(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】骨髄幹細胞治療に対する応答の予測方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20220131BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20220131BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20220131BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220131BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220131BHJP
C12N 5/074 20100101ALN20220131BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20220131BHJP
A61K 35/28 20150101ALN20220131BHJP
A61P 9/00 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
G01N33/50 P
G01N33/68
C12M1/34 Z
C12N15/12
C12N5/074
C12N15/113 Z
A61K35/28
A61P9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519800
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2019077650
(87)【国際公開番号】W WO2020074726
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】102018125324.9
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519364901
【氏名又は名称】ウニベルジテート ロストック ツェントラーレ ウニベルジテーツフェアヴァルトゥング リフェラート 1.1 レヒト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタインホフ、グスタフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフィーン、マルクス
【テーマコード(参考)】
2G045
4B029
4B063
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB01
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA36
4B029AA07
4B029BB11
4B029BB20
4B029FA12
4B063QA01
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4B063QQ08
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4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX02
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065CA23
4B065CA24
4B065CA46
4C087AA01
4C087BB63
4C087NA05
4C087ZA36
(57)【要約】
本発明は、バイオマーカーの使用を含む、疾患治療、特に組織再生、好ましくは心臓血管再生に対する応答の予測方法に関する。さらに、本発明は、疾患治療、特に組織再生、好ましくは心臓血管再生に対する応答の予測方法における使用のためのバイオマーカーの組み合わせ、本発明の方法を行うためのコンピュータ装置、および本発明の方法を実行するのに適した装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患治療、特に心臓血管再生に対する応答の予測方法であって、
(i)被験体の試料において、遺伝子および/または遺伝子発現をバイオマーカーとして測定することであって、遺伝子および/または遺伝子発現が突然変異体を含み、
(ii)測定された遺伝子および/または遺伝子発現突然変異体を基準値および/または参照と、好ましくは基準値および/または体細胞変異遺伝子および/または遺伝子発現をもたない無病型もしくは個体の参照細胞と比較すること、
(iii)比較結果に基づき、被験体において、疾患治療、特に組織修復、好ましくは心修復に対する応答が、期待されるか、期待されないか、または両価であるかどうかを予測すること
を含む方法。
【請求項2】
(i)被験体の試料において、SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現をバイオマーカーとして測定することであって、SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現が突然変異体を含み、
(ii)測定されたSH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現突然変異体を基準値および/または参照と、好ましくは基準値および/または体細胞変異遺伝子および/または遺伝子発現をもたないSH2B3無病型もしくは個体の参照細胞の参照と比較すること、
(iii)比較結果に基づき、被験体において、疾患治療、特に組織修復、好ましくは心修復に対する応答が、期待されるか、期待されないか、または両価であるかどうかを予測すること
を含む、請求項1記載の疾患治療、特に心臓血管再生に対する応答の予測方法。
【請求項3】
SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現がノックアウト遺伝子および/またはノックアウト遺伝子発現変異体である請求項2記載の方法。
【請求項4】
SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現変異体が、SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現変異体1および/またはSH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現変異体2の少なくとも1つの突然変異を含む請求項2および/または3記載の方法。
【請求項5】
SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現変異体が、配列番号1および/または配列番号2記載の配列を含む請求項2、3および/または4記載の方法。
【請求項6】
LNKタンパク質発現および/またはSH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現変異体の機能の分析をさらに使用する請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
1つまたはそれ以上のバイオマーカーをさらに使用し、そのさらなるバイオマーカーが、血管新生因子、生存因子、ケモカイン、循環内皮前駆細胞(EPC)、循環内皮細胞(CEC)、循環血小板、循環単核細胞および亜集団、MNC亜集団上の受容体/リガンド発現、および/または全ゲノム配列RNAからなる群より選択される請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
バイオマーカーが、好ましくはPLCG1、EPO、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、VEGF、BEX3、デルタ_CT_SH2B3、ZNF205、LTB、EMG1、CD34+細胞/ml PB、BAZ1A、および/またはCD133+細胞/ml PBから、より好ましくはPLCG1、EPO、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、および/またはVEGFから選択される請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
予測正確性の感度および特異度が約90%超、好ましくは約92%超、より好ましくは約93%超、最も好ましくは約94%超である請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
PLCG1、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、BEX3、ZNF205、EMG1、BAZ1A、および/またはLTBがRNAレベルで測定され、および/またはEPOおよび/またはVEGFがタンパク質レベルで測定される請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
幹細胞治療に対する応答、および/または血管新生応答の誘導、および/または心筋梗塞、脳卒中および末梢虚血性血管疾患を含む心臓血管疾患の組織修復の術前予測のために使用される請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
試料が心臓病および/または動脈硬化に罹患している被験体から採取される請求項1~11のいずれか1項に記載の幹細胞治療に対する応答の予測方法。
【請求項13】
少なくとも2、3、4、5、6、またはそれより多くの時点の比較結果のプロファイリングを含む請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
臨床診断パラメータの使用をさらに含む請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
血管新生応答のプロファイリングのために使用される請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
RNAおよび/またはmRNA配列、および/またはマイクロRNAおよび/または非コーディングRNAなどの機能的RNA、および/または疾患シグネチャーを含むSNPを分析することをさらに含む請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
RNAおよび/またはDNA配列決定分析および/またはネットワーク経路分析薬物動態および薬理遺伝学データの分析をさらに含む請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
表現型検査の分析をさらに含む請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
幹細胞治療が、CD133陽性幹細胞の移植を含む請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
被験体がヒトである請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
試料が、血液、血清、および/または血漿試料、および/または組織生検試料、および/またはEPCなどの循環幹細胞の試料である請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
疾患治療、特に心臓血管再生に対する応答の予測方法における使用のための、SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現突然変異体および/またはSH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現突然変異体のリンパ球アダプタータンパク質発現から選択されるバイオマーカー。
【請求項23】
バイオマーカーが、一つまたはそれより多くのさらなるバイオマーカーと組み合わせて使用され、さらなるバイオマーカーが、血管新生因子、生存因子、ケモカイン、循環内皮前駆細胞(EPC)、循環内皮細胞(CEC)、循環血小板、循環単核細胞および亜集団、MNC亜集団上の受容体/リガンド発現、および/または全ゲノム配列RNAの群から選択される、疾患治療、特に心臓血管再生に対する応答の予測方法における使用のための請求項22記載のバイオマーカー。
【請求項24】
バイオマーカーが、好ましくはPLCG1、EPO、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、VEGF、BEX3、デルタ_CT_SH2B3、ZNF205、LTB、EMG1、CD34+細胞/ml PB、BAZ1A、および/またはCD133+細胞/ml PBから、より好ましくはPLCG1、EPO、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、および/またはVEGFから選択される、疾患治療、特に心臓血管再生に対する応答の予測方法における使用のための請求項23記載のバイオマーカーの組み合わせ。
【請求項25】
PLCG1、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、BEX3、ZNF205、EMG1、BAZ1A、および/またはLTBがRNAレベルで測定され、および/またはEPOおよび/またはVEGFがタンパク質レベルで測定される、疾患治療、特に心臓血管再生に対する応答の予測方法における使用のための請求項23または24記載のバイオマーカーの組み合わせ。
【請求項26】
RNAおよび/またはmRNA配列、および/またはマイクロRNAおよび/または非コーディングRNAなどの機能的RNA、および/または疾患シグネチャーを含むSNPを分析することをさらに含む、疾患治療、特に心臓血管再生に対する応答の予測方法における使用のための請求項22記載のバイオマーカーまたは請求項23~25のいずれか1項に記載のバイオマーカーの組み合わせ。
【請求項27】
方法および/またはバイオマーカーが幹細胞治療に対する応答の術前予測のために使用され、幹細胞治療が冠動脈バイパス移植(CABG)手術、および/または虚血再灌流介入である、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法、または請求項22記載のバイオマーカー、または請求項23~26のいずれか1項に記載のバイオマーカーの組み合わせ。
【請求項28】
被験体の試料において請求項1~10のバイオマーカーの各々の量を測定するための検出試薬を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法を実施するのに適したキット。
【請求項29】
プロセッサ、およびプロセッサに連結された1つまたはそれより多くの機械学習(ML)モデルをコードするメモリを含むコンピュータ装置であって、プログラムがプロセッサに方法を実行させ、該方法が、
(iii)請求項1~10のいずれか1項による測定されたバイオマーカーを、基準値および/または参照と、好ましくは基準値および/または突然変異体をもたないSH2B3遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現の参照と比較すること、
(iii)比較結果に基づき、被験体において、疾患治療、特に組織修復、好ましくは心臓血管再生に対する応答が、期待されるか、期待されないか、または両価であるかどうかを予測すること
を含むコンピュータ装置。
【請求項30】
(i)被験体の試料において、請求項1~10のいずれか1項に記載のバイオマーカーの各々の量を測定するための分析ユニット、および
(ii)請求項29記載のコンピュータ装置
を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法を実行するのに適した装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマーカーの使用を含む、疾患治療、特に組織再生、好ましくは心臓血管再生に対する応答の予測方法に関する。さらに、本発明は、疾患治療、特に組織再生、好ましくは心臓血管再生に対する応答の予測方法における使用のためのバイオマーカーの組み合わせ、本発明の方法を行うためのコンピュータ装置、および本発明の方法を実行するのに適した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
器官組織、特に心臓組織の修復のための再生医療は、ここ17年において前臨床および臨床開発の最先端である。心臓組織を考慮すると、種々のアプローチのうち、心臓組織中への骨髄性幹細胞(BMSC)の直接的な適用が、2001年の最初の人への適用および最初の有望な臨床試験以来、依然として、最も熱心に行われている臨床開発的治療である(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。しかし、これらの試験において、LVEF(左室駆動率)の臨床関連の改善ならびにノンレスポンシブ患者は、治療群およびプラセボ群の両方において観察することができた(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。
【0003】
造血幹細胞(HCSs)は、他の血液細胞を生み出す幹細胞である。脊椎動物において、造血の大部分は、骨髄(BM)において生じ、多能でかつ広範な自己複製が可能な限られた数の造血幹細胞から誘導される。造血系は、上位層に多能、自己複製幹細胞を有し、中間層に系統が表明された前駆細胞(progenitor cells)を有し、下位層に最終分化された細胞を生み出す系統が制限された前駆細胞(precursor cells)を有する組織化され、階層化された系である(非特許文献10)という点で、表現型で特徴付けられた成熟幹/前駆細胞の中で独特であると伝統的に見なされてきた(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9)。しかしながら、クローン性造血の障害は、血液疾患および心血管疾患の患者で報告されており、先天的または体細胞のDNA突然変異に関連している(非特許文献11;非特許文献12)。先天的な幹細胞調節遺伝子または体細胞調節遺伝子のどの突然変異が造血クローン優位性を引き起こし、心血管の病理学に影響を与えるかという疑問が生じる(非特許文献13)。
【0004】
体細胞変異による骨髄異形成、赤血球症、または白血病などの造血幹細胞(HSC)増殖障害に関連する主要な遺伝子の1つは、リンパ球アダプタータンパク質(Lnk、LNK)アダプタータンパク質をコードするSH2B3である(非特許文献14)。しかし、ヒト骨髄(BM)およびクローン血液幹細胞および前駆細胞におけるLnk/SH2B3発現調節は、心血管再生についてはほとんど知られていない(非特許文献15;非特許文献16)。
【0005】
Lnk/SH2B3は、APSおよびSH-2Bと、プレクストリン相同性ドメイン、Src相同性2ドメイン、および潜在的なチロシンリン酸化部位を共有する。これは、複数のシグナル伝達事象の統合と調節に関与するアダプタータンパク質のファミリーに属し(非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19)、幹細胞因子(SCF)/-c-Kitシグナル伝達経路において負の調節因子として作用することも示唆されている(非特許文献11;非特許文献20)。Lnk/SH2B3はまた、KSL CD34+細胞よりも未成熟なHSC亜集団であるBM c-Kit+/Sca-1+/系統(Lineage)(Lin)-(KSL)CD34-細胞に基づく研究において、HSCの自己再生能力の維持に重要な役割を果たすことも報告されている(非特許文献21)。
【0006】
タカキらは、Lnk/SH2B3が、マウスの造血細胞系統で発現し、Lnk/SH2B3欠損マウスのBM細胞は、WTマウスのものよりも造血集団の点で競合的に優れていることが報告されている(非特許文献22)。彼らはまた、HSC/造血前駆細胞(HPC)の数だけでなく、一部のHSC/HPCの自己再生能もLnk/SH2B3-/-マウスで著しく増加したことを明らかにした(非特許文献21)。さらに、彼らはLnk/SH2B3の機能ドメインを特定し、HSC/HPCで内因的に発現するLnk/SH2B3の機能を阻害するドミナントネガティブLnk/SH2B3変異体を開発し、それによって生着のためのHPCを増強した(非特許文献23)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Stamm C, Westphal B, Kleine HD, et al. Lancet. 2003; 361(9351):45-46
【非特許文献2】Tse HF, Kwong YL, Chan JK, Lo G, Ho CL, Lau CP. Lancet 2003; 361(9351):47-9
【非特許文献3】Stamm C, Kleine HD, Choi YH, et al. J Thorac Cardiovasc Surg 2007; 133(3):717-25
【非特許文献4】Timothy D H, Lem M, Jay H T, Circulation Research 2016; 119:404-406
【非特許文献5】Nasseri B A, Ebell W, Dandel M, et al. Eur Heart J. 2014, 35(19):1263-74
【非特許文献6】Bartunek J, Terzic A, Davison B A et al. Eur Heart J. 2016 Dec 23. pii: ehw543. doi: 10.1093/eurheartj/ehw543
【非特許文献7】Slack JM. Science 2000; 287:1431-1433
【非特許文献8】Blau HM, Brazelton TR, Weimann JM. Cell 2001;105:829-841
【非特許文献9】Korbling M, Estrov Z. New England Journal of Medicine 2003; 349:570-582
【非特許文献10】Weissmann IL. Cell 2000; 100:157-168
【非特許文献11】Moehrle BM, Geiger H. Exp Hematol 2016; Oct; 44(10):895-901. doi: 10.2016/j.exphem.2016.06.253. Epub 2016 Jul 8
【非特許文献12】Jaiswal S, Natarajan P, Silver AJ et al. N Engl J Med 2017; Jul 13; 377(2):111-121. doi: 10.1056/NEJMoa1701719. Epub 2017 Jun 21
【非特許文献13】Machiela MJ, Chanock SJ. Curr Opin Genet Dev 2017; Feb;42:8-13. doi: 10.1016/j.gde.2016.12.002. Epub 2017 Jan 6
【非特許文献14】Elias HK, Bryder D, Park CY. Semin Hematol 2017; Jan; 54(1):4-11. doi: 10.1053/j.seminhematol.2016.11.002. Epub 2016 Nov 20
【非特許文献15】Steinhoff G, Nesteruk J, Wolfien M, Grosse J, Ruch U, Vasudevan P, Mueller P. Adv Drug Deliv Rev 2017; Oct 1; 120:2-24. doi: 10.1016/j.addr.2017.10.007. Epub 2017 Oct 18
【非特許文献16】Zhu X, Fang J, Jiang DS, Zhang P, Zhao GN, Zhu X, Yang L, Wei X. 2-B3Hypertension 2015; Sep; 66(3):571-81. doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.115.05183. Epub 2015 Jun 22
【非特許文献17】Ahmed Z, Pillay TS. Biochem J 2003; 371:405-412
【非特許文献18】Huang X, Li Y, Tanaka K, Moore KG, Hayashi JI. Proc Natl Acad Sci USA 1995; 92:11618-11622
【非特許文献19】Takaki S, Watts JD, Forbush KA, Nguyen NT, Hayashi J, Alberola.Ila J, Aebersold R, Perlmutter RM. Biol Chem 1997; 272:14562-14570
【非特許文献20】Takaki S, Sauer K, Iritani BM, Chien S, Ebihara Y, Tsuji K, Takatsu K, Perlmutter RM. Immunity 2000; 13:599-609
【非特許文献21】Ema H, Sudo K, Seita J, Matsubara A, Morita Y, Osawa M, Takatsu K, Takaki S, Nakauchi H. Dev Cell 2005; 8:907-914
【非特許文献22】Takaki S, Morita H, Tezuka Y, Takatsu K. Lnk/SH2B3. J Exp Med 2002; 195:151-160
【非特許文献23】Takizawa H, Kubo-Akashi C, Nobuhisa I, Kwon SM, Iseki M, Taga T, Takatsu K, Takaki S. Blood 2006; 107:2968-2975
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、バイオマーカーの測定を含む、疾患治療、特に組織再生、好ましくは心臓血管再生に対する応答を予測する方法を特定した。本発明は、したがって、本願請求項1に記載の、バイオマーカーを測定することを含む心臓血管再生に対する応答の予測方法に関する。さらに、本発明は、疾患治療、特に組織再生、好ましくは心臓血管再生に対する応答の予測方法において使用するためのバイオマーカーの組み合わせ、そのような方法を行うためのコンピュータ装置、および本発明の方法を実行するのに適した装置に関する。
【0009】
本発明は、したがって、疾患治療、特に心臓血管再生に対する応答の予測方法であって、
(i)被験体の試料において、遺伝子および/または遺伝子発現をバイオマーカーとして測定することであって、遺伝子および/または遺伝子発現が突然変異体を含み、
(ii)測定された遺伝子および/または遺伝子発現突然変異体を基準値および/または参照と、好ましくは基準値および/または体細胞変異遺伝子および/または遺伝子発現をもたない無病型もしくは個体の参照細胞の参照と比較すること、
(iii)比較結果に基づき、被験体において、疾患治療、特に組織修復、好ましくは心修復に対する応答が、期待されるか、期待されないか、または両価であるかどうかを予測すること
を含む方法に関する。
【0010】
本発明は、さらに、疾患治療、特に心臓血管再生に対する応答の予測方法であって、
(i)被験体の試料において、SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現をバイオマーカーとして測定することであって、SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現が突然変異体を含み、
(ii)測定されたSH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現突然変異体を基準値および/または参照と、好ましくは基準値および/または体細胞変異遺伝子および/または遺伝子発現をもたないSH2B3無病型もしくは個体の参照細胞の参照と比較すること、
(iii)比較結果に基づき、被験体において、疾患治療、特に組織修復、好ましくは心修復に対する応答が、期待されるか、期待されないか、または両価であるかどうかを予測すること
を含む方法に関する。
【0011】
好ましくは、本発明の方法は、エクスビボ/インビトロ法である。本発明の方法は、上記に明確に記載された工程に加えてさらに工程を含んでもよい。例えば、さらなる工程は、試料の前処理、またはその方法により得られる結果のさらなる評価もしくは使用に関するものでもよい。その方法は、手動で実施されてもよく、または自動化によって補助されてもよい。好ましくは、工程(i)は、全体としてまたは部分的に、自動化、例えば好適なロボットおよびセンサー設備によって補助されてもよい。工程(ii)および/または(iii)は、それぞれの比較および/または予測を実行するデータ処理ユニットにより補助されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のSH2B3の標的DNA配列およびRNA配列変異体の概要を示す図である。結果は、2つの独立した分類子での特徴選択およびその後の予測の後に得られる。グラフは、2つのMLモデル(特徴選択のためのAdaBoostおよび実験のためのRFおよびSVM)の真の陽性予測結果を示す。エラーバーは、100反復後に得られた構築されたモデルについてのそれぞれの精度標準偏差を示す。
【
図2】手術前データのみを用いる患者の応答性の指導予測の機械学習精度比較を示す図である。
【
図3】ランダムフォレスト分類子に基づく機械学習特徴選択から得られた上位20種のバイオマーカーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
SH2B3-遺伝子は、成長因子およびサイトカイン受容体による一連のシグナル伝達活性化に関与するSH2Bアダプタータンパク質のファミリーのメンバーをコードする。コードされたタンパク質は、サイトカインシグナル伝達の主要なネガティブレギュレータであり、血液生成において重要な役割を果たしている。この遺伝子における突然変異は、13型セリアック病へのかかりやすさ、およびインスリン依存性糖尿病へのかかりやすさと関係づけられている。代替的には、異なるアイソフォームをコードするスプライスされた転写変異体が、この遺伝子について見出されている。SH2B3はまた、HGNC:29605、Entrez遺伝子:10019、Ensembl:ENSG00000111252、OMIM:6059093、UniProtKB:Q9UQQ2でも特定される。
【0014】
本明細書において使用される用語「予測すること(predicting)」は、確からしさであって、それに基づいて被験体が、疾患治療、特に組織修復、好ましくは心臓修復、より好ましくは心臓幹細胞治療から、該心臓治療後に、本明細書のいずれかで詳細に定義されるように心臓血管系の機能改善がみられるという点において恩恵を受けるであろうという確からしさを評価することを意味する。本発明の文脈の中で、心臓修復および心臓再生という用語は同義に使用される。
【0015】
当該技術分野における当業者によって理解されるであろうように、このような評価は、通常、診断される被験体の100%について正確であることは意図されない。しかしながら、この用語は、評価が統計的に有意な割合の被験体に対して正確であることを要件としている(例えばコホート研究におけるコホート)。割合が統計的に有意であるかどうかは、当該技術分野における当業者によって困難なしに、例えば信頼区間の決定、p値の決定、Studentのt検定、Mann-Whitney検定などの様々な周知の統計評価ツールを用いて決定され得る。詳細は、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見ることができる。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。p値は、好ましくは0.1、0.05、0.01、0.005、または0.0001である。
【0016】
本明細書において使用される用語「心臓血管再生」は、再生および/または心臓血管系に関連した疾患の治療および/または改善を含む。
【0017】
用語「バイオマーカー」は、その存在、不存在または量が、医学的な状態または素因と相関する分子を意味する。バイオマーカーは、被験体に生じるあらゆる分子および/または細胞またはそれらの亜集団とすることができる。典型的には、バイオマーカーは、タンパク質、ペプチド、小分子または核酸(DNAまたはRNAなど)、または細胞またはその亜集団である。本発明によれば、その用語は、好ましくは遺伝子および/または遺伝子発現であって、該遺伝子および/または遺伝子発現は突然変異体を含むものである。そのような遺伝子および/または遺伝子発現は、DNAおよび/またはRNAの配列決定により分析することができる。その遺伝子および/または遺伝子発現の分析は、さらなる遺伝子および/またはさらなる遺伝子発現の共発現を含んでもよい。遺伝子および/または遺伝子発現のそのような測定は、例えば、心筋細胞において行うことができる。具体的な実施態様によれば、バイオマーカーは、SH2B3遺伝子および/またはSH2B3遺伝子発現から選択され、該SH2B3遺伝子および/またはSH2B3遺伝子発現は突然変異体を含む。
【0018】
本明細書中で意味されるバイオマーカーの量の測定とは、量または濃度を、好ましくは、半定量的または定量的に、測定することに関する。測定は、直接的または間接的に行われ得る。直接的な測定は、バイオマーカー自体から得られるシグナルに基づいてバイオマーカーの量または濃度、および、サンプル中に存在するバイオマーカーの分子の数に直接的に相関する強度を測定することに関する。このようなシグナル-本明細書においてしばしば強度シグナルとも称される-は、例えば、バイオマーカーの特定の物理的または化学的特性の強度値を測定することなどによって得られ得る。間接的な測定は、二次成分(すなわち、バイオマーカー自体ではない成分)または生物学的な読み出しシステム、例えば、計測可能な細胞応答、リガンド、ラベル、または酵素反応生成物などから得られるシグナルを測定することを含む。
【0019】
本発明にしたがって、バイオマーカーの量を測定することは、サンプル中の、ペプチド、タンパク質、低分子、例えばDNAもしくはRNAなどの核酸、または細胞もしくはその亜集団の量を測定するための全ての公知の手段(means)によって達成され得る。該手段(means)は、免疫測定法および様々なサンドイッチアッセイ、競争的アッセイ、また他のアッセイのフォーマット中のラベルされた分子を利用し得る方法を含む。このようなアッセイは、好ましくは、測定されるバイオマーカーを特異的に認識する例えば抗体などの検出試薬に基づいている。検出試薬は、バイオマーカーの存在または非存在を示すシグナルを直接的または間接的のどちらかで生成することができるであろう。さらに、シグナル強度は、好ましくは、サンプル中に存在するバイオマーカーの量に直接的または間接的に(例えば反比例的に)相関し得る。さらなる適切な方法は、例えばその正確な分子量またはNMRスペクトルなどのバイオマーカーに特異的な物理的または化学的特性を測定することを含んでいる。これらの方法は、好ましくは、バイオセンサー、免疫測定法、FACS分析、バイオチップに連結された光学装置、例えば質量分析器、NMR分析器またはクロマトグラフィー装置などの分析装置を含む。さらに、該方法は、マイクロプレートELISAベースの方法、完全に自動化されたまたはロボティックな免疫測定法、酵素コバルト結合分析、およびラテックス凝集分析を含む。
【0020】
好ましくは、バイオマーカーの量を測定することは、(a)細胞応答を引き出すことのでき、その強度が適切な時間のあいだバイオマーカーの量を示すことができる細胞を該バイオマーカーと接触させる工程、(b)細胞応答を測定する工程を含む。細胞応答を測定するために、サンプルまたは処理されたサンプルが、好ましくは、細胞培養液へと添加され、そして、細胞内応答または細胞外応答が測定される。細胞応答としては、測定可能なレポーター遺伝子の発現、または、例えばペプチド、ポリペプチドまたは低分子などの物質の分泌が挙げられる。その発現または物質は、バイオマーカーの量と相関する強度シグナルを作製するであろう。
【0021】
また好ましくは、バイオマーカーの量を測定することは、サンプル中の該バイオマーカーから得られ得る特異的なシグナルの強度を測定する工程を含む。上述されるように、このようなシグナルは、質量スペクトルにおいて観察されるバイオマーカーに特異的なm/z変数で観察される、またはバイオマーカーに特異的なNMRスペクトルで観察されるシグナル強度であり得る。
【0022】
本明細書において使用される「量(amount)」との用語は、バイオマーカーの絶対量、バイオマーカーの相対量または濃度、および、それに相関するまたはそれから導かれ得る任意の値またはパラメータを包含する。このような値またはパラメータは、例えば、マススペクトルまたはNMRスペクトルにおける強度値などの、直接的な測定によって該ペプチドから得られる、全ての特異的な物理的または化学的特性由来のシグナル強度値を含む。さらに、本明細書中で特定される、間接的な測定によって得られる全ての値またはパラメータ、例えば、ペプチドに応答して生物学的読み出しシステムから決定される応答レベル、または、特異的に結合したリガンドから得られるシグナル強度などが含まれる。上述の量またはパラメータに相関している値はまた、全ての標準的な数学的操作によって得られ得ること、および、次数なしに、例えば本明細書中で記載される評価システムなどにおいて、使用され得ることが理解されるであろう。
【0023】
本明細書中で使用される用語「比較すること(comparing)」とは、分析されるサンプルに含まれるバイオマーカーの量を、本明細書中で特定される好適な参照源の量と比較することを包含する。本明細書中で使用される比較は、濃度が基準濃度と比較されるか、または試験サンプルから得られた強度信号が、参照サンプルの同じタイプの強度信号と比較されると同時に、対応するパラメータまたは値の比較、例えば、絶対量が絶対参照量と比較されることを意味することが理解されるべきである。しかしながら、本発明によれば、また、バイオマーカーの測定量に基づいて値を計算することが想定される。かかる値は、心臓幹細胞治療によって、事前に定義されたレスポンダーとノンレスポンダーを含む被験体の集団からの量について行われた多変量判別分析から導出された基準範囲と比較される。さらなる詳細は、以下に添付の実施例に見出すことができる。
【0024】
本発明の方法において意味される比較は、手動で、またはコンピュータに支援されて実行され得る。コンピュータ支援の比較については、測定された量の値は、コンピュータプログラムによってデータベース内に保管されている適切な参照に対応する値と比較され得る。コンピュータプログラムは、さらに、比較の結果を評価し得る、すなわち、適切な出力フォーマットで所望の評価を自動的に提供し得る。好ましくは、このような評価は、機械学習(ML)によって行われる。測定値と参照値との比較に基づいて、例えば、心臓幹細胞治療後の心臓の機能改善などの心臓再生に対する応答を予測することが可能である。特には、高い確からしさ(すなわち被験体がレスポンダーであろうこと)または低い確からしさ(すなわち、被験体がノンレスポンダーであろうこと)があるのか、または被験体が両価であるのかを予測することが可能であろう。したがって、参照値は、比較される量のあいだの相違または類似性が、虚血性または非虚血性脳損傷のいずれかを有する急性炎症の症状を示す被験体の群に属するこれらの試験の被験体を同定することを可能とするように選択される。この方法は、(i)虚血性脳損傷または(ii)非虚血性脳損傷を患う被験体として被験体を除く(ルールアウト(rule-out))か、同定する(ルールイン(rule-in))ことを可能にする。
【0025】
本明細書中で使用される用語「参照(reference)」とは、被験体を、疾患治療から、特に組織修復から、好ましくは心臓治療から恩恵を受けることが期待され得る被験体の群、または疾患治療から、特に組織修復から、好ましくは心臓治療から恩恵を受けることが期待できない被験体の群のどちらかの群または両価である被験体へと振り分けることを可能にするバイオマーカーの量に基づいた値、閾値または差を意味する。
【0026】
好ましくは、かかる参照は、体細胞突然変異遺伝子および/または体細胞突然変異遺伝子発現をもたない無病型(non-diseased type)もしくは個体の参照細胞である。さらにいっそう好ましくは、かかる参照は、体細胞突然変異遺伝子および/または体細胞突然変異遺伝子発現をもたないSH2B3無病型もしくは個体の参照細胞である。
【0027】
かかる参照は、これらの群を互いに分ける閾値量とすることができる。2つの群を分ける適切な閾値量は、疾患治療、特に組織再生、好ましくは心臓修復から恩恵を受けると知られている被験体または被験体の群、または上記治療から恩恵を受けないと知られている被験体または被験体の群、または両価であると知られているそれらのいずれかからのバイオマーカーの量に基づいて、本明細書中の他の場所に言及された統計的検定によってさらなる苦もなく計算することができる。
【0028】
原則として、参照は、標準的な統計的方法を適用することによって、所与のバイオマーカーの平均または平均値に基づいて、上記で特定されるように、被験体のコホートについて計算することができる。特には、事象を診断すること、またはしないことを目的とする方法などの試験の精度および感度は、その受信者動作特性(ROC)によって最もよく評価されている(特に、Zweig 1993, Clin. Chem. 39:561-577参照)。したがって、本発明の前述の方法に使用される参照は、上述したような前記コホートのためのROCを確立し、それから閾値量を導出することによって生成することができる。診断方法に関する所望の感度および特異度に依存し、ROCプロットは、適切な閾値を導出することを可能にする。
【0029】
用語「サンプル(sample)」とは、体液のサンプル、および、好ましくは、血液(全血)、血漿または血清のサンプルを意味する、しかしながら、該用語はまた、上述の全血、血漿または血清から、例えば部分精製などによって得られる例えば血液、血漿または血清の画分などの例えば前処理工程などによって得られる全てのサンプルを包含する。
【0030】
本明細書で使用される用語「被験体(subject)」は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。被験体は、疾患治療、好ましくは心臓治療が必要となることがある。好ましくは、心臓治療が必要な被験体は、例えば、心筋梗塞後に、心不全または冠動脈疾患などの心臓疾患を患うか、およびより好ましくは心不全を患う。
【0031】
本発明の方法に従って作成された予測も、確率が高く、非検体における心臓系の機能改善が生じるかことが期待されるかどうか、または確率が治療の成功が両価であるようなものであるかどうか、または確率が低く、したがって、被験体における心臓系の機能改善が生じないことが期待されるかどうかを評価することを可能とする。
【0032】
本発明は、さらに、疾患治療、特に心臓血管再生に対する応答の予測方法における使用のための、SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現突然変異体および/またはSH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現突然変異体のリンパ球アダプタータンパク質発現から選択される一つまたはそれより多くのバイオマーカーに関する。
【0033】
また、本発明は、プロセッサおよびプロセッサに結合された1つ以上の機械学習(ML)モデルをエンコードするメモリを含むコンピュータ装置に関し、前記プログラムは、プロセッサに方法を実行させ、前記方法は、
(i)測定されたバイオマーカーを基準値および/または参照と、好ましくは基準値および/または突然変異体のないSH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現の参照と比較すること、
(ii)比較の結果に基づいて、被験体における疾患治療、特に組織再生、好ましくは心臓血管再生への応答が期待されるか、期待されないか、または両価であるかどうかを予測すること
を含む。
【0034】
また、本発明は、本発明の方法を実行するのに適した装置に関し、装置は、
(i)被験体のサンプル中の本発明に係るバイオマーカーの各々の量を測定するための分析ユニット、および
(ii)本発明に係るコンピュータ装置(上述されたような)
を含む。
【0035】
本明細書で使用する用語「装置(device)」は、本発明の方法に係る診断を可能にするように互いに作動可能に連結された上述の各ユニットを備えるシステムに関する。分析ユニットに用いることができる好ましい検出試薬(detection agent)は、本明細書の他の箇所に開示されている。好ましい検出試薬は、バイオマーカー(複数可)に特異的に結合し、検出可能な複合体を形成する、抗体または他のタンパク質である。分析ユニットは、好ましくは、その量が測定されるべきバイオマーカーを含むサンプルに接触させられる固体支持体上に固定化された形態で検出試薬を含む。また、分析ユニットは、バイオマーカー(複数可)に特異的に結合された検出試薬の量を測定する検出器をさらに含むことができる。測定された量は、評価ユニットに送信することができる。前記評価ユニットは、測定された量と適切な参照との間の比較を行うための実装アルゴリズムを備える、コンピュータ等のデータ処理要素を含む。適切な参照は、本明細書の他の箇所に上記されるように参照量の生成のために使用される被験体のサンプルに由来し得る。結果は、パラメトリック診断生データの出力として、好ましくは、絶対量または相対量として与えられてもよい。これらのデータは、臨床医による解釈を必要とすることが理解されるべきである。しかし、出力が、専門の臨床医による解釈を必要としない処理された診断生データを含むエキスパートシステム装置も想定される。
【0036】
本発明のさらに好ましい態様は、以下の記載とともに従属クレームから導かれ、それにより、ある種のカテゴリーの特許クレームは異なるカテゴリーの従属クレームによって形成されてもよく、そして、種々の例の特徴は、新しい例と組み合わせてもよい。上記および下記でなされた用語の定義および説明は、本明細書および添付のクレーム中で記載される全ての実施形態に適切に適用されることが理解されるべきである。以下において、本発明の方法の具体的な実施形態がさらに特定される。
【0037】
好ましい実施態様によれば、SH2B3遺伝子および/またはSH2B3遺伝子発現は、ノックアウト遺伝子および/またはノックアウト遺伝子発現変異体である。好ましくは、そのようなノックアウト遺伝子および/またはノックアウト遺伝子発現変異体は、内因的に発現されたLNK/SH2B3の機能を阻害するためのドミナントネガティブSH2B3-/LNK-変異体またはLNK/SH2B3欠失体である。
【0038】
具体的には、そのような好ましい変異体は、
図1に描かれているように、SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現変異体1(転写産物:NM_005475.2)および/またはSH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現変異体2(転写産物:NM_001291424.1)の少なくとも1つの突然変異を含むSH2B3-遺伝子/SH2B3-遺伝子発現変異体である。そのようなSH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現変異体は、RNAおよび/またはDNAレベルでのSNP欠失および/またはヌクレオチド交換によって引き起こされてもよく、例えば70~90%の範囲に、好ましくは80%の範囲に、特に約83%にアミノ酸交換を示すLNKタンパク質を生じてもよい。
【0039】
好ましくは、SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現変異体1は、配列番号1から選択される配列を含み、SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現変異体2は、配列番号2から選択される配列を含む。配列番号2は、5’コーディング領域の一部を含む5’領域の二つの代替エクソンが欠けており、配列番号1と比較して、代替エクソンの代替開始コドンで翻訳を開始する。コードされたアイソフォーム2は、はっきりと異なるN-末端を有し、アイソフォーム1よりも短い。
【0040】
上記SH2B3-遺伝子またはSH2B3-遺伝子発現突然変異体をさらなるバイオマーカー、特に末梢血におけるCD133遺伝子発現および/またはCD133+/ml MNC細胞、および/またはCFU-Hillから選択されたバイオマーカーと一緒に用いることにより、本発明の方法は、有益に、予測精度の感度および特異度を約60%超に増加させることができる。
【0041】
さらなる好ましい方法は、LNKタンパク質発現およびSH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現変異体の機能の分析を使用し、それによりアミノ酸交換または欠失に起因するLNK機能の阻害および/または変化を分析する。
【0042】
具体的に好ましい実施態様によれば、方法は、1つまたはそれより多くのバイオマーカーをさらに使用し、そのさらなるバイオマーカーが、血管新生因子および/または生存因子および/またはケモカインおよび/または循環内皮前駆細胞(EPC)および/または循環内皮細胞(CEC)および/または循環血小板および/または循環単核細胞および亜集団、MNC亜集団上の受容体/リガンド発現および/または全ゲノム配列RNAの群より選択される。
【0043】
特に好ましい実施態様によれば、方法は、1つまたはそれより多くのバイオマーカーをさらに使用し、そのさらなるバイオマーカーが、PLCG1、EPO、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、VEGF、BEX3、デルタ_CT_SH2B3、ZNF205、LTB、EMG1、CD34+細胞/ml PB、BAZ1A、および/またはCD133+細胞/ml PBから選択される。
【0044】
好ましくは、PLCG1、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、BEX3、ZNF205、EMG1、BAZ1A、および/またはLTBがRNAレベルで測定され、および/またはEPOおよび/またはVEGFがタンパク質レベルで測定される。
【0045】
なおより好ましくは、EPO、VEGF、デルタ_CT_SH2B3、CD34+細胞/ml PB、および/またはCD133+細胞/ml PBの測定が術前試料から実施される。
【0046】
なおより好ましい実施態様によれば、さらなるバイオマーカーは、PLCG1、EPO、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、および/またはVEGFから選択される。
【0047】
上記さらなるバイオマーカーの組み合わせは、疾患の種類および/または被験体または患者の疾患状態により、それぞれ個体に基づいて選択することができる。例えば、選択は、PLCG1、EPO、LPCAT2、GRB2、AP1B1、KLF8、MARK3、および/またはVEGFなどのバイオマーカーの組み合わせを包含することができる(
図3に描かれたように)。
【0048】
上記さらなるバイオマーカーに加え、次の実施態様によれば、例えば、血管新生因子が、VEGF、好ましくはVEGF-B、および/またはFGF、好ましくはFGF-4、および/またはHGFおよび/またはAng-1から選択され、生存因子が、好ましくはIGF-1から選択され、およびケモカインがIGF-2および/またはSDF-1から選択される。
【0049】
本発明に基づく研究において、心臓の治療を必要とする患者、例えば心不全を患う患者から心臓の治療前に採取された試料においてバイオマーカーの組み合わせの量を分析することにより、患者がその治療から、心臓再生または心臓血管修復が治療後に改善されるという点において利益を受けるかどうかを予測することを可能にするということを有益にも見出した。個々のバイオマーカーの量を測定するための技術は、当技術分野においてすべて周知である。
【0050】
有利には、本発明による方法を実施することにより、予測精度の感度および特異性が、約90%よりも高く、好ましくは約92%より高く、より好ましくは約93%より高く、最も好ましくは94%より高くなり得る。したがって、本発明の方法は、心臓治療などの高価で煩雑な治療方針の適用に先立つ臨床医の下す決断を改善する。正しい決断を下すこと、すなわち、それが効果的である場合にのみその治療を適用することは、確かに個々の患者のためにも、そして費用結果を考慮すると、公衆衛生システム自体のためにも有益である。
【0051】
MLを使用することによって、個々の比較をする必要がないため、方法は、好ましくは、さらに支援される。さらに、有利には、機械学習アプローチは、予測の信頼性をさらに向上させることができるように、パラメータのバランスをとり、そして重み付けするのに役立つ。したがって、本発明の有利な方法は、好ましくは、全体の予測精度を容易にし、向上させるために機械学習によって支援される。本発明によれば、用語「機械学習」は、データから学び、データの予測を行うことが可能なアルゴリズムの研究および構築に関し、アルゴリズムは、これによって、サンプル入力からモデルを構築して、データ駆動型の予測や決定を行うことにより、厳密に静的なプログラム命令を克服する。
【0052】
方法の別の実施態様において、そのような方法は、1つまたはそれより多くのバイオマーカーをさらに使用し、一つまたはそれより多くのバイオマーカーは、ジンクフィンガータンパク質ZDHHC2および/またはMYL4/ALC1および/またはINPP4Bおよび/またはRBM38および/またはCD133+細胞/ml PB(末梢血)および/またはCD34+細胞/ml PBおよび/またはCD45+184+細胞/ml PBCD45+細胞/ml PBCD184+細胞/ml PB、および/またはPB中MNCおよび/またはPBのCFU-Hillおよび/またはPB中のRIOK3-遺伝子発現および/またはPB中のABCC13-遺伝子発現および/またはPB中のCOPS3-遺伝子発現および/またはPB中のGUK1-遺伝子発現および/またはPB中のAP3B1-遺伝子発現および/またはPB中のTBC1D22B-遺伝子発現および/またはPB中のRBM38-遺伝子発現および/またはPB中のZBTB33-遺伝子発現および/またはPB中のAGO2-遺伝子発現から選択される。
【0053】
別の好ましい実施形態において、本方法は、心筋梗塞、脳卒中および末梢虚血性血管疾患などの心臓血管疾患、心臓疾患および/または虚血性プレコンディショニングという状況下での、幹細胞治療に対する応答、および/または血管新生応答の誘導および/または組織修復の術前予測のために使用される。かかる治療は、心臓血管インプラントまたはステント、心室の補助装置(VAD)、ペースメーカーおよび/またはオクルダーまたは適切な閉鎖デバイスを使用する治療を含んでいてもよい。また、かかる治療は、糖尿病、腫瘍疾患、グルテン不耐症、リウマチ性疾患、感染症、敗血症および/または高血圧症の治療を含んでいてもよい。特に、この方法は、左心室心機能の改善、例えば、急性経皮的冠動脈介入(PCI)および二次冠動脈バイパス移植(CABG)血行再建術、および/または虚血再灌流インターベンションによって順次処置される急性ST上昇型心筋梗塞(STEMI)および冠動脈3枝病変後の左室駆動率(LVEF)の低下の後の左心室心機能の改善の術前予測のために使用される。
【0054】
さらに別の好ましい実施形態では、心臓血管疾患の状況下での、心臓再生、特には、幹細胞治療に対する応答および/または血管新生応答の誘導および/または組織修復の予測のための方法は、心臓疾患および/または動脈硬化症に罹患している被験体から採取したサンプルを使用する。かかるサンプルは、特に狭心症、急性心筋損傷、細胞壊死、心筋肥大、心不全、好ましくは虚血性心不全、非虚血性心不全、心筋炎、心房細動、心室細動および/または動脈硬化を患っている被験体から採取してもよい。
【0055】
好ましい実施形態によれば、方法は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれより多くの時点での比較の結果のプロファイリング含む。有利には、かかる時点は、術前と、術後約1、3、10、90、180、および/または730日に採取したサンプルを含む。少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれより多くの時点でのサンプルを分析することにより、予測精度の特異性は、それより大きく増加させることができる。
【0056】
有益な方法のさらなる実施形態は、臨床診断パラメータの使用を含む。特に、かかるパラメータは、コロニー形成単位(CFU)ヒルアッセイ(Hill assay)、マトリゲルプラグアッセイ(Matrigel Plug assay)、重量および/または左室収縮末期容積(LVESV)から選択される。
【0057】
次の好ましい実施形態によれば、この方法は、血管新生応答のプロファイリングのために使用される。
【0058】
さらに別の好ましい実施形態は、診断の指標を含む、RNAおよび/またはDNAおよび/またはmRNA配列および/またはマイクロRNAおよび/またはノンコーディングRNAなどの機能的RNAおよび/またはSNPの解析をさらに含む、有利な方法を含む。本発明の文脈において、RNAおよび/またはDNAおよび/またはSNPのかかる指標解析は、機械学習および/または経路解析によって実行され、および/または支持されてもよい。本発明の文脈において、経路解析は、経路内の関連するRNAおよび/またはDNAおよび/またはSNPを同定するために使用されるか、または興味のあるRNA、DNAおよび/またはSNPからデノボで経路を構築するために使用される。
【0059】
また、さらなる好ましい実施形態によれば、有利な方法は、RNAおよび/またはDNA配列分析および/またはネットワーク経路分析を用いる薬物動態学的および薬理遺伝学的データの分析を含み得る。かかる薬物動態学的データは、特には、スタチン、アセチルサリチル酸(ASS)、β遮断薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII(ATII)受容体拮抗薬、アルドステロン拮抗薬、利尿薬、カルシウム拮抗薬、抗不整脈薬、ジギタリス、マルクマール(Marcumar)、および/または硝酸塩から選択される群からの薬剤を投与された被験体から得られてもよい。
【0060】
次の好ましい実施形態はさらに、体重の分析などの、被験体の表現型の分析を使用してもよい。
【0061】
なおさらに好ましい実施形態によれば、心臓血管修復の予測のための方法は、CD133陽性幹細胞の移植を使用する幹細胞治療を含む。かかる幹細胞治療は、心臓再生の誘導に使用されるCABG血管再生および/またはPCIと任意に組み合わせることができる。しかし、特に好ましい実施形態は、心臓幹細胞治療が冠状動脈バイパス移植手術をさらに含むものである。
【0062】
有利なことに、心臓幹細胞治療後の心臓の再生および/または心臓の機能改善は、少なくとも5%のLVEFの増加を伴う。
【0063】
前述の本発明の方法は、ヒト被験体のみに適用することに限定されるものではなく、動物を含んでいてもよい。しかしながら、ヒト被験体に適用する方法が好ましい。本発明によれば、このような被験体のサンプルは、血液、特には末梢血、および/または血清および/または血漿サンプルおよび/または組織生検サンプルおよび/または内皮前駆細胞(EPC)などの循環(幹)細胞のサンプルに由来してもよい。
【0064】
上述したように、本発明はまた、疾患治療、特に組織再生、好ましくは心臓血管再生に対する応答の予測方法における使用のための、SH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現突然変異体および/またはSH2B3-遺伝子および/またはSH2B3-遺伝子発現突然変異体のリンパ球アダプタータンパク質発現から選択される一つまたはそれより多くのバイオマーカーに関連する。
【0065】
好ましい実施態様によれば、バイオマーカーは、一つまたはそれより多くのさらなるバイオマーカーと組み合わせて使用され、そのさらなるバイオマーカーが、血管新生因子、生存因子、ケモカイン、循環内皮前駆細胞(EPC)、循環内皮細胞(CEC)、循環血小板、循環単核細胞および亜集団、MNC亜集団上の受容体/リガンド発現、および/または全ゲノム配列RNAの群から選択される。
【0066】
特に好ましい実施態様によれば、有益な組み合わせがさらに一つまたはそれより多くのバイオマーカーを使用し、そのさらなるバイオマーカーが、PLCG1、EPO、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、VEGF、BEX3、デルタ_CT_SH2B3、ZNF205、LTB、EMG1、CD34+細胞/ml PB、BAZ1A、および/またはCD133+細胞/ml PBから選択される。
【0067】
好ましくは、PLCG1、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、BEX3、ZNF205、EMG1、BAZ1A、および/またはLTBがRNAレベルで測定され、および/またはEPOおよび/またはVEGFがタンパク質レベルで測定される。
【0068】
なおより好ましくは、EPO、VEGF、デルタ_CT_SH2B3、CD34+細胞/ml PB、および/またはCD133+細胞/ml PBの測定が術前試料から実施される。
【0069】
なおさらに好ましい実施態様によれば、さらなるバイオマーカーの有益な組み合わせは、PLCG1、EPO、LPCAT2、GRB2、AP1B1、AFAP1、KLF8、MARK3、REX1BD、SACM1L、PDGFRB、および/またはVEGFから選択される。
【0070】
それらのさらなるバイオマーカーの組み合わせは、疾患の種類および/または被験体または患者の疾患状態により、それぞれ個体に基づいて選択することができる。例えば、選択は、PLCG1、EPO、LPCAT2、GRB2、AP1B1、KLF8、MARK3、および/またはVEGFなどのバイオマーカーの組み合わせを包含することができる(
図3に描かれたように)。
【0071】
上記さらなるバイオマーカーに加え、次の実施態様によれば、例えば、血管新生因子が、VEGF、好ましくはVEGF-B、および/またはFGF、好ましくはFGF-4、および/またはHGFおよび/またはAng-1から選択され、生存因子が、好ましくはIGF-1から選択され、およびケモカインがIGF-2および/またはSDF-1から選択される。
【0072】
代替的に、または追加的に、そのようなさらなるバイオマーカーは、ジンクフィンガータンパク質ZDHHC2および/またはMYL4/ALC1および/またはINPP4Bおよび/またはRBM38および/またはCD133+細胞/ml PB(末梢血)および/またはCD34+細胞/ml PBおよび/またはCD45+184+細胞/ml PBCD45+細胞/ml PBCD184+細胞/ml PB、および/またはPB中MNCおよび/またはPBのCFU-Hillおよび/またはPB中のRIOK3-遺伝子発現および/またはPB中のABCC13-遺伝子発現および/またはPB中のCOPS3-遺伝子発現および/またはPB中のGUK1-遺伝子発現および/またはPB中のAP3B1-遺伝子発現および/またはPB中のTBC1D22B-遺伝子発現および/またはPB中のRBM38-遺伝子発現および/またはPB中のZBTB33-遺伝子発現および/またはPB中のAGO2-遺伝子発現から選択される一つまたはそれより多くのバイオマーカーを含む。あるいは、本方法はエクソビボ/インビトロ法である。
【0073】
好ましくは、そのようなバイオマーカーの組み合わせは、疾患治療、特に組織修復、好ましくは心臓血管再生への応答を予測するための方法で使用され、該方法は
(i)被験体のサンプルにおいてバイオマーカーの各々の量を測定し、
(ii)測定された量をベースライン値および/または参照と比較し、
(iii)比較の結果に基づいて、被験体において心臓血管修復への応答が期待されるか、期待されないか、または両価であるかどうかを予測する
ことを含む。
【0074】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記バイオマーカーの組み合わせは、心臓血管再生に対する応答の予測のための方法で使用され、該方法は、臨床診断データ、および/またはRNAおよび/またはmRNA、および/またはマイクロRNAおよび/またはノンコーディングRNAなどの機能的RNAおよび/またはSNPの分析、および/または薬物動態学的データの分析、および/または例えば体重などの表現型の分析をさらに含む。
【0075】
さらにより好ましくは、有利な方法および/または上記バイオマーカーの有利な組み合わせは、幹細胞治療に対する応答の術前予測のために使用され、該幹細胞治療はCABGを伴う。
【0076】
本明細書で使用する用語「幹細胞治療」は、治療すべき被験体の心臓への外因性心筋細胞の移植を含むすべての治療アプローチを意味する。かかる心筋細胞は、心筋細胞に非心筋前駆細胞を再プログラム化することによって生成することができる。再プログラム化される細胞は、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、多能心臓前駆細胞、骨格筋芽細胞または骨髄由来幹細胞であってもよい。さらに、成熟心筋細胞はまた、特に、有糸分裂細胞周期へ再度入るように刺激した場合に使用することができる。より好ましくは、本発明に係る心臓幹細胞治療は、CD133陽性細胞、最も好ましくは、CD133陽性骨髄性単核細胞の移植を含む。細胞は、単離された単一細胞として、または組織工学プロセスによって形成された組織ブロックなどの予め形成された構成として移植されてもよい。好ましくは、細胞は、心筋内注入をすることにより、本発明に従って移植される。さらに、心臓幹細胞治療という用語はまた、移植プロセスまたは手術などの他の治療措置を伴う薬物療法などの追加治療手段を包含し得る。好ましくは、本発明による心臓幹細胞治療は、さらに、以下に添付の実施例に記載されるように、冠状動脈バイパス移植手術を含む。
【0077】
本明細書で使用する用語「心臓の機能改善」は、被験体の治療前と後にLVEFを比較した場合に観察される心臓のLVEFの有意な増加を意味する。好ましくは、有意な増加とは、治療後に観察されるLVEFの5%以上の増加である。5%未満の増加は有意でないと見做される。機能改善を求める他に考慮され得るさらなるパラメータは、MIBI-SPECTによって定量化されるような、灌流欠損サイズの10%を超える減少、左心室端収縮期容積(LVESV)の10%を超える減少、および、経胸壁心エコーにより測定されるピーク収縮期速度の10%を超える増加である。
【0078】
本明細書で使用される心不全は、左側不全、右側不全または両心室不全などの心臓の任意の機能障害を意味する。典型的には、本明細書において言うところの用語、心不全は、駆動率の低下、例えば有意なLVEFの低下を生じる左側不全である。心不全のさらなる症状は臨床医によく知られている。本明細書において言うところの心不全は、心不全の急性および慢性型、ならびに重症度の任意の段階、例えば左側不全については、ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類システムのNYHA I~IVによるすべての段階を包含する。
【0079】
本明細書で使用する用語「PLCG1」は、対応する遺伝子によりコードされるタンパク質を意味し、イノシトール1,4,5-トリスリン酸およびジアシルグリセロールのホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸からの生成を触媒する。この反応は、受容体介在チロシンキナーゼアクチベーターの細胞内伝達において重要な役割を果たす。異なるアイソフォームをコードする2つの転写変異体がこの遺伝子について見出された。
【0080】
本明細書で使用する用語「LPCAT2」は、リゾリン脂質アシルトランスフェラーゼファミリーのメンバーをコードする遺伝子を意味する。コードされたタンパク質は、膜生合成および炎症性細胞における血小板活性化因子の生産において機能することができる。その酵素は、小胞体およびゴルジ体に局在化し得る。
【0081】
本明細書で使用する用語「AP1B」は、AP-1複合体サブユニットベータ-1を意味し、ヒトにおいてAP1B1遺伝子によりコードされるタンパク質である。アダプタータンパク質複合体1は、ゴルジ複合体に位置するコートされたベシクルの細胞質面に見られ、膜へのクラスリンの補充と膜貫通受容体の細胞質尾部内での選別シグナルの認識との両方を仲介する。この複合体は、二つの大アダプチンサブユニットと、一つの中アダプチンサブユニットと、一つの小アダプチンサブユニットで構成されるヘテロテトラマーである。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、この複合体の大サブユニットの一つとして供され、アダプチンタンパク質ファミリーの一員である。
【0082】
本明細書で使用する用語「AFAP1」は、アクチンフィラメント関連タンパク質1を意味し、ヒトにおいてAFAP1遺伝子によりコードされるタンパク質である。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、Src結合パートナーである。それは、細胞のシグナルに応じたアクチンフィラメントの完全性の潜在的なモジュレータと考えられ、Srcファミリーメンバーおよび/または他のシグナル伝達タンパク質をアクチンフィラメントに結合することによりアダプタータンパク質として機能することができる。同じタンパク質をコードする二つの代替的な転写物が同定されている。
【0083】
本明細書で使用する用語「KLF8」は、クルッペル様因子8を意味し、ヒトにおいてKLF8遺伝子によりコードされるタンパク質である。KLF8はKLFタンパク質のファミリーに属する。KLF8は、KLF3と共にKLF1によって活性化され、KLF3はKLF8を抑制する。
【0084】
本明細書で使用する用語「MARK3」は、MAP/微小管アフィニティ調節キナーゼ3を意味し、ヒトにおいてMARK3遺伝子によりコードされる酵素である。MARK3は、ストラチフィンと相互作用することが示されている。
【0085】
本明細書で使用する用語「REX1BD」は、「切除に要求される1-Bドメイン含有(required for excision 1-B domain containing)」を意味し、タンパク質コーディング遺伝子である。REX1BDは、3-イソブチル-1-メチル-7H-キサンチン、アフラトキシンB1およびアフラトキシンB2と相互作用する。
【0086】
本明細書で使用する用語「SACM1L」は、黄色ブドウ球菌Cowan1ホスファチジルイノシチドホスファターゼを意味し、ヒトにおいてSACM1L遺伝子によりコードされる酵素である。
【0087】
本明細書で使用する用語「PDGFRB」は、PDGFRB遺伝子を意味し、チロシンキナーゼ受容体(RTK)ファミリーIII型に属し、五つの細胞外免疫グロブリン様ドメイン、一本鎖膜貫通ヘリックスドメイン、細胞内膜近傍ドメイン、スプリットチロシンキナーゼドメインおよびカルボキシル尾部により構造的に特徴付けられる典型的な受容体チロシンキナーゼをコードする。PDGF結合により、トランス様式で制御性チロシン残基が自己リン酸化することで受容体の二量化が抑制性コンフォメーションを解除する。
【0088】
本明細書で使用する用語「BEX3」は、脳発現X連鎖3を意味し、タンパク質コーディング遺伝子である。その関連経路の中には、p75NTR受容体介在シグナル伝達およびGPCRによるシグナル伝達がある。
【0089】
本明細書で使用する用語「ZNF205」は、ジンクフィンガータンパク質205を意味し、タンパク質コーディング遺伝子である。この遺伝子に関連した遺伝子オントロジー注釈は、核酸結合およびDNA-結合転写因子活性を含む。
【0090】
本明細書で使用する用語「LTB」は、リンホトキシン-ベータを意味し、タンパク質コーディング遺伝子である。その関連経路の中には、自然免疫系および自然リンパ系細胞分化経路がある。この遺伝子に関連した遺伝子オンコロジー注釈は、シグナル伝達受容体結合および腫瘍壊死因子受容体結合を含む。
【0091】
本明細書で使用する用語「EMG1」は、EMG1 N1-特異的プソイドウリジンメチルトランスフェラーゼを意味し、タンパク質コーディング遺伝子である。その関連経路の中には、核および細胞質ゾルにおけるrRNAプロセッシングおよび真核生物におけるリボソーム生合成がある。この遺伝子に関連した遺伝子オンコロジー注釈は、メチルトランスフェラーゼ活性である。
【0092】
本明細書で使用する用語「BAZ1A」は、ジンクフィンガードメインに隣接したブロモドメイン・タンパク質1Aを意味し、ACF複合体によるヌクレオソームスライドを促進し、かつACF-介在クロマチン凝集を増進するヒストンホールドタンパク質CHRAC複合体の構成成分である。CHRAC1およびPOLE1の両C-末端領域がこれらの機能に必要とされる。
【0093】
本明細書において使用される用語「血管内皮増殖因子(VEGF)」は、血管新生、脈管形成、および血管透過性を刺激する溶解性ポリペプチド増殖因子を意味する。これは様々な細胞種で産生される。これらは、五つの異なるVEGFポリペプチド、VEGF-A、プラセンタ増殖因子(PGF)、VEGF-B、VEGF-C、およびVEGF-Dである。好ましくは、VEGFはVEGF-Bから選択される。VEGF-Aと対照的に、VEGF-Bは脈管系においてあまり目立たない役割を果たす。VEGF-Aは、成長のあいだまたは病的状態においてなど、血管形成に重要である一方、VEGF-Bは、病的状態のあいだ新しく形成された血管の維持にのみ役割を果たすようである。VEGF-Bはまた、いくつかのタイプのニューロンにおいて重要な役割を果たす。それは、脳卒中のあいだの網膜および大脳皮質におけるニューロンの保護、および筋萎縮性側索硬化症などの運動ニューロンの疾患のあいだの運動ニューロンの保護に重要である。VEGF-Bは、FLT1受容体(血管内皮増殖因子受容体1としても知られる)を介してその効果を発揮する。VEGF-Bはまた、心臓および骨格筋における脂肪酸の内皮の取り込みおよび輸送を制御することも見出されている。
【0094】
本明細書で使用する用語「線維芽細胞増殖因子(FGF)」は、血管新生、創傷治癒、胚発生と、種々の内分泌シグナル伝達経路に関与するメンバーを有する、成長因子のファミリーを意味する。好ましくは、FGFはFGF-4から選択される。本明細書で使用する用語「FGF-4」は、ヒトにおいてFGF4-遺伝子によりコードされる線維芽細胞増殖因子4タンパク質を意味する。
【0095】
本明細書で使用する用語「HGF」は、肝細胞増殖因子(HGF)または散乱因子
(SF)を意味し、パラクリン細胞の増殖、運動、および形態因子である。それは間葉系細胞により分泌され、主に上皮細胞および内皮細胞を標的として作用するが、造血前駆細胞およびT細胞にも作用する。
【0096】
本明細書で使用する用語「Ang-1」は、アンジオポイエチンの一種であるアンジオポイエチン1を意味し、遺伝子ANGPT1によりコードされる。アンジオポイエチンは、胎児期および出産後の血管形成において役割を果たす血管増殖因子のファミリーの一部である。アンジオポイエチンシグナル伝達は、もっとも直接的に血管形成に対応しており、そのプロセスにより新しい動脈および静脈が既存の血管から形成される。血管形成は発芽、内皮細胞遊走、増殖および血管の不安定化と安定化により進む。それらは、血管の内膜の組織化および分解に責任を負う。アンジオポイエチンサイトカインは、血管周囲の平滑筋細胞にシグナルを伝達することにより微小血管透過性、血管拡張および血管収縮の制御に関与する。
【0097】
本明細書で使用する用語「生存因子(Survival factor)」は、抗アポトーシス効果を発揮する物質のグループを包含する。
【0098】
本明細書で使用する用語「IGF-1」(インスリン様成長因子1)(ソマトメジンCとも呼ばれる)は、ヒトにおいてIGF-1-遺伝子によりコードされるタンパク質を意味する。IGF-1は、分子構造の点でインスリンと類似のホルモンである。それは、子どもの成長において重要な役割を果たし、成人において同化作用を持ち続ける。IGF-1は、3つの細胞内ジスルフィド架橋を有する一本鎖の70アミノ酸からなる。IGF-1は、7,649ダルトンの分子量を有する。
【0099】
本明細書で使用する用語「ケモカイン」は、細胞により分泌される小分子サイトカインまたはシグナル伝達タンパク質のファミリーを意味する。それらの名称は、近くの応答細胞への有向走化性を誘導するそれらの能力に由来し、それらは走化性サイトカインである。
【0100】
いくつかのケモカインは炎症性であると考えられ、免疫応答のあいだ免疫系の細胞を感染部位に補充するために誘導され得、他のサイトカインは恒常性であると考えられ、組織維持または発達の正常なプロセスのあいだ細胞の遊走を制御することに関与している。ケモカインは、すべての脊椎動物、いくつかのウイルスおよびいくつかの細菌に見られるが、他の無脊椎動物については何も記載されていない。ケモカインは、四つの主要なサブファミリー:CXC、CC、CX3CおよびXCに分類されている。これらのタンパク質のすべては、ケモカイン受容体と呼ばれ、それらの標的細胞の表面に選択的に見られるGタンパク質結合膜貫通受容体と相互作用することによりそれらの生物学的作用を発揮する。
【0101】
本明細書で使用する用語「エリスロポエチン(EPO)」は、サイトカインである可溶性ポリペプチドを意味する。EPOは、典型的には、低酸素条件下で、腎臓細胞によって産生される。この用語はまた、ヒトEPOポリペプチドの変異体を包含する。かかる変異体は、前述のEPOポリペプチドと少なくとも同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を有する。特に、それらは、本明細書で言及される同じ特異的アッセイにより、例えば、前記EPOポリペプチドを特異的に認識するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイにより検出可能である場合、同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を共有する。さらに、本発明において言及される変異体は、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失および/または付加により異なるアミノ酸配列を有し、その変異体のアミノ酸配列は依然として特定のIL-6のアミノ酸配列と、少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%同一であるものとすることが理解されるべきである。変異体は、対立遺伝子変異体、スプライス変異体または任意の他の種の特定のホモログ、パラログ、またはオルソログであってもよい。さらに、本明細書で言及される変異体には、特定のEPOまたは前述の種類の変異体の断片が、これらの断片が上述の本質的な免疫学的および生物学的特性を有するかぎり、含まれる。かかる断片は、例えば、EPOの分解産物であってもよい。変異体は、それらが、本明細書で言及される同じ特異的アッセイにより、例えば、前記EPOポリペプチドを特異的に認識するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイによって検出可能である場合、それらは、同一の本質的な生物学的および免疫学的特性を共有すると見做される。好ましいアッセイは、添付の実施例に記載されている。さらに、リン酸化またはミリスチル化などの翻訳後修飾に起因して異なる変異体が含まれる。
【0102】
本明細書で使用する用語「SH2Bアダプタータンパク質3(SH2B3)」は、リンパ球アダプタータンパク質(LNK)を意味する。SH2B3は、ヒトでは、第12染色体上のSH2B3遺伝子によってエンコードされているタンパク質である。それは普遍的に多くの組織および細胞型で発現される(Li Y, He X, Schembri-king J, Jakes S, Hayashi J, May 2000. Journal of Immunology. 164(10):5199-206)。
【0103】
本明細書で使用する用語「インターロイキン6(IL-6)」は、炎症誘発性サイトカインおよび抗炎症ミオカインである可溶性ポリペプチドを意味する。IL-6は、T細胞およびマクロファージによって産生される。
【0104】
好ましくは、IL-6は、例えば、Wong 1988, Behring Inst. Mitt 83: 40-47で説明されているようなヒトIL-6を意味する。より好ましくは、ヒトIL-6は、Genbank 受入番号p05231.1,GI:124347に示されるアミノ酸配列を有する。この用語はまた、前述のヒトIL-6ポリペプチドの変異体を包含する。かかる変異体は、前述のIL-6ポリペプチドと少なくとも同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を有する。特に、それらは、本明細書で言及される同じ特異的アッセイにより、例えば、前記IL-6ポリペプチドを特異的に認識するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイにより検出可能である場合、同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を共有する。さらに、本発明において言及される変異体は、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失および/または付加により異なるアミノ酸配列を有し、変異体のアミノ酸配列が依然として特定のIL-6のアミノ酸配列と、少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%同一であるものとすることが理解されるべきである。変異体は、対立遺伝子変異体、スプライス変異体または任意の他の種の特定のホモログ、パラログ、またはオルソログであってもよい。さらに、本明細書で言及される変異体には、特定のIL-6または前述の種類の変異体の断片が、これらの断片が上記した本質的な免疫学的および生物学的特性を有するかぎり、含まれる。かかる断片は、例えば、IL-6の分解産物であってもよい。変異体は、それらは、本明細書で言及される同じ特異的アッセイにより、例えば、前記IL-6ポリペプチドを特異的に認識するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイにより検出可能である場合、同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を共有すると見做される。好ましいアッセイは、添付の実施例に記載されている。さらに、リン酸化またはミリスチル化などの翻訳後修飾に起因して異なる変異体が含まれる。
【0105】
本明細書で使用される用語「インスリン様成長因子(IGF2)」は、インスリンに構造的類似性を共有する3つのタンパク質ホルモンの1つを意味する。IFG2は、肝臓によって分泌され、血液中を循環すると考えられている。これは、成長調節活性、インスリン様活性および分裂促進活性を有する。成長因子は、完全にではないが主にソマトトロピンに依存する。IGF2は、主要な胎児成長因子であると考えられている。
【0106】
C-X-Cモチーフケモカイン12(CXCL12)としても知られている、用語「間質細胞由来因子1(SDF1)」は、ヒトでは、第10染色体上のCXCL12遺伝子によってエンコードされるケモカインタンパク質である。SDF1は普遍的に多くの組織および細胞型で発現される。間質細胞由来因子1-アルファと1-ベータは、ケモカインファミリーに属する小型サイトカインであって、そのメンバーは、白血球を活性化し、多くの場合、リポ多糖、腫瘍壊死因子(TNF)、またはIL1などの炎症誘発性刺激剤によって誘導される。ケモカインは、2つのジスルフィド結合を形成する4つの保存されたシステインの存在によって特徴付けられる。
【0107】
本明細書で使用する用語「ジンクフィンガータンパク質(ZNF)」は、タンパク質を意味し、広範な分子機能を有する。多種多様なジンクフィンガードメインにより、ZNFは、DNA、RNA、PAR(ポリ-ADP-リボース)および他のタンパク質と相互作用することができる。したがって、ZNFは、いくつかの細胞プロセスの制御に関与する。ZNFは、転写制御、ユビキチン介在タンパク質分解、シグナル変換、アクチン標的化、DNA修復、細胞遊走、および数多くの他のプロセスに関わる。本明細書で使用する用語「ZDHHC2]は、ジンクフィンガーDHHC型を意味する。
【0108】
本明細書で使用する用語「MYL4/ALC1」は、必須軽鎖としても知られる心房軽鎖-1(ALC-1)を意味する。ALC-1は、ヒトではMYL4遺伝子によりコードされているタンパク質である。
【0109】
本明細書で使用する用語「INPP4B」は、イノシトールポリホスフェート4-ホスファターゼIIを意味し、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)シグナル伝達経路のレギュレータであり、上皮カルシノーマにおいて腫瘍サプレッサとして関わる。
【0110】
本明細書で使用する用語「RBM38」は、RNA結合モチーフタンパク質38を意味する。RBM38はRNPC1とも呼ばれ、サイクリン-依存キナーゼ阻害剤p21のmRNAに結合し、安定化することによりG1の少なくとも一部の細胞周期の停止を誘導する。
【0111】
本明細書で使用する用語「MNC」は、単一の丸い核を有する任意の細胞である単核細胞を意味し、単核細胞の例は、リンパ球、単球、および樹状細胞である。これらの細胞は、免疫系の重要な構成要素であり、液性免疫および細胞介在免疫の両方に関与する。MNCは、微生物学、ウイルス学、オンコロジー、ワクチン開発、移植および再生生物学、および毒物学におけるなどの研究や臨床適用に広く使用されている物である。
【0112】
本明細書で使用する用語「CFU-Hill」は、フィブロネクチンでコートされたディッシュ上に末梢血単核細胞をまき、接着させ、非接着細胞を除去し、個別コロニー(discrete colonies)を単離することにより形成される初期伸長物(early outgrowth)を意味する。
【0113】
本明細書で使用する用語「ABCC13」は、ATP-結合カセットトランスポーターサブファミリーCメンバー13を意味し、ヒトではABCC13遺伝子によりコードされているタンパク質である。
【0114】
本明細書で使用する用語「COPS3」は、ヒトではCOPS33-遺伝子によりコードされているタンパク質を意味する。それは、COP9シグナロソームのサブユニットをコードする。タンパク質複合体は、イソペプチダーゼ活性を発揮すると考えられる。その関連経路の中には、転写物結合ヌクレオチド切除修復(TC-NER)およびカルトリン仲介エンドサイトーシスがある。それは、ヒトなどの真核生物において見られる。
【0115】
本明細書で使用する用語「GUK1」は、グアニレートキナーゼを意味し、ヒトではGUK1遺伝子によりコードされた酵素である。
【0116】
本明細書で使用する用語「AP3B1」は、AP-3複合体サブユニットベータ-1を意味し、ヒトではAP3B1遺伝子によりコードされるタンパク質である。この遺伝子は、メラノソーム、血小板濃密顆粒およびリソソームと関連しているオルガネラ生合成において役割を果たし得るタンパク質をコードする。コードされたタンパク質は、スキャフォールドタンパク質クラスリンと相互作用するヘテロ四量体AP-3タンパク質複合体の一部である。
【0117】
本明細書で使用する用語「TBC1D22B」は、TBC1D22B(TBC1ドメインファミリーメンバー22B)を意味し、タンパク質コーディング遺伝子であり、Rab(Ras-関連タンパク質)ファミリータンパク質に対してGTPase活性化タンパク質として作用し得る。この遺伝子に関連した遺伝子オンコロジー注釈は、GTPaseアクチベーター活性を含む。この遺伝子のパラログはTBC1D22Aである。
【0118】
本明細書で使用する用語「ZBTB33」は、転写レギュレータKaisoを意味し、ヒトではZBTB33-遺伝子によりコードされているタンパク質である。この遺伝子は、メチル化CGCGに結合し、非メチル化コンセンサスKAISO結合部位TCCTGCNAにも結合する二峰性のDNA-結合特異性を有する転写レギュレータをコードする。タンパク質はN-末端POZ/BTBドメインおよびC-末端ジンクフィンガーモチーフを含む。それは、ヒストンデアシル化および標的遺伝子プロモータにおける抑制性クロマチン構造の形成を促進するために、N-CoRレプレッサ複合体を補充する。Wnt(用語「Wnt」は、アミノ酸350~400長である分泌脂質修飾シグナル伝達糖タンパク質の多様なファミリーを包含する)シグナル伝達経路の標的遺伝子の抑制に寄与することができ、また、カテニンデルタ-2(CTNND2)の補充により標的遺伝子のサブセットの転写を活性化することもできる。カテニンデルタ-1(CTNND1)とのその相互作用は、メチル化DNAおよび非メチル化DNAの両方への結合を阻害する。それはまた、このタンパク質の核内輸送を仲介することのできる核内輸送受容体インポーチン-α2(カリオフェリンアルファ2またはRAGコホート1としても知られる)と直接相互作用する。同じタンパク質をコードする選択的スプライス転写物変異体が同定されている。
【0119】
本明細書で使用する用語「AGO2」は、RNA-誘導サイレンシング複合体(RISC)の必須構成成分として、RNAサイレンシングプロセスにおいて中心的な役割を果たすアルゴノートタンパク質ファミリーのメンバーを意味する。エンドヌクレアーゼ活性およびそれゆえのRNAi-依存性遺伝子サイレンシングは、排他的にAGO2に属する。PAZおよびPIWIドメインの配列保存を考慮し、AGO2の独自性はN-末端またはPAZおよびPIWIモチーフを結合する空間領域のいずれかから生じると推定されている。
【0120】
バイオマーカーの量を測定することは、好ましくは、(a)バイオマーカーを特異的なリガンドと接触させる工程、(b)(任意で)非結合リガンドを除去する工程、(c)結合したリガンドの量を測定する工程を含んでもよい。結合リガンドは、強度シグナルを生成する。本発明に係る結合は共有結合および非共有結合の両方を含む。本発明によるリガンドは、例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸、または低分子化合物などの、本明細書に記載したペプチドまたはポリペプチドまたはタンパク質または核酸または細胞に結合する任意の化合物であり得る。好ましいリガンドは、抗体、核酸、ペプチドまたはポリペプチド(そのペプチドまたはポリペプチドに対する受容体または結合パートナーなど)およびそのペプチドに対する結合ドメインを含むそれらの断片、および例えば核酸またはペプチドアプタマーなどのアプタマーを含む。かかるリガンドを製造する方法は当該技術分野において周知である。例えば、好適な抗体またはアプタマーの同定および製造はまた、商業的供給業者によって提供される。当業者は、より高い親和性または特異性を有するそのようなリガンドの誘導体を開発する方法に精通している。例えば、ランダム突然変異を核酸、ペプチドまたはポリペプチドに導入することができる。これらの誘導体は、その後、当該技術分野で公知のスクリーニング手順、例えばファージディスプレイに従って、結合について試験することができる。本明細書において言及されるような抗体は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方、ならびにそれらの断片、例えば、抗原またはハプテンを結合することができるFv、FabおよびF(ab)2断片を含む。本発明はまた、一本鎖抗体、および所望の抗原特異性を示す非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列がヒトアクセプター抗体の配列と組み合わせられるヒト化ハイブリッド抗体を含む。ドナー配列は、通常少なくともドナーの抗原結合アミノ酸残基を含むであろうが、同様に、ドナー抗体の他の構造的および/または機能的に関連するアミノ酸残基を含んでもよい。かかるハイブリッドは、当該技術分野で周知のいくつかの方法によって製造することができる。好ましくは、リガンドまたは試薬がペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合する。本発明に係る特異的結合とは、リガンドまたは試薬が、分析されるサンプル中に存在する別のペプチド、ポリペプチドまたは物質に実質的に結合(「交差反応」)しないことを意味する。好ましくは、特異的に結合したペプチドまたはポリペプチドは、任意の他の関連ペプチドまたはポリペプチドより、少なくとも3倍高い、より好ましくは少なくとも10倍高い、さらに好ましくは少なくとも50倍高い親和性で結合すべきである。非特異的結合は、それが、例えば、ウェスタンブロット法(Weatern Blot)でその大きさに応じて、またはサンプル中にその量が相対的により多量に存在することによって、明確に区別されかつ測定され得る場合には、許容され得る。リガンドの結合は、当該技術分野で公知の任意の方法によって測定することができる。好ましくは、この方法は、半定量的または定量的である。バイオマーカーの測定のためのさらなる適切な技術は、以下に記載されている。
【0121】
第一に、リガンドの結合は、例えばNMRまたは表面プラズモン共鳴によって直接測定することができる。第二に、リガンドが、対象のバイオマーカーの酵素活性の基質としても機能する場合、酵素反応生成物を測定することができる(例えば、プロテアーゼの量は、例えば、ウェスタンブロット法で、切断された基質の量を測定することによって測定することができる)。あるいは、リガンドそれ自体が酵素特性を示してもよく、そしてバイオマーカーにより結合した「リガンド/ペプチドもしくはポリペプチド」複合体またはリガンドは、それぞれ、強度シグナルの発生によって検出を可能にする適切な基質と接触させることができる。酵素反応生成物の測定のために、好ましくは基質の量は飽和している。基質はまた、反応前に検出可能なラベルで標識することができる。好ましくは、サンプルは、適切な時間、基質と接触させられる。適切な時間は、検出可能な、好ましくは測定可能な生成物の量が生成されるのに必要な時間を意味する。生成物の量の測定の代わりに、生成物の所与の(例えば検出可能な)量の出現に必要な時間を測定することができる。第三に、リガンドは、リガンドの検出および測定を可能にするラベルに共有結合または非共有結合させることができる。標識することは、直接的または間接的な方法により行うことができる。直接標識は、リガンドに(共有結合または非共有結合で)直接ラベルを結合することを含む。間接標識は、二次リガンドを一次リガンドに(共有または非共有)結合することを含む。二次リガンドは、一次リガンドに特異的に結合すべきである。該二次リガンドは好適なラベルと結合されてもよく、および/または二次リガンドに結合する三次リガンドの標的(受容体)であってもよい。二次、三次またはさらに高次のリガンドの使用は、しばしばシグナルを増加させるために使用される。適切な二次および高次のリガンドは、抗体、二次抗体、および周知のストレプトアビジン-ビオチン系を含み得る。リガンドまたは基質はまた、当該技術分野で公知のように、1個以上のタグで「タグ付け」することができる。このようなタグは、より高次のリガンドの標的となり得る。適切なタグは、ビオチン、ジゴキシゲニン、Hisタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、FLAG、GFP、mycタグ、インフルエンザAウイルス赤血球凝集素(HA)、マルトース結合タンパク質などを含む。ペプチドまたはポリペプチドの場合は、タグはN末端および/またはC末端であることが好ましい。適当なラベルは、適当な検出方法により検出可能な任意のラベルである。典型的なラベルには、金粒子、ラテックスビーズ、アクリジンエステル、ルミノール、ルテニウム、酵素活性ラベル、放射性ラベル、磁気ラベル(常磁性および超常磁性ラベルを含む「例えば磁気ビーズ」)、および蛍光ラベルが挙げられる。酵素活性ラベルとしては、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびそれらの誘導体が挙げられる。検出に適した基質は、ジアミノベンジジン(DAB)、3,3’-5,5’-テトラメチルベンジジン、NBT-BCIP(4-ニトロブルーテトラゾリウムクロリドおよび5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェート)を含む。適切な酵素-基質の組み合わせは、(例えば、感光フィルムまたは好適なカメラシステムを使用して)当該技術分野で公知の方法に従って測定することができる着色反応生成物、蛍光または化学発光をもたらし得る。酵素反応の測定については、上記の基準が同様に適用される。典型的な蛍光ラベルとしては、蛍光タンパク質(GFPおよびその誘導体など)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン、およびAlexa色素が挙げられる。さらなる蛍光ラベルは、モレキュラープローブス(Molecular Probes)社(オレゴン州)から入手可能である。また、蛍光ラベルとして量子ドットの使用が意図される。典型的な放射性ラベルとしては、35S、125I、32P、33Pなどが挙げられる。放射性ラベルは、任意の公知の適切な方法、例えば、感光性フィルムまたは蛍光イメージャーによって検出することができる。
【0122】
バイオマーカーの量は、また、好ましくは、以下のように:(a)上記で特定されたバイオマーカーに対するリガンドを含む固体支持体を、バイオマーカーを含むサンプルと接触させ、および(b)その支持体に結合しているバイオマーカーの量を測定することによって測定されてもよい。好ましくは核酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体およびアプタマーからなる群より選択されるリガンドが、固定された形態で固体支持体上に存在することが好ましい。固体支持体を製造するための材料は、当該技術分野で周知であり、とりわけ、市販のカラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、コロイド金属粒子、ガラスおよび/またはシリコンチップおよび表面、ニトロセルロースストリップ、膜、シート、デュラサイト(duracyte)、反応トレーのウェルおよび壁は、プラスチックチューブなどである。リガンドまたは試薬は、多くの異なる担体に結合されてもよい。周知の担体の例としては、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然および変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、およびマグネタイトが挙げられる。担体の性質は、本発明の目的のために可溶性または不溶性のいずれであってもよい。前記リガンドを定着/固定化するための適切な方法は、よく知られており、イオン性相互作用、疎水性相互作用または共有結合相互作用などを含むがこれらに限定されるものではない。
【0123】
本発明に係る好適な測定方法は、また、蛍光活性化セルソーティング(FACS)分析、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離増強ランタニド蛍光免疫アッセイ(DELFIA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、または固相免疫試験を含む。ゲル電気泳動、二次元ゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、ウェスタンブロッティングおよび質量分析(MS)などの当該技術分野で公知のさらなる方法は、単独で、または上記のような標識化法または他の検出方法と組み合わせて使用することができる。
【0124】
本発明の方法を実行するために、本発明の方法を実行するのに適したキットが提供され、本発明のキットは、前記被験体のサンプルにおいて少なくとも1つの上記バイオマーカーの量を測定するための検出試薬を含む。かかるキットは、有利には、本発明の方法および/または本発明に係るバイオマーカーの測定(measurement)および/または決定(determination)の簡単な実行を可能にする。
【0125】
本明細書で使用する用語「キット」は、前述の構成要素、好ましくは、別途提供されるか、または単一の容器内に提供される構成要素の集合を意味する。キットはまた、本発明の方法を実施するための取扱説明書を含んでいてもよい。これらの取扱説明書は、マニュアルの形態であってもよく、またはコンピュータまたはデータ処理装置に実装された際に本発明の方法において言及される比較を行うことが可能でそれに応じて診断を確立することができるコンピュータプログラムコードによって提供されてもよい。コンピュータプログラムコードは、記憶媒体(例えば、コンパクトディスク、USBドライブまたは外付けハードディスク)などのデータ記憶媒体または装置に、または直接コンピュータまたはデータ処理装置に提供されていてもよい。また、キットは、好ましくは、本明細書の他の箇所で詳細に記載されるような参照量の標準を含んでいてもよい。
【0126】
本発明のさらなる特徴は、クレームおよび図面と組み合わされて実施例から導き出される。単一の特徴は、特別な実施形態において、他の特徴と組み合わされて実行されてもよく、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明による以下の実施例の記載は、以下の図面に関連する。
【0127】
図1は、本発明のSH2B3の標的DNA配列およびRNA配列変異体の概要を示す。プロットは、応答者(括弧内の1番目のパーセント)および非応答者(括弧内の2番目のパーセント)において同定されるSNP/欠失部位の比率ならびに可能性のあるアミノ酸移動を示す。
【0128】
図2は、手術前データのみを用いる患者の応答性の指導予測の機械学習精度比較を示す。結果は、2つの独立した分類子での特徴選択およびその後の予測の後に得られる。グラフは、2つのMLモデル(特徴選択のためのAdaBoostおよび実験のためのRFおよびSVM)の真の陽性予測結果を示す。エラーバーは、100反復後に得られた構築されたモデルについてのそれぞれの精度標準偏差を示す。
【0129】
図3は、ランダムフォレスト分類子に基づく機械学習特徴選択から得られた上位20種のバイオマーカーを示す。内在する初期データは、PERFECT試験付随調査データ、患者のシークエンシングデータ(特に、異なった形で発現された転写物、共発現転写物、および時間内にSH2B3と相関関係のある転写物)、ならびにRT-PCRデータであった。これらの20の特徴の組み合わせやサブセットは、続いて点線で示した8種の特徴を含む最終モデルを訓練するために使用された。重要度は、分類に必要とされる最も関連性の高い特徴の階層を示す。
【実施例】
【0130】
以下の実施例は、単に本発明を説明するものとする。実施例は、一切、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0131】
実施例1:臨床研究の設計と評価
末梢血骨髄応答は、完全に利用可能なバイオバンク、臨床(プロトコルごと)、およびバイオマーカーデータ(n=23)を用いてロストック臨床サイトの無作為フェーズ3PERFECT試験バイオマーカーサブグループにおいて全ゲノムおよび循環EPC分析により研究した(Steinhoff G, Nesteruk J, Wolfien M, et al. EBioMedicine 2017 Aug; 22:208-224. doi: 10.1016/j.ebiom.2017.07.022. Epub 2017 Jul 29.)。CD133+BMSC治療(n=13)およびプラセボ対照(n=14)を平等に分配した。PERFECT試験のバイオマーカー患者コホート(n=23;プラセボ/CD133+ 9/14)において、両方の処置群(心筋内プラセボ vs. CD133+)中の、180日後ΔLVEF≧5%により分類されるレスポンダー(R)(n=14;プラセボ/CD133+ 7/7)および180日後ΔLVEF<5%により分類されるノンレスポンダー(NR)(n=9;プラセボ/CD133+ 5/4)における末梢血での全身性骨髄幹細胞応答を調査した。
【0132】
虚血後心筋再生のR/NR遺伝子発現およびバイオマーカーデータを、MI前後の様々な時点(0日目、1日目、3日目、7日目、14日目、28日目)で研究されたLnk-/-マウス vs. Lnk-/+野生型(WT)マウスにおける心筋梗塞の実験環境で研究されたマウスLnk/SH2B3ノックアウト欠損条件と比較した。
【0133】
臨床試験計画
PERFECT試験は、虚血性心筋梗塞後の冠動脈バイパス移植(CABG)血行再建術と組み合わせた心筋内CD133+BMSC治療の心筋再生効果を調べる、無作為、多施設、プラセボ-対照、二重盲検のフェーズ3試験であった(Steinhoff G, Nesteruk J, Wolfien M, et al. EBioMedicine 2017 Aug; 22:208-224. doi: 10.1016/j.ebiom.2017.07.022. Epub 2017 Jul 29., Baughn LB, Meredith MM, Oseth L, Smolarek TA, Hirsch B. Cancer Genet. 2018 Oct; 226-227:30-35. doi: 10.1016/j.cancergen.2018.05.004. Epub 2018 Jun 8.)。事前に特定された事後バイオマーカー結果解析が公開された(Steinhoff G, Nesteruk J, Wolfien M, et al. EBioMedicine 2017; Aug;22:208-224. doi: 10.1016/j.ebiom.2017.07.022. Epub 2017 Jul 29.)。PERFECT試験の試験対象患者基準は、(a)CABGの適応を有するMI後の冠動脈疾患、(b)減少したLVEF(25~50%)、および(c)SC標的領域を規定する左心室(LV)心筋の局在化した運動/運動低下性/過潅流領域の存在であった。評価は、術前および術後1日、3日、10日、90日、180日および730日で行った。
【0134】
事後遺伝子発現分析
PBにおけるRNAseq分析およびmRNA RT-PCR:分析および実験は、試験の割り付けを明らかにする前に、データプライバシーの保護を注意深く順守(偽名)したもとで行った。
【0135】
NGS(次世代シークエンシング)を用いるEDTA血液試料のトランスクリプトーム分析
凍結EDTA血液試料のRNAは三段階法において単離した。第一に、GeneJET Stabilized and Fresh Whole Blood Kit(サーモサイエンティフィック社)を製造者の取扱説明書にしたがって使用した。第二に、単離されたRNAを、高い塩条件下(3M酢酸ナトリウムの10%、pH5.2)、2.5容量エタノールで沈殿させた。DNase消化(サーモサイエンティフィック社)の後、RNAを最終的にAgencourt RNAClean XP beads(ベックマンコールター社)を用いて精製した。単離されたRNAは、RNA 600 Nano Chips(アジレント社)を用いてバイオアナライザー(アジレント社)で分析した。品質管理RNAを使用し、製造者の取扱説明書にしたがってUniversal Plus mRNA-Seq Technology(ヌゲン(Nugen)社)を用いてシーケンシングライブラリを構築した。概略:mRNAはオリゴd(T)ビーズにより選択され、逆転写され、Globin誘導cDNAはGlobin枯渇モジュール(ヌゲン社)により開裂された。品質が制御され量化されたライブラリが、HiSeq1500システム(イルミナ社)のシングルエンドモード(100nt読み取り長)で配列決定された。RNAデータ分析については、我々は、データ前処理のためにアダプタークリッピングおよびクォリティートリミングを行い、Kallistoを活用して読み取りをhg19ゲノムに整列(align)させた。スルースパッケージ(sleuth package)の尤度比検定を用いて差次的発現分析を行った(二倍超の変化とq値<0.05を有する遺伝子が有意に差次的に発現されたとみなされる)。機能的注釈クラスタリングおよび機能的分類などの遺伝子注釈がEnrichrで行われた(Kuleshov, M. V. et al., Nucleic Acids Res. 2016, vol 44(W1), doi: 10.1093/nar/gkw377, Epub 2016 May 3)。
【0136】
転写学データから呼び出した変異体
先に前処理されたRNAseqデータセット(術前および術後)を、Star(2-パスモード)によりhg19参照に整列された。変異体呼び出しが、特異的フィルター(例えば、それらが五つの独立した読み取りで確認された場合にのみ変異体とみなされる)を備えたGatk toolkit(McKenna, A. et al., Genome Res. 2010, vol. 20(9): 1297-1303, doi: 10.1101/gr.107524.110)により適用された。変異体注釈はReftoolで行った。
【0137】
実験的Lnk/SH2B3-/-マウスモデル
Lnk/SH2B3-/-マウス系統は、先に説明されている(Takaki S. et al., J. Exp. Med. 2002; 195:151-160)ように作出した。C57BL/6マウス(日本クレア(株)、東京、日本)をWT対照マウスとして用いた。GFPトランスジェニックマウス(GFP-Tgマウス;C57BL/6TgN[act EGFP] Osb Y01)をWTマウスまたはLnk/SH2B3-/-マウスと交配させ、WT/GFPマウスまたはLnk/SH2B3-/-/GFPマウスをBM移植(BMT)研究のためにそれぞれ作出した。すべての実験手法は、実験動物のケアおよび使用のための日本生理学会のガイドラインおよび発生生物学のための理研の倫理委員会により承認された研究プロトコルにしたがい行われた。
【0138】
心筋梗塞(MI)の誘導
8週齢から12週齢のマウスを、400mg/kgの2,2,2-トリブロモエタノール(アバルチン;シグマ社、セントルイス、ミズーリ州)の腹腔内注射により麻酔した。先に説明されている(Fabregat A, Sidiropoulos K, Garapati P, et al. Nucleic Acids Res 2016, Jan 4; 44 (D1):D481-7. doi: 10.1093/nar/gkv1351. Epub 2015 Dec 9.)ように左冠動脈前下行枝(LAD)を結紮することによりMIを誘導した。
【0139】
組織収集
部検時、心臓をO.C.T(商標)コンパウンド(Tissue-Tek(登録商標))に埋め込み、液体窒素で即時に凍結し、クライオスタット(ライカマイクロシステムズ社、ウェッツラー、ドイツ)により6μmの薄片とした。LV心筋における線維化および梗塞周囲領域の選択的切開によりRT-PCR分析のためのトータルRNAを単離した。BrdU組み込み試験のために、犠牲死させる16時間前に、腹腔内に100μLの10mg/mL BrdU溶液(BDファーミンゲン)をマウスに注射した。
【0140】
RT-PCR分析
TRlzl(インビトロジェン社)を用い、製造業者の取扱説明書にしたがい、MI前およびMIの3日後にマウス心臓組織からトータルRNAを得た。ファーストストランドcDNAをPrimeScript RT試薬キット(タカラバイオ社、大津、日本)を用いて合成し、AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(アプライドバイオシステムズ社、フォスターシティー、カリフォルニア州)により増幅した。マウスLnk/SH2B3およびβ-アクチンを次の条件で増幅した。Lnk/SH2B3、94℃、30秒、57℃、30秒および72℃、30秒を42サイクル、その後72℃、5分の最終ホールド;β-アクチン、94℃、30秒、57℃、30秒および72℃、30秒を35サイクル、その後72℃、5分の最終ホールド。その後、100-bpDNAラダー(インビトロジェン社)を用い1.5%エチジウムブロミド染色したアガロースゲルにおいて、PCR産物を可視化した。プライマー配列を補足の表1Sに示す。
【0141】
定量的リアルタイムRT-RCR分析
RNeasy Miniキット(キアゲン社、ハイデン、ドイツ)を用い、製造業者の取扱説明書にしたがい、KSL細胞からトータルRNAを得た。ファーストストランドcDNAを合成した後、リアルタイム定量RT-PCRを、SYBR Green Master Mix Reagent(アプライドバイオシステムズ社)を用いてABI Prism 7700(アプライドバイオシステムズ社)で行った。プライマー配列を補足の表1Sに示す。
【0142】
統計学的分析
ソフトウェアパッケージ(Statview 5.0、アバカスコンセプト社(Abacus concepts Inc)、バークレー、カリフォルニア州)を使用して結果を統計学的に分析した。すべての値は、平均±標準偏差(平均±SD)として表した。3群より多くの間の比較は、Prism4(グラフパッドソフトウェア社、サンディエゴ、カリフォルニア州)において一次元配置分散分析(ANOVA)を用いてなされた。事後分析は、チューキー多重比較検定により行った。P<0.05の差を、統計的有意性を示すものとみなした。
【0143】
機械学習を用いたデータ分析
カギとなる特徴と包括的な患者データの分類の特定は、教師付きおよび教師なしMLアルゴリズムを用いて得られた(Steinhoff G, Nesteruk J, Wolfien M, et al. EBioMedicine 2017 Aug; 22:208-224. doi: 10.1016/j.ebiom.2017.07.022. Epub 2017 Jul 29.)。我々は、ベストプラクティスレコメンデーションを受け、次元削減のため、低い分散と高い相関を有する特徴を取り除きながらデータを前処理した。我々は、次の教師付きアルゴリズム:AdaBoost、Gradient Boosting(GB)、Support Vector Machines(SVM)およびRandom Forest(RF)を比較した(Steinhoff G, Nesteruk J, Wolfien M, et al. EBioMedicine 2017 Aug; 22:208-224. doi: 10.1016/j.ebiom.2017.07.022. Epub 2017 Jul 29.)。我々は、小さなデータセットを用いたトレーニングに好適な分類子を用いた。ほとんど訓練を与えられていない特徴の比較のための小さなデータセットにおける訓練に適している分類器を用い、過学習に向けた精度およびロバスト性にしたがい最も適切なアルゴリズムを選択した(Al-Naqeb D. Scientifica (Cairo). 2016; 2016:2079704. doi: 10.1155/2016/2079704. Epub 2016 May 30.)。教師付きMLモデルは、10倍クロス検証され、100回繰り返された。その後、我々は、特徴の数をさらに20未満に減らすためにAdaBoost、GBおよびRF分類器のために特徴選択を適用した。我々は、教師なし機械学習分類および非線形次元削減のためにt分布型確率的近傍埋め込み法(t-SNE)を採用した(Steinhoff G, Nesteruk J, Wolfien M, et al. EBioMedicine 2017 Aug; 22:208-224. doi: 10.1016/j.ebiom.2017.07.022. Epub 2017 Jul 29.)。
【0144】
経時ネットワーク富化
システム生物学のアプローチにより、我々は、調査患者データセットの中で経時的発現応答パターンを明らかにすることを目的とした。富化されたシグナル伝達経路の同定は、キュレートされかつ実験的に検証されたデータベース内で、増強された経路およびネットワークパターンを見つけるために設計されたReactome Functional Interaction(RFI) and the BisoGenenet Cytoscapeを用いてなされた(Fabregat A, Sidiropoulos K, Garapati P, et al. Nucleic Acids Res 2016; Jan 4; 44 D1:D481-7. doi: 10.1093/nar/gkv1351. Epub 2015 Dec 9.)。さらに、我々はその後、患者特異的発現データの経時ネットワーク富化分析のためにTiCoNE(Time Course Network Enricher)を使用した。このツールは、特別なk-medoidクラスタリングアプローチである、medoidsによる分割(partitioning around medoid)(PAM)およびClustering for Large Applications(CLARA)アルゴリズムを使用して、特定の相互作用ネットワークの発現データに現れる時間パターンを識別するためにさまざまな数学的アルゴリズムを採用する。エラー率(FDR)とp値は、1000回の反復でグローバル置換を使用して計算された。Pearson Product Moment Correlation(PPMC)は、さまざまなクラスターを比較するために使用された。 モチーフ内の遺伝子発現パターンは、p値<0.05に共通であると見なされた。
【0145】
Rパッケージ「WGCNA」をRNAseqデータに適用することにより、加重遺伝子共発現ネットワーク解析(WGCNA)を実施した。まず、ソフト閾値法を使用して、調査したすべての転写物(~160,000)のトポロジーオーバーラップマトリックス(TOM)を構築した。転写物の固有値を計算し、距離に基づいて隣接性を評価した。転写物を階層的クラスタリング(平均リンケージ)にかけ、動的ハイブリッド法を使用して転写物をグループに割り当てた。相互作用パートナー(k)に基づいて接続性を計算し、結果として得られるモジュールメンバーシップを表す遺伝子の重要性を評価した。
【0146】
37人の患者における拡張された遺伝子発現分析および検証
末梢血(PB)全ゲノム発現および循環内皮前駆細胞(EPC)分析は、レスポンダー(R、n=14;ΔLVEF+16% 180/0日)およびノンレスポンダー(NR、n=9;ΔLVEF-1.1% 180/0日)のフェーズ3PERFECT(CABGおよびCD133+BMSCまたはプラセボ)トライアルバイオマーカーサブグループ(n=23)において、および独立したセンターのバイオマーカー患者コホート(n=14)において、0、1、3、10日目に調べた。
【0147】
左心室の機能回復は、心筋灌流の増加を伴った(R vs NR、p<0.05)。PBにおける心臓再生能力の術前予測(R/NR 精度95.6%、AUC91%)のために20個のバイオマーカーが特定された(
図3)。これらは、Rにおける術前の遺伝子発現シグネチャーが、差次的発現の合計700個の遺伝子でNRと異なっている、3つの異なる遺伝子プロファイルのサブグループ(n=23、q<0.05)を明らかにしたMLクラスタリング分析に基づいて特定された。同様に、同定されたSH2B3関連の共発現ハブ遺伝子、NOTCH2、MTOR、KITには、それぞれのNR/Rサブグループに関連する変異体が含まれ、主に心筋灌流、ΔLVEF、PB-CD133+EPC、およびΔCT SH2B3と相関した(p<0.01)。
【0148】
例示的に本明細書に好適に記載された発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素または複数の要素、限定または複数の限定の非存在下で実施することができる。したがって、例えば、本明細書中の各場合において、用語「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」と「からなる(consisting of)」のいずれも、他の2つの用語のいずれかと置き換えることができる。使用されてきた用語および表現は、説明および非限定の用語として使用され、そして示されそして記載された特徴の任意の等価物またはその一部を排除するような用語および表現の使用の意図はないが、本発明の範囲内で種々の改変が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態および任意の特徴により具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正および変形が当業者によって講ぜられてもよく、そのような修正および変形が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると考えられることが理解されるべきである。
【0149】
本明細書で引用した全ての参考文献は、それらの全開示内容のすべておよび特に本明細書に記載された開示内容を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0150】
略語
ACE=アンジオテンシン変換酵素
AE=有害事象
AESI=特別に関心のある有害事象
AFAP1=アクチンフィラメント関連タンパク質
AHA=アメリカ心臓協会
ANCOVA=共分散分析
ANOVA=分散分析
Ang-1=アンジオポイエチン1
AP1B1=アダプター関連タンパク質複合体1サブユニットベータ1
ASS=アセチルサリチル酸
ATII=アンジオテンシンII
AUC=曲線の下の領域
BAZ1A=ジンクフィンガードメインに隣接したブロモドメイン・タンパク質1A
BCIP=5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェート
BEX3=脳発現X連鎖3
BM=骨髄
BMSC=骨髄幹細胞
CABG=冠動脈バイパス移植
CAP-EPC=濃縮周囲分子-内皮前駆細胞
CBA=サイトメトリービーズアレイ
CCS=カナダ心臓血管学会
CCTRN=心臓血管細胞療法研究ネットワーク
CD=分化抗原群
CEC=循環内皮細胞、CECパネル、PB中で測定されるCD
CFU=コロニー形成単位
CI=信頼区間
CMV=サイトメガロウイルス
CXCL12=C-X-Cモチーフケモカイン12
DAB=ジアミノベンジジン
DELFIA=解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ
Delta_CT_SH2B3(ΔCT SH2B3)=SH2B3遺伝子発現の正規化された値(正規化 対 ハウスキーピング遺伝子グリセリンアルデヒド-3-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ(GAPDH))
EA=早期抗原
EC=内皮細胞
ECG=心エコー
ECLIA=電気化学発光免疫測定法
EDTA=エチレンジアミン四酢酸
ELISA=酵素結合免疫吸着アッセイ
EMG1=EMG1 N1-特異的プソイドウリジンメチルトランスフェラーゼ
EPC=内皮前駆細胞、EPCパネル、PB中で測定されるCD
EPO=エリスロポエチン
FGF=線維芽細胞増殖因子
GFP=緑色蛍光タンパク質
GRB2=成長因子受容体結合タンパク質2
GMP=適性製造基準
HA=血球凝集素
HGF=肝細胞増殖因子
HR=ハザード比
HIF=低酸素誘導因子、転写因子
ICH GCP=三者ガイドライン 良い臨床慣行のためのガイドライン
IGF-1=インスリン様成長因子1
IHG=ISHAGEガイドラインに従って行われる分析
IL=インターロイキン
KLF8=クルッペル様因子
LMCA=左主冠状動脈
LPCAT2=リソホスファチジルコリンアセチルトランスフェラーゼ2
LTB=リンホトキシン-ベータ
LVEDV=左室拡張終末期容積
LVEF=左室駆動率
LVESD=左室収縮終末期径
MACE=主要な有害な心臓血管事象
MARK3=微小管親和性調節キナーゼ3
MIBI SPECT=メトキシイソブチルイソニトリルSPECT
ML=機械学習
MNC=単核細胞
MRI=核磁気共鳴画像法
MS=質量分析法
6MWT=6分歩行テスト
NBT=4ニトロブルーテトラゾリウム
NGS=次世代シークエンシング
NMR=核磁気共鳴
NYHA=ニューヨーク心臓協会
PB=末梢血
PBMNC=末梢血から単離された単核細胞
PCI=経皮的冠動脈介入
PDGFRB=血小板由来増殖因子受容体ベータ
PEI=ポール・エーリッヒ研究所
PLCG1=ホスホリパーゼCガンマ1
PPS=パー・プロトコル・セットの患者群
REX1BD=切除に要求される1-Bドメイン(Required For Excision 1-B Domain)
ROC=受信者動作特性
RT-RCR=逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
SACM1L=黄色ブドウ球菌Cowan1ホスファチジルイノシチドホスファターゼ
SAE=重大有害事象
SAS=安全性解析対象集団の患者群
SDF-1=間質細胞由来因子1
SDS=ドデシル硫酸ナトリウム
SF=散乱係数
SH2B3=重要なアダプター機能を有するSH2含有タンパク質に属する
SCF=幹細胞因子
SPA=シンチレーション近接アッセイ
STEMI=STセグメント上昇心筋梗塞
SUM=サポートベクターマシン
SUSAR=予期せぬ重篤な副作用の疑い
TNF=腫瘍壊死因子
t-SNE=t分布型確率的近傍埋め込み法
VAD=心室補助装置
VCA=ビールス-カプシド-抗原
VEGF=血管内皮増殖因子
VEGF rec=血管内皮増殖因子受容体
ZNF205=ジンクフィンガータンパク質205
【配列表】
【国際調査報告】