(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】タッチセンサ-アンテナモジュール及びそれを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220131BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20220131BHJP
H01Q 21/08 20060101ALI20220131BHJP
H01Q 9/40 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
G06F3/041 400
H01Q1/38
H01Q21/08
H01Q9/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518161
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(85)【翻訳文提出日】2021-04-01
(86)【国際出願番号】 KR2019012249
(87)【国際公開番号】W WO2020071668
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0118469
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(71)【出願人】
【識別番号】520337569
【氏名又は名称】ポステック リサーチ アンド ビジネス デベロップメント ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】POSTECH RESEARCH AND BUSINESS DEVELOPMENT FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】(Jigok-dong) 77, Cheongam-ro, Nam-gu, Pohang-si, Gyeongsangbuk-do 37673 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】オ, ユン セオク
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】リュ, ハン スブ
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ウォン ビン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA07
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB06
5J021HA10
5J021JA07
5J046AA03
5J046AA12
5J046AB06
5J046AB13
5J046PA07
(57)【要約】
本発明の実施形態のタッチセンサ-アンテナモジュールは、タッチセンサ電極層とアンテナ電極層とを含む。タッチセンサ電極層は、複数のセンシング電極と、センシング電極に電気的に接続されるトレースとを含む。アンテナ電極層は、タッチセンサ層の上部または下部に配置され、トレースと平面方向で重畳しないように配置されるアンテナパターンを含む。これにより、トレースからの電気的干渉が低減し、アンテナ信号特性が向上できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンシング電極、及び前記複数のセンシング電極と電気的に接続されるトレースを含むタッチセンサ電極層と、
前記タッチセンサ電極層の上部または下部に配置され、前記トレースと平面方向で重畳しないように配置されるアンテナパターンを含むアンテナ電極層とを含む、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項2】
複数の前記アンテナパターンが前記トレースと前記平面方向で離隔するように配列される、請求項1に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項3】
前記アンテナパターンは、前記平面方向で前記タッチセンサ電極層の前記複数のセンシング電極と重畳していない、請求項2に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項4】
前記アンテナパターンは、前記平面方向で前記複数のセンシング電極の間に配置される、請求項3に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項5】
前記アンテナ電極層は、前記アンテナパターンと同じ層に配置されるダミーアンテナパターンをさらに含む、請求項1に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項6】
前記ダミーアンテナパターン及び前記アンテナパターンのうち、前記アンテナパターンのみに選択的に接続されるアンテナ駆動集積回路チップをさらに含む、請求項5に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項7】
前記アンテナパターンは、メッシュ構造を含み、
前記アンテナ電極層は、前記アンテナパターンの周辺において、前記アンテナパターンと同じメッシュ構造を含むダミーパターンをさらに含む、請求項1に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項8】
前記ダミーパターンは、前記平面方向で前記センシング電極と全体的に重畳する、請求項7に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項9】
前記アンテナパターンは、放射電極と、パッドと、前記放射電極及び前記パッドを電気的に接続する伝送線路とを含む、請求項1に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項10】
前記パッドは、前記伝送線路と接続される信号パッドと、前記信号パッドと離隔され、前記伝送線路と電気的に分離されたグランドパッドとをさらに含む、請求項9に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項11】
前記信号パッドを挟んで一対の前記グランドパッドが配置される、請求項10に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項12】
前記アンテナ電極層が配置される誘電層をさらに含む、請求項1に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項13】
前記センシング電極は、
複数の第1センシング電極行を形成する第1センシング電極と、複数の第2センシング電極列を形成する第2センシング電極とを含む、請求項1に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項14】
前記トレースは、前記第1センシング電極行からそれぞれ分岐して延長する第1トレースと、前記第2センシング電極列からそれぞれ分岐して延長する第2トレースとを含み、
前記第1トレースは、前記タッチセンサ-アンテナモジュールの両側部に分散されて配置される、請求項13に記載のタッチセンサ-アンテナモジュール。
【請求項15】
請求項1に記載のタッチセンサ-アンテナモジュールを含む、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサ-アンテナモジュール及びそれを含むディスプレイ装置に関する。より詳細には、アンテナパターン及びタッチセンサ層を含むタッチセンサ-アンテナモジュール、並びにそれを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会が進展するにつれて、ワイファイ(Wi-Fi)、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などの無線通信技術がディスプレイ装置と結合され、例えばスマートフォンの形で実現されている。この場合には、アンテナが前記ディスプレイ装置に結合され、通信機能を実行することができる。
【0003】
最近の移動通信技術が進化しつつ、例えば3G~5Gに相当する超高周波帯域の通信を行うためのアンテナが前記ディスプレイ装置に結合される必要がある。
【0004】
その一方で、画面に表示される指示内容を人の手や物体で選択し、ユーザの命令を入力する入力装置であるタッチパネル又はタッチセンサをディスプレイ装置と結合することで、画像表示機能及び情報入力機能を共に実現した電子機器が開発されている。例えば、韓国特許公開第2014-0092366号のように、様々な画像表示装置にタッチセンサが結合されたタッチスクリーンパネルが開発されている。
【0005】
一つのディスプレイ装置内にアンテナ及びタッチセンサが共存することにより、例えば、相互の信号干渉によってアンテナの望ましいゲイン特性が低下することがあり、所望の周波数を受信するためのインピーダンス特性が妨害されることがある。
【0006】
例えば、韓国特許公開第2003-0095557号では、携帯用端末に内蔵されるアンテナ構造を開示しているが、タッチセンサのような他の電気素子との整合性を考慮していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、向上した信号送受信の信頼性及び効率性を有するタッチセンサ-アンテナモジュールを提供することである。
【0008】
本発明の課題は、向上した信号送受信の信頼性及び効率性を有するタッチセンサ-アンテナモジュールを含むディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1.複数のセンシング電極、及び前記複数のセンシング電極と電気的に接続されるトレースを含むタッチセンサ電極層と、
前記タッチセンサ電極層の上部または下部に配置され、前記トレースと平面方向で重畳しないように配置されるアンテナパターンを含むアンテナ電極層とを含む、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0010】
2.前記項目1において、複数の前記アンテナパターンが前記トレースを回避して配列される、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0011】
3.前記項目2において、前記アンテナパターンは、前記平面方向で前記複数のタッチセンサ電極層の前記センシング電極と重畳していない、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0012】
4.前記項目3において、前記アンテナパターンは、前記平面方向で前記複数のセンシング電極の間に配置される、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0013】
5.前記項目1において、前記アンテナ電極層は、前記アンテナパターンと同じ層に配置されるダミーアンテナパターンをさらに含む、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0014】
6.前記項目5において、前記ダミーアンテナパターン及び前記アンテナパターンのうち、前記アンテナパターンのみに選択的に接続されるアンテナ駆動集積回路チップをさらに含む、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0015】
7.前記項目1において、前記アンテナパターンは、メッシュ構造を含み、
前記アンテナ電極層は、前記アンテナパターンの周辺において、前記アンテナパターンと同じメッシュ構造を含むダミーパターンをさらに含む、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0016】
8.前記項目7において、前記ダミーパターンは、前記平面方向で前記センシング電極と全体的に重畳する、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0017】
9.前記項目1において、前記アンテナパターンは、放射電極と、パッドと、前記放射電極及び前記パッドを電気的に接続する伝送線路とを含む、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0018】
10.前記項目9において、前記パッドは、前記伝送線路と接続される信号パッドと、前記信号パッドと離隔され、前記伝送線路と電気的に分離されたグランドパッドとをさらに含む、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0019】
11.前記項目10において、前記信号パッドを挟んで一対の前記グランドパッドが配置される、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0020】
12.前記項目1において、前記アンテナ電極層が配置される誘電層をさらに含む、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0021】
13.前記項目1において、前記センシング電極は、複数の第1センシング電極行を形成する第1センシング電極と、複数の第2センシング電極列を形成する第2センシング電極とを含む、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0022】
14.前記項目13において、前記トレースは、前記第1センシング電極行からそれぞれ分岐して延長する第1トレースと、前記第2センシング電極列からそれぞれ分岐して延長する第2トレースとを含み、
前記第1トレースは、前記タッチセンサ-アンテナモジュールの両側部に分散されて配置される、タッチセンサ-アンテナモジュール。
【0023】
15.前記項目1~14のいずれかに記載のタッチセンサ-アンテナモジュールを含む、ディスプレイ装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施形態によると、タッチセンサ-アンテナモジュールは、複数のアンテナパターンをアレイの形で含む。これにより、放射直進性(directivity)及びゲイン(gain)を向上させることができる。
【0025】
前記アンテナパターンは、タッチセンサの上部または下部に配置され、前記アンテナパターンに含まれた伝送線路が前記タッチセンサに含まれたトレースと重畳しないように配列することができる。これにより、前記タッチセンサの前記トレースによる信号妨害およびインピーダンスミスマッチを防止し、アンテナパターンの放射信頼性を向上させることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、駆動集積回路(IC)により、複数のアンテナパターンのうち前記トレースと重畳していないアンテナパターンのみに選択的に給電を行い、信号/放射信頼性を確保することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールを示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールを示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールにおけるアンテナ電極層の構造を示す概略平面図である。
【
図4】
図4は、いくつかの例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールにおけるアンテナ電極層の構造を示す概略平面図である。
【
図5】
図5は、例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールを示す概略平面図である。
【
図6】
図6は、いくつかの例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールを示す概略平面図である。
【
図7】
図7は、いくつかの例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールを示す概略平面図である。
【
図8】
図8は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を説明するための概略平面図である。
【
図9】
図9は、実施例及び比較例によるタッチセンサ-アンテナモジュールの信号損失(Return Loss)を評価するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態は、複数のセンシング電極、及び前記センシング電極と電気的に接続されるトレースを含むタッチセンサ電極層と、アンテナパターンを含むアンテナ電極層とが結合されたタッチセンサ-アンテナモジュールを提供する。また、前記タッチセンサ-アンテナモジュールにより、信号信頼性、信号効率が向上したディスプレイ装置が提供される。
【0029】
図1及び
図2は、例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールを示す概略断面図である。
【0030】
図1を参照すると、前記タッチセンサ-アンテナモジュールは、アンテナ電極層110とタッチセンサ電極層210とを含むことができる。
【0031】
アンテナ電極層110は、誘電層100上に配置することができる。誘電層100は、例えば、透明樹脂物質を含むことができる。例えば、誘電層100は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラル系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂などの熱可塑性樹脂を含むことができる。これらは、単独であるいは2以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂からなる透明フィルムを誘電層100として活用してもよい。いくつかの実施形態では、誘電層100は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ガラスなどの無機絶縁物質を含むことができる。
【0033】
誘電層100は、実質的に単層で提供でき、誘電層100は、少なくとも2層以上の複層構造を含むこともできる。
【0034】
誘電層100内で静電容量(capacitance)又はインダクタンス(inductance)が形成され、アンテナ電極層110に含まれたアンテナパターンが駆動又はセンシングできる周波数帯域を調節することができる。いくつかの実施形態において、誘電層100の誘電率は、約1.5~12の範囲に調節することができる。前記誘電率が約12を超えると、駆動周波数が減少しすぎて、所望の高周波帯域での駆動を実現できないことがある。好ましくは、誘電層100の誘電率は、約2~12の範囲であってもよい。
【0035】
アンテナ電極層110は、例えば、誘電層100の上面上に形成することができる。アンテナ電極層110の構成及び構造については、
図3でより詳細に後述する。
【0036】
アンテナ電極層110及び誘電層100によって、例えば、アンテナ素子(例えば、フィルムアンテナ又はアンテナ層)が定義できる。前記アンテナ素子は、例えば、透明フィルムの形で製作されるマイクロストリップパッチアンテナ(microstrip patch antenna)であってもよい。前記アンテナ素子は、例えば、3G~5G移動通信のための通信機器又はディスプレイ装置に適用できる。
【0037】
いくつかの実施形態において、誘電層100の底面上にはグランド層(図示せず)を配置することができる。一実施形態では、前記アンテナ素子が備えられるディスプレイ装置の導電性部材を前記グランド層で提供することもできる。前記導電性部材は、例えば、ディスプレイパネルに含まれる薄膜トランジスタ(TFT)のゲート電極、スキャンライン又はデータラインのような各種配線、若しくは画素電極、共通電極のような各種電極などを含むことができる。
【0038】
一実施形態において、アンテナ電極層110と前記グランド層との間の距離(例えば、誘電層100の厚さ)は約40~1,000μmの範囲に調節することができる。この場合には、例えば5Gの高周波通信を効率的に実現できる。
【0039】
タッチセンサ電極層210は、基材層200上に配置することができる。基材層200は、タッチセンサ電極層210に含まれる電極の形成のための支持層または電極の保護のためのフィルムタイプの部材を包括する意味で使用される。例えば、基材層200は、タッチセンサに通常使用されるフィルム素材を特に制限なく用いることができる。
【0040】
例えば、基材層200は、環状オレフィン重合体(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリアリレート(polyallylate)、ポリイミド(PI)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、ポリエーテルスルホン(PES)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの樹脂物質を含むことができる。
【0041】
タッチセンサ電極層210及び基材層200によってタッチセンサが定義できる。いくつかの実施形態において、基材層200上にタッチセンサ電極層210を覆う保護層またはエンキャプセレーション層をさらに形成することもできる。タッチセンサ電極層210の構成及び構造については、
図5で詳細に後述する。
【0042】
前記アンテナ素子及び前記タッチセンサは、例えば粘接着層180を介して結合され、例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールが定義できる。粘接着層180は、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂などを含む感圧性粘着剤(PSA)または光学透明粘着剤(OCA)を用いて形成することができる。
【0043】
図1に示すように、前記アンテナ素子のアンテナ電極層110を、粘接着層180を介して前記タッチセンサ層の基材層200と接合することができる。いくつかの実施形態において、アンテナ電極層110は、ユーザの視認側を基準にタッチセンサ電極層210の下に配置することができる。
【0044】
図2を参照すると、前記アンテナ素子の誘電層100を、粘接着層180を介して前記タッチセンサ層の基材層200と接合することもできる。いくつかの実施形態において、アンテナ電極層110は、ユーザの視認側に向かって配置され、タッチセンサ電極層210は、前記ユーザの視認側を基準にアンテナ電極層110の下に配置することができる。
【0045】
図3は、例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールにおけるアンテナ電極層の構造を示す概略平面図である。
【0046】
図3を参照すると、複数のアンテナパターンを誘電層100の上に配列することができる。各アンテナパターンは、放射電極120と伝送線路130とパッド140とを含むことができる。パッド140は、信号パッド142とグランドパッド144とを含むことができる。
【0047】
放射電極120は、例えば、多角形プレート形状を有し、伝送線路130は、放射電極120の1つの辺の中央部から延長され、信号パッド142と電気的に接続することができる。伝送線路130は、放射電極120と実質的に一体の単一部材として形成することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、信号パッド142を挟んで一対のグランドパッド144を配置することができる。グランドパッド144は、信号パッド142及び伝送線路130と電気的に分離され得る。
【0049】
放射電極120、伝送線路130及び/又はパッド140は、それぞれ、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、又はこれらの合金を含むことができる。これらは単独であるいは2以上を組み合わせて用いることができる。例えば、放射電極120は低抵抗の実現のために、銀(Ag)または銀合金を含むことができ、例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金を含むことができる。
【0050】
図4は、いくつかの例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールにおけるアンテナ電極層の構造を示す概略平面図である。
【0051】
図4を参照すると、メッシュ構造のダミーパターン125を放射電極120の周辺に形成することができる。一実施形態では、放射電極120もまた、ダミーパターン125と実質的に同一または類似のメッシュ構造を含むことができる。
【0052】
例えば、放射電極120の枠に沿って形成された分離領域135により、放射電極120とダミーパターン125を互いに分離及び絶縁することができる。
【0053】
放射電極120及びダミーパターン125を実質的に同一または類似のメッシュ構造を含むように形成することにより、前記アンテナ素子の透過率を向上しつつ、パターン形状の違いによる放射電極120の視認を防止することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、放射電極120から分岐される伝送線路130もまたメッシュ構造を含むことができる。一実施形態において、
図3に示されるパッド140は、信号速度の向上及び抵抗低減のために、中身が詰まった(solid)パターン構造を持つことができる。
【0055】
図5は、例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールを示す概略平面図である。
【0056】
図5を参照すると、前記タッチセンサ-アンテナモジュール(以下、「モジュール」と略称することもある。)は、基材層200上に配列されたタッチセンサ電極層210(
図1又は
図2を参照)を含み、アンテナパターン150を含むことができる。
【0057】
タッチセンサ電極層210は、センシング電極220,230とトレース240,245とを含むことができる。センシング電極220,230は、第1センシング電極220と第2センシング電極230とを含むことができる。トレース240,245は、第1トレース245と第2トレース240とを含むことができる。
【0058】
第1センシング電極220は、例えば、基材層200の上面に平行な行方向(例えば、X方向)に沿って配列することができる。これにより、第1センシング電極220によって、前記行方向に延長する第1センシング電極行を形成することができる。また、複数の前記第1センシング電極行を列方向(例えば、Y方向)に沿って配列することができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、前記行方向に隣り合う第1センシング電極220は、つなぎ部225によって互いに物理的または電気的に接続することができる。例えば、つなぎ部225は、第1センシング電極220と同じレベルで、実質的に一体の単一部材として形成することができる。
【0060】
第2センシング電極230は、例えば、基材層200の上面に平行な前記列方向に沿って配列することができる。いくつかの実施形態において、第2センシング電極230は、それぞれ島(island)タイプの単位電極で、物理的に離隔していてもよい。この場合、前記列方向に隣り合う第2センシング電極230は、ブリッジ電極235によって互いに電気的に接続することができる。
【0061】
これにより、複数の第2センシング電極230により前記列方向に延長する第2センシング電極列を形成することができる。また、複数の前記第2センシング電極列を前記行方向に沿って配列することができる。
【0062】
例えば、つなぎ部225を少なくとも部分的に覆う絶縁パターン(図示せず)が形成され、ブリッジ電極235は、前記絶縁パターン上に形成され、前記列方向に隣り合う第2センシング電極230と接触または電気的に接続することができる。
【0063】
センシング電極220,230の各々は、
図5に示すように菱形形状を有することができる。しかし、センシング電極220,230の形状は、電極密度、回路設計、センシング感度などを考慮して適宜変更することができる。
【0064】
例えば、センシング電極220,230及び/又はブリッジ電極235は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、又はこれらの合金(例えば、銀-パラジウム-銅(APC))を含むことができる。これらは単独であるいは2以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
センシング電極220,230及び/又はブリッジ電極235は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(ITZO)、カドミウムスズ酸化物(CTO)のような透明導電性酸化物を含むこともできる。
【0066】
いくつかの実施形態において、センシング電極220,230及び/又はブリッジ電極235は、透明導電性酸化物および金属の積層構造を含むことができる。例えば、センシング電極220,230及び/又はブリッジ電極235は、透明導電性酸化物層-金属層-透明導電性酸化物層の3層構造を有することもできる。この場合には、前記金属層によってフレキシブル特性が向上し、抵抗を下げて信号伝達速度が向上し、また前記透明導電性酸化物層によって耐腐食性、透明性が向上できる。
【0067】
第1トレース245は、前記第1センシング電極行のそれぞれから分岐できる。例えば、第1トレース245は、基材層200の前記行方向の両側部上で分散されて延長することができる。第2トレース240は、前記第2センシング電極列のそれぞれから分岐して延長することができる。
【0068】
第1及び第2トレース240,245は、例えば、前記タッチセンサ層のパッド領域に集合し、タッチセンシング集積回路(IC)チップ250と電気的に接続することができる。タッチセンシングICチップ250により、センシング電極220,230によって検知された物理的信号が電気信号に変換され、タッチセンシングを実現することができる。
【0069】
アンテナパターン150は、
図3に示すように、放射電極120と伝送線路130とパッド140とを含むことができる。複数のアンテナパターン150は、前述したタッチセンサ電極層210の上または下に配置することができる。説明を容易にするために、
図5では、アンテナパターン150とタッチセンサ電極層210の構造物を同一平面上に共に示しており、アンテナパターン150がタッチセンサ電極層210の下に配置されることを示している。
【0070】
例示的な実施形態によると、アンテナパターン150は、平面方向でタッチセンサ電極層210のトレース240,245と重畳しないように配列することができる。例えば、アンテナパターン150は、前記平面方向でトレース240,245とオフセット(offset)されたり、ずれる(staggered)ように配置することができる。
【0071】
タッチセンシングの信号が伝送されるトレース240,245をアンテナパターン150の伝送線路と重畳しないように配列することにより、前記伝送線路による信号損失が低減し、放射効率及びゲイン特性が向上できる。また、予めセットされたアンテナパターン150のインピーダンス値がタッチセンサ電極層210での電気信号によって妨害され、インピーダンスミスマッチがもたらされることを防止することができる。
【0072】
また、
図5で点線の楕円で示すトレース245及びセンシング電極220のジャンクション(junction)領域(J)を回避するようにアンテナパターン150を配置することにより、電流の流れが相対的に集中するジャンクション領域(J)でのアンテナパターン150の放射および信号妨害を防止することができる。
【0073】
アンテナ電極層110による直進性、放射強度の向上のために、複数のアンテナパターン150をアレイ(array)の形に配列することができる。
図5に示すように、複数のアンテナパターン150を、列方向及び行方向に沿ってトレース240,245が配列されていない前記モジュールの外郭領域のみに選択的に配列することができる。
【0074】
前述のように、アンテナパターン150の放射電極120の周辺には、メッシュ構造を含むダミーパターン125(
図4を参照)を形成することができる。いくつかの実施形態において、ダミーパターン125は、平面方向でタッチセンサ電極層210のセンシング電極220,230と実質的に全体的に重畳することができる。
【0075】
ダミーパターン125を配置することにより、アンテナパターン150の放射電極120がユーザに視認されることを防止することができる。また、ダミーパターン125が均一にセンシング電極220,230と重畳するように配置されることにより、センシング電極220,230の間で生成される静電容量の均一性が向上できる。
【0076】
図6及び
図7は、いくつかの例示的な実施形態に係るタッチセンサ-アンテナモジュールを示す概略平面図である。
図5と実質的に同一または相当の構成及び構造については、詳細な説明を省略する。
【0077】
図6を参照すると、アンテナパターン150は、トレース240,245と重畳しておらず、センシング電極220,230とも重畳しないように配列することができる。これにより、センシング電極220,230の間で生成される静電容量がアンテナパターン150の放射電極120によって変動することを防止することができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、
図6に示すように、アンテナパターン150(又は放射電極)は、トレース240,245を回避して、前記モジュールの外郭部を沿い、隣り合うセンシング電極220,230の間に配置することができる。
【0079】
図7を参照すると、アンテナ電極層110は、アンテナパターン150と共にダミーアンテナパターン160をさらに含むことができる。例示的な実施形態によると、アンテナパターン150は、アンテナ駆動集積回路(IC)チップ170と電気的に接続されて給電及び信号伝達を行うことができる。例えば、アンテナパターン150は、フレキシブルプリント回路基板(FPCB)を介してアンテナ駆動ICチップ170と接続することができる。
【0080】
前述のように、アンテナパターン150は、タッチセンサ電極層210のトレース240,245を回避して配置することができる。
【0081】
ダミーアンテナパターン160は、アンテナ駆動集積回路チップ170と接続されずに放射駆動を実質的に行わないパターンであり得る。一実施形態において、ダミーアンテナパターン160は、
図7に示すようにアンテナパターン150に含まれた放射電極と実質的に同一または類似の形状を有することができる。例えば、ダミーアンテナパターン160には、アンテナパターン150に含まれた伝送線路及びパッドを省略できる。
【0082】
ダミーアンテナパターン160をアンテナパターン150と共に配列するので、全体的なアンテナ電極層110のパターン配列の規則性が増加できる。これにより、センシング電極220,230によって生成される静電容量の均一性をより向上することができる。
【0083】
図8は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を説明するための概略平面図である。例えば、
図8は、ディスプレイ装置のウインドウを含む外部形状を示している。
【0084】
図8を参照すると、ディスプレイ装置300は、表示領域310及び周辺領域320を含むことができる。周辺領域320は、例えば、表示領域310の両側部及び/又は両端部に配置することができる。周辺領域320は、例えば、画像表示装置の遮光部又はベゼル部に相当し得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、前述のタッチセンサ-アンテナモジュールは、ディスプレイ装置300の表示領域310及び周辺領域320に渡って配置し、タッチセンサ電極層210のセンシング電極220,230は、表示領域310内に配列することができる。
【0086】
図5~
図7に示すように、アンテナパターン150は、前記モジュールの外郭領域に沿って配置することができ、周辺領域320に位置することができる。例えば、アンテナパターン150のパッド140及びタッチセンサ電極層210のトレース240,245を周辺領域320内に配置することができる。
【0087】
また、周辺領域320には、駆動ICチップ170,250を共に配置することができる。アンテナパターンのパッド140を周辺領域320内でアンテナ駆動ICチップ170と隣接するように配置することにより、信号の送受信経路を短縮して信号損失を抑制することができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、アンテナパターン150に含まれた放射電極120の少なくとも一部は、表示領域310内に配置することができる。例えば、
図4に示すようにメッシュ構造を利用して、放射電極120の視認性を低減することができる。
【0089】
図9は、実施例及び比較例によるタッチセンサ-アンテナモジュールの信号損失(Return Loss)を評価するグラフである。
【0090】
具体的には、
図9は、ネットワーク・アナライザ(Network analyzer)を用いて、
図5に示すように、アンテナパターンがタッチセンサのトレースを回避して配置されたタッチセンサ-アンテナモジュールのサンプル(実施例1)、アンテナパターンの下にタッチセンサのトレースが重畳するように配置されたタッチセンサ-アンテナモジュールのサンプル(比較例1)、及びアンテナパターンの上にタッチセンサのトレースが重畳するように配置されたタッチセンサ-アンテナモジュールのサンプル(比較例2)において給電を行うとき、アンテナの信号損失(Return Loss)(S11)の値を測定したグラフである。
【0091】
図9を参照すると、比較例1の場合は、アンテナパターンの下にトレースを重畳して配置したことにより、インピーダンスミスマッチによって周波数のピークの位置が変動し、信号または電力の損失が発生した。
【0092】
比較例2の場合は、アンテナパターンの上にトレースを重畳して配置したことにより、信号遮蔽が発生し、信号または電力の損失がさらに悪化した。
【国際調査報告】