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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ハイビームヘッドライト
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/265 20180101AFI20220131BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20220131BHJP
   F21S 41/151 20180101ALI20220131BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20220131BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220131BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20220131BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20220131BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20220131BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220131BHJP
   F21W 102/20 20180101ALN20220131BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/143
F21S41/151
F21V23/00 140
F21V5/04 350
F21V5/04 400
F21V5/04 550
F21S41/663
B60Q1/14 H
F21W102:13
F21Y115:10
F21W102:20
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021519569
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(85)【翻訳文提出日】2021-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2019077216
(87)【国際公開番号】W WO2020074508
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】102018217213.7
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500242786
【氏名又は名称】フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・シュライバー
(72)【発明者】
【氏名】チェン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・ミヒャエリス
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ヴェヒター
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー・フィッシャー
【テーマコード(参考)】
3K014
3K339
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K339AA02
3K339BA02
3K339BA07
3K339BA21
3K339CA01
3K339DA01
3K339GB01
3K339HA01
3K339KA06
3K339KA07
(57)【要約】
高効率で短い据付長をもって生産することができ、効率的で低コストの生産性も提供するハイビームヘッドライトが記載される。この目的ために、複数の光源を有する光源配列がハニカム集光器と組み合わされる。ハニカム集光器と光源配列との間に接続されるコリメータが、光源配列の複数の光源の平行光でハニカム集光器を照らす。構成要素の配置構成は、第1の光源からの平行光が、ハニカム集光器のクロストークのない照射および第1の遠距離場セグメントの照明をもたらすようなものである。光源配列の少なくとも1つの第2の光源の各々について、それぞれの第2の光源の平行光が、チャンネルクロストークでのハニカム集光器の照射および第1の遠距離場セグメントに斜めに向けられた第2の遠距離場セグメントの照明をもたらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイビームヘッドライトであって、
複数の光源(1a,1b,1c)を備える光源配列(1)と、
ハニカム集光器(10)と、
前記複数の光源の平行光で前記ハニカム集光器を照明するための、前記ハニカム集光器と前記光源配列との間に接続されるコリメータ(2)と、
を備え、
前記光源配列が、第1の光源(1a)および少なくとも1つの第2の光源(1b)を備え、前記光源配列(1)の前記第1の光源(1a)の前記平行光が、前記ハニカム集光器のクロストークのない照射および第1の遠距離場セグメント(5a)の照明をもたらし、前記少なくとも1つの第2の光源(1b)の各々について、前記第2の光源(1b)それぞれの前記平行光が、チャンネルクロストークでの前記ハニカム集光器の照射および前記第1の遠距離場セグメント(5a)に対して斜めに向けられた第2の遠距離場セグメント(5b)の照明をもたらす、ハイビームヘッドライト。
【請求項2】
前記光源配列(1)の前記光源が、個別にまたはサブグループで制御可能である、請求項1に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項3】
前記光源配列(1)が、第1の空間方向(x)に沿った1次元光源配列として構成され、前記第1および第2の遠距離場セグメント(5a,5b)が、前記第1の空間方向に沿って広がる、請求項1に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項4】
前記ハニカム集光器の入口側ハニカムレンズ配列(3)が、前記第1の空間方向(x)に対して垂直な第2の方向(y)に延在し、繰返し距離(Δx)で前記第1の空間方向(x)に互いに等距離に配置される、入口側ハニカムレンズカラムを備え、前記ハニカム集光器の出口側ハニカムレンズ配列(4)が、前記第1の空間方向に対して垂直な第2の方向(y)に延在する出口側ハニカムレンズカラムを備え、前記第1の光源(1a)の前記平行光が、前記入口側ハニカムレンズカラムの各々を通して前記出口側ハニカムレンズカラムのうちの関連する1つへと平行にされるように、前記出口側ハニカムレンズカラムが、前記出口側ハニカムレンズカラムに対して前記繰返し距離(Δx)で前記第1の空間方向(x)に互いに等距離に配置される、請求項3に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項5】
予め規定された入口側ハニカムレンズカラムの入口側ハニカムレンズが、第2の空間方向(y)に沿ったレンズ開口および/またはレンズ頂点の配置に対して、前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの出口側ハニカムレンズと異なる、請求項4に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項6】
予め規定された入口側ハニカムレンズカラムの入口側ハニカムレンズが、第2の空間方向(y)に沿ったレンズ開口および/またはレンズ頂点の配置に対して、前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの出口側ハニカムレンズと異なり、その結果、前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムの前記入口側ハニカムレンズおよび前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの前記出口側ハニカムレンズを介して、前記第1の光源(1a)の前記平行光によって前記第1の遠距離場セグメント(5a)が照明される光度分布が、レンズ開口およびレンズ頂点の前記配置に関して、前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムの前記入口側ハニカムレンズを前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの前記出口側ハニカムレンズと整合させる場合よりも、前記第2の空間方向(y)により広い角度分布を備える、請求項4に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項7】
前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの前記出口側ハニカムレンズが、互いに等距離に配置される相互に調和するレンズ開口を備える、請求項5または6に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項8】
前記予め規定された出口側ハニカムレンズカラムの前記出口側ハニカムレンズが、互いに等距離に配置され、各々が中心に置かれたレンズ頂点を備える、相互に調和するレンズ開口を備える、請求項5から7のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項9】
前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムの前記入口側ハニカムレンズおよび/または前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの出口側ハニカムレンズのうちの少なくとも1つが、前記第2の方向(y)に沿ってそのレンズ開口に関して偏心したレンズ頂点を備える、請求項5から8のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項10】
前記ハニカム集光器の入口側ハニカムレンズ配列(3)の各入口側ハニカムレンズが、前記第1の光源(1a)の前記平行光が前記入口側ハニカムレンズそれぞれによってその中へと平行にされる前記ハニカム集光器の出口側ハニカムレンズ配列(3)の関連する出口側ハニカムレンズを備えて、前記ハニカム集光器のチャンネルを一緒に形成し、前記少なくとも1つの第2の光源の各々について、前記第2の光源(1b)それぞれの前記平行光が、前記ハニカム集光器の前記入口側ハニカムレンズ配列(3)によって、チャンネルクロストーク様式で、前記出口側ハニカムレンズ配列(3)の前記出口側ハニカムレンズの中へと平行にされる、請求項1から9のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項11】
予め規定された第2の光源(1b)の前記平行光が、前記少なくとも1つの第2の光源下で最大であるクロストークオーダで前記ハニカム集光器を通過し、
前記ハニカム集光器の前記入口側ハニカムレンズ配列(3)の前記入口側ハニカムレンズが、前記ハニカム集光器の前記出口側ハニカムレンズ配列(4)の前記出口側ハニカムレンズが配置される面に関して、前記第1の光源の前記平行光のものと前記予め規定された第2の光源(1b)の前記平行光のものとの間の平行方向を有する平行光についてより、前記第1の光源の前記平行光について、よりデフォーカスした様式で配置される、請求項10に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項12】
前記コリメータ(2)が非球面様式で構成されて、球面構成と比較して、前記少なくとも1つの第2の光源(1b)の前記平行光の平行化を改善する、請求項1から11のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項13】
前記複数の光源の前記平行光で前記ハニカム集光器を照明するために、前記コリメータ(2)と協働する視野レンズを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項14】
前記ハニカム集光器が、モノリシックタンデム配列として形成される、請求項1から13のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項15】
眩しくないように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項16】
自動車で使用することが意図される、請求項1から15のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライトを有する自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、車両へ設置するためのハイビームなどといった、ハイビームヘッドライトに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のためのハイビームヘッドライトは、約5°の、光度の角度分布の半分の幅を有する、高度に集束した遠距離場を生成する。対向車または前方で運転中の車両を眩しくするのを防止するために、ハイビームをオフにする必要がある場合があり、ロービームだけを使用する場合がある。ハイビームを、2°未満の水平幅を有する、個々に切換可能な垂直ストリップへとセグメント化することによって、それぞれの眩しくするセグメントをオフにすることによってのみ、眩しくすることのない動作が可能であり、こうして道路の照明を改善する。
【0003】
プリント回路板上に搭載されるLED配列が光源として働く。個々のLED間の非放射区域は、特別な光ガイドまたは反射体充填光学系によってマスクされる。同時に、この光学系は、LED配列の放射の、わずかな拡散低減を可能にする。充填光学系の出力は、比較的大きい据付長を有する長い焦点距離を有する投影光学系を用いて、無限遠に向けて道路上へとマッピングされる。LED配列に近接した高温および光パワー密度に起因して、充填光学系の実現は、材料および製造プロセスに高い要求をする。さらに、光セグメントの色ぶちを抑制するために、色収差を補正した投影光学系が必要である。光学系の全長は、投影光学系の焦点距離と、充填光学系の長さの合計からもたらされ、大きいシステム寸法になる。
【0004】
その結果、短い据付長を有し、高い光効率を提供し、効率的な生産性を可能にするハイビームまたはハイビームヘッドライトの必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、これらの条件を満足するハイビームまたはハイビームヘッドライトを提供することが、本発明の目的である。この目的は、独立請求項の主題によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の鍵となる考えは、ハニカム集光器を備える複数の光源を有する光源配列を組み合わせることによって、高効率で短い据付長をもって生産することができ、効率的で低コストの生産性も可能にする、ハイビームまたはハイビームヘッドライトを提供することが可能であるという発見である。ハニカム集光器と光源配列との間に接続されるコリメータが、光源配列の複数の光源の平行光でハニカム集光器を照らす。構成要素の配置構成は、第1の光源からの平行光が、ハニカム集光器のクロストークのない照射および第1の遠距離場セグメントの照明をもたらすようなものである。光源配列の少なくとも1つの第2の光源の各々について、それぞれの第2の光源の平行光が、チャンネルクロストークでのハニカム集光器の照射および第1の遠距離場セグメントに斜めに向けられた第2の遠距離場セグメントの照明をもたらす。言い換えると、1つまたはいくつかの第2の光源は、それらの平行光が、入口側ハニカムレンズまたはハニカム集光器の小レンズを通過するときに、それぞれの関連する出口側ハニカムレンズまたはハニカム集光器の小レンズ中で平行でないように配置され、このことで、それらはそれぞれのチャンネルを、出口側ハニカムレンズまたは隣接チャンネルなどといった別のチャンネルの小レンズの中へと形成するが、これが第1のクロストークオーダに対応することになり、または次の次のチャンネルに対して、第2のクロストークオーダに対応することになり、などとなる。出口側小レンズの受光角が維持される場合、ハニカム集光器構成によって、自動的に、光源配列の光源に関連する遠距離場セグメントの継ぎ目のない連結がもたらされる。というのは、遠距離場セグメントがハニカム集光器によって照明されるためである。こうして、光源配列の光源を個別にまたはグループで制御することができるときセグメント化したハイビームを得ること、または光源がそれに応じて制御できる場合、所望のセグメントがオンもしくはオフにされる、もしくはより強いもしくはより弱い程度に照射される場合のハイビームを得ることが可能である。
【0007】
本出願の好ましい実施形態は、図を参照してより詳細に下で説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態によるハイビームまたはハイビームヘッドライトの概略上面図、すなわち、水平軸に沿って見た図である。
図2】垂直軸に沿って見た、図1のハイビームまたはハイビームヘッドライトの概略側面図である。
図3図1および図2のハニカム集光器の概略空間表現の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
基本の配置構成は、図1の上面図および図2の側面図として示される。光源は、共通の平行光学系2を備える線形LEDクラスタ1である。ビーム整形光学系は、矩形の小レンズを備える、垂直には不規則、水平には規則的なハニカム集光器[1]からなる。ハニカム集光器は、不規則な入力配列3および規則的な出力配列4からなるタンデム配列として構築される。入力配列の不規則性は、垂直にだけ存在する。
【0010】
中心LED1aだけがオンである場合、すべての入力小レンズがこのLEDをそれぞれの関連する出力小レンズ上にだけマッピングし、こうして、各配列チャンネルにケーラー照明での照明光学経路を実現する。図1では、明快のために、中心入力小レンズ中の光学経路だけが示される。次に、出力小レンズが関連する入力小レンズの開口を無限遠にマッピングして、ハイビームの中心遠距離場セグメント5aを作り出す。入力配列の垂直の不規則性に起因して、セグメントの光度の、ほぼ対称的なベル形状の角度分布が垂直方向に得られるが、矩形のシルクハット形の角度分布が水平方向に得られる。
【0011】
光の伝播方向における、右側で中心LEDに隣接するLED1bまたは左側で中心LEDに隣接するLED1cが作動された場合、入力小レンズは、それらを左または右のそれぞれの隣接チャンネル中の出力小レンズ上にマッピングする。図1では、再び明快のために、中心入力小レンズへと入射するビームについての光学経路だけが図示される。このチャンネルクロストークが、進行方向における、左側で中心遠距離場セグメントに隣接するセグメント5bおよび右側で中心遠距離場セグメントに隣接するセグメント5cの形成をもたらす。明快のために図示されない、中心LEDからさらに離れたLEDは、次の1つのチャンネルまたはまたさらに離れたチャンネルへのチャンネルクロストークを引き起こし、こうして、システムの光軸からまたさらに離れた遠距離場セグメントの照明を可能にする。
【0012】
高い充填率を有する不規則配列としての入力レンズ配列の構成によって、セグメントの連続的な接続が保証され、専用充填光学系の使用を不必要なものにする。配列のLEDは、コリメータの歪を考慮して、各々の場合に、所望のチャンネルクロストークだけが生成されるが、他のチャンネル中に光の成分がないような様式で配置される。小レンズのF値が比較的大きく、典型的には、f/#>10であるために、最小の収差だけが生じ、投影の無色化は必要でない。LEDを個別に制御することによって、眩しくすることのない照明に加えて、ハイビームの水平光度プロファイルをやはり設定することができ、このことによって、たとえば電力節約動作が可能になる。
【0013】
言い換えれば、上の図は、複数の光源1a~1cを備えるが、上述のように、その数は3に限定されず、2以上であってよい光源配列1を備えるハイビームまたはハイビームヘッドライト100を示す。さらに、ハイビーム100は、ハニカム集光器10、および、ハニカム集光器10と、複数の光源1a~1cの平行光でハニカム集光器10を照明するための光源配列1との間に接続されるコリメータ2を備える。後者は、上述のように、上述のようなセグメント化したハイビームを提供するために、個別にまたはグループで制御することができる。可制御性は、任意選択でヘッドライト100に関連する制御回路102によって実現され、オン/オフ制御に限定する場合があるが、光度制御も含むことができる。光源1a~1cは、コリメータ2の焦点面に置かれる。
【0014】
特に、光源の中でも、必ずしも光源配列1の光源の中でコリメータ2の焦点面中の中心のものでない、光源1aが存在する。この光源1aは、コリメータ2を介して平行光をもたらし、このことによって、ハニカム集光器10のクロストークのない照射がもたらされる。任意の他の光源、ここでは1bおよび1cでは、それぞれの平行光が、チャンネルクロストークを有するハニカム集光器10の照射をもたらす。言い換えれば、ハニカム集光器10は、入口側にハニカムレンズ配列3を、出口側にハニカムレンズ配列4を備える。各入口側ハニカムレンズまたは入力配列3の入口側小レンズ30は、一緒にチャンネルを形成するために出力配列4のそれぞれの出口側小レンズまたは出口側ハニカムレンズ40と関連し、そこで、前者が、光源1aからの平行光を、その関連する出口側ハニカムレンズ40の中へと平行にする。このために、出力小レンズ40は、入力小レンズ30の焦点距離内で、後者からある距離に配置され、その逆に、入力小レンズ30は、出力小レンズ40の焦点距離内で、後者からある距離に配置され、追加で、入力小レンズと出力小レンズは、互いから一定の繰返し距離Δxで規則的に配置される。図1図3では、光源1aからの平行光がハニカム集光器10に垂直に入射する例示的な場合が図示されており、この場合では、入力小レンズ30と出力小レンズ40の関連する対のレンズ開口とレンズ頂点は、水平方向xに沿って互いに正確に位置合わせされるが、代替実施形態も可能である。図3では、ハニカム集光器10が場合によって40のチャンネルを備えることを例示的に示すだけだが、光源1aの平行光の光線11が例示的に示され、それは、関連する出力小レンズ40から再び出るために、ある入力小レンズ30に当たる。ビーム11は、ハニカム集光器10のチャンネル中をほぼ通過する。図3は、点線11’で、同じ入力小レンズ30に当たるが異なる出力小レンズ40を通って出るときの、他の光源のうちの1つの平行光を示す。光線が出る出力小レンズは、光源1aからの光線11が通過する出力小レンズに隣接する出力小レンズである。これは、上で、第1のクロストークオーダと呼ばれた。11”で、図3は、さらに別の光源から生じる光線を一点短鎖線で示しており、光線は他のビーム11および11’と同じ入力小レンズ30を通過するが、さらに別の出力小レンズ40を出る。この場合、さらに別の出力小レンズ40は、光線11、すなわち光源1aの光線が通過する出力小レンズから、1つの出力小レンズだけ、すなわち、隣であるが出力配列4の中のものを表す1つの出力小レンズだけ離間される。この場合、これは、第2のクロストークオーダと呼ばれる。さらに、異なるより高次のクロストークオーダが可能となる場合がある。
【0015】
上で記載した実施形態では、光源1a~1cは、1次元の線、この場合には水平xに沿って配置される。しかし、光源が異なって、たとえば同様に2次元で配置される逸脱した実施形態も可能となる。光源1が1次元に配置されることの結果として、「他の」光源1bおよび1c、すなわち、チャンネルクロストークをもたらす光源からの平行光は、カラム幅のチャンネルクロストークをもたらす。したがって、ハニカム集光器10およびその入力配列3および出力配列4は、それぞれ、小レンズ30および40のカラム13を備え、その各々は、同一に形成され、方向xに沿ってある繰返し距離で隣り合い、または繰返し距離の倍数の平行移動によって互いに適合してマージする。したがって、1つのカラムでチャンネルを形成する入力小レンズ30と出力小レンズ40の各対は、任意の他のカラム中の対、すなわち、それぞれ配列3および4の同じ行の中のものに対応する。また、チャンネルクロストークは、1つの入力小レンズ30の光が同じカラム13中のその関連する出力小レンズ40へと平行にされず、第1のクロストークオーダの場合の隣接カラムなどといった、別のカラム13中の入力小レンズ30と出力小レンズ40の対応する対の出力小レンズ40へと平行にされることを意味する。
【0016】
出力小レンズ40は、各カラム13内のy方向に規則的な配列をやはり形成する。言い換えると、上記の実施形態では、出力小レンズ40の配列は、xに一定の繰返し距離Δx、yに一定の繰返し距離Δyを有する規則的な配列を形成した。出力小レンズ40のレンズ開口は、矩形で連続的に連結される。しかし、各カラム13で、入力小レンズ30は異なるサイズのレンズ開口を有する。レンズ開口バリエーションは、図2に示されるように、y方向におけるレンズ開口の拡大に関係する。それにもかかわらず、各入力小レンズ30は、光源1aから各入力小レンズ30へ入射する平行光を、その関連する出力小レンズ40の中心へと平行にする。各カラム13で、入力小レンズ30および/または出力小レンズ40のうちの1つまたはいくつかが、y方向に沿ったそれらのレンズ開口に対して偏心したレンズ頂点を有することができる。偏心およびレンズ開口バリエーションは、セグメント5a~5cが照明される、y方向における所望の光度角度分布を達成させる働きをする。ここで、いくつかの入力小レンズ30がそれらの関連する出力小レンズ40に対してyにより大きいレンズ開口拡張を有し、レンズ頂点が、相互にyに向けられ、各々がそのレンズ開口に対して中心に置かれるという点で、角度分布は、予め規定された角度で、または順方向に垂直にピークを有してより広くなった。他の実装形態も可能となる。
【0017】
このようにして、ハイビームヘッドライト100は、ハイビームセグメント5a、5b、および5cの個別照明を可能にする。光源1a~1cの1次元並列配置にしたがって、遠距離場セグメントは、空間方向xに沿って広がる。しかし、遠距離場セグメントは、互いに継ぎ目なく隣り合う。上述のように、入口側小レンズ30は、すべての生じるクロストークオーダにわたって、平均でより良好な合焦を提供するために、わずかに予めデフォーカスする場合がある(ここで、ゼロ次に対してはチャンネルクロストークは、対応しない)。こうして、ハニカム集光器10の出口側ハニカムレンズ配列4の出口側ハニカムレンズ40が、この光源1aの平行光のものと、光源、すなわち光源1bまたは1b、すなわち図1の場合には光源1bまたは1cの中でも最大のクロストークオーダを有するそのような他の光源の平行光のものとの間に平行方向を有する平行光についてよりもデフォーカスした様式で、第1の光源1aの平行光について配置される平面に対して、ハニカム集光器10の入口側ハニカムレンズ配列3の入口側ハニカムレンズを配置することができる。したがって事実上図1では、たとえば、出力小レンズ40は、クロストークのない照射について最適となるより入力小レンズにわずかに近く、しかし、光源1bおよび1aのうちの1つによるチャンネルクロストーク照射について最適となるよりもさらに遠くもなる。
【0018】
ビーム整形のためのマルチ開口システムとしてのマイクロ光学的実現によって、従来システムと比較して据付長を減らすことが可能になる。マイクロ光学的ビーム整形によって、別個の充填光学系および投影光学系の色収差補正の必要がなくなる。透明な配列または開口を有する投影システムと比較して、システム透過率の増加が達成される。
【0019】
上の実施形態は、自動車のためのハイビームとして使用することができるが、一般的に、切換可能なスポットライトとしても使用することができる。矩形画素を有するより大面積の、2次元可変照明を実現することができる。
【0020】
したがって言い換えると、上の実施形態は、とりわけ、マルチ開口光学系を有するセグメント化したハイビームを記載する。本文脈では、セグメント化したハイビームが平行光源配列と、ビーム整形のための後続のハニカム集光器とを備え、光源配列の中心要素、たとえば中心光源が、ハニカム集光器の垂直な照射を生成するが、すべての他の要素が斜めの照射を生成し、こうして規定されたチャンネルクロストークを生成することが記載された。複数の放射体の1次元線形配列としての光源配列の構成が例として示された。光源配列の平行化は、示されるような非球面レンズによって達成することができる。あるいは、視野レンズおよび平行非球面からなる2レンズ配置構成によって、光源配列の平行化がやはり可能である。示されるように、ハニカム集光器は、矩形の小レンズで、垂直方向yに不規則なハニカム集光器、水平方向に規則的なハニカム集光器として形成することができる。図2では、ハニカム集光器は、垂直方向に不規則な矩形の小レンズの入力レンズ配列および矩形の小レンズの規則的な出力配列によって形成された。ハニカム集光器が、垂直方向に偏心するが、レンズ開口の一定の垂直拡大を有する小レンズをやはり含む出力レンズ配列を備えることも可能である。ハニカム集光器は、モノリシックタンデム配列として構成することができる。LEDを個別に制御することによって、眩しくすることのない光度分布を達成することができる。
【0021】
(参考文献)
【符号の説明】
【0022】
1 線形LEDクラスタ、光源配列
1a 中心LED、光源
1b LED、光源
1c LED、光源
2 平行光学系、コリメータ
3 入力配列、ハニカムレンズ配列
4 出力配列、ハニカムレンズ配列
5a 中心遠距離場セグメント、ハイビームセグメント
5b セグメント、ハイビームセグメント
5c セグメント、ハイビームセグメント
10 ハニカム集光器
11 光線、ビーム
11’ 点線
11” 光線
13 カラム
30 入口側小レンズ
40 出口側ハニカムレンズ、出力小レンズ
100 ハイビーム、ハイビームヘッドライト
102 制御回路
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2020-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイビームヘッドライトであって、
複数の光源(1a,1b,1c)を備える光源配列(1)と、
ハニカム集光器(10)と、
前記複数の光源の平行光で前記ハニカム集光器を照明するための、前記ハニカム集光器と前記光源配列との間に接続されるコリメータ(2)と、
を備え、
前記光源配列が、第1の光源(1a)および少なくとも1つの第2の光源(1b)を備え、前記ハニカム集光器の入口側ハニカムレンズ配列(3)の各入口側ハニカムレンズが、前記第1の光源(1a)の前記平行光が前記入口側ハニカムレンズそれぞれによってその中へと平行にされる前記ハニカム集光器の出口側ハニカムレンズ配列(3)の関連する出口側ハニカムレンズを備えて、前記ハニカム集光器のチャンネルを一緒に形成し、前記少なくとも1つの第2の光源の各々について、前記第2の光源(1b)それぞれの前記平行光が、前記ハニカム集光器の前記入口側ハニカムレンズ配列(3)によって、チャンネルクロストーク様式で、前記出口側ハニカムレンズ配列(3)の前記出口側ハニカムレンズの中へと平行にされ、これにより、前記光源配列(1)の前記第1の光源(1a)の前記平行光が、前記ハニカム集光器のクロストークのない照射および第1の遠距離場セグメント(5a)の照明をもたらし、前記少なくとも1つの第2の光源(1b)の各々について、前記第2の光源(1b)それぞれの前記平行光が、チャンネルクロストークでの前記ハニカム集光器の照射および前記第1の遠距離場セグメント(5a)に対して斜めに向けられた第2の遠距離場セグメント(5b)の照明をもたらす、ハイビームヘッドライト。
【請求項2】
前記光源配列(1)の前記光源が、個別にまたはサブグループで制御可能である、請求項1に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項3】
前記光源配列(1)が、第1の空間方向(x)に沿った1次元光源配列として構成され、前記第1および第2の遠距離場セグメント(5a,5b)が、前記第1の空間方向に沿って広がる、請求項1に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項4】
前記ハニカム集光器の入口側ハニカムレンズ配列(3)が、前記第1の空間方向(x)に対して垂直な第2の方向(y)に延在し、繰返し距離(Δx)で前記第1の空間方向(x)に互いに等距離に配置される、入口側ハニカムレンズカラムを備え、前記ハニカム集光器の出口側ハニカムレンズ配列(4)が、前記第1の空間方向に対して垂直な第2の方向(y)に延在する出口側ハニカムレンズカラムを備え、前記第1の光源(1a)の前記平行光が、前記入口側ハニカムレンズカラムの各々を通して前記出口側ハニカムレンズカラムのうちの関連する1つへと平行にされるように、前記出口側ハニカムレンズカラムが、前記出口側ハニカムレンズカラムに対して前記繰返し距離(Δx)で前記第1の空間方向(x)に互いに等距離に配置される、請求項3に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項5】
予め規定された入口側ハニカムレンズカラムの入口側ハニカムレンズが、第2の空間方向(y)に沿ったレンズ開口および/またはレンズ頂点の配置に対して、前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの出口側ハニカムレンズと異なる、請求項4に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項6】
予め規定された入口側ハニカムレンズカラムの入口側ハニカムレンズが、第2の空間方向(y)に沿ったレンズ開口および/またはレンズ頂点の配置に対して、前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの出口側ハニカムレンズと異なり、その結果、前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムの前記入口側ハニカムレンズおよび前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの前記出口側ハニカムレンズを介して、前記第1の光源(1a)の前記平行光によって前記第1の遠距離場セグメント(5a)が照明される光度分布が、レンズ開口およびレンズ頂点の前記配置に関して、前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムの前記入口側ハニカムレンズを前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの前記出口側ハニカムレンズと整合させる場合よりも、前記第2の空間方向(y)により広い角度分布を備える、請求項4に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項7】
前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの前記出口側ハニカムレンズが、互いに等距離に配置される相互に調和するレンズ開口を備える、請求項5または6に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項8】
前記予め規定された出口側ハニカムレンズカラムの前記出口側ハニカムレンズが、互いに等距離に配置され、各々が中心に置かれたレンズ頂点を備える、相互に調和するレンズ開口を備える、請求項5から7のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項9】
前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムの前記入口側ハニカムレンズおよび/または前記予め規定された入口側ハニカムレンズカラムに関連する前記出口側ハニカムレンズカラムの出口側ハニカムレンズのうちの少なくとも1つが、前記第2の方向(y)に沿ってそのレンズ開口に関して偏心したレンズ頂点を備える、請求項5から8のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項10】
予め規定された第2の光源(1b)の前記平行光が、前記少なくとも1つの第2の光源下で最大であるクロストークオーダで前記ハニカム集光器を通過し、
前記ハニカム集光器の前記入口側ハニカムレンズ配列(3)の前記入口側ハニカムレンズが、前記ハニカム集光器の前記出口側ハニカムレンズ配列(4)の前記出口側ハニカムレンズが配置される面に関して、前記第1の光源の前記平行光のものと前記予め規定された第2の光源(1b)の前記平行光のものとの間の平行方向を有する平行光についてより、前記第1の光源の前記平行光について、よりデフォーカスした様式で配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項11】
前記コリメータ(2)が非球面様式で構成されて、球面構成と比較して、前記少なくとも1つの第2の光源(1b)の前記平行光の平行化を改善する、請求項1から10のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項12】
前記複数の光源の前記平行光で前記ハニカム集光器を照明するために、前記コリメータ(2)と協働する視野レンズを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項13】
前記ハニカム集光器が、モノリシックタンデム配列として形成される、請求項1から12のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項14】
眩しくないように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項15】
自動車で使用することが意図される、請求項1から14のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライト。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のハイビームヘッドライトを有する自動車。
【国際調査報告】