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特表2022-512654完全な改質油からのパラキシレンの生成を最大化するための統合プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】完全な改質油からのパラキシレンの生成を最大化するための統合プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 4/18 20060101AFI20220131BHJP
   C07C 15/08 20060101ALI20220131BHJP
   C07C 7/13 20060101ALI20220131BHJP
   C07C 7/14 20060101ALI20220131BHJP
   C07C 7/04 20060101ALI20220131BHJP
   C07C 5/27 20060101ALI20220131BHJP
   C07C 6/12 20060101ALI20220131BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C07C4/18
C07C15/08
C07C7/13
C07C7/14
C07C7/04
C07C5/27
C07C6/12
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519710
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(85)【翻訳文提出日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 US2019056245
(87)【国際公開番号】W WO2020081515
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】16/160,393
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/592,158
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】シュ,キー
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,ゾンリン
(72)【発明者】
【氏名】アブダワウド,ラエド
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC26
4H006AC27
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC18
4H006BD32
4H006BD33
4H006BD34
4H006BD40
4H006BD52
4H006BD53
4H006BD84
4H006BE20
4H039CA11
4H039CA12
4H039CA41
4H039CE40
4H039CJ10
4H039CJ30
4H039CJ90
(57)【要約】
【要約】
p-キシレンを生成する方法であって、この方法は、C9+芳香族炭化水素および水素ガスを脱アルキル化触媒の存在下で変換して、脱アルキル化流出物を生成するステップと、脱アルキル化流出物を分離して炭素9(C9)芳香族流、キシレン流、およびトルエン流を生成するステップと、p-キシレン分離ユニット内でキシレン流からp-キシレン生成物およびp-キシレン枯渇流を生成するステップと、異性化ユニット内でp-キシレン枯渇流中のm-キシレンおよびo-キシレンを変換して、異性化流出物を生成するステップと、トランスアルキル化反応器中のトランスアルキル化触媒の存在下でC9芳香族流および水素流を反応させてトランスアルキル化流出物を生成するステップと、スプリッタカラム内で異性化流出物およびトランスアルキル化流出物中のC6~C9+芳香族炭化水素を分離して、ベンゼンリサイクル、トルエンリサイクル、キシレンリサイクル、C9+リサイクルを生成するステップと、を含む。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
p-キシレンを生成する方法であって、
改質油供給物を脱アルキル化反応器に導入するステップであって、前記改質油供給物が芳香族炭化水素を含み、前記芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、混合キシレン、炭素9+(C9+)芳香族炭化水素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、ステップと、
前記脱アルキル化反応器へ水素供給物を導入するステップであって、前記水素供給物が水素ガスを含み、前記脱アルキル化反応器が、C9+芳香族炭化水素を炭素6(C6)~炭素8(C8)芳香族炭化水素に変換するように構成される、ステップと、
前記脱アルキル化反応器内で脱アルキル化触媒の存在下で前記C9+芳香族炭化水素および前記水素ガスを変換して脱アルキル化流出物を生成するステップであって、前記脱アルキル化反応器は脱アルキル化温度であり、前記脱アルキル化反応器は脱アルキル化圧力であり、前記脱アルキル化流出物は、前記脱アルキル化流出物中のC9+芳香族炭化水素の量が前記改質油供給物中のC9+芳香族炭化水素の量未満であるように芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記脱アルキル化流出物を改質油スプリッタに導入するステップであって、前記改質油スプリッタは前記脱アルキル化流出物を分離するように構成される、ステップと、
前記改質物スプリッタ内で前記脱アルキル化流出物を分離して、軽質ガス流、ベンゼン流、重質炭化水素、炭素9(C9)芳香族流、キシレン流、およびトルエン流を生成するステップであって、前記C9芳香族流はC9芳香族炭化水素を含み、前記キシレン流は混合キシレンを含み、前記混合キシレンはp-キシレンを含み、前記トルエン流がトルエンを含む、ステップと、
前記キシレン流をp-キシレン分離ユニットに導入するステップであって、前記p-キシレン分離ユニットは、前記キシレン流からp-キシレンを分離するように構成される、ステップと、
前記p-キシレン分離ユニット内で前記キシレン流からp-キシレンを分離してp-キシレン生成物およびp-キシレン枯渇流を生成するステップであって、前記p-キシレン生成物はp-キシレンを含み、前記p-キシレン枯渇流はm-キシレンおよびo-キシレンを含む、ステップと、
前記p-キシレン枯渇流の異性化ユニットへ導入するステップであって、前記異性化ユニットが異性化触媒を含む、ステップと、
前記異性化ユニット内で前記p-キシレン枯渇流中のm-キシレンおよびo-キシレンを変換して異性化流出物を生成するステップであって、前記異性化ユニットは異性化温度であり、前記異性化ユニットは異性化圧力であり、前記異性化流出物はC8芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記C9芳香族流および水素流をトランスアルキル化反応器に導入するステップであって、前記トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化反応によってC9+芳香族炭化水素を変換するように構成される、ステップと、
前記トランスアルキル化反応器内でトランスアルキル化触媒の存在下で前記C9芳香族流と水素流とを反応させてトランスアルキル化流出物を生成するステップであって、前記トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化温度であり、前記トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化圧力であり、前記トランスアルキル化触媒はトランスアルキル化反応を触媒するように使用可能であり、前記トランスアルキル化流出物はC6~C9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記異性化流出物および前記トランスアルキル化流出物をスプリッタカラムに導入するステップであって、前記スプリッタカラムはC6~C9+芳香族炭化水素を分離するように構成される、ステップと、
前記スプリッタカラム内で前記異性化流出物および前記トランスアルキル化流出物中の前記C6~C9+芳香族炭化水素を分離して、ベンゼンリサイクル、トルエンリサイクル、キシレンリサイクルおよびC9+リサイクルを生成するステップであって、前記ベンゼンリサイクルがベンゼンを含み、前記トルエンリサイクルがトルエンを含み、前記キシレンリサイクルが混合キシレンを含み、前記C9+リサイクルがC9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記キシレンリサイクルを前記p-キシレン分離ユニットにリサイクルするステップと、
前記ベンゼンリサイクル、前記トルエンリサイクル、および前記C9+リサイクルを前記トランスアルキル化反応器にリサイクルするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記トルエン流をトルエン分割流として前記トランスアルキル化反応器に導入するステップであって、前記トルエン分割流の流量は、前記トランスアルキル化反応器中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するように操作可能である、ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トルエン流を分離してトルエン流の留分とトルエン分割流を生成するステップと、
前記トルエン流の留分をトルエン不均化反応器へ導入するステップであって、前記トルエン不均化反応器が不均化触媒を含み、前記トルエン不均化反応器がトルエン不均化反応を支持するように構成される、ステップと、
前記トルエン不均化反応器中で前記トルエン流の留分を反応させて不均化流出物を生成するステップであって、前記不均化流出物はC6~C8芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記不均化流出物を前記スプリッタカラムに導入するステップと、
前記トルエン分割流を前記トランスアルキル化反応器に導入するステップであって、前記トルエン分割流の流量は前記トランスアルキル化反応器中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するように操作可能である、ステップと、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記脱アルキル化温度が200℃~550℃であり、さらに前記脱アルキル化圧力が5バール~50バールであり、さらに前記脱アルキル化反応器中の液空間速度が1hr-1~20hr-1である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記トランスアルキル化温度が200℃~550℃であり、さらに前記トランスアルキル化圧力が10バール~50バールであり、さらに前記トランスアルキル化反応器中の液空間速度が0.2hr-1~20hr-1である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記異性化温度が200℃~550℃であり、さらに前記異性化圧力が5バール~50バールであり、さらに前記異性化ユニット内の液空間速度が1hr-1~20hr-1である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
p-キシレンを生成する方法であって、
改質油供給物を脱アルキル化反応器に導入するステップであって、前記改質油供給物が芳香族炭化水素を含み、前記芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、混合キシレン、炭素9+(C9+)芳香族炭化水素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、ステップと、
前記脱アルキル化反応器へ水素供給物を導入するステップであって、前記水素供給物が水素ガスを含み、前記脱アルキル化反応器がC9+芳香族炭化水素を炭素6(C6)~炭素8(C8)芳香族炭化水素に変換するように構成される、ステップと、
前記脱アルキル化反応器内で脱アルキル化触媒の存在下で前記C9+芳香族炭化水素および水素ガスを変換して脱アルキル化流出物を生成するステップであって、前記脱アルキル化反応器は脱アルキル化温度であり、前記脱アルキル化反応器は脱アルキル化圧力であり、前記脱アルキル化流出物は、前記脱アルキル化流出物中のC9+芳香族炭化水素の量が前記改質油供給物中のC9+芳香族炭化水素の量未満であるように芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記脱アルキル化流出物を改質油スプリッタに導入するステップであって、前記改質油スプリッタは前記脱アルキル化流出物を分離するように構成される、ステップと、
前記脱アルキル化流出物を前記改質油スプリッタ内で分離して、軽質ガス流、混合軽質芳香族流、重質炭化水素、炭素9(C9)芳香族流、およびキシレン流を生成するステップであって、前記C9芳香族流はC9芳香族炭化水素を含み、前記キシレン流は混合キシレンを含み、前記混合キシレンはp-キシレンを含み、前記混合軽質芳香族流はトルエンを含む、ステップと、
前記混合軽質芳香族流を芳香族抽出ユニットに導入するステップであって、前記芳香族抽出ユニットは芳香族炭化水素を非芳香族炭化水素から分離するように構成される、ステップと、
前記芳香族抽出ユニット内で前記非芳香族炭化水素を分離して、非芳香族抽残油流および芳香族抽出流を生成するステップであって、前記芳香族抽出流は、トルエン、ベンゼン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記キシレン流をp-キシレン分離ユニットに導入するステップであって、前記p-キシレン分離ユニットは前記キシレン流からp-キシレンを分離するように構成される、ステップと、
前記p-キシレン分離ユニット内で前記キシレン流からp-キシレンを分離してp-キシレン生成物およびp-キシレン枯渇流を生成するステップであって、前記p-キシレン生成物はp-キシレンを含み、前記p-キシレン枯渇流はm-キシレンおよびo-キシレンを含む、ステップと、
前記p-キシレン枯渇流を異性化ユニットに導入するステップであって、前記異性化ユニットは異性化触媒を含む、ステップと、
前記異性化ユニット内で前記p-キシレン枯渇流中の前記m-キシレンおよびo-キシレンを変換して異性化流出物を生成するステップであって、前記異性化ユニットは異性化温度であり、前記異性化ユニットは異性化圧力であり、前記異性化流出物はC8芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記C9芳香族流および水素流をトランスアルキル化反応器に導入するステップであって、前記トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化反応によってC9+芳香族炭化水素を変換するように構成される、ステップと、
前記トランスアルキル化反応器内でトランスアルキル化触媒の存在下で前記C9芳香族流と水素流とを反応させてトランスアルキル化流出物を生成するステップであって、前記トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化温度であり、前記トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化圧力であり、前記トランスアルキル化触媒はトランスアルキル化反応を触媒するように使用可能であり、前記トランスアルキル化流出物はC6~C9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記芳香族抽出流、前記異性化流出物および前記トランスアルキル化流出物をスプリッタカラムに導入するステップであって、前記スプリッタカラムはC6~C9+芳香族炭化水素を分離するように構成される、ステップと、
前記トランスアルキル化反応器内で前記芳香族抽出流、前記異性化流出物および前記トランスアルキル化流出物中の前記C6~C9+芳香族炭化水素を分離して、ベンゼンリサイクル、トルエンリサイクル、キシレンリサイクルおよびC9+リサイクルを生成するステップであって、前記ベンゼンリサイクルはベンゼンを含み、前記トルエンリサイクルはトルエンを含み、前記キシレンリサイクルは混合キシレンを含み、前記C9+リサイクルはC9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記キシレンリサイクルを前記p-キシレン分離ユニットにリサイクルするステップと、
前記ベンゼンリサイクル、前記トルエンリサイクル、前記C9+リサイクルを前記トランスアルキル化反応器にリサイクルするステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記トルエンリサイクルの流量が、前記トランスアルキル化反応器中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するように操作可能である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記脱アルキル化温度が200℃~550℃であり、さらに前記脱アルキル化圧力が5バール~50バールであり、さらに前記脱アルキル化反応器中の液空間速度が1hr-1~20hr-1である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記トランスアルキル化温度が200℃~550℃であり、さらに前記トランスアルキル化圧力が10バール~50バールであり、さらに前記トランスアルキル化反応器中の液空間速度が0.2hr-1~20hr-1である、請求項7~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記異性化温度が200℃~550℃であり、さらに異性化圧力が5バール~50バールであり、さらに前記異性化ユニット内の液空間速度が1hr-1~20hr-1である、請求項7~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
p-キシレンを生成する方法であって、
改質油供給物を脱アルキル化反応器に導入するステップであって、前記改質油供給物が芳香族炭化水素を含み、前記芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、混合キシレン、炭素9+(C9+)芳香族炭化水素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、ステップと、
前記脱アルキル化反応器へ水素供給物を導入するステップであって、前記水素供給物が水素ガスを含み、前記脱アルキル化反応器が、C9+芳香族炭化水素を炭素6(C6)~炭素8(C8)芳香族炭化水素に変換するように構成される、ステップと、
前記脱アルキル化反応器内で脱アルキル化触媒の存在下で前記C9+芳香族炭化水素および前記水素ガスを変換して脱アルキル化流出物を生成するステップであって、前記脱アルキル化反応器は脱アルキル化温度であり、前記脱アルキル化反応器は脱アルキル化圧力であり、前記脱アルキル化流出物は、前記脱アルキル化流出物中のC9+芳香族炭化水素の量が前記改質油供給物中のC9+芳香族炭化水素の量未満であるように芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記脱アルキル化流出物を芳香族抽出ユニットに導入するステップであって、前記芳香族抽出ユニットは、前記脱アルキル化流出物中の非芳香族を分離するように構成される、ステップと、
前記芳香族抽出ユニット内で前記脱アルキル化流出物を分離して抽残油流出物および芳香族供給物を生成するステップであって、前記抽残油流出物が軽質ガスを含む、ステップと、
前記芳香族供給物を改質油スプリッタに導入するステップであって、前記改質油スプリッタは前記芳香族供給物を分離するように構成される、ステップと、
前記改質油スプリッタ内で前記芳香族供給物を分離して、ベンゼン流、重質炭化水素、炭素9(C9)芳香族流、キシレン流、およびトルエン流を生成するステップであって、前記C9芳香族流はC9芳香族炭化水素を含み、前記キシレン流は混合キシレンを含み、前記混合キシレンはp-キシレンを含み、前記トルエン流はトルエンを含む、ステップと、
前記キシレン流をp-キシレン分離ユニットに導入するステップであって、前記p-キシレン分離ユニットはキシレン流からp-キシレンを分離するように構成される、ステップと、
前記p-キシレン分離ユニット内で前記キシレン流から前記p-キシレンを分離してp-キシレン生成物およびp-キシレン枯渇流を生成するステップであって、前記p-キシレン生成物はp-キシレンを含み、前記p-キシレン枯渇流はm-キシレンおよびo-キシレンを含む、ステップと、
前記p-キシレン枯渇流を異性化ユニットへ導入するステップであって、前記異性化ユニットは異性化触媒を含む、ステップと、
前記異性化ユニット内で前記p-キシレン枯渇流中の前記m-キシレンおよびo-キシレンを変換して異性化流出物を生成するステップであって、前記異性化ユニットは異性化温度であり、前記異性化ユニットは異性化圧力であり、前記異性化流出物はC8芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記C9芳香族流および水素流をトランスアルキル化反応器に導入するステップであって、前記トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化反応によってC9+芳香族炭化水素を変換するように構成される、ステップと、
前記トランスアルキル化反応器内でトランスアルキル化触媒の存在下で前記C9芳香族流と前記水素流とを反応させてトランスアルキル化流出物を生成するステップであって、前記トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化温度であり、前記トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化圧力であり、前記トランスアルキル化触媒はトランスアルキル化反応を触媒するように使用可能であり、前記トランスアルキル化流出物はC6~C9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記異性化流出物および前記トランスアルキル化流出物をスプリッタカラムに導入するステップであって、前記スプリッタカラムはC6~C9+芳香族炭化水素を分離するように構成される、ステップと、
前記トランスアルキル化反応器内で前記異性化流出物およびトランスアルキル化流出物中の前記C6~C9+芳香族炭化水素を分離して、ベンゼンリサイクル、トルエンリサイクル、キシレンリサイクルおよびC9+リサイクルを生成するステップであって、前記ベンゼンリサイクルがベンゼンを含み、前記トルエンリサイクルがトルエンを含み、前記キシレンリサイクルが混合キシレンを含み、前記C9+リサイクルがC9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、
前記キシレンリサイクルをp-キシレン分離ユニットにリサイクルするステップと、
前記ベンゼンリサイクル、前記トルエンリサイクル、および前記C9+リサイクルを前記トランスアルキル化反応器にリサイクルするステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記トルエン流をトルエン分割流として前記トランスアルキル化反応器に導入するステップであって、前記トルエン分割流の流量は、前記トランスアルキル化反応器中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するように操作可能である、ステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記トルエン流を分離してトルエン流の留分とトルエン分割流を生成するステップと、
前記トルエン流の留分をトルエン不均化反応器へ導入するステップであって、前記トルエン不均化反応器は不均化触媒を含み、前記トルエン不均化反応器はトルエン不均化反応を支持するように構成される、ステップと、
前記トルエン不均化反応器内で前記トルエン流の留分を反応させて不均化流出物を生成するステップであって、前記不均化流出物は、C6~C8芳香族炭化水素を含む、ステップと、

前記不均化流出物を前記スプリッタカラムに導入するステップと、
前記トルエン分割流を前記トランスアルキル化反応器に導入するステップであって、前記トルエン分割流の流量が、前記トランスアルキル化反応器中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するように操作可能である、ステップと、
をさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記脱アルキル化温度が200℃~550℃であり、さらに前記脱アルキル化圧力が5バール~50バールであり、さらに前記脱アルキル化反応器中の液空間速度が1hr-1~20hr-1である、請求項12~14に記載の方法。
【請求項16】
前記トランスアルキル化温度が200℃~550℃であり、さらに前記トランスアルキル化圧力が10バール~50バールであり、さらに前記トランスアルキル化反応器中の液空間速度が0.2hr-1~20hr-1である、請求項12~15に記載の方法。
【請求項17】
前記異性化温度が200℃~550℃であり、さらに前記異性化圧力が5バール~50バールであり、さらに前記異性化ユニット内の液空間速度が1hr-1~20hr-1である、請求項12~16に記載の方法。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
キシレンを生成するための方法およびシステムが開示される。具体的には、改質油からのキシレンの生成を最大化するための方法およびシステムが開示される。
【背景技術】
【0002】
典型的な芳香族錯体において、触媒ナフサ改質油は、ベンゼントルエンキシレン(BTX)分離ステップに導かれ、残りのC9+留分は、C9留分とC10+留分とに分離することができる。C10+留分は、システムから排除することができる。
【0003】
C9留分をトランスアルキル化反応器に導入して、さらなるBTXを生成することができる。抽出されたキシレンは、パラキシレン分離ステップに導くことができる。残りのキシレン異性体は、独立型キシレン異性化反応器に送られ、キシレンの熱力学的平衡を再確立し、プロセスにおいてパラキシレンを形成することができる。
【0004】
ベンゼンは、抽出プロセスを介して接触ナフサ改質油から分離することができる。さらに、ベンゼンは、トルエン不均化反応器中で、熱的脱アルキル化または水添脱アルキル化によって生成することができる。生成されたベンゼンは、プロセスから回収される。典型的なプロセスでは、回収または生成されたベンゼンはプロセス内でリサイクルされない。熱的脱アルキル化および水添脱アルキル化で、さらなるキシレンを生成することができる。
【発明の概要】
【0005】
キシレンを生成するための方法およびシステムが開示される。具体的には、改質油からのキシレンの生成を最大化するための方法およびシステムが開示される。
【0006】
第1の態様では、パラキシレンの生成方法が提供される。この方法は、改質油供給物を脱アルキル化反応器に導入するステップであって、改質油供給物は、ベンゼン、トルエン、混合キシレン、炭素9+(C9+)芳香族炭化水素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される芳香族炭化水素を含む、ステップを含む。この方法は、脱アルキル化反応器に水素供給物を導入するステップであって、水素供給物は水素ガスを含み、脱アルキル化反応器はC9+芳香族炭化水素を炭素6(C6)~炭素8(C8)芳香族炭化水素に変換するように構成される、ステップと、脱アルキル化反応器内で脱アルキル化触媒の存在下でC9+芳香族炭化水素および水素ガスを変換して脱アルキル化流出物を生成するステップであって、脱アルキル化反応器は脱アルキル化温度であり、脱アルキル化反応器は脱アルキル化圧力であり、脱アルキル化流出物は、脱アルキル化流出物中のC9+芳香族炭化水素の量が改質油供給物中のC9+芳香族炭化水素の量未満であるように芳香族炭化水素を含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、脱アルキル化流出物を分離するように構成された改質油スプリッタに脱アルキル化流出物を導入するステップと、改質油スプリッタ内で脱アルキル化流出物を分離して、軽質ガス流、ベンゼン流、重質炭化水素、炭素9(C9)芳香族流、キシレン流、およびトルエン流を生成するステップであって、C9芳香族流はC9芳香族炭化水素を含み、キシレン流は混合キシレンを含み、混合キシレンはp-キシレンを含み、トルエン流はトルエンを含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、キシレン流からp-キシレンを分離するように構成されたp-キシレン分離ユニットにキシレン流を導入するステップと、p-キシレン分離ユニット内でキシレン流からp-キシレンを分離してp-キシレン生成物およびp-キシレン枯渇流を生成するステップであって、p-キシレン生成物がp-キシレンを含み、p-キシレン枯渇流がm-キシレンおよびo-キシレンを含む、ステップと、異性化触媒を含む異性化ユニットにp-キシレン枯渇流を導入するステップと、異性化ユニット内のp-キシレン枯渇流中のm-キシレンおよびo-キシレンを変換して異性化流出物を生成するステップであって、異性化ユニットは異性化温度であり、異性化ユニットは異性化圧力であり、異性化流出物はC8芳香族炭化水素を含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、トランスアルキル化反応によってC9+芳香族炭化水素を変換するように構成されたトランスアルキル化反応器にC9芳香族流および水素流を導入するステップと、トランスアルキル化反応器内でトランスアルキル化触媒の存在下でC9芳香族流および水素流を反応させてトランスアルキル化流出物を生成するステップであって、トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化温度であり、トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化圧力であり、トランスアルキル化触媒はトランスアルキル化反応を触媒するように使用可能であり、トランスアルキル化流出物はC6~C9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、C6~C9+芳香族炭化水素を分離するように構成されたスプリッタカラムに異性化流出物およびトランスアルキル化流出物を導入するステップと、スプリッタカラム内の異性化流出物およびトランスアルキル化流出物中のC6~C9+芳香族炭化水素を分離して、ベンゼンリサイクル、トルエンリサイクル、キシレンリサイクルおよびC9+リサイクルを生成するステップであって、ベンゼンリサイクルはベンゼンを含み、トルエンリサイクルはトルエンを含み、キシレンリサイクルは混合キシレンを含み、C9+リサイクルはC9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、キシレンリサイクルをp-キシレン分離ユニットにリサイクルするステップと、ベンゼンリサイクル、トルエンリサイクルおよびC9+リサイクルをトランスアルキル化反応器にリサイクルするステップと、をさらに含む。
【0007】
特定の態様では、この方法は、トルエン流をトルエン分割流としてトランスアルキル化反応器に導入するステップであって、トルエン分割流の流量は、トランスアルキル化反応器中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するように操作可能である。特定の態様では、この方法は、トルエン流を分離してトルエン流の留分およびトルエン分割流を生成するステップと、トルエン流の留分をトルエン不均化反応器に導入するステップであって、トルエン不均化反応器は不均化触媒を含み、トルエン不均化反応器はトルエン不均化反応を支持するように構成される、ステップと、トルエン不均化反応器内でトルエン流の留分を反応させて不均化流出物を生成するステップであって、不均化流出物はC6~C8芳香族炭化水素を含む、ステップと、不均化流出物をスプリッタカラムに導入するステップと、トルエン分割流をトランスアルキル化反応器に導入するステップであって、トルエン分割流の流量はトランスアルキル化反応器中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するように操作可能である、ステップと、をさらに含む。特定の態様では、脱アルキル化温度は200℃~550℃であり、さらに脱アルキル化圧力は5バール~50バールであり、さらに脱アルキル化反応器内の液空間速度は1hr‐1~20hr‐1である。特定の態様では、トランスアルキル化温度は200℃~550℃であり、さらにトランスアルキル化圧力は10バール~50バールであり、さらにトランスアルキル化反応器中の液空間速度は0.2hr‐1~20hr‐1である。特定の態様では、異性化温度は200℃~550℃であり、さらに異性化圧力は5バール~50バールであり、さらに異性化ユニット内の液空間速度は1hr‐1~20hr‐1である。
【0008】
第2の態様では、パラキシレンの生成方法が提供される。この方法は、改質油供給物を脱アルキル化反応器に導入するステップであって、改質油供給物が、ベンゼン、トルエン、混合キシレン、炭素9+(C9+)芳香族炭化水素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される芳香族炭化水素を含む、ステップを含む。この方法は、水素供給物を脱アルキル化反応器に導入するステップであって、水素供給物は水素ガスを含み、脱アルキル化反応器はC9+芳香族炭化水素を炭素6(C6)~炭素8(C8)芳香族炭化水素に変換するように構成される、ステップと、脱アルキル化反応器内で脱アルキル化触媒の存在下でC9+芳香族炭化水素および水素ガスを変換して脱アルキル化流出物を生成するステップであって、脱アルキル化反応器は脱アルキル化温度であり、脱アルキル化反応器は脱アルキル化圧力であり、脱アルキル化流出物は、脱アルキル化流出物中のC9+芳香族炭化水素の量が改質油供給物中のC9+芳香族炭化水素の量未満であるように芳香族炭化水素を含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、脱アルキル化流出物を分離するように構成された改質油スプリッタに脱アルキル化流出物を導入するステップと、脱アルキル化流出物を改質油スプリッタ内で分離して、軽質ガス流、混合軽質芳香族流、重質炭化水素、炭素9(C9)芳香族流、およびキシレン流を生成するステップであって、C9芳香族流はC9芳香族炭化水素を含み、キシレン流は混合キシレンを含み、混合キシレンはp-キシレンを含み、混合軽質芳香族流はトルエンを含む、ステップと、非芳香族炭化水素から芳香族炭化水素を分離するように構成された芳香族抽出ユニットに混合軽質芳香族流を導入するステップと、芳香族抽出ユニット内で非芳香族炭化水素を分離して非芳香族抽残油流および芳香族抽出流を生成するステップであって、芳香族抽出流は、トルエン、ベンゼン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される芳香族炭化水素を含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、キシレン流からp-キシレンを分離するように構成されたp-キシレン分離ユニットにキシレン流を導入するステップと、p-キシレン分離ユニット内でキシレン流からp-キシレンを分離してp-キシレン生成物およびp-キシレン枯渇流を生成するステップであって、p-キシレン生成物がp-キシレンを含み、p-キシレン枯渇流がm-キシレンおよびo-キシレンを含む、ステップと、異性化触媒を含む異性化ユニットにp-キシレン枯渇流を導入するステップと、異性化ユニット内でp-キシレン枯渇流中のm-キシレンおよびo-キシレンを変換して異性化流出物を生成するステップであって、異性化ユニットは異性化温度であり、異性化ユニットは異性化圧力であり、異性化流出物はC8芳香族炭化水素を含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、トランスアルキル化反応によってC9+芳香族炭化水素を変換するように構成されたトランスアルキル化反応器にC9芳香族流および水素流を導入するステップと、トランスアルキル化反応器内でトランスアルキル化触媒の存在下でC9芳香族流および水素流を反応させてトランスアルキル化流出物を生成するステップであって、トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化温度であり、トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化圧力であり、トランスアルキル化触媒はトランスアルキル化反応を触媒するように使用可能であり、トランスアルキル化流出物はC6~C9+芳香族炭化水素を含む、ステップをさらに含む。この方法は、芳香族抽出流、異性化流出物およびトランスアルキル化流出物を、C6~C9+芳香族炭化水素を分離するように構成されたスプリッタカラムに導入するステップと、スプリッタカラム内で芳香族抽出流、異性化流出物およびトランスアルキル化流出物中のC6~C9+芳香族炭化水素を分離して、ベンゼンリサイクル、トルエンリサイクルおよびC9+リサイクルを生成するステップであって、ベンゼンリサイクルはベンゼンを含み、トルエンリサイクルはトルエンを含み、キシレンリサイクルは混合キシレンを含み、C9+リサイクルはC9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、キシレンリサイクルをp-キシレン分離ユニットにリサイクルするステップと、ベンゼンリサイクル、トルエンリサイクルおよびC9+リサイクルをトランスアルキル化反応器にリサイクルするステップと、をさらに含む。
【0009】
特定の態様では、トルエンリサイクルの流量がトランスアルキル化反応器中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するように操作可能である。
【0010】
第3の態様では、パラキシレンの生成方法が提供される。この方法は、改質油供給物を脱アルキル化反応器に導入するステップであって、改質油供給物は、ベンゼン、トルエン、混合キシレン、炭素9+(C9+)芳香族炭化水素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される芳香族炭化水素を含む、ステップを含む。この方法は、水素供給物を脱アルキル化反応器に導入するステップであって、水素供給物は水素ガスを含み、脱アルキル化反応器はC9+芳香族炭化水素を炭素6(C6)~炭素8(C8)芳香族炭化水素に変換するように構成される、ステップと、脱アルキル化反応器内で脱アルキル化触媒の存在下で、C9+芳香族炭化水素および水素ガスを変換して脱アルキル化流出物を生成するステップであって、脱アルキル化反応器は脱アルキル化温度であり、脱アルキル化反応器は脱アルキル化圧力であり、脱アルキル化流出物は、脱アルキル化流出物中のC9+芳香族炭化水素の量が改質油供給物中のC9+芳香族炭化水素の量未満であるように芳香族炭化水素を含む、ステップと、を含む。この方法は、脱アルキル化流出物中の非芳香族を分離するように構成された芳香族抽出ユニットに脱アルキル化流出物を導入するステップと、芳香族抽出ユニット内で脱アルキル化流出物を分離して抽残油流出物および芳香族供給物を生成するステップであって、抽残油流出物が軽質ガスを含む、ステップと、芳香族供給物を分離するように構成された改質油スプリッタに芳香族供給物を導入するステップと、芳香族供給物を改質油スプリッタ内で分離して、ベンゼン流、重質炭化水素、炭素9(C9)芳香族流、キシレン流、およびトルエン流を生成するステップであって、C9芳香族炭化水素流がC9芳香族炭化水素を含み、キシレン流が混合キシレンを含み、混合キシレンがp-キシレンを含み、トルエン流がトルエンを含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、キシレン流からp-キシレンを分離するように構成されたp-キシレン分離ユニットにキシレン流を導入するステップと、p-キシレン分離ユニット内でキシレン流からp-キシレンを分離してp-キシレン生成物およびp-キシレン枯渇流を生成するステップであって、p-キシレン生成物がp-キシレンを含み、p-キシレン枯渇流がm-キシレンおよびo-キシレンを含む、ステップと、異性化触媒を含む異性化ユニットにp-キシレン枯渇流を導入するステップと、異性化ユニット内でp-キシレン枯渇流中のm-キシレンおよびo-キシレンを変換して異性化流出物を生成するステップであって、異性化ユニットは異性化温度であり、異性化ユニットは異性化圧力であり、異性化流出物はC8芳香族炭化水素を含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、トランスアルキル化反応によってC9+芳香族炭化水素を変換するように構成されたトランスアルキル化反応器にC9芳香族流および水素流を導入するステップと、トランスアルキル化反応器内でトランスアルキル化触媒の存在下でC9芳香族流および水素流を反応させてトランスアルキル化流出物を生成するステップであって、トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化温度であり、トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化圧力であり、トランスアルキル化触媒はトランスアルキル化反応を触媒するように使用可能であり、トランスアルキル化流出物はC6~C9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、C6~C9+芳香族炭化水素を分離するように構成されたスプリッタカラムに異性化流出物およびトランスアルキル化流出物を導入するステップと、スプリッタカラム内で異性化流出物およびトランスアルキル化流出物中のC6~C9+芳香族炭化水素を分離して、ベンゼンリサイクル、トルエンリサイクル、キシレンリサイクルおよびC9+リサイクルを生成するステップであって、ベンゼンリサイクルはベンゼンを含み、トルエンリサイクルはトルエンを含み、キシレンリサイクルは混合キシレンを含み、C9+リサイクルはC9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、キシレンリサイクルをp-キシレン分離ユニットにリサイクルするステップと、ベンゼンリサイクル、トルエンリサイクルおよびC9+リサイクルをトランスアルキル化反応器にリサイクルするステップと、をさらに含む。
【0011】
第4の態様では、パラキシレン(p-キシレン)の生成方法が提供される。この方法は、改質油供給物を改質油スプリッタに導入するステップであって、改質油スプリッタは改質油供給物を分離するように構成され、改質油供給物は芳香族炭化水素を含み、芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、混合キシレン、炭素9+(C9+)芳香族炭化水素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、ステップと、改質油スプリッタ内で改質油供給物を分離して、軽質ガス流、ベンゼン流、混合された重質流、キシレン流、およびトルエン流を生成するステップであって、混合された重質流はC9+芳香族炭化水素を含み、キシレン流は混合キシレンを含み、混合キシレンはp-キシレンを含み、トルエン流はトルエンを含む、ステップと、を含む。この方法は、混合された重質流を脱アルキル化反応器に導入するステップと、水素供給物を脱アルキル化反応器に導入するステップであって、水素供給物は水素ガスを含み、脱アルキル化反応器はC9+芳香族炭化水素を炭素6(C6)~炭素8(C8)芳香族炭化水素に変換するように構成される、ステップと、脱アルキル化反応器内で脱アルキル化触媒の存在下でC9+芳香族炭化水素および水素ガスを変換して脱アルキル化流出物を生成するステップであって、脱アルキル化反応器は脱アルキル化温度であり、脱アルキル化反応器は脱アルキル化圧力であり、脱アルキル化流出物は、脱アルキル化流出物中のC9+芳香族炭化水素の量が改質油供給物中のC9+芳香族炭化水素の量未満であるように芳香族炭化水素を含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、脱アルキル化流出物を脱アルキル化スプリッタに導入するステップであって、脱アルキル化スプリッタは脱アルキル化流出物を分離するように構成される、ステップと、脱アルキル化スプリッタ内で脱アルキル化流出物を分離してC9流、C10+流、および軽質リサイクル流を生成するステップであって、C10+流はC10+芳香族炭化水素を含み、C9流はC9芳香族炭化水素を含む、ステップと、C9流および水素流をトランスアルキル化反応器に導入するステップであって、トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化反応によってC9芳香族炭化水素を変換するように構成され、水素流は水素ガスを含む、ステップと、ベンゼン流をトランスアルキル化反応器に導入するステップと、トルエン流をトルエン分割流としてトランスアルキル化反応器に導入するステップであって、トルエン分割流の流量はトランスアルキル化反応器中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するように操作可能である、ステップと、トランスアルキル化反応器内でトランスアルキル化触媒の存在下で、C9流、トルエン流、ベンゼン流、および水素流を反応させてトランスアルキル化流出物を生成するステップであって、トランスアルキル化反応器がトランスアルキル化温度であり、トランスアルキル化反応器がトランスアルキル化圧力であり、トランスアルキル化触媒がトランスアルキル化反応を触媒するように使用可能であり、トランスアルキル化流出物がC6~C9+芳香族炭化水素を含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、キシレン流をp-キシレン分離ユニットに導入するステップであって、p-キシレン分離ユニットはキシレン流からp-キシレンを分離するように構成される、ステップと、p-キシレン分離ユニット内でキシレン流からp-キシレンを分離してp-キシレン生成物およびp-キシレン枯渇流を生成するステップであって、p-キシレン生成物がp-キシレンを含み、p-キシレン枯渇流がm-キシレンおよびo-キシレンを含む、ステップと、p-キシレン枯渇流を異性化ユニットに導入するステップであって、異性化ユニットが異性化触媒を含む、ステップと、異性化ユニット内でp-キシレン枯渇流中のm-キシレンおよびo-キシレンを変換して異性化流出物を生成するステップであって、異性化ユニットが異性化温度であり、異性化ユニットが異性化圧力であり、異性化流出物がC8芳香族炭化水素を含む、ステップと、をさらに含む。この方法は、軽質リサイクル流、異性化流出物およびトランスアルキル化流出物を改質油スプリッタに導入するステップをさらに含む。
【0012】
第5の態様では、改質油供給物からパラキシレン(p-キシレン)を生成するためのシステムが提供される。このシステムは、改質油供給物を分離するように構成された改質油スプリッタであって、改質油供給物は芳香族炭化水素を含み、芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、混合キシレン、炭素9+(C9+)芳香族炭化水素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、改質油スプリッタは、軽質ガス流、混合された重質流、ベンゼン流、キシレン流、およびトルエン流を生成し、C9芳香族流はC9芳香族炭化水素を含み、キシレン流は混合キシレンを含み、混合キシレンはp-キシレンを含み、混合軽質芳香族流はトルエンを含む、改質油スプリッタを含む。このシステムは、改質油スプリッタに流体的に接続された脱アルキル化反応器であって、脱アルキル化触媒の存在下でC9+芳香族炭化水素を炭素6(C6)~炭素8(C8)芳香族炭化水素に変換して脱アルキル化流出物を生成するように構成され、脱アルキル化反応器は脱アルキル化温度であり、脱アルキル化反応器は脱アルキル化圧力であり、脱アルキル化流出物は、脱アルキル化流出物中のC9+芳香族炭化水素の量が改質油供給物中のC9+芳香族炭化水素の量未満であるように芳香族炭化水素を含む、脱アルキル化反応器と、脱アルキル化反応器に流体的に接続された脱アルキル化スプリッタであって、脱アルキル化スプリッタは脱アルキル化流出物を分離して、軽質リサイクル流、C10+芳香族流、およびC9流を生成するように構成される、脱アルキル化スプリッタを含む。このシステムは、脱アルキル化反応器に流体的に接続され、改質油スプリッタに流体的に接続されたトランスアルキル化反応器であって、トランスアルキル化触媒の存在下でトルエンおよびC9芳香族炭化水素を変換してトランスアルキル化流出物を生成するように構成されたトランスアルキル化反応器であって、トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化温度であり、トランスアルキル化反応器はトランスアルキル化圧力であり、トルエンはトルエン分割流によって供給され、トルエン分割流はトルエン流から分離され、トランスアルキル化触媒はトランスアルキル化反応を触媒するように使用可能であり、トランスアルキル化流出物はC6~C9+芳香族炭化水素を含む、トランスアルキル化反応器と、改質油スプリッタに流体的に接続されたp-キシレン分離ユニットであって、p-キシレン分離ユニットはキシレン流からp-キシレンを分離してp-キシレン生成物およびp-キシレン枯渇流を生成するように構成され、p-キシレン生成物はp-キシレンを含み、p-キシレン枯渇流はm-キシレンおよびo-キシレンを含む、p-キシレン分離ユニットと、p-キシレン分離ユニットに流体的に接続された異性化ユニットであって、異性化ユニットはp-キシレン枯渇流中のm-キシレンおよびo-キシレンを変換して異性化流出物を生成するように構成され、異性化ユニットは異性化温度であり、異性化ユニットは異性化圧力であり、異性化流出物はC8芳香族炭化水素を含む、異性化ユニットと、をさらに含む。
【0013】
特定の態様では、トルエン分割流の流量は、トランスアルキル化反応器中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するように操作可能である。特定の態様では、このシステムは、改質油スプリッタに流体的に接続されたトルエン不均化反応器であって、トルエン流からトルエンの留分を変換して不均化流出物を生成するように構成され、不均化流出物はC6~C8芳香族炭化水素を含む、トルエン不均化反応器をさらに含む。
【0014】
本発明の範囲のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、特許請求の範囲、および添付の図面に関してより良く理解されるであろう。しかしながら、図面はいくつかの実施形態のみを示しており、従って、他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】プロセスの一実施形態のプロセス図を提供する。
【0016】
図2】プロセスの一実施形態のプロセス図を提供する。
【0017】
図3】プロセスの一実施形態のプロセス図を提供する。
【0018】
図4】プロセスの一実施形態のプロセス図を提供する。
【0019】
図5】実施例2のプロセスのプロセス図を提供する。
【0020】
図6】プロセスの一実施形態のプロセス図を提供する。
【0021】
図7】実施例4のプロセスのプロセス図を提供する。
【0022】
添付の図面では、類似の構成要素または特徴、あるいはその両方は、類似の参照ラベルを有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
装置および方法の範囲はいくつかの実施形態で説明されるが、当業者は本明細書で説明される装置および方法に対する多くの例、変形、および変更が実施形態の範囲および精神内にあることを理解するであろうことを理解されたい。
【0024】
従って、説明された実施形態は、一般性を失うことなく、また、実施形態に制限を課すことなく説明される。当業者は、この範囲が本明細書に記載された特定の特徴の全ての可能な組み合わせおよび使用を含むことを理解する。
【0025】
ここでは、混合キシレンの生成を最大限にするためのシステムのプロセスおよびシステムについて説明する。改質油を脱アルキル化反応器に導入する。脱アルキル化反応器からの脱アルキル化流出物は、改質油スプリッタ内で別々の成分に分離される。次に、混合キシレン流を分離して、p-キシレン生成物流を生成する。p-キシレン枯渇流を異性化ユニットに導入して混合キシレン流を生成し、次いで混合キシレン流をスプリッタカラムに導入する。C9芳香族炭化水素およびトルエンは、スプリッタカラムからのベンゼンリサイクル、トルエンリサイクル、およびC9+芳香族リサイクルと共にトランスアルキル化反応器に導入される。トランスアルキル化流出物はスプリッタカラムに導入され、そこで流出物はその成分に分離され、そうしてベンゼンリサイクル、トルエンリサイクル、およびC9+芳香族炭化水素を生成する。スプリッタカラムにおいてトランスアルキル化流出物から分離された混合キシレンは、p-キシレン分離にリサイクルされる。
【0026】
脱アルキル化反応器の使用は、脱アルキル化反応器中でのメチルエチルベンゼンのトルエンへの変換のために、トランスアルキル化反応器に向かう重質改質油の流量を減少させることができる。有利には、脱アルキル化反応器の使用が、脱アルキル化反応器中のC10+芳香族炭化水素の変換率の増加およびトランスアルキル化反応器中のC10+芳香族炭化水素の減少した量またはその不在のために、混合キシレンの生成を増加させる。有利には、キシレンの生成を最大にするプロセスは、C10+留分を排除するために流れを分離する前に、改質油流全体を脱アルキル化反応器に導入することによって、改質油流全体を利用して価値のある芳香族を生成する。少なくとも1つの実施形態では、脱アルキル化反応器流出物中のC10+芳香族炭化水素は、不活性であり得、従って、キシレンの生成に寄与しない。脱アルキル化反応器流出物中の不活性なC10+芳香族炭化水素の例には、メチル-ナフタレン(C11芳香族)およびジエチルベンゼン(C10芳香族)が含まれる。このような不活性なC10+芳香族炭化水素は、トランスアルキル化反応器において触媒の不活性化を引き起こし得、供給物を希釈することによってトランスアルキル化触媒の効率を効果的に低下させ得る。有利には、流れを成分部分に分離するために改質油スプリッタおよびスプリッタカラムを使用することは、より広範なカット分離と比較して、成分を処理する能力を高め、混合キシレンの生成を増加させる。有利には、改質油スプリッタとスプリッタカラムとの組み合わせは、各成分流の使用を方向付け、リサイクルさせる能力のために、混合キシレンの生成の増加に寄与する。有利には、脱アルキル化反応器と別個のトランスアルキル化反応器との組み合わせは、脱アルキル化触媒およびトランスアルキル化触媒の両方、または脱アルキル化反応およびトランスアルキル化反応の両方が可能な単一触媒を含む1反応器システムと比較して、キシレンの全体的な生成を増加させる。有利には、不均化反応、異性化反応、および脱アルキル化反応を行うための別個のユニットの使用は、各ユニットが特定の供給物および特定の触媒のために設計されることを可能にし、従って、標的成分の生成を最大にするために最適化され得る。
【0027】
全体を通して使用されるように、「C」および数、または「炭素-数(carbon-number)」は、炭化水素中の炭素原子の数を指す。例えば、C1は1個の炭素原子を有する炭化水素を指し、C6は6個の炭素原子を有する炭化水素を指す。
【0028】
全体を通して使用されるように、「C9芳香族炭化水素(C9 aromatic hydrocarbons)」は、9個の炭素原子を有する芳香族炭化水素を指す。C9芳香族炭化水素の例には、メチルエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、プロピルベンゼン、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0029】
全体を通して使用されるように、「トリメチルベンゼン(trimethylbenzene)」または「TMB」は、トリメチルベンゼンの異性体である、ヘメリテン、プソイドクメン、およびメシチレンのそれぞれを指し、それらを含む。
【0030】
全体を通して使用されるように、「C10+芳香族炭化水素(C10+ aromatic hydrocarbons)」は、10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、および、11個の炭素原子を有する芳香族炭化水素などの10個を超える炭素原子を有する芳香族炭化水素を指す。
【0031】
全体を通して使用されるように、「C9+芳香族炭化水素(C9+ aromatic hydrocarbons)」は、C9芳香族炭化水素およびC10+芳香族炭化水素の群を指す。
【0032】
全体を通して使用されるように、「混合キシレン(mixed xylenes)」は、パラキシレン(p-キシレン)、メタキシレン(m-キシレン)、およびオルトキシレン(o-キシレン)のうちの1つ以上を指す。
【0033】
全体を通して使用されるように、「脱アルキル化反応(dealkylation reaction)」は、1つ以上の反応体からアルキル基の除去を生じる反応を指す。例えば、メチルエチルベンゼンおよび水素をエタンおよびp-キシレンに変換する反応は、脱アルキル化反応である。
【0034】
全体を通して使用されるように、「トランスアルキル化反応(transalkylation reaction)」は、アルキル基の1つまたは化合物から別のものへの移動を生じる反応を指す。
【0035】
全体を通して使用されるように、「異性化反応(isomerization reaction」は、異なる分子構造への分子の転位を生じるが、分子式は同じままである反応を指す。例えば、o-キシレンをp-キシレンに、またはエチルベンゼンをp-キシレンに変換する反応は、異性化反応である。
【0036】
全体を通して使用されるように、「軽質ガス(light gas)」は、軽質炭化水素、水素、空気、およびそれらの組み合わせを指す。
【0037】
全体を通して使用されるように、「軽質炭化水素(light hydrocarbons)」は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、アルケン、およびシクロペンタン、シクロヘキサン、およびそれらの組み合わせなどの微量のナフテンを含むアルカンを指す。
【0038】
図1を参照すると、キシレン生成を増加させるためのプロセスの実施形態が提供されている。
【0039】
改質油供給物2および水素供給物4は、脱アルキル化反応器100に導入される。改質油供給物2は、C6~C12の1環芳香族炭化水素を含むことができる。改質油供給物2は、改質装置ユニットから供給することができる。改質装置ユニットはナフサを芳香族リッチ生成物に変換し、このような変換をもたらすために、高温および水素圧で白金含有触媒を使用することができる。改質装置ユニットの目的は、改質装置供給物流のオクタン価を増加させることである。改質装置ユニットにおける主な反応には脱水素反応が含まれるが、分解反応もまた起こり得る。
【0040】
少なくとも1つの実施形態では、改質油供給物2は、ベンゼン、トルエン、混合キシレン、C9芳香族炭化水素、C10+芳香族炭化水素、およびそれらの組み合わせを含むことができる。少なくとも1つの実施形態では、C10+芳香族炭化水素がC10~C12炭化水素を含むことができる。改質油供給物2は、65重量パーセント(wt%)~80wt%を含むことができる。改質油供給物2は、20重量%~35重量%の範囲でパラフィンおよびナフテンをさらに含むことができる。芳香族および非芳香族の量は、改質油ユニットへの供給物の性質および改質油ユニットの反応器中の条件の過酷度に依存する。
【0041】
水素供給物4は、水素ガスを含有する流れとすることができる。水素供給物4は、新鮮な水素源からの純粋な水素の流れとすることができる。少なくとも1つの実施形態では、水素ガスがプロセスの別の部分から回収することができ、水素供給物4としてリサイクルされ、脱アルキル化反応器100に導入することができる。水素供給物4は製油所内の水素源からのものであり得、軽質炭化水素を含み得る。水素供給物4中の水素ガスは、非芳香族が分解されてオレフィンを生成しないことを保証することができる。当業者は、水素の存在下ではオレフィンは形成されないが、パラフィンは形成され得ることを理解する。キシレン生成を増加させるための代替の実施形態では、脱アルキル化反応器100が流動床反応器内などの水素の不在下であってもよく、オレフィンを生成することができる。
【0042】
脱アルキル化反応器100は、脱アルキル化反応を収容し、支持することができる任意のタイプの反応器とすることができる。脱アルキル化反応器100は、固定床反応器または流動床反応器であり得る。水素供給物4を用いる実施形態では、脱アルキル化反応器100は固定床反応器であり得る。脱アルキル化反応器100が水素の不在下にある実施形態では、脱アルキル化反応器100は流動床反応器であり得る。脱アルキル化反応器100における脱アルキル化温度は摂氏200度(℃)~550℃であり得る。脱アルキル化反応器100における脱アルキル化圧力は5バール(500キロパスカル(kPa))~50バール(5000kPa)であり得、または10バール(1000kPa)~50バール(5000kPa)であり得る。液空間速度(LHSV)は、1/時間(hr-1)~20hr-1、あるいは1hr-1~10hr-1であり得る。水素ガス供給物4と改質油供給物2との体積流量比は、0~8の範囲であり得る。
【0043】
脱アルキル化反応器100は、脱アルキル化触媒を含み得る。脱アルキル化触媒は、脱アルキル化反応を触媒することができる任意の触媒を含み得る。脱アルキル化触媒の例としては、米国特許第6,096,938号明細書に記載されているものおよび米国特許第9,000,247号明細書に記載されているもののような触媒を挙げることができる。脱アルキル化触媒は、脱アルキル化反応において、C9+芳香族炭化水素の1種以上を他のものよりも選択的に変換するように選択することができる。脱アルキル化反応は、C9+芳香族炭化水素をC6~C8芳香族炭化水素に変換することができる。脱アルキル化反応は、C10+芳香族炭化水素をC9芳香族炭化水素に変換することができる。脱アルキル化反応器100における反応は、C10+芳香族炭化水素に結合したメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基およびペンチル基、ならびにそれらの異性体を除去することができる。少なくとも1つの実施形態では、脱アルキル触媒は改質油供給物2中のメチルエチルベンゼンの98重量%を、または98重量%を超えるように、トルエンに変換するように選択することができる。少なくとも1つの実施形態では、C9+芳香族炭化水素からC6~C8芳香族への全体的な変換は、C9芳香族炭化水素の変換、およびC10+芳香族炭化水素に結合したメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基およびペンチル基の除去のために、98重量%を超えることができる。脱アルキル化流出物6は、混合キシレン、トルエン、ベンゼン、軽質ガス、およびC9+芳香族炭化水素を含有することができる。脱アルキル化流出物6は、改質油供給物2と比較して、より多量のC6~C8芳香族炭化水素およびより少量のC9+芳香族炭化水素を含有することができる。脱アルキル化流出物6は、改質油供給物2よりも多量のp-キシレンを含有することができる。
【0044】
脱アルキル化流出物6は、改質油スプリッタ200に導入される。
【0045】
改質油スプリッタ200は、ある流れをその成分部分に分離することができる任意のタイプの分離ユニットであってもよい。少なくとも1つの実施形態では、改質油スプリッタ200は、供給物流を複数の分割流に分離するように設計された1つのスプリッタカラムとすることができる。少なくとも1つの実施形態では、改質油スプリッタ200は、供給物流から1つの成分を分離するように設計された直列の複数のスプリッタカラムとすることができる。少なくとも1つの実施形態では、改質油スプリッタ200は、1つ以上の蒸留ユニットとすることができる。改質油スプリッタ200にわたる圧力は、0.3バールゲージ(barg)(30kPa)~6barg(600kPa)の範囲であり得る。改質油スプリッタ200にわたる温度は、50℃~300℃の範囲であり得る。改質油スプリッタ200は所望の流れを生成するための温度および圧力で動作するように設計され得、その結果、単一のユニットまたは複数使用の場合の異なるユニットにおける異なるステージは他のステージまたはユニットとは異なる温度および圧力で動作し得ることが、当業者によって理解され得る。改質油スプリッタ200が1つの蒸留カラムである少なくとも1つの実施形態では、蒸留カラムが1つの容器内に複数のセクションを含むことができ、各セクションは異なる動作条件を有することができる。
【0046】
改質スプリッタ200は、脱アルキル流出物6中の成分を分離して、軽質ガス流8、ベンゼン流10、重質炭化水素流12、C9芳香族炭化水素流14、キシレン流16、およびトルエン流20を生成することができる。
【0047】
軽質ガス流8は軽質ガスを含むことができる。軽質ガス流8は、水素から軽質ガスを分離するためにさらに処理することができ、水素は脱アルキル化反応器にリサイクルさせることができる。軽質ガスは、さらに分離することができる。1個または2個の炭素を含有する炭化水素ガスは燃料ガスブレンドに導入することができる。3個または4個の炭素を含有する炭化水素ガスはLPGガスプラントに導入することができる。代替の実施形態では、軽質ガス流8は大気にパージすることができ、または燃焼させて熱を生成することができる。
【0048】
ベンゼン流10はベンゼンを含むことができる。ベンゼン流10は貯蔵することができ、あるいはさらに処理することができ、あるいはトランスアルキル化反応器600に導入することができ、あるいは廃棄することができる。
【0049】
重質炭化水素12は、脱アルキル化反応器100で形成されたC10+芳香族炭化水素および改質油供給物2からの未反応C10+芳香族炭化水素を含むC10+芳香族炭化水素を含有し得る。重質炭化水素12は、システムからパージすることができ、あるいは価値のある炭化水素を回収するためにさらに処理することができ、あるいは破壊することができる。システムからC10+芳香族炭化水素を除去することは、スプリッタカラム700からのリサイクル流を通る不活性C10+芳香族炭化水素の蓄積を減少させる。システムからC10+芳香族炭化水素を除去することは、トランスアルキル化反応器600におけるトランスアルキル化触媒の触媒活性を延長することができ、触媒性能を向上することができる。
【0050】
トルエン流20はトルエンを含有することができる。トルエン流20の留分をトルエン不均化反応器300に導入することができる。少なくとも1つの実施形態では、改質油供給物2中のトルエンの量がトリメチルベンゼンの量の150重量%を超える場合、トルエン不均化反応器300が含まれる。トルエン不均化反応器300は、トルエン不均化反応、反応1を支持することができる任意のタイプのユニットであり得る。
【0051】
【化1】
【0052】
ここで、CHはトルエン、Cはベンゼン、(CH はキシレンである。不均化反応では、メチル基(-CH)を1つのトルエンから別のトルエンに移動させて、ベンゼンおよびキシレンを生成する。トルエン不均化反応器300は、不均化触媒を含むことができる。不均化触媒は、反応1を触媒することができる任意のタイプの触媒であり得る。トルエン不均化反応器300における不均化温度は摂氏200度(℃)~550℃であり得る。トルエン不均化反応器300における不均化圧力は5バール(500キロパスカル(kPa))~50バール(5000kPa)であり得、あるいは10バール(1000kPa)~50バール(5000kPa)であり得る。トルエン不均化反応器300のLHSVは、1/時間(hr-1)~20hr-1であり得、あるいは1hr-1~10hr-1であり得る。反応1は熱力学的限界を有する平衡反応であり、その反応は、生成物の生成と反応条件とのバランスをとるように設計することができる。反応生成物は、不均化流出物30としてトルエン不均化反応器300を出ることができる。不均化流出物30は、トルエン、ベンゼン、混合キシレン、およびそれらの組み合わせを含むことができる。不均化流出物30をスプリッタカラム700に導入することができる。
【0053】
少なくとも1つの実施形態では、トルエン分割流22は、トルエン流20から分離され、トランスアルキル化反応器600に導入され得る。トルエン分割流22は、トランスアルキル化反応器600中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持する流量を有することができる。少なくとも1つの実施形態では、トルエン流20の流量が、トルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するのに不十分である場合、トルエンの代替流をトランスアルキル化反応器600に導入することができる。トルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持することで、キシレンの生成が増加し、あるいは0.5~1.5の範囲、あるいは0.8~1.2の範囲である。トルエン対トリメチルベンゼンの比を1に近く維持することで、生成物中のキシレンの選択性が大きくなる。
【0054】
少なくとも1つの実施形態では、図2に示されるように、キシレン生成を最大にするプロセスは、トルエン不均化反応器300の不在下にある。トルエン不均化反応器300の不在下のプロセスでは、トルエン分割流22中で分離されなかった過剰のトルエンをスプリッタカラム700に導入することができる。少なくとも1つの実施形態では、トルエン流20の全流は、トルエン分割流22を通ってトランスアルキル化反応器600に導入される。
【0055】
キシレン流16は、混合キシレンを含有することができる。キシレン流16は、p-キシレン分離ユニット400に導入することができる。p-キシレン分離ユニット400は、混合キシレンを含有する流れからp-キシレンを分離することができる任意のタイプの分離ユニットとすることができる。p-キシレン分離ユニット400の例は、結晶化ユニットまたは吸着ユニットを含むことができる。p-キシレン分離ユニット400において、キシレン流16からp-キシレンを分離して、p-キシレン枯渇流40およびp-キシレン生成物42を生成する。p-キシレン生成物42は、p-キシレンを含有することができる。p-キシレン生成物42は貯蔵することができ、あるいは、さらに処理することができ、あるいは、最終生成物流として使用することができる。p-キシレン枯渇流40は、m-キシレンおよびo-キシレンを含有することができる。p-キシレン枯渇流40は、異性化ユニット500に導入することができる。
【0056】
p-キシレン分離ユニット400は、p-キシレン以外の成分を分離するために使用することはできず、当業者はp-キシレンを識別するであろう。有利には、p-キシレン分離ユニット400の上流でC9芳香族流14を分離することで、p-キシレン分離ユニット400において、p-キシレンをキシレン流16から分離する有効性を増加させる。
【0057】
異性化ユニット500は、キシレン異性化反応を支持することができる任意のタイプのユニットであり得、関連するユニットおよび機器を含み得る。異性化ユニットは、異性化触媒を含み得る。異性化触媒は、m-キシレンおよびo-キシレンのp-キシレンへの異性化反応を触媒することができる任意のタイプの触媒であり得る。異性化触媒の例としては、ゼオライトベータ、HZSM-5、MCM-49、およびZSM-12などの表面改質ゼオライト触媒を挙げることができる。異性化ユニット500における異性化温度は、摂氏200度(℃)~550℃であり得る。異性化ユニット500における異性化圧力は、5バール(500キロパスカル(kPa))~50バール(5000kPa)であり得、あるいは、10バール(1000kPa)~50バール(5000kPa)であり得る。異性化ユニット500のLHSVは、1/時間(hr-1)~20 hr-1、あるいは1hr-1~10hr-1であり得る。異性化ユニット500で生成される混合キシレンは、異性化流出物50として出ることができる。異性化流出物50は、スプリッタカラム700に導入することができる。
【0058】
C9芳香族物流14は、脱アルキル化反応器100で形成されたC9芳香族炭化水素および改質油供給物2からの未反応のC9芳香族炭化水素を含む、C9芳香族炭化水素を含有することができる。少なくとも1つの実施形態では、C9芳香族流14はC10+芳香族炭化水素の不在下にある従って。少なくとも1つの実施形態では、C9芳香族流14が5重量%未満のC10+芳香族炭化水素を含有する。水素流5と共にC9芳香族流14をトランスアルキル化反応器600に導入することができる。
【0059】
水素流5は、水素ガスを含有する任意の流れとすることができる。水素流5は、新鮮な水素源からの純粋な水素の流れとすることができる。少なくとも1つの実施形態では、水素ガスはプロセスの別の部分から回収することができ、水素流5としてリサイクルされ、トランスアルキル化反応器600に導入することができる。水素流5は製油所内の水素源からのものであり得、軽質炭化水素を含み得る。
【0060】
トランスアルキル化反応器600は、固定床反応器または流動床反応器であり得る。トランスアルキル化反応器600におけるトランスアルキル化温度は、200℃~550℃であり得る。トランスアルキル化反応器600におけるトランスアルキル化圧力は、5バール(500kPa)~50バール(5000kPa)、あるいは10バール(1000kPa)~50バール(5000kPa)、あるいは10バール(1000kPa)~40バール(4000kPa)とすることができる。LHSVは、0.2hr-1 ~20hr-1 であり得、あるいは0.5hr-1 ~6hr-1であり得る。水素ガスと炭化水素との体積流量比は、0~8の範囲とすることができる。操作条件は、キシレンの生成を最大にするように設定することができる。温度は、圧力よりもトランスアルキル化反応に大きな影響を及ぼし得る。より高い温度、より高い圧力、およびより低いLHSVがトランスアルキル化反応に有利である一方で、より高い温度は、触媒失活をもたらし得、従って、操作条件は生成を最大化し、触媒失活を最小化するためにバランスを取らなければならないことが理解される。脱アルキル化反応器100におけるC9+芳香族炭化水素の変換のために、トランスアルキル化反応器への負荷を減少させることができる。
【0061】
トランスアルキル化反応器600は、トランスアルキル化触媒を含むことができる。トランスアルキル化触媒は、トランスアルキル化反応を触媒することができる任意の触媒を含むことができる。トランスアルキル化触媒の例には、米国特許第5,866,741号明細書に記載されているような二官能性触媒が含まれる。トランスアルキル化触媒は、トランスアルキル化反応において、C9+芳香族炭化水素の1種以上を他のものよりも選択的に変換するように選択することができる。少なくとも1つの実施形態では、トランスアルキル化触媒は、トリメチルベンゼンを混合キシレンに選択的に変換するように選択することができる。有利には、トランスアルキル化反応を触媒するように設計された触媒を使用することで、トランスアルキル化、不均化および異性化を行うように設計された触媒と比較して、効率および性能を増加させる。トランスアルキル化反応を標的とした触媒を用いることで、混合キシレンの生成量が増加する。
【0062】
トランスアルキル化反応器600において、混合キシレンを形成するために起こる2つの主な反応がある。1つの反応は、本明細書に記載の反応1である。第2の反応は、トルエンとトリメチルベンゼンとの平衡トランスアルキル化反応である。
【0063】
【化2】
【0064】
ここで、CHはトルエン、(CHはトリメチルベンゼン、2(CHはキシレンである。2つの主な反応に加えて、他のトランスアルキル化反応は、C9+芳香族炭化水素を、トルエン、ベンゼン、混合キシレン、および軽質ガスに変換することができる。トランスアルキル化反応器600で生成した反応生成物は、トランスアルキル化流出物60として出ることができる。トランスアルキル化流出物60は、混合キシレン、トルエン、ベンゼン、軽質ガス、およびC9+芳香族炭化水素を含有することができる。トランスアルキル化流出物60中のC9+芳香族炭化水素は、トランスアルキル化反応器中で形成されたC9+芳香族炭化水素、脱アルキル化反応器中で形成されたC9+芳香族炭化水素、および改質油供給物2からのC9+芳香族炭化水素を含むことができる。トランスアルキル化流出物60は、スプリッタカラム700に導入することができる。
【0065】
スプリッタカラム700は、ある流れをその成分に分離することができる任意のタイプの分離ユニットであり得る。スプリッタカラム700は、ある流れをその成分部分に分離することができる任意のタイプの分離ユニットであり得る。少なくとも1つの実施形態では、スプリッタカラム700は、供給物流を複数の分割流に分離するように設計された1つのスプリッタカラムとすることができる。少なくとも1つの実施形態では、スプリッタカラム700は、供給物流から1つの成分を分離するように設計された直列の複数のスプリッタカラムとすることができる。少なくとも1つの実施形態では、スプリッタカラム700は、1つ以上の蒸留ユニットであり得る。スプリッタカラム700にわたる圧力は、0.3バールゲージ(barg)(30kPa)~6barg(600kPa)の範囲であり得る。スプリッタカラム700にわたる温度は、50℃~300℃の範囲であり得る。スプリッタカラム700は所望の流れを生成するためのある温度および圧力で動作するように設計され得、その結果、単一のユニットまたは複数使用の場合異なるユニットにおける異なるステージは、他のステージまたはユニットとは異なる温度および圧力で動作し得ることが、当業者によって理解され得る。スプリッタカラム700が1つの蒸留カラムである少なくとも1つの実施形態では、蒸留カラムが1つの容器内に複数のセクションを含むことができ、各セクションは異なる操作条件を有することができる。
【0066】
スプリッタカラム700は、不均化流出物30、異性化流出物50、およびトランスアルキル化流出物60中の成分を分離して、分離された軽質ガス70、ベンゼンリサイクル72、トルエンリサイクル74、キシレンリサイクル76、およびC9+芳香族リサイクル78を生成し得る。分離された軽質ガス70は、さらに処理されるかまたは貯蔵することができる。分離された軽質ガス70は、さらに処理されるかまたは貯蔵することができる。ベンゼンリサイクル72、トルエンリサイクル74、およびC9+芳香族リサイクル78は、トランスアルキル化反応器600にリサイクルされ得る。キシレンリサイクル76は、p-キシレン分離ユニット400にリサイクルされ得る。ベンゼンリサイクル72からトランスアルキル化反応器600にベンゼンを添加することは、反応1によってベンゼンの方へ平衡を進めることができ、これは反応1におけるトルエンの消費を減少させる。トルエンの消費量を減らすことによって、反応2による混合キシレンの生成のためのより多くのトルエンが利用可能である。ベンゼンリサイクル72によって添加されるベンゼンの量は、1重量%~10重量%の範囲であり得る。ベンゼンリサイクル72によって添加されるベンゼンの量は、トランスアルキル化反応器600におけるトランスアルキル化温度の関数であり得、従って、トランスアルキル化温度は温度センサーまたは他の機器を用いてモニターされ得、その結果、ベンゼンリサイクル72の流量はトランスアルキル化反応器600中の運転にわたって調節され得る。少なくとも1つの実施形態では、トランスアルキル化温度が運転開始時と運転終了時とで異なる。少なくとも1つの実施形態では、ベンゼン流10を600トランスアルキル化反応器に導入して、熱力学的平衡を維持することができる。
【0067】
C9+芳香族リサイクル78は、トランスアルキル化反応器600における反応のいずれにも関与しない量のC10炭化水素を含有することができる。少なくとも1つの実施形態では、C9+芳香族リサイクル78は、微量のC11炭化水素および微量のC12炭化水素を含むことができる。C9+芳香族リサイクル78からのスリップ流をシステムからパージして、トランスアルキル化反応器600とスプリッタカラム700との間のループにおける蓄積を防止することができる。
【0068】
p-キシレン生成物42中のp-キシレンの収率は、75重量%~82重量%の範囲である。
【0069】
図3を参照すると、キシレンの生成を最大にするプロセスの代替実施形態が図1を参照して提供される。混合軽質芳香族流18は、改質油スプリッタ200で分離することができる。混合軽質芳香族流18は、トルエン、ベンゼン、非芳香族およびそれらの組み合わせを含むことができる。混合軽質芳香族流18は、非芳香族をさらに含むことができる。混合軽質芳香族流18は、芳香族抽出ユニット800に導入することができる。
【0070】
芳香族抽出ユニット800は、ある流れの中の他の成分から芳香族成分を分離することができる任意のタイプの抽出ユニットであり得る。芳香族抽出ユニットの例は、液液抽出および抽出蒸留を含むことができ、両方とも溶媒を使用する。芳香族抽出ユニット800に使用するのに適した溶媒としては、例えば、スルホラン(CS)、フルフラール(C)、テトラエチングリコール(C18)、ジメチルスルホキシド(COS)、およびN-メチル-2-ピロリドン(CNO)が挙げられる。芳香族抽出ユニット800における特定の条件は、選択される抽出技術の種類に依存する。芳香族抽出ユニット800は、非芳香族の濃度がシステムのユニットの機能または性能を妨害し得るレベルにある実施形態に含まれ得る。
【0071】
混合軽質芳香族流18中の非芳香族炭化水素は、芳香族抽出ユニット800中で分離されて、非芳香族抽残油流82および芳香族抽出流80を生成することができる。芳香族抽出流80は、トルエン、ベンゼン、およびこれらの組み合わせを含むことができる。非芳香族抽残油流82は、非芳香族を含むことができる。非芳香族を除去することにより、下流ユニットから非芳香族を除去し、トランスアルキル化反応器600およびp-キシレン分離ユニット400を含む下流ユニットにおける反応体の希釈を低減することができる。有利には、芳香族抽出ユニット800は、改質油スプリッタ200においてC6およびC7芳香族から分離できない非芳香族を分離する。非芳香族炭化水素には、パラフィン、イソパラフィン、ナフテン、およびそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0072】
図3によるプロセスの少なくとも1つの実施形態では、ベンゼンリサイクル72の一部をシステムからパージすることができ、残りはトランスアルキル化反応器600に導入される。図1に関して上述したように、ベンゼンリサイクル72によって添加されるベンゼンの量は、混合キシレンの生成を最適化するために、トランスアルキル化反応器600における反応条件に基づいて調節することができる。ベンゼンリサイクル72の一部をパージすることで、ベンゼンリサイクル72によって添加されるベンゼンの量を制御するための方法を提供し、システム内に過剰なベンゼンを蓄積することを回避し、トランスアルキル化反応器600内の反応物質の希釈を防止する。ベンゼンリサイクル72の一部は、ベンゼンリサイクル72がトランスアルキル化反応器600における平衡反応を駆動するために必要とされるより多くのベンゼンを含有する場合にパージすることができる。
【0073】
図4を参照すると、キシレンの生成を最大にするプロセスの代替実施形態が図1および図3を参照して提供される。脱アルキル化流出物6は芳香族抽出ユニット800に導入される。脱アルキル化流出物6中の非芳香族は、芳香族抽出ユニット800で分離されて、芳香族供給物84および抽残油流出物86を生成することができる。抽残油流出物86は、軽質炭化水素を含む脱アルキル化流出物6から分離された非芳香族を含むことができる。芳香族供給物84は、脱アルキル化流出物100で生成されるC6~C9芳香族炭化水素および改質油供給物2に存在する芳香族炭化水素を含むことができる。
【0074】
芳香族供給物84を改質油スプリッタ200に導入して、ベンゼン流10、重質炭化水素12、C9芳香族炭化水素流14、キシレン流16、およびトルエン流20を生成することができる。トルエン流20は、全体として、トランスアルキル化反応器600に導入することができる。
【0075】
図6を参照すると、キシレンの生成を最大にするプロセスの代替実施形態が図1を参照して提供され動作る。改質油供給物2は改質油スプリッタ200に導入される。改質油スプリッタ200は、改質油供給物2中の成分を分離して、軽質ガス流8、ベンゼン流10、混合された重質流64、キシレン流16、およびトルエン流20を生成することができる。改質油流を分離することにより、脱アルキル化反応器100の負荷を低減することができる。ベンゼンおよびトルエンは脱アルキル化反応器100中で反応せず、したがって、それらを反応器から除去すると、希釈を減少させることによって触媒性能が向上する。混合された重質流64は、改質油供給物2中に存在するC9+芳香族炭化水素、およびトランスアルキル化反応器600中で生成される微量のC9+芳香族炭化水素を含むことができる。
【0076】
混合された重質流64は脱アルキル化反応器100に導入することができる。水素供給物4は脱アルキル化反応器100に導入することができる。脱アルキル化反応器100は、図1を参照して説明したように動作する。脱アルキル化反応器100を含めることで、C10+芳香族炭化水素の変換率を増加させることによって生成されるキシレンの量を増加させることができる。
【0077】
脱アルキル化流出物6は脱アルキル化スプリッタ900に導入することができる。脱アルキル化スプリッタ900は、脱アルキル化流出物6中の成分を分離して、軽質リサイクル流94、C9流96、およびC10+芳香族流90を生成することができる。軽質リサイクル流94は、軽質ガス、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせを含むことができる。軽質リサイクル流94は、改質油スプリッタ200にリサイクルされ得る。C10+芳香族流90は、C10+芳香族炭化水素を含有することができる。C10+流90はトランスアルキル化反応器600に導入することができる。トランスアルキル化反応器600にC10+流90を導入することにより、トランスアルキル化反応器600において所望の熱力学を維持することができる。パージ流は、パージ流92としてC10+流90から分離することができる。パージ流92の流量は、C10+流90の全体の体積流量に基づいて決定することができる。パージ流92の流量は、トランスアルキル化反応器600中のC10+芳香族炭化水素の負荷を減少させるように最適化することができる。負荷の減少は、トランスアルキル化反応器600におけるMEBのトルエンへの変換率を増加させることができる。少なくとも1つの実施形態では、トランスアルキル化反応器600におけるMEBの変換率は、98%以上である。さらに、負荷の減少は、トランスアルキル化反応器600におけるトランスアルキル化触媒の汚れを減少させ、トランスアルキル化反応器600の運転時間を延長し、トランスアルキル化反応器600のサイズを減少させることができる。少なくとも1つの実施形態では、C10+流90の全体積流量がパージ流92によって流出する。少なくとも1つの実施形態では、C10+流90の全体積流量はトランスアルキル化反応器600に導入される。
【0078】
任意に、少なくとも1つの実施形態では、パージ流92を脱アルキル化反応器100にリサイクルさせることができる。操作条件の水素圧および過酷度は、C10+芳香族炭化水素のC9芳香族炭化水素および9未満の炭素原子を有する化合物への完全な変換を達成するように調節することができる。
【0079】
C10+流90は、C9流96、ベンゼン流10、およびトルエン分割流22と共にトランスアルキル化反応器600に導入することができる。図1を参照して説明したように、水素流5はトランスアルキル化反応器600に導入することができる。図6を参照して説明した実施形態では、ベンゼン流10の全体積流量をトランスアルキル化反応器600に導入する。ベンゼン流10をトランスアルキル化反応器600に導入して熱力学的平衡を維持することができ、これはトルエンのキシレンへの変換を促進する。ベンゼンの存在は、キシレンのような他の反応生成物に対して平衡を導くことができる。任意に、特定の実施形態では、ベンゼン流の一部はベンゼン分割流62として分離することができる。ベンゼン分割流62の体積流量は、改善されたキシレン収率によって決定することができる。ベンゼン流10によってトランスアルキル化反応器に導入されるベンゼンの量は0.01重量%~5重量%の範囲とすることができ、残りの量は、ベンゼン分割流62によってシステムから除去される。
【0080】
図6を参照して説明した実施形態では、トルエン流20の全体積流量はトルエン分割流22によってトランスアルキル化反応器600に導入される。任意に、特定の実施形態では、トルエン流20の一部をトルエン不均化反応器300に導入することができる。トルエン不均化反応器300は、改質油供給物2中のトルエンの量がトリメチルベンゼンの量の150重量%を超える場合に含めることができる。トルエン不均化反応器300を含む実施形態では、トルエン分割流22の体積流量を、トランスアルキル化反応器600中のトルエン対トリメチルベンゼンの比を0.3~3の範囲に維持するように調整することができる。トルエン不均化反応器300は、図1を参照して説明したように作動する。トルエン不均化反応器300が存在する実施形態では、不均化流出物30を改質油スプリッタ200にリサイクルさせることができる。
【0081】
トランスアルキル化反応器600は、図1を参照して説明したように動作する。トランスアルキル化流出物60は、改質油スプリッタ200に導入することができる。図1を参照して説明したようにして生成された異性化流出物50は、改質油スプリッタ200にリサイクルさせることができる。
【0082】
不均化流出物30、異性化流出物50、およびトランスアルキル化流出物60中の成分を分離するために改質油スプリッタ200を使用することにより、システムの複雑さを低減することができる。代替実施形態では、不均化流出物30、異性化流出物50、およびトランスアルキル化流出物60は図1に関して記載したように、スプリッタカラム700に導入することができる。
【0083】
有利には、トランスアルキル化の上流の脱アルキル化反応器の位置が、重質改質油供給物中に存在しないトルエンを生成し、トルエンはキシレンを生成するためのトランスアルキル化反応における反応物であり、従って、トランスアルキル化の上流の脱アルキル化反応器を伴うプロセスは、キシレン生成を増加させる。有利には、トランスアルキル化反応器の上流の脱アルキル化反応器の位置が、トランスアルキル化反応器に導入されるC9芳香族炭化水素およびC10+芳香族炭化水素の量を減少させる。
【0084】
有利には、改質油スプリッタおよびスプリッタカラムの両方の使用が、トランスアルキル化反応器への成分のリサイクルを制御する能力を増加させる。有利には、改質油スプリッタおよびスプリッタカラムの両方の使用は、スプリッタカラムが芳香族炭化水素のみを処理し、一方、改質油スプリッタが芳香族炭化水素および非芳香族炭化水素の両方を処理することを意味する。
【0085】
脱アルキル化反応器およびトランスアルキル化反応器の両方は、メタノールの不在下およびメチル化反応の不在下にあり、これらは、化合物にメチル基を付加する不可逆反応である。少なくとも1つの実施形態では、重質改質油供給物がエチルベンゼンの不在下にある。キシレン生成を最大にするプロセスは、脱ブタン化剤の不在下にある。キシレン生成を最大にするプロセスは、脱ヘプタン化剤の不在下にある。少なくとも1つの実施形態では、p-キシレンを生成するためのシステムは、水素化反応または水素化反応器の不在下にあり、ここで、水素化反応・反応器は一般に、炭化水素を飽和させる目的で炭化水素に水素を添加する反応を指す。少なくとも1つの実施形態では、このシステムはヒドロ脱アルキル化反応またはヒドロ脱アルキル化反応器の不在下にあり、ここで、ヒドロ脱アルキル化反応は、芳香環からのアルキル基の脱離を含む反応である。
【0086】
脱アルキル化反応器100は改質ユニットではない。改質ユニットは、ナフサを、白金含有触媒上で、高温および水素圧で、芳香族炭化水素リッチ生成物に変換する。改質ユニットは、改質ユニットへの炭化水素供給物流のオクタン価を増加させるという目標を有する。改質ユニットにおける主な反応は、脱水素化反応および分解反応である。
【実施例
【0087】
以下の実施例は、シミュレーションプログラムを用いて実施した。
【0088】
実施例1は、図1によるキシレン生成を最大にするためのプロセスとしてシミュレートされた。このプロセスは、ASPENを用いてシミュレートされた。キシレン生成を最大にするためのプロセスは、脱アルキル化反応器、トランスアルキル化反応器、p-キシレン分離およびキシレン異性化を含む。
【0089】
【表1】
【0090】
[実施例2]
実施例2は、脱アルキル化反応器の不在下の比較例である。このプロセスは、図5のプロセスに従ってシミュレートされた。図5は脱アルキル化反応器100の不在下のプロセスを示しており、改質油供給物2が改質油スプリッタ200に直接導入される。
【0091】
【表2】
【0092】
実施例1および実施例2の結果を比較すると、脱アルキル化反応器100の追加によって、トランスアルキル化反応器に導入されるC9芳香族炭化水素の流量を9.1%減少させることが示される。部分的には、流量の減少は、図1に具体化されているようにキシレンを最大にするプロセスにおける脱アルキル化反応器100中でのメチルエチルベンゼンのトルエンへの変換によるものである。さらに、これらの結果は、脱アルキル化反応器100の追加が、C10+芳香族炭化水素からC6~C8芳香族炭化水素への変換を増加させることを示し、ここで、変換されなかった化合物は重質炭化水素12の一部としてシステムからパージされ得る。
【0093】
[実施例3]
実施例3は、図6を参照して説明したシミュレートされたプロセスの一例である。図6は、改質物スプリッタ200から下流の脱アルキル化反応器100を含む。
【0094】
【表3】
【0095】
[実施例4]
実施例4は比較例である。このプロセスは、図7のプロセスに従ってシミュレートされた。図7のプロセスは、図6を参照すると理解することができ、このプロセスは脱アルキル化反応器100の不在下にあり、その結果、トランスアルキル化反応器600の上流で脱アルキル化が起こらない。混合された重質流64は、脱アルキル化スプリッタ900に直接流入することができる。
【0096】
【表4】
【0097】
実施例3および実施例4の結果を比較すると、脱アルキル化反応器100の追加は、トランスアルキル化反応器600に導入されるC9芳香族炭化水素の流量を減少させることが示される。
【0098】
実施形態を詳細に説明してきたが、原理および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、および改変を行うことができることを理解されたい。従って、本実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの適切な法的均等物によって決定されるべきである。
【0099】
記載されている様々な要素は特に断らない限り、本明細書に記載されている他のすべての要素と組み合わせて使用することができる。
【0100】
単数形「a」、「an」および「the」は文脈が明らかにそうではないと指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0101】
任意の、または、任意に、とは、後に記述される事象または状況が発生する可能性がある、または発生しない可能性があることを意味する。説明は、その事象または状況が発生する場合と、発生しない場合とを含む。
【0102】
範囲は本明細書では約1つの特定の値から約別の特定の値として表すことができ、特に指示がない限り、これらを包含する。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は1つの特定の値から他の特定の値までであり、前記範囲内の全ての組み合わせを伴うことが理解されるべきである。
【0103】
特許または刊行物が参照される本出願全体を通して、これらの参照文献の開示はこれらの参照文献が本明細書でなされる記載と矛盾する場合を除いて、本発明が関係する技術水準をより完全に記載するために、それらの全体が参照によって本出願に組み込まれることが意図される。
【0104】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、用語「備える(comprise)」、「有する(has)」、「含む(include)」、およびその文法的変化形はそれぞれ、追加の要素またはステップを排除しない、オープンで非限定的な意味を有することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【図
【図
【図
【図
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【国際調査報告】