(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】CXCL8結合核酸
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20220131BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20220131BHJP
C12Q 1/6825 20180101ALI20220131BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220131BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
A61K 50/00 20060101ALI20220131BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20220131BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20220131BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20220131BHJP
A61K 47/61 20170101ALI20220131BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220131BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20220131BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20220131BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20220131BHJP
C12M 1/34 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6825 Z
A61K31/7088
A61P29/00
A61P35/00
A61K50/00 200
A61K51/04 300
A61K47/60
A61K47/62
A61K47/61
G01N33/53 D
G01N33/531 Z
G01N33/50 Z
G01N33/15 Z
C12M1/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525070
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(85)【翻訳文提出日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2019000312
(87)【国際公開番号】W WO2020098968
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519377853
【氏名又は名称】アプタリオン バイオテック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヘーリッヒ,カイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイター,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】プシェク,ヴューヌ
(72)【発明者】
【氏名】ズボラルスキ,ダーク
(72)【発明者】
【氏名】マアシュ,クリスチアン
【テーマコード(参考)】
2G045
4B029
4B063
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045DA36
2G045FB03
4B029AA07
4B029BB01
4B029BB20
4B029FA03
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ58
4B063QS34
4B063QS35
4B063QX02
4C076AA94
4C076CC04
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C085HH03
4C085HH11
4C085HH20
4C085KA36
4C085KB01
4C085KB02
4C085KB07
4C085KB08
4C085KB15
4C085KB23
4C085KB28
4C085KB57
4C085KB61
4C085KB65
4C085KB76
4C085KB78
4C085KB79
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC78
(57)【要約】
本発明は、ヒトCXCL8に結合することができるL-核酸分子に関し、L-核酸分子は、ヌクレオチドの中央ストレッチを含み、ヌクレオチドの中央ストレッチは、ヌクレオチド配列5’-GGAAGUACGUGGAAAGCCRA(XU)RAGUGUGUCCCG-3’[配列番号27]を含み、ここで、XUはUであるか、または存在しない。
【選択図】図なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCXCL8に結合することができるL-核酸分子であって、前記L-核酸分子は、ヌクレオチドの中央ストレッチを含み、ヌクレオチドの前記中央ストレッチは、ヌクレオチド配列
5’-GGAAGUACGUGGAAAGCCRA(X
U)RAGUGUGUCCCG-3’[配列番号27]を含み、ここで、X
UはUであるか、または存在しない、L-核酸分子。
【請求項2】
ヌクレオチドの前記中央ストレッチが、
a)5’GGAAGUACGUGGAAAGCCAAUGAGUGUGUCCCG3’[配列番号28]、
b)5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAUGAGUGUGUCCCG3’[配列番号29]、および
c)5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAAAGUGUGUCCCG 3’[配列番号30]の群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のL-核酸分子。
【請求項3】
ヌクレオチドの前記中央ストレッチが、ヌクレオチド配列
5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAAAGUGUGUCCCG3’[配列番号30]または5’GGAAGUACGUGGAAAGCCAAUGAGUGUGUCCCG3’[配列番号28]、好ましくは、5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAAAGUGUGUCCCG3’[配列番号30]を含む、請求項2に記載のL-核酸分子。
【請求項4】
前記L-核酸分子が、5’->3’方向にヌクレオチドの第1の末端ストレッチ、ヌクレオチドの前記中央ストレッチおよびヌクレオチドの第2の末端ストレッチを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のL-核酸分子であって、
ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチは、3~6ヌクレオチドを含み、
ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチは、3~6ヌクレオチドを含み、
好ましくは、
ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチは、5~6ヌクレオチドを含み、
ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチは、5~6ヌクレオチドを含み、
より好ましくは、
ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチは、5のヌクレオチドを含み、
ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチは、5のヌクレオチドを含む、L-核酸分子。
【請求項5】
ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチがヌクレオチド配列5’Z
1Z
2Z
3Z
4Z
5C3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチがヌクレオチド配列5’GZ
6Z
7Z
8Z
9Z
103’を含む、請求項4に記載のL核酸分子であって、
ここで、
Z
1は、Gであるかまたは存在せず、Z
2は、Sであるかまたは存在せず、Z
3は、Kであるかまたは存在せず、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであるかまたは存在せず、Z
9はSであるかまたは存在せず、Z
10はCであるかまたは存在せず;
好ましくは、
a) Z
1はGであり、Z
2はSであり、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9はSであり、Z
10はCであるか、または
b) Z
1は存在せず、Z
2はSであり、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9はSであり、Z
10は存在しないか、または
c) Z
1は存在せず、Z
2は存在せず、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9は存在せず、Z
10は存在しないか、または
d) Z
1は存在せず、Z
2は存在せず、Z
3は存在せず、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8は存在せず、Z
9は存在せず、Z
10は存在しないか、または
e) Z
1は存在せず、Z
2はSであり、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9はSであり、Z
10はCであるか、または
f) Z
1は存在せず、Z
2は存在せず、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9はSであり、Z
10はCであるか、または
g) Z
1は存在せず、Z
2は存在せず、Z
3は存在せず、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9はSであり、Z
10はCであるか、または
h) Z
1はGであり、Z
2はSであり、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9はSであり、Z
10は存在しないか、または
i) Z
1はGであり、Z
2はSであり、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9は存在せず、Z
10は存在しないか、または
j) Z
1はGであり、Z
2はSであり、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8は存在せず、Z
9は存在せず、Z
10は存在しないか、または
k) Z
1は存在せず、Z
2はSであり、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9は存在せず、Z
10は存在しないか、または
l) Z
1は存在せず、Z
2はSであり、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8は存在せず、Z
9は存在せず、Z
10は存在しないか、または
m) Z
1は存在せず、Z
2は存在せず、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9はSであり、Z
10は存在しないか、または
n) Z
1は存在せず、Z
2は存在せず、Z
3は存在せず、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9はSであり、Z
10は存在しないか、または
o) Z
1は存在せず、Z
2は存在せず、Z
3はKであり、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8は存在せず、Z
9は存在せず、Z
10は存在しないか、または
p) Z
1は存在せず、Z
2は存在せず、Z
3は存在せず、Z
4はSであり、Z
5はDであり、Z
6はHであり、Z
7はSであり、Z
8はMであり、Z
9は存在せず、Z
10は存在しない、L核酸分子。
【請求項6】
a)ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’CUGAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAG3’を含み、
b)ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCUGAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAGC3’を含み、
c)ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCUGAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGAGC3’を含み、
d)ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAC3’を含み、
e)ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’UGAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCA3’を含み、
f)ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GGAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCC3’を含み、
g)ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGC3’を含み、
h)ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GGUC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GACC3’を含み、
i)ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’UGGC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCCA3’を含み、
j)ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUC3’を含み、
好ましくは、
ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’CUGAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAG3’を含み、
または
ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’CUGAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAG3’を含むか、
または
ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAC3’を含むか、
より好ましくは、
ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’CUGAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAG3’を含むか、
または
ヌクレオチドの前記第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGAC3’を含み、ヌクレオチドの前記第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAC3’を含む、請求項4または5に記載のL核酸分子。
【請求項7】
前記L-核酸分子が40~45ヌクレオチド、好ましくは42~45ヌクレオチド、より好ましくは42ヌクレオチドを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項8】
前記L-核酸分子がリボヌクレオチドからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項9】
前記L-核酸分子が、配列番号14~26、39~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、または前記L-核酸分子は、配列番号14~26、39~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含む前記L-核酸分子に対して少なくとも75%の同一性を有するL-核酸分子を含むか、または前記L-核酸分子は、配列番号14~26、39~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含む前記L-核酸分子と相同であるL-核酸分子を含み、前記相同性は、少なくとも75%である、請求項1~8のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項10】
前記L-核酸分子が、配列番号16、配列番号17、配列番号25、配列番号26、配列番号39、配列番号40、配列番号20、および配列番号41~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、または前記L-核酸分子は、配列番号16、配列番号17、配列番号25、配列番号26、配列番号39、配列番号40、配列番号20、および配列番号41~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含む前記L-核酸分子に対して少なくとも75%の同一性を有するL-核酸分子を含むか、または前記L-核酸分子は、配列番号16、配列番号17、配列番号25、配列番号26、配列番号39、配列番号40、配列番号20、および配列番号41~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含む前記L-核酸分子と相同であるL-核酸分子を含み、ここで、前記相同性は少なくとも75%である、請求項9に記載のL-核酸分子。
【請求項11】
前記L-核酸分子にはCXCL8に結合する能力があり、好ましくはCXCL8がヒトCXCL8、サルCXCL8、ウサギCXCL8、ブタCXCL8、イヌCXCL8、ヒツジCXCL8またはモルモットCXCL8である、請求項1~10のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項12】
前記L-核酸分子にはCXCL8に特異的に結合する能力があり、好ましくはヒトCXCL8、サルCXCL8、ウサギCXCL8、ブタCXCL8、イヌCXCL8、ヒツジCXCL8またはモルモットCXCL8であり、より好ましくはヒトCXCL8である、請求項1~11のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項13】
CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインに結合しないか、または結合することができず、CXCL8とは異なる前記ELR陽性CXCケモカインは、好ましくは、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6およびCXCL7からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項14】
ヒトCXCL8とは異なるELR陽性ヒトCXCケモカインに結合しないか、または結合することができず、ヒトCXCL8とは異なる前記ELR陽性ヒトCXCケモカインは、好ましくは、ヒトCXCL1、ヒトCXCL2、ヒトCXCL3、ヒトCXCL5、ヒトCXCL6およびヒトCXCL7からなる群から選択される、請求項13のL-核酸分子。
【請求項15】
KDとして表される、ヒトCXCL8に対して、10nM以下、好ましくは1nM以下、より好ましくは100pM以下、最も好ましくは30pM以下である、結合親和性を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項16】
IC50として表される、ヒトCXCL8に対して10nM以下、好ましくは1nM以下、より好ましくは100pM以下、最も好ましくは30pM以下である、結合親和性を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項17】
CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインに対して、100nM以上、好ましくは、500nM以上、より好ましくは1000nM以上である、KDとして表される結合親和性を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項18】
CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインに対して、100nM以上、好ましくは、500nM以上、より好ましくは1000nM以上である、IC50として表される結合親和性を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項19】
前記L-核酸分子が、ヒトCXCL8に対して、10nM以下、好ましくは1nM以下、より好ましくは100pM以下、最も好ましくは30pM以下である、KDとして表される結合親和性を有し、前記L-核酸分子が、CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインに対して、100nM以上、好ましくは500nM以上、より好ましくは1000nM以上である、KDとして表される結合親和性を有する、
かつ/または
前記L-核酸分子が、ヒトCXCL8に対して、IC50として表される、10nM以下、好ましくは1nM以下、より好ましくは100pM以下、最も好ましくは30pM以下の結合親和性を有し、前記L-核酸分子が、CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインに対して、IC50として表される、100nM以上、好ましくは500nM以上、より好ましくは1000nM以上の結合親和性を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項20】
前記結合親和性が、室温で、好ましくは25℃で決定される、請求項15~19のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項21】
前記結合親和性が、37℃で決定される、請求項15~19のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項22】
CXCL8、好ましくはヒトCXCL8、サルCXCL8、ウサギCXCL8、ブタCXCL8、イヌCXCL8、ヒツジCXCL8またはモルモットCXCL8、より好ましくはヒトCXCL8によって媒介される活性のアンタゴニストである、請求項1~21のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項23】
前記L-核酸分子が、ヒトCXCL8とは異なるELR陽性ヒトCXCケモカインのアンタゴニストではないか、またはCXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインによって媒介される活性に拮抗することができず、CXCL8とは異なる前記ELR陽性CXCケモカインが、好ましくは、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6およびCXCL7からなる群から選択される、請求項22に記載のL-核酸分子。
【請求項24】
ヒトCXCL8とは異なるELR陽性ヒトCXCケモカインのアンタゴニストではないか、またはヒトCXCL8とは異なるELR陽性ヒトCXCケモカインによって媒介される活性に拮抗することができず、ヒトCXCL8とは異なる前記ELR陽性ヒトCXCケモカインは、好ましくは、ヒトCXCL1、ヒトCXCL2、ヒトCXCL3、ヒトCXCL5、ヒトCXCL6およびヒトCXCL7からなる群から選択される、請求項23に記載のL-核酸分子。
【請求項25】
IC50として表される、ヒトCXCR1および/またはCXCR2によって媒介される活性に対する前記L-核酸分子の前記拮抗活性が、10nM以下、好ましくは1nM以下、より好ましくは100pM以下、および最も好ましくは30pM以下である、請求項22~24のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項26】
ヒトCXCL8によって媒介される活性に対する前記L-核酸分子の前記拮抗活性が、37℃で決定される、請求項22~25のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項27】
前記L-核酸分子は、修飾基を含む。請求項1~26のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項28】
前記修飾基が、前記L-核酸分子の前記5’末端ヌクレオチドおよび/もしくは前記3’末端ヌクレオチド、ならびに/または前記L-核酸分子の前記5’末端ヌクレオチドと前記L-核酸分子の前記3’末端ヌクレオチドとの間の前記L-核酸分子のヌクレオチドに連結されている、請求項27に記載のL-核酸分子。
【請求項29】
前記修飾基がリンカーを介して前記L-核酸分子に連結している、請求項27または28に記載のL-核酸分子。
【請求項30】
前記リンカーが親水性リンカーであり、好ましくは前記親水性リンカーが1つ以上のユニットのエチレングリコールを含み、より好ましくは前記親水性リンカーがトリエチレングリコール、ヘキサエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含む、請求項29に記載のL-核酸分子。
【請求項31】
前記リンカーが、生分解性リンカーである、請求項29に記載のL-核酸分子。
【請求項32】
生物からの前記修飾基を含む前記L-核酸分子の排泄速度は、前記修飾基を含まないL-核酸の排泄速度と比較して減少している、請求項27~31のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項33】
前記修飾基を含む前記L-核酸分子が、前記修飾基を含まない前記L-核酸分子の生物における保持時間と比較して、生物における前記保持時間が増長している、請求項27~31のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項34】
前記生物は、ヒトまたは動物の身体、好ましくはヒトの身体である、請求項32または33に記載のL-核酸分子。
【請求項35】
前記修飾基が、生分解性修飾および非生分解性修飾を含む群から選択され、好ましくは、前記修飾基は、ポリエチレングリコール、直鎖ポリエチレングリコール、分岐鎖ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルスターチ、ペプチド、タンパク質、多糖類、ステロール、ポリオキシプロピレン、ポリオキシアミデート、およびポリ(2-ヒドロキシエチル)-L-グルタミンを含む群から選択される、請求項27~34のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項36】
前記修飾基が、ポリエチレングリコール、好ましくは直鎖ポリエチレングリコールまたは分岐鎖ポリエチレングリコールであり、好ましくは前記ポリエチレングリコールの分子量が約20,000~約120,000Daであり、より好ましくは約30,000~約80,000Daであり、最も好ましくは約40,000Daである、請求項35に記載のL-核酸分子。
【請求項37】
前記ポリエチレングリコールの前記分子量が、約20,000~約120,000Da、好ましくは約30,000~約80,000Da、より好ましくは約40,000Daである、請求項36に記載のL-核酸分子。
【請求項38】
前記修飾基がヒドロキシエチルスターチであり、好ましくは前記ヒドロキシエチルスターチの前記分子量が約50~約1000kDa、より好ましくは約100~約700kDa、最も好ましくは約200~500kDaである、請求項35に記載のL-核酸分子。
【請求項39】
前記修飾基が前記L-核酸分子の固定化のためのものである、請求項27~31のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項40】
前記固定化が、表面への前記L-核酸分子の共有結合による連結を含み、好ましくは、前記表面が、反応容器の表面であるか、反応容器中のデバイスの表面であるか、またはバイオセンサーの表面である、請求項39に記載のL-核酸分子。
【請求項41】
前記固定化が、表面への前記L-核酸分子の非共有結合による連結を含み、好ましくは、前記表面が、反応容器の表面であるか、反応容器中のデバイスの表面であるか、またはバイオセンサーの表面である、請求項39に記載のL-核酸分子。
【請求項42】
前記修飾基が、カルボキシル、ヒドロキシル、ホスファチジル、スルホン酸エステル、アミン、チオール、エポキシド、アルキン、ひずみシクロアルキン、マレイミド、アジド、ヒドラジドを含む群から選択され、好ましくはひずみシクロアルキンは、ジベンゾシクロオクチル(DBCO)、ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン(BCN)およびアザジベンゾシクロオクチン(ADIBO)を含む群から選択される、請求項39~41のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項43】
前記修飾基がひずみシクロアルキン、好ましくはジベンゾシクロオクチル(DBCO)である、請求項42に記載のL-核酸分子。
【請求項44】
前記修飾基が、ビオチン、ブロモデオキシウリジン、ジゴキシゲニン、またはオリゴヌクレオチドであり、好ましくは前記修飾基がビオチンである、請求項41に記載のL-核酸分子。
【請求項45】
前記修飾基により前記L-核酸分子の検出が可能になり、好ましくは前記修飾基は標識である、請求項27~31のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項46】
前記標識が、ビオチン、ブロモデオキシウリジン、ジゴキシゲニン、オリゴヌクレオチド、蛍光標識、電気化学発光標識、放射性標識、酵素標識、UVラベル、金コロイド、ナノ粒子、およびキレーター分子ラベルを含む群から選択される、請求項45に記載のL-核酸分子。
【請求項47】
疾患の治療および/または予防のための方法において使用するための、請求項1~46のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項48】
前記疾患が、CXCL8媒介性病原性メカニズムに関連し、かつ/または炎症性疾患および癌を含む群から選択され、好ましくは炎症性疾患が、呼吸器系炎症性疾患、皮膚炎症性疾患、自己免疫疾患、炎症性神経疾患、虚血性疾患、関節硬化症、膵島移植拒絶、臓器移植拒絶、臓器遅延機能、脊髄損傷または嚢胞炎である、請求項47に記載の使用のためのL-核酸分子。
【請求項49】
CXCL8を検出するための方法において使用するための、請求項1~47のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項50】
検出手段またはバイオセンサーを製造するための、請求項1~47のいずれか一項に記載のL-核酸分子。
【請求項51】
請求項1~50のいずれか一項で定義されるL-核酸分子、および任意によりさらなる構成要素を含む医薬組成物であって、前記さらなる構成要素は、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される担体、および薬学的に活性な剤から選択される、医薬組成物。
【請求項52】
前記医薬組成物が、請求項1~50のいずれか一項で定義されるL-核酸分子および薬学的に許容される担体を含む、請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項53】
医薬品を製造するための、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子の使用。
【請求項54】
前記医薬品がヒト医学で使用するためのものであるか、または獣医学で使用するためのものである、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
前記医薬品が、CXCL8媒介性病原性メカニズムに関連し、かつ/または炎症性疾患および癌を含む群から選択される疾患の治療および/または予防のためのものであり、好ましくは前記炎症性疾患は、呼吸器系炎症性疾患、皮膚炎症性疾患、自己免疫疾患、炎症性神経疾患、虚血性疾患、関節硬化症、膵島移植拒絶、臓器移植拒絶、臓器遅延機能、脊髄損傷または嚢胞炎である、請求項54に記載の使用。
【請求項56】
診断薬、診断手段、またはバイオセンサーを製造するための、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子の使用。
【請求項57】
前記診断薬または診断手段が、反応容器上の表面または反応容器内のデバイス上の表面を有する、請求項56に記載の使用。
【請求項58】
前記バイオセンサーが表面を有する、請求項56に記載の使用。
【請求項59】
前記診断薬、前記診断手段または前記バイオセンサーが、直接または間接的に、CXCL8、好ましくはヒトCXCL8を検出するのに好適である、請求項56~58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
CXCL8が直接結合によって、サンドイッチ結合アッセイにおいて、または競合的結合アッセイにおいて検出される、請求項56または57に記載の使用。
【請求項61】
直接結合が、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子のみを使用し、CXCL8と相互作用する、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子とは異なる第2の分子を使用しないか、または使用することを含まない検出方法を含む、請求項60に記載の使用。
【請求項62】
前記サンドイッチアッセイは、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子が前記表面に固定化され、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子およびCXCL8の複合体は、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子によって結合されるもの(複数可)とは異なるCXCL8のエピトープ(複数可)に結合する検出手段によって検出される、請求項60に記載の使用。
【請求項63】
前記サンドイッチアッセイは、サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイであり、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子によって結合されるもの(複数可)とは異なるCXCL8のエピトープ(複数可)に結合する手段は、前記表面に固定化され、そのような手段とCXCL8との前記複合体が、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子によって検出される、請求項60に記載の使用。
【請求項64】
前記競合的結合アッセイにおいて、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子が表面に固定化され、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子のCXCL8への前記結合は、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子に相補的なオリゴヌクレオチドプローブによって、またはCXCL8によって競合され、好ましくは、前記相補性は、より好ましくはワトソン-クリックの塩基対に基づく塩基相補性である、請求項60に記載の使用。
【請求項65】
前記競合的結合アッセイにおいて、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子は、表面に固定化されておらず、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子のCXCL8への前記結合は、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子に相補的な前記オリゴヌクレオチドプローブによって、またはCXCL8によって競合し、好ましくは、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子またはCXCL8に相補的な前記オリゴヌクレオチドプローブが表面に固定化され、好ましくは、前記相補性は、塩基相補性であり、より好ましくはワトソン-クリック塩基対に基づく、請求項60に記載の使用。
【請求項66】
前記表面への固定化のために、請求項39~44のいずれか一項に記載のL-核酸分子が使用される、請求項62~65のいずれか一項に記載の使用。
【請求項67】
前記表面、好ましくは前記バイオセンサーの前記表面が、金、銀、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、タングステン、モリブデン、プラチナ、アルミニウム、鉄、鋼、銅、ニッケル、シリコン、ゲルマニウム、リン化インジウム、ヒ素ガリウム、および酸化物、窒化物または合金またはそれらの混合物、酸化インジウムスズ、ガラス状炭素、サファイア、ケイ酸塩ガラスおよびホウ酸塩ガラスからなる群から選択される、請求項57~66のいずれか一項に記載の使用。
【請求項68】
前記表面、好ましくは前記バイオセンサーの前記表面は、ポリリジン、アミノシラン、エポキシシラン、ニトロセルロース、カルボキシデキストラン、カーボンナノメンブレン、酸化グラフェン、カーボンブラックなどのカーボン表面、カーボンファイバー、カーボンプレート、カーボンクロス、活性炭、ガラス質カーボン、木炭、活性炭、黒鉛粉末、黒鉛繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン、カルボキシル基、アジド基、チオール基、ヒドロキシ基、エポキシド、マレイミド、アルキン、ひずみアルキン、またはそれらの任意の組み合わせによって修飾されている請求項57~67のいずれか一項に記載の使用。
【請求項69】
請求項39~44のいずれか一項に記載のL-核酸分子の固定化のために、前記表面が、第一級アミン、チオール基、アジド、アルキン、アルケン、テトラジン、テトラゾール、またはひずみシクロアルキンによって官能化され、好ましくは、前記ひずみシクロアルキンは、ジベンゾシクロオクチル(DBCO)、ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン(BCN)またはアザジベンゾシクロオクチン(ADIBO)を含む群から選択される、請求項68に記載の使用。
【請求項70】
請求項42または43に記載のL-核酸分子の固定化のために、ひずみ促進アジド-アルキン環化付加が使用される、請求項69に記載の使用。
【請求項71】
請求項44~46のいずれか一項に記載のL-核酸分子が、検出のために使用される、請求項56~70のいずれか一項に記載の使用。
【請求項72】
前記バイオセンサーの検出システムが、光学的読み出し、質量変化、屈折指数、電荷、表面応力、および原子間力顕微鏡法に基づく、請求項56~71のいずれか一項に記載の使用。
【請求項73】
光学的読み出しに基づく前記バイオセンサーの前記検出システムが蛍光、吸収または発光である、請求項72に記載の使用。
【請求項74】
質量変化に基づく前記バイオセンサーの前記検出システムが、水晶振動子微量天秤または微小電気機械システムである、請求項72に記載の使用。
【請求項75】
屈折指数に基づく前記バイオセンサーの前記検出システムが、表面プラズモン共鳴、リング共振器、またはエリプソメトリーである、請求項72に記載の使用。
【請求項76】
電荷に基づく前記バイオセンサーの前記検出システムが、電気化学的インピーダンス、ボルタンメトリー、アンペロメトリー、電位差測定、導電率、または電界効果トランジスタである、請求項72に記載の使用。
【請求項77】
表面応力に基づく前記バイオセンサーの前記検出システムが、カンチレバーバイオセンサーである、請求項72に記載の使用。
【請求項78】
CXCL8が均質アッセイ設定によって検出される、請求項56~59のいずれか一項に記載の使用。
【請求項79】
CXCL8、好ましくはヒトCXCL8を検出するための、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子の使用。
【請求項80】
CXCL8がサンドイッチ結合アッセイ設定、均質アッセイ設定、または競合アッセイ設定において検出される、請求項79に記載の使用。
【請求項81】
前記サンドイッチ結合アッセイ設定、前記均質アッセイ設定、または前記競合アッセイ設定が、CXCL8を直接的または間接的に検出するのに好適である、請求項80に記載の使用。
【請求項82】
前記L-核酸分子が、診断薬の反応容器の表面、診断薬の反応容器内のデバイスの表面、またはバイオセンサーの表面に共有結合により固定化されている、請求項78~81のいずれか一項に記載の使用。
【請求項83】
請求項39~44のいずれか一項に記載のL-核酸分子が固定化のために使用される、請求項82に記載の使用。
【請求項84】
前記表面、好ましくは前記バイオセンサーの前記表面が、金、銀、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、タングステン、モリブデン、プラチナ、アルミニウム、鉄、鋼、銅、ニッケル、シリコン、ゲルマニウム、リン化インジウム、ヒ素ガリウム、および酸化物、窒化物または合金またはそれらの混合物、酸化インジウムスズ、ガラス状炭素、サファイア、ケイ酸塩ガラスおよびホウ酸塩ガラスからなる群から選択される、請求項82または83に記載の使用。
【請求項85】
前記表面、好ましくは前記バイオセンサーの前記表面は、ポリリジン、アミノシラン、エポキシシラン、ニトロセルロース、カルボキシデキストラン、カーボンナノメンブレン、酸化グラフェン、カーボンブラックなどのカーボン表面、カーボンファイバー、カーボンプレート、カーボンクロス、活性炭、ガラス質カーボン、木炭、活性炭、黒鉛粉末、黒鉛繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン、カルボキシル基、アジド基、チオール基、ヒドロキシ基、エポキシド、マレイミド、アルキン、ひずみアルキン、またはそれらの任意の組み合わせによって修飾されている、請求項82~84のいずれか一項に記載の使用。
【請求項86】
請求項38~44のいずれか一項に記載のL-核酸分子の固定化のために、前記表面は、活性化された活性化一級アミン、チオール基、アジドまたはひずみシクロアルキンによって官能化され、好ましくは、ひずみシクロアルキンは、ジベンゾシクロオクチル(DBCO)、ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン(BCN)またはアザジベンゾシクロオクチン(ADIBO)を含む群から選択される、請求項85に記載の使用。
【請求項87】
請求項42または43に記載のL-核酸分子の固定化のために、前記ひずみ促進アジド-アルキン環化付加が使用される、請求項86に記載の使用。
【請求項88】
前記バイオセンサーの検出システムが、光学的読み出し、質量変化、屈折指数、電荷、表面応力、および原子間力顕微鏡法に基づく、請求項82~87のいずれか一項に記載の使用。
【請求項89】
光学的読み出しに基づく前記バイオセンサーの前記検出システムが蛍光、吸収または発光である、請求項88に記載の使用。
【請求項90】
質量変化に基づく前記バイオセンサーの前記検出システムが、水晶振動子微量天秤システムまたは微小電気機械システムである、請求項85に記載の使用。
【請求項91】
屈折指数に基づく前記バイオセンサーの前記検出システムが、表面プラズモン共鳴、リング共振器、またはエリプソメトリーである、請求項88に記載の使用。
【請求項92】
電荷に基づく前記バイオセンサーの前記検出システムが、電気化学的インピーダンス、ボルタンメトリー、アンペロメトリー、電位差測定、導電率、または電界効果トランジスタである、請求項88に記載の使用。
【請求項93】
表面応力に基づく前記バイオセンサーの前記検出システムが、カンチレバーバイオセンサーである、請求項88に記載の使用。
【請求項94】
前記L-核酸分子が、前記L-核酸分子の検出を可能にする修飾基を含み、好ましくは前記修飾基が標識である、請求項79~81のいずれか一項に記載の使用。
【請求項95】
前記標識が、ビオチン、ブロモデオキシウリジン、ジゴキシゲニン、オリゴヌクレオチド、蛍光標識、電気化学発光標識、放射性標識、酵素標識、UVラベル、金コロイド、ナノ粒子、およびキレーター分子ラベルを含む群から選択される、請求項94に記載の使用。
【請求項96】
CXCL8を検出するためのキットであって、前記キットは、請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子と、少なくとも取扱説明書または反応容器とを含む、キット。
【請求項97】
サンプル中の請求項1~50のいずれか一項で定義される前記L-核酸を使用して、CXCL8を検出するための方法であって、前記方法は、
f)未知の濃度のCXCL8を含むサンプルを提供するステップと、
g)請求項56~78のいずれか一項で定義されるとおり、前記サンプルまたはその希釈物を診断薬、診断手段、またはバイオセンサーと接触させるステップと、
h)請求項56~78のいずれか一項で定義されるとおり、診断薬、診断手段、またはバイオセンサーを用いてシグナルを測定するステップと、
i)任意により、前記シグナルを基準と比較するステップと、を含み、
j)任意により、未知のCXCL8濃度を有するサンプル中のCXCL8の前記濃度は、既知のCXCL8濃度を有する前記少なくとも1つのサンプルから得られたシグナルと比較することによって決定され、好ましくは、既知のCXCL8濃度を有する前記少なくとも1つのサンプルは、ステップb)からc)に従う、方法。
【請求項98】
請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子およびCXCL8を含む複合体であって、好ましくは、結晶性複合体である、複合体。
【請求項99】
CXCL8によって媒介される活性のアンタゴニストをスクリーニングするための方法であって:
-CXCL8によって媒介される前記活性の候補アンタゴニストを提供するステップと、
-請求項1~50のいずれか一項で定義されるL-核酸分子を提供するステップと、
-CXCL8によって媒介される前記活性のアンタゴニストの存在下でシグナルを提供する試験システムを提供するステップと、
-CXCL8によって媒介される前記活性の候補アンタゴニストがCXCL8によって媒介される前記活性のアンタゴニストであるかを決定するステップと、を含む、方法。
【請求項100】
サンプル中の請求項1~50のいずれか一項で定義されるL-核酸を検出するための方法であって、
f)捕捉プローブおよび検出プローブを提供するステップであって、前記捕捉プローブは、請求項1~50のいずれか一項に定義されているL-核酸分子の第1の部分および検出プローブに少なくとも部分的に相補的であり、前記検出プローブは、請求項1~50のいずれか一項に定義されている前記L-核酸分子の第2の部分に少なくとも部分的に相補的であるか、あるいは、前記捕捉プローブは、請求項1~50のいずれか一項に定義されている前記L-核酸分子の第2の部分に少なくとも部分的に相補的であり、前記検出プローブは、請求項1~50のいずれか一項に定義されている前記L-核酸分子の第1の部分に少なくとも部分的に相補的である、提供するステップと、
g)請求項1~50のいずれか一項に記載のL-核酸分子を含むサンプル、または請求項1~請求項50で定義されているL-核酸分子を含むと推定されるサンプルに、前記捕捉プローブおよび前記検出プローブを別々にまたは組み合わせて加えるステップと、
h)前記捕捉プローブおよび前記検出プローブが、請求項1~50のいずれか一項またはその一部で定義されるとおり、前記L-核酸分子と同時にまたは任意の順序で連続して反応することを可能にするステップと、
i)任意により、前記捕捉プローブが、ステップa)で提供される請求項1~50のいずれか一項に定義されるとおり前記L-核酸分子にハイブリダイズするか否かを検出するステップと、
j)請求項1~50のいずれか一項に定義されるとおり、前記L-核酸分子ならびに前記捕捉プローブおよび前記検出プローブからなる、ステップc)で形成された前記複合体を検出するステップと、を含む、方法。
【請求項101】
前記検出プローブが検出手段を含む、かつ/または前記捕捉プローブが支持体、好ましくは固体支持体に固定化される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
ステップc)で形成された前記複合体の一部ではない任意の検出プローブが前記反応から除去され、そのためステップe)において前記複合体の一部である検出プローブのみが検出される、請求項100または101に記載の方法。
【請求項103】
ステップe)が、請求項1~50のいずれか一項で定義されるL-核酸分子またはその一部の存在下で、かつ請求項1~50のいずれか一項で定義されるL-核酸分子の非存在下で、前記捕捉プローブおよび前記検出プローブをハイブリダイズするときに、前記検出手段によって生成される前記シグナルを比較するステップを含む、請求項100~102のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CXCL8に結合することができる核酸分子、疾患の治療および/または予防のための方法で使用するための核酸分子、CXCL8を検出する方法で使用するための核酸分子、検出手段、またはバイオセンサーを製造するための核酸分子、核酸分子を含む医薬組成物、医薬品を製造するための核酸分子の使用、診断薬、診断手段、またはバイオセンサーを製造するための核酸分子の使用、CXCL8を検出するための核酸分子の使用、核酸分子を含むキット、核酸分子を使用してCXCL8を検出するための方法、核酸分子を含む複合体、核酸分子を使用してCXCL8によって媒介される活性のアンタゴニストをスクリーニングするための方法、および核酸分子を検出するための方法に関する。
【0002】
CXCL8(UniProtKB/Swiss-Prot P10145、IL8_HUMAN;配列番号2)(インターロイキン8(略称IL-8)としても公知である)、好中球活性化タンパク質1(略称NAP-1)、単球由来好中球走化性因子(略称MDNCF)、または顆粒球走化性タンパク質1(略称GCP-1)は、N末端にグルタミン酸-ロイシン-アルギニン(略称ELR)モチーフを特徴とする炎症誘発性および血管新生促進性の特性を有するCXCケモカインのサブファミリーに属する小さい塩基性タンパク質である。ELR陽性ケモカインCXCL1(成長調節アルファタンパク質、Gro-アルファ、メラノーマ成長刺激活性、MGSA、またはNAP-3としても公知である)、CXCL2(Gro-ベータまたはマクロファージ炎症性タンパク質2-アルファ、MIP2-アルファとしても公知である)、CXCL3(Gro-ガンマまたはMIP2-ベータとしても公知である)、CXCL5(上皮由来好中球活性化タンパク質78、ENA-78、または小誘導性サイトカインB5としても公知である)、CXCL6(ケモカインアルファ3、CKA-3、顆粒球走化性タンパク質2、GCP-2、または小誘導性サイトカインB6としても公知である)、CXCL7(血小板塩基性タンパク質、PBP、白血球由来成長因子、LDGF、マクロファージ由来成長因子、MDGF、または小誘導性サイトカインB7としても公知である)、およびCXCL8は、受容体CXCR2(IL8RB、IL8R2型、CD182、CDw128b、またはGRO/MGSA受容体としても公知である)のアゴニストである。CXCL6、CXCL7、およびCXCL8は、受容体CXCR1(IL8RA、IL8Rタイプ1、CD181、またはCDw128aとしても公知である)のアゴニストである。CXCL8は、受容体CXCR1およびCXCR2に約4nMの同様の親和性で結合する。CXCR1/2に結合するCXCL8は、Gαi依存性シグナル伝達経路をトリガーし、例えば、好中球の移動、脱顆粒、および酸化的バーストを誘発する。受容体の感受性は、リン酸化、ベータアレスチンの動員、および受容体の内在化によって調節できる(Ha、Theranostics 2017年)。CXCL7は、33の同一のアミノ酸を有するCXCL8と最も高い相同性を有する。非ヒト霊長類(アカゲザル、カニクイザル)由来のCXCL8は、ヒトCXCL8と95%の同一性(77のアミノ酸のうち73のアミノ酸が同一)を共有している。マウスおよびラットにはCXCL8のオルソログはない。
【0003】
CXCL8は、病原体関連分子パターン(略称PAMP)分子(例えば、LPS)、炎症誘発性メディエーター(例えば、IL-1、IL-6およびTNF-αなど)、低酸素症、反応性酸素種または環境ストレス要因(例えば、タバコの煙)に応答する単球、マクロファージ、線維芽細胞、内皮細胞、および上皮細胞などの様々な細胞型から分泌される(Ha、Theranostics 2017年)。CXCL8は好中球および単球の走化性および活性化サイトカインとして機能し、宿主の防御において重要な生理学的役割を果たす。
【0004】
CXCL8は、ウイルス感染症(例えば、呼吸器合胞体ウイルス、単純ヘルペスウイルス、肝炎ウイルスBおよびC、ヒトサイトメガロウイルス)、細菌感染症(例えば、肺炎レンサ球菌(Stretptococcuspneumoniae)およびマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacteriumtuberculosis))ならびに真菌感染症(例えば、カンジダ・アルビカンス(Candidaalbicans)およびアスペルギルス-フミガーツス(Aspergillusfumigatus))において記載されているCXCL8レベルの上昇を伴う感染症の診断、疾患状態、予後および治療効果のバイオマーカーとして使用される。小児呼吸器合胞体ウイルス(略称RSV)感染では、CXCL8血漿レベルは疾患の重症度と相関している。したがって、CXCL8は、RSV感染の重症度を評価し、臨床管理を導くためのバイオマーカーとして機能できる。他の免疫学的バイオマーカー、すなわちリンパ球数とCCL5血漿レベルとの組み合わせにより、精度が向上する(Brand,Pediatr Res 2013年)。感染症のバイオマーカーとしてCXCL8を使用するさらなる例は、新生児敗血症(Zhou、PLoS One 2015年)、細菌性髄膜炎(Yao、Int J Clin Exp Med 2015年)、肺炎(Morris、Thorax 2009年)、および神経梅毒(Wang、 Sci Rep 2016年)である。CXCL8は、慢性前立腺炎、急性腎盂腎炎、嚢胞性線維症、および様々な自己免疫疾患などの炎症性疾患のバイオマーカーとしても使用され得る(Shahzad、Int Arch Med 2010年)。癌患者では、CXCL8レベルは、腫瘍量および転帰の悪化と相関している(Sanmamed、Clin Cancer Res 2014年)。例えば、CXCL8は、乳癌(Fang、Anticancer Res 2017年)、膵癌(Chen、World J Gastroenterol 2012年)および小児肉腫(Highfill、Sci Transl Med 2014年)の生存期間の短縮と相関している。メラノーマでは、ベースラインのCXCL8レベルの上昇は、抗CTLA 4/化学療法の併用治療に対する無応答および患者の転帰の悪化と相関している(Jamal、J Immunother Cancer 2017年)。
【0005】
CXCL8およびその受容体は、呼吸器系炎症性疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患、急性呼吸窮迫症候群、喘息、嚢胞性線維症、肺線維症)、皮膚炎症性疾患(例えば、好中球性皮膚病、乾癬、水疱性類天疱瘡)、自己免疫疾患(例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、関節リウマチ)、炎症性神経疾患(例えば、ニューロスイート病、アルツハイマー病)、虚血性疾患(例えば、脳卒中、心筋梗塞、脳虚血および梗塞)ならびに他の炎症性疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症)など、いくつかの炎症性疾患の病因に関与している(Ha,Theranostics 2017年;Russo,Expert Rev Clin Immunol 2014年)。このような炎症性疾患の治療のためにCXCL8を阻害する可能性は、動物疾患モデルによって裏付けられている。例えば、ウサギでは、抗CXCL8抗体投与により、LPS誘発性皮膚炎、LPS誘発性胸膜炎、LPS/IL-1誘発性関節炎、IC型糸球体腎炎、急性肺損傷、および肺再灌流損傷が改善された(Bao,Int Immunopharmacol 2010年;Harada,J Leukoc Biol 1994年)。CXCR1/2遮断では、ラットモデルでの虚血性脳損傷が軽減した(Garau、Cytokine 2005年)。
【0006】
CXCL8は、肺癌、大腸癌、前立腺癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、およびメラノーマなどのヒトの癌の発生、進行、および治療抵抗性に関与しており、腫瘍の成長および転移を促進する(Brat,Neuro Oncol 2005年;Ha,Theranostics 2017年;Koch,Science 1992年;Li,Angiogenesis 2005年;Liu,Cytokine Growth Factor Rev 2016年;Xu,Oncol Res 2000年)。CXCL8による癌促進のメカニズムとしては、血管新生の刺激、癌幹細胞の自己複製、上皮間葉転換、および免疫抑制性腫瘍微小環境の生成が挙げられる(Ginestier,J Clin Invest 2010年;Visvader, Nat Rev Cancer 2008年;David,Vaccines 2016年)。ヒトの癌の治療のためにCXCL8を阻害する可能性は、動物疾患モデルによって裏付けられている。例えば、CXCL8ノックダウンは、化学療法抵抗性の卵巣癌細胞の成長を低下させる(Merritt,J Natl Cancer Inst 2008年)。卵巣癌および前立腺癌モデルでは、CXCL8の阻害により、ドセタキセルによって誘発される抗血管新生反応が増強される(Campbell、Pharmaceuticals 2013年)。ホスファターゼおよびテンシンホモログ(PTEN)の不十分な腫瘍におけるCXCL8の過剰発現は、癌細胞の生存率を高め、治療抵抗性腫瘍の発症に寄与する(Campbell,Pharmaceuticals 2013年;Maxwell,Eur Urol 2013年;Maxwell,Oncotarget 2014年)。CXCL8シグナル伝達を阻害することにより、PTEN欠損およびp53変異癌細胞を、DNA損傷剤、抗代謝物、またはアンドロゲン受容体標的戦略に感作させる(Campbell、Pharmaceuticals 2013年)。CXCR2の遮断は、横紋筋肉腫および膵管腺癌のマウスモデルにおける免疫チェックポイント阻害剤抗PD-1の効果を増強した(Highfill,Sci Transl Med 2014年;Steele,Cancer Cell 2016年)。
【0007】
CXCL8またはそれぞれの受容体CXCR1およびCXCR2の一方または両方を標的とするいくつかの化合物が知られており、in vivoモデルにおいて首尾よく試験を行った。それらのうちのいくつかは、臨床試験でさらに試験を行った。CXCR1および/またはCXCR2のアンタゴニスト、すなわちレパリキシン、ラダリキシン、ダニリキシン、ナバリキシン、SX-682およびAZD-5069は、膵島移植、臓器移植、1型糖尿病、COPD、喘息、気管支拡張症、乾癬、水疱性類天疱瘡、および癌の臨床試験で試験が行われている。CXCR1/2アンタゴニストレパリキシンは、転移性トリプルネガティブ乳癌患者を対象にさらに臨床試験が行われている。CXCR2アンタゴニストAZD-5069は、固形癌において抗PD-L1デュルバルマブまたは化学療法と組み合わせて試験が行われる。
【0008】
ELR陽性ケモカインは、受容体CXCR1およびCXCR2を共有しているが、異なる発現パターン、in vivo分布(細胞外マトリックス結合特性)、および受容体との相互作用のメカニズムを有する(Feniger-Barish,Cytokine 1999年;Sawant,Sci Rep 2016年)。異なるELR陽性ケモカインファミリーメンバーのそれぞれの生理学的機能の理解は深まっていない。したがって、CXCL8を促進する疾患の選択的阻害は、CXCR1/CXCR2遮断の広範な遮断と比較して、疾患治療においてより効果的であり、副作用のリスクを低下させる可能性がある。例えば、CXCL1ではなくCXCL8は、癌幹細胞の維持に必要である(Liotti Fら、Stem Cells 2017年;35:135-146)。感染症では、ケモカインは重複する活動を有する。その結果、ELR陽性ケモカインの広範な阻害(例えば、CXCL8およびCXCL1の同時阻害)は、感染リスクの増大と関連している可能性がある(Yung SC and Murphy PM;frontiers in Immunology,September 2012年、vol.3,Art.276)。CXCR1/2リガンドは、結合エピトープとして機能できる共通のN末端ELRモチーフを共有する(米国特許第9,783,605号に記載されている)。CXCR1/2リガンドCXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6、CXCL7、およびCXCL8内にこの共通の構造的特徴が存在することは、他のELR陽性ケモカインに干渉することなくCXCL8に選択的に結合して阻害する化合物を特定しようとする場合の課題である。
【0009】
ELR陽性ケモカインではなくCXCL8に結合する抗体CXCL1(成長調節タンパク質アルファ、GRO-アルファとしても公知である)およびCXCL2(成長調節タンパク質ベータ、GRO-ベータとしても公知である)が同定されている(Skov、J Immunol 2008年)。CXCL8特異的モノクローナル抗体は、これまでのところ、薬物動態プロファイル、生体内分布、および排泄など、この物質クラスの薬理学的特性に関連し得る臨床試験において効果を示すことができていない。例えば、ケモカイン産生率が高いことにより、治療用抗体の急速な飽和および日常的に使用される長い投薬間隔での不十分な効力がもたらされる恐れがある。さらに、抗体はケモカインのグリコサミノグリカンへの結合に干渉しない可能性があり、その結果、ケモカイン勾配破壊がなくなり、白血球の遊走および血管外遊走の阻害が不十分となる。核酸は、好ましくは、タンパク質のグリコサミノグリカン結合部位に結合する(Oberthur,Nat Commun 2015年)。したがって、核酸のような他の物質クラスは、CXCL8の治療標的化に優れている可能性がある。
【0010】
核酸は、体液中に存在する酵素(ヌクレアーゼ)による分解に敏感である。このような生体安定性の欠如により、ヒトの治療のための核酸ベースの医薬品の製造、ならびに疾患の同定および/または治療のための核酸ベースの診断薬の製造が妨げられている。化学修飾は核酸の安定性を高めることができるが、医薬品を使用するために十分な安定性をもたらすには不十分であり得る。例えば、2’-フルオロ修飾ピリミジンを含む核酸は、全DNA核酸に匹敵する血漿半減期を示し、長い半減期を達成するには2’-O-メチル修飾が必要であった(Kratschmer,Nucleic Acid Ther 2017年)。治療用途として承認された最初のアプタマーであるマクジエンは、2’-フルオロ-ピリミジン、2’-O-メチル-プリン、および3’-キャップの併用によって安定化される。さらに、化学修飾は、医薬品の製造に使用される場合、副作用のリスクの上昇が起こり得る。対照的に、非天然のL-配置の核酸は、生体安定性が高く、臨床試験において安全で、忍容性が高く、有効であることが示されている(Ludwig,Leukemia 2017年;Menne,Nephrol Dial Transplant 2016年)。
【0011】
CXCL8結合2’-フルオロピリミジンRNA-アプタマーについては以前に記載されている(Sung,Biomaterials 2014年)。しかし、機能アッセイでは、記載されているアプタマーの1つであるアプタマー8A-35の高結合親和性は、IC50が125nMより大きい場合にCXCL8誘導好中球の遊走を阻害する機能の改善とはなっていない。半定量分析では、ELR陽性ケモカインCXCL1(GRO-アルファとしても公知である)およびCXCL2(GRO-ベータとしても公知である)への前駆体アプタマーの結合がないか、または少ないことを示唆した。
【0012】
本発明の根底にある問題は、CXCL8と特異的に相互作用し、好ましくは他のELR陽性ケモカインと特異的に相互作用せず、より好ましくは受容体CXCR1および/またはCXCR2に結合するELR陽性ケモカインと特異的に相互作用しない核酸分子、好ましくはL-核酸を提供することである。
【0013】
本発明の根底にある別の問題は、核酸分子、好ましくはL-核酸分子を提供することであり、これにより、CXCL8に高い親和性で結合し、それによって、CXCL8で刺激される走化性を、好ましくは1桁のナノモル範囲、より好ましくはピコモル範囲の阻害定数で効果的に阻害することが可能になる。
【0014】
本発明の根底にあるさらなる問題は、ヒトおよび/または非ヒト疾患の治療のための医薬品の製造のための核酸分子、好ましくはL-核酸分子を提供することであり、それにより、疾患は、好ましくは、少なくともCXCL8に拮抗するかまたは阻害することが治療効果をもたらす程度まで、CXCL8がそのような疾患の病因メカニズムに直接または間接的に関与することを特徴とする。
【0015】
本発明の根底にあるさらに別の問題は、疾患の同定、診断、および/または治療のための診断剤を製造するための核酸分子、好ましくはL-核酸分子を提供することであり、それにより、この疾患は、CXCL8がそのような疾患の病因メカニズムに直接または間接的に関与していることを特徴とする。
【0016】
本発明の根底にあるこれらおよび他の問題は、添付の独立請求項の主題によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項から取得することができる。
【0017】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第1の態様において、ヒトCXCL8に結合することができるL-核酸分子によって解決され、ここで、L-核酸分子は、ヌクレオチドの中央ストレッチを含み、ヌクレオチドの中央ストレッチは、ヌクレオチド配列
5’-GGAAGUACGUGGAAAGCCRA(XU)RAGUGUGUCCCG-3’[配列番号27]を含み、ここで、XUはUであるか、または存在しない。
【0018】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第2の態様において、疾患の治療および/または予防のための方法において使用するための、その任意の実施形態など、第1の態様のL-核酸分子によって解決される。
【0019】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第3の態様において、CXCL8を検出するための方法で使用するための、その任意の実施形態など、第1の態様のL-核酸分子によって解決される。
【0020】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第4の態様において、検出手段またはバイオセンサーを製造するための、その任意の実施形態など、第1の態様のL-核酸分子によって解決される。
【0021】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第5の態様において、その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子、および任意によりさらなる構成成分を含む医薬組成物によって解決され、さらなる構成成分は、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される担体、および薬学的に活性な剤を含む群から選択される。
【0022】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第6の態様において、医薬品を製造するための、その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子の使用によって解決される。
【0023】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第7の態様において、診断薬、診断手段、またはバイオセンサーを製造するための、その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子の使用によって解決される。
【0024】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第8の態様において、CXCL8、好ましくはヒトCXCL8を検出するための、その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子の使用によって解決される。
【0025】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第9の態様において、CXCL8を検出するためのキットによって解決され、キットは、その任意の実施形態など、第1の態様によるL核酸分子、および少なくとも命令リーフレットまたは反応容器を含む。
【0026】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、サンプル中の、その任意の実施形態など、第1の態様に従って定義されるL-核酸を使用して、CXCL8を検出するための方法によって第10の態様で解決され、本方法は、以下のステップを含む:
a)未知の濃度のCXCL8を含むサンプルを提供するステップと、
b)サンプルまたはその希釈物を、その任意の実施形態など、第7の態様で定義された診断薬、診断手段、またはバイオセンサーと接触させるステップと、
c)その任意の実施形態など、第7の態様で定義された診断薬、診断手段、またはバイオセンサーを用いてシグナルを測定するステップと、
d)任意により、シグナルを基準と比較するステップと、を含み、
任意により、未知のCXCL8濃度を有するサンプル中のCXCL8の濃度は、既知のCXCL8濃度を有する少なくとも1つのサンプルから得られたシグナルと比較することによって決定され、好ましくは、既知のCXCL8濃度を有する少なくとも1つのサンプルは、ステップb)からc)に従う。
【0027】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第11の態様において、その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子と、CXCL8とを含む複合体によって解決され、好ましくは複合体は、結晶性複合体である。
【0028】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第12の態様において、
-CXCL8によって媒介される活性の候補アンタゴニストを提供するステップと、
-その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子を提供するステップと、
-CXCL8によって媒介される活性のアンタゴニストの存在下でシグナルを提供する試験システムを提供するステップと、
-CXCL8によって媒介される活性の候補アンタゴニストがCXCL8によって媒介される活性のアンタゴニストであるかを決定するステップと、を含む、CXCL8によって媒介される活性のアンタゴニストをスクリーニングするための方法によって解決される。
【0029】
より具体的には、本発明の根底にある問題は、第13の態様において、その任意の実施形態など、サンプル中の第1の態様によるL-核酸分子を検出するための方法によって解決され、この方法は、
a)捕捉プローブおよび検出プローブを提供するステップであって、捕捉プローブは、その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子の第1の部分に少なくとも部分的に相補的であり、検出プローブは、その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子の第2の部分に少なくとも部分的に相補的であるか、あるいは、捕捉プローブは、その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子の第2の部分に少なくとも部分的に相補的であり、検出プローブは、その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子の第1の部分に少なくとも部分的に相補的である、提供するステップと、
b)その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子を含むサンプルまたはその任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子を含むと推定されるサンプルに、捕捉プローブおよび検出プローブを別々にまたは組み合わせて加えるステップと、
c)捕捉プローブおよび検出プローブが、その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子と同時にまたは任意の順序で連続して反応することを可能にするステップと、
d)任意により、ステップa)で提供される、その任意の実施形態など、第1の態様に従って、捕捉プローブがL-核酸分子にハイブリダイズするか否かを検出するステップと、
e)その任意の実施形態など、第1の態様によるL-核酸分子、ならびに捕捉プローブおよび検出プローブからなる、ステップc)で形成された複合体を検出するステップと、を含む。
【0030】
本発明はまた、より具体的には、以下の実施形態1~103によっても解決される、これにより、これによって、実施形態1は、第1の態様に対応し、実施形態47は、第2の態様に対応し、実施形態49は、第3の態様に対応し、実施形態50は、第4の態様に対応し、実施形態51は、第5の態様に対応し、実施形態53は、第6の態様に対応し、実施形態56は、第7の態様に対応し、実施形態79は、第8の態様に対応し、実施形態96は、第9の態様に対応し、実施形態97は、第10の態様に対応し、実施形態98は、第11の態様に対応し、実施形態99は、第12の態様に対応し、実施形態100は、第13の態様に対応する。
実施形態1:
【0031】
ヒトCXCL8に結合することができるL-核酸分子であって、L-核酸分子は、ヌクレオチドの中央ストレッチを含み、ヌクレオチドの中央ストレッチは、ヌクレオチド配列
5’-GGAAGUACGUGGAAAGCCRA(XU)RAGUGUGUCCCG-3’[配列番号27]を含み、ここで、XUはUであるか、または存在しない。
実施形態2:ヌクレオチドの中央ストレッチが、
【0032】
a)5’GGAAGUACGUGGAAAGCCAAUGAGUGUGUCCCG3’[配列番号28]、
b)5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAUGAGUGUGUCCCG3’[配列番号29]、および
c)5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAAAGUGUGUCCCG 3’[配列番号30]の群から選択されるヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載のL-核酸分子。
実施形態3:
【0033】
ヌクレオチドの中央ストレッチが、ヌクレオチド配列
5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAAAGUGUGUCCCG 3’[配列番号30]または5’GGAAGUACGUGGAAAGCCAAUGAGUGUGUCCCG3’[配列番号28]、好ましくは、5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAAAGUGUGUCCCG3’[配列番号30]を含む、実施形態2に記載L-核酸分子。
実施形態4:
【0034】
L-核酸分子が、5’->3’方向にヌクレオチドの第1の末端ストレッチ、ヌクレオチドの中央ストレッチおよびヌクレオチドの第2の末端ストレッチを含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、
ヌクレオチドの第1の末端ストレッチは、3~6ヌクレオチドを含み、
ヌクレオチドの第2の末端ストレッチは、3~6ヌクレオチドを含み、
好ましくは、
ヌクレオチドの第1の末端ストレッチは、5~6ヌクレオチドを含み、
ヌクレオチドの第2の末端ストレッチは、5~6ヌクレオチドを含み、
より好ましくは、
ヌクレオチドの第1の末端ストレッチは、5のヌクレオチドを含み、
ヌクレオチドの第2の末端ストレッチは、5のヌクレオチドを含む。
実施形態5:
【0035】
ヌクレオチドの第1の末端ストレッチがヌクレオチド配列5’Z1Z2Z3Z4Z5C3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチがヌクレオチド配列5’GZ6Z7Z8Z9Z103’を含む、実施形態4に記載のL核酸分子であって、
ここで、
Z1は、Gであるかまたは存在せず、Z2は、Sであるかまたは存在せず、Z3は、Kであるかまたは存在せず、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであるかまたは存在せず、Z9はSであるかまたは存在せず、Z10はCであるかまたは存在せず;
好ましくは、
a)Z1はGであり、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10はCであるか、または
b)Z1は存在せず、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10は存在しないか、または
c)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
d)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3は存在せず、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8は存在せず、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
e)Z1は存在せず、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10はCであるか、または
f)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10はCであるか、または
g)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3は存在せず、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10はCであるか、または
h)Z1はGであり、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10は存在しないか、または
i)Z1はGであり、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
j)Z1はGであり、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8は存在せず、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
k)Z1は存在せず、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
l)Z1は存在せず、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8は存在せず、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
m)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10は存在しないか、または
n)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3は存在せず、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10は存在しないか、または
o)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8は存在せず、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
p)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3は存在せず、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9は存在せず、Z10は存在しない。
実施形態6:実施形態4~5のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、
【0036】
a)ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’CUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAG3’を含み、
b)ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAGC3’を含み、
c)ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGAGC3’を含み、
d)ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAC3’を含み、
e)ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’UGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCA3’を含み、
f)ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCC3’を含み、
g)ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGC3’を含み、
h)ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GGUC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GACC3’を含み、
i)ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’UGGC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCCA3’を含み、
j)ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUC3’を含み、
好ましくは、
ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’CUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAG3’を含むか、
または
ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAGC3’を含むか、
または
ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAC3’を含むか、
より好ましくは、
ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’CUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAG3’を含むか、
または
ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAC3’を含む。
実施形態7:
【0037】
L-核酸分子が40~45ヌクレオチド、好ましくは42~45ヌクレオチド、より好ましくは42ヌクレオチドを含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載のL-核酸分子。
実施形態8:
【0038】
L-核酸分子がリボヌクレオチドからなる、実施形態1~7のいずれか1つに記載のL-核酸分子。
実施形態9:
【0039】
L-核酸分子が、配列番号14~26、39~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、またはL-核酸分子は、配列番号14~26、39~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含むL-核酸分子に対して少なくとも75%の同一性を有するL-核酸分子を含むか、またはL-核酸分子は、配列番号14~26、39~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含むL-核酸分子と相同であるL-核酸分子を含み、相同性は、少なくとも75%である、実施形態1~8のいずれか1つに記載のL-核酸分子。
実施形態10:
【0040】
L-核酸分子が、配列番号16、配列番号17、配列番号25、配列番号26、配列番号39、配列番号40、配列番号20、および配列番号41~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、またはL-核酸分子は、配列番号16、配列番号17、配列番号25、配列番号26、配列番号39、配列番号40、配列番号20、および配列番号41~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含むL-核酸分子に対して少なくとも75%の同一性を有するL-核酸分子を含むか、または配列番号16、配列番号17、配列番号25、配列番号26、配列番号39、配列番号40、配列番号20、および配列番号41~44の群から選択されるヌクレオチド配列を含むL-核酸分子と相同であるL-核酸分子を含み、ここで、相同性は少なくとも75%である、実施形態9のL-核酸分子。
実施形態11:
【0041】
L-核酸分子にはCXCL8に結合する能力があり、好ましくはCXCL8がヒトCXCL8、サルCXCL8、ウサギCXCL8、ブタCXCL8、イヌCXCL8、ヒツジCXCL8またはモルモットCXCL8である、実施形態1~10のいずれか1つに記載のL-核酸分子。
実施形態12:
【0042】
L-核酸分子にはCXCL8に特異的に結合する能力があり、好ましくはヒトCXCL8、サルCXCL8、ウサギCXCL8、ブタCXCL8、イヌCXCL8、ヒツジCXCL8またはモルモットCXCL8であり、より好ましくはヒトCXCL8である、実施形態1~11のいずれか1つに記載のL-核酸分子。
実施形態13:
【0043】
実施形態1~12のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、L-核酸分子は、CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインに結合しないか、または結合することができず、CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインは、好ましくは、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6およびCXCL7からなる群から選択される。
実施形態14:
【0044】
実施形態13のL-核酸分子であって、L-核酸分子は、ヒトCXCL8とは異なるELR陽性ヒトCXCケモカインに結合しないか、または結合することができず、ヒトCXCL8とは異なるELR陽性ヒトCXCケモカインは、好ましくは、ヒトCXCL1、ヒトCXCL2、ヒトCXCL3、ヒトCXCL5、ヒトCXCL6およびヒトCXCL7からなる群から選択される。
実施形態15:
【0045】
実施形態1~14のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、L-核酸分子は、10nM以下、好ましくは1nM以下、より好ましくは100pM以下、最も好ましくは30pM以下である、KDとして表されるヒトCXCL8に対する結合親和性を有する。
実施形態16:
【0046】
実施形態1~15のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、L-核酸分子は、ヒトCXCL8に対して、10nM以下、好ましくは1nM以下、より好ましくは100pM以下、最も好ましくは30pM以下である、IC50として表される結合親和性を有する。
実施形態17:
【0047】
実施形態1~16のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、L-核酸分子は、CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインに対して、100nM以上、好ましくは、500nM以上、より好ましくは1000nM以上である、KDとして表される結合親和性を有する。
実施形態18:
【0048】
実施形態1~17のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、L-核酸分子は、CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインに対して、100nM以上、好ましくは、500nM以上、より好ましくは1000nM以上である、IC50として表される結合親和性を有する。
実施形態19:
【0049】
実施形態1~18のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、L-核酸分子は、ヒトCXCL8に対して10nM以下、好ましくは1nM以下、より好ましくは100pM以下、最も好ましくは30pM以下である、KDとして表される結合親和性を有し、L-核酸分子は、CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインに対して、100nM以上、好ましくは500nM以上、より好ましくは1000nM以上である、KDとして表される結合親和性を有する、
かつ/または
L-核酸分子は、ヒトCXCL8に対して、10nM以下、好ましくは1nM以下、より好ましくは100pM以下、最も好ましくは30pM以下である、IC50として表される結合親和性を有し、L核酸分子は、CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインに対して、100nM以上、好ましくは500nM以上、より好ましくは1000nM以上である、IC50として表される結合親和性を有する。
実施形態20:
【0050】
実施形態15~19のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、結合親和性は、室温で、好ましくは25℃で決定される。
実施形態21:
【0051】
実施形態15~19のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、結合親和性は、37℃で決定される。
実施形態22:
【0052】
L-核酸分子は、CXCL8、好ましくはヒトCXCL8、サルCXCL8、ウサギCXCL8、ブタCXCL8、イヌCXCL8、ヒツジCXCL8またはモルモットCXCL8、より好ましくはヒトCXCL8によって媒介される活性のアンタゴニストである、実施形態1~21のいずれか1つに記載のL-核酸分子。
実施形態23:
【0053】
実施形態22に記載のL-核酸分子であって、L-核酸分子は、ヒトCXCL8とは異なるELR陽性ヒトCXCケモカインのアンタゴニストではないか、またはCXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインによって媒介される活性に拮抗することができず、CXCL8とは異なるELR陽性CXCケモカインは、好ましくは、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6およびCXCL7からなる群から選択される。
実施形態24:
【0054】
実施形態23のL-核酸分子であって、L-核酸分子は、ヒトCXCL8とは異なるELR陽性ヒトCXCケモカインのアンタゴニストではないか、またはヒトCXCL8とは異なるELR陽性ヒトCXCケモカインによって媒介される活性に拮抗することができず、ヒトCXCL8とは異なるELR陽性ヒトCXCケモカインは、好ましくは、ヒトCXCL1、ヒトCXCL2、ヒトCXCL3、ヒトCXCL5、ヒトCXCL6およびヒトCXCL7からなる群から選択される。
実施形態25:
【0055】
実施形態22~24のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、IC50として表される、ヒトCXCR1および/またはCXCR2によって媒介される活性に対するL-核酸分子の拮抗活性は、10nM以下、好ましくは1nM以下、より好ましくは100pM以下、および最も好ましくは30pM以下である。
実施形態26:
【0056】
実施形態22~25のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、ヒトCXCL8によって媒介される活性に対するL-核酸分子の拮抗活性は、37℃で決定される。
実施形態27:
【0057】
実施形態1~26のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、L-核酸分子は、修飾基を含む。
実施形態28:
【0058】
実施形態27に記載のL-核酸分子であって、修飾基が、L-核酸分子の5’末端ヌクレオチドおよび/もしくは3’末端ヌクレオチド、ならびに/またはL-核酸分子の5’末端ヌクレオチドとL-核酸分子の3’末端ヌクレオチドとの間のL-核酸分子のヌクレオチドに連結されている。
実施形態29:
【0059】
実施形態27または28に記載のL-核酸分子であって、修飾基がリンカーを介してL-核酸分子に連結している。
実施形態30:
【0060】
実施形態29のL-核酸分子であって、リンカーが親水性リンカーであり、好ましくは親水性リンカーが1つ以上のユニットのエチレングリコールを含み、より好ましくは親水性リンカーがトリエチレングリコール、ヘキサエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含む。
実施形態31:
【0061】
実施形態29のL-核酸分子であって、リンカーが生分解性リンカーである。
実施形態32:
【0062】
実施形態27~31のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、生物からの修飾基を含むL-核酸分子の排泄速度は、修飾基を含まないL-核酸の排泄速度と比較して減少している。
実施形態33:
【0063】
実施形態27~31のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、修飾基を含むL-核酸分子は、修飾基を含まないL-核酸分子の生物における保持時間と比較して、生物における保持時間が増長している。
実施形態34:
【0064】
実施形態32または33に記載のL-核酸分子であって、生物は、ヒトまたは動物の身体、好ましくはヒトの身体である。
実施形態35:
【0065】
実施形態27~34のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、修飾基は、生分解性修飾および非生分解性修飾を含む群から選択され、好ましくは、修飾基は、ポリエチレングリコール、直鎖ポリエチレングリコール、分岐鎖ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルスターチ、ペプチド、タンパク質、多糖類、ステロール、ポリオキシプロピレン、ポリオキシアミデート、およびポリ(2-ヒドロキシエチル)-L-グルタミンを含む群から選択される。
実施形態36:
【0066】
実施形態35に記載のL-核酸分子であって、修飾基が、ポリエチレングリコール、好ましくは直鎖ポリエチレングリコールまたは分岐鎖ポリエチレングリコールであり、好ましくはポリエチレングリコールの分子量が約20,000~約120,000Daであり、より好ましくは約30,000~約80,000Daであり、最も好ましくは約40,000Daである。
実施形態37:
【0067】
実施形態36に記載のL-核酸分子であって、ポリエチレングリコールの分子量は、約20,000~約120,000Da、好ましくは約30,000~約80,000Da、より好ましくは約40,000Daである。
実施形態38:
【0068】
実施形態35に記載のL-核酸分子であって、修飾基がヒドロキシエチルスターチであり、好ましくはヒドロキシエチルスターチの分子量が約50~約1000kDa、より好ましくは約100~約700kDa、最も好ましくは約200~500kDaである。
実施形態39:
【0069】
修飾基がL-核酸分子の固定化のためのものである、実施形態27~31のいずれか1つに記載のL-核酸分子。
実施形態40:
【0070】
固定化が、表面へのL-核酸分子の共有結合による連結を含み、好ましくは、表面が、反応容器の表面であるか、反応容器中のデバイスの表面であるか、またはバイオセンサーの表面である、実施形態39に記載のL-核酸分子。
実施形態41:
【0071】
固定化が、表面へのL-核酸分子の非共有結合による連結を含み、好ましくは、表面が、反応容器の表面であるか、反応容器中のデバイスの表面であるか、またはバイオセンサーの表面である、実施形態39に記載のL-核酸分子。
実施形態42:
【0072】
実施形態39~41のいずれか1つに記載のL-核酸分子であって、修飾基が、カルボキシル、ヒドロキシル、ホスファチジル、スルホン酸エステル、アミン、チオール、エポキシド、アルキン、ひずみシクロアルキン、マレイミド、アジド、ヒドラジドを含む群から選択され、好ましくはひずみシクロアルキンは、ジベンゾシクロオクチル(DBCO)、ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン(BCN)およびアザジベンゾシクロオクチン(ADIBO)を含む群から選択される。
実施形態43:
【0073】
修飾基が、ひずみシクロアルキン、好ましくはジベンゾシクロオクチル(DBCO)である、実施形態42に記載のL-核酸分子。
実施形態44:
【0074】
修飾基がビオチン、ブロモデオキシウリジン、ジゴキシゲニン、またはオリゴヌクレオチドであり、好ましくは修飾基がビオチンである、実施形態41に記載のL-核酸分子。
実施形態45:
【0075】
修飾基によりL-核酸分子の検出が可能になり、好ましくは修飾基は標識である、実施形態27~31のいずれか1つに記載のL-核酸分子。
実施形態46:
【0076】
標識が、ビオチン、ブロモデオキシウリジン、ジゴキシゲニン、オリゴヌクレオチド、蛍光標識、電気化学発光標識、放射性標識、酵素標識、UVラベル、金コロイド、ナノ粒子、およびキレーター分子ラベルを含む群から選択される、実施形態45に記載のL-核酸分子。
実施形態47:
【0077】
疾患の治療および/または予防のための方法において使用するための、実施形態1~46のいずれか1つに記載のL-核酸分子。
実施形態48:
【0078】
疾患がCXCL8媒介性病原性メカニズムに関連し、かつ/または炎症性疾患および癌を含む群から選択され、好ましくは炎症性疾患が、呼吸器系炎症性疾患、皮膚炎症性疾患、自己免疫疾患、炎症性神経疾患、虚血性疾患、関節硬化症、膵島移植拒絶、臓器移植拒絶、臓器遅延機能、脊髄損傷または嚢胞炎である、実施形態47に記載の使用のためのL-核酸分子。
実施形態49:
【0079】
CXCL8を検出するための方法で使用するための、実施形態1~47のいずれか1つに記載のL-核酸分子。
実施形態50:
【0080】
検出手段またはバイオセンサーを製造するための、実施形態1~47のいずれか1つに記載のL-核酸分子。
実施形態51:
【0081】
実施形態1~50のいずれか1つで定義されるL-核酸分子、および任意によりさらなる構成成分を含む医薬組成物であって、さらなる構成成分は、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される担体、および薬学的に活性な剤から選択される。
実施形態52:
【0082】
医薬組成物が、実施形態1~50のいずれか1つで定義されるL-核酸分子および薬学的に許容される担体を含む、実施形態51に記載の医薬組成物。
実施形態53:
【0083】
医薬品を製造するための、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子の使用。
実施形態54:
【0084】
医薬品がヒト医学で使用するためのものであるか、または獣医学で使用するためのものである、実施形態53に記載の使用。
実施形態55:
【0085】
医薬品が、CXCL8媒介性病原性メカニズムに関連し、かつ/または炎症性疾患および癌を含む群から選択される疾患の治療および/または予防のためのものであり、好ましくは炎症性疾患は、呼吸器系炎症性疾患、皮膚炎症性疾患、自己免疫疾患、炎症性神経疾患、虚血性疾患、関節硬化症、膵島移植拒絶、臓器移植拒絶、臓器遅延機能、脊髄損傷または嚢胞炎である、実施形態54に記載の使用。
実施形態56:
【0086】
診断薬、診断手段、またはバイオセンサーを製造するための、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子の使用。
実施形態57:
【0087】
診断薬または診断手段が、反応容器上の表面または反応容器内のデバイス上の表面を有する、実施形態56に記載の使用。
実施形態58:
【0088】
バイオセンサーが表面を有する、実施形態56に記載の使用。
実施形態59:
【0089】
診断薬、診断手段、またはバイオセンサーが、直接または間接的に、CXCL8、好ましくはヒトCXCL8を検出するのに好適である、実施形態56~58のいずれか1つに記載の使用。
実施形態60:
【0090】
CXCL8が直接結合によって、サンドイッチ結合アッセイにおいて、または競合的結合アッセイにおいて検出される、実施形態56または57に記載の使用。
実施形態61:
【0091】
直接結合が、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子のみを使用し、CXCL8と相互作用する、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子とは異なる第2の分子を使用しないか、または使用することを含まない検出方法を含む、実施形態60に記載の使用。
実施形態62:
【0092】
サンドイッチアッセイは、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子が表面に固定化され、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子およびCXCL8の複合体は、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子によって結合されるもの(複数可)とは異なるCXCL8のエピトープ(複数可)に結合する検出手段によって検出される、実施形態60に記載の使用。
実施形態63:
【0093】
実施形態60に記載の使用であって、サンドイッチアッセイは、サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイであり、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子によって結合されるもの(複数可)とは異なるCXCL8のエピトープ(複数可)に結合する手段は、表面に固定化され、そのような手段とCXCL8との複合体は、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子によって検出される。
実施形態64:
【0094】
競合的結合アッセイにおいて、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子が表面に固定化され、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子のCXCL8への結合は、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子に少なくとも部分的に相補的なオリゴヌクレオチドプローブによって、またはCXCL8によって競合され、好ましくは、相補性は、より好ましくはワトソン-クリックの塩基対に基づく塩基相補性である、実施形態60に記載の使用。
実施形態65:
【0095】
競合的結合アッセイにおいて、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子は、表面に固定化されておらず、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子のCXCL8への結合は、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子に相補的なオリゴヌクレオチドプローブによって、またはCXCL8によって競合し、好ましくは、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子またはCXCL8に相補的なオリゴヌクレオチドプローブが表面に固定化され、好ましくは、相補性は、塩基相補性であり、より好ましくはワトソン-クリック塩基対に基づく、実施形態60に記載の使用。
実施形態66:
【0096】
表面への固定化のために、実施形態39~44のいずれか1つに記載のL-核酸分子が使用される、実施形態62~65のいずれか1つに記載の使用。
実施形態67:
【0097】
表面、好ましくはバイオセンサーの表面が、金、銀、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、タングステン、モリブデン、プラチナ、アルミニウム、鉄、鋼、銅、ニッケル、シリコン、ゲルマニウム、リン化インジウム、ヒ素ガリウム、および酸化物、窒化物または合金またはそれらの混合物、酸化インジウムスズ、ガラス状炭素、サファイア、ケイ酸塩ガラスおよびホウ酸塩ガラスからなる群から選択される、実施形態57~66のいずれか1つに記載の使用。
実施形態68:
【0098】
表面、好ましくはバイオセンサーの表面は、ポリリジン、アミノシラン、エポキシシラン、ニトロセルロース、カルボキシデキストラン、カーボンナノメンブレン、酸化グラフェン、カーボン表面、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンプレート、カーボンクロス、活性炭、ガラス質カーボン、木炭、活性炭、黒鉛粉末、黒鉛繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン、カルボキシル基、アジド基、チオール基、ヒドロキシ基、エポキシド、マレイミド、アルキン、ひずみアルキン、またはそれらの任意の組み合わせによって修飾されている実施形態57~67のいずれか1つに記載の使用。
実施形態69:
【0099】
実施形態39~44のいずれか1つに記載のL-核酸分子の固定化のために、表面が、第一級アミン、チオール基、アジド、アルキン、アルケン、テトラジン、テトラゾール、またはひずみシクロアルキンによって官能化され、好ましくは、ひずみシクロアルキンは、ジベンゾシクロオクチル(DBCO)、ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン(BCN)またはアザジベンゾシクロオクチン(ADIBO)を含む群から選択される、実施形態68に記載の使用。
実施形態70:
【0100】
実施形態42または43に記載のL-核酸分子の固定化のために、ひずみ促進アジド-アルキン環化付加が使用される、実施形態69に記載の使用。
実施形態71:
【0101】
実施形態44~46のいずれか1つに記載のL-核酸分子が検出のために使用される、実施形態56~70のいずれか1つに記載の使用。
実施形態72:
【0102】
バイオセンサーの検出システムが、光学的読み出し、質量変化、屈折指数、電荷、表面応力、および原子間力顕微鏡法に基づく、実施形態56~71のいずれか1つに記載の使用。
実施形態73:
【0103】
光学的読み出しに基づくバイオセンサーの検出システムが蛍光、吸収または発光である、実施形態72に記載の使用。
実施形態74:
【0104】
質量変化に基づくバイオセンサーの検出システムが水晶振動子微量天秤または微小電気機械システムである、実施形態72に記載の使用。
実施形態75:
【0105】
屈折指数に基づくバイオセンサーの検出システムが表面プラズモン共鳴、リング共振器、またはエリプソメトリーである、実施形態72に記載の使用。
実施形態76:
【0106】
電荷に基づくバイオセンサーの検出システムが、電気化学的インピーダンス、ボルタンメトリー、アンペロメトリー、電位差測定、導電率、または電界効果トランジスタである、実施形態72に記載の使用。
実施形態77:
【0107】
表面応力に基づくバイオセンサーの検出システムがカンチレバーバイオセンサーである、実施形態72に記載の使用。
実施形態78:
【0108】
CXCL8が均質アッセイ設定によって検出される、実施形態56~59のいずれか1つに記載の使用。
実施形態79:
【0109】
CXCL8、好ましくはヒトCXCL8を検出するための、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子の使用。
実施形態80:
【0110】
CXCL8がサンドイッチ結合アッセイ設定、均質アッセイ設定、または競合アッセイ設定において検出される、実施形態79に記載の使用。
実施形態81:
【0111】
サンドイッチ結合アッセイ設定、均質アッセイ設定、または競合アッセイ設定が、CXCL8を直接的または間接的に検出するのに好適である、実施形態80に記載の使用。
実施形態82:
【0112】
L-核酸分子が、診断薬の反応容器の表面、診断薬の反応容器内のデバイスの表面、またはバイオセンサーの表面に共有結合により固定化されている、実施形態78~81のいずれか1つに記載の使用。
実施形態83:
【0113】
固定化のために、実施形態39~44のいずれか1つに記載のL-核酸分子が使用される、実施形態82に記載の使用。
実施形態84:
【0114】
表面、好ましくはバイオセンサーの表面が、金、銀、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、タングステン、モリブデン、プラチナ、アルミニウム、鉄、鋼、銅、ニッケル、シリコン、ゲルマニウム、リン化インジウム、ヒ素ガリウム、および酸化物、窒化物または合金またはそれらの混合物、酸化インジウムスズ、ガラス状炭素、サファイア、ケイ酸塩ガラスおよびホウ酸塩ガラスからなる群から選択される、実施形態82または83に記載の使用。
実施形態85:
【0115】
表面、好ましくはバイオセンサーの表面は、ポリリジン、アミノシラン、エポキシシラン、ニトロセルロース、カルボキシデキストラン、カーボンナノメンブレン、酸化グラフェン、カーボン表面、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンプレート、カーボンクロス、活性炭、ガラス質カーボン、木炭、活性炭、黒鉛粉末、黒鉛繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン、カルボキシル基、アジド基、チオール基、ヒドロキシ基、エポキシド、マレイミド、アルキン、ひずみアルキン、またはそれらの任意の組み合わせによって修飾されている実施形態82~84のいずれか1つに記載の使用。
実施形態86:
【0116】
実施形態38~44のいずれか1つに記載のL-核酸分子の固定化のために、表面は、活性化された活性化一級アミン、チオール基、アジドまたはひずみシクロアルキンによって官能化され、好ましくは、ひずみシクロアルキンは、ジベンゾシクロオクチル(DBCO)、ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン(BCN)またはアザジベンゾシクロオクチン(ADIBO)を含む群から選択される、実施形態85に記載の使用。
実施形態87:
【0117】
実施形態42または43に記載のL-核酸分子の固定化のために、ひずみ促進アジド-アルキン環化付加が使用される、実施形態86に記載の使用。
実施形態88:
【0118】
バイオセンサーの検出システムが、光学的読み出し、質量変化、屈折指数、電荷、表面応力、および原子間力顕微鏡法に基づく、実施形態82~87のいずれか1つに記載の使用。
実施形態89:
【0119】
光学的読み出しに基づくバイオセンサーの検出システムが蛍光、吸収または発光である、実施形態88に記載の使用。
実施形態90:
【0120】
質量変化に基づくバイオセンサーの検出システムが水晶振動子微量天秤または微小電気機械システムである、実施形態85に記載の使用。
実施形態91:
【0121】
屈折指数に基づくバイオセンサーの検出システムが表面プラズモン共鳴、リング共振器、またはエリプソメトリーである、実施形態88に記載の使用。
実施形態92:
【0122】
電荷に基づくバイオセンサーの検出システムが、電気化学的インピーダンス、ボルタンメトリー、アンペロメトリー、電位差測定、導電率、または電界効果トランジスタである、実施形態88に記載の使用。
実施形態93:
【0123】
表面応力に基づくバイオセンサーの検出システムが、カンチレバーバイオセンサーである、実施形態88に記載の使用。
実施形態94:
【0124】
L-核酸分子が、L-核酸分子の検出を可能にする修飾基を含み、好ましくは修飾基が標識である、実施形態79~81のいずれか1つに記載の使用。
実施形態95:
【0125】
標識が、ビオチン、ブロモデオキシウリジン、ジゴキシゲニン、オリゴヌクレオチド、蛍光標識、電気化学発光標識、放射性標識、酵素標識、UVラベル、金コロイド、ナノ粒子、およびキレーター分子ラベルを含む群から選択される、実施形態94に記載の使用。
実施形態96:
【0126】
CXCL8を検出するためのキットであって、キットは、実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子と、少なくとも取扱説明書または反応容器とを含む。
実施形態97:
【0127】
サンプル中の実施形態1~50のいずれか1つで定義されるL-核酸を使用して、CXCL8を検出するための方法であって、この方法は、以下のステップを含む:
a)未知の濃度のCXCL8を含むサンプルを提供するステップと、
b)実施形態56~78のいずれか1つで定義されるとおり、サンプルまたはその希釈物を診断薬、診断手段、またはバイオセンサーと接触させるステップと、
c)実施形態56~78のいずれか1つで定義されるとおり診断薬、診断手段、またはバイオセンサーを用いてシグナルを測定するステップと、
d)任意により、シグナルを基準と比較するステップと、
e)任意により、未知のCXCL8濃度を有するサンプル中のCXCL8の濃度は、既知のCXCL8濃度を有する少なくとも1つのサンプルから得られたシグナルと比較することによって決定され、好ましくは、既知のCXCL8濃度を有する少なくとも1つのサンプルは、ステップb)からc)に従う。
実施形態98:
【0128】
実施形態1~50のいずれか1つに記載のL-核酸分子およびCXCL8を含む複合体であって、好ましくは、複合体は結晶性複合体である。
実施形態99:
【0129】
CXCL8によって媒介される活性のアンタゴニストをスクリーニングするための方法であって:
-CXCL8によって媒介される活性の候補アンタゴニストを提供するステップと、
-実施形態1~50のいずれか1つで定義されるL-核酸分子を提供するステップと、
-CXCL8によって媒介される活性のアンタゴニストの存在下でシグナルを提供する試験システムを提供するステップと、
-CXCL8によって媒介される活性の候補アンタゴニストがCXCL8によって媒介される活性のアンタゴニストであるかを決定するステップと、を含む。
実施形態100:
【0130】
サンプル中の実施形態1~50のいずれか1つで定義されるL-核酸を検出するための方法であって、この方法は、以下のステップを含む:
a)捕捉プローブおよび検出プローブを提供するステップであって、捕捉プローブは、実施形態1~50のいずれか1つで定義されているL-核酸分子の第1の部分および検出プローブに少なくとも部分的に相補的であり、検出プローブは、実施形態1~50のいずれか1つで定義されているL-核酸分子の第2の部分に少なくとも部分的に相補的であるか、あるいは、捕捉プローブは、実施形態1~50のいずれか1つで定義されているL-核酸分子の第2の部分に少なくとも部分的に相補的であり、検出プローブは、実施形態1~50のいずれか1つで定義されているL-核酸分子の第1の部分に少なくとも部分的に相補的である、提供するステップと、
b)実施形態1~50のいずれか1つで定義されているL-核酸分子を含むサンプル、または実施形態1~50のいずれか1つで定義されているL-核酸分子を含むと推定されるサンプルに、捕捉プローブおよび検出プローブを別々にまたは組み合わせて加えるステップと、
c)捕捉プローブおよび検出プローブが、実施形態1~50のいずれか1つまたはその一部で定義されるとおり、L-核酸分子と同時にまたは任意の順序で連続して反応することを可能にするステップと、
d)任意により、捕捉プローブが、ステップa)で提供される実施形態1~50のいずれか1つで定義されるとおりL-核酸分子にハイブリダイズするか否かを検出するステップと、
e)実施形態1~50のいずれか1つで定義されているL-核酸分子ならびに捕捉プローブおよび検出プローブからなる、ステップc)で形成された複合体を検出するステップと、を含む。
実施形態101:
【0131】
検出プローブが検出手段を含む、かつ/または捕捉プローブが支持体、好ましくは固体支持体に固定化される、実施形態100に記載の方法。
実施形態102:
【0132】
ステップc)で形成された複合体の一部ではない任意の検出プローブが反応から除去され、そのためステップe)において複合体の一部である検出プローブのみが検出される、実施形態100または101に記載の方法。
実施形態103:
【0133】
ステップe)が、実施形態1~50のいずれか1つで定義されるL-核酸分子またはその一部の存在下で、かつ実施形態1~50のいずれか1つで定義されるL-核酸分子の非存在下で、捕捉プローブおよび検出プローブをハイブリダイズするときに、検出手段によって生成されるシグナルを比較するステップを含む、実施形態100~102のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、本発明者らは驚くべきことに、本発明による生体安定性L-核酸分子がヒトCXCL8に特異的かつ高親和性で結合し、それによりCXCL8のその受容体への結合を効果的に阻害することを見出した。驚くべきことに、本発明者らは、CXCL8に特異的に結合し、阻害するが、関連するケモカインCXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6およびCXCL7にそれぞれ結合するおよび阻害することのない核酸分子を同定したが、これらのタンパク質は、ELRモチーフのようなCXCL8と構造的特徴を共有する。ピコモル範囲で示された親和性およびCXCL8結合核酸の高い選択性は予見できなかった。
【0135】
特に、本発明者らは、驚くべきことに、本発明による核酸分子が、CXCL8とその受容体との相互作用を遮断し、ピコモル範囲の阻害定数でCXCL8誘導性走化性を阻害するのに好適であることを見出した。これまでのところ、本発明による核酸分子はまた、CXCL8の効果、特にその受容体CXCR1および/またはCXCR2に対するCXCL8の効果のアンタゴニストと見なすことができる。好ましくは本明細書で使用されるように、CXCL8に対するアンタゴニストは、CXCL8に結合する分子(本発明による核酸分子など)であり、好ましくは実施例に記載されるin vitroアッセイにおいて、またはin vivoモデルにおいてCXCL8の機能を阻害する。
【0136】
本発明による核酸分子が核酸であるのは本発明の範囲内である。核酸および核酸分子という用語は、反対に示されない限り、本明細書では同義の方法で使用される。さらに、そのような核酸(複数可)は、好ましくは、本明細書では、本発明による核酸分子(複数可)、本発明による核酸(複数可)、本発明の核酸(複数可)または本発明の核酸分子(複数可)とも呼ばれる。
【0137】
本明細書に記載の本発明による核酸の特徴は、核酸が単独でまたは任意の組み合わせで使用される、その任意の実施形態など、本発明の任意の態様で実現することができる。本発明の一態様の任意の実施形態は、本発明のそれぞれおよび他の任意の態様の実施形態であることが認められるべきである。より具体的には、本発明の第1の態様の任意の実施形態は、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12および第13の態様のそれぞれおよびいずれかの実施形態でもある。
【0138】
本発明による核酸分子および組成物、好ましくはそれらを含む医薬組成物を使用することによって治療または予防することができる様々な疾患、状態および障害に関して、そのような疾患、状態および障害は、好ましくは、本明細書に記載されているもの、特に本出願の導入部分に記述され、記載されているものなどであることが認められなければならない。これまでのところ、本明細書のそれぞれの節および本明細書の導入部分は、疾患、状態、および障害のそれぞれに対する予防および治療に対する本明細書の核酸分子の適合性を教示する本開示の不可欠な部分を形成している。さらに、CXCL8-CXCR1受容体およびCXCL8-CXCR2受容体軸の生理学的効果がCXCL8のより高い血漿レベルに関連する場合、本発明による核酸分子が好ましい。
【0139】
好ましくは本明細書で使用される場合、CXCL8という用語は、これらに限定されないが、哺乳動物CXCL8など、任意のCXCL8を指す。好ましくは、哺乳動物CXCL8は、ヒト、サル、ウサギ、ブタ、イヌ、ヒツジ、ゼブラフィッシュ、およびモルモットCXCL8を含む群から選択される。より好ましくは、CXCL8は、ヒトCXCL8であり、好ましくは配列番号2によるアミノ酸配列を有する。
【0140】
請求項および実施例1においてより詳細に概説されるように、本発明者らは、驚くべきことに、ヒトCXCL8に結合できる複数の異なる核酸分子を同定することができた。
【0141】
本明細書でより詳細に概説されるように、本発明者らは、ヒトCXCL8に結合できる複数の異なるCXCL8核酸分子を同定し、それにより、核酸分子は、本明細書で開示されるものとしても言及されるヌクレオチドのストレッチに関して特徴付けられ得る(実施例1を参照されたい)。
【0142】
CXCL8に結合する本発明の異なるタイプのCXCL8結合核酸分子のそれぞれは、3つの異なるヌクレオチドストレッチ:ヌクレオチドの第1の末端ストレッチ、ヌクレオチドの中央ストレッチ、およびヌクレオチドの第2の末端ストレッチを含む。一般に、本発明のCXCL8結合核酸分子は、その5’末端および3’末端にそれぞれ、ヌクレオチドの末端ストレッチ、すなわち、ヌクレオチドの第1の末端ストレッチ、および/またはヌクレオチドの第2の末端ストレッチ(それぞれ、ヌクレオチドの5’末端ストレッチおよびヌクレオチドの3’末端ストレッチとも呼ばれる)を含む。ヌクレオチドの第1の末端ストレッチおよびヌクレオチドの第2の末端ストレッチは、原則として、それらの塩基相補性のために、互いにハイブリダイズすることができ、それにより、ハイブリダイゼーション時に二本鎖構造が形成される。しかし、そのようなハイブリダイゼーションは、生理学的および/または非生理学的条件下で分子内で必ずしも実現されるとは限らない。CXCL8結合核酸分子のヌクレオチドの3つのストレッチ(ヌクレオチドの第1の末端ストレッチ、ヌクレオチドの中央ストレッチ、およびヌクレオチドの第2の末端ストレッチ)は、5’->3’方向:ヌクレオチドの第1の末端ストレッチ-ヌクレオチドの中央ストレッチ-ヌクレオチドの第2の末端ストレッチに互いに配置されている。あるいは、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチ、ヌクレオチドの中央ストレッチ、およびヌクレオチドの第1の末端ストレッチは、5’->3’方向に互いに配置されている。
【0143】
本発明による核酸のヌクレオチドの中央ストレッチの長さは、好ましくは32または33ヌクレオチドである。
【0144】
本発明による核酸のヌクレオチドの第1の末端ストレッチの長さは、3~6ヌクレオチド、好ましくは5~6ヌクレオチド、より好ましくは5ヌクレオチドである。
【0145】
本発明による核酸のヌクレオチドの第2の末端ストレッチの長さは、3~6ヌクレオチド、好ましくは5~6ヌクレオチド、より好ましくは5ヌクレオチドである。
【0146】
「ストレッチ」および「ヌクレオチドのストレッチ」という用語は、反対に示されない限り、本明細書では同義の方法で使用される。
【0147】
異なるCXCL8結合核酸分子間の定義されたストレッチの配列の差は、CXCL8への結合親和性に影響を与え得る。本発明の異なるCXCL8結合核酸分子の結合分析に基づいて、中央ストレッチおよびそれを形成するヌクレオチドは、個別に、より好ましくは全体として、CXCL8結合核酸分子のCXCL8への結合に不可欠である。
【0148】
好ましい実施形態では、本発明による核酸分子は、単一の核酸分子である。さらなる実施形態では、単一の核酸分子は、多数の単一の核酸分子として、または多数の単一の核酸分子種として存在する。
【0149】
本発明による核酸分子は、好ましくは、ホスホジエステル結合または連結を介して、好ましくは、互いに共有結合により連結しているヌクレオチドからなることが当業者によって認められるであろう。
【0150】
本発明による核酸分子が、原則として互いにハイブリダイズすることができる2つ以上のストレッチまたはその一部(複数可)を含むことは、本発明の範囲内である。そのようなハイブリダイゼーションの際に、二本鎖構造が形成される。そのようなハイブリダイゼーションは、特にin vitroおよび/またはin vivo条件下で起こり得るか、または起こり得ないことが当業者によって認められるであろう。また、ハイブリダイゼーションの場合、そのようなハイブリダイゼーションは、少なくとも塩基対形成の規則に基づいて、そのようなハイブリダイゼーション、したがって二本鎖構造の形成が原則として起こり得る、2つのストレッチの全長にわたって必ずしも生じるとは限らない。好ましくは本明細書で使用される場合、二本鎖構造は、核酸分子の一部、または核酸分子の一本鎖の2つ以上の別個の鎖もしくは2つの空間的に分離されたストレッチによって形成される構造であり、それにより、好ましくは、ワトソン-クリック塩基対規則に従って塩基対を形成する少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の塩基対が存在する。当業者は、Hoogsten塩基対などの他の塩基対がそのような二本鎖構造に存在するか、またはそのような二本鎖構造を形成し得ることも認められるであろう。2つのストレッチがハイブリダイズするという特徴は、そのようなハイブリダイゼーションが実際にin vivoおよび/またはin vitroで生じるか否かに関係なく、2つのストレッチの塩基相補性のためにそのようなハイブリダイゼーションが起こると想定されることを好ましくは示すことも認められるべきである。本発明に関連して、そのようなストレッチは、ヌクレオチドの第1の末端ストレッチおよびヌクレオチドの第2の末端ストレッチであり、一実施形態では、上記で定義されるようにハイブリダイズされ得る。
【0151】
好ましい実施形態では、本明細書で使用される配置という用語は、本明細書に開示される核酸分子(複数可)に関連して本明細書に記載の構造的または機能的特徴または要素の順序または配列を意味する。
【0152】
本発明による核酸分子はまた、本明細書に開示される特定の配列に本質的に相同である核酸を含まなければならない。実質的に相同であるという用語は、相同性が少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%、96%、97%、98%または99%を超えるように理解されなければならない。
【0153】
本発明による核酸分子中に存在する相同ヌクレオチドの実際のパーセンテージは、核酸分子中に存在するヌクレオチドの総数に依存するであろう。修飾率は、核酸分子内に存在するヌクレオチドの総数に基づき得る。
【0154】
2つの核酸分子間の相同性は、当業者において公知であるように決定できる。より具体的には、配列比較アルゴリズムを使用して、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列(複数可)の配列相同率を計算してもよい。試験配列は、好ましくは、異なる核酸分子に対して、相同であると言われるか、または相同であるか否か、また相同であれば、どの程度相同であるか試験されると言われる配列または核酸分子であり、それにより、そのような異なる核酸分子も、参照配列として参照される。一実施形態では、参照配列は、本明細書に記載の核酸分子であり、好ましくは、配列番号14~26、および39~44、好ましくは、配列番号16、配列番号17、配列番号25、および配列番号26、配列番号39、配列番号40、配列番号20、および配列番号41~44のいずれか1つに記載の配列を有する核酸分子である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith&Watermanのローカルホモロジーアルゴリズムによって(Smith&Waterman、1981年)、Needleman&Wunschの相同性アラインメントアルゴリズムによって(Needleman&Wunsch、1970年)、Pearson&Lipman(Pearson&Lipman、1988)の相似法の検索によって、これらのアルゴリズムのコンピューター化された実装(Wisconsin Genetics Software PackageのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.)によって、または目視検査によって行うことができる。
【0155】
配列同一率を決定するのに好適であるアルゴリズムの一例は、基本的なローカルアラインメント検索ツールで使用されるアルゴリズムである(「以下「BLAST」)、例えば、Altschulら(Altschulら、1990年およびAltschulら、1997年)を参照のこと。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(以下、「NCBI」)を通じて公に入手可能であるNCBIから入手可能なソフトウェアを使用して配列同一性を決定する際に使用するデフォルトのパラメータ、例えば、BLASTN(ヌクレオチド配列用)およびBLASTP(アミノ酸配列用)は、McGinnisら(McGinnisら、2004年)に記載されている。
【0156】
本発明による核酸分子はまた、本明細書に開示され、かつ記載され、それらのヌクレオチド配列によって定義される核酸に対してある程度の同一性を有する核酸分子を含まなければならない。より好ましくは、本発明はまた、本明細書に開示され、記載され、そのヌクレオチド配列またはその一部によって定義される核酸分子に対して少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%、96%、97%、98%または99%を超える同一性を有する核酸分子を含む。
【0157】
本発明の核酸または本発明による核酸分子という用語はまた、好ましくは、核酸分子またはその一部がヒトCXCL8への結合に関与する程度まで、本明細書に開示または記載されている核酸配列を含む核酸分子またはその一部も含むものとする。一実施形態では、そのような核酸は、本明細書に記載または開示されている核酸分子の1つ、またはその誘導体および/またはその代謝産物であり、それにより、そのような誘導体および/または代謝産物は、好ましくは、本明細書に記載または開示されている核酸分子と比較して短縮型核酸分子である。短縮化は、本明細書に開示または記載されているとおり、核酸分子の末端のいずれかまたは両方に関連し得る。また、短縮化は、核酸分子のヌクレオチドの内部配列に関連し得る。すなわち、それぞれ5’末端ヌクレオチドと3’末端ヌクレオチドとの間のヌクレオチド(複数可)に関連し得る。さらに、短縮化は、本明細書に開示の核酸の配列からのわずかに1つのヌクレオチドの欠失を含むものとする。短縮化はまた、本明細書に記載または開示されている核酸(複数可)の複数のストレッチに関連し得、それにより、ストレッチは、わずか1ヌクレオチド長であり得る。本発明による核酸分子の結合は、当業者によって、ルーチン実験を使用して、または本明細書に記載の方法、好ましくは本明細書に実施例部分に記載の方法を使用するかまたは採用することによって決定できる。
【0158】
本発明による核酸分子は、D-核酸分子またはL-核酸分子のいずれかであり得る。好ましくは、本発明による核酸分子は、L-核酸分子である。
【0159】
一実施形態では、それらの核酸配列(複数可)に関して本明細書に完全に記載されている核酸分子のそれぞれおよびいずれかが、特定の示されたヌクレオチド配列(複数可)に限定されることもまた、本発明の範囲内である。換言すれば、「含んでいる(comprising)」または「含む(comprise)」という用語は、そのような実施形態では、含む(containing)またはからなる(consisting of)という意味で解釈されるものとする。
【0160】
本発明による核酸分子が長い核酸分子の一部であり、それによりこの長い核酸が、いくつかの部分を含み、それにより少なくとも1つのそのような部分が本発明による核酸またはその一部であることもまた本発明の範囲内である。そのような長い核酸分子の他の部分(複数可)は、1つもしくはいくつかのd-核酸分子または1つもしくはいくつかのl-核酸分子のいずれかであり得る。本発明に関連して、任意の組み合わせを使用してもよい。長い核酸分子のこれらの他の部分(複数可)は、単独で、またはそれらの全体または特定の組み合わせのいずれかで一緒になって、結合とは異なる、好ましくはCXCL8への結合とは異なる機能を呈することができる。1つの可能な機能は、他の分子との相互作用を可能にすることであり、それにより、そのような他の分子は、好ましくは、例えば、固定化、架橋、検出または増幅のために、CXCL8とは異なる。本発明のさらなる実施形態では、本発明による核酸分子は、個々の部分または組み合わされた部分として、本発明のいくつかの核酸分子を含む。本発明のいくつかの核酸を含むそのような核酸分子はまた、長い核酸という用語に含まれる。
【0161】
本明細書で使用されるL-核酸は、L-ヌクレオチドからなる、好ましくは完全にL-ヌクレオチドからなる核酸または核酸分子である。
【0162】
本明細書で使用されるD-核酸は、D-ヌクレオチドからなる、好ましくは完全にD-ヌクレオチドからなる核酸または核酸分子である。
【0163】
核酸および核酸分子という用語は、反対に明示的に示されていない限り、本明細書では同義的方法で使用される。
【0164】
また、反対に示されない限り、任意のヌクレオチド配列は、本明細書において5’->3’方向に示されている。
【0165】
好ましくは本明細書で使用されるように、ヌクレオチドの任意の位置は、そのようなヌクレオチドを含む配列、ストレッチまたはサブストレッチの5’末端に対して決定されるかまたは参照される。したがって、第2のヌクレオチドは、配列の5’末端から数えて第2のヌクレオチドであり、それぞれストレッチおよびサブストレッチである。また、それに応じて、最後から2番目のヌクレオチドは、それぞれ配列、ストレッチおよびサブストレッチの3’末端から数えて2番目のヌクレオチドである。
本発明による核酸分子は、リボヌクレオチドからなり、ここで、
Gは、グアノシン-5’一リン酸であり、
Cは、シチジン5’-一リン酸であり、
Aは、アデノシン-5’-一リン酸であり、
Uは、ウリジン-5’一リン酸である。
【0166】
リボヌクレオチド配列モチーフの定義には、あいまいなヌクレオチドのIUPAC略語が使用される:
S 強力 GまたはC;
W 弱い AまたはU(T);
R プリン GまたはA;
Y ピリミジン CまたはU(T);
K ケト GまたはU(T);
M イミノ AまたはC;
B Aではない CまたはU(T)またはG;
D Cではない AまたはGまたはU(T);
H Gではない AまたはCまたは(T);
V Uではない AまたはCまたはG;
N すべて AまたはGまたはCまたはU(T)。
【0167】
本発明の核酸分子をL-核酸分子として設計することは、いくつかの理由で有利である。L-核酸分子は、天然に存在する核酸分子の鏡像異性体である。しかし、D-核酸分子は、ヌクレアーゼが広く存在するため、水溶液、特に生体系または生体サンプル内ではあまり安定していない。天然に存在するヌクレアーゼ、特に動物細胞由来のヌクレアーゼは、L-核酸を分解することができない。このため、L-核酸分子の生物学的半減期は、動物およびヒトの身体など、このような系において大幅に増加する。L-核酸分子の分解性が欠如しているため、ヌクレアーゼ分解生成物は生成されず、したがって、動物およびヒトの身体など、そのような系において観察される生物学的半減期から生じる副作用はない。この態様では、L-核酸分子を、CXCL8の存在を伴う疾患および/または障害の治療において使用される事実上他のすべての化合物と区別する。ワトソンクリック塩基対形成とは異なるメカニズムを介して標的分子に特異的に結合するL-核酸分子、または部分的もしくは完全にL-ヌクレオチドからなる、特に、アプタマーの標的分子への結合に関与しているアプタマーのそれらの部分を有するアプタマーは、シュピーゲルマーとも呼ばれる。アプタマーおよびシュピーゲルマーそれ自体は当業者に公知であり、とりわけ、「The Aptamer Handbook」(Klussmann編、2006年)に記載されている。
【0168】
本発明の核酸分子は、D-核酸分子、L-核酸分子またはD、L-核酸分子として存在するか否かに関係なく、一本鎖または二本鎖核酸分子として存在し得ることもまた本発明の範囲内である。典型的には、核酸分子は、その一次配列のために定義された二次構造を呈し、したがって三次構造も形成し得る一本鎖核酸分子である。しかし、核酸分子はまた、互いに相補的であるかまたは部分的に相補的である2つの鎖が互いにハイブリダイズすることを意味する二本鎖であり得る。
【0169】
本発明の核酸分子は修飾され得る。そのような修飾は、核酸分子の単一ヌクレオチドに関連し得、当技術分野では周知されている。このような修飾の例は、とりわけ、Venkatesanら、(Venkatesanら、2003年)およびKusser(Kusser,2000年)によって記載されている。そのような修飾は、核酸分子を構成する個々のヌクレオチドのすべてのいくつかのうちの1つの2’位にあるH原子、F原子またはO-CH3基またはNH2基であり得る。また、本発明による核酸分子は、少なくとも1つのLNAヌクレオチドを含むことができる。一実施形態では、本発明による核酸分子は、LNAヌクレオチドからなる。
【0170】
一実施形態では、本発明による核酸分子は、多分割核酸分子であり得る。本明細書で使用される多分割核酸分子は、少なくとも2つの別個の核酸鎖からなる核酸分子である。これらの少なくとも2つの核酸鎖は、機能ユニットを形成し、それにより、機能ユニットは、CXCL8の場合、標的分子に対するリガンドであり、好ましくは、標的分子に対するアンタゴニストである。少なくとも2つの核酸鎖は、本発明の核酸分子を切断して少なくとも2つの鎖を生成することによる、または本発明の全長核酸分子の第1の部分に対応する1つの核酸分子と、本発明の全長核酸分子の別の部分に対応する別の核酸分子とを合成することによる、本発明の核酸分子のいずれかに由来し得る。全長核酸分子を形成する部分の数に応じて、必要なヌクレオチド配列を有する対応する数の部分が合成されるであろう。上記に例示したとおり2つ以上の鎖が存在する多分割核酸分子を生成するために、切断アプローチおよび合成アプローチの両方を適用され得ることを認めるものとする。換言すれば、少なくとも2つの別個の核酸鎖は、典型的には、相補的であり、互いにハイブリダイズする2つの鎖とは異なるが、少なくとも2つの別個の核酸鎖間に、ある程度の相補性が存在し得、それにより、そのような相補性は、別個の鎖のハイブリダイゼーションをもたらし得る。
【0171】
最後に、本発明による核酸分子の完全に閉じた、すなわち円形の構造が実現される。すなわち、本発明による核酸分子が、一実施形態において、好ましくは、共有結合による連結を介して閉じられ、それにより、より好ましくは、そのような共有結合による連結が、本明細書に開示の本発明の核酸分子またはその任意の誘導体の核酸配列の5’末端と3’末端との間に作られることは本発明の範囲内である。
【0172】
本発明による核酸分子の結合定数を決定する可能性は、本発明による核酸分子が好ましいKD値範囲を呈するという上記の発見を確認する、実施例3および4に記載の方法の使用である。個々の核酸分子と標的との間の結合の強度を表すための適切な尺度は、本発明のCXCL8である場合、その決定のための方法と同様に当業者に公知であるいわゆるKD値である。
【0173】
好ましくは、本発明による核酸によって示されるKD値は、1μM未満である。KD値約1μMは、標的への核酸の非特異的結合に特徴的であると言われている。当業者によって認められるように、本発明による核酸分子などの化合物の群のKD値は、特定の範囲内にある。上記のKD約1μMは、KD値の好ましい上限である。標的結合核酸のKDの下限は、約10ピコモル程度である場合もあってもよく、またはそれより高くてもよい。CXCL8に結合する個々の核酸のKD値が、好ましくはこの範囲内にあることが本発明の範囲内である。好ましい範囲は、この範囲内の任意の第1の数およびこの範囲内の任意の第2の数を選択することにより定義され得る。好ましい上限KD値は、250nM、100nMおよび20nMであり、好ましい下限KD値は、10nM以下、1nM以下、100pM以下および30pM以下である。より好ましい上限KD値は、20nMであり、より好ましい下限KD値は、30pM以下である。
【0174】
本発明による核酸分子の結合特性に加えて、本発明による核酸分子は、本発明の場合CXCL8であるそれぞれの標的分子の機能を阻害する。CXCL8の機能の阻害-例えば、前述のそれぞれの受容体の刺激-は、本発明による核酸分子のCXCL8への結合ならびに本発明による核酸分子およびCXCL8の複合体を形成することによって達成される。核酸分子とCXCL8とのそのような複合体は、CXCL8によって通常刺激される受容体、すなわち、本発明の核酸分子との複合体には存在しないCXCL8を刺激することができない。したがって、本発明による核酸分子による受容体機能の阻害は、CXCL8によって刺激され得るそれぞれの受容体から独立しているが、これは、本発明による核酸分子によるCXCL8による受容体の刺激を防止することから生じる。
【0175】
本発明による核酸分子の阻害定数を決定できることは、本発明による核酸分子が、治療的治療スキームにおける核酸の使用を可能にする好ましい阻害定数を呈するという上記の発見を確認する実施例5に記載の方法の使用である。本発明の場合はCXCL8およびそれぞれの受容体である標的の相互作用に対する個々の核酸分子の阻害効果の強度を表すための適切な尺度は、そのようなものとして、その決定のための方法が、当業者に公知であるいわゆる最大阻害濃度の半分(略称IC50)である。
【0176】
好ましくは、本発明による核酸分子によって示されるIC50値は、1μM未満である。IC50値約1μMは、核酸分子による標的機能の非特異的阻害に特徴的であると言われている。当業者によって認められるように、本発明による核酸分子などの化合物の群のIC50値は、特定の範囲内にある。上記のIC50約1μMは、IC50値の好ましい上限である。標的結合核酸分子のIC50の下限は、約10ピコモル程度である場合もあってもよく、またはそれより高くてもよい。CXCL8に結合する個々の核酸のIC50値が、好ましくはこの範囲内にあることが本発明の範囲内である。好ましい範囲は、この範囲内の任意の第1の数およびこの範囲内の任意の第2の数を選択することにより定義され得る。好ましい上限IC50値は、250nMおよび100nMおよび20nMであり、好ましい下限IC50値は、10nM以下、1nM以下、500pM以下、および260pM以下である。より好ましい上限IC50値は、20nMであり、より好ましい下限IC50値は、260pM以下である。
【0177】
本発明による核酸分子は、依然として標的分子に結合できるという条件で、任意の長さを有し得る。本発明による核酸分子の好ましい長さが存在することが当技術分野で認められるであろう。典型的には、長さは15~120ヌクレオチドである。当業者であれば、15~120の任意の整数が、本発明による核酸分子の可能な長さであることを認めるであろう。本発明による核酸分子の長さのより好ましい範囲は、約20~100ヌクレオチド、約20~80ヌクレオチド、約20~60ヌクレオチド、約38~45ヌクレオチド、および約40~45ヌクレオチドの長さである。
【0178】
本発明の核酸分子が、好ましくは高分子量部分である部分、および/または好ましくは、動物の身体、好ましくはヒトの身体において、とりわけ滞留時間に関して核酸分子の特性を修飾することを可能にする部分を含むことは、本発明の範囲内である。そのような修飾の特に好ましい実施形態は、本発明による核酸分子のPEG化およびHES化である。本明細書で使用される場合、PEGは、ポリ(エチレングリコール)を表し、HESはヒドロキシエチルスターチを表す。好ましくは、本明細書で使用されるPEG化は、本発明による核酸分子の修飾であり、それにより、そのような修飾は、本発明による核酸分子に付着したPEG部分からなる。好ましくは、本明細書で使用されるHES化は、本発明による核酸分子の修飾であり、それにより、そのような修飾は、本発明による核酸分子に付着したHES部分からなる。これらの修飾、ならびにそのような修飾を使用して核酸分子を修飾するプロセスは、欧州特許出願第1 306 382号および国際公開第2018099600(A1)号に記載されており、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0179】
そのような高分子量部分であるPEGの場合、分子量は、好ましくは約20,000~約120,000Da、より好ましくは約30,000~約80,000Da、最も好ましくは約40,000Daである。別の好ましい実施形態では、PEGは、国際公開第03076490号に記載されているようなPEGである。HESがそのような高分子量部分である場合、分子量は、好ましくは約50kDa~約1000kDa、より好ましくは約100kDa~約700kDa、最も好ましくは200kDa~500kDaである。HESは、0.1~1.5、より好ましくは1~1.5のモル置換を示し、約0.1~15、好ましくは約3~10のC2/C6比として表される置換グレードを呈する。HES修飾のプロセスは、例えば、独国特許出願公開第1 2004 006 249.8号に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0180】
修飾は、原則として、本発明の核酸分子の任意の位置で行うことができる。好ましくは、そのような修飾は、核酸分子の5’末端ヌクレオチド、3’末端ヌクレオチド、および/または5’ヌクレオチドと3’ヌクレオチドとの間の任意のヌクレオチドのいずれかに対して行われる。
【0181】
修飾、好ましくはPEGおよび/またはHES部分は、直接的または間接的に、好ましくはリンカーを介して間接的に、本発明の核酸分子に付着させることができる。本発明による核酸分子が1つ以上の修飾、好ましくは1つ以上のPEG部分および/またはHES部分を含むこともまた本発明の範囲内である。一実施形態では、個々のリンカー分子は、本発明による核酸分子に2つ以上のPEG部分またはHES部分を付着させる。本発明に関連して使用されるリンカーは、それ自体が直鎖または分枝鎖のいずれかであり得る。この種のリンカーは当業者に公知であり、国際公開第2005/074993号および同第2003/035665号にさらに記載されている。
【0182】
好ましい実施形態では、リンカーは生分解性リンカーである。生分解性リンカーは、とりわけ、動物の身体内、好ましくはヒトの身体における滞留時間に関して、本発明による核酸分子からの修飾の放出により、本発明による核酸分子の特性を修飾することが可能になる。生分解性リンカーを使用することにより、本発明による核酸分子の滞留時間のより良好な制御が可能になり得る。そのような生分解性リンカーの好ましい実施形態は、これらに限定されないが、国際公開第2006/052790号、国際公開第2008/034122号、国際公開第2004/092191号および国際公開第2005/099768号などに記載されている生分解性リンカーである。
【0183】
修飾または修飾基が生分解性修飾であり、それにより、生分解性修飾を、直接的または間接的に、好ましくはリンカーを介して、本発明の核酸分子に付着させることができるのは、本発明の範囲内である。生分解性修飾は、とりわけ、動物の身体内、好ましくはヒトの身体における滞留時間に関して、本発明による核酸分子からの修飾の放出または分解により、本発明による核酸分子の特性を修飾することが可能になる。生分解性修飾を使用することにより、本発明による核酸分子の滞留時間のより良好な制御が可能になり得る。そのような生分解性修飾の好ましい実施形態は、これらに限定されないが、国際公開第2002/065963号、国際公開第2003/070823号、国際公開第2004/113394号および国際公開第2000/41647号、好ましくは国際公開第2000/41647号、18ページ、4~24行に記載されている生分解性である。
【0184】
さらに好ましい実施形態では、リンカーは、以下の構造のものである:
【化1】
【0185】
それぞれのリンカーは、例えば、国際公開第2015/062743号に開示されている。上記の構造から明らかなように、リンカーは、2つの別個のPEG部分を、本発明による核酸分子のヌクレオチドのリン酸部分のOH基に連結する。
【0186】
上記の修飾に加えて、他の修飾を使用して、本発明による核酸分子の特性を修飾することができ、それにより、そのような他の修飾は、タンパク質、コレステロールなどの脂質、およびアミラーゼ、デキストランなどの糖鎖の群から選択され得る。
【0187】
いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、本発明による核酸分子を、ポリマー、より具体的には、好ましくは生理学的に許容される、本明細書に開示されるポリマーの1つまたはいくつかなどの高分子量部分により修飾することによって、本発明の修飾された核酸分子が投与される動物またはヒトの身体から、このように修飾された本発明の核酸分子の排泄動態が変化する。より具体的には、本発明の修飾された核酸分子の分子量の増加により、および本発明の核酸分子が代謝を受けないことにより、特に、L型の場合、すなわちL-核酸分子である場合、動物の身体から、好ましくは哺乳動物の身体から、より好ましくはヒトの身体からの排泄が減少する。典型的には、排泄は腎臓を介して起こるので、本発明者らは、このように修飾された核酸分子の糸球体濾過速度が、この種の高分子量修飾を有さない核酸分子と比較して有意に遅く、その結果、動物の身体内の修飾された核酸分子の滞留時間が増長すると仮定している。これに関連して、そのような高分子量の修飾にもかかわらず、本発明による核酸分子の特異性が有害な方法で影響を受けないことは特に注目に値する。これまでのところ、本発明による核酸分子は、とりわけ、本発明による核酸分子の持続放出をもたらすために、持続放出をもたらす医薬製剤は必ずしも必要ではないという(通常、薬学的に活性な化合物からは期待できない)驚くべき特徴を有する。むしろ、高分子量部分を含むその修飾形態の本発明による核酸分子は、その修飾のために、すでに徐放性製剤から放出されたかのように作用するので、それ自体、徐放性製剤としてすでに使用することができる。これまでのところ、本明細書に開示される本発明による核酸分子、および本発明によるこのように修飾された核酸分子およびそれを含む任意の組成物の修飾(複数可)は、別個の、好ましくは制御された薬物動態およびその生体内分布を提供し得る。これには、動物およびヒトの身体の循環における滞留時間、およびそのような動物およびヒト内の組織への分布も含む。そのような修飾は、国際公開第2003/035665号にさらに記載されている。
【0188】
しかし、本発明による核酸分子がいかなる修飾も含まず、特にPEGまたはHESなどの高分子量修飾を含まないことも本発明の範囲内である。このような実施形態は、本発明による核酸分子が、好ましくは、身体内の任意の標的器官または組織に分布する場合、または投与後の本発明による核酸分子の身体からの迅速なクリアランスが望まれる場合に特に好ましい。身体内の任意の標的器官または組織に対する好ましくい分布プロファイルを有する本明細書に開示の本発明による核酸分子では、核酸分子の全身濃度を低く保ちながら、標的組織における有効な局所濃度の確立が可能になる。これは、経済的観点から有益であるのみでなく、核酸分子への他の組織の不必要な曝露を減少させ、したがって副作用の潜在的なリスクを減少させる低用量の使用が可能になる。とりわけ、本発明による核酸分子またはそれを含む医薬品を使用するin vivoイメージングまたは特定の治療的投薬要件の場合、投与後の身体からの本発明による核酸分子の迅速なクリアランスが望まれ得る。
【0189】
本発明による核酸または(本発明による)核酸分子とも呼ばれる本発明の核酸、および/または本発明によるアンタゴニストは、医薬品の生成または製造のために使用され得る。本発明によるそのような医薬品または医薬組成物は、本発明の核酸の少なくとも1つを、任意によりさらなる薬学的に活性な化合物と共に含み、それにより、本発明の核酸は、好ましくは、薬学的に活性な化合物自体として作用する。そのような医薬品は、好ましい実施形態では、少なくとも薬学的に許容される担体を含む。そのような担体は、例えば、水、緩衝液、PBS、グルコース溶液、好ましくは5%グルコース塩平衡溶液、デンプン、糖、ゼラチンまたは他の任意の許容可能な担体物質であり得る。そのような担体は、一般に当業者に公知である。本発明の医薬品の任意の実施形態、使用および態様またはそれらに関連する態様は、本発明の医薬組成物および本明細書に開示しているかまたは記載されている任意の疾患の治療および/または予防および/または診断に使用するための本発明による核酸分子にも適用可能であり、逆もまた同様であることは、当業者によって認められるであろう。
【0190】
本発明に従って、または本発明に従って調製された核酸、医薬組成物および医薬品の治療および/または予防のための適応症、疾患および障害は、それぞれの病因メカニズムにおけるCXCL8の直接的関与または間接的関与のいずれかから生じる。
【0191】
CXCL8(UniProtKB/Swiss-Prot P10145、IL8_HUMAN;配列番号2)(インターロイキン8(IL-8)としても公知である)、好中球活性化タンパク質1(NAP-1)、単球由来好中球走化性因子(MDNCF)、または顆粒球走化性タンパク質1(GCP-1)は、N末端にグルタミン酸-ロイシン-アルギニン(ELR)モチーフを特徴とする炎症誘発性および血管新生促進性の特性を有するCXCケモカインのサブファミリーに属する小さい塩基性タンパク質である。ELR陽性ケモカインCXCL1(成長調節アルファタンパク質、Gro-アルファ、メラノーマ成長刺激活性、MGSA、またはNAP-3としても公知である)、CXCL2(Gro-ベータまたはマクロファージ炎症性タンパク質2-アルファ、MIP2-アルファとしても公知である)、CXCL3(Gro-ガンマまたはMIP2-ベータとしても公知である)、CXCL5(上皮由来好中球活性化タンパク質78、ENA-78、または小誘導性サイトカインB5としても公知である)、CXCL6(ケモカインアルファ3、CKA-3、顆粒球走化性タンパク質2、GCP-2、または小誘導性サイトカインB6としても公知である)、CXCL7(血小板塩基性タンパク質、PBP、白血球由来成長因子、LDGF、マクロファージ由来成長因子、MDGF、または小誘導性サイトカインB7としても公知である)、およびCXCL8は、受容体CXCR2(IL8RB、IL8R2型、CD182、CDw128b、またはGRO/MGSA受容体としても公知である)のアゴニストである。CXCL6、CXCL7、およびCXCL8は、受容体CXCR1(IL8RA、IL8Rタイプ1、CD181、またはCDw128aとしても公知である)のアゴニストである。CXCL8は、受容体CXCR1およびCXCR2に約4nMの同様の親和性で結合する。CXCR1/2に結合するCXCL8は、Gαi依存性シグナル伝達経路をトリガーし、例えば、好中球の移動、脱顆粒、および酸化的バーストを誘発する。受容体の感受性は、リン酸化、ベータアレスチンの動員、および受容体の内在化によって調節できる(Ha、Theranostics 2017年)。CXCL7は、33の同一のアミノ酸を有するCXCL8と最も高い相同性を有する。非ヒト霊長類(アカゲザル、カニクイザル)由来のCXCL8は、ヒトCXCL8と95%の同一性(77のアミノ酸のうち73のアミノ酸が同一)を共有している。マウスおよびラットにはCXCL8のオルソログはない。
【0192】
当然のことながら、本発明によるCXCL8結合核酸分子は、ヒトCXCL8と相互作用するか、またはヒトCXCL8に結合するので、当業者であれば、本発明によるCXCL8結合核酸分子が、本明細書に記載のヒトおよび動物の任意の疾患の治療、予防、および/または診断に容易に使用できることが一般に理解されるであろう。これに関連して、本発明による核酸分子は、そのような疾患、障害および状態の根底にある作用機序に関係なく、本明細書に記載の疾患、障害または状態のいずれかの治療および/または予防に使用できることを認めるものとする。
【0193】
以下において、いかなる理論にも拘束されることを望まないが、様々な疾患、障害および状態に関連して本発明による核酸分子を使用することの合理性が提供され、したがって、妥当な(plausible)本発明による核酸分子の請求された治療的、予防的および診断的適用可能性がもたらされる。不必要な繰り返しを回避するために、それに関連して概説されるCXCL8-CXCL8受容体軸の関与のために、この軸は、請求された治療的、予防的および診断的効果が達成されるように、本発明による核酸分子によって指定され得ることが認められるものとする。さらに、患者の疾患、障害および状態の特殊性、ならびにそれに関連して記載された治療レジメンの詳細はいずれも、本出願の好ましい実施形態の対象となり得ることを認めるものとする。
【0194】
CXCL8およびその受容体は、いくつかの炎症性疾患の病態生理学に関係しているかまたは関与しており、そのような炎症性疾患の治療のためにCXCL8を阻害する可能性は、動物疾患モデルによって裏付けられている。本発明による医薬品が使用され得る治療および/または予防のための炎症性疾患および/または障害および/または病状には、これらに限定されないが、以下が挙げられる:
呼吸器系炎症性疾患
a.慢性閉塞性肺疾患
b.急性呼吸窮迫症候群
c.喘息およびアレルギー性炎症
d.気管支炎、細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支拡張症
e.肺線維症などの間質性肺疾患
f.嚢胞性線維症
g.肺移植
h.身体的傷害によって引き起こされた肺の損傷、例えばタバコの煙、虚脱後の再膨張、高酸素症
i.細菌感染症、ウイルス感染症、または真菌感染症(肺炎)によって引き起こされる肺損傷
皮膚炎症性疾患
a.好中球性皮膚病
b.乾癬
c.水疱性類天疱瘡
d.表皮水疱症
e.化膿性汗腺炎
f.神経皮膚炎
g.湿疹
自己免疫疾患
a.炎症性腸疾患
b.潰瘍性大腸炎
c.多発性硬化症
d.関節リウマチ
e.1型糖尿病
f.強直性脊椎炎
神経疾患
a.神経スウィート病
b.アルツハイマー病
虚血再灌流傷害
a.脳卒中
b.心筋梗塞
c.脳虚血および梗塞
他の炎症性疾患
a.アテローム性動脈硬化症
b.膵島移植拒絶反応
c.臓器移植拒絶反応および/または機能遅延
d.脊髄損傷
e.膀胱炎
(Russo、Expert Rev Clin Immunol 2014年およびHa、Theranostics 2017年によるレビュー)。
【0195】
CXCL8はヒトの癌で過剰発現しており、実験的癌モデルは、癌の治療について、CXCL8を阻害する可能性を裏付けるものである。したがって、本発明による医薬品が使用され得る治療および/または予防のための疾患および/または障害および/または病状には、これらに限定されないが、以下が挙げられる:
a.肺癌
b.大腸癌
c.結腸直腸癌
d.前立腺癌、ホルモン抵抗性前立腺癌など
e.膵癌
f.肝癌
g.乳癌
h.卵巣癌
i.甲状腺癌
j.メラノーマ
k.膠芽腫
l.骨肉腫
m.食道癌
n.血液癌(白血病およびリンパ腫)
o.PTENが不十分な腫瘍
p.P53変異腫瘍
q.Kras変異腫瘍
r.化学療法剤、抗血管新生剤、チロシンキナーゼ阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤による治療に耐性のある癌など、治療抵抗性癌。
【0196】
さらなる実施形態では、医薬品は、癌および/または腫瘍の治療のためのさらなる薬学的に活性な剤を含む。そのようなさらなる薬学的に活性な化合物は、とりわけ、これらに限定されないが、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗血管新生剤、有糸分裂阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞シグナル伝達阻害剤、ホルモン、抗体、免疫コンジュゲートおよび融合タンパク質として抗腫瘍活性物質に知られているものである。
【0197】
癌および/または腫瘍の治療のための他の薬学的に活性な化合物は、免疫療法剤である。そのようなさらなる薬学的に活性な化合物は、これらに限定されないが、とりわけ、チェックポイント阻害剤、癌ワクチン、免疫刺激剤、細胞、癌治療である。
【0198】
他の薬学的に活性な化合物は、これらに限定されないが、とりわけ、ブレオマイシンに対して公知であるもの、ラルチトレキセドおよびペメトレキセドなどのチミジル酸シンターゼの阻害剤、L-アスパラギナーゼ、ミルテフォシンおよびアナグレリドなどの酵素、ボルテゾミブなどのプロテアソームの阻害剤である。
【0199】
本発明者らによる核酸をそれぞれ含む医薬品および医薬組成物をそのような方法で治療に使用できるのは本発明の範囲内である。
【0200】
さらなる実施形態では、医薬品は、炎症性疾患の治療のためのさらなる薬学的に活性な剤を含む。そのようなさらなる薬学的に活性な化合物は、これに限定されないが、とりわけ、非ステロイド性抗炎症薬、コルチコステロイド、カルシニューリン阻害剤、シクロスポリンA、メトトレキサート、アザチオプリン、タクロリムス、ラパマイシン、クロラムブシル、レフルノミド、ミコフェノール酸モフェチル、ブレキナル、ミゾリビン、サリドマイド、デオキシスペルグアリン、ダプソン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、抗ヒスタミン薬、または抗腫瘍壊死因子抗体アダリムマブのような抗炎症生物製剤、B細胞枯渇抗CD20抗体リツキシマブ、抗IL6R抗体トシリズマブ、抗IgE抗体オマリズマブ、および静脈内免疫グロブリンなどの免疫系を抑制することが知られているものである。
【0201】
最後に、さらなる薬学的に活性な剤は、ケモカインアゴニストもしくはアンタゴニスト、またはケモカイン受容体アゴニストもしくはアンタゴニストであり得る他の任意のケモカインの活性のモジュレーターであり得る。代替的にはまたは追加的には、そのようなさらなる薬学的に活性な剤は、本発明によるさらなる核酸分子である。あるいは、医薬品は、CXCL8とは異なる標的分子に結合するか、または本発明による核酸の1つとは異なる機能を呈する、少なくとも1つ以上の核酸を含む。
【0202】
原則として、疾患の治療のための医薬品の使用に関連して開示された疾患のいずれかの予防のために、医薬品が代替的または追加的に使用されることは、本発明の範囲内である。したがって、それぞれのマーカー、すなわちそれぞれの疾患のマーカーは、当業者に公知である。好ましくは、それぞれのマーカーはCXCL8である。
【0203】
本発明の医薬品の一実施形態では、そのような医薬品は、本明細書に開示される疾患のいずれか、特に本発明の医薬品が使用される疾患に対する他の治療と併用して使用するためのものである。
【0204】
「併用療法(combination therapy)」(または「併用療法(co-therapy)」)は、これらの治療剤、すなわち、本発明の医薬品および第2の剤の共作用から有益な効果を提供することを目的とした特定の治療レジメンの一部として、本発明の医薬品および少なくとも第2の剤を投与することを含む。併用の有益な効果としては、これらに限定されないが、治療剤の併用から生じる薬物動態学的または薬力学的共作用が挙げられる。これらの治療剤の併用による投与は、典型的には、定義された期間(通常、選択された併用に応じて、数分、数時間、数日、または数週間)にわたって実施される。
【0205】
「併用療法」は、偶発的かつ恣意的に本発明の併用をもたらす別個の単剤療法レジメンの一部として、これらの治療剤のうちの2つ以上の投与を包含することを意図し得るが、一般的にはこれを意図するものではない。「併用療法」は、これらの治療剤を連続的に投与すること、すなわち、各治療剤を異なる時間に投与すること、ならびにこれらの治療剤、または少なくとも2つの治療剤を実質的に同時に投与することを包含することを意図している。実質的に同時投与は、例えば、固定比率の各治療剤を有する単一のカプセルを対象に投与することによって、または治療剤の各々について複数の単一のカプセルで投与することによって達成することができる。
【0206】
各治療剤の連続的または実質的に同時の投与は、これらに限定されないが、局所経路、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織を介した直接吸収など、任意の適切な経路によって実施することができる。治療剤は、同じ経路または異なる経路で投与できる。例えば、選択された併用の第1の治療剤は、注射によって投与され得、併用の他の治療剤は、局所に投与され得る。
【0207】
あるいは、例えば、すべての治療剤を局所的に投与され得るか、またはすべての治療剤を注射によって投与され得る。治療剤が投与される順序は、特に断りのない限り、厳密には重要ではない。「併用療法」はまた、他の生物学的に活性な成分とさらに併用して、上記のような治療剤を投与することを包含することができる。併用療法が非薬物治療をさらに含む場合、非薬物治療は、治療剤と非薬物治療の併用の共作用からの有益な効果が達成される限り、任意の好適な時間に実施され得る。例えば、適切な場合において、非薬物治療が治療剤の投与から一時的に、おそらく数日または数週間までに除去された場合でも、有益な効果が達成される。
【0208】
上記の一般的な用語で概説したとおり、本発明による医薬品は、原則として、当業者に公知である任意の形態で投与できる。好ましい投与経路は、全身投与であり、より好ましくは非経口投与による、好ましくは注射による。あるいは、医薬品は局所に投与され得る。他の投与経路は、筋肉内、腹腔内、および皮下、口腔内、鼻腔内、気管内または肺を含み、効率を確保しながら、最も侵襲性の低い投与経路が優先される。
【0209】
非経口投与は、一般的に皮下、筋肉内または静脈内の注射および注入に使用される。さらに、非経口投与のための1つのアプローチは、当業者に周知である、確実に一定レベルの投薬量が維持される徐放または持続放出システムの移植を用いる。
【0210】
さらに、本発明の好ましい医薬品は、好適な鼻腔内ビヒクル、吸入剤の局所使用を介して、または当業者に周知の経皮皮膚パッチの形態を使用して経皮経路を介して、鼻腔内形態で投与することができる。経皮送達システムの形態で投与されるために、投薬量の投与は、当然のことながら、投薬量レジメンを通して断続的ではなく連続的であろう。他の好ましい局所製剤としては、クリーム、軟膏、ローション、エアゾールスプレーおよびゲルが挙げられ、有効成分の濃度は、典型的には、0.01%~15%(w/wまたはw/v)の範囲である。
【0211】
本発明の医薬品は、これらに限定されないが、一般に、薬学的に許容される媒体に溶解されたかまたは分散された本発明の核酸分子など、この治療の有効量の活性成分(複数可)を含む。薬学的に許容される媒体または担体としては、任意のすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが挙げられる。医薬活性物質のためのそのような媒体および剤の使用は、当技術分野において周知である。補足的な活性成分もまた、本発明の医薬品に組み込むことができる。
【0212】
さらなる態様では、本発明は、医薬組成物に関する。そのような医薬組成物は、本発明による核酸のうちの少なくとも1つ、および好ましくは薬学的に許容されるビヒクルを含む。そのようなビヒクルは、当技術分野で使用され、かつ/または既知である任意のビヒクルまたは任意の結合剤であり得る。より具体的には、そのような結合剤またはビヒクルは、本明細書に開示の医薬品の製造に関連して論じられる任意の結合剤またはビヒクルである。さらなる実施形態では、医薬組成物は、さらなる薬学的に活性な剤を含む。
【0213】
医薬品および医薬組成物の調製は、本開示に関しては当業者に公知であろう。典型的には、そのような組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとして、注射剤として、注射前の液体への溶解または液体への懸濁に好適である固体形態、経口投与用の錠剤または他の固形物として、時限放出型カプセル(time release capsule)として、または、点眼薬、クリーム、ローション、軟膏、吸入剤など、現在使用されている任意の他の形態で調製できる。手術分野において特定の領域を治療するために、外科医、医師、または医療従事者による生理食塩水ベースの洗浄などの滅菌製剤の使用も特に有用であり得る。組成物はまた、マイクロデバイス、マイクロ粒子またはスポンジを介して送達され得る。
【0214】
製剤化の際、医薬品または医薬組成物は、剤形と適合性のある方法で、かつ薬理学的に有効であるような量で投与されるであろう。製剤は、上記の注射型溶液のタイプなど様々な剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなどを使用してもよい。
【0215】
この文脈において、投与される活性成分の量および組成物の容量は、個人または治療される対象に依存する。投与に必要な活性化合物の具体的な量は、施術者の判断に依存し、各個体に固有である。
【0216】
典型的には、活性化合物を分散させるのに必要な最小量の医薬品または医薬組成物が利用される。投与に好適であるレジメンも変更可能であるが、最初に化合物を投与し、その結果を監視し、次にさらに制御された用量をさらに間隔を置いて与えることがその代表となる。
【0217】
例えば、錠剤またはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態での経口投与の場合、活性薬物成分、すなわち、本発明の核酸分子および/または本明細書では治療剤(複数可)または活性化合物(複数可)とも呼ばれる任意のさらなる薬学的に活性な剤は、経口の非毒性の薬学的に許容される不活性担体(エタノール、グリセロール、水など)と併用することができる。さらに、所望する場合または必要な場合、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤も混合物に組み込むことができる。好適な結合剤としては、デンプン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン、グルコースまたはベータラクトース、トウモロコシ甘味料などの天然糖、アカシア、トラガカンスなどの天然および合成ガム、またはアルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの剤形で使用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、シリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウム塩またはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコールなどが挙げられる。崩壊剤としては、これらに限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムデンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡性混合物などが挙げられる。希釈剤としては、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシンが挙げられる。
【0218】
本発明の医薬品または医薬組成物はまた、時限放出および徐放性の錠剤またはカプセル、ピル、粉末、顆粒、エリキシル、チンキ剤、懸濁液、シロップおよびエマルジョンなどの経口剤形で投与することができる。坐剤は、脂肪性エマルジョンまたは懸濁液から有利に調製される。
【0219】
医薬組成物または医薬品は、滅菌され得、かつ医薬品/または保存剤、安定剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩および/または緩衝剤などのアジュバントを含み得る。さらに、それらはまた他の治療的に価値のある物質を含んでもよい。組成物は、従来の混合、造粒、またはコーティング方法に従って調製され、典型的には、約0.1%~75%、好ましくは約1%~50%の活性成分を含む。
【0220】
液体、特に注射可能な組成物は、例えば、溶解、分散などによって調製できる。活性化合物は、薬学的に純粋な溶媒、および活性化合物は、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどの薬学的に純粋な溶媒に溶解されるかまたは混合され、これにより、注射可能な溶液または懸濁液を形成する。さらに、注射前に液体に溶解するのに好適である固体形態を配合することができる。
【0221】
固体組成物の場合、賦形剤としては、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。上で定義された活性化合物はまた、例えば、ポリアルキレングリコール、例えば、プロピレングリコールを担体として使用して、坐剤として配合され得る。いくつかの実施形態では、坐剤は、脂肪性エマルジョンまたは懸濁液から有利に調製される。
【0222】
本発明の医薬品、医薬組成物、および核酸分子は、それぞれ、小さい単層ベシクル、大きい単層ベシクル、および多層ベシクルなどのリポソーム送達システムの形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンを含む様々なリン脂質から形成され得る。いくつかの実施形態では、脂質成分の膜は、薬物の水溶液で水和されて、薬物を封入する脂質層を形成する。これは、当業者に周知のことである。例えば、本明細書に記載の核酸分子は、当技術分野で公知である方法を使用して構築された親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物との複合体として提供され得る。さらに、リポソームは、細胞毒性剤を標的にして内部に運び、細胞殺傷を媒介するために、その表面にそのような核酸分子を保有し得る。核酸関連複合体の例は、米国特許第6,011,020号に提供されている。
【0223】
本発明の医薬品、医薬組成物および核酸分子は、それぞれ、標的化可能な薬物担体として可溶性ポリマーと連結し得る。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピル-メタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパナミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを挙げることができる。さらに、本発明の医薬品および核酸分子は、それぞれ、薬物の制御放出を達成するのに有用である生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーに連結され得る。
【0224】
所望の場合、投与される医薬組成物および医薬品は、それぞれ、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などの少量の非毒性補助物質、ならびに例えば、酢酸ナトリウム、およびオレイン酸トリエタノールアミンなどの他の物質を含み得る。
【0225】
本発明の核酸分子、医薬品または医薬組成物をそれぞれ利用する投薬レジメンは、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および病状、治療される状態の重症度、投与経路、患者の腎機能および肝機能、ならびに使用される特定のアプタマーまたはその塩など、様々な要因に従って選択される。通常の熟練の医師または獣医は、状態の進行を予防するか、対抗するか、または阻止するために必要な薬物の有効量を容易に決定し、かつ処方することができる。
【0226】
本発明による核酸の有効血漿レベルは、本明細書に開示の疾患のいずれかの治療において、好ましくは500fMから500μMの範囲である。
【0227】
本発明の核酸分子、医薬品および医薬組成物は、それぞれ、好ましくは、1日1回の投与、2日または3日ごと、毎週、2週ごと、月1回の投与、または3ヶ月ごとに投与され得る。
【0228】
本明細書に記載の医薬品が、本明細書に開示の医薬組成物を構成することは、本発明の範囲内である。
【0229】
さらなる態様では、本発明は、そのような治療を必要とする対象の治療のための方法に関し、それにより、この方法は、本発明による、薬学的に活性な量の少なくとも1つの核酸分子を投与することを含む。一実施形態では、対象は、疾患に罹患しているか、またはそのような疾患を発症するリスクがあり、それにより、疾患は、本明細書に開示されるもののいずれか、特に、医薬品の製造のために、本発明による核酸のいずれかの使用に関連して開示される疾患のいずれかである。
【0230】
本発明による核酸ならびにアンタゴニストは、医薬品としてまたは医薬品の製造のためのみでなく、美容目的のため、特に炎症を起こした局所皮膚病変におけるCXCL8の関与に関しても、使用できることが理解されるべきである。したがって、本発明による核酸、医薬品および/または医薬組成物を使用することができる治療または予防のためのさらなる状態または疾患は、局所炎症皮膚病変である。
【0231】
当然のことながら、本発明によるCXCL8結合核酸分子は、ヒトCXCL8と相互作用するかまたは結合するので、当業者であれば、本発明によるCXCL8結合核酸分子が、CXCL8の検出および診断薬またはバイオセンサーの製造に容易に使用できることを一般に理解するであろう。
【0232】
好ましくは、本明細書で使用されるように、診断薬または診断剤または診断手段またはバイオセンサーは、CXCL8、好ましくは本明細書に記載のCXCL8、より好ましくは本明細書に記載の様々な障害および疾患に関連して本明細書に記載のCXCL8を直接的または間接的に検出するのに好適である。診断薬またはバイオセンサーは、これらに限定されないが、本明細書に記載の障害および疾患のいずれかの検出および/またはフォローアップにそれぞれ好適である。このような検出は、本発明による核酸のCXCL8への結合を介して可能である。そのような結合は、直接的または間接的に検出することができ、それにより、核酸分子は、修飾基を含み得るか、または修飾基を含まなくてもよい。1つの好ましい実施形態では、修飾基は、核酸の固定化を可能にする。別の好ましい実施形態では、修飾基は標識である。それぞれの方法および手段は、当業者に公知である。
【0233】
一実施形態では、本発明の核酸は、診断薬の反応容器の表面、診断薬の反応容器に含まれるデバイスの表面、またはバイオセンサーの表面に、当業者に公知である任意の手段(非共有結合または共有結合による連結など)によって固定化される。
【0234】
好ましい実施形態では、本発明による核酸は、表面への共有結合による連結よって固定化される。したがって、本発明の核酸分子が、核酸分子の表面への固定化を可能にする修飾基を含むことは、本発明の範囲内である。共有結合による結合のためのそのような修飾基としては、これらに限定されないが、(活性化)カルボキシル、ヒドロキシル、ホスファチジル、スルホン酸エステル、アミン、チオール、エポキシド、アルキン、ひずみシクロアルキン(例えば、ジベンゾシクロオクチル、DBCO;ビシクロ[6.1.0]ノン-4]-イン、BCN;またはアザジベンゾシクロオクチン、ADIBO)、マレイミド、アジド、ヒドラジドが挙げられる。
【0235】
このような共有結合による連結は、例えば、第一級アミンと反応する活性化カルボキシル基(例えば、EDC/NHS活性化)によって、チオール基と反応するマレイミドによって、銅触媒アジドアルケン環化付加(クリックケミストリー)、これらに限定されないが、銅非含有アジドひずみアルキン環化付加、アルケンアジド[3+2]環化付加、アルケンテトラジン逆デマンドDiels-Alder、およびアルケンテトラゾールフォトクリック反応などの銅非含有クリック化学によって、または金表面でのチオール化プローブの直接カップリングによって形成され得る。そのような方法が特定の形状に限定されず、かつ反応性基が表面または核酸のいずれかに配置され得ることは、本実施形態の範囲内である。
【0236】
好ましい実施形態では、本発明の核酸は、ひずみ促進アジド-アルキン付加環化(クリックケミストリー)によって、バイオセンサーのアジド官能化表面に連結される。このため、表面は、アジドにより官能化され、オリゴヌクレオチドは、好ましくは5’または3’末端において、ひずみアルキン、例えば、ジベンゾシクロオクチル、DBCO;ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン(BCN)、およびアザジベンゾシクロオクチン(ADIBO)によって官能化される。あるいは、逆形状を使用してもよい。すなわち、ひずみアルキン官能化バイオセンサー表面とおよびアジド修飾核酸を使用する。
【0237】
別の実施形態では、本発明による核酸は、非共有結合による連結によって固定化される。したがって、本発明の核酸分子が、核酸分子の表面への固定化を可能にする修飾基を含むことは、本発明の範囲内であり、それにより、この結合は可逆的である。非共有結合による結合のためのそのような修飾基としては、これらに限定されないが、ビオチン(アビジン、ストレプトアビジンまたはニュートラビジンへの結合)、ブロモ-デスオキシウリジン(desoxyuridine)(抗ブロモ-デスオキシウリジン抗体への結合)、ジゴキシゲニン(抗ジゴキシゲニン抗体への結合)、およびオリゴヌクレオチド(相補的オリゴヌクレオチドへの結合)が挙げられる。オリゴヌクレオチドのブロック解除された3’末端は、ポリメラーゼのプライマーとして、またはリガーゼ反応における別の核酸のアクセプターとして機能し得る。そのような方法が特定の形状に限定されず、かつ反応性基が表面または核酸のいずれかに配置され得ることは、本実施形態の範囲内である。
【0238】
本発明の核酸分子が固定化されていないが溶液中で使用され、本明細書で標識と呼ばれる、好ましくは核酸分子の検出が可能になる修飾基を含むことは、本発明の範囲内である。これらの標識としては、これらに限定されないが、ビオチン(アビジン、ストレプトアビジンまたはニュートラアビジンへの結合)、ブロモ-デスオキシウリジン(抗ブロモ-デスオキシウリジン抗体への結合)、ジゴキシゲニン(抗ジゴキシゲニン抗体への結合)、オリゴヌクレオチド(相補的オリゴヌクレオチドへの結合)、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、Cy-3、Cy-5)、電気化学発光標識、放射性標識、酵素標識、UV標識、コロイド状金、ナノ粒子、およびキレーター分子標識が挙げられる。
【0239】
さらなる実施形態では、本発明の拡散分子は、非ヌクレオシド、好ましくは、単一ユニットまたは繰り返しエチレングリコール、例えば、トリエチレングリコール(TEG)、ヘキサエチレングリコール(HEG)、さらにはポリエチレングリコール(PEG)などの親水性リンカーを含み、核酸および修飾基を結合することができる。
【0240】
CXCL8の検出に関連して、好ましい方法は、CXCL8の直接結合、サンドイッチ結合アッセイ、競合的結合アッセイ、またはラテラルフローアッセイの設定である。
【0241】
一実施形態では、CXCL8は、固定化された核酸がCXCL8に直接結合することによって検出される。本発明による直接結合は、本発明による核酸のみを使用する方法であり、CXCL8と相互作用する第2の分子は使用しない。
【0242】
サンドイッチ結合アッセイの1つの形式は、CXCL8の固定化複合体と、固定化のための修飾基を含む本発明による核酸分子との形成であり、それにより、複合体は、診断薬の反応容器の表面、診断薬の反応容器に含まれるデバイスの表面、またはバイオセンサーの表面に固定化され、これにより、好ましくは、複合体が検出される。CXCL8が複合体から検出されるのは一実施形態内である。この要件に従うそれぞれの検出手段は、例えば、本発明の核酸分子によって検出されないCXCL8のその部分(エピトープ)(複数可)に特異的であり、核酸、ポリペプチド、タンパク質および抗体を含む群から選択される任意の検出手段であり、それらの生成は当業者に公知である。そのようなサンドイッチ結合アッセイの方法論は、当業者に公知である。
【0243】
サンプルで提供されるCXCL8と複合体を形成するために、上記の検出手段が診断薬の反応容器の表面、診断薬の反応容器に含まれるデバイスの表面、またはバイオセンサーの表面に固定化される逆形状を使用することができることは、サンドイッチ結合アッセイの実施形態の範囲内であり、複合体は本発明の核酸分子によって検出される。本発明による核酸分子は、標識を含むか、または非標識であることは、本実施形態の範囲内である。非標識核酸分子の検出は、好ましくは、本明細書に記載の様々な実施形態における核酸、ポリペプチド、タンパク質および実施形態を含む群からも選択される第2の検出手段の使用を含み得る。このような検出手段は、好ましくは、本発明による核酸に特異的である。
【0244】
最後に、第2の検出手段が第3の検出手段を使用して検出されることも本発明の範囲内であり、好ましくは第3の検出手段が酵素に連結され、より好ましくは第2の検出手段の検出時に酵素反応を示すか、または第3の検出手段は、放射線、より好ましくは放射性核種によって放出される放射線を検出するための手段である。好ましくは、第3の検出手段は、第2の検出手段を特異的に検出するかつ/または相互作用することである。
【0245】
さらなる実施形態では、CXCL8への本発明による核酸分子の結合は、競合アッセイにおいて検出される。本明細書において、本発明による核酸分子の一部に相補的な固定化されたオリゴヌクレオチドプローブは、本発明の核酸とCXCL8との間の複合体形成と競合し、それにより、そのような実施形態では、核酸分子は表面に固定化されない。あるいは、固定化されたCXCL8は、本発明の核酸とCXCL8との間の複合体形成と競合し、それにより、そのような実施形態では、核酸分子は表面に固定化されない。さらなる実施形態では、本発明による核酸分子は、表面に固定化され、本発明による固定化された核酸分子へのCXCL8の結合は、本発明による核酸分子の部分に相補的なオリゴヌクレオチドプローブによって競合される。そのようなアッセイの方法論は、当業者に公知である。
【0246】
CXCL8の検出に関して、さらに好ましい実施形態は、バイオセンサーを製造するための本発明による核酸分子の使用である。定義により、バイオセンサーは、CXCL8などの分析物の検出に使用される分析デバイスであり、本発明による核酸などの生物学的成分を物理化学的検出器と組み合わせる。あるシグナルを別のシグナルに変換するトランスデューサーまたは検出器要素は、CXCL8と生物学的要素との相互作用から生じる、光学的、圧電的、電気化学的、エレクトロケミルミネッセンスなどの物理化学的方法で作動する。バイオセンサーは、バイオセンサー表面に共有結合により固定化された少なくとも1つの生物学的要素を含み得る。バイオセンサー表面に共有結合により固定化された少なくとも1つの生物学的要素は、固定化のための修飾基、本発明の核酸によって結合されないCXCL8のそのエピトープ(複数可)に特異的に結合する手段、本発明の核酸に相補的なオリゴヌクレオチドプローブを含む本発明による核酸またはCXCL8である。本発明の核酸がバイオセンサーの表面に固定化されていない場合、本発明の核酸は、標識である修飾基を含むか、または修飾基を含まない。
【0247】
バイオセンサー表面または診断薬の表面は、金、銀、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、タングステン、モリブデン、プラチナ、アルミニウム、鉄、鋼、銅、ニッケル、シリコン、ゲルマニウム、インジウムリン、ガリウムヒ素、および前述の材料の酸化物、窒化物または合金または混合物、インジウム-スズ酸化物、ガラス様炭素、サファイア、およびケイ酸塩またはホウ酸塩ガラスからなる群から選択することができる。
【0248】
これらの表面は、ポリリジン、アミノシラン、エポキシシラン、ニトロセルロース、カルボキシデキストラン、カーボンナノメンブレン、酸化グラフェン、アミノグラフェン、カーボン表面、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンプレート、カーボンクロス、活性炭、ガラス質カーボン、木炭、活性炭、黒鉛粉末、黒鉛繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン、カルボキシル基、アジド基、チオール基、ヒドロキシ基、エポキシド、マレイミド、アルキン、ひずみアルキン、またはそれらの組み合わせによってさらに修飾され得る。
【0249】
好ましい実施形態では、固定化のための修飾基を含む本発明による核酸分子は、CXCL8の直接検出のために、またはサンドイッチアッセイフォーマットまたは競合アッセイフォーマットにおけるCXCL8の検出のために、バイオセンサー表面に固定化される。別の好ましい実施形態では、本発明の核酸(上記)によって検出されないCXCL8のそのエピトープ(複数可)に特異的な検出手段、本発明の核酸またはCXCL8に相補的なオリゴヌクレオチドプローブは、バイオセンサー表面に固定化され、本発明(上記)による標識または非標識核酸は、サンドイッチアッセイフォーマットまたは競合アッセイフォーマットでの検出に使用される。
【0250】
診断手段およびバイオセンサーにおける検出システムは、例えば、光学的読み出し(蛍光、吸収および発光)、質量変化(例えば、水晶振動子微量天秤、微小電気機械システム)、屈折指数(表面プラズモン共鳴、リング共振器、楕円測定)、電荷(電気化学的インピーダンス、ボルタンメトリー、アンペロメトリー、電位差測定、または導電率、電界効果トランジスタ)、表面応力(カンチレバーバイオセンサー)および原子間力顕微鏡をベースにできる。
【0251】
さらなる実施形態では、本発明による核酸分子は、サンドイッチまたは競合的ラテラルフローアッセイにおいて使用される。そのようなラテラルフローアッセイの方法論は、当業者に公知である。
【0252】
さらなる実施形態では、CXCL8への本発明による核酸分子の結合は、本発明による核酸分子の部分に相補的な核酸プローブによる均一アッセイにおいて検出され、それにより、そのような実施形態において、核酸分子は表面に固定化されない。本明細書において、ハイブリダイゼーションは、核酸に連結された2つのフルオロフォア基の蛍光シグナルの変化をもたらし、好ましくは強度の変化およびハイブリダイゼーションは、本発明の核酸とCXCL8との間の複合体形成と競合する。2つのフルオロフォア基は、両方とも核酸プローブ(分子ビーコン)に連結されているか、または一方がプローブに連結され、他方が本発明の核酸に連結されているかのいずれかである。さらなる実施形態では、1つまたは2つのフルオロフォア基は、本発明の核酸に連結され、CXCL8との複合体形成は、蛍光シグナルの変化、好ましくは強度の変化をもたらす。そのようなアッセイの方法論は、当業者に公知である。
【0253】
本発明による核酸分子は、ドラッグデザインの出発物質としてさらに使用することができる。基本的に、2つの可能なアプローチがある。1つのアプローチは、化合物ライブラリのスクリーニングであるが、そのような化合物ライブラリは、好ましくは低分子量化合物ライブラリである。一実施形態では、スクリーニングは、ハイスループットスクリーニングである。好ましくは、ハイスループットスクリーニングは、標的ベースのアッセイにおける化合物の迅速で効率的なトライアル・アンド・エラーの評価である。最良の場合、分析は比色測定によって実行される。それに関連して使用されるライブラリは、当業者に公知である。
【0254】
あるいは、本発明による核酸分子は、薬物の合理的デザインのために使用され得る。好ましくは、合理的薬物デザインは、医薬品のリード構造のデザインである。典型的には、X線結晶学または核磁気共鳴分光法などの方法によって識別される標的の三次元構造から始めて、コンピュータープログラムを使用して、多くの異なる化合物の構造を含むデータベースを介して検索を行う。選択はコンピューターによって行われ、同定された化合物はその後実験室で試験を行うことができる。
【0255】
薬物の合理的デザインは、本発明による核酸分子のいずれかから開始することができ、本発明の核酸の構造に類似しているか、または本発明の核酸の構造の結合媒介部分と同一である構造、好ましくは三次元構造を含む。いずれの場合であっても、そのような構造は、本発明の核酸と同じまたは類似の結合特性を依然として示す。合理的な薬物デザインにおけるさらなるステップまたは代替ステップのいずれかにおいて、神経伝達物質に結合する核酸のそれらの部分の好ましくは三次元構造は、ヌクレオチドおよび核酸とは異なる化学基によって模倣される。この模倣により、本発明による核酸とは異なる化合物を設計することができる。そのような化合物は、好ましくは、小分子またはペプチドである。
【0256】
当業者に公知である競合アッセイを使用するなどによる化合物ライブラリのスクリーニングの場合、適切なCXCL8類似体、CXCL8アゴニストまたはCXCL8アンタゴニストが見出され得る。このような競合アッセイは、以下のように設定され得る。本発明の核酸、好ましくは、標的結合L-核酸であるシュピーゲルマーは、固相に連結される。CXCL8を同定するために、CXCL8と標識された類似体をアッセイに添加してもよい。潜在的な類似体は、シュピーゲルマーに結合するCXCL8分子と競合し、それぞれの標識によって得られるシグナルの減少を伴い得る。アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニングは、当業者に公知である細胞培養アッセイの使用を伴い得る。
【0257】
本発明によるキットは、本発明の核酸分子の少なくとも1つまたはいくつかを含み得る。さらに、キットは、少なくとも1つまたはいくつかの陽性対照または陰性対照を含み得る。陽性対照は、例えば、CXCL8であるか、特に本発明の核酸が選択されるものか、またはそれが、好ましくは液体形態で結合するものであり得る。陰性対照は、例えば、CXCL8と同様の生物物理学的特性に関して定義されるが、本発明の核酸によって同定されていないペプチドであり得る。さらに、キットは、1つまたは複数の緩衝液を含み得る。様々な成分は、乾燥または凍結乾燥された形態でキットに含まれ得るか、または液体に溶解され得る。キットは、1つまたは複数の容器を含み得、これらは、次に、キットの1つまたは複数の成分を含み得る。さらなる実施形態では、キットは、キットおよびその様々な成分の使用方法に関する情報をユーザに提供する説明または取扱説明書を含む。
【0258】
本発明による核酸分子の薬学的および生物分析的決定は、ヒトの身体および非ヒトの身体のいくつかの体液、組織および器官におけるその薬物動態学的プロファイルおよび生体力学的プロファイルの評価にとって基本的である。そのような目的のために、本明細書に開示されるか、または当業者に公知である検出方法のいずれかを使用することができる。本発明のさらなる態様では、本発明による核酸を検出するためのサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイが提供される。検出アッセイでは、捕捉プローブおよび検出プローブが使用される。本発明によれば、捕捉プローブは、核酸の第1の部分に相補的であり、検出プローブは、核酸の第2の部分に相補的である。捕捉プローブおよび検出プローブは両方とも、DNAヌクレオチド、修飾DNAヌクレオチド、修飾RNAヌクレオチド、RNAヌクレオチド、LNAヌクレオチドおよび/またはPNAヌクレオチドによって形成され得る。
【0259】
したがって、捕捉プローブは、本発明による核酸分子の5’末端に相補的な配列ストレッチを含み、検出プローブは、本発明による核酸分子の3’末端に相補的な配列ストレッチを含む。この場合、捕捉プローブは、その5’末端を介して表面またはマトリックスに固定化され、それにより、捕捉プローブは、その5’末端で直接、またはその5’末端と表面またはマトリックスとの間のリンカーを介して固定化され得る。しかし、原則として、リンカーは捕捉プローブの各ヌクレオチドに連結され得る。リンカーは、当業者の親水性リンカーによって、またはD-DNAヌクレオチド、修飾D-DNAヌクレオチド、D-RNAヌクレオチド、修飾D-RNAヌクレオチド、D-LNAヌクレオチド、PNAヌクレオチド、L-RNAヌクレオチド、L-DNAヌクレオチド、修飾L-RNAヌクレオチド、修飾L-DNAヌクレオチドおよび/またはL-LNAヌクレオチドによって形成することができる。
【0260】
あるいは、捕捉プローブは、本発明による核酸分子の3’末端に相補的な配列ストレッチを含み、検出プローブは、本発明による核酸分子の5’末端に相補的な配列ストレッチを含む。この場合、捕捉プローブは、その3’末端を介して表面またはマトリックスに固定化され、それにより、捕捉プローブは、その3’末端で直接、またはその3’末端と表面またはマトリックスとの間のリンカーを介して固定化され得る。しかし、原則として、リンカーは、本発明による核酸に相補的である配列ストレッチの各ヌクレオチドに連結することができる。リンカーは、当業者の親水性リンカーによって、またはD-DNAヌクレオチド、修飾D-DNAヌクレオチド、D-RNAヌクレオチド、修飾D-RNAヌクレオチド、D-LNAヌクレオチド、PNAヌクレオチド、L-RNAヌクレオチド、L-DNAヌクレオチド、修飾L-RNAヌクレオチド、修飾L-DNAヌクレオチドおよび/またはL-LNAヌクレオチドによって形成することができる。
【0261】
本発明による核酸分子にハイブリダイズし得る捕捉プローブおよび検出プローブのヌクレオチドの数は可変であり、捕捉プローブおよび/もしくは検出プローブの核酸の数ならびに/または本発明自体による核酸のヌクレオチドの数に依存し得る。本発明による核酸にハイブリダイズし得る捕捉プローブおよび検出プローブのヌクレオチドの総数は、本発明による核酸によって構成されるヌクレオチドの最大数であるべきである。検出プローブおよび捕捉プローブの最小数のヌクレオチド(2~10ヌクレオチド)は、本発明による核酸のそれぞれ5’末端または3’末端へのハイブリダイゼーションを可能にするものである。本発明による核酸と、分析されるサンプル中に存在する他の核酸との間の高い特異性および選択性を実現するためには、捕捉プローブおよび検出プローブのヌクレオチドの総数は、本発明による核酸分子によって構成されるヌクレオチドの数であるか、またはその最大数であるべきである。
【0262】
さらに、検出プローブは、好ましくは、本明細書で前述したとおりに検出することができるマーカー分子または標識を運ぶ。標識またはマーカー分子は、原則として、検出プローブの各ヌクレオチドに連結され得る。好ましくは、標識またはマーカーは、検出プローブの5’末端または3’末端に配置され、それにより、本発明による核酸分子に相補的である検出プローブ内のヌクレオチドと標識との間に、リンカーを挿入できる。リンカーは、当業者の親水性リンカーによって、またはD-DNAヌクレオチド、修飾D-DNAヌクレオチド、D-RNAヌクレオチド、修飾D-RNAヌクレオチド、D-LNAヌクレオチド、PNAヌクレオチド、L-RNAヌクレオチド、L-DNAヌクレオチド、修飾L-RNAヌクレオチド、修飾L-DNAヌクレオチドおよび/またはL-LNAヌクレオチドによって形成することができる。
【0263】
本発明による核酸の検出は、以下のように実施できる:
本発明による核酸分子は、その一端が捕捉プローブに、他端が検出プローブにハイブリダイズする。その後、非結合検出プローブは、例えば、1つまたは複数の洗浄ステップによって取り除かれる。好ましくは標識またはマーカー分子を運ぶ結合検出プローブの量は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2008/052774号により詳細に概説されるとおり、その後測定することができる。
【0264】
好ましくは、本明細書で使用される場合、治療という用語には、好ましい実施形態では、追加的または代替的に予防および/またはフォローアップを含む。
好ましくは本明細書で使用される場合、疾患および障害という用語は、反対に示されない限り、交換可能な方法で使用されるものとする。
【0265】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、好ましくは、そのような用語が後に続くまたは説明される主題を限定することを意図するものではない。しかし、代替的実施形態では、「含む」という用語は、そのような用語が後に続くまたは説明される主題を含むことを意味し、したがって限定することとして理解されなければならない。
【0266】
様々な配列番号、本発明による核酸分子および本明細書で使用される標的分子CXCL8の化学的性質、その実際の配列および内部参照番号は、以下の表にまとめる。
【表1】
【0267】
本明細書、特許請求の範囲、配列表および/または図面に開示された本発明の特徴は、別々に、およびそれらの任意の組み合わせの両方で、本発明をその様々な形態で実現するための材料であり得る。
【0268】
本発明は、さらなる特徴、実施形態、および利点を得ることができる図、実施例、および配列表によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0269】
【
図1】競合プルダウン結合アッセイによって決定されたKD値など、ヒトCXCL8に結合できる核酸分子の配列のアラインメントを示す図である。
【
図2】競合プルダウン結合アッセイおよび/または表面プラズモン共鳴測定によって決定することによって決定された、KD値およびヒトCXCL8への相対的結合活性など、核酸分子315-F8-001の短縮型誘導体を示す図である。
【
図3】D-核酸分子315-F8-001および315-F8-002のD-CXCL8への競合プルダウン結合アッセイによる速度論的評価を示す図である。
【
図4】表面プラズモン共鳴測定によって決定された、(A)25℃および(B)37℃でのCXCL8への核酸分子315-F8-002の結合を示す図である。会合定数kaおよび解離定数kdが得られる。
【
図5】表面プラズモン共鳴測定によって決定された、(A)25℃および(B)37℃でのCXCL8への核酸分子315-F8-002-PEGの結合を示す図である。会合定数kaおよび解離定数kdが得られる。
【
図6】表面プラズモン共鳴測定を使用する競合的結合アッセイによって決定された、CXCL8に対する315-F8-002結合の選択性を示す図である。
【
図7】核酸分子315-F8-002-PEGによるCXCR2発現細胞のCXCL8誘導性走化性の阻害を示す図である。
【
図8】核酸分子315-F8-002によるCXCL8の定量化(
図8A)および核酸分子315-F8-002によるCCL5の定量化(
図8B)を示す棒グラフである。
【
図9】異なる濃度での可溶性CXCL8およびCXCL1へのL-アプタマー315-F8-002(
図9A)およびアプタマー8A-35(
図9B)の結合を示す棒グラフである。実施例1:CXCL8ヒトCXCL8に結合できる核酸
【0270】
いくつかのCXCL8結合核酸およびその誘導体が同定され、そのヌクレオチド配列は
図1から
図2に示す。CXCL8結合核酸は、D-アプタマー(D-核酸)およびL-アプタマー(L-核酸)として試験され、それにより、D-核酸およびL-核酸は、実施例2に記載のとおり合成した。
【0271】
CXCL8結合核酸は、
a)実施例3に示すとおり、ビオチン化D-CXCL8(配列番号1)へのプルダウン結合アッセイによってD-アプタマーとして、
b)表面プラズモン共鳴(SPR)測定(実施例4)により、L-アプタマーとして、およびヒトCXCR2受容体を発現する細胞を用いたin vitroアッセイによって、特徴付け、それにより、両方の方法について、L-CXCL8(配列番号2)を使用した(実施例5)。
このように生成された核酸は、わずかに異なる配列を呈し、それにより、配列は、配列ファミリーとしてまとめるかまたはグループ化することができる。
ヌクレオチド配列モチーフの定義には、あいまいなヌクレオチドのIUPAC略語が使用される:
S 強力 GまたはC;
W 弱い AまたはU(T);
R プリン GまたはA;
Y ピリミジン CまたはU(T);
K ケト GまたはU(T);
M イミノ AまたはC;
B Aではない CまたはU(T)またはG;
D Cではない AまたはGまたはU(T);
H Gではない AまたはCまたは(T);
V Uではない AまたはCまたはG;
N すべて AまたはGまたはCまたはU(T)
【0272】
反対に示されていない場合、任意の核酸配列またはストレッチの配列は、それぞれ、5’→3’方向に示されている。
【0273】
図1から
図2に示すとおり、CXCL8結合核酸は、潜在的なCXCL8結合モチーフを定義するヌクレオチドの1つの中央ストレッチを含み、これにより
図1は配列ファミリーの異なる配列を示し、
図2はCXCL8核酸315-F8-001の短縮型誘導体、例えば、CXCL8核酸315-F8-002-PEGなどを示す。
【0274】
一般に、CXCL8結合核酸分子は、ヌクレオチドの5’末端ストレッチおよび3’末端ストレッチ、すなわち、ヌクレオチドの第1の末端ストレッチおよびヌクレオチドの第2の末端ストレッチを含む。ヌクレオチドの第1の末端ストレッチおよびヌクレオチドの第2の末端ストレッチは、互いにハイブリダイズすることができ、それにより、ハイブリダイゼーション時に二本鎖構造が形成される。しかし、そのようなハイブリダイゼーションは、必ずしもin vivoおよびin vitroで分子内に与えられるとは限らない。
【0275】
CXCL8結合核酸分子のヌクレオチドの3つのストレッチ(ヌクレオチドの第1の末端ストレッチ、ヌクレオチドの中央ストレッチ、およびヌクレオチドの第2の末端ストレッチ)は、5’->3’方向:ヌクレオチドの第1の末端ストレッチ-ヌクレオチドの中央ストレッチ-ヌクレオチドの第2の末端ストレッチに互いに配置されている。ただし、代わりに、ヌクレオチドの第1の末端ストレッチ、ヌクレオチドの中央ストレッチ、およびヌクレオチドの第2の末端ストレッチは、5’->3’方向に互いに配置される:ヌクレオチドの第2の末端ストレッチ-ヌクレオチドの中央ストレッチ-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチ。
【0276】
定義されたストレッチの配列は、CXCL8結合核酸分子間で異なり得、これにより、CXCL8への結合親和性に影響を与える。異なるCXCL8結合核酸分子の結合分析に基づいて、以下に記載されるヌクレオチドの中央ストレッチおよびそれらのヌクレオチド配列は、個別に、より好ましくはそれらの全体において、CXCL8への結合に不可欠である。
【0277】
CXCL8結合核酸は、リボヌクレオチドで構成されている(
図1から
図2に示すとおり)。
【0278】
図1に示すとおり、CXCL8結合核酸315-H9-001、315-F11-001および315-F8-001のヌクレオチドの中央ストレッチの配列は、わずかに異なる:
5’GGAAGUACGUGGAAAGCCAAUGAGUGUGUCCCG3’(315-H9-001)、
5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAUGAGUGUGUCCCG3’(315-F11-001)、
5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAAAGUGUGUCCCG3’(315-F8-001)。
【0279】
本発明によるCXCL8結合核酸のヌクレオチドの中央ストレッチは、32~33ntを含み、コンセンサス配列:5’GGAAGUACGUGGAAAGCCRA(XU)RAGUGUGUCCCG 3’にまとめることができ、式中、XUは、Uであるか、または存在しない。
【0280】
CXCL8への最良の結合親和性を有するCXCL8結合核酸、すなわち、CXCL8への最高の結合親和性またはCXCL8の最低の解離定数Kdを有するCXCL8結合核酸を意味し、配列5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAAAGUGUGUCCCG3’(315-F8-001)および5’GGAAGUACGUGGAAAGCCAAUGAGUGUGUCCCG3’(315-H9-001)を含むヌクレオチドの中央ストレッチを含み、これにより、5’GGAAGUACGUGGAAAGCCGAAAGUGUGUCCCG3’(315-F8-001)の配列を有するヌクレオチドの中央ストレッチが、CXCL8に対するCXCL8核酸の最良の結合親和性をもたらす。
【0281】
図1および
図2に示すとおり、CXCL8結合核酸のヌクレオチドの第1の末端ストレッチおよびヌクレオチドの第2の末端ストレッチは、6ヌクレオチド、5ヌクレオチド、4ヌクレオチドまたは3ヌクレオチドを含み、それにより、ストレッチは、任意により互いにハイブリダイズし、それにより、ハイブリダイゼーション時に、二本鎖状構造が形成される。この二本鎖構造は、6、5、4、または3の塩基対で構成され得る。しかし、そのようなハイブリダイゼーションは必ずしも分子内で得られるものではない。
【0282】
図1に示すとおり、CXCL8結合核酸315-H9-001、315-F11-001、および315-F8-001のヌクレオチドの第1のストレッチおよび第2のストレッチは、それぞれ6つのヌクレオチドを含む。
a)CXCL8結合核酸315-H9-001および315-F8-001-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAGC3’を含む;
b)CXCL8結合核酸315-F11-001-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGAGC3’を含む。
【0283】
図2に示すとおり、CXCL8結合核酸のヌクレオチドの第1のストレッチおよび第2のストレッチは、それぞれ5つ、4つ、または3つのヌクレオチドを含む。
a)CXCL8結合核酸315-F8-002-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’CUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAG3’を含む;
b)CXCL8結合核酸315-F8-005-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAC3’を含む;
c)CXCL8結合核酸315-F8-003-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’UGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCA3’を含む;
d)CXCL8結合核酸315-F8-006-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCC3’を含む;
e)CXCL8結合核酸315-F8-007-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGC3’を含む;
f)CXCL8結合核酸315-F8-008-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GGUC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GACC3’を含む;
g)CXCL8結合核酸315-F8-009-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’UGGC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCCA3’を含む;
h)CXCL8結合核酸315-F8-004-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUC3’を含む。
【0284】
試験したすべてのCXCL8結合核酸分子のヌクレオチドの第1の末端ストレッチおよびヌクレオチドの第2の末端ストレッチは、ヌクレオチドの第1の末端ストレッチおよびヌクレオチドの第2の末端ストレッチについて、以下の一般式にまとめることができる:
ヌクレオチドの第1の末端ストレッチの一般式は、5’Z1Z2Z3Z4Z5C3’であり、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチの一般式は、5’GZ6Z7Z8Z9Z103’であり、式中、Z1はGであるかまたは存在せず、Z2はSであるかまたは存在せず、Z3はKであるかまたは存在せず、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであるかまたは存在せず、Z9はSであるかまたは存在せず、Z10はCであるかまたは存在せず、
それにより、第1の好ましい実施形態では、
q)Z1はGであり、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10はCであるか、または
r)Z1は存在せず、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10は存在しないか、または
s)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
t)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3は存在せず、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8は存在せず、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
u)Z1は存在せず、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10はCであるか、または
v)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10はCであるか、または
w)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3は存在せず、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10はCであるか、または
x)Z1はGであり、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10は存在しないか、または
y)Z1はGであり、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
z)Z1はGであり、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8は存在せず、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
aa)Z1は存在せず、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
bb)Z1は存在せず、Z2はSであり、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8は存在せず、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
cc)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10は存在しないか、または
dd)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3は存在せず、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9はSであり、Z10は存在しないか、または
ee)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3はKであり、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8は存在せず、Z9は存在せず、Z10は存在しないか、または
ff)Z1は存在せず、Z2は存在せず、Z3は存在せず、Z4はSであり、Z5はDであり、Z6はHであり、Z7はSであり、Z8はMであり、Z9は存在せず、Z10は存在しない。
【0285】
CXCL8への最良の結合親和性を有するCXCL8結合核酸、すなわち、CXCL8への最高の結合親和性またはCXCL8の最低の解離定数Kdを有するCXCL8結合核酸は、以下のヌクレオチドの第1の末端ストレッチおよび第2の末端ストレッチを含む:
a)CXCL8結合核酸315-H9-001および315-F8-001-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GCUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAGC3’を含む;
b)CXCL8結合核酸315-F8-002-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’CUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAG3’を含む;
c)CXCL8結合核酸315-F8-005-ヌクレオチドの第1の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUGAC3’を含み、ヌクレオチドの第2の末端ストレッチはヌクレオチド配列5’GUCAC3’を含む。
【0286】
CXCL8結合核酸315-F8-001、315-H9-001、および315-F11-001(6ヌクレオチドを有する末端ストレッチを含む)のKd値は、競合プル-ダウン結合アッセイで決定された1.5~12.5nMの範囲で測定した(
図1~3)。直接プルダウンアッセイ形式では、CXCL8結合核酸315-F8-001は、Kd値0.8nMを示した。Kd値を決定するためのより感度の高い方法である表面プラズモン共鳴測定を使用すると、CXCL8結合核酸315-F8-001のKdは、25℃で0.22nMであり、37℃で0.68nMであった(
図2)。
【0287】
驚くべきことに、第1の末端ストレッチの6から5ヌクレオチドへの短縮化および第2の末端ストレッチの6から5ヌクレオチドへの短縮化は、CXCL8への結合親和性に悪影響を及ぼさないことが見出された。競合プルダウンアッセイ(Kd1.1 nM;
図2および
図3)および表面プラズモン共鳴測定(25℃でKd 0.22nM、37℃で0.75nM、
図2および
図4)によって測定したとき、CXCL8結合核酸315-F8-002の結合親和性は、CXCL8結合核酸315-F8-001について決定された結合親和性の範囲内である(上記の315-F8-001のKd値を参照されたい)。
【0288】
CXCL8結合核酸315-F8-002の末端ストレッチをさらに短縮すること、および/または変異させることを試みたときに、CXCL8に対して低い結合親和性(315-F8-003、315-F8-004、315-F8-006、315-F8-007、315-F8-008、および315-F8-009)または類似している(315-F8-005)結合親和性を有する(
図2)CXCL8結合核酸315-F8-003、315-F8-004、315-F8-005、315-F8-006、315-F8-007、315-F8-008および315-F8-009を得た。
【0289】
CXCL8結合核酸315-F8-002の5’-40kDa-PEG化バリアントの場合、CXCL8結合核酸315-F8-002-PEG(AON-S08とも呼ばれる)のKdは、25℃で0.2nMであり、37℃で0.8nMであり、表面プラズモン共鳴測定によって決定された(
図2および
図5)。
【0290】
CXCL8は、いくつかのELR陽性ヒトCXCケモカインの1つである。CXCL8に加えて、ELR陽性ヒトCXCケモカインCXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6、CXCL7は、CXCL8受容体CXCR2に結合し、ELR陽性ヒトCXCケモカインCXCL6およびCXCL7は、CXCL8受容体CXCR1にも結合する。CXCL8結合核酸315-F8-002の結合特性の特異性および選択性を示すために、ELR陽性ヒトCXCケモカインCXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6、CXCL7に対するCXCL8結合核酸315-F8-002の結合親和性は、競合的結合アッセイにおいてSPRによって試験した(実施例4)。CXCL8結合核酸315-F8-002は、他のELR陽性ヒトCXCケモカインCXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6、CXCL7への結合を示さなかった(
図6)。
【0291】
CXCL8結合核酸315-F8-002-PEGは、CXCR2を発現するBA/F3細胞のCXCL8誘導性走化性を、0.26nMの平均阻害定数IC50で阻害した(
図7、実施例5)。
【0292】
固定化されたCXCL8結合核酸315-F8-002を備えたバイオセンサーを使用して、CXCL8の検出および定量化を行った。検出限界(平均ベースライン値+ベースライン値の3x標準偏差)は<98pM CXCL8であり、定量下限(平均ベースライン値+ベースライン値の10x標準偏差)も<98pM CXCL8であった(
図8A、実施例6)。固定化されたCXCL8結合核酸315-F8-002の特異性を示すために、異なるケモカイン(CCL5)を分析物として使用した。12.5nMまでの濃度ではCCL5の結合は測定されなかった(
図8B、実施例6)。
実施例2:D-およびL-アプタマーの合成
小規模固相合成
【0293】
D-アプタマー(D-核酸)およびL-アプタマー(L-核酸)は、2’TBDMS RNAホスホルアミダイト化学(Damha and Ogilvie,1993年)を使用して、ABI394シンセサイザー(Applied Biosystems,Foster City,CAUSA)を用いて、固相合成によって生成した。L-rA(N-Bz)-、L-rC(Ac)-、L-rG(N-ibu)-、L-rU-、D-rA(N-Bz)-、D-rC(Ac)-、D-rG(N-ibu)-、D-rU-ホスホルアミダイトは、ChemGenes,Wilmington,MAから購入した。D-アプタマーおよびL-アプタマーは、ゲル電気泳動によって精製した。
大規模固相合成
【0294】
L-アプタマーは、2’TBDMS RNAおよびDNAホスホルアミダイト化学(Damha and Ogilvie、1993年)を使用して、AktaPilot100シンセサイザー(Amersham Biosciences; General Electric Healthcare、Freiburg)を用いて、固相合成によって生成した。L-rA(N-Bz)-、L-rC(Ac)-、L-rG(N-ibu)-、およびL-rU-は、ChemGenes(Wilmington,MA)から購入した。5’-アミノ修飾剤は、American International Chemicals Inc.(Framingham,MA,USA)から購入した。未修飾または5’-アミノ修飾L-アプタマーの合成は、L-riboA、L-riboC、L-riboG、またはL-riboU、修飾CPGポアサイズ1000A(Link Technology,Glasgow,UK.)で開始した。RNAホスホルアミダイトのカップリング(15分/サイクル)には、0.3Mベンジルチオテトラゾール(CMS-Chemicals、Abingdon、UK)を含むアセトニトリル、およびそれぞれ2当量の0.2Mホスホルアミダイト溶液を含むアセトニトリルを使用した。酸化キャッピングサイクルを使用した。オリゴヌクレオチド合成用のさらなる標準溶媒および試薬は、Biosolve(Valkenswaard、NL)から購入した。L-アプタマーは、DMT-ONで合成し、脱保護後、Sourcel5RPC培地(Amersham)を使用した分取RP-HPLC(Wincottら、1995年)により精製した。5’DMT群を80%酢酸で除去した(RTで30分)。5’アミノ修飾L-アプタマーの場合、5’MMT群は、80%酢酸で除去した(RTで90分)。その後、2M NaOAc水溶液を添加し、5K再生セルロース膜(Millipore,Bedford,MA)を使用したタンジェンシャルフローろ過によってL-アプタマーを脱塩した。
L-アプタマーのPEG化
【0295】
In vivoでのL-アプタマーの血漿滞留時間を延長するために、L-アプタマーを5’末端で40kDaポリエチレングリコール(PEG)部分に共有結合により連結させた。PEG化の場合(PEG化方法の技術的な詳細については、欧州特許出願第1306382号を参照されたい)、精製された5’アミノ修飾L-アプタマーをH2O(2.5ml)、DMF(5ml)、および緩衝液Aの混合物(5ml;クエン酸・H2O[7g]、ホウ酸[3.54g]、リン酸[2.26ml]、および1M NaOH[343ml]を混合し、水を加えて最終容量を1lにすることによって調整し、pH=8.4は1M HClで調節した)に溶解した。
【0296】
L-アプタマー溶液のpHは、1M NaOHで8.4にした。次に、40kDa PEG-NHSエステル(Jenkem Technology、Allen、TX、USA)を、最大収率75~85%に達するまで、0.25当量の6つの部分で30分ごとに37℃で添加した。PEG-NHSエステルの添加中、反応混合物のpHは1M NaOHで8~8.5に維持した。
【0297】
反応混合物を4mlの尿素溶液(8M)および4mlの緩衝液B(0.1M酢酸トリエチルアンモニウムを含むH2O)と混合し、95℃まで15分間加熱した。次に、PEG化されたL-アプタマーを、アセトニトリル勾配(緩衝液B;緩衝液C:0.1M酢酸トリエチルアンモニウムを含むアセトニトリル)を使用して、ソース15RPC培地(Amersham)を使用して、RP-HPLCによって精製した。過剰なPEGは、5%緩衝液Cで溶出し、PEG化L-アプタマーは10~15%緩衝液Cで溶出した。95%を超える純度の生成物画分(HPLCで評価)を組み合わせて、40mlの3MNaOAcと混合した。PEG化L-アプタマーは、タンジェンシャルフローろ過(5K再生セルロース膜、Millipore、Bedford MA)によって脱塩した。
実施例3:プルダウン結合アッセイ
D-アプタマーの結合定数を決定するための直接プルダウンアッセイ
【0298】
直接プルダウンアッセイを使用して、D-CXCL8(C-bio)(配列番号1)に対するD-アプタマーの親和性を決定する。この目的のために、D-アプタマーは、[γ-32P]-ATP(Hartmann Analytic,Braunschweig,Germany)を使用して、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Invitrogen,Karlsruhe,Germany)によって放射性標識させる。標識されたD-アプタマーの比放射能は、110,000~300,000cpm/pmolであった。標識されたD-アプタマーは、選択緩衝液(20mM Tris、pH7.4、150mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl2、1mM CaCl2、0.1%Tween 20、100μg/ml必須脂肪酸非含有ウシ血清アルブミン、200μg/ml酵母RNA)中0.2nM濃度で、0.0192~300nMの範囲の様々な量のD-CXCL8(C-bio)と共に、37℃で1.5~2時間インキュベートする。D-CXCL8(C-bio)/D-アプタマー複合体は、選択緩衝液で事前に平衡化させたNAag+ビーズ(Neutravidin agarose plus、Pierce Biotechnology、Rockford、USA)に固定化されている。上清を取り除いて適切に洗浄した後、ビーズに結合した放射能をシンチレーションカウンター(LS6500;Beckman Coulter、Fullerton、USA)で測定する。固定化され、標識されたD-アプタマーの量(投入率)をD-CXCL8(C-bio)の濃度に対してプロットし、解離定数Kdは、ソフトウェアアルゴリズム(GRAFIT;Erithacus Software;Surrey UK)を使用して1:1化学量論を仮定して得る。
【0299】
CXCL8結合アプタマー315-H9-001および315-F8-001の場合、Kd値1.7nMおよび0.8nMがそれぞれ直接プルダウンアッセイによって決定された。
D-アプタマーの結合定数のランク付けおよび決定のための競合プルダウンアッセイ
【0300】
競合プルダウンアッセイは、異なるD-CXCL8(C-bio)結合D-アプタマーの親和性を比較するために使用される。この目的のために、参照D-アプタマーは放射性標識され(上記のとおり)、NAag+に固定化し、洗浄(例えば、3nM D-CXCL8(C-bio)、0.15nM標識D-アプタマー)した後、不飽和結合シグナルをもたらす条件で、D-CXCL8(C-bio)を含む選択緩衝液と共に37℃でインキュベートした。D-CXCL8(C-bio)へ結合するために標識D-アプタマーと競合する過剰量の非標識D-アプタマーを添加することにより、固定化および洗浄後のビーズ結合放射能の量が減少する。シグナルの減少の程度は、非標識D-アプタマーの量および親和性に依存する。競合プルダウンアッセイは、実験のランク付け、および選択したD-アプタマーの解離定数(Kd)の決定に使用される。解離定数Kdは、D-CXCL8(C-bio)に結合した標識D-アプタマーの割合(%)を、非標識競合D-アプタマーの濃度に対してプロットすることによって決定される。データ分析は、GRAFITを使用して実行した。
【0301】
プルダウン結合アッセイの結果は、実施例1に特定され、
図1、
図2および
図3に示され、標識されたD-アプタマーとして、CXCL8核酸315-F8-001を使用した。
実施例4:表面プラズモン共鳴(SPR)結合アッセイ
【0302】
表面プラズモン共鳴測定は、一定温度25℃または37℃に設定したBiacore2000機器(GE Healthcare)で実行した。タンパク質は、アミンカップリングによってCM4センサーチップ(GE Healthcare)に固定化した。センサーチップの表面は、0.4M EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;GE)および0.1M NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド;GE)の1:1混合物を注入することによって活性化させた。共有結合により固定したペプチドまたはタンパク質で観察された最大の応答は、約500RUであった。フローセルを1Mエタノールアミン塩酸塩(GE、BR-1000-50)でブロックした。非共有結合ペプチドまたはタンパク質も、この手順で除去する。未処理のデキストラン表面を備えたフローセルおよびエタノールアミンでブロックされた表面を有するフローセルが対照として機能した。測定前に、センサーチップを脱気した生理的ランニング緩衝液(20mM Tris pH7.4、150mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl2、および1mM CaCl2)で2回プライミングし、少なくとも3回の注入および再生(5M NaCl)サイクルを行った。
【0303】
L-アプタマーの結合親和性は、1000、500、250、125、62.5、31.3、15.6、7.8、3.9、1.95、0.98、0.49、0.24、0.12、0.06nMの濃度系列の注入および結合イベントの関連付けおよび解離段階の記録によって測定した。得られた結合曲線をラングミュア1:1化学量論的結合モデルにフィットさせて、解離定数(Kd=kd/ka)の計算に使用される結合速度定数(結合定数ka;解離定数kd)を決定した。データ分析は、一定の屈折率(RI)値および1x10e7(RU・M-1s-1)の初期物質移動係数ktを使用して、BIAevaluation 3.1.1ソフトウェア(BIACORE AB,Uppsala,Sweden)を使用して行った。
【0304】
L-アプタマー結合の選択性は、競合的結合アッセイによって評価した。この目的のために、ヒトケモカインCXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6、CXCL7、およびCXCL8(RnD Systems、PeproTech、またはProSpecTechから購入)を、CXCL8結合核酸315-F8-002(0.25nM)のL-アプタマーと共に40nMで個別に注入し、固定化されたCXCL8へのL-アプタマーの結合について競合させた。対照として、ケモカインをL-アプタマーの非存在下で注入して、センサーチップデキストランマトリックスまたは/および固定化CXCL8への結合をモニターした。固定化されたCXCL8への315-F8-002の結合は、注入終了後240秒の事前定義された報告ポイントで記録した。選択したケモカインを固定化し、CXCL8結合核酸315-F8-002のL-アプタマーの結合親和性を上記のとおり決定した。
SPR結合アッセイの結果は、実施例1で指定され、
図2、
図4、
図5、および
図6に示す。
実施例5:In Vitro薬理学-走化性アッセイ
【0305】
BA/F3マウスpro-B細胞株は、ヒトCXCR2をコードするプラスミドを使用して安定的にトランスフェクトさせた。細胞走化性アッセイでは、組換えCXCL8(0.5nM)を、5μmポアの96ウェルCorning Transwellプレート(Costar Corning、NY)の下部コンパートメントにおいて、37℃で20~30分間、HBH緩衝液(ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)+1mg/ml BSA+20mM HEPES)中の示された濃度でCXCL8結合核酸315-F8-002-PEGのL-アプタマーとプレインキュベートした。CXCR2+細胞を含むHBH緩衝液を上部コンパートメントに添加し、37℃で3時間移動させることができた。上部コンパートメントを取り外した後、50μMレザズリン(Sigma-Aldrich)を含むPBSを下部コンパートメントに添加し、37℃で2.5時間インキュベートした。蛍光は590nm(励起波長544nm)で測定した。L-アプタマー濃度に対して、バックグラウンド補正および正規化蛍光値をプロットした。阻害定数IC50値(最大阻害の半分に必要なL-アプタマー濃度)は、Prism 5ソフトウェア(GraphPad Software、San Diego、CA)を使用した非線形回帰(4パラメーターフィット)で決定した。
【0306】
走化性アッセイの結果を実施例1に示し、
図7に示す。
実施例6:CXCL8バイオセンサー
【0307】
アジド末端カルボナノメンブレンでコーティングされたSPRセンサーチップを調製し、CXCL8結合L-アプタマー315-F8-002-DBCO(315-F8-002-アミノのDBCO修飾バリアント)を市販のBiacoreシステムのフローセル上で20μMの2M NaCl溶液(約1000RUまで)から固定化した。参考までに、非機能的L-アプタマー(DBCO修飾リバース315-F8-002-アミノ)を別のフローセルに同量固定化した。表面は、DBCO修飾直鎖メトキシ末端ポリエチレングリコール(MW:5kDa)を固定化することによって不動態化した。0.1%(w/v)Tween20を添加して標準サンプル緩衝液(CopanのUniversal Transport Medium)にスパイクした分析対象物CXCL8の濃度系列を注入することにより、シグナルの用量依存的な増加が示された。測定温度は25℃、流量は30μL/分であり、ランニング緩衝液は、測定緩衝液(20mM Tris pH7.4、150mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl2、1mM CaCl2、0.1%(w/v)Tween20)であった。分析対象物を10分間会合させ、その後、測定緩衝液で解離時間2.5分とした。解離段階の終わりのシグナルは、参照フローセル上のシグナルを差し引くことによって参照とした。
【0308】
CXCL8バイオセンサーの結果を実施例1に示し、
図8に示す。
実施例7:可溶性ケモカインへの結合を比較するためのSPR結合アッセイ
【0309】
アプタマーの阻害活性は、溶液中のその標的に結合するその能力に依存する。本明細書では、競合SPR結合アッセイを使用して、本発明によるCXCL8結合核酸315 F8002のLアプタマーおよび以前に公開されたアプタマー8A-35(Sung、Biomaterials 2014年)の可溶性CXCL8およびCXCL1への結合を決定した。この目的のために、アミンカップリングによってC1センサーチップ(GE Healthcare)に固定化されたCXCL8を用いて、実施例4に記載のSPR測定を実施した。315 F8 002(3nM)または8A-35(1,6nM)の固定化CXCL8への結合は、約20応答単位の結合応答をもたらした。8A-35結合アッセイでは、1M CaCl2溶液を使用してセンサーチップを再生した。溶液中のそれらの標的への両方のアプタマーの結合を評価するために、可溶性CXCL8を等モル濃度(1:1比)または5倍過剰(1:5比)で同時に注入して、固定化CXCL8へのアプタマー結合と競合させた。可溶性CXCL1の結合を対照として使用した。すべての測定は37℃で実行した。固定化されたCXCL8への結合応答は、注入後240秒で記録した。
【0310】
固定化されたCXCL8への315-F8-002の結合は、等モル濃度の可溶性CXCL8によって完全にブロックした(>90%)(
図9A)。対照的に、8A 35の結合は、等モル(約30%)および5倍過剰濃度(約45%)で、可溶性CXCL8によって部分的にのみブロックされた(
図9B)。これは、315-F8-002が8A-35と比較して可溶性CXCL8に対してより高い結合親和性を有することを示している。可溶性CXCL8への結合親和性の低下(表面固定化CXCL8と比較)は、CXCL8誘導好中球遊走アッセイで観察された8A-358の阻害活性の低さを説明し得る(Sung、Biomaterials 2014年)。
【0311】
315-F8-002は、他のELR陽性ケモカインとの交差反応性を有さないことが示されたため、可溶性CXCL1を対照として使用した(
図6)。したがって、315-F8-002の結合は、可溶性CXCL1によってブロックされなかった(
図9A)。驚くべきことに、8A-358の結合は、可溶性CXCL8と同様の効果で可溶性CXCL1によってブロックされた(等モルで約25%、5倍過剰濃度で約35%)(
図9B)。これは、315-F8-002とは対照的に、8A-35が溶液中のCXCL8に選択的に結合せず、前向きに阻害しないことを示している。
【参照文献】
【0312】
本明細書に記載されている文書の完全な書誌データは、その開示が参照により組み込まれているが、反対に示されない限り、以下のとおりである。
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本出願につながるプロジェクトは、資金供与合意No 634415に基づいて、欧州連合のHorizon 2020研究およびイノベーション・プログラムからから資金提供を受けている。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】