembles the antigen-binding Fv domains of antibodies and T cell receptors”,Proc Natl Acad Sci U S A.2008 Feb 26;105(8):3011-6、Zak et al“Structure of the Complex of Human Programmed Death 1,PD-1,and Its Ligand PD-L1”,Structure.2015 Dec 1;23(12):2341-2348、及びCheng et al“Structure and Interactions of the Human Programmed Cell Death 1 Receptor”,J Biol Chem.2013 Apr 26;288(17):11771-85などの文献を参照することにより、PD-1の既知のアミノ酸配列のバリアントを選択することができ、その各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0038】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、以下のアミノ酸配列を含むヒトOX40Lの細胞外ドメインを含む:
QVSHRYPRIQSIKVQFTEYKKEKGFILTSQKEDEIMKVQNNSVIINCDGFYLISLKGYFSQEVNISLHYQKDEEPLFQLKKVRSVNSLMVASLTYKDKVYLNVTTDNTSLDDFHVNGGELILIHQNPGEFCVL(配列番号58)。
【0039】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、OX40Lの細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、配列番号58と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。当業者は、例えば、CROFT,et al.,“The Significance of OX40 and OX40L to T cell Biology and Immune Disease”,Immunol Rev.,229(1),PP.173-191,2009、及びBAUM,et al.,“Molecular characterization of murine and human OX40/0X40 ligand systems:identification of a human OX40 ligand as the HTL V-1-regulated protein gp34”,The EMBO Journal,Vol.13,No.77,PP.3992-4001,1994などの文献を参照することにより、OX40Lの既知のアミノ酸配列のバリアントを選択することができ、その各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0040】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、以下のアミノ酸配列を含むCSF1Rの細胞外ドメインを含む:
IPVIEPSVPELVVKPGATVTLRCVGNGSVEWDGPPSPHWTLYSDGSSSILSTNNATFQNTGTYRCTEPGDPLGGSAAIHLYVKDPARPWNVLAQEVVVFEDQDALLPCLLTDPVLEAGVSLVRVRGRPLMRHTNYSFSPWHGFTIHRAKFIQSQDYQCSALMGGRKVMSISIRLKVQKVIPGPPALTLVPAELVRIRGEAAQIVCSASSVDVNFDVFLQHNNTKLAIPQQSDFHNNRYQKVLTLNLDQVDFQHAGNYSCVASNVQGKHSTSMFFRVVESAYLNLSSEQNLIQEVTVGEGLNLKVMVEAYPGLQGFNWTYLGPFSDHQPEPKLANATTKDTYRHTFTLSLPRLKPSEAGRYSFLARNPGGWRALTFELTLRYPPEVSVIWTFINGSGTLLCAASGYPQPNVTWLQCSGHTDRCDEAQVLQVWDDPYPEVLSQEPFHKVTVQSLLTVETLEHNQTYECRAHNSVGSGSWAFIPISAGAHTHPPDEFLFTP(配列番号59):
【0041】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、CSF1Rの細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、配列番号59と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。当業者は、例えば、Meyers,et al“Structure-based drug design enables conversion of a DFG-in binding CSF-1R kinase inhibitor to a DFG-out binding mode”、Bioorg.Med.Chem.Lett.20:1543-1547、及びCheng,et al.“Engineering a monomeric variant of macrophage colony-stimulating factor(M-CSF)that antagonizes the c-FMS receptor.”Biochem J.2017 Jul 20;474(15):2601-2617などの文献を参照することにより、CSF1Rの既知のアミノ酸配列のバリアントを選択することができ、その各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0042】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、以下のアミノ酸配列を含むヒトCD40Lの細胞外ドメインを含む:
HRRLDKIEDERNLHEDFVFMKTIQRCNTGERSLSLLNCEEIKSQFEGFVKDIMLNKEETKKENSFEMQKGDQNPQIAAHVISEASSKTTSVLQWAEKGYYTMSNNLVTLENGKQLTVKRQGLYYIYAQVTFCSNREASSQAPFIASLCLKSPGRFERILLRAANTHSSAKPCGQQSIHLGGVFELQPGASVFVNVTDPSQVSHGTGFTSFGLLKL(配列番号60):
【0043】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、CD40Lの細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、バリアントは、配列番号60と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。当業者は、例えば、An,et al.“Crystallographic and Mutational Analysis of the CD40-CD154 Complex and Its Implications for Receptor Activation”,The Journal of Biological Chemistry 286,11226-11235などの文献を参照することにより、CD40Lの既知のアミノ酸配列のバリアントを選択することができ、その各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0044】
任意の本明細書に開示される態様及び実施形態では、キメラタンパク質は、本明細書に開示されるタンパク質配列のうちのいずれかと比較して1つ以上のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含み得る。実施形態では、1つ以上のアミノ酸変異は独立して、置換、挿入、欠失、及び短縮から選択され得る。
【0045】
実施形態では、アミノ酸変異は、アミノ酸置換であり、保存的及び/または非保存的置換を含み得る。「保存的置換」は、例えば、関与するアミノ酸残基の極性、電荷、サイズ、溶解度、疎水性、親水性、及び/または両親媒性の性質の類似性に基づいて行われ得る。20個の天然に存在するアミノ酸は、(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro;及び(6)芳香族:Trp、Tyr、Pheの6つの標準的なアミノ酸グループに分類できる。本明細書で使用される場合、「保存的置換」は、上記の6つの標準的なアミノ酸グループの同じグループ内に列挙される別のアミノ酸によるアミノ酸の交換として定義される。例えば、GluによるAspの交換は、そのように修飾されたポリペプチド内に1つの負電荷を保持する。さらに、グリシン及びプロリンは、α-ヘリックスを破壊するそれらの能力に基づいて互いに置換され得る。本明細書中で使用する場合、「非保存的置換」とは、上記に示した6つの標準アミノ酸グループ(1)~(6)のアミノ酸から異なるグループ内にリストされている別のアミノ酸への交換として定義される。
【0046】
実施形態では、置換はまた、非古典的なアミノ酸も含み得る(例えば、セレノシステイン、ピロリシン、N-ホルミルメチオニンβ-アラニン、GABA及びδ-アミノレブリン酸、4-アミノ安息香酸(PABA)、一般的なアミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコスメ、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えば、βメチルアミノ酸、C α-メチルアミノ酸、N α-メチルアミノ酸、及び一般的なアミノ酸類似体)。
【0047】
変異は、コドン縮重を考慮に入れることを含めて、遺伝コードを参照することによって、キメラタンパク質のヌクレオチド配列に対しても作製することができる。
【0048】
実施形態では、キメラタンパク質は、ネズミリガンド(複数可)/受容体(複数可)と結合することが可能である。
【0049】
実施形態では、キメラタンパク質は、ヒトリガンド(複数可)/受容体(複数可)と結合することが可能である。
【0050】
実施形態では、キメラタンパク質の各細胞外ドメイン(またはそのバリアント)は、約1nM~約5nM、例えば、約1nM、約1.5nM、約2nM、約2.5nM、約3nM、約3.5nM、約4nM、約4.5nM、または約5nMのKでその同族の受容体またはリガンドと結合する。実施形態では、キメラタンパク質は、約5nM~約15nM、例えば、約5nM、約5.5nM、約6nM、約6.5nM、約7nM、約7.5nM、約8nM、約8.5nM、約9nM、約9.5nM、約10nM、約10.5nM、約11nM、約11.5nM、約12nM、約12.5nM、約13nM、約13.5nM、約14nM、約14.5nM、または約15nMのKで同族の受容体またはリガンドと結合する。
【0051】
実施形態では、キメラタンパク質の各細胞外ドメイン(またはそのバリアント)は、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約130nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約55nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、または約5nM、または約1nM未満(例えば、表面プラズモン共鳴または生体層干渉法によって測定される)のKでその同族の受容体またはリガンドと結合する。実施形態では、キメラタンパク質は、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約55pM、約50pM、約45pM、約40pM、約35pM、約30pM、約25pM、約20pM、約15pM、または約10pM、または約1pM未満(例えば、表面プラズモン共鳴または生体層干渉法によって測定される)のKでヒトCSF1と結合する。
【0052】
本明細書で使用される場合、細胞外ドメインのバリアントは、天然の細胞外ドメインの受容体/リガンドと結合することが可能である。例えば、バリアントは、その受容体/リガンドとのその結合親和性に影響を及ぼさない細胞外ドメインの1つ以上の変異を含み得、代替的に、細胞外ドメインにおける1つ以上の変異は、受容体/リガンドに対する結合親和性を改善し得るか、または細胞外ドメインにおける1つ以上の変異は、受容体/リガンドに対する結合親和性を低下させ得るが、結合を完全に排除しない。実施形態では、1つ以上の変異は、細胞外ドメインがその受容体/リガンドと相互作用する結合ポケットの外側に位置する。実施形態では、1つ以上の変異は、変異が結合を完全に排除しない限り、細胞外ドメインがその受容体/リガンドと相互作用する結合ポケットの内側に位置する。受容体-リガンド結合に関する当業者の知識及び当技術分野の知識に基づいて、どの変異が結合を可能にし、どれが結合を排除するかを理解するであろう。
【0053】
実施形態では、キメラタンパク質は、単一ドメイン融合タンパク質または抗体対照と比較して、増強された安定性、高アビディティ結合特性、標的結合の延長されたオフ速度、及びタンパク質半減期を示す。
【0054】
本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、2つを超える細胞外ドメインを含み得る。例えば、キメラタンパク質は、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10つ、またはそれ以上の細胞外ドメインを含み得る。本明細書に開示されるように、第2の細胞外ドメインは、リンカーを介して第3の細胞外ドメインから分離され得る。代替的に、第2の細胞外ドメインは、第3の細胞外ドメインと直接的に連結され得る(例えば、ペプチド結合を介して)。実施形態では、本明細書に開示されるように、キメラタンパク質は、直接的に連結される細胞外ドメイン及びリンカーを介して間接的に連結される細胞外ドメインを含む。
【0055】
本発明のキメラタンパク質及び/または本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、そのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第1のドメイン、及び/またはそのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第2のドメインを有する。これは、細胞外ドメインのリガンド/受容体結合ドメインがそのリガンド/受容体の結合を立体的に妨げられないように、キメラタンパク質及び/または細胞外ドメイン(またはその一部)と残りのキメラタンパク質との間の物理的距離に十分な全体的な柔軟性があることを意味する。この柔軟性及び/または物理的距離(本明細書では「緩み」と称される)は通常、細胞外ドメイン(複数可)に存在し、通常はリンカーに存在し、及び/または通常はキメラタンパク質に(全体として)存在し得る。代替的にまたは追加的に、キメラタンパク質は、立体障害を回避するために必要な追加の緩みを提供する1つ以上の追加のアミノ酸配列(例えば、以下に記載される結合リンカー)または合成リンカー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)リンカー)を含むことによって修飾され得る。
【0056】
リンカー
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、リンカーを含む。
【0057】
実施形態では、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む。少なくとも1つのシステイン残基は、キメラタンパク質の1対(またはそれ以上)の間にジスルフィド結合を形成することが可能である。理論に拘束されることを望まないが、かかるジスルフィド結合形成は、キメラタンパク質の有用な多量体状態を維持する原因となる。これは、キメラタンパク質の効率的な生産を可能とし、それは、インビトロ及びインビボで所望される活性を可能とする。
【0058】
重要なのは、特に、1つ以上のジスルフィド結合を含むリンカー領域における安定性が、安定的に生産可能な多量体状態を維持することができる改善されたキメラタンパク質を提供することである。
【0059】
本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、リンカーは、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、または抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0060】
実施形態では、リンカーは、天然に存在するマルチドメインタンパク質に由来するか、または、例えば、Chichili et al.,(2013),Protein Sci.22(2):153-167、Chen et al.,(2013),Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369に記載されるような経験的なリンカーであり、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。実施形態では、リンカーは、Chen et al.,(2013),Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369、及びCrasto et.al.,(2000),Protein Eng.13(5):309-312に記載されるようなものなどのリンカー設計データベース及びコンピュータプログラムを使用して設計することができ、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
実施形態では、リンカーは、ポリペプチドを含む。実施形態では、ポリペプチドは、約500アミノ酸長、約450アミノ酸長、約400アミノ酸長、約350アミノ酸長、約300アミノ酸長、約250アミノ酸長、約200アミノ酸長、約150アミノ酸長、または約100アミノ酸長未満である。例えば、リンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長未満であり得る。
【0062】
実施形態では、リンカーは、柔軟性である。
【0063】
実施形態では、リンカーは、剛性である。
【0064】
実施形態では、リンカーは、実質的にグリシン及びセリン残基からなる(例えば、約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約97%、または約98%、または約99%、または約100%のグリシン及びセリン)。
【0065】
実施形態では、リンカーは、抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、ならびにIgA1、及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgE)のヒンジ領域を含む。IgG、IgA、IgD、及びIgEクラス抗体に見られるヒンジ領域は、柔軟なスペーサーとして機能し、Fab部分が空間内を自由に移動することを可能とする。定常領域とは対照的に、ヒンジドメインは、構造的に多様であり、免疫グロブリンクラス及びサブクラス間で配列及び長さの両方が異なる。例えば、ヒンジ領域の長さ及び柔軟性は、IgGサブクラス間で異なる。IgG1のヒンジ領域はアミノ酸216~231を包括し、自由に柔軟であるため、Fab断片はその対称軸を中心に回転し、2つの重鎖間ジスルフィド架橋の第1の中心にある球内を移動できる。IgG2は、IgG1よりも短いヒンジを有し、12個のアミノ酸残基及び4個のジスルフィド架橋を有する。IgG2のヒンジ領域は、グリシン残基を欠いており、比較的短く、余分な重鎖間ジスルフィド架橋によって安定化された剛性のポリプロリン二重らせんを含む。これらの特性は、IgG2分子の柔軟性を制限する。IgG3は、62個のアミノ酸(21個のプロリン及び11個のシステインを含む)を含み、柔軟性がないポリプロリン二重らせんを形成する、その固有の拡張ヒンジ領域(IgG1ヒンジの約4倍の長さ)が他のサブクラスと異なる。IgG3では、Fab断片は、Fc断片から比較的離れているため、分子の柔軟性が高まる。IgG3における細長いヒンジは、他のサブクラスと比較してその高分子量の原因でもある。IgG4のヒンジ領域は、IgG1よりも短く、その柔軟性は、IgG1及びIgG2の中間である。ヒンジ領域の柔軟性は、IgG3>IgG1>IgG4>IgG2の順に減少すると報告されている。実施形態では、リンカーは、ヒトIgG4に由来し、二量体形成(S228Pを含む)またはFcRn結合を増強するための1つ以上の変異を含み得る。
【0066】
結晶学的研究によると、免疫グロブリンヒンジ領域は、機能的に、上部ヒンジ領域、コア領域、及び下部ヒンジ領域の3つの領域にさらに細分することができる。Shin et al.,1992 Immunological Reviews130:87を参照されたい。上部ヒンジ領域には、CH1のカルボキシル末端から、動きを制限するヒンジにおける第1の残基、通常は2つの重鎖間に鎖間ジスルフィド結合を形成する第1のシステイン残基までのアミノ酸が含まれる。上部ヒンジ領域の長さは、抗体のセグメントの柔軟性と相関する。コアヒンジ領域には、重鎖間ジスルフィド架橋が含まれ、下部ヒンジ領域には、CH2ドメインのアミノ末端と結合し、CH2の残基が含まれる。(同上。)野生型ヒトIgG1のコアヒンジ領域は、配列CPPC(配列番号24)を含み、これは、ジスルフィド結合形成によって二量体化されると、回転軸として作用すると考えられる環状オクタペプチドをもたらし、したがって柔軟性が与えられる。実施形態では、本発明のリンカーは、任意の抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、ならびにIgA1、及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgE)の上部ヒンジ領域、コア領域、及び下部ヒンジ領域のうちの1つ、2つ、または3つを含む。ヒンジ領域はまた、1つ以上のグリコシル化部位を含み得、これは、炭水化物付着のためのいくつかの構造的に異なる種類の部位を含む。例えば、IgA1は、ヒンジ領域の17個のアミノ酸セグメント内に5つのグリコシル化部位を含み、分泌型免疫グロブリンにとって有利な特性と考えられる、腸のプロテアーゼに対するヒンジ領域ポリペプチドの抵抗性を付与する。実施形態では、本発明のリンカーは、1つ以上のグリコシル化部位を含む。
【0067】
実施形態では、リンカーは、抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、ならびにIgA1、及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgE)のFcドメインを含む。
【0068】
本発明の方法で使用されるキメラタンパク質では、リンカーは、IgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1~配列番号3のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%同一である、例えば、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。実施形態では、リンカーは、1つ以上の結合リンカーを含み、かかる結合リンカーは独立して、配列番号4~配列番号50(またはそのバリアント)から選択される。実施形態では、リンカーは、2つ以上の結合リンカーを含み、各結合リンカーは独立して、配列番号4~配列番号50(またはそのバリアント)から選択され、一方の結合リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインに対してN末端であり、他方の結合リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインに対してC末端である。
【0069】
実施形態では、リンカーは、ヒトIgG1抗体に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、Fcドメインは、新生児Fc受容体(FcRn)に対して増加した親和性及び増強した結合を示す。実施形態では、Fcドメインは、FcRnに対する親和性を増加させ、FcRnとの結合を増強する1つ以上の変異を含む。理論に拘束されることを望まないが、FcRnとの増加した親和性及び増強した結合は、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質のインビボでの半減期を増加させると考えられる。
【0070】
実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、アミノ酸残基250、252、254、256、308、309、311、416、428、433、もしくは434(参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)の場合と同様に、Kabatの番号付けに従って)、またはそれらの同等物での1つ以上のアミノ酸置換を含む。実施形態では、アミノ酸残基250でのアミノ酸置換は、グルタミンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基252でのアミノ酸置換は、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、またはスレオニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基254でのアミノ酸置換は、スレオニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基256でのアミノ酸置換は、セリン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはスレオニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基308でのアミノ酸置換は、スレオニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基309でのアミノ酸置換は、プロリンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基311でのアミノ酸置換は、セリンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基385でのアミノ酸置換は、アルギニン、アスパラギン酸、セリン、スレオニン、ヒスチジン、リジン、アラニン、またはグリシンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基386でのアミノ酸置換は、スレオニン、プロリン、アスパラギン酸、セリン、リジン、アルギニン、イソロイシン、またはメチオニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基387でのアミノ酸置換は、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、またはアラニンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基389でのアミノ酸置換は、プロリン、セリン、またはアスパラギンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基416でのアミノ酸置換は、セリンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基428でのアミノ酸置換は、ロイシンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基433でのアミノ酸置換は、アルギニン、セリン、イソロイシン、プロリン、またはグルタミンによる置換である。実施形態では、アミノ酸残基434でのアミノ酸置換は、ヒスチジン、フェニルアラニン、またはチロシンによる置換である。
【0071】
実施形態では、Fcドメインリンカー(例えば、IgG定常領域を含む)は、アミノ酸残基252、254、256、433、434、または436(参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)の場合と同様に、Kabatの番号付けに従って)での置換などの1つ以上の変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、トリプルM252Y/S254T/T256E変異またはYTE変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、トリプルH433K/N434F/Y436H変異またはKFH変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、YTE及びKFH変異の組み合わせを含む。
【0072】
実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基250、253、307、310、380、428、433、434、及び435(参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)の場合と同様に、Kabatの番号付けに従って)での1つ以上の変異を含むIgG定常領域を含む。例示的な変異には、T250Q、M428L、T307A、E380A、I253A、H310A、M428L、H433K、N434A、N434F、N434S、及びH435Aが含まれる。実施形態では、IgG定常領域は、M428L/N434S変異またはLS変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、T250Q/M428L変異またはQL変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、N434A変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、T307A/E380A/N434A変異またはAAA変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、I253A/H310A/H435A変異またはIHH変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、H433K/N434F変異を含む。実施形態では、IgG定常領域は、M252Y/S254T/T256E及びH433K/N434F変異の組み合わせを含む。
【0073】
IgG定常領域における追加の例示的な変異は、例えば、Robbie,et al.,Antimicrobial Agents and Chemotherapy(2013),57(12):6147-6153、Dall’Acqua et al.,JBC(2006),281(33):23514-24、Dall’Acqua et al.,Journal of Immunology(2002),169:5171-80、Ko et al.Nature(2014)514:642-645、Grevys et al.Journal of Immunology.(2015),194(11):5497-508、及び米国特許第7,083,784号に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
例示的なFc安定化変異体は、S228Pである。例示的なFc半減期延長変異体は、T250Q、M428L、V308T、L309P、及びQ311Sであり、本発明のリンカーは、これらの変異体の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つを含み得る。
【0075】
実施形態では、キメラタンパク質は、高い親和性でFcRnと結合する。実施形態では、キメラタンパク質は、約1nM~約80nMのKでFcRnと結合し得る。例えば、キメラタンパク質は、約1nM、約2nM、約3nM、約4nM、約5nM、約6nM、約7nM、約8nM、約9nM、約10nM、約15nM、約20nM、約25nM、約30nM、約35nM、約40nM、約45nM、約50nM、約55nM、約60nM、約65nM、約70nM、約71nM、約72nM、約73nM、約74nM、約75nM、約76nM、約77nM、約78nM、約79nM、または約80nMのKでFcRnと結合し得る。実施形態では、キメラタンパク質は、約9nMのKでFcRnと結合し得る。実施形態では、キメラタンパク質は、エフェクター機能を有する他のFc受容体(すなわち、FcRn以外)と実質的に結合しない。
【0076】
実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、配列番号1(以下の表1を参照されたい)、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性のアミノ酸配列を有する。実施形態では、変異は、安定性及び/または半減期を増加させるために、配列番号1に対して作製される。例えば、実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、配列番号2(以下の表1を参照されたい)、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性のアミノ酸配列を含む。例えば、実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、配列番号3(以下の表1を参照されたい)、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性のアミノ酸配列を含む。
【0077】
さらに、1つ以上の結合リンカーは、リンカーにおけるFcドメイン(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性であるもののうちの1つ)及び細胞外ドメインを接続するために使用され得る。例えば、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、またはそのバリアントのうちのいずれか1つが、本明細書に開示される細胞外ドメイン、及び本明細書に開示されるリンカーにおけるFcドメインを接続し得る。任意で、配列番号4~配列番号50、またはそのバリアントのうちのいずれか1つは、本明細書に開示される細胞外ドメインと本明細書に開示されるFcドメインとの間に位置する。
【0078】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、以下の表1に開示される結合リンカーのバリアントを含み得る。例えば、リンカーは、配列番号4~配列番号50のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0079】
実施形態では、第1及び第2の結合リンカーは、異なり得るか、またはそれらは、同じであり得る。
【0080】
理論に拘束されることを望まないが、キメラタンパク質においてFcドメインの少なくとも一部を含むリンカーを含めることは、不溶性であり、非機能性の可能性のあるタンパク質連結オリゴマー及び/または凝集体の形成を回避する助けとなる。これは、キメラタンパク質間にジスルフィド結合を形成することが可能であるFcドメイン内にシステインが存在するためである。
【0081】
実施形態では、キメラタンパク質は、本明細書に開示されるように、1つ以上の結合リンカーを含み得、本明細書に開示されるように、Fcドメインリンカーを欠き得る。
【0082】
実施形態では、第1及び/または第2の結合リンカーは独立して、配列番号4~配列番号50のアミノ酸配列から選択され、以下の表1に提供される:
【0083】
【表1-1】
【0084】
【表1-2】
【0085】
実施形態では、結合リンカーは、実質的にグリシン及びセリン残基を含む(例えば、約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約97%、または約98%、または約99%、または約100%のグリシン及びセリン)。例えば、実施形態では、結合リンカーは、(GlySer)であり、ここで、nは、約1~約8、例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8(配列番号25~配列番号32のそれぞれ)である。実施形態では、結合リンカー配列は、GGSGGSGGGGSGGGGS(配列番号33)である。追加の例示的な結合リンカーには、これらに限定されないが、配列LE、(EAAAK)(n=1~3)(配列番号36~配列番号38)、A(EAAAK)A(n=2~5)(配列番号39~配列番号42)、A(EAAAK)ALEA(EAAAK)A(配列番号43)、PAPAP(配列番号44)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号45)、GSAGSAAGSGEF(配列番号46)、及びXが、例えば、Ala、Lys、またはGluなどの任意のアミノ酸を示す、(XP)を有するリンカーが含まれる。実施形態では、結合リンカーは、GGSである。実施形態では、結合リンカーは、配列(Gly)を有し、ここで、nは、1~100の任意の数、例えば、(Gly)(配列番号34)及び(Gly)(配列番号35)である。
【0086】
実施形態では、結合リンカーは、GGGSE(配列番号47)、GSESG(配列番号48)、GSEGS(配列番号49)、GEGGSGEGSSGEGSSSEGGGSEGGGSEGGGSEGGS(配列番号50)、ならびに4アミノ酸間隔ごとにランダムに配置されるG、S、及びEの結合リンカーのうちの1つ以上である。
【0087】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、第1の膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン(ECD)、Fcドメインに先行する1つの結合リンカー、Fcドメインに続く第2の結合リンカー、及び第2の膜貫通タンパク質のECDを含み、キメラタンパク質は、以下の構造を含み得る:
ECD-結合リンカー1-Fcドメイン-結合リンカー2-ECD。
【0088】
第1の結合リンカー、Fcドメインリンカー、及び第2の結合リンカーの組み合わせは、本明細書において「モジュラーリンカー」と称される。実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、表2に示されるようなモジュラーリンカーを含む。
【0089】
【表2-1】
【0090】
【表2-2】
【0091】
【表2-3】
【0092】
【表2-4】
【0093】
【表2-5】
【0094】
【表2-6】
【0095】
【表2-7】
【0096】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、上記の表2に開示されるモジュラーリンカーのバリアントを含み得る。例えば、リンカーは、配列番号51~配列番号56のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0097】
実施形態では、リンカーは、高い柔軟性であることを含むがこれに限定されない柔軟性であり得る。実施形態では、リンカーは、剛性アルファヘリックスを含むがこれに限定されない剛性であり得る。例示的な結合リンカーの特徴を以下の表3に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
実施形態では、リンカーは、機能性であり得る。例えば、限定されないが、リンカーは、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質の折り畳み及び/または安定性を改善し、発現を改善し、薬物動態を改善し、及び/または生物活性を改善するように機能し得る。別の例では、リンカーは、キメラタンパク質を特定の細胞型または位置に標的化するように機能し得る。
【0100】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、1つの結合リンカーのみを含む。
【0101】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、結合リンカーを欠く。
【0102】
実施形態では、リンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)などの合成リンカーである。
【0103】
実施形態では、キメラタンパク質は、そのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第1のドメイン、及び/またはそのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第2のドメインを有する。したがって、細胞外ドメインのリガンド/受容体結合ドメインがそのリガンド/受容体の結合を立体的に妨げられないように、キメラタンパク質及び/または細胞外ドメイン(またはその一部)と残りのキメラタンパク質との間の物理的距離に十分な全体的な柔軟性がある。この柔軟性及び/または物理的距離(「緩み」と称される)は通常、細胞外ドメイン(複数可)に存在し、通常はリンカーに存在し、及び/または通常はキメラタンパク質に(全体として)存在し得る。代替的にまたは追加的に、アミノ酸配列(例えば)は、立体障害を回避するために必要な緩みを提供するために、1つ以上の細胞外ドメイン及び/またはリンカーに追加され得る。緩みを提供する任意のアミノ酸配列が追加され得る。実施形態では、追加されるアミノ酸配列は、配列(Gly)を含み、ここで、nは、1~100の任意の数である。追加可能なアミノ酸配列の追加の例には、表1及び表3に記載される結合リンカーが含まれる。実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)リンカーは、立体障害を回避するために必要な緩みを提供するために、細胞外ドメインとリンカーとの間に追加され得る。かかるPEGリンカーは、当技術分野において周知である。
【0104】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、PD-1の一部を含む第1のドメイン、OX40Lの一部を含む第2のドメイン、及びリンカーを含む。実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、例えば、IgG1から、またはヒトIgG1またはIgG4を含むIgG4からのヒンジCH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。したがって、実施形態では、本発明の方法で使用される異種キメラタンパク質が、PD-1の細胞外ドメイン(またはそのバリアント)、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含むリンカー、及びOX40Lの細胞外ドメイン(またはそのバリアント)を含む場合、それは本明細書において「PD-1-Fc-OX40L」と称され得る。
【0105】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、CSF1Rの一部を含む第1のドメイン、CD40Lの一部を含む第2のドメイン、及び領域リンカーを含む。実施形態では、領域リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。実施形態では、領域リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fc領域を含む。実施形態では、領域リンカーは、例えば、IgG1から、またはヒトIgG1またはIgG4を含むIgG4からのヒンジCH2-CH3 Fc領域を含む。実施形態では、領域リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。したがって、実施形態では、本発明の方法で使用される異種キメラタンパク質が、CSF1Rの細胞外領域(またはそのバリアント)、ヒンジ-CH2-CH3 Fc領域を含む領域リンカー、及びCD40Lの細胞外領域(またはそのバリアント)を含む場合、それは本明細書において「CSF1R-Fc-CD40L」と称され得る。
【0106】
疾患、治療法、及び作用機序
本方法は、有効量の免疫チェックポイント分子に指向する少なくとも1つの抗体、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニスト、及び/または各キメラタンパク質が免疫阻害シグナルを遮断し、及び/または免疫活性化シグナルを刺激することが可能である、1つ以上のキメラタンパク質を、それを必要とする対象に投与する(同時にまたは連続的に)ステップを含む。
【0107】
免疫応答を増大するため、例えば、患者の抗腫瘍免疫応答を増強するために、免疫抑制性シグナルの伝達を妨害、遮断、減少、阻害、及び/または隔離し、同時にまたは同時期に抗がん免疫細胞への免疫刺激シグナルの伝達を増強、増加、及び/または刺激することが多くの場合に所望される。
【0108】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、免疫応答の振幅を調節すること、例えば、エフェクター出力のレベルを調節することが可能であるか、またはそれを含む方法で使用することができる。
【0109】
実施形態では、例えば、がんの治療に使用される場合、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、免疫阻害と比較して免疫刺激の程度を改変し、サイトカイン産生、増殖、または標的を殺傷する潜在性のレベルの増加を刺激することを含むが、これらに限定されないT細胞応答の振幅を増加させる。実施形態では、患者のT細胞は、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質によって、活性化及び/または刺激され、活性化T細胞がサイトカインを分離及び/または分泌することを可能とする。
【0110】
がんまたは腫瘍は、細胞の非制御な成長及び/または細胞生存の異常な増加及び/または身体の器官及びシステムの正常な機能を妨げるアポトーシスの阻害を指す。良性及び悪性がん、ポリープ、過形成、ならびに休止状態の腫瘍または微小転移巣が含まれる。また、免疫系によって妨げられない異常な増殖を有する細胞(例えば、ウイルス感染細胞)も含まれる。がんは、原発性癌または転移性癌であり得る。原発性癌は、臨床的に検出可能となる発生部位での領域のがん細胞であり得、原発性腫瘍であり得る。対照的に、転移性癌は、ある器官または部分から別の隣接していない器官または部分への疾患の拡散であり得る。転移性癌は、局所領域の周囲の正常組織に浸透して浸潤する能力を獲得し、局所転移であり得る新しい腫瘍を形成するがん細胞によって引き起こされ得る。がんはまた、リンパ管及び/または血管の壁を貫通する能力を獲得するがん細胞によって引き起こされ得、その後、がん細胞は血流を通して循環し(それによって循環腫瘍細胞となる)、体内の他の部位及び組織に循環することが可能である。がんは、リンパ系または血行性拡散などのプロセスが原因となり得る。がんはまた、別の部位で静止し、管または壁を通って再浸透し、増殖し続け、別の臨床的に検出可能な腫瘍を最終的に形成する腫瘍細胞によって引き起こされ得る。がんは、この新しい腫瘍であり得、転移性(または続発性)腫瘍であり得る。
【0111】
がんは、転移した腫瘍細胞によって引き起こされ得、これは続発性または転移性腫瘍であり得る。腫瘍の細胞は、元の腫瘍のものの様であり得る。例として、乳癌または結癌が肝臓に転移した場合、二次腫瘍は肝臓に存在するが、異常な肝臓細胞ではなく、異常な乳癌または結腸細胞で構成される。したがって、肝臓における腫瘍は、肝臓癌ではなく、転移性乳癌または転移性結腸癌であり得る。
【0112】
がんは、任意の組織が起源であり得る。がんは、黒色腫、結腸、乳房、または前立腺起源であり得、したがって、がんは、元々皮膚、結腸、乳房、または前立腺組織であった細胞をそれぞれ含み得る。がんはまた、白血病またはリンパ腫であり得る、血液学的悪性腫瘍であり得る。がんは、肝臓、肺、膀胱、または腸などの組織に浸潤し得る。
【0113】
本発明の代表的ながん及び/または腫瘍には、これらに限定されないが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群が含まれる。
【0114】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、治療抵抗性癌を有する対象を治療する。実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、1つ以上の免疫調節剤に対して抵抗性である対象を治療する。例えば、実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、約12週間の治療後、治療に応答しない、または進展しない対象を治療する。例えば、実施形態では、対象は、PD-1及び/またはPD-L1及び/またはPD-L2剤に抵抗性であり得、例えば、ニボルマブ(ONO-4538/BMS-936558、MDX1106、OPDIVO、BRISTOL MYERS SQUIBB)、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA、MERCK)、MK-3475(MERCK)、BMS 936559(BRISTOL MYERS SQUIBB)、イブルチニブ(PHARMACYCLICS/ABBVIE)、アテゾリズマブ(TECENTRIQ、GENENTECH)、及び/またはMPDL328OA(ROCHE)抵抗性患者が含まれる。例えば、実施形態では、対象は、抗CTLA-4剤に抵抗性であり、例えば、イピリムマブ(YERVOY)-抵抗性患者(例えば、黒色腫患者)である。したがって、実施形態では、本発明は、1つ以上の免疫調節剤の単剤療法を含む、様々な療法に非応答性である患者を救済するがん治療の方法を提供する。
【0115】
実施形態では、本発明は、腫瘍微小環境内の細胞または組織を標的とする免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質を提供する。実施形態では、腫瘍微小環境内の細胞または組織は、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質の1つ以上の標的または結合パートナーを発現する。腫瘍微小環境は、腫瘍が存在する細胞、分泌タンパク質、生理学的小分子、及び血管を含む細胞環境を指す。実施形態では、腫瘍微小環境内の細胞または組織は、腫瘍血管系、腫瘍浸潤リンパ球、線維芽細網細胞、内皮前駆細胞(EPC)、がん関連線維芽細胞、周皮細胞、他の間質細胞、細胞外マトリックス(ECM)の成分、樹状細胞、抗原提示細胞、T細胞、制御性T細胞、マクロファージ、好中球、及び腫瘍の近位に位置する他の免疫細胞のうちの1つ以上である。実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、がん細胞を標的とする。実施形態では、がん細胞は、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質の1つ以上の標的または結合パートナーを発現する。
【0116】
実施形態では、本発明の方法は、追加の薬剤に抵抗性である患者において、免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質による治療を提供し、本明細書の他の場所に開示されているかかる「追加の薬剤」は、本明細書に開示される様々な化学療法剤を含むがこれに限定されない。
【0117】
制御性T細胞の活性化は、共刺激及び共抑制性シグナルによって決定的に影響を受ける。共刺激分子の2つの主要なファミリーには、B7及び腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーが含まれる。これらの分子は、それぞれCD28またはTNF受容体ファミリーに属するT細胞上の受容体と結合する。多くの明確に定義された共阻害剤及びその受容体は、B7及びCD28ファミリーに属する。
【0118】
実施形態では、免疫刺激シグナルは、免疫応答を増強するシグナルを指す。例えば、腫瘍学の脈絡では、かかるシグナルは、抗腫瘍免疫を強化し得る。例えば、限定されないが、免疫刺激シグナルは、白血球の増殖、サイトカイン産生、殺傷活性、または食作用活性を直接的に刺激することによって特定され得る。詳細な例には、受容体アゴニスト抗体またはかかる受容体(OX40L、LIGHT、CD70、CD30L、4-1BBL、TL1Aのそれぞれ)のリガンドを含むキメラタンパク質のいずれかを使用する、OX40、LTbR、CD27、CD30、4-1BB、またはTNFRSF25などのTNFスーパーファミリー受容体の直接的な刺激が含まれる。これらの受容体のうちのいずれか1つからの刺激は、個々のT細胞サブセットの増殖及びサイトカイン産生を直接的に刺激し得る。別の例には、かかる免疫抑制細胞の活性を阻害する受容体を介した免疫阻害細胞の直接的な刺激が含まれる。これには、例えば、GITRアゴニスト抗体またはキメラタンパク質を含むGITRLによるCD4+FoxP3+制御性T細胞の刺激が含まれ、これは、制御性T細胞が従来のCD4+またはCD8+T細胞の増殖を抑制する能力を減少させる。別の例では、これには、CD40アゴニスト抗体またはCD40Lを含むキメラタンパク質を使用する抗原提示細胞の表面上でのCD40の刺激が含まれ、B7またはTNFスーパーファミリーにおけるものを含む適切な天然共刺激分子との関連で抗原を提示するそれらの細胞の増強された能力を含む抗原提示細胞の活性化を引き起こす。別の例では、これには、キメラタンパク質を含むLIGHTを使用するリンパ球または間質細胞の表面上でのLTBRの刺激が含まれ、リンパ系細胞の活性化及び/または炎症誘発性サイトカインもしくはケモカインの産生を引き起こし、任意に腫瘍内で免疫応答をさらに刺激する。
【0119】
実施形態では、免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、免疫調節を増強、回復、促進、及び/または刺激することが可能であるか、またはそれらを含む方法での使用を見出す。実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、B細胞、及び樹状細胞を含むがこれらに限定されない腫瘍細胞に指向する1つ以上の免疫細胞の活性または活性化を回復、促進、及び/または刺激する。実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、非限定的な例として、生存促進シグナル、オートクリンもしくはパラクリン成長シグナル、p38 MAPK、ERK、STAT、JAK、AKT、もしくはPI3Kを媒介したシグナル、抗アポトーシスシグナル、及び/または炎症誘発性サイトカイン産生もしくはT細胞遊走もしくはT細胞腫瘍浸潤のうちの1つ以上を促進する及び/またはそれに必要とするシグナルを含む、1つ以上のT細胞固有シグナルを活性化及び/または刺激することを含む、T細胞の活性及び/または活性化を増強、回復、促進、及び/または刺激する。
【0120】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、腫瘍または腫瘍微小環境へのT細胞(これらに限定されないが、細胞傷害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞を含む)、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、樹状細胞、単球、及びマクロファージ(例えば、M1及びM2のうちの1つ以上)のうちの1つ以上の増加を引き起こすことが可能であるか、またはそれを含む方法での使用を見出す。実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、CD8+T細胞、特に腫瘍微小環境に浸潤しているT細胞による腫瘍抗原の認識を増強する。実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、CD19発現を誘導する、及び/またはCD19陽性細胞(例えば、CD19陽性B細胞)の数を増加させる。実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、IL-15Rα発現を誘導する、及び/またはIL-15Rα陽性細胞(例えば、IL-15Rα陽性樹状細胞)の数を増加させる。
【0121】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、特に腫瘍及び/または腫瘍微小環境(TME)内で、免疫抑制細胞(例えば、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、制御性T細胞(Treg)、腫瘍関連好中球(TAN)、M2マクロファージ、及び腫瘍関連マクロファージ(TAM))の低減を阻害及び/または引き起こすことが可能であるか、またはそれらを含む方法での使用を見出す。実施形態では、本療法は、腫瘍部位及び/またはTMEにおけるM1対M2マクロファージの比率を改変し、M1マクロファージを支持することができる。
【0122】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、IFNγ、TNFα、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-13、IL-15、IL-17A、IL-17F、IL-22、CCL2、CCL3、CCL4、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、及びCXCL12のうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない様々なサイトカインまたはケモカインの血清レベルを増加させることが可能である。実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、治療対象の血清中のIL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-13、IL-17A、IL-22、TNFα、またはIFNγを増強することが可能である。実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質を投与することは、TNFα分泌を増強することが可能である。特定の実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質を投与することは、白血球によるスーパー抗原を媒介したTNFα分泌を増強することが可能である。かかるサイトカイン応答の検出は、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する示される抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質のための最適な投与レジメンを決定するための方法を提供し得る。
【0123】
本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、CD4+及び/またはCD8+T細胞の亜集団の低減を増加または防止することが可能である。
【0124】
本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、T細胞による腫瘍殺傷活性を増強することが可能である。
【0125】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、抗腫瘍CD8+及び/またはCD4+T細胞の細胞死を阻害、遮断、及び/または減少させる、あるいは腫瘍誘導性T細胞の細胞死を刺激、誘導、及び/または増加させる。T細胞枯渇は、増殖及びエフェクター機能の進行性の喪失を特徴とするT細胞機能不全の状態であり、クローン欠失に至る。したがって、腫瘍誘導性T細胞は、多くの慢性感染症、炎症性疾患、及びがんの間に生じるT細胞機能不全の状態を指す。この機能不全は、機能的エフェクターまたはメモリーT細胞とは異なる不十分な増殖、及び/またはエフェクター機能、阻害性受容体の持続的発現、及び転写状態によって定義される。消耗は、感染及び腫瘍の最適な制御を妨げる。例示的な腫瘍誘導性T細胞には、これらに限定されないが、Treg、1つ以上のチェックポイント阻害性受容体を発現するCD4+及び/またはCD8+T細胞、Th2細胞、ならびにTh17細胞が含まれる。チェックポイント阻害性受容体は、非制御な免疫応答を防止または阻害する免疫細胞に発現する受容体を指す。対照的に、抗腫瘍CD8+及び/またはCD4+T細胞は、腫瘍に対する免疫応答を開始できるT細胞を指す。
【0126】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、エフェクターT細胞と制御性T細胞との比率を増加させることが可能であり、それを含む方法で使用することができる。例示的なエフェクターT細胞には、ICOSエフェクターT細胞、細胞傷害性T細胞(例えば、αβ TCR、CD3、CD8、CD45RO)、CD4エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3、CD4、CCR7、CD62L高、IL-7R/CD127)、CD8エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3、CD8、CCR7、CD62L高、IL-7R/CD127)、エフェクターメモリーT細胞(例えば、CD62L低、CD44、TCR、CD3、IL-7R/CD127、IL-15R、CCR7低)、セントラルメモリーT細胞(例えば、CCR7、CD62L、CD27、またはCCR7高、CD44、CD62L高、TCR、CD3、IL-7R/CD127、IL-15R)、CD62LエフェクターT細胞、初期エフェクターメモリーT細胞(CD27 CD62L)及び後期エフェクターメモリーT細胞(CD27 CD62L)(それぞれTemE及びTemL)を含むCD8エフェクターメモリーT細胞(TEM)、CD127()CD25(低/)エフェクターT細胞、CD127()CD25()エフェクターT細胞、CD8+幹細胞メモリーエフェクター細胞(TSCM)(例えば、CD44(低)CD62L(高)CD122(高)sca())、TH1エフェクターT細胞(例えば、CXCR3、CXCR6、及びCCR5、またはαβ TCR、CD3、CD4、IL-12R、IFNγR+、CXCR3+)、TH2エフェクターT細胞(例えば、CCR3+、CCR4、及びCCR8、またはαβ TCR、CD3、CD4、IL-4R、IL-33R、CCR4、IL-17RB、CRTH2)、TH9エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3、CD4)、TH17エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3、CD4、IL-23R、CCR6、IL-1R)、CD4CD45ROCCR7エフェクターT細胞、CD4CD45ROCCR7()エフェクターT細胞、ならびにIL-2、IL-4、及び/またはIFN-γを分泌するエフェクターT細胞が含まれる。例示的な制御性T細胞には、ICOS制御性T細胞、CD4CD25FOXP3制御性T細胞、CD4CD25制御性T細胞、CD4CD25制御性T細胞、CD4CD25高制御性T細胞、TIM-3PD-1制御性T細胞、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)制御性T細胞、CTLA-4/CD152制御性T細胞、ニューロピリン-1(Nrp-1)制御性T細胞、CCR4CCR8制御性T細胞、CD62L(L-セレクチン)制御性T細胞、CD45RB低制御性T細胞、CD127低制御性T細胞、LRRC32/GARP制御性T細胞、CD39制御性T細胞、GITR制御性T細胞、LAP制御性T細胞、1B11制御性T細胞、BTLA制御性T細胞、1型制御性T細胞(Tr1細胞)、Tヘルパー3型(Th3)細胞、ナチュラルキラーT細胞表現型(NKTreg)の制御性細胞、CD8制御性T細胞、CD8CD28制御性T細胞、及び/またはIL-10、IL-35、TGF-β、TNF-α、ガレクチン-1、IFN-γ、及び/またはMCP1を分泌する制御性T細胞が含まれる。
【0127】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、エフェクターT細胞(例えば、CD4+CD25-T細胞)の増加を引き起こす。
【0128】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、制御性T細胞(例えば、CD4+CD25+T細胞)の低減を引き起こす。
【0129】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、再発を防止するか、もしくは動物を再発から保護すること、及び/または転移を防止するか、もしくは転移の可能性を減少させることができる記憶応答を生成する。したがって、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質により治療した動物は、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質による初期の治療後に再負荷した場合、後に腫瘍細胞を攻撃する、及び/または腫瘍発生を防ぐことが可能である。したがって、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、活性な腫瘍破壊、及びさらに腫瘍抗原の免疫認識の両方を刺激し、これらは、再発を防ぐことが可能である記憶応答をプログラミングするのに不可欠である。
【0130】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、抗原提示細胞の活性化を引き起こすことが可能である。実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、抗原提示細胞が抗原を提示する能力を増強することが可能である。
【0131】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、エフェクターT細胞を約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、または約96時間、または約1週間、または約2週間より長く一過性に刺激することが可能であり、それを含む方法で使用することができる。実施形態では、エフェクターT細胞の一過性の刺激は実質的に、患者の血流、または例えば、骨髄、リンパ節、脾臓、胸腺、粘膜関連リンパ組織(MALT)などのリンパ組織、非リンパ組織、もしくは腫瘍微小環境を含む特定の組織/位置で生じる。
【0132】
本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は予想外に、細胞外ドメイン成分のそのそれぞれの結合パートナーとの結合を遅いオフ速度(KdまたはKオフ)で提供する。実施形態では、これは、受容体とリガンド、及びその逆の予想外に長い相互作用を提供する。かかる効果は、より長い正のシグナル効果、例えば、免疫刺激シグナルの増加または活性化を可能にする。例えば、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、例えば、長いオフ速度結合を介して、免疫細胞増殖を提供するのに十分なシグナル伝達を可能とし、抗腫瘍攻撃を可能とし、刺激シグナル、例えばサイトカインの放出を提供するのに十分なシグナル伝達を可能とする。
【0133】
本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、細胞間で安定性シナプスを形成することが可能である。キメラタンパク質によって促進される細胞の安定性シナプス(例えば、負のシグナルを保有する細胞間)は、腫瘍細胞を攻撃するようにT細胞を配置する、及び/またはキメラタンパク質によって遮蔽されたものを超える負のシグナルを含む負のシグナルを腫瘍細胞が送達するのを立体的に防ぐなど、腫瘍の縮小に有利な空間的配向を提供する。実施形態では、これは、キメラタンパク質の血清半減期(t1/2)と比較して、より長い標的上の(例えば、腫瘍内)t1/2を提供する。かかる特性は、キメラタンパク質の全身的な分布に関連する標的外毒性を減少させるという複合的な利点を有する可能性がある。
【0134】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、持続的な免疫調節効果を提供することが可能である。
【0135】
本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、2つの免疫療法剤の部位特異的相互作用を改善できるため、相乗的な治療効果(例えば、抗腫瘍効果)を提供する。実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、オフサイト及び/または全身的な毒性を減少させる可能性を提供する。
【0136】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、増強された安全性プロファイルを示す。一実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、減少した毒性プロファイルを示す。例えば、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質の投与は、下痢、炎症(例えば、腸の)、体重低下のうちの1つ以上などの副作用の減少をもたらし得、これらは、本発明の方法で使用される本発明の方法で使用されるキメラタンパク質の細胞外ドメインによって標的化されるリガンド(複数可)/受容体(複数可)に指向する抗体の投与後に生じる。実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、有効性を犠牲にすることなく、本発明の方法で使用される本発明の方法で使用されるキメラタンパク質の細胞外ドメインによって標的化されるリガンド(複数可)/受容体(複数可)に指向する抗体と比較して、改善した安全性を提供する。
【0137】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、現在の免疫療法、例えば、本発明の方法で使用される本発明の方法で使用されるキメラタンパク質の細胞外ドメインによって標的化されるリガンド(複数可)/受容体(複数可)に指向する抗体と比較して、減少した副作用、例えば、GI合併症を提供する。例示的なGI合併症には、腹痛、食欲不振、自己免疫効果、便秘、痙攣、脱水症、下痢、食事の問題、倦怠感、鼓腸、腹部における流体すなわち腹水、胃腸(GI)腸内毒素症、GI粘膜炎、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群(IBS-D及びIBS-C)、悪心、疼痛、便もしくは尿の変化、潰瘍性大腸炎、嘔吐、流体保持による体重増加、及び/または脱力感が含まれる。
【0138】
治療方法
様々な態様では、本発明は、がん免疫療法に有用な組成物及び方法を提供する。例えば、本発明は、部分的に、各キメラタンパク質が免疫阻害シグナルを遮断及び/または免疫活性化シグナルを刺激することが可能である2つのキメラタンパク質を投与する(同時にまたは連続的に)ことを含む、がんを治療するための方法に関する。
【0139】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)と結合することが可能である抗体を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、免疫療法を含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。免疫療法は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される。
【0140】
実施形態では、第1の薬学的組成物及び第2の薬学的組成物は同時に提供されるか、または第1の薬学的組成物は第2の薬学的組成物が提供された後に提供されるか、または第1の薬学的組成物は第2の薬学的組成物が提供される前に提供される。
【0141】
実施形態では、第1の薬学的組成物の用量が、第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第1の薬学的組成物の用量よりも少ないか、または提供される第2の薬学的組成物の用量が、第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第2の薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0142】
実施形態では、対象が、第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症及び体重低下を伴わない増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0143】
実施形態では、対象は、第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0144】
実施形態では、免疫療法は、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)一部CSF1Rを含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0145】
実施形態では、免疫療法は、実質的にPD-1の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)PD-1の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0146】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0147】
実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0148】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体は、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206;MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0149】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0150】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。実施形態では、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0151】
本発明の別の態様は、免疫療法を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、対象においてがんを治療するための方法を提供する。免疫療法は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される。別の態様では、対象は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0152】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0153】
実施形態では、対象は、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0154】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0155】
実施形態では、免疫療法は、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)一部CSF1Rを含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0156】
実施形態では、免疫療法は、実質的にPD-1の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)PD-1の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0157】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0158】
実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0159】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体は、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206;MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0160】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0161】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。実施形態では、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0162】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)と結合することが可能である抗体を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される免疫療法による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0163】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量は、(i)もしくは(ii)から選択される免疫療法による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0164】
実施形態では、免疫療法は、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)一部CSF1Rを含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0165】
実施形態では、免疫療法は、実質的にPD-1の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)PD-1の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0166】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0167】
実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0168】
実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体は、YERVOY(イピリムマブ)、9D9、トレメリムマブ(旧チシリムマブ、CP-675,206;MedImmune)、AGEN1884、及びRG2077からなる群から選択される。
【0169】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0170】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。実施形態では、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、ピディリズマブ(CT 011、Cure Tech)、RMP1-14、AGEN2034(Agenus)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0171】
本発明の一態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、免疫療法を含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。免疫療法は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される。
【0172】
実施形態では、第1の薬学的組成物及び第2の薬学的組成物は同時に提供されるか、または第1の薬学的組成物は第2の薬学的組成物が提供された後に提供されるか、または第1の薬学的組成物は第2の薬学的組成物が提供される前に提供される。
【0173】
実施形態では、第1の薬学的組成物の用量が、第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第1の薬学的組成物の用量よりも少ないか、または提供される第2の薬学的組成物の用量が、第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第2の薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0174】
実施形態では、対象が、第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症及び体重低下を伴わない増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0175】
実施形態では、対象は、第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0176】
実施形態では、免疫療法は、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)一部CSF1Rを含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0177】
実施形態では、免疫療法は、実質的にPD-1の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)PD-1の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0178】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0179】
実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0180】
実施形態では、STINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、IMSA101、及びUS2014/0341976、US2018/0028553、US2018/0230178、US9549944、WO2015/185565、WO2016/120305、WO2017/044622、WO2017/027645、WO2017/027646、WO2017/093933、WO2017/106740、WO2017/123657、WO2017/123669、WO2017/161349、WO2017/175147、WO2017/175156、WO2017/176812、WO2018/009466、WO2018/045204、WO2018/060323、WO2018/098203、WO2018/100558、WO2018/138684、WO2018/138685、WO2018/152450、WO2018/152453、WO2018/172206、WO2018/198084、WO2018/234805、WO2018/234807、WO2018/234808、WO2019/023459、WO2019/046496、WO2019/046498、WO2019/046500、WO2019/074887、WO2019/079261、WO2019/118839、WO2019/125974、またはWO2019/160884に記載される任意のSTINGアゴニストからなる群から選択され、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0181】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0182】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。実施形態では、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0183】
本発明の別の態様は、免疫療法を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、対象においてがんを治療するための方法を提供する。免疫療法は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される。この態様では、対象は、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストによる治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0184】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0185】
実施形態では、対象は、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0186】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0187】
実施形態では、免疫療法は、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)一部CSF1Rを含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0188】
実施形態では、免疫療法は、実質的にPD-1の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)PD-1の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0189】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0190】
実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0191】
実施形態では、STINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、IMSA101、及びUS2014/0341976、US2018/0028553、US2018/0230178、US9549944、WO2015/185565、WO2016/120305、WO2017/044622、WO2017/027645、WO2017/027646、WO2017/093933、WO2017/106740、WO2017/123657、WO2017/123669、WO2017/161349、WO2017/175147、WO2017/175156、WO2017/176812、WO2018/009466、WO2018/045204、WO2018/060323、WO2018/098203、WO2018/100558、WO2018/138684、WO2018/138685、WO2018/152450、WO2018/152453、WO2018/172206、WO2018/198084、WO2018/234805、WO2018/234807、WO2018/234808、WO2019/023459、WO2019/046496、WO2019/046498、WO2019/046500、WO2019/074887、WO2019/079261、WO2019/118839、WO2019/125974、またはWO2019/160884に記載される任意のSTINGアゴニストからなる群から選択され、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0192】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0193】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。実施形態では、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、ピディリズマブ(CT 011、Cure Tech)、RMP1-14、AGEN2034(Agenus)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0194】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストを含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(i)(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、及び(ii)(a)一部が、PD-1リガンドと結合することが可能である、PD-1の細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、OX40L受容体と結合することが可能である、OX40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質、から選択される免疫療法による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0195】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量は、(i)もしくは(ii)から選択される免疫療法による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0196】
実施形態では、免疫療法は、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)一部CSF1Rを含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0197】
実施形態では、免疫療法は、実質的にPD-1の細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にOX40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む、異種キメラタンパク質を含む。実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)PD-1の一部を含む、第1のドメインと、(b)OX40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0198】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0199】
実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0200】
実施形態では、STINGアゴニストは、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、MIW815(ADU-S100)、CRD5500、MK-1454、SB11285、IMSA101、及びUS2014/0341976、US2018/0028553、US2018/0230178、US9549944、WO2015/185565、WO2016/120305、WO2017/044622、WO2017/027645、WO2017/027646、WO2017/093933、WO2017/106740、WO2017/123657、WO2017/123669、WO2017/161349、WO2017/175147、WO2017/175156、WO2017/176812、WO2018/009466、WO2018/045204、WO2018/060323、WO2018/098203、WO2018/100558、WO2018/138684、WO2018/138685、WO2018/152450、WO2018/152453、WO2018/172206、WO2018/198084、WO2018/234805、WO2018/234807、WO2018/234808、WO2019/023459、WO2019/046496、WO2019/046498、WO2019/046500、WO2019/074887、WO2019/079261、WO2019/118839、WO2019/125974、またはWO2019/160884に記載される任意のSTINGアゴニストからなる群から選択され、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0201】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0202】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。実施形態では、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0203】
本発明の態様は、治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、第1の薬学的組成物を対象に提供することと、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む、第2の薬学的組成物を対象に提供することと、を含む、方法を提供する。
【0204】
実施形態では、第1の薬学的組成物及び第2の薬学的組成物は同時に提供されるか、または第1の薬学的組成物は第2の薬学的組成物が提供された後に提供されるか、または第1の薬学的組成物は第2の薬学的組成物が提供される前に提供される。
【0205】
実施形態では、第1の薬学的組成物の用量が、第2の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第1の薬学的組成物の用量よりも少ないか、または提供される第2の薬学的組成物の用量が、第1の薬学的組成物による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される第2の薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0206】
実施形態では、対象が、第1の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症及び体重低下を伴わない増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0207】
実施形態では、対象は、第2の薬学的組成物による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0208】
実施形態では、異種キメラタンパク質が、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む。
【0209】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0210】
実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0211】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)CSF1Rの一部を含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0213】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。実施形態では、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、ピディリズマブ(CT 011、Cure Tech)、RMP1-14、AGEN2034(Agenus)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0214】
本発明の別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む異種キメラタンパク質を含む、薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0215】
実施形態では、対象に提供される薬学的組成物の用量が、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療を受けたことがないか、または受けていない対象に提供される薬学的組成物の用量よりも少ない。
【0216】
実施形態では、対象は、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療のみを受けたことがあるか、またはそれのみを受けている対象と比較した場合、胃腸の炎症もしくは体重低下の非存在下での増加した生存の見込み、及び/または減少した腫瘍サイズもしくはがん有病率を有する。
【0217】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。
【0218】
実施形態では、異種キメラタンパク質が、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む。
【0219】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0220】
実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0221】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)CSF1Rの一部を含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0223】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。実施形態では、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0224】
本発明のさらに別の態様は、対象においてがんを治療するための方法であって、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体を含む薬学的組成物を対象に提供することを含む、方法を提供する。この態様では、対象は、(a)一部が、CSF1Rリガンドと結合することが可能である、CSF1Rの細胞外ドメインの一部を含む、第1のドメインと、(b)一部が、CD40L受容体と結合することが可能である、CD40Lの細胞外ドメインの一部を含む、第2のドメインと、(c)第1のドメイン及び第2のドメインを連結するリンカーと、を含む、異種キメラタンパク質による治療を受けたことがあるか、または受けている。
【0225】
実施形態では、異種キメラタンパク質が、実質的にCSF1Rの細胞外ドメイン全体を含む第1のドメイン、及び/または実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む第2のドメインを含む。
【0226】
実施形態では、リンカーが、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、及び抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0227】
実施形態では、リンカーが、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーが、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0228】
実施形態では、異種キメラタンパク質は、(a)CSF1Rの一部を含む、第1のドメインと、(b)CD40Lの一部を含む、第2のドメインと、(c)ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、リンカーと、を含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、がんが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞腫、上皮内腫瘍、腎臓もしくは腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮もしくは子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫に関連する異常な血管増殖(脳腫瘍に関連するものなど)、及びメグズ症候群であるか、またはそれと関連する。
【0230】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。実施形態では、がんが、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性である。実施形態では、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体は、ニボルマブ(ONO 4538、BMS 936558、MDX1106、OPDIVO(Bristol Myers Squibb))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA/MK 3475、Merck)、及びセミプリマブ((REGN-2810)からなる群から選択される。
【0231】
実施形態では、対象に、PD-1-Fc-OX40L、及び細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)と結合することが可能である抗体が投与される。実施形態では、対象に、PD-1-Fc-OX40Lが投与され、それに次いでCTLA-4と結合することが可能である抗体が投与される。実施形態では、対象に、CTLA-4と結合することが可能である抗体が投与され、それに次いでPD-1-Fc-OX40Lが投与される。実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている対象に、PD-1-Fc-OX40Lが投与される。実施形態では、PD-1-Fc-OX40Lによる治療を受けたことがあるか、または受けている対象に、CTLA-4と結合することが可能である抗体が投与される。
【0232】
実施形態では、対象に、PD-1-Fc-OX40L、及びインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストが投与される。実施形態では、対象に、PD-1-Fc-OX40Lが投与され、それに次いでSTINGアゴニストが投与される。実施形態では、対象に、STINGアゴニストが投与され、それに次いでPD-1-Fc-OX40Lが投与される。実施形態では、STINGアゴニストによる治療を受けたことがあるか、または受けている対象に、PD-1-Fc-OX40Lが投与される。実施形態では、PD-1-Fc-OX40Lによる治療を受けたことがあるか、または受けている対象に、STINGアゴニストが投与される。
【0233】
実施形態では、対象に、CSF1R-Fc-CD40L、及び細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)と結合することが可能である抗体が投与される。実施形態では、対象に、CSF1R-Fc-CD40Lが投与され、それに次いでCTLA-4と結合することが可能である抗体が投与される。実施形態では、対象に、CTLA-4と結合することが可能である抗体が投与され、それに次いでCSF1R-Fc-CD40Lが投与される。実施形態では、CTLA-4と結合することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている対象に、CSF1R-Fc-CD40Lが投与される。実施形態では、CSF1R-Fc-CD40Lによる治療を受けたことがあるか、または受けている対象に、CTLA-4と結合することが可能である抗体が投与される。
【0234】
実施形態では、対象に、CSF1R-Fc-CD40L、及びインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストが投与される。実施形態では、対象に、CSF1R-Fc-CD40Lが投与され、それに次いでSTINGアゴニストが投与される。実施形態では、対象に、STINGアゴニストが投与され、それに次いでCSF1R-Fc-CD40Lが投与される。実施形態では、STINGアゴニストによる治療を受けたことがあるか、または受けている対象に、CSF1R-Fc-CD40Lが投与される。実施形態では、CSF1R-Fc-CD40Lによる治療を受けたことがあるか、または受けている対象に、STINGアゴニストが投与される。
【0235】
実施形態では、対象に、CSF1R-Fc-CD40L、及びPD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体が投与される。実施形態では、対象に、CSF1R-Fc-CD40Lが投与され、それに次いでPD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体が投与される。実施形態では、対象に、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体が投与され、それに次いでCSF1R-Fc-CD40Lが投与される。実施形態では、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体による治療を受けたことがあるか、または受けている対象に、CSF1R-Fc-CD40Lが投与される。実施形態では、CSF1R-Fc-CD40Lによる治療を受けたことがあるか、または受けている対象に、PD-1と結合するか、もしくはPD-1リガンドと結合することが可能である、及び/またはPD-1とそのリガンドの1つ以上との相互作用を阻害することが可能である抗体が投与される。
【0236】
併用療法及び複合
実施形態では、本発明は、対象に追加の薬剤を投与することをさらに含む、キメラタンパク質及び方法を提供する。実施形態では、本発明は、共投与及び/または共製剤に関する。本明細書に開示される組成物のいずれも、共製剤化及び/または共投与することができる。
【0237】
実施形態では、本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、別の薬剤と共投与された場合に相乗的に作用し、かかる薬剤が単剤療法として使用される場合に、一般的に利用される用量よりも低い用量で投与される。実施形態では、本明細書で参照される任意の薬剤は、本明細書に開示されるキメラタンパク質のうちのいずれかと組み合わせて使用され得る。
【0238】
本発明の態様及び実施形態では、本明細書に開示されるように、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質を含むがん治療を必要とする患者は、本明細書に開示されるように、別の抗がん療法で治療されたことがあるか、または同時に治療されるか、またはそれに続いて治療される。
【0239】
他の抗がん療法は、放射線療法を含み得る。
【0240】
他の抗がん療法は、免疫チェックポイント分子と結合することが可能である少なくとも1つのドメインを含む合成ポリペプチドを含み得る。実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-1、PD-L1、PD-L2、ICOS、ICOSL、及びCTLA-4から選択される。
【0241】
他の抗がん療法は、がん、すなわち腫瘍を切除するための外科手術であり得る。
【0242】
他の抗がん療法は、細胞系免疫腫瘍療法、例えば、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)を含み得、CAR-Tは、連続的に、または特定の腫瘍抗原認識に応答してキメラタンパク質を分泌することを含む。
【0243】
他の抗がん療法は、1つ以上の化学療法剤の投与を含み得る。
【0244】
本発明の態様及び実施形態では、1つ以上の化学療法剤は、5-FU(フルオロウラシル)、アベマシクリブ、酢酸アビラテロン、Abitrexate(メトトレキサート)、Abraxane(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、アカラブルチニブ、AC-T、ADE、Adriamycin(ドキソルビシン)、ジマレイン酸アファチニブ、Afinitor(エベロリムス)、Afinitor Difsperz(エベロリムス)、Akynzeo(ネツピタント及びパロノセトロン)、Aldara(イミキモド)、アルデスロイキン、Alecensa(アレクチニブ)、アレクチニブ、Alimta(ペメトレキセド)、Aliqopa(塩酸コパンリシブ)、Alkeran(メルファラン)、Aloxi(塩酸パロノセトロン)、Alunbrig(ブリガチニブ)、Ambochlorin(クロラムブシル)、Amboclorin(クロラムブシル)、アミホスチン、アミノレブリン酸、アナストロゾール、アプレピタント、Aredia(パミドロネート)、Arimidex(アナストロゾール)、Aromasin(エキセメスタン)、Arranon(ネララビン)、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ黒脚病菌、アキシカブタゲンシロロイセル、アキシチニブ、アザシチジン、BEACOPP、Becenum(カルムスチン)、Beleodaq(ベリノスタット)、ベリノスタット、塩酸ベンダムスチン、BEP、ベキサロテン、ビカルタミド、BiCNU(カルムスチン)、Blenoxane(ブレオマイシン)、ボルテゾミブ、Bosulif(ボスチニブ)、ボスチニブ、ブリガチニブ、ブメル、ブスルファン、Busulfex(ブスルファン)C、カバジタキセル、Cabometyx(カボザンチニブ)、カボザンチニブ-S-リンゴ酸、CAF、Calquence(アカラブルチニブ)、Camptosar(塩酸イリノテカン)、カペシタビン、CAPOX、Caprelsa(バンデタニブ)、Carac(フルオロウラシル-局所)、カルボプラチン、CARBOPLATIN-TAXOL、カルフィルゾミブ、Carmubris(カルムスチン)、カルムスチン、Casodex(ビカルタミド)、CeeNU(ロムスチン)、CEM、セリチニブ、Cerubidine(ダウノルビシン)、Cervarix(組換えHPV二価ワクチン)、CEV、クロラムブシル、クロラムブシル-プレドニゾン、CHOP、シスプラチン、クラドリビン、Clafen(シクロホスファミド)、クロファラビン、Clofarex(クロファラビン)、Clolar(クロファラビン)、CMF、コビメチニブ、Cometriq(カボザンチニブ)、塩酸コパンリシブ、COPDAC、COPP、COPP-ABV、Cosmegen(ダクチノマイシン)、Cotellic(コビメチニブ)、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、Cyfos(イホスファミド)、シタラビン、シタラビンリポソーム、Cytosar-U(シタラビン)、Cytoxan(シクロホスファミド)、Cytoxan(シトキサン)、ダブラフェニブ、ダカルバジン、Dacogen(デシタビン)、ダクチノマイシン、ダサチニブ、塩酸ダウノルビシン、塩酸ダウノルビシン及びシタラビンリポソーム、DaunoXome(ダウノルビシン脂質複合体)、Decadron(デキサメタゾン)、デシタビン、デフィブロチドナトリウム、Defitelio(デフィブロチドナトリウム)、デガレリックス、デニロイキンディフティトックス、DepoCyt(シタラビンリポソーム)、デキサメタゾン、Dexamethasone Intensol(デキサメタゾン)、Dexpak Taperpak(デキサメタゾン)、塩酸デクスラゾキサン、Docefrez(ドセタキセル)、ドセタキセル、Doxil(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、塩酸ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシンリポソーム、Dox-SL(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、Droxia(ヒドロキシ尿素)、DTIC(ダカルバジン)、DTIC-Dome(ダカルバジン)、Efudex(フルオロウラシル-局所)、Eligard(リュープロリド)、Elitek(ラスブリカーゼ)、Ellence(エレンス(エピルビシン))、Eloxatin(オキサリプラチン)、Elspar(アスパラギナーゼ)、エルトロンボパグオラミン、Emcyt(エストラムスチン)、Emend(アプレピタント)、メシル酸エナシデニブ、エンザルタミド、塩酸エピルビシン、EPOCH、メシル酸エリブリン、Erivedge(ビスモデギブ)、塩酸エルロチニブ、Erwinaze(アスパラギナーゼ黒脚病菌)、Ethyol(アミホスチン)、Etopophos(エトポシドリン酸塩)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、Eulexin(フルタミド)、Evacet(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、エベロリムス、Evista(塩酸ラロキシフェン)、Evomela(塩酸メルファラン)、エキセメスタン、Fareston(トレミフェン)、Farydak(パノビノスタット)、Faslodex(フルベストラント)、FEC、Femara(レトロゾール)、フィルグラスチム、Firmagon(デガレリクス)、FloPred(プレドニゾロン)、Fludara(フルダラビン)、フルダラビンリン酸、Fluoroplex(フルオロウラシル)、フルオロウラシル、フルタミド、Folex(メトトレキサート)、Folex PFS(メトトレキサート)、FOLFIRI、FOLFIRINOX、FOLFOX、Folotyn(プララトレキサート)、FUDR(FUDR(フロクスウリジン))、FU-LV、フルベストラント、Gardasil(組換えHPV四価ワクチン)、Gardasil 9(組換えHPV非価ワクチン)、ゲフィチニブ、塩酸ゲムシタビン、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、Gemzar(ゲムシタビン)、Gilotrif(アファチニブジマレイン酸)、Gilotrif(アファチニブ)、Gleevec(イマチニブメシル酸)、Gliadel(カルムスチン)、グルカルピダーゼ、酢酸ゴセレリン、Halaven(エリブリンメシル酸)、Hemangeol(塩酸プロプラノロール)、Hexalen(アルトレタミン)、HPV二価ワクチン、組換え体、HPV非価性ワクチン、組換え体、HPV四価ワクチン、組換え体、Hycamtin(塩酸トポテカン)、Hycamtin(トポテカン)、Hydrea(ヒドロキシ尿素)、ヒドロキシ尿素、Hyper-CVAD、Ibrance(パルボシクリブ)、イブルチニブ、ICE、Iclusig(ポナチニブ)、Idamycin PFS(イダルビシン)、塩酸イダルビシン、イデラリシブ、Idhifa(エナシデニブ)、Ifex(イホスファミド)、イホスファミド、Ifosfamidum(イホスファミド)、イマチニブメシル酸、Imbruvica(イブルチニブ)、イミキモド、Imlygic(タリモジーンラハーパレプベック)、Inlyta(アキシチニブ)、Iressa(ゲフィチニブ)、塩酸イリノテカン、塩酸イリノテカンリポソーム、Istodax(ロミデプシン)、イクサベピロン、イキサゾミブクエン酸エステル、Ixempra(イクサベピロン)、Jakafi(ルキソリチニブリン酸)、Jakafi(ルキソリチニブ)、JEB、Jevtana(カバジタキセル)、Keoxifene(塩酸ラロキシフェン)、Kepivance(パリフェルミン)、Kisqali(リボシクリブ)、Kyprolis(カルフィルゾミブ)、酢酸ランレオチド、Lanvima(レンバチニブ)、ラパチニブジトシレート、レナリドミド、レンバチニブメシル酸、Lenvima(レンバチニブメシル酸)、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、Leukeran(クロラムブシル)、Leukine(サルグラモスチム)、リュープロリド酢酸、Leustatin(クラドリビン)、Levulan(アミノレブリン酸)、Linfolizin(クロラムブシル)、LipoDox(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、ロムスチン、Lonsurf(トリフルリジン及びチピラシル)、Lupron(リュープロリド)、Lynparza(オラパリブ)、Lysodren(ミトタン)、Marqibo(硫酸ビンクリスチンリポソーム)、Marqibo Kit(ビンクリスチン脂質複合体)、Matulane(プロカルバジン)、塩酸メクロレタミン、Megace(メゲストロール)、酢酸メゲストロール、Mekinist(トラメチニブ)、メルファラン、塩酸メルファラン、メルカプトプリン、Mesnex(メスナ)、Metastron(ストロンチウム-89塩化物)、Methazolastone(テモゾロミド)、メトトレキサート、Methotrexate LPF(メトトレキサート)、メチルナルトレキソン臭化物、Mexate(メトトレキサート)、Mexate-AQ(メトトレキサート)、ミドスタウリン、マイトマイシンC、塩酸ミトキサントロン、Mitozytrex(マイトマイシンC)、MOPP、Mostarina(プレドニムスチン)、Mozobil(プレリキサホル)、Mustargen(メクロレタミン)、Mutamycin(マイトマイシン)、Myleran(ブスルファン)、Mylosar(アザシチジン)、Nanoparticle Paclitaxel(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、Navelbine(ビノレルビン)、ネララビン、Neosar(シクロホスファミド)、マレイン酸ネラチニブ、Nerlynx(ネラチニブ)、塩酸ネツピタント及びパロノセトロン、Neulasta(フィルグラスチム)、Neulasta(ペグフィルグラスチム)、Neupogen(フィルグラスチム)、Nexavar(ソラフェニブ)、Nilandron(ニルタミド)、ニロチニブ、ニルタミド、Ninlaro(イキサゾミブ)、Nipent(ペントスタチン)、ニラパリブトシレート一水和物、Nolvadex(タモキシフェン)、Novantrone(ミトキサントロン)、Nplate(ロミプロスチム)、Odomzo(ソニデギブ)、OEPA、OFF、オラパリブ、オマセタキシンメペスクシネート、Oncaspar(ペグアスパルガーゼ)、Oncovin(ビンクリスチン)、塩酸オンダンセトロン、Onivyde(塩酸イリノテカンリポソーム)、Ontak(デニロイキンジフチトクス)、Onxol(パクリタキセル)、OPPA、Orapred(プレドニゾロン)、オシメルチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、PAD、パルボシクリブ、パリフェルミン、塩酸パロノセトロン、塩酸パロノセトロン及びネツピタント、パミドロネート二ナトリウム、Panobinostat、Panretin(アリトレチノイン)、Paraplat(カルボプラチン)、塩酸パゾパニブ、PCV、PEB、Pediapred(プレドニゾロン)、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、Platinol(シスプラチン)、PlatinolAQ(シスプラチン)、プレリキサホル、Pomalyst(ポマリドミド)、塩酸ポナチニブ、プララトレキサート、プレドニゾン、塩酸プロカルバジン、Proleukin(アルデスロイキン)、Promacta(エルトロンボパグオラミン)、塩酸プロプラノロール、Purinethol(メルカプトプリン)、Purixan(メルカプトプリン)、ラジウム223ジクロリド、塩酸ラロキシフェン、ラスブリカーゼ、R-CHOP、R-CVP、Reclast(ゾレドロン酸)、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)二価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)非価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)4価ワクチン、レゴラフェニブ、レリストール(臭化メチルナルトレキソン)、R-EPOCH、Revlimid(レナリドミド)
、Rheumatrex(メトトレキサート)、リボシクリブ、R-ICE、塩酸ロラピタント、ロミデプシン、ロミプロスチム、Rubex(ドキソルビシン)、Rubidomycin(塩酸ダウノルビシン)、Rubraca(ルカパリブ)、ルカパリブカムシレート、ルキソリチニブリン酸、Rydapt(ミドスタウリン)、Sandostatin(オクトレオチド)、Sandostatin LAR Depot(オクトレオチド)、Sclerosol Intrapleural Aerosol(タルク)、Soltamox(タモキシフェン)、Somatuline Depot(酢酸ランレオチド)、ソニデギブ、ソラフェニブトシレート、Sprycel(ダサチニブ)、STANFORD V、Sterapred(プレドニゾン)、Sterapred DS(プレドニゾン)、Sterile Talc Powder(タルク)、Steritalc(タルク)、Sterecyst(プレドニムスチン)、Stivarga(レゴラフェニブ)、スニチニブリンゴ酸、Supprelin LA(ヒストレリン)、Sutent(スニチニブリンゴ酸)、Sutent(スニチニブ)、Synribo(オマセタキシンメペサクシネート)、Tabloid(チオグアニン)、TAC、Tafinlar(ダブラフェニブ)、Tagrisso(オシメルチニブ)、タルク、タリモジェンラヘルパレプベック、クエン酸タモキシフェン、Tarabine PFS(シタラビン)、Tarceva(エルロチニブ)、Targretin(ベキサロテン)、Tasigna(ダカルバジン)、Tasigna(ニロチニブ)、Taxol(パクリタキセル)、Taxotere(ドセタキセル)、Temodar(テモゾロミド)、テモゾロミド、テムシロリムス、Tepadina(チオテパ)、サリドマイド、Thalomid(サリドマイド)、TheraCys BCG(BCG)、チオグアニン、Thioplex(チオテパ)、チオテパ、TICE BCG(BCG)、チサゲンレクルユーセル、Tolak(フルオロウラシル-局所)、Toposar(エトポシド)、塩酸トポテカン、トレミフェン、Torisel(テムシロリムス)、Totect(塩酸デクスラゾキサン)、TPF、トラベクテジン、トラメチニブ、Treanda(塩酸ベンダムスチン)、Trelstar(トリプトレリン)、Trexall(メトトレキサート)、塩酸トリフルリジン及びチピラシル、Trisenox(三酸化ヒ素)、Tykerb(ラパチニブ)、三酢酸ウリジン、VAC、バルルビシン、Valstar(バルルビシン膀胱内)、Valstar(バルルビシン)、VAMP、バンデタニブ、Vantas(ヒストレリン)、Varubi(ロラピタント)、VeIP、Velban(ビンブラスチン)、Velcade(ボルテゾミブ)、Velsar(硫酸ビンブラスチン)、ベムラフェニブ、Venclexta(ベネトクラクス)、Vepesid(エトポシド)、Verzenio(アベマシクリブ)、Vesanoid(トレチノイン)、Viadur(酢酸ロイプロリド)、Vidaza(アザシチジン)、硫酸ビンブラスチン、Vincasar PFS(ビンクリスチン)、Vincrex(ビンクリスチン)、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチンリポソーム、ビノレルビン酒石酸、VIP、ビスモデギブ、Vistogard(ウリジントリアセテート)、Voraxaze(グルカルピダーゼ)、ボリノスタット、Votrient(パゾパニブ)、Vumon(テニポシド)、Vyxeos(塩酸ダウノルビシン及びシタラビンリポソーム)、W、Wellcovorin(ロイコボリンカルシウム)、Wellcovorin IV(ロイコボリン)、Xalkori(クリゾチニブ)、XELIRI、Xeloda(カペシタビン)、XELOX、Xofigo(ラジウム223ジクロリド)、Xtandi(エンザルタミド)、Yescarta(アキシカブタゲンシロロイセル)、Yondelis(トラベクテジン)、Zaltrap(Ziv-アフリベルセプト)、Zanosar(ストレプトゾシン)、Zarxio(フィルグラスチム)、Zejula(ニラパリブ)、Zelboraf(ベムラフェニブ)、Zinecard(塩酸デクスラゾキサン)、Ziv-アフリベルセプト、Zofran(塩酸オンダンセトロン)、Zoladex(ゴセレリン)、ゾレドロン酸、Zolinza(ボリノスタット)、Zometa(ゾレドロン酸)、Zortress(エベロリムス)、Zydelig(イデラリシブ)、Zykadia(セリチニブ)、Zytiga(酢酸アビラテロン)、ならびにZytiga(アビラテロン)から選択される。
【0245】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、本明細書に開示される抗がん療法のうちのいずれかと組み合わせて使用することができる。
【0246】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、別の抗がん療法(例えば、放射線及び/または化学療法剤)と共投与された場合に相乗的に作用し、その結果、例えば、他の抗がん療法は、他の抗がん療法が単剤療法として使用される場合に一般的に使用される用量よりも低い用量で投与される。実施形態では、本明細書に開示されるように、キメラタンパク質は、共投与される抗がん療法の投与回数を減少させる。
【0247】
本発明の態様及び実施形態では、本明細書に開示されるように、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質を含むがん治療を必要とする患者は、本明細書に開示されるように、免疫療法、例えば、抗がん免疫療法に対して、不十分な応答性であるか、または非応答性であると予測される。さらに、実施形態では、本明細書に開示されるように、抗がん剤を必要とする患者は、免疫チェックポイント免疫療法に対して、不十分な応答性であるか、もしくは非応答性であるか、またはそのように予測され得る。免疫チェックポイント分子は、PD-1、PD-L1、PD-L2、ICOS、ICOSL、及びCTLA-4から選択され得る。
【0248】
実施形態では、本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、共有結合が組成物の活性を妨げないように、すなわち、組成物への任意の種類の分子の共有結合によって修飾した誘導体を含む。例えば、限定されないが、誘導体には、とりわけ、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質との結合などによって修飾されている組成物が含まれる。特定の化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない既知の技術によって、多数の化学修飾のいずれかを実施することができる。さらに、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含むことができる。さらに他の実施形態では、本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、例示的な実施形態において、毒素、化学療法剤、放射性同位元素、及びアポトーシスまたは細胞死を引き起こす薬剤を含む、細胞傷害性薬剤をさらに含む。かかる薬剤は、本明細書に開示される組成物に複合化され得る。
【0249】
したがって、本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、翻訳後に修飾して、化学リンカーなどのエフェクター部分、例えば、蛍光色素、酵素、基質、生物発光物質、放射性物質、及び化学発光部分などの検出可能な部分、または例えば、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒素、細胞傷害性薬剤、及び放射性物質などの機能的部分を追加することができる。
【0250】
本発明の態様及び実施形態では、炎症性疾患または障害の治療を必要とする患者は、炎症性疾患もしくは障害を治療するための別の薬剤で治療されたことがあるか、またはそれと同時に治療されるか、またはそれに続いて治療される。かかる他の薬剤の例には、ステロイド性抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、及び/または免疫抑制剤が含まれる。
【0251】
NSAIDの例には、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、サリチルイミド、ベンジル-2,5-ジアセトキシ安息香酸、イブプロフェン、フルインダク、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナメート、フェニルブタゾン、及びインドメタシンが含まれる。
【0252】
ステロイド性抗炎症剤の例には、ヒドロキシルトリアムシノロン、アルファ-メチルデキサメタゾン、ベータ-メチルベタメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デオキシメタゾン、デキサメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロンアセトニド、メドリソン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン及びそのエステルの残り、クロロプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾンから選択されるコルチコステロイドが含まれる。
【0253】
ステロイド性抗炎症剤も同様に免疫抑制剤としての活性を有し得る。
【0254】
免疫抑制薬の他の例には、細胞増殖抑制剤、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤(例えば、アザチオプリン、メトトレキサート)、細胞傷害性抗生物質、抗体(例えば、バシリキシマブ、ダクリズマブ、及びムロモナブ)、抗イムノフィリン(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス)、インターフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、マイコフェノラート、及び低分子生物剤(例えば、フィンゴリモド、ミリオシン)が含まれる。
【0255】
実施形態では、自己免疫疾患または障害を治療するための薬剤を必要とする患者は、本明細書の他の場所に開示されるように、ステロイド性抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤、及び/または免疫抑制剤で治療されたことがあるか、またはそれと同時に治療されるか、またはそれに続いて治療される。
【0256】
実施形態では、本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または炎症性疾患または障害を治療するための他の薬剤)は、共有結合が組成物の活性を妨げないように、すなわち、組成物への任意の種類の分子の共有結合によって修飾した誘導体を含む。例えば、限定されないが、誘導体には、とりわけ、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質との結合などによって修飾されている組成物が含まれる。特定の化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない既知の技術によって、多数の化学修飾のいずれかを実施することができる。さらに、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含むことができる。
【0257】
したがって、本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または炎症性疾患または障害を治療するための他の薬剤)は、翻訳後に修飾して、化学リンカーなどのエフェクター部分、例えば、蛍光色素、酵素、基質、生物発光物質、放射性物質、及び化学発光部分などの検出可能な部分、または例えば、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒素、細胞傷害性薬剤、及び放射性物質などの機能的部分を追加することができる。
【0258】
薬学的組成物
本発明の方法は、治療有効量の1つ以上の本明細書に開示される、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質を含む薬学的組成物を投与することを含む。
【0259】
本明細書に開示される、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、十分に塩基性の官能基を保有することができ、それは、無機、有機、またはカルボキシル基と反応することができ、無機または有機塩基と反応して、薬学的に許容される塩を形成することができる。薬学的に許容される酸付加塩は、当該技術分野で周知であるように、薬学的に許容される酸から形成される。かかる塩には、例えば、Journal of Pharmaceutical Science,66,2-19(1977)、及びThe Handbook of Pharmaceutical Salts;Properties,Selection,and Use P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Verlag,Zurich(Switzerland)2002に列挙される薬学的に許容される塩が含まれ、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0260】
実施形態では、本明細書に開示される組成物は、薬学的に許容される塩の形態である。
【0261】
さらに、本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、組成物、例えば、薬学的に許容される担体またはビヒクルを含む薬学的組成物の成分として対象に投与することができる。かかる薬学的組成物は、適切な投与のための形態を提供するために、任意で、好適な量の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。薬学的賦形剤は、水、及び例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油といった石油、動物、植物、もしくは合成起源のものを含む油などの液体であり得る。薬学的賦形剤は、例えば、食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンのり、タルク、ケラチン、コロイダルシリカ、尿素、及び類似物であり得る。加えて、助剤、安定剤、増粘剤、滑沢剤、及び着色剤を使用することができる。実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、対象に投与される場合に無菌である。水は、本明細書に開示される任意の薬剤が静脈内投与される場合に有用な賦形剤である。食塩水溶液ならびにデキストロース及びグリセロールの水溶液はまた、特に注入溶液のために液体賦形剤として用いられ得る。好適な薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなども含まれる。本明細書に開示される任意の薬剤は、必要に応じて、少量の湿潤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含むこともできる。
【0262】
実施形態では、本明細書に開示される組成物、例えば、薬学的組成物は、生理食塩水緩衝液(TBS、PBSなどを含むがこれらに限定されない)に再懸濁される。
【0263】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、半減期を延長するか、さもなければ薬力学的及び薬物動態学的特性を改善するために、別の薬剤と複合化及び/または融合することができる。実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、PEG、XTEN(例えば、rPEGとして)、ポリシアル酸(POLYXEN)、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミンまたはHAS)、エラスチン様タンパク質(ELP)、PAS、HAP、GLK、CTP、トランスフェリンなどのうちの1つ以上と融合または複合化され得る。実施形態では、個々のキメラタンパク質の各々は、BioDrugs(2015)29:215-239に記載される薬剤のうちの1つ以上と融合されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0264】
本発明は、薬学的組成物の様々な製剤において本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)を含む。本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、溶液、懸濁液、乳剤、液滴、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体を含むカプセル、粉末、徐放性製剤、坐剤、乳濁液、エアロゾル、スプレー、懸濁液、または使用に好適な他の任意の形態をとることができる。タンパク質配列をコードするDNAまたはRNA構築物も使用することができる。実施形態では、組成物は、カプセルの形態である(例えば、米国特許第5,698,155号を参照されたい)。好適な薬学的添加剤の他の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences1447-1676(Alfonso R.Gennaro eds.,19th ed.1995)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0265】
必要に応じて、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)を含む薬学的組成物は、可溶化剤を含むこともできる。また、薬剤は、当技術分野で既知である好適なビヒクルまたは送達デバイスを用いて送達することができる。本明細書に概説される併用療法は、単一の送達ビヒクルまたは送達デバイスで共送達することができる。投与用の組成物は、任意で、注入の部位における疼痛を緩和するために、例えば、リグノカインなどの局所麻酔薬を含むことができる。
【0266】
本発明の本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)を含む薬学的組成物は、単位剤形で好都合に提示することができ、薬学の分野で周知である方法のいずれかによって調製することができる。かかる方法は一般に、治療剤を1つ以上の副成分を構成する担体と会合させるステップを含む。典型的には、薬学的組成物は、治療剤を液体担体、細かく分割した固体担体、またはその両方と会合させることによって均一かつ密接に調製され、次に必要に応じて、生成物を所望の製剤の剤形に成形する(例えば、湿式または乾式造粒、粉末ブレンドなど、その後、当技術分野で既知である従来の方法を使用して錠剤化する)。
【0267】
実施形態では、本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、本明細書に開示される投与様式に適合した薬学的組成物として、慣例の手順に従って製剤化される。
【0268】
投与、用量、及び治療レジメン
投与経路は、例えば、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、鼻腔内、脳内、膣内、経皮、直腸、吸入、または局所的、特に耳、鼻、目、もしくは皮膚に対するものを含む。
【0269】
例として、投与は、血流中に本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の放出をもたらすか(経腸または非経口投与を介して)、または代替的に本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、活性疾患の部位に直接的に投与される。
【0270】
本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、経口的に投与され得る。本発明の方法で使用されるかかる免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)はまた、他の簡便な経路、例えば、静脈内注入またはボーラス注射、上皮または粘膜皮膚内層を介した吸収(例えば、口腔粘膜、直腸、及び腸粘膜など)によって投与することもでき、別の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与することもできる。投与は、全身性または局所性であり得る。様々な送達系、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどへの封入化が既知であり、投与するために使用することができる。
【0271】
特定の実施形態では、それは、治療が必要な領域に局所的に投与することが望ましい場合がある。実施形態では、例えば、がんの治療において、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、腫瘍微小環境(例えば、腫瘍血管系を含む、腫瘍細胞を取り囲み及び/または供給する細胞、分子、細胞外マトリックス及び/または血管、腫瘍浸潤リンパ球、線維芽細網細胞、内皮前駆細胞(EPC)、がん関連線維芽細胞、周皮細胞、他の間質細胞、細胞外マトリックス(ECM)の成分、樹状細胞、抗原提示細胞、T細胞、制御性T細胞、マクロファージ、好中球、ならびに腫瘍の近位に位置する他の免疫細胞)またはリンパ節に投与される、及び/または腫瘍微小環境またはリンパ節を標的とする。実施形態では、例えば、がんの治療において、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、腫瘍内に投与される。
【0272】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、従来の免疫療法(例えば、OPDIVO、KEYTRUDA、YERVOY、及びTECENTRIQのうちの1つ以上による治療)で見られるよりも少ない副作用を提供する二重効果を可能とする。例えば、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、皮膚、胃腸管、腎臓、末梢及び中枢神経系、肝臓、リンパ節、目、膵臓、ならびに内分泌系を含む様々な組織及び器官に影響を与え、例えば、下垂体炎、大腸炎、肝炎、間質性肺炎、発疹、リウマチ性疾患など一般的に観察される免疫関連の有害事象を減少または予防する。さらに、現在の局所性投与、例えば腫瘍内投与は、従来の免疫療法(例えば、OPDIVO、KEYTRUDA、YERVOY、及びTECENTRIQのうちの1つ以上による治療)で使用されるような標準的な全身投与、例えば、IV注入で見られる有害事象を未然に防ぐ。
【0273】
非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、及び関節内注射ならびに注入)に好適な剤形には、例えば、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液などが含まれる。それらはまた、使用直前に無菌の注入可能な培地に溶解または懸濁することができる、無菌の固体組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造され得る。それらは、例えば、当技術分野で既知である懸濁剤または分散剤を含み得る。
【0274】
本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の投与量、ならびに投薬スケジュールは、治療される疾患、対象の一般的な健康状態、及び投与する医師の裁量を含むがこれらに限定されない様々なパラメータに依存し得る。本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、追加の薬剤の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、それと同時、またはそれに続いて(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)、それを必要とする対象に投与することができる。
【0275】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質、及び追加の薬剤(複数可)は、1分間隔、10分間隔、30分間隔、1時間未満間隔、1時間間隔、1時間~2時間間隔、2時間~3時間間隔、3時間~4時間間隔、4時間~5時間間隔、5時間~6時間間隔、6時間~7時間間隔、7時間~8時間間隔、8時間~9時間間隔、9時間~10時間間隔、10時間~11時間間隔、11時間~12時間間隔、1日間隔、2日間隔、3日間隔、4日間隔、5日間隔、6日間隔、1週間間隔、2週間間隔、3週間間隔、または4週間間隔で投与される。
【0276】
実施形態では、本発明は、自然免疫応答を誘導する本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質、ならびに適応免疫応答を誘導する本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する別の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質の共投与に関する。かかる実施形態では、自然免疫応答を誘導する本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、適応免疫応答を誘導する本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質の投与の前、それと同時、またはそれに続いて投与され得る。例えば、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、1分間隔、10分間隔、30分間隔、1時間未満間隔、1時間間隔、1時間~2時間間隔、2時間~3時間間隔、3時間~4時間間隔、4時間~5時間間隔、5時間~6時間間隔、6時間~7時間間隔、7時間~8時間間隔、8時間~9時間間隔、9時間~10時間間隔、10時間~11時間間隔、11時間~12時間間隔、1日間隔、2日間隔、3日間隔、4日間隔、5日間隔、6日間隔、1週間間隔、2週間間隔、3週間間隔、または4週間間隔で投与され得る。例示的な実施形態では、自然免疫応答を誘導する本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質、ならびに適応免疫応答を誘導する本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質は、1週間間隔で投与されるか、または隔週で投与される(すなわち、自然免疫応答を誘導する本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質の投与は、適応免疫応答を誘導する本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質の投与が1週間後に続くなどである)。
【0277】
本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の投与量は、状態の重症度、状態を治療するのかまたは予防するのか、治療する対象の年齢、体重、健康状態など、いくつかの要因に依存し得る。さらに、特定の対象に関する薬理ゲノミクス(治療上の薬物動態、薬力学、または有効性プロファイルに対する遺伝子型の影響)情報は、使用される投与量に影響し得る。さらに、正確な個々の投与量は、投与される薬剤の特定の組み合わせ、投与の期間、投与の経路、製剤の性質、排泄率、治療される特定の疾患、障害の重症度、及び障害の解剖学的位置を含む、様々な要因に応じて若干調整することができる。投与量のいくつかの変動が予想され得る。
【0278】
非経口注入による、本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の投与について、投与量は、1日あたり約0.1mg~約250mg、1日あたり約1mg~約20mg、または1日あたり約3mg~約5mgであり得る。一般に、経口的または非経口的に投与される場合、本明細書に開示される任意の薬剤の投与量は、1日あたり約0.1mg~約1500mg、または1日あたり約0.5mg~約10mg、または1日あたり約0.5mg~約5mg、または1日あたり約200~約1,200mg(例えば、1日あたり約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1,000mg、約1,100mg、約1,200mg)であり得る。
【0279】
実施形態では、本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の投与は、治療あたり約0.1mg~約1500mg、または治療あたり約0.5mg~約10mg、または治療あたり約0.5mg~約5mg、または治療あたり約200~約1,200mg(例えば、治療あたり約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1,000mg、約1,100mg、約1,200mg)の投与量での非経口注入によるものである。
【0280】
実施形態では、本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の好適な投与量は、対象の体重の約0.01mg/kg~約100mg/kgまたは対象の体重の約0.01mg/kg~約10mg/kg、例えば、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、1.9mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg体重の範囲であり、これらの間のすべての値及び範囲を含む。
【0281】
別の実施形態では、送達は、小胞、特にリポソームであり得る(Langer,1990,Science249:1527-1533、Treat et al.,Liposomes in Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez-Berestein and Fidler(eds.),Liss,New York,pp.353-365(1989)を参照されたい。
【0282】
本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、制御放出または持続放出手段によって、または当業者に周知である送達デバイスによって投与することができる。例には、これらに限定されないが、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、及び同第5,733,556号に記載されているものが含まれ、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。かかる剤形は、様々な割合で所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはこれらの組み合わせを使用して、1つ以上の活性成分を制御放出または持続放出を提供するために有用であり得る。活性成分の制御または持続放出は、pHの変化、温度の変化、適切な波長の光による刺激、酵素の濃度もしくは利用能、水の濃度もしくは利用能、または他の生理学的条件もしくは化合物を含むがこれらに限定されない様々な条件によって刺激することができる。
【0283】
別の実施形態では、高分子材料を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.),CRC Pres.,Boca Raton,Florida(1974)、Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,Smolen and Ball(eds.),Wiley,New York(1984)、Ranger and Peppas,1983,J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61を参照されたく、さらにLevy et al.,1985,Science228:190、During et al.,1989,Ann.Neurol.25:351、Howard et al.,1989,J.Neurosurg.71:105も参照されたい)。
【0284】
別の実施形態では、制御放出系は、治療される標的領域の近くに配置され得、したがって全身用量のほんの一画分を必要とし得る(例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,前述,vol.2,pp.115-138(1984)を参照されたい)。Langer,1990,Science 249:1527-1533)による総説で議論されている他の制御放出系を使用することができる。
【0285】
本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の投与は独立して、1日1~4回、または1ヶ月に1~4回、または1年に1~6回、または2、3、4、もしくは5年に1回であり得る。投与は、1日または1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年の期間であり得、対象の生涯にわたる可能性もある。
【0286】
本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)を利用する投与レジメンは、対象の型、種、年齢、体重、性別、医学的状態、治療される状態の重症度、投与の経路、対象の腎機能または肝機能、個人の薬理ゲノミクス構成、及び利用される本発明の特定の化合物など、様々な要因に応じて選択され得る。本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、1日1回用量で投与され得るか、または総1日用量が、1日2回、3回、4回の分割用量で投与され得る。さらに、本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)は、投与レジメン全体を通して断続的ではなく継続的に投与され得る。
【0287】
融合タンパク質、核酸、及び細胞
本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、組換え融合タンパク質、例えば、本明細書に開示される細胞外ドメインを有する単一のポリペプチドであり得る。例えば、実施形態では、キメラタンパク質は、原核細胞、真核細胞、または無細胞発現系において単一の単位として翻訳される。
【0288】
実施形態では、キメラタンパク質は、複数のポリペプチド、例えば、本明細書に開示される複数の細胞外ドメインを含む組換えタンパク質であり、それらを組み合わされて(共有または非共有結合を介して)、例えば、インビトロで単一の単位(例えば、本明細書に開示される1つ以上の合成リンカーと共に)を生成する。
【0289】
実施形態では、キメラタンパク質は、1つのポリペプチドとして化学的に合成されるか、または各ドメインは、別々に化学的に合成され、次いで組み合わされ得る。実施形態では、キメラタンパク質の一部が翻訳され、一部が化学的に合成される。
【0290】
構築物は、3つの断片(I型膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、それに続くリンカー配列、それに続くII型膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン)をコードする核酸をベクター(プラスミド、ウイルス、またはその他)にクローニングすることによって生成でき、完全な配列のアミノ末端は、I型膜貫通タンパク質の細胞外ドメインを含む分子の「左側」に対応しており、完全な配列のカルボキシ末端は、II型膜貫通タンパク質の細胞外ドメインを含む分子の「右側」に対応する。実施形態では、本明細書の他の場所に記載されるように、他の構成の1つを有するキメラタンパク質の構築物は、生成される翻訳されたキメラタンパク質が所望の構成、例えば、二重の内向きのキメラタンパク質を有するように、3つの核酸を含むであろう。したがって、実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、そのように操作される。
【0291】
本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、発現ベクターにクローン化された核酸によってコードされ得る。実施形態では、発現ベクターは、DNAまたはRNAを含む。実施形態では、発現ベクターは、哺乳動物発現ベクターである。
【0292】
原核生物及び真核生物の両方のベクターは、キメラタンパク質の発現に使用することができる。原核生物ベクターには、E.coli配列に基づく構築物が含まれる(例えば、Makrides,Microbiol Rev 1996,60:512-538を参照されたい)。E.coliでの発現のために使用することができる制御性領域の非限定的な例には、lac、trp、lpp、phoA、recA、tac、T3、T7、及びλPが含まれる。原核生物発現ベクターの非限定的な例には、λgt11などのλgtベクターシリーズ(Huynh et al.,“DNA Cloning Techniques,Vol.I:A Practical Approach”,1984,(D.Glover,ed.),pp.49-78,IRL Press,Oxford)、及びpETベクターシリーズ(Studier et al.,Methods Enzymol 1990,185:60-89)が含まれる。しかしながら、原核生物宿主-ベクター系は、哺乳類細胞の翻訳後プロセシングの多くを実行できない。したがって、真核生物宿主-ベクター系は、特に有用であり得る。様々な制御性領域は、哺乳動物宿主細胞におけるキメラタンパク質の発現に使用することができる。例えば、SV40初期及び後期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス末端反復配列(RSV-LTR)プロモーターを使用できる。哺乳動物細胞において有用であり得る誘導性プロモーターには、限定されないが、メタロチオネインII遺伝子、マウス乳癌ウイルス糖質コルチコイド応答性末端反復配列(MMTV-LTR)、β-インターフェロン遺伝子、及びhsp70遺伝子に関連するプロモーターが含まれる(例えば、Williams et al.,Cancer Res 1989,49:2735-42、及びTaylor et al.,Mol Cell Biol 1990,10:165-75を参照されたい)。熱ショックプロモーターまたはストレスプロモーターもまた、組換え宿主細胞におけるキメラタンパク質の発現を駆動するために有利であり得る。
【0293】
実施形態では、発現ベクターは、哺乳動物細胞において機能的である、発現制御領域またはその補体に作動可能に連結された、キメラタンパク質またはその補体をコードする核酸を含む。発現制御領域は、発現ベクターを用いて形質転換されたヒト細胞において遮断及び/または刺激媒介物が生成されるように、作動可能に連結された遮断及び/または刺激媒介物をコードする核酸の発現を駆動することができる。
【0294】
実施形態では、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質は、分泌可能及び完全な機能性単一ポリペプチド鎖として哺乳動物宿主細胞において生成可能である。
【0295】
発現制御領域は、プロモーター及びエンハンサーなどの制御性ポリヌクレオチド(本明細書ではエレメントと称されることもある)であり、作動可能に連結された核酸の発現に影響を与える。本発明の発現ベクターの制御制御領域は、ヒト細胞において作動可能に連結されたコード化核酸を発現することができる。実施形態では、細胞は、腫瘍細胞である。別の実施形態では、細胞は、非腫瘍細胞である。実施形態では、発現制御領域は、作動可能に連結された核酸に制御可能な発現を付与する。シグナル(刺激と称されることもある)は、かかる発現制御領域に作動可能に連結された核酸の発現を増加または低減させることができる。シグナルに応答して発現を増加させるかかる発現制御領域は、誘導可能と称されることが多い。シグナルに応答して発現を低減させるかかる発現制御領域は、抑制可能と称されることが多い。通常、かかるエレメントによって付与される増加または低減の量は、存在するシグナルの量に比例し、シグナルの量が多いほど、発現の増加または低減が大きくなる。
【0296】
実施形態では、本発明は、合図に応答して一過性で高レベルの発現をもたらすことが可能である誘導性プロモーターの使用を企図する。例えば、腫瘍細胞の近くにある場合、かかる発現制御配列を含むキメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の発現ベクターで形質転換された細胞は、形質転換された細胞を適切な合図に曝露することによって、高レベルの薬剤を一過性に生成するように誘導される。例示的な誘導性発現制御領域には、低分子化学化合物などの合図で刺激される誘導性プロモーターを含む領域が含まれる。他の例では、キメラタンパク質は、細胞による抗原認識に感受性のあるプロモーターの制御下で、キメラ抗原受容体含有細胞またはインビトロで増殖した腫瘍浸潤リンパ球で発現され、腫瘍抗原認識に応答して、キメラタンパク質の局所分泌を引き起こす。特定の例は、例えば、米国特許第5,989,910号、同第5,935,934号、同第6,015,709号、及び同第6,004,941号に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0297】
発現制御領域及び遺伝子座制御領域には、天然のプロモーター及びエンハンサーエレメントなどの全長プロモーター配列、ならびに全長または非バリアント機能の全部もしくは一部を保持する、部分配列またはポリヌクレオチドバリアントが含まれる。本明細書で使用される場合、「機能的」及びその適格なバリアントという用語は、核酸配列、部分配列、または断片に関して使用される場合、その配列が天然核酸配列(例えば、非バリアントまたは非修飾配列)の1つ以上の機能を有することを意味する。
【0298】
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結する」とは、それらが意図した様式で機能することを可能にするように記載された構成要素の物理的並置を指す。核酸と作動可能に連結する発現制御エレメントの例では、制御エレメントが核酸の発現を調節するような関係である。典型的には、転写を調節する発現制御領域は、転写される核酸の5’末端近く(すなわち、「上流」)に並置する。発現制御領域はまた、転写される配列の3’末端(すなわち、「下流」)または転写物内(例えば、イントロン内)に位置し得る。発現制御エレメントは、転写される配列から離れた距離に位置し得る(例えば、核酸から100~500、500~1000、2000~5000、またはそれ以上のヌクレオチド)。発現制御エレメントの特定の例はプロモーターであり、これは通常、転写される配列の5’に位置する。発現制御エレメントの別の例は、転写される配列の5’もしくは3’、または転写される配列内に位置し得るエンハンサーである。
【0299】
ヒト細胞で機能する発現系は当該技術分野で周知であり、これらにはウイルス系が含まれる。一般に、ヒト細胞で機能するプロモーターは、哺乳動物RNAポリメラーゼと結合し、コード配列のmRNAへの下流(3’)転写を開始することが可能である任意のDNA配列である。プロモーターは、通常、コード配列の5’末端の近位に配置される転写開始領域と、典型的に、転写開始部位の25~30塩基対上流に位置するTATAボックスを有する。TATAボックスは、RNAポリメラーゼIIに正確な部位でRNA合成を開始するように指示すると考えられている。プロモーターはまた、典型的に、TATAボックスの上流の100~200塩基対内に典型的に位置する上流プロモーターエレメント(エンハンサーエレメント)も含むであろう。上流のプロモーターエレメントは、転写が開始される比率を決定し、それらは、どちらの配向にも作用することができる。プロモーターとして特に使用されるのは、ウイルス遺伝子が多くの場合高度に発現され、広い宿主範囲を有するため、哺乳動物ウイルス遺伝子からのプロモーターである。例には、SV40初期プロモーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、単純ヘルペスウイルスプロモーター、CMVプロモーターなどが含まれる。
【0300】
典型的には、哺乳動物細胞によって認識される転写終結及びポリアデニル化配列は、翻訳終止コドンの3’に位置する制御性領域であり、したがって、プロモーターエレメントと一緒に、コード配列に隣接する。成熟mRNAの3’末端は、部位特異的な翻訳後切断及びポリアデニル化によって形成される。転写ターミネーター及びポリアデニル化シグナルの例には、SV40に由来するものが含まれる。イントロンはまた、発現構築物に含まれ得る。
【0301】
核酸を生細胞に導入するために使用可能な様々な技術が存在する。インビトロでの哺乳動物細胞への核酸の移入に好適な技術には、リポソームの使用、電気穿孔、微量注入、細胞融合、ポリマー系システム、DEAE-デキストラン、ウイルス形質導入、リン酸カルシウム沈降法などが含まれる。インビボでの遺伝子導入のために、リポソーム、キトサン及びゼラチンなどの天然ポリマー系送達ビヒクル、インビボでの形質導入にさらに好適であるウイルスベクターを含む多くの技術及び試薬も使用され得る。いくつかの状況では、腫瘍細胞表面膜タンパク質に特異的な抗体またはリガンドなどの標的化剤を提供することが望ましい。リポソームが用いられる場合、エンドサイトーシスと関連付けられた細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質は、例えば、特定の細胞型に向性のカプシドタンパク質またはその断片、循環中の内部化を受けるタンパク質の抗体、細胞内限局化を標的とし、細胞内半減期を強化するタンパク質を標的とするため、及び/またはそれらの取り込みを促進するために使用され得る。受容体を媒介したエンドサイトーシスの技術は、例えば、Wu et al.,J.Biol.Chem.262,4429-4432(1987)、及びWagner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,3410-3414(1990)に記載される。
【0302】
必要に応じて 例えば、組み込み配列などの遺伝子送達剤を利用することもできる。多数の組み込み配列が当技術分野で既知である(例えば、Nunes-Duby et al.,Nucleic Acids Res.26:391-406,1998、Sadwoski,J.Bacteriol.,165:341-357,1986、Bestor,Cell,122(3):322-325,2005、Plasterk et al.,TIG 15:326-332,1999、Kootstra et al.,Ann.Rev.Pharm.Toxicol.,43:413-439,2003を参照されたい)。これらには、リコンビナーゼ及びトランスポザーゼが含まれる。例には、Cre(Sternberg and Hamilton,J.Mol.Biol.,150:467-486,1981)、ラムダ(Nash,Nature,247,543-545,1974)、FIp(Broach,et al.,Cell,29:227-234,1982)、R(Matsuzaki,et al.,J.Bacteriology,172:610-618,1990)、cpC31(例えば、Groth et al.,J.Mol.Biol.335:667-678,2004を参照されたい)、スリーピングビューティ、マリナーファミリーのトランスポザーゼ(Plasterk et al.,前述)、ならびにレトロウイルスまたはレンチウイルスのLTR配列及びAAVのITR配列など、ウイルス組み込みを提供する成分を有するAAV、レトロウイルス、及びアンチウイルスなどのウイルスを組み込むための成分(Kootstra et al.,Ann.Rev.Pharm.Toxicol.,43:413-439,2003)が含まれる。さらに、直接的及び標的遺伝子組み込み戦略を使用して、CRISPR/CAS9、ジンクフィンガー、TALEN、及びメガヌクレアーゼ遺伝子編集技術を含むキメラ融合タンパク質をコードする核酸配列を挿入することができる。
【0303】
実施形態では、キメラタンパク質(及び/または追加の薬剤)の発現のための発現ベクターは、ウイルスベクターである。遺伝子治療に有用な多くのウイルスベクターが既知である(例えば、Lundstrom,Trends Biotechnol.,21:1 17,122,2003を参照されたい。例示的なウイルスベクターには、アンチウイルス(LV)、レトロウイルス(RV)、アデノウイルス(AV)、アデノ随伴ウイルス(AAV)、及びαウイルスから選択されるものが含まれるが、他のウイルスベクターも使用され得る。インビボでの使用について、αウイルス及びアデノウイルスなど、宿主ゲノムに組み込まれないウイルスベクターが使用に好適である。αウイルスの例示的な種類には、シンドビスウイルス、ベネズエラ馬脳炎(VEE)ウイルス、及びセムリキ森林ウイルス(SFV)が含まれる。インビトロでの使用について、レトロウイルス、AAV、アンチウイルスなど、宿主ゲノムに組み込まれるウイルスベクターが好適である。実施形態では、本発明は、インビボで固形腫瘍を本発明のウイルスベクターと接触させることを含む、インビボでのヒト細胞を形質導入する方法を提供する。
【0304】
発現ベクターは、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質を生成するために宿主細胞に導入され得る。細胞は、例えば、インビトロで培養され得るか、または遺伝子操作され得る。有用な哺乳動物宿主細胞には、ヒト、サル、及びげっ歯類に由来する細胞が含まれるが、これらに限定されない(例えば、Kriegler,“Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual”,1990,New York,Freeman & Co.を参照されたい)。これらには、SV40によって形質転換されたサル腎臓細胞株(例えば、COS-7、ATCC CRL 1651)、ヒト胎児腎臓株(例えば、293、293-EBNA、または浮遊培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham et al.,J Gen Virol1977,36:59)、仔ハムスター腎臓細胞(例えば、BHK、ATCC CCL 10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞-DHFR(例えば、CHO、Urlaub and Chasin,Proc Natl Acad Sci USA 1980,77:4216)、DG44 CHO細胞、CHO-K1細胞、マウスセルトリ細胞(Mather,Biol Reprod1980,23:243-251)、マウス線維芽細胞(例えば、NIH-3T3)、サル腎臓細胞(例えば、CV1 ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、VERO-76、ATCC CRL-1587)、ヒト子宮頸癌細胞(例えば、HELA、ATCC CCL 2)、イヌ腎臓細胞(例えば、MDCK、ATCC CCL 34)、バッファローラット肝臓細胞(例えば、BRL 3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(例えば、W138、ATCC CCL 75)、ヒト肝臓細胞(例えば、Hep G2、HB 8065)、及びマウス乳腺腫瘍細胞(例えば、MMT 060562、ATCC CCL51)が含まれる。本明細書に開示されるキメラタンパク質を発現するための例示的ながん細胞型には、マウス線維芽細胞株、NIH3T3、マウスルイス肺癌細胞株、LLC、マウス肥満細胞腫細胞株、P815、マウスリンパ腫細胞株、EL4及びその卵白アルブミン形質移入体、E.G7、マウスメラノーマ細胞株、B16F10、マウス線維肉腫細胞株、MC57、ならびにヒト小細胞肺癌細胞株、SCLC#2及びSCLC#7が含まれる。
【0305】
宿主細胞は、健康なヒト、がん患者、及び感染性疾患を有する患者を含む正常または罹患した対象から、民間研究所の寄託、American Type Culture Collection(ATCC)などの公的な培養物収集、または商業的供給業元から得ることができる。
【0306】
インビトロ、エクスビボ、及び/またはインビボで、本発明の方法で使用されるキメラタンパク質の生成に使用することができる細胞には、これらに限定されないが、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞、Tリンパ球、キメラ抗原受容体発現T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球などの血液細胞、様々な幹または前駆細胞、特に造血幹または前駆細胞(例えば、骨髄から得られるもの)、臍帯血、末梢血、及び胎児肝臓が含まれる。細胞型の選択は、治療もしくは予防されている腫瘍または感染症の種類に依存し、当業者によって決定することができる。
【0307】
Fcを含む巨大分子(モノクローナル抗体など)の生成及び精製は、生成物間でわずかな修飾を伴い、標準化されたプロセスとなった。例えば、多くのFcを含む巨大分子は、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(またはそのバリアント)もしくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(またはそのバリアント)によって、またはいくつかの事例では細菌または合成法によって生成される。生成後、HEKまたはCHO細胞によって分泌されるFcを含む巨大分子は、プロテインAカラムと結合することを介して精製され、それに続く様々な方法を使用して「洗練」される。一般的に言えば、精製されたFcを含む巨大分子は、液体の形態で一定期間保存され、長期間凍結されるか、またいくつかの事例では凍結乾燥される。実施形態では、本明細書で企図されるキメラタンパク質の生成は、従来のFcを含む巨大分子と比較して、固有の特徴を有し得る。特定の例では、キメラタンパク質は、特定のクロマトグラフィ樹脂を使用するか、またはプロテインAの捕捉に依存しないクロマトグラフィ法を使用して精製することができる。実施形態では、キメラタンパク質は、オリゴマー状態または複数のオリゴマー状態で精製され得、特定の方法を使用して特定のオリゴマー状態について濃縮され得る。理論に拘束されることなく、これらの方法には、特定の塩濃度、pH、及び添加剤組成を含む特定の緩衝液による処理が含まれ得る。他の例では、かかる方法は、あるオリゴマー状態を別のものよりも有利に処理することを含み得る。本明細書で得られたキメラタンパク質は、当技術分野で指定されている方法を使用してさらに「洗練」することができる。実施形態では、キメラタンパク質は、非常に安定性であり、広範囲のpH曝露(pH3~12)に耐えることが可能であり、多数の凍結/解凍ストレス(3回を超える凍結/解凍サイクル)に耐えることが可能であり、高温での長時間の培養(40℃で2週間を超える)に耐えることが可能である。実施形態では、キメラタンパク質は、かかるストレス条件下で、分解、脱アミド化などの証拠を伴わず、無傷のままであることが示されている。
【0308】
対象及び/または動物
実施形態では、対象及び/または動物は、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ウサギ、ヒツジ、またはサル、チンパンジー、もしくはヒヒなどの非ヒト霊長類である。実施形態では、対象及び/または動物は、例えば、ゼブラフィッシュなどの非哺乳動物である。実施形態では、対象及び/または動物は、蛍光標識された細胞(例えば、GFPを有する)を含み得る。実施形態では、対象及び/または動物は、蛍光細胞を含むトランスジェニック動物である。
【0309】
実施形態では、対象及び/または動物は、ヒトである。実施形態では、ヒトは、小児のヒトである。実施形態では、ヒトは、成人のヒトである。実施形態では、ヒトは、老齢期のヒトである。実施形態では、ヒトは、患者と称され得る。
【0310】
特定の実施形態では、ヒトは、約0ヶ月~約6ヶ月、約6~約12ヶ月、生後約6~約18ヶ月、生後約18~約36ヶ月、生後約1~約5歳、生後約5~約10歳、約10~約15歳、約15~20歳、約20~約25歳、約25~約30歳、約30~約35歳、約35~約40歳、約40~約45歳、約45~約50歳、約50~約55歳、約55~約60歳、約60~約65歳、約65~約70歳、約70~約75歳、約75~約80歳、約80~約85歳、約85~約90歳、約90~約95歳、または約95~約100歳の範囲の年齢を有する。
【0311】
実施形態では、対象は、非ヒト動物であり、したがって、本発明は獣医学的使用に対する。特定の実施形態では、非ヒト動物は、家庭用ペットである。別の特定の実施形態では、非ヒト動物は、家畜である。
【0312】
実施形態では、対象が、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体を含む治療に対して、不十分な応答性であるか、または抵抗性であるがんを有する。実施形態では、対象は、PD-1と結合するか、またはPD-1リガンドと結合することが可能である抗体による治療に対して、かかる治療の約12週間後に不十分な応答性であるか、または非応答性であるがんを有する。
【0313】
キット及び医薬品
本発明の態様は、本明細書に開示される薬学的組成物及び/またはキメラタンパク質の投与を単純化することができるキットを提供する。
【0314】
本発明の例示的なキットは、単位剤形で本明細書に開示される本発明の方法で使用される免疫チェックポイント分子に指向する任意の抗体、STINGアゴニスト、及び/またはキメラタンパク質、及び/または本明細書に開示される薬学的組成物を含む。実施形態では、単位剤形は、本明細書に開示される任意の薬剤、及び薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、またはビヒクルを含む、無菌であり得る予め充填されたシリンジなどの容器である。キットは、本明細書に開示される任意の薬剤の使用を指示するラベルまたは印刷された説明書をさらに含むことができる。キットは、開瞼器、局所麻酔剤、及び投与位置に対する洗浄剤をさらに含み得る。キットは、本明細書に開示される1つ以上の追加の薬剤をさらに含み得る。実施形態では、キットは、有効量の本発明の組成物及び有効量の別の組成物、例えば、本明細書に開示されるものなどを含む容器を含む。
【0315】
本発明の態様は、医薬品、例えば、がんの治療及び/または炎症性疾患の治療のための医薬品の製造における、本明細書に開示されるようなキメラタンパク質の使用を含む。
【0316】
本明細書に開示される任意の態様または実施形態は、本明細書に開示される任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【0317】
本発明は、以下の実施例でさらに記載されるが、これらは、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0318】
実施例1:免疫チェックポイント分子に指向する抗体及びキメラタンパク質の特定の組み合わせの機能的なインビボでの抗腫瘍活性
腫瘍体積を標的にして減少させるための免疫チェックポイント分子に指向する抗体及びキメラタンパク質の特定の組み合わせのインビボでの能力を決定した。
【0319】
BALB/Cマウスに500,000個のCT26(ネズミ結腸癌)腫瘍細胞を接種した。接種の8日後、マウス間で開始腫瘍体積の間に有意差は無く、すなわち、体積は約100mmであった。接種の8日後、図3Aに示すスケジュールに従って処理を開始した。特定の組み合わせには、抗CTLA-4(9D9)、抗PD-1(RMP1-14)、抗OX40(OX86)、PD1-Fc-OX40L、CSF1R-Fc-CD40L(図3B)、抗CTLA-4とそれに次ぐ抗PD1、抗CTLA-4とそれに次ぐ抗OX40、抗CTLA-4とそれに次ぐPD1-Fc-OX40L、抗CTLA-4とそれに次ぐCSF1R-Fc-CD40L(図3C)、PD1-Fc-OX40Lとそれに次ぐ抗CTLA-4、CSF1R-Fc-CD40Lとそれに次ぐ抗CTLA-4(図3D)抗CTLA-4とそれに次ぐCSF1R-Fc-CD40L、CSF1R-Fc-CD40Lとそれに次ぐ抗CTLA-4、CSF1R-Fc-CD40Lと共に抗CTLA-4(図3E及び図3F)、抗PD-1とそれに次ぐCSF1R-Fc-CD40L、CSF1R-Fc-CD40Lとそれに次ぐ抗PD-1、CSF1R-Fc-CD40Lと共に抗PD-1(図4A及び図4B)が含まれる。
【0320】
図3A図3Dに示す実験では、腫瘍サイズを、接種後27日目まで1日おきにアッセイした。腫瘍を拒絶したマウスは、反対側の側腹部で二次腫瘍(300,000個のCT26腫瘍細胞)を再負荷し、原発性/二次腫瘍を継続して測定した。図3E図4Bに示す実験では、腫瘍サイズを、接種後35日目まで1日おきにアッセイした。腫瘍を拒絶したマウスは、反対側の側腹部で二次腫瘍(300,000個のCT26腫瘍細胞)を再負荷し、原発性/二次腫瘍を継続して測定した。抗体は100μgを3用量で与え、キメラタンパク質は300μgを3用量で与え、抗体はキメラタンパク質の前、後、及び同時に投与した(7、9、及び11日目、または12、14、及び16日目)。
【0321】
図3Aの最後の列に示すように、ビヒクルと比較して、すべての処理は、腫瘍保持マウスの生存を促進するのに有効であった。
【0322】
図3Bに示すように、ビヒクルと比較して、すべての単一成分(すなわち、フォローアップ二次抗体またはキメラタンパク質を伴わない一次抗体またはキメラタンパク質のみ)処理は、腫瘍体積の減少に有効であった。同様に、図3C及び図3Dに示すように、併用処理は、研究の過程にわたって腫瘍体積の減少を示した。特に、キメラタンパク質CSF1R-Fc-CD40Lによる処理は、キメラタンパク質を抗CTLA-4抗体の後に投与した場合に最も有意な改善を有した。
【0323】
図3Eに示すように、ビヒクルと比較して、抗CTLA-4抗体単独、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質単独、ならびに抗CTLA-4抗体及びCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質処理の組み合わせは、腫瘍体積の減少に有効であった。抗CTLA-4抗体単独での処理、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質単独での処理、及び抗CTLA-4抗体の前に投与したCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質での処理から、ほぼ同程度の抗腫瘍効果量を観察した。しかしながら、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質の前に投与した抗CTLA-4抗体での処理について、及び抗CTLA-4抗体と共に投与したCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質について優れた抗腫瘍効果を観察し、後者の組み合わせは、最大の測定抗腫瘍効果を示している。
【0324】
さらに、CSF1R-Fc-CD40Lの前に投与した抗CTLA-4抗体での処理について、及び抗CTLA-4抗体と共に投与したCSF1R-Fc-CD40Lでの処理について、観察した測定抗腫瘍効果は、処理したマウスの生存の増加をもたらした。図3Fに示すように、これら2つの組み合わせは、接種後35日で75%の生存率を提供したが、他の処理群は、接種後30日で生き残りを有しなかった。
【0325】
図4Aに示すように、ビヒクルと比較して、抗PD-1抗体単独、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質単独、ならびに抗PD-1抗体及びCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質処理の組み合わせは、腫瘍体積の減少に有効であった。抗PD-1抗体単独での処理、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質単独での処理、及び抗PD-1抗体の前に投与したCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質での処理から、ほぼ同程度の抗腫瘍効果量を観察した。しかしながら、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質の前に投与した抗PD-1抗体での処理について、及び抗PD-1抗体と共に投与したCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質について優れた抗腫瘍効果を観察した。
【0326】
CSF1R-Fc-CD40Lの前に投与した抗PD-1抗体での処理について、及び抗PD-1抗体と共に投与したCSF1R-Fc-CD40Lでの処理について、観察した測定抗腫瘍効果は、処理したマウスの生存の増加をもたらした。図4Bに示すように、前者は、接種後35日でおよそ50%の生存率を提供し、後者は、接種後35日でおよそ25%の生存率を提供する。抗PD-1抗体単独及びCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質単独処理群は、接種後30日で生き残りを有しなかった。抗PD-1抗体の前に投与したCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質の処理群は、接種35日で生き残りを有しなかった。
【0327】
少なくとも、図3E図4Bのデータに従って処理したマウスの初期腫瘍拒絶及び再負荷腫瘍拒絶の比率を図5の表に示す。表は、抗PD-1または抗CTLA-4抗体をCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質の前に投与した場合、及び抗体をCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質と共に投与した場合に、最大の抗腫瘍効果を観察したことを明白にする。
【0328】
最後に、処理したマウスの腫瘍微小環境におけるINFγのレベルを図6Aに示し、処理したマウスのAH1/gp70陽性またはCXCR3陽性である腫瘍微小環境におけるCD8+細胞の割合を図6Bに示す。
【0329】
別のセットのインビボでの実験では、BALB/Cマウスに、CT26細胞を一方の側腹部に注入した。マウスを5つの群に分け、接種後8日目に、各群のマウスに、以下に従う処理をIP投与した:群1:100μgの抗CTLA-4抗体、群2:300μgのmPD-1-Fc-OX40Lキメラタンパク質、群3:100μgの抗CTLA-4抗体、群4:300μgのmPD-1-Fc-OX40Lキメラタンパク質、群5のマウスには、いかなる処理も提供しなかった。接種後11日目及び接種後13日目に、前の処理を繰り返した。接種後13日目、接種後15日目、及び接種後17日目に、群3のマウスに300μgのmPD-1-Fc-OX40Lキメラタンパク質を投与し、群4のマウスに100μgの抗CTLA-4抗体を投与した。腫瘍体積を定期的に測定し、生存するマウスの数を決定した。
【0330】
図7Aは、上述した5つの群のマウス間の腫瘍体積の平均的な変化を示すグラフであり、図7Bは、上述した5つの群のマウスについてのサバイバーシップを示すグラフである。図7Cは、図7A及び図7Bのグラフに関連するデータを含む表である。これらのデータは、PD1-Fc-OX40Lと抗CTLA-4抗体との組み合わせが生存及び拒絶を向上させたことを示す。
【0331】
実施例2:STINGアゴニスト及びキメラタンパク質の特定の組み合わせの機能的なインビボでの抗腫瘍活性
腫瘍体積を標的にして減少させるためのインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニスト及びキメラタンパク質の特定の組み合わせのインビボでの能力を決定した。
【0332】
BALB/Cマウスに500,000個のCT26(ネズミ結腸癌)腫瘍細胞を接種した。接種の8日後、マウス間で開始腫瘍体積の間に有意差は無く、すなわち、体積は約100mmであった。接種の8日後、図3Aに示すスケジュールに従って処理を開始した。詳細な組み合わせには、DMXAA、抗PD-1(RMP1-14)、抗OX40(OX86)、PD1-Fc-OX40L、CSF1R-Fc-CD40L(図8A)、DMXAAとそれに次ぐ抗PD1、DMXAAとそれに次ぐ抗OX40、DMXAAとそれに次ぐPD1-Fc-OX40L、DMXAAとそれに次ぐCSF1R-Fc-CD40L(図8B)、PD1-Fc-OX40Lとそれに次ぐ抗CTLA-4、CSF1R-Fc-CD40Lとそれに次ぐDMXAA(図8C)が含まれる。腫瘍サイズを、接種後27日目まで1日おきにアッセイした。腫瘍を拒絶したマウスは、反対側の側腹部で二次腫瘍(300,000個のCT26腫瘍細胞)を再負荷し、原発性/二次腫瘍を継続して測定した。
【0333】
図3Aの最後の列に示すように、ビヒクルと比較して、すべての処理は、腫瘍保持マウスの生存を促進するのに有効であった。
【0334】
図8Aに示すように、ビヒクルと比較して、すべての単一成分処理は、腫瘍体積の減少に有効であった。同様に、図8B及び図8Cに示すように、併用処理は、研究の過程にわたって腫瘍体積の減少を示した。注目すべきことに、PD1-Fc-OX40Lキメラタンパク質の組み合わせは、DMXAAがPD1-Fc-OX40Lキメラタンパク質の後に続く場合と比較して、DMXAAの後に提供した場合により効果的であった。同様に、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質の組み合わせは、DMXAAがCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質の後に続く場合と比較して、DMXAAの後に提供した場合により効果的であった。最後に、DMXAAは、単剤療法としても効果的な抗腫瘍剤であることが証明された。
【0335】
別のセットのインビボでの実験では、BALB/Cマウスに、CT26細胞を一方の側腹部に注入した。マウスを4つの群に分け、接種後8日目に、各群のマウスに、以下に従う処理を投与した:群1:100μgのSTINGアゴニスト(DMXAA)、群2:300μgのmPD-1-Fc-OX40Lキメラタンパク質、群3:100μgのDMXAA、群4のマウスには、いかなる処理も提供しなかった。ここでは、DMXAAを腫瘍内(IT)に投与し、他の薬剤を腹腔内(IP)に投与した。群1及び群2のマウスについて、接種後11日目及び接種後13日目に、前の処理を繰り返し、群3のマウスについて、接種後11日目、接種後13日目、及び接種後15日目に、300μgのmPD-1-Fc-OX40Lキメラタンパク質を投与した。腫瘍体積を定期的に測定し、生存するマウスの数を決定した。
【0336】
図9Aは、上述した4つの群のマウス間の腫瘍体積の平均的な変化を示すグラフであり、図9Bは、上述した4つの群のマウスについてのサバイバーシップを示すグラフである。図9Cは、図9A及び図9Bのグラフに関連するデータを含む表である。これらのデータは、PD1-Fc-OX40LとSTINGアゴニストとの組み合わせが生存及び腫瘍の拒絶を向上させたことを示す。
【0337】
実施例3:CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、カニクイザルにおいてインビボで有意なサイトカイン発現を誘導する。
CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質が、マウス及び非ヒト霊長類(カニクイザルマカク)においてインビボでサイトカイン発現を誘導する能力を決定した。
【0338】
マウスにビヒクルまたはネズミCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質を投与し、カニクイザルマカクにビヒクルまたはヒトCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質を投与し、様々なサイトカイン(例えば、CCL4、IL-18、IL-23、及びIL-10)の相対量を検出し定量化した。
【0339】
図10に示すように、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質を投与したマウス及びサルにおいて、ビヒクルと比較して、血清サイトカインレベルが大幅に増強した。重要なことに、CD40アゴニスト抗体で処理したマウスにおいて観察した致死的なGIストレス及び体重低下と比較して、CSF1R-Fc-CD40L処理後に(マウスまたはサルのいずれにおいても)インビボでの毒性を観察しなかった。
【0340】
実施例4:免疫チェックポイント分子に指向する抗体及びCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質の特定の組み合わせの機能的な抗腫瘍活性
腫瘍を効果的に標的化して治療するためのCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質、及び追加のチェックポイント分子またはがん関連細胞表面タンパク質に指向する抗体の組み合わせの治療活性を決定する。
【0341】
マウスに腫瘍(例えば、CT26腫瘍及びMC38腫瘍)を接種し、ビヒクル、別の免疫チェックポイント分子もしくは関連細胞表面タンパク質(PD-1またはCTLA-4を除く)に指向する抗体、CSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質、または他の免疫チェックポイント分子もしくはがん関連細胞表面タンパク質に指向する抗体及びCSF1R-Fc-CD40Lキメラタンパク質(抗体及びキメラタンパク質が同時に提供されるか、または抗体がキメラタンパク質の前に提供されるか、または抗体がキメラタンパク質の後に提供される)で処理する。
【0342】
処理の治療活性をアッセイする。例として、腫瘍サイズ(例えば、体積)の変化及び/または処理したマウスの生存の変化を決定する。腫瘍拒絶を示す薬力学的バイオマーカーの変化は、血清中のサイトカイン上昇(インビボ)、もしくはスーパー抗原Staphylococcal enterotoxin Bと培養した免疫関連細胞のインビトロでの薬力学的バイオマーカーの変化(SEBアッセイ)によって決定されるか、またはAIM V培地で培養した場合に決定されるであろう。例示的な薬力学的バイオマーカーには、IFNγ、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、及びIL-17Aが含まれる。
【0343】
参照による組み込み
本明細書で参照されるすべての特許及び刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0344】
詳細には、本発明に関連する追加の教示が、WO2018/157162、WO2018/157165、WO2018/157164、WO2018/157163、及びWO2017/059168のうちの1つ以上に見出され、そのそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0345】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示に対してのみ提供される。本明細書におけるいずれの内容も、本発明が先行発明によりそのような刊行物に先行する資格がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0346】
本書で使用されるように、すべての表題は単純に組織化するのためのものであり、いかなる様式においても開示を制限することを意図したものではない。あらゆる個々のセクションの内容は、すべてのセクションに等しく適用可能であり得る。
【0347】
均等物
本発明は、その特定の実施形態に関連して開示したが、さらなる修正が可能であること、本出願は、一般に、本発明の原理に従って、本発明の任意の変型、使用、または適応を網羅するものであり、本発明が属する技術分野において知られているか、または慣行に含まれるような本開示からの逸脱、及び前述される本質的な特徴に適用され得るもの、ならびに添付の請求項の範囲に含まれるような本開示からの逸脱を含むことを理解されたい。
【0348】
当業者であれば、単なる日常的な実験を使用して、本明細書に詳細に記載される特定の実施形態の多数の均等物を認識するか、または確認することができるであろう。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲内に包含されることが企図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10
【配列表】
2022512539000001.app
【国際調査報告】