(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】抗CD38抗体の皮下投与を提供する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220131BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20220131BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220131BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220131BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220131BHJP
C12N 9/42 20060101ALN20220131BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220131BHJP
C12N 15/56 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K39/395 U
A61K31/573
A61P37/06
A61P43/00 121
C07K16/28
C12N9/42
C12N15/13
C12N15/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521036
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(85)【翻訳文提出日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 US2019056838
(87)【国際公開番号】W WO2020081881
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】キャンプベル,キム アン
(72)【発明者】
【氏名】ナン,イーヴォ
(72)【発明者】
【氏名】レブレ,ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】シュー,キャシー
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ジェンファ
【テーマコード(参考)】
4B050
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050DD11
4B050KK18
4B050LL01
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA06
4C086ZB08
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA22
4H045FA74
(57)【要約】
ダラツムマブなどの抗CD38モノクローナル抗体の皮下投与方法が提供される。また、皮下投与された抗CD38モノクローナル抗体による自己免疫疾患の治療方法も提供される。全身注射関連副作用を予防及び/又は低減するために、任意選択で、抗CD38抗体の皮下投与前にコルチコステロイドが投与される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要としている対象に抗CD38抗体の皮下投与を提供する方法であって、前記抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を前記対象に皮下投与することを含み、前記抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約2,400mgである、方法。
【請求項2】
前記抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約400mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗CD38抗体の総投薬量が、単回皮下注射で投与される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗CD38抗体の総投薬量が、2~5回の皮下注射で投与される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
コルチコステロイドが、前記抗CD38抗体の前記投与前に前記対象に投与され、任意選択で、前記抗CD38抗体の前記投与後に再投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コルチコステロイドが経口投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コルチコステロイドがプレドニゾンである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗CD38抗体の投与の結果、前記抗CD38抗体の投与4週間後にナチュラルキラー(NK)細胞又は形質細胞の80%未満が枯渇する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗CD38抗体が、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで皮下投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記抗CD38抗体が、組換えヒトヒアルロニダーゼと共に皮下投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒアルロニダーゼが、rHuPH20(配列番号22)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
それを必要としている対象における自己免疫疾患の治療を提供する方法であって、抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を前記対象に皮下投与することを含み、前記抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約2,400mgである、方法。
【請求項13】
前記抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約400mgである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抗CD38抗体の総投薬量が、単回皮下注射で投与される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗CD38抗体の総投薬量が、2~5回の皮下注射で投与される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項16】
コルチコステロイドが、前記抗CD38抗体の投与前に前記対象に投与され、任意選択で、前記抗CD38抗体の投与後に再投与される、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記コルチコステロイドが経口投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コルチコステロイドがプレドニゾンである、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記抗CD38抗体の投与の結果、前記抗CD38抗体の投与4週間後にナチュラルキラー(NK)細胞又は形質細胞の80%未満が枯渇する、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記抗CD38抗体が、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで皮下投与される、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗CD38抗体が、組換えヒトヒアルロニダーゼと共に皮下投与される、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ヒアルロニダーゼが、rHuPH20(配列番号22)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記自己免疫疾患が、関節炎、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、重症筋無力症、進行性多発性硬化症、IgG4関連疾患、シェーグレン症候群、免疫性血小板減少性紫斑病、移植拒絶反応、炎症性腸疾患、及びクローン病からなる群から選択される、請求項12~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記自己免疫疾患が、RAを含むか又はRAからなる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記自己免疫疾患が、SLEを含むか又はSLEからなる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記抗CD38抗体が、それぞれ配列番号6、7、及び8の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3のアミノ酸配列と、それぞれ配列番号9、10、及び11の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列とを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記抗CD38抗体が、配列番号4の重鎖可変領域配列及び配列番号5の軽鎖可変領域配列を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗CD38抗体が、配列番号12の重鎖配列及び配列番号13の軽鎖配列を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が、ヒトである、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年10月17日に出願された米国仮特許出願第62/747,107号の利益を主張するものである。上記出願の全教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(ASCIIテキストファイルでの資料の参照による組み込み)
本出願は、本出願と同時に提出された以下のASCIIテキストファイルに含まれる配列表を参照により組み込む。
a)ファイル名:01482025003_SequenceListing.txt;2019年10月16日作成、サイズ26KB。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、抗CD38抗体の皮下投与を提供する方法、及び抗CD38抗体の皮下投与による自己免疫疾患の治療を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
CD38は、受容体媒介接着及びシグナル伝達における機能を有すると共に、そのエクト酵素活性を介してカルシウム動員を媒介し、環状ADP-リボース(cADPR)及びADP-リボース(ADPR)の形成を触媒する、多機能タンパク質である。CD38は、サイトカインの分泌及び活性化、並びにリンパ球の増殖を媒介する(Funaro et al.,J Immunolog 145:2390-96,1990;Terhorst et al.,Cell 771-80,1981;Guse et al.,Nature 398:70-73,1999)。CD38はまた、そのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)グリコヒドラーゼ活性を介して、制御性T細胞区画の調節に関与している細胞外NAD+レベルを制御する(Adriouch et al.,Microbes Infect.14:1284-92,2012;Chiarugi et al.,Nature Reviews 12:741-52,2012)。Ca2+を介したシグナル伝達に加えて、CD38シグナル伝達は、T及びB細胞上の抗原受容体複合体又は他の種類の受容体複合体、例えばMHC分子とのクロストークを介して生じ、CD38は、いくつかの細胞応答だけでなく、IgG1のスイッチング及び分泌にも関与している。
【0005】
CD38は、造血細胞、例えば、胸腺髄質細胞、活性化T細胞及びB細胞、休止ナチュラルキラー(NK)細胞及び単球、リンパ節胚中心リンパ芽球、形質B細胞、濾胞内細胞、並びに樹状細胞で発現するII型膜貫通糖タンパク質である。正常な骨髄細胞の一部、特定の前駆細胞、並びに臍帯細胞は、CD38陽性である。リンパ球前駆細胞に加えて、CD38は赤血球及び血小板でも発現し、腸、脳、前立腺、骨、及び膵臓などのいくつかの固形組織においても発現がみられる。成熟した休止T細胞及びB細胞は、表面CD38がないものに制限されて発現する。
【0006】
CD38は、多発性骨髄腫、白血病、及びリンパ腫を含む様々な悪性血液疾患、例えば、B細胞慢性リンパ性白血病、T細胞及びB細胞急性リンパ性白血病、ワルデンストレームマクログロブリン血症、原発性全身性アミロイドーシス、マントル細胞リンパ腫、前リンパ球性/骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、大顆粒リンパ性(LGL)白血病、NK細胞白血病、及び形質細胞白血病でも発現する。CD38の発現は、前立腺の腺上皮、膵臓の島細胞、耳下腺を含む腺の導管上皮、気管支上皮細胞、精巣及び卵巣の細胞、並びに結腸直腸腺癌における腫瘍上皮を含む異なる起源の上皮/内皮細胞に関して記載されている。CD38発現が関与している可能性がある他の疾患としては、例えば、肺の気管支上皮癌、乳癌(乳管及び乳腺小葉における上皮層の悪性増殖から発生)、ベータ細胞から発生する膵臓腫瘍(インスリノーマ)、消化管の上皮から発生する腫瘍(例えば、腺癌及び扁平上皮癌)、前立腺における癌、並びに精巣におけるセミノーマ、及び卵巣癌が挙げられる。中枢神経系においては、神経芽細胞腫がCD38を発現する。
【0007】
DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)は、CD38に結合するヒト免疫グロブリンG1カッパ(IgG1κ)モノクローナル抗体(mAb)である。これは、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、及び抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)を含む様々な機構によって、高レベルのCD38を発現する腫瘍細胞を枯渇させる標的化免疫療法であり、米国及び他の国々における処方情報に従って多発性骨髄腫を有する患者を治療するための単剤療法として又は併用療法として承認されている。
【0008】
したがって、ダラツムマブの安全性プロファイルは、静脈内投与された場合のMM患者においてよく特徴付けられている。多発性骨髄腫患者に皮下投与されたダラツムマブの安全性についての研究も行われてきた。しかしながら、CD38の発現は、健常対象及び他の疾患の患者で観察されるCD38レベルと比較して、MM患者などの腫瘍患者においてより高い。CD38発現レベルが高いことから、比較的高用量のダラツムマブがMM患者に皮下投与されており、投与を容易にするためにダラツムマブを組換えヒトヒアルロニダーゼと組み合わせる必要がある。したがって、腫瘍患者ではCD38+細胞量がより多いことから、MM患者におけるダラツムマブの薬物動態(PK)及び薬力学(PD)は、非腫瘍集団におけるものとは大きく異なる可能性が高い。
【0009】
関節リウマチ(RA)では、CD38及び形質細胞関連遺伝子が、疾患の全ての段階でRA患者の滑膜組織において高度に発現する(Owczarczyk et al.,Sci Transl.Med.3(101):101ra92,2011;Chang et al.Clin.Exp.Immunol.176(2):222-31,2014)。形質細胞は、抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)及びリウマチ因子(RF)(IgG分子の断片結晶性(Fc)部分に対する自己抗体)などの自己抗体並びにRAにおける他の構造タンパク質に対する抗体の主要産生体としての病原性役割を有する(Aletaha et al.Arthritis Res.Ther.17:229,2015;Gonzalez et al.J.Rheumatol.35:1009-14;2008;van Gaalen et al.Arthritis Rheum.50:2113-21,2004;Barra et al.Rheumatology,50:311-16,2011;Nell-Duxneuner et al.Ann.Rheum.Dis.,69:169-74,2010)。したがって、CD38を標的として形質細胞を選択的に枯渇させ、改変して、RA及び他の自己免疫疾患の病態形成に影響を及ぼすことができる。しかしながら、CD38を発現する細胞の種類(例えば、形質芽細胞/形質細胞(PB_PC)、NK細胞、B細胞、T細胞など)及び健常成人におけるCD38細胞表面発現のレベルは、RAを有する成人におけるものと同等である(Honda et al.Annu.Rev.Immunol.30:759-95,2012;Chang et al.Clin.Exp.Immunol.176(2):222-31,2014)。したがって、腫瘍患者におけるダラツムマブのPK及びPDが、RA及び全身性エリテマトーデス(SLE)などの他の自己免疫疾患を有する患者におけるPK及びPDを代表する可能性は低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、RA又はSLEなどの自己免疫疾患を有すると診断された又は有すると疑われる対象に、特に皮下経路を介して安全に投与することができる、ダラツムマブなどの抗CD38抗体の投薬量(dosage)範囲を決定する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、自己免疫疾患を有すると診断された又は有すると疑われる対象などの対象へのダラツムマブなどの抗CD38抗体の皮下投与に関する。
【0012】
本発明の全般的な一態様は、それを必要としている対象に抗CD38抗体の皮下投与を提供する方法であって、当該抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を当該対象に皮下投与することを含み、投与される当該抗CD38抗体の総投薬量(total dosage)が、投与1回当たり約10mg~約2,400mgである、方法に関する。
【0013】
本発明の全般的な別の態様は、それを必要としている対象における自己免疫疾患の治療を提供する方法であって、抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を当該対象に皮下投与することを含み、投与される当該抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約2,400mgである、方法に関する。
【0014】
本発明の全般的な更に別の態様は、それを必要としている対象に抗CD38抗体の皮下投与を提供する方法であって、当該抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を当該対象に皮下投与することを含み、当該抗CD38抗体が、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで皮下投与される、方法に関する。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、それぞれ配列番号6、7、及び8のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3と、それぞれ配列番号9、10、及び11のアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3とを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、投与1回当たりの抗CD38抗体の総投薬量は、単回皮下注射で投与される。
【0017】
いくつかの実施形態では、投与1回当たりの抗CD38抗体の総投薬量は、2、3、4、又は5回の皮下注射などの複数回の皮下注射で投与される。
【0018】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドが、抗CD38抗体の投与前に対象に好ましくは経口で投与され、任意選択で、抗CD38抗体の投与後に再投与される。
【0019】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドトはプレドニゾンである。
【0020】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の結果、当該抗CD38抗体の投与の4週間後にナチュラルキラー(NK)細胞又は形質細胞の80%未満が枯渇する。
【0021】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の結果、4週間以内にナチュラルキラー(NK)細胞又は形質細胞の80%超が枯渇する。
【0022】
他の実施形態では、抗CD38抗体は、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで皮下投与される。
【0023】
いくつかの実施形態では、それを必要としている対象は、ループス(狼瘡)、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、乾癬性関節炎、脈管炎、手術による癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫性ぶどう膜炎、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化性肺胞炎、グレーブス病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ヴェゲナー肉芽腫症、その他の自己免疫疾患、膵炎、外傷(手術)、移植片対宿主病、移植拒絶反応、心筋梗塞並びにアテローム性動脈硬化症などの虚血性疾患を含む心臓疾患、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、変形性関節症、歯周炎及び低塩酸症、胎児-母体寛容の欠如に関連する不妊症、白斑、重症筋無力症、又は全身性硬化症からなる群から選択される疾患を有する又は有すると疑われる。
【0024】
本発明の実施形態によれば、自己免疫疾患は、関節炎、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、重症筋無力症、進行性多発性硬化症、IgG4関連疾患、シェーグレン症候群、免疫性血小板減少性紫斑病、移植拒絶反応、炎症性腸疾患、及びクローン病からなる群から選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、RAである。
【0026】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、SLEである。
【0027】
好ましくは、対象はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】CD38
+NK細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+NK(CD56
+)細胞を計数した。総NK細胞数を、CD45
+CD3
-CD56
+細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図1B】CD38
+NK細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+NK(CD56
+)細胞を計数した。総NK細胞数を、CD45
+CD3
-CD56
+細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図2A】CD38
+NK(CD56
+)細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+NK(CD56
+)細胞を計数した。親CD45
+CD3
-CD56
+CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+NK細胞の割合を示す。末梢NK細胞の大部分(>95%)がCD38
+であることに留意されたい。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図2B】CD38
+NK(CD56
+)細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+NK(CD56
+)細胞を計数した。親CD45
+CD3
-CD56
+CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+NK細胞の割合を示す。末梢NK細胞の大部分(>95%)がCD38
+であることに留意されたい。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図3A】CD38
+形質芽細胞/形質(PB_PC)細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+PB_PC細胞を計数した。総PB_PC細胞数を、CD45
+CD3
-CD19
+CD20
-CD27
+IgD
-細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図3B】CD38
+形質芽細胞/形質(PB_PC)細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+PB_PC細胞を計数した。総PB_PC細胞数を、CD45
+CD3
-CD19
+CD20
-CD27
+IgD
-細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図4A】CD38
+PB_PC細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+PB_PC細胞を計数した。親CD45
+CD3
-CD19
+CD20
-CD27
+IgD
-CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+PB_PC細胞の割合を示す。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図4B】CD38
+PB_PC細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+PB_PC細胞を計数した。親CD45
+CD3
-CD19
+CD20
-CD27
+IgD
-CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+PB_PC細胞の割合を示す。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図5A】CD38
+リンパ球細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回皮下投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+リンパ球を計数した。総リンパ球数を、CD45
+細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図5B】CD38
+リンパ球細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回皮下投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+リンパ球を計数した。総リンパ球数を、CD45
+細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図6A】CD38
+リンパ球細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+リンパ球を計数した。親CD45
+CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+リンパ球細胞の割合を示す。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図6B】CD38
+リンパ球細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+リンパ球を計数した。親CD45
+CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+リンパ球細胞の割合を示す。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図7A】CD38
+Tリンパ球細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+Tリンパ球を計数した。総Tリンパ球数を、CD45
+CD3
+細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図7B】CD38
+Tリンパ球細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+Tリンパ球を計数した。総Tリンパ球数を、CD45
+CD3
+細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図8A】CD38
+Tリンパ球細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+Tリンパ球を計数した。親CD45
+CD3
+CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+Tリンパ球細胞の割合を示す。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図8B】CD38
+Tリンパ球細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+Tリンパ球を計数した。親CD45
+CD3
+CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+Tリンパ球細胞の割合を示す。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図9A】CD38
+Bリンパ球細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+Bリンパ球を計数した。総Bリンパ球数を、CD45
+CD19
+細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図9B】CD38
+Bリンパ球細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+Bリンパ球を計数した。総Bリンパ球数を、CD45
+CD19
+細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図10A】CD38
+Bリンパ球細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+Bリンパ球を計数した。親CD45
+CD19
+CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+Bリンパ球細胞の割合を示す。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図10B】CD38
+Bリンパ球細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+Bリンパ球を計数した。親CD45
+CD19
+CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+Bリンパ球細胞の割合を示す。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図11A】CD38
+単球細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+単球細胞を計数した。総単球細胞数を、CD45
+CD3
-CD19
-CD56
-CD14
+CD16
-細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図11B】CD38
+単球細胞数に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+単球細胞を計数した。総単球細胞数を、CD45
+CD3
-CD19
-CD56
-CD14
+CD16
-細胞集団内のCD38
+細胞の中央値数として示す。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図12A】CD38
+単球細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+単球細胞を計数した。親CD45
+CD3
-CD19
-CD56
-CD14
+CD16
-CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+単球細胞の割合を示す。プレドニゾンなしで0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【
図12B】CD38
+単球細胞の割合に対するダラツムマブの効果を示す。0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で治療した対象から縦方向に収集した全血サンプルから単離したPBMCにおいて、フローサイトメトリーを介してCD38
+単球細胞を計数した。親CD45
+CD3
-CD19
-CD56
-CD14
+CD16
-CD38
+細胞集団内のベースラインと比較した治療後に残存するCD38
+単球細胞の割合を示す。40mgの経口プレドニゾンと組み合わせて0日目にプラセボ又はダラツムマブの単回投与で対象を治療した。
【発明を実施するための形態】
【0029】
例示的実施形態の記述が以下に続く。
【0030】
例示的実施形態について具体的に示し、記載してきたが、当業者らは、添付の特許請求の範囲に包含される実施形態の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更を行い得ることを理解する。
【0031】
背景技術において、また、本明細書全体を通じて各種刊行物、論文及び特許を引用又は記載する。これら参照文献の各々はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、行為、材料、装置、物品などについての考察は、本発明のコンテキストを与えるためのものである。かかる考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいかなる発明に対しても先行技術の一部を構成することを認めるものではない。
【0032】
リストが提示される場合、特に指定しない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストの全ての組み合わせは別個の実施形態であることを、理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈されるべきである。
【0033】
特に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有するものである。本明細書に引用する全ての特許、公開された特許出願及び刊行物は、参照によってあたかもその全体が本明細書に記載されているものと同様にして組み込まれる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈上明らかでない限り、複数の指示対象物を含むことに留意すべきである。
【0034】
特に断らない限り、本明細書に記載される濃度又は濃度範囲などのあらゆる数値は、全ての場合において、「約」なる語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、数値は、典型的には、記載される値の±10%を含む。例えば、投薬量10mgは、9mg~11mgを含む。本明細書で使用するとき、数値範囲の使用は、特に文脈上明示的に指定されていない限り、その範囲内の整数及び値の分数を含む、全ての可能な部分範囲、その範囲内の全ての個々の数値を明示的に含む。
【0035】
本明細書及び以下の特許請求の範囲全体を通して、特に文脈上必要としない限り、用語「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、指定の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を含むが、任意の他の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を除外するものではないことを意味すると理解されるであろう。本明細書で使用するとき、用語「含む」は、用語「含有する」又は「含む(including)」に置き換えることができ、又はときに本明細書で使用するとき、用語「有する」に置き換えることもできる。
【0036】
本明細書で使用するとき、「からなる」は、特許請求の範囲の要素において指定されていない任意の要素、ステップ、又は成分を除外する。本明細書で使用するとき、「から本質的になる」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又はステップは除外しない。本発明の態様又は実施形態の文脈において本明細書で使用するときは常に、本開示の範囲を変化させるために、「含む(comprising)」、「含有する」、「含む(including)」、及び「有する」という上記用語のいずれかを、用語「からなる」又は「から本質的になる」に置き換えることができる。
【0037】
本明細書で使用するとき、複数の列挙された要素間の接続的な用語「及び/又は」は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしに第1の要素が適用可能であることを指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。
【0038】
用語「対象」及び「患者」は、本明細書では互換的に使用することができる。「それを必要としている患者」又は「それを必要としている対象」とは、本発明の方法に従って抗CD38抗体が投与される又は投与された、疾患を有すると診断された又は有すると疑われる哺乳類対象、好ましくはヒトを指す。「それを必要としている患者」又は「それを必要としている対象」は、望ましくない生理学的変化又は疾患を既に有している対象、並びに当該生理学的変化又は疾患を有しやすい傾向のある対象を含む。
【0039】
「自己免疫疾患」は、免疫系が誤って体内の健常細胞を攻撃する疾患である。自己免疫疾患の診断は、臨床的診断検査、対象の理学的検査、又は特定の自己免疫疾患を有する対象を診断するための任意の他の認められた方法に従って臨床医により行うことができる。「自己免疫疾患を有すると疑われる患者」又は「自己免疫疾患を有すると疑われる対象」は、臨床医及び/又は対象が識別可能な自己免疫疾患を示唆する徴候又は症状を呈しているが、その疑われるとされた診断が、臨床的診断検査、対象の理学的検査、又は自己免疫疾患が疑われる対象を診断するための他の認められている方法によって確認されてはいない対象である。また、治療され得る対象は、自己免疫疾患を有する傾向があるか若しくは有しやすい対象、又は自己免疫疾患が予防される対象を含む。
【0040】
「CD38」は、ヒトCD38タンパク質(同義語:ADPリボシルシクラーゼ1、cADPrヒドロラーゼ1、環状ADPリボースヒドロラーゼ1)を指す。ヒトCD38は、GenBank受入れ番号NP 001766に、及び配列番号1に示されているアミノ酸配列を有する。CD38が、細胞質ドメインを表すアミノ酸残基1~21と、膜貫通ドメインを表すアミノ酸残基22~42と、CD38の細胞外ドメインを表す残基43~300と、を有する単一パスタイプII膜タンパク質であることは周知である。
【0041】
配列番号1
MANCEFSPVSGDKPCCRLSRRAQLCLGVSILVLILVVVLAVVVPRWRQQWSGPGTTKRFPETVLARCVKYTEIHPEMRHVDCQSVWDAFKGAFISKHPCNITEEDYQPLMKLGTQTVPCNKILLWSRIKDLAHQFTQVQRDMFTLEDTLLGYLADDLTWCGEFNTSKINYQSCPDWRKDCSNNPVSVFWKTVSRRFAEAACDVVHVMLNGSRSKIFDKNSTFGSVEVHNLQPEKVQTLEAWVIHGGREDSRDLCQDPTIKELESIISKRNIQFSCKNIYRPDKFLQCVKNPEDSSCTSEI
【0042】
「エピトープ」は、抗体が特異的に結合する抗原の部分を指す。エピトープは、典型的には、化学的に活性な(極性、非極性又は疎水性など)部分の表面集団、例えばアミノ酸又は多糖側鎖などの部分の表面集団からなり、特定の三次元構造特性並びに特定の電荷特性を有し得る。エピトープは、立体配座上の空間単位を形成する連続的な及び/又は不連続なアミノ酸によって構成され得る。不連続なエピトープでは、抗原の直鎖配列の異なる部分にあるアミノ酸が、タンパク質分子の折り畳みにより三次元空間でごく近接するようになる。
【0043】
「抗体」は、広義の意味を有し、マウス、ヒト、ヒト化及びキメラモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体、抗原結合断片、二重特異性又は多重特異性抗体、二量体、四量体又は多量体抗体、一本鎖抗体、ドメイン抗体、並びに必要とされる特異性の抗原結合部位を含む任意の他の修飾された立体配置の免疫グロブリン分子を含む、免疫グロブリン分子を含む。「全長抗体」は、ジスルフィド結合により相互に連結されている2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖、並びにそれらの多量体(例えば、IgM)を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジCH2、及びCH3からなる)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)及び軽鎖定常領域(constant region、CL)から構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)が散在しており相補性決定領域(CDR)と呼称される超可変領域に更に細分類され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって次の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で並ぶ3つのCDRと4つのFR断片とから構成される。
【0044】
「相補性決定領域(CDR)」は、抗体における「抗原結合部位」である。CDRは、様々な用語を用いて定義され得る:(i)VH内に3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)及びVL内に3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)の相補性決定領域(CDR)は、配列多様性に基づいている(Wu and Kabat,J Exp Med 132:211-50,1970;Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)。(ii)VH内に3つ(H1、H2、H3)及びVL内に3つ(L1、L2、L3)の「超可変性領域」、「HVR」、又は「HV」は、Chothia及びLesk(Chothia and Lesk Mol Biol 196:901-17,1987)により定義されるとおり、構造において超可変性である、抗体可変ドメインの領域を指す。International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース(http://www_imgt_org)は、抗原結合部位についての標準的番号及び定義を提供する。CDR、HV、及びIMGTの表記の間の対応については、Lefranc et al.,Dev.Comparat.Immunol.27:55-77,2003に記載されている。本明細書で使用されている「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」という用語は、本明細書において別途記載のない限り、上掲のKabat、Chothia、又はIMGTにより記載されている方法のいずれかにより定義されるCDRを含む。
【0045】
免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。いずれの脊椎動物種の抗体軽鎖も、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて2つの明確に異なるタイプ、すなわちカッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てられ得る。
【0046】
「抗原結合断片」は、元の完全長抗体の抗原結合特性を保持している免疫グロブリン分子の部分を指す。例示的な抗原結合断片は、重鎖相補性決定領域(HCDR)1、2及び/若しくは3、軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、2及び/若しくは3、重鎖可変領域(VH)、又は軽鎖可変領域(VL)、Fab、F(ab’)2、Fd及びFv断片、並びに1つのVHドメイン又は1つのVLドメインからなるドメイン抗体(dAb)としてある。VHドメイン及びVLドメインは、合成リンカーを介して1つに連結されることにより様々な種類の一本鎖抗体の設計を形成可能であり、ここでVH/VLドメインは、分子内で対形成するか、又はVHドメイン及びVLドメインが別々の鎖によって発現される場合には分子間で対形成して、一本鎖Fv(scFv)などの一価の抗原結合部位又は二重特異性抗体を形成する。これは、例えば、国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号、同第1992/01047号に記載されている。
【0047】
「モノクローナル抗体」は、抗体重鎖からC末端リジンを除去するなどの可能な周知の変更を除き、各重鎖及び各軽鎖において単一のアミノ酸組成を有する抗体集団を指す。モノクローナル抗体は、2つ以上の異なる抗原又はエピトープに結合する多重特異性のモノクローナル抗体以外は、典型的には1つの抗原性エピトープに結合する。二重特異性のモノクローナル抗体は、2つの異なる抗原性エピトープに結合する。モノクローナル抗体は、抗体集団内で不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性若しくは多重特異性、又は一価、二価、若しくは多価であり得る。用語モノクローナル抗体には、二重特異性抗体又は三重特異性抗体などの多重特異性抗体が含まれる。
【0048】
「抗CD38抗体」とは、他の抗原よりも高い親和性でCD38に結合する抗体を指す。典型的には、抗体は、約1×10-8M以下、例えば、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、又は約1×10-12M以下の平衡解離定数(KD)で、典型的には、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合についてのKDより少なくとも1/100低いKDでCD38に結合する。KDは、標準的な手順を使用して測定することができる。しかしながら、CD38に特異的に結合する抗体は、他の関連抗原、例えば、サル、例えばカニクイザル(Macaca fascicularis)、チンパンジー(Pan troglodytes)、又はコモンマーモセット(Callithrix jacchus)などの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有する場合がある。一実施形態では、抗CD38抗体は、CD38のアミノ酸残基233~246及び267~280を含むヒトCD38上のエピトープに結合する。
【0049】
「単離抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体又はその抗原結合断片を指す(例えば、ヒトCD38に特異的に結合する単離抗体は、ヒトCD38以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。二重特異性抗体の場合、二重特異性抗体は、対象の2つの抗原に特異的に結合し、対象のその2つの抗原以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない。「単離抗体」は、純度が80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の抗体など、高純度に単離された抗体を包含する。
【0050】
「ヒト化抗体」とは、抗原結合部位がヒト以外の種に由来しかつ可変領域フレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する、抗体を指す。ヒト化抗体は、フレームワーク領域内に意図的に導入された変異を含む可能性があることから、かかるフレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又は生殖系列遺伝子配列の完全な複製物でなくてもよい。
【0051】
「ヒト抗体」とは、フレームワーク及び抗原結合部位の両方がヒト起源の配列に由来する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗体を指す。抗体が定常領域又は定常領域の一部を含む場合、定常領域もヒト起源の配列に由来する。
【0052】
ヒト抗体は、抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合のヒト由来の配列に由来する重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を含む。そのような系の例示的なものには、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及び本明細書に記載されるヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するマウス又はラットなどといった、ヒト以外の遺伝子導入動物がある。ヒト抗体は、例えば天然に存在する体細胞変異、フレームワーク又は抗原結合部位への意図的な置換の導入、並びにヒト以外の動物におけるクローニング及びVDJ組換えの最中に導入されたアミノ酸変化により、ヒト生殖系列又は再編成された免疫グロブリン配列と比較した場合に、アミノ酸の相違を典型的に含み得る。典型的には、ヒト抗体は、アミノ酸配列において、ヒト生殖系列又は再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である。いくつかの場合では、ヒト抗体は、例えばKnappik et al.,J Mol Biol 296:57-86,2000に記載されているとおりのヒトフレームワーク配列分析から得られたコンセンサスフレームワーク配列、又は例えばShi et al.,J Mol Biol 397:385-96,2010及び国際特許公開第2009/085462号に記載されているとおりのファージにディスプレイされたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた合成HCDR3を含有し得る。
【0053】
抗原結合部位がヒト以外の種に由来する抗体は、ヒト抗体の定義には含まれない。
【0054】
「組換え」には、組換え法によって調製、発現、作製、又は単離される抗体及びその他のタンパク質を含む。
【0055】
「変異体」とは、例えば、置換、挿入、又は欠失といった1つ以上の改変によって参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチドと異なるポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
【0056】
「~と組み合わせて」とは、2つ以上の治療薬を、混合物の状態で一緒に、単剤として同時に、又は単剤として任意の順序で逐次、対象に投与することを意味する。
【0057】
「医薬組成物」とは、抗CD38抗体とヒアルロニダーゼとを組み合わせることによって得られた生成物を指し、固定組み合わせ及び非固定組み合わせの両方を含む。医薬組成物は、典型的には、医薬的に許容される担体を含む。「固定組み合わせ」とは、単一の実体又は投薬量の形態で同時に投与される抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼを含む単一の医薬組成物を指す。「非固定組み合わせ」とは、抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼの別々の医薬組成物又は単位剤形が、異なる実体として、特定の中断時間の制限なしに同時に、併行的に、又は逐次のいずれかで投与されることを指し、ここで、そのような投与は、対象の体内で2つの化合物の有効なレベルを提供する。
【0058】
「医薬的に許容される担体」とは、対象に対して毒性のない有効成分以外の医薬組成物中の成分を指す。医薬的に許容される担体は、緩衝液、賦形剤、安定剤又は防腐剤を含むが、これらに限定されない。
【0059】
「治療する」、「治療している」、又は「治療」とは、その目的が、望ましくない生理学的変化若しくは疾患を減速させる(減弱する)か又は治療中に有益な若しくは所望の臨床転帰を提供することである治療的処置を指す。有益な又は所望の臨床転帰としては、症状の軽減、疾患の程度の低下、安定化した(すなわち、悪化しない)疾患状態、疾患の進行の遅延又は鈍化、疾患状態の改善又は緩和、疾患の寛解(部分であろうと完全であろうと、検出可能であろうと検出不能であろうと)、並びに対象が治療を受けなかったか又は別の治療を受けた場合の予想生存期間と比較した生存期間の延長が挙げられる。
【0060】
「安全」とは、抗CD38抗体(ダラツムマブなど)を含む治療薬又は薬物を用いる組成物、投与、投与レジメン、治療、又は方法に関するとき、標準治療又は別の比較薬と比べて、有害事象(adverse event、AE)及び/又は治療下で発現した有害事象(treatment-emergent adverse event、TEAE)の頻度及び/又は重篤度が許容可能である、良好なベネフィット:リスク比を指す。
【0061】
「安全な治療を提供する方法」又は「安全な投与を提供する方法」とは、対象に投与されたときに、許容不可能な有害事象を引き起こすことなく治療又は医薬組成物の利益を提供するのに有効な投与方法を指す。
【0062】
「有害事象」又は「AE」とは、ダラツムマブなどのCD38に特異的に結合する抗体が投与された対象における任意の有害なメディカルオカレンスを指す。AEは、必ずしも治療と因果関係を有するわけではない。したがって、AEとは、ダラツムマブなどのCD38に特異的に結合する抗体に関連していようといまいと、(治験用又は非治験用)医薬品の使用と時間的に関連する、あらゆる好ましくなくかつ意図しない徴候(異常な所見を含む)、症状、又は疾患であり得る。
【0063】
「治療下で発現した有害事象」(TEAE)とは、本明細書で使用するとき、臨床試験を設計、実施、又は審査する当業者には理解されるような慣習的な意味を有し、帰属が可能であるか、恐らく帰属するか、又は帰属する可能性が高い場合に、CD38に特異的に結合する抗体の使用に関連すると考えられるAEを指す。
【0064】
「許容不可能な有害事象」及び「許容不可能な有害反応」は、医薬組成物又は治療薬の投与に関連する又は当該投与によって引き起こされる全ての有害な又は望ましくない転帰を意味するものであり、当該有害な又は望ましくない転帰は、提案された使用について許容不可能な医薬組成物又は治療薬であると規制当局がみなすような重篤度のレベルに達している。抗CD38抗体の皮下投与に関連して使用するとき、許容不可能な有害事象又は反応の例としては、血小板減少症、好中球減少症、重篤な全身注射関連反応、及び特定の指定のレベルを下回るまでCD38+細胞が枯渇することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
「治療的に有効な量」とは、必要とされる用量及び期間において、所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。治療的に有効な量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに個体において所望の応答を引き出す治療薬又は治療薬の組み合わせの能力によって様々であってよい。有効な治療薬又は治療薬の組み合わせの例示的な指標としては、例えば、対象の健康状態の改善、腫瘍量の減少、腫瘍の成長の停止若しくは鈍化、及び/又は体内の他の場所への癌細胞の転移の不在が挙げられる。
【0066】
「担体」又は「医薬担体」とは、任意の賦形剤、希釈剤、緩衝液、安定剤、又は医薬製剤に関する技術分野において公知の他の材料を指す。
【0067】
「コルチコステロイド」とは、副腎皮質で産生されるか又は合成的に生成されるステロイドホルモンのクラスを指し、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、及びプレドニゾンを指す。デキサメタゾンは、商品名DECARON(登録商標)として市販されている。
【0068】
「皮下投与」とは、薬物又は治療薬を皮膚と筋肉との間の組織層に注射する、皮膚の下への投与を指す。皮下投与を介して投与される薬剤は、通常、静脈内に注入される場合よりもゆっくりと吸収される。
【0069】
「投薬量」とは、対象によって摂取される治療薬又は薬物の量、及び対象によって摂取される治療薬の回数の頻度に関する情報を指す。「用量」とは、各回に摂取される治療薬又は薬物の量又は分量を指す。
【0070】
本発明の一態様は、それを必要としている対象に抗CD38抗体の皮下投与(例えば、安全な皮下投与)を提供する方法であって、当該抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を当該対象に皮下投与することを含む方法に関する。
【0071】
方法は、例えばRA又はSLEといった自己免疫疾患を有する対象など、抗CD38抗体療法を必要としている対象を治療するのに有用である。
【0072】
本発明の別の態様は、それを必要としている対象に自己免疫疾患の治療を提供(例えば、安全な治療を提供)する方法であって、抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を当該対象に皮下投与することを含む、方法に関する。
【0073】
いくつかの実施形態では、対象は、自己免疫疾患を有すると診断されている。
【0074】
いくつかの実施形態では、対象は、自己免疫疾患を有すると疑われる。
【0075】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、CD38を標的とする療法による治療に応答する。
【0076】
いくつかの実施形態では、それを必要としている対象は、狼瘡、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、乾癬性関節炎、脈管炎、手術による癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫性ぶどう膜炎、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化性肺胞炎、グレーブス病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ヴェゲナー肉芽腫症、その他の自己免疫疾患、膵炎、外傷(手術)、移植片対宿主病、移植拒絶反応、心筋梗塞並びにアテローム性動脈硬化症などの虚血性疾患を含む心臓疾患、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、変形性関節症、歯周炎及び低塩酸症、胎児-母体寛容の欠如に関連する不妊症、白斑、重症筋無力症、又は全身性硬化症からなる群から選択される疾患を有する又は有すると疑われる。
【0077】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、関節炎、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、重症筋無力症、進行性多発性硬化症、IgG4関連疾患、シェーグレン症候群、免疫性血小板減少性紫斑病、移植拒絶反応、炎症性腸疾患、又はクローン病から選択される。IgG4関連疾患は、リンパ球及びIgG4分泌形質細胞による組織浸潤並びに様々な程度の線維症(瘢痕)を特徴とする慢性炎症状態である。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法によって治療される自己免疫疾患はSLEである。
【0079】
いくつかの実施形態では、対象は、RAを有すると診断されている。
【0080】
いくつかの実施形態では、対象は、RAを有すると疑われる。
【0081】
いくつかの実施形態では、対象は、SLEを有すると診断されている。
【0082】
いくつかの実施形態では、対象は、SLEを有すると疑われる。
【0083】
いくつかの実施形態では、対象は、健常個体におけるCD38発現レベルと同等のCD38発現レベルを有する。
【0084】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、固定組み合わせである。
【0085】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非固定組み合わせである。
【0086】
本発明の医薬組成物において使用される抗CD38抗体はまた、例えば、ファージディスプレイライブラリからデノボ選択されてもよく、当該ライブラリでは、ファージが、ヒト免疫グロブリン又はその一部、例えば、Fab、一本鎖抗体(scFv)、又は対合していない若しくは対合している抗体可変領域を発現するよう遺伝子操作されている(Knappik et al.,J Mol Biol296:57-86,2000;Krebs et al.,J Immunol Meth254:67-84,2001;Vaughan et al.,Nature Biotechnology14:309-314,1996;Sheets et al.,PITAS(USA)95:6157-6162,1998;Hoogenboom and Winter,J Mol Biol227:381,1991;Marks et al.,J Mol Biol222:581,1991)。CD38結合可変ドメインは、例えば、Shi et al.,J.Mol Biol.397:385-96,2010及び国際公開第09/085462号)に記載されているとおり、バクテリオファージpIXコートタンパク質との融合タンパク質として抗体の重鎖及び軽鎖可変領域を発現するファージディスプレイライブラリから単離され得る。抗体ライブラリをヒトCD38細胞外ドメインへの結合についてスクリーニングして、得られた陽性クローンの特徴付けを更に行い、Fabはクローンライセートから単離され、その後全長抗体としてクローニングすることができる。ヒト抗体を単離するためのそのようなファージディスプレイ法は、当該技術分野にて確立されている。例えば、米国特許第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,580,717号、同第5,969,108号、同第6,172,197号、同第5,885,793号、同第6,521,404号、同第6,544,731号、同第6,555,313号、同第6,582,915号及び同第6,593,081号を参照のこと。
【0087】
抗体は、周知のインビトロ法を用いて、CD38への結合に関して、参照抗体、例えば配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む抗CD38抗体との競合について評価することができる。例えば、CD38を組換えにより発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を非標識参照抗体と共に4℃で15分間インキュベートし、続いて、過剰の蛍光標識した試験抗体と共に4℃で45分間インキュベートしてよい。PBS/BSA中での洗浄後、標準的な方法を用いてフローサイトメトリーにより蛍光を測定することができる。別の方法では、ヒトCD38の細胞外部分で、ELISAプレートの表面をコーティングしてもよい。過剰の非標識参照抗体を、約15分間添加し、その後ビオチン化試験抗体を添加することができる。PBS/Tween中で洗浄後、試験ビオチン化抗体の結合を、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)結合ストレプトアビジンと、標準的な方法を用いて検出されたシグナルとを用いて検出し得る。競合アッセイにおいて、参照抗体が標識され、試験抗体が標識されない場合があるということは、容易に明らかとなる。参照抗体が試験抗体の結合を阻害するか、又は試験抗体が参照抗体の結合を少なくとも80%、例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%阻害する場合、試験抗体は参照抗体と競合する。試験抗体のエピトープは、例えば、ペプチドマッピングにより、又は既知の方法を用いる水素/重水素保護アッセイにより、又は結晶構造判定により、更に特定され得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、ヒトCD38(配列番号1)のSKRNIQFSCKNIYR(配列番号2)の配列を有する領域及びEKVQTLEAWVIHGG(配列番号3)の配列を有する領域に少なくとも結合する。ヒトCD38(配列番号1)のSKRNIQFSCKNIYR(配列番号2)の配列を有する領域及びEKVQTLEAWVIHGG(配列番号3)の配列を有する領域に結合する抗体は、例えば、標準的な方法及び本明細書に記載の方法を用いて、配列番号2及び3に示すアミノ酸配列を有するペプチドでマウスを免疫し、例えばELISA又は変異誘発試験を用いて、得られた抗体を当該ペプチドとの結合に関して特徴付けることによって生成することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、ヒトモノクローナル抗体(mAb)又はその抗原結合断片である。
【0090】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4の重鎖可変領域(VH)及び配列番号5の軽鎖可変領域(VL)を含む抗体と、CD38に対する結合に関して競合する。
【0091】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるVHと、配列番号5のアミノ酸配列と95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるVLと、を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、それぞれ配列番号6、7、及び8のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3と、それぞれ配列番号9、10、及び11のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3と、を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号12の重鎖及び配列番号13の軽鎖を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、免疫グロブリンG1カッパ(IgG1カッパ)サブタイプのヒトmAb又はその抗原結合断片である。IgG1定常ドメイン内には、214、356、358、422、431、435、又は436位(EU付番に従った残基の付番)における変異を含むいくつかの変異が存在する(例えば、周知のアロタイプ)(例えば、IMGT Webリソース;IMGTレパートリー(IG及びTR);タンパク質及び対立遺伝子アレル;アロタイプを参照)。CD38に特異的に結合する抗体は、G1m17、G1m3、G1m1、G1m2、1m27、又はG1m28などの任意のIgG1アロタイプであってよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、ダラツムマブである。ダラツムマブは、それぞれ配列番号4及び5のアミノ酸配列を有するVH及びVL;それぞれ配列番号6、7及び8のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号9、10及び11のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み;IgG1/κサブタイプのものであり、米国特許第7,829,693号に記載されている。ダラツムマブは、配列番号12の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号13の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランド又はダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドのバイオ後続品である。ダラツムマブは、ハイブリドーマの産生を含むがこれらに限定されない、モノクローナル抗体を調製するための当該技術分野において公知の任意の方法によって調製することができる。例えば、ダラツムマブは、組換えDNA技術を使用して、哺乳類細胞株(例えば、CHO細胞株)で産生させることができる。ダラツムマブ及びダラツムマブの産生方法は、例えば、国際公開第2006099875号、米国特許第7829673号、同第2015246123号、及びde Weers et al.J.Immunol.186:1840-48,2011に更に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0098】
本発明の方法で使用することができる他の例示的な抗CD38抗体は、以下である:
米国特許第7,829,693号に記載される、それぞれ配列番号14及び15のVH配列及びVL配列を含むmAb003(mAb003のVH及びVLは、IgG1/κとして発現し得る);
米国特許第7,829,693号に記載されている、それぞれ配列番号16及び17のVH配列及びVL配列を含むmAb024(mAb024のVH及びVLは、IgG1/κとして発現し得る);
米国特許第8,088,896号に記載される、それぞれ配列番号18及び19のVH配列及びVL配列を含むMOR-202(MOR-03087)。(MOR-202のVH及びVLは、IgG1/κとして表現され得る);又は
イサツキシマブであって、米国特許第8,153,765号に記載される、それぞれ配列番号20及び21のVH配列及びVL配列を含むもの。(イサツキシマブのVH及びVLは、IgG1/κとして表現され得る)。
【0099】
本発明の医薬組成物において使用され得る他の例示的な抗CD38抗体としては、国際公開第05/103083号、同第06/125640号、同第07/042309号、同第08/047242号、又は同第14/178820号に記載されているものがある。
【0100】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、以下のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列を含む:
a.配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
b.配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
c.配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
d.配列番号20のVH及び配列番号21のVL。
【0101】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、以下を含む。
a.配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
b.配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
c.配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
d.配列番号20のVH及び配列番号21のVL。
【0102】
配列番号2
SKRNIQFSCKNIYR
配列番号3
EKVQTLEAWVIHGG
配列番号4
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFNSFAMSWVRQAPGKGLEWVSA
ISGSGGGTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKDK
ILWFGEPVFDYWGQGTLVTVSS
配列番号5
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYD
ASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPPTFGQ
GTKVEIK
配列番号6
SFAMS
配列番号7
AISGSGGGTYYADSVKG
配列番号8
DKILWFGEPVFDY
配列番号9
RASQSVSSYLA
配列番号10
DASNRAT
配列番号11
QQRSNWPPTF
配列番号12
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFNSFAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGGTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKDKILWFGEPVFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号13
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号14
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAFSWVRQAPGQGLEWMGRVIPFLGIANSAQKFQGRVTITADKSTSTAYMDLSSLRSEDTAVYYCARDDIAALGPFDYWGQGTLVTVSSAS
配列番号15
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPEKAPKSLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPRTFGQGTKVEIK
配列番号16
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFSNYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPHDSDARYSPSFQGQVTFSADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARHVGWGSRYWYFDLWGRGTLVTVSS
配列番号17
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPGLLIYDASNRASGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGGGTKVEIK
配列番号18
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYYMNWVRQAPGKGLEWVSGISGDPSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLPLVYTGFAYWGQGTLVTVSS
配列番号19
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLRHYYVYWYQQKPGQAPVLVIYGDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQTYTGGASLVFGGGTKLTVLGQ
配列番号20
QVQLVQSGAEVAKPGTSVKLSCKASGYTFTDYWMQWVKQRPGQGLEWIGT
IYPGDGDTGYAQKFQGKATLTADKSSKTVYMHLSSLASEDSAVYYCARGD
YYGSNSLDYWGQGTSVTVSS
配列番号21:
DIVMTQSHLSMSTSLGDPVSITCKASQDVSTVVAWYQQKPGQSPRRLIYS
ASYRYIGVPDRFTGSGAGTDFTFTISSVQAEDLAVYYCQQHYSPPYTFGG
GTKLEIK
【0103】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約10mg~約600mgである。
【0104】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約10mg~約550mgである。
【0105】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約15mg~約550mgである。
【0106】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約15mg~約500mgである。
【0107】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約25mg~約500mgである。
【0108】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約25mg~約450mgである。
【0109】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約40mg~約450mgである。
【0110】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約40mg~約400mgである。
【0111】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約60mg~約400mgである。
【0112】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約60mg~約350mgである。
【0113】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約100mg~約350mgである。
【0114】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約100mg~約300mgである。
【0115】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約150mg~約300mgである。
【0116】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約150mg~約250mgである。
【0117】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約200mg~約250mgである。
【0118】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり、約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、又は約600mgである。
【0119】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約200mgである。
【0120】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約350mgである。
【0121】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約600mgである。
【0122】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約10mg~約2,400mgである。
【0123】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約10mg~約2,000mgである。
【0124】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約20mg~約2,000mgである。
【0125】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約20mg~約1,500mgである。
【0126】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約50mg~約1,500mgである。
【0127】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約50mg~約1,000mgである。
【0128】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約100mg~約1,000mgである。
【0129】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約100mg~約500mgである。
【0130】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約200mg~約500mgである。
【0131】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり、約700mg、約800mg、約900mg、約1,000mg、約1,100mg、約1,200mg、約1,300mg、約1,400mg、約1,500mg、約1,600mg、約1,700mg、約1,800mg、約1,900mg、約2,000mg、約2,100mg、約2,200mg、約2,300mg、又は約2,400mgである。
【0132】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約1,000mgである。
【0133】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約1,500mgである。
【0134】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約2,000mgである。
【0135】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、投与1回当たり約2,400mgである。
【0136】
対象に投与される用量は、治療される疾患を緩和するか又は少なくとも部分的に停止させるのに十分であり(「治療的に有効な量」)、時に、0.005mg~約100mg/kg、例えば、約0.05mg~約30mg/kg若しくは約5mg~約25mg/kg、又は約4mg/kg、約8mg/kg、約16mg/kg、若しくは約24mg/kg、又は例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10mg/kgであってよいが、更に多量、例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90、若しくは100mg/kgであってもよい。
【0137】
医薬組成物中に含まれる抗CD38抗体の濃度は、変動し得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mg/mL~約180mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2mg/mL~約180mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2mg/mL~約175mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mg/mL~約175mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mg/mL~約170mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mg/mL~約170mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mg/mL~約165mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mg/mL~約165mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mg/mL~約160mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約40mg/mL~約160mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約40mg/mL~約155mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約60mg/mL~約155mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約60mg/mL~約150mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約80mg/mL~約150mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約80mg/mL~約145mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mg/mL~約145mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mg/mL~約140mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約110mg/mL~約140mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約110mg/mL~約135mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約115mg/mL~約135mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約115mg/mL~約130mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約120mg/mL~約130mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mg/mL、約2mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、又は約180mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約120mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約140mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0164】
本発明の方法におけるCD38に特異的に結合する抗体は、保存のために凍結乾燥させ、使用前に好適な担体で再構成することができる。この技術は、従来のタンパク質調製物に関して有効であることが示されており、周知の凍結乾燥及び再構成技術を用いることができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、組換えヒトヒアルロニダーゼ(例えば、rHuPH20)と共に皮下投与される。ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸(EC3.2.1.35)を分解し、細胞外マトリクス中のヒアルロナンの粘性を低下させることにより組織の透過性を高める酵素である。
【0166】
典型的には抗体溶液及び組成物に必要であるとき、より大きな体積を皮下投与する場合、皮下組織の細胞外マトリックスが問題となる。皮下組織における脂肪細胞の外側の空間は、流体ではなく、対流力を緩衝するグリコサミノグリカンリッチな粘弾性ゲル内に埋め込まれたコラーゲン原線維の固体細胞外マトリックスである。細胞外マトリックスは、単一部位に注射することができる薬物の体積、並びに血管区画に到達する速度及び量を制限する。したがって、抗体とrHuPH20などの組換えヒトヒアルロニダーゼとを共製剤化又は共投与することにより、注射体積及び皮下注射からの生物学的利用能を増加させることができた。
【0167】
rHuPH20を含むヒアルロニダーゼの酵素活性は、1mL当たりの単位(U/mL)又は特定の製剤における全酵素活性(U)によって定義することができる。酵素活性の1単位(U)の標準的な定義は、1分間当たり1nmolの基質の反応を触媒する酵素の量である。
【0168】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50U/mL~約5,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約500U/mL~約5,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1,000U/mL~約5,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,000U/mL~約5,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50U/mL~約2,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約500U/mL~約2,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1,000U/mL~約2,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約500U/mL、約600U/mL、約700U/mL、約800U/mL、約900U/mL、約1,000U/mL、約1,100U/mL、約1,200U/mL、約1,300U/mL、約1,400U/mL、約1,500U/mL、約1,600U/mL、約1,700U/mL、約1,800U/mL、約1,900U/mL、約2,000U/mL、約2,100U/mL、約2,200U/mL、約2,300U/mL、約2,400U/mL、約2,500U/mL、約2,600U/mL、約2,700U/mL、約2,800U/mL、約2,900U/mL、約3,000U/mL、約3,100U/mL、約3,200U/mL、約3,300U/mL、約3,400U/mL、約3,500U/mL、約3,600U/mL、約3,700U/mL、約3,800U/mL、約3,900U/mL、約4,000U/mL、約4,100U/mL、約4,200U/mL、約4,300U/mL、約4,400U/mL、約4,500U/mL、約4,600U/mL、約4,700U/mL、約4,800U/mL、約4,900U/mL又は約5,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約500U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約750U~約75,000Uのヒアルロニダーゼを含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約7,500U~約45,000Uのヒアルロニダーゼを含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約30,000U~約45,000Uのヒアルロニダーゼを含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約7,500U、約8,000U、約8,500U、約9,000U、約10,000U、約15,000U、約20,000U、約21,000U、約22,000U、約23,000U、約24,000U、約25,000U、約26,000U、約27,000U、約28,000U、約29,000U、約30,000U、約31,000U、約32,000U、約33,000U、約34,000U、約35,000U、約36,000U、約37,000U、約38,000U、約39,000U、約40,000U、約41,000U、約42,000U、約43,000U、約44,000U、約45,000U、約46,000U、約47,000U、約48,000U、約49,000U、約50,000U、約55,000U、約60,000U、約65,000U、約70,000U又は約75,000Uのヒアルロニダーゼを含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5,000mgの抗CD38抗体と、約30,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5,000mgの抗CD38抗体と、約45,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約3,000mgの抗CD38抗体と、約30,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約3,000mgの抗CD38抗体と、約45,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,800mgの抗CD38抗体と、約30,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,800mgの抗CD38抗体と、約45,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,600mgの抗CD38抗体と、約30,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,600mgの抗CD38抗体と、約45,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,400mgの抗CD38抗体と、約30,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,400mgの抗CD38抗体と、約45,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,200mgの抗CD38抗体と、約30,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,200mgの抗CD38抗体と、約45,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,000mgの抗CD38抗体と、約30,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,000mgの抗CD38抗体と、約45,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1,800mgの抗CD38抗体と、約30,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1,800mgの抗CD38抗体と、約45,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1,600mgの抗CD38抗体と、約30,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1,600mgの抗CD38抗体と、約45,000Uのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、ヒアルロニダーゼは、配列番号22のアミノ酸配列を有するrHuPH20である。
【0202】
rHuPH20は、組換えヒアルロニダーゼ(HYLENEX(登録商標)組換え体)であり、国際公開第2004/078140号に記載されている。
【0203】
配列番号22
MGVLKFKHIFFRSFVKSSGVSQIVFTFLLIPCCLTLNFRAPPVIPNVPFLWAWNAPSEFCLGKFDEPLDMSLFSFIGSPRINATGQGVTIFYVDRLGYYPYIDSITGVTVNGGIPQKISLQDHLDKAKKDITFYMPVDNLGMAVIDWEEWRPTWARNWKPKDVYKNRSIELVQQQNVQLSLTEATEKAKQEFEKAGKDFLVETIKLGKLLRPNHLWGYYLFPDCYNHHYKKPGYNGSCFNVEIKRNDDLSWLWNESTALYPSIYLNTQQSPVAATLYVRNRVREAIRVSKIPDAKSPLPVFAYTRIVFTDQVLKFLSQDELVYTFGETVALGASGIVIWGTLSIMRSMKSCLLLDNYMETILNPYIINVTLAAKMCSQVLCQEQGVCIRKNWNSSDYLHLNPDNFAIQLEKGGKFTVRGKPTLEDLEQFSEKFYCSCYSTLSCKEKADVKDTDAVDVCIADGVCIDAFLKPPMETEEPQIFYNASPSTLSATMFIVSILFLIISSVAS
【0204】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで皮下投与される。
【0205】
いくつかの実施形態では、癌を有すると診断された又は有すると疑われる対象と比較して、より少ない体積の抗CD38抗体が、自己免疫疾患を有すると診断された又は有すると疑われる対象に投与される。体積の減少は、抗CD38抗体を組換えヒトヒアルロニダーゼと共製剤化する必要なく、自己免疫疾患を有すると診断された又は有すると疑われる対象に有効に皮下投与することができる抗CD38抗体の用量が少ないことに少なくとも部分的に起因する。更に、体積の減少(部分的に用量の減少に起因する)によって、投与時間の短縮が可能になり、これは、静脈内投与に関連する血漿薬物濃度の増加及び輸注関連反応(IRR)の低減をもたらし得る。
【0206】
本発明の方法で使用するのに好適な医薬組成物は、皮下投与用に製剤化される。皮下投与に好適な製剤の例としては、溶液、懸濁液、エマルション、及び注射用の医薬的に許容される担体中に溶解又は懸濁し得る乾燥製品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0207】
いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用するための抗CD38抗体を含む医薬組成物は、溶液として製剤化される。
【0208】
本発明の方法で使用するのに好適な医薬組成物は、1つ以上の医薬的に許容される担体、例えば製薬、特に抗体薬製造の分野で広く用いられているものを更に含む。特に、薬学的に許容される担体は非毒性であり、活性成分の有効性を決して妨害するものではない。担体は、CD38に特異的に結合する抗体と一緒に投与される希釈剤、アジュバント、添加剤、又はビヒクルであり得る。このようなビヒクルは、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを用いてよい。これらの溶液は滅菌され、概して粒子状物質を含まない。これらは、従来周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌することができる。組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされる医薬的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤、並びに着色剤などを含有していてよい。このような医薬製剤中のCD38に特異的に結合する抗体の濃度は、広く変動してよく、すなわち、約0.5重量%未満から、通常は少なくとも約1重量%まで、最大で15又は20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は50重量%までで変動してよく、また、選択される具体的な投与方法に従って、主に必要とされる用量、流体体積、粘度などに基づいて選択される。好適なビヒクル及び製剤(他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む)は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,Pa.2006,Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp 691-1092に記載されており、特にpp.958~89を参照されたい。
【0209】
医薬的に許容される担体の非限定的な例は、生理学的に適合する溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などであり、例えば、塩、緩衝液、抗酸化剤、糖類、水性若しくは非水性担体、防腐剤、湿潤剤、界面活性剤若しくは乳化剤、又はこれらの組み合わせである。
【0210】
使用することができる緩衝液の非限定的な例は、酢酸、クエン酸、ギ酸、コハク酸、リン酸、炭酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、ホウ酸、トリス緩衝液、HEPPSO、及びHEPESである。
【0211】
使用することができる抗酸化剤の非限定的な例は、アスコルビン酸、メチオニン、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、レシチン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediamine tetraacetic acid、EDTA)、ソルビトール、及び酒石酸である。
【0212】
使用することができるアミノ酸の非限定的な例は、ヒスチジン、イソロイシン、メチオニン、グリシン、アルギニン、リシン、L-ロイシン、トリロイシン、アラニン、グルタミン酸、L-スレオニン、及び2-フェニルアミンである。
【0213】
使用することができる界面活性剤の非限定的な例は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート-20又はポリソルベート-80);ポリオキサマー(例えば、ポロキサマー188);トリトン;オクチル配糖体ナトリウム(sodium octyl glycoside);ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-又はステアリル-スルホベタイン;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-又はステアリル-サルコシン;リノレイル-、ミリスチル-又はセチル-ベタイン;ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノレアミドプロピル-、ミリストアミドプロピル-、パルミドプロピル-又はイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリストアミドプロピル-、パルミドプロピル-又はイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン;ナトリウムメチルココイル-又はジナトリウムメチルオレイル-タウレート;並びにMONAQUA(商標)シリーズ(Mona Industries,Inc.(Paterson,N.J.))、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、並びにエチレン及びプロピレングリコールのコポリマー(例えば、PLURONICS(商標)、PF68など)である。
【0214】
使用することができる防腐剤の非限定的な例は、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はこれらの混合物である。
【0215】
使用することができる糖類の非限定的な例は、グルコース、スクロース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、デキストラン、グリセリン、デキストラン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、シリトール(sylitol)、ソルビトール、マンニトール、メリビオース、メレジトース、ラフィノース、マンノトリオース、スタキオース、マルトース、ラクツロース、マルツロース、グルシトール、マルチトール、ラクチトール、又はイソマルツロースなどの、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類、糖アルコール、還元糖、非還元糖である。
【0216】
使用することができる塩の非限定的な例は、酸付加塩及び塩基付加塩である。酸付加塩としては、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無毒性無機酸由来、並びに、例えば脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸などの無毒性有機酸由来のものが挙げられる。塩基付加塩としては、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属由来、並びに、例えばN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどの非毒性有機アミン類由来のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、塩は、塩化ナトリウム(NaCl)である。
【0217】
医薬組成物中の医薬的に許容される担体(単数又は複数)の量は、担体(単数又は複数)の活性及び製剤の所望の特性、例えば安定性及び/又は最小酸化に基づいて実験的に決定され得る。
【0218】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mM~約50mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2mM~約50mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2mM~約40mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM~約50mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM~約40mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM~約30mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM~約20mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM~約15mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM~約10mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mM~約30mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mM~約20mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、約25mM、約26mM、約27mM、約28mM、約29mM、約30mM、約31mM、約32mM、約33mM、約34mM、約35mM、約36mM、約37mM、約38mM、約39mM、約40mM、約41mM、約42mM、約43mM、約44mM、約45mM、約46mM、約47mM、約48mM、約49mM又は約50mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0231】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0232】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約15mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mMの濃度のヒスチジンを含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.1mg/mL~約5mg/mLの濃度のメチオニンを含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.1mg/mL~約2.5mg/mLの濃度のメチオニンを含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.2mg/mL~約5mg/mLの濃度のメチオニンを含む。
【0237】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.2mg/mL~約4mg/mLの濃度のメチオニンを含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.5mg/mL~約4mg/mLの濃度のメチオニンを含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.5mg/mL~約3mg/mLの濃度のメチオニンを含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mg/mL~約3mg/mLの濃度のメチオニンを含む。
【0241】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mg/mL~約2mg/mLの濃度のメチオニンを含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.1mg/mL、約1.2mg/mL、約1.3mg/mL、約1.4mg/mL、約1.5mg/mL、約1.6mg/mL、約1.7mg/mL、約1.8mg/mL、約1.9mg/mL、約2.0mg/mL、約2.1mg/mL、約2.2mg/mL、約2.3mg/mL、約2.4mg/mL、約2.5mg/mL、約2.6mg/mL、約2.7mg/mL、約2.8mg/mL、約2.9mg/mL、約3mg/mL、約3.1mg/mL、約3.2mg/mL、約3.3mg/mL、約3.4mg/mL、約3.5mg/mL、約3.6mg/mL、約3.7mg/mL、約3.8mg/mL、約3.9mg/mL、約4mg/mL、約4.1mg/mL、約4.2mg/mL、約4.3mg/mL、約4.4mg/mL、約4.5mg/mL、約4.6mg/mL、約4.7mg/mL、約4.8mg/mL、約4.9mg/mL、又は約5mg/mLの濃度のメチオニンを含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、酢酸を含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mM~約50mMの濃度の酢酸を含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2mM~約50mMの濃度の酢酸を含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2mM~約45mMの濃度の酢酸を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM~約45mMの濃度の酢酸を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5mM~約40mMの濃度の酢酸を含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mM~約40mMの濃度の酢酸を含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mM~約35mMの濃度の酢酸を含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約15mM~約35mMの濃度の酢酸を含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約15mM~約30mMの濃度の酢酸を含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mM~約30mMの濃度の酢酸を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM又は約50mMの濃度の酢酸を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約25mMの濃度の酢酸を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、NaClを含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mM~約100mMの濃度のNaClを含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mM~約90mMの濃度のNaClを含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約30mM~約90mMの濃度のNaClを含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約30mM~約80mMの濃度のNaClを含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約40mM~約80mMの濃度のNaClを含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約40mM~約70mMの濃度のNaClを含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約70mMの濃度のNaClを含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM又は約100mMの濃度のNaClを含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約60mMの濃度のNaClを含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mM~約50mMの濃度の酢酸ナトリウムを含む。
【0267】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約15mM~約50mMの濃度の酢酸ナトリウムを含む。
【0268】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約15mM~約45mMの濃度の酢酸ナトリウムを含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mM~約45mMの濃度の酢酸ナトリウムを含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mM~約40mMの濃度の酢酸ナトリウムを含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約25mM~約40mMの濃度の酢酸ナトリウムを含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約25mM~約35mMの濃度の酢酸ナトリウムを含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、又は約50mMの濃度の酢酸ナトリウムを含む。
【0274】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約30mMの濃度の酢酸ナトリウムを含む。
【0275】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、糖類を含む。
【0276】
いくつかの実施形態では、糖類は、スクロースである。
【0277】
いくつかの実施形態では、糖類は、ソルビトールである。
【0278】
いくつかの実施形態では、糖類は、マンニトールである。
【0279】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約500mMの濃度の糖類を含む。
【0280】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約450mMの濃度の糖類を含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約400mMの濃度の糖類を含む。
【0282】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約350mMの濃度の糖類を含む。
【0283】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約60mM~約500mMの濃度の糖類を含む。
【0284】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約60mM~約450mMの濃度の糖類を含む。
【0285】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約70mM~約450mMの濃度の糖類を含む。
【0286】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約70mM~約400mMの濃度の糖類を含む。
【0287】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約80mM~約400mMの濃度の糖類を含む。
【0288】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約80mM~約350mMの濃度の糖類を含む。
【0289】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約90mM~約350mMの濃度の糖類を含む。
【0290】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約90mM~約300mMの濃度の糖類を含む。
【0291】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mM~約350mMの濃度の糖類を含む。
【0292】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mM~約300mMの濃度の糖類を含む。
【0293】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、約200mM、約210mM、約220mM、約230mM、約240mM、約250mM、約260mM、約270mM、約280mM、約290mM、約300mM、約310mM、約320mM、約330mM、約340mM、約350mM、約360mM、約370mM、約380mM、約390mM、約400mM、約410mM、約420mM、約430mM、約440mM、約450mM、約460mM、約470mM、約480mM、約490mM又は約500mMの濃度の糖類を含む。
【0294】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、マンニトールを含む。
【0295】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mM~約180mMの濃度のマンニトールを含む。
【0296】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約105mM~約180mMの濃度のマンニトールを含む。
【0297】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約105mM~約175mMの濃度のマンニトールを含む。
【0298】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約110mM~約175mMの濃度のマンニトールを含む。
【0299】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約110mM~約170mMの濃度のマンニトールを含む。
【0300】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約115mM~約170mMの濃度のマンニトールを含む。
【0301】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約115mM~約165mMの濃度のマンニトールを含む。
【0302】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約120mM~約165mMの濃度のマンニトールを含む。
【0303】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約120mM~約160mMの濃度のマンニトールを含む。
【0304】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約125mM~約160mMの濃度のマンニトールを含む。
【0305】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約125mM~約155mMの濃度のマンニトールを含む。
【0306】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約130mM~約155mMの濃度のマンニトールを含む。
【0307】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約130mM~約150mMの濃度のマンニトールを含む。
【0308】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約140mM~約180mMの濃度のマンニトールを含む。
【0309】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約150mM、約155mM、約160mM、約165mM、約170mM、約175mM又は約180mMの濃度のマンニトールを含む。
【0310】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約140mMの濃度のマンニトールを含む。
【0311】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約500mMの濃度のソルビトールを含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約450mMの濃度のソルビトールを含む。
【0313】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約400mMの濃度のソルビトールを含む。
【0314】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約350mMの濃度のソルビトールを含む。
【0315】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mM~約350mMの濃度のソルビトールを含む。
【0316】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mM~約300mMの濃度のソルビトールを含む。
【0317】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、約200mM、約210mM、約220mM、約230mM、約240mM、約250mM、約260mM、約270mM、約280mM、約290mM、約300mM、約310mM、約320mM、約330mM、約340mM、約350mM、約360mM、約370mM、約380mM、約390mM、約400mM、約410mM、約420mM、約430mM、約440mM、約450mM、約460mM、約470mM、約480mM、約490mM又は約500mMの濃度のソルビトールを含む。
【0318】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mMの濃度のソルビトールを含む。
【0319】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mMの濃度のソルビトールを含む。
【0320】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約150mMの濃度のソルビトールを含む。
【0321】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約200mMの濃度のソルビトールを含む。
【0322】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約250mMの濃度のソルビトールを含む。
【0323】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約300mMの濃度のソルビトールを含む。
【0324】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約350mMの濃度のソルビトールを含む。
【0325】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約400mMの濃度のソルビトールを含む。
【0326】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約500mMの濃度のスクロースを含む。
【0327】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約450mMの濃度のスクロースを含む。
【0328】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約400mMの濃度のスクロースを含む。
【0329】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約350mMの濃度のスクロースを含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mM~約350mMの濃度のスクロースを含む。
【0331】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mM~約200mMの濃度のスクロースを含む。
【0332】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、約200mM、約210mM、約220mM、約230mM、約240mM、約250mM、約260mM、約270mM、約280mM、約290mM、約300mM、約310mM、約320mM、約330mM、約340mM、約350mM、約360mM、約370mM、約380mM、約390mM、約400mM、約410mM、約420mM、約430mM、約440mM、約450mM、約460mM、約470mM、約480mM、約490mM又は約500mMの濃度のスクロースを含む。
【0333】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mMの濃度のスクロースを含む。
【0334】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100mMの濃度のスクロースを含む。
【0335】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約150mMの濃度のスクロースを含む。
【0336】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約200mMの濃度のスクロースを含む。
【0337】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約250mMの濃度のスクロースを含む。
【0338】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約300mMの濃度のスクロースを含む。
【0339】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約350mMの濃度のスクロースを含む。
【0340】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約400mMの濃度のスクロースを含む。
【0341】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ポリソルベートを含む。
【0342】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ポリソルベート-20(PS-20)を含む。
【0343】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)の濃度のポリソルベート-20(PS-20)を含む。
【0344】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)~約0.08%(w/v)の濃度のポリソルベート-20(PS-20)を含む。
【0345】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)~約0.04%(w/v)の濃度のポリソルベート-20(PS-20)を含む。
【0346】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.02%(w/v)~約0.1%(w/v)の濃度のポリソルベート-20(PS-20)を含む。
【0347】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.02%(w/v)~約0.08%(w/v)の濃度のポリソルベート-20(PS-20)を含む。
【0348】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.04%(w/v)~約0.08%(w/v)の濃度のポリソルベート-20(PS-20)を含む。
【0349】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)、約0.02%(w/v)、約0.03%(w/v)、約0.04%(w/v)、約0.05%(w/v)、約0.06%(w/v)、約0.07%(w/v)、約0.08%(w/v)、約0.09%(w/v)、又は約0.1%(w/v)の濃度のポリソルベート-80を含む。
【0350】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)~約0.08%(w/v)の濃度のポリソルベート-80を含む。
【0351】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)~約0.04%(w/v)の濃度のポリソルベート-80を含む。
【0352】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.02%(w/v)~約0.1%(w/v)の濃度のポリソルベート-80を含む。
【0353】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.02%(w/v)~約0.08%(w/v)の濃度のポリソルベート-80を含む。
【0354】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.04%(w/v)~約0.08%(w/v)の濃度のポリソルベート-80を含む。
【0355】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)、約0.02%(w/v)、約0.03%(w/v)、約0.04%(w/v)、約0.05%(w/v)、約0.06%(w/v)、約0.07%(w/v)、約0.08%(w/v)、約0.09%(w/v)、又は約0.1%(w/v)の濃度のポリソルベート-80を含む。
【0356】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ポリソルベート-20及びポリソルベート80を含む。
【0357】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)~約0.08%(w/v)の濃度のポリソルベート-20及びポリソルベート-80を含む。
【0358】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)~約0.04%(w/v)の濃度のポリソルベート-20及びポリソルベート-80を含む。
【0359】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.02%(w/v)~約0.1%(w/v)の濃度のポリソルベート-20及びポリソルベート-80を含む。
【0360】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.02%(w/v)~約0.08%(w/v)の濃度のポリソルベート-20及びポリソルベート-80を含む。
【0361】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.04%(w/v)~約0.08%(w/v)の濃度のポリソルベート-20及びポリソルベート-80を含む。
【0362】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)、約0.02%(w/v)、約0.03%(w/v)、約0.04%(w/v)、約0.05%(w/v)、約0.06%(w/v)、約0.07%(w/v)、約0.08%(w/v)、約0.09%(w/v)、又は約0.1%(w/v)の濃度のポリソルベート-20及びポリソルベート-80を含む。
【0363】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約pH5.0~約7.0である。
【0364】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約pH5.0~約6.0である。
【0365】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約pH5.3~約5.8である。
【0366】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約pH5.5である。
【0367】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約pH5.6である。
【0368】
いくつかの実施形態では、医薬的に許容される担体は、ヒスチジン、メチオニン、マンニトール、ソルビトール、ポリソルベート20、ポリソルベート80、又はこれらの組み合わせ、及び1つ以上の塩(例えば、塩化ナトリウム(NaCl)、酢酸ナトリウムなど)を含み、医薬組成物は、5~7のpHを有する。
【0369】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約1mg/mL~約180mg/mLの抗CD38抗体、
約10mM~約50mMの酢酸ナトリウム、
約10mM~約200mMの塩化ナトリウム、
約50mM~約250mMのD-マンニトール、
約0.01%~約0.1%のポリソルベート20、
約0.01%~約0.1%のポリソルベート80、
約2mM~約50mMのヒスチジン、
約2mM~約50mMのメチオニン、及び
任意選択で、約0.2mg/mL~約5.0mg/mLのrHuPH20(約75kU/mL~約150kU/mL)、を含み、
約5.5~約6.5のpHを有する。
【0370】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約1mg/mL~約180mg/mLの抗CD38抗体、
約1mM~約50mMのヒスチジン、
約50mM~約500mMのソルビトール、
約0.1mg/mL~約5mg/mLのメチオニン、及び
約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)のポリソルベート20、を含み、
約5.0~約6.5のpHを有する。
【0371】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約120mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのソルビトール、
約1mg/mLのメチオニン、及び
約0.04%のポリソルベート20、を含み、
約5.6のpHを有する。
【0372】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約120mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのD-マンニトール、
約1mg/mLのメチオニン、及び
約0.04%のポリソルベート20、を含み、
約5.6のpHを有する。
【0373】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約1mg/mL~約180mg/mLの抗CD38抗体、
約5mM~約50mMのヒスチジン、
約50mM~約400mMのソルビトール、及び
任意選択で、約50U/mL~約5,000U/mLのヒアルロニダーゼ、を含む。
【0374】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約1mg/mL~約180mg/mLの抗CD38抗体、
約5mM~約50mMのヒスチジン、
約50mM~約400mMのソルビトール、
約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)のPS-20、
約0.1mg/mL~約2.5mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約50U/mL~約5,000U/mLのヒアルロニダーゼ、を含む。
【0375】
いくつかの実施形態では、ヒアルロニダーゼは、rHuPH20である。
【0376】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約100mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約100mM~約300mMのソルビトール、
約0.01%(w/v)~約0.04%(w/v)のPS-20、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約50U/mL~約5,000U/mLのrHuPH20、を含む。
【0377】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約100mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのソルビトール、
約0.04%(w/v)のPS-20、
約2mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約500U/mLのrHuPH20、を含み、
約5.5のpHを有する。
【0378】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約120mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのソルビトール、
約0.04%(w/v)のPS-20、
約1mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約2,000U/mLのrHuPH20、を含み、
約5.6のpHを有する。
【0379】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約100mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのソルビトール、
約2mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約500U/mLのrHuPH20、を含み、
約5.5のpHを有する。
【0380】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約100mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのソルビトール、
約0.01%w/vのPS-20、
約2mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約500U/mLのrHuPH20、を含み、
約5.5のpHを有する。
【0381】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約100mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのソルビトール、
約0.02%w/vのPS-20、
約2mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約500U/mLのrHuPH20、を含み、
約5.5のpHを有する。
【0382】
本発明はまた、医薬組成物であって、
約100mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのソルビトール、
約0.06%w/vのPS-20、
約2mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約500U/mLのrHuPH20、を含み、
約5.5のpHを有する、医薬組成物を提供する。
【0383】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約100mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのソルビトール、
約0.04%w/vのPS-20、
約1mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約50U/mLのrHuPH20、を含み、
約5.5のpHを有する。
【0384】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約100mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのソルビトール、
約0.04%w/vのPS-20、
約1mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約500U/mLのrHuPH20、を含み、
約5.5のpHを有する。
【0385】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約100mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのソルビトール、
約0.04%w/vのPS-20、
約1mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約2,000U/mLのrHuPH20、を含み、
約5.5のpHを有する。
【0386】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約100mg/mLの抗CD38抗体、
約10mMのヒスチジン、
約300mMのソルビトール、
約0.04%w/vのPS-20、
約1mg/mLのメチオニン、及び
任意選択で、約5,000U/mLのrHuPH20、を含み、
約5.5のpHを有する。
【0387】
抗CD38抗体を含む医薬組成物は、本開示を考慮して当該技術分野において既知の任意の方法によって調製することができる。例えば、抗CD38抗体を、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤と混合して、溶液を得ることができる。溶液は、対象に投与するまで、適切なバイアル内において遮光下で約2℃~8℃の温度にて液体として保存してよい。
【0388】
いくつかの実施形態では、約20mg/mLの抗CD38抗体を約1.0mg/mLのrHuPH20(75~150kU/mL)と混合することによって医薬組成物を調製した後、混合物を対象に投与し、当該抗CD38抗体は、約25mMの酢酸ナトリウム、約60mMの塩化ナトリウム、約140mMのD-マンニトール、約0.04%のポリソルベート20中に存在し、約pH5.5であり、rHuPH20は、約10mMのL-ヒスチジン、約130mMのNaCl、約10mMのL-メチオニン、及び約0.02%のポリソルベート80中に存在し、約pH6.5である。
【0389】
投与
本発明の医薬組成物は、非固定組み合わせとして投与することができる。
【0390】
本発明の医薬組成物はまた、固定組み合わせ、例えば単位剤形(又は投与単位形態)として投与してもよい。固定組み合わせは、投与の容易さ及び投薬量の均一性において有利であり得る。
【0391】
本発明はまた、約1,200mg~約5,000mgの量の、配列番号4の配列を有するVH及び配列番号5の配列を有するVLを含む抗CD38抗体と、任意選択で、約30,000U~約75,000Uの量のrHuPH20と、を含む、単位剤形を提供する。
【0392】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約4,000mgの量の抗CD38抗体と、
任意選択で、約30,000U~約75,000Uの量のrHuPH20と、を含む。
【0393】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約2,400mgの量の抗CD38抗体と、
任意選択で、約30,000U~約45,000Uの量のrHuPH20と、を含む。
【0394】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約1,800mgの量の抗CD38抗体と、
任意選択で、約30,000U~約45,000Uの量のrHuPH20と、を含む。
【0395】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約5,000mgの量の抗CD38抗体と、
約5mM~約15mMの濃度のヒスチジンと、
約100mM~約300mMの濃度のソルビトールと、
約0.01%(w/v)~約0.04%(w/v)の濃度のPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLの濃度のメチオニンと、
任意選択で、約30,000U~約75,000Uの量のrHuPH20と、を含み、
医薬組成物は、約5.5のpHを有する。
【0396】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約2,400mgの量の抗CD38抗体と、
約10mMの濃度のヒスチジンと、
約300mMの濃度のソルビトールと、
約0.04%(w/v)の濃度のPS-20と、
約1mg/mLの濃度のメチオニンと、
任意選択で、約30,000U~約45,000Uの量のrHuPH20と、を含み、
医薬組成物は、約5.5のpHを有する。
【0397】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約1,800mgの量の抗CD38抗体と、
約10mMの濃度のヒスチジンと、
約300mMの濃度のソルビトールと、
約0.04%(w/v)の濃度のPS-20と、
約1mg/mLの濃度のメチオニンと、
任意選択で、約30,000U~約45,000Uの量のrHuPH20と、を含み、
医薬組成物は、約5.5のpHを有する。
【0398】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約1,800mgの量の抗CD38抗体と、
約5mM~約15mMの濃度のヒスチジンと、
約100mM~約300mMの濃度のソルビトールと、
約0.01%(w/v)~約0.04%(w/v)の濃度のPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLの濃度のメチオニンと、
任意選択で、約30,000U~約45,000Uの量のrHuPH20と、を含み、
医薬組成物は、約5.5のpHを有する。
【0399】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,800mgの量の抗CD38抗体と、
約10mMの濃度のヒスチジンと、
約300mMの濃度のソルビトールと、
約0.04%(w/v)の濃度のPS-20と、
約1mg/mLの濃度のメチオニンと、
任意選択で、約30,000Uの量のrHuPH20と、を含み、
医薬組成物は、約5.5のpHを有する。
【0400】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,800mgの量の抗CD38抗体と、
約10mMの濃度のヒスチジンと、
約300mMの濃度のソルビトールと、
約0.04%(w/v)の濃度のPS-20と、
約1mg/mLの濃度のメチオニンと、
任意選択で、約45,000Uの量のrHuPH20と、を含み、
医薬組成物は、約5.5のpHを有する。
【0401】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約80mL、約90mL、約100mL、約110mL、又は約120mLの総体積で投与される。
【0402】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mL、約11mL、約12mL、約13mL、約14mL、約15mL、約16mL、約17mL、約18mL、約19mL、約20mL、約25mL、約30mL、約35mL、約40mL、約45mL、約50mL、約55mL、約60mL、約65mL、約70mL、約75mL、約80mL、約85mL、約90mL、約95mL、約100mL、約105mL、約110mL、約115mL、又は約120mLの総体積で投与される。
【0403】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mLの総体積で投与される。
【0404】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約15mLの総体積で投与される。
【0405】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mLの総体積で投与される。
【0406】
投与の総体積は、典型的には、非固定組み合わせと比較して、固定組み合わせの方がより少ない。
【0407】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の単位剤形は、バイアル、カートリッジ、注射器、プレフィルドシリンジ、又は使い捨てペンから選択される容器内に保存される。
【0408】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、単回皮下注射で、又は複数回の皮下注射、例えば、1、2、3、4、5回又はそれ以上の皮下注射で投与することができる。
【0409】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の総投薬量は、投与1回当たり単回皮下注射で対象に投与される。
【0410】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の総投薬量は、投与1回当たり複数回の皮下注射、例えば、2、3、4、又は5回の皮下注射で対象に投与される。
【0411】
いくつかの実施形態では、各皮下注射は、約10分~約60分間にわたる。
【0412】
いくつかの実施形態では、各皮下注射は、約10分~約55分間にわたる。
【0413】
いくつかの実施形態では、各皮下注射は、約15分~約55分間にわたる。
【0414】
いくつかの実施形態では、各皮下注射は、約15分~約50分間にわたる。
【0415】
いくつかの実施形態では、各皮下注射は、約20分~約50分間にわたる。
【0416】
いくつかの実施形態では、各皮下注射は、約20分~約45分間にわたる。
【0417】
いくつかの実施形態では、各皮下注射は、約25分~約45分間にわたる。
【0418】
いくつかの実施形態では、各皮下注射は、約25分~約40分間にわたる。
【0419】
いくつかの実施形態では、各皮下注射は、約30分~約40分間にわたる。
【0420】
いくつかの実施形態では、各皮下注射は、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、約60分間にわたり、又は60分間よりも長い。
【0421】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の総投薬量は、1日間、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、9ヶ月間、1年間、18ヶ月間、若しくは2年間、又はそれ以上の期間にわたって、1日に1回、1週間に1回、2週間毎に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月毎に1回、3ヶ月毎に1回、4ヶ月毎に1回、6ヶ月毎に1回、9ヶ月毎に1回投与される。
【0422】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、又はそれ以上後に繰り返される。治療コースを繰り返すことが可能であり、長期にわたる投与も同様に可能である。繰り返し投与は、同一用量であっても異なる用量であってもよい。例えば、本発明の医薬組成物は、週1回を8週間、その後に2週に1回を16週間、その後に4週に1回投与することができる。
【0423】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の約10mg~約600mgの総投薬量は、投与1回当たり1回の皮下注射によって(例えば、少なくとも1日間にわたって1日に1回)又は複数回の皮下注射(例えば、2~5回の注射)によって投与される。
【0424】
いくつかの実施形態では、皮下投与される抗CD38抗体の投薬量は、典型的には、全身注射関連反応を誘導する。
【0425】
いくつかの実施形態では、皮下投与される抗CD38抗体の投薬量は、対象に全身注射関連反応を誘導した。
【0426】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前にコルチコステロイドが対象に投与される。
【0427】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドの前投薬は、全身注射関連反応及び/又はその症状を予防する。
【0428】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドの前投薬は、全身注射関連反応及び/又はその症状を低減する。
【0429】
いくつかの実施形態では、全身注射関連反応は、即時発症を有する。
【0430】
いくつかの実施形態では、全身注射関連反応は、遅延発症を有する。
【0431】
いくつかの実施形態では、全身注射関連反応及びその症状は、注射部位における腫脹及び/若しくは発赤、低血圧、息切れ、発疹、じんましん、潮紅、胸痛、発熱、背部痛、四肢の末梢性浮腫、血管迷走神経反応、悪寒/寒気、悪心/嘔吐、頭痛、発汗、意識朦朧、傾眠、又は筋肉痛から選択される。
【0432】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与前にコルチコステロイドが投与される。
【0433】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与直前にコルチコステロイドが投与される。
【0434】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与と同時にコルチコステロイドが投与される。
【0435】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約1分~約15分前にコルチコステロイドが投与される。
【0436】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約5分~約15分前にコルチコステロイドが投与される。
【0437】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約10分~約15分前にコルチコステロイドが投与される。
【0438】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約0.5時間~約5時間前にコルチコステロイドが投与される。
【0439】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約0.5時間~約4時間前にコルチコステロイドが投与される。
【0440】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約1時間~約4時間前にコルチコステロイドが投与される。
【0441】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約1時間~約2時間前にコルチコステロイドが投与される。
【0442】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、又は約5時間前にコルチコステロイドが投与される。
【0443】
コルチコステロイドは、当該技術分野において既知の任意の好適な方法によって投与することができる。
【0444】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、経口投与される。
【0445】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、非経口投与される。
【0446】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、ベタメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、コルチソール、ヒドロコルチゾン、又はコルチゾンから選択される。
【0447】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、プレドニゾンを含むか又はプレドニゾンからなる。
【0448】
いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、経口投与される。
【0449】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与と同時にコルチコステロイドが再投与される。
【0450】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与後に(例えば、直後に)コルチコステロイドが再投与される。
【0451】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約1分~約15分後にコルチコステロイドが再投与される。
【0452】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約0.5時間~約10時間後にコルチコステロイドが再投与される。
【0453】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約1時間~約10時間後にコルチコステロイドが再投与される。
【0454】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約2時間~約10時間後にコルチコステロイドが再投与される。
【0455】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約4時間~約10時間後にコルチコステロイドが再投与される。
【0456】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約6時間~約10時間後にコルチコステロイドが再投与される。
【0457】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約7時間~約9時間後にコルチコステロイドが再投与される。
【0458】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与の約0.5時間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、又は約10時間後にコルチコステロイドが再投与される。
【0459】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドの再投与は、更に、抗CD38抗体の皮下投与に関連する全身注射関連反応のリスクを予防及び/又は低減する。
【0460】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に投与されるコルチコステロイドと抗CD38抗体の投与後に再投与されるコルチコステロイドとは同じである。
【0461】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に投与されるコルチコステロイドと抗CD38抗体の投与後に再投与されるコルチコステロイドとは異なる。
【0462】
いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、抗CD38抗体の皮下投与の約1時間~約2時間前に経口投与され、抗CD38抗体の投与の約7~9時間後に経口的に再投与される。
【0463】
当業者であれば、プレドニゾンの適切な投薬量を決定することができるであろう。
【0464】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に約10mg~約50mgのプレドニゾンが投与される。
【0465】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に約15mg~約50mgのプレドニゾンが投与される。
【0466】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に約15mg~約40mgのプレドニゾンが投与される。
【0467】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に約20mg~約40mgのプレドニゾンが投与される。
【0468】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に約20mg~約35mgのプレドニゾンが投与される。
【0469】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に約25mg~約35mgのプレドニゾンが投与される。
【0470】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に約20mg~約35mgのプレドニゾンが投与される。
【0471】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、又は約50mgのプレドニゾンが投与される。
【0472】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与後に約10mg~約50mgのプレドニゾンが投与される。
【0473】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与後に約15mg~約50mgのプレドニゾンが投与される。
【0474】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与後に約15mg~約40mgのプレドニゾンが投与される。
【0475】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与後に約20mg~約40mgのプレドニゾンが投与される。
【0476】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与後に約20mg~約35mgのプレドニゾンが投与される。
【0477】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与後に約25mg~約35mgのプレドニゾンが投与される。
【0478】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与後に約20mg~約35mgのプレドニゾンが投与される。
【0479】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与後に約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、又は約50mgのプレドニゾンが投与される。
【0480】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与前に、抗ヒスタミン剤、解熱剤、又は両方が対象に投与される。
【0481】
いくつかの実施形態では、抗ヒスタミン剤及び/又は解熱剤は、コルチコステロイドの前投薬に加えられる。
【0482】
いくつかの実施形態では、抗ヒスタミン剤及び/又は解熱剤は、コルチコステロイドの前投薬なしである。
【0483】
いくつかの実施形態では、抗ヒスタミン剤は、H1受容体抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン)を含むか又はH1受容体抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン)からなる。
【0484】
いくつかの実施形態では、解熱剤は、アセトアミノフェンを含むか又はアセトアミノフェンからなる。
【0485】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約1時間前に抗ヒスタミン剤及び/又は解熱剤が投与される。
【0486】
モニタリング
本発明の実施形態によれば、抗CD38抗体の特定の投薬量が安全な皮下投与を提供するかどうかを判定するために、様々な要因を分析することができる。例えば、特定の投薬量の皮下投与される抗CD38抗体の安全性は、免疫原性試験(例えば、抗ダラツムマブ抗体の産生を測定する)、CD38発現レベルの変化を評価すること、CD38発現細胞数(例えば、形質細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、総リンパ球の割合)の枯渇の程度及び持続時間を評価すること、及び血清タンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、及び炎症性タンパク質)などの血液バイオマーカーに対する効果をタンパク質プロファイリングによって決定すること、によって評価することができる。皮下投与される抗CD38抗体の安全性はまた、対象の理学的検査、局所注射部位反応、全身注射関連反応、及び他のアレルギー反応の観察、心電図、臨床検査、バイタルサイン、併用薬、並びに他の有害事象のモニタリングによってモニタリングすることもできる。
【0487】
いくつかの実施形態では、方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の対象における抗CD38抗体に特異的な抗体の産生を測定することを更に含む。
【0488】
いくつかの実施形態では、方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の対象におけるCD38発現レベルの変化を測定することを更に含む。
【0489】
いくつかの実施形態では、方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の対象におけるCD38発現細胞の枯渇の程度を測定することを更に含む。
【0490】
いくつかの実施形態では、方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の対象におけるCD38発現細胞の枯渇の持続時間を測定することを更に含む。
【0491】
いくつかの実施形態では、CD38発現細胞は、形質細胞、NK細胞、リンパ球、又はこれらの組み合わせを含む。
【0492】
いくつかの実施形態では、方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の対象におけるバイオマーカーのプロファイリングを更に含む。
【0493】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、血液バイオマーカーを含む。
【0494】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、血清タンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、及び炎症性タンパク質)を含む。
【0495】
いくつかの実施形態では、方法は、抗CD38抗体の皮下投与後に対象を理学的に検査することを更に含む。
【0496】
いくつかの実施形態では、方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の対象におけるアレルギー反応(例えば、局所注射部位反応又は全身注射関連反応)を検出することを更に含む。
【0497】
いくつかの実施形態では、方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の対象において心電図を実施することを更に含む。
【0498】
NK細胞は、自然免疫系にとって重要な細胞傷害性リンパ球の一種であり、CD38+細胞のADCC媒介性枯渇にとって重要なエフェクター細胞の1つである。NK細胞は、CD38を発現することが知られているので、循環中のNK細胞の数は、抗CD38抗体治療後に減少し得る。更に、形質細胞はCD38を発現するので、抗CD38抗体媒介細胞溶解を受けやすい。形質細胞は、異物を認識し、結合し、当該異物の中和又は分解を開始する抗体分子を分泌する白血球である。NK細胞及び形質細胞の枯渇は、抗CD38抗体の投与前の対象におけるNK細胞及び形質細胞の量に対して測定される。フローサイトメトリーを含むがこれらに限定されない、本開示を考慮して当該技術分野において既知の任意の方法を使用して、NK細胞及び形質細胞の枯渇を決定することができる。
【0499】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象においてNK細胞の約80%未満が枯渇する。
【0500】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象においてNK細胞の約70%未満が枯渇する。
【0501】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象においてNK細胞の約60%未満が枯渇する。
【0502】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象においてNK細胞の約50%未満が枯渇する。
【0503】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象においてNK細胞の約40%未満が枯渇する。
【0504】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象においてNK細胞の約30%未満が枯渇する。
【0505】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象においてNK細胞の約20%未満が枯渇する。
【0506】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象においてNK細胞の約10%未満が枯渇する。
【0507】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象においてNK細胞の約80%未満が枯渇する。
【0508】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象においてNK細胞の約70%未満が枯渇する。
【0509】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象においてNK細胞の約60%未満が枯渇する。
【0510】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象においてNK細胞の約50%未満が枯渇する。
【0511】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象においてNK細胞の約40%未満が枯渇する。
【0512】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象においてNK細胞の約30%未満が枯渇する。
【0513】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象においてNK細胞の約20%未満が枯渇する。
【0514】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象においてNK細胞の約10%未満が枯渇する。
【0515】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象において形質細胞の約80%未満が枯渇する。
【0516】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象において形質細胞の約70%未満が枯渇する。
【0517】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象において形質細胞の約60%未満が枯渇する。
【0518】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象において形質細胞の約50%未満が枯渇する。
【0519】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象において形質細胞の約40%未満が枯渇する。
【0520】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象において形質細胞の約30%未満が枯渇する。
【0521】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約4週間後に、対象において形質細胞の約20%未満が枯渇する。
【0522】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象において形質細胞の約10%未満が枯渇する。
【0523】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象において形質細胞の約80%未満が枯渇する。
【0524】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象において形質細胞の約70%未満が枯渇する。
【0525】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象において形質細胞の約60%未満が枯渇する。
【0526】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象において形質細胞の約50%未満が枯渇する。
【0527】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象において形質細胞の約40%未満が枯渇する。
【0528】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象において形質細胞の約30%未満が枯渇する。
【0529】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象において形質細胞の約20%未満が枯渇する。
【0530】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の約2週間後に、対象において形質細胞の約10%未満が枯渇する。
【0531】
好ましい実施形態では、抗CD38抗体の皮下投与の結果、当該抗CD38抗体の投与後少なくとも2週間でNK細胞又は形質細胞の50%以下が枯渇する。
【0532】
全般的な別の態様では、本発明は、それを必要としている対象に抗CD38抗体の皮下投与を提供する(例えば、安全な皮下投与を提供する)方法であって、抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を当該対象に皮下投与することを含み、当該抗CD38抗体が、それぞれ配列番号6、7、及び8のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3アミノ酸配列、並びにそれぞれ配列番号9、10、及び11のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3アミノ酸配列を含み、当該抗CD38抗体が、rHuPH20と共に皮下投与される、方法に関する。
【0533】
全般的な別の態様では、本発明は、それを必要としている対象に抗CD38抗体の皮下投与を提供する(例えば、安全な皮下投与を提供する)方法であって、抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を当該対象に皮下投与することを含み、当該抗CD38抗体が、それぞれ配列番号6、7、及び8のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3アミノ酸配列、並びにそれぞれ配列番号9、10、及び11のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3アミノ酸配列を含み、当該抗CD38抗体が、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで皮下投与される、方法に関する。
【0534】
全般的な更に別の態様では、本発明は、それを必要としている対象に自己免疫疾患の治療を提供する方法であって、抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を当該対象に皮下投与することを含み、当該抗CD38抗体が、それぞれ配列番号6、7、及び8のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3アミノ酸配列、並びにそれぞれ配列番号9、10、及び11のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3アミノ酸配列を含み、投与される当該抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約600mgである、方法に関する。抗CD38抗体を安全に投与するための本明細書に記載の方法のいずれも、それを必要としている対象における自己免疫疾患の安全な治療を提供するために使用することができる。
【0535】
本発明のいくつかの実施形態では、抗CD38抗体による治療の結果、ダラツムマブの投与後少なくとも4週間にNK細胞又は形質細胞の80%未満が枯渇する。
【0536】
特定の実施形態では、コルチコステロイドが、抗CD38抗体の投与前に対象に好ましくは経口で投与され、任意選択で、抗CD38抗体の投与後に再投与される。好ましい実施形態では、コルチコステロイドトはプレドニゾンである。
【0537】
他の実施形態では、抗CD38抗体は、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで投与される。
【0538】
抗CD38抗体の皮下投与を提供する(例えば、安全な皮下投与を提供する)及び/又は自己免疫疾患の治療(例えば、安全な治療)を提供する1つの非限定的なレジメンでは、約120mg/mLの抗CD38抗体を含む医薬組成物を対象に皮下投与する。投与される組成物の総体積は、単回皮下注射又は複数回の皮下注射、好ましくは単回皮下注射で標的投薬量、すなわち、約10mg~約600mgを提供するように適切に調整される。
【0539】
抗CD38抗体の皮下投与を提供する(例えば、安全な皮下投与を提供する)及び/又は自己免疫疾患の治療(例えば、安全な治療)を提供する別の非限定的なレジメンでは、約40mgのプレドニンを対象に経口投与する。プレドニゾン投与の約1~2時間後に、約120mg/mLの抗CD38抗体を含む医薬組成物を対象に皮下投与する。投与される組成物の総体積は、単回皮下注射で標的投薬量、すなわち、約10mg~約600mgを提供するように適切に調整される。任意選択で、ダラツムマブの投与の約7~9時間後に、約20mgのプレドニゾンが経口的に対象に再投与される。
【0540】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブの皮下投与に関連して使用される場合、「安全な治療」及び「安全な投与」は、形質細胞、NK細胞、T細胞、B細胞などのCD38+細胞、特にNK細胞及び/又は形質細胞の枯渇の低減を含むがこれらに限定されない、有害事象の減少を意味する。特定の実施形態では、「安全な治療」及び「安全な投与」は、抗CD38抗体(ダラツムマブなど)の皮下投与の結果、好ましくはダラツムマブの投与後少なくとも4週間にCD38+細胞(例えば、形質細胞、NK細胞、T細胞、B細胞など)の80%未満が枯渇することを意味する。NK細胞は、リンパ球の一種(白血球)及び自然免疫系の構成要素である。NK細胞は細胞傷害性であり、例えば、腫瘍及びウイルス感染細胞の宿主拒絶において役割を果たす。
【0541】
実施形態
実施形態1は、それを必要としている対象に抗CD38抗体の皮下投与を提供する方法であって、当該抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を当該対象に皮下投与することを含み、当該抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約2,400mgである、方法である。
【0542】
実施形態2は、それを必要としている対象における自己免疫疾患の治療を提供する方法であって、抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を当該対象に皮下投与することを含み、投与される当該抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約2,400mgである、方法である。
【0543】
実施形態3は、当該抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約600mgである、実施形態1又は2に記載の方法である。
【0544】
実施形態4は、当該抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり、約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、又は約600mgである、実施形態3に記載の方法である。
【0545】
実施形態5は、当該抗CD38抗体の総投薬量が、単回皮下注射で投与される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法である。
【0546】
実施形態6は、当該抗CD38抗体の総投薬量が、複数回の皮下注射、例えば、2~5回の注射で投与される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法である。
【0547】
実施形態7は、コルチコステロイドが、当該抗CD38抗体の投与前に当該対象に投与され、任意選択で、当該抗CD38抗体の投与後に再投与される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法である。
【0548】
実施形態8は、コルチコステロイドが、当該抗CD38抗体の投与後に当該対象に投与される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法である。
【0549】
実施形態9は、当該コルチコステロイドが、プレドニゾンである、実施形態7又は8に記載の方法である。
【0550】
実施形態10は、当該コルチコステロイドが、経口投与される、実施形態7~9のいずれか1つに記載の方法である。
【0551】
実施形態11は、当該抗CD38抗体の投与の結果、当該抗CD38抗体の投与後少なくとも4週間にナチュラルキラー(NK)細胞又は形質細胞の80%未満が枯渇する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法である。
【0552】
実施形態12は、当該抗CD38抗体の投与の結果、当該抗CD38抗体の投与の4週間後にNK細胞又は形質細胞の80%未満が枯渇する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法である。
【0553】
実施形態13は、当該抗CD38抗体の投与の結果、4週間以内に当該対象のNK細胞又は形質細胞の80%超が枯渇する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法である。
【0554】
実施形態14は、当該抗CD38抗体が、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで皮下投与される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法である。
【0555】
実施形態15は、当該医薬組成物が溶液である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法である。
【0556】
実施形態16は、当該溶液が、約1mg/mL~約180mg/mLの濃度で当該抗CD38抗体を含む、実施形態15に記載の方法である。
【0557】
実施形態17は、当該抗CD38抗体の濃度が、約1mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、又は約180mg/mLである、実施形態16に記載の方法である。
【0558】
実施形態18は、当該医薬組成物が、約1mg/mL~約180mg/mLの当該抗CD38抗体、約1mM~約50mMのヒスチジン、約50mM~約500mMのソルビトール、約0.1mg/mL~約5mg/mLのメチオニン、及び約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)のポリソルベート20を含み、pH5.0~6.5である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法である。
【0559】
実施形態19は、当該医薬組成物が、約120mg/mLの当該抗CD38抗体、約10mMのヒスチジン、約300mMのソルビトール、約1mg/mLのメチオニン、及び約0.04%のポリソルベート20を含み、好ましくは約pH5.6である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法である。
【0560】
実施形態20は、当該医薬組成物が、約120mg/mLの当該抗CD38抗体、約10mMのヒスチジン、約300mMのD-マンニトール、約1mg/mLのメチオニン、及び約0.04%のポリソルベート20を含み、約pH5.6である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法である。
【0561】
実施形態21は、当該それを必要としている対象が、狼瘡、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、乾癬性関節炎、脈管炎、手術による癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫性ぶどう膜炎、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化性肺胞炎、グレーブス病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ヴェゲナー肉芽腫症、その他の自己免疫疾患、膵炎、外傷(手術)、移植片対宿主病、移植拒絶反応、心筋梗塞並びにアテローム性動脈硬化症などの虚血性疾患を含む心臓疾患、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、変形性関節症、歯周炎及び低塩酸症、胎児-母体寛容の欠如に関連する不妊症、白斑、重症筋無力症、又は全身性硬化症からなる群から選択される疾患を有する又は有すると疑われる、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法である。
【0562】
実施形態22は、当該対象が、自己免疫疾患を有すると診断された又は有すると疑われる、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法である。
【0563】
実施形態23は、当該自己免疫疾患が、関節炎、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、及びクローン病からなる群から選択される、実施形態22に記載の方法である。
【0564】
実施形態24は、当該自己免疫疾患がRAである、実施形態23に記載の方法である。
【0565】
実施形態25は、当該自己免疫疾患がSLEである、実施形態23に記載の方法である。
【0566】
実施形態26は、当該抗CD38抗体が、それぞれ配列番号6、7、及び8の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3のアミノ酸配列と、それぞれ配列番号9、10、及び11の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列とを含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載方法である。
【0567】
実施形態27は、当該抗CD38抗体が、配列番号4の重鎖可変領域配列及び配列番号5の軽鎖可変領域配列を含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法である。
【0568】
実施形態28は、当該抗CD38抗体が、配列番号12の重鎖配列及び配列番号13の軽鎖配列を含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法である。
【0569】
実施形態29は、当該抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法である。
【0570】
実施形態30は、当該対象がヒトである、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法である。
【0571】
実施形態31は、それを必要としている対象に皮下投与するための抗CD38抗体を含む医薬組成物を調製する方法であって、約10mg~約2,400mgの当該抗CD38抗体を少なくとも1つの医薬的に許容される担体と組み合わせることを含む、方法である。
【0572】
実施形態32は、約10mg~約600mgの当該抗CD38抗体を少なくとも1つの医薬的に許容される担体と組み合わせることを含む、実施形態31に記載の方法である。
【0573】
実施形態33は、それを必要としている対象への抗CD38抗体の皮下投与の提供、又はそれを必要としている対象への自己免疫疾患の治療の提供において使用するための医薬組成物であって、当該抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含み、投与される当該抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約2,400mgであり、皮下投与用に製剤化される、医薬組成物である。
【0574】
実施形態34は、投与される当該抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約600mgである、実施形態33に記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0575】
実施形態35は、当該抗CD38抗体の総投薬量が、単回皮下注射で投与される、実施形態33又は34に記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0576】
実施形態36は、当該抗CD38抗体の総投薬量が、複数回の皮下注射、例えば、2~5回の注射で投与される、実施形態33~35に記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0577】
実施形態37は、コルチコステロイドが、当該抗CD38抗体の投与前に当該対象に投与され、任意選択で、当該抗CD38抗体の投与後に再投与される、実施形態33~36のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0578】
実施形態38は、当該コルチコステロイドが、当該抗CD38抗体の投与後に投与される、実施形態33~36のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0579】
実施形態39は、当該コルチコステロイドが、プレドニゾンである、実施形態37又は38に記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0580】
実施形態40は、当該コルチコステロイドが、経口投与される、実施形態37~39のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0581】
実施形態41は、当該抗CD38抗体の投与の結果、当該抗CD38抗体の投与後少なくとも4週間でNK細胞又は形質細胞の80%未満が枯渇する、実施形態33~40のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0582】
実施形態42は、当該抗CD38抗体の投与の結果、当該抗CD38抗体の投与の4週間後にNK細胞又は形質細胞の80%未満が枯渇する、実施形態33~40のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0583】
実施形態43は、当該抗CD38抗体の投与の結果、4週間以内に当該対象のNK細胞又は形質細胞の80%超が枯渇する、実施形態33~40のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0584】
実施形態44は、当該抗CD38抗体が、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで皮下投与される、実施形態33~43のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0585】
実施形態45は、当該抗CD38抗体の総投薬量が、約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、又は約600mgである、実施形態33~44のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0586】
実施形態46は、溶液である、実施形態33~45のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0587】
実施形態47は、当該溶液が、約1mg/mL~約180mg/mLの濃度で当該抗CD38抗体を含む、実施形態46に記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0588】
実施形態48は、当該抗CD38抗体の濃度が、約1mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、又は約180mg/mLである、実施形態47に記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0589】
実施形態49は、約1mg/mL~約180mg/mLの当該抗CD38抗体、約1mM~約50mMのヒスチジン、約50mM~約500mMのソルビトール、約0.1mg/mL~約5mg/mLのメチオニン、及び約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)のポリソルベート20を含み、pH5.0~6.5である、実施形態33~48のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0590】
実施形態50は、約120mg/mLの当該抗CD38抗体、約10mMのヒスチジン、約300mMのソルビトール、約1mg/mLのメチオニン、及び約0.04%のポリソルベート20を含み、約pH5.6である、実施形態33~48のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0591】
実施形態51は、約120mg/mLの当該抗CD38抗体、約10mMのヒスチジン、約300mMのD-マンニトール、約1mg/mLのメチオニン、及び約0.04%のポリソルベート20を含み、約pH5.6である、実施形態33~48のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0592】
実施形態52は、当該それを必要としている対象が、狼瘡、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、乾癬性関節炎、脈管炎、手術による癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫性ぶどう膜炎、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化性肺胞炎、グレーブス病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ヴェゲナー肉芽腫症、その他の自己免疫疾患、膵炎、外傷(手術)、移植片対宿主病、移植拒絶反応、心筋梗塞並びにアテローム性動脈硬化症などの虚血性疾患を含む心臓疾患、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、変形性関節症、歯周炎及び低塩酸症、胎児-母体寛容の欠如に関連する不妊症、白斑、重症筋無力症、又は全身性硬化症からなる群から選択される疾患を有する又は有すると疑われる、実施形態33~51のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0593】
実施形態53は、当該自己免疫疾患が、関節炎、RA、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬、SLE、ループス腎炎、ANCA関連脈管炎、重症筋無力症、進行性多発性硬化症、IgG4関連疾患、シェーグレン症候群、免疫性血小板減少性紫斑病、移植拒絶反応、炎症性腸疾患、及びクローン病からなる群から選択される、実施形態33~51のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0594】
実施形態54は、当該自己免疫疾患がRAである、実施形態53に記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0595】
実施形態55は、当該自己免疫疾患がSLEである、実施形態53に記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0596】
実施形態56は、当該抗CD38抗体が、それぞれ配列番号6、7、及び8のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3のアミノ酸配列、並びにそれぞれ配列番号9、10、及び11のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列を含む、実施形態33~55のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0597】
実施形態57は、当該抗CD38抗体が、配列番号4の重鎖可変領域配列及び配列番号5の軽鎖可変領域配列を含む、実施形態33~56のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0598】
実施形態58は、当該抗CD38抗体が、配列番号12の重鎖配列及び配列番号13の軽鎖配列を含む、実施形態33~57のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0599】
実施形態59は、当該抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態33~58のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0600】
実施形態60は、当該対象がヒトである、実施形態33~59のいずれか1つに記載のとおり使用するための医薬組成物である。
【0601】
実施形態61は、それ必要としている対象に抗CD38抗体の皮下投与を提供するか又はそれを必要としている対象に自己免疫疾患の治療を提供するための医薬の製造における抗CD38抗体の使用であって、投与される当該抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約2,400mgである使用である。
【0602】
実施形態62は、投与される当該抗CD38抗体の総投薬量が、投与1回当たり約10mg~約600mgである、実施形態61に記載の使用である。
【0603】
実施形態63は、当該抗CD38抗体の総投薬量が、単回皮下注射で投与される、実施形態61又は62に記載の使用である。
【0604】
実施形態64は、当該抗CD38抗体の総投薬量が、複数回の皮下注射、例えば、2~5回の注射で投与される、実施形態61又は62に記載の使用である。
【0605】
実施形態65は、コルチコステロイドが、当該抗CD38抗体の投与前に当該対象に投与され、任意選択で、当該抗CD38抗体の投与後に再投与される、実施形態61~64のいずれか1つに記載の使用である。
【0606】
実施形態66は、当該コルチコステロイドが、当該抗CD38抗体の投与後に投与される、実施形態61~64のいずれか1つに記載の使用である。
【0607】
実施形態67は、当該コルチコステロイドが、プレドニゾンである、実施形態65又は66に記載の使用である。
【0608】
実施形態68は、当該コルチコステロイドが、経口投与される、実施形態65~67のいずれか1つに記載の使用である。
【0609】
実施形態69は、当該抗CD38抗体の投与の結果、当該抗CD38抗体の投与後少なくとも4週間でNK細胞又は形質細胞の80%未満が枯渇する、実施形態61~68のいずれか1つに記載の使用である。
【0610】
実施形態70は、当該抗CD38抗体の投与の結果、当該抗CD38抗体の投与の4週間後にNK細胞又は形質細胞の80%未満が枯渇する、実施形態61~68のいずれか1つに記載の使用である。
【0611】
実施形態71は、当該抗CD38抗体の投与の結果、4週間以内に当該対象のNK細胞又は形質細胞の80%超が枯渇する、実施形態61~68のいずれか1つに記載の使用である。
【0612】
実施形態72は、当該抗CD38抗体が、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで皮下投与される、実施形態61~71のいずれか1つに記載の使用である。
【0613】
実施形態73は、当該抗CD38抗体の総投薬量が、約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、又は約600mgである、実施形態61~72のいずれか1つに記載の使用である。
【0614】
実施形態74は、当該抗CD38抗体が溶液として製造される、実施形態61~73のいずれか1つに記載の使用である。
【0615】
実施形態75は、当該溶液が、約1mg/mL~約180mg/mLの濃度で当該抗CD38抗体を含む、実施形態74に記載の使用である。
【0616】
実施形態76は、当該抗CD38抗体の濃度が、約1mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、又は約180mg/mLである、実施形態75に記載の使用である。
【0617】
実施形態77は、当該医薬が、約1mg/mL~約180mg/mLの当該抗CD38抗体、約1mM~50mMのヒスチジン、約50mM~約500mMのソルビトール、約0.1mg/mL~約5mg/mLのメチオニン、及び約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)のポリソルベート20を含み、pH5.0~6.5である、実施形態61~75のいずれか1つに記載の使用である。
【0618】
実施形態78は、当該医薬が、約120mg/mLの当該抗CD38抗体、約10mMのヒスチジン、約300mMのソルビトール、約1mg/mLのメチオニン、及び約0.04%のポリソルベート20を含み、約pH5.6である、実施形態61~76のいずれか1つに記載の使用である。
【0619】
実施形態79は、当該医薬が、約120mg/mLの当該抗CD38抗体、約10mMのヒスチジン、約300mMのD-マンニトール、約1mg/mLのメチオニン、及び約0.04%のポリソルベート20を含み、約pH5.6である、実施形態61~76のいずれか1つに記載の使用である。
【0620】
実施形態80は、当該自己免疫疾患が、関節炎、RA、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬、SLE、炎症性腸疾患、及びクローン病からなる群から選択される、実施形態61~76のいずれか1つに記載の使用である。
【0621】
実施形態81は、当該自己免疫疾患がRAである、実施形態80に記載の使用である。
【0622】
実施形態82は、当該自己免疫疾患がSLEである、実施形態80に記載の使用である。
【0623】
実施形態83は、当該抗CD38抗体が、それぞれ配列番号6、7、及び8のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3のアミノ酸配列、並びにそれぞれ配列番号9、10、及び11のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列を含む、実施形態61~82のいずれか1つに記載の使用である。
【0624】
実施形態84は、当該抗CD38抗体が、配列番号4の重鎖可変領域配列及び配列番号5の軽鎖可変領域配列を含む、実施形態61~83のいずれか1つに記載の使用である。
【0625】
実施形態85は、当該抗CD38抗体が、配列番号12の重鎖配列及び配列番号13の軽鎖配列を含む、実施形態61~84のいずれか1つに記載の使用である。
【0626】
実施形態86は、当該抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態61~85のいずれか1つに記載の使用である。
【0627】
実施形態87は、当該対象がヒトである、実施形態61~86のいずれか1つに記載の使用である。
【0628】
実施形態88は、約1mg/mL~約180mg/mLの抗CD38抗体、約1mM~約50mMのヒスチジン、約50mM~約500mMのソルビトール、約0.1mg/mL~約5mg/mLのメチオニン、及び約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)のポリソルベート20を含み、pH5.0~6.5である、医薬組成物である。
【0629】
実施形態89は、約120mg/mLの抗CD38抗体、約10mMのヒスチジン、約300mMのソルビトール、約1mg/mLのメチオニン、及び約0.04%のポリソルベート20を含み、約pH5.6である、医薬組成物である。
【0630】
実施形態90は、約120mg/mLの抗CD38抗体、約10mMのヒスチジン、約300mMのD-マンニトール、約1mg/mLのメチオニン、及び約0.04%のポリソルベート20を含み、約pH5.6である、医薬組成物である。
【0631】
実施形態91は、当該抗CD38抗体が、それぞれ配列番号6、7、及び8のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3のアミノ酸配列、並びにそれぞれ配列番号9、10、及び11のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列を含む、実施形態88~90のいずれか1つに記載の医薬組成物である。
【0632】
実施形態92は、当該抗CD38抗体が、配列番号4の重鎖可変領域配列及び配列番号5の軽鎖可変領域配列を含む、実施形態88~90のいずれか1つに記載の医薬組成物である。
【0633】
実施形態93は、当該抗CD38抗体が、配列番号12の重鎖配列及び配列番号13の軽鎖配列を含む、実施形態88~92のいずれか1つに記載の医薬組成物である。
【0634】
実施形態94は、当該抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態88~93のいずれか1つに記載の医薬組成物である。
【0635】
実施形態95は、それを必要としている対象への抗CD38抗体の皮下投与を提供する方法であって、当該抗CD38抗体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を当該対象に皮下投与することを含み、当該抗CD38抗体が、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで皮下投与される方法である。
【0636】
以下の本発明の実施例は、本発明の本質を更に説明するためのものである。以下の実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定められることを理解すべきである。
【実施例】
【0637】
実施例1:皮下投与されたダラツムマブの安全性及び忍容性を評価するための臨床試験
ダラツムマブは、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、及び抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)を含む広範囲の機構によって、測定可能なレベルのCD38を発現する細胞を枯渇させることが報告されている標的免疫療法薬である。
【0638】
健常な正常ボランティアにおけるJNJ-54767414(ダラツムマブ)の薬力学(PD)効果を評価するために、18~55歳の健常な男性及び女性の参加者における、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、単回投与漸増試験を行った。試験には、54人の参加者が登録された。ダラツムマブ又はプラセボのいずれかの単回治療を受けるように参加者を無作為化した。各投薬量群(10mg~400mgの範囲)に9人の参加者が含まれ、6人の参加者にダラツムマブを投与し、3人の参加者にプラセボを投与した。
【0639】
CD38発現末梢白血球(例えば、形質芽細胞/形質細胞(PB_PC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、リンパ球など)のCD38発現レベルの変化及び枯渇の持続時間を経時的に測定した。1日目、2日目、4日目、8日目、15日目、22日目、29日目と、その後投与後225日目まで2週間毎にダラツムマブを単回皮下投与した後の全血サンプルに対して、フローサイトメトリーによる免疫細胞のプロファイリングを行った。
【0640】
H1受容体抗ヒスタミン剤及びアセトアミノフェンの前投薬で試験治療を開始したが、コルチコステロイドの前投薬は行わなかった。具体的には、経口解熱剤(650mg~1000mgのアセトアミノフェン)及び経口又は静脈内抗ヒスタミン剤(25mg~50mgのジフェンヒドラミン又は等価物)を各参加者に投与した。皮下投与による前投薬の約1時間後に、ダラツムマブ(又はプラセボ)を投与した。具体的には、本発明の実施形態による組成物中に製剤化された、総投薬量0mg(プラセボ)、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、又は400mgのダラツムマブを試験参加者に皮下投与した。最大4回の皮下注射で、臍周囲領域あるいは大腿部に総投薬量を投与した。組換えヒトヒアルロニダーゼ(rHuPH20)なしでダラツムマブを投与した。
【0641】
CD38+PB_PC細胞、NK細胞、総リンパ球、Tリンパ球、Bリンパ球、及び単球の枯渇をモニタリングした。JNJ-54767414(ダラツムマブ)がNK細胞(CD56陽性によって特定される)及び/又はPB_PC細胞の数及び割合を枯渇又は低減した程度によって、停止基準に関する情報が提供された。簡潔に述べると、NK細胞及び/又はPB_PC細胞の枯渇中央値は、4週間超にわたってベースラインの80%を超えなかった。
【0642】
理学的検査、局所注射部位反応、注射関連反応/アレルギー反応、心電図、臨床検査、バイタルサイン、及び有害事象によって、ダラツムマブの安全性及び忍容性をモニタリングした。試験の141日目を通して、又は必要に応じて延長された経過観察期間にわたって、任意のNK細胞及び/若しくは形質細胞の枯渇の評価並びに/又は任意の他の有害事象の観察に基づいて、安全性をモニタリングした。
【0643】
以下の実施例に記載のとおり、薬物動態(PK)及び薬力学(PD)評価、免疫原性試験、並びにPB_PC及びNK細胞の枯渇の評価のために、参加者から新鮮全血サンプルを採取した。1日目、2日目、4日目、8日目、15日目、22日目、29日目と、その後225日目まで2週間毎に、フローサイトメトリー分析を実施した。
【0644】
実施例2:皮下ダラツムマブ投与の薬力学的効果
CD38発現レベル及びCD38発現細胞数(例えば、NK細胞、PB_PC細胞、総リンパ球、B細胞、及びT細胞の合計パーセント)に対するダラツムマブの効果を、実施例1に記載のとおりダラツムマブを投与した参加者から採取した血液サンプルにおいて評価した。ベースラインCD38発現プロファイルを確立した。CD38+NK細胞及び形質細胞の枯渇をフローサイトメトリーによってモニタリングした。
【0645】
【0646】
NK CD56
+細胞(CD45
+CD3
-CD56
+CD38
+細胞)に対するPD効果
CD38は、CD56
+NK細胞の約95%で発現した(表1)。その後の分析では、表現型CD45+CD3-CD56+CD38+を有するNK細胞を評価した。
図1A~1Bは、≧10mgのダラツムマブの投与後1日以内に非常に急速に、CD38
+CD56
+NK細胞の細胞数が減少し始めることを示し、これは、プラセボと比較して、治療後2日目のベースラインからの>90%の変化と同等である(
図2A~2B)。CD38
+CD56
+NK細胞の割合に対するダラツムマブの効果の測定において、7日目にベースラインからの最大の変化が観察され、いくつかの用量のダラツムマブは、CD38
+CD56
+NK細胞の割合を約20%以下減少させた。CD38
+CD56
+NK細胞の数の変化が、同じCD38発現CD56
+NK細胞の割合の変化に正確に反映しているわけではなかったという所見は、この細胞集団におけるCD38発現が非常に高いレベルであることに起因している可能性が高い。CD38
+CD56
+NK細胞のベースラインレベルへの回復は、投与群全体にわたって比較的迅速に(7~14日間以内)開始されたが、400mg用量群におけるCD38
+CD56
+NK細胞の回復は他の用量と比較して中程度に遅く開始された(
図1A~1B及び2A~2B)。しかしながら、概して、CD38
+CD56
+NK細胞レベルは、概ね、投与後21日間以内にベースラインに戻った。
【0647】
PB_PC細胞(CD45
+CD3
-CD19
+CD20
-CD27
+IgD
-CD38
+細胞)に対するPD効果
末梢血中のNK細胞の割合は2~5%であったが、PB_PC細胞の割合は、末梢血白血球の0.1~0.5%とはるかに低かった。PB-PC細胞は、この試験においてCD45
+CD3
-CD19
+CD20
-CD27
+IgD
-CD38
+として特定された。ベースラインにおいて、CD38は、この試験に参加している対象全体にわたってPB_PC集団において70~88%の中央割合で発現した(表1)。NK細胞と同様に、CD38
+PB_PC細胞の細胞数及び割合は2日以内に減少し始めたが、≧25mgのダラツムマブ用量では治療後8日目に最大枯渇が観察された(
図3A~3B)。CD38
+PB_PC細胞数における最大枯渇は、200mg用量群において8日目に観察され、実際の細胞数は80%減少し、CD38
+PB_PC細胞の割合は中央値で85%低下した(
図4A~4B)。8日目に、CD38
+PB_PC細胞の数及び割合のベースラインからの変化は80%であった。試験した全てのダラツムマブ用量群に関して、細胞の数及び割合の回復は、比較的迅速に14~21日以内に生じた。
【0648】
また、総リンパ球、T細胞、B細胞、及び単球を含む、他の白血球細胞集団についても、この試験においてモニタリングした。
【0649】
総リンパ球(CD45
+CD38
+細胞)に対するPD効果
CD38は、総CD45
+リンパ球の50~70%に存在していた(表1)。1~2日以内に、ダラツムマブ(用量≧25mg)の投与後にCD38
+CD45
+リンパ球の総数及び割合は減少し始めた(
図5A~5B)。CD38
+CD45
+リンパ球の最大枯渇は、8日目に生じた(
図5A~5B及び6A~6B)。≧50mgの用量では、細胞数はベースラインから約70%減少し、CD38
+CD45
+リンパ球の割合は、ベースラインから約80%減少した(
図6B)。≦200mgダラツムマブ用量群に関して、CD38
+CD45
+リンパ球細胞の数及び割合の回復は、比較的迅速に14~21日以内に生じた。しかしながら、400mgのダラツムマブを投与した後のリンパ球の回復はより遅く、CD38
+リンパ球細胞の数及び割合は、43日目まで再びベースラインレベルに近づくことはなかった(
図5B及び6B)。
【0650】
Tリンパ球(CD45
+CD3
+CD38
+細胞)に対するPD効果
ベースラインにおいて、CD56
-CD14
-CD19
-CD45
+CD3
+によって特定される総Tリンパ球におけるCD38
+発現の割合は、40~60%の範囲であった(表1)。ダラツムマブを投与した後1~2日以内に、CD38
+T細胞の細胞の数及び割合は観察可能に減少した(
図7A~7B)。8日目にダラツムマブ投与により総Tリンパ球の数及び割合が最も大きく減少し、400mg用量がベースラインからの最も大きな減少を示した(CD38
+T細胞が90%減少;
図7B及び
図8B)。400mgのダラツムマブ用量群を除いて、投与後14日に総T細胞が回復し始め、ベースラインのT細胞の数及び割合に戻るのはより遅かった(
図7A~7B及び8A~8B)。400mg用量の投与後22日目にCD38
+T細胞が回復し始めたが、ベースラインレベルの細胞の数及び割合に戻ったのは43日目より後であった(
図7B及び8B)。
【0651】
Bリンパ球(CD45
+CD19
+CD38
+細胞)に対するPD効果
CD19
+B細胞集団では、この試験に登録された対象において測定されたCD38のベースライン発現レベルは、82~95%の範囲であった(表1)。ダラツムマブは、2~4日以内に≧50mgの用量で、CD38
+CD19
+細胞の細胞の数及び割合を減少させた(
図9A~9B);しかしながら、CD38
+CD19
+B細胞は8日目に最も大きく枯渇し、ここで、200mg用量の投与の結果、ベースライン細胞数及び割合から90%減少した(
図9B及び10B)。興味深いことに、このB細胞集団では、400mg用量のダラツムマブは、200mg用量よりも大きく細胞の数又は割合を減少させることはなかった(~70%)(
図9B及び10B)。他の細胞集団とは異なり、CD38
+CD19
+B細胞の回復は、全てのダラツムマブ用量にわたって21日以内にこれら対象でベースラインレベルが達成されたように、比較的短い時間枠内で生じた。
【0652】
単球(CD45
+CD3
-CD19
+CD56
-CD14
+CD16
-CD38
+細胞)に対するPD効果
単球に対する漸増用量のダラツムマブの効果についてもモニタリングした(
図11A~11B及び12A~12B)。この試験で登録された対象におけるCD45
+CD3
-CD19
-CD56
-CD14
+CD16
-単球におけるCD38発現は、ベースライン時に50~80%の範囲であった(表1)。血液単球は少数(2~8%)存在していたが、ダラツムマブは、2~7日以内に、CD38
+単球の細胞の数及び割合を減少させた(
図11A~11B)。CD38
+CD45
+CD3
-CD19
-CD56
-CD14
+CD16
-単球の数及び割合は、ダラツムマブの投与後7日目までに最大レベルに減少し、単球は通常、21日以内にベースラインレベルまで戻った。単球集団では、低用量及び高用量のダラツムマブによって誘導される低減の大きさが重複しており、ばらつきが大きすぎてこれら細胞に対するダラツムマブの効果についての決定的な結論を引き出すことはできなかった。
【0653】
実施例3:皮下投与されたダラツムマブの安全性及び忍容性に対するコルチコステロイドの前投薬の効果を評価するための臨床試験
皮下投与されたダラツムマブの安全性及び忍容性に対するコルチコステロイドの前投薬の効果を評価した。ダラツムマブの皮下投与の1~2時間前にプレドニゾン(40mg、経口投与)を試験参加者に投与した。実施例1に記載のとおりダラツムマブを皮下投与した。コルチコステロイドの投薬量は、全身注射関連反応を予防するために必要に応じて調節した。
【0654】
注射関連反応を管理するために、ダラツムマブ≧50mgの用量を投与した対象にコルチコステロイドを投与した。より具体的には、薬物送達前に、50~200mg用量群の対象に40mgのコルチコステロイドを投与し、一方、400mg用量群の対象には、薬物送達前に40mgのコルチコステロイド及び直後に20mgのコルチコステロイドを投与した。コルチコステロイド自体が異なる集団にわたってCD38
+細胞の割合に影響し得るかどうかを判定するために、コルチコステロイドを投与しなかったN=9のプラセボ対象からのデータを、ダラツムマブを投与した対象と等価なコルチコステロイド投与を受けたN=12のプラセボ対象からのデータと比較するために、組み合わせた。
図1A~1B、2A~2B、3A~3B、4A~4B、5A~5B、6A~6B、7A~7B、8A~8B、9A~9B、10A~10B、11A~11B、及び12A~12Bに示すとおり、CD38
+NK細胞、PB_PC細胞、総リンパ球、T細胞、B細胞、及び単球の割合は、コルチコステロイドを投与しなかった対象に対して、コルチコステロイドを投与した対象で同等であり、これは、対象へのコルチコステロイドの添加が、ダラツムマブのPD効果についてこの試験でモニタリングした末梢血細胞の割合を著しくは変化させなかったことを示唆している。
【0655】
実施例1~3の結果は、末梢血中の複数の細胞型にわたるCD38発現のフローサイトメトリー分析によって、ダラツムマブのPD効果を測定できることを実証した。漸増用量のダラツムマブは、投与後7日以内に、CD38+PB_PC細胞、NK細胞、総リンパ球、T細胞、B細胞、及び単球の数及び割合を減少させることが示された。細胞集団全体にわたって、ダラツムマブは、比較的迅速(1~2日以内)にCD38+細胞の数及び割合を減少させ始め、通常、ダラツムマブ≧25mgの単回投与の7日後までに最も大きな枯渇が観察された。CD38+細胞集団では、ベースラインレベルへの回復は、通常、<200mgの用量のダラツムマブを投与した後14~21日以内に始まった。低用量群と比較して、CD38+細胞の数及び割合のベースラインレベルへの回復は、概ね、400mgのダラツムマブで治療した対象においてより遅かった。全体的に、この試験の結果は、健常な正常ボランティアにおいて、ダラツムマブが、末梢血中のCD38+細胞集団を広く枯渇させるが、細胞サブタイプ間で程度が異なることを実証するものである。
【0656】
実施例4:免疫原性評価
実施例1及び3に記載の試験に従ってダラツムマブが投与された参加者から採取された血清サンプル中の抗ダラツムマブ抗体を評価する。特に、抗ダラツムマブ抗体検査で陽性であった、ダラツムマブが投与された対象に由来するヒト血清サンプル中のダラツムマブに対する中和抗体(NAb)を測定する。
【0657】
当業者は、広い発明概念から逸脱することなく前述の実施形態に変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に制限されず、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内の修正をも包含することを意図するものと理解される。
【配列表】
【国際調査報告】