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▶ フィジーン、エルエルシーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】再生性のアブスコパル効果
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/33 20150101AFI20220131BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20220131BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 35/16 20150101ALI20220131BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20220131BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 5/071 20100101ALN20220131BHJP
   C12N 5/074 20100101ALN20220131BHJP
   C07K 14/475 20060101ALN20220131BHJP
   C07K 14/54 20060101ALN20220131BHJP
   C07K 14/52 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 5/078 20100101ALN20220131BHJP
   C12N 5/0735 20100101ALN20220131BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 5/0789 20100101ALN20220131BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALN20220131BHJP
   C07K 14/62 20060101ALN20220131BHJP
   C07K 14/715 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A61K35/33
A61P43/00 105
A61K35/28
A61K38/18
A61K35/16 Z
A61K35/12
A61K45/00
A61P43/00 111
C12N5/071
C12N5/074
C07K14/475
C07K14/54
C07K14/52
C12N5/078
C12N5/0735
C12N5/10
C12N5/0789
C12N5/0775
C07K14/62
C07K14/715
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525028
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(85)【翻訳文提出日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 US2019060397
(87)【国際公開番号】W WO2020097418
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】62/757,764
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516071686
【氏名又は名称】フィジーン、エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FIGENE, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オヒーロン、ピート
(72)【発明者】
【氏名】イチム、トーマス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA93X
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA22
4C084BA44
4C084DB52
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB21
4C084ZC20
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB35
4C087BB63
4C087MA02
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB21
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA03
4H045DA04
4H045DA05
4H045DA12
4H045DA13
4H045DA15
4H045DA20
4H045DA37
4H045EA20
(57)【要約】
【課題】細胞および/または組織の再生を必要とする1つ以上の部位において個体の1つ以上の組織を再生するためのシステム、方法および組成物を提供する。
【解決手段】本開示の実施形態は、個体の第1の組織部位において再生を刺激するために線維芽細胞を使用する方法および組成物を包含し、その方法は、少なくとも1つの再生組成物を第2の組織部位に投与する工程を含み、第2の組織部位は、個体の第1の組織部位と同じ組織型を含む。第1および第2の部位は、特定の実施形態では、個体における異なる位置である。特定の実施形態は、1つ以上の組成物を関節などの必要とする部位とは異なる解剖学的部位において個体に投与することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体の第1の組織部位において再生を刺激する方法であって、前記方法は、線維芽細胞および/または脱分化した線維芽細胞ならびに必要に応じて幹細胞を含む少なくとも1つの再生組成物を第2の組織部位に投与する工程を含み、前記第2の組織部位は、前記個体の前記第1の組織部位と同じ組織型を含む、方法。
【請求項2】
前記組成物の投与が、全身注射、局所注射、全身送達および/または局所送達を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物の投与が、少なくとも1回の投与または2、3、4、5、6、7、8、9、10回もしくはそれ以上の投与を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の組織が、部分的または完全な機能喪失を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
機能喪失が、前記組織における細胞死、組織壊死、萎縮、線維症、炎症、脂肪沈着、変性分子の生成、弾性低下、神経変性、自己免疫、補体活性化、軟骨減少、靭帯断裂、筋肉断裂、結合組織の減少、新生物またはそれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記組織が、筋組織、結合組織、上皮組織、内皮組織、神経組織、脂肪組織、皮膚組織、肺組織、肝組織、膀胱組織、腎組織、心臓組織、胃組織、腸組織、脊髄組織、眼組織、線維組織、網、リンパ組織、骨髄またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記組織が、内皮細胞、上皮細胞、皮膚細胞、内胚葉細胞、中胚葉細胞、線維芽細胞、骨細胞、軟骨細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、肝臓細胞、膵臓細胞、間質細胞、唾液腺粘液細胞、唾液腺漿液細胞、フォンエブネル腺細胞、乳腺細胞、涙腺細胞、耳道腺細胞、エクリン汗腺暗細胞、エクリン汗腺明細胞、アポクリン汗腺細胞、モル腺細胞、皮脂腺細胞.ボーマン腺細胞、ブルンネル腺細胞、精嚢細胞、前立腺細胞、尿道球腺細胞、バルトリン腺細胞、リトル腺細胞、子宮内膜細胞、孤立した杯細胞、胃壁の粘膜細胞、胃腺酵素原細胞、胃腺酸分泌細胞、膵腺房細胞、パネート細胞、II型肺胞細胞、クララ細胞、成長ホルモン産生細胞、乳腺刺激ホルモン産生細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞、性腺刺激ホルモン産生細胞、副腎皮質刺激ホルモン産生細胞、脳下垂体中葉細胞、大細胞神経分泌細胞、腸細胞、気道細胞、甲状腺上皮細胞、傍濾胞細胞、副甲状腺細胞、上皮小体主細胞、好酸性細胞、副腎細胞、クロム親和細胞、ライディッヒ細胞、内卵胞膜細胞、黄体細胞、顆粒膜黄体細胞、卵胞膜黄体細胞、傍糸球体細胞、緻密斑細胞、周血管極細胞、メサンギウム細胞、血管内皮有窓細胞およびリンパ管内皮有窓細胞、血管内皮連続細胞およびリンパ管内皮連続細胞、血管内皮脾細胞およびリンパ管内皮脾細胞、滑膜細胞、漿膜細胞(腹膜腔、胸膜腔および囲心腔の内壁)、扁平上皮細胞、円柱細胞、暗細胞、前庭膜細胞(耳の内リンパ腔の内壁)、血管条基底細胞、血管条周辺細胞(耳の内リンパ腔の内壁)、クラウディウス細胞、ベッチャー細胞、脈絡叢細胞、軟膜クモ膜扁平上皮細胞、色素性毛様体上皮細胞、非色素性毛様体上皮細胞、角膜内皮細胞、ペグ細胞、気道線毛細胞、卵管繊毛細胞、子宮内膜繊毛細胞、精巣網繊毛細胞、精巣輸出管繊毛細胞、繊毛性上衣細胞、表皮角化細胞、表皮基底細胞、手指爪および足指爪のケラチノサイト、爪床基底細胞、髄様毛幹細胞、皮質毛幹細胞、クチクラ毛幹細胞、クチクラ毛根鞘細胞、ハクスリー層の毛根鞘細胞、ヘンレ層の毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞、毛母細胞、重層扁平上皮の表面上皮細胞、上皮の基底細胞、泌尿器上皮細胞、耳のコルチ器の内有毛細胞、耳のコルチ器の外有毛細胞、嗅上皮の基底細胞、低温感受性一次感覚ニューロン、感熱性一次感覚ニューロン、表皮のメルケル細胞、嗅覚受容神経、疼痛感受性一次感覚ニューロン、光受容体桿体細胞、光受容体青色感受性錐体細胞、光受容体緑色感受性錐体細胞、光受容体赤色感受性錐体細胞、固有受容性一次感覚ニューロン、触覚感受性一次感覚ニューロン、I型頚動脈小体細胞、II型頚動脈小体細胞(血液pHセンサー)、耳の前庭器のI型有毛細胞(加速および重力)、耳の前庭器のII型有毛細胞、I型味蕾細胞 コリン作動性神経細胞、アドレナリン作動性神経細胞、ペプチド作動性神経細胞、コルチ器の内柱細胞、コルチ器の外柱細胞、コルチ器の内支持細胞、コルチ器の外支持細胞、コルチ器の境界細胞、コルチ器のヘンゼン細胞、前庭器支持細胞、味蕾支持細胞、嗅上皮支持細胞、シュワン細胞、衛星細胞、腸グリア細胞、アストロサイト、ニューロン、乏突起膠細胞、紡錘状ニューロン、前水晶体上皮細胞、クリスタリン含有水晶体線維細胞、肝細胞、脂肪細胞、白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞、肝臓脂質細胞、腎糸球体壁細胞、腎糸球体ポドサイト、腎近位尿細管刷子縁細胞、ヘンレ係蹄の細い部分の細胞、腎遠位尿細管細胞、腎集合管細胞、I型肺細胞、膵管細胞、平滑筋導管細胞、導管細胞、腸刷子縁細胞、外分泌腺線条導管細胞、胆嚢上皮細胞、精巣輸出管非線毛細胞、精巣上体主細胞、精巣上体基底細胞、エナメル芽細胞上皮細胞、半月面上皮細胞、コルチ器歯間上皮細胞、疎性結合組織線維芽細胞、角膜実質細胞、腱線維芽細胞、骨髄細網組織線維芽細胞、非上皮線維芽細胞、周皮細胞、髄核細胞、セメント芽細胞/セメント細胞、象牙芽細胞、オドントサイト、硝子軟骨の軟骨細胞、線維軟骨の軟骨細胞、弾性軟骨の軟骨細胞、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、骨細胞前駆細胞、硝子体細胞、星細胞(耳)、肝星細胞(伊東細胞)、膵星細胞、赤筋骨格筋細胞、白筋骨格筋細胞、中間骨格筋細胞、筋紡錘の核袋細胞、筋紡錘の核鎖細胞、衛星細胞、通常の心筋細胞、結節心筋細胞、プルキンエ線維細胞、平滑筋細胞、虹彩の筋上皮細胞、外分泌腺の筋上皮細胞、網状赤血球、巨核球、単球、結合組織マクロファージ.上皮ランゲルハンス細胞、樹状細胞、ミクログリア細胞、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、メラノサイト、網膜色素上皮細胞、卵原細胞/卵母細胞、精子細胞、精母細胞、精原細胞、精子、卵胞細胞、セルトリ細胞、胸腺上皮細胞、間質腎臓細胞およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の細胞を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記再生組成物が、少なくとも1つの成長因子を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの成長因子が、AM、Ang、BMP、BDNF、EGF、Epo、FGF、GNDF、G-CSF、GM-CSF、GDF-9、HGF、HDGF、IGF、遊走刺激因子、GDF-8、GDF-11、GDF-15、MGF、NGF、PlGF、PDGF、Tpo、TGF-アルファ、TGF-ベータ、TNF-アルファ、VEGF、Wntタンパク質、インターロイキン、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-1F1、IL-1F2、IL-1F3、IL-1F4、IL-1F5、IL-1F6、IL-1F7、IL-1F8、IL-1F9、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、35kDaアルファサブユニット、IL-12、40kDaベータサブユニット、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E、IL-17Fアイソフォーム1、IL-17Fアイソフォーム2、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23 p19サブユニット、IL-23 p40サブユニット、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27B、IL-27-p28、IL-28A、IL-28B、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-34、IL-35、IL-36アルファ、IL-36ベータ、IL-36ガンマに対する可溶性レセプター、インターフェロン(IFN)、IFN-アルファ、IFN-ベータ、IFN-ガンマ、IFN-ラムダ1、IFN-ラムダ2、IFN-ラムダ3、IFN-K、IFN-イプシロン、IFN-カッパー、IFN-タウ、IFN-デルタ、IFN-ゼータ、IFN-オメガ、IFN-vに対する可溶性レセプター、インスリン、プロインスリン、インスリンに対するレセプター、レプチン(LEP)およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記再生組成物が、多血小板血漿を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記多血小板血漿が、血小板溶解物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記多血小板血漿が、末梢血に由来する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記多血小板血漿が、臍帯血に由来する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記再生組成物が、少なくとも1つの再生性細胞に由来する1つ以上のエクソソームを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記再生性細胞が、幹細胞および/または線維芽細胞である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記線維芽細胞が、包皮、脂肪組織、胎盤、耳垂、網、ワルトンゼリーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される組織起源に由来する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エクソソームが、2nm~200nmのサイズを有する、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記エクソソームが、30~150nmのサイズを有する、請求項14~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記エクソソームが、リン脂質、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミド、糖脂質、セレブロシド、ステロイド、コレステロールおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの脂質を含む、請求項14~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記エクソソームが、少なくとも1つの脂質ラフトを含む、請求項14~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記エクソソームが、CD9、CD63、CD81、ANXA2、ENO1、HSP90AA1、EEF1A1、YWHAE、SDCBP、PDCD6IP、ALB、YWHAZ、EEF2、ACTG1、LDHA、HSP90AB1、ALDOA、MSN、ANXA5、PGK1、CFL1およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の抗原マーカーを前記エクソソームの表面上に含む、請求項14~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記再生組成物が、1つ以上の線維芽細胞を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記線維芽細胞が、包皮、脂肪組織、胎盤、耳垂、脂肪組織、網、ワルトンゼリーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される組織起源に由来する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記線維芽細胞が、NANOG、OCT-4、SSEA-4、幹細胞因子レセプターおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのマーカーを発現する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記再生組成物が、1つ以上の幹細胞を含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記幹細胞が、多能性幹細胞を含む、25に記載の方法。
【請求項27】
前記多能性幹細胞が、胚性幹細胞、単為生殖由来の幹細胞、誘導性多能性幹細胞、体細胞核移植由来の幹細胞、細胞質移植由来の幹細胞、刺激惹起性多能性獲得およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記幹細胞が、造血幹細胞を含む、25に記載の方法。
【請求項29】
前記造血幹細胞が、免疫不全の宿主において多系列の再構成が可能である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記造血幹細胞が、c-kit、Sca-1、CD34、CD133およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質のうちの少なくとも1つを発現する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記造血幹細胞が、Sca-1タンパク質を発現する、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記造血幹細胞が、CD34を発現する、請求項28~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記造血幹細胞が、CD133を発現する、請求項28~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記造血幹細胞が、1つ以上の系列マーカーの発現を欠く、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記造血幹細胞が、CD38、CD14、CD16、CD56またはそれらの組み合わせの発現を欠く、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記造血幹細胞が、c-kitの発現が陽性であり、Sca-1の発現が陽性であり、かつ/または系列マーカーの発現を実質的に欠く、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記造血幹細胞が、末梢血、動員末梢血、骨髄、臍帯血、脂肪間質血管細胞群、前駆細胞に由来するものおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される起源に由来する、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記造血前駆細胞が、多能性幹細胞である、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記幹細胞が、間葉系幹細胞を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
前記間葉系幹細胞が、プラスチック接着性である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記間葉系幹細胞が、CD73、CD90、CD105およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現する、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
前記間葉系幹細胞が、CD14、CD45、CD34およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーの発現を欠く、請求項39、40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記間葉系幹細胞が、骨髄、末梢血、脂肪組織、動員末梢血、臍帯血、ワルトンゼリー、臍帯組織、骨格筋組織、上皮下臍帯、子宮内膜組織、月経血、卵管組織およびそれらの組み合わせからなる群より選択される組織に由来する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
臍帯組織に由来する前記間葉系幹細胞が、酸化低密度リポタンパク質レセプター1、ケモカインレセプターリガンド3、顆粒球走化性タンパク質およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
臍帯組織由来の前記間葉系幹細胞が、CD117、CD31、CD34、CD45およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現しない、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
臍帯組織由来の前記間葉系幹細胞が、ヒト線維芽細胞と比べて高レベルのインターロイキン8および/またはレティキュロン1を発現する、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
臍帯組織由来の前記間葉系幹細胞が、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現する、請求項43~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記臍帯組織由来の細胞が、MCP-1、MIP1ベータ、IL-6、IL-8、GCP-2、HGF、KGF、FGF、HB-EGF、BDNF、TPO、RANTES、TIMP1およびそれらの組み合わせからなる群より選択される因子を分泌する、請求項43~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記臍帯組織由来の細胞が、TRA1-60、TRA1-81、SSEA3、SSEA4、NANOGおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現する、請求項43~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記臍帯組織由来の間葉系幹細胞が、培養中に自己複製および拡大が可能な、血液を実質的に含まない臍帯組織から単離された、単離された臍帯組織細胞である、請求項43~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記臍帯組織由来の細胞が、アルカリホスファターゼ染色陽性である、請求項43~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記帯組織由来の間葉系幹細胞が、培養中に少なくとも20回の倍加を起こすことができる、請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記帯組織由来の間葉系幹細胞が、継代の際に正常核型を維持する、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記臍帯組織由来の間葉系幹細胞が、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-アルファ、PD-L2、HLA-A,B,Cおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現する、請求項43~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記帯組織由来の間葉系幹細胞が、CD31、CD34、CD45、CD80、CD86、CD117、CD141、CD178、B7-H2、HLA-G、HLA-DR,DP,DQおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上のマーカーを発現しない、請求項43~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記骨髄由来の間葉系幹細胞が、LFA-3、ICAM-1、PECAM-1、P-セレクチン、L-セレクチン、CD49b/CD29、CD49c/CD29、CD49d/CD29、CD29、CD18、CD61、6-19、トロンボモジュリン、テロメラーゼ、CD10、CD13、CD34、CD56、CD117、インテグリンベータおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現する、請求項43に記載の方法。
【請求項57】
前記骨髄間葉系幹細胞が、CD10を発現しない、請求項43または56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記骨髄間葉系幹細胞が、CD2、CD5、CD14、CD19、CD33、CD45および/またはDRIIのうちの少なくとも1つを発現しない、請求項43、56または57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記骨髄間葉系幹細胞が、CD13、CD34、CD56、CD90、CD117および/またはネスチンのうちの少なくとも1つを発現する、請求項43、56、57または58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記骨髄由来の間葉系幹細胞が、間葉系幹細胞の前駆細胞である、請求項43~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記間葉系前駆細胞が、STRO-1を発現している細胞が濃縮された骨髄間葉系幹細胞の集団を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記間葉系前駆細胞が、STRO-1とVCAM-1の両方を発現している、請求項60または61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記STRO-1を発現している細胞が、CBFA-1、II型コラーゲン、PPAR.ガンマ2、オステオポンチン、オステオカルシン、副甲状腺ホルモンレセプター、レプチン、H-ALBP、アグリカン、Ki67、グリコホリンAおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのマーカーが陰性である、請求項60~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記骨髄間葉系幹細胞が、CD14、CD34および/またはCD45のうちの少なくとも1つの発現を欠く、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記STRO-1を発現している細胞が、VCAM-1、TKY-1、CD146、STRO-2およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーが陽性である、請求項61~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記骨格筋幹細胞が、CD13、CD34、CD56、CD117およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現する、請求項43に記載の方法。
【請求項67】
前記骨格筋間葉系幹細胞が、CD10を発現しない、請求項43または66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記骨格筋間葉系幹細胞が、CD2、CD5、CD14、CD19、CD33、CD45および/またはDRIIのうちの少なくとも1つを発現しない、請求項43、66または67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞が、CD29、CD73、CD90、CD166、SSEA4、CD9、CD44、CD146、CD105およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを有する、請求項43に記載の方法。
【請求項70】
前記上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞が、CD45、CD34、CD14、CD79、CD106、CD86、CD80、CD19、CD117、Stro-1、HLA-DRおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現しない、請求項43または69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞が、CD29、CD73、CD90、CD166、SSEA4、CD9、CD44、CD146および/またはCD105のうちの少なくとも1つを発現する、請求項43、69または70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞が、CD45、CD34、CD14、CD79、CD106、CD86、CD80、CD19、CD117、Stro-1および/またはHLA-DRのうちの少なくとも1つを発現しない、請求項43または69~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞が、SOX2陽性である、請求項43または69~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞が、OCT4陽性である、請求項43または69~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞が、OCT4陽性かつSOX2陽性である、請求項43または69~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記再生組成物が、1つ以上の線維芽細胞由来のアポトーシス小胞を含む、請求項1~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記再生組成物が、線維芽細胞由来のmiRNAを含む、請求項1~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記線維芽細胞由来のmiRNAが、エクソソームに含まれている、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記線維芽細胞由来のmiRNAが、アポトーシス小体に含まれている、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記線維芽細胞由来のmiRNAが、血漿中に循環している、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
1つ以上の遠隔再生効果の増強が、1つ以上のエピジェネティック作用性組成物の全身投与によって達成される、請求項1~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
全身投与が、前記再生組成物の投与部位または異なる部位において行われる、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記エピジェネティック作用性組成物が、1つ以上のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を含む、請求項81または82に記載の方法。
【請求項84】
前記エピジェネティック作用性組成物が、1つ以上のDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤を含む、請求項81=83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記第1の組織が、変性している、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年11月9日出願の米国特許仮出願第62/757,764号に対する優先権を主張する。この仮出願の全体が、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本開示の実施形態は、少なくとも、細胞生物学、分子生物学、細胞治療、生理学および医学の分野を含む。
【背景技術】
【0003】
幹細胞治療は、過去20年間でかなり進歩した。幹細胞の当初の用途は、血液疾患の分野における骨髄破壊的処置後のレシピエントの造血の再構成に関係するものであった。初めて臨床で骨髄移植が成功した後、多くの研究が行われ、骨髄細胞が肝不全、心不全および肢虚血などの血液学以外の分野において治療効果を発揮できると実証された。
【0004】
幹細胞の局所投与は、関節、筋肉および他の組織などの投与部位において再生効果を誘導すると報告された。残念なことに、ある特定の条件では、再生を必要とするすべての組織に幹細胞を局所的に投与することは困難である。例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィでは、幹細胞はジストロフィンの局所的な再発現を誘導することが知られているが、幹細胞を身体のすべての筋肉に注射することは困難である。
【0005】
本開示は、新しい効率的な方法を用いて、細胞治療の分野における長年のニーズへの解決策を提供する。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、細胞および/または組織の再生を必要とする1つ以上の部位において個体の1つ以上の組織を再生するためのシステム、方法および組成物に関する。特定の実施形態は、再生を必要とする部位とは異なる解剖学的部位において1つ以上の組成物を個体に投与することを含む。その組成物は、投与部位が、再生を必要とする部位の組織型と同じ組織型を含むとき、その必要とする部位において再生を誘導し得る。一例として、再生を必要とする部位は、例えば左膝などの関節であり得、投与部位は、右膝である。この提供された例では、右膝は、再生を必要としていてもよいし、必要としていなくてもよいが、本組成物は、理論に拘束されない方法で、左膝において再生を誘導することができることを特徴とし得る。特定の実施形態は、例えば、筋組織、結合組織、関節組織、上皮組織、内皮組織、神経組織、脂肪組織、皮膚組織、肺組織、肝組織、膀胱組織、腎組織、心臓組織、胃組織、腸組織、脊髄組織、眼組織、線維組織、網または骨髄などの任意の組織における投与を含み得、その組織は、任意の1つ以上の細胞型でできている場合がある。そのような任意の組織への1つ以上の再生組成物の投与は、同じ組織型において再生を提供および/または誘導し得るが、投与部位では再生を提供および/または誘導しないことがある。本開示は、具体的には、投与部位とは異なる部位における再生を包含する。
【0007】
ある特定の実施形態において、投与は、組成物の全身送達または局所送達を含み、その投与は、特定の部位への投与であり得、注射による投与であってもよいし、そうでなくてもよい。その投与は、いくつかの場合において、単回投与、または特定の期間にわたる投与を含む、2、3、4、5、6、7、8、9、10回もしくはそれ以上の投与を含む複数回投与であり得る。
【0008】
ある特定の実施形態において、再生を必要とする部位は、部分的または完全な機能喪失を有する。部分的な機能喪失は、例えば腎臓における糸球体濾過の部分的な喪失などの、同じ組織型の健康な組織と比べて完全な機能を有しない組織を含む。完全な機能喪失としては、例えば完全な腎不全などの、当該組織型の正常な機能の完全な喪失を含む。機能喪失は、例えば、当該組織における細胞死、組織壊死、萎縮、線維症、炎症、脂肪沈着、変性分子の生成、弾性低下、神経変性、自己免疫、補体活性化、軟骨減少、靭帯断裂、筋肉断裂、結合組織の減少、新生物が挙げられ得る。
【0009】
ある特定の実施形態において、投与される組成物は、少なくとも1つの細胞、成長因子、血液製剤、エクソソーム、miRNA、エピジェネティック作用性組成物またはそれらの組み合わせを含む。その細胞は、線維芽細胞もしくは幹細胞またはそれらの混合物をはじめとした任意のタイプまたは起源の細胞であり得る。幹細胞は、任意の系列であり得、間葉系幹細胞、多能性幹細胞、造血幹細胞、誘導性多能性幹細胞、単為生殖由来の幹細胞、または多能性の起源に由来する間葉系幹細胞、または他の任意の幹細胞であり得る。その細胞は、一例として、使用している細胞の特定を助けるか、またはその細胞のある特定の活性をもたらす、例えばある特定の細胞マーカーを発現し得るかつ/またはある特定の細胞マーカーの発現を欠き得る。その細胞は、例えば、骨髄、末梢血、脂肪組織、動員末梢血、臍帯血、ワルトンゼリー、臍帯組織、骨格筋組織、上皮下臍帯、子宮内膜組織、月経血、卵管組織、包皮、胎盤、耳垂、網またはそれらの組み合わせなどの任意の組織から収集され得る。その細胞は、同種異系または自己または異種の起源に由来し得る。エピジェネティック作用性組成物は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であり得るか、またはヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤またはそれらの組み合わせであり得る。
【0010】
本開示の実施形態は、個体の第1の組織部位において再生を刺激する方法(第1の組織は、変性していることもあるし、していないこともある)を含み、その方法は、線維芽細胞および/または脱分化した線維芽細胞ならびに必要に応じて幹細胞を含む少なくとも1つの再生組成物を第2の組織部位に投与する工程を含み、第2の組織部位は、個体の第1の組織部位と同じ組織型を含む。第1の組織部位と第2の組織部位は、個体の身体の異なる位置である。組成物の投与は、全身注射、局所注射、全身送達および/または局所送達を含み得る。組成物の投与は、少なくとも1回の投与または2、3、4、5、6、7、8、9、10回もしくはそれ以上の投与を含み得る。具体的な実施形態において、第1の組織は、その組織における細胞死、組織壊死、萎縮、線維症、炎症、脂肪沈着、変性分子の生成、弾性低下、神経変性、自己免疫、補体活性化、軟骨減少、靭帯断裂、筋肉断裂、結合組織の減少、新生物またはそれらの組み合わせを含む、機能喪失などの部分的または完全な機能喪失を有する。組織は、筋組織、結合組織、上皮組織、内皮組織、神経組織、脂肪組織、皮膚組織、肺組織、肝組織、膀胱組織、腎組織、心臓組織、胃組織、腸組織、脊髄組織、眼組織、線維組織、網、リンパ組織、骨髄またはそれらの組み合わせを含む組織をはじめとした任意の種類の組織であり得る。具体的な場合において、組織は、内皮細胞、上皮細胞、皮膚細胞、内胚葉細胞、中胚葉細胞、線維芽細胞、骨細胞、軟骨細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、肝臓細胞、膵臓細胞、間質細胞、唾液腺粘液細胞、唾液腺漿液細胞、フォンエブネル腺細胞、乳腺細胞、涙腺細胞、耳道腺細胞、エクリン汗腺暗細胞、エクリン汗腺明細胞、アポクリン汗腺細胞、モル腺細胞、皮脂腺細胞.ボーマン腺細胞、ブルンネル腺細胞、精嚢細胞、前立腺細胞、尿道球腺細胞、バルトリン腺細胞、リトル腺細胞、子宮内膜細胞、孤立した杯細胞、胃壁の粘膜細胞、胃腺酵素原細胞、胃腺酸分泌細胞、膵腺房細胞、パネート細胞、II型肺胞細胞、クララ細胞、成長ホルモン産生細胞、乳腺刺激ホルモン産生細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞、性腺刺激ホルモン産生細胞、副腎皮質刺激ホルモン産生細胞、脳下垂体中葉細胞、大細胞神経分泌細胞、腸細胞、気道細胞、甲状腺上皮細胞、傍濾胞細胞、副甲状腺細胞、上皮小体主細胞、好酸性細胞、副腎細胞、クロム親和細胞、ライディッヒ細胞、内卵胞膜細胞、黄体細胞、顆粒膜黄体細胞、卵胞膜黄体細胞、傍糸球体細胞、緻密斑細胞、周血管極細胞、メサンギウム細胞、血管内皮有窓細胞およびリンパ管内皮有窓細胞、血管内皮連続細胞およびリンパ管内皮連続細胞、血管内皮脾細胞およびリンパ管内皮脾細胞、滑膜細胞、漿膜細胞(腹膜腔、胸膜腔および囲心腔の内壁)、扁平上皮細胞、円柱細胞、暗細胞、前庭膜細胞(耳の内リンパ腔の内壁)、血管条基底細胞、血管条周辺細胞(耳の内リンパ腔の内壁)、クラウディウス細胞、ベッチャー細胞、脈絡叢細胞、軟膜クモ膜扁平上皮細胞、色素性毛様体上皮細胞、非色素性毛様体上皮細胞、角膜内皮細胞、ペグ細胞、気道線毛細胞、卵管繊毛細胞、子宮内膜繊毛細胞、精巣網繊毛細胞、精巣輸出管繊毛細胞、繊毛性上衣細胞、表皮角化細胞、表皮基底細胞、手指爪および足指爪のケラチノサイト、爪床基底細胞、髄様毛幹細胞、皮質毛幹細胞、クチクラ毛幹細胞、クチクラ毛根鞘細胞、ハクスリー層の毛根鞘細胞、ヘンレ層の毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞、毛母細胞、重層扁平上皮の表面上皮細胞、上皮の基底細胞、泌尿器上皮細胞、耳のコルチ器の内有毛細胞、耳のコルチ器の外有毛細胞、嗅上皮の基底細胞、低温感受性一次感覚ニューロン、感熱性一次感覚ニューロン、表皮のメルケル細胞、嗅覚受容神経、疼痛感受性一次感覚ニューロン、光受容体桿体細胞、光受容体青色感受性錐体細胞、光受容体緑色感受性錐体細胞、光受容体赤色感受性錐体細胞、固有受容性一次感覚ニューロン、触覚感受性一次感覚ニューロン、I型頚動脈小体細胞、II型頚動脈小体細胞(血液pHセンサー)、耳の前庭器のI型有毛細胞(加速および重力)、耳の前庭器のII型有毛細胞、I型味蕾細胞 コリン作動性神経細胞、アドレナリン作動性神経細胞、ペプチド作動性神経細胞、コルチ器の内柱細胞、コルチ器の外柱細胞、コルチ器の内支持細胞、コルチ器の外支持細胞、コルチ器の境界細胞、コルチ器のヘンゼン細胞、前庭器支持細胞、味蕾支持細胞、嗅上皮支持細胞、シュワン細胞、衛星細胞、腸グリア細胞、アストロサイト、ニューロン、乏突起膠細胞、紡錘状ニューロン、前水晶体上皮細胞、クリスタリン含有水晶体線維細胞、肝細胞、脂肪細胞、白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞、肝臓脂質細胞、腎糸球体壁細胞、腎糸球体ポドサイト、腎近位尿細管刷子縁細胞、ヘンレ係蹄の細い部分の細胞、腎遠位尿細管細胞、腎集合管細胞、I型肺細胞、膵管細胞、平滑筋導管細胞、導管細胞、腸刷子縁細胞、外分泌腺線条導管細胞、胆嚢上皮細胞、精巣輸出管非線毛細胞、精巣上体主細胞、精巣上体基底細胞、エナメル芽細胞上皮細胞、半月面上皮細胞、コルチ器歯間上皮細胞、疎性結合組織線維芽細胞、角膜実質細胞、腱線維芽細胞、骨髄細網組織線維芽細胞、非上皮線維芽細胞、周皮細胞、髄核細胞、セメント芽細胞(cementoblast)/セメント細胞(cementocytes)、象牙芽細胞、オドントサイト(odontocytes)、硝子軟骨の軟骨細胞、線維軟骨の軟骨細胞、弾性軟骨の軟骨細胞、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、骨細胞前駆細胞、硝子体細胞、星細胞(耳)、肝星細胞(伊東細胞)、膵星細胞、赤筋骨格筋細胞、白筋骨格筋細胞、中間骨格筋細胞、筋紡錘の核袋細胞、筋紡錘の核鎖細胞、衛星細胞、通常の心筋細胞、結節心筋細胞、プルキンエ線維細胞、平滑筋細胞、虹彩の筋上皮細胞、外分泌腺の筋上皮細胞、網状赤血球、巨核球、単球、結合組織マクロファージ.上皮ランゲルハンス細胞、樹状細胞、ミクログリア細胞、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、メラノサイト、網膜色素上皮細胞、卵原細胞/卵母細胞、精子細胞、精母細胞、精原細胞、精子、卵胞細胞、セルトリ細胞、胸腺上皮細胞、間質腎臓細胞およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の細胞を含む。
【0011】
任意の再生組成物が、AM、Ang、BMP、BDNF、EGF、Epo、FGF、GNDF、G-CSF、GM-CSF、GDF-9、HGF、HDGF、IGF、遊走刺激因子、GDF-8、GDF-11、GDF-15、MGF、NGF、PlGF、PDGF、Tpo、TGF-アルファ、TGF-ベータ、TNF-アルファ、VEGF、Wntタンパク質、インターロイキン、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-1F1、IL-1F2、IL-1F3、IL-1F4、IL-1F5、IL-1F6、IL-1F7、IL-1F8、IL-1F9、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、35kDaアルファサブユニット、IL-12、40kDaベータサブユニット、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E、IL-17Fアイソフォーム1、IL-17Fアイソフォーム2、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23 p19サブユニット、IL-23 p40サブユニット、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27B、IL-27-p28、IL-28A、IL-28B、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-34、IL-35、IL-36アルファ、IL-36ベータ、IL-36ガンマに対する可溶性レセプター、インターフェロン(IFN)、IFN-アルファ、IFN-ベータ、IFN-ガンマ、IFN-ラムダ1、IFN-ラムダ2、IFN-ラムダ3、IFN-K、IFN-イプシロン、IFN-カッパー、IFN-タウ、IFN-デルタ、IFN-ゼータ、IFN-オメガ、IFN-vに対する可溶性レセプター、インスリン、プロインスリン、インスリンに対するレセプター、レプチン(LEP)およびそれらの組み合わせからなる群より選択される成長因子などの少なくとも1つの成長因子を含み得る。
【0012】
特定の実施形態において、再生組成物は、血小板溶解物を含み得る多血小板血漿を含む。多血小板血漿は、末梢血、臍帯血またはそれらの混合物に由来し得る。具体的な実施形態において、再生組成物は、幹細胞および/または線維芽細胞などの少なくとも1つの再生性細胞に由来する1つ以上のエクソソームを含む。線維芽細胞は、包皮、脂肪組織、胎盤、耳垂、網、ワルトンゼリーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される組織起源に由来し得る。
【0013】
再生組成物が、1つ以上のエクソソームを含むとき、それらのエクソソームは、約30~150nmのサイズを含む約2nm~200nmのサイズであり得る。それらのエクソソームは、リン脂質、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミド、糖脂質、セレブロシド、ステロイド、コレステロールおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの脂質を含み得る。それらのエクソソームは、少なくとも1つの脂質ラフトを含み得る。具体的な実施形態において、それらのエクソソームは、エクソソームの表面上に1つ以上の抗原マーカーを含み、そのマーカーは、CD9、CD63、CD81、ANXA2、ENO1、HSP90AA1、EEF1A1、YWHAE、SDCBP、PDCD6IP、ALB、YWHAZ、EEF2、ACTG1、LDHA、HSP90AB1、ALDOA、MSN、ANXA5、PGK1、CFL1およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。
【0014】
再生組成物が、1つ以上の線維芽細胞を含むとき、それらの線維芽細胞は、包皮、脂肪組織、胎盤、耳垂、脂肪組織、網、ワルトンゼリーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される組織起源由来などの任意の好適な起源に由来し得る。線維芽細胞は、NANOG、OCT-4、SSEA-4、幹細胞因子レセプターおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのマーカーを発現し得る。線維芽細胞を含む任意の再生組成物は、幹細胞も含み得る。
【0015】
再生組成物が、1つ以上の幹細胞を含むとき、それらの幹細胞は、任意の種類であってよい。例としては、造血幹細胞、胚性幹細胞、単為生殖由来の幹細胞、誘導性多能性幹細胞、体細胞核移植由来の幹細胞、細胞質移植由来の幹細胞、刺激惹起性多能性獲得およびそれらの組み合わせからなる群より選択される多能性幹細胞などの多能性幹細胞が挙げられる。使用され得る造血幹細胞は、免疫不全の宿主において多系列の再構成が可能であり得る。それらの造血幹細胞は、c-kit、Sca-1、CD34、CD133およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質のうちの少なくとも1つを発現し得る。いくつかの場合では、造血幹細胞は、CD38、CD14、CD16、CD56またはそれらの組み合わせなどの1つ以上の系列マーカーの発現を欠く。造血幹細胞は、c-kitの発現が陽性であり得る、Sca-1の発現が陽性であり得る、かつ/または系列マーカーの発現を実質的に欠く。造血幹細胞は、末梢血、動員末梢血、骨髄、臍帯血、脂肪間質血管細胞群、前駆細胞に由来するものおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される起源に由来し得る。具体的な実施形態において、造血前駆細胞は、多能性幹細胞である。幹細胞は、使用されるとき、プラスチック接着性である間葉系幹細胞を含む間葉系幹細胞を含み得る。間葉系幹細胞は、CD73、CD90、CD105およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現し得る。間葉系幹細胞は、CD14、CD45、CD34およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーの発現を欠き得る。具体的な実施形態において、間葉系幹細胞は、骨髄、末梢血、脂肪組織、動員末梢血、臍帯血、ワルトンゼリー、臍帯組織、骨格筋組織、上皮下臍帯、子宮内膜組織、月経血、卵管組織およびそれらの組み合わせからなる群より選択される組織に由来する。間葉系幹細胞は、酸化低密度リポタンパク質レセプター1、ケモカインレセプターリガンド3、顆粒球走化性タンパク質およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現している臍帯組織に由来し得る。具体的な場合において、臍帯組織由来の間葉系幹細胞は、CD117、CD31、CD34、CD45およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現しない。臍帯組織由来の間葉系幹細胞は、いくつかの場合では、ヒト線維芽細胞と比べて高レベルのインターロイキン8および/またはレティキュロン1を発現し得る。具体的な実施形態において、臍帯組織由来の間葉系幹細胞は、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現する。臍帯組織由来の細胞は、因子を分泌し、MCP-1、MIP1ベータ、IL-6、IL-8、GCP-2、HGF、KGF、FGF、HB-EGF、BDNF、TPO、RANTES、TIMP1およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。臍帯組織由来の細胞は、TRA1-60、TRA1-81、SSEA3、SSEA4、NANOGおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現し得る。臍帯組織由来の間葉系幹細胞は、培養中に自己複製および拡大が可能な、血液を実質的に含まない臍帯組織から単離された、単離された臍帯組織細胞であり得る。臍帯組織由来の細胞は、アルカリホスファターゼ染色陽性であり得る。具体的な実施形態において、帯組織由来の間葉系幹細胞は、培養中に少なくとも20回の倍加を起こすことができる。帯組織由来の間葉系幹細胞は、継代の際に正常核型を維持し得る。いくつかの場合では、臍帯組織由来の間葉系幹細胞は、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-アルファ、PD-L2、HLA-A,B,Cおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現する。帯組織由来の間葉系幹細胞は、CD31、CD34、CD45、CD80、CD86、CD117、CD141、CD178、B7-H2、HLA-G、HLA-DR,DP,DQおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上のマーカーを発現しないことがある。骨髄由来の間葉系幹細胞は、マーカーを発現し、LFA-3、ICAM-1、PECAM-1、P-セレクチン、L-セレクチン、CD49b/CD29、CD49c/CD29、CD49d/CD29、CD29、CD18、CD61、6-19、トロンボモジュリン、テロメラーゼ、CD10、CD13、CD34、CD56、CD117、インテグリンベータおよびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。骨髄間葉系幹細胞は、CD10を発現しないことがある。B骨髄間葉系幹細胞は、CD2、CD5、CD14、CD19、CD33、CD45および/またはDRIIのうちの少なくとも1つを発現しないことがある。骨髄間葉系幹細胞は、CD13、CD34、CD56、CD90、CD117および/またはネスチンの少なくとも1つを発現し得る。具体的な実施形態において、骨髄由来の間葉系幹細胞は、間葉系幹細胞前駆細胞を含む。その間葉系前駆細胞は、STRO-1を発現している細胞が濃縮された骨髄間葉系幹細胞の集団を含む。具体的な実施形態において、間葉系前駆細胞は、STRO-1とVCAM-1の両方を発現している。STRO-1を発現している細胞は、CBFA-1、II型コラーゲン、PPAR.ガンマ2、オステオポンチン、オステオカルシン、副甲状腺ホルモンレセプター、レプチン、H-ALBP、アグリカン、Ki67、グリコホリンAおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのマーカーが陰性であり得る。具体的な実施形態において、骨髄間葉系幹細胞は、CD14、CD34および/またはCD45のうちの少なくとも1つの発現を欠く。STRO-1を発現している細胞は、VCAM-1、TKY-1、CD146、STRO-2およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーが陽性であり得る。具体的な実施形態において、骨格筋幹細胞は、CD13、CD34、CD56、CD117およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現する。骨格筋間葉系幹細胞は、CD10を発現しないことがある。具体的な実施形態において、骨格筋間葉系幹細胞は、CD2、CD5、CD14、CD19、CD33、CD45および/またはDRIIのうちの少なくとも1つを発現しない。上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞が使用され得、それらは、CD29、CD73、CD90、CD166、SSEA4、CD9、CD44、CD146、CD105およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを有し得る。上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞は、CD45、CD34、CD14、CD79、CD106、CD86、CD80、CD19、CD117、Stro-1、HLA-DRおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを発現しないことがある。具体的な実施形態において、上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞は、CD29、CD73、CD90、CD166、SSEA4、CD9、CD44、CD146および/またはCD105のうちの少なくとも1つを発現する。具体的な場合において、上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞は、CD45、CD34、CD14、CD79、CD106、CD86、CD80、CD19、CD117、Stro-1および/またはHLA-DRのうちの少なくとも1つを発現しない。上皮下臍帯由来の間葉系幹細胞は、SOX2および/またはOCT4が陽性であり得る。
【0016】
特定の実施形態において、再生組成物は、1つ以上の線維芽細胞由来のアポトーシス小胞を含む。再生組成物は、線維芽細胞由来のmiRNAを含み得る;線維芽細胞由来のmiRNAは、エクソソームに含み得る;線維芽細胞由来のmiRNAは、アポトーシス小体に含まれる;および/または線維芽細胞由来のmiRNAは、血漿中に循環している。具体的な実施形態において、1つ以上の遠隔再生効果が増強されている。具体的な実施形態において、これは、1つ以上のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤;1つ以上のDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤などの1つ以上のエピジェネティック作用性組成物の全身投与(例えば、再生組成物の投与部位または異なる部位における投与)によって達成される。
【0017】
前述では、以下に続く詳細な説明をよりよく理解できるように、本開示の特徴および技術的利点をかなり広く概説した。本明細書の請求項の主題を成すさらなる特徴および利点を本明細書の以後で説明する。開示される概念および具体的な実施形態は、本構想の同じ目的を果たすために、他の構造を改変または設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者に認識されるだろう。そのような等価な構成は、添付の請求項に示されているような趣旨および範囲から逸脱しないことも、当業者に容易に理解されるだろう。さらなる目的および利点とともに、構成と実施方法の両方に関して本明細書中に開示される構想に特有であると考えられる新規の特徴は、以下の説明からよりよく理解されるだろう。
【0018】
本開示の様々な実施形態を本明細書中に示し、説明してきたが、当業者には、そのような実施形態が単に例として提供されていることが明白だろう。当業者は、本発明から逸脱することのない数多くの変形、変更および置換に気づくだろう。本明細書中に記載される本開示の実施形態の様々な代替物が使用され得ることが理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に続く詳細な開示および本明細書をより広く検討するにあたり、本明細書中で参照されるすべての特許、特許出願、特許公報、技術刊行物、科学刊行物およびその他の参考文献は、本明細書中の教示と矛盾しない程度に、それらの全体が本願において参照により本明細書に援用されることを念頭に置く必要がある。本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学用語は、本明細書中で定義されない限り、当業者が通常理解している意味と同じ意味を有すると意図されていることに注意することが本開示の理解にとって重要である。本明細書中で使用される手法も、別段述べられない限り、当業者に公知の手法である。当然のことながら、具体的な構成要素および/または条件は変化し得るので、本開示は、下記に記載される具体的な実施形態および方法に限定されないことも理解される。さらに、本明細書中で使用される用語は、本開示の特定の実施形態を説明する目的でのみ使用されるのであって、決して限定を意図していない。
【0020】
I.定義
【0021】
長年の特許法の慣習に沿って、語「a」および「an」は、~を含むという語と合わせて本明細書(請求項を含む)において使用されるとき、「1つ以上の」を表す。本開示のいくつかの実施形態は、本開示の1つ以上のエレメント、方法工程および/または方法からなり得るか、または本質的になり得る。本明細書中に記載される任意の方法または組成物が、本明細書中に記載される他の任意の方法または組成物に対して実行され得ることおよび異なる実施形態が組み合わされ得ることが企図される。
【0022】
本明細書中で使用されるとき、用語「または」および「および/または」は、複数の構成要素を組み合わせてまたは互いを除いて説明するために使用される。例えば、「x、yおよび/またはz」とは、「x」のみ、「y」のみ、「z」のみ、「x、yおよびz」、「(xおよびy)またはz」、「xまたは(yおよびz)」または「xまたはyまたはz」のことを指し得る。x、yまたはzが、ある実施形態から明確に除外され得ることが明確に企図される。
【0023】
本明細書中で使用されるとき、語「~を含む(comprising)」は、「~を含む(including)」、「~を有する」、「~を含む(containing)」または「~を特徴とする」と同義である。これらの用語は、包括的であり、オープンエンドであり、記載されていない追加のエレメントまたは方法工程を除外しない。本開示によれば、句「~からなる」は、請求項に明記されていないいずれのエレメント、工程または成分も除外する。この句が、プリアンブルの直前ではなく請求項のボディの節の中に現れる場合、その句は、その節の中に示されたエレメントだけを限定し、他のエレメントが、請求項全体から除外されるわけではない。本開示によれば、句「~から本質的になる」は、明記された材料または工程に加えて、特許請求される主題の基本的な特性および新規の特性に実質的に影響しない材料または工程に請求項の範囲を限定する。
【0024】
本明細書全体にわたる「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「ある特定の実施形態」、「追加の実施形態」もしくは「さらなる実施形態」またはそれらの組み合わせに対する言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含められることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な箇所における前述の句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態について言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特性が、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わされ得る。
【0025】
本明細書中で使用されるとき、用語「細胞培養」および「細胞の培養」とは、特定の実施形態におけるインビトロでの、ヒト細胞、ヒト由来細胞および動物細胞を含む細胞の維持および増殖のことを指す。それらの細胞は、線維芽細胞、幹細胞またはそれらの混合物であり得る。
【0026】
本明細書中で使用されるとき、用語「細胞培養液」とは、インビトロでの培養における細胞の維持のことを指す。いくつかの細胞型の場合、培地は、培養中の細胞の増殖を助けるのに十分な培地であり得る。本開示に係る培地は、例えば、エネルギー源、アミノ酸および/または無機イオンなどの、1つ以上の栄養分を含み得る。さらに、それは、色素(例えば、フェノールレッド)、ピルビン酸ナトリウム、いくつかのビタミン、遊離脂肪酸、抗生物質、抗酸化剤および/または微量元素を含み得る。幹細胞に脱分化した線維芽細胞もしくは間葉系幹細胞または本開示に係る幹細胞様細胞を培養する場合、再プログラム化の前は、例えば、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、アルファ-MEM、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、RPMI培地およびマッコイ培地などの任意の標準的な培地が好適であり得る。細胞が再プログラム化されたら、それらは、特定の実施形態において、例えば胚性幹細胞培地中で培養され得る。
【0027】
本明細書中で使用されるとき、用語「~に由来する」とは、特定の起源由来の望ましい性質を少なくとも部分的に保持するようにその起源から組成物を得ることを指す。例としては、任意の好適な組織(一例として脂肪組織など)から単離および入手された線維芽細胞が挙げられ、ここで、その単離された線維芽細胞は、脂肪組織に見られる線維芽細胞の特性を少なくとも部分的に維持している。この提供された例における単離された線維芽細胞は、脂肪組織に由来する線維芽細胞と記載される。
【0028】
本明細書中で使用されるとき、用語「脱分化する」または「脱分化」とは、例えば、系列決定された(lineage-committed)細胞、筋芽細胞または骨芽細胞が、それらの系列決定を逆転させ、例えば前駆体または前駆細胞、複能性幹細胞または多能性幹細胞になるプロセスのことを指す。脱分化細胞は、例えば、系列決定された細胞に関連する遺伝子発現および細胞表面タンパク質発現のパターンの喪失によって特定され得る。いくつかの態様において、脱分化細胞は、その細胞型がそれより前の発生上の時点において以前に有していた1つ以上の特性を獲得する。脱分化の例は、創傷および治癒における上皮細胞の特性の一時的な喪失である。脱分化は、様々な程度で起こり得る。上述の創傷治癒の例では、脱分化は、わずかしか進まず、その後、その細胞は、認識できる上皮に再分化する。例えば、大幅に脱分化した細胞は、幹細胞に似た細胞である。脱分化細胞は、脱分化したままで、脱分化細胞として増殖し得るか;その細胞が以前に脱分化した同じ発生経路に沿って再分化し得るか;またはその細胞が以前に脱分化した経路とは異なる発生経路に沿って再分化し得る。本開示の文脈において、脱分化した間葉系幹細胞は、他の細胞に分化または再分化する高い可塑性および能力を有する。本開示では間葉系幹細胞であり得る処置された細胞の脱分化した状態は、アルカリホスファターゼ(ALP)、OCT4、SOX2、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hERT)、SSEA-4およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の遺伝子の高発現によって検証され得る。それらの細胞は、一例として、アルカリホスファターゼの陽性染色によって検証され得る。すなわち、再プログラム化遺伝子(例えば、OCT4、NanogまたはSox-2)を導入された体細胞は、バルプロ酸などの脱分化剤で処置され、次いで、脱分化プロセスにおいてコロニーを生成する最初のプロセスが、アルカリホスファターゼ染色(AP染色)を介して観察され、さらに、Oct4抗体を用いた免疫蛍光法(IF)によって、Oct4の発現が検証される。いくつかの場合において、線維芽細胞は、本開示の方法において使用される前に、別のタイプの細胞に脱分化される。
【0029】
本明細書中で使用されるとき、用語「分化する」または「分化」とは、前駆体または前駆細胞、例えば幹細胞が、特定の細胞型、例えば骨芽細胞、または特定の組織型の細胞(例えば、骨格筋、血管平滑筋、周皮細胞または血管内皮など)、または特定の表現型の細胞に分化するプロセス(例えば、骨細胞分化、脂肪生成分化または軟骨形成分化など)のことを指す。分化細胞は、遺伝子発現および細胞表面タンパク質発現のパターンによって特定され得る。
【0030】
本明細書中で使用されるとき、用語「発現する」は、特定のタンパク質、マーカーおよび/または遺伝子を発現している細胞について言及しているとき、それらの細胞が、その特定のタンパク質、マーカー、および/またはその特定の遺伝子の転写されたRNAを含む(contains)または含む(comprises)ことを意味する。その細胞は、その特定の遺伝子を転写済みであり得るかまたは活発に転写中であり得る。その細胞は、その特定のタンパク質および/またはマーカーをコードするmRNAを翻訳済みであり得るかまたは活発に翻訳中であり得る。特定の実施形態において、その細胞は、検出可能な量の特定のタンパク質、マーカーおよび/または遺伝子が存在する場合、その特定のタンパク質、マーカーおよび/または遺伝子を発現するまたは発現していると判定され得る。ウエスタンブロット、フローサイトメトリー、質量分析、PCR、qPCR、RT-qPCR、サザンブロッティング、ELISAおよび/またはデザインされたキットをはじめとした、タンパク質、マーカーおよび/または遺伝子を検出するための当該分野で公知の任意の方法が使用され得る。逆に、細胞が、発現を欠くと言われるかまたは特定のタンパク質、マーカーおよび/もしくは遺伝子を発現しないときは、検出可能な量のその特定のタンパク質、マーカーおよび/または遺伝子が存在しない可能性がある。
【0031】
本明細書中で使用されるとき、用語「相同組織」とは、同じタイプであって同じ機能を有する2つ以上の組織または組織部位のことを指す。個体内の相同組織としては、例えば、左膝と右膝、左腎と右腎、左肺と右肺、ある椎骨と他の任意の椎骨、ある椎間板と他のすべての椎間板、左眼と右眼、左腓腹と右腓腹、または個体内の異なる解剖学的位置における同じ組織型を有する他の任意の組織が挙げられる。相同組織は、骨格筋組織、心筋組織および平滑筋組織などの筋肉タイプも包含する。例えば、腕の骨格筋組織は、大腿の骨格筋組織と相同である。便宜上、相同組織とは、様々な系列の造血細胞などの相同な細胞型のことも指す。
【0032】
本明細書中で使用されるとき、用語「再プログラム化」または「リモデリング」とは、例えばDNAメチル化、ヒストンメチル化、ヒストンアセチル化などの細胞のエピジェネティックマーカーの変化、または例えばOct4などに対する転写因子シグナルシステムを誘導することによる遺伝子の活性化のことを一般に指す。特に、本開示の再プログラム化の実施形態は、少なくとも1つの脱分化したおよび/または若返らせた細胞を提供する。特定の実施形態は、複能性幹細胞、特に多能性幹細胞の特性を有する細胞の投与を提供する。したがって、再プログラム化される細胞が、複能性または多能性の形質をすでに有する細胞である場合、本開示は、本開示の再プログラム化によって、長期間にわたってこれらの細胞を複能性または多能性の状態で維持することができる。投与される細胞が複能性または多能性の特性を有する具体的な実施形態では、それらの細胞は、投与前に、ある持続時間にわたって継代され得る。それらの細胞は、投与前に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30回またはそれ以上、継代され得る。それらの細胞は、継代の間ずっと正常核型を維持し得る。再プログラム化される細胞が、老化したまたは分化した状態である場合、それらの細胞は、脱分化を起こして複能性幹細胞または多能性幹細胞になり得る。特定の実施形態において、複能性細胞は、多能性細胞になるように再プログラム化され得る。
【0033】
本明細書中で使用されるとき、語「幹細胞」とは、1つまたは複数の細胞型に分化することができる任意の自己再生する多能性細胞または複能性細胞または前駆細胞または前駆体細胞のことを指す。幹細胞は、1つの細胞型または2つ以上の細胞型に分化し得、無限の増殖能を有し得る。幹細胞には、骨芽細胞系または間葉系細胞系(例えば、骨、軟骨、脂肪、筋肉、間質(造血支持間質を含む)および腱)の細胞に分化することができる幹細胞が含まれ得る。
【0034】
本明細書中で使用されるとき、用語「トランスフェクション」とは、外来のヌクレオチド配列を、好ましくはウイルスによる方法またはウイルスによらない方法によって、細胞に導入する遺伝子送達の方法のことを指す。本開示の実施形態では、外来DNA/RNA/タンパク質が、目的のポリペプチドをコードする発現ベクターの一過性のトランスフェクションによって細胞に導入され得、ここで、その外来DNA/RNA/タンパク質は、導入されるが、有糸分裂の間にその細胞によって次第に排除される。本明細書中で使用されるとき、用語「一過性のトランスフェクション」とは、導入された発現ベクターおよびそのベクターによってコードされるポリペプチドが、宿主細胞のゲノムまたは細胞内のどこかに永久にインテグレートされるわけではないがゆえに宿主細胞またはその子孫から次第に排除され得る方法のことを指す。タンパク質、ポリペプチドまたは他の化合物も、トランスフェクション方法を用いて細胞内に送達され得る。ある特定の実施形態において、本開示の細胞は、トランスフェクトされ得る。
【0035】
II.一般的な方法
【0036】
1つ以上の相同組織の再生を異なる解剖学的位置において誘導するために、少なくとも1つの再生組成物を1つ以上の組織に投与した後に、全身的(または局所的)かつ組織特異的な再生効果を誘発するのに有用な手段、方法および組成物が開示される。再生するように刺激される組織への少なくとも1つの再生組成物の投与は、再生組成物を投与された組織に対して相同性を有する投与されていない組織の再生をもたらす全身効果を誘導し得る。いくつかの実施形態において、本開示は、円板に再生組成物を投与した後の、近位または遠位の椎骨板などの相同組織の再生を包含する。本開示の具体的な実施形態では、腎臓、関節または一連の関節などの両側性の組織が、それぞれ身体の異なる部分における腎臓または関節への再生手段の投与の結果として、再生するように誘導される。特定の実施形態において、その再生プロセスは、投与部位に対して遠位の位置において生じる。そのような実施形態は、幹細胞の動員を誘導できる1つ以上の作用物質の投与によって増幅され得る。
【0037】
本開示は、1つ以上の再生組成物が投与された身体の領域に対して遠位の部位において再生を誘導する手段を提供する。本開示の具体的な実施形態において、1つ以上の線維芽細胞または本開示の任意の細胞が、身体の1つの領域に再生組成物の少なくとも一部として投与され得、その結果、少なくとも1つの遠位の身体領域において再生が誘導される。再生組成物は、線維芽細胞および/または脱分化した線維芽細胞ならびに必要に応じて幹細胞を含み得る。
【0038】
詳細には、再生組成物の投与は、再生が望まれる領域と相同な身体領域において行われる。特定の実施形態において、再生組成物が投与された組織は、再生を起こし、再生組成物が投与されなかった相同組織も再生を起こす。
【0039】
特定の実施形態では、1つ以上の再生組成物が、個体の身体の第1の組織および/または器官と同じ組織部位および/または器官部位ではないが、第1の組織および/または器官と類似のタイプの組織および/または器官である第2の組織および/または器官を再生する目的で、第1の組織および/または器官に提供される。第1の組織への1つ以上の再生組成物の送達により、第1の組織の再生、および第1の組織と厳密に同じ組織の位置ではないが第1の組織と同じタイプの組織である第2の組織の再生が生じ得る。
【0040】
再生組成物は、局所的に投与され得る(例えば、再生される組織と相同な組織に投与され得る)か、または全身性に投与され得る(例えば血液細胞など、再生される組織(または細胞型)が全身に位置する場合など)。投与は、例えば、再生組成物を注射するシリンジを用いた注射であってもよいし、単なる例として、送達部位における再生組成物の植え込みなどの送達であってもよい。
【0041】
再生組成物が投与される組織または再生される組織は、任意の組織型であり得る。例えば、その組織は、筋組織、結合組織、上皮組織、内皮組織、神経組織、脂肪組織、皮膚組織、肺組織、肝組織、膀胱組織、腎組織、心臓組織、胃組織、腸組織、脊髄組織、眼組織、線維組織、骨髄またはそれらの組み合わせであり得る。その組織は、内皮細胞、上皮細胞、皮膚細胞、内胚葉細胞、中胚葉細胞、線維芽細胞、骨細胞、軟骨細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、肝臓細胞、膵臓細胞、間質細胞、唾液腺粘液細胞、唾液腺漿液細胞、フォンエブネル腺細胞、乳腺細胞、涙腺細胞、耳道腺細胞、エクリン汗腺暗細胞、エクリン汗腺明細胞、アポクリン汗腺細胞、モル腺細胞、皮脂腺細胞.ボーマン腺細胞、ブルンネル腺細胞、精嚢細胞、前立腺細胞、尿道球腺細胞、バルトリン腺細胞、リトル腺細胞、子宮内膜細胞、孤立した杯細胞、胃壁の粘膜細胞、胃腺酵素原細胞、胃腺酸分泌細胞、膵腺房細胞、パネート細胞、II型肺胞細胞、クララ細胞、成長ホルモン産生細胞、乳腺刺激ホルモン産生細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞、性腺刺激ホルモン産生細胞、副腎皮質刺激ホルモン産生細胞、脳下垂体中葉細胞、大細胞神経分泌細胞、腸細胞、気道細胞、甲状腺上皮細胞、傍濾胞細胞、副甲状腺細胞、上皮小体主細胞、好酸性細胞、副腎細胞、クロム親和細胞、ライディッヒ細胞、内卵胞膜細胞、黄体細胞、顆粒膜黄体細胞、卵胞膜黄体細胞、傍糸球体細胞、緻密斑細胞、周血管極細胞、メサンギウム細胞、血管内皮有窓細胞およびリンパ管内皮有窓細胞、血管内皮連続細胞およびリンパ管内皮連続細胞、血管内皮脾細胞およびリンパ管内皮脾細胞、滑膜細胞、漿膜細胞(腹膜腔、胸膜腔および囲心腔の内壁)、扁平上皮細胞、円柱細胞、暗細胞、前庭膜細胞(耳の内リンパ腔の内壁)、血管条基底細胞、血管条周辺細胞(耳の内リンパ腔の内壁)、クラウディウス細胞、ベッチャー細胞、脈絡叢細胞、軟膜クモ膜扁平上皮細胞、色素性毛様体上皮細胞、非色素性毛様体上皮細胞、角膜内皮細胞、ペグ細胞、気道線毛細胞、卵管繊毛細胞、子宮内膜繊毛細胞、精巣網繊毛細胞、精巣輸出管繊毛細胞、繊毛性上衣細胞、表皮角化細胞、表皮基底細胞、手指爪および足指爪のケラチノサイト、爪床基底細胞、髄様毛幹細胞、皮質毛幹細胞、クチクラ毛幹細胞、クチクラ毛根鞘細胞、ハクスリー層の毛根鞘細胞、ヘンレ層の毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞、毛母細胞、重層扁平上皮の表面上皮細胞、上皮の基底細胞、泌尿器上皮細胞、耳のコルチ器の内有毛細胞、耳のコルチ器の外有毛細胞、嗅上皮の基底細胞、低温感受性一次感覚ニューロン、感熱性一次感覚ニューロン、表皮のメルケル細胞、嗅覚受容神経、疼痛感受性一次感覚ニューロン、光受容体桿体細胞、光受容体青色感受性錐体細胞、光受容体緑色感受性錐体細胞、光受容体赤色感受性錐体細胞、固有受容性一次感覚ニューロン、触覚感受性一次感覚ニューロン、I型頚動脈小体細胞、II型頚動脈小体細胞(血液pHセンサー)、耳の前庭器のI型有毛細胞(加速および重力)、耳の前庭器のII型有毛細胞、I型味蕾細胞 コリン作動性神経細胞、アドレナリン作動性神経細胞、ペプチド作動性神経細胞、コルチ器の内柱細胞、コルチ器の外柱細胞、コルチ器の内支持細胞、コルチ器の外支持細胞、コルチ器の境界細胞、コルチ器のヘンゼン細胞、前庭器支持細胞、味蕾支持細胞、嗅上皮支持細胞、シュワン細胞、衛星細胞、腸グリア細胞、アストロサイト、ニューロン、乏突起膠細胞、紡錘状ニューロン、前水晶体上皮細胞、クリスタリン含有水晶体線維細胞、肝細胞、脂肪細胞、白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞、肝臓脂質細胞、腎糸球体壁細胞、腎糸球体ポドサイト、腎近位尿細管刷子縁細胞、ヘンレ係蹄の細い部分の細胞、腎遠位尿細管細胞、腎集合管細胞、I型肺細胞、膵管細胞、平滑筋導管細胞、導管細胞、腸刷子縁細胞、外分泌腺線条導管細胞、胆嚢上皮細胞、精巣輸出管非線毛細胞、精巣上体主細胞、精巣上体基底細胞、エナメル芽細胞上皮細胞、半月面上皮細胞、コルチ器歯間上皮細胞、疎性結合組織線維芽細胞、角膜実質細胞、腱線維芽細胞、骨髄細網組織線維芽細胞、非上皮線維芽細胞、周皮細胞、髄核細胞、セメント芽細胞/セメント細胞、象牙芽細胞、オドントサイト、硝子軟骨の軟骨細胞、線維軟骨の軟骨細胞、弾性軟骨の軟骨細胞、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、骨細胞前駆細胞、硝子体細胞、星細胞(耳)、肝星細胞(伊東細胞)、膵星細胞、赤筋骨格筋細胞、白筋骨格筋細胞、中間骨格筋細胞、筋紡錘の核袋細胞、筋紡錘の核鎖細胞、衛星細胞、通常の心筋細胞、結節心筋細胞、プルキンエ線維細胞、平滑筋細胞、虹彩の筋上皮細胞、外分泌腺の筋上皮細胞、網状赤血球、巨核球、単球、結合組織マクロファージ.上皮ランゲルハンス細胞、樹状細胞、ミクログリア細胞、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、メラノサイト、網膜色素上皮細胞、卵原細胞/卵母細胞、精子細胞、精母細胞、精原細胞、精子、卵胞細胞、セルトリ細胞、胸腺上皮細胞、間質腎臓細胞またはそれらの組み合わせをはじめとした任意の細胞型から構成され得る。
【0042】
特定の緩衝液、培地、試薬、細胞、培養条件など、またはそれらの何らかのサブクラスへの言及は、限定を意図しておらず、当業者が対象であると認識し得る関係するそのようなあらゆる材料またはその考察が示されている特定の状況における値を含むと理解されるべきである。例えば、1つの緩衝液系または培養液を別のものの代わりにすることが可能であることが多く、提案されている方法、材料または組成物の使用目的と同じ目的を果たすために、異なるが公知の方法が用いられる。具体的な実施形態では、細胞を、培養容器などに入った細胞培養液(特に、その細胞の培養に適しており、その細胞の培養に向けて決定された、1つ以上の物質が補充された細胞培養液)を含む細胞培養系において、全身性に作用する再生効果を誘導する能力を付与するように培養する。
【0043】
具体的な実施形態では、遺伝子の制御因子を利用することにより、線維芽細胞および/または幹細胞などの細胞を、本開示の方法および再生組成物において使用するのに向けて治療特性を有するように改変することができる。遺伝子制御因子は、SOX2、NANOGまたはOCT4などの転写因子であり得る。脱分化を引き起こす再プログラム化剤も使用され得、それは、組み合わせて使用され得るかまたは遺伝子制御因子に代わるものとして使用され得る。再プログラム化剤の例としては、少なくとも、バルプロ酸、トリコスタチンAおよびリチウムが挙げられる。本明細書中に提示される本開示によれば、少なくとも1つの遺伝子制御因子を安定して発現させる(例えば、再プログラム化剤の非存在下において)のに十分な時間、およびその細胞が、所望の細胞の形質転換を支援する培養条件において維持されるべき十分な時間を特定する実施形態は、当業者の技術の範囲内である。その十分または適切な時間は、様々な因子に従って異なり得、それらの因子としては、細胞、例えば、出発細胞の細胞型および所望の細胞型の特定のタイプおよびエピジェネティック状態;出発物質の量、例えば、形質転換される細胞の数;再プログラム化剤の量およびタイプ;遺伝子制御因子(遺伝子発現を調節する1つ以上の作用物質);培養条件;ならびに/または再プログラム化を加速させる化合物の存在、例えば、細胞周期の回転を高める化合物、エピジェネティック状態を改変する化合物および/もしくは細胞生存度を上げる化合物の存在が挙げられるがこれらに限定されない。様々な実施形態において、再プログラム化剤の非存在下において少なくとも1つの遺伝子制御因子を安定して発現させるのに十分な時間は、約1日間、約2~4日間、約4~7日間、約1~2週間、約2~3週間または約3~4週間である。様々な実施形態において、細胞が所望の細胞の形質転換を支援する培養条件で維持され、複数の第2の遺伝子を安定して発現させる、十分な時間は、約1日間、約2~4日間、約4~7日間または約1~2週間、約2~3週間、約3~4週間、約4~6週間または約6~8週間である。具体的な実施形態において、形質転換期間の終わりに、形質転換された所望の細胞の数は、最初に提供された第1のタイプの細胞の量と実質的に等価であるか、またはそれよりも多い。
【0044】
本開示に関して、本明細書中で使用される標準的な成長条件は、いくつかの実施形態では、およそ5%のCOを含む標準的な雰囲気においておよそ37℃で細胞を培養することを指し得る。相対湿度は、約100%で維持され得る。前述の条件は、培養にとって有用であるが、そのような条件は、例えば、温度、CO、相対湿度、酸素、成長培地の変更など、細胞の培養のために当該分野において利用可能な選択肢を認識する当業者が変更できることが理解されたい。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の筋肉の位置に、同じ筋肉タイプなどの同一ではない第2の筋肉の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。他の実施形態では、第1の関節の位置に、同一ではない第2の筋肉の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。特定の場合では、第1の結合組織の位置に、同一ではない第2の結合組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。特定の場合では、第1の関節組織の位置に、同一ではない第2の関節組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。いくつかの実施形態では、第1の上皮組織の位置に、同一ではない第2の上皮組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。ある特定の場合では、第1の内皮組織の位置に、同一ではない第2の内皮組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。いくつかの態様では、第1の神経組織の位置に、同一ではない第2の神経組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。ある特定の実施形態では、第1の脂肪組織の位置に、同一ではない第2の脂肪組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。特定の場合では、第1の皮膚組織の位置に、同一ではない第2の皮膚組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。ある特定の実施形態では、第1の肺組織の位置に、同一ではない第2の肺組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。具体的な実施形態では、第1の肝組織の位置に、同一ではない第2の肝組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。特定の実施形態では、第1の膀胱組織の位置に、同一ではない第2の膀胱組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。いくつかの場合では、第1の腎組織の位置に、同一ではない第2の腎組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。具体的な実施形態では、第1の心臓組織の位置に、同一ではない第2の心臓組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。具体的な場合では、第1の胃組織の位置に、同一ではない第2の胃組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。いくつかの実施形態では、第1の腸組織の位置に、同一ではない第2の腸組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。いくつかの場合では、第1の脊髄組織の位置に、同一ではない第2の脊髄組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。ある特定の態様では、第1の眼組織の位置に、同一ではない第2の眼組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。ある特定の実施形態では、第1の線維組織の位置に、同一ではない第2の線維組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。具体的な態様では、第1の骨組織の位置に、同一ではない第2の骨組織の位置を再生する目的で1つ以上の再生組成物が投与される。
【0046】
III.成長因子および多血小板血漿
【0047】
特定の実施形態において、再生組成物は、少なくとも1つの成長因子を含み、その成長因子は、線維芽細胞および/または幹細胞とともにその組成物に含められていてもよいし、含められていなくてもよい。本明細書中で使用されるとき、成長因子とは、細胞の成長を刺激することができる化合物、分子、化学物質、タンパク質、ペプチド、核酸、脂質またはビタミンのことを指す。特定の実施形態において、成長因子には、再生を誘導することができる公知の分子、ペプチドおよび/またはタンパク質が含まれる。例としては、AM、Ang、BMP、BDNF、EGF、Epo、FGF、GNDF、G-CSF、GM-CSF、GDF-9、HGF、HDGF、IGF、遊走刺激因子、GDF-8、GDF-11、GDF-15、MGF、NGF、PlGF、PDGF、Tpo、TGF-アルファ、TGF-ベータ、TNF-アルファ、VEGF、Wntタンパク質、インターロイキン、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-1F1、IL-1F2、IL-1F3、IL-1F4、IL-1F5、IL-1F6、IL-1F7、IL-1F8、IL-1F9、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、35kDaアルファサブユニット、IL-12、40kDaベータサブユニット、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E、IL-17Fアイソフォーム1、IL-17Fアイソフォーム2、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23 p19サブユニット、IL-23 p40サブユニット、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27B、IL-27-p28、IL-28A、IL-28B、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-34、IL-35、IL-36アルファ、IL-36ベータ、IL-36ガンマに対する可溶性レセプター、インターフェロン(IFN)、IFN-アルファ、IFN-ベータ、IFN-ガンマ、IFN-ラムダ1、IFN-ラムダ2、IFN-ラムダ3、IFN-K、IFN-イプシロン、IFN-カッパー、IFN-タウ、IFN-デルタ、IFN-ゼータ、IFN-オメガ、IFN-vに対する可溶性レセプター、インスリン、プロインスリン、インスリンに対するレセプター、レプチン(LEP)またはそれらの組み合わせが挙げられる。他の成長因子も使用され得る。成長因子は、例えば組換えタンパク質作製、血漿または他の細胞起源からの単離、ペプチド合成などの当該分野で公知の任意の方法において作製され得る。投与に必要な成長因子の量は、当業者が決定することができ、再生を誘導するのに十分な量であり得る。
【0048】
具体的な実施形態において、再生組成物は、線維芽細胞および/または幹細胞とともに組成物に含められてもよいし含められなくてもよい多血小板血漿を含む。血漿は、任意の起源(例えば、再生組成物を投与される個体にとって自己、同種異系、同系、異種またはそれらの組み合わせの起源)から得ることができる。血漿は、末梢血または臍帯血をはじめとした任意の血液起源に由来し得る。血漿は、血小板が濃縮されるように操作され得、多血小板血漿は、操作されていない通常の血漿と比べて高レベルまたは高濃度の血小板または成長因子を有するようになる。多血小板血漿中の血小板または成長因子の濃度は、操作されていない通常の血漿中の血小板または成長因子の濃度よりも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20倍またはそれ以上高いことがある。多血小板血漿になるように血漿を濃縮する任意の方法(例えば、遠心分離)が使用され得る。いくつかの実施形態において、血小板または多血小板血漿は、血小板溶解物を得るためにさらに操作される。血小板溶解物を得る前に血小板を得る任意の方法(例えば遠心分離またはアフェレーシスが挙げられる)が使用され得る。血小板溶解物は、例えば凍結融解サイクルなどの任意の方法によって、血小板または多血小板溶解物から得ることができる。
【0049】
IV.幹細胞
【0050】
具体的な実施形態において、再生組成物は、少なくとも間葉系幹細胞を含む1つ以上の幹細胞タイプを含む。いくつかの実施形態において、「間葉系幹細胞」または「MSC」とは、(1)プラスチックに接着性であって、(2)CD73、CD90およびCD105抗原またはそれらの組み合わせを発現するが、CD14、CD34、CD45およびHLA-DRまたはそれらの組み合わせを発現せず、(3)骨原性系列、軟骨形成系列および脂肪生成系列に分化する能力を有する細胞のことを指す[1,2]。いくつかの定義において、MSCには、組織から初めて単離された際にはCD34陽性である(それは自然にCD34発現を失うことがある)が、表現型的および機能的には上に記載された細胞に類似の細胞が含まれる。MSCには、NGF-R、PDGF-R、EGF-R、IGF-R、CD29、CD49a、CD56、CD63、CD73、CD90、CD105、CD106、CD140b、CD146、CD271、MSCA-1、SSEA4、STRO-1、STRO-3およびそれらの組み合わせからなる群より選択される細胞表面マーカーを用いて組織から単離された細胞(具体的な実施形態では、それらの細胞は、CD73陽性CD90陽性かつCD105陽性細胞である)であって、拡大の前または後にInternational Society for Cellular Therapy(ISCT)の基準を満たす細胞が含まれ得る。間葉系様の性質を有する他の細胞も、「間葉系幹細胞」の定義に含まれるが、前記細胞は、以下のうちの少なくとも1つを有することが条件となる:a)再生活性;b)成長因子の産生;c)治癒応答を、直接または内在性の宿主修復機構の誘発を介して誘導する能力。本明細書中で使用されるとき、「間葉系間質細胞」または間葉系幹細胞は、交換可能に使用され得る。MSCは、任意の組織に由来することができ、それらの組織としては、骨髄[3-7]、脂肪組織[8、9]、羊水[10、11]、子宮内膜[12-15]、トロホブラスト関連組織[16]、ヒト絨毛トロホブラスト[17]、臍帯血[18]、ワルトンゼリー[19-21]、臍帯組織[22]、胎盤[23]、羊膜組織[24-26]、多能性幹細胞に由来するもの[27-31]、末梢血、動員末梢血、臍帯血、骨格筋、上皮下臍帯組織、月経血、卵管組織、歯またはそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0051】
さらに、本明細書中で使用されるとき、いくつかの状況において、MSCには、当該分野において、骨髄間質幹細胞(BMSSC)[32]、骨髄から単離された成体複能性誘導性細胞(MIAMI)細胞[33,34]、多能性成体前駆細胞(MAPC)[35-38]、MultiStem(登録商標)、Prochymal[39-43]、レメステムセル-L[44]、間葉系前駆細胞(MPC)[45]、歯髄幹細胞(DPSC)[46]、PLX細胞[47]、Ixmyelocel-T[48]、NurOwn(商標)[49]、Stemedyne(商標)-MSC、Stempeucel(登録商標)[50,51]、HiQCell、Hearticellgram-AMI、Revascor(登録商標)、Cardiorel(登録商標)、Cartistem(登録商標)、Pneumostem(登録商標)、Promostem(登録商標)、Homeo-GH、AC607、PDA001、SB623、CX601、AC607、子宮内膜再生細胞(ERC)、脂肪由来再生幹細胞(ADRC)[52]と記載される細胞が含まれる。
【0052】
MSCは、投与自体によって拡大および使用され得るか、または条件培地を得るために成長培地中で培養され得る。成長培地とは、臍由来の細胞の培養にとって十分な培地のことを指し得る。特に、本開示の細胞を培養するための培地の1つは、ダルベッコ改変基本培地(本明細書中でDMEMとも省略される)を含む。いくつかの実施形態において、培地は、DMEM-低グルコース(本明細書中でDMEM-LGとも省略される)である。DMEM-低グルコースには、1%、5%、10%、15%または20%(v/v)のウシ胎児血清;抗生物質/抗真菌剤溶液、例えば、約100単位/ミリリットルであり得る好適な濃度のペニシリン;約100ミリグラム/ミリリットルであり得る好適な濃度のストレプトマイシン;約0.25マイクログラム/ミリリットルであり得る好適な濃度のアンホテリシンB;0.001%(v/v)であり得る好適な濃度の2-メルカプトエタノール;またはそれらの組み合わせを含むサプリメントが補充され得る。
【0053】
間葉系幹細胞は、胚中胚葉に由来し得るか、または成体骨髄、および例えば末梢血、脂肪組織、動員末梢血、骨格筋組織、子宮内膜組織、月経血、卵管組織をはじめとした他の成体組織から単離され得る。それらは、分化して、例えば筋肉、骨、軟骨、脂肪、骨髄間質、腱をはじめとした任意の組織を形成し得る。中胚葉は、心筋、平滑筋、または内皮および造血前駆細胞からなる血島を生じ得る内臓中胚葉にも分化し得る。これまで記載されてきた間葉系幹細胞の分化能は、最もよく特徴がわかっている間葉系幹細胞(Pittenger,et al.Science(1999)284:143-147および米国特許第5,827,740号(SH2+、SH4+、CD29+、CD44+、CD71、+CD90+、CD106+、CD120a+、CD124+、CD14-、CD34-および/またはCD45-である幹細胞)を参照のこと)をはじめとした間葉系起源の細胞に限定されている。本開示は、様々な間葉系幹細胞の使用を包含する。
【0054】
特定の実施形態において、MSCは、臍帯組織、臍帯血、ワルトンゼリー、上皮下臍帯またはそれらの組み合わせをはじめとした組織から作製される。臍帯組織MSCを作製する手段は、以前に開示されており、参照により援用される[18,21,53-57]。用語「臍組織由来細胞(UTC)」とは、例えば、米国特許第7,510,873号、米国特許第7,413,734号、米国特許第7,524,489号および米国特許第7,560,276号に記載されているような細胞のことを指す。UTCは、例えばヒト、ラット、霊長類、ブタなどをはじめとした任意の哺乳動物起源であり得る。本開示の特定の実施形態において、UTCは、ヒト臍に由来する。臍由来の細胞は、線維芽細胞、間葉系幹細胞または腸骨稜骨髄細胞などのヒト細胞と比べて、低身長ホメオボックス2;熱ショック27kDaタンパク質2;ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド12(間質細胞由来因子1);エラスチン(大動脈弁上狭窄,ウィリアムズ・ビューレン症候群);Homo sapiens mRNA;cDNA DKFZp586M2022(クローンDKFZp586M2022由来);間葉ホメオボックス2(成長停止特異的ホメオボックス);sine oculisホメオボックスホモログ1(ショウジョウバエ);クリスタリン,アルファB;形態形成のdisheveled関連活性化因子2;DKFZP586B2420タンパク質;ニューラリン(neuralin)1に類似;テトラネクチン(プラスミノゲン結合タンパク質);src相同性3(SH3)およびシステインリッチドメイン;コレステロール25-ヒドロキシラーゼ;runt関連転写因子3;インターロイキン11レセプター,アルファ;プロコラーゲンC-エンドペプチダーゼエンハンサー;frizzledホモログ7(ショウジョウバエ);仮説遺伝子BC008967;コラーゲン,タイプVIII,アルファ1;テネイシンC(ヘキサブラキオン(hexabrachion));iroquoisホメオボックスタンパク質5;ヘファエスチン(hephaestin);インテグリン,ベータ8;シナプス小胞糖タンパク質2;神経芽細胞腫、腫瘍形成抑制1;インスリン様成長因子結合タンパク質2,36kDa;Homo sapiens cDNA FLJ12280fis,クローンMAMMA1001744;サイトカインレセプター様因子1;中/小コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャネル,サブファミリーN,メンバー4;インテグリン,ベータ7;PDZ結合モチーフを含む転写コアクチベーター(TAZ);sine oculisホメオボックスホモログ2(ショウジョウバエ);KIAA1034タンパク質;シナプス小胞結合膜タンパク質5(ミオブレビン(myobrevin));EGF含有フィビュリン様細胞外マトリックスタンパク質1;初期増殖応答3;ディスタルレス(distal-less)ホメオボックス5;仮説タンパク質FLJ20373;アルド-ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC3(3-アルファ水酸化ステロイドデヒドロゲナーゼ、タイプII);バイグリカン;PDZ結合モチーフを含む転写コアクチベーター(TAZ);フィブロネクチン1;プロエンケファリン;インテグリン,ベータ様1(EGF様反復ドメインを含む);Homo sapiens mRNA完全長インサートcDNAクローンEUROIMAGE1968422;EphA3;KIAA0367タンパク質;ナトリウム利尿ペプチドレセプターC/グアニル酸シクラーゼC(心房性ナトリウム利尿ペプチドレセプターC);仮説タンパク質FLJ14054;Homo sapiens mRNA;cDNA DKFZp564B222(クローンDKFZp564B222由来);BCL2/アデノウイルスE1B 19kDa相互作用タンパク質3様;AE結合タンパク質1;およびシトクロムcオキシダーゼサブユニットVIIaポリペプチド1(筋肉)のうちの1つ以上に対する遺伝子の低発現を有する。
【0055】
さらに、これらの単離されたヒト臍由来の細胞は、インターロイキン8;レティキュロン1;ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1(メロノーマ成長刺激活性,アルファ);ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド6(顆粒球走化性タンパク質2);ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド3;および腫瘍壊死因子,アルファ-誘導タンパク質3のうちの少なくとも1つに対する少なくとも1つの遺伝子を発現し、その発現は、線維芽細胞、間葉系幹細胞、腸骨稜骨髄細胞または胎盤由来の細胞などのヒト細胞の発現と比べて高い。それらの細胞は、MCP-1、MIP1ベータ、IL-6、IL-8、GCP-2、HGF、KGF、FGF、HB-EGF、BDNF、TPO、RANTES、TIMP1またはそれらの組み合わせをはじめとした因子またはタンパク質も分泌し得る。それらの細胞は、例えば、TRA1-60、TRA1-81、SSEA3、SSEA4、NANOGまたはそれらの組み合わせをはじめとした特異的マーカーを発現し得る。それらの細胞は、培養中に自己複製および拡大が可能であり、他の表現型の細胞に分化する潜在能力を有する。
【0056】
ヒト臍組織から帯組織間葉系幹細胞を得る方法が提供される。それらの細胞は、培養中に自己複製および拡大が可能であり得、他の表現型の細胞に分化する潜在能力を有し得る。その方法は、(a)ヒト臍組織を得る工程;(b)培養中に自己複製および拡大が可能な血液が存在しないように、実質的にすべての血液を除去して、実質的に血液を含まない臍組織を得る工程、(c)その組織を機械的処理もしくは酵素的処理またはその両方によって解離する工程、(d)その組織を培養液に再懸濁する工程、および(e)培養中に自己複製および拡大が可能であって、他の表現型の細胞に分化する潜在能力を有する、ヒト臍由来の細胞を成長させる成長条件を提供する工程を含む。成長条件には、RPMI、DMEM、EMEMまたはカスタマイズされた培地などの培地における培養が含まれ得る。
【0057】
具体的な実施形態では、臍帯から細胞を入手し得る。経膣分娩であるか、または他の経路、例えば帝王切開術によるかを問わず、満期または満期未満の任意の完了した妊娠から組織を入手し得る。組織バンクから組織を得ることも本開示の範囲内であると見なされる。その組織は、当該分野で公知の任意の手段によって血液を実質的に含まなくされ得る。例えば、血液は、例えば吸引または排出によって大部分の血液が除去される前または除去された後に、洗浄すること、すすぐこと、および希釈することなどによって物理的に除去され得る。血液細胞を実質的に含まない組織を得る他の手段としては、酵素的処理または化学的処理が挙げられ得る。臍組織の解離は、機械的破砕などの当該分野で公知の様々な手法のいずれかによって達成され得、例えば、組織は、ハサミまたはメスで無菌的に切断され得るか、またはそのような組織は、ヒト組織からのインタクトな細胞または生細胞の回収に適合する任意の様式で切り刻まれ得るか、混ぜられ得るか、すりつぶされ得るか、またはホモジナイズされ得る。
【0058】
具体的な実施形態において、細胞の任意の単離手順が、酵素消化プロセスを用いる。培養中の成長を促進するために、複雑な組織マトリックスから個々の細胞を単離するのに多くの酵素が有用であると当該分野で公知である。上で論じられたように、組織からの細胞単離において使用するための広範囲の消化酵素が当業者にとって利用可能であり、それらの消化酵素は、消化性の弱いもの(例えば、デオキシリボヌクレアーゼおよび中性プロテアーゼであるディスパーゼ)から消化性の強いもの(例えば、パパインおよびトリプシン)まで様々であり、そのような酵素は、商業的に入手可能である。これと適合する酵素の非網羅的リストとしては、粘液溶解酵素活性、メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ(例えば、トリプシン、キモトリプシンまたはエラスターゼ)およびデオキシリボヌクレアーゼが挙げられる。有用であり得る酵素活性としては、メタロプロテアーゼ活性、中性プロテアーゼ活性および粘液溶解活性から選択される活性が挙げられる。例えば、コラゲナーゼは、組織からの様々な細胞の単離に有用であると知られている。デオキシリボヌクレアーゼは、一本鎖DNAを消化することができ、単離中の細胞凝集を最小限に抑えることができる。酵素は、単独でまたは組み合わせて使用され得る。セリンプロテアーゼは、使用している他の酵素を分解し得るので、好ましくは、他の酵素を使用した後という順序で使用される。セリンプロテアーゼと接触させる温度および時間をモニターしなければならない。セリンプロテアーゼは、血清中のアルファ2ミクログロブリンによって阻害され得るので、消化のために使用される培地は、好ましくは無血清である。EDTAおよびDNaseが通常使用され、それらは、収率または効率を改善し得る。いくつかの実施形態は、例えば、コラゲナーゼおよびディスパーゼ、またはコラゲナーゼ、ディスパーゼおよびヒアルロニダーゼによる酵素的処理を含む方法を含む。コラゲナーゼと中性プロテアーゼであるディスパーゼとの混合物を解離工程において使用する方法が提供される。Clostridium histolyticum由来の少なくとも1つのコラゲナーゼ、ならびにプロテアーゼ活性、ディスパーゼおよび/またはサーモリシンのいずれかの存在下での消化を用いる方法が使用され得る。コラゲナーゼとディスパーゼの両方の酵素活性による消化を用いる方法も使用され得る。
【0059】
コラゲナーゼ活性およびディスパーゼ活性に加えてヒアルロニダーゼ活性による消化を含む方法が使用され得る。当業者は、多くのそのような酵素処理が、様々な組織起源から細胞を単離するために当該分野で公知であることを認識するだろう。例えば、コラゲナーゼと中性プロテアーゼとの酵素組み合わせのLIBERASE(商標)BLENDZYME(Roche)シリーズは、非常に有用であり、本方法において使用され得る。他の酵素源も公知であり、当業者は、そのような酵素をそれらの天然起源から直接得ることもある。当業者は、新しいまたはさらなる酵素または酵素組み合わせを本開示の細胞の単離における有用性について評価する能力を十分に備えている。酵素処理は、0.5、1、1.5または2時間またはそれ以上であり得る。他の実施形態において、組織は、解離工程の酵素処理中、およそ37℃でインキュベートされる。細胞が粘稠性の消化物の中に捕捉され得るとき、消化物を希釈することも、細胞の収率を改善し得る。現在のところ酵素の使用が好ましいが、本明細書中に提供されるような単離方法には必要ない。機械的な分離のみに基づく方法が、上で論じられたように臍から本細胞を単離することに成功し得る。
【0060】
組織が本明細書の上で論じられたような任意の培養液中に解離された後、細胞は、再懸濁され得る。細胞は、組織または他の残骸から細胞を分別するために用いられる遠心分離工程の後に再懸濁されてもよい。再懸濁は、機械的な再懸濁の方法、または単に細胞に培養液を加えることであり得る。成長条件を提供することにより、細胞に対する培養液、サプリメント、雰囲気条件および相対湿度に関する広範囲の選択肢が可能になる。培養温度は、およそ37℃であり得るが、その温度は、他の培養条件および細胞または培養物の所望の用途に応じて、約35℃~約39℃の範囲であってもよい。
【0061】
特定の実施形態において、少なくともいくつかの場合では、成長因子が、成長培地に提供される追加の血清の形で利用可能であることを除いては、細胞が外来性の成長因子を必要としない方法が使用される。特定の成長因子の非存在下において拡大することができる臍細胞を得る方法も本明細書中に提供される。それらの方法は、上記の方法と似ているが、細胞が最終的に再懸濁および生育される培養液にそれらの特定の成長因子(それらの細胞が必要としないもの)が存在しないことを必要とすることがある。この意味において、その方法は、それらの特定の成長因子の非存在下において分裂することができる細胞にとって選択的である。いくつかの実施形態において、特定の細胞は、血清が加えられていない合成成長培地中で生育および拡大することができる。そのような場合、それらの細胞は、細胞を支援および維持するために培地に加えることができるある特定の成長因子を必要とすることがある。成長のために無血清培地に加えられ得る因子には、FGF、EGF、IGFおよびPDGFのうちの1つ以上が含まれ得る。いくつかの実施形態において、それらの因子のうちの2つ、3つまたは4つすべてが、無血清培地または既知組成培地に加えられる。具体的な実施形態では、細胞の成長を支援または改善するために、白血病抑制因子(LIF)が無血清培地に加えられる。
【0062】
細胞がその雰囲気中の約5%~約20%の酸素の存在下において拡大し得る方法も提供される。細胞を得るための方法は、細胞がL-バリンの存在下において培養されることを必要とすることもある。細胞を得た後、その細胞のL-バリンの必要性が、L-異性体を欠くD-バリン含有培地で生育することによって試験および確認され得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、臍帯血、臍帯組織、ワルトンゼリーおよび/または上皮下臍帯由来の細胞をはじめとした臍由来の細胞は、老化状態に到達するまでに少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35または200回の倍加を起こし得る。細胞は、継代の間ずっと、正常核型を維持し得る。1×1014細胞またはそれ以上に到達するまで倍加が可能な細胞を得るための方法が提供される。培養において約1×10~約1×10細胞/cmで播種されたとき、少なくとも約1×1014、1×1015、1×1016もしくは1×1017個またはそれ以上の細胞を生成するほど十分に倍加できる細胞を得る方法が使用され得る。いくつかの実施形態において、細胞数は、80、70もしくは60日以内またはそれ未満でもたらされる。特定の実施形態において、臍由来の間葉系幹細胞は、単離および拡大され、CD9、CD10、CD13、C29、CD44、CD73、CD90、CD105、CD146、CD141、CD166、SSEA4、PDGFr-アルファ、HLA-A,B,C、SOX2、OCT4およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上のマーカーまたはタンパク質を有する。さらに、それらの細胞は、CD14、CD31、CD34、CD45、CD79、CD80、CD86、CD106、CD117、CD141、HLA-DR,DP,DQ、STRO-1およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上のマーカーを産生しない。
【0064】
MSC培養物の品質を測定するために、すべての培養物に対してフローサイトメトリーを、SH-2、SH-3、SH-4 MSCマーカーの表面発現について、ならびにCD14-およびCD-45陽性細胞の混入が無いことについて行う。細胞を、0.05%トリプシン-EDTAを用いて剥離し、DPBS+2%ウシアルブミンで洗浄し、1%パラホルムアルデヒドで固定し、10%血清でブロッキングし、SH-2、SH-3およびSH-4一次抗体とともに別々にインキュベートした後、PE結合体化抗マウスIgG(H+L)抗体とともにインキュベートした。175cmフラスコ内のコンフルエントなMSCをタイロード塩溶液で洗浄し、199培地(M199)中で60分間インキュベートし、0.05%トリプシン-EDTA(Gibco)を用いて剥離する。10本のフラスコの細胞を一度に剥離し、MSCを40mLのM199+1%ヒト血清アルブミン(HSA;American Red Cross,Washington DC,USA)に再懸濁した。各10フラスコセットから収集されたMSCを4℃で最大4時間保存し、収集の終了時に合わせた。合計2~10’10MSC/kgをM199+1%HSAに再懸濁し、20℃、460gで10分間遠心した。細胞ペレットを新鮮M199+1%HAS培地に再懸濁し、20℃、460gで10分間の遠心をさらに3回行った。総収集時間は、フラスコ1本あたりのMSC収率および目標用量に基づくと、2~4時間であった。収集されたMSCを、10%DMSO(Research Industries,Salt Lake City,UT,USA)および5%HSAという最終濃度で、速度制御された冷凍庫を用いてCryocyte(Baxter,Deerfield,IL,USA)フリージングバッグ内で凍結保存した。注入の当日に、凍結保存された単位を37℃のウォーターバスのベッドサイドで解凍し、5分以内に60mLシリンジに移し、10~15分間にわたって患者に静脈内注入した。患者には、325~650mgのアセトアミノフェンおよび12.5~25mgのジフェンヒドラミンを経口的に前投与しておく。血圧、脈拍、呼吸数、体温および酸素飽和を、注入時、およびその後3時間にわたって15分ごと、その後、6時間にわたって2時間ごとにモニターする。
【0065】
具体的な実施形態において、MSCは、骨髄由来MSCを使用して患者を処置するために以前に使用したプロトコルに従って生成される。骨髄細胞は、LFA-3、ICAM-1、PECAM-1、P-セレクチン、L-セレクチン、CD49b/CD29、CD49c/CD29、CD49d/CD29、CD29、CD18、CD61、6-19、トロンボモジュリン、テロメラーゼ、CD10、CD13、インテグリンベータ、CD34、CD56、CD117またはそれらの組み合わせを含む特異的マーカーを発現することがある。いくつかの実施形態において、骨髄由来MSCは、CD10、CD2、CD3、CD5、CD14、CD16、CD19、C31、CD33、CD45、CD64および/またはDRIIを発現しないことがある。いくつかの実施形態において、骨髄由来細胞は、MSC前駆細胞を少なくとも部分的に含む。それらの前駆細胞は、STRO-1、TKY-1、CD146、STRO-2および/またはVCAM-1を発現することがあり、CBFA-1、II型コラーゲン、PPAR.ガンマ2、オステオポンチン、オステオカルシン、副甲状腺ホルモンレセプター、レプチン、H-ALBP、アグリカン、Ki67、グリコホリンAまたはそれらの組み合わせの発現を欠くことがある。
【0066】
骨髄は、後腸骨稜から吸引されておよそ10~30mLを得て、容器に回収され、クリーンルームに移され得る。その容器は、ヘパリンナトリウム含有チューブであり得る。優良製造規範(GMP)が使用され得る。この手順を行う間、個体には、鎮静ありまたはなしで局所麻酔が提供され得る。骨髄細胞は、例えば患者の自己血漿が補充された、ダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)、RPMIまたはPBSなどの洗浄液で洗浄され得る。それらの細胞は、Percollまたは類似の溶液上におよそ1~2×10細胞/mLの濃度で重層され得る。続いて、それらの細胞は、およそ700~1100×gで、およそ30分間または残屑および赤血球から単核細胞を分離するのに十分な時間にわたって遠心され得る。次いで、前記細胞は、例えばPBSなどの溶液で洗浄され得、175cm組織培養フラスコなどの好適な培養容器内の、10%FCSを含むDMEMなどの培養液におよそ1×10細胞/mLの密度でプレーティングされ得る。続いて、前記フラスコに最低でも3000万個の骨髄単核細胞がロードされ得る。そのMSCを少なくとも24時間接着させる。MSCは、72時間またはそれ以上接着させてもよい。次いで、MSCを3~4日ごとに培地交換に供し得る。次いで、0.05%トリプシン-EDTAを用いるなどの好適な方法を用いて接着性細胞を取り出し、およそ1×10/175cmの密度で再度プレーティングし得る。前記骨髄MSCは、静脈内に投与され得るか、または特定の実施形態では、髄腔内投与を必要とする個体(少なくとも放射線に関連する神経変性所見を患っている人など)の髄腔内に投与され得る。用量は、当業者が決定でき、細胞を投与される個体の様々な特性に依存するが、個体の測定体重1キログラムあたり100万~1000万個のMSCという範囲の細胞数で静脈内投与が行われ得る。投与は、個体の測定体重1キログラムあたりおよそ200万~500万個の細胞という細胞数で行われ得る。
【0067】
具体的な実施形態において、再生組成物は、末梢血、骨髄または臍帯血から単離されたCD34+細胞であり得る造血幹細胞を含む。その造血幹細胞は、c-kit、Sca-1、CD34、CD133またはそれらの組み合わせを発現し得る。その造血幹細胞は、C38または他の系列マーカーの発現を欠き得る。その造血幹細胞は、ヒト、マウス、ラットを含むがこれらに限定されない哺乳動物の血液系に由来し得、これらの造血幹細胞は、哺乳動物の血液または組織器官から単離することによって収集され得る。造血幹細胞の起源の例としては、末梢血、動員末梢血、骨髄、臍帯血、脂肪間質血管細胞群、前駆細胞に由来するものまたはそれらの組み合わせが挙げられる。造血幹細胞は、当該分野における任意の公知の方法によってドナーから収集され得る。例えば、米国特許公開第2013/0149286号には、哺乳動物の屍体から幹細胞を得て精製するための手順が詳述されている。幹細胞は、骨髄の収集または末梢血幹細胞の収集(この両方ともが当該分野において周知の手法である)によってヒトから収集され得る。幹細胞は、ドナーのある特定の組織などの起源から得た後、幹細胞拡大法を用いて培養され得る。幹細胞拡大法は、2001年12月4日発行の“Methods and compositions for the ex vivo replication of stem cells,for the optimization of hematopoietic progenitor cell cultures,and for increasing the metabolism,GM-CSF secretion and/or IL-6 secretion of human stromal cells”というタイトルのEmerson et al.の米国特許第6,326,198号;2002年1月15日発行の“Selective expansion of target cell populations”というタイトルのKraus et al.の米国特許第6,338,942号;および2002年1月1日発行の“Method for promoting hematopoietic and cell proliferation and differentiation”というタイトルのRodgers et al.の米国特許第6,335,195号に開示されており、これらの全体が、参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態において、ドナーから得られた幹細胞は、幹細胞の集団を拡大するために培養される。具体的な実施形態では、ドナーの起源から回収された幹細胞は、そのような手法を用いて拡大されない。標準的な方法を用いて、幹細胞を凍結保存することができる。
【0068】
本開示のいくつかの実施形態において、特定のタイプの幹細胞、例えば、多能性幹細胞に関連するリスクがある場合、前記幹細胞は、植え込みの前に、膜ならびにカプセルに被包されてもよい。細胞を被包する多くの任意の利用可能な方法が使用され得ることが企図される。いくつかの実施形態において、細胞は、個々に被包される。いくつかの実施形態では、多くの細胞が、同じ膜内に被包される。細胞が植え込み後に除去される実施形態では、単一膜の内部など、多くの細胞を被包する比較的大きいサイズの構造が、回収に好都合な手段を提供し得る。幹細胞をマイクロカプセル化するための様々な実施形態において、多種多様の材料が使用され得る。そのような材料としては、例えば、ポリマーカプセル、アルギネート-ポリ-L-リジン-アルギネートマイクロカプセル、ポリ-L-リジンアルギン酸バリウムカプセル、アルギン酸バリウムカプセル、ポリアクリロニトリル/ポリ塩化ビニル(PAN/PVC)中空糸およびポリエーテルスルホン(PES)中空糸が挙げられる。幹細胞を投与する場合に使用され得る、細胞をマイクロカプセル化するための手法は、当業者に公知であり、例えば、米国特許第5,639,275号(例えば、生物学的に活性な分子を安定に発現する細胞を長期間維持するための生体適合性カプセルを記載している)に記載されている。カプセル化のさらなる方法は、欧州特許公開第301,777号および米国特許第4,353,888号;同第4,744,933号;同第4,749,620号;同第4,814,274号;同第5,084,350号;同第5,089,272号;同第5,578,442号;同第5,639,275号;および同第5,676,943号に記載されている。前述のすべての、幹細胞のカプセル化に関する部分が参照により本明細書中に援用される。ある特定の実施形態は、幹細胞を生体高分子または合成ポリマーなどのポリマーに組み込む。生体高分子の例としては、フィブロネクチン、フィブリン、フィブリノゲン、トロンビン、コラーゲンおよびプロテオグリカンが挙げられるが、これらに限定されない。サイトカインなどの上で論じられた他の因子も、ポリマーに組み込まれ得る。本開示の他の実施形態では、3次元ゲルの間隙に幹細胞が組み込まれ得る。大きなポリマーまたはゲルが、外科的に植え込まれ得る。十分に小さい粒子または繊維として製剤化され得るポリマーまたはゲルは、他の一般的なより好都合な非外科的経路によって投与され得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、再生組成物は、少なくとも1つの骨格筋由来間葉系幹細胞である。その骨格筋由来間葉系幹細胞は、CD13、CD34、CD56、CD117またはそれらの組み合わせを発現し得、CD10、CD2、CD5、CD14、CD19、CD33、CD45および/またはDRIIの発現を欠き得る。
【0070】
本開示のいくつかの実施形態において、間葉系幹細胞は、前記間葉系幹細胞を未熟な状態で維持することができるおよび/または全身的に作用する再生効果の発生を可能にするのに必要な遺伝子/ミトコンドリアの高発現を維持することができる物質とともに培養される。いくつかの実施形態において、その全身的な効果は、再生組成物で処置された組織と相同な組織における再生の誘導に対して標的化される。それらの物質は、レベルシン(reversin)、臍帯血血清、リチウム、GSK-3阻害剤、リスベラトロール、プテロスチルベン(pterostilbene)、セレン、セレン含有化合物、EGCG((-)-エピガロカテキン-3-ガレート)、バルプロ酸およびバルプロ酸塩、特にバルプロ酸ナトリウムからなる群より選択される。本開示の具体的な実施形態において、0.5~10μM、好ましくは、1μMの濃度のレベルシンが、間葉系幹細胞培養物に加えられる。本開示の具体的な実施形態は、リスベラトロールを10~100μMの濃度、好ましくは、50μMで使用することを予見する。本開示は、セレンまたはセレン含有化合物を0.05~0.5μM、好ましくは、0.1μMの濃度で使用し得る方法を提供する。具体的な実施形態では、臍帯血血清が、組織培養液の体積に対して0.1%~20%の体積という濃度で加えられる。いくつかの実施形態において、本開示は、EGCGをおよそ0.001~0.1μMの濃度、好ましくは、およそ0.01μMで使用することを予見する。特定の実施形態において、本開示は、バルプロ酸またはバルプロ酸ナトリウムを1~10μMの濃度、特定の実施形態では5μMで使用することを予見する。いくつかの実施形態において、間葉系幹細胞は、脱分化して、より高発現の再生遺伝子を有するようになる。脱分化は、未熟さが高レベルな幹細胞を用いた、細胞質移植、細胞質トランスフェクションまたは細胞融合によって達成され得、それらの幹細胞には、多能性幹細胞が含まれる。そのような培養/共培養の手順において、細胞培養液は、少なくとも1つの一過性のタンパク質分解阻害剤を、必要に応じて上記で明記された1つ以上の物質と組み合わせて含む。本開示の細胞培養液中で少なくとも1つのタンパク質分解阻害剤を使用することにより、mRNAまたは任意の内在性遺伝子に由来する再プログラム化タンパク質が細胞に存在する時間が長くなるがゆえに、トランスフェクトされたmRNAによる再プログラム化が、さらにより改善された方法で促進される。
【0071】
本開示のいくつかの実施形態において、再生組成物は、少なくとも1つの多能性幹細胞である。その多能性幹細胞は、幹細胞、単為生殖由来の幹細胞、誘導性多能性幹細胞、体細胞核移植由来の幹細胞、細胞質移植由来の幹細胞、刺激惹起性多能性獲得またはそれらの組み合わせをはじめとした任意の起源またはタイプであり得る。多能性幹細胞を得るための任意の方法が使用され得る。
【0072】
V.阻害剤
【0073】
本開示は、特定の実施形態において、1つ以上の阻害剤を使用して、例えば、再生活性を有する細胞を生成するか、またはその細胞を使用して、再生性のアブスコバル効果を誘導することができる。阻害剤の例としては、タンパク質分解阻害剤(一過性のものまたはそうでないもの)、プロテアーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤および/またはリソソーム阻害剤が挙げられる。ある実施形態において、プロテオソーム阻害剤は、MG132、TMC-95A、TS-341およびMG262からなる群より選択される。特定の実施形態において、プロテアーゼ阻害剤は、アプロチニン、G-64、ロイペプチン-ヘミスルファートおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される。具体的な実施形態において、リソソームの阻害剤は、塩化アンモニウムである。本開示は、mRNA分解の少なくとも1つの一過性阻害剤を含む細胞培養液も包含する。mRNA分解の一過性阻害剤の使用により、再プログラム化因子の半減期も同様に延びる。本開示の特定の実施形態は、トランスフェクトされた再プログラム化mRNA分子をその細胞において翻訳させるのに適した条件を許容し、0.5~21%という細胞培養液中の酸素含有量である。より詳細には、理論に拘束されることを望むものではないが、酸素を用いることにより、HIF-1αを介してOct4の引き金を引くことによって、Oct4がさらに誘導されるかまたは増加し、これらの状況では、大気中の濃度よりも低い酸素濃度が使用され、それは0.1%~10%の範囲であり得る。具体的な実施形態において、条件は、細胞内のmRNA分子による細胞の再プログラム化の支援に好適であり得、選択される;より詳細には、これらの条件は、30~38℃、好ましくは、31~37℃、最も好ましくは、32~36℃の温度を必要とする。培地のグルコース含有量は、4.6g/L未満、4.5g/L未満、4g/L未満、3g/L未満、2g/L未満またはおよそ1g/Lもしくはおよそ1g/L未満であり得る。1g/Lのグルコースを含むDMEM培地は、「DMEM低グルコース」として、PAA、Omega Scientific、PerbioおよびBioseraなどの企業から商業的に入手可能である。より詳細には、理論に拘束されることを望むものではないが、高グルコース条件は、インビトロにおいて細胞の老化を不利に支援し(例えば、メチル化、またはエピジェネティクスの変化などによって)、それにより、再プログラム化が困難になり得る。本開示の具体的な実施形態において、細胞培養液は、グルコースを0.1g/L~4.6g/L、0.5g/L~4.5g/Lまたは1g/L~4g/Lの濃度で含む。
【0074】
本開示のいくつかの実施形態において、アブスコパル効果の増強は、再生組成物の効力を高めるかまたは内在性の幹細胞が遠くの位置の再生組成物によって全身性に分泌されるシグナルに応答する能力を高める、1つ以上のエピジェネティック修飾因子の投与によって達成される。特定の実施形態において使用される再生組成物は、エピジェネティック作用性組成物によって増強され得る。エピジェネティック作用性組成物は、再生組成物と同時にまたは再生組成物の投与の前にまたは再生組成物の投与の後に送達され得る。エピジェネティック作用性組成物は、再生組成物と同じ部位または異なる解剖学的部位(再生される部位を潜在的に含む)に投与され得る。
【0075】
エピジェネティック修飾因子の例としては、エピジェネティック修飾因子、例えば、DNA脱メチル化剤、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、ヒストン修飾因子、ならびに細胞周期操作剤および多能性促進剤または組織特異性促進剤、例えば、多能性細胞の成長、または多能性細胞、成長因子、ホルモンおよび生理活性分子の産生を促進するヘルパー細胞が挙げられる。DNA脱メチル化剤の例としては、5-アザシチジン(5-アザ)、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン、テモゾロマイド、プロカルバジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。メチル化阻害剤の例としては、デシタビン、5-アザシチジン、ヒドララジン、プロカインアミド、ミトキサントロン、ゼブラリン、5-フルオロデオキシシチジン、5-フルオロシチジン、DNAメチルトランスフェラーゼに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはDNAのメチル化に関わる酵素の他の阻害剤が挙げられる。
【0076】
HDAC阻害剤の例としては、ヒドロキサム酸、環状ペプチド、ベンズアミド、短鎖脂肪酸およびデプデシン(depudecin)が挙げられるが、これらに限定されない。ヒドロキサム酸およびヒドロキサム酸の誘導体の例としては、トリコスタチンA(TSA)、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、オキサンフラチン(oxamflatin)、スベリン酸ビスヒドロキサム酸(SBHA)、m-カルボキシケイ皮酸ビスヒドロキサム(CBHA)およびピロキサミド(pyroxamide)が挙げられるが、これらに限定されない。環状ペプチドの例としては、トラポキシンA、アピシジン(apicidin)およびFR901228が挙げられるが、これらに限定されない。ベンズアミドの例としては、MS-27-275が挙げられるが、これに限定されない。短鎖脂肪酸の例としては、ブチレート(例えば、酪酸、フェニルブチレート(PB)およびCI-994(アセチルジナリン(acetyldinaline))が挙げられるが、これらに限定されない。ヒストン修飾因子の例としては、PARP、zesteのヒトエンハンサー、バルプロ酸およびトリコスタチンAが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、RNAトランスフェクション、およびRNAを含む標的細胞を多能性細胞に脱分化することを容易にするために、細胞培養液中で使用される特定の修飾因子には、トリコスタチンA、バルプロ酸、ゼブラリンおよび/または5-アザが含まれる。RNAが導入される標的細胞は、脱分化細胞(多能性)細胞が得られるまで、RNAトランスフェクションを促進するのに十分な時間にわたって培地中で培養される。いくつかの実施形態において、この方法は、レシピエントまたは標的細胞のエピジェネティック状態の制御または変更に関わる他の方法および処置(例えば、DNA脱メチル化剤および/もしくはヒストン脱メチル化剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤ならびに/またはヒストン修飾因子への曝露)と組み合わされ得る。ゆえに、本開示は、いくつかの実施形態において、細胞の運命または表現型を変化させる方法を記載する。エピジェネティック修飾組成物を使用することによって、開示される方法は、細胞を脱分化し得るかまたは分化転換し得る。
【0077】
VI.エクソソーム
【0078】
「粒子」とも称されるエクソソームは、脂質二重層を含む小胞または扁平な球体を含み得る。それらの粒子は、2~200nm、5~200nm、10~200nm、15~200nm、20~200nm、30~200nm、40~200nm、50~200nm、60~200nm、70~200nm、80~200nm、90~200nm、100~200nm、110~200nm、120~200nm、130~200nm、140~200nm、150~200nm、160~200nm、170~200nm、180~200nm、190~200nm、2~150nm、5~150nm、10~150nm、15~150nm、20~150nm、30~150nm、40~150nm、50~150nm、60~150nm、70~150nm、80~150nm、90~150nm、100~150nm、110~150nm、120~150nm、130~150nm、140~150nm、2~100nm、5~100nm、10~100nm、15~100nm、20~100nm、30~100nm、40~100nm、50~100nm、60~100nm、70~100nm、80~100nm、90~100nm、2~50nm、5~50nm、10~50nm、15~50nm、20~50nm、30~50nm、40~50nmまたはそれらの間の任意の範囲の直径を含み得る。例えば動的光散乱またはナノ粒子追跡解析をはじめとした、エクソソームのサイズを測定する任意の方法を用いることができる。それらの粒子は、エンドソーム膜の内向きの出芽によって形成され得る。それらの粒子は、約1.13~1.19g/mLの密度を有することがあり、スクロース勾配上に浮くことがある。それらの粒子は、コレステロールおよびスフィンゴミエリン、CD9、CD63、CD81、ANXA2、ENO1、HSP90AA1、EEF1A1、YWHAE、SDCBP、PDCD6IP、ALB、YWHAZ、EEF2、ACTG1、LDHA、HSP90AB1、ALDOA、MSN、ANXA5、PGK1、CFL1などのマーカー、およびGM1、GM3、フロチリンなどの脂質ラフトマーカー、およびsrcタンパク質キナーゼLynに富むことがある。それらの粒子は、リン脂質、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミド、糖脂質、セレブロシド、ステロイド、コレステロールおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの脂質を含み得る。それらの粒子は、少なくとも1つの脂質ラフトを含み得る。それらの粒子は、間葉系幹細胞、または本開示の任意の細胞、または間葉系幹細胞条件培地(MSC-CM)、または本開示の任意の培地に存在する1つ以上のタンパク質(例えば、MSCまたはMSC-CMに特有または特異的なタンパク質など)を含み得る。それらは、RNA、例えば、miRNAを含み得る。前記粒子は、MSC、または本開示の任意の細胞、またはMSCの培養によって条件づけされた培地、または本開示の任意の培地に見られる1つ以上の遺伝子または遺伝子産物を有し得る。その粒子は、MSCまたは本開示の任意の細胞によって分泌された分子を含み得る。そのような粒子およびその中に含まれる任意の分子の組み合わせ(特に、タンパク質またはポリペプチドが挙げられる)は、例えば疾患を処置または予防する目的で、MSCまたは本開示の任意の細胞またはMSCもしくは本開示の任意の細胞によって条件づけられた培地の活性を補うためにまたはそれらの代わりに使用され得る。前記粒子は、細胞骨格に見られるサイトゾルタンパク質、例えば、チューブリン、アクチンおよびアクチン結合タンパク質、細胞内膜融合および輸送、例えば、アネキシンおよびrabタンパク質、シグナル伝達タンパク質、例えば、タンパク質キナーゼ、14-3-3およびヘテロ三量体Gタンパク質、代謝酵素、例えば、ペルオキシダーゼ、ピルビン酸キナーゼおよび脂質キナーゼ、ならびにエノラーゼ-1およびテトラスパニンのファミリー、例えば、CD9、CD63、CD81およびCD82を含み得る。特定の実施形態において、その粒子は、1種以上のテトラスパニンを含み得る。それらの粒子は、mRNAおよび/またはマイクロRNAを含み得る。その粒子は、MSC、または本開示の任意の細胞、またはMSC-CM、または本開示の任意の培地を使用し得る任意の治療目的で使用され得る。
【0079】
特定の実施形態において、エクソソーム、すなわち粒子は、間葉系幹細胞もしくは線維芽細胞、または本開示の任意の細胞(再生性細胞を含む)を培養することによって生成され得る。それらの細胞は、包皮、脂肪組織、胎盤、耳垂、網、ワルトンゼリーまたはそれらの組み合わせをはじめとした任意の組織起源に由来し得る。例えば、それらの間葉系幹細胞は、CD90、CD73、CD105およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを有するヒト臍組織由来細胞を含み得る。培地は、DMEMを含み得る。そのDMEMは、フェノールレッドを含まないようにされていてよい。培地には、インスリン、トランスフェリンもしくはセレンタンパク質(ITS)またはそれらの任意の組み合わせが補充され得る。培地は、FGF2を含み得る。培地は、PDGF ABを含み得る。FGF2の濃度は、約5ng/mL FGF2であり得る。PDGF ABの濃度は、約5ng/mLであり得る。培地は、グルタミン-ペニシリン-ストレプトマイシンもしくはb-メルカプトエタノールまたはそれらの任意の組み合わせを含み得る。細胞は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日間またはそれ以上、例えば3日間、培養され得る。
【0080】
エクソソームを含む条件培地は、細胞を培地と分離することによって得ることができる。条件培地は、例えば500gで、遠心され得る。それは、膜で濾過することによって濃縮され得る。その膜は、>1000kDa膜を含み得る。条件培地は、約50倍またはそれ以上濃縮され得る。条件培地は、HPLCなどの液体クロマトグラフィーに供され得る。条件培地は、サイズ排除によって分離され得る。セファロースなどの任意のサイズ排除マトリックスを使用してよい。一例として、TSK GuardカラムSWXL,6×40mmまたはTSKゲルG4000SWXL,7.8×300mmが使用され得る。溶出緩衝液は、食塩水などの任意の生理学的媒質を含み得る。それは、150mMのNaCl pH7.2を含む20mMリン酸緩衝液を含み得る。クロマトグラフィーシステムは、0.5mL/分の流速で平衡化され得る。溶出モードは、均一濃度であり得る。220nmのUV吸光度を用いて、溶出の経過を追跡してもよい。準弾性光散乱(QELS)検出器を用いて動的光散乱(DLS)について画分を調べてもよい。動的光散乱を示すと見出された画分が保持され得る。例えば、上に記載されたような一般的な方法によって生成された画分であって、12分などの11~13分の保持時間で溶出する画分が、動的光散乱を示すと見出される。このピークにおける粒子のrは、約45~55nmである。そのような画分は、例えばエクソソームなどの間葉系幹細胞粒子を含み得る。
【0081】
本開示のいくつかの実施形態において、全身的に作用する再生効果は、再生性細胞由来の細胞溶解物を投与することによって生じる。それらの再生性細胞は、例えば間葉系幹細胞、または本開示の任意の細胞であり得る。いくつかの実施形態において、間葉系幹細胞は、臍帯に由来するが、任意の組織型であってもよい。臨床応用に向けた臍帯/ワルトンゼリーからの間葉系幹細胞の誘導は、当該分野において報告されており、参照により援用される[58-66]。本開示のいくつかの実施形態の場合、ゼノフリー培地を用いて間葉系幹細胞または本開示の任意の細胞を生育して、ウシ胎仔血清などの構成要素による感作の可能性を低下させてもよい[22,67-73]。本開示のいくつかの実施形態において、間葉系幹細胞は、再生活性を高める方法を用いて前処理され、前記手段としては、バルプロ酸などのヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、リチウムなどのGSK-3阻害剤による処理[74-79]、低酸素下での培養、および一酸化炭素による処理[80]が挙げられる。いくつかの実施形態において、線維芽細胞は、幹細胞投与の代替として利用される。
【0082】
いくつかの実施形態において、例えば間葉系幹細胞を、アフィディコリンの存在下においてインキュベートしてそれらをS期で停止し、次いで、それらの細胞を、本明細書中に記載されるように遠心分離とリン酸緩衝食塩水(PBS)への再懸濁の反復によって3回洗浄することによって、G2で同期化し得る。次いで、それらの細胞を、細胞がG2期に入るのに十分な時間にわたってインキュベートし得る。例えば、およそ24時間の倍加時間を有する細胞は、6~12時間インキュベートすることにより、G2期に入ることができるようになり得る。それより短いまたは長い倍加時間を有する細胞の場合は、しかるべくインキュベーション時間を調整し得る。本開示のいくつかの実施形態では、間葉系幹細胞を、0.5μg/mLノコダゾール中で17~20時間インキュベートすることによって有糸分裂において同期化し得、それらの有糸分裂細胞を、激しく振盪することによって剥離する。剥離されたG1期のダブレットは、廃棄され得るか、または剥離された細胞の大部分(80%超)を構成する有糸分裂細胞とともに残され得る。収集された剥離細胞は、10mLコニカルチューブにおいて4℃、500gで10分間遠心される。同期化されたまたは同期化されていない細胞が、標準的な方法によって収集され得、10mLコニカルチューブにおいて4℃、500gで10分間遠心分離することによって洗浄され得る。上清を廃棄し、細胞ペレットを50mLの総体積の冷PBSに再懸濁する。細胞を4℃、500gで10分間遠心する。この洗浄工程を繰り返し、細胞ペレットをおよそ20体積の氷冷した間期細胞溶解緩衝液(20mM Hepes,pH8.2、5mM MgCl、1mM DTT、10pMアプロチニン、10pMロイペプチン、10pMペプスタチンA、10pMダイズトリプシン阻害剤、100pM PMSFおよび必要に応じて20pg/mLサイトカラシンB)に再懸濁する。それらの細胞を、4℃、800gで10分間遠心分離することによって沈降させる。上清を廃棄し、細胞ペレットを1体積以下の間期細胞溶解緩衝液に慎重に再懸濁する。それらの細胞を氷上で1時間インキュベートして、細胞を膨潤させる。次いで、それらの細胞を、チップソニケーターを用いる超音波処理またはガラス乳鉢および乳棒を用いるDounce均質化によって溶解する。それらの細胞および核の少なくとも90%が溶解するまで、細胞溶解を行う。この細胞溶解は、位相差顕微鏡法を用いて評価され得る。それらの細胞および核の少なくとも90%を溶解するために必要な超音波処理の持続時間および力は、抽出物を調製するために使用される細胞のタイプに応じて変化し得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、細胞溶解物を1.5mL遠心管に入れ、卓上遠心機を用いて4℃において10,000~15,000gの速度で15分間遠心する。チューブを遠心機から取り出し、直ちに氷上に置く。上清を、200μLのピペットチップを用いて慎重に回収し、いくつかのチューブから得た上清をプールし、氷上に置く。この上清が、細胞質の抽出物である。この細胞抽出物を、チューブ1本あたり20pL体積の抽出物に氷上で等分し、直ちに液体窒素において急速凍結し、使用するまで80℃で保存し得る。あるいは、細胞抽出物を、氷上の超遠心チューブに入れる(例えば、SW55 Tiローター;Beckmanに適したもの)。必要であれば、チューブの上部にミネラルオイルを重ねる。抽出物を4℃、200,000gで3時間遠心して、細胞質の抽出物に含まれる膜小胞を沈降させる。遠心分離の終わりに、オイルを廃棄する。上清を慎重に回収し、必要であればプールし、氷上の冷1.5mLチューブに入れる。
【0084】
特定の実施形態において、間葉系幹細胞または本開示の任意の細胞、溶解物は、細胞をPBSで3~4回すすぐことによって生成され、アルファ-MEMまたはDMEM/F12(Gibco)などの培養液が、添加物または血清なしで加えられる。12~24時間後、細胞をPBSで2回洗浄し、ラバーポリスマンでこそげる取るなどして収集し、50mLのFalconチューブ(Becton Dickinson)に回収する。次いで、細胞を洗浄し、氷冷した細胞溶解緩衝液(20mM HEPES,pH8.2、50mM NaCl、5mM MgCl.sub.2、1mMジチオトレイトールおよびプロテアーゼ阻害剤カクテル)に再懸濁し、400gで沈降させ、1体積の細胞溶解緩衝液に再懸濁する。すべての細胞および核が溶解するまで(位相差顕微鏡法によって判断できる)、細胞を、200μLのアリコートにおいて、直径2mmのプローブを取り付けた超音波処理器を用いて氷上で超音波処理する。溶解物を、4℃において10,000~14,000gの速度で15~30分間遠心して、粗材料および残っている可能性がある任意の溶解していない細胞をペレットにする。上清を等分し、液体窒素中で凍結および保存するか、または直ちに使用する。抽出物のタンパク質濃度をBradfordアッセイによって解析し、使用前に、pHをおよそ7.0.+-.0.4に調整し、必要に応じて水で希釈するなどしてオスモル濃度を-300mOsmに調整する。
【0085】
細胞溶解物に加えて、細胞の条件培地も使用され得る。細胞溶解物と条件培地の両方が、エアロゾル化手段を介して鼻腔内に投与され得るか、または経口的に、静脈内に、皮下に、直腸内に、筋肉内に、関節内にもしくは舌下に投与され得る。
【0086】
分泌因子を濃縮するために条件培地が生成され得るか、またはエクソソームの起源として条件培地が使用され得る。いくつかの実施形態において、エクソソームは、超遠心分離、クロマトグラフィーを用いて、または基材への接着に基づいて、濃縮される。
【0087】
VI.線維芽細胞
【0088】
本開示の実施形態は、自己、同種異系、同系および/または異種の起源由来の線維芽細胞を使用するためのシステムおよび方法に関する。本開示の方法および組成物は、炎症状態、自己免疫状態または他の変性状態を処置するための、ある特定の操作された細胞を包含する。特に、それらの細胞には、任意の種類の線維芽細胞が少なくとも含まれる。線維芽細胞を操作する手段、ならびに変性プロセスを積極的に阻害する、異なる組織起源の線維芽細胞が開示される。本開示の1つの実施形態では、免疫応答を阻害できるという線維芽細胞の能力を利用するために線維芽細胞を使用し、また、変性状態を予防および/または処置するための細胞療法として線維芽細胞を使用する。少なくとも1つの実施形態において、線維芽細胞を1つ以上の特定の作用物質および/または条件で処理することにより、変性プロセスを直接または間接的に処置することができる。特定の実施形態において、その作用物質は、インターフェロンガンマおよび/または多血小板血漿を含み、いくつかの場合では、少なくともインターフェロンガンマおよび/または多血小板血漿(および/または多血小板溶解物)が、線維芽細胞が免疫応答を直接または間接的に積極的に抑制する能力を付与し得る。これらの条件下で培養された線維芽細胞が、自己免疫性障害もしくは炎症性障害または他の変性障害に罹患しているかまたはそのリスクがある個体に投与される。投与経路、投与量および頻度は、疾患プロセスならびに疾患ステージに応じて決定され、医学における通例の慣例に従って最適化され得る。
【0089】
本開示のいくつかの実施形態において、再生組成物は、少なくとも1つの線維芽細胞である。その線維芽細胞は、任意の起源であってよく、例えば、包皮、脂肪、胎盤、耳垂、網、ワルトンゼリーまたはそれらの組み合わせをはじめとした任意の組織型由来であってよい。線維芽細胞を単離する方法は、当該分野で周知であり、任意のそのような方法が、線維芽細胞を得るために使用され得る。特定の実施形態において、線維芽細胞は、例えば、NANOG、OCT-4、SSEA-4、CD90、CD105、CD73、幹細胞因子レセプターまたはそれらの組み合わせであり得る少なくとも1つのマーカーを発現する。線維芽細胞は、再生するための方法において使用される前に培養され得る。上記の培養方法および培地をはじめとした、線維芽細胞を培養するための任意の好適な方法および培養液が使用され得る。特定の実施形態において、線維芽細胞は、エクソソームを生成するために使用され得、そのエクソソームが、本明細書中に開示される特定の方法において再生組成物として使用される。特定の実施形態において、線維芽細胞は、アポトーシス小胞を生成するために使用され得、そのアポトーシス小胞が、再生組成物として使用され得る。具体的な実施形態において、線維芽細胞は、miRNAを得るためまたは誘導するために使用され得、その線維芽細胞から誘導されたまたは得られたmiRNAが、再生組成物として使用され得る。
【0090】
特定の実施形態において、線維芽細胞(同種異系であるか、自己であるか、または異種であるかを問わない)が、操作されていない様式で(例えば、インターフェロンガンマなどの1つ以上の特定の作用物質への事前の曝露なしに)個体に投与されるが、免疫調節活性を天然に特徴とする起源(例えば胎盤線維芽細胞または脂肪組織関連線維芽細胞など)から選択される。本開示の他の実施形態では、任意の線維芽細胞に対して未熟な表現型を付与するために、逆分化を誘導できる条件下においてそれらの線維芽細胞が培養され、ここで、その未熟な表現型は、高い抗炎症性および/または免疫調節の潜在能力と相関する。例えば、線維芽細胞は、バルプロ酸(Moon et al.,2008;Huang et al.,2011)などの1つ以上のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の存在下において培養され得る。HDAC阻害剤に加えて、線維芽細胞の脱分化を誘導する他の手段、例えば、8-Br-cAMP(Wang et al.,2011);M-CSF処理(Li et al.,2016);レベレシンへの曝露(Li et al.,2016);および/または幹細胞抽出物への曝露(Xiong et al.,2014)も、本開示の状況において使用され得る。線維芽細胞の脱分化の特徴付けは、CXCR4、VEGFR-2、CD34および/またはCD133などの細胞外マーカー、ならびにSOX-2、NANOGおよび/またはOCT-4などの細胞内マーカーを評価することによって行われ得る。
【0091】
特定の実施形態では、脱分化した線維芽細胞が使用される。そのような線維芽細胞は、脱分化するように誘導され、その脱分化した細胞は、ある特定の因子を産生するように操作される。具体的な実施形態において、線維芽細胞の脱分化の誘導は、線維芽細胞を、元の線維芽細胞と比べてより未分化な表現型を有する細胞の細胞質とともに培養することによって行われる。いくつかの場合において、線維芽細胞の脱分化は、線維芽細胞を、より未分化な表現型を有する細胞とともに培養することによって行われる。より未分化な表現型を有する細胞は、任意の種類の幹細胞、例えば多能性幹細胞などであり得る。
【0092】
本開示のいくつかの実施形態において、脱分化した線維芽細胞は、開示される方法に利用され得、それらの細胞は、テロメラーゼ、NANOG、Sox2、ベータ-III-チューブリン、NF-M、MAP2、APP、GLUT、NCAM、NeuroD、Nurr1、GFAP、NG2、Olig1、アルカリホスファターゼ、ビメンチン、オステオネクチン、オステオプロテグリン、オステリックス、アディプシン、エリトロポイエチン、SM22-アルファ、HGF、c-MET、アルファ-1-アントリプトリプシン、セルロプラスミン、AFP、PEPCK1、BDNF、NT-4/5、TrkA、BMP2、BMP4、FGF2、FGF4、PDGF、PGF、TGFアルファ、TGFベータ、VEGFおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上のマーカーを発現する。
【0093】
特定の実施形態において、未分化細胞(および/または未分化細胞の細胞質)を伴った線維芽細胞の培養は、a)バルプロ酸;b)トリコスタチンA;c)フェニルブチレート;d)ボリノスタット;e)ベリノスタット;f)LAQ824;g)パノビノスタット;h)エンチノスタット;i)CI994;j)モセチノスタット;k)スルホラファン;およびl)それらの組み合わせからなる群より選択されるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤などの1つ以上のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の存在を含む条件下において行われる。具体的な場合において、未分化細胞(および/または未分化細胞の細胞質)を1つ以上のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤に曝露することにより、脱分化した線維芽細胞が個体の1つ以上の円板を再生させる能力が高まる。
【0094】
特定の実施形態において、未分化細胞(および/または未分化細胞の細胞質)を伴った線維芽細胞の培養は、1つ以上のDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤の存在を含む条件下において行われる。そのDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、a)デシタビン;b)5-アザシチジン;c)ゼブラリン;d)RG-108;e)プロカイン塩酸塩;f)プロカインアミド塩酸塩;g)ヒドララジン塩酸塩;h)没食子酸エピガロカテキン;i)クロロゲン酸;j)コーヒー酸;およびh)それらの組み合わせからなる群より選択され得る。具体的な場合において、未分化細胞(および/または未分化細胞の細胞質)を1つ以上のDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤に曝露することにより、脱分化した線維芽細胞が個体の1つ以上の円板を再生させる能力が高まる。
【0095】
特定の場合において、脱分化した線維芽細胞の増殖を可能にする培地は、脱分化した線維芽細胞に対して分裂促進的であると知られている1つ以上の因子を含み、それらの因子は、例えば、a)FGF-1;b)FGF-2;c)FGF-5;d)EGF;e)CNTF;f)KGF-1;g)PDGF;h)多血小板血漿;i)TGF-アルファ;j)HGF-1;およびk)それらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の因子である。具体的な場合では、未分化細胞(および/または未分化細胞の細胞質)を、脱分化した線維芽細胞に対して分裂促進的である(例えば培養において)と知られている1つ以上の因子に曝露することにより、その脱分化した線維芽細胞が個体の1つ以上の円板を再生させる能力が高まる。
【0096】
具体的な実施形態では、脱分化後の線維芽細胞を培養して、条件培地を得る。ある特定の場合では、脱分化後の線維芽細胞を培養して、脱分化細胞からエクソソームを生成し、条件培地からエクソソームを得る。特定の場合において、エクソソームは、脱分化した線維芽細胞が増殖状態にある間に、その線維芽細胞から回収される。エクソソームは、脱分化した線維芽細胞が、増殖性の因子を含まない培地または大幅に低いレベルの増殖誘導成長因子を含む培地中で培養されている間に、その脱分化した線維芽細胞から回収され得る。エクソソームは、ある特定のレベルの酸素を含む培地においてある特定の時間にわたって培養された脱分化した線維芽細胞から回収され得る。例えば、エクソソームは、例として、2%~8%、2%~7%、2%~6%、2%~5%、2%~4%、2%~3%、3%~8%、3%~7%、3%~6%、3%~5%、3%~4%、4%~8%、4%~7%、4%~6%、4%~5%、5%~8%、5%~7%、5%~6%、6%~8%、6%~7%または7%~8%の酸素を含む培地中で培養された脱分化した線維芽細胞から回収され得る。エクソソームは、ある特定の時間にわたって培地中で培養された脱分化した線維芽細胞から回収され得、この持続時間は、上記の酸素レベルを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。エクソソームは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15日間培地中で培養された脱分化した線維芽細胞から回収され得る。細胞は、例えば、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~15、2~14、2~13、2~12、2~11、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~15、3~14、3~13、3~12、3~11、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~15、4~14、4~13、4~12、4~11、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~15、5~14、5~13、5~12、5~11、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~15、6~14、6~13、6~12、6~11、6~10、6~9、6~8、6~7、7~15、7~14、7~13、7~12、7~11、7~10、7~9、7~8、8~15、8~14、8~13、8~12、8~11、8~10、8~9、9~15、9~14、9~13、9~12、9~11、9~10、10~15、10~14、10~13、10~12、10~11、11~15、11~14、11~13、11~12、12~15、12~14、12~13、13~15、13~14または14~15日間培養され得る。
【0097】
本開示の1つの実施形態において、免疫調節のために使用される線維芽細胞は、例えば、a)1つ以上の自己抗原;および/またはb)1つ以上の免疫調節タンパク質を発現するように遺伝的に操作される。その操作された細胞は、その後、免疫寛容の誘導に使用される。少なくともいくつかの場合では、個体および疾患の特性によって、どの遺伝子が線維芽細胞の操作に使用されるべきかが定まる。これらの場合、自己抗原は、ポリヌクレオチドの形態で線維芽細胞にトランスフェクトされ得、その線維芽細胞は、免疫調節を可能にするように培養されるか、または免疫調節を可能にする遺伝子でトランスフェクトされる。免疫調節を誘導するためのトランスフェクションの場合に特に興味深い遺伝子としては、少なくとも以下が挙げられる:Fasリガンド、TGF-ベータ、IL-4、IL-10、HLA-G、インドールアミン2,3デオキシゲナーゼ、ガレクチンファミリーメンバー、ガレクチン3、アルギナーゼおよび/またはIL-20(de Jesus et al.,2016;Wang et al.,2011;Zhao et al.,2010;Min et al.,2001;Cancedda et al.,2001)。本明細書中に記載される遺伝子のいずれかまたはそれらの活性な部分は、CMVプロモーター(Artuc et al.,Exp.Dermatol.1995,4:317-21)などの線維芽細胞内での発現を可能にするプロモーター配列を含む哺乳動物の発現構築物にクローニングされ得る。好適な構築物の例としては、pcDNA3、pcDNA3.1(+/-)、pGL3、PzeoSV2(+/-)、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cyto(これらの各々が、例えばInvitrogenなどの供給業者から商業的に入手可能である)、またはヒト包皮細胞においてポリヌクレオチドの制御発現を可能にするpSH発現ベクター(Ventura and Villa,1993,Biochem.Biophys.Commun.192:867-9)が挙げられるが、これらに限定されない。マルチクローニングサイトへのクローニングを可能にし、導入遺伝子がCMVプロモーターから転写される、Retro-XベクターpLNCXおよびpLXSNを含む、レトロウイルスベクターおよびパッケージングシステムの例は、Clontech,San Diego,Calif.,USAから商業的に入手可能なものである。pBabeなどのMo-MuLVから得られるベクターも含まれ、その場合、導入遺伝子は5’LTRプロモーターから転写される。プラスミドのトランスフェクションが完了した後、組織培養プレートからの剥離を可能にする手段、例えば、トリプシン処理によって線維芽細胞を収集し、増殖に適した入れ物または容器に移す。トランスフェクションのおよそ3日後、細胞培地を、改変された線維芽細胞の増殖および拡大に適した培地に交換する。一例は、Neurobasal-A(Invitrogen)、1%D-グルコース(Sigma Aldrich)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン(Invitrogen)、レチノイン酸を含む2%B27サプリメント(Invitrogen)、0.2%EGF(Peprotech,USA)、0.08%FGF-2(Peprotech)、0.2%ヘパリン(Sigma Aldrich,USA)および1μMまでの濃度のバルプロ酸(Sigma Aldrich)を含むNeurobasal A(NBA)増殖培地である。その後、この培地を1週間に3回などで交換し、広範なコロニー形成が達成されるまで、再プログラム化されていない細胞を除去するために、細胞を定期的にプレーティングし直す(例えば、最高で週1回の再プレーティングを2~8回行い、コロニーが発生し始めるにつれて定期的にする)。本開示の実施者が細胞の臨床投与を行うための様々な品質管理の手段が当該分野で公知である。細胞の適格性に対する基準の例としては、フローサイトメトリーなどの手段を用いたマーカー識別、生存能、エンドトキシン含有量、ならびに微生物およびマイコプラズマの混入に対する評価が挙げられる。
【0098】
本開示の特定の実施形態において、線維芽細胞は、線維芽細胞の生存能および増殖能を保存するための当該分野で公知の手段を用いてエキソビボで培養される。本開示は、レシピエントの免疫系による線維芽細胞の認識を減少させるための公知の培養手段の改変を提供する。1つの実施形態において、線維芽細胞は、ウシ胎仔血清などの異種の構成要素を欠く条件において培養される。異種の構成要素は、抗体反応およびT細胞反応の誘発をはじめとした免疫学的反応の引き金を引くと知られている(Selvaggi et al.,1997;Mackensen et al.,2000;Kadri et al.,2007;Forni et al.,1976;Lauer et al.,1983)。多くの個体には、ウシ胎仔血清関連の構成要素に対するIgMアイソタイプの自然抗体が存在するので(Irie et al.,1974)、ウシ胎仔血清の存在下で生育された細胞の投与の後、拒絶反応、炎症またはアナフィラキシーが引き起こされる(Macy et al.,1989)。具体的な実施形態において、本開示は、線維芽細胞の免疫原性を低下させるためのさらなる特徴として、ヒト多血小板血漿、血小板溶解物、臍帯血血清、自己血清および/または規定のサイトカイン混合物によるウシ胎仔血清の置換を包含する。ゼノフリー培地中で組織を培養する手段は、他の細胞型に対して当該分野で公知であり、参照により援用される(Riordan et al.,2015)。
【0099】
本開示の1つの実施形態において、線維芽細胞は、低酸素領域などにおいて、注射(例えば、筋肉内注射)をはじめとした任意の好適な経路によって被験体に投与される。好適な経路としては、静脈内、皮下、髄腔内、経口、直腸内、髄腔内、網内(intra-omentral)、脳室内(心室内)、肝臓内および腎臓内が挙げられる。
【0100】
ある特定の実施形態において、線維芽細胞は、皮膚、心臓、血管、骨髄、骨格筋、肝臓、膵臓、脳、脂肪組織、包皮、胎盤および/または臍帯を含む組織に由来し得る。具体的な実施形態において、線維芽細胞は、胎盤、胎児、新生児もしくは成体の線維芽細胞またはそれらの混合物である。
【0101】
個体への細胞の投与回数は、本明細書中に記載される因子に少なくとも部分的に依存し、当該分野の通例の方法を用いて最適化され得る。具体的な実施形態では、単回投与が必要である。他の実施形態では、複数回の細胞投与が必要である。その系は、時間および状況によって変化し得る個体の特定のニーズ、細胞の損失または個々の細胞の活性の損失の結果としての細胞活性の損失率などのような変数に左右されることが認識されるべきである。ゆえに、各個体が、適切な投与量のためにモニターされ得ることが予想され、そのような個体のモニタリングは、当該分野において日常的に実施されている。
【0102】
本開示の実施形態は、特定のタイプの線維芽細胞の免疫原性を低下させる方法を提供する。線維芽細胞は、生検によって(必要に応じて)または剖検の際に入手できる様々な組織または器官(例えば、皮膚、心臓、血管、骨髄、骨格筋、肝臓、膵臓、脳および/または包皮)に由来し得る。いくつかの態様において、それらの細胞は、胎児、新生児、成体起源またはそれらの組み合わせに由来し得る線維芽細胞を含む。
【0103】
本開示のいくつかの実施形態において、線維芽細胞の免疫原性を低下させるために線維芽細胞の遺伝的改変が行われる。1つの方法は、未熟な樹状細胞などの免疫原性が低い細胞を用いた細胞質移植を含む遺伝的改変を提供する。別の実施形態では、HLAなどの炎症惹起遺伝子、またはCD40、CD80、CD86、TNF-アルファ、HMGB-1、IFN-ガンマ、IL-1ベータ、IL-17、FAP、IL-18、IL-33もしくはそれらの組み合わせなどの共刺激分子を選択的に切り取るために遺伝子編集が用いられる。
【0104】
本開示の特定の実施形態において、1つ以上の免疫調節剤が、真核細胞において作動可能な組換え発現ベクターを介してユニバーサルドナー線維芽細胞において発現され、その免疫調節剤の発現は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターまたは組織特異的プロモーターによって制御され得る。具体的な実施形態において、ベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスまたは単純ヘルペスウイルスなどのウイルスベクターであるか、またはベクターは、裸のDNAまたはプラスミドDNAまたはミニサークルDNAなどの非ウイルスベクターである。プラスミドまたはトランスポゾンなどの非ウイルスベクターも使用され得る。線維芽細胞へのトランスフェクションの場合に特に興味深いポリヌクレオチドとしては、少なくとも以下が挙げられる:Fasリガンド、TGF-ベータ、IL-4、IL-10、HLA-G、インドールアミン2,3デオキシゲナーゼ(IDO)、ガレクチンファミリーメンバー、ガレクチン3、アルギナーゼ、IL-20、HGF、PDGF-BB、EGF、IGF、GDF-5、GDF-11、アンジオポエチン、FGF-1、FGF-2、FGF-5、FGF-15またはそれらの組み合わせ。具体的な場合において、組換え的に発現される血管新生剤としては、FASリガンド、IL-2、IL-4、IL-10、IL-20、IL-35、HLA-G、I-309、IDO、iNOS、CD200、ガレクチン3、アルギナーゼ、PGE-2、TGF-ベータ、CTLA-4、PD-L1、IFN-ガンマまたはそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0105】
ある特定の実施形態において、治療有効量の改変された細胞が、個体に1つ以上の免疫調節剤と同時投与される。例示的な免疫調節剤としては、FASリガンド、IL-2R、IL-1Ra、IL-2、IL-4、IL-8、IL-10、IL-20、IL-35、HLA-G、PD-L1、I-309、IDO、iNOS、CD200、ガレクチン3、sCR1、アルギナーゼ、PGE-2、アスピリン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、ピタバスタチン、n-アセチルシステイン、ラパマイシン、IVIG、ナルトレキソン、TGF-ベータ、VEGF、PDGF、CTLA-4、抗CD45RB抗体、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、オーラノフィン、ジシアノ金、スルファサラジン、メトトレキサート、糖質コルチコイド、エタネルセプト、アダリムマブ、アバタセプト、アナキンラ、セルトリズマブ、エタネルセプト-szzs、ゴリムマブ、インフリキシマブ、リツキシマブ、トシリズマブ、シクロスポリン、IFN-ガンマ、エベロリムス、ラパマイシンまたはそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0106】
特定の実施形態において、少なくともいくつかの場合では、成長因子が、成長培地に提供される追加の血清の形で利用可能であることを除いては、細胞が外来性の成長因子を必要としない方法が使用される。特定の成長因子の非存在下において拡大することができる臍細胞を得る方法も本明細書中に提供される。それらの方法は、上記の方法と似ているが、細胞が最終的に再懸濁および生育される培養液にそれらの特定の成長因子(それらの細胞が必要としないもの)が存在しないことを必要とすることがある。この意味において、その方法は、それらの特定の成長因子の非存在下において分裂することができる細胞にとって選択的である。いくつかの実施形態において、特定の細胞は、血清が加えられていない合成成長培地中で生育および拡大することができる。そのような場合、それらの細胞は、細胞を支援および維持するために培地に加えることができるある特定の成長因子を必要とすることがある。成長のために無血清培地に加えられ得る因子には、FGF、EGF、IGFおよびPDGFのうちの1つ以上が含まれ得る。いくつかの実施形態において、それらの因子のうちの2つ、3つまたは4つすべてが、無血清培地または既知組成培地に加えられる。具体的な実施形態では、細胞の成長を支援または改善するために、白血病抑制因子(LIF)が無血清培地に加えられる。
【実施例
【0107】
VII.実施例
【0108】
実施例1:ヒト皮膚線維芽細胞を注射された円板から遠位の円板における再生の刺激
【0109】
円板変性疾患を有する5人の患者に、1000万個のヒト皮膚(例えばCybroCell)線維芽細胞を円板内投与する。投与された細胞は、透視ガイド下注射によって髄核に誘導される。6ヶ月後、注射された円板、ならびに投与領域に対して近位および遠位の円板において再生が観察される。
【0110】
実施例2:線維芽細胞の投与による両側性の変形性関節症の効果的な処置
【0111】
変形性関節症を有する10人の患者の片方の膝に、1000万個のCybroCell線維芽細胞を関節内投与した。投与の3ヶ月後、注射された膝は、軟骨再生の徴候を示す。さらに、注射されていない反対側の膝も、軟骨再生の徴候を示す。
参考文献
【0112】
本明細書において言及されたすべての刊行物が、本発明が関係する当業者のレベルを示唆する。本明細書中のすべての刊行物は、各個別の刊行物の全体が参照により援用されると明確かつ個別に示されたのと同程度に、参照により本明細書中に援用される。
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本開示およびその利点を詳細に記載してきたが、添付の請求項によって定義される構想の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換および改変が本明細書中で行われ得ることが理解されるべきである。さらに、本願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法および工程の特定の実施形態に限定されると意図されていない。当業者は、本明細書中に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすまたは実質的に同じ結果を達成する、すでに現在存在しているまたは後に開発される、プロセス、機械、製造、組成物、手段、方法または工程が本開示に従って利用され得ることを本開示からすぐに認識する。したがって、添付の請求項は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法または工程の範囲内に含めるように意図されている。
【国際調査報告】