(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】液滴中で粒子を多重化するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6851 20180101AFI20220131BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALN20220131BHJP
【FI】
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6876 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524476
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(85)【翻訳文提出日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 US2019060227
(87)【国際公開番号】W WO2020097303
(87)【国際公開日】2020-05-14
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515116467
【氏名又は名称】トキタエ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,サマンサ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ニコルス,ケヴィン ポール フラッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイグル,ベルンハルト ハンス
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ06
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR48
4B063QR55
4B063QR56
4B063QR62
4B063QR66
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
試験サンプルの2つ以上の標的を多重分析するためのシステムおよび方法を開示する。このシステムおよび方法は、以下のものをを含んでいる。(i)標的に特異的な第1試薬群と、第1標的を示している第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子とを含んでいる、第1粒子群。(ii)標的に特異的な第2試薬群と、第2標的を示している第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子とを含んでいる、1つ以上の第2粒子群。(iii)標的に特異的な第1試薬群と試験サンプルの第1標的との反応、および/または、標的に特異的な第2試薬群と試験サンプルの第2標的との反応に対応して、第3波長を構成的に放出できる、光学的に検出可能なレポータープローブ。第1波長、第2波長および第3波長は、互いに光学的に識別可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(i)および(ii)を含んでいる、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するためのシステム:
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1増幅プライマー群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記第1増幅プライマー群は、第1核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1増幅プライマー群を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2増幅プライマー群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記第2増幅プライマー群は、第2核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2増幅プライマー群を示している、第2粒子群;
(ii)上記試験サンプル中における上記第1核酸配列の増幅、および/または、上記試験サンプル中における上記第2核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ。
【請求項2】
上記第1環境条件および上記第2環境条件は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記第1環境条件および上記第2環境条件は、同一の環境条件である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性物質から形成されている構造を有しており、
上記分解性物質は、上記第1環境条件または上記第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性ゲルから形成されている構造を有しており、
上記分解性ゲルは、上記第1環境条件または上記第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解する、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有しており、
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分布しうる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
上記光学的に検出可能な第1識別子によって放出される上記第1波長は、検出可能な第1色であり、
上記光学的に検出可能な第2識別子によって放出される上記第2波長は、検出可能な第2色であり、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによって構成的に放出される上記第3波長は、検出可能な第3色であり、
上記第1波長、上記第2波長および上記第3波長は、互いに光学的に識別可能である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体を含んでおり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体を含んでいる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1波長を放出できる第1量子ドットであり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2波長を放出できる第2量子ドットである、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第1粒子群の各粒子および上記1つ以上の第2粒子群の各粒子と関連付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できる蛍光体-消光体対を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できるDNAインターカレート剤を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
上記試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するための1つ以上の反応試薬であって、上記試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を増幅するための1つ以上の反応試薬を含んでいる、1つ以上の反応試薬、
をさらに含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群であって、増幅プライマー群および光学的に検出可能な識別子を含んでいる、粒子群、
をさらに含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
下記(i)および(ii)を含んでいる、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析するためのシステム:
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は、第1標的と特異的に相互作用するように選択されており、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は、第2標的と特異的に相互作用するするように選択されており、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群と上記試験サンプル中における上記第1標的との反応、および/または、上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群と上記試験サンプル中における上記第2標的との反応に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ。
【請求項16】
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成され、第1温度条件または第2温度条件の少なくとも一方に対応して分解する構造を有しており、
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分布しうる、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群および上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、増幅プライマー群を含んでいる、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
上記光学的に検出可能な第1識別子によって放出される上記第1波長は、検出可能な第1色であり、
上記光学的に検出可能な第2識別子によって放出される上記第2波長は、検出可能な第2色であり、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによって構成的に放出される上記第3波長は、検出可能な第3色であり、
上記第1波長、上記第2波長および上記第3波長は、互いに光学的に識別可能である、
請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体を含んでおり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体を含んでおり、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できる蛍光性DNAインターカレート剤を含んでいる、
請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
下記(i)および(ii)を含んでいる、試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重検出するためのシステム:
下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1温度条件に対応して分解し、かつ、第1増幅プライマー群および第1波長を放出できる第1蛍光識別子と関連付けられており、
上記第1増幅プライマー群は、第1細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、
上記第1蛍光識別子は、上記第1増幅プライマー群を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2温度条件に対応して分解し、かつ、第2増幅プライマー群および第2波長を放出できる第2蛍光識別子と関連付けられており、
上記第2増幅プライマー群は、第2細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、
上記第2蛍光識別子は、上記第2増幅プライマー群を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)上記試験サンプル中における上記第1細菌性核酸配列の増幅、および/または、上記試験サンプル中における上記第2細菌性核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の蛍光性インターカレート剤。
【請求項21】
上記第1温度条件および上記第2温度条件は、同一の温度条件である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、温度応答性の分解性物質から形成されている構造を有しており、
上記温度応答性の分解性物質は、上記第1温度条件または上記第2温度条件の少なくとも一方に対応して分解する、
請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性ゲルから形成されている構造を有しており、
上記分解性ゲルは、上記第1温度条件または上記第2温度条件の少なくとも一方に対応して分解する、
請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有しており、
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分布しうる、
請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
上記第1蛍光識別子によって放出される上記第1波長は、検出可能な第1色であり、
上記第2蛍光識別子によって放出される上記第2波長は、検出可能な第2色であり、
上記蛍光性インターカレート剤によって構成的に放出される上記第3波長は、検出可能な第3色であり、
上記第1波長、上記第2波長および上記第3波長は、互いに光学的に識別可能である、
請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
上記第1蛍光識別子は、上記第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体を含んでおり、
上記第2蛍光識別子は、上記第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体を含んでいる、
請求項20に記載のシステム。
【請求項27】
上記第1蛍光識別子は、上記第1波長を放出できる第1量子ドットであり、
上記第2蛍光識別子は、上記第2波長を放出できる第2量子ドットである、
請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
上記1つ以上の蛍光性インターカレート剤は、上記第1粒子群の各粒子および上記1つ以上の第2粒子群の各粒子と関連付けられている、請求項20に記載のシステム。
【請求項29】
上記試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重検出するための1つ以上の反応試薬であって、上記試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を増幅するための1つ以上の反応試薬を含んでいる、1つ以上の反応試薬、
をさらに含んでいる、請求項20に記載のシステム。
【請求項30】
3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群であって、増幅プライマー群および蛍光識別子を含んでいる、粒子群、
をさらに含んでいる、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
優先出願の主題は全て、当該主題が本明細書と矛盾しない限りにおいて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するためのシステムは、下記(i)および(ii)を含んでいる(ただし、これらには限定されない):
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1増幅プライマー群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記第1増幅プライマー群は、第1核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1増幅プライマー群を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2増幅プライマー群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記第2増幅プライマー群は、第2核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2増幅プライマー群を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)上記試験サンプル中における上記第1核酸配列の増幅、および/または、上記試験サンプル中における上記第2核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ(これに加えて、本開示の一部を構成する特許請求の範囲、図面および明細書には、他の態様のシステムも記載されている)。
【0003】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析するためのシステムは、下記(i)および(ii)を含んでいる(ただし、これらには限定されない):
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は、第1標的と特異的に相互作用するように選択されており、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は、第2標的と特異的に相互作用するように選択されており、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)上記試験サンプル中における上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群と上記第1標的との反応、および/または、上記試験サンプル中における上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群と上記第2標的との反応に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ。
【0004】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重検出するためのシステムは、下記(i)および(ii)を含んでいる(ただし、これらには限定されない):
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1温度条件に対応して分解し、かつ、第1増幅プライマー群および第1波長を放出できる第1蛍光識別子と関連付けられており、
上記第1増幅プライマー群は、第1細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、
上記第1蛍光識別子は、上記第1増幅プライマー群を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2温度条件に対応して分解し、かつ、第2増幅プライマー群および第2波長を放出できる第2蛍光識別子と関連付けられており、
上記第2増幅プライマー群は、第2細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、
上記第2蛍光識別子は、上記第2増幅プライマー群を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)上記試験サンプル中における上記第1細菌性核酸配列の増幅、および/または、上記試験サンプル中における上記第2細菌性核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の蛍光性インターカレート剤。
【0005】
ある態様において、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重検出するためのシステムは、下記(i)および(ii)を含んでいる(ただし、これらには限定されない):
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1抗生物質群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記第1抗生物質は、第1細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有しており、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1抗生物質を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2抗生物質群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記第2抗生物質は、第2細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有しており、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2抗生物質を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)上記細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ(これに加えて、本開示の一部を構成する特許請求の範囲、図面および明細書には、他の態様のシステムも記載されている)。
【0006】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重検出するためのシステムは、下記(i)および(ii)を含んでいる(ただし、これらには限定されない):
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1抗体群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記第1抗体群は、第1抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでおり、
上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有しており、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、第1抗体群を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2抗体群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記第2抗体群は、第2抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでおり、
上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有しており、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、第2抗体群を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第1抗原上の近接標的との結合、および/または、上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第2抗原上の近接標的との結合に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ。
【0007】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重検出する方法は、下記(i)~(vi)を含む(ただし、これらには限定されない):
(i)水性媒体中において、上記試験サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを組合せる工程であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1標的に対して特異的である標的に特異的な1つ以上の第1試薬群および当該標的に特異的な1つ以上の第1試薬群を示している第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2標的に対して特異的である標的に特異的な1つ以上の第2試薬群および当該標的に特異的な1つ以上の第2試薬群を示している第2波長を放出する光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群と上記試験サンプル中の上記第1標的との反応、および/または、上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群と上記試験サンプル中の上記第2標的との反応に対応して、第3波長を構成的に放出する、工程;
(ii)不混和性キャリア流体を上記水性媒体に加えることにより、複数の反応液滴を形成させる工程;
(iii)形成された複数の反応液滴との反応を実行する工程;
(iv)上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群を示している上記第1波長の放出、上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群を示している上記第2波長の放出、および上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによる構成的な放出を示している上記第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程;
(v)上記第1波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程;
(vi)上記第2波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程(これに加えて、本開示の一部を構成する特許請求の範囲、図面および明細書には、他の態様の方法も記載されている)。
【0008】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列標的を多重検出する方法は、下記(i)~(vi)を含んでいる(ただし、これらには限定されない):
(i)水性媒体において、上記試験サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを組合せる工程であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1核酸配列と反応するように選択されている第1増幅プライマー群および当該第1増幅プライマー群を示している第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2核酸配列と反応するように選択されている第2増幅プライマー群および当該第2増幅プライマー群を示している第2波長を放出する光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第1核酸配列の増幅および/または上記第2核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる、工程;
(ii)不混和性キャリア流体を上記水性媒体に加えることにより、複数の反応液滴を形成させる工程;
(iii)形成された複数の反応液滴を増幅反応させる工程;
(iv)形成された反応液滴中における上記第1核酸配列の増幅および/または上記第2核酸配列の増幅に対応している、上記第1増幅プライマー群を示している上記第1波長の放出、上記第2増幅プライマー群を示している上記第2波長の放出、および上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによる構成的な放出を示している上記第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程;
(v)上記第1波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程;
(vi)上記第2波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程(これに加えて、本開示の一部を構成する特許請求の範囲、図面および明細書には、他の態様の方法も記載されている)。
【0009】
ある態様において、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重検出する方法は、下記(i)~(vi)を含む(ただし、これらには限定されない):
(i)水性媒体中において、上記試験サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを組合せる工程であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している第1抗生物質および当該第1抗生物質を示している第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している第2抗生物質および当該第2抗生物質を示している第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長を構成的に放出できる、工程;
(ii);不混和性キャリア流体を上記水性媒体に加えることにより、複数の反応液滴を形成させる工程;
(iii)形成された複数の反応液滴との反応を実行する工程;
(iv)上記細菌サンプルにおける細菌の生存に対応している、上記第1抗生物質を示している上記第1波長の放出、上記第2抗生物質を示している上記第2波長の放出、および上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによる構成的な放出を示している第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程;
(v)上記第1波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程;
(vi)上記第2波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程(これに加えて、本開示の一部を構成する特許請求の範囲、図面および明細書には、他の態様の方法も記載されている)。
【0010】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重検出する方法は、下記(i)~(vi)を含む(ただし、これらには限定されない):
(i)水性媒体において、上記試験サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを組合せる工程であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1抗体群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記第1抗体群は、第1抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでおり、
上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を含んでおり、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、第1抗体群を示しており、
第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2抗体群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記第2抗体群は、第2抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでおり、
上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を含んでおり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2抗体群を示しており、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第1抗原上の近接標的との結合、および/または、上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第2抗原上の近接標的との結合に対応して、第3波長を構成的に放出できる、工程;
(ii)不混和性キャリア流体を上記水性媒体に加えることにより、複数の反応液滴を形成させる工程;
(iii)形成された複数の反応液滴との反応を実行する工程;
(iv)上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第1抗原との結合および/または上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第2抗原との結合に対応している、上記第1抗体群を示している上記第1波長の放出、上記第2抗体群を示している上記第2波長の放出、および上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによる構成的な放出を示している第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程;
(v)上記第1波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程;
(vi)上記第2波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程。
【0011】
上述の概要は、単なる例示的に過ぎないのであって、いかなる意味においても限定的な意図を有していない。上述の例示的な態様、実施形態および特徴の他の、さらなる態様、実施形態および特徴は、図面および下記の詳細な説明を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析するためのシステムの模式図である。このシステムは、2つ以上の粒子群と、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブと、を含んでいる。
【
図2】
図2は、
図1に示すようなシステムを用いた多重分析の方法を示す。
【
図3】
図3は、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重分析するためのシステムの模式図である。このシステムは、2つ以上の粒子群と、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブと、を含んでいる。
【
図4】
図4は、試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重分析するためのシステムの模式図である。このシステムは、2つ以上の粒子群と、1つ以上の蛍光性インターカレート剤と、を含んでいる。
【
図5】
図5は、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するためのシステムの模式図である。このシステムは、2つ以上の粒子群と、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブと、を含んでいる。
【
図6】
図6は、試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析するためのシステムの模式図である。このシステムは、2つ以上の粒子群と、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブと、を含んでいる。
【
図7】
図7は、
図1に示すようなシステムを用いて試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析する方法のブロック図である。
【
図8】
図8は、
図3に示すようなシステムを用いて試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重分析する方法のブロック図である。
【
図9】
図9は、
図5に示すようなシステムを用いて細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析する方法のブロック図である。
【
図10】
図10は、
図6に示すようなシステムを用いて試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析する方法のブロック図である。
【
図11】
図11Aは、形成されたアガロース粒子の明視野顕微鏡画像を示す。
図11Bは、
図11Aの明視野顕微鏡画像と、同じ領域の蛍光画像とを重ね合わせた合成像を示す。
図11Cは、水で洗浄した形成されたアガロース粒子の明視野顕微鏡画像を示す。
図11Dは、
図11Cの明視野顕微鏡画像と、同じ領域の蛍光画像を重ね合わせた合成像を示す。
【
図12】
図12は、量子ドットを含む形成されたアガロース粒子の、200倍の蛍光顕微鏡像を示す。
【
図13】
図13は、PCR増幅後における形成された反応液滴の、200倍の顕微鏡画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明では、本出願の一部を形成する添付図面を参照する。図面においては、別途特段の記載がない限り、同様の記号は、通常、同様の要素であるとみなす。詳細な説明、図面および特許請求の範囲に記載されている例示的な実施形態は、何らの限定を意味していない。本明細書に開示されている主題の本質または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、また、他の変更を加えることができる。
【0014】
本明細書においては、2つ以上の粒子群およびレポータープローブを用いて、サンプル中の2つ以上の標的を多重分析するためのシステムおよび方法を説明する。2つ以上の粒子群およびレポータープローブは、油中水型の反応液滴中における試験サンプルの多重反応に使用するように設計されている。粒子は、標的に特異的な試薬(標的に特異的な増幅プライマーなど)と、当該標的に特異的な試薬(すなわち特異的な標的(特異的な標的核酸配列など))に適合した識別子と、を含んでいる。一方、レポータープローブは、反応性(増幅など)の構成的なレポーターである。粒子、レポータープローブ、試験サンプルおよび他の反応試薬は、油中水型の反応液滴中に確率論的に分配され、反応させられる。各反応液滴について、標的に特異的な試薬(および特異的な標的)と適合している識別子に由来するシグナル(第1蛍光色など)と、反応(増幅など)の発生を示している反応性の構成的なレポーターに由来するシグナル(第2蛍光色など)と、を評価する。識別子に由来するシグナル(第1蛍光色など)と、レポータープローブに由来するシグナル(第2蛍光色など)との両方を放出している反応液滴は、特定の標的と反応が生じたことを示している(特定の標的核酸配列の増幅など)。このようにして、1回の多重分析により複数の標的を評価できる。
【0015】
図1を参照する。同図には、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析するためのシステムの、非限定的な例が示されている。この例は、本明細書に記載の1つ以上のシステムおよび/または方法の背景知識として有用である。システム100は、2つ以上の粒子群105と、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130と、を含んでいる。2つ以上の粒子群105は、第1粒子群110と、1つ以上の第2粒子群120と、を含んでいる。粒子112a、112b、112c、112d、112e、112fは、第1粒子群110の粒子を表している。これらの粒子は、第1環境条件に対応して分解する。粒子112a~112fの各々は、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114と、光学的に検出可能な第1識別子116と、を含んでいる。標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114は、サンプル中の第1標的と特異的に相互作用するように選択されている。光学的に検出可能な第1識別子116は、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114を示している第1波長を放出できる(縦線で表している)。さらに、光学的に検出可能な第1識別子116は、第1標的を示している。第1標的と標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114とは、試験サンプル中で反応しうる。一般的に、光学的に検出可能な識別子が示しているのは、所与の粒子群に、標的に特異的な1つ以上の特定の試薬群が含まれていることである。ある態様において、光学的に検出可能な識別子は、標的に特異的な1つ以上の試薬群および特異的な標的にとってのバーコードのように機能する。
【0016】
粒子122a、122b、122c、122d、122e、122fは、第2粒子群120の粒子を表している。これらの粒子は、第2環境条件に対応して分解する。いくつかの実施形態において、第2環境条件は、第1環境条件と同一である(同一の温度条件、同一のpH条件など)。いくつかの実施形態において、第2環境条件は、第1環境条件と異なっている(異なる温度条件、異なるpH条件など)。粒子122a~122fの各々は、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124と、光学的に検出可能な第2識別子126と、を含んでいる。標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124は、サンプル中の第2標的と特異的に相互作用するように選択されている。光学的に検出可能な第2識別子126は、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124を示している第2波長を放出できる(斜線で表している)。さらに、光学的に検出可能な第2識別子126は、第2標的を示している。第2標的と標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124とは、試験サンプル中で反応しうる。
【0017】
システム100は、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ130をさらに含んでいる。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ130は、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114とサンプル中の第1標的との反応、および/または、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124とサンプル中の第2標的との反応に対応して、第3波長134(交差する斜線で表している)を構成的に放出する(矢印132で表している)。光学的に検出可能なレポータープローブは、反応の検出に対応して、第3波長を構成的に放出する。いくつかの実施形態においては、標的に特異的な試薬群と特異的な標的の両方が所与の反応液滴中に存在する場合にのみ、光学的に検出可能なレポータープローブにより検出される反応が生じる。
【0018】
図2を参照する。同図には、
図1のシステムに描かれているような2つ以上の粒子群および光学的に検出可能なレポータープローブを使用して、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析する方法の非限定的な例が示されている。方法200は、ステップ205において、システム100の要素と試験サンプルおよび反応試薬とを、水性媒体中にて組合せる工程を含む。システム100は、2つ以上の粒子群105を含んでいる。2つ以上の粒子群105には、第1粒子群110(縦線付きの円で表している)と、1つ以上の第2粒子群120(斜線付きの円で表している)とが含まれている。システム100は、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130をさらに含んでいる。方法200は、ステップ210において、不混和性キャリア流体(界面活性剤を含んでいる油など)を水性媒体に加える工程を含む。方法200は、ステップ215において、反応液滴220を形成させる工程を含む。反応液滴220は、油中水型液滴である。、バルクエマルション(振盪、ボルテックスなど)によって反応液滴220を形成してもよいしマイクロ流体デバイスを用いて反応液滴220を形成してもよい。第1粒子群110の粒子、1つ以上の第2粒子群120の粒子、光学的に検出可能なレポータープローブ130、およびステップ205で加えた試験サンプル中の任意の標的(「標的1」「標的2」と表している)は、ステップ215において形成された反応液滴220中に、確率的に分配される。反応液滴220の大きさは、単分散であってもよいし、多分散であってもよい。方法200は、ステップ225において、形成された反応液滴220との反応を実施する工程を含む(増幅反応など)。形成された反応液滴220との反応が完了した後、方法200は、ステップ230において、形成された反応液滴220を調べる。このとき調べるのは、(i)第1粒子群110に関連付けられている標的に特異的な1つ以上の第1試薬群を示している第1波長235(縦線で表している)と、(ii)1つ以上の第2粒子群120に関連付けられている標的に特異的な1つ以上の第2試薬群を示している第2波長240(斜線で表している)と、についてである。方法200は、ステップ250において、形成された反応液滴220を調べる工程を含む。このとき調べるのは、光学的に検出可能なレポータープローブから構成的に放出されている、第3波長255(交差斜線で表している)についてである。第3波長は、標的に特異的な第1試薬群と試験サンプル中の第1標的(標的1)との反応および/または標的に特異的な第2試薬群と試験サンプル中の第2標的(標的2)との反応のうち、少なくとも一方と対応している。さらに、方法200は、ステップ260において、第1波長235および第3波長255を放出している反応液滴220の数を記録する工程を含む。さらに、方法200は、ステップ265において、第2波長240および第3波長255を放出している反応液滴220の数を記録する工程を含む。第3波長と第1波長または第2波長との両方を放出している反応液滴は、所望の標的(特定の核酸配列など)の存在を示している。また、この反応液滴は、所望の標的において生じた(または所望の標的と共に生じた)一般的な反応(増幅など)を示している。
【0019】
本明細書においては、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析するためのシステムおよび方法について説明する。2つ以上の標的は、試験サンプル中において、2つ以上の特異的な標的を含んでいてもよい。2つ以上の標的は、試験サンプル中において、2つ以上の特異的な分析対象を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、試験サンプル中の2つ以上の標的は、2つ以上の核酸配列を含んでいる。例えば、2つ以上の標的は、試験サンプル中における、2つ以上の特異的なDNA配列、特異的なRNA配列、または特異的なオリゴヌクレオチド配列を含んでいてもよい。2つ以上の標的は、2種類以上の特異的な細胞型を含んでいてもよい。例えば、2つ以上の標的は、2種類以上の細菌または免疫細胞を含んでいてもよい。2つ以上の標的は、2つ以上の特異的な抗原を含んでいてもよい。
【0020】
標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は、第1標的と特異的に相互作用するように選択されている。標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は、第2標的と特異的に相互作用するように選択されている。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、配列(核酸配列、アミノ酸配列など)、三次元構造、またはサンプル中の標的と特異的に相互作用できる親和性を有していてもよい。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は第1核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は第2核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。いくつかの実施形態において、試験サンプル中の2つ以上の標的は、細菌サンプルにおける2種類以上の細菌を含んでいる。例えば、試験サンプル中の2つ以上の標的は、敗血症または結核に関連する2種類以上の細菌を含んでいてもよい。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は第1細菌群と特異的に相互作用するように選択されており、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は第2細菌群と特異的に相互作用するように選択されている。いくつかの実施形態において、試験サンプル中の2つ以上の標的は、2つ以上の結合標的を含んでいる。いくつかの実施形態において、試験サンプル中の2つ以上の標的は、試験サンプル中の2つ以上の抗原を含んでいる。例えば、2つ以上の標的は、溶液中に遊離している2つ以上の抗原を含んでいてもよい。例えば、2つ以上の標的は、1種類以上の細胞型(1種類以上の免疫細胞または炎症細胞など)に関連する2つ以上の抗原を含んでいてもよい。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は第1抗原と特異的に相互作用するように選択されており、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は第2抗原と特異的に相互作用するように選択されている。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の試薬群の各々は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質または核酸配列のうち1つ以上と特異的に相互作用するように選択されている。他の標的の非限定的な例としては、抗原、受容体、細胞表面マーカー、小分子化合物、有機化合物、無機化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、2つ以上の標的は、特定の細胞型(血液、体液、組織細胞、細菌、真菌、寄生生物、植物細胞など)に関連する、2つ以上の標的(DNA、RNA、タンパク質、炭水化物、脂質など)を含んでいてもよい。
【0021】
本明細書では、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析するためのシステムおよび方法について説明する。ある態様において、試験サンプルは複雑または複合化した試験サンプルであって、多くの成分を含んでいる(例えば、生体サンプル血液、尿など;環境サンプル(ウェルや他の飲料水の水源の水など))。ある態様において、試験サンプルは単純なまたは規定された試験サンプルであって、2つ以上の成分のみを含んでいる。ある態様において、試験サンプルは、体液(血液、尿、リンパ液、痰、脳脊髄液、精液、唾液、滑液、粘液、羊水、膣分泌物、母乳、胆汁、房水、胃酸、膿、痰、糞便、他の体液または分泌物など)、組織サンプル(生検試料など)またはスワブサンプル(身体または身体の一部の表面から採取されたスワブサンプルなど)を含んでいる。いくつかの実施形態において、試験サンプルは、環境サンプル(水、空気、土壌、植物、表面、食品、飲料、医薬品などのサンプル)を含んでいる。ある態様において、試験サンプルは規定されたサンプルであり、標的の規定された集団を含んでいる。例えば、多重分析に使用するために、規定された数および群の標的を含んでいるように試験サンプルを調製してもよい。
【0022】
システム100は、2つ以上の粒子群105を含んでいる。2つ以上の粒子群105は、第1粒子群110と、1つ以上の第2粒子群120を含んでいる。第1粒子群110の各粒子は、第1環境条件に対応して分解する。1つ以上の第2粒子群120の各粒子は、第2環境条件に対応して分解する。ある態様において、第1環境条件および/または第2環境条件に対応する分解には、第1環境条件および/または第2環境条件に対応する、溶融、液化、分散、溶解、分解、崩壊、分離、変形または相変化のうち少なくとも1つが含まれている。ある態様において、第1環境条件および/または第2環境条件に対応する分解には、第1環境条件および/または第2環境条件に対応する、少なくとも一部の溶融、液化、分散、溶解、分解、崩壊、分離、変形または相変化のうち少なくとも1つが含まれている。いくつかの実施形態において、各粒子は、環境条件に対応して、標的に特異的な1つ以上の試薬群および/または光学的に検出可能な識別子を放出または分散させられる。いくつかの実施形態において、各粒子は、標的に特異的な1つ以上の試薬群および/または光学的に検出可能な識別子を放出または分散させるために充分な程度に分解するが、完全には分解しない。例えば、環境条件に対応して、各粒子の空隙率を変化させてもよい。これにより、標的に特異的な試薬および/または光学的に検出可能な識別子を、粒子から放出または分散させられる。例えば、環境条件に対応して、各粒子は収縮および/または膨張してもよい。
【0023】
ある態様において、第1環境条件および第2環境条件は、同一の環境条件である。例えば、第1環境条件は、第2環境条件と同等であってもよいし、全く同一であってもよい。例えば、第1粒子群110の粒子および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、同一の温度で分解してもよい(溶融、液化、分散、溶解、分解、崩壊、分離、変形、相変化など)。ある態様において、第1環境条件および第2環境条件は、異なる環境条件である。例えば、第1粒子群110の粒子は第1温度で分解し、1つ以上の第2粒子群120の粒子は第2温度で分解する(第1温度および第2温度は異なっている)。ある態様において、第1環境条件および第2環境条件は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上を含んでいる。
【0024】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は分解性物質から形成されている構造を有している。この分解性物質は、第1環境条件または第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解する。ある態様において、第1粒子群110の各粒子は第1環境条件に対応して分解する第1物質から形成されており、1つ以上の第2粒子群120の各粒子は第2環境条件に対応して分解する第2物質から形成されている。ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は同じ物質から形成されており、この物質は第1環境条件および/または第2環境条件に対応して分解する。ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の各粒子は、第1環境条件および/または第2環境条件に対応して、溶融、液化、分散、溶解、分解、崩壊、分離、変形または相変化のうちいずれか1つ以上をする物質から形成されている。いくつかの実施形態において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の各粒子は、環境条件に対応して、標的に特異的な1つ以上の試薬群および/または光学的に検出可能な識別子を放出または分散させる物質から形成されている。いくつかの実施形態において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の各粒子は、標的に特異的な1つ以上の試薬群および/または光学的に検出可能な識別子を放出または分散させるために充分な程度に分解するが、完全には分解しない物質から形成されている。例えば、粒子は、環境条件に対応して空隙率が増加する物質から形成されていてもよい(ヒドロゲルなど)。これにより、標的に特異的な試薬および/または光学的に検出可能な識別子が、粒子から放出または分散されるようになる。例えば、粒子は、環境条件に対応して収縮および/または膨張する物質から形成されていてもよい。これにより、標的に特異的な試薬および/または光学的に検出可能な識別子が、粒子から放出または分散されるようになる。
【0025】
いくつかの実施形態において、システム100は、3つ以上の粒子群を含んでいてもよい。各粒子群は、試験サンプル中に多数存在する潜在的な標的のうち1つと相互作用するように選択されている、標的に特異的な固有の試薬群を含んでいる。また、各粒子群は、サンプル中に多数存在する潜在的な標的のうち1つを示す光学的に検出可能な固有の識別子をも含んでいる。ある態様において、固有の粒子群の数は、3~20組である。ある態様において、システム100は、3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群を含んでいる。各粒子群は、標的に特異的な1つ以上の試薬群と、光学的に検出可能な識別子と、を含んでいる。
【0026】
ある態様において、システム100は、1つ以上の第3粒子群を含んでいる。1つ以上の第3粒子群の各粒子は、第1環境条件、第2環境条件または第3環境条件のうち1つ以上に対応して分解する。1つ以上の第3粒子群の各粒子は、第3標的に特異的な1つ以上の試薬群と、第4波長を放出できる光学的に検出可能な第3識別子と、に関連付けられている。第3標的に特異的な1つ以上の試薬群は、サンプル中の第3標的と特異的に相互作用するように選択されている。光学的に検出可能な第3識別子は、第3標的に特異的な1つ以上の試薬群を示している。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群とサンプルの第1標的との反応、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群とサンプルの第2標的との反応、および/または、第3標的に特異的な1つ以上の試薬群第3標的との反応のうち1つ以上に対応して、第3波長を構成的に放出できる。第1波長、第2波長、第3波長および第4波長は、互いに光学的に識別可能である。
【0027】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、構造を有している。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群の粒子は分解性物質から形成されている構造を有しており、この分解性物質は第1環境条件または第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解してもよい。この構造は、例えば、マイクロビーズもしくはナノビーズまたは粒子を含んでおり、これらは固体または半固体の分解性物質から形成されていてもよい。ある態様において、この構造は球状である(微小球など)。しかし、他の非球形の形状も予期されている(不定形、直方体など)。ある態様において、粒子の直径は、約0.1~約20ミクロンである。例えば、各粒子の直径は、約0.1ミクロン、約0.2ミクロン、約0.5ミクロン、約0.75ミクロン、約1ミクロン、約2ミクロン、約3ミクロン、約4ミクロン、約5ミクロン、約6ミクロン、約7ミクロン、約8ミクロン、約9ミクロン、約10ミクロン、約11ミクロン、約12ミクロン、約13ミクロン、約14ミクロン、約15ミクロン、約16ミクロン、約17ミクロン、約18ミクロン、約19ミクロンまたは約20ミクロンであってもよい。ある態様において、各粒子は、油中水型の反応液滴よりも小さい構造を有している。この反応液滴は、不混和性キャリア流体と、2つ以上の粒子群および1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブを含んでいる水性媒体と、から形成されるものである。
【0028】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、水性環境下で安定な物質から形成されている構造を有している。例えば、各粒子は、水性媒体中において安定な物質から形成されており、この物質中に、多重分析に使用する1つ以上の反応試薬を含んでいてもよい(酵素、イオン、緩衝液、培養培地など)。例えば、各粒子は、多重分析をするために粒子の内容物(標的に特異的な1つ以上の試薬群および1つ以上の光学的に検出可能な識別子)が環境条件に対応して反応液滴内に放出されるまでの間、水性環境下で安定な物質から形成されていてもよい。
【0029】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、分解性ゲルから形成されている構造を有している。分解性ゲルは、流体を捕捉し含有させられるようなコロイドのネットワーク、ポリマーのネットワーク、または架橋ネットワークを有する三次元固形ゼリー状物質を含んでいてもよい。ネットワーク構造は、物理的結合の結果生じるものであってもよいし(イオン相互作用、水素結合、疎水性相互作用など)、化学結合の結果生じるものであってもよい(化学架橋など)。
【0030】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、ヒドロゲルである分解性ゲルから形成されている構造を有している。ヒドロゲルは、天然および/または合成の親水性ポリマーの三次元架橋ネットワークであって、比較的高い含水率(例えば90%以上)を有しているものでありうる。ある態様においては、非晶質ヒドロゲル、半結晶性ヒドロゲルまたは結晶性ヒドロゲルから粒子が形成されている。ある態様においては、化学反応、電離放射線および/または物理的相互作用(絡み合い、静電作用、結晶形成など)によりポリマー鎖を連結してなるヒドロゲルから、粒子が形成されている。
【0031】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、中性または非イオン性のヒドロゲルから形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、イオン性(アニオン性またはカチオン性)のヒドロゲルから形成されている。ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、酸性基および塩基性基の両方を含有している両性のヒドロゲルから形成されている。ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、繰り返し単位にアニオン性基およびカチオン性基の両方が含まれている両性イオン性のヒドロゲルから形成されている。
【0032】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、ホモポリマーのヒドロゲルから形成されている構造を有している。このヒドロゲルは、1種類のみのモノマーに由来するポリマーネットワークを有している。ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の各粒子は、共重合性のヒドロゲルから形成されている。このヒドロゲルは、1つ以上の親水性成分を含有する2種類以上の異なるモノマーを有しており、ポリマーネットワークの鎖に沿ってランダム状、ブロック状または交互に組織化されている。ある態様において、ヒドロゲルは、相互浸透したポリマーネットワークを有している。このポリマーネットワークは、2種類の独立した合成または天然の架橋ポリマー成分から形成されている。ある態様において、ヒドロゲルは、半相互浸透したポリマーネットワークを有している。このポリマーネットワークは、ある成分が架橋ポリマーであり、他の成分は非架橋ポリマーである。ある態様において、ヒドロゲルは、相互浸透または半相互浸透している連続的なポリマーネットワークを有している。ある態様において、粒子の全体構造は、バルク重合、溶液重合または懸濁重合によって形成されている。
【0033】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、天然のヒドロゲル物質から形成されている構造を有している。例えば、粒子は、タンパク質を含有する天然高分子から形成されていてもよい。このような物質の非限定的な例としては、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、エラスチンが挙げられる。例えば、粒子は、多糖類を含有する天然高分子から形成されていてもよい(キトサン、デンプン、アルギン酸塩、アガロースなど)。例えば、粒子は、メチルセルロース、ヒアルロン酸および他の天然由来ポリマーを含んでいてもよい。
【0034】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、合成高分子から形成されている構造を有している。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリレートポリマー、アクリルアミドポリマー、メタクリレート、アクリロニトリル、これらの誘導体、組合せおよび/または塩、ならびに親水性基を多数有している共重合体のうち1つ以上から、化学重合によって粒子を形成してもよい。他の非限定的な例としては、PEG-ジアシレート(PED-DA)、チオールおよび/またはアクリレートで修飾したPEG、アジドおよび/またはアルキンで修飾したPEGが挙げられる。
【0035】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、アクリルアミドの形態から形成されている構造を有している。例えば、粒子は、ポリアクリルアミドから形成されていてもよい。例えば、粒子は、N-イソプロピルアクリルアミドのポリマーから形成されていてもよい。このようなポリマーの非限定的な例としては、熱応答性のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ポリマー(pNIPA、pNIPAAm、pNIPAAまたはpNIPAm)、共重合体系のヒドロゲルが挙げられる。他の非限定的な例としては、ポリ(N-オクチルアクリルアミド)、ポリ(N-tert-ブチルアクリルアミド)、ポリ(N-フェニルアクリルアミド)、ポリ(N-sec-ブチルアクリルアミド)が挙げられる。
【0036】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、アガロースから形成されている構造を有している。例えば、粒子は、紅藻類から抽出されたアガロビオースの繰り返し単位から形成されていてもよい。例えば、粒子は、D-ガラクトースおよび3,6-アンヒドロ-L-ガラクトピラノースの二糖から構成される線状ポリマーから形成されていてもよい。例えば、粒子は、アガーまたはアガーを産出する海藻から単離された線形ガラクタンのハイドロコロイドから形成されていてもよい。
【0037】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、低融点アガロースから形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群の各粒子は、融点が約95℃~約45℃以下である低融点アガロースから形成されている。例えば、低融点アガロースの融点は、約95℃以下、約90℃以下、約85℃以下、約80℃以下、約75℃以下、約70℃以下、約65℃以下、約60℃以下、約55℃以下、約50℃以下または約45℃以下であってもよい。ある態様において、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群の各粒子は、融点が約65℃以下である低融解アガロースから形成されている(Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO製の製品番号A9414など)。ある態様において、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群の各粒子は、融点が約50℃以下である超低融解アガロースから形成されている(Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MO製の製品番号A5030など)。
【0038】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、分解性アルギン酸塩から形成されている構造を有している。ある態様において、アルギン酸塩は、ヒドロゲルの形態で使用される。ある態様において、アルギン酸塩は、(1,4)結合しているβ-D-マンヌロナート残基(M)およびα-L-グルロナート残基(G)のいくつかの組合せから形成されている。アルギン酸塩は、M残基およびG残基のブロック(G残基の連続ブロック、M残基の連続ブロック、M残基およびG残基の交互ブロックなど)を有している線状コポリマーを含んでいてもよい。ある態様において、Gブロックの割合は、得られるヒドロゲルの物理的性質を決定する。例えば、Gブロックの割合が高いアルギン酸塩は、剛性が比較的高いことがある。ある態様において、M/G比率は、得られるヒドロゲルの物理的性質を決定する。ある態様において、配列、Gブロックの長さおよび/または分子量は、得られるヒドロゲルの物理的性質を決定する。ある態様において、アルギン酸塩は、高分子量アルギン酸塩ポリマーと低分子量のアルギン酸塩ポリマーとの混合物を含んでいる。ある態様において、アルギン酸塩は、褐藻類に由来している。褐藻類の例としては、Laminaria hyperborea、Laminaria digitate、Laminaria japonica、Ascophyllum nodosum、Macrocystis pyriferaが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。ある態様において、アルギン酸塩は、細菌による生合成に由来している。例えば、Azotobacter属細菌またはPseudomonas属細菌の生合成により、細菌性アルギン酸塩を得てもよい。ある態様において、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群の各粒子は、アルギン酸塩から形成されている。例えば、アルギン酸塩は、アルギン酸塩ナトリウム、アルギン酸塩カリウム、アルギン酸塩カルシウム、またはこれらの組合せを含んでいてもよい。
【0039】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、アルギン酸塩誘導体から形成されている構造を有している。例えば、粒子は、他の元素が加わったアルギン酸塩物質から形成されていてもよい。いくつかの実施形態において、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群の各粒子は、アルギン酸塩骨格に疎水性部分を付加して形成される。例えば、両親媒性アルギン酸塩誘導体は、長鎖アルキル(ドデシル、オクタデシルなど)をアルギン酸塩骨格に付加して形成されてもよい。両親媒性アルギン酸塩の作製のためにアルギン酸塩骨格に付加してもよい他の要素としては、ドデシルアミン、コレステロール、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ブチル)メタクリレートが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。いくつかの実施形態において、粒子は、細胞に対して相互作用するアルギン酸塩を含んでいてもよい。このアルギン酸塩は、アルギン酸塩骨格の側鎖として、細胞接着性ペプチドが化学的に付加されたものである。例えば、アルギン酸骨格は、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸配列(RGD配列)を有するペプチドで修飾されていてもよい。
【0040】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、アルギン酸塩水溶液をイオン性架橋することで形成される構造を有している。いくつかの実施形態においては、アルギン酸塩水溶液をイオン性架橋剤で架橋する。例えば、両価または2価のカチオン(Ca2+、Mg2+、Fe2+、Ni2+など)を用いてアルギン酸塩水溶液を架橋してもよい。例えば、塩化カルシウム(CaCl2)を用いてアルギン酸塩水溶液を架橋してもよい。アルギン酸塩を架橋するイオン性架橋剤の他の非限定的な例としては、硫酸カルシウム、炭酸カルシウムが挙げられる。
【0041】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、アルギン酸塩を共有結合で架橋することで形成されている構造を有している。いくつかの実施形態においては、共有結合性架橋剤でアルギン酸塩を架橋する。例えば、ポリ(アクリルアミド-co-ヒドラジド)またはアジピン酸ジヒドラジドでアルギン酸塩を架橋してもよい。いくつかの実施形態においては、アルギン酸塩を光架橋する。例えば、メタクリレートで修飾したアルギン酸塩に、アルゴンイオンレーザを照射して架橋してもよい。例えば、感光性のポリアリルアミンとアルギン酸塩との組合せを、紫外線に反応させて架橋してもよい。ある態様において、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群の各粒子は、イオン性架橋剤および共有結合性架橋剤の組合せをアルギン酸塩に対して使用することにより形成される。
【0042】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、アルギン酸塩および感熱性の共重合体を熱処理することにより形成される例えば、N-イソプロピルアクリルアミドおよびポリ(エチレングリコール)-co-ポリ(ε-カプロラクトン)の存在下にてUV照射することによって、アルギン酸塩を架橋してもよい。
【0043】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、相変化する物質から形成されている構造を有している。この物質は、熱エネルギーを吸収および貯蔵/放出することにより、相変化する。ある態様において、相変化する物質は、有機物質である(パラフィン、炭化水素、脂質誘導体など)。ある態様において、相変化する物質は、無機物質であり(塩水和物など)。
【0044】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、易分解性糖質から形成されている構造を有している。ある態様において、易分解性糖質は、溶解性の糖質である。ある態様において、易分解性糖質は二糖類である。例えば、易分解性糖質は、トレハロース二水和物(α-D-グルコピラノシル、α-D-グルコピラノシド)の形態であってもよい。ある態様において、易分解性糖質は、多糖類である(デンプン、セルロース、グリコーゲン、キチン、カロース、ラミナリン、クリソラミナリン、キシラン、アラビノキシラン、マンナン、フコイダン、ペクチン、ガラクトマンナンなど)。ある態様において、易分解性糖質は、オリゴ糖類である(ラフィノース、マルトデキストリン、セルロデキストリンなど)。
【0045】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、分解性コーティングを含んでいる構造を有している。ある態様において、粒子は、固体物質または半固体物質から形成されており、分解性物質でさらにコーティングされている。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子は分解性コーティングに組み込まれており、環境条件または環境条件の変化に対応して分解性コーティングから放出されうる。環境条件には、温度、pH、化学反応、酵素反応、電場または電磁エネルギーのうち少なくとも1つが含まれる。
【0046】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、固体マトリクスから形成されている構造を有している。例えば、粒子は、固体マトリクス(ポリスチレンなど)から形成されていて、標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子と関連付けられていてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子は、固体マトリクスに付着していてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子は、固体マトリクスの表面周囲に形成されているコーティングに含まれていてもよい。いくつかの態様において、標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子を含んでいるコーティングは分解性である。そのため、標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子を放出できるようになる。ある態様において、各粒子はラテックスから形成されており、環境条件に対応して分解するコーティングを有している。
【0047】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子は、粒子の形成中に粒子に組み込まれる。例えば、ゲル化に先立って、液状の低融点アガロースに標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子を組み込んでもよい。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子は、粒子の形成後に粒子に組み込まれる。例えば、浸漬、注入、吸収、吸着、拡散または他の方法によって、予め形成された粒子に対して標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子を組み込んでもよい。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子は、粒子の外側に付着している。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子は、粒子の外側に関連付けられているコーティングに組み込まれている。
【0048】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、多孔性物質から形成されている。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬群、光学的に検出可能な識別子、またはこれらの組合せが、粒子内部の貯蔵部から自由に拡散できる多孔性物質から粒子を形成してもよい。ある態様において、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群の粒子は、中空の微小球である。この微小球の中心は、標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子を貯蔵している。
【0049】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、第1環境条件または第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解する分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の各粒子は、同一の環境条件(特定の温度など)に対応して分解する、同じ分解性物質から形成されている。ある態様において、第1粒子群中の各粒子は第1環境条件に対応して分解する第1分解性物質から形成されており、1つ以上の第2粒子群中の各粒子は第2環境条件に対応して分解する第2分解性物質から形成されており、第1分解性物質と第2分解性物質とは異なっている。ある態様において、第1分解性物質および第2分解性物質は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上に対応して分解する。
【0050】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、環境条件の変化または刺激に対応して、第1相または第1状態から第2相または第2状態へと変化できる物質から形成されている構造を有している。例えば、2つ以上の粒子群の各々を形成する粒子は、環境条件の変化または刺激に対応して、固体または半固体状態から流体状態に変化する物質から形成されていてもよい。例えば、2つ以上の粒子群の各々を形成する粒子は、温度の変化、pHの変化、電場の変化、電磁エネルギー(特定の波長の光など)への曝露、化学物質(ポリマーの架橋を切断する化学物質など)、酵素などに対応して、相または状態を変化させる物質から形成されていてもよい。
【0051】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、温度応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。例えば、2つ以上の粒子群105の各々を形成する粒子は、第1温度から第2温度への温度の上昇または低下に対応して、分解、溶融、液化、分散、溶解、分解、崩壊、分離、変形または相変化のうち1つ以上が生じる構造を含んでいてもよい。ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、第1温度から第2温度への温度の上昇または低下に対応して分解し、その変化幅は約5~約100℃である。ある態様において、2つ以上の粒子群105の各々を形成する粒子は、第1温度から第2温度への温度の上昇または低下に対応して分解する1つ以上の物質から形成されており、その変化幅は約5~約100℃である。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群の各粒子は、約5℃以上、約10℃以上、約15℃以上、約20℃以上、約25℃以上、約30℃以上、約35℃以上、約40℃以上、約45℃以上、約50℃以上、約55℃以上、約60℃以上、約65℃以上、約70℃以上、約75℃以上、約80℃以上、約85℃以上、約90℃以上、約95℃以上、約100℃以上または粒子が分解しうる他の任意の温度幅の温度の上昇または低下に対応して分解する。一例として、第1粒子群および第2粒子群は、加熱されたアガロースから形成されていてもよい。この物質は、冷却時に半固体ゲルを形成し、加温すると再び液化ができる。温度感受性ポリマーまたは温度応答性ポリマーの他の非限定的な例としては、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-ビニルカプロラクタム)、ポリ(乳酸)、ポリ(N-エチルアクリルアミド)、ポリ(N-シクロプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N-メチル-N-エチルアクリルアミド)、ポリ(N-アクリロイルピロリジン)、ポリ(N-エチルメタクリルアミド)、ポリ(N-シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N-n-プロピルメタクリルアミド)、ポリ(N-メチル-N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-メチル-N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-n-プロピルアクリルアミド)、ポリ(N-メチル-N-n-プロピルアクリルアミド)、ポリ(N-アクリロイルピぺリジン)が挙げられる。
【0052】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、pH応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。例えば、2つ以上の粒子群105の各々を形成する粒子は、第1pHから第2pHへとpHを上昇または低下させることに対応して、分解、溶融、液化、分散、溶解、分解、崩壊、分離、変形または相変化のうち1つ以上が生じる構造を含んでいてもよい。ある態様において、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群の粒子は、環境のpHを上昇または低下させることに対応して分解し、その変化幅は約0.5~約14pH単位である。ある態様において、2つ以上の粒子群105の各々を形成する粒子は、環境のpHを上昇または低下させることに対応して分解する1つ以上の物質から形成されており、その変化幅は約0.5~約14pH単位である。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、約0.5pH単位以上、約1pH単位以上、約3pH単位以上、約4pH単位以上、約5pH単位以上、約6pH単位以上、約8pH単位以上、約10pH単位以上、約12pH単位以上、約14pH単位以上、または粒子が分解しうる他の任意のpH単位の上昇または低下に対応して分解する。pHの変化に対応して少なくとも一部が分解するゲルまたはポリマーの非限定的な例としては、メタクリル酸アミノアルキル、ポリ(メタクリル酸-co-メタクリル酸メチル)、ヒドロキシプロピル-メチルセルロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピル-メチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリル酸アセトアセトキシエチル)、ポリ[メタクリル酸2-(ジイソプロピルアミノ)エチル]、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)およびポリ[メタクリル酸2-(ジメチルアミン)エチル]が挙げられる。
【0053】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、化学応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。例えば、2つ以上の粒子群105の各々を形成する粒子は、化学反応に対応して、分解、分解、溶融、液化、分散、溶解、分解、崩壊、分離、変形または相変化のうち1つ以上が生じる構造を含んでいてもよい。ある態様において、化学反応は、pHまたはイオン強度の変化を含んでいる。例えば、pH応答性物質から粒子を形成してもよい。このような物質の例は、上述した通りである。ある態様において、化学反応は、架橋の切断を含んでいる。例えば、切断可能な架橋を有している物質から粒子を形成してもよい。例えば、粒子は、還元剤(ジチオトレイトールなど)に対応して分解するジスルフィド架橋を有していてもよい。他の分解性結合の例としては、無水物、イミン、オキシム、アセタール、ヒドラジド、ヒドラジン、ヒドラゾンがが挙げられる。例えば、粒子は、分解性のオリゴマー/ポリマーセグメントを含んでいてもよいし、これらから形成されていてもよい(キチン、キトサン、多糖類、ペプチドまたはタンパク質、ポリエステルなど)。ある態様において、粒子は、酵素反応(プロテアーゼもしくはペプチダーゼ、キチナーゼ、アミラーゼなど)に対応して分解する物質から形成されている。
【0054】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、電場応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。例えば、2つ以上の粒子群105の各々を形成する粒子は、電場の印加に対応して、分解、分解、溶融、液化、分散、溶解、分解、崩壊、分離、変形または相変化のうち1つ以上が生じる構造を含んでいてもよい。例えば、電場の印加に対応して形態が変化する(収縮、膨張など)物質から粒子を形成してもよい。電気応答性ポリマーの非限定的な例としては、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン]、ポリ(エチレンジアミン-co-1,10-ビス(クロロ-カルボニル)デカン)が挙げられる。
【0055】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、電磁エネルギー応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。例えば、2つ以上の粒子群105の各々を形成する粒子は、電磁エネルギーに対応して、分解、溶融、液化、分散、溶解、分解、崩壊、分離、変形または相変化のうち1つ以上が生じる構造を含んでいてもよい。例えば、適当な波長の紫外線または可視光で照射されたときに特性を変化させる光応答性物質から粒子を形成してもよい。例えば、光活性基(アゾベンゼン、スピロベンゾピラン、トリフェニルメタン、シンナモニル基など)を有しているポリマーから粒子を形成してもよい。光応答性ポリマーの非限定的な例としては、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド-co-4-フェニル-アゾフェニルアクリレート)、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド-co-4-フェニル-アゾフェニルアクリルアミド)が挙げられる。
【0056】
ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、親水性である。ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、各粒子は、全体が親水性の分解性物質から形成されている。ある態様において、各粒子は、外表面が親水性の分解性物質から形成されている。例えば、親水性ポリマー鎖から粒子を形成してもよい(ヒドロゲルなど。その非限定的な例は、本明細書中において上述した通りである)。例えば、中性の親水性ポリマー(非限定的な例としてアガロースが挙げられる)から粒子を形成してもよい。ある態様において、第1粒子群110および1つ以上の第2粒子群120の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分布しうる。例えば、2つ以上の粒子群の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分配される。
【0057】
図1を再度参照する。第1粒子群110は、第1標的と特異的に相互作用するように選択されている、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114を含んでいる。1つ以上の第2粒子群120は、第2標的と特異的に相互作用するように選択されている、標的に特異的な1つ以上の第2粒子群124を含んでいる。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、標的と相互作用するように構成されていたり、標的と相互作用するように設計されていたり、標的と相互作用することができたりする。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、配列(核酸配列、アミノ酸配列など)、三次元構造、または標的との特異的な相互作用を可能にする親和性を有していてもよい。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の試薬は、標的に結合することによって標的と反応する。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、1つ以上の核酸配列を有していてもよい。この核酸配列は、特定の標的(核酸配列など)に結合またはハイブリダイズするように選択されていたり、結合またはハイブリダイズが可能であったり、結合またはハイブリダイズするように設計されていたりする。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、標的核酸配列に少なくとも一部がハイブリダイズする相補的核酸配列を含んでいてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は、第1核酸配列と特異的に相互作用する(結合するなど)か、またはハイブリダイズするように選択されていてもよい。標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は、第2核酸配列と特異的に相互作用する(結合するなど)か、またはハイブリダイズするように選択されていてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、特定の標的上のエピトープまたは類似の構造に結合するように構成、選択または設計されていてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、1つ以上のアミノ酸配列および対応する立体構造または三次元構造を有していてもよい。このアミノ酸配列は、特定の標的上のエピトープまたは類似の構造に結合できる。例えば、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は、第1抗原に特異的に結合するように構成、選択または設計されていてもよい。標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は、第2抗原に特異的に結合するように構成、選択または設計されていてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、特定の標的の活性中心に結合するように構成、選択または設計されていてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、特定の標的に対する結合親和性を与える化学組成および/または物理構造を有していてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、受容体(細胞表面の受容体など)に結合するように構成、選択または設計されていてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、反応のための触媒もしくは基質、またはプライマーとして作用してもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、細胞反応または生化学反応のアゴニストまたはアンタゴニストを含んでいてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、細菌の増殖および/または成長の阻害剤を含んでいてもよい。
【0058】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、1種類以上の特定の細胞型の表面と相互作用するように選択されている。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、1種類以上の特定の細胞型の表面と相互作用する(結合するなど)ように構成、選択または設計されている。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、1種類以上の特定の細胞型の表面と相互作用する(結合するなど)ように構成、選択または設計されている。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の試薬は、微生物の表面に関連する特定の生体分子と相互作用する(結合するなど)ように選択されている。例えば、標的に特異的な試薬は、細菌、ウイルス、真菌および/または寄生生物の表面にある生体分子(タンパク質、脂質、炭水化物、核酸など)と特異的に相互作用するように選択されていてもよい。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の試薬は、哺乳動物細胞の表面に関連する生体分子(タンパク質、脂質、炭水化物、核酸など)と特異的に相互作用するように選択されている。哺乳動物細胞は、体液、スワブまたは切除組織に由来していてもよい。哺乳動物細胞の例としては、赤血球、血小板、白血球、炎症細胞、癌性細胞、正常組織細胞、腫瘍細胞が挙げられる(ただし、これらには限定されない)。いくつかの実施形態において、多重分析には、1つ以上の細胞を溶解させて、標的に特異的な1つ以上の試薬と細胞表面の内部の生体分子とが相互作用できるようにする1つ以上のステップが含まれる。
【0059】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、オリゴヌクレオチド、抗体、アプタマー、またはこれらの組合せを含んでいる。標的に特異的な試薬の他の非限定的な例としては、抗体断片、ペプチド、ペプチド核酸、タンパク質、ウイルス、バクテリオファージ、リン脂質、炭水化物、酵素、基質、受容体、レクチン、ペプチドアプタマー、無機分子、有機分子、小分子アゴニストもしくはアンタゴニスト、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0060】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114の第1および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124のに含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、1つ以上のオリゴヌクレオチドを含んでいる。オリゴヌクレオチドは、DNAオリゴマーまたはRNAオリゴマーを含んでいてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は1つ以上のオリゴヌクレオチドを含んでおり、このオリゴヌクレオチドは、特定の核酸配列と対応しているか、または特定の核酸配列を結合および/または検出できる配列を有していてもよい。ある態様において、標的に特異的な1つ以上のオリゴヌクレオチドは、1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを含んでいる。オリゴヌクレオチドプライマーは、10~40塩基のRNAまたはDNAヌクレオチド配列であってもよい。このヌクレオチド配列の少なくとも一部は、標的核酸配列に対して相補的である。ある態様において、標的に特異的な第1試薬群114および標的に特異的な第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、増幅プライマー群を含んでいる。例えば、標的に特異的な1つ以上のオリゴヌクレオチドは、サンプル中の特定の核酸配列の増幅を開始させる1つ以上のプライマー群を含んでいてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は、第1核酸配列の増幅を開始させるように構成、選択または設計されている、第1増幅プライマー群を含んでいてもよい。標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は、第2核酸配列の増幅を開始させるように構成、選択または設計されている、第2増幅プライマー群を含んでいてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、システム100は、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列の多重検出ができるか、または多重検出するために設計されている要素を含んでいる。いくつかの実施形態において、システム100は2つ以上の粒子群105を含んでいる。第1粒子群110の各粒子112a~112fは、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114を含んでいる。第1試薬群114は、第1核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている第1増幅プライマー群である。1つ以上の第2粒子群120の各粒子122a~122fは、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124を含んでいる。第2試薬群124は、第2核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている第2増幅プライマー群である。第1粒子群110の各粒子112a~112fは、光学的に検出可能な第1識別子116をさらに含んでいる。第1識別子116は、第1増幅プライマー群を示している第1波長を放出できる。1つ以上の第2粒子群120の各粒子122a~122fは、光学的に検出可能な第2識別子126を含んでいる。第2識別子126は、第2増幅プライマー群を示している第2波長を放出できる。システム100は、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130をさらに含んでいてもよい。レポータープローブ130は、試験サンプル中の第1核酸配列の増幅および/または試験サンプル中の第2核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる。
【0062】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、抗生物質を含んでいる。例えば、2つ以上の粒子群105の粒子は、1つ以上の抗生物質または類似の薬剤を含んでいてもよい。この抗生物質は、1種類以上の細菌に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している。例えば、試験サンプル中のある種類の細菌を評価するために、特定の細菌または特定のクラスの細菌に対する特異性を有している1つ以上の抗生物質を各粒子群に含ませていてもよい。あるいは、2つ以上の粒子群に含まれている抗生物質を、1つ以上の細菌群の抗生物質耐性の多重分析に使用してもよい。抗生物質の非限定的な例としては、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバペネム、セファロスポリン、グリコペプチド、リンコサミド、マクロライド、β-ラクタム、モノバクタム、テトラサイクリン、スルホンアミド、キノロン、ペニシリン、ニトロフラン、オキサゾリジノンが挙げられる。
【0063】
いくつかの実施形態において、システム100は、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析できる、または多重分析するために設計されている要素を含んでいる。一実施形態において、システム100は、2つ以上の粒子群105を含んでいる。第1粒子群110の各粒子112a~112fは、標的に特異的な第1試薬群114を含んでいる。第1試薬群114は、第1細菌群に対する殺菌活性または静菌活性を有している第1抗生物質を含んでいる。1つ以上の第2粒子群120の各粒子122a~122fは、標的に特異的な第2試薬群124を含んでいる。第2試薬群124は、第2細菌群に対する殺菌活性または静菌活性を有している第2抗生物質を含んでいる。第1粒子群110の各粒子112a~112fは、光学的に検出可能な第1識別子116をさらに含んでいる。第1識別子116は、第1抗生物質を示している第1波長を放出できる。1つ以上の第2粒子120の粒子群122a~112fは、光学的に検出可能な第2識別子126をさらに含んでいる。第2識別子126は、第2抗生物質を示している第2波長を放出できる。システム100は、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ130をさらに含んでいてもよい。レポータープローブ130は、細菌サンプルにおける生存率に対応して、第3波長を構成的に放出できる。
【0064】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、1つ以上のアゴニストまたはアンタゴニストを含んでいる。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬は、細胞機能に対する1つ以上のアゴニストまたはアンタゴニストを含んでいてもよい(増殖、炎症反応、酵素活性、イオン流など)。いくつかの実施形態において、2つ以上の粒子群の各群に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、同じ標的(受容体、酵素など)と相互作用するものの、親和性および活性が異なっている。これにより、特定の生化学反応に対して、標的に特異的な異なる試薬で多重分析できるようになる。例えば、各粒子群が含んでいる特異的アゴニストまたはアンタゴニストを、特定の生化学反応に対するアゴニストアレイまたはアンタゴニストアレイの多重分析に使用してもよい。ある態様において、2つ以上の粒子群は、1つ以上の標的に対するアンタゴニストおよび/またはアゴニストを、ハイスループット分析/多重分析するために設計されている。
【0065】
ある態様において、標的に特異的な第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、抗体を含んでいる。特定の標的または特定の標的上のエピトープに対して「特異的に結合する」または「特異的である」抗体とは、ある特定の標的またはある特定の標的上のエピトープに結合し、他の任意の標的およびエピトープには実質的に結合しない抗体である。本明細書において、用語「抗体」とは、最も広い意味で使用される。抗体の例としては、ポリクローナル抗体、単一のモノクローナル抗体、ポリエピトープ特異性を有する抗体の組成物、ヒト化抗体、二重特異性抗体、ヘテロ結合抗体、単鎖抗体および抗体断片が挙げられる(ただし、これらには限定されない)。完全抗体の部分を含んでいる抗体断片は、完全抗体の抗原結合領域および/または可変領域を含んでいてもよい(ただし、これらには限定されない)。抗体断片の非限定的な例としては、Fab、Fab’、Fab2、F(ab’)2、Fv、単鎖可変断片(scFvs)、ダイアボディ断片(scFvs断片の二量体)、ミニボディ断片(リンカーアミノ酸を有するscFvs-CH3の二量体)が挙げられる。抗体およびその断片を作製する方法は、当業者の間で周知である。抗体全体を修飾することによって抗体断片を作製してもよいし、組み換えDNA技術によって一から抗体断片を合成してもよい。
【0066】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、酵素または酵素基質を含んでいる。1つ以上の酵素を含んでいる標的に特異的な試薬は、試験サンプル中の1つ以上の基質と相互作用するように構成、選択または設計されていてもよい。1つ以上の酵素を含んでいる標的に特異的な試薬は、試験サンプル中のアゴニストまたはアンタゴニストと相互作用するように構成、選択または設計されていてもよい。例えば、2つ以上の粒子群を含んでいるシステムを薬物スクリーニングに使用してもよい(1つ以上の酵素の活性を変化させるアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニングなど)。1つ以上の酵素基質を含んでいる標的に特異的な試薬は、試験サンプル中の酵素と相互作用するように構成、選択または設計されていてもよい。
【0067】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、アプタマーを含んでいる。アプタマーは、オリゴヌクレオチドRNAであってもよいし、DNA系アプタマーであってもよい。これらのアプタマーは、試験サンプル中の1つ以上の標的を認識し、結合できるような配列に選択または設計されている。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、ペプチド系アプタマーを含んでいる。このアプタマーは、構造的に安定なタンパク質の一次配列の一部として挿入ペプチドが発現しており、抗体に匹敵する結合親和性を有している人工タンパク質である。例えば、Crawford, et al., Brief. Funct. Genomic Proteomic 2:72-79, 2003を参照(この文献は、参照により本明細書に組み込まれる)。ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、新規なペプチドを含んでいる。このペプチドは、コンビナトリアルな手法によって作製されており、標的を特異的に認識し、結合するように選択または設計されている。
【0068】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114の第1および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、1つ以上の微生物(細菌など)を特異的に認識するリガンドを含んでいる。ある態様において、標的に特異的な試薬は、微生物に特異的な分子を認識する(細菌性炭水化物、細菌性またはウイルス性のDNAまたはRNA、細菌性ペプチド、ペプチドグリカン、リポテイコ酸、N-ホルミルメチオニン、リポタンパク質、真菌性グルカンなど)を認識する、パターン認識受容体の全部または一部を含んでいる。微生物に対する結合特性を有しているパターン認識受容体の非限定的な例としては、Toll様受容体、C型レクチン受容体、NOD様受容体、RIG-I様受容体、RNAヘリカーゼ、補体受容体、コレクチン、フィコリン、ペントラキシン、C反応性タンパク質、脂質トランスフェラーゼが挙げられる。
【0069】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、レクチンを含んでいる。レクチンは、細胞表面の糖タンパク質および/または糖脂質に結合する炭水化物結合タンパク質を含んでいてもよい。レクチンは、植物、動物、細菌、真菌またはウイルスに由来してもよい。
【0070】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124の各々は、近接信号伝達用に改変された結合要素群を含んでいる。例えば、標的に特異的な試薬群は、第1標的に結合するように構成、選択または設計されている第1結合要素と、第2標的に結合するように構成、選択または設計されている第2結合要素と、を含んでいてもよい。第1標的および第2標的は互いに近接している。第1結合要素および第2結合要素が標的に対して直接または間接的に結合すると、光学的に検出可能なシグナルが発生する。いくつかの実施形態において、第1標的および第2標的は、同じ分子にある(同じ抗原上にある異なるエピトープなど)。いくつかの実施形態において、第1標的および第2標的は、異なる分子にある(異なる抗原上にあるエピトープなど)。結合要素の非限定的な例としては、オリゴヌクレオチド、抗体、アプタマー、ペプチド、タンパク質、リガンド、レクチンが挙げられる。結合要素をさらに改変して、近接信号伝達を提供させてもよい。例えば、結合要素をオリゴヌクレオチドで修飾して、近接している場合に増幅が開始されようにしてもよい。例えば、結合要素をドナー-アクセプター対で修飾して、近接している場合に蛍光シグナルを生成または偏移させてもよい。
【0071】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124の各々は、抗体による近接信号伝達用の抗体群を含んでいる。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬群の各々は、標的(標的タンパク質など)上の異なるエピトープに結合する抗体群を含んでいてもよい。例えば、標的に特異的な1つ以上の試薬群の各々は、細胞表面(免疫細胞表面など)の異なる標的(異なるレセプターなど)に結合する抗体群を含んでいてもよい。これらの標的は、互いに近接している。いくつかの実施形態において、抗体群の第1抗体は第1分子で修飾されており、抗体群の第2抗体は第2分子で修飾されている。第1抗体および第2抗体が近接標的に結合するとき、第1分子および第2分子は相互作用できる。いくつかの実施形態において、第1分子と第2分子との相互作用は、光学的に検出可能なシグナル(蛍光など)を直接的または間接的に発生させる。
【0072】
いくつかの実施形態において、システム100は、試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析できる要素、または試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析するために設計されている要素を含んでいる。ある態様において、システム100は、2つ以上の粒子群105を含んでいる。第1粒子群110の各粒子112a~112fは、標的に特異的な第1試薬群114を含んでいる。第1試薬群114は、第1抗体群を含んでいる。第1抗体群は、第1抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる。第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。1つ以上の第2粒子群120の各粒子122a~122fは、標的に特異的な第2試薬群124を含んでいる。第2試薬群124は、第2抗体群を含んでいる。第2抗体群は、第2抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる。第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。第1粒子群110の各粒子112a~112fは、光学的に検出可能な第1識別子116をさらに含んでいる。第1識別子116は、第1抗体群を示している第1波長を放出できる。1つ以上の第2粒子群120の各粒子122a~112fは、光学的に検出可能な第2識別子126をさらに含んでいる。第2識別子126は、第2抗体群を示している第2波長を放出できる。システム100は、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ130をさらに含んでいてもよい。レポータープローブ130は、第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第1抗原上の近接標的との結合、および/または、第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第2抗原上の近接標的との結合に対応して、第3波長を構成的に放出できる。
【0073】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124の各々は、オリゴヌクレオチドにより修飾されている抗体群を含んでいる。いくつかの実施形態において、抗体群の第1抗体は第1オリゴヌクレオチドにより修飾されており、抗体群の第2抗体は第2オリゴヌクレオチドにより修飾されている。第1抗体および第2抗体が近接標的に結合すると、第1オリゴヌクレオチドおよび第2オリゴヌクレオチドは相互作用できるようになる。例えば、抗体に関連付けられている第1分子および第2分子は、オリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。このオリゴヌクレオチドは、近接した際に、少なくとも一部が互いにハイブリダイズでき、増幅のための鋳型を形成する。例えば、抗体に関連付けられている第1分子および第2分子は、オリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。このオリゴヌクレオチドは、近接した際に、ライゲーションでき、増幅のための鋳型を形成する。例えば、抗体に関連する第1分子および第2分子は、近接している場合に互いに連結することができるオリゴヌクレオチドを含んでいてもよい、増幅のための鋳型を形成してもよい。
【0074】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124の各々は、レポーター-消光体対で修飾されている抗体群を含んでいる。いくつかの実施形態において、抗体群の第1抗体はレポーターで修飾されており、抗体群の第2抗体は消光体で修飾されている。第1抗体および第2抗体が近接標的に結合すると、レポーターおよび消光体は相互作用するようになる。例えば、第1抗体は蛍光レポーターを含んでいてもよく、第2抗体は消光体を含んでいてもよい。2つの抗体が近接標的に結合すると、蛍光レポーターに関連付けられている蛍光は消滅する。レポーター-消光体対の非限定的な例は、後述する。
【0075】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124の各々は、ドナー-アクセプター対で修飾されている抗体群を含んでいる。いくつかの実施形態において、抗体群の第1抗体はドナーで修飾されており、抗体群の第2抗体はアクセプターで修飾されている。第1抗体および第2抗体が近接標的に結合すると、ドナーおよびアクセプターは相互作用するようになる。例えば、第1抗体は、第1波長の蛍光を放出するドナー分子を含んでいてもよい。第2抗体は、ドナーによって放出される第1波長に対応して第2波長の蛍光を放出する、アクセプターを含んでいてもよい。
【0076】
ある態様において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬は、バクテリオファージを含んでいる。ある態様において、標的に特異的な試薬は、感染する細菌のスペクトルが広いバクテリオファージを含んでいる。ある態様において、標的に特異的な試薬は、感染する細菌のスペクトルが狭いバクテリオファージを含んでいる。バクテリオファージの感染スペクトルに関する追加情報は、種々のデータベースウェブサイトに記録されている。このようなサイトの非限定的な例としては、アクチノバクテリオファージデータベース(Russell & Hatfull (2017) Bioinformatics 33:784-786)、MVPデータベース(Gao, et al. (2018) Nucleic Acids Res. 46:D700-D707)が挙げられる(これらの参考文献は、本明細書に組み込まれる)。
【0077】
システム100は、第1粒子群110の各々に関連付けられている光学的に検出可能な第1識別子116と、1つ以上の第2粒子群120の各々に関連付けられている光学的に検出可能な第2識別子126と、をさらに含んでいる。光学的に検出可能な識別子の各々は、波長(特定の波長および色の蛍光など)を放出でき、所与の粒子群に関連付けられている標的に特異的な1つ以上の試薬群を示している。光学的に検出可能な識別子の各々は、標的に特異的な1つ以上の試薬群が反応しうる、特定の標的をさらに示している。例えば、赤色波長の光を放出できる光学的に検出可能な第1識別子は、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群と、試験サンプル中の第1標的と、を示していてもよい。緑色波長の光を放出できる光学的に検出可能な第2識別子は、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群と、試験サンプル中の第2標的と、を示していてもよい。光学的に検出可能な識別子は、所与の種類の粒子の中に標的に特異的な試薬が存在しているか否かについての、光学的な指標として機能する。光学的に検出可能な識別子は、所与の標的に特異的なである標的に特異的な1つ以上の所与の試薬群に関する、光学的なバーコードである。光学的に検出可能な識別子は、所与の種類の粒子に含まれている標的に特異的な1つ以上の試薬を示示しているタグ、コード、ラベル、IDまたはマーカーのうち少なくとも1つであってもよい。
【0078】
システム100は、第3波長を構成的に放出できる1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130をさらに含んでいる。ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子116によって放出される第1波長は検出可能な第1色であり、光学的に検出可能な第2識別子126によって放出される第2波長は検出可能な第2色であり、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130によって構成的に放出される第3波長は検出可能な第3色である。ある態様において、第1波長、第2波長および第3波長は、互いに光学的に識別可能である。ある態様において、第1波長、第2波長および第3波長は、互いに光学的に区別可能であるか、識別可能であるか、または異なっている。非限定的な例において、光学的に検出可能な第1識別子は赤色を放出してもよいし、光学的に検出可能な第2識別子は緑色を放出してもよいし、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは青色構成的に放出してもよい。
【0079】
システム100は、2つ以上の粒子群105を含んでいる。2つ以上の粒子群105は、波長を放出できる光学的に検出可能な識別子と、波長を構成的に放出できる1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブと、を含んでいる。ある態様において、波長の放出には、温度(白熱)、化学反応(化学発光)、生化学反応(生物発光)、電気化学反応(電気化学発光)に対応する波長の放出が含まれる。あるいは、波長の放出には、他の周波数の光の吸収に対応する波長の放出が含まれる(蛍光、燐光、ラマン発光など)。ある態様において、波長の放出には、表面から離れる光の色(表面により反射される1つ以上の波長であり、表面の色として知覚される)が含まれる。
【0080】
ある態様において、光学的に検出可能な識別子116、126および1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、電磁放射の波長または波長帯を放出できる。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長は、紫外波長または紫外の電磁エネルギーの波長帯である。例えば、光学的に検出可能な識別子および/または1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、約100~約400nmの波長または波長帯を放出できる。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長のうち少なくとも1つは、可視波長または可視の電磁エネルギーの波長帯である。例えば、光学的に検出可能な識別子および/または1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、約390~約750nmの波長または波長帯を放出できる。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長は、近赤外波長または近赤外の電磁エネルギーの波長帯である。例えば、光学的に検出可能な識別子および/または1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、約700~約2,500nmの波長または波長帯を放出できる。ある態様において、光学的に検出可能な識別子および/または1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブから放出される電磁放射の放射波長または波長帯の例としては、電波、マイクロ波、X線、ガンマ線が挙げられる。
【0081】
ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子116は第1染料または顔料であり、光学的に検出可能な第2識別子126は第2染料または顔料である。染料の非限定的な例としては、アルシアンイエロー、アリザリン、アリザリンイエロー、ビスマルクブラウン、ブリリアントクレシルブルー、コンゴーレッド、クリスタルバイオレット、フクシン酸、ゲンチアンバイオレット、ヤヌスグリーン、リサミンファーストイエロー、マルチウスイエロー、メルドラブルー、メタニルイエロー、メチルオレンジ、メチルレッド、ナフトールグリーン、オレンジG、プルプリン、ローズベンガル、チタンイエロー、ビクトリアブルー、アリザリンシアニングリーン、アリザリンブリリアントブルーが挙げられる。顔料の非限定的な例としては、金属系顔料、無機顔料、有機顔料、生物顔料が挙げられる。いくつかの実施形態において、顔料自体は不溶性であるが、水性媒体中に微粒子として分散させられる。ある態様において、顔料は、分散を促進するためのバインダーを含んでいる。
【0082】
ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子116は第1着色粒子であり、光学的に検出可能な第2識別子126は第2着色粒子である。例えば、光学的に検出可能な識別子は、強く色づいた染色粒子を含んでいてもよい(Thermo Fisher Scientific (Waltham, MA)製のものなど)。
【0083】
ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子116は第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体を含んでおり、光学的に検出可能な第2識別子126は第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体を含んでいる。ある態様において、光学的に検出可能な識別子は、蛍光色素または蛍光体を含んでいる(フルオレセイン(FITC)、インドシアニングリーン(ICG)、ローダミンBなど)。他の蛍光色素または蛍光体としては以下が挙げられる(ただし、これらには限定されない):シアニン色素(Cy5、Cy5.5、Cy7(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ, USA)など)を含む、赤色および近赤外線(600~1200nm)を放出する種々の蛍光体;種々のAlexa Fluor染料(Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750など;Molecular Probes-Invitrogen, Carlsbad, CA, USA;米国特許出第2005/0171434号などを参照)。さらなる蛍光体の例としては、IRDye800、IRDye700、IRDye68(LI-COR, Lincoln, Nebraska, USA)、NIR-1、1C5-OSu(Dejindo, Kumamoto, Japan)、LaJolla Blue(Diatron, Miami, FL, USA)、FAR-Blue、FAR-Green One、FAR-Green Two(Innosense, Giacosa, Italy)、ADS 790-NS、ADS 821-NS(American Dye Source, Montreal, CA)、NIAD-4(ICx Technologies, Arlington, VA)が挙げられる。他の蛍光剤の例としては、BODIPY-FL、ユーロピウム、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質が挙げられる。
【0084】
ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子116は第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光微小球であり、光学的に検出可能な第2識別子126は第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光微小球である。例えば、光学的に検出可能な識別子は、FluoSpheres (R)(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA製)を含んでいてもよい。FluoSpheres (R)は、青色、青緑色、黄緑色、ナイルレッド、橙色、赤橙色、赤色、深紅色、暗赤色または近赤外の蛍光を放出する。他の例としては、Ocean NanoTech (San Diego, CA, USA)製の蛍光微小球が挙げられる。
【0085】
ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子116は第1波長を放出できる第1量子ドットであり、光学的に検出可能な第2識別子126は第2波長の蛍光を放出する第2量子ドットである。例えば、光学的に検出可能な第1識別子は、第1波長の蛍光を放出できる第1の種類の量子ドットを含んでいてもよい。光学的に検出可能な第2識別子は、第2波長の蛍光を放出できる第2の種類の量子ドットを含んでいてもよい。例えば、光学的に検出可能な識別子は、非常に小さな(ナノスケールの)半導体ナノ結晶粒子または蛍光性量子ドットを含んでいてもよい。ある態様において、量子ドットは、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム(CdS)、テルル化カドミウム(CdTe)、ヒ化インジウム(CdAs)、リン化インジウム(InP)、硫化銅インジウム(CuInS)、硫化銀(Ag2S)および硫化亜鉛(ZnS)のうち1つ以上から形成されていてもよい。例えば、光学的に検出可能な識別子は、CdS/ZnS(403~450nmの放射)、CdSe/ZnS(520~630nmの放射)、CdSSe/ZnS(450~665nmの放射)、InP/ZnSおよびPbS/Ag2S(780~1600nmの放射)を含んでいてもよい。ある態様においては、水溶性を向上させるために、量子ドットをコーティングするか、または他の方法で修飾する。例えば、溶解性を向上させるために、ポリエチレングリコール(PEG)、グルタチオン、ジヒドロリポ酸、システインまたは3-メルカプトプロピオン酸で量子ドットを修飾してもよい。ある態様において、量子ドットは、マイクロ粒子またはナノ粒子と関連付けられている。
【0086】
システム100は、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ130をさらに含んでいる。レポータープローブ130は、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群114と試験サンプル中の第1標的との反応、および/または、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群124と試験サンプル中の第2標的との反応に対応して、第3波長を構成的に放出できる。ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群と第1標的との反応または標的に特異的な1つ以上の第2試薬群と第2標的との反応に対応して、第3波長を構成的に放出できる。あるいは、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群と第1標的との反応および標的に特異的な1つ以上の第2試薬群と第2標的との反応に対応して、第3波長を構成的に放出できる。光学的に検出可能なレポータープローブは、1つ以上の標的が存在して標的に特異的な試薬と相互作用する限りは、第3波長を構成的に放出するように設計されている。ただし、光学的に検出可能なレポータープローブは、1つ以上の第2標的が存在し標的に特異的な試薬と反応するときにも、第3波長を放出する。光学的に検出可能なレポータープローブは、標的に特異的な1つ以上の試薬とその意図する標的との相互作用に対応して、構成的に波長(紫外、可視、近赤外の電磁エネルギーの波長または波長帯など)を放出する。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、特定の種類の反応をする汎用的または普遍的なプローブである。例えば、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、増幅反応、結合反応、酵素反応、増殖または細胞生存反応などに関する一般的、汎用的または普遍的なプローブであってもよい。例えば、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、インターカレート試薬を含んでいてもよい。この試薬は、試験サンプル中の任意のDNAまたはRNAが増幅され、その結果2本鎖DNAが形成され濃度が増加したことに対応して、波長(蛍光など)を放出する。例えば、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、細胞の生存に関する一般的または普遍的なマーカー(生体染色色素など)を含んでいてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、第1粒子群110および第2粒子群120に関連付けられている、システム100に含まれている別々の要素である。いくつかの実施形態において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、第1粒子群110の各粒子および1つ以上の第2粒子群の各粒子と関連付けられている。例えば、粒子の形成する際に、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブを第1粒子群および1つ以上の第2粒子群に組み込んでもよい。例えば、粒子を形成する前に、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブと標的に特異的な1つ以上の試薬群および光学的に検出可能な識別子とを混合してもよい。
【0088】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、標的に特異的な1つ以上の所与の試薬群および/または特定の標的に対して特異的である。例えば、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、特定の核酸配列に結合するTaqMan様プローブを含んでいてもよい。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、第1標的に特異的な光学的に検出可能な第1レポータープローブと、第2標的に特異的な光学的に検出可能な第2レポータープローブと、を含んでいる。例えば、光学的に検出可能な第1レポータープローブは、第1核酸配列に特異的な第1TaqManプローブを含んでいてもよい。光学的に検出可能な第2レポータープローブは、第2核酸配列に特異的な第2TaqManプローブを含んでいてもよい。
【0089】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、第3波長を構成的に放射できるDNAインターカレート剤を含んでいる。例えば、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブが含んでいるDNAインターカレート剤は、蛍光性のDNA結合剤であってもよい。DNAインターカレート剤は、2本鎖DNAに優先的に結合またはインターカレートする種々の任意の薬剤を含んでいてもよい。DNAインターカレート剤を核酸配列の増幅の指標として使用してもよい。いくつかの実施形態においては、DNAインターカレート剤を核酸配列の増幅を定量化するために使用してもよい。蛍光性DNAインターカレート剤の非限定的な例としては、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、DAPI、SYTO-9、SYTO-13、SYTO-82、SYBR Green 1、SYBR Gold、EvaGreenおよびアクリジンオレンジが挙げられる。
【0090】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、第3波長を構成的に放出できるドナー-アクセプター対を含んでいる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブが含んでいるドナー-アクセプター対は、対が互いに近接している場合に、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によって構成的に波長を放出するものであってもよい。FRETとは、電子が励起した状態にある2つの色素分子間の距離依存性の相互作用であり、励起状態がドナー分子からアクセプター分子へと移動するが、光子の放出は伴わない。ある態様においては、ドナー分子とアクセプター分子との相互作用により、アクセプター分子の励起に関連付けられている放出波長がシフトしてもよい。ある態様においては、ドナー分子とアクセプター分子との相互作用により、ドナーの放出が消滅させてもよい。いくつかの実施形態において、ドナー-アクセプター対は、同一の分子に位置している。この場合、標的と相互作用する際に分子の立体配置またはコンホメーションが変化し、これにより、ドナーとアクセプターとの間の距離が変化する。いくつかの実施形態において、ドナーおよびアクセプターは、別々の分子に位置している。例えば、ドナーは第1分子(抗体、アプタマーなど)に位置していてもよく、アクセプター分子は第2分子(第2の抗体、第2のアプタマーなど)に位置していてもよい。この場合、第1分子および第2分子が互いに近接していると、ドナー-アクセプター対からの放出シグナル(蛍光など)が変化する(シフトする、消滅するなど)。
【0091】
種々のドナー-アクセプター蛍光体対が、FRET用に考えられる。その例としては、以下が挙げられる(ただし、これらには限定されない):フルオレセインおよびテトラメチルローダミン;IAEDANSおよびフルオレセイン;フルオレセインおよびフルオレセイン;BODIPY FLおよびBODIPY FL。種々のAlexa Fluor蛍光体(AF蛍光体;Molecular Probes-Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)を他のAF蛍光体と組合せて、FRETに使用してもよい。AF蛍光体の例としては、以下が挙げられる(ただし、これらには限定されない):AF350およびAF488;AF488およびAF546、AF555、AF568もしくはAF647;AF546およびAF568、AF594もしくはAF647;AF555およびAF594もしくはAF647;AF568およびAF6456;A594およびAF647。
【0092】
FRETによるシグナリングに関する蛍光体の他の非限定的な例としては、シアニン色素Cy3、Cy5、Cy5.5およびCy7が挙げられる。これらは、赤色および遠赤外(>550nm)の波長範囲で発光する。例えば、Cy3(最大発光:570nm)およびCy5(発光:670nm)を、ドナー-アクセプター対として使用してもよい。Cy3およびCy5が互いに近接していない場合、540nmにより励起されると、Cy3からの590nmの光のみが放出される。一方、コンホメーション変化(微生物と特定の微生物結合要素との結合など)によりCy3およびCy5が近接している場合、540nmにより励起されると、680nmの光が放出される。
【0093】
いくつかの実施形態において、ドナー-アクセプター対は、蛍光体-消光対を含んでいる。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、第3波長を構成的に放出できる蛍光体-消光体対を含んでいる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブが含んでいる蛍光体-消光体対は、対が互いに近接している場合には、FRETにより消光体分子が蛍光体による蛍光を消滅させるものであってもよい。対の間の距離が離れると、蛍光体からの蛍光が検出できるようになる。いくつかの実施形態において、蛍光体-消光体対は、同一の分子に位置している。この場合、標的との相互作用により分子の立体配置またはコンホメーションが変化し、これにより、蛍光体と消光体との距離が変化する。いくつかの実施形態において、蛍光体および消光体は、別々の分子に位置している。例えば、蛍光体は第1分子(抗体、アプタマーなど)に位置していてもよく、消光体は第2分子(第2の抗体、第2のアプタマーなど)に位置していてもよい。この場合、第1分子および第2分子が互いに近接していると、蛍光体は消光させられる。第1分子が標的に結合し第2分子と近接するようになる場合、試薬と標的との結合により、蛍光体と消光体が互いに近接するようになる。これにより、検出される蛍光が減少する。
【0094】
いくつかの実施形態において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブが含んでいる蛍光体-消光体対は、切断反応に対応して構成的に波長を放出する。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、切断可能な蛍光体-消光体対を有する1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを含んでいる。例えば、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、1つ以上のTaqMan (TM)プローブを含んでいてもよい(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA製)。TaqMan (TM)プローブは、特定のプライマー群によって増幅される核酸配列の一部とアニーリングし、DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性に対応して蛍光体を放出するように設計されている。増幅反応の際の核酸配列との相互作用に対応して波長または波長帯を構成的に放出する、他の市販のプローブシステムとしては、LightCycler (R)プローブおよびScorpions (R)プローブ(Sigma-Aldrich, Corp. St. Louis, MO製)、MGB Eclipse (R)プローブ(Integrated DNA Technologies, Skokie, IL製)が挙げられる(ただし、これらには限定されない)。
【0095】
いくつかの実施形態において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブが含んでいる蛍光体-消光体対は、プローブの立体構造の変化に対応して波長を構成的に放出する、蛍光体-消光体対を含んでいる。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、分子ビーコンを含んでいる。例えば、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、標的と結合(ハイブリダイズなど)していないときにステム-ループ構造を取り、5’に蛍光体を有しており、3’に消光体を有している、1つ以上のオリゴヌクレオチド配列を有していてもよい。標的配列に結合すると、ステムループ構造が崩れ、蛍光体および消光体は空間的に引き離され、蛍光体から検出可能な蛍光が放出される。
【0096】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、蛍光体-消光体対を含んでいる抗体、アプタマーまたは他の結合体を含んでいる。例えば、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、互いに近接している蛍光体および消光体を含む抗体を含んでいてもよい。この場合、抗体が細胞内に取り込まれて分解するか、または抗体が特異的な標的に結合してコンホメーション変化すると、蛍光体および消光体の距離が離れるようになる。
【0097】
種々の蛍光体-消光体対が、FRETによる構成的な波長の放出の用途に考えられる。非限定的な例としては、以下が挙げられる(ただし、これらには限定されない):Cal Fluor Cold540またはCal Fluor Orange560とBHQ-1との対;6-FAM、JOE、TETまたはHEXとBHQ-1、DABCYLまたはTAMRAとの対;Cyanine 3、ROXまたはTxRdとBHQ-2またはDABCYLとの対;Cyanine 5またはCyanine 5.5とBHQ-3またはDABCYLとの対が挙げられる。蛍光体-消光体対の他の非限定的な例には、フルオレセインとDABCYL;EDANSとDABCYL;フルオレセインとQSY7およびQSY9が挙げられる。一般的に、QSY7色素およびQSY9色素は、青色蛍光クマリン、緑色蛍光色素または橙色蛍光色素、Texas RedとAlexa Fluor594色素との複合体などのドナー色素からの蛍光放出を効果的に消光する。QSY21色素は、全ての赤色蛍光色素(Molecular Probes, Carlsbad, CA, USA製のものなど)を効果的に消光する。
【0098】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、蛍光体-消光体対を含むRNAオリゴヌクレオチドまたはDNAオリゴヌクレオチド系アプタマーである。例えば、Cao et al. (2005) Current Proteomics 2:31-40および米国特許出願第2009/0186342号を参照(これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、蛍光体-消光体対を含んでいるアプタマーに含まれている配列は、標的と結合したときにコンホメーション変化するように設計されていてもよい。これにより、蛍光体と消光体との距離が変化して、測定できる蛍光が変化する。
【0099】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、細胞の生存に対応して第3波長を構成的に放出できる細胞生存性に関するプローブを含んでいる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、細胞生存性に関する一般的または普遍的なプローブであってもよい。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、生細胞/死細胞の指標であってもよい。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、生存性/細胞毒性の指標であってもよい。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、細胞集団の生死をを構成的に記録するものであってもよい。
【0100】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、細胞膜統合性に関する指標を含んでいる細胞生存性に関するプローブである。細胞膜統合性の喪失は、細胞死と相関している。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、細胞膜統合性が損なわれるまでは細胞内に浸入できない生体染色色素(トリパンブルーなど)を含んでいてもよい。生体色素の他の非限定的な例としては、エオシン、ヨウ化プロピジウム、エリスロシン、アミノアクチノマイシンD、インドシアニングリーン、ブリリアントブルー、ヤヌスグリーンBが挙げられる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、赤色蛍光エチジウムホモダイマー-1を含んでいてもよい。
【0101】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、細胞生存性に関するプローブであって、死細胞または死にかけの細胞に関連付けられている酵素活性の基質を含んでいる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、ラクトースデヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼまたはアデニル酸キナーゼの基質であって、酵素活性に対応して蛍光、化学発光または生物発光を放出する基質を含んでいてもよい。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、細胞内活性の一般的または普遍的なレポーターを含んでいてもよい。例えば、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、緑色蛍光カルセインAMを含んでおり、細胞内エステラーゼ活性を示してもよい。
【0102】
いくつかの実施形態において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、蛍光体標識バクテリオファージである。例えば、バクテリオファージのDNAを、蛍光色素または蛍光体(YOYO-1、DAPI、SYBR Greenなど)で標識して、(実際の感染に先立って)細菌の表面に結合するために使用してもよい。ファージDNAの標識に関する報告の他の非限定的な例については、例えば、Smartt & Ripp (2011) Anal. Bioanal. Chem. 400:991-1007を参照(この文献は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0103】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、第3波長を構成的に放出できるレポーター遺伝子を有しているバクテリオファージを含んでいる。例えば、1つ以上のレポーター遺伝子をファージゲノムに組み込んでもよい。このようなバクテリオファージが細菌に感染すると、バクテリオファージによって運ばれるレポーター遺伝子が発現する。そのため、レポーター遺伝子を有しているバクテリオファージを、細菌の生存に関する指標として使用してもよい。ある態様において、バクテリオファージが有しているレポーター遺伝子は、生存している細菌細胞が感染および増殖することに対応して、比色シグナル、蛍光シグナル、化学発光シグナルまたは生物発光シグナルを生成する。いくつかの例において、反応は自発的に生じる(緑色蛍光タンパク質と関連付けられている自己蛍光など)。いくつかの例において、反応には、細菌にとって内因性または外因性の基質または補因子を必要とする(レポーター遺伝子が酵素である場合など)。レポーター遺伝子の非限定的な例としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、細菌ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ(lacZ)、クロラムフェニルアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)をコードする遺伝子が挙げられる。レポーター遺伝子によるレポーティングの他の非限定的な例については、例えば、Smartt & Ripp(2011)Anal.Bional.Chem.400:991-1007(この文献は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照。
【0104】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、酵素との相互作用に対応して第3波長を構成的に放出できる基質を含んでいる。ある態様において、基質は、化学基質、脂質系基質、ペプチド系基質またはタンパク質系基質のうち少なくとも1つである。ある態様において、基質と標的酵素との相互作用は、比色生成物または蛍光生成物を生成する。ある態様において、基質と標的酵素との相互作用は、化学発光によって検出される。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブが含んでいる基質はは、β-グルクロニダーゼ、β-グルコシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-ラクタマーゼ、β-グルクロニダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ルシフェラーゼ、シトクロムP450、脱ユビキチン化酵素、キナーゼ、ホスファターゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、プロテアーゼまたはペプチダーゼのうち少なくとも1つの基質である。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、細胞膜の成分(脂質、タンパク質およびタンパク質受容体、炭水化物など)と相互作用する基質を含んでいる。酵素標的との相互作用に対応して波長を構成的に放出する種々の基質は、商業的に入手できる(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA製のものなど)。
【0105】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、β-グルクロニダーゼの基質を含んでいる。例えば、β-グルクロニダーゼの基質は、相互作用に対応して比色沈殿を生成する基質を含んでいてもよい。非限定的な例としては、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-GlcA)、p-ニトロフェニル-β-Dグルクロニド(pNPG)、フェノールフタレイン-β-D-グルクロニド(PHTG)が挙げられる。例えば、β-グルクロニダーゼの基質は、相互作用に対応して蛍光生成物を生成する基質を含んでいてもよい。非限定的な例としては、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニド(MUG)が挙げられる。
【0106】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ130は、β-ガラクトシダーゼの基質を含んでいる。例えば、β-ガラクトシダーゼの基質は、相互作用に対応して比色沈殿を生成する基質を含んでいてもよい。非限定的な例としては、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-d-ガラクトピラノシド(X-gal)、ハロゲン化インドリル-β-ガラクトシド、o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)が挙げられる。例えば、β-ガラクトシダーゼの基質は、相互作用に対応して蛍光生成物を生成する基質を含んでいてもよい。非限定的な例としては、4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシダーゼが挙げられる。
【0107】
いくつかの実施形態において、システムは、多重分析を実行するための1つ以上の反応試薬をさらに含んでいる。ある態様において、1つ以上の反応試薬は、増幅反応に適した1つ以上の試薬を含んでいる。例えば、1つ以上の反応試薬は、ポリメラーゼ連鎖反応増幅(PCR増幅)のための1つ以上の試薬を含んでいてもよい。このような試薬の例としては、DNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼなど)、デオキシヌクレオシド三リン酸またはデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、緩衝液、2価カチオン(マグネシウムイオン、マンガンイオンなど)、1価カチオン(カリウムイオンなど)が挙げられる。ある態様において、1つ以上の反応試薬は、定温における増幅に適した1つ以上の試薬を含んでいる。例えば、1つ以上の反応試薬は、RPA(recombinase polymerase amplification)、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)、NASBA(nucleic acid sequence based amplification)、HAD(helicase-dependent amplification)およびNEAR(nicking enzyme amplification reaction)を実行するための試薬を含んでいてもよい。例えば、1つ以上の反応試薬は、1つ以上のリコンビナーゼ、1本鎖DNA結合タンパク質、鎖置換型ポリメラーゼ、ヘリカーゼ、エンドヌクレアーゼを含んでいてもよい。
【0108】
ある態様において、少なくとも1つの反応試薬は、増殖培地または培養培地の1つ以上の成分を含んでいる。例えば、1つ以上の反応試薬は、細胞を培養するための増殖培地または培養培地の成分を含んでいてもよく、この成分は、合成または化学的に定義されている成分であっても、非合成または化学的に定義されていない成分であってもよい。培養培地または増殖培地は、微生物(細菌、真菌など)または細胞(組織培養細胞、初代細胞など)の増殖を補うように選択または設計されていてもよい。培養培地または増殖培地は、炭素源(グルコースなど)、種々の塩類、ならびにアミノ酸源および窒素源を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、培養培地または増殖培地は、細胞の種類による選択的増殖のための選択培地を含んでいる。いくつかの実施形態において、培養培地または増殖培地は、細胞の種類の選択的増殖を検出するための示差培地または指標培地を含んでいる。1つ以上の反応試薬は、所与の細胞型の成長を促進するために必要な種々の任意の栄養素、アミノ酸、脂質、炭水化物、糖および塩類を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の反応試薬は、細胞を溶解するための1つ以上の試薬を含んでいる。例えば、反応試薬は、酵素(リゾチームなど)および界面活性剤(NP-40、デオキシコール酸ナトリウム)を含んでいてもよい。
【0109】
ある態様において、1つ以上の反応試薬は、化学反応に必要または充分な1つ以上の試薬を含んでいる。ある態様において、1つ以上の反応試薬は、酵素反応に必要または充分な1つ以上の試薬を含んでいる。例えば、1つ以上の反応試薬は、酵素、基質、緩衝液、塩、イオン、無機補因子または有機補因子、補酵素、および所与の酵素反応に必要または充分な他の任意の試薬を含んでいてもよい。
【0110】
本明細書では、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するためのシステムを説明する。システムは、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群を含んでいる2つ以上の粒子群と、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブと、を含んでいる。第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解する。第1粒子群の各粒子は、第1増幅プライマー群と、第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と、に関連付けられている。第1増幅プライマー群は、第1核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。光学的に検出可能な第1識別子は、第1増幅プライマー群を示している。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解する。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2増幅プライマー群と、第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と、に関連付けられている。第2増幅プライマー群は、第2核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。光学的に検出可能な第2識別子は、第2増幅プライマー群を示している。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、試験サンプル中における第1核酸配列の増幅および/または試験サンプル中における第2核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる。
【0111】
図3は、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するためのシステムの非限定的な例を示す。システム300は、2つ以上の粒子群305と、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330と、を含んでいる。2つ以上の粒子群は、第1粒子群310と、1つ以上の第2粒子群320と、を含んでいる。粒子312a、312b、312c、312d、312e、312fは、第1粒子群310中の粒子を表す。これらの粒子は、第1環境条件に対応して分解する(温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーなど)。粒子312a~312fの各々は、第1増幅プライマー群314と、光学的に検出可能な第1識別子316と、を含んでいる。第1増幅プライマー群314は、第1核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。光学的に検出可能な第1識別子316は、第1波長を放出できる(粒子312a~312fでは、横線で表している)。第1識別子316は、第1増幅プライマー群を示している。粒子322a、322b、322c、322d、322e、322fは、1つ以上の第2粒子群の粒子を表している。これらの粒子は、第2環境条件に対応して分解する。いくつかの実施形態において、第2環境条件は、第1環境条件と同一である。他の実施形態において、第2環境条件は、第1環境条件と異なっている。粒子322a~322fの各々は、第2増幅プライマー群324と、光学的に検出可能な第2識別子326と、を含んでいる。第2増幅プライマー群324は、第2核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。光学的に検出可能な第2識別子326は、第2波長を放出できる(粒子322a~322fでは、斜線で表している)。第2識別子326は、第2増幅プライマー群を示している。第1増幅プライマー群314および第2増幅プライマー群324は、それぞれ、第1標的核酸配列および第2標的核酸配列とハイブリダイズするように選択または設計されている配列を有している。例えば、増幅プライマー群は、対応する標的核酸配列に少なくとも一部がハイブリダイズする相補的核酸配列を有していてもよい。1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、第1増幅プライマー群314による試験サンプル中の第1核酸配列の増幅、および/または、第2増幅プライマー群324による試験サンプル中の第2核酸配列の増幅に対応して、第3波長334(交差斜線で表している)を構成的に(矢印332で表している)放出できる。
【0112】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するためのシステム300は、1種類以上の細菌に由来する2つ以上の核酸配列を検出するように設計されている要素を含んでいる。ある態様において、第1増幅プライマー群314および第2増幅プライマー群324は、1種類以上の細菌に由来する核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。例えば、第1増幅プライマー群は、ある種類の細菌に由来する第1核酸配列と特異的に相互作用するように(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)選択または設計されている配列を有していてもよい。第2増幅プライマー群は、同じ種類の細菌または第2の種類の細菌に由来する第2核酸配列と特異的に相互作用するように(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)選択または設計されている配列を有していてもよい。例えば、増幅プライマー群が有している配列は、水源(源泉、貯水池など)を汚染する疑いのある細菌および/または他の微生物に由来する核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。例えば、増幅プライマー群が有している配列は、Mycobacterium tuberculosisおよび/または他の形態のMycobacterium属細菌を含有することが疑われる痰サンプルに由来する核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。例えば、増幅プライマー群が有している配列は、敗血症と診断された個体の血液サンプルに由来する核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。ある態様において、増幅プライマー群は、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、メチシリン感性Staphylococcus aureus、Escherichia coli、Streptococcus pneumonia、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus epidermidis、Salmonella enterica、Klebsiella pneumonia、Streptococcus pyogenes、Acinetobacter baumanniiまたはEnterococcus faecalisのうち少なくとも1つに関連するおよび/または由来する核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。
【0113】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するためのシステム300は、1種類以上の細胞型に由来する2つ以上の核酸配列を検出するように設計されている要素を含んでいる。ある態様において、システム300に含まれている第1増幅プライマー群314および第2増幅プライマー群324は、1種類以上の細胞型に由来する核酸配列に対して特異的に相互作用するように選択されている。例えば、増幅プライマー群が有している配列は、微生物(細菌、真菌、ウイルス、寄生生物など)に由来する2つ以上の核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。例えば、増幅プライマー群が有している配列は、病原体に由来する2つ以上の核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。例えば、増幅プライマー群が有している配列は、体液または組織に由来する2つ以上の核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。例えば、増幅プライマー群が有している配列は、血液細胞(赤血球、白血球、血小板など)、炎症細胞(マクロファージ、T細胞、B細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、単球など)、上皮細胞、ホルモン分泌細胞、神経細胞、脂肪細胞、腎細胞、収縮細胞および/または生殖細胞に由来する2つ以上の核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。いくつかの実施形態において、増幅プライマー群が有している配列は、腫瘍細胞、悪性細胞および/または癌性細胞に由来する2つ以上の核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。
【0114】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列のうち1つ以上は、1本鎖DNA配列、2本鎖DNA配列またはRNA配列を含んでいる。ある態様において、システム300の第1増幅プライマー群314および第2増幅プライマー群324は、1本鎖DNA配列、2本鎖DNA配列またはRNA配列のうち1つ以上と特異的に相互作用するように選択されている。ある態様において、増幅プライマー群が有している配列は、1本鎖DNA、2本鎖DNAまたはRNA配列を検出および/または増幅するように選択または設計されている。いくつかの実施形態においては、増幅により、特定の核酸配列の存在が検出される。このことは、特定の細胞型が存在していることの指標となる。いくつかの実施形態においては、増幅により、特定の核酸配列の量を定量する。各増幅プライマー群は、それぞれ10~40塩基長である短いオリゴヌクレオチドプライマーを、1~10個含んでいてもよい。ある態様において、第1増幅プライマー群314および第2増幅プライマー群324は、ポリメラーゼ連鎖反応増幅(PCR増幅)と共に使用するように設計されている。ある態様において、第1増幅プライマー群314および第2増幅プライマー群324は、リアルタイムPCRまたは定量的PCRのために設計されている。例えば、各増幅プライマー群は、標的核酸配列のセンス鎖およびアンチセンス鎖の3’末端に相補的であるDNAプライマー対またはオリゴヌクレオチド対を含んでいてもよい。例えば、各増幅プライマー群は、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを含んでいてもよい。
【0115】
ある態様において、第1増幅プライマー群314および第2増幅プライマー群324は、定温における増幅処理と共に使用するように設計されている。例えば、各増幅プライマー群は、それぞれ10~40塩基長であるDNAプライマーまたはオリゴヌクレオチドを、1~4対含んでいてもよい。例えば、増幅プライマー群は、1つ以上のループプライマーを含んでいてもよい。例えば、増幅プライマー群は、2つ以上のインナープライマーおよび2つ以上のアウタープライマーを含んでいてもよい。例えば、増幅プライマー群は、1つ以上のフォワードプライマーおよび1つ以上のリバースプライマーを含んでいてもよい。例えば、第1増幅プライマー群および第2増幅プライマー群は、RPA(recombinase polymerase amplification)、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)、NASBA(nucleic acid sequence based amplification)、HAD(helicase-dependent amplification)またはNEAR(nicking enzyme amplification reaction)のうち1つ以上のために設計されていてもよい。
【0116】
第1粒子群310は第1環境条件に対応して分解し、1つ以上の第2粒子群320は第2環境条件に対応して分解する。ある態様において、第1環境条件および第2環境条件は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上を含んでいる。例えば、第1粒子群および第2粒子群は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上の変化に対応して分解する。例えば、第1粒子群および第2粒子群は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上の変化に対応して分解する物質から形成されていてもよい。
【0117】
いくつかの実施形態において、第1環境条件および第2環境条件は、同一の環境条件である。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、同一の環境条件に対応して分解してもよい(温度、pH、化学反応、電場および/または電磁エネルギーの同一の条件など)。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、温度、pH、化学反応、電場および/または電磁エネルギーの同一の環境条件に対応して分解する物質から形成されていてもよい。
【0118】
ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、第1環境条件または第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解する分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、分解性ゲルから形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、低融点アガロースから形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、分解性アルギン酸塩から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、易分解性糖質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、温度応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、pH応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、化学応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、電場応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、電磁エネルギー応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。粒子を形成するための環境条件応答性の分解性物質の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0119】
2つ以上の粒子群305は、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重分析するために設計されている。いくつかの実施形態において、多重分析は、油中水型液滴またはエマルション系中で反応を実行する工程を含む。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分布しうる。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、親水性である。ある態様において、第1粒子群310および1つ以上の第2粒子群320の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有している。親水性粒子を形成するための物質の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0120】
試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するためのシステム300は、第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子316を含んでいる第1粒子群310と、第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子326を含んでいる1つ以上の第2粒子群320と、第3波長を構成的に放出できる1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330と、を含んでいる。ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子316によって放出される第1波長は検出可能な第1色であり、光学的に検出可能な第2識別子326によって放出される第2波長は検出可能な第2色であり、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330によって構成的に放出される第3波長は検出可能な第3色である。ある態様において、第1波長、第2波長および第3波長は、互いに光学的に識別可能である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長は、紫外波長または紫外の電磁エネルギーの波長帯である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長のうち少なくとも1つは、可視波長または可視の電磁エネルギーの波長帯である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長は、近赤外波長または近赤外の電磁エネルギーの波長帯である。
【0121】
ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子316は第1染料または顔料であり、光学的に検出可能な第2識別子326は第2染料または顔料である。ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子316は第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体を含んでおり、光学的に検出可能な第2識別子326は第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体を含んでいる。ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子316は第1波長を放出できる第1量子ドットであり、光学的に検出可能な第2識別子326は第2波長を放出できる第2量子ドットである。染料、顔料、蛍光色素/蛍光体、着色または蛍光粒子、および量子ドットの非限定的な例は、上述した通りである。
【0122】
試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するためのシステム300は、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ330を含んでいる。レポータープローブ330は、試験サンプル中の第1核酸配列の増幅および/または試験サンプル中の第2核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる。いくつかの実施形態において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、第1粒子群310の各粒子および1つ以上の第2粒子群320の各粒子と関連付けられる。いくつかの実施形態において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、第1核酸配列の増幅に特異的な光学的に検出可能な第1レポータープローブと、第2核酸配列の増幅に特異的な光学的に検出可能な第2レポータープローブと、を含んでいる。例えば、光学的に検出可能な第1レポータープローブを、第1核酸配列への結合またはハイブリダイズに対応して検出可能な波長を構成的に放出するように設計してもよい。光学的に検出可能な第2レポータープローブを、第2核酸配列への結合またはハイブリダイズに対応して第2波長を構成的に放出するように設計してもよい。例えば、光学的に検出可能な第1レポータープローブおよび検出可能な第2レポータープローブは、配列特異的なTaqMan様プローブまたは分子ビーコンを含んでいてもよい。
【0123】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、第3波長を構成的に放出できるドナー-アクセプター対を含んでいる。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、第3波長を構成的に放出できる蛍光体-消光体対を含んでいる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブに含まれている蛍光体-消光体対は、この対が互いに近接している場合に、蛍光体により放出される蛍光を消光体分子が消光させるものであってもよい。いくつかの実施形態において、蛍光体-消光体対は、同一の分子に位置している。この場合、標的と相互作用する際に分子の立体配置またはコンホメーションが変化し、これにより、蛍光体と消光体との間の距離が変化する。いくつかの実施形態において、蛍光体および消光体は、別々の結合分子に位置している(オリゴヌクレオチド、アプタマー、抗体など)。そのため、第1結合分子および第2結合分子の標的が近接している場合に、これらの結合分子が標的に結合すると、蛍光体と消光体とが互いに近接し、検出される蛍光が減少する。
【0124】
いくつかの実施形態において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、第1核酸配列または第2核酸配列の増幅によって誘発される切断反応に対応して、構成的に波長を放出する蛍光体-消光体対を含んでいる。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、切断可能な蛍光体-消光体対を有する1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを含んでいる。例えば、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、1つ以上のTaqMan (TM)プローブを含んでいてもよい。このTaqMan (TM)プローブは、特異的なプライマー群によって増幅される核酸配列の部分とアニーリングし、DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性に対応してして蛍光体を放出するようにに設計されている(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA製)。増幅反応の際に核酸配列との相互作用に対応して波長または波長帯を構成的に放出する、他の市販のプローブシステムの例としては、LightCycler (R)プローブ、Scorpions (R)プローブ(Sigma-Aldrich, Corp. St. Louis, MO製);MGB Eclipse (R)プローブ(Integrated DNA Technologies, Skokie, IL製)が挙げられる(ただし、これらには限定されない)。
【0125】
いくつかの実施形態において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ330は、プローブの立体構造の変化に対応して波長を構成的に放出する、蛍光体-消光体対を含んでいる。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、分子ビーコンを含んでいる。例えば、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブは、標的と結合(ハイブリダイズなど)していないときにステム-ループ構造を取り、5’に蛍光体を有しており、3’に消光体を有している、1つ以上のオリゴヌクレオチド配列を有していてもよい。標的核酸配列に結合すると、ステムループ構造が崩れ、蛍光体および消光体は空間的に引き離され、蛍光体から検出可能な蛍光が放出される。
【0126】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、蛍光体-消光体対を含んでいるRNAオリゴヌクレオチド系アプタマーまたはDNAオリゴヌクレオチド系アプタマーである。ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、蛍光体-消光体対を含んでいる抗体または他の結合体を含んでいる。蛍光体-消光体対の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0127】
ある態様において、1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブ330は、第3波長を構成的に放出できるDNAインターカレート剤を含んでいる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、種々の任意の蛍光性DNA結合剤を含んでいてもよい。蛍光性DNA結合剤は、2本鎖DNAに優先的に結合し、核酸配列の増幅の定量化に用いられうる。非限定的な例としては、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、DAPI、SYTO-9、SYTO-13、SYTO-82、SYBR Green 1、SYBR Gold、EvaGreen、アクリジンオレンジが挙げられる。
【0128】
いくつかの実施形態において、2つ以上の核酸配列を多重検出するためのシステム300は、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するための1つ以上の反応試薬をさらに含んでいる。ある態様において、1つ以上の反応試薬は、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を増幅させるための1つ以上の反応試薬を含んでいる。例えば、1つ以上の反応試薬は、ポリメラーゼ連鎖反応増幅(PCR増幅)のための1つ以上の試薬を含んでいてもよい。このような試薬の例としては、DNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼなど)、デオキシヌクレオシド三リン酸またはデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、緩衝液、2価カチオン(マグネシウムイオン、マンガンイオンなど)、1価カチオン(カリウムイオンなど)が挙げられる。ある態様において、1つ以上の反応試薬は、定温における増幅に適した1つ以上の試薬を含んでいる。例えば、1つ以上の反応試薬は、RPA(recombinase polymerase amplification)、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)、NASBA(nucleic acid sequence based amplification)、HAD(helicase-dependent amplification)およびNEAR(nicking enzyme amplification reaction)を実行するための試薬を含んでいてもよい。例えば、1つ以上の反応試薬は、1つ以上の逆転写酵素、RNAアーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、リコンビナーゼ、1本鎖DNA結合タンパク質、鎖置換型ポリメラーゼ、ヘリカーゼ、エンドヌクレアーゼを含んでいてもよい(ただし、これらには限定されない)。
【0129】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重分析するためのシステム300は、3つ以上の粒子群を含んでいる。ある態様において、システム300は、3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群を含んでいる。各粒子群は、増幅プライマー群および光学的に検出可能な識別子を含んでいる。
【0130】
ある態様において、システム300は、1つ以上の第3粒子群を含んでいる。1つ以上の第3粒子群の各粒子は、第1環境条件、第2環境条件または第3環境条件のうち1つ以上に対応して分解する。1つ以上の第3粒子群の各粒子は、第3増幅プライマー群と、第4波長を放出できる光学的に検出可能な第3識別子と、に関連付けられている。第3増幅プライマー群は、第3核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。光学的に検出可能な第3識別子は、第3増幅プライマー群を示している。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、試験サンプル中における第1核酸配列の増幅、試験サンプル中における第2核酸配列の増幅および/または試験サンプル中における第3核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる。第1波長、第2波長、第3波長および第4波長は、互いに光学的に識別可能である。ある態様において、第1環境条件、第2環境条件および第3環境条件は、同一の環境条件である(温度、pH、化学反応、電場、電磁エネルギーなど)。
【0131】
本明細書では、試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重検出するためのシステムについて説明する。このシステムは、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群を含んでいる2つ以上の粒子群と、1つ以上の蛍光性インターカレート剤と、を含んでいる。第1粒子群の各粒子は、第1温度条件に対応して分解する。第1粒子群の各粒子は、第1増幅プライマー群と、第1波長を放出できる第1蛍光識別子と、に関連付けられている。第1増幅プライマー群は、第1細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。第1蛍光識別子は、第1増幅プライマー群を示している。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2温度条件に対応して分解する。1つ以上の第2粒子群は、第2増幅プライマー群と、第2波長を放出できる第2蛍光識別子と、に関連付けられている。第2増幅プライマー群は、第2細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。第2蛍光識別子は、第2増幅プライマー群を示している。1つ以上の蛍光性インターカレート剤は、試験サンプル中における第1細菌性核酸配列の増幅および/または試験サンプル中における第2細菌性核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる。
【0132】
図4は、試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重検出するためのシステムの非限定的な例を示す。システム400は、2つ以上の粒子群405と、1つ以上の蛍光性インターカレート剤430と、を含んでいる。2つ以上の粒子群は、第1粒子群410と、1つ以上の第2粒子群420と、を含んでいる。粒子412a、412b、412c、412d、412e、412fは、第1粒子群410中の粒子を表している。これらの粒子は、第1温度条件に対応して分解する。粒子412a~412fの各々は、第1増幅プライマー群414と、第1蛍光識別子416と、を含んでいる。第1増幅プライマー群414は、第1細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。第1蛍光識別子416は、第1波長を放出できる(粒子412a~412fでは斜線で表している)。第1蛍光識別子416は、第1増幅プライマー群を示している。粒子422a、422b、422c、422d、422e、422fは、1つ以上の第2粒子群の粒子を表している。これらの粒子は、第2温度条件に対応して分解する。いくつかの実施形態において、第2温度条件は、第1温度条件と同一である。例えば、第1粒子群410および1つ以上の第2粒子群420は、増幅サイクルの中で経験する温度で分解する物質から形成されていてもよい。粒子422a~422fの各々は、第2増幅プライマー群424と、第2蛍光識別子426と、を含んでいる。第2増幅プライマー群424は、第2細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。第2蛍光識別子426は、第2波長を放出できる(粒子422a~422fでは縦線で表している)。第2蛍光識別子426は、第2増幅プライマー群を示している。第1増幅プライマー群414および第2増幅プライマー群424は、第1標的細菌性核酸配列および第2標的細菌性核酸配列とハイブリダイズするように選択または設計されている配列を有している。例えば、増幅プライマー群は、対応する標的細菌性核酸配列に少なくとも一部がハイブリダイズする相補的核酸配列を有していてもよい。1つ以上の蛍光性インターカレート剤430は、第3波長434(交差斜線で表している)構成的(矢印432で表している)に放出できる。第3波長434は、第1増幅プライマー群414による試験サンプル中の第1細菌性核酸配列の増幅、および/または、第2増幅プライマー群424による試験サンプル中の第2細菌性核酸配列の増幅に対応して放出される。
【0133】
システム400は、1種類以上の細菌に由来する2つ以上の細菌性核酸配列を検出するように設計されている要素を含んでいる。ある態様において、第1増幅プライマー群414および第2増幅プライマー群424は、1種類以上の細菌に由来する細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。例えば、第1増幅プライマー群は、ある種類の細菌に由来する第1細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)、選択または設計されている配列を有していてもよい。第2増幅プライマー群は、同じ種類の細菌または第2の種類の細菌に由来する第2細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)、選択または設計されている配列を有していてもよい。例えば、増幅プライマー群が有している配列は、水源(源泉、貯水池など)を汚染する疑いのある細菌に由来する細菌性核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。例えば、増幅プライマー群が有している配列は、Mycobacterium tuberculosisおよび/または他の形態のMycobacterium属細菌を含有することが疑われる痰サンプルに由来する核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。例えば、増幅プライマー群が有している配列は、敗血症と診断された個体の血液サンプルまたは他の生体サンプルに由来する細菌性核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。ある態様において、増幅プライマー群は、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、メチシリン感性Staphylococcus aureus、Escherichia coli、Streptococcus pneumonia、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus epidermidis、Salmonella enterica、Klebsiella pneumonia、Streptococcus pyogenes、Acinetobacter baumanniiまたはEnterococcus faecalisのうち少なくとも1つに関連するおよび/または由来する細菌性核酸配列に対して特異的に相互作用する(少なくとも一部がハイブリダイズするなど)ように選択または設計されていてもよい。
【0134】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列のうち1つ以上は、1本鎖DNA配列、2本鎖DNA配列またはRNA配列を含んでいる。ある態様において、システム400の第1増幅プライマー群414および第2増幅プライマー群424は、1本鎖DNA配列、2本鎖DNA配列またはRNA配列のうち1つ以上と特異的に相互作用するように選択されている。ある態様において、増幅プライマー群が有している配列は、細菌由来の1本鎖DNA、2本鎖DNAまたはRNA配列を検出および/または増幅するように選択または設計されている。いくつかの実施形態においては、増幅により、特定の細菌性核酸配列の存在が検出される。このことは、特定の種類の細菌が存在していることの指標となる。いくつかの実施形態においては、増幅により、特定の細菌性核酸配列の量を定量する。各増幅プライマー群は、それぞれ10~40塩基長である短いオリゴヌクレオチドプライマーを、1~10個含んでいてもよい。ある態様において、第1増幅プライマー群414および第2増幅プライマー群424は、ポリメラーゼ連鎖反応増幅(PCR増幅)と共に使用するように設計されている。ある態様において、第1増幅プライマー群414および第2増幅プライマー群424は、リアルタイムPCRまたは定量的PCRのために設計されている。例えば、各増幅プライマー群は、標的細菌性核酸配列のセンス鎖およびアンチセンス鎖の3’末端に相補的であるDNAプライマー対またはオリゴヌクレオチド対を含んでいてもよい。例えば、各増幅プライマー群は、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを含んでいてもよい。
【0135】
ある態様において、第1増幅プライマー群414および第2増幅プライマー群424は、定温における増幅処理と共に使用するように設計されている。例えば、各増幅プライマー群は、それぞれ10~40塩基長であるDNAプライマーまたはオリゴヌクレオチドを、1~4対含んでいてもよい。例えば、増幅プライマー群は、1つ以上のループプライマーを含んでいてもよい。例えば、増幅プライマー群は、2つ以上のインナープライマーおよび2つ以上のアウタープライマーを含んでいてもよい。例えば、増幅プライマー群は、1つ以上のフォワードプライマーおよび1つ以上のリバースプライマーを含んでいてもよい。例えば、第1増幅プライマー群および第2増幅プライマー群は、RPA(recombinase polymerase amplification)、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)、NASBA(nucleic acid sequence based amplification)、HAD(helicase-dependent amplification)またはNEAR(nicking enzyme amplification reaction)のうち1つ以上のために設計されていてもよい。
【0136】
第1粒子群410は第1温度条件に対応して分解し、1つ以上の第2粒子群420は第2温度条件に対応して分解する。いくつかの実施形態において、第1温度条件および第2温度条件は、同一の温度条件である。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、同一の温度条件に対応して分解してもよい。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、同一の温度条件に対応して分解する物質から形成されていてもよい。
【0137】
ある態様において、第1粒子群410および1つ以上の第2粒子群420の粒子は、第1温度条件または第2温度条件のうち少なくとも一方に対応して分解する、分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群410および1つ以上の第2粒子群420の粒子は、第1温度条件または第2温度条件のうち少なくとも一方に対応して分解する、分解性ゲルから形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群410および1つ以上の第2粒子群420の粒子は、第1温度条件または第2温度条件のうち少なくとも一方に対応して分解する、低融点アガロースから形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群410および1つ以上の第2粒子群420の粒子は、第1温度条件または第2温度条件のうち少なくとも一方に対応して分解する、温度応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。粒子を形成するための温度条件応答性の分解性物質の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0138】
2つ以上の粒子群405は、試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重分析するために設計されている。いくつかの実施形態において、多重分析は、油中水型液滴またはエマルション系中で反応を実行する工程を含んでいる。ある態様において、第1粒子群410および1つ以上の第2粒子群420の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分布しうる。ある態様において、第1粒子群410および1つ以上の第2粒子群420の粒子は、親水性である。ある態様において、第1粒子群410および1つ以上の第2粒子群420の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有している。親水性粒子を形成するための物質の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0139】
試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重検出するためのシステム400は、第1波長を放出できる第1蛍光識別子416を含んでいる第1粒子群410と、第2波長を放出できる第2蛍光識別子426を含んでいる1つ以上の第2粒子群420と、第3波長を構成的に放出できる1つ以上の蛍光性インターカレート剤430と、を含んでいる。ある態様において、第1蛍光識別子416によって放出される第1波長は検出可能な第1色であり、第2蛍光識別子426によって放出される第2波長は検出可能な第2色であり、1つ以上の蛍光性インターカレート剤430によって構成的に放出される第3波長は検出可能な第3色である。ある態様において、第1波長、第2波、および第3波長は、互いに光学的に識別可能である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長は、紫外波長または紫外の電磁エネルギーの波長帯である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長のうち少なくとも1つは、可視波長または可視の電磁エネルギーの波長帯である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長は、近赤外波長または近赤外の電磁エネルギーの波長帯である。
【0140】
ある態様において、第1蛍光識別子416は第1蛍光色素または顔料であり、第2蛍光識別子426は第2蛍光色素または顔料である。ある態様において、第1蛍光識別子416は第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体を含んでおり、第2蛍光識別子426は第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体を含んでいる。ある態様において、第1蛍光識別子416は第1波長を放出できる第1量子ドットであり、第2蛍光識別子426は第2波長を放出できる第2量子ドットである。染料、顔料、蛍光色素/蛍光体、着色粒子または蛍光粒子、および量子ドットの非限定的な例は、上述した通りである。
【0141】
試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重検出するためのシステム400は、1つ以上の蛍光性インターカレート剤430を含んでいる。蛍光性インターカレート剤430は、試験サンプル中の第1細菌性核酸配列の増幅および/または試験サンプル中の第2細菌性核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる。いくつかの実施形態において、1つ以上の蛍光性インターカレート剤430は、第1粒子群410の各粒子および1つ以上の第2粒子群420の各粒子と関連付けられている。
【0142】
ある態様において、蛍光性インターカレート剤430は、蛍光性DNAインターカレート剤を含んでいる。例えば、蛍光性インターカレート剤は、種々の任意の蛍光性DNA結合剤を含んでいてもよい。蛍光性DNA結合剤は、2本鎖DNAに優先的に結合し、核酸配列を増幅する光学的に検出可能なレポータープローブとして用いられうる。蛍光性インターカレート剤の非限定的な例としては、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、DAPI、SYTO-9、SYTO-13、SYTO-82、SYBR Green 1、SYBR Gold、EvaGreen、アクリジンオレンジが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。
【0143】
いくつかの実施形態において、システム400は、他の光学的に検出可能なレポータープローブを含んでいてもよい。このレポータープローブは、試験サンプル中の第1細菌性核酸配列の増幅および/または試験サンプル中の第2細菌性核酸配列の増幅に対応して、第3波長または第4波長を構成的に放出できる。非限定的な例としては、増幅反応に対応して第3波長または第4波長を構成的に放出できる、ドナー-アクセプター対または蛍光体-消光体対が挙げられる(これらに関しては、本明細書において上述した通りである)。
【0144】
いくつかの実施形態において、2つ以上の細菌性核酸配列を多重検出するためのシステム400は、試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重検出するための1つ以上の反応試薬をさらに含んでいる。ある態様において、1つ以上の反応試薬は、試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を増幅するための1つ以上の反応試薬を含んでいる。例えば、1つ以上の反応試薬は、ポリメラーゼ連鎖反応増幅(PCR増幅)を行うための1つ以上の試薬を含んでいてもよい。このような試薬の例としては、DNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼなど)、デオキシヌクレオシド三リン酸またはデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、緩衝液、2価カチオン(マグネシウム、マンガンイオンなど)、1価カチオン(カリウムイオンなど)が挙げられる。ある態様において、1つ以上の反応試薬は、定温における増幅を行うのに適した1つ以上の試薬を含んでいる。例えば、1つ以上の反応試薬は、RPA(recombinase polymerase amplification)、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)、NASBA(nucleic acid sequence based amplification)、HAD(helicase-dependent amplification)およびNEAR(nicking enzyme amplification reaction)を実行するための試薬を含んでいてもよい。例えば、1つ以上の反応試薬は、逆転写酵素、RNAアーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、リコンビナーゼ、1本鎖DNA結合タンパク質、鎖置換型ポリメラーゼ、ヘリカーゼ、エンドヌクレアーゼのうち1つ以上を含んでいてもよい(ただし、これらには限定されない)。いくつかの実施形態において、1つ以上の反応試薬は、細菌を溶解するための1つ以上の試薬を含んでいる。例えば、反応試薬は、酵素(リゾチーム、リゾスタフィンなど)および界面活性剤(NP-40、デオキシコール酸ナトリウムなど)を含んでいてもよい。
【0145】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重分析するためのシステム400は、3つ以上の粒子群を含んでいる。ある態様において、システム400は、3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群を含んでいる。各粒子群は、増幅プライマー群および蛍光識別子を含んでいる。
【0146】
ある態様において、システム400は、1つ以上の第3粒子群を含んでいる。第3粒子群の各粒子は、第1温度条件、第2温度条件または第3温度条件のうち1つ以上に対応して分解する。第3粒子群の各粒子は、第3増幅プライマー群と、第4波長を放出できる第3蛍光識別子と、に関連付けられている。第3増幅プライマー群は、第3細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている。第3蛍光識別子は、第3増幅プライマー群を示している。1つ以上の蛍光性インターカレート剤は、試験サンプル中における第1細菌性核酸配列の増幅、試験サンプル中における第2細菌性核酸配列の増幅および/または試験サンプル中における第3細菌性核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる。第1波長、第2波長、第3波長および第4波長は、互いに光学的に識別可能である。ある態様において、第1温度条件、第2温度条件および第3温度条件は、同一の温度条件である。
【0147】
本明細書においては、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するためのシステムが説明される。このシステムは、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群を含んでいる2つ以上の粒子群と、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブと、を含んでいる。第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解する。第1粒子群の各粒子は、第1抗生物質と、第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と、に関連付けられている。第1抗生物質は、第1細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している。光学的に検出可能な第1識別子は、第1抗生物質を示している。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解する。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2抗生物質と、第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と、に関連付けられている。第2抗生物質は、第2細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している。光学的に検出可能な第2識別子は、第2抗生物質を示している。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長を構成的に放出できる。
【0148】
図5は、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するためのシステム500の、非限定的な例を示している。システム500は、2つ以上の粒子群粒子群505と、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530とを含んでいる。2つ以上の粒子群505は、第1粒子群510と、1つ以上の第2粒子群520とを含んでいる。粒子512a、512b、512c、512d、512e、512fは、第1粒子群510の粒子を表している。これらの粒子は、第1環境条件に対応して分解する(温度、pH、化学反応、電場、電磁エネルギーなど)。粒子512a~512fの各々は、第1抗生物質514と、光学的に検出可能な第1識別子516とを含んでいる。第1抗生物質514は、第1細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している。光学的に検出可能な第1識別子516は、第1波長を放出できる(粒子512a~512fでは斜線により表している)。第1識別子516は、第1抗生物質514を示している。粒子522a、522b、522c、522d、522e、522fは、1つ以上の第2粒子群520の粒子を表している。これらの粒子は、第2環境条件に対応して分解する。いくつかの実施形態において、第2環境条件は、第1環境条件と同一である。他の実施形態において、第2環境条件は、第1環境条件と異なっている。粒子522a~522fの各々は、第2抗生物質524と、光学的に検出可能な第2識別子526とを含んでいる。第2抗生物質524は、第2細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している。いくつかの実施形態において、第2細菌群は、第1細菌群とは異なっている。他の実施形態において、第2細菌群は、第1細菌群と同一である。例えば、システム500は、複数の抗生物質に対する1群または1種類の細菌の耐性を多重分析するために構成されていてもよい。この抗生物質はそれぞれ、光学的に検出可能な識別子とともに粒子群の中に含まれている。光学的に検出可能な第2識別子526は、第2波長を放出できる(粒子522a~522fでは縦線により表している)。第2識別子526は、第2抗生物質524を示している。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長534(斜線で表している)を構成的に(矢印532で表している)放出できる。
【0149】
システム500は、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するために構成されている。細菌サンプルは、被験体(哺乳動物の被験体など)から採取されたサンプルを含んでいてもよい。細菌サンプルは、体液、組織またはスワブ由来のサンプルを含んでいてもよい。あるいは、細菌サンプルは、環境から採取されたサンプルを含んでいてもよい(水、空気、土壌、表面、食品、飲料、医薬品、他の環境要素など)。
【0150】
細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するためのシステム500に含まれている2つ以上の粒子群505は、第1細菌群に対する殺菌活性または静菌活性を有している第1抗生物質514を含んでいる第1粒子群510と、第2細菌群に対する殺菌活性または静菌活性を有している第2抗生物質524を含んでいる1つ以上の第2粒子群520と、を含んでいる。ある態様において、細菌群は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、マイコバクテリア、好気性細菌、嫌気性細菌を含んでいる。ある態様において、細菌群は、細菌の門、綱、目、科、属、種または細菌の亜種もしくは株を含んでいる。
【0151】
ある態様において、第1細菌群および第2細菌群は、異なる細菌群である。例えば、第1細菌群および第2細菌群は、体液(尿など)または環境サンプル(水サンプルなど)に由来する試験サンプルの一部である。ある態様において、第1細菌群および第2細菌群は、同一の細菌群である。例えば、試験サンプルは、抗生物質耐性の多重分析に使用するための規定された細菌群を含んでいてもよい。例えば、抗生物質耐性を多重分析するためのシステムは、2つ以上の粒子群を含んでいてもよい。各粒子群は、特定の1種類以上の細菌の抗生物質耐性を評価するための異なる抗生物質を含んでいる。
【0152】
ある態様において、第1細菌群または第2細菌群は、1種類以上のEscherichia coliの株を含んでいる。例えば、細菌群は胃腸感染症に関連付けられている、1種類以上のEscherichia coliの株を含んでいてもよい(O157:H7、O104:H4、O104:H21など)。例えば、細菌群は尿路感染症に関連付けられている、1種類以上のEscherichia coliの株を含んでいてもよい(尿路病原性E. coliなど)。
【0153】
ある態様において、第1細菌群または第2細菌群は、1種類以上のMycobacterium属細菌を含んでいる。ある態様において、第1細菌群または第2細菌群は、Mycobacterium tuberculosisを含んでいる。例えば、このシステムは、結核に関連付けられている細菌の抗生物質耐性を多重分析するために設計されていてもよい。例えば、このシステムは、Mycobacterium tuberculosisの抗生物質耐性を多重分析するために設計されていてもよい。例えば、2つ以上の粒子群の各々は、Mycobacterium tuberculosisまたは他の病原性Mycobacterium属細菌の株を含んでいるサンプルを試験するための、異なる抗生物質を含んでいてもよい。抗生物質の非限定的な例としては、イソニアジド、リファンピシン、ベダキリン、デラマニド、ストレプトマイシン、クロファジミン、エタンブトール、ピラジナミド、リネゾリド、フルオロキノロン、エチオナミド、カプレオマイシン、パラアミノサリチル酸が挙げられる。ある態様において、第1細菌群または第2細菌群は、Mycobacterium tuberculosis複合体に由来する1種類以上の細菌または株を含んでいる(一例として、M. africanum、M. bovis BCG、M. tuberculosis、M. canettなど)。
【0154】
ある態様において、第1細菌群および第2細菌群は、メチシリン耐性Staphylococcus aureus、メチシリン感性Staphylococcus aureus、Escherichia coli、Streptococcus pneumonia、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus epidermidis、Salmonella enterica、Klebsiella pneumonia、Streptococcus pyogenes、Acinetobacter baumanniiまたはEnterococcus faecalisの1種類以上を含んでいる。例えば、このシステムは、敗血症に関連付けられている細菌の抗生物質耐性を多重分析するために設計されていてもよい。
【0155】
細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するためのシステム500は、第1環境条件に対応して分解する第1粒子群510と、第2環境条件に対応して分解する第2粒子群520と、を含んでいる。ある態様において、第1環境条件および第2環境条件は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上を含んでいる。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上の変化に対応して分解しうる。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上の変化に対応して分解する物質から形成されていてもよい。
【0156】
いくつかの実施形態において、第1環境条件および第2環境条件は、同一の環境条件である。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、同一の環境条件に対応して分解しうる(温度、pH、化学反応、電場および/または電磁エネルギーの同一の条件など)。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、温度、pH、化学反応、電場および/または電磁エネルギーの同一の環境条件に対応して分解する物質から形成されていてもよい。
【0157】
ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、第1環境条件または第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解する分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、分解性ゲルから形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、低融点アガロースから形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、分解性アルギン酸塩から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、易分解性糖質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、温度応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、pH応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、化学応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、電場応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、電磁エネルギー応答性の分解性物質から形成されている構造を有している。2つ以上の粒子群の粒子を形成するための環境条件応答性の分解性物質の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0158】
2つ以上の粒子群505は、抗生物質耐性を多重分析するために設計または選択されている。いくつかの実施形態において、抗生物質の耐性の多重分析には、油中水型液滴またはエマルション系における反応が含まれている。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子の少なくとも一部の粒子は、油中水型液滴またはエマルションの水相に分布しうる。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、親水性である。ある態様において、第1粒子群510および1つ以上の第2粒子群520の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有している。分解性粒子の形成に使用するための親水性物質の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0159】
細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するためのシステム500は、2つ以上の粒子群505を含んでいる。2つ以上の粒子群505には、第1抗生物質514を含んでいる第1粒子群510と、第2抗生物質524を含んでいる1つ以上の第2粒子群520と、が含まれている。第1抗生物質514および第2抗生物質524は、種々の任意の抗生物質試薬を含んでいてもよい。抗生物質試薬は、殺菌活性(細菌を殺す)または静菌活性(細菌の増殖を阻害する)を有している。グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、Mycobacterium属細菌に特異的であり、反応スペクトルが狭いまたは広い抗生物質の非限定的な例としては、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバペネム、アミノグリコシド、クリンダマイシン、トリメトプリム、セファロスポリン、グリコペプチド、リンコサミド、マクロライド、β-ラクタム、モノバクタム、テトラサイクリン、スルホンアミド、キノロン、ペニシリン、ニトロフラン、オキサゾリジノンが挙げられる。ある態様において、抗生物質には、結核の治療に使用される種々の任意の抗生物質が含まれていてもよい。このような抗生物質の非限定的な例としては、カプレオマイシン、シクロセリン、エタンブトール、エチオナミド、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、ストレプトマイシンが挙げられる。他の抗生物質の非限定的な例としては、クロラムフェニコール、ホスホマイシン、フシジン酸、メトロニダゾール、チアンフェニコール、チゲサイクリンが挙げられる。現在開発中または未記載の新規な抗生物質を、システムの2つ以上の粒子群に組み込んでもよいことが予期されている。
【0160】
細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するためのシステム500は、第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子516を含んでいる第1粒子群510と、第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子526を含んでいる1つ以上の第2粒子群520と、第3波長を構成的に放出できる1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530と、を含んでいる。ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子516によって放出される第1波長は検出可能な第1色であり、光学的に検出可能な第2識別子526によって放出される第2波長は検出可能な第2色であり、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530によって構成的に放出される第3波長は検出可能な第3色である。ある態様において、第1波長、第2波長および第3波長は、互いに光学的に識別可能である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長は、紫外波長または紫外の電磁エネルギーの波長帯である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長のうち1つ以上は、可視波長または可視の電磁エネルギーの波長帯である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長は、近赤外波長または近赤外の電磁エネルギーの波長帯である。
【0161】
ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子516は第1染料または顔料であり、光学的に検出可能な第2識別子526は第2染料または顔料である。ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子516は第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体であり、光学的に検出可能な第2識別子526は第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体である。ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子516は第1波長を放出できる第1量子ドットであり、光学的に検出可能な第2識別子526は第2波長を放出できる第2量子ドットである。色素、顔料、蛍光体、着色粒子および蛍光粒子、ならびに量子ドットの非限定的な例は、上述した通りである。
【0162】
細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するためのシステム500は、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530を含んでいる。レポータープローブ530は、細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して第3波長を構成的に放出できる。いくつかの実施形態において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、第1粒子群510の各粒子と、1つ以上の第2粒子群520の各粒子とに関連付けられている。いくつかの実施形態において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、第1細菌群の生存に特異的な光学的に検出可能な第1レポータープローブと、第2細菌群の生存に特異的な光学的に検出可能な第2レポータープローブと、を含んでいる。例えば、光学的に検出可能な第1レポータープローブは、第1細菌群に特異的なバクテリオファージを含んでいてもよい。光学的に検出可能な第2レポータープローブは、第2細菌群に特異的な第2バクテリオファージを含んでいてもよい。各バクテリオファージは、各細菌群への感染に対応して第3波長構成的に放出する、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を有している。この例において、2つの異なるレポータープローブは、同じ波長(第3波長)を構成的に放出している。一方、光学的に検出可能な識別子は、所与の液滴中にどの抗生物質が存在しているかを示している。
【0163】
ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、第3波長を構成的に放出できるドナー-アクセプター対を含んでいる。ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、第3波長を構成的に放出できる蛍光体-消光体対を含んでいる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して第3波長を構成的に放出できる(または構成的に放出する)ドナー-アクセプター対/蛍光体-消光体対を含んでいてもよい。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、蛍光体-消光体対を含んでいてもよい。対が近接しているとき、消光体分子は、蛍光体によって発せられる蛍光をFRETにより消光する。ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、抗体、アプタマー、または蛍光体-消光体対を有する他の結合体を含んでいる。例えば、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、互いに近接している蛍光体および消光体を有する抗体を含んでいてもよい。この蛍光体および消光体は、細胞内への取り込みによる抗体の分解や、特異的な標的に対する抗体結合に伴うコンホメーション変化に対応して分離してもよい。蛍光体-消光体対を有している抗体、オリゴヌクレオチドまたはアプタマー基質の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0164】
ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、第3波長を構成的に放射できるDNAインターカレート剤を含んでいる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長を構成的に放出できるDNAインターカレート剤を含んでいてもよい。非限定的な例としては、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、DAPI、SYTO-9、SYTO-13、SYTO-82、SYBR Green 1、SYBR Gold、EvaGreen、アクリジンオレンジが挙げられる。いくつかの実施形態において、DNAインターカレート剤は、生存している細菌細胞に進入できる。いくつかの実施形態において、DNAインターカレート剤は、細胞膜が損傷している細菌細胞(死んでいるまたは死にかけの細菌細胞)にのみ進入できる。ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、第3波長を構成的に放出できる、膜統合性に関するプローブを含んでいる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、細胞死の結果として膜が損傷したときに細菌内に進入し、蓄積されるDNAインターカレート色素または生体色素を含んでいてもよい。
【0165】
ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、レポーター遺伝子を有しているバクテリオファージを含んでいる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、バクテリオファージを含んでいてもよい。このバクテリオファージは、細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長を構成的に放出できるレポーター遺伝子を有している。例えば、レポーター遺伝子または遺伝子をファージのゲノムに組み込んでもよい。ファージが細菌に感染すると、バクテリオファージが有しているレポーター遺伝子が発現する。このように、レポーター遺伝子を有しているバクテリオファージは、細菌の生存に関する指標として使用できる。ある態様において、レポータープローブは、感染する細菌のスペクトルが広いバクテリオファージである。ある態様において、レポータープローブは、感染する細菌のスペクトルが狭いバクテリオファージである
バクテリオファージの感染性の広さ関するさらなる情報は、種々のウェブサイト上のデータベースウェブサイトから閲覧できる。その非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0166】
ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、レポーター遺伝子を有しているバクテリオファージを含んでいる。このレポーター遺伝子は、生存している細菌細胞への感染および増殖に対応して、比色シグナル、蛍光シグナル、化学発光シグナルまたは生物発光シグナルを生成する。いくつかの例においては、反応は、自発的である(緑色蛍光タンパク質に関連付けられている自己蛍光など)。いくつかの例において、反応は、細菌にとって内因性または外来性の基質または補助因子を必要とする(レポーター遺伝子が酵素である場合など)。レポーター遺伝子の非限定的な例としては、以下のものをコードしている遺伝子が挙げられる:緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、細菌ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ(lacZ)、クロラムフェニルアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)。レポーター遺伝子を介したレポーティングに関する他の非限定的な例については、例えば、Smartt & Ripp (2011) Anal. Bioanal. Chem. 400:991-1007を参照(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0167】
ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、基質を含んでいる。この基質は、酵素との相互作用に対応して、第3波長を構成的に放出できる。ある態様において、基質は、化学的基質、脂質系基質、ペプチド系基質またはタンパク質系基質のうち1つ以上である。ある態様においては、基質と標的酵素との相互作用により、比色分析できる産物または蛍光を放出する産物が生成される。ある態様において、基質と標的酵素との相互作用は、化学発光によって検出される。ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、以下の酵素のうち1つ以上の基質を含んでいる:β-グルクロニダーゼ、β-グルコシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-ラクタマーゼ、β-グルクロニダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ルシフェラーゼ、シトクロムP450、脱ユビキチン化酵素、キナーゼ、ホスファターゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ。ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、細胞膜の成分(脂質、タンパク質およびタンパク質受容体、炭水化物など)と相互作用する基質を含んでいる。酵素標的との相互作用に対応して波長を構成的に放出する多数の基質が、商業的に販売されている(例えば、Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)。
【0168】
ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、β-グルクロニダーゼの基質を含んでいる。このβ-グルクロニダーゼの基質は、細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長を構成的に放出できる。例えば、β-グルクロニダーゼの基質は、相互作用に対応して比色分析できる沈澱を生じる基質を含んでいてもよい。このような基質の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。例えば、β-グルクロニダーゼの基質は、相互作用に対応して蛍光を放出する産物を生じる基質を含んでいてもよい。このような基質の非限定的な例としては、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニド(MUG)が挙げられる。
【0169】
ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ530は、β-ガラクトシダーゼの基質を含んでいる。このβ-ガラクトシダーゼの基質は、細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長を構成的に放出できる。例えば、β-ガラクトシダーゼの基質は、相互作用に対応して比色分析できる沈澱を生じる基質を含んでいてもよい。このような基質の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。例えば、βガラクトシダーゼの基質は、相互作用に対応して蛍光を放出する産物を生じる基質を含んでいてもよい。このような基質の非限定的な例としては、4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシダーゼが挙げられる。
【0170】
いくつかの実施形態において、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するためのシステム500は、多重分析を実施するための1つ以上の反応試薬を含んでいる。ある態様において、システム500は、細菌を増殖させる培養培地の1つ以上の要素を含んでいる。例えば、1つ以上の反応試薬は、細胞培養のための増殖培地、栄養培地または培養培地の成分を含んでいてもよい。1つ以上の反応試薬は、合成的または化学的に規定されたものであってもよいし、非合成的または化学的に定義されていないものであってもよい。培養培地または増殖培地は、細菌の増殖を補う成分を含んでいてもよい。培地は、炭素源(グルコースなど)、種々の塩類、アミノ酸および窒素源を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、培養培地、栄養培地または増殖培地は、細胞型を選択的に増殖させるための、選択培地を含んでいる。いくつかの実施形態において培養培地、栄養培地または増殖培地は、細胞型の選択的な増殖を検出するための、示差培地または指標培地を含んでいる。1つ以上の反応試薬は、細菌の増殖を促進するのに必要な種々の任意の栄養素、アミノ酸、脂質、炭水化物、糖類および塩類のいずれかを含んでいてもよい。1つ以上の反応試薬は、細菌を溶解させるための1つ以上の試薬をさらに含んでいてもよい(リゾチームなど)。
【0171】
ある態様において、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するためのシステム500は、3組以上の粒子を含んでいる。ある態様において、システム500は、3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群を含んでいる。各粒子群は、抗生物質および光学的に検出可能な識別子を含んでいる。
【0172】
ある態様において、システム500は、1つ以上の第3粒子群を含んでいる。1つ以上の第3粒子群の各粒子は、第1環境条件、第2環境条件または第3環境条件のうち1つ以上に対応して分解する。1つ以上の第3粒子群の各粒子は、第3抗生物質と、第4波長を放出できる光学的に検出可能な第3識別子と、に関連付けられている。第3抗生物質は、第3細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している。光学的に検出可能な第3識別子は、第3抗生物質を示している。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長を構成的に放出できる。第1波長、第2波長、第3波長、第4波長は、互いに識別または区別可能である。ある態様において、第1環境条件、第2環境条件および第3環境条件は、同一の環境条件である。(温度、pH、化学反応、電場、電磁エネルギーなど)。ある態様において、第3細菌群は、第1細菌群および第2細菌群と同一である。これにより、システム中の第1抗生物質、第2抗生物質および少なくとも第3抗生物質に対する、1つの細菌群の抗生物質耐性が評価される。
【0173】
本明細書においては、試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析するために構成されたシステムが説明される。一実施形態において、2つ以上の抗原を多重分析するためのシステムは、2つ以上の粒子群を含んでいる。2つ以上の粒子群には、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブが含まれている。第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解する。第1粒子群の各粒子は、第1抗体群と、第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子とに関連付けられている。第1抗体群は、第1抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる。第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。光学的に検出可能な第1識別子は、第1抗体群を示している。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解する。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2抗体群と、第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子とに関連付けられている。第2抗体群は、第2抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる。第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。光学的に検出可能な第2識別子は、第2抗体群を示している。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第1抗原上の近接標的との結合、および/または、第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第2抗原上の近接標的との結合に対応して、第3波長を構成的に放出できる。
【0174】
図6は、試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析するためのシステムの非限定的な例を示している。システム600は、2つ以上の粒子群605と、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630と、を含んでいる。2つ以上の粒子群605は、第1粒子群610と、1つ以上の第2粒子群620と、を含んでいる。粒子612a、612b、612c、612d、612e、612fは、第1粒子群610の粒子を表している。これらの粒子は、第1環境条件に対応して分解する(温度、pH、化学反応、電場、電磁エネルギーなど)。粒子612a~612fの各々は、第1抗体群614と、光学的に検出可能な第1識別子616と、を含んでいる。第1抗体群614は、第1抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる。第1抗体群614に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。光学的に検出可能な第1識別子616は、第1波長を放出できる(粒子612a~612fでは縦線により表している)。第1識別子616は、第1抗体群を示している。粒子622a、622b、622c、622d、622e、622fは、1つ以上の第2粒子群620の粒子を表している。これらの粒子は、第2環境条件に対応して分解する。いくつかの実施形態において、第2環境条件は、第1環境条件と同一である。他の実施形態において、第2環境条件は、第1環境条件と異なっている。粒子622a~622fの各々は、第2抗体群624と、光学的に検出可能な第2識別子626と、を含んでいる。第2抗体群624は、第2抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる。第2抗体群624に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。光学的に検出可能な第2識別子626は、第2波長を放出できる(粒子622a~622fでは横線により表している)。第2識別子626は、第2抗体群を示している。システム600は、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630をさらに含んでいる。レポータープローブ630は、第1抗体群614に含まれている2つ以上の抗体と第1抗原上の近接標的との結合、および/または、第2抗体群624に含まれている2つ以上の抗体と第2抗原上の近接標的との結合に対応して、第3波長634(斜線により表している)を構成的に(矢印632により表している)放出できる。
【0175】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の抗原は、溶液中に遊離している。ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の抗原は、試験サンプル中の1種類以上の細胞型の表面に位置している。例えば、2つ以上の抗原は血液由来細胞と関連付けられていてもよい(赤血球、血小板、白血球などの中に含まれる(または表面に位置している)2つ以上の抗原など)。例えば、2つ以上の抗原は、悪性細胞と関連付けられていてもよい(ヒト上皮増殖因子受容体2(Her2/neu)、癌胎児性抗原など)。
【0176】
ある態様において、第1抗体群614または第2抗体群624の少なくとも一方は、1つ以上のポリクローナル抗体を含んでいる。例えば、各抗体群は、ポリクローナル抗体を含んでいてもよい。これらのポリクローナル抗体は、定義上、同一の抗原に存在する異なるエピトープ(異なる標的)と反応しうる免疫グロブリンの集合である。ある態様において、第1抗体群614は、第1抗原上の近接標的に特異的な1つ以上の第1ポリクローナル抗体を含んでおり、第2抗体群624は、第2抗原上の近接標的に特異的な1つ以上の第2ポリクローナル抗体を含んでいる。ある態様において、第1抗体群614または第2抗体群624の少なくとも一方は、2つ以上のモノクローナル抗体を含んでいる。例えば、各抗体群は、2つ以上のモノクローナル抗体を含んでいてもよい。これらのモノクローナル抗体は、同一の抗原に存在する異なるエピトープに結合する。ある態様において、第1抗体群614は、第1抗原上の近接標的に特異的な2つ以上のモノクローナル抗体を含んでおり、第2抗体群624は、第2抗原上の近接標的に特異的な2つ以上のモノクローナル抗体を含んでいる。
【0177】
第1抗体群614および第2抗体群624に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。この修飾は、一対の分子を含んでいてもよい。一対の分子のうち、第1分子は、2つ以上の抗体のうち第1のものと関連付けられている。一対の分子のうち、第2分子は、2つ以上の抗体のうち第2のものと関連付けられている。抗体と標的との結合により第1分子および第2分子が互いに接触すると、第1分子および第2分子は相互作用できるようになる。いくつかの実施形態において、抗体が有している修飾は、共有結合性の修飾である。例えば架橋剤によって、一対の分子を抗体に共有結合させることができる。例えば架橋剤によって、一対の分子を抗体に共有結合させられる。結合の非限定的な例としては、NHS-エステル反応基、イミドエステル反応基、マレイミド反応基、ピリジルジチオール反応基、ヒドラジド反応基、カルボジイミド反応基が挙げられる(架橋剤の広範な一覧については、例えば、Thermo Fisher Scientificを参照)。いくつかの実施形態において、抗体が有している修飾は、非共有結合性の修飾である。例えば、アビジン/ビオチン結合相互作用を介して、一対の分子を抗体に非共有結合的に結合させられる。
【0178】
ある態様において、第1抗体群614に含まれている2つ以上の抗体および第2抗体群624に含まれている2つ以上の抗体は、オリゴヌクレオチドにより修飾されている。例えば、修飾には、一対のオリゴヌクレオチドが含まれていてもよい。一対オリゴヌクレオチドのうち第1オリゴヌクレオチドは、所与の抗体群に含まれている2つ以上の抗体のうち第1のものに関連付けられている。一対のオリゴヌクレオチドのうち第2オリゴヌクレオチドは、当該所与の抗体群に含まれている2つ以上の抗体のうち第2のものに関連付けられている。抗体と標的との結合により第1オリゴヌクレオチドおよび第2オリゴヌクレオチドが互いに接触すると、第1オリゴヌクレオチドおよび第2オリゴヌクレオチドは相互作用できるようになる。ある態様において、抗体群に含まれている2つ以上の抗体のうちの第1抗体は、第1オリゴヌクレオチドにより修飾されている。抗体群に含まれている2つ以上の抗体のうちの第2抗体は、第2オリゴヌクレオチドにより修飾されている。第1抗体および第2抗体が抗原上の近接標的に結合すると、第1オリゴヌクレオチドおよび第2オリゴヌクレオチドは、互いに相互作用できるようになる。ある態様において、オリゴヌクレオチドによる修飾が近接しているときに、これらは増幅用の鋳型を形成する。ある態様において、オリゴヌクレオチドによる修飾が近接しているときに、これらはライゲーションされうる。例えば、抗体群に含まれている2つ以上の抗体のうち第1のものに関連付けられている第1オリゴヌクレオチドと、抗体群に含まれている2つ以上の抗体のうち第2のものに関連付けられている第2オリゴヌクレオチドとが、抗体と近接標的との結合により互いに近接したときに、ライゲーションアッセイを実施できる。これにより、第1オリゴヌクレオチドおよび第2オリゴヌクレオチドが連結され、増幅標的として使用される。例えば、Greenwood, et al. (2015) Biomolecular Detection Quantification 4:10-16を参照(参照により本明細書に組み込まれる)。この場合、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、DNAインターカレート色素(EvaGreenなど)を含んでいてもよい。この色素により、連結されたオリゴヌクレオチド鋳型に由来する増幅産物の形成を検出できる。
【0179】
ある態様において、オリゴヌクレオチドによる修飾が近接しているときに、これらは相互にハイブリダイズしうる。例えば、所与の抗体群に含まれている2つ以上の抗体のうち第1のものに関連付けられている第1オリゴヌクレオチドと、所与の抗体群に含まれている2つ以上の抗体のうち第2のものに関連付けられている第2オリゴヌクレオチドとが、抗体と近接標的との結合により互いに近接すると、第1オリゴヌクレオチドおよび第2オリゴヌクレオチドの少なくとも一部は互いにハイブリダイズして、2本鎖DNAを形成しうる。オーバーラップした2本鎖DNAは、標準的な増幅手順により伸長させられる。2本鎖DNAの増幅は、DNAインターカレート色素である光学的に検出可能なレポータープローブによってモニタリングできる(その非限定的な例は、本明細書において上述した通りである)。
【0180】
ある態様において、第1抗体群614に含まれている2つ以上の抗体および第2抗体群624に含まれている2つ以上の抗体は、1つ以上のドナー-アクセプター対を含んでいる。ある態様において、ドナー分子は抗体群の第1抗体に組み込まれており、アクセプター分子は抗体群の第2抗体に組み込まれている。第1抗体および第2抗体が細胞表面の近接標的に結合すると、ドナー分子およびアクセプター分子は密に接触し、互いに相互作用できるようになる。ある態様においては、ドナー分子を、刺激によって励起させられる(光、pH、温度など)。これにより、ドナーおよびアクセプターが近接すると、アクセプター分子の反応が引き起こされる(通常は、ある特定の波長の光が放出される)。ある態様において、ドナー-アクセプター対は、蛍光体-消光体対を含んでいる。蛍光体分子は、抗体群の第1抗体に組み込まれている。消光体分子は、抗体群の第2抗体に組み込まれている。第1抗体および第2抗体が近接標的に結合すると、蛍光体が消光される。ドナー-アクセプター対および蛍光体-消光体対の非限定的な例は、本明細書中に上述した通りである。
【0181】
試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析するためのシステム600は、第1環境条件に対応して分解する第1粒子群610と、第2環境条件に対応して分解する1つ以上の第2粒子群620と、を含んでいる。ある態様において、第1環境条件および第2環境条件は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上を含んでいる。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上の変化に対応して分解してもよい。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上の変化に対応して分解する物質から形成されていてもよい。
【0182】
いくつかの実施形態において、第1環境条件および第2環境条件は、同一の環境条件である。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、同一の環境条件に対応して分解してもよい(同一の温度条件、同一のpH条件、同一の化学反応条件、同一の電場条件および/または同一の電磁エネルギー条件など)。例えば、第1粒子群および1つ以上の第2粒子群は、温度、pH、化学反応、電場および/または電磁エネルギーの同一の環境条件に対応して分解する物質から形成されていてもよい。
【0183】
ある態様において、第1粒子群610および1つ以上の第2粒子群620の粒子は、第1環境条件または第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解する分解性物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群610および1つ以上の第2粒子群620の粒子は、低融点アガロースから形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群610および1つ以上の第2粒子群620の粒子は、分解性ゲル、分解性アルギン酸塩または易分解性糖質のうち1つ以上から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群610および1つ以上の第2粒子群620の粒子は、温度応答性の物質から形成されている構造を有している。ある態様において、第1粒子群610および1つ以上の第2粒子群620の粒子は、pH応答性の分解性物質、化学応答性の分解性物質、電場応答性の分解性物質または電磁エネルギー応答性の分解性物質のうち1つ以上から形成されている構造を有している。2つ以上の粒子群の粒子を形成するための、環境条件応答性の分解性物質の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0184】
2つ以上の粒子群605は、2つ以上の抗原を多重分析するための要素を含んでいる。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原の多重分析には、油中水型液滴系またはエマルション系における反応が含まれる。ある態様において、第1粒子群610および1つ以上の第2粒子群620の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴またはエマルションの水相に分布しうる。ある態様において、第1粒子群610および1つ以上の第2粒子群620の粒子は、親水性である。ある態様において、第1粒子群610および1つ以上の第2粒子群620の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有している。親水性の分解性粒子の形成に使用するための、親水性物質の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0185】
試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析するためのシステム600は、第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子616を含んでいる第1粒子群610と、第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子626を含んでいる1つ以上の第2粒子群620と、第3波長を構成的に放出できる1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630と、を含んでいる。ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子616によって放出される第1波長は検出可能な第1色であり、光学的に検出可能な第2識別子626によって放出される第2波長は検出可能な第2色であり、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630によって構成的に放出される第3波長は検出可能な第3色である。ある態様において、第1波長、第2波長および第3波長は、互いに光学的に識別可能である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長は、紫外波長または紫外の電磁エネルギーの波長帯である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長のうち1つ以上は、可視波長または可視の電磁エネルギーの波長帯である。ある態様において、第1波長、第2波長または第3波長は近赤外波長または近赤外の電磁エネルギーの波長帯である。
【0186】
ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子616は第1染料または顔料であり、光学的に検出可能な第2識別子626は第2染料または顔料である。ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子616は第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体を含んでおり、光学的に検出可能な第2識別子626は第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体を含んでいる。ある態様において、光学的に検出可能な第1識別子616は第1波長を放出できる第1量子ドットであり、光学的に検出可能な第2識別子626は第2波長を放出できる第2量子ドットである。染料、顔料、蛍光体、着色粒子もしくは蛍光粒子または量子ドットの非限定的な例は、上述した通りである。
【0187】
試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析するためのシステム600は、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630を含んでいる。レポータープローブ630は、第1抗体群614に含まれている2つ以上の抗体と第1抗原上の近接標的との結合、および/または、第2抗体群624に含まれている2つ以上の抗体と第2抗原上の近接標的との結合に対応して、第3波長を構成的に放出できる。いくつかの実施形態において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630は、第1粒子群610の各粒子および1つ以上の第2粒子群620の各粒子と関連付けられている。いくつかの実施形態において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630は、光学的に検出可能な第1レポータープローブおよび光学的に検出可能な第2レポータープローブを含んでいる。第1レポータープローブは、第1抗体群614に含まれている2つ以上の抗体と第1抗原上の近接標的との結合に対応して、特異的に信号を発する。第2レポータープローブは、第2抗体群624に含まれている2つ以上の抗体と第2抗原上の近接標的との結合に対応して、特異的に信号を発する。例えば、光学的に検出可能な第1レポータープローブは第1ドナー-アクセプター対を含んでいてもよく、第1ドナー-アクセプター対は第1抗体群614に関連付けられている2つ以上の抗体を修飾していてもよい。光学的に検出可能な第2レポータープローブは第2ドナー-アクセプター対を含んでいてもよく、第2ドナー-アクセプター対は第2抗体群624に関連付けられている2つ以上の抗体を修飾していてもよい。いくつかの例において、第1抗体群の第1ドナー-アクセプター対および第2抗体群の第2ドナー-アクセプター対は同一であり、第1抗体群と第1抗原上の近接標的との結合および第2抗体群と第2抗原上の近接標的との結合に対応して、同じ第3波長を放出している。この例において、2つの異なるレポータープローブは、抗体の結合を示す同一の波長を構成的に放出する。一方、光学的に検出可能な識別子は、どの抗原が存在するかを示す。
【0188】
ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630は、第3波長を構成的に放出できるドナー-アクセプター対を含んでいる。ある態様において、ドナー-アクセプター対のドナー分子は、第1抗体の一部に組み込まれている。ドナー-アクセプター対のアクセプター分子は、第2抗体に組み込まれている。第1抗体および第2抗体が近接標的に結合すると、ドナーは刺激によって励起される(光、pH、温度など)。これにより、ドナーおよびアクセプターが近接すると、アクセプターに反応を引き起こさせる(通常は、ある特定の波長の光が放出される)。
【0189】
ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630は、増幅反応に対応して第3波長を構成的に放出できる。例えば、光学的に検出可能なレポータープローブは、抗体群に含まれている2つ以上の抗体を修飾しているオリゴヌクレオチドの増幅を検出できる。増幅を検出するための光学的に検出可能なレポータープローブの非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630は、第3波長を構成的に放出できるTaqMan様プローブを含んでいる。例えば、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、増幅された核酸配列と相互作用するように構成されているTaqManプローブ含んでいてもよい。この増幅された核酸配列は、細胞表面の近接標的に結合した抗体に含まれているオリゴヌクレオチドの相互作用によって与えられるものである。ある態様において、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630は、第3波長を構成的に放射できるDNAインターカレート剤を含んでいる。例えば、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、EvaGreenまたは2本鎖DNAへの結合に反応して波長を放出している他のインターカレート色素を含んでいてもよい。
【0190】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析するためのシステム600は、3つ以上の粒子群を含んでいる。ある態様において、システム600は、3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群を含んでいる。各粒子群は、抗体群および光学的に検出可能な識別子を含んでいる。
【0191】
ある態様において、システム600は、1つ以上の第3粒子群を含んでいる。1つ以上の第3粒子群の各粒子は、第1環境条件、第2環境条件または第3環境条件のうち1つ以上に対応して分解する。1つ以上の第3粒子群の各粒子は、第3抗体群と、第4波長を放出できる光学的に検出可能な第3識別子とに関連付けられている。第3抗体群は、第3抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる。第3抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。光学的に検出可能な第3識別子は、第3抗原を示している。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第1抗原上の近接標的との結合、第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第2抗原上の近接標的との結合、および/または、第3抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第3抗原上の近接標的との結合に対応して、第3波長を構成的に放出できる。
【0192】
いくつかの実施形態において、システム600は、2つ以上の細胞型の表面にある2つ以上の抗原を多重分析するために構成されている。ある態様において、第1粒子群610の各粒子は、第1環境条件に対応して分解する。第1粒子群610の各粒子は、第1抗体群に関連付けられている。第1抗体群は、第1細胞型の表面にある近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる。第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。光学的に検出可能な第1識別子は、第1波長を放出でき、第1抗体群を示している。1つ以上の第2粒子群620の各粒子は、第2環境条件に対応して分解する。1つ以上の第2粒子群620の各粒子は、第2抗体群と関連付けられている。第2抗体群は、第2細胞型の表面にある近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる。第2抗体群の2つ以上の第2抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。光学的に検出可能な第2識別子は、第2波長を放出でき、第2抗体群を示している。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ630は、第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第1細胞型の表面にある近接標的との結合、および/または、第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第2細胞型の表面にある近接標的との結合に対応して、第3波長を構成的に放出できる。
【0193】
ある態様において、試験サンプル中の2つ以上の抗原は、試験サンプル中の1種類以上の細胞型の表面に位置している。例えば、2つ以上の抗原は、血液由来細胞に関連付けられていてもよい(赤血球、血小板、白血球など)。ある態様において、第1細胞型および第2細胞型は、免疫細胞型である。例えば、第1抗体群および第2抗体群は、免疫細胞表面の抗原に結合するように選択または設計されていてもよい。免疫細胞の非限定的な例としては、顆粒球(好塩基球、好酸球、好中球など)、肥満細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球(B細胞、T細胞など)、NK細胞が挙げられる。例えば、2つ以上の抗原は、悪性細胞と関連付けられていてもよい(ヒト上皮増殖因子受容体2(Her2/neu)、癌胎児性抗原など)。
【0194】
ある態様において、第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、第1細胞型の表面にある同じ抗原に結合する。第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、第2細胞型にある同じ抗原に結合する。例えば、2つ以上の抗体は、同一の抗原にある異なるエピトープに結合するように設計されていてもよい。ある態様において、第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体は異なる抗原に結合し、これらの抗原は、第1細胞型の表面において互いに近接している。第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体は異なる抗原に結合し、これらの抗原は、第2細胞型の表面において互いに近接している。例えば、2つ以上の抗体の第1サブセットは、細胞にある第1標的(T細胞受容体など)に結合するように設計されていてもよい。2つ以上の抗体の第2サブセットは、細胞にある第2近接標的(CD3など)に結合するように設計されていてもよい。このとき、T細胞受容体およびCD3は、T細胞の活性化に対応して細胞膜上で複合体を形成する。
【0195】
いくつかの実施形態においては、上述の組成物を1つ以上備えているキットが提供される。本明細書において用いられるとき、「キット」とは、通常、本発明の組成物および/または本発明と関連する他の組成物を1つ以上備えているパッケージまたは組合せ品を表す(例えば、上述した通り)。いくつかの実施形態において、各キットは、2つ以上の粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを備えている(これらの非制限的な態様は、本明細書に記載の通りである)。例えば、キットは、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析するための、2つ以上の粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを備えていてもよい。例えば、キットは、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重分析するための、2つ以上の粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを備えていてもよい。例えば、キットは、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するための、2つ以上の粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを備えていてもよい。例えば、キットは、試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析するための、2つ以上の粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを備えていてもよい。
【0196】
他の実施形態においては、複数のキットを組合せて多重分析を行ってもよい。例えば、第1キットは、1つ以上の第1粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを備えていてもよい。1つ以上の第2キットは、1つ以上の第2粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを備えていてもよい。第1キットおよび1つ以上の第2キットを組合せて、サンプル中の2つ以上の標的を多重分析する。このようにして、特定の粒子群を備えているキットを混合し、多重分析に好適となるように適合させられる。
【0197】
キットに備わっている各組成物、例えば、各粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、液体状態(溶液など)で提供されてもよいし、固体形態(乾燥粉末など)で提供されてもよい。キットは、反応液滴の形成に使用される1つ以上の乳化剤をさらに備えていてもよい(鉱物油、界面活性剤など)。キットは、粒子群と1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブとの反応に適している、他の組成物をさらに備えていてもよい(1つ以上の反応試薬など)。例えば、キットは、増幅反応に必要な反応試薬を備えていてもよい。例えば、キットは、細胞(哺乳動物細胞、細菌など)の培養に必要な反応試薬を備えていてもよい。キットは、説明書をさらに備えていてもよい。例えば、キットは、キットに関連する組成物および/または他の組成物の使用、修飾、混合、稀釈、保存、投与、組立て、保管、包装および/または調製のための説明書を備えていてもよい。説明書は、説明書を取得する適当な手段として当業者に認識されうる任意の形態で提供されてよい。例えば、筆記または発行された説明書、口頭による説明書、音声による説明書、デジタル説明書、光学的説明書、視覚的説明書、電子通信による説明書(インターネットまたはウェブに基づく通信を介する説明書)が挙げられる。
【0198】
多重分析のための方法を以下に説明する。
図7は、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析する方法700の非限定的な例のブロック図である。方法700は、ブロック710において、試験サンプル、1つ以上の反応試薬、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なリポータープローブを水性媒体中において組合せる工程を含む。第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解する。第1粒子群の各粒子は、第1標的に対して特異的である、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群と関連付けられている。光学的に検出可能な第1識別子は、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群を示している第1波長を放出できる。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解する。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2標的に対して特異的である、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群と関連付けられている。光学的に検出可能な第2識別子は、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群を示している第2波長を放出する。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群と試験サンプル中の第1標的との反応、および/または、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群と試験サンプル中の第2標的との反応に対応して、第3波長を構成的に放出する。ブロック720においては、水性媒体に非混和性担体流体を加えることによって、複数の反応液滴を形成させる。ブロック730においては、形成された複数の反応液滴との反応を実行する。ブロック740においては、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群を示している第1波長、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群を示している第2波長、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによる構成的な放出を示している第3波長について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部に対して調べる。ブロック750においては、第1波長および第3波長の両方が放出されている、形成された反応液滴の数を記録する。ブロック760においては、第2波長および第3波長の両方が放出されている形成された反応液滴の数を記録する。
【0199】
方法700は、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析するための工程を提供する。2つ以上の標的は、2つ以上の特異的な標的を試験サンプル中に含んでいてもよい。2つ以上の標的は、2つ以上の特異的な分析対象を試験サンプル中に含んでいてもよい。例えば、2つ以上の標的は、2つ以上の特異的なDNA標的、RNA標的、タンパク質標的、抗原標的、炭水化物標的、脂質標的を含んでいてもよい。例えば、2つ以上の標的は、オリゴヌクレオチド、ペプチド、受容体、細胞表面マーカー、小分子化合物、有機化合物、無機化合物をさらに含んでいてもよい。例えば、2つ以上の標的は、特定の細胞型(血液、体液または組織細胞、細菌、真菌、寄生生物など)に関連付けられている、2つ以上の標的(DNA、RNA、タンパク質、炭水化物、脂質など)を含んでいてもよい。
【0200】
方法700は、水性媒体中において、試験サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを組合せる工程を含む。ある態様において、水性媒体は、水を含んでいる。ある態様において、水性媒体は、生理食塩水を含んでいる。例えば、水性媒体は、0.9%塩化ナトリウム水溶液を含んでいてもよい。ある態様において、水性媒体は、緩衝液を含んでいる。例えば、水性媒体は、リン酸緩衝液(PBS)を含んでいてもよい。ある態様において、水性媒体は、細胞培養培地を含んでいる。例えば、水性媒体は、単離された哺乳動物細胞の培養および増殖に適した細胞培養培地を含んでいてもよい。例えば、水性媒体は、細菌の培養および増殖に適した栄養豊富な培地またはブロスを含んでいてもよい(Luriaブロスなど)。例えば、水性媒体は、他の微生物(酵母、他の真菌など)の培養および増殖に適切な培養ブロスを含んでいてもよい。
【0201】
方法700は、ブロック710において、試験サンプルを水性媒体と組合せる工程を含む。ある態様において、試験サンプルは、試験サンプルの複合体であり、多くの成分を含んでいる。ある態様において、試験サンプルは、2つ以上の成分を含んでいる単純な試験サンプルまたは規定された試験サンプルである。ある態様において、試験サンプルの少なくとも一部は、体液(血液、尿、リンパ液、痰、脳脊髄液、精液、唾液、滑液、粘液、羊水、膣分泌物、母乳、胆汁、房水、胃酸、膿、痰、糞便または他の体液もしくは分泌物など)、組織サンプル(生検サンプルなど)、またはスワブサンプル(身体表面または身体の一部の表面から採取されたスワブサンプル)を含んでいる。いくつかの実施形態において、試験サンプルは、環境サンプルを含んでいる(水、空気、土壌、表面、食物、飲料、医薬品などのサンプル)。ある態様において、試験サンプルは、他の試薬と組合せる前に何らかの方法で処理されている。例えば、試験サンプルを他の試薬と組合せる前に、サンプルからDNAまたはRNAを抽出するための処理を施してもよい。例えば、試験サンプルを他の試薬と組合せる前に、タンパク質、ペプチド、脂質、炭水化物または他の細胞成分のうち1つ以上を抽出するための処理を施してもよい。ある態様において、試験サンプルは、既定された標的集団を含んでいる規定サンプルである。例えば、多重分析において使用するための規定された数および標的群を含むように、試験サンプルを処理してもよい。
【0202】
方法700は、ブロック710において、1つ以上の反応試薬を水性媒体に加える工程を含む。ある態様において、1つ以上の反応試薬は、多重分析を実施するために必要および/または充分である。ある態様において、1つ以上の反応試薬は、増幅反応の実行に適した1つ以上の試薬を含んでいる。例えば、1つ以上の反応試薬は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅を行うための1つ以上の試薬を含んでいてもよい。このような試薬の例としては、DNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼなど)、デオキシヌクレオシド三リン酸またはデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、緩衝液、2価カチオン(マグネシウムイオン、マンガンイオンなど)および1価カチオン(カリウムイオンなど)が挙げられる。ある態様において、1つ以上の反応試薬は、定温における増幅に適した1つ以上の試薬を含んでいる。このような試薬の非限定的な例は、本明細書において上述した通りである。
【0203】
ある態様において、1つ以上の反応試薬は、増殖培地または培養培地の1つ以上の成分を含んでいる。例えば、1つ以上の反応試薬は、細胞培養用の増殖培地または培養培地の成分を含んでいてもよい。1つ以上の反応試薬は、合成的または化学的に規定されていてもよいし、合成的または化学的に規定されていなくてもよい。培養培地または増殖培地は、微生物(細菌、真菌など)または細胞(組織培養細胞、初代細胞など)の増殖を補うの成分を含んでいてもよい。培地は、炭素源(グルコースなど)、種々の塩類、アミノ酸源および窒素源を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、培養培地または増殖培地は、細胞型を選択的に増殖させる選択培地を含んでいる。いくつかの実施形態において、培養培地または増殖培地は、細胞型の選択的な増殖を検出するための示差培地または指標培地を含んでいる。1つ以上の反応試薬は、所定の細胞型の成長を促進するために必要となる、種々の任意の栄養素、アミノ酸、脂質、炭水化物、糖および塩類を含んでいてもよい。
【0204】
ある態様において、1つ以上の反応試薬は、化学反応に必要または充分な1つ以上の試薬を含んでいる。ある態様において、1つ以上の反応試薬は、酵素反応に必要または充分な1つ以上の試薬を含んでいる。例えば、反応試薬は、ライゲーション反応に必要なリガーゼおよび他の試薬を含んでいてもよい。例えば、1つ以上の反応試薬は、酵素、基質、緩衝液、塩、イオン、無機補因子または有機補因子、補酵素、および所定の酵素反応に必要または充分な他の任意の試薬を含んでいてもよい。
【0205】
方法700は、ブロック720において、不混和性キャリア流体を水性媒体に加えることによって複数の反応液滴を形成させる工程をさらに含んでいる。試験サンプル中の潜在的な標的と、水性媒体中の2つ以上の粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブとは、複数の反応液滴中に確率論的に分配される。不混和性キャリア流体は、油を含んでいてもよい。油の非限定的な例としては、鉱物油、フタル酸ジオクチル(DOP)、オレイン酸、オクタメチルトリシロキサン(OMTS)、フッ素化油、過フッ素化油、フッ化炭素油(例えば、3M Company, Minneapolis MN製のFluorinert(TM)FC-40)が挙げられる。いくつかの実施形態において、不混和性キャリア流体は、界面活性剤をさらに含んでいる。例えば、不混和性キャリア流体は、0.01%~2%(v/v)の界面活性剤を含有しているフッ化炭素基油を含んでいてもよい。ある態様において、界面活性剤は、洗剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤および/または分散剤として作用してもよい。界面活性剤の非限定的な例としては、Zonyl (R) FSO-100、ABIL (R) EM 90、Tween 20、Triton X-100およびSPAN 80が挙げられる。
【0206】
ある態様において、方法700は、バルクエマルションによって複数の反応液滴を形成させる工程を含む。例えば、水性媒体および不混和性キャリア流体の混合物を激しく振盪することによって、複数の反応液滴を形成してもよい。いくつかの実施形態において、振盪によるバルクエマルションは、手動で行ってもよい(例えば、手で激しく振盪することによって)。いくつかの実施形態において、振盪によるバルクエマルションは、より特定の振盪(ボルテックス、超音波処理など)を行う機械によって行ってもよい(ボルテックスミキサー、ソニケーターなど)。
【0207】
ある態様において、方法700は、マイクロエマルション化または2相マイクロ流体のフローフォーカシングによって複数の反応液滴を形成させる工程を含む。例えば、Gu, et al. (2011) Int. J. Mol. Sci. 12(4):2572-2597を参照(参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、不混和性キャリア流体(油中など)に分散しており、サンプル、反応試薬、2つ以上の粒子群および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを含んでいる水性媒体の液滴を、フローフォーカシング用の装置配置によって形成してもよい。ある態様においては、T字型デバイスを使用して複数の反応液滴を形成させる。例えば、ポンプまたは圧力によってマイクロ流体デバイスに水性媒体を流通させ、これとは別に水性媒体の流れに対して垂直方向に不混和性キャリア流体を流通させ(T字型の接合部を介して)、水性液滴をピンチオフすることにより、反応液滴を形成させられる。ある態様においては、フローフォーカシングデバイスを使用して複数の反応液滴を形成させる。例えば、水性媒体をマイクロ流体デバイスの中央チャネルに流通させ、両側のチャネルから水性媒体の流れに対して垂直方向に不混和性キャリア流体を流通させ、その後、流路内の小さなオリフィスを通過させて液滴をフォーカスおよびピンチオフすることにより、反応液滴を形成させられる。2相マイクロ流体のフローフォーカシングにより液滴を形成させるデバイスは、市販されている(Bio-Rad Laboratories Inc., Hercules, CA製のX200 Droplet Generator;MSP Corporation, Shoreview, MN製のModel 1530 Monodisperse Droplet Generatorなど)。
【0208】
ある態様において、方法700は、マイクロ流体チップを使用して複数の反応液滴を形成させる工程を含む(SlipChipまたは類似の技術などを使用する)。例えば、Du et al. (2009) Lab Chip 9(16):2286-2292を参照(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0209】
方法700は、ブロック730において、形成された複数の反応液滴との反応を実行する工程をさらに含む。反応の例としては、化学反応、酵素反応または生化学反応、結合反応、増殖反応、阻害反応が挙げられる。ある態様において、方法は、増幅反応を実施する工程を含む。例えば、2つ以上の粒子群の各粒子に関連付けられている標的に特異的な1つ以上の試薬群は、増幅プライマー群を含んでいてもよい。反応試薬は、増幅反応の実行に充分な試薬を含んでいてもよい。ある態様において、増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅を含む。ある態様において、増幅反応は、定温における増幅反応を含む。定温における増幅反応の非限定的な例としては、RPA(recombinase polymerase amplification)、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)、NASBA(nucleic acid sequence based amplification)、HAD(helicase-dependent amplification)、NEAR(nicking enzyme amplification reaction)が挙げられる。
【0210】
方法700は、ブロック740において、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群を示している第1波長の放出、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群を示している第2波長の放出、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによる構成的な放出を示している第3波長のうち少なくとも1つについて、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程は、複数の反応液滴をそれぞれ調べる工程を含む。他の実施形態において、複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程は、複数の反応液滴の代表的な部分または統計的に有意な部分を調べて、第1波長、第2波長、第3波長およびこれらの組合せを放出している反応液滴の数および/または割合を外挿できるようにする工程を含む。
【0211】
ある態様において、方法700は、複数のレーザ、発光ダイオードおよび/または帯域幅フィルタによって形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べ、当該反応液滴のうち調べられた部分において生じている反応を、調べて記録する工程を含む。ある態様において、調べる工程は、平面上で実行される(マルチウェルプレート、顕微鏡スライドなど)。例えば、反応液滴の少なくとも一部を、光学顕微鏡で調べてもよい。例えば、第1波長、第2波長、第3波長またはこれらの組合せのうち1つ以上の蛍光を放出している反応液滴反応液滴の少なくとも一部を、種々のフィルタキューブを備えた蛍光顕微鏡で調べて、検出できるようにしてもよい。例えば、反応液滴の代表的なサンプルを、顕微鏡スライド上(または同様の平面基板上)に配置して、第1蛍光波長(赤色など)、第2蛍光波長(青色など)および第3蛍光波長(緑色など)を分析してもよい。
【0212】
ある態様において、方法700は、複数のレーザ、発光ダイオードおよび/または帯域幅フィルタ、ならびに高速デジタル信号処理によって形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べ、個々の反応液滴において生じている反応を記録する工程を含む。例えば、第1波長、第2波長および第3波長の放出について複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程は、反応液滴の発光(蛍光など)を調べる手段を備えている液滴リーダにより実施してもよい。液滴リーダの非限定的な例としては、QX200 Droplet Reader(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA製)が挙げられる。ある態様において、方法は、第1波長、第2波長および第3波長の放出について、複数の反応液滴の少なくとも一部をフローサイトメトリーで調べる工程を含む。
【0213】
ある態様において、方法700は、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を電磁エネルギーで調べる工程を含む。例えば、光の照射(または環境光の使用)により反応液滴を調べて、反応液滴の少なくとも一部の各々に由来する、1つ以上の波長の放出(色など)を観測してもよい。例えば、光学顕微鏡で反応液滴を調べてもよい。このとき、異なる色の反応液滴の数を手動で数えてもよいし、自動で数えてもよい(複数の領域のデジタル画像を撮像し、信号処理を施して、異なる色の反応液滴の数を数える)。
【0214】
ある態様において、方法700は、形成された複数の反応液滴に特定の波長または波長帯を照射して、反応液滴に関連付けられている光学的に検出可能な識別子および/または光学的に検出可能なレポータープローブに由来する波長または波長帯の放出を誘導する工程を含む。例えば、複数の反応液滴の各々を、レーザ(ヘリウム-ネオンレーザ、アルゴンレーザなど)の電磁エネルギーで調べて、反応液滴に関連付けられている1つ以上の光学的に検出可能な識別子および/または光学的に検出可能なレポータープローブに由来する蛍光(赤色蛍光、緑色蛍光、黄色蛍光、青色蛍光など)の放出を誘導してもよい。反応液滴を調べるために使用するレーザの例としては、気体レーザ、固体レーザ、フォトニック結晶レーザ、半導体レーザ(レーザダイオードなど)色素レーザが挙げられる。
【0215】
方法700は、ブロック750および760において、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べた結果を記録する工程を含む。方法700は、ブロック750において、第1波長および第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程を含む。ある態様においては、第1波長および第3波長の両方を放出している反応液滴を、陽性の液滴に分類してもよい。所与の反応液滴について、第1波長を放出していることは、第1粒子群の1つ以上の粒子が反応液滴に組み込まれていることを示している。第1波長は、第1標的と相関している。同一の反応液滴が第3波長を放出しているならば、所望の反応(増幅など)が起こり、所望の標的(第1標的など)が実際に試験サンプル中に存在し増幅されたことを示している。方法700は、ブロック760において、第2波長および第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程をさらに含む。第2波長を放出している液滴は、当該反応液滴に組み込まれている、1つ以上の第2粒子群の粒子を1つ以上有している。第2波長は、第2標的と相関している。同一の液滴が第2波長および第3波長の両方を放出しているならば、第2標的がサンプル中で同定されたことを示している。ある態様においては、第2波長および第3波長の両方を放出している反応液滴を、第2標的を示している陽性の液滴と分類してもよい。一般的には、手動の計数または信号処理と組合せた自動の計数のいずれかによって、第1波長、第2波長および第3波長のうち1つ以上を放出している反応液滴の数および/または割合を計数する。
【0216】
ある態様において、方法は、第1波長および第3波長を放出している反応液滴の数と、第2波長および第3波長を放出している反応液滴の数とを記録する工程を含む。例えば、記録する工程は、赤色蛍光および青色蛍光の両方を放出する液滴の数と、緑色蛍光および青色蛍光の両方を放出する液滴の数を記録する工程を含んでもよい。ある態様において、記録する工程は、第1波長および第3波長を放出していると調べられた反応液滴の割合と、第2波長および第3波長を放出していると調べられた反応液滴の割合とを提供する工程を含んでもよい。例えば、記録する工程は、赤色蛍光および青色蛍光の両方を放出する液滴の割合と、緑色蛍光および青色蛍光の両方を放出する液滴の割合とを記録する工程を含んでもよい。ある態様においては、数値的な記録をしてもよい。例えば、陽性液滴の数または割合を記録してもよい。ある態様においては、画像的な記録をしてもよい。例えば、記陽性液滴を表す画像表現を記録してもよい(散布図、棒グラフなど)。
【0217】
いくつかの実施形態において、
図7に示す方法は、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重分析するために設計または構成されている(
図8のブロック図を参照)。
図8は、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列標的を多重分析する方法800の各工程を示している。方法800は、ブロック810において、試験サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを、水性媒体中において組合せる工程を含む。第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解する。第1粒子群の各粒子は、第1核酸配列と相互作用するように選択されている第1増幅プライマー群と、第1増幅プライマー群を示している第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と、に関連付けられている。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解する。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2核酸配列と相互作用するように選択されている第2増幅プライマー群と、第2増幅プライマー群を示している第2波長を放出している光学的に検出可能な第2識別子と、に関連付けられている。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、第1核酸配列の増幅および/または第2核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる。ブロック820においては、不混和性キャリア流体を水性媒体に加えることにより、複数の反応液滴が形成される。ブロック830においては、形成された複数の反応液滴との増幅反応を実行する。ブロック840においては、形成された反応液滴内における第1核酸配列および/または第2核酸配列の増幅に対応する、(i)第1増幅プライマー群を示している第1波長の放出、(ii)第2増幅プライマー群を示している第2波長の放出、および、(iii)1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによる構成的な放出を示している第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる。ブロック850においては、第1波長および第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する。ブロック860においては、第2波長および第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する。
【0218】
いくつかの実施形態において、
図7に示す方法は、試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重分析するために設計または構成されている。この方法は、試験サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上の蛍光性インターカレート剤を、水性媒体中において組合せる工程を含んでもよい。第1粒子群の各粒子は、第1温度条件に対応して分解する。第1粒子群の各粒子は、第1細菌性核酸配列と相互作用するように選択されている第1増幅プライマー群と、第1増幅プライマー群を示している第1波長を放出できる第1蛍光識別子と、に関連付けられている。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2温度条件に対応して分解する。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2細菌性核酸配列と相互作用するように選択されている第2増幅プライマー群と、第2増幅プライマー群を示している第2波長を放出している第2蛍光識別子と、に関連付けられている。1つ以上の蛍光性インターカレート剤は、第1細菌性核酸配列の増幅および/または第2細菌性核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる。この方法は、不混和性キャリア流体を水性媒体に加えることにより、複数の反応液滴を形成させる工程を含んでもよい。この方法は、形成された複数の反応液滴に対して増幅反応を実行する工程を含んでもよい。この方法は、形成された反応液滴における第1細菌性核酸配列および/または第2細菌性核酸配列の増幅に対応する、第1増幅プライマー群を示している第1波長の放出、第2増幅プライマー群を示している第2波長の放出、および1つ以上の蛍光性インターカレート剤の構成的な放出を示している第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程を含んでもよい。この方法は、第1波長および第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程を含んでもよい。この方法は、第2波長および第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程を含んでもよい。
【0219】
いくつかの実施形態において、
図7に示す方法は、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するために設計または構成されてもよい(例えば、
図9のブロック図を参照)。
図9は、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析する方法900の工程を示している。方法900は、ブロック910において、細菌サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを水性媒体中において組合せる工程を含む。第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解する。第1粒子群の各粒子は、第1細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している第1抗生物質と、第1抗生物質を示している第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と、に関連付けられている。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解する。1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している第2抗生物質と、第2抗生物質を示している第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と、に関連付けられている。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長を構成的に放出できる。ブロック920においては、不混和性キャリア流体を水性媒体に加えることにより、複数の反応液滴を形成させる。ブロック930においては、形成された複数の反応液滴との反応を実行する。ブロック940においては、細菌サンプルにおける細菌の生存に対応する、第1抗生物質を示している第1波長の放出、第2抗生物質を示している第2波長の放出、および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ構成的な放出を示している第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる。ブロック950において、第1波長および第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する。ブロック960において、第2波長および第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する。
【0220】
ある態様において、方法900は、細菌サンプルおよび抗生物質を含んでいる形成された複数の反応液滴との反応を実行する工程を含む。いくつかの実施形態において、この反応は、増殖アッセイを含んでいる。この増殖アッセイにおいて、細菌サンプルにおける細菌は、多重アッセイに含まれている抗生物質に対する感受性に応じて増殖の可否が決定される。
【0221】
いくつかの実施形態において、
図7に示す方法は、試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析するために設計または構成されている(例えば、
図10のブロック図を参照)。
図10は、試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析する方法1000の工程を示している。方法1000は、ブロック1010において、試験サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを、水性媒体において組合せる。第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解する。第1粒子群の各粒子は、第1抗体群と、第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と、に関連付けられている。第1抗体群は、第1抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる。第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。光学的に検出可能な第1識別子は、第1抗体群を示している。第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解する。第2粒子群の各粒子は、第2抗体群と、第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と、に関連付けられている。第2抗体群は、第2抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる。第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有している。光学的に検出可能な第2識別子は、第2抗体群を示している。1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第1抗原上の近接標的との結合、および/または、第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第2抗原上の近接標的との結合に対応して、第3波長を構成的に放出できる。ブロック1020においては、不混和性キャリア流体を水性媒体に加えることによって、複数の反応液滴を形成させる。ブロック1030においては、形成された複数の反応液滴との反応を実行する。ブロック1040においては、第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第1抗原上の近接標的との結合、および/または、第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第2抗原上の近接標的との結合に対応する、第1抗体群を示している第1波長の放出、第2抗体群を示している第2波長の放出、および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブの構成的な放出を示している第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる。ブロック1050においては、第1波長および第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録するブロック1060においては、第2波長および第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する。
【0222】
ある態様において、方法1000は、試験サンプルおよび修飾されている抗体群を含んでいる形成された複数の反応液滴との反応を実行する工程を含む。いくつかの実施形態において、方法1000は、抗体による近接アッセイを実施する工程を含む。例えば、この反応は、ドナー-アクセプター対で修飾されている抗体群を標的に結合させる工程と、ドナー-アクセプター対に由来するシグナルを測定する工程を含んでもよい。いくつかの実施形態において、方法1000は、増幅反応を実施する工程を含む。例えば、この反応は、抗体群に関連付けられているオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションによって形成された鋳型を増幅する工程を含んでもよい。いくつかの実施形態において、方法1000は、ライゲーション反応と、これに引き続く増幅反応を実施する工程を含む。例えば、この反応は、抗体群に関連付けられているオリゴヌクレオチド対の末端をライゲーションして、増幅(PCR増幅、定温における増幅など)用の鋳型を形成させる工程を含んでもよい。
【実施例】
【0223】
〔実施例1:試薬を用いたアガロース粒子の形成〕
蛍光性のFluoSpheresを含有しているアガロース粒子の形成方法を説明する。
【0224】
粒子の形成に用いる0.50%アガロース溶液を、以下のように調製した。まず、275mgの低融点アガロース(Sigma A9414)を50mLの水に加え、電子レンジで1分間加熱して、低融点アガロースを溶解させた。3.6mLのアガロース溶液および400μLのFluoSpheres F8801(580/605nmの赤色蛍光;Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を、4mLのガラスバイアル中で混合した。アガロース/FluoSpheres溶液は、温かさを保った。
【0225】
3%のSPAN80を含有している鉱物油溶液は、以下のように調製した。まず、120μLのSPAN80(界面活性剤)を3.88mLの鉱物油に加えた。激しく振盪して、界面活性剤と鉱物油とが適切に混合されるようにした。
【0226】
Dolomite microfluidics system(Dolomite Microfluidics, Norwell, MA)を使用して、以下のようにアガロース粒子を形成させた。
【0227】
ホットプレートでリモートチャンバを130℃に加熱した。鉱物油溶液および加熱したアガロース溶液を送液するポンプに下準備を施し、マイクロ流体チップに接続した。チップに500mbarで油を流通させて、システムを下準備した。次に、システムにアガロースを流通させ、アガロース液滴が形成されるように圧力を調節した。形成されたアガロース粒子を回収し、4℃にて油中に保存した。
【0228】
アガロース粒子から油を除去するために、アガロース粒子を水で1:50に稀釈し、Amicon Ultra-0.5 Centrifugal Filter Deviceに入れ、14,000×gにて5分間遠心分離した。さらに2回の濾過を、水で1:50に稀釈して繰り返した。
【0229】
図11A~11Dは、形成されたアガロース粒子およびFluoSpheres F8801に関連付けられている蛍光を示している。
図11Aは、鉱物油/SPAN80中における形成されたアガロース粒子1100の、200倍の明視野顕微鏡像を示している。
図11Bは、
図11Aの明視野像と、同視野の蛍光像とを重ね合せた合成画像を示している。このグレースケールの画像において、FluoSpheres F8801からの赤色蛍光は、アガロース粒子1100と重なっている輝点1110として見られる。
図11Cは、水で複数回洗浄した後における形成されたアガロース粒子1100の、200倍の明視野顕微鏡像を示している。
図11Dは、
図11Cの明視野像と、同じ視野の蛍光像とを重ね合せた合成画像を示している。このグレースケールの画像において、FluoSpheres F8801からの赤色蛍光は、輝点1110として見られる。
【0230】
〔実施例2:量子ドットを用いた反応液滴の形成〕
低融点アガロース粒子を上述の方法で形成させた。粒子を形成させる際に、CdSeS/ZnS合金化量子ドット(蛍光放射:630nm)をアガロースに加えた。
図12は、形成されたアガロース粒子の、200倍の蛍光顕微鏡像を示している。粒子1200aおよび1200bに表されるように、アガロース粒子は、関連付けられている量子ドットによる蛍光を放出する。
【0231】
〔実施例3:増幅反応〕
反応液滴を用いて増幅反応を行った。上述の方法で、低融点アガロースを用いて粒子群を調製した。この粒子は、E. coliのrodA遺伝子を増幅するフォワード増幅プライマーおよびリバース増幅プライマーと、光学的に検出可能な識別子として630nmの蛍光を放出するCdSeS/ZnS合金化量子ドットと、を含んでいた。光学的に検出可能なレポータープローブは、配列特異的なプローブであり、FAM蛍光体(蛍光放射:520nm、緑色)およびBHQ1消光体を有していた。
図13は、PCR増幅後における、形成された反応液滴の200倍の顕微鏡像を示している。明るい反応液滴1300は、増幅に関して陽性である。すなわち、FAM蛍光体が消光されておらず、検出可能な蛍光を放出している。このことは、画像化された反応液滴1300には、所定の標的と、増幅プライマーを含んでいる1つ以上のアガロース粒子とが含まれていることを示唆している。
【0232】
〔実施例4:増幅プライマーを用いた複数の粒子群の形成〕
多重PCR反応を行い、サンプルに含まれる敗血症に関する4種類の細菌由来のDNAを検出するシステムには、少なくとも、第1粒子群、第2粒子群、第3粒子群、第4粒子群およびレポータープローブが含まれている。
【0233】
Staphylococcus aureusに特異的な第1粒子群を、以下のように調製する。Staph ST228遺伝子に特異的なフォワードプライマーおよびリバースプライマー(各500nM)と、FluoSpheres F8801(赤色蛍光:580/605nm;Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA製)とを、0.5~3.0%低融点アガロース水溶液(65℃)に加えた溶液を、加熱したマイクロ流体デバイスの中央チャネルに流通させる。次に、鉱物油/1%SPAN80(v/v)でフォーカスして、14ミクロンノズルを通過させる。これにより、直径5~30ミクロンの液滴を調製する。得られた第1液滴群を30分間冷却して、固化させる(そして、XまたはY?中で保存する前に、Xでリンスする)。
【0234】
メチシリン耐性細菌(MRSA細菌)であるStaphylococcus aureusに特異的な第2粒子群を、以下のように調製する。Staph mecA遺伝子(第一線級の抗生物質に対する耐性を示す遺伝子)に特異的なフォワードプライマーおよびリバースプライマー(各500nM)と、FluoSpheres F8797(350/440nmの青色蛍光;Thermo Fisher Scientific製)とを、0.5~3.0%低融点アガロース水溶液(65℃)に加えた溶液を、加熱したマイクロ流体デバイスの中央チャネルに流通させる。次に、鉱物油/1%SPAN80(v/v)でフォーカスし、冷却して、第1粒子群と同様に保存する。
【0235】
E. coliに特異的な第3粒子群を、以下のように調製する。Ecoli rodA遺伝子に特異的なフォワードプライマーおよびリバースプライマー(各500nM)と、FluoSpheres F8800(540/560nmの橙色蛍光;Thermo Fisher Scientific製)とを、0.5~3.0%の低融点アガロース水溶液(65℃)に加えた溶液を、加熱したマイクロ流体デバイスの中央チャネルに流通させる。次に、鉱物油/1%SPAN80(v/v)でフォーカスし、冷却して、第1粒子群と同様に保存する。
【0236】
Streptococcus pneumoniaeに特異的な第4粒子群を、以下のように調製する。Strep lytA遺伝子に特異的なフォワードプライマーおよびリバースプライマー(各500nM)と、FluoSpheres F8789(660/680nmの暗赤色蛍光;Thermo Fisher Scientific製)とを、0.5~3.0%の低融点アガロース水溶液(65℃)に加えた溶液を、加熱したマイクロ流体デバイスの中央チャネルに流通させる。次に、鉱物油/1%SPAN80(v/v)でフォーカスし、冷却して、第1粒子群と同様に保存する。
【0237】
レポータープローブは、EvaGreen(498/533nmの緑色蛍光;Biotium, Inc., Fremont CA製)である。いくつかの実施形態においては、それぞれのアガロース粒子群を調製する際に、4つの各粒子群にEvaGreenが組み込まれる。いくつかの実施形態においては、PCR反応液滴が確率的に形成される際に、EvaGreenを加える(下記参照)。
【0238】
〔実施例5:DNAの単離〕
敗血症と診断された固体の血液サンプルから、標準的な手法によりDNAを単離する。要約すると、被験体の指先を穿刺して、少量の血液(例えば200μL)を採取する。市販のDNA抽出キット(QIAamp DNA Blood(QIAGEN, North American Headquarters, Germantown, MD製)または類似のキットなど)を、血液からDNAを抽出する際に使用できる。具体的には、サンプルをプロテアーゼまたはプロテイナーゼKで処理し、DNAをスピンカラムに結合させ、洗浄し、溶出させる。溶解が困難であるグラム陽性細菌を溶解させるのに充分な追加の溶解剤(リゾチーム(20mg/mL)および/またはリゾスタフィン(200μg/mL)など)で、血液サンプル前処理してもよい。
【0239】
〔実施例6:反応液滴を形成および増幅の実行〕
4つの粒子群により敗血症サンプル中における細菌DNAの存在を決定する方法には、少なくとも以下の工程が含まれる。4つの粒子群のうち複数を含んでいる水溶液を、血液から抽出されたゲノムDNA、レポータープローブであるEvaGreen、およびPCRマスターミックスと、緩衝液中で混合する。PCRマスターミックスには、DNAポリメラーゼ(TaqDNAポリメラーゼなど)、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dATP、dTTP、dGTP、dCTPなど)および塩化マグネシウムが含まれている。いくつかの実施形態においては、EvaGreenを含んでいるPCRマスターミックスを使用してもよい(例えば、Biotium製のもの)。
【0240】
上述の成分を含んでいる反応液滴を、以下のように調製する。上述の水溶液と油/界面活性剤混合物(鉱物油/1%SPAN80(v/v)など)との比率が1:2となるように、1.7mLのエッペンドルフチューブに加える。この不混和性流体を、ボルテックスミキサー(VWR analog vortex mixer(cat. # 10153-838; Radnor, PA, USA)など)を用いて、最大速度にて10~20秒間ボルテックスして、多分散液滴群を調製する。他の方法としては、マイクロ流体チップを使用し、油/界面活性剤混合物でフォーカスすることにより、自動液滴発生装置(例えば、BioRad, Hercules, CA, USA製)中にて上述の水溶液から反応液滴を調製する。
【0241】
次に、サーモサイクラー(例えば、BioRad, Hercules, CA製のC100 thermocyclerまたはC1000 thermocycler)に反応液滴を流通させる。このときのプロトコルは、以下の通りである。50℃にて60分間維持→95℃にて10分間維持→95℃にて30秒間および60℃にて1分間を40サイクル。Fluo spheresおよびEvaGreenに関連付けられている蛍光を、蛍光リーダ(QX200 Droplet Reader, BioRadなど)および適当なソフトウェアにより読み取る。
【0242】
〔実施例7:試験サンプル中の細菌の多重分析〕
試験サンプル水の中の細菌を多重分析するためのシステムの例について説明する。
【0243】
このシステムには、腸内細菌(E. coliなど)を検出する酵素基質である4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニド(MUG)と、一般的な細胞増殖マーカーであるレサズリンとを含んでいる粒子群が含まれる。メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニドは、β-D-グルクロニドに加水分解されることにより、青色蛍光を放出するようになる。レザズリンは、細胞透過性かつ無毒性の酸化還元指示薬であり、生存細胞では還元されて、赤色蛍光を放出するレゾルフィンになる。メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニドおよびレサズリン(例えば、いずれもSigma-Aldrich, St. Louis, MO製)を含んでいる粒子を、0.5~3.0%の低融点アガロース水溶液(65℃)に混合し、加熱したマイクロ流体デバイスの中央チャネルを流通させる。次に、鉱物油/1%SPAN80(v/v)でフォーカスし、冷却して、保存する。
【0244】
試験サンプル水を、粒子群および栄養ブロス(LBブロスなど)と混合する。水溶液を不混和性キャリア流体(鉱物油など)混合して、反応液滴を形成させる。この液滴には、細菌が含まれている(Byrnes et al. Analyst (2018) 143:2828-2836を参照。参照により本明細書に組み込まれる)。ボルテックスミキサーを使用するバルクエマルションによって液滴を調製してもよいし、マイクロ流体デバイスを使用するフローフォーカシングによって液滴を調製してもよい(上記を参照)。
【0245】
〔実施例8:多重イムノアッセイ検出〕
DNA増幅と組合せた多重イムノアッセイ検出するためのシステムの例について説明する。第1粒子群は、IL-8タンパク質に特異的なポリクローナル抗体を含んでいる。第2粒子群は、IL-12タンパク質に特異的なポリクローナル抗体を含んでいる。
【0246】
IL-8およびIL-12のポリクローナル抗体は、種々の販売者から入手できる(販売者の広範な一覧については、linscottsdirectory.comのLinscott's Directoryを参照)。これらのポリクローナル抗体は、いずれも、標的タンパク質にある複数のエピトープに対して反応する。抗IL-8ポリクローナル抗体および抗IL-12ポリクローナル抗体を、製造者の説明書に従って、4-[p-マレイミドフェニル]酪酸スクシンイミジル(SMPB;例えば、Pierce/Thermo Fischer Scientific製)で修飾する。G-50スピンカラムを使用して、過剰なSMPBを除去する。5’基または3’基の一方を-SH基で修飾したオリゴヌクレオチド対を、SMPBで修飾した抗IL-8ポリクローナル抗体および抗IL-12ポリクローナル抗体のそれぞれ半量とインキュベートして、オリゴヌクレオチドと抗体とを架橋させる(例えば、Gullberg, et al. (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. 101:8420-8424を参照。参照により本明細書に組み込まれる)。
【0247】
IL-8タンパク質に特異的な第1粒子群は、以下のように調製する。
【0248】
オリゴヌクレオチド対で修飾した抗IL-8ポリクローナル抗体と、FluoSpheres F8801(580/605nmの赤色蛍光;Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA製)とを、0.5~3.0%低融点アガロース水溶液に加えた溶液(65℃)を、加熱したマイクロ流体デバイスの中央チャネルに流通させる。次に、鉱物油/1%SPAN80(v/v)でフォーカスして、14ミクロンノズルを通過させる。このようにして、直径5~30ミクロンの液滴を生成する。得られた第1液滴群を30分間冷却して、固化させる。
【0249】
IL-12タンパク質に特異的な第2粒子群は、以下のように調製する。オリゴヌクレオチド対で修飾した抗IL-12ポリクローナル抗体と、FluoSpheres F8797(350/440nmの青色蛍光;Thermo Fisher Scientific製)とを、0.5~3.0%低融点アガロース水溶液(65℃)に加えた溶液を、加熱したマイクロ流体デバイスの中央チャネルに流通させる。次に、鉱物油/1%SPAN80(v/v)でフォーカスして、上述の方法で冷却する。
【0250】
レポータープローブは、EvaGreen(498/533nmの緑色蛍光;Biotium, Inc., Fremont CA製)である。いくつかの実施形態においては、各アガロース粒子群を調製する際に、EvaGreenが粒子に組み込まれる。いくつかの実施形態においては、水溶液にEvaGreenを加える(下記参照)。
【0251】
抗IL-8ポリクローナル抗体および抗IL-12ポリクローナル抗体を含んでいる粒子を、EvaGreen、ライゲーション試薬、増幅試薬および試験サンプルを含んでいる水溶液中で混合する。この試験サンプルには、IL-8タンパク質およびIL-12タンパク質が含まれている。ライゲーション試薬/増幅試薬には、T4DNAリガーゼ、コネクター・オリゴヌクレオチド、dNTPおよびDNAポリメラーゼが含まれていてもよい(例えば、Gullberg, et al. (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. 101:8420-8424を参照。参照により本明細書に組み込まれる)。油中水型液滴は、上述の方法で調製する。室温でライゲーションさせた後、上述の方法によりPCRで増幅させる。FluoSpheres 8801、FluoSpheres 8797およびEvaGreenに関連付けられている蛍光を、蛍光リーダで読み取る。
【0252】
当業者が理解するであろうことには、本明細書に上述した要素、装置、対象およびこれらに附随する議論は、概念を明確化するための例示なのであって、種々の構成の変更が意図されている。したがって、本明細書において用いられるとき、記載されている特定の例示および附随する議論は、より一般的な集合を代表していることを意図する。一般的に、何らかの特定の例を使用するときは、その例が含まれる集合を代表していることが意図されており、ある要素、装置および対象が包含されていないと限定的に解釈すべきではない。
【0253】
本明細書に上述した実質的に全ての複数形および/または単数形の用語に関して、文脈および/または用途に応じて適宜、複数形は単数形に読み換えられ、および/または、単数形は複数形に読み換えられる。単数形/複数形の置換は多数あるので、簡潔性のため本明細書では明示的には記載していない。
【0254】
いくつかの例において、本明細書では、1つ以上の要素のことを、「構成されている(configured to, configured by)」「構成可能である(configurable to)」「作動可能である(operable, operative to)」「適用される/適用できる(adapted / adaptable)」「できる(able to)」「適合できる/適合される(conformable / conformed to)」など称することがある。当業者が理解するであろうことには、これらの用語(「構成されている」など)には、文脈上の必要性がない限り、一般的に、活性態の要素、不活性態の要素および/または潜勢態の要素が含まれている。
【0255】
以上、本明細書に上述した主題の特定の態様の内容を示し、説明してきた。しかし、本明細書に記載の主題およびその広汎な態様から逸脱することなく、変更および修正を施すことができる。したがって、これらの変更および修正は本明細書に上述した主題の真正な趣旨および範囲の内部にあるのであるから、添付の特許請求の範囲には、これらの変更および修正の全てが包含されている。本明細書(とりわけ、請求項本文など添付の特許請求の範囲)で使用されている用語は、一般的に、「開かれた」用語と解すべきである。例えば、用語「含んでいる(including)」は、「含んでいるが、これらには限定されない」と解すべきである。用語「有している(having)」は、「少なくとも有している」と解すべきである。用語「含んでいる(includs)」は、「含んでいるが、これらには限定されない」と解すべきである。ある特定の数が請求項に導入されることが意図されている場合、このような意図は請求項に明示的に記載されている。もしもそのような記載がなければ、このような意図は存在しない。理解の一助とするために、添付の特許請求の範囲では、例えば、「少なくとも1つ」「1つ以上」と言った表現を含んでいることがある。しかし、これらの用語を用いたからと言って、請求項の記載に含まれている不定冠詞(a, an)が、ある特定の請求項に限定されることを意図している訳ではない。これは、同じ請求項の中に、「少なくとも1つ」または「1つ以上」と、不定冠詞との両方が含まれている場合でも、同様である。例えば、不定冠詞は、通常、「少なくとも1つ」または「1つ以上」と解すべきである。請求項に含まれている定冠詞に関しても、同様のことが言える。さらに、請求項に特定の数が明示的に記載されている場合であっても、このような記載は、通常、「記載されている数以上」と解すべきである。例えば、単に「2つの記載」とのみ記載されており、他の修飾句を伴わない場合は、通常、「少なくとも2つの記載」または「2つ以上の記載」が意図されている。さらに、「A、BおよびCのうち1つ以上」に類する記載が用いられている場合、これらの記載は、一般的に、当業者が通常に理解する意味を意図している。例えば、「A、BおよびCのうち1つ以上を有しているシステム」には、Aのみを有しているシステム、Bのみを有しているシステム、Cのみを有しているシステム、AおよびBを共に有しているシステム、AおよびCを共に有しているシステム、BおよびCを共に有しているシステムおよび/またはA~Cを共に有しているシステムなどが含まれるが、これらには限定されない。「A、BまたはCのうち1つ以上」に類する記載が用いられている場合、これらの記載は、一般的に、当業者が通常に理解する意味を意図している。例えば、「A、BまたはCのうち1つ以上を有しているシステム」には、Aのみを有しているシステム、Bのみを有しているシステム、Cのみを有しているシステム、AおよびBを共に有しているシステム、AおよびCを共に有しているシステム、BおよびCを共に有しているシステムおよび/またはA~Cを共に有しているシステムなどが含まれるが、これらには限定されない。通常、択一的表現および/または2つ以上の代替語を表している表現は、明細書、特許請求の範囲または図面のいずれに記載されていたとしても、文脈上否定されない限りは、これらの表現のうち1つ、これらの表現のうちの一方、またはこれらの表現のうちの両方を指す可能性を意図していると解すべきである。例えば、「AまたはB」との表現は、通常、「A」「B」または「AおよびB」の可能性を含んでいると解される。
【0256】
本明細書において上述した主題の態様を、下記の段落に番号を振って示す。
【0257】
本明細書において言及されている、および/または、出願データシートに記載されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許文献は、本明細書と矛盾しない限りにおいて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0258】
本明細書において上述した主題の態様を、下記の項目に番号を振って示す。
【0259】
[項目1]
下記(i)および(ii)を含んでいる、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するためのシステム:
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1増幅プライマー群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記第1増幅プライマー群は、第1核酸配列と特異的に相互作用するするように選択されており、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1増幅プライマー群を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2増幅プライマー群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記第2増幅プライマー群は、第2核酸配列と特異的に相互作用するに選択されており、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2増幅プライマー群を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)上記試験サンプル中における上記第1核酸配列の増幅、および/または、上記試験サンプル中における上記第2核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ。
【0260】
[項目2]
上記第1増幅プライマー群および上記第2増幅プライマー群は、1種類以上の細菌に由来する核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている、項目1に記載のシステム。
【0261】
[項目3]
上記第1増幅プライマー群および上記第2増幅プライマー群は、1種類以上の細胞型に由来する核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている、項目1に記載のシステム。
【0262】
[項目4]
上記第1増幅プライマー群および上記第2増幅プライマー群は、1本鎖DNA配列、2本鎖DNA配列またはRNA配列のうち1つ以上と特異的に相互作用するように選択されている、項目1に記載のシステム。
【0263】
[項目5]
上記第1環境条件および上記第2環境条件は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上を含んでいる、項目1に記載のシステム。
【0264】
[項目6]
上記第1環境条件および上記第2環境条件は、同一の環境条件である、項目1に記載のシステム。
【0265】
[項目7]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性物質から形成されている構造を有しており、
上記分解性物質は、上記第1環境条件または上記第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解する、
項目1に記載のシステム。
【0266】
[項目8]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性ゲルから形成されている構造を有している、項目7に記載のシステム。
【0267】
[項目9]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、低融点アガロースから形成されている構造を有している、項目7に記載のシステム。
【0268】
[項目10]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性アルギン酸塩から形成されている構造を有している、項目7に記載のシステム。
【0269】
[項目11]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、易分解性糖質から形成されている構造を有している、項目7に記載のシステム。
【0270】
[項目12]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、温度応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目7に記載のシステム。
【0271】
[項目13]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、pH応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目7に記載のシステム。
【0272】
[項目14]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、化学応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目7に記載のシステム。
【0273】
[項目15]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子が、電場応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目7に記載のシステム。
【0274】
[項目16]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、電磁エネルギー応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目7に記載のシステム。
【0275】
[項目17]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、親水性である、項目1に記載のシステム。
【0276】
[項目18]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有している、項目1に記載のシステム。
【0277】
[項目19]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分布しうる項目1に記載のシステム。
【0278】
[項目20]
上記光学的に検出可能な第1識別子によって放出される上記第1波長は、検出可能な第1色であり、
上記光学的に検出可能な第2識別子によって放出される上記第2波長は、検出可能な第2色であり、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによって構成的に放出される上記第3波長は、検出可能な第3色である、
項目1に記載のシステム。
【0279】
[項目21]
上記第1波長、上記第2波長および上記第3波長は、互いに光学的に識別可能である、項目1に記載のシステム。
【0280】
[項目22]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長は、紫外波長または紫外の電磁エネルギーの波長帯である、項目1に記載のシステム。
【0281】
[項目23]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長のうち1つ以上は、可視波長または可視の電磁エネルギーの波長帯である、項目1に記載のシステム。
【0282】
[項目24]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長は、近赤外波長または近赤外の電磁エネルギーの波長帯である、項目1に記載のシステム。
【0283】
[項目25]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、第1染料または顔料であり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、第2染料または顔料である、
項目1記載のシステム。
【0284】
[項目26]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体を含んでおり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体を含んでいる、
項目1に記載のシステム。
【0285】
[項目27]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1波長を放出できる第1量子ドットであり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2波長を放出できる第2量子ドットである、
項目1に記載のシステム。
【0286】
[項目28]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第1粒子群の各粒子および上記1つ以上の第2粒子群の各粒子と関連付けられている、項目1に記載のシステム。
【0287】
[項目29]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、
上記第1核酸配列の増幅に特異的である、光学的に検出可能な第1レポータープローブと、
上記第2核酸配列の増幅に特異的である、光学的に検出可能な第2レポータープローブと、
を含んでいる、項目1に記載のシステム。
【0288】
[項目30]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放射できるドナー-アクセプター対を含んでいる、項目1に記載のシステム。
【0289】
[項目31]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放射できる蛍光体-消光体対を含んでいる、項目1に記載のシステム。
【0290】
[項目32]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放射できるDNAインターカレート剤を含んでいる、項目1に記載のシステム。
【0291】
[項目33]
上記試験サンプル中の2つ以上の核酸配列を多重検出するための1つ以上の反応試薬をさらに含んでいる、項目1に記載のシステム。
【0292】
[項目34]
上記1つ以上の反応試薬は、上記試験サンプル中の上記2つ以上の核酸配列を増幅するための1つ以上の反応試薬を含んでいる、項目33に記載のシステム。
【0293】
[項目35]
3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群をさらに含んでおり、
上記粒子群の各々は、増幅プライマー群および蛍光識別子を含んでいる、
項目1に記載のシステム。
【0294】
[項目36]
下記(i)および(ii)を含んでいる、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重分析するためのシステム。
【0295】
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、標的に特異的な1つ以上の第1試薬群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は、第1標的と特異的に相互作用するように選択されており、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、標的に特異的な1つ以上の第2試薬群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は、第2標的と特異的に相互作用するように選択されており、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群と上記試験サンプル中における上記第1標的との反応、および/または、上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群と上記試験サンプル中における上記第2標的との反応に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ。
【0296】
[項目37]
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は、第1核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、
上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は、第2核酸配列と特異的に相互作用するように選択されている、
項目36に記載のシステム。
【0297】
[項目38]
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は、第1細菌群と特異的に相互作用するように選択されており、
上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は、第2細菌群と特異的に相互作用するように選択されている、
項目36に記載のシステム。
【0298】
[項目39]
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群は、第1抗原と特異的に相互作用するように選択されており、
上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群は、第2抗原と特異的に相互作用するように選択されている、
項目36に記載のシステム。
【0299】
[項目40]
上記標的に特異的な1つ以上の試薬群の各々は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質または核酸配列のうち1つ以上と特異的に相互作用するように選択されている、項目36に記載のシステム。
【0300】
[項目41]
上記第1環境条件および上記第2環境条件は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上を含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0301】
[項目42]
上記第1環境条件および上記第2環境条件は、同一の環境条件である、項目36に記載のシステム。
【0302】
[項目43]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性物質から形成されている構造を有しており、
上記分解性物質は、上記第1環境条件または上記第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解する、
項目36に記載のシステム。
【0303】
[項目44]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性ゲルから形成されている構造を有している、項目43に記載のシステム。
【0304】
[項目45]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、低融点アガロースから形成されている構造を有している、項目43に記載のシステム。
【0305】
[項目46]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性アルギン酸塩から形成されている構造を有している、項目43に記載のシステム。
【0306】
[項目47]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、易分解性糖質から形成されている構造を有している、項目43に記載のシステム。
【0307】
[項目48]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、温度応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目43に記載のシステム。
【0308】
[項目49]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、pH応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目43に記載のシステム。
【0309】
[項目50]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、化学応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目43に記載のシステム。
【0310】
[項目51]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、電場応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目43に記載のシステム。
【0311】
[項目52]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、電磁エネルギー応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目43に記載のシステム。
【0312】
[項目53]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、親水性である、項目36に記載のシステム。
【0313】
[項目54]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有している、項目36に記載のシステム。
【0314】
[項目55]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分布しうる、項目36に記載のシステム。
【0315】
[項目56]
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群および上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群に含まれている、標的に特異的な1つ以上の試薬は、増幅プライマー群を含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0316】
[項目57]
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群および上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群に含まれている、標的に特異的な1つ以上の試薬は、抗体を含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0317】
[項目58]
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群および上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群に含まれている、標的に特異的な1つ以上の試薬は、抗生物質を含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0318】
[項目59]
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群および上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群に含まれている、標的に特異的な1つ以上の試薬は、酵素または酵素基質を含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0319】
[項目60]
上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群および上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群に含まれている、標的に特異的な1つ以上の試薬は、バクテリオファージを含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0320】
[項目61]
上記光学的に検出可能な第1識別子によって放出される上記第1波長は、検出可能な第1色であり、
上記光学的に検出可能な第2識別子によって放出される上記第2波長は、検出可能な第2色であり、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによって構成的に放出される上記第3波長は、検出可能な第3色である、
項目36に記載のシステム。
【0321】
[項目62]
上記第1波長、上記第2波長および上記第3波長は、互いに光学的に識別可能である、項目36に記載のシステム。
【0322】
[項目63]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長は、紫外波長または紫外の電磁エネルギーの波長帯である、項目36に記載のシステム。
【0323】
[項目64]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長のうち1つ以上は、可視波長または可視の電磁エネルギーの波長帯である、項目36に記載のシステム。
【0324】
[項目65]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長は、近赤外波長または近赤外の電磁エネルギーの波長帯である、項目36に記載のシステム。
【0325】
[項目66]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、第1染料または顔料であり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、第2染料または顔料である、
項目36に記載のシステム。
【0326】
[項目67]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体を含んでおり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体を含んでいる、
項目36に記載のシステム。
【0327】
[項目68]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1波長を放出できる第1量子ドットであり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2波長を放出できる第2量子ドットである、
項目36に記載のシステム。
【0328】
[項目69]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第1粒子群の各粒子および上記1つ以上の第2粒子群の各粒子と関連付けられている、項目36に記載のシステム。
【0329】
[項目70]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、
上記第1標的に特異的である、光学的に検出可能な第1レポータープローブと、
上記第2標的に特異的である、光学的に検出可能な第2レポータープローブと、
を含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0330】
[項目71]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できるドナー-アクセプター対を含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0331】
[項目72]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できる蛍光体-消光体対を含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0332】
[項目73]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できるDNAインターカレート剤を含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0333】
[項目74]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できるレポーター遺伝子を有しているバクテリオファージを含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0334】
[項目75]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、酵素との相互作用に対応して上記第3波長を構成的に放出できる基質を含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0335】
[項目76]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、細胞の生存に対応して上記第3波長を構成的に放出できる細胞生存性に関するプローブを含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0336】
[項目77]
多重分析用の1つ以上の反応試薬をさらに含んでいる、項目36に記載のシステム。
【0337】
[項目78]
3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群をさらに含んでおり、
上記粒子群の各々は、光学的に検出可能な識別子を含んでいる、
項目36に記載のシステム。
【0338】
[項目79]
下記(i)および(ii)を含んでいる、試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重検出するためのシステム。
【0339】
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1温度条件に対応して分解し、かつ、第1増幅プライマー群および第1波長を放出できる第1蛍光識別子と関連付けられており、
上記第1増幅プライマー群は、第1細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、
上記第1蛍光識別子は、上記第1増幅プライマー群を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2温度条件に対応して分解し、かつ、第2増幅プライマー群および第2波長を放出できる第2蛍光識別子と関連付けられており、
上記第2増幅プライマー群は、第2細菌性核酸配列と特異的に相互作用するように選択されており、
上記第2蛍光識別子は、上記第2増幅プライマー群を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)上記試験サンプル中における上記第1細菌性核酸配列の増幅、および/または、上記試験サンプル中における上記第2細菌性核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の蛍光性インターカレート剤。
【0340】
[項目80]
上記第1増幅プライマー群および上記第2増幅プライマー群は、1本鎖DNA配列、2本鎖DNA配列またはRNA配列のうち1つ以上と特異的に相互作用するように選択されている、項目79に記載のシステム。
【0341】
[項目81]
上記第1温度条件および上記第2温度条件は、同一の温度条件である、項目79に記載のシステム。
【0342】
[項目82]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、温度応答性の分解性物質から形成されている構造を有しており、
上記温度応答性の分解性物質は、上記第1温度条件または上記第2温度条件の少なくとも一方に対応して分解する、
項目79に記載のシステム。
【0343】
[項目83]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性ゲルから形成されている構造を有しており、
上記分解性ゲルは、上記第1温度条件または上記第2温度条件の少なくとも一方に対応して分解する、
項目79に記載のシステム。
【0344】
[項目84]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、低融点アガロースから形成されている構造を有しており、
上記低融点アガロースは、上記第1温度条件または上記第2温度条件の少なくとも一方に対応して分解する、
項目79に記載のシステム。
【0345】
[項目85]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、親水性である、項目79記載のシステム。
【0346】
[項目86]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有している、項目79に記載のシステム。
【0347】
[項目87]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分布しうる、項目79に記載のシステム。
【0348】
[項目88]
上記第1蛍光識別子によって放出される上記第1波長は、検出可能な第1色であり、
上記第2蛍光識別子によって放出される上記第2波長は、検出可能な第2色であり、
上記蛍光性インターカレート剤によって構成的に放出される上記第3波長は、検出可能な第3色である、
項目79に記載のシステム。
【0349】
[項目89]
上記第1波長、上記第2波長および上記第3波長は、互いに光学的に識別可能である、項目79に記載のシステム。
【0350】
[項目90]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長は、紫外波長または紫外の電磁エネルギーの波長帯である、項目79に記載のシステム。
【0351】
[項目91]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長のうち1つ以上は、可視波長または可視の電磁エネルギーの波長帯である、項目79に記載のシステム。
【0352】
[項目92]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長は、近赤外波長または近赤外の電磁エネルギーの波長帯である、項目79に記載のシステム。
【0353】
[項目93]
上記第1蛍光識別子は、第1蛍光色素または顔料であり、
上記第2蛍光識別子は、第2蛍光色素または顔料である、
項目79に記載のシステム。
【0354】
[項目94]
上記第1蛍光識別子は、上記第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体を含んでおり、
上記第2蛍光識別子は、上記第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体を含んでいる、
項目79に記載のシステム。
【0355】
[項目95]
上記第1蛍光識別子は、上記第1波長を放出できる第1量子ドットであり、
上記第2蛍光識別子は、上記第2波長を放出できる第2量子ドットである、
項目79に記載のシステム。
【0356】
[項目96]
上記1つ以上の蛍光性インターカレート剤は、第1粒子群の各粒子および上記1つ以上の第2粒子群の各粒子と関連付けられている、項目79に記載のシステム。
【0357】
[項目97]
上記試験サンプル中の2つ以上の細菌性核酸配列を多重検出するための1つ以上の反応試薬をさらに含んでいる、項目79に記載のシステム。
【0358】
[項目98]
上記1つ以上の反応試薬は、上記試験サンプル中の上記2つ以上の細菌性核酸配列を増幅する1つ以上の反応試薬を含んでいる、項目97に記載のシステム。
【0359】
[項目99]
3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群をさらに含んでおり、
上記粒子群の各々は、増幅プライマー群および蛍光識別子を含んでいる、
項目79に記載のシステム。
【0360】
[項目100]
下記(i)および(ii)を含んでいる、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重分析するためのシステム。
【0361】
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1抗生物質群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記第1抗生物質は、第1細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有しており、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1抗生物質を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2抗生物質群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記第2抗生物質は、第2細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有しており、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2抗生物質を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)上記細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ。
【0362】
[項目101]
上記第1細菌群または上記第2細菌群は、1種類以上のEscherichia coliの株を含んでいる、項目100に記載のシステム。
【0363】
[項目102]
上記第1細菌群または上記第2細菌群は、Mycobacterium tuberculosisを含んでいる、項目100に記載のシステム。
【0364】
[項目103]
上記第1細菌群または上記第2細菌群は、同一の細菌群である、項目100に記載のシステム。
【0365】
[項目104]
上記第1細菌群または上記第2細菌群は、以下のうち1種類以上を含んでいる、項目100に記載のシステム:メチシリン耐性Staphylococcus aureus、メチシリン感性Staphylococcus aureus、Escherichia coli、Streptococcus pneumonia、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus epidermidis、Salmonella enterica、Klebsiella pneumonia、Streptococcus pyogenes、Acinetobacter baumanniiまたはEnterococcus faecalis。
【0366】
[項目105]
上記第1環境条件および上記第2環境条件は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上を含んでいる、項目100に記載のシステム。
【0367】
[項目106]
上記第1環境条件および上記第2環境条件は、同一の環境条件である、項目100に記載のシステム。
【0368】
[項目107]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性物質から形成されている構造を有しており、
上記分解性物質は、上記第1環境条件または上記第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解する、
項目100に記載のシステム。
【0369】
[項目108]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性ゲルから形成されている構造を有している、項目107に記載のシステム。
【0370】
[項目109]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、低融点アガロースから形成されている構造を有している、項目107に記載のシステム。
【0371】
[項目110]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性アルギン酸塩から形成されている構造を有している、項目107記載のシステム。
【0372】
[項目111]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、易分解性糖質から形成されている構造を有している、項目107に記載のシステム。
【0373】
[項目112]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、温度応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目107に記載のシステム。
【0374】
[項目113]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、pH応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目107に記載のシステム。
【0375】
[項目114]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、化学応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目107に記載のシステム。
【0376】
[項目115]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、電場応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目107に記載のシステム。
【0377】
[項目116]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、電磁エネルギー応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目107に記載のシステム。
【0378】
[項目117]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、親水性である、項目100記載のシステム。
【0379】
[項目118]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有している、項目100に記載のシステム。
【0380】
[項目119]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分布しうる、項目100に記載のシステム。
【0381】
[項目120]
上記光学的に検出可能な第1識別子によって放出される上記第1波長は、検出可能な第1色であり、
上記光学的に検出可能な第2識別子によって放出される上記第2波長は、検出可能な第2色であり、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによって構成的に放出される上記第3波長は、検出可能な第3色である、
項目100に記載のシステム。
【0382】
[項目121]
上記第1波長、上記第2波長および上記第3波長は、互いに光学的に識別可能である、項目100に記載のシステム。
【0383】
[項目122]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長は、紫外波長または紫外の電磁エネルギーの波長帯である、項目100に記載のシステム。
【0384】
[項目123]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長のうち1つ以上は、可視波長または可視の電磁エネルギーの波長帯である、項目100に記載のシステム。
【0385】
[項目124]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長は、近赤外波長または近赤外の電磁エネルギーの波長帯である、項目100に記載のシステム。
【0386】
[項目125]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、第1染料または顔料であり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、第2染料または顔料である、
項目100に記載のシステム。
【0387】
[項目126]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体であり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体である、
項目100に記載のシステム。
【0388】
[項目127]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1波長を放出できる第1量子ドットであり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2波長を放出できる第2量子ドットである、項目100に記載のシステム。
【0389】
[項目128]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第1粒子群の各粒子および上記1つ以上の第2粒子群の各粒子と関連付けられている、項目100に記載のシステム。
【0390】
[項目129]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できるドナー-アクセプター対を含んでいる、項目100に記載のシステム。
【0391】
[項目130]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できる蛍光体-消光体対を含んでいる、項目100に記載のシステム。
【0392】
[項目131]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できるDNAインターカレート剤を含んでいる、項目100に記載のシステム。
【0393】
[項目132]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、レポーター遺伝子を有しているバクテリオファージを含んでいる、項目100に記載のシステム。
【0394】
[項目133]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できる膜統合性に関するプローブを含んでいる、項目100に記載のシステム。
【0395】
[項目134]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、酵素との相互作用に対応して、上記第3波長を構成的に放出できる基質を含んでいる、項目100に記載のシステム。
【0396】
[項目135]
細菌を増殖させる培養培地の成分を1種類以上さらに含んでいる、項目100に記載のシステム。
【0397】
[項目136]
3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群をさらに含んでおり、
上記粒子群は、抗生物質および光学的に検出可能な識別子を含んでいる、
項目100に記載のシステム。
【0398】
[項目137]
下記(i)および(ii)を含んでいる、試験サンプル中の2つ以上の抗原を多重分析するためのシステム。
【0399】
(i)下記(a)および(b)を含んでいる、2つ以上の粒子群;
(a)第1粒子群であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1抗体群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記第1抗体群は、第1抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでおり、
上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有しており、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、第1抗体群を示している、第1粒子群;
(b)1つ以上の第2粒子群であって、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2抗体群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記第2抗体群は、第2抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでおり、
上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有しており、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、第2抗体群を示している、1つ以上の第2粒子群;
(ii)第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第1抗原上の近接標的との結合、および/または、第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と第2抗原上の近接標的との結合に対応して、第3波長を構成的に放出できる、1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブ。
【0400】
[項目138]
上記第1抗体群または上記第2抗体群の少なくとも一方は、1つ以上のポリクローナル抗体を含んでいる、項目137記載のシステム。
【0401】
[項目139]
上記第1抗体群または上記第2抗体群の少なくとも一方は、2つ以上のモノクローナル抗体を含んでいる、項目137に記載のシステム。
【0402】
[項目140]
上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体および上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、オリゴヌクレオチドにより修飾されている、項目137に記載のシステム。
【0403】
[項目141]
上記オリゴヌクレオチドによる修飾は、近接している場合に、ライゲーションされうる、項目140に記載のシステム。
【0404】
[項目142]
上記オリゴヌクレオチドによる修飾は、近接している場合に、互いにハイブリダイズしうる、項目140に記載のシステム。
【0405】
[項目143]
上記オリゴヌクレオチドによる修飾は、近接している場合に、増幅のための鋳型を形成する、項目140に記載のシステム。
【0406】
[項目144]
上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体および上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、1つ以上のドナー-アクセプター対を含んでいる、項目137に記載のシステム。
【0407】
[項目145]
上記第1環境条件および上記第2環境条件は、温度、pH、化学反応、電場または電磁エネルギーのうち1つ以上を含んでいる、項目137に記載のシステム。
【0408】
[項目146]
上記第1環境条件および上記第2環境条件は、同一の環境条件である、項目137記載のシステム。
【0409】
[項目147]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性物質から形成されている構造を有しており、
上記分解性物質は、上記第1環境条件または上記第2環境条件の少なくとも一方に対応して分解する、
項目137に記載のシステム。
【0410】
[項目148]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、低融点アガロースから形成されている構造を有している、項目147に記載のシステム。
【0411】
[項目149]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、分解性ゲル、分解性アルギン酸塩または易分解性糖質のうち1つ以上から形成されている構造を有している、項目147に記載のシステム。
【0412】
[項目150]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、温度応答性の分解性物質から形成されている構造を有している、項目147に記載のシステム。
【0413】
[項目151]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、pH応答性の分解性物質、化学応答性の分解性物質、電場応答性の分解性物質または電磁エネルギー応答性の分解性物質のうち1つ以上から形成されている構造を有している、項目147に記載のシステム。
【0414】
[項目152]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子は、少なくとも一部が親水性物質から形成されている構造を有している、項目137に記載のシステム。
【0415】
[項目153]
上記第1粒子群および上記1つ以上の第2粒子群の粒子の少なくとも一部は、油中水型液滴の水相に分布しうる、項目137に記載のシステム。
【0416】
[項目154]
上記光学的に検出可能な第1識別子によって放出される上記第1波長は、検出可能な第1色であり、
上記光学的に検出可能な第2識別子によって放出される上記第2波長は、検出可能な第2色であり、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによって構成的に放出される上記第3波長は、検出可能な第3色である、
項目137に記載のシステム。
【0417】
[項目155]
上記第1波長、上記第2波長および上記第3波長は、互いに光学的に識別可能である、項目137に記載のシステム。
【0418】
[項目156]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長は、紫外波長または紫外の電磁エネルギーの波長帯である、項目137に記載のシステム。
【0419】
[項目157]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長のうち1つ以上は、可視波長または可視の電磁エネルギーの波長帯である、項目137に記載のシステム。
【0420】
[項目158]
上記第1波長、上記第2波長または上記第3波長は、近赤外波長または近赤外の電磁エネルギーの波長帯である、項目137に記載のシステム。
【0421】
[項目159]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、第1染料または顔料であり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、第2染料または顔料である、
項目137に記載のシステム。
【0422】
[項目160]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1波長の蛍光を放出できる第1蛍光体を含んでおり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2波長の蛍光を放出できる第2蛍光体を含んでいる、
項目137に記載のシステム。
【0423】
[項目161]
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1波長を放出できる第1量子ドットであり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2波長を放出できる第2量子ドットである、
項目137に記載のシステム。
【0424】
[項目162]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第1粒子群の各粒子および上記1つ以上の第2粒子群の各粒子と関連付けられている、項目137に記載のシステム。
【0425】
[項目163]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できるドナー-アクセプター対を含んでいる、項目137に記載のシステム。
【0426】
[項目164]
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第3波長を構成的に放出できるDNAインターカレート剤を含んでいる、項目137に記載のシステム。
【0427】
[項目165]
上記第1粒子群の各粒子は、上記第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1細胞型の表面にある近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる第1抗体群と関連付けられており、
上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有しており、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1抗体群を示している上記第1波長を放出でき、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、上記第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2細胞型の表面にある近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでいる第2抗体群と関連付けられており、
上記第2抗体群に含まれている2つ以上の上記第2抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を有しており、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2抗体群を示している上記第2波長をを放出でき、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第1細胞型の表面にある近接標的との結合、および/または、上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第2細胞型の表面にある近接標的との結合に対応して、上記第3波長を構成的に放出できる、
項目137に記載のシステム。
【0428】
[項目166]
上記第1細胞型および上記第2細胞型は、免疫細胞型である、項目165記載のシステム。
【0429】
[項目167]
3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組、12組、13組、14組、15組、16組、17組、18組、19組または20組の粒子群をさらに含んでおり、
上記粒子群の各々は、抗体群および光学的に検出可能な識別子を含んでいる、
項目137に記載のシステム。
【0430】
[項目168]
下記(i)~(vi)を含む、試験サンプル中の2つ以上の標的を多重検出する方法;
(i)水性媒体中において、上記試験サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブを組合せる工程であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1標的に対して特異的である標的に特異的な1つ以上の第1試薬群および当該標的に特異的な1つ以上の第1試薬群を示している第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2標的に対して特異的である標的に特異的な1つ以上の第2試薬群および当該標的に特異的な1つ以上の第2試薬群を示している第2波長を放出する光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群と上記試験サンプル中の上記第1標的との反応、および/または、上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群と上記試験サンプル中の上記第2標的との反応に対応して、第3波長を構成的に放出する、工程;
(ii)不混和性キャリア流体を上記水性媒体に加えることにより、複数の反応液滴を形成させる工程;
(iii)形成された上記複数の反応液滴との反応を実行する工程;
(iv)上記標的に特異的な1つ以上の第1試薬群を示している上記第1波長の放出、上記標的に特異的な1つ以上の第2試薬群を示している上記第2波長、および上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによる構成的な放出を示している上記第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程;
(v)上記第1波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程;
(vi)上記第2波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程。
【0431】
[項目169]
下記(i)~(vi)を含む、試験サンプル中の2つ以上の核酸配列標的を多重検出する方法:
(i)水性媒体中において、上記試験サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブを組合せる工程であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1核酸配列と相互作用するように選択されている第1増幅プライマー群および当該第1増幅プライマー群を示している第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2核酸配列と相互作用するように選択されている第2増幅プライマー群および当該第2増幅プライマー群を示している第2波長を放出する光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第1核酸配列の増幅および/または上記第2核酸配列の増幅に対応して、第3波長を構成的に放出できる、工程;
(ii)不混和性キャリア流体を上記水性媒体加えることにより、複数の反応液滴を形成させる工程;
(iii)形成された複数の反応液滴を増幅反応させる工程;
(iv)上記形成された反応液滴内における上記第1核酸配列の増幅および/または上記第2核酸配列の増幅に対応している、上記第1増幅プライマー群を示している上記第1波長の放出、上記第2増幅プライマー群を示している上記第2波長の放出、および上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによる構成的な放出を示している上記第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程;
(v)上記第1波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程;
(vi)第2波長および第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程。
【0432】
[項目170]
下記(i)~(vi)を含む、細菌サンプルにおける抗生物質耐性を多重検出する方法:
(i)水性媒体中において、上記細菌サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上光学的に検出可能なレポータープローブを組合せる工程であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、上記第1細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している第1抗生物質および当該第1抗生物質を示している第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、上記第2細菌群に対する殺菌活性または静菌活性のうち少なくとも一方を有している第2抗生物質および当該第2抗生物質を示している第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記細菌サンプルにおける細菌の生存に対応して、第3波長を構成的に放出できる、工程;
(ii)不混和性キャリア流体を上記水性媒体に加えることにより、複数の反応液滴を形成させる工程;
(iii)形成された複数の反応液滴との反応を実行する工程;
(iv)上記細菌サンプルにおける細菌の生存に対応している、上記第1抗生物質を示している上記第1波長の放出、上記第2抗生物質を示している上記第2波長の放出、および上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによる構成的な放出を示している上記第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程;
(v)上記第1波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程;
(vi)上記第2波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程。
【0433】
[項目171]
下記(i)~(vi)を含む、試験サンプル中の2つ以上の細胞型を多重検出する方法:
(i)水性媒体中において、上記試験サンプル、1つ以上の反応試薬、第1粒子群、1つ以上の第2粒子群、および1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブを組合せる工程であって、
上記第1粒子群の各粒子は、第1環境条件に対応して分解し、かつ、第1抗体群および第1波長を放出できる光学的に検出可能な第1識別子と関連付けられており、
上記第1抗体群は、第1抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでおり、
上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を含んでおり、
上記光学的に検出可能な第1識別子は、上記第1抗体群を示しており、
上記第2粒子群の各粒子は、第2環境条件に対応して分解し、かつ、第2抗体群および第2波長を放出できる光学的に検出可能な第2識別子と関連付けられており、
上記第2抗体群は、第2抗原上の近接標的に特異的な2つ以上の抗体を含んでおり、
上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体は、抗体による近接アッセイにおいて相互作用しうる修飾を含んでおり、
上記光学的に検出可能な第2識別子は、上記第2抗体群を示しており、
上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブは、上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第1抗原上の近接標的との結合、および/または、上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第2抗原上の近接標的との結合に対応して、第3波長を構成的に放出できる、工程;
(ii)不混和性キャリア流体を上記水性媒体に加えることにより、複数の反応液滴を形成させる工程;
(iii)形成された上記複数の反応液滴との反応を実行する工程;
(iv)上記第1抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第1抗原との結合および/または上記第2抗体群に含まれている2つ以上の抗体と上記第2抗原との結合に対応している、上記第1抗体群を示している上記第1波長の放出、上記第2抗体群を示している上記第2波長の放出、および上記1つ以上の光学的に検出可能なレポータープローブによる構成的な放出を示している上記第3波長の放出について、形成された複数の反応液滴の少なくとも一部を調べる工程;
(v)上記第1波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程;
(vi)上記第2波長および上記第3波長の両方を放出している形成された反応液滴の数を記録する工程。
【0434】
種々の態様および実施形態を本明細書において開示してきたのであるが、他の態様および実施形態の存在も当業者には明らかであろう。本明細書に開示されている種々の態様および実施形態は、例示のみを目的としており、限定を意図していない。本発明の真正な範囲および本質は、以下の特許請求の範囲が示している。
【国際調査報告】