(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】標的スクリーニングのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/02 20060101AFI20220131BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20220131BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220131BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20220131BHJP
G16B 30/00 20190101ALI20220131BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20220131BHJP
【FI】
C12Q1/02
C12Q1/68
G01N33/53 M
G01N37/00 102
G16B30/00
C12Q1/6869 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521403
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(85)【翻訳文提出日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 US2019056743
(87)【国際公開番号】W WO2020081819
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517110494
【氏名又は名称】シンクサイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】杉本 慶樹
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
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(57)【要約】
本開示は、外来性リボ核酸(RNA)分子又は外来性デオキシリボ核酸(DNA)分子を用いてトランスフェクト若しくは形質導入された、又はトランスフェクト若しくは形質導入されたことが疑われる細胞をインキュベートする工程を含み得る、核酸を同定するための方法を提供する。次に、細胞の形態学的変化が同定され得る。次に、細胞の内容物が、核酸配列又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の配列を同定するために処理され得る。次に、核酸配列又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の配列が、外来性RNA分子又は外来性DNA分子の外来性配列を決定するために分析され得る。次に、外来性RNA分子又は外来性DNA分子の外来性配列が、細胞の形態学的変化に影響を与えるものとして同定され得る。外来性RNA分子又は外来性DNA分子は、細胞内の生化学的経路を阻害、活性化又は調節する遺伝子又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質をコードする場合があり、それにより細胞の形態学的変化を生じる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの外来性リボ核酸(RNA)分子又は少なくとも1つの外来性デオキシリボ核酸(DNA)分子を用いてトランスフェクト若しくは形質導入された、又はトランスフェクト若しくは形質導入されたことが疑われる細胞を提供する工程であって、前記細胞が細胞の集団内にある、工程;
(b) (a)に続いて、前記細胞の形態学的変化を同定する工程;
(c) (i)核酸配列又は(ii)ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又は(iii)前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の配列を同定するために前記細胞の内容物を処理する工程;
(d)前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の前記外来性配列を決定するために、(i)前記核酸配列又は(ii)前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又は(iii)前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の前記配列を分析する工程;及び
(e)前記細胞の前記形態学的変化に影響を与えるものとして前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の外来性配列を同定する工程
を含む、核酸分子を同定するための方法。
【請求項2】
前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の前記外来性配列が未知である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の前記外来性配列が既知である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子が、遺伝子、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードしている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記形態学的変化が、前記細胞内のタンパク質-タンパク質相互作用における変化、前記細胞内のタンパク質局在における変化、前記細胞の形状における変化、前記細胞の1つ又は複数の構成成分の形状における変化及び前記細胞の1つ又は複数のオルガネラの形状における変化からなる群から選択される1つ又は複数の要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞が前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子を含むプラスミドを使用してトランスフェクトされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(c)が前記細胞由来の少なくとも1つの核酸分子又は少なくとも1つのタンパク質分子を配列決定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記配列決定が超並列アレイシーケンシングを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記配列決定が合成による配列決定を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記配列決定が次世代シーケンシングを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記形態学的変化が光学顕微鏡法を使用して同定される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記光学顕微鏡法が共焦点顕微鏡法を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(b)において、前記細胞の前記形態学的変化が、前記細胞がフローセル又はフローチャネル中で流れている間に同定される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記形態学的変化が(b)において同定される際に、前記細胞が不動化又は固定されない、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記形態学的変化が(b)において同定される際に、前記細胞が固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞の集団が不均一である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
(b)が、前記細胞の集団内の複数の細胞の各細胞について繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
(b)が、1秒あたり細胞約1500個(細胞数/秒)の速度で繰り返される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(b)が、少なくとも細胞約2000個/秒、少なくとも細胞約3000個/秒、少なくとも細胞約4000個/秒、少なくとも細胞約5000個/秒、少なくとも細胞約6000個/秒、少なくとも細胞約7000個/秒、少なくとも細胞約8000個/秒、少なくとも細胞約9000個/秒又は少なくとも細胞約10,000個/秒の速度で繰り返される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞が、前記形態学的変化に基づいて前記細胞の集団から単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞の集団が、不動化又は固定されない、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞の集団が固定される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記形態学的変化が(b)において同定される際に、前記細胞の集団がフローセル又はフローチャネルを流れている、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞の集団内の各細胞が、少なくとも1つの無作為に挿入された外来性RNA分子又は少なくとも1つの無作為に挿入された外来性DNA分子を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
(b)が前記細胞を画像化する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
(b)が画像情報を含有する時間的な信号を得る工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記時間的な信号が、時間依存的でない画像情報に変換される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(b)が空間的情報を含有する時間的な信号を得る工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記時間的な信号が、時間依存的でない空間的情報に変換される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞内で前記形態学的変化を同定した後で前記細胞を単離する工程、続いて前記細胞から前記配列情報を得る工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞が、複数の細胞から単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記外来性DNA分子又は前記RNA分子が、前記細胞内の生化学的経路を阻害する又は活性化することを決定するために少なくとも前記形態学的変化を使用する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
(b)が前記形態学的変化を同定するために機械学習アルゴリズムを使用する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記機械学習アルゴリズムが、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、ディープラーニング、超ディープラーニング、勾配ブースティング、アダブースティング、決定木、線形回帰分析及びロジスティック回帰分析からなる群から選択される1つ又は複数の要素を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記機械学習アルゴリズムが、前記形態学的変化について陽性の細胞集団の画像情報及び前記形態学的変化について陰性の細胞集団の画像情報を含む訓練セットを使用して訓練される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記機械学習アルゴリズムが、前記形態学的変化について陽性の細胞集団の空間的情報及び前記形態学的変化について陰性の細胞集団の空間的情報を含む訓練セットを使用して訓練される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
(b)に先行して、前記細胞内の前記ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を標識する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記標識する工程が、前記1つ又は複数のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を1つ又は複数の蛍光標識、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)標識、色素、フルオロフォア又は量子ドットを用いて標識する工程を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
(a)外来性リボ核酸(RNA)分子又は外来性デオキシリボ核酸(DNA)分子を用いてトランスフェクト若しくは形質導入された、又はトランスフェクト若しくは形質導入されたことが疑われる細胞を提供する工程であって、前記細胞が細胞の集団内にあり、前記外来性RNA又はDNAが前記細胞に前記細胞内で高分子の集団を発現させる、工程、(b)前記細胞によって発現される前記高分子の集団に応答した前記細胞の形態学的変化を同定する工程、(c)前記外来性RNA又はDNAを同定するために前記細胞のゲノムを配列同定に供する工程、及び(d)前記外来性RNA又はDNAが前記形態学的変化を誘導したことを決定する工程を含む、標的核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質について細胞をスクリーニングするための方法。
【請求項40】
前記形態学的変化を同定する工程が、前記高分子の集団の高分子の局在プロファイル又はパターンを同定する工程を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記形態学的変化を同定する工程が、前記細胞又は前記細胞の1つ若しくは複数の細胞内構成物の形状を同定する工程を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記1つ又は複数の細胞内構成物が、前記細胞のオルガネラを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記高分子の集団が、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質及び核酸分子からなる群から選択される1つ又は複数の要素の集団を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
(a)少なくとも1つの外来性リボ核酸(RNA)分子又は少なくとも1つの外来性デオキシリボ核酸(DNA)分子を用いてトランスフェクト若しくは形質導入された、又はトランスフェクト若しくは形質導入されたことが疑われる細胞の形態学的変化を同定する工程であって、前記細胞が細胞の集団内にある、工程;
(b) (i)核酸配列又は(ii)ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又は前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の配列を同定するために前記細胞の内容物を処理する工程;
(c)前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の前記外来性配列を決定するために、(i)前記核酸配列又は(ii)前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又は前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の前記配列を分析する工程;及び
(d)前記細胞の前記形態学的変化に影響を与えるものとして、前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の外来性配列を同定する工程
を行うように個々に又は集合的にプログラムされた1つ又は複数のコンピュータプロセッサを含む、核酸分子を同定するためのシステム。
【請求項45】
(a)細胞によって発現される高分子の集団に応答した前記細胞の形態学的変化を同定する工程であって、前記細胞が外来性リボ核酸(RNA)分子又は外来性デオキシリボ核酸(DNA)分子を用いてトランスフェクト若しくは形質導入された、又はトランスフェクト若しくは形質導入されたことが疑われ、前記細胞が細胞の集団内にあり、前記外来性RNA又はDNAが前記細胞に前記細胞内で前記高分子の集団を発現させる、工程;
(b)前記外来性RNA又はDNAを同定するために前記細胞のゲノムを配列同定に供する工程;及び
(c)前記外来性RNA又はDNAが前記形態学的変化を誘導したことを決定する工程
を行うように個々に又は集合的にプログラムされた1つ又は複数のコンピュータプロセッサを含む、標的核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質について細胞をスクリーニングするためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、それぞれすべての目的のために参照により全体が組み込まれる、2018年10月18日出願の米国仮特許出願第62/747,620号及び2019年3月28日出願の米国仮特許出願第62/825,524号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
プール遺伝子スクリーニングは、目的の経路に関与する遺伝子を同定するための非常に強力なツールである。今のところ、プール遺伝子スクリーニングのための選択方法は、主に、陽性スクリーニング、陰性スクリーニング又は蛍光標識細胞分取(FACS)による蛍光強度に基づくスクリーニングに依存している。
【0003】
画像に基づくスクリーニングは、目的の経路において重要な役割を有する可能性がある遺伝子を同定するための非常に有用なスクリーニング法でもある。大部分の画像に基づくスクリーニング法は、顕微鏡によってだけ実施可能であり、プールされた形式のスクリーニングに適用できない場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096
【非特許文献2】Shalem O., Sanjana NE., Hartenian E., Shi X., Scott DA., Mikkelson T., Heckl D., Ebert BL., Root DE., Doench JG., Zhang F., Science. 2014, 343 (6166):84~87頁. doi: 10.1126/science.1247005. Genome-scale CRISPR-Cas9 knockout screening in human cells
【非特許文献3】Joung J., Konermann S., Gootenberg JS., Abudayyeh OO., Platt RJ., Brigham MD., Sanjana NE., Zhang F., Nat Protoc. 2017, 12(4):828~863頁. doi: 10.1038/nprot.2017.016. Genome-scale CRISPR-Cas9 knockout and transcriptional activation screening
【非特許文献4】N. Nitta, T. Sugimura, A. Isozaki, H. Mikami, S. Sakuma, T. Iino, F. Arai, T. Endo, Y. Fujiwaki, H. Fukuzawa, M. Hase, T. Hayakawa, K. Hiramatsu, Y. Hoshino, M. Inaba, T. Ito, H. Karakawa, Y. Kasai, K. Koizumi, S. Lee, C. Lei, M. Li, T. Maeno, S. Matsusaka, D. Murakami, A. Nakagawa, Y. Oguchi, M. Oikawa, T. Ota, K. Shiba, H. Shintaku, Y. Shirasaki, K. Suga, Y. Suzuki, N. Suzuki, Y. Tanaka, H. Tezuka, C. Toyokawa, Y. Yalikun, M. Yamada, M. Yamagishi, T. Yamano, A. Yasumoto, Y. Yatomi, M. Yazawa, D. Di Carlo, Y. Hosokawa, S. Uemura, Y. Ozeki, and K. Goda, “Intelligent Image-Activated Cell Sorting", Cell 175(1), 266~276頁 (2018), doi: 10.1016/j.cell.2018.08.028
【非特許文献5】Krstenansky JL, Owen TJ., Hagaman KA., McLean LR., FEBS Lett., 1989, 242(2):409~13頁. doi.org/10.1016/0014-5793(89)80512-5. Short model peptides having a high α-helical tendency: Design and solution properties
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書において、迅速な画像に基づくプール遺伝子/ペプチドスクリーニング(RIPGS)のためのシステム及び方法が示される。かかるシステム及び方法は、転写因子、RAS及びホスファターゼ等の新薬の開発に繋がらない標的のための新規でハイスループットなヒット同定プラットフォームを示し得る。同様に、RIPGSは、転写因子の核移行、タンパク質凝集、オルガネラ機能不全等に関与する1つ又は複数の遺伝子を同定するために適用され得る。1つ又は複数のペプチド発現ライブラリー、リボ核酸(RNA)ライブラリー、低分子ヘアピン型RNA (shRNA)ライブラリー、低分子干渉RNA (siRNA)ライブラリー、マイクロRNA (miRNA)ライブラリー、アンチセンスRNA (asRNA)ライブラリー又はクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)ガイドRNA(gRNA)ライブラリーは、1つ又は複数の細胞に形質導入され得る。ガイドRNAライブラリーは、シングルガイドRNA (sgRNA)ライブラリーであってよい。ライブラリーを使用して細胞がトランスフェクト又は形質導入され、分析する準備ができると、目的の細胞は、タンパク質局在等の挙動を示す蛍光シグナルパターンに基づいて選別され得る。選別された細胞は、どのプラスミドが細胞中にトランスフェクト又は形質導入されたかを決定するために、次世代シーケンシング(NGS)等の核酸配列決定によって分析され得る。これは創薬クラスプラットフォームで初めてで、産業だけでなく患者にも役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0006】
種々の態様では、本開示は、(a)少なくとも1つの外来性リボ核酸(RNA)分子又は少なくとも1つの外来性デオキシリボ核酸(DNA)分子を用いてトランスフェクト若しくは形質導入された、又はトランスフェクト若しくは形質導入されたことが疑われる細胞を提供する工程であって、前記細胞が細胞の集団内にある、工程; (b) (a)に続いて、前記細胞の形態学的変化を同定する工程; (c) (i)核酸配列又は(ii)ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又は(iii)前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の配列を同定するために前記細胞の内容物を処理する工程;(d)前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の前記外来性配列を決定するために、(i)前記核酸配列又は(ii)前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又は(iii)前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の前記配列を分析する工程;及び(e)前記細胞の前記形態学的変化に影響を与えるものとして前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の外来性配列を同定する工程
を含む、核酸分子を同定するための方法を提供する。
【0007】
一部の態様では、前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の前記外来性配列は未知である。一部の態様では、前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の前記外来性配列は既知である。一部の態様では、前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子は、遺伝子、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードしている。
【0008】
一部の態様では、前記形態学的変化は、前記細胞内のタンパク質-タンパク質相互作用における変化、前記細胞内のタンパク質局在における変化、前記細胞の形状における変化、前記細胞の1つ又は複数の構成成分の形状における変化及び前記細胞の1つ又は複数のオルガネラの形状における変化からなる群から選択される1つ又は複数の要素を含む。一部の態様では、前記細胞は、前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子を含むプラスミドを使用してトランスフェクトされる。
【0009】
一部の態様では、(c)は、前記細胞由来の少なくとも1つの核酸分子又は少なくとも1つのタンパク質分子を配列決定する工程を含む。一部の態様では、前記配列決定は、超並列アレイシーケンシング(massively parallel array sequencing)を含む。一部の態様では、前記配列決定は、合成による配列決定を含む。一部の態様では、前記配列決定は、次世代シーケンシングを含む。
【0010】
一部の態様では、前記形態学的変化は、光学顕微鏡法を使用して同定される。一部の態様では、前記光学顕微鏡法は、共焦点顕微鏡法を含む。
【0011】
一部の態様では、(b)において、前記細胞がフローセル又はフローチャネル中で流れている間に前記細胞の前記形態学的変化が同定される。一部の態様では、前記形態学的変化は、(b)において同定され、前記細胞は、不動化又は固定されない。一部の態様では、前記形態学的変化が(b)において同定される際に、前記細胞が固定される。
【0012】
一部の態様では前記細胞の集団は、不均一である。一部の態様では、(b)は、前記細胞の集団内の複数の細胞の各細胞について繰り返される。一部の態様では、(b)は、1秒あたり少なくとも細胞約1500個(細胞/秒)の速度で繰り返される。一部の態様では、(b)は、少なくとも細胞約2000個/秒、少なくとも細胞約3000個/秒、少なくとも細胞約4000個/秒、少なくとも細胞約5000個/秒、少なくとも細胞約6000個/秒、少なくとも細胞約7000個/秒、少なくとも細胞約8000個/秒、少なくとも細胞約9000個/秒又は少なくとも細胞約10,000個/秒の速度で繰り返される。
【0013】
一部の態様では、前記細胞は、前記形態学的変化に基づいて前記細胞の集団から単離される。一部の態様では、前記細胞の集団は、不動化又は固定されない。一部の態様では、前記細胞の集団は、固定される。一部の態様では、前記形態学的変化は、(b)において同定され、前記細胞の集団は、フローセル又はフローチャネルを流れている。一部の態様では、前記細胞の集団内の各細胞は、少なくとも1つの無作為に挿入された外来性RNA分子又は少なくとも1つの無作為に挿入された外来性DNA分子を含む。
【0014】
一部の態様では、(b)は、前記細胞を画像化する工程を含む。一部の態様では、(b)は、画像情報を含有する時間的な信号を得る工程を含む。一部の態様では、前記時間的な信号は、時間依存的でない画像情報に変換される。一部の態様では、(b)は、空間的情報を含有する時間的な信号を得る工程を含む。一部の態様では、前記時間的な信号は、時間依存的でない空間的情報に変換される。
【0015】
一部の態様では、方法は、前記細胞内で前記形態学的変化を同定した後で前記細胞を単離する工程、続いて前記細胞から前記配列情報を得る工程を更に含む。一部の態様では、前記細胞は、複数の細胞から単離される。
【0016】
請求項1の方法は、前記外来性DNA分子又は前記RNA分子が、前記細胞内で生化学的経路を阻害する又は活性化することを決定するために少なくとも前記形態学的変化を使用する工程を更に含む。
【0017】
一部の態様では、(b)は、前記形態学的変化を同定するために機械学習アルゴリズムを使用する工程を含む。一部の態様では、前記機械学習アルゴリズムは、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、ディープラーニング、超ディープラーニング、勾配ブースティング(gradient boosting)、アダブースティング(AdaBoosting)、決定木、線形回帰分析及びロジスティック回帰分析からなる群から選択される1つ又は複数の要素を含む。一部の態様では、前記機械学習アルゴリズムは、前記形態学的変化について陽性の細胞集団の画像情報及び前記形態学的変化について陰性の細胞集団の画像情報を含む訓練セットを使用して訓練される。一部の態様では、前記機械学習アルゴリズムは、前記形態学的変化について陽性の細胞集団の空間的情報及び前記形態学的変化について陰性の細胞集団の空間的情報を含む訓練セットを使用して訓練される。
【0018】
一部の態様では、方法は、(b)に先行して、前記細胞内の前記ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を標識する工程を更に含む。一部の態様では、前記標識する工程は、前記1つ又は複数のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を1つ又は複数の蛍光標識、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)標識、色素、フルオロフォア又は量子ドットを用いて標識する工程を含む。
【0019】
種々の態様では、本開示は、(a)外来性リボ核酸(RNA)分子又は外来性デオキシリボ核酸(DNA)分子を用いてトランスフェクト若しくは形質導入された、又はトランスフェクト若しくは形質導入されたことが疑われる細胞を提供する工程であって、前記細胞が細胞の集団内にあり、前記外来性RNA又はDNAが前記細胞に前記細胞内で高分子の集団を発現させる、工程、(b)前記細胞によって発現される前記高分子の集団に応答した前記細胞の形態学的変化を同定する工程、(c)前記外来性RNA又はDNAを同定するために前記細胞のゲノムを配列同定に供する工程、及び(d)前記外来性RNA又はDNAが前記形態学的変化を誘導したことを決定する工程を含む、標的核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質について細胞をスクリーニングするための方法を提供する。
【0020】
一部の態様では、前記形態学的変化を同定する工程は、前記高分子の集団の高分子の局在プロファイル又はパターンを同定する工程を含む。一部の態様では、前記形態学的変化を同定する工程は、前記細胞又は前記細胞の1つ若しくは複数の細胞内構成物の形状を同定する工程を含む。一部の態様では、前記1つ又は複数の細胞内構成物は、前記細胞のオルガネラを含む。一部の態様では、前記高分子の集団は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質及び核酸分子からなる群から選択される1つ又は複数の要素の集団を含む。
【0021】
種々の態様では、本開示は、(a)少なくとも1つの外来性リボ核酸(RNA)分子又は少なくとも1つの外来性デオキシリボ核酸(DNA)分子を用いてトランスフェクト若しくは形質導入された、又はトランスフェクト若しくは形質導入されたことが疑われる細胞の形態学的変化を同定する工程であって、前記細胞が細胞の集団内にある、工程; (b) (i)核酸配列又は(ii)ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又は前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の配列を同定するために前記細胞の内容物を処理する工程; (c)前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の前記外来性配列を決定するために、(i)前記核酸配列又は(ii)前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又は前記ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の前記配列を分析する工程;及び(d)前記細胞の前記形態学的変化に影響を与えるものとして、前記外来性RNA分子又は前記外来性DNA分子の外来性配列を同定する工程を行うように個々に又は集合的にプログラムされた1つ又は複数のコンピュータプロセッサを含む、核酸分子を同定するためのシステムを提供する。
【0022】
種々の態様では、本開示は、(a) 細胞によって発現される高分子の集団に応答した前記細胞の形態学的変化を同定する工程であって、前記細胞が外来性リボ核酸(RNA)分子又は外来性デオキシリボ核酸(DNA)分子を用いてトランスフェクト若しくは形質導入された、又はトランスフェクト若しくは形質導入されたことが疑われ、前記細胞が細胞の集団内にあり、前記外来性RNA又はDNAが前記細胞に前記細胞内で前記高分子の集団を発現させる、工程; (b)前記外来性RNA又はDNAを同定するために前記細胞のゲノムを配列同定に供する工程;及び(c)前記外来性RNA又はDNAが前記形態学的変化を誘導したことを決定する工程を行うように個々に又は集合的にプログラムされた1つ又は複数のコンピュータプロセッサを含む、標的核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質について細胞をスクリーニングするためのシステムを提供する。
【0023】
本開示の態様は、1つ又は複数のコンピュータプロセッサによる実行の後で、本明細書上記又は他所の任意の方法を実装する、機械実行可能コードを含む非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0024】
本開示の別の態様は、1つ又は複数のコンピュータプロセッサ及びそれに連結されたコンピュータメモリを含むシステムを提供する。コンピュータメモリは、1つ又は複数のコンピュータプロセッサによる実行の後で、本明細書上記又は他所の任意の方法を実装する、機械実行可能コードを含む。
【0025】
本開示の追加的態様及び有利点は、本開示の単なる例示的な実施形態が示され、記載される続く詳細な記載から当業者に容易に明らかになる。理解される通り、本開示は、他の及び異なる実施形態である場合があり、すべて本開示から逸脱することなくそのいくつかの詳細は種々の明らかな観点における変更であり得る。したがって、図面及び記載は、本質的に例示的であると見なされ、限定的と見なされない。
【0026】
参照による組み込み
本明細書において述べられるすべての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許及び特許出願が明確に及び個々に参照により組み込まれると示されるのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物及び特許又は特許出願が明細書に含まれる開示と矛盾する範囲について、明細書は、任意のかかる矛盾材料に優先する、及び/又は上位にあることが意図される。
【0027】
図面の簡潔な記載
特許又は出願ファイルは、カラーで出力された少なくとも1つの図面を含有する。カラーの図面を含む本特許又は特許出願公開の複製は、申請及び必要な手数料の支払いにより特許庁によって提供されるであろう。
【0028】
本発明の新規特性は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特性及び有利点のさらなる理解は、本発明の原理が利用されている例示的実施形態を記載する続く詳細な記載及び添付の図面(本発明において「図(Figure)」及び「図(FIG)」とも)を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本明細書において提供される方法を実行するためにプログラムされる又は他では構成されるコンピュータシステムを示す図である。
【
図2A】プール遺伝子スクリーニングのための方法の例を示す図である。
【
図2B】画像に基づく遺伝子スクリーニングのための例を示す図である。
【
図3】画像に基づくプール遺伝子スクリーニングのための例を示す図である。
【
図4A】蛍光標識されたミトコンドリアを含む細胞及び蛍光標識されたリソソームを含む細胞の蛍光画像である。
【
図4B】本開示のシステム及び方法を使用する、蛍光標識されたミトコンドリアを含む細胞及び蛍光標識されたリソソームを含む細胞の分類を示す図である。
【
図4C】核内(核局在)に、及び核の外(細胞質)に局在化されたSTAT3タンパク質の蛍光画像である。
【
図4D】本開示のシステム及び方法を使用する核内又は核の外(細胞質)に局在化されたSTAT3タンパク質の分類を示す図である。
【
図4E】細胞中の凝集していないタンパク質及び凝集したタンパク質複合体の蛍光画像である。
【
図4F】本開示のシステム及び方法を使用する、凝集していないタンパク質又は凝集したタンパク質複合体としてのタンパク質の分類を示す図である。
【
図4G】活性化B細胞の核局在核因子カッパー軽鎖エンハンサー(NF-κB)タンパク質を含む細胞、及び細胞質NF-κBタンパク質を含む細胞の蛍光画像である。
【
図4H】本開示のシステム及び方法を使用する、核局在NF-κBタンパク質を含む細胞、及び細胞質NF-κBタンパク質を含む細胞の分類を示す図である。
【
図5】核酸分子を同定するための方法の例についてのフローチャートである。
【
図6】タンパク質-タンパク質相互作用、タンパク質凝集又はタンパク質局在に基づいて核酸分子又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質を同定するための方法の例を示す図である。
【
図7】画像に基づくプール遺伝子スクリーニングを使用する標的発見のための方法の例を示す図である。
【
図8A】核局在p65タンパク質を含む細胞及び細胞質p65タンパク質を含む細胞の蛍光画像である。
【
図8B】本開示のシステム及び方法を使用する、核局在p65タンパク質を含む細胞及び細胞質p65タンパク質を含む細胞の分類を示す図である。
【
図9A】選別の前に、画像に基づくシステムを使用する、核局在蛍光タンパク質を含む細胞及び細胞質蛍光タンパク質を含む細胞の分類を示す図である。
【
図9B】本開示のシステム及び方法を使用する選別に続いて画像に基づくシステムを使用する、核局在蛍光タンパク質を含む細胞及び細胞質蛍光タンパク質を含む細胞の分類を示す図である。
【
図10A】活性化B細胞の核局在核因子カッパー軽鎖エンハンサー(NF-κB)タンパク質を含む細胞、及び細胞質NF-κBタンパク質を含む細胞の蛍光画像である。
【
図10B】本開示のシステム及び方法を使用する、核局在NF-κBタンパク質を含む細胞及び細胞質NF-κBタンパク質を含む細胞の分類を示す図である。
【
図10C】MDM2に結合したp53を含む細胞及びMDM2に結合していないp53を含む細胞の蛍光画像である。
【
図10D】本開示のシステム及び方法を使用する、MDM2に結合したp53を含む細胞及びMDM2に結合していないp53を含む細胞の分類を示す図である。
【
図10E】蛍光標識されたミトコンドリアを含む細胞及び蛍光標識されたリソソームを含む細胞の蛍光画像である。
【
図10F】本開示のシステム及び方法を使用する、蛍光標識されたミトコンドリアを含む細胞及び蛍光標識されたリソソームを含む細胞の分類を示す図である。
【
図11】本開示のシステム及び方法を使用する核局在NF-κB又は細胞質NF-κBを含む細胞の選別、続いて、画像に基づくシステム及び蛍光標識細胞分取(FACS)を使用する検証を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本発明の種々の実施形態が本明細書に示され、記載されているが、かかる実施形態が例としてのみ提供されることは当業者に明らかである。当業者は、多数の変形、変更及び置き換えを本発明から逸脱することなく考えられる。本明細書に記載される本発明の実施形態への種々の選択肢が使用され得ることは理解される。
【0031】
他に定義する場合を除き、本明細書において使用されるすべての技術的用語は、本発明が属する分野の当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示す場合を除いて複数の参照を含む。本明細書において「又は」に言及することは、そうでないと述べる場合を除いて「及び/又は」を包含することを意図する。
【0032】
用語「少なくとも」、「より大きい」又は「以上」が、一連の2つ以上の数値の最初の数値に付随する場合は常に、用語「少なくとも」、「より大きい」又は「以上」は、一連の数値の各数値に適用される。例えば、1、2又は3以上は、1以上、2以上又は3以上と同等である。
【0033】
用語「を超えない」、「未満」、「以下」又は「最大」が、一連の2つ以上の数値の最初の数値に付随する場合は常に、用語「を超えない」、「未満」、「以下」又は「最大」は、一連の数値の各数値に適用される。例えば、3、2又は1以下は、3以下、2以下又は1以下と同等である。
【0034】
値が範囲として記載される場合、かかる開示がかかる範囲内のすべての可能な部分範囲、及びかかる範囲内にある特定の数値を、特定の数値又は特定の部分範囲が明確に述べられているかどうかに関わらず含むことは理解される。
【0035】
一態様では、本開示は、少なくとも1つの外来性リボ核酸(RNA)分子又は少なくとも1つの外来性デオキシリボ核酸(DNA)分子を用いてトランスフェクト若しくは形質導入された、又はトランスフェクト若しくは形質導入されたことが疑われる細胞を提供する工程を含み得る、核酸分子を同定するための方法を提供する。核酸分子は、細胞に特性、例えば、形態学的変化を付与できる。次に、細胞の形態学的変化が同定され得る。次に、細胞の内容物が、(i)核酸配列又は(ii)ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の配列を同定するために処置され得る。次に、(i)核酸配列又は(ii)ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の配列が、外来性RNA分子又は外来性DNA分子の外来性配列を決定するために分析され得る。次に、外来性RNA分子又は外来性DNA分子の外来性配列は、細胞の形態学的変化に影響を与えるものとして同定され得る。
【0036】
外来性RNA分子又は外来性DNA分子の外来性配列は、未知である場合がある。外来性RNA分子又は外来性DNA分子の外来性配列は、既知である場合がある。外来性RNA分子又は外来性DNA分子の外来性配列は、遺伝子、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードしている場合がある。
【0037】
形態学的変化は、細胞内のタンパク質-タンパク質相互作用における変化、細胞内のタンパク質局在における変化、細胞の形状における変化、細胞の1つ又は複数の構成成分の形状における変化及び細胞の1つ又は複数のオルガネラの形状における変化からなる群から選択される1つ又は複数の要素を含み得る。
【0038】
細胞の形態学的変化は、外来性RNA分子又は外来性DNA分子によって直接的又は間接的に影響される場合がある。一部の場合では、外来性RNA分子又は外来性DNA分子は、タンパク質、小分子、イオン、補助因子、オルガネラ、リン脂質又は核酸からなる群から選択される1つ又は複数の要素と直接相互作用することによって形態学的変化に直接影響を与え得る。一部の場合では、外来性RNA分子又は外来性DNA分子は、形態学的変化に直接影響を与えるタンパク質又は核酸をコードすることによって形態学的変化に間接的に影響を与え得る。形態学的変化に直接影響を与えるタンパク質又は核酸は、タンパク質、小分子、イオン、補助因子、オルガネラ、リン脂質又は核酸からなる群から選択される1つ又は複数の要素と直接相互作用することによって形態学的変化に影響を与え得る。一部の場合では、外来性RNA分子又は外来性DNA分子は、形態学的変化に間接的に影響を与えるタンパク質又は核酸をコードすることによって形態学的変化に間接的に影響を与え得る。形態学的変化に間接的に影響を与えるタンパク質又は核酸は、タンパク質、小分子、イオン、補助因子、オルガネラ、リン脂質又は核酸からなる群から選択される1つ又は複数の要素と相互作用することによって、又は相互作用を変更することによって間接的に形態学的変化に影響を与える場合があり、相互作用を変更することは相互作用の下流の形態学的変化に影響を与える。
【0039】
一部の場合では、画像化は、参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096に開示される方法及びシステム(本明細書において「ゴーストサイトメトリー(ghost cytometry)」と称される)を使用して実施され得る。
【0040】
細胞は、外来性RNA分子又は外来性DNA分子を含むプラスミドを使用してトランスフェクト又は形質導入され得る。
【0041】
配列情報は、細胞由来の少なくとも1つのDNA分子及び/又は少なくとも1つのRNAを配列決定することによって細胞から得られ得る(例えば、細胞の形質導入された外来性RNA若しくはDNA分子、ゲノム及び/又はトランスクリプトーム)。
【0042】
配列決定は、超並列アレイシーケンシングであり得る。配列決定は、合成による配列決定を含み得る(例えば、Illumina社、Pacific Biosciences of California社又はIon Torrent)。配列決定は、一分子配列決定であり得る(例えば、Oxford Nanopore)。配列決定は、次世代シーケンシングを含み得る。
【0043】
一部の場合では、外来性RNA分子又は外来性DNA分子は、ペプチド-タンパク質相互作用の重要な側面である場合がある安定なαヘリックス構造を有するペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードするように設計される。ペプチドをコードするRNA又はDNAは、細胞へのトランスフェクション又は形質導入のためのプラスミドベクターにクローニングされ得る。細胞は、コードされたペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を発現できる。
【0044】
一部の場合では、それぞれ参照により本明細書に全体が組み込まれる、Shalem O., Sanjana NE., Hartenian E., Shi X., Scott DA., Mikkelson T., Heckl D., Ebert BL., Root DE., Doench JG., Zhang F., Science. 2014, 343 (6166):84~87頁. doi: 10.1126/science.1247005. Genome-scale CRISPR-Cas9 knockout screening in human cells及びJoung J., Konermann S., Gootenberg JS., Abudayyeh OO., Platt RJ., Brigham MD., Sanjana NE., Zhang F., Nat Protoc. 2017, 12(4):828~863頁. doi: 10.1038/nprot.2017.016. Genome-scale CRISPR-Cas9 knockout and transcriptional activation screeningに記載の通り、外来性RNA分子又は外来性DNA分子は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)、例えばCRISPR関連9 (Cas9)、Cas13d、CasX若しくは他のバリアント又は他の遺伝子編集技術、例えばジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)若しくはTALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を使用して細胞にトランスフェクトされる。
【0045】
一部の場合では、ゲノムスケールCRISPRライブラリー又はペプチド発現ライブラリーは、増幅される。
【0046】
一部の場合では、形態学的変化は、光学顕微鏡法を使用して同定される。一部の場合では、形態学的変化は、蛍光顕微鏡法を使用して同定される。一部の場合では、形態学的変化は、共焦点顕微鏡法を使用して同定される。一部の場合では、形態学的変化は、超解像顕微鏡法を使用して同定される。一部の場合では、形態学的変化は、細胞がフローセル中で流れている間に同定される。
【0047】
細胞は、形態学的変化が同定される際に、不動化又は固定されない場合がある。細胞は、形態学的変化が同定される際に、不動化又は固定される場合がある。細胞は、細胞の集団内にある場合がある。細胞の集団は、不動化又は固定されない場合がある。細胞の集団は、不動化又は固定される場合がある。細胞の集団は、形態学的変化が同定される際に、フローチャネルを流れている場合がある。
【0048】
形態学的変化を同定する工程は、細胞を画像化する工程を含み得る。形態学的変化を同定する工程は、画像情報を含有する時間的な信号を得る工程を含む。時間的な信号は、時間依存的でない画像情報に変換され得る。形態学的変化を同定する工程は、細胞の構造情報を含有する時間的な信号を得る工程を含み得る。時間的な信号は、細胞の時間依存的でない構造情報に変換され得る。
【0049】
方法は、形態学的変化を同定した後で細胞を単離する工程、続いて細胞から前記配列情報を得る工程を更に含み得る。細胞は、複数の細胞から単離され得る。
【0050】
方法は、外来性DNA又は外来性RNAが細胞内の生化学的経路を阻害、活性化又は変更することを決定するために少なくとも形態学的変化を使用する工程を更に含み得る。生化学的経路は、タンパク質-タンパク質相互作用、タンパク質コンフォメーション変化、局在、移行、輸送、エンドサイトーシス、エキソサイトーシス、化学反応、酵素反応、リン酸化、脱リン酸化、加水分解、水和、切断又は融合からなる群から選択される1つ又は複数の要素を含み得る。
【0051】
形態学的変化を同定する工程は、形態学的変化を同定するために機械学習アルゴリズムを使用する工程を含み得る。機械学習アルゴリズムは、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、ディープラーニング、超ディープラーニング、勾配ブースティング、アダブースティング、決定木、線形回帰分析及びロジスティック回帰分析又は任意の他の機械学習アルゴリズムからなる群から選択される1つ又は複数の要素を含み得る。
【0052】
形態学的変化の存在又は非存在は、細胞の集団内の複数の細胞のそれぞれにおいて同定され得る。形態学的変化の存在又は非存在は、細胞の集団内の各細胞において、1秒あたり少なくとも細胞約10個(細胞数/秒)、少なくとも細胞約50個/秒、少なくとも細胞約100個/秒、少なくとも細胞約500個/秒、少なくとも細胞約1000個/秒、少なくとも細胞約1500個/秒、少なくとも細胞約2000個/秒、少なくとも細胞約3000個/秒、少なくとも細胞約4000個/秒、少なくとも細胞約5000個/秒、少なくとも細胞約6000個/秒、少なくとも細胞約7000個/秒、少なくとも細胞約8000個/秒、少なくとも細胞約9000個/秒、少なくとも細胞約10,000個/秒、少なくとも細胞約11,000個/秒、少なくとも細胞約12,000個/秒、少なくとも細胞約13,000個/秒、少なくとも細胞約14,000個/秒、少なくとも細胞約15,000個/秒、少なくとも細胞約20,000個/秒、少なくとも細胞約25,000個/秒、少なくとも細胞約30,000個/秒、少なくとも細胞約35,000個/秒、少なくとも細胞約40,000個/秒、少なくとも細胞約50,000個/秒又はこれを超える速度で同定され得る。形態学的変化の存在又は非存在は、細胞の集団内の各細胞において、最大細胞約50,000個/秒、最大細胞約40,000個/秒、最大細胞約35,000個/秒、最大細胞約30,000個/秒、最大細胞約25,000個/秒、最大細胞約20,000個/秒、最大細胞約15,000個/秒、最大細胞約14,000個/秒、最大細胞約13,000個/秒、最大細胞約12,000個/秒、最大細胞約11,000個/秒、最大細胞約10,000個/秒、最大細胞約9,000個/秒、最大細胞約8,000個/秒、最大細胞約7,000個/秒、最大細胞約6,000個/秒、最大細胞約5,000個/秒、最大細胞約4,000個/秒、最大細胞約3,000個/秒、最大細胞約2,000個/秒、最大細胞約1,500個/秒、最大細胞約1,000個/秒、最大細胞約500個/秒、最大細胞約100個/秒、最大細胞約50個/秒、最大細胞約10個/秒又はこれより低い速度で同定され得る。
【0053】
形態学的変化の存在又は非存在は、細胞の集団内の各細胞において、細胞10個/秒から細胞500個/秒、細胞100個/秒から細胞1000個/秒、細胞500個/秒から細胞1500個/秒、細胞1000個/秒から細胞2000個/秒、細胞1500個/秒から細胞2000個/秒、細胞1500個/秒から細胞10,000個/秒、細胞1500個/秒から細胞15,000個/秒、細胞1500個/秒から細胞20,000個/秒、細胞1500個/秒から細胞40,000個/秒、細胞1500個/秒から細胞50,000個/秒、細胞2000個/秒から細胞10,000個/秒、細胞2000個/秒から細胞15,000個/秒、細胞2000個/秒から細胞20,000個/秒、細胞2000個/秒から細胞40,000個/秒、細胞2000個/秒から細胞50,000個/秒、細胞5000個/秒から細胞10,000個/秒、細胞5000個/秒から細胞15,000個/秒、細胞5000個/秒から細胞20,000個/秒、細胞5000個/秒から細胞40,000個/秒、細胞5000個/秒から細胞50,000個/秒、細胞9000個/秒から細胞10,000個/秒、細胞9000個/秒から細胞15,000個/秒、細胞9000個/秒から細胞20,000個/秒、細胞9000個/秒から細胞40,000個/秒、細胞9000個/秒から細胞50,000個/秒、細胞10,000個/秒から細胞15,000個/秒、細胞10,000個/秒から細胞20,000個/秒、細胞10,000個/秒から細胞40,000個/秒、細胞10,000個/秒から細胞50,000個/秒、細胞20,000個/秒から細胞40,000個/秒又は細胞20,000個/秒から細胞50,000個/秒の速度で同定され得る。
【0054】
方法は、細胞によって発現される高分子の集団に応答した細胞の形態学的変化を同定する工程に先立って、細胞内の1つ又は複数のペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質を標識する工程を更に含み得る。標識する工程は、1つ又は複数のペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質を1つ又は複数の蛍光標識、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)標識、色素、フルオロフォア又は量子ドットを用いて標識する工程を含む。
【0055】
標識する工程は、SYBRグリーン、SYBRブルー、4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、プロピジウムヨウ素、Hoechst、SYBRゴールド、エチジウムブロマイド、アクリジン、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、蛍光クマニン(fluorcoumanin)、エリプチシン、ダウノマイシン、クロロキン、ジスタマイシンD、クロモマイシン、ホミジウム、ミスラマイシン、ルテニウムポリピリジル、アントラマイシン、フェナントリジン及びアクリジン、エチジウムブロマイド、ヨウ化プロピジウム、ヨウ化ヘキシジウム、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー1及び2、エチジウムモノアジド、並びに9-アミノ-6-クロル-2-メトキシアクリジン(ACMA)、Hoechst 33258、Hoechst 33342、Hoechst 34580、アクリジンオレンジ、7-AAD、アクチノマイシンD、LDS751、ヒドロキシスチルバミジン、SYTOXブルー、SYTOXグリーン、SYTOXオレンジ、POPO-1、POPO-3、YOYO-1、YOYO-3、TOTO-1、TOTO-3、JOJO-1、LOLO-1、BOBO-1、BOBO-3、PO-PRO-1、PO-PRO-3、BO-PRO-1、BO-PRO-3、TO-PRO-1、TO-PRO-3、TO-PRO-5、JO-PRO-1、LO-PRO-1、YO-PRO-1、YO-PRO-3、ピコグリーン、オリグリーン、リボグリーン、SYBRゴールド、SYBRグリーンI、SYBRグリーンII、SYBR DX、SYTO-40、-41、-42、-43、-44及び-45 (青)、SYTO-13、-16、-24、-21、-23、-12、-11、-20、-22、-15、-14及び-25 (緑)、SYTO-81、-80、-82、-83、-84及び-85 (オレンジ)、SYTO-64、-17、-59、-61、-62、-60及び-63 (赤)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、ローダミン、テトラメチルローダミン、R-フィコエリトリン、Cy-2、Cy-3、Cy-3.5、Cy-5、Cy5.5、Cy-7、テキサスレッド、Phar-レッド、アロフィコシアニン(APC)、SYBRグリーンI、SYBRグリーンII、SYBRゴールド、CellTrackerグリーン、7-アミノアクチノマイシンD (7-AAD)、エチジウムホモダイマーI、エチジウムホモダイマーII、エチジウムホモダイマーIII、エチジウムブロマイド、ウンベリフェロン、エオシン、緑色蛍光タンパク質、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルー、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、蛍光ランタニド複合体、例えばユーロピウム及びテルビウムを含むもの、カルボキシテトラクロロフルオレセイン、5及び/又は6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、VIC、5-(又は6-)ヨーロアセトアミドフルオレセイン、5-{[2(及び3)-5-(アセチルメルカプト)-サクシニル]アミノ}フルオレセイン(SAMSA-フルオレセイン)、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、5及び/又は6カルボキシローダミン(ROX)、7-アミノ-メチル-クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、BODIPYフルオロフォア、8-メトキシピレン-1,3,6-トリスルホン酸3ナトリウム塩、3,6-ジスルホネート-4-アミノ-ナフタルイミド、フィコビリンタンパク質、Atto 390、425、465、488、495、532、565、594、633、647、647N、665、680及び700色素、AlexaFluor 350、405、430、488、532、546、555、568、594、610、633、635、647、660、680、700、750及び790色素、DyLight 350、405、488、550、594、633、650、680、755及び800色素、又は他のフルオロフォア、Black Hole Quencher Dyes (Biosearch Technologies社)、例えばBH1-0、BHQ-1、BHQ-3及びBHQ-10、QSY Dye蛍光消光剤(Molecular Probes/Invitrogenから)、例えばQSY7、QSY9、QSY21及びQSY35、並びに他の消光剤、例えばDabcyl及びDabsyl、Cy5Q及びCy7Q並びにDark Cyanine dyes (GE Healthcare社)、Dy-Quenchers (Dyomics社)、例えばDYQ-660及びDYQ-661、ATTO蛍光消光剤(ATTO-TEC GmbH)、例えばATTO 540Q、580Q及び612Q、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CYP)及び赤色蛍光タンパク質(RFP)からなる群から選択される1つ又は複数の要素を用いて1つ又は複数のペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質を標識する工程を含み得る。
【0056】
図2Aは、プール遺伝子スクリーニングのための方法の例を示している。プール遺伝子スクリーニングでは、細胞播種及び形質導入(レンチウイルスの使用を通じて等)は、遺伝的に改変された細胞のプールを産生でき、その各細胞は、ライブラリー由来の外来性核酸分子(外来性DNA分子又は外来性RNA分子等)を含み得る。遺伝的に改変された細胞のプールは、不均一である場合がある。次いで選択手順が実行されてよく、目的の細胞由来の核酸は、次世代核酸配列法によって配列決定される。プール遺伝子スクリーニングは、目的の経路に関与する遺伝子を同定することにおいて等の一部の場合において非常に強力なツールであり得る。今日まで、選択法は、陽性スクリーニング、陰性スクリーニング又は蛍光標識細胞分取(FACS)による蛍光強度に基づくスクリーニングに主に依存してきた。
【0057】
図2Bは、画像に基づく遺伝子スクリーニングの方法例を示している。画像に基づくスクリーニングでは、細胞播種及び形質導入は、遺伝的に改変された細胞を産生する。しかしプール遺伝子スクリーニングとは対照的に、画像に基づくスクリーニングでは、生じた遺伝的に改変された細胞は、蛍光画像法等の画像処理技術を使用して分析される。遺伝的に改変された細胞は、目的の特性を有する細胞を同定するために画像に基づくスクリーニングを使用してスクリーニングされ得る。かかる画像に基づくスクリーニングは、目的の細胞についての詳細な構造情報を提供できるが、時間がかかる又は費用がかかる場合がある。
【0058】
図3は、画像に基づくプール遺伝子スクリーニングの方法例を示している。画像に基づくプール遺伝子スクリーニング手順は、遺伝的に改変された細胞のプールを産生するために細胞播種及び形質導入(レンチウイルスの使用を通じて等)を利用する場合があり、その各細胞は、ライブラリー由来の外来性核酸分子(外来性DNA分子又は外来性RNA分子等)を含み得る。遺伝的に改変された細胞のプールは、不均一である場合がある。画像化手順(例えば、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096に開示される1つ若しくは複数の画像化手順、又はN. Nitta, T. Sugimura, A. Isozaki, H. Mikami, S. Sakuma, T. Iino, F. Arai, T. Endo, Y. Fujiwaki, H. Fukuzawa, M. Hase, T. Hayakawa, K. Hiramatsu, Y. Hoshino, M. Inaba, T. Ito, H. Karakawa, Y. Kasai, K. Koizumi, S. Lee, C. Lei, M. Li, T. Maeno, S. Matsusaka, D. Murakami, A. Nakagawa, Y. Oguchi, M. Oikawa, T. Ota, K. Shiba, H. Shintaku, Y. Shirasaki, K. Suga, Y. Suzuki, N. Suzuki, Y. Tanaka, H. Tezuka, C. Toyokawa, Y. Yalikun, M. Yamada, M. Yamagishi, T. Yamano, A. Yasumoto, Y. Yatomi, M. Yazawa, D. Di Carlo, Y. Hosokawa, S. Uemura, Y. Ozeki, and K. Goda, “Intelligent Image-Activated Cell Sorting", Cell 175(1), 266~276頁 (2018), doi: 10.1016/j.cell.2018.08.028に開示される1つ若しくは複数の画像化手順、参考文献は参照により本明細書に全体が組み込まれる)は、次いで、画像に含まれる情報に基づいて目的の特性(例えば、目的の細胞内でのタンパク質局在又はタンパク質凝集)を有する細胞を選択するために実行され得る。目的の特性を有する細胞は選別され得る、及び目的の核酸は目的の特性を有する細胞から抽出され得る。次いで目的の核酸は、次世代核酸配列法によって配列決定され得る。画像に基づくプールスクリーニングは、上に記載されるプールスクリーニング及び画像に基づくスクリーニング法を超える多数の有利点を提供できる。
【0059】
図7は、迅速な画像に基づくプール遺伝子スクリーニング(RIPGS)を使用する標的発見の方法例を示している。一部の場合では、形態学的変化は、外来性RNA分子又は外来性DNA分子を含む細胞において同定され得る。一部の場合では、形態学的変化は、外来性RNA分子又は外来性DNA分子によって生じるものとして同定され得る。形態学的変化の同定は、標的分子として同定され得る外来性RNA分子又は外来性DNA分子についての情報を提供できる。一部の場合では、外来性RNA分子又は外来性DNA分子によってコードされるペプチド又はタンパク質は、治療特性を有するペプチド若しくはタンパク質である場合がある、又は治療薬になる可能性がある。一部の場合では、標的は、細胞の形態学的変化に影響を与えることができるペプチド又は核酸である場合がある。本発明によれば、形態学的変化は、細胞内のタンパク質-タンパク質相互作用における変化、細胞内のタンパク質局在における変化、細胞の形状における変化、細胞の1つ又は複数の構成成分の形状における変化及び細胞の1つ又は複数のオルガネラの形状における変化からなる群から選択される1つ又は複数の要素を含み得る。パネル1に例示される第1の操作では、方法は、遺伝的に改変された細胞を含む細胞のプールを産生するために、プールされたプラスミドライブラリーを細胞にトランスフェクトする工程を含み得る。例えば、プールされたプラスミドライブラリーは、ペプチド、タンパク質、ポリペプチド、非翻訳RNA、gRNA、sgRNA、shRNA、siRNA、miRNA又はasRNAからなる群から選択される1つ又は複数の要素をコードするプラスミドを含み得る。細胞のプールは、不均一である場合がある。一部の場合では、プールされたプラスミドライブラリー中のプラスミドは、潜在的な標的候補をコードする可能性がある。
【0060】
図7のパネル2に例示される第2の操作では、方法は、標的表現型を用いて(例えば、細胞の画像がタンパク質局在、タンパク質-タンパク質相互作用、移行、共局在、斑点又は他の性状を示すかどうかに基づく)細胞を単離する工程を含む。細胞を単離する工程は、細胞を選別する工程を含み得る。一部の場合では、細胞を単離する工程は、画像に基づく細胞選別を含み得る。標的表現型は、細胞の形態学的変化を含み得る。細胞は、細胞の形態学的変化に基づいて単離され得る。標的表現型は、プールされたプラスミドライブラリー由来のプラスミド、又はプラスミドによってコードされる産生物によって影響を受ける場合がある。
【0061】
図7のパネル3に例示される第3の操作では、方法は、挿入されたプラスミドを核酸配列決定によって同定する工程を含み得る。核酸配列決定は、DNA配列決定又はRNA配列決定を含み得る。核酸配列決定は、逆転写に続くDNA配列決定を含み得る。核酸配列決定は、超並列アレイシーケンシングを含み得る。核酸配列決定は、合成による配列決定を含み得る。核酸配列決定は、次世代シーケンシングを含み得る。方法は、標的同定又は細胞内の機能性のヒット分子のスクリーニングを含む多数の応用に適用され得る。一般に方法は、ハイスループット、ハイコンテンツスクリーニングのための方法と見なされる場合がある。
【0062】
例えば
図7の第2の操作で実施される標的表現型を有する細胞の単離は、迅速な画像に基づくプール遺伝子/ペプチドスクリーニング(RIPGS)を使用して細胞を選別することを含み得る。RIPGSは、標的表現型の存在又は非存在に基づいて細胞を区別するための機械学習アルゴリズムを訓練することを含み得る。機械学習アルゴリズムは、
図8A及び
図8Bに例示される通り、訓練セットを使用して訓練され得る。一部の場合では、訓練セットは、陽性対照データセット及び陰性対照データセットを含み得る。陽性対照データセットは、標的表現型を有する細胞を含み得る。陰性対照データセットは、標的表現型を欠いている細胞を含み得る。例えば、陽性対照データセットは、標的表現型を誘導する試薬を用いて処置された細胞を含み得る。陽性訓練セット及び陰性訓練セットは、
図8Aに示す通り、例えば蛍光顕微鏡法を使用して画像化され得る。陽性対照データセット及び陰性対照データセットのそれぞれ由来の個々の細胞についての波形は、
図8Bの上パネルに示される通り、測定され得る。波形は、
図8Bの下パネルに示される通り、機械学習アルゴリズムを訓練し、測定された細胞波形に機械学習(ML)スコアを割り当てるために使用され得る。細胞波形から決定されたMLスコアは、標的表現型との細胞の類似性を示し得る。訓練された機械学習アルゴリズムは、細胞のプール、例えば遺伝的に改変された細胞を含む細胞のプール由来の個々の細胞にMLスコアを割り当てるために使用され得る。細胞のプールを形成する個々の細胞は、割り当てられたMLスコアに基づいて選別され得る。一部の場合では、細胞の単離は、参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096に記載の通り、ゴーストサイトメトリーを使用して実施され得る。
【0063】
図5は、核酸分子を同定するための方法600の例についてのフローチャートを示している。
【0064】
第1の操作610では、方法600は、少なくとも1つの外来性RNA又は少なくとも1つの外来性DNA分子を用いてトランスフェクト若しくは形質導入された、又はトランスフェクト若しくは形質導入されたことが疑われる細胞を提供する工程を含み得る。外来性RNA分子又は外来性DNA分子の外来性配列は、未知である場合がある。外来性RNA分子又は外来性DNA分子の外来性配列は、既知である場合がある。外来性RNA分子又は外来性DNA分子は、遺伝子、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードする場合がある。
【0065】
細胞は、任意の供給源由来であってよい。例えば、細胞は、ヒト細胞、動物細胞、非ヒト霊長類細胞、ウマ細胞、ブタ細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、マウス細胞、植物細胞、細菌細胞又は任意の他の細胞であってよい。細胞は、組織由来又は器官由来であってよい。例えば、細胞は、心臓、動脈、静脈、脳、神経、肺、脊椎、脊髄、骨、結合組織、気管、食道、胃、小腸若しくは大腸、膀胱、肝臓、腎臓、脾臓、尿道、尿管、前立腺、精管、陰茎、卵巣、子宮、子宮内膜、卵管若しくは膣又は前述のいずれかに関連する任意の組織由来であってよい。細胞は、がん性細胞(腫瘍細胞等)である場合がある又はそうであることが疑われる場合がある。例えば、細胞は、腫瘍組織由来であってよい。細胞は、天然又は非天然構成成分を含み得る。例えば、細胞は、核酸(DNA若しくはRNA等)、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、脂質又は炭水化物を含み得る。細胞は、1つ又は複数のフルオロフォア等の1つ又は複数の光学的に検出可能なエレメントを含み得る。フルオロフォアは、細胞に生得又は非生得であってよい。例えば、フルオロフォアは、1つ又は複数の細胞染色又は標識技術によって等、細胞に導入された非天然フルオロフォアであってよい。
【0066】
細胞は、細胞の集団内にあってよい。例えば、細胞は、細胞少なくとも約1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1,000個、2,000個、3,000個、4,000個、5,000個、6,000個、7,000個、8,000個、9,000個、10,000個、20,000個、30,000個、40,000個、50,000個、60,000個、70,000個、80,000個、90,000個、100,000個、200,000個、300,000個、400,000個、500,000個、600,000個、700,000個、800,000個、900,000個、1,000,000個、2,000,000個、3,000,000個、4,000,000個、5,000,000個、6,000,000個、7,000,000個、8,000,000個、9,000,000個、10,000,000個、20,000,000個、30,000,000個、40,000,000個、50,000,000個、60,000,000個、70,000,000個、80,000,000個、90,000,000個、100,000,000個、200,000,000個、300,000,000個、400,000,000個、500,000,000個、600,000,000個、700,000,000個、800,000,000個、900,000,000個、1,000,000個又はこれを超える集団にあってよい。細胞は、細胞最大約1,000,000,000個、900,000,000個、800,000,000個、700,000,000個、600,000,000個、500,000,000個、400,000,000個、300,000,000個、200,000,000個、100,000,000個、90,000,000個、80,000,000個、70,000,000個、60,000,000個、50,000,000個、40,000,000個、30,000,000個、20,000,000個、10,000,000個、9,000,000個、8,000,000個、7,000,000個、6,000,000
個、5,000,000個、4,000,000個、3,000,000個、2,000,000個、1,000,000個、900,000個、800,000個、700,000個、600,000個、500,000個、400,000個、300,000個、200,000個、100,000個、90,000個、80,000個、70,000個、60,000個、50,000個、40,000個、30,000個、20,000個、10,000個、9,000個、8,000個、7,000個、6,000個、5,000個、4,000個、3,000個、2,000個、1,000個、900個、800個、700個、600個、500個、400個、300個、200個、100個、90個、80個、70個、60個、50個、40個、30個、20個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、1個又はこれより少ない集団にあってよい。細胞は、先の値の任意の2つによって定義される範囲内である細胞の集団にあってよい。細胞は、細胞1から1,000,000個、細胞10から1,000,000個、細胞100から1,000,000個、細胞1,000から1,000,000個、細胞10,000から1,000,000個、細胞100,000から1,000,000個、細胞1から100,000個、細胞10から100,000個、細胞100から100,000個、細胞1,000から100,000個、細胞10,000から100,000個、細胞1から10,000個、細胞10から10,000個、細胞100から10,000個、細胞1,000から10,000個、細胞1から1,000個、細胞10から1,000個、細胞100から1,000個、細胞1から100個、細胞10から100個又は細胞1から10個の集団にあってよい。細胞は、細胞の集団から単離され得る。細胞は、複数の細胞から単離され得る。
【0067】
細胞又は細胞の集団は、不動化又は固定される場合がある。細胞又は細胞の集団は、不動化又は固定されない場合がある。細胞又は細胞の集団は、静止している場合がある。細胞又は細胞の集団は、動いている場合がある、例えば、細胞又は細胞の集団は、流れている場合がある(フローチャネル又はフローセルを又はその中で等)。
【0068】
少なくとも1つの外来性RNA分子又は少なくとも1つの外来性DNA分子は、少なくとも約1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1,000個又はこれを超える外来性RNA分子又は外来性DNA分子を含み得る。少なくとも1つの外来性RNA分子又は少なくとも1つの外来性DNA分子は、最大約1,000個、900個、800個、700個、600個、500個、400個、300個、200個、100個、90個、80個、70個、60個、50個、40個、30個、20個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、1個又はこれより少ない外来性RNA分子又は外来性DNA分子を含み得る。少なくとも1つの外来性RNA分子又は少なくとも1つの外来性DNA分子は、先の値の任意の2つによって定義される範囲内である多数の外来性RNA分子又は外来性DNA分子を含み得る。少なくとも1つの外来性RNA分子又は少なくとも1つの外来性DNA分子は、1から1,000個、10から1,000個、100から1,000個、1から100個、10から100個、1から10個、1から5個、5から10個、10から20個又は1から20個の外来性RNA分子又は外来性DNA分子を含み得る。
【0069】
細胞は、プラスミドを使用してトランスフェクトされ得る。プラスミドは、外来性RNA分子又は外来性DNA分子を含み得る。
【0070】
第2の操作620では、方法600は、細胞の形態学的変化を同定する工程を含み得る。形態学的変化は、細胞内のタンパク質-タンパク質相互作用における変化、細胞内のタンパク質局在における変化、細胞の形状における変化、細胞の1つ又は複数の構成成分の形状における変化(細胞内の細胞質の形状における変化又は細胞骨格の形状若しくは配置における変化等)及び細胞の1つ又は複数のオルガネラの形状における変化(細胞の核小体、核、リボソーム、小胞、粗面小胞体、ゴルジ装置、細胞骨格、滑面小胞体、ミトコンドリア、液胞、リソソーム、セントロソーム又は細胞膜の形状の変化等)からなる群から選択される1つ又は複数の要素を含み得る。
【0071】
形態学的変化は、光学画像法、光学顕微鏡法又は光学分光測定等の1つ又は複数の光学技術を使用して同定され得る。形態学的変化は、明視野顕微鏡法、交差偏光顕微鏡法(cross-polarized microscopy)、暗視野顕微鏡法、位相差顕微鏡法、微分干渉(DIC) 顕微鏡法、反射干渉顕微鏡法(reflected interference microscopy)、Sarfus顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、落射蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、ライトシート顕微鏡法、多光子顕微鏡法、超解像顕微鏡法、近接場光走査型顕微鏡法、近接場光学ランダムマッピング(near-field optical random mapping) (NORM) 顕微鏡法、構造化照明顕微鏡法(SIM)、空間変調照明(spatially-modulated illumination)(SMI)顕微鏡法、4-pi顕微鏡法、スペクトル精密距離顕微鏡法(spectral precision distance microscopy)、誘導放出抑制(stimulated emission depletion) (STED)顕微鏡法、基底状態枯渇(ground-state depletion) (GSD)顕微鏡法、可逆的飽和光学蛍光遷移(reversible saturable optical linear fluorescence transition) (RESOLFT)顕微鏡法、結合活性化局在(binding-activated localization)(BALM) 顕微鏡法、光活性化局在(photo-activated localization)(PALM)顕微鏡法、確率的光学再構築(stochastic optical reconstruction)(STORM)顕微鏡法、直接確率的光学再構築顕微鏡法(dSTORM)、超解像光学ゆらぎ(super-resolution optical fluctuation) (SOFI)顕微鏡法又は偏在局在顕微鏡法(omnipresent localization microscopy) (OLM)の1つ又は複数を使用して同定され得る。
【0072】
形態学的変化は、画像情報を含有する時間的な信号を得ることによって同定され得る。時間的な信号は、時間依存的でない画像情報に変換され得る。形態学的変化は、画像を再構築することなく同定され得る。例えば、形態学的変化は、細胞の全体画像を得ることなく同定され得る。形態学的変化を同定する工程は、構造情報を含有する時間的な信号を得る工程を含み得る。時間的な信号は、時間依存的でない構造情報に変換され得る。形態学的変化を同定する工程は、細胞画像の二次元情報の代わりに光学画像法で細胞空間的情報を有効に圧縮することによって得られる時間的な波形信号を処理する工程を含み得る。形態学的変化は、訓練された機械学習アルゴリズムを使用して同定され得る。訓練された機械学習アルゴリズムは、教師データを使用して訓練され得る。例えば、教師データは、既知の形態学的特性を有する細胞の画像、構造又は時間的データを含み得る。例えば、形態学的変化は、参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096において開示される画像化法及びシステムの1つ又は複数を使用して同定され得る。
【0073】
形態学的変化は、細胞が不動化又は固定されている間に同定され得る。形態学的変化は、細胞が不動化されていない、又は固定されていない間に同定され得る。形態学的変化は、細胞が静止している間に同定され得る。形態学的変化は、細胞が動いている間に同定され得る。例えば、形態学的変化は、細胞が流れている(フローチャネル又はフローセルを又はその中で等)間に同定され得る。
【0074】
機械学習アルゴリズムは、形態学的変化を同定するために使用され得る。例えば、機械学習アルゴリズムは、1つ又は複数の目的の特性(本明細書に記載される、1つ又は複数の特定のタンパク質局在パターン、タンパク質-タンパク質相互作用、移行、共局在、斑点又は他の性状等)を示す細胞に注目する細胞集団の標識された又は標識されていない画像を含む訓練セットを使用して訓練され得る。機械学習アルゴリズムは、次いで、目的の1つ又は複数の特性について陽性又は陰性として細胞の集団内の細胞を分類するための試験画像に適用され得る。
【0075】
機械学習アルゴリズムは、1つ又は複数の教師付き、半教師付き又は教師なし機械学習技術を含み得る。機械学習アルゴリズムは、回帰分析、正則化、分類、次元縮退、アンサンブル学習、メタ学習、強化学習、相関ルール学習、クラスター分析、異常検知、ディープラーニング又は超ディープラーニングの1つ又は複数を含み得る。機械学習アルゴリズムは、これだけに限らないが、k平均法、k平均法クラスタリング、k近傍法(k-nearest neighbors)、学習ベクトル量子化、線形回帰分析、非線形回帰分析、最小二乗回帰、部分最小二乗回帰、ロジスティック回帰分析、ステップワイズ回帰、多変量適応回帰スプライン(multivariate adaptive regression splines)、リッジ回帰、主成分回帰、最小絶対値縮小選択演算子(least absolute shrinkage and selection operation)、最小角回帰(least angle regression)、正準相関分析、因子分析、独立成分分析、線形判別分析、多次元スケーリング、非負値行列因子分解、主成分分析、主座標分析、射影追跡、サモンマッピング、t分布型確率的近傍埋め込み(t-distributed stochastic neighbor embedding)、アダブースティング、ブースティング、勾配ブースティング、ブートストラップアグリゲーション(bootstrap aggregation)、集合平均化、決定木、条件付き決定木、ブースティド決定木、勾配ブースティド決定木、ランダムフォレスト、積層一般化(stacked generalization)、ベイズネットワーク、ベイズ信念ネットワーク(Bayesian belief network)、単純ベイズ、ガウス単純ベイズ、多項式単純ベイズ、隠れマルコフモデル、階層的隠れマルコフモデル、サポートベクターマシン、エンコーダ、デコーダ、オートエンコーダ、積層オートエンコーダ(stacked auto-encoder)、パーセプトロン、多層パーセプトロン、人工ニューラルネットワーク、フィードフォワードニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、回帰ニューラルネットワーク、長短期記憶、ディープビリーフネットワーク(deep belief network)、ディープボルツマンマシン、ディープ畳み込みニューラルネットワーク、ディープリカレントニューラルネットワーク又は敵対的生成ネットワークを含み得る。
【0076】
機械学習アルゴリズムは、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はこれを超える感度、特異性及び正確度の1つ又は複数を含む1つ又は複数の特性について陽性又は陰性として細胞を分類できる。機械学習アルゴリズムは、先の値の任意の2つによって定義される範囲内である感度、特異性及び正確度の1つ又は複数を含む1つ又は複数の特性について陽性又は陰性として細胞を分類できる。
【0077】
細胞は、形態学的変化を同定した後で又はそれに続いて単離され得る。例えば細胞は、フローサイトメトリー又は、参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096、に開示される「ゴーストサイトメトリー」法及びシステムの1つ若しくは複数を使用して単離され得る。
【0078】
第2の操作620に先立って、方法は、細胞内のペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質を標識する工程を更に含み得る。標識する工程は、細胞内のペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質を1つ又は複数の蛍光標識、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)標識、色素、フルオロフォア、量子ドット又は任意の他の標識を用いて標識する工程を含み得る。例えば、標識する工程は、細胞内のペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質を、SYBRグリーン、SYBRブルー、4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、プロピジウムヨウ素、Hoechst、SYBRゴールド、エチジウムブロマイド、アクリジン、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、蛍光クマニン、エリプチシン、ダウノマイシン、クロロキン、ジスタマイシンD、クロモマイシン、ホミジウム、ミスラマイシン、ルテニウムポリピリジル、アントラマイシン、フェナントリジン及びアクリジン、エチジウムブロマイド、ヨウ化プロピジウム、ヨウ化ヘキシジウム、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー1及び2、エチジウムモノアジド、並びに9-アミノ-6-クロル-2-メトキシアクリジン(ACMA)、Hoechst 33258、Hoechst 33342、Hoechst 34580、アクリジンオレンジ、7-AAD、アクチノマイシンD、LDS751、ヒドロキシスチルバミジン、SYTOXブルー、SYTOXグリーン、SYTOXオレンジ、POPO-1、POPO-3、YOYO-1、YOYO-3、TOTO-1、TOTO-3、JOJO-1、LOLO-1、BOBO-1、BOBO-3、PO-PRO-1、PO-PRO-3、BO-PRO-1、BO-PRO-3、TO-PRO-1、TO-PRO-3、TO-PRO-5、JO-PRO-1、LO-PRO-1、YO-PRO-1、YO-PRO-3、ピコグリーン、オリグリーン、リボグリーン、SYBRゴールド、SYBRグリーンI、SYBRグリーンII、SYBR DX、SYTO-40、-41、-42、-43、-44及び-45 (青)、SYTO-13、-16、-24、-21、-23、-12、-11、-20、-22、-15、-14及び-25 (緑)、SYTO-81、-80、-82、-83、-84及び-85 (オレンジ)、SYTO-64、-17、-59、-61、-62、-60及び-63 (赤)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、ローダミン、テトラメチルローダミン、R-フィコエリトリン、Cy-2、Cy-3、Cy-3.5、Cy-5、Cy5.5、Cy-7、テキサスレッド、Phar-レッド、アロフィコシアニン(APC)、SYBRグリーンI、SYBRグリーンII、SYBRゴールド、CellTrackerグリーン、7-アミノアクチノマイシンD (7-AAD)、エチジウムホモダイマーI、エチジウムホモダイマーII、エチジウムホモダイマーIII、エチジウムブロマイド、ウンベリフェロン、エオシン、緑色蛍光タンパク質、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルー、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、蛍光ランタニド複合体、例えばユーロピウム及びテルビウムを含むもの、カルボキシテトラクロロフルオレセイン、5及び/又は6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、VIC、5-(又は6-)ヨーロアセトアミドフルオレセイン、5-{[2(及び3)-5-(アセチルメルカプト)-サクシニル]アミノ}フルオレセイン(SAMSA-フルオレセイン)、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、5及び/又は6カルボキシローダミン(ROX)、7-アミノ-メチル-クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、BODIPYフルオロフォア、8-メトキシピレン-1,3,6-トリスルホン酸3ナトリウム塩、3,6-ジスルホネート-4-アミノ-ナフタルイミド、フィコビリンタンパク質、Atto 390、425、465、488、495、532、565、594、633、647、647N、665、680及び700色素、AlexaFluor 350、405、430、488、532、546、555、568、594、610、633、635、647、660、680、700、750及び790色素、DyLight 350、405、488、550、594、633、650、680、755及び800色素、又は他のフルオロフォア、Black Hole Quencher Dyes (Biosearch Technologies社)、例えばBH1-0、BHQ-1、BHQ-3及びBHQ-10、QSY Dye蛍光消光剤(Molecular Probes/Invitrogenから)、例えばQSY7、QSY9、QSY21及びQSY35、並びに他の消光剤、例えばDabcyl及びDabsyl、Cy5Q及びCy7Q並びにDark Cyanine dyes (GE Healthcare社)、Dy-Quenchers (Dyomics社)、例えばDYQ-660及びDYQ-661、ATTO蛍光消光剤(ATTO-TEC GmbH)、例えばATTO 540Q、580Q及び612Q、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CYP)及び赤色蛍光タンパク質(RFP)等の1つ又は複数を用いて標識する工程を含み得る。一部の場合では、標識は、1つ又は複数のリンカーを含み得る。例えば、標識は、標識に結合したジスルフィドリンカーを有する場合がある。かかる標識の非限定的例として、Cy5-アジド、Cy-2-アジド、Cy-3-アジド、Cy-3.5-アジド、Cy5.5-アジド及びCy-7-アジドが挙げられる。一部の場合では、リンカーは、切断可能リンカーを含み得る。一部の場合では、標識は、標識が自己消光しない、又は近接消光を示さないように構成され得る。自己消光しない、又は近接消光を示さない標識の種類の非限定的例として、モノブロモビマン等のビマン誘導体が挙げられる。代替的に標識は、標識が自己消光する又は近接消光を示すように構成され得る。かかる標識の非限定的例として、Cy5-アジド、Cy-2-アジド、Cy-3-アジド、Cy-3.5-アジド、Cy5.5-アジド及びCy-7-アジドが挙げられる。
【0079】
第3の操作630では、方法600は、核酸配列又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の配列を同定するために細胞の内容物を処理する工程を含み得る。操作630は、細胞由来の少なくとも1つの核酸分子及び/又は少なくとも1つのペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質分子を配列決定する工程を含み得る。方法は、細胞由来の少なくとも約1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1,000個、2,000個、3,000個、4,000個、5,000個、6,000個、7,000個、8,000個、9,000個、10,000個、20,000個、30,000個、40,000個、50,000個、60,000個、70,000個、80,000個、90,000個、100,000個、200,000個、300,000個、400,000個、500,000個、600,000個、700,000個、800,000個、900,000個、1,000,000個、2,000,000個、3,000,000個、4,000,000個、5,000,000個、6,000,000個、7,000,000個、8,000,000個、9,000,000個、10,000,000個、20,000,000個、30,000,000個、40,000,000個、50,000,000個、60,000,000個、70,000,000個、80,000,000個、90,000,000個、100,000,000個、200,000,000個、300,000,000個、400,000,000個、500,000,000個、600,000,000個、700,000,000個、800,000,000個、900,000,000個、1,000,000,000個又はこれを超える核酸分子又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質分子を配列決定する工程を含み得る。方法は、細胞由来の最大約1,000,000,000個、900,000,000個、800,000,000個、700,000,000個、600,000,000個、500,000,000個、400,000,000個、300,000,000個、200,000,000個、100,000,000個、90,000,000個、80,000,000個、70,000,000個、60,000,000個、50,000,000個、40,000,000個、30,000,000個、20,000,000個、10,000,000個、9,000,000個、8,000,000個、7,000,000個、6,000,000個、5,000,000個、4,000,000個、3,000,000個、2,000,000個、1,000,000個、900,000個、800,000個、700,000個、600,000個、500,000個、400,000個、300,000個、200,000個、100,000個、90,000個、80,000個、70,000個、60,000個、50,000個、40,000個、30,000個、20,000個、10,000個、9,000個、8,000個、7,000個、6,000個、5,000個、4,000個、3,000個、2,000個、1,000個、900個、800個、700個、600個、500個、400個、300個、200個、100個、90個、80個、70個、60個、50個、40個、30個、20個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個又は1個の核酸分子又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質分子を配列決定する工程を含み得る。方法は、先の値の任意の2つによって定義される範囲内である、細胞由来の多数の核酸分子又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質分子を配列決定する工程を含み得る。方法は、細胞由来の1から1,000,000,000個、10から1,000,000,000個、100から1,000,000,000個、1,000から1,000,000,000個、10,000から1,000,000,000個、100,000から1,000,000,000個、1,000,000から1,000,000,000個、10,000,000から1,000,000,000個、100,000,000から1,000,000,000個、1から100,000,000個、10から100,000,000個、100から100,000,000個、1,000から100,000,000個、10,000から100,000,000個、100,000から100,000,000個、1,000,000から100,000,000個、10,000,000から100,000,000個、1から10,000,000個、10から10,000,000個、100から10,000,000個、1,000から10,000,000個、10,000から10,000,000個、100,000から10,000,000個、1,000,000から10,000,000個、1から1,000,000個、10から1,000,000個、100から1,000,000個、1,000から1,000,000個、10,000から1,000,000個、100,000から1,000,000個、1から100,000個、10から100,000個、100から100,000個、1,000から100,000個、10,000から100,000個、1から10,000個、10から10,000個、100から10,000個、1,000から10,000個、1から1,000個、10から1,000個、100から1,000個、1から100個、10から100個又は1から10個の核酸分子又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質分子を配列決定する工程を含み得る。
【0080】
配列決定は、任意のDNA配列決定又はRNA配列決定等の任意の核酸配列決定を含み得る。配列決定は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、デジタルPCR、リアルタイムPCR、定量的PCR (qPCR)、逆転写、逆転写PCR (RT-PCR)、サンガー配列決定、ハイスループット配列決定、合成による配列決定、一分子配列決定、ライゲーションによる配列決定、RNA-Seq (Illumina社)、次世代シーケンシング、Digital Gene Expression (Helicos社)、アレイハイブリダイゼーション、Clonal Single MicroArray (Solexa社)、ショットガン配列決定、マクサム・ギルバート(Maxim-Gilbert)配列決定、超並列配列決定又は超並列アレイシーケンシングを含み得る。
【0081】
第4の操作640では、方法600は、外来性RNA又は外来性DNAの外来性配列を決定するために、核酸配列又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質の配列を分析する工程を含み得る。
【0082】
第5の操作650では、方法600は、細胞の形態学的変化に影響を与えるものとして、外来性RNA又は外来性DNA分子の外来性配列を同定する工程を含み得る。
【0083】
方法600は、少なくとも1つの外来性DNA分子又は少なくとも1つの外来性RNA分子が細胞内の生化学的経路を阻害する又は活性化することを決定するために少なくとも形態学的変化を使用する工程を更に含み得る。
【0084】
一態様では、本開示は、(a)外来性リボ核酸(RNA)分子又は外来性デオキシリボ核酸(DNA)分子を用いてトランスフェクト又は形質導入された細胞を提供する工程であって、外来性RNA又はDNAが細胞内で高分子の集団を発現するようにコードしている、工程、(b)細胞によって発現される高分子の集団に応答した細胞の形態学的変化を同定する工程、(c)外来性RNA又はDNAを同定するために細胞のゲノムを配列同定に供する工程、及び(d)外来性RNA又はDNAが形態学的変化を誘導したことを決定する工程を含む、標的核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質について細胞をスクリーニングするための方法を提供する。形態学的変化を同定する工程は、高分子の集団の高分子の局在プロファイル又はパターンを同定する工程を含み得る。形態学的変化を同定する工程は、細胞又は細胞の1つ若しくは複数の細胞内構成物の形状を同定する工程を含み得る。1つ又は複数の細胞内構成物は、細胞のオルガネラを含み得る。高分子の集団は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質及び核酸分子からなる群から選択される1つ又は複数の要素の集団を含み得る。
【0085】
図6は、タンパク質-タンパク質相互作用、タンパク質凝集又はタンパク質局在に基づいて核酸分子又はペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質を同定するための方法の例を示している。
図6のパネル1に示される通り、細胞は、本明細書に記載される通り、調製され、外来性DNA又はRNA分子を含むプラスミドライブラリーを用いてトランスフェクトされ得る。本明細書に記載される通り、外来性DNA又はRNA分子は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質又は、RNA、DNA、低分子ヘアピン型RNA (shRNA)、ガイドRNA (gRNA)、低分子干渉RNA (siRNA)、マイクロRNA (miRNA)、アンチセンスRNA (asRNA)又はガイドDNA (gDNA)等の核酸をコードする場合がある。標的表現型を示す細胞は、本明細書に記載される光学的空間的情報に基づいて単離され得る。次いで、標的表現型を示す細胞と関連する外来性DNA又はRNA分子は、本明細書に記載される通り、次世代シーケンシング(NGS)等の核酸配列決定を使用してデコードされ得る。
【0086】
図6のパネル2に示される通り、第1のタンパク質Aと第2のタンパク質Bとの間のタンパク質-タンパク質相互作用(PPI)は、検出され得る形態学的変化を生じ得る。タンパク質A及びBは、蛍光性にタグ化され得る。タンパク質A及びBは、タンパク質AとBとが相互作用する場合に、蛍光輝点(fluorescent foci)を形成する場合がある。タンパク質AとBとが相互作用しない場合、それらはかかる蛍光輝点を形成しない。かかる蛍光輝点の存在又は非存在は、本明細書に記載される光学的検出システム及び方法を使用して検出され得る。本明細書に記載される1つ若しくは複数の外来性DNA若しくはRNA分子(又は、外来性DNA若しくはRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)は、蛍光輝点の形成を阻害する場合がある、一方で他の外来性DNA若しくはRNA分子(又は、外来性DNA若しくはRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)は、蛍光輝点の形成を阻害しない場合がある。そのため、蛍光輝点の形成を阻害する外来性DNA又はRNA分子(例えば、PPIを阻害する外来性DNA又はRNA分子、又はPPIを阻害する外来性DNA若しくはRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)を用いてトランスフェクトされた細胞は、蛍光輝点の形成を阻害しない外来性DNA又はRNA分子(例えば、PPIを阻害しない外来性DNA又はRNA分子、又はPPIを阻害しない外来性DNA若しくはRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)を用いてトランスフェクトされた細胞から識別され得る。次いで、PPIを阻害する外来性DNA若しくはRNA分子(又は、外来性DNA若しくはRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)は、単離され、タンパク質AとBとの間のPPIを阻害するペプチド、ポリペプチド、タンパク質又は核酸を同定するために核酸配列決定に供され得る。
【0087】
一部の場合では、本明細書に記載される1つ若しくは複数の外来性DNA若しくはRNA分子(又は、外来性DNA若しくはRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)は、蛍光輝点の形成を促進し得るが、一方他の外来性DNA若しくはRNA分子(又は、外来性DNA若しくはRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)は、蛍光輝点の形成を促進しない。それにより、蛍光輝点の形成を促進する外来性DNA又はRNA分子(例えば、PPIを促進する外来性DNA又はRNA分子、又はPPIを促進する外来性DNA又はRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)を用いてトランスフェクトされた細胞は、蛍光輝点の形成を促進しない外来性DNA又はRNA分子(例えば、PPIを促進しない外来性DNA又はRNA分子、又はPPIを促進しない外来性DNA又はRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)を用いてトランスフェクトされた細胞から識別され得る。PPIを促進する外来性DNA若しくはRNA分子(又は、外来性DNA若しくはRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)は、次いで単離され、タンパク質AとBとの間のPPIを促進するペプチド、ポリペプチド、タンパク質又は核酸を同定するために核酸配列決定に供され得る。
【0088】
図6のパネル3に示される通り、タンパク質局在は、検出され得る形態学的変化を生じる場合がある。タンパク質Aは、蛍光性にタグ化され得る。一部の場合では、タンパク質Aは、細胞の核に検出され得る。
【0089】
一部の場合では、本明細書に記載される1つ若しくは複数の外来性DNA若しくはRNA分子(又は、外来性DNA若しくはRNA分子に応答して細胞によって発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)は、タンパク質Aが細胞の細胞質に局在するようにできる一方で、他の外来性DNA若しくはRNA分子(又は外来性DNA若しくはRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)は、かかる局在を生じない場合がある。それにより、かかるタンパク質局在を生じる外来性DNA又はRNA分子(例えば、タンパク質局在を生じる外来性DNA若しくはRNA、又はタンパク質局在を生じる外来性DNA若しくはRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)を用いてトランスフェクトされた細胞は、かかるタンパク質局在を生じない外来性DNA又はRNA分子(例えば、タンパク質局在を生じない外来性DNA又はRNA分子、又はタンパク質局在を生じない外来性DNA又はRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)を用いてトランスフェクトされた細胞から識別され得る。タンパク質局在を生じる外来性DNA若しくはRNA分子(又は外来性DNA若しくはRNA分子から発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)は、次いで、タンパク質局在を生じるペプチド、ポリペプチド、タンパク質又は核酸を同定するために単離され、核酸配列決定に供され得る。
【0090】
一部の場合では、本明細書に記載される1つ若しくは複数の外来性DNA若しくはRNA分子(又は、外来性DNA若しくはRNA分子に応答して細胞によって発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)は、タンパク質Aの局在に変化を生じ得る。例えば、本明細書に記載される1つ若しくは複数の外来性DNA若しくはRNA分子(又は、外来性DNA若しくはRNA分子に応答して細胞によって発現されるペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質)は、タンパク質Aの局在の第1のオルガネラ又は細胞内領域若しくはコンパートメントから第2のオルガネラ又は細胞内領域若しくはコンパートメントへの変化を生じ得る。第1のオルガネラ又は細胞内領域若しくはコンパートメントは、ミトコンドリア、核、細胞質、細胞骨格、細胞膜、核膜、リソソーム、エンドソーム、小胞体、ゴルジ装置、液胞、リソソーム、セントロソーム、核小体、リボソーム又は小胞を含み得る。第2のオルガネラ又は細胞内領域若しくはコンパートメントは、ミトコンドリア、核、細胞質、細胞骨格、細胞膜、核膜、リソソーム、エンドソーム、小胞体、ゴルジ装置、液胞、リソソーム、セントロソーム、核小体、リボソーム又は小胞を含み得る。
【0091】
コンピュータシステム
本開示は、本開示の方法を実装するようにプログラムされているコンピュータシステムを提供する。
図1は、1つ若しくは複数の標的、例えばペプチド、ポリペプチド、タンパク質若しくはオルガネラ、又は1つ若しくは複数の標的表現型、例えばタンパク質局在、タンパク質-タンパク質相互作用若しくは細胞形態について、生物学的試料をスクリーニングするためにプログラムされている、又は他では構成されているコンピュータシステム101を示す。
【0092】
コンピュータシステム101は、シングルコア若しくはマルチコアプロセッサ、又は並行処理のための複数のプロセッサであり得る、中央処理装置(CPU、本明細書において「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」とも)105を含む。コンピュータシステム101は、メモリ又はメモリ位置110 (例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子的ストレージ装置115 (例えば、ハードディスク)、1つ又は複数の他のシステムとの通信のための通信インターフェース120 (例えば、ネットワークアダプタ)並びに周辺機器125、例えばキャッシュ、他のメモリ、データストレージ及び/又は電子ディスプレイアダプタ、も含む。メモリ110、ストレージ装置115、インターフェース120及び周辺機器125は、マザーボード等の通信バス(ソリッドライン)を通じてCPU 105と通信する。ストレージ装置115は、データを保存するためのデータストレージ装置(又はデータレポジトリ)であり得る。コンピュータシステム101は、通信インターフェース120の助力によりコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)130に動作が可能なように連結され得る。ネットワーク130は、インターネット(the Internet)、インターネット(internet)及び/若しくはエクストラネット、又はイントラネット及び/若しくはインターネットと通信しているエクストラネットであり得る。一部の場合ではネットワーク130は、遠距離通信及び/又はデータネットワークである。ネットワーク130は、クラウドコンピューティング等の分散コンピューティングを可能にできる1つ又は複数のコンピュータサーバを含み得る。ネットワーク130は、一部の場合ではコンピュータシステム101の助力で、クライアント又はサーバとして挙動するようにデバイスをコンピュータシステム101に連結できるようにするピアツーピアネットワークを実装できる。
【0093】
CPU 105は、プログラム又はソフトウェアに具体化され得る連続した機械可読命令を実行できる。命令は、メモリ110等のメモリ位置に保存され得る。命令はCPU 105に向けられてよく、次いで本開示の方法を実装するようにCPU 105をプログラムできる、又は他では構成できる。CPU 105によって実施される操作の例は、フェッチ、デコード、実行及びライトバックを含み得る。
【0094】
CPU 105は、集積回路等の回路の一部であってよい。システム101の1つ又は複数の他の構成要素は、回路に含まれ得る。一部の場合では回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0095】
電子ストレージ装置115は、ドライバ、ライブラリー及びセーブされたプログラム等のファイルを保存できる。電子ストレージ装置115は、ユーザデータ、例えばユーザ選好及びユーザプログラムを保存できる。一部の場合では、コンピュータシステム101は、イントラネット又はインターネットを通じてコンピュータシステム101と通信するリモートサーバに位置付けられている等の、コンピュータシステム101の外にある1つ又は複数の追加的データストレージ装置を含み得る。
【0096】
コンピュータシステム101は、ネットワーク130を通じて1つ又は複数のリモートコンピュータシステムと通信できる。例えば、コンピュータシステム101は、ユーザのリモートコンピュータシステムと通信できる。リモートコンピュータシステムの例は、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレート若しくはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone、アンドロイド(登録商標)対応機種、Blackberry(登録商標))、又は携帯情報端末を含む。ユーザは、ネットワーク130を介してコンピュータシステム101に接続できる。
【0097】
本明細書に記載される方法は、コンピュータシステム101の電子ストレージ位置、例えば、メモリ110又は電子ストレージ装置115等に保存された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実装され得る。機械実行可能又は機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供され得る。使用の際に、コードは、プロセッサ105によって実行され得る。一部の場合では、コードは、ストレージ装置115から読みだされ、プロセッサ105による容易な接続のためにメモリ110に保存され得る。一部の状況では、電子ストレージ装置115は、除外される場合があり、機械実行可能命令は、メモリ110に保存され得る。
【0098】
コードは、コードを実行するために適合されたプロセッサを有する機械を用いて使用のためにプレコンパイル及び構成され得る、又は実行時にコンパイルされ得る。コードは、プレコンパイルされた又はコンパイルされた様式でコードが実行できるように選択され得るプログラム言語で供給され得る。
【0099】
コンピュータシステム101等の本明細書において提供されるシステム及び方法の態様は、プログラミングに具体化され得る。技術の種々の態様は、典型的には、一種の機械可読媒体に維持される又は具体化される機械(若しくはプロセッサ)実行コード及び/又は関連データの形態での「産生物」又は「製品」と考えられる。機械-実行コードは、メモリ(例えば、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)又はハードディスク等の電子ストレージ装置に保存され得る。「ストレージ」型媒体は、コンピュータの任意の若しくはすべての有形メモリ、プロセッサ等、又はその関連モジュール、例えば種々の半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブ等を含み得、それらはソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的ストレージを提供できる。ソフトウェアのすべて又は一部は、いつでもインターネット又は種々の他の遠距離通信ネットワークを通じて通信できる。かかる通信は、例えば、1つのコンピュータ又はプロセッサから別のものに、例えば、管理サーバ又はホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームにソフトウェアをロードできるようにする。したがって、ソフトウェアエレメントを保有できる別の種類の媒体は、ローカルデバイス間で、物理インターフェースを超えて、有線及び光学的な地上通信線ネットワークを通じて、並びに種々のエアリンクを超えて使用される等の光、電気及び電磁波を含む。有線又は無線リンク、光リンク等のかかる波を伝える物理的エレメントもソフトウェアを保持する媒体と見なされ得る。本明細書において使用される場合、非一時的、有形「ストレージ」媒体に限定されない限り、コンピュータ又は機械「可読媒体」等の用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0100】
したがって、コンピュータ-実行コード等の機械可読媒体は、これだけに限らないが、有形のストレージ媒体、搬送波媒体又は物理的な伝送媒体を含む多数の形態をとり得る。不揮発性ストレージ媒体として、例えば図に示される、データベースを実装するために使用され得る等の任意のコンピュータ等における任意のストレージデバイス等の光又は磁気ディスクが挙げられる。揮発性ストレージ媒体として、コンピュータプラットフォームのメインメモリ等のダイナミックメモリが挙げられる。有形伝送媒体は、同軸ケーブル;コンピュータシステム内のバスを含むワイヤを含む銅線及び光ファイバが挙げられる。搬送波伝送媒体は、電子若しくは電磁気信号、又は、ラジオ周波数(RF)及び赤外(IR)データ通信の際に生じるもの等の音波若しくは光波の形態をとり得る。したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば:フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVD若しくはDVD-ROM、任意の他の光媒体、パンチカード紙テープ、穴のパターンを用いる任意の他の物理的ストレージ媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、データ若しくは命令を伝える搬送波、かかる搬送波等を伝えるケーブル若しくはリンク、又はコンピュータがプログラミングコード及び/若しくはデータを読むことができる任意の他の媒体を含む。コンピュータ可読媒体のこれらの形態の多くは、実行のためのプロセッサへの1つ又は複数の命令の1つ又は複数の連続を伝えることに関与できる。
【0101】
コンピュータシステム101は、ペプチド、ポリペプチド及び/若しくはタンパク質(例えば、タンパク質分布)を含む細胞の画像、並びに/又は細胞由来のゲノム(デオキシリボ核酸及び/若しくはリボ核酸)からの配列情報を例えば提供するためのユーザインターフェース(UI)140を含む電子ディスプレイ135を含み得る、又はそれと通信できる。UIの例として、非限定的例に、グレフィカルユーザインターフェース(GUI)及びウェブベースユーザインターフェースが挙げられる。
【0102】
本開示の方法及びシステムは、1つ又は複数のアルゴリズムとして実装され得る。アルゴリズムは、中央処理装置105による実行の後でソフトウェアによって実装され得る。
【実施例】
【0103】
(実施例1)
実験プロトコール
一部の場合では、外来性RNA分子又は外来性DNA分子をペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を発現するように設計する。ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、ペプチド-タンパク質相互作用の重要な側面である場合がある安定なαヘリックス構造を有し得る。ペプチド発現RNA又はDNAは、細胞へのトランスフェクション又は形質導入のためのプラスミドベクターにクローニングされ得る。
【0104】
2つのペプチド発現ライブラリーを30残基のテーラードランダム化(tailored randomization)を用いて構築した。足場ペプチドを8個のヘリックスターンを有して安定な二次構造を有するように設計した。リシン(K)残基とグルタミン酸(E)残基の間のそれらの表面の塩橋の広範囲のネットワークは、ヘリックス構造を安定化でき、報告される通りペプチド溶解度を増加させることにも役立ち得る。アラニン残基は、 (内部)ヘリックス構造の形成を促進するように位置付けた。参照により本明細書に全体が組み込まれる、Krstenansky JL, Owen TJ., Hagaman KA., McLean LR., FEBS Lett., 1989, 242(2):409~13頁. doi.org/10.1016/0014-5793(89)80512-5. Short model peptides having a high α-helical tendency: Design and solution properties、に詳述される通り、ライブラリーを、ヘリックス構造の同じ平面表面に位置付けられているアラニン残基の7個の位置を(各ライブラリーについて)ランダム化することによって構築した。
【0105】
一部の場合では、それぞれ参照により本明細書に全体が組み込まれる、Shalem O., Sanjana NE., Hartenian E., Shi X., Scott DA., Mikkelson T., Heckl D., Ebert BL., Root DE., Doench JG., Zhang F., Science. 2014, 343 (6166):84~87頁. doi: 10.1126/science.1247005. Genome-scale CRISPR-Cas9 knockout screening in human cells及びJoung J., Konermann S., Gootenberg JS., Abudayyeh OO., Platt RJ., Brigham MD., Sanjana NE., Zhang F., Nat Protoc. 2017, 12(4):828~863頁. doi: 10.1038/nprot.2017.016. Genome-scale CRISPR-Cas9 knockout and transcriptional activation screeningに記載の通り、外来性RNA分子又は外来性DNA分子は、CRISPR関連9 (Cas9)、Cas13d、CasX若しくは他のバリアント等のクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)、又はジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)若しくはTALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)等の他の遺伝子編集技術を使用して細胞にトランスフェクトされ得る。
【0106】
一部の場合では、ゲノムスケールCRISPRライブラリー又はペプチド発現ライブラリーは増幅される。簡潔には、適切な量のプラスミドをエレクトロコンピテント細胞に電気穿孔する。形質転換効率を確認後、増幅した単一ガイドRNA (sgRNA) ライブラリー又はペプチド発現ライブラリーを採取し、Macherey-Nagel NucleoBond Xtra Maxi EF Kitを使用して精製した。次いで、sgRNA又はプラスミド内にペプチドコード領域を含む配列をPCR増幅し、ノックアウト実験の前のハイスループット配列決定分析に供する前にバーコード化した。
【0107】
一部の場合では、ペプチドライブラリーのオリゴをpLVX-Puroレンチウイルス発現ベクター等のウイルス又は非ウイルスベクターにクローニングした。これらのベクターは、事実上任意の種類の哺乳類細胞型においてペプチドの高レベル発現をもたらし得る。ペプチドライブラリー及びsgRNAについてのレンチウイルス粒子をHEK 293FT細胞を使用してLenti-X Packaging Single Shots kit (TaKara社)を用いて製作した。大部分の細胞が遺伝的摂動を1回だけ受けることを確実にするために、スクリーニング設定のためにレンチウイルス粒子(sgRNA/ペプチドライブラリーを含む)をMOI (感染効率) < 0.05で細胞株に形質導入した。
【0108】
細胞のプラスミド配列をPCR増幅し、精製し、デノボ配列決定に供した。次世代シーケンシングプラットフォームを用いるディープ配列決定アプローチを、選別された細胞中の挿入されたsgRNA及びプラスミド分布をデコードするために使用した。
【0109】
(実施例2)
蛍光タグ化ミトコンドリア又はリソソームの分類
図4A及び
図10Eは、蛍光タグ化ミトコンドリア又は蛍光タグ化リソソームを含むHEK293T細胞の蛍光画像を示している。
図4A及び
図10Eの左パネルは、Mito Trackerを用いて染色したミトコンドリアを含む細胞を示している。
図4A及び
図10Eの右パネルは、Lyso Trackerを用いて染色したリソソームを含む細胞を示している。Mito Trackerを用いて染色した細胞又はLyso trackerを用いて染色した細胞を訓練セットとして使用した。Mito Trackerを用いて染色した細胞及びLyso Trackerを用いて染色した細胞を蛍光画像法を使用して視覚分析によって区別した。
【0110】
図4Bは、本開示のシステム及び方法を使用する蛍光タグ化ミトコンドリア(左ピーク、「ミトコンドリア」)又は蛍光タグ化リソソーム(右ピーク、「リソソーム」)を含むHEK293T細胞の分類を示している。
図10Fは、本開示のシステム及び方法を使用する、蛍光タグ化ミトコンドリア(右ピーク、「ミトコンドリア」)又は蛍光タグ化リソソーム(左ピーク、「リソソーム」)を含むHEK293T細胞の分類を示している。Mito Trackerを用いて染色した細胞及びLyso Trackerを用いて染色した細胞を蛍光タグ化オルガネラの形態学に基づいて分類し、それにより、蛍光タグ化ミトコンドリアを含む細胞と蛍光タグ化リソソームを含む細胞との間を識別した。タンパク質を、参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096、に開示される画像化手順を使用して分類した。
図4B及び
図10Fにそれぞれ示される2つのピークは、2つの細胞集団の機械学習(ML)スコア分布を例示している。分類法は、サポートベクターマシン(SVM)を利用した。MLスコアは、SVMスコアとも称される。SVMは、
図4Bに示す試料について0.993の受信者動作特性-曲線下面積(ROC-AUC)、
図10Fに示す試料について0.999より大きいROC-AUCを得た。
【0111】
(実施例3)
STAT3細胞質又は核局在の分類
図4Cは、核内(核)及び核の外側(細胞質)に局在する蛍光タグ化STAT3 タンパク質を含むHepG2細胞の蛍光画像を示している。細胞をSTAT3に対する免疫蛍光(IF)を使用して標識した。インターロイキン6 (IL-6)刺激を用いた又は用いずに野生型(WT) HepG2細胞を訓練セットとして利用した。IL-6の存在又は非存在でSTAT3について染色した細胞を蛍光画像法を使用して視覚分析によって区別した。
図4Cの右パネルは、IL-6の非存在下でSTAT3について染色したHepG2細胞を例示しており、
図4Cの左パネルは、IL-6の存在下でSTAT3について染色したHepG2細胞を例示している。IL-6は、STAT3を活性化し、IL-6の存在下で細胞中央付近での蛍光の蓄積によって見られる通り、STAT3の核への局在を促進する。
【0112】
スクリーニングセットのために、プールされたsgRNAをCas9発現HepG2細胞に形質導入し、プールしたペプチド発現ライブラリーをHepG2細胞に形質導入した。STAT3の核移行を阻害する機能性遺伝子又はペプチドについてスクリーニングするためにSTAT3をIL-6によって活性化した。訓練セットのために、WT HepG2細胞をトリプシン処理し、低速で5分間遠心分離した。上清の除去後、1 mLの新鮮RPMI 10% FBS培地を加え、2本のEppendorfチューブにアリコートした。1本をIL-6刺激のために、もう1本を未刺激対照のために使用した。STAT3活性化のために、HepG2細胞及びスクリーニングセットを1ミリリットルあたり100マイクログラム(μg/mL)のIL-6を用いて処置し、37℃、15分間インキュベートした。 遠心分離及び上清の除去後、細胞を500マイクロリットル(μL)4%ホルムアルデヒドを用いて15分間、室温で固定した。次いで、PBS緩衝液を用いた数回の洗浄を実施した。その後細胞を500μLの透過処理緩衝液(メタノール、アセトン[1:2])を用いて、4℃、30分間透過処理した。PBSを用いた洗浄後、細胞を500μLの5% BSA (PBS中)を用いてブロックし、室温、1時間インキュベートした。次いで細胞をPBSを用いて洗浄し、125μL一次STAT3抗体(PBS中50x希釈)を用いてインキュベートし、一晩、4℃でインキュベートした。次いで細胞を非特異的結合を除去するためにPBSを用いて数回洗浄し、ペレットを300μLの二次ウサギ抗体(ヤギ抗ウサギIgG-488- PBS中100x希釈)を用いて再懸濁した。60分間の室温(暗所)でのインキュベーション後、細胞をPBSによって3回洗浄し、最終的にペレットを300μLのPBSに再懸濁した。細胞数を計数し、細胞1 x 106個/mLに調整した。
【0113】
図4Dは、本開示のシステム及び方法を使用する、核局在STAT3 (右ピーク、「IL6_プラス」)を有するHepG2細胞及び細胞質STAT3 (左ピーク、「IL6_マイナス」)タンパク質を有する細胞の分類を示している。細胞をSTAT3に対する免疫蛍光を使用して染色し、IL-6を用いて処置した細胞又は未処理細胞をSTAT3の局在に基づいて分類した。
図4Dにそれぞれ示される2つのピークは、核に局在するSTAT3の表現型への類似性に基づいた2つの細胞集団のSVMスコア分布を例示している。画像は、参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096に開示される画像化手順を使用して分類した。分類法は、SVMを利用した。SVMは、0.962のROC-AUCを得た。
【0114】
(実施例4)
NF-κB細胞質又は核局在の分類
図10Aは、核又は細胞質に局在している蛍光タグ化NF-κBタンパク質を含むTHP-1細胞の蛍光画像を示している。リポ多糖(LPS)を用いた刺激の後で、NF-κBのサブユニットは、核に移行する。細胞をNF-κBに対する免疫蛍光を使用して標識した。LPS刺激した又は刺激していないTHP-1細胞を訓練セットとして利用した。LPS刺激の存在又は非存在下でNF-κBについて染色した細胞を蛍光画像法を使用して視覚分析によって区別した。
図10Aの左パネルは、LPS刺激の非存在下でNF-κBについて染色したTHP-1細胞を例示している。
図10Aの右パネルは、LPS刺激の存在下でNF-κBについて染色したTHP-1細胞を例示している。LPSの添加は、NF-κBサブユニットの核への移行を促進する。
【0115】
図10Bは、本開示のシステム及び方法を使用する、核局在NF-κB及び細胞質 NF-κBを含むTHP-1細胞の分類を示している。細胞をNF-κBに対する免疫蛍光を使用して染色し、LPSを用いて予め処置した細胞及び未処置細胞をNF-κBの核局在(右ピーク、「LPS (+)」)又は細胞質局在(左ピーク、「LPS (-)」)に基づいて分類した。
図10Bにそれぞれ示される2つのピークは、NF-κB核局在を有する表現型への類似性に基づく2つの細胞集団の機械学習(ML)スコア分布を例示している。画像を、参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096、に開示される画像化手順を使用して分類した。分類法は、SVMを利用した。SVMは、0.997のROC-AUCを得た。
【0116】
図8A及び
図8Bは、蛍光タグ化タンパク質の局在に基づいて細胞を分類するために機械学習アルゴリズムを訓練する方法を例示している。
図8Aに示される訓練セットは、NF-κBのp65サブユニットについての(「抗p65」)免疫蛍光によって染色したTHP-1細胞の蛍光画像を使用して作製した。LPSを用いた刺激の後でp65は核に局在する。細胞を核染色(例えば、DAPI又はHoechst)を用いて同時染色した。LPSを用いて刺激した標識細胞を核局在について陽性の細胞のための訓練セットとして使用し(
図8A、右カラム)、未刺激標識細胞を核局在について陰性の細胞のための訓練セットとして使用した(
図8A、左カラム)。
図8B上パネルに示す波形を刺激及び未刺激データセットから作製した。刺激及び未刺激データセットそれぞれの波形を、核局在について陽性又は核局在について陰性の細胞を分類するために機械学習モデルを開発するために使用した。
図8Bの下パネルに示す通り、分類モデルは、核局在化したNF-κB (右ピーク、「刺激」)を有する細胞と、細胞質NF-κB (左ピーク、「未刺激」)を有する細胞との間を判別するためにSVMを利用した。訓練されたモデルは、刺激及び未刺激細胞の波形の間を識別できた。
【0117】
(実施例5):
標的タンパク質の細胞質又は核局在に基づく細胞の選別
図9A及び
図9Bは、標的タンパク質の細胞質又は核局在に基づいて選別された細胞を示している。細胞をNF-κBのp65サブユニットについての(「抗p65」)免疫蛍光によって染色した。染色した細胞をp65の核局在を促進するためにLPSを用いて刺激し、刺激の非存在で染色した細胞と共にプールした(
図9A、上パネル)。参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096、に開示される通り、プールした細胞を画像に基づくシステムを使用して分類した(
図9A、中央及び下パネル)又はゴーストサイトメトリー画像に基づく細胞選別を使用して選別した(
図9B、上パネル)。ゴーストサイトメトリー選別は、予め得た訓練セットによって決定される通り、蛍光強度及び形態学に基づいた。訓練セットは、実施例4及び実施例5に記載の通り得た。細胞を蛍光タグ化p65タンパク質の局在に基づいて「刺激」及び「未刺激」亜集団に選別した。未刺激として分類された細胞の亜集団を選別を確認するために画像に基づくシステムを使用する分析に更に供した(
図9B、中央及び下パネル)。選別の前に、プールした細胞は、2つの異なる細胞集団を含んだ(
図9A)。選別後、選択した細胞亜集団は、単一の集団を含有し(
図9B)、ゴーストサイトメトリーが蛍光標識されたp65の核局在に基づいて細胞を有効に選別できたことを示している。
【0118】
(実施例6)
細胞内の未凝集及び凝集タンパク質の分類
図4Eは、HEK293T細胞内の未凝集又は凝集タンパク質の蛍光画像を示している。細胞を誘導された骨髄性白血病細胞分化タンパク質(MCL-1)とBcl-2相同アンタゴニスト/キラータンパク質(BAK)との間のタンパク質-タンパク質相互作用を検出するためにFluoppiシステムを使用して染色した。Fluoppiシステムは、標的タンパク質間の相互作用の後で蛍光斑点又は輝点の形成を促進することによってタンパク質-タンパク質相互作用の検出を促進する。MCL-1阻害剤A-1210477の存在又は非存在下で、MCL-1/BAK相互作用についてFluoppiを用いて染色した細胞を訓練セットとして使用した。A-1210477は、MCL-1を阻害し、MCL-1とBAKとの間の相互作用を破壊する。A-1210477の存在又は非存在で、MCL-1/BAK相互作用について染色した細胞を蛍光画像法を使用して視覚分析によって区別した。
図4Fの右パネルは、A-1210477の非存在でのHEK293T細胞を例示している。A-1210477の非存在で、Fluoppiシステムを用いて染色したMCL-1及びBAKは、可視の蛍光輝点を形成する。
図4Fの左パネルは、A-1210477の存在でのHEK293T細胞を例示している。A-1210477の添加は、MCL-1とBAKとの間の相互作用を破壊する。
【0119】
図4Fは、本開示のシステム及び方法を使用する、未凝集タンパク質又は凝集タンパク質を含む細胞の分類を示している。Fluoppiタンパク質-タンパク質相互作用可視化システムを凝集の検出可能な形成を通じてタンパク質相互作用を検出するために使用した。簡潔には、Fluoppiは、多量体蛍光タンパク質タグを第1の標識タンパク質に、及びアセンブリヘルパータグを第2の標識タンパク質に付けることによって作動する。第1の及び第2の標識タンパク質が相互作用する場合、蛍光タンパク質タグとアセンブリヘルパータグとの間の相互作用は、光学的に検出可能なオリゴマータンパク質複合体を形成する。複合体は、タンパク質凝集物又はオリゴマーを含む輝点として検出され得る。ここでMCL-1とBAKとの間の相互作用をFluoppiシステムを使用して探索した。MCL-1とBAKとの間の相互作用は、MCL-1阻害剤A-1210477を使用して破壊した。細胞を検出可能なタンパク質凝集物の存在(左ピーク、「陽性」)又は検出可能なタンパク質凝集物の非存在(右ピーク、「陰性」)に基づいて分類した。
図4Fにそれぞれ示される2つのピークは、タンパク質-タンパク質相互作用の表現型への類似性に基づく2つの細胞集団のSVMスコア分布を例示している。画像を、参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096、に開示される画像化手順を使用して分類した。分類法は、SVMを利用した。
【0120】
(実施例7)
細胞内のタンパク質-タンパク質相互作用の分類
ゴーストサイトメトリーを、タンパク質-タンパク質相互作用(PPI)-陽性細胞及びPPI-陰性細胞の両方由来の画像情報(タンパク質局在情報等)を含有する蛍光信号の波形を取得するために実行した。次いで、各細胞型をPPI-陽性細胞とPPI-陰性細胞とを分類するための機械学習モデルを開発するための訓練セットとして設定した。分類モデルは、PPI-陽性細胞とPPI-陰性細胞とを判別するためにSVMを利用した。
【0121】
図10Cは、p53とマウス二重微小染色体2ホモログ(MDM2)との間のタンパク質-タンパク質相互作用について標識したCHO-K1細胞の蛍光画像を示している。タンパク質p53及びMDM2をFluoppiシステムを使用して実施例6に記載の通り標識した。
図10Cの左パネルは、未処置細胞を示し、
図10Cの右パネルはナツリン-3を用いて処置した細胞を示している。未処置試料と比較したナツリン-3を用いた処置の後での蛍光の分散によって見られる通り、ナツリン-3は、p53とMDM2との間の相互作用を破壊する。細胞をp53とMDM2との間のタンパク質-タンパク質相互作用について標識し、ナツリン-3を用いて処置した又は未処置のもののいずれかを訓練セットとして使用した。ナツリン-3を用いた又は用いていない細胞を蛍光画像法を使用して視覚分析によって区別した。
【0122】
図10Dは、本開示のシステム及び方法を使用する、p53とMDM2との間のタンパク質-タンパク質相互作用について陽性(右ピーク、「未処置」)又は陰性(左ピーク、「ナツリン-3」)の細胞の分類を示している。ナツリン-3をp53とMDM2との間の相互作用を破壊するために使用した。細胞をp53とMDM2との間の相互作用について染色し、ナツリン-3を用いて処置した細胞又は未処置細胞をp53とMDM2との間の相互作用に基づいて分類した。
図10Dにそれぞれ示される2つのピークは、p53とMDM2との間の相互作用の表現型への類似性に基づいた2つの細胞集団のMLスコア分布を例示している。画像を、参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096、に開示される画像化手順を使用して分類した。分類法は、SVMを利用した。SVMは、0.958のROC-AUCを得た。
【0123】
図4Gは、核局在NF-κBタンパク質を有するTHP細胞、及び細胞質NF-κBタンパク質を有する細胞の蛍光画像を示している。NF-κB核移行阻害剤を同定するために、サイトゾルに局在化したNF-κB(
図4G、右パネル)及び核移行を誘導するためにリポ多糖(LPS)によって刺激したNF-κB(
図4G、左パネル)をそれぞれ陽性及び陰性訓練セットとして染色した。LPS刺激は、NF-κB複合体からのp65の解離及び核へのp65の移行を促進する。細胞の画像情報を獲得し、参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096、に開示される画像化手順を使用して分類した。スクリーニングセットについて、プールされたsgRNAライブラリーをCas9発現THP-1細胞に形質導入、又はプールされたペプチド発現ライブラリーをWT THP-1細胞に形質導入した。LPSを用いた刺激の後で、分類モデルをNF-κB核移行を有さない細胞を選別するためのスクリーニングセットに適用した。選別された細胞からプラスミドを単離し、NF-κBの核局在を阻害する遺伝子又はペプチドを同定するために次世代シーケンシング分析に供した。
【0124】
図4Hは、本開示のシステム及び方法を使用する、NF-κBの核局在p65サブユニットに基づくTHP-1細胞、及びNF-κBタンパク質の細胞質p65サブユニットを有する細胞の分類を示している。LPSをp65の核への局在を刺激するために使用した。細胞をLPS刺激の存在(右ピーク、「刺激」)又は非存在(左ピーク、「未刺激」)での形態学及び蛍光標識p65の局在に基づいて分類した。画像を、参照により本明細書に全体が組み込まれるS. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096、に開示される画像化手順を使用して分類した。分類は、0.972のROC-AUCを得た。
【0125】
(実施例8)
迅速な画像に基づくプール遺伝子/ペプチドスクリーニング(RIPGS)の検証
図11は、画像に基づくシステム及びFACSを使用する迅速な画像に基づくプール遺伝子/ペプチドスクリーニング法の検証を示している。細胞をNF-κBのp65サブユニットについての(「抗p65」)免疫蛍光によって染色した。染色した細胞をp65の核局在を促進するためにLPSを用いて刺激した。刺激した細胞をLPS刺激に供さなかった染色細胞と共にプールした。プールした細胞をそれらの蛍光強度と併せて訓練セットにおいて予め得たゴーストシグナルにより、ゴーストサイトメトリー選別に供した。訓練セットを実施例4及び実施例5に記載の通り得た。選別した細胞を回収し、濃縮し、画像に基づくシステム及び従来のFACSを使用して純度について調べた。ゴーストサイトメトリー画像に基づく細胞選別(
図11、上左パネル)を、参照により本明細書に全体が組み込まれる、S. Ota, R. Horisaki, Y. Kawamura, M. Ugawa, I. Sato, K. Hashimoto, R. Kamesawa, K. Setoyama, S. Yamaguchi, K. Fujiu, K. Waki, and H. Noji, “Ghost Cytometry", Science 360(6394), 1246~1251頁(2018), doi: 10.1126/science.aan0096、に開示の通り実施した。細胞を蛍光タグ化p65タンパク質の局在に基づいて「刺激」及び「未刺激」亜集団に選別した。選別を確認するために未刺激と分類された細胞の亜集団をFACS(
図11、上中央パネル)又は画像に基づくシステムを使用する分析に更に供した(
図11、上右パネル及び下パネル)。ゴーストサイトメトリー選別から得たROC曲線(Roc-AUC)、及び正確度(Acc)は、それぞれ0.959及び0.912であり、高い純度を示している。結果をFACS及び画像に基づくシステム(それぞれ純度83.6%及び86.7%)を使用して算出したものと比較し、ゴーストサイトメトリーが蛍光標識p65の核局在に基づいて細胞を有効に選別できたことを示している。
【0126】
(実施例9)
画像のスクリーニングに基づく遺伝子スクリーニング
本開示のシステム及び方法は、種々の目的のための迅速な画像に基づくプール遺伝子及び/又はペプチドスクリーニングを実施するために使用され得る。例えば、システム及び方法は、細胞の蛍光画像(例えば、核移行、タンパク質凝集等)を変更する遺伝子又はペプチドを同定するために使用され得る。代替的に又は組み合わせで、システム及び方法は、細胞によって発現される1つ又は複数のペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質の構造及び/又は機能を変更する遺伝子配列を同定するために使用され得る。
【0127】
変化は、本明細書に記載される画像化システム及び方法によって検出され得る。例えば、変化は、画像がタンパク質局在、タンパク質-タンパク質相互作用、移行、共局在、斑点又は他の性状を示すかどうかに基づいて検出され得る。
【0128】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、転写因子の核移行を遮断し、タンパク質凝集を解離させ、オルガネラ機能を回復させる等の1つ又は複数のペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質を同定するために利用できる。
【0129】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、新薬の開発に繋がらない標的、例えば、転写因子、ホスファターゼRAS又はPPI部位等のタンパク質部位を同定するために利用できる。例えば、PPIに関与する部位は、低分子量の薬物様分子によって一般に阻害されない比較的大きく、比較的平らな表面をしばしば含み得る。しかし、かかる部位は、ペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質等の大きな分子によって阻害され得る。別の例として、転写因子は、可動性、秩序構造を欠いている場合がある、又は構造的に不均一である場合がある。転写因子は、細胞内でだけそれらの本来の三次元構造をとる可能性がある。したがって、転写因子に対するスクリーニングは、転写因子の天然の細胞環境内でのスクリーニングを必要とする場合がある。本明細書に記載される方法は、新薬の開発に繋がらない標的(例えば、転写因子、ホスファターゼRAS又はタンパク質部位)をそれらの天然の細胞環境中でスクリーニングするために使用され得る。
【0130】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書に示され、記載されているが、かかる実施形態が例としてのみ提供されていることは当業者に明らかである。本発明が明細書内に提供される具体的な例によって限定されることは意図されない。本発明は、前述の明細書を参照して記載されているが、本明細書の実施形態の記載及び例証は、限定の意味で解釈されることを意味しない。当業者は、多数の変形、変更及び置き換えを本発明から逸脱することなく考えられる。更に、本発明のすべての態様が種々の条件及び変数に依存する本明細書に記載される具体的な描写、配置又は相対的割合に限定されないことは、理解される。本明細書に記載される本発明の実施形態への種々の代替物が本発明の実施において使用され得ることは、理解されるべきである。したがって本発明が、任意のかかる代替物、改変、変形又は等価物も網羅することは予期される。続く特許請求の範囲が本発明の範囲を定義すること、並びにこれらの特許請求の範囲の範囲内の方法及び構造物並びにそれらの等価物がそれによって網羅されることは意図される。
【符号の説明】
【0131】
101 コンピュータシステム、システム
105 中央処理装置、CPU、プロセッサ
110 メモリ位置、メモリ
115 電子的ストレージ装置、ストレージ装置
120 通信インターフェース、インターフェース
125 周辺機器
130 コンピュータネットワーク、ネットワーク
135 電子ディスプレイ
140 ユーザインターフェース
600 方法
610 第1の操作
620 第2の操作
630 第3の操作
640 第4の操作
650 第5の操作
【国際調査報告】