(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】抗-CD45抗体及びそのコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20220131BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220131BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220131BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20220131BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220131BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220131BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20220131BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20220131BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20220131BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20220131BHJP
A61K 31/537 20060101ALI20220131BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20220131BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20220131BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20220131BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20220131BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61P43/00 105
A61P7/00
A61P3/00
A61P35/00
A61P37/06
A61P35/02
A61K35/28
A61P43/00 121
A61K47/68
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K39/395 P
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K38/12
A61K38/02
A61K38/07
A61K38/08
A61K31/537
A61K31/704
A61K31/4745
A61K31/407
A61K31/5517
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521765
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(85)【翻訳文提出日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 US2019058971
(87)【国際公開番号】W WO2020092654
(87)【国際公開日】2020-05-07
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518445159
【氏名又は名称】マジェンタ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MAGENTA THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214259
【氏名又は名称】山本 睦也
(72)【発明者】
【氏名】ラーフル パルチョウデュリー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー アール ピアース
(72)【発明者】
【氏名】ヒラリー アダムズ
(72)【発明者】
【氏名】ショーン マクドノー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル クック
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ボイタノ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC03
4C076CC14
4C076CC21
4C076CC26
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA03
4C084BA08
4C084BA10
4C084BA14
4C084BA15
4C084BA17
4C084BA23
4C084BA24
4C084BA41
4C084BA42
4C084BA44
4C084CA13
4C084DA27
4C084DA33
4C084DA34
4C084NA05
4C084NA13
4C084ZA511
4C084ZB081
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4C084ZC211
4C084ZC751
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4C085GG08
4C085GG10
4C086AA01
4C086CB03
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4C086ZC21
4C086ZC75
4C087AA01
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4C087BB44
4C087CA04
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4C087ZB08
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4C087ZC21
4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA24
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
移植前にCD45を発現する造血幹細胞(HSC)又は免疫細胞を、ターゲットとするこ
とを含む、治療方法に有用な、抗-CD45抗体及び抗体薬物コンジュゲート(ADC)を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号(SEQ ID NO): 2に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO): 3に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO): 4に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、を含む可変領域を含む重鎖を含む、及び配列番号(SEQ ID NO): 6に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO): 7に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO): 8に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、を含む可変領域を含む軽鎖を含む、単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分である。
【請求項2】
請求項1に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記重鎖可変領域は
、配列番号(SEQ ID NO): 1に記載のアミノ酸配列を含む。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記軽鎖可変
領域は、配列番号(SEQ ID NO): 5に記載のアミノ酸配列を含む。
【請求項4】
配列番号(SEQ ID NO): 10に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO): 11に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO): 12に記載のアミノ酸配列
を有するCDR3、を含む可変領域を含む重鎖を含む、及び配列番号(SEQ ID NO): 14に記載
のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO): 15に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO): 16に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、を含む可変領域を含む軽鎖を含む、単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分である。
【請求項5】
請求項4に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記重鎖可変領域は
、配列番号(SEQ ID NO): 9に記載のアミノ酸配列を含む。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記軽鎖可変
領域は、配列番号(SEQ ID NO): 13に記載のアミノ酸配列を含む。
【請求項7】
配列番号(SEQ ID NO): 18に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO): 19に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO): 20に記載のアミノ酸配列
を有するCDR3、を含む可変領域を含む重鎖、及び配列番号(SEQ ID NO): 22に記載のアミ
ノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO): 23に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、
配列番号(SEQ ID NO): 24に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、を含む可変領域を含む軽
鎖、を含む、単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分である。
【請求項8】
請求項7に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記重鎖可変領域は
、配列番号(SEQ ID NO): 17に記載のアミノ酸配列を含む。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記軽鎖可変
領域は、配列番号(SEQ ID NO): 21に記載のアミノ酸配列を含む。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の抗体、又はその抗原結合部分と同じエピトープに結合する、単離された抗-ヒト
CD45抗体、又はその抗原結合部分である。
【請求項11】
単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、これは、
配列番号(SEQ ID NO): 37の残基486R、493Y、及び502Tを含むヒトCD45のエピトープに
特異的に結合する、並びにカニクイザル及びアカゲザルCD45に結合する;又は、
アミノ酸配列RNGPHERYHLEVEAGNT (配列番号(SEQ ID NO): 38)を含むヒトCD45のエピト
ープに特異的に結合する、並びにカニクイザル及びアカゲザルCD45に結合する;若しくは
、
アミノ酸配列CRPPRDRNGPHERYHLEVEAGNTLVRNESHK (配列番号(SEQ ID NO): 39)を含むヒ
トCD45のエピトープに特異的に結合する、カニクイザル及びアカゲザルCD45に結合する。
【請求項12】
単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、これは、
a) 配列番号(SEQ ID NO): 37の残基486R、493Y、及び502Tを含むヒトCD45のエピトープに特異的に結合する、
b) アミノ酸配列RNGPHERYHLEVEAGNT (配列番号(SEQ ID NO): 38)を含むペプチド中で、少なくとも1つの追加のアミノ酸、少なくとも2つの追加のアミノ酸、少なくとも3つの追
加のアミノ酸、少なくとも4つの追加のアミノ酸、若しくは少なくとも5つの追加のアミノ酸、に結合する、ここで、前記追加のアミノ酸の残基は、(a)において列記した残基では
ない;並びに、
(c) カニクイザル及びアカゲザルCD45に結合する。
【請求項13】
請求項10~12の何れか一項に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで
、前記抗体は、ヒトCD45への結合について抗体AbAと競合する。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、
これは、脱免疫化抗体、又はその抗原結合フラグメントである。
【請求項15】
請求項1~13の何れか一項に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、
これは、ヒト化抗体若しくはキメラ化抗体、又はその抗原結合フラグメントである。
【請求項16】
単離された脱免疫化モノクローナル抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、こ
れは、ヒトCD45及びカニクイザルCD45に特異的に結合する、ここで、請求項1~15の何れか一項に記載の、前記抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分は、脱免疫化抗-CD45抗体の親抗体、又はその抗原結合部分である。
【請求項17】
請求項1~16の何れか一項に記載の抗-CD45抗体、ここで、これは、インタクトなモ
ノクローナルIgG抗体である。
【請求項18】
D265/L234/L235、H435又はI235/H310/H435(EU番号付け)である少なくとも1つのアミノ
酸置換を含むFc領域を含む、請求項1~16の何れか一項に記載の抗-CD45抗体、又はそ
の抗原結合部分である。
【請求項19】
請求項18に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、H435アミノ酸置換
がH435A(EU番号付け)である。
【請求項20】
請求項18に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、I235/H310/H435ア
ミノ酸置換は、I235A/H310A/H435A(EU番号付け)である。
【請求項21】
請求項1~20の何れか一項に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、
前記抗体、又はその抗原結合部分は、IgGである。
【請求項22】
請求項21に記載の抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記抗体は、IgG1
又はIgG4である。
【請求項23】
リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートした、請求項1~22の何れか一項に記載の抗体を含む、抗体薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項24】
請求項23に記載のADC、ここで、前記細胞毒素は、RNAポリメラーゼ阻害剤である。
【請求項25】
請求項24に記載のADC、ここで、前記RNAポリメラーゼ阻害剤がアマトキシンである。
【請求項26】
請求項25に記載のADC、ここで、前記アマトキシンは、式(IV)で表される、
【化1】
ここで、R
1は、H、OH、OR
A、又はOR
Cである;
R
2は、H、OH、OR
B、又はOR
Cである;
R
A 及びR
Bは、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換さ
れた5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R
3は、H、R
C、又はR
Dである;
R
4、R
5、R
6, 及びR
7は、それぞれ独立してH、OH、OR
C、OR
D、R
C、又はR
Dである;
R
8は、OH、NH
2、OR
C、OR
D、NHR
C、又はNR
CR
Dである;
R
9は、H、OH、OR
C、又はOR
Dである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO
2-である;
R
Cは、-L-Zである;
R
Dは、任意選択的に置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
1-C
6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルキニル、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたC
1-C
6アルキレン、任意選択的に置換されたC
1-C
6ヘテ
ロアルキレン、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルケニレン、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルケニレン、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルキニレン、任意選択的に置換
されたC
2-C
6ヘテロアルキニレン、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択
的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ペプチド、ジペプチド、-(C=O)-、又はそれらの組合
せである;並びに
Zは、L上に存在する反応性置換基と、前記抗体又は抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である、ここで、Amは正確に1つのR
C置換基を含む。
【請求項27】
請求項23に記載のADC、ここで、前記ADCは、以下の式を有する、
【化2】
ここで、Abは、前記抗-CD45抗体の結合の位置を表す。
【請求項28】
請求項23に記載のADC、ここで、前記ADCは、以下の式を有する、
【化3】
ここで、Abは、前記抗-CD45抗体の結合の位置を表す。
【請求項29】
請求項24に記載のADC、ここで、前記RNAポリメラーゼ阻害剤は、アマニチンである。
【請求項30】
請求項23に記載のADC、ここで、前記細胞毒素は、シュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリア毒素、サポリン、メイタンシン、メイタンシノイド、アウリスタチン、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、
ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン、及びインドリノベンゾジアゼピン二量体からなる群より選択される。
【請求項31】
請求項30に記載のADC、ここで、前記アウリスタチンは、MMAE又はMMAFである。
【請求項32】
請求項23~31の何れか一項に記載のADC、ここで、前記抗体は、前記抗体のFcドメ
インにおけるシステイン残基によって、前記毒素にコンジュゲートしている。
【請求項33】
請求項32に記載のADC、ここで、前記システイン残基は、前記抗体のFcドメインにお
けるアミノ酸置換によって、導入される。
【請求項34】
請求項33に記載のADC、ここで、前記アミノ酸置換は、D265C及び/又はV205C(EU番号付け)である。
【請求項35】
請求項23~34の何れか一項に記載のADC、ここで、前記ADCは、1、2、3、4、5、6、7、又は8の薬物対抗体比(DAR)を有する。
【請求項36】
請求項1~35の何れか一項に記載の、抗体又はADC、及び薬学的に許容可能な担体を
含む、医薬組成物である。
【請求項37】
ヒト患者において造血幹細胞(HSC)の集団を減少させる方法、ここで、前記方法は、前
記患者に、有効量の請求項1~35の何れか一項に記載の、抗体又はADCを投与すること
を含む。
【請求項38】
前記患者に、造血幹細胞を含む移植物を投与することを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法、ここで、前記移植物は、同種異系である。
【請求項40】
請求項38に記載の方法、ここで、前記移植物は、自己である。
【請求項41】
ヒト患者に、造血幹細胞を含む移植物を投与することを含む方法、ここで、前記患者は、前記患者における造血幹細胞の集団を減少させるのに十分な量で、請求項1~35の何れか一項に記載の。抗体又はADCを予め投与されている。
【請求項42】
請求項41に記載の方法、ここで、前記造血幹細胞は、CD45+細胞である。
【請求項43】
請求項37から42の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、血液疾患、代謝障害、がん、又は自己免疫疾患、又は重度複合免疫不全症疾患(severe combined immunodeficiency disease)(SCID)を有する。
【請求項44】
ヒト患者における白血病を治療する方法、ここで、前記方法は、白血病を有するヒト患者に、請求項1~35の何れか一項に記載の、抗体又はADCを、投与することを含む。
【請求項45】
ヒト患者に、造血幹細胞を含む移植物を投与することを含む方法、ここで、前記患者は、前記患者における免疫細胞の集団を減少させるのに十分な量で、請求項1~35の何れか一項に記載の、抗体又はADCを予め投与されている。
【請求項46】
請求項45に記載の方法、ここで、前記免疫細胞は、CD137+、CD2+、又はCD5+細胞である。
【請求項47】
請求項45又は46に記載の方法、ここで、前記免疫細胞は、T細胞である。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年10月30日に出願された米国願第62/753,002号、2018年11月30日に出願された米国願第62/774,006号、および2019年2月19日に出願された米国願第62/807,582号
の優先権を主張する。各優先出願の含有量は、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、抗CD45抗体またはその抗体薬物コンジュゲートの分野に関する。本発明はさらに、とりわけ、抗CD45抗体または抗体薬物コンジュゲート(ADC)の投与による、血液疾
患、代謝障害、がん、および自己免疫疾患などの様々な病理に罹患している患者の治療に関し、ここで、抗体またはADCは、造血幹細胞または免疫細胞のいずれかにCD45を結合す
ることができる。
【背景技術】
【0003】
CD45はタンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)ファミリーのメンバーであり、180~240kD膜貫通糖タンパク質である。CD45は、細胞の増殖および分化を含む多くの細胞過程を
調節するシグナル伝達分子である。CD45はI型膜貫通タンパク質で、分化した造血細胞上
の様々なアイソフォームに認められ、T-細胞やB-細胞レセプターシグナル伝達に重要な役割をしていることが示されている。概して、成熟した赤血球と血小板を除いて、造血起源の細胞はCD45を発現する。
【0004】
CD45の異なるアイソフォームは、そのエキソンの多様なスプライシングのために存在する。ヒトCD45の種々のイソ型はその細胞外ドメインが異なり、B-およびT-細胞リンパ球の亜集団上で異なって発現される。少なくとも6種類の異なるヒトのCD45 mRNAのアイソフォームが単離されており、これらは3つのエキソン(ABCアイソフォーム)すべて、3つのエキ
ソンのうち2つ(ABおよびBCアイソフォーム)、1つのエキソン(AアイソフォームおよびBア
イソフォーム)のみ、またはエキソン(Oアイソフォーム)を含まない(Hermistonら(2003)Annu Rev Immunol)。21, 107-137.). 接尾辞RA、RB、またはROは、それぞれエクソンA(RA)
、エクソンB(RB)、またはエクソンA、B、およびC(RO)に相当するアミノ酸残基のCD45抗原発現に対する要件を示す。
【0005】
医学技術の進歩にもかかわらず、特に特定の血中細胞の疾患、代謝障害、がん、および自己免疫状態などの造血システムの病態を治療することが依然として求められている。造血幹細胞(HSC)には重大な治療可能性がある一方で、臨床での使用を妨げている限界は、
宿主におけるHSC移植の定植確保に伴う難しさであった。特に、内因性HSC上の表層抗原をターゲット細胞する抗体を含む造血幹細胞治療は、外生的HSC移植の定植を妨げる望まし
くない免疫刺激機能およびエフェクタ機能を誘発することができる。HSC移植のための電
位抗原調整患者としてCD45を標的とする治療を含む、移植を改善するためにHSCおよび免
疫細胞の両方に影響を与え得る標的化治療に対するニーズが、当技術分野において依然として存在する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書には、造血幹細胞(HSC)に結合する抗CD45抗体(抗ヒトCD45-9(hCD45)抗体)および抗体薬物コンジュゲート(ADC)が記載されており、例えば、移植のためのコンディショ
ニング剤として役立つ。特に、本明細書中に記載される抗CD45抗体およびADCは、ホストHSC、免疫細胞および疾患を引き起こす細胞を特異的に枯渇させるために使用され得る。さらに、本明細書中に記載される抗CD45抗体およびADCは白血病またはリンパ腫を有する患
者を処置するために、ならびに多発性硬化症および強皮症のような自己免疫疾患を有する
患者の処置のために使用され得る。本明細書中に記載される抗CD45抗体およびADCはこれ
らの細胞の多層効力および造血機能性が移植後に保存されるように、外生的造血幹細胞グラフトの定植を促進するための組成物および方法の必要性を満たす。
【0007】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分は配列番号(SEQ ID NO): 2に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO): 3に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO): 4に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変領域からなる重鎖を含み、配列番号(SEQ ID NO): 6に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO): 7に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO): 8に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変領域からなる軽鎖を含む。
【0008】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分は重鎖可変領域を含み、配列番号(SEQ ID NO): 1に示すアミノ酸配列を含み、および/または配列番号(SEQ ID
NO): 5に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域である。
【0009】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 10に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO): 11に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO): 12に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、およ
び配列番号(SEQ ID NO): 14に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽
鎖を含む重鎖、配列番号(SEQ ID NO): 15に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO): 16に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む。
【0010】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分は重鎖可変領域を含み、配列番号(SEQ ID NO): 9に示されるアミノ酸配列を含み、および/または配列番号(SEQ ID NO): 13に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0011】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 18に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO): 19に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO): 20に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、およ
び配列番号(SEQ ID NO): 22に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽
鎖を含む重鎖、配列番号(SEQ ID NO): 23に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO): 24に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む。
【0012】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分は重鎖可変領域を含み、配列番号(SEQ ID NO): 17に示されるアミノ酸配列を含み、および/または配列番号(SEQ ID NO): 21に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域である。
【0013】
1つの実施形態において、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分は単離された
抗CD45抗体と同じエピトープ、またはその抗原結合部分に結合し、それは配列番号2に示
されるアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域、配列番号3に示されるアミノ酸配列を
有するCDR2、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含み、配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖、配列番号7に示されるアミノ酸
配列を有するCDR2、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変領域を含
む軽鎖、単離された抗CD45抗体、または重鎖可変領域を含むその抗原結合部分、および/
または配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を含む抗原結合部分を含む。配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む単離さ
れた抗CD45抗体またはその抗原結合部分;配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分;配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖を含むCDR3
;配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号16に示されるアミノ酸配列
を有するCDR3;重鎖可変領域を含む単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分;および/または配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む軽鎖可変領域を含む単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分;および/または軽鎖可変領域は以下に示されるアミノ酸配列を含む。配列番号13に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号22に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖、配列番号23に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号24に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分を含む重鎖を含む可変領域を含む。
【0014】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分は配列番号(SEQ ID NO): 37の残渣486R、493Y、および502Tを含むヒトCD45のエピトープに特異的に結合し、
カニクイザルおよびアカゲザルCD45に結合し;またはアミノ酸配列RNGPHERYHLEVEAGNT(配
列番号(SEQ ID NO): 38)を含むヒトCD45のエピトープに特異的に結合し、カニクイザルおよびアカゲザルCD45に結合し;またはアミノ酸配列CRPPRDRNGPHERYHLEVEAGNTLVRNESHK(配
列番号(SEQ ID NO): 39)を含むヒトCD45のエピトープに特異的に結合し、カニクイザルおよびアカゲザルCD45に結合する。
【0015】
別の実施形態において、配列番号(SEQ ID NO): 37の残基486R、493Y、および502Tを含
むヒトCD45のエピトープに特異的に結合する、単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分は配列番号(SEQ ID NO): 37の残基486R、493Y、および502Tではない、RNGPHERYHLEVEAGNT(配列番号(SEQ ID NO): 38)を含むペプチド中の少なくとも1つの追加のアミノ酸、少なくとも2つの追加のアミノ酸、少なくとも3つの追加のアミノ酸、少なくとも4つの追
加のアミノ酸、または少なくとも5つの追加のアミノ酸に結合する;および/またはカニク
イザルおよびアカゲザルCD45に結合する。
【0016】
別の実施形態では、抗CD45抗体、またはその抗原結合部分が配列番号(SEQ ID NO): 37
の残渣486R、493Y、および502Tを含むヒトCD45のエピトープに特異的に結合し、カニクイザルおよびアカゲザルCD45に結合する。
【0017】
さらに別の実施形態では、アミノ酸配列RNGPHERYHLEVEAGNT(配列番号(SEQ ID NO): 38)を含むヒトCD45のエピトープに特異的に結合し、カニクイザルおよびアカゲザルCD45に結合する抗CD45抗体またはその抗原結合部分が本明細書に提供される。
【0018】
更なる実施形態において、アミノ酸配列CRPPRDRNGPHERYHLEVEAGNTLVRNESHK(配列番号(SEQ ID NO): 39)を含むヒトCD45のエピトープに特異的に結合し、カニクイザルおよびアカゲザルCD45に結合する抗CD45抗体またはその抗原結合部分が本明細書に提供される。
【0019】
ある実施形態に、抗体は、ヒトCD45への結合について抗体AbAと競合する。
【0020】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分は、本明細書に記載の脱免疫化抗体である。
【0021】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分はキメラ抗体、例えば、キメラAbA、AbB、またはAbCである。
【0022】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分はヒト化抗体、例えば、ヒト化AbA、AbB、またはAbCである。
【0023】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、インタクトな抗体
、例えばインタクトなIgG抗体である。
【0024】
別の実施形態において、単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分はヒトCD45およびシノCD45に特異的に結合する、単離された脱免疫化モノクローナル抗CD45抗体、またはその抗原結合部分であり、ここで、請求項1~15のいずれか1項の抗CD45抗体、またはその抗原結合部分は、脱免疫化された抗CD45抗体の親抗体、またはその抗原結合部分である。
【0025】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、少なくとも1つの
アミノ酸置換がH435またはI235/H310/H435(EU番号付け)、例えばH435A(EU番号付け)、I235A/H310A/H435A(EU番号付け)であることを含むFc領域を含む。
【0026】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部位は、IgG、例えばIgG1
またはIgG4である。
【0027】
ある実施形態に、本明細書に開示される抗CD45抗体をリンカーを介して細胞毒素に結合させたものを含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)を特徴とする。
【0028】
いくつかの実施形態では、細胞毒がアマトキシン, シュードモナス外毒素A、deブーガ
ニン、ジフテリア毒素、サポリン、メイタンシン、1メイタンシノイド、1アウリスタチン、1アントラサイクリン、1カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、ピロロベンゾジア
ゼピン二量体、またはインドリノベンゾジアゼピン二量体、1デュオカルマイシン、1ピロロベンゾジアゼピン、1メイタンシンである。
【0029】
いくつかの実施形態では、細胞毒素は微小管結合剤またはRNAポリメラーゼ阻害剤であ
る。ある実施形態に、細胞毒素はRNAポリメラーゼ阻害剤である。
【0030】
ある実施形態に、RNAポリメラーゼ阻害剤はアマトキシンである。
【0031】
いくつかの実施形態では、アマトキシンがαアマニチン、βアマニチン、γアマニチン、εアマニチン、アマニン、アマニンアミド, アマヌリン,アマヌリン酸、またはプロア
マヌリンである。
【0032】
ある実施形態に、アマトキシンは、式(IV)で表される
【化1】
ここで、R
1は、H、OH、OR
A、またはOR
Cである;
R
2はH、OH、OR
B、またはOR
C;
R
A およびR
Bは、それらが結合している酸素原子と一緒になって、随意に置換された5員ヘテロシクロルアルキル基を形成する;
R
3はH、R
C、またはR
D;
R
4、R
5、R
6, とR
7はそれぞれ個別にH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
8はOH、NH
2、OR
C、OR
D、NHR
C、またはNR
C R
D;
R
9はH、OH、OR
C、またはOR
D;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO
2 -;
R
Cは-L-Z;
R
Dは、任意選択的に置換されたC
1 -C
6アルキ、任意選択的に置換されたC
1 -C
6ヘテ
ロアルキ、任意選択的に置換されたC
2 -C
6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2 -C
6ヘテロアルケニール、任意選択的に置換されたC
2 -C
6アルキニル、任意選択的に置換されたC
2 -C
6ヘテロアルキニール、任意選択的に置換されたシクロアルキ、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキ、任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアルイルである;
Lは、任意選択的に置換されたC
1 -C
6アルキレン、任意選択的に置換されたC
1 -C
6ヘ
テロアルキレン、任意選択的に置換されたC
2 -C
6アルケニレン、任意選択的に置換されたC
2 -C
6ヘテロアルケニレン、任意選択的に置換されたC
2 -C
6アルキニレン、任意選択的に置換されたC
2 -C
6ヘテロアルキニレン、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、配列、ジペプチド、-(C=O)-、またはそ
れらの組合せである
Zは、L上に存在する反応性置換基と前記抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基とのカップリング反応から形成される化学的部分であり、ある実施形態に、アマトキシンリンカー共役(Am-L-Z)は、式(IA)で表される、
【化2】
である,
R
1はH、OH、OR
A、またはOR
C;
R
2はH、OH、OR
B、またはOR
C;
R
A およびR
Bはそれらが結合する酸素原子と一緒になって結合し、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R
3はH、R
C、またはR
D;
R
4、R
5、R
6, とR
7はそれぞれ個別にH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
8はOH、NH
2、OR
C、OR
D、NHR
C、またはNR
C R
D;
R
9はH、OH、OR
C、またはOR
D;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO
2 -;
R
Cは-L-Z;
R
Dは、任意選択的に置換されたC
1 -C
6アルキ、任意選択的に置換されたC
1 -C
6ヘテ
ロアルキ、任意選択的に置換されたC
2 -C
6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2 -C
6ヘテロアルケニール、任意選択的に置換されたC
2 -C
6アルキニル、任意選択的に置換されたC
2 -C
6ヘテロアルキニール、任意選択的に置換されたシクロアルキ、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキ、任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアルイルである。
【0033】
Lは、任意選択的に置換されたC 1 -C 6アルキレン、任意選択的に置換されたC 1 -C 6
ヘテロアルキレン、任意選択的に置換されたC 2 -C 6アルケニレン、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルケニレン、任意選択的に置換されたC 2 -C 6アルキニレン、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルキニレン、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、または任意選択的に置換されたヘテロアリーレンのアルキレン、またはそれらの組合せである。
【0034】
ZはL上に存在する反応性置換基Z'と、抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造であり、ここで、Amは、正確に1つのR C置換基を含む。
【0035】
【0036】
ある実施形態に、Am-L-Z-Abはで表される。
【化4】
ここで、Abは、抗CD45抗体の結合点を表す。
【0037】
いくつかの実施形態では、L-Zのリンカー化学的な部分構造がである。
【化5】
【0038】
【0039】
ある実施形態に、Am-L-Z-Abはで表される。
【化7】
又は、
ここで、Abは、抗CD45抗体の結合点を表す。
【0040】
ある実施形態に、RNAポリメラーゼ阻害剤はアマニチンである。
【0041】
ある実施形態に、細胞毒は、ピロロベンゾジアゼピンとして、シュードモナス外毒素A
、ジフテリアトキシン、サポリン、メイタンシン、1メイタンシノイド、1アウリスタチン、1アントラサイクリン、1カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、インドリノベンゾ
ジアゼピン二量体、1ピロロベンゾジアゼピン二量体、1deブーガニン、1インドリノベン
ゾジアゼピン二量体、またはインドリノベンゾジアゼピン偽二量体からなる群より選択される。
【0042】
いくつかの実施形態では、細胞毒素は微小管結合剤またはアウリスタチンである。いく
つかの実施形態では、微小管結合剤はメイタンシンである。いくつかの実施形態では、微小管結合剤はメイタンシノイドである。いくつかの実施形態では、マイサンチノイドがDM1、DM3、およびDM4、ならびにメイタンシノールからなる群より選択される。
【0043】
ある実施形態に、アウリスタチンはMMAEまたはMMAFである。
【0044】
いくつかの実施形態では、細胞毒素がダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、およびイダルビシンからなる群より選択されるアントラサイクリンである。
【0045】
ある実施形態に、抗体は、抗体のFcドメイン中のシステイン残基によってトキシンに結合される。
【0046】
ある実施形態に、システイン残基は、抗体のFcドメインにおけるアミノ酸置換によって導入される。
【0047】
ある実施形態に、アミノ酸置換は、D265Cおよび/またはV205C(欧州番号付け)である。
【0048】
ある実施形態に、ADCは、1、2、3、4、5、6、7、または8の薬物対抗体比を有する。
【0049】
また、本明細書に記載の抗体またはADC、および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組
成物も提供される。
【0050】
さらに、ヒト患者において造血幹細胞(HSC)の集団を枯渇させる方法が提供され、この
方法は、本明細書に記載される抗体またはADCの有効量を患者に投与することを含む。あ
る実施形態に、本方法は、造血幹細胞を含む移植片を該患者に投与することをさらに含む。
【0051】
ある実施形態に、移植は同種異系である。
【0052】
ある実施形態に、移植片は自己由来である。
【0053】
また、造血幹細胞を含む移植片をヒト患者に投与することを含む方法が提供され、ここで、患者は、患者における造血幹細胞の集団を枯渇させるのに充分な量で、本明細書中に記載される抗体またはADCを予め投与されている。
【0054】
ある実施形態に、造血幹細胞はCD45+細胞である。
【0055】
ある実施形態に、血症、代謝障害、がん、自己免疫疾患、重度複合免疫不全症疾患(severe combined immunodeficiency disease)などがある。
【0056】
また、ヒト患者において白血病を治療する方法が開示され、前記方法は、本明細書に記載される抗体またはADCを、白血病を有するヒト患者に投与することを含む。
【0057】
さらに、造血幹細胞を含む移植片をヒト患者に投与する工程を包含する方法が提供され、ここで、患者は、患者における免疫細胞の集団を枯渇させるのに充分な量で、本明細書中に記載される抗体またはADCを予め投与されている。
【0058】
ある実施形態に、免疫細胞はCD137+、CD2+、またはCD5+細胞である。
【0059】
ある実施形態に、免疫細胞はT細胞である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】
図1A、1B、1C、1Dおよび1Eは、抗CD45アマニチン抗体薬物コンジュゲート(CD45-Am)がリンパ球および造血幹細胞(HSC)のインビトロおよびインビボ枯渇を可能にすることを示す試験からの成績をグラフで示している。
【
図2】
図2Aおよび2Bは、抗CD45-AMがインビトロでヒトHSCを死滅させるのに非常に効果的であることを示すインビトロ細胞死滅アッセイの成績をグラフで示す。
図2Aにおいて、ヒトPBMCを、示された抗CD45-アマニチンコンジュゲート(抗体AbB-アマニチン;「CD45-AM」)または対照非標的化アイソタイプ適合ADC(「isotype-AM」)の存在下で4日間培養し、細胞生存率を、抗体濃度(x軸)の機能として、セルタイターGloによって発光(RLU; y軸)で測定した。
図2Bにおいて、初代ヒトCD34
+骨髄細胞を、CD45-AMまたはアイソタイプ-AMで5日間培養し、そして生存CD34+CD90+ HSCカウント(y軸)を、抗体濃度(x軸)の機能としてフロー・サイトメトリーによって決定した。
【
図3】
図3Aおよび3BはCD45(ルシフェラーゼ(5x10
6細胞/マウス)で標識したALL細胞株を発現するCD45)を発現する不死化細胞株由来のヒト白血病細胞を接種した異種移植マウスモデルを用いたインビボ生存試験の結果をグラフで示しており、抗CD45-AM(アマニチンに結合したAbB)がREH-Luc異種移植モデルにおいて生存期間中央値を40日に倍加することを示している。
図3Aは、ALL接種後5日目に1mg/kgの抗CD45-AMを単回注射すると、媒体(PBS)処理対照または非結合抗CD45抗体(n=10マウス/群、p<0.0001)と比較して、15日間のメジアンでより長い生存もたらされたことを示す。
図3Bは抗CD45-Amおよびアイソタイプ-AM処置群の移植後19日目に、IVIS画像化システム(パーキンエルマー)を使用して捕捉された典型的な生物発光シグナル擬似色素画像を示す。
【
図4】
図4A-4Hは、アマニチンに結合した抗CD45抗体AbBの単回用量(「抗CD45-AM」;1mg/kg)が効果的にヒト白血病細胞を枯渇させ、マウスモデルにおける延命を延長することを示す、FLT-3+NPM1+ AMLサンプルから開発された3つのAML患者由来異種移植片を用いたインビボ生存研究からの結果をグラフで示す。
図4Aは、疾患マウス由来のCD33+脾細胞上のCD45細胞表層発現をアッセイするためのフロー・サイトメトリー試験からの成績を示す。図。4B-4G血中に2~5%の芽球が認められた場合(4~5マウス/群/AML-PDXモデル)に投与された抗CD45-AM、IgG1アイソタイプ-AM又は媒体(PBS)を単回静脈内投与した各種PDX AMLマウスの延命曲線を示す。
図4Hは、フロー・サイトメトリーにより評価した罹患マウス由来の脾細胞上のCD45細胞表層発現を示す。
【
図5】
図5A-5Cは、CD45-AM ADCがヒト化NSGマウスにおいてヒトHSCおよび免疫細胞を選択的に枯渇させることを示すインビボ細胞枯渇アッセイの成績をグラフで示す。
図5Aは、インビボヒト化NSGモデルの概略図である。
図5Bは、抗CD45-アマニチン(「CD45-AM」)、非結合抗CD45抗体(「CD45裸」)、または対照非標的アイソタイプ一致ADC(「アイソタイプ-AM」)を射出後14日間における末梢血中のヒトCD45+細胞の絶対数を示す。
図5Cは、投与後14日マウスのヒト化NSGの骨髄におけるヒトCD34
+細胞の絶対数を示す。CD34
+ CD90についても同様の結果が得られた(データーは示されていない)。* CD45-AMをいずれの対照群と比較した場合もp<0.05。
【
図6】
図6A-6CはCD45-AM ADCがカニクイザルにおいて速い半減期の薬物動態プロファイルを有することを示すインビボ薬物動態試験の設計と成績を示している。
図6Aはインビボカニクイザルモデルおよび試験デザイン(1mg/kgのn = 2を除くn = 3/群
図6Bおよび6Cがカニクイザルにおける抗CD45-アマニチン(「CD45-AM」)の薬物動態をグラフで示し、CD45-AMが移植に適した短い半減期で標的媒介薬物動態(TMDD)PKを示す非線形PKを示すことを示している。
図6Bで使用される「TAB」は抗hIgG1検出を使用する全抗体を指し、一方、ADCは、抗アマニチン検出を指す。
【
図7】
図7A、7Bおよび7Cは、抗CD45アマニチン抗体薬物コンジュゲート(CD45-Am)がCD45-AMの投与14日後に評価されたカニクイザルの末梢リンパ球(
図7A)のインビボ枯渇、および骨髄における造血幹細胞(HSC)、T-、およびB-細胞の枯渇を可能にすることを示すインビボ枯渇アッセイからの結果をグラフで示している。
図7Cのデータは、
図7Aに記載された時間経過からの、具体的には投与後1日目のデータを表す。
【
図8】
図8A~8Dは媒体対照(すなわち、PBS)と比較した、速半減期抗CD45アマニチン抗体薬物コンジュゲート(CD45-Am)の様々な照射量の投与後の日数の機能として、赤血球細胞数(
図8A;10
6/μL単位)、血小板(platelet)数(
図8B;10
3/μL単位)、プラズマアラニンアミノトランスアミナーゼレベル(
図8C;U/L単位)およびプラズマビリルビンレベル(
図8D;U/mL単位)を検出するアッセイの結果をグラフで示す。
【
図9】
図9Aおよび9Bは、AbAを用いたCD45エピトープ地図作成検討の結果を示す。
図9Aは、AbAエピトープを含む領域のアミノ酸配列(配列番号(SEQ ID NO): 39)を表記した、CD45上のAbA相互作用領域の概略図である。接点残留物は486R、493Y、502T(配列番号(SEQ ID NO): 37参照)として強調されている。
図9BはCD45のアミノ酸残留物486-502(RNGPHERYHLEVEAGNT;配列番号(SEQ ID NO): 38)に対応する、黒字で示されるCD45 PDB構造(5FMV)を示している。
図9Bは、正面図(A)、背面図(B)、側面
図1(C)、側面
図2(D)および上面図(E)のリボン/表面表現を含む。
図10は、ヒトCD45R0(配列番号(SEQ ID NO): 40)のフィブロネクチンD1~D4領域の、カニクイザル(カニクイザル)CD45(配列番号(SEQ ID NO): 41)における対応する領域への配列アラインメントを示す。AbAによって結合されたヒトCD45のエピトープ領域およびシノCD45における対応する領域は太字で示される。
【詳細な説明】
【0061】
例えば、白血病を治療する際に、または移植のための調整剤として作用する際に、治療薬剤として有益である抗CD45抗体、およびその結合体(抗体薬物コンジュゲート; ADC)が
、本明細書中に開示される。したがって、造血幹細胞治療に有効な抗造血細胞抗体(抗CD45抗体)が本明細書に含まれる。例えば、本明細書中の抗体またはADCは、造血幹細胞を含
む移植片の受領のために調製される、調整手続において有益である。このような手続は造血幹細胞移植の定植を促進する。本明細書中に記載される方法によれば、患者はCD45(例
えば、造血細胞(例えば、造血幹細胞または成熟免疫細胞(例えば、T細胞))によって発現
されるCD45)を結合し得る抗CD45 ADC、抗体またはその抗原結合フラグメントの患者への
投与によって、造血幹細胞移植療法のために状態調節され得る。本明細書中に記載されるように、抗CD45抗体は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を形成するように細胞毒素に共有
結合され得る。造血幹細胞移植療法を必要とする患児にCD45と結合可能なADCを投与する
と、例えば、内因性の造血幹細胞を選択的に枯渇させることによって、造血幹細胞移植片の定植を促進することができ、それによって、外生的造血幹細胞移植によって満たされた空洞を作り出す。
【0062】
以下の節では、造血幹細胞移植片の定植を促進するために、がんまたは自己免疫疾患を患う患者、または造血幹細胞移植療法を必要とする患者などの患者に投与することができる抗CD45抗体またはその結合体の説明、ならびに患者へのそのような治療剤の投与方法(
例えば、造血幹細胞移植前)を提供する。
【定義】
【0063】
本明細書中で使用される場合、用語「約」は、記載される値より5%高いかまたは低い値をいう。
【0064】
本明細書で使用される「同種異系」という語は、移植の文脈で使用される場合、遺伝的に異なるドナー(donor)から同じ種のレシピエント(recipient)に移植される細胞(または
組織または臓器)を定義するために使用される。
【0065】
本明細書で使用される「自己」という語は、ドナー(donor)およびレシピエント(recipient)が同じ対象である細胞またはグラフトを指す。
【0066】
本明細書で使用される「異種」という語は、ドナー(donor)およびレシピエント(recipi
ent)種が異なっている細胞を指す。
【0067】
本明細書中で使用される場合、「免疫細胞」という語は造血起源であり、そして免疫反応において役割を果たす細胞を含むことが意図されるが、これに限定されない。免疫細胞にはT細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれるが、これらに限定されない。ナチ
ュラル・キラー細胞は、当技術分野で周知である。ある実施形態に、ナチュラル・キラー細胞は、NK-92細胞などの細胞系を含む。NK細胞系のさらなる例としては、NKG、YT、NK-YS、HANK-1、YTS細胞、およびNKL細胞が挙げられる。免疫細胞には、同種または自己があ
る。
【0068】
本明細書中で使用される場合、「抗体」という語は、特定の抗原に特異的に結合するか、または特定の抗原と免疫学的に反応性である免疫グロブリン分子をいう。抗体にはモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、マルチスペシフィック抗体(multispecific antibody)(例えば、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody))、遺伝子工学的に操作さ
れた抗体、および、例えば、Fab'、F(ab')抗体、Fab、Fv、rlgG、およびscFv抗体を含む
が、これらに限定されない、脱免疫フラグメント、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば、バイトリおよびクワッド特異的抗体, ダイアボディ,トリアボディ、およびテトラボディ)、および抗体フラグメント(すなわち、抗体の抗原結合フラグメント)が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
一般に、抗体は、抗原結合領域を含む重鎖および軽鎖を含む。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3からなる。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略す)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分され得、より保存された領域(フレームワーク領域(FR)と呼ばれる)が点在する。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRから構成され、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシル末端に配列され
る。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。本抗体の定常領域は免疫システム(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体システムの第1の構
成要素(CIq)の種々の細胞を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し
得る。
【0070】
本明細書中で使用される場合、用語「抗原結合フラグメント」は標的抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の部分をいう。抗体の抗原結合機能が全長抗体のフ
ラグメントによって実施され得る。抗体フラグメントが例えば、Fab、F(ab')2、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、アフィボディ、ナノボディ、アプタマー、またはドメイン抗体であり得る。抗体の用語「抗原結合フラグメント」に包含される結合フラグメントの例としては(i)Fabフラグメント、VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価フラグメン
ト;(ii)F(ab')2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメ
ント;(iv)単一のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメントが挙げられるが、これらに
限定されない。(v)抗体のアーム;(v)VHドメインおよびVLドメインを含むdAbフラグメント;(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(例えば、Wardら、Nature 341:544-546、1989を参照のこと);(vii)VHドメインまたはVLドメインからなるdAb;(viii)単離された相補性決
定領域(CDR);および(ix)合成リンカーによって任意に連結され得る2つ以上(例えば、2つ
、3つ、4つ、5つ、または6つ)の単離されたCDRの組み合わせ。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされるが、それらは組換え方
法を使用して、VLおよびVH領域が一対になって一価分子(単鎖Fv(scFv)として公知である;例えば、鳥ら、Science 242:423-426、1988およびHustonら、Procを参照のこと)を形成す
る単一のタンパク質鎖として作製されることを可能にするリンカーによって、連結され得る。Natl. Acad. Sci. 米国85:5879-5883, 1988). これらの抗体フラグメントは当業者に公知の従来の技術を使用して得ることができ、フラグメントは、無傷の抗体と同じ様式で有用性についてスクリーニングすることができる。抗原結合フラグメントは組換えDNA技
術、完全な免疫グロブリンの酵素的または化学的切断によって、またはある場合には当該分野で公知の化学的ペプチド合成手順によって産生され得る。
【0071】
本明細書で使用される「完全である」または「全長」抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続された2つの重(H)鎖ポリペプチドおよび2つの光(L)鎖ポリペプチドを有する抗体を指す。
【0072】
「特異的に結合する」という用語は本明細書で使用される場合、抗体(またはADC)が一
般にタンパク質ではなく特異的なタンパク質構造(エピトープ)を認識し、結合する能力を指す。抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識された「A」および抗体を含む反応物中のエピトープA(または遊離の非標識A)を含む分子の存在は抗体に結合する標識Aの
量を減少させる。例えば、抗体は標識された場合、対応する非標識抗体によってその標的から競合して離れることができる場合、標的に「特異的に結合する」。ある実施形態に、抗体は標的(例えば、CD45のような造血幹細胞によって発現される抗原)に特異的に結合する;抗体が少なくとも約10-4 M、約10-5 M、約10-6 M、約10-7 M、約10-8 M、約10-9 M、
約10-10 M、約10-11 M、約10K D M以下(約10-12未満、例えば、10-13である数字を意味する)の標的に対する-12を有する場合。ある実施形態では、K Dは標準バイオ層干渉法(BLI)に従って決定される。しかし、抗体は、配列が関連する2つ以上の抗原に特異的に結合す
ることができることを理解されたい。例えば、inある実施形態では、抗体がヒトおよび非ヒト(例えば、マウスまたは非ヒト霊長類)のオルソログ、例えば、CD45の両方に特異的に結合することができる。
従って、本明細書中で使用される場合、「ヒトCD45に特異的に結合する」という抗体はヒトCD45(およびおそらく1つ以上の非ヒト種由来のCD45)に結合するが、非CD45タンパク質
に実質的に結合しない抗体をいうことが意図される。好ましくは、抗体が1x10K DM以下、5x10-9 M以下の-8、5x10-8 M以下のK D、3x10-8 M以下のK D、1x10-8 M以下のK D、を有
するヒトCD45に結合する。
【0073】
本明細書中で使用される場合、「抗CD45抗体」または「CD45に結合する抗体」とは、抗体がCD45を標的化する際の診断および/または治療薬剤として役立つように、充分な親和
性でCD45に結合することができる抗体をいう。ある実施形態に、抗CD45抗体(またはその
フラグメント)は、抗ヒトCD45(hCD45)抗体(またはそのフラグメント)である。
【0074】
本発明の抗体は一般に、単離されているか、または組換えである。「単離された」とは本明細書中で使用される場合、それが発現された細胞または細胞培養物から分離および/
または回収されたポリペプチド(例えば、抗体)をいい、通常、単離された抗体は少なくとも1つの精製工程によって調製され、従って、「単離された抗体」は種々の抗原特異性を
有する他の抗体を実質的に含まない抗体をいう。例えば、CD45に特異的に結合する単離された抗体は、CD45以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない。
【0075】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という語は当技術分野で利用可能または公知の任意の方法によって、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む単一クローンに由来する抗体を指し、ハイブリドーマ技術によって産生される抗体に限定されない。本発明で有効なモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術、またはそれらの組合せの使用を含む、当技術分野で公知の多種多様な技術を使用して調製することができる。
【0076】
本明細書中で使用される「ダイアボディ」という用語は2つのポリペプチド鎖を含む二
価抗体を指し、各ポリペプチド鎖は短すぎるリンカー(例えば、5つのアミノ酸からなるリンカー)によって接合されたVHおよびVLドメインを含み、同一ペプチド鎖上でVHおよびVL
ドメインの分子内会合を可能にする。この構成は各ドメインをホモ二量体構造を形成するように、別のポリペプチド鎖上で相補的ドメインと対を作るように強制する。従って、「トリアボディ」という用語は3つのペプチド鎖を含む三価抗体を指し、その各々は1つのVHドメインおよび1つのVLドメインを含み、超短いリンカー(例えば、1~2アミノ酸からなるリンカー)によって接合され、同一ペプチド鎖内でVHおよびVLドメインの分子内会合を可
能にする。このようにして組成されたペプチドはその生来の構造に組み込むために、通常、隣接するペプチド鎖の立地的に立地的に近接した立地上にVHとVLドメインを位置づけるようにトリマージン化される(例えば、Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-48、1993を参照)。
【0077】
ここで用いられているように、「バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)」と
いう用語は例えば、モノクローナル、例えば、デイミュニゼーションまたは人間化された抗体のように、同一または種々の抗原に結合可能な二つの異なったエピトープを結合可能にする抗体を指す。例えば、結合特異性の1つは造血幹細胞表面抗原(例えば、CD45)上の
エピトープに向けられ得、そして他はとりわけ、細胞増殖を増強するシグナル伝達経路に関与するレセプターまたはレセプターサブユニットのような、別の造血幹細胞表面抗原または別の細胞表面タンパク質上のエピトープに特異的に結合上記。いくつかの実施形態では、結合特定性が同一の標的抗原上の固有で重複しないエピトープに向けることができる(すなわち、バイパラトピック抗体)。
【0078】
本明細書中で使用される場合、「相補性決定領域」(CDR)という語は、抗体の軽鎖およ
び重鎖可変ドメインの両方に見出される超可変領域をいう。可変ドメインのより高度に保存された部分は、骨格領域(FR)と呼ばれる。抗体の超可変領域を描写するアミノ酸位置は、文脈および当該分野で公知の種々の定義に依存して、変化し得る。可変ドメイン内のいくつかの位置はこれらの位置が1つの基準セットの下では超可変領域内にあるとみなすこ
とができ、別の基準セットの下では超可変領域外にあるとみなすことができるという点で、ハイブリッド超可変位置とみなすことができる。これらの位置の1つ以上はまた、拡張
超可変領域において見出され得る。本明細書中に記載される抗体は、これらのハイブリッドハイパー可変位置における改変を含み得る。天然の重い軽鎖の可変ドメインには、主にβシート構造をとる4つのフレームワーク領域があり、これらは3つのCDRでつながれてお
り、βシート構造をつなぐループを形成し、場合によってはβシート構造の一部を形成する。各々の鎖におけるCDRはFR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順序で骨格領域によって
近接して一緒に保持され、そして他の抗体鎖からのCDRと共に、抗体の標的結合部位の形
成に寄与する(Kabatら、Sequences ofタンパク質of Immunological Interest、国立衛生
研究所、Bethesda、MD.,1987を参照のこと)。ある特定の実施形態に、免疫グロブリンア
ミノ酸残基のナンバリングは特に断らない限り、カバットらの免疫グロブリンアミノ酸残基ナンバリングシステムに従って行われる(しかし、IMGTおよびChothiaを含むが、これらに限定されない、任意の抗体なナンバリングスキームが利用され得る)。
【0079】
また、本明細書に記載の配列番号に記載の配列の「保存的配列修飾」、すなわち、ヌクレオチド配列によってコードされるかまたはアミノ酸配列を含む抗体の抗原への結合を排除しないヌクレオチドおよびアミノ酸配列修飾も提供される。このような保存的配列修飾には、保存的ヌクレオチドおよびアミノ酸置換、ならびにヌクレオチドおよびアミノ酸の付加および欠失が含まれる。例えば、修飾は、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突
然変異誘発など、当技術分野で公知の通常の技術によって本明細書に記載の配列番号に導入することができる。保存的配列修飾には、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される保存的アミノ酸置換が含まれる。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のフ
ァミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例え
ば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。従って、抗CD45抗体中の予測される非必須アミノ酸残基は、好ましくは同じ側鎖ファミリー由来の別
のアミノ酸残基で置換される。抗原結合を排除しないヌクレオチドおよびアミノ酸保存的置換を同定する方法は当該分野で周知である(例えば、Brummellら、Biochem.32:1180-1187(1993); Kobayashiらを参照のこと)。タンパク質Eng. 12(10):879-884(1999);(1999);およびBurksら。Proc. Natl. Acad. Sci. 米国94:41](1997)).
【0080】
本明細書で使用される「Fc」、「Fc領域」、「Fcドメイン」、および「IgG Fcドメイン」という用語は、IgG分子のパパイン消化によって得られる結晶性フラグメントに相関す
る免疫グロブリン、例えばIgG分子の一部を指す。Fc領域は、ジスルフィド結合によって
連結されたIgG分子の2つの重鎖のC末端半分を含む。それは抗原結合活性を有さないが、
補体およびFcレセプター(FcRnレセプターを含む)のための糖類(carbohydrates)部分およ
び結合位置を含む(以下を参照のこと)。例えば、Fcドメインは第2の定常ドメインCH2(例
えば、ヒトIgG1のEU位置231~340の残渣)および第3の定常ドメインCH3(例えば、ヒトIgG1のEU位置341~447の残渣)を含む。本明細書中で使用される場合、このFcドメインは「下
部ヒンジ領域」(例えば、ヒトIgG1のEU位置233~239の残基)を含む。
【0081】
Fcは、単離されたこの領域、または抗体、抗体フラグメント、もしくはFcの融合タンパク質の文脈におけるこの領域を指すことができる。多型はEU位置270、272、312、315、356、および358を含むがこれらに限定されない、Fcドメイン中の多くの位置で観察されており、したがって、本出願で提示される配列と当技術分野で公知の配列との間に若干の差異が存在数。従って、「野生型IgG Fcドメイン」または「WT IgG Fcドメイン」は任意の天
然に存在するIgG Fc領域(すなわち、任意の対立遺伝子)をいう。ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の重鎖の配列はいくつかの配列データベース、例えば、登録数P01857(IGHG1_human)、P01859(IGHG2_human)、P01860(IGHG3_human)およびP01861(IGHG1_human)でそれぞれUniprotデータベース(www.uniprot.org)に見出すことができる。
【0082】
本明細書で使用される「修飾Fc領域」または「バリアントFc領域」という用語は、Fcドメイン内の任意の位置に導入された1つ以上のアミノ酸置換、欠失、挿入または修飾を含
むIgG Fcドメインを指す。特定の局面において、バリアントIgG Fcドメインは、1つ以上
のアミノ酸置換を含まない野生型Fcドメインと比較して、FcガンマRおよび/またはC1qに
対する結合親和性の減少または除去を生じる1つ以上のアミノ酸置換を含む。さらに、Fc
結合相互作用は抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)および補体依存性細胞毒性(CDC)を含
むが、これらに限定されない、様々なエフェクター機能および下流シグナル伝達事象に必須である。従って、特定の局面において、バリアントFcドメイン(例えば、抗体、融合タ
ンパク質、または共役)を含む抗体は他の点では同じアミノ酸配列を有するが、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、挿入、または改変(例えば、Fc領域中の対応する位置に天然に存在
するアミノ酸残基を含む非改変Fc領域)を含まない対応する抗体と比較して、少なくとも1つ以上のFcリガンド(例えば、FcガンマR)に対して改変された結合親和性を示し得る。
【0083】
バリアントFcドメインは、それらを構成するアミノ酸改変に従って定義される。本Fc領域に関して本明細書中で議論される全てのアミノ酸置換について、番号付けは、必ず、カバットにおけるような欧州連合指数に従う。従って、例えば、D265Cは、母体Fcドメイン
に対してシステイン(C)で置換されたEU位置265のアスパラギン酸(D)を有するFcバリアン
トである。置換が提供される順序は任意であることに留意されたい。同様に、例えば、D265C/L234A/L235Aは、母体Fcドメインに対するEU位置265(D~C)、234(L~A)、および235(L~A)での置換を有するバリアントFcバリアントを定義する。バリアントはまた、変異EUアミノ酸位置におけるその最終アミノ酸構成に従って指定され得る。例えば、L234A/L235A
変異体は「LA」と呼ぶことができる。さらなる例として、E233P.L234V.L235A.delG236(236の欠失)変異体は「EPLVLAdelG」と呼ぶことができる。さらに別の例として、I253A.H310A.H435A変異体は「IHH」と呼ぶことができる。置換が提供される順序は任意であることに留意されたい。
【0084】
用語「Fcガンマレセプター」または「FcガンマR」は本明細書中で使用される場合、IgG抗体Fc領域に結合し、そしてFcガンマR遺伝子によってコードされるタンパク質のファミ
リーの任意のメンバーをいう。ヒトにおいて、このファミリーはアイソフォームFcガンマRI(CD64)(アイソフォームFcガンマRIa、Fcガンマリブ、およびFcガンマRII;アイソフォームFcガンマRIIa(アロタイプFcガンマRIIb-1およびFcガンマRIIb-2を含む)、FcガンマRIIb(アイソフォームFcガンマRIIa(アロタイプV158およびF158を含む)、およびFcガンマRIIb(アロタイプFcガンマRIIb-NA1およびFcガンマRIIb-NA2を含む)を含む)、ならびに任意の未発見のヒトFcガンマRまたはFcガンマRアイソフォームを含むが、これらに限定されない。FcガンマRは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルを含むがこれらに限定されな
い任意の生物に由来し得る。マウスなFcガンマRはFcガンマRI(CD64)、FcガンマRII(CD32)、FcガンマRIII(CD16)、およびFcガンマRIII-2(CD16-2)、ならびに任意の未発見のマウスなFcガンマRまたはFcガンマRアイソフォームまたはアロタイプを含むが、これらに限定されない。
【0085】
本明細書で使用される「エフェクター機能」という語はFcドメインとFcレセプターとの相互作用から生じる生化学的事象を指す。エフェクター機能にはADCC、ADCP、およびCDC
が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「エフェクター細胞」は1
つ以上のFcレセプターを発現し、1つ以上のエフェクター機能を媒介する免疫システムの
細胞を意味する。エフェクター細胞には単球, マクロファージ,好中球,樹状細胞,好酸球,マスト細胞,血小板(platelets)、B細胞、大顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、ナチュ
ラルキラー(NK)細胞、およびガンマデルタT細胞が含まれるが、これらに限定されず、ヒ
ト、マウス、ネズミ、ウサギ、およびサルを含むがこれらに限定されない任意の生物から得る。
【0086】
本明細書で使用される「サイレント」、「サイレンシング」、または「サイレンシング」という語はFcγRへの未変性のFc領域の結合と比較して、FcγRへの未変性のFc領域の結合を減少させた(例えば、BLIによって測定される、FcγRへの未変性のFc領域を含む同一
抗体の結合と比較して、FcγRへの結合を少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%減少させる)本明細書に記載のガンマレセプターを有する抗体を指す。いくつかの実施形態では、このFc不活化(Fc silenced)抗体がFcγRへの検出可能な結合を有さない。修飾されたFc領域を有する抗体のFcγRへの結合は当技術分野で公知の様々な技術、例えば、平衡方法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA); KinExA、Rathanaswamiら)を用いて決定することができるが、これらに限定されない。Analytical Biochemistry、Vol. 373:52-60, 2008; 2008年、また
は表面プラズモン共鳴アッセイもしくは動態に基づくアッセイの他のメカニズム(例えば
、BIACORE TM解析またはOctet TM解析(forteBIO))、および間接結合アッセイ、競合結合
アッセイ、蛍光共鳴エネルギ移動(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィ(例えば
、ゲルろ過)などの他の方法。これらおよび他の方法は検査される成分の1つまたは複数上の標識を利用することができ、および/または、発色性、蛍光性、発光性、または同位体
標識を含むがこれらに限定されない様々な検出方法を使用することができる。結合親和性および動態の詳細な記載はPaul、WE、ed、Fundamental Immunology、4th Ed、Lippincott
-Raven、Philadelphia(1999)に見出すことができ、これは抗体免疫原相互作用に焦点を当てている。競合結合アッセイの一例は、増大する量の非標識抗原の存在下での標識抗原と目的の抗体とのインキュベーション、および標識抗原に結合した抗体の検出を含むラジオイムノアッセイである。特定の抗原および結合オフレート(off-rate)に対する関心の抗体の親和性は、スキャッチャードプロット解析によるデーターから決定され得る。第2の抗
体との競合はまた、ラジオイムノアッセイを使用して決定され得る。この際、標識された化合物に結合した関心の抗体と、標識されていない二次抗体の存在下でインキュベートする。
【0087】
本明細書で使用される「未変性のFc領域を含む同一抗体」という語は列挙されたアミノ酸置換(例えば、D265C、H435A、L234A、および/またはL235A)を欠くが、他の点では比較
されるFc修飾抗体と同じアミノ酸配列を有する抗体を指す。
【0088】
用語「抗体依存性細胞媒介細胞傷害性」または「ADCC」は特定の細胞傷害性細胞(例え
ば、主にNK細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcR)上に結合したFcドメイン(例えば、抗体)を含むポリペプチドが抗原を有する「ターゲット細胞」に特異的に結合し、続いて細胞毒素でターゲット細胞を死滅させることを可能にする、細胞毒性形態をいう。抗体およびそのフラグメントに加えて、抗原保有ターゲット細胞に特異的に結合する能力を有する、Fcドメイン(例えば、Fc融合タンパク質およびFc共役タン
パク質)を含む他のポリペプチドが、細胞媒介細胞傷害性をもたらすことができることが
企図される。
【0089】
単純化のために、Fcドメインを含むポリぺポリペプチドの活性から生じる細胞媒介性細胞傷害性はまた、本明細書中では、ADCC活性とも呼ばれる。本発明の任意の特定のポリペプチドの、ADCCによるターゲット細胞の溶解を媒介する能力は、アッセイされ得る。ADCC活性を評価するために、目的のポリぺプチド(例えば、抗体)が、免疫エフェクター細胞と組み合わされてターゲット細胞に添加され、ターゲット細胞の細胞溶解を生じる。細胞溶解は一般に、溶解した細胞からの標識(例えば、放射性基質、蛍光色素または天然の細胞
内タンパク質)の放出によって検出される。このようなアッセイに有効なエフェクタ細胞
には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。インビトロADCCアッセイの具体例は、Bruggemann et al、JExp.に記載されている。中央値。166:1351(1987);(1987); Wilkinson et al、JImmunol. 方法258:183(2001); Patelら、JImmunol.
方法 184:29(1995). あるいは、またはさらに、関心の抗体のADCC活性はインビボで(例えば、Clynesら、Procに開示されるような動物モデルにおいて)評価され得る。Natl. Acad.
Sci. 米国95:652(1998).
【0090】
本明細書中で使用される場合、用語「状態」および「状態調節」は移植(例えば、造血
幹細胞を含む移植)の受容のために患者が調製されるプロセスをいう。このような手続は
造血幹細胞移植の定植を促進する(例えば、調整手続およびその後の造血幹細胞移植後に
患児から単離されたサンプル内の患者造血幹細胞の量の持続的な増大から推測される)。
本明細書に記載される方法によれば、患者は、造血幹細胞によって発現されるCD45に結合することができるADC、抗体またはその抗原結合フラグメントを患者に投与することによ
って、造血幹細胞移植療法のために状態調節され得る。本明細書中に記載されるように、抗体は薬物-抗体結合体(本明細書中では抗体薬物コンジュゲート(ADC)とも互換的に呼ば
れる)を形成するように、細胞毒素に共有結合的に結合され得る。造血幹細胞移植療法を
必要とする患者に対して1つ以上の前記の抗原を結合し得るADC、または抗体、またはその抗原結合フラグメントの投与は例えば、内因性の造血幹細胞を選択的に枯渇させることによって、造血幹細胞移植片の定植を促進し得、それによって、外生的造血幹細胞移植によって満たされた空孔を作製する。
【0091】
本明細書で使用される「有効量」または「治療有効量」という語は所望の結果を達成するために、またはヒト患者における自己免疫疾患またはがんに影響を及ぼすために充分な治療薬剤、例えば、抗CD45 ADCの量を指す。
【0092】
本明細書で使用される「半減期」という語は、対象、例えばヒト対象において、体内の抗体薬物の血漿中濃度が半分または50%低下するのにかかる時間を指す。この血清濃度の50%の低下は、循環する薬物の量を反映する。
【0093】
本明細書中で使用される場合、「ヒト抗体」という用語はヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含むことが意図される。ヒト抗体がヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、イン
ビトロまたは遺伝子再編成中のランダムもしくは部位特異的突然変異誘発によって、またはインビボでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含み得る。しかし、本明
細書中で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている抗体を含むこと
が意図されない。ヒト抗体はヒト細胞において(例えば、組換え発現によって)、または機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現
上記非ヒト動物または原核生物もしくは真核細胞によって産生され得る。ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然のヒト抗体には見出されないリンカーペプチドを含み得る。例えば、Fvは2~約8個のグリシンまたは他のアミノ酸残基のようなリンカーペプチドを含み得、これは本重鎖の可変領域および本軽鎖の可変領域を連結する。このようなリンカーペプチドは、ヒト起源であると考えられる。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを使用するファージディスプレイ方法を含む、当該分野で公知の種々の方法によって作製され得る。ヒト抗体は機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して作製することもできる(例えば、PCT公開番号WO 1998/24893; WO 1992/01047; WO 1996/34096; WO 1996/33735;米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;第5,885,793号;第5,916,771号;
および第5,939,598号を参照のこと。
【0094】
「キメラ抗体」という語は可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種、
例えば可変領域配列がラット抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体に由来する抗体を指すことを意図する。キメラ抗体を産生するための方法は、当該分野で公知である。例えば、Morrison,1985、Science 229(4719):1202-7; Oiら、1986、BioTechniques 4:214-221; Gilliesら、1985、JImmunolを参照のこと。方法125:191-202;米国特許。No. 5,807,715; 4,816,567; 4,816,567、4,816,397。
【0095】
用語「脱免疫化された」または「脱免疫化」は本明細書中で使用される場合、前記野生型構築物をヒトにおいて非免疫原性または免疫原性を低下させることによる、元の野生型構築物(または親抗体)の改変に関する。脱免疫化された抗体は非ヒト起源の部分(例えば
、フレームワーク領域および/またはCDR)を含む。本明細書中で使用される場合、用語「
脱免疫化された抗体」は被験体の免疫システムを活性化しないように変異によって脱免疫化される抗体をいう(例えば、Nanusら、JUrology 170:S84-S89、2003; WO98/52976; WO00/34317)。
【0096】
非ヒト(例えば、マウスまたはラット)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む免疫グロブリンである。通常、ヒト化抗体は少なくとも1つ、
典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、CDR領域のすべてまたは実質的にすべては非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてはヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)
、典型的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のもの少なくとも一部を含み得る。抗体ヒト化の方法は、当該分野で公知である。例えば、Riechmannら、1988、Nature 332:323-7;米国特許を参照のこと。No. 5,530,101; 5,585,089; 5,585,089; 5,693,761; 5,693,762;および6,180,370(Queenら);EP239400; PCT公開WO 91/09967;米国特許。No。5,225,539; EP592106; EP519596; Padlan、1991、Mol. Immunol、28:489-498; Studnicka et al、1994、Prot. Eng. 7:805-814; Roguska et al、1994、Proc. Natl. Acad. Sci. 91:969-973; 米国特許。有しない. 5,565,332.
【0097】
本明細書中で使用される場合、「定植電位」という語は、造血幹および前駆細胞がそのような細胞が天然に循環しているか、または移植によって提供されるかにかかわらず、組織を再増殖させることができることを指すために使用される。この語は、細胞の組織ホーミングおよび目的の組織内の細胞のコロニー形成のような、移植を取り巻くか、または移植に至るすべての事象を包含する。定植の有効性効率速度は当業者に公知の任意の臨床的に許容可能なパラメータを使用して評価効率定量され得、そして例えば、競合的再定植ユニット(competitive repopulating unit)(CRU)の評価;幹細胞がホーミング、コロニー形
成、効率移植された組織におけるマーカーの取り込み効率発現;効率疾患進行、造血幹お
よび前駆細胞の生存、効率レシピエント(recipient)の生存を介する被験体の進行の評価
によって、評価効率定量され得る。定植は、移植期間の末梢血の白血球細胞数を測定することによっても判定できる。定植はまた、骨髄穿刺液サンプルにおけるドナー(donor)細
胞による骨髄細胞の回収を測定することによって評価することができる。
【0098】
本明細書中で使用される、用語「造血幹細胞」(「HSC」)は自己複製し、かつ、限定さ
れないが、単球(例えば、前骨髄球、好中球, 好酸球,好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、巨核球を産生する血小板(platelet))、単球(例えば、細胞)、細胞、およびリンパ球(例えば、顆粒球、B細胞およびT細胞)を含む多様
な系統を含む成熟血中樹状細胞,ミクログリア,破骨細胞に分化する能力を有する未成熟血中マクロファージを指す。そのような細胞は、CD34+細胞を含むことができる。CD34+細胞は、CD34細胞表面マーカーを発現する未成熟細胞である。ヒトではCD34+細胞が上記に定
義された幹細胞特性を有する細胞の部分集団を含むと考えられているが、マウスではHSC
はCD34-である。さらに、HSCはまた、長期再増殖HSC(LT-HSC)および短期再増殖HSC(ST-HSC)を指す。LT-HSCおよびST-HSCは、機能的可能性および細胞表面マーカー発現に基づいて分化される。例えば、ヒトHSCは、CD34+、CD38-、CD45RA-、CD90+、CD49F+、lin(CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD11B、CD19、CD20、CD56、CD235Aを含む成熟した直線マーカ
ーについては負の値)。マウスにおいて、骨髄LT-HSCはCD34-、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、CD48-、およびlin(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7raを含む成熟系統マーカーに対して陰性)であるのに対し、ST-HSCは、CD34+、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、およびlin(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7raを含む成熟系統。加えて、ST‐HSCはホメオスタシス条件下でLT‐HSCよりも静止期が少
なく、より増殖性である。しかしながら、LT-HSCはより大きな自己複製能を有する(すな
わち、成人期を通して生存し、連続したレシピエント(recipient)を通して連続的に移植
時間)のに対し、ST-HSCは限定された自己複製を有する(すなわち、それらは限られた期間のみ生存し、連続した移植能を有しない)。これらのHSCのいずれも、本明細書中に記載される方法において使用され得る。ST-HSCはそれらが高度に増殖性であり、従って、分化した子孫をより迅速に生じ得るので、特に有用である。
【0099】
本明細書中で使用される「造血幹細胞機能可能性」という用語は1)顆粒球(例えば、前
骨髄球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球)、血小板(例えば、巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、お
よびリンパ球(例えば、NK細胞、T細胞およびB細胞)を含むが、これらに限定されない複数の異なる血液系統に分化する能力を指す、2)自己複製(母細胞として同等の可能性を有す
る造血幹細胞の能力を指す、さらに、この能力は枯渇することなく個々の寿命にわたって繰り返され得ること、および3)それらが帰宅する移植レシピエントに再導入される造血幹細胞またはその子孫の能力 造血幹細胞ニッチに到達し、生産的かつ持続的な造血を再確
立する。
【0100】
本明細書中で使用される場合、用語「対象」および「患者」は、本明細書中に記載されるような特定の疾患または状態のための処置を受ける、ヒトのような生物をいう。例えば、ヒト患者のような患者は外生的造血幹細胞の定植を促進するために、造血幹細胞移植療法前に治療を受けることができる。
【0101】
本明細書で使用される「ドナー(donor)」という語は、細胞またはその子孫をレシピエ
ント(recipient)に投与する前に1つ以上の細胞が単離されたヒトまたは動物を指す。1つ
以上の細胞は例えば、造血幹細胞の集団であり得る。
【0102】
本明細書中で使用される場合、「レシピエント(recipient)」という語は、造血幹細胞
の集団を含む移植片のような移植片を受ける被験体をいう。移植された細胞をレシピエント(recipient)に投与することは、例えば、自家、同系、または同種細胞であり得る。
【0103】
本明細書で使用される「内因性」という用語はヒト患者のような特定の生物体に自然に見出される分子、細胞、組織、または臓器(例えば、造血幹細胞、または巨核球, 血小板(thrombocyte),血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞、筋芽細胞、好塩基球,好中球,好
酸球、ミクログリア細胞,顆粒球,単球,破骨細胞,抗原提示細胞,マクロファージ,樹状細胞,ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、またはB-リンパ球のような造血系列の細胞)のような物質を記述する。
【0104】
本明細書で使用される「サンプル」という語は対象から採取された検体(例えば、血液
、血液成分(例えば、血清または血漿)、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、組織(例えば、胎盤
または真皮)、膵液、絨毛膜絨毛サンプル、および細胞)を指す。
【0105】
本明細書で使用されるように、「血液から実質的に除去された」という語句は患者から単離された血液サンプル中の治療薬剤の濃度が治療薬剤が従来の方法では検出できない(
例えば、治療薬剤が治療薬剤を検出するために使用されるデバイスまたは検定の雑音しきい値を超えて検出できない)ようなものである場合に、治療薬剤(例えば、抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメント)を患者に投与した後の時点を指す。当技術分野で公知の
、または本明細書に記載のELISAベースの検出アッセイなどの、当技術分野で公知の種々
の技術を使用して、抗体、抗体フラグメント、およびタンパク質リガンドを検出することができる。抗体または抗体フラグメントを検出するために使用することができる追加のアッセイには、特に、当技術分野で知られている免疫沈降技法およびイムノブロットアッセイが含まれる。
【0106】
本明細書で「処理する」または「処理」に使用される場合、疾患症状(symptom)の重症
度および/または周波数を減少させ、疾患症状(symptom)および/または前記症状(symptom)の根底にある原因を排除し、疾患症状(symptom)および/またはその根底にある原因の周波数または可能性を減少させ、疾患によって直接的または間接的に引き起こされる損傷、延長された生存、より少ない罹患率、および/または代替処理様式の副産物である副作用の
減少などの疾患の任意の結果の任意の向上を向上または修復することを指す;当技術分野
で容易に理解されるように、疾患の完全な根絶は好ましいが、処理行為の必要条件ではない。有益なまたは所望の臨床結果としては本明細書に記載されるような外生的造血細胞の定植を促進すること、およびその後の造血幹細胞移植療法の有益な結果としては条件付け療法およびその後の患者への外生的造血幹細胞移植片の投与後の造血幹細胞移植を必要と
する患者における造血幹細胞の細胞数または比濃度の増大が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される治療の有益な成果はまた、前処置療法およびその後の造血幹細胞移植療法に続いて、巨核球, 血小板(thrombocyte),血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞,骨髄芽球,好塩基球,好中球,好酸球、ミクログリア細胞,顆粒球,単球,破骨細
胞,抗原提示細胞,マクロファージ,樹状細胞,ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、またはB-リンパ球のような造血系統の1以上の細胞の細胞数または相対的集中の増大を含み得
る。さらなる有益な結果にはがん細胞の集団(例えば、CD45+白血病細胞)または自己免疫
細胞(例えば、自己抗原と交差反応するT-細胞レセプターを発現するCD45+ T-細胞のよう
なCD45+自己免疫リンパ球)のような障害を引き起こす細胞集団の量の低下が含まれ得る。本開示の方法が障害の予防に向けられる限りにおいては「予防する」という用語が障害状態を完全に阻止する必要がないと理解される。むしろ、本明細書中で使用される場合、予防という語は本発明の化合物の投与が疾病の発症前に上記ように、障害に感受性である集団を同定する当業者の能をいう。この用語は、病態が完全に回避されていることを意味するものではない。
【0107】
本明細書中で使用される場合、造血幹細胞移植を「必要とする」患者は、1つ以上の血
中細胞型において欠損または欠損を示す患者、ならびに本明細書中に記載される幹細胞障害、自己免疫病、がん、または他の病理を有する患者を含む。造血幹細胞は一般に、1)多能性を示し、したがって、限定されないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球, 好酸球,好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞,ミクログリア,破骨細胞、およびリンパ球(例えば、NK細胞、B-細胞およびT-細胞)、2)自己再生を含み、したがって、母親細胞と同等の可能性を有する娘細胞を生じさせることができ、3)移植レシピエント(recipient)に再導入され、その結果、それらが造血幹細
胞間隙に位置し、生産的で持続的な造血を再確立する能力を含む、多数の異なった血系統に分化することができる。したがって、造血幹細胞はインビボでの細胞の欠損または欠損集団を再構成するために、造血系列の1つ以上の細胞型を欠損または欠損した患児に投与
することができる。例えば、該患者はがんに罹患している可能性があり、該欠陥は、癌性細胞集団を選択的または非特異的に枯渇させる化学療法剤または他の薬剤の投与によって引き起こされる可能性がある。さらに、またはその代替として、患者は鎌状赤血球貧血, サラセミア,ファンコニ貧血,再生不良性貧血、およびウィスコット‐アルドリッチ症候群のような異常ヘモグロビン症(例えば、非悪性異常ヘモグロビン症)を患っている可能性がある。被験体は、アデノシンデアミナーゼ重度複合免疫不全症(ADA SCID)、HIV/AIDS、異染性白質ジストロフィー、ダイアモンド‐ブラックファン貧血、およびシュワッハマン- ダイアモンド症候群を患っているものであってよい。被験体は遺伝性血液疾患(例えば、
鎌状赤血球貧血)または自己免疫疾患を有するか、またはその影響を受け得る。さらに、
またはその代替として、被験体は、神経芽細胞腫または血液学的がんのような悪性腫瘍を有するか、またはその影響を上記。例えば、被験体は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫を有し得る。いくつかの実施形態では、被験者は急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性リンパ性白血病,多発性骨髄腫,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
、または非ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)を有する。いくつかの実施形態では、対象は骨髄異形成症候群を有する。いくつかの実施形態では、対象が強皮症, 多発性硬化症,潰瘍性大腸炎,クローン病、I型糖尿病などの自己免疫病、または本明細書に上
記の別の自己免疫病理を有する。いくつかの実施形態では、対象がキメラ抗原レセプター(chimeric antigen receptor)T-細胞(CART)治療を必要とする。いくつかの実施形態では
、被験体が代謝貯蔵障害を有するか、またはそわなければそれによって影響される。被験体は糖原病、ムコ多糖類症、ゴーシェ病、スフィンゴ脂質症、異染性白質ジストロフィー、または本明細書に開示される治療および治療から有益であり得る任意の他の疾患または障害(限定されるわけではないが、重症複合免疫不全症、ウィスコットオールドリッチ症
候群、高免疫グロブリンM(IgM)症候群、チェディアック東病、遺伝性リンパ組織球症、骨
形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、鎌状赤血球症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、若年性関節リウマチ、またはそれらの疾患、またはASH教育ブック、1:319-338(2000)ここではその開示が造血幹細胞移植治療の実施によって治療され得る病態に関するものであり、さらに、造血幹細胞移植を「必要としている」患者は以下のいずれかに罹患しているか、または罹患していない それにもかかわらず、上述の病態は巨核球、
血小板、血小板、赤血球、肥満細胞、筋好酸球、好中球、好酸球、ミクログリア、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球、およびBリンパ球のような、造血系列内の1つ以上の内因性細胞型のレベルの
低下(例えば、それ以外は健康な被験者のレベルと比較して)を示す。当業者のある者は、前記の細胞型または他の血中細胞型の1つ以上のレベルが例えば、当該分野で公知の他の
手続の中でも、フロー・サイトメトリーおよび蛍光活性化細胞選別(fluorescence activated cell sorting)(FACS)方法によって、他の健康な被験体に対して低下しているかどう
かを容易に決定し得る。
【0108】
本明細書中で使用されるように、語句「幹細胞障害」は広く、被験体のターゲット組織を調整することによって、および/またはターゲット組織中の内因性幹細胞集団を切除す
ることによって(例えば、被験体の骨髄組織からの内因性造血幹または前駆細胞集団を切
除することによって)、および/または被験体のターゲット組織に幹細胞を移植または移植することによって、処置または治癒され得る任意の疾患、障害、または条件をいう。例えば、I型糖尿病は造血幹細胞移植によって治癒することが示されており、本明細書に記載
の組成物および方法に従って調整することから利益を得ることができる。本明細書に記載の組成物および方法を用いて治療することができるさらなる障害には鎌状赤血球貧血, サラセミア,ファンコニ貧血,再生不良性貧血,ウィスコット‐アルドリッチ症候群、ADA SCID、HIV・エイズ、異染性白質ジストロフィー、ダイアモンド‐ブラックファン貧血、およびシュワッハマン- ダイアモンド症候群が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される患者の前処置および/または造血幹細胞移植方法を用いて治療することがで
きるさらなる疾患は遺伝性血液障害(例えば、鎌状赤血球貧血)および自己免疫障害、例えば、強皮症, 多発性硬化症,潰瘍性大腸炎、およびクローン病を包含する。本明細書中に
記載される調整および/または移植方法を使用して処置され上記さらなる疾患は悪性腫瘍(例えば、神経芽細胞腫)または血液学的がん(例えば、白血病、リンパ腫、および骨髄腫)
を含む。例えば、がんは、急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性リンパ性白血病,多発性骨髄腫,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または非ホジキン・
リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)であり得る。本明細書に記載の調整および/または移
植方法を用いて治療可能なさらなる疾患には、骨髄異形成症候群が含まれる。いくつかの実施形態では、被験体が代謝貯蔵障害を有するか、またはそわなければそれによって影響される。例えば、被験体はグリコーゲン蓄積症, ムコ多糖症,ゴーシェ病,ハーラー病、スフィンゴ脂質症、異染性白質ジストロフィー、または本明細書に開示される治療および治療から利益を得ることができる他の疾患または障害から選択される代謝障害を患うか、または他の障害に影響されることがあり、これらには限定されるわけではないが、重度複合免疫不全症、ウィスコットアルドリッチ症候群、高免疫グロブリンM(IgM)症候群、チェディアック‐東病,遺伝性リンパ組織球症,大理石骨病,骨形成不全症,貯蔵疾患,サラセミア
・メジャー,鎌状赤血球症,全身性硬化症,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus), 多発性硬化症,若年性関節リウマチ、および「非悪性疾患のための骨髄移植」、ASH Education Book、1:319-338(2000)に記載されているそれらの疾患、または障害が
含まれ、これらの障害は造血幹細胞移植療法の投与によって治療されることがある病理に関するものとして、本明細書中で。
【0109】
本明細書で使用される「ベクター」という語は、プラスミド、DNAベクター、プラスミ
ド、RNAベクター、ウイルス、または他の好適なレプリコンなどの核酸ベクターを含む。
本明細書に記載の発現ベクターはポリヌクレオチド配列、ならびに、例えば、タンパク質
の発現および/または哺乳動物細胞のゲノムへのこれらのポリヌクレオチド配列の集積に
使用されるさらなる配列エレメントを含み得る。本発明の抗体および抗体フラグメントの発現のために使用され上記特定のベクターは、遺伝子転写を指向するプロモータ領域およびエンハンサ領域のような調節配列を含むプラスミドを含む。抗体および抗体フラグメントの発現のための他の有効なベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を増強するか、または遺伝子転写から生じるmRNAの安定性または核外移行を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列要素は例えば、発現ベクター上に担持される遺伝子の効率的な転写を指示するために、5'および3'非翻訳領域、ならびにポリアデニル化シグナル部位を含み得る。本明細書に上記の発現ベクターは、このようなベクターを含む細胞の選択のためのマーカーを符号化するポリヌクレオチドも含み得る。適切なマーカーの実施例には、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、およびノウルセオスリシンなどの抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子が含まれる。
【0110】
本明細書で使用される「結合体」または「抗体薬物コンジュゲート」または「ADC」と
いう語は、細胞毒素に連結された抗体を指す。ADCは1つの分子(例えば、抗体またはその
抗原結合フラグメント)の反応性官能基と、別の分子(例えば、本明細書中に記載される細胞毒素)の適切に反応性の官能基との化学結合によって形成される。複合体は互いに結合
した2つの分子間、例えば、抗体と細胞毒素との間のリンカーを含み得る。コンジュゲー
トの形成に用いることができるリンカーの実施例には、ペプチド含有リンカー、実施例えば、D-アミノ酸のような天然に存在するアミノ酸または天然に存在しないアミノ酸を含むものが含まれる。リンカーは、本明細書中に記載され、そして当該分野で公知の種々の方策を使用して調製され得る。その中の反応性成分に依存して、リンカーは例えば、酵素的加水分解、光分解、酸性条件下での加水分解、基本条件加水分解、酸化、ジスルフィド還元、求核切断、または有機金属切断によって切断され得る(例えば、Lericheら、Bioorg.Med.Chem.,20:571-582,2012を参照のこと)。
【0111】
本明細書中で使用される場合、「薬物対抗体比」または「DAR」は結合体の抗体に結合
した薬物(例えば、アマトキシン)の数をいう。抗体上の連結部位の個数に応じて、より高い負荷も考えられるが、ADCのDARは1~8であってもよい。ある特定の実施形態に、共役体は、1、2、3、4、5、6、7、または8のDARを有する。
【0112】
本明細書で使用される「微小管結合剤」という語は、細胞における有糸分裂および間期細胞機能に必須である微小管網を破壊することによって作用する化合物を指す。微小管結合剤の実施例としてはメイタシン、メイタンシノイド、およびそれらの誘導体(実施例え
ば、本明細書中に記載されるかまたは当該分野で公知のもの)、ビンカ・アルカロイド(実施例えば、ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビン)、タキサン(実施例えば、ドセタキセルおよびパクリタキセル)、マクロライド(実施例えば、ディスコデルモリド、コキシン、およびエポチロン)、ならびにそれらの誘導体(実施例えば、エポチロンBまたはそれらの誘導体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
本明細書で使用する「アマトキシン」という語は、Amanita phalloides mushroomsによって産生されるペプチドのアマトキシンファミリーの部材、またはRNAポリメラーゼII活
性を阻害することができるバリアントもしくはその誘導体などのそのバリアントもしくは誘導体を指す。本明細書中に記載される組成物および方法と関連して有効なアマトキシンには式(IV)、(IVA)、(IVB)、および(IVC)の化合物、または他のアマトキシン(例えば、αアマニチン、βアマニチン、γアマニチン、εアマニチン、アマニン、アマニンアミド, アマヌリン,アマヌリン酸、またはプロアマヌリン)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書中に記載されるように、アマトキシンは例えば、リンカー部分(L)によって、
抗体またはその抗原結合フラグメントに結合体化され得る(したがって、ADCを形成する)
。このようなプロセスに有効なアマトキシン結合体およびリンカーの例示的な方法を以下に記載する。組成物および方法に従って、抗体または抗原結合フラグメントへの共役に有用な例示的なリンカー含有アマトキシンもまた、本明細書に記載される。
【0114】
本明細書で使用される「アシル」という語は-C(=O)Rを指し、ここで、Rは本明細書で定義されるように、H(「アルデヒド」)、C 1 -C 12 アルキル、C 2 -C 12アルケニル、C 2 -C 12アルキニル、C 3 -C 7カルボシクリル、C 6 -C 20アリール、5-10メンバーヘテロアリール、または5-10メンバーヘテロシクリルである。非限定的な例としては、ホルミル基、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、およびアクリロイルが挙げられる。
【0115】
本明細書で使用される「C 1 -C 12アルキル」という語は、1~12個の炭素原子を有する直鎖または分岐の飽和炭化水素を指す。代理人C1 -C12のアルキル群には-methyl、-ethyl、-n-propyl、-n-butyl、-n-pentyl、および-n-hexylが含まれるが、これらに限定されない分岐C1 -C12のアルキルには-isopyl、-sec-butyl、-isobutyl、-tert-butyl、-isopentyl、および2-methylbutylが含まれるが、これらに限定されない。C1 -C12のアルキル基は、置換されないか、または置換されることができる。
【0116】
本明細書で使用される「アルケニル」という語は、不飽和の少なくとも1つの部位、す
なわち炭素-炭素、sp 2二重結合を有する、通常、第2級、または第3級炭素原子を含むC 2
-C 12炭化水素を指す。例としてはエチレンまたはビニル、-アリル、-1-ブテニル、-2-
ブテニル、-イソブチレニル、-1-ペンテニル、-2-ペンテニル、-3-メチル-1-ブテニル、-2-メチル-2-ブテニル、-2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定さ
れない。アルケニル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0117】
本明細書で使用される「アルキニル」は、不飽和の少なくとも1つの部位、すなわち炭
素-炭素、sp三重結合を有する、正常、二次、または三次炭素原子を含むC 2 -C 12炭化水素を指す。例としてはアセチレンおよびプロパルギルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0118】
「アリール」は、本明細書中で使用される場合、C 6 -C 20炭素環芳香族基を指す。ア
リール基の例としてはフェニル、ナフチルおよびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0119】
本明細書で使用される「アリールアルキル」は、炭素原子に結合した水素原子の1つ、
典型的には端末装置またはsp 3炭素原子がアリール基で置換されている非環状アルキル基を指す。代表的なアリールアルキル基としてはベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、2-
フェニルエテン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イル、2-ナフチルエテン-1-イル、ナフトベンジル、2-ナフトフェニルエタン-1-イルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。アリールアルキル基は6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリール
アルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル基を含むアルキル部分は1~6個の炭素原子であり、アリール部分は、5~14個の炭素原子である。アルカリル基は、置換さ
れていなくても置換されていてもよい。
【0120】
本明細書で使用される「シクロアルキル」は飽和炭素環式基を指し、これは単環式または二環式であってもよい。シクロアルキル基は、単環として3~7個の炭素原子を有する環、または自転車として7~12個の炭素原子を有する環を含む。単環式シクロアルキル基の
実施例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれる。シクロアルキル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0121】
本明細書で使用される「シクロアルケニル」は不飽和炭素環式基を指し、これは単環式でも二環式でもよい。シクロアルケニル基は、単環として3~6個の炭素原子を有する環、または自転車として7~12個の炭素原子を有する環を含む。単環式シクロアルケニル基の
実施例には、1-シクロペント-1-エニル、1-シクロペント-2-エニル、1-シクロペント-3-
エニル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、および1-シクロヘキサ-3-エニルが含まれる。シクロアルケニル基は、置換されていなくても置換されていてもよ
い。
【0122】
本明細書で使用される「ヘテロアラルキル」は、炭素原子に結合した水素原子の1つ、
典型的には端末装置またはsp3炭素原子がヘテロアリール基で置換されている非環状アル
キル基を指す。典型的なヘテロアリールアルキル基は限定されるものではないが、2-ベンズイミダゾリルメチル、2-フリルエチル等を含む。ヘテロアリールアルキル基は6~20個
の炭素原子、例えばヘテロアリールアルキル基のアルキル部分(アルカニル、アルケニル
またはアルキニル基を含む)を含み、ヘテロアリール部分は1~6個の炭素原子であり、ヘ
テロアリール部分は5~14個の炭素原子であり、N、O、P、およびSから選択される1~3個
のヘテロ原子は、3~7個の環員(2~6個の炭素原子、または7~10個の環員(4~9個の炭素
原子およびN、O、P、およびSから選択される1~3個のヘテロ原子)を有する単環であって
もよく、例えば:ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、または[6,6]システム。
【0123】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」および「ヘテロシクロアルキル」はそれぞれ芳香族または非芳香族環システムを意味し、ここで1つ以上の環原子は、ヘテロ原子、例
えば窒素、酸素、およびイオウである。ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルラジカルは、2~20個の炭素原子およびN、O、P、およびSから選択される1~3個のヘテロ原子
を含む。Aヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは3~7個の環員(2~6個の炭素原子およびN、O、P、およびSから選択される1~3個のヘテロ原子)を有する単環、または7~10個の環員(4~9個の炭素原子およびN、O、P、およびSから選択される1~3個のヘテロ原子)を有する自転車、例えば、二環式[4,5]、[5,5]、[5,6]、または[6,。ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0124】
ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキル基は、Paquette、Leo A.;「現代のヘテロ
環状化学の原理」(WABenjamin、New York、1968)、特に第1章、3章、4章、6章、7および9;「複素環化合物の化学、A一連のモノグラフ」(John Wiley & Sons、New York、1950年から現在まで)、特に巻13、14、16、19および28;およびJAmに記載されている。化学協会。(1960)82:5566.
【0125】
ヘテロアリール基の例としては例えば、ピリジル、チアゾリル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、3H-インダリル、プリニル、4H-キノリジニル、フタラジニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナンスロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。フェノキサジニル、イソクロマニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イサチノイル。
【0126】
ヘテロシクロアルキルの実施例としてはジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピ
ペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル
、2-ピロリドニル、テトラヒドロフランイル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒド
ロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌ
クリジニル、およびモルホリニルが挙げられるが、実施実施例に限定されない。
【0127】
限定ではなく例として、炭素結合ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、ピリジンの2、3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの2、4、5、もしくは6位、ピリダジンの2、3、4、5、もしくは6位、フランの2、3、5、4、もしくは5位、テトラヒドロフラン、チオファレン、チオファレン、ピロールもしくはテトラ
ヒドロピロール、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2、4、もしくは5位
、イソオキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3、4、もしくは5位、アジ
リジンの2、3、もしくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、もしくは8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは8位に結合される。更に典型的には、炭素結合ヘテ
ロシクリルは2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、5-ピリジル、6-ピリジル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル、6-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、2-ピラジニル、3-ピラジニル、5-ピラジニル、6-ピラジニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、又は5-チアゾリルを包含する。
【0128】
限定ではなく例示として、窒素結合ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドール、1時間インダ
ゾール、イソインドールの2位、モルホリンの4位、およびカルバゾールの9位、またはベ
ータカルボリンの1位に結合している。更に典型的には、窒素結合ヘテロシクリルは1-ア
ジリジル、1-アゼチジル、1-ピロリル、1-イミダゾリル、1-ピラゾリル、及び1-ピペリジニルを包含する。
【0129】
「置換された」とは、本明細書で使用され、上記のアルキル、アルケニル, アルキニル,アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルなど
のいずれかに適用される場合、1個以上の水素原子がそれぞれ独立して置換基で置換され
ていることを意味する。典型的な置換剤には-XOBR)C1 -C12O)2、-SO3 -、-SO3 H、-S(=O)2 R、-OS(=O)2 or、-S(=O)2 NH2、-S(=O)2N(R)2、-S(=O)R、-OP(=O)(OH)2、-OP(=O)(or)2、-P(=O)(or)OJOXOBO)3、-CX3、-CN、-OCN、-SCN、-NCO、-NCS、-OOcH、-NC(=O)R、-C(=O)H、-C(=O)R、-C(= -C(=NH)NH2、-C(=O)N(、および-C(=NR)N(R)2が含まれるが、これらに限定されない。ここで、それぞれのXはF、Cl、Br、およびIからのそれぞれのオカレンス
に対して独立して選択され、それぞれのRはC1 -C12のアルキル、C6 -C20のアリール、C3 -C14のヘテロシクロアルキまたはヘテロアライルからのオカレンス、保護群およびプロダクトモティーからそれぞれ独立して選択される。基が「任意に置換されている」と記載されている場合はいつでも、その基は、各場合に独立して、上記の置換基の1つ以上で置換
され得る。
【0130】
特定の基命名規則は、文脈に応じて、モノラジカルまたはジラジカルのいずれかを含むことができることを理解されたい。例えば、置換基が分子の残りの部分への2つの結合点
を必要とする場合、置換基はジラジカルであることが理解される。例えば、2つの結合点
を必要とするアルキルとして同定される置換基は、-CH2 -、-CH2 CH2-、-CH2 CH(CH3)CH2
-, などのジラジカルを含む。他のラジカル命名規則は、ラジカルが「アルキレン」、「アルケニレン」、「アリーレン」、「ヘテロシクロアルキレン」などのようなジラジカルであることを明確に示す。
【0131】
置換基がジラジカルとして描かれている(すなわち、分子の残りの部分への2つの結合点を有する)場合はいつでも、別段の指示がない限り、置換基は任意の方向性配置で結合す
ることができることを理解されたい。
【0132】
抗CD45抗体
本明細書中に開示されているのは、ヒトおよびカニクイザルのCD45の両方に結合することが可能であり、治療薬剤単独または抗体薬物コンジュゲート(ADC)として用いて、例え
ば、(i)CD45+細胞によって特徴付けられるがんおよび自己免疫疾患を治療し、(ii)移植治療を必要とする患児において移植された造血幹細胞の定植を促進することができる抗CD45抗体である。これらの治療活性は例えば、細胞の表面上に発現された細胞、例えばがん細胞、自己免疫細胞、または造血幹細胞の表面上に発現され、その後細胞死を誘導するCD45に結合する、単離された抗CD45抗体、その抗原結合フラグメントの結合によって引き起こされ得る。内因性の造血幹細胞の枯渇は移植された造血幹細胞が帰宅できるニッチを提供し、続いて、生産的造血を確立することができる。このようにして、移植された造血幹細胞は、本明細書中に記載される幹細胞障害を患うヒト患者のような患者に首尾よく移植され得る。
【0133】
CD45は、TおよびB細胞抗原レセプターを介したシグナル伝達に必須の造血細胞特異的な膜貫通型タンパク質チロシンホスファターゼである。CD45には大きな細胞外ドメイン、細胞質ドメインを含むアルカリホスファターゼが含まれる。CD45は、刺激の性質および関与する細胞型に依存して、正および負の両方の調節因子として作用する可能性がある。CD45遺伝子には多数の並べ順列が可能であるが、伝統的にヒトで同定されているアイソフォームはわずか6種類である。アイソフォームは、RA(ユニプロットアクセッション番号: P08575-8;配列番号(SEQ ID NO): 31)、RO(NCBIアクセッション番号: NP_563578.2;配列番号(SEQ ID NO): 32)、RB(NCBIアクセッション番号: XP_006711537.1;配列番号(SEQ ID NO): 33)、RAB(NCBIアクセッション番号: XP_006711535.1;配列番号(SEQ ID NO): 34)、RBC(NCBIアクセッション番号: XP_006711536.1;配列番号(SEQ ID NO): 35)およびRABC(NCBIアク
セッション番号NP_002829.3;配列番号(SEQ ID NO): 36)(ハーミストンら2003「CD45:免疫細胞におけるシグナル伝達閾値の重要な調節因子」Annu Rev Immunol.2:107-137.)である。CD45RAはナイーブT細胞に発現し、CD45ROは活性化およびメモリーT細胞、一部のB細胞
サブセット、活性化単球/マクロファージ、および顆粒球に発現する。CD45RBは末梢B細胞、ナイーブT細胞、胸腺細胞、マクロファージ、および樹状細胞上に弱く発現する。
【0134】
以下に記載するように、新規抗ヒトCD45(hCD45)抗体およびそのフラグメントを、ヒトCD45でラットを免疫することによって同定した。同定された抗体は、診断および治療特性
を有する。抗体A(AbA)、抗体B(AbB)、および抗体C(AbC)をこのスクリーニングで同定した。これらの抗体はヒトCD45およびアカゲザルCD45と交差反応する。さらに、本明細書中に開示されるこれらの抗体は、ヒトCD45の種々のアイソフォームの細胞外ドメインに結合し得る。従って、ある特定の実施形態に、本明細書中の抗体は汎特異的抗CD45抗体(すなわ
ち、6つのヒトCD45アイソフォーム全てに結合する抗体)である。さらに、本明細書中に開示されるAbA、AbB、およびAbC(またはこれらの抗体の結合領域または特異性を有する抗体)はまた、カニクイザルCD45に結合し得る。クロス反応シノ/ヒト抗CD45抗体、およびCD45のヒトアイソフォームに特異的な抗体パンの両方を同定することは、以下の実施例1に記
載のスクリーニングによって満たされた課題であった。
【0135】
抗CD45抗体AbA、AbB、およびAbCの種々の結合領域のアミノ酸配列を表3に記載する。本発明に含まれるのは、例えば、表3に記載のCDRを含む、抗体AbA、AbB、またはAbCに基づ
くヒト化およびキメラ抗CD45抗体である。
【0136】
ある実施形態に、本発明はAbAの結合領域に対応する結合領域(例えば、CDR、可変領域)を含む抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。抗体の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO): 1に示す(表3参照)。AbAのVH CDRドメインアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO): 2(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):3(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO): 4(VH CDR3)に示す。AbAの軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を配列番号(SEQ
ID NO): 5に記載する(表3参照)。AbAのVL CDRドメインアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO): 6(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):7(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO): 8(VL CDR3)に示す。従って、ある特定の実施形態に、本明細書中に提供される抗CD45抗体または
その抗原結合フラグメントは配列番号(SEQ ID NO): 1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号(SEQ ID NO): 5に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施形態に、抗CD45抗体は、配列番号(SEQ ID NO): 2、3、および4に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖、ならびに配列番号(SEQ ID NO): 6、7
、および8に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域を含
む。
【0137】
ニトボディAbA、AbB、またはAbC(またはAbA、AbB、またはAbCの結合領域を有する抗体)のいずれか1つに結合したヒトCD45上のエピトープに結合する抗ヒトCD45抗体またはその
フラグメント。
本明細書においても意図される。さらに意図されるのは、抗体AbA、AbB、またはAbC(またはAbA、AbB、またはAbCの結合領域を有する抗体)のいずれか1つと競合する抗ヒトCD45抗
体、またはその抗原結合フラグメントである。
【0138】
くつかの実施形態では抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメントはアミノ酸配列RNGPHERYHLEVEAGNT(配列番号(SEQ ID NO): 38)を含む領域でヒトCD45に特異的に結合する。例えば、inある特定の実施形態では抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメントは配列番号(SEQ ID NO): 37のアミノ酸残基486R、493Y、および502T(NP_002829.3に対応するCD45アイソフォームのフラグメント)で、または他のヒトCD45アイソフォーム中の配列RNGPHERYHLEVEAGNT(配列番号(SEQ ID NO):38;太字残基は結合部位を示す)を含む領域中のそれに対応する残基で、ヒトCD45に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメントはヒトCD45のフィブロネクチンドメイン(例えば、フィ
ブロネクチンd4ドメイン)に特異的に結合する。
【0139】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分は配列番号(SEQ ID NO):
37の残渣486R、493Y、および502Tを含むヒトCD45のエピトープに特異的に結合し、カニ
クイザルおよび/またはアカゲザルCD45にも結合する。
【0140】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分はアミノ酸配列RNGPHERYHLEVEAGNT(配列番号(SEQ ID NO): 38)を含むヒトCD45のエピトープに特異的に結合し、カニクイザルおよびアカゲザルCD45にも結合する。
【0141】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分はアミノ酸配列CRPPRDRNGPHERYHLEVEAGNTLVRNESHK(配列番号(SEQ ID NO): 39)を含むヒトCD45のエピトープに特異的に結合し、カニクイザルおよびアカゲザルCD45に結合する。
【0142】
ある実施形態に、単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分は配列番号(SEQ ID NO): 37の残基486R、493Y、および502Tを含むヒトCD45のエピトープに特異的に結合し;少なくとも1つの追加のアミノ酸、少なくとも2つの追加のアミノ酸、少なくとも3つの追加
のアミノ酸、少なくとも4つの追加のアミノ酸、またはRNGPHERYHLEVEAGNT(配列番号(SEQ ID NO): 38)を含むペプチド中の少なくとも5つの追加のアミノ酸に結合し、追加のアミノ酸残基は配列番号(SEQ ID NO): 37の残基486R、493Y、および502Tではなく;カニクイザルおよびアカゲザルCD45にも結合する。
【0143】
ある実施形態に、本発明はAbBのものに対応する結合領域、例えば、CDR、可変領域を含む、抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメントを提供する。AbBの重鎖可変領域(VH)
アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO): 9に示す(表3参照)。AbBのVH CDRドメインアミノ酸
配列を配列番号(SEQ ID NO): 10(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):11(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO): 12(VH CDR3)に示す。AbBの軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO): 13に記載する(表3参照)。AbBのVL CDRドメインアミノ酸配列を配列番号(SEQ
ID NO): 14(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):15(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO): 16(VL CDR3)に示す。従って、ある特定の実施形態に、本明細書中に提供される抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号(SEQ ID NO): 9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号(SEQ ID NO): 13に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変
領域を含む。ある実施形態に、抗CD45抗体は、配列番号(SEQ ID NO): 10、11、および12
に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖、ならびに配列番号(SEQ
ID NO): 14、15、および16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3を含む
軽鎖可変領域を含む。
【0144】
ある実施形態に、本発明は、AbCのものに対応する結合領域、例えばCDR、可変領域を含む抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。AbCの重鎖可変領域(VH)アミ
ノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO): 17に示す(表3参照)。AbCのVH CDRドメインアミノ酸配
列は、配列番号(SEQ ID NO): 18(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):19(VH CDR2)、および配列番号(SEQ ID NO): 20(VH CDR3)に記載されている。AbCの軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配
列を配列番号(SEQ ID NO): 21に記載する(表3参照)。AbCのVL CDRドメインアミノ酸配列
は、配列番号(SEQ ID NO): 22(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):23(VL CDR2)、および配列番号(SEQ ID NO): 24(VL CDR3)に記載されている。従って、ある特定の実施形態に、本明細書中に提供される抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号(SEQ ID NO): 17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号(SEQ ID NO): 21に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施形態に、抗CD45抗体は、配列番号(SEQ ID NO): 18、19、および20に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3を含
む重鎖、ならびに配列番号(SEQ ID NO): 22、23、および24に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0145】
特定の実施形態では抗体が表3に記載のHC可変ドメインを含む改変重鎖(HC)可変領域、
または表3のHC可変領域のバリアントを含み、このバリアントは(i)1、2、3、4または5ア
ミノ酸の置換、付加または欠失において表3に記載のHC可変ドメインとは異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において表3に記載のHC可変ドメインとは異なり;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失に
おいて表3に記載のHC可変ドメインとは異なり、および/または(iv)配列番号1と少なくと
も約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み
、(i)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸が 酸置換は保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換であり得る。
【0146】
特定の実施形態において、抗体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において表3に記載されるLC可変ドメインとは異なる;(ii)多くとも5、4、3、2または1
アミノ酸の置換、付加または欠失において表3に記載されるLC可変ドメインとは異なる;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において表3に記載さ
れるLC可変ドメインとは異なる;(iv)アミノ酸置換、付加または欠失が表3に記載されるLC可変ドメインと少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一で
あるアミノ酸配列を含む、改変軽鎖(LC)可変領域を含み、(ii)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は、であり得る。保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換。
【0147】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は抗体のCD45特定性(すなわち、AbA、AbB、またはAbCに類似する特定性)を保持しながら、CDRが保存的アミノ酸置換(または2、3、4、または5アミノ酸置換)を含む、本明細書中の表3に記載のCDRを含む。
【0148】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は、AbA、AbBまたはAbC抗生物質、またはそれらの
抗原結合部分に基づく脱免疫化抗体である。脱免疫化抗体はT-細胞エピトープを欠くか、またはT-細胞エピトープを除去するように改変されたV領域が選択されたものであり、そ
れによって、抗体が免疫原性である可能性を最小限にするか、または排除する。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体はT-細胞エピトープを含まないように骨格ドメインを選択または操作することによって脱免疫化され、抗体配列中に存在する場合、ヒト対象が抗CD45抗体に対してHAHA/HAMA反応を行うことを可能にし、その結果、ヒト対象における有害事象
を引き起こすか、または治療効果を低下させる免疫媒介反応が生じる。本明細書中に開示される抗体(すなわち、表3に記載されるAbA、AbB、およびAbC可変配列ならびにCDR配列)
は、脱免疫化抗体が由来し得る親配列として役立ち得る。
【0149】
ヒト化抗CD45抗体
本明細書に記載の抗体AbA、AbB、またはAbCに基づくヒト化抗CD45抗体を包含する。非
ヒト抗体をヒト化するための種々の方法は、当該分野で公知である。例えば、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からそれに導入された1つ以上のアミノ酸残基を有し得る。これ
らの非ヒトアミノ酸残基はしばしば「輸入」可変ドメインから典型的に採取される「輸入」残基と呼ばれ、ヒト化はヒト抗体の対応する配列を超可変領域配列で置換することによって、冬季および同僚の方法に従って本質的に実施され得る(Jonesら(1986)Nature 321:522-525; Riechmannら(1988)Nature 332:323-327; Verhoeyenら(1988)Science 239:1534-1536)したがって、このような「ヒト化」抗体は実質的に無傷のヒト可変ドメイン未満が非ヒト種由来の対応する配列によって置換されているキメラ抗体である(米国特許第4,816,567号)。実際にはヒト化抗体が典型的にはヒト抗体であり、そこではいくつかの超可変領
域残渣およびおそらくいくつかのFR残渣がげっ歯類抗体における類似の部位からの残渣によって置換されている。
【0150】
ヒト化抗体を作製する際に使用されるヒト可変ドメイン(軽鎖および重鎖の両方)の選択肢は、抗原性を低下させるために非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」方法によれば、げっ歯類抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリに対してスクリーニングする。次いで、げっ歯類の配列に最も近いヒト配列が、ヒト化抗体のためのヒト骨格として受け入れられる(Simsら(1993)J Immunol)。151:2296; Chothiaら(1987)J Mol. Biol. 196:901. 別の方法は、光または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定の枠組みを使用する。同じ骨格を、いくつかの異なったヒト化抗体に使用することができる(Carterら(1992)Proc)。Natl. Acad. Sci. USA,89:4285; Prestaら(1993)JImmunol.,151:2623。
【0151】
抗体は、抗原に対する高い親和性および他の良好な生物学的特性を保ちながらヒト化されることがさらに大切である。この目標を達成するために、一方法によれば、ヒト化抗体は、親およびヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列および種々の概念的ヒト化産物を解析する処理によって調製される。三次元免疫グロブリンモデルは一般に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能性のある三次元立体配座構造を図示し、ディスプレイするコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示装置を調べることにより、候補免疫グロブリン配列の機能における残渣のありそうな役割、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能に影響を及ぼす残渣の解析を解析することができる。このようにして、FR残渣は所望の抗体特徴(例え
ば、標的抗原に対する増大した親和性)が達成されるように、レシピエント(recipient)および移入配列から選択され得、そして組み合わされ得る。一般に、超可変領域残基は抗原結合への影響に直接的にかつ最も実質的に関与する。
【0152】
Fc-Modified抗体
本発明は造血幹細胞(例えば、CD45)によって発現される抗原に結合上記Fcサイレンシン
グを可能にするFc修飾を有する抗体またはその抗原結合フラグメントが(i)CD45+造血幹細胞によって特徴付けられるがんおよび自己免疫疾患を処置するために、そして(ii)移植治療を必要とする患者において、移植された造血幹細胞の定植を促進するために、治療薬剤として単独でまたはADCとして使用され得るという発見に部分的に基づいている。これら
の治療活性は例えば、造血細胞(例えば、造血幹細胞または成熟免疫細胞(例えば、T細胞)によって発現される、がん細胞、自己免疫細胞、または造血幹細胞などに結合し、その後抗体死を誘導する抗CD45細胞、またはその抗原結合フラグメントの結合によって引き起こされ得る。内因性の造血幹細胞の枯渇は移植された造血幹細胞が帰宅できるニッチを提供し、続いて生産的造血を確立し得る。このようにして、移植された造血幹細胞は、本明細書中に記載される幹細胞障害を患うヒト患者のような患者に首尾よく移植され得る。本明細書中のFc修飾抗体およびADCは、内因性の造血幹細胞の選択的枯渇を可能にするだけで
なく、外生的造血幹細胞移植に対する細胞毒性効果を減少させ、それによって造血幹細胞移植片の定植をさらに促進する。
【0153】
本明細書中に記載される抗体または結合フラグメントはまた、抗体および/またはフラ
グメントの特性を変化させる改変および/または変異(例えば、半減期を増大させるか、またはADCCを増大させるかもしくは低下させるもの)を含み得る。
【0154】
ある実施形態に、1つ以上の放射性標識アミノ酸を含む抗体が提供される。放射性標識
された抗体は、診断および治療の両方の目的のために使用され得る(放射性標識された分
子への結合が別のあり得る特徴)。ポリペプチドの標識の非限定的な例としては3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、および125I、131I、および186Reが挙げられるが、これらに限定されない。放射性標識アミノ酸および関連ペプチド誘導体を調製するための方法は当該分野で公知である(例えば、Junghansら、inがんChemotherapy and Biotherapy 655-686(2d版
、ChafnerおよびLongo編、Lippincott Raven(1996))および米国特許を参照のこと)。米国特許第4,681,581号。米国特許第4,735,210号。米国特許第5,101,827号。米国特許第5,102,990号(US RE35,500)。No.5,648,471および米国特許。有しない. 5,697,902. 例えば、放射性同位体は、クロラミンT方法によって結合され得る。
【0155】
ある実施形態に、抗CD45抗体またはその結合フラグメントは修飾Fc領域を含み、ここで、前記修飾Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、その結
果、前記分子は、FcγR(FcγR)に対する改変された親和性またはFcγRへの結合を有する
。Fc領域内の特定のアミノ酸位置は、FcγRと直接接する結晶学的研究によって知られて
いる。具体的には、アミノ酸234~239(ヒンジ領域)、アミノ酸265~269(B/Cループ)、ア
ミノ酸297~299(C'/Eループ)、およびアミノ酸327~332(F/G)ループである。(Sondermann
et al、2000 Nature、406: 267-273参照)。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗体が構造的および結晶学的解析に基づいて、FcγRと直接的に接触する少なくと
も1つの残渣の修飾を含むバリアントFc領域を含み得る。ある実施形態に、抗CD45抗体(またはそのフラグメント)のFc領域はカバットら、Sequences ofタンパク質of Immunological Interest、5th EdPublic Health Service、NH1、MD(1991)に記載されているように、アミノ酸265にアミノ酸置換を含む。「カバットにおけるようなEU指数」は、ヒトIgG1 EU抗体の番号付けを指す。ある実施形態に、Fc領域はD265A変異を含む。ある実施形態に、Fc
領域はD265C変異を含む。いくつかの実施形態では、本抗体のFc領域(またはそのフラグメント)がカバットにおけるように、欧州連合指数によるアミノ酸234でのアミノ酸置換を含む。
【0156】
ある実施形態に、Fc領域は、D265、V205、H435、I253、および/またはH310のアミノ酸
位置に変異を含む。例えば、これらの位置の特異的突然変異には、D265C、V205C、H435A
、I253A、および/またはH310Aが含まれる。
【0157】
ある実施形態に、Fc領域はL234A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗CD45抗体(またはそのフラグメント)のFc領域がカバットにおけるような欧州指数によるアミノ酸235でのアミノ酸置換を含む。ある実施形態に、Fc領域はL235A変異を含む。さらに別の実施形
態では、Fc領域がL234AおよびL235A変異を含む。更なる実施形態において、Fc領域は、D265C、L234A、およびL235A変異を含む。さらに更なる実施形態において、Fc領域は、D265C、L234A、L235A、およびH435A変異を含む。更なる実施形態において、Fc領域は、D265CおよびH435A変異を含む。
【0158】
さらに別の実施形態では、Fc領域がL234AおよびL235A変異(本明細書では「L234A.L235A」または「LALA」とも呼ばれる)を含む。別の実施形態ではFc領域がL234AおよびL235A変
異を含み、ここで、Fc領域はP329G変異を含まない。更なる実施形態において、Fc領域は
、D265C、L234A、およびL235A変異(本明細書において「D265C.L234A.L235A」とも呼ばれ
る)を含む。別の実施形態ではFc領域がD265C、L234A、およびL235A変異を含み、Fc領域はP329G変異を含まない。さらに一更なる実施形態では、Fc領域がD265C、L234A、L235A、およびH435A変異(本明細書では「D265C.L234A.L235A.H435A」とも呼ばれる)を含む。別の実施形態において、Fc領域はD265C、L234A、L235A、およびH435A変異を含み、ここで、Fc領域は、P329G変異を含まない。更なる実施形態において、Fc領域は、D265CおよびH435A変
異(本明細書中で「D265C・H435A」とも呼ばれる)を含む。さらに別の実施形態では、Fc領域がD265A、S239C、L234A、およびL235A変異(本明細書では「D265A.S239C.L234A.L235A」とも呼ばれる)を含む。さらに別の実施形態では、Fc領域がP329G変異を含まないD265A、S239C、L234A、およびL235A変異を含む。別の実施形態では、Fc領域がD265C、N297G、およびH435A変異(本明細書では「D265C.N297G.H435A」とも呼ばれる)を含む。別の実施形態では、Fc領域がD265C、N297Q、およびH435A変異(本明細書では「D265C.N297Q.H435A」とも
呼ばれる)を含む。別の実施形態では、Fc領域がE233P、L234V、L235AおよびdelG236(236
の欠失)変異(本明細書では「E233P.L234V.L235A.delG236」または「EPLVLAdelG」とも呼
ばれる)を含む。別の実施形態において、Fc領域はE233P、L234V、L235AおよびdelG236(236の欠失)変異を含み、ここで、Fc領域は、P329G変異を含まない。別の実施形態では、Fc
領域がE233P、L234V、L235A、delG236(236の欠失)およびH435A変異(本明細書では「E233P.L234V.L235A.delG236.H435A」または「EPLVLAdelG.H435A」とも呼ばれる)を含む。別の
実施形態において、Fc領域はE233P、L234V、L235A、delG236(236の欠失)およびH435A変異を含み、ここで、Fc領域は、P329G変異を含まない。別の実施形態では、Fc領域がL234A、L235A、S239CおよびD265A変異を含む。別の実施形態において、Fc領域はL234A、L235A、S239CおよびD265A変異を含み、ここで、Fc領域は、P329G変異を含まない。別の実施形態では、Fc領域がH435A、L234A、L235A、およびD265C変異を含む。別の実施形態において、Fc領域はH435A、L234A、L235A、およびD265C変異を含み、ここで、Fc領域は、P329G変異を
含まない。
【0159】
いくつかの実施形態では.抗体は、抗体がインビトロエフェクター機能アッセイにおい
てエフェクター機能を減少させ、Fcレセプター(Fc R)への結合を、未修飾Fc領域を含む同一抗体のFc Rへの結合と比較して減少させるような修飾Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、抗体が抗体が未修飾Fc領域を含む同一抗体のFcガンマRへの結合と比較して、Fcガンマレセプター(FcガンマR)への結合を低下させながら、インビトロエフェクター機能アッセイにおいてエフェクター機能を低下させるような修飾Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、FcγRはFcγR1である。いくつかの実施形態では、FcγRはFcγR2Aである
。いくつかの実施形態では、FcγRはFcγR2Bである。他の実施形態では、FcγRはFcγR2Cである。いくつかの実施形態では、FcγRはFcγR3Aである。いくつかの実施形態では、FcγRはFcγR3Bである。他の実施形態において、結合の減少は、FcγRに対する未修飾Fc領
域を含む同一抗体の結合と比較して、FcγRに対する抗体結合の少なくとも70%の減少、少なくとも80%の減少、少なくとも90%の減少、少なくとも95%の減少、少なくとも98%の減少、少なくとも99%の減少、または100%の減少である。他の実施形態では、結合の減少がFc
γRへの未修飾Fc領域を含む同一抗体の結合に対するFcγRへの抗体結合の、少なくとも70%~100%の減少、少なくとも80%~100%の減少、少なくとも90%~100%の減少、少なくとも95%~100%の減少、または少なくとも98%~100%の減少である
【0160】
いくつかの実施形態では、抗体が抗体が未修飾Fc領域を含む同一の抗体のサイトカイン放出と比較して少なくとも50%のサイトカイン放出の低下と共に、インビトロサイトカイ
ン放出アッセイにおいてサイトカイン放出を減少させるような修飾Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、サイトカイン放出の減少が未変性のFc領域を含む同一抗体のサイトカイン放出と比較して、サイトカイン放出の少なくとも70%減少、少なくとも80%減少、少なくとも90%減少、少なくとも95%減少、少なくとも98%減少、少なくとも99%減少、または100%減少である。いくつかの実施形態では、サイトカイン放出の減少が未変性のFc領域を含む同一抗体のサイトカイン放出と比較して、サイトカイン放出の少なくとも70%~100%
の減少、少なくとも80%~100%の減少、少なくとも90%~100%の減少、少なくとも95%~100%の減少である。ある特定の実施形態に、サイトカイン放出は免疫細胞による。
【0161】
いくつかの実施形態では、抗体が抗体が未修飾Fc領域を含む同一抗体のマスト細胞脱顆粒に対して少なくとも50%のマスト細胞脱顆粒の低下を伴って、インビトロマスト細胞脱
顆粒アッセイにおいてマスト細胞脱顆粒を低下させるような修飾Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、マスト細胞脱顆粒の減少が未変性のFc領域を含む同一抗体のマスト細胞脱顆粒と比較して、マスト細胞脱顆粒の少なくとも70%の減少、少なくとも80%の減少、少なくとも90%の減少、少なくとも95%の減少、少なくとも98%の減少、少なくとも99%の減少、または100%の減少である。いくつかの実施形態では、マスト細胞脱顆粒の減少が未変性のFc領域を含む同一抗体のマスト細胞脱顆粒と比較して、マスト細胞脱顆粒の少なくとも70%~100%の減少、少なくとも80%~100%の減少、少なくとも90%~100%の減少、または
少なくとも95%~100%の減少である。
【0162】
いくつかの実施形態では、本抗体がインビトロ抗体依存性細胞ファゴサイトーシスアッセイにおいて、抗体が抗体依存性細胞ファゴサイトーシス(ADCP)を減少上記防止し、未修飾Fc領域を含む同一抗体のADCPと比較して、ADCPの減少が少なくとも50%であるような修
飾Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、ADCPの減少が未変性のFc領域を含む同一抗体のサイトカイン放出と比較して、サイトカイン放出の少なくとも70%の減少、少なくと
も80%の減少、少なくとも90%の減少、少なくとも95%の減少、少なくとも98%の減少、少なくとも99%の減少、または100%の減少である。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD45抗体がD265A、D265C / H435A、D265C/LA/LA / H435A、D265A / L235A / H435A、D265A / L235C / L235A、D265C / N297G、D265C / H435A、D265C(EPLVLAdelG *)、D265C(EPLVLAdelG)/H435A、D265C / H435Q、D265C / N297Q、EPLVLAdelG / D265C、EPLVLAdelG / D265Aのうちの1つを含むFc領域を含む。N297A、N297G、またはN297Q。
【0164】
改変Fc領域とFcγレセプターとの間の結合または親和性は当技術分野で公知の種々の技術、例えば、平衡方法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA); KinExA、Rathanaswamiら)を用いて決定することができるが、これらに限定されない。Analytical Biochemistry、Vol. 373:52-60, 2008; 2008年、または表面プラズモン共鳴アッセイもしくは動態に基づくアッセイの他のメカニズム(例えば、BIACORE(登録商標)解析またはOctet(登録商標)解析(forteBIO))、および間接結合アッセイ、競合結合アッセイ、蛍光共鳴エネルギ移動(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィ(例えば、ゲルろ過)などの他の方法。これらおよび他の方法は検査される成分の1つまたは複数上の標識を利用することができ、お
よび/または、発色性、蛍光性、発光性、または同位体標識を含むがこれらに限定されな
い様々な検出方法を使用することができる。結合親和性および動態の詳細な記載はPaul、
WE、ed、Fundamental Immunology、4th Ed、Lippincott-Raven、Philadelphia(1999)に見出すことができ、これは抗体免疫原相互作用に焦点を当てている。競合結合アッセイの一例は、増大する量の非標識抗原の存在下での標識抗原と目的の抗体とのインキュベーション、および標識抗原に結合した抗体の検出を含むラジオイムノアッセイである。特定の抗原および結合オフレート(off-rate)に対する関心の抗体の親和性は、スキャッチャードプロット解析によるデーターから決定され得る。第2の抗体との競合はまた、ラジオイムノ
アッセイを使用して決定され得る。この際、標識された化合物に結合した目的の抗体と、標識されていない二次抗体の存在下でインキュベートする。
【0165】
ある実施形態に、本明細書に記載されるFc改質(例えば、D265C、L234A、L235A、および/またはH435A)を有する抗体はFcガンマレセプターに対する改未変性のれていないFc領域
を含む同一抗体の結合に対して、少なくとも70%減少、少なくとも80%減少、少なくとも90%減少、少なくとも95%減少、少なくとも98%減少、少なくとも99%減少、またはFcガンマレセプターへの結合の100%減少を有する(例えば、生物層干渉法(BLI)によって評価されるように)。
【0166】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、FcγレセプターとのFc領域結合相互作用は抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)を含むが、これ
らに限定されない、様々なエフェクター機能および下流シグナル伝達事象に必須であると考えられる。従って、特定の局面において、改変されたFc領域を含む抗体(例えば、L234A、L235A、および/またはD265C変異を含む)は、実質的に減少したかまたは消失したエフェクター機能を有する。エフェクター機能は当該分野で公知の種々の方法を使用して(例え
ば、関心の抗体に対する細胞応答(例えば、マスト細胞脱顆粒またはサイトカイン放出)を測定することによって)アッセイされ得る。例えば、当技術分野で通常の方法を使用して
、Fc修飾抗体を、例えばヒト末梢血単核細胞によって、サイトカイン放出を誘発するそれらの能力において、またはそれらの能力についてアッセイすることができる。
【0167】
本開示の抗体は例えば(Dall'Acquaら(2006)J Biol Chem 281: 23514-24)、(Zalevskyら(2010)Nat Biotechnol 28: 157-9)、(Hintonら(2004)J Biol Chem 279: 6213-6)、(Hintonら(2006)J Immunol 176: 346-56)、(Shieldsら(2001)J Biol Chem 276: 6591-604)、(Petkovaら(2006)Int Immunol 18: 1759-69)、(Datta-Mannanら(2007)Drug Metab Dispos 35: 86-94)、(Vaccaroら(2005)Nat Biotechnol 23: 1283-8)、(Yeungら(2010)Cancer Res 70: 3269-77および(Kimら(1999)Eur J Immunol 29: 2819-25)位置は250、252、253、254、256、257、307、376、380、428、434および435を含む。単独でまたは組み合わせて作製され得る例示的な変異は、T250Q、M252Y、1253A、S254T、T256E、P2571、T307A、D376V、E380A、M428L、H433K、N434S、N434A、N434H、N434F、H435AおよびH435R変異である。
【0168】
したがって、ある実施形態に、Fc領域は(例えば、未変性のFc領域を有する抗体と比較
して)半減期の低下をもたらす変異を含む。短い半減期を有する抗体は抗体が短命の治療
薬として機能することが期待される一定の例、例えば、抗体が投与され、続いてHSCが投
与される本明細書に記載される調整工程において有益であり得る。理想的には抗体が標的抗原(例えば、CD45)も一般に発現するが、内因性幹細胞とは異なり、抗CD45抗体の標的ではないHSCのデリバリー前に実質的に除去される。ある実施形態に、Fc領域は、435位に変異を含む(カバットによる欧州連合指数)。ある実施形態に、変異はH435A変異である。
【0169】
ある実施形態に、本明細書に記載の抗CD45抗体は約24時間以下、約23時間以下、約22時間以下、約21時間以下、約20時間以下、約19時間以下、約18時間以下、約17時間以下、約16時間以下、約15時間以下、約14時間以下、約13時間以下、約12時間以下、または約11時間以下の半減期(例えば、ヒトにおける)を有する。
【0170】
ある実施形態に、本明細書に記載される抗CD45抗体は約1~5時間、約5~10時間、約10
~15時間、約15~20時間、または約20~25時間の半減期(例えば、ヒトにおける)を有する。ある実施形態に、抗CD45抗体の半減期は、約5~7時間、約5~9時間、約5~11時間、約5~13時間、約5~15時間、約5~20時間、約5~24時間、約7~24時間、約9~24時間、約11
~24時間、約12~22時間、約10~20時間、約8~18時間、または約14~24時間である。
【0171】
いくつかの局面において、Fc領域は、減少した半減期を与え、抗体のエフェクタ機能を減少させる2つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では.Fc領域は半減期の減少をもたらす変異、およびFcγRと直接接することができる少なくとも1つの残渣の変異を含む(例
えば、構造的および結晶学的解析に基づく)。ある実施形態に、Fc領域は、H435A変異、L234A変異、およびL235A変異を含む。ある実施形態に、Fc領域は、H435A変異およびD265C変異を含む。ある実施形態に、Fc領域は、H435A突然変異、L234A突然変異、L235A突然変異
、およびD265C突然変異を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントが抗体またはその抗原結合フラグメントのFcドメインにおけるシステイン残基によって細胞毒素(例えば、アマ
トキシン)に結合体化される。いくつかの実施形態では、システイン残基が抗体またはそ
の抗原結合フラグメントのFcドメインにおける変異によって導入される。例えば、システイン残基は、Cys118、Cys239、およびCys265からなる群から選択され得る。ある実施形態に、抗CD45抗体(またはそのフラグメント)のFc領域は、カバットにおけるような欧州指数によるアミノ酸265でのアミノ酸置換を含む。ある実施形態に、Fc領域はD265C変異を含む。ある実施形態に、Fc領域は、D265CおよびH435A変異を含む。ある実施形態に、Fc領域は、D265C、L234A、およびL235A変異を含む。ある実施形態に、Fc領域は、D265C、L234A、L235A、およびH435A変異を含む。ある実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグ
メントのFc領域はカバットにおけるように、欧州連合指数に従うアミノ酸239でのアミノ
酸置換を含む。ある実施形態に、Fc領域はS239C変異を含む。ある実施形態に、Fc領域は
、L234A変異、L235A変異、S239C変異およびD265A変異を含む。別の実施形態では、Fc領域がS239CおよびH435A変異を含む。別の実施形態では、Fc領域がL234A変異、L235A変異、およびS239C変異を含む。さらに別の実施形態では、Fc領域がH435A突然変異、L234A突然変
異、L235A突然変異、およびS239C突然変異を含む。さらに別の実施形態では、Fc領域がH435A突然変異、L234A突然変異、L235A突然変異、S239C突然変異およびD265A突然変異を含
む。
【0173】
特に、Fcアミノ酸位置は別段の指示がない限り、EU番号付け指数を参照する。
【0174】
前記の刊行物の各々の開示は、抗CD45抗体に関するものとして、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書中に記載される組成物および方法と組み合わせて使用され得る抗体および抗原結合フラグメントは上記の抗体およびその抗原結合フラグメント、ならびに上記の非ヒト抗体および抗原結合フラグメント、ならびに上記のものと同じエピトープに結合する抗体または抗原結合フラグメントのヒト化バリアント(例えば、競合的抗原結合
アッセイによって評価される)を含む。
【0175】
本明細書中の任意のFc修飾を包含するための工学的抗体の方法は、当該分野で周知である。これらの方法には抗体または少なくとも本抗体の定常領域をコードする調製DNA分子
の部位特異的(またはオリゴヌクレオチド媒介)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、および
カセット突然変異誘発による調製が含まれるが、これらに限定されない。部位特異的突然変異誘発は当該分野で周知である(例えば、Carterら、Nucleic Acids Res.,13:4431-4443(1985)およびKunkelら、Procを参照のこと)。Natl. Acad. Sci. 米国, 82:488(1987)). PCR突然変異誘発はまた、出発ポリぺポリペプチドのアミノ酸配列バリアントを作製するために適している。Higuchi、in PCRプロトコル, pp.177-183(Academic Press,1990);およ
びValletteら、Nucを参照のこと。Acids Res. 17:723-733(1989). 配列バリアントを調製するための別の方法、カセット突然変異誘発はウェルズら、Gene,34:315-323(1985)によ
って記載される技術に基づく。
【0176】
抗体識別方法
造血幹によって発現されるCD45に結合することができる抗体または抗体フラグメントライブラリのハイスループットスクリーニングのための方法はがん、自己免疫疾患を処置するために、および本明細書に記載されるような造血幹細胞治療を必要とする患者(例えば
、ヒト患者)を調整するために有用な抗CD45抗体を同定するために使用され得る。このよ
うな方法は、本明細書中に記載される抗体AbA、AbB、およびAbCの改善されたバージョン
を同定するために使用され得る。このような方法には、とりわけ、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、イーストディスプレイ、哺乳動物細胞ディスプレイ、リボソームディスプレイ、mRNAディスプレイ、およびcDNAディスプレイなどの、当技術分野で公知のインビトロディスプレイ技術が含まれる。
【0177】
生物学的に関連する分子に結合する抗体または抗原結合フラグメントを単離するためのファージディスプレイの使用は例えば、Feliciら、Biotechnolにおいて概説されている。Annual Rev。1:149-183、1995; Katz、Annual Rev. Biophys. Biomol. 構造。26:27-45, 1997; 1997;およびHoogenboomら、Immunotechnology 4:1-20、1998、これらの各々の開示は、インビトロディスプレイ技術に関連するので、参照により本明細書に組み込まれる。ランダム化コンビナトリアル・ペプチド・ライブラリはKay、Perspectに記載されるよう
に、細胞表面抗原に結合するポリペプチドを選択するために構築された。ドラッグディスカバリー・デス。2:251-268, 1995年およびKayら、Mol. ダイバー。1:139-140, 1996, 1996、これらの各々の開示は、抗原結合分子の発見に関連するので、参照により本明細書に組み込まれる。タンパク質(例えば、多量体タンパク質)は機能的分子として首尾よくファージディスプレイされている(例えば、EP 0349578; EP 4527839;およびEP 0589877、ならびにChiswellおよびMcCafferty、Trends Biotechnolを参照のこと)。10:80-84 1992, 1992、これらの各々の開示は、抗原結合分子の発見のためのインビトロディスプレイ技術の
使用に関するので、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、機能的抗体フラグメント(例えば、FabおよびscFvフラグメント)はインビトロディスプレイフォーマットにおい
て発現されている(例えば、McCaffertyら、Nature 348:552554、1990; Barbasら、Procを参照のこと)。Natl. Acad. Sci. USA 88:7978-7982、1991;およびClacksonら、Nature 352:624-628、1991(これらの各々の開示は、抗原結合分子の発見のためのインビトロディスプレイプラットフォームに関連するので、本明細書中に参考として援用される)。ヒト抗CD45抗体はまた、例えば、HuMAb-マウス(登録商標)またはXenoMouse(登録商標)中で生成され得る。これらの技術はとりわけ、造血幹細胞移植療法を必要とする患者(例えば、ヒト
患者)において内因性の造血幹細胞を枯渇させるために使用される、造血幹細胞によって
発現されるCD45に結合他抗体、抗体またはフラグメントの親和性を同定および改善するために使用され得る。
【0178】
インビトロディスプレイ技術に加えて、コンピューターモデル化技術を使用して、造血幹細胞によって発現される抗原(例えば、CD45)に結合し得る抗体をデザインおよび同定し得る。例えば、コンピューターモデル化技術を使用して、当業者のある者は造血幹細胞(
例えば、CD45)によって発現される抗原(例えば、抗原の細胞外エピトープ)上の特異的エ
ピトープを結合上記分子について、インシリコで、抗体または抗体フラグメントのライブラリを画面上記。
【0179】
追加の技術を用いて、造血幹細胞によって発現されるCD45に結合し得、そして細胞によって、例えば、レセプター媒介エンドサイトーシスによって内部移行される抗体または抗体フラグメントを同定し得る。例えば、上記のインビトロディスプレイ技術はCD45に結合
し、その後に取り込まれる抗体または抗体フラグメントをスクリーニングするために適用することができる。ファージディスプレイは、このスクリーニングパラダイムと組み合わせて使用され上記1つのこのような技術を表す。造血幹細胞によって内在化され得る抗CD45抗体または抗体フラグメントを同定するために、当業者のある者はWilliamsら、白血病19:1432-1438,2005に記載されるファージディスプレイ技術を使用し得る。例えば、当技術分野で公知の突然変異誘発方法を使用して、とりわけscFvフラグメント、Fabフラグメン
ト, ダイアボディ,トリアボディ、および10 Fn3ドメインなどの抗体、抗体フラグメント
を符号化する組換えファージ・ライブラリ、またはランダム化されたアミノ酸カセットを含むリガンド(例えば、CDRの1つ以上、または全て、またはその等価な領域、または抗体
もしくは抗体フラグメント)を産生し得る。抗体または抗体フラグメントのフレームワー
ク領域、ヒンジ、Fcドメイン、および他の領域は例えば、ヒト生殖系列抗体上記またはヒト生殖系列抗体と比較してわずかな変異しか示さない上記を有することによって、ヒトにおいて非免疫原性であるように設計することができる。
【0180】
本明細書に記載されるか、または当技術分野で公知のファージディスプレイ技術を使用して、ファージ粒子に共有結合したランダム化抗体または抗体フラグメントを含むファージ・ライブラリを、例えば、最初にブロッキング薬剤(例えば、抗体を符号化するファー
ジ、または抗体フラグメントに結合するファージ・ライブラリまたはその抗体を符号化するファージを除去するために、抗体、または抗体フラグメントを符号化するファージを除去するために、乳タンパク質、ウシ血清アルブミン、および/またはIgGなど)とファージ
・ライブラリをインキュベートし、次いで、CD45を発現するタンパク質、例えば造血抗体のブロッキング薬剤とファージ・ライブラリをインキュベートすることによって、CD45と共有結合したファージ・ライブラリまたは抗体フラグメントを含むファージ・ライブラリをインキュベートすることができる。ファージ・ライブラリは抗CD45抗体または抗体フラグメントが同族の細胞表面抗原に結合し、続いて造血幹細胞によって内部移行されるのに十分な時間(例えば、4℃で1時間など、4℃で30分~6時間)造血幹細胞とインキュベートすることができる。抗体または抗体フラグメントを含むファージは、CD45に対する結合を可能にするのに十分な親和性を示さず、造血幹細胞による内部移行は続いて、例えば、冷(4℃)0.1Mグリシンバッファー(pH 2.8)で細胞を洗うことによって除去することができる。
造血幹細胞によって内在化された抗体または抗体フラグメントに結合したファージは例えば、細胞を溶解し、細胞培養培地から内在化ファージを回収することによって同定することができる。次いで、ファージは例えば、当該分野で公知の方法を使用して、2×YT媒体
中で回収されたファージと共に細菌細胞をインキュベートすることによって、細菌細胞中で増幅され得る。次いで、この媒体から回収されたファージは例えば、ファージゲノム内に挿入された抗体または抗体フラグメントを符号化する遺伝子の核酸配列を決定することによって特徴付けられ得る。コードされた抗体または抗体フラグメントは続いて、化学合成(例えば、抗体フラグメント、例えば、scFvフラグメント)または組換え発現(例えば、
全長抗体)によって新たに調製され得る。
【0181】
さらに、本明細書に記載されるエピトープ領域は、本明細書に開示され、当技術分野で公知のスクリーニング技術を使用して、さらなる抗hCD45抗体をスクリーニングするため
のペプチドとして使用され得る。
【0182】
製造方法
抗体は例えば、米国特許に記載されるように、組換え方法および組成物を使用して産生され得る。有しない. 4,816,567. ある実施形態に、本明細書に記載の抗CD45抗体を符号
化する単離された核酸が提供される。このような核酸はVLを含むアミノ酸配列および/ま
たは本抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、本抗体の軽鎖および/または重鎖)をコード
上記。更なる実施形態において、このような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施形態において、このような核酸を含む宿主細胞が提
供される。1つの上記実施形態では、宿主細胞が(1)本抗体のVLを含むアミノ酸配列および本抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)本抗体のVL
を含むアミノ酸配列を含む核酸をコードする第1のベクターおよび本抗体のVHを含むアミ
ノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、形質転換されている)。
ある実施形態に、宿主細胞は真核生物、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞ま
たはリンパ系細胞(例えばY0、NS0、Sp20細胞)である。ある実施形態に、抗CLL-1抗体を作製する方法が提供され、ここで、この方法は抗体の発現に適した条件下で、上記に提供されるような抗体を符号化する核酸を含む宿主細胞を培養すること、および任意に、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から抗体を回収することを含む。
【0183】
抗CD45抗体の組換え産生のために、抗体を符号化する核酸(例えば、上記のよう)は、単離され、そして宿主細胞におけるさらなるクローニングおよび/または式のために1つ以上のベクターに挿入される。このような核酸は従来の手順を使用して(例えば、本抗体の重
鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合上記オリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され得、そして配列決定され得る。本明細書中に開示され
る抗体またはフラグメントを発現するために使用され得る核酸は、表3の実施配列番号(SEQ ID Nos):25~30に記載される核酸を含む。
【0184】
抗体を符号化するベクターのクローン化または発現に適した宿主細胞には、本明細書に記載の原核生物または真核生物細胞が含まれる。例えば、抗体は特にグリコシル化およびFcエフェクタ機能が必要とされない場合に、inバクテリアで産生され得る。バクテリアにおける抗体フラグメントおよびポリペプチドの発現については、例えば、米国特許を参照のこと。No. 5,648,237, 5,789,199, 5,789,199、5,840,523。式後、抗体を、可溶性画分中の細菌細胞糊から単離し、さらに精製することができる(Charlton, 方法in Molecular Biology、Vol。248(B.K.CLo、ed、Humana Press、Totowa、NJ、2003)、pp。245-254を参
照されたい。
【0185】
脊椎動物細胞も宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合された哺乳動物細胞株が有益であり得る。有用哺乳動物宿主細胞株の他の例はSV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(293または293細胞、例えば、Grahamら、JGen Virol.36:59(1977)に記載される);乳児ハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(TM4細胞、例えば、Mather、BiolReprod.23:243-251(1980)に記載される);
サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸部がん(carcinoma)細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);TRI細胞、例えば、Matherら、Annals N.Y.に記載される)である。Acad. Sci. 383:44-68(1982);(1982); MRC 5細胞;およびFS4細胞。他の有用な哺乳動物宿主細胞株はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(DHFRCHO細胞を含む(ウルラウブら、ProcNatlAcadSciUSA 77:4216(1980));および骨髄腫細胞株(例えば、Y0、NS0およびSp2/0)を含む)。抗体産生に適した一定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、YazakiおよびWu, 方法in Molecular Biology、Vol.248(BKCLo、ed、Humana Press、Totowa、NJ), pp.255-268(2003)を参照のこと。ある実施形態に、宿主細胞は真核生物、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えばY0、NS0、Sp20細胞)である。
【0186】
抗CD45抗体または抗体フラグメントのインターナリゼーション容量は例えば、当該分野で公知の放射性核種インターナリゼーションアッセイを使用して評価され得る。例えば、18 F、75 Br、 77 Br、122 I、 123 I、124 I、 125 I、抗体I、抗体フラグメントI、211、At、67 Ga、111、In、99 Tc、169 Yb、186 Re、64 Cu、129 Cu、131 Lu、77 As、72 As、86 Y、 90 Y、89 Zr、212 Bi、213 Bi、または67 Acなどの放射性同位体を組み込むこ
とによって、本明細書に記載されるか、または当技術分野で公知のインビトロディスプレ
イ技術を使用して同定される抗CD45 225または177を官能化することができる。例えば、18 F、75 Br、 77 I、122 Br、 123 I、124 I、129 I、131 I、抗体フラグメントAなどの
放射性ハロジェンは抗体、または 125に組み込むことができ、これには、求電子性ハロゲン試薬を含むポリスチレンビーズなどのビーズ(例えば、イオディネーション 125、サー
モフィッシャーサイエンティフィック、ケンブリッジ、MA)を使用することができる。放
射標識抗体、そのフラグメント、またはADCは内在化を可能にするのに充分な時間(例えば、4℃で1時間など、4℃で30分~6時間)、造血幹細胞とともにインキュベートされ得る。
次いで、細胞を洗浄して、(例えば、冷(4℃)0.1Mグリシンバッファー(pH 2.8)を使用して)非内在化抗体またはそのフラグメントを除去することができる。内部抗体または抗体フ
ラグメントは回収された洗浄バッファーの放出された照射(例えば、γ線)と比べて、得られた造血幹細胞の放出された照射(例えば、γ線)を検出することによって同定され得る。前記の内在化アッセイはまた、ADCを特徴付けるために使用され得る。
【0187】
抗体薬物コンジュゲート(ADC)
本明細書中に記載される抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは、リンカーを介して細胞毒素に結合(連結)され得る。いくつかの実施形態では、細胞傷害性分子が抗体またはそのフラグメントの細胞取り込み後に、細胞毒素がその細胞内標的に接近し、造血細胞死滅を媒介上記ように、本明細書中に開示されるような細胞内在化抗体またはその抗原結合フラグメントに結合される。
【0188】
細胞毒素
種々の細胞毒素を、本明細書中に記載される治療における使用のために、リンカーを介して抗CD45抗体に結合体化し得る。特に、抗CD45 ADCは細胞傷害性部分(または細胞毒素)に結合された(すなわち、リンカーによって共有結合された)抗CD45抗体(またはその抗原
結合フラグメント)を含む。様々な実施形態において、細胞毒性部分は共役中で結合され
る場合、減少した細胞毒性を示すか、または細胞毒性を示さないが、リンカーからの切断後に細胞毒性を再開する。様々な実施形態において、細胞毒性部分は、リンカーからの切断なしに細胞毒性を維持する。いくつかの実施形態では、細胞傷害性分子が抗体またはそのフラグメントの細胞取り込み後に、細胞毒素がその細胞内標的にアクセスし得、そして例えば、T細胞死を媒介上記ように、本明細書中に開示されるような細胞内在化抗体また
はその抗原結合フラグメントに結合される。
【0189】
したがって、本発明のADCは、一般式のものであってもよい
Ab-(Z-L-D)n
ここで、抗体またはその抗原結合フラグメント(Ab)は、化学的な部分構造(Z)を介してリ
ンカー(L)に細胞傷害性部分(「薬物」、D)に結合(共有結合)される。
【0190】
したがって、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは例えば、約1~約20の範囲
であり得る、抗体当たりの細胞毒素の平均数を表す整数nによって示されるような多数の
薬物部分にコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態では、nは1~4である。いくつ
かの実施形態では、nは1である。共役反応からのADCの調製物中の抗体当たりの薬物部分
の平均個数は、マススペクトロスコピー、ELISAアッセイ、およびHPLCのような従来の方
法によって特徴づけることができる。nに関するADCの定量的分布も決定することができる。場合によってはnが他の薬物負荷量を有するADCからの特定の数値である均質ADCの分離
、浄化、および特性評価は逆相HPLCまたは電気泳動のような方法によって達成することができる。
【0191】
いくつかの抗CD45ADCについては、それらは抗体上の付着部位の数によって制限され得
る。例えば、結合がシステインチオールである場合、抗体はシステインチオール基を1個
または数個しかもたないか、またはリンカーが結合するのに十分な反応性をもつチオール
基を1個または数個しかもたないことがある。一般に、抗体は薬物部分に結合することが
できる遊離および反応性システイン基を多く含まず、主に、抗体中のシステイン残基はジスルフィド架橋として存在する。ある特定の実施形態に、抗体は、部分的または全還元条件下で、ジチオトレイトール(DTT)またはトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)などの
還元剤で還元して、反応性システインチオール基を生成することができる。ある特定の実施形態に、より高い薬物負荷(DAR)(例えば、n>5)は、特定の抗体-薬物結合体の凝集、不
溶性、毒性、または細胞透過性の損を引き起こし得る。
【0192】
ある特定の実施形態に、共役反応の間に抗体にコンジュゲートされる薬物部分の理論上の最大よりも少ない。抗体は例えば、以下に論じるように、薬物リンカー中間体またはリンカー試薬と反応しないリシン残基を含んでいてもよい。最も反応性の高いリジン基のみがアミン反応性リンカー試薬と反応することができる。ある特定の実施形態に、抗体は、リジンまたはシステインのような反応性求核基を明らかにするために変性条件下に置かれる。
【0193】
ADCの負荷(薬物/抗体比)は種々の方法で、例えば、(i)抗体に対する薬物-リンカー中間体またはリンカー試薬のモル過剰を制限すること、(ii)共役反応時間または温度を制限すること、(iii)システインチオール修飾のための部分的または制限的還元条件下で、(iv)
システイン残基の数および位置がリンカー-薬物結合の数および/または位置の制御のために修飾されるように、抗体のアミノ酸配列を組換え技術によって操作することによって、制御され得る。
【0194】
本明細書に装置の組成物および方法と共に使用するのに適した細胞毒素には、とりわけ、当技術分野で公知のDNA挿入剤(例えば、アントラサイクリン)、紡錘体を破壊すること
ができる薬剤(例えば、ビンカ・アルカロイド, メイタンシン,メイタンシノイド、およびその誘導体)、RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、αアマニチンなどのアマトキシン、およ
びその誘導体)、ならびにタンパク質生合成を破壊することができる薬剤(例えば、サポリンおよびリシンA鎖などのrRNA N-グリコシダーゼ活性を示す薬剤)が含まれる。
【0195】
いくつかの実施形態ではで、細胞毒は微小管結合剤(例えば、メイタンシンまたはメイ
タンシノイド)、アマトキシン, シュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリア毒素、サポリン、アウリスタチン、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、1インドリノベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン二量体、1インドリノベンゾジアゼピン偽二量体、またはそ
れらのバリアント、または本明細書に記載もしくは当技術分野で公知の別の細胞毒性化合物である。
【0196】
いくつかの実施形態では、抗体-薬物結合体の細胞毒素はRNAポリメラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ阻害剤はアマトキシンまたはその誘導体で
ある。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体-薬物結合体の細胞毒素がα
アマニチン、βアマニチン、γアマニチン、εアマニチン、アマニン、アマニンアミド, アマヌリン,アマヌリン酸,プロアマヌリンまたはその誘導体などのアマトキシンまたはその誘導体である。
【0197】
本発明の組成物および方法において有効な抗CD45 ADCにおいて使用され得る細胞毒素に関するさらなる細部は、以下に記載される。
【0198】
アマトキシン
いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ阻害剤はアマトキシンまたはその誘導体で
ある。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体-薬物結合体の細胞毒素がα
アマニチン、βアマニチン、γアマニチン、εアマニチン、アマニン、アマニンアミド, アマヌリン,アマヌリン酸,プロアマヌリンまたはその誘導体などのアマトキシンまたはその誘導体である。
【0199】
いくつかの実施形態では、抗体-薬物結合体の細胞毒素はRNAポリメラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ阻害剤はアマトキシンまたはその誘導体で
ある。
【0200】
いくつかの実施形態では、細胞毒素がαアマニチン、βアマニチン、γアマニチン、εアマニチン、アマニン、アマニンアミド, アマヌリン,アマヌリン酸、およびプロアマヌ
リンなどのアマトキシンまたはその誘導体である。種々の天然に存在するアマトキシンの構造は例えば、Zanottiら、Int.に開示されている。J. ペプチドタンパク質Res.30、1987、450-459.
【0201】
本明細書に記載の組成物および方法と併せて有効なアマトキシンには式(IV)に従う化合物が含まれるが、これに限定されない
【化8】
である:
R
1はH、OH、またはOR
A;
R
2はH、OH、またはOR
B;
R
A およびR
Bは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R
3がHまたはR
D;
R
4はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
5はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
6はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
7はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
8はOH、NH
2、またはOR
D;
R
9はH、OH、またはOR
D;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO
2 -; であり、
R
Dは任意選択的に置換されたアルキ(例えば、C
1 -C
6アルキル)、任意選択的に置換さ
れたヘテロアルキル(例えば、C
1 -C
6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C
2 -C
6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニール(例え
ば、C
2 -C
6ヘテロアルケニール)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C
2 -C
6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニール(例えば、C
2 -C
6ヘテロア
ルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキ、任意選択的に置換されたアリール
、または任意選択的に置換されたヘテロアルキルである。
【0202】
例えば、ある実施形態に、本明細書に記載の組成物および方法と組み合わせて有効なアマトキシンには、式(IVA)による化合物が含まれる。
【化9】
(IVA)、
ここで、R
4、R
5、X、およびR
8は、それぞれ上記で定義されたものである。
【0203】
例えば、ある実施形態に、本明細書に記載の組成物および方法と併用して有効なアマトキシンには、以下の式(IVB)による化合物が含まれる:
【化10】
(IVB)
である:
R
1はH、OH、またはOR
A;
R
2はH、OH、またはOR
B;
R
A およびR
Bは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R
3がHまたはR
D;
R
4はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
5はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
6はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
7はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
8はOH、NH
2、またはOR
D;
R
9はH、OH、またはOR
D;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO
2 -; であり、
R
Dは任意選択的に置換されたアルキ(例えば、C
1 -C
6アルキル)、任意選択的に置換さ
れたヘテロアルキル(例えば、C
1 -C
6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C
2 -C
6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニール(例え
ば、C
2 -C
6ヘテロアルケニール)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C
2 -C
6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニール(例えば、C
2 -C
6ヘテロアルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキ、任意選択的に置換されたアリール
、または任意選択的に置換されたヘテロアルキルである。
【0204】
ある実施形態に、本明細書に記載の組成物および方法と併用して有効なアマトキシンには、以下の式(IVC)による化合物も含まれる:
【化11】
(IVC)
である:
R
1はH、OH、またはOR
A;
R
2はH、OH、またはOR
B;
R
A およびR
Bは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R
3がHまたはR
D;
R
4はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
5はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
6はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
7はH、OH、OR
D、またはR
D;
R
8はOH、NH
2、またはOR
D;
R
9はH、OH、またはOR
D;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO
2 -; であり、
R
Dは任意選択的に置換されたアルキ(例えば、C
1 -C
6アルキル)、任意選択的に置換さ
れたヘテロアルキル(例えば、C
1 -C
6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C
2 -C
6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニール(例え
ば、C
2 -C
6ヘテロアルケニール)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C
2 -C
6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニール(例えば、C
2 -C
6ヘテロアルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキ、任意選択的に置換されたアリール
、または任意選択的に置換されたヘテロアルキルである。
【0205】
アマトキシンを製造する合成方法は、米国特許第9,676,702号に記載されている。
【0206】
例えば、本明細書に記載される抗体および抗原結合フラグメントは式Ab-Z-L-Am(式中、Abは抗体であり、またはその抗原結合フラグメントであり、Lはリンカーであり、Zは化学的な部分構造であり、Amはアマトキシン)によって表されるコンジュゲートを形成するよ
うに、アマトキシン(例えば、式IV、IVA、IVB、またはIVCの)に結合され得る。アマトキ
シンまたはその誘導体上の多くの位置は、連結部分L、したがってその抗体または抗原結
合フラグメントを共有結合させる位置として働くことができる。いくつかの実施形態では、アマトキシンリンカー結合体Am-L-Zが式(I)によって表される
【化12】
である:
R
1はH、OH、OR
A、またはOR
C;
R
2はH、OH、OR
B、またはOR
C;
R
A およびR
Bは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R
3はH、R
C、またはR
D;
R
4はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
5はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
6はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
7はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
8はOH、NH
2、OR
C、OR
D、NHR
C、またはNR
C R
D;
R
9はH、OH、OR
C、またはOR
D;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO
2 -;
R
Cは-L-Z;
R
Dは任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C
1 -C
6アルキル)、任意選択的に置換
されたヘテロアルキル(例えば、C
1 -C
6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C
2 -C
6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニール(例
えば、C
2 -C
6ヘテロアルケニール)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C
2 -C
6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニール(例えば、C
2 -C
6ヘテロアルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキ、任意選択的に置換されたアリー
ル、または任意選択的に置換されたヘテロアルキルである。
【0207】
Lはリンカー、例えば、オプションで置換されるアルキレン(例えば、C 1 -C 6アルキレン)、オプションで置換されるヘテロアルキレン、オプションで置換されるアルケニレン(例えば、C 2 -C 6アルケニレン)、オプションで置換されるヘテロアルケニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニレン)、オプションで置換されるアルキニレン(例えば、C 2 -C 6アルキニレン)、オプションで置換されるヘテロアルキニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニレン)、オプションで置換されるシクロアルキレン、オプションで置換されるヘテ
ロシクロアルキレン、オプションで置換されるC 1 -C 6、オプションで置換されるヘテロアリーレン、ペプト、ジペプチド、-C(=O)-、ジスルフィド、ハイドロゾーン、またはそ
れらの組合せである。
【0208】
ZはL上に存在する反応性置換基Z'と、標的抗原(例えば、CD45)に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である。
【0209】
いくつかの実施形態では、Amが正確に1個のR C置換基を含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、L-Zは
【化13】
式中、Sは標的抗原(例えば、システイン残基の-グループ由来)に結合する、抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基を表す硫黄原子である。
【0211】
いくつかの実施形態では、共役Am-L-Z-Abが式III、IIIA、またはIIIBの1つによって表
される:
【化14】
(IIIB) (III) (IIIA)
ここで、XはS、SOまたはSO
2であり、Abは、Abアタッチメントの点を示すために示される
。
【0212】
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abがである。
【化15】
ここで、Abは、Ab付着点を示すように示されている。
【0213】
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abがである。
【化16】
ここで、Abは、Ab付着点を示すように示されている。
【0214】
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abがである。
【化17】
ここで、Abは、Ab付着点を示すように示されている。
【0215】
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Ab前駆体Am-L-Z'がである。
【化18】
ここで、マレイミドは、抗体中のシステイン上に見出されるチオール基と反応する。
【0216】
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Ab前駆体Am-L-Z'がである。
【化19】
ここで、マレイミドは、抗体中のシステイン上に見出されるチオール基と反応する。
【0217】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが一般式(IA)で表される。
【化20】
である:
R
1はH、OH、OR
A、またはOR
C;
R
2はH、OH、OR
B、またはOR
C;
R
A およびR
Bは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R
3はH、R
C、またはR
D;
R
4はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
5はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
6はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
7はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
8はOH、NH
2、OR
C、OR
D、NHR
C、またはNR
C R
D;
R
9はH、OH、OR
C、またはOR
D;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO
2 -;
R
Cは-L-Z;
R
Dは任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C
1 -C
6アルキル)、任意選択的に置換
されたヘテロアルキル(例えば、C
1 -C
6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C
2 -C
6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニール(例
えば、C
2 -C
6ヘテロアルケニール)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C
2 -C
6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニール(例えば、C
2 -C
6ヘテロアルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキ、任意選択的に置換されたアリー
ル、または任意選択的に置換されたヘテロアルキルである;
【0218】
Lはリンカー、例えば、オプションで置換されるアルキレン(例えば、C 1 -C 6アルキレン)、オプションで置換されるヘテロアルキレン、オプションで置換されるアルケニレン(例えば、C 2 -C 6アルケニレン)、オプションで置換されるヘテロアルケニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニレン)、オプションで置換されるアルキニレン(例えば、C 2 -C 6アルキニレン)、オプションで置換されるヘテロアルキニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニレン)、オプションで置換されるシクロアルキレン、オプションで置換されるヘテ
ロシクロアルキレン、オプションで置換されるC 1 -C 6、オプションで置換されるヘテロアリーレン、ペプト、ジペプチド、-C(=O)-、ジスルフィド、ハイドロゾーン、またはそ
れらの組合せである。
【0219】
Zは、L上に存在する反応性置換基Z'と、CD45に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である。
【0220】
式中、Amは正確に1個のRC置換基を含む。
【0221】
【0222】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IB)で表される。
【化22】
である:
R
1はH、OH、OR
A、またはOR
C;
R
2はH、OH、OR
B、またはOR
C;
R
A およびR
Bは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R
3はH、R
C、またはR
D;
R
4はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
5はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
6はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
7はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
8はOH、NH
2、OR
C、OR
D、NHR
C、またはNR
C R
D;
R
9はH、OH、OR
C、またはOR
D;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO
2 -;
R
Cは-L-Z;
R
Dは任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C
1 -C
6アルキル)、任意選択的に置換
されたヘテロアルキル(例えば、C
1 -C
6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C
2 -C
6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニール(例
えば、C
2 -C
6ヘテロアルケニール)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C
2 -C
6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニール(例えば、C
2 -C
6ヘテロアルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキ、任意選択的に置換されたアリー
ル、または任意選択的に置換されたヘテロアルキルである。
【0223】
Lはリンカー、例えば、オプションで置換されるアルキレン(例えば、C 1 -C 6アルキレン)、オプションで置換されるヘテロアルキレン、オプションで置換されるアルケニレン(例えば、C 2 -C 6アルケニレン)、オプションで置換されるヘテロアルケニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニレン)、オプションで置換されるアルキニレン(例えば、C 2 -C 6アルキニレン)、オプションで置換されるヘテロアルキニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニレン)、オプションで置換されるシクロアルキレン、オプションで置換されるヘテ
ロシクロアルキレン、オプションで置換されるC 1 -C 6、オプションで置換されるヘテロアリーレン、ペプト、ジペプチド、-C(=O)-、ジスルフィド、ハイドロゾーン、またはそ
れらの組合せである。
【0224】
Zは、L上に存在する反応性置換基と、CD45に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構
造である。
【0225】
式中、Amは正確に1個のRC置換基を含む。
【0226】
【0227】
いくつかの実施形態では、R
A およびR
Bが存在する場合、それらが結合している酸素
原子と一緒になって結合し、次式の5員ヘテロシクロアルキル基を形成する。
【化24】
【0228】
ここで、Yは-C(=O)-、-C(=S)-、-C(=NRE)-, または-C(RE RE’)-;
R EおよびR E’は、各々独立して、任意選択的に置換されたC 1 -C 6アルキレン-R C、任意選択的に置換されたC 1 -C 6ヘテロアルキレン-R C、任意選択的に置換されたC 2 -C
6アルケニレン-R C、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルケニレン-R C、任意選択的に置換されたC 2 -C 6アルキニレン-R C、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルキニレン-R C、任意選択的に置換されたシクロアルキレン-R C、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン-R C、任意選択的に置換されたアリーレン-R C、または任意選択的に置換されたヘテロアリーレン-R Cである。
【0229】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される。
R
1はH、OH、OR
A、またはOR
C;
R
2はH、OH、OR
B、またはOR
C;
R
A とR
Bが存在する場合、それらがバインドされているアトムと一緒に結合して形成され
る:
【化25】
【0230】
R
3がHまたはR
C;
R
4はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
5はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
6はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
7はH、OH、OR
C、OR
D、R
C、またはR
D;
R
8はOH、NH
2、OR
C、またはNHR
C;
R
9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO
2 -; であり、
ここで、R
CおよびR
Dは、それぞれ上記で定義されたものである。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される
ここで、R
1は、H、OH、OR
A、またはOR
Cである;
R
2はH、OH、OR
B、またはOR
C;
R
A とR
Bが存在する場合、それらがバインドされているアトムと一緒に結合して形成さ
れる:
【化26】
【0231】
R
3がHまたはR
C;
R
4とR
5はそれぞれ個別にH、OH、OR
C、R
C、またはOR
D;
R
6とR
7はそれぞれH;
R
8はOH、NH
2、OR
C、またはNHR
C;
R
9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO
2 -; であり、
ここで、R
Cは上記で定義されたとおりである。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される
ここで、R
1は、H、OH、またはOR
Aである;
R
2はH、OH、またはOR
B;
R
A とR
Bが存在する場合、それらがバインドされているアトムと一緒に結合して形成され
る、
【化27】
R
3、R
4、R
6、およびR
7はそれぞれH;
R
5がOR
C;
R
8がOHまたはNH
2;
R
9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO
2 -; であり、
ここで、R
Cは上記で定義されたとおりである。このようなアマトキシン共役は例えば、米国特許出願公開第2016/0002298号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0232】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される
ここで、R1とR2 はそれぞれ独立にHまたはOHである;
R3がRC;
R4、R6、およびR7はそれぞれH;
R5は、H、OH、またはOC1 -C6のバイトである;
R8がOHまたはNH2;
R9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
ここで、RCは上記で定義されたとおりである。このようなアマトキシン共役は例えば、米国特許出願公開第2014/0294865号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0233】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される
ここで、R1とR2はそれぞれ独立にHまたはOHである;
R3、R6、およびR7はそれぞれH;
R4とR5はそれぞれ個別にH、OH、ORC、またはRC;
R8がOHまたはNH2;
R9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
ここで、RCは上記で定義されたとおりである。このようなアマトキシン共役は例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0234】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される
である:
R1とR2はそれぞれ独立してHまたはOHである;
R3、R6、およびR7はそれぞれH;
R4とR5はそれぞれ独立してHまたはOHである;
R8はOH、NH2、ORC、またはNHRC;
R9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
ここで、RCは上記で定義されたとおりである。このようなアマトキシン共役は例えば、米国特許番号に記載されている。9,233,173 および9,399,681、ならびに米国特許出願公開
第2016/0089450号(これらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ
る)に記載されている。
【0235】
いくつかの実施形態では、Am-L-Z'である
【化28】
本明細書中に記載される組成物および方法に従って、抗体またはその抗原結合フラグメントへの結合のために使用され得るさらなるアマトキシンは例えば、WO 2016/142049; WO 2016/071856; WO 2017/149077; WO 2018/115466;およびWO 2017/046658に記載され、これ
らの各々の開示は、それらの全体が参考として本明細書中に援用される。
【0236】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(II)、式(IIA)または式(IIB)で表される
【化29】
式中、XはS、SO、またはSO
2 ; R
1であり、リンカー上に存在する反応性置換基と抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造Zを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに共有結合
したHまたはリンカーであり;R
2はリンカー上に存在する反応性置換基と抗体またはその
抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造Zを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに共有結合したHまたはリンカーであり;R
1がHである場合、R
2はリンカーであり、R
2がHである場合、R
1は
リンカーである。いくつかの実施形態では、R
1はリンカー、R
2はH、リンカーと化学的
な部分構造はL-Zとしてまとめて
【化30】
である。
【0237】
いくつかの実施形態では、R
1はリンカー、R
2はH、リンカーと化学的な部分構造はL-Zとしてまとめて
【化31】
である。
【0238】
ある実施形態に、Am-L-Z-Abはである:
【化32】
【0239】
ある実施形態に、Am-L-Z-Abはである:
【化33】
【0240】
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Ab前駆物質(すなわち、Am-L-Z')はのうちの1つ:
【化34】
; ここで、マレイミドは、抗体中のシステイン上に見出されるチオール基と反応する。
【0241】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はαアマニチンである。いくつかの実施形態では、αアマニチンはリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合し、αアマニチンは式IVの化合物である。リンカーLは式I、IA、IB、II、IIA、またはIIB.いくつか
の実施形態ではのαアマニチンリンカー結合体を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式IVのαアマニチンに結合されても
よく、リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル、またはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いく
つかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リ
ンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-((C=O)(CH 2)n -単位を含み、nは1から6の整数である。
【0242】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH
2)
n -unitが含まれている。nは2 ~6
の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである
【化35】
.
【0243】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はβアマニチンである。いくつかの実施形態では、β-アマニチンがリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合し、βア
マニチンは式IVの化合物である。リンカーLは式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのβアマニチンリンカー共役を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式IVのβアマニチンに結合されてもよい。いくつかの実施形態
では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつか
の実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカ
ーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-((C=O)(CH 2)n -単
位を含み、nは1から6の整数である。
【0244】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH
2)
n -unitが含まれている。nは2 ~6
の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
【化36】
【0245】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はγアマニチンである。いくつかの実施形態では、γ-アマニチンがリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合し、γア
マニチンは式IVの化合物である。リンカーLは式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのγアマニチンリンカー共役を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式IVのγアマニチンに結合されてもよい。いくつかの実施形態
では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。い
くつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつか
の実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカ
ーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-((C=O)(CH 2)n -単
位を含み、nは1から6の整数である。
【0246】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH
2)
n -unitが含まれている。nは2 ~6
の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである
【化37】
【0247】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はεアマニチンである。いくつかの実施形態では、εアマニチンはリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合し、εアマニチンは式IVの化合物である。リンカーLは式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのεアマニチンリンカー共役を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式IVのεアマニチンに結合されてもよい。いくつかの実施形態で
は、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの
実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカー
が部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-((C=O)(CH 2)n -単位
を含み、nは1から6の整数である。
【0248】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH
2)
n -unitが含まれている。nは2 ~6
の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
【化38】
【0249】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はアマニンである。いくつかの実施形態ではアマニンがリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合しており、アマニンは
式IVの化合物である。リンカーLは式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのアマニン-リンカ
ー結合体を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式IVのアマニンに結合されてもよい。いくつかの実施形態では、リンカー
がヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では
、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-((C=O)(CH 2)n -単位を含み、nは1から6の整数である。
【0250】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH
2)
n -unitが含まれている。nは2 ~6
の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態では、リンカーLと化学的な部分構造ZをL-Zとしてまとめたも
のである。
【化39】
【0251】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はアマニンアミドである。いくつかの実施形態では、アマニンアミドはリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合し、アマニンアミドは式IVの化合物である。リンカーLは式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのアマニンアミドリンカー共役を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式IVのアマニンアミドに結合されてもよい。いくつかの
実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。
いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では
、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-((C=O)(CH 2)n -単位を含み、nは1から6の整数である。
【0252】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH
2)
n -unitが含まれている。nは2 ~6
の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
【化40】
【0253】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はアマヌリンである。いくつかの実施形態では、アマヌリンはリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合し、アマヌリンは式IVの化合物である。リンカーLは式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのアマヌリンリンカー共役を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式IVのアマヌリンnに結合されてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態で
は、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-((C=O)(CH 2)n -単位を含み、nは1から6の整数である。
【0254】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH
2)
n -unitが含まれている。nは2 ~6
の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
【化41】
【0255】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はアマヌリン酸である。いくつかの実施形態では、アマヌリン酸はリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合し、アマヌリン酸は式IVの化合物である。リンカーLは式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのアマヌリン酸リンカー共役を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式IVのアマヌリン酸に結合されてもよい。いくつかの実施形態で
は、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの
実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカー
が部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-((C=O)(CH 2)n -単位
を含み、nは1から6の整数である。
【0256】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH
2)
n -unitが含まれている。nは2 ~6
の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
【化42】
【0257】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はプロアマヌリンである。いくつかの実施形態では、プロアマヌリンはリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合し、プロアマヌリンは式IVの化合物である。リンカーLは式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのプロアマヌリンリンカー共役を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式IVのプロアマヌリンに結合されてもよい。いくつかの
実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。
いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では
、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-((C=O)(CH 2)n -単位を含み、nは1から6の整数である。
【0258】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH
2)
n -unitが含まれている。nは2 ~6
の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH
2)
n - である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
【化43】
【0259】
本明細書中に記載される組成物および方法と共に使用するための抗体および抗原結合フラグメントは当該分野で公知のまたは本明細書中に記載されるコンジュゲーション技術を使用して、アマトキシン(例えば、αアマニチンまたはそのバリアント)にコンジュゲートされ得る。例えば、標的抗原を認識し結合する抗体およびその抗原結合フラグメント(抗CD45抗体は米国特許出願公開第2015/0218220号に記載されているように、αアマニチンま
たはそのバリアントなどのアマトキシンにコンジュゲートさせることができ、その開示内容は例えば、αアマニチンなどのアマトキシンおよびその変異体、ならびに共有結合に使用することができる共有リンカーに関連するので、本明細書に参考として援用される)。
【0260】
アウリスタチン
本明細書中に記載される抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは、アウリスタチンである細胞毒素に結合体化され得る(米国特許第5,635,483号;第5,780,588号)。アウリ
スタチンは、微小管動態、GTP加水分解、および核と細胞の分裂を妨害する抗有糸分裂剤
である(Woykeら(2001)抗菌薬)。薬剤と化学療法。45(12):3580-3584)そして、抗癌(米国
特許第5,663,149号)および抗真菌活性(Pettitら(1998)Antimicrob)を有する。薬剤Chemother.42:2961-2965).(米国特許第5,635,483号;第5,780,588号)。アウリスタチン薬物部分
は、ペプチド薬物部分のN(アミノ)末端またはC(カルボキシル)末端を介して抗体に結合され得る(国際公開第02/088172号パンフレット)。
【0261】
例示的なアウリスタチンの実施形態はN末端結合モノメチルアウリスタチン薬物部分DE
およびDFを含み、これらは、センターら、Proceedings of American Association forが
んResearch、Volume 45、Abstract Number 623、presented by Mar 28、2004に開示され
ている。
【0262】
例示的なアウリスタチンの実施形態はMMAEであり、波線は抗体リンカー結合体(本明細
書に記載されるように、-L-Z-Abまたは-L-Z')のリンカーへの共有結合点を示す:
【化44】
【0263】
別の例示的なアウリスタチンの実施形態はMMAFであり、波線は米国特許出願公開第2005/0238649号に開示されるように、抗体リンカー結合体(本明細書に記載されるように、-L-Z-Abまたは-L-Z')のリンカーへの共有結合の点を示す。
【化45】
【0264】
アウリスタチンは、米国特許の方法に従って調製することができる。米国特許第5,635,483号。No.5,780,588; Pettitら(1989)JAm.化学協会。111:5463-5465; Pettitら(1998)Anti-がんDrug Design 13:243-277; Pettit、GR.ら。合成、1996、719-725; Pettit et al(1996)JChemSoc.Perkin Trans.15:859-863; and Doronina (2003) Nat.Biotechnol.21(7):778-784.
【0265】
メイタンシノイド
本明細書中に記載される抗体およびその抗原結合フラグメントは、微小管結合剤である細胞毒素に結合され得る。いくつかの実施形態では、微小管結合剤がメイタンシン、メイタンシノイドまたはメイタンシノイドアナログである。メイタンシノイドは有糸分裂抑制因子であり、微小管と結合し、チューブリンの重合を阻害することによって作用する。メ
イタンシンは最初に、東アフリカ低木Maytenus serrataから単離された(米国特許第3,896,111号)。続いて、一定の微生物(例えば、メイタンシノールおよびC-3メイタンシノール
エステル)もまた、メイタンシノイドを産生することが発見された(米国特許第4,151,042
号)。合成メイタンシノールならびにその誘導体および類似体は例えば、米国特許に開示
されている。No.4,137,230; 4,248,870; 4,248,870; 4,256,746; 4,260,748; 4,256,744,608; 4,265,814,267; 4,307,016; 4,308,268; 4,308,269; 4,308,269; 4,309,428; 4,313,946; 4,315,929; 4,317,821; 4,322,348; 4,331,598; 4,361,650; 4,364,866; 4,424。
メイタンシノイド薬物部分は(i)発酵または化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製
するために比較的アクセス可能であり、(ii)非ジスルフィドリンカーによる抗体への結合に適した官能基による誘導体化に従い、(iii)血漿中で安定であり、そして(iv)種々の腫
瘍細胞株に対して効果的であるため、抗体薬物コンジュゲートにおいて魅力的な薬物部分である。
【0266】
適当なメイタンシノイドとしては、例えば、メイタンシノールのエステル、合成メイタンシノール、及びメイタンシノールアナログ及び誘導体が挙げられる。ここに含まれるのは、微小管形成を阻害し、哺乳動物の細胞に対して高度に毒性である任意の細胞毒素、ならびにメイタンシノイド、メイタンシノール、およびメイタンシノール類似体、および誘導体である。
【0267】
適切なメイタンシノールエステルの実施例としては、修飾芳香環を有するもの、および他の位置に修飾を有するものが挙げられる。このような好適なメイタンシノイドは、米国特許に開示されている。No.4,137,230; 4,151,042; 4,151,042; 4,248,608; 4,256,744,267; 4,307,306; 4,308,268; 4,309,428; 4,313,946; 4,315,929; 4,322,348; 4,331,598;
4,361,650; 4,364,866; 4,424,219 ; 4,450,254; 4,322,348; 4,362,663; 4,371,533; 5,208,020; 5,415,092; 5,585,499; 5,846,545; 6,333,410; 7,276,497;これらの各々は、メイタンシノイドおよびその誘導体に関連するので、本明細書中に参考として援用される。
【0268】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体-薬物結合体(ADC)が細胞毒性剤として、N
2'-
デアセチル-N
2'-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシンと形式的に呼ばれるチオール含有メイタンシノイド(DM1)を利用する。DM1は、以下の構造式Vで表される:
【化46】
(V)
【0269】
別の実施形態において、本発明の複合体はチオール含有メイタンシノイドN
2'-デアセ
チル-N
2'(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(例えば、DM4)を細
胞毒性剤として利用する。DM4は、以下の構造式VIで表される:
【化47】
(VI)
【0270】
立体障害チオール結合を含む側鎖を含む別のメイタンシノイドは、以下の構造式VIIで
表されるN
2'-デアセチル-N-
2'(4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM3と呼ばれる)である:
【化48】
(VII)
【0271】
メイタンシノイドの各々は、米国特許に教示されている。No.5,208,020 7,276,497もまた、本開示の結合体において使用され得る。この点に関して、5,208,020および7,276,697の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0272】
メイタンシノイド上の多くの位置は連結部分、従ってその抗体または抗原結合フラグメント(本明細書中に記載されるように、-L-Z-Abまたは-L-Z')を共有結合する位置として役立ち得る。例えば、ヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14
位、ヒドロキシで修飾されたC-15位、およびヒドロキシ基を有するC-20位は全て有用であると予想される。いくつかの実施形態ではC-3位がリンカー部分を共有結合するための位
置として働き、いくつかの特定の実施形態ではメイタンシノールのC-3位が連結部分を共
有結合するための位置として働く。例えば、米国特許に開示されているものを含む、抗体メイタンシノイド共役を作製するための当技術分野で知られている多くの連結基がある。No.5,208,020, 6,441,163, 6,441,163、および欧州特許第0425235号B1; Chariら、がんResearch 52:127-131(1992);ならびに米国特許第2005/0169933号A1(これらの開示は、本明
細書中で参照により明示的に援用される)。さらなる結合基は、本明細書に記載され、例
示される。
【0273】
また、メイタンシノイドとコンジュゲートの種々の異性体および混合物も包含する。本
発明の特定の化合物およびコンジュゲートは、種々の立体異性体、エナンチオマー、およびジアステレオマー形成で存在し得る。このような抗体メイタンシノイド共役を生成するためのいくつかの説明は、米国特許に提供される。No.5,208,020; 5,416,064; 5,416,064; 6,333,410; 6,441,163; 6,716,821;および7,368,565(これらの各々は、その全体が本明細書中に援用される)。
【0274】
アントラサイクリン
他の実施形態では、本明細書に記載の抗体およびその抗原結合フラグメントがアントラサイクリン分子である細胞毒素に結合させることができる。アントラサイクリンは、細胞毒性活性を示す抗生物質化合物である。研究により、アントラサイクリンは1)細胞のDNA
への薬物分子のインターカレーションにより、DNA依存性核酸合成を阻害し、2)次いで細
胞高分子と反応して細胞に損傷を引き起こすフリーラジカルの薬物による製造、または3)薬物分子と細胞膜との相互作用[例えば、CPetersonら、「Transport And Storage OfアントラサイクリンIn ExperimentalシステムAnd Human白血病」、inアントラサイクリンAntibiotics In細胞Therapy; N.RBachur、「free Radical damage」、97~102頁を参照されたい]を含む、多くの様々なメカニズムにより、がんを殺すように作用し得ることが示され
ている。細胞傷害性の可能性があるアントラサイクリンは多くのがん、例えば白血病、乳房がん(carcinoma)、肺癌、卵巣腺癌および肉腫の治療に用いられている[例えば、アントラサイクリンのP.HWiernik、in Experimental Systems and Human leukemiaを参照のこと:現状と新たな進展p 11]。よく用いられるアントラサイクリンには、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびダウノマイシンがある。いくつかの実施形態では、細胞毒素がダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、およびイダルビシンからなる群より選択されるアントラサイクリンである。アントラサイクリンの代表的なものとしてはダウノルビシン(セルビジン;ベッドフォード研究所)、ドキソルビシン(アドリアマイシン;ベッドフォード研究所;塩酸ドキソルビシン、ヒドロキシダウノルビシン、およびルベックスとも呼ばれる)、エピルビシン(エラレンス;ファイザー)、およびイダルビシン(イダ
マイシン;ファイザー社)が挙げられるが、これらに限定されない
【0275】
アントラサイクリン類似体であるドキソルビシン(ADRIAMYCINO)は、転写のためにDNAを巻き戻す酵素トポイソメラーゼIIのインターカレーションおよび進行の抑制によってDNA
と相互作用すると考えられている。ドキソルビシンは複製のためにDNA鎖を切断した後に
トポイソメラーゼII錯体を安定化し、DNA二重らせんが再結合するのを妨げ、それによっ
て複製の過程を停止させる。ドキソルビシンおよびダウノルビシン(DAUNOMYCIN)は化学療法剤をアントラサイクリンする原型細胞傷害性天然産物である(Sessaら、(2007)Cardiovasc)。トキシコール。7:75-79).
【0276】
本明細書で使用するのに適したアントラサイクリンの非限定的な一例は、PNU-159682(
「PNU」)である。PNUは親ネモルビシンに対して3000倍を超える細胞毒性を示す(Quintieriら、臨床がんResearch 2005、11、1608-1617)。PNUは、構造式によって表される:
【化49】
【0277】
PNUのようなアントラサイクリン上の多数の位置は、連結部分、従って、本明細書中に
記載されるような抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを共有結合するための位置として役立ち得る。例えば、リンカーは、ヒドロキシメチルケトン側鎖への修飾を介して導入され得る。
【0278】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が構造式で表されるPNU誘導体である:
【化50】
,
ここで、波線は、本明細書に記載されるようなADCのリンカーへの共有結合点を示す。
【0279】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が構造式で表されるPNU誘導体である:
【化51】
,
ここで、波線は、本明細書に記載されるようなADCのリンカーへの共有結合点を示す。
【0280】
ピロロベンゾジアゼピン(PBD)
他の実施形態において、本明細書に記載される抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)である細胞毒素またはPBDを含む細胞毒素に結合され得る。PBDは特定の放線菌によって産生される天然産物であり、配列選択的DNAアルキル化化合物であることが示されている。PBD細胞毒素には、アントラマイシン、二量体PBD、および例えば、Hartley、JA(2011)The development ofピロロベンゾジアゼピンas antitumour agents.Expert Opin Inv Drug、20(6)、733-744 and Antonow D、Thurston DE(2011)Synthesis of DNA-interactive pyrrolo[2,1-c][1,4]benzodiazepines(PBD).Chem Rev 111: 2815-2864.
【0281】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が次式で表されるピロロベンゾジアゼピン二量体である:
【化52】
,
ここで、波線は、リンカーの付着点を示す。
【0282】
いくつかの実施形態では、細胞毒素がマレイミドカプロイルリンカーによって抗体またはその抗原結合フラグメントに結合される。
【0283】
いくつかの実施形態ではリンカーがペプチド、オリゴ糖、-(CH 2)p-、-(CH 2 CH 2 O)q
-、-(C=O)(CH 2)r-、-(C=O)(CH 2 CH 2 O)t -、-(NHCH 2 CH 2)u -、-PAB、Val-Cit-PAB、Val-Ala-PAB、Val-Lys(Ac)-PAB、Phe-Lys-PAB、Phe-Lys(Ac)-PAB、D-Val-Leu-Lys、Gly-Gly-Arg、Ala-Ala-Asn-PAB、またはAla-PABのうちの1つ以上を含み、p、q、r、t、およ
びuのそれぞれは出現ごとに独立して選択される1~12の整数である。
【0284】
いくつかの実施形態では、リンカーは次のように構成されている:
【化53】
,
ここで、R
1 はCH
3(Ala)または(CH
2)
3NH(CO)NH
2(Cit)である。
【0285】
いくつかの実施形態では、リンカーが抗体に共役する前に、反応性置換基Z'を含み、L-Z'として一緒になって、次の構造を有する:
【化54】
,
ここで、波線は細胞毒素(例えば、PBD)への付着点を示す。ある特定の実施形態では、R
1はCH
3 である。
【0286】
いくつかの実施形態では、細胞毒素-リンカー結合体が抗体に結合する前に、反応性置
換基Z'を含み、Cy-L-Z'として一緒になって、次式の構造を有する:
【化55】
.
この特定の細胞毒素-リンカー結合体はテシリン(SG3249)として知られており、例えば、
ハワードら、ACS Medに記載されている。ChemLett.2016, 7(11), 7(11)、983-987(その開
示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0287】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が次式で表されるピロロベンゾジアゼピン二量体である:
【化56】
,
ここで、波線は、リンカーの付着点を示す。
【0288】
いくつかの実施形態では、細胞毒素-リンカー結合体が抗体に結合する前に、反応性置
換基Z'を含み、Cy-L-Z'として一緒になって、次の構造を有する:
【化57】
.
【0289】
この特定の細胞毒素-リンカー結合体はタリリンとして知られており、例えば、ADCバダスツキシマブtalirine(SGN-CD33A)、Mantajら、Angewandte Chemie International Edition English 2017,56,462-488に関連して記載されており、その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0290】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が次式の構造を有するインドリノベンゾジアゼピン偽二量体である:
【化58】
,
ここで、波線は、リンカーの付着点を示す。
【0291】
いくつかの実施形態では、細胞毒素-リンカー結合体が抗体に結合する前に、反応性置
換基Z'を含み、Cy-L-Z'として一緒になって、次の構造を有する:
【化59】
,
これは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO2017004026号
に開示されているADC IMGN632を含む。
【0292】
カリケアマイシン
他の実施形態において、本明細書に記載される抗体およびその抗原結合フラグメントはエネジイン抗腫瘍抗生物質(例えば、カリケアマイシン、オゾガミシン)である細胞毒素に結合され得る。カリケアマイシンファミリーの抗生物質は、ピコモル未満の濃度で二本鎖DNA破壊を生じることができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製に
ついては、米国特許を参照のこと。No.5,712,374; 5,714,586; 5,714,586; 5,739,116; 5,767,285; 5,770,701; 5,770,710; 5,773,001; および5,877,296(すべてアメリカン・シ
アナミド・カンパニー)。使用され得るカリケアマイシンの構造類似体には例えば、Hinmanら、がんResearch 53:3336-3342(1993)、Lodeら、がんResearch 58:2925-2928(1998)、
およびAmerican Cyanamidに対する前述の米国特許に開示されるものが含まれるが、これ
らに限定されない。
【0293】
例示的なカリケアマイシンは、ここでは単にガンマとして参照され、構造式を有する:
【化60】
.
【0294】
いくつかの実施形態では、カリケアマイシンがガンマ-カリケアマイシン誘導体またはN-アセチルガンマ-カリケアマイシン誘導体である。使用され得るカリケアマイシンの構造類似体には例えば、Hinmanら、がんResearch 53:3336-3342(1993)、Lodeら、がんResearch 58:2925-2928(1998)、および上記の米国特許に開示されるものが含まれるが、これらに限定されない。カリケアマイシンは適切なチオールと反応させてジスルフィドを形成することができるメチルトリスルフィド部分を含み、同時に、リンカーを介して、本明細書に記載の抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントにカリケアマイシン誘導体を結合させるのに役立つ官能基を導入する。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許を参照のこと。No.5,712,374; 5,714,586; 5,714,586; 5,739,116; 5,767,285; 5,770,701; 5,770,710; 5,773,001; および5,877,296(すべてアメリカン・シ
アナミド・カンパニー)。使用され得るカリケアマイシンの構造類似体には例えば、Hinmanら、がんResearch 53:3336-3342(1993)、Lodeら、がんResearch 58:2925-2928(1998)、
およびAmerican Cyanamidに対する前述の米国特許に開示されるものが含まれるが、これ
らに限定されない。
【0295】
ある実施形態に、本明細書に開示されるADCの細胞毒素は、次式で表されるカリケアマ
イシンジスルフィド誘導体である:
【化61】
,
ここで、波線は、リンカーの付着点を示す。
【0296】
追加の細胞毒素
他の実施形態では、本明細書に記載される抗体およびその抗原結合フラグメントが本明細書において上記で開示される細胞毒素以外の細胞毒素に、またはそれに加えて、結合体化され得る。本明細書に記載される組成物および方法での使用に適した追加のサイトトキシンは限定されるものではないが、5-エチニルウラシル、アビラテロン、アドゼレシン、アルデスレタミン、アムスチン、アミドックス、アミノレブリン酸、アムサクリン、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管新生阻害剤、アンタレリクス、抗背側形成タンパク質-1、抗アンドロゲン、前立腺癌、アンチネオプラストン、アンチネオプラストン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アフィジコリングリシネート、アポトーシス調節剤、アプリン酸、アスウラクリン、アタメスタン、アキシナスタチン1、アキシナスタチン2、アザセトロン、アザチロシン、バカチンIII誘導体を含む バラノール、BCR/ABL拮抗薬、
ベンゾクロリン、βラクタム誘導体、ベタクラミンB、ベツリン酸、ビカルタミド、ビサ
ントレミン、ビスナフィド、ビゼレシンA、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ブロ
ピリミン、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カンプト
テシン誘導体(例えば、10-ヒドロキシカンプトテシン)、カペシタビン、カルボキサミド
アミノトリアゾール、 カルボキシアミドトリアゾール、カルゼレシン、カセリン、クロ
ロリクス、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、シスポルフィリン、クロトリマゾール、クロトリマゾールA、コルブレタスタチンA4、コンブレタスタチンアナロ
グ、コナゲニン、クリプトフィシン816、クリプトフィシンA誘導体、クラシンA、シクロ
ペンタントラキノン、シペマイシン、シタラビンオクホスファート、細胞溶解因子、サイトスタチン、ダクリキシマブ、デシタビン、デヒドロジデムニンB、2'デオキシコホルマ
イシン(DCF)、デスロレリン、デクスファミド、デクスラゾキサン、デクスラパミル ジアジクオン、ジデムニンB、ジヒドロノルスペルミン、ジヒドロキサシチジン、ジヒドロキ
サシチジン、ドロキソサノール、ドロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エドレクロマブ、エフロルニチン、エミテフル、エポチロン、エプリステリド、エトポシド、エトポシド4'-リン酸(エトポフオスともいう)、エ
キセメスタン、ファザラビン、フェンレチニド、フィラステリド、フラボピリドール、フラゼラスチン、フルダラビン、フルオロダウニシン、 フェニメク、ギャドリニウムテキ
サフィリン、ギロシタビン、ガロシタビン、ゲムシタビン、グルタチオン阻害薬、ヘプスルファン、ホモハリンギシン、イドキシフェン、イロマスタット、イミダゾクリドン、イミキモド、免疫刺激ペプチド、ヨードキソルビシン、イリノテカン、イリノグラジン、イソベンガゾール、ジャスファリドF、ラメラリン-Nトリアセテート、レナマイシン、レノ
グラスチム、レプトルスタチン、レトロゾール、脂溶性白金化合物、リスソクリナミド7
、ロバプラチン メトレキソール、ロニダミン、ロキサントロン、ロキソリビン、ロキソ
トリビン、マソプロテイナーゼ阻害薬、マソプロテイナーゼ、メノガリン、メテロシナーゼ、メチオニナーゼ、MIF阻害薬、イフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミ
トガゾン、ミトキサントロン、ミトキサントロン、モファロテン、ミリアポロンB、N-ア
セチルジナリン、ナフェルスティプ、ナフテルピン、ナルグラスチム、ネモルビシン、ニルタミド、ニトルリン、オクトレオチド、イセノン 、オナプリストン、オキサリプラチ
ン、オキサロマイシン、パルミトキシン、パミドロン酸、パルミトリオール、パゼリン、ペグアスパラガーゼ、パゼリプチン、ポリ硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルフルブロン、フェナジノマイシン、ピシバニール、ピラルビシン、ポドフィロトキシン、ポルフィロマイシン、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、ラルチトレキセド、リゾキシン、ロヒツカイン、ルビギノンB1、ルフィン、サルコフィトールA、サルガモスチム、ソブゾキサン、スパルフォシンD、スピロムスチン ピス
チアミド、スルフィノシン、テモゾロミド、テニポシド、タリブラスチン、チオコラザミン、トポテカン、トプセンチン、トリシリビン、トリメトレキサート、ビノレルビン、ビンキサルチン、ボロゾール、ゼニプラチン、およびジラスコルブ。
【0297】
リンカー
本明細書で使用される「リンカー」という語は式Iの抗CD45抗体-薬物結合体(ADC)を共
有結合または共有結合する原子鎖を含む二価化学的な部分構造を意味する。好適なリンカーが2つの反応性末端を有し、一方は抗体への結合のためであり、他方は細胞毒素への結
合のためである。リンカーの抗体共役反応性末端(反応性部分、Z')は典型的には抗体上のシステインチオールまたはリジンアミン基を介して抗体に共役することができる部位であり、したがって、典型的には二重結合(マレイミドにおけるよう)のようなチオール反応性基、またはクロロ、ブロモ、ヨード、もしくはR-スルファニル基のような脱離基、またはカルボキシル基のようなアミン反応性基であり;一方、リンカーの抗体共役反応性末端は
典型的には細胞毒素上の基本アミンまたはカルボキシル基とのアミド結合の形成を介して細胞毒素に共役することができる部位であり、したがって、典型的にはカルボキシルまたは基本アミン基である。「リンカー」という語が共役形態で本リンカーを記載する際に使用される場合、反応性末端の一方または両方はリンカーおよび/または細胞毒素間、なら
びにリンカーおよび/またはその抗体もしくは抗原結合フラグメント間の結合の形成のた
めに、存在しない(例えば、化学的な部分構造Zに変換された反応性部分Z')か、または不
完全である(例えば、カルボン酸のカルボニル基のみ)。このような共役反応は、本明細書中以下にさらに記載される。
【0298】
種々のリンカーを用いて、記載された抗体または抗体フラグメントを細胞傷害性分子に結合させることができる。いくつかの実施形態ではリンカーが細胞内条件下で切断可能であり、その結果、リンカーの切断は細胞内環境において抗体から薬物ユニットを放出する。さらに他の実施形態では、リンカー・ユニットは切断可能ではなく、薬物は例えば、抗体分解によって放出される。本発明のADCに有効なリンカーは好ましくは細胞外で安定で
あり、ADC分子の凝集を防止し、ADCを水溶性媒体中および単量体状で自由に溶解し続ける。細胞への移送またはデリバリーの前に、ADCは好ましくは安定であり、無傷のままであ
り、すなわち、抗体は、薬物部分に連結されたままである。リンカーはターゲット細胞の外部で安定であり、細胞内部である有効な速度で切断され得る。効果的なリンカーは(i)
抗体の特異的結合特性を維持し;(ii)共役または薬物部分の細胞内デリバリーを可能にし;(iii)共役がその標的部位に送達または輸送されるまで、安定かつ完全なままであり、す
なわち切断されない;および(iv)細胞傷害性、細胞殺傷効果または細胞傷害性部分の細胞
傷害効果を維持する。ADCの安定性は、マススペクトロスコピー、HPLC、および分離/解析技術LC/MSなどの上記の分析技術によって測定することができる。抗体および薬物部分の
共有結合は、リンカーが2つの反応性官能基、すなわち反応性の意味での二価を有するこ
とを必要とする。ペプチド、核酸、薬物、毒素、抗体、ハプテン、およびレポーター基などの2つ以上の機能または生物学的に活性な部分を結合させるのに役立つ二価リンカー試
薬が知られており、それらの得られた結合体が方法記載されている(Hermanson、GT(1996)Bioconjugate Techniques; Academic Press: New York、p。234-242)。
【0299】
好適な切断リンカーは例えば、酵素的加水分解、光分解、酸性条件下での加水分解、基本条件加水分解、酸化、ジスルフィド還元、求核切断、または有機金属切断によって切断され得るものを含む(例えば、Lericheら、Bioorg.Med.Chem、20:571-582、2012を参照さ
れたい。その開示は、共有共役共役に適したリンカーに関連するとして、本明細書中で参考として援用される)。好適な切断可能なリンカーは例えば、ヒドラジン、ジスルフィド
、チオエーテルまたはジペプチドなどの化学的な部分構造を含み得る。
【0300】
酸性条件下で加水分解可能なリンカーとしては、例えば、ヒドラゾン化合物、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シス-アコニティックアミド、オルトエステル、ポリビニ
ルアセタール、ケタールなどが挙げられる。(例えば、米国特許を参照されたい。No.5,122,368; 5,824,805; 5,824,805; 5,622,929; Dubowchik and Walker、1999、Pharm.Therapeutics 83:67-123; Nevilleら、1989、Biol.Chem.264:14653-14661(これらの各々の記載
は、共有結合に適したリンカーに関連するので、その全体が本明細書中に参考として援用される)。このようなリンカーは中性pH上記(例えば、血中の上記)では比較的安定である
が、pH 5.5または5.0未満(リソソームのおよそのpH)では不安定である。
【0301】
還元条件下で切断可能なリンカーとしては、例えば、ジスルフィドが挙げられる。例えば、アドバンストテクノロジアタッチメント(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート)、SPDB(N-スク
シンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)酪酸)およびSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルエン)、SPDBおよびSMPTを使用して形成する
ことができるものを含む、様々なジスルフィドリンカーが当技術分野で知られている(例
えば、Thorpeら、1987、がんResを参照されたい)。47:5924-5931; Wawrzynczakら、Inイ
ミュノコンジュゲート:抗体Conjugates in Radioimagery and Therapy ofがん(C.WVogel
編、Oxford Uプレス、1987)。米国特許も参照されたい。その各々の記載は、共有結合に
適したリンカーに関連するので、その全体が本明細書中に参考として援用される、第4,880,935号。
【0302】
酵素的加水分解に感受性のリンカーは例えば、細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素(リソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼを含むが、これらに限定
されない)によって切断されるペプチド含有リンカーであり得る。治療薬剤の細胞内タン
パク質分解放出を使用することの1つの長所は、結合体高された場合、薬剤が典型的に弱
毒高され、結合体の血清安定性が典型的に高まることである。いくつかの実施形態では、ペプチジルリンカーが少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長である。例示的なアミノ酸リンカーには、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドまたはペンタペプチドが含まれる。好適なペプチドの実施例としては、バリン、アラニン、シトルリン(Cit)、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、およびグリシンなどのアミノ酸を含むもの
が挙げられる。アミノ酸リンカー成分を含むアミノ酸残基としては、天然に存在するもの、ならびに少量のアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸類似体、例えばシトルリンが挙げられる。例示的なジペプチドには、バリン-シトルリン(vcまたはval-cit)およびアラニン-フェニルアラニン(afまたはala-phe)が含まれる。例示的なトリペプチドには、グリシンフェニルアラニンシトルリン(gly-val-cit)およびグリシングリシングリシン(gly-gly-gly)が含まれる。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-Cit、Ala-Val、またはPhe-Lys、Val-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Phe-Arg、またはTrp-Citなどのジペプチドを含む。Val-CitまたはPhe-Lysなどのジペプチドを含むリンカーは例えば、米国特許に開示されている。米国特許第6,214,345号は、共有結合に適したリンカーに関連す
るので、その内容全体が引用により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。
【0303】
本明細書に記載の抗体または抗体フラグメントを細胞傷害性分子に結合させるのに適し
たリンカーには、1,6-排除処理によって細胞毒素を放出することができるものが含まれる。この脱離過程が可能な化学的な部分構造には、p-アミノベンジル基、6-マレイミドヘキサン酸、pH感受性炭酸塩、およびJainら、Pharmに記載されているような他の試薬が含ま
れる。Res.32:3526-3540, 2015, 2015、その内容は、共有結合に適したリンカーに関連するので、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0304】
いくつかの実施形態では、このリンカーが例えば、Carlら、JMedに開示されている、前述のPABまたはPABC(パラアミノベンジルオキシカルボニル)などの「自己免疫性」基を含
む。Chem(1981)24:479-480; Chakravartyら(1983)JMed.化学物質26:638-644; US200306214345; US20030096743; US200400759509; US20040052793; US6218519; US6835807; US6268488; US2004001894;W098/13059; US20040052793; US5621002; US20040121940;WO2004/032828。この方法が可能な他の上記化学的な部分構造(「自壊リンカー」)としては、メチレ
ンカルバメートおよびヘテロアリール基、例えばアミノチアゾール、アミノイミダゾール、アミノピリミジンなどが挙げられる。このような複素環自己上記基を含むリンカーは例えば、米国特許公報に開示されている。20160303254および20150079114、ならびに米国特許第7,754,681号; Hayら(1999)Bioorg。中央値。ChemLett.9:2237; 米国 2005/0256030; de Groot et al(2001)JOrg.Chem.66:8815-8830;およびUS 7223837。いくつかの実施形態
では、ジペプチドを自壊リンカーと併用する。
【0305】
本明細書での使用に適したリンカーはさらに、C 1 -C 6アルキレン、C 1 -C 6ヘテロアルキレン、C 2 -C 6アルケニレン、C 2 -C 6ヘテロアルケニレン、C 2 -C 6 アルキニレ
ン、C 2 -C 6 ヘテロアルキニレン、C 3 -C 6 シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびそれらの組合せから選択される1つ以上の群
を含み、それらの各々は、オプションで置換されてもよい。このようなグループの非限定的な例は(CH2)p、(CH2 CH2O)p, および-(C=O)(CH2)p -ユニットを含み、ここでpは、各
場面に対して独立に選択される1から6の整数である。
【0306】
好適なリンカーは、溶解性を高める特性を有する基を含有する可能性がある。例えば、(CH
2 CH
2O)
p単位(ポリエチレングリコール、PEG)を含むリンカーは溶解性を高めることができ、アミノ、スルホン酸、ホスホン酸またはリン酸残基で置換されたアルキル鎖も同様である。このような部分を含むリンカーは例えば、米国特許番号に開示されている。8,236,319 および9,504,756は、共有共役的共役に適したリンカーに関連するので、その全
体が本明細書に参考として援用される。さらなる溶解性増強基としては、例えば、以下の構造を有するアシルおよびカルバモイルスルファミド基が挙げられる:
【化62】
式中、aは0または1である。
【0307】
R 10はオシロ、C 1 -C 24のアルキル群、C 2 -C 24のシクロアルキル群、C 1 -C 24(ヘテロ)アリール群、C 1 -C 24(ヘテロ)のアルキル群、C 3 -C 24のアルキル群、R 10(ヘテロ)C 3 -C 24のアルキル群、C 3 -C 24のアルキル(ヘテロ)アリール群、C 1 -C 24(ヘテ
ロ)のアルキル群からなる群から選択され、それらの各々はオプショナルにO、S、NR 11 R
12から選択された1つ以上のヘテロアトムによって置換および/または任意に中断されて
もよく、R 11およびC 1 -C 24はオプショナルに、オプショナルにスペーサーモイティー
を介してNに接続されるサイトトキシンである。このような基を含むリンカーは例えば、
米国特許第9,636,421号および米国特許出願公開第2017/0298145号に記載されており、こ
れらの開示は、細胞毒素および抗体またはそれらの抗原結合フラグメントへの共有結合に適したリンカーに関連するため、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0308】
いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル、ジペプチド、p-アミノベンジル(PAB)基、複素環自己免疫基、任意に置換されたC 1 -C 6 アルキル、任意に置換されたC 1 -C 6ヘテロアルキル、任意に置換されたC 2 -C 6アルケニル、任意に置換されたC 2 -C 6 ヘテロアルケニル、任意に置換されたC 2 -C 6 アルキニル、任意に置換されたC 2 -C 6 ヘテロアルキニル、任意に置換されたC 3 -C 6 シクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、溶解性増強基、アシル、-(C=O)-、または-(CH 2 CH 2O)p-基(pは1~6の整数)のうちの1つ以上を含むことができる。当業者のある者は、列挙された基の1
つ以上が二価(ジラジカル)種(例えば、C 1 -C 6アルキレンなど)の形態で存在し得ることを認識する。
【0309】
いくつかの実施形態でに、リンカーLは、部分*-L 1 L 2-**を含む:
【0310】
L
1がないか-(CH
2)
mNR
13 C(=O)-、-(CH
2)
m NR
13-、-(CH
2)
m X
3(CH
2)
mである
【化63】
;
【0311】
L2が存在しないか、-(CH2)m -、-(CH2)R13 C(=O)Nm -、-(CH2)13 C(=O)Nm -、-(CH2)C(=O)X4、-((CH2)CH2)m -((CH2)m -(CH2)mn -(CH2)m -、-(NR13)(CH2)X3(CH2)m -、-NR13(CH2)m X3(CH2)m -、-X1 X2 C(=O)m -、-(CH2)m -(CH2)m -、-(CH2)m(CH2)n、-(CH2)m NR13(m)m -、-(CH2)m NR13 C(=O)(CH2)m X3(CH2)m -(CH2)m C(=O)NR13(CH2)mNR13 C(=O)(CH2)m -、-(CH2)m C(=O)-、-(m)m NR13(CH2)mC(=O)X2 X1 C(=O)-、-(CH2)m)X2 X1C(=O)-、-(CH2)mm-、-(CH2)m C(=O)NR13(CH2)mX3(CH2)m CH2)m NR13C(=O)(CH2)m -、-(CH2)mX3(CH2)m
C(=O)NR13(CH2)m-、-(CH2)m O)n(CH2)mNR13 C(=O)m X3(CH2)mC(=Om X3(O(CH2)m)nm(O(CH2)m)n-、-(CH2)m(O(CH2)mC(=O)NR13(CH2))n C(=O)-、-(-、-(CH2)mX3(CH2)m NR13(CH2)mC(=O)-、-(CH2)mC(=O)NR13(CH2)m NR13 C(=O)-、-(CH2)m(O(CH2)CH2)nX3(CH2)m - 、-(CH2)(CH2)m-、-(CH2)X3((mC(=O)NR13(CH2))m O)CH2)mX3(CH2)m C(=O)-、-(CH2)m C(=O)NR13(CH2)mO)n(CH2)m X3(CH2)m-、-(CH2)m X3(CH2)m(O(CH2)m)nNR13 C(=O)(CH2)m -、-(CH2)m X3(CH2)m(O(CH2)m)nCmCH2)m)n -、-(CH2)m C(=O)n(CH2)m-、-(CH2CH2O)NR13(CH2)m(O(CH2)(=O)NR13(CH2)m-)n C(=O)-、-((m)mO)n(CH2)m NR13 C(=O)(=O)-、-(CH2)m X3(CH2)m(O(CH2-(CH2)mX3(CH2)mm -、-(CH2)m NR13C(=O)(CH2)m NR13 C(=O)(CH2)-(CH2)NR13(CH2)mC(=O))-、-(CH2)mC(==O)NR13 -、-(CH2)mX3 -mCH2)m C(R13)2NR13 -、-(CH2)m(CH2)m-、-(CH2)m C(=O)NR13(CH2)=O)m)mX3(CH2)m C(=O=O)NR13 -、-(CH2)m C((CH2)mNR13 C(=O)、-C(R13)2(CH2)m-、-(m(O(CH2)m)nCm C(R13)2 NR13 -、- C(R13)2(CH2)C(=O)NR13(CH2)mNR13-
、-(CH2)m C()mC(=O)NR13(CH2)NR13 -、-(CH2)m C(CH2)mNR13 C(=O)O(CH2)(CH2)m -、-(CH2)CH2n(CH2)m-、-(CH2)m X3(CH2)m-、-()CH2)NR13(CH2)mNR13 C(=O -C(R13)2(CH2)mOC(=
O)O)X2 X1 C(=O)-、- C(R13)2、-(CH2)m NR13C(=)m C(=O)NR13(CH2))NR13(CH2)m-、-(CH2
m
m C(R13)2NR13 -、-(CH2)mX3(CH2)m NR13 -、-()m X3(CH2)m(O(CH2mm X3(CH2)m C(R13)2NR13 -、-、-(CH2)m C(=)nNR13 -、-(CH2)m(O(CH2))O(CH2)m-、-(CH2))CH2)NR13(CH2)m(O(CH2)O(m)))m)mS(=O)2 -、-(CH2)mC(=O)NR13(CH2)m S(=O)2 -、-(CH2)m X3(CH2m S(=O)2 -、-)nNR13 -、-(CH2CH2 O)n(CH2)m -、-(CH2))-、-(CH2)m(O(O)〓)(CH2)m X2 X1C(=O)-、-(CH2)m(O(C(=O)(nNR13 -、-(CH2)mNR13)(m O)n C(=O)X2 X1C(=m(O(CH2)m)n CO)n X2X1 C(=O)-、-((CH2)mX3(CH2)m X2 X1)C(=O)-、-(CH2 - またはm(OCH2 CH2)n;-(CH2)m
m(O(CH2)m)nC C(=O)-;
である
【0312】
【0313】
【0314】
【0315】
【0316】
R13は、HおよびC1 -C6のアルキルからそれぞれ独立に選択される;
mは、それぞれの場合について、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10から独立して選択される;
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13および14から各場合について独立して選択される
ここで、単一のアスタリスク(*)は細胞毒素(例えば、アマトキシン)への付着点を示し、
二重のアスタリスク(**)は反応性置換基Z'または化学的な部分構造Zへの付着点を示すが
、ただし、L 1およびL 2は両方とも存在しない。
【0317】
いくつかの実施形態では、リンカーがp-アミノベンジル基(PAB)を含む。ある実施形態
に、p-アミノベンジル基は、細胞傷害性薬物とリンカー中のプロテアーゼ切断部位との間に配置される。ある実施形態に、p-アミノベンジル基は、p-アミノベンジルオキシカルボニルユニットの一部である。ある実施形態に、p-アミノベンジル基は、p-アミノベンジルアミド単位の一部である。
【0318】
いくつかの実施形態では、リンカーはPAB、Val-Cit-PAB、Val-Ala-を含む
PAB、Val-Lys(Ac)-PAB、Phe-Lys-PAB、Phe-Lys(Ac)-PAB、D-Val-Leu-Lys、Gly-Gly-Arg、Ala-Ala-Asn-PAB、またはAla-PAB。
【0319】
いくつかの実施形態では、リンカーは以下の組合せを含むポリゴサッカライド、-(CH2)p-、-(CH2 CH2 O)p -, PAB、Val-Cit-PAB、Val-Ala-PAB、Val-Lys(Ac)-PAB、Phe-Lys-PAB、Phe-Lys(Ac)-PAB、D-Val-Leu-Lys、Gly-Gly-Arg、Ala-Ala-Asn-PAB、またはAla-PABの1つ以上。
【0320】
いくつかの実施形態でに、前記リンカーは-(C=O)(CH 2)p-単位を含み、ここで、pは、1~6の整数である。
【0321】
具体的な一実施形態では、リンカーが以下の構成を含む:
【化68】
ここで、波線は、細胞毒素および反応性部分Z'への付着点を示す。別の具体的な実施形態では、リンカーが以下の構造を含む:
【化69】
ここで、波線は、細胞毒素および反応性部分Z'への付着点を示す。このようなPAB-ジペプチド-上記リンカーは例えば、国際公開第2017/149077号パンフレットに開示されている。さらに、WO2017/149077に開示された細胞毒素は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0322】
ある特定の実施形態に、ADCのリンカーは、マレイミドカプロイル-Val-Ala-パラ-アミ
ノベンジル(mc-Val-Ala-PAB)である。
【0323】
ある特定の実施形態に、ADCのリンカーはマレイミドカプロイル-Val-Cit-para-アミノ
ベンジル(mc-vc-PAB)である。
【0324】
いくつかの実施形態では、リンカーがを含む
【化70】
【0325】
いくつかの実施形態では、リンカーがMCC(4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-
カルボキシレート)を含む。
【0326】
本明細書に開示される化学基、部分および特徴のいずれか1つ以上が本明細書に開示さ
れるような抗体および細胞毒素の結合に有用なリンカーを形成するために、多様な方法で組み合わされ得ることが、当業者のある者によって認識される。本明細書中に記載される組成物および方法と併せて有用なさらなるリンカーは例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号に記載され、その開示は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0327】
ある特定の実施形態に、リンカーの前駆物質である中間体を、適切な条件下で薬物部分と反応させる。ある特定の実施形態に、反応性基は、薬物および/または中間体もしくは
リンカー上で使用される。薬物と中間体または誘導体化薬物との間の反応の生成物は、その後、適切な条件下で抗体または抗原結合フラグメントと反応される。あるいは、リンカーまたは中間体を最初に抗体または誘導体化抗体と反応させ、次いで薬物または誘導体化薬物と反応させてもよい。このような共役反応は、ここで、より完全に記載される。
【0328】
抗体またはその抗原結合フラグメントへのリンカーまたは薬物-リンカー結合体の共有
結合には、多くの様々な反応が利用可能である。抗体分子上の適当な付着点には、リジンのアミン基、グルタミン酸およびアスパラギン酸の遊離カルボン酸基、システインのスルフヒドリル基、および芳香族アミノ酸の種々の部分が含まれる。例えば、非特異的共有結合は、化合物上のカルボキシ(またはアミノ)基を抗体部分上のアミノ(またはカルボキシ)基に連結するためのカルボジイミド反応を用いて行うことができる。さらに、化合物上のアミノ基を抗体部分上のアミノ基に結合させるために、ジアルデヒドまたはイミドエステルなどの二官能性剤を使用することもできる。薬物の結合剤への付着には、シッフ塩基反応も利用可能である。この方法はグリコールまたは水酸基を含有する薬物の過よう素酸塩酸化を伴い、したがってアルデヒドを形成し、次いでこれを結合剤と反応させる。結合は
、結合剤のアミノ基を有するシッフ塩基の形成を介して起こる。イソチオシアネートはまた、薬物を結合剤に共有結合させるためのカップリング剤として使用され得る。他の技術は当業者に知られており、本開示の範囲内である。
【0329】
本明細書中に記載されるような抗体または抗原結合フラグメントへの共役に有用なリンカーは以下の表1に示されるようなカップリング反応によって形成される化学的な部分構
造Zを含むが、これらに限定されない。曲線は、それぞれ、抗体または抗原結合フラグメ
ント、および細胞傷害性分子への付着点を示す。
【0330】
表1:抗体薬物結合体の生成におけるカップリング反応によって形成される例示的な化学的な部分構造Z
[表1]
【0331】
当業者のある者は、リンカーに結合した反応性置換基Z'および抗体またはその抗原結合フラグメント上の反応性置換基が化学的な部分構造Zを生成するための共有カップリング
反応に関与し、反応性部分Z'を認識することを認識する。したがって、本明細書中に記載される方法と併せて有用な抗体薬物結合体は、化学的な部分構造Zを形成するための、抗
体、またはその抗原結合フラグメントと、本明細書中に記載されるような、反応性置換基Z'(抗体、またはその抗原結合フラグメント上の反応性置換基との反応に適した)を含むリンカーまたは細胞毒素リンカー結合体と、リンカーまたは細胞毒素リンカー結合体との反応によって形成され得る。
【0332】
いくつかの実施形態では、Z' は-NR
13C(=O)CH=CH
2、-N
3、-SH、-S(=O)
2(CH=CH
2)、-(CH
2)
2 S(=O)
2(CH=CH
2)、-NR
13 S(=O)
2(CH=CH
2)、-NR
13C(=O)CH
2 R
14、-NR
13C(=O)CH
2 Br、-NR
13 C(=O)CH
2 I、-NHC(=O)CH
2Br、-NHC(=O)CH
2 I、-ONH
2、-C(O)NHNH
2、-CO
2 H、-NH
2、-NH(C=O)、-NC(=S),
【化71】
である、
R
13は、HおよびC
1 -C
6のアルキルからそれぞれ独立に選択される;
R
14が-S(CH
2)
n CHR
15NHC(=O)R
13;
R
15がR
13または-C(=O)OR
13;
R
16は、H、C
1 -C
6Alk、F、Cl、および-OHからそれぞれ個別に選択される;
【0333】
R17は、H、C1 -C6alkyl、F、Cl 、-NH2、-OCH3、-OCH2 CH3、-N(CH3)2、-CN、-NO2、-OHからそれぞれ独立に選択される
【0334】
R18はH、-C(=O)OHで置換されたC1 -C6Olk、F、ベンジロキシ、-C(=O)OHで置換されたベンジル、-C(=O)OHで置換されたC1 -C4アルコキシ基、-C(=O)OHで置換されたC1 -C4 アル
コキシ基から、それぞれ個別に選択される。
【0335】
表31に示されるように、リンカーおよび抗体またはそれらの抗原結合フラグメント上の適切な反応性置換基の例には、求核剤/求電子剤対(例えば、とりわけ、チオール/ハロア
ルキル対、アミン/カルボニル対、またはチオール/α, β-不飽和カルボニル対など)、ジエン/ジエノフィル対(例えば、アジド/アルキン対、またはジエン/α,β-不飽和カルボニル対など)などが含まれる。化学的な部分構造Zを形成するための反応性置換基間のカップリング反応としてはチオールアルキル化、ヒドロキシルアルキル化、アミンアルキル化、
アミンまたはヒドロキシルアミン縮合、ヒドラジン形成、アミド化、エステル化、ジスルフィド形成、環化付加(例えば、とりわけ、[4+2]Diels-Alder環化付加、[3+2]Huisgen環
化付加)、芳香族求核置換、アミン、またはヒドロキシルアミン縮合、芳香族求電子置換
、および当技術分野で公知であるか、または本明細書に記載される他の反応様式が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、リンカーが抗体上の求核性官能基またはその抗原結合フラグメントとの反応のための求電子性官能基を含有する。
【0336】
本明細書中に開示されるように、抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在上記反応性置換基は限定されないが、(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基(例えば、リジン)、(iii)側鎖チオール基(例えば、システイン)、および(iv)糖水酸基またはアミノ基(ここで、抗体はグリコシル化される)などの求核性基を含む。限定されないが、セリン、トレオ
ニン、およびチロシン残基のヒドロキシル部分;リジン残基のアミノ部分;アスパラギン酸およびグルタミン酸残基のカルボキシル部分;ならびにプロパルギル、アジド、ハロアリ
ール(例えば、フルオロヘテロアリール)、ハロアルキル、非天然アミノ酸のハロヘテロアルキル部分のチオール部分が挙げられる。いくつかの実施形態では本明細書に開示される抗体内に存在する反応性置換基、またはその抗原結合フラグメントはアミン部分またはチオール部分を含む。特定の抗体は、還元可能な鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、DTT(ジチオトレイトール)などの還元剤で処理することによって、
リンカー試薬との結合のために反応性にされ得る。従って、各システイン架橋は、理論的には2つの反応性チオール求核試薬を形成する。追加の求核基はリジンと2-イミノチオラ
ン(トラウト試薬)との反応によって抗体中に導入することができ、その結果、アミンがチオールに転化する。反応性チオール基は1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のシステイン残基を導入することによって(例えば、1つまたはそれ以上の非天然システインアミノ酸残基を含む変異体抗体を調製することによって)、抗体(またはそのフラグメント)に導入
され得る。米国特許。第7,521,541号は、反応性システインアミノ酸の導入による工学的
抗体を教示している。
【0337】
いくつかの実施形態では、リンカーに結合した反応性部分Z'が抗体上に存在する求電子性と反応性である求核基である。抗体上の有用な求電子性としてはアルデヒドおよびケトンカルボニル基が挙げられるが、これらに限定されない。求核基のヘテロ原子は抗体上の求電子性と反応し、抗体と共有結合を形成することができる。有用な求核基としてはヒドラジド、オキシム、アミノ、水酸基、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、およびアリールヒドラジドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0338】
いくつかの実施形態では、Zは抗体内に存在する反応性求核置換基、またはその抗原結
合フラグメント(例えば、アミン部分およびチオール部分)と、反応性求電子置換基Z'との間の反応の生成物である。例えば、Z'はとりわけ、マイケルアクセプター(例えば、マレ
イミド)、活性化エステル、電子欠損カルボニル化合物、およびアルデヒドであり得る。
【0339】
例えば、ADCの合成に適したリンカーとしてはマレイミドまたはハロアルキル基などの
反応性置換基Z'が挙げられるが、これらに限定されない。これらはとりわけ、例えば、Liuら、18:690-697、1979に記載されている、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-L-カルボキシレート(SMCC)、Nsuccinimidylヨードアセテート(SIA)、スル
ホ-SMCC、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(MBS)、スル
ホ-MBS、およびスクシンイミジルヨードアセテートなどの試薬によってリンカーに付着させることができ、その開示内容は化学結合のためのリンカーに関するものとして本明細書に参考として援用される。
【0340】
いくつかの実施形態では、リンカーLに結合した反応性置換基Z'がマレイミド、アジド
、またはアルキンである。マレイミド含有リンカーの実施例は非切断性マレイミドカプロ
イルベースのリンカーであり、これは、アウリスタチンなどの微小管破壊剤の結合に特に有効である。このようなリンカーはドロニナら、Bioconjugate Chem.17:14-24、2006に記載されており、この記載は、化学的結合のためのリンカーに関連するものとして、本明細書中に参考として援用される。
【0341】
いくつかの実施形態では反応性置換基Z'が-(C=O)-または-NH(C=O)-であり、その結果、リンカーは-(C=O)-または-NH(C=O)基と抗体またはその抗原結合フラグメントのアミノ基
との反応から生じる、アミドまたはウレア部分によって、それぞれ、抗体またはその抗原結合フラグメントに結合され得る。
【0342】
いくつかの実施形態では、反応性置換基がN-マレイミジル基、ハロゲン化N-アルキルアミド基、スルホニルオキシN-アルキルアミド基、カーボネート基、ハロゲン化スルホニル基、チオール基またはその誘導体、内部炭素炭素三重結合を含むアルキニル基、(het-ero)シクロアルキニル基、ビシクロ[6.1.0]非-4-yn-9-イル基、内部炭素炭素二重結合を含むアルケニル基、シクロアルケニル基、テトラジニル基、アジド基、ホスフィン基、ニトリルオキシド基、ニトロン基、ニトリルイミン基、ジアゾ基、ケトン基、(O-アルキル)ヒドロキシルアミノ基、ヒドラジン基、ハロゲン化N-マレイミジル基、1,1-ビス(スルホニル
メチル)メチルカルボニル基またはその脱離誘導体、ハロゲン化カルボニル基、またはア
レンアミド基であり、これらはそれぞれ任意に置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、反応性副成分がシクロアルケン基、シクロアルキン基、または任意に置換された(ヘテロ)シクロアルキニル基を含む。
【0343】
抗体またはその抗原結合断片上の反応性残基との反応に適した反応性置換基Z'を含有するアマトキシン-リンカー結合体の非限定的な例には、以下が含まれる。7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ピペリジン-1-イル;7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ピ
ペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル;7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペ
リジン-1-イル; C-(4-(6-(6-(マレイミド)ヘキサミド)エチル)ピペリジン-1-イル;7'C-(4-(6-(4-(4-(4-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(2-ブロモアセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマト
キシン;7'C-(4-(3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)プロパンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル;7'C-(4-(マレイミド)ブタン-(2-(マレイミド)アセチル)-ピペラジン-1-イル;7'C-(4-(マレイミド)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(4-(マレイミド)メチル)シ
クロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペリジン-1-イル;7'C-(3-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル 7'C-(3-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル;7'C-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)メチル)
ピロリジン-1(-(3-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル;7-(2-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)ピペラジン-1-イル;7'C-(4-(2-(
アミノオキシ)アセトアミド)エチル)ピペラジン-1-イル;7'C-(4-(2-(アミノオキシ)アセ
トアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2)(6-(6-(マレイミド)ヘキサノ
イル)メチル)ピペリジン-1-イル(7-(6-(マレイミド)メチル)ピペラジン-1-イル)-アマト
キシン;(7-(6-(マレイミド)ヘキサノイル)メチル)-アマトキシン;7-(4-(2-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-(4-(4-(マ
レイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-メチル;7'C-(4-(6-(マレイミド))(2-(4-(6-(6-(マレイミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)ピ
ペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(4-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-メチル;7'C-((4-(6-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)-S-メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-)
((6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)-R-メチル)ピロリジン-1-アミドキシン;7-((3-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)-R-メチル)-ピロリジン-1-イル)-メ
チル;7'C-(((6-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-((2-(3-カルボキシプロパンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-メチル;7'C-(6-(マレイミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-)4-(((マレイミド)メチル)シクロヘキサノイル)ピペラジン-1-イル(マレイミド)
メチル;7-(3-(マレイミド)ピペラジン-1-イル)ピペラジン-1-イル)メチル;7'C-((4-(4-(
マレイミド)ブタノイル)ピペラジン-1-イル)メチル;7'C-(4-(4-(マレイミド)ブタナミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;'C-(4-(6-(マレイミド)メチル)シクロヘキサ
ンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン; 7'C-((3-(6-(マレイミド)メチル)アゼチジン-1-イル;7'C-((3-(4-(マレイミド)エチル)アゼチジン-1-イル)メチル)アゼチジンアマトキシン;7'C-((3-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)アゼチジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-(2-(6-(4-(マレイ
ミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)アゼチジン-1-イル)メチル;7'C-((2-(マレイミド)-N-メチルヘキサンアミド)エチル)(メチル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(マ
レイミド)))(2-(6-(2-(メチル)アマトキシン;7-(2-(6-(マレイミド)エチル)アジリジン)
メチル)アジリジン-1-イル;7'C-(4-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)メチル;7'C-((4-(1-(アミノオキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザヘプタデカン-17-オイル)ピペラジン-1-イル)-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(
アミノオキシ)アセトアミド)アセチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4)(2-(3-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ピペラジン-1-イル)メチル)ピペラジン-1-イル;7-(2-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-ア
マトキシン;'7-(4-(20-(アミノオキシ)-4,19-ジオキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3,18-ジアザイコシル)ピペリジン-1-イル)-メチル)-アマトキシン ; 7'C-(((2-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)-N-メチル)エチル;7'C-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)-N-メチル)ブチル;7'C-((3-(4-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(((3-(6-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘ
キサンカルボキサミド)-R-メチル)ピロリジン-1-イル)-メチル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(ブロモアセトアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(ブロモア
セトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル(2-(3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)
エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)ピペリジンアマトキシン;6'O-(5-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンアミド)-ペンチル;6'O-(2-(6-(マレイミド)ヘキシル)-2-オキソエチル)-アマトキシン;6'O-(((6-(マレイミド)ヘキシル)カルバモイル)-アマトキシン;6'O-((6-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキシル)-カルバモイル;6'O-(2-
ブロモアセトアミド)-ヘキシル;7'C-(4-(アジド)ヘキサミド)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(hex-5-ynoylamino))(2-(4-(6-(6-(マレイミド)ヘキサミド)エチル)ピペ
ラジン-1-イル;7-(6-(4-イル)-アマトキシン)-1-エチル)ピペラジン-1-イル;6-(11,12-ジデヒドロ-5,6-ジヒドロジベンズ[b,f]アゾシン-5-イル)-6-オキソヘキサミド)-ヘキシル;6'O-(6-(ヘキス-5-イノイルアミノ)ヘキシル)-アマトキシン;6'O-((6-アミノオキシ)ヘキシル)-アマトキシン;O-(6-(2-ヨードアセトアミド)ヘキシル)-アマトキシン。
【0344】
いくつかの実施形態では、化学的な部分構造Zが表1から選択される。いくつかの実施形態ではの化学的な部分構造Zは
【化72】
,
【0345】
ここで、Sは(例えば、システイン残基の-SH基からの)CD45に結合する、抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基を表す硫黄原子である。
【0346】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントと結合させる前のリンカー反応性置換基構造L-Z'がである:
【化73】
【0347】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるアマトキシンが以下の式を有するリンカー反応性部分-L-Z'に結合される:
【化74】
【0348】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるアマトキシンが以下の式を有するリンカー反応性部分-L-Z'に結合される:
【化75】
【0349】
前記のリンカー部分およびアマトキシンリンカー共役はとりわけ、本明細書中に記載される組成物および方法と関連して有益であり、例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号および特許出願公開第WO2017/149077号に記載されており、これらの各々の開示は、そ
の全体が参考として本明細書中に援用される。
【0350】
抗体薬物共役の調製
本明細書中に開示される式IのADCにおいて、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは本明細書中に開示されるリンカーLおよび化学的な部分構造Zを介して、1つ以上の細
胞傷害性薬物部分(D)(例えば、1抗体あたり約1~約20の薬物部分)に結合体化される。本
開示のADCは以下を含む、当業者に公知の有機化学反応、条件下、および試薬を使用する
いくつかの経路によって調製され発明:(1)上記のように、抗体またはその抗原結合フラグメントの反応性置換明細書リンカー試薬との反応、続いて薬物部分Dとの反応;または(2)
上記のように、薬物部分の反応性置換明細書リンカー試薬との反応、続いてD-L-Z'を形成し、続いて上記のように、抗体またはその抗原結合フラグメントの反応性置換基との反応。ADCを調製するためのさらなる方法は、本明細書中に記載される。
【0351】
別の局面において、抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメントは、1つ以上のスル
フヒドリル基を導入するために化学的に改変され得る1つ以上のリジン残基を有する。次
いで、ADCは本明細書中上記のように、スルフヒドリル基の硫黄原子を通る共役によって
形成される。リジンを修飾するために使用することができる試薬にはN-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)および2-イミノチオラン塩酸塩(トラウト試薬)が含まれるが、これらに限定されない。
【0352】
別の局面では、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントが1つ以上のスルフヒドリ
ル基を有するように化学修飾することができる1つ以上の糖鎖部分(carbohydrate groups)を有することができる。次いで、ADCは本明細書中上記のように、スルフヒドリル基の硫
黄原子を通る共役によって形成される。
【0353】
さらに別の局面において、抗CD45抗体は酸化されてアルデヒド(-CHO)基を提供し得る1
つ以上の糖鎖部分(carbohydrate groups)を有し得る(例えば、Laguzzaら、JMedChem.1989,32(3),548-55を参照のこと)。次いで、ADCは本明細書中上記のように、対応するアルデ
ヒドを通る共役によって形成される。細胞毒素の付着または会合のためのタンパク質の修飾のための他のプロトコルはColiganら、電流プロトコルinタンパク質Science、volに記
載されている。2, John Wiley & Sons (2002)(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0354】
抗体、免疫グロブリンまたはそれらのフラグメントのような細胞標的タンパク質へのリンカー-薬物部分の結合のための方法は例えば、米国特許に見出される。米国特許第5,208,020号。No.6,441,163; WO2005037992; WO2005081711;およびWO2006/034488(これらの全
ては、それらの全体が参照により本明細書に明示的に援用される)。
【0355】
あるいは、抗体および細胞傷害剤を含む融合タンパク質が例えば、組換え技術またはペプチドシンセシスによって作製され得る。DNAの長さは、結合体の2つの部分をコードするそれぞれの領域を、互いに隣接するか、または結合体の所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域によって分離されてもよい。
【0356】
本明細書中に記載されるADCは種々の投薬形態で患者(例えば、免疫病またはがんに罹患しているヒト患者)に投与され得る。例えば、本明細書中に記載されるADCは、1つ以上の
薬学的に受容可能な賦形剤を含む水溶液のような水溶液の形態で、免疫疾病またはがんに罹患している被験体に投与され得る。本明細書中に記載される組成物および方法物と共に
使用するための好適な薬学的に許容される賦形剤物は、粘度変性剤を含む。水溶液は、当技術分野で公知の技術を使用して滅菌することができる。
【0357】
本明細書に記載されるような抗CD45 ADCを含む医薬製剤は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、このようなADCを1つ以上の任意の薬学的に許容可能な担体(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol、AEd(1980))と混合することによって調製され
る。薬学的に受容可能なキャリアは一般に、使用される用量および濃度で受領者に対して非毒性であり、これにはリン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液;アスコ
ルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止;塩化オクタデシルベンジルアンモニウム;塩化ベンザルコニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;レゾルシノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリ
ンなどのタンパク質;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、
またはリジンなどの親水性ポリマー;単糖類、二糖類が挙げられるが、これらに限定され
ない。グルコース、マンノース、デキストリンなどの他の炭水化物;スクロース、マンニ
トール、トレハロース、ソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(Zn-タンパク質複合体など);および/または非イオン性界面活性剤 例えば、ポリエチレングリコール(PEG)。
【0358】
治療方法
CD45は、造血および免疫システム全体に広く発現する細胞表層分子である。本明細書中に記載されるのは、白血病およびリンパ腫の患者、ならびに多発性硬化症および強皮症のような自己免疫疾患の患者の治療に用いることができる抗CD45抗体および抗CD45 ADCである。さらに、現在、これらの細胞の多層効力および造血機能性が移植後に保存されるように、外生的造血幹細胞グラフトの定植を促進するための組成物および方法が必要とされている。本明細書に開示される組成物はさらに、この困難な問題に対する解決策を提供する。
【0359】
従って、本明細書中に開示されるのは、種々の障害(例えば、造血系統における細胞型
の疾患、がん、自己免疫疾患、代謝障害、および幹細胞障害)を処置する方法である。本
明細書に記載される組成物および方法は(i)がん細胞(例えば、白血病細胞)および自己免
疫細胞(例えば、自己反応性T-細胞)の集団などの病理を引き起こす細胞の集団を直接的に枯渇させることができ、かつ/または(ii)移植された細胞がホーミングすることができる
ニッチを提供することによって、移植された造血幹細胞の定植を促進するように内因性の造血幹細胞の集団を枯渇させることができる。上記の活性は、内因性疾患を引き起こす細胞または造血幹細胞によって発現される抗原に結合し得るADC、抗体、またはそれらの抗
原結合フラグメントの投与によって達成され得る。病気を直接治療する場合、この投与は、関心の病理を生じる細胞の量の低下を引き起こすことができる。患者を造血幹細胞移植療法のために準備する場合には、この投与によって内因性の造血幹細胞の集団の選択的な枯渇を引き起こすことができ、それによって、移植された外生的造血幹細胞によって、続いて埋めることができる、骨髄のような造血組織における空洞を作り出すことができる。造血幹細胞によって発現されたCD45に結合することができるADC、抗体、またはそれらの
抗原結合フラグメントが上記の活性の両方をもたらすために、被験体に投与され得るという知見に部分的に基づいている。造血抗体によって発現される抗原(例えば、CD45)に結合するADC、幹細胞、またはその抗原結合フラグメントはがんまたは自己免疫疾患に罹患し
ている患者に投与して、癌性細胞または自己免疫細胞の集団を直接的に枯渇させることができ、また、移植された造血定植の生き残りおよび定植電位を促進するために、造血幹細胞移植療法を必要とする患者に投与することもできる。
【0360】
本明細書中に記載されるように、造血幹細胞移植療法は1つ以上の血中細胞型をポピュ
レートまたは再ポピュレートするために、処置を必要とする被験体に投与され得る。造血幹細胞は一般に、多分化能を示し、したがって、限定されるわけではないが、樹状細胞, ミクログリア,破骨細胞、およびリンパ球(例えば、顆粒球、B-好中球,好酸球,好塩基球およびT-血小板(platelet))を含む、NK細胞(例えば、前骨髄球、細胞)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、巨核球、血小板(platelets)を産生する
細胞)、単球(例えば、単球、例えば、マクロファージ)、多数の異なった血球系列に分化
することができる。さらに、造血幹細胞は自己複製能力を有し、従って、母親細胞と同等の可能性を有する娘細胞を生じ、そしてまた、造血幹細胞ニッチに帰宅し、再び生産的で持続的な造血を確立する移植レシピエント(recipient)に再導入される能力を特徴とする
ことができる。
【0361】
したがって、造血幹細胞はインビボで細胞の欠損または欠損集団を再構成するために、造血系列の1つ以上の細胞型を欠損または欠損した患児に投与することができ、それによ
って、内因性血中細胞集団の欠損または欠損に関連する病理を治療する。したがって、本明細書に記載の組成物および方法は非悪性異常ヘモグロビン症(例えば、鎌状赤血球貧血,
サラセミア,ファンコニ貧血,再生不良性貧血およびウィスコット‐アルドリッチ症候群
からなる群から選択される異常ヘモグロビン症)を治療するために使用することができる
。さらに、または代わりに、本明細書に上記の組成物および方法は、先天性免疫不全症などの免疫不全を治療するために使用することができる。さらに、または代わりに、本明細書に記載の組成物および方法は後天性免疫不全症(例えば、HIVおよび助剤からなる群から選択される後天性免疫不全症)を治療するために使用することができる。本明細書中に記
載される組成物および方法は代謝障害(例えば、グリコーゲン蓄積症, ムコ多糖症,ゴーシェ病,ハーラー病、スフィンゴ脂質用量、および異染性白質ジストロフィーからなる群よ
り選択される代謝障害)を処置するために使用され得る。
【0362】
さらに、または代わりに、本明細書に記載される組成物および方法は悪性腫瘍または増殖性障害(例えば、血液学的がん、骨髄増殖性疾病)を処置するために使用され得る。がん治療の場合、本明細書に記載される組成物および方法は、造血幹細胞移植療法の前に内因性の造血幹細胞の集団を枯渇させるように患者に投与されてもよく、この場合、移植された細胞は内因性細胞枯渇工程によって作り出された隙間に帰還し、生産的造血を確立することができる。これは、次に、全身化学療法の間のようながん細胞除菌の間に枯渇した細胞の集団を再構成することができる。本明細書に記載される組成物および方法を用いて治療することができる例示的血液がんは限定されるものではないが、急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性リンパ性白血病,多発性骨髄腫,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および非ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)、ならびに神
経芽細胞腫を含む他の癌性状態を含む。
【0363】
本明細書に記載される組成物および方法で治療することができる追加の疾患には限定されるものではないが、アデノシン・デアミナーゼ欠損症および重度複合免疫不全症, 高免疫グロブリンM症候群,チェディアック‐東病,遺伝性リンパ組織球症,大理石骨病,骨形成
不全症,貯蔵疾患,サラセミア・メジャー,全身性硬化症,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus), 多発性硬化症、ならびに若年性関節リウマチが含まれる。
【0364】
本明細書中に記載される抗体、またはその抗原結合フラグメント、および共役は、固形臓器移植寛容を誘導するために使用され得る。例えば、本明細書中に記載される組成物および方法はターゲット組織からの細胞の集団を枯渇させるかまたは切除するために(例え
ば、骨髄幹細胞ニッチからの造血幹細胞を枯渇させるために)使用され得る。ターゲット
組織からの細胞の上記枯渇に続いて、臓器ドナー(donor)(例えば、臓器ドナー(donor)か
らの造血幹細胞)からの幹または前駆体細胞の集団を移植レシピエント(recipient)に投与することができ、上記幹または前駆体細胞の定植に続いて、一時的または安定な混合キメ
リズムを達成することができ、それによって、さらなる免疫抑制剤を必要とせずに長期移植臓器寛容を可能にする。例えば、本明細書に記載の組成物および方法は固形臓器移植レシピエント(recipient)(例えば、とりわけ、腎臓移植、肺移植、肝臓移植、および心臓移植)において移植耐性を誘導するために使用され得る。本明細書に記載される組成物およ
び方法は例えば、移植された器官の長期耐性を誘導するのに、低割合の一時的または安定なドナー(donor)定植で充分であるため、固形器官移植耐性の誘導に関連して使用するの
によく適している。
【0365】
さらに、本明細書に上記の組成物および方法は、CD45+である細胞を特徴とするがんな
どのがんを直接的に治療するために使用することができる。例えば、本明細書中に記載される組成物および方法は例えば、CD45+白血病細胞を示す患者において、白血病を処置す
るために使用され得る。CD45+癌性細胞(例えば、白血病性細胞)を枯渇させることによっ
て、本明細書中に記載される組成物および方法は、種々のがんを直接的に処置するために使用され得る。この様式で治療され得る例示的がんは、急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性リンパ性白血病,多発性骨髄腫,びまん性大細胞型B細胞リ
ンパ腫、および非ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)のような血液がんを包含し、
【0366】
さらに、本明細書中に記載される組成物および方法は、自己免疫障害を処置するために使用され得る。例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントはCD45+免疫細胞を死滅さ
せるために、自己免疫障害に罹患しているヒト患者などの対象に投与することができる。例えば、CD45+免疫細胞はT-細胞レセプターを発現し、自己抗原に対する免疫反応を実行
するT-細胞のような自己反応性リンパ球であり得る。自己反応性CD45+を枯渇させること
によって、本明細書に記載される組成物および方法は、以下に記載されるような自己免疫性病理を処置するために使用され得る。加えて、または代わりに、本明細書に記載される組成物および方法は造血幹細胞移植治療の前に内因性の造血幹細胞の集団を枯渇させることによって自己免疫疾患を処置するために使用され得、この場合、移植された細胞は内因性細胞枯渇工程によって作製されたニッチにホーミングし得、そして生産的造血を確立し得る。これは、次に、自己免疫性細胞撲滅の間に枯渇した細胞の集団を再構成することができる。
【0367】
本明細書に記載される組成物および方法を用いて治療することができる自己免疫疾患には限定されるものではないが、乾癬、1型糖尿病(RA)、関節リウマチ(SLE)、ヒト全身性ループス(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、リンパ球性大腸炎、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジ
ソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性内耳
疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖性症候群(ALPS)、自己免疫性卵巣炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、慢性疲労性免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発
ニューロパチーが含まれる クローン病、瘢痕性類天疱瘡、コエリアックスプルー皮膚炎
、寒冷凝集素症、デゴス病、円板状エリテマトーデス、自律神経異常症、本態性混合クリオグロブリン血症、線維筋痛症線維筋炎、グッドパスチャー症候群、Guillain-Barre症候群(GBS))、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、特発性及び/又は急性血小板減少性紫斑病、IgAニューロパチー、若年性関節炎、川崎病、ライム病、メニエール病、混合性結合組織病(MCTD)、重症筋無力症、神経筋強直症、視神経炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発性軟骨炎及び皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症、レイター症候群、リウマチ熱、強皮症 シェーグレン症候群、
こわばり人症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」としても知られる)、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、血管炎、白斑、外陰部痛(「外陰前庭炎」)、ヴェーゲナー肉芽腫症。
【0368】
いくつかの実施形態では、移植は同種異系である。いくつかの実施形態では、移植片は
自家性である。
【0369】
いくつかの実施形態ではでは、骨髄移植、末梢血移植、臍帯血移植が行われる。
【0370】
いくつかの実施形態では、移植が造血細胞(例えば、造血幹細胞)を含む。
【0371】
本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、移植片は、任意の固形臓器または皮膚移植片であり得る。いくつかの実施形態では移植は、腎移植、心移植、肝移植、膵移植、肺移植、小腸移植、皮膚移植からなる群から選択される。
【0372】
投与経路および投与法
本明細書中に記載される抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは種々の投薬形
態で患者(例えば、がん、自己免疫疾病、または造血幹細胞移植療法を必要とするヒト患
者)に投与され得る。例えば、本明細書中に記載される抗体、その抗原結合フラグメント
、またはADCはがん、自己免疫疾患に罹患しているか、または造血幹細胞移植療法を必要
とする患者に、1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を含む水溶液のような水溶液の形態
で投与され得る。本明細書中に記載される組成物および方法物と共に使用するための薬学的に許容される賦形剤物は、粘度変性剤を含む。水溶液は、当技術分野で公知の技術を使用して滅菌することができる。
【0373】
抗CD45抗体またはその結合体(例えば、本明細書に記載のADC)を含む医薬製剤は、この
ような抗体またはADCを、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、1つ以上の任意の薬学的に許容可能な担体(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol、AEd(1980))と混合することによって調製される。薬学的に受容可能なキャリアは一般に、使用され
る用量および濃度で受領者に対して非毒性であり、これにはリン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止;塩化オクタデシルベンジルアンモニウム;塩化ベンザルコニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;レゾルシノール;3-
ペンタノール;およびm-クレゾール;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミ
ン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;グリシン、グルタミン、アスパ
ラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどの親水性ポリマー;単糖類、二糖類
が挙げられるが、これらに限定されない。グルコース、マンノース、デキストリンなどの他の炭水化物;スクロース、マンニトール、トレハロース、ソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(Zn-タンパク質複合体など);および/または非イオン性界面活性剤 例えば、ポリエチレングリコール(PEG)。
【0374】
本明細書に記載の抗体、抗原結合フラグメント、またはADCは、経口、経皮、皮下、鼻
腔内、静脈内、筋肉内、眼内、または非経口などの様々な経路によって投与することができる。任意の所与の症例における投与のための最も好適な経路は投与される特定の抗体または抗原結合フラグメント、患者、医薬製剤方法、投与方法(例えば、投与時刻および投
与経路)、患者の年齢、身体重量、性別、治療される疾患の重症度、患者の食事、および
患者の排泄速度に依存する。
【0375】
本明細書に記載される抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCの実効量は例えば
、単回(例えば、ボーラス)照射量、複数照射量、または持続照射量当たり、または抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCの最適血清濃度(例えば、約0.0001~約5000μg/mLの血清濃度)を達成するために、約0.001~約100mg/kg体重量に及ぶことができる。投与量はがん、自己免疫疾患に罹患しているか、または造血幹細胞移植の受領に備えて条件付け療法を受けている対象(例えば、ヒト)に、1日、1週間、または1ヶ月当たり1回以上(例え
ば、2~10回)投与されてもよい。
【0376】
ある実施形態に、ヒト患者に投与される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素に結合された抗CD45抗体)の投与量は、約0.1mg/kg~約0.3mg/kgである。
【0377】
ある実施形態に、ヒト患者に投与される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素に結合された抗CD45抗体)の投与量は、約0.15mg/kg~約0.3mg/kgである。
【0378】
ある実施形態に、ヒト患者に投与される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素に結合された抗CD45抗体)の投与量は、約0.15mg/kg~約0.25mg/kgである。
【0379】
ある実施形態に、ヒト患者に投与される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素に結合された抗CD45抗体)の投与量は、約0.2mg/kg~約0.3mg/kgである。
【0380】
ある実施形態に、ヒト患者に投与される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素に結合された抗CD45抗体)の投与量は、約0.25mg/kg~約0.3mg/kgである。
【0381】
ある実施形態に、ヒト患者に投与される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素に結合された抗CD45抗体)の投与量は、約0.1mg/kgである。
【0382】
ある実施形態に、ヒト患者に投与される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素に結合された抗CD45抗体)の投与量は、約0.2mg/kgである。
【0383】
ある実施形態に、ヒト患者に投与される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素に結合された抗CD45抗体)の投与量は、約0.3mg/kgである。
【0384】
一実施形態ではヒト患者に投与される本明細書に記載の抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートされた抗CD45抗体)の用量は約0.001mg/kg~10mg/kg、約0.01mg/kg~9.5mg/kg、約0.1mg/kg~9.5mg/kg
、約0.1mg/kg~8.5mg/kg、約0.1mg/kg~7.5mg/kg、約0.1mg/kg~7mg/kg、約0.1mg/kg~6.5mg/kg、約0.1mg/kg~5.5mg/kg、約0.1mg/kg~5mg/kgである 約0.1mg/kg~4.5mg/kg、約0.1mg/kg~4mg/kg、約0.5mg/kg~3.5mg/kg、約0.5mg/kg~3mg/kg、約1mg/kg~10mg/kg、約1mg/kg~9mg/kg、約1mg/kg~8mg/kg、約1mg/kg~7mg/kg、約1mg/kg~6mg/kg、約1mg/kg~5mg/kg、約1mg/kg~4mg/kg、または約1 mg。
【0385】
ある実施形態に、処理または調整のためにヒト患者に投与される本明細書に記載の抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは、24時間以下、22時間以下、20時間以
下、18時間以下、16時間以下、14時間以下、13時間以下、12時間以下、11時間以下、10時間以下、9時間以下、8時間以下、7時間以下、6時間以下、または5時間以下の半減期を有
する。ある実施形態に、抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCの半減期は5時間~7時間であり、5時間~9時間であり、15時間~11時間であり、5時間~13時間であり、5時間~15時間であり、5時間~20時間であり、5時間~24時間であり、7時間~24時間であり、9時間~24時間であり、11時間~24時間であり、12時間~22時間であり、10時間~2
0時間であり、8時間~18時間であり、または14時間~24時間である。
【0386】
ある実施形態に、本明細書に開示される方法は、抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、または調整のためのADCを受ける患者における肝臓毒性を最小限にする。例えば、in
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される方法が24時間、48時間、72時間、または96時間を超えて、患者における既知の毒性量未満に留まる肝臓マーカ量をもたらす。他の実施形態では、本明細書に開示される方法が24時間、48時間、72時間、または96時間を超えて、患者内の基準温度範囲内に残存する肝臓マーカ量をもたらす。ある特定の実施形態に、本明細書に開示される方法は、肝臓マーカ量が24時間、48時間、72時間、または96時間を超えて、基準範囲より1.5倍以下、基準範囲より3倍以下、基準範囲より5倍以下、ま
たは基準範囲より10倍以下上昇することをもたらす。肝臓マーカーとしては、アラニンアミノトランスアミナーゼ(ALT)、乳酸脱水素酵素(LDH)、アミノトランスフェラーゼアミノトランスアミナーゼ(AST)などがある。ある特定の実施形態に、本明細書中に記載される
ようなADCの照射量(すなわち、単回用量の代わりに2用量が照射量される場合)は肝臓マーカー(例えば、AST、LDH、および/またはALT)の一過性の増大を生じる。いくつかの例では毒性を示す肝臓マーカーの高レベルに達することができるが、ある期間、例えば、約12時間、約18時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、上記3日、約3.5日、約4日、
約4.5日、約5日、約5.5日、約6日、約6.5日、約7日、約7.5日、または1週間未満の範囲内で、肝臓マーカーレベルは肝臓毒性に関連しない正常レベルに戻る。例えば、ヒト(平均
成人男性)において、ALTの正常な非毒性量は、1リットル当たり7~55単位(U/L)であり;ASTの正常な非毒性量が8~48U/Lである。ある特定の実施形態に、患者の血中AST、ALT、ま
たはLDHレベルの少なくとも1つは、ADCの第1の用量の投与と、患者への第1の用量の投与
後14日との間に毒性濃度に達しない。例えば、患者は第1の用量を投与されてから例えば5、10、又は14日以内に、後に第2の用量、3回目の投与、4回目の投与、又はそれ以上の投
与を受けても、患者の血中AST、ALT、又はLDHレベルの少なくとも1つは、ADCの第1の用量の投与から患者への第1の用量の投与から14日後までに毒性レベルに達しない。
【0387】
ある特定の実施形態に、少なくとも1つの血中AST、ALT、患者LDH量は、正常量を超えて上昇せず、正常量を1.5倍を超えて上昇せず、正常量を3倍を超えて上昇せず、正常量を5
倍を超えて上昇せず、患者正常量を10倍を超えて上昇しない。
【0388】
造血幹細胞移植前の調整手続のケースでは、抗体またはその抗原結合フラグメントが外生的造血幹細胞移植の投与前に、例えば、約1時間~約1週間(例えば、約1時間、約2時間
、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11
時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日)またはそれ以上、外生的造血幹細胞の定植を最適に促進する時間に患
者に投与され得る。本明細書中に列挙される数を含む範囲もまた、意図される方法に含まれる。
【0389】
本明細書中に開示される方法を使用して、当業者は造血幹細胞移植療法を必要とするヒト患者に、造血幹細胞によって発現されるCD45に結合し得るADC、抗体またはその抗原結
合フラグメントを投与し得る。この様式では、造血幹細胞移植片の定植を促進するように、外生的造血幹細胞移植片の投与前に内因性の造血幹細胞の集団を枯渇させることができる。抗体は、本明細書中に記載されるか、または当該分野で公知の細胞傷害性分子のような毒素に共有結合され得る。例えば、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは、シュードモナス外毒素A、ジフテリア毒素、アマトキシン、例えばカリケアマイシン、deブ
ーガニン、ジフテリア毒素、アマニチン、サポリン、メイタンシン、メイタンシノイド、アンドロゲン、アントラサイクリン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、ピロ
ロベンゾジアゼピン、1ピロロベンゾジアゼピン二量体、αアマニチン、1インドリノベン
ゾジアゼピン二量体、またはそれらのバリアントなどの細胞毒に共有結合させることができる。この共役は、本明細書に記載されるか、または当技術分野で公知の共有結合形成技術を使用して行うことができる。抗体、その抗原結合フラグメント、または薬物-抗体結
合体はその後、患者への外生的造血幹細胞(例えば、自己、同系、または同種造血幹細胞)の移植の前に、例えば、静脈内投与によって患者に投与され得る。
【0390】
抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは内因性の造血幹細胞の量を、例
えば、造血幹細胞移植療法に対して約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%
、約80%、約90%、約95%、またはモレプリオールだけ減少させるのに充分な量で投与する
ことができる。造血幹細胞数の低下は当該分野で公知の従来の技術(例えば、調整治療の
間の種々の間隔で、該患者から採取された血中サンプル中の特性造血幹細胞表面抗原を発現する細胞のFACS解析)を使用してモニターされ得る。例えば、当業者は調整療法中の様
々な時点で患者から血中サンプルを回収し、造血幹細胞マーカ抗原に結合する抗体を用いてサンプル中の造血幹細胞の相対濃度を解明するためにFACS解析を行うことによって内因性の造血幹細胞減少の範囲を決定することができる。いくつかの実施形態によれば、抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCによるコンディショニング療法に応じて
造血幹細胞が最低値に達した場合、医師はコンディショニング療法を終了し、造血幹細胞移植療法のための準備を開始することができる。
【0391】
抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、粘度変性剤)を含む水溶液中で、被験体に投与され得る。水溶液は、本明細書中に記載されるか、または当該分野で公知の技術を使用して滅菌され得る。例えば、約0.001mg/kgから約100mg/kg、約0.01mg/kgから約10.5mg/kg、約0.1mg/kgから9.5mg/kg、約0.1mg/kgから8.5mg/kg、約0.1mg/kgから7.1mg/kg、約0.1mg/kgから6.5mg/kg、約0.1mg/kgから5.5mg/kgの投与量で患者に投与することができる。約0.1mg/kg~約0 患者へのヘマトポステム細胞移植の投与前に、0.1mg/kg~4.1mg/kg、約0.1mg/kg~4.5mg/kg、約0.5mg/kg~3.5mg/kg、約0.5mg/kg~3mg/kg、約1mg/kg~10mg/kg、約1mg/kg~9kg、約1mg/kg~8mg/kg、約1mg/kg~7mg/kg、約1mg/kg~6mg/kg、約1mg/kg~5mg/kg、約1mg/kg~4mg/kg、または約1mg/kg~3mg/kgである。抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは外生
的造血幹細胞移植の投与前に、外生的造血幹細胞の定植を最適に促進する時間、例えば、約1時間~約1週間(例えば、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、
約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日)またはそれ以上で患者に投与され得る。
【0392】
ある実施形態に、抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは、免疫抑制剤
と共に対象に投与される。ある実施形態に、免疫抑制剤は、T細胞を枯渇させる薬剤であ
る。免疫抑制剤は抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCの投与前、投与と
同時に、または投与後に対象に投与することができる。例示的な免疫抑制剤としては抗CD4抗体、抗CD8抗体、全身照射法(total body irradiation)、およびサイトキサン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0393】
ある実施形態に、抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは全身照射法(total body irradiation)(TBI)(例えば、低用量TBI)と組み合わせて被験体に投与される。
例示的な実施形態では、対象が3Gy以下、例えば、3Gy TBI以下、2.5Gy TBI以下、2Gy TBI以下、1.5Gy TBI以下、1Gy TBI以下、または0.5Gy TBI以下の用量でTBIを受ける。
【0394】
ある実施形態に、抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは、サイトキサ
ンと一緒に対象に投与される。
【0395】
前処置治療の終了後、患者はその後、前処置治療を実施した同じ医師または別の医師からなどの外生的造血幹細胞の注入(例えば、静脈内注入)を受けることができる。医師は例えば、1×103~1×109造血幹細胞/kgの投薬量で、自己、同系、または同種造血幹細胞の
注入を投与患者。医師は例えば、患者から血中サンプルを引き出し、移植の投与に続いて造血系幹細胞または造血系の細胞(巨核球, 血小板(thrombocytes),血小板(platelets)、
赤血球、マスト細胞,骨髄芽球,好塩基球,好中球,好酸球,ミクログリア,顆粒球,単球,破骨細胞,抗原提示細胞,マクロファージ,樹状細胞,ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、およびB-リンパ球など)の増大を決定することによって、造血幹細胞移植の定植を監視し得
る。この分析は例えば、造血幹細胞移植治療後の1時間~6ヶ月以上、例えば、約1時間、
約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日、約3日、約4
日、約5日、約6日、約7日、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、
約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間 約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、約24週間、またはそれ以上)。造血系統の造血幹細胞または細胞の濃度が移植療法前の対応する細胞型の濃度と比較して、移植療法後に増加した(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、
約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、
約80%、約90%、約100%、約200%、約500%、またはそれ以上)という発見は、抗CD45抗体、
またはその抗原結合フラグメント、またはADCによる処置が移植された造血幹細胞移植片
の定植を首尾よく促進したという1つの指標を提供する。
【0396】
抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCの投与による造血幹細胞移植の定
植は、種々の経験的測定において現れ得る。例えば、移植された造血幹細胞の定植は、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントの投与、およびその後の造血幹細胞移植の投与に続く、患児の骨髄内に存在する競合的再定植ユニット(competitive repopulating unit)(CRU)の量を評価することによって評価することができる。さらに、ドナー(donor)造血
幹細胞がトランスフェクトされたベクターに、蛍光、発色団、または発光製品を生じる化学反応を触媒する酵素などのレポータ遺伝子を組み込み、続いて、骨髄などの造血幹細胞がホーミングされた組織中の対応するシグナルを監視することによって、造血幹細胞移植の定植を観察することができる。また、例えば、当技術分野で公知の蛍光活性化細胞選別(fluorescence activated cell sorting)(FACS)解析方法によって決定されるように、造
血幹および前駆細胞細胞の量および生存率を調べることによって、造血幹細胞定植を観察することもできる。定植はまた、骨髄細胞の移植後中の末梢血中の白血球数を測定すること、および/または骨髄穿刺サンプル中のドナー(donor)細胞による回収を測定することによって決定することができる。
【0397】
実施例
以下の実施例は、本明細書中に記載される組成物および方法がどのように使用され、作製され、そして評価され得るかの記載を当業者に提供するために提示され、そして純粋に本発明の例示であることが意図され、そして本発明者らがそれらの発明とみなす範囲を限定することが意図されない。
【0398】
例1.抗CD45モノクローナル抗体の調製
【0399】
ヒトCD45(具体的には、ヒトCD45 ROの細胞外領域)を用いて、抗ヒトCD45抗体を得るた
めに、ネズミを免疫化した。ヒトCD45RO、ヒト全長CD45(RABC)、サイノRABCおよびマウスCD45 RABCを発現する細胞株を作成し、それぞれのクローンの結合をフロー・サイトメト
リーにより評価した。216抗体を、抗Rat Fab-saporin(細胞ラインは10nM、CD34は20nM)の
存在下で、2つの細胞系列とヒトCD34骨格細胞の10、100、および1000pMの一次抗体における二次Fab-sab-saporinで殺す実験で重複して評価した。スタウロスポリンを、各プレー
ト上の100%死制御として使用した。比較のためにラット抗ヒトCD45 mAbsを含めた。細胞
株を72時間インキュベートし、CD34細胞を120時間インキュベートした後、細胞力価gloを使用して生存率を評価した。その後、REH細胞株およびヒト骨髄CD34細胞上の選択クロー
ン化について、照射量滴定殺傷曲線を実施した。
【0400】
良好な交差反応性mAbを同定するために、オクテット結合実験を行った。クローンは、
抗体のヒトCD45ROおよびCD45RABCならびに非ヒト霊長類シノCD45RABCへの結合能に基づいて選択した。ヒトおよびカニクイザルCD45と交差反応性を有する5クローンが同定され、
それらのうちAbA、AbB、およびAbCのみがヒトおよび非ヒト霊長類CD45 RABCに対して良好な交差反応性を有することが同定された。
【0401】
これらのモノクローナル抗体をクローニングして、可変領域をヒトIgG1を含むベクターにクローニングした。続いて、キメラ抗体AbA、AbB、およびAbCをIgG1抗体として発現さ
せ、ヒトCD45細胞に対する結合および活性について試験した。ヒトCD45 RABC、カニクイ
ザルCD45 RABCおよびアカゲザルCD45 RABCに対するAbA、AbBおよびAbCの一価結合の程度
はオクテットによって評価されるように、表2に記載される。AbA、AbB、およびAbCの結合も、フロー・サイトメトリーによる24時間のPBMC結合との関連で評価した。各場合において、各クローンは、ヒトおよびシノPBMCへの結合として検出された。
【0402】
表2:CD45 RABC抗原に対する一価結合
[表2]
【0403】
これらの抗体をまた、ADCとして試験して、それらがCD45を発現する細胞に内在化し得
るかどうかを決定した。AbA、AbB、およびAbCは、それぞれ内部移行することができた。
【0404】
AbA、AbB、およびAbCのFcバリアント版も作製した。具体的には、AbA、AbB、およびAbCのヒトIgG1キメラを、Fc突然変異D265CおよびV205C(ADCの結合目的のため)の有無にかか
わらず作製した。H435AまたはI253A/H310A/H435Aを用いて、または用いずに、さらなるFcのバリアント抗体を行って、抗体またはADCのさらなる半減期を提供した。
【0405】
AbA、AbB、およびAbCのCDRおよび可変領域のアミノ酸配列を表3に示す。
【0406】
表3抗体順序テーブル
[表3]
【0407】
例2.CD45を標的とするアマトキシン抗体薬物コンジュゲートを用いた非遺伝毒性調整はヒトおよび非ヒト霊長類の造血幹細胞および免疫細胞を効果的に枯渇させる
【0408】
序文
【0409】
骨髄移植(BMT)は、悪性および非悪性血液疾患に対する処理の可能性のある治療法であ
る。BMT前の患者準備、または前処置のための電流レジメンは、臓器毒性、不妊症および
二次悪性腫瘍の危険を含む、レジメン関連の死亡率および病的状態のため、この治癒手技の使用を制限している。骨髄移植を安全に行うために、CD45を標的とする抗体薬物コンジュゲート(ADC)が開発され、造血システム全体に発現し、移植前に造血幹細胞(HSC)と免疫細胞の両方を特異的に枯渇させる標的が開発された。
【0410】
結果
抗CD45 ADCは、抗CD45抗体AbA(IgG1としてのキメラAbA)をアマトキシン(AM)ペイロード(payload)(RNAポリメラーゼIIインヒビター)に結合させることにより作成した。得られた抗CD45 AM ADC(CD45-AM)は、一次ヒト骨髄CD34+CD90+HSC(IC50 67 pM、
図1A)およびPBMC
免疫細胞(IC50 55 pM、
図1B)の強力なインビトロ死滅を示した。次に、CD45‐AM ADCをヒト化NSGマウスでインビボで研究した。CD45-AM 3mg/kgを単回用量すると、骨髄中のヒトCD34+細胞の95%以上の枯渇(
図1C;投与14日後)および末梢と骨髄中のヒトB-、T-および骨髄細胞の95%以上の枯渇(
図1D)が可能となった。単回用量3mg/kgのCD45-AMは、周ヒトCD45細胞の>99%枯渇も可能にした(
図1E;投与14日後; N = 3/群)。トキシンを持たない対照非タ
ーゲティングアイソタイプ適合-ADCおよび抗-CD45抗体は、HSC、免疫細胞、または周ヒトCD45細胞に最小限の影響しか及ぼさなかった。CD45は多くの白血病およびリンパ腫に高度に発現するため、ALLモデルおよび3 PDX-AMLモデルにおいてCD45-AMの白血病枯渇活性も
評価した。CD45-AM 1mg/kgの単回用量は4機種とも生存期間中央値の2倍以上(p値<0.001)
であり、数例のマウスが無病生存していた。
【0411】
BMTでは、入ってくるグラフトを枯渇させないためにADCを迅速に除去する必要があるため、t1/2がマウスで8~15時間、カニクイザルで9時間の速い半減期のCD45-AMバリアント
を作成した。カニクイザルにおける交差反応性高速半減期CD45‐AMの増量は、用量依存的な末梢リンパ球枯渇を示した。1mg/kgの単回用量は忍容性が良好であり、投与14日後にHSC(CD34+CD90+CD45RA細胞)の95%を超える枯渇と骨髄中の80%を超えるリンパ球枯渇を可能
にした(Fig.1D)。
【0412】
結論として、CD45をアマトキシンADCで標的化すると、強力なインビトロおよびインビ
ボヒトHSCおよび免疫細胞枯渇をもたらした。抗CD45アマトキシンADCは、複数白血病モデルにおいて疾病負荷を有意に減少させた。カニクイザルにおける速い半減期のADCの予備
的評価は、骨髄における効率的なHSCおよび免疫細胞枯渇を示した。CD45を標的とするア
マトキシンなADCはi)非遺伝毒性である可能性がある; ii)遊離毒素としてのアマニチンの細胞透過性が低いため、バイスタンダー毒性を回避する;およびiii)サイクルおよび非サ
イクル細胞を殺し、後者は有効なHSCおよび免疫細胞除去に必須である。これらの特性を
合わせることにより、より安全な標的化調整が可能となり、悪性および非悪性状態におけるBMTの使用が拡大する可能性がある。
【0413】
例3.抗CD45抗体薬物コンジュゲート(ADC)調整剤は細胞株および患者由来異種移植モデ
ルにおいてin Vivo抗白血病活性が証明されている
【0414】
同種造血幹細胞移植は、難治性または高リスクの血液悪性腫瘍に対して根治的治療法となる可能性がある。移植前には、大量化学療法または化学療法および全身照射法(total body irradiation)による前処置が行われ、これらは早期および晩期の罹病率およびかなりの死亡率の危険性と関連している。その結果、多くの適格患者は移植を考慮せず、移植を受けた患者の2人/3は、再燃率の増加と関連する強度低下前処置にのみ耐えられる。従っ
て、改善された疾患制御を有するより安全でより有効なコンディショニング剤が緊急に必要とされている。このニーズを満たすために、多発性骨髄腫を除く全てのリンパ造血細胞およびほぼ全ての血液悪性腫瘍に発現するCD45(Rahul 2018)を標的とするアマトキシン(AM)に結合した抗体AbB(ヒトIgG1中のキメラAbB)を用いた新規抗体薬物コンジュゲート(ADC)を開発した。この計画の目的は、抗CD45-AM(インビトロおよびインビボで初代ヒトHSPC
を枯渇させることが以前に示された薬剤)の抗白血病能を測定することであった。
【0415】
方法.ADCを、ルシフェラーゼで標識したAML細胞株であるCD45を発現するREH-Lucで試験し、様々な増殖動態(媒体処理群の生存期間中央値は接種後43、63、82日)を有するFLT-3+NPM1+ AMLサンプル(J000106132、J000106565、J000106134)から開発された患者由来異種
移植片(PDX)3個で試験した(Jackson Laboratories)。
【0416】
結果。REH‐Lucモデルでは、AML接種後5日目に1mg/kgのCD45‐AMを単回注射すると、媒体処置対照または非抱合抗CD45抗体と比較して、中央値15日間の長期生存が得られた(n=10マウス/群、p<0.0001)。4~5マウス/群/AML‐PDXモデルでは、0.1mg/kgのCD45‐AMのレ
シピエント(recipient)では媒体対照と比較して有意に生残が増加した。
【0417】
結論.CD45‐AMは正常宿主HSPCの枯渇に加えて、確立されたAMLを有するヒト化マウスモデルにおけるこれらのデータに基づく強力な抗白血病剤である。CD45-AM a前調整薬の効
力に関する以前の報告とともに、これらの非遺伝毒性ADCは、疾患が活動性の患者および
疾患再発の危険性が高い減量前調整のレシピエント(recipient)に役立つ可能性がある。
【0418】
例4.CD45を標的とした抗体薬物コンジュゲート(ADC)の単回用量は生体内で強力な抗白
血病活性を有し、救命効果がある
【0419】
同種骨髄移植(BMT)は、急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)などの難治性
または高危険度の血液悪性腫瘍を有する患児において、治癒の可能性がある方法である。移植前には、非特異的、大量化学療法のみ、または全身照射法(total body irradiation)との併用で準備されており、これらは臓器毒性、不妊症、二次性悪性腫瘍、および死亡の実質的な危険性を含む早期および晩期の病的状態と関連している。その結果、多くの適格患者は移植を考慮せず、移植を受けた患者の2人/3は強度低下前処置にのみ耐えられ、こ
れは再燃率の増加と関連している(Scottら)。Journal of Clinical Oncology 2017、1154-1161).従って、改善された疾患制御を有するより安全でより有効なコンディショニング
剤が緊急に必要とされている。このニーズを満たすために、造血幹・前駆細胞に発現するCD117(C-KIT、Pearse 2018)を標的とするアマトキシン(AM)に結合した2種類の新規抗体薬物コンジュゲート(ADC)と、約80%の患者に発現するAMLとMDS細胞(GaoらPLOS 1。2015)、
そして多発性骨髄腫を除く全てのリンパ造血系細胞とほぼ全ての血液悪性腫瘍に発現するCD45(Palchaudhuri 2018)を開発した。本計画の目的は白血病モデルにおける疾病負荷を
減少させながら、一次ヒト造血幹前駆細胞(HSPC)を枯渇させるという二重の利益を有する非遺伝毒性物質をデザインすることであった。
【0420】
方法
【0421】
以下の実施例においてADCにおいて使用される抗CD45抗体は、薬物対抗体比(DAR)4を有
するアマニチンに結合された抗CD45抗体AbB(鎖間)である。不死化細胞株由来のヒト白血
病細胞(REH-Luc、ルシフェラーゼ(5x106細胞/マウス)で標識したALL細胞株を発現するCD45)、およびCD45を発現する様々な増殖動態(媒体投与群の生存期間中央値は接種後43、63
、82日)を有するFLT-3+NPM1+ AMLサンプルから開発された3つの患者由来異種移植片(PDX)[AML #1(J000106132)、AML #2(J000106565)、AML #3(J000106134)]を接種した異種移植マウスモデルにおいて、ADCを試験した(Jackson Laboratories社)。すべてのin vivo研究は全米アカデミーの全国研究協議会が発表した「実験動物の飼育と使用に関する指針」に準拠し、施設内動物実験委員会の承認を得て実施した。
【0422】
結果
in vitroでの効果的な標的枯渇
【0423】
ヒトPBMCを用いたインビトロ殺傷アッセイのために、ヒトPBMCを、抗CD45-アマトキシ
ン共役(抗体AbB-アマトキシン;「CD45-AM」)またはアマトキシンに結合したIgG1アイソタイプ(「isotype-AM」)の存在下で4日間培養し、細胞生存率を、抗体濃度(x軸)の機能としてセルタイターGloによって発光(RLU; y軸)で測定した(
図2A)。ヒトHSC(すなわち、単離
された一次ヒトCD34+選択骨髄細胞(BMC))を使用するインビトロ殺傷アッセイのために、
一次ヒトCD34
+骨髄細胞を、CD45-AMまたはアイソタイプ-AMで5日間培養し、生CD34+CD90+
HSCカウント(y軸)を、抗体濃度(x軸)の機能としてフロー・サイトメトリーによって決定した。
【0424】
図の結果。2Aおよび2Bは、CD45-ADCがCD45発現細胞株(例えば、PBMC;614pM;
図2A)また
は初代ヒトCD34
+ CD90+ HSCをインビトロで殺すのに非常に効果的であることを示す(68 pM、
図2B)。
【0425】
抗CD45-AMはREH-ルシフェラーゼALL異種移植モデルにおいて40日までの生存期間中央値を倍増させるCD45-ADCを、CD45を発現する不死化細胞株(REH-Luc、ルシフェラーゼ(5×10
6細胞/マウス)でタグ付けされたALL細胞株を発現するCD45)由来のヒト白血病細胞を接種
した異種移植マウスモデルにおいて試験した。
図3Aに示すように、ALL接種後5日目に1mg/kgの抗CD45-AMを単回注射すると、媒体(PBS)処置対照または非結合抗CD45抗体(n=10マウ
ス/群、p<0.0001)と比較して、中央値15日間、より長い生存もたらされた。さらに、典型的な生物発光シグナル擬似カラー画像を、抗CD45-AMおよびアイソタイプ-AM処置群の移植後19日目に、IVIS画像化システム(パーキンエルマー)を用いて捕捉した(
図3B)。これらの結果は、抗CD45-AMがREH-Luc異種移植モデルにおいて生存期間中央値を40日に倍増させることを示している。
【0426】
抗CD45-AM、および抗CD117-AMは3例の患者由来AMLモデルにおいて生存期間を2倍以上から4倍以上に延長する
【0427】
次に、CD45を発現するFLT-3+NPM1+ AMLサンプル[AML #1(J000106132)、AML #2(J000106565)、AML #3(J000106134)]から開発された患者由来異種移植片(PDX)3個について、増殖
動態を変化させながらCD45-ADCを検査した(媒体投与群の生存期間中央値は接種後43、63
、82日)(Jackson Laboratories社)。AML PDXモデルの特性評価を表4に要約する。
【0428】
表4:AML PDX型特性評価
[表4]
【0429】
3種類のPDXについて、AML-PDXマウスに4~5マウス/群/AML-PDXモデルで血中に2~5%の
芽球が認められた場合(すなわち、末梢血中に2~5%の腫瘍が認められた場合)に、ADC(CD45-AM、isotype-AM(ISO-AM)又は媒体PBS)が単回静脈内投与された。
図4Aおよび
図4Hは、疾患マウス由来のCD33+脾細胞上のCD45細胞表層発現を評価するためのフロー・サイトメト
リーアッセイからの成績を示す。図に示すように。4B-4D、生存は、媒体またはアイソタ
イプ対照と比較して、1mg/kgのCD45-AMのレシピエント(recipient)において有意に増加した(表5;
図4B~4D)。図。4E-4Gは、図に示される同じデータに対応する。4B-4D、それぞれ、移植後の1mg/kg CD45-Am(またはアイソタイプ-Am対照またはPBS媒体対照)の投与時期をより短期間で示し、それぞれのPDX AML #1(106日間)、PDX AML #2(81日間)、およびPDX AML #3(>150日間)について、50%生存における抗CD45-Am生存曲線と対照生存曲線(すなわち、アイソタイプ-Amおよび/またはPBS媒体対照)との間の日数の差異を示す。
【0430】
表5:PDX AMLモデルにおける生存期間中央値(投与後日数)及びいずれかの対照群に対するADCを比較した統計学的解析(Log-Rank試験)
[表5]
【0431】
以上より、抗CD45-AMの単回用量投与は忍容性が高く、ヒトCD34+CD90+造血幹細胞、AML細胞株、およびヒトPBMCをインビトロで強力に死滅させることができることが実証された。さらに、防CD45-AMの単回用量投与は確立された白血病モデル(細胞株および患者由来)
の生存期間を延長し、これらのデータに基づいて、AMLが確立されたヒト化マウスモデル
において強力な防白血病効果を示す。
【0432】
非遺伝毒性ADCは、疾患が活動性の患者および疾患再燃の危険が高い減量前処置のレシ
ピエント(recipient)において、疾患負荷を軽減するために使用される可能性がある。
【0433】
例5.アマニチン抗体‐薬物共役によるCD45のターゲティングは移植コンディショニングのためのヒトHSCおよび免疫細胞を効果的に枯渇させる
【0434】
骨髄移植(BMT)は悪性および非悪性血液疾患に対する処理の可能性のある治療法であり
、自己免疫疾患において印象的な結果を示している。骨髄移植の前には、大量化学療法単独または全身照射法(total body irradiation)による患者が準備されており、いずれも臓器毒性、不妊症、二次性悪性腫瘍および移植関連死亡の実質的な危険性など、早期および晩期の病的状態と関連している。これにより、悪性および非悪性状態におけるBMTの使用
が大幅に制限される。これらの問題に対処するために、造血幹細胞(HSC)を標的とした非
遺伝毒性抗体薬物コンジュゲート(ADC)とBMTのための安全な状態にする免疫細胞を開発中である。
【0435】
CD45を標的としたアルファアマニチンADCは、1)非遺伝毒性である可能性があるため、
骨髄移植の前処置に適していると考えられる。2)遊離毒素としてのアマニチンの細胞透過性が低いため、バイスタンダー毒性を回避する。3)サイクルおよび非サイクル細胞を死滅させる。後者は有効なHSCおよび免疫細胞除去に必要である。抗CD45 ADCで免疫細胞とHSCの両方を排除することは、悪性および非悪性設定における同種移植を可能にする可能性がある。さらに、この方策は、自己免疫疾患患者において、自己移植を介した免疫再設定を可能にするのにも有効であると考えられる。
【0436】
方法
CD45-ADC.CD45-AMは、サイクルおよび非サイクル細胞を枯渇させることができるRNAポ
リメラーゼIIインヒビターであるアマトキシン(AM)に結合したキメラヒト抗CD45抗体からなる抗体薬物結合体である。アイソタイプ対照ADCは、アマトキシンに結合した非標的モ
ノクローナルヒトIgG抗体である。
インビトロ細胞培養。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、ADCの存在下、10% FBSを含むRPMI 1640中で4日間培養し、生存率をCellTiter Gloによって評価した。ヒトHSC(CD34+選択BM細胞)を、IL-6、TPO、FLT-3リガンドおよびSCFを含むSFEM媒体中で培養した。ADCとのイン
キュベーションの5日後、生存HSCをフロー・サイトメトリーによって定量した。
In Vivo試験。ヒト化NSGマウス(ヒト臍帯血CD34+細胞を移植前)は、Jackson Laboratoriesから購入した。マウスに、それぞれの抗体-薬物結合体の単回静脈内注射を与えた。オスカニクイザルに1時間かけて単回静脈内投与した。すべてのin vivo研究は全米アカデミーの全国研究協議会が発表した「実験動物の飼育と使用に関する指針」に準拠し、施設内動物実験委員会の承認を得て実施した。
【0437】
結果
ヒト化NSGマウスにおける有効性
【0438】
抗CD45 ADCは、抗CD45抗体AbBをアマトキシン(AM)ペイロード(payload)(RNAポリメラーゼII阻害剤)(DAR4;鎖間接合)に接合させることによって作成した。ヒト化NSGマウスにお
けるCD45‐AM ADCを生体内で探索した。
図5Aの概略図に示すように、CD45-AMまたは対照
抗体を0日目に単回用量として投与した。周PBMCを7日目と14日目に採取し、フロー・サイトメトリーによりヒトCD45細胞を調べた。14日目に、骨髄中のヒトCD34
+細胞の有無を定
量した。
【0439】
図に示すように。5Bおよび5C、CD45-AM ADCは、ヒト化NSGマウスにおいてヒトHSCおよ
び免疫細胞を選択的に枯渇させる。
図5Bは、抗CD45-アマトキシン(「CD45-AM」)、非結合抗CD45抗体(「CD45-裸」)、または対照非標的アイソタイプ一致ADC(「アイソタイプ-AM」)を射出後14日間における末梢血中のヒトCD45+細胞の絶対数を示すアッセイの成績を示す。
図5Cは、投与後14日マウスのヒト化NSGの骨髄中のヒトCD34
+細胞の絶対数を示す。CD34
+ CD90についても同様の結果が得られた(データーは示されていない)。CD45‐AM ADCは
ヒト化NSGマウスにおいてヒトHSCと免疫細胞を選択的に枯渇させることを示した。
【0440】
霊長類におけるPKと有効性
【0441】
BMTは入ってくるグラフト物の枯渇を避けるために迅速なクリアリングADCを必要とする可能性があるため、急速半減期CD45-AMバリアント(薬物対抗体比(DAR)が2のアマトキシン(AM)を用い、Fc変異D265CとH435A(EU指数)を持つAbAを用いて)を工作し、t1/2:8~15時間(マウス)、9時間(カニクイザル)を施した。
図6Aに示すように、オスカニクイザルに速い
半減期のCD45-AMバリアントを0.1mg/kg、0.3mg/kg、または1mg/kgで1時間かけて単回静脈内投与した(1mg/kgのn = 2を除く各群n = 3)。
【0442】
図6Bおよび表6は、同じ速い半減期のCD45-AM ADCがカニクイザルにおいて速い半減期の薬物動態プロファイルを有することを示すインビボ薬物動態アッセイの成績を示す。
図6Bに示すように、CD45-AMは、移植に適した短い半減期で標的媒介薬物動態(TMDD)PKを示す
非線形PKを示す。
図6Bで使用される「TAB」は抗hIgG1検出を使用する全抗体を指し、一方、ADCは、抗アマニチン検出を指す。これらのデータはまた、ADCが、タブ量がADC量と重
複するので、インビボで安定であることを示した。
【0443】
図6Cは
図6Bにおける同じデータを表すが、投与後のより長い期間にわたって、グラフト注入のための窓をさらに提供し、これは
図6Cに示されるように、用量投与後4日を超える
。
【0444】
表6:ADC平均薬物動態パラメータ
[表6]
【0445】
次に、
図7Aに示すように、同じ速半減期CD45-AMバリアント(すなわち、バリアントのFc突然変異D265CおよびH435A(EU指数)を有するアマニチンに結合したAbA)による末梢リンパ球枯渇を、CBCによって評価した。さらに、同じ速い半減期のCD45-AMバリアントの投与14日後に、骨髄HSC(CD34+CD90+細胞)、T細胞およびB細胞の用量依存的な枯渇が観察された(
図7B)。
図7Aに記載された時間経過、特に投与後1日でのデータを表す
図7Cの結果は、0.3mg/kg用量および1mg/kg用量で80%の枯渇末梢リンパ球を示す。図の結果。7Aから7Cは、半
減期の速いCD45-AM ADCがカニクイザルのCD45細胞を効果的に枯渇させることを示す。ALT、ビリルビン、血小板(platelets)はCD45-AM投与後も正常範囲内であった。
【0446】
結論として、これらの研究はCD45-AM ADCの単回投与が十分に耐性であり、ヒト化NSGマウスの骨髄におけるヒト免疫細胞およびCD34+細胞を枯渇させることができることを実証
した。さらに、半減期の速いCD45-AM ADCの単回投与は忍容性が高く、カニクイザルの骨
髄中の免疫細胞およびCD34+細胞を枯渇させることができることを実証した。また、14日
目にはHSC(CD34+ CD90+ CD45RA-)の低下と骨髄の免疫細胞が認められた。アイソタイプ-
アマニチン共役または非共役抗体では、枯渇は観察されなかった。
【0447】
CD45-ADCによる非遺伝毒性的調整はBMT前のより安全な調整のためのアプローチを提供
し、移植に適格な患者数を大幅に増加させる可能性がある。悪性疾患に対する移植での出願に加えて、このアプローチは、自己免疫疾患を含む非悪性状態におけるBMTのための患
者準備を可能にするかもしれない。
【0448】
例6.生体内用量漸増試験における赤血球数、血小板(Platelet)細胞数、血漿ALT及びビ
リルビンの解析
【0449】
カニクイザルのコホート(コホート当たり3匹のサル)に、0日目に、様々な用量(すなわ
ち、0.1mg/kg; 0.3mg/kg; 1mg/kg;または制御(PBS))で、様々な用量の速半減期抗CD45-アマニチンADC(Fc突然変異D265CおよびH435A(EU指数)を有することに結合したAbAを使用す
る)を投与した。試験期間を通じて血液を採取した。試験期間中、血液学的検査を実施し
た。赤血球細胞数(106/μL)、血小板(platelet)細胞数(103/μL)、ALTの血漿量(アラニンアミノトランスアミナーゼ)、および血漿量ビリルビンを測定し、図に示すように投与後
の日数に応じてグラフで表した。8A ~ 8D。
【0450】
図の結果。8Aおよび8Bは、速い半減期の抗CD45‐アマニチンADCの投与がPBS対照と比較した場合、ADCの最高用量でも赤血球細胞または血小板(platelets)の濃度に有意な変化を示さないことを示した。また、ヒト以外の霊長類では、半減期の速い抗CD45-アマニチン
抗CD45-ADCを投与しても、貧血や血小板減少症の発現はみられなかった。
【0451】
図の結果。8Cと8Dは、速い半減期の抗CD45‐アマニチンADCの投与がPBS対照と比較した場合、ADCの最高用量でもALTとビリルビンの血漿中濃度に有意な変化を示さないことを示した。また、以下の追加パラメータ、すなわちGGT、アルブミン、BUN、ALP、クレアチニ
ン、ブドウ糖についても、基準値上限を超える変化は認められなかった(資料は示してい
ない)。また、摂餌量の変化や重量変化は認められなかった。これらのデータを総合する
と、半減期の速い抗CD45-アマニチンADCの投与は肝酵素上昇や肝機能(PT、アルブミン)の変化をもたらさなかったことから、これらの非ヒト霊長類においてADCは安全であり、忍
容性も良好であることが示された。
【0452】
例7.エピトープマッピング
【0453】
AbAに結合したエピトープを、架橋質量分析を用いてマッピングした。架橋実験は、高
質量MALDI質量分析による非共有結合相互作用の直接解析を可能にする。非共有結合性相
互作用を含むタンパク質サンプルを、特別に開発された架橋混合物と混合することによって(Bich、C et alAnalChem、2010、82(1)、pp172-179)、高感度で非共有結合性錯体を特
異的に検出することができる。生成された共有結合は、相互作用種がサンプル調製過程およびMALDIイオン化に耐えることを可能にする。特殊なHigh-Mass検出系により、High-Massレンジでの相互作用の特性評価が可能になる。
【0454】
高分解能でAbAのエピトープを決定するために、タンパク質複合体を重水素化交差リン
カーと共にインキュベートし、多層酵素的切断に供した。タンパク質複合体は、ヒトCD45に結合したAbAバリアント抗体(AbAと同じエピトープを有する)であった。架橋ペプチドの濃縮後、サンプルを高分解能質量分析(nLC-LTQ-Orbitrap MS)によって分析し、生成した
データーをXQuestおよびStavroxソフトウェアを用いて分析した。
【0455】
重水素化d0d12を有するタンパク質複合体CD45/AbAのトリプシン、キモトリプシン、ASP-N、エラスターゼおよびサーモリシンタンパク質分解後、nLC-orbitrap MS/MS解析はAbA
エピトープがペプチドRNGPHERYHLEVEAGNT(配列番号(SEQ ID NO): 38)中に残渣を含み、特に、配列番号(SEQ ID NO): 37の486R、493Yおよび502Tに対応するヒトCD45上のアミノ酸
と相互作用することを示した(CD45アイソフォームのフラグメントはNP_002829.3に対応する)。これらの結果を図に示す。9Aおよび9B。
図9AはAbA(配列番号(SEQ ID NO): 39)のエ
ピトープを含むアミノ酸フラグメントを、パーティクル領域RNGPHERYHLEVEAGNT(実施配列
番号(SEQ ID NO): 38)において記載する。CD45はムチン様ドメイン、d1-d4フィブロネク
チン様ドメイン、ならびに膜貫通およびアルカリホスファターゼドメインを含む。AbAはCD45のフィブロネクチンd4ドメインと相互作用し、選択的スプライシングを受けたCD45ア
イソフォーム(RO, RA、RB、RC、RABCなど)間で保存されている。
図10に示すように、ヒトCD45R0(配列番号(SEQ ID NO): 40)のd1-d4フィブロネクチン様ドメインはカニクイザルCD45(配列番号(SEQ ID NO): 41)の対応する領域と68%のアイデンティティを有し、AbAがカ
ニクイザルCD45とヒトCD45の両方に結合することに注目する。
【0456】
表7:配列表
[表7]
【0457】
他の実施形態
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも各独立した刊行物または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように、同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0458】
本発明はその特定の実施形態に関連して説明されてきたが、本出願はさらなる修正が可能であり、本出願は一般に、本発明の原理に従い、本発明の原理に従い、本発明が関係する技術内の既知のまたは慣習的な実践内に入り、本明細書に記載され、特許請求の範囲に従う本質的な特徴に適用され得る本発明からの逸脱を含む、本発明の任意の変形、使用、または適応を包含することが意図されることが理解されるのであろう。
【0459】
他の実施形態は、請求項の範囲内である。
【国際調査報告】