(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】自動車投光装置用照明ユニット
(51)【国際特許分類】
F21S 41/43 20180101AFI20220131BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20220131BHJP
F21W 102/135 20180101ALN20220131BHJP
【FI】
F21S41/43
F21V5/02 100
F21W102:135
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522503
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(85)【翻訳文提出日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2019076020
(87)【国際公開番号】W WO2020083601
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ヘッヒェンベルガー、ヨゼフ
(72)【発明者】
【氏名】マンドル、ベルンハルト
(57)【要約】
【課題】前照灯のハイビームとロービームの光分布間の暗いギャップを消滅等すること。
【解決手段】自動車の照明装置のための照明ユニット(100)。照明ユニット(100)は、減光ライトモジュール(101)、遠方ライトモジュール(102)、結像光学系(103、503)及び絞り(105)を含む。絞り(105)はフラットな非透光性絞り領域(107)と、透光性材料からなる幾何学的構造体(109)を備えた透光性絞り領域(108)を有する。幾何学的構造体(109)は実質的に三角形状横断面を有する少なくとも1つのプリズム体(110)を含む。プリズム体(110)は光軸(104)に対し実質的に横方向に延設されている。プリズム体(110)は第1、第2及び第3プリズム面を有する。第1プリズム面(111)は非透光性絞り領域(107)と実質的に面一をなしている。第2プリズム面(112)は非透光性絞り領域(107)側に指向されておりかつ第1プリズム面(111)と内角α1≧θをなしている。第3プリズム面(113)は非透光性絞り領域(107)の反対側に指向されておりかつ第1プリズム面(111)と内角α2≧θをなしている。θは透光性材料の全反射の臨界角であり、内角α1と内角α2は同じであるか又は異なり、内角α1ないし内角α2は45°ではない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の照明装置のための、とりわけ自動車投光装置のための、照明ユニット(100)であって、
該照明ユニット(100)は、
減光ライト用光分布を実質的に自動車の前方に結像される水平な明暗境界部の下側に大部分生成するための少なくとも1つの減光ライトモジュール(101)、
遠方ライト用光分布を前記明暗境界部の上側に大部分生成するための少なくとも1つの遠方ライトモジュール(102)、
光軸(104、204、404、504)及び該光軸(104、204、404、504)に対し実質的に直角に配向された焦点面(116)を備えると共に、前記減光ライトモジュール(101)及び前記遠方ライトモジュール(102)の全体光分布を生成するための光放射方向において該減光ライトモジュール(101)及び該遠方ライトモジュール(102)に後置された結像光学系(103、503)、及び、
絞りエッジ(106、206、306、506)を有し、かつ、該照明ユニット(100)によって生成される光像中に前記水平な明暗境界部を生成するために前記結像光学系(103、503)のほぼ前記焦点面(116)にまで延在する絞り(105、405)
を含み、
前記絞り(105、405)は、実質的にフラットな非透光性絞り領域(107、407)と、前記焦点面(116)の範囲内の前記絞りエッジ(106、206、306、506)に透光性材料からなる幾何学的構造体(109、409)を備えた透光性絞り領域(108、408)を有すること、
前記幾何学的構造体(109、409)は実質的に三角形状横断面を有する少なくとも1つのプリズム体(110、210、310、410、510)を含み、該少なくとも1つのプリズム体(110、210、310、410、510)は長手延設されており、該長手延設は光軸(104、204、404、504)に対し実質的に横方向に延伸しており、該少なくとも1つのプリズム体(110、210、310、410、510)は第1、第2及び第3プリズム面を有すること、
前記第1プリズム面(111、211、311、511)は前記フラットな非透光性絞り領域(107、407)と実質的に面一をなしており、前記第2プリズム面(112、212、312、512)は前記非透光性絞り領域(107、407)側に指向されておりかつ該第1プリズム面(111、211、311)と内角α1≧θをなしており、及び、前記第3プリズム面(113、213、313、513)は前記非透光性絞り領域(107、407)の反対側に指向されておりかつ該第1プリズム面(111、211、311)と内角α2≧θをなしていること、ここで、θは前記透光性材料の全反射の臨界角であること、及び、前記内角α1と前記内角α2は同じであるか又は異なること、但し、該内角α1ないし該内角α2は45°ではないこと
を特徴とする照明ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の照明ユニットにおいて、
前記幾何学的構造体(109、409)は光放射方向において前後に配置された少なくとも2つのプリズム体(110、310、410)を含み、これらのプリズム体の第1プリズム面(111、311)は長手方向において互いに境を接しておりかつ互いに対し面一をなしていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の照明ユニットにおいて、
前記幾何学的構造体(109、409)は光放射方向において前後に配置された丁度2つのプリズム体(110、410)から構成されており、これらのプリズム体の第1プリズム面(111)は長手方向において互いに境を接しておりかつ互いに対し面一をなしていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記少なくとも1つのプリズム体(410)は長手方向において互いに繋がる2つの領域(410a、410b)を有し、これらの領域は高さが互いにずらされており、かつ、前記光軸(404)が貫通して延伸する、好ましくは斜設された、移行領域(410c)を介して互いに結合されていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記絞りは前記透光性材料で一体的に製造されており、前記非透光性絞り領域は蒸着被覆、とりわけ金属蒸着被覆、されているか又はミラー化されていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項6】
請求項1~4の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記非透光性絞り領域は非透光性材料で製造されており、前記幾何学的構造体を含む透光性絞り領域は透光性材料からなるインサート部材(Einlegeteil)であるか、又は、前記絞りは透光性プラスチック材料と非透光性プラスチック材料を用いる多成分射出成形法によって製造されていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記透光性材料はプラスチック又はガラスであること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記第2及び/又は第3プリズム面(112、113、212、213、312、313)は実質的に平面であること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項9】
請求項1~7の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記第2及び/又は第3プリズム面(512、513)は湾曲していること、好ましくは第3プリズム面(513)は内部側へ湾曲していること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項10】
請求項1~8の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記少なくとも1つの減光ライトモジュール(101)と前記少なくとも1つの遠方ライトモジュール(102)は夫々少なくとも1つの光源を含むこと、
各光源には光放射方向においてコリメータが配されており、該コリメータは光源によって生成された光ビームの放射角を縮小するよう構成されていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項11】
請求項1~10の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記絞り(105)は少なくとも1つの光ウインドウ(115)を有すること、前記減光ライト及び/又は遠方ライトモジュール(101、102)の少なくとも1つの光路は前記少なくとも1つの光ウインドウ(115)を介しかつ前記結像光学系(103)を介して外部へと推移すること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の照明ユニットにおいて、
前記少なくとも1つの光ウインドウを介する少なくとも1つの光路は、前記減光ライトモジュール(101)からのみ該少なくとも1つの光ウインドウ(115)を介しかつ前記結像光学系(103)を介して外部へと推移すること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の照明ユニットにおいて、
前記少なくとも1つの光ウインドウ(115)は前記絞り(105)の前記非透光性絞り領域(107)に配されておりかつ該非透光性絞り領域(107)によって画成されていること、
前記光ウインドウ(107)は前記絞りの前記非透光性絞り領域の貫通穴として構成されているか又は透光性材料からなること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項14】
請求項1~13の何れかに記載の照明ユニット(100)を少なくとも1つ備える自動車投光装置。
【請求項15】
請求項1~13の何れかに記載の照明ユニット(100)を少なくとも1つ及び/又は請求項14に記載の自動車投光装置を少なくとも1つ含む自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の照明装置のための、とりわけ自動車投光装置のための、照明ユニットであって、減光ライト(ロービーム)用光分布を実質的に自動車の前方に結像される水平な明暗境界部(境界線)の下側に大部分生成するための少なくとも1つの減光ライトモジュール、遠方ライト(ハイビーム)用光分布を前記明暗境界部の上側に大部分生成するための少なくとも1つの遠方ライトモジュール、光軸及び該光軸に対し実質的に直角に配向された焦点面を備えると共に、前記減光ライトモジュール及び前記遠方ライトモジュールの全体光分布を生成するための光放射方向において該減光ライトモジュール及び該遠方ライトモジュールに後置された(下流側に配置された)結像光学系、及び、絞りエッジを有し、かつ、該照明ユニットによって生成される光像中に前記水平な明暗境界部を生成するために前記結像光学系のほぼ前記焦点面にまで延在する絞りを含む、照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
相応の制御(装置)によって複数の異なる光分布(配光パターン)及び明暗境界部を生成し、道路へ投射(投影)するよう構成された自動車用の照明装置及び照明モジュールはよく知られている。これらの複数の異なる光分布と明暗境界部は、よく知られた原理に応じて、放射された光ビームの一部を目標を定めて(目的に適するよう)絞る(遮光する)ビーム絞りによって(絞られる)。絞りによって、とりわけ、先行する道路使用者(先行車の運転手等)ないし対向する道路使用者(対向車の運転手等)の眩惑が大幅に回避されるよう、シャープな明暗境界部を減光ライト(ロービーム)機能によって生成される光像中に形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE602004002043T2
【特許文献2】FR2962786A1
【特許文献3】AT514161A1
【特許文献4】WO2015014706A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冒頭に記載した構造に応じた照明ユニットはよく知られている。自動車に搭載された状態において上側に配置される減光ライトモジュールと自動車に搭載された状態において下側に配置される遠方ライト(ハイビーム)モジュールは共通の絞り体及び共通の結像光学系を介してともに作用するため、結像光学系は減光ライトモジュールの中間光像も遠方ライトモジュールの中間光像も結像し、絞りは両モジュールの光路に影響を及ぼす。このような構造様式の照明ユニット(複数)は一般的に、これらが、上側に配置された減光ライトモジュールと下側に配置された遠方ライトモジュールの光ビームの目標を定めた(目的に適する)混合ないし重ね合わせを行うことができないという欠点を共通に有する。ビーム絞りは無限には薄く構成されることはできず、絞りの絞りエッジにおけるこの不可避的に存在する材料厚みが、後置の(下流側に配置された)結像光学系によって、生成された光像中に結像されるため、両者の部分光分布(即ち減光ライト及び遠方ライト)が重ね合わされると、自動車運転手が視認可能な暗い(黒っぽい)ギャップが明暗境界部の範囲に生じる。道路に投射される光像中のこの撹乱的な不均一性によって、自動車運転者は周囲の認識が困難になり、事故の危険が大きくなる。従来技術では、例えばDE602004002043T2、FR2962786A1又はAT514161A1においては、この既知の問題を解決するために、絞りの上側及び下側に生成される光分布の目標を定めた混合ないし重ね合わせのために及び明暗境界部に影響を及ぼすために投射レンズの焦点面の範囲に光学素子を配置することが提案されている。また、WO2015014706A1から他の方策が知られており、この場合、透明材料からなる絞り体はミラー層を備えるが、透明に保たれた絞りエッジによって減光ライトと遠方ライトの間の重ね合わせは改善されるものの、絞りエッジにおいて光が透過するため、H-H線の上側の範囲に撹乱的な迷光(散乱光:Streulicht)が生成される。
【0005】
既知のビーム絞りの更なる欠点は、当該絞りが前方領域において凸レンズ(集光レンズ)効果(作用)によって蒸発ないし燃焼することがあり得ることである。この危険な領域は、この場合、結像光学系(例えば投射レンズ)の焦点曲線(Fokalkurve)に沿って形成されたビーム絞りの、とりわけ中央に位置する、エッジ領域にある。
【0006】
本発明の課題は、冒頭に記載したタイプに応じたライトモジュール[照明ユニット]、とりわけ減光ライトモジュール、遠方ライトモジュール、水平な明暗境界部を生成するよう構成されたビーム絞り及び結像光学系を含むライトモジュール[照明ユニット]であって、遠方ライトと減光ライトの間の光像中の上記の暗い(黒っぽい)ギャップが閉じられ、明暗境界部の上側の範囲における撹乱的な迷光(散乱光)の生成が大幅に回避され、及び、危険な絞りエッジ領域における凸レンズ効果に関する上記の問題が解決されるよう構成されたライトモジュール[照明ユニット]を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、冒頭に記載したタイプの自動車の照明装置のための、とりわけ自動車投光装置のための、照明ユニットによって解決される。該照明ユニットにおいて、
前記絞りは、実質的にフラットな非透光性絞り領域と、前記焦点面の範囲内の前記絞りエッジに透光性材料からなる幾何学的構造体を備えた透光性絞り領域を有すること、
前記幾何学的構造体は実質的に三角形状横断面を有する少なくとも1つのプリズム体を含み、該少なくとも1つのプリズム体は長手延設されて(長く延伸するよう配設されて)おり、該長手延設は光軸に対し実質的に横方向に延伸しており(配向されており)、該少なくとも1つのプリズム体は第1、第2及び第3プリズム面を有すること、
前記第1プリズム面は前記フラットな非透光性絞り領域と実質的に面一をなしており、前記第2プリズム面は前記非透光性絞り領域側に指向されておりかつ該第1プリズム面と内角α1≧θをなしており、及び、前記第3プリズム面は前記非透光性絞り領域の反対側に指向されておりかつ該第1プリズム面と内角α2≧θをなしていること、ここで、θは前記透光性材料の全反射の臨界角であること、及び、前記内角α1と前記内角α2は同じであるか又は異なること、但し、該内角α1ないし該内角α2は45°ではないこと
を特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0008】
【0009】
本発明に応じた絞りでは、減光ライトモジュールによって生成される光ビームは、前方領域(Vorfeld)の範囲内の絞りエッジにおけるプリズム構造体によって全反射され、そのため、H-H線の上側の領域における撹乱的な迷光(散乱光)の生成は阻止され、これに対し、遠方ライトモジュールによって生成される光ビームは、プリズム構造体を透過的態様で通過し、遠方ライト機能がスイッチオンされた場合の光像中の減光ライトと遠方ライトの間の暗いギャップが閉じられる(なくなる)ように、このプリズム構造体において偏向(屈折)され(て射出され)る(これについては、その光路が模式的に示されている
図7及びその説明も参照)。
【0010】
更に、凸レンズ効果(作用)に関する問題も解決される。なぜなら、幾何学的構造体を含む絞り領域は透明(透光性)であるため、例えば太陽光の光ビームは、最早吸収されず、材料を貫通通過して、拡開(拡径)的態様で広がって進行するからである。更なる一利点は、減光ライトモジュールによって生成されプリズム構造体において全反射された光ビームは、明暗境界部にソフトな(なだらかな)移行ないし所望の勾配が生成されるよう、屈折されることである。このため、明暗境界部のソフト化(緩和ないしぼかし)のために所望の勾配を生成するための、更なる措置、例えば結像光学系上のマイクロ構造体、を設ける必要はない。
【0011】
かくして、本発明は、減光ライトモジュール、遠方ライトモジュール及び水平な明暗境界部を生成するためのビーム絞りを有する照明ユニットの複数の現在の光技術上の問題を解決する。
【0012】
実質的にフラットな(平面的な)見かけ形状(外観)を有する絞りは、それ自体既知の方法に従って、光軸に実質的に水平に配置されるか又は光軸に対し少々傾斜されて配置されることができる。所定の変形形態では、絞りは、絞り体が一貫して(全体的に)平らな境界面を有しないよう、水平な線に沿って屈曲(折れ曲がり:Knick)を有することもできる。更に、少なくとも1つのプリズム体が、場合によっては更に絞り体が、互いに対し高さがずらされた(異なる)2つの領域を有することによって、光分布に非対称勾配を導入することも可能であり、この場合、一方の領域は光軸の左側にありかつ他方の領域は光軸の右側にあり、両領域は光軸が貫通して通過する斜めの(斜設された)移行領域によって互いに結合されている(
図10及びその説明参照)。
【0013】
幾何学的構造体は、ただ1つの大きなプリズム又は2つ以上のより小さなプリズムを含むことができるが、該1つの大きなプリズムないしは該2つ以上のより小さなプリズムは、配置及び内角について上記においてないしは請求項1において規定された技術的特徴を満たす必要がある(
図9及びその説明も参照)。本書において規定されたプリズム構造体とは異なる幾何学的構造体、例えば内角α1又は内角α2が45°である楔形部材は、(上記の)所望の利点を有さず、例えば遠方ライトについても全反射を伴ったり、減光ライトビームの不所望の透過を伴ったりすることが(本発明者により)確認された。
【0014】
複数の三角プリズムが並置される場合、これらは同じ高さを有することができる。代替的に、複数の並置されたプリズムの高さが順次的に大きくなるよう構成可能であり、これにより、焦点のより近くに位置するより小さい三角プリズムが、三角プリズムの第1プリズム面を介して絞りの透明な幾何学的構造体に入射する遠方ライトビームを比例的に(サイズの割合に応じて)より少なくカバーする(受容する)という利点が得られる。例えば、焦点のより近くに位置しより小さい高さを有するプリズムの第2プリズム面においては、より大きな高さを有する三角プリズムの第1プリズム面を介して入射する遠方ライトビームはより少なく全反射される。隣り合う三角プリズム(複数)の高さは、放物線状の曲線に従って増大することが好ましい。
【0015】
投光装置のための結像光学系は当業者にはそれ自体よく知られている。結像光学系はそれ自体既知の方法に従って構成されることができ、例えば(1つの)投射レンズ又は多段レンズシステムを含むことができる。更に、レンズ・リフレクタ組合体も可能である。
【0016】
所定の変形形態では、幾何学的構造体は光放射方向において前後に配置された少なくとも2つのプリズム体を含み、これらのプリズム体の第1プリズム面は長手方向において互いに境を接しておりかつ互いに対し面一をなしている。
【0017】
有利には、幾何学的構造体は光放射方向において前後に配置された丁度2つのプリズム体から構成されており、これらのプリズム体の第1プリズム面は長手方向において互いに境を接しておりかつ互いに対し面一をなしている。プリズム面と絞りの基本厚み(Grunddicke)に関連して幾何学的寸法は必然的に定まるため、光放射方向に配置された丁度2つのプリズム体を有する幾何学的構造体は格別に有利であることが分かった。なぜなら、これによって、一方では、上記の解決されるべき技術的課題が結像光学系の焦点面ないし焦点に対する幾何学的構造体の距離のために適切に解決され、更には、この変形形態は容易に具現化(実現)可能だからである。場合によってはプリズム体の個数がより多い場合、例えばプリズムが4つ以上の場合、焦点面/焦点に対するプリズム構造体(複数)の距離はより大きくなるが故に生じ得る不所望の色効果及びシャープでない明暗境界部は、この好ましい変形形態では回避される。
【0018】
所定の変形形態では、少なくとも1つのプリズム体は長手方向において互いに繋がる2つの領域を有し、これらの領域は、高さが互いにずらされて(異なって)おり、かつ、光軸が貫通して延伸する、好ましくは斜設された、移行領域を介して互いに結合されている。かくして、光分布における非対称的勾配を具現化することができる(
図10及びその説明参照)。
【0019】
所定の変形形態では、非透光性絞り領域は少なくとも部分的に反射性表面(反射面)を有することができる。
【0020】
所定の具体的変形形態では、絞りは透光性材料で一体的に製造されており、非透光性絞り領域はそれ自体既知の方法で蒸着被覆、例えばアルミニウムのような金属で蒸着被覆(金属化)されているか又はミラー化(ないし鏡面化)されている。
【0021】
他の変形形態では、非透光性絞り領域は非透光性材料(例えば金属又は非透光性プラスチック)で製造されており、幾何学的構造体を含む透光性絞り領域は透光性材料(例えばガラス又は透光性/透明プラスチック)からなるインサート(ないし組付)部材(Einlegeteil)であるか、又は、絞りは透光性プラスチック材料と非透光性プラスチック材料を用いる多成分射出成形法によって、例えば非透光性プラスチック材料と透過性[透光性]プラスチック材料を用いる二成分射出成形法によって、製造されている。
【0022】
好ましくは、透明(透光性)材料はプラスチック又はガラスである。
【0023】
所定の変形形態では、第2及び/又は第3プリズム面は実質的に平面的に(平らに:planar)構成されている。
【0024】
特別な変形形態では、第2及び/又は第3プリズム面は湾曲しており、好ましくは第3プリズム面は内部側へ(凹状に)湾曲している。この変形形態は、これによって、明暗境界部のソフトな(なだらかな)移行が実現可能であるよう(
図11及び
図12及びこれらの説明も参照)、明暗境界部の勾配に付加的にポジティブに(有利に)影響を及ぼすことができるという利点を有する。所定の下位変形形態では、少なくとも1つのプリズム体の横断面は長手延伸方向(Laengserstreckung)において一定である。他の下位変形形態では、少なくとも1つのプリズム体の横断面は長手延伸方向において減少(縮小)する;かくして、明暗境界部の勾配は光分布の縁部領域(複数)へ向かって更にソフトに(なだらかに)され、そのため、道路縁(複数)の照明は自動車運転手にとって格別に快適に形成されることができる。
【0025】
有利な変形形態では、少なくとも1つの減光ライトモジュールと少なくとも1つの遠方ライトモジュールは夫々少なくとも1つの光源を含み、各光源には光放射方向において(夫々1つの)コリメータが配されており、該コリメータは光源によって生成された光ビームの放射角を縮小し、かくして、放射特性を形成するよう構成されている。この変形形態では、照明ユニットは、例えば、少なくとも1つの減光ライトモジュールと少なくとも1つの遠方ライトモジュールを含み、減光ライトモジュール及び遠方ライトモジュールには(夫々)複数の光源が割り当てられて(配されて)おり、各光源には光放射方向において(夫々1つの)コリメータが後置されているコリメータモジュールとして構成可能である。絞りは光放射方向においてコリメータモジュールに後置されている。結像光学系として、(1つの)投射(投影)レンズ又は多段レンズシステムを設けることができる。コリメータは例えばTIRコリメータレンズ(TIRはTotal Internal Reflection:内部全反射)として構成可能である。そのようなTIRコリメータレンズは当業者にはよく知られている(例えばAuer Lighting GmbH、ドイツのTIR-Linse Bern)。これは、空気の屈折よりも大きい屈折率を有する透明材料で、例えばガラス又はプラスチックで製造されている光透明体である。この場合、TIRコリメータレンズの光出射面において屈折された実質的にすべての光は空気中を、好ましくは光入射面の前方における光伝播と比べて拡開(度)(ないし拡径(度):Divergenz)を減少しながら予め定められた方向へ、更に進行する。コリメータがリフレクタとして構成されること、即ち空気中を伝播する光ビームを好ましくは予め与えられた方向へ偏向する光反射面(とりわけ可視光を反射する面)として構成されることも考えられる。尤も、減光ライトモジュール及び/又は遠方ライトモジュールの光分布形成部材は、当業者によく知られているような、投射型投光装置のタイプに応じた複合楕円型(Polyellipsoid)リフレクタ装置の形でも構成可能である。
【0026】
本発明の有利な変形形態では、絞りは少なくとも1つの光ウインドウを有し、減光ライト及び/又は遠方ライトモジュールの少なくとも1つの光路は該少なくとも1つの光ウインドウを介しかつ結像光学系を介して外部へと推移する(よう形成されている)。減光ライトモジュール及び遠方ライトモジュールによって生成される光ビーム(複数)を目的に適する手段及び方法で付加的に混合すること、及び、遠方ライト(ハイビーム)機能の光像中の不均一性を付加的に最小化することが、この発展形態によって可能になる。更に、光像の或る領域(複数)への光ビーム(複数)の目標を定めた放射が可能になるが、これらは通常は交通標識板を照明するために格別に重要である(特別な意味を有する)(所謂「標識灯(sign light)」)。所定の下位変形形態では、少なくとも1つの光ウインドウを介する(通る)少なくとも1つの光路は、減光ライトモジュールからのみ少なくとも1つの光ウインドウを介し(通り)かつ結像光学系を介して(通って)外部へと推移する(よう形成されている)ことが可能である。所定の下位変形形態では、少なくとも1つの光ウインドウは絞りの非透光性絞り領域に配されておりかつ該非透光性絞り領域によって画成されていることが可能であり、光ウインドウは絞りの非透光性絞り領域の貫通穴として構成されているか又は透光性材料からなることが可能である。
【0027】
本発明の更なる対象は、本発明に応じた照明ユニットを少なくとも1つ備える自動車投光装置である。自動車投光装置は前照灯である。本発明に応じた自動車投光装置はそれ自体既知の投光装置構成原理に基づいて構成されており、拡散ディスクないしカバーディスクによって覆われている光出射開口を有するハウジングを含む。現代の自動車投光装置は単独で又は共同で個別ライト機能を担うことが可能な複数のライトモジュールを有することがよくある。これらのライトモジュールはしばしば投光装置ハウジング内において互いの直ぐ近くに配置される。本発明に応じた自動車投光装置は、従って、減光ライトモジュールと遠方ライトモジュールを有する本発明に応じた照明ユニットに加えて、更なるライトモジュール[照明ユニット]、例えば昼間走行灯(用照明)ユニット、点滅灯(用照明)ユニット等を含むことができる。これに応じて、減光ライト用光分布ないし遠方ライト用光分布に加えて、昼間走行灯、点滅灯等の光分布のような、更なるライトモジュールによる更なる光分布もまた生成可能である。
【0028】
本発明の更なる対象は、本発明に応じた照明ユニットを少なくとも1つ及び/又は本発明に応じた自動車投光装置を少なくとも1つ含む自動車である。本書において使用されるような概念「自動車」(KFZ:Kraftfahrzeug)は、オートバイ、PKW(乗用車)、LKW(トラック)等のような単車轍又は複車轍(ein- oder mehrspurige)の動力駆動型陸上車両に関する。
【0029】
本発明と更なる利点は以下に非限定的な実施例と添付の図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の照明ユニットの一例の模式的斜視図。
【
図3】
図1及び
図2に記載された照明ユニットの絞りの斜視図。
【
図4】
図1及び
図2に記載された照明ユニットの絞りの側面図。
【
図5】
図1及び
図2に記載された照明ユニットの絞りの光軸に沿った断面図。
【
図6】
図1及び
図2に記載された照明ユニットの絞りの幾何学的プリズム構造体。
【
図7】減光ライトモジュールないし遠方ライトモジュールから放射される光ビームの、本発明に応じて使用される絞りの三角プリズム体を通る光路の一例。
【
図8】
図1及び
図2の絞りの断面の詳細、及び、減光ライトモジュールから放射される光ビームの、本発明に応じて使用される絞りに設けられた光ウインドウを通る光路の一例。
【
図8a】
図8の拡大図。
図8aでは、付加的に、遠方ライトモジュールから放射される光ビームの光路の一例も示されている。
【
図9】結像光学系の焦点に対する、本発明に応じて使用される絞りの1つの大三角プリズムの一例ないし複数の小三角プリズムの一例の配置。
【
図10】本発明の照明ユニットの絞りの部分的に変更された一変形例。
【
図11】湾曲されたプリズム面を備えるプリズム体を有する本発明に応じて使用される絞りを用いて生成される減光ライト光分布の明暗境界部をソフトに(なだらかに)するための勾配形成の一例。
【
図12】
図11に応じて勾配形成する場合の、H-H線及びV-V線を用いる二次元角度空間における明暗境界部を有する一例示的光分布。
【実施例】
【0031】
ここで説明する実施例は専ら説明のためのものであり、本発明を限定するものとして理解されるべきものではなく、寧ろ、当業者が当該説明を用いて認識可能なすべての形態が本発明の保護範囲に含まれ、該保護範囲は(特許)請求の範囲によって確定されていると理解されるべきである。
【0032】
各図において、同じ又は同等の構成要素については、説明及び図示の単純化を目的として、同じ図面参照符号が使用される。更に、(特許)請求の範囲において使用される図面参照符号は、専ら、(特許)請求の範囲の可読性の向上及び本発明の理解の容易化のためのものであり、如何なる意味においても、本発明の保護範囲を制限するものではない。
【0033】
図1は本発明に応じた照明ユニット100の一例の模式的斜視図である。
図2は
図1の照明ユニットの側面図である。照明ユニット100は、とりわけ自動車投光装置(前照灯)のための、自動車の照明装置に組み込まれる。照明ユニット100は、減光ライトモジュール101と、遠方ライトモジュール102と、ライトモジュールの全体光分布を生成するために光放射方向において減光ライトモジュール101及び遠方ライトモジュール102に後置された結像光学系を含み、該結像光学系は、光軸104と該光軸104に対し実質的に垂直に配向された焦点面116(これはペッツヴァール面(Petzval-Flaeche)としても知られている)を有する投射レンズ103として構成されている。減光ライトモジュール101は、減光ライト(ロービーム)用光分布を自動車の前方に形成される実質的に水平な明暗境界部(線)の下方に大部分生成するよう構成されている。遠方ライトモジュール102は、遠方ライト(ハイビーム)用光分布を明暗境界部の上方に大部分生成するよう構成されている。更に、照明モジュール100は実質的に水平に横置されている絞り105を有する。絞り105は絞りエッジ106を有し、照明ユニット100によって生成される光像に水平な明暗境界部を生成するために、後置の投射レンズ103の焦点面116にまで実質的に延在している。絞りエッジ106は、この場合、焦点面116にまでないしは投射レンズ103の焦点Fにまで到達している。
【0034】
減光ライトモジュール101と遠方ライトモジュール102は、図示の例では、一緒に(1つの)コリメータモジュールを構成する。このコリメータモジュールは一般に知られた原理に基づいて構成されており、ここで詳細に説明するまでもない(コリメータ、例えばTIRコリメータレンズについてもの説明も、更には上記も参照)。減光ライトモジュール101と遠方ライトモジュール102は、夫々、例えば複数のLEDとして構成された複数の光源(これについては詳細には説明しない)を含み、各光源には光放射方向において(夫々1つの)コリメータ(これについても同様に詳細には説明しない)が割り当てられて(配されて)いる。各コリメータは、光源から生成される光ビームの拡開(度)(ないし拡径(度):Divergenz)を縮小(減少)するよう構成されている。コリメータモジュールは例えばレンズ又はリフレクタのような更なる光学素子もまた含む。尤も、減光ライトモジュール101と遠方ライトモジュール102は、他の構成原理に応じて構成されることも可能であり、
図1及び
図2に模式的に記載されたコリメータ構造には限定されない。代替的に、減光ライトモジュール及び/又は遠方ライトモジュールは伝統的かつ当業界においてよく知られたPES(Poly-Ellipsoid-System:複合楕円システム)投光装置タイプに応じたリフレクタ(複数)を有することも可能である。
【0035】
照明ユニット100の本発明に応じた特徴は絞り105に見出されるが、これについては以下において図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
図3は、
図1及び
図2に記載された照明ユニット100の絞り105を斜視図で示し、
図4は絞り105を平面図で示し、
図5は絞り105の一断面を示す。
図6は
図1及び
図2に記載された照明ユニットの絞りの幾何学的プリズム構造体を詳細に示す。絞り105は、実質的にフラットな(平面状の)非透光性絞り領域107と、焦点面116の範囲の絞りエッジ106にある、透光性材料からなる幾何学的構造体109を備えた透光性絞り領域108を有する。非透光性絞り領域107は少なくとも部分的に反射性表面を有し得ることは自ずから理解される。
【0037】
図示の例では、非透光性絞り領域107は金属で製造されており、幾何学的構造体109を含む透光性絞り領域108は透光性材料からなるインサート部材(Einlegeteil)である。尤も、絞り105を透光性材料で一体的に(一部材として)製造することも可能であり、(この場合)非透光性絞り領域107はそれ自体既知の方法に応じて蒸着被覆、例えばアルミニウムのような金属で蒸着被覆(金属化)されており、他方、透光性絞り領域108はそのままにされている、従って蒸着被覆されていない。図示の例では、透光性材料はプラスチックである。プラスチックの代わりに、ガラスも非透光性[透光性]材料として選択可能である。
【0038】
例示の絞り105の幾何学的構造体109は、夫々実質的に三角形の横断面を有する2つのプリズム体110を含む。各プリズム体110は長手延設されて(長く延伸するよう配設されて)おり、該長手延設は光軸104に対し実質的に横方向に延伸して(配向されて)いる。各プリズム体は第1、第2及び第3プリズム面を有し、第1プリズム面111はフラットな非透光性絞り領域107と実質的に面一をなしており、第2プリズム面112は非透光性絞り領域107側に指向されておりかつ第1プリズム面111と内角α1≧θをなしており、及び、第3プリズム面113は非透光性絞り領域107の反対側に指向されておりかつ第1プリズム面111と内角α2≧θをなしている。ここで、θは透光性材料の全反射の臨界角であり、内角α1と内角α2は同じであるか又は異なるが、内角α1ないし内角α2は45°ではない。
【0039】
図7は、減光ライトモジュールないし遠方ライトモジュールから放射される光ビームの、本発明に応じて使用される絞り105の2つのプリズム体110の一方を通過する光路の一例を示す。減光ライトモジュール101から生成された光ビーム114は第2プリズム面112を介してプリズム体110内に入射し、第1プリズム面111において全反射され、第3プリズム面113を介して射出することにより、H-H線の上方の領域における撹乱的な迷光(散乱光)の生成は阻止される。遠方ライトモジュール102から生成された光ビーム117は第1プリズム面111を介して入射し、プリズム体内を伝播し、第3プリズム面113を介して出射する際に少々偏向(屈折)されることにより、遠方ライト機能(即ち減光ライトと遠方ライトがスイッチオンされている)の光像中における減光ライトと遠方ライトの間のギャップは閉じられる。
【0040】
本発明の一発展的構成は同様に絞り105に示されている。絞り105は、当該絞り105の非透光性絞り領域107に設けられかつ該領域によって画成された光ウインドウ115を有する。光ウインドウ115は、非透光性絞り領域107のウインドウ状の貫通穴が透明プラスチックからなるインサートプレートで(嵌め込まれて)閉じられることによって構成される。減光ライトモジュール及び/又は遠方ライトモジュールからの光路は光ウインドウ115を通りかつ投射レンズを通って外部へと推移することができる。減光ライトモジュール及び遠方ライトモジュールによって生成される光ビーム(複数)を目的に適する手段・方法で付加的に混合すること、及び、遠方ライト機能の光像中の不均一性を付加的に最小化することが、この発展的構成によって可能になる。更に、光像の或る領域(複数)への光ビーム(複数)の目標を定めた放射が可能になるが、これらは通常は交通標識板を照明するために格別に重要である(特別な意味を有する)(所謂「標識灯(sign light)」)。例えば、光ウインドウ115を介する(通過する)光路は、専ら減光ライトモジュール101から光ウインドウ115を介し(通過し)かつ結像光学系101を介して(通過して)外部へと推移する(よう形成されている)ことが可能である。これは
図8に示されている。
図8は
図1及び
図2の絞りの一断面の細部を示しており、かつ、減光ライトモジュール101から放射され、絞り105に配された光ウインドウ115(「標識灯」)を(貫通)通過する光ビーム114の光路を示す。
図8aは
図8の(一部の)拡大図であるが、付加的に、遠方ライトモジュール102から放射される光ビーム117の光路が示されている。遠方ライトモジュールからの光ビーム117は光軸104に対し傾けられた(斜めに配向された)光ウインドウ115の境界面118において全反射される(
図8aでは全反射された光ビームには符号117
*が付記されている)。従って、光ビーム117は境界面118についての垂線nに対し全反射の角度よりも大きい入射角を有する。これによって、遠方ライトモジュールからの光が減光ライト用光分布の前方領域(Vorfeld)に寄与する(影響を及ぼす)ことが阻止され、そのため、法令の基準(要件)の順守が可能になる{USA FMVSS-108 Table XVIII UB2: 測定点[4D, V] 光度についての条件<12000cd 最大測光強度 (Maximum Photometric Intensity)}。なお、この不可欠な傾きは、この下側境界面118のプリズム形態によっても達成可能である。
【0041】
図9は、本発明に応じて使用される絞りの三角プリズムについての2つの例示的代替的バリエーションを示し、詳しくは、一方は、高さHを有するただ1つの大きな三角プリズム210の構成であり、他方では、これの代わりに、複数の(全部で5つの)小さな三角プリズム310の構成を示す。三角プリズム210ないし310は夫々本発明に応じて使用される絞りの絞りエッジの光透過性領域に配置され、かつ、本発明の照明ユニットにおいて結像光学系(例えば
図1及び
図2の投射レンズ103)の焦点面ないし焦点Fに関連して(関連付けられて)位置決めされている。プリズム体110についての説明を参照すると上記に続いて、三角プリズム210ないし310は夫々第1プリズム面211ないし311、第2プリズム面212ないし312及び第3プリズム面213ないし313を含む。
図9に良好に見出されるように、三角プリズム210ないし310の夫々の第1プリズム面211ないし311は光軸204に対し実質的に平行に延在している。
図9から良好に見出されるように、5つの小三角プリズム310の第2プリズム面312は大三角プリズム210の第2プリズム面212に対し平行に延在している。小三角プリズム310の第3プリズム面313は大三角プリズム210の第3プリズム面213に対し平行に延在している。絞りエッジ206ないし306は、プリズム面211と213ないし311と313から形成されるプリズムエッジによって(小三角プリズム310の場合、結像光学系に最も近くに配置された最も外側のプリズム310(のエッジ)によって)規定される。
図9では、絞りエッジ206ないし306は丁度結像光学系/投射レンズの焦点Fにまで延伸している。
【0042】
図9に示された小三角プリズム310はすべて同じ高さH’を有する。尤も、並置された複数のプリズムの高さ(複数)が順次増大するよう構成可能であることは当業者であれば分かる。この構成は、焦点のより近くに位置するより小さい三角プリズムが、三角プリズムの第1プリズム面を介して絞りの透明な幾何学的構造体に入射する遠方ライトビームを比例的に(サイズの割合に応じて)より少なくカバーする(受容する)という利点を有する。例えば、焦点のより近くに位置しより小さい高さを有するプリズムの第2プリズム面において全反射される遠方ライトビーム(これはより大きな高さを有する三角プリズムの第1プリズム面を介して入射する)はより少ない。隣り合う三角プリズム(複数)の高さは放物線状の曲線に従って増大することが好ましい。
【0043】
図10は、本発明の照明ユニットのための絞り405の修正された一変形例を示す。絞り405は上述した絞り105と実質的に同様に構成されている。絞り405は実質的にフラットな非透光性絞り領域407と、焦点面の範囲の絞りエッジ406に幾何学的構造体409を有する透光性絞り領域408を有する。この幾何学的構造体409は透光性材料からなる2つのプリズム体410を含む。プリズム体410は長手方向において互いに繋がっている[プリズム領域からなる]2つの領域410a及び410bを有し、これらの領域は高さが互いに異なっており(ずらされており)、かつ、光軸404が(貫通)通過する斜設された移行領域410cを介して互いに結合されている。非透光性(絞り)領域407も同様に互いに繋がっておりかつ互いに高さが異なる2つの領域407a及び407bを含み、これらの領域は光軸404が(貫通)通過する斜設された移行領域407cを介して互いに結合されている。これによって、光分布に非対称勾配(Asymmetrieanstieg)を具現化する(形成する)ことが可能になる。上記のプリズム体110、210及び310の場合と同様に、プリズム体410は第1、第2及び第3プリズム面(
図10ではスペースの関係上図面参照符号は付記されていない)を含み、第2プリズム面は非透光性絞り領域407側に指向されておりかつ第1プリズム面と内角α1≧θをなしており、第3プリズム面は非透光性絞り領域407の反対側に指向されておりかつ第1プリズム面と内角α2≧θをなしている。ここで、θは透光性材料の全反射の臨界角であり、内角α1と内角α2は同じであるか又は異なるが、内角α1ないし内角α2は45°ではない。絞り105と同様に、絞り405も「標識灯」機能を生成するために光ウインドウ115を備えることができることは勿論である。
【0044】
図11は、湾曲したプリズム面を有するプリズム体を備える本発明に応じて使用される絞りを用いて減光ライト用光分布において明暗境界部をソフト化するための勾配形成の一例を示す。
図12は、
図11に応じて勾配形成する場合においてH-H線及びV-V線を用いた二次元角度空間における明暗境界部を有する例示的光分布を示す。本発明の一利点は、減光ライトモジュールから放射されプリズム構造体において全反射した光ビーム(複数の光線)が複数の少々異なる方向へ屈折されるため、明暗境界部のソフトな(なだらかな)移行ないし法令に適合する勾配値が生成される点にあり、この場合、明暗境界部は主として絞りエッジ506によって規定されている。そのため、自動車運転手は、照明された道路表面と暗い道路表面との間の煩わしい境界線のない光分布を知覚することになる。そのため、明暗境界部の所望のソフト化を行うために、更なる措置、例えば結像光学系へのマイクロ構造体の配設、を図る必要はない。
図11には本発明の有利な一発展構成が示されている。この発展構成では、プリズム体510の第3プリズム面513が内側に(凹状に)湾曲している一方で、長手延伸方向において横断面は一定に維持されている。プリズム体510は、本発明に応じて使用される絞りの上述した部材と同様であり、従ってここでは詳細に説明しない。湾曲した第3プリズム面513(及び/又は湾曲した第2プリズム面512)の使用は、それによって明暗境界部の勾配が格別に目的に適するよう調節され、ポジティブに影響が及ぼされることができ、そのため、明暗境界部が拡がるように分裂(拡開)され、より幅広に結像されることができるという利点を有する。このため、観察者ないし自動車運転手にとって、光像中の明暗境界部の格別にソフトな(緩やかな)移行が生じることになる。減光ライトモジュールから放射される光ビーム(複数)の湾曲した第3プリズム面513から投射レンズ503を通り抜けるまでの光路は
図11に矢印を用いて示されている。例示の平行光線束516は、湾曲した第3プリズム面513には複数の異なる面法線が形成されるため、拡開する(発散する)全反射光線束516’となる。投射レンズ503を通ると、拡開(度)δは、光分布用光線束516''の(各光線の)屈折が異なるため、更に大きくなる。同様のことが、概ね湾曲された第2プリズム面512を介してプリズム体510に入射し、概ね平らな第1プリズム面511における全反射後、湾曲した第3プリズム面513を介してプリズム体510から出射する光ビームにも当て嵌まる。両プリズム面512及び513では、光はスネルの屈折法則に従って屈折される。
図12から明らかなとおり、H-H線の少々下方にかつH-H線と平行に推移する明暗境界部HDGはより幅広に拡開され、そのため、勾配は減少する。
【0045】
本発明は当業者に既知の任意の方法で修正可能であり、図示の実施例に限定されない。更に、本発明の個々の視点(側面)は個別に採用されること及び可能な限り夫々組み合わされることが可能である。重要であるのは本発明の基礎をなすコンセプト(技術的思想)であり、該コンセプトは当該教示を考慮して当業者によって多種多様な方法で具現化可能であり、それにも拘らず、それ自体は不変に維持される。
【0046】
【手続補正書】
【提出日】2021-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の照明装置
又は自動車投光装置のため
の照明ユニット(100)であって、
該照明ユニット(100)は、
減光ライト用光分布を実質的に自動車の前方に結像される水平な明暗境界部の下側に大部分生成するための少なくとも1つの減光ライトモジュール(101)、
遠方ライト用光分布を前記明暗境界部の上側に大部分生成するための少なくとも1つの遠方ライトモジュール(102)、
光軸(104、204、404、504)及び該光軸(104、204、404、504)に対し実質的に直角に配向された焦点面(116)を備えると共に、前記減光ライトモジュール(101)及び前記遠方ライトモジュール(102)の全体光分布を生成するための光放射方向において該減光ライトモジュール(101)及び該遠方ライトモジュール(102)に後置された結像光学系(103、503)、及び、
絞りエッジ(106、206、306、506)を有し、かつ、該照明ユニット(100)によって生成される光像中に前記水平な明暗境界部を生成するために前記結像光学系(103、503)のほぼ前記焦点面(116)にまで延在する絞り(105、405)
を含み、
前記絞り(105、405)は、実質的にフラットな非透光性絞り領域(107、407)と、前記焦点面(116)の範囲内の前記絞りエッジ(106、206、306、506)に透光性材料からなる幾何学的構造体(109、409)を備えた透光性絞り領域(108、408)を有すること、
前記幾何学的構造体(109、409)は実質的に三角形状横断面を有する少なくとも1つのプリズム体(110、210、310、410、510)を含み、該少なくとも1つのプリズム体(110、210、310、410、510)は長手延設されており、該長手延設は光軸(104、204、404、504)に対し実質的に横方向に延伸しており、該少なくとも1つのプリズム体(110、210、310、410、510)は第1、第2及び第3プリズム面を有すること、
前記第1プリズム面(111、211、311、511)は前記フラットな非透光性絞り領域(107、407)と実質的に面一をなしており、前記第2プリズム面(112、212、312、512)は前記非透光性絞り領域(107、407)側に指向されておりかつ該第1プリズム面(111、211、311)と内角α1≧θをなしており、及び、前記第3プリズム面(113、213、313、513)は前記非透光性絞り領域(107、407)の反対側に指向されておりかつ該第1プリズム面(111、211、311)と内角α2≧θをなしていること、ここで、θは前記透光性材料の全反射の臨界角であること、及び、前記内角α1と前記内角α2は同じであるか又は異なること、但し、該内角α1ないし該内角α2は45°ではないこと
を特徴とする照明ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の照明ユニットにおいて、
前記幾何学的構造体(109、409)は光放射方向において前後に配置された少なくとも2つのプリズム体(110、310、410)を含み、これらのプリズム体の第1プリズム面(111、311)は長手方向において互いに境を接しておりかつ互いに対し面一をなしていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の照明ユニットにおいて、
前記幾何学的構造体(109、409)は光放射方向において前後に配置された丁度2つのプリズム体(110、410)から構成されており、これらのプリズム体の第1プリズム面(111)は長手方向において互いに境を接しておりかつ互いに対し面一をなしていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記少なくとも1つのプリズム体(410)は長手方向において互いに繋がる2つの領域(410a、410b)を有し、これらの領域は高さが互いにずらされており、かつ、前記光軸(404)が貫通して延伸す
る移行領域(410c)を介して互いに結合されていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記絞りは前記透光性材料で一体的に製造されており、前記非透光性絞り領域は蒸着被覆
又は金属蒸着被
覆されているか又はミラー化されていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項6】
請求項1~4の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記非透光性絞り領域は非透光性材料で製造されており、前記幾何学的構造体を含む透光性絞り領域は透光性材料からなるインサート部材(Einlegeteil)であるか、又は、前記絞りは透光性プラスチック材料と非透光性プラスチック材料を用いる多成分射出成形法によって製造されていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記透光性材料はプラスチック又はガラスであること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記第2及び/又は第3プリズム面(112、113、212、213、312、313)は実質的に平面であること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項9】
請求項1~7の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記第2及び/又は第3プリズム面(512、513)は湾曲しているこ
と
を特徴とする照明ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載の照明ユニットにおいて、
第3プリズム面(513)は内部側へ湾曲していること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項11】
請求項1~8の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記少なくとも1つの減光ライトモジュール(101)と前記少なくとも1つの遠方ライトモジュール(102)は夫々少なくとも1つの光源を含むこと、
各光源には光放射方向においてコリメータが配されており、該コリメータは光源によって生成された光ビームの放射角を縮小するよう構成されていること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項12】
請求項1~
11の何れかに記載の照明ユニットにおいて、
前記絞り(105)は少なくとも1つの光ウインドウ(115)を有すること、前記減光ライト及び/又は遠方ライトモジュール(101、102)の少なくとも1つの光路は前記少なくとも1つの光ウインドウ(115)を介しかつ前記結像光学系(103)を介して外部へと推移すること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項13】
請求項
12に記載の照明ユニットにおいて、
前記少なくとも1つの光ウインドウを介する少なくとも1つの光路は、前記減光ライトモジュール(101)からのみ該少なくとも1つの光ウインドウ(115)を介しかつ前記結像光学系(103)を介して外部へと推移すること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項14】
請求項
12又は
13に記載の照明ユニットにおいて、
前記少なくとも1つの光ウインドウ(115)は前記絞り(105)の前記非透光性絞り領域(107)に配されておりかつ該非透光性絞り領域(107)によって画成されていること、
前記光ウインドウ(107)は前記絞りの前記非透光性絞り領域の貫通穴として構成されているか又は透光性材料からなること
を特徴とする照明ユニット。
【請求項15】
請求項1~
14の何れかに記載の照明ユニット(100)を少なくとも1つ備える自動車投光装置。
【請求項16】
請求項1~
14の何れかに記載の照明ユニット(100)を少なくとも1つ及び/又は請求項
15に記載の自動車投光装置を少なくとも1つ含む自動車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の課題は、冒頭に記載したタイプに応じた照明ユニット、とりわけ減光ライトモジュール、遠方ライトモジュール、水平な明暗境界部を生成するよう構成されたビーム絞り及び結像光学系を含む照明ユニットであって、遠方ライトと減光ライトの間の光像中の上記の暗い(黒っぽい)ギャップが閉じられ、明暗境界部の上側の範囲における撹乱的な迷光(散乱光)の生成が大幅に回避され、及び、危険な絞りエッジ領域における凸レンズ効果に関する上記の問題が解決されるよう構成された照明ユニットを提供することである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この課題は、冒頭に記載したタイプの自動車の照明装置又は自動車投光装置のための照明ユニットによって解決される。即ち、本発明の第1の視点により、自動車の照明装置又は自動車投光装置のための照明ユニットであって、減光ライト(ロービーム)用光分布を実質的に自動車の前方に結像される水平な明暗境界部(境界線)の下側に大部分生成するための少なくとも1つの減光ライトモジュール、遠方ライト(ハイビーム)用光分布を前記明暗境界部の上側に大部分生成するための少なくとも1つの遠方ライトモジュール、光軸及び該光軸に対し実質的に直角に配向された焦点面を備えると共に、前記減光ライトモジュール及び前記遠方ライトモジュールの全体光分布を生成するための光放射方向において該減光ライトモジュール及び該遠方ライトモジュールに後置された(下流側に配置された)結像光学系、及び、絞りエッジを有し、かつ、該照明ユニットによって生成される光像中に前記水平な明暗境界部を生成するために前記結像光学系のほぼ前記焦点面にまで延在する絞りを含む、照明ユニットが提供される。該照明ユニットにおいて、
前記絞りは、実質的にフラットな非透光性絞り領域と、前記焦点面の範囲内の前記絞りエッジに透光性材料からなる幾何学的構造体を備えた透光性絞り領域を有すること、
前記幾何学的構造体は実質的に三角形状横断面を有する少なくとも1つのプリズム体を含み、該少なくとも1つのプリズム体は長手延設されて(長く延伸するよう配設されて)おり、該長手延設は光軸に対し実質的に横方向に延伸しており(配向されており)、該少なくとも1つのプリズム体は第1、第2及び第3プリズム面を有すること、
前記第1プリズム面は前記フラットな非透光性絞り領域と実質的に面一をなしており、前記第2プリズム面は前記非透光性絞り領域側に指向されておりかつ該第1プリズム面と内角α1≧θをなしており、及び、前記第3プリズム面は前記非透光性絞り領域の反対側に指向されておりかつ該第1プリズム面と内角α2≧θをなしていること、ここで、θは前記透光性材料の全反射の臨界角であること、及び、前記内角α1と前記内角α2は同じであるか又は異なること、但し、該内角α1ないし該内角α2は45°ではないこと
を特徴とする(形態1)。
本発明の第2の視点により、本発明に応じた照明ユニットを少なくとも1つ備える自動車投光装置が提供される(形態15)。
本発明の第3の視点により、本発明に応じた照明ユニットを少なくとも1つ及び/又は本発明に応じた自動車投光装置を少なくとも1つ含む自動車が提供される(形態16)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
ここに、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上掲本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の照明ユニットにおいて、前記幾何学的構造体は光放射方向において前後に配置された少なくとも2つのプリズム体を含み、これらのプリズム体の第1プリズム面は長手方向において互いに境を接しておりかつ互いに対し面一をなしていることが好ましい。
(形態3)形態2の照明ユニットにおいて、前記幾何学的構造体は光放射方向において前後に配置された丁度2つのプリズム体から構成されており、これらのプリズム体の第1プリズム面は長手方向において互いに境を接しておりかつ互いに対し面一をなしていることが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかの照明ユニットにおいて、前記少なくとも1つのプリズム体は長手方向において互いに繋がる2つの領域を有し、これらの領域は高さが互いにずらされており、かつ、前記光軸が貫通して延伸する移行領域を介して互いに結合されていることが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの照明ユニットにおいて、前記絞りは前記透光性材料で一体的に製造されており、前記非透光性絞り領域は蒸着被覆又は金属蒸着被覆されているか又はミラー化されていることが好ましい。
(形態6)形態1~4の何れかの照明ユニットにおいて、前記非透光性絞り領域は非透光性材料で製造されており、前記幾何学的構造体を含む透光性絞り領域は透光性材料からなるインサート部材(Einlegeteil)であるか、又は、前記絞りは透光性プラスチック材料と非透光性プラスチック材料を用いる多成分射出成形法によって製造されていることが好ましい。
(形態7)形態1~6の何れかに記載の照明ユニットにおいて、前記透光性材料はプラスチック又はガラスであることが好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかの照明ユニットにおいて、前記第2及び/又は第3プリズム面は実質的に平面であることが好ましい。
(形態9)形態1~7の何れかの照明ユニットにおいて、前記第2及び/又は第3プリズム面は湾曲していることが好ましい。
(形態10)形態9の照明ユニットにおいて、第3プリズム面は内部側へ湾曲していることが好ましい。
(形態11)形態1~8の何れかの照明ユニットにおいて、前記少なくとも1つの減光ライトモジュールと前記少なくとも1つの遠方ライトモジュールは夫々少なくとも1つの光源を含むこと、
各光源には光放射方向においてコリメータが配されており、該コリメータは光源によって生成された光ビームの放射角を縮小するよう構成されていることが好ましい。
(形態12)形態1~11の何れかの照明ユニットにおいて、
前記絞りは少なくとも1つの光ウインドウを有すること、
前記減光ライト及び/又は遠方ライトモジュールの少なくとも1つの光路は前記少なくとも1つの光ウインドウを介しかつ前記結像光学系を介して外部へと推移することが好ましい。
(形態13)形態12の照明ユニットにおいて、前記少なくとも1つの光ウインドウを介する少なくとも1つの光路は、前記減光ライトモジュールからのみ該少なくとも1つの光ウインドウを介しかつ前記結像光学系を介して外部へと推移することが好ましい。
(形態14)形態12又は13の照明ユニットにおいて、
前記少なくとも1つの光ウインドウは前記絞りの前記非透光性絞り領域に配されておりかつ該非透光性絞り領域によって画成されていること、
前記光ウインドウは前記絞りの前記非透光性絞り領域の貫通穴として構成されているか又は透光性材料からなることが好ましい。
(形態15)上掲本発明の第2の視点参照。
(形態16)上掲本発明の第3の視点参照。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本発明の更なる対象は、本発明に応じた照明ユニットを少なくとも1つ備える自動車投光装置である。自動車投光装置は前照灯である。本発明に応じた自動車投光装置はそれ自体既知の投光装置構成原理に基づいて構成されており、拡散ディスクないしカバーディスクによって覆われている光出射開口を有するハウジングを含む。現代の自動車投光装置は単独で又は共同で個別ライト機能を担うことが可能な複数のライトモジュールを有することがよくある。これらのライトモジュールはしばしば投光装置ハウジング内において互いの直ぐ近くに配置される。本発明に応じた自動車投光装置は、従って、減光ライトモジュールと遠方ライトモジュールを有する本発明に応じた照明ユニットに加えて、更なる照明ユニット、例えば昼間走行灯(用照明)ユニット、点滅灯(用照明)ユニット等を含むことができる。これに応じて、減光ライト用光分布ないし遠方ライト用光分布に加えて、昼間走行灯、点滅灯等の光分布のような、更なるライトモジュールによる更なる光分布もまた生成可能である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
図示の例では、非透光性絞り領域107は金属で製造されており、幾何学的構造体109を含む透光性絞り領域108は透光性材料からなるインサート部材(Einlegeteil)である。尤も、絞り105を透光性材料で一体的に(一部材として)製造することも可能であり、(この場合)非透光性絞り領域107はそれ自体既知の方法に応じて蒸着被覆、例えばアルミニウムのような金属で蒸着被覆(金属化)されており、他方、透光性絞り領域108はそのままにされている、従って蒸着被覆されていない。図示の例では、透光性材料はプラスチックである。プラスチックの代わりに、ガラスも透光性材料として選択可能である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
ここに本発明の可能な態様を付記する。
[付記1]自動車の照明装置のための、とりわけ自動車投光装置のための、照明ユニット。
該照明ユニットは、
減光ライト用光分布を実質的に自動車の前方に結像される水平な明暗境界部の下側に大部分生成するための少なくとも1つの減光ライトモジュール、
遠方ライト用光分布を前記明暗境界部の上側に大部分生成するための少なくとも1つの遠方ライトモジュール、
光軸及び該光軸に対し実質的に直角に配向された焦点面を備えると共に、前記減光ライトモジュール及び前記遠方ライトモジュールの全体光分布を生成するための光放射方向において該減光ライトモジュール及び該遠方ライトモジュールに後置された結像光学系、及び、
絞りエッジを有し、かつ、該照明ユニットによって生成される光像中に前記水平な明暗境界部を生成するために前記結像光学系のほぼ前記焦点面にまで延在する絞り
を含む。
前記絞りは、実質的にフラットな非透光性絞り領域と、前記焦点面の範囲内の前記絞りエッジに透光性材料からなる幾何学的構造体を備えた透光性絞り領域を有する。
前記幾何学的構造体は実質的に三角形状横断面を有する少なくとも1つのプリズム体を含む。該少なくとも1つのプリズム体は長手延設されている。該長手延設は光軸に対し実質的に横方向に延伸している。該少なくとも1つのプリズム体は第1、第2及び第3プリズム面を有する。
前記第1プリズム面は前記フラットな非透光性絞り領域と実質的に面一をなしている。前記第2プリズム面は前記非透光性絞り領域側に指向されておりかつ該第1プリズム面と内角α1≧θをなしており、及び、前記第3プリズム面は前記非透光性絞り領域の反対側に指向されておりかつ該第1プリズム面と内角α2≧θをなしている。ここで、θは前記透光性材料の全反射の臨界角であり、及び、前記内角α1と前記内角α2は同じであるか又は異なる。但し、該内角α1ないし該内角α2は45°ではない。
[付記2]上記の照明ユニットにおいて、前記幾何学的構造体は光放射方向において前後に配置された少なくとも2つのプリズム体を含む。これらのプリズム体の第1プリズム面は長手方向において互いに境を接しておりかつ互いに対し面一をなしている。
[付記3]上記の照明ユニットにおいて、前記幾何学的構造体は光放射方向において前後に配置された丁度2つのプリズム体から構成されている。これらのプリズム体の第1プリズム面は長手方向において互いに境を接しておりかつ互いに対し面一をなしている。
[付記4]上記の照明ユニットにおいて、前記少なくとも1つのプリズム体は長手方向において互いに繋がる2つの領域を有する。これらの領域は高さが互いにずらされており、かつ、前記光軸が貫通して延伸する、好ましくは斜設された、移行領域を介して互いに結合されている。
[付記5]上記の照明ユニットにおいて、前記絞りは前記透光性材料で一体的に製造されている。前記非透光性絞り領域は蒸着被覆、とりわけ金属蒸着被覆、されているか又はミラー化されている。
[付記6]上記の照明ユニットにおいて、前記非透光性絞り領域は非透光性材料で製造されている。前記幾何学的構造体を含む透光性絞り領域は透光性材料からなるインサート部材(Einlegeteil)であるか、又は、前記絞りは透光性プラスチック材料と非透光性プラスチック材料を用いる多成分射出成形法によって製造されている。
[付記7]上記の照明ユニットにおいて、前記透光性材料はプラスチック又はガラスである。
[付記8]上記の照明ユニットにおいて、前記第2及び/又は第3プリズム面は実質的に平面である。
[付記9]上記の照明ユニットにおいて、前記第2及び/又は第3プリズム面は湾曲している。好ましくは第3プリズム面は内部側へ湾曲している。
[付記10]上記の照明ユニットにおいて、前記少なくとも1つの減光ライトモジュールと前記少なくとも1つの遠方ライトモジュールは夫々少なくとも1つの光源を含む。
各光源には光放射方向においてコリメータが配されており、該コリメータは光源によって生成された光ビームの放射角を縮小するよう構成されている。
[付記11]上記の照明ユニットにおいて、前記絞りは少なくとも1つの光ウインドウを有する。前記減光ライト及び/又は遠方ライトモジュールの少なくとも1つの光路は前記少なくとも1つの光ウインドウを介しかつ前記結像光学系を介して外部へと推移する。
[付記12]上記の照明ユニットにおいて、前記少なくとも1つの光ウインドウを介する少なくとも1つの光路は、前記減光ライトモジュールからのみ該少なくとも1つの光ウインドウを介しかつ前記結像光学系を介して外部へと推移する。
[付記13]上記の照明ユニットにおいて、前記少なくとも1つの光ウインドウは前記絞りの前記非透光性絞り領域に配されておりかつ該非透光性絞り領域によって画成されている。
前記光ウインドウは前記絞りの前記非透光性絞り領域の貫通穴として構成されているか又は透光性材料からなる。
[付記14]本発明に応じた照明ユニットを少なくとも1つ備える自動車投光装置。
[付記15]本発明に応じた照明ユニットを少なくとも1つ及び/又は本発明に応じた自動車投光装置を少なくとも1つ含む自動車。
【国際調査報告】