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特表2022-512939米ぬか抽出物組成物、その製造方法および使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】米ぬか抽出物組成物、その製造方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20220131BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20220131BHJP
   A23L 17/40 20160101ALI20220131BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20220131BHJP
   A23L 27/00 20160101ALN20220131BHJP
   A23L 27/10 20160101ALN20220131BHJP
【FI】
A23L5/00 Z
A23L13/00 A
A23L17/40 A
A23L17/00 A
A23L27/00 101Z
A23L27/10 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524330
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(85)【翻訳文提出日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 US2019059509
(87)【国際公開番号】W WO2020092986
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】62/754,035
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/811,905
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/672,102
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521190288
【氏名又は名称】フロリダ フード プロダクツ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ソーマ, パヴァン クマール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンアルスティーン, ピーター
【テーマコード(参考)】
4B035
4B042
4B047
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LC03
4B035LE01
4B035LG01
4B035LG34
4B035LP21
4B042AC03
4B042AC05
4B042AD01
4B042AD03
4B042AD39
4B042AG02
4B042AG03
4B042AG04
4B042AG07
4B042AG10
4B042AG72
4B042AK01
4B042AK02
4B042AK12
4B042AP07
4B047LB01
4B047LB03
4B047LB09
4B047LE06
4B047LF04
4B047LG01
4B047LG41
4B047LP01
4B047LP02
4B047LP20
(57)【要約】
本開示の態様は、米ぬか抽出物を含む組成物、米ぬか抽出物の製造方法およびその使用方法に関する。上記製造方法は、米ぬかを水および酸とともにインキュベートして、室温で0.5~4の範囲のpHを有する混合物を形成するステップと;可溶性部分と懸濁固形物とを含む混合物から懸濁固形物を分離するステップと;可溶性部分をイオン交換樹脂に接触させるステップと;可溶性部分の前記pHをpH4~11に調整するステップと;米ぬか抽出物を蒸発させるステップと;米ぬか抽出物を乾燥させるステップとを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食肉製品または魚介類製品を処理するための組成物であって、前記組成物が、約3%~約9%(w/w)の総リン含有量を有する米ぬか抽出物を含み、前記米ぬか抽出物による前記食肉製品または魚介類製品の処理により、前記食肉または魚介類製品の保水性が向上する、組成物。
【請求項2】
前記米ぬか抽出物が、約5%~約7%(w/w)の総リン含有量を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記米ぬか抽出物が、約0.003%~約0.08%の総カルシウム含有量を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記米ぬか抽出物が、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、約3%~約10%(w/w)の食物繊維のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記米ぬか抽出物が、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、および約3%~約10%(w/w)の食物繊維をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記米ぬか抽出物が、約0.2%(w/w)未満の脂肪を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記米ぬか抽出物が、約15%~約22%(w/w)の総ナトリウム含有量を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記米ぬか抽出物が、約1%~約12重量%の水分を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記米ぬか抽出物が、120~150kcalを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記米ぬか抽出物で処理した前記食肉製品または魚介類製品の調理後の重量収率が、未処理の調理済み食肉製品または魚介類製品を含む対照よりも少なくとも5%高い、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(a)約3%~約9%(w/w)の総リン含有量を有する米ぬか抽出物と、(b)亜硝酸塩源とを含む天然の塩漬剤を含む、組成物。
【請求項12】
前記米ぬか抽出物が、約5%~約7%(w/w)の総リン含有量を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記米ぬか抽出物が、約0.003%~約0.08%の総カルシウム含有量を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記亜硝酸塩源が、硝酸塩または亜硝酸塩を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記米ぬか抽出物が、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、約3%~約10%(w/w)の食物繊維のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記米ぬか抽出物が、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、および約3%~約10%(w/w)の食物繊維をさらに含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記米ぬか抽出物が、約0.2%(w/w)未満の脂肪を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記米ぬか抽出物が、約15%~約22%(w/w)の総ナトリウム含有量を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記米ぬか抽出物が、約1%~約12重量%の水分を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記米ぬか抽出物が、120~150kcalを有する、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
約45%(w/w)~約70%(w/w)の米ぬか抽出物、約10%(w/w)~約30%(w/w)の亜硝酸塩源、および約1%(w/w)~約40%(w/w)の海塩を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
50%(w/w)の米ぬか抽出物、27.8%の亜硝酸塩源、および20.8%の海塩を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、液体である、請求項1、請求項2、請求項3、請求項11、請求項12、または請求項13に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、固形物である、請求項1、請求項2、請求項3、請求項11、請求項12、または請求項13に記載の組成物。
【請求項25】
食肉製品または魚介類製品を処理する方法であって、前記方法が、前記食肉製品または魚介類製品を、約3%~約9%(w/w)の総リン含有量の米ぬか抽出物を含む組成物に接触させるステップを含み、前記米ぬか抽出物による前記食肉製品または魚介類製品の処理により、前記食肉または魚介類製品の保水性が向上する方法。
【請求項26】
前記米ぬか抽出物が、約5%~約7%(w/w)の総リン含有量を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記米ぬか抽出物が、約0.003%~約0.08%の総カルシウム含有量を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記米ぬか抽出物で処理した前記食肉製品または魚介類製品の調理後の重量収率が、未処理の調理済み食肉製品または魚介類製品を含む対照よりも少なくとも5%高い、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、前記米ぬか抽出物と、亜硝酸塩源を含む天然の塩漬剤とを含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記亜硝酸塩源が、硝酸塩または亜硝酸塩を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記食肉製品が、鶏肉、羊肉、牛肉、豚肉、それらの組合せを含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記食肉製品に、約0.5%~約2重量%の前記米ぬか抽出物を接触させるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記魚介類製品に、約5重量%の前記米ぬか抽出物を含む溶液を接触させるステップを含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記食肉製品または魚介類製品に、(a)前記米ぬか抽出物、および(b)合成酸化防止剤、天然酸化防止剤、合成塩漬剤、pH緩衝剤、天然塩漬剤、抗菌剤またはそれらの組合せを接触させるステップを含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記米ぬか抽出物が、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、約3%~約10%(w/w)の食物繊維のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記米ぬか抽出物が、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、および約3%~約10%(w/w)の食物繊維をさらに含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記米ぬか抽出物が、約0.2%(w/w)未満の脂肪を含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記米ぬか抽出物が、約15%~約22%(w/w)の総ナトリウム含有量を含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記米ぬか抽出物が、約1%~約12重量%の水分を含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記米ぬか抽出物が、120~150kcalを有する、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記組成物が、約45%(w/w)~約70%(w/w)の米ぬか抽出物、約10%(w/w)~約30%(w/w)の亜硝酸塩源、および約1%(w/w)~約40%(w/w)の海塩を含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記組成物が、50%(w/w)の米ぬか抽出物、27.8%の亜硝酸塩源、および20.8%の海塩を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
米ぬかを水および酸とともにインキュベートして、室温で0.5~4の範囲のpHを有する混合物を形成するステップと;
可溶性部分と懸濁固形物とを含む前記混合物から懸濁固形物を分離するステップと;
前記可溶性部分をイオン交換樹脂に接触させるステップと;
前記可溶性部分の前記pHをpH4~11に調整するステップと;
前記米ぬか抽出物を蒸発させるステップと;
米ぬか抽出物を乾燥させるステップと
を含むプロセス。
【請求項44】
前記インキュベートするステップにおいて、前記混合物のpHが1~2.5の範囲である、請求項43に記載のプロセス。
【請求項45】
前記インキュベートするステップが、約10分~約2時間である、請求項43に記載のプロセス。
【請求項46】
前記pHを調整する前記ステップにおいて、前記pHが約7~約9のpHに調整される、請求項43に記載のプロセス。
【請求項47】
前記インキュベートするステップが、塩酸を前記混合物に添加することを含む、請求項43に記載のプロセス。
【請求項48】
前記分離するステップが、遠心分離、精密濾過またはそれらの組合せによる、請求項43に記載のプロセス。
【請求項49】
前記接触させるステップで前記イオン交換樹脂がカチオン交換樹脂である、請求項43に記載のプロセス。
【請求項50】
前記pHを調整する前記ステップが、水酸化ナトリウムを添加することを含む、請求項43に記載のプロセス。
【請求項51】
前記米ぬか抽出物を蒸発させる前記ステップが、低温蒸発器を使用して蒸発させることを含む、請求項43に記載のプロセス。
【請求項52】
前記乾燥させるステップが、連続真空ベルト乾燥機を使用して乾燥させることを含む、請求項43に記載のプロセス。
【請求項53】
前記米ぬかが新鮮な米ぬかである、請求項43に記載のプロセス。
【請求項54】
前記方法により、前記米ぬかの約5%~約25%(w/w)の炭水化物、約8%~約14%(w/w)のタンパク質、約15%~約30%の油脂が除去される、請求項43に記載のプロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、以下の2018年11月1日出願の米国仮出願第62/754,035号、および2019年2月28日出願の米国仮出願第62/811,905号、および2019年11月1日出願の米国出願第16/672,102号の利益を主張し、これらの各々の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、米ぬか抽出物を含む組成物、米ぬか抽出物の製造方法およびその使用方法に関する。特に、本開示は、食肉、鶏肉および魚介類製品に使用するための組成物および方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
消費者に届く前に、すべての天然の食肉および魚介類製品は、何らかの方法で貯蔵または加工される。水とタンパク質は、食肉および魚介類の大部分を構成する。貯蔵、加工、または調理を行うと、水分が減少し、重量が減少し、構造上の完全性が失われる。食肉製品の特性を回復させるために使用することができる天然物質が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本開示の一態様は、食肉製品または魚介類製品を処理するための組成物を提供する。この組成物には、約3%~約9%(w/w)の総リン含有量を有する米ぬか抽出物が含まれ、米ぬか抽出物で食肉製品または魚介類製品を処理すると食肉または魚介類製品の保水性が向上する。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約5%~約7%(w/w)の総リン含有量を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約0.003%~約0.08%の総カルシウム含有量を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、約3%~約10%(w/w)の食物繊維のうちの1つまたは複数をさらに含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、および約3%~約10%(w/w)の食物繊維をさらに含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約0.2%(w/w)未満の脂肪を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約15%~約22%(w/w)の総ナトリウム含有量を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約1%~約12重量%の水分を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は120~150kcalを有する。一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理した食肉製品または魚介類製品の調理後の重量収率は、未処理の調理済み食肉製品または魚介類製品を含む対照よりも少なくとも5%高い。
【0005】
本開示の別の態様は、(a)約3%~約9%(w/w)の総リン含有量を有する米ぬか抽出物、および(b)亜硝酸塩源を含む天然の塩漬剤を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約5%~約7%(w/w)の総リン含有量を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約0.003%~約0.08%の総カルシウム含有量を含む。一部の実施形態では、亜硝酸塩源は、硝酸塩または亜硝酸塩を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、約3%~約10%(w/w)の食物繊維のうちの1つまたは複数をさらに含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、および約3%~約10%(w/w)の食物繊維をさらに含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約0.2%(w/w)未満の脂肪を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約15%~約22%(w/w)の総ナトリウム含有量を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約1%~約12重量%の水分を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は120~150kcalを有する。一部の実施形態では、組成物には、約45%(w/w)~約70%(w/w)の米ぬか抽出物、約10%(w/w)~約30%(w/w)の亜硝酸塩源、および約1%(w/w)~約40%(w/w)の海塩も含まれる。一部の実施形態では、組成物には、50%(w/w)の米ぬか抽出物、27.8%の亜硝酸塩源、および20.8%の海塩が含まれる。一部の実施形態では、組成物は液体である。一部の実施形態では、組成物は固形物である。
【0006】
食肉製品または魚介類製品を処理するための別の態様では方法が提供され、その方法は、食肉製品または魚介類製品を、約3%~約9%(w/w)の総リン含有量の米ぬか抽出物を含む組成物に接触させるステップを含み、米ぬか抽出物による食肉製品または魚介類製品の処理により、食肉または魚介類製品の保水性が向上する。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約5%~約7%(w/w)の総リン含有量を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約0.003%~約0.08%の総カルシウム含有量を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理した食肉製品または魚介類製品の調理後の重量収率は、未処理の調理済み食肉製品または魚介類製品を含む対照よりも少なくとも5%高い。一部の実施形態では、組成物は、米ぬか抽出物と、亜硝酸塩源を含む天然の塩漬剤とを含む。一部の実施形態では、亜硝酸塩源は、硝酸塩または亜硝酸塩を含む。一部の実施形態では、食肉製品は、鶏肉、羊肉、牛肉、豚肉、それらの組合せを含む。一部の実施形態では、方法は、食肉製品に約0.5%~約2重量%の米ぬか抽出物を接触させることを含む。一部の実施形態では、方法は、魚介類製品に約5重量%の米ぬか抽出物を含む溶液を接触させることを含む。方法は、食肉製品または魚介類製品に、(a)米ぬか抽出物、および(b)合成酸化防止剤、天然酸化防止剤、合成塩漬剤、pH緩衝剤、天然塩漬剤、抗菌剤またはそれらの組合せを接触させることを含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、約3%~約10%(w/w)の食物繊維のうちの1つまたは複数をさらに含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約45%~約55%の灰分、約25%~約45%(w/w)の炭水化物、約4%~約12%(w/w)のタンパク質、および約3%~約10%(w/w)の食物繊維をさらに含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約0.2%(w/w)未満の脂肪を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約15%~約22%(w/w)の総ナトリウム含有量を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約1%~約12重量%の水分を含む。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は120~150kcalを有する。一部の実施形態では、組成物は、約45%(w/w)~約70%(w/w)の米ぬか抽出物、約10%(w/w)~約30%(w/w)の亜硝酸塩源、および約1%(w/w)~約40%(w/w)の海塩を含む。一部の実施形態では、組成物は、50%(w/w)の米ぬか抽出物、27.8%の亜硝酸塩源、および20.8%の海塩を含む。
【0007】
別の態様は、米ぬかを水および酸とともにインキュベートして、室温で0.5~4の範囲のpHを有する混合物を形成するステップと;可溶性部分と懸濁固形物とを含む混合物から懸濁固形物を分離するステップと;可溶性部分をイオン交換樹脂に接触させるステップと;可溶性部分の前記pHをpH4~11に調整するステップと;米ぬか抽出物を蒸発させるステップと;米ぬか抽出物を乾燥させるステップとを含む方法を提供する。一部の実施形態では、インキュベートするステップにおいて、混合物のpHは1~2.5の範囲である。一部の実施形態では、インキュベートするステップは、約10分~約2時間である。一部の実施形態では、pHを調整するステップにおいて、pHは約7~約9のpHに調整される。一部の実施形態では、インキュベートするステップは、塩酸(hydrochloride acid)を混合物に添加することを含む。一部の実施形態では、分離するステップは、遠心分離、精密濾過またはそれらの組合せによる。一部の実施形態では、接触させるステップで、イオン交換樹脂はカチオン交換樹脂である。一部の実施形態では、pHを調整するステップは、水酸化ナトリウムを添加することを含む。一部の実施形態では米ぬか抽出物を蒸発させるステップは、低温蒸発器を使用して蒸発させることを含む。一部の実施形態では、乾燥させるステップは、連続真空ベルト乾燥機を使用して乾燥させることを含む。一部の実施形態では、米ぬかは新鮮な米ぬかである。一部の実施形態では、本方法により、米ぬかの約5%~約25%(w/w)の炭水化物、約8%~約14%(w/w)のタンパク質、約15%~約30%の油脂が除去される。
【0008】
本開示は、以下の発明を実施するための形態において、例示的な実施形態の限定されない例として、注記された複数の図面を参照してさらに説明される。図面中、図面のいくつかの図を通して、同様の参照番号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、米ぬか抽出物を調製する方法を示す概略的なプロセスフローチャートを示す。
【0010】
図2図2は、本発明の一部の実施形態による米ぬか抽出物を使用した場合と使用しない場合のエビの収率を示すグラフである。
【0011】
図3図3は、本発明の一部の実施形態によるホットドッグのパージへの米ぬか抽出物の効果を示すグラフである。
【0012】
図4図4は、本発明の一部の実施形態によるホットドッグのテクスチャーへの米ぬか抽出物の効果を示すグラフである。
【0013】
図5図5は、米ぬか抽出物を注入した鶏胸肉のパーセント収率のグラフを示す。
【0014】
図6図6は、STPPまたは米ぬか抽出物を注入した鶏胸肉の平均の調理後の重量収率を示すグラフである。
【0015】
図7図7は、鶏胸肉の平均パージ率を示すグラフである。
【0016】
図8図8は、エビの平均調理収率を示すグラフである。
【0017】
図9図9は、ポークソーセージパティの平均の調理後の重量収率を示すグラフである。
【0018】
図10図10は、冷蔵されたポークソーセージパティの過酸化物価を示すグラフである。
【0019】
図11図11は、七面鳥肉ソーセージパティの平均の調理後の重量収率を示すグラフである。
【0020】
図12図12は、ビーフソーセージパティの平均の調理後の重量収率を示すグラフである。
【0021】
図13図13は、ハムの平均の調理後の重量収率を示すグラフである。
【0022】
図14図14は、ハム中の米ぬか抽出物の用量反応を示すグラフである。
【0023】
図15図15は、ハムの平均スライス収率を示すグラフである。
【0024】
図16図16は、ハムの平均硬度を示すグラフである。
【0025】
図17図17は、ハムの内部L値を示すグラフである。
【0026】
図18図18は、ハムの内部a値を示すグラフである。
【0027】
図19図19は、ハムの内部b値を示すグラフである。
【0028】
図20図20は、スモークソーセージの平均の調理後の重量収率を示すグラフである。
【0029】
図21図21は、スモークソーセージ中の米ぬか抽出物の用量反応を示すグラフである。
【0030】
図22図22は、スモークソーセージの平均硬度を示すグラフである。
【0031】
図23図23は、スモークソーセージの内部L値を示すグラフである。
【0032】
図24図24は、スモークソーセージの内部a値を示すグラフである。
【0033】
図25図25は、スモークソーセージの内部b値を示すグラフである。
【0034】
図26図26は、七面鳥肉の平均の調理後の重量収率を示すグラフである。
【0035】
図27図27は、七面鳥肉中の米ぬか抽出物の反応を示すグラフである。
【0036】
図28図28は、七面鳥肉の平均硬度を示すグラフである。
【0037】
図29図29は、七面鳥肉の内部L値を示すグラフである。
【0038】
図30図30は、七面鳥肉の内部a値を示すグラフである。
【0039】
図31図31は、七面鳥肉の内部b値を示すグラフである。
【0040】
図32図32は、ホットドッグの調理後の重量収率を示すグラフである。
【0041】
図33図33は、ホットドッグの硬度を示すグラフである。
【0042】
図34図34は、ホットドッグの内部L値を示すグラフである。
【0043】
図35図35は、ホットドッグの内部a値を示すグラフである。
【0044】
図36図36は、ホットドッグの内部b値を示すグラフである。
【0045】
上記で特定された図面は現在開示されている実施形態を示しているが、考察で述べられているように、他の実施形態も企図される。本開示は、限定ではなく表現として例示的な実施形態を提示する。多数のその他の修正形態および実施形態は、現在開示されている実施形態の原理の範囲および精神の範囲内にある当業者によって考案されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
詳細な説明
本開示は、一般に、添加された食品の保湿性を高める食品添加物に関する。一部の実施形態では、本開示は、組成物、米ぬか抽出物を製造する方法および使用する方法、ならびに米ぬか抽出物を含む組成物に関する。
米ぬか抽出物を製造するためのプロセス
【0047】
本開示の一部の態様では、米ぬかから米ぬか抽出物を生成するプロセスが提供される。
【0048】
米ぬか抽出物は、あらゆる種類の米からあらゆる精米操作で得られる精米したての米ぬかから製造することができる。原料は、新しく生成された米ぬかに限らない。例えば、劣化を最小限に抑える適切な保管条件下の米ぬかを、このプロセスの原料として使用することができる。安定化された米ぬか、つまり米ぬかの酸敗を減らすために化学的処理または熱処理された米ぬかを、一部の実施形態で使用することができる。一部の実施形態では、脱脂および/または脱油された米ぬかを使用することができる。一部の実施形態では、米ぬかと籾殻の組合せを使用することができる。
【0049】
図1で説明したように、ある量の米ぬかをバッチタンクに加え、0.2~4の範囲のpHを達成する水と酸(102)に、米ぬかの成分が可溶化されるのに十分な時間をかけて懸濁する。一部の実施形態では、米ぬかは約1000ガロンの脱イオン水に懸濁される。一部の実施形態では、100~3000ポンドの米ぬかがバッチタンクに加えられる。一部の実施形態では、500~2500ポンドの米ぬかがバッチタンクに加えられる。一部の実施形態では、約100~2000ポンド、約100~1500ポンド、約100~1000ポンド、約100~500ポンドまたは500~3000ポンド、1000~3000ポンド、1500~2000ポンド、または2500~3000ポンドの米ぬかがバッチタンクに加えられる。一部の実施形態では、pHは、1~2、約0.2~4、約0.2~3.5、約0.2~3、約0.2~2.5、約0.2~2、約0.2~1.5、約0.2~1、約0.5~4、約1.0~4、約1.5~4、約2.0~4、約2.5~4、約3.0~4、または約3.5~4、1.5~2、1~2.5、0.4~2.5、1.5~2.5、2~2.5、1.5~3、1~3、0.4~3、1.5~3、2~3、2.5~3、0.4~3.5、1~3.5、1.5~3.5、2~3.5、2.5~3.5、3~3.5、1~4、1.5~4、2~4、2.5~4、3~4、または3.5~4の範囲であり得る。一部の実施形態では、pHは1~2の範囲である。一部の実施形態では、pHは、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、または約4である。一部の実施形態では、混合物は、4~100℃の範囲の温度で処理することができる。一部の実施形態では、混合物の温度は、20~65℃である。一部の実施形態では、混合物の温度は周囲温度である。一部の実施形態では、混合物の温度は、約35℃、40℃、45℃、60℃、65℃である。一部の実施形態では、混合物の温度は、35~40℃、35~45℃、35~50℃、35~55℃、35~60℃、35~65℃、40~45℃、40~50℃、40~55℃、40~60℃、40~65℃、45~50℃、45~55℃、45~60℃、45~65℃、50~55℃、50~60℃、50~65℃、55~60℃、55~65℃、60~65℃である。一部の実施形態では、混合物は撹拌される。一部の実施形態では、米ぬかは、1分~24時間、1分~1時間、10分~1時間、10分~2時間、1時間~2時間、2~3時間、3~4時間、4~5時間、5~6時間、6~7時間、7~8時間、8~10時間、10~11時間、11~12時間、12~13時間、13~14時間、14~15時間、15~16時間、16~17時間、17~18時間、18~19時間、19~20時間、20~21時間、21~22時間、22~23時間、または23~24時間処理することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、1~2時間、例えば、1時間、1.5時間、または2時間処理することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約1~2時間処理することができる。
【0050】
酸は、懸濁液のpHを必要なレベルまで低下させるのに十分な強さで、米ぬか成分のバッチ抽出に適している、いずれの鉱酸または有機酸であってもよい。使用することができる酸の例は、塩酸、酢酸、硝酸などであるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、酸は、懸濁液のpHを1~2の範囲のpHに低下させるのに十分強い。
【0051】
再び図1を参照すると、懸濁液の可溶性成分は、次にシェーカースクリーン(104)に適用される。シェーカースクリーンにより、大きい粒状物質を小さい粒状物質および溶解物質から大まかに分離することができる。当業者に公知のように、シェーカースクリーン分離の持続時間は、粗抽出物の状態に応じて変更することができる。一部の実施形態では、懸濁液の成分は、当技術分野で公知の1またはそれを超えるプロセスによって米ぬかの不溶性成分からさらに分離することができる。一部の実施形態では、不溶性成分は、バッグ濾過、シェーカースクリーン濾過、重力デカンテーション、遠心分離、または膜濾過によって除去することができる。例えば、一部の実施形態では、溶液中の成分は、遠心分離(106)および精密濾過(108)(例えば、2μmフィルターを使用)によって不溶性成分からさらに分離される。一部の実施形態では、除去される不溶性成分には、炭水化物、タンパク質、油脂および任意のその他の不溶性成分が含まれ得る。一部の実施形態では、約5~25%の炭水化物、約8~14%のタンパク質、約15~30%の油脂およびそれらの組合せは、本明細書に記載されるプロセス中に除去することができる。懸濁液の可溶性部分には、米ぬかによく見られるタンパク質、脂肪、炭水化物、有機および無機化合物が含まれている。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、水分1~12%、タンパク質4~12%、油脂<0.2%、食物繊維3~10%、灰分40~55%、炭水化物25~55%、総リン含有量4~7%、およびカルシウム0.03~0.01%の最終組成を有することができる。
【0052】
次に、不溶性粒子および/または懸濁固形物を完全に除去または実質的に完全に除去した米ぬか抽出物をイオン交換樹脂で処理して、液体抽出物中に存在する二価および三価のイオンを除去し、中性pHでの抽出物の溶解性および機能性を高めることができる(110)。一部の実施形態では、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%の二価および三価のイオンが米ぬか抽出物から除去される。イオン交換は、溶液中に存在する過剰なイオンを除去するために当技術分野で公知のあらゆる樹脂、または精製目的で使用されている樹脂であり得る。金属イオンを分離する当技術分野で公知の代替技術、例えば、限定されるものではないが、電気透析、限外濾過およびナノ濾過などの膜濾過システムなどを使用して米ぬか抽出物を加工することができる。
【0053】
イオン交換樹脂処理後の米ぬか抽出物は、中性に、または目的の用途に適した任意のpHにpH調整することができる(112)。米ぬか抽出物の特定のpH範囲は、最終用途のpHに依存する可能性があり、米ぬか抽出物の添加に起因するpHの大幅な変化が最終用途で観察されないように配合することができる。任意の一般的に知られている有機または無機塩基を使用してpHを調製することができ、それには、限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、および当技術分野で公知の同様の緩衝液緩衝液が含まれる。一部の実施形態では、pHは、pH4からpH11の範囲に調整することができ得る。4~7の範囲のpHが、食品成分には非常に一般的である。pH11までのpHは、食肉成分に一般的である。一部の実施形態では、pHは、約4~10.5、約4~10、約4~9.5、約4~9.0、約4~8.5、約4~8.0、約4~7.5、約4~7.0、約4~6.5、約4~6.0、約4~5.5、約4~5.0、約4~4.5、約4.5~11、約5.0~11.0、約5.5~11、約6.0~11.0、約6.5~11、約7.0~11.0、約7.5~11、約8.0~11.0、約8.5~11、約9.0~11.0、約9.5~11、約10.0~11.0、または約10.5~11に調整される。一部の実施形態では、pHは約7~9に調整される。
【0054】
次に、pHを調整した米ぬか抽出物を真空蒸発させて余分な水を除去し、溶液中の固形物の濃度を増加させることができる(例えば、溶液中の固形物の重量%)(114)。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は次に低温殺菌される(116)。一部の実施形態では、蒸発の前に、米ぬか抽出物は、約0.5~12%の可溶性固形物を有することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物中の可溶性固形物の量は、約0.5~12%、約0.5~10%、約0.5~8%、約0.5~6%、約0.5~4%、約0.5~2%、約0.5~1%、約1~12%、約2~12%、約4~12%、約6~12%、約8~12%、または約10~12%である。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は約5%~9%の可溶性固形物を有する。一部の実施形態では、水溶液中の最終的な固形物レベルは、抽出物を乾燥させるために使用する加工装置ならびに材料の最終用途に応じて、5~80重量%の程度になり得る。一部の実施形態では、固形物レベルは、真空乾燥機で乾燥する場合(118)または最終用途で原液として直接使用する場合には40~75重量%になり得る。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約45~75%、約50~75%、約55~75%、約60~75%、約65~75%、約70~75%、約45~70%、約45~65%、または約45~60%、約45~55%または約45~50%まで蒸発させる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物を蒸発させて可溶性固形物を約55~60重量%にする。例えば、噴霧乾燥操作の場合には、40%またはそれよりも低い固体レベルを乾燥に使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されるプロセスを使用して製造された乾燥粉末の含水率は、10%未満(例えば、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%または約1%の含水率)である。
【0055】
一部の実施形態では、乾燥形態の米ぬか抽出物は、真空蒸発前の液体濃縮物または液体抽出物と同じ機能性および官能性を有することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、食肉/魚介類マトリックスに単独で、あるいは他の一般的に添加される成分と一緒に組み込むと、食肉、および魚介類製品の保水性を大幅に向上することができる。
【0056】
米ぬか抽出物を製造するための例示的なプロセスは、1000ガロンの脱イオン水を約2000ポンドの米ぬかに添加することを含む。一部の実施形態では、pHは、約50ガロンの20%塩酸を使用して、1.2~1.8(例えば、1.5)に調整される。混合物はバッチタンク内で周囲温度で1時間撹拌され得る。一部の実施形態では、懸濁固体は、シェーカースクリーンを使用して混合物から分離され、続いて遠心分離および精密濾過ステップが行われる。続いて、得られる米ぬか抽出物は、カチオン性樹脂を使用して加工され、二価および三価のカチオンが除去される。米ぬか抽出物のpHは、一部の実施形態では、50%水酸化ナトリウムを使用して、約pH6.8および10.2(例えば、8.5)に調整される。得られる米ぬか抽出物は、約4%~6%(例えば、5%)の可溶性固形物を含むことができるが、低温蒸発器を使用して真空下で蒸発させて、約48%~72%(例えば、60%)の可溶性固形物にすることができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物濃縮液は、連続真空ベルト乾燥機を使用して乾燥させる。一部の実施形態では、乾燥した米ぬか抽出物は、例えばハンマーミルを使用することによって微粒子に粉砕し、パッケージ化する。
米ぬか抽出物を含む組成物
【0057】
食肉、鶏肉および魚介類製品の保水性は、柔らかく、より好ましいテクスチャー特性につながるため、望ましいと考えられている。デンプン、タンパク質などの多様な結合剤が水分保持のために一般的に使用される。しかし、これらの成分は、最終製品のテクスチャー特性を低下させる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物または米ぬか抽出物を含む組成物は、最終製品のテクスチャー特性を向上させるとともに保水性を改善することができる。
【0058】
米ぬかは、米を粉砕して得られる栄養価の高い組成物である。米ぬかは、タンパク質、脂肪、炭水化物、およびビタミン、ミネラル、抗酸化物質およびフィトステロールなどの微量栄養素の豊富な供給源である。
【0059】
米ぬか抽出物は、すべて天然で脂肪が少ないという利点がある。
一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、5~6%の総リン含有量を含むことになる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、3~9%の総リン含有量を含むことになる。一部の実施形態では、総リン含有量は、約3~9%、約3~8%、約3~7%、約3~6%、約3~5%、約3~4%、約4~9%、約5~9%、約6~9%、約7~9%、または約8~9%となる。
一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、約0.03~0.1%のカルシウムを含むことになる。一部の実施形態では、カルシウムの割合は、約0.03%~0.09%、約0.03%~0.08%、約0.03%~0.07%、約0.03%~0.06%、約0.03%~0.05%、約0.03%~0.04%、約0.04~0.1%、約0.05~0.1%、約0.06~0.1%、約0.07~0.1%、約0.08~0.1%、または約0.039~0.1%となる。
例示的な一実施形態では、米ぬか抽出物は、表1のように特徴付けられる(単位はw/w):
【表1-1】
【表1-2】
【0060】
一部の実施形態では、米ぬか抽出物のリン酸塩含有量は、タンパク質を分離させ、それにより水をタンパク質分子間に移動させることにより、食肉の保水力を増加させることができる。一部の実施形態では、天然の風味を保持するために食肉および魚介類製品に使用することができる。
【0061】
一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、固形物の形態、例えば粉末である。他の実施形態では、米ぬか抽出物は液体の形態である。
【0062】
特定の実施形態は、米ぬか抽出物を含む組成物の食肉製品用の加工助剤としての使用に関する。「食肉製品」とは、ヒトまたは動物が消費またはその他の目的で使用する、動物に基づく食肉を意味する。食肉製品には、限定されるものではないが、豚肉、牛肉、羊肉、鶏肉、および魚介類が含まれる。部の実施形態では、組成物は、米ぬか抽出物を単独で、あるいは1またはそれを超える天然添加剤と組み合わせて含む。
【0063】
一部の実施形態によれば、本明細書に記載されるプロセスを使用して米ぬかから得られた米ぬか抽出物は、特有であり、現在当分野で公知の天然植物源由来の単一の成分では容易に模倣できない機能的特性(例えば、テクスチャーおよび感覚的特性)を食肉製品に供給する。機能的特性には、限定されるものではないが、新鮮な加工された食肉(例えば、豚肉、牛肉、羊肉、鶏肉、および魚介類製品)の保水性の向上が挙げられる。
【0064】
本発明の一部の態様によれば、米ぬか抽出物は、食肉、鶏肉および魚介類中のタンパク質を変化させて食肉製品の保水能力を高めることができる。食肉製品の保水性の向上は、現在、デンプン、セルロース系繊維、タンパク質ベースの成分など当業界で一般に使用されている多様な天然成分によって実現されている。これらの成分は、食肉のタンパク質では捕捉することができないさらなる水分を直接吸収することによって機能する。上記の成分は、より「どろどろしている」、「柔らかい」、「石鹸のような」として特徴付けられ、望ましくないテクスチャーおよび感覚的特徴として認識される製品のテクスチャーおよび感覚的特性を変化させる傾向がある。
【0065】
本発明の実施形態によれば、米ぬか抽出物組成物は、保管および調理中の保水性を向上させる。一部の実施形態では、本明細書に記載される米ぬか抽出物組成物は、食品のテクスチャーを向上させる。一部の実施形態では、本明細書に記載される米ぬか抽出物組成物は、食品の風味を向上させる。米ぬかの可溶性成分には、最終製品の風味を向上させる、米ぬかから自然に抽出された風味化合物が含まれる。
【0066】
一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、最終製品のテクスチャー特性を向上させるとともに保水性を改善する。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、望ましいテクスチャー特性として認識される、製品の堅さと噛み応えを増加させる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、食肉または魚介類製品の硬度および噛み応えを増加させ、肉のようなテクスチャーをもたらす。食肉または魚介類製品の硬度および噛み応えは、当技術分野で公知の方法を用いて測定することができる。一部の実施形態では、食肉製品のテクスチャーは、その硬度を測定することによって特徴付けられる。一部の実施形態では、食肉製品の硬度は、市販のテクスチャーアナライザーを用いて測定される。一部の実施形態では、食肉製品のテクスチャーは、対照食肉製品のテクスチャーと比較される。対照食肉製品は、食肉製品中のリン酸塩濃度を増加させる合成成分で処理されてよい。一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理した食肉製品は、対照食肉製品と比較して、硬度が40%未満、30%未満、20%未満または10%未満異なる。一部の実施形態では、対照食肉製品は、リン酸塩濃度を増加させる合成成分で処理されない。一部の実施形態では、対照食肉製品は処理されない。米ぬか抽出物で処理された食肉製品は、未処理の食肉製品と比較して硬度の増加を示す。
【0067】
米ぬか抽出物には風味成分が含まれているため、米ぬか抽出物は最終的な食肉および魚介類製品の風味を高めることができる。
【0068】
本開示の方法および組成物は、限定されるものではないが、鶏肉、ラム肉、牛肉および豚肉をはじめとする多様な食肉、ならびにエビをはじめとする魚介類を加工するために使用することができる。
【0069】
一部の実施形態では、乾燥抽出物の重量パーセントは、用途に必要な機能の程度に応じて、鶏肉および食肉に対して0.5%から1.5%の範囲である。例えば、典型的な使用法は食肉の用途で1%である。魚介類では、エビの場合は、5%溶液を解凍および浸漬に使用することができる。
【0070】
一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、テクスチャー、スライス効率、風味、保水性、パージの減少、最終的な食肉または魚介類製品の酸化の減少に起因する保存期間の延長に機能効果を提供する。米ぬか抽出物を0.5~1.5%で使用することにより、食肉加工品の保水性、パージの減少、およびスライス収率が大幅に改善される。米ぬか抽出物を1.0~1.5%で使用すると、食肉製品の酸化安定性が大幅に改善され、酸敗が減ることにより保存期間が延長される。
【0071】
一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、単独で、あるいは他の食肉処理剤、例えば、合成酸化防止剤、天然酸化防止剤、合成塩漬剤、天然塩漬剤、抗菌剤、pH緩衝剤(例えば、一般に公知の有機または無機塩基は、pHを調整するために使用することができ、それには、限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、および当技術分野で公知の同様の緩衝液が含まれる)、または前記の任意の組合せと組み合わせて使用することができる。
【0072】
一部の実施形態では、米ぬか抽出物組成物は、他の機能性食品または機能性非食品成分と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物には天然のリン系分子が存在するため、米ぬか抽出物組成物は、その酸化防止特性を利用することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、合成および天然酸化防止剤と組み合わせて使用することができる。産業界で一般的に使用される合成および天然酸化防止剤としては、限定されるものではないが、BHA、BHT、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物およびその他の植物ベースのポリフェノールが挙げられる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、当技術分野で公知の他の合成および天然酸化防止剤と組み合わせて使用した場合に、相乗的な酸化防止特性を有する。
【0073】
一部の実施形態では、組成物は、米ぬか抽出物および亜硝酸塩源を含むことができる。亜硝酸塩源は、粉末として提供されてよく、亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩を含むことがある。一部の実施形態では、組成物には、合成または天然の亜硝酸塩が含まれることがある。米ぬか抽出物は、天然の塩漬剤と組み合わせて使用されてよい。「天然の塩漬剤」という用語は、植物性材料物質を調製または変換するプロセスによる、硝酸塩を含む植物性材料に由来する植物ベースの亜硝酸塩を指す。そのような植物ベースの塩漬剤の1つはセロリの搾汁または粉末であるが、他の多くの植物材料を使用することができる。塩漬剤は、食肉を保存または塩漬するために使用することができる。例えば、天然の塩漬剤は、亜硝酸ナトリウム、海塩、およびそれらのブレンドであり得る。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、食肉の塩漬プロセスで合成および/または天然の塩漬剤と組み合わせて使用することができ、その結果、食肉製品およびペット用食品の塩漬後の色持ちがよくなる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、当技術分野で公知の他の合成または天然の塩漬剤と組み合わせて使用した場合に、相乗作用を有する。
【0074】
米ぬか抽出物と塩漬剤の組成は、米ぬか抽出物と亜硝酸塩を所定のレベルで供給するように調整することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物の濃度は、約45~70重量%の範囲であり得る。一部の実施形態では、亜硝酸塩源は、約10~40重量%の範囲であり得る。一部の実施形態では、亜硝酸塩源は、1~3%の亜硝酸塩(例えば亜硝酸ナトリウム)を含んでよい。上述のように、植物材料(数ある中でも、セロリ、スイスチャード、ホウレンソウ、およびビート)に由来する亜硝酸塩は、天然の塩漬剤であり、食肉用途で目標濃度の亜硝酸塩を供給するために米ぬか抽出物と組み合わせることができる。一部の実施形態では、組成物には、米ぬか抽出物、亜硝酸塩源、海塩、および二酸化ケイ素が含まれることがある。二酸化ケイ素は、この組成物中で固化防止剤として使用されている。USDA規制により認められた米ぬか抽出物および亜硝酸ナトリウムの目標レベルを供給するために、製品ごとに異なる組成物が使用されている。そのような組成物の限定されない具体例を下に示す(単位は組成物の重量パーセントである):
【表4】
【0075】
一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、食肉産業で使用される抗菌剤と組み合わせて使用し、食肉製品の保存期間を延ばすことができる。一般的に使用される合成および天然抗菌剤には、限定されるものではないが、ソルベート、プロピオン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、酢酸塩、二酢酸塩、バクテリオシンが含まれる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、当技術分野で公知の合成および天然抗菌剤と組み合わせて使用した場合に、相乗作用を有する。
【0076】
一部の態様では、米ぬか抽出物は飲料に使用することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、高タンパク質飲料に使用することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、飲料の高いタンパク質含有量を安定させる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、コーヒーフレッシュ、タンパク質飲料およびミールリプレイスメント飲料などの最終製品に使用することができる。一部の実施形態では、飲料用途の場合、米ぬか抽出物のpH範囲は、中性のpHに調整することができる。一部の実施形態では、飲料用途の場合、最終の固形物レベルは、10%または10%未満であり得る。
【0077】
一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、化粧品に使用することができる。例えば、米ぬか抽出物は、結合剤、吸収剤、研磨剤、毛髪または皮膚コンディショニング剤、界面活性剤、または充填剤として使用することができる。
【0078】
一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、食用油として使用することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、栄養補助食品または健康増進に使用される組成物の成分として使用される。例えば、一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、健康な血糖値をサポートするために使用される。理論に束縛されるものではないが、米ぬか抽出物または油は、2型糖尿病のリスク因子であるインスリン抵抗性を改善すると考えられる。
【0079】
米ぬか抽出物は、有効量の米ぬかが食品中に存在することになる任意の方法で、食品に送達または導入することができる。有効量とは、望ましい結果(例えば、保水性、風味の付加、タンパク質含有量の安定化など)を達成するために必要な量を指す。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、解凍液中に存在する。例えば、冷凍された食品(例えば、エビ)は、解凍液中で解凍される。一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、解凍液中に存在する。一部の実施形態では、解凍液は、0.25%、0.5%、0.75%、1%、または約1%~約2%、約2%~3%、約3%~4%、約4%~5%、さらには約10%までの米ぬか抽出物、または5%~10%の間の任意の整数の米ぬか抽出物を有する。一部の実施形態では、解凍液は、約0.5重量%~約10重量%の塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、解凍液は約2%の塩化ナトリウムを含む。
【0080】
一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、注入によって食肉製品に送達される。一部の実施形態では、注入により、米ぬか抽出物を含む塩水または漬け汁などの組成物が送達される。例えば、約1.0%の米ぬか抽出物を含む塩水を鶏胸肉に注入することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物の食肉製品への送達は受動的である。例えば、一部の実施形態では、食肉製品は、米ぬか抽出物を含む組成物中でマリネされる。米ぬか抽出物の送達に起因する増量(すなわち、食肉製品の重量の増加)は、約5%~25%の間である。例えば、塩水溶液を含む米ぬか抽出物の注入後の増量は、一部の実施形態では、約15%である。一部の実施形態では、塩水溶液は、約0.3%の最終濃度のトリポリリン酸ナトリウム(STPP)をさらに含む。他の実施形態では、STPPの最終濃度は、約0.1%~0.5%の間である。米ぬか抽出物を含む塩水溶液の注入に適した食肉製品としては、限定されるものではないが、鶏肉、ハム、スモークソーセージ、および塩漬した七面鳥肉の「ハム」が挙げられる。
【0081】
一部の実施形態では、漬け汁は、米ぬか抽出物に加えて、海塩、タービナド糖、セロリ搾汁粉末、アセロラ搾汁粉末、およびビネガー粉末を含む。漬け汁のpHは、5.0~11.0の間であり得る。一部の実施形態では、漬け汁のpHは、5.0~10.5、5.0~10、5.0~9.5、5.0~9.0、5.0~8.5、5.0~8.0、5.0~7.5、5.0~7.0、5.0~6.5、5.0~6.0、または5.0~5.5であり得る。一部の実施形態では、漬け汁のpHは、約5.5~11.0、約6.0~11.0、約6.5~11.0、約7~11.0、約7.5~11.0、約8~11.0、約8.5~11.0、約9~11.0、約9.5~11.0、約10~11.0、または約10.5~11.0であり得る。
【0082】
一部の実施形態では、塩水または漬け汁溶液は食肉製品と混合される。米ぬか抽出物を含むそのような溶液は、挽肉、例えば、牛肩挽肉、豚挽肉、七面鳥挽肉、および他の挽肉または押出された食肉、またはソーセージまたはホットドッグを製造する際に使用される食肉などに効果的に組み込まれる。例えば、米ぬか抽出物を含む塩水溶液は、米ぬか抽出物の最終濃度0.5%~1.5重量%である食肉製品(例えば、牛肩挽肉、七面鳥挽肉など)と混合することができる。一部の実施形態では、塩水溶液は、食肉製品の増量が5%~25%となるように調製および混合される。一部の実施形態では、食肉製品の増量は、約5%~20%、約5%~15%、約5%~10%、または約10%~25%、約15%~25%、または約20%~25%である。
【0083】
一部の実施形態では、米ぬか抽出物は、食肉製品の保水性を増加させるために食肉製品に添加され得る。保水性の増加は、調理後の重量収率(つまり、生の食肉製品の重量に対する調理済み食肉製品の重量の比、多くの場合パーセントで表される)の増加に寄与し得る。一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理した食肉製品の調理後の重量収率は、約70%~95%、約75%~95%、約80%~85%、または約90%~95%、または約70%~90%、約70%~85%、約70%~80%、または約70%~75%であるか、さらには約95%またはそれを超える。一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理した食肉製品の保水性は、未処理の食肉で処理した食肉製品の保水性と比較される。一部の実施形態では、食肉製品の調理後の重量収率は、同一条件で調製された未処理製品と比較して、少なくとも5%高い。一部の実施形態では、処理された食肉製品の調理後の重量収率は、未処理の食肉製品と比較して、約1%~5%高い、1%~4%高い、1%~3%高い、1%~2%高い、2%~5%高い、約3%~5%高い、または約4%~5%高い。一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理された食肉製品は、パージ率が約1%未満になる可能性がある。
【0084】
一部の実施形態では、保水性は、当業者が保水性の改善を確認できるような方法で測定されるかまたは特徴付けられる。例えば、米ぬか抽出物で処理した食肉製品と、同じ条件で調製された(つまり、調理された)未処理(または代替処理)の食肉製品の調理後の重量収率を測定することにより、2つの食肉製品の保水性の違いを決定することができる。調理条件には、温度、調理時間、および、一部の実施形態では、調理装置さえも含まれ得る。一部の実施形態では、調理後の重量収率は用量依存性である(つまり、米ぬか抽出物の量が大きいほど、収率は大きくなる。食肉製品からのパージ、つまり水またはその他の液体の排出も測定され得る。一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理された食肉製品は、未処理の食肉製品と比較してパージが減少する。未処理の食肉製品のパージ率は、5%を超える場合がある。一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理された食肉製品のパージ率は、約1%~5%未満、1%~4%未満、1%~3%未満、1%~2%未満、2%~5%未満、約3%~5%未満、または約4%~5%未満であり得る。一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理された食肉製品は、パージ率が約1%未満になる可能性がある。
【0085】
食肉製品にはかなりの量の脂肪分が含まれており、時間とともに酸敗の原因となる。酸敗は脂肪の酸化であり、望ましくない風味の発生を招き、食肉の品質低下および製品の保存期間の短縮につながる。食肉製品の酸化レベルを下げる酸化防止剤は、商業的に非常に重要である。食肉に存在する酸化のレベルは、サンプルに存在する過酸化物の量を測定することによって決定することができる。キログラムあたりの過酸化酸素の量の値は、キログラムあたりのミリ当量(mEq/kg)として表すことができる。米ぬか抽出物で処理された食肉製品は、一部の実施形態では、酸化レベルが低下した。食肉製品中の過酸化物の量を決定するための方法は当技術分野で周知である。
【0086】
食肉の色は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して測定することができる。一部の実施形態では、食肉の色の保持は、目視検査と、色の保持が既知の対照食肉製品(例えば、合成リン酸塩源などの合成剤で処理された食肉製品)などの基準との比較とによって決定される。食肉製品の内部色を測定するための標準化された方法の1つは、Hunter Labカラーシステムを使用することであり、そこでは「L」値は食肉の明度に対応し、「a」の変数は食肉の緑色および赤色の量に対応し、「b」の変数はサンプルの黄色および青色の量に対応する。一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理された食肉製品は、対照と比較して同等または改善されたL、a、および/またはb値を有する。食肉の色がHunter Labカラーシステムによって決定される一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理された食肉製品および対照食肉製品の測定値は、20%未満、15%未満、10%未満、あるいは5%未満の差がある。一部の実施形態では、対照食肉製品の測定値は、ほぼ同じである。
【0087】
食肉製品の品質を決定する際に考慮されるその他の物理的特性には、限定されるものではないが、硬度およびテクスチャーが含まれる。米ぬか抽出物で処理された食肉製品は、一部の実施形態では改善されたテクスチャーおよび硬度を有する。食肉製品のテクスチャーを定量化するための1つの評価基準は、スライス収率を決定することである。ハムや七面鳥などの加工肉は、業務用のスライス機で薄切りにして販売されることが多い。スライス収率は、食肉製品のスライスの合計数の中で無傷のスライスの数である。スライス収率が悪いと、傷んだスライスが生じて価値が下がるため、スライス収率は商業的に重要である。一部の実施形態では、食肉製品の硬度は、限定されるものではないが、Texture Profile Analysisをはじめとする当分野で公知の方法を使用して決定することができる。一部の実施形態では、米ぬか抽出物で処理された食肉製品は、未処理の食肉製品と比較して改善されたテクスチャープロファイルを有する。
実施例1-米ぬか抽出物の製造プロセス
【0088】
2000ポンドの地元産の新鮮な米ぬかを1000ガロンの脱イオン水に加え、約50ガロンの20%塩酸を使用してpHを1.5に調整した。混合物をバッチタンク内で150°Fで1時間撹拌した。シェーカースクリーンを使用して懸濁固体を混合物から分離し、続いて遠心分離および精密濾過ステップを行った。得られた米ぬか抽出物を、カチオン性樹脂を使用して加工して、二価および三価のカチオンを除去した。50%水酸化ナトリウムを使用して、米ぬか抽出物をpH8.5にpH調整した。得られた約5%の可溶性固形物を含む米ぬか抽出物を、真空下で低温蒸発器を使用して蒸発させて可溶性固形物を60%とした。米ぬか抽出物濃縮液は、連続真空ベルト乾燥機を使用して乾燥させた。乾燥させた米ぬか抽出物を、さらに、ハンマーミルを使用して微粒子に粉砕し、パッケージ化した。
実施例2-米ぬか抽出物の収率への効果
【0089】
無添加の冷凍エビを地元の店から入手した。5重量%の米ぬか抽出物と2重量%の塩化ナトリウムを含む解凍液を、脱イオン水を使用して調製した。冷凍エビの重量を測定し、解凍液に20:80で加えた。エビを完全に解凍させた。US20メッシュスクリーンを使用して、解凍したエビを塩水溶液から分離した。解凍したエビの重量を記録した。浸漬溶液は、氷15重量%、解凍液25重量%、エビ60重量%の比率で調製した。解凍したエビを浸漬溶液に加え、5分ごとに15分間撹拌した。US20メッシュを使用してエビを浸漬溶液から分離し、重量を記録した。エビは冷蔵温度で24時間保存した。24時間後の収率を計算するために重量を記録した。スチームクッカーを使用してエビを15分間調理した。調理済みのエビの重量を調理収率として記録した。
【0090】
図2では、米ぬか抽出物を使用することにより、さまざまな加工段階でエビの収率が高くなる。本明細書において使用される「収率」という用語は、調理済みの重量と生の(調理されていない)重量の比率を指す。
【0091】
米ぬか抽出物の成分がエビのタンパク質と相互作用して、その溶解度と機能特性を変更するため、米ぬか抽出物の存在下でエビのタンパク質によるかなりの保水性が観察される。
【0092】
米ぬか抽出物の成分がエビのタンパク質と相互作用して、その溶解度と機能特性を変更するため、米ぬか抽出物の存在下でエビのタンパク質によるかなりの保水性が観察される。
【0093】
同様の結果が鶏肉製品でも観察された。冷蔵された無添加の鶏胸肉を地元で購入した。塩化ナトリウムの塩水溶液(対照)および塩化ナトリウムと米ぬか抽出物の組合せを作製した。生重量が15%増加した時点での注入により、1重量%の米ぬか抽出物が投与された。それぞれの鶏胸肉の重量を測定し、注入するべき適切な量の塩水を計算した。手持ち式塩水注入器を使用して15%の増量が達成されるまで各鶏胸肉に注入し、重量を測定した。塩水注入器は各処理の前に洗浄した。次に、鶏胸肉を個別の真空バッグに入れ、Foodsaver(登録商標)ブランドの真空シーラーで真空を用いずに密封した。次に、パッケージ化された鶏胸肉を、Daniels Food Equipment DVTS 30真空タンブラーに入れ、0.4inHgで30分間置いた。次に、鶏胸肉を40°Fの冷蔵庫で一晩保存した。次に、鶏胸肉をパッケージから取り出し、165°Fの内部温度が得られるまで、400°FのLang Platinumオーブンで調理した。図5は、調理後に対照よりも上回る9.75%の収率が達成されたことを示す。
実施例3-米ぬか抽出物のパージへの効果
【0094】
ホットドッグからの水のパージを評価した。ホットドッグを、異なるレベルの米ぬか抽出物、リン酸塩、または無処理で処理した。ホットドッグはパイロットプラントで調製され、パッケージ化された。各パッケージは、8つの部分で構成されている。パージは、次の方法で測定された。パッケージ全体の重量を測定した。次に、パッケージを開け、ホットドッグを取り出し、液体を乾燥させ、重量を測定した。次に、パッケージ材料を乾燥させ、重量を測定した。乾燥ホットドッグおよび乾燥パッケージの重量を加え、総重量から引いた。差は、パッケージ内のパージの量である。次に、パージをホットドッグの重量で割り、重量百分率をパージ率として計算した。
【0095】
図3では、米ぬか抽出物を使用したホットドッグと使用しないホットドッグでは、保存期間にわたってパージに大きな違いがあることが示される。パージは、小売顧客に対して望ましくないと考えられるホットドッグパッケージ内の遊離水とも呼ばれる。米ぬか抽出物の添加により、ホットドッグの保水力が向上し、パージが減少した。
実施例4-米ぬか抽出物のテクスチャー特性への効果
【0096】
ホットドッグのテクスチャーは、Stable Micro Systems TA.XT テクスチャーアナライザーを使用して製品の堅さを測定することにより評価した。測定は、Stable Micro Systems Exponentソフトウェアを使用して、Texture Profile Analysis(TPA)試験を使用して行われた。簡単に言うと、TPA試験は、ホットドッグを2回続けて圧縮し、各圧縮に関連する力を測定する。最初の圧縮で測定された力は、ホットドッグの硬度とみなされる。複数のホットドッグから1インチの部分を切り取ることにより、ホットドッグを試験用に準備した。次に、ホットドッグを試験プラットフォームに垂直に(その平らな端部に円筒が立っているように)配置した。1インチのアクリルシリンダーを使用してホットドッグを圧縮した。硬度を測定し、処理間で比較した。
【0097】
図4では、米ぬか抽出物のホットドッグのテクスチャー特性への効果が示される。米ぬか抽出物を添加すると、ホットドッグのテクスチャー特性に大きな違いが生じ、特に硬度および噛み応えが高くなった。これらの改善されたテクスチャー特性は、当分野の専門家によって望ましいと考えられている。
実施例5-米ぬか抽出物と鶏肉
【0098】
無添加の鶏胸肉は地元産のものであった。この鶏胸肉に、1.0重量%の米ぬか抽出物を15%の増量で注入した。注入後、個々の胸肉を、真空を適用せずにプラスチック製の真空バッグに密封した。次に、袋詰めの鶏肉を、0.4バールの真空タンブラー内で1時間回転させた。タンブルした鶏肉を一晩冷蔵し、重量を測定し、内部温度が165°F(約74℃)になるまで調理した。冷却し、調理済みの鶏肉の重量を再度測定した。調理済み重量と生重量の比率を計算し、調理後の重量収率として報告した。
【0099】
米ぬか抽出物で処理した鶏肉の収率(図6)は、STPPで処理した鶏肉の重量収率と同等であった。STPPで処理した胸肉も、米ぬか抽出物で処理した胸肉も、対照よりも有意に多くの水分を保持していた。平均の差はz検定によって分析された。図6は、STPPと米ぬか抽出物の間には有意差がないことを示しているが、米ぬか抽出物と対照の間には差がある。
【0100】
注入した胸肉のパージも試験した。鶏肉を上記のように処理した。調理の前に、パッケージ全体の重量を測定した。鶏肉を取り出し、ペーパータオルを使用して遊離水を取り除き、再度重量を測定した。パッケージを乾燥させ、再度重量を測定した。鶏肉とパッケージの重量を総重量から差し引き、その差をパージとして報告した。パージを鶏胸肉の生重量で割り、百分率を計算した。
【0101】
生の鶏肉による水分損失(図7)は、STPP処理と米ぬか抽出物処理の間で類似していた。この場合もやはり、両方とも対照を上回った。
実施例6:米ぬかとポークソーセージパティ
【0102】
豚の肩肉は地元のスーパーマーケットで購入した。スーパーマーケットの肉屋は、依頼に応じて食肉の骨を抜き、挽いてくれた。豚の肩肉は午後に購入し、翌日にサンプルを作製した。豚肉を、調理後の重量収率および酸化について試験した。ローズマリー抽出物を使用して、米ぬか抽出物の抗酸化力を比較した。
【0103】
挽いた豚肩肉を、対照、米ぬか抽出物1.5%、ローズマリー抽出物0.005%、ローズマリー抽出物0.01%、米ぬか抽出物1.5%+ローズマリー0.005%および米ぬか抽出物1.5%+ローズマリー抽出物0.01%の6つの処理に分けた。各処理について、重量を10%増加させるのに十分な塩水を作製した。STPPおよび米ぬか抽出物を塩水に溶解した。ローズマリー抽出物は親油性であるため、食肉に直接加えた。
【0104】
塩水は混合の開始時に加えられ、4分間混合された。その後、それぞれ約100gのパティを形成し、重量を測定した。パティを400°Fで14分間調理して、目標内部温度の165°F(約74℃)にした。調理後、パティを室温まで冷却し、最終重量を測定した。生の重量と調理済みの重量の比率を計算した。
【0105】
図9は、ポークソーセージパティの調理収率の結果を示す。STPPが最も高い調理収率を示し、続いて米ぬか抽出物を含有する2つの処理が続いた。STPP処理および米ぬか抽出物処理は、すべて対照と有意に異なっていた。ローズマリー抽出物処理は対照と同様であり、米ぬか抽出物と組み合わせた処理では有意に高くなかったので、ローズマリー抽出物は調理収率に寄与しなかった。
【0106】
酸化のために、各処理から生のパティを-80℃で冷凍し、調理前時間0とした。食肉ブロック全体を表すために、すべての生のサンプルの平均が取られた。調理直後のパティは調理時間0として冷凍された。各処理からのパティは、保存中は冷蔵された。サンプルを7日ごとに採取した。各時点でサンプルを-80℃で冷凍し、出荷して、ミズーリ州セントルイスのNP Analytical Laboratoriesで過酸化物価を求めた。
【0107】
米ぬか抽出物で処理した豚挽肉は、調理過程で保護効果を示した。また、時間とともに継続した保護的な酸化防止作用を示した。これは、利用可能な鉄イオンを結合する米ぬか抽出物のキレート活性に起因する可能性がある。これは豚肉に存在する他の金属イオンに結合することもある。図10は、その結果をグラフで表したものである。
実施例7:米ぬか抽出物と七面鳥胸肉の挽肉
【0108】
七面鳥の胸肉を地元のスーパーマーケットで購入し、依頼して挽肉にした。七面鳥の挽肉を、対照、STPP、および米ぬか抽出物の3つの処理に分けた。各処理成分で塩水を作製し、七面鳥の挽肉に4分間混合した。次に、七面鳥の挽肉を約100gのパティに成形し、重量を記録した。パティを400°Fで14分間調理した。パティを室温まで冷却し、再び重量を測定した。調理後の重量を生の重量で割ることにより、調理収率を計算した。
【0109】
図11の結果は、米ぬか抽出物が、STPPで処理した七面鳥と同様に機能したことを示す。STPPと米ぬか抽出物の両方の処理は、対照よりも有意に良好であった。
実施例8:米ぬか抽出物とビーフソーセージパティ
【0110】
チャックローストを地元のスーパーマーケットで購入し、依頼して挽肉にした。挽いたチャックローストを、対照、STPP、および米ぬか抽出物の3つの処理に分けた。異なる増量(10、15、または20%)で3つの試験を行った。各処理成分で塩水を作製し、挽いたチャックローストに4分間混合した。次に、挽いたチャックローストを約100gのパティに成形し、重量を記録した。パティを400°Fで14分間調理した。パティを室温まで冷却し、再び重量を測定した。調理後の重量を生の重量で割ることにより、調理収率を計算した。
【0111】
米ぬか抽出物は、STPP処理したチャックローストと同様に機能した。それぞれの増量レベルでは、STPPと米ぬか抽出物処理の両方が対照よりも有意に優れていたが、同じ増量レベル内では有意に同じであった(図12)。
実施例9:米ぬか抽出物とハム
【0112】
ハムに漬け汁を注入し、20重量%に増量した。漬け汁は、海塩、タービナド糖、セロリ搾汁粉末、アセロラ搾汁粉末、ビネガー粉末、および適当な試験成分で構成されていた。それぞれについてpHを測定した(表2)。ハムを真空タンブルし、詰め、調理した。調理収率とスライス収率を計算した。スライス収率は、30枚のスライスの中の無傷のスライスの数に基づいて計算した。内部色はHunter Labスケールを使用して測定した。
【表2】
【0113】
米ぬか抽出物の添加により、調理収率は大幅な増加を示した(図13)。これは、ハムに水分を保持するという意図した通りの機能を米ぬか抽出物が果たしていることを示している。調理収率は、米ぬか抽出物の濃度が0.5%から1.5%の米ぬか抽出物に増加するにつれて増加した。米ぬか抽出物の各レベルは、対照と互いに有意に異なっていた。
【0114】
ハム中の米ぬか抽出物濃度の増加は、調理収率の線形用量反応を示した。これは、米ぬか抽出物の機能をさらに示している。図14は、用量が増加したときの調理収率の線形性を示す。
【0115】
対照の平均スライス収率は75%であったが、リン酸塩および米ぬか抽出物を含む処理は、スライスの損失がなく大幅に増加して100%となり、テクスチャーの改善に機能を示した(図15)。
【0116】
テクスチャー/硬度は、Texture Profile Analysis(TPA)によって測定した。硬度は、サンプルを圧縮したときに測定される最大の力である。図16は、各処理の平均硬度データを含む。硬度は処理間でほぼ同じであったが、米ぬか抽出物を含む処理の方がわずかに硬度が高かった。
【0117】
ハムの内部色はHunter Lab色空間を使用して測定した。Hunter LabシステムではL値は明度に対応し、aは赤色/緑色に、bは黄色/青色に対応する。図17、18、および19は各値の平均を含む。リン酸塩と米ぬか抽出物の処理は、対照よりもわずかに色が濃かった。
【0118】
処理は、外観、テクスチャーおよび味で非公式に評価された。観察結果は表2に報告されている。評価の結果、どの処理方法も類似していたが、米ぬか抽出物1.5%処理は他の処理よりも少し乾燥していた。
実施例10:米ぬか抽出物とスモークソーセージ
【0119】
豚肉からスモークソーセージを作り、海塩、香香味料、タービナド糖、セロリ搾汁粉末、アセロラ搾汁粉末、ビネガー粉末、および適切な試験成分を含む漬け汁を注入した。プロセスおよび調理手順はその時点で提供されなかった。
【0120】
図20は、ソーセージの調理後の重量収率のデータを含む。対照の収率が最も低かった。ハムで観察されたように、米ぬか抽出物処理の収率は、機能性を示す対照と比較して有意に高い調理収率を示した。スモークソーセージの重量収率も、すべての処理間で有意に異なっていた。米ぬか抽出物のうち、1.5%の米ぬかを含む組成物が最も高い収率をもたらした。
【0121】
ハムと同様に、スモークソーセージも米ぬか抽出物処理の間で線形用量反応を示した。これは下の図21に見ることができる。
【0122】
テクスチャー(硬度)は、Texture Profile Analysis(TPA)によって測定した。硬度は、サンプルを圧縮したときに測定される最大の力である。図22は、各処理の平均硬度データを含む。
【0123】
スモークソーセージの内部色はHunter Lab色空間を使用して測定した。一般に、七面鳥は、リン酸塩や米ぬか抽出物を加えると、わずかに色が濃くなる。図23図25は、スモークソーセージの内部Lab値が比較的安定していたことを示す。
【0124】
処理は、外観、テクスチャーおよび味について非公式に評価された。観察結果は表3に報告されている。評価の結果、どの処理も類似しており、許容され得る風味であることが分かった。
【表3-1】
実施例11:米ぬか抽出物と七面鳥
【0125】
塩漬した七面鳥肉の「ハム」も作製した。七面鳥の胸肉に漬け汁を注入し、20重量%に増量した。漬け汁は、海塩、タービナド糖、セロリ搾汁粉末、アセロラ搾汁粉末、ビネガー粉末、酸化防止剤、および適当な試験成分で構成されていた。漬け汁のpHは表3に示される。七面鳥を真空タンブルし、詰め、調理した。調理収率とスライス収率を計算した。スライス収率は、30枚のスライスの中の無傷のスライスの数に基づいて計算した。
【表3-2】
【0126】
図26は、米ぬか抽出物が調理後の重量収率で対照よりも優れていたことを示す。米ぬか抽出物は七面鳥でわずかに用量反応を示したが(図27)、ハムまたはスモークソーセージほどではなかった。米ぬか抽出物0.5%と米ぬか抽出物1.0%を除いて、すべての処理は有意に異なっていた。七面鳥のスライスは対照よりも優れていて、1.5%の処理レベルのリン酸塩に匹敵した。
【0127】
テクスチャーは、Texture Profile Analysis(TPA)によって測定した。硬度は、サンプルを圧縮したときに測定される最大の力である。図28は、各処理の平均硬度データおよび分析を含む。すべての米ぬか抽出物処理およびリン酸塩処理の硬度は対照とは異なっていた。米ぬか抽出物とリン酸塩処理の中では、主に有意な差はなかった。
【0128】
スモークソーセージの内部色はHunter Lab色空間を使用して測定した。七面鳥では明度は比較的安定していた(図29~31)。
【0129】
処理は、外観、テクスチャーおよび味について非公式に評価された。観察結果は表5に報告される。評価により、米ぬか抽出物は対照またはリン酸塩に類似し、米ぬか抽出物1.5%処理では若干の乾燥が目立つことが見出された。
【表5】
実施例12:米ぬか抽出物とホットドッグ
【0130】
ホットドッグなどの乳化肉製品にも水分を保持することが望ましい。ビーフ85をキドニープレートに通した後、1/2インチプレートに通した。ビーフ50も同じ方法で加工した。ビーフ85を塩、亜硝酸ナトリウム、および氷/水の半分と混合した。リン酸ナトリウムか、米ぬか抽出物(0.5%、1.0%、または1.5%)を添加するか、または何も加えなかった。これをクーラーの中に一晩置いた。この赤身の混合物をボウルチョッパーで刻んだ。次に、ビーフ50、マスタード、スパイス、抗菌剤、および氷/水の残りの半分を加え、乳濁液を作製した。乳濁液をセルロース製のケーシングに詰めた。標準的な調理プログラムを使用してホットドッグを調理した後、冷却して、ケーシングを取り外した。それらを保管のためにクーラーに入れた。
収率
【0131】
ホットドッグの調理後の重量収率パーセントは、予め調理した重量を調理後の重量で割り、100を掛けて算出した。米ぬか抽出物で処理したホットドッグは、対照よりも重量収量が有意に高かった(図32)。1.0%および1.5%の米ぬか抽出物で処理したホットドッグは、STPPで処理したホットドッグと同程度かまたはそれよりも良好であった。1.0%の米ぬか抽出物で処理した場合、重量収率は、リン酸塩処理ホットドッグよりも有意に高かった。1.5%の米ぬか抽出物で処理したホットドッグは、リン酸塩で処理したホットドッグと同じ重量収率を有した。
硬度
【0132】
テクスチャー/硬度は、Texture Profile Analysis(TPA)によって測定した。硬度は、サンプルを圧縮したときに測定される最大の力である。図33は、各処理の平均硬度データおよび分析を含む。すべての米ぬか抽出物処理およびリン酸塩処理の硬度は対照とは異なっていた。米ぬか抽出物処理の中では、有意な差はなかった。リン酸塩と1.5%の米ぬか抽出物の間には有差はなかった。
内部色
【0133】
スモークソーセージの内部色はHunter Lab色空間を使用して測定した。ホットドッグでは明度は比較的安定していた(図34~36)。
【0134】
上記の実施例は、当業者に、組成物の好ましい実施形態を作成および使用する方法の完全な開示および説明を提供するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。上記の形態の変更(当業者に明白な本発明を実施するため)は、特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書に引用されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、そのような刊行物、特許または特許出願のそれぞれが、参照により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。

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【国際調査報告】