(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】皮膚症状を治療または予防する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/436 20060101AFI20220131BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220131BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20220131BHJP
A61Q 19/08 20060101ALN20220131BHJP
A61Q 19/00 20060101ALN20220131BHJP
A61Q 19/06 20060101ALN20220131BHJP
A61K 8/49 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A61K31/436
A61P17/00
A61P35/00
A61P17/02
A61K47/06
A61Q19/08
A61Q19/00
A61Q19/06
A61K8/49
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519845
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(85)【翻訳文提出日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 US2019055492
(87)【国際公開番号】W WO2020077023
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515015252
【氏名又は名称】ドレクセル ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チュン クリスティーナ エル.
(72)【発明者】
【氏名】セル クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス イビヨヌ オー.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC27
4C076DD34
4C076FF02
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC851
4C083AC852
4C083CC02
4C083CC05
4C083EE12
4C083EE13
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、UV誘発性の皮膚変化、加齢に関連した皮膚変化、および炎症後の皮膚変化に起因する特定の皮膚障害を予防および治療するための方法ならびに組成物を含む。皮膚障害には、例えば、静的シワ(static wrinkle)、小ジワ、肌の張りの低下、雀卵斑、黒皮症、老人性紫斑病、皮膚へのUV損傷、静的シワ(static rhytide)、突出した手の静脈、扁平上皮内癌におけるような上皮の広域発癌、ケロイド、およびコラーゲンアイソフォームの比率の不均衡が含まれる。特定の態様では、本発明の範囲内で有用な組成物は、治療有効量のラパマイシンと、皮膚科学的に許容される担体とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その必要がある哺乳類対象における真皮障害を治療する方法であって、該対象に、治療有効量のラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む組成物を局所投与する工程を含み、該真皮障害が、静的シワ(static wrinkle)、小ジワ、肌の張りの低下、雀卵斑、黒皮症、老人性紫斑病、静的シワ(static rhytide)、UV損傷、突出した手の静脈、扁平上皮癌におけるような上皮の広域発癌、ケロイド、およびコラーゲンアイソフォームの比率の不均衡からなる群より選択される少なくとも1つである、前記方法。
【請求項2】
上皮の広域発癌が、表皮異形成および光線性損傷を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が約0.1重量%~約0.0001重量%のラパマイシンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が約0.001重量%~約0.0001重量%のラパマイシンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、皮膚科学的に許容される担体をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
皮膚科学的に許容される担体が、溶媒、潤滑剤、皮膚軟化剤、乳化剤、保湿剤、増粘ワックス、柔軟剤、香料、防腐剤、および人工着色料からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
皮膚科学的に許容される担体がペトロラタムを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、対象の真皮障害の部位に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
その必要がある哺乳類対象における真皮障害を治療および/または予防するためのキットであって、治療有効量のラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む組成物、アプリケータ、および該対象に該組成物を局所投与するための説明書を含み、該真皮障害が、静的シワ(static wrinkle)、小ジワ、肌の張りの低下、雀卵斑、黒皮症、老人性紫斑病、静的シワ(static rhytide)、突出した手の静脈、上皮の広域発癌、ケロイド、およびコラーゲンアイソフォームの比率の不均衡からなる群より選択される少なくとも1つである、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C. § 119(e)の下で、2018年10月11日に出願された米国仮特許出願第62/744,486号に基づく優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
いくつかの皮膚障害は、環境要因、ホルモンの変化、加齢、および炎症性エピソードによって誘発される皮膚の変化に起因している。こうした障害としては、例えば、雀卵斑、日光性黒子、黒皮症、老人性紫斑病、小ジワ、静的シワ(static rhytide)、突出した手の静脈、光線性角化症および上皮の広域発癌、ケロイドの形成、コラーゲンアイソフォームの比率の不均衡などが挙げられる。
【0003】
雀卵斑、日光性黒子、黒皮症、光線性角化症、および扁平上皮内癌は、日光への曝露によって生じる病気である。雀卵斑は、一般的にそばかすとして知られている、小さな色素性病変である。日光性黒子はより大きな色素沈着過剰の病変であり、黒皮症はさらに大きな、斑状の茶色、褐色または青灰色の顔の皮膚の変色である。広域発癌とは、日光に曝された皮膚の広い領域に、光線性損傷および表皮異形成が見られることを指す。光線性角化症は、一般にピンク色の鱗状丘疹またはプラークとして現れ、しばしば広域発癌の領域に発生する。治療せずに放置すると、広域発癌および光線性角化症は扁平上皮癌に進行することがある。
【0004】
老人性紫斑病、小ジワ、静的シワ、および突出した手の静脈は、一般的に老化した皮膚に影響を与える症状である。老人性紫斑病は、通常、軽度の外傷の後に発症し、皮膚の真皮、つまり足場、が薄くなるために傷害を受けやすい脆弱な毛細血管から真皮内に出血することによって生じる紫色の斑状出血(あざ)が繰り返し形成されることを特徴とする、よく見られる良性疾患である。静的シワは、筋肉の動きに伴って変化しないシワであり、突出した手の静脈は、体脂肪が非常に少ないことによるか、または手の静脈を支える構造が薄くなっているために、静脈が浮き出るようになった症状である。小ジワは、日焼けによる損傷および他の外的要因によって真皮が不規則になりかつ表皮の水分保持能力が低下した結果である。
【0005】
ケロイドは、主にIII型(初期)またはI型(後期)のコラーゲンで構成される瘢痕である。ケロイドは、皮膚の傷が治った部位に肉芽組織(3型コラーゲン)が過剰に増殖し、次いでそれが1型コラーゲンに徐々に置き換わることから形成される。ケロイドは、異常な瘢痕反応であって、硬く、過度に色素が沈着したプラークをもたらし、その境界は一次的損傷の領域を超えて拡大する。ケロイドは非白人に偏って影響し、多くの場合、掻痒性で、圧痛があり、見苦しさを伴う。さらに、ケロイドは、膝または足首などの関節の近くに発生すると、こわばりを引き起こすだけでなく、可動域を制限する可能性がある。
【0006】
当技術分野では、UV誘発性の、加齢に関連した、および炎症後の皮膚の変化に起因する特定の真皮障害を治療または予防するために使用できる組成物および方法が必要とされている。本発明は、この必要性に対処するものである。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本発明は、その必要がある哺乳類対象における真皮障害を治療および/または予防する方法を提供する。この方法は、該対象に、治療有効量のラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む組成物を局所投与する工程を含む。特定の態様では、真皮障害は、静的シワ(static wrinkle)、小ジワ、肌の張りの低下、雀卵斑、黒皮症、老人性紫斑病、静的シワ(static rhytide)、突出した手の静脈、扁平上皮癌におけるような上皮の広域発癌、ケロイド、およびコラーゲンアイソフォームの比率の不均衡からなる群より選択される少なくとも1つである。
【0008】
別の態様において、前記組成物は、約1重量%~約0.0001重量%のラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明を例示する目的で、本発明の特定の実施態様が図面に示されている。しかし、本発明は、図面に示された実施態様の正確な配置および手段に限定されるものではない。
【
図1】
図1は、ラパマイシン処置がヒト皮膚におけるp16レベルを低下させることを示す。
【
図2】
図2は、ラパマイシンで処置された生検が、プラセボで処置された生検と比較して、老化/損傷した皮膚の組織学的マーカーの減少を示していることを示す。
【
図3】
図3は、ラパマイシンで処置された生検が、プラセボで処置された生検と比較して、より整然とした上皮層の配置を示していることを示す。
【
図4】
図4は、ラパマイシンで処置された生検が、プラセボで処置された生検と比較して、より整然としたコラーゲン線維の配置およびより少ない日光性弾性線維症を示していることを示す。
【
図5】
図5は、ラパマイシンで処置された皮膚が皮膚の基底層により局部的に位置しているのに対し、プラセボで処置された皮膚には顆粒層にサイトケラチン5/6の染色が見られ、老化した皮膚に典型的である不完全な分化を示唆していることを示す。
【
図6】
図6は、プラセボで処置された皮膚では、サイトケラチン5/6(CK 5/6)染色が顆粒層での陽性染色を示して、角質層にまで及んでいるのに対し、ラパマイシンで処置された生検では、CK 5/6染色のパターンが基底層により限定されていることを示す。
【
図7】
図7は、ラパマイシンクリーム剤を6ヶ月間塗布した後の67歳の女性の臨床的改善を示す。比較のために、プラセボで処置された左手も示される。
【
図8】
図8は、4.5ヶ月のラパマイシン処置後に紫斑が顕著に減少したことを示す。
【
図9】
図9A~9Cは、ラパマイシンがUV誘発性の細胞死から保護することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、一局面では、雀卵斑、黒皮症、老人性紫斑病、静的シワ、突出した手の静脈、上皮の広域発癌、ケロイド形成、およびコラーゲンアイソフォームの比率の不均衡を含むがこれらに限定されない、様々な真皮および表皮障害を予防および/または治療する方法に関する。
【0011】
特定の態様では、本発明は、治療有効量のラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む組成物を提供する。他の態様では、該組成物は、本明細書で企図される真皮疾患に対して活性を示す唯一の成分として、ラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む。さらに他の態様では、該組成物は、本明細書で企図される真皮疾患に対して活性を示すのに十分な濃度および/または量で存在する唯一の成分として、ラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む。さらに他の態様では、該組成物は局所投与用に製剤化される。
【0012】
適切な分化は、皮膚機能にとって極めて重要であり、例えば、水分の損失を防ぐ保護層を提供したり、日光への曝露によるUV損傷から保護したり、病原体に対するバリア機能を果たしたりしている。これらの保護機能には、表皮内の細胞の秩序だった分化が必要である。加齢に伴い、皮膚における分化パターンが乱れて機能不全のバリアが形成され、それによって傷、涙、および/またはUV損傷を受けやすい脆弱な皮膚になる。本明細書に実証されるように、ナノモル濃度のラパマイシンは、ヒト皮膚の表皮内でのより秩序だった分化をもたらすと同時に、老化および細胞機能障害のマーカーを減少させる。真皮および表皮において細胞の老化に関わる重要なタンパク質であるp16INK4Aは、発現が低下する。このタンパク質は、加齢に伴う皮膚の変化に関連している(Waaijer, et al., 2016, J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 71(8):1022-1028; Waaijer, et al., 2012, Aging Cell 11(4):722-725)。さらに、皮膚のUV損傷に関連する組織学的変化もまた、ラパマイシン処置によって軽減される。こうした変化は、高齢者の肌の張りおよびシワの臨床的改善につながる。
【0013】
定義
本明細書で使用する場合、以下の用語の各々は、このセクションおいてその用語に関連した意味を有する。
【0014】
他に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、一般的に、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されているのと同じ意味を有する。ほとんどの場合、本明細書で使用する命名法、ならびに細胞培養、分子遺伝学および化学における実験手順は、当技術分野において周知であって、一般的に使用されているものである。
【0015】
本明細書で使用する冠詞(a, an)は、その冠詞の文法上の対象物の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指す。一例として、「要素(an element)」は1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0016】
本明細書で使用する用語「約」は、当業者によって理解され、それが使用される状況によってある程度変化するであろう。量、持続時間などの測定可能な値に言及する場合に本明細書で使用する用語「約」は、特定の値からの±20%の変動、つまり±10%、±5%、±1%、もしくは±0.1%の変動を含むことを意味し、そのような変動は開示された方法を実施するのに妥当である。
【0017】
本明細書で使用する「皮膚科学的に許容される担体」または「皮膚科学的に許容される賦形剤」とは、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトケラチン組織と接触させて使用するのに適した組成物または成分を指す。
【0018】
「疾患」は、動物が恒常性を維持することができない動物の健康状態であり、こうした疾患が改善されないと、動物の健康は悪化し続ける。動物における「障害」は、動物が恒常性を維持することができる健康状態ではあるが、その動物の健康状態は、障害がないときと比べて、あまり良くない。未治療のまま放置しても、障害は動物の健康状態のさらなる低下を必ずしも引き起こさない。
【0019】
本明細書で使用する化合物の「有効量」または「治療有効量」または「薬学的有効量」という用語は、その化合物が投与される対象に有益な効果をもたらすのに十分な化合物の量を指すために交換可能に使用される。本明細書で使用する用語「治療する」は、患者もしくは対象が経験する症状の頻度を減らすこと、または薬剤もしくは化合物を投与して、経験する症状の重症度を軽減することを意味する。個々の場合の適切な治療量は、慣例的な実験を用いて当業者によって決定され得る。
【0020】
本明細書で使用する「説明資料」には、出版物、記録、図表、または任意の他の表現手段が含まれ、これらは、対象の全身性免疫反応を抑制または低減するためのキットにおいて本発明の化合物、組成物、アッセイまたは方法の有用性を伝えるために使用することができる。本発明のキットの説明資料は、例えば、本発明の同定された化合物、組成物、アッセイもしくは方法を含む容器に貼付されてもよいし、同定された化合物、組成物、アッセイもしくは方法を含む容器と一緒に出荷されてもよい。あるいは、レシピエントが説明資料と化合物、組成物、アッセイまたは方法を協力的に使用することを意図して、説明資料を容器とは別に出荷してもよい。
【0021】
本明細書で使用する用語「モジュレートする」は、本発明の化合物が本発明で意図される受容体に結合することに関連した病状または病態に関して、本発明による化合物の投与前には、最善に達していなかった、多くの場合には、衰弱性で、命を脅かすことさえあった病状または病態を、直接的または間接的に、改善または軽減することを意味する。モジュレーションは、(受容体部位に応じて)アゴニスト活性、アンタゴニスト活性、またはアゴニスト/アンタゴニスト混合活性によって起こり得る。
【0022】
本明細書で使用する用語「薬学的に許容される」は、組成物の生物学的活性または特性を無効にしない、比較的毒性のない、担体または希釈剤などの物質を指す;すなわち、その物質は、望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく、またはそれが含まれる組成物のいずれの成分とも有害なやり方で相互作用することなく、個体に投与することができる。
【0023】
本明細書で使用する用語「薬学的組成物」または「組成物」は、本発明において有用な少なくとも1種の化合物と、他の化学成分、例えば担体、安定剤、希釈剤、分散化剤、懸濁化剤、増粘剤および/または賦形剤との混合物を指す。薬学的組成物は、該化合物の生物への投与を容易にする。当技術分野には、化合物を投与する技術が数多く存在しており、限定するものではないが、静脈内、経口、エアロゾル、非経口、眼内、肺、頭蓋内および局所投与などが含まれる。特定の態様では、投与は局所投与を含む。
【0024】
本明細書で使用する「対象」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を指す。非ヒト哺乳動物には、例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコおよびネズミ科の動物などの、家畜およびペットが含まれる。特定の態様では、対象はヒトである。
【0025】
本明細書で使用する「局所投与」または「局所適用」は、皮膚または粘膜のような体表面に適用される投薬を指す。
【0026】
本明細書で使用する用語「治療」または「治療する」は、治療剤、すなわち本発明において有用な組成物(単独または別の薬剤との組み合わせ)を対象に適用または投与すること、あるいは疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害を発症する可能性を治す、癒す、緩和する、軽減する、改変する、救済する、改善する、向上させる、または影響を及ぼす目的で、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害を発症する可能性を有する対象由来の単離された組織または細胞株に、(例えば、診断またはエクスビボ適用のために)治療剤を適用または投与すること、と定義される。そのような治療は、薬理ゲノム学の分野から得られた知識に基づいて、一人一人に合わせて特別に調整または修正することができる。
【0027】
本開示を通じて、本発明の様々な局面は範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は、単に便宜上のものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、全ての可能な部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示したものと見なされるべきである。例えば、1~6のような範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数値、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3および6を具体的に開示したものと考えるべきである。このことは、範囲の広さにかかわらず当てはまる。
【0028】
組成物
1つの態様において、本発明の組成物は、治療有効量のラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む。ラパマイシンは、(3S,6R,7E,9R,10R,12R,14S,15E,17E,19E,21S,23S,26R,27R,34aS)-9,10,12,13,14,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a-ヘキサデカヒドロ-9,27-ジヒドロキシ-3-[(1R)-2-[(1S,3R,4R)-4-ヒドロキシ-3-メトキシシクロヘキシル]-1-メチルエチル]-10,21-ジメトキシ-6,8,12,14,20,26-ヘキサメチル-23,27-エポキシ-3H-ピリド[2,1-c][1,4-オキサアザシクロヘントリアコンチン-1,5,11,28,29(4H,6H,31H)-ペントンとしても知られており、下記の構造を有する。
【0029】
特定の態様では、ミトコンドリア、核、リソソーム、および/または小胞体などの特定の細胞内区画または細胞小器官への送達性を向上させたラパマイシンの修飾形態が使用可能である。ラパマイシンの修飾形態には、エステル、アミド、エーテル誘導体などが含まれる。
【0030】
ラパマイシン以外の他のmTORC1阻害剤も、本明細書に記載された治療効果を達成するために、本明細書に提示された方法の範囲内で有用である。特定の態様では、mTORC1阻害剤は、BEZ235、エベロリムス、AZD8055、テムシロリムス、KU-0063794、PI-103、トルキニブ(Torkinib)、タクロリムス、リダフォロリムス、INK-128、ボクスタリシブ(Voxtalisib)、Torin-1、オミパリシブ、OSI-027、PF-04691502、アピトリシブ、GSK1059615、WYE-354、ジェダトリシブ、AZD-2014、Torin-2、WYE-125132、BGT226、Palomid-529、PP121、WYE-687、CH5132799、Way-600、ETP-46464、GDC-0349、XL388、およびゾタロリムス、またはそれらの塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーからなる群より選択される少なくとも1種である。他の態様では、mTORC1阻害剤は、ラパマイシン、リダフォロリムス、およびエベロリムス、またはそれらの塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーからなる群より選択される少なくとも1種である。さらに他の態様では、mTORC1阻害剤は、ラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーである。本明細書に記載のmTORC1阻害剤のいずれかの治療有効量は、該組成物の約0.0001%~約1%、0.0005%~約0.95%、約0.001%~約0.85%、0.002%~約0.75%、約0.005%~約0.5%、約0.008%~約0.25%、約0.01%~約0.2%、約0.02%~約0.15%、約0.0001%~約0.001%、約0.0001%~約0.01%、または約0.03%~約0.1%(w/w)であり得る。本明細書に記載の組成物中で使用できるmTORC1阻害剤の治療有効量は、該組成物の約0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、または約0.0001%(w/w)であり得る。
【0031】
特定の態様では、前記組成物中のラパマイシンの治療有効量は、該組成物の約0.0001%~約1%、0.0005%~約0.95%、約0.001%~約0.85%、0.002%~約0.75%、約0.005%~約0.5%、約0.008%~約0.25%、約0.01%~約0.2%、約0.02%~約0.15%、約0.0001%~約0.001%、約0.0001%~約0.01%、または約0.03%~約0.1%(w/w)の範囲である。特定の態様では、該組成物中のラパマイシンの治療有効量は、約0.0001%~約0.001%(w/w)の範囲である。他の態様では、該組成物中のラパマイシンの重量による治療有効量は、約0.0001%~約0.01%(w/w)の範囲である。
【0032】
特定の態様では、前記組成物中のラパマイシンの治療有効量は、約0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、または約0.0001%(w/w)である。ラパマイシンを0.001%w/w以下含有する組成物は、特定の態様では、真皮細胞の増殖を抑制せず、また、真皮細胞の増殖能が維持される。0.001%w/w以下のラパマイシンを含有する組成物は、特定の態様では、真皮細胞の老化を防止または低減する。特定の態様では、約0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、または約0.0001%(w/w)の量のラパマイシンを含有する組成物は、真皮細胞の増殖を抑制せず、真皮細胞の増殖能を維持し、かつ真皮細胞の老化を防止または低減する。
【0033】
特定の態様において、本発明の組成物は、皮膚科学的に許容される担体をさらに含む。本発明の組成物は、約60%~約99.9%、あるいは約70%~約95%、あるいは約80%~約90%の皮膚科学的に許容される担体を含むことができる。特定の態様では、皮膚科学的に許容される担体は、少なくとも、溶媒、潤滑剤、皮膚軟化剤、乳化剤、保湿剤、増粘ワックス、柔軟剤、香料、防腐剤および人工着色料からなる群より選択される。他の態様では、皮膚科学的に許容される担体は、水、脂肪アルコール、および揮発性有機アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である。皮膚科学的に許容される担体の1つの非限定的な例はペトロラタムである。
【0034】
方法
一態様では、本発明は、雀卵斑および黒皮症の原因であるUV誘発性の色素沈着異常を予防および/または早期治療するための方法である。別の態様では、本発明は、老人性紫斑病、静的シワ、および/または突出した手の静脈などであるがこれらに限定されない、加齢に伴う真皮障害を予防および/または治療する方法を提供する。さらに別の態様では、本発明は、扁平上皮内癌におけるような上皮の広域発癌を予防および/または治療する方法を提供する。さらに別の態様では、本発明は、ケロイドを予防および/または治療する方法を提供する。さらに別の態様では、本発明は、老化を防止するようにコラーゲンアイソフォームの最適な比率を維持する方法をさらに提供する。さらに別の態様では、本発明は、その必要がある哺乳類対象に発生する皮膚の変化に起因する真皮障害を治療または予防するためのキットをさらに提供する。
【0035】
特定の態様では、前記方法は、該対象に、治療有効量のラパマイシンを局所投与する工程を含み、ラパマイシンは、任意で、皮膚的に許容される組成物として製剤化される。
【0036】
特定の態様では、前記組成物は、治療有効量のラパマイシンを含む。さらに他の態様では、該組成物は、皮膚科学的に許容される担体をさらに含む。さらに他の態様では、前記組成物は、該対象の患部である皮膚領域に局所的に適用される。
【0037】
特定の態様では、本明細書で企図される前記組成物の局所製剤は、UV誘発性の、加齢に関連した、ならびに炎症後の皮膚の変化を治療するために使用される。
【0038】
特定の態様では、本発明は、UV誘発性の、加齢に関連した、ならびに炎症後の皮膚の変化を治療または予防するための、治療有効量のラパマイシンを含む局所用クリーム剤を提供する。
【0039】
特定の態様では、皮膚の変化は、p16INK4Aなどの老化関連タンパク質、サイトケラチン5/6などの分化マーカー、コラーゲン線維の組織化、シワの重症度および肌の張りなどの臨床尺度を測定することによって評価される。
【0040】
製剤
本発明の薬学的組成物中の活性成分、皮膚科学的に許容される担体、および任意の追加成分の相対量は、治療を受ける対象の個性、サイズ、および症状に応じて変化する。例として、該組成物は、約0.0001%~約1%(w/w)のラパマイシンを含むことができる。特定の態様では、該組成物は、約0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、または約0.0001%(w/w)のラパマイシンを含む。
【0041】
特定の態様では、前記組成物中のラパマイシンの重量による治療有効量は、約0.0001%~約1%、0.0005%~約0.95%、約0.001%~約0.85%、0.002%~約0.75%、約0.005%~約0.5%、約0.008%~約0.25%、約0.01%~約0.2%、約0.02%~約0.15%、または約0.03%~約0.1%の範囲である。
【0042】
本明細書で提供される薬学的組成物の記載は、主にヒトへの医療向け投与(ethical administration)に適した薬学的組成物に向けられたものであるが、当業者であれば、このような組成物は一般に、あらゆる種類の動物への投与に適していることが理解されよう。種々の動物への投与に適した薬学的組成物を提供するために、ヒトへの投与に適した該組成物を改変することはよく理解されており、通常の知識を有する獣医薬理学者は、たとえ行うにしても、通常の実験を行うだけで、そのような改変を設計して実施することができる。本発明の薬学的組成物の投与が企図される対象には、限定するものではないが、ヒトおよび他の霊長類、哺乳類、例えばウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコおよびイヌなどの商業的に関係のある哺乳動物が含まれる。
【0043】
本発明の組成物は、哺乳類に1日数回の頻度で投与することができ、1日1回、週1回、2週間に1回、1ヶ月に1回などのより少ない頻度で、または数ヶ月に1回、1年に1回以下などのさらに少ない頻度で投与してもよい。
【0044】
本発明の組成物を投与するための投薬レジメンは、1日1回または1日2回であり得る。活性薬剤の適用頻度および濃度は、皮膚の状態および真皮の応答に依存する。真皮に対して所望の効果を達成するように適用を継続してもよいし、満足のいく結果が得られた後で適用頻度を減らしてもよい。特定の実施態様では、投与は、結果を達成するために最低6~8週間を必要とする。継続的な改善を得るために最初の6~8週間を超えて適用を継続してもよく、その結果が達成されたら、適用頻度を減らすことができる。適用は、どんなときでも病変の相対的重症度に基づいて、様々なレベルの適用を数年間にわたって継続することができる。
【0045】
1日あたりに投与される本発明の組成物の量は、非限定的な例では、毎日、1日おき、2日おき、3日おき、4日おき、または5日おきに投与できると認識される。投与頻度は、当業者にはすぐに分かることであり、治療すべき疾患のタイプおよび重症度、動物のタイプおよび年齢などを含むがこれらに限定されない、様々な要因に依存するであろう。
【0046】
特定の態様において、本発明の組成物は、1種または複数種の皮膚科学的に許容される賦形剤または担体を用いて製剤化される。特定の態様では、本発明の薬学的組成物は、治療有効量のラパマイシンおよび皮膚科学的に許容される担体を含有する。有用な皮膚科学的に許容される担体には、限定するものではないが、グリセロール、水、生理食塩水、エタノールおよび他の皮膚科学的に許容される塩溶液、例えばリン酸塩および有機酸の塩、が含まれる。これらおよび他の皮膚科学的に許容される担体の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences (1991, Mack Publication Co., New Jersey)に記載されている。
【0047】
本発明の組成物は、約0.01%~約1%、あるいは約1%~約10%、あるいは約10%~約50%の皮膚科学的に許容される担体を含むことができる。特定の態様では、皮膚科学的に許容される担体は、少なくとも、溶媒、潤滑剤、皮膚軟化剤、乳化剤、保湿剤、増粘ワックス、柔軟剤、香料、防腐剤および人工着色料からなる群より選択される。他の態様では、皮膚科学的に許容される担体は、水、脂肪アルコール、および揮発性有機アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である。皮膚科学的に許容される担体の1つの非限定的な例はペトロラタムである。
【0048】
前記担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、適切なそれらの混合物、および植物油を含む、溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤を使用することにより、分散液の場合には必要とされる粒子サイズを維持することにより、そして界面活性剤を使用することにより、維持することができる。微生物の活動防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖類、塩化ナトリウム、またはマンニトール、ソルビトールなどの多価アルコールを組成物中に含めることが好ましいであろう。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチン、を組成物中に含めることによって達成され得る。
【0049】
製剤は、慣用の賦形剤、すなわち当技術分野で公知の、局所投与に適した薬学的に許容される有機または無機担体物質、との混合物で利用され得る。製剤は、滅菌され、所望により、補助剤、例えば潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧緩衝剤に影響を与える塩、着色剤、香味剤および/または芳香物質などと混合される。それらは、必要に応じて、他の活性薬剤、例えば他の鎮痛剤、と組み合わせることもできる。
【0050】
本明細書で使用する「追加の成分」には、限定するものではないが、以下の成分の1種以上が含まれる:賦形剤;界面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;顆粒化剤および崩壊剤;結合剤;潤滑剤;着色剤;防腐剤;生理学的に分解可能な組成物、例えばゼラチン;水性のビヒクルおよび溶媒;油性のビヒクルおよび溶媒;懸濁化剤;分散剤または湿潤剤;乳化剤;粘滑剤;緩衝剤;塩;増粘剤;充填剤;乳化剤;酸化防止剤;抗生物質;抗真菌剤;安定剤;および薬学的に許容される高分子材料または疎水性材料。本発明の薬学的組成物中に含めることができる他の「追加の成分」は、当技術分野で公知であり、例えば、Genaro編集 (1985, Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA)に記載されており、これを参照により本明細書に組み入れる。
【0051】
本発明の組成物は、防腐剤を含むことができる。防腐剤は、環境中の汚染物質に曝された場合の腐敗を防止するために使用される。本発明に有用な防腐剤の例には、ベンジルアルコール、ソルビン酸、パラベン類、イミド尿素およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるものが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい防腐剤は、約0.5%~2.0%のベンジルアルコールと0.05%~0.5%のソルビン酸の組み合わせである。
【0052】
前記組成物は、好ましくは、酸化防止剤および/またはキレート化剤(EDTAなど)を含む。いくつかの化合物のための好ましい酸化防止剤は、組成物の総重量の約0.01%~0.3%の好ましい範囲のBHT、BHA、α-トコフェロールおよびアスコルビン酸であり、より好ましくは0.03%~0.1%の範囲のBHTである。好ましくは、キレート化剤は、組成物の総重量の0.01%~0.5%の量で存在する。特に好ましいキレート化剤には、組成物の総重量の約0.01%~0.20%の重量範囲、より好ましくは0.02%~0.10%の範囲のアミノポリカルボン酸塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)およびクエン酸が含まれる。キレート化剤は、製剤の貯蔵寿命に有害であり得る組成物中の金属イオンをキレート化するのに有用である。
【0053】
局所投与
医薬品の局所投与に対する障害物は、表皮の角質層である。角質層は、タンパク質、コレステロール、スフィンゴ脂質、遊離脂肪酸および種々の他の脂質から構成される高度に抵抗性の層であり、角化細胞と生存細胞を含む。角質層を通る化合物の浸透速度(フラックス)を制限する要因の1つは、皮膚表面に負荷または適用することができる活性物質の量である。皮膚の単位面積あたりに適用される活性物質の量が多いほど、皮膚表面と皮膚の下層との間の濃度勾配が大きくなり、ひいては皮膚を通る活性物質の拡散力が大きくなる。したがって、より高濃度の活性物質を含有する製剤は、より低濃度の活性物質を含有し、他の全てのものが等しい製剤と比較して、より一貫した速度での、より多くの活性物質の皮膚への浸透をもたらす可能性が高い。
【0054】
局所投与に適した製剤には、限定するものではないが、液体または半液体製剤、例えば、リニメント剤、ローション剤、水中油型または油中水型エマルジョン、例えばクリーム剤、軟膏剤もしくはペースト剤、および溶液剤または懸濁液剤が含まれる。こうした製剤は、皮膚に直接適用されるか、またはスワブ、アプリケータ、スパチュラなどを利用して、あるいは経皮パッチの形態で適用され得る。特定の態様では、該パッチは、皮膚の洗浄、摩擦、引っ掻きおよび/または擦れによる医薬品の損失を最小限に抑える。他の態様では、該パッチは、皮膚からの医薬品の吸収を高めると同時に、医薬品への皮膚の曝露を最小限に抑える。
【0055】
本発明において企図される局所投与可能な製剤は、例えば、約0.001%~約1%(w/w)のラパマイシンを含むことができるが、ラパマイシンの濃度は、溶媒中のその溶解限度まで高くてもよい。1つの具体的な態様において、組成物は、約0.0001%~約0.1%(w/w)のラパマイシンを含む。局所投与用の製剤は、本明細書に記載される追加の成分を1種以上さらに含み得る。
【0056】
浸透促進剤を使用することができる。これらの物質は、皮膚を通しての薬物透過の速度を増加させる。当技術分野における典型的な促進剤には、エタノール、グリセロールモノラウレート、PGML(ポリエチレングリコールモノラウレート)、ジメチルスルホキシドなどが含まれる。その他の促進剤には、オレイン酸、オレイルアルコール、エトキシジグリコール、ラウロカプラム、アルカンカルボン酸、ジメチルスルホキシド、極性脂質、またはN-メチル-2-ピロリドンが含まれる。
【0057】
本発明の組成物のいくつかの局所送達用の1つの許容されるビヒクルは、リポソームを含むことができる。リポソームの組成およびその使用は、当技術分野で公知である(例えば、米国特許第6,323,219号)。
【0058】
別の態様では、局所製剤は、他の成分、例えば、アジュバント、酸化防止剤、キレート化剤、界面活性剤、発泡剤、湿潤剤、乳化剤、増粘剤、緩衝剤、防腐剤などをさらに含む。他の態様では、浸透促進剤または透過促進剤が製剤中に加えられ、これらは、浸透促進剤を含まない組成物に関して、活性成分の角質層中への、さらには角質層を通しての、経皮的浸透を改善するのに有効である。オレイン酸、オレイルアルコール、エトキシジグリコール、ラウロカプラム、アルカンカルボン酸、ジメチルスルホキシド、極性脂質、またはN-メチル-2-ピロリドンを含む、種々の浸透促進剤が当業者に公知である。別の局面では、局所製剤はハイドロトロピー剤をさらに含むことができ、それは角質層の構造の不規則性を増大させるように機能し、それによって角質層を通しての輸送の増加を可能にする。イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、またはキシレンスルホン酸ナトリウムなどの様々なハイドロトロピー剤が当業者に知られている。
【0059】
局所製剤中のさらなる非活性成分は、当技術分野において周知である。こうした成分には、限定するものではないが、保湿剤、皮膚軟化剤、pH安定剤、キレート化剤、ゲル化剤、増粘剤、乳化剤、結合剤、緩衝剤、担体、酸化防止剤などが含まれる。このような成分のさらなる例は、オンラインで利用可能な、米国食品医薬品局(U.S. Food & Drug Administration)のInactive Ingredients for Approved Drugs(承認された薬物のための不活性成分)に含まれている。さらなる考察、ならびに製剤に加えることが可能な非活性成分は、「The Science and Practice of Pharmacy」第21版, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, Pa. (2006)に見出すことができる。
【0060】
特定の態様では、本発明のゲル製剤は、ラパマイシンの放出を可能にするために、アルミニウム塩などの無機物質または天然もしくは合成起源の有機ポリマーを含む。
【0061】
さらに他の態様では、本発明の溶液製剤またはスプレー製剤は、無傷の皮膚の上に噴霧される薬物のポリマー溶液を含み、ポリマーマトリックスからのラパマイシンの持続放出をもたらす。
【0062】
さらに他の態様では、本発明のクリーム製剤またはローション製剤は、ポリオキシエチレン、グリセロール、パラフィン、プロピレングリコール、およびグリセロールを含む。
【0063】
さらに他の態様では、本発明の軟膏製剤は、ペトロリアム(petroleum)、パラフィン、ステリルアルコール、およびコレステロールを含む。
【0064】
制御放出製剤および薬物送達システム
本発明の薬学的組成物の制御放出または持続放出製剤は、従来の技術を用いて製造することができる。いくつかの場合には、使用される剤形は、その剤形中の1種以上の活性成分の徐放または制御放出として提供され、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはそれらの組み合わせを用いて、様々な割合で所望の放出特性をもたらすことができる。当業者に知られている適切な制御放出製剤は、本明細書に記載のものを含めて、本発明の薬学的組成物と共に使用するために容易に選択することができる。したがって、局所投与に適した単一ユニット剤形、例えば、制御放出に適しているリニメント剤、ローション剤、水中油型または油中水型エマルジョン、例えばクリーム剤、軟膏剤もしくはペースト剤、経皮パッチ剤、および溶液剤または懸濁液剤は、本発明に包含される。
【0065】
ほとんどの制御放出型の医薬品は、その非制御型の対応品によって達成されるものを超えて薬物療法を改善するという共通の目的を持っている。理想的には、最適に設計された制御放出製剤の医療における使用は、最小限の原薬を使用して最小限の時間で症状を治癒または抑制することにより特徴付けられる。制御放出製剤の利点としては、薬物の長期活性、投与頻度の減少、および患者のコンプライアンスの向上が挙げられる。さらに、制御放出製剤を用いて、作用開始時間または他の特性、例えば薬物の血中濃度、に影響を与えることができ、それゆえに、制御放出製剤は副作用の発生に対して影響を及ぼし得る。
【0066】
大部分の制御放出製剤は、所望の治療効果を速やかに生じさせる量の薬物を最初に放出し、このレベルの治療効果を長期間にわたって維持するために他の量の薬物を徐々に連続的に放出するように設計される。この一定レベルの薬物を体内に維持するためには、代謝されて体内から排出される薬物の量に取って代わる速度で、薬物を剤形から放出させる必要がある。
【0067】
活性成分の制御放出は、様々な誘導因子、例えばpH、温度、酵素、水、または他の生理学的条件もしくは化合物によって刺激され得る。本発明との関連で用語「制御放出成分」とは、本明細書では、ポリマー、ポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、リポソーム、ミクロスフェアまたはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、活性成分の制御放出を容易にする1種または複数種の化合物として定義される。
【0068】
特定の態様において、本発明の製剤は、限定するものではないが、短期型、急速消失(rapid-offset)型、ならびに制御型、例えば持続放出型、遅延放出型およびパルス放出型の製剤であり得る。
【0069】
持続放出という用語は、その従来の意味において、長期間にわたって徐々に薬物を放出して、必ずではないが、長期間にわたって実質的に一定の血中薬物濃度をもたらし得る製剤を指すために使用される。その期間は、1ヶ月以上もの長さとすることができ、同量の薬剤がボーラス形態で投与される場合よりも長い放出となる。
【0070】
持続放出の場合には、化合物に持続放出特性を与える適切なポリマーまたは疎水性材料を用いて、化合物を製剤化することができる。
【0071】
本発明の特定の態様では、本発明の組成物は、患者に、単独でまたは別の薬剤と組み合わせて、持続放出製剤を用いて投与される。
【0072】
本明細書で使用する遅延放出という用語は、その従来の意味において、薬物投与後に多少遅れて薬物の初期放出をもたらし、必ずではないが、約10分から約12時間までの遅れを含むことができる製剤を指す。
【0073】
本明細書で使用するパルス放出という用語は、その従来の意味において、薬物投与後に薬物のパルス状の血漿プロファイルを生じるような方法で薬物の放出をもたらす製剤を指す。
【0074】
本明細書で使用する即時放出という用語は、その従来の意味において、薬物投与の直後に薬物の放出をもたらす製剤を指す。
【0075】
本明細書で使用する短期型とは、薬物投与後の約24時間、約48時間、約72時間を含めその時間までの任意の期間と、そのあらゆる全体的または部分的増分を指す。
【0076】
当業者は、本明細書に記載された特定の手順、態様、特許請求の範囲および実施例に対する多数の均等物を認識しているか、または定型的な実験のみを用いて確認することができるであろう。そのような均等物は、本発明の範囲内であり、添付の特許請求の範囲によって包含されるとみなされる。例えば、反応時間、反応のサイズ/容積、および実験試薬を含むがこれらに限定されない反応条件、例えば、溶媒、触媒、圧力、大気条件(例:窒素雰囲気)、および還元剤/酸化剤を、当技術分野で認識されている代替物を用いて、定型的な実験のみを使用して、変更することは、本出願の範囲内にあることを理解すべきである。
【0077】
本明細書において値および範囲が提供される場合はいつでも、これらの値および範囲に包含される全ての値および範囲は、本発明の範囲内に含まれることを理解すべきである。さらに、これらの範囲内に入る全ての値、ならびに値の範囲の上限または下限も本出願により意図される。
【0078】
以下の実施例は、本発明の局面をさらに説明するものである。しかし、それらは本明細書に記載される本発明の教示または開示を決して限定するものではない。
【実施例】
【0079】
本発明は、以下の実施例を参照して説明される。これらの実施例は説明のためにのみ提供されており、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、むしろ本明細書で提供される教示の結果として明らかな全ての変形を包含する。
【0080】
材料および方法
特に明記しない限り、全ての細胞株、出発材料、試薬および細胞株は、商業的供給業者から入手し、さらなる操作なしで使用した。
【0081】
患者には、独自開発の局所用ラパマイシン製剤(0.001%;10μM相当)、またはラパマイシンが含まれていないことを除いて同一のプラセボ製剤が提供された。脂漏性角化症の場合、患者は、就寝前に、病変部の周囲1cmまでの皮膚の限局された領域に該製剤を塗布するように指示された。患者は、手の背面にクリーム剤を1日1回就寝前に塗布するように指示された。
【0082】
クリーム剤は以下の成分を含んでいた:ポリオキシエチレン(40)ステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、グリセロールモノステアレート、パラフィン、セチルアルコール、ミネラルオイル、水、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセロール、メチルパラベン。
【0083】
患者には、ラパマイシンが含まれているかどうかを示すことなく、番号でラベル付けされたクリーム剤が4週間分提供された。患者は、刺激または否定的な反応が生じた場合はいつでも試験担当者に連絡するように指示された。
【0084】
実施例1:
ヒト皮膚を、1マイクロモルのラパマイシンを含む製剤またはビヒクル対照を含む同一の製剤で240日間処置した。0.5ccの製剤を毎日塗布した。皮膚生検(N=8)を免疫組織化学のために処理し、Leica Aperioソフトウェアシステムを用いて核のp16を定量化した。
図1からわかるように、ラパマイシン処置は、ヒト皮膚におけるp16のレベルを低下させた。
【0085】
実施例2:
ラパマイシン(10μM)またはプラセボを含む局所用クリーム剤を塗布した後の患者の手の背面から採取したヒト皮膚生検のヘマトキシリン・エオシン染色を
図2に示す。光線性(日光性)弾性線維症の組織学的証拠を矢印で示す。
図2に示したものと同様に、複数の患者の生検において、老化/損傷した皮膚のこれらの組織学的マーカーの存在の減少が認められた。
【0086】
実施例3:
ラパマイシン(10μM)またはプラセボを含む局所用クリーム剤を塗布した後の患者の手の背面から採取したヒト皮膚生検の40倍拡大画像を
図3に示す。ラパマイシンで処置された生検は、基底層内の核の頂端配置(apical placement)およびはっきりとしたケラチン層など、上皮層のより整然とした配置を示している。
【0087】
実施例4:
ラパマイシン(10μM)またはプラセボを含む局所用クリーム剤を塗布した後の患者の手の背面から採取したヒト皮膚生検の40倍拡大画像を
図4に示す。未処置の皮膚は、日光性弾性線維症として知られる紫色に染まったエラスチン線維および無秩序なコラーゲン線維の形で、UV損傷の兆候を示している。ラパマイシンで処置された生検は、より整然としたコラーゲン線維の配置およびより少ない日光性弾性線維症を示している。
【0088】
実施例5:
ラパマイシン(10μM)またはプラセボを含む局所用クリーム剤を塗布した後の患者の手の背面から採取したヒト皮膚生検を、表皮の基底細胞のマーカーであるサイトケラチン5/6を認識する抗体で染色した(褐色に染色)。ラパマイシンで処置された皮膚の染色は、皮膚の基底層により局部的に位置しているのに対し、プラセボで処置された皮膚には顆粒層にサイトケラチン5/6(CK 5/6)染色が見られ、老化した皮膚に典型的である不完全な分化を示唆していることに留意されたい。
【0089】
実施例6:
プラセボで処置された皮膚では、
図6に示すように、高倍率(40倍)でのCK 5/6染色が顆粒層での陽性染色を示して、角質層にまで及んでいたが、ラパマイシンで処置された生検では、CK 5/6染色のパターンが基底層に限定されたままであった。
【0090】
実施例7:
図7に示すように、67歳の女性に10μM(0.001%)のラパマイシンクリーム剤を6ヶ月間塗布したところ、臨床的改善が見られた。比較のために、プラセボで処置された左手も示される。
【0091】
実施例8:
60代半ばの白人女性をラパマイシン(0.001%)で4.5ヶ月間治療した。この患者は癌の生存者であり、複数回の化学療法を受け、紫斑病が再発して、その後瘢痕化していた。治療の結果を
図8に示すが、これは、4.5ヶ月の治療期間後、紫斑の顕著な減少があったことを示している。試験終了時に治療を中止した。
【0092】
実施例9:
図9A~9Cは、ラパマイシンがヒト細胞をUV損傷から保護することを示している。1nMのラパマイシンの存在下または非存在下で増殖させた細胞を、増加する量の紫外線に曝露し、24時間後に細胞数を測定した。細胞消失パーセントを
図9Aに示す。ラパマイシンで処置された培養物は、UV照射後に細胞死の減少を示した(P=0.0044)。
図9Bには、UV照射から24時間後の対照培養物の代表的な写真を示す。丸みを帯びた浮遊細胞および典型的な細胞ブレビング(blebbing)などの、典型的なアポトーシスの特徴に留意されたい。
図9Cには、1nMのラパマイシン中で増殖させた並行培養物が示されており、これは、アポトーシス細胞が著しく消失している。
【0093】
実施態様の列挙
例示的な実施態様が以下に提供されるが、その番号付けは重要性のレベルを指定するものと解釈されるべきではない。
【0094】
態様1は、以下を提供する:
その必要がある哺乳類対象における真皮障害を治療および/または予防する方法であって、該対象に、治療有効量のラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む組成物を局所投与する工程を含み、該真皮障害が、静的シワ(static wrinkle)、小ジワ、肌の張りの低下、雀卵斑、黒皮症、老人性紫斑病、静的シワ(static rhytide)、UV損傷、突出した手の静脈、扁平上皮癌におけるような上皮の広域発癌、ケロイド、およびコラーゲンアイソフォームの比率の不均衡からなる群より選択される少なくとも1つである、前記方法。
【0095】
態様2は、以下を提供する:
上皮の広域発癌が、表皮異形成および光線性損傷を含む、態様1の方法。
【0096】
態様3は、以下を提供する:
前記対象がヒトである、態様1~2の方法。
【0097】
態様4は、以下を提供する:
前記組成物が約0.1重量%~約0.0001重量%のラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む、態様1~3の方法。
【0098】
態様5は、以下を提供する:
前記組成物が約0.001重量%~約0.0001重量%のラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む、態様1~4の方法。
【0099】
態様6は、以下を提供する:
前記組成物が、皮膚科学的に許容される担体をさらに含む、態様1~5の方法。
【0100】
態様7は、以下を提供する:
皮膚科学的に許容される担体が、溶媒、潤滑剤、皮膚軟化剤、乳化剤、保湿剤、増粘ワックス、柔軟剤、香料、防腐剤、および人工着色料からなる群より選択される少なくとも1種である、態様1~6の方法。
【0101】
態様8は、以下を提供する:
皮膚科学的に許容される担体がペトロラタムを含む、態様1~7の方法。
【0102】
態様9は、以下を提供する:
前記組成物が、対象の真皮障害の部位に適用される、態様1~8の方法。
【0103】
態様10は、以下を提供する:
その必要がある哺乳類対象における真皮障害を治療および/または予防するためのキットであって、治療有効量のラパマイシン、またはその塩、溶媒和物、エナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む組成物、アプリケータ、および該対象に該組成物を局所投与するための説明書を含み、該真皮障害が、静的シワ(static wrinkle)、小ジワ、肌の張りの低下、雀卵斑、黒皮症、老人性紫斑病、静的シワ(static rhytide)、突出した手の静脈、上皮の広域発癌、ケロイド、およびコラーゲンアイソフォームの比率の不均衡からなる群より選択される少なくとも1つである、前記キット。
【0104】
他の実施態様
本明細書中の変数(variable)の定義における要素のリストの記載は、リストされた要素の任意の単一の要素または組み合わせ(または部分的組み合わせ)としてのその変数の定義を含む。本明細書における態様の記載は、その態様を、単一の態様として、または他の態様もしくはその一部と組み合わせて、含む。
【0105】
本明細書に引用されたありとあらゆる特許、特許出願、および刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。本発明は特定の態様に関連して開示されているが、当業者であれば、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の他の態様および変形を考え出すことができることは、明らかである。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような態様および等価的変形を包含すると解釈されるものとする。
【国際調査報告】