(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】別の薬理学的に活性な薬剤と組み合わせた長時間作用型インターロイキン-15受容体作動薬
(51)【国際特許分類】
A61K 47/60 20170101AFI20220131BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220131BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20220131BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220131BHJP
C07K 14/54 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A61K47/60
A61P35/00 ZNA
A61P43/00 121
A61P35/02
A61K38/20
A61K39/395 N
C07K14/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524370
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(85)【翻訳文提出日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 US2019060609
(87)【国際公開番号】W WO2020097556
(87)【国際公開日】2020-05-14
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】597148884
【氏名又は名称】ネクター セラピューティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 宇広
(72)【発明者】
【氏名】マダカムティル, ルイ
(72)【発明者】
【氏名】キヴィメイ, サウル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076BB16
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE23
4C076EE23M
4C076EE59
4C076EE59M
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA21
4C084BA23
4C084BA37
4C084CA18
4C084DA12
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB36
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA57
4H045CA42
4H045DA02
4H045EA28
4H045FA10
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、例えば、例示すれば免疫活性化及び抗腫瘍活性の持続を提供するのに有効な治療法に対して応答性の状態の治療における、(a)長時間作用型IL-15受容体作動薬と、(b)腫瘍抗原を標的にする1種以上の抗体(mAb)とを含む、組み合わせ治療、組成物、及びキット、並びに関連する調製及び使用の方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を有する対象を治療する方法であって、
(a)次の構造を有する長時間作用型IL-15受容体作動薬:
【化19】
(式中、IL-15はインターロイキン-15部分であり、nは約150~約3,000の整数であり、mは2、3、4、及び5から選択される整数であり、n’は1であり、~NH~はIL-15部分のアミノ基を表す);及び
(b)リン酸化タンパク質、膜貫通タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、及び成長因子から選択される腫瘍抗原と特異的に結合するモノクローナル抗体であって、作用機序としての抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有するモノクローナル抗体;
(ここでは、ステップ(a)及び(b)は、同時に又は連続的に、任意の順序で実施される)
を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項2】
前記長時間作用型IL-15受容体作動薬が、薬学的に許容し得る塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)中の(m)が、2又は3である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式(I)中の(m)が、3である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式(I)中の(n)が、約909という値を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記癌が、固形癌である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記固形癌が、乳癌、卵巣癌、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、悪性黒色腫、肝癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、腎癌、胆管の癌、脳癌、子宮頸癌、上顎洞癌、膀胱癌、食道癌、ホジキン病、及び副腎皮質癌、前述のもののいずれかの転移型が含まれる、からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記癌が、造血器腫瘍である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記造血器腫瘍が、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、及びリンパ腫からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)が、ステップ(b)の前に実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(b)が、ステップ(a)の前に実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(a)及びステップ(b)が、同時に又は実質的に同時に実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記投与することが、好適な動物モデルにおいて測定される場合に、NK活性化を、長時間作用型IL-15受容体作動薬が単剤として投与される場合に観察されるよりも大きな程度で刺激するのに有効である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記投与することが、好適な動物モデルにおいて測定される場合に、NK増殖を、長時間作用型IL-15受容体作動薬が単剤として投与される場合に観察されるよりも大きな程度で刺激するのに有効である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記投与することが、好適な動物モデルにおいて測定される場合に、CD8+T細胞生存及びメモリー形成を、長時間作用型IL-15受容体作動薬が単剤として投与される場合に観察されるよりも大きな程度で補助するのに有効である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記長時間作用型IL-15受容体作動薬が、皮下に投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記モノクローナル抗体が、静脈内に投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記モノクローナル抗体が、抗CD19抗体、抗CD20抗体、及び抗CD38抗体から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記糖タンパク質と特異的に結合するモノクローナル抗体が、抗SLAMF7抗体、抗EpCAM抗体、抗gpA3抗体3、及び抗FBP抗体から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記成長因子と特異的に結合するモノクローナル抗体が、抗VEGF抗体、抗VEGFR抗体、及び抗EGFR抗体から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記モノクローナル抗体が、IgG抗体である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記モノクローナル抗体が、ダラツムマブ、リツキシマブ、セツキシマブ、及びトラスツズマブからなる群から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
(a)次の構造を有する長時間作用型IL-15受容体作動薬:
【化20】
(式中、IL-15はインターロイキン-15部分であり、nは約150~約3,000の整数であり、mは2、3、4、及び5から選択される整数であり、n’は1であり、~NH~はIL-15部分のアミノ基を表す);及び
(b)リン酸化タンパク質、膜貫通タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、及び成長因子から選択される腫瘍抗原と特異的に結合するモノクローナル抗体であって、作用機序としての抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を含むモノクローナル抗体
を含む、癌を治療するのに使用するための治療的組み合わせ。
【請求項24】
前記長時間作用型受容体作動薬が、薬学的に許容し得る塩である、請求項23に記載の治療的組み合わせ。
【請求項25】
前記長時間作用型IL-15受容体作動薬が、請求項3、4、又は5のいずれか一項に記載された通りの構造を有する、請求項23又は24に記載の治療的組み合わせ。
【請求項26】
使用のための説明書を伴う、請求項23~25のいずれか一項に記載の治療的組み合わせを含むキットであって、長時間作用型IL-15受容体作動薬及びモノクローナル抗体は、それぞれ、1つ以上の個々の単位剤形内に含有される、キット。
【請求項27】
抗腫瘍抗体と共に投与された場合の、NK細胞媒介性の抗体依存性細胞傷害を増強するための長時間作用型受容体作動薬の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は、35 U.S.C.119(e)の下で2018年11月9日出願の米国仮特許出願第62/758,344号;2019年1月8日出願の米国仮特許出願第62/789,924号;2019年3月13日出願の米国仮特許出願第62/818,003号;2019年3月28日出願の米国仮特許出願第62/825,437号;2019年5月3日出願の米国仮特許出願第62/843,036号;2019年5月15日出願の米国仮特許出願第62/848,372号;2019年10月21日出願の米国仮特許出願第62/924,015号による利益を主張し、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、(数あるものの中でも特に)、長時間作用型インターロイキン-15(「IL-15」)受容体作動薬と、別の薬理学的に活性な薬剤、すなわちモノクローナル抗体などの抗体とを含む治療的組み合わせ及び組成物、並びに、例えば、例えば免疫活性化及び抗腫瘍活性の持続を提供するのに有効な治療法に対して応答性の状態の治療における、関連する使用方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン-15(「IL-15」)は、Grabsteinら(Grabstein et al.(1994)Science 264:965-968)によって初めて報告された多面的サイトカインである。162アミノ酸前駆体として分泌されるヒトIL-15は、29アミノ酸リーダー配列と19アミノ酸プロ配列とを含む;従って成熟タンパク質は114アミノ酸長である。4本のα-ヘリックス束のサイトカインファミリーに属するIL-15はヘテロ三量体受容体に結合し、ここでユニークなαサブユニット(IL-15Rα)はIL-15に受容体特異性を付与し、及びこの受容体のβ及びγサブユニットは1つ以上の他のサイトカイン受容体と共通する特徴を有する。Giri et al.(1995)EMBO J.14:3654-3663。
【0004】
サイトカインとしては、IL-15は自然免疫系及び適応免疫系の両方に効果を及ぼす(DiSabitino et al.(2011)Cytokine Growth Factor Rev.22:19-33)。自然免疫系(これは外来性の侵入者から宿主を全般的に防御する)に関して、IL-15は、他の特性に加えて、ナチュラルキラー細胞(「NK細胞」)及びナチュラルキラーT細胞(「NK-T細胞」)の発生を生じさせ、且つそれらの生存を維持する。自然免疫系におけるその役割と一致して、NK細胞は侵入病原体を特異的に攻撃することはない;むしろ、NK細胞は易感染性宿主細胞(腫瘍細胞又はウイルス感染細胞など)を破壊する。NK-T細胞は免疫調節性サイトカイン、特にインターフェロン-γを産生し、これにより免疫応答の全般的な活性化がもたらされる。
【0005】
適応免疫系(これは特定の病原体と最初に遭遇した後、当該の特異的な外来性の侵入者から宿主を防御する)に関して、IL-15は免疫調節性サイトカイン産生ヘルパーT細胞の維持に必要である。重要なことに、IL-15は「抗原を経験した」メモリーT細胞の長期維持も支え、メモリーT細胞は急激に複製する能力を有するため、宿主に侵入する特定の外来性病原体に再曝露したときに一層迅速で強力な免疫応答を生じさせる。
【0006】
最後に、自然免疫系及び適応免疫系の両方の内でのその特異的な役割にも関わらず、IL-15は、免疫系の両カテゴリーにわたって重要で広範な効果を及ぼす。詳細には、IL-15は、免疫系の両カテゴリーに関連する幾つもの細胞型(樹状細胞、好中球、好酸球、肥満細胞、CD4+ T細胞、及びB細胞を含む)のアポトーシス(又は細胞死)を阻害し又は低減する。IL-15を介した応答は、CD8+T細胞及び腸上皮内リンパ球の発生、機能、及び生存に役割を果たすことも示されている。
【0007】
IL-15は、宿主にとって外来性(又は「非自己」)に見える細胞と闘うことのできる免疫系内の多くの細胞の増殖及び維持を刺激するため、癌罹患者の治療におけるIL-15の利用が提案されている(Steel et al.(2012)Trends Pharmacol.Sci.33(1):35-41)。例えば、IL-15ベースの作動薬が骨髄腫の治療に提案されている(Wong et al.(2013)OncoImmunology 2(11),e26442:1-3)。加えて、IL-15薬物療法がHIV感染症などのウイルス感染症罹患者の治療に提案されている。
【0008】
IL-15アミノ基に安定に共有結合した少なくとも1種の水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)部分を含む長時間作用型IL-15受容体作動薬は、IL-15及び他のIL-15受容体作動薬と比較して、他にもある改善の中で特に、例えば、強力な免疫刺激効果、低い全身毒性、安定性及び/又は改善された薬物動態、改善された治療効果などの、改善された特性及びインビボプロファイルを提供するものとして記載されている(参照によってその全体が本明細書に組み込まれるPCT出願第2018/032817号明細書)。
【0009】
造血器腫瘍と固形腫瘍の両方を含めたある種の癌を治療するためのモノクローナル抗体(mAb)の産生及び使用は、確立されている(Scott et al.,2012,Cancer Immunity,vol.12,p.14)。腫瘍関連mAbの作用機序には、次のものの1つ以上が含まれる:腫瘍細胞上での直接的作用、免疫介在性作用、及び血管及び間質除去。mAbによって標的にされる腫瘍関連抗原には、分化抗原群(CD)抗原(例えば、CD20、CD30、CD33、CD52)、糖タンパク質(例えば、EpCAM、CEA、gpA33、ムチンなど)、糖脂質(例えば、GD2、GD3、及びGM2などのガングリオシド)、血管標的(例えば、VEGF、VEGFR)、成長因子(例えば、ErbB1/EGFR、ErbB2/HER2、ErbB3、c-MET、IGF1R)、並びに間質の細胞外マトリックス抗原(例えば、FAP、テネイシン)が含まれる。いくつかのmAb(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、ZEVALIN(登録商標)、BEXXAR(登録商標)、ゲムツズマブオゾガマイシン、ブレンツキシマブベドチン、セツキシマブ、及びパニツムマブ)は、腫瘍研究に使用するために、U.S.FDAによって承認されているが、ある種の型の癌細胞は、他の癌細胞よりも、モノクローナル抗体に基づく治療法に対して弱点がある。
しかし、前述の手法にもかかわらず、改善された抗癌免疫療法の必要性が存在するままである。本開示は、特に、新規であり且つ当技術分野によって完全には提案されていないと考えられる、長時間作用型IL-15受容体作動薬と、腫瘍抗原に誘導される少なくとも1種のmAbとを含む組み合わせ療法(以下でより詳細に説明されるいくつかの好都合な特徴を有する組み合わせ)、並びにこうした組み合わせを含む組成物及びキット、並びに調製及び使用の関連する方法を提供することによって、これらの及び他の必要性に対処する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Grabstein et al.(1994)Science 264:965-968
【非特許文献2】Giri et al.(1995)EMBO J.14:3654-3663
【非特許文献3】DiSabitino et al.(2011)Cytokine Growth Factor Rev.22:19-33
【非特許文献4】Steel et al.(2012)Trends Pharmacol.Sci.33(1):35-41
【非特許文献5】Wong et al.(2013)OncoImmunology 2(11),e26442:1-3
【非特許文献6】Scott et al.,2012,Cancer Immunity,vol.12,p.1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、癌を有する対象を治療する方法が、本明細書で提供される。具体的には、この方法は、長時間作用型IL-15受容体作動薬と、(b)モノクローナル抗体、例えば、腫瘍細胞を標的にする、すなわち腫瘍細胞と結合するモノクローナル抗体を、対象に投与することを含む。ここでは、ステップ(a)及び(b)は、同時に又は連続的に、任意の順序で実施される。いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、次の構造を有する:
【化1】
ここでは、この構造は、[CH
3O(CH
2CH
2O)
n(CH
2)
mC(O)NH]
n’-IL-15として表すこともでき、
式中、IL-15はインターロイキン-15部分であり、(n)は約150~約3,000の整数であり、(m)は2、3、4、及び5から選択される整数であり、(n’)は1であり、~NH~はIL-15部分のアミノ基を表す;又はその薬学的に許容し得る塩の形態である。いくつかの特定の実施形態では、式(I)中の(m)は、2又は3である。好ましい実施形態では、式(I)中の(m)は、3である。いくつかの特定の実施形態では、式(I)中の(n)は、約227という平均値、又は約340という平均値、又は約454という平均値、又は約681という平均値、又は約909という平均値を有する。1つ以上の実施形態では、(n)は、約909という値を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、抗体は、リン酸化タンパク質、膜貫通タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、及び成長因子から選択される腫瘍抗原と特異的に結合する抗体である。
【0013】
この方法のさらなる実施形態では、対象は、固形癌を有する。いくつかの実施形態では、固形癌は、乳癌、卵巣癌、結腸癌、結腸直腸癌(colorectal cancer)、胃癌、悪性黒色腫、多発性骨髄腫、肝癌、リンパ腫、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、腎癌、胆管の癌、脳癌、子宮頸癌、上顎洞癌、膀胱癌、食道癌、ホジキン病、及び副腎皮質癌(前述のもののいずれかの転移型が含まれる)からなる群から選択される。
【0014】
いくつかの他の実施形態では、対象は、リンパ腫又は白血病を有する。
【0015】
いくつかのさらなる実施形態では、対象は、多発性骨髄腫を有する。
【0016】
この方法のいくつかの実施形態では、ステップ(a)は、ステップ(b)の前に実施される。他の実施形態では、ステップ(b)は、ステップ(a)の前に実施される。いっそうさらなる実施形態では、ステップ(a)及びステップ(b)は、同時に又は実質的に同時に実施される。この方法は、長時間作用型IL-15受容体作動薬とモノクローナル抗体の一方又は両方の1つ以上の追加の投薬サイクルをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、投与することは、好適な動物モデルにおいて測定される場合に、NK活性化及び増殖を、長時間作用型IL-15受容体作動薬が単剤として投与される場合に観察されるよりも大きな程度で刺激するのに有効である。いくつかの追加の実施形態では、投与することは、好適な動物モデルにおいて測定される場合に、CD8 T細胞生存及びメモリー形成を、長時間作用型IL-15受容体作動薬が単剤として投与される場合に観察されるよりも大きな程度で補助するのに有効である。いくつかのさらなる実施形態では、投与することは、好適な動物モデルにおいて測定される場合に、単剤として(すなわち、単独療法として)投与される長時間作用型受容体作動薬の投与時に観察されるよりも大きい、且つ単剤としてのモノクローナル抗体の投与時に観察されるよりも大きい、腫瘍細胞の数の減少をもたらすのに有効である(その例を、本明細書に提供する)。いくつかの関連する実施形態では、投与することは、対象における腫瘍細胞の数の、単剤としての同等の用量の長時間作用型受容体作動薬の投与と比較した場合の3倍以上の低下、より好ましくは5倍以上の低下、より好ましくは7倍以上の低下をもたらす。いくつかのさらなる実施形態では、投与することは、NK細胞の増殖を誘発する(すなわち、NK細胞の数を増大させる)のに、及び、例えば骨髄組織におけるその腫瘍細胞致死能力を活性化させるのに有効である。
【0018】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、皮下投与される。追加の実施形態では、モノクローナル抗体は、静脈内投与される。
【0019】
1つ以上の実施形態では、抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC、抗体依存性細胞介在性細胞傷害とも称される)作用機序を利用する、標的化されたモノクローナル抗体である。
【0020】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、抗CD19抗体、抗CD20抗体、及び抗CD38抗体から選択される。さらなる実施形態では、糖タンパク質と特異的に結合するモノクローナル抗体は、抗SLAMF7抗体、抗EpCAM抗体、抗gpA3抗体3、及び抗FBP抗体から選択される。追加の実施形態では、成長因子と特異的に結合するモノクローナル抗体は、抗VEGF抗体、抗VEGFR抗体、及び抗EGFR抗体から選択される。さらにいくつかの追加の実施形態では、抗体は、抗BCMA抗体である。いくつかの追加の実施形態では、抗体は、多発性骨髄腫を標的にする抗体である。
【0021】
第2の態様では、癌などの状態を治療するのに使用するための治療的組み合わせが、本明細書で提供される。この組み合わせは、長時間作用型IL-15受容体作動薬と、モノクローナル抗体、例えば、腫瘍細胞を標的にする、すなわち腫瘍細胞と結合するモノクローナル抗体(限定はされないが、本明細書に記載されるモノクローナル抗体が含まれる)とを含む。
【0022】
いくつかの関連する実施形態及びより具体的な実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、次の構造を有する:
【化2】
式中、IL-15はインターロイキン-15部分であり、(n)は約150~約3,000の整数であり、(m)は2、3、4、及び5から選択される整数であり、(n’)は1であり、~NH~はIL-15部分のアミノ基を表す;又はその薬学的に許容し得る塩の形態である。さらにいくつかの追加の実施形態では、モノクローナル抗体は、リン酸化タンパク質、膜貫通タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、及び成長因子から選択される腫瘍抗原と特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、式(I)中の(m)は、2又は3である。いくつかの特定の実施形態では、式(I)中の(m)は、3である。いくつかのさらなる実施形態では、式(I)中の(n)は、約227、又は約340、又は約454、又は約681、又は約909という値を有する。1つ以上の実施形態では、(n)は、約909という値を有する。
【0023】
第3の態様では、キットが、本明細書で提供される。実施形態では、キットは、使用のための説明書を伴う、本明細書に記載される長時間作用型IL-15受容体作動薬とモノクローナル抗体との治療的組み合わせを含み、ここでは、長時間作用型IL-15受容体作動薬及びモノクローナル抗体は、それぞれ、1つ以上の個々の単位剤形内に含有される。このキット及び治療的組み合わせは、例えば癌を有する対象を治療するために、有用である。
【0024】
追加の態様及び実施形態を、以下の説明及び特許請求の範囲に示す。本明細書に記載される実施形態は、本明細書に記載される態様のそれぞれに等しく適用されることが意図され、また、適用できる場合、他に指示されない限り、単独でも組み合わせでもあるとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、大腸菌(E.coli)由来の例示的な組換えヒトIL-15のアミノ酸配列(配列番号1)、分子量12.9kDaを有する115アミノ酸を含む単一の非グリコシル化ポリペプチド鎖を提供する。
【
図2】
図2は、実施例1に詳細に記載する通り、Daudi Bリンパ腫細胞を接種され、且つ以下で治療されたマウスの生存率(パーセント)を示すグラフである:(i)アイソタイプ対照、(ii)40mg/kgのリツキシマブ、(iii)0.3mg/kgの長時間作用型IL-15受容体作動薬、又は(iv)40mg/kgのリツキシマブと0.3mg/kgの長時間作用型IL-15受容体作動薬との組み合わせ。
【
図3】
図3は、実施例2に記載する通り、Daudi B細胞を接種されたマウスの、以下のものでの治療後の骨髄組織におけるNK細胞数を示すグラフである:(i)ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、及び2回の投与の長時間作用型IL-15受容体作動薬、すなわち、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後のそれぞれの時点での1回ずつの投与)、(ii)単剤ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、(iii)単剤モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後)、比較される場合(iv)未治療対照群。
【
図4】
図4は、実施例2に記載する通り、Daudi B細胞を接種されたマウスの、以下のものでの治療後の骨髄組織におけるDaudi B細胞の数を示すグラフである:(i)ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、及び2回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後のそれぞれの時点での1回ずつの投与)、(ii)単剤ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、(iii)単剤モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後)、比較される場合(iv)未治療対照群。
【
図5】
図5は、実施例3に詳細に記載する通り、Daudi Bリンパ腫細胞を接種され、それに続いて以下での治療を受けたマウスの生存率(パーセント)を示すグラフである:(i)アイソタイプ対照、(ii)0.5mg/kg IPのダラツムマブ、(iii)0.3mg/kg SCの長時間作用型IL-15受容体作動薬、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15、又は(iv)0.3mg/kgの長時間作用型IL-15受容体作動薬と0.5mg/kg、SCのダラツムマブとの組み合わせ。
【
図6】
図6は、実施例2に詳細に記載する通り、Daudi B細胞を接種されたマウスの、以下での治療後の骨髄NK細胞におけるグランザイムB誘発を示すグラフである:(i)ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、及び2回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後のそれぞれの時点での1回ずつの投与)、(ii)単剤ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、(iii)単剤モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後)、比較される場合(iv)未治療対照群。
【
図7A-7B】
図7A及び7Bは、実施例4に詳細に記載する通り、Daudi B細胞を接種されたマウスの、以下での治療後の、細胞表面上にNKG2A(
図7A)又はNKG2D(
図7B)を発現している骨髄区画におけるNK細胞の割合を示すグラフである:(i)ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、及び2回の投与のコンジュゲート1(0.3mg/kg又は0.03mg/kg SC、接種の14及び21日後のそれぞれの時点での1回ずつの投与)、(ii)単剤ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、(iii)単剤化合物1(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後)、比較される場合(iv)未治療対照群又は(v)アイソタイプ対照(0.5mg/kg)。
【
図8A-8D】
図8A~8Dは、実施例5に詳細に記載する通りの、(i)化合物1単独(
図8C)、(ii)hIgG単独(
図8B)、(iii)化合物1+hIgG(
図8D)、又は(iv)未治療対照(
図8A)を用いる、ヒト末梢血単核球(PBMC)調製物内のヒトNK細胞の増殖(%)を示すヒストグラムである。
【
図9A】
図9Aは、実施例6に詳細に記載する通りの、(i)hIgGコーティングプレート、(ii)化合物1(1μg/ml)、(iii)hIgGコーティングプレート+化合物1(1μg/ml)、又は(ii)NK細胞活性化を示す対照と共に一晩培養したPBMC調製物内のCD56+NK細胞の表面上の抗体を検出するCD69についての蛍光強度中央値(MFI)シグナルを示すグラフである。
【
図9B】
図9Bは、実施例6に詳細に記載する通りの、(i)hIgGコーティングプレート、(ii)化合物1(1μg/ml)、(iii)hIgGコーティングプレート+化合物1(1μg/ml)、又は(ii)NK細胞活性化を示す対照と共に一晩培養したPBMC調製物内のCD56+NK細胞の表面上の抗体を検出するCD107aについての蛍光強度中央値(MFI)シグナルを示すグラフである。
【
図9C】
図9Cは、実施例6に詳細に記載する通りの、以下への曝露後の、ヒトPBMCにおけるグランザイムB誘発を示すグラフである:(i)hIgGコーティングプレート、(ii)化合物1(1μg/ml)、hIgGコーティングプレート+化合物1(1μg/ml)、又は(ii)対照。このグラフは、4つの治療のそれぞれについての、分泌されたグランザイムBの濃度(pg/ml)を示す。
【
図10A-10B】
図10Aは、実施例7に詳細に記載する通りの、IL-15又は長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)とのインキュベーション後の、KHYG-1細胞内のpSTAT5陽性率(パーセント)を示すグラフである。
図10Bは、実施例7に詳細に記載する通りの、IL-15又は長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)とのインキュベーション後の、KHYG-1細胞の最大増殖(%)のグラフである。
【
図11】
図11は、実施例8に詳細に記載する通りの、IL-15又は長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)とのインキュベーション後の、CD56+ヒトNK細胞の最大増殖(%)を示すグラフである。
【
図12】
図12は、実施例9に詳細に記載する通りの、長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)(+)での刺激又は未治療(-)後の、ダラツムマブ(+)であらかじめコーティングされたヒト多発性骨髄腫細胞についての7-AAD+標的細胞(%)を示すグラフである。
【
図13A】
図13Aは、実施例10に詳細に記載する通り、Daudi B細胞を接種されたマウスの、以下での治療後の、細胞表面上にCD16(
図13A)を発現している骨髄区画におけるNK細胞の割合(全NK細胞中でCD16を発現している細胞の%)を示すグラフである:(i)ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、及び2回の投与のコンジュゲート1(0.3mg/kg又は0.03mg/kg SC、接種の14及び21日後のそれぞれの時点での1回ずつの投与)、(ii)単剤ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、(iii)単剤化合物1(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後)、比較される場合(iv)未治療対照群又は(v)アイソタイプ対照(0.5mg/kg)。
【
図13B】
図13Bは、実施例10に詳細に記載する通り、Daudi B細胞を接種されたマウスの、以下での治療後の、蛍光強度中央値(MFI)シグナルによって測定される、CD16+骨髄NK細胞についての細胞ごとに基づくCD16発現変化(化合物1治療群における増大)を示すグラフである:(i)ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、及び2回の投与のコンジュゲート1(0.3mg/kg又は0.03mg/kg SC、接種の14及び21日後のそれぞれの時点での1回ずつの投与)、(ii)単剤ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、(iii)単剤化合物1(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後)、比較される場合(iv)未治療対照群又は(v)アイソタイプ対照(0.5mg/kg)。
【
図14】
図14は、実施例11に詳細に記載する通り、Daudi B細胞を接種されたマウスの、以下での治療後の、蛍光強度中央値(MFI)シグナルによって測定される、個々の骨髄NK細胞におけるグランザイムB発現を示すグラフである:(i)ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、及び2回の投与の化合物1(0.3mg/kg又は0.03mg/kg SC、接種の14及び21日後のそれぞれの時点での1回ずつの投与、(ii)単剤ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、(iii)単剤化合物1(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後)、比較される場合(iv)未治療対照群又は(v)アイソタイプ対照(0.5mg/kg)。
【
図15A-15B】
図15A及び15Bは、実施例12に詳細に記載する通りの、長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)(+)での刺激又は未治療(-)後の、ダラツムマブ(+)(
図15A)又はリツキシマブ(+)(
図15B)であらかじめコーティングされたヒト多発性骨髄腫細胞についての7-AAD+標的細胞(%)を示すグラフである。
【
図16】
図16は、実施例13に詳細に記載する通り、Daudi B細胞リンパ腫細胞を接種され、それに続いて以下での治療を受けたSCID又はSCIDベージュ(beige)マウスの生存率(パーセント)を示すグラフである:(i)SCIDについての未治療対照(□)、(ii)SCIDベージュマウスについての未治療対照(○)、(iii)SCIDマウスについての、0.3mg/kgの長時間作用型IL-15受容体作動薬と、0.5mg/kg、SCのダラツムマブとの組み合わせ(■);及び(iv)SCIDベージュマウスについての、0.3mg/kgの長時間作用型IL-15受容体作動薬と、0.5mg/kg、SCのダラツムマブとの組み合わせ(●)。
【
図17A】
図17Aは、実施例14に詳細に記載する通り、Daudi B細胞を接種されたマウスの、以下のものでの治療後の骨髄組織におけるDaudi細胞数を示すグラフである:(i)高用量ダラツムマブ(5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、及び2回の低用量の長時間作用型IL-15受容体作動薬、すなわち、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(化合物1)(0.03mg/kg IV、接種の14及び21日後のそれぞれの時点での1回ずつの投与)(◆)、(ii)単剤・高用量ダラツムマブ(5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)(▼)、(iii)単剤・低用量モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(化合物1)(0.03mg/kg IV、接種の14及び21日後)(▲)、比較される場合(iv)未治療対照群(●)。
【
図17B】
図17Bは、実施例14に詳細に記載する通り、Daudi B細胞を接種されたマウスの、以下のものでの治療後の骨髄組織におけるDaudi細胞数を示すグラフである:(i)低用量ダラツムマブ(0.05mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、及び2回の高用量の長時間作用型IL-15受容体作動薬、すなわち、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(化合物1)(0.6mg/kg IV、接種の14及び21日後のそれぞれの時点での1回ずつの投与)(◆)、(ii)単剤・低用量ダラツムマブ(0.05mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)(▼)、(iii)単剤・高用量モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(化合物1)(0.6mg/kg IV、接種の14及び21日後)(▲)、比較される場合(iv)未治療対照群(●)。
【
図18A-18D】
図18Aは、実施例15に詳細に記載する通り、皮下のHCT-116結腸・結腸直腸細胞腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の3日目又は5日目での、賦形剤対照と比較したNK細胞の腫瘍内の割合を示すグラフである。
図18Bは、実施例15に詳細に記載する通り、皮下のHCT-116腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の3日目又は5日目での、賦形剤対照と比較した腫瘍内NK細胞数を示すグラフである。
図18Cは、実施例15に詳細に記載する通り、皮下のHCT-116腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の、賦形剤対照と比較した、血液又は腫瘍細胞におけるKi67陽性率(%)によって示されるNK細胞増殖を示すグラフである。
図18Dは、実施例15に詳細に記載する通り、皮下のHCT-116腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の、賦形剤対照と比較した、血液又は腫瘍細胞におけるグランザイムB発現(GzmB+(%))を示すグラフである。
【
図18E-18F】
図18Eは、実施例15に詳細に記載する通り、皮下のHCT-116腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の、賦形剤対照と比較した、蛍光強度中央値(MFI)シグナルによって測定されるNK細胞上のCD16細胞表面発現を示すグラフである。
図18Fは、実施例15に詳細に記載する通り、皮下のHCT-116腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の、賦形剤対照と比較した、細胞表面上にNKG2Dを発現しているNK細胞の腫瘍内の割合(NKG2D+(%))を示すグラフである。
【
図19A-19B】
図19Aは、実施例16に詳細に記載する通り、皮下のFaDu扁平上皮癌腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の3日目又は5日目での、賦形剤対照と比較したNK細胞の腫瘍内の割合を示すグラフである。
図19Bは、実施例16に詳細に記載する通り、皮下のFaDu腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の3日目又は5日目での、賦形剤対照と比較した腫瘍内NK細胞数を示すグラフである。
【
図19C-19F】
図19Cは、実施例16に詳細に記載する通り、皮下のFaDu腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の、賦形剤対照と比較した、血液又は腫瘍細胞におけるKi67陽性率(%)によって示されるNK細胞増殖を示すグラフである。
図19Dは、実施例16に詳細に記載する通り、皮下のFaDu腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の、賦形剤対照と比較した、血液又は腫瘍細胞におけるグランザイムB発現(GzmB+(%))を示すグラフである。
図19Eは、実施例16に詳細に記載する通り、皮下のFaDu腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の、賦形剤対照と比較した、蛍光強度中央値(MFI)シグナルによって測定されるNK細胞上のCD16細胞表面発現を示すグラフである。
図19Fは、実施例16に詳細に記載する通り、皮下のFaDu腫瘍を受けているマウスの、セツキシマブ(20mg/kg、IP)及びコンジュゲート1(0.3mg/kg IV)での治療後の、賦形剤対照と比較した、細胞表面上にNKG2Dを発現しているNK細胞の腫瘍内の割合(NKG2D+(%))を示すグラフである。
【
図20】
図20は、実施例17に詳細に記載する通り、H1975肺癌細胞を接種されたマウスの、賦形剤対照(●)と比較される、以下のものでの治療後の0~27日間の相対腫瘍体積を示すグラフである:(i)腫瘍接種後の9、12、及び16日目に投与されるセツキシマブ(0.25mg/kg、IP)、及び接種後の9、16、及び23日目に投与される化合物1(0.3mg/kg、IV)(△)、(ii)単剤セツキシマブ(0.25mg/kg、IP、BIW×3)(▲)、(iii)単剤化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(▼)。
【
図21A】
図21Aは、実施例18に詳細に記載する通り、HT-29結腸直腸癌腫(colorectal carcinoma)細胞を接種されたマウスの、賦形剤対照(●)と比較される、以下のものでの治療後の0~21日間の相対腫瘍体積を示すグラフである:(i)セツキシマブ(40mg/kg、IP、BIW×3)及び化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(△)、(ii)単剤セツキシマブ(40mg/kg、IP、BIW×3)(▲)、(iii)単剤化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(▼)。
【
図21B】
図21Bは、実施例18に詳細に記載する通り、HT-29結腸直腸癌腫細胞を接種され、且つ以下のもので治療されたマウスの生存率(パーセント)としての、賦形剤対照(●)と比較される、治療開始(約150mm
3の平均腫瘍体積)後の0~23日間の腫瘍成長遅延(TVQT)を示すグラフである:(i)セツキシマブ(40mg/kg、IP、BIW×3)及び化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(▼)、(ii)単剤セツキシマブ(40mg/kg、IP、BIW×3)(■)、(iii)単剤化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(▲)。
【
図22A】
図22Aは、実施例19に詳細に記載する通り、HCT-116結腸直腸癌腫細胞を接種されたマウスの、PBS賦形剤対照(OP、BIW×3)(●)と比較される、以下のものでの治療後の0~19日間の相対腫瘍体積を示すグラフである:(i)セツキシマブ(40mg/kg、IP、BIW×3)及び化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(▲)、(ii)単剤セツキシマブ(40mg/kg、IP、BIW×3)(▲)、(iii)単剤化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(▼)。
【
図22B】
図22Bは、実施例19に詳細に記載する通り、HCT-116結腸直腸癌腫細胞を接種され、且つ以下のもので治療されたマウスの生存率(パーセント)としての、PBS賦形剤対照(IP、BIW×3)(●)と比較される、腫瘍成長遅延(TVQT)を示すグラフである:(i)セツキシマブ(40mg/kg、IP、BIW×3)及び化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(△)、(ii)単剤セツキシマブ(40mg/kg、IP、BIW×3)(▲)、(iii)単剤化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(▼)。
【
図23A】
図23Aは、実施例20に詳細に記載する通りの、セツキシマブ(+)単独であらかじめコーティングされた、又は化合物1(+)での、アイソタイプ対照(+)での刺激、又は未治療(-)後の、HCT-116結腸直腸癌腫細胞についてのCD45-EpCAM+7-AAD+標的細胞(%)を示すグラフである。
【
図23B】
図23Bは、実施例20に詳細に記載する通りの、セツキシマブ(+)単独であらかじめコーティングされた、又は化合物1(+)での、アイソタイプ対照(+)での刺激、又は未治療(-)後の、FaDu扁平上皮癌細胞(HNSCC)についてのCD45-7-AAD+標的細胞(%)を示すグラフである。
【
図24】
図24は、実施例21に詳細に記載する通り、SKOV-3卵巣腺癌細胞を接種されたマウスの、賦形剤対照(●)と比較される、以下のものでの治療後の0~35日間の相対腫瘍体積を示すグラフである:(i)トラスツズマブ(13.5mg/kg、IV、BIW×3)及び化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(△)、(ii)単剤トラスツズマブ(13.5mg/kg、IV、BIW×3)(▲)、(iii)単剤化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(▼)。
【
図25】
図25は、実施例22に詳細に記載する通り、NCI-N87胃癌細胞を接種されたマウスの、賦形剤対照(●)と比較される、以下のものでの治療後の0~35日間の相対腫瘍体積を示すグラフである:(i)トラスツズマブ(3/1/1mg/kg、IV、q7d×3)及び化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(△)、(ii)単剤トラスツズマブ(3/1/1mg/kg、IV、q7d×3)(▲)、(iii)単剤化合物1(0.3mg/kg、IV、q7d×3)(▼)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の1つ以上の態様又は実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、特定の合成技術、IL-15部分などに限定されることを意図するものではないことに留意するべきであり、それは、それらが、本開示が適合する技術分野の当業者により理解されうるように変動し得るためである。
【0027】
本開示の特定の特徴を説明及び特許請求する際に、以下の専門用語は、別に示さない限り、下記に記載される定義に従って使用される。
【0028】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈によって他に明確に指示されない限り、複数の指示対象が含まれる。
【0029】
「水溶性の非ペプチド性ポリマー」は、室温で、水に対して少なくとも35(重量)%の溶解度、好ましくは70(重量)%を超える、より好ましくは95(重量)%を超える溶解度であるポリマーを指す。典型的には、「水溶性」ポリマーの濾過されていない調製物水溶液は、濾過された後の同じ溶液を透過する光の量の、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも95%を透過させる。しかし、水溶性のポリマーは、水に対して少なくとも95(重量)%の溶解度である、又は水に完全に溶解することが最も好ましい。「非ペプチド性」であることに関しては、ポリマーは、35(重量)%未満のアミノ酸残基を有する場合に非ペプチド性である。
【0030】
「PEG」又は「ポリエチレングリコール」は、本明細書で使用する場合、あらゆる水溶性のポリ(エチレンオキシド)を包含することが意図される。他に指示されない限り、「PEGポリマー」又はポリエチレングリコールは、実質的にすべての(好ましくはすべての)単量体サブユニットがエチレンオキシドサブユニットであるが、そのポリマーは例えばコンジュゲート形成のための別のエンドキャッピング(end capping)部分又は官能基を含有する可能性があるものである。本開示に使用するためのPEGポリマーは、例えば合成的変換中に、末端の酸素が置換されているかどうかに応じて、2つの次の構造:「-(CH2CH2O)n-」又は「-(CH2CH2O)n-1CH2CH2-」のうちの1つを含むこととなる。上述の通り、PEGポリマーについては、変数(n)は、約3から4000まで変動する可能性があり、PEG全体の末端基及び構造も変わり得る。しかし、例示的な又は好ましいPEGを含む分子は、1個以上の特定のPEG構造及び/又はリンカー、及び/又は分子量範囲を含むことができる。
【0031】
PEGなどの水溶性ポリマーの文脈における分子量は、数平均分子量又は重量平均分子量として表すことができる。他に指示されない限り、本明細書での分子量に対するすべての言及は、重量平均分子量を指す。数平均と重量平均、どちらの分子量決定も、ゲル浸透クロマトグラフィー又は他の液体クロマトグラフィー技術(例えばゲル濾過クロマトグラフィー)を使用して測定することができる。最も一般的に用いられるものは、ゲル浸透クロマトグラフィー及びゲル濾過クロマトグラフィーである。分子量を決定するための他の方法には、数平均分子量を決定するための束一的な特性(例えば、凝固点降下、沸点上昇、若しくは浸透圧)の末端基分析若しくは測定、又は重量平均分子量を決定するための光散乱技術、超遠心分離、MALDI TOF、若しくは粘度計の使用が含まれる。PEGポリマーは、典型的には、多分散系であり(すなわち、ポリマーの数平均分子量と重量平均分子量が等しくない)、好ましくは約1.2未満、より好ましくは約1.15未満、さらに好ましくは約1.10未満、いっそうさらに好ましくは約1.05未満、最も好ましくは約1.03未満という低い多分散値を有する。
【0032】
「生理学的に切断可能な」又は「加水分解性」又は「分解性」結合は、生理学的条件下で水と反応する(すなわち、加水分解される)比較的不安定な結合である。結合が水中で加水分解される傾向は、所定の分子中の2つの原子を連結する結合の一般的なタイプのみに依存するのではなく、それらの原子に結合する置換基にも依存し得る。適切な加水分解的に不安定な又は弱い結合としては、カルボン酸エステル、リン酸エステル、無水物、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミン、オルトエステル、ペプチド、オリゴヌクレオチド、チオエステル、及びカーボネートを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0033】
「遊離可能な」共有結合は、例えばインターロイキン-15などの活性な部分と共有結合することができるポリエチレングリコールの文脈では、生理学的条件下で、例えばいずれかの好適な機構によって、臨床的に有用である速度で、活性な部分からポリエチレングリコールポリマーを放出又は脱離するものであり、例えば、限定はされないが、加水分解可能な結合及び酵素によって分解可能な結合が含まれる。
【0034】
「酵素的に分解可能な結合」は、1つ以上の酵素による分解に供される結合を意味する。
【0035】
「安定な」結合(linkage)又は結合(bond)は、水中で実質的に安定な、すなわち、長期間にわたり、認識できる任意の程度まで、生理学的条件下で加水分解を受けない化学結合を指す。加水分解的に安定な結合の例としては、一般に以下が挙げられるがこれらに限定されない:炭素-炭素結合(例えば、脂肪鎖における)、エーテル、アミド、アミンなど。一般に、安定な結合は、生理学的条件下で、1日当たり約1~2%未満の加水分解率を示すものである。代表的な化学結合の加水分解率は、最も標準的な化学テキストに見出すことができる。
【0036】
「実質的に」又は「本質的に」は、ほぼ全体的に又は完全に(例えば95%以上の所定の量)を意味する。
【0037】
同様に、本明細書で使用される「約(about)」又は「約(approximately)」は、所定の量の±5%以内を意味する。
【0038】
「任意選択の」又は「任意選択的」は、続いて記載される状況が生じ得るが、必ずしも生じる必要がないことを意味し、従って、この記載は、その状況が生じる場合と生じない場合とを含む。
【0039】
「薬学的に許容可能な賦形剤」又は「薬学的に許容可能な担体」は、本明細書に記載される組成物に含まれ、対象に有意な有害な毒性学的効果を生じ得ない成分を指す。
【0040】
表現「薬学的に有効な量」及び「薬理学的に有効な量」及び「治療的有効量」及び「生理学的に有効な量」は、本明細書で交換可能に使用され、血液流又は標的組織中で物質の所望のレベルを提供して、所望の生物学的応答又は薬物応答を引き起こすのに必要な、本明細書に提供される長時間作用型IL-15受容体作動薬の量又は本明細書に提供されるモノクローナル抗体の量を指す。例えば、そのような応答は、対象において標的癌細胞を破壊し、及び/又は癌の進行を遅延若しくは抑止し、及び/又は患者のNK細胞の数を増やすことができる。この用語は、標的細胞における特定の応答を誘導する用量にも適用される。正確な量は、例えば、処置される特定の状態、意図される患者集団、個々の患者の考慮事項、投与される治療組成物及び特定の組み合わせの成分及び物理学的特性などの多数の因子に依存し、当業者によって容易に決定され得る。
【0041】
用語「IL-15部分」は、本明細書で使用する場合、ヒトIL-15活性を有するペプチド又はタンパク質部分を指す。さらに、用語「IL-15部分」は、コンジュゲート形成前のIL-15部分とコンジュゲート形成後のIL-15部分残基の両方を包含する。以下でさらに詳細に説明する通り、当業者は、いずれかの所与の部分がIL-15活性を有するかどうかを決定することができる。配列番号1~3のいずれか1つに相当するアミノ酸配列を含むタンパク質が、IL-15部分、並びにそれと実質的に相同のいずれかのタンパク質又はポリペプチドである。本明細書で使用する場合、用語「IL-15部分」には、例えば部位特異的変異誘発によって計画的に又は突然変異を介して偶発的に改変されたペプチド及びタンパク質が含まれる。これらの用語には、1~6個の追加のグリコシル化部位を有する類似体、ペプチド又はタンパク質のカルボキシ末端に少なくとも1つの追加のアミノ酸を有する類似体(ここでは、追加のアミノ酸は、少なくとも1つのグリコシル化部位を含む)、及び少なくとも1つのグリコシル化部位を含むアミノ酸配列を有する類似体も含まれる。この用語には、自然に、組換えによって、及び合成によって生成されるIL-15部分が含まれる。IL-15部分は、当技術分野で公知の任意の好適な方法によって生成することができる。実施形態では、IL-15部分は、大腸菌(E.coli)又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)発現系において、組換えによって生成される。本明細書に記載される長時間作用型IL-15受容体作動薬に対する言及は、その薬学的に許容し得る塩形態を包含することが意図される。
【0042】
本明細書で使用される「抗体」は、広義であると意図され、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーに属する糖タンパク質が含まれる。抗体には、抗原(例えば腫瘍抗原)と特異的に結合する、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(例えば、マウス、ヒト、ヒトに適合させた、ヒト化、及びキメラ)、抗体断片、及び単鎖抗体が含まれるものとする。断片、抗原結合(Fab)領域は、重鎖及び軽鎖のそれぞれに由来する定常ドメインと少なくとも1つの可変ドメインを含む。本明細書に記載される抗体は、少なくとも、作用機序としての抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有する。
【0043】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、その抗体分子が、微量で存在する可能性がある天然に存在する変異を除いて本質的に同一である一次配列を有するような、実質的に均質な分子の集団から得られる、天然には存在しない抗体分子を指す。モノクローナル抗体は、単一の結合部位又は特定のエピトープに対して高度に特異的である。モノクローナル抗体は、単離された抗体の例である。モノクローナル抗体は、限定はされないが、ハイブリドーマ培養技術、組換え方法、及び遺伝子導入方法を含めた、当技術分野で公知の任意の手段によって産生することができる。
【0044】
抗体の標的結合配列を、数ある中でも特に、標的への親和性を改善するために、標的結合配列をヒト化するために、細胞培養における抗体の産生を改善するために、インビボでの抗体の免疫原性を低下させるために、多重特異性抗体を作製するために、変化させる又は改変することができることを理解するべきである。こうした変化された抗体は、本明細書で特に企図される。
【0045】
「単離された」抗体は、同定及び分離されている、及び/又はその天然の環境の構成要素から回収されているものである。
【0046】
本明細書で使用される「結合親和性」は、抗体の抗原結合部位とその結合相手(例えば、抗原)との間の相互作用の強度を指す。抗体の、その抗原に対する親和性は、一般に、親和定数(KA)、平衡状態での抗体-抗原複合体の量、又は平衡解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、限定はされないが、ELISA、ゲルシフト解析、プルダウンアッセイ、平衡透析、分析用超遠心分離、表面プラズモン共鳴(SPR)、等温滴定熱量測定(ITC)、及び分光学的測定を含めた、当技術分野で公知の任意の方法によって測定することができる。
【0047】
本明細書で使用される用語「患者」又は「対象」は、本明細書に提供される化合物又は組成物の投与により予防又は処置され得る状態を患う又は該状態に罹り易い生物を指す。対象は、哺乳動物(例えば、ハツカネズミ、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)を含むがこれらに限定されず、好ましくはヒトである。
【0048】
用語「実質的に相同な」又は「実質的に同一な」とは、特定の対象配列、例えば突然変異配列が、1つ又は複数の置換、欠失、又は付加だけ基準配列と異なるが、その正味の効果としては、基準配列と対象配列との間に機能上の有害な相違は生じないことを意味する。本発明の目的上、95パーセントを超える相同性(同一性)、所定の配列に対する等価な生物活性(必須ではないが等価な生物活性強度)、及び等価な発現特性を有する配列が、実質的に相同(同一)であると見なされる。相同性を決定する目的では、天然配列のトランケーションは無視する必要がある。本明細書で使用される例示的なIL-15ポリペプチドは、配列番号1に対して実質的に相同な配列を含む。配列番号2は配列番号1とほぼ同一であるが、配列番号2は、大腸菌(E.coli)において翻訳の開始に必要なメチオニンを配列の最初に有する。
【0049】
用語「断片」は、タンパク質又はポリペプチド、例えばIL-15部分の一部分又は断片のアミノ酸配列を有し、タンパク質又はポリペプチド、例えばIL-15の生物活性、又は実質的に生物活性を有する任意のタンパク質又はポリペプチドを意味する。断片は、タンパク質分解により生成されるタンパク質又はポリペプチド、及び当技術分野で日常的な方法による化学合成によって生成されるタンパク質又はポリペプチドを含む。
【0050】
ペプチド中のアミノ酸残基は、以下のとおり略記される:フェニルアラニンはPhe又はFであり;ロイシンはLeu又はLであり;イソロイシンはIle又はIであり;メチオニンはMet又はMであり;バリンはVal又はVであり;セリンはSer又はSであり;プロリンはPro又はPであり;スレオニンはThr又はTであり;アラニンはAla又はAであり;チロシンはTyr又はYであり;ヒスチジンはHis又はHであり;グルタミンはGln又はQであり;アスパラギンはAsn又はNであり;リジンはLys又はKであり;アスパラギン酸はAsp又はDであり;グルタミン酸はGlu又はEであり;システインはCys又はCであり;トリプトファンはTrp又はWであり;アルギニンはArg又はRであり;及びグリシンはGly又はGである。
【0051】
概要
本開示は、(数あるものの中でも特に)、(a)長時間作用型IL-15受容体作動薬と、(b)腫瘍抗原に誘導される抗体(ここでは、腫瘍に誘導される抗体は、作用機序としての抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を含む)とを含む、癌などの状態の治療に関連する組み合わせ、組成物、方法、及びキットを提供することを対象とする。こうした組成物及び方法は、理想的には、いくつかの好都合な予想外の特徴、例えば、以下のうちの少なくとも1つ、もしかするとそれ以上を有することとなる:腫瘍クリアランスの増大;患者の生存の増大及び/又は患者の長期の生存;組み合わせで投与された場合の、単独で投与された一方の活性な薬剤と比較した場合の、特に標的組織区画内での、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗体の一方又は両方の活性の増大;NK細胞の脱顆粒の増強;NK細胞増殖の増大;NK細胞生存能の増大;T細胞、例えばCD8+T細胞増殖の増大、及び/又はT細胞、例えばCD8+T細胞生存能の増大。驚いたことに、本出願人等は、以下でより詳細に説明される且つ裏付けとなる実施例で例示される好都合な特性の唯一無二の組み合わせを有する、長時間作用型IL-15受容体作動薬と、腫瘍抗原に誘導される少なくとも1種の抗体(モノクローナル抗体など)との組み合わせに到達した。
【0052】
本明細書に記載される長時間作用型IL-15R作動薬と、ADCCによって腫瘍致死を媒介する標的化抗体との組み合わせは、増強された免疫治療効果を呈することが発見されている。ADCCは、ある種の腫瘍標的化抗体による腫瘍消失(depletion)における重要な機構であり、ここでは、NK細胞上の受容体が、腫瘍細胞結合抗体を認識する。NK細胞受容体の抗体への再結合は、細胞傷害性顆粒及び/又はサイトカインの放出を誘発して、腫瘍細胞を殺す。本明細書に記載される長時間作用型IL-15R作動薬は、細胞傷害性及び/又は他の機能的活性化が増したNK細胞を増加させることによって、ADCC作用機序を用いる腫瘍標的抗体療法の有効性を増大させるのに有効であることが発見されている。
【0053】
治療的組み合わせ、組成物、及び使用方法
第1の態様では、癌又は腫瘍に悩む対象を治療するための方法が、本明細書に記載される。この方法は、腫瘍抗原と特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分と、長時間作用型IL-15受容体作動薬とを、一緒に又は別々に投与することを含む。長時間作用型IL-15受容体作動薬がNK細胞の増殖を誘発する、及びNK細胞の腫瘍細胞致死能力を活性化する能力に起因して、組み合わせ治療手法が開発された。この組み合わせ治療手法では、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(モノ(mPEG-ブタンアミド)インターロイキン-15、モノ(mPEG-ブタンアミド)IL-15、又はモノ-mPEG-SBA-IL15とも称される)などの長時間作用型IL-15受容体作動薬が、腫瘍細胞を認識する治療用モノクローナル抗体と組み合わせられ、それによって、細胞致死活性化NK細胞の数の増加がもたらされ、このNK細胞はまた、抗体分子に効率的に結合することができ、次いで、抗体によって腫瘍細胞に誘導されることができ、相乗的な腫瘍細胞致死の増進が促進される。例えば、随伴する本明細書の実施例に記載した結果を参照のこと。
【0054】
明確性の目的で、投与すること(ここでは、用語「投与すること」は、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は腫瘍に誘導される抗体の送達を指す場合に使用される)の順序に関して、長時間作用型IL-15受容体作動薬と腫瘍に誘導される抗体は、同時に又は連続的に、また、いかなる順序でも投与することができる。さらに、組み合わせのいずれかの構成成分の治療は、単一のサイクルの治療法を含むこともできるし、複数のサイクルを含むこともできる。すなわち、長時間作用型IL-15作動薬の投与及び腫瘍に誘導される抗体の投与の後に、追加のラウンドの治療法は、腫瘍に誘導される抗体の投与と組み合わせた長時間作用型IL-15受容体作動薬の投与、腫瘍に誘導される抗体のさらなる投与を伴わない長時間作用型IL-15受容体作動薬の投与、若しくは長時間作用型IL-15受容体作動薬のさらなる投与を伴わない腫瘍に誘導される抗体の投与、又は上述の投与のあらゆる組み合わせを含むことができる。
【0055】
第2の態様では、腫瘍抗原と特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分と、長時間作用型IL-15受容体作動薬とを含む組成物(単数)(又は組成物(複数))が、本明細書に記載される。
【0056】
一般に、本明細書に記載される抗体は、以下では癌抗原又は腫瘍抗原と称される、癌又は腫瘍細胞の細胞表面上に発現されるタンパク質に誘導される。いくつかの癌又は腫瘍抗原が、当技術分野で公知である。非限定的な例としては、リン酸化タンパク質、膜貫通タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、及び成長因子が挙げられる。所与の化合物が、本明細書に記載される抗原又は標的のいずれかに対する抗体として作用することができるかどうかを決定するためのアッセイは、当業者によって、慣例的な実験を介して決定することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、抗体は、典型的にはヒト血液循環に見られる、免疫グロブリンG(IgG)型の抗体である。
【0058】
いくつかの実施形態では、抗体は、抗CD16、抗CD19、抗CD20、又は抗CD38抗体、すなわち、CD16、CD19、CD20、CD30、CD38、又はCD52と特異的に結合する抗体である。
【0059】
ヒトCD19抗原は、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーに属する95kDa糖タンパク質である。CD19は、正常及び腫瘍性B細胞に対する、また濾胞樹状細胞に対するバイオマーカーである。CD19は、プレB細胞発生の初期段階から、最終分化まで発現され、Bリンパ球の発生及び機能を調節する。CD19の発現は、非ホジキンリンパ腫などのB細胞リンパ腫を含めた大抵のB細胞腫瘍上で高度に保存される。CD19はまた、B細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)を含めた大抵の型の白血病において発現される。B細胞悪性腫瘍(リンパ腫及び白血病)の大部分は、通常~高いレベルでCD19を発現する。実施形態では、抗体は、抗CD19モノクローナル抗体である。本明細書の方法及び組成物に使用するために企図されるいくつかの例示的な抗CD19抗体には、限定はされないが、例えば、抗B4-bR、BiTE(二重特異性T細胞誘導(bi-specific T-cell engaging)抗体)、MEDI-551(MedImmune,LLC)、MOR-208(MorphoSys AG)、ブリナツモマブ、二重特異性抗CD19/CD3 BiTE(登録商標)抗体(Blincyto(登録商標)、Amgen)、コルツキシマブ・ラブタンシン(coltuximab ravtansine)(ImmunoGen Inc.及びSanofi)、デニンツズマブ・マホドチン(denintuzumab mafodotin)(Seattle Genetics)、タプリツモマブ・パプトクス(taplitumomab paptox)(National Cancer Institute)、XmAb 5871(Amgen及びXencor Inc.)、MDX-1342(Medarex)、AFM11(Affimed Therapeutics)、及び米国特許第8,691,952号明細書に記載されている抗CD19抗体(huB4、DI B4、Merck)が含まれる。1つ以上の実施形態では、限定はされないが、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)を含めたB細胞悪性腫瘍の治療において、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗CD19抗体との組み合わせが使用される。
【0060】
CD20は、ほとんどすべての正常及び悪性B細胞の表面上に発現される、およそ33~37kDの非グリコシル化リン酸化タンパク質である。CD20 mAbは、エフェクター機構の活性化を含むFab媒介性の効果を介して抗腫瘍効果を発揮することができる(Boross et al.,Am J Cancer 2(6):676-690,2012)。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載される長時間作用型IL-15受容体作動薬と共に投与される抗体は、抗CD20モノクローナル抗体である。本明細書の方法及び組成物に使用するために企図されるいくつかの例示的な抗CD20抗体には、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)、Genentech)、オファツムマブ(Arzerra(登録商標)、Genmab AC)、オクレリズマブ(Genentech)、ベルツズマブ(Immunomedics)、AME-133V(Eli Lilly)、PRO131921(Genentech)、GA101(Glycart/Roche)、イブリツモマブ・チウキセタン(Zevalin)、トシツモマブ(Bexxar)、及びオビヌツズマブ(Gazyva(登録商標)、Genentech)が含まれる。実施形態では、本明細書に記載されるものなどの長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗CD20抗体との組み合わせが、限定はされないが、非ホジキンリンパ腫、CLL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、及び濾胞性リンパ腫を含めたB細胞悪性腫瘍の治療に使用される。
【0061】
CD38は、受容体機能と酵素機能を有する45kDaのタイプII膜貫通糖タンパク質である。CD38は、一般に、様々な血液及び固形組織上で低レベルで発現されるが、形質細胞によって高レベルで発現される(多発性骨髄腫(MM)などの形質細胞腫において、特に広く高い発現レベルを示す)。CD38はまた、血液腫瘍の一部においても発現される。いくつかのさらなる実施形態では、本発明の組み合わせは、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗CD38モノクローナル抗体との投与を含む。本明細書で提供される方法及び組成物に使用するために企図されるいくつかの例示的な抗CD38抗体には、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標)、Janssen Biotech)、イサツキシマブ(SAR650984、Sanofi Oncology)、及びMOR202(Morphosys)が含まれる。いくつかのさらなる実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗CD38抗体との組み合わせが、多発性骨髄腫、CD38+非ホジキンリンパ腫、CDCLL、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、原発性全身性アミロイドーシス、マントル細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、NK細胞白血病、NK/T細胞リンパ腫、及び形質細胞性白血病から選択される状態の治療に使用される。
【0062】
いくつかの追加の実施形態では、がん免疫学に基づく治療的組み合わせは、本明細書に記載される長時間作用型IL-15受容体作動薬と、限定はされないが、SLAMF7、EpCAM、gpA3、又は葉酸結合タンパク質(FBP)から選択される糖タンパク質に誘導される抗体とを含む。実施形態では、抗体は、抗SLAMF7抗体、抗EpCAM抗体、抗gpA3抗体、又は抗FBP抗体である。
【0063】
シグナル伝達リンパ球活性化分子ファミリーメンバー(Signaling Lymphocytic Activation Molecule Family Member)7(SLAMF7、以前はCS1、CD319、CRACCとして公知であった)は、シグナル伝達リンパ球活性化分子ファミリーのメンバーである。SLAMF7は、B細胞、T細胞、樹状細胞、NK T細胞、及び単球などの免疫細胞上で、並びに多発性骨髄腫細胞上で発現される。本発明の組み合わせの実施形態では、抗体は、抗SLAMF7モノクローナル抗体である。本明細書の方法及び組成物に使用するために企図される、ある例示的な抗SLAMF7抗体は、エロツズマブ(Emplicity(商標)、Bristol-Myers Squibb)である。実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗SLAMF7抗体との組み合わせが、多発性骨髄腫の治療に使用される。
【0064】
上皮細胞接着分子(EpCAM)は、胃腸起源の腫瘍及び泌尿生殖器のいくつかの癌を含めたいくつかの上皮癌細胞によって発現される膜貫通糖タンパク質である。EpCAMは、例えば、ヒト結腸癌、転移性乳癌、胆嚢癌、卵巣癌、及び膵癌において発現される。本明細書で提供される治療的組み合わせの実施形態では、抗体は、抗EpCAMモノクローナル抗体である。本明細書の方法及び組成物に使用するために企図されるいくつかの例示的な抗EpCAM抗体には、エドレコロマブ(Panorex、Creative Biolabs)、ING-1(Xoma)、3622W94(Creative Biolabs)、及びアデカツムマブ(Amgen)が含まれる。1つ以上の実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗EpCAM抗体との組み合わせが、ヒト結腸癌、転移性乳癌、胆嚢癌、卵巣癌、腺癌、及び膵癌の治療に使用される。
【0065】
いくつかのさらなる実施形態では、抗体は、限定はされないが、例えば、血管内皮成長因子(VEGF)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、及び上皮成長因子受容体(EGFR)から選択される成長因子に誘導される。いくつかの実施形態では、抗体は、抗VEGF抗体、抗VEGFR抗体、及び抗EGFR抗体から選択される。
【0066】
血管内皮成長因子(VEGF)は、27kDaの血管新生シグナル伝達タンパク質である。VEGFは、膵癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、及び肺癌を含めた大抵の型の非消化器癌及び消化器癌において発現される。本明細書の方法及び組成物に使用するために企図されるいくつかの例示的な抗VEGF抗体には、ベバシズマブ(Avasatin(登録商標)、Genentech,Inc.)、ラニビズマブ、2C3及びr84(AT001、Affitech AS)、及びVEGF-Trap(アフリベルセプト、Regeneron Pharmaceuticals,Inc.)が含まれる。1つ以上の実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗VEGF抗体との組み合わせが、例えば、膵癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、転移性腎細胞癌、及び非小細胞肺癌などの癌の治療に使用される。
【0067】
血管内皮成長因子受容体(VEGFR)は、血管新生を誘発する、細胞成長及び転移を増大させることなどができる、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)である。VEGFRファミリーは、3つの主なサブタイプ:VEGFR-1、VEGFR-2、及びVEGFR-3を有する。本明細書の方法及び組成物に使用するために企図されるいくつかの例示的な抗VEGFR抗体には、MF1/IMC-18F1(ImClone Systems);IMC-1121B ImClone Systems)、及びDC101/IMC-1C11が含まれる。いくつかのさらなる実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗VEGFR抗体との組み合わせが、例えば乳癌又は非小細胞肺癌などの、癌の治療に使用される。いくつかの実施形態では、抗VEGFR抗体は、抗VEGF抗体について上で列挙した適応症のために使用される。
【0068】
上皮成長因子受容体(EGFR)は、乳、肺、食道、転移性結腸直腸、及び頭頸部を含めたいくつかの型の癌において発現される、受容体型チロシンキナーゼの大きなファミリーである。本明細書の方法及び組成物に使用するために企図されるいくつかの例示的な抗EGFR抗体には、セツキシマブ(Erbitux(登録商標)、Lilly USA)及びパニツムマブ(Vectibix(登録商標)、Amgen)が含まれる。1つ以上の特定の実施形態では、抗体は、抗ヒト上皮成長因子受容体2抗体(抗HER2)である。本明細書の方法及び組成物に使用するために企図されるいくつかの例示的な抗HER2抗体には、ヒト化モノクローナル抗体トラスツズマブ(Herceptin(登録商標)、Genentech,Inc.)及び/又はペルツズマブ(Perjeta(登録商標)、Genentech,Inc.)が含まれる。いくつかの関連する実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗EGFR抗体との組み合わせが、乳(例えば転移性乳癌)、肺、食道、転移性結腸直腸、及び頭頸部癌などの癌の治療に使用される。
【0069】
本明細書で提供される方法及び組み合わせに使用するために企図されるものはまた、抗BCMA(B細胞成熟抗原、CD269とも称される)抗体である。BCMAは、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーのメンバーである。BCMAはB細胞活性化因子(BAFF)及び増殖誘導リガンド(APRIL)と結合する。非悪性細胞の中では、BCMAは、大抵、形質細胞及び一部の成熟B細胞において発現されることが報告されている。BCMA RNAは、多発性骨髄腫細胞において検出されており、BCMAタンパク質は、多発性骨髄腫患者からの形質細胞の表面上で検出されている。BCMAは、様々なヒト癌によって発現又は過剰発現される。BCMAを発現又は過剰発現する癌の例としては、限定はされないが、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)リンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)リンパ腫、ホジキンリンパ腫、及び多発性骨髄腫が含まれる。例示的な抗BCMA抗体は、例えば、米国特許出願公開第20120082661号明細書、同第20170051068号明細書、及び同第20180318435号明細書(その内容全体を参照によって本明細書に組み込む)に記載されている。例示的な抗BCMA抗体には、Pillarisetti,K.,et al.,Blood,2016,128:2116に記載されるBCMA×XD3、及び抗BCMA抗体薬物コンジュゲート、GSK2857916のヒト化抗体部分が含まれる。
【0070】
いくつかの実施形態では、抗体は、2種以上の特異的な抗原、例えば二重特異性抗体と同時に結合することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、抗体は、上に記載した抗体のいずれかとの結合について交差競合するものである。上に言及した抗体のいずれかと交差競合する抗体は、類似の又は同じ機能特性を有することが期待される。
【0072】
抗体の抗原結合作用が、全長抗体の断片によって実施され得ることが当技術分野で周知であるので、いくつかの実施形態では、本明細書の使用のための抗体は、上に記載された抗体のいずれかの抗原結合部分である。
【0073】
次に見るべきことは、長時間作用型IL-15受容体(IL-15R)作動薬、一般に、好ましい長時間作用型IL-15受容体作動薬又はその薬学的に許容し得る塩形態が、アミド結合を介してIL-15アミノ基に安定に共有結合される単一の直鎖ポリアルキレンオキシド(例えばポリエチレングリコール又は「PEG」)部分を含むことである。PEG部分と、IL-15アミノ基への安定なアミド結合との間に介在するのは、2~5個の炭素原子を有する(すなわち、mは2、3、4、又は5である)直鎖の非置換アルキレン基(~CH2~)mである。1つ以上の好ましい実施形態では、mは3であり、その結果、安定なアミド結合はブタンアミドとなる。
【0074】
1つ以上の好ましい実施形態では、長時間作用型IL-15R作動薬は、(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-60kDインターロイキン-15、より好ましくは(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-40kDインターロイキン-15、さらにいっそう好ましくは(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15である。1つ以上の好ましい実施形態では、長時間作用型IL-15R作動薬は、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-60kDインターロイキン-15、より好ましくはモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-40kDインターロイキン-15、さらにいっそう好ましくはモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15である。ある好ましい実施形態では、長時間作用型IL-15R作動薬は、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15である。
【0075】
式(I)によって包含される構造を有する本明細書に記載されるIL-15R作動薬、特に、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15は、IL-15受容体アルファ(IL-15Rα)サブユニット、並びにベータ(β)及びガンマ(γ)サブユニットに対する結合親和性を保持する。本明細書に記載される長時間作用型IL-15R作動薬は、IL-2/IL-15Rβγ複合体に対して、同じ(シス)又は隣接する細胞(トランス)上となる。本明細書に記載される長時間作用型IL-15R作動薬によるIL-2/IL-15Rβγ複合体の結合は、T細胞増殖、生存、及び/又は活性を増大させるヤヌスキナーゼ/シグナル伝達性転写因子-5(JAK-STAT5)経路を誘発することができる。長時間作用型IL-15R作動薬は、さらに、CD8+T細胞の増殖及び活性化を有意に増強する。長時間作用型IL-15R作動薬は、好ましくは、相当する改変されていないIL-15R作動薬と比較して低下されたクリアランスを有する。理論によって制限されないが、PEGの付着が、IL-15部分の流体力学的体積を大きくして、コンジュゲート化されていないrhIL-15と比較して長い有効な半減期、低い最大ピーク濃度(Cmax)、及び/又は低下されたクリアランスをもたらすと推論される。本明細書に記載される長時間作用型IL-15R作動薬は、持続されるIL-15生物活性を提供し、毎日の投薬の必要性がない。
【0076】
IL-15部分を考察する場合、用語「IL-15部分」は、コンジュゲーション前のIL-15部分、及びPEGなどの非ペプチド性の水溶性ポリマーへの結合後のIL-15部分を指す。以後、PEGを非ペプチド性の水溶性ポリマーとして以下に特に参照するが、本開示は一般に、非ペプチド性の水溶性ポリマー又はポリ(アルキレングリコール)に関連することが理解されるであろう。しかしながら、元のIL-15部分がポリエチレングリコール部分に結合された場合、IL-15部分は、ポリマーに対する結合に関連した1つ以上の共有結合の存在に起因して、僅かに変更されていることが理解されるであろう。
【0077】
IL-15部分は、非組換え方法からも、及び組換え方法からも得ることができ、本開示はこの点について限定されない。加えて、IL-15部分は、ヒト供給源にも、動物供給源(昆虫を含む)にも、菌類供給源(イーストを含む)にも及び植物供給源にも由来し得る。
【0078】
代替的に、IL-15部分は、例えばGrabsteinらによって記載される手順に従い得ることができる。(Grabstein et al.(1994)Science 264:965-968)。IL-15部分は、例えば、Immunex Corporationへの欧州特許第0772624 B2号明細書に記載されているものなどの組換え方法を用いて調製することもできる。IL-15部分は、例えば、GenScript USA Inc.(Piscataway NJ)及びPeprotech(Rockyhill,NJ)から市販品を購入することができる。
【0079】
IL-15部分は、細菌(例えば、大腸菌(E.coli)、例えば、Fischer et al.(1995)Biotechnol.Appl.Biotechnol.21(3):295-311を参照)、哺乳動物(例えば、Kronman et al.(1992)Gene 121:295-304を参照)、酵母(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、例えば、Morel et al.(1997)Biochem.J.328(1):121-129を参照)、及び植物(例えば、Mor et al.(2001)Biotechnol.Bioeng.75(3):259-266を参照)の発現系で発現させることができる。発現は、外因性発現によっても(宿主細胞が天然で所望の遺伝コードを含む場合)又は内因性発現によっても起こり得る。
【0080】
IL-15部分の調製及び/又は精製のさらなる方法は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるPCT出願/米国特許出願公開第2018/032817号明細書に記載されている。
【0081】
IL-15活性を有するタンパク質の発現に用いられる系に応じて、IL-15部分はグリコシル化されていなくても、又はグリコシル化されていてもよく、いずれも使用することができる。1つ又は複数の実施形態では、IL-15部分はグリコシル化されていない。
【0082】
IL-15部分は、有利には、1つ又は複数のアミノ酸残基、例えば、リジン、システイン及び/又はアルギニンを含む及び/又は置換するように修飾することができ、それによりポリマーがそのアミノ酸の側鎖内の原子と結合し易くなる。IL-15部分の置換の例は、米国特許第6,177,079号明細書に記載される。加えて、IL-15部分は、天然に存在しないアミノ酸残基を含むように修飾することができる。アミノ酸残基及び天然に存在しないアミノ酸残基を付加する方法は、当業者に公知である。J.March,Advanced Organic Chemistry:Reactions Mechanisms and Structure,4th Ed.(New York:Wiley-Interscience,1992),and Bioinformatics for Geneticists(eds.Michael R.Barnes and Ian C Gray),2003 John Wiley&Sons,Ltd,Chapter 14,Amino Acid Properties and Consequences of Substitutions,Betts,M.J.,and Russell,R.B.を参照されたい。
【0083】
IL-15部分の追加の好適な改変及びこうした改変のための方法は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるPCT出願/米国特許出願公開第2018/032817号明細書に記載されている。例示的な改変は、官能基の結合(官能基を含むアミノ酸残基の付加によるものは除く)を含む。例えば、チオール基、N末端のα炭素、1つ又は複数の炭水化物部分、アルデヒド基又はケトン基を含む。一部の実施形態では、IL-15部分は、チオール基、N末端のα炭素、炭水化物、アルデヒド基又はケトン基のうちの1つ又は複数を含むようには修飾されないことが好ましい。
【0084】
例示的IL-15部分は、本明細書、文献、並びに例えば米国特許出願公開第2006/0104945号明細書、Pettit et al.(1997)J.Biol.Chem.272(4):2312-2318、Wong et al.(2013)OncoImmunology 2(11),e26442:1-3、及びPCT出願番号PCT/US2018/032817号明細書に記載されその全体が参照により本明細書に組み込まれる。好ましいIL-15部分には、配列番号1~3からなる群から選択される配列、及びそれと実質的に相同の配列を含むアミノ酸配列を有するものが含まれる(ここで、配列番号2及び3、及びそれらと実質的に相同の配列が本明細書に提供されるIL-15部分のインビトロ活性基準を満たさない場合であっても、本発明の目的上、それらの配列もまた「IL-15部分」であると理解されることは理解されるであろう)。好ましいIL-15部分は、配列番号1に対応するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、IL-15部分は、配列番号1~3のいずれか1つと少なくとも約85%又は少なくとも約90%同一性を有する機能的相同体である。いくつかの実施形態では、IL-15部分は、配列番号1~3のいずれか1つと少なくとも約95%、98%又は99%同一性を有する機能的相同体である。
【0085】
場合によっては、IL-15部分は、対応するペプチドの単一の発現が個別の単位として体系付けられる「単量体」形態であり得る。他の場合には、IL-15部分は、2つの単量体形態のタンパク質が互いに会合している「二量体」の形態(例えば、組換えIL-15の二量体)であり得る。
【0086】
加えて、前駆体形態のIL-15をIL-15部分として使用することができる。例示的な前駆体形態のIL-15は配列番号3の配列を有する。
【0087】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15R作動薬は、米国特許出願公開第2018/0360977号明細書に記載されているPEG化されたIL-15分子、特に、その中に記載されているマルチアームPEG IL-15である。
【0088】
いくつかの実施形態では、IL-15部分は、米国特許第10,350,270号明細書に記載されているIL-15変異タンパク質又は他のIL-15関連分子である。
【0089】
前述の配列のいずれかのトランケート型、ハイブリッド変異体、及びペプチド模倣物もまた、IL-15部分として働き得る。少なくともある程度のIL-15活性を維持する前述のいずれかの生物学的に活性な断片、欠失変異体、置換変異体又は付加変異体もまた、IL-15部分として働き得る。
【0090】
所与のペプチド、タンパク質部分又はコンジュゲートについて、当該のペプチド、タンパク質部分又はコンジュゲートがIL-15活性を有するかどうかを決定することが可能である。インビトロIL-15活性を決定するための様々な方法が当該技術分野において記載されている。例示的手法はpSTATアッセイに基づく。簡潔に言えば、IL-15依存性CTLL-2細胞がIL-15活性を有する被験物質に曝露された場合、結果として、定量的に計測することのできるチロシン残基694(Tyr694)におけるSTAT5のリン酸化を含むシグナル伝達カスケードが惹起される。アッセイプロトコル及びキットは公知であり、例えば、MSD Phospho(Tyr694)/Total STATa,b全細胞ライセートキット(Meso Scal Diagnostics,LLC、Gaithersburg,MD)が含まれる;例えばこの手法を用いて、5分又は10分の少なくとも一方の時点で約300ng/mL以下(より好ましくは約150ng/mL以下)のpSTAT5 EC50値を呈する候補IL-15部分が、本開示に関連した「IL-15部分」であると見なされる。しかしながら、使用されるIL-15部分はより強力である(例えば、5分又は10分の少なくとも一方の時点で150ng/mL未満、例えば5分又は10分の少なくとも一方の時点で約1ng/mL未満、さらにより好ましくは0.5ng/mL未満のpSTAT5 EC50値を有する)ことが好ましい。
【0091】
電位測定法、分光測定法、クロマトグラフィー法、及び放射測定法を含めた当該技術分野において公知の他の方法もまた、IL-15機能の評価に用いることができる。一つのかかる別のタイプのアッセイについては、例えば、Ring et al.(2012)Nat.Immunol.13(12):1187-1195を参照のこと。
【0092】
IL-15部分の活性の測定に関連して使用されるアッセイは、本明細書に記載される長時間作用型IL-15受容体作動薬の活性の測定にも使用することができる。例えば、本明細書に提供される支持実施例を参照されたい。
【0093】
化合物は、対象への投与後、作動薬が、IL-15の投与の場合よりも長い時間、インビボでのIL-15受容体活性化作用を示す限り、本開示による長時間作用型のIL-15受容体作動薬と見なされる。例えば化合物を放射性標識し、化合物をインビボで投与し、そのクリアランスを決定することを含む従来の手法を用いて、長時間作用型のIL-15受容体作動薬として提案される化合物が「長時間作用型」である(すなわち、同じインビボ系に投与されたIL-15よりも長いクリアランスを有する)か否かを評価することができる。本発明の目的上、長時間作用型IL-15受容体作動薬の長時間作用の性質は、フローサイトメトリーを用いて、評価されるべき作動薬をマウスに投与後の様々な時点で、リンパ球におけるSTAT5リン酸化を測定して決定され得、又は典型的には決定される。参照として、シグナルはIL-15によってほぼ24時間で喪失するが、長時間作用型IL-15作動薬の場合は、ある期間を超えて持続性である。
【0094】
好ましい長時間作用型IL-15受容体作動薬は、一般に、アミド結合を介してIL-15アミノ基に安定して共有結合した単一直鎖PEG(ポリエチレングリコール)部分を含むであろう。PEG部分と、IL-15アミノ基に対する安定なアミド結合との間に、2~5個の炭素原子を有する直鎖非置換アルキレン基(~CH2~)m(すなわち、m=2、3、4、又は5)が介在する。
【0095】
例えば、いくつかの実施形態では、非置換アルキレン基は(~CH2~)2であり;又は、いくつかの追加の実施形態では、非置換アルキレン基は(~CH2~)3であり;いくつかのなおさらなる実施形態では、非置換アルキレン基は(~CH2~)4であり;いくつかのなおさらなる実施形態では、非置換アルキレン基は(~CH2~)5である。
【0096】
例えば、いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、以下の構造を有する:
【化3】
式中、IL-15は、インターロイキン-15部分であり、nは、約150~約3,000の整数であり;mは、2~5の整数(例えば、2、3、4、又は5)であり、n’は1である。式I(及び本明細書に提供される類似の式)において、構造中の~NH~は、IL-15部分のアミノ基を表す。式(I)は、以下のように示すこともでき、
【化4】
ここで括弧は末端PEGメトキシ基を反映するように移動され、2つの式は、交換可能に使用され得る。例示的な化合物の例としては、式(I)により包含される以下が挙げられる:
【化5】
【0097】
いくつかの好ましい実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、式(Ia)又は式(Ib)に対応する。いくつかの特に好ましい実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、式(Ib)に対応する。
【0098】
本明細書に記載される構造及び式に関連したいくつかのさらなる実施形態では、nは、約200~約2000、又は約400~約1300、又は約450~約1200の整数である。すなわち、いくつかの実施形態では、nは、約200~約2000の整数である。いくつかのなおさらなる実施形態では、nは、約400~約1300の整数である。いくつかのなおさらなる実施形態では、nは、約450~約1200の整数である。
【0099】
前述のn値の範囲のいずれかに対応する分子量を有するPEGが一般に好ましい。
【0100】
1つ以上の追加の実施形態では、nは、約10,000ダルトン(ここでnは約227である)、又は約15,000ダルトン(ここでnは約340である)、又は約20,000ダルトン(ここでnは約454である)、又は約25,000ダルトン(ここでnは約568である)、又は約30,000ダルトン(ここでnは約681である)、又は約40,000ダルトン(ここでnは約907~909、例えば約909である)、又は約50,000ダルトン(ここでnは約1136である)又はさらには約60,000ダルトン(ここでnは約1364である)以上からなる群から選択される重量平均分子量を有するポリエチレングリコールポリマーに対応する値を有する整数である。
【0101】
化合物のポリエチレングリコール部分に関するさらなる例示的な重量平均分子量は、前述に加えて、約11,000ダルトン、約12,000ダルトン、約13,000ダルトン、約14,000ダルトン、約22,500ダルトン、約35,000ダルトン、約40,000ダルトン、約45,000ダルトン、約55,000ダルトン、約65,000ダルトン、約70,000ダルトン、及び約75,000ダルトンを含む。いくつかの実施形態では、IL-15コンジュゲートのポリエチレングリコール部分の重量平均分子量は、約37,000~約45,000ダルトンである。
【0102】
いくつかの好ましい実施形態では、IL-15コンジュゲートのポリエチレングリコールポリマー部分の重量平均分子量は、約40,000ダルトンである。それに対するあらゆる部分式(sub-formula)を含めた本明細書に記載される式(I)及び(II)のそれぞれに関して、40,000ダルトンのPEGの重量平均分子量が好ましい。
【0103】
PEG部分は、好ましくは、式(I)において上記に示すように、メトキシ基で末端キャップされるが、PEG部分は、その末端を任意の低級C1-6アルコキシ基でキャップされてもよく、又はヒドロキシル基若しくは他の好適な末端キャップ基で終結してもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、集合的に考えた場合、下記の式:
【化6】
(式中、n及びmの値は、上記の式(I)に関して提供したとおりである)により包含される、約20モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL-15受容体作動薬(組成物中のIL-15含有分子の)を含む。すなわち、例えば長時間作用型IL-15受容体作動薬化合物の組成物中に含まれる場合、例えば式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、及び(Id)のいずれかの、例えば式(Ib)の、例えば、インターロイキン-15部分に共有結合した異なる数のPEG部分を有する(例えば、2量体、3量体など)が、同じ化学式の、モノPEG化された長時間作用型IL-15受容体作動薬は、多くとも約20モルパーセントの式(II)の長時間作用型IL-15受容体作動薬を含む。
【0105】
いくつかの追加の実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、下記の式:
【化7】
(式中、n及びmの値は、上記の式(I)に関して提供したとおりである。すなわち、そのような組成物の長時間作用型IL-15受容体作動薬成分の観点から、組成物に含まれる約15mol%以下の長時間作用型IL-15受容体作動薬は、式(II)のものである。いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬組成物は、約0.1~20mol%以下の式(II)の化合物を含む。実施形態では、組成物は、約0.1~15、0.1~10、0.1~5、0.1~1、1~20、1~15、1~10、1~5、5~20、5~15、5~10、10~20、10~15、又は15~20mol%以下の式(II)の化合物を含む)により包含される、約15モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL-15受容体作動薬(組成物中のIL-15含有分子の)を含む。好ましい実施形態は、式(II)の「m」が3である実施形態である。
【0106】
前述に関連したいくつかの特定の実施形態では、式(Ia)に関連した長時間作用型IL-15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、下記の式:
【化8】
(式中、n及びmの値は、上記の式(Ia)に関して提供したとおりである)により包含される、約15モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL-15受容体作動薬(組成物中のIL-15含有分子の)を含む。
【0107】
いくつかの特定の好ましい実施形態では、式(Ib)に関連した長時間作用型IL-15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、下記の式:
【化9】
(式中、n及びmの値は、上記の式(Ib)に関して提供したとおりである)により包含される、15モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL-15受容体作動薬(組成物中のIL-15含有分子の)を含む。
【0108】
いくつかの別の実施形態では、式(Ic)に関連した長時間作用型IL-15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、下記の式:
【化10】
(式中、n及びmの値は、上記の式(Ic)に関して提供したとおりである)により包含される、約15モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL-15受容体作動薬(組成物中のIL-15含有分子の)を含む。
【0109】
いくつかの別の実施形態では、式(Id)に関連した長時間作用型IL-15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、下記の式:
【化11】
(式中、n及びmの値は、上記の式(Id)に関して提供したとおりである)により包含される、約15モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL-15受容体作動薬(組成物中のIL-15含有分子の)を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬組成物は、約0.1~20mol%以下の式(II)の化合物(式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)の化合物を含む)を含む。いくつかの追加の実施形態では、組成物は、約0.1~15、0.1~10、0.1~5、0.1~1、1~20、1~15、1~10、1~5、5~20、5~15、5~10、10~20、10~15、又は15~20mol%以下の式(II)の化合物(式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)の化合物を含む)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1、1、5、10、15、又は20mol%以下の式(II)の化合物(式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)の化合物を含む)を含む。組成物は、式(I)の化合物に関して当技術分野で既知の方法により精製され、その結果、式(II)の化合物が組成物中に存在しない、微量存在する、又は実質的に存在し得ないことを認識するであろう。
【0111】
例えば、いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)の化合物を含む式(II)により包含される、約12モルパーセント以下、又は約10モルパーセント以下の長時間作用型IL-15受容体作動薬を含む。
【0112】
前述のいくつかの追加の実施形態では、組成物は、2、3に等しい、又は3を超えるn’を有する(すなわち、より高級のPEGmer)、約7mol%以下の長時間作用型IL-15受容体作動薬を含む。さらなるいくつかの他の実施形態では、組成物は、2、3に等しい、又は3を超える(すなわち、2以上の)n’を有する、約5mol%以下の長時間作用型IL-15受容体作動薬を含む。
【0113】
いくつかのさらなる実施形態では、組成物は、式(I)、
【化12】
(式中、n及びmは上述したとおりであり、n’は、IL-15アミノ基に共有結合したポリエチレングリコール部分の平均数を表し(組成物に関して)、組成物に関するn’は、1.0~約1.3の範囲内である。例えば、IL-15部分当たりのポリエチレングリコール部分の平均数は、約1.0、1.1、1.2及び約1.3から選択される。すなわち、式(I)による好ましい長時間作用型IL-15受容体作動薬は、本明細書では「モノペグ化」と称され得、ここで、上述したように、ペグ化度には幾分かの可変性が存在することを理解するべきである。本明細書に記載される式に関連した、いくつかの好ましい実施形態では、「m」は3に等しい)による長時間作用型IL-15受容体作動薬を含む。
【0114】
長時間作用型IL-15受容体作動薬の組成物は、n’が約1に等しく、PEG部分が、組成物中の実質的に全てのIL-15コンジュゲートに関して同じ位置に結合している単一種を含んでもよく、又は代替的に、直鎖ポリエチレングリコール部分の結合が、インターロイキン-15部分上の異なる部位に生じる、すなわち、特定の結合部位が、組成物中に含まれるモノペグ化IL-15種の全てに関して同じではない、モノペグ化コンジュゲート種の混合物を含んでもよい)。従って、そのような組成物は、IL-15に結合したPEG部分の数の観点から実質的に均一であるが(例えば、1-mer)、IL-15分子上のアミノ基結合の位置の観点からは不均一である。
【0115】
追加のPEG構築及び結合化学を、長時間作用型IL-15受容体作動薬に到達するために使用することができるが、支持実施例に鑑みて考慮する場合に明らかとなるように、前述したような化合物は、1つ以上の実施形態において好ましい。しかしながら、本明細書に提供される構造を有する、追加の長時間作用型IL-15受容体作動薬も想定される。
【0116】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、式(Ia~d)を含む式(I)により包含される、少なくとも約80mol%の長時間作用型IL-15受容体作動薬(組成物中のIL-15含有分子の)を含む。1つ以上の実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬組成物は、少なくとも約85mol%、90mol%、95mol%、98mol%又は99mol%の式(I)の長時間作用型IL-15受容体作動薬を含み、ここで、特に好ましい式は式(Ib)の式である。
。
【0117】
本明細書において、長時間作用型IL-15受容体アゴニストを含む上記のすべての化合物は、そのような化合物を薬学的に許容される塩の形態で明示的に含むことを意味する。典型的には、そのような塩(例えば、塩基性化合物の)は、薬学的に許容可能な酸又は酸等価物との反応によって形成される。これに関連して用語「薬学的に許容可能な塩」は、一般に、比較的無毒の無機又は有機酸付加塩を指す。これらの塩は、投与ビヒクル若しくは剤形製造プロセスにおいてインサイチューで、又は、本明細書に記載される長時間作用型インターロイキン-15受容体作動薬を、好適な有機若しくは無機酸と別々に反応させ、そのように形成された塩を単離することによって調製され得る。代替的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩(napthylate)、オキシル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩などが挙げられるがそれらに限定されない。(例えば、Berge et al.(1977)「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.66:1-19参照)。従って、記載される塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機塩から誘導され;又は酢酸、プロピオン、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリシリック酸(salicyclic)、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸(isothionic)などの有機酸から調製され得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、約1~5mol%以下の遊離IL-15タンパク質(組成物中のIL-15含有分子の)を含む。いくつかのさらなる実施形態では、長時間作用型IL-15作動薬組成物は、約0.5mol%、1mol%、2mol%、3mol%、4mol%、又は5mol%以下の遊離(すなわち、非コンジュゲート化)IL-15を含む。
【0119】
長時間作用型IL-15受容体作動薬を調製するために、IL-15部分を例えばそのアミノ基(例えばリシン又はN-末端)において、スクシンイミジル基(又は他の活性化エステルグループ)で官能化されたPEG試薬にコンジュゲートし得る。この手法を用いて、スクシンイミジル活性化PEGは、水性媒体中でpH約7.0~9.0で、IL-15部分のアミノ基に結合することができるが、異なる反応条件(例えば、6~7若しくは7~8などのより低いpH、又は異なる温度及び/若しくは15℃未満の温度)の使用により、IL-15部分の異なる位置へのPEG部分の結合がもたらされ得る。
【0120】
長時間作用型IL-15受容体アゴニストを調製するための例示的な方法は、PCT出願番号PCT/US2018/032817号明細書、例えば実施例1~2に記載されていて、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。1つの例示的実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、実施例1に記載するように調製することができる。例えば、長時間作用型IL-15 R作動薬は、一般に、インターロイキン-15、例えば、組換えIL-15などの精製IL-15を、活性化エステル、メトキシPEG-スクシンイミジルブタノエート、mPEG-SBAなどの活性化PEG試薬と反応させることによって調製することができる。他の好適な活性化PEG試薬としては、メトキシPEG-スクシンイミジルプロピオネート、メトキシPEG-スクシンイミジルペンタノエート、及びメトキシPEG-スクシンイミジルヘキサノエートが挙げられる。スクシンイミジル活性化基が典型的には使用されるが、任意の好適な活性エステル又は活性化基を使用することができ、そのような反応性基は、所望の安定なアミド結合の形成に好適である。次いで、ペグ化IL-15反応生成物は、一般に、任意の好適な方法、例えばイオン交換クロマトグラフィーにより精製されて、所望の生成物を得ることができる。例えば、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いることができる。次いで、クロマトグラフィー生成物プールを濃縮し、例えばタンジェント流ろ過(TFF)を用いて好適な製剤緩衝液(例えば、ショ糖を含む酢酸ナトリウム緩衝液)中に透析ろ過し得る。分析は、例えばSDS-PAGE、逆相HPLCなどの任意の好適な方法、又は任意の他の好適な分析方法により行うことができる。
【0121】
以前に記載したように、IL-15部分上のアミノ基は、IL-15部分とポリエチレングリコール部分との間の結合の部位を提供して、式(I)により包含される長時間作用型IL-15受容体作動薬を提供する。本明細書に提供される例示的なIL-15アミノ酸配列を考慮すると、少なくとも配列番号1及び2についてのコンジュゲーションに利用可能であり得るε-アミノ酸を各々有する7つのリシン残基が存在することが明らかである。さらに、メチオニンのN末端アミンも、PEG部分に対する結合地点としての役割を果たし得る。ポリエチレングリコール部分は、リシン又はN-末端アミン位置の任意の1つ以上において結合し得ることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール部分結合部位は、Lys10及びLys11の1つ以上にある(一例として配列番号2に示される番号付けを使用、又は配列番号1を使用してLys11及びLys12)。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール部分は、N-末端アミンにおいて結合する。リシン部位のいずれも、PEG部分の結合部位(例えば配列番号1のLys37又はLys42)として好適であり得ることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、長時間作用型インターロイキン-15受容体作動薬は、ポリエチレングリコール部分の共有結合が主にN-末端にある(すなわち、位置異性体の集合のうち、N-末端で結合するPEG部分を有する異性体が、他の位置異性体と比較した場合に最大量で存在する)位置異性体の混合物を含む。
【0122】
所望であれば、生成物プールは、さらに、好適なカラム(例えば、Amersham Biosciences又はVydacなどの会社から市販されているC18カラム又はC3カラム)を使用する逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を用いた逆相クロマトグラフィーによって、又はイオン交換カラム、例えばAmersham Biosciencesから入手可能なSepharose(商標)イオン交換カラムを使用するイオン交換クロマトグラフィーによって、位置異性体に分離されてもよい。同じ分子量を有する(すなわち、位置アイソフォーム)PEG-インターロイキン-15位置異性体を分離するために、いずれの手法も使用することができる。
【0123】
本発明の長時間作用型IL-15受容体作動薬は、特定の顕著な及び有利な特徴を有することが発見されている。下記に記載する特徴は、一般に、本明細書に提供され及び式(I)により包含される化合物に適用されると考えられるが、以下の1つ以上の特徴は、特に、式(Ib)による化合物、及びその延長の式(IIb)による化合物により示され得る。長時間作用型IL-15受容体作動薬は、以下の特徴の1つ以上を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、非修飾IL-15と比較した場合、EC50値(ng/mL、CTLL-2 pSTAT5)における約7倍以下の低下を示す。例えば、1つ以上の関連実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、IL-15と比較した場合、EC50値(ng/mL、CTLL-2 pSTAT5)における約6.5倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL-2 pSTAT5)における約6倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL-2 pSTAT5)における約5.5倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL-2 pSTAT5)における約5倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL-2 pSTAT5)における約4.5倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL-2 pSTAT5)における約4倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL-2 pSTAT5)における約3.5倍以下の低下、又はさらにはEC50値(ng/mL、CTLL-2 pSTAT5)における約3倍以下の低下を示す。前述の特徴に従った例示的な長時間作用型IL-15受容体作動薬は、本明細書及びPCT出願番号PCT/US2018/032817号明細書に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0124】
当該の組成物に含まれる長時間作用型IL-15受容体作動薬の量は、いくつかの因子に応じて変動することとなるが、組成物が単位用量容器(例えば、バイアル)内に保管される場合、最適には、治療的に有効な用量となる。さらに、医薬調製物は、シリンジ内に収めることができる。本明細書に記載される臨床的に所望されるエンドポイントをもたらす量を決定するために、治療的に有効な用量は、漸増量の長時間作用型IL-15受容体作動薬の反復投与によって、実験によって決定することができる。組成物中のあらゆる個々の賦形剤の量は、賦形剤の活性及び組成物の固有の必要性に応じて変動することとなる。典型的には、あらゆる個々の賦形剤の最適な量は、慣例的な実験法を介して、すなわち、様々な量の(低から高までの範囲にわたる)賦形剤を含有する組成物を調製し、安定性及び他のパラメータを検討し、次いで、有意な有害作用を伴わずに最適な性能が得られる範囲を決定することによって決定される。
【0125】
この方法のそれぞれの薬理学的構成成分は、別々に投与することができる。或いは、2種の薬理学的構成成分の投与が同時であることが所望される--且つ2種の薬理学的構成成分が所与の製剤中で共に適合性がある--ならば、単一剤形/製剤の投与を介する同時投与(例えば、両方の薬理学的に活性な薬剤を含有する静脈内製剤の静脈内投与)を実現することができる。当業者は、慣例的な試験を介して、2種の所与の薬理学的構成成分が所与の製剤中で共に適合性があるかどうかを決定することができる。抗体と、長時間作用型のIL-15受容体作動薬とを、任意の順序で投与することができるということを理解されたい。さらに、抗体と、長時間作用型のIL-15受容体作動薬との投与は、必要に応じて、数分、数時間、又は数日、隔てることができる。
【0126】
長時間作用型のIL-15受容体作動薬を投与することの頻度に関して、当業者は、適切な頻度を決定できることとなる。例えば、臨床医は、長時間作用型のIL-15受容体作動薬を比較的低頻度で(例えば、2又は3週に1回)投与する、また、患者によって許容される場合に投薬の間隔を徐々に短くすることを決定することができる。抗体を投与することの頻度に関して、これらの薬剤の頻度は、同様の様式で決定することができる。さらに、本明細書に記載されるいくつかの長時間作用型IL-15受容体作動薬及び抗体は、臨床検査進行中である又は市販品として入手可能であるので、投与の適切な頻度を得るために文献を参照することも可能である(治療レジメンの組み合わせられた効果を考慮して、いくらかの調整が必要であり得ることに留意されたい)。
【0127】
いくつかの治療レジメンでは、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、治療の開始時に単回投与として投与される。抗体は、長時間作用型IL-15受容体作動薬と同時に、長時間作用型IL-15受容体作動薬の投与の前に、又は長時間作用型IL-15受容体作動薬の投与の後に投与される。例えば、いくつかの治療様式では、抗体は、長時間作用型IL-15受容体作動薬投与の(前後の)7~14日以内に(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日目のいずれかに)(ここでは、1日目は、治療の開始を示す)投与される。長時間作用型IL-15受容体作動薬の長時間作用的性質に基づくと、こうした化合物は、比較的低頻度で(例えば、3週に1回、2週に1回、8~10日に1回、週に1回、3日に1回など)投与することができる。さらに、抗体は、承認されたスケジュール(例えば、毎日、週2又は3回、毎週、2週ごと、など)に従って投与することができる。ある例示的なスケジュールでは、長時間作用型IL-15R作動薬は、1日目、及びその後21日ごとに投与される。抗体は、長時間作用型IL-15R作動薬の投与の7~14日後に開始して、毎週、2週ごと、又は毎月投与される。長時間作用型IL-15R作動薬と抗体の一方又は両方についての投薬スケジュールは、治療期間中に調整することができるということを理解されたい。一例として、長時間作用型IL-15R作動薬及び/又は抗体を、ある期間(例えば4~8週)の間毎週、次いで、その後の期間の間、2週ごとに又は毎月投与することができる。
【0128】
本明細書に記載される治療方法は、患者のケアを監督する臨床医が、その治療方法が有効であると考える限り、継続することができる。治療方法が有効であることを示す非限定的なパラメータには、以下が含まれる:腫瘍縮小(重量及び/又は体積に関して);個々の腫瘍コロニーの数の減少;腫瘍消失;及び無増悪生存期間。
【0129】
本明細書に記載される治療のクールに関する例示的な時間の長さには、約1週;2週;約3週;約4週;約5週;約6週;約7週;約8週;約9週;約10週;約11週;約12週;約13週;約14週;約15週;約16週;約17週;約18週;約19週;約20週;約21週;約22週;約23週;約24週;約7か月;約8か月;約9か月;約10か月;約11か月;約12か月;約13か月;約14か月;約15か月;約16か月;約17か月;約18か月;約19か月;約20か月;約21か月;約22か月;約23か月;約24か月;約30か月;約3年;約4年、及び約5年が含まれる。抗体と長時間作用型IL-15受容体作動薬の投薬頻度は、同じでも異なってもよいということを理解されたい。さらに、抗体及び/又は長時間作用型IL-15受容体作動薬の投薬頻度又はスケジュールは、それぞれに見合った受容体の占有の持続/抗原への結合の持続を達成するように設計することができる。
【0130】
場合によっては、抗体及び/又は長時間作用型IL-15受容体作動薬は、1種以上の薬学的に許容し得る賦形剤も含む組成物中に含まれる。例示的な賦形剤としては、限定なしに、炭水化物、無機塩類、抗菌剤、抗酸化剤、界面活性剤、緩衝剤、酸、塩基、アミノ酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0131】
糖、誘導体化された糖、例えば、アルジトール、アルドン酸、エステル化された糖、及び/又は糖ポリマーなどの炭水化物が、賦形剤として存在し得る。具体的な炭水化物賦形剤としては、例えば:フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなどの多糖類;及びマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトール、シクロデキストリンなどのアルジトールが挙げられる。
【0132】
賦形剤としてはまた、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせなどの無機塩又は緩衝剤も挙げることができる。
【0133】
1つ又は複数の組成物はまた、微生物の繁殖を防止又は抑止するための抗菌剤も含むことができる。本開示の1つ又は複数の実施形態に好適な抗菌剤の非限定的な例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメルソール(thimersol)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0134】
抗酸化剤も同様に組成物中に存在し得る。抗酸化剤を使用すると酸化が防止され、それによりコンジュゲート又は調製物の他の構成成分の劣化が防止される。本開示の1つ又は複数の実施形態での使用に好適な抗酸化剤としては、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド、メタ重亜硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0135】
賦形剤として界面活性剤が存在してもよい。例示的な界面活性剤としては、「Tween 20」及び「Tween 80」などのポリソルベート、並びにF68及びF88(双方とも、BASF、Mount Olive、New Jerseyから入手可能)などのプルロニック(登録商標);ソルビタンエステル;レシチン及び他のホスファチジルコリンなどのリン脂質、ホスファチジルエタノールアミン(但し、リポソーム形態ではないことが好ましい)、脂肪酸、並びに脂肪酸エステルなどの脂質;コレステロールなどのステロイド;並びにEDTA、亜鉛及び他のかかる好適な陽イオンなどのIL-15キレート剤が挙げられる。
【0136】
酸又は塩基が組成物中に賦形剤として存在してもよい。使用することのできる酸の非限定的な例としては、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酸が挙げられる。好適な塩基の例としては、限定なしに、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される塩基が挙げられる。
【0137】
1つ又は複数のアミノ酸は、本明細書に記載される組成物中に賦形剤として存在することができる。この関連における例示的なアミノ酸としては、アルギニン、リジン及びグリシンが挙げられる。好適な薬学的に許容可能な追加の賦形剤は、例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients、7th ed.、Rowe、R.C.、Ed.、Pharmaceutical Press、2012に記載されているものを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、リン酸カリウム及びトレハロースを含む組成物中に含まれる。いくつかの実施形態では、組成物は、注射用の滅菌水を含む液体製剤である。いくつかの他の実施形態では、組成物は、再構成に適した凍結乾燥粉末である。
【0139】
本明細書に記載される方法に従って、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗体は、治療有効量で患者に投与される。当業者は、どの程度の所与の長時間作用型IL-15受容体作動薬及び/又は抗体が、臨床的に妥当な量(例えば、それぞれ、IL-15受容体での拮抗する活性、又は所望される受容体/抗原に対する抗体結合)を提供するのに十分であるかを決定することができる。例えば、当業者は、文献を参照すること、及び/又は一連の漸増量の長時間作用型IL-15受容体作動薬を投与し、IL-15の臨床的に拮抗する活性を提供する量(単数)又は量(複数)を決定することができる。長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗体の一方又は両方の治療的量は、単独で投与される場合の一方の構成成分の治療有効量よりも低い可能性があるということを理解されたい。長時間作用型IL-15受容体作動薬を、本明細書に記載される抗体と組み合わせて投与することの相乗作用によって、投与されるべきいずれかの(組み合わせの構成成分の一方又は両方についての)用量をより低くすることができる、又は別々に決定されたいずれかの構成成分の用量での有効性をより大きくすることができる。一般に、抗体の治療有効量は、約0.01~約100mg/kg(端値を含む)の範囲となる。いくつかの特定の、ただし非限定的な実施形態では、抗体は、約0.01~50mg/kg、約0.05~50mg/kg、約0.1~50mg/kg、約0.5~50mg/kg、約1~50mg/kg、約5~50mg/kg、約10~50mg/kg、約15~50mg/kg、約20~50mg/kg、約30~50mg/kg、約40~50mg/kg、約0.01~40mg/kg、約0.05~40mg/kg、約0.1~40mg/kg、約0.5~40mg/kg、約1~40mg/kg、約5~40mg/kg、約10~40mg/kg、約15~40mg/kg、約20~40mg/kg、約30~40mg/kg、約0.01~30mg/kg、約0.05~30mg/kg、約0.1~30mg/kg、約0.5~30mg/kg、約1~30mg/kg、約5~30mg/kg、約10~30mg/kg、約15~30mg/kg、約20~30mg/kg、約0.05~25mg/kg、約0.1~25mg/kg、約0.5~25mg/kg、約1~25mg/kg、約5~25mg/kg、約10~25mg/kg、約15~25mg/kg、約20~25mg/kg、約0.01~20mg/kg、約0.05~20mg/kg、約0.1~20mg/kg、約0.5~20mg/kg、約1~20mg/kg、約5~20mg/kg、約10~20mg/kg、約15~20mg/kg、約0.01~15mg/kg、約0.05~15mg/kg、約0.1~15mg/kg、約0.5~15mg/kg、約1~15mg/kg、約5~15mg/kg、約10~15mg/kg、約0.01~10mg/kg、約0.05~10mg/kg、約0.1~10mg/kg、約0.5~10mg/kg、約1~10mg/kg、約5~10mg/kg、約0.1~5mg/kg、約0.5~5mg/kg、約1~5mg/kg、約0.1~1mg/kg、約0.5~1mg/kg、又は約0.1~0.05mg/kgの用量で投与される又は組成物に含められる。いくつかの実施形態では、抗体は、約0.01mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、又は約50mg/kgの用量で投与される。抗体の治療有効量は、政府規制機関によって承認されたあらゆる用量であり得るということを理解されたい。
【0140】
いくつかの実施形態では、抗体は、リツキシマブであり、治療有効量は、約100mg/m2~750mg/m2/投与(端値を含む)の範囲である。実施形態では、治療有効量は、約100mg/m2~500mg/m2、約150mg/m2~500mg/m2、約200mg/m2~500mg/m2、約375mg/m2~500mg/m2、又は約400mg/m2~500mg/m2/投与の範囲である。いくつかの実施形態では、抗体は、約100mg/m2、約150mg/m2、約200mg/m2、約250mg/m2、約375mg/m2、約400mg/m2、約500mg/m2、又は約750mg/m2の用量で投与される。
【0141】
いくつかの実施形態では、抗体は、ダラツムマブであり、治療有効量は、約10mg/kg~50mg/kg/投与(端値を含む)の範囲である。実施形態では、治療有効量は、約10~25mg/kg、約10~20mg/kg、約10~16mg/kg、約10~15mg/kg、約15~50mg/kg、約15~25mg/kg、約15~20mg/kg、約16~50mg/kg、約16~25mg/kg、又は約16~20mg/kg/投与の範囲である。いくつかの実施形態では、抗体は、約10mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、又は約50mg/kg/投与の用量で投与される。
【0142】
いくつかの実施形態では、抗体は、セツキシマブであり、治療有効量は、約100mg/m2~750mg/m2/投与(端値を含む)の範囲である。実施形態では、治療有効量は、約100mg/m2~500mg/m2、約150mg/m2~500mg/m2、約200mg/m2~500mg/m2、約250mg/m2~500mg/m2、約400mg/m2~500mg/m2、約200mg/m2~400mg/m2、約250mg/m2~400mg/m2、又は約300mg/m2~400mg/m2/投与の範囲である。いくつかの実施形態では、抗体は、約100mg/m2、約150mg/m2、約200mg/m2、約250mg/m2、約400mg/m2、約500mg/m2、又は約750mg/m2の用量で投与される。
【0143】
いくつかの実施形態では、抗体は、トラスツズマブであり、治療有効量は、約1mg/kg~20mg/kg/投与の範囲である。実施形態では、治療有効量は、約2~20mg/kg、約2~15mg/kg、約2~10mg/kg、約2~8mg/kg、約2~6mg/kg、約2~4mg/kg、約4~10mg/kg、約4~8mg/kg、約4~6mg/kg、約6~10mg/kg、約6~8mg/kg、又は約8~10mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態では、抗体は、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、又は約20mg/kgの用量で投与される。
【0144】
用量は、当技術分野における公知の方法によって決定することができ、具体的な用量は、規制機関によって設定される可能性があるということを理解されたい。所与の用量は、例えば、臨床医が、適切なエンドポイント(例えば、治癒、退縮、部分退縮、その他)が達成されたと決定するまで周期的に投与することができる。
【0145】
一般に、長時間作用型IL-15受容体作動薬の治療有効量は、約0.0001mg~約100mg、又は約0.001mg~約100mg、好ましくは約0.01mg/日~約75mg/日の用量、より好ましくは約0.10mg/日~約50mg/日の範囲の用量となる。所与の用量は、例えば、臨床医が、適切なエンドポイント(例えば、治癒、退縮、部分退縮、その他)が達成されたと決定するまで周期的に投与することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15R作動薬の治療有効量は、約0.25~25μg/kgの範囲である。他の実施形態では、治療的に有効な用量は、(例えば1日あたり)約0.25μg/kg~約0.1mg/kg、約0.375μg/kg~約20μg/kg、約0.375μg/kg~約15μg/kg、約0.375μg/kg~約10μg/kg、約0.375μg/kg~約5.0μg/kg、約0.375μg/kg~約1.5μg/kg、約1.0μg/kg~約20μg/kg、約1.0μg/kg~約15μg/kg、約1.0μg/kg~約10μg/kg、約1.0μg/kg~約5.0μg/kg、約1μg/kg~約1.5μg/kg、約1.5μg/kg~約20μg/kg、約1.5μg/kg~約15μg/kg、約1.5μg/kg~約10μg/kg、約1.5μg/kg~約5.0μg/kg、約5.0μg/kg~約20μg/kg、約5.0μg/kg~約15μg/kg、約5.0μg/kg~約10μg/kg、約10約1.5μg/kg~約20μg/kg、約10μg/kg~約20μg/kg、約10μg/kg~約15μg/kg、約15μg/kg~約20μg/kg、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg/日、又は約0.03mg/kg~約0.1mg/kg/日の範囲である。他の実施形態では、治療的に有効な用量は、約1~10μg/kg、約0.03mg/kg~約0.1mg/kgの範囲である。いくつかの具体的な、ただし非限定的な実施形態では、治療的に有効な用量は、約0.25μg/kg、約0.3μg/kg、約0.375μg/kg、約0.5μg/kg、約0.75μg/kg、約1μg/kg、約1.5μg/kg、約2μg/kg、約3μg/kg、約4μg/kg、約4.5μg/kg、約5μg/kg、約6μg/kg、約7μg/kg、約8μg/kg、約9μg/kg、約10μg/kg、約15μg/kg、約20μg/kg、約25μg/kg、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.05mg/kg、又は約0.1mg/kg/日である。
【0147】
上に記載した長時間作用型IL-15R作動薬の用量は、コンジュゲート又はタンパク質等価物のものを指すことができることを理解されたい。いくつかの好ましい実施形態では、用量は、タンパク質等価物におけるものである。
【0148】
実施形態では、抗体又は長時間作用型IL-15R作動薬の用量の増大をそれぞれ伴う場合に、抗体及び/又は長時間作用型IL-15R作動薬の用量レベルを低下させることができる。実施例14に示す通り、抗体治療又は長時間作用型IL-15R作動薬についての用量レベルの低下は、それぞれ、マウス腫瘍モデルにおける、IL-15R作動薬又は抗体の用量レベルの関連する増大によって相殺された。したがって、高用量の長時間作用型IL-15R作動薬と組み合わせた低用量の抗体の投与、並びに低用量の長時間作用型IL-15R作動薬と組み合わせた高用量の抗体の投与は、どちらも、マウス腫瘍モデルの骨髄におけるDaudi細胞数を減少させる。
【0149】
本明細書の実施例において言及される用量に関して、当業者は、動物の用量(例えばマウス)を、当技術分野で公知の変換(例えば、Nair et al.,J.Basic and Clin.Pharmacy(2016)7:27-31)を使用して、ヒトにおける対応する用量に変換することができるであろう。
【0150】
単位投薬量の任意の抗体及び/又はコンジュゲート(やはり、好ましくは医薬調製物の一部として提供される)は、臨床医の判断、患者の必要性、その他に応じて様々な投薬スケジュールで投与することができる。具体的な投薬スケジュールは、当業者によって知られることとなり、慣例的な方法を使用して、実験によって決定することができる。例示的な投薬スケジュールには、限定はされないが、1日1回、週3回、週2回、週1回、月2回(例えばq/14日)、月1回(例えばq/30又は31日、q/28日又はq/21日)投与、及びその任意の組み合わせが含まれる。投薬スケジュールは、必要に応じて調整する、例えば、一定期間、週1回の投与を行い、次いで、必要に応じてより短い又はより長いスケジュールに調整することができるということを理解されたい。所望される臨床エンドポイントが達成されたら、組成物の投薬は、停止又は減量される。いくつかの実施形態では、単位用量の任意のコンジュゲートを一回投与して、効果の持続を提供することができる。
【0151】
投与されることとなる抗体及び/又は長時間作用型IL-15受容体作動薬の実際の用量は、対象の年齢、体重、及び全身状態、並びに治療される状態の重症度、医療従事者の判断、及び投与されるコンジュゲートに応じて変わることとなる。治療有効量は、当業者に公知である、及び/又は関連する参照テキスト及び文献に記載されている。
【0152】
抗体と長時間作用型IL-15受容体作動薬との組み合わせは、癌又は腫瘍を患う患者に投与するのに適している。この方法は、腫瘍抗原に誘導される治療有効量の抗体と、一般に非経口的に、治療有効量の長時間作用型IL-15受容体作動薬とを、患者に投与する(好ましくは、同じ又は異なる医薬組成物の一部として提供される)ことを含む。
【0153】
抗体及び/又は長時間作用型IL-15受容体作動薬は、当技術分野で公知のあらゆる好適な手段によって投与することができる。いくつかの実施形態では、抗体と長時間作用型IL-15受容体作動薬の一方又は両方を、非経口的に(これには、皮下、静脈内、動脈内、腹腔内、心臓内、髄腔内、及び筋肉内注射、並びに注入注射(infusion injection)が含まれる)投与することができる。非経口投与に好適な製剤タイプは、中でも、注射準備完了注射溶液、使用前に溶媒と組み合わされる乾燥粉末、注射準備完了の縣濁液、使用前にビヒクルと組み合わされる乾燥不溶性組成物、並びに投与前に希釈される乳剤及び液体濃縮物を含む。いくつかの特定の実施形態では、抗体及び/又は長時間作用型IL-15受容体作動薬は、静脈内投与に好適な製剤で提供され、静脈内に投与される。いくつかの別の実施形態では、抗体及び/又は長時間作用型IL-15受容体作動薬は、皮下投与に好適な製剤で提供され、皮下に投与される。いくつかの追加の実施形態では、抗体と長時間作用型IL-15受容体作動薬の一方又は両方を、腫瘍内投与することができる。肺内、経鼻、頬側、直腸内、舌下、及び経皮などの他の投与様式も企図される。
【0154】
長時間作用型IL-15受容体作動薬(例えば、医薬組成物の一部として提供される)の投与方法は、場合により、特定の範囲に局在化させるように行われ得る。例えば、作動薬を含む液体、ゲル及び固体製剤はまた、疾患範囲内(例えば腫瘍内、腫瘍付近、炎症範囲内、及び炎症範囲付近など)に外科的に移植され得る。器官及び組織は、所望の位置がコンジュゲートにより良好に暴露されることを確実にするように、画像化できることも都合がよい。
【0155】
本明細書に記載される通り、本開示の一態様は、これらの化合物の片方又は両方での治療に対して応答性である状態を患う患者を治療するための、(数あるものの中でも特に)有用である方法を提供する。例えば、患者は、個々の薬剤単独並びに組み合わせに対して応答性であり得るが、組み合わせに対して、より応答性である。さらなる例として、患者は、個々の薬剤の一方に対して応答性ではない可能性があるが、組み合わせに対して応答性である。さらなる例として、患者は、個々の薬剤単独のいずれかに対して応答性ではない可能性があるが、組み合わせに対して応答性である。
【0156】
癌を有する対象の処置に関連して本明細書で使用されるとき、用語「処置」、「処置する」、及び「処置している」は、癌の1つ以上の症状を軽減、遅延、停止、若しくは逆行させ、又は癌が実際には除去されていない場合であっても、癌の進行を遅延させるための、対象が患っている癌の介入の全領域、例えば組み合わせの投与を含むことが意図される。処置としては、例えば、症状の重症度、症状の数、又は再発の頻度の低下、例えば腫瘍成長の阻害、腫瘍成長の抑止、又は既存の腫瘍の退行を挙げることができる。さらに、用語「癌を治療すること」は、絶対的な用語であることを意図しておらず、例えば、腫瘍の大きさ又は癌細胞の数を低下させること、癌を寛解の状態にさせること、又は癌細胞の大きさ又は数の成長を阻止することなどが含まれ得る。いくつかの状況では、本開示に従う治療は、予後の改善をもたらす。
【0157】
例えば、癌又は癌関連疾患の改善は、完全又は部分的な応答として特徴付けることができる。「完全応答」は、任意の以前の異常なX線検査試験、骨髄、及び脳脊髄液(CSF)又は異常なモノクローナルタンパク質測定値の正常化を伴う、臨床的に検出可能な疾患の非存在を指す。「部分的応答」は、新たな病変の非存在下での(で_)、全ての測定可能な腫瘍負荷(すなわち、対象内に存在する悪性細胞の数、又は測定された腫瘍塊の容積、又は異常なモノクローナルタンパク質の量)における少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%の低下を指す。用語「処置」は、完全及び部分的応答の両方を想定している。
【0158】
用語「癌」及び「癌性」は、典型的には無秩序な細胞成長により特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態を指す又は記載する。
【0159】
本明細書で使用される「腫瘍」及び「固形腫瘍」は、悪性又は良性のいずれかの全ての病変及び腫瘍性細胞成長及び増殖、並びに全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を指す。
【0160】
本明細書で使用する場合、用語「増強される」又は「増強すること」は、例えば応答の増強という文脈では、例えば、本明細書に開示される場合の、対象の又は腫瘍細胞の、治療に応答する能力の、所与のベースライン又は基準治療法と比較した場合の改善を指す。例えば、応答の増強は、治療に対する応答性のいずれかの1つ以上の指標に基づく、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は98%、又はそれ以上の応答性の増大を含むことができる。本明細書で使用する場合、「増強される」又は「増強すること」はまた、治療に好都合に応答する対象の数を、例えば、こうした比較のための所与の基準と比較した場合に増すことを指すことができる。
【0161】
例示的な状態は、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉種(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、扁平細胞癌、基底細胞癌、頭頸部癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、睾丸癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、結腸直腸癌、上皮癌、グリア細胞腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴覚神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫(例えば、ぶどう膜黒色腫、粘膜黒色腫、及び軟膜黒色腫を含む)、神経芽腫、網膜芽細胞腫、頭頸部の扁平上皮がん、白血病、及びリンパ腫などの癌である。さらなる例示的な状態は、限定はされないが非ホジキンリンパ腫及び多発性骨髄腫を含めた造血器腫瘍である。
【0162】
特定の一方法では、モノクローナル抗体及び長時間作用型IL-15受容体作動薬は、白血病又はリンパ腫などの血液系悪性腫瘍を処置するために使用される。さらなる別の方法では、モノクローナル抗体及び長時間作用型IL-15受容体作動薬は、固形癌を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、固形癌は、限定はされないが、結腸癌、結腸直腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、頭頸部癌、腎細胞癌、子宮頸癌、及び小細胞肺癌、非小細胞肺癌から選択される。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体と、長時間作用型IL-15受容体作動薬(又は関連する組成物)との組み合わせは、治療的に有効な用量で対象に投与される場合、例えば好適な動物モデルにおいて、NK活性化及び/又は増殖を、単独で且つ同等の用量で投与されるいずれかの薬剤について観察されるよりも大きな程度で刺激するのに有効である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるモノクローナル抗体と、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は組成物との組み合わせは、治療的に有効な用量で対象に投与される場合、例えば好適な動物モデルにおいて評価される場合に、単独で且つ同等の用量で投与されるいずれかの薬剤について観察されるよりも増大された腫瘍クリアランスを提供するのに有効である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるモノクローナル抗体と、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は組成物との組み合わせは、治療的に有効な用量で対象に投与される場合、例えば好適な動物モデルにおいて評価される場合に、単独で且つ同等の用量で投与されるいずれかの薬剤について観察されるよりも増大された及び/又は長期の対象の生存、例えば生存率の増大、又はより大きい程度の腫瘍退縮を提供するのに有効である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体と、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は組成物との組み合わせは、治療的に有効な用量で対象に投与される場合、特に、例えば骨髄などの組織区画内での、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗体の一方又は両方の活性の増大を提供するのに有効である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体と、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は組成物との組み合わせは、治療的に有効な用量で対象に投与される場合、NK細胞の脱顆粒の増強及び/又はNK細胞生存能の増大を提供するのに有効である。実施形態では、本明細書に記載される抗体と、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は組成物との投与は、治療的に有効な用量で対象に投与される場合、モノクローナル抗体単独による治療に対して抵抗性である癌を治療するのに有効である。
【0164】
本明細書に記載される組み合わせ療法に関する注目すべき発見を、以下で明らかにし、本明細書に含まれる実例においてさらに詳述する。実施例1に記載した例示的なDaudi B細胞リンパ腫マウスモデルでは、例示的な長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブとの投与は、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は抗体単独の投与と比較した場合に、生存を延長させるのに有効であった。
図1に示す通り、長時間作用型IL-15受容体作動薬と、抗CD20抗体、リツキシマブで治療されたマウスは、約45日後に100%の生存率を有していた。アイソタイプ対照又はリツキシマブ単独で治療されたマウスは、約30日後に0%の生存率を有していた。アイソタイプ対照と長時間作用型IL-15受容体作動薬で治療されたマウスは、約35日後に0%の生存率を有していた。実施例2に記載したさらなる例示的なマウスモデルでは、長時間作用型IL-15R作動薬(例えばモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)と、抗CD38モノクローナル抗体、ダラツムマブとの投与は、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は抗体単独の投与と比較した場合に、生存を延長させるのに有効であった。
図5に示す通り、実例となる長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)と、抗CD38抗体、ダラツムマブで治療されたマウスは、抗体単剤の28.5日と比較して、(腫瘍注射後)55日という生存中央値を有していた。実施例13に記載される通り、長時間作用型IL-15R作動薬(例えば、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)と抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブとの、SCIDマウスへの投与は、2倍を超える生存の増大をもたらした。対照的に、長時間作用型IL-15R作動薬と抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブとの、NK細胞機能性の低下を有するSCIDベージュマウスへの投与は、生存の増大が低下していた。これらの結果は、長時間作用型IL-15R作動薬と抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブとの投与による、NK細胞機能性に対する効果が、より長い生存をもたらすことを示す。実施例18及び19は、2つの例示的な結腸直腸癌腫マウスモデル(HT-29結腸直腸癌腫細胞モデル及びHCT-116結腸直腸癌腫異種移植モデル)における、長時間作用型IL-15R作動薬(例えばモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)と、抗EGFRモノクローナル抗体、セツキシマブとの投与での生存の増大を示す。
【0165】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬と本明細書に記載される抗体との投与は、長時間作用型IL-15受容体作動薬及び/又は抗体単独の治療に対する、対象の生存期間の増大を提供するのに有効である。いくつかの他の実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬と本明細書に記載される抗体との投与は、従来の治療に対する、対象の生存期間の増大を提供するのに有効である。1つ以上の実施形態では、生存期間は、本明細書によって記載された組み合わせの構成成分のうちの1つのみ、又は同じ適応症に対する従来の治療法で治療された対象と比較した場合に、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24か月、又はそれ以上増大される。いくつかの実施形態では、生存期間は、少なくとも約1、2、3、4、5年、又はそれ以上である。
【0166】
いくつかの実施形態では、本発明の組み合わせ治療は、対象の無増悪生存期間(治療される疾患の実質的な進行を伴わない生存)を増大させるのに有効である。実施形態では、無増悪生存期間は、本明細書によって記載された組み合わせの構成成分のうちの1つのみ、又は同じ適応症に対する従来の治療法で治療された対象と比較した場合に、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24か月、又はそれ以上増大される。いくつかの実施形態では、無増悪生存期間は、少なくとも約1、2、3、4、5年、又はそれ以上である。
【0167】
ある種の実施形態では、本発明の組み合わせ治療は、この組み合わせで治療された対象の奏効率を増大させるのに有効である。実施形態では、本発明の組み合わせは、治療される対象の応答を、本明細書によって記載された組み合わせの構成成分のうちの1つのみ、又は同じ適応症に対する従来の治療法で治療された対象と比較した場合に、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%増大させるのに有効である。
【0168】
この組み合わせ療法はまた、対象におけるNK細胞増加を、単独で投与されるいずれかの薬剤又は未治療対象と比較して著しく増強される程度に促進するのに有効である。実施例2に記載した通りの、例示的なDaudi B細胞リンパ腫異種移植マウスモデルでは、長時間作用型IL-15受容体作動薬、より具体的にはモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15と、抗CD38モノクローナル抗体、ダラツムマブとの投与は、治療されたマウスの骨髄におけるNK細胞の有意な増加をもたらした。
図3に見られる通り、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗CD38抗体ダラツムマブで治療されたマウスは、未治療マウス又はいずれかの薬剤単独で治療されたマウスと比較した場合に、骨髄におけるNK細胞増殖(細胞数)の有意な増大を呈した。
図4に見られる通り、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗CD38抗体ダラツムマブで治療されたマウスは、未治療マウス又はいずれかの薬剤単独で治療されたマウスと比較した場合に、骨髄におけるB細胞リンパ腫細胞の数が有意に減少していた。実施例16は、ヒト頭頸部扁平上皮癌についての例示的なFaDuマウスモデルにおける、例示的な長時間作用型IL-15R作動薬(例えば、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)と、抗EGFRモノクローナル抗体、セツキシマブとの投与後の、腫瘍組織におけるNK細胞の増殖の増大を示す。
【0169】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬と本明細書に記載される抗体との投与は、NK細胞増加及び増殖の増大を提供するのに有効である。いくつかのさらなる実施形態では、本発明の組み合わせは、治療される対象のNK細胞の増殖又は増加を、本明細書によって記載された組み合わせの構成成分のうちの1つのみ、又は同じ適応症に対する従来の治療法で治療された対象と比較した場合に、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%増大させるのに有効である。実施形態では、本発明の組み合わせは、治療される対象のNK細胞の増殖又は増加を、本明細書によって記載された組み合わせの構成成分のうちの1つのみ、又は同じ適応症に対する従来の治療法で治療された対象と比較した場合に、少なくとも約5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、又はそれ以上増大させるのに有効である。
【0170】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬と本明細書に記載される抗体との投与は、癌細胞消失/癌細胞数の減少の増大を提供するのに有効である。いくつかの実施形態では、本発明の組み合わせは、治療される対象の癌細胞の消失を、本明細書によって記載された組み合わせの構成成分のうちの1つのみ、又は同じ適応症に対する従来の治療法で治療された対象と比較した場合に、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%増大させるのに有効である。実施形態では、本発明の組み合わせは、治療される対象の癌細胞の消失を、本明細書によって記載された組み合わせの構成成分のうちの1つのみ、又は同じ適応症に対する従来の治療法で治療された対象と比較した場合に、少なくとも約5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、又はそれ以上増大させるのに有効である。
【0171】
実施例2に記載した通りの、例示的なDaudi B細胞リンパ腫異種移植マウスモデルでは、例示的な長時間作用型IL-15受容体作動薬(例えば、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)と、抗CD38モノクローナル抗体、ダラツムマブとの投与は、治療されたマウスの骨髄NK細胞におけるグランザイムB発現の有意な増大をもたらした。
図6に見られる通り、例示的な長時間作用型IL-15受容体作動薬(例えば、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)と、抗CD38抗体、ダラツムマブで治療されたマウスの大部分は、未治療マウス又は抗体単独で治療されたマウスと比較した場合に、骨髄におけるNK細胞におけるグランザイムB発現の増大を呈した。
図6にさらに見られる通り、この組み合わせ治療は、グランザイムB(細胞傷害性プロテアーゼ)マーカーの増大によって示される通り、NK細胞の大部分における機能を活性化した。
図14に示す、また実施例11に記載する通り、例示的な長時間作用型IL-15受容体作動薬(例えば、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)と、抗CD38モノクローナル抗体、ダラツムマブとの投与は、骨髄におけるNK細胞についてのグランザイムB発現を、未治療マウス又は抗体単独で治療されたマウスと比較した場合に、細胞ごとに基づいて増大させるのに有効である。実施例16に記載した通りの、例示的なFaDuヒト頭頸部扁平上皮癌マウスモデルでは、例示的な長時間作用型IL-15受容体作動薬(例えば、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)と、抗EGFRモノクローナル抗体、セツキシマブとの投与は、血液及び腫瘍試料中に存在するNK細胞におけるグランザイムB発現を、未治療マウスと比較した場合に増大させるのに有効である。
【0172】
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15受容体作動薬と本明細書に記載される抗体との投与は、NK細胞におけるグランザイムB発現の増大を提供するのに有効である。1つ以上の実施形態では、本発明の組み合わせは、治療され対象のNK細胞におけるグランザイムB発現を、本明細書によって記載された組み合わせの構成成分のうちの1つのみ、又は同じ適応症に対する従来の治療法で治療された対象と比較した場合に、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%増大させるのに有効である。実施形態では、本発明の組み合わせは、治療される対象のNK細胞におけるグランザイムB発現を、本明細書によって記載された組み合わせの構成成分のうちの1つのみ、又は同じ適応症に対する従来の治療法で治療された対象と比較した場合に、少なくとも約5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、又はそれ以上増大させるのに有効である。
【0173】
実施例10に記載した通りの、例示的なマウスモデルでは、例示的な長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15)と、抗CD38モノクローナル抗体、ダラツムマブとの投与は、細胞表面CD16受容体を発現しているNK細胞の割合を、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は抗体単独の投与と比較した場合に増大させるのに有効である。実施例15に記載した通りの、さらなる例示的な結腸直腸癌腫マウスモデルでは、長時間作用型IL-15受容体作動薬と抗EGFRモノクローナル抗体セツキシマブとの投与は、血液及び腫瘍試料中のCD16細胞表面発現を、未治療マウスと比較した場合に増大させるのに有効である。いくつかの実施形態では、長時間作用型IL-15R作動薬は、CD16に誘導され、且つADCC作用機序を有する抗体と組み合わせて使用される場合、低親和性Fc受容体CD16の表面発現の増強を提供して、さらなる免疫治療効果を提供する。
【0174】
第3の態様では、上に記載した通りの、抗体と長時間作用型IL-15受容体作動薬とを含むキットが、本明細書で提供される。キットは、使用のための説明書、並びに、場合によっては、必要に応じて抗体及び長時間作用型IL-15受容体作動薬の投与のための任意の医療用品又は装置をさらに含むことができる。
【0175】
方法、組み合わせ、キットなどは、その好ましい具体的な実施形態に関連して説明されているが、前述の説明並びに以下の実施例は例示を目的としており、開示された方法、組み合わせ、キットなどの範囲を限定する意図はないことが理解されるべきである。本開示の範囲内における他の態様、利点及び変更は、当該技術分野の当業者には明らかであろう。
【0176】
本明細書で参照される論文、著作、特許及び他の刊行物は全て、全体として参照により本明細書に援用される。本明細書の教示と、参照により組み込まれる技術との間に矛盾がある場合、この明細書における教示及び定義の意味が優先するものとする(特に、本明細書に添付の特許請求の範囲に使用されている用語に関して)。例えば、本願及び参照により組み込まれる刊行物が、同じ用語を異なるように定義する場合、用語の定義は、定義が位置する文書の教示の範囲内で保たれるものとする。
【実施例】
【0177】
前述の記載及び続く実施例は、本明細書に提供される方法、組み合わせ、キットなどを説明するものであり、範囲を限定するものではないことを理解するべきである。他の態様、利点及び修正は、本開示が関係する当業者に明らかである。
【0178】
以下の実施例では、使用される数(例えば、量、温度等)に関する正確性を確保するように努めたが、いくらかの実験誤差及び偏差は考慮しなければならない。特に指示がない限り、温度は摂氏温度であり、圧力は海上気圧又はその近傍におけるものである。以下の例の各々は、当業者が本明細書に記載される実施形態の1つ又は複数を実行するための教示と見なされる。
【0179】
材料及び方法
以下の実施例で使用される例示的な長時間作用型IL-15受容体作動薬は、他に指示されない限り、一般に次の構造:
【化13】
(ここでは、nは、約909という値を有する(その結果、この分子のポリエチレングリコール部分は、約40キロダルトンの重量平均分子量を有する))
によって説明され、[mPEG
40kD-CH
2CH
2CH
2C(O)NH]-IL-15とも称される、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15である。この例示的な長時間作用型IL-15受容体作動薬は、コンジュゲート1又は化合物1(これらの用語は、以下の実施例で互換的に使用される)として本明細書に記載される。モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15の調製は、PCT出願/米国特許出願公開第2018/032817号明細書(国際公開第2018/213341号パンフレット)の実施例1に記載されている。これらの実施例中の用量及び濃度は、IL-15タンパク質含量に基づいている。
【0180】
SDS-PAGE分析
試料はInvitrogenゲル電気泳動システム(XCell SureLock Mini-Cell)を使用してドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって分析してもよい。試料を試料緩衝液と混合し、調製した試料をNuPAGE Novexプレキャストゲルにロードし、約30分間泳動した。
【0181】
RP-HPLC分析
逆相クロマトグラフィー(RP HPLC)分析をAgilent 1200 HPLCシステム(Agilent)上で行ってもよい。サンプルをPoroshell 300SB-C3カラム(2.1x75mM、Agilent)を使用して60℃で分析してもよい。使用した移動相は0.1%TFA/H2O(A)及び0.1%TFA/CH3CN(B)でもよい。カラムの流速は0.5ml/分でもよい。溶出したタンパク質及びPEG-タンパク質コンジュゲートは、280nmのUVを使用して検出する。
【0182】
バイオアッセイ
CTLL-2細胞におけるSTAT5リン酸化に基づく効力アッセイ(マウスT細胞)
受容体結合後のホスホ-STAT5アッセイにおいて、次いで下流細胞シグナル伝達は、リン酸化を介して転写5(STAT5)のシグナルトランスデューサー及び活性化因子を活性化して遺伝子発現を促進し、細胞増殖を誘導することができる。参照により本明細書に組み込まれるPCT出願番号PCT/US2018/032817号明細書に記載されている通り、ホスホ-STAT5の活性化は、適切な細胞株内で、ホスホSTAT5/総STAT5多重アッセイ(Meso Scale Discovery、MD)を用いて、サンプル及び参照処置に対する約10分間の応答により測定する。
【0183】
HuPBMC-pStat5アッセイ
様々な細胞に対するIL-15又は長時間作用型IL-15受容体作動薬の効力は、PCT出願番号PCT/US2018/032817号明細書にさらに記載されているように、ホスホ-STAT5(Y694)用量応答アッセイによって決定することができる。
【0184】
実施例1
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、例示的な抗CD-20モノクローナル抗体、リツキシマブとの投与後のDAUDI B細胞リンパ腫異種移植モデルにおける生存の評価
0日目に、SCIDマウスに、1×107個のDaudi細胞を静脈内注射した。これらのマウスを、4つの群に分けた。Daudi細胞注射後の14及び17日目に、これらの群を、次の通りの注射によって治療した:第1群:アイソタイプ対照抗体、第2群:40mg/kg IPリツキシマブ、第3群:0.3mg/kgモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15(長時間作用型IL-15受容体作動薬)、第4群:40mg/kg IPリツキシマブ及び0.3mg/kg SCモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15(組み合わせ)。
【0185】
代替パラメータとして後肢麻痺の開始を測定することによって、生存率を決定した。結果を、
図2に示す。
【0186】
図2に見られる通り、リツキシマブとモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(
図2では「IL-15受容体作動薬」として示される)との組み合わせられた投与は、単剤療法として投与された場合のいずれかの構成成分の投与と比較した場合の、長期の生存の有意な増大を提供した(「組み合わせ」と記した水平線を参照のこと)。この結果は、長時間作用型受容体作動薬、mPEG-BA-IL-15が、実例となる抗CD-20モノクローナル抗体、例えばリツキシマブと組み合わせて投与された場合に、インビボリンパ腫モデルにおいて評価された場合のマウスにおける生存時間を有意に増強する能力を示す。
【0187】
実施例2
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、例示的な抗CD38モノクローナル抗体、ダラツムマブとの投与後のDAUDI B細胞リンパ腫異種移植モデルにおける骨髄における細胞数及びグランザイムB発現の評価
0日目に、SCIDマウス(N=6/群)に、1×107個のDaudi細胞を静脈内接種し、単回投与の抗ヒトCD38抗体、ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、及び2回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後のそれぞれの時点での1回ずつの投与)で治療した。マウスをまた、単剤療法:ダラツムマブ(0.5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、又は2回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15(0.3mg/kg SC、接種の14及び21日後)で治療した。
【0188】
骨髄におけるNK細胞増加及び活性化並びにリンパ腫減少を、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15の第2の投与の3日後(24日目)に、
図3及び4にそれぞれ示す通り、フローサイトメトリーによって評価した。
図3に示す通り、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15とダラツムマブとの組み合わせは、単剤療法としてのモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15及びダラツムマブで治療されたマウスと比較して(それぞれ、p=0.0026及びp<0.0001)、また、未治療対照と比較して(p<0.0001)、治療されたマウスの骨髄におけるNK細胞の有意な増加をもたらした。(一元配置ANOVA、テューキーの多重比較検定)。モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15単独療法についての10倍の増加に対して、組み合わせ療法についてのNK細胞数の19倍の増加が認められ、骨髄組織内部の例示的なモノクローナル抗体とモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15との間の相乗作用が示された。
【0189】
図4に示す通り、ダラツムマブと組み合わせたモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15は、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15及びダラツムマブ単剤治療と比較して(それぞれ、p=0.02及びp=0.001)、また、未治療対照と比較して(p<0.0001)、B細胞リンパ腫減少を有意に向上させた。(一元配置ANOVA、テューキーの多重比較検定)。
【0190】
グランザイムB発現を、
図6に示す通り、骨髄NK細胞において測定した。
図6中に示される通り、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15は、高度に特殊化された免疫区画においても、NK細胞動態を制御するのに有効であり、また、単独で又はダラツムマブなどのモノクローナル抗体と組み合わせて、治療されたマウスの骨髄におけるグランザイムB発現を増大させるのに有効である。したがって、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15と、ダラツムマブなどの腫瘍結合抗体との組み合わせは、
図6におけるグランザイムB(細胞傷害性プロテアーゼ)マーカーによって示される通り骨髄におけるNK細胞数を有意に増加するだけでなく、これらのNK細胞の大部分(>70%)における致死機能を活性化するのにも有効である。
【0191】
これらの結果は、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15が、抗腫瘍抗体と共に投与された場合に、NK細胞媒介性ADCCを実質的に増強するのに有効であることをさらに示す。
【0192】
実施例3
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、抗CD38モノクローナル抗体、ダラツムマブとの投与後のDAUDI B細胞リンパ腫異種移植モデルにおける生存の評価
1×10
7個のDaudi B細胞リンパ腫細胞を静脈内接種したSCIDマウス(N=8/群)を、単回投与のダラツムマブ(0.5mg/kg、IP、接種の14日後)、及び合わせて3回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15(0.3mg/kg、SC、腫瘍接種の14、21、及び28日後に投与される)で治療した。対照としての未治療マウス、及び単剤療法としてのダラツムマブで治療されたマウスも評価した。腫瘍を接種されたマウスの生存を、エンドポイントマーカーとしてのボディコンディションスコアリングによって測定した。結果を、図によって
図5に提供する。
【0193】
図5に示す通り、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のダラツムマブとの組み合わせは、ダラツムマブ単剤治療と比較して、生存中央値を有意に増大させる(p<0.05、ログランク検定)。組み合わせ療法によって治療された群についての生存中央値は、腫瘍注射の55日後であったのに対して、ダラツムマブ単剤治療群についての生存中央値は、28.5日であった。
【0194】
実施例4
腫瘍標的治療抗体及び長時間作用型IL-15受容体作動薬での治療後のNK細胞活性化及び抑制性受容体細胞表面発現調節
骨髄内にDaudi B細胞リンパ腫腫瘍を有するBalb/cマウス(n=6/群)に、Daudi細胞静脈内接種後の14日目に、単回の0.5mg/kg用量の、ヒトCD38タンパク質を標的にする臨床抗体ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標)、Janssen Biotech)又は適合するアイソタイプを有する非特異的な対照抗体を腹腔内投与した。さらなる群に、Daudi細胞接種後の14及び21日目に、単剤として、0.3mg/kgの用量の、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15(コンジュゲート1)を皮下投与した、又はDaudi細胞接種後の14及び21日目に0.03mg/kg又は0.3mg/kgの用量で皮下投与されるコンジュゲート1と、Daudi細胞接種後の14日目に0.5mg/kgの用量で腹腔内投与されるダラツムマブとの組み合わせ治療を施した。
【0195】
第2のコンジュゲート1投与の3日後(Daudi接種後24日目)、骨髄を収集し、NK細胞の割合を、骨髄全体において、フローサイトメトリーによって測定した。細胞表面活性化受容体NKG2D及び抑制性チェックポイント受容体NKG2Aの発現を、それぞれ
図7A及び7Bに示す。
【0196】
結果を、表1及び
図7A~7Bに提供する。単剤としての又はダラツムマブと組み合わせた治療用量のコンジュゲート1を受けたすべての群は、コンジュゲート1を含まないすべての治療と比較した場合に、細胞表面上にNKG2Aを発現するNK細胞の割合の増大(
図7A)、及び細胞表面上にNKG2Dを発現するNK細胞の割合の低下(
図7B)を示した。それぞれの抑制性チェックポイント受容体活性化の増大及び活性化受容体を発現しているNK細胞の減少は、この実施例ではダラツムマブによって例示される治療用腫瘍標的抗体の存在下での、コンジュゲート1によるNK細胞活性化を示唆していた。
【0197】
【0198】
実施例5
長時間作用型IL-15受容体作動薬及び免疫グロブリンでの治療後のヒトNK細胞増殖の誘発
CFSE調製物で標識された、ヒト末梢血単核球(PBMC)内のNK細胞増殖を、インビトロで誘発した。CFSE標識されたPBMCを、(i)100ng/mlの濃度のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15(コンジュゲート1)の存在下で;(ii)0.1mg/mlの濃度のヒト全免疫グロブリンG(hIgG)溶液で事前に一晩コーティングされた細胞培養プラスチック上で、(iii)0.1mg/mlの濃度のヒト全免疫グロブリンG(hIgG)溶液で事前に一晩コーティングされた細胞培養プラスチック上で、且つ100ng/mlの濃度のコンジュゲート1の存在下で;又は(iv)通常の細胞培養プラスチック上で、インビトロで5日間インキュベートした。インキュベーション期間後、細胞倍化を経た細胞におけるCFSEの減少によって示される細胞増殖を、4つのインキュベーション条件のそれぞれにおいて、PBMC調製物内のCD56+ヒトNK細胞におけるCFSEレベルを測定するフローサイトメトリーを用いて測定した(
図8A~8D)。
【0199】
結果を、表2及び
図8A~8Dに提供する。データは、コンジュゲート1とhIgGのどちらもPBMCに曝露されなかった場合、NK細胞の2.25%しか増殖しなかったことを示す。hIgG単独の存在下では、NK細胞の3.92%が増殖した。コンジュゲート1の曝露は、NK細胞の49.7%の増殖をもたらした。しかし、PBMCがhIgGとコンジュゲート1の両方に曝露された場合、NK細胞の72%が増殖し、これは、hIgGとコンジュゲート1の組み合わせ治療が、hIgGとコンジュゲート1単剤治療単独の合計よりも有意に多い細胞を増殖させたことを示していた。
【0200】
【0201】
実施例6
長時間作用型IL-15受容体作動薬と免疫グロブリンの投与後のヒトNK細胞の機能的活性化
ヒト末梢血単核球(PBMC)調製物内でのヒトNK細胞の機能的活性化を、インビトロで誘発した。2人のドナーからのPBMCを、(i)1μg/mlの濃度のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15(コンジュゲート1)の存在下で;(ii)0.1mg/mlの濃度のヒト全免疫グロブリンG(hIgG)溶液で事前に一晩コーティングされた細胞培養プラスチック上で、(iii)0.1mg/mlの濃度のヒト全免疫グロブリンG(hIgG)溶液で事前に一晩コーティングされた細胞培養プラスチック上で、且つ1μg/mlの濃度のコンジュゲート1の存在下で;又は(iv)通常の細胞培養プラスチック上で、一晩インキュベートした。
【0202】
インキュベーション期間の後、PBMC内のCD56+ヒトNK細胞の表面上のCD69(
図9A)及びCD107a(
図9B)検出抗体の蛍光強度中央値(MFI)シグナルの増大を測定することによって、フローサイトメトリーを用いてNK細胞活性化を測定した。NK細胞の機能的活性化を、細胞がhIgGとコンジュゲート1のどちらにも曝露されていない対照条件と比較した場合のMFIの変化の倍数を算出することによって評価した。活性化マーカーMFIの変化の倍数の増大は、NK細胞の機能的活性化を示す、個々のNK細胞上のこれらのマーカータンパク質の増大を示した。実験の最後の培養培地中の、NK細胞活性化をやはり示唆する分泌されたグランザイムB濃度を、ELISAによって測定した(
図9C)。
【0203】
結果を、表3及び
図9A~9Cに提供する。このデータは、NK細胞上のCD69 MFIが、hIgGの存在下で1.4倍増大したことを示す。コンジュゲート1の曝露は、1.8倍のCD69 MFI増大をもたらした。しかし、PBMCが、hIgGとコンジュゲート1との両方に曝露された場合、CD69 MFIは、NK細胞上で、それぞれ個々の治療よりも大きく、3.2倍増大した。NK細胞上のCD107a MFIは、hIgGの存在下で、1.8倍増大した。コンジュゲート1の曝露は、2.6倍のCD107a MFI増大をもたらした。しかし、PBMCが、hIgGとコンジュゲート1との両方に曝露された場合、CD107a MFIは、NK細胞上で、それぞれ個々の治療よりも大きく、4.3倍増大した。分泌されたグランザイムB濃度は、hIgGの存在下で、対照条件と比較して増大しなかった。コンジュゲート1の曝露は、培養培地中のグランザイムB濃度の4.1倍の増大をもたらした。しかし、PBMCが、hIgGとコンジュゲート1との両方に曝露された場合、グランザイムB濃度は、それぞれ個々の治療よりも有意に大きく、培養培地中で18.7倍増大した。
【0204】
【0205】
実施例7
長時間作用型IL-15受容体作動薬のインビトロシグナル伝達、及び増殖に対する効果
KHYG-1細胞を、20% FBS、2mM L-グルタミン、及び20ng/mL IL-2を添加したRPMI-1640培地(完全増殖培地)中で、37℃且つ5% CO2の加湿型インキュベータ内で培養した。
【0206】
試験化合物での治療の1日前、細胞を、完全増殖培地中に500,000個の生細胞/mlの密度で播種し、通常の成長条件下で一晩インキュベートした。アッセイの当日に、KHYG-1細胞を、DPBSで3回洗浄し、アッセイ培地(20% FBS、2mM L-グルタミンを添加したRPMI-1640培地)に再懸濁し、37℃、5% CO2で4~5時間インキュベートした。細胞を、アッセイ培地で、適切な密度(8×105細胞/mL)に調整し、50,000細胞/ウェルを、96ウェルプレート(View-Plate 96、Perkin-Elmer)のウェルに分注した。
【0207】
STAT5のリン酸化の評価
KHYG-1細胞を、IL-15又は長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(mPEG-ブタンアミド)IL-15)で刺激し、それに続いて、37℃、5% CO2で、10分間のインキュベーションを行った。処理された細胞を、氷上で溶解させた。
【0208】
細胞ライセート中のphospho-STAT5タンパク質レベルの検出を、Phospho(Tyr694)/Total STAT5a,b Assay Whole Cell Lysateキット(MSD製品#K15163D)を使用して実施した。phosphor-STAT5に対応する相対発光量(Relative light unit)(RLU)シグナルを、Sector(登録商標)Imager 2400プレートリーダー(MSD)を使用して収集し、結果を
図10Aに提供した。IL-15と長時間作用型IL-15受容体作動薬はどちらも、ヒトNK細胞株KHYG-1におけるSTAT5の用量依存性のリン酸化をもたらし、これは、これらの化合物が、インビトロでのシグナル伝達において有効であることを示した。長時間作用型IL-15受容体作動薬は、STAT5のリン酸化を誘発し、STAT5の最大のリン酸化(パーセント)をもたらし、これは、約3倍低い効力ではあるが、IL-15と同様であった。このデータは、長時間作用型IL-15受容体作動薬は、KHYG-1細胞株における下流のシグナル伝達に効率的に関与及び活性化することができることを示唆する。
【0209】
細胞増殖の評価
KHYG-1細胞の刺激は、IL-15又は長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(mPEG-ブタンアミド)IL-15)の、細胞を含有する2連のウェルへの移動、それに続く37℃、5% CO2での48時間のインキュベーションによって開始した。
【0210】
各ウェルにおける細胞成長を、製造者の説明書に従ってCellTiter-Glo 2.0を使用してATPレベルを測定することによって測定した。長時間作用型IL-15受容体作動薬のKHYG-1細胞増殖に対する効果を、CellTiter-Glo 2.0を使用して、48時間の治療の後に、IL-15と比較し、結果を
図10Bに示した。この図に見られる通り、長時間作用型IL-15受容体作動薬についての最大増殖応答は、IL-15によってもたらされる応答に匹敵していた。
【0211】
実施例8
長時間作用型IL-15受容体作動薬での治療後のヒトNK細胞増殖のインビトロでの誘発
CFSE調製物で標識されたヒト末梢血単核球(PBMC)を、漸増用量のrhIL-15(用量範囲1ng/ml~100ng/ml、5点、3倍希釈)又は長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(mPEG-ブタンアミド)IL-15)(用量範囲10ng/ml~1000ng/ml、5点、3倍希釈)の存在下で、インビトロで5日間インキュベートした。インキュベーション期間後、細胞倍化を経た細胞におけるCFSEの減少によって示される細胞増殖を、PBMC調製物内のCD56+ヒトNK細胞におけるCFSEレベルを測定するフローサイトメトリーを用いて測定した。結果を
図11及び下の表4に提供する。
【0212】
【0213】
rhIL-15と長時間作用型IL-15受容体作動薬はどちらも、ヒトNK細胞増殖を用量依存的に誘発した。長時間作用型IL-15受容体作動薬は、ヒトNK細胞増殖を誘発する強さがrhIL-15よりもおよそ17倍弱い。しかし、rhIL-15と長時間作用型IL-15受容体作動薬によってもたらされる最大増殖応答は、同等である。
【0214】
実施例9
長時間作用型IL-15受容体作動薬及び免疫グロブリンでの治療後のNK細胞細胞傷害性の評価
ヒトNK細胞を、ネガティブセレクションを使用して、正常なドナーPBMCから磁気によって選別した。NK細胞を、400,000細胞/ウェルの密度で、96ウェルU底プレートに播種した。NK細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)及び1%抗生物質/抗真菌薬を添加したRPMI-1640完全培地中で、5% CO2中で37℃で一晩、1000ng/mLの長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(mPEG-ブタンアミド)IL-15)で刺激した(+)、又は刺激しないままにした(-)。
【0215】
ヒト多発性骨髄腫RPMI-8226細胞(ATCC #CCL-155)を、PBSで洗浄し、0.15μM CFSEで37℃で5分間染色した。記載がある場合には、この腫瘍細胞を、100ng/mLダラツムマブ(+)で、37℃で1時間、あらかじめコーティングした。刺激されたNK細胞(エフェクター細胞)と、あらかじめコーティングされたCFSE標識された腫瘍細胞(標的細胞)を、10:1のエフェクター(E):標的(T)比で、5% CO2中で37℃で3時間、共培養した。インキュベーション後、細胞を、フロー染色緩衝液で洗浄し、4℃で15分間Fcブロッキングし、表面染色した(CD45、CD56、CD3-蛍光コンジュゲート化抗体)。これらの細胞を、PBSで洗浄し、7-アミノアクチノマイシン(7-AAD)生死判別染色液(viability stain)中で4℃で30分間インキュベートし、その後、Fortessa(BD)を使用するフローサイトメトリー分析を受けた。全細胞集団からの7-AAD+CFSE+標的細胞の割合は、死んだ腫瘍細胞についての割合である。
【0216】
結果を、
図12に提供する。このデータは、長時間作用型IL-15受容体作動薬で刺激されたヒトNK細胞が、ダラツムマブであらかじめコーティングされた多発性骨髄腫細胞のADCCを増強することを示す。長時間作用型IL-15受容体作動薬で刺激されたNK細胞は、未治療NK細胞又はダラツムマブ単独で治療されたNK細胞よりも、標的細胞に対して細胞傷害性であった。
【0217】
実施例10
腫瘍標的治療抗体と長時間作用型IL-15受容体作動薬での治療後のNK細胞低親和性免疫グロブリン受容体(CD16)細胞表面発現調節
骨髄内にDaudi B細胞リンパ腫腫瘍を有するBalb/cマウス(n=6/群)に、Daudi細胞静脈内接種後の14日目に、単回の0.5mg/kg用量の、ヒトCD38タンパク質を標的にする臨床抗体ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標)、Janssen Biotech)又は適合するアイソタイプを有する非特異的な対照抗体を腹腔内投与した。さらなる群を、(i)Daudi細胞接種後の14及び21日目に、単剤として、0.3mg/kgの用量の、モノ(mPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15(コンジュゲート1)を皮下投与した、又は(ii)Daudi細胞接種後の14及び21日目に0.03mg/kg又は0.3mg/kgの用量で皮下投与されるコンジュゲート1と、Daudi細胞接種後の14日目に0.5mg/kgの用量で腹腔内投与されるダラツムマブとの組み合わせ治療で治療した。
【0218】
第2のコンジュゲート1投与の3日後(Daudi接種後24日目)、骨髄を収集し、NK細胞の割合を、骨髄全体において、フローサイトメトリーによって測定した。腫瘍標的抗体の存在下で抗体依存性細胞傷害機構を媒介することが公知である細胞表面CD16受容体を発現しているNK細胞の割合、及びNK細胞上の細胞ごとに基づくCD16発現の変化を、それぞれ
図13A及び13Bに示す。
【0219】
結果を、表5及び表6並びに
図13A~13Bに提供する。単剤としての又はダラツムマブと組み合わせた治療用量のコンジュゲート1を受けたすべての群は、コンジュゲート1を含まないすべての治療と比較した場合に、細胞表面上にCD16を発現するNK細胞の割合の増大を示し(
図13A)、また、細胞ごとに基づくNK細胞上のCD16発現も増大した(
図13B)。CD16受容体を発現しているNK細胞のそれぞれの増大、並びに個々のNK細胞上でのCD16発現の増大は、この実施例ではダラツムマブによって例示される治療用腫瘍標的抗体の存在下での、コンジュゲート1によるNK細胞活性化を示唆していた。
【0220】
【0221】
【0222】
実施例11
腫瘍標的治療抗体と長時間作用型IL-15受容体作動薬での治療後のNK細胞細胞傷害性タンパク質グランザイムB発現調節
骨髄内にDaudi B細胞リンパ腫腫瘍を有するBalb/cマウス(n=6/群)に、Daudi細胞静脈内接種後の14日目に、単回の0.5mg/kg用量の、ヒトCD38タンパク質を標的にする臨床抗体ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標)、Janssen Biotech)又は適合するアイソタイプを有する非特異的な対照抗体を腹腔内投与した。さらなる群を、(i)Daudi細胞接種後の14及び21日目に、単剤として、0.3mg/kgの用量の、モノ(mPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15(コンジュゲート1)を皮下投与した、又は(ii)Daudi細胞接種後の14及び21日目に0.03mg/kg又は0.3mg/kgの用量で皮下投与されるコンジュゲート1と、Daudi細胞接種後の14日目に0.5mg/kgの用量で腹腔内投与されるダラツムマブとの組み合わせ治療で治療した。
【0223】
第2のコンジュゲート1投与の3日後(Daudi接種後24日目)、骨髄を収集し、NK細胞の割合を、骨髄全体において、フローサイトメトリーによって測定した。NK細胞上の細胞ごとに基づく細胞内グランザイムB発現の変化を、
図14に示す。
【0224】
結果を、表7及び
図14に提供する。単剤としての又はダラツムマブと組み合わせた治療用量のコンジュゲート1を受けた群は、コンジュゲート1を含まないすべての治療と比較した場合に、NK細胞における細胞ごとに基づくグランザイムBの発現の増大を示した(
図14)。個々のNK細胞におけるグランザイムB発現のそれぞれの増大は、この実施例ではダラツムマブによって例示される治療用腫瘍標的抗体の存在下での、コンジュゲート1によるNK細胞活性化を示唆していた。
【0225】
【0226】
実施例12
長時間作用型IL-15受容体作動薬での治療後のインビトロでのB細胞リンパ腫細胞に対する抗体媒介性の抗体依存性細胞傷害(ADCC)の評価
ヒトNK細胞を、ネガティブセレクションを使用して、正常なドナーPBMCから磁気によって選別した。NK細胞を、80,000細胞/ウェル(
図15A)又は400,000細胞/ウェル(
図15B)の密度で、96ウェルU底プレートに播種した。NK細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)及び1%抗生物質/抗真菌薬を添加したRPMI-1640完全培地中で、5% CO
2中で37℃で一晩、300ng/mLの長時間作用型IL-15受容体作動薬(モノ(mPEG-ブタンアミド)IL-15)で刺激した(+)、又は刺激しないままにした(-)。
【0227】
ヒト多発性骨髄腫RPMI-8226細胞(ATCC #CCL-155)を、PBSで洗浄し、0.15μM CFSEで37℃で5分間染色した。刺激されたNK細胞(エフェクター細胞)と、ダラツムマブでコーティングされた(+1μg/mL)CFSE標識された腫瘍細胞(標的細胞)を、10:1のE:T比で、5% CO
2中で37℃で3時間、同時に共培養した。インキュベーション後、細胞を、フロー染色緩衝液で洗浄し、4℃で15分間Fcブロッキングし、表面染色した(CD45、CD56、CD3-蛍光コンジュゲート化抗体)。これらの細胞を、PBSで洗浄し、7-アミノアクチノマイシン(7-AAD)生死判別染色液中で4℃で30分間インキュベートし、その後、Fortessa(BD)を使用するフローサイトメトリー分析を受けた。全細胞集団からの7-AAD+CFSE+標的細胞の割合は、死んだ腫瘍細胞についての割合である。結果を、
図15Aに提供する。
【0228】
或いは、ヒトB細胞リンパ腫(Daudi)細胞を、PBSで洗浄し、0.3μM CFSEで37℃で5分間染色した。リツキシマブでコーティングされた(+10ng/mL)CFSE標識された腫瘍細胞(標的細胞)を、2:1のE:T比で、5% CO
2中で37℃で3時間、NK細胞(エフェクター細胞)と同時に共培養した。インキュベーション後、細胞を、フロー染色緩衝液で洗浄し、4℃で15分間Fcブロッキングし、表面染色した(CD45、CD56、CD3-蛍光コンジュゲート化抗体)。これらの細胞を、PBSで洗浄し、7-アミノアクチノマイシン(7-AAD)生死判別染色液中で4℃で30分間インキュベートし、その後、Fortessa(BD)を使用するフローサイトメトリー分析を受けた。全細胞集団からの7-AAD+CFSE+標的細胞の割合は、死んだ腫瘍細胞についての割合である。結果を、
図15Bに提供する。
【0229】
このデータは、長時間作用型IL-15受容体作動薬で刺激されたヒトNK細胞が、ダラツムマブでコーティングされた及びリツキシマブでコーティングされたB細胞リンパ腫細胞のADCCを増強することを示す。長時間作用型IL-15受容体作動薬で刺激されたNK細胞は、未治療NK細胞よりも、標的細胞に対して細胞傷害性である。
【0230】
実施例13
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、抗CD38モノクローナル抗体、ダラツムマブとの投与後のDAUDI B細胞リンパ腫異種移植モデルにおける生存の評価
1千万個のDaudi B細胞リンパ腫細胞を静脈内接種したSCID又はSCIDベージュマウス(N=8/群)を、単回投与のダラツムマブ(0.5mg/kg、IP、接種の14日後)、及び合わせて3回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15(0.3mg/kg、静脈内、腫瘍接種の14、21、及び28日後に投与される)で治療した。対照としての未治療SCID/ベージュ又はCB17 SCIDマウスも評価した。腫瘍を接種されたマウスの生存を、エンドポイントマーカーとしてのボディコンディションスコアリング及び後肢麻痺開始によって測定した。結果を、図によって
図16に提供する。
【0231】
図16に示す通り、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のダラツムマブ治療との組み合わせは、未治療対照SCIDマウスにおける27日という生存中央値から、組み合わせ治療されたマウスにおける60日までの、生存率の2倍よりも大きい増大(33日)をもたらした。対照的に、NK細胞機能性を低下させるベージュ変異を有するSCIDマウス(SCIDベージュ)における、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のダラツムマブ治療との組み合わせは、生存率の(未治療SCIDベージュマウスにおける23日から、組み合わせ治療されたSCIDベージュマウスにおける30日までの)7日の増大をもたらしたに過ぎない。これらの結果は、NK細胞活性が、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のダラツムマブ治療との組み合わせの十分な治療効果に必要とされることを示す。
【0232】
実施例14
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、例示的な抗CD38モノクローナル抗体、ダラツムマブとの投与後のDAUDI B細胞リンパ腫異種移植モデルにおける細胞数の評価
0日目に、SCIDマウス(N=6/群)に、1千万個のDaudi細胞を静脈内接種し、単回投与の低用量又は高用量のダラツムマブ(0.05mg/kg又は5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、及び2回の投与の低用量又は高用量のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(化合物1)(0.03mg/kg又は0.6mg/kg、静脈内、接種の14及び21日後のそれぞれの時点での1回ずつの投与)で治療した。マウスをまた、単剤療法:ダラツムマブ(0.05mg/kg又は5mg/kg IP、Daudi細胞接種の14日後)、又は2回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15(0.03mg/kg又は0.6mg/kg、静脈内、接種の14及び21日後)で治療した。骨髄中のDaudi細胞数を、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15の第2の投与の3日後(24日目)に、
図17A及び17Bに示す通り、フローサイトメトリーによって評価した。
【0233】
図17A~17Bに示す通り、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(化合物1)のダラツムマブとの組み合わせは、腫瘍細胞の96%が消失する高いダラツムマブ用量レベル(5mg/kg)が低用量モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(0.03mg/kg)と組み合わせられる場合(
図17A)と、腫瘍細胞の92%が消失する低用量ダラツムマブ(0.05mg/kg)が高用量モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(0.6mg/kg)と組み合わせられる場合(
図17B)を比較すると、同等の有効性で、骨髄内腫瘍細胞を消失させた。単剤治療として、低用量ダラツムマブ、及びモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15は、腫瘍細胞の、それぞれわずか30%及び42%しか消失させなかった。単剤治療として、高用量ダラツムマブ及びモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15は、腫瘍細胞の、それぞれわずか58%及び69%しか消失させなかった。これらの結果は、ダラツムマブ治療における用量レベル又は組織濃度の低下を、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15用量レベル又は組織濃度の増大によって相殺し、組み合わせ治療による腫瘍細胞致死の高い有効性を維持することができることを示す。
【0234】
実施例15
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、例示的な抗EGFRモノクローナル抗体、セツキシマブとの投与後のHCT-116結腸直腸癌腫細胞モデルの評価
HCT-116細胞を、接種前の2週間、5% FBSを含むRPMI1640中で培養した。Balb/c SCIDマウス(N=4/群)に、5百万細胞のHCT-116細胞を皮下接種した。腫瘍細胞接種の7日後、平均腫瘍体積約150mm3(0日目)で、マウスを、単回投与の抗ヒトEGFR抗体、セツキシマブ(20mg/kg IP)、及び単回投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(化合物1)(0.3mg/kg IV)で治療した。
【0235】
治療の3及び5日後、血液及び腫瘍組織を収集し、NK細胞の割合を、
図18Aに示す通り、フローサイトメトリーによって測定した。
図18Aに見られる通り、腫瘍における全生細胞内のNK細胞の割合の増大が、この治療によって誘発された。治療の3及び5日後、血液及び腫瘍組織を収集し、NK細胞数を、
図18Bに示す通り、フローサイトメトリーによって測定した。
図18Bに示す通り、腫瘍組織におけるNK細胞数の増加が、この治療によって誘発された。
【0236】
試料を、治療後の3日目に、フローサイトメトリーによるKi-67(%)についての免疫表現型検査にかけた(
図18C参照)。
図18Cは、経時的な細胞増殖についてのマーカーとして使用されるKi-67陽性率(%)によって測定される、NK細胞増殖のプロットである。*Ki67マーカー誘発は、NK細胞の大部分において観察され、これは、治療後の有効な増殖応答を示していた。
【0237】
グランザイムB発現を、
図18Dに示す通り、治療後、3日目に、フローサイトメトリーによって、血液又は腫瘍NK細胞において測定した。
図18D中に示される通り、治療後の血液と腫瘍NK細胞の両方において、GzmB発現の増大が観察され、これは、治療によるNK細胞の細胞傷害性活性化を示していた。
【0238】
細胞表面CD16受容体を発現している血液又は腫瘍NK細胞の割合を、
図18Eに示す通り、CD16の蛍光強度中央値(MFI)シグナルの増大を測定することによって、フローサイトメトリーを用いて測定した。
図18E中に示される通り、細胞表面CD16発現の増大は、治療によって誘発され、これは、NK細胞活性化を示していた。
【0239】
治療の3日後、血液及び腫瘍細胞を収集し、細胞表面活性化受容体NKG2Dの発現をフローサイトメトリーによって測定し、結果を
図18Fに示した。
図18F中に示される通り、NKG2D表面発現は、治療によるNK細胞の機能的活性化と一致して低下した。
【0240】
これらの結果は、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15が、抗腫瘍抗体と共に投与された場合に、NK細胞媒介性のADCCを実質的に増強するのに有効であることをさらに示唆する。
【0241】
実施例16
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、例示的な抗EGFRモノクローナル抗体、セツキシマブとの投与後のFaDuヒト頭頸部扁平上皮癌モデルの評価
Balb/c SCIDマウス(N=4/群)に、3百万細胞のFaDu細胞を静脈内接種した。腫瘍細胞接種の7日後、平均腫瘍体積約150mm3(0日目)で、マウスを、単回投与の抗ヒトEGFR抗体、セツキシマブ(20mg/kg IP)、及び単回投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15(化合物1)(0.3mg/kg IV)(約150mm3)で治療した。
【0242】
治療の3及び5日後、血液及び腫瘍組織を収集し、NK細胞の割合を、
図19Aに示す通り、フローサイトメトリーによって測定した。
図19Aに示す通り、腫瘍における全生細胞内のNK細胞の割合の増大が、この治療によって誘発された。治療の3及び5日後、血液及び腫瘍組織を収集し、NK細胞数を、
図19Bに示す通り、フローサイトメトリーによって測定した。
図19Bに示す通り、腫瘍組織におけるNK細胞数の増加が、この治療によって誘発された。
【0243】
試料を、治療後の3日目に、Ki-67(%)についての免疫表現型検査にかけた(
図19C参照)。
図19Cは、経時的な細胞増殖についてのマーカーとして使用されるKi-67陽性率(%)によって測定される、NK細胞増殖のプロットである。Ki67マーカー誘発は、NK細胞の大部分において観察され、これは、治療後の有効な増殖応答を示していた。
【0244】
グランザイムB発現を、
図19Dに示す通り、治療後、3日目に、フローサイトメトリーによって、血液又は腫瘍NK細胞において測定した。
図19D中に示される通り、治療後の血液と腫瘍NK細胞の両方において、GzmB発現の増大が観察され、これは、治療によるNK細胞の細胞傷害性活性化を示していた。
【0245】
細胞表面CD16受容体を発現している血液又は腫瘍NK細胞の割合を、
図19Eに示す通り、CD16の蛍光強度中央値(MFI)シグナルの増大を測定することによって、フローサイトメトリーを用いて測定した。
図19E中に示される通り、細胞表面CD16発現の増大は、治療によって誘発され、これは、NK細胞活性化を示していた。
【0246】
治療の3日後、血液及び腫瘍細胞を収集し、細胞表面活性化受容体NKG2Dの発現をフローサイトメトリーによって測定し、結果を
図19Fに示した。
図19F中に示される通り、NKG2D表面発現は、治療によるNK細胞の機能的活性化と一致して低下した。
【0247】
これらの結果は、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15が、抗腫瘍抗体と共に投与された場合に、NK細胞媒介性のADCCを実質的に増強するのに有効であることをさらに示唆する。
【0248】
実施例17
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、例示的な抗EGFRモノクローナル抗体、セツキシマブとの投与後のH1975肺腫瘍モデルにおける腫瘍成長阻害の評価
5百万個のH1975細胞を側腹部の皮下に接種したBalb/cヌードマウス(N=10/群)を、合わせて3回の投与のセツキシマブ(0.25mg/kg、IP、接種の9、12、及び16日後に投与される)、及び合わせて3回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15(化合物1)(0.3mg/kg、静脈内)(腫瘍接種の9、16、及び23日後に投与される)で治療した。腫瘍成長制御の喪失の遅延を、治療開始後27日目に評価した。結果を、図によって
図20に提供する。
【0249】
図20に示す通り、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15治療は、治療されたマウスにおける腫瘍成長阻害をもたらさなかった。セツキシマブ治療されたマウスは、セツキシマブ治療スケジュールが完了した後、腫瘍成長の続行を示した。対照的に、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のセツキシマブ治療との組み合わせは、治療開始後27日目まで、腫瘍成長再発の遅延をもたらし、これは、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のセツキシマブ治療との組み合わせにおける、セツキシマブ単剤治療と比較して有意に遅い腫瘍成長(p=0.02、マン・ホイットニー検定)を示した。これらのデータは、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のセツキシマブとの組み合わせが、この腫瘍モデルにおけるセツキシマブ単剤治療と比較して優れた腫瘍成長制御をもたらすことを示す。
【0250】
実施例18
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、例示的な抗EGFRモノクローナル抗体、セツキシマブとの投与後のHT-29結腸直腸癌腫細胞モデルにおける腫瘍成長阻害及び遅延の評価
5百万個のHT-29細胞を側腹部の皮下に接種したSCIDマウス(N=8/群)を、合わせて6回の投与のセツキシマブ(40mg/kg、IP、接種の7、11、14、18、21、25日後に投与される)、及び合わせて3回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15(化合物1)(0.3mg/kg、静脈内)(腫瘍接種の7、14、及び21日後に投与される)で治療した。腫瘍成長阻害を、治療開始後21日目に評価した。結果を、図によって
図21Aに提供する。
【0251】
図21Aに示す通り、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15又はセツキシマブ単剤治療は、治療されたマウスにおける腫瘍成長阻害をもたらさなかった。対照的に、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のセツキシマブ治療との組み合わせは、有意な腫瘍成長阻害をもたらした。これらのデータは、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のセツキシマブとの組み合わせが、セツキシマブ抵抗性腫瘍モデルにおける腫瘍成長阻害をもたらすことを示す。
【0252】
腫瘍成長遅延(TVQT)を、ベースラインからの400%の腫瘍成長として設定したエンドポイントを用いて評価した。
図21Bは、治療開始日でのベースライン腫瘍体積からの腫瘍体積四倍加(quadrupling)時間(TVQT)を測定することによって、38%の腫瘍成長遅延が誘発されたことを示す。
【0253】
実施例19
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、例示的な抗EGFRモノクローナル抗体、セツキシマブとの投与後のHCT-116結腸直腸癌腫異種移植モデルにおける腫瘍成長阻害及び遅延の評価
5百万個のHCT-116細胞を側腹部の皮下に接種したSCIDマウス(N=8/群)を、合わせて6回の投与のセツキシマブ(40mg/kg、IP、接種の7、11、14、18、21、25日後に投与される)、及び合わせて3回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15(化合物1)(0.3mg/kg、静脈内、腫瘍接種の7、14、及び21日後に投与される)で治療した。腫瘍成長阻害を、治療開始後19日目に評価した。結果を、図によって
図22Aに提供する。
【0254】
図22Aに示す通り、セツキシマブ単剤治療は、治療されたマウスにおける腫瘍成長阻害をもたらさなかった。モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15単剤治療は、31%の腫瘍成長阻害をもたらした。対照的に、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のセツキシマブ治療との組み合わせは、42%の腫瘍成長阻害をもたらした。これらのデータは、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のセツキシマブとの組み合わせが、セツキシマブ抵抗性腫瘍モデルにおける腫瘍成長阻害をもたらすことを示す。
【0255】
腫瘍成長遅延を、治療開始日でのベースライン腫瘍体積からの腫瘍体積四倍加時間(TVQT)を測定することによって評価した。
図22Bは、組み合わせ治療によって42%の腫瘍成長遅延が誘発され、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15(化合物1)単剤治療によって26%の腫瘍成長遅延が誘発されたが、セツキシマブ単剤治療は、腫瘍成長遅延をもたらさなかったことを示す。
【0256】
実施例20
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、例示的な抗EGFRモノクローナル抗体、セツキシマブとの投与後のHCT-116結腸直腸癌腫インビトロモデルにおける抗体媒介性の細胞傷害性(ADCC)の評価
ヒトNK細胞を、ネガティブセレクションを使用して、正常なドナーPBMCから磁気によって選別した。NK細胞を、400,000細胞/ウェルの密度で、96ウェルU底プレートに播種した。NK細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)及び1%抗生物質/抗真菌薬を添加したRPMI-1640完全培地中で、5% CO2中で37℃で一晩、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15(化合物1)(300ng/mL)で刺激した(+)、又は刺激しないままにした(-)。
【0257】
結腸ヒトHCT-116細胞(ATCC # CCL-247)を、10%ウシ胎児血清(FBS)及び1%抗生物質/抗真菌薬を添加したMcCoy 5A培地(ATCC+ 30-2007)中で、5% CO
2中で37℃で培養した。HCT-116細胞を、0.25%トリプシン-0.53mM EDTA中で37℃で5分間インキュベートすることによって継代培養し、滅菌PBSで洗浄し、培養培地に再懸濁し、計数し、10:1のエフェクター:標的(E:T)を使用して、NK細胞と共培養した。同時に、セツキシマブ(McKesson Medical Surgical #66733-948-23 lot# C1800115)及びIgG1アイソタイプ(Biolegend;LEAF 精製IgG1)を、30μg/mLの濃度で、対応するウェルに添加(+)し、その後、5% CO
2中で37℃で3時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を、フロー染色緩衝液で洗浄し、4℃で15分間Fcブロッキングし、暗所で4℃で20分間、表面染色した(EpCAM、CD45、CD56、CD3-蛍光コンジュゲート化抗体)。これらの細胞を、PBSで洗浄し、7-アミノアクチノマイシン(7-AAD)生死判別染色液中で4℃で30分間インキュベートし、その後、Fortessa(BD)を使用するフローサイトメトリー分析を受けた。全細胞集団からの7-AAD+CD45-EpCAM+標的細胞の割合は、死んだ腫瘍細胞についての割合である。結果を、
図23Aに提供する。
【0258】
上皮性/咽頭の頭頸部ヒトFaDu細胞(ATCC # HTB-43)を、10%ウシ胎児血清(FBS)及び1%抗生物質/抗真菌薬を添加した イーグル最小必須培地(EMEM;ATCC+ 30-2003)中で、5% CO
2中で37℃で培養した。FaDu細胞を、0.25%トリプシン-0.53mM EDTA中で37℃で5分間インキュベートすることによって継代培養し、滅菌PBSで洗浄し、培養培地に再懸濁し、計数し、10:1のエフェクター:標的(E:T)を使用して、NK細胞と共培養した。同時に、セツキシマブ(McKesson Medical Surgical #66733-948-23 lot# C1800115)及びIgG1アイソタイプ(Biolegend;LEAF 精製IgG1)を、300ng/mLの濃度で、対応するウェルに添加(+)し、その後、5% CO
2中で37℃で3時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を、フロー染色緩衝液で洗浄し、4℃で15分間Fcブロッキングし、暗所で4℃で20分間、表面染色した(CD45、CD56、CD3-蛍光コンジュゲート化抗体)。これらの細胞を、PBSで洗浄し、7-アミノアクチノマイシン(7-AAD)生死判別染色液中で4℃で30分間インキュベートし、その後、Fortessa(BD)を使用するフローサイトメトリー分析を受けた。全細胞集団からの7-AAD+CD45-標的細胞の割合は、死んだ腫瘍細胞についての割合である。結果を、
図23Bに提供する。
【0259】
図23A及び23Bに見られる通り、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15で刺激されたヒトNK細胞は、セツキシマブでコーティングされたヒト固形腫瘍細胞のADCCを増強する。
【0260】
実施例21
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、例示的な抗HERモノクローナル抗体、トラスツズマブとの投与後のSKOV-3卵巣癌腫細胞モデルにおける腫瘍成長阻害の評価
マトリゲルと1:1比で混合した1千万個のSKOV-3細胞を側腹部の皮下に接種したBalb/cヌードマウス(N=10/群)を、合わせて6回の投与のトラスツズマブ(13.5mg/kg、IV、接種後の6日目に開始して週2回3週間投与される)、及び合わせて3回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15(化合物1)(0.3mg/kg、静脈内)(腫瘍接種の6、13、及び20日後に投与される)で治療した。接種されたマウスにおける腫瘍成長阻害を、治療開始の35日後に測定した。結果を、図によって
図24に提供する。
【0261】
図24に示す通り、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15組み合わせ治療は、治療されたマウスにおける腫瘍成長阻害をもたらさなかった。トラスツズマブで治療されたマウスは、61%の腫瘍成長阻害を示したが、トラスツズマブ治療によって、腫瘍のない動物は生じなかった。対照的に、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のトラスツズマブ治療との組み合わせは、治療されたすべての動物において腫瘍の完全な喪失をもたらし、動物は、腫瘍がないままであった。これらのデータは、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のトラスツズマブとの組み合わせが、この腫瘍モデルにおけるトラスツズマブ単剤治療と比較して優れた腫瘍成長阻害をもたらすことを示す。
【0262】
実施例22
長時間作用型IL-15受容体作動薬と、例示的な抗HERモノクローナル抗体、トラスツズマブとの投与後のNCI-N87胃癌細胞モデルにおける腫瘍成長阻害の評価
マトリゲルと1:1比で混合した1千万個のNCI-N87細胞を側腹部の皮下に接種したBalb/cヌードマウス(N=10/群)を、合わせて3回の投与のトラスツズマブ(初回用量3mg/kg及び後続の2回の用量1mg/kg、IV、接種の5、12、及び20日後に投与される)、及び合わせて3回の投与のモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)
40kDインターロイキン-15(化合物1)(0.3mg/kg、静脈内)(腫瘍接種の5、12、及び19日後に投与される)で治療した。接種されたマウスにおける腫瘍成長阻害を、治療開始の25日後に測定した。結果を、図によって
図25に提供する。
【0263】
図25に示す通り、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15治療は、治療されたマウスにおける腫瘍成長阻害をもたらさなかった。トラスツズマブで治療されたマウスは、29%の腫瘍成長阻害を示した。対照的に、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のトラスツズマブ治療との組み合わせは、治療されたマウスにおける、より高い41%の腫瘍成長阻害をもたらした。これらのデータは、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)インターロイキン-15のトラスツズマブとの組み合わせが、この腫瘍モデルにおけるトラスツズマブ単剤治療と比較して優れた腫瘍成長阻害をもたらすことを示す。
【0264】
本発明の方法、治療的組み合わせ、及びキットの実施形態には、限定はされないが、以下が含まれる。
【0265】
実施形態1.癌を有する対象を治療する方法であって、
(a)次の構造を有する長時間作用型IL-15受容体作動薬:
【化14】
(式中、IL-15はインターロイキン-15部分であり、nは約150~約3,000の整数であり、mは2、3、4、及び5から選択される整数であり、n’は1であり、~NH~はIL-15部分のアミノ基を表す);及び
(b)リン酸化タンパク質、膜貫通タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、及び成長因子から選択される腫瘍抗原と特異的に結合する腫瘍に誘導される抗体であって、作用機序としての抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有する抗体;
(ここでは、ステップ(a)及び(b)は、同時に又は連続的に、任意の順序で実施される)
を対象に投与することを含む方法。
【0266】
実施形態2.長時間作用型IL-15受容体作動薬が、薬学的に許容し得る塩である、実施形態1の方法。
【0267】
実施形態3.式(I)中のmが、2又は3である、組み合わせられる又は個別の実施形態1~2の方法。
【0268】
実施形態4.式(I)中のmが、3である、組み合わせられる又は個別の実施形態1~3の方法。
【0269】
実施形態5.式(I)中のnが、約909という値を有する、組み合わせられる又は個別の実施形態1~4の方法。
【0270】
実施形態6.長時間作用型IL-15受容体作動薬が、(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-60kDインターロイキン-15、(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-40kDインターロイキン-15、(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-60kDインターロイキン-15、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-40kDインターロイキン-15、及びモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~5の方法。
【0271】
実施形態7.長時間作用型IL-15受容体作動薬が、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15である、組み合わせられる又は個別の実施形態1~6の方法。
【0272】
実施形態8.癌が、固形癌である、組み合わせられる又は個別の実施形態1~7の方法。
【0273】
実施形態9.固形癌が、乳癌、卵巣癌、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、悪性黒色腫、肝癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、腎癌、胆管の癌、脳癌、子宮頸癌、上顎洞癌、膀胱癌、食道癌、ホジキン病、及び副腎皮質癌(前述のもののいずれかの転移型が含まれる)からなる群から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~8の方法。
【0274】
実施形態10.癌が、造血器腫瘍である、組み合わせられる又は個別の実施形態1~7の方法。
【0275】
実施形態11.造血器腫瘍が、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、及びリンパ腫からなる群から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~7及び10の方法。
【0276】
実施形態12.癌が、B細胞悪性腫瘍である、組み合わせられる又は個別の実施形態1~7及び10~11の方法。
【0277】
実施形態13.ステップ(a)が、ステップ(b)の前に実施される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~12の方法。
【0278】
実施形態14.ステップ(b)が、ステップ(a)の前に実施される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~12の方法。
【0279】
実施形態15.ステップ(a)及びステップ(b)が、同時に又は実質的に同時に実施される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~12の方法。
【0280】
実施形態16.前記投与することが、好適な動物モデルにおいて測定される場合に、NK活性化を、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は腫瘍に誘導される抗体が単剤として投与される場合に観察されるよりも大きな程度で刺激するのに有効である、組み合わせられる又は個別の実施形態1~15の方法。
【0281】
実施形態17.前記投与することが、好適な動物モデルにおいて測定される場合に、NK増殖を、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は腫瘍に誘導される抗体が単剤として投与される場合に観察されるよりも大きな程度で刺激するのに有効である、組み合わせられる又は個別の実施形態1~16の方法。
【0282】
実施形態18.前記投与することが、好適な動物モデルにおいて測定される場合に、CD8 T細胞生存及びメモリー形成を、長時間作用型IL-15受容体作動薬又は腫瘍に誘導される抗体が単剤として投与される場合に観察されるよりも大きな程度で補助するのに有効である、組み合わせられる又は個別の実施形態1~17の方法。
【0283】
実施形態19.長時間作用型IL-15受容体作動薬が、静脈内又は皮下に投与される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~18の方法。
【0284】
実施形態20.長時間作用型IL-15受容体作動薬が、q7d、q14d、q21d、若しくは毎月、又はその任意の組み合わせで投与される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~19の方法。
【0285】
実施形態21.腫瘍に誘導される抗体が、静脈内又は腹腔内に投与される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~20の方法。
【0286】
実施形態22.腫瘍に誘導される抗体が、q7d、q14d、q21d、若しくは毎月、又はその任意の組み合わせで投与される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~21の方法。
【0287】
実施形態23.腫瘍に誘導される抗体が、モノクローナル抗体である、組み合わせられる又は個別の実施形態1~22の方法。
【0288】
実施形態24.腫瘍に誘導される抗体が、抗CD19抗体、抗CD20抗体、及び抗CD38抗体から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~23の方法。
【0289】
実施形態25.糖タンパク質と特異的に結合する腫瘍に誘導される抗体が、抗SLAMF7抗体、抗EpCAM抗体、抗gpA3抗体3、及び抗FBP抗体から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~23の方法。
【0290】
実施形態26.成長因子と特異的に結合する腫瘍に誘導される抗体が、抗VEGF抗体、抗VEGFR抗体、及び抗EGFR抗体から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~23の方法。
【0291】
実施形態27.腫瘍に誘導される抗体が、IgG抗体である、組み合わせられる又は個別の実施形態1~23の方法。
【0292】
実施形態28.腫瘍に誘導される抗体が、ダラツムマブ、リツキシマブ、セツキシマブ、及びトラスツズマブからなる群から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態1~23の方法。
【0293】
実施形態29.(a)次の構造を有する長時間作用型IL-15受容体作動薬:
【化15】
(式中、IL-15はインターロイキン-15部分であり、nは約150~約3,000の整数であり、mは2、3、4、及び5から選択される整数であり、n’は1であり、~NH~はIL-15部分のアミノ基を表す);及び
(b)リン酸化タンパク質、膜貫通タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、及び成長因子から選択される腫瘍抗原と特異的に結合する腫瘍に誘導される抗体(ここでは、腫瘍に誘導される抗体は、作用機序としての抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を含む)
を含む、癌を治療するのに使用するための治療的組み合わせ。
【0294】
実施形態30.長時間作用型受容体作動薬が、薬学的に許容し得る塩である、実施形態29の治療的組み合わせ。
【0295】
実施形態31.式(I)中のmが、2又は3である、組み合わせられる又は個別の実施形態29~30の治療的組み合わせ。
【0296】
実施形態32.式(I)中のmが、3である、組み合わせられる又は個別の実施形態29~31の治療的組み合わせ。
【0297】
実施形態33.式(I)中のnが、約909という値を有する、組み合わせられる又は個別の実施形態29~32の治療的組み合わせ。
【0298】
実施形態34.長時間作用型IL-15受容体作動薬が、(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-60kDインターロイキン-15、(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-40kDインターロイキン-15、(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-60kDインターロイキン-15、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)20-40kDインターロイキン-15、及びモノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態29~33の治療的組み合わせ。
【0299】
実施形態35.長時間作用型IL-15受容体作動薬が、モノ(メトキシPEG-N-ブタンアミド)40kDインターロイキン-15である、組み合わせられる又は個別の実施形態29~34の治療的組み合わせ。
【0300】
実施形態36.長時間作用型IL-15受容体作動薬が、静脈内又は皮下投与のために製剤化される、組み合わせられる又は個別の実施形態29~35の治療的組み合わせ。
【0301】
実施形態37.腫瘍に誘導される抗体が、静脈内又は腹腔内投与のために製剤化される、組み合わせられる又は個別の実施形態29~36の治療的組み合わせ。
【0302】
実施形態38.長時間作用型IL-15受容体作動薬が、静脈内又は皮下投与のために製剤化される、組み合わせられる又は個別の実施形態29~37の治療的組み合わせ。
【0303】
実施形態39.腫瘍に誘導される抗体が、静脈内又は腹腔内投与のために製剤化される、組み合わせられる又は個別の実施形態29~38の治療的組み合わせ。
【0304】
実施形態40.腫瘍に誘導される抗体が、モノクローナル抗体である、組み合わせられる又は個別の実施形態29~39の治療的組み合わせ。
【0305】
実施形態41.腫瘍に誘導される抗体が、抗CD19抗体、抗CD20抗体、及び抗CD38抗体から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態29~40の治療的組み合わせ。
【0306】
実施形態42.糖タンパク質と特異的に結合する腫瘍に誘導される抗体が、抗SLAMF7抗体、抗EpCAM抗体、抗gpA3抗体3、及び抗FBP抗体から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態29~40の治療的組み合わせ。
【0307】
実施形態43.成長因子と特異的に結合する腫瘍に誘導される抗体が、抗VEGF抗体、抗VEGFR抗体、及び抗EGFR抗体から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態29~40の治療的組み合わせ。
【0308】
実施形態44.腫瘍に誘導される抗体が、IgG抗体である、組み合わせられる又は個別の実施形態29~40の治療的組み合わせ。
【0309】
実施形態45.腫瘍に誘導される抗体が、ダラツムマブ、リツキシマブ、セツキシマブ、及びトラスツズマブからなる群から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態29~40の治療的組み合わせ。
【0310】
実施形態46.癌が、固形癌である、組み合わせられる又は個別の実施形態29~45の治療的組み合わせ。
【0311】
実施形態47.固形癌が、乳癌、卵巣癌、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、悪性黒色腫、肝癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、腎癌、胆管の癌、脳癌、子宮頸癌、上顎洞癌、膀胱癌、食道癌、ホジキン病、及び副腎皮質癌(前述のもののいずれかの転移型が含まれる)からなる群から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態29~46の治療的組み合わせ。
【0312】
実施形態48.癌が、造血器腫瘍である、組み合わせられる又は個別の実施形態29~45の治療的組み合わせ。
【0313】
実施形態49.造血器腫瘍が、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、及びリンパ腫からなる群から選択される、組み合わせられる又は個別の実施形態29~45及び48の治療的組み合わせ。
【0314】
実施形態50.癌が、B細胞悪性腫瘍である、組み合わせられる又は個別の実施形態29~45及び48~49の治療的組み合わせ。
【0315】
実施形態51.使用のための説明書を伴う、組み合わせられる又は個別の実施形態29~50の治療的組み合わせを含むキット。
【0316】
実施形態52.長時間作用型IL-15受容体作動薬及びモノクローナル抗体が、それぞれ、1つ以上の個々の単位剤形内に含有される、実施形態51のキット。
【0317】
実施形態53.長時間作用型IL-15受容体作動薬とモノクローナル抗体が、それぞれ、同じ単位剤形内に含有される、実施形態51のキット。
【0318】
配列表
配列番号1(rhIL-15)
【化16】
配列番号2
【化17】
配列番号3
【化18】
【配列表】
【国際調査報告】