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▶ フード フォー フューチャー エス.アール.エル. ソシエタ ベネフィットの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】改善されたビール
(51)【国際特許分類】
   C12C 5/02 20060101AFI20220131BHJP
   A23L 33/105 20160101ALN20220131BHJP
【FI】
C12C5/02
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525043
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 IB2019059334
(87)【国際公開番号】W WO2020095156
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】102018000010072
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521194150
【氏名又は名称】フード フォー フューチャー エス.アール.エル. ソシエタ ベネフィット
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブオナミチ、グリエルモ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B128
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018MD48
4B018ME14
4B018MF02
4B018MF13
4B128CP16
(57)【要約】
リコピンを含むラッカセイ抽出物およびコエンザイムQ10を含むナンバンカラスウリ抽出物を備えるビールが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リコピンを含むナンバンカラスウリ抽出物およびコエンザイムQ10を含むラッカセイ抽出物を備えるビール。
【請求項2】
実質的に1g/l~7g/lの範囲の含有量である前記ナンバンカラスウリ抽出物を備える、請求項1に記載のビール。
【請求項3】
実質的に1g/l~6g/lの範囲の含有量である前記ラッカセイ抽出物を備える、請求項1または2に記載のビール。
【請求項4】
レスベラトロールおよびプテロスチルベンを含むイタドリ抽出物、ならびに、レスベラトロールおよびプテロスチルベンを含むビティス・ビニフェラ抽出物のうち少なくとも1つを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のビール。
【請求項5】
トリメチルグリシンを含むサトウダイコン抽出物を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のビール。
【請求項6】
総含有量が実質的に13g/l~15g/lの範囲である前記イタドリ抽出物および前記ビティス・ビニフェラ抽出物を備える、請求項4または請求項4に間接的に従属する請求項5に記載のビール。
【請求項7】
葉酸を含むラッカセイ抽出物を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のビール。
【請求項8】
実質的に、1g/l~8g/lの範囲の含有量であるムラサキウマゴヤシ抽出物を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のビール。
【請求項9】
シナリンを含むアーティチョーク抽出物を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のビール。
【請求項10】
実質的に4g/lより低い含有量の前記アーティチョーク抽出物を備える、請求項9に記載のビール。
【請求項11】
ベース流体の少なくとも1つの発酵フェーズを備え、リコピンを含むナンバンカラスウリ抽出物およびコエンザイムQ10を含むラッカセイ抽出物が添加される添加フェーズを備える、ビール醸造プロセス。
【請求項12】
トリメチルグリシンを含むサトウダイコン抽出物と、レスベラトロールおよびプテロスチルベンを含むイタドリ抽出物、ならびに、レスベラトロールおよびプテロスチルベンを含むビティス・ビニフェラ抽出物のうち少なくとも1つとが前記添加フェーズ中に添加される、請求項11に記載のビール醸造プロセス。
【請求項13】
プテロスチルベンを生産するためにメチル化される前記レスベラトロールのメチル化フェーズを備え、葉酸は、前記トリメチルグリシンに存在するメチル基の少なくとも一部を利用可能にし、その結果、前記レスベラトロールはメチル化されてプテロスチルベンが生産される、請求項12に記載のビール醸造プロセス。
【請求項14】
前記発酵フェーズ中に、ベース流体が発酵されてビールを生産し、前記添加フェーズは前記発酵フェーズの前に生じ、前記添加フェーズ中に前記ナンバンカラスウリ抽出物およびラッカセイ抽出物が前記ベース流体に添加される、請求項11から13のいずれか一項に記載のビール醸造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の請求項のプリアンブルにおいて指定される種類のビールに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ビールは世界でもっとも普及し、もっとも古いアルコール飲料の1つである。
【0003】
ビールは、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)またはビール酵母(Saccharomyces carlsbergensis)の株を用いて、アルコール発酵を介して、でんぷん源由来の糖から生産される。もっとも一般的に使用されるでんぷん源は、麦芽オオムギ、または、発芽および乾燥させたオオムギ(単純に麦芽と呼ばれることが多い)である。
【0004】
コムギ、トウモロコシ、コメ、ならびに、頻度は低いがオーツ、スペルトコムギ、ライムギがビールの生産において使用され得る。あまり一般的に使用されない他の植物として、キャッサバの根、キビ、アフリカのモロコシ、ブラジルのポテト、およびメキシコのアガベが挙げられる。
【0005】
ビールを生産するために、発芽中に形成される細根に存在するいくつかの酵素の作用により、でんぷんが発酵可能な糖に変換されて存在する温水に麦芽が浸される。この糖を含むマストには、ハーブ、果物、または、より一般的にはホップで風味をつけることができる。その後、発酵を開始させて二酸化炭素(大部分は除去される)と共にアルコールの形成、および、酵母の嫌気呼吸に由来する他の老廃物をもたらす酵母が使用される。
【0006】
記載されている従来技術は、いくつかの重大な欠点を含んでいる。
【0007】
特にビールは、飲まれることが多く、同時に、糖および人の健康にとって危険な他の成分を多く含んでいるので、深刻な健康問題の原因となり得る。
【発明の概要】
【0008】
この状況において、本発明の技術的課題は、言及された欠点の少なくともいくつかを実質的に克服することが可能なビールを開発することである。
【0009】
上記技術的課題の範囲内において、本発明の重要な目的は、人体にとって特定の有益な効果を有するビールを得ることである。
【0010】
技術的課題および指定された目的は、付属の請求項1において請求されるビールによって達成される。好ましい実施形態の例が従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、「約」のような単語、または「およそ」もしくは「本質的に」など他の同様の用語に関連するとき、測定結果、値、形状、および、幾何学的表現(垂直および水平など)は、測定誤差、または、生産および/または製造誤差に起因する不正確性を除いたもの、特に、関連する値、測定結果、形状、または幾何学的表現からのわずかな逸脱を除いたものとして理解される。例えば、これらの用語は、値に関連する場合、好ましくは当該値の10%以下の逸脱を示す。
【0012】
本明細書において提供される測定結果およびデータは、別段の定めが無い限り、ICAO国際標準大気(ISO2533)において実行されるとみなされる。ビールはレスベラトロールを含み得る。
【0013】
特に、ビールはレスベラトロールを含むイタドリ抽出物を含み得る。代替的に、または追加的に、ビールはレスベラトロールを含むビティス・ビニフェラ(Vitis vinifera)抽出物(有利には、ビティス・ビニフェラの枝)を含み得る。
【0014】
イタドリ(Polygonum Cuspidatum)抽出物は、粉末の乾燥および滴定プロセスを通じて、または、溶媒抽出によって取得できる。
【0015】
ビティス・ビニフェラ抽出物は、超音波または超臨界気体を用いたソックスレー還流抽出、および、溶媒としての二酸化硫黄の添加によって取得できる。これらの抽出物は好ましくは、メタノールを用いたソックスレー還流法を使用して取得される。
【0016】
この方法は、酵母、有利にはサッカロミケス(出芽酵母など)を添加したビティス・ビニフェラ種のブドウの発酵および加水分解(好ましくは、pH7で約4日間行う)、上で取得された溶液から溶媒を除去するための蒸発および遠心分離、ソックスレー抽出、沸点加熱によるメタノール除去、ならびに蒸発による抽出を伴う。
【0017】
ビールは、レスベラトロールおよび/またはプテロスチルベンを含み得る。
【0018】
特にビールは、レスベラトロールおよび/またはプテロスチルベンを含むイタドリ抽出物を含み得る。代替的に、または追加的に、ビールは、レスベラトロールおよび/またはプテロスチルベンを含むビティス・ビニフェラ抽出物(有利には、ビティス・ビニフェラの枝)を含み得る。
【0019】
ビールは好ましくは、レスベラトロールおよび/またはプテロスチルベンを含むイタドリ抽出物、および/または、レスベラトロールおよびプテロスチルベンを含むビティス・ビニフェラ抽出物を含み得る。より好ましくは、ビールは、レスベラトロールおよび/またはプテロスチルベンを含むイタドリ抽出物、および、レスベラトロールおよび/またはプテロスチルベンを含むビティス・ビニフェラ抽出物を含む。
【0020】
イタドリ抽出物の含有量は本質的に、1g/l~20g/l、より具体的には、3g/l~15g/l、好ましくは、5g/l~10g/lの範囲である。
【0021】
イタドリ抽出物の含有量、および、本明細書に記載される抽出物は、ビール、および、好ましくは発酵マストの体積に基づいて計算される。
【0022】
ビティス・ビニフェラ抽出物の含有量は本質的に、1g/l~20g/l、より具体的には、3g/l~15g/l、好ましくは、5g/l~10g/lの範囲である。
【0023】
有利には、イタドリおよびビティス・ビニフェラ抽出物の含有量は本質的に、1g/l~20g/l、より具体的には、3g/l~15g/l、好ましくは5g/l~10g/lの範囲である。上記抽出物は等しい比率であり得る。
【0024】
ビールはトリメチルグリシンを含み得る。
【0025】
ビールは、トリメチルグリシンを含むサトウダイコン(Beta vulgaris)L(以降、サトウダイコンと称される)抽出物を含み得る。
【0026】
トリメチルグリシンおよび特にサトウダイコン抽出物の含有量は少なくとも、レスベラトロールおよび特にレスベラトロールを含む上記抽出物(好ましくはイタドリ)の含有量の本質的に100%、より具体的には250%、更により具体的には1000%に等しい。
【0027】
有利には、サトウダイコン抽出物の含有量は本質的に、1g/l~20g/l、より具体的には、3g/l~15g/l、好ましくは5g/l~10g/lの範囲である。
【0028】
代替的に、または追加的に、メチル化プロセスは、トリメチルグリシンを含むキヌア(Chenopodium quinoa)抽出物を含む。
【0029】
メチル化プロセスは好ましくは、トリメチルグリシンを含むサトウダイコン抽出物、および、トリメチルグリシンを含むキヌア抽出物を含む。
【0030】
トリメチルグリシン、および特にキヌア抽出物の含有量は、サトウダイコン抽出物より低い。より具体的には、サトウダイコン抽出物の含有量の50%、更に具体的には10%より大幅に低い。キヌア抽出物の含有量は本質的に、サトウダイコン抽出物の含有量の15%から5%の範囲である。
【0031】
ビールは、リコピン、特にリコピンを含むナンバンカラスウリ(Momordica cochinchinensis)抽出物を含み得る。
【0032】
ビールは必須脂肪酸、および、具体的には必須脂肪酸を含むナンバンカラスウリ抽出物を含み得る。
【0033】
ビールは好ましくは、リコピンおよび必須脂肪酸を含むナンバンカラスウリ抽出物を含み得る。
【0034】
ナンバンカラスウリ抽出物の含有量は、10g/lより大幅に低く、より厳密には、本質的に1g/l~7g/l、好ましくは2g/l~5g/lの範囲である。上記含有量は本質的に、イタドリおよびビティス・ビニフェラ抽出物の総含有量の半分に等しい。
【0035】
ビールはコエンザイムQ10(ユビキノンまたはビタミンQとも呼ばれる)、および、より具体的には、コエンザイムQ10を含むラッカセイ(Arachis hypogaea)抽出物を含み得る。
【0036】
ラッカセイ抽出物の含有量は本質的に、10g/l未満、より具体的には、1g/l~6g/l、好ましくは2g/l~4g/lの範囲である。
【0037】
ラッカセイ抽出物は、粉末の乾燥および滴定プロセスによって、または溶媒抽出によって取得できる。
【0038】
ビールは、クマリン、厳密には、クマリンを含むムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)抽出物を含み得る。
【0039】
ビールは葉酸(ビタミンB9)、特に、葉酸を含むムラサキウマゴヤシ抽出物を含み得る。
【0040】
厳密には、上記ムラサキウマゴヤシ抽出物は、クマリン、葉酸、ならびに、トリテルペンサポニン、イソフラボン、およびポリコサノールのうち1または複数(好ましくは全部)を含み得る。
【0041】
ムラサキウマゴヤシ抽出物の含有量は、12g/lより大幅に低く、より具体的には、本質的に1g/l~8g/l、好ましくは2g/l~6g/lの範囲である。上記含有量は本質的に、イタドリおよびビティス・ビニフェラ抽出物の総含有量の半分に等しい。
【0042】
ムラサキウマゴヤシ抽出物は、粉末の乾燥および滴定のプロセスによって、または溶媒抽出によって取得できる。
【0043】
ビールは、シナリン、好ましくはシナリンを含むアーティチョーク(Cynara scolymu)抽出物を含み得る。
【0044】
アーティチョーク抽出物の含有量は、5g/lより大幅に低く、より具体的には、4g/lより低く、好ましくは、本質的に1g/l~3g/lの範囲である。上記含有量は本質的に、イタドリおよびビティス・ビニフェラ抽出物の総含有量の4分の1に等しい。
【0045】
アーティチョーク抽出物は、粉末の乾燥および滴定プロセスによって、または溶媒抽出によって取得できる。
【0046】
本発明は新しいビール醸造プロセスを含む。
【0047】
当該ビール醸造プロセスは、ビール製造プロセスを一般的に特徴づける段階を伴う。
【0048】
これらのフェーズは適宜、本明細書に記載の順序に従って、少なくとも1つの熟成フェーズ、および/または、少なくとも1つの積み重ね(piling)段階、および/または、少なくとも1つの滴定段階、および/または、少なくとも1つの料理(cooking)段階、および/または、少なくとも1つの発酵段階、および/または、少なくとも1の低温殺菌段階、および/または、少なくとも1つの追加滴定段階を含み得る。
【0049】
1または複数のフェーズにおいて、発酵の前に、ベース流体、有利にはベース液体が取得され、それからビールが取得される。
【0050】
従って、発酵フェーズにおいて、ベース流体、有利にはベース液体が発酵し、ビールが作られる。
【0051】
発酵フェーズは、上記ベース流体の少なくとも1つの前発酵フェーズ、および/または、ベース流体の少なくとも1つの第1発酵フェーズ(一次発酵)、および/または、ベース流体の少なくとも1つの第2発酵フェーズ(二次発酵)を含み得る。
【0052】
これらの段階およびフェーズは周知である。
【0053】
ビール醸造プロセスは、1または複数の種類の抽出物をビール、特にベース流体に添加するためのフェーズを含むことを特徴とする。
【0054】
上記添加フェーズは、発酵段階、特に第2発酵フェーズの前、好ましくは、第2発酵フェーズの5~10時間前に生じ得る。
【0055】
イタドリおよび/またはビティス・ビニフェラ抽出物は、適切な方式で上記含有量に従って添加フェーズ中に導入され得る。サトウダイコンおよび/またはキヌア抽出物は、添加フェーズ中に導入され得る。
【0056】
ナンバンカラスウリ抽出物は、適切な方式で上記含有量に従って添加フェーズ中に導入され得る。
【0057】
ラッカセイ抽出物は、適切な方式で上記含有量に従って添加フェーズ中に導入され得る。
【0058】
ムラサキウマゴヤシ抽出物は、適切な方式で上記含有量に従って添加フェーズ中に導入され得る。
【0059】
アーティチョーク抽出物は、適切な方式で上記含有量に従って添加フェーズ中に導入され得る。
【0060】
ビール醸造プロセスは、レスベラトロールがメチル化されるフェーズを含み得、レスベラトロールは有利にはイタドリおよび/またはビティス・ビニフェラ抽出物に含まれ、より多くのプテロスチルベン(有利にはイタドリおよび/またはビティス・ビニフェラ抽出物に含まれる)の形成を誘導する。
【0061】
上記メチル化フェーズは、発酵フェーズの前、間、および/または後に生じ得る。
【0062】
レスベラトロール(有利には少なくともイタドリおよび/またはビティス・ビニフェラ抽出物に存在する)のメチル化フェーズは、少なくともトリメチルグリシン(有利には少なくともサトウダイコンL抽出物に存在する)と共に生じ、葉酸(有利には少なくともムラサキウマゴヤシ抽出物に存在する)は、葉酸が、トリメチルグリシンに存在するメチル基の少なくとも一部、有利には、その全部を利用可能にすることを確実にし、その結果、上記レスベラトロールはメチル化されてプテロスチルベンが生産される。
【0063】
メチル化のプロセス、すなわちメチル化では、レスベラトロールはプテロスチルベンに変換されず、本明細書に記載のメチル化のプロセスは、より多くのプテロスチルベンの生産をもたらすことに留意されたい。従って、「レスベラトロールがメチル化されてプテロスチルベンが生産される」などの表現は、本明細書に記載のプロセスに従う、レスベラトロールの存在に起因するプテロスチルベンの生産を指す。
【0064】
本発明によるビール1、特に、その消費は、上記の含有量に従って重要な特長を達成する。
【0065】
実際、ナンバンカラスウリ抽出物は、高い抗酸化力を有する活性成分であるリコピンが豊富であるので、早期の細胞老化、ならびに癌、心血管疾患、糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、肺気腫、白内障、パーキンソン病、アルツハイマー病および皮膚炎などの深刻な疾患を引き起こすフリーラジカルの作用を阻害することが可能できる。
【0066】
従って、人体におけるフリーラジカルを非常に高価的に破壊するリコピンは、心臓血管系を保護し(例えば、LDLコレステロールの酸化を低減することによって、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心臓発作、脳卒中)、腫瘍(膵臓、消化器系、前立腺、乳房、肝臓、皮膚)および中央神経系の変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病)、骨粗しょう症、および、いくつかの形態の糖尿病(mellitus)に作用する。
【0067】
リコピンの抗酸化力は、ベータカロチンの2倍、ビタミンEの10倍であることに留意すべきである。
【0068】
リコピン、および、従ってナンバンカラスウリ抽出物の作用は、ラッカセイ抽出物によって、特にコエンザイムQ10によって相乗的に補助される。
【0069】
コエンザイムQ10は、リコピンとの相乗効果を発揮する強力な抗酸化剤であり、心臓血管系を保護し、細胞エネルギー生産およびアデノシン三リン酸(ATP)の合成を改善する。従って、ATPの合成におけるコエンザイムQ10の役割は、リコピンとの相乗効果で、消化心臓機能、ミトコンドリア機能不全、および、不十分な細胞エネルギー生産の改善をもたらす。
【0070】
リコピンおよびコエンザイムQ10の相乗効果は、含有量が特定の比率であるナンバンカラスウリ抽出物およびラッカセイ抽出物によって高められることに留意されたい。
【0071】
リコピンおよびコエンザイムQ10の作用はまた、レスベラトロールの存在によって強化される。
【0072】
レスベラトロールは高い抗酸化力を有する成分であるので、心血管疾患から保護し、癌の進行を遅らせ、血中コレステロールを制限する。特に、その抗腫瘍作用は、癌細胞を保護するNF‐Kappa‐Bタンパク質を不活性化する能力による。
【0073】
レスベラトロールはまた、心臓血管系に強く作用する。実際、レスベラトロールは、抗酸化剤、血小板凝集阻害剤、心血管拡張剤(結果として血圧が低下する)、ならびに、コレステロールを身体の細胞に移送することを担うLDL酸化阻害剤およびリポタンパク質の特性を有する。
【0074】
プテロスチルベンは、レスベラトロールと化学的に類似しているので、例えば、抗炎症、抗腫瘍および抗酸化剤作用に関して、それと同様に作用する。レスベラトロールおよび/またはプテロスチルベンのこれらの作用は、イタドリおよびビティス・ビニフェラ抽出物がナンバンカラスウリおよびラッカセイ抽出物とどのように相乗作用を発揮するかを定義する。この相乗作用は、上記抽出物の特定の含有率によって増強できることに留意されたい。
【0075】
上記抽出物のうち1または複数の心血管への効果は、ムラサキウマゴヤシに抽出物よって(特に、ビールにおけるその特定の含有量によって)増強される。
【0076】
実際、これらの抽出物は、コレステロールを低減するサポニンの含有量により、抗コレステロール効果を有する。
【0077】
さらに、ムラサキウマゴヤシ抽出物の心血管作用は、それに含まれるクマリンによる中程度の抗血栓作用、および、ホモシステインを制限するように作用する葉酸の含有量に起因する。
【0078】
抽出物のうち1または複数の上記作用は最終的に、アーティチョーク抽出物によって強化される。この相乗作用は、上記抽出物の特定の含有率によって増強できることに留意されたい。
【0079】
実際、アーティチョーク抽出物は、高含有量のシナリンを含み、強力なコレステロ―ル低下効果を有する。
【0080】
本発明には、請求項において定義される発明概念の範囲内に含まれる変形が行われることがある。この文脈において、全部の詳細は、同等の要素および材料で置き換えられ得、形状および寸法は必要に応じ得る。
【国際調査報告】