(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】T細胞操作のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20220131BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20220131BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220131BHJP
A61K 35/15 20150101ALI20220131BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20220131BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20220131BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220131BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220131BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20220131BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N5/10
C12N5/0783
A61P43/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K35/15
A61K35/17
A61K35/28
C12N15/12 ZNA
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525058
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(85)【翻訳文提出日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 CN2019114939
(87)【国際公開番号】W WO2020088631
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】201811297174.3
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811535338.1
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811549651.0
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910492882.0
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/101651
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521194507
【氏名又は名称】グレイセル・バイオテクノロジーズ(シャンハイ)カンパニー・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521194518
【氏名又は名称】スーチョウ・グレイセル・バイオテクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シンシン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チュンフイ
(72)【発明者】
【氏名】シー,チョンドン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,リーピン
(72)【発明者】
【氏名】スン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】チウ,シュイ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,ウェイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C087BB37
4C087BB44
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
(57)【要約】
本開示は、操作された免疫細胞およびその使用に関する。本開示は、CARまたは操作されたTCRを含む操作された免疫細胞を提供し、CARまたは操作されたTCRは、第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインを含むことができる。本開示の操作された免疫細胞は、対象に投与された場合、宿主免疫細胞、例えば、T細胞および/またはNK細胞などを阻害することができ、ならびにin vivoでの当該操作された免疫細胞の生存率および持続性を高めることができ、それにより、より効果的な腫瘍殺活性を示すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作された免疫細胞であって、
(i)前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分および(ii)誘導性細胞死部分を含むキメラポリペプチドであって、前記誘導性細胞死部分が、前記キメラポリペプチドを細胞死アクティベーターに接触させると前記操作された免疫細胞の死を生じさせることができ、前記エンハンサー部分が、前記誘導性細胞死部分に連結されている、キメラポリペプチドと、
結合部位を含む1つまたは複数のキメラポリペプチド受容体(CPR)であって、前記結合部位が、(i)対象に投与されたときに前記操作された免疫細胞に対する前記対象の免疫反応を抑制または低減する第1の抗原結合性ドメインと(ii)疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含み、前記1つまたは複数のCPRの個々のCPRが、(i)前記第1の抗原結合性ドメイン、(ii)前記第2の抗原結合性ドメイン、または(iii)前記第1の抗原結合性ドメインおよび前記第2の抗原結合性ドメインの両方を含み、前記1つまたは複数のCPRの各CPRが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数のキメラポリペプチド受容体(CPR)と
を含む、操作された免疫細胞。
【請求項2】
前記1つまたは複数のCPRが、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)または操作されたT細胞受容体(TCR)である、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項3】
前記第1の抗原結合性ドメインが、免疫細胞抗原に結合する、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項4】
前記操作された免疫細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子が不活性化されており、前記内因性表面マーカーが、発現されたときに前記第1の抗原結合性ドメインに結合することができる、請求項2に記載の操作された免疫細胞。
【請求項5】
前記操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が不活性化されている、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項6】
前記内因性TCRのサブユニットをコードする遺伝子が不活性化され、それにより、前記内因性TCRが不活性化されている、請求項5に記載の操作された免疫細胞。
【請求項7】
前記サブユニットをコードする前記遺伝子が、TCRα、TCRβ、CD3ε、CD3δ、CD3γ、またはCD3ζである、請求項6に記載の操作された免疫細胞。
【請求項8】
前記キメラポリペプチドが、前記エンハンサー部分および前記誘導性細胞死部分が隣接する任意の自己切断性ペプチドを含まない、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項9】
前記エンハンサー部分が、前記操作された免疫細胞の前記1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項10】
前記エンハンサー部分が、前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている、請求項9に記載の操作された免疫細胞。
【請求項11】
前記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路が、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である、請求項10に記載の操作された免疫細胞。
【請求項12】
前記エンハンサー部分が、自己オリゴマー化によって自己活性化性である、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項13】
前記エンハンサー部分が、自己二量体化によって自己活性化性である、請求項12に記載の操作された免疫細胞。
【請求項14】
前記キメラポリペプチドが、分泌タンパク質である、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項15】
前記キメラポリペプチドが、細胞内タンパク質である、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項16】
前記キメラポリペプチドが、膜貫通タンパク質である、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項17】
前記エンハンサー部分または前記誘導性細胞死部分が、前記膜貫通タンパク質のエクトドメインに含まれる、請求項16に記載の操作された免疫細胞。
【請求項18】
前記エンハンサー部分または前記誘導性細胞死部分が、前記膜貫通タンパク質のエンドドメインに含まれる、請求項16に記載の操作された免疫細胞。
【請求項19】
(i)前記エンハンサー部分が、前記膜貫通タンパク質のエンドドメインに含まれ、ならびに(ii)前記誘導性細胞死部分が、前記膜貫通タンパク質のエクトドメインに含まれる、請求項16に記載の操作された免疫細胞。
【請求項20】
(i)前記エンハンサー部分が、前記膜貫通タンパク質のエクトドメインに含まれ、ならびに(ii)前記誘導性細胞死部分が、前記膜貫通タンパク質のエンドドメインに含まれる、請求項16に記載の操作された免疫細胞。
【請求項21】
前記エンハンサー部分が、サイトカインまたはサイトカイン受容体である、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項22】
前記エンハンサー部分が、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項23】
前記エンハンサー部分が、trans活性化因子またはcis活性化因子として機能する、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項24】
前記誘導性細胞死部分が、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項25】
前記誘導性細胞死部分が、EGFRtであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、EGFRtに結合する抗体またはその抗原結合性断片である、請求項24に記載の操作された免疫細胞。
【請求項26】
前記誘導性細胞死部分が、HSV-TKであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、GCVである、請求項24に記載の操作された免疫細胞。
【請求項27】
前記誘導性細胞死部分が、iCasp9であり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、AP1903である、請求項24に記載の操作された免疫細胞。
【請求項28】
前記細胞死アクティベーターが、核酸、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、酵素、リボゾーム、プロテアソーム、それらのバリアント、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項29】
前記1つまたは複数のCPRの前記個々のCPRが、前記第1の抗原結合性ドメインおよび前記第2の抗原結合性ドメインの両方を含む、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項30】
前記第1の抗原結合性ドメインおよび前記第2の抗原結合性ドメインが、リンカーによって連結されている、請求項29に記載の操作された免疫細胞。
【請求項31】
前記リンカーが、自己切断性ペプチドを含まない、請求項30に記載の操作された免疫細胞。
【請求項32】
前記第1の抗原結合性ドメインまたは前記第2の抗原結合性ドメインが、scFvである、請求項29に記載の操作された免疫細胞。
【請求項33】
前記第1の抗原結合性ドメインおよび前記第2の抗原結合性ドメインが、アミノ酸末端からカルボキシル末端へと、
(i)VL2-VH1-VL1-VH2;
(ii)VH2-VL1-VH1-VL2;
(iii)VL1-VH2-VL2-VH1;
(iv)VH1-VL2-VH2-VL1;
(v)VL2-VL1-VH1-VH2;
(vi)VH2-VH1-VL1-VL2;
(vii)VL1-VL2-VH2-VH1;または
(viii)VH1-VH2-VL2-VL1;
として配置され、
VH1は、前記第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、前記第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、前記第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、前記第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである、
請求項29に記載の操作された免疫細胞。
【請求項34】
前記第1の抗原結合性ドメインおよび前記第2の抗原結合性ドメインが、アミノ酸末端からカルボキシル末端へと、
(i)VL2-VH2-VL1-VH1;
(ii)VL2-VH2-VH1-VL1;
(iii)VL1-VH1-VL2-VH2;
(iv)VL1-VH1-VH2-VL2;
(v)VH2-VL2-VL1-VH1;
(vi)VH2-VL2-VH1-VL1;
(vii)VH1-VL1-VL2-VH2;または
(viii)VH1-VL1-VH2-VL2
として配置され、
VH1は、前記第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、前記第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、前記第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、前記第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである、
請求項29に記載の操作された免疫細胞。
【請求項35】
前記第1の抗原結合性ドメインおよび前記第2の抗原結合性ドメインが、前記免疫細胞抗原および前記疾患関連抗原に結合する、請求項30に記載の操作された免疫細胞。
【請求項36】
前記1つまたは複数のCPRの前記個々のCPRが、前記第1の抗原結合性ドメインのみを含み、ならびに前記1つまたは複数のCPRの別の個々のCPRが、前記第2の抗原結合性ドメインのみを含む、請求項29に記載の操作された免疫細胞。
【請求項37】
前記免疫細胞抗原が、免疫細胞の表面タンパク質または分泌タンパク質である、請求項30に記載の操作された免疫細胞。
【請求項38】
NK細胞、T細胞、単球、マクロファージ、または顆粒球である、請求項37に記載の操作された免疫細胞。
【請求項39】
末梢血、臍帯血から得られるか、あるいは幹細胞に由来する、請求項37に記載の操作された免疫細胞。
【請求項40】
前記免疫細胞抗原が、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択される、請求項37に記載の操作された免疫細胞。
【請求項41】
前記疾患関連抗原が、腫瘍関連抗原である、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項42】
前記腫瘍関連抗原が、CD19、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44V6、CD47、CD52、CD56、CD57、CD58、CD79b、CD80、CD86、CD81、CD123、CD133、CD137、CD151、CD171、CD276、CLL1、B7H4、BCMA、VEGFR-2、EGFR、GPC3、PMSA、CEACAM6、c-Met、EGFRvIII、ErbB2/HER2、ErbB3、HER-2、HER3、ErbB4/HER-4、EphA2、IGF1R、GD2、O-アセチルGD2、O-アセチルGD3、GHRHR、GHR、Flt1、KDR、Flt4、Flt3、CEA、CA125、CTLA-4、GITR、BTLA、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR1、IL6R、gp130、ルイス、TNFR1、TNFR2、PD1、PD-L1、PD-L2、PSCA、HVEM、MAGE-A、MSLN、NY-ESO-1、PSMA、RANK、RORl、TNFRSF4、TWEAK-R、LTPR、LIFRP、LRP5、MUC1、MUC16、TCRα、TCRβ、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robol、Frizzled、OX40、ノッチ-1-4、APRIL、CS1、MAGE3、クローディン18.2、葉酸塩受容体α、葉酸塩受容体β、GPC2、CD70、BAFF-R、またはTROP-2である、請求項41に記載の操作された免疫細胞。
【請求項43】
前記第1の抗原結合性ドメインが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択される免疫細胞抗原に結合し、ならびに前記第2の抗原結合性ドメインが、CD19に結合する、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項44】
前記第1の抗原結合性ドメインが、CD3に結合し、ならびに前記第2の抗原結合性ドメインが、CD19に結合する、請求項43に記載の操作された免疫細胞。
【請求項45】
前記第1の抗原結合性ドメインが、CD7に結合し、ならびに前記第2の抗原結合性ドメインが、CD19に結合する、請求項43に記載の操作された免疫細胞。
【請求項46】
前記第1の抗原結合性ドメインが、CD137に結合し、ならびに前記第2の抗原結合性ドメインが、CD19に結合する、請求項43に記載の操作された免疫細胞。
【請求項47】
前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子の発現が、元のままである、請求項1~46のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項48】
前記操作された免疫細胞の内因性HLA-Iおよび/またはHLA-II遺伝子の発現が、元のままである、請求項47に記載の操作された免疫細胞。
【請求項49】
前記操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現が、元のままである、請求項47に記載の操作された免疫細胞。
【請求項50】
前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性HLA遺伝子の発現が、上方調節されている、請求項1~46のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項51】
前記操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現が、上方調節されている、請求項50に記載の操作された免疫細胞。
【請求項52】
前記操作された免疫細胞の内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方の発現が阻害されている、請求項1~46のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項53】
内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方をコードする遺伝子が、不活性化されている、請求項1~46のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項54】
前記操作された免疫細胞のHLA-EまたはHLA-Gが、過剰発現されている、請求項1~46のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項55】
前記操作された免疫細胞のCD24、CD47、FASL、および/またはPD-1が、過剰発現されている、請求項1~46のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項56】
T細胞、NKT細胞、またはNK細胞である、請求項1~55のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項57】
前記T細胞が、αβT細胞またはγδT細胞である、請求項56に記載の操作された免疫細胞。
【請求項58】
幹細胞に由来する、請求項1~55のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項59】
前記幹細胞が、造血幹細胞(HSC)または誘導された多分化能性幹細胞(iPSC)である、請求項58に記載の操作された免疫細胞。
【請求項60】
自己細胞または同種異系細胞である、請求項1~59のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項61】
ある状態を有する対象から得られる、請求項1~59のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項62】
健康なドナーから得られる、請求項1~59のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項63】
(a)結合部位を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記結合部位が、免疫細胞抗原に結合することができる第1の抗原結合性ドメインと疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含み、前記1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)と;
(b)前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分と
を含む操作された免疫細胞であって、
前記操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が不活性化されており、ならびに、
前記操作された免疫細胞が、(a)における前記1つまたは複数のCARを含むが(b)における前記エンハンサー部分を含まない別の操作された免疫細胞と比較して、(i)前記操作された免疫細胞に対して異種である細胞の存在下において少なくとも約20日間、in vitroにおいて生存可能のままになることによる持続の増強、(ii)15日以内において少なくとも約10倍の増殖の増強、または(iii)前記免疫細胞抗原または前記疾患関連抗原を含む標的細胞に対する細胞傷害性の増強を示す、
操作された免疫細胞。
【請求項64】
(i)、(ii)、および(iii)のうちの2つ以上を示すことによって特徴付けられる、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項65】
(i)、(ii)、および/または(iii)が、任意の外因性エンハンサー部分の非存在下において測定される、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項66】
前記免疫細胞抗原が、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択される、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項67】
前記免疫体抗原がCD7である、請求項66に記載の操作された免疫細胞。
【請求項68】
前記エンハンサー部分が、前記操作された免疫細胞の前記1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項69】
前記エンハンサー部分が、前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている、請求項68に記載の操作された免疫細胞。
【請求項70】
前記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路が、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である、請求項69に記載の操作された免疫細胞。
【請求項71】
前記エンハンサー部分が、自己オリゴマー化によって自己活性化性である、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項72】
前記エンハンサー部分が、自己二量体化によって自己活性化性である、請求項71に記載の操作された免疫細胞。
【請求項73】
前記エンハンサー部分が、サイトカインまたはサイトカイン受容体である、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項74】
前記エンハンサー部分が、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項75】
前記内因性TCRのサブユニットをコードする遺伝子が不活性化され、それにより、前記内因性TCRが不活性化されている、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項76】
前記サブユニットをコードする前記遺伝子が、TCRα、TCRβ、CD3ε、CD3δ、CD3γ、またはCD3ζである、請求項75に記載の操作された免疫細胞。
【請求項77】
さらに、誘導性細胞死部分を含み、誘導性細胞死部分は、細胞死アクティベーターとの接触において前記操作された免疫細胞の自殺を生じさせる、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項78】
前記誘導性細胞死部分が、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される、請求項77に記載の操作された免疫細胞。
【請求項79】
前記誘導性細胞死部分が、EGFRtであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、EGFRtに結合する抗体またはその抗原結合性断片である、請求項78に記載の操作された免疫細胞。
【請求項80】
前記誘導性細胞死部分が、HSV-TKであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、GCVである、求項78に記載の操作された免疫細胞。
【請求項81】
前記誘導性細胞死部分が、iCasp9であり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、AP1903である、請求項78に記載の操作された免疫細胞。
【請求項82】
前記細胞死アクティベーターが、核酸、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、酵素、リボゾーム、プロテアソーム、それらのバリアント、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項77に記載の操作された免疫細胞。
【請求項83】
前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子の発現が、元のままである、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項84】
前記操作された免疫細胞の内因性HLA-Iおよび/またはHLA-II遺伝子の発現が、元のままである、請求項83に記載の操作された免疫細胞。
【請求項85】
前記操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現が、元のままである、請求項83に記載の操作された免疫細胞。
【請求項86】
前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性HLA遺伝子の発現が、上方調節されている、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項87】
前記操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現が、上方調節されている、請求項86に記載の操作された免疫細胞。
【請求項88】
前記操作された免疫細胞の内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方の発現が阻害されている、請求項63~82のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項89】
内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方をコードする遺伝子が、不活性化されている、請求項63~82のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項90】
前記操作された免疫細胞のHLA-EまたはHLA-Gが、過剰発現されている、請求項63~82のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項91】
前記操作された免疫細胞のCD24、CD47、FASL、および/またはPD-1が、過剰発現されている、請求項63~82のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項92】
前記疾患関連抗原が、腫瘍関連抗原である、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項93】
前記第1の抗原結合性ドメインまたは前記第2の抗原結合性ドメインが、scFvである、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項94】
前記操作された免疫細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子が不活性化されており、前記内因性表面マーカーが、発現されたときに前記第1の抗原結合性ドメインに結合することができる、請求項63に記載の操作された免疫細胞。
【請求項95】
前記内因性表面マーカーが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、またはSLAMF7である、請求項94に記載の操作された免疫細胞。
【請求項96】
T細胞、NKT細胞、またはNK細胞である、請求項63~95のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項97】
幹細胞に由来する、請求項63~95のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項98】
前記幹細胞が、造血幹細胞(HSC)または誘導された多分化能性幹細胞(iPSC)である、請求項97に記載の操作された免疫細胞。
【請求項99】
自己細胞または同種異系細胞である、請求項63~95のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項100】
ある状態を有する対象から得られる、請求項63~95のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項101】
健康なドナーから得られる、請求項63~95のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項102】
請求項1~101のいずれか一項に記載の前記操作された免疫細胞と、薬学的に許容される担体とを含む、疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項103】
対象の疾患を治療または診断する方法であって、前記対象に、請求項102に記載の前記医薬組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項104】
前記医薬組成物中の前記操作された免疫細胞が、同種異系免疫細胞に由来する、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記同種異系免疫細胞に由来する前記操作された免疫細胞が、前記対象において移植片対宿主病(GvHD)を引き起こさない、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記医薬組成物中の前記操作された免疫細胞が、自家免疫細胞に由来する、請求項103に記載の方法。
【請求項107】
前記医薬組成物中の前記操作された免疫細胞の内因性TCRが、機能的に不活性である、請求項103~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記操作された免疫細胞が、機能的に活性なTCRを有する別の免疫細胞と比較して、前記対象においてGvHDを減少させる、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記疾患が、がんである、請求項102~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記がんが、リンパ腫または白血病である、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
機能的に不活性なT細胞受容体(TCR)と、
1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記1つまたは複数のCARの個々の各CARが、結合部分を含み、結合部位が、(i)対象に投与されたときに前記操作された免疫細胞に対する前記対象の免疫反応を抑制または低減する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)疾患関連抗原に結合する第2の抗原結合性ドメインとを含み、ならびに前記1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)と
を含む細胞。
【請求項112】
前記第1の抗原結合性ドメインおよび前記第2の抗原結合性ドメインが、リンカーによって連結されている、請求項111に記載の細胞。
【請求項113】
前記リンカーが、自己切断性ペプチドを含まない、請求項112に記載の細胞。
【請求項114】
前記第1の抗原結合性ドメインおよび前記第2の抗原結合性ドメインが、アミノ酸末端からカルボキシル末端へと、
(i)VL2-VH1-VL1-VH2;
(ii)VH2-VL1-VH1-VL2;
(iii)VL1-VH2-VL2-VH1;
(iv)VH1-VL2-VH2-VL1;
(v)VL2-VL1-VH1-VH2;
(vi)VH2-VH1-VL1-VL2;
(vii)VL1-VL2-VH2-VH1;または
(viii)VH1-VH2-VL2-VL1、
として配置され、
VH1は、前記第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、前記第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、前記第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、前記第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである、
請求項111~113のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項115】
前記第1の抗原結合性ドメインおよび前記第2の抗原結合性ドメインが、アミノ酸末端からカルボキシル末端へと、
(i)VL2-VH2-VL1-VH1;
(ii)VL2-VH2-VH1-VL1;
(iii)VL1-VH1-VL2-VH2;
(iv)VL1-VH1-VH2-VL2;
(v)VH2-VL2-VL1-VH1;
(vi)VH2-VL2-VH1-VL1;
(vii)VH1-VL1-VL2-VH2;または
(viii)VH1-VL1-VH2-VL2、
として配置され、
VH1は、前記第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、前記第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、前記第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、前記第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである、
請求項111~113のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項116】
前記細胞の内因性TCRのサブユニットをコードする遺伝子が不活性化され、それにより、前記機能的に不活性なTCRが生成されている、請求項111~115のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項117】
前記サブユニットをコードする前記遺伝子が、TCRα、TCRβ、CD3ε、CD3δ、CD3γ、またはCD3ζである、請求項116に記載の細胞。
【請求項118】
前記第1の抗原結合性ドメインが、免疫細胞抗原に結合する、請求項111~117のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項119】
前記免疫細胞抗原が、免疫細胞の表面タンパク質または分泌タンパク質である、請求項118に記載の細胞。
【請求項120】
前記免疫細胞が、NK細胞、T細胞、単球、マクロファージ、または顆粒球である、請求項119に記載の細胞。
【請求項121】
前記免疫細胞抗原が、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、またはSLAMF7である、請求項118~120のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項122】
前記疾患関連抗原が、腫瘍関連抗原である、請求項111~121のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項123】
前記腫瘍関連抗原が、CD19、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44V6、CD47、CD52、CD56、CD57、CD58、CD79b、CD80、CD86、CD81、CD123、CD133、CD137、CD151、CD171、CD276、CLL1、B7H4、BCMA、VEGFR-2、EGFR、GPC3、PMSA、CEACAM6、c-Met、EGFRvIII、ErbB2/HER2、ErbB3、HER-2、HER3、ErbB4/HER-4、EphA2、IGF1R、GD2、O-アセチルGD2、O-アセチルGD3、GHRHR、GHR、Flt1、KDR、Flt4、Flt3、CEA、CA125、CTLA-4、GITR、BTLA、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR1、IL6R、gp130、ルイス、TNFR1、TNFR2、PD1、PD-L1、PD-L2、PSCA、HVEM、MAGE-A、MSLN、NY-ESO-1、PSMA、RANK、RORl、TNFRSF4、TWEAK-R、LTPR、LIFRP、LRP5、MUC1、MUC16、TCRa、TCRb、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robol、Frizzled、OX40、ノッチ-1-4、APRIL、CS1、MAGE3、クローディン18.2、葉酸塩受容体α、葉酸塩受容体β、GPC2、CD70、BAFF-R、またはTROP-2である、請求項122に記載の細胞。
【請求項124】
前記第1の抗原結合性ドメインが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択される免疫細胞抗原に結合し、ならびに前記第2の抗原結合性ドメインが、CD19に結合する、請求項111に記載の細胞。
【請求項125】
前記第1の抗原結合性ドメインが、CD3に結合し、ならびに前記第2の抗原結合性ドメインが、CD19に結合する、請求項124に記載の細胞。
【請求項126】
前記第1の抗原結合性ドメインが、CD7に結合し、ならびに前記第2の抗原結合性ドメインが、CD19に結合する、請求項124に記載の細胞。
【請求項127】
前記第1の抗原結合性ドメインが、CD137に結合し、ならびに前記第2の抗原結合性ドメインが、CD19に結合する、請求項124に記載の細胞。
【請求項128】
さらに、エンハンサー部分を含み、エンハンサー部分が、前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高める、請求項111~127のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項129】
前記エンハンサー部分が、前記操作された免疫細胞の前記1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている、請求項128に記載の細胞。
【請求項130】
前記エンハンサー部分が、前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている、請求項128に記載の細胞。
【請求項131】
前記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路が、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である、請求項128に記載の細胞。
【請求項132】
前記エンハンサー部分が、サイトカインまたはサイトカイン受容体である、請求項131に記載の細胞。
【請求項133】
前記エンハンサー部分が、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項128~132のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項134】
細胞死アクティベーターに接触すると前記細胞の死を生じさせることができる誘導性細胞死部分をさらに含む、請求項111~133のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項135】
前記誘導性細胞死部分が、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される、請求項134に記載の細胞。
【請求項136】
前記誘導性細胞死部分が、EGFRtであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、EGFRtに結合する抗体またはその抗原結合性断片である、請求項135に記載の細胞。
【請求項137】
前記誘導性細胞死部分が、HSV-TKであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、GCVである、請求項135に記載の細胞。
【請求項138】
前記誘導性細胞死部分が、iCasp9であり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、AP1903である、請求項135に記載の細胞。
【請求項139】
前記細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子が不活性化されており、前記内因性表面マーカーは、発現された場合に前記第1の抗原結合性ドメインに結合することができる、請求項111~138のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項140】
前記内因性表面マーカーが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、またはSLAMF7である、請求項139に記載の細胞。
【請求項141】
キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の配列を含む核酸分子であって、前記CARが、結合部分を含み、結合部位は、(i)(ii)に関連する対象に投与されたときに前記操作された免疫細胞に対する前記対象の免疫反応を抑制または低減する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含み、ならびに前記1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、
核酸分子。
【請求項142】
前記第1の抗原結合性ドメインが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択される抗原に結合する、請求項141に記載の核酸分子。
【請求項143】
前記第2の抗原結合性ドメインが、CD19、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44V6、CD47、CD52、CD56、CD57、CD58、CD79b、CD80、CD86、CD81、CD123、CD133、CD137、CD151、CD171、CD276、CLL1、B7H4、BCMA、VEGFR-2、EGFR、GPC3、PMSA、CEACAM6、c-Met、EGFRvIII、ErbB2/HER2、ErbB3、HER-2、HER3、ErbB4/HER-4、EphA2、IGF1R、GD2、O-アセチルGD2、O-アセチルGD3、GHRHR、GHR、Flt1、KDR、Flt4、Flt3、CEA、CA125、CTLA-4、GITR、BTLA、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR1、IL6R、gp130、ルイス、TNFR1、TNFR2、PD1、PD-L1、PD-L2、PSCA、HVEM、MAGE-A、MSLN、NY-ESO-1、PSMA、RANK、RORl、TNFRSF4、TWEAK-R、LTPR、LIFRP、LRP5、MUC1、MUC16、TCRa、TCRb、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robol、Frizzled、OX40、ノッチ-1-4、APRIL、CS1、MAGE3、クローディン18.2、葉酸塩受容体α、葉酸塩受容体β、GPC2、CD70、BAFF-R、またはTROP-2に結合する、請求項141または142に記載の核酸分子。
【請求項144】
さらに、エンハンサー部分をコードする第2の配列を含み、エンハンサー部分が、細胞において発現されたときに前記CARの1つまたは複数の活性を高める、請求項141~143のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項145】
前記エンハンサー部分が、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項144に記載の核酸分子。
【請求項146】
さらに、誘導性細胞死部分をコードする第2の配列を含み、誘導性細胞死部分が、細胞において発現された場合、細胞死アクティベーターに接触すると前記細胞の死を生じさせる、請求項141~143のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項147】
前記誘導性細胞死部分が、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される、請求項146に記載の核酸分子。
【請求項148】
さらに、前記第1の配列および前記第2の配列が隣接する第3の配列を含み、前記第3の配列は、切断可能なリンカーをコードする、請求項141~147のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項149】
前記切断可能なリンカーが、自己切断性ペプチドである、請求項148に記載の核酸分子。
【請求項150】
さらに、前記第1の配列および/または前記第2の配列の発現を調節する調節配列を含む、請求項141~149のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項151】
請求項141~150のいずれか一項に記載の核酸分子を含むキット。
【請求項152】
操作された細胞を生成する方法であって、(a)請求項141~150のいずれか一項に記載の核酸分子を細胞に送達する工程と;(b)前記細胞において前記核酸分子を発現させ、それにより、前記操作された細胞を生成する工程とを含む方法。
【請求項153】
操作された免疫細胞であって、
前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分と;
CD7に特異的に結合する抗原結合性ドメインを含み、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む、キメラ抗原受容体(CAR)と
を含み、
前記操作された免疫細胞において内因性CD7が不活性化されている、
操作された免疫細胞。
【請求項154】
前記エンハンサー部分が、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、PD-1、PD-L1、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、およびTGFRβ、その受容体、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項153に記載の操作された免疫細胞。
【請求項155】
前記操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が不活性化されている、請求項153または154に記載の操作された免疫細胞。
【請求項156】
さらに、誘導性細胞死部分を含むポリペプチドであって、前記誘導性細胞死部分が、前記ポリペプチドを細胞死アクティベーターに接触させると前記操作された免疫細胞の死を生じさせることができる、ポリペプチドを含む、請求項153~155のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項157】
前記エンハンサー部分が、前記ポリペプチドの一部である、請求項156に記載の操作された免疫細胞。
【請求項158】
前記エンハンサー部分が、前記CARの一部ではない、請求項153~157のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項159】
前記エンハンサー部分が、前記CARの一部である、請求項153~157のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項160】
T細胞、NKT細胞、またはNK細胞である、請求項153~159のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項161】
幹細胞に由来する、請求項153~159のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項162】
前記幹細胞が、造血幹細胞(HSC)または誘導された多分化能性幹細胞(iPSC)である、請求項161に記載の操作された免疫細胞。
【請求項163】
自己細胞または同種異系細胞である、請求項153~159のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項164】
ある状態を有する対象から得られる、請求項153~159のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項165】
健康なドナーから得られる、請求項153~159のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項166】
請求項153~165のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞を生成する方法であって、(a)(i)前記エンハンサー部分および(ii)前記CARをコードする1つまたは複数の核酸分子を免疫細胞に送達する工程と;(b)前記免疫細胞において前記1つまたは複数の核酸分子を発現させ、それにより、前記操作された免疫細胞を生成する工程とを含む方法。
【請求項167】
単一の核酸分子が、(i)前記エンハンサー部分および(ii)前記CARをコードする、請求項166に記載の方法。
【請求項168】
前記単一の核酸分子が、(i)前記エンハンサー部分および(ii)前記CARが隣接する自己切断性ペプチドを含む、請求項167に記載の方法。
【請求項169】
前記単一の核酸分子が、(i)前記エンハンサー部分および(ii)前記CARが隣接するいかなる自己切断性ペプチドも含まない、請求項167に記載の方法。
【請求項170】
(i)第1の核酸分子が、前記エンハンサー部分をコードし、ならびに(ii)第2の核酸分子が、前記CARをコードする、請求項166に記載の方法。
【請求項171】
対象における状態を治療または診断する方法であって、請求項153~165のいずれか一項に記載の前記操作された免疫細胞を前記対象に投与する工程を含む方法。
【請求項172】
前記操作された免疫細胞が、前記対象の自家免疫細胞に由来する、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
前記操作された免疫細胞が、同種異系免疫細胞に由来する、請求項171に記載の方法。
【請求項174】
前記状態が、がんである、請求項171~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
(i)CD7に特異的に結合する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含む単一のキメラ抗原受容体(CAR)であって、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む単一のキメラ抗原受容体(CAR)
を含む操作された免疫細胞であって、
内因性CD7をコードする遺伝子が、前記操作された免疫細胞において不活性化されている、
操作された免疫細胞。
【請求項176】
さらに、前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分を含む、請求項175に記載の操作された免疫細胞。
【請求項177】
前記エンハンサー部分が、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、PD-1、PD-L1、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、およびTGFRβ、その受容体、ならびにその組合せからなる群から選択される、請求項176に記載の操作された免疫細胞。
【請求項178】
前記操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が不活性化されている、請求項175~177のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項179】
さらに、誘導性細胞死部分を含むポリペプチドであって、前記誘導性細胞死部分が、前記ポリペプチドを細胞死アクティベーターに接触させると前記操作された免疫細胞の死を生じさせることができる、ポリペプチドを含む、請求項175~178のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項180】
前記エンハンサー部分が、前記ポリペプチドの一部である、請求項179に記載の操作された免疫細胞。
【請求項181】
T細胞、NKT細胞、またはNK細胞である、請求項175~180のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項182】
幹細胞に由来する、請求項175~180のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項183】
前記幹細胞が、造血幹細胞(HSC)または誘導された多分化能性幹細胞(iPSC)である、請求項182に記載の操作された免疫細胞。
【請求項184】
自己細胞または同種異系細胞である、請求項175~180のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項185】
ある状態を有する対象から得られる、請求項175~180のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項186】
健康なドナーから得られる、請求項175~180のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項187】
請求項175~186のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞を生成する方法であって、(a)前記単一のCARをコードする1つまたは複数の核酸分子を免疫細胞に送達する工程と;(b)前記免疫細胞において前記1つまたは複数の核酸分子を発現させ、それにより、前記操作された免疫細胞を生成する工程とを含む方法。
【請求項188】
単一の核酸分子が、前記単一のCARをコードする、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
対象における状態を治療または診断する方法であって、請求項175~186のいずれか一項に記載の操作された免疫細胞を前記対象に投与する工程を含む方法。
【請求項190】
前記操作された免疫細胞が、前記対象の自家免疫細胞に由来する、請求項189に記載の方法。
【請求項191】
前記操作された免疫細胞が、同種異系免疫細胞に由来する、請求項189に記載の方法。
【請求項192】
前記状態が、がんである、請求項189~191のいずれか一項に記載の方法。
【請求項193】
操作された免疫細胞の集団をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、同種異系細胞療法を送達する方法であって、前記集団の個々の操作された免疫細胞が、
(a)結合部分を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記結合部分が、免疫細胞抗原に結合することができる第1の抗原結合性ドメインと、疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含み、第1の抗原結合性ドメインが、前記対象に投与されたときに前記操作された免疫細胞に対する対象の免疫反応を抑制するかまたは低減する、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)と、
(b)前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分と
を含み、
前記操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が不活性化されており、ならびに、
前記操作された免疫細胞が、(a)における前記1つまたは複数のCARを含むが(b)における前記エンハンサー部分を含まない別の操作された免疫細胞と比較して、(i)前記操作された免疫細胞に対して異種である細胞の存在下において少なくとも約20日間、in vitroにおいて生存可能のままになることによる持続の増強、(ii)15日以内において少なくとも約10倍の増殖の増強、または(iii)前記免疫細胞抗原または前記疾患関連抗原を含む標的細胞に対する細胞傷害性の増強を示す、
方法。
【請求項194】
追加の増殖剤を使用しない前記操作された免疫細胞の前記集団のみを投与する前記工程が、(i)前記操作された免疫細胞に対して異種である細胞の存在下において少なくとも約20日間、in vitroにおいて生存可能のままになることによる持続の増強、(ii)15日以内において少なくとも約10倍の増殖の増強、または、(iii)前記免疫細胞抗原または前記疾患関連抗原を含む標的細胞に対する細胞傷害性の増強をもたらす、請求項193に記載の方法。
【請求項195】
前記追加の増殖剤が、サイトカインである、請求項194に記載の方法。
【請求項196】
前記1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含み、前記第1の抗原結合性ドメインが、対象に投与されたときに前記操作された免疫細胞に対する前記対象の免疫反応を抑制または低減する、請求項193~195のいずれか一項に記載の方法。
【請求項197】
前記個々の操作された免疫細胞の内因性CD7が、不活性化されている、請求項193~196のいずれか一項に記載の方法。
【請求項198】
前記免疫体抗原がCD7である、請求項193~197のいずれか一項に記載の方法。
【請求項199】
前記エンハンサー部分が、前記個々の操作された免疫細胞の前記1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている、請求項193~198のいずれか一項に記載の方法。
【請求項200】
前記エンハンサー部分が、前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている、請求項193~199のいずれか一項に記載の方法。
【請求項201】
前記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路が、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である、請求項200に記載の方法。
【請求項202】
前記エンハンサー部分が、自己オリゴマー化によって自己活性化性である、請求項193~201のいずれか一項に記載の方法。
【請求項203】
前記エンハンサー部分が、自己二量体化によって自己活性化性である、請求項193~201のいずれか一項に記載の方法。
【請求項204】
前記エンハンサー部分が、サイトカインまたはサイトカイン受容体である、請求項193~203のいずれか一項に記載の方法。
【請求項205】
前記エンハンサー部分が、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項193~204のいずれか一項に記載の方法。
【請求項206】
前記内因性TCRのサブユニットをコードする遺伝子が不活性化され、それにより、前記内因性TCRが不活性化されている、請求項193~205のいずれか一項に記載の方法。
【請求項207】
前記サブユニットをコードする前記遺伝子が、TCRα、TCRβ、CD3ε、CD3δ、CD3γ、またはCD3ζである、請求項206に記載の方法。
【請求項208】
前記個々の操作された免疫細胞が、さらに、誘導性細胞死部分を含み、誘導性細胞死部分が、細胞死アクティベーターとの接触において前記操作された免疫細胞の自殺を生じさせる、請求項193~207のいずれか一項に記載の方法。
【請求項209】
前記誘導性細胞死部分が、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される、請求項208に記載の方法。
【請求項210】
前記誘導性細胞死部分が、EGFRtであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、EGFRtに結合する抗体またはその抗原結合性断片である、請求項209に記載の方法。
【請求項211】
前記誘導性細胞死部分が、HSV TKであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、GCVである、請求項209に記載の方法。
【請求項212】
前記誘導性細胞死部分が、iCasp9であり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、AP1903である、請求項209に記載の方法。
【請求項213】
前記細胞死アクティベーターが、核酸、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、酵素、リボゾーム、プロテアソーム、それらのバリアント、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項208に記載の方法。
【請求項214】
前記個々の操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子の発現が、元のままである、請求項193~213のいずれか一項に記載の方法。
【請求項215】
前記個々の操作された免疫細胞の内因性HLA-Iおよび/またはHLA-II遺伝子の発現が、元のままである、請求項214に記載の方法。
【請求項216】
前記個々の操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現が、元のままである、請求項214に記載の方法。
【請求項217】
前記個々の操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性HLA遺伝子の発現が、上方調節されている、請求項214に記載の方法。
【請求項218】
前記個々の操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現が、上方調節されている、請求項214に記載の方法。
【請求項219】
前記個々の操作された免疫細胞の内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方の発現が阻害されている、請求項193~213のいずれか一項に記載の方法。
【請求項220】
内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方をコードする遺伝子が、不活性化されている、請求項193~213のいずれか一項に記載の方法。
【請求項221】
前記操作された免疫細胞のHLA-EまたはHLA-Gが、過剰発現されている、請求項193~213のいずれか一項に記載の方法。
【請求項222】
前記操作された免疫細胞のCD24、CD47、FASL、および/またはPD-1が、過剰発現されている、請求項193~213のいずれか一項に記載の方法。
【請求項223】
前記疾患関連抗原が、腫瘍関連抗原である、請求項193~222のいずれか一項に記載の方法。
【請求項224】
前記第1の抗原結合性ドメインまたは前記第2の抗原結合性ドメインが、scFvである、請求項193~223のいずれか一項に記載の方法。
【請求項225】
前記個々の操作された免疫細胞が、T細胞、NKT細胞、またはNK細胞である、請求項193~224のいずれか一項に記載の方法。
【請求項226】
前記個々の操作された免疫細胞が、幹細胞に由来する、請求項193~224のいずれか一項に記載の方法。
【請求項227】
前記幹細胞が、造血幹細胞(HSC)または誘導された多分化能性幹細胞(iPSC)である、請求項226に記載の方法。
【請求項228】
前記個々の操作された免疫体が、同種異系細胞である、請求項193~224のいずれか一項に記載の方法。
【請求項229】
前記個々の操作された免疫細胞が、健康なドナーから得られる、請求項193~224のいずれか一項に記載の方法。
【請求項230】
(a)結合部位を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記結合部位が、免疫細胞抗原に結合することができる抗原結合性ドメインを含み、前記1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)と;
(b)前記細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分と
を含む細胞であって、
前記細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が不活性化されている、
細胞。
【請求項231】
前記エンハンサー部分が、前記細胞の1つまたは複数の活性を高める、請求項230に記載の細胞。
【請求項232】
前記エンハンサー部分が、前記細胞の前記1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている、請求項230に記載の細胞。
【請求項233】
前記エンハンサー部分が、前記細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている、請求項230に記載の細胞。
【請求項234】
前記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路が、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である、請求項230に記載の細胞。
【請求項235】
前記エンハンサー部分が、サイトカインまたはサイトカイン受容体である、請求項230に記載の細胞。
【請求項236】
前記エンハンサー部分が、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項230に記載の細胞。
【請求項237】
細胞死アクティベーターと接触すると前記細胞の死を生じさせることができる誘導性細胞死部分をさらに含む、請求項230~236のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項238】
前記誘導性細胞死部分が、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される、請求項237に記載の細胞。
【請求項239】
前記誘導性細胞死部分が、EGFRtであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、EGFRtに結合する抗体またはその抗原結合性断片である、請求項237に記載の細胞。
【請求項240】
前記誘導性細胞死部分が、HSV TKであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、GCVである、請求項237に記載の細胞。
【請求項241】
前記誘導性細胞死部分が、iCasp9であり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、AP1903である、請求項237に記載の細胞。
【請求項242】
前記細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子が不活性化されており、前記内因性表面マーカーが、発現されたときに前記第1の抗原結合性ドメインに結合することができる、請求項230~241のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項243】
前記内因性表面マーカーが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、またはSLAMF7である、請求項242に記載の細胞。
【請求項244】
リンパ性悪性疾患を治療する方法であって、操作された免疫細胞の集団をそれを必要とする患者に投与する工程を含み、前記集団の個々の操作された免疫細胞が、
(a)結合部位を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記結合部位が、免疫細胞抗原に結合することができる抗原結合性ドメインを含み、ならびに前記1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)と;
(b)前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分と
を含み、
前記操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が不活性化されており、
(i)末梢血の病的細胞の数または骨髄の病的細胞の数が、前記操作された免疫細胞に対する最後の投薬の後3週間以内に少なくとも50%減少され、ならびに(ii)末梢血の自家T細胞、顆粒球、およびNK細胞のうちの任意の1つまたは複数の数が、前記操作された免疫細胞の最後の投薬の後3週間以内に増加し始める、
方法。
【請求項245】
前記エンハンサー部分が、前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高める、請求項244に記載の方法。
【請求項246】
前記エンハンサー部分が、前記操作された免疫細胞の前記1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている、請求項244に記載の方法。
【請求項247】
前記エンハンサー部分が、前記操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている、請求項244に記載の方法。
【請求項248】
前記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路が、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である、請求項244に記載の方法。
【請求項249】
前記エンハンサー部分が、サイトカインまたはサイトカイン受容体である、請求項244に記載の方法
【請求項250】
前記エンハンサー部分が、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項244に記載の方法。
【請求項251】
前記操作された免疫細胞が、細胞死アクティベーターと接触すると前記細胞の死を生じさせることができる誘導性細胞死部分をさらに含む、請求項244~250のいずれか一項に記載の方法。
【請求項252】
前記誘導性細胞死部分が、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される、請求項251に記載の方法。
【請求項253】
前記誘導性細胞死部分が、EGFRtであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、EGFRtに結合する抗体またはその抗原結合性断片である、請求項251に記載の方法。
【請求項254】
前記誘導性細胞死部分が、HSV -TKであり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、GCVである、請求項251に記載の方法。
【請求項255】
前記誘導性細胞死部分が、iCasp9であり、ならびに前記細胞死アクティベーターが、AP1903である、請求項251に記載の方法。
【請求項256】
前記細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子が不活性化されており、前記内因性表面マーカーが、発現されたときに前記第1の抗原結合性ドメインに結合することができる、請求項244~255のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項257】
前記内因性表面マーカーが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、またはSLAMF7である、請求項256に記載の方法。
【請求項258】
末梢血における病的細胞の数または骨髄における病的細胞の数が少なくとも50%減少する前に、末梢血における自家T細胞、顆粒球、およびNK細胞のうちの任意の1つまたは複数の数が増加し始める、請求項244に記載の方法。
【請求項259】
末梢血における病的細胞の数または骨髄における病的細胞の数が少なくとも50%減少した後に、末梢血における自家T細胞、顆粒球、およびNK細胞のうちの任意の1つまたは複数の数が増加し始める、請求項244に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本願は、2018年11月01日に出願された中国特許出願公開第201811297174.3号;2018年12月14日に出願された中国特許出願公開第201811535338.1号;2018年12月18日に出願された中国特許出願公開第201811549651.0号;2019年6月06日に出願された中国特許出願公開第201910492882.0号;および2019年8月20日に出願された国際出願第PCT/CN2019/101651号に対する優先権を主張するものであり、なお、これらの特許出願は、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]キメラ抗原受容体(CAR)を発現させるための遺伝子修飾による腫瘍特異的Tリンパ球の生成は、強力な抗腫瘍効果を生じる形態の合成生物学におけるとしての魅力を獲得している。当該特異性は、抗体断片によって付与されるため、CAR-T細胞は、MHC拘束性ではなく、したがって、MHCマッチングを必要とするT細胞受容体に基づくアプローチと比べてより実用的である。
【0003】
[0003]がんの治療において得られた早期のCAR-T細胞臨床データは、有望な結果を示していたが、患者に対するリスクはより高く、ならびに一部の患者のT細胞は、TCRまたはCARリダイレクション後でさえ、有効である。治療も、十分に効果的ではなく、このため、同種異系ドナーT細胞の改変が促進されている。しかしながら、注入された同種異系T細胞上の内因性αβT細胞受容体は、レシピエントにおいて一次および二次組織適合抗原を認識することができ、結果として、移植片対宿主病(GVHD)を生じる。その結果、自家CAR-T細胞注入を使用するほとんどの現在の臨床試験は、正常な組織のTCR媒介性有害認識と、その後の養子細胞移入を防ぐために、免疫寛容を頼りにしている。このアプローチは、早くに臨床的成功を達成したが、患者特異的T細胞産物を製造する時間および費用によって制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]本明細書において、同種異系細胞療法のために免疫細胞(例えば、T細胞)を遺伝子修飾するための組成物および方法に対する必要性が認識される。さらに、本明細書において、患者特異的T細胞産物を作製する時間および費用を避けつつ、免疫細胞(例えば、T細胞)を修飾する方法の必要性も認識される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]ある態様において、本開示は、操作された免疫細胞であって、(i)当該操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分と(ii)誘導性細胞死部分とを含むキメラポリペプチドであって、当該誘導性細胞死部分が、キメラポリペプチドを細胞死アクティベーターに接触させると当該操作された免疫細胞の死を生じさせることができ、当該エンハンサー部分が、誘導性細胞死部分に連結されている、キメラポリペプチドと、結合部位を含む1つまたは複数のキメラポリペプチド受容体(CPR)であって、当該結合部位が、(i)対象に投与されたときに当該操作された免疫細胞に対する当該対象の免疫反応を抑制または低減する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含み、当該1つまたは複数のCPRの個々のCPRが、(i)第1の抗原結合性ドメイン、(ii)第2の抗原結合性ドメイン、または(iii)第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインの両方を含み、当該1つまたは複数のCPRの各CPRが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数のキメラポリペプチド受容体(CPR)とを含む、操作された免疫細胞を提供する。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態において、上記1つまたは複数のCPRは、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)または操作されたT細胞受容体(TCR)である。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインは、免疫細胞抗原に結合する。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子は、不活性化されており(例えば、発現抑制されているか、またはノックアウトされており)、当該内因性表面マーカーは、発現された場合に第1の抗原結合性ドメインに結合することができる。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)は、不活性化されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性TCRの機能は、阻害剤によって阻害されている。いくつかの実施形態において、上記内因性TCRのサブユニットをコードする遺伝子は、不活性化されており、それにより、上記内因性TCRは不活性化されている。いくつかの実施形態において、上記サブユニットをコードする上記遺伝子は、TCRα、TCRβ、CD3ε、CD3δ、CD3γ、またはCD3ζである。いくつかの実施形態において、上記キメラポリペプチドは、上記エンハンサー部分および上記誘導性細胞死部分が隣接する任意の自己切断性ペプチドを含まない。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている。いくつかの実施形態において、上記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路は、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、自己オリゴマー化によって自己活性化性である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、自己二量体化によって自己活性化性である。いくつかの実施形態において、上記キメラポリペプチドは、分泌タンパク質である。いくつかの実施形態において、上記キメラポリペプチドは、細胞内タンパク質である。いくつかの実施形態において、上記キメラポリペプチドは、膜貫通タンパク質である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分または上記誘導性細胞死部分は、膜貫通タンパク質のエクトドメインに含まれる。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分または上記誘導性細胞死部分は膜貫通タンパク質のエンドドメインに含まれる。いくつかの実施形態において、(i)上記エンハンサー部分は、膜貫通タンパク質のエンドドメインに含まれ、(ii)上記誘導性細胞死部分は、膜貫通タンパク質のエクトドメインに含まれる。いくつかの実施形態において、(i)上記エンハンサー部分は、膜貫通タンパク質のエクトドメインに含まれ、(ii)上記誘導性細胞死部分は、膜貫通タンパク質のエンドドメインに含まれる。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、サイトカインまたはサイトカイン受容体である。いくつかの実施形態において、前記エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、trans活性化因子またはcis活性化因子として機能する。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、EGFRtであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、EGFRtに結合する抗体またはその抗原結合性断片である。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、HSV-TKであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、GCVである。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、iCasp9であり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、AP1903である。いくつかの実施形態において、上記細胞死アクティベーターは、核酸、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、酵素、リボゾーム、プロテアソーム、それらのバリアント、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態において、上記1つまたは複数のCPRの個々のCPRは、第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインの両方を含む。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインおよび上記第2の抗原結合性ドメインは、リンカーによって連結されている。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、自己切断性ペプチドを含まない。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインまたは上記第2の抗原結合性ドメインは、scFvである。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインおよび上記第2の抗原結合性ドメインは、アミノ酸末端からカルボキシル末端へと、(i)VL2-VH1-VL1-VH2;(ii)VH2-VL1-VH1-VL2;(iii)VL1-VH2-VL2-VH1;(iv)VH1-VL2-VH2-VL1;(v)VL2-VL1-VH1-VH2;(vi)VH2-VH1-VL1-VL2;(vii)VL1-VL2-VH2-VH1;または(viii)VH1-VH2-VL2-VL1、として配置され、VH1は、第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、前記第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインおよび上記第2の抗原結合性ドメインは、アミノ酸末端からカルボキシル末端へと、(i)VL2-VH2-VL1-VH1;(ii)VL2-VH2-VH1-VL1;(iii)VL1-VH1-VL2-VH2;(iv)VL1-VH1-VH2-VL2;(v)VH2-VL2-VL1-VH1;(vi)VH2-VL2-VH1-VL1;(vii)VH1-VL1-VL2-VH2;または(viii)VH1-VL1-VH2-VL2、として配置され、VH1は、第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインおよび上記第2の抗原結合性ドメインは、免疫細胞抗原および疾患関連抗原に結合する。いくつかの実施形態において、上記1つまたは複数のCPRの個々のCPRは、第1の抗原結合性ドメインのみを含み、ならびに当該1つまたは複数のCPRの別の個々のCPRは、第2の抗原結合性ドメインのみを含む。いくつかの実施形態において、上記免疫細胞抗原は、免疫細胞の表面タンパク質または分泌タンパク質である。いくつかの実施形態において、上記免疫細胞は、NK細胞、T細胞、単球、生来のリンパ球、マクロファージ、または顆粒球である。いくつかの実施形態において、上記免疫細胞は、末梢血、臍帯血から得られるか、あるいは幹細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記免疫細胞抗原は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記疾患関連抗原は、腫瘍関連抗原である。いくつかの実施形態において、上記腫瘍関連抗原は、CD19、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44V6、CD47、CD52、CD56、CD57、CD58、CD79b、CD80、CD86、CD81、CD123、CD133、CD137、CD151、CD171、CD276、CLL1、B7H4、BCMA、VEGFR-2、EGFR、GPC3、PMSA、CEACAM6、c-Met、EGFRvIII、ErbB2/HER2、ErbB3、HER-2、HER3、ErbB4/HER-4、EphA2、IGF1R、GD2、O-アセチルGD2、O-アセチルGD3、GHRHR、GHR、Flt1、KDR、Flt4、Flt3、CEA、CA125、CTLA-4、GITR、BTLA、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR1、IL6R、gp130、ルイス、TNFR1、TNFR2、PD1、PD-L1、PD-L2、PSCA、HVEM、MAGE-A、MSLN、NY-ESO-1、PSMA、RANK、RORl、TNFRSF4、TWEAK-R、LTPR、LIFRP、LRP5、MUC1、MUC16、TCRa、TCRb、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robol、Frizzled、OX40、ノッチ-1-4、APRIL、CS1、MAGE3、クローディン18.2、葉酸塩受容体α、葉酸塩受容体β、GPC2、CD70、BAFF-R、またはTROP-2からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインは、CD2、CD3、CD5、CD7、およびCD137からなる群から選択される免疫細胞抗原に結合し、ならびに上記第2の抗原結合性ドメインは、CD19に結合する。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインは、CD3に結合し、ならびに上記第2の抗原結合性ドメインは、CD19に結合する。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインは、CD7に結合し、ならびに上記第2の抗原結合性ドメインは、CD19に結合する。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインは、CD137に結合し、ならびに上記第2の抗原結合性ドメインは、CD19に結合する。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子の発現は、元のままである。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性HLA-Iおよび/またはHLA-II遺伝子の発現は、元のままである。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現は、元のままである。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性HLA遺伝子の発現は、上方調節されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現は、上方調節されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方の発現は、阻害されている。いくつかの実施形態において、内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方をコードする遺伝子は、不活性化されてい
る。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞のHLA-EまたはHLA-Gは、過剰発現されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞のCD24、CD47、FASL、および/またはPD-1は、過剰発現されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、T細胞、NKT細胞、またはNK細胞である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、幹細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記幹細胞は、造血幹細胞(HSC)または誘導された多分化能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、自己細胞または同種異系細胞である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、ある状態を有する対象から得られる。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、健康なドナーから得られる。
【0007】
[0007]別の態様において、本開示は、(a)結合部分を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)であって、当該結合部分が、免疫細胞抗原に結合することができる第1の抗原結合性ドメインと、疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含み、当該1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)と、(b)操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分とを含む操作された免疫細胞であって、当該操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が不活性化されており、ならびに(a)における1つまたは複数のCARを含むが(b)における前記エンハンサー部分を含まない別の操作された免疫細胞と比較して、(i)当該操作された免疫細胞に対して異種である細胞の存在下において少なくとも約20日間、in vitroにおいて生存可能のままになることによる持続の増強、(ii)15日以内において少なくとも約10倍の増殖の増強、または、(iii)当該免疫細胞抗原または前記疾患関連抗原を含む標的細胞に対する細胞傷害性の増強を示す、操作された免疫細胞を提供する。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、(i)、(ii)、および(iii)のうちの2つ以上を示すことによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、(i)、(ii)、および/または(iii)は、任意の外因性エンハンサー部分の非存在下において測定される。いくつかの実施形態において、上記免疫細胞抗原は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CS1、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記免疫体抗原はCD7である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記個々の操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている。いくつかの実施形態において、上記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路は、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、自己オリゴマー化によって自己活性化性である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、自己二量体化によって自己活性化性である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、サイトカインまたはサイトカイン受容体である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記内因性TCRのサブユニットをコードする遺伝子は不活性化されており、それにより、前記内因性TCRは不活性化されている。いくつかの実施形態において、上記サブユニットをコードする遺伝子は、TCRα、TCRβ、CD3ε、CD3δ、CD3γ、またはCD3ζである。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、さらに、誘導性細胞死部分を含み、誘導性細胞死部分は、細胞死アクティベーターとの接触において当該操作された免疫細胞の自殺を生じさせる。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、EGFRtであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、EGFRtに結合する抗体またはその抗原結合性断片である。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、HSV-TKであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、GCVである。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、iCasp9であり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、AP1903である。いくつかの実施形態において、上記細胞死アクティベーターは、核酸、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、酵素、リボゾーム、プロテアソーム、それらのバリアント、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子の発現は、元のままである。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性HLA-Iおよび/またはHLA-II遺伝子の発現は、元のままである。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現は、元のままである。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性HLA遺伝子の発現は、上方調節されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現は、上方調節されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方の発現は、阻害されている。いくつかの実施形態において、内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方をコードする遺伝子は、不活性化されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞のHLA-EまたはHLA-Gは、過剰発現されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞のCD24、CD47、FASL、および/またはPD-1は、過剰発現されている。いくつかの実施形態において、上記疾患関連抗原は、腫瘍関連抗原である。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインまたは上記第2の抗原結合性ドメインは、scFvである。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子は、不活性化されており、上記内因性表面マーカーは、発現された場合に前記第1の抗原結合性ドメインに結合することができる。いくつかの実施形態において、上記内因性表面マーカーは、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、またはSLAMF7である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、T細胞、NKT細胞、またはNK細胞である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、幹細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記幹細胞は、造血幹細胞(HSC)または誘導された多分化能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、自己細胞または同種異系細胞である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、ある状態を有する対象から得られる。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、健康なドナーから得られる。
【0009】
[0009]別の態様において、本開示は、疾患を治療するための医薬組成物であって、本明細書において説明される操作された免疫細胞と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。別の態様において、本開示は、対象の疾患を治療または診断する方法であって、対象に上記組成物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物中の上記操作された免疫細胞は、同種異系免疫細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記同種異系免疫細胞に由来する上記操作された免疫細胞は、対象において移植片対宿主病(GvHD)を引き起こさない。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物中の上記操作された免疫細胞は、自家免疫細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物中の上記操作された免疫細胞の内因性TCRは、機能的に不活性である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、機能的に活性なTCRを有する別の免疫細胞と比較して、対象においてGvHDを減少させる。いくつかの実施形態において、上記疾患は、がんである。いくつかの実施形態において、上記がんは、リンパ腫または白血病である。
【0010】
[0010]別の態様において、本開示は、機能的に不活性なT細胞受容体(TCR)と、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)であって、当該1つまたは複数のCARの個々の各CARが、結合部分を含み、結合部位が、(i)対象に投与されたときに当該操作された免疫細胞に対する当該対象の免疫反応を抑制または低減する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)疾患関連抗原に結合する第2の抗原結合性ドメインとを含み、ならびに当該1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)とを含む細胞を提供する。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインおよび上記第2の抗原結合性ドメインは、リンカーによって連結されている。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、自己切断性ペプチドを含まない。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインおよび上記第2の抗原結合性ドメインは、アミノ酸末端からカルボキシル末端へと、(i)VL2-VH1-VL1-VH2;(ii)VH2-VL1-VH1-VL2;(iii)VL1-VH2-VL2-VH1;(iv)VH1-VL2-VH2-VL1;(v)VL2-VL1-VH1-VH2;(vi)VH2-VH1-VL1-VL2;(vii)VL1-VL2-VH2-VH1;または(viii)VH1-VH2-VL2-VL1として配置され、VH1は、第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインおよび上記第2の抗原結合性ドメインは、アミノ酸末端からカルボキシル末端へと、(i)VL2-VH2-VL1-VH1;(ii)VL2-VH2-VH1-VL1;(iii)VL1-VH1-VL2-VH2;(iv)VL1-VH1-VH2-VL2;(v)VH2-VL2-VL1-VH1;(vi)VH2-VL2-VH1-VL1;(vii)VH1-VL1-VL2-VH2;または(viii)VH1-VL1-VH2-VL2として配置され、VH1は、第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである。いくつかの実施形態において、上記細胞の内因性TCRのサブユニットをコードする遺伝子は、不活性化されており、結果として、上記機能的に不活性なTCRを生成する。いくつかの実施形態において、上記サブユニットをコードする遺伝子は、TCRα、TCRβ、CD3ε、CD3δ、CD3γ、またはCD3ζである。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインは、免疫細胞抗原に結合する。いくつかの実施形態において、上記免疫細胞抗原は、免疫細胞の表面タンパク質または分泌タンパク質である。いくつかの実施形態において、上記免疫細胞は、NK細胞、T細胞、単球、マクロファージ、または顆粒球である。いくつかの実施形態において、上記免疫細胞抗原は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、またはSLAMF7である。いくつかの実施形態において、上記疾患関連抗原は、腫瘍関連抗原である。いくつかの実施形態において、上記腫瘍関連抗原は、CD19、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44V6、CD47、CD52、CD56、CD57、CD58、CD79b、CD80、CD86、CD81、CD123、CD133、CD137、CD151、CD171、CD276、CLL1、B7H4、BCMA、VEGFR-2、EGFR、GPC3、PMSA、CEACAM6、c-Met、EGFRvIII、ErbB2/HER2、ErbB3、HER-2、HER3、ErbB4/HER-4、EphA2、IGF1R、GD2、O-アセチルGD2、O-アセチルGD3、GHRHR、GHR、Flt1、KDR、Flt4、Flt3、CEA、CA125、CTLA-4、GITR、BTLA、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR1、IL6R、gp130、ルイス、TNFR1、TNFR2、PD1、PD-L1、PD-L2、PSCA、HVEM、MAGE-A、MSLN、NY-ESO-1、PSMA、RANK、RORl、TNFRSF4、TWEAK-R、LTPR、LIFRP、LRP5、MUC1、MUC16、TCRa、TCRb、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robol、Frizzled、OX40、ノッチ-1-4、APRIL、CS1、MAGE3、クローディン18.2、葉酸塩受容体α、葉酸塩受容体β、GPC2、CD70、BAFF-R、またはTROP-2である。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインは、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択される免疫細胞抗原に結合し、ならびに上記第2の抗原結合性ドメインは、CD19に結合する。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインは、CD3に結合し、ならびに上記第2の抗原結合性ドメインは、CD19に結合する。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインは、CD7に結合し、ならびに上記第2の抗原結合性ドメインは、CD19に結合する。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインは、CD137に結合し、ならびに上記第2の抗原結合性ドメインは、CD19に結合する。いくつかの実施形態において、上記細胞は、さらに、エンハンサー部分を含み、エンハンサー部分は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高める。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている。いくつかの実施形態において、上記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路は、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、サイトカインまたはサイトカイン受容体である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記細胞は、さらに、細胞死アクティベーターに接触すると当該細胞の死を生じさせることができる誘導性細胞死部分を含む。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、EGFRtであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、抗体またはEGFRtに結合するその抗原結合性断片である。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、HSV-TKであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、GCVである。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、iCasp9であり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、AP1903である。
【0012】
[0012]別の態様において、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の配列を含む核酸分子であって、当該CARが、結合部分を含み、結合部位は、(i)対象に投与されたときに当該操作された免疫細胞に対する当該対象の免疫反応を抑制または低減する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)(i)が連結されている、疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含み、ならびに当該1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、核酸分子を提供する。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインは、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択される抗原に結合する。いくつかの実施形態において、上記第2の抗原結合性ドメインは、CD19、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44V6、CD47、CD52、CD56、CD57、CD58、CD79b、CD80、CD86、CD81、CD123、CD133、CD137、CD151、CD171、CD276、CLL1、B7H4、BCMA、VEGFR-2、EGFR、GPC3、PMSA、CEACAM6、c-Met、EGFRvIII、ErbB2/HER2、ErbB3、HER-2、HER3、ErbB4/HER-4、EphA2、IGF1R、GD2、O-アセチルGD2、O-アセチルGD3、GHRHR、GHR、Flt1、KDR、Flt4、Flt3、CEA、CA125、CTLA-4、GITR、BTLA、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR1、IL6R、gp130、ルイス、TNFR1、TNFR2、PD1、PD-L1、PD-L2、PSCA、HVEM、MAGE-A、MSLN、NY-ESO-1、PSMA、RANK、RORl、TNFRSF4、TWEAK-R、LTPR、LIFRP、LRP5、MUC1、MUC16、TCRa、TCRb、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robol、Frizzled、OX40、ノッチ-1-4、APRIL、CS1、MAGE3、クローディン18.2、葉酸塩受容体α、葉酸塩受容体β、GPC2、CD70、BAFF-R、またはTROP-2に結合する。いくつかの実施形態において、上記核酸分子は、さらに、エンハンサー部分をコードする第2の配列を含み、エンハンサー部分は、細胞において発現されたときに上記CARの1つまたは複数の活性を高める。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記核酸分子は、さらに、誘導性細胞死部分をコードする第2の配列を含み、誘導性細胞死部分は、細胞において発現された場合、細胞死アクティベーターに接触すると当該細胞の死を生じさせる。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記核酸分子は、さらに、第1の配列および第2の配列が隣接する第3配列を含み、当該第3の配列は、切断可能なリンカーをコードする。いくつかの実施形態において、上記切断可能なリンカーは、自己切断性ペプチドである。いくつかの実施形態において、上記核酸分子は、さらに、上記第1の配列および/または上記第2の配列の発現を調節する調節配列を含む。
【0014】
[0014]別の態様において、本開示は、本明細書において説明される核酸分子を含むキットを提供する。
[0015]別の態様において、本開示は、操作された細胞を生成する方法であって、(a)本明細書において説明される核酸分子を細胞内に送達する工程と;(b)当該細胞において当該核酸分子を発現させ、それにより、操作された細胞を生成する工程とを含む方法を提供する。
【0015】
[0016]別の態様において、本開示は、操作された免疫細胞であって、当該操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分と;CD7に特異的に結合する抗原結合性ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)とを含み、当該CARがさらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含み、当該操作された免疫細胞において内因性CD7が不活性化されている、操作された免疫細胞を提供する。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、PD-1、PD-L1、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、およびTGFRβ、その受容体、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)は、不活性化されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、さらに、誘導性細胞死部分を含むポリペプチドであって、当該誘導性細胞死部分が、当該ポリペプチドを細胞死アクティベーターに接触させると当該操作された免疫細胞の死を生じさせることができる、ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記ポリペプチドの一部である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記CARの一部ではない。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記CARの一部である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、T細胞、NKT細胞、またはNK細胞である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、幹細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記幹細胞は、造血幹細胞(HSC)または誘導された多分化能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、自己細胞または同種異系細胞である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、ある状態を有する対象から得られる。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、健康なドナーから得られる。
【0016】
[0017]別の態様において、本開示は、本明細書において説明される操作された免疫細胞を生成する方法であって、(a)(i)上記エンハンサー部分と(ii)上記CARとをコードする1つまたは複数の核酸分子を免疫細胞内へ送達する工程と;(b)当該免疫細胞において1つまたは複数の核酸分子を発現させ、それにより、当該操作された免疫細胞を生成する工程とを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、単一の核酸分子が、(i)上記エンハンサー部分および(ii)上記CARをコードする。いくつかの実施形態において、上記単一の核酸分子は、(i)上記エンハンサー部分(ii)上記CARが隣接する自己切断性ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、上記単一の核酸分子は、(i)上記エンハンサー部分(ii)上記CARが隣接するいかなる自己切断性ペプチドも含まない。いくつかの実施形態において、(i)第1の核酸分子は、上記エンハンサー部分をコードし、ならびに(ii)第2の核酸分子は、上記CARをコードする。
【0017】
[0018]別の態様において、本開示は、対象の状態を治療または診断する方法であって、本明細書において説明される操作された免疫細胞を対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、対象の自家免疫細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、同種異系免疫細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記状態は、がん(例えば、T細胞および/またはNK細胞悪性腫瘍)である。
【0018】
[0019]別の態様において、本開示は、単一のキメラ抗原受容体(CAR)を含む操作された免疫細胞であって、当該単一のキメラ抗原受容体(CAR)は、(i)CD7に特異的に結合する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含み、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含み、内因性CD7をコードする遺伝子が、当該操作された免疫細胞において不活性化されている、操作された免疫細胞を提供する。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、さらに、当該操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分を含む。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、PD-1、PD-L1、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、およびTGFRβ、その受容体、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)は、不活性化されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、さらに、誘導性細胞死部分を含むポリペプチドであって、当該誘導性細胞死部分が、当該ポリペプチドを細胞死アクティベーターに接触させると当該操作された免疫細胞の死を生じさせることができる、ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記ポリペプチドの一部である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、T細胞、NKT細胞、またはNK細胞である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、幹細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記幹細胞は、造血幹細胞(HSC)または誘導された多分化能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、自己細胞または同種異系細胞である。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、ある状態を有する対象から得られる。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、健康なドナーから得られる。
【0019】
[0020]別の態様において、本開示は、上記操作された免疫細胞を生成する方法であって、(a)上記単一のCARをコードする1つまたは複数の核酸分子を免疫細胞に送達する工程と;(b)当該免疫細胞において1つまたは複数の核酸分子を発現させ、それにより、当該操作された免疫細胞を生成する工程とを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、単一の核酸分子が、上記単一のCARをコードする。
【0020】
[0021]別の態様において、本開示は、対象の状態を治療または診断する方法であって、上記操作された免疫細胞を対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、対象の自家免疫細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞は、同種異系免疫細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記状態は、がん(例えば、T細胞および/またはNK細胞悪性腫瘍)である。
【0021】
[0022]別の態様において、本開示は、操作された免疫細胞の集団をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、同種異系細胞療法を送達する方法であって、当該集団の個々の操作された免疫細胞が、(a)結合部分を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)であって、当該結合部分が、免疫細胞抗原に結合することができる第1の抗原結合性ドメインと、疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含み、第1の抗原結合性ドメインが、対象に投与されたときに当該操作された免疫細胞に対する当該対象の免疫反応を抑制または低減する、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)と;(b)当該操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分とを含み、当該操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が、不活性化されており、ならびに当該操作された免疫細胞が、(i)当該操作された免疫細胞に対して異種である細胞の存在下において少なくとも約20日間、in vitroにおいて生存可能のままになることによる持続の増強、(ii)15日以内において少なくとも約10倍の増殖の増強、または(iii)当該免疫細胞抗原または前記疾患関連抗原を含む標的細胞に対する細胞傷害性の増強を示す、方法を提供する。
【0022】
[0023]いくつかの実施形態において、追加の増殖剤を使用しない上記操作された免疫細胞の集団のみを投与する上記工程は、(i)当該操作された免疫細胞に対して異種である免疫細胞の存在下において少なくとも約20日間、in vitroにおいて生存可能のままになることによる持続の増強、(ii)15日以内において少なくとも約10倍の増殖の増強、または(iii)当該免疫細胞抗原または前記疾患関連抗原を含む標的細胞に対する細胞傷害性の増強を生み出す。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含み、上記第1の抗原結合性ドメインは、対象に投与されたときに当該操作された免疫細胞に対する当該対象の免疫反応を抑制または低減する。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫細胞の内因性CD7は、不活性化されている。いくつかの実施形態において、上記免疫体抗原はCD7である。
【0023】
[0024]いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記個々の操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている。いくつかの実施形態において、上記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路は、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、自己オリゴマー化によって自己活性化性である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、自己二量体化によって自己活性化性である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、サイトカインまたはサイトカイン受容体である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記内因性TCRのサブユニットをコードする遺伝子は、不活性化されており、それにより、上記内因性TCRが不活性化されている。いくつかの実施形態において、上記サブユニットをコードする遺伝子は、TCRα、TCRβ、CD3ε、CD3δ、CD3γ、またはCD3ζである。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫細胞は、さらに、誘導性細胞死部分を含み、誘導性細胞死部分は、細胞死アクティベーターとの接触において当該操作された免疫細胞の自殺を生じさせる。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、EGFRtであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、抗体またはEGFRtに結合するその抗原結合性断片である。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、HSV-TKであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、GCVである。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、iCasp9であり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、AP1903である。いくつかの実施形態において、上記細胞死アクティベーターは、核酸、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、酵素、リボゾーム、プロテアソーム、それらのバリアント、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子の発現は、元のままである。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫細胞の内因性HLA-Iおよび/またはHLA-II遺伝子の発現は、元のままである。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現は、元のままである。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性HLA遺伝子の発現は、上方調節されている。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現は、上方調節されている。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫細胞の内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方の発現は、阻害されている。いくつかの実施形態において、内因性HLA-I、内因性HLA-II、またはその両方をコードする遺伝子は、不活性化されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞のHLA-EまたはHLA-Gは、過剰発現されている。いくつかの実施形態において、上記操作された免疫細胞のCD24、CD47、FASL、および/またはPD-1は、過剰発現されている。
【0024】
[0025]いくつかの実施形態において、上記疾患関連抗原は、腫瘍関連抗原である。いくつかの実施形態において、上記第1の抗原結合性ドメインまたは上記第2の抗原結合性ドメインは、scFvである。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫細胞は、T細胞、NKT細胞、またはNK細胞である。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫細胞は、幹細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記幹細胞は、造血幹細胞(HSC)または誘導された多分化能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫体は、同種異系細胞である。いくつかの実施形態において、上記個々の操作された免疫細胞は、健康なドナーから得られる。
【0025】
[0026]ある態様において、本開示は、(a)結合部分を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)であって、当該結合部位が、免疫細胞抗原に結合することができる抗原結合性ドメインを含み、当該1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)と;(b)細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分とを含む細胞であって、当該細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が、不活性化されている、細胞を提供する。
【0026】
[0027]いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記細胞の1つまたは複数の活性を高める。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記細胞の1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている。いくつかの実施形態において、上記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路は、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、サイトカインまたはサイトカイン受容体である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、当該方法は、細胞死アクティベーターと接触すると上記細胞の死を生じさせることができる上記誘導性細胞死部分をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、EGFRtであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、抗体またはEGFRtに結合するその抗原結合性断片である。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、HSV-TKであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、GCVである。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、iCasp9であり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、AP1903である。いくつかの実施形態において、上記細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子は、不活性化されており、当該内因性表面マーカーは、発現された場合に第1の抗原結合性ドメインに結合することができる。いくつかの実施形態において、上記内因性表面マーカーは、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、またはSLAMF7である。
【0027】
[0028]ある態様において、本開示は、リンパ性悪性疾患を治療する方法であって、操作された免疫細胞の集団をそれを必要とする患者に投与する工程を含み、当該集団の個々の操作された免疫細胞が、(a)結合部分を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)であって、当該結合部位が、免疫細胞抗原に結合することができる抗原結合性ドメインを含み、ならびに当該1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)と;(b)操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分とを含み、当該操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が、不活性化されており、(i)末梢血の病的細胞の数または骨髄の病的細胞の数が、当該操作された免疫細胞に対する最後の投薬の後3週間以内に少なくとも50%減少され、ならびに(ii)末梢血の自家T細胞、顆粒球、およびNK細胞のうちの任意の1つまたは複数の数が、当該操作された免疫細胞の最後の投薬の後3週間以内に増加し始める、方法を提供する。
【0028】
[0029]いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高める。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成されている。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、上記操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成されている。いくつかの実施形態において、上記1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路は、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、サイトカインまたはサイトカイン受容体である。いくつかの実施形態において、上記エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記操作された免疫細胞が、さらに、誘導性細胞死部分が細胞死アクティベーターに接触すると当該細胞の死を生じさせることができる当該誘導性細胞死部分を含む。
【0029】
[0030]いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、EGFRtであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、抗体またはEGFRtに結合するその抗原結合性断片である。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、HSV-TKであり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、GCVである。いくつかの実施形態において、上記誘導性細胞死部分は、iCasp9であり、ならびに上記細胞死アクティベーターは、AP1903である。いくつかの実施形態において、上記細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子は、不活性化されており、当該内因性表面マーカーは、発現された場合に第1の抗原結合性ドメインに結合することができる。いくつかの実施形態において、上記内因性表面マーカーは、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、またはSLAMF7である。いくつかの実施形態において、末梢血における病的細胞の数または骨髄における病的細胞の数が少なくとも50%減少する前に、末梢血における自家T細胞、顆粒球、およびNK細胞のうちの任意の1つまたは複数の数は、増加し始める。いくつかの実施形態において、末梢血における病的細胞の数または骨髄における病的細胞の数が少なくとも50%減少した後に、末梢血における自家T細胞、顆粒球、およびNK細胞のうちの任意の1つまたは複数の数は、増加し始める。
【0030】
[0031]本開示の追加の態様および利点は、本開示の例示的実施形態のみが示され説明される以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかとなるであろう。認識されるであろうように、本開示は、他の実施形態および異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することのなく、様々な明白な点において変更が可能である。したがって、図および説明は、あくまで説明として見なされるべきであり、限定として見なされるものではない。
【0031】
[0032]参照による組み入れ
本明細書において言及した全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み入れられることが具体的かつ個別的に示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
参照により組み入れられた刊行物および特許もしくは特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する場合、本明細書は、そのようなあらゆる相反する材料に取って代わりおよび/または優先することが意図される。
【0032】
[0033]本発明の新規な特徴は、添付の請求項に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、およびその添付図面(本明細書では「図(Figure)」および「図(FIG.)」もまた)を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】[0034]EGFRt-CD3-CD19 CARの例示的な構造を示す図である。
【
図2】[0035]EGFRt-CD3-CD19普遍的CAR-Tの一例の調製プロセスを示す図である。
【
図3】[0036]パラレルCAR(FMC63-OKT3)およびtEGFRスイッチの発現を示す図である。
【
図4】[0037]パラレルCARおよびループCARの発現を示す図である。
【
図5A】[0038]
図5Aは、UCHT1およびOKT3を比較する実験データを示す図である。
【
図5B】
図5Bは、UCHT1およびOKT3を比較する実験データを示す図である。
【
図5C】
図5Cは、UCHT1およびOKT3を比較する実験データを示す図である。
【
図6A】[0039]
図6Aは、パラレルUCHT1の抗がん機能を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、パラレルUCHT1の抗がん機能を示す図である。
【
図6C】
図6Cは、パラレルUCHT1の抗がん機能を示す図である。
【
図7A】[0040]
図7Aは、パラレルCAR対ループCARの抗がん機能を比較する実験データを示す図である。
【
図7B】
図7Bは、パラレルCAR対ループCARの抗がん機能を比較する実験データを示す図である。
【
図8A】[0041]
図8Aは、TCR KO CD19 CAR-T細胞が皮下腫瘍モデルにおいて増殖欠損を示すことを示す図である。
【
図8B】
図8Bは、TCR KO CD19 CAR-T細胞が皮下腫瘍モデルにおいて増殖欠損を示すことを示す図である。5e5のRaji-ルシフェラーゼ細胞を皮下注射によりNOGマウスに移植した。1e6 WT、TCR KO CD19 CAR-T細胞をRaji移植マウスに注入(IV)した。腫瘍負荷は、実際の腫瘍サイズのキャリパー測定によって評価された。いずれもRajiベースの腫瘍を有するモデルであるが、皮下モデルは固形腫瘍を生成し、静脈モデルよりも腫瘍を制御するためのCAR-T細胞増殖に対する要求がはるかに高い。TCR KO CAR-T細胞は、WT CAR-T細胞と比較して増殖欠損を示し、それらの腫瘍制御効果と一致した。
【
図9A】[0042]
図9Aは、がん細胞による複数回の刺激後に異なるエンハンサーを有するCAR-T細胞の増殖および殺傷有効性を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、がん細胞による複数回の刺激後に異なるエンハンサーを有するCAR-T細胞の増殖および殺傷有効性を示す図である。
【
図9C】
図9Cは、がん細胞による複数回の刺激後に異なるエンハンサーを有するCAR-T細胞の増殖および殺傷有効性を示す図である。
【
図10A】[0043]
図10Aは、がん細胞による複数回の刺激後の異なるエンハンサーを有するCAR-T細胞の増殖を示す図である。
【
図10B】
図10Bは、がん細胞による複数回の刺激後の異なるエンハンサーを有するCAR-T細胞の増殖を示す図である。
【
図11】[0044]TCR KO CD19 CAR-T細胞におけるエンハンサーのin vivo比較を示す図である。5e5 Raji-ルシフェラーゼ細胞を静脈内(IV)注射によりNOGマウスに移植した。WT、TCR KO CD19 CAR-T細胞をエンハンサーの有無にかかわらず、Raji移植マウスに注入(IV)した。腫瘍負荷は生物発光強度(BLI)により評価した。
【
図12】[0045]TCR KO CD19 CAR-T細胞におけるエンハンサーのin vivo比較を示す図である。
【
図13】[0046]CD7 mRNAの組織分布の例を示す図である。
【
図14】[0047]CD2 mRNAの組織分布の例を示す図である。
【
図15】[0048]CD7 CAR-Tの一例の調製を示す図である。
【
図16】[0049]CD7 gRNAスクリーニングの実験データを示す図である。
【
図17】[0050]CAR7、CAR7-mb15およびCAR7-C7Rの例示的な構造を示す図である。
【
図18】[0051]CAR7、CAR7-mb15、CAR7-C7Rおよび対照CAR19のCAR発現、IL15RaおよびCD34の発現、ならびにCD7およびCD3のノックアウト効率の実験データを示す図である。
【
図19】[0052]UCAR-T細胞におけるSTAT5の活性化の実験データを示す図である。IL-2の添加は、CAR7 T細胞のSTAT5を活性化し、IL-2の除去は、pSTAT5レベルを有意に減少させた。CAR7-C7Rにおいて、pSTAT5のレベルは、外因性IL-2の有無にかかわらず、高レベルであった。
【
図20】[0053]CCRF-CEM-luc細胞系におけるUCAR-T細胞の殺傷作用の実験データを示す図である。
【
図21】[0054]同種異系反応性T(同種異系T)細胞におけるUCAR-T細胞の殺傷作用の実験データを示す図である。
【
図22】[0055]24時間におけるNK92細胞系におけるUCAR-T細胞の殺傷作用を示す図である。
【
図23A】[0056]
図23Aは、エンハンサーを発現するUCAR-T細胞がより長く生存した、いくつかのUCAR-T細胞のin vitro増殖の実験データを示す図である。
【
図23B】
図23Bは、IL-2を除去した後のCCRF-CEM腫瘍細胞におけるそれらの殺傷作用の比較の実験データを示す図である。
【
図24A】[0057]
図24Aは、いくつかのUCAR-T細胞のin vitro増殖の実験データを示す図である。
【
図24B】
図24Bは、IL-2を除去し、CCRF-CEMと共培養した後のCCRF-CEM腫瘍細胞における殺傷作用を複数回にわたって比較した実験データを示す図であり、エンハンサーを発現するUCAR-T細胞は、腫瘍抗原の刺激下でより強い増殖を示した。
【
図25】[0058]CCRF-CEM腫瘍を担持する免疫不全マウスにおけるエンハンサーを発現するUCAR-T細胞の増殖の実験データを示す図である。
【
図26】[0059]マウスにおけるCCRF-CEM腫瘍に対するエンハンサーを発現するUCAR-T細胞の殺傷作用の実験データを示す図である。
【
図27】[0060]TCR KO CD7 CAR-T細胞におけるエンハンサーのin vivo比較を示す図である。
【
図28A】[0061]
図28Aは、TCR KO CD7 CAR-T細胞におけるエンハンサーのin vivoでの比較を示す図である。
【
図28B】
図28Bは、TCR KO CD7 CAR-T細胞におけるエンハンサーのin vivoでの比較を示す図である。
【
図29】[0062]RQR8-CD19CAR-MBIL15、RQR8-CD19CAR-MBIL15-IL7、RQR8-CD19CAR-C7RおよびRQR8-CD19CAR-MBIL7の例示的な構造を示す図である。
【
図30】[0063]E3:構成的活性IL7Rαベースのエンハンサー+安全スイッチの設計を示す図である。
【
図31】[0064]CARおよびエンハンサーの発現を示す図である。
【
図32】[0065]
図32Aは、CAR-T機能の試験を示す図である。
図32Bは、CAR-T機能の試験を示す図である。
【
図35A】[0068]
図35Aは、ADCCによる安全スイッチの試験を示す図である。
【
図36A】[0069]
図36Aは、反復刺激後のADCCによる安全スイッチの試験を示す図である。
【
図36B】
図36Bは、反復刺激後のADCCによる安全スイッチの試験を示す図である。
【
図37】[0070]CD7-CD19二重CARの設計の例を示す図である。L719は、ループ-CAR、LHLH=VLVH-VLVH、HLHL=VHVL-VHVLを表し;T197およびT719は、タンデム-CARであり、EAAAKは、2つのLHの間のリンカーである。SP:シグナルペプチド、H:ヒンジ、TM:膜貫通ドメイン。
【
図38A】[0071]
図38Aは、異なる抗体のscFvおよびCD7/CD3(TRAC)のノックアウト効率を用いて構築されたCD7単一CARの発現を示す図である。
【
図38B】
図38Bは、CD7+細胞におけるCARの殺傷作用の実験データを示す図である。LHはVLVHを表し、HLはVHVLを表す。
【
図39】[0072]ループ-CARおよびタンデム-CARの発現の実験データを示す図である。CAR7およびCAR19は単一のCAR対照であり、模擬Tは陰性対照である。
【
図40】[0073]CD7およびCD3(TRAC)のノックアウト効率、ならびにCARによるCD7+細胞の除去の実験データを示す図である。
【
図41】[0074]ループ-CARおよびタンデムCARによるHeLa-CD19+細胞の除去の実験データを示す図である。
【
図42A】[0075]CD7単一CARおよびCD7-CD19二重CARによるNKの完全な殺傷の実験データを示す。
図42Aは、異なるCARによるin vitro増殖末梢血NK除去効率の実験データを示す。
【
図42B】
図42Bは、in vitroで増殖されたNKの実験データが約80%のCD7+細胞を含み;L719-LHLHおよびT197-LHLHによる殺傷後、残りのNK細胞はCD7-細胞であることを示す。
【
図43】[0076]CD7単一CARおよびCD7-CD19二重CARによる同種異系T細胞の迅速な殺傷の実験データを示す図である。
【
図44】[0077]二重CARのin vivo機能の実験データを示す図である。ループCARおよびタンデムCARはいずれも、Raji腫瘍細胞において強力な殺傷作用を示した。
【
図45A】[0078]2つのタンデムCARを比較する実験データを示す図である。
図45Aは、スクリーニングの標準対照としてL719:L719-LHLH、および他の対照としてCAR7、CAR19および模擬Tを用いた実験データを示す図である。
【
図45B】
図45Bは、CD7ノックアウト後の異なるCARによる残りのCD7+細胞の除去の実験データを示す図である。
【
図46】[0079]L719と同様に、HeLa-CD19+細胞における同様の除去効果を示す2つのタンデムCARの実験データを示す図である。
【
図47A】[0080]
図47Aは、L719と同様に、同種異系T細胞における同様の除去効果を示す2つのタンデムCARの実験データを示す図である。
【
図47B】
図47Bは、L719と同様に、NK細胞における同様の除去効果を示す2つのタンデムCARの実験データを示す図である。
【
図48】[0081]
図48は、二重CARのin vivo機能的スクリーニングの実験データを示す図である。ループおよびタンデム二重CARはいずれも、in vivoでCCRF-CEM腫瘍細胞において強力な殺傷作用を示した。
【
図49】[0082]
図49は、rapaC、L719-C7R、およびL719-E3の構造を示す図である。
【
図50A】[0083]
図50Aは、二重CARの機能におけるサイトカインシグナル伝達の効果の実験データを示す。L719およびL719-C7R二重CARの発現の実験データを示す図である。
【
図50B】
図50Bは、HeLa-CD7+細胞における二重CARの殺傷作用の実験データを示す図である。
【
図50C】
図50Cは、HeLa-CD19+細胞における二重CARの殺傷作用の実験データを示す図である。
【
図50D】
図50Dは、L718二重CAR-T細胞におけるエンハンサーおよびCD7の発現の実験データを示す図である。
【
図50E】
図50Eは、L719二重CAR-T細胞の細胞毒性の実験データを示す図である。
【
図50F】
図50Fは、L719二重CAR-T細胞の細胞毒性の実験データを示す図である。
【
図50G】
図50Gは、L719二重CAR-T細胞におけるリン酸化STAT5およびエンハンサーの発現の実験データを示す図である。
【
図50H】
図50Hは、L719二重CAR-T細胞増殖の実験データを示す図である。
【
図50I】
図50Iは、HeLa-CD19+細胞における二重CARの殺傷作用の実験データを示す図である。
【
図50J】
図50Jは、HeLa-CD7+細胞における二重CARの殺傷作用の実験データを示す図である。
【
図51】[0084]CD137 mRNAの例示的な組織分布を示す図である。
【
図52】[0085]CD137-CD19 AAC/CARの例示的な構造図を示す図である。
【
図53】[0086]CD137-CD19普遍的CAR-Tの調製プロセスの例を示す図である。
【
図54A】[0087]TCRノックアウト自家CAR-T細胞の細胞増殖における欠陥を示す実験データを示す。
図54Aは、注入前および注入後のTCR+細胞の画分を示すFACSデータを示す図である。
【
図54C】
図54Cは、TCRを伴うまたは伴わないCAR-T細胞の増殖差の比較を示す図である。
【
図55A】[0088]TCRノックアウト(KO)CD7 CAR-T細胞(例えば、UCART7細胞またはCAR7細胞とも呼ばれるCD7を標的とするCARを有するCAR-T細胞)の増殖および持続におけるC7Rの効果を示す実験データを示す。
図55Aは、エンハンサーC7Rを伴うまたは伴わないTCR KO CD7 CAR-T増殖データを示す図である。
【
図55B】
図55Bは、エンハンサーを伴うまたは伴わないTCR KO CD7 CAR-T細胞の増殖データを示す図である。
【
図56A】[0089]エンハンサーC7RまたはE3(EGFRt+IL7Rα)を発現するTCR KO CD7 CAR-T細胞のSTAT5リン酸化、細胞持続性および細胞毒性を示す実験データを示す。
図56Aは、エンハンサーを発現するCAR-T細胞の画分の実験データを示す図である。
【
図56B】
図56Bは、TCR KO CD7 CAR-T細胞の細胞毒性を示す図である。
【
図56C】
図56Cは、IL2の非存在下におけるCAR-T細胞の増殖データを示す図である。
【
図56D】
図56Dは、エンハンサーを発現し、リン酸化STAT5を有するCAR-T細胞の画分の実験データを示す図である。
【
図57A】[0090]UCAR-T GC197細胞(例えば、CD19とCD7の両方を標的とするCARを有する多特異的CAR-T細胞)の増殖および持続性を示す実験データを示す。
図57Aは、がん抗原刺激の存在下で2つの異なるドナー由来のエンハンサーC7Rを発現するUCAR-T GC197細胞の増殖データを示す図である。
【
図57B】
図57Bは、IL2または抗原刺激の非存在下でエンハンサーC7Rを発現するUCAR-T GC197細胞の増殖データを示す図である。
【
図58A】[0091]UCAR-T GC197細胞の増殖および持続性を示す実験データを示す。
図58Aは、CD7およびエンハンサーC7RまたはE3(EGFRt+IL7Rα)を発現するCAR-T細胞の画分を示す実験データを示す図である。
【
図58B】
図58Bは、エンハンサーC7RまたはE3(EGFRt+IL7Rα)を発現するUCAR-T GC197細胞の増殖データを示す図である。
【
図58C】
図58Cは、がん抗原刺激の存在下でエンハンサーC7RまたはE3(EGFRt+IL7Rα)を発現するUCAR-T GC197細胞の増殖データを示す図である。
【
図59A】[0092]K562-CAR19プロファイリングおよびナチュラルキラー(NK)細胞殺傷アッセイの実験データを示す。
図59Aは、CAR(例えば、CAR19またはCD19を標的とするCAR)およびエンハンサーCD47またはE4(CD47+IL7Rα)を発現するK562細胞の画分の実験データを示す図である。
【
図59B】
図59Bは、エンハンサーCD47またはE4(CD47+IL7Rα)を発現するK562-CAR19に対するNK細胞の細胞毒性の実験データを示す図である。
【
図60A】[0093]UCART19細胞(例えば、CD19を標的とするCARを有するCAR-T細胞、CD19 CAR-T細胞またはCAR19細胞とも呼ばれる)のSTAT5リン酸化および細胞持続性を示す実験データを示す。
図60Aは、リン酸化STAT5およびCAR19を有するTCR KO CAR19細胞の画分の実験データを示す図である。
【
図60B】
図60Bは、エンハンサーC7R、CD47またはE4(CD47+IL7Rα)を発現するTCR KO CD19 CARの増殖データを示す図である。
【
図61A】[0094]
図61Aは、L719-E3細胞におけるE3の安全スイッチ機能を示す図である。
【
図61B】
図61Bは、L719-E3細胞におけるE3の安全スイッチ機能を示す図である。
【
図62A】[0095]
図62は、補体依存性細胞傷害アッセイ(CDCアッセイ)によってCAR7-E3およびL719-E3において試験されたE3の安全スイッチ機能を示す図である。
【
図62B】
図62は、補体依存性細胞傷害アッセイ(CDCアッセイ)によってCAR7-E3およびL719-E3において試験されたE3の安全スイッチ機能を示す図である。
【
図63A】[0096]
図63は、サイトカインシグナル伝達増強を伴わない、またはmbIL15、C7R、もしくはE3発現を伴うTCR/CD7二重ノックアウトCAR7細胞におけるIL2およびIFNγの発現を示す図である。
【
図63B】[0096]
図63は、サイトカインシグナル伝達増強を伴わない、またはmbIL15、C7R、もしくはE3発現を伴うTCR/CD7二重ノックアウトCAR7細胞におけるIL2およびIFNγの発現を示す図である。
【
図64】[0097]
図64は、サイトカインシグナル伝達増強を伴わない、またはC7RもしくはE3発現を伴うTCR/CD7二重ノックアウトCD19/CD7二重ノックアウトCAR-L719細胞におけるIL2およびIFNγの発現を示す図である。
【
図65】[0098]
図65は、CD2 gRNAスクリーニングを示す図である。
【
図66A】[0099]
図66は、CD19 CAR-TとTCR KO CD19 CAR-T細胞を比較するin vivo GvHD研究を示す図である。
【
図66B】[0099]
図66は、CD19 CAR-TとTCR KO CD19 CAR-T細胞を比較するin vivo GvHD研究を示す図である。
【
図66C】[0099]
図66は、CD19 CAR-TとTCR KO CD19 CAR-T細胞を比較するin vivo GvHD研究を示す図である。
【
図67A】[00100]
図67は、T-急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)患者を治療するためのCAR7-C7Rの臨床データを示す図である。
【
図67B】[00100]
図67は、T-急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)患者を治療するためのCAR7-C7Rの臨床データを示す図である。
【
図67C】[00100]
図67は、T-急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)患者を治療するためのCAR7-C7Rの臨床データを示す図である。
【
図67D】[00100]
図67は、T-急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)患者を治療するためのCAR7-C7Rの臨床データを示す図である。
【
図67E】[00100]
図67は、T-急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)患者を治療するためのCAR7-C7Rの臨床データを示す図である。
【
図68】[00101]CAR7およびCAR7-E3 UCAR-T細胞のin vivo有効性のBLIイメージングを示す図である。
【
図69】[00102]L719およびL719-C7R UCAR-T細胞のin vivo有効性のBLIイメージングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[00103]本明細書において、本発明の様々な実施形態が示され説明されるが、そのような実施形態は単なる一例として提供されるに過ぎないということは、当業者に明かであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多くの変形、変更、および置換を思いつき得る。本明細書において説明される本発明の実施形態に対する様々な代替策を用いてもよいことは、理解されるべきである。
【0035】
[00104]用語「約(about)」は、本明細書において使用される場合、決定された特定の値または組成に対する、許容範囲内の値または組成を意味し、それらは、いくらかは、値または組成がどのように測定されるか、または測定された値または組成に応じて、すなわち、特定システムの限界に依存するであろう。例えば、「約(about)」は、当技術分野において1回の実施あたり1標準偏差以内または1標準偏差超を意味し得る。あるいは、「約(about)」は、最高で20%まで、最高で10%まで、最高で5%まで、または最高で1%までの範囲を意味することができる。あるいは、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、当該用語は、値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。特に明記されない限り、本明細書および特許請求の範囲において特定の値が記載される場合、当該用語「約(about)」は、当該特定の値に対する、想定されるべき許容可能な誤差の範囲内であることを意味する。
【0036】
[00105]用語「投与すること(administering)」は、本明細書において使用される場合、任意の様々な方法および送達システム、例えば、注射または注入による、静脈内経路、筋肉内経路、皮下経路、腹腔内経路、脊髄経路、または非経口投与の他の経路などを使用して、本開示の産物を対象内へと物理的に導入することを意味する。
【0037】
[00106]用語「抗原」は、本明細書において使用される場合、選択的結合剤が結合することのできる分子またはその断片を意味する。一例として、抗原は、受容体などの選択的結合剤が結合することができるリガンドであり得る。別の例として、抗原は、免疫学的タンパク質(例えば、抗体)などの選択的結合剤が結合することのできる抗原分子であり得る。抗原は、その抗原に結合することができる抗体を産生するために動物において使用することができる分子またはその断片も意味することができる。場合により、抗原は、基質(例えば、細胞膜)に結合し得る。あるいは、抗原は、基質(例えば、分泌された分子、例えば、分泌されたポリペプチドなど)に結合し得ない。
【0038】
[00107]用語「抗体(Ab)」は、本明細書において使用される場合、これらに限定されるわけではないが、抗原に特異的に結合し、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖とを含む免疫グロブリンまたはその抗原を包含する。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVHと略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメインCH1、CH2、およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、定常ドメインCLを含む。VHおよびVL領域はさらに、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超変異性領域に分けることができる。各VHおよびVLは、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4、においてアミノ末端からカルボキシ末端へと配列された3つのCDRと4つのFRを含む。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。
【0039】
[00108]用語「ヌクレオチド」は、本明細書において使用される場合、概して、塩基-糖-リン酸組み合わせ物を意味する。ヌクレオチドは、合成ヌクレオチドを含むことができる。ヌクレオチドは、合成ヌクレオチド類似物を含むことができる。ヌクレオチドは、核酸配列(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA))の単量体ユニットであり得る。用語ヌクレオチドは、リボヌクレオシド三リン酸、アデノシン三リン酸(ATP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シトシン三リン酸(CTP)、グアノシン三リン酸(GTP)、およびデオキシリボヌクレオシド三リン酸、例えば、dATP、dCTP、dITP、dUTP、dGTP、dTTP、またはその誘導体などを包含することができる。そのような誘導体は、例えば、[αS]dATP、7-デアザ-dGTPおよび7-デアザ-dATP、ならびにそれらを含む核酸分子にヌクレアーゼ抵抗性を付与するヌクレオチド誘導体を含むことができる。用語ヌクレオチドは、本明細書において使用される場合、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTP)およびそれらの誘導体を意味し得る。ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸の具体例は、これらに限定されるわけではないが、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP、およびddTTPを含み得る。ヌクレオチドは、標識されなくてもよく、または周知の技術によって検出可能に標識することもできる。標識化は、量子ドットによっても実施することができる。検出可能な標識は、例えば、放射性同位元素、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、および酵素標識を含み得る。ヌクレオチドの蛍光標識は、これらに限定されるわけではないが、フルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、2’7’-ジメトキシ-4’5-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、ローダミン、6-カルボキシローダミン(R6G)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、4-(4’ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、カスケードブルー、オレゴングリーン、テキサスレッド、シアニン、および5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)を含み得る。蛍光標識されたヌクレオチドの具体例は、Perkin Elmer、フォスター、カルフォルニア州から入手可能な、[R6G]dUTP、[TAMRA]dUTP、[R110]dCTP、[R6G]dCTP、[TAMRA]dCTP、[JOE]ddATP、[R6G]ddATP、[FAM]ddCTP、[R110]ddCTP、[TAMRA]ddGTP、[ROX]ddTTP、[dR6G]ddATP、[dR110]ddCTP、[dTAMRA]ddGTP、および[dROX]ddTTP;Amersham、アーリントンハイツ、イリノイ州から利用可能な、FluoroLink デオキシリボヌクレオチド、FluoroLink Cy3-dCTP、FluoroLink Cy5-dCTP、FluoroLink Fluor X-dCTP、FluoroLink Cy3-dUTP、およびFluoroLink Cy5-dUTP;Boehringer Mannheim、インディアナポリス、インディアナ州から入手可能な、フルオレセイン-15-dATP、フルオレセイン-12-dUTP、テトラメチル-ローダミン-6-dUTP、IR770-9-dATP、フルオレセイン-12-ddUTP、フルオレセイン-12-UTP、およびフルオレセイン-15-2’-dATP;ならびにMolecular Probes、ユージン、オレゴン州から入手可能な、染色体標識されたヌクレオチド、BODIPY-FL-14-UTP、BODIPY-FL-4-UTP、BODIPY-TMR-14-UTP、BODIPY-TMR-14-dUTP、BODIPY-TR-14-UTP、BODIPY-TR-14-dUTP、カスケードブルー-7-UTP、カスケードブルー-7-dUTP、フルオレセイン-12-UTP、フルオレセイン-12-dUTP、オレゴングリーン488-5-dUTP、ローダミングリーン5UTP、ローダミングリーン-5-dUTP、テトラメチルローダミン-6-UTP、テトラメチルローダミン-6-dUTP、テキサスレッド-5-UTP、テキサスレッド-5-dUTP、およびテキサスレッド-12-dUTPを含み得る。ヌクレオチドは、化学修飾によっても標識またはマーク付けすることができる。化学修飾された単一のヌクレオチドは、ビオチン-dNTPであり得る。ビオチン化されたdNTPのいくつかの非限定的な例は、ビオチン-dATP(例えば、バイオ-N6-ddATP、ビオチン-14-dATP)、ビオチン-dCTP(例えば、ビオチン-11-dCTP、ビオチン-14-dCTP)、およびビオチン-dUTP(例えば、ビオチン-11-dUTP、ビオチン-16-dUTP、ビオチン-20-dUTP)を含み得る。
【0040】
[00109]用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドの高分子形態、単鎖、二本鎖、または多鎖形態のいずれかにおける、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのどちらかまたはそれらの類似物を意味するために相互互換的に使用される。ポリヌクレオチドは、細胞に対して外因性または内因性であり得る。ポリヌクレオチドは、無細胞環境に存在することができる。ポリヌクレオチドは、遺伝子またはその断片であり得る。ポリヌクレオチドは、DNAであり得る。ポリヌクレオチドは、RNAであり得る。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有することができ、既知のまたは知られていない任意の機能を実施することができる。ポリヌクレオチドは、1種または複数種の類似物(例えば、変更された主鎖、糖、または核酸塩基)を含み得る。存在する場合、当該ヌクレオチド構造に対する変更を、高分子の組み立ての前または後に付与することができる。類似物のいくつかの非限定的な例としては、5-ブロモウラシル、ペプチド核酸、ゼノ核酸、モルホリノ、ロックド核酸、グリコール核酸、トレオース核酸、ジデオキシヌクレオチド、コルジセピン、7-デアザ-GTP、フルオロホア(例えば、糖に結合したローダミンまたはフルオレセイン)、チオール含有ヌクレオチド、ビオチン結合ヌクレオチド、蛍光塩基類似物、CpGアイランド、メチル-7-グアノシン、メチル化されたヌクレオチド、イノシン、チオウリジン、シュードウリジン、ジヒドロウリジン、ケウオシン、およびワイオシンが挙げられる。ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、遺伝子または遺伝子断片のコード領域または非コード領域、連鎖解析から定義された遺伝子座、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロ-RNA(miRNA)、リボザイム、相補的DNA、組換えポリヌクレオチド、分岐鎖状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、単離された任意の配列のDNA、単離された任意の配列のRNA、無細胞DNA(cfDNA)および無細胞RNA(cfRNA)を含む無細胞ポリヌクレオチド、核酸プローブ、およびプライマーが挙げられる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって割り込まれていてもよい。
【0041】
[00110]用語「遺伝子」は、本明細書において使用される場合、核酸(例えば、ゲノムDNAおよびcDNAなどのDNA)、およびRNA転写物をコードすることに関与するその対応するヌクレオチド配列を意味する。当該用語は、ゲノムDNAに関して本明細書において使用される場合、介在領域、非コード領域、および調節領域を含み、ならびに5’および3’末端を含み得る。いくつかの使用において、当該用語は、5’および3’非翻訳領域(5’-UTRおよび3’-UTR)、エクソン、およびイントロンを含む転写配列を包含する。いくつかの遺伝子において、当該転写領域は、ポリペプチドをコードする「オープンリーディングフレーム」を含むであろう。当該用語のいくつかの使用において、「遺伝子」は、ポリペプチドをコードするために必要なコード配列(例えば、「オープンリーディングフレーム」または「コード領域」のみを含む。場合によって、遺伝子は、ポリペプチド、例えば、リボソームRNA遺伝子(rRNA)およびトランスファーRNA(tRNA)遺伝子をコードしない。場合によって、用語「遺伝子」は、転写配列のみを含むのではなく、さらに、上流および下流の調節領域、エンハンサー、およびプロモーターを含む非転写領域も含む。遺伝子は、有機体のゲノムでのその本来の位置における「内因性遺伝子」または天然遺伝子を意味することができる。遺伝子は、「外因性遺伝子」または非天然遺伝子を意味することができる。非天然遺伝子は、宿主有機体において通常は見出されないが遺伝子導入によって当該宿主有機体に導入された遺伝子を意味することができる。非天然遺伝子は、有機体のゲノムでのその天然の位置ではない遺伝子も意味することができる。非天然遺伝子は、変異、挿入、および/または欠失を含んだ天然に存在する核酸またはポリペプチド配列(例えば、非天然配列)も意味することができる。
【0042】
[00111]用語「内因性」は、本明細書において使用される場合、通常は細胞または組織において発現される核酸分子またはポリペプチドを意味する。
[00112]用語「外因性」は、本明細書において使用される場合、細胞内に内因的には存在しないかまたは過剰発現において得られる機能効果を達成するのに十分なレベルにおいて存在する核酸分子またはポリペプチドを意味する。したがって、用語「外因的」は、細胞において発現される任意の組換え核酸分子またはポリペプチド、例えば、外来性の、異種の、および過剰発現された、核酸分子およびポリペプチドを含む。
【0043】
[00113]用語「T細胞およびNK細胞コンセンサスマーカー」は、本明細書において使用される場合、T細胞およびNK細胞上に共存するマーカー、例えば、これらに限定されるわけではないが、CD2、CD7、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD69、CD100、CD122、CD132、CD161、CD159a、CD159c、CD314などを意味する。
【0044】
[00114]用語「T細胞および/またはNK細胞のマーカー」は、本明細書において使用される場合、それぞれT細胞またはNK細胞に存在するマーカー、またはT細胞およびNK細胞の両方に存在するマーカー、例えば、これらに限定されるわけではないが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、SLAMF7などを意味する。
【0045】
[00115]用語「機能的に不活性化する」または「機能的不活性化」は、本明細書において使用される場合、機能的遺伝子または当該遺伝子の産物、例えば、mRNAまたはタンパク質など、が阻まれるかまたは阻害されることを意味する。不活性化は、発現が生じないような遺伝子またはそれらのプロモーターの欠失、追加、または置換によって、あるいはmRNAまたはタンパク質などの遺伝子産物が不活性となるような遺伝子のコード配列の変異によって、達成され得る。機能的不活性化は、完全または部分的であってもよい。遺伝子の不活性化は、遺伝子サイレンシング、ノックアウト、阻害、および妨害を含む、全ての程度の不活性化を包含することができる。いくつかの実施形態において、機能的不活性化は、CRISPR-Cas9システムによって導入される。
【0046】
[00116]用語「対象(subject)」、「個体(individual)」、および「患者」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、例えば、ヒトなどを意味するために、本明細書において相互互換的に使用される。哺乳動物としては、これらに限定されるわけではないが、マウス、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物、および愛玩動物が挙げられる。in vivoにおいて得られた、またはin vitroにおいて培養された、生物学的存在の組織、細胞、およびそれらの後代も包含される。
【0047】
[00117]用語「治療(treatment)」および「治療すること(treating)」は、本明細書において使用される場合、有益なまたは所望の結果、例えば、これらに限定されるわけではないが、治療効果および/または予防効果などを得るためのアプローチを意味する。例えば、治療は、本明細書において開示されるシステムまたは細胞集団を投与する工程を含むことができる。治療効果は、治療下において1つまたは複数の状態(例えば、疾患または症状)における任意の治療的に関連する改善、または当該状態に対する治療的に関連する効果を意味する。予防効果の場合、まだ特定の状態が生じ得ていない場合でも、当該状態を生じるリスクにある対象、または疾患の生理学的症状の1つまたは複数を報告する対象、に組成物を投与することができる。
【0048】
概要
[00118]CARは、細胞外抗原認識領域、例えば、scFv(単鎖可変断片)、膜貫通領域、および細胞内共刺激シグナル領域を含むことができる。CARの細胞外ドメインは、特定の抗原を認識することができ、当該シグナルを細胞内ドメインによって伝達することができ、それにより、T細胞活性化および増殖、細胞溶解毒性、およびサイトカインの分泌を生じさせることができ、それにより、標的細胞を消失させることができる。最初に、CAR-T細胞を生成するために、患者の自己T細胞(または異種ドナー)を単離し、活性化し、ならびに遺伝子操作することができ、次いで、当該CAR-T細胞を、その患者に注入することができる。この方法において、移植片対宿主反応病の確率が減少され得、当該抗原は、非MHC拘束性の方式においてT細胞によって認識され得る。さらに、CAR-Tは、当該抗原を発現する全てのがんを治療することができる。
【0049】
[00119]本開示は、細胞、例えば、免疫細胞を操作するための組成物および方法を提供し、それにより、当該細胞は、二重特異的CARまたは多価CARによって、疾患関連抗原(例えば、腫瘍関連抗原または腫瘍細胞マーカー)および免疫細胞抗原(例えば、CD3、CD7、またはCD137)の両方を標的にすることができる。例えば、本開示は、腫瘍細胞マーカーおよび免疫細胞抗原、例えば、CD3などを標的にすることができる操作された免疫細胞を提供する。内因性TCRは、不活性化(例えば、妨害、阻害、ノックアウト、またはサイレンシング)することができる。腫瘍細胞マーカーおよび免疫細胞抗原を標的にする本開示のCAR-Tは、陽性腫瘍細胞を消失させることができ、ならびに宿主免疫細胞抗原陽性T細胞およびNK細胞を除去することができ、それにより、宿主拒絶反応(HVG)を回避することができる。本開示において、当該操作された免疫細胞の内因性TCRは、ノックアウトすることができ、ならびに植片対宿主病(GVHD)を予防することができ、それにより、汎用的または普遍的CAR-T(UCAR-T)細胞を調製することができる。当該操作された免疫細胞は、自己T細胞または同種異系T細胞に由来し得る。
【0050】
[00120]その上、当該操作された免疫細胞は、細胞自殺要素(例えば、誘導性細胞死部分)を含むことができ、ならびに当該CAR-Tは、副作用を減じるために、いつでも不活性化/除去することができる。場合によって、当該操作された免疫細胞は、さらに、エンハンサー部分を含むことができる。当該エンハンサー部分は、当該操作された免疫細胞が対象に投与された場合に当該操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を調節することができる。例えば、エンハンサー部分は、サイトカイン(例えば、IL-5またはIL-7)、またはサイトカイン受容体(例えば、IL-5RまたはIL-7R)であり得る。当該エンハンサー部分は、当該操作された免疫細胞内のシグナル伝達経路、例えば、STAT5シグナル伝達経路を増強することができる。いくつかの実施形態において、当該操作された免疫細胞は、CD19およびCD3の両方を標的にする二重特異的CARを含む。この例において示される当該操作された免疫細胞は、さらに、誘導性細胞死部分、例えば、トランケートされた上皮成長因子受容体(EGFRtまたはtEGFR、これらは、本明細書において相互股間的に使用することができる;米国特許第9447194B2号および国際公開第2018038945号を参照されたい)などを含むことができる。
【0051】
[00121]当該誘導性細胞死部分または当該エンハンサー部分は、別々の発現ベクターによって免疫細胞に導入することができる。場合によって、当該誘導性細胞死部分および当該エンハンサー部分は、両方の部分をコードする配列を含む発現ベクターによって免疫細胞に導入してもよい。場合によって、当該誘導性細胞死部分および当該エンハンサー部分は連結され、キメラポリペプチドとして発現される。
【0052】
[00122]細胞療法における本明細書において提供される操作された免疫細胞の適用は、患者の疾患(例えば、がん)を治療することができ、GVHDおよびHvGを回避するために予めラージスケールにおいて調製することができ、治療コストを減らすことができ、必要であればいつでもCAR-Tを不活性化することができ、免疫療法の副作用を減らすことができ、ならびに製品安全性を確保することができる。本明細書において提供される操作された免疫細胞は、普遍的CAR-T細胞(UCAR-T細胞)と呼ぶことができる。
【0053】
キメラ抗原受容器(CAR)
[00123]本明細書において提供される細胞(例えば、免疫細胞または操作された免疫細胞)は、1種または複数種のCARを含むことができる。当該CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むことができる。細胞外ドメインは、標的特異的結合性要素(抗原結合性ドメインとしても知られる)を含むことができる。細胞内ドメインは、共刺激シグナル伝達領域およびゼータ(ζ)鎖部分を含み得る。共刺激シグナル伝達領域は、共刺激分子の細胞内ドメインを含むCARの一部を意味する。共刺激分子は、抗原に対するリンパ球の効率的な応答に必要であり得る抗原受容体またはそれらのリガンド以外の細胞表面分子である。当該CARの細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間、または当該CARの細胞質ドメインと膜貫通ドメインとの間には、スペーサードメインが組み込まれ得る。本明細書において使用される場合、用語「スペーサードメイン」は、概して、膜貫通ドメインを、細胞外ドメインかまたはポリペプチド鎖の細胞質ドメインのどちらかに連結させるために機能する、任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを意味する。スペーサードメインは、最高で300までのアミノ酸、好ましくは10から100のアミノ酸、最も好ましくは25から50のアミノ酸を含み得る。
【0054】
[00124]膜貫通ドメインに関して、当該CARは、当該CARの細胞外ドメインに融合される膜貫通ドメインを含むように設計することができる。一実施形態において、当該CARのドメインの1つに天然に関連付けられた膜貫通ドメインが使用される。場合によって、当該膜貫通ドメインは、受容体複合体の他の膜との相互作用を最小限に抑えるために、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避するように選択され得るかまたはアミノ酸置換によって修飾され得る。
【0055】
[00125]膜貫通ドメインは、天然源または合成源のどちらかに由来し得る。当該源が天然の場合、当該ドメインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来し得る。本開示における特定の使用の膜貫通領域は、T細胞受容体のα、β、またはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、またはIgG4などの免疫グロブリンに由来し得る(例えば、その少なくとも膜貫通領域を含み得る)。あるいは、膜貫通ドメインは、合成してもよく、その場合、当該ドメインは、ロイシンおよびバリンなどの疎水性基を支配的に含むであろう。好ましくは、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各端部に見出されるであろう。任意選択により、短いオリゴペプチドまたはポリペプチドリンカー、好ましくは2から10の間の長さのアミノ酸が、当該CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間の結合を形成し得る。グリシン-セリンダブレットは、特定の好適なリンカーを提供する。
【0056】
[00126]本開示のCARの細胞質ドメインか、そうでなければ細胞内シグナル伝達ドメインは、CARが入れられている免疫細胞の正常なエフェクター機能の少なくとも1つの活性化を担うことができる。用語「エフェクター機能」は、細胞の特殊機能を意味する。例えば、T細胞のエフェクター機能は、サイトカインの分泌を含む細胞溶解活性またはヘルパー活性であり得る。したがって、用語「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、特殊機能を実施するために、エフェクター機能シグナルを伝達して細胞に送るタンパク質の一部分を意味する。通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体を用いることができるが、多くの場合、鎖全体を使用する必要はない。当該細胞内シグナル伝達ドメインにおけるトランケートされた一部分が使用される限りにおいて、そのようなトランケートされた一部分は、それがエフェクター機能シグナルを伝達する限り、完全な鎖の代わりに使用してもよい。したがって、細胞内シグナル伝達ドメインなる用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な、当該細胞内シグナル伝達ドメインの任意のトランケートされた一部分を含むことを意味する。
【0057】
[00127]本開示のCARでの使用のための細胞内シグナル伝達ドメインの例としては、初期シグナル伝達とその後の抗原受容体エンゲージメントと協力して作用するTCRおよび共受容体の細胞質配列、ならびに、これらの配列の任意の誘導体またはバリアントおよび同じ機能的能力を有する合成配列が挙げられる。
【0058】
[00128]TCR単独によって生成されるシグナルは、T細胞の完全な活性化にとっては不十分であり得、二次または共刺激シグナルを含ませてもよい。したがって、T細胞活性化は、2つの異なるクラスの細胞質シグナル伝達配列:TCRによって抗原依存性一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達配列)、および二次または共刺激シグナルを提供するために抗原非依存性の方式において機能するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)、によって媒介されると言える。
【0059】
[00129]一次細胞質シグナル伝達配列は、刺激性の方法または抑制性の方法のどちらかにおいて、TCR複合体の一次活性化を調節することができる。刺激性の方法において機能する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシン系活性化モチーフまたはITAMとして知られるシグナルモチーフを含み得る。本開示において特に有用な一次細胞質シグナル伝達配列を含むITAMの例としては、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dに由来するものが挙げられる。本開示のCARにおける細胞質シグナル伝達分子が、CD3ζに由来する細胞質シグナル伝達配列を含むことは、特に好ましい。
【0060】
[00130]いくつかの実施形態において、当該CARの細胞質ドメインは、それ自体によってCD3ζシグナル伝達ドメインを含むように設計することができ、または本開示のCARとの関連において有用な任意の他の所望の細胞質ドメインと組み合わせることができる。例えば、CARの細胞質ドメインは、CD3ζ鎖部分および共刺激シグナル伝達領域を含むことができる。当該共刺激シグナル伝達領域は、共刺激分子の細胞内ドメインを含むCARの一部分を意味する。共刺激分子は、抗原に対するリンパ球の効率的な応答に必要であり得る抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子である。そのような分子の例としては、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびCD83に特異的に結合するリガンドなどが挙げられる。したがって、本開示は、場合によって、共刺激シグナル伝達要素としての4-1BBで例示されるが、他の共刺激要素も、本開示の範囲内である。
【0061】
[00131]本開示のCARの細胞質シグナル伝達部分内の細胞質シグナル伝達配列は、ランダムにおいてまたは指定された順序においてお互いに連結され得る。任意選択により、短いオリゴペプチドまたはポリペプチドリンカー、好ましくは2から10の間の長さのアミノ酸が、当該結合を形成してもよい。グリシン-セリンダブレットは、特定の好適なリンカーを提供する。
【0062】
[00132]いくつかの実施形態において、当該細胞質ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメインとCD28のシグナル伝達ドメインとを含むように設計される。別の実施形態において、当該細胞質ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメインと4-1BBのシグナル伝達ドメインとを含むように設計される。さらなる別の実施形態において、当該細胞質ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメインとCD28および4-1BBのシグナル伝達ドメインとを含むように設計される。
【0063】
[00133]本明細書において提供されるCARは、1つまたは複数の抗原結合性ドメインを含むことができる。場合によって、本明細書において提供されるCARは、免疫細胞抗原(例えば、T細胞またはNK細胞の殺活性を阻害するため)および疾患関連抗原(例えば、腫瘍関連抗原)の両方を標的にすることができる抗原結合性ドメインを含む。例えば、免疫細胞抗原およびがん抗原の両方を標的にする抗原結合性ドメインとしては、これらに限定されるわけではないが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD69、CD100、CD122、CD132、CD137、CD161、CD159a、CD159c、CD279、CD314、CD319(CS1)、およびTCRが挙げられる。
【0064】
[00134]場合によって、本明細書において提供されるCARは、2つの抗原結合性ドメインを含み、それにより、1つの個々のCARは、2つの異なる抗原を標的にする二重特異的CARである。二重特異的CARの場合、一方の抗原結合性ドメインは、免疫細胞抗原を標的にすることができ、他方の抗原結合性ドメインは、疾患関連抗原を標的にすることができる。二重特異的CARの2つの抗原結合性ドメインは、タンデム構造、並列構造、またはループ構造を有することができる。
【0065】
[00135]例えば、CARは、腫瘍細胞マーカーおよびCD3を標的にすることができる。当該CARは、式I:L-scFv1-I-scFv2-H-TM-C-CD3ζ(I)、の構造を有することができ、この場合、各「-」は、独立して、リンカーペプチドまたはペプチド結合であり;Lは、任意選択により、シグナル伝達ペプチド配列であり;Iは、柔軟なリンカーであり;Hは、任意選択により、ヒンジ領域であり;TMは、膜貫通ドメインであり;Cは、共刺激ドメインであり;CD3ζは、CD3ζ由来の細胞質シグナル伝達配列であり;scFv1およびscFv2の一方は、腫瘍細胞マーカーを標的にする抗原結合性ドメインであり;もう一方は、CD3を標的にする抗原結合性ドメインである。当該CARは、式IIまたはII’:L-VL-scFv-VH-H-TM-C-CD3ζ(II)、L-VH-scFv-VL-H-TM-C-CD3ζ(II’)、の構造を有することができ、この場合、各「-」は、独立して、リンカーペプチドまたはペプチド結合であり;要素L、H、TM、C、およびCD3ζは、上記において説明される通りであり;scFvは、腫瘍細胞マーカーを標的にする抗原結合性ドメインであり;VHは、抗CD3抗体重鎖可変領域であり;VLは、抗CD3抗体軽鎖可変領域であり;またはscFvは、CD-3を標的にする抗原結合ドメインであり;VHは、抗腫瘍細胞マーカー抗体重鎖可変領域であり;VLは、抗腫瘍細胞マーカー抗体軽鎖可変領域である。
【0066】
[00136]場合によって、CARは、EGFRt-CD3scFv-CD19scFv-ヒンジ-TM-CD28/41BB-CD3ζ、の構造を含むことができ、この場合、EGFRtは、安全スイッチとしての、トランケートされたEGFRであり(例えば、誘導性細胞死部分)、CD3 scFvは、GSリンカーによって連結されたモノクローナル抗体OKT3またはUCHT1の重鎖および軽鎖可変領域のsvFCv断片であり、CD19 scFv断片は、GSリンカーによって連結されたモノクローナルFMC63抗体の重鎖および軽鎖可変領域である。当該CARの構造はさらに、ヒンジ、膜貫通領域、CD28または41BBの共刺激シグナル伝達領域、および/またはCD3ζ細胞内ドメインを含むことができる。本開示において、EGFRt-CD3 scFv-CD19 scFv-ヒンジ-TM-CD28/41BB-CD3ζの核酸コンストラクトは、ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)に挿入することができる。当該ベクターは、293T細胞にパッケージすることができる。T細胞は、PBMCから選別することができ、ならびに活性化後、TCRおよびPD-1遺伝子は、CRISPR/CAS技術によってノックアウトすることができる。次いで、T細胞は、CARを発現させるために当該ベクターに感染させられ得る。調製されたCAR-T細胞は、フローサイトメトリーによってCARの感染効率および遺伝子編集効率を検出するために使用することができる。
【0067】
[00137]上記実施例の免疫細胞マーカー、例えば、CD3は、他の免疫細胞マーカー、例えば、CD7およびCD137など、で置き換えることができる。
[00138]場合によって、2つの抗原結合性ドメインを含むCARが、タンデム形態において配置される。いくつかの実施形態において、第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインは、アミノ末端からカルボキシ末端へと、(i)VL2-VH2-VL1-VH1;(ii)VL2-VH2-VH1-VL1;(iii)VL1-VH1-VL2-VH2;(iv)VL1-VH1-VH2-VL2;(v)VH2-VL2-VL1-VH1;(vi)VH2-VL2-VH1-VL1;(vii)VH1-VL1-VL2-VH2;または(viii)VH1-VL1-VH2-VL2として配置され、VH1は、上記第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、上記第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、上記第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、上記第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである。例えば、当該CARは、下記式IVまたはIV’:L3-scFv1-R-scFv2-H3-TM3-C3-CD3ζ(IV);L3-scFv2-R-scFv1-H3-TM3-C3-CD3ζ(IV’)、によって表される構造を有することができ、この場合、各「-」は、独立して、リンカーペプチドまたはペプチド結合であり;Lは、任意選択のシグナルペプチド配列であり;scFv1は、腫瘍細胞マーカーを標的にする抗原結合性ドメインであり;Rは、剛直なジョイントまたは柔軟なジョイントであり;scFv2は、T細胞およびNK細胞コンセンサスマーカーを標的にする抗原結合性ドメイン(例えば、抗体単鎖可変領域配列)であり;H3は、任意選択のヒンジ領域であり;TM3は、膜貫通ドメインであり;C3は、共刺激ドメインであり;CD3ζは、CD3ζ由来の細胞質シグナル伝達配列である。
【0068】
[00139]場合によって、2つの抗原結合性ドメインを含むCARは、ループ形態において配置される。場合によって、上記第1の抗原結合性ドメインおよび上記第2の抗原結合性ドメインは、アミノ酸末端からカルボキシル末端へと、(i)VL2-VH1-VL1-VH2;(ii)VH2-VL1-VH1-VL2;(iii)VL1-VH2-VL2-VH1;(iv)VH1-VL2-VH2-VL1;(v)VL2-VL1-VH1-VH2;(vi)VH2-VH1-VL1-VL2;(vii)VL1-VL2-VH2-VH1;または(viii)VH1-VH2-VL2-VL1として配置され、VH1は、上記第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、上記第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、上記第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである。例えば、当該CARは、下記式VI、VI’、VI’’、またはVI’’’:L8-VL1-VH2-I-VL2-VH1-H8-TM8-C8-CD3ζ(VI);L8-VH1-VL2-I-VH2-VL1-H8-TM8-C8-CD3ζ(VI’);L8-VL2-VH1-I-VL1-VH2-H8-TM8-C8-CD3ζ(VI’’)、L8-VH2-VL1-I-VH1-VL2-H8-TM8-C8-CD3ζ(VI’’’)、の構造を有し得、この場合、各「-」は、独立して、リンカーペプチドまたはペプチド結合であり;L8は、任意選択のシグナルペプチド配列であり;VH1は、抗腫瘍細胞マーカー抗体重鎖可変領域であり;VL1は、抗腫瘍細胞マーカー抗体軽鎖可変領域であり;VH2は、抗T細胞およびNK細胞コンセンサスマーカー(例えば、CD7またはCD2など)抗体重鎖可変領域であり;VL2は、抗T細胞およびNK細胞コンセンサスマーカー(例えば、CD7またはCD2など)抗体軽鎖可変領域であり;Iは、柔軟なジョイントであり;H8は、任意選択のヒンジ領域であり;TM8は、膜貫通ドメインであり;C8は、共刺激ドメインであり;CD3ζは、CD3ζ由来の細胞質シグナル伝達配列である。
【0069】
[00140]場合によって、2つの抗原結合性ドメインを含むCARは、並列形態において配置される。当該並列形態は、第2の抗原結合性ドメインを有する第2のCARの完全コンストラクトに連結された第1の抗原結合性ドメインを有する第1のCARの完全コンストラクトを含むことができる。並列形態の例は、tEGFR-CD19scFv-CD28-CD3ζ-CD3scFv-41BB-CD3ζであり、ここに示されるtEGFRは、安全スイッチとして機能することができ、当該安全スイッチは、本開示において説明されるような他の安全スイッチで置き換えることができる。本明細書において説明されるように、CD19 scFvおよびCD3 scFvは、抗原結合性ドメインの2つの例であり、それらは、本開示において説明されるような様々な抗原結合性ドメインで置き換えてもよい。CD28は、膜貫通ドメインの例であり、本明細書において説明される他の膜貫通ドメインで置き換えることができる。41BBは、共刺激ドメインの例であり、本明細書において説明される他の共刺激ドメインで置き換えることができる。場合によって、リンカーが、第1のCARと第2のCARとを連結するために使用される。当該リンカーは、切断可能なリンカーであり得る。当該切断可能なリンカーは、自己切断性ペプチド、例えば、2A自己切断性ペプチドなど、であり得る。
【0070】
[00141]さらに、CARまたは二重特異性CARをコードする核酸分子も本開示において想到される。当該核酸は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の配列を含むことができ、当該CARは、結合部位を含むことができ、結合部位は、(i)対象に投与されたときに当該操作された免疫細胞に対する当該対象の免疫反応を抑制または低減する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)(i)が連結されている、疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含み、ならびに当該1つまたは複数のCARの各CARは、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む。当該第1の抗原結合性ドメインは、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択される免疫細胞抗原を標的にすることができる。当該第2の抗原結合性ドメインは、疾患関連抗原、例えば、CD19などを標的にすることができる。疾患関連抗原の他の非限定的な例としては、BCMA、VEGFR2、CD19、CD20、CD30、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD52、CD56、CD80、CD86、CD81、CD123、cd171、CD276、B7H4、CD133、EGFR、GPC3;PMSA、CD3、CEACAM6、c-Met、EGFRvIII、ErbB2、ErbB3HER-2、HER3、ErbB4/HER-4、EphA2、IGF1R、GD2、O-アセチルGD2、O-アセチルGD3、GHRHR、GHR、Flt1、KDR、Flt4、CD44V6、CEA、CA125、CD151、CTLA-4、GITR、BTLA、TGFBR2、TGFBR1、IL6R、gp130、ルイス、TNFR1、TNFR2、PD1、PD-L1、PD-L2、HVEM、MAGE-A、メソテリン、NY-ESO-1、PSMA、RANK、ROR1、TNFRSF4、CD40、CD137、TWEAK-R、LTPR、LIFRP、LRP5、MUC1、TCRa、TCRp、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robl、Frizzled、OX40、CD79b、クローディン18.2、葉酸塩受容体α、葉酸塩受容体β、GPC2、CD70、BAFF-Rおよびノッチ-1-4が挙げられる。
【0071】
[00142]当該核酸分子は、さらに、エンハンサー部分をコードする第2の配列を含むことができ、エンハンサー部分は、細胞において発現されたときに当該CARの1つまたは複数の活性を高めることができる。当該エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。当該核酸分子は、さらに、誘導性細胞死部分をコードする第2の配列を含むことができ、誘導性細胞死部分は、細胞において発現された場合、細胞死アクティベーターに接触すると当該細胞の死を生じさせることができる。当該誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、およびEGFRtからなる群から選択することができる。
【0072】
[00143]当該核酸分子は、さらに、第1の配列と第2の配列とが隣接する第3の配列を含むことができ、この場合、当該第3の配列は、切断可能なリンカーをコードすることができる。当該切断可能なリンカーは、自己切断性ペプチドであり得る。
【0073】
[00144]当該核酸分子は、さらに、第1の配列および/または第2の配列の発現を調節する調節配列を含むことができる。
[00145]さらに、本明細書において説明される核酸分子を含むキットも本開示において想到される。
【0074】
[00146]場合によって、本明細書において説明されるCARをコードする当該核酸は、操作された細胞を生じるために、当該CARの発現のために免疫細胞中へ送達することができる。
【0075】
供給源細胞
[00147]本開示は、操作された細胞、例えば、操作された免疫細胞などを提供する。当該操作された免疫細胞は、対象から得られる試料から単離された細胞(例えば、免疫細胞)から調製することができる。当該操作された免疫細胞は、細胞株細胞から調製することができる。当該操作された免疫細胞を調製するために使用される免疫細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、またはマクロファージであり得る。当該操作された免疫細胞を調製するために使用される免疫細胞は、生来のリンパ球(ILC)であり得る。
【0076】
[00148]当該操作された免疫細胞を調製するために使用される免疫細胞は、幹細胞であり得る。当該幹細胞は、造血幹細胞(HSC)または誘導された多分化能性幹細胞(iPSC)であり得る。
【0077】
[00149]当該免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)を含み得る。当該TCRは、当該免疫細胞の内因性TCRであり得る。場合によって、当該内因性TCRは、不活性化することができる。例えば、当該TCRのサブユニットをコードする遺伝子を不活性化することができる。例えば、当該免疫細胞は、損なわれたTCRを伴うαβT細胞であり得、それにより、当該免疫細胞は、GVHDを避けることができる。別の例としては、当該内因性TCRの機能は、阻害剤、例えば、TCR由来ペプチド、様々なウイルスの融合タンパク質領域および他のタンパク質領域のアミノ酸配列に由来するペプチド、抗体、および小分子阻害剤など、によって阻害することができる。TCRを阻害するペプチドが由来するウイルスとしては、これらに限定されるわけではないが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、ヘルペスウイルスサイミリ(HVS)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)、ラッサ熱ウイルス(LASV)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、Mopeia(モペイア)(MOPV)、タカリベウイルス(TACV)、フレンドマウス白血病ウイルス(MLV);ヒトTリンパ球性ウイルス1型、(HTLV-1);ヘルペスウイルスアテレス(HVA);マルブルグウイルス(MARV);スーダンエボラウイルス(SEBOV);およびザイールエボラウイルス(ZEBOV)が挙げられる。
【0078】
[00150]場合によって、当該免疫細胞は、GVHD反応を生じ得ないTCRを含有するT細胞であり得る。例えば、当該免疫細胞は、特異的抗原、例えば、ウイルス特異的抗原、腫瘍関連抗原(TAA)、または腫瘍特異的抗原(TSA)などを認識することができるTCRを伴うαβT細胞であり得る。さらなる別の例として、当該免疫細胞は、γδT細胞またはナチュラルキラーT(NKT)細胞であり得る。別の例として、当該免疫細胞は、抗原特異的T細胞(例えば、抗原特異的細胞傷害性T細胞)から作製された誘導された多分化能性幹細胞であり得る。当該免疫細胞は、臍帯血T細胞であり得る。
【0079】
[00151]当該免疫細胞は、細胞表面マーカーを含んでもよい。当該細胞表面マーカーは、免疫細胞抗原であり得る。操作された免疫細胞を調製するために使用される免疫細胞の免疫細胞抗原をコードする遺伝子は、不活性化することができる。免疫細胞抗原の例としては、これらに限定されるわけではないが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7が挙げられる。例えば、場合によって、当該免疫細胞のCD7をコードする遺伝子が不活性化される。場合によって、当該免疫細胞のCD3をコードする遺伝子が不活性化される。場合によって、当該免疫細胞のCD137をコードする遺伝子が不活性化される。
【0080】
[00152]当該免疫細胞は、対象からの試料から単離することができる。当該対象は、健康なドナーであり得る。当該対象は、ある状態(例えば、がんなどの疾患)を有し得る。当該試料は、体液または組織、例えば、これらに限定されるわけではないが、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染症の部位からの組織、腹水、胸膜滲出液、ひ臓組織、および腫瘍など、であり得る。場合によって、試料は、NK細胞、NKT細胞、T細胞、またはT細胞前駆細胞を含む。例えば、場合によって、当該試料は、臍帯血液試料、末梢血液試料(例えば、単核細胞画分)、または多能性細胞を含む対象からの資料である。いくつかの態様において、対象からの試料を培養することにより、誘導された多分化能幹(iPS)細胞を生成することができ、これらの細胞を使用して、NK細胞、NKT細胞、またはT細胞を作製することができる。細胞試料は、対象から直接的に培養してもよく、または使用前に凍結保存してもよい。いくつかの態様において、細胞試料を得る工程は、細胞試料を収集する工程を含む。他の態様において、試料は、第三者から得られる。さらなる態様において、対象からの試料を処理することにより、当該試料中のT細胞またはT細胞の前駆細胞を精製または濃縮することができる。例えば、当該試料を勾配精製、細胞培養選択、および/または細胞選別(例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって)することができる。
【0081】
[00153]当該免疫細胞は、NK細胞であり得る。当該NK細胞は、末梢血、臍帯血、または本明細書において説明される他の供給源から得ることができる。当該NK細胞は、誘導された多分化能性幹細胞に由来し得る。
【0082】
[00154]いくつかの実施形態において、本明細書において提供される方法において用いることができる細胞は、所定の因子に関して陽性または陰性であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書において提供される方法において利用される細胞は、CD3+細胞、CD3-細胞、CD5+細胞、CD5-細胞、CD7+細胞、CD7-細胞、CD14+細胞、CD14-細胞、CD8+細胞、CD8-細胞、CD103+細胞、CD103-細胞、CD11b+細胞、CD11b-細胞、BDCA1+細胞、BDCA1-細胞、L-セレクチン+細胞、L-セレクチン-細胞、CD25+、CD25-細胞、CD27+、CD27-細胞、CD28+細胞、CD28-細胞、CD44+細胞、CD44-細胞、CD56+細胞、CD56-細胞、CD57+細胞、CD57-細胞、CD62L+細胞、CD62L-細胞、CD69+細胞、CD69-細胞、CD45RO+細胞、CD45RO-細胞、CD127+細胞、CD127-細胞、CD132+細胞、CD132-細胞、IL-7+細胞、IL-7-細胞、IL-15+細胞、IL-15-細胞、レクチン様受容体G1陽性細胞、レクチン様受容体G1陰性細胞、またはそれらの分化または脱分化された細胞であり得る。細胞によって発現される因子の例は、限定的であることが意図されず、当業者は、細胞が当技術分野において既知の任意の因子に関して陽性または陰性であり得ることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、細胞は、2つ以上の因子に関して陽性であり得る。例えば、細胞は、CD4+およびCD8+であり得る。いくつかの実施形態において、細胞は、2つ以上の因子に関して陰性であり得る。例えば、細胞は、CD25-、CD44-、およびCD69-であり得る。いくつかの実施形態において、細胞は、1つまたは複数の因子に関して陽性で有り得、ならびに1つまたは複数の因子に関して陰性であり得る。例えば、細胞は、CD4+およびCD8-であり得る。いくつかの態様において、本明細書において提供される細胞マーカーは、細胞の集団を選択、濃縮、または枯渇するために利用することができる。いくつかの態様において、濃縮工程は、単球画分を選択する工程を含む。いくつかの態様において、濃縮工程は、単球画分から免疫細胞の集団を選別する工程を含む。いくつかの実施形態において、当該細胞は、1つまたは複数の所定の因子を有するためにまたは有しないために選択され得る(例えば、細胞は、1つまたは複数の因子の存在または非存在に基づいて分離され得る)。いくつかの実施形態において、選択された細胞は、in vitroにおいて形質導入および/または増殖させることもできる。選択された細胞は、注入の前にin vitroにおいて増殖させることができる。いくつかの実施形態において、選択された細胞は、本明細書において提供されるベクターによって形質導入することができる。本明細書において開示される方法のいずれかにおいて使用される細胞は、本明細書において開示される細胞のいずれかの混合物(例えば、2種以上の異なる細胞)であってもよいことは理解されるべきである。例えば、本開示の方法は、細胞を含み得、当該細胞は、CD4+細胞とCD8+細胞との混合物である。別の実施例において、本開示の方法は、細胞を含み得、当該細胞は、CD4+細胞とナイーブ細胞との混合物である。場合によって、細胞は、CD45RO(-)、CCR7(+)、CD45RA(+)、CD62L+(L-セレクチン)、CD27+、CD28+、およびIL-7Rα+で構成される幹メモリーTSCM細胞(stem memory TSCM cell)であり得、幹メモリー細胞(stem memory cell)は、CD95、IL-2Rβ、CXCR3、およびLFA-1も発現することができ、ならびに幹メモリー細胞に特有の多数の機能的属性を示すことができる。本明細書において提供される細胞は、L-セレクチンおよびCCR7を含むセントラルメモリーTCM細胞(central memory TCM cell)でもあり得、当該セントラルメモリー細胞は、例えば、IL-2を分泌することができるが、IFNγまたはIL-4は分泌することができない。細胞は、L-セレクチンまたはCCR7を含むエフェクターメモリーTEM細胞(effector memory TEM cell)でもあり得、ならびに、例えば、エフェクターサイトカイン、例えば、IFNγおよびIL-4などを産生することができる。場合によって、細胞の集団を対象に導入することができる。例えば、細胞の集団は、T細胞とNK細胞との組み合わせであり得る。他の場合において、集団は、ナイーブ細胞とエフェクター細胞との組み合わせであり得る。細胞の集団は、TILであり得る。
【0083】
[00155]供給源の免疫細胞は、T細胞であり得る。当該T細胞は、αβT細胞またはγδT細胞であり得る。T細胞は、多数の供給源、例えば、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染症の部位からの組織、腹水、胸膜滲出液、ひ臓組織、および腫瘍など、から得ることができる。本開示のある特定の実施形態において、様々なT細胞株が、使用され得る。本開示のある特定の実施形態において、T細胞は、当業者に既知の様々な技術、例えば、Ficoll(商標)分離などを使用して対象から採取された血液のユニットから得ることができる。いくつかの実施形態において、個体の循環血液からの細胞は、アフェレーシスによって得られる。アフェレーシス産物は、典型的には、リンパ球、例えば、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および血小板などを含む。いくつかの実施形態において、アフェレーシスによって収集された細胞は、血漿画分を除去するため、および後続の処理工程のために、当該細胞を適切な緩衝液または培地中に置くために洗浄され得る。本開示のいくつかの実施形態において、当該細胞は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄される。代替の実施形態において、当該洗浄溶液はカルシウムを含まず、ならびに、マグネシウムを含み得ないか、または全てではないが多くの二価のカチオンを含み得ない。カルシウムの非存在下での初期活性化工程は、増加された活性化につながり得る。洗浄工程は、製造元の取扱説明書に従って、半自動化された「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞処理機、Baxter CytoMate、またはHaemonetics Cell Saver 5)の使用などの方法によって実行され得る。洗浄後、当該細胞は、様々な生体適合性緩衝液、例えば、Ca2+不含、Mg2+不含PBS、PlasmaLyte A、または緩衝剤の有無における他の生理食塩水など、に再懸濁され得る。あるいは、アフェレーシス試料の望ましくない成分が除去され得、当該細胞は、培養培地に直接再懸濁され得る。
【0084】
[00156]別の実施形態において、T細胞は、赤血球細胞を溶解させならびに単球を枯渇させることによって、例えば、PERCOLL(商標)勾配による遠心分離によって、または対向流遠心溶出法(counterflow centrifugal elutriation)によって、末梢血リンパ球から単離される。さらに、T細胞の特定のサブ集団、例えば、CD3+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+、およびCD45RO+T細胞を、ポジティブまたはネガティブ選択技術によって単離することができる。例えば、一実施形態において、T細胞は、所望のT細胞のポジティブ選択にとって十分な期間において、抗CD3/抗CD28(すなわち、3×28)結合ビーズ、例えば、DYNABEADS(登録商標) M-450 CD3/CD28 Tを伴うインキュベーションによって単離される。一実施形態において、当該期間は、約30分である。さらなる実施形態において、当該期間は、30分から36時間またはそれ以上ならびにその間に存在する全ての整数値に及ぶ。さらなる実施形態において、当該期間は、少なくとも1、2、3、4、5、または6時間である。さらなる別の好ましい実施形態において、当該期間は、10時間から24時間である。いくつかの実施形態において、当該インキュベーション期間は、24時間である。白血病患者からのT細胞の単離の場合、より長いインキュベーション時間、例えば、24時間など、の使用は、細胞収量を増加させることができる。より長いインキュベーション時間は、他の細胞タイプと比較してT細胞が少ないような任意の状況において、T細胞を単離するために使用され得る。さらに、より長いインキュベーション時間の使用は、CD8+T細胞の捕獲の効率を増加させることができる。したがって、T細胞がCD3/CD28ビーズに結合することができる当該時間を単に短くまたは長くすることによって、ならびに/あるいはT細胞に対するビーズの比率を増加または減少させることによって(本明細書において詳細に説明されるように)、T細胞のサブ集団を、培養開始時または当該プロセスの他の時点において、優先的に選択または淘汰することができる。さらに、ビーズまたは他の表面上の抗CD3および/または抗CD28抗体の比率を増加または減少させることによって、T細胞のサブ集団を、培養開始時または他の所望の時点において、優先的に選択または淘汰することができる。場合によって、複数回の選択を使用することもできる。ある特定の実施形態において、それは、選択手順を実施すること、ならびに活性化プロセスおよび増殖プロセスにおいて「非選択」細胞を使用することは、有用であり得る。「非選択」細胞に、さらなる選択を実施することもできる。
【0085】
[00157]ネガティブ選択によるT細胞集団の濃縮は、ネガティブ選択された細胞に特有の表面マーカーに対する抗体の組み合わせによって実行することができる。例示的方法は、ネガティブ選択された細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用するネガティブ磁気免疫付着(negative magnetic immunoadherence)またはフローサイトメトリーによる細胞選別および/または選択であり得る。例えば、CD4+細胞をネガティブ選択によって濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。ある特定の実施形態において、CD4+、CD25+、CD62Lhi、GITR+、およびFoxP3+を典型的に発現する調節性T細胞(regulatory T cells)を濃縮することまたはポジティブ選択することは、望ましくあり得る。あるいは、ある特定の実施形態において、調節性T細胞は、抗C25結合ビーズ(anti-C25 conjugated bead)または他の同様の選択の方法によって枯渇される。
【0086】
[00158]ポジティブ選択またはネガティブ選択による細胞の所望の集団の単離のため、細胞の濃度および表面(例えば、ビーズなどの粒子)を変更することができる。ある特定の実施形態において、細胞とビーズの最大接触を確実にするために、ビーズおよび細胞が一緒に混合される容積を著しく減少させる(すなわち、細胞の濃度を増加させる)ことは望ましくあり得る。例えば、一実施形態において、20億の細胞/mlの濃度が使用される。一実施形態において、10億の細胞/mlの濃度が使用される。さらなる実施形態において、1億超の細胞/mlの濃度が使用される。さらなる実施形態において、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万、または5000万の細胞/mlの細胞濃度が使用される。さらなる別の実施形態において、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万、1億の細胞/mlの細胞濃度が使用される。さらなる実施形態において、1億2500万または1億5000万の細胞/mlの濃度を使用することができる。高濃度の使用は、結果として、細胞収量の増加、細胞活性化、および細胞増殖をもたらすことができる。さらに、高い細胞濃度の使用は、目的の標的抗原を弱く発現させ得る細胞、例えば、CD28-ネガティブT細胞など、のより効率的な捕獲、または多くの腫瘍細胞が存在する試料(例えば、白血病血液、腫瘍組織)からのより効率的な捕獲を可能にする。細胞のそのような集団は、治療的価値を有し得、ならびに得ることが望ましいであろう。例えば、細胞の高濃度の使用は、通常においてより弱いCD28発現を有するCD8+T細胞のより効率的な選択を可能にする。
【0087】
[00159]関連する実施形態態様において、細胞のより低い濃度を使用してもよい。T細胞および表面(例えば、ビーズなどの粒子)の混合物を著しく希釈することによって、粒子と細胞との間の相互作用が最小に抑えられる。この方法は、当該粒子に結合する多量の所望の抗原を発現する細胞を選択することができる。例えば、CD4+T細胞は、より高いレベルにおいてCD28を発現し、希釈濃度においてCD8+T細胞より効率的に捕獲される。いくつかの実施形態において、使用される細胞の濃度は、5×106/mlである。他の実施形態において、使用される細胞の濃度は、約1×105/mlから1×106/mlならびにその間の任意の整数値であり得る。他の実施形態において、当該細胞は、2~10℃または室温のどちらかにおいて、可変速度で時間の長さを変えて、撹拌機においてインキュベートされ得る。
【0088】
[00160]刺激のためのT細胞は、洗浄工程の後に凍結させることもできる。理論に束縛されることを望むわけではないが、凍結およびその後の解凍工程は、細胞集団における顆粒球とある程度の単球とを除去することによって、より一様な産物を提供する。血漿および血小板を除去する洗浄工程の後、当該細胞は、凍結溶液に懸濁され得る。多くの凍結溶液およびパラメータが、当技術分野において既知であり、この文脈で有用であるが、1つの方法は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミンを含有するPBS、あるいは、10%デキストラン40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミンおよび7.5%DMSO、あるいは31.25%Plasmalyte-A、31.25%デキストロース5%、0.45%NaCl、10%デキストラン40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン、および7.5%DMSOを含有する培養培地、あるいは、例えば、HespanおよびPlasmaLyte Aを含有する他の好適な細胞凍結培地、の使用を伴い、次いで、当該細胞は、1分間に1℃の速度において-80℃に凍結され、液体窒素貯蔵タンクの気相に貯蔵される。制御された他の凍結の方法、ならびに-20℃または液体窒素において即座に非制御凍結も使用され得る。
【0089】
[00161]いくつかの実施形態において、凍結保存された細胞は、本明細書において説明されるように解凍および洗浄され、ならびに、室温において1時間休ませた後、本開示の方法を使用して活性化される。
【0090】
[00162]いくつかの実施形態において、当該細胞は、様々な関連治療法、例えば、これらに限定されるわけではないが、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、などの薬剤による治療、化学療法、放線、免疫抑制剤、例えば、サイクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸、および、FK506など、抗体、または免疫除去剤(immunoablative agent)、例えば、CAMPATH、抗CD3抗体、シトキサン、フルダラビン、サイクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228など、ならびに放射線照射、の前に、対象からの血液試料から、またはアフェレーシスから単離される。これらの薬物は、カルシウム依存性ホスファターゼカルシニューリン(サイクロスポリンおよびFK506)を阻害するか、または成長因子誘導シグナル伝達にとって重要なp70S6キナーゼを阻害する(ラパマイシン)(Liuら, Cell 66:807~815, 1991;Hendersonら, Immun. 73:316~321, 1991;Biererら, Curr. Opin. Immun. 5:763~773, 1993)。さらなる実施形態において、当該細胞は、患者から単離され、骨髄または幹細胞移植、フルダラビンなどの化学療法剤のいずれかを使用するT細胞切除治療、外照射療法(XRT)、シクロホスファミド、あるいは、OKT3またはCAMPATHなどの抗体、との併用において(例えば、その前に、同時に、またはその後に)、後の使用のために凍結される。別の実施形態において、当該細胞は、事前に単離され、治療とその後のB細胞切除治療、例えば、CD20と反応する薬剤、例えば、リツキサンなど、のための、後の使用のために凍結することができる。
【0091】
操作された免疫細胞
[00163]本明細書で提供される操作された免疫細胞は、腫瘍細胞に対して増強された活性を示すことができるが、GVHDのような低減された副作用を伴う。操作された免疫細胞は、疾患関連抗原(例えば、腫瘍関連抗原、または腫瘍細胞マーカー)を標的とし、同時に宿主免疫細胞を抑制することができる。操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性遺伝子(例えば、TCRのサブユニットをコードする遺伝子、または細胞表面マーカーをコードする遺伝子)は、不活性化され得る。場合によって、操作された免疫細胞は、それぞれが異なる抗原を標的とする第1のCARおよび第2のCARを含む。場合によって、操作された免疫細胞は、第1の抗原結合性ドメインと第2の抗原結合性ドメインを有するCARを含む。
【0092】
[00164]操作された免疫細胞は、結合部分を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)を含むことができる。結合部分は、免疫細胞抗原に結合することができる第1の抗原結合性ドメインと、疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含むことができる。1つまたは複数のCARの各CARは、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含むことができる。また、操作された免疫細胞は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分を含むことができる。操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)は、不活性化され得る。場合によって、操作された免疫細胞は、1つまたは複数のCARを含むが、エンハンサー部位を含まない別の操作された免疫細胞と比較して、(i)操作された免疫細胞に対して異種である細胞の存在下において少なくとも約20日間、in vitroにおいて生存可能のままになることによる持続の増強、(ii)15日以内において少なくとも約10倍の増殖の増強、または(iii)免疫細胞抗原または疾患関連抗原を含む標的細胞に対する細胞傷害性の増強を示すことができる。場合によって、操作された免疫細胞は、(i)持続の増強、(ii)増殖の増強、および(iii)細胞傷害性の増強のうち2つ以上を示すことによって特徴付けることができる。(i)、(ii)、および/または(iii)の特性は、外因性サイトカインのような外因性エンハンサー部位の非存在下において測定することができる。
【0093】
[00165]操作された免疫細胞は、多特異性CARを含むことができる。場合によって、操作された免疫細胞は、免疫細胞抗原および疾患関連抗原を標的とする二重特異性CARを含む。二重特異性CARの2つの抗原結合性ドメインは、本開示に記載されているような任意の形態、例えば、パラレル形態、ループ形態、およびタンデム形態で配置することができる。例えば、本明細書に記載の操作された免疫細胞は、(i)CD7に特異的に結合する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含む単一のキメラ抗原受容体(CAR)を含むことができる。CARは、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含むことができる。様々な場合では、内因性CD7をコードする遺伝子は、操作された免疫細胞において不活性化(例えば、サイレンシングまたはノックアウト)され得る。
【0094】
[00166]免疫細胞抗原は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択され得る。場合によって、免疫細胞抗原は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD69、CD100、CD122、CD132、CD137、CD161、CD159a、CD159c、CD279、CD314、CD319(CS1)、TCRαまたはTCRβである。場合によって、免疫細胞抗原は、CD2、CD3、CD5、CD7、またはCD137である。場合によって、免疫細胞抗原はCD7である。エンハンサー部分は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成され得る。エンハンサー部分は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成され得る。1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路は、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路であり得る。エンハンサー部分は、自己オリゴマー化によって自己活性化性であり得る。エンハンサー部分は、自己二量体化によって自己活性化性であり得る。
【0095】
[00167]エンハンサー部分は、サイトカインまたはサイトカイン受容体であり得る。エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0096】
[00168]場合によって、操作された免疫細胞の内因性TCRのサブユニットをコードする遺伝子を、内因性TCRが不活性化されるように不活性化してもよい。サブユニットをコードする遺伝子は、TCRα、TCRβ、CD3ε、CD3δ、CD3γ、またはCD3ζであり得る。
【0097】
[00169]操作された免疫細胞は、さらに、誘導性細胞死部分を含み、誘導性細胞死部分は、細胞死アクティベーターとの接触において操作された免疫細胞の自殺を生じさせ得る。誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、およびEGFRtからなる群から選択され得る。場合によって、誘導性細胞死部分はEGFRtであり、ならびに細胞死アクティベーターはEGFRtに結合する抗体またはその抗原結合断片である。場合によって、誘導性細胞死部分はHSV-TKであり、ならびに細胞死アクティベーターはGCVである。場合によって、誘導性細胞死部分はiCasp9であり、ならびに細胞死アクティベーターはAP1903である。細胞死アクティベーターは、核酸、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、酵素、リボゾーム、プロテアソーム、それらのバリアント、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0098】
[00170]操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子の発現は、元のままでもよい。場合によって、操作された免疫細胞の内因性HLA-Iおよび/またはHLA-II遺伝子の発現は、元のままでもよい。操作された免疫細胞の内因性のHLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現は元のままでもよい。
【0099】
[00171]操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性HLA遺伝子の発現は、上方調節され得る。場合によって、操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現は、上方調節される。
【0100】
[00172]操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性HLA遺伝子の発現は、ノックアウトされてもよく、または部分的にノックアウトされてもよい。例えば、HLA-I、HLA-II、またはその両方がノックアウトされ得る。場合によって、HLA-I、HLA-2、またはその両方が部分的にノックアウトされ得る。場合によって、HLA-I/IIが部分的にノックアウトされ得る。場合によって、T細胞殺活性を低下させ、しかし抗NKキラー機能は維持するために内因性HLAがノックアウトされ得る。例えば、HLA-A/Bはノックアウトされ、一方でHLA-C/Eを操作された免疫細胞に残すことができる。場合によって、HLA-A、HLA-B、またはその両方がノックアウトされる。場合によって、HLA-C、HLA-E、またはその両方が元のままである。場合によって、操作された免疫細胞のキラー/食細胞阻害剤は過剰発現され得る。他の場合によって、キラー/食細胞阻害剤の共発現により、内因性HLAはノックアウトされ得る。例えば、HLA-I、HLA-II、またはその両方は、キラー/食細胞阻害剤の共発現とともにノックアウトされ得る。キラー/食細胞阻害剤は、操作された免疫細胞に対する免疫反応を抑制する場合がある。キラー/食細胞阻害剤は、CD47、CD24、FASL、PDL1、またはそれらの機能的ドメインを含むが、これらに限定されない。
【0101】
[00173]本明細書に記載の疾患関連抗原は、腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原であり得る。第1の抗原結合性ドメインまたは第2の抗原結合性ドメインは、抗体またはその断片であり得、例えば、scFvまたは単一ドメイン抗体であり得る。
【0102】
[00174]操作された免疫細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子は不活性化されていることがあり、内因性表面マーカーは、発現されたときに第1の抗原結合性ドメインに結合することができる。内因性表面マーカーは、CARが標的とする抗原であり得る。様々な実施形態では、操作された免疫細胞のCARが、操作された免疫細胞によって内因性に発現される抗原を標的とする場合、内因性抗原またはそのような抗原をコードする遺伝子は、不活性化(例えば、破壊、阻害、サイレンシングまたはノックアウト)されていてもよい。本明細書に記載の様々な遺伝子編集法が使用され得る。内因性表面マーカーは、例えば、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、またはSLAMF7であり得る。
【0103】
[00175]本明細書で提供される操作された免疫細胞は、(i)操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分および(ii)誘導性細胞死部分を含むキメラポリペプチドであって、誘導性細胞死部分が、キメラポリペプチドを細胞死アクティベーターに接触させると操作された免疫細胞の死を生じさせることができ、エンハンサー部分が、誘導性細胞死部分に連結されている、キメラポリペプチドを含むことができる。場合によって、エンハンサー部分と誘導性部分がリンカーによって連結されていてもよい。リンカーは、例えば、自己切断性ペプチドなどの切断可能なリンカーであり得る。操作された免疫細胞は、結合部分を含む1つまたは複数のキメラポリペプチド受容体(CPR)であって、結合部分が、(i)対象に投与されたときに操作された免疫細胞に対する対象の免疫反応を抑制または低減する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含む、1つまたは複数のキメラポリペプチド受容体(CPR)をさらに含むことができる。1つまたは複数のCPRの個々のCPRは、(i)第1の抗原結合性ドメイン、(ii)第2の抗原結合性ドメイン、または(iii)第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインの両方を含むことができる。1つまたは複数のCPRのCPRは、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含むことができる。場合によって、操作された免疫細胞の1つまたは複数のCPRは、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)または操作されたT細胞受容体(TCR)である。場合によって、操作された免疫細胞は、CARおよび操作されたTCRの両方を含む。操作されたTCRは、TCR融合タンパク質であり得る。例えば、TCR融合タンパク質は、TCR複合体の1つまたは複数のサブユニットに融合された異種抗原結合性ドメインを含むことができる。場合によって、TCR融合タンパク質は、TCR細胞外ドメインおよびTCR細胞内ドメインの少なくとも一部を含むTCRサブユニット、ならびに抗原結合性ドメインを含む抗体ドメインを含むことができ、TCRサブユニットおよび抗体ドメインは連結されている。TCR融合タンパク質は、T細胞で発現させると、TCR複合体に組み込むことができる。場合によって、TCR融合タンパク質は、TCR膜貫通ドメインをさらに含むことができる。TCR細胞外ドメイン、TCR細胞内ドメイン、またはTCR膜貫通ドメインは、TCRα鎖、TCRβ鎖、TCRγ鎖、TCRδ鎖、CD3ε、CD3γ、CD3δまたはCD3ζに由来することができる。場合によって、操作されたTCRを含む操作された免疫細胞の内因性TCRは不活性化される。場合によって、不活性化された内因性TCRを含む操作された免疫細胞は、GVHDを引き起こさない場合がある。例えば、内因性TCRサブユニットをコードする遺伝子は不活性化され得る。別の例として、内因性TCRサブユニットをコードする遺伝子は、内因性TCRが形成されないように変異していてもよい。
【0104】
[00176]本明細書で提供される操作された免疫細胞は、(i)操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分および(ii)誘導性細胞死部分を含むキメラポリペプチドであって、誘導性細胞死部分が、キメラポリペプチドを細胞死アクティベーターに接触させると操作された免疫細胞の死を生じさせることができる、キメラポリペプチドを含むことができる。場合によっては、エンハンサー部分は、誘導性細胞死部分に連結されている。1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)は、結合部分を含むことができる。結合部分は、(i)対象に投与されたときに操作された免疫細胞に対する対象の免疫反応を抑制または低減する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含むことができる。場合によって、1つまたは複数のCARの個々のCARは、(i)第1の抗原結合性ドメインまたは(ii)第2の抗原結合性ドメインを含む。場合によって、1つまたは複数のCARの個々のCARは、第1抗原結合性ドメインおよび第2抗原結合性ドメインの両方を含む。場合によって、1つまたは複数のCARの各CARは、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む。
【0105】
[00177]操作された免疫細胞の第1抗原結合性ドメインは、免疫細胞抗原に結合することができる。場合によって、操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)は、不活性化される。様々な方法を用いて、内因性TCRを不活性化することができる。例えば、内因性TCRのサブユニットをコードする遺伝子は、内因性TCRが不活性化されるように不活性化され得る。サブユニットをコードする遺伝子は、TCRα、TCRβ、CD3ε、CD3δ、CD3γ、またはCD3ζであり得る。
【0106】
[00178]キメラポリペプチドは、エンハンサー部分および誘導性細胞死部分が隣接する任意の自己切断性ペプチドを含んでいてもいなくてもよい。エンハンサー部分は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成され得る。エンハンサー部分は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成され得る。1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路は、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路であり得る。エンハンサー部分は、自己オリゴマー化によって自己活性化性であり得る。エンハンサー部分は、自己二量体化によって自己活性化性であり得る。
【0107】
[00179]本明細書に記載のキメラポリペプチドは、分泌タンパク質であり得る。キメラポリペプチドは、細胞内タンパク質であり得る。キメラポリペプチドは、膜貫通タンパク質であり得る。エンハンサー部分または誘導性細胞死部分は、膜貫通タンパク質のエクトドメインに含まれ得る。エンハンサー部分または誘導性細胞死部分は、膜貫通タンパク質のエンドドメインに含まれる。エンハンサー部分は膜貫通タンパク質のエンドドメインに含まれ、ならびに誘導性細胞死部分は膜貫通タンパク質のエクトドメインに含まれ得る。エンハンサー部分は膜貫通タンパク質のエクトドメインに含まれ、ならびに誘導性細胞死部分は膜貫通タンパク質のエンドドメインに含まれ得る。エンハンサー部分は、サイトカインまたはサイトカイン受容体であり得る。例えば、エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、およびEGFRtからなる群から選択され得る。場合によって、誘導性細胞死部分はEGFRtであり、ならびに細胞死アクティベーターはEGFRtに結合する抗体またはその抗原結合断片である。場合によって、誘導性細胞死部分はHSV-TKであり、ならびに細胞死アクティベーターはGCVである。場合によって、誘導性細胞死部分はiCasp9であり、ならびに細胞死アクティベーターはAP1903である。細胞死アクティベーターは、核酸、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、酵素、リボゾーム、プロテアソーム、それらのバリアント、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。
【0108】
[00180]操作された免疫細胞は、CAR-T細胞であり得る。CAR-T細胞は、腫瘍細胞マーカーおよびCD3を標的とするCARを発現することができる。内因性CD3遺伝子の発現は、CAR-T細胞においてサイレンシングされ得る。CARは、腫瘍細胞マーカーおよびCD3を標的とする単一CARであり得る。CARは、腫瘍細胞マーカーを標的とする第1のCARと、CD3を標的とする第2のCARとを含むことができる。CAR-T細胞は、以下の特性の1つまたは複数を有することができる:(a)CAR-T細胞においてPD-1遺伝子の発現がサイレンシングされている;(b)CAR-T細胞においてTCR遺伝子の発現がサイレンシングされている;(c)CAR-T細胞が外因性の細胞自殺エレメント(例えば、誘導性細胞死部分)を発現している。
【0109】
[00181]操作された免疫細胞は、CARおよび/または外因性TCRを発現することができ、CARおよび/または外因性TCRは、腫瘍細胞マーカーを標的とする。操作された免疫細胞は、増強されたサイトカイン関連シグナル伝達経路を含むことができる。サイトカイン関連シグナル伝達経路は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、またはそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインの関連シグナル伝達経路を含むことができる。サイトカイン関連シグナル伝達経路を増強することは、サイトカインおよび/またはその受容体をコードする遺伝子を導入すること、サイトカインおよび/またはその受容体をコードする遺伝子を上方調節すること、またはサイトカイン、導入されたサイトカインの受容体、またはそれらの組合せを外因的に添加することを含むことができる。操作された免疫細胞は、(a)内因性TCRの遺伝子発現がサイレンシングされていること、(b)細胞自殺のためのエレメントを発現していること、(c)内因性HLA-IおよびHLA-II遺伝子が正常に発現していること、(d)内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gが正常に発現または過剰発現していること、からなる群から選択される1つまたは複数の特性を有するCAR-T細胞であり得る。
【0110】
[00182]操作された免疫細胞は、腫瘍細胞マーカーを標的とするCARまたは外因性TCRを含むことができる。操作された免疫細胞は、T細胞またはNK細胞を標的とする物質を含むことができる。例えば、操作された免疫細胞は、T細胞および/またはNK細胞を標的とするCARを含むことができる。操作された免疫細胞は、(i)腫瘍細胞マーカーと、(ii)T細胞および/またはNK細胞マーカーの両方を標的とする二重特異性CARを含むことができる。場合によって、物質は抗体である。T細胞およびNK細胞の両方を標的とする抗体は、H-69、3A1e、3A1f、T3-3A1、RFT2、SDZ214-380(SDZCHH380)、CD7-6B7、124-1D1、4H9、RPA-2.10、TS1/8、OKT11、AB75、3E11、BH1、またはLo-CD2aであり得る。
【0111】
[00183]本明細書で提供されるCAR-T細胞は、普遍的なCAR-T細胞であり得る。CAR-T細胞は、腫瘍細胞マーカーを標的とするキメラ抗原受容体CARを発現することができ、T細胞受容体のPD-1への結合が阻害される。CAR-T細胞は、腫瘍細胞マーカーと、CD2またはCD7のような免疫細胞マーカーを標的とすることができる。本明細書で提供されるCAR-T細胞における内因性TCRの発現は、遺伝子編集技術によってノックアウトされ得る。CAR-T細胞の内因性TCRをノックアウトすると、同種異系注入の過程で正常な細胞がCAR-T細胞に認識されず、殺されない場合がある。GVHD反応は抑制される場合がある。さらに、CD19を介して腫瘍細胞を標的としつつ、CD2またはCD7を介して宿主のT細胞および/またはNK細胞を消失させることで、宿主対移植片(HVG)および/またはNKの殺傷を回避し、レシピエントにおける同種異系CAR-T細胞の生存率および抗腫瘍効果を改善することができる。CAR-Tは、自殺遺伝子スイッチ(例えば、誘導性細胞死部分)をさらに含むことができる。CAR-T細胞は、CAR-T細胞療法の副作用を軽減するために、自殺遺伝子スイッチをオンにする(例えば、誘導性細胞死部分へのアクティベーターの結合)ことによって、不活性化または除去され得る。例えば、本明細書で提供されるCARは、CD19 scFv-CD7 scFv-Hinge-TM-CD28/41BB-CD3ζの構造を有することができ、CD7 scFv断片はモノクローナル3A1e抗体であり、重鎖可変領域および軽鎖可変領域はGSリンカーによって結合され、CD19 scFv断片はGSリンカーによって連結されたモノクローナルFMC63抗体の重鎖および軽鎖可変領域である。また、CARは、タンデムに並んだヒンジ領域と膜貫通領域、ヒトCD28および/または41BBの細胞内共刺激エレメント、ならびにヒトCD3の細胞内ドメインを含むことができる。本開示の場合によっては、CAR構築物CD19 scFv-CD7 scFv-Hinge-TM-CD28/41BB-CD3ζの遺伝子断片は、レンチウイルスベクターに挿入され、組換えベクターは293T細胞のウイルス粒子にパッケージされ得る。普遍的CAR-T細胞を調製するために、T細胞は末梢血単核細胞から単離され、活性化後、CRISPR/CAS技術のような遺伝子編集技術により、いくつかの内因性遺伝子(例えば、CD7、TCRおよびPD-1遺伝子)はノックアウトされ得る。次に、T細胞は、本明細書に記載のCAR構築物を含むウイルス粒子によって感染され、CARを発現することができる。調製されたCAR-T細胞は、フローサイトメトリーによってCARの感染効率および遺伝子編集効率を検出するために使用することができる。
【0112】
[00184]操作された免疫細胞は、本明細書に記載される以下の1つまたは複数の特性を有していてもよい:(a)操作された免疫細胞の内因性CD7遺伝子またはCD2遺伝子の発現がサイレンシングされている;(b)操作された免疫細胞のPD-1遺伝子の発現がサイレンシングされている;(c)操作された免疫細胞のTCR遺伝子の発現がサイレンシングされている;(d)操作された免疫細胞がサイトカインまたはサイトカイン受容体複合体を発現し、pSTAT5シグナル伝達レベルが上方調節されている;(e)操作された免疫細胞が外因性誘導性細胞死部分を発現する;(f)操作された免疫細胞における第1のCAR、および/または第2のCARが、誘導性細胞死部分と共発現する。
【0113】
[00185]操作された免疫細胞は、2つの異なるCARを含んでいてもよく、それぞれが異なる抗原を標的とする異なる抗原結合性ドメインを有する。操作された免疫細胞は、単一のCARを含んでいてもよく、それが2つの異なる抗原を標的とする2つの抗原結合性ドメインをさらに含む。場合によって、第1のCAR、および/または第2のCARは、自己切断エレメントによって誘導性細胞死部分および/またはエンハンサー部分に連結されている。場合によって、エンハンサー部分は、サイトカインまたはサイトカイン複合体である。サイトカインまたはサイトカイン複合体の例としては、IL2、IL7、IL15、膜結合IL15(mbIL15またはmb15)、およびIL7受容体(C7R)のような構成的活性化サイトカイン受容体が挙げられる。本明細書で使用される場合、「mbIL」および「mb」は、膜結合インターロイキン因子、例えば、mbIL7またはmb7、およびmbIL17またはmb17を表すために同じ意味で使用される。
【0114】
[00186]本明細書に記載の操作された免疫細胞は、以下の特性を有していてもよい:(a)操作された免疫細胞は、CARおよび/または外因性TCRを発現し、CARおよび/または外因性TCRは、腫瘍細胞マーカーを標的とする;(b)サイトカイン関連シグナル伝達経路が増強されている。操作された免疫細胞は、(i)キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞);(ii)キメラ抗原受容体NK細胞(CAR-NK細胞);または(iii)外因性T細胞受容体(TCR)T細胞(TCR-T細胞)であってもよい。操作された免疫細胞は、CAR-T細胞、好ましくは普遍的CAR-T細胞(UCAR-T細胞)であり得る。本明細書で使用される場合、「サイトカイン関連シグナル伝達経路」とは、サイトカインが対応する受容体に結合することによって開始されるシグナル伝達経路を表し、細胞外シグナルを細胞内シグナルに変換し、シグナル伝達カスケードによって増幅、分散、および制御される。一連の細胞応答が生成され得る。場合によって、サイトカイン関連シグナル伝達経路は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、25、またはそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインの関連シグナル伝達経路を含む。
【0115】
[00187]操作された免疫細胞は、二重特異性CAR(または二重CAR)を含むことができる。例えば、二重特異性CARは、第1の抗原結合性ドメインと第2の抗原結合性ドメインの両方を含むことができる。第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインは、リンカーを介して連結され得る。リンカーは、自己切断性ペプチドを含んでいなくてもよい。第1の抗原結合性ドメインまたは第2の抗原結合は、scFvであり得る。
【0116】
[00188]第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインは、アミノ酸末端からカルボキシル末端へと、(i)VL2-VH1-VL1-VH2、(ii)VH2-VL1-VH1-VL2、(iii)VL1-VH2-VL2-VH1、または(iv)VH1-VL2-VH2-VL1として配置されることが可能であり、VH1は、第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである。
【0117】
[00189]第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインは、アミノ酸末端からカルボキシル末端へと、(i)VL2-VH2-VL1-VH1、(ii)VL2-VH2-VH1-VL1、(iii)VL1-VH1-VL2-VH2、または(iv)VL1-VH1-VH2-VL1として配置されることが可能であり、VH1は、第1の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、VL1は、第1の抗原結合性ドメインの軽鎖可変軽鎖ドメインであり、VH2は、第2の抗原結合性ドメインの重鎖可変ドメインであり、ならびにVL2は、第2の抗原結合性ドメインの軽鎖可変ドメインである。第1の抗原結合性ドメインおよび第2抗原結合性ドメインは、免疫細胞抗原および疾患関連抗原に結合することができる。
【0118】
[00190]場合によって、操作された免疫細胞は、二重特異性CARを含んでいなくてもよい。例えば、操作された免疫細胞の個々のCARは、第1の抗原結合性ドメインのみを含み、操作された免疫細胞の別の個々のCARは、第2の抗原結合性ドメインのみを含むことができる。
【0119】
[00191]免疫細胞抗原は、免疫細胞の表面タンパク質または分泌タンパク質であり得る。免疫細胞は、NK細胞、T細胞、単球、マクロファージまたは顆粒球であり得る。免疫細胞抗原は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7からなる群から選択され得る。
【0120】
[00192]疾患関連抗原は、腫瘍関連抗原であり得る。腫瘍関連抗原は、CD19または本明細書に記載の他の抗原であり得る。場合によって、第1の抗原結合性ドメインは、CD2、CD3、CD5、CD7およびCD137からなる群から選択される免疫細胞抗原に結合することができ、ならびに第2抗原結合性ドメインは、CD19に結合することができる。場合によって、第1の抗原結合性ドメインはCD3に結合することができ、ならびに第2の抗原結合性ドメインはCD19に結合することができる。場合によって、第1の抗原結合性ドメインはCD7に結合することができ、ならびに第2の抗原結合性ドメインはCD19に結合することができる。場合によって、第1の抗原結合性ドメインはCD137に結合することができ、ならびに第2の抗原結合性ドメインはCD19に結合することができる。操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子の発現は、元のままであり得る。操作された免疫細胞の内因性HLA-Iおよび/またはHLA-II遺伝子の発現は、元のままであり得る。操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現は、元のままであり得る。操作された免疫細胞の1つまたは複数の内因性HLA遺伝子の発現は、上方調節され得る。操作された免疫細胞の内因性HLA-Eおよび/またはHLA-Gおよび/またはHLA-C遺伝子の発現は上方調節され得る。
【0121】
[00193]様々な実施形態では、操作された免疫細胞は、T細胞、NKT細胞、またはNK細胞である。場合によって、操作された免疫細胞は、幹細胞に由来する。幹細胞は、造血幹細胞(HSC)または誘導された人工多能性幹細胞(iPSC)であり得る。
【0122】
[00194]本明細書で提供される細胞(例えば、操作された免疫細胞)は、結合部分を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)を含むことができ、結合部分は、免疫細胞抗原に結合することができる抗原結合性ドメインを含むことができる。1つまたは複数のCARの各CARは、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含むことができる。細胞は、細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分をさらに含むことができ、ここで、細胞の内因性T細胞受容体(TCR)が不活性化されてもよい。
【0123】
[00195]エンハンサー部分は、細胞の1つまたは複数の活性を高めることができる。エンハンサー部分は、細胞の1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成され得る。エンハンサー部分は、細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成され得る。例えば、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路は、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路であり得る。エンハンサー部分は、サイトカインまたはサイトカイン受容体であり得る。エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0124】
[00196]細胞は、細胞死アクティベーターと接触すると細胞の死を生じさせることができる誘導性細胞死部分をさらに含むことができる。誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択され得る。例えば、誘導性細胞死部分はEGFRtであり、ならびに細胞死アクティベーターはEGFRtに結合する抗体またはその抗原結合断片であり得る。別の例では、誘導性細胞死部分はHSV-TKであり、ならびに細胞死アクティベーターはGCVであり得る。別の例では、誘導性細胞死部分はiCasp9であり、ならびに細胞死アクティベーターはAP1903であり得る。
【0125】
[00197]内因性表面マーカーが、発現されたときに第1の抗原結合性ドメインに結合することができる可能性がある場合、細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子を不活性化してもよい。内因性表面マーカーは、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122,CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβまたはSLAMF7、であり得る。
【0126】
抗原結合性ドメイン
[00198]操作された免疫細胞は、第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインを含むことができる。場合によって、操作された免疫細胞の単一または個々のCARは、第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインの両方を含む。場合によって、操作された免疫細胞の2つのCARは、第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインを含み、各CARは1つの抗原結合性ドメインのみを含む。場合によって、2つの操作された免疫細胞は、第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインを含み、操作された免疫細胞の各々は1つのタイプの抗原結合性ドメインのみを含む。場合によって、第1抗原結合性ドメインは免疫細胞抗原を標的とし、ならびに第2抗原結合性ドメインは疾患関連抗原を標的とすることができる。抗原結合性ドメインは、Fab、F(ab’)2、単一ドメイン抗体、一本鎖Fv(scFv)、センチリン(centyrin)、ダルピン(darpin)、または抗原結合特異性を有する他のポリペプチドであり得る。
【0127】
[00199]抗原結合性ドメインは、免疫細胞抗原を標的とすることができる。免疫細胞抗原の例としては、これらに限定されないが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100,CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβおよびSLAMF7が挙げられる。場合によって、免疫細胞抗原は、T細胞およびNK細胞の両方に発現する細胞マーカーであり、CD2、CD7、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD69、CD100、CD122、CD132、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD178(ICOS)、CD161、CD159a、CD159cおよびCD314を含むがこれに限定されるものではない。
【0128】
[00200]CD3はTリンパ球の表面に存在するマーカーである。CD3δ、CD3ε、CD3γの3つのサブタイプがある。CD3δおよびCD3εは分子量20kDa、CD3γは分子量26kDaであり、Tリンパ球、胸腺細胞、NK細胞の膜の表面に発現する。CD3は、正常な末梢血リンパ球の61%~85%、胸腺細胞の60%~85%に発現され得る。CD3は免疫グロブリンスーパーファミリーに属している。CD3は、Tリンパ球受容体(TCR)複合体の構成要素であり、α-βおよびγ/δTリンパ球受容体(TCR)と複合体を形成し、TCRがペプチド/MHCに結合した際にTCRのシグナルを伝導するための主要な膜タンパク質となり得る。TCRは、細胞表面での発現、抗原認識、シグナル伝達に不可欠である。CD3は、Tリンパ球の表面特異的な分子であり、これを介して殺傷作用のあるTリンパ球が漸加され得る。CD3に対するモノクローナル抗体は、Tリンパ球の活性化を誘導または阻止することができる。抗CD3抗体は、抗CD28抗体またはIL-2の存在下で、Tリンパ球のアポトーシスを誘導する。CD3は、末梢血中の成熟Tリンパ球のマーカーの1つである。免疫不全(Tリンパ球欠損症)、白血病、リンパ腫(Tリンパ球型)の分類診断の評価のためのCD3+Tリンパ球の測定。抗CD3モノクローナル抗体は、臓器移植や骨髄移植における免疫抑制療法に使用可能であり、重度の自己免疫疾患におけるTリンパ球を除去する免疫調節療法にも使用され得る。
【0129】
[00201]場合によって、抗原結合性ドメインは、CD7を標的とすることができる。CD7は、膜貫通タンパク質であり、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CD7タンパク質は、成熟T細胞およびNK細胞、ならびにそれらの前駆細胞の表面に発現している。CD7は、そのリガンドであるK12/SECTM1と結合し、T細胞の活性化における共刺激エフェクターとして機能する。マウスでは、CD7をノックアウトしたT細胞前駆体は、T細胞のエフェクター機能にわずかな影響を与えるだけで、正常なT細胞に成長することができる。また、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)の90%以上がCD7を発現できることから、CD7はT-ALLのマーカーとなり得る。さらに、CD7は、NKリンパ腫、T細胞リンパ腫/白血病、慢性骨髄性白血病、急性ミエロイド白血病、およびリンパ球リッチ胸腺腫でも発現され得る。CD7発現の組織分布の例を
図13に示す。
【0130】
[00202]場合によって、抗原結合性ドメインは、CD2を標的とすることができる。CD7と同様に、CD2接着分子は、すべての末梢血T細胞およびナチュラルキラー細胞に発現している可能性があるが、Bリンパ球には発現していない。CD2の細胞外ドメインには、ホモ二量体化を媒介する免疫グロブリン様ドメインが含まれている。CD2がCD58(LFA-3)またはCD48と結合することで、T細胞が抗原提示細胞に接着し、抗原結合のためのT細胞受容体のシグナル伝達が誘発されることを助けることができる。CD2の機能は、他のT細胞共刺激受容体(CD28など)と同様である可能性がある。CD2のノックアウトマウスは、正常な免疫機能を持つことができる。T-ALL、T細胞リンパ腫/白血病、急性前骨髄球性白血病(微小粒子バリアント)、全身性肥満細胞症、肥満細胞疾患、胸腺腫、ならびに急性ミエロイドリンパ腫およびNK細胞白血病の細胞におけるCD2の発現。CD2発現の組織分布の例を
図14に示す。
【0131】
[00203]抗原結合性ドメインは、CD137を標的とすることができる。CD137は、4-1BBとしても知られており、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーである。CD137タンパク質は、活性化されたT細胞、NK細胞、樹状細胞、顆粒細胞、および他の免疫細胞タイプ、ならびにある種の腫瘍細胞において広く発現され得る、活性化誘導型の共刺激受容体であり得る。CD137の発現は、活性化されたT細胞およびNK細胞に見られ、ナイーブT細胞や不活性化されたT細胞やNK細胞にはほとんど見られなかった。T細胞において、CD137は、TRAF2を介してNF-κB経路を開始し、T細胞の増殖、サイトカインの分泌、抗アポトーシスに関与する。臨床的用途では、CD137は反応性T細胞のマーカーとして使用され得る。CD137の天然リガンドまたはアゴニスト抗体を用いてCD137のシグナル伝達経路を活性化すると、サイトカインの分泌が増加し、細胞傷害性リンパ球の抗腫瘍活性が高まり得る。特異的な阻害性CD137抗体を用いて反応性T細胞を阻害することにより、移植拒絶における自己拒絶を軽減すること、または同種異系起源の自己反応性T細胞に起因するGVHD反応を軽減することができる。CD137の発現は、TCRシグナル伝達とサイトカインIL-2/IL-15の下流シグナル伝達によって制御され得る。CD137分子をノックアウトしても、非活性化状態の成熟T細胞の機能には影響しない場合がある。操作された免疫細胞の内因性CD137をノックアウトすることで、兄弟殺しを回避することができる。GVHDを防ぐために、操作された免疫細胞の内因性TCRは不活性化され得る。CD137発現の組織分布の例を
図51に示す。
【0132】
[00204]抗原結合性ドメインは、疾患関連抗原、例えば、腫瘍関連抗原を標的とすることができる。腫瘍関連抗原の例としては、これらに限定されないが、BCMA、VEGFR2、CD19、CD20、CD30、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD52、CD56、CD80、CD86、CD81、CD123、cd171、CD276、B7H4、CD133、EGFR、GPC3;PMSA、CD3、CEACAM6、c-Met、EGFRvIII、ErbB2、ErbB3 HER-2、HER3、ErbB4/HER-4、EphA2、IGF1R、GD2、O-アセチルGD2、O-アセチルGD3、GHRHR、GHR、Flt1、KDR、Flt4、CD44V6、CEA、CA125、CD151、CTLA-4、GITR、BTLA、TGFBR2、TGFBR1、IL6R、gp130、ルイス、TNFR1、TNFR2、PD1、PD-L1、PD-L2、HVEM、MAGE-A、メソセリン、NY-ESO-1、PSMA、RANK、ROR1、TNFRSF4、CD40、CD137、TWEAK-R、LTPR、LIFRP、LRP5、MUC1、TCRa、TCRp、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robl、Frizzled、OX40、CD79b、クローディン18.2、葉酸塩受容体α、葉酸塩受容体β、GPC2、CD70、BAFF-R、およびノッチ-1-4が挙げられる。場合によって、腫瘍関連抗原は、CD19、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44V6、CD47、CD52、CD56、CD57、CD58、CD79b,CD80、CD86、CD81、CD123、CD133、CD137、CD151、CD171、CD276、CLL1、B7H4、BCMA、VEGFR-2、EGFR、GPC3、PMSA、CEACAM6、c-Met、EGFRvIII、ErbB2/HER2、ErbB3、HER-2、HER3、ErbB4/HER-4、EphA2、IGF1R,GD2、O-アセチルGD2、O-アセチルGD3、GHRHR、GHR、Flt1、KDR、Flt4、Flt3、CEA、CA125、CTLA-4、GITR、BTLA、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR1、IL6R、gp130、ルイス、TNFR1、TNFR2、PD1、PD-L1、PD-L2、PSCA、HVEM、MAGE-A、MSLN、NY-ESO-1、PSMA、RANK、RORl、TNFRSF4、TWEAK-R、LTPR、LIFRP、LRP5、MUC1、MUC16、TCRa、TCRb、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robol、Frizzled、OX40、ノッチ-1-4、APRIL、CS1、MAGE3、クローディン18.2、葉酸塩受容体α、葉酸塩受容体β、GPC2、CD70、BAFF-RまたはTROP-2を含む。
【0133】
[00205]場合によって、腫瘍関連抗原はCD19である。CD19は、B細胞の表面に存在する95kDaの糖タンパク質で、B細胞の発生初期から形質細胞に分化するまでの間に発現を開始する。CD19は、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーのメンバーであり、B細胞表面シグナル伝達複合体の構成要素の一つとして、B細胞受容体のシグナル伝達過程の制御に関与している。CD19欠損マウスモデルでは、末梢リンパ組織中のB細胞数が著しく減少し、ワクチンやマイトジェンに対する反応も低下し、血清Ig値の低下を伴うことがある。一般に、CD19の発現はB細胞系統に限定され、多能性造血幹細胞の表面には発現しないと考えられ得る。また、CD19は、ほとんどのB細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ALL、CLL、ヘアリーセル白血病、および一部の急性ミエロイド白血病細胞の表面に発現することができる。CD19は、白血病/リンパ腫の治療における免疫療法の標的となり得る。CD19は、多能性造血幹細胞を含む、B細胞以外のほとんどの正常な細胞表面には発現しない場合がある。この特徴により、CD19は、不可逆的な骨髄毒性損傷のリスクを最小限に抑えることができるため、自己免疫疾患の安全な治療標的となり得る。
【0134】
[00206]本明細書で提供される抗原結合性ドメインは、VH-VLまたはVL-VHとして示される構造を有することができ、VHは抗体の重鎖可変領域であり、VLは抗体の軽鎖可変領域であり、「-」はリンカーペプチド(または可動性リンカー)またはペプチド結合である。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、腫瘍関連抗原を標的とする。一部の実施形態では、腫瘍関連抗原は、CD19を含む。一部の実施形態では、CD19を標的とする抗原結合性ドメインは、モノクローナルFMC63抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、リンカーペプチドまたは可動性リンカーの配列は、2~6個、好ましくは3~4個の連続した(GGGGS)アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VL1のアミノ酸配列は、配列番号87に示されている通りであり、VH1のアミノ酸配列は、配列番号88に示されている。CD19を標的とするCARのアミノ酸配列の例は、配列番号89に示されている。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、免疫細胞抗原を標的とする。一部の実施形態では、免疫細胞抗原は、CD7を標的とする。一部の他の実施形態では、免疫細胞抗原は、CD2を標的とする。一部の実施形態では、CD7のモノクローナル抗体は、TH-69、3A1e、3A1f、T3-3A1、RFT2、CD7-6B7、124-1D1、4H9、SDZ214-380、またはそれらの組合せからなる群から選択される。一部の他の実施形態では、CD2に対するモノクローナル抗体は、RPA-2.10、TS1/8、OKT11、AB75、3E11、BH1、またはそれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、VLのアミノ酸配列は、配列番号90に示されている通りであり、VHのアミノ酸配列は、配列番号91に示されている。
【0135】
エンハンサー部分
[00207]本明細書で提供される操作された免疫細胞は、エンハンサー部分を含むことができる。エンハンサー部分は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を制御することができ、例えば、1つまたは複数のシグナル伝達経路を増強または上方調節して、操作された免疫細胞のエフェクター機能を増強または上方調節することができる。シグナル伝達経路は、サイトカイン関連シグナル伝達経路であり得る。エンハンサー部分は、サイトカインであり得る。エンハンサー部分は、サイトカイン受容体であり得る。
【0136】
[00208]サイトカイン関連シグナル伝達経路は、サイトカインの関連シグナル伝達経路を含むことができる。サイトカインの例としては、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21およびIL25が挙げられるが、これらに限定されない。場合によって、サイトカイン関連シグナル伝達経路は、2つ以上のサイトカインの関連シグナル伝達経路を含み、サイトカインは、IL-2およびIL-7、IL-2およびIL-15、IL-7およびIL-15、IL15およびIL21を含む。細胞応答は、下流の遺伝子発現の制御、細胞内酵素活性の変化、細胞骨格構造の変化、DNA合成の変化、遺伝子転写の促進、免疫細胞の分化、増殖の調節、および細胞死への抵抗性を含む。場合によって、サイトカイン関連シグナル伝達経路は、サイトカインおよび/またはその受容体をコードする遺伝子を導入または上方調節すること、サイトカインを外因的に添加すること、サイトカイン受容体に導入されること、またはそれらの組合せを含み、増強される。場合によって、サイトカインおよび/またはその受容体をコードする遺伝子を上方調節することは、コードする遺伝子の転写および/または翻訳のレベルを上方調節することを含む。場合によって、増強されたサイトカイン関連シグナル伝達経路は、以下の方法、免疫細胞内でサイトカインおよび/またはその受容体をコードする遺伝子を発現させること、免疫細胞内でサイトカインおよび/またはその受容体をコードする遺伝子のコピー数を増加させること、コードする遺伝子の調節配列(例えば、プロモーター)を操作して転写速度(例えば、転写開始速度)を向上させること、コードされた遺伝子を有するメッセンジャーRNAの翻訳制御領域を改変して翻訳強度を向上させること、コードされた遺伝子自体を改変してmRNAの安定性、タンパク質の安定性を向上させ、タンパク質のフィードバック阻害を解除すること、の1つまたは複数によって達成することができる。
【0137】
[00209]サイトカイン関連シグナル伝達経路は、サイトカインおよびその受容体の膜発現、サイトカインの分泌、サイトカインおよび/またはその受容体の転写制御の増強、またはそれらの組合せによって増強され得る。膜発現されたサイトカインおよびその受容体には、IL-15およびその受容体(例えば、mbIL15融合タンパク質)、IL-7およびその受容体(例えば、mbIL7融合タンパク質)、IL-17およびその受容体(例えば、mbIL17融合タンパク質)、IL-2およびその受容体(例えば、mbIL2融合タンパク質)、IL-21およびその受容体(例えば、mbIL21融合タンパク質)、活性化されたIL-7受容体(C7R)を構成するもの、またはそれらの組合せを含むことができる。場合によって、操作された免疫細胞に含まれるエンハンサー部分は、分泌性サイトカインである。分泌性サイトカインは、様々なメカニズムで機能することができ、例えば、分泌性サイトカインは、trans活性化因子またはcis活性化因子であり得る。分泌性サイトカインは、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、またはそれらの組合せを含むことができる。場合によって、エンハンサーは、mbIL15、mbIL7、mbIL21およびmbIL2のような膜結合タンパク質である。場合によって、エンハンサー部分は、STAT5およびSTAT3のような構成的に活性なサイトカイン受容体下流シグナル伝達タンパク質である。場合によって、エンハンサー部分は、構成的に活性なIL-7受容体(C7R)またはその誘導体のような構成的に活性なサイトカイン受容体である。例えば、構成的に活性なサイトカイン受容体は、C7Rのエクトドメインが安全スイッチで置換された操作されたタンパク質(例えば、本開示では「E3」と呼ばれる)、例えば、EGFRtまたはヒト上皮増殖因子受容体2の短縮型(Her2t;米国特許出願公開第20170267742(A1)号を参照)、または本開示に記載される他のペプチドであり得る。別の例として、構成的に活性なサイトカイン受容体は、C7Rのエクトドメインが免疫細胞阻害剤で置換された操作されたタンパク質(例えば、本開示では「E4」と呼ばれる)、例えば、CD47、CD24、またはキラーもしくは食細胞免疫細胞の機能を阻害して治療細胞(例えば、本明細書に記載の操作された免疫細胞)を保護する他のペプチドであり得る。場合によって、サイトカインは、CCL21およびCCL19のようなケモカインであり得る。使用することができるケモカインの他の非限定的な例としては、CCL27、CCL28、CCL20、CXCL9、CXCL10、CXCLll、CXCL16、CXCL13、CXCL5、CXCL6、CXCL8、CXCL12、CCL2、CCL8、CCL13、CCL25、CCL3、CCL4、CCL5、CCL7、CCL14、CCL15、CCL16、CCL23、CX3CL1、XCL1、XCL2、CCL1、CCL17、CCL22、CCL11、CCL24、CCL26、CXCL1、CXCL2、CXCL3、およびCXCL7が挙げられる。場合によって、エンハンサー部分はCCR7のリガンドであり、これはT細胞、NK細胞または樹状細胞の浸潤を促進するように機能することができる。CCR7のリガンドは、CCL21およびCCL19を含むがこれに限定されるものではない。場合によって、エンハンサー部分は、リンパ腫または他の固形腫瘍を治療するための治療用途のために、ケモカインCCL21およびCCL19の共発現を含む。
【0138】
[00210]状況によって、操作された免疫細胞は液性腫瘍を治療するための治療剤として使用され、そのような状況では、エンハンサー部分は、本明細書に記載されているような任意の形態の任意のサイトカインを含むことができる。状況によって、操作された免疫細胞は固形腫瘍を治療するための治療剤として使用され、そのような状況では、エンハンサー部分は、任意の形態の任意のサイトカインを含み、さらに1つまたは複数のケモカインを含むことができる。
【0139】
[00211]場合によって、IL-2とIL-7、IL-2とIL-15、IL-7とIL-15、およびIL15とIL21を含む、2つのサイトカインを使用して、操作された免疫細胞のサイトカイン関連シグナル伝達経路を増強する場合がある。サイトカイン関連シグナル伝達経路の増強は、mbIL融合タンパク質、構成的に活性なIL-7受容体(C7R)、インターロイキン、またはそれらの組合せからなる群から選択されるポリペプチドの発現を含むことができる。
【0140】
[00212]本明細書に記載のエンハンサー部分は、インターロイキン15(IL-15)またはIL-15受容体であり得る。IL-15は、114個のアミノ酸からなる14~15kDsの糖タンパク質であり、4ヘリックスバンドルサイトカインのファミリーに属している。IL-15は、インターロイキン2(IL-2)と構造的に相同性がある。IL-15受容体は、高親和性のIL-15受容体α鎖、IL2/15受容体β鎖、および共通のγ鎖を含む。したがって、IL-15は、T細胞の活性化や増殖を促したり、NK細胞の殺細胞活性を高めたり、B細胞の免疫グロブリン産生を促進するなど、IL-2と同様の機能を持つ可能性がある。最近の研究では、IL-15が、NK細胞、NKT細胞、腸管上皮細胞の分化、増殖、活性化に関与している可能性があることがわかってきた。IL-15とIL-17は、CD8+メモリーT細胞の制御に役割を果たしている可能性がある。また、IL-15は、IL-15α鎖受容体を発現する細胞が、IL-15β鎖と共通のガンマ鎖を発現する細胞にIL-15を提示するというメカニズムにより、CD8+メモリーT細胞の増殖やNK細胞の生存サイクルを制御することができることを研究が示している。また、IL-15は、骨格筋の同化の制御など、非免疫系においても役割を果たしている可能性がある。本明細書に記載のエンハンサー部分は、インターロイキン7(IL-7)であり得る。IL-7は、プレB細胞、プロB細胞、B細胞、およびT細胞の成長を促進することができる。また、B細胞およびT細胞の成長および抗アポトーシスを促進することができる。IL-7は、胸腺の初期分化と増殖、樹状細胞の発生と分化に役割を果たすことができる。しかし、IL-7は、抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球の殺活性を高める効果はない可能性がある。まず胸腺から末梢血に移行し、次いで胸腺細胞または末梢血リンパ球にリンホカインの産生を誘導し、LAK細胞のリンホカイン活性化キラー細胞活性を活性化し、高めることができる。CD8+部分集団は、IL-7の主なエフェクター細胞であり、IL-7はメモリーCD8+T細胞の増殖と生存を支持することができる。IL-7は骨髄組織の生成を促進することができる。IL-7は、ミエロイド前駆細胞および巨核球を刺激してコロニー形成単位および血小板を産生するだけでなく、シクロホスファミドによる免疫抑制から身体を回復させることができる。また、高濃度では、マクロファージを増強する細胞傷害性を誘導し、CTL細胞、NK細胞、活性化単球の産生の相乗因子として機能し、単球-マクロファージに各種サイトカインを分泌させ、マクロファージ炎症性タンパク質α(MIP-α)、MIP-β、IL-8、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)等の炎症性因子の発現を促進することができる。炎症細胞が産生する多数の炎症性因子を活性化することで、IL-7は、炎症プロセスの構成要素間の相互作用を制御できるだけでなく、CCR1、CCR2、CCR5のような炎症性サイトカイン受容体(CCR)を増強することができる。さらに、IL-7は免疫反応の誘導に役割を果たすことができる。IL-7は、タイプIの免疫反応を誘導し、IFN-γおよびIL2の産生を増加させることができる。IL-7はIL12と相乗効果を発揮してIFN-γおよびT細胞の増殖を誘導する。IL-7および形質転換増殖因子β(TGFβ)は、調節的な役割を果たし、免疫調節メカニズムの一部となり得る。IL-7は、T細胞の免疫再構成を促進するだけでなく、T細胞周期およびBCL-2発現の上方調節を誘導することができ、循環するT細胞受容体プールの多様性と持続性を広げ、CD4+およびCD8+T細胞の数を増加させる。さらに、HIV抗原に対しては、増殖したT細胞はIL2およびIFN-γを分泌することもでき、良好な抗ウイルス機能を有する。したがって、IL-7は、HIV特異的Tリンパ球の増殖、サイトカインの分泌、細胞機能の不具合を回復させることができる。
【0141】
[00213]エンハンサー部分は、転写因子5(STAT5)媒介シグナル伝達経路のシグナルトランスデューサーとアクティベーターを制御(例えば、活性化)することができる。STAT5は、細胞質に広く存在し得る。サイトカイン(例えば、IL2、IL7、IL15およびIL21)がサイトカイン受容体に結合すると、受容体に結合したJAKが活性化され、それによりSTAT5タンパク質のC末端のTyr残基がリン酸化される。リン酸化されたSTAT5は、そのSH2領域を介して、相同または異種の二量体を形成することができる。相同のまたは異種二量体は、核に移行し、標的遺伝子に結合することで、細胞調節因子および抗アポトーシス遺伝子を含む標的遺伝子の発現を制御することができる。STAT5の活性化は、正常な細胞機能を維持し、細胞の増殖および分化を制御する役割を果たすことができる。したがって、STAT5シグナル伝達経路の活性を制御することで、本明細書に記載のCAR-T細胞の生存および持続を制御することができると可能性がある。
【0142】
[00214]エンハンサー部分は、エンハンサー部分をコードする核酸分子を細胞に送達することにより、細胞(例えば、免疫細胞または操作された免疫細胞)に導入され得る。核酸分子は、ベクターであり得る。エンハンサー部分は、融合構築物の一部であり得る。融合タンパク質または対応する核酸構築物は、以下の、S-2A-L1-scFv-H-TM-C-CD3ζ-2A-L2-IL15-IL15Ra(A)、S-2A-L1-scFv-H-TM-C-CD3ζ-2A-L2-IL15-IL15Ra-2A-L3-IL7(B)、S-2A-L1-scFv-H-TM-C-CD3ζ-2A-L2-C7R(C)、S-2A-L1-scFv-H-TM-C-CD3ζ-2A-L2-IL7-IL7Ra(D)であり、ここで「-」の各々は独立してリンカーペプチドまたはペプチド結合である、Sは安全スイッチである、2Aは任意の自己切断性ペプチドである、L1、L2およびL3の各々は独立してヌルまたはシグナルペプチド配列である、C7Rは上記の通りである、scFvは抗原結合性ドメインである、Hはヌルまたはヒンジ領域である、TMは膜貫通ドメインである、Cは共刺激シグナル伝達分子である、CD3ζはCD3ζに由来する細胞質シグナル伝達配列である、IL15はインターロイキン15である、IL15RaはIL-15受容体aである、IL7はインターロイキン7である、IL7RaはIL-7受容体aである、C7Rは構成的に活性化されたIL-7受容体である、から選択される式によって示されるような構造を有することができる。
【0143】
[00215]エンハンサー部分は、キメラポリペプチドの一部であり得る。例えば、エンハンサー部分は、誘導性細胞死部分に連結され得る。エンハンサー部分は、リンカーによって誘導性細胞死部分に連結され得る。リンカーは、切断されていなくてもよい。リンカーは、自己切断性ペプチドを含んでいなくてもよい。他の場合によって、エンハンサー部分および誘導性細胞死部分は、同一の核酸分子から細胞内で発現され、切断されて2つのポリペプチドを形成することができる。
【0144】
誘導性細胞死部分
[00216]本明細書に記載の操作された免疫細胞は、誘導性細胞死部分を含んでもよく、「自殺遺伝子スイッチ」、「自殺スイッチ」、「安全スイッチ」、または「細胞自殺エレメント」とも呼ばれる。誘導性細胞死部分は、外因性因子(例えば、薬物)の作用下で、in vivoで操作された免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)を効果的に除去するために使用され得る。本明細書に記載の誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、CD20(およびそのミモトープ)、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、EGFRt、HSV-TK、mTMPKなどであってもよい。iCasp9、CD20(およびそのミモトープ)、RQR8、およびHSV-TKは、T細胞を除去する能力が同じであるが、rapaCasp9、iCasp9、RQR8、およびCD20(およびそのミモトープ)は、HSV-TKと比較して高速である場合がある。
【0145】
[00217]場合によって、誘導性細胞死部分は、細胞死アクティベーターと接触すると前記細胞の死を生じさせることができる。誘導性細胞死部分は、例えば、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、またはEGFRtであり得る。場合によって、誘導性細胞死部分はEGFRtであり、ならびに前記細胞死アクティベーターはEGFRtに結合する抗体またはその抗原結合断片である。場合によって、誘導性細胞死部分はHSV-TKであり、ならびに前記細胞死アクティベーターはGCVである。場合によって、誘導性細胞死部分はiCasp9であり、ならびに前記細胞死アクティベーターはAP1903である。
【0146】
[00218]誘導性細胞死部分は、エンハンサー部分に連結することができ、上述のようにキメラポリペプチドとして細胞内で共発現され得る。
移植片対宿主病(GVHD)
[00219]悪性疾患や感染性疾患の治療用の「既製」の同種異系T細胞を調製するために、T細胞の注入による細胞療法は、病原体や悪性腫瘍に対する免疫を再確立するように設計され得る。十分な数の腫瘍標的特性を有するT細胞をin vitroで産生するのに必要な時間は、一般的に患者の治療域とは相容れないことがある。さらに、疾患が進行した患者の自己T細胞は、機能が低下している可能性があり、所望の抗原に対して耐性がある。
【0147】
[00220]これらの問題に対処するために、患者に同種異系T細胞を投与することができるが、注入された細胞上の異なる主要または副組織適合性抗原を認識することにより、宿主T細胞による免疫媒介性拒絶を防止する必要がある。TCRαおよびβ鎖、ならびにHLA-A分子を発現していないT細胞を注入しても、GVHDやHVGを引き起こさない場合がある。したがって、CRISPR/CAS9を用いて編集されTCRα鎖とHLA-A分子を削除したT細胞は、普遍的エフェクターのドナー細胞の供給源としての機能を果たし得る。
【0148】
[00221]しかし、β-2-ミクログロブリン(B2M)のノックダウンは、ドナーCAR-T細胞が宿主T細胞に攻撃されるのを防ぐ場合がある。ドナーCAR-T細胞は、宿主のNK細胞によって攻撃され、CAR-T細胞の生存に影響を与える場合がある。したがって、本開示は、腫瘍細胞および宿主T細胞および/またはNK細胞を標的とする操作された免疫細胞を提供する。本明細書に記載の操作された免疫細胞は、宿主T細胞および/またはNK細胞を捕捉し、CAR-T細胞の生存、持続および増殖能力を高めることができ、それによって腫瘍細胞に対してより効果的である。
【0149】
遺伝子編集
[00222]本開示では、CRISPR、RNA干渉技術、TALEN(転写アクティベーター様(TAL)エフェクターヌクレアーゼ)、ZFN(ジンクフィンガーヌクレアーゼ)を含む、様々な遺伝子編集方法を用いて、操作された免疫細胞を作ることができる。
【0150】
[00223]場合によって、CRISPR/Cas9系を使用して、免疫細胞の遺伝子を編集する。例えば、CRISPR/Cas9系を使用して、T細胞療法のための操作された免疫細胞を生成するために、免疫細胞の内因性TCRまたは細胞表面マーカー(例えば、CD7)をノックアウトすることができる。CRISPR/Cas9(clustered regular interspaced short palindromic repeats、クラスター化され、規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し)/Cas(CRISPR-associated、CRISPR関連)系は、原核生物に特有の自然免疫系であり、ウイルスや外来のプラスミドにも耐性がある。TypeII CRISPR/Cas系は、直接ゲノム志向ゲノム編集ツールとして、多くの真核生物および原核生物に適用されてきた。CRISPR/Cas9系の開発は、人々がDNA配列を編集し、標的遺伝子の発現レベルを制御する能力に革命をもたらし、生物の正確なゲノム編集のための強力なツールを提供した。簡略化されたCRISPR/Cas9系は、Cas9タンパク質およびgRNAを含むことができる。作用原理は、gRNAが自身のCas9ハンドルを介してCas9タンパク質とCas9-gRNA複合体を形成し、Cas9-gRNA複合体中のgRNAの塩基相補性ペアリング配列が、塩基相補性ペアリングの原理により標的遺伝子の標的配列とペアリングされるというものである。Cas9は、自身のエンドヌクレアーゼ活性を用いて標的DNA配列を切断する。従来のゲノム編集技術と比較して、CRISPR/Cas9系には、使いやすさ、簡便さ、低コスト、プログラム可能、複数の遺伝子を同時に編集可能、などの明確な利点がある。
【0151】
医薬組成物
[00224]本開示はまた、本明細書に記載の操作された免疫細胞、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は液体組成物である。医薬組成物は、例えば、注射によって、対象に投与され得る。調製物中の操作された免疫細胞の濃度は、少なくとも約102、103、104、105、106、107、108、109、またはそれ以上の細胞/mlであり得る。場合によって、調製物中の操作された免疫細胞の濃度は、1×103~1×108細胞/ml、または1×104~1×107細胞/mlであり得る。
【0152】
[00225]本開示の医薬組成物は、本明細書に記載されているような操作された免疫細胞を、1つまたは複数の薬学的または生理学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて含んでいてもよい。そのような組成物は、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水などの緩衝液、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトールのような炭水化物、タンパク質、ポリペプチドまたはグリシンのようなアミノ酸、抗酸化物質、EDTAまたはグルタチオンのようなキレート剤、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、および防腐剤を含んでもよい。本開示の組成物は、静脈内投与のために製剤化されてもよい。
【0153】
[00226]本開示の医薬組成物は、治療(または予防)すべき疾患に適した方法で投与されてもよい。投与量および頻度は、患者の状態、ならびに患者の疾患の種類および重症度などの要因によって決定されるが、適切な投与量は臨床試験によって決定されてもよい。
【0154】
[00227]「免疫学的有効量」、「抗腫瘍有効量」、「腫瘍抑制有効量」、または「治療量」が示されている場合、投与される本開示の組成物の正確な量は、患者(対象)の年齢、体重、腫瘍サイズ、感染または転移の程度、および状態の個人差を考慮して医師によって決定され得る。一般に、本明細書に記載の操作された免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)を含む医薬組成物は、104~109細胞/kg体重、または場合によって、105~106細胞/kg体重の投与量で投与されてもよく、それらの範囲内のすべての整数値を含むと述べることができる。T細胞組成物はまた、これらの投与量で複数回投与されてもよい。細胞は、注入技術を用いて投与され得る。特定の患者に対する最適な投与量および治療レジメンは、疾患の兆候について患者をモニタリングし、それに応じて治療を調整することによって容易に決定され得る。
【0155】
[00228]対象となる組成物の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂取、輸血、インプラント術または移植を含む、任意の都合のよい方法で実施してもよい。本明細書に記載の組成物は、皮下、皮内、腫瘍内、リンパ節内、髄内、筋肉内、静脈内(i.v.)注射、または腹腔内で患者に投与してもよい。一部の実施形態では、本開示のT細胞組成物は、皮内注射または皮下注射によって患者に投与される。一部の他の実施形態では、本開示のT細胞組成物は、好ましくは静脈内注射によって投与される。T細胞組成物は、腫瘍、リンパ節、または感染部位に直接注入されてもよい。
【0156】
治療
[00229]本開示は、本明細書に記載される発現カセットをコードするレンチウイルスベクター(LV)で形質導入された操作された免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)を用いた治療用途を提供する。形質導入されたT細胞またはNK細胞は、腫瘍細胞マーカー(CD19など)および活性化T細胞および/またはNK細胞のコンセンサスマーカー(CD3、CD7、CD137など)を標的とすることができる。操作された免疫細胞は、同種異系の腫瘍治療に使用され、大規模に調製され得る。
【0157】
[00230]その結果、本開示はまた、本開示の操作された免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)を対象に投与する工程を含む、対象(例えば、哺乳動物)の標的細胞集団または組織に対するT細胞媒介免疫反応を刺激する方法を提供する。
【0158】
[00231]一部の実施形態では、本開示は、本開示の操作された普遍的CAR-T細胞を、それを必要とする患者に直接投与することを含む一種の細胞療法を提供する。本開示のCAR-T細胞は、遺伝子編集技術によって細胞内で内因性TCRの発現がノックアウトされているか、またはサイレンシングされていてもよい。内在性TCRを不活性化することで、同種異系注入中にTCRによる正常細胞の殺傷を防ぐことができる。GVHD反応は防止される場合がある。腫瘍細胞マーカー(CD19など)ならびに活性化T細胞および/またはNK細胞のマーカー(CD137など)を標的としたCAR-T細胞は、腫瘍細胞を捕捉しつつ、活性化T細胞および/またはNK細胞を除去することができる。さらに、宿主対移植片の反応(HVG)も防止され得る。また、本明細書で提供される細胞療法は、対象における同種異系CAR-T細胞の生存率および抗腫瘍効果を向上させることができる。
【0159】
[00232]一部の実施形態では、対象の疾患を治療または診断する方法であって、前記対象に、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を含む方法が本明細書で提供される。
[00233]前記医薬組成物中の操作された免疫細胞は、同種異系免疫細胞に由来するものであってもよい。前記同種異系免疫細胞に由来する操作された免疫細胞は、前記対象に移植片対宿主病(GvHD)を引き起こさない場合がある。また、前記医薬組成物中の操作された免疫細胞は、自家免疫細胞に由来するものであってもよい。
【0160】
[00234]前記医薬組成物中の前記操作された免疫細胞の内因性TCRは、機能的に不活性であってもよい。操作された免疫細胞は、機能的に活性なTCRを有する別の免疫細胞と比較して、前記対象においてGVHDを減少させることができる。疾患は、がんであり得る。がんは、例えば、リンパ腫または白血病であり得る。
【0161】
[00235]本開示のCAR-T細胞は、in vivoでの頑強な細胞増殖を受けることができ、伸展することができる。CAR媒介免疫反応は、CAR修飾T細胞がCAR中の抗原結合性ドメインに特異的な免疫反応を誘発することができる養子免疫療法のステップの一部であり得る。例えば、抗CD19CAR-T細胞は、CD19を発現する細胞に対して特異的な免疫反応を誘発する。
【0162】
[00236]本明細書で提供される操作された免疫細胞は、がんの治療に使用され得る。治療され得るがんは、血管形成する腫瘍だけでなく、血管形成していない、またはまだ実質的に血管形成していない腫瘍を含む。がんは、非固形腫瘍(血液腫瘍、例えば、白血病およびリンパ腫など)を含んでもよく、または固形腫瘍を含んでもよい。本開示のCARで治療するがんの種類には、癌腫、芽細胞腫、および肉腫、ならびに特定の白血病またはリンパ性悪性腫瘍、良性腫瘍および悪性腫瘍、ならびに悪性腫瘍例えば肉腫、癌腫、および黒色腫が含まれるが、これらに限定されない。成人の腫瘍/がん、および小児の腫瘍/がんも含まれる。
【0163】
[00237]血液性のがんは、血液または骨髄のがんである。血液性(または血行性)のがんの例としては、急性白血病(急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、ならびに骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、および赤血球性白血病など)、慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、および慢性リンパ球性白血病など)、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(低悪性度および高悪性度)、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、ヘアリーセル白血病、骨髄異形成を含む白血病が挙げられる。
【0164】
[00238]固形腫瘍は、通常、嚢胞や液状領域を含まない組織の異常な塊である。固形腫瘍は、良性または悪性であり得る。異なるタイプの固形腫瘍は、それらを形成する細胞のタイプ(肉腫、癌腫、およびリンパ腫など)に応じて命名される。肉腫や癌腫のような固形腫瘍の例としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、および他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ性悪性腫瘍、膵臓がん、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、精上皮腫、膀胱癌、黒色腫、およびCNS腫瘍(神経膠腫(脳幹神経膠腫や混合神経膠腫など)、膠芽腫(多形神経膠芽腫としても知られる)、星状細胞腫、CNSリンパ腫、胚細胞腫、髄芽腫、シュワンノーマ頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、および脳転移など)が挙げられる。
【0165】
[00239]一部の実施形態では、本開示のCARの抗原結合部分は、特定のがんを治療するように設計されている。例えば、CD19を標的とするように設計されたCARは、プレB ALL(小児適応)、成人ALL、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、同種異系骨髄移植後のサルベージなどを含むがこれらに限定されないがんおよび障害を治療するために使用され得る。一部の実施形態では、CARは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するためにCD22を標的とするように設計され得る。一部の実施形態では、がんおよび障害は、プレB ALL(小児適応)、成人ALL、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、同種異系骨髄移植後のサルベージなどを含むが、これらに限定されず、CD19、CD20、CD22、およびROR1を標的とするCARの組合せを使用して治療され得る。一部の実施形態では、CARは、中皮腫、膵臓がん、卵巣がんなどを治療するためにメソセリンを標的とするように設計され得る。一部の実施形態では、CARは、急性骨髄性白血病を治療するためにCD33/IL3Raを標的とするように設計され得る。一部の実施形態では、CARは、トリプルネガティブ乳がん、非小細胞肺がんなどを治療するためにc-Metを標的とするように設計され得る。一部の実施形態では、CARは、前立腺がんなどを治療するためにPSMAを標的とするように設計され得る。一部の実施形態では、CARは、前立腺がんなどを治療するために糖脂質F77を標的とするように設計され得る。一部の実施形態では、CARは、膠芽腫などを治療するためにEGFRvIIIを標的とするように設計され得る。一部の実施形態では、CARは、神経芽細胞腫、黒色腫などを治療するためにGD-2を標的とするように設計され得る。一部の実施形態では、CARは、骨髄腫、肉腫、黒色腫などを治療するためにNY-ESO-1 TCRを標的とするように設計され得る。一部の実施形態では、CARは、骨髄腫、肉腫、黒色腫などを治療するためにMAGE A3 TCRを標的とするように設計され得る。
【0166】
[00240]本開示は、本明細書に開示された抗原標的および疾患のみに限定されると解釈されるべきではない。むしろ、本開示は、CARが疾患の治療に使用され得る疾患に関連する任意の抗原標的を含むと解釈されるべきである。
【0167】
[00241]本明細書に開示された細胞療法は、1つまたは複数の追加の治療剤、例えば、1つまたは複数の抗がん剤、細胞毒性剤または細胞分裂阻害剤、ホルモン治療、ワクチン、および/または他の免疫療法と共同で製剤化し、および/または共同で投与され得る。一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、手術、放射線、冷凍手術、および/または温熱療法を含む他の治療的治療モダリティと組み合わせて投与される。このような併用療法では、投与される治療剤の量が少なくて済むため、様々な単剤療法に伴う毒性や合併症の可能性を回避することができる。
【0168】
[00242]特定の実施形態では、本明細書に記載の方法および組成物は、1つまたは複数の抗体分子、化学療法、他の抗がん療法(例えば、標的抗がん療法、または腫瘍溶解性薬)、細胞毒性剤、免疫ベースの療法(例えば、サイトカイン)、外科手術および/または放射線手法と組み合わせて投与される。組み合わせて投与され得る例となる細胞毒性剤は、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、挿入剤、シグナル伝達経路を妨害できる薬剤、アポトーシスを促進する薬剤、プロテアソーム阻害剤、および放射線(例えば、局所または全身照射)を含む。
【0169】
[00243]特定の実施形態では、併用療法は、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、ビカルタミド(Casodex(登録商標))、ブレオマイシン硫酸塩(Blenoxane(登録商標))、ブスルファン(Myleran(登録商標))、ブスルファン注射用(Busulfex(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)またはNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cy-tosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射用(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、コスメガン)、ダウノルビシン塩酸塩(Cerubidine(登録商標))、ダウノルビシンクエン酸塩リポソーム注射用(DaunoXome(登録商標))、デキサメタゾン、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、ドキソルビシン塩酸塩(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(Vepesid(登録商標))、フルダラビンリン酸エステル(Fludara(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テザシチビン、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシウレア(Hydrea(登録商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(Alkeran(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、マイロターグ、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ナブパクリタキセル(Abraxane(登録商標))、フェニックス(イットリウム90/MX-DTPA)、ペントスタチン、ポリフェプロサン20とカルムスチンの併用インプラント(Gliadel(登録商標))、タモキシフェンクエン酸塩(Nolvadex(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6-チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、トポテカン塩酸塩注射用(Hycamptin(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、およびビノレルビン(Navelbine(登録商標))を含むがこれらに限定されない、標準的ながん治療の化学療法剤と組み合わせて使用される。
【0170】
[00244]アルキル化剤の例としては、限定されないが、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、ニトロソウレア、トリアゼン)、ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil nitrogen Mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、Uramustin(登録商標)、Uramustine(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、Endoxan(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標))、イホスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(Alkeran(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、パイポブロマン(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスホラミン、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、Myleran(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))、およびダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))などが挙げられる。追加の例示的なアルキル化剤としては、限定されないが、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標)およびTemodal(登録商標));ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、Cosmegen(登録商標)としても知られる);メルファラン(L-PAM、L-サルコリシン、およびフェニルアラニンマスタード、Alkeran(登録商標)としても知られる);アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)、Hexalen(登録商標)としても知られる);カルムスチン(BiCNU(登録商標));ベンダムスチン(Treanda(登録商標));ブスルファン(Busulfex(登録商標)およびMyleran(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));ロムスチン(CCNU、CeeNU(登録商標)としても知られる);シスプラチン(CDDP、Platinol(登録商標)およびPlatinol(登録商標)-AQとしても知られる);クロラムブシル(Leukeran(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)およびNeosar(登録商標));ダカルバジン(DTIC、DICおよびイミダゾールカルボキサミド、DTIC-Dome(登録商標)としても知られる);アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)、Hexalen(登録商標)としても知られる);イホスファミド(Ifex(登録商標));プレドヌムスチン(Prednumustine);プロカルバジン(Matulane(登録商標));メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード、ムスチン、メクロレタミン塩酸塩、Mustargen(登録商標)としても知られる);ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));チオテパ(チオホスホアミド、TESPAおよびTSPA、Thioplex(登録商標)としても知られる);シクロホスファミド(Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(登録商標))、およびベンダムスチン塩酸塩(Treanda(登録商標))が挙げられる。
【0171】
[00245]アントラサイクリン系薬剤の例としては、例えば、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)およびRubex(登録商標));ブレオマイシン(Lenoxane(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノルビシン塩酸塩、ダウノマイシン、およびルビドマイシン塩酸塩、Cerubidine(登録商標))、ダウノルビシンリポソーム(クエン酸ダウノルビシンリポソーム、DaunoXome(登録商標));ミトキサントロン(DHAD、Novantrone(登録商標));エピルビシン(Ellence(商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標)、IdamycinPFS(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ゲルダナマイシン;ハービマイシン;ラビドマイシン;およびデスアセチルラビドマイシンが挙げられる。
【0172】
[00246]本明細書に記載の細胞療法と組み合わせて使用することができるビンカアルカロイドの例としては、ビノレルビン酒石酸塩(Navelbine(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、およびビンデシン(Eldisine(登録商標));ビンブラスチン(ビンブラスチン硫酸塩、ビンカロイコブラスチンおよびVLB、Alkaban-AQ(登録商標)およびVelban(登録商標)としても知られる)、およびビノレルビン(Navelbine(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
[00247]本明細書に記載の細胞療法と組み合わせて使用することができるプロテアソーム阻害剤の例としては、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));カルフィルゾミブ(PX-171-007、(S)-4-メチル-N-((S)-1-(((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセタミド)-4-フェニルブタンアミド)-ペンタンアミド);マリゾミブ(NPI-0052);イキサゾミブクエン酸エステル(MLN-9708);デランゾミブ(CEP-18770);O-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(1S)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-L-セリンアミド(ONX-0912);ダノプレビル(RG7227、CAS850876-88-9);イクサゾミブ(MLN2238、CAS1072833-77-2);および(S)-N-[(フェニルメトキシ)カルボニル]-L-ロイシル-N-(1-ホルミル-3-メチルブチル)-L-ロイシンアミド(MG-132、CAS133407-82-6)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
[00248]一部の実施形態では、細胞療法は、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤)と組み合わせて使用することができる。例示的なチロシンキナーゼ阻害剤には、上皮増殖因子(EGF)経路阻害剤(例えば、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤)、血管内皮増殖因子(VEGF)経路阻害剤(例えば、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤(例えば、VEGFR-1阻害剤、VEGFR-2阻害剤、VEGFR-3阻害剤))、血小板由来増殖因子(PDGF)経路阻害剤(例えば、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)阻害剤(例えば、PDGFR-β阻害剤))、RAF-1阻害剤、KIT阻害剤、およびRET阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤と組み合わせて使用される抗がん剤は、以下の、アキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セジラニブ(RE-CENTIN、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標)、CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキサニブ(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ベバシズマブ(AVAS-TIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、アレムツズマブ(CAM-PATH(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、ドビチニブ乳酸塩(TKI258、CHIR-258)、BIBW2992(TOVOK(商標))、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF 1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、XL228、AEE788、AG-490、AST-6、BMS-599626、CUDC-101、PD153035、ペリチニブ(EKB-569)、バンデタニブ(ザクティマ)、WZ3146、WZ4002、WZ8040、ABT-869(リニファニブ)、AEE788、AP24534(ポナチニブ)、AV-951(チボザニブ)、アキシチニブ、BAY 73-4506(レゴラフェニブ)、ブリバニブアラニネート(BMS-582664)、ブリバニブ(BMS-540215)、セジラニブ(AZD2171)、CHIR-258(ドビチニブ)、CP 673451、CYC116、E7080、Ki8751、マシチニブ(AB1010)、MGCD-265、モテサニブ二リン酸塩(AMG-706)、MP-470、OSI-930、パゾパニブ塩酸塩、PD173074、ソラフェニブトシル酸塩(Bay43-9006)、SU5402、TSU-68(SU6668)、バタラニブ、XL880(GSK1363089、EXEL-2880)からなる群から選択される。ヘッジホッグ阻害剤のさらなる例としては、ビスモデギブ(2-クロロ-N-[4-クロロ-3-(2-ピリジニル)フェニル]-4-(メチルスルホニル)ベンズアミド、GDC-0449);1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-((3-(4-フルオロフェニル)-3,4-ジヒドロ-4-オキソ-2-キナゾリニル)メチル)ウレア(CAS 330796-24-2);N-[(2S,3R,3’R,3aS,4’aR,6S,6’aR,6’bS,7aR,12’aS,12’bS)-2’,3’,3a,4,4’,4’a,5,5’,6,6’,6’a,6’b,7,7’,7a,8’,10’,12’,12’a,12’b-エイコサヒドロ-3,6,11’,12’b-テトラメチルスピロ[フロ[3,2-b]ピリジン-2(3H),9’(1’H)-ナフト[2,1-a]アズレン]-3’-イル]-メタンスルホンアミド(IPI926、CAS 1037210-93-7);および4-フルオロ-N-メチル-N-[1-[4-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-1-フタラジニル]-4-ピペリジニル]-2-(トリフルオロメチル)-ベンズアミド(LY2940680、CAS 1258861-20-9);およびエリスモデギブ(LDE225)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。選択されたチロシンキナーゼ阻害剤は、スニチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、またはソラフェニブエルロチニブ塩酸塩(Tarceva(登録商標));リニファニブ(N-[4-(3-アミノ-1H-インダゾール-4-イル)フェニル]-N’-(2-フルオロ-5-メチルフェニル)ウレア、ABT869としても知られ、Genentechから入手可能);スニチニブリンゴ酸塩(Sutent(登録商標));ボスチニブ(4-[(2,4-ジクロロ-5-メトキシフェニル)アミノ]-6-メトキシ-7-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ]キノリン-3-カルボニトリル、SKI-606としても知られており、米国特許第6,780,996号に記載されている);ダサチニブ(Sprycel(登録商標));パゾパニブ(Votrient(登録商標));ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));ザクティマ(ZD6474);およびイマチニブまたはイマチニブメシル酸塩(Gil-vec(登録商標)およびGleevec(登録商標))から選択される。
【0175】
[00249]特定の実施形態では、細胞療法は、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体阻害剤と組み合わせて使用することができ、これには、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アキシチニブ(Inlyta(登録商標));ブリバニブアラニネート(BMS-582664、(S)-((R)-1-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-5-メチルピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イルオキシ)プロパン-2-イル)2-アミノプロパノエート);ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));パゾパニブ(Votrient(登録商標));スニチニブリンゴ酸塩(Sutent(登録商標));セジラニブ(AZD2171、CAS 288383-20-1);バルガテフ(BIBF1120、CAS 928326-83-4);フォレチニブ(GSK1363089);テラチニブ(BAY57-9352、CAS 332012-40-5);アパチニブ(YN968D1、CAS 811803-05-1);イマチニブ(Gleevec(登録商標));ポナチニブ(AP24534、CAS 943319-70-8);チボザニブ(AV951、CAS 475108-18-0);レゴラフェニブ(BAY73-4506、CAS 755037-03-7);バタラニブ二塩酸塩(PTK787、CAS 212141-51-0);ブリバニブ(BMS-540215、CAS 649735-46-6);バンデタニブ(Caprelsa(登録商標)またはAZD6474);モテサニブ二リン酸塩(AMG706、CAS 857876-30-3、N-(2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1H-インドール-6-イル)-2-[(4-ピリジニルメチル)アミノ]-3-ピリジンカルボキサミド、PCT公開番号WO02/066470);ドビチニブ二乳酸(TKI258、CAS 852433-84-2);リニファニブ(ABT869、CAS 796967-16-3);カボザンチニブ(XL184、CAS 849217-68-1);レスタウルチニブ(CAS 111358-88-4);N-[5-[[[5-(1,1-ジメチルエチル)-2-オキサゾリル]メチル]チオ]-2-チアゾリル]-4-ピペリジンカルボキサミド(BMS38703、CAS 345627-80-7);(3R,4R)-4-アミノ-1((4-((3-メトキシフェニル)アミノ)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)メチル)ピペリジン-3-オール(BMS690514);N-(3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニル)-6-メトキシ-7-[[(3aα,5β,6aα)-オクタヒドロ-2-メチルシクロペンタ[c]ピロール-5-イル]メトキシ]-4-キナゾリンアミン(XL647、CAS 781613-23-8);4-メチル-3-[[1-メチル-6-(3-ピリジニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル]アミノ]-N-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-ベンズアミド(BHG712、CAS 940310-85-0);アフリベルセプト(Eylea(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0176】
[00250]一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞療法は、PI3K阻害剤と組み合わせて使用することができる。PI3K阻害剤は、PI3Kのデルタアイソフォームおよびガンマアイソフォームの阻害剤であり得る。PI3K阻害剤の例としては、4-[2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン;2-メチル-2-[4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル]プロピオニトリル;4-(トリフルオロメチル)-5-(2,6-ジモルホリノピリミジン-4-イル)ピリジン-2-アミン;トザセルチブ(VX680またはMK-0457、CAS 639089-54-6);(5Z)-5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリジンジオン(GSK1059615、CAS 958852-01-2);(1E,4S,4aR,5R,6aS,9aR)-5-(アセチルオキシ)-1-[(ジ-2-プロペニルアミノ)メチレン]-4,4a,5,6,6a,8,9,9a-オクタヒドロ-11-ヒドロキシ-4-(メトキシメチル)-4a,6a-ジメチル-シクロペンタ[5,6]ナフト[1,2-c]ピラン-2,7,10(1H)-トリオン(PX866、CAS 502632-66-8);8-フェニル-2-(モルホリン-4-イル)-クロメン-4-オン(LY294002、CAS 154447-36-6);2-アミノ-8-エチル-4-メチル-6-(1H-ピラゾール-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(SAR 245409またはXL 765);1,3-ジヒドロ-8-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-3-メチル-1-[4-(1-ピペラジニル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オン、(2Z)-2-ブテンジオエート(1:1)(BGT 226);5-フルオロ-3-フェニル-2-[(1S)-1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル]-4(3H)-キナゾリノン(CAL101);2-アミノ-N-[3-[N-[3-[(2-クロロ-5-メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン-2-イル]スルファモイル]フェニル]-2-メチルプロパンアミド(SAR 245408またはXL 147);および(S)-ピロリジン-1,2-ジカルボン酸2-アミド1-({4-メチル-5-[2-(2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチル-エチル)-ピリジン-4-イル]-チアゾール-2-イル}-アミド)(BYL719)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0177】
[00251]一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞療法は、mTOR阻害剤、例えば、以下の、ラパマイシン、テムシロリムス(TORISEL(登録商標))、AZD8055、BEZ235、BGT226、XL765、PF-4691502、GDC0980、SF1126、OSI-027、GSK1059615、KU-0063794、WYE-354、パロミド529(P529)、PF-04691502、またはPKI-587;リダフォロリムス(正式名称:デフェロリムス、(1R,2R,4S)-4-[(2R)-2[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート、AP23573およびMK8669としても知られており、PCT公開番号WO03/064383に記載されている);エベロリムス(Afinitor(登録商標)またはRAD001);ラパマイシン(AY22989、Sirolimus(登録商標));セマピモド(CAS 164301-51-3);エムシロリムス、(5-{2,4-ビス[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-アミノ-8-[トランス-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502、CAS 1013101-36-4);およびN2-[1,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-α-アスパルチルL-セリン、内部塩(SF1126、CAS 936487-67-1)、(1r,4r)-4-(4-アミノ-5-(7-メトキシ-1H-インドール-2-イル)イミダゾ[1,5-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)シクロヘキサンカルボン酸(OSI-027);およびXL765、の1つまたは複数から選択される1つまたは複数のmTOR阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0178】
[00252]一部の実施形態では、細胞療法は、BRAF阻害剤、例えば、GSK2118436、RG7204、PLX4032、GDC-0879、PLX4720、およびソラフェニブトシル酸塩(Bay43-9006)と組み合わせて使用することができる。さらなる実施形態では、BRAF阻害剤は、レゴラフェニブ(BAY73-4506、CAS 755037-03-7);ツビザニブ(AV951、CAS 475108-18-0);ベムラフェニブ(Zel-boraf(登録商標)、PLX-4032、CAS 918504-65-1);エンコラフェニブ(LGX818としても知られている);1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル-1H-ベンズイミダゾール-2-アミン(RAF265、CAS 927880-90-8);5-[1-(2-ヒドロキシエチル)-3-(ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロインデン-1-オンオキシム(GDC-0879、CAS 905281-76-7);5-[2-[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]-5-(4-ピリジニル)-1H-イミダゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンオキシム(GSK2118436またはSB590885);(+/-)-メチル(5-(2-(5-クロロ-2-メチルフェニル)-1-ヒドロキシ-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-イル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)カルバメート(XL-281およびBMS908662としても知られている)およびN-(3-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド(PLX4720としても知られている)を含むが、これらに限定されない。
【0179】
[00253]一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞療法は、MEK阻害剤と組み合わせて使用することができる。任意のMEK阻害剤は、セルメチニブ(5-[(4-ブロモ-2-クロロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボキサミド、AZD6244またはARRY142886としても知られている);ARRY-142886、トラメチニブジメチルスルホキシド(GSK-1120212、CAS 1204531-25-80);G02442104(GSK1120212としても知られている)、RDEA436;N-[3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6-メトキシフェニル]-1-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロピル]-シクロプロパンスルホンアミド(RDEA119またはBAY869766としても知られている);RDEA119/BAY869766、AS703026;G00039805(AZD-6244またはセルメチニブとしても知られる)、BIX02188;BIX02189;2-[(2-クロロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-N-(シクロプロピルメトキシ)-3,4-ジフルオロ-ベンズアミド(CI-1040またはPD184352としても知られる);CI-1040(PD-184352)、N-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-ベンズアミド(PD0325901としても知られている);PD03259012’-アミノ-3’-メトキシフラボン(PD98059としても知られており、Biaffin GmbH & Co.,KG、Germanyより入手可能);PD98059、2,3-ビス[アミノ[(2-アミノフェニル)チオ]メチレン]-ブタンジニトリル(U0126としても知られている);U0126、XL-518(GDC-0973としても知られている、Cas番号1029872-29-4、ACC Corp.より入手可能);GDC-0973(メタノン、[3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3-ヒドロキシ-3-(25)-2-ピペリジニル-1-アゼチジニル]-)、G-38963;およびG02443714(AS703206としても知られている)、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含むが、これらに限定されない組合せで使用することができる。MEK阻害剤のさらなる例としては、ベニメチニブ(6-(4-ブロモ-2-フルオロフェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシエトキシ)-アミド、MEK162としても知られている、CAS 1073666-70-2);2,3-ビス[アミノ[(2-アミノフェニル)チオ]メチレン]-ブタンジニトリル(U0126としても知られており、米国特許第2,779,780号に記載される);(3S,4R,5Z,8S,9S,11E)-14-(エチルアミノ)-8,9,16-トリヒドロキシ-3,4-ジメチル-3,4,9,19-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾオキサシクロテトラデシン-1,7(8H)-ジオン](E6201としても知られている);ベムラフェニブ(PLX-4032、CAS 918504-65-1);(R)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン(TAK-733、CAS 1035555-63-5);ピマセルティブ(AS-703026、CAS 1204531-26-9);2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド(AZD 8330);および3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-[(3-オキソ-[1,2]オキサジナン-2-イル)メチル]ベンズアミド(CH 4987655またはRo 4987655)を含むが、これらに限定されない。
【0180】
[00254]一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞療法は、JAK2阻害剤、例えば、CEP-701、INCB18424、CP-690550(タソシチニブ)と組み合わせて使用することができる。JAK阻害剤の例としては、ルキソリチニブ(Jakafi(登録商標));トファシチニブ(CP690550);アキシチニブ(AG013736、CAS 319460-85-0);5-クロロ-N2-[(1S)-1-(5-フルオロ-2-ピリミジニル)エチル]-N4-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-y)-12,4-ピリミジンジアミン(AZD1480、CAS 935666-88-9);(9E)-15-[2-(1-ピロリジニル)エトキシ]-7,12,26-トリオキサ-19,21,24-トリアザテトラシクロ[18.3.1.12,5.114,18]-ヘキサコサ-1(24),2,4,9,14,16,18(25),20,22-ノナエン(SB-1578、CAS 937273-04-6);モメロチニブ(CYT387);バリシチニブ(INCB-028050またはLY-3009104);パクリチニブ(SB1518);(16E)-14-メチル-20-オキサ-5,7,14,27-テトラアザテトラシクロ[19.3.1.12,6.18,12]ヘプタコサ-1(25),2,4,6(27),8,10,12(26),16,21,23-デカエン(SB 1317);ガンドチニブ(LY 2784544);およびN,N-シシクロプロピル-4-[(1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ]-6-エチル-1,6-ジヒドロ-1-メチル-イミダゾ[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジン-7-カルボキサミド(BMS911543)を含むが、これらに限定されない。
【0181】
[00255]一部の実施形態では、本明細書で開示される併用療法は、パクリタキセルまたはパクリタキセル剤、例えばTAXOL(登録商標)、タンパク質結合パクリタキセル(例えば、ABRAXANE(登録商標))を含む。例示的なパクリタキセル剤としては、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(ABRAX-ANE、Abrxis Bioscienceが販売)、ドコサヘキサエン酸結合パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、タキソプレキシン、Protargaが販売)、ポリグルタミン酸結合パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックス、CT-2103、XYOTAX、Cell Therapeuticが販売)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP)、ANG105(パクリタキセル3分子に結合したAngiopep-2、ImmunoGen販売)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合したパクリタキセル;Liら,Biopolymers(2007)87:225-230を参照のこと)、およびグルコースコンジュゲートパクリタキセル(例えば、2’-パクリタキセルメチル2-グルコピラノシルコハク酸塩)を含むが、これらに限定されない。
【0182】
方法
[00256]本開示は、操作された細胞を生成する方法を提供する。一部の態様では、方法は、(a)キメラポリペプチドを発現する核酸分子を細胞内に送達する工程と;(b)細胞において核酸分子を発現させ、それにより、操作された細胞を生成する工程とを含み得る。キメラポリペプチドは、本明細書に記載のキメラ抗原受容体であり得る。
【0183】
[00257]本開示はまた、本明細書に記載の操作された細胞を投与する方法を提供する。操作された細胞は、操作された免疫細胞であり得る。操作された免疫細胞は、T細胞であり得る。操作された免疫細胞は、自家T細胞に由来することができる。操作された免疫細胞は、同種異系T細胞に由来することができる。
【0184】
[00258]一部の態様では、操作された免疫細胞を投与する方法であって、(i)操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分および(ii)誘導性細胞死部分を含むキメラポリペプチドであって、誘導性細胞死部分が、キメラポリペプチドを細胞死アクティベーターに接触させると操作された免疫細胞の死を生じさせることができる、キメラポリペプチドを含む方法が本明細書で提供される。エンハンサー部分は、誘導性細胞死部分に連結され得る。操作された免疫細胞は、結合部分を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)をさらに含むことができる。結合部分は、第1の抗原結合性ドメインを含むことができ、この第1の抗原結合性ドメインは、対象に投与されたときに、操作された免疫細胞に対する対象の免疫反応を抑制または低減する。結合部分は、疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインをさらに含むことができる。1つまたは複数のCARの個々のCARは、(i)第1の抗原結合性ドメイン、(ii)第2の抗原結合性ドメイン、または(iii)第1の抗原結合性ドメインおよび第2の抗原結合性ドメインの両方を含むことができる。1つまたは複数のCARの各CARは、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含むことができる。
【0185】
[00259]一部の態様では、結合部分を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)を含む、操作された免疫細胞を投与する方法が本明細書で提供される。結合部分は、免疫細胞抗原に結合することができる第1の抗原結合性ドメインと、疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含むことができる。1つまたは複数のCARの各CARは、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含むことができる。操作された免疫細胞は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分をさらに含むことができる。場合によって、操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)は、不活性化され得る。操作された免疫細胞は、1つまたは複数のCARを含むがエンハンサー部分を含まない別の操作された免疫細胞と比較して、(i)操作された免疫細胞に対して異種である細胞(例えば、がん細胞、免疫細胞、またはその両方)の存在下において少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500日間、またはそれ以上の日数、in vitroにおいて生存可能のままになることによる持続の増強、(ii)15日以内において少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、200倍、250倍、300倍、またはそれ以上の増殖の増強、または(iii)免疫細胞抗原または疾患関連抗原を含む標的細胞に対する細胞傷害性の増強を示すことができる。場合によって、操作された免疫細胞は、30日以内に少なくとも約50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、160倍、170倍、180倍、190倍、200倍、210倍、220倍、230倍、240倍、250倍、260倍、270倍、280倍、290倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、またはそれ以上の増殖の増強を示すことができる。場合によって、操作された免疫細胞は、60日以内に少なくとも約100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1,000倍、2,000倍、3,000倍、4,000倍、5,000倍、6,000倍、7,000倍、8,000倍、9,000倍、10,000倍、20,000倍、30,000倍、40,000倍、50,000倍、60,000倍、70,000倍、80,000倍、90,000倍、100,000倍、200,000倍、300,000倍、400,000倍、500,000倍、600,000倍、700,000倍、800,000倍、900,000倍、1,000,000倍、またはそれ以上の増殖の増強を示すことができる。刺激、例えば、がん抗原やがん細胞による刺激の存在下で、生存率または増殖は測定され得る。複数回の刺激または繰り返し刺激の存在下で、生存率または増殖は測定され得る。
【0186】
[00260]一部の態様では、機能的に不活性なT細胞受容体(TCR)を含む細胞(例えば、操作された免疫細胞)を投与する方法が本明細書で提供される。細胞は、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)をさらに含むことができる。1つまたは複数のCARの個々のCARのそれぞれは、結合部分を含むことができる。結合部分は、(i)対象に投与されたときに、操作された免疫細胞に対する対象の免疫反応を抑制または低減する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)疾患関連抗原に結合する第2の抗原結合性ドメインとを含むことができる。1つまたは複数のCARの各CARは、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含むことができる。
【0187】
[00261]一部の態様では、操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分を含むことができる、操作された免疫細胞を投与する方法が本明細書で提供される。操作された細胞は、CD7に特異的に結合する抗原結合性ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)をさらに含むことができる。CARは、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含むことができる。操作された免疫細胞の内因性CD7は、不活性化され得る。一部の実施形態では、操作された細胞は、免疫細胞抗原を特異的に結合する抗原結合性ドメインを含むCARを含むことができる。免疫細胞抗原は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122、CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβ、およびSLAMF7、のような本明細書に記載の任意の免疫細胞抗原であり得る。抗原結合性ドメインが結合する操作された細胞の内因性免疫細胞抗原は、操作された細胞において不活性化され得る。
【0188】
[00262]一部の態様では、(i)CD7に特異的に結合する第1の抗原結合性ドメインと、(ii)疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインとを含む単一のキメラ抗原受容体(CAR)を含む操作された免疫細胞を投与する方法が本明細書で提供される。CARは、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含むことができる。内因性CD7をコードする遺伝子は、操作された免疫細胞において不活性化され得る。
【0189】
[00263]本開示はまた、対象の疾患を治療または診断する方法を提供する。場合によって、方法は、操作された免疫細胞を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む。医薬組成物中の操作された免疫細胞は、同種異系免疫細胞に由来することができる。同種異系免疫細胞に由来する操作された免疫細胞は、対象において移植片対宿主病(GVHD)を引き起こさない場合がある。医薬組成物中の操作された免疫細胞は、自家免疫細胞に由来することができる。場合によって、医薬組成物中の操作された免疫細胞の内因性TCRは、機能的に不活性である。操作された免疫細胞は、機能的に活性なTCRを有する免疫細胞と比較して、対象においてGVHDを減少させることができる。疾患は、がんであり得る。例えば、がんは、リンパ腫または白血病であり得る。
【0190】
[00264]本開示はまた、操作された免疫細胞の集団を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、同種異系細胞療法を送達する方法を提供する。集団の個々の操作された免疫細胞は、結合部分を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)を含むことができる。結合部分は、免疫細胞抗原に結合することができる第1の抗原結合性ドメインを含むことができる。結合部分は、疾患関連抗原に結合することができる第2の抗原結合性ドメインをさらに含むことができる。第1の抗原結合性ドメインは、対象に投与されたときに、操作された免疫細胞に対する対象の免疫応答を抑制するかまたは低減することができる。操作された免疫細胞は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分をさらに含むことができる。操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)は、不活性化され得る。例えば、TCRのサブユニットをコードする遺伝子は不活化され得る。本明細書に記載の様々な遺伝子編集方法を使用して、T細胞の内因性TCRを不活性化することができる。
【0191】
[00265]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、細胞の集団の活性化を含むことができる。場合によって、操作された免疫細胞を調製するために使用される細胞は、操作された免疫細胞を調製する前に活性化され得る。場合によって、操作された免疫細胞は活性化され得る。本明細書で使用される活性化とは、細胞が静止状態から活性状態に移行するプロセスを表すことができる。このプロセスは、抗原への応答、遊走、および/または機能的に活性な状態への表現型の変化もしくは遺伝子変化を含むことができる。一部の態様では、活性化は、T細胞活性化の段階的なプロセスを表すことができる。場合によって、T細胞は活性になるために1つまたは複数のシグナルを必要とすることができる。例えば、T細胞は、完全に活性になるために少なくとも2つのシグナルを必要とすることができる。第1のシグナルは、抗原-MHC複合体によるTCRのエンゲージメント後に生じることができ、第2のシグナルは、共刺激分子のエンゲージメントによって生じることができる。抗CD3抗体(またはその機能的バリアント)は第1のシグナルを模倣し、抗CD28抗体(またはその機能的バリアント)は第2のシグナルを模倣することがin vitroで可能である。
【0192】
[00266]一部の態様では、本明細書で提供される方法は、細胞の集団の活性化を含むことができる。活性化は、CD3 TCR複合体関連シグナルを刺激することができる薬剤と、細胞の表面上の共刺激分子を刺激することができるリガンドとを付着させた表面に細胞の集団を接触させることによって行うことができる。特に、T細胞集団は、表面に固定化された抗CD3抗体もしくはその抗原結合性断片、抗CD2抗体との接触、または時にはカルシウムイオノフォアと併せたプロテインキナーゼCアクティベーター(例えば、ブリオスタチン)との接触などにより、in vitroで刺激され得る。T細胞の表面上のアクセサリー分子を共刺激するためには、アクセサリー分子に結合するリガンドが使用され得る。例えば、T細胞の増殖を刺激することができる条件下で、細胞の集団を抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触させることができる。場合によって、4-1BBを用いて細胞を刺激することができる。例えば、細胞は、4-1BBおよびIL-21または他のサイトカインで刺激され得る。CD4T細胞またはCD8T細胞のいずれかの活性化のために、抗CD3抗体および抗CD28抗体を使用することができる。例えば、シグナルを提供する薬剤は、溶液中にあっても、固相表面に結合していてもよい。細胞に対する粒子の比率は、標的細胞に対する粒子サイズに依存してもよい。さらなる実施形態では、T細胞のような細胞を、薬剤をコーティングしたビーズと組み合わせることができ、その後、ビーズと細胞を分離し、任意に培養することができる。各ビーズは、抗CD3抗体または抗CD28抗体のいずれか、または場合によって、その2つの組み合わせでコーティングされ得る。別の実施形態では、培養の前に、薬剤をコーティングしたビーズと細胞を分離せず、一緒に培養する。抗CD3抗体および抗CD28抗体を付着させることができる常磁性ビーズ(3×28ビーズ)をT細胞に接触させることにより、細胞表面タンパク質をコンジュゲートすることができる。一実施形態では、細胞とビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28T常磁性ビーズを1:1の比率で使用)を、例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)(例えば、カルシウムおよびマグネシウムのような二価のカチオンを含まない)などの緩衝液に組み合わせて入れる。任意の細胞濃度を使用してもよい。混合物は、約数時間(例えば、約3時間)から約14日まで、またはその間の任意の時間の整数値で培養してもよい。別の実施形態では、混合物は、約21日間、または最大で約21日間培養してもよい。T細胞の培養に適切な条件は、血清(例えば、ウシ胎児血清またはヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-g、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-21、IL-15、TGFβ、およびTNFα、または細胞の成長のための任意の他の添加物を含む、増殖および生存に必要な因子を含有する場合のある適切な培地(例えば、Minimal Essential MediaまたはRPMI Media 1640または、X-vivo5、(Lonza))を含むことができる。細胞の成長のための他の添加物としては、界面活性剤、プラスマネート、およびN-アセチルシステインおよび2-メルカプトエタノールのような還元剤が挙げられるが、これらに限定されない。培地としては、RPMI 1640、A1 M-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 1、およびX-Vivo 20、Optimizerに、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、およびビタミンを添加した、無血清または適切な量の血清(または血漿)もしくは定義された一連のホルモン、および/またはT細胞の成長および増殖に十分な量のサイトカインを補充したものを挙げることができる。抗生物質、例えば、ペニシリンおよびストレプトマイシンは、実験的な培養にのみ含めることができ、対象に注入される細胞の培養には含まれない可能性がある。標的細胞は、適切な温度(例えば、37℃)および気体(例えば、空気+5%CO2)など、成長をサポートするのに必要な条件で維持され得る。場合によっては、様々な刺激時間に曝露されたT細胞は、異なる特性を示す場合がある。場合によって、ヒトCD3、CD28、CD2、またはそれらの任意の組合せに対する可溶性単一特異性四量体抗体が使用されてもよい。一部の実施形態では、活性化は、活性化部分、共刺激剤、およびそれらの任意の組合せを利用することができる。一部の態様では、活性化部分は、CD3/T細胞受容体複合体に結合し、および/または、共刺激を提供する。一部の態様では、活性化部分は、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体のいずれか1つである。一部の態様では、固相は、ビーズ、プレート、および/またはマトリックスのうちの少なくとも1つである。一部の態様では、固相はビーズである。あるいは、またはそれに加えて、活性化部分は、基質とコンジュゲートしていなくてもよく、例えば、活性化部分は、培地中で自由に浮遊していてもよい。
【0193】
[00267]場合によって、組織または細胞との共培養により、細胞の集団は活性化または増殖され得る。細胞は、抗原提示細胞であり得る。人工抗原提示細胞(aAPC)は、T細胞受容体および共刺激分子のためのリガンドを発現することができ、場合によってはその有効性および機能を向上させながら、移植のためにT細胞を活性化および増殖させることができる。aAPCは、T細胞活性化のための任意の遺伝子を発現するように操作され得る。aAPCは、T細胞増殖のための任意の遺伝子を発現するように操作され得る。aAPCは、ビーズ、細胞、タンパク質、抗体、サイトカイン、またはそれらの組合せであり得る。aAPCは、ゲノム移植を受けてもよい細胞集団にシグナルを送達することができる。例えば、aAPCは、シグナル1、シグナル、2、シグナル3、または任意の組合せを送達することができる。シグナル1は、抗原認識シグナルであり得る。例えば、シグナル1は、ペプチド-MHC複合体によるTCRのライゲーション、またはCD3シグナル伝達複合体の活性化につながることができるCD3に向けられたアゴニスト抗体の結合であり得る。シグナル2は、共刺激シグナルであり得る。例えば、共刺激シグナルは、ICOS-L、CD70、および4-1BBLにそれぞれ結合する、抗CD28、誘導性共刺激物質(ICOS)、CD27、および4-1BB(CD137)であり得る。シグナル3は、サイトカインのシグナルであり得る。サイトカインは、任意のサイトカインであり得る。サイトカインは、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、またはそれらの任意の組合せであり得る。場合によっては、人工抗原提示細胞(aAPC)を使用して、細胞集団を活性化および/または増殖させてもよい。場合によっては、人工抗原提示細胞は、同種抗原特異性を誘導しなくてもよい。aAPCは、場合によってはHLAを発現しなくてもよい。aAPCは、活性化および/または刺激に用いることができる遺伝子を安定的に発現するように遺伝子修飾されてもよい。場合によっては、K562細胞は活性化に使用されてもよい。また、K562細胞は増殖に使用されてもよい。K562細胞は、ヒト赤白血病細胞系であり得る。K562細胞は、目的の遺伝子を発現するように操作されていてもよい。K562細胞は、HLAクラスI、II、またはCD1d分子を内因的に発現しないが、ICAM-1(CD54)およびLFA-3(CD58)を発現してもよい。K562は、T細胞にシグナル1を送達するように操作されてもよい。例えば、K562細胞は、HLAクラスIを発現するように操作されてもよい。場合によって、K562細胞は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、トランケート型CD19、または任意の組合せのような追加の分子を発現するように操作されてもよい。場合によって、操作されたK562細胞は、CD80およびCD83に加えて、膜状の抗CD3 mAb、クローンOKT3を発現することができる。場合によって、操作されたK562細胞は、CD80およびCD83に加えて、膜状の抗CD3 mAb、クローンOKT3、膜状の抗CD28 mAbを発現することができる。
【0194】
[00268]aAPCは、ビーズであり得る。球形のポリスチレンビーズは、CD3およびCD28に対する抗体でコーティングされ、T細胞の活性化に使用され得る。ビーズは任意のサイズであり得る。場合によって、ビーズは、約3および6マイクロメートルであり得る。ビーズは、約4.5マイクロメートルのサイズであり得る。ビーズは、任意の細胞/ビーズ比で利用され得る。例えば、1ミリリットルあたり100万個の細胞で3対1のビーズ対細胞比が使用され得る。aAPCは、剛性で球形の粒子、ポリスチレンラテックスのマイクロビーズ、磁気ナノ粒子またはマイクロ粒子、ナノサイズの量子ドット、4、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)の微小球、非球形の粒子、5、カーボンナノチューブバンドル、6、楕円体のPLGA微小粒子、7、ナノワーム(nanoworm)、流動性脂質二重層含有システム、8、2D支持脂質二重層(2D-SLB)、9、リポソーム、10、RAFTソーム/マイクロドメインリポソーム、11、SLB粒子、またはこれらの任意の組合せ、でもあり得る。場合によって、aAPCはCD4 T細胞を増殖させることができる。例えば、aAPCは、HLAクラスII拘束性CD4 T細胞の抗原処理および提示経路を模倣するように操作され得る。K562は、HLA-D、DPα、DPβ鎖、Ii、DMα、DMβ、CD80、CD83、またはそれらの任意の組合せを発現するように操作され得る。例えば、HLA拘束性抗原特異的CD4 T細胞を増殖させるために、操作されたK562細胞はHLA拘束性ペプチドでパルスされ得る。場合によって、aAPCの使用は、T細胞の活性化、増殖、または任意の組合せのために外因性に導入されたサイトカインと組み合わせることができる。また、ゲノム的に移植された細胞を対象に投与した後、in vivoで、例えば、対象の血液中で細胞は増殖し得る。
【0195】
[00269]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、細胞の集団の形質導入を含むことができる。一部の実施形態では、方法は、キメラ抗原受容体および/またはT細胞受容体のような細胞受容体をコードするポリヌクレオチドを導入することを含む。場合によって、細胞のトランスフェクションは実行され得る。
【0196】
[00270]一部の実施形態では、CARおよび/またはTCRのような細胞受容体をコードするポリヌクレオチドを含むウイルス上清が生成される。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターおよび/またはアデノ随伴ウイルスベクターであり得る。パッケージング細胞を使用して、宿主細胞に感染することができるウイルス粒子を形成することができる。そのような細胞は、293細胞、(例えば、アデノウイルスをパッケージングするための)、およびPsi2細胞またはPA317細胞(例えば、レトロウイルスをパッケージングするための)を含むことができる。ウイルスベクターは、核酸ベクターをウイルス粒子にパッケージする細胞系を製造することによって生成することができる。ベクターは、パッケージングおよびその後の宿主への統合に必要な最小限のウイルス配列を含むことができる。ベクターは、発現すべきポリヌクレオチドのための発現カセットで置換された他のウイルス配列を含むことができる。欠けているウイルスの機能は、パッケージング細胞系によってin transで供給され得る。例えば、AAVベクターは、パッケージングおよび宿主ゲノムへの統合に必要なAAVゲノム由来のITR配列を含むことができる。ウイルスDNAは、ITR配列を欠く一方で、他のAAV遺伝子、すなわちrepおよびcapをコードするヘルパープラスミドを含むことができる細胞系においてパッケージされ得る。細胞系はまた、ヘルパーとしてアデノウイルスに感染することができる。ヘルパーウイルスは、AAVベクターの複製およびヘルパープラスミド由来のAAV遺伝子の発現を促進することができる。アデノウイルスによる汚染は、例えば、アデノウイルスがAAVよりも感受性が高い熱処理によって低減され得る。細胞への核酸の送達のための追加の方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれているUS20030087817に記載されているように、使用され得る。
【0197】
[00271]一部の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載の1つまたは複数のベクターで一過性または非一過性にトランスフェクトされ得る。細胞は、対象に天然に存在する状態でトランスフェクトされ得る。細胞は、対象から採取される、または対象に由来することができ、トランスフェクトされ得る。細胞は、細胞系など、対象から採取した細胞に由来することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の1つまたは複数のベクターでトランスフェクトした細胞を使用して、1つまたは複数のベクター由来の配列を含む新しい細胞系を確立する。真核生物宿主細胞用のベクターの非限定的な例としては、以下の、pBs、pQE-9(Qiagen)、phagescript、PsiX174、pBluescriptSK、pBsKS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR54O、pRIT5(Pharmacia)が挙げられるが、これらに限定されない。真核生物:pWL-neo、pSv2cat、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)、pSVK3、pBPv、pMSG、pSVL(Pharmiacia)。また、その他のプラスミドやベクターについても、選択した宿主で複製および生存可能なものであれば、どのようなものでも使用可能である。任意のベクターおよび市販されているもの(およびそのバリアントまたは誘導体)は、本方法で使用するために、1つまたは複数の組換え部位を含むように操作され得る。そのようなベクターは、例えば、Vector Laboratories Inc.、Invitrogen、Promega、Novagen、NEB、Clontech、Boehringer Mannheim、Pharmacia、EpiCenter、OriGenes Technologies Inc.、Stratagene、PerkinElmer、Pharmingen、およびResearch Geneticsなどから入手され得る。目的の他のベクターとしては、pFastBac、pFastBacHT、pFastBacDUAL、pSFV、およびpTet-Splice(Invitrogen)、pEUK-C1、pPUR、pMAM、pMAMneo、pBI101、pBI121、pDR2、pCMVEBNA、およびpYACneo(Clontech)、pSVK3、pSVL、pMSG、pCH110、およびpKK232-8(Pharmacia,Inc.)、p3’SS、pXT1、pSG5、pPbac、pMbac、pMClneo、およびpOG44(Stratagene,Inc.)、ならびにpYES2、pAC360、pBlueBa-cHisA、B、およびC、pVL1392、pBlueBac111、pCDM8、pcDNA1、pZeoSV、pcDNA3 pREP4、pCEP4、およびpEBVHis(Invitrogen,Corp.)、ならびにそれらのバリアントまたは誘導体のような真核生物発現ベクターが挙げられる。その他のベクターとしては、pUC18、pUC19、pBlueScript、pSPORT、コスミド、ファージミド、YAC(酵母人工染色体)、BAC(細菌人工染色体)、P1(大腸菌(Escherichia coli)ファージ)、pQE70、pQE60、pQE9(quagan)、pBSベクター、PhageScriptベクター、BlueScriptベクター、pNH8A、pNH16A、pNH18A、pNH46A(Stratagene)、pcDNA3(Invitrogen)、pGEX、pTrsfus、pTrc99A、pET-5、pET-9、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)、pSPORT1、pSPORT2、pCMVSPORT2.0およびpSYSPORT1(Invitrogen)、ならびにそれらのバリアントまたは誘導体が挙げられる。また、目的の追加のベクターとしては、pTrxFus、pThioHis、pLEX、pTrcHis、pTrcHis2、pRSET、pBlueBa-cHis2、pcDNA3.1/His、pcDNA3.1(-)/Myc-His、pSecTag、pEBVHis、pPIC9K、pPIC3.5K、pA081S、pPICZ、pPICZA、pPICZB、pPICZC、pGAPZA、pGAPZB、pGAPZC、pBlue-Bac4.5、pBlueBacHis2、pMelBac、pSinRep5、pSinHis、pIND、pIND(SP1)、pVgRXR、pcDNA2.1、pYES2、pZEr01.1、pZErO-2.1、pCR-Blunt、pSE280、pSE380、pSE420、pVL1392、pVL1393、pCDM8、pcDNA1.1、pcDNA1.1/Amp、pcDNA3.1、pcDNA3.1/Zeo、pSe、SV2、pRc/CMV2、pRc/RSV、pREP4、pREP7、pREP8、pREP9、pREP10、pCEP4、pEBVHis、pCR3.1、pCR2.1、pCR3.1-Uni、およびpCRBac、Invitrogenから入手;X ExCell、Xgt11、pTrc99A、pKK223-3、pGEX-1X T、pGEX-2T、pGEX-2TK、pGEX-4T-1、pGEX-4T-2、pGEX-4T-3、pGEX-3X、pGEX-5X-1、pGEX-5X-2、pGEX-5X-3、pEZZ18、pRIT2T、pMC1871、pSVK3、pSVL、pMSG、pCH110、pKK232-8、pSL1180、pNEO、およびpUC4K、Pharmaciaから入手;pSCREEN-lb(+)、pT7Blue(R)、pT7Blue-2、pCITE-4-abc(+)、pOCUS-2、pTAg、pET-32L1C、pET-30LIC、pBAC-2cp LIC、pBACgus-2cpLIC、pT7Blue-2LIC、pT7Blue-2、X SCREEN-1、X B1ueSTAR、pET-3abcd、pET-7abc、pET9abcd、pET11 abcd、pET12abc、pET-14b、pET-15b、pET-16b、pET-17b-pET-17xb、pET-19b、pET-20b(+)、pET-21abcd(+)、pET-22b(+)、pET-23abcd(+)、pET-24abcd(+)、pET-25b(+)、pET-26b(+)、pET-27b(+)、pET-28abc(+)、pET-29abc(+)、pET-30abc(+)、pET-31b(+)、pET-32abc(+)、pET-33b(+)、pBAC-1、pBACgus-1、pBAC4x-1、pBACgus4x-1、pBAC-3 cp、pBACgus-2 cp、pBACsurf-1、plg、Signal plg、pYX、Selecta Vecta-Neo、Selecta Vecta-Hyg、およびSelecta Vecta-Gpt、Novagenから入手;pLexA、pB42AD、pGBT9、pAS2-1、pGAD424、pACT2、pGAD GL、pGAD GH、pGAD10、pGilda、pEZM3、pEGFP、pEGFP-1、pEGFPN、pEGFP-C、pEBFP、pGFPuv、pGFP、p6xHis-GFP、pSEAP2-Basic、pSEAP2-Contral、pSEAP2-Promoter、pSEAP2-Enhancer、pI3gal-Basic、pl3gal-Control、pI3gal-Promoter、pI3gal-Enhancer、pCMV、pTet-Off、pTet-On、pTK-Hyg、pRetro-Off、pRetro-On、pIRES1neo、pIRES1hyg、pLXSN、pLNCX、pLAPSN、pMAMneo、pMAMneo-CAT、pMAMneo-LUC、pPUR、pSV2neo、pYEX4T-1/2/3、pYEX-S1、pBacPAK-His、pBacPAK8/9、pAcUW31、BacPAK6、pTriplEx、2Xgt10、Xgt11、pWE15、およびX TriplEx、Clontechから入手;Lambda ZAP II、pBK-CMV、pBK-RSV、pBluescript II KS+/-、pBluescript II SK+/-、pAD-GAL4、pBD-GAL4 Cam、pSurfscript、Lambda FIX II、Lambda DASH、Lambda EMBL3、Lambda EMBL4、SuperCos、pCR-Scrigt Amp、pCR-Script Cam、pCR-Script Direct、pBS+/-、pBC KS+/-、pBC SK+/-、Phag-escript、pCAL-n-EK、pCAL-n,pCAL-c、pCAL-kc、pET-3abcd、pET-llabcd、pSPUTK、pESP-1、pCMVLacI、pOPRSVI/MCS、pOPI 3CAT、pXT1、pSG5、pPbac、pMbac、pMClneo、pMClneo Poly A、pOG44,p0G45、pFRTI3GAL、pNE0I3GAL、pRS403、pRS404、pRS405、pRS406、pRS413、pRS414、pRS415、およびpRS416、Stratageneから入手;pPC86、pDBLeu、pDBTrp、pPC97、p2.5、pGAD1-3、pGAD10、pACt、pACT2、pGADGL、pGADGH、pAS2-1、pGAD424、pGBT8、pGBT9、pGAD-GAL4、pLexA、pBD-GAL4、pHISi、pHISi-1、placZi、pB42AD、pDG202、pJK202、pJG4-5、pNLexA、pYESTrp、ならびにそれらのバリアントまたは誘導体が挙げられる。一部の実施形態では、ベクターは、小環状ベクターであり得る。本明細書で提供されるベクターを使用して、CARおよび/またはTCRをコードするポリペプチドを送達することができる。
【0198】
[00272]形質導入および/またはトランスフェクションは、非ウイルストランスフェクション、微粒子銃、化学的トランスフェクション、エレクトロポレーション、ヌクレオフェクション、ヒートショックトランスフェクション、リポフェクション、マイクロインジェクション、またはウイルストランスフェクションのいずれか1つによって実施され得る。一部の実施形態では、提供される方法は、ウイルス形質導入を含み、ウイルス形質導入は、レンチウイルスを含む。ウイルス粒子を使って、細胞受容体をコードするポリペプチド配列を含むウイルスベクターを、ex vivoまたはin vivoで細胞内に送達することができる。場合によって、本明細書で開示されるウイルスベクターは、pfu(プラーク形成単位、plaque forming units)として測定されてもよい。場合によって、本開示の組成物および方法の組換えウイルスまたはウイルスベクターのpfuは、約108~約5×1010pfuであってもよい。場合によって、本開示の組換えウイルスは、少なくとも約1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、9×108、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、および5×1010pfuである。場合によって、本開示の組換えウイルスは、最大で約1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、9×108、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、および5×10pfuである。一部の態様では、本開示のウイルスベクターは、ベクターゲノムとして測定されてもよい。場合によって、本開示の組換えウイルスは、1×1010~3×1012ベクターゲノム、または1×109~3×1013ベクターゲノムまたは1×108~3×1014ベクターゲノム、または、少なくとも約1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017、および1×1018のベクターゲノムであるか、または1×108~3×1014のベクターゲノムであるか、または最大で約1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017、および1×1018のベクターゲノムである。場合によって、本明細書で提供されるウイルスベクターは、感染多重度(MOI)を用いて測定され得る。場合によって、MOIは、核酸が送達される細胞に対するベクターまたはウイルスゲノムの比、または多重を表す場合がある。場合によって、MOIは1×106であってもよい。場合によって、MOIは1×105~1×107であってもよい。場合によって、MOIは1×104~1×108であってもよい。場合によって、本開示の組換えウイルスは、少なくとも約1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017、および1×1018MOIである。場合によって、本開示の組換えウイルスは、1×108~3×1014MOIであるか、または、最大で約1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017、および1×1018MOIである。場合によって、ウイルスベクターは、細胞あたり約1×105、2×105、3×105、4×105、5×105、6×105、7×105、8×105、9×105、1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、1×107、2×107、3×107から、または約9×109までのゲノムコピー/ウイルス粒子の感染多重度(MOI)で導入される。
【0199】
[00273]本明細書に記載の核酸送達プラットフォームのいずれかを用いた細胞のトランスフェクション効率、例えば、形質導入は、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.9%以上であり得る。一部の実施形態では、方法は、細胞の集団を含む組成物に感染剤を添加する工程を含むことができる。感染剤は、ポリブレンを含むことができる。一部の態様では、感染剤は、ウイルス感染の効率を高めることができる。感染剤は、ウイルスの感染力を約100~1,000倍に高めることができる。ポリブレンは、1mlあたり約5μgから10μgの濃度で組成物に添加され得る。
【0200】
[00274]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、細胞受容体を細胞に導入する非ウイルス性アプローチを含むことができる。非ウイルス性アプローチには、以下のCRISPR関連タンパク質(Casタンパク質、例えば、Cas9)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、Argonauteヌクレアーゼ、およびメガヌクレアーゼを含むことができるが、これらに限定されない。ヌクレアーゼは、天然に存在するヌクレアーゼ、遺伝子修飾されたヌクレアーゼ、および/または組換えヌクレアーゼであり得る。トランスポゾンベースのシステム(例えば、PiggyBac、Sleeping beauty)を用いて非ウイルス性アプローチは実施され得る。
【0201】
[00275]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、PiggyBacシステムを利用して、外因性ポリペプチドを細胞に導入することができる。PiggyBacシステムは、トランスポゾンとトランスポザーゼの2つの構成要素を含む。PiggyBacトランスポザーゼは、ゲノム中にランダムに分散している「TTAA」部位にトランスポゾンを特異的に統合することを容易にする。ゲノム中の「TTAA」の予測される頻度は、DNA配列の256塩基対に約1個である。また、他のトランスポゾンと異なり、PBトランスポザーゼは、トランスポゾンを完全にシームレスに切除することができ、配列や変異を残すことはない。さらに、PiggyBacは、上限が知られていない大きな積荷運搬容量(200kb以上が実証されている)を提供する。PBの性能レベルは、コドン最適化戦略、突然変異、欠失、付加、置換、およびそれらの任意の組合せによって向上させることができる。場合によって、PBは、より大きな積荷(約9.1~14.3kb)、より高い転位活性を有することができ、その痕跡を残さない特性は、遺伝子編集ツールとして魅力的であり得る。一部の態様では、PBは、高効率の転位、大きな積荷、長期にわたる安定した発現、トランス遺伝子が1コピーとして統合されること、PCRなどの従来の方法の代わりに、非侵襲的なマークで標的遺伝子をin vivoで追跡すること、統合部位の決定が容易であること、およびそれらの組合せなどの特徴を含むことができる。
【0202】
[00276]一部の態様では、本明細書で提供される方法は、細胞受容体をコードするポリペプチドを細胞に導入するためにSleeping Beauty(SB)システムを利用することができる。SBは、in vitroの進化によってサケ科のゲノム内で見つかった古代のTc1/marinerトランスポゾンの化石から、操作を加えることで作製された。SB ITR(230bp)には、トランスポザーゼの認識シグナルとして機能する長さ32bpの不完全な直列反復配列(DR)が含まれている。ITR内のDRエレメント間の結合親和性と間隔が、転位活性に関与している。SBトランスポザーゼは、DNA結合ポリペプチド、核局在化シグナル(NLS)、および触媒ドメインを有する39kDaのタンパク質であり得、保存されたアミノ酸モチーフ(DDE)を特徴とする。SBトランスポザーゼの一次アミノ酸配列を変異させた様々なスクリーニングにより、トランスポザーゼの活性が高い型が得られた。場合によって、改変されたSBを利用することができる。改変されたSBは、元のSBトランスポゾンのITR内の変異、欠失および付加を含むことができる。改変されたSBは、pT2、pT3、pT2B、pT4、SB100X、およびそれらの組合せを含むことができる。改変SBの非限定的な例は、以下の、SB10、SB11(SB10より3倍高い)、SB12(SB10より4倍高い)、HSB1-HSB5(SB10より10倍まで高い)、HSB13~HSB17(HSB17はSB10より17倍高い)、SB100X(SB10より100倍高い)、SB150X(SB10より130倍高い)、およびそれらの任意の組合せ、から選択することができる。場合によって、SB100Xは、元々復活したトランスポザーゼ(SB10)と比較して100倍高活性である。一部の態様では、SB転位の切除は、積荷部位に痕跡(3bp)を残す。統合はゲノムのTAジヌクレオチドに起こり、宿主の修復機構によって標的部位の重複が生成される。場合によって、SBはほぼ偏りのない、ランダムに近い統合プロファイルを持っているように見える。野生型システムでは、トランスポゾンの統合は人為的に所定のゲノム遺伝子座に10%程度の効率で標的とすることができるが、本明細書で提供するキメラシステムでは、SBトランスポゾンの統合は10%超の効率で所定の遺伝子座に向けることができる。
【0203】
[00277]一部の態様では、細胞の集団に外因性ポリ核酸を導入するために、非ウイルス性アプローチが取られてもよい。一部の態様では、非ウイルス性ベクターまたは核酸は、ウイルスを使用せずに送達されてもよく、核酸の量に応じて測定されてもよい。一般に、任意の適切な量の核酸は、本開示の組成物および方法とともに使用され得る。場合によって、核酸は、少なくとも約1pg、10pg、100pg、1pg、10pg、100pg、200pg、300pg、400pg、500pg、600pg、700pg、800pg、900pg、1μg、10μg、100μg、200μg、300μg、400μg、500μg、600μg,700μg、800μg、900μg、1ng、10ng、100ng、200ng、300ng、400ng、500ng、600ng、700ng、800ng、900ng、1mg、10mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1g、2g、3g、4g、または5gであってもよい。場合によって、核酸は、最大で約1pg、10pg、100pg、1pg、10pg、100pg、200pg、300pg、400pg、500pg、600pg、700pg、800pg、900pg、1μg、10μg、100μg、200μg、300μg、400μg、500μg、600μg,700μg、800μg、900μg、1ng、10ng、100ng、200ng、300ng、400ng、500ng、600ng、700ng、800ng、900ng、1mg、10mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1g、2g、3g、4g、または5gであってもよい。
【0204】
[00278]一部の実施形態では、CARおよび/またはTCR配列を細胞に導入する非ウイルス性アプローチは、エレクトロポレーションを含むことができる。エレクトロポレーションは、例えば、Neon(登録商標)Transfection System(Thermo Fisher Scientific)またはAMAXA(登録商標)Nucleofector(AMAXA(登録商標)Biosystems)を用いて行うことができる。エレクトロポレーションのパラメーターは、トランスフェクション効率および/または細胞生存率を最適化するために調整される場合がある。エレクトロポレーションデバイスは、指数関数的減衰、時定数、方形波のような、複数の電気波形パルス設定が可能である。すべての細胞タイプには、適用されるパルスパラメーター(電圧、静電容量、抵抗など)に依存する固有の最適電界強度(E)がある。最適な電界強度を適用すると、膜貫通電圧の誘導による電気透過性化(electropermeabilization)が起こり、核酸が細胞膜を通過できるようになる。場合によって、エレクトロポレーションパルス電圧、エレクトロポレーションパルス幅、パルス数、細胞密度、チップの種類を調整することで、トランスフェクション効率および/または細胞生存率が最適化される場合がある。
【0205】
[00279]一部の実施形態では、トランスフェクション効率および/または細胞生存率を最適化するために、エレクトロポレーションパルス電圧を変化させてもよい。場合によって、エレクトロポレーション電圧は、約500ボルト未満であってもよい。場合によって、エレクトロポレーション電圧は、少なくとも約500ボルト、少なくとも約600ボルト、少なくとも約700ボルト、少なくとも約800ボルト、少なくとも約900ボルト、少なくとも約1000ボルト、少なくとも約1100ボルト、少なくとも約1200ボルト、少なくとも約1300ボルト、少なくとも約1400ボルト、少なくとも約1500ボルト、少なくとも約1600ボルト、少なくとも約1700ボルト、少なくとも約1800ボルト、少なくとも約1900ボルト、少なくとも約2000ボルト、少なくとも約2100ボルト、少なくとも約2200ボルト、少なくとも約2300ボルト、少なくとも約2400ボルト、少なくとも約2500ボルト、少なくとも約2600ボルト、少なくとも約2700ボルト、少なくとも約2800ボルト、少なくとも約2900ボルト、または少なくとも約3000ボルトであってもよい。場合によって、最適なトランスフェクション効率および/または細胞生存率に必要なエレクトロポレーションパルス電圧は、細胞の種類に特異的であってもよい。例えば、1900ボルトのエレクトロポレーション電圧は、マクロファージ細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。別の例では、約1350ボルトのエレクトロポレーション電圧は、Jurkat細胞またはT細胞のようなヒト初代細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。場合によって、所与の細胞の種類に対して、さまざまなエレクトロポレーション電圧が最適となる場合がある。例えば、約1000ボルトから約1300ボルトの間のエレクトロポレーション電圧が、ヒト578T細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。場合によって、初代細胞は初代リンパ球であり得る。場合によって、初代細胞の集団は、リンパ球の集団であり得る。
【0206】
[00280]一部の実施形態では、トランスフェクション効率および/または細胞生存率を最適化するために、エレクトロポレーションパルス幅を変化させてもよい。場合によって、エレクトロポレーションパルス幅は、約5ミリ秒未満であってもよい。場合によって、エレクトロポレーション幅は、少なくとも約5ミリ秒、少なくとも約6ミリ秒、少なくとも約7ミリ秒、少なくとも約8ミリ秒、少なくとも約9ミリ秒、少なくとも約10ミリ秒、少なくとも約11ミリ秒、少なくとも約12ミリ秒、少なくとも約13ミリ秒、少なくとも約14ミリ秒少なくとも約15ミリ秒、少なくとも約16ミリ秒、少なくとも約17ミリ秒、少なくとも約18ミリ秒、少なくとも約19ミリ秒、少なくとも約20ミリ秒、少なくとも約21ミリ秒、少なくとも約22ミリ秒、少なくとも約23ミリ秒、少なくとも約24ミリ秒、少なくとも約25ミリ秒、少なくとも約26ミリ秒。少なくとも約27ミリ秒、少なくとも約28ミリ秒、少なくとも約29ミリ秒、少なくとも約30ミリ秒、少なくとも約31ミリ秒、少なくとも約32ミリ秒、少なくとも約33ミリ秒、少なくとも約34ミリ秒、少なくとも約35ミリ秒、少なくとも約36ミリ秒、少なくとも約37ミリ秒、少なくとも約38ミリ秒。少なくとも約39ミリ秒、少なくとも約40ミリ秒、少なくとも約41ミリ秒、少なくとも約42ミリ秒、少なくとも約43ミリ秒、少なくとも約44ミリ秒、少なくとも約45ミリ秒、少なくとも約46ミリ秒、少なくとも約47ミリ秒、少なくとも約48ミリ秒、少なくとも約49ミリ秒、または少なくとも約50ミリ秒であってもよい。場合によって、最適なトランスフェクション効率および/または細胞生存率に必要なエレクトロポレーションパルス幅は、細胞の種類に特異的であってもよい。例えば、30ミリ秒のエレクトロポレーションパルス幅は、マクロファージ細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。別の例では、約10ミリ秒のエレクトロポレーション幅は、Jurkat細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。場合によって、所与の細胞の種類に対して、さまざまなエレクトロポレーション幅が最適となる場合がある。例えば、約20ミリ秒から約30ミリ秒の間のエレクトロポレーション幅が、ヒト578T細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。
【0207】
[00281]一部の実施形態では、トランスフェクション効率および/または細胞生存率を最適化するために、エレクトロポレーションパルス数を変化させてもよい。場合によって、エレクトロポレーションは、単一パルスを含んでもよい。場合によって、エレクトロポレーションは、1回以上のパルスを含んでもよい。場合によって、エレクトロポレーションは、2パルス、3パルス、4パルス、5パルス、6パルス、7パルス、8パルス、9パルス、または10以上のパルスを含んでもよい。場合によって、最適なトランスフェクション効率および/または細胞生存率に必要なエレクトロポレーションパルスの数は、細胞の種類に特異的であってもよい。例えば、単一パルスのエレクトロポレーションは、マクロファージ細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。別の例では、3パルスのエレクトロポレーションは、初代細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。場合によって、所与の細胞の種類に対して、さまざまなエレクトロポレーション幅が最適となる場合がある。例えば、約1パルスから約3パルスの間のエレクトロポレーションが、ヒト細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。
【0208】
[00282]一部の実施形態では、エレクトロポレーションのための開始細胞密度は、トランスフェクション効率および/または細胞生存率を最適化するために変化させてもよい。場合によって、エレクトロポレーションのための開始細胞密度は、約1×105細胞未満であってもよい。場合によって、エレクトロポレーションのための開始細胞密度は、少なくとも約1×105細胞、少なくとも約2×105細胞、少なくとも約3×105細胞、少なくとも約4×105細胞、少なくとも約5×105細胞、少なくとも約6×105細胞、少なくとも約7×105細胞、少なくとも約8×105細胞、少なくとも約9×105細胞、少なくとも約1×106細胞、少なくとも約1.5×106細胞、少なくとも約2×106細胞、少なくとも約2.5×106細胞、少なくとも約3×106細胞、少なくとも約3.5×106細胞、少なくとも約4×106細胞、少なくとも約4.5×106細胞、少なくとも約5×106細胞、少なくとも約5.5×106細胞、少なくとも約6×106細胞、少なくとも約6.5×106細胞、少なくとも約7×106細胞、少なくとも約7.5×106細胞、少なくとも約8×106細胞、少なくとも約8.5×106細胞、少なくとも約9×106細胞、少なくとも約9.5×106細胞、少なくとも約1×107細胞、少なくとも約1.2×107細胞、少なくとも約1.4×107細胞、少なくとも約1.6×107細胞、少なくとも約1.8×107細胞、少なくとも約2×107細胞、少なくとも約2.2×107細胞、少なくとも約2.4×107細胞、少なくとも約2.6×107細胞、少なくとも約2.8×107細胞、少なくとも約3×107細胞、少なくとも約3.2×107細胞、少なくとも約3.4×107細胞、少なくとも約3.6×107細胞、少なくとも約3.8×107細胞、少なくとも約4×107細胞、少なくとも約4.2×107細胞、少なくとも約4.4×107細胞、少なくとも約4.6×107細胞、少なくとも約4.8×107細胞、または少なくとも約5×107細胞であってもよい。場合によって、最適なトランスフェクション効率および/または細胞生存率に必要なエレクトロポレーションのための開始細胞密度は、細胞の種類に特異的であってもよい。例えば、1.5×106細胞のエレクトロポレーションのための開始細胞密度は、マクロファージ細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。別の例では、5×106細胞のエレクトロポレーションのための開始細胞密度は、ヒト細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。場合によって、所与の細胞の種類に対して、さまざまなエレクトロポレーションのための開始細胞密度が最適となる場合がある。例えば、5.6×106細胞から5×107細胞の間のエレクトロポレーションのための開始細胞密度が、T細胞のようなヒト細胞に最適(例えば、最高の生存率および/またはトランスフェクション効率を提供)である場合がある。
【0209】
[00283]リンパ性悪性腫瘍を治療する方法が提供される。方法は、それを必要とする患者に、操作された免疫細胞の集団を投与することを含むことができる。集団の個々の操作された免疫細胞は、結合部分を含む1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)であって、結合部分が、免疫細胞抗原に結合することができる抗原結合性ドメインを含み、ならびに1つまたは複数のCARの各CARが、さらに、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)を含む。集団の個々の操作された免疫細胞は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができるエンハンサー部分をさらに含むことができる。操作された免疫細胞の内因性T細胞受容体(TCR)は、不活性化されていてもよい。場合によって、患者の末梢血の病的細胞の数または骨髄の病的細胞の数は、操作された免疫細胞の最後の投薬の後の期間(例えば、3週間)以内に少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上減少され得る。場合によって、操作された免疫細胞の最後の投与後の期間は、約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間またはそれ以上であり得る。患者の末梢血の自家T細胞、顆粒球、およびNK細胞のうちの任意の1つまたは複数の数は、操作された免疫細胞の最後の投薬の後の期間(例えば、3週間)以内に増加し始めることができる。場合によって、操作された免疫細胞の最後の投与後の期間は、約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間またはそれ以上であり得る。
【0210】
[00284]エンハンサー部分は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を高めることができる。エンハンサー部分は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の活性を構成的に高めるように構成され得る。エンハンサー部分は、操作された免疫細胞の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路を構成的に上方調節するように構成され得る。1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路は、1つまたは複数のサイトカインシグナル伝達経路であり得る。エンハンサー部分は、サイトカインまたはサイトカイン受容体であり得る。エンハンサー部分は、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、PD-1、PD-L1、CD122、CSF1R、CTAL-4、TIM-3、CCL21、CCL19、TGFRβ、その受容体、それらの機能性断片、それらの機能性バリアント、およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0211】
[00285]操作された免疫細胞は、細胞死アクティベーターと接触すると細胞の死を生じさせることができる誘導性細胞死部分をさらに含むことができる。誘導性細胞死部分は、rapaCasp9、iCasp9、HSV-TK、ΔCD20、mTMPK、ΔCD19、RQR8、Her2t、CD30、BCMA、およびEGFRtからなる群から選択され得る。例えば、誘導性細胞死部分はEGFRtであり、ならびに細胞死アクティベーターはEGFRtに結合する抗体またはその抗原結合断片であり得る。別の例では、誘導性細胞死部分はHSV-TKであり、ならびに細胞死アクティベーターはGCVであり得る。別の例では、誘導性細胞死部分はiCasp9であり、ならびに細胞死アクティベーターはAP1903であり得る。
【0212】
[00286]細胞の内因性表面マーカーをコードする遺伝子は、不活性化され得る。内因性表面マーカーは、発現されたときに第1の抗原結合性ドメインに結合することができる可能性がある。内因性表面マーカーは、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD16a、CD16b、CD25、CD27、CD28、CD30、CD38、CD45、CD48、CD50、CD52、CD56、CD57、CD62L、CD69、CD94、CD100、CD102、CD122,CD127、CD132、CD137、CD160、CD161、CD178、CD218、CD226、CD244、CD159a(NKG2A)、CD159c(NKG2C)、NKG2E、CD279、CD314(NKG2D)、CD305、CD335(NKP46)、CD337、CD319(CS1)、TCRα、TCRβまたはSLAMF7、であり得る。
【0213】
[00287]末梢血における病的細胞の数または骨髄における病的細胞の数が少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上減少する前に、患者の末梢血における自家T細胞、顆粒球、およびNK細胞のうちの任意の1つまたは複数の数が増加し始めてもよい。末梢血における病的細胞の数または骨髄における病的細胞の数が少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上減少した後に、末梢血における自家T細胞、顆粒球、およびNK細胞のうちの任意の1つまたは複数の数が増加し始めてもよい。
【実施例】
【0214】
実施例1 TCRノックアウトを伴うCD3+CD19二重CARおよびEGFRtスイッチを発現するU-CAR T細胞の研究
一般的な材料および方法
[00288]ドナー血液からの末梢血単核細胞(PBMC)の単離およびT細胞の増殖
[00289]末梢血単核細胞(PBMC)を、密度勾配遠心分離を介してHistopaque-1077(Sigma-Aldrich)を用いてドナー血液から単離した。次に、T細胞を富化し、抗CD3/抗CD28とカップリングさせた磁気ビーズによって活性化し、培養し、増殖させた。
【0215】
[00290]細胞系およびPBMCの培養
[00291]Raji細胞(バーキットリンパ腫細胞、ATCC-CCL86);
[00292]K562細胞(ヒト赤白血病細胞系、ATCC-CCL243);
[00293]Raji-ffluc細胞系(ホタルルシフェラーゼを有するレンチウイルスでトランスフェクトされたRaji細胞をスクリーニングすることにより得られる)
[00294]293T細胞(ATCC-CRL3216)。
【0216】
[00295]Raji細胞、K562細胞およびRaji-ffluc細胞系をRPMI1640培地中で培養し、293T細胞をDMEM培地中で培養した。RPMI1640とDMEMの両方に、10%(v/v)ウシ胎児血清および100U/mlペニシリンおよびストレプトマイシン、2mMグルタミンおよび1mMピルビン酸ナトリウム補足した。全ての細胞を37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。
【0217】
[00296]T細胞および得られたCAR-T細胞をX-vivo15培地(5%FBS、2mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび300IU/mlのrhIL2を含む)中で培養した。CAR-T細胞の培地にはさらに、rhIL-2(ThermoFisher Scientific)を最終濃度300IU/mlで2日ごとに補足した。全ての細胞を37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。
【0218】
1.1 CARの設計およびウイルスのパッケージ
[00297]キメラ抗原受容体の構造は、EGFRt-CD3 scFv-CD19 scFv-Hinge-TM-CD28-CD3ζ(タンデム)、tEGFR-CD19 scFv-CD28-CD3ζ-CD3 scFv-41BB-CD3ζ(パラレル)、tEGFR-CD3 scFv-CD19 scFv41BB-CD3ζ(タンデム)、およびCD19VL-CD3VL-CD3VH-CD19VH-41BB-CD3ζ(ループ)であり、EGFRt(またはtEGFR)はスイッチとしてのトランケート型EGFRであり、CD3 scFv断片は、モノクローナル抗体OKT3またはUCHT1の重鎖および軽鎖可変領域(GSリンカーにより連結されている)であり、CD19 scFv断片は、CAR検出用のビーコン配列を含むモノクローナル抗体FMC63の重鎖および軽鎖可変領域(GSリンカーにより連結されている)であり、ヒンジ領域、膜貫通領域、ヒトCD28細胞内共刺激エレメント、およびヒトCD3ζ細胞内領域もまたタンデムで含む。キメラ抗原受容体の例示的な構築物を
図1に示す。
【0219】
[00298]EGFRt-OKT3-FMC63-CD28z(配列番号1)のアミノ酸配列は、下記の通りである。
[00299]MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIPRKVCNGIGIGEFKDSLSINATNIKHFKNCTSISGDLHILPVAFRGDSFTHTPPLDPQELDILKTVKEITGFLLIQAWPENRTDLHAFENLEIIRGRTKQHGQFSLAVVSLNITSLGLRSLKEISDGDVIISGNKNLCYANTINWKKLFGTSGQKTKIISNRGENSCKATGQVCHALCSPEGCWGPEPRDCVSCRNVSRGRECVDKCNLLEGEPREFVENSECIQCHPECLPQAMNITCTGRGPDNCIQCAHYIDGPHCVKTCPAGVMGENNTLVWKYADAGHVCHLCHPNCTYGCTGPGLEGCPTNGPKIPSIATGMVGALLLLLVVALGIGLFMRAKRGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMALPVTALLLPLALLLHAARPQVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGSTSGGGSGGGSGGGGSSQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEINRGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSAAADYKDDDDKIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
[00300]EGFRt-OKT3-CD28zアミノ酸配列において、下線部分は安全スイッチシグナルペプチド領域であり、イタリック部分はtEGFRであり、イタリック下線部分はtEGFR TMであり、曲線部分はP2Aであり、イタリック曲線下線部分はCARシグナルペプチドであり、ボールド部分はOKT3 VHであり、破線の下線部分は連結ペプチドであり、ボールド下線部分はOKT3 VLであり、ボールドイタリック部分はFMC63 VLであり、ボールドイタリック下線部分はFMC63 VHであり、囲まれた部分はCD28ヒンジ領域の膜貫通領域および共刺激ドメインであり、囲まれたイタリック部分はCD3zである。
【0220】
[00301]EGFRt-OKT3-FMC63-CD28zのヌクレオチド酸配列は、配列番号2に記載される通りである。
[00302]配列番号2:
ATGTTGCTCCTTGTGACGAGCCTCCTGCTCTGCGAGCTGCCCCATCCAGCCTTCCTCCTCATCCCGCGGAAGGTGTGCAATGGCATAGGCATTGGCGAGTTTAAAGATTCTCTGAGCATAAATGCTACGAATATTAAGCATTTCAAGAATTGTACTTCTATTAGTGGCGACCTCCATATTCTTCCGGTTGCCTTCAGGGGTGACTCTTTCACCCACACACCTCCATTGGATCCACAAGAACTTGACATCCTGAAGACGGTTAAAGAGATTACAGGCTTCCTCCTTATCCAAGCGTGGCCCGAGAACAGAACGGACTTGCACGCCTTTGAGAACCTCGAAATAATACGGGGTCGGACGAAGCAACACGGCCAATTTAGCCTTGCGGTTGTTAGTCTGAACATTACTTCTCTCGGCCTTCGCTCTTTGAAAGAAATCAGCGACGGAGATGTCATCATTAGTGGAAACAAGAACCTGTGCTACGCGAACACAATCAACTGGAAGAAGCTCTTCGGTACTTCAGGCCAAAAGACAAAGATTATTAGTAACAGAGGAGAGAATAGCTGTAAGGCTACCGGACAAGTTTGTCACGCCTTGTGTAGTCCAGAGGGTTGCTGGGGACCGGAACCAAGGGATTGCGTCAGTTGCCGGAACGTGAGTCGCGGACGCGAGTGTGTGGATAAGTGCAATCTTCTGGAAGGGGAACCGCGAGAGTTTGTAGAAAATTCCGAATGTATACAGTGTCATCCCGAGTGTCTTCCACAAGCAATGAATATCACATGTACAGGGAGGGGTCCTGATAACTGTATCCAATGTGCACACTACATAGATGGTCCTCACTGTGTAAAGACGTGCCCCGCCGGAGTAATGGGTGAAAACAACACCCTCGTGTGGAAGTACGCCGATGCCGGGCATGTCTGTCATTTGTGTCATCCCAACTGCACATATGGCTGTACCGGTCCTGGATTGGAGGGCTGTCCAACAAACGGGCCGAAAATACCGAGTATCGCAACAGGCATGGTGGGAGCACTTTTGCTTCTCCTCGTTGTCGCCCTGGGCATCGGCTTGTTCATGCGAGCTAAACGAGGCTCAGGCGCGACGAACTTTAGTTTGCTGAAGCAAGCTGGGGATGTAGAGGAAAATCCGGGTCCCATGGCCCTTCCAGTGACAGCCTTGTTGTTGCCACTTGCTCTGCTGCTCCACGCTGCGCGGCCACAGGTCCAGTTGCAGCAGTCAGGCGCCGAATTGGCGCGACCAGGGGCAAGCGTAAAGATGAGCTGTAAGGCATCCGGGTACACGTTCACTCGCTATACCATGCATTGGGTTAAACAACGGCCTGGGCAGGGCCTTGAGTGGATTGGGTATATCAACCCATCCCGGGGCTACACTAACTATAATCAAAAGTTTAAAGATAAAGCAACCCTTACGACCGACAAATCATCTTCTACCGCATACATGCAGCTCAGCTCCCTCACCAGTGAAGATTCTGCCGTTTATTATTGTGCACGATACTATGACGATCACTATTGCCTGGACTACTGGGGTCAAGGCACCACACTTACTGTCAGTTCCGGAAGTACCAGTGGGGGAGGTTCTGGCGGTGGCAGCGGGGGTGGGGGTAGCTCACAAATCGTGCTGACCCAGAGTCCCGCTATCATGAGCGCCTCCCCAGGGGAAAAGGTGACGATGACATGCTCAGCCAGCTCCAGTGTATCCTACATGAATTGGTATCAACAGAAGAGTGGGACGTCACCCAAAAGATGGATTTATGACACCAGCAAATTGGCCAGCGGAGTACCAGCGCATTTCAGAGGCAGTGGGAGTGGAACATCTTATTCTCTCACCATTAGCGGCATGGAAGCAGAGGATGCAGCAACGTACTATTGTCAACAATGGAGCTCTAATCCCTTTACGTTCGGCAGCGGCACTAAGCTCGAAATTAATAGGGGTGGCGGCGGCTCCGGCGGTGGCGGGTCTGGAGGTGGGGGCAGTGACATCCAGATGACACAGACTACATCCTCCCTGTCTGCCTCTCTGGGAGACAGAGTCACCATCAGTTGCAGGGCAAGTCAGGACATTAGTAAATATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGATGGAACTGTTAAACTCCTGATCTACCATACATCAAGATTACACTCAGGAGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGAACAGATTATTCTCTCACCATTAGCAACCTGGAGCAAGAAGATATTGCCACTTACTTTTGCCAACAGGGTAATACGCTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACTAAGTTGGAAATAACAGGCTCCACCTCTGGATCCGGCAAGCCCGGATCTGGCGAGGGATCCACCAAGGGCGAGGTGAAACTGCAGGAGTCAGGACCTGGCCTGGTGGCGCCCTCACAGAGCCTGTCCGTCACATGCACTGTCTCAGGGGTCTCATTACCCGACTATGGTGTAAGCTGGATTCGCCAGCCTCCACGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTAATATGGGGTAGTGAAACCACATACTATAATTCAGCTCTCAAATCCAGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTAAAAATGAACAGTCTGCAAACTGATGACACAGCCATTTACTACTGTGCCAAACATTATTACTACGGTGGTAGCTATGCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAGACTACAAAGACGATGACGACAAGATTGAAGTTATGTATCCTCCTCCTTACCTAGACAATGAGAAGAGCAATGGAACCATTATCCATGTGAAAGGGAAACACCTTTGTCCAAGTCCCCTATTTCCCGGACCTTCTAAGCCCTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGGGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA
[00303]EGFRt-UCHT1-FMC63-CD28z(配列番号3)のアミノ酸配列は、下記の通りである。
【0221】
[00304]MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIPRKVCNGIGIGEFKDSLSINATNIKHFKNCTSISGDLHILPVAFRGDSFTHTPPLDPQELDILKTVKEITGFLLIQAWPENRTDLHAFENLEIIRGRTKQHGQFSLAVVSLNITSLGLRSLKEISDGDVIISGNKNLCYANTINWKKLFGTSGQKTKIISNRGENSCKATGQVCHALCSPEGCWGPEPRDCVSCRNVSRGRECVDKCNLLEGEPREFVENSECIQCHPECLPQAMNITCTGRGPDNCIQCAHYIDGPHCVKTCPAGVMGENNTLVWKYADAGHVCHLCHPNCTYGCTGPGLEGCPTNGPKIPSIATGMVGALLLLLVVALGIGLFMRAKRGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDIRNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQGNTLPWTFGQGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYSFTGYTMNWVRQAPGKGLEWVALINPYKGVSTYNQKFKDRFTISVDKSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARSGYYGDSDWYFDVWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITAAADYKDDDDKIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
[00305]EGFRt-UCHT1-FMC63-CD28zのアミノ酸配列において、下線部分は安全スイッチシグナルペプチド(GMCSFR-L)であり、イタリック部分はtEGFR、イタリック下線部分はtEGFR TMであり、曲線下線部分はP2Aであり、イタリック曲線下線部分はCARシグナルペプチド(CD8 L)であり、ボールド部分はUCHT1 VLであり、破線の下線部分は連結ペプチドであり、ボールド下線部分はUCHT1 VHであり、ボールドイタリック部分はFMC63 VH、ボールドイタリック下線部分はFMC63 VL、囲まれた部分はCD28ヒンジ領域膜貫通領域および共刺激ドメインであり、および囲まれたイタリック部分はCD3zである。
【0222】
[00306]EGFRt-UCHT1-FMC63-CD28zのヌクレオチド酸配列は、配列番号4に記載される通りである。
[00307]配列番号4:
ATGCTGCTGCTCGTGACATCCCTCTTATTATGCGAACTCCCTCACCCCGCTTTTCTGCTGATCCCCAGAAAGGTGTGCAACGGCATCGGCATTGGAGAGTTCAAGGATTCTTTAAGCATCAACGCTACCAACATCAAACATTTCAAGAACTGTACCTCCATTTCCGGCGATTTACACATCCTCCCCGTTGCCTTTCGTGGCGATAGCTTCACACACACACCCCCTCTGGACCCTCAAGAACTGGACATTTTAAAGACCGTGAAGGAGATCACTGGTTTTTTACTGATCCAAGCTTGGCCCGAAAATAGGACAGATCTCCACGCTTTCGAGAATTTAGAGATCATTCGTGGCAGAACCAAGCAGCACGGACAGTTCTCTTTAGCCGTCGTGTCTTTAAATATCACCTCTTTAGGTTTAAGATCTTTAAAAGAGATCAGCGATGGCGACGTCATCATCTCCGGCAACAAGAACCTCTGTTACGCCAACACCATTAATTGGAAAAAGCTGTTTGGCACCTCCGGACAGAAGACCAAGATCATCAGCAACAGAGGCGAGAACAGCTGCAAAGCTACCGGCCAAGTTTGCCACGCTCTGTGTAGCCCCGAAGGCTGCTGGGGACCCGAACCTCGTGACTGTGTGAGCTGTAGGAACGTGTCTCGTGGTCGTGAGTGTGTGGATAAGTGCAATTTACTCGAGGGCGAGCCCAGAGAGTTTGTGGAAAATAGCGAGTGCATCCAGTGCCACCCCGAATGTCTGCCCCAAGCTATGAACATTACTTGTACTGGTCGTGGCCCCGATAACTGTATCCAGTGCGCTCACTACATTGACGGCCCCCACTGCGTCAAGACATGCCCCGCTGGCGTGATGGGAGAAAACAACACACTGGTGTGGAAGTATGCCGATGCCGGCCACGTCTGTCATCTGTGCCACCCTAACTGTACCTACGGCTGTACCGGACCCGGACTGGAGGGCTGTCCCACCAACGGACCCAAGATCCCTAGCATCGCCACCGGCATGGTGGGAGCCTTACTGCTGTTACTGGTGGTGGCTCTGGGCATTGGTTTATTCATGAGGGCCAAGAGAGGATCCGGCGCCACCAACTTTTCTTTACTGAAACAAGCTGGAGACGTCGAGGAAAACCCCGGACCCATGGCTCTCCCCGTGACAGCTCTGCTGCTGCCTCTCGCTTTATTACTGCACGCCGCTAGGCCCGATATTCAGATGACCCAAAGCCCTAGCTCTTTATCCGCCAGCGTCGGAGATAGAGTCACAATCACTTGTAGAGCCAGCCAAGATATTCGTAATTATCTCAACTGGTACCAGCAGAAGCCCGGTAAAGCCCCCAAGCTGCTCATCTATTACACCTCTCGTCTGGAGAGCGGCGTGCCTTCCAGATTCAGCGGCTCCGGCAGCGGCACCGACTATACACTCACCATTAGCTCTTTACAGCCCGAAGATTTCGCTACCTACTACTGCCAGCAAGGTAATACTTTACCTTGGACCTTCGGCCAAGGTACCAAGGTCGAAATCAAGGGCGGCGGCGGATCCGGCGGCGGTGGATCTGGTGGCGGCGGCTCCGAAGTCCAGCTGGTCGAATCCGGAGGCGGACTGGTCCAGCCCGGTGGATCCCTCAGACTGAGCTGCGCCGCTAGCGGCTATTCCTTCACCGGCTACACCATGAACTGGGTGAGACAAGCTCCCGGCAAAGGACTGGAATGGGTGGCCCTCATCAACCCCTACAAGGGCGTGTCCACATATAATCAAAAGTTTAAGGACAGATTCACCATCAGCGTCGACAAGTCCAAGAACACCGCTTATTTACAGATGAACTCTTTAAGAGCTGAGGATACCGCCGTGTACTATTGTGCTAGGTCCGGCTACTACGGCGACAGCGACTGGTATTTTGACGTCTGGGGACAAGGTACCCTCGTGACAGTGAGCAGCGGCGGTGGCGGTTCTGGCGGCGGAGGCTCCGGAGGAGGCGGCAGCGAGGTGAAGCTGCAAGAAAGCGGACCCGGTCTCGTGGCTCCCTCCCAATCTTTATCCGTGACTTGTACCGTGTCCGGAGTCTCTTTACCCGACTACGGCGTGAGCTGGATTAGACAGCCCCCCAGAAAAGGTTTAGAGTGGCTGGGCGTGATCTGGGGATCCGAGACCACATACTACAACAGCGCTTTAAAGTCTCGTCTGACAATCATCAAAGACAATTCCAAAAGCCAAGTTTTCCTCAAGATGAACTCTTTACAGACCGACGACACAGCCATTTACTACTGCGCCAAGCATTATTACTACGGCGGCAGCTACGCTATGGACTACTGGGGCCAAGGTACAAGCGTCACAGTGAGCTCCGGCAGCACATCCGGAAGCGGAAAGCCCGGCAGCGGAGAGGGCAGCACAAAGGGAGACATCCAGATGACCCAGACCACCTCCTCTTTAAGCGCCTCTTTAGGAGATAGGGTGACCATTAGCTGCAGAGCCTCCCAAGACATCAGCAAGTATCTCAATTGGTACCAGCAAAAGCCCGATGGCACCGTCAAGCTGCTGATCTACCACACCTCTCGTCTCCATTCCGGCGTGCCCAGCAGATTTAGCGGAAGCGGATCCGGAACAGACTATTCTTTAACAATCAGCAATTTAGAGCAAGAAGACATCGCCACATATTTCTGCCAACAAGGTAACACTTTACCCTACACCTTCGGAGGCGGCACCAAACTGGAGATTACAGCGGCCGCAGACTACAAAGACGATGACGACAAGATTGAAGTTATGTATCCTCCTCCTTACCTAGACAATGAGAAGAGCAATGGAACCATTATCCATGTGAAAGGGAAACACCTTTGTCCAAGTCCCCTATTTCCCGGACCTTCTAAGCCCTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGGGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA
[00308]CAR遺伝子をEF1α(EF-1α)のプロモーター下でFUWレンチウイルスベクター骨格にクローニングし、Fuw-EF1α-CARを形成した。Fuw-EF1α-CAR、レンチウイルスエンベローププラスミドpMD2.G(Addgene、Plasmid#12259)およびレンチウイルスパッケージングプラスミドpsPAX2(Addgene、Plasmid#12260)を、全レンチウイルス発現ベクターを調製するためにLipofectamine3000を用いて293T細胞にトランスフェクトした。上清を48時間および72時間で回収し、濃縮のために超遠心分離(Merck Millipore)に供した。濃縮されたウイルスはT細胞のトランスフェクションのために準備された。
【0223】
[00309]結果は、レンチウイルスベクターの構築に成功し、EGFRtおよびCD19+CD3 CARの発現がともに予想どおりに検出されたことを示す。
1.2 CRISPRの設計および構築
[00310]最初に、TCR保存領域の最初のエクソンを標的とするgRNA配列をhttp://crispr.mit.eduで設計し、スコアが80を超える2つのgRNA配列をより高いノックアウト効率のために選択した。gRNAプライマーについては、フォワードプライマーは、T7プロモーター、続いて20bpの標的配列を含み、逆プライマーは、20bpの相補配列を有する。pX330プラスミドをPCR鋳型として使用した。精製後、T7-PCR産物をさらにMEGAshortscript T7キットの鋳型として使用してRNAを得た。RNAをMEGAclearカラムで精製し、RNA不含水で溶出した。Cas9プラスミドはAddgeneから購入した。
【0224】
[00311]gRNA標的配列は、以下の通りである:
[00312]TRAC-gRNA:TGTGCTAGACATGAGGTCTA、配列番号5;
[00313]一方、gRNAのノックアウト効率をサーベイヤーアッセイ、TIDEにより分析した。
【0225】
1.3 CAR-T細胞の調製
[00314]細胞の単離および活性化
[00315]アフェレーシス後、Histopaque-1077(Sigma-Aldrich)を用いて密度勾配遠心分離により単球を単離した。次に、T細胞を富化し、抗CD3/抗CD28とカップリングした磁気ビーズによって活性化し、培養し、増殖させた。
【0226】
[00316]5%FBS、2mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび300IU/mlのrhIL2を含むX-vivo15をCAR-T細胞培地として使用した。細胞をインキュベートし、37℃、5%CO2で培養した。
【0227】
[00317]CD19を発現する細胞系:Raji(バーキットリンパ腫細胞系、ATCC-CCL86);K562細胞(ヒト赤白血病細胞系、ATCC-CCL243);Raji-ffluc細胞系は、ホタルルシフェラーゼを有するレンチウイルスをトランスフェクトしたRaji細胞をスクリーニングすることによって得られた。
【0228】
[00318]CD3を発現する細胞系:Jurkat細胞
[00319]すべての細胞をRPMI1640培地中で培養し、293T細胞(ATCC-CRL3216)をDMEM培地中で培養した。RPMI1640とDMEMの両方に、10%(v/v)ウシ胎児血清ならびに100U/mlペニシリンおよびストレプトマイシン、2mMグルタミンおよび1mMピルビン酸ナトリウムを補足した。
【0229】
[00320]エレクトロポレーション
[00321]T細胞を富化および活性化した2日後、抗CD3/抗CD28磁気ビーズおよび細胞を管に回収し、300gで5分間の遠心分離に供し、次にDPBSで2回洗浄し、1~3×108/mlの細胞密度でOpti-MEM中に再懸濁した。必要とされるcas9/gRNAの量は、細胞密度に基づいて計算され、各々30μg/mlであった。Cas9とgRNAを1:1に混合し、室温で10分間インキュベートし、次にエレクトロポレーション緩衝液に移し、4D-NucleofectorシステムN(Lonza)システムによるエレクトロポレーションのために細胞とさらに混合した。次に、細胞を予め加温した培地中に1~2×106/mlの密度になるように再懸濁し、プレートに移し、続いて、37℃、5%CO2でインキュベーター中で培養した。
【0230】
[00322]レンチウイルストランスフェクション
[00323]エレクトロポレーションの1日後、細胞を2~8のMOIでレンチウイルスベクターでトランスフェクトし、フラスコに移し、37℃、5%CO2で培養した。
【0231】
[00324]細胞増殖およびCAR陽性率の検出
[00325]トランスフェクションの3日後に、細胞数およびCAR陽性細胞を検出し、T細胞におけるCARの陽性率を計算した。CD3とPD1の陽性率もまた、ノックアウト効率を決定するために検出された。次に、細胞をインキュベーター内で連続的に培養し、培地の半分を2~3日ごとに置換し、細胞が凍結保存のために準備される14日目まで行った。一例のワークフローを
図2に示す。
【0232】
[00326]
図3は、特定のマーカーの有無にかかわらず、二重CARを発現する操作された免疫細胞または対照細胞の画分のフローサイトメトリーデータを示す。例えば、CD3は、内因性TCRノックアウト効率を示すマーカーであり得、3CAR(CD3を標的とするCAR)は、CD3を標的とするCAR-T細胞を示すマーカーであり得、19CAR(CD19を標的とするCAR)は、CD19を標的とするCAR-T細胞を示すマーカーであり得、EGFRは、CAR-T発現EGFRtを示すマーカーであり得る。
図4は、特定のマーカーの有無にかかわらず、二重CARを発現する操作された免疫細胞または対照細胞の画分の別のフローサイトメトリーデータを示す。
図4では、CD19を標的とするCARはモノクローナル抗体FMC63のscFvであり、CD3を標的とするCARはモノクローナル抗体OKT3またはUCHT1のscFvであった。結果は、調製したEGFRt-CD3-CD19 CAR-T細胞では、EGFRとCARの陽性率およびCD3の陰性率が高かったことを示し、安全スイッチ(例えば、EGFRt)を有する遺伝子ノックアウト二重CAR-T細胞(例えば、パラレルEGFRt)が首尾よく調製されたことを示す。
【0233】
1.4 サイトカインの放出
[00327]実施例1.3で調製した二重CAR-T細胞およびCD19陽性腫瘍細胞(Raji)、CD3陽性腫瘍細胞(Jurkat)または初代同種異系PBMCの各々100μlを、1:1の比で各細胞について1×106/mlの密度になるようにRPMI培地に混合し、次に96ウェルプレート中で一晩培養した。次に、培地を回収し、遠心分離に供し、放出されたサイトカインIFN-γおよびIL-2をサイトカインビーズアレイキット(CBAキット、BD Biosciences)により検出した。
【0234】
[00328]結果は、EGFRt-CD3-CD19 CAR-T細胞をRaji、Jurkatまたは初代同種異系PBMCとの共インキュベートが、多量のIFN-γおよびIL-2を産生することを示し、CD19陽性またはCD3陽性標的細胞に対するCAR-Tの機能を示す。
【0235】
1.5 in vitro殺活性
[00329]ルシフェラーゼ遺伝子を標的細胞に導入し、次にスクリーニングすることにより、安定にトランスフェクトされた細胞系を得た。フルオレセインを添加後、ルシフェラーゼはフルオレセインと反応して蛍光を生成することができた。蛍光の強度を検出することにより、ルシフェラーゼの活性を測定し、細胞の生存を検出して、CART細胞の殺傷作用を評価することができる。
【0236】
[00330]
図5Aは、CAR-T細胞、例えば、モノクローナル抗体OKT3またはUCHT1のscFvを有するCD3を標的とするCAR-T細胞、CD19およびCD3を標的とする二重特異的CAR-T細胞(パラ193-Oおよびパラ193-U)、内因性TCRをノックアウトしたCD19 CAR(TCR KO CD19 CAR)、および内因性TCRをノックアウトしたT細胞対照(TCR KO T細胞対照)の、それぞれ6時間および24時間の1:1のE:T(エフェクターCAR-T細胞対標的がん細胞)でのCD19+NALM6-Lus細胞およびCD3+Jurkat-Luc細胞に対する細胞毒性の棒グラフを示す。
図5Bは、Jurkat細胞とCAR-T細胞を1:1のE:T比で共培養した場合、1日目から3日目までに測定したJurket細胞に対するCAR-T細胞の細胞毒性を示す。
図5Cは、NALM6細胞およびCAR-T細胞の1:1のE:T比での共培養の1日目から3日目までに測定されたCD3を発現するT細胞に対するCAR-T細胞の細胞毒性を示す。
【0237】
[00331]CD19およびCD3を標的とする二重特異的CAR-T細胞(例えば、モノクローナル抗体UCHT1:GC193-para-UからのscFvとパラレル形態での二重特異的CAR-T細胞)の細胞毒性もまたNALM6-LucG、Jurkat-LucG、Raji、同種異系NT細胞(非処理T細胞)、および自家NT細胞に対して試験された。
図6Aは、異なるエフェクター:標的比でのNALM6細胞に対するCAR-T細胞の40時間の細胞毒性を示す。
図6Bは、異なるエフェクター:標的比でのJurkat細胞に対するCAR-T細胞の6時間の細胞毒性を示す。
図6Cは、Jurkat、同種異系NT細胞、自
家NT細胞、Raji細胞、およびNALM6細胞に対するCAR-T細胞の40時間の細胞毒性を示す。
図7Aは、NALM6細胞に対する二重特異的CAR-T細胞のパラレルまたはループ形態の16時間の細胞毒性を示す。CD19-CD3二重特異的CAR-T細胞は、単一のCD19 CAR-T細胞と同等の抗腫瘍有効性を示した。
図7Bは、Jurkat細胞に対してパラレルまたはループ形態での二重特異的CAR-T細胞の16時間の細胞毒性を示す。CD19-CD3二重特異的CAR-T細胞は、単一のCD3 CAR-T細胞と同等の抗腫瘍有効性を示した。結果は、EGFRt-CD3-CD19 CAR-T細胞が、Nalm6、Raji、Jurkatおよび初代同種異系PBMCを有意に殺傷したことを示し、CD19陽性またはCD3陽性標的細胞に対するCAR-Tの機能、およびCD19+がん細胞とCD3+キラーT細胞の両方を同時に標的とするそれらの能力を示す。
【0238】
[00332]1.6 in vivo有効性
[00333]6~12週齢のNOD-Prkdcscid Il2rgnull(NPG)マウスを選択し、2×105個のRaji-ffluc細胞またはJurkat-ffluc細胞、50μLのDPBSおよび50μLのマトリゲルマトリックス(Corning)を腹腔内注射した。2日後、マウスの腫瘍移植片負荷を測定し、腫瘍負荷に基づいてマウスを4群に分けた。その1日後、それぞれ200μLのDPBS、5×106個のNT細胞および5×106個のEGFRt-CD3-CD19 CAR-T細胞をマウスに注射した。CAR-T治療の7日後に、マウスの腫瘍負荷をさらに評価した。次に、各マウスに3mgのd-ルシフェリンを4分間反応のために腹腔内注射し、その後、30秒曝露のXenogen IVISイメージングシステムを用いて写真撮影した。
【0239】
[00334]結果は、EGFRt-CD3-CD19 CAR-Tが、Raji-ffluc細胞とJurkat-ffluc細胞の両方による腫瘍について、NT細胞と比較して、腫瘍負荷を有意に減少させることを示し、EGFRt-CD3-CD19 CAR-Tがin vivoでCD19陽性またはCD3陽性の標的細胞を除去し得ることを示す。
【0240】
1.7 In vivo GVHD研究
[00335]マウスを最初に亜致死量(175cGy)の照射で全身的に治療した。次に、CAR-T細胞をPBS中に再懸濁し、治療されたマウスの胸部に注射した。体重減少、アーチバック、活性、被毛の質感、および皮膚の完全性を含むGVHD臨床基準を用いて、マウスを週2~3回観察した。
【0241】
[00336]結果は、TCRノックアウトを伴わないマウスがGVHD症状を示したが、EGFRt-CD3-CD19 CAR-T+TCR二重ノックアウト群ではGVHDは検出されなかったことを示す。
【0242】
[00337]
図66は、CD19 CAR-T対TCR KO CD19 CAR-T細胞を比較するin vivoのGvHD研究を示す。2e7個のCD19 CAR-TまたはTCR KO CD19 CAR-T細胞を、各Raji腫瘍を有するNOGマウスに注入して、GvHD応答を比較した。CD19 CAR-T群のマウスは、TCR KO CAR-T細胞と比較して、重度の体重減少(>20%)、アーチバック、波状毛皮、および早期死亡とともに有意なCAR-T増殖を示した。いずれのTCR KO CD19 CAR-T注入マウスでもGVHDは検出されなかった。
【0243】
1.8 in vitro HVG研究
[00338]EGFRt-CD19 CAR-T+TCRノックアウトおよびEGFRt-CD3-CD19 CAR-T+TCR/B2M二重ノックアウト細胞を、アポトーシスおよびサイトカイン放出(IFN-γ)を検出するために、NK細胞とともに一晩1:1でインキュベートした。
【0244】
[00339]結果は、対照群と比較して、EGFRt-CD3-CD19 CAR-T+TCRノックアウト群はほとんどアポトーシスを示さず、サイトカイン放出は有意に少ないことを示し、本開示の生成物がNK細胞によるHVG反応を引き起こさないことを示す。一方、TCR/B2M二重ノックアウト細胞は、NK細胞により有意に殺傷され、長期生存はできなかった。
【0245】
[00340]HVGはまた、HLA無傷のCAR-T細胞に対して同種異系T細胞を誘導することができる。
図6Cは、二重CAR-T細胞が40時間以内に同種異系T細胞を標的とすることができ、通常72時間を要する宿主同種異系T細胞によるCAR-T拒絶を妨げることを示す。
【0246】
1.9 EGFRt遺伝子媒介CAR-T細胞の除去
[00341]NK細胞をエフェクター細胞としてPBMCから単離し、最終濃度10μg/mLのセツキシマブの有無にかかわらず、CD19-28z CARTまたはEGFRt-CD3-CD19 CAR-Tと1:1で共培養した。4時間後および24時間後に、CD3およびCARの発現をフローサイトメトリーにより検出した。
【0247】
[00342]ADCCパーセンテージ=(1-モノクローナル抗体群CAR陽性率/抗体群CAR陽性率なし)×100%
[00343]結果は、セツキシマブの存在下で、4時間後と24時間後に、NK細胞がEGFRt-CD3-CD19 CAR-T細胞を有意に除去したが、CD19-28z CARTを除去しなかったことを示す。セツキシマブなしでは、NKは、いずれの細胞も殺傷しなかった。このことは、セツキシマブがEGFRt-CD3-CD19 CAR-Tに結合する安全スイッチとして機能し、NKがADCC機能を媒介してCART細胞を除去することを可能にすることを示す。
【0248】
実施例2 CAR19を発現するU-CAR-T細胞およびTCRノックアウトを伴うエンハンサーの研究
[00344]この実施例では、5×10
5個のRaji-ルシフェラーゼ細胞を皮下注射によりNOGマウスに移植し、100mm
3に達するまで増殖させた。1×10
6個の野生型またはTCR KO CD19 CAR-T細胞をRaji移植マウスに静脈内注入(IV)した。腫瘍負荷は、実際の腫瘍サイズのキャリパー測定によって評価された。末梢血中のCAR-T細胞増殖をフローサイトメトリー分析により測定した。
図8AはCAR-T治療後の腫瘍負荷を示す。TCR無傷のCD19 CAR-T細胞は腫瘍を消失させることができたが、TCR KO CD19 CAR-TはRaji腫瘍成長を制御することができなかった。いずれもRajiベースの腫瘍を有するモデルであるが、皮下モデルは固形腫瘍を生成し、静脈モデルよりも腫瘍を制御するためのCAR-T細胞増殖に対する要求がはるかに高い。
図8Bは末梢血中のCAR-T増殖を示す。TCR KO CAR-T細胞は、WT CAR-T細胞と比較して増殖欠損を示し、CAR-T細胞増殖のピークは、WT細胞のそれよりもはるかに弱く、これはそれらの腫瘍制御効果と一致する。
【0249】
[00345]
図9A-9Cは、TCRノックアウトを伴うCD19 CAR-T細胞の増殖を示す。
図9Aは、NALM6細胞による反復刺激および残存腫瘍細胞の測定の実験タイムラインを示す。
図9Bは、TCRノックアウトを伴うCD19 CAR-T細胞の増殖データおよび異なるエンハンサーの発現を、TCRノックアウトを伴わないCD19 CAR-T細胞およびTCRノックアウトを伴うが、エンハンサーの発現を伴わないCD19 CAR-T細胞と比較して示す。NALM6細胞の添加は、
図9A中の実験的トリムラインに従って矢印で示される。
図9Bは、
図9A中の実験タイムラインに従って示された日に測定された残存腫瘍細胞の量によって示される種々のCD19 CAR-T細胞の除去活性を示す。NALM6細胞による複数回のまたは反復刺激下で、TCRノックアウトおよびC7RまたはIL7を伴うCD19 CAR-T細胞は、本実験で試験された他の細胞と比較して、持続的な増殖および高められた増殖能力を示した。
【0250】
[00346]
図10Aおよび10Bは、操作されたCAR-T細胞の増殖能力を比較する追加の増殖データを示す。
図10Aは、TCRノックアウトおよび2つの異なるエンハンサー(C7RおよびIL2)を伴うCD19 CAR-T細胞の増殖データを、エンハンサーの発現を伴わない細胞と比較して示す。結果は、NALM6細胞による複数回のまたは反復刺激下で、TCRノックアウトおよびC7RまたはIL2を伴うCD19 CAR-T細胞が、いずれのエンハンサーの発現も有さない細胞と比較して、持続的な増殖および高められた増殖能力を示すことを示した。
図10Bは、TCRノックアウトおよび2つの異なるエンハンサー(C7RおよびmbIL15)を有するCD7 CAR-T細胞の増殖データを、エンハンサーの発現を伴わない細胞と比較して示す。結果は、CCRF-CEM細胞による複数回のまたは反復刺激下で、TCRノックアウトおよびC7RまたはmbIL15を伴うCD7 CAR-T細胞は、いずれのエンハンサーの発現も有さない細胞と比較して、持続的な増殖および高められた増殖能力を示した。C7Rの発現を有する細胞は、mbIL15を発現する細胞よりも良好な増殖能力を示した。
【0251】
[00347]
図11は、TCR KO CD19 CAR-T細胞におけるエンハンサーのin vivo比較の例を示す。この例では、5×10
5個のRaji-ルシフェラーゼ細胞を静脈内(IV)注射によりNOGマウスに移植し、5日間増殖させた。エンハンサーの有無にかかわらずTCR KO CD19 CAR-T細胞(TCRノックアウトを伴うCD19 CAR-T細胞)ならびにビヒクルおよびT細胞対照を、Raji移植マウスに静脈内注入(IV)した。腫瘍負荷を生物発光強度(BLI)により評価した。エンハンサーC7Rを発現するTCR KO CD19 CAR-T細胞では、IL7は、エンハンサーの発現を伴わない細胞、またはmbIL15の発現を伴う細胞、または他の対照細胞と比較して、良好な腫瘍制御を示した。
図12は、BLIにより評価された腫瘍負荷を示すNOGマウスの対応する画像を示す。
【0252】
実施例3 CAR7を発現するU-CAR-T細胞、ならびにTCRおよびCD7の二重ノックアウトを伴うエンハンサー、ならびにCD2 CARを発現するU-CAR-T細胞、およびTCRおよびCD2の二重ノックアウトを伴うエンハンサーの研究
一般的な材料および方法
[00348]ドナー血液からの末梢血単核細胞(PBMC)の単離およびT細胞の増殖
[00349]末梢血単核細胞(PBMC)を、密度勾配遠心分離を介してHistopaque-1077(Sigma-Aldrich)を用いてドナー血液から単離した。次に、T細胞を富化し、抗CD3/抗CD28とカップリンさせた磁気ビーズによって活性化し、培養し、増殖させた。
【0253】
[00350]T細胞の細胞系および培養
[00351]CCRF-CEM(Tリンパ芽球、ATCC(登録商標)CCL-119(商標));
[00352]CCRF-CEM-luc細胞(ホタルルシフェラーゼを有するレンチウイルスでトランスフェクトされたCCRF-CEM細胞をスクリーニングすることによって得られる);
[00353]K562細胞(ヒト赤白血病細胞系、ATCC-CCL243);
[00354]293T細胞(ATCC-CRL3216);
[00355]NK92細胞(ATCC-CRL2407)。
【0254】
[00356]CCRF-CEM-luc細胞系をRPMI1640培地中で培養し、293T細胞をDMEM培地中で培養した。RPMI1640とDMEMの両方に、10%(v/v)ウシ胎児血清ならびに100U/mlペニシリンおよびストレプトマイシン、2mMグルタミンおよび1mMピルビン酸ナトリウムを補足した。全ての細胞を37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。
【0255】
[00357]NK92細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1%NEAA、0.1mMメルカプトエタノールおよび200IU/mlのrhIL2を補足したRPMI1640培地中で培養した。
【0256】
[00358]T細胞および得られたCAR-T細胞をX-vivo15培地(5%FBS、2mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび300IU/mlのrhIL2を含む)中で培養した。CAR-T細胞の培地にはさらに、rhIL-2(ThermoFisher Scientific)を最終濃度300IU/mlで2日ごとに補足した。全ての細胞を37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。
【0257】
3.1 CRISPRの設計および構築
[00359]遺伝子編集のためのCD7およびTCR gRNAは、遺伝子編集効率およびオフターゲットリスクを評価した後、ウェブサイトhttp://crispr.mit.edu、www.idtdna.comおよびhttps://www.synthego.comで選択した。本開示で使用されるgRNAおよびHiFi-Cas9タンパク質は、Integrated DNA Technologies,Inc(IDT)から購入された。
【0258】
[00360]遺伝子編集のために、3μgのCas9タンパク質および1.5μgのgRNAを20μlで混合し、37℃または室温で15分間インキュベートしてリボヌクレオタンパク質(RNP)を形成した。次に、RNPをLonza 4D NucleofectorによりT細胞にトランスフェクトした。遺伝子ノックアウト効率は、フローサイトメトリー(FACS)によって検出する場合、タンパク質を発現する細胞の比によって決定された。
【0259】
[00361]本発明者らの以前の研究は、TRAC-gRNA1がTCRに対してより高いノックアウト効率を有することを示した(配列は配列番号20に記載される)。CD7のgRNAおよびTRAC-gRNAを一緒に用いて、同時にCD7およびTCRをノックアウトした場合、4つのCD7-gRNAのうち3つが高い効率を示した(
図16に示される)。CD7-gRNA1(配列番号34)が、CD7をノックアウトするためのgRNAとして選択された。
【0260】
[00362]TRAC-gRNA1: TTCGGAACCCAATCACTGAC、配列番号20;
[00363]CD7-gRNA1: GAGGTCAATGTCTACGGCTC、配列番号25。
[00364]CD2のgDNAは以下のように設計され、CD2 gRNA2は最も高いCD2ノックアウト効率を示した(
図65に示される)。
【0261】
[00365]CD2-gRNA1: CAAAGAGATTACGAATGCCT
[00366]CD2-gRNA2: GTGCCACAAAGACCATCAAG
[00367]CD2-gRNA3: AGAGGGTCATCACACACAAG
[00368]CD2-gRNA4: CTTGTAGATATCCTGATCAT
3.2 CARおよびサイトカインの設計ならびにウイルスのパッケージ
[00369]キメラ抗原受容体およびサイトカインの構造は、CAR7、CAR7-mb15およびCAR7-C7Rである(
図17に示される)。ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、配列番号35~40として記載される。
【0262】
[00370]CAR7(配列番号35):
[00371]atggcactccctgtaactgcacttcttttgccacttgccttgctcctgcacgcagcgcggccggacatcgagctgacccagagccccgccatcatgagcgccagcctgggcgaggagatcaccctgacctgcagcgccagcagcagcgtgagctacatgcactggtaccagcagaagagcggcaccagccccaagctgctgatctacagcaccagcaacctggccagcggcgtgcccagcaggttcagcggcagcggcagcggcaccttctacagcctgaccatcagcagcgtggaggccgaggacgccgccgactactactgccaccagtggagcagctacaccttcggcggcggcaccaagctggagatcaagaggggcggcggcggcagcggcggcggcggcagcggcggcggcggcagccaggtgaagctgcaggagagcggcggcggcctggtgaagcccggcggcagcctgaagctgagctgcgccgccagcggcttcaccttcagcagctacgccatgagctgggtgaggcagacccccgagaagaggctggagtgggtggccaccatcagcagcggcggcagctacacctactaccccgacagcgtgaagggcaggttcaccatcagcagggacaacgccaagaacaccctgtacctgcagatgagcagcctgaggagcgaggacaccgccatgtactactgcgccaggcaggacggctactaccccggctggttcgccaactggggccagggcaccaccgtgaccgtgagcagctccggaacaacgacaccagcaccacggccacccactcctgctccgacaattgcgtctcagcccctttcccttcgacccgaagcttgtcgccctgctgcgggaggagcggtccacacgcgcgggcttgacttcgcttgcgacatctacatttgggcacccttggccgggacatgcggcgtcttgctcctgagtctggttataacgctgtattgtaagcgaggtcggaagaagcttttgtatatctttaaacagccctttatgaggcccgtacaaaccacacaagaggaggatgggtgctcatgcagatttcctgaagaggaagagggcggttgcgaacttagagtcaaattcagccgctccgcagatgcacctgcttataaacagggtcagaatcaattgtataatgaacttaatctcgggaggcgcgaggagtatgatgtgctggacaagcgacggggtcgagacccagagatgggcggtaaaccccgccgaaagaacccccaggagggactgtataatgagctgcaaaaggacaaaatggcagaagcctattccgaaatagggatgaagggagagcggcggcgaggtaagggacatgacggtctttatcaaggtcttagtactgcaactaaggacacctatgacgcgctgcatatgcaggctctcccacctagataa
[00372]CAR7(配列番号36):
[00373]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
[00374]CAR7-mb15(配列番号37):
[00375]atggcactccctgtaactgcacttcttttgccacttgccttgctcctgcacgcagcgcggccggacatcgagctgacccagagccccgccatcatgagcgccagcctgggcgaggagatcaccctgacctgcagcgccagcagcagcgtgagctacatgcactggtaccagcagaagagcggcaccagccccaagctgctgatctacagcaccagcaacctggccagcggcgtgcccagcaggttcagcggcagcggcagcggcaccttctacagcctgaccatcagcagcgtggaggccgaggacgccgccgactactactgccaccagtggagcagctacaccttcggcggcggcaccaagctggagatcaagaggggcggcggcggcagcggcggcggcggcagcggcggcggcggcagccaggtgaagctgcaggagagcggcggcggcctggtgaagcccggcggcagcctgaagctgagctgcgccgccagcggcttcaccttcagcagctacgccatgagctgggtgaggcagacccccgagaagaggctggagtgggtggccaccatcagcagcggcggcagctacacctactaccccgacagcgtgaagggcaggttcaccatcagcagggacaacgccaagaacaccctgtacctgcagatgagcagcctgaggagcgaggacaccgccatgtactactgcgccaggcaggacggctactaccccggctggttcgccaactggggccagggcaccaccgtgaccgtgagcagctccggaacaacgacaccagcaccacggccacccactcctgctccgacaattgcgtctcagcccctttcccttcgacccgaagcttgtcgccctgctgcgggaggagcggtccacacgcgcgggcttgacttcgcttgcgacatctacatttgggcacccttggccgggacatgcggcgtcttgctcctgagtctggttataacgctgtattgtaagcgaggtcggaagaagcttttgtatatctttaaacagccctttatgaggcccgtacaaaccacacaagaggaggatgggtgctcatgcagatttcctgaagaggaagagggcggttgcgaacttagagtcaaattcagccgctccgcagatgcacctgcttataaacagggtcagaatcaattgtataatgaacttaatctcgggaggcgcgaggagtatgatgtgctggacaagcgacggggtcgagacccagagatgggcggtaaaccccgccgaaagaacccccaggagggactgtataatgagctgcaaaaggacaaaatggcagaagcctattccgaaatagggatgaagggagagcggcggcgaggtaagggacatgacggtctttatcaaggtcttagtactgcaactaaggacacctatgacgcgctgcatatgcaggctctcccacctagacgagctaaacgaggctcaggcgcgacgaactttagtttgctgaagcaagctggggatgtagaggaaaatccgggtcccatggattggacttggattttgttcctcgttgccgcagcgactcgcgtccatagtaattgggtgaacgtaattagtgacttgaaaaaaattgaggaccttatacaaagtatgcatatcgatgcaacactgtacacggagtccgacgtgcacccaagctgcaaggtcaccgcaatgaaatgctttttgctcgaattgcaagttatctcacttgagtcaggggacgcttcaatccatgatactgtggagaatttgataatcctggcgaacaatagccttagttcaaatggcaacgtcactgagtcaggctgcaaggaatgtgaggaattggaagaaaaaaatatcaaggaatttttgcaatcttttgttcacatagttcagatgttcattaacactagttccgggggcggcagtggaggtggcggtagcggcgggggtggctctggtggaggcggctctgggggcggaagtctgcagataacatgccccccacctatgagtgttgaacatgctgatatctgggttaaatcttactccctttacagtcgagaaaggtacatttgcaactccggctttaaacgcaaagccgggactagttcactgactgaatgtgtattgaataaagcgacaaatgtcgcacactggactaccccttccctcaaatgcattcgcgatcctgccttggtgcatcagcgaccagcaccgccgtccacggtaactaccgcaggagtaacaccgcagcccgagagcctttccccctcaggcaaagagccggccgcatcctccccatcttccaataataccgcagctaccaccgcagcaatcgtacccggatcccagctgatgcccagcaaaagtccgagtactggaacgactgaaatctccagtcacgagtcttctcatggaactccgagtcaaactacagcaaagaattgggagctgactgcttccgcttcacaccagccgccaggcgtttatcctcagggacactcagataccacggtggcgattagcacaagcaccgtcctcctgtgtgggctgagtgcagtgtcacttctcgcctgctaccttaagtccagacagacaccccctttggcaagcgttgaaatggaagccatggaagccttgcctgtcacatgggggacttcatcccgcgatgaagacttggagaactgctcacaccatctt
[00376]CAR7-mb15(配列番号38):
[00377]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRRAKRGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMDWTWILFLVAAATRVHSNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQITCPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIRDPALVHQRPAPPSTVTTAGVTPQPESLSPSGKEPAASSPSSNNTAATTAAIVPGSQLMPSKSPSTGTTEISSHESSHGTPSQTTAKNWELTASASHQPPGVYPQGHSDTTVAISTSTVLLCGLSAVSLLACYLKSRQTPPLASVEMEAMEALPVTWGTSSRDEDLENCSHHL
[00378]CAR7-C7R(配列番号39):
[00379]atggcactccctgtaactgcacttcttttgccacttgccttgctcctgcacgcagcgcggccggacatcgagctgacccagagccccgccatcatgagcgccagcctgggcgaggagatcaccctgacctgcagcgccagcagcagcgtgagctacatgcactggtaccagcagaagagcggcaccagccccaagctgctgatctacagcaccagcaacctggccagcggcgtgcccagcaggttcagcggcagcggcagcggcaccttctacagcctgaccatcagcagcgtggaggccgaggacgccgccgactactactgccaccagtggagcagctacaccttcggcggcggcaccaagctggagatcaagaggggcggcggcggcagcggcggcggcggcagcggcggcggcggcagccaggtgaagctgcaggagagcggcggcggcctggtgaagcccggcggcagcctgaagctgagctgcgccgccagcggcttcaccttcagcagctacgccatgagctgggtgaggcagacccccgagaagaggctggagtgggtggccaccatcagcagcggcggcagctacacctactaccccgacagcgtgaagggcaggttcaccatcagcagggacaacgccaagaacaccctgtacctgcagatgagcagcctgaggagcgaggacaccgccatgtactactgcgccaggcaggacggctactaccccggctggttcgccaactggggccagggcaccaccgtgaccgtgagcagctccggaacaacgacaccagcaccacggccacccactcctgctccgacaattgcgtctcagcccctttcccttcgacccgaagcttgtcgccctgctgcgggaggagcggtccacacgcgcgggcttgacttcgcttgcgacatctacatttgggcacccttggccgggacatgcggcgtcttgctcctgagtctggttataacgctgtattgtaagcgaggtcggaagaagcttttgtatatctttaaacagccctttatgaggcccgtacaaaccacacaagaggaggatgggtgctcatgcagatttcctgaagaggaagagggcggttgcgaacttagagtcaaattcagccgctccgcagatgcacctgcttataaacagggtcagaatcaattgtataatgaacttaatctcgggaggcgcgaggagtatgatgtgctggacaagcgacggggtcgagacccagagatgggcggtaaaccccgccgaaagaacccccaggagggactgtataatgagctgcaaaaggacaaaatggcagaagcctattccgaaatagggatgaagggagagcggcggcgaggtaagggacatgacggtctttatcaaggtcttagtactgcaactaaggacacctatgacgcgctgcatatgcaggctctcccacctagaggctcaggcgcgacgaactttagtttgctgaagcaagctggggatgtagaggaaaatccgggtcccatgttggtgcgccgaggcgcacgagcaggacctcggatgccgcgaggctggacagccctctgtctcctctctttgcttccatccgggttcatgagtctcgacaataatggtacggcaaccccggaactcccgacccaaggaacctttagtaacgtttcaaccaatgtgtcctatcaggagacaacaaccccttctacactgggcagtaccagcttgcatcccgtcagccaacacggcaacgaggcaacaactaacatcacagagactacggtcaagtttactagtacttccgtaatcacgtctgtgtacgggaatacaaattcatcagttcagagtcaaacgtcagttatatctacagtcttcactactcccgcgaatgtatccaccccagaaaccaccctcaaaccttctcttagtccaggaaatgttagcgatttgtcaacgacgagcacgagtttggcgactagtccaacgaaaccgtacacttccagcagtcccatactgtccgacattaaggcagaaataaaatgttctgggatcagggaggtcaagcttacgcagggaatatgtcttgagcaaaataagacgtcctcatgcgcagaattcaagaaagatcgcggcgaaggtctggccagagtcctctgtggagaggagcaggcggatgctgacgcaggagcgcaggtttgtagtctcctgctcgcgcaaagtgaagttaggccccaatgtctcttgttggtactggctaaccgaactgaaattagcagcaagcttcaactcatgaaaaaacaccagagtgatttgaaaaaacttgggatacttgacttcacggagcaagacgttgcgtctcaccaatcctactcacagaaaaccccgatactgttgacatgccccaccatatcaatcttgtctttcttcagtgtggctcttctggtgatcttggcgtgcgtgctgtggaaaaaaaggattaaaccgatcgtttggcctagtctgccggatcacaaaaagacactggagcacctctgcaagaagccacgaaaaaacctgaatgtgagctttaaccccgagtcttttttggactgtcagatacaccgagtcgacgatatacaggcaagagatgaggttgagggtttcctgcaagacacattcccgcaacaactcgaagaatccgagaaacagcgccttggtggagatgtccagtctccgaactgtccgagcgaggacgtagtaattaccccagaaagcttcggtcgagatagtagccttacgtgtctcgccgggaacgtgtcagcgtgtgacgcgcctattctttcaagttcacgcagtttggactgtcgagaatcagggaaaaacggacctcacgtgtatcaggatctccttctcagcctgggcacgacaaacagtaccttgcctcctccgttttccctgcagtcaggtattctgacgctcaatccagtcgcacaagggcaacctatcctgacctccttgggttctaaccaggaagaggcatacgtcactatgtccagcttctatcagaatcag
[00380]CAR-C7R(配列番号40):
[00381]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMLVRRGARAGPRMPRGWTALCLLSLLPSGFMSLDNNGTATPELPTQGTFSNVSTNVSYQETTTPSTLGSTSLHPVSQHGNEATTNITETTVKFTSTSVITSVYGNTNSSVQSQTSVISTVFTTPANVSTPETTLKPSLSPGNVSDLSTTSTSLATSPTKPYTSSSPILSDIKAEIKCSGIREVKLTQGICLEQNKTSSCAEFKKDRGEGLARVLCGEEQADADAGAQVCSLLLAQSEVRPQCLLLVLANRTEISSKLQLMKKHQSDLKKLGILDFTEQDVASHQSYSQKTPILLTCPTISILSFFSVALLVILACVLWKKRIKPIVWPSLPDHKKTLEHLCKKPRKNLNVSFNPESFLDCQIHRVDDIQARDEVEGFLQDTFPQQLEESEKQRLGGDVQSPNCPSEDVVITPESFGRDSSLTCLAGNVSACDAPILSSSRSLDCRESGKNGPHVYQDLLLSLGTTNSTLPPPFSLQSGILTLNPVAQGQPILTSLGSNQEEAYVTMSSFYQNQ
[00382]単一または二重CARに構築された2つのCD2 scFvのアミノ酸配列は、以下の通りである:
[00383]CD2 scFv1 VH:
QLQQPGAELVRPGSSVKLSCKASGYTFTRYWIHWVKQRPIQGLEWIGNIDPSDSETHYNQKFKDKATLTVDKSSGTAYMQLSSLTSEDSAVYYCATEDLYYAMEYWGQGTSVTVSS
[00384]CD2 scFv1 VL:
[00385]DIMMTQSPSSLAVSAGEKVTMTCKSSQSVLYSSNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVQPEDLAVYYCHQYLSSHTFGGGTKLEIKR
[00386]CD2 scFv2 VH:
[00387]QVQLQQPGTELVRPGSSVKLSCKASGYTFTSYWVNWVKQRPDQGLEWIGRIDPYDSETHYNQKFTDKAISTIDTSSNTAYMQLSTLTSDASAVYYCSRSPRDSSTNLADWGQGTLVTVSS
[00388]CD2 scFv2 VL:
[00389]DIVMTQSPATLSVTPGDRVSLSCRASQSISDYLHWYQQKSHESPRLLIKYASQSISGIPSRFSGSGSGSDFTLSINSVEPEDVGVYYCQNGHSFPLTFGAGTKLELRR
[00390]CAR遺伝子をEF1α(EF-1α)プロモーター下でFUWレンチウイルスベクター骨格にクローン化して、Fuw-EF1α-CARを形成した。Fuw-EF1α-CAR、レンチウイルスエンベローププラスミドpMD2.G(Addgene、Plasmid#12259)およびレンチウイルスパッケージングプラスミドpsPAX2(Addgene、Plasmid#12260)を、全レンチウイルス発現ベクターを調製するためにLipofectamine3000を用いて293T細胞にトランスフェクトした。上清を48時間および72時間で回収し、濃縮のために超遠心分離(Merck Millipore)に供した。
【0263】
3.3 UCAR-T細胞の調製
[00391]全調製プロセスを
図15に示す。
[00392]細胞の単離および活性化
[00393]アフェレーシス後、Histopaque-1077(Sigma-Aldrich)を用いて密度勾配遠心分離により単球を単離した。次に、T細胞を富化し、抗CD3/抗CD28とカップリングさせた磁気ビーズによって活性化し、培養し、増殖させた。
【0264】
[00394]5%FBS、2mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび300IU/mlのrhIL2を含むX-vivo15をUCAR-T細胞培地として使用した。細胞を37℃、5%CO2でインキュベートし、培養した。
【0265】
[00395]エレクトロポレーションおよびレンチウイルス感染
[00396]T細胞を富化および活性化した2日後、抗CD3/抗CD28磁気ビーズを除去し、細胞を管に回収し、300gで5分間遠心分離し、次にDPBSで2回洗浄し、細胞密度50×106/mlでOpti-MEM中に再懸濁した。必要とされるcas9/gRNA RNPの量は、細胞の密度に基づいて計算され、次に、細胞と混合し、4D-NucleofectorシステムN(Lonza)システムによってエレクトロポレーションのために移した。次に、細胞を予め加温した培地中に2×106/mlの密度になるように再懸濁した。さらに、細胞を2~8のMOIでレンチウイルストランスフェクションに供し、フラスコに移し、37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。
【0266】
[00397]細胞増殖およびCAR陽性率の検出
[00398]トランスフェクションの3日後に、細胞数およびCAR陽性細胞を検出し、T細胞におけるCARの陽性率を計算した。ノックアウト効率を決定するために、TCR(またはCD3)およびCD7の陽性率も検出した。次に、細胞をインキュベーター内で10日間連続的に培養し、続いて、細胞が凍結保存のために準備された。
【0267】
[00399]結果は、(
図18)CAR、IL15RαまたはC7R(CD34)の発現が、CAR7、CAR7-mb15およびCAR7-C7Rについてのフローサイトメトリーにより首尾よく検出され、陽性率は30%より高かったことを示す。CD3/CD7の陰性率は最大約98%であり、TCRノックアウトが促進され、普遍的UCAR-T細胞がうまく調製されたことを示す。
【0268】
[00400]
図19に示されるように、外因性IL-2を除去した後、CAR7のpSTAT5レベルは基底レベルまで低下した。しかしながら、CAR7-C7R T細胞(CD34+細胞)または外因性IL2が添加されたCAR7-T細胞におけるpSTAT5のレベルは非常に高レベルであり、C7Rの発現および外因性に添加されたIL-2はいずれもSTAT5シグナル伝達経路の活性化を増強し得ることを示す。
【0269】
3.4 in vitro殺傷作用
[00401]安定にトランスフェクトされたCCRF-CEM-luc細胞系は、ルシフェラーゼ遺伝子を標的細胞CCRF-CEMに導入し、その後スクリーニングすることによって得られた。フルオレセイン添加後、ルシフェラーゼはフルオレセインと反応して蛍光を生成した。蛍光の強度を検出することにより、ルシフェラーゼの活性を測定することができ、細胞の生存を検出することができ、それによりUCAR-T細胞の殺傷作用を評価することができる。
【0270】
[00402]実施例3.3で調製されたUCAR-T細胞が、1:1の比で、各細胞について1×10
6/mlの密度になるようにRPMI培地にCD-7陽性T細胞CCRF-CEM-lucと各100μlで混合され、次に96ウェルプレート中で特定の期間、培養された。次に、培地を回収し、遠心分離に供し、サイトカインIFN-γおよびIL-2をサイトカインビーズアレイキット(CBAキット、BD Biosciences)により検出した。さらに、UCAR-T細胞の殺傷作用を検出するために、フルオレセイン基質を細胞培養物に添加した。結果は、UCAR-Tは、24時間以内にCCRF-CEM腫瘍において有意な殺傷作用を有することを示す(
図20)。
【0271】
[00403]同種異系T細胞におけるUCAR-Tの殺傷作用:同種異系T細胞をCFSEで標識し、所定の期間CAR-Tとともにインキュベートした。次に、CFSE陽性細胞数の変化をフローサイトメトリーにより分析した。結果は、CAR-T細胞は24時間以内に同種異系T細胞を効率的に殺傷し、これは同種異系T細胞媒介HVGが起こる時間よりもはるかに短く、したがってCAR7はCAR-T細胞を同種異系T細胞殺傷から効果的に保護することができることを示す(
図21)。
【0272】
[00404]NK腫瘍細胞系(NK92)におけるUCAR-Tの24時間殺傷作用:NK92をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識し、UCAR-Tとともに所定の期間インキュベートした。次に、フローサイトメトリーによりCFSE陽性細胞数の変化を分析し、NK92腫瘍細胞系におけるUCAR-Tのin vitro殺傷作用を計算した(
図22)。
【0273】
3.5 CAR-T細胞の増殖
[00405]IL-2をCAR-Tから除去した。CAR-T細胞を2週間連続培養し、増殖を測定するために週2回カウントした。
【0274】
[00406]
図23Aおよび23Bの結果は、CAR7-mb15およびCAR7-C7R CAR-T細胞が、CAR7 CAR-T細胞よりも強い増殖率を有し、IL-2の非存在下では、2週間以内の生存率は依然として高かったことを示す。CAR7-C7RはCAR7-mb15より良好な生存を示した。in vitro殺傷アッセイは、UCAR-T細胞が7時間以内にT-ALL細胞系CCRF-CEMに対して優れた殺傷作用を有することを示す。
【0275】
3.6 in vitroでの細胞の再活性化
[00407]IL-2をUCAR-Tから除去した。CCRF-CEMを1:1のエフェクター:標的比で週2回添加し、週2回カウントして増殖を測定した。
【0276】
[00408]
図24Aおよび24Bは、CCRF-CEMを添加した後、CAR7-mb15およびCAR7-C7R UCAR-T細胞が、CAR7 UCAR-TおよびCAR7-C7R UCAR-T細胞よりも有意に強い増殖を示し、CAR7-mbIL15 UCAR-T細胞よりも良好に増殖したことを示す。反復刺激後、UCAR-T細胞は、依然として、腫瘍細胞を除去する有意な能力を示し、反復抗原刺激後に、サイトカイン関連シグナル伝達経路が高められたUCAR-T細胞は、より高い増殖率を有し、より良好に生存できることを示す。
【0277】
3.7 腫瘍を有するマウスにおけるUCAR-T細胞の増殖および有効性
[00409]6~12週齢のNOD/Shi-scid/IL-2Rγヌル(NOG)マウスを選択し、2×106個のCCRF-CEM-luc細胞を腹腔内注射した。2日後、マウスの腫瘍移植片負荷を測定し、腫瘍負荷に基づいてマウスを5群に分けた。腫瘍移植の6日後、1×106個のUCAR-Tまたは対照を各マウスに静脈内注射し、1~2週間ごとに腫瘍負荷をさらに評価した。各マウスに3mgのD-ルシフェリンを4分間反応のために腹腔内に注射し、次に、30秒曝露(BLI)でXenogen IVISイメージングシステムを用いて撮影した。末梢血中のUCAR-T細胞数を毎週カウントした。
【0278】
[00410]
図25は、CAR7-mb15およびCAR7-C7R UCAR-Tが有意な増殖を有し、CAR7 UCAR-Tは有意な増殖を示さなかったことを示す。
図26は、BLIイメージングの結果を示し、CAR7-mb15およびCAR7-C7R UCAR-T細胞がCAR7 UCAR-T細胞よりも腫瘍除去において良好な効果を有することを示す。
【0279】
[00411]
図27は、ビヒクル対照、またはTCRノックアウトを伴うCAR7 UCAR-T細胞で処理され、エンハンサーの発現の有無で処理されたマウスのBLIイメージングを示す。TCRノックアウトを伴うCAR7 UCAR-T細胞およびC7RまたはmbIL15の発現は、いずれのエンハンサーの発現も伴わずに、ビヒクル対照およびTCR KO CAR7 UCAR-T細胞と比較して、腫瘍除去においてより良好な効率を示した。C7Rを発現するCAR7細胞は、mbIL15を発現するものより良好な腫瘍制御およびマウス生存を示した。本明細書で使用される場合、「CAR7」、「CAR7 UCAR-T」、または「CD7 CAR-T」は、CD7を標的とするCARを含む操作されたCAR-T細胞を示すために互換的に使用することができる。
【0280】
[00412]
図28A BLIイメージングは、腫瘍細胞の除去におけるCD7 CAR-T細胞のin vivo機能を示す。発現C7RまたはmbIL15を有するTCR KO CD7 CAR-T細胞は、いずれのエンハンサーも発現せずに、ビヒクル対照およびTCR KO CD7 CAR-T細胞と比較して、腫瘍除去に対してより良好なin vivo効率を示した。
図28Bは、エンハンサーおよびビヒクル対照の発現を伴うまたは伴わないTCR KO CD7 CAR-Tで処理されたNOGマウスの動物生存データを示す。CAR-T細胞注入後の日数に対して生存マウスのパーセンテージを測定した。C7RまたはmbIL15の発現を伴うTCR KO CD7 CAR-Tで処理されたマウスは、発現エンハンサーまたはビヒクル対照を伴わないCAR-T細胞で処理されたマウスと比較して、より良好な生存率を有した。C7Rを発現するCAR7細胞は、mbIL15を発現するものより良好な腫瘍制御およびマウス生存を示した。
【0281】
[00413]
図55Aは、CAR-T細胞の増殖データを示す。C7Rを発現する新しく調製されたCD7 CAR-T細胞を、C7Rまたは任意のエンハンサー発現を有さない対照細胞と比較して、IL2または抗原刺激を補足しないT細胞培地中で培養し、C7Rを発現するCD7 CAR-T細胞は、より良好な増殖を維持し、培養中で持続された。
図55Bは、刺激の存在下でのCAR-T細胞の増殖を示す。CD7 CAR-T(またはUCART7)、mbIL15またはC7Rを発現するCD7 CAR-Tは、CCRF-CEM(CD7+T-ALL細胞)によって繰り返し刺激された。C7Rを発現するCD7 CAR-Tが最も良好な持続性および増殖を示した。刺激6回目(CC6)に抗原刺激を除いた場合、mbIL15/C7Rを発現するCD7 CAR-Tは増殖を停止した。「CC」は、本明細書で使用される場合、がん細胞との共培養を示す。
【0282】
3.8 In vivo GVHD研究
[00414]マウスを最初に亜致死量(175cGy)の照射で全身的に治療した。次に、CAR-T細胞をPBS中に再懸濁し、治療されたマウスの胸部に注射した。体重減少、アーチバック、活性、被毛の質感、および皮膚の完全性を含むGVHD臨床基準を用いて、マウスを週2~3回観察した。
【0283】
[00415]結果は、TCRノックアウトを伴わない群のマウスはすべてGVHDの症状を示したが、しかしながら、TCRノックアウト群ではGVHDは検出されなかったことを示す。
【0284】
3.9 TCRノックアウトの影響
[00416]
図54A~Cは、CAR-T細胞におけるTCRノックアウトの効果を示す。治験責任医師により開始された臨床試験において、メソテリンCAR-T細胞におけるTCR発現は、TCR関連有害事象を回避するために障害された。しかしながら、TCR KO CAR-T細胞は、患者への注入後、予想外に有意な増殖欠損を示した。
図54Aは、自家メソテリン(MSLN)CAR+T細胞(左)および患者の末梢血CAR-T細胞における注入13日後のCAR+T細胞(右)におけるTCR KO効率の例を示す。
図54Bは、自家MSLN CAR-T生成物におけるTCR破壊効率が非常に有効であり、5%未満のTCR+細胞が生成物中に残存したことを示す。しかしながら、患者への注入後、末梢血中に検出されたCAR-T細胞の大部分はTCR+細胞であった。
図54Cは、がん患者においてTCR+細胞がTCR-細胞より40~1000倍増殖することを示す。したがって、同種異系キラー細胞からの細胞生存および増殖圧がない自家CAR-T用途においてさえ、TCR破壊はCAR-T細胞増殖を劇的に障害した。
【0285】
3.10 構造設計の順序
[00417]CD7CAR-mbIL15構築物設計:CD7CAR-mbIL15アミノ酸配列(mbIL15=IgEシグナルペプチド+IL15+IL15Rα)
[00418]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMDWTWILFLVAAATRVHSNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQITCPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIRDPALVHQRPAPPSTVTTAGVTPQPESLSPSGKEPAASSPSSNNTAATTAAIVPGSQLMPSKSPSTGTTEISSHESSHGTPSQTTAKNWELTASASHQPPGVYPQGHSDTTVAISTSTVLLCGLSAVSLLACYLKSRQTPPLASVEMEAMEALPVTWGTSSRDEDLENCSHHL
[00419]CD7CAR-C7R構築物設計:CD7CAR-C7Rアミノ酸配列(C7R=CD34エクトドメイン+恒常的活性なIL7Rα)
[00420]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMLVRRGARAGPRMPRGWTALCLLSLLPSGFMSLDNNGTATPELPTQGTFSNVSTNVSYQETTTPSTLGSTSLHPVSQHGNEATTNITETTVKFTSTSVITSVYGNTNSSVQSQTSVISTVFTTPANVSTPETTLKPSLSPGNVSDLSTTSTSLATSPTKPYTSSSPILSDIKAEIKCSGIREVKLTQGICLEQNKTSSCAEFKKDRGEGLARVLCGEEQADADAGAQVCSLLLAQSEVRPQCLLLVLANRTEISSKLQLMKKHQSDLKKLGILDFTEQDVASHQSYSQKTPILLTCPTISILSFFSVALLVILACVLWKKRIKPIVWPSLPDHKKTLEHLCKKPRKNLNVSFNPESFLDCQIHRVDDIQARDEVEGFLQDTFPQQLEESEKQRLGGDVQSPNCPSEDVVITPESFGRDSSLTCLAGNVSACDAPILSSSRSLDCRESGKNGPHVYQDLLLSLGTTNSTLPPPFSLQSGILTLNPVAQGQPILTSLGSNQEEAYVTMSSFYQNQ
実施例4 安全スイッチとともにエンハンサーを発現するU-CAR T細胞の研究
4.1 CARの設計およびウイルスのパッケージ
[00421]キメラ抗原受容体の構造は、以下のとおりである:
[00422]1)RQR8-CD19CAR-mbIL15;
[00423]2)RQR8-CD19CAR-mbIL15-IL7;
[00424]3)RQR8-CD19CAR-C7R;
[00425]4)RQR8-CD19CAR-mbIL7;
[00426]RQR8は安全スイッチであり、CD19CAR断片がモノクローナル抗体FMC63の重鎖および軽鎖可変領域(GSリンカーによって連結されている)であり、また、ヒンジ領域および膜貫通領域、ヒトCD28細胞内共刺激エレメント、ならびにヒトCD3ζ細胞内領域もタンデムで含まれる;mbIL15は、タンデムでIL15+IL15Rαからなり;C7Rは、CD34細胞外ドメインおよびIL7受容体膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインからなる恒常的に活性化されたIL7受容体であり;IL7は、IL7シグナルペプチドおよび成熟ペプチドからなり;mbIL7は、タンデムでIL7+IL7Raからなる。本明細書に記載される構築物の例を
図29に示す。
【0286】
[00427]RQR8のアミノ酸配列は、下記の通りである(配列番号7):
[00428]MGTSLLCWMALCLLGADHADACPYSNPSLCSGGGGSELPTQGTFSNVSTNVSPAKPTTTACPYSNPSLCSGGGGSPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRRRVCKCPRPVV
[00429]RQR8のDNA配列は、下記の通りである(配列番号8):
[00430]ATGGGCACCTCTCTGCTGTGCTGGATGGCTCTGTGTCTGCTGGGCGCTGACCATGCTGATGCTTGCCCCTATTCCAACCCCTCTCTGTGCTCCGGAGGAGGAGGATCCGAACTGCCTACCCAAGGCACCTTCAGCAACGTGTCCACCAACGTGAGCCCCGCTAAGCCTACCACCACCGCTTGCCCTTACTCCAATCCCAGCCTCTGCTCCGGAGGCGGAGGATCCCCCGCCCCCAGACCTCCTACACCCGCTCCCACAATCGCCAGCCAGCCTCTGTCTCTGAGACCCGAAGCTTGCAGACCCGCTGCCGGAGGAGCTGTGCATACAAGAGGACTGGATTTCGCTTGCGACATCTACATCTGGGCCCCTCTGGCTGGCACATGTGGCGTGCTGCTGCTGTCTCTGGTCATTACACTGTACTGCAACCATAGAAATAGAAGAAGGGTGTGCAAGTGTCCCAGACCCGTGGTGGGCAGCGGAGAAGGAAGAGGCTCTCTGCTGACATGCGGAGACGTGGAAGAGAACCCCGGCCCC
[00431]CD19CARのアミノ酸配列は、下記の通りである(配列番号9):
[00432]MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIPDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSAAADYKDDDDKIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
[00433]CD19CARのDNA配列は、下記の通りである(配列番号10):
[00434]ATGCTTCTCCTGGTGACAAGCCTTCTGCTCTGTGAGTTACCACACCCAGCATTCCTCCTGATCCCAGACATCCAGATGACACAGACTACATCCTCCCTGTCTGCCTCTCTGGGAGACAGAGTCACCATCAGTTGCAGGGCAAGTCAGGACATTAGTAAATATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGATGGAACTGTTAAACTCCTGATCTACCATACATCAAGATTACACTCAGGAGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGAACAGATTATTCTCTCACCATTAGCAACCTGGAGCAAGAAGATATTGCCACTTACTTTTGCCAACAGGGTAATACGCTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACTAAGTTGGAAATAACAGGCTCCACCTCTGGATCCGGCAAGCCCGGATCTGGCGAGGGATCCACCAAGGGCGAGGTGAAACTGCAGGAGTCAGGACCTGGCCTGGTGGCGCCCTCACAGAGCCTGTCCGTCACATGCACTGTCTCAGGGGTCTCATTACCCGACTATGGTGTAAGCTGGATTCGCCAGCCTCCACGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTAATATGGGGTAGTGAAACCACATACTATAATTCAGCTCTCAAATCCAGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTAAAAATGAACAGTCTGCAAACTGATGACACAGCCATTTACTACTGTGCCAAACATTATTACTACGGTGGTAGCTATGCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAGACTACAAAGACGATGACGACAAGATTGAAGTTATGTATCCTCCTCCTTACCTAGACAATGAGAAGAGCAATGGAACCATTATCCATGTGAAAGGGAAACACCTTTGTCCAAGTCCCCTATTTCCCGGACCTTCTAAGCCCTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGGGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC
[00435]mbIL15のアミノ酸配列は、下記の通りである(配列番号11)。
【0287】
[00436]MDWTWILFLVAAATRVHSNWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTSSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQITCPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIRDPALVHQRPAPPSTVTTAGVTPQPESLSPSGKEPAASSPSSNNTAATTAAIVPGSQLMPSKSPSTGTTEISSHESSHGTPSQTTAKNWELTASASHQPPGVYPQGHSDTTVAISTSTVLLCGLSAVSLLACYLKSRQTPPLASVEMEAMEALPVTWGTSSRDEDLENCSHHL
[00437]mbIL15のアミノ酸配列において、下線部分はシグナルペプチド領域であり、イタリック部分はIL-15であり、ボールド部分は連結領域であり、破線の下線部分はIL-15受容体αである。
【0288】
[00438]mbIL15のDNA配列は、下記の通りである(配列番号12):
[00439]ATGGATTGGACTTGGATTTTGTTCCTCGTTGCCGCAGCGACTCGCGTCCATAGTAATTGGGTGAACGTAATTAGTGACTTGAAAAAAATTGAGGACCTTATACAAAGTATGCATATCGATGCAACACTGTACACGGAGTCCGACGTGCACCCAAGCTGCAAGGTCACCGCAATGAAATGCTTTTTGCTCGAATTGCAAGTTATCTCACTTGAGTCAGGGGACGCTTCAATCCATGATACTGTGGAGAATTTGATAATCCTGGCGAACAATAGCCTTAGTTCAAATGGCAACGTCACTGAGTCAGGCTGCAAGGAATGTGAGGAATTGGAAGAAAAAAATATCAAGGAATTTTTGCAATCTTTTGTTCACATAGTTCAGATGTTCATTAACACTAGTTCCGGGGGCGGCAGTGGAGGTGGCGGTAGCGGCGGGGGTGGCTCTGGTGGAGGCGGCTCTGGGGGCGGAAGTCTGCAGATAACATGCCCCCCACCTATGAGTGTTGAACATGCTGATATCTGGGTTAAATCTTACTCCCTTTACAGTCGAGAAAGGTACATTTGCAACTCCGGCTTTAAACGCAAAGCCGGGACTAGTTCACTGACTGAATGTGTATTGAATAAAGCGACAAATGTCGCACACTGGACTACCCCTTCCCTCAAATGCATTCGCGATCCTGCCTTGGTGCATCAGCGACCAGCACCGCCGTCCACGGTAACTACCGCAGGAGTAACACCGCAGCCCGAGAGCCTTTCCCCCTCAGGCAAAGAGCCGGCCGCATCCTCCCCATCTTCCAATAATACCGCAGCTACCACCGCAGCAATCGTACCCGGGTCCCAGCTGATGCCCAGCAAAAGTCCGAGTACTGGAACGACTGAAATCTCCAGTCACGAGTCTTCTCATGGAACTCCGAGTCAAACTACAGCAAAGAATTGGGAGCTGACTGCTTCCGCTTCACACCAGCCGCCAGGCGTTTATCCTCAGGGACACTCAGATACCACGGTGGCGATTAGCACAAGCACCGTCCTCCTGTGTGGGCTGAGTGCAGTGTCACTTCTCGCCTGCTACCTTAAGTCCAGACAGACACCCCCTTTGGCAAGCGTTGAAATGGAAGCCATGGAAGCCTTGCCTGTCACATGGGGGACTTCATCCCGCGATGAAGACTTGGAGAACTGCTCACACCATCTTTGA
[00440]IL7のアミノ酸配列は、下記の通りである(配列番号13):
[00441]MFHVSFRYIFGLPPLILVLLPVASSDCDIEGKDGKQYESVLMVSIDQLLDSMKEIGSNCLNNEFNFFKRHICDANKEGMFLFRAARKLRQFLKMNSTGDFDLHLLKVSEGTTILLNCTGQVKGRKPAALGEAQPTKSLEENKSLKEQKKLNDLCFLKRLLQEIKTCWNKILMGTKEH
[00442]IL7のDNA配列は、下記の通りである(配列番号14)。
【0289】
[00443]GAATTCGGCAGCGGCGTCAAGCAGACACTGAACTTCGATCTGCTGAAGCTGGCCGGAGACGTCGAGAGCAACCCCGGCCCTATGTTCCACGTGAGCTTTAGATACATCTTCGGACTGCCCCCTCTGATTCTGGTGCTGCTGCCCGTGGCCAGCAGCGACTGCGATATCGAGGGCAAGGACGGCAAGCAGTATGAGTCCGTGCTGATGGTCTCCATCGATCAGCTGCTGGACAGCATGAAGGAGATCGGCTCCAACTGCCTCAACAACGAGTTCAACTTTTTCAAGAGGCACATCTGCGACGCCAACAAGGAGGGCATGTTTCTGTTTAGAGCCGCTAGAAAGCTGAGGCAGTTTCTGAAGATGAACAGCACCGGCGACTTTGATCTGCATCTGCTGAAAGTGAGCGAGGGCACCACCATTCTGCTGAACTGCACCGGCCAAGTGAAAGGAAGAAAGCCCGCCGCTCTGGGCGAGGCTCAGCCTACCAAGTCTCTGGAAGAGAACAAGTCTCTGAAGGAGCAGAAGAAGCTCAACGATCTGTGCTTCCTCAAGAGGCTGCTGCAAGAGATCAAGACATGCTGGAACAAGATCCTCATGGGCACCAAGGAACACTG
[00444]C7Rのアミノ酸配列は、下記の通りである(配列番号15)。
【0290】
[00445]MLVRRGARAGPRMPRGWTALCLLSLLPSGFMSLDNNGTATPELPTQGTFSNVSTNVSYQETTTPSTLGSTSLHPVSQHGNEATTNITETTVKFTSTSVITSVYGNTNSSVQSQTSVISTVFTTPANVSTPETTLKPSLSPGNVSDLSTTSTSLATSPTKPYTSSSPILSDIKAEIKCSGIREVKLTQGICLEQNKTSSCAEFKKDRGEGLARVLCGEEQADADAGAQVCSLLLAQSEVRPQCLLLVLANRTEISSKLQLMKKHQSDLKKLGILDFTEQDVASHQSYSQKTPILLTCPTISILSFFSVALLVILACVLWKKRIKPIVWPSLPDHKKTLEHLCKKPRKNLNVSFNPESFLDCQIHRVDDIQARDEVEGFLQDTFPQQLEESEKQRLGGDVQSPNCPSEDVVITPESFGRDSSLTCLAGNVSACDAPILSSSRSLDCRESGKNGPHVYQDLLLSLGTTNSTLPPPFSLQSGILTLNPVAQGQPILTSLGSNQEEAYVTMSSFYQNQ
[00446]恒常的に活性化されたIL-7受容体(C7R)のアミノ酸配列において、下線部分はCD34細胞外領域であり、イタリック部分はIL-7受容体α膜貫通領域であり、ボールド部分はIL-7受容体α細胞内領域である。
【0291】
[00447]C7RのDNA配列は、下記の通りである(配列番号16):
[00448]GGAAGCGGCGCCACAAACTTTTCTCTGCTGAAGCAAGCCGGCGACGTCGAAGAGAACCCCGGCCCTATGCTGGTGAGGAGAGGCGCTAGGGCTGGACCCAGAATGCCCAGAGGCTGGACCGCTCTGTGTCTGCTGTCTCTGCTGCCCAGCGGCTTCATGAGCCTCGATAATAACGGCACCGCTACCCCCGAGCTGCCCACACAAGGCACCTTCTCCAATGTGAGCACCAACGTGTCCTACCAAGAGACCACCACCCCTTCCACACTGGGAAGCACATCTCTGCATCCCGTCTCCCAGCACGGCAATGAAGCCACCACAAACATCACCGAGACCACCGTGAAGTTCACCAGCACCTCCGTCATTACCAGCGTGTACGGCAACACCAATAGCTCCGTGCAAAGCCAGACATCCGTGATTTCCACCGTGTTTACCACCCCCGCCAATGTCAGCACACCCGAGACAACACTGAAACCTTCTCTGTCCCCCGGAAACGTGAGCGATCTGAGCACAACCAGCACCAGCCTCGCCACCAGCCCCACAAAGCCTTACACAAGCAGCAGCCCCATTCTGAGCGACATCAAGGCCGAAATCAAGTGCTCCGGAATTAGAGAGGTCAAGCTGACCCAAGGAATCTGTCTGGAGCAGAATAAGACCAGCAGCTGCGCCGAGTTCAAGAAAGACAGAGGCGAAGGACTGGCCAGAGTGCTCTGCGGCGAGGAACAAGCCGATGCCGATGCCGGAGCTCAAGTGTGCAGCCTCCTCCTCGCTCAGAGCGAGGTCAGACCCCAATGTCTGCTGCTCGTGCTGGCCAATAGGACCGAGATCTCCTCCAAACTGCAGCTGATGAAGAAGCACCAGAGCGACCTCAAGAAGCTCGGCATCCTCGACTTTACCGAGCAAGACGTGGCCTCCCATCAATCCTATAGCCAGAAGACCCCCATTCTGCTGACATGTCCCACAATCAGCATCCTCAGCTTCTTCAGCGTCGCTCTGCTCGTCATTCTGGCTTGTGTGCTGTGGAAGAAGAGGATCAAGCCTATTGTGTGGCCCTCTCTGCCCGACCACAAGAAGACCCTCGAACACCTCTGCAAGAAACCTAGAAAGAACCTCAACGTGAGCTTCAACCCCGAGTCCTTTCTGGACTGTCAAATCCATAGGGTGGATGACATCCAAGCTAGAGACGAGGTCGAGGGCTTTCTGCAAGACACCTTCCCTCAGCAGCTGGAAGAAAGCGAGAAGCAAAGACTGGGCGGAGATGTGCAGTCCCCTAATTGCCCCTCCGAGGACGTGGTGATTACCCCCGAGAGCTTCGGAAGAGACAGCTCTCTGACATGTCTGGCCGGAAATGTGTCCGCTTGCGATGCCCCTATTCTGAGCAGCTCCAGATCTCTGGACTGCAGAGAGTCCGGCAAGAACGGCCCTCATGTGTACCAAGATCTGCTGCTGTCTCTGGGAACCACAAACTCCACACTGCCTCCCCCCTTTAGCCTCCAGTCCGGCATTCTGACACTGAACCCCGTGGCTCAAGGCCAACCTATCCTCACATCCCTCGGCTCCAATCAAGAGGAAGCCTACGTGACCATGAGCTCCTTCTATCAGAACCAGTGA
[00449]mbIL7のアミノ酸配列は、下記の通りである(配列番号17):
[00450]MALPVTALLLPLALLLHAARPDCDIEGKDGKQYESVLMVSIDQLLDSMKEIGSNCLNNEFNFFKRHICDANKEGMFLFRAARKLRQFLKMNSTGDFDLHLLKVSEGTTILLNCTGQVKGRKPAALGEAQPTKSLEENKSLKEQKKLNDLCFLKRLLQEIKTCWNKILMGTKEHGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSESGYAQNGDLEDAELDDYSFSCYSQLEVNGSQHSLTCAFEDPDVNITNLEFEICGALVEVKCLNFRKLQEIYFIETKKFLLIGKSNICVKVGEKSLTCKKIDLTTIVKPEAPFDLSVVYREGANDFVVTFNTSHLQKKYVKVLMHDVAYRQEKDENKWTHVNLSSTKLTLLQRKLQPAAMYEIKVRSIPDHYFKGFWSEWSPSYYFRTPEINNSSGEMDPILLTISILSFFSVALLVILACVLWKKRIKPIVWPSLPDHKKTLEHLCKKPRKNLNVSFNPESFLDCQIHRVDDIQARDEVEGFLQDTFPQQLEESEKQRLGGDVQSPNCPSEDVVITPESFGRDSSLTCLAGNVSACDAPILSSSRSLDCRESGKNGPHVYQDLLLSLGTTNSTLPPPFSLQSGILTLNPVAQGQPILTSLGSNQEEAYVTMSSFYQNQ
[00451]mbIL7のアミノ酸配列において、下線部分はシグナルペプチド領域であり、イタリック部分はIL-7であり、ボールド部分は連結領域であり、破線の下線部分はIL-7受容体αである。
【0292】
[00452]mbIL7のDNA配列は、下記の通りである(配列番号18):
[00453]ATGGCTCTGCCTGTTACAGCTCTGCTGCTGCCTCTGGCTCTGCTTCTGCATGCCGCCAGACCTGACTGTGACATCGAGGGCAAAGACGGCAAGCAGTACGAGAGCGTGCTGATGGTGTCCATCGACCAGCTGCTGGACAGCATGAAGGAAATCGGCAGCAACTGCCTGAACAACGAGTTCAACTTCTTCAAGCGGCACATCTGCGACGCCAACAAAGAAGGCATGTTCCTGTTCAGAGCCGCCAGAAAGCTGCGGCAGTTCCTGAAGATGAACAGCACCGGCGACTTCGACCTGCATCTGCTGAAAGTGTCTGAGGGCACCACCATCCTGCTGAATTGCACCGGCCAAGTGAAGGGCAGAAAGCCTGCTGCTCTGGGAGAAGCCCAGCCTACCAAGAGCCTGGAAGAGAACAAGTCCCTGAAAGAGCAGAAGAAGCTGAACGACCTCTGCTTCCTGAAGCGGCTGCTGCAAGAGATCAAGACCTGCTGGAACAAGATCCTGATGGGCACCAAAGAGCACGGCGGAGGATCTGGCGGAGGTGGAAGCGGCGGAGGCGGTAGCGGTGGCGGAGGAAGTGGTGGCGGATCTGAATCTGGCTACGCCCAGAACGGCGACCTGGAAGATGCCGAGCTGGACGACTACAGCTTCAGCTGCTACAGCCAGCTGGAAGTGAACGGCAGCCAGCACTCTCTGACCTGCGCCTTTGAAGATCCCGACGTGAACATCACCAACCTTGAGTTCGAGATTTGTGGCGCCCTGGTGGAAGTCAAGTGCCTGAATTTCCGGAAGCTGCAAGAAATCTACTTTATCGAGACAAAGAAGTTCCTGCTGATCGGCAAGAGCAACATCTGTGTGAAAGTGGGCGAGAAAAGCCTGACCTGCAAGAAGATCGACCTGACCACCATCGTGAAGCCCGAGGCTCCTTTCGATCTGAGCGTGGTGTATAGAGAGGGCGCCAACGACTTCGTGGTCACCTTCAACACCAGCCACCTCCAAAAGAAATACGTGAAGGTGCTGATGCACGACGTGGCCTACCGGCAAGAGAAGGACGAGAACAAATGGACCCACGTGAACCTGAGCAGCACCAAGCTGACCCTGCTGCAGAGAAAACTGCAGCCTGCCGCTATGTACGAGATCAAAGTGCGGAGCATCCCCGACCACTACTTTAAAGGCTTTTGGAGCGAGTGGTCCCCTAGCTACTACTTCAGAACCCCTGAGATCAACAACTCCAGCGGCGAGATGGACCCCATTCTGCTGACAATCAGCATCCTGAGCTTTTTCAGCGTGGCCCTGCTGGTCATCCTGGCCTGTGTGCTGTGGAAGAAGCGGATCAAGCCCATCGTGTGGCCCAGCCTGCCTGACCACAAGAAAACCCTGGAACACCTGTGCAAGAAGCCCCGGAAAAACCTGAACGTGTCCTTCAATCCCGAGAGCTTCCTGGACTGCCAGATCCACAGAGTGGACGACATCCAGGCCAGGGACGAAGTGGAAGGATTTCTGCAGGACACATTCCCTCAGCAGCTCGAAGAGAGCGAGAAGCAAAGACTCGGAGGCGACGTGCAGAGCCCTAATTGCCCTTCTGAGGACGTGGTCATCACCCCAGAGAGCTTCGGCAGAGATAGCAGCCTGACATGTCTGGCCGGCAATGTGTCCGCCTGTGATGCCCCTATCCTGTCCTCTAGCAGAAGCCTGGATTGCAGAGAGAGCGGCAAGAACGGCCCTCACGTGTACCAGGATCTGCTCCTGTCTCTGGGCACCACAAACAGCACACTGCCTCCACCATTCAGCCTGCAGAGCGGCATCCTGACACTGAACCCTGTTGCTCAGGGCCAGCCTATCCTGACAAGCCTGGGCAGCAATCAAGAAGAGGCCTACGTCACCATGAGCAGCTTCTACCAGAACCAG
[00454]上記CAR遺伝子をEF1α(EF-1α)のプロモーター下でFUWレンチウイルスベクター骨格にクローニングし、Fuw-EF1α-CARを形成した。Fuw-EF1α-CAR、レンチウイルスエンベローププラスミドpMD2.G(Addgene、Plasmid#12259)およびレンチウイルスパッケージングプラスミドpsPAX2(Addgene、Plasmid#12260)を、全レンチウイルス発現ベクターを調製するためにLipofectamine3000を用いて293T細胞にトランスフェクトした。上清を48時間および72時間で回収し、濃縮のために超遠心分離(Merck Millipore)に供した。濃縮されたウイルスはT細胞のトランスフェクションのために準備された。
【0293】
[00455]結果は、RQR8、CAR、IL15RaまたはC7Rの発現が、RQR8-CD19CAR-MBIL15、RQR8-CD19CAR-MBIL15-IL7、RQR8-CD19CAR-C7R細胞についてのフローサイトメトリーにより首尾よく検出され;IL-7の分泌はELISAによって検出された。レンチウイルスベクターの構築に成功した。すべての構造は、互いに干渉することなく同時に発現させることができた。
4.2 CRISPRの設計および構築
[00456]最初に、TCR保存領域のエクソンを標的とするgRNA配列をhttp://crispr.mit.eduで設計し、スコアが80を超える2つのgRNA配列をより高いノックアウト効率のために選択した。gRNAプライマーについては、フォワードプライマーは、T7プロモーター、続いて20bpの標的配列を含み、リバースプライマーは、20bpの相補配列を有する。プラスミドをPCR鋳型として使用した。精製後、T7-PCR生成物をさらにMEGAshortscript T7キットの鋳型として使用してRNAを得た。RNAをMEGAclearカラムで精製し、RNA不含水で溶出した。Cas9プラスミドはAddgeneから購入した。
【0294】
[00457]gRNA標的配列は以下の通りである:
[00458]TRAC-gRNA: TGTGCTAGACATGAGGTCTA、配列番号5
[00459]一方、gRNAのノックアウト効率をT7E1、TIDEおよびフローサイトメトリーにより分析した。
【0295】
[00460]結果は、TCR遺伝子が90%より高いノックアウト効率で首尾よくノックアウトされたことを示す。
4.3 CAR-T細胞の調製
[00461]細胞の単離および活性化
[00462]アフェレーシス後、Histopaque-1077(Sigma-Aldrich)を用いて密度勾配遠心分離により単球を単離した。次に、T細胞を富化し、抗CD3/抗CD28とカップリングさせた磁気ビーズによって活性化し、培養し、増殖させた。
【0296】
[00463]5%FBS、2mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび300IU/mlのrhIL2を含むX-vivo15をCAR-T細胞培地として使用した。細胞を37℃、5%CO2でインキュベートし、培養した。
【0297】
[00464]CD19を発現する細胞系:Raji(バーキットリンパ腫細胞系、ATCC-CCL86);K562細胞(ヒト赤白血病細胞系、ATCC-CCL243);Raji-ffluc細胞系を、ホタルルシフェラーゼを有するレンチウイルスをトランスフェクトしたRaji細胞をスクリーニングすることによって得た。
【0298】
[00465]すべての細胞をRPMI1640培地中で培養し、293T細胞(ATCC-CRL3216)をDMEM培地中で培養した。RPMI1640とDMEMの両方に、10%(v/v)ウシ胎児血清ならびに100U/mlペニシリンおよびストレプトマイシン、2mMグルタミンおよび1mMピルビン酸ナトリウムを補足した。
【0299】
[00466]エレクトロポレーション
[00467]T細胞の富化および活性化の2日後に、抗CD3/抗CD28磁気ビーズを除去し、細胞を管に回収した。必要に応じてCas9およびgRNAを混合し、室温でインキュベートし、次にエレクトロポレーション緩衝液に移し、さらに4D-NucleofectorシステムN(Lonza)システムによるエレクトロポレーションのために細胞と混合した。次に、細胞を予め加温した培地中に1~2×106/mlの密度になるように再懸濁し、プレートに移し、37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。
【0300】
[00468]レンチウイルストランスフェクション
[00469]エレクトロポレーションの1日後、細胞を2~8のMOIでレンチウイルスベクターによりトランスフェクトし、フラスコに移し、37℃、5%CO2で培養した。
【0301】
[00470]細胞増殖およびCAR陽性率の検出
[00471]トランスフェクションの3日後、細胞数およびCAR陽性細胞を検出し、T細胞におけるCARの陽性率を計算した。CD3の陽性率もまた、ノックアウト効率を決定するために検出された。次に、細胞をインキュベーター内で連続的に培養し、細胞が凍結保存のために準備される14日目まで、培地の半分を2~3日ごとに交換した。
【0302】
[00472]結果は、RQR8、CAR、IL15RaまたはC7Rの発現が、RQR8-CD19CAR-mbIL15、RQR8-CD19CAR-mbIL15-IL7、RQR8-CD19CAR-C7R CAR-Tについてのフローサイトメトリーによって首尾よく検出され;IL-7の分泌がELISAによって検出されたことを示す。CD3陰性率は90%より高く、高められたサイトカイン関連シグナル伝達経路を伴うTCRノックアウトCAR-Tおよび安全スイッチの構築に成功し、各エレメントは互いに干渉しないことを示す。
【0303】
4.4 サイトカインの放出
[00473]実施例3で調製されたCAR-T細胞およびCD19陽性腫瘍細胞(Raji、NALM6)の各100ulを、1:1の比で各細胞について1×106/mlの密度になるようにRPMI培地に混合し、次に96ウェルプレート中で一晩培養した。培地を回収し、遠心分離に供し、サイトカインIFN-γおよびIL-2をサイトカインビーズアレイキット(CBAキット、BD Biosciences)により検出した。
【0304】
[00474]結果は、RQR8-CD19CAR-MBIL15、RQR8-CD19CAR-MBIL15-IL7、RQR8-CD19CAR-C7R CAR-T細胞とRaji、NALM6とのインキュベーションが、多量のIFN-γおよびIL-2を産生したことを示し、サイトカイン関連シグナル伝達経路の機能がCD19陽性標的細胞に対するCARTを高め、サイトカイン関連シグナル伝達経路によるサイトカインの分泌が高められたCARTが従来のCAR-Tと比較して増加したことを示す。
【0305】
4.5 CAR-T細胞と標的細胞の共培養後のCD107aの発現
[00475]2×105CAR-T/NT細胞および2×105標的細胞(Raji、NALM6)/対照細胞(K562)をv底96ウェルプレートに添加し、IL-2を含まない200μlのX-VIVO完全培地中に再懸濁した。1μlのBD GolgiStop(モネシン含有)を各1mlの培地に添加し、2μlのCD107a抗体(1:50)を各ウェルに添加した。次に、細胞を37℃で4時間培養し、さらに回収に供した。
【0306】
[00476]試料を遠心分離して培地を除去し、PBSで1回洗浄し、次に400g、4℃、5分間遠心分離した。上清を除去し、特異的な表面抗体CAR、CD3、CD4、およびCD8を各管に添加した。次に、細胞を100μl中に再懸濁し、暗所で30分間氷上に置いた。
【0307】
[00477]各管を3mLのPBSで1回洗浄し、次にサンプルを400gで5分間遠心分離した。上清を注意深く除去し、ペレットをPBS中に再懸濁した。CAR、CD3、CD4、CD8、およびCD107aをフローサイトメトリーにより検出した。
【0308】
[00478]結果は、RQR8-CD19CAR-MBIL15、RQR8-CD19CAR-MBIL15-IL7、RQR8-CD19CAR-C7R CAR-T細胞とRaji、NALM6のインキュベーションが大量のCD107aを産生したことを示し、サイトカイン関連シグナル伝達経路の機能がin vitroでCD19陽性標的細胞に対するCARTを高めたことを示す。
【0309】
4.6 in vitro殺活性
[00479]ルシフェラーゼ遺伝子を標的細胞に導入し、続いてスクリーニングすることにより、安定にトランスフェクトされた細胞系を得た。実施例3で調製されたCAR-T細胞を、異なるエフェクター:標的比でCD19陽性腫瘍細胞(Raji-luc、NALM6-luc)と混合した。フルオレセイン添加後、ルシフェラーゼはフルオレセインと反応して蛍光を生成した。蛍光の強度を検出することにより、ルシフェラーゼの活性を測定することができ、細胞の生存を検出して、CART細胞の殺傷作用を評価することができる。
【0310】
[00480]結果は、RQR8-CD19CAR-MBIL15、RQR8-CD19CAR-MBIL15-IL7、RQR8-CD19CAR-C7R CAR-T細胞がRajiとNALM6を有意に殺傷し、サイトカイン関連シグナル伝達経路が高められたCARTがより有意な殺傷作用を示し、これはエフェクター:標的比と相関した。
【0311】
4.7 CAR-T細胞の増殖
[00481]IL-2をCAR-Tから除去した。CAR-T細胞を2週間連続培養し、週2回カウントし、増殖を測定した。
【0312】
[00482]結果は、RQR8-CD19CAR-MBIL15、RQR8-CD19CAR-MBIL15-IL7、RQR8-CD19CAR-C7R CAR-T細胞がCD19 CAR-Tよりも強い増殖率を有していたことを示す。CFSEは、特定の増殖を示し、CD19 CAR-Tは2週間後に生存できなかった。
【0313】
4.8 in vitroでの細胞の再活性化
[00483]IL-2をCAR-Tから除去し、K562-CD19を2:1エフェクター:標的比で週2回添加した。細胞を2週間培養し、週2回カウントし、細胞増殖を測定した。
【0314】
[00484]結果は、K562-CD19、RQR8-CD19CAR-MBIL15、RQR8-CD19CAR-MBIL15-IL7、RQR8-CD19CAR-C7R CAR-T細胞がCD19 CAR-Tより有意に強い増殖率を示したことを示す。刺激後、細胞生存率はCD19 CAR-Tより高く、サイトカイン関連シグナル伝達経路が高められたCARTはより高い増殖率を示し、より良好に生存できることを示した。
【0315】
4.9 in vivoでの有効性
[00485]6~12週齢のNOD-Prkdcscid Il2rgヌル(NOG)マウスを選択し、2×105個のRaji-ffluc細胞、50μLのDPBSおよび50μLマトリゲルマトリックス(Corning)を腹腔内注射した。2日後、マウスの腫瘍移植片負荷を測定し、腫瘍負荷に基づいてマウスを4群に分けた。1日後、200μLのDPBS、5×106個のNT細胞、5×106個のCD19 CAR-T細胞、RQR8-CD19CAR-MBIL15、RQR8-CD19CAR-MBIL15-IL7、RQR8-CD19CAR-C7R-T細胞を各マウスにそれぞれ注射した。CAR-T治療の7日後に、マウスの腫瘍負荷をさらに評価した。各マウスに3mgのd-ルシフェリンを4分間反応のために腹腔内注射し、次に、30秒間曝露したXenogen IVISイメージングシステムを用いて撮影した。
【0316】
[00486]結果は、2週間後に、RQR8-CD19CAR-MBIL15、RQR8-CD19CAR-MBIL15-IL7およびRQR8-CD19CAR-C7R CAR-T細胞がNTおよびCD19 CAR-T細胞と比較して有意に腫瘍負荷を減少させ、T細胞はまだ末梢血中に検出され得たことを示す。サイトカイン関連シグナル伝達経路のマウスは、CART群の全生存期間を高めた。
【0317】
4.10 in vivoでのGVHD研究
[00487]マウスを最初に亜致死量(175cGy)の照射で全身的に治療した。次に、CAR-T細胞をPBS中に再懸濁し、治療されたマウスの胸部に注射した。体重減少、アーチバック、活性、被毛の質感、および皮膚の完全性を含むGVHD臨床基準を用いて、マウスを週2~3回観察した。
【0318】
[00488]結果は、TCRノックアウトを伴わない群のマウスはすべて、GVHD反応の症状を示し、TCR単一ノックアウトCAR-T細胞群ではGVHD反応は検出されなかったことを示す。
【0319】
4.11 11個のRQR8遺伝子媒介CAR-T細胞の除去
[00489]NK細胞をエフェクター細胞としてPBMCから単離し、最終濃度10μg/mLでリツキシマブ(ルチキシマブ)の有無にかかわらずCAR-Tと1:1共培養した。4時間後および24時間後に、発現CARをフローサイトメトリーにより検出した。
【0320】
[00490]ADCCパーセンテージ=(1-モノクローナル抗体群CAR陽性率/抗体群CAR陽性率なし)×100%
[00491]結果は、4時間後および24時間後に、NK細胞がルチキシマブの存在下でRQR8-CD19CAR-MBIL15、RQR8-CD19CAR-MBIL15-IL7およびRQR8-CD19CAR-C7R CAR-T細胞を有意に除去したが、CD19 CAR-Tを除去できなかったことを示す。ルチキシマブなしでは、NKは細胞のいずれも殺傷できなかった。このことは、ルチキシマブがRQR8に結合する安全スイッチとして機能し、NKがCART細胞を除去するようにADCC機能を媒介することを可能にすることを示す。
【0321】
実施例5 E3を発現するU-CAR T細胞の研究
[00492]
図30は、エンハンサーE3を発現するCAR-T細胞の例示的な設計を示す。E3において、C7Rのエクトドメインは、EGFRtまたはHer2tなどの安全スイッチ、または本開示に記載される他のペプチドによって置換されている。
【0322】
[00493]
図31は、CD19 CARおよびエンハンサーC7RまたはE3を発現するCAR-T細胞の画分のフローサイトメトリーデータを示す。
[00494]
図32Aおよび32Bは、CD19抗原を発現するHeLa細胞に対するCAR-T細胞のin vitro殺活性を示す。
図32Aは、標的のみまたはT細胞対照と比較して、C7RまたはE3を発現するCD19 CAR-T細胞のin vitro殺活性を示す。この実験におけるエフェクター:標的比は5:1である。
図32Bは、標的のみまたはT細胞対照と比較して、C7RまたはE3を発現するCD19 CAR-T細胞のin vitro殺活性を示す。この実験におけるエフェクター:標的比は1:1である。
【0323】
[00495]
図33Aおよび33Bは、試験された操作細胞において、リン酸化STAT5(pSTAT5)およびCD19 CARの発現を示す。
図33Aは、CD19 CARおよびpSTAT5を発現するCAR-T細胞の画分のフローサイトメトリーデータを示す。
図33Bは、
図33A中のデータのpSTAT5の対応する平均蛍光指数(MFI)を示す。
【0324】
[00496]
図34A-Cは、エンハンサーなしのCD19 CAR-Tと比較して、C7RまたはE3を発現するCD19 CAR-T細胞の増殖データを示す。
図34Aは、3つの異なる細胞のサイトカイン非依存性増殖を示す。
図34Bは、反復NALM6刺激下で増殖を示す。
図34Cは、NALM6による刺激前後のCAR-T細胞のパーセンテージを示す。CAR刺激はCAR+細胞を富化した。
【0325】
[00497]
図35Aは、セツキシマブ(CTX、抗EGFR抗体)の存在下または非存在下、異なるエフェクター:標的比でNK細胞と共培養されたCAR-T細胞の画分のフローサイトメトリーデータを示す。データは、CTXの存在下で、E3を発現するCD19 CAR-TがNK細胞によりNK細胞媒介抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を介して効果的に殺傷することを示し、E3が効果的な安全スイッチとして機能し、効果的にオフにされていることを示す。
図35Bは、他の細胞に対するNK細胞の全殺活性を示す。
図35CはCAR-T細胞に対するNK細胞の殺活性を示す。
【0326】
[00498]
図36Aおよび36Bは、反復刺激後のADCCによる安全スイッチの試験を示す。
図36Aは、CTXの存在下または非存在下、異なるエフェクター:標的比でNK細胞と共培養されたCAR-T細胞の画分のフローサイトメトリーデータを示す。この実施例に示された細胞は、反復刺激された。
図36BはCAR-T細胞に対するNK細胞の殺活性を示す。
【0327】
[00499]
図56Aは、細胞培養の12日目におけるCD7 CARおよびエンハンサーC7RまたはE3(EGFRt+IL7Rα)を発現するTCR KO CD7 CAR-T細胞の画分のフローサイトメトリーデータを示す。
図56Bは、CD7 CARを発現するTCR KO CD7 CAR-T細胞、およびCCRF-CEM細胞に対するエンハンサーC7RまたはE3(EGFRt+IL7Rα)の6時間細胞毒性を示す。この実験で試験されたエフェクター:標的比は5:1および1:1である。
図56Cは、C7RまたはE3(EGFRt+IL7Rα)を発現するTCR KO CD7 CART細胞の増殖を示す。CAR-T細胞を、IL2を補足しないT細胞培養培地中で培養し、細胞増殖の倍数についてモニターした。結果は、C7RまたはE3を発現するTCR KO CD7 CART細胞が、対照T細胞よりも良好な細胞増殖および細胞安定性を示したことを示した。E3(EGFRt+IL7Rα)は、より良好なエンハンサー発現を有し、したがって、C7Rより良好な細胞持続性および増殖を維持した。
図56Dは、リン酸化STAT5(pSTAT5)およびC7RまたはE3を発現するTCR KO CD7 CAR-T細胞の画分のフローサイトメトリーデータを示す。pSTAT5は、C7RまたはE3を発現するTCR KO CD7 CAR-T細胞において高度に上方調節された。pSTAT5の陽性対照として、CAR19+IL2刺激を用いた。
図56Eは、
図56D中のデータのpSTAT5の対応する平均蛍光指数(MFI)を示す。
【0328】
[00500]構築物設計の配列:C7Rのエクトドメインは、トランケート型EGFRまたはトランケート型Her2などの安全スイッチで置換され得る。
[00501]CD7CAR-E3アミノ酸配列(E3=EGFRt+恒常的活性型IL7RαTMおよびエンドドメイン)
[00502]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMLLLVTSLLLCELPHPAFLLIPRKVCNGIGIGEFKDSLSINATNIKHFKNCTSISGDLHILPVAFRGDSFTHTPPLDPQELDILKTVKEITGFLLIQAWPENRTDLHAFENLEIIRGRTKQHGQFSLAVVSLNITSLGLRSLKEISDGDVIISGNKNLCYANTINWKKLFGTSGQKTKIISNRGENSCKATGQVCHALCSPEGCWGPEPRDCVSCRNVSRGRECVDKCNLLEGEPREFVENSECIQCHPECLPQAMNITCTGRGPDNCIQCAHYIDGPHCVKTCPAGVMGENNTLVWKYADAGHVCHLCHPNCTYGCTGPGLEGCPTNGPKIPSPILLTCPTISILSFFSVALLVILACVLWKKRIKPIVWPSLPDHKKTLEHLCKKPRKNLNVSFNPESFLDCQIHRVDDIQARDEVEGFLQDTFPQQLEESEKQRLGGDVQSPNCPSEDVVITPESFGRDSSLTCLAGNVSACDAPILSSSRSLDCRESGKNGPHVYQDLLLSLGTTNSTLPPPFSLQSGILTLNPVAQGQPILTSLGSNQEEAYVTMSSFYQNQ
[00503]CD7CAR-E3(E3=Her2t+恒常的活性IL7RαTMおよびエンドドメイン)
[00504]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMLLLVTSLLLCELPHPAFLLIPCHPECQPQNGSVTCFGPEADQCVACAHYKDPPFCVARCPSGVKPDLSYMPIWKFPDEEGACQPCPINCTHSCVDLDDKGCPAEQRASPLTGGGSGGGSPILLTCPTISILSFFSVALLVILACVLWKKRIKPIVWPSLPDHKKTLEHLCKKPRKNLNVSFNPESFLDCQIHRVDDIQARDEVEGFLQDTFPQQLEESEKQRLGGDVQSPNCPSEDVVITPESFGRDSSLTCLAGNVSACDAPILSSSRSLDCRESGKNGPHVYQDLLLSLGTTNSTLPPPFSLQSGILTLNPVAQGQPILTSLGSNQEEAYVTMSSFYQNQ
[00505]
図68は、CCRF-CEM(T-ALL)マウス異種移植モデルにおけるCAR7およびCAR7-E3 UCAR-Tのin vivo有効性のBLIイメージングを示す。各マウスに3×10
5個のCCRF-CEM細胞を静脈内接種した。4日後、CAR-T細胞を静脈内注入した(1×10
6細胞/マウス)。BLIイメージングは、CAR7-E3 UCAR-T細胞がCAR7 UCAR-T細胞よりも腫瘍除去に対して良好な効果を有することを示す。
【0329】
実施例6 二重CARを発現するU-CAR T細胞の研究
一般的な材料および方法
[00506]ドナー血液からの末梢血単核細胞(PBMC)の単離およびT細胞の増殖
[00507]末梢血単核細胞(PBMCs)を密度勾配遠心分離を介してHistopaque-1077(Sigma-Aldrich)を用いてドナー血液から単離した。次に、T細胞を富化し、抗CD3/抗CD28と結合した磁気ビーズによって活性化し、培養し、増殖させた。
【0330】
[00508]PBMCの細胞系および培養
[00509]Raji細胞(バーキットリンパ腫細胞、ATCC-CCL86);
[00510]K562細胞(ヒト赤白血病細胞系、ATCC-CCL243);
[00511]Raji-ffluc細胞系(ホタルルシフェラーゼを有するレンチウイルスでトランスフェクトされたRaji細胞をスクリーニングすることによって得られる);
[00512]293T細胞(ATCC-CRL3216);
[00513]CCRF-CEM細胞(ATCC-CCL119);
[00514]PBNK:CD56マイクロビーズを用いてPBMCから選別し、NK無血清培地キットII(Cyagen Biosciences)+10%FBS+900IU/ml IL2(PeproTech)で培養した末梢血NK;
[00515]NK92細胞(ATCC-CRL2407);
[00516]NK92-ffluc細胞(ホタルルシフェラーゼを有するレンチウイルスでトランスフェクトされたNK92細胞をスクリーニングすることによって得られる);
[00517]Raji細胞、Raji-ffluc細胞系、およびK562細胞をRPMI1640培地中で培養し、293T細胞をDMEM培地中で培養した。RPMI1640とDMEMの両方に、10%(v/v)ウシ胎児血清ならびに100U/mlペニシリンおよびストレプトマイシン、2mMグルタミンおよび1mMピルビン酸ナトリウムを補足した。全ての細胞を37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。
【0331】
[00518]NK92細胞を10%(v/v)ウシ胎児血清、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1%NEAA、0.1mMメルカプトエタノールおよび200IU/mlのrhIL2が補足されたRPMI1640培地中で培養した。
【0332】
[00519]T細胞および得られたCAR-T細胞をX-vivo15培地(5%FBS、2mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび300IU/mlのrhIL2を含む)中で培養した。CAR-T細胞の培地にさらに、rhIL-2(ThermoFisher Scientific)を最終濃度300IU/mlで2日ごとに添加した。全ての細胞を37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。
【0333】
6.1 CRISPRの設計および構築
[00520]遺伝子編集のためのCD7、CD2、TCR gRNAは、遺伝子編集効率とオフターゲットリスクを評価した後にウェブサイトhttp://crispr.mit.edu、www.idtdna.comおよびhttps://www.synthego.com.で選択された。本開示で使用されるgRNAは、Integrated DNA Technologies,Inc(IDT)によって合成されるか、またはin vitro転写によって調製された(Shiら、2017、J Vis Exp.doi:10.3791/55267を参照されたい)。HiFi-Cas9をIDTから購入した。
【0334】
[00521]遺伝子編集のために、3μgのCas9タンパク質および1.5μgのgRNAを20μl中で混合し、37℃または室温で15分間インキュベートして、リボヌクレオタンパク質(RNP)を形成した。次に、RNPをLonza 4D NucleofectorによりT細胞にトランスフェクトした。遺伝子ノックアウト効率は、フローサイトメトリーによって検出する場合、タンパク質を発現する細胞の比によって決定された。
【0335】
[00522]使用されるgRNA標的配列は、以下の通りである:
[00523]TRAC-gRNA1: TTCGGAACCCAATCACTGAC、配列番号20
[00524]TRAC-gRNA2: TCAGGGTTCTGGATATCTGT、配列番号21
[00525]TRAC-gRNA3: AAGTTCCTGTGATGTCAAGC、配列番号22
[00526]CD7-gRNA1: GAGGTCAATGTCTACGGCTC、配列番号25
[00527]CD7-gRNA2: ATCACGGAGGTCAATGTCTA、配列番号26
[00528]CD7-gRNA3: GTAGACATTGACCTCCGTGA、配列番号27
[00529]CD7-gRNA4: GGAGCAGGTGATGTTGACGG、配列番号28
[00530]CD2-gRNA1: CAAAGAGATTACGAATGCCT、配列番号29
[00531]CD2-gRNA2: GTGCCACAAAGACCATCAAG、配列番号30
[00532]CD2-gRNA3: AGAGGGTCATCACACACAAG、配列番号31
[00533]CD2-gRNA4: CTTGTAGATATCCTGATCAT、配列番号32
[00534]スクリーニング後、各遺伝子について高いノックアウト効率を有するgRNAが見出され、2つの遺伝子、TCR/CD7またはTCR/CD2をノックアウトした場合、高効率も観察され、TRAC-gRNA2およびCD7-gRNA1は高いノックアウト効率を有するgRNAである。
図16は、TRAC-gRNA1を有する異なるCD7-gRNAを用いることによるCD7ノックアウトの効率を示し、CD7-gRNA1およびCD7-gRNA4は明らかに良好であり、その後の実験ではCD7-gRNA1を用いた。
【0336】
6.2 CD7 CARの設計およびウイルスのパッケージ
[00535]CD7単一CARのscFvは、TH69、3A1eおよびSDZCHH380抗体に由来する。CAR内のscFvは、3A1e-LH、TH69-LH、SDZ-LH、SDZ-HLとして設計される。CARのアミノ酸配列は、配列番号75~78に記載される通りである。
【0337】
[00536]3A1e-LH(配列番号75)
[00537]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00538]TH69-LH(配列番号76)
[00539]MALPVTALLLPLALLLHAARPAAYKDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCSASQGISNYLNWYQQKPDGTVKLLIYYTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEPEDIATYYCQQYSKLPYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGLTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVASISSGGFTYYPDSVKGRFTISRDNARNILYLQMSSLRSEDTAMYYCARDEVRGYLDVWGAGTTVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00540]SDZ-LH(配列番号77)
[00541]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQSPASLSASVGETVTITCRASGNIHNYLAWYQQKQGKSPQLLVYNAKTLADGVPSRFSGSGSGTQYSLKINSLQPEDFGSYYCQHFWTTPPWTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLKWMGWINTYNGEPTYADDFKGRFDFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCARRGYYYGSRYGAMDYWGQGTSVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00542]SDZ-HL(配列番号78)
[00543]MALPVTALLLPLALLLHAARPQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLKWMGWINTYNGEPTYADDFKGRFDFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCARRGYYYGSRYGAMDYWGQGTSVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPASLSASVGETVTITCRASGNIHNYLAWYQQKQGKSPQLLVYNAKTLADGVPSRFSGSGSGTQYSLKINSLQPEDFGSYYCQHFWTTPPWTFGGGTKLEIKSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00544]CAR遺伝子をEF1α(EF-1α)のプロモーター下でFUWレンチウイルスベクター骨格にクローニングし、Fuw-EF1α-CARを形成した。Fuw-EF1α-CAR、レンチウイルスエンベローププラスミドpMD2.G(Addgene、Plasmid#12259)およびレンチウイルスパッケージングプラスミドpsPAX2(Addgene、Plasmid#12260)を、Lipofectamine3000またはPEIを用いて293T細胞にトランスフェクトし、発現ベクター全体を調製した。上清を48時間および72時間で回収し、濃縮のために超遠心分離(Merck Millipore)に供した。濃縮されたウイルスはT細胞のトランスフェクションのために準備された。
【0338】
6.3 CAR-T細胞の調製
[00545]細胞の単離および活性化
[00546]アフェレーシス後、Histopaque-1077(Sigma-Aldrich)を用いて密度勾配遠心分離により単球を単離した。次に、T細胞を富化し、抗CD3/抗CD28とカップリングさせた磁気ビーズによって活性化し、培養し、増殖させた。
【0339】
[00547]5%FBS、2mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび300IU/mlのrhIL2を含むX-vivo15をCAR-T細胞培地として使用した。細胞を37℃、5%CO2でインキュベートし、培養した。
【0340】
[00548]CD19を発現する細胞系:Raji(バーキットリンパ腫細胞系、ATCC-CCL86);K562(ATCC-CCL243);Raji-fflucおよびNK92細胞系を、ホタルルシフェラーゼを有するレンチウイルスをトランスフェクトした細胞をスクリーニングすることによって得た。
【0341】
[00549]CD7およびCD2を発現する細胞系:Jurkat細胞、CCRF-CEMおよびNK92細胞。
[00550]すべての細胞をRPMI1640培地中で培養し、293T細胞(ATCC-CRL3216)をDMEM培地中で培養した。RPMI1640とDMEMの両方に、10%(v/v)ウシ胎児血清ならびに100U/mlペニシリンおよびストレプトマイシン、2mMグルタミンおよび1mMピルビン酸ナトリウムを補足した。
【0342】
[00551]エレクトロポレーションおよびレンチウイルス感染
[00552]T細胞を富化および活性化した2日後、抗CD3/抗CD28磁気ビーズを除去し、細胞を管に回収し、300gで5分間遠心分離に供し、次にDPBSで2回洗浄し、細胞密度50×106/mlでOpit-MEM中に再懸濁した。必要とされるcas9/gRNA RNPの量は、細胞の密度に基づいて計算され、次に、細胞と混合し、4D-NucleofectorシステムN(Lonza)システムによってエレクトロポレーションのために移した。次に、細胞を予め加温した培地中に1~2×106/mlの密度になるように再懸濁した。さらに、細胞を2~8のMOIでレンチウイルストランスフェクションに供し、フラスコに移し、37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。
【0343】
[00553]細胞増殖およびCAR陽性率の検出
[00554]トランスフェクションの3日後に、細胞数およびCAR陽性細胞を検出し、T細胞におけるCARの陽性率を計算した。ノックアウト効率を決定するために、TCR(またはCD3)およびCD7の陽性率も検出した。次に、細胞をインキュベーター内で連続的に培養し、細胞が凍結保存の準備ができた10日目まで、培地の半分を2~3日ごとに交換した。
【0344】
6.4 CD7 CAR構造のスクリーニング
[00555]
図38Aに示されるように、抗CD7 CARの発現が首尾よく検出され、その中でTH69-LHが最も強く発現し、続いて3A1e-LH、次にSDZ-LH、およびSDZ-HLであった。機能面では、
図38Bに示されるように、3A1e-LH、CARは全てCD7陽性T細胞において最良の殺傷作用を示したが、TH69-LH、SDZ-LHおよびSDZ-HLCARは効果が低かった。したがって、3A1eのscFvは、二重CARにおいてCD7 CARのために選択された。
【0345】
6.5 CD19-CD7二重CAR構造の設計
[00556]CD19およびCD7を標的とするCD19-CD7二重CARの構造は、
図37および以下に示される通りである:
[00557]ループ:L719-LHLHおよびL719-HLHL、配列番号79および80に記載される配列;
[00558]L719-LHLH(配列番号79)
[00559]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00560]L719-HLHL(配列番号80)
[00561]MALPVTALLLPLALLLHAARPEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSGGGGSDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSGGGGSDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00562]タンデム:T197-LHLH、T197-LHLH-EAAAK3(3つの連結されたEAAAKを有するリンカーを用いることによる)、T719-LHLH、T719-LHHL、配列番号81~84に示される配列;
[00563]T197-LHLH(配列番号81)
[00564]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGGGGSGGGGSGGGGSEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00565]T197-LHLH-(EAAAK)3(配列番号82)
[00566]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGGGGSGGGGSGGGGSEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSEAAAKEAAAKEAAAKDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00567]T719-LHLH(配列番号83)
[00568]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGGGGSGGGGSGGGGSEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00569]T719-LHHL(配列番号84)
[00570]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00571]恒常的に活性化されたIL7受容体C7R:L719-C7R、配列番号85に記載されるアミノ酸配列に連結されたループ二重CAR。
【0346】
[00572]L719-C7R(配列番号85)
[00573]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMLVRRGARAGPRMPRGWTALCLLSLLPSGFMSLDNNGTATPELPTQGTFSNVSTNVSYQETTTPSTLGSTSLHPVSQHGNEATTNITETTVKFTSTSVITSVYGNTNSSVQSQTSVISTVFTTPANVSTPETTLKPSLSPGNVSDLSTTSTSLATSPTKPYTSSSPILSDIKAEIKCSGIREVKLTQGICLEQNKTSSCAEFKKDRGEGLARVLCGEEQADADAGAQVCSLLLAQSEVRPQCLLLVLANRTEISSKLQLMKKHQSDLKKLGILDFTEQDVASHQSYSQKTPILLTCPTISILSFFSVALLVILACVLWKKRIKPIVWPSLPDHKKTLEHLCKKPRKNLNVSFNPESFLDCQIHRVDDIQARDEVEGFLQDTFPQQLEESEKQRLGGDVQSPNCPSEDVVITPESFGRDSSLTCLAGNVSACDAPILSSSRSLDCRESGKNGPHVYQDLLLSLGTTNSTLPPPFSLQSGILTLNPVAQGQPILTSLGSNQEEAYVTMSSFYQNQ*
6.6 二重CAR構造-1の試験
[00574]1)二重CARの発現およびノックアウト効率
[00575]2つのループCAR(L719-LHLHおよびL719-HLHL)と2つのタンデムCAR(T197-LHLHおよびT197-LHLH-(EAAAK3)3)を比較した。CAR7およびCAR19を単一CAR対照として使用し、模擬Tを陰性対照とした。
図39に示されるように、2つのループ二重CARの発現は対角分布しており、二重CARの発現が成功したことを示す。タンデム二重CARのCD19 CARは強い発現を示したが、しかしながら、CD7 CARは弱く検出された。
図40は、CD7およびCD3(TRAC)のノックアウト効率を示し、模擬TおよびCAR19ではノックアウト効率が98%までであったことが見てとれる。CD7単一CARおよびCD7/CD19二重CARを含む他の2群では、CD7+細胞の比率は模擬TおよびCAR19群よりも有意に低く、CD7 CARの機能を示した。
【0347】
[00576]2)CD19+細胞およびCD7+細胞における二重CARのin vitroロ殺傷作用
[00577]最初に、CD19標的における異なるCARの殺傷作用を比較した。xCELLigence Real-Time Cell Analyzer(RTCA)実験は、2つのループCARおよび2つのタンデムCARの両方が、CD19単一CAR(CAR19)と同様に、HeLa-CD19+細胞に対して強力な殺傷作用を有することを示した(
図41)。
【0348】
[00578]続いて、本発明者らは末梢血由来のCD7+NK細胞における異なるCARの殺傷作用を比較した(
図42A)。in vivoで増殖させたPBNK細胞(CD7+細胞の比率は約80%であった)をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識し、CAR-T細胞と1日間インキュベートした。次に、細胞をフローサイトメトリーに供し、CFSE陽性細胞の比率の変化を分析した。
図42Aは、二重CARおよびCD7単一CARがNK細胞において有意な殺傷作用を有し、CD19単一CARおよび模擬Tは、いずれの殺傷作用も示さなかったことを示す。
図42Bは、NK中のCD7+細胞が、二重CAR(L719-LHLHおよびT197-LHLH)との共培養後にほとんど消失したことを示し、CAR7および二重CARがNK中のCD7+細胞を完全に殺傷したことを示した。
【0349】
[00579]さらに、本発明者らは、同種異系T細胞(CD7+)における異なるCARの殺傷作用を比較した(
図43)。結果は、同種異系T細胞がCAR7および二重CARによって完全に殺傷されたが、CAR19は同種異系T細胞において殺傷作用を示さなかったことを示す。
【0350】
[00580]3)二重CARによるCD19+Raji腫瘍のin vivo除去
[00581]各マウスに3×10
5個の腫瘍細胞を静脈内接種した。6日後、CAR-T細胞を静脈内注入した(マウスあたり3×10
6細胞)。BLIイメージングは、ループCARとタンデムCARの両方がある程度までRaji腫瘍を除去し、L719-LHLHが最良のin vivo腫瘍対照を示したことを示す(
図44)。
【0351】
6.7 二重CAR構造の試験-2
[00582]他の2つのタンデム二重CAR構造:T719-LHLHおよびT719-LHHLを設計し、ループCAR(L719-LHLH、L719とも呼ばれる)と比較した。
【0352】
[00583]
図45Aおよび45Bは、新しいタンデム二重CARが首尾よく発現され(
図45A)、また遺伝子ノックアウト後の残りのCD7+細胞における有意な殺傷作用も有した(
図45B)ことを示す。
【0353】
[00584]Real-time Cell Analysis(RTCA)は、(
図46)タンデム二重CARがL719と同様にHeLa-CD19細胞における同様の殺傷作用を有したことを示す。
【0354】
[00585]
図47Aおよび47Bは、タンデム二重CARが24時間にわたりL719として同種異系T細胞およびNK細胞において同様の強い殺傷作用を有したことを示す。
[00586]
図48は、L719およびタンデム(T719-LHLHおよびT719-LHHL)二重CARがともにin vivo(NOGマウスにおけるCCRF-CEM静脈内モデル)でCCRF-CEM腫瘍を大いに除去したことを示す。
【0355】
6.8 サイトカインの放出
[00587]実施例6.3で調製した二重CAR-T細胞、およびCD19陽性腫瘍細胞(Raji)、CD7陽性腫瘍細胞(Jurkat)または初代同種異系PBMCもしくはNKの各100μlを、1:1の比で各細胞について1×106/mlの密度になるようにRPMI培地に混合し、次に96ウェルプレート中で一晩培養した。次に、培地を回収し、遠心分離に供し、放出されたサイトカインIFN-γおよびIL-2をサイトカインビーズアレイキット(CBAキット、BD Biosciences)により検出した。
【0356】
[00588]結果は、CD19-CD7 CAR-T細胞をRaji、Jurka、初代同種異系PBMCまたはNK細胞とともにインキュベートすると、大量のIFN-γおよびIL-2が産生されることを示し、CD19陽性またはCD7陽性標的細胞に対するCAR-Tの機能を示すことを示す。
【0357】
6.9 in vivo GVHD研究
[00589]マウスを最初に亜致死量の照射(175cGy)で全身的に治療した。次に、CAR-T細胞をPBS中に再懸濁し、治療されたマウスの胸部に注射した。体重減少、アーチバック、活性、被毛の質感、および皮膚の完全性を含むGVHD臨床基準を用いて、マウスを週2~3回観察した。
【0358】
[00590]結果は、TCRノックアウトを伴わないマウスがGVHD症状を示したが、しかしながら、CD7-CD19 CAR-T+TCR/CD7二重ノックアウト群ではGVHDは検出されなかったことを示す。
【0359】
6.10 in vitro HVG研究
[00591]CD7 CARはCD7+細胞を効果的および迅速に除去することができ、in vitro実験は、同種異系T細胞がCD7 CARを発現するCAR-T細胞に対して有意な拒絶反応を示さないが、CAR19のみを発現するCAR-T細胞に対して強い拒絶反応を示すことを示した。
【0360】
[00592]同種異系NK細胞は、CD7 CARを発現するCAR-T細胞に対して、CD7 CARなしのCAR-T細胞より有意に低い拒絶反応を示した。
6.11 AP1903またはラパマイシンによるCAR-T細胞の除去
[00593]10nMのAP1903またはラパマイシンを、rapaCasp9-L719 CAR-T(配列番号86に記載される配列)細胞の培地に添加した。1、6および24時間後に、CAR-T細胞のアポトーシスおよび生存をフローサイトメトリーにより検出した。
【0361】
[00594]結果は、AP1903およびラパマイシンがrapaCasp9-L719CAR-T細胞を迅速に除去したが、CD19対照CARTを除去できないことを示し、安全スイッチの特異性を示す。
【0362】
[00595]rapaC9-L719(配列番号86)
[00596]MASRILWHEMWHEGLEEASRLYFGERNVKGMFEVLEPLHAMMERGPQTLKETSFNQAYGRDLMEAQEWCRKYMKSGNVKDLLQAWDLYYHVFRRISKLEYSGGGSLEGVQVETISPGDGRTFPKRGQTCVVHYTGMLEDGKKFDSSRDRNKPFKFMLGKQEVIRGWEEGVAQMSVGQRAKLTISPDYAYGATGHPGIIPPHATLVFDVELLKLESGGGGSGGGGSGGGGSGVDGFGDVGALESLRGNADLAYILSMEPCGHCLIINNVNFCRESGLRTRTGSNIDCEKLRRRFSSLHFMVEVKGDLTAKKMVLALLELAQQDHGALDCCVVVILSHGCQASHLQFPGAVYGTDGCPVSVEKIVNIFNGTSCPSLGGKPKLFFIQACGGEQKDHGFEVASTSPEDESPGSNPEPDATPFQEGLRTFDQLDAISSLPTPSDIFVSYSTFPGFVSWRDPKSGSWYVETLDDIFEQWAHSEDLQSLLLRVANAVSVKGIYKQMPGCFNFLRKKLFFKTSGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGGGGSQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRGGGGSEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00597]L719-E3細胞におけるE3の安全スイッチ機能を24時間補体依存性細胞傷害アッセイ(CDCアッセイ)により測定した。簡単に説明すると、TCR/CD7二重ノックアウトL719-E3細胞またはL718-E2細胞を、0%、5%または25%ドナー血清を含む培地中でインキュベートした。Cetuximab(CTX)を5または50μg/ml添加することにより24時間CDC効果を調べた。CD20を標的とするRituximab(RTX)を陰性対照として使用した。
図61に示されるように、L719-E3細胞を、血清の存在下でセツキシマブにより特異的に溶解し(
図61A)、EGFRtまたはCD20細胞外ドメインを伴わないL719-E2細胞ではCDC効果は観察されなかった(
図61B)。
【0363】
[00598]TCR/CD7二重ノックアウトCAR7-E3細胞またはL719-E3細胞におけるE3の安全スイッチ機能を、補体依存性細胞傷害アッセイ(CDCアッセイ)によってさらに決定した。細胞を、0%、5%または25%のモルモット血清を含む培地中でインキュベートした。次に、CDC効果を5μg/mlのセツキシマブの存在下で検出した。
図62Aに示されるように、CDC効果は血清(補体)濃度に対応し、CAR7-E3細胞を発現するE3に特異的であったが、対照T細胞には特異的ではなかった。CDC効果もまた、5μg/mlのセツキシマブまたはハーセプチンのいずれかの存在下でL719-E3細胞に対して調べた。
図62Bに示されるように、CDC効果はセツキシマブの存在下でのみ観察された。
【0364】
6.12 サイトカイン受容体C7RまたはE3は二重CARの機能を高めた
[00599]in vivoで普遍的CAR-T細胞の生存をさらに増強させるために、構成的シグナル因子IL7受容体(C7R)またはE3を2AによりL719二重CARに連結させ、pSTAT5シグナル伝達経路を活性化した。
図50Aは、L719およびL719-C7R二重CAR-T細胞におけるCD19およびCD7抗原結合性ドメインの発現を示す。
図50Bは、CD7(HeLa-CD7)を発現するHeLa細胞に対するC7R発現の有無にかかわらず、L719二重CAR-T細胞の細胞毒性を示す。
図50Cは、CD19(HeLa-CD19)を発現するHeLa細胞に対して、C7R発現の有無にかかわらず、L719二重CAR-T細胞の細胞毒性を示す。
図50Bおよび50Cにおいて試験されたエフェクター:標的比は4:1である。
図50Bおよび50Cは、L719およびL719-C7Rの両方がHeLa-CD7およびHeLa-CD19を効果的に殺傷したことを示す。
図50Dは、エンハンサー(C7RまたはE3)およびCD7の両方を発現するL719二重CAR-T細胞の画分のフローサイトメトリーデータを示す。
図50Eは、NALM6細胞に対するC7RまたはE3を発現するL719二重CAR-T細胞の6時間細胞毒性データを示す。この実験で試験されたエフェクター:標的比は5:1および1:1である。
図50Fは、CCRF-CEM細胞に対するC7RまたはE3を発現するL719二重CAR-T細胞の6時間細胞毒性データを示す。この実験で試験されたエフェクター:標的比は5:1および1:1である。
図50Gは、リン酸化STAT5(pSTAT5)およびC7RまたはE3を発現するL719二重CAR-T細胞の画分のフローサイトメトリーデータを示す。pSTAT5は、C7RまたはE3を発現するL719二重CAR-T細胞において高度に上方調節された。pSTAT5の陽性対照として、CAR19+IL2刺激を用いた。pSTAT5の陰性対照として、非操作T細胞を使用した。
図50Hは、IL-2除去後にC7RまたはE3を発現するL719二重CAR-T細胞の増殖を示す。CAR-T細胞をNALM6細胞による2回の刺激で処理した。
【0365】
[00600]
図50Iは、CD19を発現するHeLa細胞(HeLa-CD19)に対するE3(L719-E3)を発現するL719二重CAR-T細胞の細胞毒性を示す。L719-E3細胞を標的細胞のみ、非形質導入TCR/CD7二重ノックアウト細胞(NT-DKO)、およびCD19 CAR-T細胞を含む対照群と比較し、L719-E3はHeLa-CD19細胞に対してより良好な細胞毒性を示した。この実験で試験したエフェクター:標的比は5:1である。
図50Jは、CD7を発現するHeLa細胞(HeLa-CD7)に対するE3(L719-E3)を発現するL719二重CAR-T細胞の細胞毒性を示す。L719-E3細胞を標的細胞のみ、非形質導入TCR/CD7二重ノックアウト細胞(NT-DKO)、およびCD19 CAR-T細胞を含む対照群と比較し、L719-E3はHeLa-CD7細胞に対してより良好な細胞毒性を示した。この実験で試験したエフェクター:標的比は5:1である。
【0366】
[00601]
図63は、サイトカインシグナル伝達増強を伴わない、またはmbIL15、C7R、またはE3発現を伴うTCR/CD7二重ノックアウトCAR7細胞におけるIL2およびIFN-γの発現を示す。細胞を1:1エフェクター:標的細胞比でCCRF-CEM細胞により24時間刺激した。上清を回収し、サイトカインビーズアレイによりIL12およびIFNγ発現について測定した。
図63に示されるように、C7RおよびE3を発現するCAR7細胞は、高められたIL-2産生を示した。
【0367】
[00602]
図64は、サイトカインシグナル伝達増強を伴わない、またはC7RまたはE3発現を伴うTCR/CD7二重ノックアウトCD19/CD7二重CAR-L719細胞におけるIL2およびIFN-γの発現を示す。
【0368】
[00603]細胞を1:2のエフェクター:標的細胞比でCCRF-CEM細胞により24時間刺激した。上清を回収し、サイトカインビーズアレイによりIL12およびIFNγ発現について測定した。
図64に示されるように、C7Rを発現するCAR7細胞は、高められたIL-2産生を示した。
【0369】
6.13 本明細書に記載されるCARを構築するために使用される追加の配列
[00604]FMC63 scFv V
L(配列番号87)
[00605]DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEIT
[00606]FMC63 scFv V
H(配列番号88)
[00607]EVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSS
[00608]FMC63 CD19CAR(配列番号89)
[00609]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00610]3A1e CD7 scFv V
L(配列番号90)
[00611]DIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKR
[00612]3A1e CD7 scFv V
H(配列番号91)
[00613]QVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSS
6.14 CD19およびCD7二重特異的CAR-T細胞の増殖
[00614]
図57Aは、C7Rを発現するCD19およびCD7二重特異的CAR-T細胞(GC197-C7R)の増殖を示す。操作された二重特異的CAR-T細胞を2人の異なるT細胞ドナーから調製した。両ドナー由来のCAR-T細胞は、反復性がん抗原刺激に応答して優れた持続性および増殖を示した。
図57Bは、刺激なしでGC197-C7R細胞の増殖を示す。新しく調製されたGC197-C7Rを、対照T細胞と比較して、IL2または抗原刺激を補足しないT細胞培養培地中で培養し、GC197-C7Rは、より良好な増殖を維持し、培養中で持続した。
【0370】
[00615]
図58Aは、細胞培養12日目のGC197-C7RおよびGC197-E3におけるCD7 CARおよびエンハンサーの発現を示す。
図58Bは、刺激なしにC7RまたはE3を発現するGC197細胞(GC197-C7R)(GC197-E3)の増殖を示す。GC197-C7RまたはGC197-E3細胞を、IL2を補足しないT細胞培養培地中で培養し、細胞増殖および持続の倍数についてモニターした。
図58Cは、抗原刺激の存在下でGC197-C7RおよびGC197-E3の増殖を示す。細胞をNalm6(CD19+B-ALL細胞系)によって反復刺激し、細胞増殖の倍数についてモニターした。データから、GC197-C7R/E3が、サイトカインまたは抗原刺激の有無にかかわらず、比較的優れた細胞増殖および細胞安定性を示すことが示された。
【0371】
6.15 in vivoでの有効性
[00616]
図69は、Nalm6(B-ALL)マウス異種移植モデルにおけるL719およびL719-C7R UCAR-Tのin vivo有効性のBLIイメージングを示す。各マウスに1×10
6個のNalm6細胞を静脈内接種した。4日後、CAR-T細胞を静脈内注入した(高用量:マウスあたり1×10
6細胞または低用量:マウスあたり3×10
5細胞)。BLIイメージングは、L719-C7R UCAR-T細胞がL719 UCAR-T細胞よりも腫瘍除去に対して良好な効果を有したことを示す。
実施例7 CD137およびCD19二重CARを用いたU-CAR T細胞の研究
一般的な材料および方法
[00617]ドナー血液からの末梢血単核細胞(PBMC)の単離およびT細胞の増殖
[00618]末梢血単核細胞(PBMC)を密度勾配遠心分離を介してHistopaque-1077(Sigma-Aldrich)を用いてドナー血液から単離した。次に、T細胞を富化し、抗CD3/抗CD28とカップリングさせた磁気ビーズによって活性化し、培養し、増殖させた。
【0372】
[00619]PBMCおよび末梢血初代NK(PBNK)細胞の細胞系および培養
[00620]Raji細胞(バーキットリンパ腫細胞、ATCC-CCL86);
[00621]K562細胞(ヒト赤白血病細胞系、ATCC-CCL243);
[00622]Raji-ffluc細胞系(ホタルルシフェラーゼを有するレンチウイルスでトランスフェクトされたRaji細胞をスクリーニングすることにより得られる)
[00623]293T細胞(ATCC-CRL3216);
[00624]NK92細胞(ATCC-CRL2407);
[00625]NK92-ffluc細胞(ホタルルシフェラーゼを有するレンチウイルスでトランスフェクトされたNK92細胞をスクリーニングすることによって得られる)
[00626]Raji細胞、K562細胞およびRaji-ffluc細胞系をRPMI1640培地中で培養し、293T細胞をDMEM培地中で培養した。RPMI1640とDMEMの両方に10%(v/v)ウシ胎児血清ならびに100U/mlペニシリンおよびストレプトマイシン、2mMグルタミンおよび1mMピルビン酸ナトリウムを補足した。全ての細胞を37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。
【0373】
[00627]NK92細胞およびNK92-ffluc細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1%NEAA、0.1mMメルカプトエタノールおよび200IU/mlのrhIL2を補足したRPMI1640培地中で培養した。PBNKをCD56マイクロビーズを用いてPBMCから選別し、次に上記培地中で培養し、4-1BBL-mbIL15を発現するK562の刺激下で増殖させた。
【0374】
[00628]T細胞および得られたCAR-T細胞を、X-vivo15培地(5%FBS、2mMのL-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび300IU/mlのrhIL2を含む)中で培養した。CAR-T細胞の培養培地にrhIL-2(ThermoFisher Scientific)を最終濃度300IU/mlで2日ごとに補足した。全ての細胞を37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。
【0375】
7.1 CD19-CD137二重CARの設計およびウイルスのパッケージング
[00629]CD19 CARの構造は、SP-CD19 scFv VL-リンカー-CD19 scFv VH-ヒンジ-TM-4-1BB-CD3ζである;二重CARを標的とするCD19およびCD137(CD19-CD7二重-CAR)は、SP-CD19 scFv VL-リンカー- CD137 scFv VH-リンカー-CD137 scFv VL-リンカー-CD19 scFv VH-ヒンジ-TM-4-1BB-CD3ζである(
図52に示される)。CD19-CD137-ループCARのヌクレオチド配列は、配列番号41として記載される。
【0376】
[00630]CD19-CD137-ループCAR(配列番号41):
[00631]ATGGCACTCCCTGTAACTGCACTTCTTTTGCCACTTGCCTTGCTCCTGCACGCAGCGCGGCCGGATATTCAAATGACACAAACTACCAGCTCCCTTTCAGCATCTTTGGGCGATAGAGTAACTATAAGTTGCCGCGCGTCCCAAGACATCTCTAAGTACCTTAACTGGTATCAACAAAAACCGGACGGGACGGTCAAACTGTTGATCTATCACACATCCAGATTGCACTCAGGCGTGCCGAGCAGGTTCAGTGGGAGTGGGTCAGGAACGGATTACAGCTTGACGATTAGTAACCTGGAGCAAGAAGACATTGCCACCTACTTCTGCCAGCAAGGTAACACTCTCCCATATACGTTCGGGGGTGGCACCAAGCTGGAAATCACTGGCGGCGGAGGATCCGAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGCGCCGAGGTGAAGAAGCCCGGCGAGAGCCTGAGGATCAGCTGCAAGGGCAGCGGCTACAGCTTCAGCACCTACTGGATCAGCTGGGTGAGGCAGATGCCCGGCAAGGGCCTGGAGTGGATGGGCAAGATCTACCCCGGCGACAGCTACACCAACTACAGCCCCAGCTTCCAGGGCCAGGTGACCATCAGCGCCGACAAGAGCATCAGCACCGCCTACCTGCAGTGGAGCAGCCTGAAGGCCAGCGACACCGCCATGTACTACTGCGCCAGGGGCTACGGCATCTTCGACTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCAGCGGCAGCACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGCTCTACCAAGGGCATGAGCTACGAGCTGACCCAGCCCCCCAGCGTGAGCGTGAGCCCCGGCCAGACCGCCAGCATCACCTGCAGCGGCGACAACATCGGCGACCAGTACGCCCACTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCCAGAGCCCCGTGCTGGTGATCTACCAGGACAAGAACAGGCCCAGCGGCATCCCCGAGAGGTTCAGCGGCAGCAACAGCGGCAACACCGCCACCCTGACCATCAGCGGCACCCAGGCCATGGACGAGGCCGACTACTACTGCGCCACCTACACCGGCTTCGGCAGCCTGGCCGTGTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGACCGTGCTGGGGGGAGGCGGCAGCGAGGTGAAACTGCAGGAGTCCGGGCCCGGTCTCGTGGCACCTTCCCAGTCACTGTCCGTGACCTGCACCGTATCTGGGGTAAGTCTGCCGGATTATGGGGTTTCATGGATCCGGCAACCTCCGAGGAAAGGGTTGGAATGGCTGGGAGTCATCTGGGGAAGCGAGACAACTTATTATAATTCTGCTTTGAAGAGCCGCTTGACGATAATCAAGGACAACAGTAAGAGTCAGGTTTTCTTGAAGATGAATTCTCTTCAGACAGATGACACCGCTATTTATTATTGTGCAAAACATTATTATTACGGAGGATCCTACGCGATGGACTATTGGGGACAGGGTACCTCTGTTACGGTGTCCTCATCCGGAACAACGACACCAGCACCACGGCCACCCACTCCTGCTCCGACAATTGCGTCTCAGCCCCTTTCCCTTCGACCCGAAGCTTGTCGCCCTGCTGCGGGAGGAGCGGTCCACACGCGCGGGCTTGACTTCGCTTGCGACATCTACATTTGGGCACCCTTGGCCGGGACATGCGGCGTCTTGCTCCTGAGTCTGGTTATAACGCTGTATTGTAAGCGAGGTCGGAAGAAGCTTTTGTATATCTTTAAACAGCCCTTTATGAGGCCCGTACAAACCACACAAGAGGAGGATGGGTGCTCATGCAGATTTCCTGAAGAGGAAGAGGGCGGTTGCGAACTTAGAGTCAAATTCAGCCGCTCCGCAGATGCACCTGCTTATAAACAGGGTCAGAATCAATTGTATAATGAACTTAATCTCGGGAGGCGCGAGGAGTATGATGTGCTGGACAAGCGACGGGGTCGAGACCCAGAGATGGGCGGTAAACCCCGCCGAAAGAACCCCCAGGAGGGACTGTATAATGAGCTGCAAAAGGACAAAATGGCAGAAGCCTATTCCGAAATAGGGATGAAGGGAGAGCGGCGGCGAGGTAAGGGACATGACGGTCTTTATCAAGGTCTTAGTACTGCAACTAAGGACACCTATGACGCGCTGCATATGCAGGCTCTCCCACCTAGATAA
[00632]CAR遺伝子をEF1α(EF-1α)のプロモーター下でFUWレンチウイルスベクター骨格にクローニングし、Fuw-EF1α-CARを形成した。Fuw-EF1α-CAR、レンチウイルスエンベローププラスミドpMD2.G(Addgene、Plasmid#12259)およびレンチウイルスパッケージングプラスミドpsPAX2(Addgene、Plasmid#12260)を、全レンチウイルス発現ベクターを調製するためにLipofectamine3000を用いて293T細胞にトランスフェクトした。上清を48時間および72時間で回収し、濃縮のために超遠心分離(Merck Millipore)に供した。濃縮されたウイルスはT細胞のトランスフェクションのために準備された。
【0377】
[00633]結果は、レンチウイルスベクターが首尾よく構築され、二重CARの抗CD19および抗CD19/CD137の発現が期待通りに検出されたことを示す。
7.2 CRISPRの設計および構築
[00634]遺伝子編集のためのCD137およびTCR gRNAは、遺伝子編集効率およびオフターゲットリスクをhttp://crispr.mit.edu、www.idtdna.comおよびhttps://www.synthego.comで評価した後に選定された。本開示で使用されるgRNAは、Integrated DNA Technologies,Inc(IDT)によって合成された。HiFi-Cas9はIDTから購入した。
【0378】
[00635]遺伝子編集のために、3μgのCas9タンパク質および1.5μgのgRNAを20μl中で混合し、37℃または室温で15分間インキュベートしてリボヌクレオタンパク質(RNP)を形成した。次に、RNPをLonza 4D NucleofectorによりT細胞にトランスフェクトした。遺伝子ノックアウト効率は、フローサイトメトリーによって検出する場合、タンパク質を発現する細胞の比によって決定された。
使用される
[00636]使用したgRNA標的配列は、以下の通りである:
[00637]TRAC-gRNA1:TTCGGAACCCAATCACTGAC、配列番号20
[00638]TRAC-gRNA2:TCAGGGTTCTGGATATCTGT、配列番号21
[00639]TRAC-gRNA3:AAGTTCCTGTGATGTCAAGC、配列番号22
[00640]CD137-gRNA1: AACGTGGCATCTGTCGACCC、配列番号45
[00641]CD137-gRNA2: GCGCTGGAGAAACTATTTGG、配列番号46
[00642]CD137-gRNA3: ACATTTAACGATCAGAAACG、配列番号47
[00643]CD137-gRNA4: GGTCCTTTGTCCACCTGCGC、配列番号48
[00644]CD137-gRNA5: GAGAAACTATTTGGAGGACA、配列番号49
[00645]CD137-gRNA6: GGAGAAACTATTTGGAGGAC、配列番号50
[00646]スクリーニング後、高ノックアウト効率のgRNAが各遺伝子で見出され、また、2つの遺伝子、TCR/CD137をノックアウトした場合、高効率が観察された。
【0379】
7.3 CAR-T細胞の調製
[00647]細胞の単離および活性化
[00648]アフェレーシス後、Histopaque-1077(Sigma-Aldrich)を用いて密度勾配遠心分離により単球を単離した。次に、T細胞を富化し、抗CD3/抗CD28とカップリングさせた磁気ビーズによって活性化し、培養し、増殖させた。
【0380】
[00649]5%FBS、2mMのL-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび300IU/mlrhIL2を含むX-vivo15をCAR-T細胞培地として使用した。細胞を37℃、5%CO2でインキュベートし、培養した。
【0381】
[00650]同種異系T細胞を、抗CD3/抗CD28磁気ビーズを用いて活性化した。
[00651]同種異系PBNK細胞は、K562細胞をPBNKと共培養することによって活性化された。
【0382】
[00652]活性化前後の細胞表面上のCD137の発現をフローサイトメトリーにより決定した。
[00653]エレクトロポレーションおよびレンチウイルス感染
[00654]T細胞を富化および活性化した2日後、抗CD3/抗CD28磁気ビーズを除去し、細胞を管に回収し、300gで5分間遠心分離に供し、次にDPBSで2回洗浄し、50×106/mlの細胞密度でOpti-MEM中に再懸濁した。必要とされるcas9/gRNA RNPの量は、細胞の密度に基づいて計算され、次に、細胞と混合し、4D-NucleofectorシステムN(Lonza)システムによってエレクトロポレーションのために移した。次に、細胞を予め温めた培地中に1~2×106/mlの密度になるように再懸濁した。細胞をさらに2~8のMOIでレンチウイルストランスフェクションに供し、次にフラスコに移し、37℃、5%CO2でインキュベーター中で培養した。
【0383】
[00655]細胞増殖およびCAR陽性率の検出
[00656]トランスフェクションの4日後に、細胞数およびCAR陽性細胞を検出し、T細胞におけるCARの陽性率を計算した。ノックアウト効率を決定するために、TCR(またはCD3)およびCD137の陽性率も検出した。次に、細胞をインキュベーター内で連続的に培養し、細胞が凍結保存のために準備される10日目まで、培地の半分を2~3日ごとに交換した。一例のワークフローを
図53に示す。
【0384】
[00657]結果は、調製したCD19-CD137CAR-T細胞においてCARの陽性率とCD3の陰性率の両方が高かったことを示す。
7.4 in vitro殺傷作用およびサイトカインの放出
[00658]実施例7.3で調製した二重CAR-T細胞、ならびにCFSE標識CD19陽性腫瘍細胞(Raji)およびCD137陽性細胞(活性化同種異系T細胞または活性化同種異系PBNKもしくはNK92)の各100ulを、1:1の比で各細胞について1×106/mlの密度になるようにRPMI培地に混合し、次に96ウェルプレート中で一晩から1週間培養した。CAR-T細胞およびCFSE標識された標的細胞の数をフローサイトメトリーにより検出し、それにより共培養中のCAR-T細胞と標的細胞の間の殺傷作用を決定した。さらに、培養培地もまた回収し、遠心分離に供し、放出されたサイトカインIFN-γおよびIL-2をサイトカインビーズアレイキット(CBAキット、BD Biosciences)により検出した。
【0385】
[00659]結果は、CD19-CD137CAR-T細胞とRaji、allo-Tまたはallo-NK細胞とのインキュベーションが大量のIFN-γおよびIL-2を産生することを示し、CD19陽性またはCD137陽性標的細胞に対するCAR-Tの機能を示す。また、フローサイトメトリーの結果は、CD19-CD137二重CAR T細胞におけるallo-Tおよびallo-NKの殺傷作用が、CD19単一CAR T細胞に対するものよりも有意に低かったことを示す。
【0386】
[00660]さらなる実験は、CD19-CD137二重CAR T細胞がCD137陽性細胞およびNK細胞のみを除去するが、CD137陰性不活化T細胞またはNK細胞において有意な殺傷作用を示さないことを示し、CD137 CARの特異性を示す。
【0387】
7.5 in vivoでの有効性
[00661]6~12週齢のNOD/Shi-scid/IL-2Rγヌル(NOG)マウスを選択し、2×105個のRaji-ffluc細胞とallo-T細胞を静脈内注射した。5日後、マウスの腫瘍移植片負荷を測定し、腫瘍負荷に基づいてマウスを4群に分けた。1日後、200μLのDPBS、0.5×106個のCD19 CAR-T細胞、および0.5×106個のCD19-CD137 CAR-T細胞をそれぞれ各マウスに注射した。CAR-T治療後7日ごとにマウスの腫瘍負荷をさらに評価した。各マウスに3mgのd-ルシフェリンを4分間反応のために腹腔内注射し、次に30秒間曝露したXenogen IVISイメージングシステムを用いて撮影した。
【0388】
[00662]結果は、CD19-CD137 CAR-TがCD19 CAR-T細胞と比較して有意に腫瘍負荷を減少させ、CD19-CD137 CAR-T細胞がCD19 CAR-T細胞よりも有意に良好なin vivo増殖を示したことを示し、CD19-CD137 CAR-T細胞が良好に生存し、in vivoでCD19陽性腫瘍細胞を除去するより強い能力を有することを示す。
【0389】
7.6 in vivo GVHD研究
[00663]マウスを最初に亜致死量の照射(175cGy)で全身的に治療した。次に、CAR-T細胞をPBS中に再懸濁し、治療されたマウスの胸部に注射した。体重減少、アーチバック、活性、被毛の質感、および皮膚の完全性を含むGVHD臨床基準を用いて、マウスを週2~3回観察した。
【0390】
[00664]結果は、TCRノックアウトを伴わないマウスはすべてGVHD症状を示したが、しかしながら、TCR/CD137二重ノックアウトCD19-CD137CAR-T細胞群ではGVHDは検出されなかったことを示す。
【0391】
7.7 本明細書に記載されるCARを構築する際に使用されるさらなる配列
[00665]4-1BB-L(配列番号51)
[00666]MEYASDASLDPEAPWPPAPRARACRVLPWALVAGLLLLLLLAAACAVFLACPWAVSGARASPGSAASPRLREGPELSPDDPAGLLDLRQGMFAQLVAQNVLLIDGPLSWYSDPGLAGVSLTGGLSYKEDTKELVVAKAGVYYVFFQLELRRVVAGEGSGSVSLALHLQPLRSAAGAAALALTVDLPPASSEARNSAFGFQGRLLHLSAGQRLGVHLHTEARARHAWQLTQGATVLGLFRVTPEIPAGLPSPRSE
[00667]4-1BB PF-05082566 scFv VH(配列番号52)
[00668]EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYSFSTYWISWVRQMPGKGLEWMGKIYPGDSYTNYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGYGIFDYWGQGTLVTVSS
[00669]4-1BB PF-05082566 scFv VL(配列番号53)
[00670]MSYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVLVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCATYTGFGSLAVFGGGTKLTVL
[00671]4-1BB BMS-663513 scFv VH(配列番号54)
[00672]QVQLQQWGAG LLKPSETLSL TCAVYGGSFS GYYWSWIRQS PEKGLEWIGE INHGGYVTYNPSLESRVTIS VDTSKNQFSL KLSSVTAADT AVYYCARDYG PGNYDWYFDLWGRGTLVTVSS
[00673]4-1BB BMS-663513 scFv VL(配列番号55)
[00674]EIVLTQSPAT LSLSPGERAT LSCRASQSVS SYLAWYQQKP GQAPRLLIYD ASNRATGIPARFSGSGSGTD FTLTISSLEP EDFAVYYCQQ RSNWPPALTF CGGTKVEIKR
[00675]AAC VL-VH(配列番号56)
[00676]MALPVTALLLPLALLLHAARPMSYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDNIGDQYAHWYQQKPGQSPVLVIYQDKNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCATYTGFGSLAVFGGGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYSFSTYWISWVRQMPGKGLEWMGKIYPGDSYTNYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGYGIFDYWGQGTLVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
[00677]AAC DNA配列VL-VH(配列番号57)
[00678]ATGGCCCTGCCCGTGACCGCCCTGCTGCTGCCCCTGGCCCTGCTGCTGCACGCCGCCAGGCCCATGAGCTACGAGCTGACCCAGCCCCCCAGCGTGAGCGTGAGCCCCGGCCAGACCGCCAGCATCACCTGCAGCGGCGACAACATCGGCGACCAGTACGCCCACTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCCAGAGCCCCGTGCTGGTGATCTACCAGGACAAGAACAGGCCCAGCGGCATCCCCGAGAGGTTCAGCGGCAGCAACAGCGGCAACACCGCCACCCTGACCATCAGCGGCACCCAGGCCATGGACGAGGCCGACTACTACTGCGCCACCTACACCGGCTTCGGCAGCCTGGCCGTGTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGACCGTGCTGGGCAGCACCAGCGGCAGCGGCAAGCCCGGCAGCGGCGAGGGCAGCACCAAGGGCGAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGCGCCGAGGTGAAGAAGCCCGGCGAGAGCCTGAGGATCAGCTGCAAGGGCAGCGGCTACAGCTTCAGCACCTACTGGATCAGCTGGGTGAGGCAGATGCCCGGCAAGGGCCTGGAGTGGATGGGCAAGATCTACCCCGGCGACAGCTACACCAACTACAGCCCCAGCTTCCAGGGCCAGGTGACCATCAGCGCCGACAAGAGCATCAGCACCGCCTACCTGCAGTGGAGCAGCCTGAAGGCCAGCGACACCGCCATGTACTACTGCGCCAGGGGCTACGGCATCTTCGACTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCAGCAGCGGCACCACCACCCCCGCCCCCAGGCCCCCCACCCCCGCCCCCACCATCGCCAGCCAGCCCCTGAGCCTGAGGCCCGAGGCCTGCAGGCCCGCCGCCGGCGGCGCCGTGCACACCAGGGGCCTGGACTTCGCCTGCGACATCTACATCTGGGCCCCCCTGGCCGGCACCTGCGGCGTGCTGCTGCTGAGCCTGGTGATCACCCTGTACTGCAAGAGGGGCAGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGAGGCCCGTGCAGACCACCCAGGAGGAGGACGGCTGCAGCTGCAGGTTCCCCGAGGAGGAGGAGGGCGGCTGCGAGCTGAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACAAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGGTGA
[00679]AAC VH-VL(配列番号58)
[00680]ATGGCCCTGCCCGTGACCGCCCTGCTGCTGCCCCTGGCCCTGCTGCTGCACGCCGCCAGGCCCGAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGCGCCGAGGTGAAGAAGCCCGGCGAGAGCCTGAGGATCAGCTGCAAGGGCAGCGGCTACAGCTTCAGCACCTACTGGATCAGCTGGGTGAGGCAGATGCCCGGCAAGGGCCTGGAGTGGATGGGCAAGATCTACCCCGGCGACAGCTACACCAACTACAGCCCCAGCTTCCAGGGCCAGGTGACCATCAGCGCCGACAAGAGCATCAGCACCGCCTACCTGCAGTGGAGCAGCCTGAAGGCCAGCGACACCGCCATGTACTACTGCGCCAGGGGCTACGGCATCTTCGACTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCAGCGGCAGCACCAGCGGCAGCGGCAAGCCCGGCAGCGGCGAGGGCAGCACCAAGGGCATGAGCTACGAGCTGACCCAGCCCCCCAGCGTGAGCGTGAGCCCCGGCCAGACCGCCAGCATCACCTGCAGCGGCGACAACATCGGCGACCAGTACGCCCACTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCCAGAGCCCCGTGCTGGTGATCTACCAGGACAAGAACAGGCCCAGCGGCATCCCCGAGAGGTTCAGCGGCAGCAACAGCGGCAACACCGCCACCCTGACCATCAGCGGCACCCAGGCCATGGACGAGGCCGACTACTACTGCGCCACCTACACCGGCTTCGGCAGCCTGGCCGTGTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGACCGTGCTGAGCGGCACCACCACCCCCGCCCCCAGGCCCCCCACCCCCGCCCCCACCATCGCCAGCCAGCCCCTGAGCCTGAGGCCCGAGGCCTGCAGGCCCGCCGCCGGCGGCGCCGTGCACACCAGGGGCCTGGACTTCGCCTGCGACATCTACATCTGGGCCCCCCTGGCCGGCACCTGCGGCGTGCTGCTGCTGAGCCTGGTGATCACCCTGTACTGCAAGAGGGGCAGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGAGGCCCGTGCAGACCACCCAGGAGGAGGACGGCTGCAGCTGCAGGTTCCCCGAGGAGGAGGAGGGCGGCTGCGAGCTGAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACAAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGGTGA
[00681]FMC63 VH(配列番号59)
[00682]EVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSS
[00683]FMC63 VL(配列番号60)
[00684]DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEIT
[00685]FMC63 CD19 CAR(配列番号61)
[00686]MALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSSGTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR*
実施例8 E4を発現するU-CAR T細胞の研究
[00687]
図59Aは、エンハンサーCD47またはE4を発現するCD19 CAR-T細胞(CAR19-CD47)(CAR19-E4)の画分のフローサイトメトリーデータを示す。E4設計では、C7Rのエクトドメインは、キラーまたは食細胞性免疫細胞機能を阻害し、治療細胞を保護するCD47、CD24または他のペプチドなどの免疫細胞阻害剤からのエクトドメインによって置換されている。CAR19-CD47またはCAR19-E4は、MHCI/II発現を欠き、MHC発現の欠如によるNK細胞殺傷に対して非常に感受性であるK562細胞において発現される。CAR19およびCD47の発現をフローサイトメトリーにより分析した。
図59Bは、CAR19-CD47およびCAR19-E4細胞に対するNK細胞殺活性を示す。CD47とE4はともに、K562細胞に対するNK細胞殺傷の程度を低下させることができた。データは、E4が、MHCI KO CAR-T細胞の保護に使用され得るNK細胞による殺傷からMHCI陰性細胞を保護し得ることを示す。
【0392】
[00688]
図60Aは、CD19およびリン酸化STAT5(pSTAT5)を発現するTCR KO CD19 CAR-T細胞の画分のフローサイトメトリーデータを示す。CAR19-CD47またはCAR19-E4は、TCRノックアウトT細胞において発現され、CAR発現およびSTAT5リン酸化のためにアクセスされた。CAR19-E2およびCAR19-CD47+IL2刺激を陽性対照として用いた。E4はpSTAT5の上方調節を媒介する。
図60Bは、エンハンサーCD47(CAR19-CD47)またはE4(CAR19-E4)を発現するTCR KO CD19 CAR-T細胞の増殖を示す。CAR19-CD47、CAR19-E4、CAR19-C7Rを発現するTCRノックアウトT細胞を、IL12補足を伴わない細胞増殖および細胞生存について比較した。E4は、より強い細胞増殖、ならびに培養培地中でIL2を除去した後の細胞数の維持を媒介することができる。E4は、IL2を添加することなく、より良好なCAR-T細胞安定性を維持する。E4は、HLA-I KOを有する細胞などの治療用細胞を、NK細胞殺傷、または食細胞およびTキラー細胞による殺傷から保護し得る。
【0393】
[00689]構築物設計の配列:C7Rのエクトドメインは、キラーまたは食細胞性免疫細胞機能を阻害し、CAR-T/NK細胞が患者の免疫系に付着するのを防ぐことができる、トランケート型CD47、CD24などの免疫細胞阻害剤で置換することができる。
【0394】
[00690]CD7CAR-E4アミノ酸配列:
[00691]MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIPQLLFNKTKSVEFTFCNDTVVIPCFVTNMEAQNTTEVYVKWKFKGRDIYTFDGALNKSTVPTDFSSAKIEVSQLLKGDASLKMDKSDAVSHTGNYTCEVTELTREGETIIELKYRVVSWFSPNEPILLTCPTISILSFFSVALLVILACVLWKKRIKPIVWPSLPDHKKTLEHLCKKPRKNLNVSFNPESFLDCQIHRVDDIQARDEVEGFLQDTFPQQLEESEKQRLGGDVQSPNCPSEDVVITPESFGRDSSLTCLAGNVSACDAPILSSSRSLDCRESGKNGPHVYQDLLLSLGTTNSTLPPPFSLQSGILTLNPVAQGQPILTSLGSNQEEAYVTMSSFYQNQ
実施例9 T-急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)患者の治療のためのCAR7-C7Rの臨床データ
[00692]この実施例は、CAR7-C7Rを用いた臨床試験設計および臨床データを提供する。登録時には、骨髄細胞の38.2%がT-ALL細胞であるという腫瘍負荷を有する患者が登録された。CAR7-C7R細胞を注入する前に、患者を前条件レジメンで治療した。前条件レジメンでは、リンパ球除去に対してフルダラビン、シクロホスファミドおよびエトポシドなどの化学療法剤を使用した。前条件レジメンは、より良好なCAR-T生着および腫瘍除去をもたらすことができる。リンパ球除去レジメン完了の2日後に、CAR7-C7R細胞を1.5×107/kgで患者に静脈内注入した。CAR7-C7Rは、がん細胞(T-ALL細胞)を迅速に消失させ、顆粒球および単球などの自然免疫細胞サブセットに影響することなく、約7~10日でピークにまで増殖した。一旦、末梢血と骨髄の両方においてがん細胞が完全に除去されると、CAR7-C7R細胞は、極めて迅速に最小レベルに戻り、これにより、患者自身の免疫系が、がん細胞除去直後に回復を開始することを可能にする。次に、T細胞およびNK細胞は徐々に正常レベルに回復する。
【0395】
[00693]
図67は、T-急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)患者の治療に関するCAR7-C7Rの臨床データ示す。臨床研究で使用されるCAR7-C7Rの構築物を
図17に示す。
図67Aは、末梢血中のT-ALL消失の動態を示す。T-ALL細胞は、7~10日以内に速やかに消失した。末梢血中のT-ALL細胞濃度をフローサイトメトリーにより測定した。
図67BおよびCは、CAR7-C7R細胞増殖動態を示し、
図67Bは、末梢血中のCAR7-C7R細胞濃度を示し、
図67Cは、末梢血細胞のCAR7-C7R DNAコピー/μg DNAを示す。
図67DおよびEは、骨髄および末梢血中の顆粒球およびリンパ球(T細胞およびNK細胞)の回復を示す。
【0396】
[00694]本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、このような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には自明である。本発明は、明細書内に提供される特定の実施例によって限定されることを意図しない。本発明を上述の明細書を参照して説明したが、本明細書における実施形態の説明および例証は、限定的な意味で解釈されるものではない。ここで、本発明から逸脱することなく、当業者に多くの変形、変化、および置換が起こる。さらに、本発明の全ての態様は、種々の条件および変数に依存する、本明細書に記載される特定の図示、構成または相対比率に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替物が、本発明を実施する際に使用され得ることが理解されるべきである。したがって、本発明は、このような選択肢、修飾、変形例又は均等物をもカバーすることが企図される。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内の方法および構造が、それによってカバーされることが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】