(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】誘導電力伝達パッドの冷却用静止部及び電子セクションからの放熱方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/10 20160101AFI20220131BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20220131BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20220131BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220131BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20220131BHJP
B60M 7/00 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
H02J50/10
B60L5/00 B
B60L53/12
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02M7/48 Z
B60M7/00 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521835
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2019078686
(87)【国際公開番号】W WO2020083888
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516149435
【氏名又は名称】ボンバルディアー プリモーフ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Bombardier Primove GmbH
【住所又は居所原語表記】Eichhornstrasse 3, 10785 Berlin, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン ヴェヒスラー
(72)【発明者】
【氏名】ローマン グント
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
5H770
【Fターム(参考)】
5G503FA06
5G503GB08
5H105BB05
5H105CC02
5H105CC07
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC26
5H125CD07
5H125DD02
5H125FF15
5H125FF21
5H770PA02
5H770PA21
5H770PA42
5H770QA01
5H770QA27
(57)【要約】
誘導電力伝達パッド(34)の冷却用静止部(1)等であって、電子機器ハウジング(10)を備えた電子セクション(2)と、誘導電力伝達パッド(34)の可動部(33)のための収容セクション(3)と、第1の端部(11)と第2の端部(12)とを有し、これらの端部が共に電子機器ハウジング(10)の内部に接続された冷却チャネル(4)と、冷却チャネル(4)の内部等に配置され、動作時に、電子機器ハウジング(10)の内部からの空気を、冷却チャネル(4)を介して移送するための第1のファン(19)とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導電力伝達パッド(34)の冷却用静止部(1)であって、
電子機器ハウジング(10)を備えた電子セクション(2)と、
前記誘導電力伝達パッド(34)の可動部(33)を構成する収容セクション(3)と、
第1の端部(11)及び第2の端部(12)を有し、当該第1の端部(11)及び当該第2の端部(12)は、共に前記電子機器ハウジング(10)の内部に接続されている冷却チャネル(4)と、
下記i)、ii)、iii)の少なくとも一つに配置されている第1のファン(19、37)であって、当該第1のファン(37)が動作しているときに、一方のコンパートメントから他方のコンパートメントに空気が移送されるように構成されている第1のファン(19、37)と、
i)冷却チャネル(4)の内部位置、
ii)冷却チャネル(4)の第1の端部(11)に対応する位置、又は第1の端部(11)の下方位置、
iii)電子機器ハウジング(10)の内部位置であって、電子機器ハウジング(10)が壁によって2つのコンパートメント(39、40)に分割されており、前記第1のファン(37)が動作している場合には、一方のコンパートメント(39)から他方のコンパートメント(40)に空気が移送されるような電子機器ハウジングの内部位置
かつ、
前記第1のファン(19、37)が動作している場合に、前記電子機器ハウジング(10)の内部からの空気が前記冷却チャネル(4)を介して移送され、空気が冷却されるように、所定熱が空気から前記収容セクション(3)の構造部材(5)に伝達され、冷却された空気が、前記電子機器ハウジング(10)の内部に戻るように構成されていることを特徴とする誘導電力伝達パッドの冷却用静止部。
【請求項2】
前記冷却チャネル(4)が、前記収容セクション(3)の内部であって、かつ、前記収容セクション(3)の外縁(6、7、8)に沿って、設けてあることを特徴とする請求項1に記載の誘導電力伝達パッドの冷却用静止部。
【請求項3】
前記冷却チャネル(4)の内部位置、前記第2の端部(12)に対応した位置、又は、前記冷却チャネル(4)の前記第2の端部(12)の下方位置の、少なくとも一つに配置される第2のファン(20)を備えており、前記第1のファン(19)の入口側は、前記電子機器ハウジング(10)の内部に向けることができ、前記第2のファン(20)の圧力側は、前記電子機器ハウジング(10)の内部に向けることができることを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導電力伝達パッドの冷却用静止部。
【請求項4】
前記冷却チャネル(4)が、前記第1のファン(19)に隣接する第1の圧縮セクション(21)、及び/又は、前記第2のファン(20)が存在する場合には、前記第2のファン(20)に隣接する第2の圧縮セクション(22)を備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッドの冷却用静止部。
【請求項5】
前記冷却チャネル(4)が、前記冷却チャネル(4)の内部に、前記冷却チャネル(4)の延長線上に平行に配向された導風フィン(24)を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッドの冷却用静止部。
【請求項6】
前記冷却チャネル(4)が、第1の端部(11)及び/又は、第2の端部(12)において、導風フィン(24)を備えたチャネルセクション(17、18)を備えており、当該チャネルセクション(17、18)が、前記電子セクション(2)の内部に位置し、前記電子セクション(2)の壁(36)と接触していることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッドの冷却用静止部。
【請求項7】
前記収容セクション(3)が、前記冷却チャネル(4)に隣接して、外側に冷却フィン(9)を備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッドの冷却用静止部。
【請求項8】
前記冷却チャネル(4)のうち、前記収容セクション(3)を通る部分が、全体又は一部として、前記収容セクション(3)の前記構造部材(5)の内部に一体的に形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッドの冷却用静止部。
【請求項9】
前記電子セクション(2)を貫通する前記冷却チャネル(4)の一部が、前記電子セクション(2)の構造部材(5)の内部に一体的に形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッドの冷却用静止部。
【請求項10】
車両に対する誘導電力伝達用システムの誘導電力伝達パッド(34)であって、請求項1~9のいずれかに一項に記載の誘導電力伝達パッドの冷却用静止部(1)と、可動部(33)と、を備えることを特徴とする誘導電力伝達パッド。
【請求項11】
誘導電力伝達パッド(34)の冷却用静止部(1)を利用した電子セクション(2)からの放熱方法であって、下記工程(1)及び工程(2)を含むことを特徴とする電子セクションからの放熱方法。
(1)請求項1~9のいずれか一項に記載の冷却用静止部(1)、又は請求項10に記載の誘導電力伝達パッド(34)を備え付ける工程
(2)前記冷却用静止部(1)の内部のファン(19)による動作工程であって、前記電子機器ハウジング(10)の内部からの空気が、前記冷却チャネル(4)を介して移送させるようにし、前記電子機器ハウジング(10)からの空気から前記収容セクション(3)の前記構造部材(5)に、所定熱が伝わり、それによって、空気が冷却され、更に冷却された空気が、前記電子機器ハウジング(10)の内部に戻されるとともに、前記構造部材(5)から周囲に対して熱放散させるファン(19)による動作工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導電力伝達パッドの冷却用静止部、誘導電力伝達パッド、及び電子セクションからの放熱方法に関する。
より具体的には、誘導電力伝達パッドの冷却用静止部、誘導電力伝達パッド、特に、車両に対する誘導電力伝達用システムの誘導電力伝達パッド、及び、誘導電力伝達パッドの冷却用静止部における電子セクションからの放熱方法や冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車、特に、走路拘束型車両、及び/又は路面走行用自動車は、誘導電力伝達によって伝達される電気エネルギーによって作動させることが好ましいことが知られている。
ここで、このような車両等は、交流電磁界を受信し、電磁誘導によって交流電流を生成するように適合された受信装置を含んでおり、更には、車両等の牽引システム又は牽引システムの一部でありえる所定回路構成を備えている。
又、このような車両等は、交流(AC)を、直流(DC)に変換するための整流器を備えている。この場合、DCは、トラクションバッテリーの充電や電気機械の操作に使用することができ、後者の場合、DCは、インバーターによってACに変換可能である。
【0003】
又、誘導電力の伝達は、例えば、三相巻線の2つのセットを使用して行われる。
第1セットの巻き線(以下、一次巻線又は一次巻線構造と称する場合がある。)は、地上に設置され、沿線電力変換器(wayside power converter)から給電される。
又、第2セットの巻き線(以下、二次巻線又は二次巻線構造と称する場合がある。)は、車両に設置される。
従って、例えば、路面走行用自動車の場合、その複数の台車のうちの一部の下に、第2セットの巻き線を取り付けることになる。
一方、自動車の場合は、車両のシャーシに、第2セットの巻き線を取り付けることになる。
そして、第2セットの巻線につき、一般的に、二次側は、ピックアップ構成、又は受信機と呼ばれることが多い。
従って、第1セットの巻線と、第2セットの巻線と、の組み合わせは高周波変圧器を形成し、電気エネルギーを車両に伝達することができるようになる。
このような電気エネルギーの伝達は、静的状態(車両の動きがない場合)のみならず、動的状態(車両が動いている場合)においても行うことができる。
【0004】
特に、自動車の場合、固定式プライマリーユニットは、空間的に離れて配置されることが多い複数の要素を備えている。
【0005】
そこで、誘導電力の伝達のために、ステーショナリー部分である静止部と、可動部とを備えた誘導電力伝達パッドが最新技術として知られている。
例えば、特許文献1において、所定の静止部と、可動部と、を備えた誘導電力伝達パッドが開示されている。
かかる可動部は、一次巻線構造を備えており、収縮状態と、伸長状態との間で移動可能なように構成されている。
【0006】
又、このような誘導電力伝達パッドの静止部は、通常、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)等の電子部品が配置された電子機器ハウジングを備えている。
これらの電子部品は、所定熱を発生させるので、それに起因した電子部品の熱損傷を防ぐため、電子部品や電子機器ハウジングから、かかる所定熱を除去する必要がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、電子部品等から発生した熱を、効果的に除去して、外部に効果的に放熱できる、誘導電力伝達パッドの冷却用静止部(以下、ステーショナリー部分又は冷却用固定部と称する場合がある。)を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2015/128450A1(特許請求の範囲及び図面等)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基本的な考え方によれば、静止部の内部の電子機器ハウジングで熱交換して暖められる、冷却用空気は、静止部の別の部分又は別のセクションを通るチャネル内を通って移送され、更なる別の部分又は別のセクションに移送される構成である。
これにより、それまで電子機器ハウジングに集中していた所定熱が、静止部のより大きな領域に分散されることになる。その後、分散された所定熱は、少なくとも部分的に周囲(環境)に対して、効率的に放散されることになる。
又、電子機器ハウジングから除去された空気は、冷却後に電子機器ハウジングに戻すことができるように構成されている。
そこで、本発明では、誘導電力伝達パッドの冷却用静止部における空気の対流に基づく、周期的な冷却システムについても、発明の構成として含む場合がある。
【0010】
特に、本発明は、特許請求の範囲に記載されているように、所定(請求項1等)の誘導電力伝達パッドの冷却用静止部、ならびに誘導電力伝達パッド、及び、更なる独立した誘導電力伝達パッドの静止部の電子セクションからの放熱方法を提供することができる。
又、更なる本発明の有利な実施形態は、特許請求の範囲の従属請求項の特徴を有する主題によって提供することができる。
【0011】
本発明は、誘導電力伝達パッドの冷却用静止部であって、
電子機器ハウジングを備えた電子セクションと、
誘導電力伝達パッドの可動部のための収容セクションと、
第1の端部及び第2の端部を有し、当該第1の端部及び当該第2の端部は共に電子機器ハウジングの内部に接続されている冷却チャネルと、
下記i)、ii)、iii)の少なくとも一つの所定位置に配置されている第1のファンと、を備えている。
i)冷却チャネルの内部位置、
ii)冷却チャネルの第1の端部に対応した位置、又は第1の端部の下方位置、
iii)電子機器ハウジングの内部位置であって、電子機器ハウジングが壁によって2つのコンパートメントに分割されており、第1のファンが動作しているときに、一方のコンパートメント(以下、第1のコンパートメントと称す場合がある。)から他方のコンパートメント(以下、第2のコンパートメントと称する場合がある。)に空気が移送されるように、第1のファンが配置されている電子機器ハウジングの内部位置
そして、第1のファンが動作しているときに、電子機器ハウジングの内部からの空気が冷却チャネルを介して移送される構成であって、空気が冷却されるように、熱が空気から収容セクションの構造部材に伝達され、更には、冷却された空気が電子機器ハウジングの内部に戻るように構成されてなる誘導電力伝達パッドの冷却用静止部である。
【0012】
又、冷却チャネル(以下、単に、「チャネル」と称する場合がある。)の長さは、構造上の条件や制限を考慮した上で決めることができるが、できるだけ高い熱伝導率を得るために、可能な限り長くすることが好ましい。
そして、チャネルの長さのうち、できるだけ多くの部分が収容セクションを通ると有益である。そして、収容セクションのほとんどの部分が、電子セクションから離れていることが好ましい。更に、収容セクションは、電子セクションよりも大きくすることが好ましい。
【0013】
又、本発明の一実施形態では、冷却チャネルの構成につき、収容セクションを通過する部分が、収容セクションの外縁に沿って設けてあることが好ましい。
これにより、冷却チャネルにおいて、比較的長いチャネル長を実現することができる。又、冷却チャネルの位置を、縁の下方とすることにより、放熱性をより向上させることができる。更に、このように冷却チャネルの配置構成であれば、収容セクション内の他の部品と衝突することもない。
【0014】
上述のiii)の場合には、第1のファンは電子機器ハウジングの内部位置に配置され、電子機器ハウジングは壁によって2つのコンパートメントに分割され、第1のファンは、第1のファンの動作によって、一方のコンパートメントから他方のコンパートメントに、空気が移送されるように構成されていることが好ましい。
又、第1のファンは、分離壁である壁に隣接して配置されていることが好ましい。そして、壁は開口部を有し、第1のファンは、ファンの入口側又は出口側のいずれかで、開口部に接続されていることが好ましい。
更に又、第1のファンは、主に又は単独で、いずれかのコンパートメントに配置されていることが好ましい。
又、一方のコンパートメントからの空気は、第1のファンによって他方のコンパートメントに運ばれる構成であることが好ましい。
従って、第1のファンが動作しているとき、2つのコンパートメントの間において、圧力差を得る構成とすることができる。
そのため、入口側のコンパートメントである一方のコンパートメントは、低圧コンパートメントであり、ファンの出口側のコンパートメントである他方のコンパートメントは圧縮コンパートメントとなっている。従って、圧縮コンパートメントから冷却チャネルで空気が移送され、冷却チャネルの内部を通過して、低圧コンパートメントに空気が流れ込む構成である。
【0015】
以下の実施形態においては、上述のii)の場合によっても、第1のファンが冷却チャネルの第1の端部に対応した位置、又は第2の端部の下方位置に配置される場合に有益に適用することができるが、それに限定されるものではない。
例えば、冷却用静止部は、冷却チャネルの内部位置、又は冷却チャネルの第1の端部位置(特に第1のファンが第2の端部に配置されている場合)、もしくは第2の端部位置(特に第1のファンが第1の端部に配置されている場合)、又は第1の端部の下方位置(特に第1のファンが第2の端部の下に配置されている場合)もしくは第2の端部の下方位置(特に第1のファンが第1の端部の下に配置されている場合)に配置される第2のファンを含んでいることも好ましい。
【0016】
又、第1のファンの入口側は、電子機器ハウジングの内部に向かって配向している態様が好ましく、第2のファンの圧力側は、電子機器ハウジングの内部に向かって配向している態様も好ましいし、或いはその逆の態様も好ましい。
更に又、入口側と圧力側を選択又は設定することは、ファンの動作モード、すなわちファンホイールの回転方向を選択することによって行うことが好ましい。あるいは、入口側と圧力側が固定されているファンを、空気が正しい方向に移送されるように配置することも好ましい。
又、本実施形態では、好ましくは流速の低下を伴わないか、又は最小限に抑えて、冷却チャネルを通して長距離にわたって空気を移送するための更に効果的な手段を提供することも好ましい。
【0017】
又、本発明の一実施形態では、冷却チャネルが、第1のファンが冷却チャネルの一端に配置されている場合は、第1のファンに隣接する第1の圧縮セクション(以下、単に圧縮セクションと称する場合がある。)、及び/又は、第2のファンが存在する場合は、第2のファンに隣接する第2の圧縮セクション(以下、単に圧縮セクションと称する場合がある。)、及び/又は、第2のファンが冷却チャネルの他端の下方位置に設けられている場合は、第2のファンに隣接する第2の圧縮セクションを備えていることが好ましい。
そして、1つ又は複数の圧縮セクションによって、冷却チャネル内部の空気を、乱流状態ではなく、層流状態として生成又は改善することが好ましい。従って、圧縮セクションは、チャネルの別の部分と接続され得る別個の部分として設計されていることが好ましい。
【0018】
又、本発明の更なる実施形態では、冷却チャネルは、冷却チャネルの内部に、冷却チャネルの延長線上に平行に配置された冷却フィンを備えていることが好ましい。かかる構成により、更に効果的な冷却が可能となる。
【0019】
又、本発明の更なる実施形態では、冷却チャネルは、第1の端部及び/又は第2の端部に、冷却フィンを備えたチャネルセクションを有し、当該チャネルセクションは、電子セクションの内部に配置されており、電子セクションの壁と接触していることが好ましい。
このセクションの冷却フィンは、効率的な熱伝導を実現するために、比較的高密度に設けてあることが好ましい。
【0020】
又、本発明の更に別の実施形態では、電子セクションは、冷却チャネルに隣接する外側に冷却フィンを備えていることが好ましい。
これらの冷却フィンは、電子セクションに配置された冷却チャネルのチャネルセクションと接触する壁に隣接して設けることが好ましい。
【0021】
又、本発明の更なる実施形態では、収容セクションにおいて、冷却チャネルに隣接する外側に、冷却フィンを備えることも好ましい。
【0022】
又、本発明の一実施形態では、収容セクションを通る冷却チャネルの一部が、収容セクションの構造部材の内部に一体的に形成されていることが好ましい。例えば、収容セクションは、鋳造金属から構成されていることが好ましく、特に、鋳造アルミニウムから構成されていることがより好ましい。
更に又、冷却チャネルは、全体又は部分的に一体的に形成されていることが好ましい。
例えば、冷却チャネルが全体として形成される場合、チャネルの側壁全体又は全ての側壁が形成され、閉じた構造が形成されるようになる。従って、収容セクションが鋳物である場合には、当業者に知られている鋳造技術を用いることが好ましい。
又、冷却チャネルが部分的に形成された場合、収容セクションの内部のチャネルの片側、例えば収容セクションの構造部材の内部は、まだ開放されている状態、すなわち、側壁又は側壁の一部が欠けている状態であることが好ましい。
そして、チャネルは、1つ以上の更なる部品、例えば、プレートやシートなどのカバー又はカバー部品によって閉じられていることが好ましい。
【0023】
又、本発明の一実施形態では、電子セクションを貫通する冷却チャネルの一部が、電子セクションの構造部材の内部に全体又は一部として一体的に形成されていることも好ましい。
又、収容セクション内にチャネルを一体的に形成することに関しては、上述と同じ原理を適用することが好ましい。
【0024】
又、本発明は、更なる態様において、本明細書に記載の冷却用静止部と、可動部とを備えた誘導電力伝達パッド、特に、車両への誘導電力伝達用システムの伝達パッドの仕様に向けられていることが好ましい。
すなわち、かかる可動部は、巻線構造の巻線に電流が流れたときに、磁界又は電磁界を生成するための巻線構造を含んでいることが好ましい。
又、可動部は、誘導電力伝達パッドの更なる一部として、アクチュエータによってZ方向、すなわち上下方向に移動することが好ましい。
【0025】
又、本発明の更なる態様では、本発明は、誘導電力伝達パッドの冷却用静止部を利用した電子セクションからの放熱方法であって、この放熱方法は、下記工程(1)及び工程(2)を含むことを特徴とする。
(1)本明細書に記載されているような冷却用静止部又は誘導電力伝達パッドを備え付ける工程である。
(2)冷却用静止部の内部のファンの動作工程である。
すなわち、電子機器ハウジングの内部の空気が、冷却チャネルを介して移送され、電子機器ハウジングからの空気から収容セクションの構造部材に所定熱が伝わり、それにより、空気が冷却され、冷却された空気が電子機器ハウジングの内部に戻るとともに、構造部材から周囲に対して、所定熱を放散する動作工程である。
【0026】
以前の開示では、本放熱方法で使用可能な方法的特徴を開示している。又、以前の開示では、本放熱方法で使用可能な構造的特徴を開示している。
【0027】
以下、添付の実施例及び図を参照して、本発明をより詳細に、しかし限定することなく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の冷却用静止部を上方から見た場合の平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の冷却用静止部の下方から見た場合の背面図である。
【
図3】
図3は、本発明の冷却用静止部を下方から見た場合の斜視図である。
【
図4】
図4は、電子機器ハウジングの電子セクションを上方から見た場合の詳細な透視図である。
【
図5】
図5は、電子機器ハウジングの電子セクションを下方から見た場合の詳細な透視図である。
【
図6】
図6は、電子セクションの詳細を示す底面透視図である。
【
図7】
図7は、電子セクションから収容セクションへの遷移における冷却チャネルを断面図である。
【
図8】
図8は、異なる寸法の冷却チャネルの断面図である。
【
図9】
図9は、冷却用静止部を備えた電力伝達パッドを説明するための図である。
【
図10】
図10は、2つのコンパートメントに分割された電子セクションからなる本発明の更なる実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、電子セクション2と収容セクション3を備えている冷却用静止部1を示している。又、図面上の破線は、電子セクション2と、収容セクション3の境界を示している。
【0030】
又、冷却チャネル4は、収容セクション3を貫通して設けてある。そして、収容セクション3は、縁(以下、外縁と称する場合がある。)6、7、8を有する構造部材5としてのフレーム状構造体を備えている。
すなわち、構造部材5としてのフレーム状構造体は、冷却チャネル4の配置部材であるとともに、収容セクションの形状や強度等を規定する構造部材である。
【0031】
又、上述した複数の外縁6、7、8は、収容セクション3の外形を総合して形成している。従って、冷却フィン9は、収容セクションの外側の縁である、外縁6、7、8に沿って、冷却チャネル4に隣接して配置されている。
又、冷却チャネル4は、外縁6、7、8に沿って、構造部材5としてのフレーム状構造体の内部を通って構成されている。
【0032】
又、
図1は、図面上、冷却用静止部1の上方側(上方面)から見た平面図であるのに対し、
図2は、冷却用静止部1を下方側(下方面)から見た背面図である。
そして、
図2は、電子セクション2の内部における電子機器ハウジング10(以下、単に、ハウジングと称する場合がある。)を示している。
かかる電子機器ハウジング10は、電子セクション2の中空部に設けてあり、図示されていないカバーによって、底面側から覆うことができる構成が好ましい。
【0033】
又、
図2は、冷却チャネル4が、電子セクション2の内部にも延びていることを示している。
すなわち、電子機器ハウジング10の内部に接続された冷却チャネル4において、それらの第1の端部11及び第2の端部12が、設けられていることが好ましい。
言い換えれば、冷却チャネル4は、両端が内部にあって、電子機器ハウジング10の内部で始まり、かつ、内部で終了する構成であることが好ましい。
【0034】
更に、
図2には、図面上、下方側(下方面)からしか見えない冷却フィン9がいくつか示されており、そのように構成されていることが好ましい。
【0035】
又、
図3は、冷却用静止部1の底面側から見た場合の透視図である。
図1及び
図2に示す空状態の冷却用静止部1とは対照的に、電子部品13が電子機器ハウジング10の内部に配置され、電子部品13の下方で同じく電子機器ハウジング10の内部に配置された回路基板に接続されている構成であることを示している。
【0036】
又、収容セクション3には、可動部のアクチュエータや電気的な接続部などの部品(参照符号で示していない)が、装備されていることが好ましい。
【0037】
又、電子セクション2に接続されるプラグ14についても示されており、このような構成とすることが好ましい。
【0038】
又、冷却チャネル4のうち、収容セクション3を通過する部分は、2枚のカバープレート15、16で覆われていることが好ましい。
すなわち、収容セクション3における冷却チャネル4の参照符号は、この観点から、冷却チャネル4が、カバープレート15、16の下方を通っていることを示すためのものに過ぎない。
【0039】
又、電子セクション2には、冷却チャネル4の一部である2つのチャネルセクション17、18が配置されていることが好ましい。
かかるチャネルセクション17、18は、電子セクション2の内部に一体的に形成されておらず、代わりに電子機器ハウジング10の内部に固定された別部品である端部である。従って、収容セクション3の内部を通る冷却チャネルのセクションに接続されていることが好ましい。
又、チャネルセクション17、18と、収容セクション3を貫通する冷却チャネル4の冷却チャネルセクションとの間には、例えば、フォームシールなどの気密シールが配置されていることが好ましい。
更に又、各チャネルセクション17、18と電子機器ハウジング10との間には、横方向に更なるシール部が設けてあることが好ましい。
かかるチャネルセクション17、18は、収容セクション3を通過する冷却チャネル4の部分と比較して、冷却要素として機能する。そして、チャネルセクション17、18は、収容セクション3を通過する冷却チャネル4の他の部分とは異なる別個の要素であることが好ましい。
又、収容セクション3の冷却チャネル4の全部又は部分は、鋳造部品であることが好ましい。なお、空気もチャネルセクション17、18を通って導かれるので、それらは冷却チャネル4の一部とみなすことができる。
更に又、チャネルセクション17、18は、内部にフィン(以下、導風フィンと称す場合がある。)24を備えていることが好ましい。
なお、
図4は、チャネルセクション17を詳細に示している。
【0040】
すなわち、冷却チャネル4の第1の端部11には、第1のファン19が配置されていることが好ましい。
又、かかる第1のファン19に隣接して、圧縮セクション21(以下、第1の圧縮セクションと称する場合がある。)が配置されていることが好ましい。
圧縮セクション21においては、第1のファン19を介して、冷却チャネル4に移送される空気を圧縮させる部位である。
そして、かかる圧縮セクション21において、乱流ではなく、主として、空気の層流を生じさせることが好ましい。
【0041】
又、チャネルセクション18の前方には、第2のファン20が配置されていることが好ましい。
そして、かかる第2のファン20に隣接して、更に、上述した圧縮セクション21とは異なる、別の圧縮セクション22(以下、第2の圧縮セクションと称する場合がある。)を設けることが好ましい。
【0042】
又、第1のファン19は、電子部品13によって暖められた空気である電子機器ハウジング10の内部から空気を吸うように動作させることが好ましい。
そして、吸引された空気は、電子機器ハウジング10の壁や外部に対して、所定熱を伝える熱交換部材として、既に形成されているチャネルセクション17を介して、移送される構成が好ましい。
その後、かかる空気は、収容セクション3を通る冷却チャネル4のU字型の部分を通って、移送されることが好ましい。
又、第2のファン20は、冷却チャネル4のうち収容セクション3を通る部分の内部から空気を吸い込むように動作することが好ましい。そして、吸引された空気は、第2のファン20から、チャネルセクション18に移送され、次いで、冷却チャネル4の第2の端部12から吹き出される構成が好ましい。
更に言えば、吹き出された空気は、再び、電子機器ハウジング10の内部に移送される構成であることが好ましい。すなわち、冷却チャネル4の全体を通る途中で、所定熱は主に冷却フィン9を介して、構造部材5としてのフレーム状構造体に伝達され、外部に放散されることになる。
【0043】
又、
図4は、
図3の切り抜き部分を、図面上、上方側から見た詳細図であり、
図5は同部分を下方側(下方面)から見た図である。いずれの図も、電子部品13を搭載した回路基板23を示しており、そのように構成することが好ましい。
又、
図4及び
図5の両図には、電子機器ハウジング10の内部における第1の端部11に配置されている第1のファン、圧縮セクション21及びチャネルセクション17が示されている。
かかるチャネルセクション17は、チャネルの内部の空気を効率的に誘導するために、当該チャネルの内部に、フィン24としての導風フィンを備えていることが好ましい。
すなわち、かかる構成とすることで、所定熱は、空気からチャネルセクション17の外側面25(
図5に示す)に伝熱される。従って、外側面25から電子機器ハウジング10、すなわちチャネルセクション17に隣接する電子機器ハウジング10の壁に対して伝熱される。
【0044】
又、
図4及び
図5は、電子機器ハウジング10の内部に向かって、設けられた冷却リブ27を有する放熱手段26を示しており、そのような放熱手段26を備えることが好ましい。
かかる構成とすることで、電子機器ハウジング10の内部からの熱は、冷却リブ27を介して、放熱手段26の横方向の外側面28に運ばれることになる。
そして、外側面28からは、外側面28に接している電子機器ハウジング10の壁に対して所定熱を伝熱することができる。
すなわち、冷却リブ27の更なる機能は、冷却チャネルの入口で、ファンに対して空気を、整流し、集中的に導くことである。
【0045】
又、
図6は、
図4及び
図5に示した部品が、電子機器ハウジング10の内部に配置された様子を示したものである。すなわち、
図6は、チャネルセクション17と収容セクション3との接続状態を示している。
【0046】
又、
図7は、冷却チャネル4のチャネルセクション17から収容セクション3を貫通する部分までの断面を示している。
かかる
図7から、冷却チャネル4のうち収容セクション3を貫通する部分は、収容セクション内に一体的に形成されていることが理解される。
更に、電子機器ハウジング10の外側にある冷却フィン9が示されており、
図7には、チャネルセクション17と接触している電子セクション2の壁36が示されている。
【0047】
又、
図8(a)~(c)は、収容セクション3を通る異なるタイプの冷却チャネル4を示している。
より具体的には、
図8(a)では、冷却チャネル4は、構造部材5の鋳型構造内の閉じたチャネルであることが好ましい。
又、
図8(b)及び
図8(c)では、冷却チャネル4は、
図3に示される複数のカバープレート15、16、又は複数のキャップ30、31によって底面側から閉鎖されていない構成であることが好ましい。
そして、複数のカバープレート15、16等は、より大きなチャネル断面とすることができるために、冷却チャネル4の底面側に対して、斜めに配置されることが好ましい。
又、
図8(c)では、冷却チャネル4は、
図8(b)の冷却チャネル4よりも広くなっていることが好ましい。そして、冷却チャネル4に隣接し、複数の外縁6、7又は8に隣接して、誘導電力伝達パッドの可動部が上方向に移動したときに、誘導電力伝達パッドの内部を閉鎖するためのベローズ32を有することが好ましい。
更に、
図8(a)~(c)には、冷却用静止部1の上に置かれた静止位置にある可動部33が示されており、そのような構成とすることが好ましい。
【0048】
又、
図9は、冷却用静止部1と可動部33とからなる誘導電力伝達パッド34の全体を断面で示したものである。
かかる誘導電力伝達パッド34は、冷却用静止部1に配置された、可動部33を上下に移動させるためのアクチュエータ35を備えていることが好ましい。
なお、
図9では、可動部33を上方向に移動させている状態を示している。
【0049】
又、
図10は、
図3の実施形態と比較して、更なる別の実施形態を示しており、ラジアルファンである第1のファン37が、電子機器ハウジング10の内部に配置されている構成であることが好ましい。
かかる電子機器ハウジング10は、隔壁である壁38によって、第1のファン37の入口側の第1のコンパートメント(以下、電子機器ハウジングの第1のコンパートメントと称する場合がある。)39と、第1のファン37の出口側の第2のコンパートメント(以下、電子機器ハウジングの第2のコンパートメントと称する場合がある。)40の2つのコンパートメントに分けられていることが好ましい。
そして、放射状の第1のファン37は、第1のコンパートメント39に配置され、その出口は壁38の開口部に接続されていることが好ましい。
従って、第1のファン37が作動すると、第1のコンパートメント39から第2のコンパートメント40に空気が移送され、それによって第2のコンパートメント40の内部の圧力が上昇することになる。
そして、空気は、第2のコンパートメント40の内部から熱を奪い、冷却チャネル4の第2の端部12を通って、導風フィン(
図11を参照)を有するチャネルセクション41に押し込まれる。すなわち、空気は、チャネルセクション41を通って冷却チャネル4の更なる部分に押し込まれる構成であることが好ましい。
【0050】
又、チャネルセクション41、42は、その機能において、
図3のチャネルセクション17、18と同様であり、収容セクション3の内部の冷却チャネル4の他の部分と比較し、冷却要素として機能することが好ましい。
なお、構造上の詳細は、チャネルセクション17、18について上述したものと同じ又は類似のものであることが好ましい。
【0051】
又、空気は、冷却チャネル4の内部を流れて移送され、冷却リブを備えたチャネルセクション42に至り、次いで、第1の端部11を通って低圧コンパートメントである第1のコンパートメント39に流れて、移送することが好ましい。
その後、空気は第1のファン37の入口から再び流れ、第2のコンパートメント40に再び移送されることが好ましい。
【0052】
又、
図11は、チャネルセクション42及び電子部品43と、第1のコンパートメント39に配置される更なる電子部品を備えた基板44についてのより詳細な図である。
そして、第1のファン37はここでは図示されていないものの、例えば、取り付け穴45で固定されることが好ましい。
【0053】
又、チャネルセクション42は、チャネルセクションが正しく配置されたときに、コンパートメントの外壁と接触する導風フィン49を有しており、すなわち、閉じたチャネルセクションが形成されることが好ましい。
又、チャネルセクション42と壁との間に適切なシーリングが設けられていることが好ましい。
そうすると、閉じたチャネルセクションがより密封された状態で形成される。
なお、チャネルセクション42がそのような方法で閉じられていない実施形態においても、空気は、導風フィン49に沿ってチャネルセクション42の長手方向に流れるので、それにもかかわらず、「チャネルセクション」と呼ぶものとする。
【0054】
又、熱を放散する半導体46を備えることが好ましい。
かかる半導体46は、片側がチャネルセクション42の側壁47に接していることが好ましい。
又、半導体46の他方の側には、半導体46を側壁47に接触させるために、プレート48がクランプ50で押し付けられていることが好ましい。そして、プレート48は、電気的に絶縁し、熱伝導性を有していることが好ましい。
【符号の説明】
【0055】
1:冷却用静止部、2:電子セクション、3:収容セクション、4:冷却チャネル、5:フレーム状構造体、6、7、8:縁、9:冷却フィン、10:電子機器ハウジング、11:第1の端部、12:第2の端部、13:電子部品、14:プラグ、15、16:カバープレート、17、18:チャネルセクション、19、37:第1のファン、20:第2のファン、21:第1の圧縮セクション、22:第2の圧縮セクション、23:回路基板、24:導風フィン、25:外側面、26:放熱手段、27:冷却リブ、28:外側面、30、31:キャップ、32:ベローズ、33:可動部、34:誘導電力伝達パッド、35:アクチュエータ、36、38:壁、39:電子機器ハウジングの第1のコンパートメント、40:電子機器ハウジングの第2のコンパートメント、41、42:チャネルセクション、43:電子部品、44:基板、45:取付穴、46:半導体、47:チャネルセクションの側壁、48:プレート、49:導風フィン、50:クランプ
【国際調査報告】