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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】黒色腫に対する併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220131BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220131BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20220131BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20220131BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALN20220131BHJP
   C07K 16/46 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61P35/00 ZNA
A61P35/04
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P43/00 121
G01N33/574 D
A61K39/395 N
C07K16/28
C12Q1/68
C07K16/46
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521256
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(85)【翻訳文提出日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 US2019056923
(87)【国際公開番号】W WO2020081928
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】62/748,089
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・モウラー
(72)【発明者】
【氏名】ケイティ・エル・シモンセン
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB31
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC23
4C085DD61
4C085EE03
4C085GG01
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、前治療を受けていない転移性のまたは切除不能な黒色腫の処置方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者において転移性黒色腫の増殖を阻害する方法であって、該患者に有効量の以下:
(a) LAG-3アンタゴニスト;および
(b) PD-1経路阻害剤;
を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けていない、方法。
【請求項2】
ヒト患者において転移性黒色腫を処置する方法であって、該患者に有効量の以下:
(a) LAG-3アンタゴニスト;および
(b) PD-1経路阻害剤;
を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けていない、方法。
【請求項3】
ヒト患者において切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法であって、該患者に有効量の以下:
(a) LAG-3アンタゴニスト;および
(b) PD-1経路阻害剤;
を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない、方法。
【請求項4】
ヒト患者において切除不能な黒色腫を処置する方法であって、該患者に有効量の以下:
(a) LAG-3アンタゴニスト;および
(b) PD-1経路阻害剤;
を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない、方法。
【請求項5】
黒色腫が局所進行したときに患者が先行治療を受けており、ここで、先行治療がアジュバントまたはネオアジュバントの抗PD-1または抗CTLA-4療法である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
患者が、組織学的に確認された切除不能なステージIIIまたはIVの黒色腫を有する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
患者が、米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータスが0または1である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
患者が、固形腫瘍の腫瘍縮小効果判定(RECIST)バージョン1.1により決定される測定可能な病変を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
患者の腫瘍浸潤リンパ球がLAG-3を発現している、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
患者の腫瘍浸潤リンパ球細胞の1%以上がLAG-3を発現している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
LAG-3発現が、腫瘍生検組織サンプルから決定される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
生検組織サンプルが、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルである、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
LAG-3発現が、生検組織サンプルにおいてタンパク質またはRNA発現を測定することにより決定される、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
LAG-3発現が、生検組織サンプルにおけるLAG-3タンパク質のレベルを検出することができるアッセイにより検出される、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
LAG-3発現が、免疫組織化学アッセイにより検出される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
免疫組織化学アッセイがモノプレックスアッセイである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
免疫組織化学アッセイがマルチプレックスアッセイである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
免疫組織化学アッセイが、腫瘍サンプルを17B4、SP346、11E3、874501またはEPR4392(2)抗ヒトLAG-3モノクローナル抗体と接触させることを含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
患者の腫瘍細胞がPD-L1を発現している、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
患者の腫瘍細胞の1%以上がPD-L1を発現している、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
PD-L1発現が、腫瘍生検組織サンプルから決定される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
生検組織サンプルがホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルである、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
PD-L1発現が、生検組織サンプルにおけるタンパク質またはRNA発現を測定することにより決定される、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
PD-L1発現が、生検組織サンプルにおけるPD-L1タンパク質のレベルを検出することができるアッセイにより検出される、請求項19から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
PD-L1発現が、免疫組織化学アッセイにより検出される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
免疫組織化学アッセイが、モノプレックスアッセイである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
免疫組織化学アッセイが、マルチプレックスアッセイである、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
患者の腫瘍細胞が、BRAF V600変異を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
LAG-3アンタゴニストが抗LAG-3抗体である、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
抗LAG-3抗体が完全長抗体である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
抗体が、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
多重特異性抗体が、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
抗体が、F(ab’)フラグメント、Fab’フラグメント、Fabフラグメント、Fvフラグメント、scFvフラグメント、dsFvフラグメント、dAbフラグメントまたは一本鎖結合ポリペプチドである、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
抗LAG-3抗体が、BMS-986016、IMP731(H5L7BW)、MK-4280(28G-10)、REGN3767、GSK2831781、ヒト化抗体BAP050、IMP-701(LAG-525)、aLAG3(0414)、aLAG3(0416)、Sym022、TSR-033、TSR-075、XmAb22841、MGD013、BI754111、FS118、P13B02-30またはAVA-017である、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
LAG-3アンタゴニストがIMP321である、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
抗LAG-3抗体が、配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
抗LAG-3抗体が、
(a) 配列番号7に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b) 配列番号8に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c) 配列番号9に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d) 配列番号10に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e) 配列番号11に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f) 配列番号12に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
を含む、請求項1から31および36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
抗LAG-3抗体が、配列番号3および5にそれぞれ記載の配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、請求項1から31、36および37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
抗LAG-3抗体が、配列番号1および2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む、請求項1から31および36から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
PD-1経路阻害剤が抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、PDR001、MEDI0680、TSR-042、REGN2810、JS001、PF-06801591、BGB-A317、BI754091およびSHR-1210からなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
抗PD-1抗体が、配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
抗PD-1抗体が、
(a) 配列番号19に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b) 配列番号20に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c) 配列番号21に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d) 配列番号22に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e) 配列番号23に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f) 配列番号24に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
を含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
抗PD-1抗体が、配列番号15および17にそれぞれ記載の配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法
【請求項45】
抗PD-1抗体が、配列番号13および14にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
抗LAG-3抗体またはLAG-3アンタゴニストおよび抗PD-1抗体の固定用量の組合せ剤が投与される、請求項1から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
方法が少なくとも1つの投与サイクルを含み、ここで、該サイクルが4週間を1期間とし、少なくとも1サイクルのそれぞれについて、抗LAG-3抗体またはアンタゴニストの1用量が160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の1用量が480mgの用量で投与される、請求項1から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
抗LAG-3抗体またはアンタゴニストおよび抗PD-1抗体が静脈内投与用に製剤される、請求項1から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
抗LAG-3抗体またはアンタゴニストおよび抗PD-1抗体が共に製剤される、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
抗LAG-3抗体またはアンタゴニストおよび抗PD-1抗体が別個に製剤される、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
ヒト患者において転移性黒色腫の増殖を阻害する方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けていない、方法。
【請求項52】
ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
の有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けていない、方法。
【請求項53】
ヒト患者において切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない、方法。
【請求項54】
ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
の有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない、方法。
【請求項55】
ヒト患者において転移性黒色腫の増殖を阻害する方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項56】
ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
の有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項57】
ヒト患者において切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項58】
ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
の有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項59】
思春期のヒト患者において転移性黒色腫の増殖を阻害する方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、2mg/kgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に6mg/kgの用量で投与される、方法。
【請求項60】
思春期のヒト患者における転移性黒色腫の処置方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
の有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、2mg/kgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に6mg/kgの用量で投与される、方法。
【請求項61】
思春期のヒト患者において切除不能な黒色腫腫瘍の増殖を阻害する方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、2mg/kgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に6mg/kgの用量で投与される、方法。
【請求項62】
思春期のヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
の有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、2mg/kgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に6mg/kgの用量で投与される、方法。
【請求項63】
患者が12歳以上である、請求項59から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
患者が12歳から17歳である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
以前の全身療法が、アジュバントまたはネオアジュバント抗PD-1または抗CTLA-4療法である、請求項51から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
患者が、組織学的に確認された切除不能なステージIIIまたはIVの黒色腫を有する、請求項51から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
患者が、米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータスが0または1である、および/またはLanskyパフォーマンススコアが80%以上である、請求項51から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
患者が、固形腫瘍の腫瘍縮小効果判定(RECIST)バージョン1.1により決定される測定可能な病変を有する、請求項51から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
患者の腫瘍浸潤リンパ球細胞がLAG-3を発現している、請求項51から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
患者の腫瘍浸潤リンパ球細胞の1%以上がLAG-3を発現している、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
生検組織サンプルがホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルである、請求項69または70に記載の方法。
【請求項72】
LAG-3発現が、生検組織サンプルにおけるタンパク質またはRNA発現を測定することにより決定される、請求項69から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
LAG-3発現が、生検組織サンプルにおけるLAG-3タンパク質のレベルを検出することができるアッセイにより検出される、請求項69から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
LAG-3発現が、免疫組織化学アッセイにより検出される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
免疫組織化学アッセイがモノプレックスアッセイである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
免疫組織化学アッセイがマルチプレックスアッセイである、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
免疫組織化学アッセイが、腫瘍サンプルを、LAG-3を発現する腫瘍浸潤リンパ球と結合する、17B4、SP346、11E3、874501またはEPR4392(2)抗ヒトLAG-3モノクローナル抗体と接触させることを含む、請求項74から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
患者の腫瘍細胞がPD-L1を発現する、請求項51から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
患者の腫瘍細胞の1%以上がPD-L1を発現する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
PD-L1発現が、腫瘍生検組織サンプルから決定される、請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
生検組織サンプルがホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルである、請求項78から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
PD-L1発現が、生検組織サンプルにおけるタンパク質またはRNA発現を測定することにより決定される、請求項78から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
PD-L1発現が、生検組織サンプルにおけるPD-L1タンパク質のレベルを検出することができるアッセイにより検出される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
PD-L1発現が、免疫組織化学アッセイにより検出される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
免疫組織化学アッセイがモノプレックスアッセイである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
免疫組織化学アッセイがマルチプレックスアッセイである、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
患者の腫瘍細胞が、BRAF V600変異を含む、請求項51から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
ヒト患者において転移性黒色腫の増殖を阻害する方法であって、
(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに
(b) 該患者に、
(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与すること;
を含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けていない
方法。
【請求項89】
ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法であって、
(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに
(b) 該患者に、
(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与すること;
を含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けていない
方法。
【請求項90】
ヒト患者において切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法であって、
(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに
(b) 該患者に、
(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与すること;
を含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない、
方法。
【請求項91】
ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法であって、
(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに
(b) 該患者に、
(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体
のそれぞれの有効量を投与すること;
を含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない、
方法。
【請求項92】
ヒト患者において転移性黒色腫の増殖を阻害する方法であって、
(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに
(b) 該患者に、
(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与すること;
を含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項93】
ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法であって、
(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに
(b) 該患者に、
(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与すること;
を含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項94】
ヒト患者において切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法であって、
(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに
(b) 該患者に、
(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与すること;
を含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項95】
ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法であって、
(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに
(b) 該患者に、
(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与すること;
を含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項96】
ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法であって、該患者に、
(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与すること;
を含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項97】
抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体が一次療法として投与される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法であって、該患者に、
(i) (a) 配列番号7に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号8に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号9に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号10に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号11に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号12に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) (a) 配列番号19に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号20に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号21に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号22に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号23に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号24に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与すること;
を含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項99】
抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体が一次療法として投与される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
抗LAG-3抗体が、配列番号30および配列番号2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む、請求項1から31、36から38および40から99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法であって、該患者にレラトリマブおよびニボルマブのそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、レラトリマブの少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつニボルマブの少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項102】
ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法であって、該患者に、
(i) 配列番号30および配列番号2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号13および配列番号14のそれぞれに記載の配列を含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与することを含み;
ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項103】
ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法であって、該患者にレラトリマブおよびニボルマブのそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の治療を受けておらず、レラトリマブの少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつニボルマブの少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項104】
ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法であって、該患者に、
(i) 配列番号30および配列番号2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号13および配列番号14のそれぞれに記載の配列を含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与することを含み;
ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の治療を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項105】
ヒト患者における転移性のまたは切除不能な黒色腫の処置方法であって、該患者にレラトリマブおよびニボルマブのそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性のまたは切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、レラトリマブの少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつニボルマブの少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項106】
ヒト患者における転移性のまたは切除不能な黒色腫の処置方法であって、該患者に、
(i) 配列番号30および配列番号2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号13および配列番号14のそれぞれに記載の配列を含む抗PD-1抗体、
のそれぞれの有効量を投与することを含み;
ここで、患者は、以前に転移性のまたは切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される、方法。
【請求項107】
ヒトの患者において、前治療を受けていない転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置するために併用される、レラトリマブおよびニボルマブを含む製品であって、ここで、該処置は、レラトリマブの少なくとも1用量を160mgの用量で投与し、かつニボルマブの少なくとも1用量を4週間毎に480mgの用量で投与することを含む、製品。
【請求項108】
ヒトの患者において、前治療を受けていない転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置するために併用される、配列番号30および配列番号2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む抗LAG-3抗体と、配列番号13および配列番号14のそれぞれに記載の配列を含む抗PD-1抗体とを含む製品であって、ここで、該処置は、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量を160mgの用量で投与し、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量を4週間毎に480mgの用量で投与することを含む、製品。
【請求項109】
ヒトの患者において、前治療を受けていない転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置するために併用される、(a) 配列番号7に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号8に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号9に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号10に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号11に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号12に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む抗LAG-3抗体、ならびに(a) 配列番号19に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号20に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号21に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号22に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号23に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号24に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む抗PD-1抗体を含む製品であって、ここで、該処置は、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量を160mgの用量で投与し、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量を4週間毎に480mgの用量で投与することを含む、製品。
【請求項110】
LAG-3発現が、腫瘍生検組織サンプルから決定される、請求項70に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月19日出願の米国仮特許出願第62/748,089号に基づく優先権の利益を主張し、それらの内容全体を引用により本明細書中に包含させる。
【0002】
発明の分野
本明細書に記載の本発明は、LAG-3阻害剤およびPD-1経路阻害剤の併用による、ヒト患者における転移性のまたは切除不能な黒色腫の処置方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3;CD223)は、活性化されたCD4およびCD8T細胞、ならびにNK細胞および樹状細胞のサブセットの細胞表面上に発現するI型膜貫通タンパク質である(Triebel F, et al., J. Exp. Med. 1990; 171:1393-1405; Workman C J, et al., J. Immunol. 2009; 182(4):1885-91)。LAG-3は、Tヘルパー細胞活性化のための共受容体であるCD4と密接に関連している。両分子は、4つの細胞外Ig様ドメインを有し、主要組織適合複合体(MHC)クラスIIに結合する。CD4とは対照的に、LAG-3は活性化T細胞の細胞表面にのみ発現し、その細胞表面からの切断によりLAG-3シグナル伝達を停止させる。LAG-3は可溶性タンパク質としても見出されるが、その機能は不明である。
【0004】
PD-1は、T細胞の活性化および耐性の調節において重要な役割を果たす細胞表面シグナル伝達受容体である(Keir M E, et al., Annu Rev Immunol 2008; 26:677-704)。これはI型膜貫通型タンパク質であり、BTLA、CTLA-4、ICOSおよびCD28とともに、T細胞共刺激受容体のCD28ファミリーを含む。PD-1は、主に活性化T細胞、B細胞および骨髄系細胞上で発現する(Dong H, et al., Nat Med. 1999; 5:1365-1369)。また、ナチュラルキラー(NK)細胞上でも発現している(Terme M, et al., Cancer Res 2011; 71:5393-5399)。そのリガンドであるPD-L1およびPD-L2によるPD-1の結合は、近位細胞内免疫受容体チロシン阻害ドメインのチロシン残基のリン酸化をもたらし、次いでリン酸化酵素SHP-2が動員され、最終的にはT細胞活性化の下方制御がもたらされる。PD-1の重要な役割の1つは、感染に対する炎症反応時に末梢組織のT細胞の活性を抑制し、自己免疫の発生を抑制することである(Pardoll D M., Nat Rev Cancer 2012; 12:252-264)。この負の調節的役割の証拠は、PD-1欠損マウスが心筋症とともに関節炎および腎炎を含むループス様自己免疫疾患を発症するという知見に由来する(Nishimura H, et al., Immunity、1999; 11:141-151; および、Nishimura H, et al., Science, 2001; 291:319-322)。PD-1は、腫瘍浸潤リンパ球上で発現され、そのリガンドは、多くの異なる腫瘍の細胞表面で上方制御されている(Dong H, et al., Nat Med 2002; 8:793-800)。複数のマウス癌モデルは、PD-1へのリガンドの結合が免疫回避をもたらすことを実証している。加えて、この相互作用の遮断は、抗腫瘍活性をもたらす(Topalian S L, et al. NEJM 2012; 366(26):2443-2454; Hamid O, et al. NEJM 2013; 369:134-144)。さらに、PD-1/PD-L1相互作用の阻害は、前臨床モデルにおいて強力な抗腫瘍活性を仲介することが示されている(米国特許第8,008,449号および同第7,943,743号)。
【0005】
本発明の目的は、転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置するための改善された方法を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者において転移性黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、該患者に以下の有効量を投与することを含む:(a) LAG-3アンタゴニスト;および、(b) PD-1経路阻害剤;ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の処置を受けていない。
【0007】
本明細書に記載の本発明の別の面は、ヒト患者において転移性黒色腫を処置する方法に関し、この方法は、該患者に以下の有効量を投与することを含む:(a) LAG-3アンタゴニスト;および、(b) PD-1経路阻害剤;ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けていない。
【0008】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者において切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、該患者に以下の有効量を投与することを含む:(a) LAG-3アンタゴニスト;および、(b) PD-1経路阻害剤;ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない。
【0009】
本明細書に記載の本発明の別の面は、ヒト患者において切除不能な黒色腫を処置する方法に関し、この方法は、該患者に以下の有効量を投与することを含む:(a) LAG-3アンタゴニスト;および、(b) PD-1経路阻害剤;ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない。
【0010】
ある態様において、患者は、黒色腫が局所的に進行したときに先行治療(前治療)を受けており、該先行治療は、アジュバントまたはネオアジュバントの抗PD-1療法または抗CTLA-4療法であった。ある態様において、患者は、組織学的に確認された切除不能なステージIIIまたはステージIVの黒色腫を有する。特定の態様において、患者は、米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスが0または1である。ある態様において、患者は、固形腫瘍の腫瘍縮小効果判定(Response Evaluation Criteria in Solid Tumor;RECIST)バージョン1.1によって決定される測定可能な疾患を有する。
【0011】
ある態様において、患者の腫瘍浸潤リンパ球はLAG-3を発現している。特定の態様において、患者の腫瘍浸潤リンパ球細胞の1%以上がLAG-3を発現している。特定の態様において、LAG-3発現は、腫瘍生検組織サンプルから決定される。特定の態様において、生検組織サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルである。ある態様において、LAG-3発現は、生検組織サンプルにおけるタンパク質またはRNAの発現を測定することによって決定される。特定の態様において、LAG-3発現は、生検組織サンプルにおけるLAG-3タンパク質のレベルを検出することができるアッセイによって検出される。他の態様において、LAG-3発現は、免疫組織化学アッセイによって検出される。特定の態様において、免疫組織化学アッセイは、モノプレックスアッセイである。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、マルチプレックスアッセイである。特定の態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍サンプルを17B4、SP346、11E3、874501またはEPR4392(2)抗ヒトLAG-3モノクローナル抗体と接触させることを含む。
【0012】
ある態様において、患者の腫瘍細胞はPD-L1を発現している。特定の態様において、患者の腫瘍細胞の1%以上がPD-L1を発現している。ある態様において、PD-L1発現は、腫瘍生検組織サンプルから決定される。特定の態様において、生検組織サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルである。特にある態様において、PD-L1発現は、生検組織サンプルにおけるタンパク質またはRNAの発現を測定することにより決定される。ある態様において、PD-L1発現は、生検組織サンプルにおけるPD-L1タンパク質のレベルを検出することができるアッセイによって検出される。特定の態様において、PD-L1発現は、免疫組織化学アッセイによって検出される。特にある態様において、免疫組織化学アッセイは、モノプレックスアッセイである。他の態様において、免疫組織化学アッセイは、マルチプレックスアッセイである。
【0013】
特定の態様において、患者の腫瘍細胞は、BRAF V600変異を含む。
【0014】
ある態様において、LAG-3アンタゴニストは抗LAG-3抗体である。特定の態様において、抗LAG-3抗体は完全長抗体である。特定の態様において、抗体は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である。特定の態様において、多重特異性抗体は、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である。ある態様において、抗体は、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fabフラグメント、Fvフラグメント、scFvフラグメント、dsFvフラグメント、dAbフラグメントまたは一本鎖結合ポリペプチドである。ある態様において、抗LAG-3抗体は、BMS-986016、IMP731(H5L7BW)、MK-4280(28G-10)、REGN3767、GSK2831781、ヒト化抗体BAP050、IMP-701(LAG-525)、aLAG3(0414)、aLAG3(0416)、Sym022、TSR-033、TSR-075、XmAb22841、MGD013、BI754111、FS118、P 13B02-30またはAVA-017である。特定の態様において、LAG-3アンタゴニストはIMP321である。
【0015】
ある態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。ある態様において、抗LAG-3抗体は、(a) 配列番号7に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号8に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号9に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号10に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号11に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号12に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む。特定の態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3および5にそれぞれ記載の配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号1および2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む。
【0016】
ある態様において、PD-1経路阻害剤は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である。特定の態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、PDR001、MEDI0680、TSR-042、REGN2810、JS001、PF-06801591、BGB-A317、BI 754091およびSHR-1210からなる群より選択される。特定の態様において、抗PD-1抗体は、配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。特定の態様において、抗PD-1抗体は、(a) 配列番号19に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号20に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号21に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号22に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号23に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号24に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む。ある態様において、抗PD-1抗体は、配列番号15および17にそれぞれ記載の配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗PD-1抗体は、配列番号13および14にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む。
【0017】
ある態様において、抗LAG-3抗体またはLAG-3アンタゴニストおよび抗PD-1抗体の固定用量の組合せが投与される。特定の態様において、本方法は、少なくとも1つの投与サイクルを含み、ここで、このサイクルは、4週間の期間であり、少なくとも1サイクルのそれぞれについて、抗LAG-3抗体またはアンタゴニストの1用量が160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の1用量が480mgの用量で投与される。
【0018】
特定の態様において、抗LAG-3抗体またはアンタゴニストおよび抗PD-1抗体は、静脈内投与用に製剤される。ある態様において、抗LAG-3抗体またはアンタゴニストおよび抗PD-1抗体は、共製剤される。ある態様において、抗LAG-3抗体またはアンタゴニストおよび抗PD-1抗体は、別個に製剤される。
【0019】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における転移性黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けていない。
【0020】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、の有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けていない。
【0021】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない。
【0022】
本明細書に記載の本発明の別の面は、ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、の有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない。
【0023】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者において転移性黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0024】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、の有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0025】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者において切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0026】
本明細書に記載の本発明のさらなる面は、ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、の有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0027】
本明細書に記載の本発明の一面は、思春期のヒト患者において転移性黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、2mg/kgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に6mg/kgの用量で投与される。
【0028】
本明細書に記載の本発明の一面は、思春期のヒト患者における転移性黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、の有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、2mg/kgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に6mg/kgの用量で投与される。
【0029】
本明細書に記載の本発明の一面は、思春期のヒト患者において切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、2mg/kgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に6mg/kgの用量で投与される。
【0030】
本明細書に記載の本発明の別の面は、思春期のヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、の有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、2mg/kgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に6mg/kgの用量で投与される
【0031】
ある態様において、患者は、12歳以上である。特定の態様において、患者は、12歳から17歳である。特定の態様において、以前の全身療法は、アジュバントまたはネオアジュバントの抗PD-1療法または抗CTLA-4療法である。他の態様において、患者は、組織学的に確認された切除不能なステージIIIまたはIVの黒色腫を有する。特定の態様において、患者は、米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスが0または1であり、および/またはLanskyパフォーマンススコアが80%以上である。ある態様において、患者は、固形腫瘍の腫瘍縮小効果判定(RECIST)バージョン1.1により決定される測定可能な病変を有する。
【0032】
ある態様において、患者の腫瘍浸潤リンパ球細胞がLAG-3を発現している。特定の態様において、患者の腫瘍浸潤リンパ球細胞の1%以上がLAG-3を発現している。特定の態様において、LAG-3発現は、腫瘍生検組織サンプルから決定される。一態様において、生検組織サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルである。特定の態様において、LAG-3発現は、生検組織サンプルにおいてタンパク質またはRNA発現を測定することにより決定される。ある態様において、LAG-3発現は、生検組織サンプルにおいてLAG-3タンパク質のレベルを検出することができるアッセイにより検出される。特定の態様において、LAG-3発現は、免疫組織化学アッセイにより検出される。ある態様において、免疫組織化学アッセイはモノプレックスアッセイである。他の態様において、免疫組織化学アッセイはマルチプレックスアッセイである。特定の態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍サンプルを、LAG-3を発現する腫瘍浸潤リンパ球と結合する、17B4、SP346、11E3、874501またはEPR4392(2)抗ヒトLAG-3モノクローナル抗体と接触させることを含む。
【0033】
一態様において、患者の腫瘍細胞はPD-L1を発現する。特定の態様において、患者の腫瘍細胞の1%以上がPD-L1を発現している。ある態様において、PD-L1発現は、腫瘍生検組織サンプルから決定される。特定の態様において、生検組織サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルである。特定の態様において、PD-L1発現は、生検組織サンプルにおいてタンパク質またはRNA発現を測定することにより決定される。ある態様において、PD-L1発現は、生検組織サンプルにおいてPD-L1タンパク質のレベルを決定することができるアッセイにより検出される。特定の態様において、PD-L1発現は、免疫組織化学アッセイにより検出される。特定の態様において、免疫組織化学アッセイはモノプレックスアッセイである。特定の態様において、免疫組織化学アッセイはマルチプレックスアッセイである。ある態様において、患者の腫瘍細胞は、BRAF V600変異を含む。
【0034】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者において転移性黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに、(b) 該患者に、(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与すること、を含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けていない。
【0035】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法に関し、この方法は、(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに、(b) 該患者に、(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与すること、を含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けていない。
【0036】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者において切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに、(b) 該患者に、(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与すること、を含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない。
【0037】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法に関し、この方法は、(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに、(b) 該患者に、(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けていない。
【0038】
本明細書に記載の本発明の別の面は、ヒト患者において転移性黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに、(b) 該患者に、(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0039】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法に関し、この方法は、(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに、(b) 該患者に、(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0040】
本明細書に記載の本発明の別の面は、ヒト患者において切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに、(b) 該患者に、(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0041】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法に関し、この方法は、(a) 患者の腫瘍浸潤リンパ球におけるLAG-3の発現、患者の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を決定すること、および/または患者の腫瘍細胞におけるBRAF V600変異の存在を決定すること;ならびに、(b) 該患者に、(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の全身療法を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0042】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者に、(i) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(ii) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。ある態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は一次療法である。
【0043】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者に、(i) (a) 配列番号7に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号8に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号9に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号10に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号11に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号12に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) (a) 配列番号19に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号20に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号21に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号22に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号23に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号24に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。特定の態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は一次療法として投与される。
【0044】
本明細書中ある態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号30および配列番号2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む。
【0045】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者にレラトリマブおよびニボルマブのそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、該患者は、以前に切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、レラトリマブの少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつニボルマブの少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0046】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者に、(i) 配列番号30および配列番号2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) 配列番号13および配列番号14のそれぞれに記載の配列を含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0047】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者にレラトリマブおよびニボルマブのそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の治療を受けておらず、レラトリマブの少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつニボルマブの少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0048】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者に、(i) 配列番号30および配列番号2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) 配列番号13および配列番号14のそれぞれに記載の配列を含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性黒色腫の治療を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0049】
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における転移性のまたは切除不能な黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者にレラトリマブおよびニボルマブのそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性のまたは切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、レラトリマブの少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつニボルマブの少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者における転移性のまたは切除不能な黒色腫の処置方法に関し、この方法は、該患者に、(i) 配列番号30および配列番号2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む抗LAG-3抗体、ならびに(ii) 配列番号13および配列番号14のそれぞれに記載の配列を含む抗PD-1抗体、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、患者は、以前に転移性のまたは切除不能な黒色腫の治療を受けておらず、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量が、160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量が4週間毎に480mgの用量で投与される。
【0050】
本明細書に記載の本発明の一面は、以前に転移性のまたは切除不能な黒色腫の治療を受けていないヒトの患者において、転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置するために併用される、レラトリマブおよびニボルマブを含む製品に関し、ここで、該処置は、レラトリマブの少なくとも1用量を160mgの用量で投与し、かつニボルマブの少なくとも1用量を4週間毎に480mgの用量で投与することを含む。
【0051】
本明細書に記載の本発明の一面は、以前に転移性のまたは切除不能な黒色腫の治療を受けていないヒト患者において、転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置するために併用される、配列番号30および配列番号2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む抗LAG-3抗体と、配列番号13および配列番号14のそれぞれに記載の配列を含む抗PD-1抗体とを含む製品に関し、ここで、該処置は、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量を160mgの用量で投与し、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量を4週間毎に480mgの用量で投与することを含む。
【0052】
本明細書に記載の本発明の一面は、以前に転移性のまたは切除不能な黒色腫の治療を受けていないヒト患者において、転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置するために併用される、(a) 配列番号7に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号8に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号9に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号10に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号11に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号12に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む抗LAG-3抗体、ならびに(a) 配列番号19に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号20に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号21に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号22に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号23に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号24に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む抗PD-1抗体を含む製品に関し、ここで、該処置は、抗LAG-3抗体の少なくとも1用量を160mgの用量で投与し、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1用量を4週間毎に480mgの用量で投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0053】
発明の詳細な説明
一面において、本発明は、ヒト患者における悪性腫瘍の改善された処置方法に関する。特に、本発明は、抗PD-1抗体と組み合わせた抗LAG-3抗体の投与により、以前の全身療法を受けていない患者集団において驚くほど改善された処置結果を達成することを示す。従って、一面において、本明細書に記載の本発明は、LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)およびPD-1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)の組合せを投与することにより、前治療を受けていない転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置する方法に関する。
【0054】
1.定義
本明細書の記載をより容易に理解できるように、いくつかの用語を先ず定義する。本明細書で用いる場合、本明細書に明示的に異なる定義をされている場合を除き、以下の各用語は、以下に記載される意味を有し得る。さらなる定義は、本明細書全体にわたって記載されている。
【0055】
“抗体”(Ab)には、抗原に特異的に結合し、ジスルフィド結合によって相互結合された少なくとも2本の重鎖(H)および2本の軽鎖(L)を含む糖タンパク質免疫グロブリンが含まれるが、これに限定されない。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書中、Vと略する)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、CH1、CH2およびCH3の3つの定常領域を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書中、Vと略する)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメインCを含む。VおよびV領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が散在している、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域にさらに細分化できる。各VとVは、3つのCDRおよび4つのFRを含み、以下の順でアミノ末端からカルボキシ末端へ配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織もしくは因子への免疫グロブリンの結合に介在し得る。重鎖は、C末端リシンを有していても、有していなくてもよい。本明細書で特に明記しない限り、可変領域のアミノ酸はKabat番号付けシステムを用いて番号付けされ、定常領域のアミノ酸はEUシステムを用いて番号付けされる。一態様において、抗体は、完全長抗体である。
【0056】
免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgGおよびIgMを含むが、これらに限定されない、一般的に公知のアイソタイプのいずれか由来であり得る。IgGサブクラスも当業者によく知られており、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が含まれるが、これらに限定されない。“アイソタイプ”とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を意味する。用語“抗体”は、例として、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体;キメラ抗体およびヒト化抗体;ヒト抗体または非ヒト抗体;全合成抗体;ならびに、一本鎖抗体を含む。非ヒト抗体は、ヒトにおいてその免疫原性を低減させるための組換え法によってヒト化され得る。明示的に記載されていない限り、および文脈上他の意味が記載されない限り、用語“抗体”には、単一特異性抗体、二重特異性抗体または多重特異性抗体、ならびに一本鎖抗体を含む。ある態様において、抗体は二重特異性抗体である。他の態様において、抗体は単一特異性抗体である。一面において、定常領域アイソタイプは、アミノ酸残基228における変異、例えばS228Pを有するIgG4である。
【0057】
本明細書で用いる“IgG抗体”は、天然IgG抗体の構造を有し、すなわち、同じサブクラスの天然IgG抗体と同数の重鎖および軽鎖およびジスルフィド結合を有する。例えば、抗LAG-3 IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4抗体は、2つの重鎖(HC)および2つの軽鎖(LC)からなり、ここで、該2つの重鎖および軽鎖は、それぞれ天然IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4抗体に生じるジスルフィド結合の数および位置が同じである(抗体がジスルフィド結合を修飾するように変異している場合を除く)。
【0058】
“単離抗体”とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を意味する(例えば、LAG-3に特異的に結合する単離抗体は、LAG-3に特異的に結合しない抗体を実質的に含まない)。しかしながら、LAG-3に特異的に結合する単離抗体は、異なる種由来のLAG-3分子などの他の抗原に対する交差反応性を有していてもよい。さらに、単離抗体は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0059】
抗体は、(例えば、突然変異、欠失、置換、非抗体部分への結合によって)改変された抗体であってもよい。例えば、抗体は、抗体の特性(例えば、機能的特性)を変化させる1以上の変異アミノ酸(天然抗体と比較して)を含んでいてもよい。例えば、患者における抗体に対する半減期、エフェクター機能、および/または免疫応答などに影響を与える、多数のそのような変異が当技術分野で知られている。抗体という用語はまた、少なくとも1つの抗体由来の抗原結合部位を含む人工ポリペプチド構築物を含む。
【0060】
用語“モノクローナル抗体”(“mAb”)は、単一分子組成物の抗体分子、すなわち、一次配列が本質的に同一であり、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す抗体分子の天然に存在しない調製物を意味する。mAbは、単離抗体の一例である。MAbは、ハイブリドーマ、組換え、トランスジェニックまたは当業者に知られている他の技術によって産生され得る。
【0061】
“ヒト”抗体(HuMAb)とは、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖細胞免疫グロブリン配列由来である可変領域を有する抗体を意味する。さらに、抗体が定常領域を含む場合、定常領域もヒト生殖細胞免疫グロブリン配列に由来する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列によりコードされていないアミノ酸残基を含んでいてよい(例えば、インビトロで無作為もしくは部位特異的変異誘発により、またはインビボで体細胞変異により導入した変異)。しかしながら、本明細書で用いる用語“ヒト抗体”は、マウスのような他の哺乳動物種の生殖細胞由来のCDR配列が、ヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含むことを意図しない。用語“ヒト”抗体および“完全ヒト”抗体は、同義的に用いられる。
【0062】
“ヒト化抗体”とは、非ヒト抗体のCDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分または全部が、ヒト免疫グロブリン由来の対応するアミノ酸で置換されている抗体を意味する。抗体のヒト化形態の一態様において、CDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分または全部は、ヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸で置換されており、一方、1以上のCDR領域内の一部、大部分または全部のアミノ酸は変化していない。アミノ酸の小さな付加、欠失、挿入、置換または修飾は、それらが抗体の特定の抗原に結合する能力を損なわない限り、許容される。“ヒト化”抗体は、元の抗体と同様の抗原特異性を保持している。
【0063】
“キメラ抗体”とは、可変領域がマウス抗体由来であり、定常領域がヒト抗体由来である抗体のような、可変領域がある種由来であり、定常領域が別の種由来である抗体を意味する。
【0064】
“抗抗原”抗体とは、抗原に特異的に結合する抗体を意味する。例えば、抗LAG-3抗体は、LAG-3に特異的に結合する。
【0065】
抗体の“抗原結合部分”(“抗原結合フラグメント”とも称される)とは、抗体全体が結合した抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1以上のフラグメントを意味する。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のフラグメントまたは部分によって実行できることが示されている。抗体、例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体の“抗原結合部分”または“抗原結合フラグメント”という用語に包含される結合フラグメントの例としては、以下が挙げられる:
(1) VL、VH、LCおよびCH1ドメインからなる、Fabフラグメント(パパイン切断によるフラグメント)または同様の一価フラグメント;
(2) ヒンジ領域のジスルフィド架橋で連結された2つのFabフラグメントを含む、F(ab’)2フラグメント(ペプシン切断からのフラグメント)または類似の二価のフラグメント;
(3) VHドメインおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;
(4) 抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;
(5) VHドメインからなる、単一ドメイン抗体(dAb)フラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341:544-46);
(6) ヒンジによって連結された2つのVHドメインからなるバイ・シングルドメイン抗体(二重親和性再標的化抗体(DART:dual-affinity re-targeting antibody));
(7) 二重可変ドメイン免疫グロブリン;
(8) 単離された相補性決定領域(CDR);および
(9) 要すれば合成リンカーによって結合させることができる、2以上の単離CDRの組み合わせ。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VLおよびVHは、別個の遺伝子によってコードされているが、それらは、組換え法を用いて、合成リンカーによって結合させることができ、VL領域およびVH領域が対となって一価の分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製され得る(単鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;および、Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照のこと)。このような一本鎖抗体は、抗体の“抗原結合部分”または“抗原結合フラグメント”という用語に包含されることも意図される。これらの抗体フラグメントは、当業者に知られている従来技術を用いて得られ、そのフラグメントは、無傷の抗体と同様の方法で有用性についてスクリーニングされる。抗原結合部分は、組換えDNA技術によって、または無傷の免疫グロブリンの酵素的切断もしくは化学的切断によって製造することができる。いくつかの態様において、抗体は抗原結合フラグメントである。
【0066】
用語“LAG-3”は、リンパ球活性化遺伝子-3を意味する。用語“LAG-3”は、変異体、アイソフォーム、ホモログ、オルソログおよびパラログを含む。例えば、ヒトLAG-3タンパク質に特異的な抗体は、特定の場合において、ヒト以外の種由来のLAG-3タンパク質と交差反応し得る。他の態様において、ヒトLAG-3タンパク質に特異的な抗体は、ヒトLAG-3タンパク質に完全に特異的であり、種または他のタイプの交差反応性を示さないか、または、特定の他の種由来のLAG-3と交差反応してもよいが、全ての他の種とは交差反応しない(例えば、サルLAG-3と交差反応するが、マウスLAG-3とは交差反応しない)。用語“ヒトLAG-3”は、ヒト配列LAG-3、例えば、GenBank受託番号NP_002277を有するヒトLAG-3の完全なアミノ酸配列を意味する。用語“マウスLAG-3”は、マウス配列LAG-3、例えば、GenBank受託番号NP_032505を有するマウスLAG-3の完全なアミノ酸配列を意味する。LAG-3はまた、例えばCD223として当技術分野で知られている。ヒトLAG-3配列は、例えば、保存されている変異または非保存領域における変異を有することにより、GenBank受託番号NP_002277のヒトLAG-3と異なっていてもよく、LAG-3はGenBank受託番号NP_002277のヒトLAG-3と実質的に同じ生物学的機能を有する。例えば、ヒトLAG-3の生物学的機能は、本明細書の抗体によって特異的に結合されるLAG-3の細胞外ドメイン内にエピトープを有することか、またはMHCクラスII分子へ結合することである。
【0067】
特定のヒトLAG-3配列は、一般に、GenBank受託番号NP_002277のヒトLAG-3とアミノ酸配列において少なくとも90%同一であり、他の種(例えば、マウス)のLAG-3アミノ酸配列と比較したとき、そのアミノ酸配列がヒトであると同定されるアミノ酸残基を含む。ある場合において、ヒトLAG-3は、GenBank受託番号NP_002277のLAG-3とアミノ酸配列において少なくとも約95%、またはさらには少なくとも約96%、約97%、約98%もしくは約99%同一であり得る。特定の態様において、ヒトLAG-3配列は、GenBank受託番号NP_002277のLAG-3配列と10個を超えるアミノ酸配列の相違を示さない。特定の態様において、ヒトLAG-3は、GenBank受託番号NP_002277のLAG-3配列から、5個を超えるアミノ酸相違、または4個、3個、2個もしくは1個を超えるアミノ酸相違を示さない。同一性パーセントは、本明細書に記載のように決定され得る。
【0068】
本明細書で用いる用語“プログラムされた死1(Programmed Death 1)”、“プログラムされた細胞死1(Programmed Cell Death 1)”、“タンパク質PD-1”、“PD-1”、“PD1”、“PDCD1”、“hPD-1”および“hPD-I”は、互換的に用いられ、ヒトPD-1の変異体、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにPD-1と少なくとも1つの共通エピトープを有する類縁体を含む。完全なPD-1配列はGenBank受託番号U64863に見出され得る。
【0069】
タンパク質“プログラムされた死1(PD-1)”は、CD28、CTLA-4、ICOSおよびBTLAも含むCD28受容体ファミリーの阻害メンバーである。PD-1は、活性化B細胞、T細胞および骨髄細胞上で発現されている(Agata et al., supra; Okazaki et al. (2002) Curr. Opin. Immunol. 14: 391779-82; Bennett et al. (2003) J Immunol 170:711-8)。ファミリーの初期メンバーであるCD28およびICOSは、モノクローナル抗体の添加後にT細胞増殖を増強する機能的効果によって発見された(Hutloff et al. Nature (1999); 397:263-266; Hansen et al. Immunogenics (1980); 10:247-260)。PD-1は、アポトーシス細胞における差次的発現のためにスクリーニングによって発見された(Ishida et al. EMBO J (1992); 11:3887-95)。ファミリーの他のメンバーであるCTLA-4およびBTLAは、それぞれ細胞傷害性Tリンパ球およびTH1細胞における差次的発現のためにスクリーニングによって発見された。CD28、ICOSおよびCTLA-4は全て、ホモ二量体化を可能にする対になっていないシステイン残基を有している。対照的に、PD-1はモノマーとして存在することが示唆されており、他のCD28ファミリーメンバーに特徴的な対になっていないシステイン残基を欠く。
【0070】
PD-1遺伝子は、Ig遺伝子スーパーファミリーの一部である55kDaのI型膜貫通タンパク質である(Agata et al. (1996) Int Immunol 8:765-72)。PD-1は、膜近位免疫受容体チロシン阻害モチーフ(ITIM)および膜遠位チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM)を含む(Thomas, M. L. (1995) J Exp Med 181:1953-6; Vivier, E and Daeron, M (1997) Immunol Today 18:286-91)。CTLA-4と構造的に類似しているが、PD-1は、B7-1結合およびB7-2結合に重要なMYPPPYモチーフ(配列番号32)を欠く。PD-1の2つのリガンドとしてPD-L1およびPD-L2が同定されており、それらはPD-1に結合するとT細胞活性化を下方制御することが示されている(Freeman et al. (2000) J Exp Med 192:1027-34; Latchman et al. (2001) Nat Immunol 2:261-8; Carter et al. (2002) Eur J Immunol 32:634-43)。PD-L1およびPD-L2は両方とも、PD-1に結合するが、他のCD28ファミリーメンバーには結合しない、B7ホモログである。PD-L1は、ヒトの種々の癌に豊富である(Dong et al. (2002) Nat. Med. 8:787-9)。PD-1とPD-L1の相互作用により、腫瘍浸潤リンパ球が減少し、T細胞受容体介在増殖が減少し、癌細胞による免疫回避が起こる(Dong et al. (2003) J. Mol. Med. 81:281-7; Blank et al. (2005) Cancer Immunol. Immunother. 54:307-314; Konishi et al. (2004) Clin. Cancer Res. 10:5094-100)。PD-1とPD-L1の局所的な相互作用を阻害することにより免疫抑制を逆転させることができ、PD-1とPD-L2の相互作用も阻害されると、その効果は相加的である(Iwai et al. (2002) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 99:12293-7; Brown et al. (2003) J. Immunol. 170:1257-66)。
【0071】
PD-1がCD28ファミリーの阻害メンバーであることと一致して、PD-1欠損動物は、自己免疫性心筋症ならびに関節炎および腎炎を伴うループス様症候群を含む種々の自己免疫表現型を発現する(Nishimura et al. (1999) Immunity 11:141-51; Nishimura et al. (2001) Science 291:319-22)。さらに、PD-1は、自己免疫性脳脊髄炎、全身性エリテマトーデス、移植片対宿主疾患(GVHD)、I型糖尿病およびリウマチ性関節炎に関与することが見いだされている(Salama et al. (2003) J Exp Med 198:71-78; Prokunina and Alarcon-Riquelme (2004) Hum Mol Genet 13:R143; Nielsen et al. (2004) Lupus 13:510)。マウスB細胞腫瘍系統において、PD-1のITSMは、BCRを介したCa2+-fluxおよび下流エフェクター分子のチロシンリン酸化を阻害するために必須であることが示された(Okazaki et al. (2001) PNAS 98:13866-71)。
【0072】
“プログラムされた死リガンド-1(PD-L1)”は、PD-1に結合するとT細胞活性化およびサイトカイン分泌を下方制御するPD-1の2つの細胞表面糖タンパク質リガンドの1つである(もう1つはPD-L2である)。本明細書で用いる用語“PD-L1”は、ヒトPD-L1(hPD-L1)、hPD-L1の変異体、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhPD-L1と少なくとも1つの共通エピトープを有する類縁体を含む。完全なhPD-L1配列はGenBank受託番号Q9NZQ7に見いだされ得る。
【0073】
本明細書で用いる用語“プログラムされた死リガンド-2”および“PD-L2”は、ヒトPD-L2(hPD-L2)、hPD-L2の変異体、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhPD-L2と少なくとも1つの共通エピトープを有する類縁体を含む。完全なhPD-L2配列は、GenBank受託番号Q9BQ51に見いだされ得る。
【0074】
本明細書で用いる“患者”には、癌(例えば、転移性のまたは切除不能な黒色腫)に罹患している患者が含まれる。用語“対象”および“患者”は互換的に用いられる。
【0075】
“投与する”とは、当業者に知られている種々の方法および送達システムの何れかを用いて対象へ治療剤を含む組成物を物理的に導入することを意味する。本明細書に記載の製剤の投与経路には、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、脊髄投与または例えば注射もしくは点滴による他の非経腸投与経路が含まれる。本明細書で用いる用語“非経腸投与”とは、経腸投与および局所投与以外の投与方法を意味し、通常、注射による投与であり、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、髄腔内投与、胸腔内投与、病巣内投与、嚢内投与、眼窩内投与、心臓内投与、皮内投与、腹腔内投与、経気管投与、皮下投与、表皮下(subcuticular)投与、関節内投与、被膜下投与、くも膜下腔内投与、脊髄内投与、硬膜外投与および胸骨内注射および点滴、ならびにインビボエレクトロポレーションが含まれるが、これらに限定されない。ある態様において、製剤は非経腸投与ではない経路で投与され、ある態様において、経口投与される。他の非経腸投与ではない経路には、局所、上皮または粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下または局所的投与が含まれる。投与はまた、例えば1回、複数回および/または長期間にわたって1以上の回数行われ得る。
【0076】
対象の“処置”または“治療”とは、症状、合併症または病状、あるいは疾患と関連する生化学的徴候の進行、発症、重篤化または再発を、回復、緩和、改善、阻害もしくは遅延する目的で、対象に対して行われる何らかの治療介入(intervention)または方法、あるいは対象への有効成分の投与を意味する。固形腫瘍における効果判定基準(RECIST)は、処置効果の尺度であり、処置中、腫瘍がいつ応答し、安定し、または進行するかを定義する確立された基準である。RECIST 1.1は、成人および小児癌の臨床治験で用いるための腫瘍サイズの変化を客観的に評価するための固形腫瘍測定および定義の現在のガイドラインである。米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータスは、臨床治験の対象となる患者の集団を定義し、患者を登録する医師の間で統一的に再現できるようにするための番号付けスケールである。小児患者の場合、ランスキー・パフォーマンススケールは、小児の機能的状態を記載する方法である。小児の癌患者において、治療に対する反応や全身状態を評価するために開発され、内部で検証されている。
【0077】
本明細書で用いる“有効な処置”とは、有益な効果、例えば、疾患または障害の少なくとも1つの症状の改善、を生じる処置を意味する。有益な効果は、ベースラインに対する改善、すなわち、方法に従って治療を開始する前に行われた測定または観察に対する改善の形態をとり得る。有益な効果はまた、固形腫瘍のマーカーの有害な進行の停止、減速、遅延または安定化の形態をとり得る。有効な処置とは、固形腫瘍の少なくとも1つの症状の緩和を意味し得る。そのような有効な処置は、例えば、患者の痛みを軽減し、病変のサイズおよび/もしくは数を減少させ、腫瘍の転移を軽減もしくは予防し、ならびに/または腫瘍増殖を遅延させ得る。
【0078】
用語“有効量”は、所望の生物学的結果、治療結果および/または予防結果を与える薬剤の量を意味する。その結果は、1以上の兆候、症状または疾患の原因、あるいは生物学的システムの何らかの他の所望の変化の、減少、改善、緩和、消退、遅延および/または緩解であり得る。固形腫瘍に関して、有効量は、腫瘍を収縮させるおよび/または腫瘍の増殖速度を低下させる(例えば、腫瘍増殖を抑制する)か、または他の望ましくない細胞増殖を予防もしくは遅延させるのに十分な量を含む。ある態様において、有効量は、腫瘍発生を予防または遅延させるのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与で投与することができる。薬物または組成物の有効量は、(i)癌細胞数を減少させる;(ii)腫瘍サイズを縮小する;(iii)癌細胞の末梢臓器への浸潤を阻害、遅延、ある程度減速し、停止させる;(iv)腫瘍転移を阻害する、すなわちある程度遅らせ、停止させることができる;(v)腫瘍増殖を阻害する;(vi)腫瘍の発生および/または再発を予防または遅延させる;ならびに/または、(vii)癌に関連する1以上の症状をある程度緩和する、ことができる量である。一例において、“有効量”は、癌の有意な縮小または固形腫瘍などの癌の進行の遅延に影響を与えることが臨床的に証明されている、抗LAG-3抗体の量および抗PD-1抗体の量である。本明細書で用いる用語“固定用量”、“一定用量”および“一定の固定用量”は、互換的に用いられ、患者の体重または体表面積(BSA)に関係なく患者に投与される用量を意味する。従って、固定用量または一定用量は、mg/kg用量としてではなく、薬剤(例えば、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体)の絶対量として提供される。例えば、60kgのヒトおよび100kgのヒトは、同じ用量の組成物を受容し得る(例えば、単一の固定投与用製剤バイアル中の480mgの抗PD-1抗体および160mgの抗LAG-3抗体)。
【0079】
本発明の組成物に関して、用語“固定用量の組合せ”の使用は、単一の組成物中の2以上の異なる抗体が、互いに特定の(固定)比で組成物中に存在することを意味する。いくつかの態様において、固定用量は、抗体の重量(例えば、mg)に基づく。特定の態様において、固定用量は、抗体の濃度(例えば、mg/ml)に基づく。ある態様において、比率は、第1の抗体:第2の抗体(mg)が、少なくとも約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:120、約1:140、約1:160、約1:180、約1:200、約200:1、約180:1、約160:1、約140:1、約120:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約15:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1または約2:1である。例えば、第1の抗体と第2の抗体の3:1の比は、バイアルが約240mgの第1の抗体および80mgの第2の抗体、または約3mg/mlの第1の抗体および1mg/mlの第2の抗体を含み得ることを意味し得る。
【0080】
本明細書で用いる用語“体重ベースの用量”は、患者に投与される用量が、該患者の体重に基づいて計算されることを意味する。例えば、体重60kgの患者が、3mg/kgの抗LAG-3抗体と3mg/kgの抗PD-1抗体の併用を必要とするとき、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体の1:1比の固定用量の組合せ溶液から、一度に、適切な量の抗LAG-3抗体(すなわち、180mg)および抗PD-1抗体(すなわち、180mg)を吸引して取り出すことができる。
【0081】
本明細書で用いる用語“無増悪生存期間”(progression-free survival)は、PFSと略することができ、患者が疾患と共に生きるが、それが悪化することはない、固形腫瘍(すなわち、黒色腫)の処置中および処置後の期間の長さを意味する。
【0082】
本明細書で用いる“投与間隔”とは、対象に投与される本明細書に記載の製剤の複数投与間の時間の経過を意味する。従って、投与間隔は時間範囲として示すことができる。
【0083】
本明細書で用いる用語”投与頻度”とは、所定の時間に本明細書に記載の製剤の複数用量を投与する頻度を意味する。投与頻度は、所定の時間あたりの投与回数として示すことができ、例えば、週に1回または2週間に1回である。
【0084】
本明細書で用いる用語“1週間に約1回”、“約1週間に1回”、“約2週間に1回”または他の同様の投与間隔用語は、おおよその回数を意味し、“1週間に約1回”または“約1週間に1回”は、7日±2日毎、すなわち、5日から9日毎を包含し得る。従って、“1週間に1回”の投与頻度は、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎または9日毎であり得る。“約4週間に1回”は、約28日±3日毎に1回、すなわち、約25日から約31日毎に1回を含み得る。同様の近似値は、例えば、約3週間毎に1回、約4週間毎に1回、約5週間毎に1回、約6週間毎に1回、および約12週間毎に1回に適用される。いくつかの態様において、約6週間毎に1回または約12週間毎に1回の投与間隔は、最初の投与が、第1週目の任意の日に投与され、その後、次の投与が、第6週目または第12週目の任意の日にそれぞれ投与され得ることを意味する。他の態様において、約6週間に1回または約12週間に1回の投与間隔は、最初の投与が第1週の特定の日(例えば、月曜日)に投与され、その後、次の投与が第6週または第12週の同じ日(例えば、月曜日)にそれぞれ投与されることを意味する。
【0085】
“癌”とは、体内の異常細胞の無制御の増殖によって特徴づけられる種々の疾患の幅広い群を意味する。無制御の細胞分裂および増殖は、悪性腫瘍の形成をもたらし、隣接する組織に侵入し、リンパ系または血流を介して体の遠くの部分に転移することもある。“癌”または“癌組織”には、腫瘍が含まれ得る。
【0086】
本明細書で用いる用語“腫瘍”は、前癌性病変を含む、良性(非癌性)または悪性(癌性)のいずれかの過剰な細胞増殖または増殖に起因する組織の何らかの腫瘤を意味する。
【0087】
LAG-3発現に関連する用語“LAG-3陽性”または“LAG-3発現陽性”は、腫瘍細胞および腫瘍浸潤性炎症細胞を含む生検組織サンプル中の細胞の割合を意味し、その組織サンプルはLAG-3を発現していると記録される。いくつかの態様において、免疫組織化学(IHC)によってアッセイされたLAG-3発現について、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、全細胞数の少なくとも約0.01%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または100%がLAG-3を発現していることを意味する。他の態様において、免疫組織化学(IHC)またはフローサイトメトリーによってアッセイされたLAG-3発現について、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、腫瘍関連炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8T細胞、CD4T細胞、FOXP3細胞)の全細胞数の少なくとも約0.01%、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または100%がLAG-3を発現する。LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍はまた、本明細書において、LAG-3を発現する腫瘍として記載される。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約0.1%~少なくとも約20%の細胞がLAG-3を発現することを意味する。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍関連炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8 T細胞、CD4 T細胞、FOXP3細胞)の総数の少なくとも約0.1%~少なくとも約20%がLAG-3を発現することを意味する。特定の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、全細胞数の少なくとも約0.1%~少なくとも約10%がLAG-3を発現することを意味する。特定の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍浸潤性炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8 T細胞、CD4 T細胞、FOXP3細胞)の総数の少なくとも約0.1%~少なくとも約10%がLAG-3を発現することを意味する。特定の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍面積%(%tumor area)で全細胞数の少なくとも約0.1%から少なくとも約10%がLAG-3を発現することを意味する。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、全細胞数の少なくとも約1%の細胞が細胞表面上でLAG-3を発現していることを意味する。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、腫瘍浸潤性炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8 T細胞、CD4 T細胞、FOXP3細胞)の総数の少なくとも約1%が細胞表面上でLAG-3を発現していることを意味する。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、腫瘍面積%で全細胞数の少なくとも約1%がLAG-3を発現することを意味する。他の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、全細胞数の少なくとも約5%の細胞が細胞表面上でLAG-3を発現していることを意味する。他の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍浸潤性炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8 T細胞、CD4 T細胞、FOXP3細胞)の総数の少なくとも約5%が細胞表面上でLAG-3を発現していることを意味する。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、腫瘍面積%で全細胞数の少なくとも約5%がLAG-3を発現することを意味する。ある特定の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、全細胞数の少なくとも約1%、または1~5%の範囲で細胞表面上にLAG-3を発現していることを意味する。ある特定の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍浸潤性炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8T細胞、CD4T細胞、FOXP3細胞)の総数の少なくとも約1%、または1~5%の範囲内で、細胞表面上でLAG-3を発現することを意味する。
【0088】
“LAG-3陰性”または“LAG-3発現陰性”は、LAG-3陽性またはLAG-3発現陽性ではない腫瘍細胞および腫瘍浸潤炎症性細胞を含む生検組織サンプル中の細胞の割合を意味する。
【0089】
細胞表面PD-L1発現に関連する用語“PD-L1陽性”または“PD-L1発現陽性”は、腫瘍細胞および腫瘍浸潤性炎症細胞を含む生検組織サンプル中の細胞の割合を意味し、そのサンプルは細胞表面PD-L1を発現していると記録される。免疫組織化学(IHC)によってアッセイされた細胞表面発現については、例えば、mAb28-8を用いて、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約0.01%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、または少なくとも約30%がPD-L1を発現していることを意味する。PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、本明細書において、PD-L1を発現する腫瘍として現わされ得る。他の態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍とは、全細胞数の少なくとも約0.1%~少なくとも約20%がPD-L1を発現することを意味する。特定の態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約0.1%~少なくとも約10%の細胞がPD-L1を発現することを意味する。いくつかの態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約1%が細胞表面上でPD-L1を発現していることを意味する。他の態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約5%が細胞表面上でPD-L1を発現することを意味する。ある特定の態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約1%、または約1~5%が細胞表面上にPD-L1を発現することを意味する。
【0090】
“免疫応答”とは、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞または好中球)およびこれらの細胞のいずれかまたは肝臓により産生される可溶性巨大分子(抗体、サイトカインおよび補体を含む)の作用を意味し、結果として、侵入病原体、病原体に感染した細胞または組織、癌性のまたは他の異常細胞、あるいは、自己免疫性または病理学的炎症の場合、正常ヒト細胞または組織を選択的に標的化し、結合し、損傷し、破壊しおよび/または脊椎動物体内から排除する。
【0091】
“腫瘍浸潤性炎症性細胞”または“腫瘍関連炎症性細胞”は、対象の炎症反応に一般的に関与し、腫瘍組織に浸潤する何らかのタイプの細胞である。このような細胞には、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、マクロファージ、単球、好酸球、組織球および樹状細胞が含まれる。
【0092】
代替語(例えば、“または”)の使用は、代替語の一方、両方、またはそれらの組合せの何れかを意味すると理解されるべきである。本明細書で用いる、不定冠詞“a”または“an”は、記載されたまたは列挙された構成要素の“1以上”を意味することが理解されるべきである。
【0093】
本明細書で用いる用語“および/または”は、2つの特定された特徴または構成要素のそれぞれが、他のものの有無にかかわらず、具体的に開示されていると解釈されるべきである。従って、本明細書中、“Aおよび/またはB”などの語句で用いられる用語“および/または”は、“AおよびB”、“AまたはB”、“A”(単独)、ならびに“B”(単独)を含むことを意図する。同様に、“A、Bおよび/またはC”などの語句で用いられる用語“および/または”は、以下の各面を包含することを意図する:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);および、C(単独)。
【0094】
ある面が用語“~を含む”と共に記載されている場合、“~からなる”および/または“~から本質的に構成される”という用語で記載されている類似の面も提供されることが理解される。
【0095】
用語“約”または“~を本質的に含む”は、当業者によって決定される特定の値または組成物の許容誤差範囲内にある値または組成物を意味し、これは、この値または組成物がどのように測定または決定されるか、すなわち測定システムの限界に部分的に依存し得る。例えば、“約”または“~を本質的に含む”は、当技術分野における実施(practice)につき、1または2以上の標準偏差内であることを意味し得る。あるいは、“約”または“~を本質的に含む”は、10%または20%(すなわち、±10%または±20%)までの範囲を意味し得る。例えば、約3mgは、2.7mgから3.3mg(10%の場合)または2.4mgから3.6mg(20%の場合)の間の任意の数を含み得る。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、これらの用語は、最大1桁上または最大5倍の値までを意味し得る。本明細書および特許請求の範囲で特定の値または組成物が提供されるとき、特に明記しない限り、“約”または“~を本質的に含む”の意味は、その特定の値または組成物の許容誤差範囲内にあると仮定されるべきである。
【0096】
本明細書に記載のように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲または整数範囲は、特に明記しない限り、記載される範囲内の任意の整数値、および適当なとき、その端数(例えば、整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0097】
特に他に定義がない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002、CRC Press; The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 5th ed., 2013, Academic Press;および、the Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, 2006, Oxford University Pressは、本開示で用いられる多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。
【0098】
単位、接頭辞および記号は、それらの基本単位国際単位系(SI)に承認された形式で表される。数値範囲は、範囲を定義する数字を含む。本明細書で提供される見出しは、本本明細書の開示の様々な態様を限定するものではなく、明細書全体の参照用に記載されているとすることができる。従って、すぐ下に定義される用語は、本明細書全体を参照することによってより詳細に定義される。
【0099】
本発明の種々の面は、以下のサブセクションでさらに詳細に記載される。
【0100】
2.発明の方法
一面において、本発明は、それを必要とする対象における転移性のまたは切除不能な黒色腫の処置方法に関する。LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)およびPD-1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)の併用療法は、罹患患者の良好な治療結果(例えば、客観的奏効率および疾患制御率)をもたらす。
【0101】
一態様において、本発明は、腫瘍サンプルにおけるLAG-3発現および/またはPD-L1発現レベルを決定することを含む、免疫療法用にヒト患者における転移性のまたは切除不能な黒色腫を選択する方法を含む。
【0102】
一態様において、本発明は、ヒト患者における転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置する方法を含み、この方法は、LAG-3阻害剤(抗LAG-3抗体)およびPD-1経路阻害剤(抗PD-1抗体)を含む免疫療法を患者に投与することを含む。
【0103】
一態様において、本発明は、それを必要とするヒト患者における転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置する方法であって、(a)腫瘍サンプルにおけるLAG-3発現のレベル、またはLAG-3およびPD-L1発現のレベルを決定すること、ならびに(b)治療的有効量のLAG-3阻害剤およびPD-1経路阻害剤を患者に投与すること、を含む方法を含む。
【0104】
一態様において、本発明は、それを必要とするヒト患者における転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置する方法であって、(a)腫瘍サンプルにおけるLAG-3発現のレベル、またはLAG-3およびPD-L1発現のレベルを決定すること、(b)BRAF V600変異を発現する腫瘍細胞の存在を決定すること、ならびに(c)治療的有効量のLAG-3阻害剤およびPD-1経路阻害剤を患者に投与すること、を含む方法を含む。
【0105】
特定の態様において、本発明は、転移性のまたは切除不能な黒色腫に罹患しているヒト患者において、無増悪生存期間を12ヶ月以上延長する方法であって、本明細書に記載の免疫療法を患者に投与することを含み、ここで、患者は、12ヶ月以上の無増悪生存期間を示す、方法を含む。ある態様において、患者の無増悪生存期間は、投与後、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年または約10年を超えて延長され得る。
【0106】
さらに他の態様において、本発明は、転移性のまたは切除不能な黒色腫に罹患しているヒト患者において腫瘍サイズを少なくとも10%縮小させる方法であって、該患者に本明細書に記載の免疫療法を投与することを含み、ここで、該投与は、投与前の腫瘍サイズと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または100%減少させる、方法を含む。ある態様において、この方法は、投与前に、患者を、LAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有するものとして同定することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0107】
ある態様において、本方法は、特定のマーカーを発現するまたは含む腫瘍浸潤リンパ球または腫瘍細胞を有するとして患者を同定することを含む。例えば、ある態様において、黒色腫はLAG-3陽性である。ある態様において、黒色腫はPD-L1陽性である。ある態様において、黒色腫はLAG-3陽性PD-L1陽性である。ある態様において、黒色腫は、BRAF V600変異を含む。ある態様において、黒色腫は、LAG-3陽性であり、BRAF V600変異を発現している。ある態様において、黒色腫は、LAG-3陽性であり、野生型BRAFを発現する腫瘍細胞を含む。ある態様において、黒色腫は、LAG-3陽性であり、PD-L1陽性であり、野生型BRAFを含む。ある態様において、黒色腫は、LAG-3陽性、PD-L1陽性であり、BRAF V600変異を含む。ある態様において、黒色腫は、PD-L1陽性であり、野生型BRAFを含む。ある態様において、黒色腫は、PD-L1陽性であり、BRAF V600変異を含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0108】
本発明はまた、本明細書に記載の免疫療法を患者に投与することを含む、該患者における再発の予防方法および/または寛解の誘導方法を含み得る。
【0109】
特定の態様において、本発明は、本明細書に記載の免疫療法を患者に投与することを含む癌処置において、各患者が転移性のまたは切除不能な黒色腫に罹患している患者集団において客観的奏効率を55%よりも高くするための方法であって、ここで、各患者は、転移性のまたは切除不能な黒色腫を有すると同定されており、かつ客観的奏効率は、約55%、約60%、約65%、約70%または約75%もしくはそれよりも高い、方法を含む。ある態様において、本方法は、投与に先立って、患者をLAG-3陽性腫瘍、PD-L1陽性腫瘍を有すると同定することを含む。ある態様において、腫瘍は、BRAF V600変異を発現している。ある態様において、免疫療法は、LAG-3阻害剤およびPD-1経路阻害剤の治療的有効量を投与することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0110】
特定の態様において、本発明は、本明細書に記載の免疫療法を患者に投与することを含む癌処置において、各患者が転移性のまたは切除不能な黒色腫に罹患している患者集団において疾患制御率を55%よりも高くするための方法であって、ここで、各患者は、転移性のまたは切除不能な黒色腫を有すると同定されており、疾患制御率は、約55%、約60%、約65%、約70%または約75%もしくはよりも高い、方法を含む。ある態様において、本方法は、投与に先立って、患者をLAG-3陽性、PD-L1陽性腫瘍を有すると同定することを含む。ある態様において、腫瘍はBRAF V600変異を含む。ある態様において、免疫療法は、治療的有効量のLAG-3阻害剤およびPD-1経路阻害剤を投与することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0111】
他の態様において、本方法の各患者は、(i)12ヶ月以上の無増悪生存期間の延長、(ii)投与前の腫瘍サイズと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%または約50%の腫瘍サイズの減少、または(iii)その両方を経験する。
【0112】
本明細書に記載の免疫療法の投与の結果として、本発明の方法は、転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置し、腫瘍サイズを減少させ、腫瘍増殖を抑制し、患者から腫瘍を除去し、腫瘍の再発を防止し、患者に寛解を誘導し、またはそれらの何れかの組み合わせをもたらし得る。特定の態様において、本明細書に記載の免疫療法の投与は、完全奏効を誘導する。他の態様において、本明細書に記載の免疫療法の投与は、部分奏効を誘導する。ある態様において、免疫療法は、LAG-3阻害剤およびPD-1経路阻害剤の治療的有効量を投与することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻剤は抗PD-1抗体である。
【0113】
ある態様において、LAG-3陽性腫瘍および/またはPD-L1陽性腫瘍は、LAG-3発現細胞を少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または100%含む。ある態様において、LAG-3発現細胞としては、腫瘍浸潤リンパ球が挙げられる。ある態様において、PD-L1発現細胞は腫瘍細胞である。
【0114】
ある態様において、LAG-3発現および/またはPD-L1発現は、LAG-3発現および/またはPD-L1発現を決定することができるアッセイの結果を受け取ることにより決定される。
【0115】
腫瘍サンプルにおいてPD-L1発現を決定する方法、患者をPD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定する方法および悪性腫瘍においてPD-L1発現を決定する方法は、その内容全体を引用により本明細書中に包含させるPCT/US2016/029878に記載されている。
【0116】
LAG-3発現およびPD-L1発現を評価するために、および/または癌がBRAF V600変異を含むかどうかを評価するために、一態様において、生検組織サンプルは、治療を必要としている患者から得られる。ある態様において、生検組織サンプルには、腫瘍生検、コア生検組織サンプル、細針吸引生検(fine needle aspirate)または血液、血漿、血清、リンパ液、腹水、嚢胞液もしくは尿などの体液のサンプルなどの臨床的に関連する組織サンプルが含まれるが、これらに限定されない。ある態様において、生検組織サンプルは、原発腫瘍からのものである。ある態様において、生検組織サンプルは、転移からのものである。ある態様において、生検組織サンプルは、複数の時点で、例えば、処置前、処置中および/または処置後に対象から採取される。ある態様において、生検組織サンプルは、対象の異なる部位から採取され、例えば、原発腫瘍からのサンプルおよび離れた部位の転移からのサンプルである。
【0117】
ある態様において、生検組織サンプルは、パラフィン包埋固定組織サンプルである。ある態様において、生検組織サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織サンプルである。ある態様において、生検組織サンプルは、新鮮な組織(例えば、腫瘍)サンプルでる。ある態様において、生検組織サンプルは、凍結組織サンプルである。ある態様において、生検組織サンプルは、新鮮な凍結(FF)組織(例えば、腫瘍)サンプルである。ある態様において、生検組織サンプルは、体液(fluid)から単離された細胞である。ある態様において、生検組織サンプルは、循環腫瘍細胞(CTC)を含む。ある態様において、生検組織サンプルは、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。ある態様において、生検組織サンプルは、腫瘍細胞および腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。ある態様において、生検組織サンプルは、循環リンパ球を含む。ある態様において、生検組織サンプルは、保存された(archival)組織サンプルである。ある態様において、生検組織サンプルは、既知の診断、処置および/または結果の履歴を有する保存された組織サンプルである。ある態様において、サンプルは組織塊である。ある態様において、生検組織サンプルは分散した細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約1 x 10 個以上の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約1 x 10 個の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約10,000個の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約1,000個の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約100個の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約10個の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは単一の細胞である。
【0118】
別の態様において、LAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600状態の評価は、生検組織サンプルを得ることなく達成することができる。ある態様において、好適な患者を選択することは、(i)所望により、組織の癌を有する患者から取得される生検組織サンプルを供することであって、該生検組織サンプルには、腫瘍細胞および/または腫瘍浸潤性炎症細胞が含まれ;そして、(ii)LAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600を発現する生検組織サンプルにおける細胞の割合が所定の閾値レベルより高いとの評価に基づいて、LAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600を発現する生検組織サンプルにおける細胞の割合を評価することが含まれる。
【0119】
しかしながら、生検組織サンプルにおけるLAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600状態の測定を含む方法において、患者から取得される生検組織サンプルの提供を含む工程は、任意の工程であることが理解されるべきである。すなわち、特定の態様において、本方法はこの工程を含む、他の態様において、この工程は方法に含まれない。また、特定の態様において、LAG-3および/またはPD-L1を発現する生検組織サンプルにおける細胞の数または割合を同定し、または決定するための“測定”または“評価”工程は、LAG-3および/またはPD-L1をアッセイする形質転換方法によって、例えば、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)アッセイまたはIHCアッセイを実施することによって行われることが理解されるべきである。ある他の態様において、形質転換工程を含まず、LAG-3および/またはPD-L1は、例えば、試験室からの試験結果の報告を検討することによって評価される。ある態様において、LAG-3および/またはPD-L1は、試験室からの免疫組織化学アッセイの結果を検討することによって評価される。特定の態様において、LAG-3および/またはPD-L1を評価するまで、およびこれらを含む該方法の工程は、LAG-3阻害剤およびPD-1経路阻害剤の併用療法の適当な候補の選択において用いるために医師または医療提供者に提供され得る中間結果を提供する。特定の態様において、中間結果を提供する工程は、医師または医師の指導の下で実施する他の者によって行われる。他の態様において、これらの工程は、独立した試験室または独立した人、例えば、試験室の技術者によって行われる。ある態様において、BRAF V600変異の存在は、LAG-3および/またはPD-L1の並行アプローチを用いて行われる。
【0120】
本発明の方法の特定の態様において、LAG-3発現およびPD-L1発現、および/またはBRAF V600変異を含む細胞の割合は、LAG-3、PD-L1および/またはBRAF RNAの存在を検出するためのアッセイを行うことによって評価される。さらなる態様において、LAG-3、PD-L1および/またはBRAF RNAの存在は、RT-PCR、インサイチュハイブリダイゼーションまたはRNaseプロテクションによって決定される。ある態様において、LAG-3、PD-L1および/またはBRAF RNAの存在は、RT-PCRベースのアッセイにより検出される。ある態様において、RT-PCRベースのアッセイをスコア付けすることは、生検組織サンプルにおけるLAG-3、PD-L1および/またはBRAF RNA発現レベルを所定のレベルと比較して評価することを含む。ある態様において、LAG-3、PD-L1およびBRAF V600の1以上の発現は、遺伝子発現プロファイリングを用いて評価される。
【0121】
他の態様において、LAG-3発現およびPD-L1発現、および/またはBRAF V600変異を含む細胞の割合は、LAG-3およびPD-L1の存在、および/またはBRAF V600変異ポリペプチドの包含を検出するためのアッセイを実施することにより評価される。さらなる態様において、LAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600ポリペプチドの存在は、免疫組織化学(IHC)、酵素免疫吸着法アッセイ(ELISA)、インビボ画像法またはフローサイトメトリーによって決定される。ある態様において、LAG-3発現、PD-L1発現およびBRAF V600状態は、IHCによってアッセイされる。これらの方法の全ての他の態様において、LAG-3およびPD-L1の細胞表面発現および/またはBRAF V600変異の存在は、例えば、IHCまたはインビボ画像法を用いてアッセイされる。
【0122】
他の態様において、生検組織サンプルにおける、LAG-3を発現するおよびPD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含む細胞の割合は、フローサイトメトリーにより評価される。ある態様において、フローサイトメトリーによりアッセイされる生検組織サンプルは、腫瘍浸潤免疫細胞を含む。ある態様において、悪性腫瘍は、血液の悪性腫瘍であり、フローサイトメトリーによりアッセイされる該組織サンプルは、末梢血細胞を含む。ある態様において、フローサイトメトリーは、マルチプレックスアッセイである。ある態様において、フローサイトメトリーのスコア付けは、LAG-3、CD4、CD8、FOXP3およびそれらの何れかの組合せを含むマーカーの発現を検出することを含む。ある態様において、フローサイトメトリーのスコア付けは、生検組織サンプルにおける、LAG-3およびPD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含むT細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、フローサイトメトリーのスコア付けは、生検組織サンプルにおける、LAG-3およびPD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含む、CD8 T細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、フローサイトメトリーのスコア付けは、生検組織サンプルにおける、LAG-3およびPD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含む、CD4 T細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、フローサイトメトリーのスコア付けは、生検組織サンプルにおける、LAG-3およびPD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含む、FOXP3 T細胞の割合を評価することを含む。
【0123】
本発明の何れかの特定の態様において、生検組織サンプルにおけるLAG-3を発現する、PD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含む細胞の割合は、LAG-3ポリペプチドの存在、PD-L1ポリペプチドの存在、および/またはBRAF V600変異ポリペプチドの存在を検出するためのアッセイを実施することにより評価される。ある態様において、LAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600ポリペプチドの存在は、免疫組織化学アッセイにより検出される。ある態様において、生検組織サンプルは、腫瘍生検である。ある態様において、生検組織サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルである。
【0124】
ある態様において、免疫組織化学アッセイはモノプレックスアッセイである。ある態様において、免疫組織化学アッセイはマルチプレックスアッセイである。ある態様において、マルチプレックス免疫組織化学アッセイは、CD4、CD8、FOXP3またはそれらのいずれかの組合せの存在を検出することができる。
【0125】
ある態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍サンプルを17B4マウス抗ヒトLAG-3IgG1モノクローナル抗体と接触させることを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍サンプルを配列番号3および5にそれぞれ記載される配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む抗LAG-3抗体と接触させることを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍サンプルをSP346ウサギ抗ヒトLAG-3IgGモノクローナル抗体と接触させることを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍サンプルを11E3(Novusbio)、874501(Novusbio)またはEPR4392(2)(Abcam)抗ヒトLAG-3モノクローナル抗体と接触させることを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、PD-L1発現をアッセイするために、腫瘍サンプルをDako PD-L1 IHC 28-8キット中の試薬と接触させることを含む。
【0126】
ある態様において、免疫組織化学アッセイは、低倍率でスコア付けされる。ある態様において、低倍率は約20倍である。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、高倍率でスコア付けされる。ある態様において、高倍率は約40倍である。
【0127】
ある態様において、免疫組織化学アッセイは、画像分析ソフトウェアによってスコア付けされる。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、病理担当者の視覚的免疫スコアによってスコア付けされる。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、手動でスコア付けされる。
【0128】
ある態様において、生検組織サンプルにおける、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、LAG-3およびPD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含む細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、生検組織サンプルにおける、LAG-3およびPD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含む免疫細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、生検組織サンプルにおける、LAG-3およびPD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含むT細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、LAG-3を発現する、およびPD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含む、生検組織サンプル中のCD8 T細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、LAG-3を発現する、PD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含む、生検組織サンプル中のCD4 T細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、LAG-3を発現する、PD-L1を発現する、および/またはBRAF V600変異を含む、生検組織サンプル中のFOXP3 T細胞の割合を評価することを含む。
【0129】
ある態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍細胞によるMHCクラスIIの発現を検出することをさらに含む、マルチプレックスアッセイである。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、MHCクラスIIを発現する生検組織サンプル中の細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、MHCクラスIIを発現する生検組織サンプル中の非免疫細胞の割合を評価することを含む。
【0130】
特定の態様において、腫瘍細胞によるフィブリノーゲン様タンパク質1(FGL1)の発現が測定される。
【0131】
画像化技術は、癌研究および癌処置における重要なツールを提供する。陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放射コンピュータートモグラフィー(SPECT)、蛍光リフレクタンスイメージング(FRI)、蛍光媒介トモグラフィー(FMT)、生物発光イメージング(BLI)、レーザー走査共焦点顕微鏡(LSCM)および多光子顕微鏡(MPM)を含む分子画像化システムの最近の開発は、癌研究におけるこれらの技術のさらなる用途を予見させ得るものである。これらの分子画像化システムのいくつかは、臨床医が、腫瘍が体内に局在する位置を見ることだけではなく、腫瘍の挙動および/または治療薬に対する応答性に影響を及ぼす特定の分子の発現および活性、細胞ならびに生物学的プロセスを視覚化することも可能にする(Condeelis and Weissleder, Cold Spring Harb. Perspect. Biol. 2(12):a003848 (2010))。抗体特異性について、PETの感度および解像度を組み合わせて、免疫PET画像法が、特に組織サンプルにおける抗原の発現をモニターし、アッセイすることを可能にする(McCabe and Wu, Cancer Biother. Radiopharm. 25(3):253-61 (2010); Olafsen et al., Protein Eng. Des. Sel. 23(4):243-9 (2010))。本発明の方法のいずれか特定の態様において、LAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600発現は、免疫PET画像法によってアッセイされる。本発明の方法のいずれか特定の態様において、LAG-3を発現する生検組織サンプルにおける細胞の割合は、生検組織サンプルにおける細胞表面上のLAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600ポリペプチドの存在を決定するためのアッセイを行うことによって評価される。特定の態様において、生検組織サンプルは、FFPE組織サンプルである。他の態様において、LAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600ポリペプチドの存在は、IHCアッセイによって決定される。さらなる態様において、IHCアッセイは、自動化された方法を用いて行われる。
【0132】
3.自動化されたIHCによる、LAG-3およびPD-L1発現および/またはBRAF V600変異の存在のアッセイ
本方法の一態様において、自動化されたIHC法は、FFPE組織試料におけるLAG-3およびPD-L1の発現、および/またはBRAF V600変異の存在をアッセイするために用いられる。本発明は、生検組織サンプル中のヒトLAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600の存在を検出するか、またはヒトLAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600抗原を発現するサンプル中のヒトLAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600抗原のレベルもしくは細胞の割合を定量するための方法であって、生検サンプルおよび陰性対照サンプルを、ヒトLAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600に特異的に結合するmAb抗体またはその一部とヒトLAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600との間で複合体の形成を可能とする条件下で、該抗体と接触させることを含む、方法を提供する。特定の態様において、生検および対照組織サンプルはFFPEサンプルである。次に、複合体の形成が検出され、ここで、生検サンプルと陰性対照サンプルとの間の複合体の形成における相違は、サンプル中にヒトLAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600抗原の存在を示すことである。種々の方法がLAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600を定量するために用いられる。
【0133】
特定の態様において、自動化されたIHC法には、(a)包埋された組織切片を自動染色装置において脱パラフィンおよび再水和し;(b)自動染色装置にて抗原を回収し;(c)自動染色装置に試薬をセットし;(d)組織試料における内因性ペルオキシダーゼを中和し;スライド上の非特異的タンパク質結合部位をブロッキングし;スライドを一次抗体と共にインキュベートし;一次抗体後の(post primary)ブロッキング剤と共にインキュベートし;検出酵素に結合している場合も結合していない場合もある別の抗体などの一次抗体後の抗体検出試薬と共にインキュベートし;クロモゲン基質を加え、発色させ;次いで、ヘマトキシリンで対比染色する工程を含む、自動染色装置を作動させること、が含まれる。ある態様において、抗原回収は、何れかの熱利用抗原回収装置の使用を含む。
【0134】
ある態様において、腫瘍組織サンプルにおけるLAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600の存在を評価するために、病理担当者は、顕微鏡で各視野におけるLAG-3腫瘍浸潤性ンパ球、PD-L1腫瘍細胞および/またはBRAF V600腫瘍細胞の数を調べ、陽性である細胞の割合を暗算で概算し、その後、各視野の概算値を平均して最終割合値を得る。異なる染色強度は、0/陰性、l+/弱、2+/中間、および3+/強として定義される。一般的に、パーセント値は、最初に0および3+バケットに割り当て、次いで中間の1+および2+強度を検討する。極めて不均一な組織については、試料を区域に分類し、各区域を別個にスコア化し、次いで単一セットのパーセント値に合わせる。異なる染色強度についての陰性および陽性細胞の割合を各領域から決定し、中央値を各区域に付与する。最終的なパーセンテージ値を各染色強度カテゴリー:陰性、1+、2+および3+、について組織に付与する。全ての染色強度の合計は、100%であることが必要となる。
【0135】
ある態様において、染色はまた、マクロファージおよびリンパ球などの腫瘍浸潤性炎症細胞において評価される。マクロファージおよびリンパ球は、LAG-3、PD-L1および/またはBRAF V600染色について評価され、全てのサンプルについて各細胞カテゴリーの陽性または陰性としてのみ記録される。染色はまた、腫瘍内側/外側の免疫細胞の名称に従って特徴付けられる。“内側”は、免疫細胞が、腫瘍組織内に存在するかおよび/または腫瘍細胞間に物理的に挿入されることなく腫瘍領域の境界上に存在することを意味する。“外側”は、腫瘍との物理的な関連が存在しないことを意味し、免疫細胞が結合組織と関連する末梢またはこれに関連する隣接組織で見出される。
【0136】
これらのスコア付け法の特定の態様において、サンプルは、独立して実施する2名以上の病理担当者によってスコア付けされ、これらのスコアは後に統合される。ある他の態様において、陽性および陰性細胞の同定は、適当なソフトウェアを用いてスコア付けされる。
【0137】
組織スコア(H-score)は、IHCデータのより定量的な尺度として用いられる。組織スコアは、以下のように算出される:
組織スコア=[(%腫瘍x1(低強度))+(%腫瘍x2(中間強度))+(%腫瘍x3(高強度)]。
【0138】
組織スコアを決定するために、病理担当者は、試料内の各強度カテゴリーで染色細胞の割合を推定する。多くのバイオマーカーの発現が不均一であるため、組織スコアは、全体の発現のより正確な表示である。最終的な組織スコアの範囲は、0(最少スコア、発現なし)~300(最大スコア、最大発現およびこれを含む)である。
【0139】
4.LAG-3阻害剤
一面において、本発明は、悪性腫瘍の処置においてLAG-3阻害剤を使用する方法を特徴とする。本明細書で用いる、LAG-3阻害剤としては、LAG-3結合剤および可溶性LAG-3ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。LAG-3結合剤には、LAG-3に特異的に結合する抗体が含まれる。
【0140】
ある態様において、LAG-3阻害剤は、LAG-3結合剤、例えば抗LAG-3抗体である。ある態様において、LAG-3阻害剤は、可溶性LAG-3ポリペプチド、例えばMHCクラスIIに結合することができるLAG-3-Fc融合ポリペプチドである。
【0141】
抗ヒト-LAG-3抗体(または、それに由来するVH/VLドメイン)は、当技術分野で周知の方法を用いて作製することができる。あるいは、当技術分野で認められている抗LAG-3抗体を用いることができる。
【0142】
ある態様において、抗LAG-3抗体は、PCT/US13/48999(その内容は引用により本明細書中に包含される)に記載のように、配列番号1および2にそれぞれ示される配列を含む重鎖および軽鎖、またはそれらの変異体を含む、BMS-986016である。ある態様において、BMS-986016抗体は、配列番号1の重鎖末端リシンアミノ酸を含まない。
【0143】
他の態様において、抗体は、BMS-986016の重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を有する。従って、一態様において、抗体は、配列番号3に記載の配列を有するBMS-986016のVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号5に記載の配列を有するBMS-986016(レラトリマブ)のVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の態様において、抗体は、配列番号7、8および9にそれぞれ記載の配列を含むCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号10、11および12にそれぞれ記載の配列を含むCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の態様において、抗体は、配列番号3および/または配列番号5のそれぞれに記載のアミノ酸配列を含むVH領域および/またはVL領域を含む。別の態様において、抗体は、配列番号4および/または配列番号6のそれぞれに記載の核酸配列によりコードされる重鎖可変(VH)領域および/または軽鎖可変(VL)領域を含む。別の態様において、抗体は、上記の抗体と同じLAG-3上のエピトープと結合について競合する、および/または上記の抗体と同じLAG-3上のエピトープに結合する。別の態様において、抗体は、アミノ酸配列PGHPLAPG(配列番号27)を含むヒトLAG-3のエピトープに結合する。別の態様において、抗体は、アミノ酸配列HPAAPSSW(配列番号28)またはPAAPSSWG(配列番号29)を含むヒトLAG-3のエピトープに結合する。一態様において、抗体は、(a) 配列番号7に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号8に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号9に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号10に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;および、(e) 配列番号11に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2、;および、(f) 配列番号12に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む。
【0144】
別の態様において、抗体は、上記の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、配列番号3または配列番号5と少なくとも約90%、95%または99%の可変領域同一性)を有する。
【0145】
ある態様において、抗LAG-3抗体は、ヒトLAG-3への結合についてBMS-986016(レラトリマブ)と交差競合する。他の態様において、抗LAG-3抗体は、BMS-986016(レラトリマブ)と同じエピトープに結合する。ある態様において、抗LAG-3抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒトモノクローナル抗体である。他の態様において、抗LAG-3抗体は、ヒトIgG1アイソタイプまたはヒトIgG4アイソタイプの重鎖定常領域を含む。特定の態様において、抗LAG-3抗体はBMS-986016(レラトリマブ)である。特定の態様において、抗LAG-3抗体は、バイオシミラーである。特定の態様において、抗LAG-3抗体は、BMS-986016(レラトリマブ)のバイオシミラーである。
【0146】
ある態様において、当技術分野で認められる抗LAG-3抗体を、本発明の治療法に用いることができる。例えば、US2011/0150892 A1に記載され、モノクローナル抗体25F7と称される(“25F7”および“LAG-3.1”としても公知)、抗ヒトLAG-3抗体を使用できる。使用できる他の当技術分野で認められる抗LAG-3抗体としては、US2011/007023に記載のIMP731(H5L7BW)、WO2016028672に記載のMK-4280(28G-10)、WO2018185046に記載のaLAG3(0414)およびaLAG3(0416)、WO2018185043に記載の抗PDl/LAG3 0927、Journal for ImmunoTherapy of Cancer, (2016) Vol. 4, Supp. Supplement 1 Abstract Number: P195に記載のREGN3767、WO2017/019894に記載のBAP050、IMP-701(LAG-525)、aLAG3(0414)、aLAG3(0416)、Sym022、TSR-033、TSR-075、XmAb22841、MGD013、BI754111、FS118、P13B02-30、AVA-017およびGSK2831781が挙げられる。本発明で有用なこれらおよび他の抗LAG-3抗体は、例えば、WO2016/028672、WO2017/106129、WO2017/062888、WO2009/044273、WO2018/069500、WO2016/126858、WO2014/179664、WO2016/200782、WO2015/200119、WO2017/019846、WO2017/198741、WO2017/220555、WO2017/220569、WO2018/071500、WO2017/015560、WO2017/025498、WO2017/087589、WO2017/087901、WO2018/083087、WO2017/149143、WO2017/219995、US2017/0260271、WO2017/086367、WO2017/086419、WO2018/034227、WO2018/185046、WO2018/185043およびWO2014/140180に見出され得る。一態様において、LAG-3アンタゴニストはIMP321(エフチラギモドアルファ)である。これらの文献のそれぞれの内容全体は、引用により本明細書中に包含される。本発明の一態様において、抗LAG-3抗体は、アミノ酸残基228でセリンからプロリンへの変異を含む。
【0147】
LAG-3への結合について、上記の抗体の何れかと競合する抗体もまた、使用することができる。
【0148】
特定の態様において、抗LAG-3抗体は、LAG-3発現を決定するために用いられる。 ある態様において、抗LAG-3抗体は、ホルマリン固定されたパラフィン包埋(FFPE)組織試料においてLAG-3に結合する能力について選択される。他の態様において、抗LAG-3抗体は、凍結組織においてLAG-3に結合することができる。さらなる態様において、抗LAG-3抗体は、LAG-3の膜結合型、細胞質型および/または可溶性形態を区別することができる。
【0149】
ある態様において、本明細書に記載の方法に従い、LAG-3発現をアッセイ、検出および/または定量するのに有用な抗LAG-3抗体は、17B4マウスIgG1抗ヒトLAG-3モノクローナル抗体である。例えば、J. Matsuzaki, et al.; PNAS 107, 7875 (2010)を参照のこと。
【0150】
4.PD-1経路阻害剤
一面において、本発明は、悪性腫瘍の処置におけるPD-1阻害剤の使用方法を特徴とする。本明細書で用いる“PD-1経路阻害剤”としては、PD-1結合剤、PD-L1結合剤およびPD-L2結合剤が挙げられるが、これらに限定されない。PD-1結合剤には、PD-1に特異的に結合する抗体が含まれる。PD-L1結合剤およびPD-L2結合剤には、PD-L1および/またはPD-L2に特異的に結合する抗体、ならびにPD-L1および/またはPD-L2に結合する可溶性PD-1ポリペプチドが含まれる。
【0151】
ある態様において、PD-1経路阻害剤は、PD-1結合剤、例えば抗PD-1抗体である。ある態様において、PD-1経路阻害剤は、PD-L1結合剤、例えば抗PD-L1抗体である。ある態様において、PD-1経路阻害剤は、PD-L2結合剤、例えば抗PD-L2抗体である。さらなる態様において、PD-L1結合剤は、可溶性PD-1ポリペプチド、例えばPD-L1に結合できるPD-1-Fc融合ポリペプチドである。さらなる態様において、PD-L2結合剤は、可溶性PD-1ポリペプチド、例えばPD-L2に結合できるPD-1-Fc融合ポリペプチドである。
【0152】
本発明で用いるのに適する抗ヒトPD-1抗体(またはそれに由来するVHドメインおよび/もしくはVLドメイン)は、当技術分野において周知の方法を用いて作製することができる。あるいは、当技術分野で認めされている抗PD-1抗体を用いることができる。例えば、WO2006/121168に記載のモノクローナル抗体5C4(本明細書中、ニボルマブまたはBMS-936558と称される)、17D8、2D3、4H1、4A11、7D3および5F4を用いることができる。他の既知のPD-1抗体としては、WO2008/156712に記載のランブロリズマブ(MK-3475)およびWO2012/145493に記載のAMP-514が挙げられる。さらに既知のPD-1抗体および他のPD-1阻害剤としては、例えば、WO2009/014708、WO03/099196、WO2009/114335およびWO2011/161699(それらは引用により本明細書中に包含される)に記載の物が挙げられる。一態様において、抗PD-1抗体はREGN2810である。一態様において、抗PD-1抗体はPDR001である。別の既知の抗PD-1抗体はピジリズマブ(CT-011)である。
【0153】
一態様において、抗PD-1抗体はニボルマブである。ニボルマブ(“OPDIVO(登録商標)”としても公知;以前は、5C4、BMS-936558、MDX-1106またはONO-4538と称された)は、PD-1リガンド(PD-L1およびPD-L2)との相互作用を選択的に阻止し、それにより抗腫瘍T細胞機能の下方制御を阻止する、完全ヒトIgG4(S228P)PD-1免疫チェックポイント阻害抗体である(米国特許第8,008,449号;Wang et al., Cancer Immunol Res. 2(9):846-56 (2014))。別の態様において、抗PD-1抗体またはそのフラグメントは、ニボルマブと交差競合する。他の態様において、抗PD-1抗体またはそのフラグメントは、ニボルマブと同じエピトープに結合する。特定の態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブと同じCDRを有する。
【0154】
ある態様において、抗PD-1抗体は、それぞれ配列番号17および18に示される配列を含む重鎖および軽鎖、またはそれらの変異体を含む。ある態様において、抗PD-1抗体は、(a) 配列番号19に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号20に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号21に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号22に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号23に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号24に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む。
【0155】
他の態様において、抗体は、ニボルマブの重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む。従って、一態様において、抗体は、配列番号19に記載の配列を有するニボルマブのVHのCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号21に記載の配列を有するニボルマブのVLのCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の態様において、抗体は、配列番号23、24および25にそれぞれ記載の配列を含むCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号26、27および28にそれぞれ記載の配列を含むCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の態様において、抗体は、配列番号19および/または配列番号21のそれぞれに記載のアミノ酸配列を含むVH領域および/またはVL領域を含む。別の態様において、抗体は、配列番号20および/または配列番号22のそれぞれに記載の核酸配列によりコードされる重鎖可変(VH)領域および/または軽鎖可変(VL)領域を含む。別の態様において、抗体は、上記の抗体と同じPD-1上のエピトープと結合について競合する、および/または上記の抗体と同じPD-1上のエピトープに結合する。別の態様において、抗体は、上記の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、配列番号19または配列番号21と少なくとも約90%、95%または99%の可変領域同一性)を有する。
【0156】
ある態様において、抗PD-1抗体は、ヒトPD-1への結合についてニボルマブと交差競合する。他の態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブと同じエピトープに結合する。ある態様において、抗PD-1抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒトモノクローナル抗体である。他の態様において、抗PD-1抗体は、ヒトIgGlアイソタイプまたはヒトIgG4アイソタイプの重鎖定常領域を含む。特定の態様にいて、抗PD-1抗体は、ニボルマブまたはペムブロリズマブである。ある態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブのバイオシミラーである。ある態様にいて、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブのバイオシミラーである。
【0157】
当技術分野で公知の抗PD-1抗体は、本明細書に記載の組成物および方法に用いられ得る。高い親和性でPD-1に特異的に結合する種々のヒトモノクローナル抗体が、米国特許第8,008,449号に記載されている。米国特許第8,008,449号に記載の抗PD-1抗体は、以下の特徴の1以上を示すことが実証されている:(a)Biacoreバイオセンサーシステムを用いる表面プラズモン共鳴によって決定される、1×10-7Mまたはそれ以下のKでヒトPD-1に結合する;(b)ヒトCD28、CTLA-4またはICOSに実質的に結合しない;(c)混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞増殖を増加させる;(d)MLRアッセイにおいてインターフェロン-γの産生を増加させる;(e)MLRアッセイにおいてIL-2分泌を増加させる;(f)ヒトPD-1およびカニクイザルPD-1に結合する;(g)PD-1に対するPD-L1および/またはPD-L2の結合を阻害する;(h)抗原特異的記憶応答を刺激する;(i)抗体応答を刺激する;および、(j)インビボでの腫瘍細胞の増殖を阻害する。本発明に有用な抗PD-1抗体には、ヒトPD-1に特異的に結合し、前記特徴のうちの少なくとも1つ、ある態様において、少なくとも5つを示すモノクローナル抗体が含まれる。
【0158】
他の抗PD-1モノクローナル抗体は、例えば米国特許第6,808,710号、同第7,488,802号、同第8,168,757号および同第8,354,509号、米国特許公報2016/0272708、ならびにPCT公開公報WO2012/145493、WO2008/156712、WO2015/112900、WO2012/145493、WO2015/112800、WO2014/206107、WO2015/35606、WO2015/085847、WO2014/179664、WO2017/020291、WO2017/020858、WO2016/197367、WO2017/024515、WO2017/025051、WO2017/123557、WO2016/106159、WO2014/194302、WO2017/040790、WO2017/133540、WO2017/132827、WO2017/024465、WO2017/025016、WO2017/106061、WO2017/19846、WO2017/024465、WO2017/025016、WO2017/132825およびWO2017/133540(それぞれその内容全体を引用により本明細書中に包含させる)に記載されている。
【0159】
ある態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、5C4、BMS-936558、MDX-1106およびONO-4538としても公知)、ペムブロリズマブ(Merck;KEYTRUDA(登録商標)、ランブロリズマブおよびMK-3475としても公知;WO2008/156712を参照)、PDR001(Novartis;スパルタリズマブとしても公知;WO2015/112900を参照)、MEDI-0680(AstraZeneca;AMP-514としても公知;WO2012/145493を参照)、セミプリマブ(Regeneron;REGN-2810としても公知;WO2015/112800を参照)、JS001(TAIZHOU JUNSHI PHARMA;トリパリマブ(toripalimab)としても公知;Si-Yang Liu et al., J. Hematol. Oncol. 10:136 (2017)を参照)、BGB-A317(“チスレリズマブ”;Beigene;WO2015/35606およびUS2015/0079109参照)、INCSHR1210(Jiangsu Hengrui Medicine;SHR-1210としても公知;WO2015/085847;Si-Yang Liu et al., J. Hematol. Oncol. 10:136 (2017)を参照)、TSR-042(Tesaro Biopharmaceutical;ANB011としても公知;WO2014/179664を参照)、GLS-010(Wuxi/Harbin Gloria Pharmaceuticals;WBP3055としても公知;Si-Yang Liu et al., J. Hematol. Oncol. 10:136 (2017)を参照)、AM-0001(Armo)、STI-1110(Sorrento Therapeutics;WO2014/194302を参照)、AGEN2034(Agenus;WO2017/040790を参照)、MGA012(Macrogenics,WO2017/19846を参照)、IBI308(Innovent;WO2017/024465、WO2017/025016、WO2017/132825およびWO2017/133540を参照)およびBCD-100(Biocad)からなる群より選択される。
【0160】
一態様において、抗PD-1抗体はニボルマブである。ニボルマブは、PD-1リガンド(PD-L1およびPD-L2)との相互作用を選択的に阻止し、それにより抗腫瘍T細胞機能の下方制御を阻止する、完全ヒトIgG4(S228P)PD-1免疫チェックポイント阻害抗体である(米国特許第8,008,449号;Wang et al., 2014 Cancer Immunol Res. 2(9):846-56)。
【0161】
別の態様において、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。ペムブロリズマブは、ヒト細胞表面受容体PD-1(プログラム死-1またはプログラム細胞死-1)に対するヒト化モノクローナルIgG4(S228P)抗体である。ペムブロリズマブは、例えば、米国特許第8,354,509号および同第8,900,587号に記載されている。
【0162】
本明細書に記載の組成物および方法に用いられ得る抗PD-1抗体としてはまた、ヒトPD-1に特異的に結合し、本明細書に記載の何れかの抗PD-1抗体、例えばニボルマブ(例えば、米国特許第8,008,449号および同第8,779,105号;WO2013/173223参照)とヒトPD-1への結合について交差競合する、単離抗体も挙げられる。ある態様において、抗PD-1抗体は、本明細書に記載の抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)のいずれかと同じエピトープに結合する。抗原への結合について交差競合する抗体の能力は、これらのモノクローナル抗体が抗原の同じエピトープ領域に結合し、特定のエピトープ領域に対する他の交差競合する抗体の結合を立体的に妨害することを示す。これらの交差競合抗体は、PD-1の同じエピトープ領域へのそれらの結合のため、対照抗体(例えば、ニボルマブ)と顕著に類似する機能特性を有することが予期される。交差競合抗体は、例えば、Biacore分析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーなどの標準的なPD-1結合アッセイにおいてニボルマブと交差競合する能力に基づいて容易に同定され得る(例えば、WO2013/173223を参照)。
【0163】
特定の態様において、ヒトPD-1への結合について交差競合するか、またはヒトPD-1抗体ニボルマブと同じエピトープ領域に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。ヒト対象への投与について、これらの交差競合抗体は、キメラ抗体、改変抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体であり得る。かかるキメラモノクローナル抗体、改変モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体またはヒトモノクローナル抗体は、当技術分野で周知の方法で調製および単離できる。
【0164】
本明細書に記載の組成物および方法に有用な抗PD-1抗体としてはまた、上記の抗体の抗原結合部位も挙げられる。抗体の抗原結合機能が完全長抗体のフラグメントによって行われ得ることは実証されている。
【0165】
本明細書に記載の組成物および方法における使用に適する抗PD-1抗体は、高い特異性および親和性でPD-1に結合し、PD-L1および/またはPD-L2の結合を阻害し、ならびにPD-1シグナル伝達経路の免疫抑制効果を阻害する抗体である。本明細書に記載の組成物または方法のいずれかにおいて、抗PD-1“抗体”には、PD-1受容体に結合し、リガンド結合を阻害し、免疫系を上方制御する際に完全抗体と類似する機能特性を示す抗原結合部分またはフラグメントが含まれる。特定の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、ヒトPD-1への結合についてニボルマブと交差競合する。
【0166】
ある態様において、抗PD-1抗体は、二重特異性抗体である。特定の態様において、抗PD-1抗体は、PD-1およびLAG-3の両方に結合する二重特異性抗体である。
【0167】
6.抗PD-L1抗体
特定の態様において、本発明は、PD-1経路阻害剤としての抗PD-L1抗体の使用を包含する。一態様において、抗PD-L1抗体は、PD-L1受容体の結合を阻害し、すなわち、PD-1のそのリガンドPD-L1への結合を阻害する。
【0168】
抗PD-1および抗PD-L1は、同じシグナル伝達経路を標的とし、腎細胞癌腫を含む種々の癌に同様の効果レベルを示すことが治験において示されている(Brahmer et al. (2012) N Engl J Med 366:2455-65; Topalian et al. (2012a) N Engl J Med 366:2443-54; WO2013/173223参照)。抗PD-L1抗体は、本明細書に記載の治療法のいずれかにおいて抗PD-1抗体に置き換えられ得る。従って、本発明の特定の面は、抗PD-L1抗体単独(“単剤療法”)または抗PD-L1抗体と抗CTLA-4抗体とを組み合わせて対象に投与することを含む、高いTMB状態を有する腫瘍、例えば、SCLCに罹患した対象を処置する方法に関する。当技術分野で知られている抗PD-L1抗体は、本明細書に記載の組成物および方法に用いることができる。本明細書に記載の組成物および方法において有用な抗PD-L1抗体の例としては、米国特許第9,580,507号に記載の抗体が挙げられる。米国特許第9,580,507号に記載の抗PD-L1ヒトモノクローナル抗体は、以下の特徴の1以上を示すことが示されている:(a)Biacoreバイオセンサーシステムを用いて表面プラズモン共鳴によって測定される、1x10-7Mまたはそれ以下のKでヒトPD-L1に結合する;(b)混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞増殖を増加させる;(c)MLRアッセイにおいてインターフェロン-γ産生を増加させる;(d)MLRアッセイにおいてIL-2分泌を増加させる;(e)抗体応答を刺激する;および(f)T細胞エフェクター細胞および/または樹状細胞におけるT調節性細胞の効果を逆転させる。本発明に用いられ得る抗PD-L1抗体には、ヒトPD-L1に特異的に結合し、前記特徴のうちの少なくとも1つ、ある態様において、少なくとも5つを示す、モノクローナル抗体が含まれる。
【0169】
特定の態様において、抗PD-L1抗体は、BMS-936559(12A4、MDX-1105としても公知;例えば、米国特許第7,943,743号およびWO2013/173223を参照)、アテゾリズマブ(Roche;TECENTRIQ(登録商標);MPDL3280A、RG7446としても公知;US8,217,149を参照;Herbst et al. (2013) J Clin Oncol 31(suppl):3000もまた参照)、デュルバルマブ(AstraZeneca;IMFINZI(商標)、MEDI-4736としても公知;WO2011/066389を参照)、アベルマブ(Pfizer;BAVENCIO(登録商標)、MSB-0010718Cとしても公知;WO2013/079174を参照)、STI-1014(Sorrento;WO2013/181634を参照)、CX-072(Cytomx;WO2016/149201を参照)、KN035(3D Med/Alphamab;Zhang et al., Cell Discov. 7:3 (March 2017)を参照)、LY3300054(Eli Lilly Co.;例えば、WO2017/034916を参照)、およびCK-301(Checkpoint Therapeutics;Gorelik et al., AACR:Abstract 4606 (Apr 2016)を参照)からなる群より選択される。
【0170】
特定の態様において、PD-L1抗体はアテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))である。アテゾリズマブは、完全ヒト化IgG1モノクローナル抗PD-L1抗体である。
【0171】
特定の態様において、PD-L1抗体は、デュルバルマブ(IMFINZI(商標))である。デュルバルマブは、ヒトIgG1カッパモノクローナル抗PD-L1抗体である。
【0172】
特定の態様において、PD-L1抗体は、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))である。アベルマブは、ヒトIgG1ラムダモノクローナル抗PD-L1抗体である。
【0173】
本発明の組成物および方法で用い得る抗PD-L1抗体としてはまた、ヒトPD-L1に特異的に結合し、本明細書に記載の抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブとヒトPD-L1との結合について交差競合する単離抗体が挙げられる。ある態様において、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載の抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブ)のいずれかと同じエピトープに結合する。抗原への結合について交差競合する抗体の能力は、これらの抗体が抗原の同じエピトープ領域に結合し、特定のエピトープ領域に対する他の交差競合する抗体の結合を立体的に妨害することを示す。これらの交差競合する抗体は、それらのPD-L1の同じエピトープ領域への結合のため、対照抗体、例えばアテゾリズマブおよび/またはアベルマブと顕著に類似する機能特性を有することが予期される。交差競合する抗体は、Biacore解析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーのような標準的なPD-L1結合アッセイにおいてアテゾリズマブおよび/またはアベルマブと交差競合する能力に基づいて容易に同定することができる(例えば、WO2013/173223を参照)。
【0174】
特定の態様において、ヒトPD-L1への結合について交差競合するか、またはアテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブと同じヒトPD-L1抗体のエピトープ領域に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。ヒト対象への投与のために、これらの交差競合する抗体は、キメラ抗体、改変された抗体、またはヒト化もしくはヒト抗体である。このようなキメラ抗体、改変されたヒト化抗体またはヒトモノクローナル抗体は、当該技術分野で周知の方法によって調製され、単離され得る。
【0175】
本発明の組成物および方法に使用できる抗PD-L1抗体としてはまた、上記の抗体の抗原結合部分が挙げられる。抗体の抗原結合機能が完全長抗体のフラグメントによって行われうることは実証されている。
【0176】
本発明の組成物または方法で用いるのに適する抗PD-L1抗体は、高い特異性および親和性でPD-L1に結合し、PD-1の結合を阻害し、およびPD-1シグナル伝達経路の免疫抑制効果を阻害する抗体である。本明細書に記載の組成物または方法のいずれかにおいて、抗PD-L1“抗体”としては、PD-L1に結合し、かつ受容体結合を阻害して免疫系を上方制御する際に完全長抗体と類似する機能特性を示す、抗原結合部分またはフラグメントが挙げられる。特定の態様において、抗PD-L1抗体またはその抗原結合部分は、ヒトPD-L1への結合についてアテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブと交差競合する。
【0177】
本発明に有用な抗PD-L1抗体は、PD-L1に特異的に結合する任意のPD-L1抗体、例えば、ヒトPD-1への結合に対してデュルバルマブ、アベルマブまたはアテゾリズマブと競合する抗体、例えばデュルバルマブ、アベルマブまたはアテゾリズマブと同じエピトープに結合する抗体であり得る。特定の態様において、抗PD-L1抗体はデュルバルマブである。他の態様において、抗PD-L1抗体はアベルマブである。ある態様において、抗PD-L1抗体はアテゾリズマブである。
【0178】
7.抗CTLA-4抗体
特定の態様において、本発明は、抗CTLA-4抗体の使用を包含する。一態様において、抗CTLA-4抗体は、CTLA-4に結合し、これを阻害する。ある態様において、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(YERVOY)、トレメリムマブ(ticilimumab;CP-675,206)、AGEN-1884またはATOR-1015である。
【0179】
8.医薬組成物
ヒト患者への投与に適した医薬組成物は、一般的には、非経腸投与用に、例えば液体担体中に、または静脈内投与用の溶液または懸濁液への再構成に適しているように製剤される。
【0180】
一般に、そのような組成物は、一般的には、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で用いる用語“薬学的に許容される”とは、動物、特にヒトにおける使用のために、規制当局によって承認されているか、または米国薬局方もしくは他の一般に局方同等と認められているものに記載されていることを意味する。用語“担体”とは、化合物が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビークルを意味する。このような医薬用担体は、水および油などの滅菌液、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油、ポリエチレングリコールリシノレイン酸グリセロールなどの石油由来のもの、動物由来のもの、植物由来のもの、または合成由来のものを含み得る。水または生理食塩水、デキストロース水溶液およびグリセロール水溶液を、特に注射用溶液(例えば、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体を含む)のために担体として用いることができる。非経腸投与用の液体組成物は、注射による投与または持続点滴による投与のために製剤することができる。注射または点滴による投与経路には、静脈内、腹腔内、筋肉内、髄腔内および皮下が含まれる。一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、静脈内投与される(例えば、別個の製剤で、または共製剤で(同一製剤または別個の製剤で))。
【0181】
9.患者集団
本発明は、本明細書に記載の免疫療法、例えば、LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)およびPD-1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)の組み合わせを用いて、ヒト患者における転移性のまたは切除不能な黒色腫を処置するための臨床的方法を提供する。特定の態様において、本明細書に記載の免疫療法を受けている患者は、転移状態において処置を受けていない。一態様において、ヒト患者は、転移性のまたは切除不能な黒色腫に対する以前の処置を受けていない。ある態様において、患者は、以前の全身療法を受けていない。ある態様において、本発明の投与療法は、転移状態における一次療法である。ある態様において、黒色腫は、以前に処置を受けていない転移性のまたは切除不能な黒色腫である。
【0182】
特定の態様において、患者は、黒色腫が局所的に進行したとき、以前の処置を受けた。一態様において、ヒト患者は、以前のアジュバント黒色腫療法を受けた。一態様において、以前のアジュバント黒色腫療法は、抗PD-1療法であった。異なる態様において、以前のアジュバント黒色腫療法は、抗CTL-4療法であった。特定の態様において、患者は、再発の日以前に6ヶ月以上の期間、治療を受けた。さらなる態様において、患者はアジュバント・インターフェロン療法を受けた。別の態様において、患者はネオアジュバント・インターフェロン療法を受けた。ある態様において、患者はBRAF阻害剤含有療法を受けた。特定の態様において、患者は、MEK阻害剤を含む療法を受けた。一態様において、患者は、最後の投与日から再発の日までの期間が6ヶ月より長いか、または6ヵ月程度で、以前のアジュバント黒色腫療法を受けた。一態様において、患者は、癌療法による処置に抵抗性の転移性のまたは切除不能な黒色腫を患っている。ある態様において、癌療法は、放射線治療、外科手術、化学療法、遺伝子治療、DNA治療、ウイルス治療、RNA治療、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法またはこれらの組合せである。療法は、アジュバント療法またはネオアジュバント療法の形態であってもよい。本明細書で用いる“アジュバント療法”とは、癌が再発するリスクを低下させるために、一次療法の後に行われる癌治療を意味する。アジュバント療法には、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、標的療法または生物学的療法が含まれ得る。アジュバント療法は、手術や放射線などの一次療法後に行われることが多い。主な処置の前に行われるアジュバント療法は、ネオアジュバント療法と呼ばれる。この種のアジュバント療法はまた、がんが再発する可能性を減少させることができ、一次療法、例えば、手術または放射線治療を腫瘍負担(burden)の軽減においてより効果的なものにするために用いられることが多い。別の態様において、患者は、化学療法による処置に抵抗性の転移性のまたは切除不能な黒色腫を患っている。
【0183】
別の態様において、免疫チェックポイント阻害剤による処置に抵抗性の転移性のまたは切除不能な黒色腫に罹患している。別の態様において、患者は、PD-1阻害剤による処置に抵抗性の転移性のまたは切除不能な黒色腫に罹患している。別の態様において、患者は、抗PD-1抗体による処置に抵抗性の転移性のまたは切除不能な黒色腫に罹患している。一態様において、患者は、抗PD-1抗体による処置に抵抗性であることが予測される転移性のまたは切除不能な黒色腫に罹患している。一態様において、転移性のまたは切除不能な黒色腫は、バイオマーカー分析に基づいて抗PD-1療法に難治性であると見なされる。特定の態様において、転移性のまたは切除不能な黒色腫は、PD-1単剤療法に難治性である。別の態様において、患者は、抗PD-L1抗体による処置に抵抗性である転移性のまたは切除不能な黒色腫に罹患している。
【0184】
患者は、処置前、処置中または処置後に、上記の臨床上の特性のうちの1以上について試験されるか、または選択され得る。
【0185】
ある態様において、患者は12から17歳である。
【0186】
10.免疫療法
一面において、本明細書に記載の免疫療法は、転移性のまたは切除不能な黒色腫の処置のために、LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)およびPD-1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体)の投与を伴う。
【0187】
一態様において、本発明は、転移性のまたは切除不能な黒色腫を有する対象を処置するために、定義された臨床的投与レジメンに従って抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体を提供する。特定の態様において、抗LAG-3抗体はBMS-986016である。別の態様において、抗PD-1抗体はBMS-936558である。別の態様において、投与レジメンは固定されている。別の態様において、投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、効果的な応答)を提供するように調整される。一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、160mgの抗LAG-3抗体および480mgの抗PD-1抗体で投与される。一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、80mgの抗LAG-3抗体および240mgの抗PD-1抗体で投与される。一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、160mgの抗LAG-3抗体および240mgの抗PD-1抗体で投与される。ある態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、240mgの抗LAG-3抗体および240mgの抗PD-1抗体で投与される。一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、480mgの抗LAG-3抗体および480mgの抗PD-1抗体で投与される。特定の態様において、抗LAG-3抗体と抗PD-1抗体の比率は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6 、2:1、3:1、3.5:1、4:1、5:1または6:1である。
【0188】
本明細書に記載の、補助的または組合せ投与(同時投与)には、同じかまたは異なる投与形態で化合物の同時投与、または化合物の別個投与(例えば、逐次投与)が含まれる。従って、例えば、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、単一の製剤で同時に投与され得る。あるいは、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、別個の投与のために製剤され得て、かつ同時投与または連続投与される(例えば、第一の抗体は、第二の抗体の投与前の約30分以内に投与される)。
【0189】
例えば、抗PD-1抗体を最初に投与することができ、(例えば、直後に)抗LAG-3抗体を投与することができ、またはその逆も可能である。一態様において、抗PD-1抗体は、抗LAG-3抗体の投与の前に投与される。別の態様において、抗PD-1抗体は、抗LAG-3抗体の投与の後に投与される。別の態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、同時に投与される。かかる同時投与または連続投与は、好ましくは、両抗体が処置された患者に同時に存在することをもたらす。
【0190】
11.処置プロトコール
一面において、ヒト患者の悪性腫瘍を処置するための適切な処置プロトコールには、有効量のLAG3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)およびPD-1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)を投与することが含まれる。
【0191】
ある態様において、ヒト患者において悪性腫瘍を処置するための適切な処置プロトコールは、例えば、患者へ以下の各々の有効量を投与することを含む:
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含むものなどの、抗LAG-3抗体、および
(b)配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含むものなどの、抗PD-1抗体、
ここで、該方法は、少なくとも1つの投与サイクルを含み、該サイクルは、4週間の期間であり、少なくとも1サイクルの各々について、抗LAG-3抗体の少なくとも1つの用量が、約1mg、約3mg、約10mg、約20mg、約50mg、約80mg、約100mg、約120mg、約130mg、約150mg、約160mg、約180mg、約200mg、約240mg、約280mg、約300mg、約320mg、約360mg、約400mg、約440mg、約480mgまたは約500mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも1つの用量が、約50mg、約80mg、約100mg、約130mg、約150mg、約180mg、約200mg、約240mg、約280mg、約320mg、約360mg、約400mg、約440mg、約480mg、約500mg、約520mg、約560mg、約600mg、約650mg、約700mgまたは約800mgの用量で投与される。別の態様において、抗LAG-3抗体の少なくとも1つの用量は、体重1kgあたり、0.01mg、0.03mg、0.25mg、0.1mg、0.3mg、1mg、2mg、3mg、5mg、8mgまたは10mgの用量で投与され、抗PD-1抗体の少なくとも1つの用量は、体重1kgあたり、0.1mg、0.3mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mgまたは10mgの用量で投与される。
【0192】
一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、抗LAG-3抗体を160mgおよび抗PD-1抗体を480mg投与される。
【0193】
一態様において、腫瘍は転移性のまたは切除不能な黒色腫である。さらなる態様において、腫瘍は、前治療を受けていない転移性のまたは切除不能な黒色腫である。
【0194】
一態様において、本方法は、ヒト患者における転移性黒色腫の増殖を阻害する方法を提供し、この方法は、該患者に、(a)160mgの抗LAG-3抗体;および(b)480mgの抗PD-1抗体、の有効量を投与することを含み、ここで、患者が転移性黒色腫に対する以前の処置を受けていない(すなわち、この処置が一次療法である)。ある態様において、患者は、以前の全身療法を受けていない。特定の態様において、患者は、黒色腫に対する以前の外科手術を受けていない。別の態様において、患者は、放射線療法を受けていない。一態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含み、かつ抗PD-1抗体は、配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。特定の態様において、抗LAG-3抗体はレラトリマブであり、抗PD-1抗体はニボルマブである。一態様において、投与サイクルは4週間(Q4W)であり、これは必要に応じて繰り返すことができる。
【0195】
一態様において、本方法は、ヒト患者における切除不能な黒色腫の増殖を阻害する方法を提供し、この方法は、該患者に:(a)160mgの抗LAG-3抗体;および(b)480mgの抗PD-1抗体、の有効量を投与することを含み、ここで、患者が切除不能な黒色腫に対する以前の処置を受けていない(すなわち、この処置が一次療法である)。ある態様において、患者は、以前の全身治療を受けていない。特定の態様において、患者は、黒色腫に対する外科手術を受けたことがない。別の態様において、患者は、放射線療法を受けていない。一態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含み、かつ抗PD-1抗体は、配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。特定の態様において、抗LAG-3抗体はレラトリマブであり、抗PD-1抗体はニボルマブである。一態様において、投与サイクルは4週間(Q4W)であり、これは必要に応じて繰り返すことができる。
【0196】
一態様において、本方法は、ヒト患者における転移性黒色腫の処置方法を提供し、この方法は、該患者に有効量の:(a)LAG-3アンタゴニスト;および(b)PD-1経路阻害剤、を投与することを含み、ここで、患者が、転移性黒色腫に対する以前の処置を受けていない(すなわち、この処置が一次療法である)。ある態様において、患者は、以前の全身治療を受けていない。特定の態様において、患者は、黒色腫に対する外科手術を受けたことがない。別の態様において、患者は、放射線療法を受けていない。一態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含み、かつ抗PD-1抗体は、配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。特定の態様において、抗LAG-3抗体はレラトリマブであり、抗PD-1抗体はニボルマブである。一態様において、投与サイクルは4週間(Q4W)であり、これは必要に応じて繰り返すことができる。
【0197】
一態様において、本方法は、ヒト患者における切除不能な黒色腫の処置方法を提供し、この方法は、該患者に有効量の:(a)LAG-3アンタゴニスト;および(b)PD-1経路阻害剤、を投与することを含み、ここで、患者が切除不能な黒色腫に対する以前の処置を受けていない(すなわち、この処置が一次療法である)。ある態様において、患者は、以前の全身治療を受けていない。特定の態様において、患者は、黒色腫に対する外科手術を受けたことがない。別の態様において、患者は、放射線療法を受けていない。一態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含み、かつ抗PD-1抗体は、配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。特定の態様において、抗LAG-3抗体はレラトリマブであり、抗PD-1抗体はニボルマブである。一態様において、投与サイクルは4週間(Q4W)であり、これは必要に応じて繰り返すことができる。
【0198】
別の態様において、投与される抗LAG-3抗体および/または抗PD-1抗体の量は、各用量について一定である。別の態様において、投与される抗体の量は、各用量によって変化する。例えば、抗体の維持(または後続)用量は、最初に投与される負荷用量よりも高用量でも同じ用量でもよい。別の態様において、抗体の維持用量は、負荷用量よりも低用量でも同じ用量でもよい。
【0199】
別の態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、静脈内投与用に製剤される。一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、各サイクルの1日目および28日目に投与される。
【0200】
別の態様において、投与のサイクルは4週間であり、必要に応じて繰り返すことができる。
【0201】
一態様において、抗LAG-3抗体はBMS-986016であり、抗PD-1抗体はニボルマブである。一態様において、抗LAG-3抗体はMK-4280であり、抗PD-1抗体はペンブロリズマブである。一態様において、抗LAG-3抗体はREGN3767であり、抗PD-1抗体はREGN2810である。一態様において、抗LAG-3抗体はLAG525であり、抗PD-1抗体はPDR001である。ある態様において、抗PD-1抗体は二重特異性抗体である。ある態様において、抗LAG-3抗体は二重特異性抗体である。特定の態様において、二重特異性抗体は、PD-1およびLAG-3の両方に結合する。一態様において、PD-1/LAG-3二重特異性抗体はTSR-075である。ある態様において、PD-1/LAG-3二重特異性抗体はMGD013である。特定の態様において、抗体はPD-L1/LAG-3二重特異性抗体である。ある態様において、PD-L1/LAG-3二重特異性抗体はFS-118である。
【0202】
別の面において、本発明は、抗PD-1抗体が、抗PD-L1抗体もしくは抗PD-L2抗体によって置換されるか、または抗PD-L1抗体もしくは抗PD-L2抗体と組み合わせられる、上記の態様のいずれかを特徴とする。
【0203】
12.結果
本明細書に記載の方法に従って処置される患者は、好ましくは、癌の少なくとも1つの兆候の改善を経験する。一態様において、改善は、測定可能な腫瘍病変の量および/またはサイズの減少によって測定される。別の態様において、病変は、胸部X線またはCTもしくはMRIフィルムで測定することができる。別の態様において、細胞学または組織学を用いて、治療に対する応答性を評価することができる。
【0204】
一態様において、処置された患者は、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、疾患安定(SD)、免疫関連で完全奏効(irCR)、免疫関連で部分奏効(irPR)または免疫関連で疾患安定(irSD)を示す。別の態様において、処置される患者は、腫瘍の縮小および/または増殖率の低減、すなわち、腫瘍増殖の抑制を経験する。別の態様において、望ましくない細胞増殖は、軽減または阻害される。さらに別の態様において、以下の1以上が起こり得る:がん細胞の数を減らすことができる;腫瘍サイズを小さくすることができる;癌細胞の末梢臓器への浸潤を、阻害、遅延、遅滞または停止することができる;腫瘍転移を、遅延させるかまたは阻害することができる;腫瘍増殖を、抑制することができる;腫瘍の再発を予防または遅延させることができる;癌に関連する1以上の症状を、ある程度緩和することができる。
【0205】
他の態様において、本発明の方法の何れかに従う抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体の有効量の投与は、腫瘍サイズの減少、経時的に現れる転移性病変の数の減少、完全寛解、部分寛解または疾患の安定化からなる群より選択される少なくとも1つの治療効果をもたらす。
【0206】
さらに別の態様において、処置方法は、(i) 処置前に腫瘍サンプル中のLAG-3発現、PD-L1発現および/またはBRAF V600発現のレベルを決定する工程、(ii) 該腫瘍を処置する工程、を含まない処置方法によって達成されるよりも優れた臨床的有用率(CBR=CR+PR+SD≧6ヶ月)をもたらす。他の態様において、臨床的有用率の改善は、(i) 処置前に腫瘍サンプル中のLAG-3発現、PD-L1発現および/またはBRAF V600発現のレベルを決定する工程、(ii) 該腫瘍を処置する工程、を含まない処置方法と比較して、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%またはそれ以上である。さらに他の態様において、処置方法は、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または約100%の客観的奏効率(ORR=CR+PR)をもたらす。
【0207】
13.キットおよび単位投与量形態
免疫療法のための患者をスクリーニングするため、または免疫療法の有効性を予測するためのバイオマーカーとして、LAG-3発現をアッセイするための抗LAG-3抗体を含む診断キットもまた、本発明の範囲内である。キットは、一般的に、キットの内容物の使用目的を示すラベルおよび使用説明書を含む。用語“ラベル”には、キットに添付されているまたは含まれる、あるいはそれ以外の方法でキットに包含される、文書または記録された資料が含まれる。診断キットの特定の態様において、LAG-3発現をアッセイ、検出および/または定量するための第1の抗LAG-3抗体は、転移性のまたは切除不能な黒色腫の処置のための少なくとも1つの治療用抗体(例えば、第2の抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体)と共に包装されている。ある態様において、キットは、免疫療法の有効性を予測するためのバイオマーカーとしてPD-L1発現をアッセイ、検出および/または定量するための抗PD-L1抗体をさらに含む。一態様において、免疫療法は、LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)およびPD-1経路阻害剤(例えば、抗PD1抗体)の治療的有効量を患者に投与することを含む。
【0208】
特定の態様において、診断キットは、LAG-3発現をアッセイ、検出および/または定量するための抗ヒトLAG-3モノクローナル抗体を含む。例えば、J. Matsuzaki, et al.; PNAS 107, 7875 (2010)を参照のこと。
【0209】
本発明はまた、抗LAG-3抗体、例えばBMS-986016、および抗PD-1抗体、例えばニボルマブを含む医薬組成物を、前記方法での使用に適した治療的有効量で含む、治療用キットも提供する。治療用キットの特定の態様において、抗LAG-3抗体は、単位投与量形態で抗PD-1抗体と共に包装される。該キットはまた、要すれば、施術者(例えば、医師、看護師または患者)がそこに含まれる組成物を癌(例えば、固形腫瘍)を有する患者に投与することを可能にするために、例えば、投与スケジュールを含む指示を含んでいてもよい。キットはまた、注射器を含み得る。
【0210】
要すれば、診断および/または治療用キットは、上記の方法に従って単回投与するための有効量の抗LAG-3抗体または抗PD-1抗体をそれぞれ含む単回用量の医薬組成物の複数のパッケージを含む。医薬組成物(複数可)を投与するために必要な装置または機器もまたキットに含まれ得る。例えば、キットは、ある量の抗LAG-3抗体または抗PD-1抗体を含む1以上の充填済シリンジを提供することができる。
【0211】
一態様において、本発明は、転移性のまたは切除不能な黒色腫に罹患している患者を処置するためのキットを提供し、該キットは、
(a) 抗LAG-3抗体、例えば、配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体、の用量;
(b) 抗PD-1抗体、例えば、配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体、の用量;および
(c) 本明細書に記載の方法において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体を使用するための指示書
を含む。
【0212】
ある態様において、悪性腫瘍は転移性のまたは切除不能な黒色腫である。
【0213】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示され、それらはさらに限定するものと解されるべきではない。本明細書中に引用されたすべての文献の内容は、引用により本明細書に明示的に包含される。
【実施例
【0214】
実施例1
前治療を受けていない転移性のまたは切除不能な黒色腫を有する患者における、ニボルマブと併用する抗リンパ球活性化遺伝子-3抗体(抗LAG-3;BMS-986016)の効果
本試験の目的は、ニボルマブ (BMS936558) 転移性のまたは切除不能な黒色腫の処置における、BMS-986016(レラトリマブ)およびニボルマブの併用療法を評価することである。
【0215】
患者は、以下の適格基準に基づいて選択される:(1)転移性のまたは切除不能な黒色腫を有する;(2)転移性のまたは切除不能な疾患の以前の全身治療歴なし;(3)米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)のPS 0-1;(4)バイオマーカー分析に利用できる腫瘍組織。患者は以下によって層別される:(1)Dako PD-L1 IHC 28-8キットを用いて測定した腫瘍細胞のPD-L1発現(1%以上または1%未満)、(2)マウス抗体クローン17B4を用いて測定した免疫細胞のLAG-3発現(1%以上または1%未満)、(3)BRAF V600変異体発現 対 野生型BRAF発現;および(4)米国癌合同委員会(American Joint Commission on Cancer)(第8版)のステージ。
【0216】
処置期間中、成人患者は、BMS-986016(レラトリマブ)160mgおよびニボルマブ480mgを、4週間ごとの各処置サイクルで投与され得る。また、12~17歳の患者は、Lanskyのパフォーマンスステータスが80%以上でなければならない。体重40kg未満の12~17歳の患者は、4週間ごとの各処置サイクルにおいて、体重1kg当たり、BMS-986016(レラトリマブ)を2mg、ニボルマブを6mgの用量で投与され得る。
【0217】
配列表
配列番号1 重鎖アミノ酸配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
QVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGGSFSDYYWNWIRQPPGKGLEWIGEINHRGSTNSNPSLKSRVTLSLDTSKNQFSLKLRSVTAADTAVYYCAFGYSDYEYNWFDPWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号2 軽鎖アミノ酸配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSISSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGQGTNLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号3 重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
QVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGGSFSDYYWNWIRQPPGKGLEWIGEINHRGSTNSNPSLKSRVTLSLDTSKNQFSLKLRSVTAADTAVYYCAFGYSDYEYNWFDPWGQGTLVTVSS
配列番号4 重鎖可変領域(VH)ヌクレオチド配列; 抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
caggtgcagctacagcagtggggcgcaggactgttgaagccttcggagaccctgtccctcacctgcgctgtctatggtgggtccttcagtgattactactggaactggatccgccagcccccagggaaggggctggagtggattggggaaatcaatcatcgtggaagcaccaactccaacccgtccctcaagagtcgagtcaccctatcactagacacgtccaagaaccagttctccctgaagctgaggtctgtgaccgccgcggacacggctgtgtattactgtgcgtttggatatagtgactacgagtacaactggttcgacccctggggccagggaaccctggtcaccgtctcctca
配列番号5 軽鎖可変領域 (VL) アミノ酸配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSISSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGQGTNLEIK
配列番号6 軽鎖可変領域 (VL) ヌクレオチド配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
gaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgcagggccagtcagagtattagcagctacttagcctggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctatgatgcatccaacagggccactggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcagcagcgtagcaactggcctctcacttttggccaggggaccaacctggagatcaaa
配列番号7 重鎖CDR1アミノ酸配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
DYYWN
配列番号8 重鎖CDR2アミノ酸配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
EINHRGSTNSNPSLKS
配列番号9 重鎖CDR3アミノ酸配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
GYSDYEYNWFDP
配列番号10 軽鎖CDR1アミノ酸配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
RASQSISSYLA
配列番号11 軽鎖CDR2アミノ酸配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
DASNRAT
配列番号12 軽鎖CDR3アミノ酸配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
QQRSNWPLT
配列番号13 重鎖アミノ酸配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLDCKASGITFSNSGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKRYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCATNDDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号14 軽鎖アミノ酸配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNWPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号15 重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLDCKASGITFSNSGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKRYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCATNDDYWGQGTLVTVSS
配列番号16 重鎖可変領域(VH)ヌクレオチド配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
caggtgcagctggtggagtctgggggaggcgtggtccagcctgggaggtccctgagactcgactgtaaagcgtctggaatcaccttcagtaactctggcatgcactgggtccgccaggctccaggcaaggggctggagtgggtggcagttatttggtatgatggaagtaaaagatactatgcagactccgtgaagggccgattcaccatctccagagacaattccaagaacacgctgtttctgcaaatgaacagcctgagagccgaggacacggctgtgtattactgtgcgacaaacgacgactactggggccagggaaccctggtcaccgtctcctca
配列番号17 軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNWPRTFGQGTKVEIK
配列番号18 軽鎖可変領域(VL)ヌクレオチド配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
gaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgcagggccagtcagagtgttagtagttacttagcctggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctatgatgcatccaacagggccactggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcagcagagtagcaactggcctcggacgttcggccaagggaccaaggtggaaatcaaa
配列番号19 重鎖CDR1アミノ酸配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
NSGMH
配列番号20 重鎖CDR2アミノ酸配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
VIWYDGSKRYYADSVKG
配列番号21 重鎖CDR3アミノ酸配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
NDDY
配列番号22 軽鎖CDR1アミノ酸配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
RASQSVSSYLA
配列番号23 軽鎖CDR2アミノ酸配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
DASNRAT
配列番号24 軽鎖CDR3アミノ酸配列;抗PD-1 mAb (BMS936558)
QQSSNWPRT
配列番号25 重鎖ヌクレオチド配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
caggtgcagctacagcagtggggcgcaggactgttgaagccttcggagaccctgtccctcacctgcgctgtctatggtgggtccttcagtgattactactggaactggatccgccagcccccagggaaggggctggagtggattggggaaatcaatcatcgtggaagcaccaactccaacccgtccctcaagagtcgagtcaccctatcactagacacgtccaagaaccagttctccctgaagctgaggtctgtgaccgccgcggacacggctgtgtattactgtgcgtttggatatagtgactacgagtacaactggttcgacccctggggccagggaaccctggtcaccgtctcctcagctagcaccaagggcccatccgtcttccccctggcgccctgctccaggagcacctccgagagcacagccgccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacgaagacctacacctgcaacgtagatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagagagttgagtccaaatatggtcccccatgcccaccatgcccagcacctgagttcctggggggaccatcagtcttcctgttccccccaaaacccaaggacactctcatgatctcccggacccctgaggtcacgtgcgtggtggtggacgtgagccaggaagaccccgaggtccagttcaactggtacgtggatggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagttcaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaacggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaaggcctcccgtcctccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagagccacaggtgtacaccctgcccccatcccaggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctaccccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaggctaaccgtggacaagagcaggtggcaggaggggaatgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctctgggtaaatga
配列番号26 軽鎖ヌクレオチド配列;抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
Gaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgcagggccagtcagagtattagcagctacttagcctggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctatgatgcatccaacagggccactggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcagcagcgtagcaactggcctctcacttttggccaggggaccaacctggagatcaaacgtacggtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgttag
配列番号27 LAG-3エピトープ
PGHPLAPG
配列番号28 LAG-3エピトープ
HPAAPSSW
配列番号29 LAG-3エピトープ
PAAPSSWG
配列番号30 重鎖アミノ酸配列;末端リシンを欠く抗LAG-3 mAb (BMS-986016)
QVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGGSFSDYYWNWIRQPPGKGLEWIGEINHRGSTNSNPSLKSRVTLSLDTSKNQFSLKLRSVTAADTAVYYCAFGYSDYEYNWFDPWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
【配列表】
2022512750000001.app
【国際調査報告】