(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】癌を治療するためのプラスミド構築体および使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/85 20060101AFI20220131BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220131BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20220131BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220131BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20220131BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220131BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N15/85 Z ZNA
A61K48/00
A61K31/711
A61P35/00
A61K9/08
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524360
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 US2019063590
(87)【国際公開番号】W WO2020112987
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518211048
【氏名又は名称】オンコセック メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】トゥイッティ, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ムコパデャイ, アナンダループ
(72)【発明者】
【氏名】カントン, デイビッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハン, ミア
(72)【発明者】
【氏名】ブラウニング, エリカ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB11
4C076CC27
4C084AA13
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
CD3 half-BiTE、CXCL9、およびCTLA-4 scFvをコードする発現カセットについて記載される。記載される発現カセットは、対象における癌を治療するために使用することができる。直接的な腫瘍内注射およびエレクトロポレーションによって発現カセットを腫瘍に送達する方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発現カセットであって、CD3 half-BiTEをコードする第1のヌクレオチド配列を含み、前記CD3 half-BiTEは、抗CD3 scFvおよび膜貫通ドメインを含み、前記膜貫通ドメインは、前記抗CD3 scFvのC末端に連結されている、発現カセット。
【請求項2】
前記第1のヌクレオチド配列は、プロモーターに操作可能に連結されている、請求項1に記載の発現カセット。
【請求項3】
前記プロモーターは、CMVプロモーター、mPGK、SV40プロモーター、β-アクチンプロモーター、SRαプロモーター、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス長末端反復(LTR)プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター(Ad MLP)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、およびEF1αプロモーターからなる群から選択される、請求項2に記載の発現カセット。
【請求項4】
前記抗CD3 scFvは、OKT3(ムロモナブ-CD3)、145-2C11、17A2、SP7、またはUCHT1抗体のVHおよびVLドメインのCDR領域を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項5】
前記抗CD3 scFvは、OKT3(ムロモナブ-CD3)、145-2C11、17A2、SP7、もしくはUCHT1、またはそれらのヒト化型のVFおよびVLドメインを含む、請求項4に記載の発現カセット。
【請求項6】
前記膜貫通ドメインは、PDGFRα膜貫通ドメインおよびPDGFRβ膜貫通ドメインからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項7】
前記第1のヌクレオチド配列は、配列番号60、62、74、もしくは76のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号60、62、74、もしくは76と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする、請求項1~6のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項8】
前記第1のヌクレオチド配列は、配列番号59、61、73、もしくは75のヌクレオチド配列、または配列番号59、61、73、もしくは75と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項9】
IL-12をコードする第2のヌクレオチド配列をさらに含む、請求項2~8のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項10】
前記IL-12をコードする第2のヌクレオチド配列は、IL-12 p35をコードする第1のコード配列およびIL-12 p40をコードする第2のコード配列を含む、請求項9に記載の発現カセット。
【請求項11】
前記発現カセットは、以下によって表される式を含み、
P - A - T - B - T - B’
式中、Pは、プロモーターであり、Aは、CD3 half-BiTEをコードし、Tは、翻訳修飾エレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする、請求項10に記載の発現カセット。
【請求項12】
Tは、P2Aペプチド、T2Aペプチド、E2Aペプチド、およびF2Aペプチドからなる群から選択される2Aペプチドをコードする、請求項11に記載の発現カセット。
【請求項13】
Aは、配列番号60、62、74、もしくは76のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号60、62、74、もしくは76と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードし、Bは、配列番号31もしくは53のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号31もしくは53と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードし、B’は、配列番号33もしくは56のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号33もしくは56と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードする、請求項12に記載の発現カセット。
【請求項14】
Aは、配列番号59、61、73、もしくは75のヌクレオチド配列、または配列番号59、61、73、もしくは75のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を有するヌクレオチド配列、を含み、Bは、配列番号30、51、もしくは52のヌクレオチド配列、または配列番号30、51、もしくは52のヌクレオチド配列と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含み、B’は、配列番号32、54、もしくは55のヌクレオチド配列、または配列番号32、54、もしくは55のヌクレオチド配列と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含む、請求項12に記載の発現カセット。
【請求項15】
前記第1のヌクレオチド配列は、配列番号64、66、78、もしくは80のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号64、66、78、もしくは80と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードする、請求項1~14のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項16】
前記発現カセットは、配列番号63、65、77、もしくは79の配列、または配列番号63、65、77、もしくは79のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を有するヌクレオチド配列、を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項17】
前記発現カセットは、前記抗CD3 scFvのN末端またはC末端のいずれかに連結されたタグ配列をさらにコードする、請求項1~14のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項18】
前記タグ配列は、HAタグおよびMycタグからなる群から選択される少なくとも1つのタグ配列を含む、請求項17に記載の発現カセット。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の発現カセットを含む、CD3 half-BiTEを発現するための、プラスミド。
【請求項20】
膜貫通ドメインに融合した抗CD3単鎖可変フラグメント(scFv)を含む、CD3 half-BiTE。
【請求項21】
癌の治療における使用のための、請求項1~18のいずれか一項に記載の発現カセットまたは請求項19に記載のプラスミド。
【請求項22】
以下によって表される式を含む発現カセットであって、
P - B - T - B’ - T - A
式中、Pは、プロモーターであり、Aは、CXCL9をコードし、Tは、翻訳修飾エレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする、発現カセット。
【請求項23】
Tは、P2Aペプチド、T2Aペプチド、E2Aペプチド、およびF2Aペプチドからなる群から選択される2Aペプチドを含む、請求項22に記載の発現カセット。
【請求項24】
Aは、配列番号35もしくは58のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号35もしくは57と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードし、Bは、配列番号31もしくは53のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号31もしくは53と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードし、B’は、配列番号33もしくは56のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号33もしくは56と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードする、請求項22もしくは23に記載の発現カセット。
【請求項25】
Aは、配列番号34もしくは57のヌクレオチド配列、または配列番号34もしくは57のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を有するヌクレオチド配列、を含み、Bは、配列番号30、51、もしくは52のヌクレオチド配列、または配列番号30、51、もしくは52のヌクレオチド配列と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含み、B’は、配列番号32、54、もしくは55のヌクレオチド配列、または配列番号32、54、もしくは55のヌクレオチド配列と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項26】
前記発現カセットは、配列番号68もしくは82のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号68もしくは82と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードする、請求項22~25のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項27】
前記発現カセットは、配列番号67もしくは81のヌクレオチド配列、または配列番号67もしくは81のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を有するヌクレオチド配列、を含む、請求項22~26のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項28】
CXCL9およびIL-12を発現するためのプラスミドであって、請求項22~27のいずれか一項に記載の発現カセットを含む、プラスミド。
【請求項29】
癌の治療における使用のための、請求項22~27のいずれか一項に記載の発現カセットまたは請求項28に記載のプラスミド。
【請求項30】
癌の治療における使用のための、CD3 half-BiTEをコードする発現カセットおよびCXCL9をコードする発現カセットであって、前記発現カセットは、腫瘍内エレクトロポレーション療法のために製剤化される、発現カセット。
【請求項31】
腫瘍を有する対象を治療する方法であって、有効用量の請求項19または28に記載の少なくとも1つのプラスミドを前記腫瘍に注射することと、エレクトロポレーション療法を前記腫瘍に投与することと、を含む、方法。
【請求項32】
前記エレクトロポレーション療法は、約100マイクロ秒~約1ミリ秒の持続時間にわたる少なくとも1個の電圧パルスの投与を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記エレクトロポレーション療法は、1~6個の電圧パルスの投与を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記1~10個の電圧パルスは、約200V/cm~約1500V/cmの場強度を有する、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つのプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、1日目と、5±2日目と、8±2日目と、に投与される、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
(g)請求項19に記載のプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、1日目と、5±2日目と、に投与され、請求項28に記載のプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、8±2日目に投与され、
(h)請求項19に記載のプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、1日目と、8±2日目と、に投与され、請求項28に記載のプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、5±2日目に投与され、
(i)請求項19に記載のプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、5±2日目と、8±2日目と、に投与され、請求項28に記載のプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、1日目に投与され、
(j)請求項28に記載のプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、1日目と、5±2日目と、に投与され、請求項19に記載のプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、8±2日目に投与され、
(k)請求項28に記載のプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、1日目と、8±2日目と、に投与され、請求項19に記載のプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、5±2日目に投与され、
(i)請求項28に記載のプラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、5±2日目と、8±2日目と、に投与され、請求項19に記載の前プラスミドは、前記腫瘍に注射され、前記エレクトロポレーション療法は、1日目に投与される、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記対象に少なくとも1つの追加の療法を投与することをさらに含む、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記方法は、腫瘍浸潤リンパ球の増加、腫瘍特異的T細胞の活性化および/または増殖の増加、治療される腫瘍の退行、ならびに1つ以上の未治療腫瘍の退行のうちの1つ以上を生じる、請求項31~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの追加の療法は、IT-EP抗CLTA-4 scFv療法を投与することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
腫瘍を有する対象を治療する治療のための方法であって、有効用量の抗CTLA-4 scFvをコードする少なくとも1つのプラスミドを前記腫瘍に注射することと、エレクトロポレーション療法を前記腫瘍に投与することと、を含む、方法。
【請求項41】
前記方法は、IT-EP IL12療法、IT-EP CXCL9療法、IT-EP IL12~CXCL9療法、IT-EP CD3 half-BiTE療法、およびIT-EP CD3 half-BiTE~IL12療法のうちの1つ以上をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月27日に出願された米国仮特許出願第62/771,928号、および2019年3月29日に出願された米国仮特許出願第62/826,439号の優先権を主張し、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列リスト
ファイル522631_SeqListing_ST25に記述された配列リストは、サイズが143キロバイトであり、2019年11月22日に作成され、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
癌免疫エディティングは、腫瘍を排除し、腫瘍が免疫破壊から逃れた後に、免疫適格宿主に最終的に形成される腫瘍の免疫原性表現型を形作る役割を果たす。免疫系-腫瘍相互作用は、排除、平衡、および逃避の3つの連続した段階で発生すると想定される。排除は、Tリンパ球による腫瘍細胞の破壊を伴う。平衡では、免疫抵抗性腫瘍細胞の集団が出現する。逃避の際に、腫瘍は免疫検出または破壊を回避するための戦略を発達させている。逃避は、腫瘍抗原の喪失または効果のない提示、抑制性サイトカインの分泌、または主要組織適合複合体分子の下方調節を通じて発生し得る。
【0004】
癌免疫療法は、癌の退行をもたらす効果的なT細胞応答を引き出すことを目的としている。だが、抗原提示細胞(APC)による腫瘍抗原の提示、腫瘍を成功裏に標的化して浸潤するプライムT細胞、ならびに浸潤性T細胞とMHCIペプチド複合体との結合を増強して細胞傷害性T細胞応答を活性化することなど、エフェクターT細胞応答を活性化するために様々な努力がなされている。
【0005】
研究によって、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の存在に関連する延命効果が示されている。IL-12などの免疫刺激性サイトカインが、固形腫瘍における免疫細胞浸潤を増加させることができるという証拠がある。ただし、IL-12の全身投与は治療指数が狭く、許容できないレベルの有害事象をしばしば伴う。IL-12の全身投与の制限は、IL-12をコードするプラスミドの腫瘍内エレクトロポレーションなど、IL-12の局所的発現をもたらす治療によって克服することができる。
【0006】
IL-12はTILの数を増加させることができるが、腫瘍における腫瘍特異的T細胞の存在および数を増加させることが依然として必要とされる。CD3(表面抗原分類3)T細胞共受容体は、細胞傷害性T細胞(CD8+ナイーブT細胞)、そしてまたTヘルパー細胞(CD4+ナイーブT細胞)の両方を活性化するのに役立つ。T細胞応答の活性化におけるその役割により、抗CD3抗体は免疫抑制療法として使用するために探索されている。CD3および癌抗原(腫瘍マーカー)を標的とする二重特異性T細胞誘導(BiTE)を含む二重特異性抗体は、T細胞を癌細胞に標的化するために開発されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
CXCL9、CXCL9プラスIL-12、抗CTLA-4 scFv、抗CTLA-4 scFvプラスIL-12、CD3 half-BiTE、およびCD3 half-BiTEプラスIL-12をコードする発現カセットが記載される。記載の発現カセットは、癌の治療に有用である。癌および転移性癌を含む腫瘍を治療するために記載の発現カセットを使用する方法も記載される。記載の発現カセットは、エレクトロポレーションなどによって腫瘍に送達されると、コードされたタンパク質の局所的な腫瘍発現を生じ、T細胞の動員および抗腫瘍活性をもたらす。いくつかの実施形態において、本方法はまた、遠達効果、すなわち、1つ以上の未治療腫瘍の退行をもたらす。いくつかの実施形態において、退行は、固形腫瘍の減量を含む。
【0008】
CXCL9をコードする発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、CXCL9をコードする発現カセットは、IL-12をさらにコードする。記載のCXCL9発現カセットは、腫瘍内、腫瘍周囲、リンパ節内、皮内、および/または筋肉内に送達させることができる。いくつかの実施形態において、CXCL9およびIL12コード配列は、単一プロモーターから多シストロン性発現カセットで発現され、IRESまたは2A翻訳修飾エレメントによって分離される。いくつかの実施形態において、2Aエレメントは、P2Aエレメントである。IL-12は、IL-12A(p35)サブユニットおよびIL-12B(p40)サブユニットの両方を有するヘテロ二量体サイトカインである。コードされたIL-12は、IL-12 p35-IL-12 p40融合タンパク質(IL12 p70)をコードする融合構築体を含むことができる。いくつかの実施形態において、IL-12 p35およびp40コード配列は、単一プロモーターの多シストロン性発現カセットから発現され、IRESまたは2Aエレメントによって分離される。いくつかの実施形態において、2Aエレメントは、P2Aエレメントである。いくつかの実施形態において、IRESまたは2Aエレメントによって分離されるCXCL9、IL12 p35、およびIL-12 p40コード領域を含む、多シストロン性発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、2Aエレメントは、P2Aエレメントである。
【0009】
抗CTLA-4 scFvをコードする発現カセットが記載される。抗CTLA-4 scFvは、抗CTLA-4単鎖可変フラグメントを含む。記載される抗CTLA-4 scFv発現カセットは、腫瘍内、腫瘍周囲、リンパ節内、皮内、および/または筋肉内に送達させることができる。リンパ節は、流入領域リンパ節であり得る。抗CTLA-4 scFv発現カセットはまた、腫瘍と流入領域リンパ節との間の腫瘍周囲領域に送達させることができる。抗CTLA-4 scFv発現カセットの腫瘍内、腫瘍周囲、リンパ節、皮内、および/または筋肉内送達の各々について、送達は、エレクトロポレーションによって促進することができる。抗CTLA-4 scFv発現カセットの直接的な発現は、抗CTLA-4抗体の全身投与と比較した場合、より少ない副作用および/または毒性をもたらし得る。記載される抗CTLA-4 scFv発現カセットは、局所的であるが有効な用量の抗CTLA-4の送達を容易にする。
【0010】
CD3 half-BiTEおよびCD3 half-BiTEをコードする発現カセットが記載される。CD3 half-BiTEは、膜貫通ドメイン(TM)に融合した抗CD3単鎖可変フラグメント(scFv)を含む。いくつかの実施形態において、CD3 half-BiTEをコードする発現カセットは、シグナルペプチドをさらにコードする。コードされたシグナルペプチドは、抗CD3単鎖可変フラグメントコード配列の5’末端に操作可能に連結することができる。いくつかの実施形態において、CD3 half-BiTEをコードする発現カセットは、IL-12をさらにコードする。記載されるCD3 half-BiTE発現カセットは、腫瘍内、腫瘍周囲、リンパ節内、皮内、および/または筋肉内に送達させることができる。いくつかの実施形態において、CD3およびIL12コード配列は、単一プロモーターから多シストロン性発現カセットで発現され、IRESまたは2A翻訳修飾エレメントによって分離される。いくつかの実施形態において、2Aエレメントは、P2Aエレメントである。IL-12は、IL-12A(p35)サブユニットおよびIL-12B(p40)サブユニットの両方を有するヘテロ二量体サイトカインである。コードされたIL-12は、IL-12 p35-IL-12 p40融合タンパク質(IL12 p70)をコードする融合構築体を含有することができる。いくつかの実施形態において、IL-12 p35およびp40コード配列は、単一プロモーターの多シストロン性発現カセットから発現され、IRESまたは2A翻訳修飾エレメントによって分離される。いくつかの実施形態において、2Aエレメントは、P2Aエレメントである。いくつかの実施形態において、IRESまたは2A翻訳修飾エレメントによって分離されたCD3 half-BiTE、IL12 p35、およびIL-12 p40コード領域を含む、多シストロン性発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、2Aエレメントは、P2Aエレメントである。
【0011】
記載されるのは、対象に、治療有効量の記載された発現カセットのうちの1つ以上を含む組成物を、腫瘍内エレクトロポレーション(IT-EP)によって投与することを含む、癌を治療する方法である。組成物は、腫瘍、腫瘍微小環境、および/または腫瘍縁組織に注射され、エレクトロポレーション療法が、腫瘍、腫瘍微小環境、および/または腫瘍縁組織に適用される。エレクトロポレーション療法は、当技術分野で知られている任意の好適なエレクトロポレーションシステムによって適用され得る。いくつかの実施形態において、エレクトロポレーションは、約60V/cm~約1500V/cmの場強度で、約10マイクロ秒~約20ミリ秒の持続時間である。いくつかの実施形態において、エレクトロポレーションは、電気化学的インピーダンススペクトロスコピー(EIS)を組み込む。対象は哺乳動物であり得る。哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、またはウマであり得るが、これらに限定されない。
【0012】
いくつかの実施形態において、本方法は、対象に治療効果量の免疫刺激性サイトカインを投与することをさらに含む。免疫刺激性サイトカインは、IT-EPによって送達される免疫刺激性サイトカインをコードする発現カセットであり得る。免疫刺激性サイトカインは、IL-12であり得るが、これに限定されない。免疫刺激性サイトカインは、記載されるCXCL9、CTLA-4 scFv、およびCD3 half-BiTE発現カセットのうちの1つ以上の前、後、または同時に送達することができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、本方法は、1つ以上の追加の治療法の投与をさらに含む。1つ以上の追加の治療法は、免疫チェックポイント療法であり得るが、これに限定されない。免疫チェックポイント療法は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の投与であり得るが、これに限定されない。「免疫チェックポイント」分子は、T細胞の機能不全またはアポトーシスを誘発する免疫細胞表面受容体/リガンドの群を指す。これらの免疫抑制標的は、過剰な免疫反応を弱め、自己寛容を確実にする。腫瘍細胞は、これらのチェックポイント分子の抑制効果を利用する。免疫チェックポイント標的分子には、細胞障害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)、プログラム死1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)、T細胞免疫グロブリンムチン-3(TIM3)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(MR)、B-およびT-リンパ球アテニュエーター(BTLA)、アデノシンA2a受容体(A2aR)、ならびにヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)が挙げられるが、これらに限定されない。「免疫チェックポイント阻害剤」には、免疫チェックポイント分子の効果を遮断することによって免疫抑制を防ぐ分子が含まれる。チェックポイント阻害剤には、抗体および抗体フラグメント、ナノボディ、二重特異性抗体、チェックポイント分子の可溶性結合パートナー、小分子治療薬、およびペプチドアンタゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1および/またはPD-L1アンタゴニストであり得るが、これらに限定されない。PD-1および/またはPD-L1アンタゴニストは、抗PD-1または抗PD-L1抗体であり得るが、これらに限定されない。抗PD-1/PD-L1抗体には、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、およびアテゾリズマブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
記載されるのは、対象における腫瘍を治療する方法であり、この方法は、対象に、少なくとも1つの治療サイクルを投与することを含み、サイクルは、腫瘍に、IT-EPによって、治療有効量の記載されるCXCL9、CXCL9プラスIL-12(すなわち、IL12~CXCL9)、抗CTLA-4 scFv、抗CTLA-4 scFvプラスIL-12、CD3 half-BiTE、またはCD3 half-BiTEプラスIL-12(すなわち、CD3 half-BiTE~IL12)発現カセットのうちの1つ以上を含む組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、サイクルは3週間サイクルである。いくつかの実施形態において、サイクルは、4、5、または6週間サイクルである。組成物は、サイクルの1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、または6日目に、IT-EPによって投与することができる。いくつかの実施形態において、組成物は、各サイクルの1日目に、IT-EPによって投与される。いくつかの実施形態において、組成物は、各サイクルの1日目および5±2日目に、IT-EPによって投与される。いくつかの実施形態において、組成物は、各サイクルの1日目および8±2日目に、IT-EPによって投与される。いくつかの実施形態において、組成物は、各サイクルの1日目、5±2日目、および8±2日目に、IT-EPによって投与される。サイクルは、対象を治療するために必要であるたびごとに繰り返すことができる。いくつかの実施形態において、サイクルは、追加の治療薬の投与をさらに含む。追加の治療薬は、免疫チェックポイント療法であり得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント療法は、サイクルの1、2、または3日目に対象に投与される。
【0015】
いくつかの実施形態において、対象は、記載の発現カセットのうちの1つ以上を用いたIT-EP療法の1回以上のサイクルによって治療される。上記のサイクルのいずれも、後続のサイクルで繰り返すことができる。後続のサイクルは、連続サイクルまたは交互サイクルであり得る。交互サイクルは、代替療法(例えば、免疫チェックポイント療法)の治療のない1つ以上の介在サイクルを有することができる。例えば、記載される発現カセットのいずれも、交互サイクル(例えば、必要に応じてサイクル1、3、5など)の1日目、5±2日目、および8±2日目に投与することができ、代替療法は、例えば、連続サイクルの1日目、2日目、または3日目(たとえば、必要に応じてサイクル1、2、3、4、5など)に投与することができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、対象は、免疫チェックポイント阻害剤療法の有無にかかわらずに記載されるCXCL9、CTLA-4 scFv、および/またはCD3 half-BiTE発現カセットのいずれかのIT-EPと、免疫チェックポイント阻害剤療法との交互サイクルが投与される。言い換えれば、対象は、治療有効量の記載されるCXCL9、CXCL9プラスIL-12、抗CTLA-4 scFv、抗CTLA-4 scFvプラスIL-12、CD3 half-BiTE、またはCD3 half-BiTEプラスIL-12発現カセットのうちの1つ以上を含む組成物が、IT-EPによって投与され得、任意選択的に免疫チェックポイント阻害剤療法が奇数サイクル(サイクル1、3など)で投与され得、免疫チェックポイント阻害剤療法が偶数サイクル(サイクル2、4など)で投与され得る。あるいは、患者は、免疫チェックポイント阻害剤療法が奇数サイクル(サイクル1、3など)で投与され得、治療有効量の記載されるCXCL9、CXCL9プラスIL-12、抗CTLA-4 scFv、抗CTLA-4 scFvプラスIL-12、CD3 half-BiTE、またはCD3 half-BiTEプラスIL-12発現カセットのうちの1つ以上を含む組成物が、IT-EPによって投与され得、任意選択的に免疫チェックポイント阻害剤療法が偶数サイクル(サイクル2、4など)で投与され得る。
【0017】
本発現カセットおよび方法を使用して、進行した転移性の治療抵抗性腫瘍を有する対象を治療することができる。治療抵抗性腫瘍は、免疫チェックポイント阻害剤抵抗性腫瘍、ホルモン抵抗性腫瘍、放射線抵抗性腫瘍、および化学療法抵抗性腫瘍であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、対象は、免疫チェックポイント阻害剤療法の少なくとも1つのコースに応答していない。いくつかの実施形態において、対象は、限定されないが、チェックポイント阻害剤療法などの1つ以上の抗癌療法で進行しているか、または進行したことがある。
【0018】
本発現カセットおよび方法を使用して、1つ以上の抗癌療法に抵抗性であるか、または応答しないと予測される腫瘍を有する対象を治療することができる。いくつかの実施形態において、対象は、少ない腫瘍浸潤リンパ球、少ない部分的な細胞傷害性リンパ球、または枯渇したT細胞を有する。いくつかの実施形態において、対象は、1つ以上の前の癌治療で進行したことがある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】mCXCL9~mCherry(mCXCL9-PTA-mCherry)、mCXCL9、mIL12-2A(mIL-12 p35-P2A-mIL-12 p40)、mIL12~mCXCL9(mIL-12 p35-P2A-mIL-12 p40-P2A-mCXCL9)に関する発現構築体の図である。
【
図1B】hCXCL9、hIL12-2A(hIL-12 p35-P2A-hIL-12 p40)、hIL12~hCXCL9(hIL-12 p35-P2A-hIL-12 p40-P2A-hCXCL9)に関する発現構築体の図である。
【
図2】mIL12-2A、mCXCL9、およびmIL12~mCXCL9発現ベクターによるトランスフェクション後のHEK293細胞における、(A)mIL12 p70タンパク質発現、および(B)mCXCL9タンパク質発現を示すグラフである。
【
図3】マウスIL-12またはマウスIL-12-CXC構築体によって一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞からのmIL-12 p70に対する用量反応を示すグラフである。両構築体ともに生物学的に活性なIL-12をコードする。
【
図4A】5.0ミクロン孔を有するポリカーボネート膜(Costar3421)を通る、SIINFEKLパルス化(1μg/mLで24時間、回復72時間)OT-I脾細胞の、トランスフェクション由来マウスCXCL9誘導化走化性を示すグラフである。遊走指数は、37°Cで2.5時間後に観察された走化性細胞の数として定義され、OptiMEM陰性コントロールにおいて膜を通って受動的に遊走した細胞の数に基準化される。走化性の抑止は、抗mCXCL9中和モノクローナル抗体(BioXCell BE0309)のプレインキュベーションで観察された。
【
図4B】5.0ミクロン孔を有するポリカーボネート膜(Costar3421)を通る、SIINFEKLパルス化(21μg/mLで4時間、回復72時間)OT-I脾細胞の、トランスフェクション由来(HEK293)ヒトCXCL9誘導化走化性を示すグラフである。遊走指数は、37°Cで2時間後に観察された走化性細胞の数として定義され、OptiMEM陰性コントロールに対して膜を通って受動的に遊走した細胞の数に基準化される。
【
図4C】5.0ミクロン孔を有するポリカーボネート膜(Costar3421)を通る、ヒト末梢単核細胞(凍結保存から解凍、X-VIVO15培地で24時間休止)の、トランスフェクション由来(HEK293)ヒトCXCL9誘導化走化性を示すグラフである。遊走指数は、37°Cで2時間後に観察された走化性細胞の数として定義され、OptiMEM陰性コントロールに対して膜を通って受動的に遊走した細胞の数に基準化される。
【
図5】エレクトロポレーションの48時間後、CT26腫瘍担持マウスからの腫瘍溶解物における、mCXCL9用のELISA(DuoSet ELISA DY392)を使用するmCXCL9の腫瘍内発現を示すグラフである(n=3、*P<0.05、ウェルチ補正を伴うT検定)。
【
図6】未治療マウス、および対照ベクター、IT-EP IL12-2A単独、またはIT-EP CXCL9と組み合わせたIT-EP IL12-2Aで治療されたマウスのカプランマイヤー曲線を示すグラフである(**P<0.005、ログランク(マンテル・コックス)検定)。
【
図7】コントロールプラスミドでのIL-12療法単独と比較して、mIL12-2AプラスmCXCL9を用いたIT-EP療法によって治療された腫瘍担持マウスにおける、(A)腫瘍体積の減少、および(B)対側(未治療)腫瘍体積の減少を示すグラフである。
【
図8】0日目にIT-EP pUMCV3またはIL12-2A、4日目および7日目にIT-EP pUMVC3またはmCXCL9で治療されたマウスからの脾細胞のフローサイトメトリー分析である。
【
図9】コントロールベクター(pUMC3)、IT-EP IL12(IL-12 p35-P2A-IL-12 p40)、またはIT-EP IL12プラスIT-EP CXCL9で治療されたマウス腫瘍におけるAH1+CD8+T細胞の数の増加倍率を示すグラフである。3~5匹/群によるN=2の独立した実験。*P<0.05、**P<0.005、一元配置分散分析。
【
図10】(A)hIL12-2AおよびhIL12~hCXCL9発現ベクターでトランスフェクトされたHEK293細胞におけるhIL-12タンパク質発現、ならびに(B)hCXCL9およびhIL12~hCXCL9発現ベクターでトランスフェクトされたHEK293細胞におけるhCXCL9タンパク質発現を示すグラフである。
【
図11】組換えヒトIL-12(rhIL12、陽性コントロール)、またはhIL12-2A発現ベクターを発現する細胞から産生されたhIL12を使用する、HEK-Blue IL-12細胞におけるSTAT4経路の活性化を示すグラフである。
【
図12A】HA-2C11-Myc scFv、HA-2C11 scFv、2C11 scFv、および2C11 scFv~hIL12に関するマウスCD3 half-BiTE発現カセットのイラストである。
【
図12B】HA-OKT3-Myc scFv、HA-OKT3 scFv、OKT3 scFv、HA-OKT3 scFv~hIL12、およびOKT3 scFv~hIL12に関するヒトCD3 half-BiTE発現カセットのイラストである。
【
図13】(A)HA-OKT3 scFvおよびHA-2C11 scFv CD3 half-BiTE発現ベクターでトランスフェクトされたHEK293細胞における抗CD3 scFvの発現、および(B)HA-2C11 scFvおよびHA-2C11 scFv~mIL12発現ベクターでトランスフェクトされたB16-F10細胞におけるCD3 half-BiTEの発現を示すウエスタンブロットである。
【
図14A-C】HA-OKT3 scFvおよびHA-OKT3 scFv~hIL12発現ベクターでトランスフェクトされたHEK293細胞における抗CD3 scFvの表面発現を示すフローサイトメトリーである。
【
図14D-E】(D)HA-2C11 scFvおよびHA-2C11 scFv~mIL12発現ベクターでトランスフェクトされたB16-F10細胞における抗CD3scFvの表面発現を示すフローサイトメトリーである。(E)mIL12-2A、HA-2C11 scFv~mIL12発現ベクターによるトランスフェクション後のB16-F10細胞におけるIL12 p70発現を示すグラフである。
【
図15】hIL12-2A、HA-OKT3 scFv~hIL12、およびOKT3 scFv~hIL12発現ベクターによるトランスフェクション後のHEK293細胞におけるIL12 p70発現を示すグラフである。
【
図16A-B】(A)HA-2C11 scFvの腫瘍内エレクトロポレーション後のインビボでのB16F10黒色腫または4T1乳癌細胞におけるCD3scFvの発現を示すウエスタンブロットである。(B)HA-2C11 scFvの腫瘍内エレクトロポレーション後のインビボでの4T1乳癌細胞におけるCD3scFvの表面発現のフロー分析である。
【
図16C】mIL12-2AおよびHA-2C11 scFv~mIL12発現ベクターの腫瘍内エレクトロポレーション後のB16-F10細胞におけるIL12 p70発現を示すグラフである。
【
図17】ナイーブマウス脾細胞を、組換えマウスIL12の添加もしくは無添加でコントロールベクター(EVコントロール)、2C11 scFv発現ベクターによってインビトロでトランスフェクトされたB16F10細胞とともに、またはプレート結合抗CD3(陽性コントロール)とともに、共培養した後のINFγ発現の誘導を示すグラフである。
【
図18】ナイーブマウス脾細胞を、組換えマウスIL12の添加もしくは無添加でコントロールベクター(Tfxコントロール)、2C11 scFv発現ベクターによってインビトロでトランスフェクトされたB16F10細胞とともに、またはプレート結合抗CD3(陽性コントロール)とともに、共培養した後のCFSE標識CD3+CD45+T細胞の増殖のFACS分析を示すグラフである。
【
図19】2C11 scFv IT-EPまたは陰性コントロールで治療されたB16-OVA腫瘍モデルマウスのDLNにおけるインビボでのOT-1およびポリクローナルT細胞増殖を示すグラフである。
【
図20】2C11 scFv IT-EPまたは陰性コントロールで治療されたB16-OVA腫瘍モデルマウスのTILにおけるCD45.1+生細胞中のCD8+T細胞の増加を示すグラフである。
【
図21】2C11 scFv IT-EPまたは陰性コントロールで治療されたB16-OVA腫瘍モデルマウスのTILにおける抗原特異的(SIINFEKL+)CD8+T細胞の増加を示すグラフである。
【
図22】陰性トランスフェクトコントロールと比較して、2C11 scFv IT-EPによって治療されたB16-OVA腫瘍含有マウスにおけるOVA
257~264ペプチド提示CFSE細胞の溶解の増加を示す、OVA
257~264ペプチドを提示する(Hi)か、または提示しない(Lo)スキャンCFSE細胞のFACS分析である。
【
図23】IT-EP CD3 half-BiTEで治療されたB16-OVA腫瘍含有マウスにおける養子移入したOVA
257~264-提示CFSE細胞の溶解の増加を示すグラフである。T細胞殺傷能力の増加が、脾臓および駆動リンパ節の両方で観察された。
【
図24】IT-EP CD3 half-BiTEで治療されたマウスにおけるOVA発現細胞の腫瘍特異的死滅の増加を示すCFSE細胞のFACS分析である。
【
図25】コントロール、IL-12、またはIL-12プラスCD3 half-BiTE IT-EP療法で治療された黒色腫モデルマウスにおける治療された腫瘍の腫瘍進行を示すグラフである。
【
図26A-B】(A)コントロール、IL-12、またはIL-12プラス2C11 IT-EP療法によって治療された乳癌モデルマウスにおける腫瘍進行を示すグラフである。(B)コントロール、IL12-2A、またはIL12-2Aプラス2C11 IT-EP療法によって治療された4T1乳癌モデルマウスにおける肺転移結節を示すグラフである。(C)コントロール、IL12-2A、またはIL12-2Aプラス2C11 IT-EP療法によって治療された4T1乳癌モデルマウスにおける末梢血1μLあたりのエフェクターT細胞(CD127-CD62L-CD3+)の絶対数を示すグラフである。
【
図27】hIL12-2A、hCXCL9、およびhIL12~hCXCL9発現ベクターによるトランスフェクト後のHEK293細胞における、(A)hIL12 p70タンパク質分泌、および(B)hCXCL9タンパク質分泌を示すグラフである。ELISAによって検出されたタンパク質、n=5。
【
図28A】示された遺伝子におけるp値およびlog2倍率変化の変化を表すボルケーノプロットである。差次的遺伝子発現を、mCXCL9単独で治療されたマウス(上のパネル)およびIL12と組み合わせたmCXCL9で治療されたマウス(下のパネル)で試験した。水平線は、偽発見率(FDR)閾値を示す。
【
図28B】「細胞傷害性免疫細胞」の細胞型スコアを示すグラフである。各細胞型のスコア(Log2スケール)は、平均が0になるように中央に配置されている。
【
図29A】1日目、5日目、および8日目に10μgもしくは100μgのIL12-2A(TAVO)、または、1日目、5日目、および8日目の各々で100μgのIL12~CXCL9もしくはCD3 half-BiTE~IL12(SPARK)による治療後、エレクトロポレーションの48時間後におけるB16.F10腫瘍担持マウスからの腫瘍溶解物中のIL12 p70発現を表すグラフを示す(n=8匹の動物、DuoSet ELISA DY419)。
【
図29B-C】1日目、5日目、および8日目に10μgもしくは100μgのIL12-2A(TAVO)、または、1日目、5日目、および8日目の各々で100μgのIL12~CXCL9もしくはCD3 half-BiTE~IL12(SPARK)による治療後、B16.F10腫瘍担持マウスにおける一次(B)および二次(C)腫瘍増殖を表すグラフである。(0日目と12日目の各々について左から右へ:10μgのIL12-2A、SPARK、100μgのIL12-2A)。
【
図30】(A)組換えmCTLA-4/Fcに結合する抗CTLA4 scFvトランスフェクション上清、および(B)RENCA腫瘍溶解物での抗CLTA-4scFvの検出を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
I.定義
「核酸」は、RNAおよびDNAの両方を含む。RNAおよびDNAには、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、縮合核酸、カチオン性脂質で製剤化された核酸、ペプチドまたはカチオン性ポリマーで製剤化された核酸、RNA、およびmRNAが含まれるが、これらに限定されない。核酸には、修飾されたRNAまたはDNAも含まれる。
【0021】
「発現カセット」は、RNAもしくはDNAコード配列、または発現産物(例えば、ペプチド(複数可)(すなわち、ポリペプチド(複数可)またはタンパク質(複数可))またはRNA)をコードするRNAもしくはDNAのセグメントを指す。発現カセットは、プラスミド中に存在することができる。発現カセットは、哺乳動物細胞などの細胞において1つ以上のポリペプチドを発現することができる。発現カセットは、コードされた発現産物の発現のために必要である1つ以上の配列を含み得る。発現カセットは、DNAコード配列に操作可能に連結されたエンハンサー、プロモーター、ターミネーター、およびポリAシグナルのうちの1つ以上を含み得る。
【0022】
「プラスミド」という用語は、哺乳動物細胞で発現することができるポリペプチド(記載される発現カセットのいずれかなど)をコードする少なくとも1つの配列を含む核酸を指す。プラスミドは、閉じた環状DNA分子であり得る。様々な配列をプラスミドに組み込んでコード配列の発現を変化させることができ、細胞におけるプラスミドの複製を促進するためである。転写、メッセンジャーRNA(mRNA)の安定性、RNAプロセシング、または翻訳の効率に影響を与える配列を使用することができる。かかる配列には、5’非翻訳領域(5’UTR)、プロモーター、イントロン、および3’非翻訳領域(3’UTR)が含まれるが、これらに限定されない。プラスミドは、大スケールの量かつ/または高収率で製造することができる。プラスミドは、cGMP製造を使用してさらに製造することができる。プラスミドは、E.coliなどの細菌を形質転換することができる。DNAプラスミドは、哺乳動物対象への注射のために安全で有効であるように製剤化することができる。
【0023】
「タンパク質」、「ペプチド」、または「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸の連続的なストリングを含む。「タンパク質配列」、「ペプチド配列」、「ポリペプチド配列」、または「アミノ酸配列」は、タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドにおける一連の2つ以上のアミノ酸を指す。
【0024】
「発現する」および「発現」という用語は、遺伝子、RNA、またはDNAの配列中の情報を顕在化することを可能にするか、または引き起こすことを指し、例えば、対応する遺伝子の転写および翻訳に含まれる細胞機能を活性化することによってタンパク質を産生する。DNA配列は、細胞において、または細胞によって発現され、RNA(例えば、mRNA)またはタンパク質などの発現産物を生成する。発現産物それ自体も細胞によって発現されるとも言うことができる。
【0025】
「操作可能に連結された」とは、2つ以上の成分(例えば、プロモーターおよび別の配列エレメント)の近接した配置を指し、それによって、両成分は正常に機能し、成分のうちの少なくとも1つが他の成分のうちの少なくとも1つに加えられる機能を媒介することができる実現性を可能にする。例えば、コード配列に操作可能に連結されたプロモーターは、コード配列のmRNAを含む、RNAへのRNAポリメラーゼ仲介性転写を指示し、次にスプライシングされ得(それがイントロンを含む場合)、任意選択的に、コード配列によってコードされるタンパク質に翻訳され得る。コード配列は、1つ以上の転写または翻訳制御配列に「操作可能に連結される」ことができる。遺伝子に操作可能に連結されたターミネーター/ポリAシグナルは、遺伝子のRNAへの転写を終結させ、ポリAシグナルのRNAへの付加を指示する。
【0026】
「プロモーター」は、細胞におけるRNAポリメラーゼに結合して(例えば、直接的に、または他のプロモーター結合タンパク質もしくは物質を介して)、コード配列の転写を開始することができるDNA調節領域である。プロモーターは、エンハンサーを含むがそれに限定されない、転写開始速度に影響を与える1つ以上の追加の領域またはエレメントを含み得る。プロモーターは、構成的に活性なプロモーター、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、または細胞型特異的プロモーターであり得るが、これらに限定されない。プロモーターの例は、例えば、WO2013/176772において見出すことができる。プロモーターには、CMVプロモーター、Igκプロモーター、mPGK、SV40プロモーター、β-アクチンプロモーター、α-アクチンプロモーター、SRαプロモーター、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス長末端反復(LTR)プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター(Ad MLP)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、およびEF1αプロモーターであり得るが、これらに限定されない。CMVプロモーターは、CMV前初期プロモーター、ヒトCMVプロモーター、マウスCNVプロモーター、およびサルCMVプロモーターであり得るが、これらに限定されない。
【0027】
「翻訳修飾エレメント」は、単一の転写物から2つ以上の遺伝子の翻訳を可能にする。翻訳修飾エレメントには、mRNAの内部領域から翻訳の開始を可能にする配列内リボソーム進入部位(IRES)、およびリボソームにエレメントのC末端でのペプチド結合の合成をスキップさせるピコルナウイルスに由来する2Aペプチドが含まれる。翻訳調節エレメントの組み込みは、単一の多シストロン性mRNAからの2つ以上のポリペプチドの共発現をもたらす。2Aモジュレーターには、P2A、T2A、E2A、またはF2Aが含まれるが、これらに限定されない。2Aモジュレーターには、PG/P切断部位が含まれる。
【0028】
「相同的」配列(例えば、核酸配列またはアミノ酸配列)は、既知の参照配列と同一か、または実質的に同様である配列を指し、それは、既知の参照配列と、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である。配列同一性は、Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、ウィスコンシン州マディソン)におけるBESTFIT、FASTA、およびTFASTAなどのアルゴリズムを、デフォルトのギャップパラメーターを使用するか、またはinspection(精査)、およびbest alignment(最善のアラインメント)(すなわち、比較ウィンドウ幅にわたって最も高い配列類似性の割合をもたらす)によって使用して、配列を整列させることによって決定することができる。配列同一性のパーセントは、比較ウィンドウ幅にわたって2つの最適配列された配列を比較することと、同一残基が両方の配列に生じる位置の数を決定して一致した位置の数を得ることと、一致した位置の数を、比較のウィンドウ幅(すなわち、ウィンドウ幅サイズ)におけるギャップを計数しない一致および不一致の位置の全数によって除することと、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセントを得ることと、によって計算される。特に明記されていない限り、2つの配列間の比較のウィンドウ幅は、2つの配列のうち短い方の全長によって定められる。
【0029】
「免疫刺激性サイトカイン」には、ウイルス、細菌、または腫瘍抗原を含む外来抗原に対する免疫応答を媒介または増強するサイトカインが含まれる。免疫刺激性サイトカインには、TNFα、IL-1、IL-10、IL-12、IL-12 p35、IL-12 p40、IL-15、IL-15Rα、IL-23、IL-27、IFNα、IFNβ、IFNγ、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-9、IL-21、およびTGFβが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
「癌」という用語は、一般に、不適切な細胞増殖、異常または過剰な細胞増殖を特徴とする無数の疾患を含む。癌の例には、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、結腸癌、前立腺癌、膵臓癌、黒色腫、肺癌、卵巣癌、腎臓癌、脳癌、または肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
「治療抵抗性の癌」は、少なくとも1つの前の治療に応答しないか、または応答していない癌である。いくつかの実施形態において、治療に関して、治療抵抗性は、治療に対する不十分な応答、または治療に対する部分的または完全な応答の欠如を示す。例えば、患者は、少なくとも2回投薬の治療を受けた後、少なくとも部分的な応答を示さない場合、治療(例えば、PD-1またはPD-L1阻害剤療法などのチェックポイント阻害剤療法)に抵抗性であると見なされ得る。
【0032】
「腫瘍微小環境」は、腫瘍の周囲の環境を指し、腫瘍に酸素、成長因子、および栄養素をもたらすこと、もしくは腫瘍に対する免疫応答を阻害することなどによって、腫瘍の成長および/または生存を助ける非悪性の血管および間質組織を含む。腫瘍微小環境には、腫瘍が存在する細胞環境が含まれ、周囲の血管、免疫細胞、線維芽細胞、骨髄由来炎症細胞、リンパ球、シグナル伝達分子、および細胞外マトリックスなどが含まれる。
【0033】
「腫瘍縁」または「縁組織」は、腫瘍のすぐ近くまたは周囲の視覚的に正常な組織である。通常、縁組織は、組織の0.1~2cm以内の視覚的に正常な組織である。腫瘍が外科的に切除されるとき、腫瘍縁組織がしばしば除去される。
【0034】
「治療」という用語は、癌細胞の増殖の阻害もしくは低減、癌細胞の破壊、癌細胞の増殖の防止、悪性細胞の開始の防止、悪性疾患に形質転換される前悪性細胞の進行の停止もしくは反転、または疾患の改善、のための薬品または治療を含むが、これらに限定されない。
【0035】
「エレクトロポレーション」という用語は、プラスミド、核酸、または薬剤などの生体分子の細胞への侵入を促進するためのエレクトロポレーションパルスの使用を指す。
【0036】
「流入領域リンパ節」は、特定の領域または器官からリンパ液をろ過するリンパ節である。腫瘍および腫瘍治療との関連で、流入領域リンパ節は腫瘍のすぐ下流にある。
【0037】
「エピトープタグ」は、高親和性抗体が結合する短いアミノ酸配列(または短いアミノ酸配列をコードする核酸配列)である。例示的なエピトープタグには、V5タグ、Mycタグ、HAタグ、Spotタグ、T7タグ、およびNEタグが挙げられるが、これらに限定されない。エピトープタグは、免疫検出を容易にするために使用され得る。
【0038】
II.CXCL9
C-X-Cモチーフケモカインリガンド9(CXCL9)は、CXCケモカインファミリーに属する小さいサイトカインである。CXCL9は、ガンマインターフェロン(MIG)によって誘発されるモノカインとしても知られている。CXCL9は、T細胞化学誘引物質であり、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の走化性動員を促進する。マウスおよびヒトのCXCL9アミノ酸配列は、それぞれ、配列番号35および配列番号58によって表される。いくつかの実施形態において、CXCL9は、(a)配列番号35もしくは58のアミノ酸配列またはそれらの機能的同等物、あるいは(b)配列番号35もしくは58のアミノ配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列、を含む。
【0039】
III.抗CTLA-4 scFv
抗CTLA-4 scFvは、CTLA-4の細胞外ドメインに親和性を有し、かつ/またはCTLA-4シグナル伝達を阻害する、抗CTLA-4単鎖可変フラグメント(scFv)を含む。scFvは、短いリンカーペプチドで接続された、免疫グロブリンの重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質を含む。例示的なマウス抗CTLA-4重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号39および43によって表される。例示的なマウス抗CTLA-4軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号37および41によって表される。
【0040】
抗CTLA-4 scFvは、ファージディスプレイから同定することができる。抗CTLA-4 scFvはまた、ハイブリドーマなどからの既知の抗CTLA-4抗体から、VHおよびVLをサブクローニングすることによって生成することができる。既知の抗CTLA-4抗体は、例えば、とりわけ、2019/0048096、2013/0136749、2012/0148597、2014/0099325、2015/0104409、2011/0296546、および2008/0233122に記載されている。既知の抗CTLA-4抗体には、イピリムマブおよびトレメリムマブが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、抗CTLA-4 scFvのVHおよび/またはVLドメインは、ヒト化することができる。ヒト化抗体(または抗体フラグメントまたはドメイン)は、タンパク質配列が、ヒトで自然に生成される抗体変異体に対するそれらの類似性を高めるために改変されている、非ヒト種に由来する抗体である。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、抗CTLA-4抗体の関連する相補性決定領域(CDR、超可変領域(HVR)とも呼ばれる)をヒトVHおよびVLドメインスキャホルドに挿入することによって作製することができる。
【0041】
抗CTLA-4 scFvは、VH鎖のC末端をVLのN末端と連結することによって形成され得る。あるいは、VLのC末端をVHのN末端に連結することができる。ペプチドリンカーは、約10から約25個のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態において、scFvペプチドリンカーは、グリシンに富む。scFvペプチドリンカーは、(G4S)xであり、xは、2~5(両端を含む)の整数であり得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、連結されたscFvペプチドは、Gly-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(すなわち、[(Gly)4Ser]3、(G4S)3、またはG4S(×3)とも呼ばれる)を含む。いくつかの実施形態において、scFvペプチドリンカーは、G4S(×3)からなる。いくつかの実施形態において、コードされた抗CTLA-4 scFvポリペプチドは、Igκシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含む。例示的な抗CTLA-4 scFvアミノ酸配列は、配列番号70および72によって表される。いくつかの実施形態において、抗CTLA-4 scFvは、(a)配列番号70もしくは72のアミノ酸配列またはそれらの機能的同等物、あるいは(b)配列番号70もしくは72のアミノ配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列、を含む。
【0042】
IV.CD3 half-BiTE
CD3 half-BiTEは、膜貫通ドメイン(TM)に融合した抗CD3単鎖可変フラグメント(scFv)を含む。scFvは、短いリンカーペプチドで接続された、免疫グロブリンの重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質を含む。例示的な抗CD3重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号8および47によって表される。例示的なマウス抗CD3軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号11および50によって表される。
【0043】
抗CD3 scFvは、ファージディスプレイから同定することができる。抗CD3 scFvはまた、ハイブリドーマなどからの既知の抗CD3抗体からVHおよびVLをサブクローニングすることによって生成することができる。既知の抗CD3抗体は、例えば、US2018/0117152、US2014/0193399、US2010/0183554、およびUS2006/0177896に記載されている。既知の抗CD3抗体には、OKT3(ムロモナブ-CD3)、145-2C11、17A2、SP7、およびUCHT1も含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、抗CD3 scFvのVHおよび/またはVLドメインは、ヒト化することができる。ヒト化抗体(または抗体フラグメントまたはドメイン)は、タンパク質配列が、ヒトで自然に生成される抗体変異体に対するそれらの類似性を高めるために改変されている、非ヒト種に由来する抗体である。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、抗CD3抗体の関連する相補性決定領域(CDR、超可変領域(HVR)とも呼ばれる)をヒトVHおよびVLドメインスキャホルドに挿入することによって作製することができる。
【0044】
抗CD3 scFvは、VH鎖のC末端をVLのN末端と連結することによって形成され得る。あるいは、VLのC末端をVHのN末端に連結することができる。ペプチドリンカーは、約10~約25個のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態において、scFvペプチドリンカーは、グリシンに富む。scFvペプチドリンカーは、(G4S)xであり、xは、2~5(両端を含む)の整数であり得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、scFvペプチドリンカーは、Gly-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(すなわち、[(Gly)4Ser]3、(G4S)3、またはG 4S(×3)とも呼ばれる)を含む。いくつかの実施形態において、scFvペプチドリンカーは、G4S(×3)からなる。
【0045】
膜貫通ドメイン(TM)は、生物学的脂質二重層(膜)に挿入され、CD3 half-BiTEを膜に固定することができるポリペプチドを含む。TMは当技術分野で知られており、典型的には非極性アミノ酸から主になる。膜貫通ドメインは、PDGFRβ膜貫通ドメインまたはPDGFRα膜貫通ドメインであり得るが、これらに限定されない(PDGFRは血小板由来成長因子受容体である)。いくつかの実施形態において、スペーサーが、抗CD3 scFvと膜貫通ドメインの間に含まれる。いくつかの実施形態において、TMドメインは、VGQDTQEVIVVPHSLPFKVVVISAILALVVLTIISLIILIMLWQKKPR(配列番号25)、AVGQDTQEVIVVPHSLPFKVVVISAILLVVLTIISLIILILWQKKPR(配列番号27)、PDGFRβ:VVISAILALVVLTVISLIILI(配列番号83)、PDGFRβ:VVISAILALVVLTIISLIILI(配列番号84)、PDGFRα:AAVLVLLVIVIISLIVLVVIW(配列番号85)、およびPDGFRα:AAVLVLLVIVIVSLIVLVVIW(配列番号86)を含む群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、TMドメインは、gtgggccaggacacgcaggaggtcatcgtggtgccacactccttgccctttaaggtggtggtgatctcagccatcctggccctggtggtgctcaccatcatctcccttatcatcctcatcatgctttggcagaagaagccacgt(配列番号24)、gctgtgggccaggacacgcaggaggtcatcgtggtgccacactccttgccctttaaggtggtggtgatctcagccatcctggccctggtggtgctcaccatcatctcccttatcatcctcatcatgctttggcagaagaagccacgt(配列番号26)、PDGFRβ:tggtgatctcagccatcctggccctggtggtgctcaccatcatctcccttatcatcctcatc(配列番号87)、PDGFRβ:gtggtgatctcagccatcctggccctggtggtgctcaccatcatctcccttatcatcctcatc(配列番号88)、PDGFRα:gctgcagtcctggtgctgttggtgattgtgatcatctcacttattgtcctggttgtcatttggaa(配列番号89)を含む群から選択される核酸配列によってコードされる。
【0046】
いくつかの実施形態において、コードされた抗CD3 half-BiTEポリペプチドは、Igκシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含む。
【0047】
例示的なCD3 half-BiTEアミノ酸配列は、配列番号60、62、74、および76によって表される。いくつかの実施形態において、CD3 half-BiTEは、(a)配列番号60、62、74、もしくは76のアミノ酸配列、またはそれらの機能的同等物、あるいは(b)配列番号60、62、74、もしくは76のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列、を含む。
【0048】
V.発現カセット
記載されるポリペプチド、CXCL9、CD3 half-BiTE、抗CTLA4 scFv、およびIL-12のいずれも、核酸でコードされ得る。核酸は、発現カセットであり得るが、これに限定されない。発現カセットは、プラスミドにあることができる。「プラスミド」という用語は、細菌ベクター、ウイルスベクター、エピソームプラスミド、組み込みプラスミド、またはファージベクターを含む任意の核酸ベクターを含む。本明細書で使用される場合、発現カセットの送達は、発現カセットを含むプラスミドまたは核酸ベクター(「発現ベクター」または「ベクター」と呼ばれる)の送達を含む。
【0049】
コードされるポリペプチドは、発現カセットにおいて、第2のポリペプチドをコードする配列に連結され得る。いくつかの実施形態において、発現カセットは、融合タンパク質をコードする。「融合タンパク質」という用語は、ペプチド結合または他の化学結合によって一緒に連結される2つ以上のペプチドを含むタンパク質を指す。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、2つのポリペプチドを含む一本鎖ポリペプチドとして組換えによって発現される。2つ以上のポリペプチドは、直接的に、または1つ以上のアミノ酸を含むリンカーを介して連結され得る。
【0050】
発現カセットまたはプラスミドは、多シストロン性発現カセットを含み得る。多シストロン性発現カセットは、同じmRNAから2つ以上の別々のタンパク質を発現し、1つ以上の翻訳修飾エレメントを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、記載される発現カセットは、単一のプロモーターから発現される2つまたは3つのポリペプチドを、1つ以上の翻訳修飾エレメントとともにコードし、2つまたは3つのポリペプチドが単一のmRNAから発現されることを可能にする。いくつかの実施形態において、発現カセットは、以下を含み、
a) P-A-T-B,
b) P-B-T-A,
c) P-B-T-B’
c) P-A-T-B-T-B’、または
d) P-B-T-B’-T-A
式中、Pは、プロモーターであり、Aは、CXCL9またはCD3 half-BiTEをコードし、BおよびB’は、サイトカインまたはサイトカインサブユニットをコードし、Tは、翻訳修飾エレメントである。
【0052】
プロモーターは、構成的に活性なプロモーター、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、または細胞型特異的プロモーターであり得るが、これらに限定されない。プロモーターの例は、例えば、WO2013/176772において見出すことができる。プロモーターには、CMVプロモーター、Igκプロモーター、mPGK、SV40プロモーター、β-アクチンプロモーター、α-アクチンプロモーター、SRαプロモーター、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス長末端反復(LTR)プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター(Ad MLP)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、およびEF1αプロモーターであり得るが、これらに限定されない。CMVプロモーターは、CMV前初期プロモーター、ヒトCMVプロモーター、マウスCNVプロモーター、およびサルCMVプロモーターであり得るが、これらに限定されない。
【0053】
いくつかの実施形態において、Tは、配列内リボソーム進入部位(IRES)エレメントまたはリボソームスキッピングモジュレーターである。リボソームスキッピングモジュレーターは、2Aエレメント(2Aペプチドまたは2A自己切断ペプチドとも呼ばれる)であり得るが、これらに限定されない。2Aエレメントは、P2A(配列番号29)、T2A、E2A、またはF2Aエレメントであり得るが、これらに限定されない。
【0054】
CXCL9は、マウスCXCL9もしくはヒトCXCL9、またはそれらの機能的同等物であり得るが、これらに限定されない。
【0055】
CD3 half-BiTEは、抗CD3 scFv-膜貫通ドメイン(TM)、エピトープタグ(ET)-抗CD3 scFv-ET-TM、ET-抗CD3 scFv-TM、抗-CD3、scFv-ET-TM、HA-抗CD3 scFv-Myc-TM、HA-抗CD3 scFv-TM、抗CD3、scFv-Myc-TM、抗CD3 scFv-TM、または抗CD3 scFv-TMであり得るが、これらに限定されない。抗CD3 scFvは、抗マウスCD3 scFvまたは抗ヒトCD3 scFvであり得る。これらの各々は、シグナルペプチドを含むことができる。シグナルペプチドは、Igκシグナルペプチドであり得るが、これに限定されない。TMは、PDGFR TMであり得るが、これに限定されない。抗CD3 scFvは、2C11またはOKT3であり得るが、これらに限定されない。
【0056】
いくつかの実施形態において、サイトカインは、免疫刺激性サイトカインである。いくつかの実施形態において、免疫刺激性サイトカインは、インターロイキンである。サイトカインには、IL-1、IL-2、IL-10、IL-12、IL-15、IL-23、IL-27、IL-35、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、およびTGF-βが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、Bおよび/またはB’は、IL-12、IL-12 p35-IL-12 p40融合、IL-12 p70、IL-12 p35、またはIL-12 p40ポリペプチドをコードする。IL-12、IL-12 p35-IL-12 p40融合、IL-12 p70、IL-12 p35、またはIL-12 p40ポリペプチドは、マウスまたはヒトIL-12、IL -12 p35-IL-12 p40融合、IL-12 p70、IL-12 p35、またはIL-12 p40ポリペプチドであり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする。
【0057】
いくつかの実施形態において、Pは、CMVプロモーターであり、Aは、CXCL9をコードし、Tは、P2Aエレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする。
【0058】
いくつかの実施形態において、Pは、CMVプロモーターであり、Aは、ヒトCXCL9をコードし、Tは、P2Aエレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする。
【0059】
いくつかの実施形態において、Pは、CMVプロモーターであり、Aは、マウスCXCL9をコードし、Tは、P2Aエレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする。
【0060】
いくつかの実施形態において、Pは、CMVプロモーターであり、Aは、Igκ-HA-抗CD3 scFv-PDGFR TM CD3 half-BiTEをコードし、Tは、P2Aエレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする。
【0061】
いくつかの実施形態において、Pは、CMVプロモーターであり、Aは、Igκ-抗CD3 scFv-PDGFR TM CD3 half-BiTEをコードし、Tは、P2Aエレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする。
【0062】
いくつかの実施形態において、Pは、CMVプロモーターであり、Aは、Igκ-HA-2C11-PDGFR TM CD3 half-BiTEをコードし、Tは、P2Aエレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする。
【0063】
いくつかの実施形態において、Pは、CMVプロモーターであり、Aは、Igκ-2C11-PDGFR TM CD3 half-BiTEをコードし、Tは、P2Aエレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする。
【0064】
いくつかの実施形態において、Pは、CMVプロモーターであり、Aは、Igκ-HA-OCT3-PDGFR TM CD3 half-BiTEをコードし、Tは、P2Aエレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする。
【0065】
いくつかの実施形態において、Pは、CMVプロモーターであり、Aは、Igκ-OKT3-PDGFR TM CD3 half-BiTEをコードし、Tは、P2Aエレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする。
【0066】
いくつかの実施形態において、Bは、IL-12 p35をコードし、Tは、P2Aエレメントであり、そしてB’は、IL-12 p40をコードする。いくつかの実施形態において、Bは、IL-12 p35をコードし、Tは、IRESエレメントであり、そしてB’は、IL-12 p40をコードする。プロモーターは、CMVプロモーターであり得るが、これに限定されない。
【0067】
いくつかの実施形態において、配列番号60、62、74、もしくは76のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号60、62、74、もしくは76のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド、をコードする発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、発現カセットは、配列番号60、62、74、または76のアミノ酸配列と70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%超の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、コードされるポリペプチドは、CD3 half-BiTEポリペプチドの機能的活性を保持する。
【0068】
いくつかの実施形態において、配列番号64、66、78、もしくは70のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号64、66、78、もしくは70のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド、をコードする発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、発現カセットは、配列番号64、66、78、または70のアミノ酸配列と70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%超の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、コードされるポリペプチドは、CD3 half-BiTEポリペプチドおよびIL-12ポリペプチドの機能的活性を保持する。
【0069】
いくつかの実施形態において、配列番号35もしくは58のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号35もしくは58のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド、をコードする発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、発現カセットは、配列番号35または58のアミノ酸配列と70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%超の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、コードされるポリペプチドは、CXCL9ポリペプチドの機能的活性を保持する。
【0070】
いくつかの実施形態において、配列番号68もしくは82のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号68もしくは82のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド、をコードする発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、発現カセットは、配列番号68または82のアミノ酸配列と70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%超の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、コードされるポリペプチドは、CXCL9ポリペプチドおよびIL-12ポリペプチドの機能的活性を保持する。
【0071】
いくつかの実施形態において、配列番号70もしくは72のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号70もしくは72のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド、をコードする発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、発現カセットは、配列番号70または72のアミノ酸配列と70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%超の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、コードされるポリペプチドは、抗CTLA-4 scFvポリペプチドの機能的活性を保持する。
【0072】
いくつかの実施形態において、配列番号59、61、73、もしくは75のヌクレオチド配列、または配列番号59、61、73、もしくは75のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含む発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、発現カセットは、配列番号59、61、73、または75のヌクレオチド配列と70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%超の同一性を有する配列を含み、CD3 half-BiTEポリペプチドの機能的活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、配列番号59、61、73、もしくは75のヌクレオチド配列、または配列番号59、61、73、もしくは75のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列は、CMVプロモーターに操作可能に連結されている。
【0073】
いくつかの実施形態において、配列番号63、65、77、もしくは79のヌクレオチド配列、または配列番号63、65、77、もしくは79のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含む発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、発現カセットは、配列番号63、65、77、または79のヌクレオチド配列と70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%超の同一性を有する配列を含み、CD3 half-BiTEポリペプチドおよびIL-12ポリペプチドの機能的活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、配列番号63、65、77、もしくは79のヌクレオチド配列、または配列番号63、65、77、もしくは79のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列は、CMVプロモーターに操作可能に連結されている。
【0074】
いくつかの実施形態において、配列番号34もしくは57のヌクレオチド配列、または配列番号34もしくは57のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含む発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、発現カセットは、配列番号34または57のヌクレオチド配列と70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%超の同一性を有する配列を含み、CXCL9ポリペプチドの機能的活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、配列番号34もしくは57のヌクレオチド配列、または配列番号34もしくは57のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列は、CMVプロモーターに操作可能に連結されている。
【0075】
いくつかの実施形態において、配列番号67もしくは81のヌクレオチド配列、または配列番号67もしくは81のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含む発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、発現カセットは、配列番号67または81のヌクレオチド配列と70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%超の同一性を有する配列を含み、CXCL9ポリペプチドおよびIL-12ポリペプチドの機能的活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、配列番号67もしくは81のヌクレオチド配列、または配列番号67もしくは81のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列は、CMVプロモーターに操作可能に連結されている。
【0076】
いくつかの実施形態において、配列番号69もしくは71のヌクレオチド配列、または配列番号69もしくは71のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含む発現カセットが記載される。いくつかの実施形態において、発現カセットは、配列番号69または71のヌクレオチド配列と70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%超の同一性を有する配列を含み、CTLA-4 scFvポリペプチドの機能的活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、配列番号69もしくは71のヌクレオチド配列、または配列番号69もしくは71のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列は、CMVプロモーターに操作可能に連結されている。
【0077】
VI.治療の方法
記載されるのは対象における腫瘍の治療のための方法であり、この方法は、有効用量のCXCL9、CD3 half-BiTE、またはCTLA-4 scFv発現カセットのうちの1つ以上の含む組成物を、腫瘍、腫瘍微小環境、および/または腫瘍縁組織に投与することと、エレクトロポレーション療法を腫瘍、腫瘍微小環境、および/または腫瘍縁組織に投与する(IT-EP療法)ことと、を含む。CXCL9またはCD3 half-BiTE発現カセットは、さらにIL-12をコードし得る。
【0078】
治療される腫瘍は、皮膚腫瘍、皮下腫瘍、または内臓腫瘍であり得る。腫瘍は、癌性または非癌性であり得る。腫瘍は、固形腫瘍、表面病変、非表面病変、体表面から15cm以内の病変、または内臓病変であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、記載される方法および発現ベクターを使用して、原発腫瘍ならびに遠隔(すなわち、未治療)腫瘍および転移を治療することができる。いくつかの実施形態において、記載される方法は、腫瘍のサイズを低減もしくは腫瘍の成長を阻害し、癌細胞の増殖を阻害し、転移を阻害もしくは低減し、転移性癌の発生を低減もしくは阻害し、かつ/または癌を有する対象における癌の再発を低減することを提供する。腫瘍は、特定のタイプの腫瘍または癌に限定されない。
【0079】
いくつかの実施形態において、本方法は、有効用量の免疫刺激性サイトカインを投与することをさらに含む。免疫刺激性サイトカインは、サイトカインをコードする発現カセットのIT-EPによって投与することができる。いくつかの実施形態において、サイトカインは、CXCL9またはCD3 half-BiTEをコードする発現カセットにコードされる。いくつかの実施形態において、サイトカインは、第2の発現ベクターにコードされ、IT-EPによって癌性腫瘍に送達される。いくつかの実施形態において、サイトカインはIL-12である。いくつかの実施形態において、発現カセットは、B-T-B’を含み、式中、Bは、IL-12 p35をコードし、Tは、P2Aエレメントであり、B’は、IL-12 p40をコードする。サイトカインは、IT-EP CXCL9療法またはIT-EP CD3 half-BiTE療法の前、同時、または後に投与され得る。
【0080】
IT-EP CXCL9療法または治療は、腫瘍、腫瘍微小環境、および/または腫瘍縁組織に、有効用量のCXCL9をコードする記載の発現カセットを注射し、腫瘍にエレクトロポレーション療法を投与することを含む。
【0081】
IT-EP IL12~CXCL9療法または治療は、腫瘍、腫瘍微小環境、および/または腫瘍縁組織に、有効用量のCXCL9およびIL-12をコードする記載の発現カセットを注射し、腫瘍にエレクトロポレーション療法を投与することを含む。
【0082】
IT-EP CD3 half-BiTE療法または治療は、腫瘍、腫瘍微小環境、および/または腫瘍縁組織に、有効用量のCD3 half-BiTEをコードする記載の発現カセットを注射し、腫瘍にエレクトロポレーション療法を投与することを含む。
【0083】
IT-EP CD3 half-BiTE~IL-12または治療療法は、腫瘍、腫瘍微小環境、および/または腫瘍縁組織に、有効用量のCD3 half-BiTEおよびIL-12をコードする記載の発現カセットを注射し、腫瘍にエレクトロポレーション療法を投与することを含む。
【0084】
IT-EP抗CTLA-4 scFv療法または治療は、腫瘍、腫瘍微小環境、および/または腫瘍縁組織に、有効用量の抗CTLA-4 scFvをコードする記載の発現カセットを注射し、腫瘍にエレクトロポレーション療法を投与することを含む。
【0085】
IT-EP IL12の治療または治療は、腫瘍、腫瘍微小環境、および/または腫瘍縁組織に、有効用量のIL-12をコードする発現カセットを注射し、腫瘍にエレクトロポレーション療法を投与することを含む。いくつかの実施形態において、IL-12をコードする発現カセットは、IL12-2A(mIL12-2AおよびhIL12-2A、
図1)を含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、記載される発現カセット、記載される発現カセットを含有するプラスミド、および方法を使用して、1つ以上の腫瘍、腫瘍細胞、または腫瘍病変を治療することができる。腫瘍細胞は、癌細胞であり得るが、これに限定されない。「癌」という用語は、一般に不適切な細胞増殖、異常または過剰な細胞増殖を特徴とする無数の疾患を含む。癌は、固形癌、肉腫、癌腫、およびリンパ腫であり得るが、これらに限定されない。癌はまた、膵臓、皮膚、脳、肝臓、胆嚢、胃、リンパ節、乳房、肺、頭頸部、喉頭、咽頭、唇、喉、心臓、腎臓、筋肉、結腸、前立腺、胸腺、精巣、子宮、卵巣、皮膚、および皮下の癌であり得るが、これらに限定されない。皮膚癌は、黒色腫および基底細胞癌であり得るが、これらに限定されない。乳癌は、ER陽性乳癌、ER陰性乳癌、およびトリプルネガティブ乳癌であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、記載される方法を使用して、細胞増殖性障害を治療することができる。「細胞増殖性障害」という用語は、形態学的および遺伝子型的の両方で周囲の組織とは異なるようにしばしば出現する悪性ならびに非悪性の細胞集団を意味する。いくつかの実施形態において、記載される方法を使用して、ヒトを治療することができる。いくつかの実施形態において、記載される方法を使用して、非ヒト動物または哺乳動物を治療することができる。非ヒト哺乳動物は、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、およびウマであり得るが、これらに限定されない。
【0087】
記載される発現カセットおよび方法は、癌または他の非癌性(良性)増殖に苦しむ対象での使用が企図される。本実施形態の方法で治療される腫瘍は、非侵襲性、侵襲性、表在性、乳頭状、平坦、転移性、限局性、単中心性、多中心性、低悪性度、および高悪性度の腫瘍のいずれかであり得る。これらの増殖は、病変、ポリープ、新生物(乳頭状尿路上皮新生物)、乳頭腫、悪性腫瘍、腫瘍(例えば、クラトスキン腫瘍、肺門腫瘍、非浸潤性乳頭状尿路上皮腫瘍、胚細胞腫瘍、ユーイング腫瘍、アスキン腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍)レイディグ細胞腫瘍、ウィルムス腫瘍、セルトリ細胞腫瘍)、肉腫、癌腫(卵形細胞癌、閉鎖上皮癌、腺癌、腺扁平上皮癌、胆管癌、肝細胞癌、浸潤性乳頭状尿路上皮癌、扁平尿路上皮癌)、しこり、または任意の他のタイプの癌性もしくは非癌性の増殖のタイプのいずれかとして現れ得る。発現カセットおよび方法を使用して、進行性、転移性、または治療抵抗性の癌を治療することができる。
【0088】
本明細書に記載の発現カセットおよび方法は、例えば、副腎皮質癌、肛門癌、胆管癌(例えば、末梢癌(periphilar)、遠位胆管癌、肝内胆管癌)膀胱癌、良性および癌性骨癌(例えば、骨腫、骨様骨腫、骨芽細胞腫、骨慢性腫、血管腫、軟骨粘液性線維腫、骨肉腫、軟骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、骨の巨大細胞腫瘍、脊索腫、リンパ腫、多発性骨髄腫)、脳および中枢神経系癌(例えば、髄膜腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣腫、神経膠腫、髄芽細胞腫、神経節神経膠腫、シュワンノーマ、胚芽腫、頭蓋咽頭腫)、乳癌(例えば、非浸潤性乳管癌、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉腺癌、非浸潤性小葉癌、女性化乳房症)、キャッスルマン病(例えば、巨大リンパ節過形成、血管濾胞性リンパ節過形成)、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌(例えば、子宮内膜腺癌、腺癌、乳頭状漿液性腺癌、明細胞)食道癌、胆嚢癌(例えば、粘液性腺癌、小細胞癌)、消化管カルチノイド(例えば、絨毛癌、破壊性絨毛腺腫)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)、喉頭および下咽頭癌、肝臓癌(例えば、血管腫、肝腺腫、限局性結節性過形成、肝細胞癌)、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌)、中皮腫、形質細胞腫、鼻腔および傍鼻副鼻腔癌(例えば、鼻腔神経芽細胞腫、正中線肉芽腫)、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔および口腔咽頭癌、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂体癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫(例えば、胎児性横紋筋肉腫、胞巣状横紋筋肉腫、多型細胞型横紋筋肉腫)、唾液腺癌、皮膚癌、黒色腫および非黒色腫皮膚癌の両方)、胃癌、精巣癌(例えば、精上皮腫、非精上皮腫胚細胞癌)、胸腺癌、甲状腺癌(例えば、濾胞癌、未分化癌、低分化癌、髄質甲状腺癌、甲状腺リンパ腫)、膣癌、外陰部癌、および子宮癌(例えば、子宮平滑筋肉腫)における使用が企図される。
【0089】
いくつかの実施形態において、対象は、低腫瘍浸潤性のリンパ球(TIL)、および/または損なわれた腫瘍IFNγシグナル伝達を有する。
【0090】
記載される方法を使用して、腫瘍の炎症化、腫瘍または腫瘍微小環境へのT細胞浸潤の誘導(腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の数の増加)、全身T細胞応答の増強、腫瘍特異的T細胞の活性化の誘発、抗原特異的T細胞応答の増加、抗原特異的T細胞の増殖の増加、ポリクローナルT細胞応答の増加、既治療および/または未治療腫瘍に対する免疫応答の増強、T細胞枯渇の減少、1つ以上の既治療または未治療の腫瘍におけるリンパ球および単球細胞表面マーカーの増加、1つ以上の既治療または未治療の腫瘍におけるINFγ調節遺伝子の腫瘍内レベルの増加、対象の血液中の増殖エフェクター記憶T細胞の増加、対象の血液中の短命エフェクター細胞の増加、癌性腫瘍における活性化されたナチュラルキラー細胞に存在する遺伝子の発現の増加、癌性腫瘍における抗原提示で機能する遺伝子の発現の増加、癌性腫瘍におけるT細胞生存およびT細胞媒介性細胞傷害性において機能する遺伝子の発現の増加、既治療および/または未治療腫瘍の退行の誘発、既治療および/または未治療腫瘍の減量の誘発、および免疫チェックポイント阻害剤療法などであるがこれに限定されない第2の療法への応答の改善、のうちの1つ以上を引き起こすことができる。いくつかの実施形態において、腫瘍に対する免疫反応の増強は、対象の生存の増加をもたらす。
【0091】
いくつかの実施形態において、記載される方法は、癌性腫瘍を有する対象を治療することを含み、癌性腫瘍に有効用量のCXCL9をコードするプラスミドを注射することと、腫瘍にエレクトロポレーション療法を投与することと、を含む。いくつかの実施形態において、記載される方法は、癌性腫瘍を有する対象を治療することを含み、癌性腫瘍に有効用量のCD3 half-BiTEをコードするプラスミドを注射することと、腫瘍にエレクトロポレーション療法を投与することと、を含む。いくつかの実施形態において、記載される方法は、癌性腫瘍を有する対象を治療することを含み、癌性腫瘍に有効用量の抗CTLA-4 scFvをコードするプラスミドを注射することと、腫瘍にエレクトロポレーション療法を投与することと、を含む。いくつかの実施形態において、プラスミドは、エレクトロポレーション治療と実質的に同時に投与される。「実質的に同時に」という用語は、分子およびエレクトロポレーション治療が、時間に関して互いに適度に接近して、すなわち、細胞における電気パルスの効果が減少する前に、投与されることを意味する。
【0092】
いくつかの実施形態において、記載される方法は、腫瘍または腫瘍微小環境におけるNK細胞およびT細胞集団の増加をもたらす。CXCL9、IL12~CXCL9、CD3 half-BiTE~IL12、および/またはCD3 half-BiTEのIT-EPは、腫瘍特異的T細胞の腫瘍へのホーミングを増加させ、腫瘍特異的T細胞の活性化および/もしくは増殖を増加させ、かつ/または、CD8+T細胞、NK細胞、およびNKT細胞の腫瘍微小環境への動員を増加させる。T細胞の活性化は、活性化されたT細胞による腫瘍細胞の死滅の増加をもたらすことができる。
【0093】
いくつかの実施形態において、IT-EPによるIL-12療法の投与は、腫瘍のT細胞浸潤を増強する。その後の腫瘍におけるCD3 half-BiTEの発現は、T細胞を活性化させ、抗原特異的T細胞の集団を増強する。
【0094】
いくつかの実施形態において、IT-EP CXCL9療法は、腫瘍特異的リンパ球の有効な輸送の増加をもたらすIL-12効果を増強する。
【0095】
いくつかの実施形態において、IT-EP CXCL9療法は、腫瘍または腫瘍微小環境における血管新生を阻害する。いくつかの実施形態において、IT-EP CXCL9をIL-12療法と組み合わせて、腫瘍特異的リンパ球の腫瘍への輸送を増加させる。
【0096】
いくつかの実施形態において、CXCL9をコードする発現カセットの腫瘍内エレクトロポレーションは、他の治療実体とともに投与することができる。いくつかの実施形態において、IT-EP CXCL9療法は、IL-12療法と組み合わされる。IL-12療法は、IT-EP CXCL9療法の前、同時、および/または後に生じ得る。IL-12療法は、IT-EP CXCL9療法の前および同時に生じ得る。IL-12療法は、IT-EP CXCL9療法の前および後に生じ得る。IL-12療法は、IT-EP CXCL9療法と同時および後に生じ得る。IL-12療法は、IT-EP CXCL9療法の前、同時、および後に生じ得る。IT-EP CXCL9療法は、IL-12療法の前、同時、および/または後に生じ得る。IT-EP CXCL9療法は、IL-12療法の前および同時に生じ得る。IT-EP CXCL9療法は、IL-12療法の前および後に生じ得る。IT-EP CXCL9療法は、IL-12療法と同時および後に生じ得る。IT-EP CXCL9療法は、IL-12療法の前、同時、および後に生じ得る。いくつかの実施形態において、IL-12療法は、IL-12をコードする発現カセットのIT-EPによって投与される。CXCL9およびIL-12は、単一の発現カセットもしくはプラスミドから、または複数の発現カセットもしくはプラスミドから発現させることができる。いくつかの実施形態において、同時療法であるIT-EP CXCL9-IL12療法では、CXCL9およびIL-12は、単一の発現カセットまたはプラスミドから発現される。
【0097】
いくつかの実施形態において、CD3 half-BiTEをコードする発現カセットの腫瘍内エレクトロポレーションは、他の治療実体とともに投与することができる。いくつかの実施形態において、IT-EP CD3 half-BiTE療法は、IL-12療法と組み合わされる。IL-12療法は、IT-EP CD3 half-BiTE療法の前、同時、および/または後に生じ得る。IL-12療法は、IT-EP CD3 half-BiTE療法の前および同時に生じ得る。IL-12療法は、IT-EP CD3 half-BiTE療法の前および後に生じ得る。IL-12療法は、IT-EP CD3 half-BiTE療法と同時および後に生じ得る。IL-12療法は、IT-EP CD3 half-BiTE療法の前、同時、および後に生じ得る。IT-EP CD3 half-BiTE療法は、IL-12療法の前、同時、および/または後に生じ得る。IT-EP CD3 half-BiTE療法は、IL-12療法の前および同時に生じ得る。IT-EP CD3 half-BiTE療法は、IL-12療法の前および後に生じ得る。IT-EP CD3 half-BiTE療法は、IL-12療法と同時および後に生じ得る。IT-EP CD3 half-BiTE療法は、IL-12療法の前、同時、および後に生じ得る。いくつかの実施形態において、IL-12療法は、IL-12をコードする発現カセットのIT-EPによって投与される。CD half-BiTEおよびIL-12は、単一の発現カセットもしくはプラスミドから、または複数の発現カセットもしくはプラスミドから発現させることができる。いくつかの実施形態において、同時療法であるIT-EP CD3 half-BiTE-IL12療法では、CD3 half-BiTEおよびIL-12は、単一の発現カセットまたはプラスミドから発現される。
【0098】
いくつかの実施形態において、IT-EP CXCL9療法は、IT-EP CD3 half-BiTE療法と組み合わされる。いくつかの実施形態において、IT-EP CXCL9および/またはIT-EP CD3 half-BiTE療法は、IL-12療法と組み合わされる。IT-EP CD3 half-BiTE療法は、IT-EP CXCL9療法の前、同時、および/または後に生じ得る。IT-EP CD3 half-BiTE療法は、IT-EP CXCL9療法の前および同時に生じ得る。IT-EP CD3 half-BiTE療法は、IT-EP CXCL9療法の前および後に生じ得る。IT-EP CD3 half-BiTE療法は、IT-EP CXCL9療法と同時および後に生じ得る。IT-EP CD3 half-BiTE療法は、IT-EP CXCL9療法の前、同時、および後に生じ得る。IT-EP CXCL9療法は、IT-EP CD3 half-BiTE療法の前、同時、および/または後に生じ得る。IT-EP CXCL9療法は、IT-EP CD3 half-BiTE療法の前および同時に生じ得る。IT-EP CXCL9療法は、IT-EP CD3 half-BiTE療法の前および後に生じ得る。IT-EP CXCL9療法は、IT-EP CD3 half-BiTE療法と同時および後に生じ得る。IT-EP CXCL9療法は、IT-EP CD3 half-BiTE療法の前、同時、および後に生じ得る。CXCL3またはCD half-BiTE療法のいずれかは、それぞれCXCL9およびIL-12、またはCD3-hallf-BiTeおよびIL-12の両方をコードする発現カセットまたはプラスミドのIT-EP(すなわち、IT-EP IL12~CXCL9およびIT-EP CD3 half-BiTE~IL12療法)などによって、IL-12療法と組み合わせることができる。
【0099】
いくつかの実施形態において、IT-EP CD3 half-BiTE療法またはIT-EP CD3 half-BiTE~IL-12療法は、IT-EP IL12療法、IT-EP CXCL9療法、およびIT-EP IL12~ CXCL9療法のうちの1つ以上と同時投与することができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、記載される発現カセットは、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わされる。薬学的に許容される賦形剤(複数可)は、医薬品有効成分(API、治療薬)以外の物質であり、API(分子)とともに意図的に含有される。賦形剤は、意図された投与量で治療効果を発揮しないか、または発揮することが意図されていない。賦形剤は、a)製造の際にAPIの処理を助け、b)APIの安定性、生物学的利用能、もしくは対象の許容性を保護、支援、もしくは増強し、c)製品の識別を補助し、および/またはd)保存もしくは使用の際にAPIの全体的な安全性、有効性、送達の任意の他の属性を増強するように作用し得る。薬学的に許容される賦形剤は、不活性物質である得るか、またはそうではないことがある。賦形剤には、吸収促進剤、付着防止剤、消泡剤、酸化防止剤、結合剤、緩衝剤、担体、コーティング剤、着色剤、送達促進剤、送達ポリマー、デキストラン、デキストロース、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、香料、流動促進剤、保湿剤、潤滑剤、油、ポリマー、保存剤、生理食塩水、塩、溶剤、糖、懸濁剤、徐放性マトリックス、甘味料、増粘剤、張性剤、ビヒクル、撥水剤、および湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
VII.治療計画/サイクル
記載されるIT-EP療法は、例えば、腫瘍の性質、対象の状態、分子のサイズおよび化学的特性、ならびに分子の半減期などの要因に応じて、様々な間隔で投与することができる。
【0102】
いくつかの実施形態において、腫瘍を治療するための方法が記載され、この方法は、IT-EP IL12療法を投与し、続いてIT-EP CXCL9および/またはIT-EP IL12~CXCL9療法を投与することを含む。IT-EP CXCLまたはIT-EP IL12~CXCL9療法は、腫瘍または腫瘍微小環境への腫瘍特異的T細胞の動員を増加させ、かつ/またはT細胞の活性化を増加させることができる。いくつかの実施形態において、IT-EP IL12療法は、0日目(±1日)に腫瘍に与えられ、IT-EP CXCL9療法は、4日目(±2日)および7日目(±2日)に腫瘍に与えられる。いくつかの実施形態において、IT-EP IL12療法は、0日目に腫瘍に与えられ、IT-EP IL12~CXCL9療法は、4日目(±2日)および7日目(±2日)に腫瘍に与えられる。
【0103】
いくつかの実施形態において、腫瘍を治療するための方法が記載され、この方法は、IT-EP IL12療法を投与し、続いてIT-EP CD3 half-BiTEおよび/またはCD3 half-BiTE-IL12療法を投与することを含む。いくつかの実施形態において、IT-EP IL12療法は、0日目(±1日)に腫瘍に与えられ、IT-EP CD3 half-BiTE療法は、4日目(±2日)および7日目(±2日)に腫瘍に与えられる。いくつかの実施形態において、IT-EP IL12療法は、0日目に腫瘍に与えられ、IT-EP CD3 half-BiTE-IL12療法は、4日目(±2日)および7日目(±2日)に腫瘍に与えられる。
【0104】
いくつかの実施形態において、腫瘍を治療するための方法が記載され、この方法は、IT-EP IL12療法、続いてIT-EP CXCLもしくはIT-EP IL12~CXCL9療法、および/またはIT-EP CD3 half-BiTEもしくはIT-EP CD3 half-BiTE~IL-12療法を含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、IT-EP IL12療法は、最初に投与されて腫瘍浸潤リンパ球を増加させる。その後、腫瘍は、IT-EP CXCL9もしくはIL12~CXCL9療法および/またはIT-EP CD3 half-BiTEもしくはIT-EP CD3 half-BiTE~IL-12療法で治療される。
【0106】
治療サイクルは、1~6回のIT-EP治療を含むことができる。いくつかの実施形態において、治療サイクルは、1、2、または3回のIT-EP治療を含む。サイクルは、約1週間~約6週間、または約2週間~約5週間であり得る。いくつかの実施形態において、サイクルは約3週間である。
【0107】
いくつかの実施形態において、サイクルは、1~3回のIT-EP治療を含む。治療は、1日目(±2日)、5日目(±2日)および/または8日目(±2日)(すなわち、0日目(±2日)、4日目(±2日)および/または7日目(±2日))に生じ得る。各治療は、IT-EP IL2、IT-EP CXCL9、IT-EP IL12~CXCL9、IT-EP CD3 half-BiTE、IT-EP CD3 half-BiTE~IL12、およびIT-EP 抗CTLA4 scFvのうちの1つ以上を含むことができる。
【0108】
いくつかの実施形態において、腫瘍を治療するための方法が記載され、この方法は、サイクルの1日目にIT-EP IL12療法を投与し、サイクルの5日目(±2日)および8日目(±2日)にIT-EP CXCL9またはIT-EP IL12~CXCL9を投与することを含む。いくつかの実施形態において、腫瘍を治療するための方法が記載され、この方法は、サイクルの1日目にIT-EP IL12療法を投与し、サイクルの5日目(±2日)および8日目(±2日)にIT-EP CD3 half-BiTE、IT-EP CD3 half-BiTE~IL12を投与することを含む。いくつかの実施形態において、腫瘍を治療するための方法が記載され、この方法は、サイクルの1日目にIT-EP IL12療法を投与し、サイクルの5日目(±2日)および8日目(±2日)にIT-EP CXCL9、IT-EP IL12~CXCL9、IT-EP CD3 half-BiTE、およびIT-EP CD3 half-BiTE~IL12のうちの1つ以上を投与することを含む。
【0109】
いくつかの実施形態において、腫瘍を治療するための方法が記載され、この方法は、a)第1のサイクルでIT-EP IL12療法を投与することと、b)第2のサイクルでIT-EP CXCL9またはIT-EP IL12~CXCL9療法を投与することと、c)第3のサイクルでIT-EP CD3 half-BiTEまたはIT-EP CD3 half-BiTE~IL-12療法を投与することと、を含む。各サイクルは、対応するIT-EP療法の1~3回の投与を含むことができる。
【0110】
IT-EP CXCL9療法および/またはIT-EP CD3 half-BiTE療法と組み合わせたIT-EP IL12療法の投与を含む投与計画が記載される。また、IT-EP CXCL9またはIL12~CXCL9療法をIT-EP CD3 half-BiTEまたはIT-EP CD3 half-BiTE~IL12療法とともに投与することを含む投薬計画が記載される。療法は、同時に、連続して、または別々に投与され得る、いくつかの実施形態において、IT-EP IL12療法は第1のサイクルで投与され、IT-EP CXCL9療法またはIT-EP IL12~CXCL9療法は第2のサイクルで投与される。いくつかの実施形態において、IT-EP IL12療法は、第1のサイクルで投与され、IT-EP CD3 half-BiTE療法またはIT-EP CD3 half-BiTE-IL12療法は、第2のサイクルで投与される。いくつかの実施形態において、IT-EP IL12療法は第1のサイクルで投与され、IT-EP CXCL9療法またはIT-EP CXCL9-IL12療法は第2のサイクルで投与され、IT-EP CD3 half-BiTE療法またはIT-EP CD3 half-BiTE-IL12療法は第3のサイクルで投与される。IT-EP療法は、各サイクルの1日目に送達され得る。サイクルのうちの1つ以上は、必要に応じて繰り返えされ得る。サイクル内で、IT-EP療法はサイクルの少なくとも1日目、2日目、または3日目に投与され得る。例えば、所与の発現カセットは、1日目、5日目(±2日)、および/または8日目(±2日)に投与され得る。
【0111】
いくつかの実施形態において、CXCL9またはIL12~CXCL9プラスIL-12発現カセットは、サイクルの1日目、5±2日目、および8±2日目に投与される。いくつかの実施形態において、CTLA-4 scFvまたは抗CTLA-4 scFvプラスIL-12発現カセットは、サイクルの1日目、5±2日目、および8±2日目に投与される。いくつかの実施形態において、CD3 half-BiTEまたはCD3 half-BiTEプラスIL-12発現カセットは、サイクルの1日目、5±2日目、および8±2日目に投与される。
【0112】
いくつかの実施形態において、CXCL9またはCXCL9プラスIL-12発現カセット(例えば、IL12~CXCL9)は、1日目および5±2日目に投与され、CD3 half-BiTEまたはCD3 half-BiTE+IL-12発現カセット(例えば、CD3 half-BiTE~IL12)は、サイクルの8±2日目に投与される。いくつかの実施形態において、CXCL9またはCXCL9プラスIL-12発現カセットは、1日目に投与され、CD3 half-BiTEまたはCD3 half-BiTE+IL-12発現カセットは、サイクルの5±2日目および8±2日目に投与される。いくつかの実施形態において、CXCL9またはCXCL9プラスIL-12発現カセットは、1日目および8±2日目に投与され、CD3 half-BiTEまたはCD3 half-BiTE+IL-12発現カセットは、サイクルの5±2日目に投与される。
【0113】
いくつかの実施形態において、CD3 half-BiTEまたはCD3 half-BiTEプラスIL-12発現カセットは、1日目および5±2日目に投与され、CXCL9またはCXCL9 プラスIL-12発現カセットは、サイクルの8±2日目に投与される。いくつかの実施形態において、CD3 half-BiTEまたはCD3 half-BiTE プラスIL-12発現カセットは、1日目に投与され、CXCL9またはCXCL9プラスIL-12発現カセットは、サイクルの5±2日目および8±2日目に投与される。いくつかの実施形態において、CD3 half-BiTEまたはCD3 half-BiTEプラスIL-12発現カセットは、1日目および8±2日目に投与され、CXCL9またはCXCL9 プラスIL-12発現カセットは、サイクルの5±2日目に投与される。
【0114】
いくつかの実施形態において、IL-12-2A発現カセットは、1日目およびに投与され、CXCL9またはIL12-CXCL9発現カセットは、サイクルの5±2日目および8±2日目に投与される。いくつかの実施形態において、IL-12-2A発現カセットは、1日目および5±2日目に投与され、CXCL9またはIL12~CXCL9発現カセットは、サイクルの8±2日目に投与される。
【0115】
いくつかの実施形態において、IL-12-2A発現カセットは1日目に投与され、CD3 half-BiTEまたはCD3 half-BiTE~IL-12発現カセットは、サイクルの5±2日目および8±2日目に投与される。 いくつかの実施形態において、IL-12-2A発現カセットは、1日目および5±2日目に投与され、CD3 half-BiTEまたはCD3 half-BiTE~IL-12発現カセットは、サイクルの8±2日目に投与される。
【0116】
いくつかの実施形態において、IL12-2A発現カセットは1日目に投与され、CD3 half-BiTEまたはCD3 half-BiTE~IL-12発現カセットは、5±2日目に投与され、CXCL9またはIL12~CXCL9発現カセットは、サイクルの8±2日目に投与される。いくつかの実施形態において、IL-12-2A発現カセットは1日目に投与され、CXCL9またはIL12~CXCL9発現カセットは、5±2日目に投与され、CD3 half-BiTEまたはCD3 half-BiTE~IL-12発現カセットは、サイクルの8±2日目に投与される。
【0117】
いくつかの実施形態において、対象は、IT-EP IL-12~CXCL9療法またはIT-EP CD3 half-BiTE~IL12療法のいずれかが0日目、4日目(±2日)および7日目(±2日)に投与されるが、ただし対象は、少なくとも1回のIL-12~CXCL9を用いたIT-EP治療および1回のCD3 half-BiTE~IL12を用いたIT-EP治療を受ける。
【0118】
いくつかの実施形態において、治療は、すべてのサイクルまたはサイクルおきに投与することができる。2回以上のサイクルが対象に投与されるように、サイクルを繰り返し得る。繰り返されるサイクルは、連続して投与されるか、1つ以上の異なる治療サイクルと交互にされるか、または1つ以上の異なる治療サイクルと同時に実行され得る。上記に記載の治療法のいずれも、他の癌療法と組み合わせることができる。たとえば、IT-EPサイクルは、チェックポイント阻害剤療法と組み合わせることができる。
【0119】
VIII.併用療法
いくつかの実施形態において、治療法は、併用療法を含む。併用療法は、治療用分子または治療の組み合わせを含む。治療処置には、電気パルス(すなわち、エレクトロポレーション)、放射線、抗体療法、チェックポイント阻害剤療法、および化学療法が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、併用療法の投与は、エレクトロポレーションのみによって達成される。いくつかの実施形態において、併用療法の投与は、エレクトロポレーションおよび全身送達の組み合わせによって達成される。いくつかの実施形態において、併用療法の投与は、エレクトロポレーションおよび放射線の組み合わせによって達成される。いくつかの実施形態において、併用療法の投与は、エレクトロポレーションおよび経口投薬の組み合わせによって達成される。治療的エレクトロポレーションは、1つ以上の追加の治療処置と組み合わせるか、または一緒に投与することができる。1つ以上の追加の治療薬は、全身送達、腫瘍内注射、エレクトロポレーションを伴う腫瘍内注射、および/または放射線によって送達することができる。1つ以上の追加の治療薬は、CXCL9および/またはCD3 half-BiTEエレクトロポレーション療法の前、同時、または後に投与することができる。
【0120】
いくつかの実施形態において、記載されるような癌を治療する方法は、IT-EP療法は、1日目、1日目および5日目(±2日)、1日目および8日目(±2日)、または1日目、5日目(±2日)、および8日目(±2日)に投与し、追加の治療処置は、3~6週間サイクルの1日目に投与すること含む。いくつかの実施形態において、記載されるような癌を治療する方法は、IT-EP療法は、1サイクルおき(すなわち、6週間ごと)の1日目、1日目および5日目(±2日)、1日目および8日目(±2日)、または1日目、5日目(±2日)、8日目(±2日)に投与し、追加の治療処置は、各3週間サイクルの1日目(すなわち、3週間ごと)に投与することを含む。いくつかの実施形態において、追加の治療処置は、チェックポイント阻害剤を含む。
【0121】
IX.エレクトロポレーション(EP)療法
エレクトロポレーション療法は、少なくとも1個のエレクトロポレーションパルスを細胞、組織、または腫瘍に投与することを含む。エレクトロポレーション療法は、哺乳動物対象における使用に好適である任意の既知のエレクトロポレーションデバイスを使用して実施することができる。記載される発現カセットは、電気パルスの投与前、投与中、または投与後に対象に投与することができる。発現カセットは、対象における腫瘍に、またはその近辺に投与することができる。記載される発現カセットは、皮下注射針を使用して腫瘍に注射することができる。
【0122】
いくつかの実施形態において、エレクトロポレーション療法は、1個以上の電圧パルスの投与を含む。生成される電場の性質は、組織の性質、選択される組織のサイズ、およびその位置によって決定される。腫瘍に送達することができる電圧パルスは、約100V/cm~約1500V/cmであり得る。いくつかの実施形態において、電圧パルスは、約700V/cm~1500V/cmである。いくつかの実施形態において、電圧パルスは、約600V/cm、650V/cm、700V/cm、750V/cm、800V/cm、850V/cm、900V/cm、950V/cm、1000V/cm、1050V/cm、1100V/cm、1150V/cm、1200V/cm、1250V/cm、1300V/cm、1350V/cm、1400V/cm、1450V/cm、または1500V/cmであり得る。いくつかの実施形態において、電圧パルスは、約10V/cm~700V/cmである。いくつかの実施形態において、電気は、約100V/cm、150V/cm、200V/cm、250V/cm、300V/cm、350V/cm、または400V/cm、450V/cm、500V/cm、550V/cm、600V/cm、650V/cm、または700V/cmである。
【0123】
エレクトロポレーションパルスのパルス持続時間は、10μ秒~1秒であり得る。いくつかの実施形態において、パルス持続時間は、約10μ秒~約100ミリ秒(ms)である。いくつかの実施形態において、パルス持続時間は、100μ秒、1ms、10ms、または100msである。パルスセット間の間隔は、1秒などの任意の所望の時間であり得る。波形、電場強度、およびパルス持続時間はまた、細胞のタイプおよびエレクトロポレーションを介して細胞に入る分子のタイプに依存し得る。
【0124】
パルス発生器によって提供される電気信号の波形は、指数関数的に減衰するパルス、方形パルス、単極振動パルス列、双極振動パルス列、またはこれらの形態のいずれかの組み合わせであり得る。方形波エレクトロポレーションシステムは、設定電圧まで急速に上昇し、設定時間(パルス長)の間そのレベルに留まり、その後直ちにゼロに低下する制御された電気パルスを送達する。
【0125】
1~100個のパルスが、投与され得る。いくつかの実施形態において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のパルスが、投与される。いくつかの実施形態において、6個のパルスが投与される。いくつかの実施形態において、6×0.1m秒のパルスが投与される。いくつかの実施形態において、6個のパルスが投与される。いくつかの実施形態において、6×0.1m秒のパルスは、1300~1500V/cmで投与される。いくつかの実施形態において、8個のパルスが、投与される。いくつかの実施形態において、8×10m秒のパルスが、投与される。いくつかの実施形態において、8×10m秒のパルスは、300~500V/cmで投与される。
【0126】
エレクトロポレーションデバイスは、単一の針電極、一対の針電極、または複数またはアレイの針電極を含むことができる。いくつかの実施形態において、エレクトロポレーションデバイスは、皮下注射針または同等物を含む。いくつかの実施形態において、エレクトロポレーションデバイスは、ユーザ制御およびパルスパラメータの入力に基づいて、アレイ内の電極間に一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを生成することができる動電学的デバイス(「EKDデバイス」)を含むことができる。
【0127】
記載される化合物、組成物、および方法とともに使用するために好適であるエレクトロポレーションデバイスには、米国特許第7245963号、同第5439440号、同第6055453号、同第6009347号、同第9020605号、および同第9037230号、ならびに米国特許公開第2005/0052630号、同第2019/0117964号、および特許出願第PCT/US2019/030437号および米国特許出願第16/269,022号に記載されたものが含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
実施形態のリスト:
1.発現カセットであって、CD3 half-BiTEをコードする第1のヌクレオチド配列を含み、CD3 half-BiTEは、抗CD3 scFvおよび膜貫通ドメインを含み、膜貫通ドメインは、抗CD3 scFvのC末端に連結されている、発現カセット。
【0129】
2.第1のヌクレオチド配列は、プロモーターに操作可能に連結されている、実施形態1に記載の発現カセット。
【0130】
3.プロモーターは、CMVプロモーター、mPGK、SV40プロモーター、β-アクチンプロモーター、SRαプロモーター、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス長末端反復(LTR)プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター(Ad MLP)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、およびEF1αプロモーターからなる群から選択される、実施形態2に記載の発現カセット。
【0131】
4.抗CD3 scFvは、OKT3(ムロモナブ-CD3)、145-2C11、17A2、SP7、またはUCHT1抗体のVHおよびVLドメインのCDR領域を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0132】
5.抗CD3 scFvは、OKT3(ムロモナブ-CD3)、145-2C11、17A2、SP7、もしくはUCHT1、またはそれらのヒト化型のVFおよびVLドメインを含む、実施形態4に記載の発現カセット。
【0133】
6.膜貫通ドメインが、PDGFRα膜貫通ドメインおよびPDGFRβ膜貫通ドメインからなる群から選択される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0134】
7.第1のヌクレオチド配列は、配列番号60、62、74、もしくは76のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号60、62、74、もしくは76と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする、実施形態1~6のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0135】
8.第1のヌクレオチド配列は、配列番号59、61、73、もしくは75のヌクレオチド配列、または配列番号59、61、73、もしくは75と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0136】
9.IL-12をコードする第2のヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態2~8のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0137】
10.IL-12をコードする第2のヌクレオチド配列は、IL-12 p35をコードする第1のコード配列およびIL-12 p40をコードする第2のコード配列を含む、実施形態9に記載の発現カセット。
【0138】
11.発現カセットは、以下によって表される式を含み、
P - A - T - B - T - B’
式中、Pは、プロモーターであり、Aは、CD3 half-BiTEをコードし、Tは、翻訳修飾エレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする、実施形態10に記載の発現カセット。
【0139】
12.Tは、P2Aペプチド、T2Aペプチド、E2Aペプチド、およびF2Aペプチドからなる群から選択される2Aペプチドをコードする、実施形態11に記載の発現カセット。
【0140】
13.Aは、配列番号60、62、74、もしくは76のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号60、62、74、もしくは76と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードし、Bは、配列番号31もしくは53のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号31もしくは53と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードし、B’は、配列番号33もしくは56のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号33もしくは56と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードする、実施形態12に記載の発現カセット。
【0141】
14.Aは、配列番号59、61、73、もしくは75のヌクレオチド配列、または配列番号59、61、73、もしくは75のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を有するヌクレオチド配列、を含み、Bは、配列番号30、51、もしくは52のヌクレオチド配列、または配列番号30、51、もしくは52のヌクレオチド配列と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含み、B’は、配列番号32、54、もしくは55のヌクレオチド配列、または配列番号32、54、もしくは55のヌクレオチド配列と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含む、実施形態12に記載の発現カセット。
【0142】
15.第1のヌクレオチド配列は、配列番号64、66、78、もしくは80のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号64、66、78、もしくは80と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする、実施形態1~14のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0143】
16.発現カセットは、配列番号63、65、77、もしくは79の配列、または配列番号63、65、77、もしくは79のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を有するヌクレオチド配列、を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0144】
17.発現カセットは、抗CD3 scFvのN末端またはC末端のいずれかに連結されたタグ配列をさらにコードする、実施形態1~14のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0145】
18.タグ配列は、HAタグおよびMycタグからなる群から選択される少なくとも1つのタグ配列を含む、実施形態17に記載の発現カセット。
【0146】
19.実施形態1~18のいずれか1つに記載の発現カセットを含む、CD3 half-BiTEを発現するための、プラスミド。
【0147】
20.膜貫通ドメインに融合した抗CD3単鎖可変フラグメント(scFv)を含む、CD3 half-BiTE。
【0148】
21.癌の治療における使用のための、実施形態1~18のいずれか1つに記載の発現カセットまたは実施形態19に記載のプラスミド。
【0149】
22.以下によって表される式を含む発現カセットであって、
P - B - T - B’ - T - A
式中、Pは、プロモーターであり、Aは、CXCL9をコードし、Tは、翻訳修飾エレメントであり、Bは、IL-12 p35をコードし、B’は、IL-12 p40をコードする、発現カセット。
【0150】
23.Tは、P2Aペプチド、T2Aペプチド、E2Aペプチド、およびF2Aペプチドからなる群から選択される2Aペプチドを含む、実施形態22に記載の発現カセット。
【0151】
24.Aは、配列番号35もしくは58のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号35もしくは57と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードし、Bは、配列番号31もしくは53のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号31もしくは53と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードし、B’は、配列番号33もしくは56のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号33もしくは56と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードする、実施形態22もしくは23に記載の発現カセット。
【0152】
25.Aは、配列番号34もしくは57のヌクレオチド配列、または配列番号34もしくは57のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を有するヌクレオチド配列、を含み、Bは、配列番号30、51、もしくは52のヌクレオチド配列、または配列番号30、51、もしくは52のヌクレオチド配列と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含み、B’は、配列番号32、54、もしくは55のヌクレオチド配列、または配列番号32、54、もしくは55のヌクレオチド配列と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列、を含む、実施形態22~24のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0153】
26.発現カセットは、配列番号68もしくは82のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号68もしくは82と少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド、をコードする、実施形態22~25のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0154】
27.発現カセットは、配列番号67もしくは81のヌクレオチド配列、または配列番号67もしくは81のヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、72%、75%、78%、80%、82%、83%、85%、87%、88%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を有するヌクレオチド配列、を含む、実施形態22~26のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0155】
28.CXCL9およびIL-12を発現するためのプラスミドであって、実施形態22~27のいずれか1つに記載の発現カセットを含む、プラスミド。
【0156】
29.癌の治療における使用のための、実施形態22~27のいずれか1つに記載の発現カセットまたは実施形態28に記載のプラスミド。
【0157】
30.癌の治療における使用のための、CD3 half-BiTEをコードする発現カセットおよびCXCL9をコードする発現カセットであって、発現カセットは、腫瘍内エレクトロポレーション療法のために製剤化される、発現カセット。
【0158】
31.腫瘍を有する対象を治療する方法であって、有効用量の実施形態19または28に記載の少なくとも1つのプラスミドを腫瘍に注射することと、エレクトロポレーション療法を腫瘍に投与することと、を含む、方法。
【0159】
32.エレクトロポレーション療法は、約100マイクロ秒から約1ミリ秒の持続時間にわたる少なくとも1個の電圧パルスの投与を含む、実施形態31に記載の方法。
【0160】
33.エレクトロポレーション療法は、1~6個の電圧パルスの投与を含む、実施形態32に記載の方法。
【0161】
34.1~10個の電圧パルスは、約200V/cm~約1500V/cmの場強度を有する、実施形態32または33に記載の方法。
【0162】
35.少なくとも1つのプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、1日目と、5±2日目と、8±2日目と、に投与される、実施形態31~34のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
36.
(a)実施形態19に記載のプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、1日目と、5±2日目と、に投与され、実施形態28に記載のプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、8±2日目に投与され、
(b)実施形態19に記載のプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、1日目と、8±2日目と、に投与され、実施形態28に記載のプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、5±2日目に投与され、
(c)実施形態19に記載のプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、5±2日目と、8±2日目と、に投与され、実施形態28に記載のプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、1日目に投与され、
(d)実施形態28に記載のプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、1日目と、5±2日目と、に投与され、実施形態19に記載のプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、8±2日目に投与され、
(e)実施形態28に記載のプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、1日目と、8±2日目と、に投与され、実施形態19に記載のプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、5±2日目に投与され、
(f)実施形態28に記載のプラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、5±2日目と、8±2日目と、に投与され、実施形態19に記載の前プラスミドは、腫瘍に注射され、エレクトロポレーション療法は、1日目に投与される、実施形態31~34のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
37.対象に少なくとも1つの追加の療法を投与することをさらに含む、実施形態31~36のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
38.本方法は、腫瘍浸潤リンパ球の増加、腫瘍特異的T細胞の活性化および/または増殖の増加、治療される腫瘍の退行、ならびに1つ以上の未治療腫瘍の退行のうちの1つ以上を生じる、実施形態31~37のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
39.少なくとも1つの追加の療法は、IT-EP抗CLTA-4 scFv療法を投与することを含む、実施形態37に記載の方法。
【0167】
40.腫瘍を有する対象を治療する治療のための方法であって、有効用量の抗CTLA-4 scFvをコードする少なくとも1つのプラスミドを腫瘍に注射することと、エレクトロポレーション療法を腫瘍に投与することと、を含む、方法。
【0168】
41.本方法は、IT-EP IL12療法、IT-EP CXCL9療法、IT-EP IL12~CXCL9療法、IT-EP CD3 half-BiTE療法、およびIT-EP CD3 half-BiTE~IL12療法のうちの1つ以上をさらに含む、実施形態40に記載の方法。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【0169】
本発明は、理解を明確にする目的で詳細に説明されているが、特定の修正は、添付の特許請求の範囲内で実施され得る。本出願で引用されるすべての刊行物、登録番号、ウェブサイト、特許文書などは、各々がそのように個別に示された場合と同じ範囲まで、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。異なる情報が異なる時点での引用に関連付けられる範囲まで、情報は、本出願の有効な出願日のものとして提供される。文脈から他に明らかでない限り、本発明の任意の要素、実施形態、ステップ、特徴、または態様は、他のものと組み合わせて実行することができる。
【実施例】
【0170】
CXCL9
実施例1.CXCL9プラスミド構築。マウスCXCL9(mCXCL9)またはヒトCXCL9(hCXCL9)核酸配列は、標準的な分子生物学技術を使用して発現ベクターにクローニングした。あるいは、mCXCL9またはhCXCL9をマウス(mIL12-2A)またはヒト(hIL12-2A)IL12 p35-P2A-IL12 p40の下流にクローニングして、mIL12~mCXCL9およびhIL12~hCXCL9を得た(
図1A~B_。IL12 p35-P2A-IL12 p40構築体は、基本的にWO2017/106795またはWO2018/229696に記載されるように作製された。
【0171】
得られたプラスミドは、IL-12 p35、IL-12 p40、CXCL9を含み、すべて同じプロモーターから発現され、エクソンスキッピング(P2A)モチーフが介在して、3つのタンパク質すべてを単一の多シストロン性メッセージから発現させることを可能にした。同様の方法を使用して、mCXCL9~mCherryを作製した。
【0172】
実施例2.タンパク質発現。mIL12-2A、mCXCL9、およびmIL12~mCXCL9発現ベクターをインビトロでHEK293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの96時間後、上清を収集し、IL12およびCXCL9タンパク質発現をELISAによってアッセイした。
図2に示される結果は、発現が、mIL12~mCXCL9発現ベクターでトランスフェクトされた細胞において減少したが、検出可能なレベルのIL12およびCXCL9の両方が産生されたことを示す。
図27は、hIL-12~hCXCL9発現ベクターでトランスフェクトされた細胞における高レベルの分泌されたhIL12およびhCXCL9を示す。
【0173】
同様に、hIL12-2A、hCXCL9、およびhIL12~hCXCL9発現ベクターをインビトロでHEK293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの96時間後、上清を収集し、IL12およびCXCL9タンパク質発現をELISAでアッセイした。hIL12は、hIL12-2A(1.59μg/mL)およびhIL12~hCXCL9(1.37μg/mL)発現ベクターの両方からほぼ等しく発現された(
図10A)。hCXCL9発現ベクターでトランスフェクトされた細胞(5.19μg/mL)と比較して、減少したが、それでもかなりのレベルのhCXCL9がhIL12~hCXCL9発現ベクターでトランスフェクトされた細胞(1.75μg/mL)で発現された(
図10B)。
【0174】
mIL12~mCXCL9発現ベクターから産生されたmIL12タンパク質をさらに活性について試験した。mIL12-2AまたはmIL12~mCXCL9発現ベクターでトランスフェクトされた細胞から産生されたmIL12を、HEK-Blue IL-12細胞とともにインキュベートした。HEK-Blue IL-12細胞を使用して、生物活性のあるヒトおよびマウスIL-12を検出する。HEK-Blue IL-12細胞を使用して、組換えネイティブまたは操作されたヒトまたはマウスIL-12の機能を検証する。機能的なIL-12は、HEK-Blue IL-12細胞におけるIL-12受容体に結合し、STAT-4経路およびSTAT4誘導性SEAPレポーター遺伝子を活性化する。次に、SEAP発現をアッセイする。応答比は、治療された細胞の630nmでのODを、未治療の細胞の630nmでのODで除することによって計算した。
図3に示される結果は、mIL12-2AまたはmIL12~mCXCL9発現ベクターのいずれかから産生されたIL-12は、機能的であることを実証する。
【0175】
同様に、hIL12~hCXCL9発現ベクターから産生されたhIL12タンパク質もまた、活性について試験した。hIL12~hCXCL9発現ベクターでトランスフェクトされた細胞から産生されたhIL12を、HEK-Blue IL-12細胞とともにインキュベートした。
図11に示される結果は、hIL12-2A発現ベクターから産生されたIL-12が、機能的であることを実証する。
【0176】
実施例3.インビトロでのT細胞のCXCL9誘導性遊走。哺乳動物(HEK293)細胞をCXCL9発現ベクター(CXCL9またはIL12~CXCL9)によってトランスフェクトした。OT-Iマウス脾細胞に1μg/mLのSIINFEKLペプチドを24時間パルスし、次いで72時間回復させた。次に、CXCL9をトランスフェクトした細胞を、5.0ミクロンの孔を有するポリカーボネート膜に通してSIINFEKLパルス化OT-I脾細胞の走化性の誘導についてアッセイした。遊走指数は、観察された走化性細胞の数として定義され、OptiMEM陰性コントロールにおいて膜を通って受動的に遊走した細胞の数に基準化した。結果を
図4A、4B、および4Cに示す。mCXCL9およびmIL12~mCXCL9発現ベクターから産生されたmCXCL9は、走化性細胞においてそれぞれ約7倍および約3倍の増加を引き起こした。走化性の増加は、CXCL9中和抗体の添加によって阻害され、効果がmCXCL9に依存していることを示した。
【0177】
実施例4.mCXCL9のインビトロ発現。CT-26(結腸癌腫)腫瘍をマウスに移植した。その後、腫瘍をIT-EPpUMCV3コントロールベクターまたはIT-EP mCXCL9発現ベクターで治療した。IT-EPの48時間後、腫瘍をホモジナイズし、ELISAによってCXCL9発現についてアッセイした(DuoSet ELISA DY392、n=3、*P<0.05、ウェルチ補正を伴うT検定)。
図5の結果は、IT-EPで治療された腫瘍が、CXCL9を発現したことを示す。
【0178】
実施例5.mIL12-2AおよびmCXCL9で治療されたマウスの腫瘍退行。マウスに腫瘍細胞を移植した。麻酔をかけたマウスに、細胞を右および/または左脇腹に皮下注射した。腫瘍の成長は、平均腫瘍体積が約100mm3に達するまで、デジタルノギス測定によってモニタリングした。
【0179】
腫瘍は、0日目にIT-EPコントロールベクターまたはIT-EP IL12-2A発現ベクターによって、4日目および7日目にIT-EPコントロールベクターまたはIT-EP CXCL9(任意選択的にmcherryレポートタンパク質を添加)によって、治療された。腫瘍体積および生存率をモニタリングした。一次および対側の総腫瘍量が2000mm3に達したとき、マウスを安楽死させた。
【0180】
図6に示されるデータは、IT-EP mIL12-2AプラスmCXCL9療法で治療されたマウスが、未治療のマウス、コントロールビヒクルで治療されたマウス、またはIT-EPmIL12-2Aのみで治療されたマウスと比較して、生存率の増加を示したことを示す。IT-EP mIL12-2AプラスmCXCL9~mCherry療法で治療された腫瘍担持マウスも、一次(既治療)および対側(未治療)の腫瘍進行の減少を示した(
図7A~B)。
【0181】
実施例6.IT-EP IL12-2A+IT-EP CXCL9は、抗原特異的CD8および短命エフェクター細胞(SLEC)の全身拡張を促進する。-8日目に、マウスに上記のように腫瘍を移植した。0日目に、腫瘍はIT-EP mIL12-2Aで治療された。4日目と7日目に、マウスを上記のようにIT-EPを使用してコントロールプラスミドまたはmCXCL9(n=3/群)で治療した。9日目に脾臓を採取し、CD3
+CD8
+細胞をFACSによって分析した。
図8は、CD3
+T細胞集団が、IL12-2A+CXCL9によって治療されたマウスにおいて有意に増加したことを示す。AH1+CD8+T細胞数の増加倍率を
図9に示す。
【0182】
実施例7.腫瘍内CXCL9はIL-12と相乗作用して、腫瘍の微小環境を調節し、抗原特異的T細胞を拡張し、コントロール対側の腫瘍増殖を制御する。マウスモデルを使用して、エレクトロポレーション後の腫瘍内発現を評価した。
【0183】
CT26腫瘍は、-7日目にマウスに移植した。NanoString分析およびフローベースアッセイでは、単一の腫瘍モデルを使用した。マウスは、1日目に最適以下の用量のIL12-2AによるIT-EPで治療し、続いて4日目および7日目に100μgのmCXCL9またはpUMVC3のいずれかを使用するIT-EPで治療された。次に、腫瘍および免疫応答をモニタリングした。腫瘍および脾細胞は、NanoStringおよびフローベースの分析のために、最後のEPの2日後(つまり、9日目)に採取された。あるいは、腫瘍体積は、退行/生存試験のために、週に3回測定された。エレクトロポレーションしたCT26病変における遺伝子発現の変化は、NanoString nCounter(登録商標)テクノロジーによって評価された。mCXCL9の腫瘍内発現は、CT26腫瘍担持マウスからの腫瘍溶解物における、エレクトロポレーションの48時間後のmCXCL9について、ELISAを使用して確認した(n=3、*P<0.05、ウェルチ補正を伴うT検定)。
【0184】
各遺伝子のp値およびlog2倍率変化を表すボルケーノプロットは、CXCL9単独またはIL12-2Aと組み合わせたCXCL9で治療されたマウスで生成された(
図28A)。細胞型スコアの分析は、CXCL9またはIL12-2Aのいずれかによる治療に応答して、細胞傷害性免疫細胞の増加を示した。CXCL9をIL12-2Aと組み合わせて投与した場合、細胞傷害性免疫細胞スコアにおける相乗的な増加がさらに認められた。「細胞傷害性免疫細胞」細胞型スコアを
図28Bに示す。
【0185】
フローサイトメトリー分析を使用して、治療されたマウスにおける脾細胞を分析した。抗原特異的AH1+CD8+T細胞は、テトラマー分析(Immudex)を介して測定された。細胞は、シングレット<生存<CD3+CD4-脾細胞でゲーティングされる(
図8)。AH1+CD8+T細胞数における増加倍率を、空ベクターコントロールと比較した(3~5匹/群でのN=2の独立した実験、*P<0.05、**P<0.005、一元配置分散分析)。コントロールプラスミドのみで治療されたマウスでは、AH1テトラマーの0.79%はCD8+であった。IT-EP IL12-2Aで治療されたマウスでは、AH1テトラマーの1.43%はCD8+であった。IT-EP IL12-2AおよびCXCL9で治療されたマウスでは、AH1テトラマーの3.22%はCD8+であった。AH1+CD8+T細胞数の増加倍率を
図9に示す。
【0186】
結果は、IT-EP CXCL9が、最適以下の用量のIT-EP IL12-2Aで前に治療された動物の抗腫瘍免疫応答を実質的に増強することができることを示す。
【0187】
CD3 half-BiTE
実施例8.Half-BiTE発現カセットは、CXCL9プラスミドの生成について上記されたものと同様の方法で作製された(
図12Aおよび12B)。
【0188】
実施例9.タンパク質発現。OKT3 scFvおよび2C11 scFv、発現ベクターを、インビトロでHEK293細胞にトランスフェクトした。HA-2C11 scFvおよびHA-2C11 scFv~mIL12を、B16-F10腫瘍細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、上清を収集し、タンパク質をゲル電気泳動によって分離した。CD3 scFv、カドヘリン(膜タンパク質)、およびHsp90は、ウエスタンブロット分析によって検出した。
図13に示される結果は、発現ベクターがCD3 scFvタンパク質を発現したことを示す。CD3 scFvタンパク質は、主に膜画分に局在した。発現ベクター
【0189】
HA-OKT3 scFv、OKT3 scFv~hIL12発現ベクターを、インビトロでHEK293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの72時間後、細胞をFACSで分析してCD3 scFvを検出した(
図14A~C)。HA-2C11 scFvおよびHA-2C11 scFv~mIL12発現ベクターを、B16-F10細胞にトランスフェクトした。細胞をFACSによって分析して、CD3 scFvの表面発現を検出した(
図14D)。IL12-2AおよびHA-2C11 scFv~mIL12発現ベクターからのIL12の発現を
図14Eに示す。
【0190】
HA-OKT3 scFv~hIL12およびOKT3 scFv~hIL12発現ベクターを、インビトロでHEK293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの72時間後、細胞の上清を収集し、IL12 p70についてELISAによってアッセイした。結果によって、HA-OKT3 scFv~hIL12およびOKT3 scFv~hIL12発現ベクターでトランスフェクトされた細胞が、hIL12 p70を発現して分泌することが確証される(
図15)。
【0191】
インビボ発現:マウスを、B16F10黒色腫細胞または4T1乳癌細胞によって-7日目に接種した。0日目に、腫瘍を、IT-EP HA-2C11 scFv~hIL12で治療された(
図16)。
図16A~Bは、CD3 half-BiTEが、IT-EP後に、黒色腫および乳癌腫瘍の表面に発現されることを示す。
図16Cは、HA-OKT3 scFv~hIL12のIT-EP後に、発現ベクターはIL-12も発現することを示す。
【0192】
実施例10.インビトロ機能アッセイ。B16F10細胞を、組換えマウスIL12の添加または無添加で、コントロールベクターおよび2C11 scFv発現ベクターによってインビボでトランスフェクトした。次に、トランスフェクトしたB16F10細胞を、ナイーブマウス脾細胞とともに23、48、または72時間共培養した。共培養後、上清をIFNγについてアッセイし、細胞増殖をFACSによって評価した。プレートに結合した抗CD3を、陽性コントロールとして使用した。
図17に示される結果は、脾細胞が2C11 scFvを発現するB16F10と共培養された場合、IFNγ発現が実質的に増加したことを示す。FACS分析を実施して、ナイーブマウス脾細胞を、組換えマウスIL12の添加もしくは無添加でコントロールベクター(Tfxコントロール)、2C11 scFv発現ベクターによってインビボでトランスフェクトしたB16F10細胞とともに、またはプレート結合抗CD3(陽性コントロール)とともに共培養した後に、CFSE標識CD3+CD45+T細胞の増殖を分析した(
図18)。
【0193】
実施例11.インビボ機能アッセイ。-9日目に、B16-OVA細胞をマウスに移植した(n=8/群)。0日目に、腫瘍は、2C11 scFv発現ベクターまたは空ベクター(陰性コントロール)を用いたIT-EPによって治療された。0日目に、マウスにまた、OT-1(GFP)CD8
+細胞T細胞およびナイーブマウスリンパ球の1:1混合物とともに、養子移入によって移植した。5日目に、脾臓および流入領域リンパ節(DLN)における養子移入T細胞の増殖を、FACSによって試験した。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)における内因性T細胞集団およびSIINFEKL発現も、FACSによって試験した。DLNにおけるポリクローナルT細胞増殖の増加が、IT-EP 2C11 scFvで治療されたマウスで観察された(
図19)。OT-1およびポリクローナルT細胞集団の増加も、IT-EP 2C11 scFvで治療されたマウスの脾細胞で観察された。TIL中のCD45.1+生細胞におけるCD8+T細胞の増加が、2C11 scFv IT-EPで治療されたB16-OVA腫瘍モデルマウスで観察された(
図20)。TILにおける抗原特異的(SIINFEKL+)CD8+T細胞の増加が、
図21、2C11 scFv IT-EPで治療されたB16-OVA腫瘍モデルマウスで観察された。結果は、2C11を用いたIT-EPが、ポリクローナルT細胞の増殖、および腫瘍における増強された腫瘍特異的T細胞応答をもたらすことを示す。
【0194】
実施例12.インビボ細胞傷害性T細胞死滅化アッセイ。リンパ球をナイーブマウスから採取し、CFSEで標識した。次に、標識リンパ球をOVAペプチドによってパルスしてT細胞を活性化するか(CFSEhi、治療済み)、または未治療のままにした(CFSElo、未パルス化)。CFSEhiおよびCFSEloのリンパ球を、腫瘍担持マウスへの投与のために約1:1の比で混合した。
【0195】
-7日目に、マウスは、B16-OVA腫瘍細胞(オボアルブミンを発現するB16黒色腫細胞)を、c57/bl/6マウスの脇腹に移植した。1日目に、マウスを、IT-EP抗2C11 scFvまたは空ベクター(pUMVC3)で治療した。2日目に、マウスに、養子移入によって、パルス化標的細胞(1μM CFSE(5(6)-カルボキシフルオレセインN-ヒドロキシスクシンイミジルエステル)で標識された2μg/mlのSIINFEKLペプチドによってパルスされた細胞)および非パルス化細胞を、養子移入によって投与した。養子移入の18時間後、脾臓および流入領域リンパ節を採取して分析した。
【0196】
ウエスタンブロット分析は、腫瘍がCD3 half-BiTEを発現したことを示した。3日目に、養子移入の18時間後、DLNを単離した。次いで、DLNは、CFSE
loおよびCFSE
hi細胞の存在についてFACSによって分析された。
図22に示される結果は、CFSE
hi細胞数の実質的な減少を示し、OVAペプチドを提示する細胞の抗原特異的死滅を示した。減少は、以下の式を使用して定量化された。
【数1】
【数2】
結果は
図23に示され、脾細胞(SP)およびDLNの両方におけるCFSE
hi細胞の溶解における増加を示す。CFSE細胞のFACS分析を
図24に示す。コントロールマウスでは、CFSE
hi細胞の溶解率は54.63±12.79%であった。IT-EP CD3 half-BiTE療法を受けているマウスでは、CFSE
hi細胞の溶解率は82.44±11.35%であった。OVA発現細胞は、IT-EP CD3 half-BiTEで治療されたマウスにおいて特異的に死滅し、抗原特異的な細胞傷害性T細胞応答の増強を示した。活性化Tリンパ球は、CD3 half-BiTEを発現する腫瘍において優先的に保持された。したがって、CD3 half-BiTEをコードする核酸のエレクトロポレーションは、有効な腫瘍治療を提供する。
【0197】
CD3 half-BiTEのIT-EPは、T細胞による腫瘍細胞標的化の増加をもたらした。
【0198】
脾臓および流入領域リンパ節からの細胞のフローサイトメトリー分析は、IT-EP抗CD3(2C11)群における有意な抗原特異的死滅を示す(
図23および26)。
【0199】
実施例13.腫瘍退行。
A.黒色腫:-7日目に、マウスにB16黒色腫細胞を移植した。0日目に、マウスを、空ベクター、IL12-2Aをコードする発現ベクターを用いたIT-EPによって治療された。4日目と7日目に、マウスをIT-EPコントロールベクターまたはIT-EP 2C11(CD3 half-BiTE)発現ベクターによって治療した。腫瘍の進行は、3日ごとにモニタリングされた。結果は、IL12-2A単独による治療と比較して、IL12-2AプラスCD3 half-BiTEで治療されたマウスにおける改善された対側(未治療)腫瘍退行を示す(
図25Aおよび25B)。
【0200】
B.乳癌:-7日目に、マウスに4T1乳癌細胞を移植した。0日目に、マウスを、コントロールベクターを用いたIT-EP、またはIT-EP IL12-2Aによって治療した。4日目と7日目に、マウスを、コントロールベクターを用いたIT-EPまたはIT-EP 2C11(CD3 half-BiTE)発現ベクターによって治療した。腫瘍の進行は、3日ごとにモニタリングされた。結果は、IT-EP IL12-2AをCD3 half-BiTE療法と組み合わせると、乳癌腫瘍の退行を向上することを示す(
図26A)。IL12-2AプラスCD3 half-BiTE療法は、4T1乳癌モデルマウスの肺転移結節を治療する上でも有効であった(
図26B)。4T1乳癌モデルマウスにおける末梢血1μLあたりのエフェクターT細胞(CD127-CD62L-CD3+)の絶対数を、
図26Cに示す。
【0201】
CXCL9/CD3 half-BiTE併用療法
実施例14.CXCL9プラスCD3 half-BiTE併用療法。B16.F10担癌マウスを、10μgのIL-12発現プラスミド、100μgのIL-12発現プラスミド、または100μgのIL-12~CXCL9/CD3 half-BiTE~IL12を用いたIT-EP(1日目、5日目、および8日目)で治療した。IL-12~CXCL9/CD3 half-BiTE~IL12について、IL-12~CXCL9またはCD3 half-BiTE~IL12のいずれかが1日目、5日目、および8日目の各々で投与されるが、ただし、対象は少なくとも1回のIL-12~CXCL9を用いたIT-EP治療および1回のCD3 half-BiTE~IL12を用いたIT-EP治療を受ける。IL-12の腫瘍内発現が、IT-EPの48時間後に腫瘍溶解物(n=8匹の動物)において確証された(ELISA)。IL12 70発現を
図29Aに示す。一次(エレクトロポレーションした病変)および対側(非エレクトロポレーション病変)のB16.F10病変の増殖を、IT-EP療法の12日後に測定した(
図29B~C)。IL12 p70発現に関して、10μgのIL12-2Aを用いたIT-EPによって治療された動物は、100μgのIL-12~CXCL9/CD3 half-BiTE~IL12で治療された動物と同じ量のIL12を発現した(
図29A)。対側の腫瘍は、IL-12~CXCL9/CD3 half-BiTE~IL12で治療された動物では、10μgのIL12-2Aで治療されたマウスと比較して有意に小さく(動物8~10匹/群、二元配置分散分析を使用して統計学的有意性を決定、*p<0.05)、IT-EP IL-12~CXCL9/CD3 half-BiTE~IL12療法を使用して腫瘍退行の増強を示した。
【0202】
CLTA-4 scFv
実施例15.抗CTLA4 scFvの腫瘍内発現。マウスIgG1 ELISA(ab133045)をRENCA腫瘍溶解物について実施し、抗CTLA4 scFvの腫瘍内発現を定量化した。抗CTLA4 scFvの発現は、腫瘍でのみ検出され、血清では検出されず、腫瘍内エレクトロポレーションでの抗体の局所発現を際立たせた。
【0203】
組換えCTLA4タンパク質に結合した抗CTLA4scFvをコードするプラスミド。トランスフェクションに由来する分泌型抗CTLA4(scFv)について、それらのCTLA-4との結合能を評価した。組換えマウスCTLA-4/ヒトIgG1キメラ(R&D Systems)を、96ウェルプレート(1もしくは5μg/mL、または50μg/ウェルもしくは250μg/ウェル)に室温で18時間固定した。ウェルをPBS中の0.1%Tweenで3回洗浄し、PBS中の1%BSAでブロックした。9H10-scFv(168ng/mL)または9D9-scFv(130ng/mL)でトランスフェクトしたHEK293細胞からの馴化培地をウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。ウェルを3回洗浄し、抗マウスIgG-ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Jackson ImmunoResearch、0.2μg/mL)を添加し、室温で1.5時間インキュベートした。ウェルを再び3回洗浄し、HRP基質試薬(R&D Systems)で展開して、停止溶液である2N硫酸(R&D Systems)で停止した。各ウェルの光学密度は、450nmで測定された。各条件群における平均OD値のグラフ表示は、プラスミドに由来する抗CTLA4 scFvの組換えCTLA4タンパク質との結合を示すように表される(
図30A)。
【0204】
マウスIgG1 ELISA(ab133045)をRENCA腫瘍溶解物について実施し、抗CTLA4 scFvの腫瘍内発現を定量化した。抗CTLA4 scFvの発現が、腫瘍中で検出された(
図30B)。統計学的に有意なレベルの抗CTLA4 scFvは、血清中では観察されず、腫瘍内エレクトロポレーションでの抗体の局所発現を示した。
【0205】
本発明は、実施例のみとして上記で記載されていることが理解されよう。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。以下の特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、様々な修正および実施形態を行うことができる。
【配列表】
【国際調査報告】