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特表2022-512960ハーブ抽出物の調製方法及びハーブ抽出物の組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ハーブ抽出物の調製方法及びハーブ抽出物の組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/9066 20060101AFI20220131BHJP
   A61K 31/121 20060101ALI20220131BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220131BHJP
   A23L 19/00 20160101ALN20220131BHJP
   A61K 125/00 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A61K36/9066
A61K31/121
A23L33/105
A23L19/00 Z
A23L19/00 A
A61K125:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525014
(86)(22)【出願日】2019-11-02
(85)【翻訳文提出日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 IN2019050811
(87)【国際公開番号】W WO2020089944
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】201841041702
(32)【優先日】2018-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521193326
【氏名又は名称】オレーヌ ライフ サイエンシズ プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OLENE LIFE SCIENCES PRIVATE LIMITED
【住所又は居所原語表記】A-Block,4th Floor,Prince Info Park,81-B,2nd Main Road,Opposite Ambit Park,Ambattur Industrial Estate,Chennai,Tamil Nadu 600058(IN)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニルヴァナシェティ,ソマシェカラ
(72)【発明者】
【氏名】モハンティ,ニリマ
(72)【発明者】
【氏名】パンダ,サンジブ クマール
(72)【発明者】
【氏名】パラチュル,ヴィヴェク アナンド
【テーマコード(参考)】
4B016
4B018
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B016LC07
4B016LE05
4B016LG16
4B016LP02
4B016LP08
4B016LP13
4B018LE03
4B018MD66
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4B018MF07
4B018MF14
4C088AB81
4C088AC11
4C088CA10
4C088MA52
4C088NA11
4C088ZC80
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA04
4C206CB14
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA11
4C206ZC80
(57)【要約】
「ハーブ抽出物の調製方法及びハーブ抽出物の組成物」本発明は、特定の濃度の植物化学物質及び樹脂の選択的単離が、最終ハーブ抽出物及び最終ハーブ抽出物を含む組成物において得られるように、ハーブ抽出物を調製する方法を提供する。更に、本発明は、クルクミノイド及び樹脂を含むハーブ抽出物を調製する方法であって、抽出物が高い溶解度/分散性、良好なバイオアベイラビリティ及び効率的な徐放性を有する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物化学物質(複数可)及び樹脂を含むハーブ抽出物の調製方法であって、前記方法は、
(a)ハーブ供給源を微粉に粉砕することと、
(b)前記微粉をCO/溶媒抽出して、植物化学物質(複数可)/活性成分、樹脂、ガム、ワックス、トリグリセリド、脂肪酸、活性成分、及び揮発性油を含むハーブ抽出物全体を得ることと、
(c)工程(b)の前記抽出物を溶媒蒸留し、続いて真空乾燥させて、溶媒を除去することと、
(d)工程(c)の前記抽出物を水蒸気蒸留させて、揮発性油を除去することと、
(e)工程(d)の前記抽出物を非極性溶媒で抽出して、トリグリセリド(脂肪)、軟質樹脂、固定油、ガム、ワックス、及び脂肪酸を除去することと、
(f)工程(e)の前記抽出物を溶媒蒸留及び/又は真空乾燥させて、前記非極性溶媒を除去し、乾燥フレークを得ることと、
(g)工程(f)の前記フレークを微粉に粉砕し、前記微粉を真空乾燥させて、植物化学物質及び硬質樹脂を含む無溶媒、低水分の抽出物を得ることと、
を含み、
クルクミノイド全体及び樹脂の濃度が、1:9~9:1の範囲の比である、ハーブ抽出物の調製方法。
【請求項2】
工程(b)の前記ハーブ抽出物を抽出するための前記第1の溶媒が、CO、メタノール、エタノール、酢酸エチル、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載のハーブ抽出物の調製方法。
【請求項3】
工程(b)の前記ハーブ抽出物の抽出方法が、最高180℃の温度で実施され、工程(c)の前記蒸留方法が、50℃~100℃で実施され、真空乾燥が、1~50ミリバールの真空度及び10℃~80℃の範囲の温度で実施される、請求項1に記載のハーブ抽出物の調製方法。
【請求項4】
工程(e)において、前記非極性溶媒ヘキサン/n-ヘキサンを前記ハーブ抽出物に1:2の比で添加し、室温でブレンドした、請求項1に記載のハーブ抽出物の調製方法。
【請求項5】
クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)からのクルクミノイド及び樹脂の前記抽出方法であって、
(a)乾燥したクルクマ・ロンガ根茎の部分を微粉に粉砕することと、
(b)前記微粉を、CO又は酢酸エチル又はエタノールで抽出して、クルクミノイド、樹脂、ガム、ワックス、トリグリセリド、固定油、脂肪酸、活性成分、及び揮発性油を含むハーブ抽出物全体を得ることと、
(c)工程(b)の前記抽出物を溶媒蒸留、濃縮/真空乾燥させて、溶媒を除去することと、
(d)工程(c)の前記抽出物を水蒸気蒸留させて、揮発性油を除去することと、
(e)工程(d)の前記抽出物を非極性溶媒で抽出して、軟質樹脂、トリグリセリド、固定油、ワックス、ガム、及び脂肪酸を除去することと、
(f)工程(e)の前記抽出物を溶媒蒸留、乾燥又は真空乾燥させて、前記非極性溶媒を除去し、乾燥フレークを得ることと、
(g)工程(f)の前記フレークを微粉に粉砕し、前記微粉を真空乾燥させて、クルクミノイド及び硬質樹脂を含む無溶媒、低水分の抽出物を得ることと、
を含み、
クルクミノイド全体及び樹脂の濃度が、1:9~9:1の範囲の比、好ましくは1:1の比である、請求項1に記載のハーブ抽出物の調製方法。
【請求項6】
前記クルクミノイドが、クルクミン、デメトキシクルクミン及びビスデメトキシクルクミンを含む群から選択される、請求項5に記載のハーブ抽出物の調製方法。
【請求項7】
前記ハーブ抽出物が、25%~90%の濃度のクルクミノイド及び45%~75%の濃度の樹脂を含む粉末形態である、請求項5に記載のハーブ抽出物の調製方法。
【請求項8】
前記ハーブ抽出物が、前記抽出物の35重量%~70重量%の範囲の濃度のクルクミンを含み、前記抽出物の10重量%~40重量%の範囲の濃度のデメトキシクルクミンを含み、及び前記抽出物の10~40重量%の範囲のビスデメトキシクルクミンを含む、請求項6に記載のハーブ抽出物の調製方法。
【請求項9】
前記ハーブ抽出物が、前記クルクミノイド全体の55重量%~70重量%の範囲の濃度のクルクミン、前記クルクミノイド全体の20~30重量%の範囲のデメトキシクルクミン、及び前記クルクミノイド全体の10~20重量%の範囲のビスデメトキシクルクミンからなるクルクミノイドを含む、請求項6に記載のハーブ抽出物の調製方法。
【請求項10】
クルクミノイド及び樹脂を1:9~9:1の範囲の比で含む、請求項7に記載の前記方法によって調製された前記ハーブ抽出物を含む、高度にバイオアベイラビリティを有するハーブ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の濃度の植物化学物質及び樹脂の選択的単離が、最終ハーブ抽出物中で得られるようにハーブ抽出物を調製する方法に関する。
【0002】
更に、本発明は、それぞれ1%~90%及び1%~90%の範囲の濃度の植物化学物質及び樹脂からなる当該ハーブ抽出物を含む組成物に関し、当該組成物は、高い溶解度、高いバイオアベイラビリティ及び徐放性を有する。
【背景技術】
【0003】
植物は、広域の構造的多様性及び広範囲の薬理活性のために、製薬産業において認識されている。植物は、植物化学物質と呼ばれる、化合物及び構造的に多様な生物活性分子の天然の保管庫である。実施された多数の研究は、植物が広範囲の生物活性を有する植物化学物質と呼ばれる化合物の豊富な供給源であることを示してきた。植物化学物質は、科学的研究で使用されており、癌及びいくつかの他の疾患の治療等の多くの方法でヘルスケアシステムに影響を及ぼしている。
【0004】
植物原材料の処理は、主に、既知の成分の濃度を最適化するために、更にそれらの活性を維持するために必要である。抽出は、植物材料からの生物活性成分の濃縮、同定及び適用のための植物化学物質処理における重要な段階である。抽出は望ましい可溶性成分の分離に利用され、溶媒の補助によって必要ではないものを除外するため、好ましい抽出技術の選択は、製品のハーブ成分の標準化に不可欠である。更に、適切な抽出方法の選択及び様々なパラメータの最適化は、質を高める目的のために重要である。
【0005】
最も一般的に使用される抽出技術は、浸軟、浸透、浸出、煎出及び高温連続抽出等の従来の技術である。
【0006】
超音波支援溶媒抽出(ultrasound assisted solvent extraction:UASE)、マイクロ波支援溶媒抽出(Microwave assisted solvent extraction:MASE)及び超臨界流体抽出(supercritical fluid extraction:SFE)等の代替方法が関心を集めている。UASE、MASE及びSFE等のこのような環境に配慮した抽出技術の適用は、これらの技術が従来の方法と比較して迅速に実施できるため、薬用植物の植物化学物質処理のために急速に増加している。
【0007】
最終的に、最終的な抽出物/生成物は、抽出物を治療目的に使用するために良好かつ適切な生物活性を有するべきである。
【0008】
植物化学物質は複数の生物活性を有することが知られているが、それらの適用は、バイオアベイラビリティの低下を導く不十分な腸管吸収によって制限される。植物化学物質のバイオアベイラビリティを改善するためにいくつかの戦略が採用されているが、成功は限られている。いくつかの植物化学物質の抽出に使用される抽出技術の多くは、植物化学物質(複数可)の回収/収率を最大化することに基づいている。従来の抽出方法は、より多量の活性成分を含有するが、バイオアベイラビリティがなく、放出が遅い抽出物をもたらすであろう。
【0009】
特許文献1では、クルクミン混合物及び水抽出物を70:30の比で含む、クルクミンのバイオアベイラビリティを増加させるための組成物が開示され、クルクミン混合物はクルクミン乾燥結晶、揮発性油、固定油及び乳化剤を含む。本文献で使用される方法は、バイオアベイラビリティを高めるために、クルクミン混合物及び水抽出物を70:30の比で乳化剤と共に使用する、標準クルクミンの製剤/ブレンドに主に焦点を当てている。本文献の発明者らは、最終ハーブ抽出物中の植物化学物質及び樹脂の選択的単離に関するいかなる教示も提供していない。
【0010】
イオン交換樹脂-薬物複合体は、酸性及び塩基性薬物の徐放性生成物を製剤化するために使用されてきた。しかし、従来技術の開示では、組成物の天然樹脂が、ハーブ抽出物の植物化学物質に溶解性及び徐放性を与えるように、植物化学物質及び当該天然樹脂を含むハーブ抽出物を提供する試みはなされていない。
【0011】
特許文献2では、クルクミノイドの繰り返される抽出によってクルクミノイド含有材料からのクルクミノイドの全収率を改善することについて言及している。当該開示は、高い溶解度及び徐放性の特性を有する樹脂及び植物化学物質を含むハーブ抽出物の抽出を提供しない。
【0012】
当技術分野で利用可能なハーブ製剤は、合成ポリマー及び可溶化剤を使用して、植物化学物質成分に徐放性及び溶解性/バイオアベイラビリティを与える。しかし、合成乳化剤を使用せずに植物化学物質成分の徐放性及び溶解性が達成されれば、消費者及び生産者にとって非常に好ましいであろう。本方法は、植物化学物質のバイオアベイラビリティ及び徐放性を増加させるために賦形剤を使用しないという利点を有する。
【0013】
上記に照らして、当技術分野では、樹脂と共に植物化学物質の選択的単離を容易にして、徐放性活性、高い溶解度及びバイオアベイラビリティを有する組成物を提供することが継続的に必要とされている。
【0014】
文献で入手可能なハーブ組成物は、ハーブ活性物質及びハーブ活性物質の抽出方法を含む。現在までに、植物化学物質/ハーブ活性物質のバイオアベイラビリティを高めるために特定の範囲で選択的に活性成分及び樹脂を含有する抽出物について言及する先行技術の開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開WO2015/025263号明細書
【特許文献2】米国特許第6942881号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、ハーブ供給源から高濃度の「植物化学物質」及び「樹脂」を選択的に単離及び抽出する方法を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、植物化学物質成分が高い溶解度及び向上したバイオアベイラビリティを有するように、本発明の方法によって選択的に単離及び抽出された「植物化学物質(複数可)」及び「樹脂」を含む、バイオアベイラビリティを有する、徐放性のハーブ組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一態様では、本発明は、植物化学物質(複数可)及び樹脂を含むハーブ抽出物を調製する方法を提供し、当該方法が、
(a)ハーブ源を微粉(10~120メッシュ)に粉砕することと、
(b)粉末をCO/溶媒抽出して、植物化学物質(複数可)/活性成分、樹脂、ガム、ワックス、トリグリセリド、脂肪酸、活性成分及び揮発性油を含有する全ハーブ抽出物を得ることと、
(c)工程(b)の抽出物を溶媒蒸留し、続いて真空蒸発させて溶媒を除去することと、
(d)工程(c)の抽出物を水蒸気蒸留させて、揮発性油を除去することと、
(e)工程(d)の抽出物を非極性溶媒で抽出して、軟質樹脂、トリグリセリド、ガム、ワックス及び脂肪酸を除去することと、
(f)工程(e)の抽出物を溶媒蒸留及び/又は真空乾燥させて、非極性溶媒を除去して、乾燥フレークを得ることと、
(g)工程(f)のフレークを微粉に粉砕し、粉末を真空乾燥して、植物化学物質及び硬質樹脂を含む無溶媒、低水分の抽出物を得ることと、
を含み、粉末状抽出物中の植物化学物質及び樹脂の濃度は、1:9~9:1の範囲の比である。
【0019】
特定の一態様では、本発明は、植物化学物質及び樹脂としてクルクミノイドを含むクルクマ・ロンガ(Curcuma longa)からハーブ抽出物を調製する方法を提供する。最終ハーブ抽出物中に存在する樹脂は、ハーブ抽出物中の植物化学物質に対する溶解度/分散性、高いバイオアベイラビリティ及び徐放性プロファイルを提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、高い溶解度/分散性、高いバイオアベイラビリティ及び徐放性特性を有するハーブ組成物を提供し、当該組成物は、1:9~9:1の範囲の比で植物化学物質及び樹脂を含有する、本発明の方法によって粉末の形態で得られたハーブ抽出物を含む。
【0021】
更に別の態様では、本発明は、いずれの外部バイオアベイラビリティ増強剤を添加せずに、向上した溶解度/分散性、バイオアベイラビリティ及び徐放性を有するハーブ組成物を提供する。
【0022】
略語
F-3:クルクマ・ロンガからのハーブ抽出物
C-95:標準クルクミノイド95%
CP-01:85%のクルクミノイドを含有する揮発性油を含むクルクミノイド
OLNP-18:本組成物/試験品
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】標準クルクミノイド95%(C-95)及び85%のクルクミノイドを含有する揮発性油を含むクルクミノイド(CP-01)と比較した、緩衝液におけるF-3の溶解度を示す図である。
図2図1に表した標準クルクミノイド95%(C-95)及び85%のクルクミノイドを含有する揮発性油を含むクルクミノイド(CP-01)と比較した場合のOLNP-18として示される本発明の組成物の溶解度プロファイルを示す図である。
図3】参照製剤である、標準クルクミノイド95%(C-95)及びCP-01のバイオアベイラビリティと比較して、試験品(OLNP-18)からのクルクミンのバイオアベイラビリティが有意に増加したことを示す図である。
図4】標準クルクミノイド95%(C-95)及びCP-01と比較した場合の24時間にわたる試験品OLNP-18からの遊離クルクミンの徐放性プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための態様】
【0024】
発明の詳細な説明
ここで、本発明の様々な態様がより完全に理解及び認識され得るように、特定の好ましい及び任意の実施形態に関連して、本発明を詳細に説明する。
【0025】
用語「植物化学物質」への言及は、用語「ハーブ活性物質」又は天然の活性成分/化合物への言及として推測することもできる。
【0026】
生体試料の供給源:ウコン根茎は、インドのタミルナードゥ州のエロード及びティルネルベリ等の地域の現地市場おいて販売業者/農場から調達される。
【0027】
好ましい実施形態では、本発明は、植物化学物質及び樹脂を含むハーブ抽出物の調製方法を提供し、当該方法は、
(a)ハーブ供給源を微粉に粉砕することと、
(b)粉末をCO/溶媒抽出して、植物化学物質(複数可)/活性成分、樹脂、ガム、トリグリセリド(固定油)、脂肪酸、活性成分、ワックス及び揮発性油を含有する全ハーブ抽出物を得ることと、
(c)工程(b)の抽出物を溶媒蒸留及び/又は真空蒸発させて、溶媒残渣を除去することと、
(d)工程(c)の抽出物を水蒸気蒸留させて、揮発性油を除去することと、
(e)工程(d)の抽出物を非極性溶媒で抽出して、軟質樹脂、トリグリセリド(固定油)、ガム、ワックス及び脂肪酸を除去することと、
(f)工程(e)の抽出物を溶媒蒸留又は乾燥/真空乾燥させて、非極性溶媒を除去し、乾燥フレークを得ることと、
(g)工程(f)のフレークを微粉に粉砕し、粉末を真空乾燥させて、植物化学物質及び硬質樹脂を含む無溶媒、無水分の抽出物を得ることと、
を含み、
植物化学物質及び樹脂の濃度は1:9~9:1の範囲の比である。
【0028】
最終抽出物中に存在する樹脂は、抽出物中の植物化学物質に対する溶解度/分散性、バイオアベイラビリティ及び徐放性プロファイルを提供する。
【0029】
より好ましくは、本発明は、それぞれ1:5~5:1の範囲の比の植物化学物質及び樹脂を抽出及び単離する方法を提供する。最も好ましくは、本発明は、1:1の比の植物化学物質及び樹脂を抽出及び単離する方法を提供する。
【0030】
一実施形態では、本発明は、ハーブ抽出物における植物化学物質及び樹脂成分の抽出のために、ボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)(ウコン)、ジンジベル・オフィシナーレ(Zingiber officinale)(ショウガ)、ニッケイ属(Cinnamomum sp)(シナモン)、タゲテス属(Tagetes sp)(マリーゴールド)、シリバム・マリアナム(Silybum marianum)(オオアザミ)、ヒイラギナンテンモドキ(Xanthorhiza simplicissima)(黄色の根を有する植物類)、アリウム・サティヴム(Allium sativum)(ニンニク)、トリゴネラ・フエヌム・グレイクム(Trigonella foenum-graecum)(フェヌグリーク)、サッカラム・オフィシナルム(Saccharoum officinarum)(サトウキビ)、コレウス属(Coleus sp)(キューバンオレガノ)及びコンミフォラ・ミルラ(Commiphora myrrha)(ミルラ)、アーティチョーク(Artichoke)(カルドン(Cynara cardunculus))、ボスウェリア(Boswellia)、コミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)(ミルラ、グッグル)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、ボスウェリア・セラータ(Boswelliaserrata)、バコパ・モンニエリ(Bacopa monnieri)、マリーゴールド、ショウガ、スペインカンゾウ(Glycyrrhiza glabra)、シナモン属(Cinnamon species)、ターミナルリア・チェブラ(Terminalia chebula)、コガネバナ(Scutellaria baicalensis)、フランスカイガンショウ(Pinuspinaster)(カイガンショウ樹皮)、アサイー(Euterpeoleracea)及びアセンヤクノキ(Acaciacatechu)、シリバム・マリアナム(Silybum marianum)、ヤドリギ(Viscum album)、ザクロ(Punica granatum)、チャノキ(Camellia sinensis)(緑茶)、グリーン・コーヒー・ビーン(Green coffee bean)、ナンバンサイカチ(Cassia Fistula)、パパイヤ(Carica papaya)、ツボクサ(Centella asiatica)、シナモマム・ゼイラニクム(Cinnamomum zeylanicum)、シッサス・クアドラングラリス(Cissus quadrangularis)、クロロフィタム・ツベロサム(Chlorophytum tuberosum)、ガジュツ(Curcuma zedoaria)、クルクマ・サントリーザ(Curcuma xanthorrhiza)、エンブリカ・オフィシナリス(Emblica officinalis)、ユーゲニア・ジャンボラナ(Eugenia jambolana)、ユリコマ・ロンギフォリア根(Eurycoma longifolaie Root)、ガルシニア・カンボジア(Garcinia cambogia)、マンゴスチン(Garcinia mangostana)、ホウライアオカズラ(Gymnema sylvestre)、タイワンコマツナギ(Indigofera Tinctoria)、モモルディカ・カランティア・フルーツ(Momordica charantia Fruit)(ローマカミツレ)、ヤエヤマアオキ(Morinda citrifolia)、ワサビノキ(Moringe oleifera)、ハッショウマメ(Mucuna pruriens)、コショウの実(Piper nigrum Fruit)、キダチミカンソウ(Phyllanthus niruri)、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、コタラヒムブツ(Salacia reticulata)、スファエランツス・インディカス(Sphaeranthus indicus)、シダ・コルディフォリア(Sida cordifolia)、センジュギクの花(Tagetes erecta Flower)、タマリンド(Tamarindus indica)、大麻(Cannabis)、ベルベリン(Berberin)、ターミナリア・アルジュナ(Terminalia arjuna)、ターミナリア・チェブラ(Terminalia chebula)、ハマビシ(Tribulus terrestris)、トリゴネラ・フエヌム・グレイクム(Trigonella foenum-graecum)、トリファラ(Triphala)、アシュワガンダ(Ashwagandha)、レスベラロール(resverarol)、ヒペリシン(hupericin)、ユソウボク(Guaiacum officinale)、G.サンクタムリン(G. sanctum Linn)、ニンニク(Garlic)、タマネギ(Allium cepa)、パプリカ(Paprika)、コロホニー樹脂(colophony resin)、テトラクリニス・アルティクラータ(Tetraclinis articulate)(サンダラック樹脂)、コレウス・フォルスコリ(Coleus forskohlii)(フランキンセンス)、シェラック(Shellac)、ロジン(類)(Rosin(s))、タンポポ(Dandelion)、アルファルファもやし(alfalfa seeds)、オオアザミ(Milk Thistle)、フェヌグリーク(Fenugreek)、アキレア・ウィルヘルムシ(Achillea wilhelmsii)、マリアアザミ(Silybum marianum)、サイリウム(Psyllium)、カイエン(Cayenne)、コンニャク(Konjac)、バジル(Basil)、アマニ(Flaxseeds)、サンザシ(Hawthorn)、セロリ(Celery)、サトウキビ(sugar cane)、アサフェティダ(asafetida)、ジャスティカ・ウィナアデンシス(Justicia wynaadensis)、アガトスマ・ベツリナ(Agathos mabetulina)、アノンナ・ムリカタ(Annona muricata)、セロリ(Apium graveolens)、チャノキ(Camellia sinensis)、カッシア・アブサス(Cassia absus)、ハブソウ(Cassia occidentalis)、カスタノ・スペルマム・アウストラル(Castano spermum austral)、クリナム・グラウカム(Crinum glaucum)、ローゼル(Hibiscus sabdariffa)、リナム・ウシタティッシムム(Linumu sitatissimum)、トマト(Lycopersicone sculentum)、バジル(Ocimum basilicum)、フランスカイガンショウ(Pinus pinaster)、ザクロ(Punica granatum)、インドジャボク(Rauwolfia serpentine)、及びカギカズラ(Uncaria rhynchophylla)を含む群から選択されるハーブを含む。より好ましくは、本発明はクルクマ・ロンガを利用して、クルクミノイド及び樹脂をそれぞれ1:9~9:1の範囲の比で含むハーブ抽出物を得る。
【0031】
ハーブ抽出物は、根茎、地上部、例えば葉、枝、茎、種子、果実、花、滲出液又は前述の植物の他の部分を含む群から選択される植物部分から抽出される。選択された植物部分は、メッシュサイズ10~120の微粉に粉砕される。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、CO、メタノール、エタノール、酢酸エチル、アセトン、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される、抽出目的のための第1の溶媒を提供する。本方法の工程(a)の粉砕した粉末を溶媒抽出して、植物化学物質(複数可)/活性成分、樹脂、ガム、トリグリセリド(固定油)、脂肪酸、活性成分、ワックス及び揮発性油を含む全ハーブ抽出物を得る。工程(b)における当該ハーブ抽出物の抽出方法は、最高180℃の温度で実施される。
【0033】
更に、溶媒の蒸留は、50℃~100℃で行われる工程(c)の蒸留方法を含み、真空乾燥は、1~50ミリバール真空及び10℃~80℃の範囲の温度で行われる。
【0034】
更に、揮発性油の蒸留は、揮発性油を除去/低減するための本方法の工程(d)における水蒸気蒸留方法を含む。
【0035】
更に別の実施形態では、本発明は、n-ヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、ジエチルエーテル、四塩化炭素及び塩化メチレン等の非極性溶媒を含む群から選択される、工程(d)のハーブ抽出物から軟質樹脂、トリグリセリド、ガム、ワックス及び脂肪酸を除去するための本方法の工程(e)で使用される非極性溶媒を提供する。工程(e)に合わせて、非極性溶媒ヘキサンをハーブ抽出物に1:2の比で添加し、室温でブレンドした。任意に、熱(最高50℃)を適用して、ハーブ抽出物からの軟質樹脂、トリグリセリド、ガム、ワックス及び脂肪酸の除去の除去を容易にする。
【0036】
最終生成物を得るためのフレーク及び粉末の最終乾燥は、真空オーブン内で1~50ミリバール真空及び10℃~80℃の範囲の温度で乾燥/真空乾燥させることによって実施し、続いて微粉に粉砕した。
【0037】
本発明の方法によって選択的に単離される植物化学物質は、クルクミノイド、ポリフェノール化合物、アルカロイド、フラボノイド、テルペン、ステロイド化合物等を含む群から選択される。
【0038】
特に好ましい実施形態では、本発明は、クルクミノイド及び樹脂を含むハーブ抽出物をクルクマ・ロンガから抽出する方法であって、
(a)乾燥クルクマ・ロンガ根茎部分を微粉に粉砕することと、
(b)粉末をCO又は酢酸エチル又はエタノール又はメタノール抽出して、クルクミノイド、樹脂、ガム、トリグリセリド、脂肪酸、ワックス、ガム、活性成分及び揮発性油を含有する全ハーブ抽出物を得ることと、
(c)工程(b)の抽出物を溶媒蒸留、濃縮/真空乾燥させて、溶媒を除去することと、
(d)工程(c)の抽出物を水蒸気蒸留させて、揮発性油を除去することと、
(e)工程(d)の抽出物を非極性溶媒で抽出して、トリグリセリド(脂肪)、軟質樹脂固定油、ワックス、ガム及び脂肪酸を除去することと、
(f)工程(e)の抽出物を溶媒蒸留、乾燥又は真空乾燥させて、非極性溶媒を除去し、乾燥フレークを得ることと、
(g)工程(f)のフレークを微粉に粉砕し、粉末を真空乾燥して、クルクミノイド及び硬質樹脂を含む無溶媒、低水分の抽出物を得ることと、
を含み、
植物化学物質及び樹脂の濃度は1:9~9:1の範囲の比である。
【0039】
最終的なハーブ抽出物中のクルクミノイド全体は、クルクミノイド全体の35重量%~70重量%の範囲の濃度でクルクミンを含み、クルクミノイド全体の10~40重量%の範囲の濃度でデメトキシクルクミンを含み、及びクルクミノイド全体の10~40重量%の範囲の濃度でビスデメトキシクルクミンを含む。
【0040】
より具体的には、最終的なハーブ抽出物中のクルクミノイド全体は、クルクミノイド全体の55重量%~65重量%の範囲の濃度でクルクミンを含み、クルクミノイド全体の20~30重量%の範囲の濃度でデメトキシクルクミンを含み、及びクルクミノイド全体の10~20重量%の範囲の濃度でビスデメトキシクルクミンを含有する。
【0041】
好ましい一実施形態では、本発明は、クルクミノイド及び樹脂を1:9~9:1の比で含む本発明の方法によって調製されたハーブ抽出物を提供する。より好ましくは、クルクミノイド及び樹脂を1:5~5:1の比で含む、本発明の方法によって調製されたハーブ抽出物である。最も好ましくは、ハーブ抽出物は、クルクミノイド及び樹脂を1:1の比で含む。
【0042】
したがって、本発明では、クルクマ・ロンガからハーブ抽出物を調製する方法により、等しい割合でクルクミノイド及び樹脂を得られたことが観察された。これを示す具体例が本発明において例示されている。
【0043】
具体的な一実施形態では、本発明は、ハーブ活性物質、すなわちクルクミノイドを25%~90%の濃度、及び樹脂を45%~75%の濃度でそれぞれ含む、粉末形態のハーブ抽出物を提供する。当該ハーブ抽出物は、水分活性が0.5未満であり、残留揮発性油分含有量が5%未満である。
【0044】
更に別の好ましい実施形態では、本発明は、組成物の50重量%を超えるクルクミノイドを含むハーブ抽出物を提供する。更なる実施形態では、本発明は、組成物の35重量%~70重量%の範囲の濃度のクルクミン、組成物の10重量%~40重量%の範囲の濃度のデメトキシクルクミン、及び組成物の10~40重量%の範囲の濃度のビスデメトキシクルクミンからなるハーブ抽出物を含有するクルクミノイド成分を提供する。
【0045】
より具体的には、最終的なハーブ抽出物中のクルクミノイド全体は、クルクミノイド全体の55重量%~70重量%の範囲の濃度でクルクミンを含み、クルクミノイド全体の20~30重量%の範囲の濃度でデメトキシクルクミンを含み、クルクミノイド全体の10~20重量%の範囲の濃度でビスデメトキシクルクミンを含む。
【0046】
別の好ましい実施形態では、本発明は、それぞれ1%~90%及び1%~90%の範囲の濃度である、植物化学物質及び樹脂からなるハーブ抽出物を含む、バイオアベイラビリティを有する、徐放性ハーブ組成物を提供する。
【0047】
本発明では、本方法によって得られたハーブ抽出物の樹脂成分が、ハーブ抽出物中の植物化学物質に対する溶解性/分散性、バイオアベイラビリティ及び徐放性プロファイルを提供することが観察され、本発明で実証された。
【0048】
本発明の図1は、クルクミノイド及び揮発性油並びに単純なクルクミノイドを含む製剤と比較した場合の、本発明の方法によって得られたハーブ抽出物の溶解度プロファイルを示す。本発明のハーブ抽出物を含む組成物は、標準製剤と比較して向上した溶解度を示した。
【0049】
更に、図2はまた、組成物に配合された本発明のハーブ抽出物の向上した溶解度プロファイルを示す。
【0050】
図3は、参照製剤であるクルクミノイド-95%(C-95)及びCP01のバイオアベイラビリティと比較して、本発明のハーブ抽出物試験品(OLNP-18)からのクルクミンのバイオアベイラビリティが、有意に増加したことを示す。
【0051】
より重要なことには、本方法によって得られたハーブ抽出物は、バイオアベイラビリティの向上を示す。その例示的な実証は、本特許出願の実施例6で観察される。本発明のハーブ抽出物であるOLNP-18は、より良好な経口バイオアベイラビリティを有することが見出され、すなわちクルクミノイドを揮発性油と共に含む単純な製剤(CP-01)と比較して16%増加し、95%のクルクミノイドを含む標準クルクミノイド(C-95)と比較して134%増加した(図4)。
【0052】
更に、組成物は、流動性を高め、最終活性物質及び樹脂濃度を調整するために、薬学的及び栄養補助的に許容される担体、賦形剤、乳化剤、滑性付与剤、固化防止剤、結合剤、ポリマー(天然又は合成)を含んでもよい。
【0053】
更に別の好ましい実施形態では、本発明は、本方法によって得られる粉末ハーブ抽出物を、錠剤、カプセル、グミ、飲料、トローチ剤、直ぐに飲むことができる粉末及び懸濁液の形態で提供する。
【0054】
1つのより好ましい実施形態では、本発明は、栄養補助食品組成物、医薬組成物、及びハーブ組成物としてそれを必要とする個体に投与するための本発明のハーブ抽出物を提供する。
【実施例
【0055】
以下の実施例は例示として与えられており、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0056】
実施例1:
クルクマ・ロンガからのハーブ抽出物の抽出
【0057】
乾燥させたC.ロンガ(C.longa)根茎を粉砕して微粉とした。ウコン粉末を酢酸エチルで抽出して、クルクミノイド、ガム、ワックス、脂肪(固定油)、脂肪酸、揮発性油及び樹脂を含む粘性の液体抽出物を得た。蒸留によって、抽出物から溶媒を除去した。次の工程では、水蒸気蒸留によって抽出物から揮発性油を除去した。トリグリセリド、固定油、軟質樹脂、脂肪、ワックス、ガムを除去するために、n-ヘキサン等の非極性溶媒をハーブ抽出物に添加し、1~6時間ブレンド/還流し、濾過によってn-ヘキサン層を分離し、遠心分離/デカンテーションし、ヘキサン部分を廃棄して、抽出物からトリグリセリド、固定油、軟質樹脂、脂肪、ワックス、ガムを除去した。非極性溶媒による抽出を4~7回繰り返して、トリグリセリド、固定油、軟質樹脂、ワックス、脂肪及びガムを確実に完全除去する。抽出溶媒を除去した後、ハーブ抽出物を真空乾燥(温度:60℃、真空度:12ミリバール)して、硬質/固体の乾燥フレークを得た。得られたフレークを、粉砕ミルで微粉に粉砕して、40~170メッシュの粒径を有する粉末を得る。粉砕した粉末を真空乾燥機で最大12時間、12ミリバールの真空度で真空乾燥して、低水分の流動性粉末を得た。ハーブ抽出物の粉末形態は、ハーブ活性物質、すなわち水分活性が0.5未満であり、揮発性油が5%未満である、25%~90%の濃度のクルクミノイド及び45%~75%の樹脂を含む。
【0058】
以下に示す実施例は、特定の濃度のハーブ活性物質及び樹脂の抽出方法を具体的に示す。
【0059】
実施例2:
クルクマ・ロンガからのF2として示されるハーブ抽出物の抽出
【0060】
乾燥させたC.ロンガ(C.longa)根茎を粉砕して微粉とした。この粉末中のクルクミノイド総含有量は2~3%の範囲であった。ウコン粉末を酢酸エチルで抽出して、クルクミノイド、脂肪(固定油)、脂肪酸、ガム、ワックス、揮発性油及び樹脂を含む液体抽出物を得た。この抽出物中のクルクミノイド含有量は20%以上であった。75℃~80℃における蒸留によって、抽出物から溶媒を除去した。次の工程では、水蒸気蒸留によって抽出物から揮発性油を除去する。トリグリセリド、固定油、軟質樹脂、脂肪、ワックス、ガムを抽出物から除去するために、非極性溶媒のヘキサンをハーブ抽出物に1:2の比で添加し、室温でブレンドし、濾過、遠心分離/デカンテーションによってヘキサン層を分離し、廃棄する。この過程を4~7サイクル繰り返して、抽出物からトリグリセリド、固定油、軟質樹脂、脂肪、ガム、ワックス、脂肪酸を除去する。抽出溶媒、すなわちヘキサンを除去した後、次いで、35℃~60℃、12ミリバールの真空度で最大12時間、抽出物を真空乾燥させて、硬質フレークを得た。次いで、得られたフレークを粉砕ミルで粉砕して、40メッシュ超の粒径を有する流動性粉末を得た。HPLCを用いて最終生成物を分析し、結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
実施例2の最終生成物中のクルクミノイド総含有量は49.37%であり、クルクミノイド全体のうち、クルクミン含有量は59.17%、デメトキシクルクミンは23.19%、及びビスデメトキシクルクミンは17.64%であった。最終生成物中の樹脂の総含有量は50.63%である。
【0063】
実施例3:
クルクマ・ロンガからのF3として示されるハーブ抽出物の抽出
【0064】
乾燥させたC.ロンガ(C.longa)根茎を粉砕して微粉とした。ウコン粉末を酢酸エチルで抽出して、クルクミノイド、脂肪、ガム、ワックス、脂肪酸、揮発性油及び樹脂を含む液体抽出物を得た。75℃~80℃で蒸留することによって、抽出物から溶媒を除去する。次の工程では、水蒸気蒸留によって抽出物から揮発性油を除去した。トリグリセリド、固定油、軟質樹脂、脂肪、ガム及びワックスの除去のために、非極性溶媒のヘキサンをハーブ抽出物に1:2の比で添加し、室温でブレンドし、濾過によってヘキサン層を分離し、廃棄した。この過程を4~7サイクル繰り返して、抽出物からトリグリセリド、固定油、軟質樹脂、脂肪、ワックス及びガムを除去する。抽出溶媒、すなわちヘキサンを除去した後、次いで35℃、12ミリバールの真空度で最大12時間、抽出物を真空乾燥させて、硬質/乾燥フレークを得た。次いで、得られたフレークを粉砕ミルで粉砕して、120メッシュの粒径を有する流動性粉末を得た。HPLCを用いて最終生成物を分析し、結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
実施例2の最終生成物中のクルクミノイド総含有量は55.12%であり、クルクミノイド全体のうち、クルクミン含有量は58.9%、デメトキシクルクミンは23.13%、及びビスデメトキシクルクミンは17.9%であった。最終生成物中の樹脂の総含有量は44.88%である。
【0067】
実施例4:
実施例3の最終生成物(F-3)の溶解度:
【0068】
標準クルクミノイド(C-95)及び85%のクルクミノイドを含有する揮発性油を有するクルクミノイド(CP01)(86%クルクミノイドに標準化された揮発性油を有するクルクミノイド)と比較して、リン酸緩衝液6.8中でF-3の溶解度を測定した。
【0069】
F-3粉末、標準クルクミノイド(C-95)及びCP01のそれぞれ500mgを、別個のビーカ内の6.8緩衝液500mlに添加した。試験生成物及び緩衝液を含む全てのビーカを、継続して撹拌しながら37℃の温度の水浴内に保持した。試料を一定間隔(0、1、2、3、4及び5時間)で回収し、Whatman濾紙を用いて濾過し、UV分光光度計を用いてクルクミン含有量を分析した。試験生成物の溶解度プロファイルを図1に示す。
【0070】
実施例5:
クルクマ・ロンガからのOLNP-18として示されるハーブ抽出物の抽出
【0071】
乾燥させたC.ロンガ(C.longa)根茎を粉砕して微粉とした。ウコン粉末を酢酸エチルで抽出して、クルクミノイド、ガム、ワックス、脂肪(固定油)、脂肪酸、揮発性油及び樹脂を含む粘性の液体抽出物を得た。75℃~85℃で蒸留することによって、抽出物から溶媒を除去した。次の工程で、水蒸気蒸留によって抽出物から揮発性油を除去した。トリグリセリド、固定油、軟質樹脂、脂肪、ガム、ワックスの除去のために、非極性溶媒のヘキサンをハーブ抽出物に1:2の比で添加し、30℃~45℃でブレンドし、デカンテーション及び濾過によってヘキサン層を分離し、ヘキサン部分を廃棄した。トリグリセリド、固定油、軟質樹脂、脂肪、ワックス及びガムの完全な除去を確実にするために、非極性溶媒による抽出を6回繰り返す。抽出溶媒、すなわちヘキサンを除去した後、次いで60℃、12ミリバールの真空度で最大12時間、抽出物を真空乾燥させて、硬質の乾燥フレークを得た。次いで、得られたフレークを粉砕ミルで粉砕して、120メッシュ超の粒径を有する流動性粉末を得た。HPLCを用いて最終生成物を分析し、結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
実施例5の最終生成物中のクルクミノイド総含有量は51.36%であり、クルクミノイド全体のうち、クルクミン含有量は59.11%、デメトキシクルクミンは23.75%、及びビスデメトキシクルクミンは17.13%であった。最終生成物中の樹脂の総含有量は48.64%である。
【0074】
実施例6:
CP-01及び標準クルクミノイド(C-95%)と比較した場合の本発明のOLNP-18組成物の比較バイオアベイラビリティ試験
【0075】
CP-01=揮発性油を含むクルクミノイド
標準クルクミノイド(C-95%):標準ウコン抽出物
【0076】
単回経口投与(500mg/kg体重、クルクミノイドに等価)後、CP-01及び標準クルクミノイド(C-95%)と比較したOLNP-18の薬物動態研究を、雄ウィスターラットで行った。一回量投与後、0.00、1.00、2.00、3.00、4.00、6.00、8.00、10.00、12.00及び24.00時間において、各動物から血液を採取した。4℃において3000RPMで10分間遠心分離した後、予め標識したバイアル内で血漿を分離し、生物分析まで-70℃で保存した。ラット血漿中のクルクミンを定量するために、一部がバリデーションされたLC-MS/MS法を使用した。
【0077】
実験期間中、どのラットも毒性の徴候を示さなかった。実験期間中に死亡又は罹患は観察されなかった。
【0078】
試験所見は、参考製剤である、標準クルクミノイド(C-95%)及びCP-01のバイオアベイラビリティと比較して、試験品(OLNP-18)からのクルクミンのバイオアベイラビリティが有意に増加したことを明らかにした(図3)。OLNP-18は、CP-01よりも良好な経口バイオアベイラビリティ(16%↑)、及び標準クルクミノイド(C-95%)よりも良好なバイオアベイラビリティ(134%↑)を有することが見出された。クルクミンに関して、それぞれCP-01及び標準クルクミノイド(C-95%)と比較して、OLNP-18は、116%及び234%の相対バイオアベイラビリティ(AUC)を示した。CP-01及び標準クルクミノイド(C-95%)と比較して、OLNP-18は、24時間の期間にわたる流動性クルクミンの徐放性プロファイルを示した(図4)。これは、CP-01と比較して約3倍高いAUCを示し、流動性クルクミンの標準クルクミノイド(C-95%)と比較して約11倍高いAUCを示した。曝露(AUC)を昇順に整列させると、OLNP-l8>CP01>C95である。
【0079】
本実験条件下では、OLNP-18は、雄ウィスターラットのクルクミンのバイオアベイラビリティ及び徐放性プロファイルの増加において、標準クルクミノイド(C-95%)及びCP-01よりも優れていることが見出された。
【0080】
実施例7:
OLNP-18の放出プロファイル
【0081】
リン酸緩衝液6.8中で、標準クルクミノイド95%(C-95)及び揮発性油を含むクルクミノイド製剤(CP-01)と比較して、OLNP-18の放出研究を実施した。継続して撹拌しながら37℃の温度の水浴内に維持した別個のビーカ内の6.8緩衝液400mlに、OLNP-18粉末、標準クルクミノイド95%及びCP-01のそれぞれ500mgを添加した。試料を一定間隔(0、1、2、3、4及び5時間)で回収し、Whatman濾紙を用いて濾過し、UV分光光度計を用いてクルクミン含有量を分析した。試験生成物の溶解度プロファイルを図2に示す。
【0082】
本発明の利点:
・植物化学物質及び樹脂を含むハーブ抽出物は、本発明の簡単な方法によって得られる。本方法は、従来の方法で通常認められる別途の抽出方法を必要としない。
・植物化学物質及び樹脂(すなわち、クルクミノイド及び樹脂)を含む得られたハーブ抽出物は、高い溶解度、高いバイオアベイラビリティ及び徐放性を有する。
・ハーブ抽出物は、ウコン根茎のクルクミノイドのプロファイルと同様のクルクミノイドのプロファイルである、天然クルクミノイドプロファイルを有する。
・ハーブ抽出物は、合成乳化剤又はバイオエンハンサのいずれも含まないため、経口摂取に対して非常に安全である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】