(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 31/22 20060101AFI20220131BHJP
C07D 493/04 20060101ALI20220131BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220131BHJP
C07B 51/00 20060101ALN20220131BHJP
C07B 53/00 20060101ALN20220131BHJP
C07C 39/02 20060101ALN20220131BHJP
C07C 43/23 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
B01J31/22 Z
C07D493/04 106C
C07B61/00 300
C07B51/00 B
C07B53/00 B
C07C39/02 CSP
C07C43/23 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021517652
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(85)【翻訳文提出日】2021-03-29
(86)【国際出願番号】 KR2019012967
(87)【国際公開番号】W WO2020071818
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0117777
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0117657
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518462156
【氏名又は名称】グラセウム・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サン・ク・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ク・スク・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ホ・イム
【テーマコード(参考)】
4C071
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071AA08
4C071BB01
4C071BB05
4C071CC12
4C071DD40
4C071EE07
4C071FF17
4C071GG03
4C071JJ01
4C071KK08
4C071LL10
4G169AA06
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BA36A
4G169BC74A
4G169BC74B
4G169BD01A
4G169BD01B
4G169BD02A
4G169BD02B
4G169BD04A
4G169BD04B
4G169BD06A
4G169BD06B
4G169BD07A
4G169BD07B
4G169BE29A
4G169BE29B
4G169CB02
4G169CB57
4G169CB65
4G169DA02
4H006AA02
4H006AC11
4H006AC80
4H039CA42
4H039CB10
4H039CE40
(57)【要約】
本発明は、炭素二重結合含有化合物から優れた光学選択性で光学異性体を分離できる不斉水素添加反応用触媒を提供することができる。本発明の一実施形態に係る触媒は、イリジウム陽イオン;および前記イリジウム陽イオンに結合するリガンド;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イリジウム陽イオン;および
前記イリジウム陽イオンに結合する下記化学式1のリガンド
を含む、炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒:
【化1】
前記化学式1において、
R
1は、水素原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルキル基;または置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルコキシ基であり;
R
2およびR
2’は、それぞれ独立して、水素原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルキル基;または置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルコキシ基であり;
前記置換アルキル基、および置換アルコキシ基の場合、前記置換基は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルキル基、または直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルコキシ基である。
【請求項2】
前記化学式1のリガンドは、下記化学式2aまたは化学式2bで表される光学異性体化合物である、請求項1に記載の炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒:
【化2】
前記化学式において、
R
1は、水素原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルキル基;または置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルコキシ基であり;
R
2およびR
2’は、それぞれ独立して、水素原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルキル基;または置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルコキシ基であり;
前記置換アルキル基、および置換アルコキシ基の場合、前記置換基は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルキル基、または直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルコキシ基である。
【請求項3】
前記化学式1のリガンドは、下記の化合物のいずれか1つである、請求項1に記載の炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒:
【化3】
。
【請求項4】
前記触媒は、下記化学式3の錯体を含む、請求項1に記載の炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒:
【化4】
前記化学式3において、
R
1は、水素原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルキル基;または置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルコキシ基であり;
R
2およびR
2’は、それぞれ独立して、水素原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルキル基;または置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルコキシ基であり;
前記置換アルキル基、および置換アルコキシ基の場合、前記置換基は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルキル基、または直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3アルコキシ基である。
【請求項5】
前記触媒は、下記化学式4の配位陰イオンをさらに含む、請求項1に記載の炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒:
【化5】
。
【請求項6】
前記炭素二重結合含有化合物は、下記化学式6で表される化合物である、請求項1に記載の炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒:
【化6】
前記化学式6において、
Xは、酸素(O)または炭素(C)であり;
R
a1とR
a2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3の置換もしくは非置換、アルキル基、炭素数1~3の置換もしくは非置換、アルコキシ基、または炭素数6~15の置換もしくは非置換アリールオキシ基またはアラルキルオキシ基であるか、
R
a1とR
a2は、共に炭素数4~10の置換もしくは非置換、サイクリック基またはヘテロサイクリック基を形成し;
R
5は、水素原子、またはC
1-C
2アルキル基またはC
1-C
2アルコキシ基であり;
Y
1とY
2は、互いに異なり、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3の置換アルキル基、炭素数1~3の置換アルコキシ基、または
【化7】
基であり、
ここで、
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
6アルキル基;ハロゲン原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
6アルコキシ基;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
4チオアルキル基;置換もしくは非置換アリルオキシ基;または置換もしくは非置換アリールオキシ基であり、
Pは、置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
4アルキル基;置換もしくは非置換のベンジル基、アリル基;t-ブチルジメチルシリル基;t-ブチルジフェニルシリル基;メチルフェニルシリル基;トリメチルフェニルシリル基;またはMeSO
2、p-TsSO
2の保護基を意味し、
nは、1~3であり、
OPが複数個の場合は、同一または異なり;および
前記置換アルキル基、置換アルコキシ基、置換チオアルキル基、置換アリールオキシ基、置換アラルキルオキシ基、置換サイクリック基、および置換ヘテロサイクリック基の場合、前記置換基は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
5アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
5アルコキシ基、または直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3チオアルキル基である。
【請求項7】
前記炭素二重結合含有化合物は、下記化学式7で表される化合物である、請求項6に記載の炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒:
【化8】
前記化学式7において、
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
6アルキル基;ハロゲン原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
6アルコキシ基;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
4チオアルキル基;置換もしくは非置換アリルオキシ基;または置換もしくは非置換アリールオキシ基であり;
R
5は、水素原子、またはC
1-C
2アルキル基またはC
1-C
2アルコキシ基であり;
R
6およびR
6’は、それぞれ独立して、水素原子、またはC
1-C
6アルキル基であり;
Pは、置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
4アルキル基;置換もしくは非置換のベンジル基、アリル基;t-ブチルジメチルシリル基;t-ブチルジフェニルシリル基;メチルフェニルシリル基;トリメチルフェニルシリル基;またはMeSO
2、p-TsSO
2の保護基を意味し;
nは、1~3であり;
OPが複数個の場合は、同一または異なり;および
前記置換アルキル基、置換アルコキシ基、および置換チオアルキル基の場合、前記置換基は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
5アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
5アルコキシ基、または直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3チオアルキル基である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2018年10月2日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0117777号と2019年9月24日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0117657号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。本発明は、炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒に関する。具体的には、炭素二重結合含有化合物から光学異性体を製造するのに使用できる不斉水素添加反応用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
不斉水素添加反応(Asymmetric hydrogenation)を利用して、プロキラル(pro-chiral)性を有する炭素二重結合含有化合物から左旋性を有する光学異性体(enantiomer)および右旋性を有する光学異性体を合成する方法に関する研究は、その有用性と経済性のため、1990年代以降に多くの研究者の注目を集めた。
【0003】
多様な研究者によって不斉水素添加反応に関する数多くの研究が進められて画期的な技術の発展が成し遂げられ、現在までもその研究は続けられてきている。これを可能にした技術は、そのほとんどがルテニウム金属(Ruthenium metal)またはロジウム金属(Rhodium metal)錯体触媒を主に使用し、98%ee以上の満足的な不斉誘導(asymmetric induction)結果を導き出した。これを利用した不斉水素添加反応は、下記の化学反応式1および化学反応式2の通りである。
【0004】
【0005】
前記化学反応式1において、Xは、OH、NH2、NRH、CO2H、CONH2、CONR2などを意味し、前記化学反応式2において、Yは、O、S、またはNHなどを意味するが、前記炭素二重結合含有化合物は、不斉水素添加反応用触媒と結合可能な極性官能基を有する場合が一般的である。実際に、ルテニウム金属またはロジウム金属錯体触媒は、極性官能基を含まない炭素二重結合含有化合物に対する不斉水素添加反応について反応性が良くない結果を示した。
【0006】
一方、極性官能基を含有しない炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応を効果的に行うための触媒として、ルテニウム金属またはロジウム金属錯体の代わりに、イリジウム金属錯体を主に使用している。代表的に使用されるイリジウム金属錯体触媒は、イリジウム金属(Iridium metal)を中心として、Nドナー(donor)とPドナーがそれぞれリガンドとして結合する形態のCrabtree’s触媒の一種である。
【0007】
しかし、イリジウム金属錯体を用いて不斉水素添加反応を行っても、高純度の光学異性体を得るためには再結晶工程を数回繰り返さなければならず、この場合、光学選択性が低くなる問題点が発生したりもする。一方、本発明者らは、イリジウム金属錯体触媒を用いた不斉水素添加反応により、下記化学式の化合物から、(S)-3-フェニル-2,3,4,8,9,10-ヘキサヒドロピラノ[2,3-f]クロメンまたは(R)-3-フェニル-2,3,4,8,9,10-ヘキサヒドロピラノ[2,3-f]クロメン誘導体を合成した(大韓民国特許出願第10-2017-0124941号)。
【0008】
【0009】
R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C6アルキル基;ハロゲン原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C6アルコキシ基;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C4チオアルキル基;置換もしくは非置換アリルオキシ基;または置換もしくは非置換アリールオキシ基であり;
R5は、水素原子、またはC1-C2アルキル基またはC1-C2アルコキシ基であり;
R6およびR6’は、それぞれ独立して、水素原子、またはC1-C6アルキル基であり;
Pは、置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C4アルキル基;置換もしくは非置換のベンジル基、アリル基;t-ブチルジメチルシリル基;t-ブチルジフェニルシリル基;メチルフェニルシリル基;トリメチルフェニルシリル基;またはMeSO2、p-TsSO2の保護基を意味し;
nは、1~3であり;
OPが複数個の場合は、同一または異なり;および
前記置換アルキル基、置換アルコキシ基、および置換チオアルキル基の場合、前記置換基は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分枝鎖C1-C5アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C1-C5アルコキシ基、または直鎖もしくは分枝鎖C1-C3チオアルキル基である。
【0010】
この場合、前記(R)-光学異性体または(S)-光学異性体を88%ee~92%eeの光学選択性で合成することができ、多様な有機溶媒を用いて再結晶工程を繰り返すほど、取得した化合物の光学選択性はむしろ低くなる場合が発生した。
【0011】
したがって、(S)-3-フェニル-2,3,4,8,9,10-ヘキサヒドロピラノ[2,3-f]クロメンまたは(R)-3-フェニル-2,3,4,8,9,10-ヘキサヒドロピラノ[2,3-f]クロメン誘導体を高純度の光学異性体として量産するために、さらなる再結晶過程なく、不斉水素添加反応だけでも高い光学選択性を有する光学異性体を合成できる、優れた効能の触媒が切実に求められた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国特許出願第10-2017-0124941号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、炭素二重結合含有化合物から優れた光学選択性で光学異性体を分離できる不斉水素添加反応用触媒を提供しようとする。
【0014】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上記言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施態様は、イリジウム陽イオン;および前記イリジウム陽イオンに結合する下記化学式1のリガンド;を含む炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒を提供する:
【化3】
【0016】
前記化学式1において、
R1は、水素原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルキル基;または置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルコキシ基であり;
R2およびR2’は、それぞれ独立して、水素原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルキル基;または置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルコキシ基であり;
前記置換アルキル基、および置換アルコキシ基の場合、前記置換基は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルキル基、または直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルコキシ基である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態に係る不斉水素添加反応用触媒は、炭素二重結合含有化合物から高い光学選択性で光学異性体を製造することができる。
【0018】
本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、言及されていない効果は本願明細書および添付した図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0020】
本発明で使われるすべての技術用語は、他に定義されない以上、本発明の関連分野における通常の当業者が一般的に理解するのと同じ意味で使われる。また、本明細書には、好ましい方法や試料が記載されるが、これと類似または同等のものも本発明の範疇に含まれる。本明細書に参照文献として記載されるすべての刊行物の内容は全体が本明細書に参照として統合される。
【0021】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0022】
本明細書において、化学式中の原子団をくさび線または太線で表した場合、化合物を目で見る場合を仮定した時、点線のくさび線は、目で見る方向から遠い位置に原子団が置かれていることを意味し、太線および実線のくさび線は、目で見る方向から近い位置に原子団が置かれていることを意味する。
【0023】
本発明の一実施態様は、イリジウム陽イオン;および前記イリジウム陽イオンに結合する下記化学式1のリガンド;を含む炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒を提供する:
【0024】
【0025】
前記化学式1において、
R1は、水素原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルキル基;または置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルコキシ基であり;
R2およびR2’は、それぞれ独立して、水素原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルキル基;または置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルコキシ基であり;
前記置換アルキル基、および置換アルコキシ基の場合、前記置換基は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルキル基、または直鎖もしくは分枝鎖C1-C3アルコキシ基である。
【0026】
本発明の一実施形態に係る不斉水素添加反応用触媒は、炭素二重結合含有化合物から光学異性体を別途の精製工程なくても優れた光学選択性で製造することができる。
【0027】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1において、R1、R2、およびR2’は、それぞれ水素原子であってもよい。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1において、R1は、水素原子であり、R2、およびR2’は、それぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、または2-エチルプロピルであってもよい。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1において、R1は、水素原子であり、R2、およびR2’は、それぞれ独立して、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、2-メチルプロポキシ、または2-エチルプロポキシであってもよい。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、R2、およびR2’は、それぞれ水素原子であり、R1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、または2-エチルプロピルであってもよい。
【0031】
本発明の一実施態様によれば、R2、およびR2’は、それぞれ水素原子であり、R1は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、2-メチルプロポキシ、または2-エチルプロポキシであってもよい。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、R2、およびR2’は、それぞれ水素原子であり、R1は、塩素またはフッ素で置換された、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、または2-エチルプロピルであってもよい。
【0033】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1のリガンドは、下記化学式2aまたは化学式2bで表される光学異性体化合物であってもよい:
【化5】
【0034】
前記化学式2aおよび化学式2bにおいて、前記R1、R2、およびR2’は、それぞれ前記化学式1におけるR1、R2、およびR2’とそれぞれ同一であってもよい。
【0035】
前記化学式2aおよび化学式2bにおいて、点線のくさび線、実線のくさび線および太線は、先に定義したように、前記化合物を構成する原子団の立体的な位置を表したものである。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2aで表される光学異性体化合物は、下記の化合物のいずれか1つであってもよい。
【0037】
【0038】
本発明の一実施態様によれば、前記化合物2a-1~化合物2a-7で表されるリガンドの少なくとも1つを含む不斉水素添加反応用触媒を用いることにより、炭素二重結合含有化合物から、(R)-光学異性体を優れた光学選択性で光学分割させることができる。また、前記不斉水素添加反応用触媒は、後述のように少ない量の触媒を用いる場合にも、炭素二重結合含有化合物から、(R)-光学異性体を高い収率で得ることができる。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2bで表される光学異性体化合物は、下記の化合物のいずれか1つであってもよい。
【0040】
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記化合物2b-1~化合物2b-7で表されるリガンドの少なくとも1つを含む不斉水素添加反応用触媒を用いることにより、炭素二重結合含有化合物から、(S)-光学異性体を優れた光学選択性で光学分割させることができる。また、前記不斉水素添加反応用触媒は、後述のように少ない量の触媒を用いる場合にも、炭素二重結合含有化合物から、(S)-光学異性体を高い収率で得ることができる。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、前記不斉水素添加反応用触媒は、前記化学式1で表されるリガンドのほか、前記イリジウム陽イオンと配位結合可能な追加のリガンドをさらに含むことができる。具体的には、前記追加のリガンドは、シクロオクタ-1,5-ジエン(cycloocta-1,5-diene)であってもよい。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、前記不斉水素添加反応用触媒は、下記化学式3の錯体を含むことができる:
【化8】
前記化学式3において、前記R
1、R
2、およびR
2’は、それぞれ前記化学式1におけるR
1、R
2、およびR
2’とそれぞれ同一であってもよい。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3で表される錯体において、前記化学式1で表されるリガンドのP原子とN原子は、イリジウム陽イオンと配位結合を形成することができる。また、前記化学式3で表される錯体において、シクロオクタ-1,5-ジエンの二重結合は、イリジウム陽イオンと配位結合を形成することができる。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3で表される錯体を含む前記不斉水素添加反応用触媒は、不斉水素添加反応をより安定して行うことができる。具体的には、前記化学式3で表される錯体を含む前記不斉水素添加反応用触媒は、炭素二重結合含有化合物から、(R)-光学異性体または(S)-光学異性体をより安定して優れた光学選択性で光学分割させることができる。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3で表される錯体は、下記の化合物のいずれか1つであってもよい。
【0047】
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3で表される錯体は、下記の化合物のいずれか1つであってもよい。
【0049】
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記不斉水素添加反応用触媒は、配位陰イオンを含むことができる。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記不斉水素添加反応用触媒は、下記化学式4の配位陰イオンをさらに含むことができる。
【化11】
【0052】
すなわち、前記不斉水素添加反応用触媒は、下記化学式5で表される化合物を含むことができる。
【化12】
前記化学式5において、前記R
1、R
2、およびR
2’は、それぞれ前記化学式1におけるR
1、R
2、およびR
2’とそれぞれ同一であってもよい。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5で表される化合物は、下記化学式5aで表される化合物であってもよい。
【化13】
前記化学式5aにおいて、前記R
1、R
2、およびR
2’は、それぞれ前記化学式5におけるR
1、R
2、およびR
2’とそれぞれ同一であってもよい。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5aで表される化合物は、下記の化合物のいずれか1つであってもよい。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記化合物5a-1~化合物5a-7で表される化合物の少なくとも1つを含む不斉水素添加反応用触媒を用いることにより、(R)-光学異性体を優れた光学選択性で光学分割させることができる。また、前記不斉水素添加反応用触媒は、後述のように少ない量の触媒を用いる場合にも、炭素二重結合含有化合物から、(R)-光学異性体を高い収率で得ることができる。
【0059】
また、本発明の一実施態様によれば、前記化学式5で表される化合物は、下記化学式5bで表される化合物であってもよい。
【化15】
前記化学式5bにおいて、前記R
1、R
2、およびR
2’は、それぞれ前記化学式5におけるR
1、R
2、およびR
2’とそれぞれ同一であってもよい。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5bで表される化合物は、下記の化合物のいずれか1つであってもよい。
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
本発明の一実施態様によれば、前記化合物5b-1~化合物5b-7で表される化合物の少なくとも1つを含む不斉水素添加反応用触媒を用いることにより、炭素二重結合含有化合物から、(S)-光学異性体を優れた光学選択性で光学分割させることができる。また、前記不斉水素添加反応用触媒は、後述のように少ない量の触媒を用いる場合にも、炭素二重結合含有化合物から、(S)-光学異性体を高い収率で得ることができる。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5aの化合物は、下記反応式1aにより製造できる。
【化17】
【0066】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5bは、下記反応式1bにより製造できる。
【化18】
【0067】
ただし、前記化学式5aおよび化学式5bの化合物の製造方法を限定するものではなく、当業界で使用される方法により前記化学式5aおよび化学式5bの化合物は製造可能である。
【0068】
本発明の一実施態様によれば、前記炭素二重結合含有化合物は、プロキラル性を有する化合物であってもよい。具体的には、前記不斉水素添加反応用触媒を用いて、プロキラル性を有する炭素二重結合含有化合物、例えば、プロキラル性を有するオレフィン系化合物から、(R)-光学異性体と(S)-光学異性体を高い光学選択性で得ることができる。また、前記不斉水素添加反応用触媒は、比較的少ない量の触媒を用いる場合にも、プロキラル性を有するオレフィン系化合物から、(R)-光学異性体と(S)-光学異性体を高い収率で得ることができる。
【0069】
本発明の一実施態様によれば、前記炭素二重結合含有化合物は、下記化学式6で表される化合物であってもよい。
【化19】
前記化学式において、
Xは、酸素(O)または炭素(C)であり;
R
a1とR
a2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3の置換もしくは非置換、アルキル基、炭素数1~3の置換もしくは非置換、アルコキシ基、または炭素数6~15の置換もしくは非置換アリールオキシ基またはアラルキルオキシ基であるか、
R
a1とR
a2は、共に炭素数4~10の置換もしくは非置換、サイクリック基またはヘテロサイクリック基を形成し;
R
5は、水素原子、またはC
1-C
2アルキル基またはC
1-C
2アルコキシ基であり;
Y
1とY
2は、互いに異なり、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3の置換アルキル基、炭素数1~3の置換アルコキシ基、または
【化20】
基であり、
ここで、
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
6アルキル基;ハロゲン原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
6アルコキシ基;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
4チオアルキル基;置換もしくは非置換アリルオキシ基;または置換もしくは非置換アリールオキシ基であり、
Pは、置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
4アルキル基;置換もしくは非置換のベンジル基、アリル基;t-ブチルジメチルシリル基;t-ブチルジフェニルシリル基;メチルフェニルシリル基;トリメチルフェニルシリル基;またはMeSO
2、p-TsSO
2の保護基を意味し、
nは、1~3であり、
OPが複数個の場合は、同一または異なり;および
前記置換アルキル基、置換アルコキシ基、置換チオアルキル基、置換アリールオキシ基、置換アラルキルオキシ基、置換サイクリック基、および置換ヘテロサイクリック基の場合、前記置換基は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
5アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
5アルコキシ基、または直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3チオアルキル基である。
【0070】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式6において、Xは、Oであり;
R
a1とR
a2は、共に炭素数4~10の置換もしくは非置換、ヘテロサイクリック基を形成し;
Y
1は、水素原子であり、Y
2は、
【化21】
基であってもよい。
ここで、R
3、R
4、Pおよびnは、先に定義したものと同じである。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記炭素二重結合含有化合物は、下記化学式7で表される化合物であってもよい:
【化22】
前記化学式7において、
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
6アルキル基;ハロゲン原子;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
6アルコキシ基;置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
4チオアルキル基;置換もしくは非置換アリルオキシ基;または置換もしくは非置換アリールオキシ基であり;
R
5は、水素原子、またはC
1-C
2アルキル基またはC
1-C
2アルコキシ基であり;
R
6およびR
6’は、それぞれ独立して、水素原子、またはC
1-C
6アルキル基であり;
Pは、置換もしくは非置換、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
4アルキル基;置換もしくは非置換のベンジル基、アリル基;t-ブチルジメチルシリル基;t-ブチルジフェニルシリル基;メチルフェニルシリル基;トリメチルフェニルシリル基;またはMeSO
2、p-TsSO
2の保護基を意味し;
nは、1~3であり;
OPが複数個の場合は、同一または異なり;および
前記置換アルキル基、置換アルコキシ基、および置換チオアルキル基の場合、前記置換基は、ハロゲン原子、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
5アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
5アルコキシ基、または直鎖もしくは分枝鎖C
1-C
3チオアルキル基である。
【0072】
本発明の一実施態様によれば、前記炭素二重結合含有化合物の不斉水素添加反応用触媒は、前記化学式7で表される化合物から、(R)-光学異性体と(S)-光学異性体を高い光学選択性で効果的に光学分割させることができる。
【0073】
また、前記不斉水素添加反応用触媒は、比較的少ない量の触媒を用いる場合にも、前記化学式7で表される化合物から、(R)-光学異性体と(S)-光学異性体を高い収率で得ることができる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明を下記の実施例によりさらに具体的に説明する。しかし、これらの実施例は本発明に対する理解のためのものに過ぎず、いかなる意味でも本発明の範囲がこれらによって制限されない。
【0075】
下記の実施例で使用された試薬は、他に表示しない限り、シグマ-アルドリッチ(Sigma-Aldrich、米国)から購入したものを用いた。
【0076】
下記の実施例および比較例で使用された試薬中に表示された略語の名前は、次の通りである。
[Ir(COD)Cl]2:Bis(1,5-cyclooctadiene)diiridium(I)dichloride
NaBArF:sodium tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate
【0077】
実施例1:[(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite)](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate触媒(化合物5a-1)の合成
【0078】
1-1.2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの合成
benzylmagnesium chloride132.6g(0.877モル)を400mlのテトラヒドロフランに入れて、0℃に冷却した後、100mlのテトラヒドロフランに溶かした(S)-methyl4,5-dihydro-2-phenyloxazole-4-carboxylate40g(0.195モル)を同温度で投入し、30分間同温度で撹拌した。反応が完了した後、40mlの精製水を入れて、1時間激しく撹拌した。撹拌後、固体を濾過し、濾液を濃縮した。濃縮物をカラム分離して、29.3g(収率42.0%)の2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.99-7.21 (m, 15H, aromatic H), 4.44-4.39 (t, 1H, oxazoline ring CH2), 4.30-4.19 (m, 2H, oxazoline ring CH, oxazoline ring CH2), 3.04-3.01 (d, 1H, benzyl CH2), 2.88 (d, 2H, benzyl CH2), 2.71-2.67 (d, 1H, benzyl CH2), 1.93 (s, 1H, -OH)
【0079】
1-2.(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの合成
前記実施例1-1で製造された2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-ol29.3g(0.082モル)とピリジン32.4g(0.41モル)を80mlのトルエンに入れて、常温で20分間撹拌した。
以後、(S)-1,1’-binaphthyl-2,2’-dioxychlorophosphine48.8g(0.139モル)とピリジン55.0g(0.695モル)を160mlのトルエンに入れて、常温で20分間撹拌した。2つの反応液を混ぜて、還流下で13時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を濃縮し、カラム分離して、37.5g(収率68.2%)の(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 8.06-7.02 (m, 27H, aromatic H), 4.49-4.44 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.13-4.10 (dd, 2H, oxazoline ring CH2), 3.81-3.76 (d, 1H, benzyl CH2), 3.20-3.17 (d, 1H, benzyl CH2), 3.08-2.98 (dd, 2H, benzyl CH2),
13C-NMR(CDCl3) : 165, 148.31, 148.29, 136.50, 135.80, 131.41, 131.35, 131.16, 131.12, 130.98, 129.99, 129.41, 128.52, 128.34, 128.27, 128.04, 127.98, 127.81, 126.94, 126.68, 126.06, 125.91, 124.76, 124.64, 124.30, 124.28, 123.95, 123.01, 122.50, 121.96, 86.13, 71.33, 68.13, 43.63, 43.55
【0080】
1-3.[(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite)](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5a-1)の合成
前記実施例1-2で製造された(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite10.0g(14.88mモル)と[Ir(COD)Cl]2 5.0g(7.44mモル)を500mlのジクロロメタンに入れて、還流下で1時間撹拌した後、常温に冷却した。NaBArF14.5g(16.31mモル)を反応液に入れて、常温で20分間撹拌した。反応が完了した後、反応物に500mlの精製水を入れて激しく撹拌した後、層分離して有機層を取った。有機層を無水マグネシウムスルフェートを入れて撹拌後、濾過して固体を除去した。この段階を2回さらに進行させた後、濾液を濃縮し、高真空で乾燥して、24.7g(収率90.4%)の[(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite)](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5a-1)を得た。
【0081】
実施例2:[(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite)](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate触媒(化合物5b-1)の合成
【0082】
2-1.2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの合成
(S)-methyl4,5-dihydro-2-phenyloxazole-4-carboxylateの代わりに(R)-methyl4,5-dihydro-2-phenyloxazole-4-carboxylateを用いることを除けば、前記実施例1-1と同様の方法を行って、2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.99-7.20 (m, 15H, aromatic H), 4.36-4.32 (t, 1H, oxazoline ring CH2), 4.29-4.25 (t, H, oxazoline ring CH), 4.22-4.18 (dd, 1H, oxazoline ring CH2), 3.00-2.96 (d, 1H, benzyl CH2), 2.87 (s, 2H, benzyl CH2), 2.70-2.67 (d, 1H, benzyl CH2), 1.99 (s, 1H, -OH)
【0083】
2-2.(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの合成
2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの代わりに前記実施例2-1で製造した2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olを、そして(S)-1,1’-binaphthyl-2,2’-dioxychlorophosphineの代わりに(R)-1,1’-binaphthyl-2,2’-dioxychlorophosphineを用いることを除けば、前記実施例1-2と同様の方法を行って、(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 8.05-7.01 (m, 27H, aromatic H), 4.48-4.44 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.05-3.97 (m, 2H, oxazoline ring CH2), 3.75-3.72 (d, 1H, benzyl CH2), 3.20-3.17 (d, 1H, benzyl CH2), 3.04-2.94 (dd, 2H, benzyl CH2)
【0084】
2-3.[(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5b-1)の合成
(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの代わりに前記実施例2-2で製造した(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを用いることを除けば、前記実施例1-3と同様の方法を行って、[(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5b-1)を得た。
【0085】
実施例3:[(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-dip-tolylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate触媒(化合物5b-2)の合成
【0086】
3-1.2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-dip-tolylpropan-2-olの合成
benzylmagnesium chlorideの代わりに4-methylbenzylmagnesium chlorideを、そして(S)-methyl4,5-dihydro-2-phenyloxazole-4-carboxylateの代わりに(R)-methyl4,5-dihydro-2-phenyloxazole-4-carboxylateを用いることを除けば、前記実施例1-1と同様の方法を行って、2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-dip-tolylpropan-2-olを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.98-7.07 (m, 13H, aromatic H), 4.37-4.33 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.29-4.20 (m, 2H, oxazoline ring CH2), 2.96-2.92 (d, 1H, benzyl CH2), 2.83 (d, 2H, benzyl CH2), 2.67-2.64 (d, 1H, benzyl CH2), 2.33 (s, 3H -CH3), 2.30 (s, 3H, -CH3), 1.91 (s, 1H, -OH)
13C-NMR (CDCl3) : 164.45, 136.05, 136.01, 133.91, 133.75, 131.41, 130.82, 128.96, 128.43, 128.32, 127.81, 75.89, 72.13, 68.57, 41.90, 41.69, 21.11, 21.10
【0087】
3-2.(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-dip-tolylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの合成
2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの代わりに前記実施例3-1で製造した2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-dip-tolylpropan-2-olを、そして(S)-1,1’-binaphthyl-2,2’-dioxychlorophosphineの代わりに(R)-1,1’-binaphthyl-2,2’-dioxychlorophosphineを用いることを除けば、前記実施例1-2と同様の方法を行って、(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-dip-tolylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 8.05-6.79 (m, 25H, aromatic H), 4.46-4.42 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.00-3.97 (m, 2H, oxazoline ring CH2), 3.73-3.70 (d, 1H, benzyl CH2), 3.19-3.15 (d, 1H, benzyl CH2), 2.98-2.90 (dd, 2H, benzyl CH2), 2.28 (s, 3H, -CH3), 2.26 (s, 3H, -CH3)
【0088】
3-3.[(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-dip-tolylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5b-2)の合成
(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの代わりに前記実施例3-2で製造した(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-dip-tolylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを用いることを除けば、前記実施例1-3と同様の方法を行って、[(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-dip-tolylpropan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5b-2)を得た。
【0089】
実施例4:[(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(4-methoxyphenyl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate触媒(化合物5a-4)の合成
【0090】
4-1.2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(4-methoxyphenyl)propan-2-olの合成
benzylmagnesium chlorideの代わりに1-(4-methoxyphenyl)methylmagnesium chlorideを用いることを除けば、前記実施例1-1と同様の方法を行って、2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(4-methoxyphenyl)propan-2-olを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.98-6.80 (m, 13H, aromatic H), 4.35-4.32 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.30-4.16 (m, 2H, oxazoline ring CH2), 3.86 (s, 3H -OCH3), 3.79 (s, 3H, -OCH3), 2.94-2.92 (d, 1H, benzyl CH2), 2.81 (s, 2H, benzyl CH2), 2.65-2.61 (d, 1H, benzyl CH2), 1.93 (s, 1H, -OH)
13C-NMR (CDCl3) : 164.43, 158.30, 158.27, 131.77, 131.76, 131.38, 128.91, 128.72, 128.59, 128.35, 128.25, 127.64, 113.89, 113.60, 113.57, 75.82, 71.98, 68.50, 55.17, 55.15, 41.40, 41.11
【0091】
4-2.(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(4-methoxyphenyl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの合成
2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの代わりに前記実施例4-1で製造した2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(4-methoxyphenyl)propan-2-olを用いることを除けば、前記実施例1-2と同様の方法を行って、(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(4-methoxyphenyl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 8.05-6.51 (m, 25H, aromatic H), 4.40-4.39 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.04-3.96 (m, 2H, oxazoline ring CH2), 3.81-3.66 (m, 7H, benzyl CH2, -OCH3), 3.11-3.08 (d, 1H, benzyl CH2), 2.95-2.86 (dd, 2H, benzyl CH2)
【0092】
4-3.[(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(4-methoxyphenyl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5a-4)の合成
(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの代わりに前記実施例4-2で製造した(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(4-methoxyphenyl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを用いることを除けば、前記実施例1-3と同様の方法を行って、[(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(4-methoxyphenyl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5a-4)を得た。
【0093】
実施例5:[(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(3,5-dimethylphenyl)propan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate触媒(化合物5b-3)の合成
【0094】
5-1.2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(3,5-dimethylphenyl)propan-2-olの合成
benzylmagnesium chlorideの代わりに3,5-dimethylbenzylmagnesium bromideを、そして(S)-methyl4,5-dihydro-2-phenyloxazole-4-carboxylateの代わりに(R)-methyl4,5-dihydro-2-phenyloxazole-4-carboxylateを用いることを除けば、前記実施例1-1と同様の方法を行って、2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(3,5-dimethylphenyl)propan-2-olを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.98-6.84 (m, 11H, aromatic H), 4.34-4.29 (m, 2H, oxazoline ring CH, oxazoline ring CH2), 4.25-4.21 (m, 1H, oxazoline ring CH2), 2.95-2.91 (d, 1H, benzyl CH2), 2.84-2.76 (dd, 2H, benzyl CH2), 2.67-2.63 (d, 1H, benzyl CH2), 2.28 (s, 6H, -CH3), 2.26 (s, 6H, -CH3)
13C-NMR (CDCl3) : 164.37, 137.62, 137.57, 136.86, 136.73, 131.36, 128.78, 128.76, 128.41, 128.27, 128.20, 128.14, 127.83, 75.77, 72.32, 68.62, 42.29, 42.27, 21.33, 21.30
【0095】
5-2.(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(3,5-dimethylphenyl)propan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの合成
2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの代わりに前記実施例5-1で製造した2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(3,5-dimethylphenyl)propan-2-olを、そして(S)-1,1’-binaphthyl-2,2’-dioxychlorophosphineの代わりに(R)-1,1’-binaphthyl-2,2’-dioxychlorophosphineを用いることを除けば、前記実施例1-2と同様の方法を行って、(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(3,5-dimethylphenyl)propan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 8.06-6.80 (m, 23H, aromatic H), 4.50-4.45 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.09-4.07 (m, 2H, oxazoline ring CH2), 3.59-3.56 (d, 1H, benzyl CH2), 3.10-3.03 (t, 2H, benzyl CH2), 2.90-2.86 (d, 1H, benzyl CH2), 2.10-2.09 (m, 12H, -CH3)
【0096】
5-3.[(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(3,5-dimethylphenyl)propan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5b-3)の合成
(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの代わりに前記実施例5-2で製造した(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(3,5-dimethylphenyl)propan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを用いることを除けば、前記実施例1-3と同様の方法を行って、[(2-((R)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-bis(3,5-dimethylphenyl)propan-2-yl)(((R)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5b-3)を得た。
【0097】
実施例6:[(2-((S)-4,5-dihydro-2-(4-methoxyphenyl)oxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate触媒(化合物5a-5)の合成
【0098】
6-1.2-((S)-4,5-dihydro-2-(4-methoxyphenyl)oxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの合成
(S)-methyl4,5-dihydro-2-phenyloxazole-4-carboxylateの代わりに(S)-methyl4,5-dihydro-2-(4-methoxyphenyl)oxazole-4-carboxylateを用いることを除けば、前記実施例1-1と同様の方法を行って、2-((S)-4,5-dihydro-2-(4-methoxyphenyl)oxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.94-6.91 (m, 14H, aromatic H), 4.34-4.31 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.27-4.17 (m, 2H, oxazoline ring CH2), 3.85 (s, 3H, -OCH3), 3.00-2.97 (d, 1H, benzyl CH2), 2.88 (s, 2H, benzyl CH2), 2.70-2.67 (d, 1H, benzyl CH2), 1.99 (s, 1H, -OH)
13C-NMR (CDCl3) : 164.39, 162.22, 137.09, 136.89, 130.91, 130.16, 128.20, 126.52, 126.49, 113.67, 75.95, 72.08, 68.42, 55.39, 42.37, 42.06
【0099】
6-2.(2-((S)-4,5-dihydro-2-(4-methoxyphenyl)oxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの合成
2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの代わりに前記実施例6-1で製造した2-((S)-4,5-dihydro-2-(4-methoxyphenyl)oxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olを用いることを除けば、前記実施例1-2と同様の方法を行って、(2-((S)-4,5-dihydro-2-(4-methoxyphenyl)oxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 8.00-6.90 (m, 26H, aromatic H), 4.46-4.41 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.02-3.98 (m, 2H, oxazoline ring CH2), 3.81 (s, 3H, -OCH3), 3.73-3.69 (d, 1H, benzyl CH2), 3.18-3.15 (d, 1H, benzyl CH2), 3.03-2.91 (dd, 2H, benzyl CH2)
【0100】
6-3.[(2-((S)-4,5-dihydro-2-(4-methoxyphenyl)oxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5a-5)の合成
(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの代わりに前記実施例6-2で製造した(2-((S)-4,5-dihydro-2-(4-methoxyphenyl)oxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを用いることを除けば、前記実施例1-3と同様の方法を行って、[(2-((S)-4,5-dihydro-2-(4-methoxyphenyl)oxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5a-5)を得た。
【0101】
実施例7:[(2-((S)-4,5-dihydro-2-p-tolyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate触媒(化合物5a-6)の合成
【0102】
7-1.2-((S)-4,5-dihydro-2-p-tolyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの合成
(S)-methyl4,5-dihydro-2-phenyloxazole-4-carboxylateの代わりに(S)-methyl4,5-dihydro-2-p-tolyloxazole-4-carboxylateを用いることを除けば、前記実施例1-1と同様の方法を行って、2-((S)-4,5-dihydro-2-p-tolyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.86-7.18 (m, 13H, aromatic H), 4.32-4.32 (t, 1H, oxazoline ring CH2), 4.26-4.21 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.18-4.13 (dd, 1H, oxzoline ring CH2), 2.98-2.94 (d, 1H, benzyl CH2), 2.86 (s, 2H, benzyl CH2), 2.68-2.65 (d, 1H, benzyl CH2), 2.37 (s, 3H, -CH3), 2.07 (s, 1H, -OH)
13C-NMR (CDCl3) : 164.70, 141.87, 137.15, 136.95, 130.98, 130.96, 129.07, 128.43, 128.23, 128.22, 126.56, 126.54, 76.02, 72.19, 68.44, 42.42, 42.13, 21.64
【0103】
7-2.(2-((S)-4,5-dihydro-2-p-tolyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの合成
2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの代わりに前記実施例7-1で製造した2-((S)-4,5-dihydro-2-p-tolyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olを用いることを除けば、前記実施例1-2と同様の方法を行って、(2-((S)-4,5-dihydro-2-p-tolyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.49-7.00 (m, 26H, aromatic H), 4.47-4.43 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.04-3.97 (m, 2H, oxazoline ring CH2), 3.73-3.70 (d, 1H, benzyl CH2), 3.19-3.15 (d, 1H, benzyl CH2), 3.03-2.92 (dd, 2H, benzyl CH2), 2.38 (s, 3H, -CH3)
【0104】
7-3.[(2-((S)-4,5-dihydro-2-p-tolyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5a-6)の合成
(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの代わりに前記実施例7-2で製造した(2-((S)-4,5-dihydro-2-p-tolyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを用いることを除けば、前記実施例1-3と同様の方法を行って、[(2-((S)-4,5-dihydro-2-p-tolyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5a-6)を得た。
【0105】
実施例8:[(2-((S)-2-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydrooxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate触媒(化合物5a-7)の合成
【0106】
8-1.2-((S)-2-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydrooxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの合成
(S)-methyl4,5-dihydro-2-phenyloxazole-4-carboxylateの代わりに(S)-methyl2-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydrooxazole-4-carboxylateを用いることを除けば、前記実施例1-1と同様の方法を行って、2-((S)-2-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydrooxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 8.09-7.12 (m, 14H, aromatic H), 4.40-4.37 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.31-4.22 (m, 2H, oxazoline ring CH2) 3.01-2.98 (d, 1H, benzyl CH2), 2.87 (s, 2H, benzyl CH2), 2.72-2.70 (d, 1H, benzyl CH2), 1.90 (s, 1H, -OH)
【0107】
8-2.(2-((S)-2-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydrooxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの合成
2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの代わりに前記実施例8-1で製造した2-((S)-2-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydrooxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olを用いることを除けば、前記実施例1-2と同様の方法を行って、(2-((S)-2-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydrooxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 8.15-6.99 (m, 26H, aromatic H), 4.51-4.46 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.03-3.98 (m, 2H, oxazoline ring CH2), 3.84-3.80 (d, 1H, benzyl CH2), 3.24-3.20 (d, 1H, benzyl CH2), 2.99 (s, 2H, benzyl CH2)
【0108】
8-3.[(2-((S)-2-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydrooxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5a-7)の合成
(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの代わりに前記実施例8-2で製造した(2-((S)-2-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydrooxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを用いることを除けば、前記実施例1-3と同様の方法を行って、[(2-((S)-2-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-4,5-dihydrooxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(化合物5a-7)を得た。
【0109】
比較例1:[(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate触媒(比較化合物1)の合成-(Ref. M. Diιguez et al. JACS, 2009 (131), 12344-12353)
【0110】
1-1.2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)propan-2-olの合成
benzylmagnesium chlorideの代わりにmethylmagnesium bromideを用いることを除けば、前記実施例1-1と同様の方法を行って、2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)propan-2-olを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.98-7.26 (m, 5H, aromatic H), 4.44-4.40 (dd, 1H, oxazoline ring CH2), 4.36-4.32 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.25-4.20 (dd, 1H, oxazoline ring CH2), 2.03 (s, 1H, -OH), 1.34 (s, 3H, -CH3), 1.18 (s, 3H, -CH3)
13C-NMR (CDCl3) : 164.96, 131.47, 128.33, 128.28, 127.49, 75.67, 71.56, 68.78, 26.76, 25.04
【0111】
1-2.(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの合成
2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの代わりに前記比較例1-1で製造した2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)propan-2-olを用いることを除けば、前記実施例1-2と同様の方法を行って、(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.99-7.20 (m, 17H, aromatic H), 4.48-4.41 (dd, 1H, oxazoline ring CH2), 4.36-4.27 (m, 2H, oxazoline ring CH, oxazoline ring CH2), 1.67 (s, 3H, -CH3), 1.62 (s, 3H, -CH3)
【0112】
1-3.[(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(比較化合物1)の合成
(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの代わりに前記比較例1の2-2で製造した(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを用いることを除けば、前記実施例1-3と同様の方法を行って、下記の比較化合物1である[(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)propan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borateを得た。
【化23】
【0113】
比較例2:[(((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)diphenylmethanyl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate触媒(比較化合物2)の合成-(Ref. M. Diιguez et al. JACS, 2009 (131), 12344-12353)
【0114】
2-1.((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)diphenylmethanolの合成
benzylmagnesium chlorideの代わりにphenylmagnesium bromideを用いることを除けば、前記実施例1-1と同様の方法を行って、2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)propan-2-olを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.94-7.18 (m, 15H, aromatic H), 5.49-5.45 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.27-4.19 (m, 2H, oxazoline ring CH2), 2.60 (s, 1H, -OH)
13C-NMR (CDCl3) : 166.58, 145.96, 144.13, 131.25, 128.51, 128.27, 128.21, 128.13, 127.37, 127.03, 127.00, 126.87, 125.74, 78.20, 73.14, 69.22
【0115】
2-2.(((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)diphenylmethanyl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの合成
2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-olの代わりに前記比較例2-1で製造した((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)diphenylmethanolを用いることを除けば、前記実施例1-2と同様の方法を行って、(((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)diphenylmethanyl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを得た。
1H-NMR (CDCl3) : 7.99-6.51 (m, 27H, aromatic H), 5.65-5.60 (t, 1H, oxazoline ring CH), 4.40-4.36 (t, 1H, oxazoline ring CH2), 4.25-4.20 (t, 1H, oxazoline ring CH2)
【0116】
2-3.[(((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)diphenylmethanyl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borate(比較化合物2)の合成
(2-((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)-1,3-diphenylpropan-2-yl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteの代わりに前記比較例3-2で製造した(((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)diphenylmethanyl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphiteを用いることを除けば、前記実施例1-3と同様の方法を行って、下記の比較化合物2である[(((S)-4,5-dihydro-2-phenyloxazol-4-yl)diphenylmethanyl)(((S)-1,1’-binaphthalene)-2,2’-diyl)phosphite](1,5-COD)iridium(I)tetrakis(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)borateを得た。
【化24】
【0117】
比較例3(比較化合物3)
Solvias AG社から下記の比較化合物3を購入した。(Cas no.583844-38-6)
【化25】
【0118】
不斉水素添加反応の活性実験
【0119】
実験例1~実験例6および比較実験例1~比較実験例3
不斉水素添加反応用触媒の不斉水素添加反応の活性を確認するために、下記のような実験を進行させた。具体的には、下記の実験反応式1のように、プロキラル性炭素二重結合含有化合物である化合物a-1~化合物a-3に対して、前記実施例および比較例で製造した不斉水素添加反応用触媒を用いて不斉水素添加反応を進行させて、それぞれ化合物b-1~化合物b-3を得た。以後、化合物b-1~化合物b-3に対して、脱ベンジル化反応を行って、不斉水素添加された化合物である化合物c-1~化合物c-3をそれぞれ得た。
【0120】
【0121】
実施例および比較例で製造した不斉水素添加反応用触媒による最終化合物の100%変換率におけるS/C重量比(S/C weight ratio for 100% conversion),(R)-光学異性体および(S)-光学異性体の収率、および%光学異性体の過剰量(%ee)を下記表1に示した。
【0122】
下記表1中、%eeは、次の式で計算した。
%ee=(1つの光学異性体のモル数-他の光学異性体のモル数)/2つの光学異性体のモル数×100
【0123】
また、下記表1中、「100%変換率におけるS/C重量比」において、「S」は、化合物a-1~化合物a-3を意味し、「C」は、不斉水素添加反応用触媒を意味し、化合物aがすべて不斉水素添加反応して、化合物aが存在しない時の、化合物aと不斉水素添加反応用触媒との重量比を意味する。
【0124】
【0125】
前記式中、Rは、前記実験反応式で定義した通りである。
【0126】
前記表1の(R)-光学異性体の収率および(S)-光学異性体の収率、および%ee値を参照すれば、本発明の一実施態様に係る不斉水素添加反応用触媒を用いることにより、比較化合物触媒に比べて、プロキラル性炭素二重結合含有化合物である化合物aから高い光学純度で(R)-光学異性体と(S)-光学異性体を容易に光学分割できることが分かる。
【0127】
また、表1中、S/C比の値から、本発明の実施例1~実施例2、実施例4~実施例7の不斉水素添加反応用触媒は、比較例1、および比較例3の不斉水素添加反応用触媒より少ない量を用いても化合物aをすべて不斉水素添加反応させることができることを確認した。
【0128】
特に、比較例2で製造した比較化合物2を用いた不斉水素反応において、2個の炭素間二重結合のうち1つのみ反応した中間体である前記化合物b-1が最大29%程度に生成され、化合物a-1が最低47%程度残存していたため、光学異性体の光学選択性を確認することができなかった。
【0129】
実験例7および実験例8
化合物a-1の代わりにそれぞれ下記表2の化合物を用いたことを除けば、前記実験例1-1と同様の方法を行って、下記表2の最終化合物を得ており、S/C比およびR/S選択性を下記表2に示した。
【0130】
【0131】
前記表2から明らかなように、本発明の不斉水素添加反応用触媒を用いる場合、光学異性体を優れた光学選択度および収率で得られることを確認することができる。すなわち、本発明の一実施態様に係る不斉水素添加反応用触媒は、再結晶などのさらなる工程を行わなくても、優れた光学選択性で(R)-光学異性体と(S)-光学異性体を容易に光学分割できることが分かる。
【0132】
したがって、本発明の一実施態様に係る不斉水素添加反応用触媒は、少ない量を用いる場合にも、優れた光学選択性および高い収率で(R)-光学異性体と(S)-光学異性体を容易に光学分割できることが分かる。
【0133】
以上、本発明についてその好ましい実施例を中心に説明した。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で変形された形態で実現できることを理解するであろう。そのため、開示された実施例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、上述した説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等の範囲内にあるすべての差異は本発明に含まれていると解釈されなければならない。
【国際調査報告】