(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】キメラ抗原受容体(CAR)の群
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20220131BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220131BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20220131BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20220131BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220131BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20220131BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20220131BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20220131BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220131BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20220131BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/13
C12N15/12
C07K19/00
C07K16/00
C07K14/725
A61P35/00
A61K35/17 Z
A61P35/02
C12N5/10
C12N5/0783
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518489
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(85)【翻訳文提出日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2019076917
(87)【国際公開番号】W WO2020070290
(87)【国際公開日】2020-04-09
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520217526
【氏名又は名称】ザンクト アンナ キンダークレプスフォルシュング
(71)【出願人】
【識別番号】519177828
【氏名又は名称】ウニベルジテート フュル ボーデンクルトゥル ウィーン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン ザルツァー
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート レーナー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル トラックスルマイヤー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087CA05
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
(57)【要約】
2、3又は4つのCAR分子から成るキメラ抗原受容体(CAR)の群であって、
ここで、CARの群のメンバーは、それらのアミノ酸配列において、お互い異なっていても又は同一であっても良く、そして前記群のCAR分子のそれぞれは、少なくとも膜ドメイン、及び抗原結合部分又は抗原結合部分を含む別のポリペプチドが結合できる結合部位のいずれかを含む外部ドメインを含み、
前記群の各CAR分子は、少なくとも1つの二量体化ドメインを含み、ここで一対の二量体化ドメインのこの二量体化は、調節分子により誘発され、そして任意には、別の調節分子により還元されるか、又は調節分子の非存在下で起こり、そして調節分子により還元され、そして
その一般的なコンフォメーションにおける群の各CAR分子の外部ドメインは、それぞれ、前記群の他のCAR分子と分子間ジスルフィド結合を形成することができるシステインアミノ酸部分を有さず、そして
前記群のCAR分子、及び前記群のCAR分子の結合できる他のポリペプチドの抗原結合部分は、1つの標的抗原に対して、又は異なる標的分子の非共有複合体に対して特異的である、
CARsの群が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2、3又は4つのCAR分子から成るキメラ抗原受容体(CAR)の群であって、
ここで、CARの群のメンバーは、それらのアミノ酸配列において、お互い異なっていても又は同一であっても良く、そして前記群のCAR分子のそれぞれは、少なくとも膜ドメイン、及び抗原結合部分又は抗原結合部分を含む別のポリペプチドが結合できる結合部位のいずれかを含む外部ドメインを含み、そして
ここで、前記群の少なくとも1つのCAR分子は、少なくとも1つの免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)又は少なくとも1つの免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を介してシグナルを伝達できる少なくともシグナル伝達領域を含むエンドドメインをさらに含み、そして
ここで、前記群の各CAR分子のエンドドメインは、それぞれのCAR分子がエンドドメインを含む場合、細胞において発現される場合、細胞膜の細胞内側に位置し、前記群の各CAR分子の外部ドメインは、細胞において発現される場合、細胞膜の細胞外側に位置し、そして前記群の各CAR分子の膜貫通ドメインは、細胞において発現される場合、細胞膜に位置し、
前記群の各CAR分子は、前記群の他のCAR分子とのホモ又はヘテロニ量体化を仲介できる少なくとも1つの二量体化ドメインを含み、ここで一対の二量体化ドメインのこの二量体化は、調節分子により誘発され、そして任意には、別の調節分子により還元されるか、又は調節分子の非存在下で起こり、そして調節分子により還元され、ここで調節分子は、生理的条件下で、一対の二量体化ドメインの少なくとも1つのメンバーに結合することができ、そして二量体化を誘発又は低減することにより、2、3又は4つのCAR分子から成るCARの非共有的に複合体化された群の形成を誘発するか又は低減し、そして
その一般的なコンフォメーションにおける群の各CAR分子の外部ドメインは、それぞれ、前記群の他のCAR分子と分子間ジスルフィド結合を形成することができるシステインアミノ酸部分を有さず、そして
前記群のCAR分子、及び前記群のCAR分子の結合できる他のポリペプチドの抗原結合部分は、1つの標的抗原に対して、又は異なる標的分子の非共有複合体に対して特異的であり、そして
前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、1mM~100nMであり、そして
別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、1mM~100nMである、
CARsの群。
【請求項2】
前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、1mM~150nM、好ましくは1mM~200nM、より好ましくは1mM~300nM、特に1mM~400nMであり、そして別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、1mM~150nM、好ましくは1mM~200nM、より好ましくは1mM~300nM、特に1mM~400nMである、請求項1に記載のCARsの群。
【請求項3】
前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、500μM~100nM、好ましくは250μM~100nM、より好ましくは125μM~100nM、特に50μM~100nMであり、そして別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、500μM~100nM、好ましくは250μM~100nM、より好ましくは125μM~100nM、特に50μM~100nMである、請求項1に記載のCARsの群。
【請求項4】
前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、500μM~150nM、好ましくは250μM~200nM、より好ましくは125μM~300nM、特に50μM~400nMであり、そして別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、500μM~150nM、好ましくは250μM~200nM、より好ましくは125μM~300nM、特に50μM~400nMである、請求項1に記載のCARsの群。
【請求項5】
前記CARsの群の又は前記群のCAR分子に結合出来る他のポリペプチドの抗原結合部分に特異的に認識される各標的抗原が、天然に存在する細胞表面抗原か、又は天然に存在する細胞表面抗原に結合されるポリペプチド、糖又は脂質である、請求項1~4のいずれか1項に記載のCARsの群。
【請求項6】
前記CARsの群の又は前記群のCAR分子に結合出来る他のポリペプチドの抗原結合部分が、細胞上、固相表面上、又は脂質二重層上に存在する1つ以上の特異的抗原、好ましくは細胞の1つ以上の標的抗原に結合し、特に1つ以上の標的抗原が、CD19, CD20, CD22, CD23, CD28, CD30, CD33, CD35, CD38, CD40, CD42c, CD43, CD44, CD44v6, CD47, CD49D, CD52, CD53, CD56, CD70, CD72, CD73, CD74, CD79A, CD79B, CD80, CD82, CD85A, CD85B, CD85D, CD85H, CD85K, CD96, CD107a, CD112, CD115, CD117, CD120b, CD123, CD146, CD148, CD155, CD185, CD200, CD204, CD221, CD271, CD276, CD279, CD280, CD281, CD301, CD312, CD353, CD362, BCMA, CD16V, CLL-1, Ig kappa, TRBC1, TRBC2, CKLF, CLEC2D, EMC10, EphA2, FR-a, FLT3LG, FLT3, Lewis-Y, HLA-G, ICAM5, IGHA1/IgA1, IL-1RAP, IL-17RE, IL-27RA, MILR1, MR1, PSCA, PTCRA, PODXL2, PTPRCAP, ULBP2, AJAP1, ASGR1, CADM1, CADM4, CDH15, CDH23, CDHR5, CELSR3, CSPG4, FAT4, GJA3, GJB2, GPC2, GPC3, IGSF9, LRFN4, LRRN6A/LINGO1, LRRC15, LRRC8E, LRIG1, LGR4, LYPD1, MARVELD2, MEGF10, MPZLI1, MTDH, PANX3, PCDHB6, PCDHB10, PCDHB12, PCDHB13, PCDHB18, PCDHGA3, PEP, SGCB, vezatin, DAGLB, SYT11, WFDC10A, ACVR2A, ACVR2B, 未分化リンパ腫キナーゼ, カドヘリン24, DLK1, GFRA2, GFRA3, EPHB2, EPHB3, EPHB4, EFNB1, EPOR, FGFR2, FGFR4, GALR2, GLG1, GLP1R, HBEGF, IGF2R, UNC5C, VASN, DLL3, FZD10, KREMEN2, TMEM169, TMEM198, NRG1, TMEFF1, ADRA2C, CHRNA1, CHRNB4, CHRNA3, CHRNG, DRD4, GABRB3, GRIN3A, GRIN2C, GRIK4, HTR7, APT8B2, NKAIN1, NKAIN4, CACNA1A, CACNA1B, CACNA1I, CACNG8, CACNG4, CLCN7, KCN§A4, KCNG2, KCNN3, KCNQ2, KCNU1, PKD1L2, PKD2L1, SLC5A8, SLC6A2, SLC6A6, SLC6A11, SLC6A15, SLC7A1, SLC7A5P1, SLC7A6, SLC9A1, SLC10A3, SLC10A4, SLC13A5, SLC16A8, SLC18A1, SLC18A3, SLC19A1, SLC26A10, SLC29A4, SLC30A1, SLC30A5, SLC35E2, SLC38A6, SLC38A9, SLC39A7, SLC39A8, SLC43A3, TRPM4, TRPV4, TMEM16J, TMEM142B, ADORA2B, BAI1, EDG6, GPR1, GPR26, GPR34, GPR44, GPR56, GPR68, GPR173, GPR175, LGR4, MMD, NTSR2, OPN3, OR2L2, OSTM1, P2RX3, P2RY8, P2RY11, P2RY13, PTGE3, SSTR5, TBXA2R, ADAM22, ADAMTS7, CST11, MMP14, LPPR1, LPPR3, LPPR5, SEMA4A, SEMA6B, ALS2CR4, LEPROTL1, MS4A4A, ROM1, TM4SF5, VANGL1, VANGL2, C18orf1, GSGL1, ITM2A, KIAA1715, LDLRAD3, OZD3, STEAP1, MCAM, CHRNA1, CHRNA3, CHRNA5, CHRNA7, CHRNB4, KIAA1524, NRM.3, RPRM, GRM8, KCNH4, Melanocortin 1受容体, PTPRH, SDK1, SCN9A, SORCS1, CLSTN2, エンドセリン転換酵素様-1, リゾホスファチジン酸受容体2, LTB4R, TLR2, 神経栄養性チロシンキナーゼ1, MUC16, B7-H4, 上皮成長因子受容体(EGFR), ERBB2, HER3, EGFRバリアントIII (EGFRvIII), HGFR, FOLR1, MSLN, CA-125, MUC-1, 前立腺特異的膜抗原(PSMA), メソテンシン, 上皮細胞接着分子(EpCAM), L1-CAM, CEACAM1, CEACAM5, CEACAM6, VEGFR1, VEGFR2, 高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA), MAGE-A l, IL-13R-α2, ジシアロガングリオシド(GD2及びGD3),腫瘍関連糖抗(CA-125, CA-242, Tn及びシアリル-Tn), 4-1BB, 5T4, BAFF, 炭酸脱水酵素9 (CA-IX), C-MET, CCR1, CCR4, FAP, フィブロネクチン外部ドメイン-B (ED-B), GPNMB, IGF-1受容体, インテグリンα5β1, インテグリンαvβ3, ITB5, ITGAX,エンビギン, PDGF-Rα, ROR1, シンデカン1, TAG-72, テネイシンC, TRAIL-R1, TRAIL-R2, NKG2D-リガンド, 腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合複合体(MHC)分子, 好ましくはPR1/HLA-A2, 系譜特異的又は組織特異的組織抗原、好ましくはCD3, CD4, CD5, CD7, CD8, CD24, CD25, CD34, CD80, CD86, CD133, CD138, CD152, CD319, エンドグリン及びMHC分子からなる群から好ましくは選択される分子を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のCARsの群。
【請求項7】
DNA、RNA又はインビトロで転写されたRNAから選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のCARsの群の個別のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
【請求項8】
DNA、RNA又はインビトロで転写されたRNAから選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のCARsの群の個別のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子のキット。
【請求項9】
前記核酸がDNA又はRNAである、請求項1~6のいずれか1項のCARsの群の個別のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含むベクター又はキット。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項に記載のCARsの群の個別のCAR分子を生産するように、請求項7又は8のいずれかに記載の核酸分子又は核酸分子のキットを用いて、又は請求項9に記載のベクター又はベクターのキットを用いて、インビトロ又はエクスビボで改変された細胞、又は当該改変された2つ以上の細胞を含むキット。
【請求項11】
請求項7又は8のいずれかに記載の核酸又は核酸のキット、請求項9に記載のベクター又はベクターのキット、又は請求項10に記載の細胞又は細胞のキットを含む、医薬調製品。
【請求項12】
癌を有する個体において癌を治療する方法に用いられる、請求項1~6のいずれか1項に記載のCARsの群であって、以下の工程:
i)個体から得られたNK細胞または好ましくはTリンパ球を、本発明によるCARの群のそれぞれのCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つのベクターで遺伝子改変し、ここでCARの群の各抗原結合部分は、個体の癌細胞上の標的抗原に特異的であり、そして前記遺伝子改変は、インビトロ又はエキソビボで行われ;
ii) 遺伝子組み換え細胞を個体に導入し;そして
iii) 群のそれぞれの CAR 分子の二量体化を誘導又は低減するために、好ましくは、群のそれぞれの CAR 分子の二量体化を誘導するために、少なくとも 1 つの調節分子の有効量を個体に投与することを含み、それにより、CARの群の非共有複合体形成を誘導または低減し、好ましくはCARの群の非共有複合体形成を誘導し、それにより、CARの群の非共有複合体形成を誘導または低減し、好ましくはCARの群の非共有複合体形成を誘導し、ここで、それぞれの標的抗原又は異なる標的抗原のそれぞれの共有又は非共有複合体を発現する癌細胞との接触に基づいて、CARの非共有複合体群が、遺伝子組み換え細胞の活性化を仲介し、癌細胞を死滅させ、癌の治療を可能にする;
CARsの群。
【請求項13】
個体における癌の治療方法に用いる請求項10に記載の細胞であって、CARsの群の各抗原結合部分が個体の癌細胞上の標的抗原に特異的であり、以下の工程:
i)個体に細胞を導入する工程;及び
ii)前記群の2つ、3つ又は4つのCAR分子、好ましくは前記群の3つのCAR分子、尚もより好ましくは前記群の4つのCAR分子を含む、非共有結合複合体の形成を誘導する又は減少する、好ましくは誘導する、1つ以上の制御分子を有効量で個体に投与する工程、ここで各標的抗原又は異なる標的抗原の各共有結合又は非共有結合複合体を発現する癌細胞と接触したCARsの非共有結合複合群が、癌細胞の死滅を誘導する遺伝子改変細胞の活性化を誘導することにより癌の治療を可能とする;
を含む、細胞。
【請求項14】
キットであって、以下:
-請求項1~6のいずれか1項に記載のCARsの群、請求項9に記載のベクター又はベクターのキット、又は請求項10に記載の細胞又は細胞のキット;及び
-1つ、2つ又は3つの制御分子、好ましくは2つ、尚もより好ましくは1つの制御分子;
を含む、キット。
【請求項15】
細胞上の標的抗原へのTリンパ球又はNK細胞の結合が必要であることを特徴とする疾患の治療において使用され、好ましくは腫瘍患者の治療、特に以下:
Ewing肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、造骨肉腫、中皮腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ血管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、平滑筋肉腫、黒色腫、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、神経芽腫、網膜芽腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、慢性骨髄増殖性腫瘍、急性骨髄性白血病、B-細胞CLL、T-細胞CLLを含む慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病及び有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、B-細胞リンパ腫、Hodgkinリンパ腫、非Hodgkinリンパ腫、食道癌、肝細胞癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、移行上皮癌、膀胱癌、気管支癌、結腸癌、結腸直腸癌、 胃癌、肺の小細胞癌及び非小細胞癌、肺癌、副腎皮質癌、甲状腺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、腎細胞癌、非浸潤性乳管癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、精巣癌、骨形成細胞癌、上皮癌、および鼻咽頭癌、非定型髄膜種、島細胞癌、髄様癌、間葉腫、肝細胞癌、肝芽腫、明細胞癌及び神経繊維腫縦隔、から選択される腫瘍を有する腫瘍患者の治療において使用される、請求項1~6のいずれか1項に記載のCARsの群、請求項9のいずれか1項に記載のベクター又はベクターのキット、請求項10のいずれか1項に記載の細胞又は細胞のキット、特にTリンパ球又はNK細胞、又は請求項8、9又は14のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2、3又は4つのキメラ抗原受容体(CAR)分子から成るCARの群に関する。
【背景技術】
【0002】
CAR T細胞、すなわちキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように修飾されたT細胞を用いた免疫療法は、癌治療において最も有望なアプローチの1つである。現在まで、この治療戦略の高い可能性は、B細胞悪性腫瘍の患者における印象的な臨床応答により実証されている。しかしながら、この成功を他の腫瘍にさらに変換することは、現在、いくつかのハードルにより妨げられている(Lim and June, Cell. 2017;168(4):724)。例えば、CAR T細胞は、投与後に複製する製薬であり、そしてその活性は可逆的に十分に制御され得ない。現在まで、条件付きCARについてのいくつかの戦略が開発されて来た(Lim and June, Cell. 2017;168(4):724)。それらの戦略は、小分子薬剤の投与、又は標的抗原及びCARに結合する二重特異的タンパク質の注入による可逆的調節を可能にする(Wu et al. Science. 2015;350(6258):aab4077; Juillerat et al. Sci Rep. 2016;6:18950; Ma et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2016;113(4):E450; Urbanska et al. J Transl Med. 2014;12:347; Urbanska et al. Cancer Res. 2012;72(7):1844; Cartellieri et al. Blood Cancer J. 2016;6(8):e458)。本発明は、結合力、すなわちCAR群の個々の抗原結合部分、及び/又は前記群のCAR分子に結合できる他のポリペプチドの個々の抗原結合部分の親和性の相乗的増幅の調節に基くCARの機能を調節するための新規戦略を提供する。具体的には、新規CARは、特にヒト患者の治療に、副作用のリスクなしに、又は少なくとも低められた副作用を伴って、インビボで適用可能である必要がある。腫瘍治療のための手段、特に腫瘍の治療のための免疫療法の概念を提供することが、さらなる目的である。
【0003】
国際公開第WO2017/180993A1号は、サルベージキメラ抗原受容体システムを開示している。
【0004】
Lanitis et al. (Cancer Immunol. Res. 1 (2013), 43-53)は、シグナル伝達ドメインが解離したキメラ抗原受容体T細胞が、インビボでの毒性の可能性が低い集中的な抗腫瘍活性を示すことを報告している。
【0005】
Kloss et al. (Nat. biotechnol. 31 (2012), 71-75)は、バランスの取れたシグナル伝達を伴う組み合わせ抗原認識が、操作されたT細胞による選択的な腫瘍根絶を促進することを報告している。
【0006】
国際公開WO 2015/075468 A1は、活性化エンドドメインを含むCARを備えたCARシステムを開示している。
【0007】
Wu et al. (Science 350 (2015), 293 and aab4077-1 to aab4077-10)は、小分子ゲートキメラ受容体を介した治療用T細胞の遠隔制御について説明している。
【0008】
Ajina et al. (Mol. cancer therap. 17 (2018), 1795-1815は、CARトニックシグナル伝達に対処するための戦略をレビューしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、2、3又は4つのCAR分子から成るキメラ抗原受容体(CAR)の群に基くシステムを提供し、
ここで、CARの群のメンバーは、それらのアミノ酸配列において、お互い異なっていても又は同一であっても良く、そして前記群のCAR分子のそれぞれは、少なくとも膜ドメイン、及び抗原結合部分又は抗原結合部分を含む別のポリペプチドが結合できる結合部位のいずれかを含む外部ドメインを含み、そして
ここで、前記群の少なくとも1つのCAR分子は、少なくとも1つの免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)又は少なくとも1つの免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を介してシグナルを伝達できる少なくともシグナル伝達領域を含むエンドドメインをさらに含み、そして
ここで、前記群の各CAR分子のエンドドメインは、それぞれのCAR分子がエンドドメインを含む場合、細胞において発現される場合、細胞膜の細胞内側に位置し、前記群の各CAR分子の外部ドメインは、細胞において発現される場合、細胞膜の細胞外側に位置し、そして前記群の各CAR分子の膜貫通ドメインは、細胞において発現される場合、細胞膜に位置し、
前記群の各CAR分子は、前記群の他のCAR分子とのホモ又はヘテロニ量体化を仲介できる少なくとも1つの二量体化ドメインを含み、ここで一対の二量体化ドメインのこの二量体化は、調節分子により誘発され、そして任意には、別の調節分子により還元されるか、又は調節分子の非存在下で起こり、そして調節分子により還元され、ここで調節分子は、生理的条件下で、一対の二量体化ドメインの少なくとも1つのメンバーに結合することができ、そして二量体化を誘発又は低減することにより、2、3又は4つのCAR分子から成るCARの非共有的に複合体化された群の形成を誘発するか又は低減し、そして
その一般的なコンフォメーションにおける群の各CAR分子の外部ドメインは、それぞれ、前記群の他のCAR分子と分子間ジスルフィド結合を形成することができるシステインアミノ酸部分を有さず、そして
前記群のCAR分子、及び前記群のCAR分子の結合できる他のポリペプチドの抗原結合部分は、1つの標的抗原に対して、又は異なる標的分子の非共有複合体に対して特異的であり、そして
前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、1mM~100nMであり、そして
別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、1mM~100nMである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
現在まで、条件付きで活性的なCARのためのいくつかの戦略が開発されて来た。そのようなCARの例は、欧州特許第2 956 175 B1号、米国特許第20170081411A1 号及び国際公開第WO2017032777 A1号に開示されている。しかしながら、本発明の戦略は、CAR機能を調節するための根本的に異なる原理を表している。本発明によるCAR機能を調節するための基礎となる原理は、CARの群であり、ここで前記群の個々のCAR分子の個々の抗原結合部分は、それらのそれぞれの標的抗原に対して低い親和性しか有さないので、一価の相互作用のみ、CAR発現細胞において弱い細胞内シグナル伝達を引起すか、又はシグナル伝達をまったく引起さない。それぞれ、1つの抗原結合部分を含み、そしてさらに、前記群のCAR分子に結合できる他のポリペプチドの使用の場合、他のポリペプチドの抗原結合部分とそのそれぞれの標的抗原との間の相互作用、又は他のポリペプチドと、前記群のそれぞれのCAR分子上のその結合部位との間の相互作用は、低い親和性のものでなければならないので、一価の相互作用は、CAR発現細胞において弱い細胞内シグナル伝達のみを誘発するか、又はシグナル伝達を全く誘発しない。しかしながら、前記群の2、3又は4つのCAR分子の非共有アセンブリーは、二価又は四価の方法で、直接的に又は間接的に他のポリペプチドを介して、それらのそれぞれの標的抗原(又は異なる標的抗原の非共有又は共存複合体)と相互作用することができる多価CAR複合体の形成をもたらす。この多価相互作用は、低親和性、すなわち結合力の相乗的増幅をもたらす。重要なことには、そのような多価相互作用は、前記群のCAR分子の非共有複合体形成に依存している。この非共有複合体化は調節され得るので、これは、究極的に、CAR機能の調節を促進する。
【発明の効果】
【0011】
従って、一価のみならず、多価の相互作用も、CARの複合群を効率的に誘発することを確実にするために、前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、1mM~100nMであり、そして別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、1mM~100nMである。好ましい実施形態によれば、前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、1mM~150nM、好ましくは1mM~200nM、より好ましくは1mM~300nM、特に1mM~400nMであり、そして別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、1mM~150nM、好ましくは1mM~200nM、より好ましくは1mM~300nM、特に1mM~400nMである。他の好ましい実施形態によれば、前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、500μM~100nM、好ましくは250μM~100nM、より好ましくは125μM~100nM、特に50μM~100nMであり、そして別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、500μM~100nM、好ましくは250μM~100nM、より好ましくは125μM~100nM、特に50μM~100nMである。他の好ましい実施形態によれば、前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、500μM~150nM、好ましくは250μM~200nM、より好ましくは125μM~300nM、特に50μM~400nMであり、そして別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、500μM~150nM、好ましくは250μM~200nM、より好ましくは125μM~300nM、特に50μM~400nMである。本明細書に示される任意の親和性値は、定常状態分析を用いて、例えば実施例セクションにおける実施例1及び9において実施されるように、pH7.4、25℃で、Biacore T200 装置 (GE Healthcare)により実施される表面プラズモン共鳴(SPR)により決定される親和性を示すことに注意すべきである。
【0012】
本発明によるCARの群の定義された二量体化、三量体化又は四量体化を促進するために、CARの群の各CAR分子は、少なくとも1つの二量体化ドメインを含む。本発明によれば、一対のそれらの二量体ドメインの二量体化は、この一対の二量体化ドメインの少なくとも1つのメンバーに、生理学的条件下で結合できる調節分子により調節され、それにより、前記群の2、3又は4つのCAR分子の定義された非共有複合体の形成を誘発するか、又は妨げる。CARの群が活性化ITAM又は阻害ITIMを含むかどうかに依存して、CARの非共有的に複合体化された群は、それぞれの標的抗原、又は異なる標的抗原のそれぞれの非共有又は共有複合体を発現する標的細胞に応答して、CARの前記群を発現するように修飾された細胞を、効率的に活性化するか又は阻害できる。
【0013】
本発明によるCARの群の設計により促進される結合力の調節は、現在使用されているCAR分子のフォーマットによっては不可能であろう。第一に、これは、現在使用されるCAR分子の少なくとも一部が、細胞において発現される場合、細胞外システム残基間のジスルフィド結合に起因する二量体(又はオリゴマー)を形成する事実によるものである。しかしながら、CAR分子のそのような制御されていない二量体化又はオリゴマー化は、CAR複合体化の効率的な調節を妨げ、そして従って、標的抗原又は共有又は非共有複合体化された標的抗原の認識に基くその得られる結合力効果の認識を妨げる。
【0014】
このために、本発明によれば、その「一般的コンフォメーション」(すなわち、天然において折りたたまれたコンフォメーション)での群の各CAR分子の外部ドメインは、それぞれ、前記群の他のCAR分子と分子間ジスルフィド結合を形成できるシステインアミノ酸部分を含まない。言い換えれば、本発明による群のCAR分子の細胞外ドメインは、CARの天然に折りたたまれたコンフォメーションで分子内ジスルフィド結合に関与しない(すなわち、前記群の特定のCAR分子内で形成される)何れのシステインも含むべきではない。例えば、天然のコンフォメーションで分子間ジスルフィド結合を形成できる(すなわち、前記群の他のCAR分子と)、CD8αのヒンジ領域におけるシステインは、例えば突然変異又は欠失により除外される必要がある。他方では、CAR分子の本来のコンフォメーションで分子内ジスルフィド結合に関与している(そして、従って、他のCAR分子との分子間結合の形成にアクセスできない)システインは、本発明によるCARの群のCARに存在することができ。1つの例として、分子内ジスルフィド結合を形成する抗体フラグメントのIgドメイン内(例えば、scFv内)のシステインは、本発明によるCARの群のCAR分子中に存在することができる。例えば、scFvにおけるそれらのシステインは分子内ジスルフィド結合に関与しているので、それらは分子間ジスルフィド結合には利用できず(CAR分子がその一般的な、すなわち天然のコンフォメーションで存在する場合)、それにより、前記群のCAR分子の望ましくない共有二量体化又はオリゴマー化を回避する。
【0015】
一般的に、本発明によるCARの群の複合体化を仲介するよう意図されたドメイン以外のドメインにより仲介されたCAR分子の非共有二量体化又はオリゴマー化もまた、CAR複合体化の効率的な調節、及び従って、本発明によるCARの群の機能の調節を妨げるであろう。
【0016】
従って、CAR分子のそのような非共有二量体化又はオリゴマー化は、そのようなドメインの排除又は操作により、生物学的に可能な限り防止されるか、又は少なくとも最小限にされる必要がある。
【0017】
例えば、現在のCARの抗原結合部分は通常、個々の分子間の可変L(VL)ドメイン及び可変H(VH)ドメインの分子間へテロ二量体化のためにオリゴマー化する傾向がある一本鎖可変フラグメント(csFv)に基いている(Hudson et al., J Immunol Methods. 1999; 231(1-2):177-89; Long et al., Nat Med. 2015;21(6):581-90)。従って、本発明のCARの群の個々の分子は、好ましくは、scFvベースの抗原結合部分、又はCAR分子の望ましくない、及び制御されていない共有又は非共有複合体形成を潜在的に導く他の分子成分を含まない。
【0018】
本発明のCARの群の分子設計の基本的構造は、CARの群の非共有複合体化、及びそれにより、標的抗体認識に基くCARの群の結合力の条件付調節の可能性を破壊しないで特定の部位で変化させられ得る。
【0019】
例えば、CARの群は、2つのCAR分子、又はあるいは、標的抗原認識に基く結合の効果、及び標的細胞上の低密度の標的抗原分子をまた認識する能力をさらに高めるために、3又は4つのCAR分子から成ることができる。
【0020】
本発明によれば、CARの群は、調節分子の存在又は非存在に機能的に依存するように設計され、これは、少なくとも1つの二量体化ドメインに結合し、そして一対の二量体化ドメインの相互作用を誘発するか又は低減できる任意の分子であり得る。それらの分子は通常、小分子であるが、例えば腫瘍の間質に蓄積する可溶性タンパク質でもあり得、これは、多くの場合、それ自体、天然においてヘテロ二量体化する(例えば、IL-12のようなヘテロ二量体化サイトカインのサブユニット)又は天然においてホモ二量体化する(例えば、VEGF(実施例7に使用されるような)、TGF-β1、等)タンパク質である。調節分子は、生理学的条件下で、CAR分子のエンドドメイン、膜貫通ドメイン及び/又は外部ドメインに位置する一対の二量体化ドメインの少なくとも1つのメンバーに結合することができる。しかしながら、異なる細胞間でのCAR分子の架橋によりフラトリサイドの可能性を排除するために、二量体化ドメインは、エンドドメイン、及び/又はCARの群のCAR分子の膜貫通ドメイン、より好ましくは、エンドドメインに組込まれる。
【0021】
CARの群の個々のCAR分子は、標的抗原に対して、又は統合された抗原結合部分を介して異なる標的抗原の非共有又は共有複合体に直接的に結合するか、又はCAR分子に結合でき、そして抗原結合部分を含む別のポリペプチドを介して間接的に、結合することができる。そのような別のポリペプチドは、それにより、CARの群に属さず、そして例えば共有結合されたフルオレセインイソチオシアネート(FITC)分子などの他のポリペプチドの共有結合修飾を介して直接的に又は間接的に前記群のCAR分子における結合部位に非共有結合できる可溶性タンパク質として定義される。CAR分野で良く知られており(Cho et al., Cell. 2018;173(6):1426-1438; Ma et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2016;113(4):E450-458; Urbanska et al., Cancer Res. 2012;72(7):1844-1852)、そして現在クリニックで試験されている(Labanieh et al., Nat Biomed Eng. 2018; 2:377-391)抗原への間接的なCAR結合のこの原理は、本発明のCARの群に組込まれ得る。この場合、原則として、低親和性結合は、必ずしも、他のポリペプチドの抗原結合部分を介して起こる必要はないが、抗原結合部分を含む他のポリペプチドが結合できる結合部位を介してCAR分子で起こることもできる。
【0022】
しかしながら、抗原結合部分を含み、そしてCAR分子に結合できる別のポリペプチドを投与する必要性を回避するために、CARの群自体の各CAR分子の外部ドメインが抗原結合部分を含むことが好ましい。
【0023】
上記のように、本発明による、前記群のCAR分子の基本的構造は、異なる用途の必要性に適合され得る。細胞外側から細胞内側への群のCAR分子中のドメインの順序は、好ましくは、細胞の表面上で、以下の基本的構造に一致する:抗原結合部分、又は抗原結合部分を含む別のポリペプチドが結合できる結合部位、好ましくは空間最適化のためのヒンジ領域、及び膜貫通ドメイン。CARのITAM含有群の好ましい実施形態によれば、膜貫通ドメインは、好ましくは、少なくとも1つのCAR分子において、共刺激ドメインを含むシグナル伝達領域が続き、ここで好ましくは、この共刺激シグナル伝達領域、又は任意には、膜貫通ドメインに続いて、少なくとも1つの二量体化ドメイン、及びさらに、少なくとも1つのCAR分子においては、少なくとも1つのITAMを含むシグナル伝達領域が存在し、ここで共刺激及びITAM含有シグナル伝達領域の順序は、逆にされ得る。ITAMを含まないCAR分子は、共刺激シグナル伝達領域を欠くか、又は1つの共刺激シグナル伝達領域、又は2つの共刺激シグナル伝達領域、又はさらに多くの共刺激シグナル伝達領域、しかし好ましくは、2つ以下の共刺激シグナル伝達領域、又はさらにより好ましくは、1つの共刺激シグナル伝達領域のみを含む。CARの群を含むITIMの場合、膜貫通ドメインに続いて、優先的に、少なくとも1つのCAR分子においては、ITIMを含む阻害シグナル伝達領域が存在する。この阻害シグナル伝達領域、又は任意には、膜貫通ドメインに続いて、少なくとも1つの二量体化ドメイン、及び任意には、第2の阻害シグナル伝達領域が存在する。一般的に、ITAM及びITIMを含むCARの群においては、群の各CAR分子のために少なくとも1つが必須である二量体化ドメインは、外部ドメイン又は膜貫通ドメインに、代替的に又は追加的に配置され得るが、好ましくは、膜貫通ドメインとシグナル伝達ドメインとの間、及び/又は特に、2つのシグナル伝達領域間、及び/又はCAR分子の細胞内末端に配置され得る。最終的に、前記群のCAR分子の任意の2つの隣接する成分(例えば、抗原結合部分、抗原結合部分を含む別のポリペプチドが結合できる結合部位、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、シグナル伝達領域、二量体化ドメイン)は任意には、リンカーにより分離され得る。
【0024】
異なる標的抗原、又は異なる標的抗原の異なる非共有又は共有複合体に対して向けられたCARの異なる群はまた、標的抗原の損失により誘発される腫瘍の免疫回避を阻害するために、細胞において共発現され得る。CARの群はまた、所定の細胞において他のタンパク質と共に、共発現され得る。
【0025】
1.抗原結合部分:
本発明によるCARの群の個々のCAR分子の抗原結合部分は、標的抗原分子の単一の選択されたエピトープに対して向けられ得る。この場合、CARの複合体化された群による効率的なシグナル伝達は、高密度の標的抗原、又は二量体化/オリゴマー化する標的抗原の能力のいずれかを必要とする。単量体標的抗原分子の効率的且つ高感度の標的化を可能にするためには、本発明によるCARの群の個々のCAR分子はまた、選択された標的抗原の異なる(すなわち、重複しない)エピトープに対して、又は天然に置いて、共有複合体(例えば、TCRα/TCRβ鎖)、又は非共有複合体(例えばMMC IIα/β鎖又はErbB-1/ErbB-2)を形成する異なる分子上に位置する異なるエピトープに対して向けられ得る。それらの場合、すなわち同じ標的抗原上の重複しないエピトープ、又は異なるが、複雑な標的抗原上のエピトープを標的とする場合、CARの群の標的エピトープは単一分子、又はエピトープの非常に高い局所濃度に対応する複合分子上に位置するので、結合の効果は強く増大される。
【0026】
本発明によるCARの群への使用のために適切な抗原結合部分は、任意の抗原結合ポリペプチドであり得(Labanieh et al., Nat Biomed Eng. 2018; 2:377-391)、広範囲の種類のものが当業界において知られている(Simeon et al., Protein Cell. 2017; Gilbreth et al., Curr Opin Struct Biol. 2012;22(4):413-420; Koide et al., ACS Chem Biol. 2009;4(5):325-334; Traxlmayr et al., J Biol Chem. 2016;291(43):22496-22508)。一方、より多くの非抗体結合タンパク質が報告されており(Pluckthun, Alternative Scaffolds: Expanding the options of antibodies. In: Little M, ed. New York: Cambridge University Press; 2009:244-271; Chapman et al., Cell Chem Biol. 2016;23(5):543-553; Binz et al., Nat Biotechnol. 2005;23(10):1257-1268; Vazquez-Lombardi et al., Drug Discov Today. 2015;20(10):1271-1283)、そして実際、合成ライブラリー設計及び選択が、抗原結合部分としても潜在的に機能することができる任意のタンパク質に適用され得る(Pluckthun, 代替足場:抗体の選択肢を拡大する : Little M, ed. New York: Cambridge University Press; 2009:244-271において)。
【0027】
場合によっては、抗原結合部分は、一本鎖Fv(scFv)、cAb VHH(ラクダ抗体可変ドメイン)又はそのヒトバージョンのような他の抗体ベースの認識ドメイン、IgNAR VH(サメ抗体可変ドメイン)及びそのヒト化バーション、sdAb VH(単一ドメイン抗体可変ドメイン)又は「ラクダ化」抗体可変ドメインであり得る。場合によっては、T細胞受容体(TCR)ベースの認識ドメイン、例えば一本鎖TCR(scTv,VaVを含む一本鎖2ドメインTCR)は、また使用に適している可能性がある。好ましくは、CARの群の各分子の抗原結合部分は、以下を含む:1つのタンパク質ドメインのみ、好ましくはヒト又は非ヒトVH又はVL単一ドメイン抗体(ナノボディ)、又はブドウ球菌プロテインAのZドメイン、リポカリン、SH3ドメインン、フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン、ノッチン、Sso7d、rcSso7d、Sac7d、Gp2、DARPins又はユビキチンに基く操作された抗原結合部分;低親和性結合及び同型相互作用の欠如のために選択、又は操作された、リガンド、受容体又は補助受容体。リガンドは、例えば、サイトカイン(例えば、IL-13など);成長因子(例えば、ヘレグリンなど);及び同様のものを含む。リガンドは、リガンドの受容体結合フラグメント(例えば、HGFのペプチド(Thayaparan et al., Oncoimmunology. 2014;6(12):e1363137);インテグリン結合ペプチド(例えば、配列Arg-Gly-Aspを含むペプチド);などであり得る。同様に、受容体は、受容体のリガンド結合フラグメントであり得る。適切な受容体は、例えば、以下を含む:サイトカイン受容体(例えば、IL-13受容体; IL-2受容体など); 細胞接着分子(例えば、CD11a(Park et al., Sci Rep. 2017;7(1):14366); など); PD-1;及び同様のもの。CARの群の各分子の抗原結合部分は、好ましくは、CAR分子の望ましくない凝集を引起さない。上記のように、前記群のCAR分子のそのような望ましくない二量体化又はオリゴマー化は、前記群のCAR分子の二量体化、三量体化又は四量体化状態の効率的な制御を妨げる。このために、抗原結合部分は、モノクローナル抗体に由来する一本鎖可変フラグメント(scFv)でないことが好ましい。本発明によるCARの群の臨床的適用可能性を目的として、抗原結合部分は、好ましくは、ヒト単一タンパク質ドメイン(例えば、フィブロネクチンIII型ドメイン(FN3)ベースのモノボディ)に由来する。
【0028】
2.ヒンジ領域:
いくつかの実施形態によれば、前記群のCAR分子の外部ドメインは、抗原結合部分(又は少なくとも抗原結合を含む別のポリペプチドが結合できる結合部位)と膜貫通ドメイン、好ましくはCD8α(UniProtKB / Swiss-Prot P01732-1に従ってのアミノ酸配列位置138~182)、又はCD28(UniProtKB / Swiss-Prot P10747に従ってのアミノ酸配列位置114~152)、又はPD-1(UniProtKB / Swiss-ProtQ15116に従ってのアミノ酸配列の位置146-170)由来のヒンジ領域との間に挿入されたヒンジ領域を含み、ここでCD8α、CD28又はPD-1由来の配列は、N末端及び/又はC末端切断され得、そして前記配列の境界内で任意の長さを有することができ、そしてここで、CD8α及びCD28由来の前記ヒンジにおけるシステイン残基は、欠失されるか、又は他のアミノ酸残基により置換される。原則として、柔軟な膜アンカー、及びまた、より多くの受容体の他の部分は、前記群のCAR分子のヒンジ領域及び/又は膜貫通ドメインへの使用のために適しており(Labanieh et al., Nat Biomed Eng. 2018; 2:377-391)、但し、必要に応じて、それらは、本発明による二量体化を妨げるために修飾される。
【0029】
選択された標的抗原の最適な結合のための個々の構造条件に依存して、CAR分子のヒンジ領域は、以下の長さを有することができる:約2つのアミノ酸~約50のアミノ酸、例えば約4つのアミノ酸(aa)~約10のaa、約10のaa~約15のaa、約15のaa~約20のaa、約20のaa~約25のaa、約25のaa~約30のaa、約30のaa~約40のaa、又は約40のaa~約50のaa。任意には、ヒンジ領域は、例えば構造化ドメインが組込まれている場合、50以上のアミノ酸を含むことができる(例えば、米国特許第2018 / 0094044A1号に開示されているように、CAR修飾細胞の富化を促進するためのCD34 UniProt P28906-1 aa 42-140から)。
【0030】
好ましくは、他のポリペプチド、好ましくはグリシン及びグリシン-セリンポリマーは、Gly及びSerの両方は、比較的構造化されておらず、そして従ってCAR成分間の中性デザーとして機能し得るので、ヒンジのために使用され得る。グリシンは、アラニンよりもはるかに多くのphi-phi空間にアクセスし、そしてより長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限が少ない(Scheraga, Rev. Computational Chem. 1992; 11173-11142)。従って、それらの標的抗原への最適な結合のためにCAR分子を調整するためには、抗原結合部分(又は少なくとも抗原結合部分を含む別のポリペプチドが結合できる結合部位)と、膜貫通ドメインとの間に挿入されるヒンジ領域は、グリシンポリマー(G)n及び/又はグリシン-セリンポリマー(GS)n、(GSGGS)n、(GGS)n(GGGS)n、(GGGGS)n(ここで、nは少なくとも1の整数である)を含む。
【0031】
3.膜貫通ドメイン:
CARの群の各分子は、真核細胞膜中への挿入のための膜貫通ドメインを含む。真核生物(例えば、哺乳類)細胞の細胞膜へのポリペプチドの挿入を提供する任意の膜貫通(TM)ドメインが、使用のために適切である。例えばヒトCD8α(Uniprot P01732, アミノ酸 (aa) 183-206)のTM配列IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCが使用され得る。適切なTM配列のさらなる例は、以下を含む:ヒトCD8β由来:LGLLVAGVLVLLVSLGVAIHLCC(Uniprot P10966、aa 173-195);ヒトCD4由来:ALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFCVRC(Uniprot P01730、aa 398-422); ヒトCD3ゼータ由来:LCYLLDGILFIYGVILTALFLRV(Uniprot P20963、aa 31-53); ヒトCD28由来:FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV(Uniprot P10747、aa 154-179); ヒトCD134(OX40)由来:VAAILGLGLVLGLLGPLAILLALYLL(Uniprot P43489、aa 215-240); ヒトCD27由来:ILVIFSGMFLVFTLAGALFLH(Uniprot P26842、aa 192-212); ヒトCD278(ICOS)由来:FWLPIGCAAFVVVCILGCILI(Uniprot Q9Y6W8、aa 141-161); ヒトCD279(PD-1)由来:VGVVGGLLGSLVLLVWVLAVI(Uniprot Q15116、aa 171-191);ヒトDAP12由来:GVLAGIVMGDLVLTVLIALAV(Uniprot O43914、aa 41-61); 及びヒトCD7由来:ALPAALAVISFLLGLGLGVACVLA(Uniprot P09564、aa 178-201)。
【0032】
4.免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM):
本発明によれば、CARの群の少なくとも1つの分子は、少なくとも1つの免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を介してシグナルを伝達できるエンドドメインを含む。ITAMモチーフは、YX1X2L/Iであり、ここでX1及びX2は独立して任意のアミノ酸である。ITAM含有エンドドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は12を超えるITAMモチーフを含む。シグナル伝達エンドドメインのITAM含有部分は、好ましくは、任意のITAM含有タンパク質に由来し、そしてそれらが由来するタンパク質全体の配列全体を含む必要はない。適切なITAM含有ポリペプチドの例は、以下を含む:DAP12; FCER1G(Fcイプシロン受容体Iガンマ鎖); CD3D(CD3デルタ); CD3E(CD3イプシロン); CD3G(CD3ガンマ); CD3Z(CD3ゼータ); 及びCD79A(抗原受容体複合体関連タンパク質α鎖)。
【0033】
特に好ましい実施形態によれば、CARの群の少なくとも1つのCAR分子中の少なくとも1つのシグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3ゼータ鎖(CD3Z、T細胞受容体T3ゼータ鎖、CD247、CD3-ZETA、CD3H、CD3Q、T3Z、TCRZなどとしても知られてる)の細胞質ドメインに由来する。例えば、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列(2つのイソフォーオム)のいずれかの、約50のアミノ酸~約60のアミノ酸(aa)、約60のaa~約70のaa、約70のaa~約80のaa、約80のaa~約90のaa、約90のaa~約100のaa、約100のaa~約110のaa、約110のaa~約115のaa、約115のaa~ 約120のaa、約120のaa~約130のaa、約130のaa~約140のaa、約140のaa~約150のaa、又は約150のaa~約160の連続ストレッチに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:
MKWKALFTAAILQAQLPITEAQSFGLLDPKLCYLLDGILFIYGVILTALFLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR (Uniprot P20963-3 ) 又は
MKWKALFTAAILQAQLPITEAQSFGLLDPKLCYLLDGILFIYGVILTALFLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR (Uniprot P20963-1)、ここでITAMモチーフは、太字で、下線が引かれている。
【0034】
同様に、適切なITAM含有ドメインは、全長CD3ゼータアミノ酸配列のITAM含有部分を含むことができる。従って、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR (Uniprot P20963-3 aa 52-163)、
NQLYNELNLGRREEYDVLDKR (Uniprot P20963-3 aa 69-89)、EGLYNELQKDKMAEAYSEIGMK (Uniprot P20963-3 aa 107-128)、DGLYQGLSTATKDTYDALHMQ (Uniprot P20963-3 aa 138-158)、ここでITAMは、太字で、下線から引かれている。
【0035】
ITAM含有ドメインはまた、T細胞表面糖タンパク質CD3デルタ鎖(CD3D;CD3-DELTA; T3D; CD3抗原、デルタサブユニット; CD3デルタ; CD3d抗原、デルタポリペプチド(TiT3複合体); OKT3、デルタ鎖; T細胞受容体T3デルタ鎖; T細胞表面糖タンパク質CD3デルタ鎖; 等とも呼ばれる)に由来する場合もある。例えば、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列(2つのイソフォーム):Uniprot P04234-1; Uniprot P04234-2のいずれかの、約100のアミノ酸~約110のアミノ酸(aa)、約110のaa~約115のaa、約115のaa~約120のaa、約120のaa~約130のaa、約130のaa~約140のaa、約140のaa~約150のaa、又は約150のaa~約170のaaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0036】
同様に、適切なITAM含有ドメインは、全長CD3デルタアミノ酸配列のITAM含有部分を含むことができる。従って、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:
DQVYQPLRDRDDAQYSHLGGN (Uniprot P04234-1 aa 146-166)、ここでITAMは、太字で、下線から引かれている。
【0037】
ITAM含有ドメインはまた、T細胞表面糖タンパク質CD3イプシロン鎖(CD3e、T細胞表面抗原T3/Leu-4イプシロン鎖、T細胞表面糖タンパク質CD3c鎖、AI504783、CD3、CD3イプシロン、T3eなどとしても知られている)に由来する場合もある。例えば、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列Uniprot P07766-1の、約100のアミノ酸~約110のアミノ酸(aa)、約110のaa~約115のaa、約115のaa~約120のaa、約120のaa~約130のaa、約130のaa~約140のaa、約140のaa~約150のaa、又は約150のaa~約205のaaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0038】
同様に、適切なITAM含有ドメインは、全長CD3イプシロンアミノ酸配列のITAM含有部分を含むことができる。従って、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:
NPDYEPIRKGQRDLYSGLNQR (Uniprot P07766-1 aa 185-205)、ここでITAMは、太字で、下線から引かれている。
【0039】
ITAM含有ドメインはまた、T細胞表面糖タンパク質CD3ガンマ鎖(D3G、T細胞受容体T3ガンマ鎖、CD3-GAMMA、T3G、ガンマポリペプチド(TiT3複合体などとしても知られている)に由来する場合もある。例えば、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列の、約100のアミノ酸~約110のアミノ酸(aa)、約110のaa~約115のaa、約115のaa~約120のaa、約120のaa~約130のaa、約130のaa~約140のaa、約140のaa~約150のaa、又は約150のaa~約180のaaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:
MEQGKGLAVLILAIILLQGTLAQSIKGNHLVKVYDYQEDGSVLLTCDAEAKNITWFKDGKMIGFLTEDKKKWNLGSNAKDPRGMYQCKGSQNKSKPLQVYYRMCQNCIELNAATISGFLFAEIVSIFVLAVGVYFIAGQDGVRQSRASDKQTLLPNDQLYQPLKDREDDQYSHLQGNQLRRN (Uniprot P09693-1)、ここでITAMは、太字で、下線から引かれている。
【0040】
同様に、適切なITAM含有ドメインは、全長CD3ガンマアミノ酸配列のITAM含有部分を含むことができる。従って、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:
DQLYQPLKDREDDQYSHLQGN (Uniprot P09693-1 aa 157-177)、ここでITAMは、太字で、下線から引かれている。
【0041】
ITAM含有ドメインはまた、DAP12( TYROBP ;TYROタンパク質チロシンキナーゼ結合タンパク質; KARAP; PLOSL; DNAX活性化タンパク質12; KAR関連タンパク質; TYROタンパク質チロシンキナーゼ結合タンパク質; キラー活性化受容体関連タンパク質; キラー活性化受容体関連タンパク質; 等としても知られている)に由来する場合がある。例えば、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列(4つのイソフォーム):Uniprot O43914-1; Uniprot O43914-2; Uniprot O43914-3; Uniprot X6RGC9-1のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0042】
同様に、適切なITAM含有ドメインは、全長DAP12アミノ酸配列のITAM含有部分を含むことができる。従って、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:
ESPYQELQGQRSDVYSDLNTQ (Uniprot O43914-1 aa 88-108)、ここでITAMは、太字で、下線から引かれている。
【0043】
ITAM含有ドメインはまた、FCER1G( FCRG ;Fcイプシロン受容体Iガンマ鎖; Fc受容体ガンマ鎖; fc-イプシロンRl-ガンマ; fcRgamma; fceRIガンマ; 高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ; 免疫グロブリンE受容体、高親和性、ガンマ鎖; 等とも呼ばれる)に由来する場合がある。例えば、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む:
MIPAVVLLLLLLVEQAAALGEPQLCYILDAILFLYGIVLTLLYCRLKIQVRKAAITSYEKSDGVYTGLSTRNQETYETLKHEKPPQ (Uniprot P30273)、ここでITAMは、太字で、下線から引かれている。
【0044】
同様に、適切なITAM含有ドメインは、全長FCER1Gアミノ酸配列のITAM含有部分を含むことができる。従って、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:
DGVYTGLSTRNQETYETLKHE (Uniprot P30273 aa 62-82)、ここでITAMは、太字で、下線から引かれている。
【0045】
ITAM含有ドメインはまた、CD79A(B細胞抗原受容体複合体関連タンパク質アルファ鎖; CD79a抗原(免疫グロブリン関連アルファ); MB-1膜糖タンパク質; ig-alpha; 膜結合免疫グロブリン関連タンパク質; 表面IgM関連タンパク質; 等とも呼ばれる)に由来する場合がある。例えば、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列(2つのイソフォーオム)のいずれかの、約100のアミノ酸~約110のアミノ酸(aa)、約110のaa~約115のaa、約115のaa~約120のaa、約120のaa~約130のaa、約130のaa~約150のaa、約150のaa~約200のaa、又は約200のaa~約220のaaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:
MPGGPGVLQALPATIFLLFLLSAVYLGPGCQALWMHKVPASLMVSLGEDAHFQCPHNSSNNANVTWWRVLHGNYTWPPEFLGPGEDPNGTLIIQNVNKSHGGIYVCRVQEGNESYQQSCGTYLRVRQPPPRPFLDMGEGTKNRIITAEGIILLFCAVVPGTLLLFRKRWQNEKLGLDAGDEYEDENLYEGLNLDDCSMYEDISRGLQGTYQDVGSLNIGDVQLEKP (Uniprot P11912-1) 又は
MPGGPGVLQALPATIFLLFLLSAVYLGPGCQALWMHKVPASLMVSLGEDAHFQCPHNSSNNANVTWWRVLHGNYTWPPEFLGPGEDPNEPPPRPFLDMGEGTKNRIITAEGIILLFCAVVPGTLLLFRKRWQNEKLGLDAGDEYEDENLYEGLNLDDCSMYEDISRGLQGTYQDVGSLNIGDVQLEKP (Uniprot P11912-2)、ここでITAMモチーフは、太字で、下線が引かれている。
【0046】
同様に、適切なITAM含有ドメインは、全長CD79Aアミノ酸配列のITAM含有部分を含むことができる。従って、適切なITAM含有ドメインは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:
ENLYEGLNLDDCSMYEDISRG (Uniprot P11912-1 aa 185-205)、ここでITAMは、太字で、下線から引かれている。
【0047】
従って、本発明によれば、CARの群の少なくとも1つのCAR分子のエンドドメインは、少なくとも1つのITAMを優先的に含み、前記ITAMは、好ましくはCD3ゼータ、DAP12、Fc-イプシロン受容体1ガンマ鎖、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、及びCD79A(抗原受容体複合体関連タンパク質アルファ鎖)から選択される。
【0048】
ITAMの数は、CARのシグナル伝達効率と相関するので(James, Sci Signal. 2018;11(531))、CARの群は好ましくは、最後の3つのITAMを全て含み、ここでITAMは、前記群の単一のCAR分子のみに限定され得る。あるいは、前記群のいくつかの又は全てのCAR分子は、少なくとも1つのITAMを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、前記群のCAR分子の異なるエンドドメインにおけるITAM含有部分は、同じ受容体に由来し、一方、他の実施形態によれば、前記群のCAR分子の異なるエンドドメインにおけるITAM含有部分は、異なる受容体に由来する。いくつかの実施形態によれば、CARの群は、好ましくは、CD3ゼータに由来する、ITAM含有部分を含む1つの分子のみを含む。他の実施形態によれば、CARの群は、2つの分子から成り、ここで両者は、CD3ゼータに由来する細胞質ドメインの一部を含む。ベクトルペイロードに関しては、CARの群内のITAM総数は、好ましくは3~6である。さらに、ITAM含有配列は、相同組換えのリスクを最少にするために、ヌクレオチド配列の相同性を最小限にするように選択及び/又は操作される。
【0049】
5.共刺激ドメイン:
好ましい実施形態によれば、前記群の少なくとも1つのCAR分子のエンドドメインは、4-1BB(CD137)、CD28、ICOS、BTLA、OX-40、CD2、CD6、CD27、CD30、CD40、GITR、及びHVEM由来の共刺激ドメインを含むシグナル伝達領域を含み、それにより、CARの群に含まれる共刺激ドメインは、任意には、異なる共刺激受容体に由来することができる。
【0050】
CARの群のCAR分子の共刺激シグナル伝達領域に含めるのに適切な共刺激ドメインは、約30のaa~約70のaaの長さを有することができ、例えば共刺激ドメインは、約30の aa ~約35のaa、 約35のaa ~ 約40のaa、 約40のaa ~ 約45のaa、 約45のaa ~ 約50のaa、 約50のaa ~ 約55のaa、 約55のaa ~ 約60のaa、 約60のaa ~ 約65のaa、又は約65のaa ~ 約70のaaの長さを有することができる。任意には、共刺激ドメインは、約70のaa~約100のaa、約100のaa~約200のaa、又は200以上のaaの長さを有することができる。
【0051】
特に好ましい実施形態によれば、CARの群の少なくとも1つの分子における共刺激ドメインは、膜貫通タンパク質4-1BB(TNFRSF9; CD137; 4-1BB; CDw137; ILA; 等としても知られている)の細胞内部分に由来する。例えば適切な共刺激ドメインは、アミノ酸配列Uniprot Q07011 aa 214-255に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0052】
好ましい実施形態によれば、CARの群の少なくとも1つの分子における共刺激ドメインは、膜貫通タンパク質CD28(また、Tp44としても知られている)の細胞内部分に由来する。例えば、適切な共刺激ドメインは、アミノ酸配列Uniprot P10747 aa 1778-220に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0053】
特に好ましい実施形態によれば、CARの群の少なくとも1つの分子における共刺激ドメインは、膜貫通タンパク質ICOS(また、AILIM、CD278及び CVID1としても知られている)の細胞内部分に由来する。例えば、適切な共刺激ドメインは、アミノ酸配列Uniprot Q9Y6W8 aa 165-199に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0054】
好ましい実施形態によれば、CARの群の少なくとも1つの分子における共刺激ドメインは、膜貫通タンパク質CD27(また、S 152、T14、TNFRSF7及びTp55としても知られている)の細胞内部分に由来する。例えば、適切な共刺激ドメインは、アミノ酸配列Uniprot P26842 aa 212-260に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0055】
好ましい実施形態によれば、CARの群の少なくとも1つの分子における共刺激ドメインは、膜貫通タンパク質OX-40(また、TNFRSF4、RP5-902P8.3、ACT35、CD134、 OX40、TXGP1Lとしても知られている)の細胞内部分に由来する。例えば、適切な共刺激ドメインは、アミノ酸配列Uniprot P43489 aa 241-277に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0056】
他の実施形態によれば、CARの群の少なくとも1つの分子における共刺激ドメインは、膜貫通タンパク質BTLA(また、BTLA1及びCD272としても知られている)の細胞内部分に由来する。例えば、適切な共刺激ドメインは、アミノ酸配列Uniprot Q7Z6A9 aa 176-289に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0057】
他の実施形態によれば、CARの群の少なくとも1つの分子における共刺激ドメインは、膜貫通タンパク質GITR(また、TNFRSF18、RP5-902P8.2、AITR、CD357及びGITR-Dとしても知られている)の細胞内部分に由来する。例えば、適切な共刺激ドメインは、アミノ酸配列Uniprot Q9Y5U5 aa 188-241に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0058】
他の実施形態によれば、CARの群の少なくとも1つの分子における共刺激ドメインは、膜貫通タンパク質HVEM(また、TNFRSF14、RP3-395M20.6、ATAR、CD270、HVEA、HVEM、LIGHTR及びTR2としても知られている)の細胞内部分に由来する。例えば、適切な共刺激ドメインは、アミノ酸配列Uniprot Q92956 aa 224-283に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約9。
【0059】
他の実施形態によれば、CARの群の少なくとも1つの分子における共刺激ドメインは、膜貫通タンパク質CD30(また、TNFRSF8、D1S166E、 及びKi-1としても知られている)の細胞内部分に由来する。例えば、適切な共刺激ドメインは、アミノ酸配列Uniprot P28908 aa 409-595の、約100のアミノ酸~約110のアミノ酸(aa)、約110のaa~約115のaa、約115のaa~約120のaa、約120のaa~約130のaa、約130のaa~約140のaa、約140のaa~約150のaa、約150のaa~約160のaa、又は約160のaa~約185のaaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0060】
6.阻害ドメイン:
CARの群が阻害シグナルを誘発することも目的としている場合、前記群の少なくとも1つのCAR分子のエンドドメインは、PD-1、CD85A、CD85C、CD85D、CD85J、CD85K、LAIR1、TIGIT、CEACAM1、CD96、KIR2DL、KIR3DL、SLAMファミリーメンバー、CD300 / LMIRファミリーメンバー、CD22及びその他のSiglecファミリーメンバーから優先的に選択された阻害受容体のITIM含有細胞質部分(又はその一部)を含むシグナル伝達領域を含み、それにより、CARの群により含まれる阻害シグナル伝達領域は、任意には、異なる阻害受容体に由来することができる。阻害ITIMは、当業界において良く知られており(Ravetch and Lanier, Science. 2000;290(5489):84; Barrow and Trowsdale, Eur J Immunol. 2006;36(7):1646)、そしてそれぞれの阻害ドメインの配列は、例えば米国特許第2018/0044399 A1号 及び 米国特許第2017/0260268 A1号に開示されている。原則として、例えばCTLA-4、LAG3、TIM3又はCD5などのITIMとは独立してそれらの阻害機能を媒介する他の阻害受容体の細胞質ドメインもまた、CAR分子の阻害シグナル伝達領域に含めるのに適切である。
【0061】
CARの群のCAR分子の阻害シグナル伝達領域に含めるのに適切な阻害ドメインは、約30のaa~約100のaaの長さを有することができ、例えば阻害ドメインは、約30の aa ~約50のaa、 約50のaa ~ 約70のaa、 又は約70のaa ~ 約100のaaの長さを有する。他の場合、阻害ドメインは、約100のaa~約100のaa~約200のaa、又は200以上のaaの長さを有することができる。
【0062】
例えば、適切な阻害ドメインは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:PD-1(Uniprot Q15116 aa 192-288)、CD85A(Uniprot O75022 aa 465-631)、CD85C(Uniprot O75023 aa 480-590)、CD85D(Uniprot Q8N423 aa 483-598)、CD85K(Uniprot Q8NHJ6 aa 281-448) )、KIR3DL3(Uniprot Q8N743 aa 344-410)、KIR3DL1(Uniprot P43629 aa 361-444)、KIR3DL2(Uniprot P43630 aa 361-455)、CTLA4(Uniprot P16410 aa 183-223)、LAG3(Uniprot P18627 aa 472-525)、TIM3(Uniprot Q8TDQ0 aa 224-301)、LAIR1(Uniprot Q6GTX8 aa 187-287)、 KIR2DL2(Uniprot P43627 aa 265-348)、CD85J(Uniprot Q8NHL6 aa 483-650)、TIGIT(Uniprot Q495A1 aa 163-244)、CEACAM1(Uniprot P13688 aa 453-526)、CD5(Uniprot P06127 aa 403-495)、CD96(Uniprot P40200 aa 541-585)、CD22(Uniprot P20273 aa 707-847)、 CSF1R(Uniprot P07333 aa 539-972)。
【0063】
7.リンカー:
CARの群の分子は、いずれか2つの隣接するドメイン(すなわち、CAR分子の成分)の間にリンカーを含むことができる。例えば、リンカーは、膜貫通ドメインとシグナル伝達領域との間に配置され得る。別の例として、リンカーは、シグナル伝達領域と二量体化ドメインとの間に配置され得る。別の例として、リンカーは、2つの二量体化ドメインの間に配置され得る。 別の例として、リンカーは、2つのシグナル伝達領域の間に配置され得る。別の例として、リンカーは、膜貫通ドメインと二量体化ドメインとの間に配置され得る。別の例として、リンカーは、抗原結合部分と膜貫通ドメインとの間のCAR分子の外部ドメインに配置されえる。別の例として、リンカーは、別のポリペプチドが結合することができる結合部位と膜貫通ドメインとの間のCAR分子の外部ドメインに配置され得る。別の例として、リンカーは、シグナル配列と抗原結合部分との間のCAR分子の外部ドメインに配置され得る。別の例として、リンカーは、シグナル配列と別のポリペプチドが結合することができる結合部位との間のCAR分子の外部ドメインに配置され得る。別の例として、リンカーは、シグナル配列と二量体化ドメインとの間のCAR分子の外部ドメインに配置され得る。別の例として、リンカーは、二量体化ドメインと抗原結合部分との間のCAR分子の外部ドメインに配置され得る。別の例として、リンカーは、二量体化ドメインと別のポリペプチドが結合することができる結合部位との間のCAR分子の外部ドメインに配置され得る。
【0064】
リンカーは、長さが約1~約40のアミノ酸を含むペプチドであり得る。連結ペプチドは、適切なリンカーが好ましくは一般に柔軟なペプチドをもたらす配列を有することを念頭に置いて、事実上任意のアミノ酸配列を有し得る。グリシン、セリン、アラニンなどの小さなアミノ酸は、柔軟なペプチドを作成する際に使用することが好ましい。そのような配列の作成は、当業者にとって日常的である。適切なリンカーは容易に選択され得、そして異なる長さのもの、例えば1つのアミノ酸(例えば、Gly)~20のアミノ酸、2つのアミノ酸~15のアミノ酸、3つのアミノ酸~12のアミノ酸、4つのアミノ酸~10のアミノ酸、5つのアミノ酸~9つのアミノ酸、6 つのアミノ酸~8つのアミノ酸、又は7つのアミノ酸~8つのアミノ酸の長さであり、そして、1、2、3、4、5、6、又は7つのアミノ酸であり得る。例示的な柔軟なリンカーは、以下を含む:グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n、(GSGGS)n、(GGS)n及び(GGGS)n(ここでnは少なくとも1の整数である)を含む)、又はグリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び当技術分野で知られている他の柔軟なリンカー。例示的な柔軟なリンカーは、以下を含む:GGSG(配列番号1)、GGSGG(配列番号2)、GSGSG(配列番号3)、GSGGG(配列番号4)、GGGSG(配列番号5)、GSSSG(配列番号 6)、及び同様のもの。当業者は、上記の任意の要素に結合されたペプチドの設計が全て又は部分的に柔軟であるリンカーを含み得、結果的に、リンカーは柔軟なリンカー及び柔軟でない構造を与える1又は2以上の部分を含むことができることを認識するであろう。
【0065】
8.追加のドメイン:
CARの対象群の分子は、1又は2以上の追加のポリペプチドをさらに含むことができ、ここでそのようなドメインは、例えばシグナル配列;エピトープタグ;及び/又は検出できるシグナルを生成するポリペプチドを含む。CARの対象の群への使用のために適切であるシグナル配列は、天然に存在するシグナル配列、合成(例えば、人工の)シグナル配列などを含む、任意の真核生物シグナル配列を含む。適切なエピトープタグは、以下を含む:例えば、血球凝集素(HA;例えば、アミノ酸配列YPYDVPDYA(配列番号7))、FLAG(例えば、アミノ酸配列DYKDDDDK(配列番号8))、c-myc(例えば、アミノ酸配列EQKLISEEDL(配列番号9))、Strep II(例えば、アミノ酸配列NWSHPQFEK(配列番号76))、ヘキサヒスチジンタグ(6xHIS;例えば、アミノ酸配列HHHHHH(配列番号77))、及び同様のもの。適切な検出できるシグナル産生タンパク質は、例えば蛍光タンパク質などを含む。適切な蛍光タンパク質は、以下を含む:例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はその変異体、GFPの青色蛍光変異体(BFP)、GFPのシアン蛍光変異体(CFP)、GFPの黄色蛍光変異体(YFP)、増強GFP(EGFP)、増強CFP(ECFP)、、増強YFP(EYFP)、GFPS65T、エメラルド、トパーズ(TYFP)、Venus、シトリン、mシトリン、GFPuv、不安定化EGFP(dEGFP)、不安定化ECFP(dECFP)、不安定化EYFP(dEYFP)、mCFPm、セルリアン、Tサファイア、CyPet、YPet、mKO、HcRed、t-HcRed、DsRed、DsRed2、DsRed-モノマー、J-Red、ダイマー2、t-ダイマー2(12)、mRFP1、ポシロポリン、レニラGFP、モンスターGFP、paGFP、楓タンパク質及びキンドリングタンパク質、B-フィコエリトリン、R-フィコエリトリン及びアロフィコシアニンを含むフィコビリタンパク質及びフィコビリタンパク質コンジュゲート。蛍光タンパク質の他の例は、以下を含む:mHoneydew、mBanana、mOrange、dTomato、tdTomato、mTangerine、mStrawberry、mCherry、mGrapel、mRaspberry、mGrape2、mPlum(Shaner et al. (2005) Nat. Methods 2:905-909)、及び同様のもの。例えば、Matz et al. (1999) Nature Biotechnol. 17:969-973に記載されるように、花中類からの種々の蛍光及び着色タンパク質のいずれかが、使用に適している。
【0066】
9.二量体化ドメイン:
2つのCAR分子を含むCARの群の複合体化は、CAR分子当たり単一の二量体化ドメインにより媒介され得、それにより、このドメインは、ホモ二量体化又はヘテロ二量体化のためのドメインであり得る。CARの群が、3又は4つのCAR分子を含む実施形態によれば、前記群の少なくとも1つのCAR分子は、好ましくは、二量体化を通して三量体又は四量体の形成を促進するために、2つ以上の二量体化ドメインを含む。
【0067】
9.1条件付きホモ二量体化のための二量体化ドメイン:
好ましい実施形態によれば、ホモ二量体化のための適切な二量体化ドメインの例は、以下を含む:FK506結合タンパク質(FKBP)、FKPB変異体F36V(dmrB)、ジャイレースB(GyrB)及びジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)。それらのホモ二量体化ドメインの配列、及びそれらのホモ二量体化に適切な調節分子は、当業界において知られており(Rutkowska et al., Angew Chem Int Ed Engl. 2012;51(33):8166)、そして例えば国際公開第WO201427261号に開示されている。
【0068】
例えば、二量体化ドメインは、FKBPに由来し、そしてアミノ酸配列Uniprot P62942-1に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0069】
別の例として、二量体化ドメインは、GyrB(また、DNAジャイレースサブユニットBとしても知られている)に由来し、そして大腸菌 Uniprot P0AES6-1のGyrBアミノ酸配列(又は任意の生物のDNAジャイレースサブユニットB配列)の約100のアミノ酸~約110のアミノ酸(aa)、約200のaa~約300のaa、約300のaa~約400のaa、約400のaa~約500のaa、約500のaa~約600のaa、約600のaa~約700のaa、又は又は約700のaa~約800のaaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。ある場合、二量体化ドメインは、大腸菌からのGyrBアミノ酸配列のアミノ酸1-220に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0070】
別の例として、二量体化ドメインは、DHFR(また、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、DHFRP1、及びDYRとしても知られている)に由来し、そしてアミノ酸配列Uniprot P00374-1に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0071】
別の例として、二量体化ドメインは、DmrB結合ドメイン(すなわち、DmrBホモ二量体化ドメイン)に由来し、そして配列番号10に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0072】
二量体化は、異なる調節分子、例えばFKBPのホモ二量体化のためのFK1012及びAP1510(Amara et al. PNAS 1997;94(20):10618);GyrBのホモ二量体化のためのクメルマイシン又はクメルマイシンの類似体(Pubchem CID 54675768)(Farrar et al. Nature. 1996;383:178; 及び 米国特許第 6,916,846号);DHFRのホモ二量体化のためのメトトレキサートのホモ二官能性二量体(PubChem CID 126941)(例えば、米国特許第8,236,925号に開示されるような);及び好ましい実施形態によれば、DmrBのホモ二量体化のためのAP20187(PubChem CID78357784)及びAP1903(PubChen CID16135625)により達成され得る。
【0073】
9.2.条件付きへテロ二量体化のための二量体化ドメイン:
2.2.1.核内受容体からのリガンド結合ドメインに基くCAR分子の条件付きへテロ二量体化:
【0074】
好ましい実施形態によれば、本発明によるCARの群の少なくとも2つのCAR分子は、核内受容体からのリガンド結合ドメイン(LBD)である1つのメンバー及び共調節ペプチドである第2のメンバーを含む一対のヘテロ二量体化ドメインによりへテロ二量体化され得る。適切な小分子(すなわち、本発明による調節分子)の結合に基いて核内受容体に由来するLBDは、それぞれの共調節ペプチドとヘテロ二量体化することができる。このシステムは、目的のタンパク質のヘテロ二量体化のために使用され得る。LBD及び共調節ペプチドの適切な配列は、適切な調節分子と一緒に、例えば米国特許第2017/0306303A1号に開示されている。適切なLBDは、以下を含む、種々の核内受容体のいずれかから選択され得る:ER-アルファ、ER-ベータ、PR、AR、GR、MR、RAR-アルファ、RAR-ベータ、RAR-ガンマ、TR-アルファ、TR-ベータ、VDR、EcR、RXR-アルファ、RXR-ベータ、RXR- ガンマ、PPAR-アルファ、PPAR-ベータ、PPAR-ガンマ、LXR-アルファ、LXR-ベータ、FXR、PXR、SXR、構成的アドロストラン受容体、SF-1、LRH-1、DAX-1、SHP、TLX、PNR、NGF1-B-アルファ、NGF1-B-ベータ、NGF1-B-ガンマ、ROR-アルファ、ROR-ベータ、ROR-ガンマ、ERR-アルファ、ERR-ベータ、ERR-ガンマ、GCNF、TR2/4、HNF-4、COUP-TF-アルファ、COUP-TF-ベータ、及びCOUP-TF- ガンマ。
【0075】
核内受容体(核内ホルモン受容体と同義語)の略語は、次の通りである。R:エストロゲン受容体; PR:プロゲステロン受容体; AR:アンドロゲン受容体; GR:糖質コルチコイド受容体; MR:鉱質コルチコイド受容体; RAR:レチノイン酸受容体; TR-アルファ/ベータ:甲状腺受容体; VDR:ビタミンD3受容体; EcR:エクジソン受容体; RXR:レチノイン酸X受容体; PPAR:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体; LXR:肝臓X受容体; FXR:ファルネソイドX受容体; PXR / SXR:プレグナンX受容体/ステロイド及び生体異物受容体; SF-1:ステロイド産生因子1; DAX-1:投与量に敏感な性転換-X染色体上の副腎形成不全先天性臨界領域、遺伝子1; LRH-1:肝臓受容体ホモログ1; SHP:小さなヘテロダイマーパートナー; TLX:テールレス遺伝子; PNR:光受容体特異的核内受容体; NGF1-B:神経成長因子; ROR:RAR関連オーファン受容体; ERR:エストロゲン関連受容体; GCNF:生殖細胞核因子; R2/4:精巣受容体; HNF-4:肝細胞核因子; COUP-TF:チキンオーバルブミン上流プロモーター、転写因子。
【0076】
9.2.1.1 LBD:
ミネラルコルチコイド受容体:
場合によっては、1対のヘテロ二量体化ドメインのメンバーとして含めるのに適したLBDは、ミネラルコルチコイド受容体(MR)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDはMRのLBD(Uniprot P08235)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0077】
例えば、MRのLBDは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot Q9IAC6.1 aa 112-359; Uniprot Q91573.1 aa 365-612; Uniprot Q157N1 aa 734-981; GenBank CAG11072.1 aa 173-501; PDB 2AA6_A aa 28-275; PDB 2AA2_A aa 28-275; PDB 2A3I_A aa 6-253; PDB 2OAX_A aa 9-256; PDB 1Y9R_A aa 8-255; PDB 2ABI_A aa 9-256、そして約200のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸の長さ、又は225のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有する;例えば、248のアミノ酸の長さを有する)。
【0078】
例えば、MRのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P08235 aa 686-984に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約250のアミノ酸~299のアミノ酸の長さを有する(例えば、250のアミノ酸~275のアミノ酸、又は275のアミノ酸~299のアミノ酸の長さを有する)。
【0079】
例えば、MRのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P08235 aa 737-984に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約200のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、又は225のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有し;例えば、248のアミノ酸の長さを有する)。
【0080】
例えば、MRのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P08235 aa 686-984(S810L置換を有する)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約250のアミノ酸~299のアミノ酸の長さを有する(例えば、250のアミノ酸~275のアミノ酸、又は275のアミノ酸~299のアミノ酸の長さを有する)。
【0081】
例えば、MRのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P08235 aa 737-984(S810L置換を有する)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約200のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、又は225のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有し;例えば、248のアミノ酸の長さを有する)。
【0082】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがMRのLBDである場合、ペアの第2メンバーは、アミノ酸配列SLTARHKILHRLLQEGSPSDI (Uniprot Q15788 aa 681-701)を含む共調節ペプチドであり得、ここで共調節ペプチドは、約21のアミノ酸~約50のアミノ酸の長さを有する(例えば、共調節ペプチドは、21のアミノ酸~25のアミノ酸、25のアミノ酸~30のアミノ酸、30のアミノ酸~35のアミノ酸、35のアミノ酸~40のアミノ酸、40のアミノ酸~45のアミノ酸、又は 45のアミノ酸~50のアミノ酸の長さを有する)。
【0083】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがMRのLBDである場合、ペアの第2メンバーは、アミノ酸配列QEAEEPSLLKKLLLAPANTQL (Uniprot Q9UBK2 aa 136-156)を含む共調節ペプチドであり得、ここで共調節ペプチドは、約21のアミノ酸~約50のアミノ酸の長さを有する(例えば、共調節ペプチドは、21のアミノ酸~25のアミノ酸、25のアミノ酸~30のアミノ酸、30のアミノ酸~35のアミノ酸、35のアミノ酸~40のアミノ酸、40のアミノ酸~45のアミノ酸、又は 45のアミノ酸~50のアミノ酸の長さを有する)。
【0084】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがMRのLBDである場合、ペアの第2メンバーは、アミノ酸配列SKVSQNPILTSLLQITGNGGS (Uniprot Q15648 aa 596-616)を含む共調節ペプチドであり得、ここで共調節ペプチドは、約21のアミノ酸~約50のアミノ酸の長さを有する(例えば、共調節ペプチドは、21のアミノ酸~25のアミノ酸、25のアミノ酸~30のアミノ酸、30のアミノ酸~35のアミノ酸、35のアミノ酸~40のアミノ酸、40のアミノ酸~45のアミノ酸、又は 45のアミノ酸~50のアミノ酸の長さを有する)。
【0085】
アンドロゲン受容体:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、アンドロゲン受容体のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、ARのLBD(Uniprot P10275)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0086】
例えば、ARのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P10275 aa 619-919に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約250のアミノ酸~301のアミノ酸の長さを有する(例えば、250のアミノ酸~275のアミノ酸、又は275のアミノ酸~301のアミノ酸の長さを有する)。
【0087】
例えば、ARのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P10275 aa 690-919に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約190のアミノ酸~230のアミノ酸の長さを有する(例えば、190のアミノ酸~210のアミノ酸、又は210のアミノ酸~230のアミノ酸の長さを有する)。
【0088】
例えば、ARのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P10275 aa 619-919(T877A置換を有する)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約250のアミノ酸~301のアミノ酸の長さを有する(例えば、250のアミノ酸~275のアミノ酸、又は275のアミノ酸~301のアミノ酸の長さを有する)。
【0089】
例えば、ARのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P10275 aa 690-919(T877A置換を有する)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約190のアミノ酸~230のアミノ酸の長さを有する(例えば、190のアミノ酸~210のアミノ酸、又は210のアミノ酸~230のアミノ酸の長さを有する)。
【0090】
例えば、ARのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P10275 aa 619-919(F876L置換を有する)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約250のアミノ酸~301のアミノ酸の長さを有する(例えば、250のアミノ酸~275のアミノ酸、又は275のアミノ酸~301のアミノ酸の長さを有する)。
【0091】
例えば、ARのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P10275 aa 690-919(F876L置換を有する)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約190のアミノ酸~230のアミノ酸の長さを有する(例えば、190のアミノ酸~210のアミノ酸、又は210のアミノ酸~230のアミノ酸の長さを有する)。
【0092】
例えば、ARのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P10275 aa 619-919(F876L及びT877A置換を有する)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約250のアミノ酸~301のアミノ酸の長さを有する(例えば、250のアミノ酸~275のアミノ酸、又は275のアミノ酸~301のアミノ酸の長さを有する)。
【0093】
例えば、ARのLBDは、アミノ酸配列Uniprot P10275 aa 690-919(F876L及びT877A置換を有する)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、そして約190のアミノ酸~230のアミノ酸の長さを有する(例えば、190のアミノ酸~210のアミノ酸、又は210のアミノ酸~230のアミノ酸の長さを有する)。
【0094】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがARのLBDである場合、ペアの第2メンバーは、アミノ酸配列ESKGHKKLLQLLTCSSDDR (Uniprot Q9Y6Q9 aa 614-632)を含む共調節ペプチドであり得、ここで共調節ペプチドは、約19のアミノ酸~約50のアミノ酸の長さを有する(例えば、共調節ペプチドは、19のアミノ酸~25のアミノ酸、25のアミノ酸~30のアミノ酸、30のアミノ酸~35のアミノ酸、35のアミノ酸~40のアミノ酸、40のアミノ酸~45のアミノ酸、又は 45のアミノ酸~50のアミノ酸の長さを有する)。
【0095】
プロゲステロン受容体:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、プロゲステロン(PR)受容体のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、PRのLBD(Uniprot P06401)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0096】
例えば、PRのLBDは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot Q8UVY3 aa 456-703; Uniprot P07812.1 aa 539-786; GenBank CAQ14518.1 aa 306-553; PDB 1SR7_A aa 12-259; PDB 1SQN_A aa 14-261; PDB 1E3K aa 11-258; PDB 1A28_A aa 9-256;そして約200のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、又は225のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有し;例えば、248のアミノ酸の長さを有する)。
【0097】
例えば、PRのLBDは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P06401 aa 678-933;そして約200のアミノ酸~256のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、又は225のアミノ酸~256のアミノ酸の長さを有し;例えば、256のアミノ酸の長さを有する)。
【0098】
例えば、PRのLBDは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P06401 aa 686-933;そして約200のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、又は225のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有し;例えば、248のアミノ酸の長さを有する)。
【0099】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがPRのLBDである場合、二量体化ペアの第2メンバーは、アミノ酸配列GHSFADPASNLGLEDIIRKALMGSF (Uniprot O75376 aa 2251-2275)を含む共調節ペプチドであり得、ここで共調節ペプチドは、約25のアミノ酸~約50のアミノ酸の長さを有する(例えば、共調節ペプチドは、25のアミノ酸~30のアミノ酸、30のアミノ酸~35のアミノ酸、35のアミノ酸~40のアミノ酸、40のアミノ酸~45のアミノ酸、又は 45のアミノ酸~50のアミノ酸の長さを有する)。
【0100】
甲状腺ホルモン受容体-β:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、甲状腺ホルモン受容体-β(TR-β)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、TR-β(Uniprot P10828)のLBDに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0101】
例えば、TR-βのLBDは、以下のアミノ酸配列の1つに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot Q4T8V6 aa 223-502; Uniprot Q90382.1 aa 159-401; Uniprot P18115.2 aa 170-412; Uniprot Q9PVE4.2 aa 141-392; Uniprot P10828.2 aa 216-458; GenBank ABS11249.1 aa 179-419; NCBI REF SEQ XP_001185977.1 aa 186-416; PDB 1NAV_A aa 17-259; PDB 2PIN_A aa 8-250; PDB 3D57_A aa 22-264; PDB 1N46_A aa 13-255; PDB 1BSX_A aa 15-257;そして約200のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、225のアミノ酸~230のアミノ酸、230のアミノ酸~240のアミノ酸、又は240のアミノ酸~250のアミノ酸の長さを有する)。
【0102】
例えば、TR-βのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P10828 aa 202-461;そして約200のアミノ酸~260のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、又は225のアミノ酸~260のアミノ酸を有し;例えば、260のアミノ酸の長さを有する)。
【0103】
例えば、TR-βのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P10828 aa 216-461;そして約200のアミノ酸~246のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、又は225のアミノ酸~246のアミノ酸を有し;例えば、246のアミノ酸の長さを有する)。
【0104】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーが、TR-βのLBDである場合、ペアの第2メンバーは、例えばアミノ酸配列Uniprot Q9Y6Q9 aa 627-829 又は Uniprot Q9Y6Q9 aa 673-750 又は Uniprot Q15596 aa 721-1021を含むNCOA3/SRC3ポリペプチドであり得る。
【0105】
エストロゲン受容体-α:
好ましい実施形態によれば、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、エストロゲン受容体-α(ER-α)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、ER-αのLBD(Uniprot P03372)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0106】
例えば、ER-αのLBDは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P06212.1 aa 304-541; Uniprot P81559.1 aa 302-539; Uniprot Q7ZU32 aa 280-517; GenBank ACB10649.1 aa 303-529; GenBank ABQ42696.1 aa 226-468; GenBank ACC85903.1 aa 141-375; PDB 1XP9_A aa 4-241; PDB 1YY4_A aa 1-236;そして約200のアミノ酸~240のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、225のアミノ酸~230のアミノ酸、230のアミノ酸~235のアミノ酸、又は235のアミノ酸~240のアミノ酸の長さを有する)。
【0107】
例えば、ER-αのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P03372 aa 305-533;そして約180のアミノ酸~229のアミノ酸の長さを有する(例えば、180のアミノ酸~200のアミノ酸、又は200のアミノ酸~229のアミノ酸の長さを有し;例えば、229のアミノ酸の長さを有する)。
【0108】
例えば、ER-αのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P03372 aa 282-595;そして約250のアミノ酸~314のアミノ酸の長さを有する(例えば、250のアミノ酸~275のアミノ酸、275のアミノ酸~300のアミノ酸、又は300のアミノ酸~314のアミノ酸の長さを有し;例えば、314のアミノ酸の長さを有する)。
【0109】
例えば、ER-αのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P03372 aa 310-547;そして約190のアミノ酸~238のアミノ酸の長さを有する(例えば、190のアミノ酸~220のアミノ酸、又は220のアミノ酸~238のアミノ酸の長さを有し;例えば、238のアミノ酸の長さを有する)。
【0110】
例えば、ER-αのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P03372 aa 305-533(置換D351Yを有する);そして約180のアミノ酸~229のアミノ酸の長さを有する(例えば、180のアミノ酸~200のアミノ酸、又は200のアミノ酸~229のアミノ酸の長さを有し;例えば、229のアミノ酸の長さを有する)。
【0111】
例えば、ER-αのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P03372 aa 282-595(置換D351Yを有する);そして約250のアミノ酸~314のアミノ酸の長さを有する(例えば、250のアミノ酸~275のアミノ酸、275のアミノ酸~300のアミノ酸、又は300のアミノ酸~314のアミノ酸の長さを有し;例えば、314のアミノ酸の長さを有する)。
【0112】
例えば、ER-αのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P03372 aa 310-547(置換D351Yを有する);そして約190のアミノ酸~238のアミノ酸の長さを有する(例えば、190のアミノ酸~220のアミノ酸、又は220のアミノ酸~238のアミノ酸の長さを有し;例えば、238のアミノ酸の長さを有する)。
【0113】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがER-αのLBDである場合、ペアの第2メンバーは、アミノ酸配列DAFQLRQLILRGLQDD (配列番号11)を含む共調節ペプチドであり得、ここで共調節ペプチドは、約16のアミノ酸~約50のアミノ酸の長さを有する(例えば、共調節ペプチドは、16のアミノ酸~20のアミノ酸、20のアミノ酸~25のアミノ酸、25のアミノ酸~30のアミノ酸、30のアミノ酸~35のアミノ酸、35のアミノ酸~40のアミノ酸、40のアミノ酸~45のアミノ酸、又は 45のアミノ酸~50のアミノ酸の長さを有する)。
【0114】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがER-αのLBDである場合、ペアの第2メンバーは、アミノ酸配列SPGSREWFKDMLS (配列番号12)を含む共調節ペプチドであり得、ここで共調節ペプチドは、約13のアミノ酸~約50のアミノ酸の長さを有する(例えば、共調節ペプチドは、13のアミノ酸~15のアミノ酸、15のアミノ酸~20のアミノ酸、20のアミノ酸~25のアミノ酸、25のアミノ酸~30のアミノ酸、30のアミノ酸~35のアミノ酸、35のアミノ酸~40のアミノ酸、40のアミノ酸~45のアミノ酸、又は 45のアミノ酸~50のアミノ酸の長さを有する)。
【0115】
エストロゲン受容体-β(ER-β):
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、エストロゲン受容体-β(ER-β)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、ER-β(Uniprot Q92731)のLBDに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0116】
例えば、ER-βのLBDは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P06212.1 aa 304-541; Uniprot P81559.1 aa 302-539; Uniprot Q7ZU32 aa 280-517; GenBank ACB10649.1 aa 303-529; GenBank ABQ42696.1 aa 226-468; GenBank ACC85903.1 aa 141-375; PDB 1XP9_A aa 4-241; PDB 1YY4_A aa 1-236;そして約200のアミノ酸~243のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、225のアミノ酸~230のアミノ酸、230のアミノ酸~235のアミノ酸、又は235のアミノ酸~243のアミノ酸の長さを有する)。
【0117】
例えば、ER-βのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot Q92731 aa 260-502;そして約200のアミノ酸~243のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、225のアミノ酸~230のアミノ酸、230のアミノ酸~235のアミノ酸、又は235のアミノ酸~243のアミノ酸の長さを有る)。
【0118】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがER-βのLBDである場合、ペアの第2メンバーは、アミノ酸配列PRQGSILYSMLTSAKQT (配列番号13)を含む共調節ペプチドであり得、ここで共調節ペプチドは、約17のアミノ酸~約50のアミノ酸の長さを有する(例えば、共調節ペプチドは、17のアミノ酸~20のアミノ酸、20のアミノ酸~25のアミノ酸、25のアミノ酸~30のアミノ酸、30のアミノ酸~35のアミノ酸、35のアミノ酸~40のアミノ酸、40のアミノ酸~45のアミノ酸、又は 45のアミノ酸~50のアミノ酸の長さを有する)。
【0119】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-γ:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-γ(PPAR-γ)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、PPAR-γ(Uniprot P37231)のLBDに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0120】
例えば、PPAR-γのLBDは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot Q7T029 aa 95-435; GenBank AAL26245.1 aa 95-435; NCBI REF SEQ XP_781750.1 aa 137-378; NCBI REF SEQ XP 784429.2 aa 219-478; NCBI REF SEQ NP_001001460.1 aa 207-474; PDB 2J14_A aa 17-284; PDB 1FM6_D aa 4-271;そして約200のアミノ酸~269のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、225のアミノ酸~250のアミノ酸、又は250のアミノ酸~269のアミノ酸の長さを有する)。
【0121】
例えば、PPAR-γのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot P37231 aa 174-475;そして約150のアミノ酸~202のアミノ酸の長さを有する(例えば、150のアミノ酸~160のアミノ酸、160のアミノ酸~170のアミノ酸、170のアミノ酸~190のアミノ酸、又は190のアミノ酸~202のアミノ酸の長さを有る)。
【0122】
例えば、PPAR-γのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot P37231 aa 181-475;そして約200のアミノ酸~269のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、225のアミノ酸~250のアミノ酸、又は250のアミノ酸~269のアミノ酸の長さを有る)。
【0123】
例えば、PPAR-γのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot P37231 aa 205-475;そして約200のアミノ酸~269のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、225のアミノ酸~250のアミノ酸、又は250のアミノ酸~271のアミノ酸の長さを有る)。
【0124】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがPPAR-γのLBDである場合、ペアの第2メンバーは、アミノ酸配列CPSSHSSLTERHKILHRLLQEGSPS (Uniprot Q15788-1 aa 676-700)を含む共調節ペプチドであり得、ここで共調節ペプチドは、約25のアミノ酸~約50のアミノ酸の長さを有する(例えば、共調節ペプチドは、25のアミノ酸~28のアミノ酸、28のアミノ酸~29のアミノ酸、29のアミノ酸~30のアミノ酸、30のアミノ酸~35のアミノ酸、35のアミノ酸~40のアミノ酸、40のアミノ酸~45のアミノ酸、又は 45のアミノ酸~50のアミノ酸の長さを有する)。
【0125】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがPPAR-γのLBDである場合、ペアの第2メンバーは、アミノ酸配列PKKENNALLRYLLDRDDPSDV (配列番号14)又はPKKKENALLRYLLDKDDTKDI (Uniprot Q15596-1 aa 737-757)を含む共調節ペプチドであり得、ここで共調節ペプチドは、約21のアミノ酸~約50のアミノ酸の長さを有する(例えば、共調節ペプチドは、21のアミノ酸~23のアミノ酸、23のアミノ酸~25のアミノ酸、25のアミノ酸~30のアミノ酸、30のアミノ酸~35のアミノ酸、35のアミノ酸~40のアミノ酸、40のアミノ酸~45のアミノ酸、又は 45のアミノ酸~50のアミノ酸の長さを有する)。
【0126】
糖質コルチコイド受容体:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、糖質コルチコイド受容体(GR)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、アミノ酸配列Uniprot P04150-3を有するGR のLBDに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0127】
例えば、GRのLBDは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot Q4RIR9 aa 110-356; Uniprot P49844.1 aa 530-776; NCBI REF SEQ NP_001032915.1 aa 526-772; PDB 1NHZ_A 34-280; PDB 1M2Z_A aa 11-257; PDB 3BQD_A aa 9-255; PDB 3CLD_A aa 13-259;そして約200のアミノ酸~247のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、225のアミノ酸~230のアミノ酸、230のアミノ酸~240のアミノ酸、又は240のアミノ酸~247のアミノ酸の長さを有する)。
【0128】
例えば、GRのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot P04150-3 aa 532-778;そして約200のアミノ酸~247のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~225のアミノ酸、又は225のアミノ酸~247のアミノ酸の長さを有し;例えば、247のアミノ酸の長さを有する)。
【0129】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがGRのLBDである場合、そのペアの第2メンバーは、例えばアミノ酸配列Uniprot Q15788 aa 1172-1441又はそのフラグメント、又はUniprot Q15596 aa 320-1021又はそのフラグメントを含むNCOA2/SRC2 ポリペプチドであり得る。
【0130】
ビタミンD受容体:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、ビタミンD受容体(VDR)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、VDR (Uniprot P11473) のLBDに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0131】
例えば、VDRのLBDは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot O42392.1 aa 147-450; NCBI REF SEQ NP_001079288.1 aa 125-421; PDB 2HBH_A aa 5-301; PDB 1S0Z_A aa 11-262;そして約250のアミノ酸~310のアミノ酸の長さを有する(例えば、250のアミノ酸~275のアミノ酸、275のアミノ酸~300のアミノ酸、又は300のアミノ酸~310のアミノ酸の長さを有する)。
【0132】
例えば、VDRのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot P11473 aa 124-426;そして約250のアミノ酸~30のアミノ酸の長さを有する(例えば、250のアミノ酸~275のアミノ酸、275のアミノ酸~300のアミノ酸、又は300のアミノ酸~303のアミノ酸の長さを有する)。
【0133】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがVDRのLBDである場合、そのペアの第2メンバーは、例えばアミノ酸配列Uniprot Q15788 aa 1172-1441又はそのフラグメント、又はUniprot Q15596 aa 320-1021又はそのフラグメントを含むNCOA1/SRC1 ポリペプチドであり得る。
【0134】
例えば、場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがVDRのLBDである場合、ペアの他のメンバーは、アミノ酸配列Uniprot Q15596 aa 744-751を含むNCOA2/SRC2 ポリペプチドであり得、ここで共調節ペプチドは、約8のアミノ酸~約50のアミノ酸の長さを有する(例えば、共調節ペプチドは、8のアミノ酸~10のアミノ酸、10のアミノ酸~15のアミノ酸、15のアミノ酸~20のアミノ酸、20のアミノ酸~23のアミノ酸、23のアミノ酸~25のアミノ酸、25のアミノ酸~30のアミノ酸、30のアミノ酸~35のアミノ酸、35のアミノ酸~40のアミノ酸、40のアミノ酸~45のアミノ酸、又は 45のアミノ酸~50のアミノ酸の長さを有する)。
【0135】
甲状腺ホルモン受容体-α:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、甲状腺ホルモン受容体-α(TR-α)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、TR-α(Uniprot P10827-2) に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0136】
例えば、TR-αのLBDは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot P18115.2 aa 170-412; Uniprot Q9PVE4.2 aa 141-392; Uniprot P10828.2 aa 216-458; GenBank ABS11249.1 aa 179-419; NCBI REF SEQ XP_001185977.1 aa 186-416; PDB 1NAV_A aa 17-259; PDB 2PIN_A aa 8-250; PDB 3D57_A aa 22-264; PDB 1N46_A aa 13-255; PDB 1BSX_A aa 15-257;そして約190のアミノ酸~245のアミノ酸の長さを有する(例えば、190のアミノ酸~210のアミノ酸、210のアミノ酸~230のアミノ酸、又は230のアミノ酸~245のアミノ酸の長さを有する)。
【0137】
例えば、TR-αのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot P10827 aa 162-404;そして約190のアミノ酸~243のアミノ酸の長さを有する(例えば、190のアミノ酸~210のアミノ酸、210のアミノ酸~230のアミノ酸、又は230のアミノ酸~243のアミノ酸の長さを有する)。
【0138】
TR-αのための適切な共調節ペプチドは、SRC1ポリペプチド又はそのフラグメント(例えば、SRC1ポリペプチドに由来する、8のアミノ酸~50のアミノ酸の長さのペプチド)であり得る。
【0139】
レチノイン酸受容体-β:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、レチノイン酸受容体-β(RAR-β)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、RAR-β(Uniprot P10826-2) に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0140】
例えば、RAR-βのLBDは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:Uniprot Q4H2W2 aa 400-634; Uniprot P22448.2 aa 186-416; UNIPROT P28699.2 aa 209-439; Uniprot Q91392.2 aa 176-406; NCBI REF SEQ XP_779976.2 aa 134-362; NCBI REF SEQ XP_002204386.1 aa 179-409; PDB 1XAP_A aa 32-262; PDB 1XDK_B aa 34-264; PDB 1DKF_B aa 5-235;そして約180のアミノ酸~235のアミノ酸の長さを有する(例えば、180のアミノ酸~200のアミノ酸、200のアミノ酸~220のアミノ酸、又は220のアミノ酸~235のアミノ酸の長さを有する)。
【0141】
例えば、RAR-βのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot P10826 aa 179-409;そして約180のアミノ酸~231のアミノ酸の長さを有する(例えば、180のアミノ酸~200のアミノ酸、200のアミノ酸~220のアミノ酸、又は220のアミノ酸~231のアミノ酸の長さを有する)。
【0142】
RAR-βのための適切な共調節ペプチドは、SRC1ポリペプチド又はそのフラグメント(例えば、SRC1ポリペプチドに由来する、8のアミノ酸~50のアミノ酸の長さのペプチド)であり得る。
【0143】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがRAR-βのLBDである場合、そのペアの他のメンバーは、例えばアミノ酸配列Uniprot Q15788 aa 1172-1441又はそのフラグメントを含むNCOA1/SRC1 ポリペプチドであり得る。
【0144】
ヘテロ二量体化ドメインのペアの1つのメンバーがRAR-βのLBDである場合、そのヘテロ二量体ペアの他のメンバーは、例えばアミノ酸配列Uniprot Q155596 aa 320-1021又はそのフラグメントを含むNCOA2/SRC2 ポリペプチドであり得る。
【0145】
ファルネソイドX受容体:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、ファルネソイドX受容体(FXR)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、アミノ酸配列Uniprot Q96RI1-2を有するFXRに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0146】
例えば、FXRのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot Q96RI1-2 aa 237-472;そして約100のアミノ酸~136のアミノ酸の長さを有する(例えば、100のアミノ酸~110のアミノ酸、110のアミノ酸~120のアミノ酸、又は120のアミノ酸~136のアミノ酸の長さを有する)。
【0147】
FXRのための適切な共調節ペプチドは、SRC1ポリペプチド又はそのフラグメント(例えば、SRC1ポリペプチドに由来する、8のアミノ酸~50のアミノ酸の長さのペプチド)であり得る。
【0148】
LXR-α:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、肝臓X受容体-α(LXR-α)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、アミノ酸配列Uniprot Q13133-1を有するLXR-αのLBDに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0149】
例えば、LXR-αのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot Q13133-1 aa 182-447;そして約200のアミノ酸~266のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~220のアミノ酸、220のアミノ酸~240のアミノ酸、又は240のアミノ酸~266のアミノ酸の長さを有する)。
【0150】
LXR-αのための適切な共調節ペプチドは、SRC1ポリペプチド又はそのフラグメント(例えば、SRC1ポリペプチドに由来する、8のアミノ酸~50のアミノ酸の長さのペプチド)であり得る。
【0151】
ROR-γ:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、レチノイド関連オーファン受容体-γ(ROR-γ)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、アミノ酸配列Uniprot P51449-2を有するROR-γのLBDに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0152】
例えば、ROR-γのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot P51449-2 aa 237-497;そして約200のアミノ酸~261のアミノ酸の長さを有する(例えば、200のアミノ酸~220のアミノ酸、220のアミノ酸~240のアミノ酸、又は240のアミノ酸~261のアミノ酸の長さを有する)。
【0153】
ROR-γのための適切名共調節ペプチドは、NCORNRペプチド (CDPASNLGLEDIIRKALMGSFDDK, Uniprot Q7Z516-1 aa 2160-2182)であり得る。
【0154】
ROR-γのための適切な共調節ペプチドは、SRC1ポリペプチド又はそのフラグメント(例えば、SRC1ポリペプチドに由来する、8のアミノ酸~50のアミノ酸の長さのペプチド)であり得る。
【0155】
RXR-α:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、レチノイド-X受容体-α(RXR-α)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、アミノ酸配列Uniprot P19793-1を有するRXR-αのLBDに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0156】
例えば、RXR-αのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot P19793-1 aa 225-462;そして約190のアミノ酸~238のアミノ酸の長さを有する(例えば、190のアミノ酸~200のアミノ酸、200のアミノ酸~210のアミノ酸、又は210のアミノ酸~238のアミノ酸の長さを有する)。
【0157】
RXR-αのための適切な共調節ペプチドは、SRC1ポリペプチド又はそのフラグメント(例えば、SRC1ポリペプチドに由来する、8のアミノ酸~50のアミノ酸の長さのペプチド)であり得る。
【0158】
PXR:
場合によっては、ヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーとして含むのに適したLBDは、プレグナンX受容体(PXR-α)のLBDであり得る。例えば、場合によっては、LBDは、アミノ酸配列Uniprot O75469-1を有するPXRのLBDに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。場合によっては、LBDは、アミノ酸配列Uniprot O75469-1を有するアミノ酸143-428に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。場合によっては、LBDは、アミノ酸配列Uniprot O75469-1に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0159】
例えば、PXRのLBDは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ:アミノ酸配列Uniprot O75469-1 aa 130-434;そして約250のアミノ酸~302のアミノ酸の長さを有する(例えば、250のアミノ酸~275のアミノ酸、275のアミノ酸~290のアミノ酸、又は290のアミノ酸~302のアミノ酸の長さを有する)。
【0160】
PXRのための適切な共調節ペプチドは、SRC1ポリペプチド又はそのフラグメント(例えば、SRC1ポリペプチドに由来する、8のアミノ酸~50のアミノ酸の長さのペプチド)であり得る。
【0161】
9.2.1.2.共調節ポリペプチド:
適切な共調節ポリペプチドは、完全長の天然に存在する核ホルモン共調節ポリペプチドを含む。適切な共調節ポリペプチドは、天然に存在する核ホルモン共調節ポリペプチドのフラグメントを含む。適切な共調節ポリペプチドは、合成又は組換え核ホルモン共調節ポリペプチドを含む。適切な共調節ポリペプチドは、8のアミノ酸~2000のアミノ酸の長さを有することができる。適切な共調節ポリペプチドは、8のアミノ酸 ~50のアミノ酸、例えば、 8のアミノ酸 ~10のアミノ酸、 10 のアミノ酸 ~15 のアミノ酸、15 のアミノ酸 ~20 のアミノ酸、20 のアミノ酸 ~25のアミノ酸、25のアミノ酸 ~30のアミノ酸、30のアミノ酸 ~35 のアミノ酸、35のアミノ酸 ~40のアミノ酸、40のアミノ酸 ~45のアミノ酸、又は45のアミノ酸 ~50のアミノ酸の長さを有することができる。適切な共調節ポリペプチドは、50のアミノ酸 ~100のアミノ酸、例えば、50のアミノ酸 ~60のアミノ酸、 60のアミノ酸 ~70のアミノ酸、70のアミノ酸 ~80のアミノ酸、80のアミノ酸 ~90のアミノ酸、又は90のアミノ酸 ~100のアミノ酸の長さを有することができる。適切な共調節ポリペプチドは、100のアミノ酸 ~200のアミノ酸、200のアミノ酸 ~300のアミノ酸、 300のアミノ酸 ~400のアミノ酸、400のアミノ酸 ~500 のアミノ酸、500のアミノ酸 ~600のアミノ酸、600のアミノ酸 ~700のアミノ酸、700のアミノ酸 ~800のアミノ酸、800のアミノ酸 ~900のアミノ酸、又は900のアミノ酸 ~1000のアミノ酸の長さを有することができる。適切な共調節ポリペプチドは、1000のアミノ酸~2000のアミノ酸の長さを有することができる。
【0162】
適切な共調節は、以下を含む:ステロイド受容体コアクチベーター(SRC)-1、SRC-2、SRC-3、TRAP220-1、TRAP220-2、NR0B1、NRIP1、CoRNRbox、alpha-betaV、TIF1、TIF2、EA2、TA1、EAB1、SRC1-1、SRC1-2、SRC1-3、SRC1-4a、SRC1-4b、GRIP1-1、GRIP1-2、GRIP1-3、AIB1-1、AIB1-2、AIB1-3、PGC1a、PGC1b、PRC、ASC2-1、ASC2-2、CBP-1、CBP-2、P300、CIA、 ARA70-1、ARA70-2、NSD1、SMAP、Tip60、ERAP140、Nix1、LCoR、CoRNR1(N-CoR)、CoRNR2、SMRT、RIP140-C、RIP140-1、RIP140-2、RIP140-3、RIP140-4、RIP140-5、RIP140-6、RIP140-7、RIP140-8、RIP140-9、PRIC285-1、PRIC285-2、PRIC285-3、PRIC285-4及びPRIC285-5。
【0163】
それぞれのLBD二量体化パートナーとのヘテロ二量体化に適した共調節ポリペプチドは、好ましくは、8のアミノ酸 ~10のアミノ酸、10のアミノ酸 ~ 15のアミノ酸、15のアミノ酸 ~ 20のアミノ酸、20のアミノ酸 ~ 25のアミノ酸、25のアミノ酸 ~ 30のアミノ酸、30のアミノ酸 ~ 35のアミノ酸、35のアミノ酸 ~ 40のアミノ酸、40のアミノ酸 ~ 45のアミノ酸又は 45のアミノ酸 ~50 のアミノ酸の長さを有し;そして好ましくは、下記アミノ酸配列の8~50の連続したアミノ酸のストレッチに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%の配列同一性を有する:SRC1(Uniprot Q15788-1)、SRC2(Uniprot Q15596-1)、SRC3(Uniprot Q9Y6Q9-5)、PGC1a(Uniprot Q9UBK2-1)、PGC1b(Uniprot Q86YN6-1)、PPRC-1(Uniprot Q5VV67-1)、TRAP220(Uniprot Q15648-1)、NCOA6 (Uniprot Q14686-1)、CREBBP(Uniprot Q92793-1)、EP300(Uniprot Q09472-1)、NCOA5(Uniprot Q9HCD5-1)、NCOA4(Uniprot Q13772-1)、TRIM24(Uniprot O15164-2)、NSD1(Uniprot Q96L73-1)、BRD8(Uniprot Q9H0E9-2)、KAT5(Uniprot Q92993-1)、NCOA7(Uniprot Q8NI08-1)、Nix1(Uniprot Q9BQI9-1)、LCoR(Uniprot Q96JN0-1)、N-CoR(Uniprot O75376-1)、NCOR2(Uniprot Q9Y618-1)、RIP140(Uniprot P48552-1)、 PRIC285(Uniprot Q9BYK8-2)。
【0164】
好ましい実施形態によれば、適切な共調節ペプチドは、LXXLLモチーフを含み、ここでXは任意のアミノ酸であり;ここで共調節ペプチドは、8 のアミノ酸 ~ 50のアミノ酸、例えば、 8のアミノ酸 ~10のアミノ酸、10 のアミノ酸 ~12のアミノ酸、12のアミノ酸 ~15のアミノ酸、15のアミノ酸 ~ 20のアミノ酸、20のアミノ酸 ~ 25のアミノ酸、25のアミノ酸 ~30のアミノ酸、30のアミノ酸 ~ 35のアミノ酸、35のアミノ酸 ~ 40のアミノ酸、 40のアミノ酸 ~ 45のアミノ酸、又は45のアミノ酸 ~50のアミノ酸の長さを有する。
【0165】
適切な共調節ペプチドの例は、以下の通りである:SRC1: (Uniprot Q15788-1 aa 676 - 700) CPSSHSSLTERHKILHRLLQEGSPS; SRC1-2: (Uniprot Q15788-1 aa 682 - 702; SNP rs1049021 E685A) SLTARHKILHRLLQEGSPSDI; SRC3-1: (Uniprot Q9Y6Q9-5 aa 614 - 632) ESKGHKKLLQLLTCSSDDR; SRC3: (配列番号14) PKKENNALLRYLLDRDDPSDV; PGC-1: (Uniprot Q9UBK2-1 aa 138 - 154) AEEPSLLKKLLLAPANT; PGC1a: (Uniprot Q9UBK2-1 aa 136 - 156) QEAEEPSLLKKLLLAPANTQL; TRAP220-1: (Uniprot Q15648-1 aa 596 - 616) SKVSQNPILTSLLQITGNGGS; NCoR: (Uniprot O75376-1 aa 2251 - 2275) GHSFADPASNLGLEDIIRKALMGSF; NR0B1: (Uniprot P51843-1 aa 74 - 90) PRQGSILYSMLTSAKQT; NRIP1: (Uniprot P48552-1 aa 374 - 390) AANNSLLLHLLKSQTIP; TIF2: (Uniprot Q15596-1 aa 737 - 757) PKKKENALLRYLLDKDDTKDI; CoRNR Box: (配列番号11) DAFQLRQLILRGLQDD; abV: (配列番号12) SPGSREWFKDMLS; TRAP220-2: (Uniprot Q15648-1 aa 637 - 657) GNTKNHPMLMNLLKDNPAQDF; EA2: (配列番号 15) SSKGVLWRMLAEPVSR; TA1: (配列番号 16) SRTLQLDWGTLYWSR; EAB1: (配列番17) SSNHQSSRLIELLSR; SRC2: (Uniprot Q15596-1 aa 683 - 701) LKEKHKILHRLLQDSSSPV; SRC1-3: (Uniprot Q15788-1 aa 1428 - 1441) QAQQKSLLQQLLTE; SRC1-1: (Uniprot Q15788-1 aa 625 - 645) KYSQTSHKLVQLLTTTAEQQL; SRC1-2: (Uniprot Q15788-1 aa 682 - 702; SNP rs1049021 E685A) SLTARHKILHRLLQEGSPSDI; SRC1-3: (Uniprot Q15788-1 aa 741 - 761) KESKDHQLLRYLLDKDEKDLR; SRC1-4a: (Uniprot Q15788-1 aa 1427 - 1441) PQAQQKSLLQQLLTE; SRC1-4b: (Uniprot Q15788-1 aa 1427 - 1441 L1435R) PQAQQKSLRQQLLTE; GRIP1-1: (Uniprot Q15596-1 aa 633 - 653) HDSKGQTKLLQLLTTKSDQME; GRIP1-2: (Uniprot Q15596-1 aa 682 - 702) SLKEKHKILHRLLQDSSSPVD; GRIP1-3: (Uniprot Q15596-1 aa 737 - 757) PKKKENALLRYLLDKDDTKDI; AIB1-1: (Uniprot Q9Y6Q9-5 aa 613 - 633) LESKGHKKLLQLLTCSSDDRG; AIB1-2: (Uniprot Q9Y6Q9-5 aa 677 - 697) LLQEKHRILHKLLQNGNSPAE; AIB1-3: (Uniprot Q9Y6Q9-5 aa 730 - 750) KKKENNALLRYLLDRDDPSDA; PGC1a: (Uniprot Q9UBK2-1 aa 136 - 156) QEAEEPSLLKKLLLAPANTQL; PGC1b: (Uniprot Q86YN6-1 aa 148 - 168) PEVDELSLLQKLLLATSYPTS; PRC: (Uniprot Q5VV67-1 aa 156 - 176) VSPREGSSLHKLLTLSRTPPE; TRAP220-1: (Uniprot Q15648-1 aa 596 - 616) SKVSQNPILTSLLQITGNGGS; TRAP220-2: (Uniprot Q15648-1 aa 637 - 657) GNTKNHPMLMNLLKDNPAQDF; ASC2-1: (Uniprot Q14686-1 aa 879 - 899) DVTLTSPLLVNLLQSDISAGH; ASC2-2: (Uniprot Q14686-1 aa 1483 - 1503) AMREAPTSLSQLLDNSGAPNV; CBP-1: (Uniprot Q92793-1 aa 62 - 82) DAASKHKQLSELLRGGSGSSI; CBP-2: (Uniprot Q92793-1 aa 350 - 370) KRKLIQQQLVLLLHAHKCQRR; P300: (Uniprot Q09472-1 aa 73 - 93) DAASKHKQLSELLRSGSSPNL; CIA: (Uniprot Q9HCD5-1 aa 337 - 357) GHPPAIQSLINLLADNRYLTA; ARA70-1: (Uniprot Q13772-1 aa 84 - 104) TLQQQAQQLYSLLGQFNCLTH; ARA70-2: (Uniprot Q13772-1 aa 320 - 340) GSRETSEKFKLLFQSYNVNDW; TIF1: (Uniprot O15164-2 aa 718 - 738) NANYPRSILTSLLLNSSQSST; NSD1: (Uniprot Q96L73-1 aa 899 - 919) IPIEPDYKFSTLLMMLKDMHD; SMAP: (Uniprot Q9H0E9-2 aa 263 - 283) ATPPPSPLLSELLKKGSLLPT; Tip60: (Uniprot Q92993-1 aa 481 - 501) VDGHERAMLKRLLRIDSKCLH; ERAP140: (Uniprot Q8NI08-1 aa 514 - 534) HEDLDKVKLIEYYLTKNKEGP; Nix1: (Uniprot Q9BQI9-1 aa 236 - 256) ESPEFCLGLQTLLSLKCCIDL; LCoR: (Uniprot Q96JN0-1 aa 45 - 65) AATTQNPVLSKLLMADQDSPL; CoRNR1 (N-CoR): (Uniprot O75376-1 aa 239 - 268) MGQVPRTHRLITLADHICQIITQDFARNQV; CoRNR2 (N-CoR): (Uniprot O75376-1 aa 2260 - 2273) NLGLEDIIRKALMG; CoRNR1 (SMRT): (Uniprot Q9Y618-1 aa 2131 - 2170) APGVKGHQRVVTLAQHISEVITQDTYRHHPQQLSAPLPAP; CoRNR2 (SMRT): (Uniprot Q9Y618-1 aa 2347 - 2360) NMGLEAIIRKALMG; RIP140-C: (配列番号 18) RLTKTNPILYYMLQKGGNSVA; RIP140-1: (Uniprot P48552-1 aa 13 - 33) QDSIVLTYLEGLLMHQAAGGS; RIP140-2: (Uniprot P48552-1 aa 125 - 145) KGKQDSTLLASLLQSFSSRLQ; RIP140-3: (Uniprot P48552-1 aa 177 - 197) CYGVASSHLKTLLKKSKVKDQ; RIP140-4: (Uniprot P48552-1 aa 258 - 278) KPSVACSQLALLLSSEAHLQQ; RIP140-5: (Uniprot P48552-1 aa 372 - 392) KQAANNSLLLHLLKSQTIPKP; RIP140-6: (Uniprot P48552-1 aa 493 - 513) NSHQKVTLLQLLLGHKNEENV; RIP140-7: (配列番号19) NLLERRTVLQLLLGNPTKGRV; RIP140-8: (Uniprot P48552-1 aa 811 - 831) FSFSKNGLLSRLLRQNQDSYL; RIP140-9: (Uniprot P48552-1 aa 928 - 948) RESKSFNVLKQLLLSENCVRD; PRIC285-1: (Uniprot Q9BYK8-2 aa 458 - 518) ELNADDAILRELLDESQKVMV; PRIC285-2: (Uniprot Q9BYK8-2 aa 541 - 561) YENLPPAALRKLLRAEPERYR; PRIC285-3: (Uniprot Q9BYK8-2 aa 596 - 616) MAFAGDEVLVQLLSGDKAPEG; PRIC285-4: (Uniprot Q9BYK8-2 aa 1435 - 1455) SCCYLCIRLEGLLAPTASPRP; and PRIC285-5: (Uniprot Q9BYK8-2 aa 1652 - 1672) PSNKSVDVLAGLLLRRMELKP。
【0166】
場合によっては、所定のLBDは、2以上の異なる共調節ポリペプチドと対にされ得る。例えば、PPAR-γ(Uniprot P37231)は、以下と対にされ得る:SRC1 (Uniprot Q15788-1 aa 625-645; Uniprot Q15788-1 aa 676-700; Uniprot Q15788-1 aa 682-702, SNP rs1049021 E685A; Uniprot Q15788-1 aa 741-761; Uniprot Q15788-1 aa 1428-1441; Uniprot Q15788-1 aa 1427-1441; Uniprot Q15788-1 aa 1427-1441 L1435R)、SRC2 (Uniprot Q15596-1 aa 683-701)、SRC3 (配列番号 14; Uniprot Q9Y6Q9-5 aa 614-632)又は TRAP220 (Uniprot Q15648-1 aa 596-616; Uniprot Q15648-1 aa 637-657)。別の例として、 ER-ALPHA (Uniprot P03372) が、以下と対にされ得る:CoRNR (Uniprot O75376-1 aa 239-268; Uniprot O75376-1 aa 2260-2273; Uniprot Q9Y618-1 aa 2131-2170; Uniprot Q9Y618-1 aa 2347-2360), alpha-betaV (配列番号12)又は TA1 (配列番号16)。別の例として、ER-beta (Uniprot Q92731) が、以下と対にされ得る:CoRNR (Uniprot O75376-1 aa 239-268; Uniprot O75376-1 aa 2260-2273; Uniprot Q9Y618-1 aa 2131-2170; Uniprot Q9Y618-1 aa 2347-2360), alpha-betaV (配列番号12)又は TA1(配列番号16)。別の例として、 AR (Uniprot P10275) が、以下と対にされ得る: SRC1 (Uniprot Q15788-1 aa 625-645; Uniprot Q15788-1 aa 676-700; Uniprot Q15788-1 aa 682-702, SNP rs1049021 E685A; Uniprot Q15788-1 aa 741-761; Uniprot Q15788-1 aa 1428-1441; Uniprot Q15788-1 aa 1427-1441; Uniprot Q15788-1 aa 1427-1441 L1435R)、SRC2 (Uniprot Q15596-1 aa 683-701)、SRC3 (配列番号14; Uniprot Q9Y6Q9-5 aa 614-632)又は TRAP220 (Uniprot Q15648-1 aa 596-616; Uniprot Q15648-1 aa 637-657)。別の例として、PR (Uniprot P06401) が、以下と対にされ得る: SRC1 (Uniprot Q15788-1 aa 625-645; Uniprot Q15788-1 aa 676-700; Uniprot Q15788-1 aa 682-702, SNP rs1049021 E685A; Uniprot Q15788-1 aa 741-761; Uniprot Q15788-1 aa 1428-1441; Uniprot Q15788-1 aa 1427-1441; Uniprot Q15788-1 aa 1427-1441 L1435R)、SRC2 (Uniprot Q15596-1 aa 683-701)、 SRC3 (配列番号14; Uniprot Q9Y6Q9-5 aa 614-632), TRAP220 (Uniprot Q15648-1 aa 596-616; Uniprot Q15648-1 aa 637-657), NR0B1 (Uniprot P51843-1 aa 74-90)、 PGC1B (Uniprot Q86YN6-1 aa 148-168)、 NRIP1(Uniprot P48552-1 aa 374-390)、 EA2 (配列番号15)又は EAB1 (配列番号17)。別の例として、TR-beta (Uniprot P10828) が、以下と対にされ得る: SRC1 (Uniprot Q15788-1 aa 625-645; Uniprot Q15788-1 aa 676-700; Uniprot Q15788-1 aa 682-702, SNP rs1049021 E685A; Uniprot Q15788-1 aa 741-761; Uniprot Q15788-1 aa 1428-1441; Uniprot Q15788-1 aa 1427-1441; Uniprot Q15788-1 aa 1427-1441 L1435R)、SRC2 (Uniprot Q15596-1 aa 683-701)、 SRC3 (配列番号14; Uniprot Q9Y6Q9-5 aa 614-632)、 又はTRAP220 (Uniprot Q15648-1 aa 596-616; Uniprot Q15648-1 aa 637-657)。
【0167】
9.2.1.3.LBDベースのヘテロ二量体化のための調節分子:
ヘテロは二量体化ドメインのペアの1つのメンバーが核ホルモン受容体のLBDである場合、使用される調節分子の少なくとも1つのタイプは、前記群の最初のCAR分子のLBDに結合でき、その後、前記群の第2のCAR分子における共調節ペプチドと二量体化され得る。
【0168】
LBDベースのヘテロ二量体化システムのための適切な調節分子は、当業界において知られている。LBDベースのヘテロ二量体化システムのための調節分子の例は、以下を含む:コルチコステロン((8S、9S、10R、11S、13S、14S、17S)-11-ヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-1,2,6,7,8,9,11、 12,14,15,16,17-ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); デオキシコルチコステロン((8S、9S、10R、13S、14S、17S)-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-1,2,6,7,8,9,11,12,14,15、 16,17-ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); コルチゾール((8S、9S、10R、11S、13S、14S、17R)-11,17-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-2,6,7,8,9,11、 12,14,15,16-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); 11-デオキシコルチゾール((8R、9S、10R、13S、14S、17R)-17-ヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-2,6,7,8,9,11,12、 14,15,16-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン);コルチゾン((8S、9S、10R、13S、14S、17R)-17-ヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-1,2,6,7,8,9,12,14、 15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3,11-ジオン); 18-ヒドロキシコルチコステロン((8S、9S、10R、11S、13R、14S、17S)-11-ヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-13-(ヒドロキシメチル)-10-メチル-1,2,6,7、 8,9,11,12,14,15,16,17-ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); 1α-ヒドロキシコルチコステロン((1S、8S、9S、10R、11S、13S、14S、17S)-1,11-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-1,2,6,7、 8,9,11,12,14,15,16,17-ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); アルドステロン((8S、9S、10R、11S、13R、14S、17S)-11-ヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10-メチル-3-オキソ-1,2,6,7,8,9、 11,12,14,15,16,17-ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-13-カルバルデヒド); アンドロステンジオン((8R、9S、10R、13S、14S)-10,13-ジメチル-2,6,7,8,9,11,12,14,15,16-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン- 3,17-ジオン); 4-ヒドロキシ-アンドロステンジオン((8R、9S、10R、13S、14S)-4-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-2,6,7,8,9,11,12,14,15,16-デカヒドロ- 1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3,17-ジオン); 11β-ヒドロキシアンドロステンジオン((8S、9S、10R、11S、13S、14S)-11-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-2,6,7,8,9,11,12,14,15,16-デカヒドロ- 1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3,17-ジオン); アンドロスタンジオール((3R、5S、8R、9S、10S、13S、14S)-10,13-ジメチル-2,3,4,5,6,7,8,9,11,12,14,15,16、 17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3,17-ジオール); アンドロステロン((3R、5S、8R、9S、10S、13S、14S)-3-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-1,2,3,4,5,6,7,8,9,11,12、 14,15,16-テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17-オン); エピアンドロステロン((3S、5S、8R、9S、10S、13S、14S)-3-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-1,2,3,4,5,6,7,8,9,11,12、 14,15,16-テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17-オン); アドレノステロン((8S、9S、10R、13S、14S)-10,13-ジメチル-1,2,6,7,8,9,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3,11、 17-トリオン); デヒドロエピアンドロステロン((3S、8R、9S、10R、13S、14S)-3-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-1,2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16- ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17-オン); デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩([(3S、8R、9S、10R、13S、14S)-10,13-ジメチル-17-オキソ-1,2,3,4,7,8,9,11,12,14,15、 16-ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル]硫酸水素塩); テストステロン((8R、9S、10R、13S、14S、17S)-17-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-1,2,6,7,8,9,11,12,14,15,16,17- ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); エピテストステロン((8R、9S、10R、13S、14S、17R)-17-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-1,2,6,7,8,9,11,12,14,15,16,17- ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); 5α-ジヒドロテストステロン((5S、8R、9S、10S、13S、14S、17S)-17-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-1,2,4,5,6,7,8,9,11,12、 14,15,16,17-テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); 5β-ジヒドロテストステロン((5R、8R、9S、10S、13S、14S、17S)-17-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-1,2,4,5,6,7,8,9,11,12、 14,15,16,17-テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); 5β-ジヒドロテストステロン((5R、8R、9S、10S、13S、14S、17S)-17-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-1,2,4,5,6,7,8,9,11,12、 14,15,16,17-テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); 11β-ヒドロキシテストステロン((8S、9S、10R、11S、13S、14S、17S)-11,17-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-1,2,6,7,8,9,11,12,14、 15,16,17-ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); 11-ケトテストステロン((8S、9S、10R、13S、14S、17S)-17-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-2,6,7,8,9,12,14,15,16,17-デカヒドロ- 1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3,11-ジオン); エストロン((8R、9S、13S、14S)-3-ヒドロキシ-13-メチル-7,8,9,11,12,14,15,16-オクタヒドロ-6H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-オン) ; エストラジオール((8R、9S、13S、14S、17S)-13-メチル-6,7,8,9,11,12,14,15,16,17-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3,17-ジオール) ; エストリオール((8R、9S、13S、14S、16R、17R)-13-メチル-6,7,8,9,11,12,14,15,16,17-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3,16、 17-トリオール); プレグネノロン(1-[(3S、8S、9S、10R、13S、14S、17S)-3-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,11,12,14,15 、16,17-ドデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル]エタノン); 17-ヒドロキシプレグネノロン(1-[(3S、8R、9S、10R、13S、14S、17R)-3,17-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-1,2,3,4,7,8,9,11 、12,14,15,16-ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル]エタノン); プロゲステロン((8S、9S、10R、13S、14S、17S)-17-アセチル-10,13-ジメチル-1,2,6,7,8,9,11,12,14,15,16,17- ドデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); 17-ヒドロキシプロゲステロン((8R、9S、10R、13S、14S、17R)-17-アセチル-17-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-2,6,7,8,9,11,12,14,15、 16-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); T3((2S)-2-アミノ-3- [4-(4-ヒドロキシ-3-ヨードフェノキシ)-3,5-ジヨードフェニル]プロパン酸); T4((2S)-2-アミノ-3- [4-(4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードフェノキシ)-3,5-ジヨードフェニル]プロパン酸); スピロノラクトン(S-[(7R、8R、9S、10R、13S、14S、17R)-10,13-ジメチル-3,5'-ジオキソスピロ[2,6,7,8,9,11,12,14、 15,16-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17,2'-オキソラン] -7-イル]エタンチオエート); エプレレノン(PubChem CID 443872); 酢酸シプロテロン(PubChem CID 9880); ヒドロキシフルタミド(2-ヒドロキシ-2-メチル-N- [4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド); エンザルタミド(4- [3- [4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル] -5,5-ジメチル-4-オキソ-2-スルファニリデンイミダゾリジン-1-イル] -2-フルオロ-N-メチルベンズアミド); ARN-509(4- [7- [6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル] -8-オキソ-6-スルファニリデン-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタン-5-イル] -2 -フルオロ-N-メチルベンズアミド); 3,3'-ジインドリルメタン(DIM)(3-(1H-インドール-3-イルメチル)-1H-インドール); ベキロステリド((4aR、10bR)-8-クロロ-4-メチル-1,2,4a、5,6,10b-ヘキサヒドロベンゾ[f]キノリン-3-オン); ビカルタミド(N- [4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル] -3-(4-フルオロフェニル)スルホニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド); N-ブチルベンゼン-スルホンアミド(NBBS)(N-ブチルベンゼンスルホンアミド); デュタステリド((1S、3aS、3bS、5aR、9aR、9bS、11aS)-N- [2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル] -9a、11a-ジメチル-7-オキソ-1,2,3,3a、 3b、4,5,5a、6,9b、10,11-ドデカヒドロインデノ[5,4-f]キノリン-1-カルボキサミド); エプリステリド((8S、9S、10R、13S、14S、17S)-17-(tert-ブチルカルバモイル)-10,13-ジメチル-2,7,8,9,11,12,14,15,16,17- デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-カルボン酸); フィナステリド((1S、3aS、3bS、5aR、9aR、9bS、11aS)-N-tert-ブチル-9a、11a-ジメチル-7-オキソ-1,2,3,3a、3b、4,5,5a、 6,9b、10,11-ドデカヒドロインデノ[5,4-f]キノリン-1-カルボキサミド); フルタミド(2-メチル-N- [4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド); イゾンステリド((4aR、10bR)-8-[(4-エチル-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)スルファニル] -4,10b-ジメチル-2,4a、5,6-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[f ]キノリン-3-オン); ケトコナゾール(1- [4- [4-[[(2R、4S)-2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(イミダゾール-1-イルメチル)-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ] フェニル]ピペラジン-1-イル]エタノン); N-ブチルベンゼン-スルホンアミド(N-ブチルベンゼンスルホンアミド); ニルタミド(5,5-ジメチル-3- [4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]イミダゾリジン-2,4-ジオン); メゲストロール((8R、9S、10R、13S、14S、17R)-17-アセチル-17-ヒドロキシ-6,10,13-トリメチル-2,8,9,11,12,14,15,16-オクタヒドロ- 1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); ツロステリド((1S、3aS、3bS、5aR、9aR、9bS、11aS)-6,9a、11a-トリメチル-7-オキソ-N-プロパン-2-イル-N-(プロパン-2-イルカルバモイル)-2、 3,3a、3b、4,5,5a、8,9,9b、10,11-ドデカヒドロ-1H-インデノ[5,4-f]キノリン-1-カルボキサミド); ミフェプリストン((8S、11R、13S、14S、17S)-11- [4-(ジメチルアミノ)フェニル] -17-ヒドロキシ-13-メチル-17-プロプ-1-イニル-1,2,6,7,8 、11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); リロプリストン((8S、11R、13S、14S、17R)-11- [4-(ジメチルアミノ)フェニル] -17-ヒドロキシ-17-[(Z)-3-ヒドロキシプロプ-1-エニル] -13-メチル-1 、2,6,7,8,11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); オナプリストン((8S、11R、13R、14S、17S)-11- [4-(ジメチルアミノ)フェニル] -17-ヒドロキシ-17-(3-ヒドロキシプロピル)-13-メチル-1,2,6,7,8 、11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); アソプリスニル((8S、11R、13S、14S、17S)-11- [4-[(E)-ヒドロキシイミノメチル]フェニル] -17-メトキシ-17-(メトキシメチル)-13-メチル-1,2,6,7 、8,11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); J912((8S、11R、13S、14S、17S)-17-ヒドロキシ-11- [4-[(Z)-ヒドロキシイミノメチル]フェニル] -17-(メトキシメチル)-13-メチル-1,2,6,7 、8,11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); CDB-2914((8S、13S、14S、17R)-17-アセチル-11- [4-(ジメチルアミノ)フェニル] -17-ヒドロキシ-13-メチル-1,2,6,7,8,11,12 、14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); JNJ-1250132([(8S、11R、13S、14S、17R)-17-アセチル-13-メチル-3-オキソ-11-(4-ピペリジン-1-イルフェニル)-1,2,6,7,8 、11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル]アセテート); ORG-31710((6R、8S、11R、13S、14S、17R)-11- [4-(ジメチルアミノ)フェニル] -6,13-ジメチルスピロ[1,2,6,7,8,11,12,14 、15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17,2'-オキソラン] -3-オン); ORG-33628((8S、11R、13S、14S、17R)-11-(4-アセチルフェニル)-13-メチル-3'-メチリデンス
ピロ[1,2,6,7,8,11,12,14,15 、16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17,2'-オキソラン] -3-オン); ORG-31806((7S、8S、11R、13S、14S、17R)-11- [4-(ジメチルアミノ)フェニル] -7,13-ジメチルスピロ[1,2,6,7,8,11,12,14 、15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17,2'-オキソラン] -3-オン); ZK-112993((8S、11R、13S、14S、17S)-11-(4-アセチルフェニル)-17-ヒドロキシ-13-メチル-17-プロプ-1-イニル-1,2,6,7,8、 11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); ORG-31376((8S、11R、13S、14R、17S)-11- [4-(ジメチルアミノ)フェニル] -13-メチルスピロ[1,2,6,7,8,11,12,14,15,16 -デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17,2'-オキソラン] -3-オン); ORG-33245((8S、13S、14S、17R)-11- [4-(ジメチルアミノ)フェニル] -13-メチル-3'-メチリデンスピロ[1,2,6,7,8,11,12,14、 15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17,2'-オキソラン] -3-オン); ORG-31167; ORG-31343; RU-2992; RU-1479; RU-25056; RU-49295; RU-46556; RU-26819; LG1127; LG120753(3-(2,2,4-トリメチル-1H-キノリン-6-イル)ベンゾニトリル); LG120830(3-フルオロ-5-(2,2,4-トリメチル-1H-キノリン-6-イル)ベンゾニトリル); LG1447; LG121046; CGP-19984A(ナトリウム;メチル[(2Z)-3-メチル-2-[(Z)-[5-メチル-3-(2-メチルプロプ-2-エニル)-4-オキソ-1,3-チアゾリジン- 2-イリデン]ヒドラジニリデン] -4-オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル]ホスフェート); RTI-3021-012(8S、11R、13S、14S、17R)-17-アセチル-11- [4-(ジメチルアミノ)フェニル] -17-ヒドロキシ-13-メチル-1,2,6,7,8、 11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); RTI-3021-022((8S、11R、13S、14S、17R)-17-アセチル-11- [4-(ジメチルアミノ)フェニル] -17-ヒドロキシ-13-メチル-1,2,6,7,8 、11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); RTI-3021-020; RWJ-25333((3,4-ジクロロフェニル)-(6-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-イル)メタノン); ZK-136796; ZK-114043((8S、11R、13S、14S、17S)-11-(4-アセチルフェニル)-17-ヒドロキシ-17-[(E)-3-ヒドロキシプロプ-1-エニル] -13-メチル-1 2,6,7,8,11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); ZK-230211((8S、11R、13S、14S、17S)-11-(4-アセチルフェニル)-17-ヒドロキシ-13-メチル-17-(1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル)-1 2,6,7,8,11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); ZK-136798; ZK-98229; ZK-98734((8S、11R、13S、14S、17R)-11- [4-(ジメチルアミノ)フェニル] -17-ヒドロキシ-17-[(Z)-3-ヒドロキシプロプ-1-エニル] -13-メチル -1,2,6,7,8,11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); ZK-137316; アソプリスニル((8S、11R、13S、14S、17S)-11- [4-[(E)-ヒドロキシイミノメチル]フェニル] -17-メトキシ-17-(メトキシメチル)-13-メチル-1,2,6,7 、8,11,12,14,15,16-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); 4- [17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-1-(E)-[O-(エチルアミノ)カルボニル]オキシム; (Z)-6 '-(4-シアノフェニル)-9,11α-ジヒドロ-17β-ヒドロキシ-17α-[4-(1-オキソ-3-メチルブトキシ)-1-ブテニル] 4'H-ナフト[3' 、2 '、1'; 10,9,11] estr-4-エン-3-オン; 11β-(4-アセチルフェニル)-17β-ヒドロキシ-17α-(1,1,2,2,2-ペンタ-フルオロエチル)エストラ-4,9-ジエン-3-オン; 11β-(4-アセチルフェニル)-19,24-ジノール-17,23-エポキシ-17アルファ-コラ-4,9,20-トライ-n-3-オン; (Z)-11ベータ、19- [4-(3-ピリジニル)-o-フェニレン] -17ベータ-ヒドロキシ-17α-[3-ヒドロキシ-1-プロペニル] -4-アンドロステン-3-オン; 11β-[4-(1-メチルエテニル)フェニル]-17α-ヒドロキシ-17β-β-ヒドロキシプロピル)-13α-エストラ-4,9-ジエン-3-オン; 4 '、5'-ジヒドロ-11ベータ-[4-(ジメチルアミノ)フェニル] -6ベータ-メチルスピロ[エストラ-4、-9-ジエン-17ベータ、2'(3'H)-フラン] -3-オン; ドロスピレノン(PubChem CID 68873); T3((2S)-2-アミノ-3- [4-(4-ヒドロキシ-3-ヨードフェノキシ)-3,5-ジヨードフェニル]プロパン酸); KB-141(2- [3,5-ジクロロ-4-(4-ヒドロキシ-3-プロパン-2-イルフェノキシ)フェニル]酢酸); ソベチローム(2- [4-[(4-ヒドロキシ-3-プロパン-2-イルフェニル)メチル] -3,5-ジメチルフェノキシ]酢酸); GC-24(2- [4-[(3-ベンジル-4-ヒドロキシフェニル)メチル] -3,5-ジメチルフェノキシ]酢酸); 4-OH-PCB106(2-クロロ-4-(2,3,4,5-テトラクロロフェニル)フェノール); エプロチローム(3- [3,5-ジブロモ-4-(4-ヒドロキシ-3-プロパン-2-イルフェノキシ)アニリノ] -3-オキソプロパン酸); MB07811(PubChem CID 15942005); QH2(2-[(2E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエニル] -5,6-ジメトキシ-3-メチルベンゼン-1,4-ジオール); MB07344([4-[(4-ヒドロキシ-3-プロパン-2-イルフェニル)メチル] -3,5-ジメチルフェノキシ]メチルホスホン酸); タモキシフェン(2- [4-[(Z)-1,2-ジフェニルブト-1-エニル]フェノキシ] -N、N-ジメチルエタンアミン); 4-OH-タモキシフェン(4-[(Z)-1- [4- [2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル] -2-フェニルブト-1-エニル]フェノール); ラロキシフェン([6-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-ベンゾチオフェン-3-イル]-[4-(2-ピペリジン-1-イルエトキシ)フェニル]メタノン); ラソフォキシフェン((5R、6S)-6-フェニル-5- [4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)フェニル] -5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-オール); アゼドキシフェン(1-[[4- [2-(アゼパン-1-イル)エトキシ]フェニル]メチル] -2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルインドール-5-オール); ファルソデックス((7R、8R、9S、13S、14S、17S)-13-メチル-7- [9-(4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンチルスルフィニル)ノニル] -6,7,8,9,11 、12,14,15,16,17-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3,17-ジオール); クロミフェン(2- [4-[(E)-2-クロロ-1,2-ジフェニルエテニル]フェノキシ] -N、N-ジエチルエタンアミン); フェマレル(); オルメロキシフェン(1- [2- [4-[(3R、4R)-7-メトキシ-2,2-ジメチル-3-フェニル-3,4-ジヒドロクロメン-4-イル]フェノキシ]エチル]ピロリジン); トレミフィエン(2- [4-[(Z)-4-クロロ-1,2-ジフェニルブト-1-エニル]フェノキシ] -N、N-ジメチルエタンアミン); オスペミフェン(2- [4-[(Z)-4-クロロ-1,2-ジフェニルブト-1-エニル]フェノキシ]エタノール); 及びエチニルエストラジオール((8R、9S、13S、14S、17R)-17-エチニル-13-メチル-7,8,9,11,12,14,15,16-オクタヒドロ-6H-シクロペンタ[a]フェナントレン- 3,17-ジオール); エストラジオール((8R、9S、13S、14S、17S)-13-メチル-6,7,8,9,11,12,14,15,16,17-デカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3,17-ジオール) ; エチニルエストラジオール((8R、9S、13S、14S、17R)-17-エチニル-13-メチル-7,8,9,11,12,14,15,16-オクタヒドロ-6H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3 、17-ジオール); チアゾリジンジオン:(例:ロシグリタゾン(5-[[4- [2- [メチル(ピリジン-2-イル)アミノ]エトキシ]フェニル]メチル] -1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン); ピオグリタゾン(5-[[4- [2-(5-エチルピリジン-2-イル)エトキシ]フェニル]メチル] -1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン); ロベグリタゾン(5-[[4- [2-[[6-(4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-4-イル]-メチルアミノ]エトキシ]フェニル]メチル] -1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン); トログリタゾン(5-[[4-[(6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチル-3,4-ジヒドロクロメン-2-イル)メトキシ]フェニル]メチル] -1,3-チアゾリジン-2,4 -ジオン));ファルグリタザール((2S)-2-(2-ベンゾイラニリノ)-3- [4- [2-(5-メチル-2-フェニル-1,3-オキサゾール-4-イル)エトキシ]フェニル]プロパン酸); アレグリタザール((2S)-2-メトキシ-3- [4- [2-(5-メチル-2-フェニル-1,3-オキサゾール-4-イル)エトキシ] -1-ベンゾチオフェン-7-イル]プロパン酸 ); 及びフェノフィブリン酸(2- [4-(4-クロロベンゾイル)フェノキシ] -2-メチルプロパン酸); ベンゾピラノキノリンA276575、マプラコラット((2R)-1,1,1-トリフルオロ-4-(5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-4-メチル-2-[[(2 -メチルキノリン-5-イル)アミノ]メチル]ペンタン-2-オール); ZK 216348(4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-N-(4-メチル-1-オキソ-2,3-ベンゾオキサジン-6-イル) -2-(トリフルオロメチル)ペンタンアミド); 55D1E1; デキサメタゾン((8S、9R、10S、11S、13S、14S、16R、17R)-9-フルオロ-11,17-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13,16-トリメチル-6,7、 8,11,12,14,15,16-オクタヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); プレドニゾロン((8S、9S、10R、11S、13S、14S、17R)-11,17-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-7,8,9,11,12,14、 15,16-オクタヒドロ-6H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); プレドニゾン((8S、9S、10R、13S、14S、17R)-17-ヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-6,7,8,9,12,14,15,16- オクタヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3,11-ジオン); メチルプレドニゾロン((6S、8S、9S、10R、11S、13S、14S、17R)-11,17-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-6,10,13-トリメチル-7,8,9,11、 12,14,15,16-オクタヒドロ-6H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); プロピオン酸フルチカゾン([(6S、8S、9R、10S、11S、13S、14S、16R、17R)-6,9-ジフルオロ-17-(フルオロメチルスルファニルカルボニル)-11-ヒドロキシ-10,13,16-トリメチル-3- オキソ-6,7,8,11,12,14,15,16-オクタヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル]プロパノエート); ベクロメタゾン-17-モノプロピオネート([(8S、9R、10S、11S、13S、14S、16S、17R)-9-クロロ-11-ヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13,16-トリメチル-3 -オキソ-6,7,8,11,12,14,15,16-オクタヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル]プロパノエート); ベタメタゾン((8S、9R、10S、11S、13S、14S、16S、17R)-9-フルオロ-11,17-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13,16-トリメチル-6,7、 8,11,12,14,15,16-オクタヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); リメキソロン((8S、9S、10R、11S、13S、14S、16R、17S)-11-ヒドロキシ-10,13,16,17-テトラメチル-17-プロパノイル-7,8,9,11,12,14、 15,16-オクタヒドロ-6H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); パラメタゾン((6S、8S、9S、10R、11S、13S、14S、16R、17R)-6-フルオロ-11,17-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13,16-トリメチル-7、 8,9,11,12,14,15,16-オクタヒドロ-6H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); およびヒドロコルチゾン((8S、9S、10R、11S、13S、14S、17R)-11,17-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13-ジメチル-2,6,7,8,9,11 、12,14,15,16-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン); 1,25-ジヒドロキシビタミンD3(カルシトリオール)((1R、3S、5Z)-5-[(2E)-2-[(1R、3aS、7aR)-1-[(2R)-6-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン -2-イル] -7a-メチル-2,3,3a、5,6,7-ヘキサヒドロ-1H-インデン-4-イリデン]エチリデン] -4-メチリデンシクロヘキサン-1,3-ジオール);1,25-ジヒドロキシビタミンD3(カルシトリオール)((1R、3S、5Z)-5-[(2E)-2-[(1R、3aS、7aR)-1-[(2R)-6-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン -2-イル] -7a-メチル-2,3,3a、5,6,7-ヘキサヒドロ-1H-インデン-4-イリデン]エチリデン] -4-メチリデンシクロヘキサン-1,3-ジオール) パリカリトール((1R、3R)-5-[(2E)-2-[(1R、3aS、7aR)-1-[(E、2R、5S)-6-ヒドロキシ-5,6-ジメチルヘプト-3-エン -2-イル] -7a-メチル-2,3,3a、5,6,7-ヘキ
サヒドロ-1H-インデン-4-イリデン]エチリデン]シクロヘキサン-1,3-ジオール)、ドキセルカルシフェロール((1R、3S、 5Z)-5-[(2E)-2-[(1R、3aS、7aR)-1-[(E、2R、5R)-5,6-ジメチルヘプト-3-エン-2-イル] -7a-メチル -2,3,3a、5,6,7-ヘキサヒドロ-1H-インデン-4-イリデン]エチリデン] -4-メチリデンシクロヘキサン-1,3-ジオール);25-ヒドロキシビタミンD3(カルシフェジオール)((1S、3Z)-3-[(2E)-2-[(1R、3aS、7aR)-1-[(2R)-6-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン-2-イル ] -7a-メチル-2,3,3a、5,6,7-ヘキサヒドロ-1H-インデン-4-イリデン]エチリデン] -4-メチリデンシクロヘキサン-1-オール)、コレカルシフェロール((1S、3Z)-3- [(2E)-2-[(1R、3aS、7aR)-7a-メチル-1-[(2R)-6-メチルヘプタン-2-イル] -2,3,3a、5,6,7-ヘキサヒドロ- 1H-インデン-4-イリデン]エチリデン] -4-メチリデンシクロヘキサン-1-オール)、エルゴカルシフェロール((1S、3Z)-3-[(2E)-2-[(1R、3aS、7aR)-1-[(E、2R、5R)-5,6-ジメチルヘプト-3-エン-2-イル ] -7a-メチル-2,3,3a、5,6,7-ヘキサヒドロ-1H-インデン-4-イリデン]エチリデン] -4-メチリデンシクロヘキサン-1-オール)、タカルシトール((1R、3S、5Z)- 5-[(2E)-2-[(1R、3aS、7aR)-1-[(2R、5R)-5-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン-2-イル] -7a-メチル-2,3,3a、 5,6,7-ヘキサヒドロ-1H-インデン-4-イリデン]エチリデン] -4-メチリデンシクロヘキサン-1,3-ジオール)、22-ジヒドロエルゴカルシフェロール((1S、3Z)-3-[(2E)-2-[(1R、3aS、7aR)-1-[(2R、5S)-5,6-ジメチルヘプタン-2-イル] -7a- メチル-2,3,3a、5,6,7-ヘキサヒドロ-1H-インデン-4-イリデン]エチリデン] -4-メチリデンシクロヘキサン-1-オール)、(6Z)-タカルシオール((1S)-3-[( Z)-2-[(1R、7aR)-7a-メチル-1-[(2R)-6-メチルヘプタン-2-イル] -1,2,3,3a、6,7-ヘキサヒドロインデン-4-イル] エテニル] -4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-オール)、2-メチレン-19-ノル-20(S)-1α-ヒドロキシ-ビスホモプレグナカルシフェロール((1R、3R)-5-[(2E)-2-[(1R、3aS、7aR)-1-[(2S)- ブタン-2-イル] -7a-メチル-2,3,3a、5,6,7-ヘキサヒドロ-1H-インデン-4-イリデン]エチリデン] -2-メチリデンシクロヘキサン-1,3-ジオール)、19-ノル -26,27-ジメチレン-20(S)-2-メチレン-1α、25-ジヒドロキシビタミンD3、2-メチレン-1α、25-ジヒドロキシ-(17E)-17(20)-デヒドロ-19-ノルビタミンD3 、2-メチレン-19-ノル-(24R)-1α、25-ジヒドロキシビタミンD2、2-メチレン-(20R、25S)-19,26-ジノール-1α、25-ジヒドロキシビタミンD3、2-メチレン-19-ノル- 1α-ヒドロキシ-プレグナカルシフェロール、1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ホモプレグナカルシフェロール、(20R)-1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビスホモプレグナカルシフェロール、2-メチレン-19-ノル-(20S)-1α-ヒドロキシ-トリショモプレグナカルシフェロール、2-メチレン-23,23-ジフルオロ-1α-ヒドロキシ-19-ノル-ビスホモプレグナカルシフェロ-1,2-メチレン-(20S)-23、 23-ジフルオロ-1α-ヒドロキシ-19-ノル-ビスホモプレグナン-カルシフェロール、(2-(3 'ヒドロキシプロピル-1'、2'-イデン)-19,23,24-トリノール-(20S)-1α-ヒドロキシビタミンD3、 2-メチレン-18,19-ジノール-(20S)-1α、25-ジヒドロキシビタミンD3、及び同様のもの;レチノイン酸((2E、4E、6E、8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸)、すべて- トランスレチノイン酸((2E、4E、6E、8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸)、9-シス-レチノイン酸((2E、4E、6Z、8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸 )、タミバロテン(4-[(5,5,8,8-テトラメチル-6,7-ジヒドロナフタレン-2-イル)カルバモイル]安息香酸)、13-cis-レチノイン酸((2Z、4E、6E、8E) -3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸)、(2E、4E、6Z、8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセネイル)ノナ-2,4,6、-8-テトラエン酸、9-(4- メトキシ-2,3,6-トリメチル-フェニル)-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸、6- [3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル] -2- ナフトエ酸、4- [1-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-テトラリン-2-イル)エテニル]安息香酸、レチノ安息香酸(4-[(5,5,8,8-テトラメチル-6 、7-ジヒドロナフタレン-2-イル)カルバモイル]安息香酸)、エチル6- [2-(4,4-ジメチルチオクロマン-6-イル)エチニル]ピリジン-3-カルボキシレート、レチノイルt-ブチレート、レチノイルピナコール及びレチノイルコレステロール;オベチコール酸((4R)-4-[(3R、5S、6R、7R、8S、9S、10S、13R、14S、17R)-6-エチル-3,7-ジヒドロキシ-10,13-ジメチル-2、 3,4,5,6,7,8,9,11,12,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル]ペンタン酸)、LY2562175(6-(4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)ピペリジン-1-イル)-1-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸) 、およびGW4064(3- [2- [2-クロロ-4-[[3-(2,6-ジクロロフェニル)-5-(1-メチルエチル)-4-イソキサゾリル-]メトキシ]フェニル]エテニル]安息香酸) ; T0901317(N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-N- [4- [2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド)、GW3965(3- [3-[[[2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2,2-ジフェニルエチル)アミノ]プロポキシ]ベンゼン酢酸塩酸塩)、及びLXR-623(2-[(2- クロロ-4-フルオロフェニル)メチル] -3-(4-フルオロフェニル)-7-(トリフルオロメチル)インダゾール); GNE-3500(27、1- {4- [3-フルオロ-4-((3S、6R)-3-メチル-1,1-ジオキソ-6-フェニル-[1,2]チアジナン-2-イル- メチル)-フェニル]-ピペラジン-1-イル}-エタノン); 7ベータ、27-ジヒドロキシコレステロール((3S、7R、8S、9S、10R、13R、14S、17R)-17-[(2R)-7-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン-2-イル] -10,13-ジメチル- 2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17-ドデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3,7-ジオール)、及び7α、27-ジヒドロキシコレステロール((3S、7S、8S、9S、10R、13R、14S、17R)-17-[(2R)-7-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン-2-イル] -10,13-ジメチル- 2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17-ドデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3,7-ジオール); 9-シスレチノイン酸((2E、4E、6Z、8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸) 、LGD100268(6- [1-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-6,7-ジヒドロナフタレン-2-イル)シクロプロピル]ピリジン-3-カルボン酸)、CD3254(3- [4-ヒドロキシ-3-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,8,8-ペンタメチル-2-ナフタレニル)-フェニル] -2-プロペン酸)、およびCD2915(Sorensen et al. (1997) Skin Pharmacol. 10:144)。
【0169】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、ミネラルコルチコイド受容体(MR)のLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、スピロノラクトン及びエプレレノンを含む。スピロノラクトンは、10~35mg/日の範囲の用量、例えば25mg/日で投与され得る。
【0170】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、アンドロゲン受容体(AR)のLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:酢酸シプロテロン、ヒドロキシフルタミド、エンザルタミド、ARN-509、3,3‘-ジインドリルメタン(DIM)、ベキロステリド、ビカルタミド、N-ブチルベンゼン-スルホンアミド(NBBS)、デュタステリド、エプリステリド、フィナステリド、フルタミド、ゾンステリド、ケトコナゾール、N-ブチルベンゼン-スルホンアミド、ニルタミド、メゲストロール、ステロイド系抗アンドロゲン、及びツロステリド。
【0171】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、プロゲステロン受容体(PR)のLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:ミフェプリストン(RU-486; 11ベータ-[4N、N-ジメチルアミノフェニル] -17ベータ-ヒドロキシ-17-(1-プロピニル)-エストラ-4,9-ジエン-3-オン); リロプリストン(11ベータ-(4N、N-ジメチルアミノフェニル)-17ベータ-ヒドロキシ-17-((Z)-3-ヒドロキシプロペニル)エストラ-4,9-ジエン-3-オン); オナプリストン(11β-(4N、N-ジメチルアミノフェニル)-17α-ヒドロキシ-17-(3-ヒドロキシプロピル)-13α-エストラ-4,9-ジエン-3-オン); アソプリスニル(ベンズアルデヒド、4-[(11ベータ、17ベータ)-17-メトキシ-17-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11-イル] -1-(E)-オキシム; J867); J912(4- [17ベータ-ヒドロキシ-17アルファ-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11ベータ-イル]ベンズアルデヒド-(1E)-オキシム); 及びCDB-2914(17α-アセトキシ-11β-(4-N、N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン)。他の適切な二量体化剤は、以下を含む:例えば、JNJ-1250132、(6alpha、11beta、17beta)-11-(4-ジメチルアミノフェニル)-6-メチル-4 '、5'-ジヒドロスピロ[エストラ-4,9-ジエン-17,2'(3'H )-フラン] -3-オン(ORG-31710); (11ベータ、17アルファ)-11-(4-アセチルフェニル)-17,23-エポキシ-19,24-ジノルコラ-4,9-、20-トリエン-3-オン(ORG-33628); (7β、11β、17β)-11-(4-ジメチルアミノフェニル-7-メチル] -4 '、5'-ジヒドロスピロ[エストラ-4,9-ジエン-17,2'(3'H)-フラン] -3 -オン(ORG-31806); ZK-112993; ORG-31376; ORG-33245; ORG-31167; ORG-31343; RU-2992; RU-1479; RU-25056; RU-49295; RU-46556; RU-26819; LG1127; LG120753; LG120830; LG1447; LG121046; CGP-19984A; RTI-3021-012; RTI-3021-022; RTI-3021-020; RWJ-25333; ZK-136796; ZK-114043; ZK-230211; ZK-136798; ZK-98229; ZK-98734; ZK-137316; 4- [17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-1-(E)-オキシム; 4- [17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-1-(E)-[O-(エチルアミノ)カルボニル]オキシム; 4- [17ベータ-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-1-(E)-[O-(エチルチオ)カルボニル]オキシム; (Z)-6 '-(4-シアノフェニル)-9,11アルファ-ジヒドロ-17β-ヒドロキシ-17α-[4-(1-オキソ-3-メチルブトキシ)-1-ブテニル] 4'H-ナフト[3' 、2 '、1'; 10,9,11] エストラ-4-エン-3-オン; 11β-(4-アセチルフェニル)-17β-ヒドロキシ-17α-(1,1,2,2,2-ペンタ-フルオロエチル)エストラ-4,9-ジエン-3-オン; 11β-(4-アセチルフェニル)-19,24-ジノール-17,23-エポキシ-17α-コラ-4,9,20-トリエン-3-オン; (Z)-11β、19- [4-(3-ピリジニル)-o-フェニレン] -17β-ヒドロキシ-17α-[3-ヒドロキシ-1-プロペニル] -4-アンドロステン-3-オン; 11β-[4-(1-メチルエテニル)フェニル]-17α-ヒドロキシ-17β-β-ヒドロキシプロピル)-13α-エストラ-4,9-ジエン-3-オン; 4 '、5'-ジヒドロ-11β-[4-(ジメチルアミノ)フェニル] -6β-メチルスピロ[エストラ-4、-9-ジエン-17β、2'(3'H)-フラン] -3-オン、及び ドロスピレノン。
【0172】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、甲状腺受容体-β(TR-β)のLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:T3(3,5,3'-トリヨード-L-チロニン); KB-141(3,5-ジクロロ-4-(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル酢酸); ソベチローム(GC-1としても知られています)(3,5-ジメチル-4-(4'-ヒドロキシ-3'-イソプロピルベンジル)-フェノキシ酢酸); GC-24(3,5-ジメチル-4-(4'-ヒドロキシ-3'-ベンジル)ベンジルフェノキシ酢酸); 4-OH-PCB106(4-OH-2 '、3,3'、4 '、5'-ペンタクロロビフェニル); エプロチローム; MB07811((2R、4S)-4-(3-クロロフェニル)-2-[(3,5-ジメチル-4-(4'-ヒドロキシ-3'-イソプロピルベンジル)フェノキシ)メチル] -2-オキシド-[1 、3,2]-ジオキサホスホナン); QH2; 及び(3,5-ジメチル-4-(4'-ヒドロキシ-3'-イソプロピルベンジル)フェノキシ)メチルホスホン酸(MB07344)。
【0173】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、エストロゲン受容体-α(ER-α)のLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:タモキシフェン、4-OH-タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン、ファルソデックス、クロミフェン、フェマレル、オルメロキシフェン、トレミフェン、オスペミフェン、及びエチニルエストラジオール。
【0174】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、エストロゲン受容体-β(ER-β)のLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:エストラジオール(E2;または17-ベータ-エストラジオール)、及びエチニルエストラジオール。
【0175】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、PPAR-γのLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:チアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、ロベグリタゾン、トログリタゾン)、ファルグリタザール、アレグリタザール、及びフェノフィブリン酸。
【0176】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、GRのLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下であり得る:選択的GRアゴニスト(SEGRA)又は選択的GRモジュレーター(SEGRM)。
【0177】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、GRのLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:ベンゾピラノキノリンA276575、マプラコラット、ZK 216348、55D1E1、デキサメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、プロピオン酸フルチカゾン、ベクロメタゾン-17-モノプロピオン酸、ベタメタゾン、リメキソロン、パラメタゾン、及びヒドロコルチゾン。
【0178】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、VDRのLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下であり得る:1,25-ジヒドロキシビタミンD3(カルシトリオール)、パリカリトール、ドキセルカルシフェロール、25-ヒドロキシビタミンD3(カルシフェジオール)、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、タカルシオール、22-ジヒドロエルゴカルシフェロール、(6Z)-タカルシオール、2-メチレン-19-ノル-20(S) -1α-ヒドロキシ-ビスホモプレグナカルシフェロール、19-ノル-26,27-ジメチレン-20(S)-2-メチレン-1α、25-ジヒドロキシビタミンD3、2-メチレン-1α、25-ジヒドロキシ-(17E)-17(20)-ジヒドロ-19-ノル -ビタミンD3、2-メチレン-19-ノル-(24R)-1α、25-ジヒドロキシビタミンD2、2-メチレン-(20R、25S)-19,26-ジノール-1α、25-ジヒドロキシビタミンD3、2-メチレン-19-ノル-1α-ヒドロキシ-プレグナカルシフェロール、1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ホモプレグナカルシフェロール 、(20R)-1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビスホモプレグナカルシフェロール、2-メチレン-19-ノル-(20S)-1α-ヒドロキシ-トリショモプレグナカルシフェロール、2-メチレン-23,23-ジフルオロ-1α-ヒドロキシ-19-ノル-ビスホモプレグナカルシフェロ-1,2-メチレン-(20S)-23、 23-ジフルオロ-1α-ヒドロキシ-19-ノル-ビスホモプレグナ-n-カルシフェロール、(2-(3 'ヒドロキシプロピル-1'、2'-イデン)-19,23,24-トリノール-(20S)-1α-ヒドロキシビタミンD3、2-メチレン-18,19-ジノール-(20S)-1α、 25-ジヒドロキシビタミンD3など。
【0179】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、RAR-βのLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下であり得る:レチノイン酸、オールトランスレチノイン酸、9-cis-レチノイン酸、タミバロテン、13-cis-レチノイン酸、(2E、4E、6Z、8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセネイル)ノナ-2 、4、6、-8-テトラエン酸、9-(4-メトキシ-2,3,6-トリメチル-フェニル)-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸、6- [3-(1-アダマンチル)-4- メトキシフェニル] -2-ナフトエ酸、4- [1-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-テトラリン-2-イル)エテニル]安息香酸、レチノ安息香酸、エチル6- [2-(4,4-ジメチルチオクロマン-6-イル)エチニル ]ピリジン-3-カルボキシレート、レチノイルt-酪酸、レチノイルピナコール、及びレチノイルコレステロール。
【0180】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、FXR及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:オベチコール酸、LY2562175(6-(4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)ピペリジン-1-イル)-1-メチル-1H-インドール-3- カルボン酸)、及びGW4064(3- [2- [2-クロロ-4-[[3-(2,6-ジクロロフェニル)-5-(1-メチルエチル)-4-イソキサゾリル-]メトキシ]フェニル]エテニル]安息香酸)。
【0181】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、LXR-α(PR)のLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:T0901317(N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-N- [4- [2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド)、GW3965(3- [3-[[[2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2,2-ジフェニルエチル)アミノ]プロポキシ]ベンゼン酢酸塩酸塩)、及びLXR-623(2-[(2- クロロ-4-フルオロフェニル)メチル] -3-(4-フルオロフェニル)-7-(トリフルオロメチル)インダゾール。
【0182】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、ROR-γのLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:GNE-3500(27、1- {4- [3-フルオロ-4-((3S、6R)-3-メチル-1,1-ジオキソ-6-フェニル-[1,2]チアジナン-2-イル- メチル)-フェニル]-ピペラジン-1-イル}-エタノン)。
【0183】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、ROR-γのLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:7β、27-ジヒドロキシコレステロール、及び7α、27-ジヒドロキシコレステロール。
【0184】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、RXR-αのLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:9-シスレチノイン酸、LGD100268、CD3254(3- [4-ヒドロキシ-3-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,8,8-ペンタメチル-2-ナフタレニル)-フェニル]- 2-プロペン酸)、及びCD2915 (Sorensen et al. (1997) Skin Pharmacol. 10:144)。
【0185】
ヘテロ二量体化ドメインのペアが、PXRのLBD及び対応する共受容体ペプチドを含む場合、適切な調節分子は、以下を含む:リファンピシン、クロトリマゾール、及びロバスタチン。
【0186】
9.2.2.リポカリンフォールド分子に基くCAR分子の条件付へテロ二量体化:
他の好ましい実施形態によれば、本発明のCARの群の少なくとも2つのCAR分子は、2017年12月20日に提出された欧州特許第17208924.5号に開示されるように、リポカリンフォールド分子である1つのメンバー、及びリポカリンフォールド結合相互作用パートナーである第2のメンバーを含む一対のヘテロ二量体化ドメインによりヘテロ二量体化され得る。好ましい実施形態によれば、リポカリンフォールドベースのヘテロ二量体化システムは、以下を含み:
(a)リポカリンフォールド分子、
(b)1500Da又はそれ以下の低分子量を有するリポカリンフォールドリガンド、及び
(c)リポカリンフォールド結合相互作用パートナー、
ここで、前記リポカリンフォールド分子は、リポカリンフォールドリガンドに結合することができ、そして
ここで、リポカリンフォールドリガンドに結合されるリポカリンフォールド分子は、リポカリンフォールドリガンドに結合されないリポカリンフォールド分子の親和性よりも少なくとも10倍高い親和性で、リポカリンフォールド結合相互作用パートナーに結合し、そして
ここで、リポカリンフォールド結合相互作用パートナーは、任意のリポカリンフォールドリガンドの存在下で、任意の天然に存在するリポカリンフォールド分子に対して、10μM以下の親和性を有する天然に存在するタンパク質ではない。
【0187】
さらなる好ましい実施形態によれば、リポカリンフォールドベースのヘテロ二量体化システムは、以下を含み:
(a)リポカリンフォールド分子、
(b)1500Da又はそれ以下の低分子量を有するリポカリンフォールドリガンド、及び
(c)リポカリンフォールド結合相互作用パートナー、
ここで、リガンドフォールド分子は、リポカリンフォールドリガンドがリポカリンフォールド分子に結合されない場合、少なくとも第1のコンフォメーション、及びリポカリンフォールドリガンドがリポカリンフォールド分子に結合される場合、少なくとも第2のコンフォメーションを有し;
ここで、第2のコンフォメーションでリポカリンフォールドに結合されるリポカリンフォールド分子は、第1のコンフォメーションでリポカリンフォールドリガンドに結合されないリポカリンフォールド分子の親和性よりも少なくとも10倍高い親和性でリポカリンフォールド結合相互作用パートナーに結合し、そして
ここで、リポカリンフォールド結合相互作用パートナーは、任意のリポカリンフォールドリガンドの存在下で、任意の天然に存在するリポカリンフォールド分子に対して、10μM以下の親和性を有する天然に存在するタンパク質ではない。
【0188】
条件付きヘテロ二量体化のためのこのリポカリンフォールド分子ベースのシステムは一般的に、リポカリンフォールドリガンドが結合されているか、否かに依存して、リポカリンフォールド結合相互作用パートナーに対するリポカリンフォールド分子の親和性の実質的な差異に依存する。親和性ウィンドウ(すなわち、それぞれ、リポカリンフォールドリガンドに結合されているか、又は結合されていないリポカリンフォールド分子に対するリポカリンフォールド結合相互作用パートナーの親和性)が、生理学的条件下でのヘテロ二量体化の調節を可能にする合理的な親和性範囲で存在することが好ましい。従って、リガンド結合された状態のリポカリンフォールド分子に対するリポカリンフォールド結合相互作用パートナーの親和性は、10μM未満、好ましくは2μ未満、特に400nM未満であることが好ましい。
【0189】
リポカリンフォールド結合パートナーが、リポカリンフォールドリガンドによりチャージされたか、又はチャージされなかったリポかリンフォールド分子に結合するよう設計されているかに依存して、リポカリンフォールド分子ベースのシステムが、それぞれ、条件付へテロ二量体化(すなわち、切り替え)又は構成的へテロ二量体化のために使用され得る。リポカリンフォールド結合相互作用パートナーはまた、リポカリンフォールドリガンドの存在下ではなく、非依存下でリポカリンフォールド分子に結合するよう設計され得るので、このシステムには、また、ヘテロ二量体化を条件付きで、防止するためにも使用され得る(すなわち、切り替え)。原則として、リポカリンフォールド分子ベースのシステムは、任意には、少なくとも2つの異なるリポカリンフォールドリガンドを結合するように設計され得、ここでそれに応じて選択されたリポカリンフォールド結合相互作用パートナーは、2つの示差的に誘導されたコンフォメーション状態間を区別することができ、これが、次に、2つの異なるリポカリンフォールドリガンドを連続的に追加することにより、条件付きでオンとオフの切り替えが可能になる。
【0190】
本発明に従ってヘテロ二量体化ドメインとして使用され得るリポカリンフォールド分子は、リポカリンフォールドリガンドが結合し(又はその中で)、そしてリポカリンフォールド相互作用パートナーへのリポカリンフォールド分子の結合を可能にする、リポカリンフォールドの構造モチーフを含む任意のタンパク質であり得る。
【0191】
リポカリンフォールド分子は、SCOPデータベース(バージョン1.75)においてリポカリンスーパーファミリーに分類される任意の天然に存在する分子、又はその変異体として定義される。しかしながら、限られた数のアミノ酸のみを交換することが好ましい。
【0192】
好ましい実施形態によれば、リポカリンフォールド分子は、天然に存在するiLBP(細胞内脂質結合タンパク質)、天然に存在するリポカリン又はアンチカリン、及び1~30のアミノ酸交換を伴うそれらの分子のいずれかの誘導体及びそのフラグメントと同一の分子である。別の好ましい実施形態によれば、リポカリンフォールド分子は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、25又は30のアミノ酸交換を伴う、天然に存在するリポカリン又はiLBPの誘導体である。
【0193】
本発明の好ましい実施形態によれば、リポカリンフォールド分子は、リポカリンフォールドリガンド結合を最適にするために、1つ又は2以上のアミノ酸交換、挿入及び/又は欠失により設計される。好ましい実施形態によれば、リポカリンフォールド分子は、天然に存在するか、又はさもなければ、(そのアミノ酸配列により)開示された、βバレル構造において、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも90%の配列同一性を有するリポカリンフォールド分子の誘導体であり、それにより、このβ-バレル構造は、以下から選択されるアミノ酸残基の領域に好ましくは、構造的に対応する領域として定義される:
-ヒトRBP4(PDBエントリー1RBPのアミノ酸残基番号付けスキームによる)におけるアミノ酸残基21-30、41-47、52-58、71-78、85-88、102-109、114-120及び132-138、これはヒトRBP4における構造的に保存されたβ-鎖を定義する;
-ヒト涙液リポカリン(TLC:Schiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985により定義されるような)におけるアミノ酸残基14-23、37-43、48-54、62-69、76-79、84-91、96-102及び111-117、これはヒトTLCにおける構造的に保存されたβ-鎖を定義する;
-ヒトアポリポタンパク質M(ApoM;Schiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985により定義されるような)におけるアミノ酸残基44-53、69-75、81-87、96-103、110-113、119-126、131-137及び142-148、これはヒトApoMにおける構造的に保存されたβ-鎖を定義する;
-ヒト細胞レチノイン酸結合タンパク質II(CRABPII:PDBエントリー2FS6でのアミノ酸残基番号付けスキームに従う)におけるアミノ酸残基5-12、41-45、50-54、61-65、71-73、81-87、93-96、108-112、119-124及び129-135、これはヒトCRABPIIにおける構造的に保存されたβ-鎖を定義する;
-ヒト脂肪酸結合タンパク質1(FABP1:PDBエントリー2F73でのアミノ酸番号付けスキームに従う)におけるアミノ酸残基5-12、39-43、48-52、59-63、69-71、79-85、91-94、99-103、109-114 及び 119-125、これはヒトFABP1における構造的に保存されたβ-鎖を定義する。
【0194】
好ましい実施形態によれば、リポカリンフォールド分子は、少なくとも構造的に保存されたリポカリンフォールドのβ-バレル構造をカバーする、少なくとも80、好ましくは少なくとも100、特に少なくても120のアミノ酸の長さの天然に存在するリポカリン又はその誘導体のフラグメントであり、又はここで、リポカリンフォールド分子は、少なくとも構造的に保存されたリポカリンフォールドのβ-バレル構造をカバーする、少なくとも80、好ましくは少なくとも85、特に少なくとも90のアミノ酸の長さの天然に存在するiLBP又はその誘導体のフラグメントであり、ここで前記構造的に保存されたβ-パレル構造は、以下から選択されるアミノ酸残基の領域に好ましくは、構造的に対応するアミノ酸位置を含むか、又はそれらから成る:
-ヒトRBP4(PDBエントリー1RBPのアミノ酸残基番号付けスキームによる)におけるアミノ酸残基21-30、41-47、52-58、71-78、85-88、102-109、114-120及び132-138、これはヒトRBP4における構造的に保存されたβ-鎖を定義する;
-ヒト涙液リポカリン(TLC:Schiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985により定義されるような)におけるアミノ酸残基14-23、37-43、48-54、62-69、76-79、84-91、96-102及び111-117、これはヒトTLCにおける構造的に保存されたβ-鎖を定義する;
-ヒトアポリポタンパク質M(ApoM;Schiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985により定義されるような)におけるアミノ酸残基44-53、69-75、81-87、96-103、110-113、119-126、131-137及び142-148、これはヒトApoMにおける構造的に保存されたβ-鎖を定義する;
-ヒト細胞レチノイン酸結合タンパク質II(CRABPII:PDBエントリー2FS6でのアミノ酸残基番号付けスキームに従う)におけるアミノ酸残基5-12、41-45、50-54、61-65、71-73、81-87、93-96、108-112、119-124及び129-135、これはヒトCRABPIIにおける構造的に保存されたβ-鎖を定義する;PDBエントリー2F3におけるアミノ酸残基番号付けスキームに従う;
-ヒト脂肪酸結合タンパク質1(FABP1:PDBエントリー2F73でのアミノ酸番号付けスキームに従う)におけるアミノ酸残基5-12、39-43、48-52、59-63、69-71、79-85、91-94、99-103、109-114 及び 119-125、これはヒトFABP1における構造的に保存されたβ-鎖を定義する。
【0195】
さらなる好ましい実質形態によれば、リポカリンフォールド分子は、好ましくは、以下から選択されるアミノ酸残基の構造的に対応する、構造的に保存されたβ-バレル構造の外側に、最大15、最大30又は最大50のアミノ酸欠失及び/又は最大15、最大30又は最大50のアミノ酸挿入を有する、天然に存在するリポカリン又はiLBPの誘導体である:
-PDBエントリー1RBPにおけるアミノ酸残基番号付けに従って、ヒトRBP4における構造的に保存されたβ-鎖に隣接する領域を定義する、ヒトRBP4におけるアミノ酸残基1-20、31-40、48-51、59-70、79-84、89-101、110-113、121-131及び 139-183;
-ヒトTLCにおける構造的に保存されたβ-鎖に隣接する領域を定義する、ヒトTLCにおけるアミノ酸残基1-13、24-36、44-47、55-61、70-75、80-83、92-95、103-110及び118-158(Schiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985におけるアミノ酸残基番号付けに従って);
-ヒトApoM(ApoM;Schiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985により定義されるようなアミノ酸残基番号付けに従って)におけるアミノ酸残基1-43、54-68、76-80、88-95、104-109、114-118、127-130、138-141及び149-188、これはヒトApoMにおける構造的に保存されたβ-鎖に隣接する領域を定義する;
-ヒトCRABPII(PDBエントリー2FS6でのアミノ酸残基番号付けスキームに従う)におけるアミノ酸残基1-4、13-40、46-49、55-60、66-70、74-80、88-92、97-107、113-118、125-128及び136-137、これはヒトCRABPIIにおける構造的に保存されたβ-鎖に隣接する領域を定義する;
-ヒトFABP1(PDBエントリー2F73でのアミノ酸残基番号付けスキームに従う)におけるアミノ酸残基1-4、13-38、44-47、53-58、64-68、72-78、86-90、95-98、104-108、115-118及び126-127、これはヒトFABP1における構造的に保存されたβ-鎖に隣接する領域を定義する。
【0196】
別の好ましい実施形態によれば、リポカリンフォールド分子は、少なくとも少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、 25、26、27、28、29、又は 30のアミノ酸交換を伴う、リポカリンスーパーファミリーの天然に存在するメンバーの誘導体である。
【0197】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明に従ってヘテロ二量体化ドメインとして使用されるリポカリンフォールド分子は、リポカリン、すなわち+1トポロジーに配置される8本鎖の上下のβ-バレルを含み、8番目のβ-鎖のC末端の後にα-鎖が続くタンパク質である。
【0198】
本発明に従って調節分子として使用され得るリポカリンフォールドリガンドは、「小分子」、例えばポリペプチド及びタンパク質、例えばリポカリンフォールド分子に比較して「小さい」。従って、リポカリンフォールドリガンドは、1500Da以下、好ましくは1000Da以下、特に750Da以下の分子量を有する。リポカリンフォールドリガンドの好ましいMw範囲は、50~1500Da、好ましくは75~1500Da、特に150~750Daである。好ましくは、リポカリンフォールドリガンドは、リポカリンフォールド構造のバレル及びループ領域により形成されるリポカリンフォールド分子の尾部に結合することができる。
【0199】
リポカリンフォールドリガンドは、リポカリンフォールド分子に対して、1mM未満、好ましくは100μM未満、特に10μM末端の親和性を有することが好ましい。リポカリンフォールドリガンドと、リポカリンフォールド分子との間のこの親和性は、Kd(解離定数)値として定義され、そして好ましくは、自動MicroCal PEAQ-ITC 機器 (Malvern Instruments)を用いて等温滴定熱量測定(ITC)により決定される。
【0200】
リポカリンフォールドリガンドが選択され得る例は、以下の通りである:
Nr データベース HMDB
1 ナフシリン
2 ガーベリノール
3 モンテルカスト
4 フルラゼパム
5 バルビツール酸キニジン
6グリセオリンI
7 グリセオリンII
8 (-)-シンプテロカルピン
9 カンゾノール W
10 6α-ヒドロキシファセオリン
11 (1a,5b,6a)-7-プロトイルデン-1,5,6,14-テトロール 14-(2,4-ジヒドロキシ-6-メチル安息香酸)
12 4'-O-メチルカンゾノール W
13 シクロキエヴィトーン
14リコフラノン
15 アルミラチン
16 2-(4-メチル-3-ペンテニル)アントラキノン
17 ソラフェニブ ベータ-D-グルクロニド
18 ヘテロフィリン
19 2'-O-メチルファセオリンイソフラバン
20 チアプリド
21 グルテン エキソルフィン C
22マルベロフランM
23ダルキサントンG
24 スクラレオール
25 コルプドックス
26 カンゾノールF
27 マンゴスチノン
28 ガンカオニンX
29ルブラフラボンD
30 シクロキエビトン水和物
31 グリセオリジンII
32 シクランデレート
33 ダルキサントン E
34モルシン
35 (E)-2',4,4'-トリヒドロキシ-3-プレニルカルコン
36 ダルキサントンH
37 ジュデオール
38 アルトニンE
39 カンゾノールT
40 フラグランソルA
41 ダルキサントンF
42 マルベロフランT
43 ガルシマンゴゾンA
44 アルトニンB
45 アステルトキシン データベース
データベースKEGG
46 オキシフェドリン
47 プロフルトリン
48 モンフロロトリン
49 キシロイルスルファミン
50 セトチアミン塩酸塩水和物
51 ダイセチアミン塩酸塩水和物
52 ダイセタミン
53 オキソラミン
54 オクサラミン
55 クリナトールメシル酸塩
56 イオフルベンズアミドI
57 セリチニブ
58 ジカディア
59 イミプロトリン
60 トリクラベンダゾール
61 ファシネックス
62 ブリバニブアラニネート
63 トランスフルトリン
64 エノリカムナトリウム
65 エノリカムナトリウム一水和物
66 ジブカイン
67 シンチョカイン
68 ヌペルカイン
69トラメチニブ
データベースWDI
70 フルクロキサシリン
71 S-ファルネシルチオサリチル酸
72 2-フルオロトロパプリド
73 ブタンピシリン
74 ジクロキサシリン硫酸塩
75 フロキサシリン
76 イブシリン
77 プラゾシリン
78 サレタミド
79 テトラクロルサリシラニリド
80 カルベニシリン
81 ジクロメチド
82 メチルスルフォメットロン
83 トリクロロサリシラニライド
84 クロメトシリン
85 シストダイチン-F
86 デタノサル
87 ディアバローネ
88 ディクロフォプ
89 エピフェネチシリン
90 FTALIL-MEDEYOL
91 サルタミド塩酸塩
92 チアプリド塩酸塩
93 トランキュリン-A
94 デオキシフェンタレニルグルクロン
95 ラフルニマス
96 メラゾラム
97 ディブサドル
98 フェネチシリンカリウム
99 プラノサル
100 ダレフォルミス
101 ディフェニシリン
102 フェノテロール塩酸塩
103 ギガンティック酸
104 ハロリトラリン-B
105 イソプロピシリン
106 プログアニル塩酸塩
107 ピラノクントーン-B
108 ツベロシン
109 ゾフィエラミド-B
110クロキサシリンナトリウム
111 レチミド塩酸塩
112 バイジェネ-B
113 ビドウィロン-B
114 カルベニシリン二ナトリウム
115 ヒドロキシプロカイン
116 オクラトキシン-A
117 セロックス
118 マカラガフラバノン-B
119 メノキシマイシン-B
120 ペニシリン-S
121 ソラリジン
122 ルビギノン-C1
123 セコシュードオプテロシン-E
124 アサジスルフィド
125 バランカド酸-A
126 ベフェドン
127 メルドナール-B
128 ネラミノール
129 フォモプソライド-A
130 強酸
131 ゾフィエラミド-A
132 シストダイチン-B
133 ジクロキサシリン
134 フロロプロプラノロール
135 イリオシコリン-B
136 インディカニン-B
137 ジャカレビン
138 コッタミデC
139 メキソラミン
140 マイカペロキシド-H
141 オトギリン
142オキソラミン塩酸塩
143 オキソプロパリン-A
144プルバラノール-A
145 ルビギノン-C2
146 テラクリルシコニン
147 クロディナフォプ -プロパルギル-エステル
148 マザティコール
149 セホクディム
150 スルファグアノール
151 バラペリドン
152フルクロキサシリンナトリウム
153 ジオディアモライドタ
154 ルカントーンスルホキシド
155 メレオライド-D
156 ナドキソロール塩酸塩
157 ベクロブリック酸グルクロニド
158 クロキサシリン
159 ハイパーギノン-B
160 オリゴスポロール-A
161 塩酸プロポキシカイン
162 ロニフィブラート
163 スーダンブルーGN
164 トリコダーマミド-B
165ボトリラミド-A
166 カルフェシリン
167 クレソディム
168 デュタドルピン
169 エピコクリオキノン-B-14
170 フルラゼパム
171 ハイドロキシフルクロキサシリン
172 リナカンチン-C
173 テフルベンズロン
174 ゼニサラート
175 アンチマイシン-A8A
176 ARTOINDONESIANIN-U
177 ブロンコケイン
178 エノリカム
179 イパジライド
180 モーダント-ブラウン-1
181 プロプラノロールフェノバルビタール
182 プギニンA
183 アンフィビン-H
184 アルミラリック酸
185 カリンダシリン
186 クロロバイオケート
187 クロロプログアニル
188 シリンドロール-B
189 エクリプタルバイン
190 ガルシガーリン-A
191O-デメチルクロロスリシン
192サンゲノン-C
193 テトラペロール-G
194 クロルサルフロン
195 デキサメタゾン・ジエチルアミノアセテート
196 ダイエット
197 ピリドベリシン
198 スベンダゾール
199 チオカイン
200 トラペジフォリキサントン
201 トリクラザン
202 3',4'-ジクロロベンザミル
203 カエトビリジン-C
204 サイクロレガチン
205 フルラゼパム一塩酸塩
206 フシジラクトン-B
207 グリセオケリンメチルエステル
208 イソブチルシコニン
209 ミシニケート
210 アジュダゾール-B
211 シストダイチン-E
212 デメチルプラエカンソン-A
213 デストラキシン-A
214 ジフェニドールエンボナート
215 ディスコキオライド-B
216 イルマノライド-2
217 ラクトキノマイシン
218 ネオボルニーバル
219 サロトラーレン-D
220 アビシノン-V
221 アクチロメ
222 クロルフルアズロン
223 チョンドリジエン-18,20
224 EUGLOBAL-G2
225 イダルビシン塩酸塩
226ムチシクマラノン-A
227 3-O-メチルカロポカルピン
228 アロクラミド塩酸塩
229 アノプテリン
230 脱酸素
231 EUGLOBAL-IIC
232 イリシコリン-C
233 ミシノライドII
234 スイリン
235 トコトリエノール・ガンマ
236 インドシナノンベータ
237 イソチオバミン
238 メベベリン
239 ムチシクマラノン-D
240 ニムフェオール-C
241 プルソカイン
242 ZIMET-20-84
243 2,4-D-ブトキシプロピル
244 アビシノンIV
245 バイジェネ-A
246 クリソクラム酸
247 エポロン-B
248 エトキシケイン
249 フロレナミン
250グアイアコール-メフェナメート
251 マキシマ-イソフラボン-C
252 サルコディクチン-B
253 トリクラベンダゾール
254 アキオフラン
255 アステリキノン
256 ジエチルグリ コレートトリヒドラジド
257 マロトフィリッペンス-D
258 ナフトキサート
259 PACHYDICTYOL-A-エポキシド
260 ラトジャドン
261 サルベリン塩酸塩
262 4-メナハイドロキノン
263 ボトリルアミド-C
264 エルサミシン
265 フェンフルスリン
266 ムチシフェノン-A
267 サンゲノン-A
268 シュヴェインファーチン-A
269 バニリジロール
270 4-O-メチルメレオリド
271アセチルビスミオン-F
272 アルフェンタニル塩酸塩
273 アスペルテトロニン-A
274 ベータヒドロキシイソバレリルシコニン
275 カルビソカイン
276 クロロプログアニル塩酸塩
277 クリプトフィシン-52
278 ジデメチルトコトリエノール
279 フルソル-DA
280 ピリドキシフェン
281 ティアゼシム塩酸塩
282 ブトクタマイド
283 デオキシシコニン
284 カンビエル酸-A
285 リコフラノン
286 プレドニリデン・ジエチルアミノ酢酸
287 シュードオプテロシン-G
288 トリケンディオール
289 ゾアパタノール
290 エルゴキン-C
291 ペンタモキサン塩酸塩
292 スキャンデニン
293アクチノピロン-C
294 アミトン
295 クラトキヤボレノン-C
296 サイモポール
297 ドキシサイクリン水和物
298 フラビジュロール-C
299フラン-12
300 ミリアポロン-3
301 オリノシノライド
302 トナベルサット
303 ビスミオーネ-B
304 アミケリン
305 ブタモキサン塩酸塩
306 クロロバイオシン
307サイクロコムユニット
308 フェナザフロール
309 ビスミオーネD
310 3-トリクロルメタフォス
311 アミノプロピロンフェニルブタゾン
312 ジオクレノール
313 グリフォリン
314 ハイパージョビノール-A
315 タモラリジン
316 トメントール
317 トランスデルタトコトリエノロイ酸
318 ジアセトロール塩酸塩
319デュトマイシン
320 リグロバストシド-O
321 ライスパロール-B
322 エレクキオーネ-A
323 サロトラーレン-A
324 シタマカイン 3
325 トリコポリンII
326 3-ヒドロキシトルファゼパム
327 ジメタプラマイド
328フェノテロール塩酸塩
329 フェンカプトン
330 クラトキヤボレノン-B
331 エトモキサン塩酸塩
332 イソセントラテリン
333 カリマンタシン-A
334 ヒスパグラブリジン-A
335 ランカシクリノール
336 マクロキサントン
337 ピシリン塩酸塩
338 プルフラビン-A
339 シグモイディンI
340 フェナラマイド
341 ハイドロキシアクラシノマイシン-M,2
342 ソフォラディン
343 アスコクロリン
344 ベータヒドロキシサンシュール
345 ビストロマイド-K
346 クロルテトラサイクリンボレート
347デヒドロアスコクロリン-8+,9+
348 ジメチリウムクロリド
349 マカランギン
350マルセロマイシン
351 ベンゾイルゴミシン-H
352 クリンダマイシン塩酸塩
353 ハイドロキシアスコクロリン-8+
354 ネオカルジリン-A
355 カエトビリジン-B
356 クロルテトラサイクリンビスルファート
357ナピラジオマイシン-C1
358 サロアスピジン-B
359 サラシーヌ
360エレクトーンB
361 ホモジニア酸
62 アステリキノン-B1
363 デタミッド
364 ルブラキサントン
365 ドラスタチン-19
366 エデトール
367 ファセオリジン
368 ゲドカルニル
369 マンミシン-B 3
70 サンタロール-ベータ-サリチル酸
371 コワニン
372 インディブリン
373 コワノール
374 カラタビシン
375ピクロキシダイン
376 プロキサゾール
377 ストロビルリン-E
378 エレクキオン-B
379 スリカイニド
380 ジエチラミノメチルルチン
381 トロペシン
382 ピクロキシジン塩酸塩
383 HEX-1
384 デクロバニルロビオシン
データベース MDDR
385ルビジノーネC2
386 フロバフェン
387 テトロノチオジン
388 ラフルニマス
389 マイカペロキシドA
390 フルラゼパム塩酸塩
391 ルビギノン C1
392 クリナトールメシル酸塩
393 ドラスタチンD
394 エポラクタイン
395 レキシパファント
データベース CHEMBL
396 カルベニシリン
397 ディクロフォプ
398 エピフェニチシリン
399 フロバフェン
400ギガンティックアシッド
401 フェネチシリンカリウム
402 ディフェニシリン
データベース Pubchem
403 アコチアミド
404 アコジボロール
405 アクマピモド
406 アパルタミド
407ASP3026
408AZD1480
409 BIIB021
410ブランプラム
411 ブレキナール
412 クロロプログアニル
413 エムリカサン
414エナシデニブ
415 エノリカム
416 フルラゼパム
417 ILX295501
418 インディブリン
419 メトクロプラミド
420 メバスタチン
421 MK0686
422 ナバリキシン
423 ネファゾドン
424 パントプラゾール
425 パビネタント
426 SCYX-7158
427 シッカニン
428 スルホグアノール
429 スニチニブ
430 スボレキサント
431 チアプリド
432 トナバーサット
433 ウリモレリン
434 シパミド
435 MGGBYMDAPCCKCT-UHFFFAOYSA-N
436 VNBRGSXVFBYQNN-UHFFFAOYSA-N
437 YUHNXUAATAMVKD-PZJWPPBQSA-N
【0201】
9.2.3.条件付へテロ二量体化のためのさらなるシステム:
本発明によれば、例えば、CARの群の2つのCAR分子のヘテロ二量体化のための1対の二量体化ドメインは、また、以下から選択され得る:
a) FKBP及びFKBP-ラパマイシン関連タンパク質(FRB、変異体T82L)
b) GAI 及び GID1
c) FKBP 及びカルシニューリン触媒サブユニット A (CnA)
d) FKBP及びシクロフィリン
e) PYL 及びABI。
【0202】
それらのヘテロ二量体化ドメインの配列、及びそれらのヘテロ二量体化ドメインの二量体化に適した調節分子は、当業者において良く知られており(Rutkowska et al., Angew Chem Int Ed Engl. 2012;51(33):8166)、そして例えば、国際公開第WO2014127261号に開示されている。
【0203】
GAI、GID1、FKBP、CnA、シクロフィリン、PYL、及びABIから選択されたヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーは、約50のアミノ酸~役300又はそれ以上のアミノ酸の長さを有することができ;例えばヘテロ二量体化ドメインのペアのメンバーは、約 50のaa~ 約100のaa、約100のaa~ 約150のaa、約150のaa~ 約200のaa、約200のaa~ 約250のaa、約250のaa~ 約300のaa、又は300以上 のaaの長さを有することができる。
【0204】
例えば、好ましいヘテロ二量体化ドメインは、FKBPに由来することができ、そしてアミノ酸配列Uniprot P62942-1に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0205】
別の例として、ヘテロ二量体化ドメインは、カルシニューリン触媒サブユニットA(PPP3CA; CALN; カルナ; カルナ1; CCN1; CNA1; PPP2B; CAM-PRP 触媒サブユニット;カルシニューリンAα; カルモジュリン依存性カルシニューリン A サブユニット α アイソ フォーム;プロテインホスファターゼ 2B、触媒サブユニット、αアイソフォーム、 等としても知られている)に由来することができ、そしてアミノ酸配列Uniprot Q08209-1 アミノ酸(aa) 56-347 (PP2Ac ドメイン)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0206】
別の例として、ヘテロ二量体化ドメインは、シクロフィリン(シクロフィリンA、PPIA、CYPA、CYPH、PPIase A、 等としても知られている)に由来することができ、そしてアミノ酸配列Uniprot P62937-1に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0207】
別の例として、ヘテロ二量体化ドメインは、MTOR(FKBP-ラパマイシン関連タンパク質;FK506 結合タンパク質 12-ラパマイシン関連タンパク質 1; FK506 結合タンパク質 12-ラパマイシン関連タンパク質 2; FK506 結合タンパク質 12-ラパマイシン複合体関連タンパク質 1; フラップ; FRAP1; FRAP2; RAFT1;及びRAPT1としても知られている)に由来することができ、そしてアミノ酸配列Uniprot P42345-1 aa 2021-2113 (「Frb」としても知られる: Fkbp-Rapamycin Binding Domain)に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0208】
別の例として、ヘテロ二量体化ドメインは、PYLタンパク質(アブシジン酸受容体及びRCARとしても知られている)に由来することができ、そして以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる:PYL10 (Uniprot Q8H1R0-1);PYL11(Uniprot Q9FJ50);PYL12(Uniprot Q9FJ49-1);PYL13(Uniprot Q9SN51-1); PYL1(Uniprot Q8VZS8-1);PYL2 (Uniprot O80992-1);PYL3(Uniprot Q9SSM7-1);PYL4(Uniprot O80920-1);PYL5(Uniprot Q9FLB1-1);PYL6(Uniprot Q8S8E3-1);PYL7(Uniprot Q1ECF1-1);PYL8(Uniprot Q9FGM1-1); PYL9(Uniprot Q84MC7-1);PYR1(Uniprot O49686-1)。
【0209】
別の例として、ヘテロ二量体化ドメインは、ABIタンパク質(アブシジン酸非感受性としても知られている)に由来することができ、そしてタンパク質、例えばシロイヌナマズ(Arabidopsis thaliana)のそれら:ABI1(アブシシン酸非感受性 1、プロテインホスファターゼ 2C 56、AtPP2C56、P2C56、及び PP2C ABI1としても知られている)及び/又はABI2(P2C77、プロテインホスファターゼ 2C 77、AtPP2C77、アブシジン酸非感受性 2、プロテインホスファターゼ 2C ABI2、PP2C ABI2としても知られている)に由来することができる。例えば適切なヘテロ二量体化ドメインは、次のアミノ酸配列:ABI1 (Uniprot P49597-1); ABI2 (Uniprot O04719-1)のいずれかの約100のアミノ酸 ~ 約110のアミノ酸 (aa)、約110のaa ~ 約115のaa、約115のaa ~ 約120のaa、約120のaa ~ 約130のaa、約130のaa ~ 約140のaa、約140のaa ~ 約150のaa、約150のaa ~約160 のaa、約160のaa ~ 約170のaa、約170のaa ~ 約180のaa、約180 のaa ~ 約190のaa又は 約190 のaa ~ 約200 のaaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0210】
別の例として、ヘテロ二量体化ドメインは、GAI シロイヌナズナタンパク質(ジベレリン酸非感受性、及び DELLA タンパク質 GAIとしても知られている)に由来することができ、そしてアミノ酸配列:Uniprot Q9LQT8-1の約100のアミノ酸 ~ 約110のアミノ酸 (aa)、約110のaa ~ 約115のaa、約115のaa ~ 約120のaa、約120のaa ~ 約130のaa、約130のaa ~ 約140のaa、約140のaa ~ 約150のaa、約150のaa ~約160 のaa、約160のaa ~ 約170のaa、約170のaa ~ 約180のaa、約180 のaa ~ 約190のaa又は 約190 のaa ~ 約200 のaaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0211】
別の例として、ヘテロ二量体化ドメインは、GID1 シロイヌナズナタンパク質(ジベレリン受容体 GID1としても知られている)に由来することができ、そしてアミノ酸配列:GID1A (Uniprot Q9MAA7-1); GID1B (Uniprot Q9LYC1-1); GID1C (Uniprot Q940G6-1のいずれかの約100のアミノ酸 ~ 約110のアミノ酸 (aa)、約110のaa ~ 約115のaa、約115のaa ~ 約120のaa、約120のaa ~ 約130のaa、約130のaa ~ 約140のaa、約140のaa ~ 約150のaa、約150のaa ~約160 のaa、約160のaa ~ 約170のaa、約170のaa ~ 約180のaa、約180 のaa ~ 約190のaa又は 約190 のaa ~ 約200 のaaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0212】
9.2.3に記載されるヘテロ二量体化ドメインのヘテロ二量体化が、異なる調節分子により達成され得る(ヘテロ二量体化ドメインのペアに続く括弧内に示される):
b)FKBP 及び CnA (ラパマイシン);
c) FKBP 及びシクロフィリン (ラパマイシン);
d)FKBP 及び FRG (ラパマイシン);
h)PYL及びABI(アブシジン酸);
j) GAI 及び GID1 (ジベレリン又はジベレリン類似体 GA-3M)。
【0213】
上記のように、ラパマイシン(PubChem CID 5284616)は、調節分子として作用することができる。他方では、ラパマイシン誘導体又は類似体も使用され得る。例えば、国際公開第W096/41865号; 国際公開第WO99/36553号; 国際公開第WO01/14387号;及び Ye et al (1999) Science 283:88-91を参照のこと。例えば、類似体、相同体、誘導体、及びラパマイシンに構造的に関連する他の化合物「ラパログ」は、中でも、ラパマイシンに対して以下の修飾の1つを有するラパマイシンの変異体を含む:C7、C42及び/又はC29におけるメトキシの脱メチル化、除去又は置換;C13、C43及び/又はC28におけるヒドロキシの除去、誘導体化又は置換;C14、C24 及び/又は C30 でのケトンの還元、除去又は誘導体化。;6 員ピペコリン酸環の 5 員プロリル環による置換;及びシクロヘキシル環上の代替置換又はシクロヘキシル環の置換シクロペンチル環による置換。さらなる情報は、例え米国特許第5,525,610号; 第5,310,903号、 第5,362,718号; 及び第5,527,907号に提供される。C-28ヒドロキシル基の選択的エピマー化が記載されている;国際公開第WO01/14387号を参照のこと。ラパマイシンの代替としての使用に適する追加の合成調節分子は、米国際特許公開第2012/0130076号に記載されるそれら、例えば28-エピラパマイシン(PubChem CID 131668123)を含む。
【0214】
次の式の化合物もラパログとして適切である:
【化1】
(例えば、米国特許第US7067526B1号に開示される)、ここでnは1又は2であり;R
28及びR
43は独立して、H、又は置換された又は置換されていない脂肪族又はアシル部分であり;R
7a及びR
7bの1つは、Hであり、そして他はハロ、R
A、 OR
A、 SR
A、-OC(O)R
A、-OC(O)NR
AR
B、-NR
AR
B、-NR
BC(OR)R
A、NR
BC(O)OR
A、-NR
BSO
2R
A又は NR
BSO
2NR
AR
B‘であり;又はR
7a及びR
7bは、一緒では、テトラエン部分のHである:
【化2】
ここでR
AはH又は置換された又は非置換の脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、又はヘテロアリール部分であり、そしてR
B及びR
B’は独立して、H、OH、又は置換された又は非置換の脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール又はヘテロアリール部分である。
【0215】
9.3.分泌された可溶性因子による細胞外二量体化:
本発明によるCARの群の少なくとも2つのCAR分子の非共有複合体化はまた、分泌された可溶性因子、例えば腫瘍間質に蓄積するタンパク質により誘発され、それにより、多くの場合、それらのタンパク質自体がホモ-又はヘテロ二量体化することができる。この場合、それらの可溶性因子は、本発明の調節分子として作用する。次に、二量体化ドメインは、例えば生来の受容体のドメイン(又はそれに由来する短いペプチド;例えば、Young et al., J Biol Chem. 2004;279(46):47633-42)(これに、可溶性因子が結合できる)、又は分泌された可溶性因子に結合するよう操作された任意の抗原結合ポリペプチド(上記チャプター1「抗原結合部分」にすでに記載される)(例えば、TGF-β1結合ペプチド(Dotor et al., Cytokine. 2007;39(2):106-15)、又はVEGF結合CH2-CH3-Fcドメイン(Lobner et al., MAbs. 2017;9(7):1088-1104)、実施例7において二量体ドメインとして使用されるような)であり得る。
【0216】
10.標的抗原:
本発明の好ましい実施形態によれば、CARの群、及び前記群のCAR分子に結合できる他のポリペプチドの各抗原結合部分は、細胞上に存在する標的抗原、好ましくは、細胞、固体表面、又は脂質二重層に存在する標的抗原に結合する。
【0217】
本発明によれば、CARの群の抗原結合部分により、又は他方では、前記群のCAR分子に結合できる他のポリペプチドの抗原結合部分により、特異的に認識される特定の標的抗原は、天然に存在する細胞表面抗原又はポリペプチド、天然に存在する細胞表面抗原に結合される炭水化物又は脂質であり得る。
【0218】
結合効果を最大限に生かすためには、CARの群の抗原結合部分、又は他方では、前記群のCAR分子に結合できる他のポリペプチドの抗原結合部分は、同じ標的抗原上の異なる重複しないエピトープ、又は共有又は非共有複合体を自然に形成する標的抗原に、好ましくは向けられる。そのような共局在されるエピトープ又は抗原を標的とする利点は、実施例6に示されている。
【0219】
CARの群の抗原結合部分、及び前記群のCAR分子に結合できる別のポリペプチドの抗原結合部分が特異的に結合できる抗原の例は、以下を含む:例えば、CD19、 CD20、 CD22、 CD23、 CD28、 CD30、 CD33、 CD35、 CD38、 CD40、 CD42c、 CD43、 CD44、 CD44v6、 CD47、 CD49D、 CD52、 CD53、 CD56、 CD70、 CD72、 CD73、 CD74、 CD79A、 CD79B、 CD80、 CD82、 CD85A、 CD85B、 CD85D、 CD85H、 CD85K、 CD96、 CD107a、 CD112、 CD115、 CD117、 CD120b、 CD123、 CD146、 CD148、 CD155、 CD185、 CD200、 CD204、 CD221、 CD271、 CD276、 CD279、 CD280、 CD281、 CD301、 CD312、 CD353、 CD362、 BCMA、 CD16V、 CLL-1、 Ig kappa、 TRBC1、 TRBC2、 CKLF、 CLEC2D、 EMC10、 EphA2、 FR-a、 FLT3LG、 FLT3、 Lewis-Y、 HLA-G、 ICAM5、 IGHA1/IgA1、 IL-1RAP、 IL-17RE、 IL-27RA、 MILR1、 MR1、 PSCA、 PTCRA、 PODXL2、 PTPRCAP、 ULBP2、 AJAP1、 ASGR1、CADM1、 CADM4、 CDH15、 CDH23、 CDHR5、 CELSR3、 CSPG4、 FAT4、 GJA3、 GJB2、 GPC2、 GPC3、 IGSF9、 LRFN4、 LRRN6A/LINGO1、 LRRC15、 LRRC8E、 LRIG1、 LGR4、 LYPD1、 MARVELD2、 MEGF10、 MPZLI1、 MTDH、 PANX3、 PCDHB6、 PCDHB10、 PCDHB12、 PCDHB13、 PCDHB18、 PCDHGA3、 PEP、 SGCB、 ベザチン、 DAGLB、 SYT11、 WFDC10A、 ACVR2A、 ACVR2B、 未分化リンパ腫キナーゼ、 カドヘリン24、 DLK1、 GFRA2、 GFRA3、 EPHB2、 EPHB3、 EPHB4、 EFNB1、 EPOR、 FGFR2、 FGFR4、 GALR2、 GLG1、 GLP1R、 HBEGF、 IGF2R、 UNC5C、 VASN、 DLL3、 FZD10、 KREMEN2、 TMEM169、 TMEM198、 NRG1、 TMEFF1、 ADRA2C、 CHRNA1、 CHRNB4、 CHRNA3、 CHRNG、 DRD4、 GABRB3、 GRIN3A、 GRIN2C、 GRIK4、 HTR7、 APT8B2、 NKAIN1、 NKAIN4、 CACNA1A、 CACNA1B、 CACNA1I、 CACNG8、 CACNG4、 CLCN7、 KCNA4、 KCNG2、 KCNN3、 KCNQ2、 KCNU1、 PKD1L2、 PKD2L1、 SLC5A8、 SLC6A2、 SLC6A6、 SLC6A11、 SLC6A15、 SLC7A1、 SLC7A5P1、 SLC7A6、 SLC9A1、 SLC10A3、 SLC10A4、 SLC13A5、 SLC16A8、 SLC18A1、 SLC18A3、 SLC19A1、 SLC26A10、 SLC29A4、 SLC30A1、 SLC30A5、 SLC35E2、 SLC38A6、 SLC38A9、 SLC39A7、 SLC39A8、 SLC43A3、 TRPM4、 TRPV4、 TMEM16J、 TMEM142B、 ADORA2B、 BAI1、 EDG6、 GPR1、 GPR26、 GPR34、 GPR44、 GPR56、 GPR68、 GPR173、 GPR175、 LGR4、 MMD、 NTSR2、 OPN3、 OR2L2、 OSTM1、 P2RX3、 P2RY8、 P2RY11、 P2RY13、 PTGE3、 SSTR5、 TBXA2R、 ADAM22、 ADAMTS7、 CST11、 MMP14、 LPPR1、 LPPR3、 LPPR5、 SEMA4A、 SEMA6B、 ALS2CR4、 LEPROTL1、 MS4A4A、 ROM1、 TM4SF5、 VANGL1、 VANGL2、 C18orf1、 GSGL1、 ITM2A、 KIAA1715、 LDLRAD3、 OZD3、 STEAP1、 MCAM、 CHRNA1、 CHRNA3、 CHRNA5、 CHRNA7、 CHRNB4、 KIAA1524、 NRM.3、 RPRM、 GRM8、 KCNH4、 メラノコルチン1受容体、PTPRH、SDK1、SCN9A、SORCS1、CLSTN2、エンドセリン変換酵素様-1、リゾリン酸受容体2、LTB4R、TLR2、神経向性チロシンキナーゼ1、MUC16、B7-H4、上皮成長因子受容体 (EGFR)、ERBB2、HER3、EGFR バリアント III (EGFRvIII)、HGFR、FOLR1、MSLN、CA-125、MUC-1、前立腺特異的膜抗原 (PSMA)、メソセリン、上皮細胞接着分子(EpCAM)、L1-CAM、CEACAM1、CEACAM5、CEACAM6、VEGFR1、VEGFR2、高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、MAGE-A 1、IL-13R-α2、ジシアロガングリオシド (GD2 及び GD3)、腫瘍関連炭水化物抗原 (CA-125、CA-242、Tn 及びシアリル-Tn)、4-1BB、5T4、BAFF、炭酸脱水酵素 9 (CA-IX)、-MET、CCR1、CCR4、FAP、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、GPNMB、IGF-1受容体、インテグリンα5β1、インテグリンαvβ3、ITB5、ITGAX、エンビギン、PDGF-Rα、ROR1、シンデカン1、TAG-72 、テネイシンC、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍特異的ペプチド エピトープを提示する主要組織適合遺伝子複合体 (MHC) 分子である NKG2D-リガンド、好ましくPR1 / HLA-A2、系統特異的又は組織特異的な組織抗原、好ましくはCD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD24、CD25、CD34、CD80、CD86、CD133、CD138、CD152、CD319、エンドグリン、MHC分子、など。
【0220】
11.核酸、細胞の調製、治療用途:
発明の別の側面によれば、本発明による群のCARのCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸に関する。本発明による核酸は、いくつかの実施形態において、例えば発現ベクターを含むDNA又はRNAである。本発明の核酸は、また、他の形で、例えばウィルスベクターの形でも提供され得る。核酸は、細胞内で活性又は条件付きで活性であり、いくつかの実施形態によれば、RNA、例えば、インビトロで合成されたRNAとして存在または存在し得る。RNA又はDNAの宿主細胞への導入は、インビトロ又はエクスビボ又はインビボで行うことができる。例えば、宿主細胞(例えば、NK細胞、細胞傷害性Tリンパ球など)は、CARの群のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含むRNAを用いて、インビトロ又はエクスビボでエレクトロポレーションすることができる。
【0221】
場合によっては、本開示の核酸は、2つ、又は3つ又は4つのCAR分子のいずれかから成る、本発明によるCAR群のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む。場合によっては、本開示の核酸は、2、3、又は4つのCAR分子のいずれかから成るCARの群の1つの分子をそれぞれコードする1、2、3、又は4つの別個のヌクレオチド配列を含む。
【0222】
CARの群のCAR分子が異なる核酸分子によってコードされる場合、本発明は、CARの群の1、2、3、又は4つの分子をコードする少なくとも2つの核酸のキットを提供し、ここでも、核酸は、DNA、RNA、又はインビトロ転写されたRNAから選択されることが好ましい。
【0223】
本発明はまた、本発明による核酸(すなわち、CARの群のCAR分子をコードする)を含むベクター及び/又は核酸のキット(CARの群のCAR分子をコードする)を提供する。
【0224】
そのようなベクターは、選択可能なマーカー、複製起点、及びベクターの複製及び/又は維持を提供する他の特徴を含むことができる。適切なベクターは、例えば、プラスミド、ウィルスベクターなどを含む。多数の適切なベクター及びプロモーターが当業者に知られており;本発明による組換え構築物を生成するために、多くが市販されている。以下のベクトルは、例として提供されている。細菌: pBs、phagescript、PsiX l74、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a (Stratagene、La Jolla、CA、USA);pTrc99A、pKK223-3、 pKK233-3、 pDR540、 及び pRIT5 (Pharmacia, Uppsala, Sweden)。真核生物: pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG (Stratagene) pSVK3、pBPV、pMSG及びpSVL (Pharmacia)。ベクターは、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供するために、プロモーター配列の近くに位置する便利な制限部位を有することができる。発現宿主において機能する選択マーカーが存在し得る。適切なベクターは、以下を含む:ウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルス、ポリウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、SV40、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、レトロウイルスベクターに基づくウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、レトロウイルス由来のベクター、例えばラウス肉腫ウイルス、ハーベイサルコーマウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、乳癌ウイルス)及び同様のもの)。形質導入された細胞のゲノムに効率的に組み込まれる能力のために、好ましいベクターは、レトロウイルスベクター、特にガンマレトロウイルスベクター及びレンチウイルスベクター、すなわちレトロウイルスゲノムの少なくとも一部に由来するベクターである。好ましいレトロウイルスベクターの例は、自己不活性化レンチウイルスベクターである(Milone et al., Mol Ther. 2009;17(8):1453-1464に提供される)。診療所で使用できるレンチウイルスベクターの他の例、例えば、Oxford BioMedicaのLENTIVECTOR(登録商標)遺伝子送達技術、LentigenのLENTIMAX(登録商標)ベクターシステムなどを含む。非臨床型のレンチウイルスベクターも入手可能であり、当業者に知られている。トランスフェクトされた細胞のゲノムに効率的に組み込むことができる他のタイプの好ましいベクターは、トランスポゾンベクター、好ましくはPiggyBACベースのベクター及びSleeping Beautyベースのベクターである。目的の遺伝子を細胞のゲノムに組み込むためのさらに重要な非ウイルス戦略は、部位特異的ヌクレアーゼ技術(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)又は転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)に基づく)、又はCRISPR/Casテクノロジーに基づいている(例えば、Gaj et al., Trends Biotechnol. 2013;31(7):397-405; 及び Ren et al., Protein Cell 2017;8(9):634-643 によって説明されている)。これらの技術は、任意の DNA 分子 (一本鎖 DNA 又は二本鎖 DNA; ベクター、PCR アンプリコンなどの形で) からの定義されたヌクレオチド配列の組み込みを可能にし、そして興味のある遺伝子は、内因性プロモーターの下流のゲノムに組み込むことができるため、魅力的である(例えば、Eyquem et al., Nature. 2017;543(7643):113-117 による)。
【0225】
本発明はまた、少なくとも2つのベクターのキットを提供し、各ベクターは、本発明によるCARの群の1、2、3又は4つのCAR分子をコードする核酸配列を含む。同じか又は異なる宿主系(例えば、ベクターによる形質転換又は増殖後にベクターがCAR分子を発現する適切な細胞)での発現を達成するために、ベクターに同じか又は異なる調節配列を提供することができる。
【0226】
本発明によるベクター又はベクターのキットにおいては、CARの群のCAR分子をコードする核酸は、転写制御エレメントに作動可能に連結され、発現ベクターを生成することができる。そのような転写制御エレメントは、プロモーター、エンハンサーなどであり得、適切なプロモーター及びエンハンサーエレメントは当技術分野で知られている。細菌細胞における発現のためには、適切なプロモーターは、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、ラムダP及びtrcを含む。真核細胞での発現のためには、適切なプロモーターは、以下を含む:L鎖及び/又はH鎖免疫グロブリン遺伝子プロモーター及びエンハンサー要素、サイトメガロウイルス前初期プロモーター、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーター、初期及び後期の SV40プロモーター、レトロウイルスの長い末端反復体に存在するプロモーター (例えば、ガンマレトロウイルスの 5‘-LTR、又はモロニーマウス白血病ウイルス (MMLV) の 5’-LTR のサブエレメント R 及び U3 を含むプロモーター配列)、マウス幹細胞ウイルス (MSCV) に存在するプロモーター、マウス メタロチオネイン-I プロモーター、イントロンを含むまたは含まない EF1-α、ホスホグリセリン酸キナーゼ (PGK) のプロモーター、及び当技術分野で知られている種々の組織特異的プロモーター。可逆的誘導性プロモーターを含む適切な可逆性プロモーターは、当技術分野で知られている。そのような可逆的プロモーターは、多くの生物、例えば真核生物及び原核生物から単離及び誘導することができる。第2の生物、例えば第1の原核生物及び第2の真核生物、第1の真核生物及び第2の原核生物等で使用するための第1の生物に由来する可逆的プロモーターの修飾は、当技術分野で周知である。そのような可逆的プロモーター、及びそのような可逆的プロモーターに基づくが、但し追加の制御タンパク質も含むシステムは、以下を含む:アルコール調節プロモーター(例えば、アルコールデヒドロゲナーゼI(alcA)遺伝子プロモーター、アルコールトランス活性化タンパク質(AlcR)に応答するプロモーターなど)、テトラサイクリン調節プロモーター (例えば、TetActivators、TetON、TetOFF などを含むプロモーター システム)、ステロイド調節プロモーター(例えば、ラットグルココルチコイド受容体プロモーター系、ヒトエストロゲン受容体プロモーター系、レチノイドプロモーター系、甲状腺プロモーター系、エクジソンプロモーター系、ミフェプリストンプロモーター系など)、金属調節プロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーターシステムなど)、病因関連調節プロモーター(例えば、サリチル酸調節プロモーター、エチレン調節プロモーター、ベンゾチアジアゾール調節プロモーターなど)、温度調節プロモーター (例えば、熱ショック誘導性プロモーター (例えば、HSP-70、HSP-90)、大豆熱ショックプロモーターなど)、光調節プロモーター、合成誘導プロモーターなど。
【0227】
場合によっては、適切なプロモーターを含む遺伝子座又は構築物又は導入遺伝子は、誘導性システムの誘導を介して不可逆的に切り替えられ得る。不可逆的スイッチの誘導に適したシステムは、当技術分野で周知であり、例えば、不可逆的スイッチの誘導は、Cre-loxを介した組換えを利用することができる。当技術分野で知られているリコンビナーゼ、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、組換え部位などの任意の適切な組み合わせを使用して、不可逆的に切り替え可能なプロモーターを生成することができる。部位特異的組換えを行うための方法、メカニズム、及び要件は、本明細書の別の場所に記載されており、不可逆的にスイッチされたプロモーターの生成に使用され、当技術分野で周知である。場合によっては、プロモーターは、CD8細胞特異的プロモーター、CD4細胞特異的プロモーター、好中球特異的プロモーター、又はNK特異的プロモーターである。例えば、CD4遺伝子プロモーターを用いることができる。 別の例として、CD8遺伝子プロモーターを使用することができる。NK 細胞特異的発現は、ネリ (p46) プロモーターの使用によって達成できる。いくつかの実施形態によれば、例えば、 酵母細胞での発現のためには、適切なプロモーターは、以下である:構成的プロモーター、例えばADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーター等;又は調節可能なプロモーター、例えばGAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PH05プロモーター、CUP1プロモーター、GAL7プロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーター、CYC1プロモーター、HIS3プロモーター、ADH1プロモーター、PGKプロモーター、GAPDHプロモーター、AD1プロモーター、TRP1プロモーター、URA3プロモーター、LEU2 プロモーター、ENO プロモーター、TP1 プロモーター、及び AOX1 (例えば、Pichia で使用するための)。適切なベクター及びプロモーターの選択は、十分に当業者のレベル内にある。原核生物宿主細胞での使用に適したプロモーターは、以下を含む:バクテリオファージ T7 RNA ポリメラーゼ プロモーター;trp プロモーター;lacオペロンプロモーター;ハイブリッドプロモーター、例えばlac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター; trc プロモーター;tacプロモーターなど;araBADプロモーター;インビボ で制御されるプロモーター、例えばssaGプロモーターま他は関連プロモーター、pagCプロモーター、nirBプロモーターなど;sigma70 プロモーター、例えばコンセンサス sigma70 プロモーター (例えば、Genbank 受託番号 AX798980、AX798961、及び AX798183 を参照のこと);固定相プロモーター、例えば、 dpsプロモーター、spvプロモーター等;病原性島SPI-2由来のプロモーター;actAプロモーター; rpsMプロモーター; tet プロモーター;SP6プロモーター; など。 大腸菌などの原核生物での使用に適した強力なプロモーターは、Trc、Tac、T5、T7、及び PLambda を含む。細菌宿主細胞で使用するオペレーターの例は、以下を含む:ラクトース プロモーター オペレーター (ラクトースと接触すると、Laci リプレッサー タンパク質が構造を変化させ、それによって Laci リプレッサー タンパク質がオペレーターに結合するのを防ぎます)、トリプトファン プロモーター オペレーター (トリプトファンと複合体を形成すると、TrpR リプレッサー タンパク質は、オペレーターに結合するコンフォメーションを有し;トリプトファンが存在しない場合、TrpR リプレッサー タンパク質はオペレーターに結合しないコンフォメーションを有する)、及び tac プロモーター オペレーター。
【0228】
本発明の好ましい実施形態によれば、ベクター又は少なくとも2つのベクターのキットは、Tリンパ球特異的プロモーター又はNK細胞特異的プロモーター、又は、CARの群のCAR分子をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたEF1-αプロモーターを含む。
【0229】
さらなる側面によれば、本発明はまた、本発明によるCARの群のすべてのCAR分子を産生するように改変された遺伝子改変細胞に関する。本発明の細胞はまた、本発明のベクター(例えば、ウイルス又はプラスミド上清液として)を産生するために使用され得、そこからそれらはさらに精製され、増幅及び精製された形態でこれらのベクターを提供し得る。
【0230】
好ましい実施形態によれば、細胞は、本発明によるCARの群のCAR分子を生成するように遺伝子改変された哺乳動物細胞である。好ましい哺乳動物細胞は、幹細胞、前駆細胞、又は幹細胞又は前駆細胞に由来する細胞、好ましくはリンパ球である。本発明に従って遺伝子改変されるさらに好ましい細胞は、初代細胞及び不死化細胞系である。医薬用途では、ヒト細胞、特にリンパ球が特に好ましい。しかしながら、非ヒト初代細胞及び細胞株は、特に本発明によるシステムを用いて科学的問題に対処するために、適切な細胞型、例えば非ヒト霊長類細胞株、ゲッ歯類(例えば、マウス、ラット)細胞株などである可能性があり得る。
【0231】
本発明によるさらに好ましい細胞は、以下であり得る:HeLa 細胞 (例えば、American Type Culture Collection (ATCC) 番号CCL-2)、CHO 細胞 (例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293 細胞 (例えば、ATCC番号CRL-1573)、Vero 細胞、 NIH 3T3 細胞 (例えば、ATCC番号CRL-1658)、Huh-7 細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1 細胞、マウス L 細胞 (ATCC番号CCL1.3)、ヒト胎児腎 (HEK) 細胞 (ATCC番号CRL1573)、HLHepG2 細胞、Hut-78、Jurkat、HL-60、NK細胞株(例えば、NKL、NK92、YTS)等。いくつかの好ましい例では、本発明による細胞は不死化細胞株ではなく、個体から得られた細胞(例えば初代細胞)である。例えば、場合によっては、細胞は個体から得られた免疫細胞である。例として、細胞は個体から得られたTリンパ球である。 別の例として、細胞は個体から得られた細胞傷害性細胞である。別の例として、細胞は、個体から得られた幹細胞又は前駆細胞である。
【0232】
特に好ましい実施形態によれば、本発明によるCARの群の個々のCAR分子をコードする少なくとも2つのベクターのベクター又はキットで形質転換された本発明による哺乳動物細胞は、T細胞又はNK細胞である。
【0233】
さらなる側面によれば、本発明は、本発明による核酸、本発明による核酸のキット、本発明によるベクター又はベクターのキット、又は 本発明による細胞又は細胞のキットに関する。
【0234】
本開示は、条件付きで活性化可能な細胞を生成する方法を提供する。この方法は、一般に、本開示によるCARの条件付き活性群をコードするヌクレオチド配列を含む、ベクター又はベクターのキット、又はRNA(例えば、インビトロ転写されたRNA)で哺乳動物細胞を遺伝子改変することを含む。好ましい実施形態にれば、遺伝子改変された細胞は、a)CARの群の抗原結合部分が結合する標的抗原又は天然に複合体化された標的抗原、及びb)少なくとも1種類の調節分子の存在下で条件付きで活性化される。任意には、遺伝子改変細胞は、CARの群の抗原結合部分が結合する標的抗原又は天然に複合体を形成した標的抗原の存在下で活性化可能であり、少なくとも1種類の調節分子の追加の存在下では活性化が困難である。遺伝子改変は、インビボ、インビトロ、又はエクスビボで実施することができる。細胞は、免疫細胞 (例えば、T リンパ球又は NK 細胞)、幹細胞、前駆細胞などであり得る。
【0235】
遺伝子改変は、エクスビボで行うことが好ましい。 例えば、Tリンパ球(すなわち、T細胞)、幹細胞、またはNK細胞は、個体から得ることができ、個体から得られた細胞は、本開示によるCARの群を発現するように遺伝子改変される。好ましい実施形態によれば、遺伝子改変細胞は、以下の存在下で条件付きで活性化可能である:a)CARの群の抗原結合部分、あるいはCARの群に結合することができる他のポリペプチドの抗原結合部分が結合する標的抗原または天然に複合化された標的抗原;b) 少なくとも 1 種類の調節分子。場合によっては、遺伝子改変細胞は、例えば、投与前の細胞の増殖過程中に、生体外で活性化される。遺伝子改変細胞が個体 (例えば、細胞が得られた個体) に導入される場合、遺伝子改変細胞は、例えば、少なくとも 1 つの調節分子を個体に投与することにより、インビボで活性化することができ、但し、 抗原結合部分のそれぞれの標的抗原は、個体の細胞表面に生理学的発現レベルで存在する場合である。遺伝子組み換え細胞は、個人の細胞表面に生理学的発現レベルで存在する標的抗原と接触し;そして好ましい実施形態によれば、少なくとも1種類の調節分子を個体に投与すると、遺伝子改変細胞が活性化される。任意で、CARの群の複合体形成が調節分子の存在によって阻害され得る実施形態において、遺伝子改変細胞は、少なくとも1種類の調節分子を個体に投与した後、活性化可能性を低くすることができる。
【0236】
例えば、遺伝子改変細胞が T リンパ球又は NK 細胞である場合、遺伝子改変細胞は、活性化すると、CAR の群 (又は他のポリペプチドの抗原結合部分)は、その表面上で結合することができます。
【0237】
本開示は、CARの対象群を使用する様々な治療方法を提供する。
【0238】
本発明によるCARの非共有複合体群は、Tリンパ球又はNK細胞に存在する場合、標的細胞に対する細胞毒性を媒介することができる。本発明による、非共有結合的に複合化されたCARの群は、場合によっては、少なくとも抗原結合部分を含み、CAR分子に結合することができる他のポリペプチドの存在に依存して、 選択された標的抗原又は標的細胞上に存在する天然に複合化された標的抗原の選択された複合体に結合でき、それにより、好ましい実施形態によれば、CARの群を生成するように遺伝子改変されたTリンパ球又はNK細胞による標的細胞の殺傷を媒介する。
【0239】
標的細胞には癌細胞が含まれる。従って、本開示は、標的癌細胞を殺す、又はその増殖を阻害する方法を提供し、前記方法は、標的癌細胞を、Tリンパ球又はNK細胞が標的を認識するようにCARの対象群を生成するように遺伝子改変された細胞傷害性免疫エフェクター細胞(例えば、細胞傷害性T細胞又はNK細胞)と接触させることを含み、結果的に、Tリンパ球またはNK細胞が、標的癌細胞の表面に存在する標的抗原又は標的抗原複合体を認識し、標的細胞の死滅を仲介する。
【0240】
本開示は、癌を有する個体において癌を治療する方法を提供する。好ましい実施形態によれば、この方法は、i)個体から得られたNK細胞または好ましくはTリンパ球を、本発明によるCARの群のそれぞれのCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つのベクターで遺伝子改変し、ここでCARの群の各抗原結合部分は、個体の癌細胞上の標的抗原に特異的であり、そして前記遺伝子改変は、インビトロ又はエキソビボで行われ;ii) 遺伝子組み換え細胞を個体に導入し;そしてiii) 群のそれぞれの CAR 分子の二量体化を誘導又は低減するために、好ましくは、群のそれぞれの CAR 分子の二量体化を誘導するために、少なくとも 1 つの調節分子の有効量を個体に投与することを含み、それにより、CARの群の非共有複合体形成を誘導または低減し、好ましくはCARの群の非共有複合体形成を誘導し、それにより、CARの群の非共有複合体形成を誘導または低減し、好ましくはCARの群の非共有複合体形成を誘導し、ここで、それぞれの標的抗原又は異なる標的抗原のそれぞれの共有又は非共有複合体を発現する癌細胞との接触に基づいて、CARの非共有複合体群が、遺伝子組み換え細胞の活性化を仲介し、癌細胞を死滅させ、癌の治療を可能にする。
【0241】
本明細書に開示される方法による治療を受けやすい癌腫は、以下を含む:食道癌、肝細胞癌、基底細胞癌(皮膚癌の一種)、扁平上皮癌(様々な組織)、移行上皮癌(膀胱の悪性新生物)を含む膀胱癌、気管支癌、結腸癌、結腸直腸癌、 胃癌、肺の小細胞癌及び非小細胞癌を含む肺癌、副腎皮質癌、甲状腺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、腎細胞癌、非浸潤性乳管癌又は胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、精巣癌、骨形成細胞癌、上皮癌、および鼻咽頭癌。本明細書に開示される方法による治療を受けやすい肉腫は、以下を含む:線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、脊索腫、骨原性肉腫、骨肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜肉腫、中皮肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫、及びその他の肉腫肉腫。本明細書に開示される方法による治療を受けやすい他の固形腫瘍は、以下を含む:神経膠腫、星細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴覚神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫。本明細書に開示される方法による治療を受けやすい白血病は、以下を含む:a)慢性骨髄増殖性症候群(多能性造血幹細胞の腫瘍性疾患); b) 急性骨髄性白血病 (多能性造血幹細胞または限られた系統の可能性の造血細胞の腫瘍性形質転換); c) B細胞CLL、T細胞CLL前リンパ球性白血病、及び有毛細胞白血病を含む慢性リンパ球性白血病(CLL;免疫学的に未熟で機能的に無能な小リンパ球のクローン増殖);及びd) 急性リンパ芽球性白血病 (リンパ芽球の蓄積を特徴とする)。 本方法を使用して治療できるリンパ腫は、B細胞リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫)は、 B 細胞リンパ腫 (例えば、バーキットリンパ腫); ホジキンリンパ腫; 非ホジキンリンパ腫などを含む。本明細書に開示される方法による治療を受けやすい他の癌は、以下を含む:非定型髄膜腫 (脳)、膵島細胞癌 (膵臓)、髄様癌 (甲状腺)、間葉腫 (腸)、肝細胞癌 (肝臓)、肝芽腫 (肝臓)、明細胞癌 (腎臓)、および縦隔神経線維腫。
【0242】
本方法は、炎症状態および自己免疫疾患を治療するために使用することもできる。CARの対象群は、免疫調節法で使用するために、ヘルパーT細胞又は制御性T(Treg)細胞で発現させることができる。免疫調節方法は、例えば、病原体に対する哺乳動物対象における免疫応答を増強し; 免疫無防備状態の対象における免疫応答の増強し;炎症反応の軽減し; 例えば、自己免疫疾患を治療するために、自己抗原に対する哺乳動物対象の免疫応答を減少させ; 臓器又は組織の拒絶反応を減少させるために、移植された器官又は組織に対する哺乳動物対象の免疫応答を減少させることを含む。その方法が自己抗原に対する免疫応答を低減することを含む場合、CARの群を活性化するために使用される標的抗原の少なくとも1つは自己抗原であることが好ましい。その方法が移植臓器又は組織に対する免疫応答を低減することを含む場合、CARの群を活性化するために使用される抗原の少なくとも1つは、移植臓器に特異的な抗原であることが好ましい。
【0243】
上記のように、本開示の治療方法は、それを必要とする個体に、有効量の1つまたは複数の異なる調節分子および任意選択で1つまたは複数の異なる他のポリペプチドを投与することを含み、他のポリペプチドのそれぞれは抗原結合部分を含み、ここで他のポリペプチドのそれぞれは、抗原結合部分を含み、CARの群のCAR分子の細胞外結合部位に結合することができる。
【0244】
発明によるcarの群を発現するTリンパ球又はNK細胞(「エフェクター細胞」)を受容した、それを必要とする個体に投与される各調節分子の必要な有効量は、必要な各調節分子の存在下対非存在下での抗原発現標的細胞との接触に基づいて、それらのエフェクター細胞の異なる応答によって定義される。従って、これらのエフェクター細胞の応答は、インターフェロン-ガンマ、及び/又はマクロファージ炎症性タンパク質-1 (MIP-1)α、及び/又はMIP-1β、及び/又はグランザイムB、及び/又はIL-2、及び/又はTNF、及び /又はIL-10、及び/又はIL-4、及び/又はエフェクター細胞脱顆粒によって定義され、ここで細胞の脱顆粒は、任意には、少なくとも抗原結合部分を含み、そしてCARの群のCAR分子の結合部位に結合することができる必要な各他のポリペプチドの有効濃度の存在下で、細胞当たり100,000を超える標的抗原分子又は標的抗原複合体を発現する標的細胞と接触した後、CD107a を表面に転位するエフェクター細胞のパーセンテージ、つまり脱顆粒アッセイを使用したフローサイトメトリー分析によって検出された CD107a 陽性エフェクター細胞のパーセンテージによって検出されることが好ましい (例えば、Proff et al., Front Micro -バイオル。2016;7:844)。好ましい実施形態によれば、各必要な調節分子の有効濃度の存在下対非存在下におけるエフェクター細胞の応答は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、又はさらにより好ましくは少なくとも100%異なり、ここで、必要な各調節分子の有効濃度は、必要な各調節分子の有効量を、それを必要とする個体に1回以上投与することによって達成される濃度である。少なくとも抗原結合部分を含み、そしてCARの群に結合することができる必要なそれぞれの他のポリペプチドの有効濃度は、細胞当たり100,000を超える標的抗原分子又は標的抗原複合体を発現する標的細胞と、少なくとも1つの抗原結合部分を含みそしてCARの群に結合できる必要な他のポリペプチドの存在下と非存在下で接触した後、CAR の完全に複合体化された対象群 (すなわち、CAR の群に含まれるすべての二量体化ドメイン) の応答によって定義され、ここで応答は、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、又はさらにより好ましくは少なくとも100%異なり、そして少なくとも抗原結合部分を含み、そしてCARの群に結合することができる必要な各他のポリペプチドの有効濃度は、それらの他のポリペプチドのそれぞれの有効量を1回以上の用量で、CARの対象群を発現するTリンパ球又はNK細胞を受け取っている必要がある個体に投与することによって達成される濃度である。
【0245】
本発明によるCARの群のCAR分子に結合することができる調節分子および抗原特異的他のポリペプチドの両方を、以後、まとめて「CARの群に特異的に結合する剤」と呼ぶ。
【0246】
本方法において、「CARの群に特異的に結合する薬剤」は、所望の治療効果または診断効果をもたらすことができる任意の便利な手段を使用して宿主に投与され得る。従って、「CARの群に特異的に結合する剤」は、治療投与のための種々の製剤に組み込まれ得る。より具体的には、「CARの群に特異的に結合する剤」は、適切な薬学的に許容される担体又は希釈剤と組み合わせることによって医薬組成物に製剤化することができ、そして固体、半固体、液体又は気体形態の製剤に製剤化することができる。 錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、エアロゾルとして、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、軟膏剤、溶液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、エアロゾルなどの固体、半固体、液体又は気体の形態の製剤に処方され得る。医薬的剤形では、「CAR の群に特異的に結合する剤」は、薬学的に許容される塩の形で投与され得、又はそれらは、単独で、または適切に組み合わせて、また他の医薬的に活性な化合物と組み合わせて使用することもできる。以下の方法および賦形剤は、単なる例示である。
【0247】
適切な賦形剤ビークルは、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせであり得る。さらに、必要に応じて、ビークルは、少量の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤を含むことができる。そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に知られているか、または明らかであろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, 17th edition, 1985を参照のこと。いずれにしても、投与される組成物または製剤は、治療を受ける対象において所望の状態を達成するのに十分な量の必要な「CARの群に特異的に結合する剤」を含む。医薬的に許容される賦形剤、例えばビークル、アジュバント、担体又は希釈剤は、公衆が容易に入手できる。さらに、医薬的に許容される補助物質、例えばpH調整剤および緩衝剤、張性調整剤、安定剤、湿潤剤などは、一般に容易に入手可能である。経口剤の場合、「CARの群に特異的に結合する剤」は、錠剤、散剤、顆粒剤又はカプセル剤を製造するために、単独で、又は以下の適切な添加剤、例えば、例えば従来の添加剤、例えばラクトース、マンニトール、コーンスターチ又はジャガイモデンプン;結合剤、例えば晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ又はゼラチン;崩壊剤、例えばコーンスターチ、ポテトスターチ又はカルボキシメチルセルロースナトリウム;滑剤、例えばタルク又はステアリン酸マグネシウム;必要に応じて、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤及び香味剤と組合して使用され得る。
【0248】
「CARの群に特異的に結合する剤」は、以下の水性又は非水性の溶媒に、それらを溶解、懸濁又は乳化することにより注射用製剤とすることができる:植物油又は他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステル又はプロピレングリコール;及び 必要に応じて、従来の添加剤、例えば可溶化剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、防腐剤を添加できる。
【0249】
「CARの群に特異的に結合する剤」を含む医薬組成物は、所望の純度を有する「CARの群に特異的に結合する剤」を、任意の生理学的に許容される担体、賦形剤、安定剤、界面活性剤、緩衝剤及び/又は等張化剤と混合することによって調製することができる。許容される担体、賦形剤及び/又は安定剤は、好ましくは、使用される投与量および濃度でレシピエントに対して無毒であり、そして以下を含む:緩衝液、例えばリン酸塩、クエン酸塩、その他の有機酸;アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン、クエン酸などの抗酸化物質;防腐剤(エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロル-m-クレゾール、メチル又はプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、又はそれらの組み合わせなど); アミノ酸、例えばアルギニン、グリシン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリンおよびそれらの組み合わせ;単糖類、二糖類およびその他の炭水化物;タンパク質、例えばゼラチン又は血清アルブミン;キレート剤、例えばEDTA;糖、例えばトレハロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸; 及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばTween、Brij Pluronics、Triton-X、又はポリエチレングリコール (PEG)。
【0250】
医薬組成物は、液体形態、凍結乾燥形態、または凍結乾燥形態から再構成された液体形態であり得、ここで凍結乾燥製剤は、投与前に無菌溶液で再構成する必要がある。凍結乾燥組成物を再構成するための標準的な手順は、通常、純水の量に戻すことであり (通常、凍結乾燥中に除去された量に相当します);しかしながら、抗菌剤を含む溶液は、非経口投与用の医薬組成物の製造に使用できる;また、Chen (1992) Drug Dev Ind Pharm 18, 1311-54を参照のこと。
【0251】
「CARの群に特異的に結合する剤」は、徐放性製剤においても任意に製剤化することができる。 徐放性製剤は、当技術分野で周知の方法を用いて調製することができる。徐放性製剤の適切な例は、「CAR の群に特異的に結合する剤」を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、ここでマトリックスは成形品の形、たとえば、フィルム又はマイクロカプセルの形で存在する。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、L-グルタミン酸とエチル-L-グルタメートの共重合体、非分解性エチレン酢酸ビニル、ヒドロゲル、ポリラクチド、分解性乳酸-グリコール酸共重合体、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。生物活性の損失の可能性は、適切な添加剤の使用、水分含有量の制御、及び特定のポリマー マトリックス組成の開発によって防ぐことができる。
【0252】
適切な投与量は、主治医または他の資格のある医療関係者が、さまざまな臨床的要因に基づいて決定することができる。医療分野でよく知られているように、任意の1 人の患者に対する投与量は、以下の多くの要因に依存する:患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の「CARの群に特異的に結合する薬剤」、患者の性別、投与の時間及び経路、一般的な健康、及び同時に投与されている他の薬。「CARの群に特異的に結合する剤」は、投与量当たり1ng/kg体重~20mg/kg体重、例えば0.1 mg/kg 体重~10 mg/kg 体重、例えば 0.5 mg/kg 体重~5 mg/kg 体重の量で投与され得;しかしながら、特に前述の要因を考慮して、この例示的な範囲より低いか又は高い用量が想定される。投与計画が持続注入である場合、体重1kg当たり1分間に1μg~10mgの範囲でもよい。
【0253】
当業者は、用量レベルが特定の「CARの群に特異的に結合する剤」、症状の重症度、及び被験者の副作用に対する感受性の関数として変化し得ることを容易に理解するであろう。所定の化合物の好ましい投与量は、当業者により様々な手段により容易に決定できる。
【0254】
1つ又は2以上の「CARの群に特異的に結合する剤」は、薬物送達に適した利用可能な任意の方法及び経路を使用して個体に投与することができ、これには、インビボ及びエクスビボの方法、並びに全身及び局所の投与経路が含まれる。従来の医薬的に許容される投与経路には、腫瘍内、腫瘍周囲、筋肉内、気管内、頭蓋内、皮下、皮内、局所適用、静脈内、動脈内、直腸、鼻、経口、及びその他の経腸及び非経口投与経路が含まれる。投与経路は、「CARの群に特異的に結合する剤」及び/又は望ましい効果に応じて、必要に応じて組み合わせるか、又は調整することができる。「CARの群に特異的に結合する剤」は、単回投与又は複数回投与することができる。好ましい実施形態によれば、「CARの群に特異的に結合する剤」は、経口的に、又は静脈内に投与することができる。他の実施形態によれば、「CARの群に特異的に結合する剤」は、吸入経路を介して投与することができる。さらに他の実施形態によれば、「CARの群に特異的に結合する剤」は、鼻腔内、局所、又は腫瘍内にも投与することができる。さらに他の実施形態によれば、「CARの群に特異的に結合する剤」を腫瘍周囲に投与することができる。脳腫瘍の治療のための他の実施形態によれば、「CARの群に特異的に結合する剤」を頭蓋内投与することができる。
【0255】
「CARの群に特異的に結合する剤」は、全身経路又は局所経路を含む、従来の薬物の送達に適した利用可能な従来の方法及び経路を使用して宿主に投与することができる。一般的に、本発明によって意図される投与経路は、経腸、非経口、又は吸入経路を含む。吸入投与以外の非経口投与経路は、局所、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、被膜内、脊髄内、胸骨内、腫瘍内、腫瘍周囲、および静脈内経路を含む。「CARの群に特異的に結合する剤」の全身又は局所送達を行うために、非経口投与を行うことができる。全身送達が望ましい場合、投与は通常、侵襲的または全身的に吸収された局所的又は粘膜的製剤の投与を含む。「CARの群に特異的に結合する剤」は、経腸投与によって対象に送達することもできる。経腸投与経路は、経口及び直腸(例えば、坐剤を使用する)送達を含む。
【0256】
治療とは、宿主を苦しめる病的状態に関連する症状の少なくとも改善を意味し、ここで、改善は、少なくともパラメーター、例えば癌などの治療中の病的状態に関連する症状の大きさの減少を指す広い意味で使用される。従って、治療には、病的状態、又は少なくともそれに関連する症状が完全に抑制され、例えば発生が防止され、又は停止され、例えば終了される状況も含まれ、結果的に、宿主が病的状態、又は少なくとも病的状態を特徴付ける症状に苦しむことがないようになる。
【0257】
「CARの群に特異的に結合する剤」は、注射及び/又は送達によって、例えば、脳動脈内の部位に、又は脳組織に直接投与され得る。「CARの群に特異的に結合する剤」は、例えば、直接注射により、浸透圧ポンプ又は徐放性粒子などの薬物送達デバイスの移植により、標的部位へのバイオリスティック送達などにより、標的部位に直接投与することもできる。さらに、「CARの群に特異的に結合する剤」は、標準的な癌治療に対する補助療法として投与することができる。標準的な癌治療には、手術(例えば、癌性組織の外科的除去)、放射線療法、骨髄移植、化学療法治療、抗体治療、生物反応修飾治療、及びこれらの特定の組み合わせが含まれる。
【0258】
さまざまな対象が、癌を治療する対象方法による治療に適している。適切な対象には、例えば、癌を患っている、癌と診断されている、癌を発症するリスクがある、癌を患っており、癌の再発のリスクがある、 他の治療法で治療され、そのような治療に反応しなかった、又はそのような治療に対する最初の反応の後に再発した、個体、例えば、ヒト又はヒト以外の動物を含む。
【0259】
本免疫調節方法による治療に適した対象は、自己免疫疾患を有する個体;臓器または組織の移植レシピエントである個人;免疫不全の個人;及び病原体に感染している個人を含む。
【図面の簡単な説明】
【0260】
【
図1-1】
図1は、CARの群の例示的アーキテクチャの概略図を示す。
【0261】
【
図1-2】
図1は、CARの群の例示的アーキテクチャの概略図を示す。
【0262】
【
図1-3】
図1は、CARの群の例示的アーキテクチャの概略図を示す。
【0263】
【
図1-4】
図1は、CARの群の例示的アーキテクチャの概略図を示す。
【0264】
【
図1-5】
図1は、CARの群の例示的アーキテクチャの概略図を示す。
【0265】
【
図1-6】
図1は、CARの群の例示的アーキテクチャの概略図を示す。
【0266】
【
図1-7】
図1は、CARの群の例示的アーキテクチャの概略図を示す。
【0267】
【
図2】
図2は、ヒトEGFRに対する種々のrcSso7dベースの抗原結合部分のKd値を示す。
【0268】
【
図3-1】
図3は、システインを形成する細胞外ジスルフィド結合が、CAR機能の調節のための結合力効果の利用を妨げることができることを示す。
【0269】
【
図3-2】
図3は、システインを形成する細胞外ジスルフィド結合が、CAR機能の調節のための結合力効果の利用を妨げることができることを示す。
【0270】
【
図4-1】
図4は、scFv含有CAR分子の二量体化/オリゴマー化が、CAR機能の調節のための結合力効果の利用を妨げることを示す。
【0271】
【
図4-2】
図4は、scFv含有CAR分子の二量体化/オリゴマー化が、CAR機能の調節のための結合力効果の利用を妨げることを示す。
【0272】
【
図4-3】
図4は、scFv含有CAR分子の二量体化/オリゴマー化が、CAR機能の調節のための結合力効果の利用を妨げることを示す。
【0273】
【
図5-1】
図5は、条件付きホモ二量体化によりCARの群の結合力を調節することによるCAR機能の調節を示す。
【0274】
【
図5-2】
図5は、条件付きホモ二量体化によりCARの群の結合力を調節することによるCAR機能の調節を示す。
【0275】
【
図6】
図6は、インビボでCARの群を発現する安定的に形質導入されたT細胞の機能の調節を示す。
【0276】
【
図7-1】
図7は、インビボ実験に使用されたCAR修飾T細胞の機能的なインビトロ特性を示す。
【0277】
【
図7-2】
図7は、インビボ実験に使用されたCAR修飾T細胞の機能的なインビトロ特性を示す。
【0278】
【
図7-3】
図7は、インビボ実験に使用されたCAR修飾T細胞の機能的なインビトロ特性を示す。
【0279】
【
図7-4】
図7は、インビボ実験に使用されたCAR修飾T細胞の機能的なインビトロ特性を示す。
【0280】
【
図8-1】
図8は、ヘテロ二量体化によるCARの群の結合力、標的抗原が単量体であるか二量体であるかに応じたCAR T細胞の感度の調節を示す。
【0281】
【
図8-2】
図8は、ヘテロ二量体化によるCARの群の結合力、標的抗原が単量体であるか二量体であるかに応じたCAR T細胞の感度の調節を示す。
【0282】
【
図8-3】
図8は、ヘテロ二量体化によるCARの群の結合力、標的抗原が単量体であるか二量体であるかに応じたCAR T細胞の感度の調節を示す。
【0283】
【
図8-4】
図8は、ヘテロ二量体化によるCARの群の結合力、標的抗原が単量体であるか二量体であるかに応じたCAR T細胞の感度の調節を示す。
【0284】
【
図9-1】
図9は、VEGFによるCARの群の結合力の調節を示す。
【0285】
【
図9-2】
図9は、VEGFによるCARの群の結合力の調節を示す。
【0286】
【
図10-1】
図10は、HER2に対するアフィボディベースのCAR群の生成と機能を示す。
【0287】
【
図10-2】
図10は、HER2に対するアフィボディベースのCAR群の生成と機能を示す。
【0288】
【
図10-3】
図10は、HER2に対するアフィボディベースのCAR群の生成と機能を示す。
【0289】
【
図11-1】
図11は、3又は4つのCAR分子からなるCARの群を示す。
【0290】
【
図11-2】
図11は、3又は4つのCAR分子からなるCARの群を示す。
【0291】
【
図12-1】
図12は、異なる共刺激ドメインを含むCARの群を示す。
【0292】
【
図12-2】
図12は、異なる共刺激ドメインを含むCARの群を示す。
【0293】
【
図13-1】
図13は、異なるCARシグナル伝達バックボーンに融合された異なるrcSso7d及びアフィボディベースの結合部分を含むCAR分子の発現を示す。
【0294】
【
図13-2】
図13は、異なるCARシグナル伝達バックボーンに融合された異なるrcSso7d及びアフィボディベースの結合部分を含むCAR分子の発現を示す。
【0295】
【
図14-1】
図14は、異なるCAR分子の設計の概略図を示す。
【0296】
【
図14-2】
図14は、異なるCAR分子の設計の概略図を示す。
【0297】
【
図14-3】
図14は、異なるCAR分子の設計の概略図を示す。
【0298】
【
図14-4】
図14は、異なるCAR分子の設計の概略図を示す。
【0299】
【
図14-5】
図14は、異なるCAR分子の設計の概略図を示す。
【0300】
【
図14-6】
図14は、異なるCAR分子の設計の概略図を示す。
【0301】
【
図14-7】
図14は、異なるCAR分子の設計の概略図を示す。
【0302】
【
図14-8】
図14は、異なるCAR分子の設計の概略図を示す。
【0303】
【
図14-9】
図14は、異なるCAR分子の設計の概略図を示す。
【0304】
【
図14-10】
図14は、異なるCAR分子の設計の概略図を示す。
【0305】
【
図15-1】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【0306】
【
図15-2】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【0307】
【
図15-3】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【0308】
【
図15-4】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【0309】
【
図15-5】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【0310】
【
図15-6】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【0311】
【
図15-7】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【0312】
【
図15-8】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【0313】
【
図15-9】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【0314】
【
図15-10】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【0315】
【
図15-11】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【0316】
【
図15-12】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す。
【実施例】
【0317】
図1:CAR群の典型的なアーキテクチャの概略図を示す。
図1Aは、本明細書におけるCAR群のCAR分子の基本構造の概略図であり、前記構造において、抗原結合部分がCAR分子に組み込まれており(左)、前記CAR分子は、抗原結合部分を含む別のポリペプチドの結合部位に結合する結合部位を含む(右)。低親和性相互作用は、抗原結合部分と標的抗原の間、又はCAR分子の結合部位と、CAR分子の結合部位に結合する他のポリペプチドの結合部位との間で起こる。一群の少なくとも1つのCAR分子は、少なくとも1つのITAM又は少なくとも1つのITIMのいずれかを含む少なくとも1つのシグナリング領域を含む必要がある。CAR分子の提示例において、エンドドメインは、例示的に、単一のシグナリング領域を含む。図示したCAR分子の各構成要素間の線は、所望のリンカーを示す。二量体化ドメイン(前記群の各CAR分子に少なくとも1つは必須)及び所望の追加ドメイン又は構成要素は図示せず。
図1Bは、2、3、又は4つのCAR分子からなるCARの群において、少なくとも1つのシグナリング領域を含み得るCAR分子の数を示した模式図である(所定のCAR分子のシグナリング領域の全体を白いボックスで表す)。少なくとも1つのシグナリング領域を含むCAR分子のうち、全部又は一部のみであるが少なくとも1つのCAR分子は、少なくとも1つのITAM又は少なくとも1つのITIMを含む。簡潔に、エクトドメイン及び二量体化ドメイン、及び所望の追加ドメイン又は構成要素は図示せず。図示したCAR分子の各構成要素間の線は、所望のリンカーを示す。
図1Cは、2つのCAR分子からなるCARの一群を例として、シグナリング領域の配置を示した模式図である。図示例は、様々な配置の可能な組み合わせの一部のみを示しているにすぎない。例えば、CAR分子は、2以上のITAM含有シグナリング領域又は2以上の共刺激シグナリング領域を含み得る。CARの阻害群(図示せず)では、ITAM含有シグナリング領域はITIM含有シグナリング領域によって置換され、共刺激シグナリング領域は省略されるか、他の阻害ドメインによって置換される。簡潔に、外部ドメイン及び二量体化ドメイン、及び所望の追加ドメイン又は構成要素は図示せず。図示したCAR分子の各構成要素間の線は、所望のリンカーを示す。
図1D~
図1Nは、二量体化ドメインがCAR群の非共有複合体形成にどのように使用され得るかを示した模式図である。図示例は、配置の可能な組み合わせの一部のみを示しているにすぎない。図示例では、ホモ二量体化ドメイン及びヘテロ二量体化ドメインの異なる対が、CAR分子の異なる位置に示され、それぞれが1つ又は2つのシグナリング領域を例示的に含む。好ましい例(
図1E、左)において、3つのCAR分子からなる一群のCARは、ヘテロ二量体化ドメインの単一のペアの2つのメンバーのみを含み、それに応じて、単一の種類の制御分子によって制御され得る。簡潔に、シグナリング領域、膜貫通ドメイン、及び二量体化ドメインのみを図示する。図示したCAR分子の一部の構成要素間の線は、所望のリンカーを示している。二量体化ドメインの同様の配置も細胞外に組み込まれ得る。
図1Oは、制御分子として作用する細胞外可溶性因子によるCAR群の非共有複合体形成を例示した図である。制御分子は、単量体タンパク質及び本来ホモ二量体化又はヘテロ二量体化するタンパク質を用いて概略的に例示した。図示したCAR分子は、例示的に、1つのシグナリング領域のみを含む。所望の追加の二量体化ドメイン及び所望の追加のドメイン又は構成要素は図示せず。抗原結合ドメイン(又は結合部位)及び二量体化ドメインの順序は逆であってもよい。すなわち、抗原結合ドメイン(又は結合部位)は、二量体化ドメインよりも原形質膜に近接していてもよい。図示したCAR分子の各構成要素間の線は、所望のリンカーを示す。
【0318】
図2は、3つの補完的な方法で決定したヒトEGFRに対する様々なrcSso7d系抗原結合部分(スーパーフォルダーGFP(sfGFP)に融合)のK
d値を示した図である。(a)高レベルの短縮型EGFR(tEGFR)を発現するジャーカット(Jurkat)T細胞に結合した様々sfGFP融合タンパク質量のフローサイトメトリーによる定量化。(b)及び(c)IgG1のFcドメインに融合したEGFRの細胞外ドメインを含むキメラEGFRタンパク質でコーティングされたマトリックスを使用した表面プラズモン共鳴(SPR)分析。親和性は、(b)動力学的分析法又は(c)定常状態分析法のいずれかで決定した。
【0319】
図3:システインを形成する細胞外ジスルフィド結合は、CAR機能制御のための結合活性(アビディティー)効果の利用を阻止する。(A)CARシグナリングの骨格であるS-8cys-BB-3z(「Cys」)の「Cys」及びS-8ser-BB-3z(「Ser」)の「Ser」のアーキテクチャがそれぞれジスルフィド結合を形成可能かどうかを示した概略図。これらのシグナリングの骨格は、様々なrcSso7d系抗原結合部分に融合し、初代ヒトT細胞での機能試験のために発現させた。(B)初代ヒトT細胞における5μgのmRNAのエレクトロポレーションから20時間後の典型的なCAR発現(「Cys」又は「Ser」CAR骨格のいずれかに融合したrcSso7dバリアント「E11.4.1-WT」で示す)。導入遺伝子を発現していないT細胞(「CARなし」)を、陰性対照として使用した。(C)3μgのtEGFRコード化mRNAのエレクトロポレーションから20時間後の標的細胞として使用したジャーカット細胞におけるtEGFRの発現。コンストラクトを含まないジャーカットT細胞(「コンストラクトなし」)及びそれぞれのアイソタイプ対照(「アイソタイプ対照」)を、陰性対照として使用した。CARの機能は、標的細胞殺傷(D)及びIFN-γ産生(E)に関する様々なCARで修飾した初代ヒトT細胞の能力を測定することによって試験した。4人の異なるドナー(異なる記号で示される)のT細胞に、提示したCARコンストラクトの5μgのmRNAをエレクトロポレーションし、翌日、ジャーカットT細胞(3μgのtEGFR-mRNAでエレクトロポレーションした)と、2:1のエフェクター:ターゲット(E:T)比で37℃で4時間培養した。CARを含まないT細胞(「CARなし」)を、陰性対照として使用した。
【0320】
図4:scFv含有CAR分子の二量体化/多量体化は、CAR機能の制御のための結合活性効果の利用を阻止する。(A)実験で使用したCARの概略図。(B、C、及びD)5μgの各mRNAのエレクトロポレーションから20時間後のヒト初代T細胞におけるCARコンストラクトの発現。CARを含まないT細胞(「CARなし」)を、陰性対照として使用した。(E)5μgのtEGFRコード化mRNAのエレクトロポレーションから20時間後の標的細胞として使用したジャーカット細胞におけるtHER2の発現。コンストラクトを含まないジャーカットT細胞(「コンストラクトなし」)を、陰性対照として使用した。CAR T細胞をJurkat-tHER2細胞と37℃で4時間、E:T比2:1で共培養した。
図4F及び
図4Gは、CARの能力を示す図であり、scFv 4D5-5を、細胞毒性(G)及びIFN-γ産生(F)を誘発するために2つの異なるCARシグナリング骨格(ジスルフィド結合形成可能である又は可能でない、すなわち、4D5-5-8cys-BB-3z(配列番号59)の場合は「Cys」及び4D5-5-8ser-BB-3z(配列番号60)の場合は「Ser」))に融合した。V
H及びV
Lが2つの別々のポリペプチド(「V
H及びV
L」、4D5-5(split)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z(配列番号56及び配列番号57))に融合したCARの機能を、(H)に示す。単量体シグナリング骨格が4D5-5-scFvに融合されたCAR 4D5-5-8ser-BB-3z(配列番号60)を発現する初代T細胞を、陽性対照として使用した。異なるドナーである3個体のCAR T細胞(異なる記号で示す)を、tHER2をトランスフェクトした及びトランスフェクトしていないジャーカットT細胞の混合物と、37℃で4時間、E:T比4:1:1(T細胞:tHER2
posジャーカット細胞:tHER2
negジャーカット細胞)で共培養し、生存tHER2
pos及びtHER2
neg標的細胞の比率を、フローサイトメトリーによって決定した。二量体化を誘導するために、前記T細胞を二量体化剤AP20187で前処理した(10nM、30分、37℃)。同一濃度のDMSOでの処理は、対照条件として使用した。CARを含まないT細胞(「CARなし」)及びV
H鎖のみを発現するT細胞(「4D5-5(V
H)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z」(配列番号57))を、陰性対照として使用した。
【0321】
図5:CAR分子のホモ二量体化によるCAR結合活性の制御。(A)制御分子AP20187によって複合化されたCAR群の模式図。図示例では、EGFRに対するrcSso7d系抗原結合部分を、抗原結合部分として使用した。(B)抗CD3/CD28抗体被覆ビーズによる活性化の14日後(すなわち、各CARコンストラクトによる安定的形質導入から13日後)の、初代ヒトT細胞における、EGFRに対して高い親和性又は低い親和性を持つ抗原結合部分を含むCAR分子の発現(すなわち、それぞれS(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z「E11.4.1-WT」(配列番号49)及びS(G32A)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z「E11.4.1-G32A」(配列番号46))。CARを含まないT細胞(「CARなし」)を、陰性対照として使用した。(C)標的細胞株「A431-fLuc」におけるEGFRの発現。非染色細胞(「非染色」)及びそれぞれのアイソタイプ対照(「アイソタイプ対照」)を、陰性対照として使用した。(D)ルシフェラーゼ発現標的細胞株A431-fLuc殺傷するための、異なるCARコンストラクトで形質導入した初代ヒトT細胞の能力。3個体のドナーの初代T細胞(異なる記号で示す)に、CD19(CD19-8cys-BB-3z「CD19-BBz」(配列番号58))に対するrcSso7d系CAR S(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z(「E11.4.1-WT」)及びS(32)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z(「E11.4.1-G32A」))又はscFv系CARのいずれかをコード化するベクターを安定的に形質導入し、陰性対照として使用した。CARを含まないT細胞(「CARなし」)を、追加の陰性対照として使用した。AP20187は、「E11.4.1-WT」(S(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z)及び「E11.4.1-G32A」(S(G32A)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z)の非共有結合二量体化の制御分子として使用した。二量体化は、T細胞を10nMのAP20187で37℃で30分間前処理することにより誘導した。同一濃度のDMSOでの処理を、対照条件として使用した。修飾T細胞の細胞毒性は、10:1のE:T比で37℃で4時間共培養した後、A431-fLuc標的細胞を発現する生存ルシフェラーゼを定量することによって決定した。
【0322】
図6:NSGマウスモデルにおけるインビボで安定的に形質導入さしたCAR T細胞の機能の制御。(A)二量体化の有効性は、インビボNSGマウスモデルにおけるCAR活性化を誘導した。9~16週齢のNSGマウスに、ルシフェラーゼ及びtEGFRをコードするベクターを安定的に形質導入した、0.5×10
6個のNalm6細胞(「Nalm6-tEGFR-fLuc」)を静脈内注射した。3日後、前記NSGマウスを、10×10
6個のCAR T細胞の静脈内投与によって処理した(抗CD3/CD28抗体被覆ビーズによる活性化の14日後、すなわち安定的形質導入から13日後)。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)の注射を、対照条件として使用した。4個体のマウスからなるS(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z(配列番号49)で処理した群を除いて、5個体のNSGマウスを各処理群に用いた。二量体化は、2mg/kgのホモ二量体化剤AP20187を、11日間(矢印で示す注射日)の腹腔内投与することによって誘導した。二量体化剤を投与しなかった群には、対照条件としてそれぞれの媒体溶液を腹腔内投与した。腫瘍サイズ(各処理群の平均)を、NSGマウスの全身を含む対象領域内で測定した全光子束として示す。(B)S(32)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z(配列番号46)CAR T細胞で処理したが、11日目まで二量体化剤(dimerizer)AP20187を投与しなかったマウスへの二量体化剤の投与を延期することにより、効率的なCAR活性化及び腫瘍増殖の調節がもたらされることを示す。
【0323】
図7:安定的に形質導入したCAR T細胞のインビトロ機能の制御。(A)抗CD3/CD28抗体被覆ビーズによる活性化の14日後(すなわち、各CARコンストラクトによる安定的形質導入から13日後)の、初代ヒトT細胞における、EGFRに対して高い親和性又は低い親和性を持つ抗原結合部分を含むCAR分子の発現(すなわち、それぞれS(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z「E11.4.1-WT」(配列番号49)及びS(G32A)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z「E11.4.1-G32A」(配列番号46))。CARを含まないT細胞(「CARなし」)を、陰性対照として使用した。(B)抗CD3/CD28抗体被覆ビーズによる活性化の14日後(すなわち、安定的形質導入から13日後)の、初代ヒトT細胞における、抗CD19 CAR CD19-8cys-BB-3z「CD19-BBz」(配列番号58)の発現。CARを含まないT細胞(「CARなし」)を、陰性対照として使用した。(C及びD)Nalm6-fLuc細胞及びNalm6-tEGFR-fLuc細胞それぞれにおけるtEGFRの発現。非染色細胞及びそれぞれのアイソタイプ対照を、陰性対照として使用した。(E及びF)異なるCAR分子を発現する初代ヒトT細胞によるNalm6-fLuc細胞及びNalm6-tEGFR-fLuc細胞の溶解。3個体のドナーの初代T細胞(異なる記号で示す)に、CD19(CD19-8cys-BB-3z「CD19-BBz」)に対するrcSso7d系CAR S(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z「E11.4.1-WT」及びS(G32A)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z「E11.4.1-G32A」)又はscFv系CARのいずれかをコード化するベクターを安定的に形質導入し、陰性対照として使用した。CARを含まないT細胞(「CARなし」)を、陰性対照として使用した。AP20187は、「E11.4.1-WT」(S(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z)及び「E11.4.1-G32A」(S(G32A)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z)の非共有結合二量体化の制御分子として使用した。二量体化は、T細胞を10nMのAP20187で37℃で30分間前処理することにより誘導した。同一濃度のDMSOでの処理を、対照条件として使用した。修飾T細胞の細胞毒性は、10:1のE:T比で37℃で4時間共培養した後、標的細胞を発現する生存ルシフェラーゼを定量することによって決定した。
【0324】
図8:CAR分子のヘテロ二量体化によるCAR群の結合活性の制御及びCAR T細胞の感受性に対する標的抗原の共局在の影響。5μgの各mRNAのエレクトロポレーションの20時間後の、標的細胞として使用したジャーカット細胞におけるtEGFR融合タンパク質(「FKBP F36V」、条件的ホモ二量体化)の発現を、(A)に図示した。非染色細胞(「モック(mock)」)及びそれぞれのアイソタイプ対照(「アイソタイプ」)を、陰性対照として使用した。(B及びC)異なる量のそれぞれのmRNAでエレクトロポレーションしたジャーカットT細胞におけるtEGFRの発現レベルの相関。(D及びE)5μgの各mRNAのエレクトロポレーションの20時間後の初代ヒトT細胞における異なるCARの発現。制御分子AP21967による条件的ヘテロ二量体化のために、高親和性及び低親和性のrcSso7dバリアント(それぞれ「E11.4.1-WT」及び「E11.4.1.-G32A」)を、8ser-BB-FKBP-3z骨格及び8ser-BB-FRB-3z骨格の両方に融合した。得られたコンストラクト(S(G32A)-8ser-BB-FKBP-3z(配列番号48)、S(G32A)-8ser-BB-FRB-3z(配列番号47)、S(WT)-8ser-BB-FKBP-3z(配列番号50)、S(WT)-8ser-FRB-3z(配列番号51))の発現を、それらの組み込んだタグ(8ser-BB-FRB-3zの場合はStrep Ii及び8ser-BB-FKBP-3zの場合はFLAG)を解して検出した。(F)単量体又は二量体の標的抗原tEGFRを発現する標的細胞に応答した、CAR T細胞の二量体化誘発活性化の感度の測定のために使用した実験系の分子構造。この系では、CAR分子は制御分子AP21967によって条件的にヘテロ二量体化され、標的抗原tEGFRはAP20187によって条件的にホモ二量体化された。標的細胞で発現されたtEGFR分子の数並びにAP21967及びAP20187の有無の両方に依存する、初代ヒトT細胞における細胞毒性及びIFN-γ産生をそれぞれ誘発するCARの能力(平均±標準偏差、n=3、3個体の異なるドナー)を、(G)及び(H)に示す。3個体のドナーからの初代T細胞を、各CAR分子の5μgのmRNA(すなわち、図示されるように、低親和性コンストラクトS(G32A)-8ser-BB-FKBP-3z plus S(G32A)-ser8-BB-FRB-3z又は高親和性コンストラクトS(WT)-8ser-BB-FKBP-3z plus S(WT)-8ser-BB-FRB-3z)でエレクトロポレーションし、様々な量のtEGFRを発現するジャーカットT細胞と共培養した。共培養は、4:1:1のE:T比(T細胞:tEGFR
posジャーカット細胞:tEGFR
negジャーカット細胞)で37℃で4時間行った。CAR T細胞の細胞毒性は、生存tEGFR
pos標的細胞及びtEGFR
neg標的細胞の比率をフローサイトメトリーにより定量化することによって決定した。CAR二量体化を誘導するために、初代ヒトT細胞を、AP21967(500nM、30分、37℃)で前処理し、EGFR二量体化を誘導するために、ジャーカットT細胞をAP20187(10nM、30分、37℃)で前処理した。同一濃度のエタノール(AP21967の場合)又はDMSO(AP20187の場合)による処理を、対照条件として使用した。
【0325】
図9:腫瘍微小環境に蓄積する細胞外因子の例としてのVEGFによって制御され得るCARの生成。図示例では、可溶性因子VEGFを制御分子として使用し、EGFR特異的rcSso7d系バインダーE11.4.1-G32Aを抗原結合部分として使用した。それぞれのCARのアーキテクチャの概略図を(A)及び(B)に示す。5μgのmRNAのエレクトロポレーションの20時間後のジャーカットT細胞における標的抗原tEGFRの発現を、(C)に示す。初代ヒトT細胞における2つのポリペプチドの発現を、抗IgG1抗体を使用して検出した(D)。VEGF結合部位(膜貫通ドメインを含まないJanus-CT6-Fcドメイン)を含むCAR分子及びIgG-Fcドメインを含まない対照CARの検出のために、抗Strep IIタグ抗体を追加的に使用した。初代T細胞における様々なCARによって引き起こされる細胞毒性を、FACSに基づく細胞毒性アッセイで測定した(E)。3個体の異なるドナーからのCAR T細胞(異なる記号で示す)を、tEGFRをトランスフェクトしたジャーカット細胞と37℃で4時間、E:T比として4:1:1(T細胞:tEGFR
posジャーカット細胞:tEGFR
negジャーカット細胞)で共培養した。CARの二量体化は、T細胞をVEGFで前処理することによって誘導した(濃度は記載の通り、30分、37℃)。CARを含まないT細胞(「CARなし」)は陰性対照として使用し、CAR S(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3zを含むT細胞は陽性対照として使用した。
【0326】
図10:本発明による一群のCARでの使用に適したアフィボディ(affibody)ベースの結合部分のスクリーニング。アフィボディであるzHER2-WTの親和性は、アラニンによるエピトープ結合に関与し得る全てのアミノ酸を置換することによって低減した。zHER2-WTの様々なバリアントは、条件的二量体化のための細胞内ホモ二量体化ドメインFKBP(F36V)を含むCARシグナリング骨格である8ser-BB-FKBP(36V)-3zに融合した。これらのCARのアーキテクチャを(A)に示す。(B及びC)ジャーカットT細胞における標的抗原tHER2の発現及び初代T細胞におけるアフィボディベースのCARの発現。初代T細胞及びジャーカットT細胞に、それぞれのコンストラクトをコードする5μgのmRNAをエレクトロポレーションし、エレクトロポレーションの20時間後に発現を測定した。初代T細胞及びコンストラクトを発現しないジャーカットT細胞(それぞれ「CARなし」及び「コンストラクトなし」)を陰性対照として使用した。(D)初代T細胞における13種類のアフィボディベースのCAR(それぞれ、「L9A」、「R10A」、「Q11A」、「Y13A」、「W14A」、「Q17A」、「W24A」、「T25A」、「S27A」、「R28A」、「R32A」、「Y35A」、及び「zHER2-WT」)(CARシグナリングバックボーンに融合したアフィボディベースの抗原結合部分の配列は、配列番号26~配列番号38に示す)の発現。初代T細胞に、それぞれのコンストラクトをコードする5μgのmRNAをエレクトロポレーションし、エレクトロポレーションの20時間後に発現を測定した。コンストラクトを発現しないT細胞(「CARなし」)を陰性対照として使用した。(E)二量体化によるアフィボディベースのCARの活性化。2個体のドナーからの初代T細胞(異なる記号で示す)を、各コンストラクトに5μgでエレクトロポレーションした。標的細胞の特異的溶解は、tHER2-トランスフェクトした異なるCAR T細胞を共インキュベーションした後、ルシフェラーゼベースの細胞毒性アッセイで測定した(E:T比2:1、37℃で4時間)。CARの二量体化は、T細胞をAP20187で前処理することによって誘導した(10nM、30分、37℃)。同一濃度のDMSOでの処理は、対照条件として使用した。CARを含まないT細胞(「CARなし」)を、陰性対照として使用した。
図10Fに、IgG1のFcドメインに融合したHER2の細胞外ドメインを含むキメラHER2タンパク質で被覆したマトリックスを使用したSPR分析によって決定される、ヒトHER2に対するそれぞれのアフィボディベースの結合部分(スーパーフォルダーGFP(sfGFP)に融合)のK
d値を示す。親和性は、動力学的法で決定した。
【0327】
図11:3個及び4個のCAR分子からなるCAR群の機能的特徴付け。(A及びB)それぞれ3個又は4個CAR分子からなるCAR群の模式図。(C及びD)各コンストラクトの5μgのmRNAのエレクトロポレーションの20時間後のジャーカットT細胞におけるCARの三量体及び四量体群の発現。コンストラクトを発現しないジャーカットT細胞(「CARなし」)を陰性対照として使用した。
【0328】
図12:異なる共刺激分子を含むCAR群の発現及び機能。(A)それぞれが、その共刺激シグナリング領域にCD28、ICOS、又はOX40の共刺激ドメインを含む、2個のCAR分子からなる一群のCARの概略図。(B及びC)ジャーカットT細胞又は初代ヒトT細胞における5μgのmRNAのエレクトロポレーションから20時間後のCAR分子の発現(赤色ヒストグラム)。コンストラクトを発現しないジャーカットT細胞又は初代ヒトT細胞(「CARなし」)を、それぞれ陰性対照として使用した(青色で塗りつぶしたヒストグラム)。(D)S(G32A)-8ser-OX40-FKBP(36V)-3zをコードする5μgのmRNAでエレクトロポレーションしたジャーカットT細胞におけるNF-κB及びNF-ATプロモーターの誘導。これらの細胞を、AP20187の存在下又は非存在下で、5μgのtEGFRコード化mRNAでエレクトロポレーションしたジャーカットT細胞を用いて、さらに20時間、共培養した又はしなかった。CAR発現レポーター細胞におけるNF-κB及びNF-ATプロモーターの誘導は、それぞれ高感度緑色蛍光タンパク質(eGFP)及びGFPのシアン蛍光バリアント(CFP)の発現のフローサイトメトリー分析によって検出した。提示したCAR分子を発現する初代ヒトT細胞の細胞毒性を(E)に示す。それぞれのCAR分子をコードする5μgのmRNAのエレクトロポレーションの20時間後、T細胞を標的細胞とさらに4時間又は20時間37℃で4:1:1のE:T比(T細胞:tEGFR
posジャーカット細胞:tEGFR
negジャーカット細胞)で共培養した。
CAR分子群の二量体化は、ジャーカット細胞(D)及び初代ヒトT細胞(E)を10nMのAP20187で37℃で30分間前処理することにより誘導した。同一濃度のDMSOでの処理を、対照条件として使用した。
【0329】
図13:異なるCARシグナリング骨格に融合したrcSso7d及びアフィボディベースの結合部分を含むCAR分子の発現。(A)それぞれのmRNAの5μgのエレクトロポレーションから20時間後の初代ヒトT細胞におけるCARコンストラクト「Myc-S(18.4.2)-8cys-BB-3z」(配列番号39)、「S(18.4.2)-8cys-BB-3z」(配列番号40)、及び「S(18.4.2)-G4S-8cys-BB-3z」(配列番号41)の発現。CARを含まない初代T細胞を、陰性対照として使用した(塗りつぶしたヒストグラム)。ヒトEGFRの細胞外ドメイン、IgG1のFcドメイン、及び抗ヒトIgG1抗体からなる融合タンパク質を用いて発現を検出した。(B)それぞれのmRNAの5μgのエレクトロポレーションから20時間後の初代ヒトT細胞におけるCARコンストラクト「S(G32A)-G4S-myc-8cys-BB-3z」(配列番号42)、「S(G32A)-G4S-StrepII-8cys-BB-3z」(配列番号43)、及び「S(G32A)-G4S-his-8cys-BB-3z」(配列番号45)の発現。CARを含まない初代T細胞は、陰性対照として使用した(塗りつぶしたヒストグラム)。CARの発現は、抗c-myc抗体、抗Strep II抗体、又は抗ヘキサヒスチジン抗体をそれぞれ使用して検出した。(C)それぞれのmRNAの5μgのエレクトロポレーションから20時間後の初代ヒトT細胞におけるCARコンストラクト「S(WT)-8cys-BB-3z」(配列番号74)、「S(G25A)-8cys-BB-3z」(配列番号72)、「S(G32A)-8cys-BB-3z」(配列番号43)、「S(WT)-8ser-BB-3z」(配列番号75)、「S(G25A)-8ser-BB-3z」(配列番号73)、及び「S(G32A)-8ser-BB-3z」(配列番号44)の発現。CARを含まない初代T細胞は、陰性対照として使用した(塗りつぶしたヒストグラム)。発現は、抗Strep II抗体を使用して検出した。(D)それぞれのmRNAの5μgのエレクトロポレーションから20時間後の初代ヒトT細胞におけるCARコンストラクト「S(G32A)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z」(配列番号46)、「S(G32A)-8ser-BB-FRB-3z」(配列番号47)、「S(G32A)-8ser-BB-FKBP-3z」(配列番号48)、及び「A(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z」(配列番号52)の発現。CARを含まない初代T細胞は、陰性対照として使用した(塗りつぶしたヒストグラム)。示されるように、抗FLAG抗体、抗Strep II抗体、又は抗ヘキサヒスチジン抗体のいずれかを使用して、発現を検出した。
【0330】
図14は、様々なCAR分子の設計の概略図を示す図である。対応するアミノ酸配列を
図15に示す。
【0331】
図15は、異なるCAR分子のアミノ酸配列を示す図である。
【0332】
実施例1:本発明のCAR群で使用されるrcSso7dをベースとした低親和性シングルドメイン結合性部分の作製
第一の実施例は、本発明のCAR群の抗原結合部分として使用するのに適した低親和性の抗原結合部分を作製するための戦略を示すものである。電荷低減型(Reduced charge)Sso7d(rcSso7d)は、古細菌スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)由来の低分子(約7kDa)DNA結合タンパク質の電荷低減型である。電荷の低減は、静電的相互作用を減少させることで、非特異的結合を最小限にする。rcSso7dは、高い熱安定性と単量体挙動を有するシングルドメインのタンパク質抗原結合部分であり、そのため、好適な結合性スキャフォールドの一例である。19nMのK
dでヒトEGFRに結合する(Traxlmayrら、J Biol Chem.、2016年;291巻(43号):頁22496~22508)、特徴がはっきりした抗原結合部分rcSso7d E11.4.1から、アラニンスキャンを行って、エピトープ結合に関与している可能性のある全てのアミノ酸をアラニンで置換することにより、低親和性変異体を作製した。すなわち、それぞれの変異体において、抗原結合に関与する1つの位置を、アラニンに変異させた。rcSso7d E11.4.1の変異体をsfGFPと融合し、細菌発現系で可溶性タンパク質として発現させた。融合タンパク質の模式的な構造を
図14Gに示す。(i)それぞれの標的抗原EGFRを高レベルで発現するようにmRNAエレクトロポレーションで改変されたジャーカットT細胞に対して、sfGFPを有する結合性部分である可溶性融合タンパク質の、滴定実験を行うことにより、また、(ii)IgG-Fcと融合したEGFRの細胞外ドメインをロードしたプロテインAチップ上でSPR実験を行うことにより、結合親和性を求めた。アラニンスキャンの結果と得られた抗原結合部分の親和性を
図2に示す。
【0333】
タンパク質抗原結合部分のアラニンスキャン
エピトープ結合に関与する全てのアミノ酸の部位特異的変異誘発は、QuikChange Lightning Site-Directed Mutagenesis Kit(アジレント・ゲノミクス社)を製造業者の取扱説明書に従って用いて行った。プライマーはQuikChange Primer Designソフトウェア(アジレント・ゲノミクス社)を用いて設計し、オリゴヌクレオチドはバイオマース社(Biomers)により合成された。
【0334】
rcSso7dベース抗原結合部分の発現及び精製
結合性スキャフォールドは、pE-SUMOベクター(ライフ・センサーズ社(Life Sensors))を用いて、as sfGFP融合タンパク質(N末端ヘキサヒスチジンタグと、それに続くrcSso7d又はアフィボディと、sfGFPとからなる)として発現された。sfGFPレポータータンパク質をコードするヌクレオチド配列は、アドジーン社(Addgene)(プラスミド#54737)から入手した。簡潔に説明すると、大腸菌(Escherichia coli)細胞(Tuner DE3)を、熱ショック形質転換を用いて、with 配列検証済みプラスミドで形質転換させた。37℃で一晩培養した後、培養液を、カナマイシン(50μg/mL)を添加したテリフィックブロス(TB)培地(12g/Lのトリプトン、24g/Lの酵母抽出物、4%グリセロール、2.31g/LのKH2PO4、及び16.43g/LのK2HPO4*3H2O)で1:100希釈し、振盪しながら37℃でインキュベートした。培養液のA600がおよそ2に達したら、1mMのイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加により、導入遺伝子の発現を誘導し、20℃で一晩細胞をさらに培養した。細胞を遠心分離(5000g、20分、4℃)で回収し、超音波処理用緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、3%グリセロール、1%Triton X-100、pH8.0)に再懸濁し、超音波処理し(2×90秒、デューティサイクル50%、振幅は5に設定)、再度遠心して細胞片を除去した。TALON Metal Affinity Resin(クロンテック・ラボラトリーズ社(Clontech Laboratories))を用いて、未精製細胞抽出物からヘキサヒスチジンタグ付き融合タンパク質を精製した。10mMイミダゾールを添加後、超音波処理後の上清を上記樹脂上に2回アプライし、その後、漸増量のイミダゾール(5~15mM)を含有する平衡緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH8.0)で洗浄工程を実施した。250mMイミダゾールを添加した平衡緩衝液をアプライすることで、結合性スキャフォールドを溶出させた。Amicon Ultra-15 10K遠心式フィルター(メルクミリポア社(Merck Millipore))を用いてPBSへの緩衝液交換を行った後、それぞれのモル吸光係数を用いて280nmでの吸光度を測定することにより濃度を求め、最後に、タンパク質を-80℃で直接凍結した。
【0335】
ヒト細胞株の維持
ジャーカットT細胞は、Children’s Cancer Research Institute(CCRI)のSabine Strehl博士から譲渡されたものであり、10%FCS(シグマ・アルドリッチ社(Sigma Aldrich))及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(サーモサイエンティフィック社(Thermo Scientific))を添加したRPMI-1640(サーモサイエンティフィック社)中で維持した。細胞株は定期的にマイコプラズマ混入検査にかけられ、ドイツのマルチプレクション社(Multiplexion)で細胞株認証を受けた。フローサイトメーターをベースとした細胞計数プラットフォームである、AccuCheck Counting Beads(サーモサイエンティフィック社)により、細胞密度をモニターした。
【0336】
mRNAのインビトロ転写及びエレクトロポレーション
mMessage mMachine T7 Ultra Kit(アンビオン社(Ambion))を製造業者の取扱説明書に従って用いて、インビトロ転写を行った。反応用テンプレートとして50~200ngのカラム精製PCR産物を用いた。得られたmRNAを、RNeasyカラム精製キット(キアゲン社(Qiagen))を用いて、適合されたプロトコルにより精製した。簡潔には、mRNA溶液を、RLT緩衝液(キアゲン社)、エタノール(メルク社(Merck))、及び2-メルカプトエタノール(メルク社)の混合物で希釈した。この混合物をRNeasyカラムにロードし、製造業者の取扱説明書に従って精製を行った。溶出をNuclease-Free Water(サーモサイエンティフィック社)で行い、精製後のmRNAはエレクトロポレーションまで-80℃で凍結した。一過性の導入遺伝子発現のために、ジャーカットT細胞に、Gene Pulser(バイオラド社(Biorad))を用いた、異なる量の各種mRNAのエレクトロポレーションを行った。以下のプロトコルを各種細胞型に用いた:ジャーカットT細胞(矩形波プロトコル、500V、3ms、4mmキュベット)。
【0337】
抗体及びフローサイトメトリー
ジャーカットT細胞をFACS用緩衝液(PBS(サーモサイエンティフィック社)、0.2%ヒトアルブミン(CSLベーリング社(CSL Behring))、及び0.02%アジ化ナトリウム)中に再懸濁し、4℃で10分間10%ヒト血清で処理した。各種一次抗体で、4℃で25分間、細胞を染色した。染色細胞をFACS用緩衝液で2回洗浄した後、そのままBD LSRFortessaで処理した。PE結合型又はAPC結合型の抗EGFR抗体(クローンAY13、バイオレジェンド社)を用いて、改変標的抗原tEGFRの発現を検出した。FlowJoソフトウェアで解析を行った。
【0338】
細胞膜上の結合親和性の測定
ジャーカットT細胞を、各種腫瘍抗原を高レベルで発現するように改変した。そのため、3μgのtEGFRコードmRNAをジャーカットT細胞にエレクトロポレーションし、1日後、エフェクター細胞と共培養した。PBSで洗浄後、細胞を0.1%BSA(シグマ・アルドリッチ社)含有PBS中に再懸濁し、各腫瘍抗原に対しての抗原結合部分の親和性を求めるために、異なる濃度のsfGFP融合型バインダータンパク質と一緒にインキュベートした。振盪しながら4℃で1時間インキュベートした後、プレートを遠心し(450g、7分間、4℃)、上清を捨て、BD LSRFortessaにより細胞を得た。細胞はエンドサイトーシスを避けるため氷上で維持した。Microsoft Excel(マイクロソフト社(Microsoft Corporation))を用いたカーブフィッティングによりKdを得た。
【0339】
表面プラズモン共鳴(SPR)を用いた結合親和性の測定
SPR実験はBiacore T200装置(GEヘルスケア社(GE Healthcare))で行った。実験は全て、脱気及び濾過を行った、25℃の、0.1%BSA及び0.05%Tween-20(メルクミリポア社)を含有するPBS(pH7.4)中で行った。hEGFR-Fc(R&D社)を、流速10μL/分で、60秒間、濃度6.67μg/mLで、プロテインAセンサーチップ(GEヘルスケア社)上に固定した。rcSso7dをベースとした抗原結合部分の親和性を求めるため、5つの濃度(抗原結合部分の予想Kdに基づく)の各種タンパク質を、シングルサイクルカイネティクスモードで、流速30μL/分で、15秒間注入し、その後、解離工程(30秒間)を行った。再生は10mMグリシン-HCl(pH1.7)を用いて流速30μL/分で30秒間行った。Biacore T200 Evaluation Software(GEヘルスケア社)を用いたカーブフィッティングによりKdを得た。
【0340】
実施例2:細胞外ジスルフィド結合形成システインはアビディティ効果の完全利用を防止することでCAR機能の可逆的調節を行う
例えばCD8αとしての、細胞外ヒンジ領域内の細胞外ジスルフィド結合形成システインは、本発明のアビディティ効果の利用を防止することができる。実施例2において、CD8αのヒンジ領域内の2つの細胞外システイン残基(UniProt ID P01732、C164位及びC181位)がセリン残基によって置換された、又は置換されていない、CARシグナル伝達骨格に、実施例1の結合部分の低親和性変異体「E11.4.1 G32A」を融合し、このことを明らかにした。システイン含有CARバリアント(「Cys」)が標的細胞に応答したT細胞活性化を効率的に惹起するのに対して、セリン含有バリアント(「Ser」)は、T細胞を惹起しないか、あるいは不十分に惹起するのみであった。本実施例はすなわち、本発明のCAR群で使用するのに適したCAR分子を作製する際の、ジスルフィド結合形成を防止することの重要性を示している。
図3Aの模式図は、被験構築物の設計を例示している。
図3B及び
図3Cは、CAR及び標的抗原の発現を示している。初代ヒトT細胞に、それぞれの構築物のmRNA(5μg)をエレクトロポレーションで導入し、エレクトロポレーションの20時間後にStrep IIタグを介してCAR発現を検出した。ジャーカットT細胞に、EGFRの切断型(tEGFR)をコードするmRNA(3μg)をエレクトロポレーションで導入した。完全長EGFRをN末端及びC末端の両方で切断することで、その天然リガンドであるEGFと結合することができず、キナーゼドメインが存在しないために、二量体化特性が減弱された、機能的に不活性なヒトポリペプチドを作製した(Wangら、Blood.、2011年;118巻(5号):頁1255~1263)。得られた導入遺伝子は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子2受容体αサブユニット(GM-CSF-Ra)のリーダー配列と、2つの細胞外膜近位ドメイン及び膜貫通ドメインを含むヒトEGFRの第334~675番アミノ酸(Uniprot P00533)と、からなる。導入遺伝子の発現を、エレクトロポレーションの20時間後に、EGFRに対する抗体を介して検出した。T細胞のエレクトロポレーションの20時間後、ルシフェラーゼをベースとした細胞毒性アッセイを用いることで(
図3D)、また、ELISAを用いて当該T細胞から放出されたサイトカインを定量化することで(
図3E)、CARの機能を測定した。
図3D及び
図3Eは、試験された親和性が最も低い抗原結合部分(「E11.4.1-G32A」)が、標的細胞との二価の相互作用時のみ、すなわち、CD8αヒンジ内にシステインを含有するCAR(「Cys」)と融合された場合には、T細胞を惹起できるが、それらのシステインがセリンによって置換されたCAR(「Ser」)と融合された場合では、T細胞を惹起しないか、あるいは不十分に惹起するのみであることを示している。逆に、親和性が増加した抗原結合部分(E11.4.1-WT及びE11.4.1-G25A)は、一価の相互作用時でも、すなわち、「Ser」CAR骨格と融合された場合でも、強力な細胞毒性を惹起した。
【0341】
ヒト細胞株の維持
初代ヒトT細胞を、アフェレーシス後の匿名化健常ドナーの血液(オーストリア赤十字社(ウィーン、オーストリア)から入手したバフィーコート)から得た。CD3陽性T細胞を、RosetteSep Human T cell Enrichment Cocktail(ステムセルテクノロジーズ社(STEMCELL Technologies))を用いたネガティブセレクションにより濃縮した。単離精製後のT細胞は、使用まで、20%FCS及び10%DMSO(シグマ・アルドリッチ社)を添加したRPMI-1640培地中で凍結保存した。CD3陽性T細胞を、抗CD3/CD28ビーズ(サーモサイエンティフィック社)を製造業者の取扱説明書に従って用いて活性化し、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、及び200IU/mL組み換えヒトIL-2(ペプロテック社(Peprotech))を添加されたRPMI-1640からなるヒトT細胞培地中で増殖させた。初代T細胞を少なくとも14日間培養した後、実験を行った。ジャーカットT細胞は、CCRIのSabine Strehl博士から譲渡されたものであり、10%FCS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640中で維持した。細胞株は定期的にマイコプラズマ混入検査にかけられ、ドイツのマルチプレクション社で細胞株認証を受けた。AccuCheck Counting Beadsにより、細胞密度をモニターした。
【0342】
mRNAのインビトロ転写及びエレクトロポレーション
mMessage mMachine T7 Ultra Kitを製造業者の取扱説明書に従って用いて、インビトロ転写を行った。反応用テンプレートとして50~200ngのカラム精製PCR産物を用いた。得られたmRNAを、RNeasyカラム精製キットを用いて、適合されたプロトコルにより精製した。簡潔には、mRNA溶液を、RLT緩衝液、エタノール、及び2-メルカプトエタノールの混合物で希釈した。この混合物をRNeasyカラムにロードし、製造業者の取扱説明書に従って精製を行った。溶出をNuclease-Free Waterで行い、精製後のmRNAはエレクトロポレーションまで-80℃で凍結した。一過性の導入遺伝子発現のために、初代T細胞又はジャーカットT細胞に、Gene Pulser(バイオラド社)を用いた、異なる量の各種mRNAのエレクトロポレーションを行った。以下のプロトコルを各種細胞型に用いた:初代T細胞(矩形波プロトコル、500V、5ms、4mmキュベット)、ジャーカットT細胞(矩形波プロトコル、500V、3ms、4mmキュベット)。
【0343】
抗体及びフローサイトメトリー
初代ヒトT細胞又は腫瘍細胞株をFACS用緩衝液(PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウム)中に再懸濁し、4℃で10分間10%ヒト血清で処理した。各種一次抗体で、4℃で25分間、細胞を染色した。染色細胞をFACS用緩衝液で2回洗浄した後、二次抗体で4℃で25分間染色するか、又はそのままBD LSRFortessaで処理した。CAR構築物の発現を、一次抗体としての抗Strep IIタグ抗体(クローン5A9F9、ジェンスクリプト社(Genscript))と、PE結合型又はAPC結合型二次抗体(イーバイオサイエンス社(eBioscience))とを用いて、Strep IIタグを介して検出した。PE結合型又はAPC結合型の抗EGFR抗体(クローンAY13、バイオレジェンド社)を用いて、改変標的抗原tEGFRの発現を検出した。FlowJoソフトウェアで解析を行った。
【0344】
導入遺伝子コンストラクトの構築
シグナルペプチドのCD33、ヒトCD8αヒンジ、ヒト単量体CD8αヒンジ(UniProt ID P01732、C164S、及びC181S)、及びCD8α膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、並びにCD3ζ ITAMシグナル伝達ドメインをコードする各ヌクレオチド配列は、ジェンスクリプト社によって合成された。EGFRの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインをコードする各配列はアドジーン社から得た(プラスミド#11011)。Strep IIタグ(NWSHPQFEK)及び可動性リンカーの挿入はPCRにより行った。機能的導入遺伝子へのヌクレオチド配列構築は、Gibson Assembly Master Mix(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs))を製造業者の取扱説明書に従って用いることで、実行した。模式図及び配列をそれぞれ
図14及び
図15に示す。得られたコンストラクトはPCRで増幅した後、インビトロ転写に用いた。
【0345】
ルシフェラーゼをベースとした細胞毒性アッセイ
ルシフェラーゼ発現腫瘍細胞を、CAR T細胞と、10,000個の標的細胞/ウェルとしてE:T細胞比2:1で、白色丸底96ウェルプレート(シグマ・アルドリッチ社)内で、37℃で4時間、フェノール不含RPMI(サーモサイエンティフィック社)、10%FCS、1%L-グルタミン(サーモサイエンティフィック社)、及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンからなる細胞毒性アッセイ用培地中で、共培養した。最後に、共培養物の残存ルシフェラーゼ活性を求めることで、残存した生細胞を定量した。10分間室温に戻した後、ルシフェリンを細胞懸濁液に添加し(150μg/mLの終濃度;パーキンエルマー社(Perkin Elmer))、20分後にENSPIREマルチモードプレートリーダーを用いてルシフェラーゼ活性を測定した。特異的溶解率を下記式で求めた。特異的溶解率=100-((エフェクターと標的細胞の共培養物を含むウェルから得られたRLU)/(標的細胞のみを含むウェルから得られたRLU)×100))。
【0346】
CAR T細胞によるサイトカイン放出
初代CAR T細胞のサイトカイン分泌の評価を、標的細胞と、E:T比1:1又は2:1で、平底96ウェルプレート内で、37℃で4時間又は24時間、共培養することにより、行った。いくつかの実験で、細胞毒性を求めるための共培養実験から得られた上清中の、放出サイトカインの定量を行った。上清は、遠心(1600rpm、7分間、4℃)して残存した細胞とデブリを除去した後、-80℃で凍結した。分泌IFN-γの分析には、ヒトIFNγ ELISA Ready-SET-Go!(登録商標)キット(イーバイオサイエンス社)を製造業者の説明書に従って用いて、ELISAを行った。測定はENSPIREマルチモードプレートリーダーを用いて行った。
【0347】
実施例3:単鎖可変領域フラグメント(scFv)は細胞膜におけるCARクラスタリングを惹起することにより、アビディティ効果の利用を防いで、CAR機能の可逆的な調節を行うことができる
第3の実施例では、CAR分子におけるscFvベース結合部分の組み込みが、アビディティ効果の利用を防ぎ、抗原組み合わせの特異的な認識を行うことができることを示す。
図4Aに示されたCAR構築物の模式図は、試験されたCARバリアント(4D5-5-8cys-BB-3z、4D5-5-8ser-BB-3z、4D5-5(split)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z)の設計を図示している。図示された例では、HER2に対するscFv 4D5-5を抗原結合部分として用い、単量体(「Ser」)又は二量体(「Cys」)のCARシグナル伝達骨格に組み込んだ。
図4Bは、初代T細胞におけるCARの発現を示している。scFv 4D5-5に対する効果的な結合親和性が1.1μMと報告されており(Liuら、Cancer Res.、2015年;75巻(17号):頁3596~3607)、これはE11.4.1-G32Aの親和性と同等である。HER2の切断型(tHER2)を発現するジャーカットT細胞を標的細胞株とした(
図3E)。セリン含有CAR「4D5-5-8ser-BB-3z」によって惹起された、CAR T細胞によるIFN-γ分泌(
図3F)及び標的細胞の溶解(
図3G)は、低親和性scFvにもかかわらず、システイン含有CAR「4D5-5-8cys-BB-3z」と比較して、わずかに減少しているのみであり、これは、実施例2のCAR S(G32A)-8ser-BB-3z(配列番号44))に低親和性rcSso7dベース抗原結合部分を用いて確認されたこと(
図3)とは大きく異なる。ダイアボディ形成で確認されたように、T細胞表面のscFvで一緒に連結されたV
H及びV
Lは、同じ一本鎖分子内で(すなわち同じCAR分子内で)二量体化できるだけでなく、分子間連結(すなわち異なるCAR分子間の連結)を形成することもできる。これは、精製scFvタンパク質の場合で報告されたように、二量体化を、あるいはオリゴマー化をも媒介し(Atwellら、Protein Eng.、1999年;12巻(7号):頁597~604)、以前に確認されたCARクラスタリング(Longら、Nat Med.、2015年;21巻(6号):頁581~590)の説明になる。最終的に、このscFvの二量体化又はオリゴマー化は、単量体CAR骨格をベースとした場合であっても、二価又は多価のCARの形成をもたらす。したがって、V
HとV
Lとの間のリンカーを切断することで、オリゴマー化が防がれるため、単量体CAR骨格をベースとした低親和性CARの活性化が防がれる。さらに、リンカーを含まないV
Hドメイン及びV
Lドメインが、T細胞表面上で少なくとも部分的にヘテロ二量体化し、機能的なV
H/V
Lヘテロ二量体(すなわち、Fv)を形成できると仮定した。Fv間に非特異的な接着性がないならば、これらのFvは、低親和性(4D5-5の場合ではKd1.1μM)であるために、(V
H保有鎖と細胞内で融合したFKBP F36Vドメインを介した)2つのFvの制御された二量体化後のみ、T細胞活性化を惹起できるはずである。実際に、
図4Hは、これがその通りであることを示しており、低親和性scFv 4D5-5のV
H及びV
Lを2つの別々の膜アンカー分子上に分離(配列番号56及び配列番号57)することで示すことができた。予想の通り、これらの構築物を発現するCAR T細胞(
図4C及び
図4D)は、tHER2陽性標的細胞によって活性化されなかった。しかし、V
H構築物がAP20187によってホモ二量体化した場合、上記T細胞は上記標的細胞によって活性化された(
図4H)。この二量体化剤の存在下でのT細胞活性化により、2つの別々の構築物が実際にT細胞表面上で機能的なFvを形成することと、二量体化剤の非存在下での活性化の欠如がFvの一価性によるものであることが、確認された。これは、4D5-5の低親和性と、実施例2でrcSso7dベース抗原結合部分を用いて得られた知見と、一致する。比較のため、scFv型(すなわち、リンカー「218」によって連結されたV
H及びV
L)の発現を、低発現であるのにもかかわらずCAR T細胞の強力な活性化をもたらした(
図4H)、V
H構築物を用いて得られた発現レベル(
図4C)に、おおよそに調整した。まとめると、
図4のデータは、少なくともある特定のscFv型が、T細胞表面上の隣接し合う分子間でのV
H及びV
Lの分子間ヘテロ二量体化によって、部分的に二量体化(又はオリゴマー化)することを、強く示唆している。システインアミノ酸残基によって引き起こされた二量体化又はオリゴマー化(上述)と同様、少なくともある特定のscFvバリアントによって媒介された、CAR分子の無制御な二量体化又はオリゴマー化は、制御分子とは無関係に、ホモ二量体化又はホモオリゴマー化を引き起こし得る。したがって、本発明の、好ましい実施形態では、CAR群のCAR分子の抗原結合部分も、上記群のCAR分子に結合している他のポリペプチドの抗原結合部分も、scFvではない。
【0348】
ヒト細胞株の維持
初代ヒトT細胞を、アフェレーシス後の匿名化健常ドナーの血液(オーストリア赤十字社(ウィーン、オーストリア)から入手したバフィーコート)から得た。CD3陽性T細胞を、RosetteSep Human T cell Enrichment Cocktailを用いたネガティブセレクションにより濃縮した。単離精製後のT細胞は、使用まで、20%FCS及び10%DMSOを添加したRPMI-1640培地中で凍結保存した。CD3陽性T細胞を、抗CD3/CD28ビーズを製造業者の取扱説明書に従って用いて活性化し、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、及び200IU/mL組み換えヒトIL-2を添加されたRPMI-1640からなるヒトT細胞培地中で増殖させた。初代T細胞を少なくとも14日間培養した後、実験を行った。ジャーカットT細胞は、CCRIのSabine Strehl博士から譲渡されたものであり、10%FCS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640中で維持した。細胞株は定期的にマイコプラズマ混入検査にかけられ、ドイツのマルチプレクション社で細胞株認証を受けた。AccuCheck Counting Beadsにより、細胞密度をモニターした。
【0349】
mRNAのインビトロ転写及びエレクトロポレーション
mMessage mMachine T7 Ultra Kitを製造業者の取扱説明書に従って用いて、インビトロ転写を行った。反応用テンプレートとして50~200ngのカラム精製PCR産物を用いた。得られたmRNAを、RNeasyカラム精製キットを用いて、適合されたプロトコルにより精製した。簡潔には、mRNA溶液を、RLT緩衝液、エタノール、及び2-メルカプトエタノールの混合物で希釈した。この混合物をRNeasyカラムにロードし、製造業者の取扱説明書に従って精製を行った。溶出をNuclease-Free Waterで行い、精製後のmRNAはエレクトロポレーションまで-80℃で凍結した。一過性の導入遺伝子発現のために、初代T細胞又はジャーカットT細胞に、Gene Pulser(バイオラド社)を用いた、異なる量の各種mRNAのエレクトロポレーションを行った。以下のプロトコルを各種細胞型に用いた:初代T細胞(矩形波プロトコル、500V、5ms、4mmキュベット)、ジャーカットT細胞(矩形波プロトコル、500V、3ms、4mmキュベット)。
【0350】
抗体及びフローサイトメトリー
初代ヒトT細胞又は腫瘍細胞株をFACS用緩衝液(PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウム)中に再懸濁し、4℃で10分間10%ヒト血清で処理した。各種一次抗体で、4℃で25分間、細胞を染色した。染色細胞をFACS用緩衝液で2回洗浄した後、二次抗体で4℃で25分間染色するか、又はそのままBD LSRFortessaで処理した。CAR構築物の発現を、抗Strep IIタグ抗体(クローン5A9F9、ジェンスクリプト社)を用いてStrep IIタグを介して、又は一次抗体として抗FLAGタグ抗体(クローンL5、バイオレジェンド社)を用いてFLAGタグを介して、検出し、Strep IIタグ抗体の場合はPE結合型又はAPC結合型二次抗体を用いた。PE結合型抗HER2抗体(クローン24D2、バイオレジェンド社)を用いて、改変標的抗原tHER2の発現を検出した。FlowJoソフトウェアで解析を行った。
【0351】
導入遺伝子コンストラクトの構築
GM-CSF-Raシグナルペプチド、抗ヒトCD19 scFv FMC63、ヒトCD8αヒンジ、ヒト単量体CD8αヒンジ(UniProt ID P01732、C164S、及びC181S)、及びCD8α膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、並びにCD3ζ ITAMシグナル伝達ドメインをコードする各ヌクレオチド配列は、ジェンスクリプト社によって合成された。シグナルペプチドIgGk、抗ヒトHER2 scFv 4D5-5、及び二量体形成ドメインFKBP F36Vをコードする各ヌクレオチド配列は、GeneArt(サーモサイエンティフィック社)によって合成された。HER2の細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインをコードする各配列はアドジーン社から得た(プラスミド#16257)。Strep IIタグ(NWSHPQFEK)又はFLAGタグ(DYKDDDDK)及び可動性リンカーの挿入はPCRにより行った。機能的導入遺伝子へのヌクレオチド配列構築は、Gibson Assembly Master Mixを製造業者の取扱説明書に従って用いることで、実行した。模式図及び配列をそれぞれ
図14及び
図15に示す。得られたコンストラクトはPCRで増幅した後、インビトロ転写に用いた。
【0352】
ルシフェラーゼをベースとした細胞毒性アッセイ
ルシフェラーゼ発現腫瘍細胞を、CAR T細胞と、10,000個の標的細胞/ウェルとしてE:T細胞比2:1で、白色丸底96ウェルプレート内で、37℃で4時間、フェノール不含RPMI、10%FCS、1%L-グルタミン、及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンからなる細胞毒性アッセイ用培地中で、共培養した。最後に、共培養物の残存ルシフェラーゼ活性を求めることで、残存した生細胞を定量した。10分間室温に戻した後、ルシフェリンを細胞懸濁液に添加し(150μg/mLの終濃度)、20分後にENSPIREマルチモードプレートリーダーを用いてルシフェラーゼ活性を測定した。特異的溶解率を下記式で求めた。特異的溶解率=100-((エフェクターと標的細胞の共培養物を含むウェルから得られたRLU)/(標的細胞のみを含むウェルから得られたRLU)×100))。
【0353】
FACSをベースとした細胞毒性アッセイ
FACSをベースとした細胞毒性アッセイ用に、2つの標的細胞集団を作製した:(i)eGFPと各標的抗原をコードするRNAとをコードするmRNAをエレクトロポレーションで導入されたジャーカット細胞、及び、(ii)mCherryをコードするmRNAのみをエレクトロポレーションで導入されたジャーカット細胞。これら2つの集団を1:1比で混合し、CAR T細胞と、20,000個の標的細胞/ウェルとしてE:T細胞比4:1:1で、丸底96ウェルプレート内で、37℃で4時間、共培養した。CAR T細胞を添加しなかった標的細胞を対照条件(「標的のみ」)とした。上記インキュベーション時間の経過後、共培養物を遠心し(5分間、1600rpm、4℃)、上清を後のサイトカイン測定用に集め、残った細胞は、PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウムからなるFACS用緩衝液100μL中に再懸濁した。標的抗原陽性細胞集団及び標的抗原陰性細胞集団の生存率を、BD LSRFortessaフローサイトメーターを用いて求め、特異的溶解を下記式で算出した。
特異的溶解率=(1-(((試料のeGFP陽性細胞の%)/(試料のmCherry陽性細胞の%)/(「標的のみ」対照のeGFP陽性細胞の%)/(「標的のみ」対照のmCherry陽性細胞の%))))*100。
【0354】
CAR T細胞によるサイトカイン放出
初代CAR T細胞のサイトカイン分泌の評価を、標的細胞と、E:T比1:1又は2:1で、平底96ウェルプレート内で、37℃で4時間又は24時間、共培養することにより、行った。いくつかの実験で、細胞毒性を求めるための共培養実験から得られた上清中の、放出サイトカインの定量を行った。上清は、遠心(1600rpm、7分間、4℃)して残存した細胞とデブリを除去した後、-80℃で凍結した。分泌IFN-γの分析には、ヒトIFNγ ELISA Ready-SET-Go!(登録商標)キット(イーバイオサイエンス社)を製造業者の説明書に従って用いて、ELISAを行った。測定はENSPIREマルチモードプレートリーダーを用いて行った。
【0355】
インビトロにおける導入遺伝子の二量体化
共培養実験に先立ち、導入遺伝子の二量体化を誘導した。初代T細胞を各細胞培地中で最終細胞濃度に希釈した。ホモ二量体化剤AP20187(メドケムエクスプレス社(MedChemExpress))を、細胞培地で希釈し、終濃度10nMで添加した。同一濃度の各溶媒対照DMSOの添加を対照とした。導入遺伝子の二量体化が効率的に行われるように、細胞を37℃で30分間インキュベートし、その後インビトロ実験に用いた。
【0356】
実施例4:ドメインFKBP F36Vのホモ二量体化を介してアビディティを制御することによるスイッチ可能CAR(switchable CAR)の作製
第4の実施例では、条件的なホモ二量体化によりCAR群のアビディティを制御することによる、CAR機能の制御が示される。この目的のために、単量体CAR骨格に、FKBP F36V バリアントをベースとしたホモ二量体化ドメインを組み込み(
図5Aに図示)、この骨格を、EGFRに対して高い親和性又は低い親和性を有する結合部分と融合した(すなわち、それぞれ、S(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z「E11.4.1-WT」(配列番号49)及びS(G32A)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z「E11.4.1-G32A」(配列番号46))。初代ヒトT細胞に、得られたCAR分子をコードするレンチウイルスベクターを導入した。CARの発現をStrep IIタグを介して検出し、
図5Bに示す。機能解析のために、CAR T細胞を、高レベルのEGFRを発現する(
図5C)標的細胞株A431-fLucとE:T比10:1で、37℃で4時間共培養した。標的細胞の細胞毒性を、ルシフェラーゼをベースとした細胞毒性アッセイで求めた。CD19特異的標準CAR CD19-8cys-BB-3zを発現するT細胞「CD19-BBz」(配列番号58)と、CARを含まないT細胞(「CARなし」)とを、対照条件として用いた。標的細胞との共培養に先立ち、10nM AP20187をT細胞に添加することで、CAR二量体化を誘導した。溶媒対照DMSOの添加を対照とした。
図5Dは、低親和性結合部分E11.4.1-G32Aを有するCAR(S(G32A)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z(配列番号46))の機能が、二量体化剤AP20187の存在に強く依存していたが、高親和性結合部分E11.4.1-WTを有するCAR(S(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z(配列番号49))の機能はそれに依存していなかったことを示している。CAR発現を伴わないT細胞を用いた対照条件で分かる通り、二量体化剤はそれ自体、標的細胞の溶解に影響を及ぼさなかった。
【0357】
ヒト細胞株の維持
初代ヒトT細胞を、アフェレーシス後の匿名化健常ドナーの血液(オーストリア赤十字社(ウィーン、オーストリア)から入手したバフィーコート)から得た。CD3陽性T細胞を、RosetteSep Human T cell Enrichment Cocktailを用いたネガティブセレクションにより濃縮した。単離精製後のT細胞は、使用まで、20%FCS及び10%DMSOを添加したRPMI-1640培地中で凍結保存した。CD3陽性T細胞を、抗CD3/CD28ビーズを製造業者の取扱説明書に従って用いて活性化し、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、及び200IU/mL組み換えヒトIL-2を添加されたRPMI-1640からなるヒトT細胞培地中で増殖させた。初代T細胞を少なくとも14日間培養した後、実験を行った。A431類表皮癌細胞は10%FCS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したDMEM(サーモサイエンティフィック社)中で維持した。細胞株は定期的にマイコプラズマ混入検査にかけられ、ドイツのマルチプレクション社で細胞株認証を受けた。AccuCheck Counting Beadsにより、細胞密度をモニターした。
【0358】
T細胞及び細胞株の形質導入
パントロピックVSV-G偽型レンチウイルスのウイルス作製を、Lenti-X 293T細胞(クロンテック・ラボラトリーズ社)から、第3世代ピューロマイシンセレクション可能pCDH導入遺伝子ベクター(システム・バイオサイエンス社(System Biosciences))と、第2世代ウイルスパッケージングプラスミドpMD2.G及びpsPAX2(共にアドジーン社から入手、それぞれプラスミド#12259及び#12260)とを用いて、行った。同時トランスフェクションを、Purefection Transfection Reagent(システム・バイオサイエンス社)を製造業者の取扱説明書に従って用いて行った。上清を、トランスフェクションの1日後及び2日後に集め、Lenti-X Concentrator(クロンテック・ラボラトリーズ社)を製造業者の取扱説明書に従って用いて濃縮した。
レンチウイルスによる形質導入の24時間前に、抗CD3/28ビーズを製造業者の取扱説明書に従って用いて、初代T細胞を活性化した。細胞培養プレートを、製造業者の取扱説明書に従ってRetroNectin(クロンテック・ラボラトリーズ社)でコートし、レンチウイルスと初代T細胞の共存を促進した。細胞を濃縮レンチウイルス上清に1日間暴露し、その後ウイルス粒子を除去した。3日後、導入遺伝子が高レベル且つ均一に発現されるように、T細胞を1μg/mLピューロマイシン(シグマ・アルドリッチ社)で処理した。T細胞を、2%Octaplas(オクタファルマ社)、1%L-グルタミン、2.5%HEPES(サーモサイエンティフィック社)、及び200IU/mL組み換えヒトIL-2を添加したAIM-V(ライフテクノロジーズ社)からなるT細胞形質導入用培地中で増殖させた。
形質導入の時点で指数関数的な細胞成長が行われるように、レンチウイルスによる形質導入の24時間前に、細胞株を分割した。細胞を異なる濃度のレンチウイルス上清に1日間暴露した。形質導入の3日後、1~8μg/mLの範囲の濃度のピューロマイシンによるセレクションを行い、非形質導入細胞を排除した。
【0359】
抗体及びフローサイトメトリー
初代ヒトT細胞又は腫瘍細胞株をFACS用緩衝液(PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウム 中に再懸濁し、4℃で10分間10%ヒト血清で処理した。各種一次抗体で、4℃で25分間、細胞を染色した。染色細胞をFACS用緩衝液で2回洗浄した後、二次抗体で4℃で25分間染色するか、又はそのままBD LSRFortessaで処理した。CAR構築物の発現の、Strep IIタグを介した検出を、抗Strep IIタグ抗体(クローン5A9F9、ジェンスクリプト社)、又はCD19-BBz CARの場合はプロテインLを一次抗体として用い、さらに、PE結合型又はAPC結合型の二次抗体を用いて、行った。EGFR発現を、PE結合型抗EGFR抗体(クローンAY13、バイオレジェンド社)で検出した。FlowJoソフトウェアで解析を行った。
【0360】
導入遺伝子コンストラクトの構築
CD33シグナルペプチド、低親和性rcSso7dバリアントE11.4.1-G32A、Strep IIタグ(NWSHPQFEK)、可動性G
4Sリンカー、ヒト単量体CD8αヒンジ(UniProt ID P01732、C164S、及びC181S)、及びCD8α膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、二量体形成ドメインFKBP F36V、並びにCD3ζ ITAMシグナル伝達ドメインをコードする各ヌクレオチド配列は、GeneArt(サーモサイエンティフィック社)によって合成された。機能的導入遺伝子へのヌクレオチド配列構築は、Gibson Assembly Master Mixを製造業者の取扱説明書に従って用いることで、実行した。模式図及び配列をそれぞれ
図14及び
図15に示す。得られたコンストラクトはPCRで増幅した後、インビトロ転写に用いた。
【0361】
ルシフェラーゼをベースとした細胞毒性アッセイ
ルシフェラーゼ発現腫瘍細胞を、CAR T細胞と、10,000個の標的細胞/ウェルとしてE:T細胞比2:1で、白色丸底96ウェルプレート内で、37℃で4時間、フェノール不含RPMI、10%FCS、1%L-グルタミン、及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンからなる細胞毒性アッセイ用培地中で、共培養した。最後に、共培養物の残存ルシフェラーゼ活性を求めることで、残存した生細胞を定量した。10分間室温に戻した後、ルシフェリンを細胞懸濁液に添加し(150μg/mLの終濃度)、20分後にENSPIREマルチモードプレートリーダーを用いてルシフェラーゼ活性を測定した。特異的溶解率を下記式で求めた。
特異的溶解率=100-((エフェクターと標的細胞の共培養物を含むウェルから得られたRLU)/(標的細胞のみを含むウェルから得られたRLU)×100))。
【0362】
インビトロにおける導入遺伝子の二量体化
共培養実験に先立ち、導入遺伝子の二量体化を誘導した。初代T細胞を各細胞培地中で最終細胞濃度に希釈した。ホモ二量体化剤AP20187を、細胞培地で希釈し、終濃度10nMで添加した。同一濃度の各溶媒対照DMSOの添加を対照とした。導入遺伝子の二量体化が効率的に行われるように、細胞を37℃で30分間インキュベートし、その後インビトロ実験に用いた。
【0363】
実施例5:薬剤投与でアビディティを制御可能なCAR群を発現する安定的に遺伝子導入されたT細胞による腫瘍担持マウスの処置
実施例5では、免疫不全NOD.Cg-Prkdc
scidIl2rg
tm1WJI/SzJ(NSG)マウスの白血病モデルにおいて、制御分子の存在下では、低親和性CAR「S(G32A)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z」(配列番号46)を発現する、レンチウイルス導入を受けたT細胞によって、腫瘍成長を効率的に阻害できるが、制御分子の非存在下では阻害できないことが示される。
上記インビボモデルのために、高発現のtEGFR(約1×10
6 tEGFR分子/細胞)及び生物発光イメージングの使用による腫瘍成長のインビボ定量化用のホタルルシフェラーゼのためのベクターを導入された、B-ALL細胞株Nalm6が使用された。0.5×10
6個のNalm6-tEGFR-fLuc細胞をNSGマウスに静脈内(i.v.)注射した場合、無処置マウスでは指数関数的な腫瘍成長が生じた。しかし、
図6Aは、腫瘍細胞注射の3日後に、抗CD19 CAR CD19-8cys-BB-3z(配列番号58)又は高親和性抗EGFR CAR「S(WT)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z」(配列番号49)を発現する10×10
6個のT細胞を静脈内注射した場合に、NSGマウスにおけるこの細胞株の増殖が効率的に阻害されたことを示している。重要なこととして、低親和性EGFR-CAR「S(G32A)-8ser-BB-FKBP(36V)-3z」(配列番号46)を有するT細胞も、ホモ二量体化剤AP20187(すなわち、制御分子)を定期的に投与した場合に限り、白血病増殖を阻害したが(
図6A)、このことは、CAR S(G32A)-8ser-BB-FKBP(36V)-3zが、二量体状態(すなわち、複合型CAR群=ON状態)でのみ充分な活性を有することを示している。二量体化剤の非存在下(すなわち、非複合型CAR=OFF状態)では、中程度の増殖阻害(
図6A)しか確認されなかった。T細胞注射の11日後、この後者のマウス群に二量体化剤(すなわち、制御分子)を投与した場合、CAR分子の複合体化が引き起こされることで、2匹のマウスに担持された腫瘍が強く減少し、他の3匹のマウスでは中程度中程度の阻害が生じる結果となった(
図6B)。まとめると、これらのインビボ実験は、インビトロでのデータを確認するものであり、低親和性抗原結合部分を有するCAR分子を発現する細胞は、当該CAR分子が複合体化(すなわちアセンブル)してCAR群となり、アビディティを得てはじめて、効率的に惹起されることを示している。
CARの発現は、rcSso7dベースCARの場合では抗Strep IIタグ抗体を用いて検出し、CD19特異的CARの場合ではプロテインLを用いて検出した(それぞれ、
図7A及び
図7B)。インビトロにおける機能特性評価のため、CAR T細胞を、EGFRを発現しないNalm6細胞(「Nalm6-fLuc」)又は高レベルのEGFRを発現するNalm6細胞(「Nalm6-tEGFR-fLuc」)(
図7E及び
図7F)と、37℃で4時間、E:T比10:1で、共培養した。標的細胞との共培養に先立ち、10nM AP20187をT細胞に添加することで、CARホモ二量体化を誘導した。溶媒対照DMSOの添加を対照とした。
図7C及び
図7Dは、それぞれNalm6-fLuc細胞又はNalm6-EGFR-fLuc細胞と共培養されたCAR T細胞の、細胞溶解能を示している。
【0364】
ヒト細胞株の維持
初代ヒトT細胞を、アフェレーシス後の匿名化健常ドナーの血液(オーストリア赤十字社(ウィーン、オーストリア)から入手したバフィーコート)から得た。CD3陽性T細胞を、RosetteSep Human T cell Enrichment Cocktailを用いたネガティブセレクションにより濃縮した。単離精製後のT細胞は、使用まで、20%FCS及び10%DMSOを添加したRPMI-1640培地中で凍結保存した。CD3陽性T細胞を、抗CD3/CD28ビーズを製造業者の取扱説明書に従って用いて活性化し、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、及び200IU/mL組み換えヒトIL-2を添加されたRPMI-1640からなるヒトT細胞培地中で増殖させた。初代T細胞を少なくとも14日間培養した後、実験を行った。細胞株は定期的にマイコプラズマ混入検査にかけられ、ドイツのマルチプレクション社で細胞株認証を受けた。AccuCheck Counting Beadsにより、細胞密度をモニターした。
【0365】
T細胞及び細胞株の形質導入
パントロピックVSV-G偽型レンチウイルスのウイルス作製を、Lenti-X 293T細胞から、第3世代ピューロマイシンセレクション可能pCDH導入遺伝子ベクター)と、第2世代ウイルスパッケージングプラスミドpMD2.G及びpsPAX2(共にアドジーン社から入手、それぞれプラスミド#12259及び#12260)とを用いて、行った。同時トランスフェクションを、Purefection Transfection Reagentを製造業者の取扱説明書に従って用いて行った。上清を、トランスフェクションの1日後及び2日後に集め、Lenti-X Concentratorを製造業者の取扱説明書に従って用いて濃縮した。
レンチウイルスによる形質導入の24時間前に、抗CD3/28ビーズを製造業者の取扱説明書に従って用いて、初代T細胞を活性化した。細胞培養プレートを、製造業者の取扱説明書に従ってRetroNectinでコートし、レンチウイルスと初代T細胞の共存を促進した。細胞を濃縮レンチウイルス上清に1日間暴露し、その後ウイルス粒子を除去した。3日後、導入遺伝子が高レベル且つ均一に発現されるように、T細胞を1μg/mLピューロマイシンで処理した。T細胞を、2%Octaplas、1%L-グルタミン、2.5%HEPES、及び200IU/mL組み換えヒトIL-2を添加したAIM-VからなるT細胞形質導入用培地中で増殖させた。
形質導入の時点で指数関数的な細胞成長が行われるように、レンチウイルスによる形質導入の24時間前に、細胞株を分割した。細胞を異なる濃度のレンチウイルス上清に1日間暴露した。形質導入の3日後、非形質導入細胞を排除するために、1~8μg/mLの範囲の濃度のピューロマイシンによるセレクションを行った。
【0366】
導入遺伝子コンストラクトの構築
CD33シグナルペプチド、低親和性rcSso7dバリアントE11.4.1-G32A、Strep IIタグ(NWSHPQFEK)、可動性G
4Sリンカー、ヒト単量体CD8αヒンジ(UniProt ID P01732、C164S、及びC181S)、及びCD8α膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、二量体形成ドメインFKBP F36V、並びにCD3ζ ITAMシグナル伝達ドメインをコードする各ヌクレオチド配列は、GeneArt(サーモサイエンティフィック社)によって合成された。GM-CSF-Raシグナルペプチド及び抗ヒトCD19 scFv FMC63をコードする各ヌクレオチド配列は、ジェンスクリプト社によって合成された。EGFRの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインをコードするヌクレオチド配列はアドジーン社から得た(プラスミド#11011)。機能的導入遺伝子へのヌクレオチド配列構築は、Gibson Assembly Master Mixを製造業者の取扱説明書に従って用いることで、実行した。模式図及び配列をそれぞれ
図14及び
図15に示す。得られたコンストラクトはPCRで増幅した後、インビトロ転写に用いた。
【0367】
抗体及びフローサイトメトリー
初代ヒトT細胞又は腫瘍細胞株をFACS用緩衝液(PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウム 中に再懸濁し、4℃で10分間10%ヒト血清で処理した。各種一次抗体で、4℃で25分間、細胞を染色した。染色細胞をFACS用緩衝液で2回洗浄した後、二次抗体で4℃で25分間染色するか、又はそのままBD LSRFortessaで処理した。CAR構築物の発現の、Strep IIタグを介した検出を、抗Strep IIタグ抗体(クローン5A9F9、ジェンスクリプト社)、又はCD19-BBz CARの場合はプロテインLを一次抗体として用い、さらに、PE結合型又はAPC結合型の二次抗体を用いて、行った。EGFR発現を、PE結合型抗EGFR抗体(クローンAY13、バイオレジェンド社)で検出した。FlowJoソフトウェアで解析を行った。
【0368】
ルシフェラーゼをベースとした細胞毒性アッセイ
ルシフェラーゼ発現腫瘍細胞を、CAR T細胞と、10,000個の標的細胞/ウェルとしてE:T細胞比2:1で、白色丸底96ウェルプレート内で、37℃で4時間、フェノール不含RPMI、10%FCS、1%L-グルタミン、及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンからなる細胞毒性アッセイ用培地中で、共培養した。最後に、共培養物の残存ルシフェラーゼ活性を求めることで、残存した生細胞を定量した。10分間室温に戻した後、ルシフェリンを細胞懸濁液に添加し(150μg/mLの終濃度)、20分後にENSPIREマルチモードプレートリーダーを用いてルシフェラーゼ活性を測定した。特異的溶解率を下記式で算出した。
特異的溶解率=100-((エフェクターと標的細胞の共培養物を含むウェルから得られたRLU)/(標的細胞のみを含むウェルから得られたRLU)×100))。
【0369】
インビトロにおける導入遺伝子の二量体化
共培養実験に先立ち、導入遺伝子の二量体化を誘導した。初代T細胞を各細胞培地中で最終細胞濃度に希釈した。ホモ二量体化剤AP20187を、細胞培地で希釈し、終濃度10nMで添加した。同一濃度の各溶媒対照DMSOの添加を対照とした。導入遺伝子の二量体化が効率的に行われるように、細胞を37℃で30分間インキュベートし、その後インビトロ実験に用いた。
【0370】
インビボにおける標的細胞死滅
NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1WJI/SzJ(NSG)マウスはアンナ・シュピーゲル(Anna Spiegel)動物育種施設で飼育された。後の実験のために、マウスをウィーン医科大学の前臨床研究所(PIL)に移した。全ての手順はウィーン市58課サービスセンター(Magistratsabteilung 58, Vienna)に承認された通りに実施した(GZ: 813267/2015/24)。
初代T細胞を、「T細胞及び細胞株の形質導入」に示されたプロトコルを用いて、CD19特異的対照CAR(CD19-BBz)、EGFR特異的高親和性CAR及びEGFR特異的低親和性CAR(それぞれ「E11.4.1-WT」及び「E11.4.1-G32A」)を発現するように改変した。形質導入後、CAR T細胞をインビボ実験前に14日間を超えて増殖させ、充分な細胞数を得た。
ホモ二量体化剤AP20187(クロンテック・ラボラトリーズ社)を、製造業者の取扱説明書に従って、溶媒液中に溶解させた。簡潔には、AP20187をまず、エタノール中に12.5mg/mLの濃度となるように、激しくボルテックスしながら溶解させた。次に、この化合物を、PEG-400(シグマ・アルドリッチ社)及びTween-80(シグマ・アルドリッチ社)の適切な混合物水溶液を用いて、最終作用濃度が0.5mg/mLとなるように希釈した。得られた溶媒液は、注射用水中の4%エタノール、10%PEG-400、及び1.7%Tween-80からなるものであった。AP20187の作業用ストックは、注射の直前に調製し、滅菌濾過し、30分以内に使用した。
tEGFR-FKBP及びfLucを高レベルに発現するよう改変されたNalm6細胞(「Nalm6-tEGFR-fLuc」)を、PBS中に再懸濁し、35μmセルストレーナー(コーニング社製Falcon)を通して濾過し、5×106/mLの終濃度に設定した。0.5×106個の細胞を、各NSGマウス(雄及び雌のマウス;ウィーン医科大学、生物医学研究科)の尾静脈に静脈内(i.v.)注射した。3日後、マウスを各種CAR T細胞で処置(10×106個のCAR T細胞を尾静脈に静脈内注射)し、その後、腹腔内(i.p.)注射を用いてホモ二量体化剤AP20187(2mg/kgの用量)又は溶媒対照を注射した。二量体化剤AP20187(2mg/kg)又は溶媒対照は、指定の0日目(T細胞注射直後)、1日目、2日目、4日目、7日目、9日目、及び11日目に投与した。全ての対照条件は、各種溶媒対照(注射用水中の4%エタノール、10%PEG-400、及び1.7%Tween-80)を用いて処置した。腫瘍の成長及びコントロールを、生物発光イメージング(BLI)でモニターした。実験の最後にマウスを頸椎脱臼で屠殺した。
【0371】
生物発光イメージング(BLI)
腫瘍成長のBLIイメージングを、ウィーン医科大学の前臨床研究所(PIL)で、In Vivo Imaging System(パーキンエルマー社)を用いて行った。D-ルシフェリン基質(パーキンエルマー社)を、終濃度が15mg/mLとなるようにPBS中に溶解させ、滅菌濾過した。マウスをイソフルランで麻酔し、ルシフェリン作業用ストック(最終用量150mg/kg体重)を腹腔内注射した。15~20分後、1~3匹のマウスをIVIS Imaging Systemに移し、生物発光を、中ビニングモードで、1秒~2分の撮像時間で測定し、不飽和画像を得た。ルシフェラーゼ活性をLiving Image Software (キャリパー社(Caliper))で解析し、マウスの全身を含む関心領域内の光子束を測定した。
【0372】
実施例6:標的抗原が単量体か二量体かに依存した、CAR分子のヘテロ二量体化によるCARアビディティの制御、及びCAR T細胞の感受性
実施例6では、CAR分子のアビディティをヘテロ二量体化により制御した。さらに、本実施例では、制御分子の存在下又は非存在下における、高親和性結合部分「E11.4.1-WT」を含むCAR群(S(WT)-8ser-BB-FKBP-3z+S(WT)-8ser-FRB-3z)を発現するT細胞と比較した、低親和性結合部分「E11.4.1-G32A」を含むCAR群(S(G32A)-8ser-BB-FKBP-3z+S(G32A)-8ser-BB-FRB-3z)を発現するT細胞の感受性、及び、標的抗原が単量体となるか結合型となるかに対する影響、が示される。
標的細胞(ジャーカットT細胞)に、tEGFRをコードする異なる量のmRNA(0.02μg~10μg)をエレクトロポレーションで導入したところ、数百分子/細胞から約300,000分子/細胞の範囲のtEGFRの発現レベルが得られた。ジャーカットT細胞におけるtEGFRの発現(MFI及び分子/細胞)を
図8A~
図8Cに示す。二量体形成ドメイン間のクロストークを最小限にするため、オルソゴナルな二量体化系を標的細胞及びエフェクター細胞に用いた。この目的のため、低親和性抗原結合部分E11.4.1-G32A及び高親和性抗原結合部分E11.4.1-WTを、それぞれヘテロ二量体形成ドメインFKBP又はFRBを含む、単量体CAR骨格8ser-BB-FKBP-3z及び8ser-BB-FRB-3zに導入し(E11.4.1-G32Aの場合はS(G32A)-8ser-BB-FKBP-3z+S(G32A)-8ser-BB-FRB-3z、E11.4.1-WTの場合はS(WT)-8ser-BB-FKBP-3z+S(WT)-8ser-BB-FRB-3z)、得られたCAR分子のラパログAP21967による条件的ヘテロ二量体化を行った(
図8Fに図示)。初代ヒトT細胞に、各構築物のmRNA(5μg)をエレクトロポレーションで導入し、エレクトロポレーションの20時間後に、Strep IIタグ及びFLAGタグを用いて発現を検出した(
図8D及び
図8E)。
図8G及び
図8Hは、AP21967(CARのヘテロ二量体化の場合)及びAP20187(tEGFRのホモ二量体化の場合)の存在下又は非存在下における、ジャーカットT細胞の表面上に存在する抗原分子数に依存した、低親和性結合ドメインを有するCARを発現するT細胞及び高親和性結合ドメインを有するCARを発現するT細胞の、細胞毒性を惹起する能力及びサイトカインを分泌する能力を示している。高親和性CAR分子であるS(WT)-8ser-BB-FKBP-3z及びS(WT)-8ser-BB-FRB-3zを含むCAR群は、抗原又はCAR群の二量体化とは無関係に、低抗原用量で、効率的なエフェクター機能を惹起した。低親和性CAR分子であるS(G32A)-8ser-BB-FKBP-3z及びS(G32A)-8ser-BB-FRB-3zを含むCAR群は、制御分子AP21967の存在に大きく依存し、AP21967の非存在下では、高抗原用量であっても、エフェクター機能を惹起しないか、不十分に惹起するのみであった。T細胞による強力な細胞溶解機能及びサイトカイン分泌は、CAR分子及び抗原分子の両方が二量体化した場合にのみ確認された。
【0373】
ヒト細胞株の維持
初代ヒトT細胞を、アフェレーシス後の匿名化健常ドナーの血液(オーストリア赤十字社(ウィーン、オーストリア)から入手したバフィーコート)から得た。CD3陽性T細胞を、RosetteSep Human T cell Enrichment Cocktailを用いたネガティブセレクションにより濃縮した。単離精製後のT細胞は、使用まで、20%FCS及び10%DMSOを添加したRPMI-1640培地中で凍結保存した。CD3陽性T細胞を、抗CD3/CD28ビーズを製造業者の取扱説明書に従って用いて活性化し、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、及び200IU/mL組み換えヒトIL-2を添加されたRPMI-1640からなるヒトT細胞培地中で増殖させた。初代T細胞を少なくとも14日間培養した後、実験を行った。ジャーカットT細胞は、CCRIのSabine Strehl博士から譲渡されたものであり、10%FCS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640中で維持した。細胞株は定期的にマイコプラズマ混入検査にかけられ、ドイツのマルチプレクション社で細胞株認証を受けた。AccuCheck Counting Beadsにより、細胞密度をモニターした。
【0374】
抗体及びフローサイトメトリー
初代ヒトT細胞又は腫瘍細胞株をFACS用緩衝液(PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウム中に再懸濁し、4℃で10分間10%ヒト血清で処理した。各種一次抗体で、4℃で25分間、細胞を染色した。染色細胞をFACS用緩衝液で2回洗浄した後、二次抗体で4℃で25分間染色するか、又はそのままBD LSRFortessaで処理した。CAR構築物の発現を、抗Strep IIタグ抗体(クローン5A9F9、ジェンスクリプト社)を用いてStrep IIタグを介して、又は一次抗体として抗FLAGタグ抗体(クローンL5、バイオレジェンド社)を用いてFLAGタグを介して、検出し、抗Strep IIタグ抗体の場合はPE結合型又はAPC結合型二次抗体を用いた。EGFRの発現を、PE結合型又はAPC結合型の抗EGFR抗体(クローンAY13、バイオレジェンド社)で検出した。FlowJoソフトウェアで解析を行った。
【0375】
導入遺伝子表面密度の測定
QuantiBRITE Phycoerythrin Fluorescence Quantitation Kit(ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson))を製造業者の取扱説明書に従って用いて、各種T細胞の表面上のtEGFR及び各種CARの分子数を定量化した。「抗体及びフローサイトメトリー」に記載のプロトコルを用いて、導入遺伝子発現細胞及び非トランスフェクト対照細胞を飽和濃度の各種PE標識抗体で染色した。蛍光強度の幾何平均を求め、対照細胞を用いた非特異的結合に対して補正し、細胞当たりの結合抗体数(ABC)の推定に用いた。
【0376】
導入遺伝子コンストラクトの構築
CD33シグナルペプチド、低親和性rcSso7dバリアントE11.4.1-G32A、Strep IIタグ(NWSHPQFEK)、可動性G
4Sリンカー、ヒト単量体CD8αヒンジ(UniProt ID P01732、C164S、及びC181S)、及びCD8α膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、二量体形成ドメインFKBP F36V及びFRB、並びにCD3ζ ITAMシグナル伝達ドメインをコードする各ヌクレオチド配列は、GeneArt(サーモサイエンティフィック社)によって合成された。二量体形成ドメインFKBPをコードするヌクレオチド配列はジェンスクリプト社によって合成された。EGFRの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインをコードする配列はアドジーン社から得た(プラスミド#11011)。可動性リンカーの挿入はPCRで実行した。機能的導入遺伝子へのヌクレオチド配列構築は、Gibson Assembly Master Mixを製造業者の取扱説明書に従って用いることで、実行した。模式図及び配列をそれぞれ
図14及び
図15に示す。得られたコンストラクトはPCRで増幅した後、インビトロ転写に用いた。
【0377】
mRNAのインビトロ転写及びエレクトロポレーション
mMessage mMachine T7 Ultra Kitを製造業者の取扱説明書に従って用いて、インビトロ転写を行った。反応用テンプレートとして50~200ngのカラム精製PCR産物を用いた。得られたmRNAを、RNeasyカラム精製キットを用いて、適合されたプロトコルにより精製した。簡潔には、mRNA溶液を、RLT緩衝液、エタノール(メルク社)、及び2-メルカプトエタノールの混合物で希釈した。この混合物をRNeasyカラムにロードし、製造業者の取扱説明書に従って精製を行った。溶出をNuclease-Free Waterで行い、精製後のmRNAはエレクトロポレーションまで-80℃で凍結した。一過性の導入遺伝子発現のために、初代T細胞又はジャーカットT細胞に、Gene Pulser(バイオラド社)を用いた、異なる量の各種mRNAのエレクトロポレーションを行った。以下のプロトコルを各種細胞型に用いた:初代T細胞(矩形波プロトコル、500V、5ms、4mmキュベット)、ジャーカットT細胞(矩形波プロトコル、500V、3ms、4mmキュベット)。
【0378】
FACSをベースとした細胞毒性アッセイ
FACSをベースとした細胞毒性アッセイ用に、2つの標的細胞集団を作製した:(i)eGFPと各標的抗原をコードするRNAとをコードするmRNAをエレクトロポレーションで導入されたジャーカット細胞、及び、(ii)mCherryをコードするmRNAのみをエレクトロポレーションで導入されたジャーカット細胞。これら2つの集団を1:1比で混合し、CAR T細胞と、20,000個の標的細胞/ウェルとしてE:T細胞比4:1:1で、丸底96ウェルプレート内で、37℃で4時間、共培養した。CAR T細胞を添加しなかった標的細胞を対照条件(「標的のみ」)とした。上記インキュベーション時間の経過後、共培養物を遠心し(5分間、1600rpm、4℃)、上清を後のサイトカイン測定用に集め、残った細胞は、PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウムからなるFACS用緩衝液100μL中に再懸濁した。標的抗原陽性細胞集団及び標的抗原陰性細胞集団の生存率を、BD LSRFortessaフローサイトメーターを用いて求め、特異的溶解を下記式で算出した
。特異的溶解率=(1-(((試料のeGFP陽性細胞の%)/(試料のmCherry陽性細胞の%)/(「標的のみ」対照のeGFP陽性細胞の%)/(「標的のみ」対照のmCherry陽性細胞の%))))*100。
【0379】
CAR T細胞によるサイトカイン放出
初代CAR T細胞のサイトカイン分泌の評価を、標的細胞と、E:T比1:1又は2:1で、平底96ウェルプレート内で、37℃で4時間又は24時間、共培養することにより、行った。いくつかの実験で、細胞毒性を求めるための共培養実験から得られた上清中の、放出サイトカインの定量を行った。上清は、遠心(1600rpm、7分間、4℃)して残存した細胞とデブリを除去した後、-80℃で凍結した。分泌IFN-γの分析には、ヒトIFNγ ELISA Ready-SET-Go!(登録商標)キット(イーバイオサイエンス社)を製造業者の説明書に従って用いて、ELISAを行った。測定はENSPIREマルチモードプレートリーダーを用いて行った。
【0380】
インビトロにおける導入遺伝子の二量体化
共培養実験に先立ち、導入遺伝子の二量体化を誘導した。初代T細胞及びジャーカットT細胞を各細胞培地中で最終細胞濃度に希釈した。ホモ二量体化剤AP20187及びヘテロ二量体化剤AP21967(クロンテック・ラボラトリーズ社)を細胞培地中で希釈し、それぞれ10nM及び500nMの終濃度で添加した。それぞれ同濃度の溶媒対照DMSO及びエタノールの添加を対照とした。導入遺伝子の二量体化が効率的に行われるように、細胞を37℃で30分間インキュベートし、その後インビトロ実験に用いた。
【0381】
実施例7:VEGFによるCAR群のアビディティの制御
第7の実施例では、細胞外可溶性因子と複合体化可能なCAR群を作製するための戦略が示され、当該細胞外可溶性因子はこの場合本発明における制御分子としての役割を果たした。示された例では、VEGFを、CAR S(G32A)-J.CT6-8ser-BB-3z(配列番号64及び配列番号65)のホモ二量体化のための二量体化剤(すなわち制御分子)候補として用いた。この目的のため、改変されたCH2-CH3-IgG1-Fcドメインを、CAR分子のエクトドメインに組み入れ(配列番号65)、CH2-CH3-Fcドメイン「ヤヌスCT6」を含む可溶性構築物(配列番号64)と共発現させ、これは、VEGFに対し高親和性結合を示すように改変されたものであり(Lobnerら、MAbs.、2017年;9巻(7号):頁1088~1104)、CAR分子のエクトドメイン内のCH2-CH3-Fcドメインとのジスルフィド架橋の形成を介して共有結合的にヘテロ二量体化する。両構築物のCH2-CH3ドメインには、ホモ二量体化を最小限にするための改変を行った(Lobnerら、MAbs.、2017年;9巻(7号):頁1088~1104)。所与の実施例では、E11.4.1-G32Aを、その協同的結合への依存性から、抗原結合部分として用いられた。
図9Aは、上記2つの構築物(配列番号64及び配列番号65)を含むVEGF依存的EGFR特異的CARを表す模式図を示しており、
図9Bは、VEGF添加の効果を示している。ジャーカットT細胞に、tEGFRのmRNA(5μg)をエレクトロポレーションで導入し、エレクトロポレーションの20時間後に発現を検出した(
図9C)。初代ヒトT細胞に、各構築物のmRNA(5μg)をエレクトロポレーションで導入した。このT細胞は、この後、ヤヌス-CT6-Fcドメインと融合された、且つ膜貫通ドメインを含有しない、低親和性E11.4.1-G32A結合部分を含む構築物(配列番号64)と結合した、単量体第2世代CARシグナル伝達骨格(配列番号65)を含む、CAR分子を発現した。2つの構築物を発現する(
図9D)CAR T細胞を、異なる量のVEGFで処理し、高レベルのtEGFRを発現する(
図9C)ジャーカットT細胞と共培養した。
図9Eは、FACSをベースとした細胞毒性アッセイを用いることで測定された、細胞毒性を惹起する能力を示している。
図9Eは、CAR群が、VEGF(すなわち制御分子)依存的に、標的細胞に対するT細胞毒性を惹起したことを示している。このことは、VEGFなどの細胞外可溶性因子を制御分子とすることで、本発明におけるCAR群の複合体化を促進できることを示している。
【0382】
ヒト細胞株の維持
初代ヒトT細胞を、アフェレーシス後の匿名化健常ドナーの血液(オーストリア赤十字社(ウィーン、オーストリア)から入手したバフィーコート)から得た。CD3陽性T細胞を、RosetteSep Human T cell Enrichment Cocktailを用いたネガティブセレクションにより濃縮した。単離精製後のT細胞は、使用まで、20%FCS(シグマ・アルドリッチ社)及び10%DMSOを添加したRPMI-1640培地中で凍結保存した。CD3陽性T細胞を、抗CD3/CD28ビーズを製造業者の取扱説明書に従って用いて活性化し、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、及び200IU/mL組み換えヒトIL-2を添加されたRPMI-1640からなるヒトT細胞培地中で増殖させた。初代T細胞を少なくとも14日間培養した後、実験を行った。ジャーカットT細胞は、CCRIのSabine Strehl博士から譲渡されたものであり、10%FCS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640中で維持した。細胞株は定期的にマイコプラズマ混入検査にかけられ、ドイツのマルチプレクション社で細胞株認証を受けた。AccuCheck Counting Beadsにより、細胞密度をモニターした。
【0383】
抗体及びフローサイトメトリー
初代ヒトT細胞又は腫瘍細胞株をFACS用緩衝液(PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウム中に再懸濁し、4℃で10分間10%ヒト血清で処理した。各種一次抗体で、4℃で25分間、細胞を染色した。染色細胞をFACS用緩衝液で2回洗浄した後、二次抗体で4℃で25分間染色するか、又はそのままBD LSRFortessaで処理した。CAR構築物の発現を、一次抗体として、抗StrepIIタグ抗体(クローン5A9F9、ジェンスクリプト社)を用いてStrep IIタグを介して、又はビオチン化抗ヒトIgG1抗体(クローンJDC-10、ビゾール社(Biozol))を用いてFcドメインを介して、さらに、二次染色試薬としてPE結合型ストレプトアビジンを用いて、検出した。PE結合型又はAPC結合型の抗EGFR抗体(クローンAY13、バイオレジェンド社)を用いて、改変標的抗原tEGFRの発現を検出した。FlowJoソフトウェアで解析を行った。
【0384】
導入遺伝子コンストラクトの構築
CD33シグナルペプチド、低親和性rcSso7dバリアントE11.4.1-G32A、Strep IIタグ(NWSHPQFEK)、可動性G
4Sリンカー、ヒト単量体CD8αヒンジ(UniProt ID P01732、C164S、及びC181S)、及びCD8α膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、並びにCD3ζ ITAMシグナル伝達ドメインをコードする各ヌクレオチド配列は、GeneArt(サーモサイエンティフィック社)によって合成された。CH2-CH3-Fcドメイン「ヤヌスCT6」を含むプラスミド及び変異型「WT」CH2-CH3-Fcドメインを含むプラスミドは、ウィーン天然資源生命科学大学のElisabeth Lobner氏の好意により提供を受けた。EGFRの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインをコードする各配列はアドジーン社から得た(プラスミド#11011)。機能的導入遺伝子へのヌクレオチド配列構築は、Gibson Assembly Master Mixを製造業者の取扱説明書に従って用いることで、実行した。模式図及び配列をそれぞれ
図14及び
図15に示す。得られたコンストラクトはPCRで増幅した後、インビトロ転写に用いた。
【0385】
mRNAのインビトロ転写及びエレクトロポレーション
mMessage mMachine T7 Ultra Kitを製造業者の取扱説明書に従って用いて、インビトロ転写を行った。反応用テンプレートとして50~200ngのカラム精製PCR産物を用いた。得られたmRNAを、RNeasyカラム精製キットを用いて、適合されたプロトコルにより精製した。簡潔には、mRNA溶液を、RLT緩衝液、エタノール、及び2-メルカプトエタノールの混合物で希釈した。この混合物をRNeasyカラムにロードし、製造業者の取扱説明書に従って精製を行った。溶出をNuclease-Free Waterで行い、精製後のmRNAはエレクトロポレーションまで-80℃で凍結した。一過性の導入遺伝子発現のために、初代T細胞又はジャーカットT細胞に、Gene Pulser(バイオラド社)を用いた、異なる量の各種mRNAのエレクトロポレーションを行った。以下のプロトコルを各種細胞型に用いた:初代T細胞(矩形波プロトコル、500V、5ms、4mmキュベット)、ジャーカットT細胞(矩形波プロトコル、500V、3ms、4mmキュベット)。
【0386】
FACSをベースとした細胞毒性アッセイ
FACSをベースとした細胞毒性アッセイ用に、2つの標的細胞集団を作製した:(i)eGFPと各標的抗原をコードするRNAとをコードするmRNAをエレクトロポレーションで導入されたジャーカット細胞、及び、(ii)mCherryをコードするmRNAのみをエレクトロポレーションで導入されたジャーカット細胞。これら2つの集団を1:1比で混合し、CAR T細胞と、20,000個の標的細胞/ウェルとしてE:T細胞比4:1:1で、丸底96ウェルプレート内で、37℃で4時間、共培養した。CAR T細胞を添加しなかった標的細胞を対照条件(「標的のみ」)とした。上記インキュベーション時間の経過後、共培養物を遠心し(5分間、1600rpm、4℃)、上清を後のサイトカイン測定用に集め、残った細胞は、PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウムからなるFACS用緩衝液100μL中に再懸濁した。標的抗原陽性細胞集団及び標的抗原陰性細胞集団の生存率を、BD LSRFortessaフローサイトメーターを用いて求め、特異的溶解を下記式で算出した。
特異的溶解率=(1-(((試料のeGFP陽性細胞の%)/(試料のmCherry陽性細胞の%)/(「標的のみ」対照のeGFP陽性細胞の%)/(「標的のみ」対照のmCherry陽性細胞の%))))*100。
【0387】
VEGFの組み換え発現及び精製
ヒトVEGF(第14~108番残基)の切断型の組み換え発現は、以前に(Lobnerら、MAbs.、2017年;9巻(7号):頁1088~1104)に記述された。
【0388】
実施例8:HER2に対するアフィボディベースのCAR群の作製
第8の実施例では、本発明におけるCAR群での使用に好適な、HER2に対するアフィボディベースの結合部分の作製及び特定を行った。再び、ヒトHER2に対する高親和性結合するよう改変された、十分に特徴付けされた現存の抗原結合部分から始めた(Wikmanら、Protein Eng Des Sel.、2004年;17巻(5号):頁455~462)。潜在的なN型糖鎖修飾部位を除去し、IgG結合を減少させるため、2つの点変異(N23A及びS33K)を結合性スキャフォールドのフレームワーク領域に導入し(Feldwischら、J.Mol.Biol.、2010年;398巻(2号):頁232~47)、抗原結合部分「zHER2-WT」を得た。抗原結合に関与する全てのアミノ酸を順次アラニンに変異させ、それぞれ1つのアラニン変異を含む各種変異体を得ることにより、「zHER2-WT」のアラニンスキャニングを行って、低親和性変異体を作製した。適切な抗原結合部分の選別のために、大腸菌(E.coli)で13種の変異体を発現させ、それらの親和性を測定する代わりに、全ての変異体を、条件的にホモ二量体化可能なCAR骨格(配列番号52におけるバインダーzHER2-WT(WT)で例示)に直接組み込むことで機能スクリーニングを行った(
図10A)。このようにして、各種CARを発現するT細胞を、tHER2をコードするmRNA(5μg)をエレクトロポレーションで導入されたジャーカットT細胞との共培養において、ホモ二量体化剤の存在下及び非存在下での活性化について、直接的にスクリーニングすることができた。
図10Bは、ジャーカット細胞におけるtHER2の発現を示している。初代ヒトT細胞に、各CAR構築物のmRNA(5μg)をエレクトロポレーションで導入し、エレクトロポレーションの20時間後に、ヘキサヒスチジンタグを介して発現を検出した(
図10C)。13種の各種アフィボディベースCARの発現は全て同等であった(
図10D)。構築物を発現しない初代T細胞を陰性対照として用いた(「CARなし」)。機能性スクリーニングのために、ジャーカットT細胞と共培養との共培養に先立ち、CAR T細胞を10nMのAP20187で37℃で30分間処理することで、CAR分子の二量体化を誘導した。溶媒対照DMSOの添加を対照とした。E:T比2:1で37℃で4時間共培養した後、ルシフェラーゼをベースとした細胞毒性アッセイを行うことで、細胞毒性を惹起するCARの能力を測定した。10nM AP20187の存在下又は非存在下でT細胞において細胞毒性を惹起する各種CARの能力を
図10Eに示す。高親和性アフィボディzHER2-WTは、AP20187の存在とは無関係に、効率的な標的細胞溶解を惹起した。同様に、変異体Q11A、Q17A、W24A、T25A、S27A、及びR28Aを含むCARは、二量体化剤の存在に大きな依存性を示さなかった。Y13A置換及びW14A置換を含むアフィボディ抗原結合部分を含むCARによっては細胞毒性は惹起されなかったが、Y35Aは低レベルの細胞毒性を惹起した。二量体化誘導性の活性化が、L9A変異体、R10A変異体、及びR32A変異体を用いた場合に確認され、したがって、これらは、本発明におけるCAR分子への組み込みに適した結合部分である。
【0389】
ヒト細胞株の維持
初代ヒトT細胞を、アフェレーシス後の匿名化健常ドナーの血液(オーストリア赤十字社(ウィーン、オーストリア)から入手したバフィーコート)から得た。CD3陽性T細胞を、RosetteSep Human T cell Enrichment Cocktail(ステムセルテクノロジーズ社(STEMCELL Technologies))を用いたネガティブセレクションにより濃縮した。単離精製後のT細胞は、使用まで、20%FCS及び10%DMSOを添加したRPMI-1640培地中で凍結保存した。CD3陽性T細胞を、抗CD3/CD28ビーズを製造業者の取扱説明書に従って用いて活性化し、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、及び200IU/mL組み換えヒトIL-2を添加されたRPMI-1640からなるヒトT細胞培地中で増殖させた。初代T細胞を少なくとも14日間培養した後、実験を行った。ジャーカットT細胞は、CCRIのSabine Strehl博士から譲渡されたものであり、10%FCS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640中で維持した。細胞株は定期的にマイコプラズマ混入検査にかけられ、ドイツのマルチプレクション社で細胞株認証を受けた。AccuCheck Counting Beadsにより、細胞密度をモニターした。
【0390】
抗体及びフローサイトメトリー
初代ヒトT細胞又は腫瘍細胞株をFACS用緩衝液(PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウム中に再懸濁し、4℃で10分間10%ヒト血清で処理した。各種一次抗体で、4℃で25分間、細胞を染色した。染色細胞をFACS用緩衝液で2回洗浄した後、二次抗体で4℃で25分間染色するか、又はそのままBD LSRFortessaで処理した。CAR構築物の発現を、AF647結合型抗ペンタヒスチジンタグ抗体(キアゲン社)を用いてヘキサヒスチジンタグを介して検出した。PE結合型抗HER2抗体(クローン24D2、バイオレジェンド社)を用いて、改変標的抗原tHER2の発現を検出した。FlowJoソフトウェアで解析を行った。
【0391】
mRNAのインビトロ転写及びエレクトロポレーション
mMessage mMachine T7 Ultra Kitを製造業者の取扱説明書に従って用いて、インビトロ転写を行った。反応用テンプレートとして50~200ngのカラム精製PCR産物を用いた。得られたmRNAを、RNeasyカラム精製キットを用いて、適合されたプロトコルにより精製した。簡潔には、mRNA溶液を、RLT緩衝液、エタノール、及び2-メルカプトエタノールの混合物で希釈した。この混合物をRNeasyカラムにロードし、製造業者の取扱説明書に従って精製を行った。溶出をNuclease-Free Waterで行い、精製後のmRNAはエレクトロポレーションまで-80℃で凍結した。一過性の導入遺伝子発現のために、初代T細胞又はジャーカットT細胞に、Gene Pulser(バイオラド社)を用いた、異なる量の各種mRNAのエレクトロポレーションを行った。以下のプロトコルを各種細胞型に用いた:初代T細胞(矩形波プロトコル、500V、5ms、4mmキュベット)、ジャーカットT細胞(矩形波プロトコル、500V、3ms、4mmキュベット)。
【0392】
導入遺伝子コンストラクトの構築
CD33シグナルペプチド、アフィボディzHER2-WT、ヘキサヒスチジンタグ、可動性G
4Sリンカー、ヒト単量体CD8αヒンジ(UniProt ID P01732、C164S、及びC181S)、及びCD8α膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、二量体形成ドメインFKBP F36V、並びにCD3ζ ITAMシグナル伝達ドメインをコードする各ヌクレオチド配列は、GeneArtによって合成された。HER2の細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインをコードする各配列はアドジーン社から得た(プラスミド#16257)。可動性リンカーの挿入はPCRで実行した。機能的導入遺伝子へのヌクレオチド配列構築は、Gibson Assembly Master Mixを製造業者の取扱説明書に従って用いることで、実行した。模式図及び配列をそれぞれ
図14及び
図15に示す。得られたコンストラクトはPCRで増幅した後、インビトロ転写に用いた。
【0393】
タンパク質抗原結合部分のアラニンスキャン
エピトープ結合に関与する全てのアミノ酸の部位特異的変異誘発は、QuikChange Lightning Site-Directed Mutagenesis Kitを製造業者の取扱説明書に従って用いて行った。プライマーはQuikChange Primer Designソフトウェア(アジレント・ゲノミクス社)を用いて設計し、オリゴヌクレオチドはバイオマース社により合成された。
【0394】
ルシフェラーゼをベースとした細胞毒性アッセイ
ルシフェラーゼ発現腫瘍細胞を、CAR T細胞と、10,000個の標的細胞/ウェルとしてE:T細胞比2:1で、白色丸底96ウェルプレート内で、37℃で4時間、フェノール不含RPMI、10%FCS、1%L-グルタミン、及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンからなる細胞毒性アッセイ用培地中で、共培養した。最後に、共培養物の残存ルシフェラーゼ活性を求めることで、残存した生細胞を定量した。10分間室温に戻した後、ルシフェリンを細胞懸濁液に添加し(150μg/mLの終濃度)、20分後にENSPIREマルチモードプレートリーダーを用いてルシフェラーゼ活性を測定した。特異的溶解率を下記式で算出した。
特異的溶解率=100-((エフェクターと標的細胞の共培養物を含むウェルから得られたRLU)/(標的細胞のみを含むウェルから得られたRLU)×100))。
【0395】
インビトロにおける導入遺伝子の二量体化
共培養実験に先立ち、導入遺伝子の二量体化を誘導した。初代T細胞を各細胞培地中で最終細胞濃度に希釈した。ホモ二量体化剤AP20187を、細胞培地で希釈し、終濃度10nMで添加した。同一濃度の溶媒対照DMSOの添加を対照とした。導入遺伝子の二量体化が効率的に行われるように、細胞を37℃で30分間インキュベートし、その後インビトロ実験に用いた。
【0396】
アフィボディベースの抗原結合部分の発現及び精製
結合性スキャフォールドは、pE-SUMOベクターを用いて、as sfGFP融合タンパク質(N末端ヘキサヒスチジンタグと、それに続くrcSso7d又はアフィボディと、sfGFPとからなる)として発現された。融合タンパク質の模式的な構造を
図14Gに示す。アフィボディベースのバインダーzHER2の種々の変異体を、
図14Gに示されるものと同様に、sfGFPと融合した。sfGFPレポータータンパク質をコードするヌクレオチド配列は、アドジーン社(プラスミド#54737)から入手した。簡潔に説明すると、大腸菌(Escherichia coli)細胞(Tuner DE3)を、熱ショック形質転換を用いて、with配列検証済みプラスミドで形質転換させた。37℃で一晩培養した後、培養液を、カナマイシン(50μg/mL)を添加したTB培地(12g/Lのトリプトン、24g/Lの酵母抽出物、4%グリセロール、2.31g/LのKH2PO4、及び16.43g/LのK2HPO4*3H2O)で1:100希釈し、振盪しながら37℃でインキュベートした。培養液のA600がおよそ2に達したら、1mMのIPTGの添加により、導入遺伝子の発現を誘導し、20℃で一晩細胞をさらに培養した。細胞を遠心分離(5000g、20分、4℃)で回収し、超音波処理用緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、3%グリセロール、1%Triton X-100、pH8.0)に再懸濁し、超音波処理し(2×90秒、デューティサイクル50%、振幅は5に設定)、再度遠心して細胞片を除去した。TALON Metal Affinity Resinを用いて、未精製細胞抽出物からヘキサヒスチジンタグ付き融合タンパク質を精製した。10mMイミダゾールを添加後、超音波処理後の上清を上記樹脂上に2回アプライし、その後、漸増量のイミダゾール(5~15mM)を含有する平衡緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH8.0)で洗浄工程を実施した。250mMイミダゾールを添加した平衡緩衝液をアプライすることで、結合性スキャフォールドを溶出させた。Amicon Ultra-15 10K遠心式フィルターを用いてPBSへの緩衝液交換を行った後、それぞれのモル吸光係数を用いて280nmでの吸光度を測定することにより濃度を求め、最後に、タンパク質を-80℃で直接凍結した。
【0397】
表面プラズモン共鳴(SPR)を用いた結合親和性の測定
SPR実験はBiacore T200装置で行った。実験は全て、脱気及び濾過を行った、25℃の、0.1%BSA及び0.05%Tween-20(メルクミリポア社)を含有するPBS(pH7.4)中で行った。hHER2-Fc(R&D)を、流速10μL/分で、60秒間、濃度4μg/mLで、プロテインAセンサーチップ上に固定した。アフィボディをベースとした抗原結合部分の親和性を求めるため、5つの濃度(抗原結合部分の予想Kdに基づく)の各種タンパク質を、シングルサイクルカイネティクスモードで、流速30μL/分で、15秒間(zHER2-R10A及びzHER2-R32A)又は60秒間(zHER2-WT)注入し、その後、解離工程(zHER2-R10A及びzHER2-R32Aの場合は60秒間、zHER2-WTの場合は180秒間)を行った。再生は10mMグリシン-HCl(pH1.5)を用いて流速30μL/分で30秒間行った。Biacore T200 Evaluation Software(GEヘルスケア社)を用いたカーブフィッティングによりKdを得た。
【0398】
実施例10:3つ又は4つのCAR分子を含むCAR群の作製
2種のオルソゴナルな二量体化プラットフォーム(AP21967を用いるFKBP/FRB;AP20187を用いるFKBP F36V/FKBP F36V)及び低親和性結合部分E11.4.1-G32Aを用いることで、3つ(2つの構築物(配列番号48)及び(配列番号67)を含む)又は4つCAR分子(2つの構築物(配列番号48)及び(配列番号68)を含む)を複合体化状態で含む、条件的に活性を示すCAR群を作製するための戦略を例示する。3つ又は4つのCAR分子を複合体化してCAR群とすることで、アビディティ効果が増加し、これにより各種抗原に対する感受性を増加させることができる。
図11A及び
図11Bは、それぞれ三量体CAR及び四量体CARを表す模式図を示している。ジャーカットT細胞に、三量体CAR群又は四量体CAR群の2つの別々の鎖をコードするmRNA(5μg)をエレクトロポレーションで導入し、エレクトロポレーションの20時間後に、それぞれのシグナル伝達鎖に応じてStrep IIタグ又はFLAGタグを介して、CAR発現を検出した。
図11Cは三量体CAR群及び四量体CAR群の発現を示している。
【0399】
ヒト細胞株の維持
初代ヒトT細胞を、アフェレーシス後の匿名化健常ドナーの血液(オーストリア赤十字社(ウィーン、オーストリア)から入手したバフィーコート)から得た。CD3陽性T細胞を、RosetteSep Human T cell Enrichment Cocktail(ステムセルテクノロジーズ社)を用いたネガティブセレクションにより濃縮した。単離精製後のT細胞は、使用まで、20%FCS及び10%DMSOを添加したRPMI-1640培地中で凍結保存した。CD3陽性T細胞を、抗CD3/CD28ビーズを製造業者の取扱説明書に従って用いて活性化し、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、及び200IU/mL組み換えヒトIL-2を添加されたRPMI-1640からなるヒトT細胞培地中で増殖させた。初代T細胞を少なくとも14日間培養した後、実験を行った。NFκB依存性eGFP遺伝子及びNFAT依存性CFP遺伝子で改変されたジャーカットTレポーター細胞株は、ウィーン医科大学のPeter Steinberger博士の好意により提供されたものであり、10%FCS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640中で維持する。細胞株は定期的にマイコプラズマ混入検査にかけられ、ドイツのマルチプレクション社で細胞株認証を受ける。AccuCheck Counting Beadsにより、細胞密度をモニターする。
【0400】
mRNAのインビトロ転写及びエレクトロポレーション
mMessage mMachine T7 Ultra Kitを製造業者の取扱説明書に従って用いて、インビトロ転写を行う。反応用テンプレートとして50~200ngのカラム精製PCR産物を用いる。得られたmRNAを、RNeasyカラム精製キットを用いて、適合されたプロトコルにより精製する。簡潔には、mRNA溶液を、RLT緩衝液、エタノール、及び2-メルカプトエタノールの混合物で希釈する。この混合物をRNeasyカラムにロードし、製造業者の取扱説明書に従って精製を行う。溶出をNuclease-Free Waterで行い、精製後のmRNAはエレクトロポレーションまで-80℃で凍結する。一過性の導入遺伝子発現のために、ジャーカットT細胞に、Gene Pulser(バイオラド社(Biorad))を用いた、異なる量の各種mRNAのエレクトロポレーションを行う。以下のプロトコルを用いる:初代T細胞(矩形波プロトコル、500V、5ms、4mmキュベット)、ジャーカットT細胞(矩形波プロトコル、500V、3ms、4mmキュベット)。
【0401】
抗体及びフローサイトメトリー
初代T細胞及びジャーカットT細胞をFACS用緩衝液(PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウム中に再懸濁し、4℃で10分間10%ヒト血清で処理する。各種一次抗体で、4℃で25分間、細胞を染色する。染色細胞をFACS用緩衝液で2回洗浄した後、二次抗体で4℃で25分間染色するか、又はそのままBD LSRFortessaで処理する。CAR構築物の発現を、抗Strep IIタグ抗体(クローン5A9F9、ジェンスクリプト社)を用いてStrep IIタグを介して、又は一次抗体として抗FLAGタグ抗体(クローンL5、バイオレジェンド社)を用いてFLAGタグを介して、検出し、抗Strep IIタグ 抗体の場合はPE結合型又はAPC結合型二次抗体を用いる。PE結合型又はAPC結合型の抗EGFR抗体(クローンAY13、バイオレジェンド社)を用いて、改変標的抗原tEGFRの発現を検出した。FlowJoソフトウェアで解析を行った。
【0402】
導入遺伝子コンストラクトの構築
CD33シグナルペプチド、低親和性rcSso7dバリアントE11.4.1-G32A、Strep IIタグ、可動性G4Sリンカー、ヒト単量体CD8αヒンジ(UniProt ID P01732、C164S、及びC181S)、及びCD8α膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、二量体形成ドメインFKBP F36V及びFRB、並びにCD3ζ ITAMシグナル伝達ドメインをコードする各ヌクレオチド配列は、GeneArt(サーモサイエンティフィック社)によって合成される。二量体形成ドメインFKBPをコードするヌクレオチド配列はジェンスクリプト社によって合成される。EGFRの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインをコードする各配列はアドジーン社から入手する(プラスミド#11011)。可動性リンカー及びFLAGタグは各種PCRプライマーを用いて挿入する。機能的導入遺伝子へのヌクレオチド配列構築は、Gibson Assembly Master Mixを製造業者の取扱説明書に従って用いることで、実行する。模式図及び配列をそれぞれ
図14及び
図15に示す。得られたコンストラクトはPCRで増幅した後、インビトロ転写に用いる。
【0403】
ジャーカットTレポーター細胞株による転写因子活性の測定
同一ウェル内の、各種腫瘍抗原を発現するジャーカットTレポーター細胞及びジャーカットT標的細胞の効率的な区別が可能となるように、ジャーカットTレポーター細胞株を別個の蛍光タンパク質で示差的に標識する。好適な蛍光タンパク質は、dKeima(アドジーン社#54618)、mAmetrine(アドジーン社#54505)、又はレポータータンパク質に対するクロストークが最小である同様のタンパク質とすることができる。各CARを発現するジャーカットTレポーター細胞における転写因子のNF-AT及びNF-κBの活性を、標的細胞と、0.25:1、0.5:1、1:1、又は2:1のE:T比で、丸底96ウェルプレート内で、37℃で4時間、8時間、16時間、又は24時間、共培養することにより評価する。細胞はBD LSRFortessaを用いて獲得し、ジャーカットTレポーター細胞の活性化は、各レポータータンパク質の蛍光強度の幾何平均又はレポータータンパク質陽性細胞の割合を測定することにより求める。
【0404】
インビトロにおける導入遺伝子の二量体化
共培養実験に先立ち、導入遺伝子の二量体化を誘導する。初代T細胞及びジャーカットT細胞を各細胞培地中で最終細胞濃度に希釈する。ホモ二量体化剤AP20187及びヘテロ二量体化剤AP21967を細胞培地中で希釈し、それぞれ10nM及び500nMの終濃度で添加する。同一濃度の各溶媒対照DMSO又はエタノールの添加をそれぞれ対照とした。導入遺伝子の二量体化が効率的に行われるように、細胞を37℃で30分間インキュベートし、その後インビトロ実験に用いる。
【0405】
FACSをベースとした細胞毒性アッセイ
FACSをベースとした細胞毒性アッセイ用に、2つの標的細胞集団を作製する:(i)eGFPと各標的抗原をコードするRNAとをコードするmRNAをエレクトロポレーションで導入されたジャーカット細胞、及び、(ii)mCherryをコードするmRNAのみをエレクトロポレーションで導入されたジャーカット細胞。これら2つの集団を1:1比で混合し、CAR T細胞と、20,000個の標的細胞/ウェルとしてE:T細胞比4:1:1で、丸底96ウェルプレート内で、37℃で4時間又は24時間、共培養する。CAR T細胞を添加しなかった標的細胞を対照条件(「標的のみ」)とする。上記インキュベーション時間の経過後、共培養物を遠心し(5分間、1600rpm、4℃)、上清を後のサイトカイン測定用に集め、残った細胞は、PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウムからなるFACS用緩衝液100μL中に再懸濁する。標的抗原陽性細胞集団及び標的抗原陰性細胞集団の生存率を、BD LSRFortessaフローサイトメーターを用いて求め、特異的溶解を下記式で算出する。
特異的溶解率=(1-(((試料のeGFP陽性細胞の%)/(試料のmCherry陽性細胞の%)/(「標的のみ」対照のeGFP陽性細胞の%)/(「標的のみ」対照のmCherry陽性細胞の%))))*100。
【0406】
実施例11:CAR分子の共刺激シグナリング領域に異なる共刺激ドメインを含むCAR群の作製
過去20年に亘り、異なる共刺激ドメインを含有する第2世代のCAR分子が、T細胞を効率的に活性化できることが示されてきた。実施例11は、シグナリング領域に異なる共刺激ドメインを含むCAR分子も、制御分子によりT細胞機能を制御するためのアビディティ効果の利用において、本発明のCAR群と関連して働くことを示している。
図12Aは、共刺激シグナリング領域にCD28又はICOS又はOX40を含有する、EGFR特異的CAR分子である、S(G32A)-8ser-28-FKBP(36V)-3z(配列番号69)、S(G32A)-8ser-ICOS-FKBP(36V)-3z(配列番号70)、及びS(G32A)-8ser-OX40-FKBP(36V)-3z(配列番号71)の、構造を示している。ジャーカット細胞及び初代ヒトT細胞における各CAR分子の発現を、それぞれ
図12B及び
図12Cに示した。発現の解析は、5μgの各mRNAをエレクトロポレーションで導入した20時間後に、組み込まれたStrep IIタグを介して、フローサイトメトリーで行った。非複合型状態(すなわち一価)及び複合型状態(すなわち二価)のCAR分子の、ジャーカット細胞においてプロモーターNF-κB及びNF-ATを活性化する能力、並びに、初代ヒトT細胞において細胞傷害性エフェクター機能を惹起する能力を、それぞれ
図12D及び
図12Eに示す。
図12Dは、S(G32A)-8ser-OX40-FKBP(36V)-3zが、NF-κB及びNF-ATレポーターを安定に導入されたジャーカット細胞で発現された場合、制御分子AP20187と複合体形成し二価CAR群となった場合には、NF-κB及びNF-ATを効率的に惹起できるが、非複合型の一価状態では惹起できないことを示している。同様に、初代ヒトT細胞では、CAR分子であるS(G32A)-8ser-ICOS-FKBP(36V)-3z及びS(G32A)-8ser-OX40-FKBP(36V)-3zによって、当該CAR分子がAP20187と複合体形成しCAR群となった場合のみ、特異的溶解が効率的に惹起された(
図12E)。まとめると、これにより、本発明のCAR群のCAR分子の共刺激シグナリング領域内の共刺激ドメインの種類が変更可能であることが確認される。
【0407】
ヒト細胞株の維持
初代ヒトT細胞を、アフェレーシス後の匿名化健常ドナーの血液(オーストリア赤十字社(ウィーン、オーストリア)から入手したバフィーコート)から得た。CD3陽性T細胞を、RosetteSep Human T cell Enrichment Cocktail(ステムセルテクノロジーズ社)を用いたネガティブセレクションにより濃縮した。単離精製後のT細胞は、使用まで、20%FCS及び10%DMSOを添加したRPMI-1640培地中で凍結保存した。CD3陽性T細胞を、抗CD3/CD28ビーズを製造業者の取扱説明書に従って用いて活性化し、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、及び200IU/mL組み換えヒトIL-2を添加されたRPMI-1640からなるヒトT細胞培地中で増殖させた。初代T細胞を少なくとも14日間培養した後、実験を行った。ジャーカットT細胞は、CCRIのSabine Strehl博士から譲渡されたものであり、10%FCS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640中で維持した。NFκB依存性eGFP遺伝子及びNFAT依存性CFP遺伝子で改変されたジャーカットTレポーター細胞株は、ウィーン医科大学のPeter Steinberger博士の好意により提供されたものであり、10%FCS及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640中で維持する。細胞株は定期的にマイコプラズマ混入検査にかけられ、ドイツのマルチプレクション社で細胞株認証を受けた。AccuCheck Counting Beadsにより、細胞密度をモニターした。
【0408】
mRNAのインビトロ転写及びエレクトロポレーション
mMessage mMachine T7 Ultra Kitを製造業者の取扱説明書に従って用いて、インビトロ転写を行った。反応用テンプレートとして50~200ngのカラム精製PCR産物を用いた。得られたmRNAを、RNeasyカラム精製キットを用いて、適合されたプロトコルにより精製した。簡潔には、mRNA溶液を、RLT緩衝液、エタノール、及び2-メルカプトエタノールの混合物で希釈した。この混合物をRNeasyカラムにロードし、製造業者の取扱説明書に従って精製を行った。溶出をNuclease-Free Waterで行い、精製後のmRNAはエレクトロポレーションまで-80℃で凍結した。一過性の導入遺伝子発現のために、初代T細胞に、Gene Pulser(バイオラド社)を用いた、異なる量の各種mRNAのエレクトロポレーションを行った。以下のプロトコルを用いる:初代T細胞(矩形波プロトコル、500V、5ms、4mmキュベット)、ジャーカットT細胞(矩形波プロトコル、500V、3ms、4mmキュベット)。
【0409】
抗体及びフローサイトメトリー
初代T細胞をFACS用緩衝液(PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウム 中に再懸濁し、4℃で10分間10%ヒト血清で処理した。各種一次抗体で、4℃で25分間、細胞を染色した。染色細胞をFACS用緩衝液で2回洗浄した後、二次抗体で4℃で25分間染色するか、又はそのままBD LSRFortessaで処理した。CAR構築物の発現を、一次抗体としての抗Strep IIタグ抗体(クローン5A9F9、ジェンスクリプト社)と、PE結合型又はAPC結合型二次抗体とを用いて、Strep IIタグを介して検出した。PE結合型又はAPC結合型の抗EGFR抗体(クローンAY13、バイオレジェンド社)を用いて、改変標的抗原tEGFRの発現を検出した。FlowJoソフトウェアで解析を行った。
【0410】
導入遺伝子コンストラクトの構築
CD33シグナルペプチド、低親和性rcSso7dバリアントE11.4.1-G32A、Strep IIタグ、可動性G
4Sリンカー、ヒト単量体CD8αヒンジ(UniProt ID P01732、C164S、及びC181S)、及びCD8α膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、二量体形成ドメインFKBP F36V、並びにCD3ζ ITAMシグナル伝達ドメインをコードする各ヌクレオチド配列は、GeneArt(サーモサイエンティフィック社)によって合成された。CD28、ICOS、及びOX40の各細胞内ドメインをコードするヌクレオチド配列は、cDNAクローン由来のものであった(シノ・バイオロジカル社(Sino Biological))。EGFRの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインをコードする各配列はアドジーン社から得た(プラスミド#11011)。可動性リンカーは各種PCRプライマーを用いて挿入した。機能的導入遺伝子へのヌクレオチド配列構築は、Gibson Assembly Master Mixを製造業者の取扱説明書に従って用いることで、実行した。模式図及び配列をそれぞれ
図14及び
図15に示す。得られたコンストラクトはPCRで増幅した後、インビトロ転写に用いた。
【0411】
ジャーカットTレポーター細胞株による転写因子活性の測定
同一ウェル内の、各種腫瘍抗原を発現するジャーカットTレポーター細胞及びジャーカットT標的細胞の効率的な区別が可能となるように、ジャーカットTレポーター細胞株を別個の蛍光タンパク質で示差的に標識した。好適な蛍光タンパク質は、dKeima(アドジーン社#54618)、mAmetrine(アドジーン社#54505)、又はレポータータンパク質に対するクロストークが最小である同様のタンパク質であった。各CARを発現するジャーカットTレポーター細胞における転写因子のNF-AT及びNF-κBの活性を、標的細胞と、0.25:1、0.5:1、1:1、又は2:1のE:T比で、丸底96ウェルプレート内で、37℃で24時間、共培養することにより評価した。細胞はBD LSRFortessaを用いて獲得し、ジャーカットTレポーター細胞の活性化は、各レポータータンパク質の蛍光強度の幾何平均又はレポータータンパク質陽性細胞の割合を測定することにより求めた。
【0412】
FACSをベースとした細胞毒性アッセイ
FACSをベースとした細胞毒性アッセイ用に、2つの標的細胞集団を作製した:(i)eGFPと各標的抗原をコードするRNAとをコードするmRNAをエレクトロポレーションで導入されたジャーカット細胞、及び、(ii)mCherryをコードするmRNAのみをエレクトロポレーションで導入されたジャーカット細胞。これら2つの集団を1:1比で混合し、CAR T細胞と、20,000個の標的細胞/ウェルとしてE:T細胞比4:1:1で、丸底96ウェルプレート内で、37℃で4時間又は24時間、共培養した。CAR T細胞を添加しなかった標的細胞を対照条件(「標的のみ」)とした。上記インキュベーション時間の経過後、共培養物を遠心し(5分間、1600rpm、4℃)、上清を後のサイトカイン測定用に集め、残った細胞は、PBS、0.2%ヒトアルブミン、及び0.02%アジ化ナトリウムからなるFACS用緩衝液100μL中に再懸濁した。標的抗原陽性細胞集団及び標的抗原陰性細胞集団の生存率を、BD LSRFortessaフローサイトメーターを用いて求め、特異的溶解を下記式で算出した。
特異的溶解率=(1-(((試料のeGFP陽性細胞の%)/(試料のmCherry陽性細胞の%)/(「標的のみ」対照のeGFP陽性細胞の%)/(「標的のみ」対照のmCherry陽性細胞の%))))*100。
【0413】
よって、本発明は、以下の好ましい実施形態を開示するものである:
【0414】
1.2、3又は4つのCAR分子から成るキメラ抗原受容体(CAR)の群であって、
ここで、CARの群のメンバーは、それらのアミノ酸配列において、お互い異なっていても又は同一であっても良く、そして前記群のCAR分子のそれぞれは、少なくとも膜ドメイン、及び抗原結合部分又は抗原結合部分を含む別のポリペプチドが結合できる結合部位のいずれかを含む外部ドメインを含み、そして
ここで、前記群の少なくとも1つのCAR分子は、少なくとも1つの免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)又は少なくとも1つの免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を介してシグナルを伝達できる少なくともシグナル伝達領域を含むエンドドメインをさらに含み、そして
ここで、前記群の各CAR分子のエンドドメインは、それぞれのCAR分子がエンドドメインを含む場合、細胞において発現される場合、細胞膜の細胞内側に位置し、前記群の各CAR分子の外部ドメインは、細胞において発現される場合、細胞膜の細胞外側に位置し、そして前記群の各CAR分子の膜貫通ドメインは、細胞において発現される場合、細胞膜に位置し、
前記群の各CAR分子は、前記群の他のCAR分子とのホモ又はヘテロニ量体化を仲介できる少なくとも1つの二量体化ドメインを含み、ここで一対の二量体化ドメインのこの二量体化は、調節分子により誘発され、そして任意には、別の調節分子により還元されるか、又は調節分子の非存在下で起こり、そして調節分子により還元され、ここで調節分子は、生理的条件下で、一対の二量体化ドメインの少なくとも1つのメンバーに結合することができ、そして二量体化を誘発又は低減することにより、2、3又は4つのCAR分子から成るCARの非共有的に複合体化された群の形成を誘発するか又は低減し、そして
その一般的なコンフォメーションにおける群の各CAR分子の外部ドメインは、それぞれ、前記群の他のCAR分子と分子間ジスルフィド結合を形成することができるシステインアミノ酸部分を有さず、そして
前記群のCAR分子、及び前記群のCAR分子の結合できる他のポリペプチドの抗原結合部分は、1つの標的抗原に対して、又は異なる標的分子の非共有複合体に対して特異的であり、そして
前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、1mM~100nMであり、そして
別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、1mM~100nMである、
CARsの群。
【0415】
2.前記抗原結合部分がタンパク質ドメインを1つだけ含む、態様1に記載のCARsの群。
【0416】
3.前記抗原結合部分がタンパク質ドメインを1つだけ含み、ヒト細胞の表面上に発現したとき前記群のCAR分子のの二量体化又はオリゴマー化を引き起こさず、前記タンパク質ドメインが、好ましくは、ブドウ球菌Protein Aのz-ドメインに基づくヒト又は非ヒトVH又はVL単一ドメイン抗体(ナノボディ)又は改変抗原結合部分、リポカリン、SH3ドメイン、フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン、ノッチン(knottins)、Sso7d、rcSso7d、Sac7d、Gp2、DARPin、ユビキチン、受容体、受容体のリガンド、又は共受容体からなる群から選択される、態様1又は2のいずれかに記載のCARsの群。
【0417】
4.前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、1mM~150nM、好ましくは1mM~200nM、より好ましくは1mM~300nM、特に1mM~400nMであり、そして別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、1mM~150nM、好ましくは1mM~200nM、より好ましくは1mM~300nM、特に1mM~400nMである、態様1~3のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0418】
5.前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、500μM~100nM、好ましくは250μM~100nM、より好ましくは125μM~100nM、特に50μM~100nMであり、そして別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、500μM~100nM、好ましくは250μM~100nM、より好ましくは125μM~100nM、特に50μM~100nMである、態様1~3のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0419】
6.前記群のCAR分子の個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性は、500μM~150nM、好ましくは250μM~200nM、より好ましくは125μM~300nM、特に50μM~400nMであり、そして別のポリペプチドの個々の各抗原結合部分のその標的抗原への親和性、又は他方では、この他のポリペプチドのそのそれぞれのCAR分子の結合部位への親和性は、500μM~150nM、好ましくは250μM~200nM、より好ましくは125μM~300nM、特に50μM~400nMである、態様1~3のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0420】
7.前記CARsの群の又は前記群のCAR分子に結合出来る他のポリペプチドの抗原結合部分に特異的に認識される各標的抗原が、天然に存在する細胞表面抗原か、又は天然に存在する細胞表面抗原に結合されるポリペプチド、糖又は脂質である、態様1~6のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0421】
8.前記CARsの群の又は前記群のCAR分子に結合出来る他のポリペプチドの抗原結合部分が、細胞上、固相表面上、又は脂質二重層上に存在する1つ以上の特異的抗原、好ましくは細胞の1つ以上の標的抗原に結合する、態様1~7のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0422】
9.前記CARsの群の又は前記群のCAR分子に結合出来る他のポリペプチドの1つ以上の抗原結合部分がが結合する1つ以上の標的抗原が、CD19, CD20, CD22, CD23, CD28, CD30, CD33, CD35, CD38, CD40, CD42c, CD43, CD44, CD44v6, CD47, CD49D, CD52, CD53, CD56, CD70, CD72, CD73, CD74, CD79A, CD79B, CD80, CD82, CD85A, CD85B, CD85D, CD85H, CD85K, CD96, CD107a, CD112, CD115, CD117, CD120b, CD123, CD146, CD148, CD155, CD185, CD200, CD204, CD221, CD271, CD276, CD279, CD280, CD281, CD301, CD312, CD353, CD362, BCMA, CD16V, CLL-1, Ig kappa, TRBC1, TRBC2, CKLF, CLEC2D, EMC10, EphA2, FR-a, FLT3LG, FLT3, Lewis-Y, HLA-G, ICAM5, IGHA1/IgA1, IL-1RAP, IL-17RE, IL-27RA, MILR1, MR1, PSCA, PTCRA, PODXL2, PTPRCAP, ULBP2, AJAP1, ASGR1, CADM1, CADM4, CDH15, CDH23, CDHR5, CELSR3, CSPG4, FAT4, GJA3, GJB2, GPC2, GPC3, IGSF9, LRFN4, LRRN6A/LINGO1, LRRC15, LRRC8E, LRIG1, LGR4, LYPD1, MARVELD2, MEGF10, MPZLI1, MTDH, PANX3, PCDHB6, PCDHB10, PCDHB12, PCDHB13, PCDHB18, PCDHGA3, PEP, SGCB, vezatin, DAGLB, SYT11, WFDC10A, ACVR2A, ACVR2B, 未分化リンパ腫キナーゼ, カドヘリン24, DLK1, GFRA2, GFRA3, EPHB2, EPHB3, EPHB4, EFNB1, EPOR, FGFR2, FGFR4, GALR2, GLG1, GLP1R, HBEGF, IGF2R, UNC5C, VASN, DLL3, FZD10, KREMEN2, TMEM169, TMEM198, NRG1, TMEFF1, ADRA2C, CHRNA1, CHRNB4, CHRNA3, CHRNG, DRD4, GABRB3, GRIN3A, GRIN2C, GRIK4, HTR7, APT8B2, NKAIN1, NKAIN4, CACNA1A, CACNA1B, CACNA1I, CACNG8, CACNG4, CLCN7, KCN§A4, KCNG2, KCNN3, KCNQ2, KCNU1, PKD1L2, PKD2L1, SLC5A8, SLC6A2, SLC6A6, SLC6A11, SLC6A15, SLC7A1, SLC7A5P1, SLC7A6, SLC9A1, SLC10A3, SLC10A4, SLC13A5, SLC16A8, SLC18A1, SLC18A3, SLC19A1, SLC26A10, SLC29A4, SLC30A1, SLC30A5, SLC35E2, SLC38A6, SLC38A9, SLC39A7, SLC39A8, SLC43A3, TRPM4, TRPV4, TMEM16J, TMEM142B, ADORA2B, BAI1, EDG6, GPR1, GPR26, GPR34, GPR44, GPR56, GPR68, GPR173, GPR175, LGR4, MMD, NTSR2, OPN3, OR2L2, OSTM1, P2RX3, P2RY8, P2RY11, P2RY13, PTGE3, SSTR5, TBXA2R, ADAM22, ADAMTS7, CST11, MMP14, LPPR1, LPPR3, LPPR5, SEMA4A, SEMA6B, ALS2CR4, LEPROTL1, MS4A4A, ROM1, TM4SF5, VANGL1, VANGL2, C18orf1, GSGL1, ITM2A, KIAA1715, LDLRAD3, OZD3, STEAP1, MCAM, CHRNA1, CHRNA3, CHRNA5, CHRNA7, CHRNB4, KIAA1524, NRM.3, RPRM, GRM8, KCNH4, Melanocortin 1受容体, PTPRH, SDK1, SCN9A, SORCS1, CLSTN2, エンドセリン転換酵素様-1, リゾホスファチジン酸受容体2, LTB4R, TLR2, 神経栄養性チロシンキナーゼ1, MUC16, B7-H4, 上皮成長因子受容体(EGFR), ERBB2, HER3, EGFRバリアントIII (EGFRvIII), HGFR, FOLR1, MSLN, CA-125, MUC-1, 前立腺特異的膜抗原(PSMA), メソテンシン, 上皮細胞接着分子(EpCAM), L1-CAM, CEACAM1, CEACAM5, CEACAM6, VEGFR1, VEGFR2, 高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA), MAGE-A l, IL-13R-α2, ジシアロガングリオシド(GD2及びGD3),腫瘍関連糖抗(CA-125, CA-242, Tn及びシアリル-Tn), 4-1BB, 5T4, BAFF, 炭酸脱水酵素9 (CA-IX), C-MET, CCR1, CCR4, FAP, フィブロネクチン外部ドメイン-B (ED-B), GPNMB, IGF-1受容体, インテグリンα5β1, インテグリンαvβ3, ITB5, ITGAX,エンビギン, PDGF-Rα, ROR1, シンデカン1, TAG-72, テネイシンC, TRAIL-R1, TRAIL-R2, NKG2D-リガンド, 腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合複合体(MHC)分子, 好ましくはPR1/HLA-A2, 系譜特異的又は組織特異的組織抗原、好ましくはCD3, CD4, CD5, CD7, CD8, CD24, CD25, CD34, CD80, CD86, CD133, CD138, CD152, CD319, エンドグリン及びMHC分子からなる群から好ましくは選択される分子を含む、態様1~8のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0423】
10.前記群のCAR分子の外部ドメインが、抗原結合部分と膜貫通ドメインとの間に挿入された構造的に柔軟なヒンジ領域、好ましくはCD8アルファ(UniProtKB/Swiss-Prot P01732-1のアミノ酸位置138~182)、CD28(UniProtKB/Swiss-Prot P10747のアミノ酸位置138~182)、又はPD-1(UniProtKB/Swiss-Prot Q15116のアミノ酸位置146~170)に由来するヒンジ領域を含み、ここでCD8アルファ、CD28又はPD-1に由来する配列のN末端又はC末端が短縮され、それら配列領域の境界の内の任意の長さを有し、そしてCD8アルファ及びCD28に由来するヒンジが欠失し、又は他のアミノ酸残基によって置き換えられる、態様1~9のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0424】
11.前記CAR分子のドメインが異なるタンパク質に由来し、これらのドメインの2つ以上がアミノ酸リンカー配列によって連結され、当該リンカーが好ましくは長さ1~40アミノ酸である、態様1~10のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0425】
12.前記群の2つ以上のCAR分子の、好ましくは前記群の全てのCAR分子の二量体化ドメインの二量体化が、制御分子の結合によって促進される、態様1~11のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0426】
13.1つのCAR分子内に2つ以上のヘテロ二量体化ドメインがある場合、そのCAR分子内のヘテロ二量体化ドメインは、細胞膜によって隔てられ、及び/又はそれぞれがヘテロ二量体化ドメインのペアの同じメンバーであり、及び/又ははそれぞれがヘテロ二量体化ドメインの異なるペアのメンバーであり、そのため制御分子の存在下及び非存在下互いに結合できないため、前記群のCAR分子の制御できない数を含む複合体の形成が妨げられる、態様1~12のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0427】
14.前記群の2つ以上のCAR分子の二量体化ドメインが:カルシニューリン触媒サブユニットA(CnA)、シクロフィリン、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ギラーゼB(GyrB)、GAI, GID1, PYL, ABI、好ましくはFK506結合タンパク質12 (FKBP12, FKBP), FKBP変異体F36V及びFKBP-ラパマイシン関連タンパク質(FRB)変異体T82Lから選択される、態様1~13のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0428】
15.前記群の2つ以上のCAR分子の二量体化が、核受容体及び共制御ペプチド由来のリガンド結合ドメインを含むヘテロ二量体化ドメインのペアによって仲介される、態様1~14のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0429】
16.前記群の2つ以上のCAR分子の二量体化が、リポカリンフォールド分子及びリポカリンフォールド結合相互作用パートナーによって仲介される、態様1~15のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0430】
17.前記群の2つ以上のCAR分子の二量体化が、核受容体及び共制御ペプチド由来のリガンド結合ドメインを含むヘテロ二量体化ドメインのペアによって仲介され、ここで核受容体由来のリガンド結合ドメインが、エストロゲン受容体、エクジソン受容体、グルココルチコイド受容体、アンドロゲン受容体、甲状腺ホルモン受容体、ミネラルコルチコイド受容体、プロゲステロン受容体、ビタミンD受容体、PPARγ受容体、PPARβ受容体、PPARα受容体、プレグナンX受容体、肝臓X受容体、ファルネソイドX受容体、レチノイドX受容体、RAR関連オルファン受容体、レチノイン酸受容体、及びSRC1, GRIP1, AIB1, PGC1a, PGC1b, PRC, TRAP220, ASC2, ASC2-1, ASC2-2, CBP, CBP-1, CBP-2, P300, CIA, ARA70, ARA70-1, ARA70-2, NSD1, SMAP, Tip60, ERAP140, Nix1, LCoR, N-CoR, SMRT, RIP140, RIP140-1, RIP140-2, RIP140-3, RIP140-4, RIP140-5, RIP140-6, RIP140-7, RIP140-8, RIP140-9, PRIC285, PRIC285-1, PRIC285-2, PRIC285-3, PRIC285-4, PRIC285-5, SRC1-1, SRC1-2, SRC1-3, SRC1-4a, SRC1-4b, SRC2, SRC3, SRC3-1, PGC1, TRAP220-1, TRAP220-2, NR0B1, NRIP1, TIF1, TIF2, CoRNR Box, CoRNR1, CoRNR2, βV, EA2, TA1, EAB1, GRIP1-1, GRIP1-2, GRIP1-3, AIB1-1, AIB1-2, AIB1-3, PGC1a, PGC1bから選択される核受容体のそれぞれ適合する共制御分子から選択される、態様1~16のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0431】
18.前記群の2つ以上のCAR分子の二量体化が、リポカリンフォールド分子及びリポカリンフォールド結合相互作用パートナーによって仲介され、ここでリポカリンフォールド分子が、構造的に保存されたβバレル構造の外側に、最大15、最大30、又は最大50アミノ酸欠失、及び/又は最大15、最大30、又は最大50アミノ酸挿入を有する天然に存在するリポカリン又はiLBPの誘導体であり、好ましくは以下から選択されるアミノ酸に構造的に対応する:
―PDBエントリー1RBPにおけるアミノ酸残基ナンバリングに対応するヒトRBP4における構造的に保存されたβストランドに隣接する領域を規定するヒトRBP4のアミノ酸残基1-20, 31-40, 48-51, 59-70, 79-84, 89-101, 110-113, 121-131及び139-183;
―ヒトTLCの構造的に保存されたβストランドに隣接する領域を規定するSchiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985)におけるアミノ酸残基ナンバリングに従うヒトTLCにおけるアミノ酸残基1-13, 24-36, 44-47, 55-61, 70-75, 80-83, 92-95, 103-110及び118-158;
-ヒトApoMの構造的に保存されたβストランドに隣接する領域を規定するSchiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985)におけるアミノ酸残基ナンバリングに従うヒトApoMにおけるアミノ酸残基1-43, 54-68, 76-80, 88-95, 104-109, 114-118, 127-130, 138-141及び149-188;
―ヒトCRABPIIの構造的に保存されたβストランドに隣接する領域を規定するPDBエントリー2F73におけるアミノ酸残基ナンバリングに従うヒトCRABPIIにおけるアミノ酸残基1-4, 13-40, 46-49, 55-60, 66-70, 74-80, 88-92, 97-107, 113-118, 125-128及び136-137;
―ヒトFABP1の構造的に保存されたβストランドに隣接する領域を規定するPDBエントリー2F73におけるアミノ酸残基ナンバリングに従うヒトFABP1におけるアミノ酸残基1-4, 13-38, 44-47, 53-58, 64-68, 72-78, 86-90, 95-98, 104-108, 115-118及び126-127;
態様1~17のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0432】
19.前記群の2つ以上のCAR分子の二量体化が、リポカリンフォールド分子及びリポカリンフォールド結合相互作用パートナーによって仲介され、ここでリポカリンフォールド分子が、βバレル構造と70%以上、好ましくは80%以上、特に90%以上の配列同一性を有する天然に存在するリポカリン又はiLBPの誘導体であり、それによりこのβバレル構造が好ましくは以下から選択されるアミノ酸残基の領域に構造的に対応する:
―ヒトRBP4の構造的に保存されたβストランドを規定する(PDB entry 1RBPにおけるアミノ酸残基ナンバリングに従う)ヒトRBP4におけるアミノ酸残基21-30, 41-47, 52-58, 71-78, 85-88, 102-109, 114-120及び132-138;
―ヒトTLCの構造的に保存されたβストランドを規定する(TLC;Schiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985により規定される)ヒト涙リポカリンにおけるアミノ酸残基14-23, 37-43, 48-54, 62-69, 76-79, 84-91, 96-102及び111-117;
―ヒトCRABPIIの構造的に保存されたβストランドを規定する(CRABPII;Schiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985により規定される)ヒトアポリポタンパク質Mにおけるアミノ酸残基44-53, 69-75, 81-87, 96-103, 110-113, 119-126, 131-137及び142-148;
―ヒトApoMの構造的に保存されたβストランドを規定する(ApoM;PDB entry 2FS6におけるアミノ酸残基ナンバリングに従う)ヒト細胞レチノイン酸結合タンパク質IIにおけるアミノ酸残基5-12, 41-45, 50-54, 61-65, 71-73, 81-87, 93-96, 108-112, 119-124及び129-135;
―ヒトFABP1の構造的に保存されたβストランドを規定する(FABP1;PDB entry 2F73におけるアミノ酸残基ナンバリングに従う)ヒト脂肪酸結合タンパク質1におけるアミノ酸残基5-12, 39-43, 48-52, 59-63, 69-71, 79-85, 91-94, 99-103, 109-114及び119-125;
態様1~18のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0433】
20.前記群の2つ以上のCAR分子の二量体化が、リポカリンフォールド分子及びリポカリンフォールド結合相互作用パートナーによって仲介され、ここでリポカリンフォールド分子が、リポカリンフォールドの構造的に保存されたβバレル構造を少なくともカバーする長さ80以上、好ましくは100以上、特に120以上のアミノ酸長の天然に存在するリポカリン又はその誘導体であり、又はリポカリンフォールドの構造的に保存されたβバレル構造を少なくともカバーする長さ80以上、好ましくは85以上、特に90以上のアミノ酸長の天然に存在するiLBP又はその誘導体であり、当該構造的に保存されたβバレル構造が、以下から選択されるアミノ酸残基の領域に構造的に対応するアミノ酸位置を含み又はそれからなる:
―ヒトRBP4の構造的に保存されたβストランドを規定する(PDB entry 1RBPにおけるアミノ酸残基ナンバリングに従う)ヒトRBP4におけるアミノ酸残基21-30, 41-47, 52-58, 71-78, 85-88, 102-109, 114-120及び132-138;
―ヒトTLCの構造的に保存されたβストランドを規定する(TLC;Schiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985により規定される)ヒト涙リポカリンにおけるアミノ酸残基14-23, 37-43, 48-54, 62-69, 76-79, 84-91, 96-102及び111-117;
―ヒトCRABPIIの構造的に保存されたβストランドを規定する(CRABPII;Schiefner et al., Acc Chem Res. 2015;48(4):976-985により規定される)ヒトアポリポタンパク質Mにおけるアミノ酸残基44-53, 69-75, 81-87, 96-103, 110-113, 119-126, 131-137及び142-148;
―ヒトApoMの構造的に保存されたβストランドを規定する(ApoM;PDB entry 2FS6におけるアミノ酸残基ナンバリングに従う)ヒト細胞レチノイン酸結合タンパク質IIにおけるアミノ酸残基5-12, 41-45, 50-54, 61-65, 71-73, 81-87, 93-96, 108-112, 119-124及び129-135;
―ヒトFABP1の構造的に保存されたβストランドを規定する(FABP1;PDB entry 2F73におけるアミノ酸残基ナンバリングに従う)ヒト脂肪酸結合タンパク質1におけるアミノ酸残基5-12, 39-43, 48-52, 59-63, 69-71, 79-85, 91-94, 99-103, 109-114及び119-125;
態様1~19のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0434】
21.前記制御分子が、人体内の生理的環境中、又は細胞内の生理的条件下、細胞の表面で、又は標準化された生理的条件下、好ましくはPBS条件下で達成され得る濃度で可溶性である分子であり、当該PBS条件が137 mM NaCl, 2.7 mM KCl, 10 mM Na2HPO4及び18 mM KH2PO4である、態様1~20のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0435】
22.1つ以上の制御分子が、ラパマイシン、ラパマイシンアナログ、アブシジン酸、ジベレリン又はジベレリンアナログGA3-AM、クメルマイシン、ビス-メトトレキサート、AP20187,又はAP1903から選択される、態様1~21のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0436】
23.1つ以上の制御分子が核受容体からのリガンド結合ドメインと結合し、コルチコステロン(11ベータ,21-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3,20-ジオン); デオキシコルチコステロン (21-ヒドロキシ-4-プレグネン-3,20-ジオン);コルチゾール(11ベータ,17,21-トリヒドロキシ-4-プレグネン-3,20-ジオン); 11-デオキシコルチゾール(17,21-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3,20-ジオン);コルチゾン(17,21-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3,11,20-トリオン); 18-ヒドロキシコルチコステロン (11ベータ,18,21-トリヒドロキシ-4-プレグネン-3,20-ジオン); 1.アルファ.-ヒドロキシコルチコステロン(1 アルファ,11ベータ,21-トリヒドロキシ-4-プレグネン-3,20-ジオン);アルドステロン18,11-ヘミアセタール of 11ベータ,21-ジヒドロキシ-3,20-ジオキソ-4-プレグネン-18-アール; アンドロステンジオン (4-アンドロステン-3,17-ジオン); 4-ヒドロキシ-アンドロステンジオン; 11β-ヒドロキシアンドロステンジオン (11 ベータ-4-アンドロステン-3,17-ジオン); アンドロスタンジオール (3-ベータ,17-ベータ-アンドロスタンジオール); アンドロステロン (3アルファ-ヒドロキシ-5アルファ-アンドロスタン-17-オン); エピアンドロステロン (3ベータ-ヒドロキシ-5アルファ-アンドロスタン-17-オン);アドレノステロン(4-アンドロステン-3,11,17-トリオン); デヒドロエピアンドロステロン (3ベータ-ヒドロキシ-5-アンドロステン-17-オン); デヒドロエピアンドロステロン スルフェート (3ベータ-スルホキシ-5-アンドロステン-17-オン); テストステロン (17ベータ-ヒドロキシ-4-アンドロステン-3-オン); エピテストステロン (17アルファ-ヒドロキシ-4-アンドロステン-3-オン); 5α-ジヒドロテストステロン (17ベータ-ヒドロキシ-5アルファ-アンドロスタン-3-オン 5β-ジヒドロテストステロン; 5-ベータ-ジヒドロキシ テストステロン (17ベータ-ヒドロキシ-5ベータ-アンドロスタン-3-オン); 11β-ヒドロキシテストステロン (11ベータ,17ベータ-ジヒドロキシ-4-アンドロステン-3-オン); 11-ケトテストステロン (17ベータ-ヒドロキシ-4-アンドロステン-3,17-ジオン); エストロン (3-ヒドロキシ-1,3,5(10)-エストラトリエン-17-オン); エストラジオール (1,3,5(10)-エストラトリエンe-3,17ベータ-ジオール); エストリオール 1,3,5(10)-エストラトリエンe-3,16アルファ,17ベータ-トリオール; プレグネンノロン(3-ベータ-ヒドロキシ-5-プレグネン-20-オン); 17-ヒドロキシプレグネノロン(3-ベータ,17-ジヒドロキシ-5-プレグネン-20-オン); プロゲステロン (4-プレグネン-3,20-ジオン); 17-ヒドロキシプロゲステロン (17-ヒドロキシ-4-プレグネン-3,20-ジオン); プロゲステロン (プレグン-4-エン-3,20-ジオン); T3; T4;スピロラクトン;エプレレノン;酢酸シプロテロン、ヒドロキシフルタミド;エンザルタミドARN-509; 3,3′-ジインドリルメタン (DIM);ベクスロステリド;ジカルタミド;N-ブチルベンゼン―スルホンアミド(NBBS);ドゥタステリド;エプリステリド;フィナステリド;フルタミド;イゾンステリド;ケトコナゾール;N-ブチルベンゼン―スルホンアミド;ニルタミド;メゲストロール;ツロステリド;メフェプリストン(RU-486; 11β-[4 N,N-ジメチルアミノフェニル]-17β-ヒドロキシ-17-(1-プロピニル)-エストラ-4,9-ジエン-3-オン);リロプリストン(11β-(4 N,N-ジメチルアミノフェニル)-17β-ヒドロキシ-17-((Z)-3-ヒドロキシプロペニル)エストラ-4,9-ジエン-3-オン);オナプリストン(11β-(4 N,N-ジメチルアミノフェニル)-17α-ヒドロキシ-17-(3-ヒドロキシプロピル)-13α-エストラ-4,9-ジエン-3-オン);アソプリスニル(ベンザルデヒドe, 4-[(11β,17β)-17-メトキシ-17-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11-yl]-1-(E)-オキシム; J867); J912 (4-[17β-ヒドロキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-yl]ベンザルデヒド-(1E)-オキシム); CDB-2914 (17α-アセトキシ-11β-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグンa-4,9-ジエン-3,20-ジオン); JNJ-1250132 (6α,11β,17β)-11-(4-ジメチルアミノフェニル)-6-メチル-4′,5′-ジヒドロスピロ[エストラ-4,9-ジエンe-17,2′(3′H)-フラン]-3-オン (ORG-31710); (11β,17α)-11-(4-アセチルフェニル)-17,23-エポキシ-19,24-ジノルコラ-4,9-,20-トリエン-3-オン (ORG-33628); (7β,11β,17β)-11-(4-ジメチルアミノフェニル-7-メチル]-4′,5′-ジヒドロスピロ[エストラ-4,9-ジエンe-17,2′(3′H)-フラン]-3-オン (ORG-31806); ZK-112993; ORG-31376; ORG-33245; ORG-31167; ORG-31343; RU-2992; RU-1479; RU-25056; RU-49295; RU-46556; RU-26819; LG1127; LG120753; LG120830; LG1447; LG121046; CGP-19984A; RTI-3021-012; RTI-3021-022; RTI-3021-020; RWJ-25333; ZK-136796; ZK-114043; ZK-230211; ZK-136798; ZK-98229; ZK-98734; ZK-137316; 4-[17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-yl]ベンザルデヒドe-1-(E)-オキシム; 4-[17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-yl]ベンザルデヒドe-1-(E)-[O-(エチルアミノ)カルボニル]オキシム; 4-[17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンザルデヒドe-1-(E)-[O-(エチルチオ)カルボニル]オキシム; (Z)-6′-(4-シアノフェニル)-9,11α-ジヒドロ-17β-ヒドロキシ-17α-[4-(1-オキソ-3-メチルブトキシ)-1-ブテニル]4′H-ナフト[3′,2′,1′;10,9,11]エストル-4-エン-3-オン; 11β-(4-アセチルフェニル)-17β-ヒドロキシ-17α-(1,1,2,2,2-ペンタ-フルオロエチル)エストラ-4,9-ジエン-3-オン; 11β-(4-アセチルフェニル)-19,24-ジノール-17,23-エポキシ-17アルファ-コラ-4,9,20-トリエン-n-3-オン; (Z)-11ベータ,19-[4-(3-ピリジニル)-o-フェニレン]-17ベータ-ヒドロキシ-17α-[3-ヒドロキシ-1-プロペニル]-4-アンドロステン-3-オン; 11ベータ-[4-(1-メチルエテニル)フェニル]-17α-ヒドロキシ-17ベータ-β-ヒドロキシプロピル)-13α-エストラ-4,9-ジエン-3-オン; 4′,5′-ジヒドロ-11ベータ-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-6ベータ-メチルスピロ[エストラ-4,-9-ジエン-17ベータ,2′(3′H)-フラン]-3-オン;ドロスピレノン; T3 (3,5,3′-トリヨード-L-チロシン); KB-141 (3,5-ジクロロ-4-(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル酢酸);ソベチロン(3,5-ジメチル-4-(4′-ヒドロキシ-3′-イソプロピルベンジル)-フェノキシ酢酸); GC-24 (3,5-ジメチル-4-(4′-ヒドロキシ-3′-ベンジル)ベンジルフェノキシ酢酸); 4-OH-PCB106 (4-OH-2′,3,3′,4′,5′-ペンタクロロビフェニル);エピロチロム; MB07811 ((2R,4S)-4-(3-クロロフェニル)-2-[(3,5-ジメチル-4-(4′-ヒドロキシ-3′-イソプロピルベンジル)フェノキシ)メチル]-2-オキシド-[1,3,2]-ジオキサホスホナン); QH2; (3,5-ジメチル-4-(4′-ヒドロキシ-3′-イソプロピルベンジル)フェノキシ)メチルリン酸(MB07344); タモキシフェン; 4-OH-タモキシフェン;ラクソキシフェン; ラアソフォキシフェン、バゼドキシフェン;ファルソデクス;クロミフェン;フェマレル;オルメロキシフェン;トレミフィエン;オスペミフェン;エストラジオール (17-ベータ-エストラジオール);エチニルエストラジオール;チアゾリジンジオン (好ましくはロシグリタゾン、ピオグリタゾン、ロベグリタゾン、トログリタゾン);ファルグリタザル;アレグリタザル;フェノフィブリック酸;ベンゾピラノキノリンA276575;マプラコラート; ZK 216348; 55D1E1; デキサメタゾン;プレドニゾロン;プレドニゾン;メチルプレドニゾロン;フルチカゾンプロピオネート;ベクロメタゾン-17-モノプロピオン酸;ベタメタゾン;リメキソロン;パラメタゾン;ヒドロコルチゾン; 1,25-ジヒドロキシビタミンD3 (カルシトリオール); パリカリトール;ドキセルカルシフェロール; 25-ヒドロキシビタミンD3 (カルシフジオール);クロレカルシフェロール;エルゴカルシフェロール;タカルシオール; 22-ジヒドロエルゴカルシフェロール; (6Z)-タカルシオール; 2-メチエン-19-ノル-20(S)-1α-ヒドロキシ-ビスホモプレグナカルシフェロール; 19-ノル-26,27-ジメチレン-20(S)-2-メチレン-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3; 2-メチレン-1α,25-ジヒドロキシ-(17E)-17(20)-デヒドロ-19-ノルビタミンD3; 2-メチレン-19-ノル-(24R)-1α,25-ジヒドロキシビタミン D2; 2-メチレン-(20R,25S)-19,26-ジノール-1α,25-ジヒドロキシビタミン D3; 2-メチレン-19-ノル-1α-ヒドロキシ-プレグンアカルシフェロール; 1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ホモプレグンアカルシフェロール; (20R)-1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-bisホモプレグンアカルシフェロール; 2-メチレン-19-ノル-(20S)-1α-ヒドロキシ-trisホモプレグンアカルシフェロール; 2-メチレン-23,23-ジフルオロ-1α-ヒドロキシ-19-ノル-bisホモプレグンアカルシフェロ-1; 2-メチレン-(20S)-23,23-ジフルオロ-1α-ヒドロキシ-19-ノル-bisホモプレグナン-カルシフェロール; (2-(3′ ヒドロキシプロピル-1′,2′-イデン)-19,23,24-トリノル-(20S)-1α-ヒドロキシビタミン D3; 2-メチレン-18,19-dinor-(20S)-1α,25-ジヒドロキシビタミン D3;レチノイン酸;全-trans-レチノイン酸; 9-cis-レチノイン酸;タミバロテン; 13-cis-レチノイン酸; (2E,4E,6Z,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセネイル)ノナ-2,4,6,-8-テトラエノン酸; 9-(4-メトキシ-2,3,6-トリメチル-フェニル)-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエノン酸; 6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフト酸; 4-[1-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-テトラリン-2-イル)エテニル]ベンゾイン酸;レチノベンゾイン酸;エチル6-[2-(4,4-ジメチルチオクロマン-6-イル)エチニル]ピリドン-3-カルボキシレート;レチノイルt-ブチレート;レチノイルピナコール;レチノイルコレステロール;オベチクロル酸; LY2562175 (6-(4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソキサゾル-4-yl)メトキシ)ピペリジン-1-yl)-1-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸); GW4064 (3-[2-[2-クロロ-4-[[3-(2,6-ジクロロフェニル)-5-(1-メチルエチル)-4-イソキサゾリル]メトキシ]フェニル]エテニル]安息香酸); T0901317 (N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-N-[4-[2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド); GW3965 (3-[3-[[[2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル](2,2-ジフェニルエチル)アミノ]プロポキシ]ベンゼン酢酸塩酸); LXR-623; GNE-3500 (27, 1-{4-[3-フルオロ-4-((3S,6R)-3-メチル-1,1-ジオキソ-6-フェニル-[1,2]チアジナン-2-イルメチル)-フェニル]-ピペラジン-1-イル}-エタノン); 7β, 27-ジヒドロキシコレステロール; 7α, 27-ジヒドロキシコレステロール; 9-cisレチノイン酸; LGD100268; CD3254 (3-[4-ヒドロキシ-3-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,8,8-ペンタメチル-2-ナフタレニル)フェニル]-2-プロペノン酸); CD2915 (Sorensen et al. (1997) Skin Pharmacol. 10:144);リファムピシン;クロトリマゾール;及びロバスタチン;
から選択される、態様1~22のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0437】
24.少なくとも1つの制御分子がタモキシフェンであり、分子受容体由来、好ましくはエストロゲン受容体アルファ又はエストロゲン受容体ベータ由来のリガンド結合ドメインと結合する、態様1~23のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0438】
25.少なくとも1つの制御分子がリポカリンフォールド分子であり、フェンレチニド (Pubchem CID 5288209), N-エチルレチナミド(Pubchem CID 5288173), 全-trans レチノイン酸 (Pubchem CID 444795), アクセロフテン (Pubchem CID 5287722), A1120 (Pubchem CID 25138295) 及びその誘導体(Cioffi et al., J Med Chem. 2014;57(18):7731-7757; Cioffi et al., J Med Chem. 2015;58(15):5863-5888), 1,4-butanediol (Pubchem CID 8064), スフィンゴシン-1-リン酸(Pubchem CID 5283560), テトラデカン酸(Pubchem CID 11005), インディカキサンチン(Pubchem CID 6096870 and 12310796), ブルガキサンチンI (Pubchem CID 5281217), Montelukast (Pubchem CID 5281040), Cyclandelate (Pubchem CID 2893), Oxolamine (Pubchem CID 13738), Mazaticol (Pubchem CID 4019), Butoctamid (Pubchem CID 65780), Tonabersat (Pubchem CID 6918324), Novazin (Pubchem CID 65734), Diphenidol (Pubchem CID 3055), Alloclamide (Pubchem CID 71837), Diacetolol (Pubchem CID 50894), Acotiamide (Pubchem CID 5282338), Acoziborole (Pubchem CID 44178354), Acumapimod (Pubchem CID 11338127), Apalutamide (Pubchem CID 24872560), ASP3026 (Pubchem CID 25134326), AZD1480 (Pubchem CID 16659841), BIIB021 (Pubchem CID 16736529), Branaplam (Pubchem CID 89971189), Brequinar (Pubchem CID 57030), Chlorproguanil (Pubchem CID 9571037), Clindamycin (Pubchem CID 446598), Emricasan (Pubchem CID 12000240), Enasidenib (Pubchem CID 89683805), Enolicam (Pubchem CID 54679203), Flurazepam (Pubchem CID 3393), ILX-295501 (Pubchem CID 127737), Indibulin (Pubchem CID 2929), Metoclopramide (Pubchem CID 4168), Mevastatin (Pubchem CID 64715), MGGBYMDAPCCKCT-UHFFFAOYSA-N (Pubchem CID 25134326), MK0686 (Pubchem CID 16102897), Navarixin (Pubchem CID 11281445), Nefazodone (Pubchem CID 4449), Pantoprazole (Pubchem CID 4679), Pavinetant (Pubchem CID 23649245), Proxazole (Pubchem CID 8590), SCYX-7158 (Pubchem CID 44178354), Siccanin (Pubchem CID 71902), Sulfaguanole (Pubchem CID 9571041), Sunitinib (Pubchem CID 5329102), Suvorexant (Pubchem CID 24965990), Tiapride (Pubchem CID 5467), Tonabersat (Pubchem CID 6918324), VNBRGSXVFBYQNN-UHFFFAOYSA-N (Pubchem CID 24794418), YUHNXUAATAMVKD-PZJWPPBQSA-N (Pubchem CID 44548240), Ulimorelin (Pubchem CID 11526696), Xipamide (Pubchem CID 26618), Tropesin (Pubchem CID 47530), Triclabendazole (Pubchem CID 50248), Triclabendazoleスルホキシド(Pubchem CID 127657), Triclabendazoleスルホン(Pubchem CID 10340439)及びTrametinib (Pubchem CID 11707110)から選択される、態様1~24のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0439】
26.少なくとも1つの制御分子が、ラパマイシン、ラパマイシンアナログ、AP20187, AP1903, Tamoxifen, Emricasan及びA1120から選択される、態様1~25のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0440】
27.細胞外から細胞の細胞内側への前記群のCAR分子におけるドメインの順番が:抗原結合部分を含む他のポリペプチドと結合出来る抗原結合部分又は結合部位、好ましくは空間最適化のためのヒンジ領域、及び貫通ドメイン、
CARsのITAM-含有群の好ましい場合において、膜貫通ドメインは1つ以上のCAR分子において好ましくは共刺激ドメインを含むシグナル領域が続き、好ましくはこの共刺激シグナル領域又は任意で膜貫通ドメインは、1つ以上の二量体化ドメインが続き、更に1つ以上のCAR分子において、1つ以上のITAMを含むシグナル領域が続き、共刺激及びITAM含有シグナル領域の順番は反対でもよく、ITAMを含まないCAR分子は共刺激シグナル領域を欠くか、1つの共刺激シグナル領域を有し、又は2つの共刺激シグナル領域を有し、又はそれ以上の共刺激シグナル領域を有するが、好ましくは3つ以上の共刺激シグナル領域を有さず、又は尚もより好ましくは共刺激シグナル領域を1つしか有さず、
CarsのITIM含有群の場合、膜貫通ドメインは好ましくは1つ以上のCAR分子においてITIM含有阻害シグナル領域が続き、好ましくはこの阻害シグナル領域、又は任意で膜貫通ドメインは、1つ以上の二量体化ドメイン、及び任意で第二の阻害シグナル領域が続き、
CARsのITAM及びITIM含有群において、CAR分子の2つの隣接する成分が任意でリンカーにより隔てられ、
CARsのITAM及びITIM含有群において、少なくとも1つが群の各CAR分子に必須である二量体化ドメインが外部ドメイン又は膜貫通ドメインの代わりに又は加えて配置されるが、好ましくは好ましくは膜貫通ドメイン及びシグナル領域の間、及び/又は特に2つのシグナル領域の間、及び/又は特にCARs分子の細胞内末端に配置される、
態様1~26のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0441】
28.前記群の各CAR分子が、1つ以上の免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)又は1つ以上の免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を介してシグナルを伝達出来る1つ以上のシグナル領域を含む、態様1~27のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0442】
29.前記二量体化ドメインが、前記群のCAR分子の内部ドメイン中、及び/又は膜貫通ドメイン、好ましくは内部ドメイン中に配置される、態様1~28のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0443】
30.前記群のCAR分子の2つ以上の外部ドメインが、好ましくは1つだけタンパク質ドメインを含む二量体化ドメインを含み、制御分子が細胞から分泌され二量体化ドメインの二量体化を誘導する、態様1~28のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0444】
31.前記群の1つ以上のCAR分子が1つ以上のITAMを介してシグナルを伝達出来るシグナル領域を含む内部ドメインを含み、CARsの群が好ましくは3つ以上のITAMを含む、態様1~30のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0445】
32.前記群の1つ以上のCAR分子の内部ドメインが1つ以上のITAMを含み、当該ITAMがCD3ゼータ、DAP12、Fc-イプシロン受容体1γ鎖、CD3δ、CD3イプシロン、CD3γ及びCD79A(抗原受容体複合体関連タンパク質アルファ鎖)、好ましくはCD3ゼータから選択される、態様1~31のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0446】
33.前記群の1つ以上のCAR分子の内部ドメイン中の共刺激シグナル領域の共刺激ドメインが、4-1BB (CD137), CD28, ICOS, BTLA, OX-40, CD2, CD6, CD27, CD30, CD40, GITR, 及びHVEM, 好ましくは4-1BB 及びICOSに由来する、態様1~32のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0447】
34.前記群の1つ以上のCAR分子が、PD-1, CD85A, CD85C, CD85D, CD85J, CD85K, LAIR1, TIGIT, CEACAM1, CD96, KIR2DL, KIR3DL, SLAMファミリーメンバー, CD300/LMIRファミリーメンバー, CD22及び他のSiglecファミリーメンバー由来の細胞質阻害ドメインを含有する内部ドメインを含有する、態様1~30のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0448】
35.前記群の1つ以上のCAR分子が、PD-1, CD85A, CD85C, CD85D, CD85J, CD85K, LAIR1, TIGIT, CEACAM1, CD96, KIR2DL, KIR3DL, SLAMファミリーメンバー, ITIM含有CD300/LMIRファミリーメンバー, CD22及び他のITIM含有Siglecファミリーメンバーに由来する1つ以上のITIMを介してシグナルを伝達出来るシグナル領域を含む内部ドメインを含む、態様1~30及び34のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0449】
36.各CAR分子の外部ドメインが抗原結合部分を含む、態様1~35のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0450】
37.前記群が2つ又は3つのCAR分子、好ましくは2つのCAR分子を有する、態様1~36のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0451】
38.前記群が3つのCAR分子からなり、3つのCAR分子の1つの内部ドメインがFKBP12又は或いはFRB(変異体T82L)から選択される二量体化ドメインのペアの同じメンバーの2つのコピーを含み、他の2つのCAR分子のそれぞれの内部ドメインが、それぞれ二量体化ドメインのペアの他のメンバーの1つのコピーを含み、制御分子がラパログである、態様1~14、21、22、26~29又は31~37のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0452】
39.前記群が3つのCAR分子からなり、3つのCAR分子の1つの内部ドメインが核受容体のリガンド結合ドメイン又は或いは同じ各受容体の適合共刺激分子から選択される二量体化ドメインのペアの同じメンバーの2つのコピーを含み、他の2つのCAR分子のそれぞれの内部ドメインが、それぞれ二量体化ドメインのペアの他のメンバーの1つのコピーを含み、制御分子がTamoxifenである、態様1~13、15、17、23、24、26~29又は31~37のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0453】
40.前記群が3つのCAR分子からなり、3つのCAR分子の1つの内部ドメインがリポカリンフォールド分子又はリポカリンフォールド結合相互作用パートナーのいずれかから選択される二量体化ドメインのペアの同じメンバーの2つのコピーを含み、他の2つのCAR分子のそれぞれの内部ドメインが、それぞれ二量体化ドメインのペアの他のメンバーの1つのコピーを含み、制御分子が、フェンレチニド (15-[(4-ヒドロキシフェニル)アミノ]レチナール), N-エチルレチナミド, 全-trans レチノイン酸, アクセロフテン, A1120 (PubChem CID 25138295) 及びその誘導体、 1,4-ブタンジオール, スフィンゴシン-1-リン酸, テトラデカン酸, インディカキサンチン, ブルガキサンチン, Montelukast, Cyclandelate, Oxolamine, Mazaticol, Butoctamid, Tonabersat, Novazin, Diphenidol, Neobornyval, Alloclamide, Diacetolol, Acotiamide, Acoziborole, Acumapimod, Apalutamide, ASP3026, AZD1480, BIIB021, Branaplam, Brequinar, Chlorproguanil, Clindamycin, Emricasan, Enasidenib, Enolicam, Flurazepam, ILX-295501, Indibulin, Metoclopramide, Mevastatin, MGGBYMDAPCCKCT-UHFFFAOYSA-N, MK0686, Navarixin, Nefazodone, Pantoprazole, Pavinetant, Proxazole, SCYX-7158, Siccanin, Sul-faguanole, Sunitinib, Suvorexant, Tiapride, Tonabersat, VNBRGSXVFBYQNN-UHFFFAOYSA-N, YUHNXUAATAMVKD-PZJWPPBQSA-N, Ulimorelin, Xipamide, Tropesin, Triclabendazole, Triclabendazoleスルホキシド, Triclabendazoleスルホン及びTrametinibから選択される、態様1~13、16、18~21、25~29又は31~37のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0454】
41.DNA、RNA又はインビトロで転写されたRNAから選択される、態様1~40、64又は65のいずれか1項に記載のCARsの群の個別のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
【0455】
42.DNA、RNA又はインビトロで転写されたRNAから選択される、態様1~40、64又は65のいずれか1項に記載のCARsの群の個別のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子のキット。
【0456】
43.前記核酸分子が、ベクター中に存在し、好ましくはDNA又はRNAとして感染性ウイルス粒子中に格納されている、態様42に記載の核酸分子のキット。
【0457】
44.前記核酸配列が、リンパ球中での強力で安定な組換え発現を仲介する配列と連結され、ここでそのような配列は好ましくは、ガンマレトロウイルスの5´LTR又はMoloneyマウス白血病ウイルス(MMLV)の5´LTRのサブエレメントR及びU3、又はホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)のプロモーター又はより好ましくはヒト伸長因子1(EF-1)アルファプロモーターを含む、態様41~43のいずれか1項に記載の核酸分子又は核酸分子。
【0458】
45.第一の核酸が前記群の第一のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含み、第二の核酸が前記群の第二のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含み、任意で前記キットが更に、CARsの群が3つ以上の異なるCAR分子からなる場合、前記群の第三のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む第三の核酸を含み、任意で前記キットが更に、CARsの群が4つ以上の異なるCAR分子からなる場合、前記群の第四のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む第四の核酸を含む、態様42~44のいずれか1項に記載の核酸分子のキット。
【0459】
46.前記核酸がDNA又はRNAである、態様1~40、64又は65のいずれか1項のCARsの群の個別のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含むベクター又はキット。
【0460】
47.前記ベクターが組換えアデノ関連ウイルス(rAAV)ベクター又はトランスポゾンベクター、好ましくはSleeping Beautyトランスポゾンベクター又はPiggyBacトランスポゾンベクターであり、ベクターがレトロウイルスベクター、好ましくはガンマレトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクターである、態様46に記載のベクター又はベクターのキット。
【0461】
48.前記ベクターが発現ベクターであり、好ましくはヌクレオチド配列がリンパ球中での強力で安定な組換え発現を仲介する配列と操作可能に連結された発現ベクターであり、そのような配列が好ましくは、ガンマレトロウイルスの5´LTR又はMoloneyマウス白血病ウイルス(MMLV)の5´LTRのサブエレメントR及びU3、又はホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)のプロモーター又はより好ましくはヒト伸長因子1(EF-1)アルファプロモーターを含む、態様46又は47のいずれかに記載のベクター又はベクターのキット。
【0462】
49.第一のベクターが前記群の第一のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含み、第二のベクターが前記群の第二のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含み、任意で前記キットが更に、CARsの群が3つ以上の異なるCAR分子からなる場合、前記群の第三のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む第三のベクターを含み、任意で前記キットが更に、CARsの群が4つ以上の異なるCAR分子からなる場合、前記群の第四のCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む第四のベクターを含む、態様46~48のいずれか1項に記載のベクターのキット。
【0463】
50.態様1~40、64又は65のいずれか1項に記載のCARsの群の個別のCAR分子を生産するように、態様41~45のいずれか1項に記載の核酸分子又は核酸分子のキットを用いて、又は態様46~49のいずれか1項に記載のベクター又はベクターのキットを用いて、インビトロ又はエクスビボで改変された細胞、又は当該改変された2つ以上の細胞を含むキット。
【0464】
51.前記細胞が哺乳類細胞、好ましくは造血幹細胞(HSC)、又はHSC由来の細胞、より好ましくはNK細胞又はT細胞、特にT細胞である、態様50に記載の細胞又は細胞のキット。
【0465】
52.前記細胞が、態様46~49のいずれか1項のベクター又はベクターのキットを用いてトランスフェクション又は遺伝子導入された、態様50又は51のいずれかに記載の細胞又は細胞のキット。
【0466】
53.前記細胞がゲノム中に態様1~40、64又は65のいずれか1項に記載のCARsの群をコードするヌクレオチド配列を安定的に取り込んでいる、態様50~52のいずれか1項に記載の細胞又は細胞のキット。
【0467】
54.前記細胞が、部位指向的ヌクレアーゼ技術を用いて、好ましくは甚句フィンガーヌクレアーゼ技術を用いて、又は尚もより好ましくはCRISPR/Cas技術を用いて、ゲノム中に態様1~40、64又は65のいずれか1項に記載のCARsの群をコードするヌクレオチド配列を安定的に取り込んでいる、態様50~52のいずれか1項に記載の細胞又は細胞のキット。
【0468】
55.態様41~45のいずれか1項に記載の核酸又は核酸のキット、態様46~49のいずれか1項に記載のベクター又はベクターのキット、又は態様50~52のいずれか1項に記載の細胞又は細胞のキットを含む、医薬調製品。
【0469】
56.前記ウイルスベクターが好ましくは感染性ウイルス粒子中に含まれる、態様55に記載の医薬調製品。
【0470】
57.態様50~54のいずれか1項に記載の細胞を作製する方法であって、細胞内に、態様41~45のいずれか1項に記載の核酸分子又は核酸分子のキット、又は態様46~49のいずれか1項に記載のベクター又はベクターのキットを導入する、好ましくは当該細胞のゲノム内にインビトロ又はエクスビボで安定的に組み込むことを含む、方法。
【0471】
58.癌を有する個体において癌を治療する方法に用いられる、態様1~40、64又は65のいずれか1項に記載のCARsの群であって、以下の工程:
i)個体から得られたNK細胞または好ましくはTリンパ球を、本発明によるCARの群のそれぞれのCAR分子をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つのベクターで遺伝子改変し、ここでCARの群の各抗原結合部分は、個体の癌細胞上の標的抗原に特異的であり、そして前記遺伝子改変は、インビトロ又はエキソビボで行われ;
ii) 遺伝子組み換え細胞を個体に導入し;そして
iii) 群のそれぞれの CAR 分子の二量体化を誘導又は低減するために、好ましくは、群のそれぞれの CAR 分子の二量体化を誘導するために、少なくとも 1 つの調節分子の有効量を個体に投与することを含み、それにより、CARの群の非共有複合体形成を誘導または低減し、好ましくはCARの群の非共有複合体形成を誘導し、それにより、CARの群の非共有複合体形成を誘導または低減し、好ましくはCARの群の非共有複合体形成を誘導し、ここで、それぞれの標的抗原又は異なる標的抗原のそれぞれの共有又は非共有複合体を発現する癌細胞との接触に基づいて、CARの非共有複合体群が、遺伝子組み換え細胞の活性化を仲介し、癌細胞を死滅させ、癌の治療を可能にする;
CARsの群。
【0472】
59.個体における癌の治療方法に用いる態様50~54のいずれか1項に記載の細胞であって、CARsの群の各抗原結合部分が個体の癌細胞上の標的抗原に特異的であり、以下の工程:
i)個体に細胞を導入する工程;及び
ii)前記群の2つ、3つ又は4つのCAR分子、好ましくは前記群の3つのCAR分子、尚もより好ましくは前記群の4つのCAR分子を含む、非共有結合複合体の形成を誘導する又は減少する、好ましくは誘導する、1つ以上の制御分子を有効量で個体に投与する工程、ここで各標的抗原又は異なる標的抗原の各共有結合又は非共有結合複合体を発現する癌細胞と接触したCARsの非共有結合複合群が、癌細胞の死滅を誘導する遺伝子改変細胞の活性化を誘導することにより癌の治療を可能とする;
を含む、細胞。
【0473】
60.キットであって、以下:
-態様1~40、64又は65のいずれか1項に記載のCARsの群、態様46~49のいずれか1項に記載のベクター又はベクターのキット、又は態様50~54のいずれか1項に記載の細胞又は細胞のキット;及び
-1つ、2つ又は3つの制御分子、好ましくは2つ、尚もより好ましくは1つの制御分子;
を含む、キット。
【0474】
61.細胞上の標的抗原へのTリンパ球又はNK細胞の結合が必要であることを特徴とする疾患の治療において使用され、好ましくは腫瘍患者の治療、特に以下:
Ewing肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、造骨肉腫、中皮腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ血管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、平滑筋肉腫、黒色腫、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、神経芽腫、網膜芽腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、慢性骨髄増殖性腫瘍、急性骨髄性白血病、B-細胞CLL、T-細胞CLLを含む慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病及び有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、B-細胞リンパ腫、Hodgkinリンパ腫、非Hodgkinリンパ腫、食道癌、肝細胞癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、移行上皮癌、膀胱癌、気管支癌、結腸癌、結腸直腸癌、 胃癌、肺の小細胞癌及び非小細胞癌、肺癌、副腎皮質癌、甲状腺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、腎細胞癌、非浸潤性乳管癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、精巣癌、骨形成細胞癌、上皮癌、および鼻咽頭癌、非定型髄膜種、島細胞癌、髄様癌、間葉腫、肝細胞癌、肝芽腫、明細胞癌及び神経繊維腫縦隔、から選択される腫瘍を有する腫瘍患者の治療において使用される、態様1~40、64又は65のいずれか1項に記載のCARsの群、態様46~49のいずれか1項に記載のベクター又はベクターのキット、態様50~54のいずれか1項に記載の細胞又は細胞のキット、特にTリンパ球又はNK細胞、又は態様42~49又は60のいずれか1項に記載のキット。
【0475】
62.Tリンパ球又はNK細胞の活性を調節する方法であって、以下:
インビボ又はエクスビボで、1つ以上の制御分子の存在下、Tリンパ球又はNK細胞を、細胞又は固相表面上の、標的抗原、又は異なる標的抗原の非共有結合又は共有結合複合体と接触させる工程、ここで、Tリンパ球又はNK細胞は、態様1~40、64又は65のいずれか1項に記載のCARsの群を生産するように遺伝子改変されており、制御分子の存在が、非共有結合的に複合したCARsの群の形成を誘導する又は減少する、好ましくは誘導することにより、遺伝子改変された細胞の1つ以上の活性を調節する;
を含む、方法。
【0476】
63.遺伝子改変された細胞の活性が、増殖、細胞生存、アポトーシス、遺伝子発現、又は免疫活性化である、態様62に記載の方法。
【0477】
64.前記CARsの群の非共有結合複合体形成が、有効濃度の1つ以上の制御分子の存在下で誘導され、NK細胞又は好ましくはTリンパ球中で発現したとき、CARsの群が、その非共有結合複合体状態で、標的抗原を発現する標的細胞と接触した宿主細胞において反応を引き起こし、この反応が、インターフェロンガンマ、及び/又はマクロファージ炎症性タンパク質‐1(MIP-1)アルファ、及び/又はMIP-1ベータ、及び/又はグランザイムB、及び/又はIL-2、及び/又はTNF、及び/又はIL-10及び/又はIL-4の放出により、及び/又は細胞の脱顆粒によって定義され、ここで、細胞の脱顆粒が、好ましくは、CARsの群により認識される各標的抗原を100,000分子以上発現する標的細胞と接触した後のCD107a陽性エフェクター細胞のパーセンテージによって検出され、CARsの群の非共有結合複合体形成を誘導するのに必要な全ての制御分子の有効量の存在下で引き起こされる応答が、いずれかの制御分子の不在下で引き起こされる応答よりも20%以上高く、好ましくは50%以上高く、及び尚もより好ましくは100%以上高く、それぞれ必要な制御分子の有効濃度が、治療を必要とする個体に1回以上の用量で有効量の各制御分子を投与することによって達成される濃度である、態様1~40のいずれか1項に記載のCARsの群。
【0478】
65.前記CARsの群の非共有結合複合体形成が、有効濃度の1つ以上の制御分子の存在下で減少され、NK細胞又は好ましくはTリンパ球中で発現したとき、CARsの群が、その非共有結合複合体状態で、標的抗原を発現する標的細胞と接触した宿主細胞において反応を引き起こし、この反応が、インターフェロンガンマ、及び/又はマクロファージ炎症性タンパク質‐1(MIP-1)アルファ、及び/又はMIP-1ベータ、及び/又はグランザイムB、及び/又はIL-2、及び/又はTNF、及び/又はIL-10及び/又はIL-4の放出により、及び/又は細胞の脱顆粒によって定義され、ここで、細胞の脱顆粒が、好ましくは、いずれかの制御分子の不在下で引き起こされるCARsの群により引き起こされる応答が、CARsの群により認識される各標的抗原を100,000分子以上発現する標的細胞と接触した後のCD107a陽性エフェクター細胞のパーセンテージによって検出され、CARsの群に含まれる二量体化ドメインの二量体化を減少するのに必要な各制御分子の有効量の存在下でCARsの群により引き起こされる引き起こされる応答よりも20%以上高く、好ましくは50%以上高く、及び尚もより好ましくは100%以上高く、それぞれ必要な制御分子の有効濃度が、治療を必要とする個体に1回以上の用量で有効量の各制御分子を投与することによって達成される濃度である、態様1~11又は13~40のいずれか1項に記載のCARsの群。
【配列表】
【国際調査報告】