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特表2022-512953老化を防止又は逆転させる手段及び方法
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  • 特表-老化を防止又は逆転させる手段及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】老化を防止又は逆転させる手段及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20220131BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 5/071 20100101ALN20220131BHJP
   C12M 3/06 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A61M1/36 185
A61K38/17
A61K38/21
A61K31/7105
A61P43/00 107
C12N5/071
C12M3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524465
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019060446
(87)【国際公開番号】W WO2020097449
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】62/758,240
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516071686
【氏名又は名称】フィジーン、エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FIGENE, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オヒーロン、ピート
(72)【発明者】
【氏名】イチム、トーマス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C077
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4C077AA30
4C077BB02
4C077EE01
4C077KK30
4C084AA06
4C084BA01
4C084BA22
4C084BA44
4C084CA56
4C084DA01
4C084DA21
4C084MA17
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB22
4C086AA02
4C086AA04
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA17
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB22
(57)【要約】
本開示は、対象者と体外に存在する細胞塊との間での因子の交換を可能にする方法で、血漿と接触しているが血球とは接触していない線維芽細胞又は脱分化した線維芽細胞を含む細胞を体外に含む回路を提供することにより、老化した及び/又は損傷した組織を再生/回復する手段、又は医学的状態を治療する手段を提供する。
本開示は、体外再生細胞塊によって産生される因子を滴定する手段を提供し、これにより再生効果を可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を治療するためのシステムであって:
(a)細胞を含む少なくとも1つのバイオリアクター、
(b)少なくとも1つの選択的透過性膜、及び
(c)少なくとも1つの前記バイオリアクターと、少なくとも1つの前記選択的透過性膜と、前記対象とを接続し、前記対象から前記バイオリアクターに流体を循環させるためのチュービング(但し、前記チュービングが中空糸を含む場合、膜は任意である)
を含む、システム。
【請求項2】
さらに前記対象からの血液又は血漿を含む、又は臓器保存液を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記細胞が、再生細胞である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記再生細胞が、線維芽細胞、脱分化線維芽細胞、誘導性多能性細胞、単為発生由来細胞、間葉系幹細胞、又は造血幹細胞である、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記再生細胞が、1つ以上の再生因子を基底速度又は誘導可能な速度で分泌する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記再生因子が、AKT、BAMBI、BCL-2、BCL-2XL、BDNF、BIRC5 CDA、CXCR4、ドミナントネガティブCCL2、EGF、エキソソーム、FGF-2、GATA-4 GDF-11、GDNF、hCG、HGF、HIF-1α、HLA-G、HO-1、hTERT、IFN-b、IGF-1、IFT-1、LIGHT、miR-126、NK4、NUR77、OCT-4、PGE-1、SDF-1、STC-1、TERT、TRAIL、VEGF、WNT11、XIAP及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記再生細胞が、前記対象の血液又は血漿からの変性因子に応答して、1つ以上の前記再生因子を産生する、請求項4~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記再生細胞が、変性因子の検出によって設定された速度で、前記再生因子を分泌する、請求項4~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記細胞からの前記再生因子の分泌速度が、前記細胞による変性因子の検出速度に対する比率である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記再生因子分泌速度と変性因子検出速度の比が、50:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:50、及びこれらの間の任意の比からなる群より選択される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
選択的透過性膜が、前記バイオリアクターと前記対象との間の前記チュービング内に配置される、
前記チュービングが、選択的透過性膜から構成される、及び/又は
前記バイオリアクターが、少なくとも部分的に、選択的透過性膜から構成される、
請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記選択的透過性膜が、前記対象とバイオリアクターとの間の細胞物質の通過を阻害又は減少させる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
1つ以上の選択的透過性膜が、再生因子及び変性因子の通過を可能にする、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記対象が動物である、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記対象が動物由来の臓器又は組織である、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記対象がドナー由来の臓器又は組織である、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記臓器が、肝臓、膵臓、胆嚢、胃、小腸、大腸、肺、腎臓、心臓、脾臓、脳、眼球及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15又は16記載のシステム。
【請求項18】
前記対象が、前記臓器の任意の部分又は臓器系の任意の部分である、請求項15~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記対象が臓器又は組織であり、
前記システムが、前記バイオリアクターの少なくとも1つと、前記対象を封入するための少なくとも1つの選択的透過性膜とに接続された、容器をさらに含む、
請求項1~13又は15~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記対象が臓器又は組織であり、
前記容器が、臓器保存液又は他の流体を前記チュービングへ移送するのを可能にするように、前記対象を保持するのに適している、
請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
再生因子を産生する体外的方法であって、
前記対象を、前記システム中の細胞からの1つ以上の再生因子の分泌を可能にする条件下で、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステムに供するステップを含む、方法。
【請求項22】
前記細胞が、皮膚、心臓、血管、骨髄、骨格筋、肝臓、膵臓、脳、脂肪組織、胎盤、及び/又は包皮を含む組織に由来する線維芽細胞である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記線維芽細胞が、CD73、CD90、CD56、SSEA3、SSEA4、Tra-1-60、Tra-1-81、Tra-2-54、HLAクラスI、CD13、CD44、CD49b、CD105、アミノペプチダーゼN、ヒアルロン酸結合受容体、コラーゲン/ラミニン結合インテグリンα2、OCT4、NANOG、SOX-2及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1以上の表面マーカーを有する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記線維芽細胞が、CD14、CD34、CD45、HLAクラスII及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の表面マーカーを欠く、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
(a)未分化状態にある線維芽細胞を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25日又はそれ以上の日数培養すること;
(b)ステップ(a)による線維芽細胞を、神経成長因子、bFGF、ジブトリルcAMP、IBMX、レチノイン酸、エキセンジン-4及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の因子の存在下で培養すること;及び
(c)前記線維芽細胞を活性化すること;
を含む、請求項22~24に記載の方法。
【請求項26】
前記線維芽細胞を活性化することが、前記線維芽細胞を細胞培養培地中の1つ以上のサイトカインに曝露することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記サイトカインが、IL-1、IFNγ、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
IL-1の濃度が、1~100ng/mL、5~100ng/mL、10~100ng/mL、又は20~40ng/mLである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
IL-1の濃度が、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、又は100ng/mLである、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
IFNγの濃度が、1~1000IU、5~1000IU、10~1000IU、1~500IU、5~500IU、10~500IU、100~500IU、又は250IUである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
IFNγの濃度が、1IU、5IU、10IU、50IU、100IU、200IU、250IU、300IU、400IU、500IU、600IU、700IU、800IU、900IU、又は1000IUである、請求項27又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記線維芽細胞を1つ以上のサイトカインに曝露することにより、前記線維芽細胞からの1つ以上の補体阻害分子の発現の増加が誘導される、請求項22~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記補体阻害分子が、CD35、CD46、C4BP、CD55、H因子、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記線維芽細胞を活性化することが、前記線維芽細胞を1つ以上のウイルス及び/又は非ウイルス発現系でトランスフェクトして、1つ以上の再生因子の発現を誘導することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記再生因子が、AKT、BAMBI、BCL-2、BCL-2XL、BDN、BIRC5 CDA、CXCR4、ドミナントネガティブCCL2、EGF、エキソソーム、FGF-2、GATA-4 GDF-11、GDNF、hCG、HGF、HIF-1α、HLA-G、HO-1、hTERT、IFN-b、IFT-1、LIGHT、miR-126、NK4、NUR77、OCT-4、PGE-1、SDF-1、STC-1、TERT、TRAIL、VEGF、WNT11、XIAP、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
請求項1~20のいずれか一項に記載のシステムを含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、平成30年11月9日に出願された米国仮特許出願第62/758,240号の優先権を主張する。
【0002】
本開示の実施形態は、少なくとも細胞生物学、分子生物学、生物学、免疫学、及び医学の分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
これまでの研究では、若齢動物と老齢動物の間の循環の接続が全身的な抗老化効果をもたらすことが実証されている。例えば、ある研究では、若いマウスと老いたマウスの間の共有循環系を確立することにより(異時性パラバイオシス)、老いたマウスを若い血清中に存在する因子に曝露することにより、肝組織からの老化した前駆細胞に対する全身因子の影響を調べた。特に、この対合は老化したサテライト細胞の増殖及び再生能力と同様に、Notchシグナル伝達の活性化を回復させた。さらに、老齢マウス由来のサテライト細胞を若齢血清に曝露すると、Notchリガンド(Delta)の発現が亢進し、Notch活性化が亢進し、in vitroでの増殖が亢進した。さらに、異時性パラバイオシスは老化した肝細胞の増殖を増加させ、cEBP-α複合体を若齢動物でみられるレベルまで回復させた。加齢に伴う前駆細胞活性の低下は、加齢に伴って変化する全身的要因によって調節されうることが示唆された[1]。別の研究では、若い血液には血管リモデリングを誘発する因子が含まれており、その結果、同様のヘテロ慢性パラバイオシスモデルを用いて、加齢マウスにおける神経発生が増加し、嗅覚識別が改善されたことが明らかにされた。脳血管分布の改善や神経新生に関連する分子因子を同定した結果、GDF11という分子の役割が明らかになった[2]。
【0004】
残念ながら、人間の循環を結ぶ手段は極めて困難であり、非倫理的である。したがって、当技術分野では、再生因子を必要とする被験者に実際的な方法で再生因子を供給する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、必要とする1つ以上の対象に1つ以上の再生因子を提供するためのシステム、方法、及び組成物を対象とする。本開示の態様は、医学的状態を有する及び/又は老化している対象の循環系が特定の細胞から産生される1つ以上の有益な再生因子に曝露されるシステム、組成物、及び方法を提供する;ここで、再生因子は対象由来の血液又は血漿への細胞の曝露で産生されたものである。他の実施形態において、対象は、老化の1つ以上の症状の発症を予防又は遅延させるために、システムに曝露される。特定の実施形態では対象とのシステムにおいてインラインである細胞が対象の循環から生じる1つ以上の変性因子に曝露されると、1つ以上の再生因子を産生し、そして1つ以上の再生因子はシステムにおいてインラインにある対象に提供される。次いで、このような再生因子は、医学的状態の少なくとも1つの症状を改善し、そして/又は老化の少なくとも部分的に1つ以上の影響を減少させる。
【0006】
特定の実施形態では、本開示は、必要とする1つ以上の対象に1つ以上の再生因子を提供するために体外回路を利用する。特定の実施形態では、体外回路が少なくとも1つの対象と少なくとも1つのバイオリアクターとを連結するチュービングを含む。特定の実施形態において、本開示は、対象とバイオリアクターとを連結する回路を包含し、ここで、1つ以上の特定の因子は、対象とバイオリアクターとの間で共有される。特定の実施形態では、本開示は、対象の1つ以上の細胞成分を、1つ以上のバイオリアクターの1つ以上の細胞成分から分離する。特定の実施形態では、この分離は、チュービング(特定の実施形態では中空糸が利用されない限り)、対象、及び/又はバイオリアクター内の位置に少なくとも1つの半透膜を使用することによって生じる。いくつかの実施形態では、バイオリアクターが対象に有用な1つ以上の因子を分泌する細胞を含む。いくつかの実施形態では、バイオリアクターが対象からの1つ以上の因子を検出する。特定の実施形態において、バイオリアクターは、対象から検出される因子の速度に依存する速度で因子を分泌する。
【0007】
いくつかの実施形態において、必要とする対象は、治療を必要とする少なくとも1つの医学的状態を有する個体、及び/又は1つ以上の因子の補充を必要とする年齢、及び/又は少なくとも1つ以上の有害因子の減少を必要とする年齢の個体である。少なくともいくつかの場合において、対象は、加齢に関連する因子の異常なレベルを有する個体である。他の態様では、対象は、例えば変性因子の慢性又は急性の異常なレベルを有する個体である。いくつかの実施形態では、対象は臓器である。少なくともいくつかの場合において、臓器は、異常なレベルの1つ以上の変性因子及び/又は加齢に関連する1つ以上の因子を有する個体に由来する。他の場合において、臓器はドナー由来であり、ここで、バイオリアクターによって供給される再生因子は、臓器を完全に生存可能に保つのに有用であり;この臓器が、例えば、移植のために使用される必要があり得る。特定の実施形態では、対象は、1つ以上の組織である。
【0008】
本発明の実施形態は、バイオリアクターにおいて細胞を生成及び/又は利用する手段を提供する。本開示のいくつかの実施形態では、生成及び/又は利用される細胞は、若い対象由来であるか、又は1つ以上の老化の徴候を欠く対象由来である。本開示の特定の実施形態では、生成及び/又は利用される細胞は、1つ以上の細胞表面分子を有する。特定の実施形態では、生成及び/又は利用される細胞は、1つ以上の特定の細胞表面分子を欠く。本開示の特定の実施形態では、生成及び/又は利用される細胞は、1つ以上の再生因子を分泌する、及び/又は、1つ以上の変性因子を検出又は反応する細胞の能力を増強する方法を使用して培養される。少なくともいくつかの場合において、生成及び/又は利用される細胞は、例えば、1つ以上のウイルス及び/又は1つ以上の非ウイルス方法を使用する培養などで、さらに操作される。
【0009】
本開示の実施形態は、対象を治療するためのシステムを含み、システムは、
細胞を含む少なくとも1つのバイオリアクター、
少なくとも1つの選択的透過性膜、及び、
前記少なくとも1つのバイオリアクターと、前記少なくとも1つの選択的透過性膜と、前記対象とを接続し、前記対象から前記バイオリアクターに流体を循環させるためのチュービング
とを含み、特定の実施形態では、前記チュービングが中空糸を含むという条件では、膜が任意である。
本システムは、対象からの血液又は血漿をさらに含んでもよく、又は臓器保存液を含んでもよい。細胞は、細胞又は組織の再生を可能にする再生細胞であってもよく、特定の場合には、再生細胞は、線維芽細胞、脱分化線維芽細胞、誘導性多能性細胞、単為発生由来細胞(parthenogenic derived cell)、間葉系幹細胞、又は造血幹細胞であるが、幹細胞はいずれの種類であってもよい。再生細胞は、基底速度又は誘導可能な速度で1つ以上の再生因子を分泌することができる。再生因子の例としては、AKT、BAMBI、BCL-2、BCL-2XL、BDNF、BIRC5 CDA、CXCR4、ドミナントネガティブCCL2、EGF、エキソソーム、FGF-2、GATA-4 GDF-11、GDNF、hCG、HGF、HIF-1α、HLA-G、HO-1、hTERT、IFN-b、IGF-1、IFT-1、LIGHT、miR-126、NK4、NUR77、OCT-4、PGE-1、SDF-1、STC-1、TERT、TRAIL、VEGF、WNT11、XIAP及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。再生細胞は、対象の血液又は血漿からの1つ以上の変性因子に応答して、1つ以上の再生因子を産生し得る。場合によっては、再生細胞は、変性因子の検出によってある設定された速度で再生因子を分泌する。細胞からの再生因子分泌の速度は、細胞による変性因子検出の速度に対する比であり得る。特定の実施形態では、再生因子分泌速度対変性因子検出速度の比が50:1、25:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:25、1:50、及びそれらの間の任意の比からなる群から選択される。
【0010】
本開示の特定の実施形態では、選択的透過性膜は、チュービング内、例えば、バイオリアクターと対象との間のチュービング内に配置され;チュービングは選択的透過性膜から構成されてもよく;及び/又はバイオリアクターが少なくとも部分的に、選択的透過性膜から構成されてもよい。いくつかの場合において、選択的透過性膜は、対象とバイオリアクターとの間の細胞物質(全細胞又はそのフラグメント)の通過を阻害又は減少させる。1つ以上の選択的透過性膜は、1つ以上の再生因子及び1つ以上の変性因子の通過を可能にし得る。
【0011】
本システムは、生きている動物などの任意の対象に適用されてもよく、又は、対象は臓器(臓器の任意の部分、又は臓器系の任意の部分)又は動物由来の組織であってもよく、臓器又は組織はドナーに由来してもよい。臓器の例には、肝臓、膵臓、胆嚢、胃、小腸、大腸、肺、腎臓、心臓、脾臓、脳、眼球及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上が含まれる。
【0012】
対象が臓器又は組織を含む場合、システムはまた、対象を封入するための、少なくとも1つのバイオリアクター及び少なくとも1つの選択的透過性膜に接続された容器を含み得る。特定の実施形態では対象は臓器又は組織であり、容器は臓器保存液又は他の流体のチュービングへの移送が可能なように対象を保持するのに適している。
【0013】
本開示の実施形態は、再生因子を産生する体外的方法を含み、該方法は、システム中の細胞からの1つ以上の再生因子の分泌を可能にする条件下で、対象を本開示によって包含されるシステムに供する工程を含む。細胞は、皮膚、心臓、血管、骨髄、骨格筋、肝臓、膵臓、脳、脂肪組織、胎盤、及び/又は包皮を含む組織に由来する線維芽細胞であってもよい。線維芽細胞は、CD73、CD90、CD56、SSEA3、SSEA4、Tra-1-60、Tra-1-81、Tra-2-54、HLAクラスI、CD13、CD44、CD49b、CD105、アミノペプチダーゼN、ヒアルロン酸結合受容体、コラーゲン/ラミニン結合インテグリンα2、OCT4、NANOG、SOX-2及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上の表面マーカーを有し得る。特定の実施形態において、線維芽細胞は、CD14、CD34、CD45、HLAクラスII及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の表面マーカーを欠く。
【0014】
本方法の特定の実施形態では、本方法は、線維芽細胞を未分化状態で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25日又はそれ以上の日数培養するステップと、ステップ(a)の線維芽細胞を、神経成長因子、bFGF、ジブトリルcAMP、IBMX、レチノイン酸、エキセンジン-4及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の因子の存在下で培養する工程と、線維芽細胞を活性化する工程とを含む。線維芽細胞を活性化することは、線維芽細胞を細胞培養培地中の1つ以上のサイトカインに曝露することを含み得る。サイトカインの例は、IL-1、IFNγ、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上である。サイトカインは特定の濃度であってもよく、例えば、IL-1の濃度は1~100ng/mL、5~100ng/mL、10~100ng/mL、又は20~40ng/mLであってもよく、IL-1の濃度は1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、又は100ng/mLであってもよく、IFNγの濃度は1~1000IU、5~1000IU、10~1000IU、1~500IU、5~500IU、10~500IU、100~500IU、又は250IUであってもよく、IFNγの濃度は、1IU、5IU、10IU、50IU、100IU、200IU、250IU、300IU、400IU、500IU、600IU、700IU、800IU、900IU、又は1000IUであってもよい。このような濃度は、単なる例示に過ぎない。
【0015】
本開示の特定の実施形態において、線維芽細胞を1つ以上のサイトカインに曝露することで、線維芽細胞からの1つ以上の補体阻害分子の発現の増加を誘導する。補体阻害分子の例は、CD35、CD46、C4BP、CD55、H因子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。線維芽細胞を活性化することは、線維芽細胞を1つ以上のウイルス及び/又は非ウイルス発現系でトランスフェクトして、1つ以上の再生因子の発現を誘導することを含み得る。具体的な実施形態において、再生因子は、AKT、BAMBI、BCL-2、BCL-2XL、BDN、BIRC5 CDA、CXCR4、ドミナントネガティブCCL2、EGF、エキソソーム、FGF-2、GATA-4 GDF-11、GDNF、hCG、HGF、HIF-1α、HLA-G、HO-1、hTERT、IFN-b、IFT-1、LIGHT、miR-126、NK4、NUR77、OCT-4、PGE-1、SDF-1、STC-1、TERT、TRAIL、VEGF、WNT11、XIAP、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0016】
本開示の実施形態は、本明細書に包含される任意のシステムの一部又は全部を含むキットを含む。
【0017】
上記は以下の詳細な説明がより良く理解され得るように、本開示の特徴及び技術的利点をかなり広く概説した。本明細書の特許請求の範囲の主題を形成する追加の特徴及び利点を以下に説明する。開示された概念及び特定の実施形態は本設計の同じ目的を実行するために他の構造を修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されるべきである。また、そのような同等の構成は、添付の特許請求の範囲に記載される精神及び範囲から逸脱しないことが当業者によって理解されるべきである。本明細書に開示される設計の特徴であると考えられる新規な特徴はさらなる目的及び利点とともに、動作の構成及び方法の両方に関して、添付の図面と関連して考慮される場合、以下の説明からより良く理解される。しかしながら、各図は、例示及び説明の目的のためだけに提供され、本開示の限定の定義として意図されないことが明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【0019】
図1】対象として哺乳動物を有する本開示のシステムの一例である。
【0020】
図2】対象として臓器又は組織を有する本開示のシステムの一例である。
【0021】
図3】包皮線維芽細胞を、表示された濃度のHに48時間の曝露することによって誘導された加速老化プロトコールに曝した場合の老化の評価を示す。細胞を、対照培地(RPMI)(3つの棒のグループの左棒)又は5%の条件培地(3つの棒のグループの中央棒)、又は10%の条件培地(3つの棒のグループの右棒)中で培養した。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[I. 定義例]
長年の特許法の慣例に従い、「a」及び「an」という語が「含む」という語と「含む」という語を協働して使用する場合、特許請求の範囲を含めて、「1つ又は複数の」ことを意味し、開示の一部の実施形態は、開示の1つ又は複数の要素、方法ステップ、及び/又は方法から成るか、又は本質的に成ることができる。本明細書中に記載されるいずれの方法又は組成物も、本明細書中に記載される任意の他の方法又は組成物に関して使用され得ることが意図される。
本明細書で使用される場合、「約」又は「およそ」という用語は、基準量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量又は長さに対して30、25、20、25、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%だけ差がある量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量又は長さを指し、特定の実施形態では、数値の前に「約」又は「およそ」という用語が存在し、これは、15%、10%、5%、又は1%の範囲でプラス又はマイナスの値を表す。生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、値のオーダー内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。特に明記しない限り、「約」という語は、特定の数値に対する許容可能な誤差範囲内を意味する。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「老化」は、加齢関連変性の徴候が現れ始めた対象をいう。加齢に伴う変性の例としては、テロメア長の減少、酸化ストレスの増強、細胞変化(cellular tangle)の形成、中枢神経系におけるタウパシーの発生、及び/又はミスフォールドするタンパク質の数の増加が挙げられる。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「バイオリアクター」は、例えば、細胞、細胞成分、及び/又は他の生物学的物質を収容するか、又は収容することができる容器又容器を指す。バイオリアクターは、任意の適切な材料から構成され得る。いくつかの態様において、バイオリアクターは、少なくとも部分的に、本明細書中に記載される少なくとも1つの半透膜を含む。本開示のバイオリアクターは、組織培養培地が環境内で生育している細胞から成長因子及び治療剤を除去することを可能にする方法で組織培養培地を生存細胞に潅流させつつ、細胞の生存を可能にする環境を含み得る。1つの実施形態において、細胞は、治療を必要とする個体の血液由来の血漿で潅流される。
【0025】
本明細書全体にわたって、文脈上他に要求がない限り、単語は「含む」、「含む」、「含んでいる」とは規定されたステップ又は要素群の包含を意味するが、他のステップ又は要素又は要素群の排除を意味しないと理解される。「~からなる」とは、「~から成る」という語句の後に続くものを含み、かつそれに限定されることを意味する。従って、「~から成る」という表現は、列挙された要素が必要又は必須であることを示し、他の要素があってはならないことを意味する。「本質的に~から成る」という表現は、当該フレーズの後に列挙された任意の要素を含み、記載されている要素の開示で指定されている活性又は作用を妨げない、又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。「本質的に~からなる」というフレーズは、列挙された要素は任意であり、列挙された要素の活性又は作用に影響を及ぼすか否かに応じて、存在しても存在しなくてもよいことを示す。
【0026】
本明細書中で使用される場合、用語「変性」又は「変性因子」は、対象に有害である1つ又は複数の因子をいう。このような薬剤は、少なくとも1つ以上の炎症分子、例えば、IL-1、TNF-α、IL-6、IL-17、IL33及びこれらの組み合わせ、又は当該技術分野で公知の他の因子からなる群より選択される炎症分子を含む、1つ以上の加齢関連因子であり得る。
【0027】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「特定の実施形態」、「追加の実施形態」、又は「さらなる実施形態」、又はそれらの組み合わせへの言及は、実施形態に関連して記載された特定の機能、構成、又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における前述の語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、特別な特徴、構造又は特質は1以上の実施形態において任意の適当な方法で組み合わせられ得る。
【0028】
本明細書中で使用される場合、用語「因子」は、タンパク質、脂質、核酸、代謝産物、ホルモン、生合成産物、又は対象及び/又はバイオリアクターによって産生される他の分子などの分子を表す。
【0029】
「減少」、「阻害」、「減少」、「抑制」、「低下」、「防止」及び文法的等価物(「より低い」、「より小さい」などを含む)という用語は、治療対象者に対する未治療対象者における任意の症状の発現に言及する場合、治療対象者における症状の量及び/又は大きさが、未治療対象者と比較して、医学的訓練を受けた任意の者によって臨床的に関連すると認識される任意の量だけ低いことを意味する。一実施形態では、治療対象者の症状の量及び/又は大きさは、未治療の対象者の症状の量及び/又は大きさよりも、少なくとも10%低い、少なくとも25%低い、少なくとも50%低い、少なくとも75%低い、及び/又は少なくとも90%低い。
【0030】
本明細書中で使用される場合、用語「再生」又は「再生因子」は、対象を、変性刺激を受ける前の状態に完全に又は部分的に回復させるように作用する1つ以上の薬剤をいう。このような再生刺激は例えば、関連する変性剤とは逆に作用すると言うことができる。
【0031】
本明細書中で使用される場合、用語「選択的透過性膜」は、細胞の通過を制限しながら因子の通過を選択的に可能にし得る1つ以上のデバイス又は材料をいう。いくつかの態様において、利用される選択的透過性膜は中空糸膜である。中空糸膜は、内側及び外側を有する長い多孔質フィラメントからなる半透膜であり、特定の組成物を内側から外側へ、又は外側から内側へ選択的に通過させることができる一方で、他の組成物のこのような通過を制限することができる。いくつかの実施形態では、中空糸膜が細胞の通過を制限しながら因子の通過を可能にする。特定の実施形態では、膜は2つのことを達成する:
【0032】
特定の実施形態では、膜は、個体由来の血液細胞がバイオリアクター中の細胞と接触することを許容しない:そして、個体の血液由来の血漿のみがバイオリアクター中の再生細胞と接触する。特定の場合において、膜は、バイオリアクター由来の細胞が個体の血液中に漏出することを許容しない。
【0033】
用語「細胞老化」(又は単に「老化」)は、以前に複製可能であった細胞の、ストレス誘導性の持続性の細胞周期の停止である。
【0034】
「治療」、「治療する」、又は「治療すること」は疾患又は状態の影響を軽減する方法を意味する。また、治療は、単なる症状だけではなく、疾患又は状態そのものを軽減させる方法を指すことができる。治療は、治療前のレベルからの任意の減少であり得、疾患、状態、又は疾患若しくは状態の症状の完全な除去であり得る、それらに限定されない。したがって、開示された方法において、「治療」は、疾患の少なくとも1つの症状の重症度の減少を含む、確立された疾患又は疾患進行の重症度の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の減少を指すことができる。例えば、細胞の免疫原性を減少させるための開示された方法は、同じ対象又は対照対象における処置前レベルと比較して細胞の免疫原性の検出可能な減少がある場合、治療であると考えられる。したがって、減少は、ネイティブ又は対照レベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、又はその間の任意の量の減少であり得る。「治療」は、必ずしも疾患又は状態の治癒を指すものではなく、疾患又は状態の見通しの改善を意味することが理解され、本明細書で企図される。特定の実施形態では、治療が少なくとも1つの症状の重症度又は程度の減少を指し、代替的に又は追加的に、少なくとも1つの症状の発症の遅延を指し得る。
【0035】
本開示のいくつかの実施形態では、生成及び/又は利用される細胞が「若い対象」に由来するものであって、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2歳又は1歳未満の年齢の対象であり得る。
【0036】
特定の実施形態では、加齢の1つ以上の徴候を欠く対象は特定の年齢でなくてもよいが、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2歳又は1歳未満であり得る。
【0037】
[II.体外システム]
特定の実施形態では、本開示は、対象において1つ以上の再生変化を誘導する能力を有するシステム、例えば、対象において全身的又は局所的に、1つ以上の再生変化を誘導する能力を有するシステムを記載する。いくつかの実施形態では、システムは、変性刺激の程度に比例した再生フィードバックを生成し、特定の態様では、1つ又は複数の変性刺激効果を相殺することができる。特定の実施形態では、装置は、システムによって検出された1つ以上の単位の変性因子毎に、1つ以上の単位の再生因子を生成、放出、又は分泌する。いくつかのケースでは、変性刺激は、老化関連刺激及び/又は老化関連炎症を含む。より正確には、いくつかの炎症性メディエーターの1つ以上が、加齢又は変性の様々な側面と関連している。理論に束縛されるものではないが、本明細書に包含されるシステムの特定の実施形態は、システム中の再生細胞がバイオリアクターに連結された対象からの循環因子と接触し、システム中の細胞が、システム中の循環中の循環因子に応答して1つ以上の再生因子を産生する、外因性バイオリアクターを表す。本開示のいくつかの実施形態では、対象からの循環因子は、炎症性メディエーターなどの加齢関連因子である。本発明の目的は、炎症性又は他の変性が、身体の必要性に基づいて再生因子の生成を誘発することができる人工環境を作り出すことである。本開示のいくつかの実施形態では、再生因子にはGDF-11、エキソソーム、又はBDNF、EGF、hCG、VEGF、及びIGF-1などの再生に関連する他の薬剤などの薬剤が含まれる。
【0038】
いくつかの実施形態では、対象は老化していてもよい。老化は自然老化であってもよいし、加速された老化であってもよいし、老化は、生理学的機能の時間依存的な低下であってもよい。いくつかの実施形態では、老化は、すべて正常と比較して、線維症の増強、炎症の増強、及び/又はテロメア長の減少に関連する。いくつかの実施形態において、対象は、疾患状態に関連する変性因子の異常なレベルを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、対象の変性因子及び/又は再生因子のレベルを変化させるような特定の外傷又は損傷又は医学的状態を有していてもよい。
【0039】
特定の実施形態では、対象は、例えば、老化しているか、又は疾患を有するか、又は外傷若しくは損傷を有している個体由来の臓器であり得る。他の実施形態では、対象は、移植に使用される臓器であってもよい。移植の場合には、本システムは臓器を生存可能な状態に保つのに用いられる。さらなる実施形態において、対象は、生存可能な状態を維持する組織又は組織のセットであり得る。対象が臓器である本開示の実施形態において、対象は、肝臓、膵臓、胆嚢、胃、小腸、大腸、肺、腎臓、心臓、脾臓、脳、眼球、大網(omentum)、小腸粘膜、若しくはその他の臓器、又は臓器の任意の部分、又は臓器系の任意の部分であり得る。
【0040】
図1を参照すると、システム100は、対象101の老化を防止又は逆転させ、及び/又は対象101の医学的状態を治療するための体外システムの一例を示す。システムの一例では、対象101の循環系は、チュービング102が血液又は血漿を対象101から体外に移送することができるように、チュービング102にインラインで取り付けられる。チュービング102は、対象101からの血液又は血漿を、対象101の血液又は血漿中の1つ以上の変性因子の存在を検出することができる、細胞を収容するバイオリアクター103に移送する。バイオリアクター103中の細胞は、チュービング102を通って移送された対象101からの血液又は血漿に曝露されると、バイオリアクター103中の細胞は、1つ以上の再生因子を産生する。次いで、バイオリアクター103中の細胞からの1つ以上の再生因子は、チュービング104がシステムとインラインであり、対象101の循環系に取り付けられているために、チュービング104を通って血液又は血漿中に移送され、対象101に戻される。半透膜は、チュービング102及び/又は104の中又は全体のように、システムの任意の位置に組み込まれてもよく、又はバイオリアクター103を少なくとも部分的に含んでもよい。
【0041】
図2を参照すると、システム200は、臓器又は組織202の老化を防止又は逆転させ、及び/又は臓器又は組織201の医学的状態を治療するための体外システムの一例を示す。システムの一例では、臓器又は組織201の循環系は、チュービング202が臓器又は組織201からの血液又は血漿を、臓器又は組織の外部に移送することができるように、チュービング202にインラインで取り付けられる。臓器又は組織は、容器205内に収容されてもよい。チュービング202は、臓器又は組織201からの臓器保存液(市販されている)を、臓器又は組織201からの血液又は血漿中の1つ以上の変性因子の存在を検出し得る細胞を収容するバイオリアクター203に移送する。バイオリアクター203中の細胞は、チュービング202を通って移送された臓器又は組織201からの血液又は血漿に曝露されると、バイオリアクター203中の細胞は、1つ以上の再生因子を産生する。次いで、バイオリアクター203中の細胞からの1つ以上の再生因子は、チュービング204がシステムとインラインであり、臓器又は組織201の循環系に取り付けられているために、チュービング204を通って血液又は血漿中に移送され、臓器又は組織201に戻される。半透膜は、チュービング202及び/又は204の中又は全体のように、システムの任意の位置に組み込まれてもよく、又はバイオリアクター203及び/又は容器205を少なくとも部分的に含んでもよい。
【0042】
本開示の特定の実施形態では、細胞を含む再生生物学的材料を収容するのに適した区画を含むバイオリアクターが提供される。ある態様において、バイオリアクターは、細胞と接触し得る少なくとも1つの選択的透過性膜を含む。特定の実施形態では、バイオリアクターは、少なくとも1つの選択的透過性壁を有する。特定の実施形態では、選択的透過性膜は、選択的透過性の中空糸であり得る。バイオリアクターは、区画を通過する複数の選択的に透過性の中空糸を含み得、この中空糸には、気体及び細胞のための栄養分を含む流体の一方又は両方が通過し得る。特定の実施形態では、バイオリアクターは、バイオリアクターを通過する複数の選択的透過性を有する中空糸を含む。他の実施形態において、選択的透過性膜又は複数の選択的透過性膜は、バイオリアクターから分離される。特定の実施形態では、膜(複数可)は、バイオリアクターのうちの少なくとも1つと対象とを接続するチュービング内に配置される。バイオリアクター及び選択的透過性膜は、チュービングによって対象に接続され得る。チュービングは、可撓性又は剛性があり、そして生体適合性である任意の材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、チュービングは、対象の循環系の少なくとも1つの点で、対象の循環系に接続される。特定の実施形態では、チュービングは、対象を収容する容器に接続される(例えば、対象が組織又は臓器である場合)。そのような実施形態では、チュービングは、対象からの流体の循環を可能にし、及び/又は対象の周りの流体の循環を可能にする。特定の実施形態では、対象、バイオリアクター、及び選択的透過性膜を接続するチュービング内で流体を循環させるための方法及び/又はデバイスが使用される。
【0043】
バイオリアクターに収容された生物学的材料は、1)所定のレベルの変性因子を感知し、2)適切なレベルの1つ又は複数の適切な反作用再生因子を生成し、3)いくつかの実施形態では、対象によって生成される変性因子の程度を明確にする診断マーカーも放出する。本装置で使用するための生物学的材料は、バイオリアクターでの使用に有効な任意の細胞又は細胞材料又は複数の細胞であり得、バイオリアクターの使用によって治療される個体に関して、異種細胞、同種同系、同種異系、又は自家細胞であり得る。生物学的材料が細胞である特定の実施形態において、細胞は、変性因子を検出し得、そして変性因子検出の速度に見合った割合で再生因子を分泌し得る。相応の割合は、再生分泌と変性検出との比であってもよい。この比は、例えば、50:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:50、及びそれらの間の任意の比であり得る。
【0044】
特定の実施形態では、生物学的材料は細胞を含む。特定の実施形態において、細胞は、バイオリアクター中で培養される。他の実施形態において、細胞は、バイオリアクターの外部で、適切な細胞培養容器中で培養され、次いで、バイオリアクターにおける使用のために採取される。特定の実施形態では、利用される細胞は線維芽細胞である。それらが線維芽細胞であり得る場合を含めて、使用される細胞は、CD73、CD90、CD56、SSEA3、SSEA4、Tra-1-60、Tra-1-81、Tra-2-54、HLAクラスI、CD13、CD44、CD49b、CD105、アミノペプチダーゼN、ヒアルロン酸結合受容体、コラーゲン/ラミニン結合インテグリンα2、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1以上の表面マーカーを有し得る。本開示において使用される細胞集団の少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は約100%は、1つ以上の特異的表面マーカーを発現し得る。使用される細胞はまた、1つ以上の表面マーカー(例えば、CD14、CD34、CD45、HLAクラスII、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上)を欠いてもよい。本開示の特定の実施形態では、細胞が組織培養において自己再生することができ、培養中に1年を超えて正倍数性を維持し、ヒトES細胞とマーカーを共有し、及び/又は発生中の胚の3つの胚葉すべてに分化することができる。特定の実施形態では、細胞は、ヒト妊娠の第2期の間に採取された羊膜において得ることができる線維芽細胞である。線維芽細胞は、形態学的に区別可能な複数の細胞タイプを含み、細胞の大部分は老化しやすく、培養物から失われることが知られている。一実施形態では、米国特許第7,569,385号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているようなフィブロネクチン被覆プレート及び培養条件を使用して、正常な16~18週妊娠からの線維芽細胞採取物から細胞を増殖させる。1つの実施形態において、本開示の細胞は胎児起源であり、そして正常な二倍体核型を有し得る。再生細胞は、任意の霊長類(ヒトを含む)を含む任意の哺乳動物から単離され得る。しかし、線維芽細胞の再生細胞は、他の種から同様の様式で単離してもよい。線維芽細胞の再生細胞を誘導するために用いることができる種の例としては、哺乳動物、ヒト、霊長類、イヌ、ネコ、ヤギ、ゾウ、ヒツジ、絶滅危惧種、ウシ、ウマ、ブタ、マウス、ウサギなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本開示において使用される細胞は、特定の細胞表面タンパク質によって、又は特定の細胞タンパク質の存在及び/又は欠如によって認識され得る。典型的には、特定の細胞タイプは、特定の細胞表面タンパク質を有する。これらの表面タンパク質は、特定の細胞タイプを決定又は確認するためのマーカーとして使用され得る。典型的には、これらの表面マーカーは、抗体ベースの技術又は他の検出方法を用いて可視化することができる。特定の実施形態において、マーカーは、CD73、CD90、CD56、SSEA3、SSEA4、Tra-1-60、Tra-1-81、Tra-2-54、HLAクラスI、CD13、CD44、CD49b、CD105、アミノペプチダーゼN、ヒアルロン酸結合受容体、コラーゲン/ラミニン結合インテグリンα2、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0046】
本開示のある特定の実施形態では、細胞は、未分化状態で連続培養して不定期間増殖させることができるヒト幹細胞である。用語「未分化」とは、特化した細胞タイプになっていない細胞を指す。細胞は、栄養培地中で培養される。栄養培地は、等張生理食塩水、緩衝液、アミノ酸、抗生物質、血清又は血清代替物、及び外因的に添加された因子のうちの任意の1つ以上を適切な組み合わせで含み得る。細胞は所望の期間、未分化状態で増殖することができ、次いで、特定の条件下で培養して、分化又は活性化状態への進行させることができる。いくつかの実施形態では、細胞は、細胞を活性化する前に、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25日又はそれ以上の日数、未分化状態で培養される。特定の実施形態において、細胞は、細胞を活性化する前に因子(複数可)の存在下で培養される。さらなる実施形態において、細胞は、神経成長因子、bFGF、ジブトリルcAMP、IBMX、レチノイン酸、エキセンジン-4、又は所望の活性化された細胞を産生するために有用な他の因子を単独又は組み合わせて含み得る因子の存在下で培養される。活性化されることにより、用語は、非特化細胞が心臓、肝臓、筋肉、膵臓又は他の臓器若しくは組織の細胞のように特殊化した細胞の特徴を獲得するプロセスを意味する。本開示における細胞は、記載されたシステムのために使用可能な任意の細胞タイプに活性化され得る。
【0047】
本開示の細胞を分化させるのに有用であり得る細胞分化技術に関する一般的な方法は、一般的なテキスト、例えば (E. J. Robertson, ed., IRL Press Ltd. 1987); Guide to Techniques in Mouse Development (P. M. Wasserman et al. eds., Academic Press 1993); Embryonic Stem Cell Differentiation in vitro (M. V. Wiles, Meth. Enzymol. 225:900, 1993); Properties and uses of Embryonic Stem Cells: Prospects for Application to Human Biology and Gene Therapy (P. D. Rathjen et al., Reprod. Fertil. Dev. 10:31, 1998); and in Stem cell biology (L. M. Reid, Curr. Opinion Cell Biol. 2:121, 1990) などに記載されており、これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態では、システムでの使用のために細胞を活性化するために、1つ以上のサイトカインの存在下で細胞を培養する。特定の実施形態では、サイトカインは、IL-1、若しくはIFNγ、又はその両方を同時又は逐次的に使用する。いくつかの実施形態において、細胞培養物に供給されるIL-1の濃度は、例えば、1~100ng/mL、5~100ng/mL、10~100ng/mL、又は20~40ng/mLであり得る。他の実施形態では、IL-1の濃度は、例えば、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、又は100ng/mLであり得る。ある実施形態では、IFNγの濃度は、例えば、1~1000IU、5~1000IU、10~1000IU、1~500IU、5~500IU、10~500IU、100~500IU、又は250IUであり得る。さらなる実施形態では、IFNγの濃度は、例えば、1IU、5IU、10IU、50IU、100IU、200IU、250IU、300IU、400IU、500IU、600IU、700IU、800IU、900IU、又は1000IUであり得る。
【0049】
特定の実施形態において、細胞は、システムにおける使用の前に培養され得る。特定の場合には、細胞の培養によって補体阻害分子の発現が誘導される。これらの分子には、CD35、CD46、C4BP、CD55、H因子、又は補体系の活性化を減少させる他の因子が含まれ得る。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態において、細胞は、増強された再生特性を有するようにトランスフェクトされる。トランスフェクションは1つ以上のウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス)又は1つ以上の非ウイルスベクター(例えば、プラスミド)の使用によって達成され得る。トランスフェクションを実施するための手段は当該分野で周知であり、そして以下の参考文献[3-9]において議論される。遺伝子の具体例としては、幹細胞、特に造血幹細胞のホーミングを促進するためのSDF-1[10]、動物モデルでパーキンソン病を治療するためのGDNF[11]、脳損傷モデルにおける再ミエリン化を促進するためのHGF[12]、病的な循環系リモデリングと死人細胞嗣から保護するakt[13]、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するためのTRAIL[14-17]、心保護のためのPGE-1シンターゼ[18]、遊走を促進するNUR77[19]、高血圧に伴う眼神経障害を減少させるためのBDNF[20]、骨形成を刺激するためのHIF-1α[21]、肺の線維化を抑えるドミナントネガティブCCL2[22]、腫瘍の進行を抑えるためのインターフェロンβ[23]、免疫抑制活性を高めるHLA-G[24]、肝細胞系譜に沿った分化を誘導するhTERT[25]、シトシンデアミナーゼ[26]、老化を低下させるためのOCT-4[27,28]、TGF発現及び腫瘍誘発効果を低下させるためのBAMBI[29]、放射線防護のためのHO-1[30]、抗腫瘍活性を誘導するLIGHT[31]、血管新生を促進するmiR-126[32、33]、髄核細胞の生成を誘導するbcl-2[34]、神経新生を誘導するテロメラーゼ[35]、造血回復を促進し[36]望ましくない免疫を減少させる[37]CXCR4、再生サイトカイン産生を促進するwnt11[38]、癌を減少させるHGF拮抗薬NK4[39]等が挙げられる。変性を抑えるか、又は再生を誘導するための当該分野で公知の他の因子もまた、使用され得る。
【0051】
[III.医学的状態を治療する方法、又は加齢を逆転又は遅らせる方法]
本開示の実施形態は、医学的状態を治療するか、又は老化の自然なプロセスの影響を低減する方法を含む。医学的状態は、老化関連障害又は加齢関連障害又はプロセスであり得る。個体は、より若い個体と比較して、少なくともいくつかの細胞及び構造の喪失を含む、損傷及び他の有害な変化の細胞蓄積を有し得る。特定のケースでは、個体は、成体の体細胞が、個体のために部分的に再プログラムされた細胞又は誘導された多能性幹細胞に変換される能力を失っている。
【0052】
本開示のいくつかの実施形態において、本方法及びシステムは、本開示の方法及びシステムに供されていない個体と比較して細胞及び/又は生物の寿命を延長することを包含する。特定の実施形態では、本開示の方法及びシステムは、細胞老化の逆転又は遅延と体細胞における複製能力の不可逆的損失を可能にする。特定の場合には、本方法及びシステムは、テロメア機能不全及び/又は細胞老化に関連するミトコンドリアのホメオスタシスの変化を予防又は減少させる。
【0053】
特定の実施形態では、医学的状態は、老化関連疾患、例えば、老化が進むにつれて頻度が増加して最も頻繁に見られる疾患である。少なくともいくつかのケースでは、加齢関連疾患は老化に起因する合併症である。少数のまれな例外を除いて、全ての成体動物が老化するが、全ての成体動物が全ての加齢関連疾患を経験するわけではないので、特定の実施形態では、加齢関連疾患は加齢プロセス自体と区別され得る。特定の症例において、加齢関連疾患は、神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、癌、関節炎、白内障、骨粗鬆症、2型糖尿病、高血圧、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、及び/又はアルツハイマー病を含む。
【実施例
【0054】
[IV. 実施例]
以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態をより完全に例示するために提示される。しかしながら、それらは、本開示の広い範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【0055】
[実施例1.システムで使用するための細胞の採取]
独立して採取された線維芽細胞試料に由来する単離された多能性羊水幹細胞(MAFSC)細胞の表面マーカーを、モノクローナル抗体及びFACS解析を用いて、細胞表面及び他のマーカーの範囲について試験した。これらの細胞は、以下の細胞表面マーカー:SSEA3、SSEA4、Tra-1-60、Tra-1-81、Tra-2-54によって特徴付けることができる。MAFSC細胞は、細胞表面マーカーSSEA1を発現しないという点で、マウスES細胞と区別することができる。さらに、MAFSCは、幹細胞転写因子であるOct-4を発現する。MAFSC細胞は、以下の細胞マーカーSSEA3、SSEA4、Tra-1-60、Tra-1-81、Tra-2-54及びOct-4の少なくとも1つ、又は少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも6つ、又はすべてが存在することによって認識され得る。
【0056】
MAFSC培養物は、SSEA-1マーカーをほとんど又は全く発現しない。胚性幹細胞マーカーのSSEA3、SSEA4、Tra1-60、Tra1-81、Tra2-54、Oct-4に加えて、線維芽細胞再生細胞は、通常はヒト間葉系幹細胞上に認められるが、ヒト胚性幹細胞上には認められない細胞表面抗原を高レベルで発現していた。この一連のマーカーには、CD13(99.6%)アミノペプチダーゼN、CD44(99.7%)ヒアルロン酸結合受容体、CD49b(99.8%)コラーゲン/ラミニン結合インテグリンα2、及びCD105(97%)エンドグリンが含まれる。MAFSC細胞培養物に胚性幹細胞マーカー及びhMSCマーカーの両方が存在することから、ここに記載されたように増殖及び増殖された線維芽細胞由来MAFSC細胞は、hES細胞及びhMSC細胞の特徴を兼ね備えた新しいクラスのヒト幹細胞であることが示される。
【0057】
MAFSC培養物の品質を決定するために、すべての培養物についてSH-2、SH-3、SH-4 MSCマーカーの表面発現と、及びCD14陽性細胞及びCD-45陽性細胞の混入がないことを調べるためにフローサイトメトリーを実施した。細胞を0.05%トリプシン-EDTAで分離し、DPBS+2%ウシアルブミンで洗浄し、1%パラホルムアルデヒド中で固定し、10%血清でブロッキングし、SH-2、SH-3及びSH-4の一次抗体、続いてPEコンジュゲート抗マウスIgG(H+L)抗体と別々にインキュベートした。175cm2フラスコに入れたコンフルエントなMSCをタイロード塩溶液で洗浄し、Medium 199(M199)と60分間インキュベートし、0.05%トリプシン-EDTA(Gibco)で剥離した。10個のフラスコの細胞を一度に剥離し、MSCを40mlのM199+1%ヒト血清アルブミン(HSA; American Red Cross、Washington DC、USA)に再懸濁した。各10フラスコセットから採取したMSCを4℃で最大4時間保存し、採取の最後にひとまとめにした。計2~10’10/kgのMSCをM199+1% HSAに再懸濁し、460gで10分間20℃で遠心分離した。細胞ペレットを新鮮なM199+1% HSA培地に再懸濁し、460gで10分間、20℃で遠心分離する操作をさらに3回行った。総回収時間は、フラスコ当たりのMSC収量及び目的の用量に基づいて2~4時間であった。回収したMSCを、10% DMSO(Research Industries、Salt Lake City、UT、USA)及び5% HSAの最終濃度で速度制御フリーザーを使用して、Cryocyte(Baxter、Deerfield、IL、USA)フリーズバッグ中で凍結保存した。
【0058】
本開示の一実施形態では、MAFSCを72時間接着させた後、3~4日毎に培地を交換する。接着細胞を0.05%トリプシン-EDTAで除去し、175cm2当たり1’106の濃度で再プレーティングする。MAFSCは、放射線に関連する神経変性症状を患う患者において、静脈内に、又は好ましい実施形態では髄腔内に投与することができる。投与量は、当業者によって決定され得、そして種々の患者の特徴に依存するが、静脈内投与では100万~1000万MSC/キログラムの範囲の濃度で行うことができ、好ましい投与量は、約200万~500万細胞/キログラムである。
【0059】
[実施例2.本システムのためのトランスフェクション細胞の例]
本発明の1つの実施形態において、MAFSCは、インビボでの寿命を延ばすために、抗アポトーシスタンパク質でトランスフェクトされる。本開示は、アポトーシスを阻害又は予防するための治療として、増加した量の少なくとも1つの抗アポトーシスタンパク質を発現する条件下で培養されたMAFSCを使用する方法を含む。1つの実施形態において、アポトーシスを阻害又は予防するための治療として使用されるMAFSCは、アポトーシス細胞と接触されている。本発明は、アポトーシス細胞と接触したMAFSCが、高レベルの抗アポトーシス分子を発現するという発見に基づく。いくつかの例において、アポトーシス細胞と接触したMAFSCは、STC-1、BCL-2、XIAP、サバイビン、及びBcl-2XLを含むが、これらに限定されない、少なくとも1つの抗アポトーシスタンパク質を高レベルで分泌する。本発明に適用することができる抗アポトーシス遺伝子をMAFSCにトランスフェクトする方法は、以前に記載されており、本発明の実施に利用することができる前記抗アポトーシス遺伝子として、非限定に、GATA-4[40]、FGF-2[41]、bcl-2[34、42]、及びHO-1[43]などが挙げられる。本明細書で提供される開示に基づいて、MAFSCは、任意の供給源から得ることができる。MAFSCは、対象及び/若しくはレシピエントに関して自己由来(同一の宿主から得られる)であってもよく、又は対象及び/若しくはレシピエントに関して同種異系であってもよい。さらに、MAFSCは、対象及び/又はレシピエントに対して異種(異なる種の動物から得られる)であり得る。本発明の1つの実施形態において、MAFSCは抗アポトーシス遺伝子の発現を誘導するための薬剤で前処理され、その1つの例では、以前に記載されたようなエキセンジン-4での前処理である[44]。さらなる非限定的な実施形態において、本発明において使用されるMAFSCは、ヒト、マウス、ラット、類人猿、テナガザル、ウシを含むがこれらに限定されない、哺乳動物の任意の種の骨髄から単離され得る。非限定的な実施形態において、MAFSCは、ヒト、マウス、又はラットから単離される。別の非限定的な実施形態では、MAFSCはヒトから単離される。
【0060】
[実施例3.線維芽細胞条件培地は老化を減少させる]
包皮線維芽細胞をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手し、製造業者の説明書に従って培養した。線維芽細胞条件培地を作製するために、線維芽細胞をCD73の発現に基づいて単離し、10%ウシ胎仔血清を含む10mlのRPMI培地あたり100万細胞の濃度で24時間培養し、培地を条件培地として使用した。
【0061】
老化評価するために、包皮線維芽細胞を、示された濃度のHへ48時間曝露することによって誘導された加速老化プロトコールに曝露した。細胞は、コントロール培地(RPMI)(3つの棒のグループの左の棒)、5%条件培地(3つの棒のグループの中央の棒)、又は10%条件培地(3つの棒のグループの右の棒)中で培養した。老化は、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、SA-β-Galをsenescent cells histochemical staining kit (Sigma Aldrich、StLouis、MO、USA)を用いて染色して検出した。各ウェルあたり3つの画像を収集し、SA-β-Gal染色細胞を計数した。
【0062】
CD73で選択された線維芽細胞からの条件培地で、老化関連βガラクトシダーゼの減少が観察された。
【0063】
本開示及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される設計の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び変更を本明細書で行うことができることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者であれば、本開示から容易に理解するように、本明細書で説明される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか又は後に開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップを、本開示に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲はその範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップを含むことが意図される。
【0064】
[参考文献]
本明細書で言及されるすべての特許及び刊行物は、本発明が関係する当業者のレベルを示す。本明細書中の全ての特許及び刊行物は、あたかも各個々の刊行物がそれらの全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度に、参照により組み込まれる。
【0065】
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