(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】空間変調装置
(51)【国際特許分類】
G01J 3/18 20060101AFI20220131BHJP
G01J 3/14 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
G01J3/18
G01J3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525155
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 CA2019051626
(87)【国際公開番号】W WO2020097733
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196730
【氏名又は名称】11093606 カナダ エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】プリストパ,デイビッド アラン
(72)【発明者】
【氏名】パカク,ジョン ステファン
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020CC02
2G020CC13
2G020CC49
2G020CC55
2G020CD03
2G020CD06
2G020CD31
2G020CD33
2G020CD39
(57)【要約】
【解決手段】高い周波数で電磁放射線を空間的に変調する方法が提供され、変調は、位相、偏光、または伝搬方向であり、前記方法は、変調する対象の電磁放射線の入射ビームに対して相対運動する、整列された光学素子の配列を担持した基板と、その相対運動を測定することとを含む。配列は、少なくとも3つの光学素子と、少なくとも2つの異なる種類の光学素子とを含有する。光学素子の少なくともいくつかは、基板の部材から形成され、基板の部材と一体である。光学素子は、サブトラクティブ法によって、基板の部材上に作られてもよい。変調する対象の電磁放射線は、活性領域と称される基板の領域に入射する。基板が、入射した電磁放射線に対して相対的に移動すると、活性領域も移動し、個々の光学素子の指定も変更される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射線を空間的に変調する方法であって、該方法は、
空間的に変調する対象の電磁放射線を収集する工程と、
前記放射線を、基板上の秩序だった光学素子の配列に方向付ける工程と、
2つの異なる時間において、少なくとも2つの異なる光学素子を、入射した放射線に関与させるために、前記基板を平行移動させる工程と、
前記2つの異なる時間において、基板の位置を測定する工程と、
前記位置をユーザに伝送する工程と、を含み、
ここで、光学素子の配列は、少なくとも3つの光学素子と、入射した前記放射線を異なる様式で変調する少なくとも2つの光学素子とを有する、方法。
【請求項2】
空間変調器の光学素子は、変調する対象の電磁放射線を、少なくとも2つの異なる方向に方向付けることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
空間変調器の光学素子は、変調する対象の電磁放射線を、少なくとも3つの異なる方向に方向付けることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
空間変調器の光学素子は、変調する対象の電磁放射線に少なくとも2つの異なる位相変化をもたらすことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
空間変調器の光学素子は、変調する対象の電磁放射線に少なくとも3つの異なる位相変化をもたらすことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
空間変調器の光学素子は、変調する対象の入射した放射線の偏光を少なくとも2つの異なる方法で変更することを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
空間変調器の光学素子は、変調する対象の入射した放射線の偏光を少なくとも3つの異なる方法で変更することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
空間変調器の光学素子は、基板の部材と一体であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
光学素子は、開口、ミラー、回析格子、位相板、屈折楔、屈折プリズム、および偏光子の集合から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
光学素子は、少なくとも2つの異なる構成を呈することができるミラーを含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのミラーは、少なくとも1度は構成の変更を行い、前記構成の変更は、前記ミラーが、変調する対象の電磁放射線に晒されるときに生じることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
位置を測定する工程は、基板と一体であり、かつ、光学素子の近接にある構成部品を使用することを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
基板は、閉ループを形成する可撓性テープであり、可撓性テープは、閉ループの周りを平行移動し、光学素子は、平行移動する方向に沿って配置されることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
基板は、回転ディスクであり、光学素子は、回転軸から共通の径方向距離に配置されることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
基板は、円弧の軸を中心として周期的および/または往復的に回転運動する円弧であり、光学素子は、円弧に沿って、回転軸から共通の径方向距離に配置されることを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
基板の変位を測定する方法であって、該方法は、
光ビームを、反射式位置指標または透過式位置指標の配列を備えた基板に方向付ける工程と、
異なる時間において、少なくとも2つの異なる位置マーカからの光ビームの一部を透過または反射するように、基板を前記光ビームに対して相対的に移動させる工程と、
複数の時間間隔で、透過または反射された光の強度を測定する工程と、
基板の位置に関する情報をもたらすために、測定された前記光の強度を複数回解析する工程と、を含む、方法。
【請求項17】
光ビームは、ある瞬間において、0または1つの位置マーカと交差し、光ビームは、異なる瞬間において、少なくとも2つの異なる位置マーカと交差することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各位置マーカから透過または反射された光ビームの強度は、少なくとも4回、少なくとも4つの異なる基板の位置で測定され、
ここで、前記位置マーカから透過または反射された光の少なくとも一部は、各測定に含まれることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
各位置マーカから透過または反射された光ビームの強度は、少なくとも20回、少なくとも20の異なる基板の位置で測定され、
ここで、前記位置マーカから透過または反射された光の少なくとも一部は、各測定に含まれることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
基板の位置は、少なくとも3つの位置マーカの場所に対して最小二乗適合を行うことによって計算されることを特徴とする、請求項16~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
プローブ光ビームの異なる部分を透過または反射する少なくとも2種類の位置マーカが存在し、基板の位置に関する情報をもたらすために、強度の差が解析されることを特徴とする、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
電磁放射線を空間的に変調する方法であって、該方法は、
空間的に変調する対象の電磁放射線を収集する工程と、
前記放射線を、基板の部材上の秩序だった光学素子の配列に方向付ける工程と、
2つの異なる時間において、少なくとも2つの異なる光学素子を、入射した放射線に関与させるために、前記基板の部材を平行移動させる工程と、を含み、
ここで、光学素子の少なくともいくつかは、基板の部材から形成され、基板の部材と一体である、方法。
【請求項23】
光学素子は、例えばエッチング、機械加工、またはレーザ切断加工などのサブトラクティブ法によって基板の部材上に作られることを特徴とする、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
光学素子は、例えば反射層を堆積するなどのアディティブ法によって、基板の部材上に作られることを特徴とする、請求項1~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
基板は、閉ループを形成する可撓性テープであり、可撓性テープは、閉ループの周りを平行移動し、光学素子は、平行移動する方向に沿って配置されることを特徴とする、請求項1~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
電磁放射線を空間的に変調する方法であって、該方法は、
空間的に変調する対象の電磁放射線を収集する工程と、
前記放射線を、基板上の秩序だった光学素子の配列に方向付ける工程と、
2つの異なる時間において、少なくとも2つの異なる光学素子を、入射した放射線に関与させるために、前記基板を平行移動させる工程と、を含み、
ここで、基板は、閉ループを形成する可撓性テープであり、可撓性テープは、閉ループの周りを平行移動し、光学素子は、平行移動する方向に沿って配置される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い周波数で電磁放射線を空間的に変調する方法および装置に関する。変調は、位相、偏光、または伝搬方向であってもよい。
【背景技術】
【0002】
多重分光法は、放射線照射野を空間的に変調する手段を必要とする。古典的なフーリエ変換分光法では、位相変調が、光軸に対して垂直な平面に位置する光学素子によって、光軸に沿って行なわれる。古典的なアダマール分光法では、コードマスクが、光軸に交差する平面に配置され、入射した放射線が透過されるか、検出器の方向に反射される。これらの方法では、変調は、一般には、1つの経路に沿ったものである。好ましくは、しかし必須ではないが、本発明は、本出願人によって2018年5月23日に出願された米国特許出願第15/987,279(2018年11月29日にWO2018/213923として公開されているPCT出願第PCT/CA2018/050599に対応)に記載の高効率多重化(HEMX)と共に使用することができる。当該文献の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。HEMSは、粒子束を複数の経路に沿って変調することによって、粒子束の測定の信号対雑音比(SNR)を向上させる多重化法である。それゆえ、HEMS法では、先行技術では必要とされなかった、複数の出力方向を備えた新しい類の空間変調器の必要が生じている。本発明は、HEMSシステム内で使用するのに適した変調システムを提供する。下記は、HEMSへの言及を含むが、これらは例示に過ぎず、本明細書の発明は他の方法と共に使用できることを理解されたい。
【0003】
多重分光器の分光チャネルの数は、測定系列の入力放射線に適用される異なる変調パターンの数Nに比例する。分光チャネルの数は、用途によって必要とされる分光帯域と分解能に応じて、数百から数千に至る場合がある。高処理量の産業用検査用途では、1分当たり数百から数千の対象物が検査され、数ミリ秒で各対象物に対するデータが収集される必要がある。これらの要因が組み合わされると、100kHzを上回る変調速度が必要とされることにつながる。可変マイクロミラーの配列に基づいた市販のMEMS装置は、約5kHzの変調持続速度と、約50kHzのバーストモード速度が可能である。最大速度は、ミラーを移動するためにもたらされる力(通常は電気力)に対して相対的なミラーの慣性によって制限される。ミラーの大きさを小さくすることによって、それゆえ、ミラーの慣性を小さくすることによって、より速い速度が可能となる。しかし、ミラーの大きさが入射した放射線の波長λに近づくと、ミラー端部の回折効果がますます重要になる。本発明は、より大きなミラーを使用できるようにすることで、端部の回折効果を低減することを目的とする。マイクロミラーの配列の変調持続速度は、熱を考慮することによって制限される。しかし、MEMS装置は、分解能を変更するために、または対象となる領域に集束するために、パターンの集合を動的に変更することができるという望ましい特性を持つ。それゆえ、100kHzを上回る速度で動作可能であり、また、動的に適合可能である新しい類の空間変調器が必要である。
【0004】
異なる変調パターンの間で遷移すると、望ましくない畳み込み効果をもたらし、システムの性能を低下させる。従来は、規定された異なる変調パターンに空間変調器の構成が近接する間隔において、サンプルが取られる。空間変調器の構成の間で素早く遷移する必要があるシステムでは、デューティ比の相当の割合は、データ収集よりも遷移に費やされ、実現可能なSNRが低下することにつながる。それゆえ、デューティ比、カウントされる光子の数、およびSNRを向上する方法が必要とされる。本発明は、遷移時間を低減することによってデューティ比を向上することをさらに目的とする。
【発明の概要】
【0005】
本発明のある態様によれば、電磁放射線を空間的に変調する方法が提供され、該方法は、
空間的に変調する対象の電磁放射線を収集する工程と、
前記放射線を、基板上の整列された光学素子の配列に方向付ける工程と、
2つの異なる時間において、少なくとも2つの異なる光学素子を、入射した放射線に関与させるために、前記基板を平行移動させる工程と、
前記2つの異なる時間において、基板の位置を測定する工程と、
前記位置をユーザに伝送する工程と、を含み、
ここで、光学素子の配列は、少なくとも3つの光学素子と、入射した放射線を異なる様式で変調する少なくとも2つの光学素子とを有する。
【0006】
本発明のある態様によれば、基板の変位を測定する方法が提供され、該方法は、
光ビームを、反射式または透過式位置指標の配列を備えた基板に方向付ける工程と、
異なる時間において、少なくとも2つの異なる位置マーカからの光ビームの一部を透過または反射するように、基板を前記光ビームに対して相対的に移動させる工程と、
複数の時間間隔で、透過または反射された光の強度を測定する工程と、
基板の位置に関する情報をもたらすために、測定された前記光の強度を複数回解析する工程と、を含む。
【0007】
本発明のある態様によれば、電磁放射線を空間的に変調する方法が提供され、該方法は、
空間的に変調する対象の電磁放射線を収集する工程と、
前記放射線を、基板の部材上の整列された光学素子の配列に方向付ける工程と、
2つの異なる時間において、少なくとも2つの異なる光学素子を、入射した放射線に関与させるために、前記基板の部材を平行移動させる工程と、を含み、
ここで、光学素子の少なくともいくつかは、基板の部材から形成され、基板の部材と一体である。
【0008】
本発明のある態様によれば、電磁放射線を空間的に変調する方法が提供され、該方法は、
空間的に変調する対象の電磁放射線を収集する工程と、
前記放射線を、基板上の整列された光学素子の配列に方向付ける工程と、
2つの異なる時間において、少なくとも2つの異なる光学素子を、入射した放射線に関与させるために、前記基板を平行移動させる工程と、を含み、
ここで、基板は、閉ループを形成する可撓性テープであり、テープは、ループの周りを平行移動し、光学素子は、平行移動する方向に沿って配置される。
【0009】
本発明は、変調する対象の電磁放射線の入射ビームに対して相対運動する、整列された光学素子の配列を担持した基板と、その相対運動を測定する手段とを含み、ここで、前記配列は、少なくとも3つの光学素子と、少なくとも2つの異なる種類の光学素子とを含有する。好ましくは、光学素子の少なくともいくつかは、基板の部材から形成され、基板の部材と一体である。光学素子は、例えばエッチング、機械加工、またはレーザ切断加工などのサブトラクティブ法によって、基板の部材上に作られてもよい。光学素子は、例えば反射層を堆積するなどのアディティブ法によって、基板の部材上に作られてもよい。
【0010】
変調する対象の電磁放射線は、活性領域と称される基板の領域に入射する。その範囲の少なくとも一部が活性領域にある光学素子はすべて、活性と称される。残りの光学素子はすべて、不活性と称される。基板が、入射した電磁放射線に対して相対的に移動すると、活性領域も移動し、個々の光学素子の指定も変更される。好ましくは、相対運動は周期的なものであって、各光学素子は、活性領域の内側または外側に一定間隔で収まる。
【0011】
相対運動は、平行移動、回転移動、または平行移動と回転移動の組み合わせであってもよいが、但し、このような運動は、基板に入射した電磁放射線のビームの中心を、規定された順序で各光学素子に衝突させる効果があるものに限る。基準系の選択は、便宜上されるものである。本記載においては、入射した電磁放射線という基準系が使用される。この場合は、入射した電磁放射線の線源と伝搬方向の位置は固定され、基板が移動する。光学素子は距離αだけ離れていると仮定する。直線状の平行移動の場合は、本明細書では線周波数と呼ばれる1秒当たりに衝突される光学素子の数は、νL=v/αであり、ここで、νは基板の線速度である。回転移動の場合は、1秒当たりに衝突される光学素子の数は、νL=α/rωであり、ここで、ωは角速度であり、rは光学素子が配置される半径である。平行移動(または回転移動)方向の光学素子の寸法は、αより小さくてもよく、その場合は、素子の間に差が存在し、入射した電磁放射線を、如何なる光学素子とも同じ方向に方向付けることがない。好ましくは、差がある領域が存在するのであれば、それは吸収性である。
【0012】
相対運動を測定する構成は、基板に取り付けられる、従来設計の光学式位置エンコーダまたは磁気式位置エンコーダであってもよい。好ましくは、相対運動を測定する構成は、基板に内在する。好ましい実施形態では、基板は、基板の平行移動方向または回転移動方向に沿って配置された反射式または透過式位置指標の配列を担持する。好ましくは、位置指標の配列は、光学素子の配列と同じ周期性を持つ。好ましくは、位置マーカの配列は、光学素子の配列と平行かつ近接である。好ましくは、位置マーカは、寸法α/2を有する。好ましくは、位置指標の間にある基板の領域は、吸収材が塗布される。さらなる情報を伝えるために、位置マーカは、プローブビームの強度の異なる分率を反射または透過してもよい。例えば、第1の種類の位置マーカが、プローブビームの強度の第1の分率を反射または透過するのは、順序の始まりを示す。第2の種類の位置マーカが、プローブビームの強度の第2の分率を反射または透過するのは、2値のうちの1を示す。第3の種類の位置マーカが、プローブビームの強度の第3の分率を反射または透過するのは、2値のうちの0を示す。これら3種類の位置マーカは、配列の位置をすべて区別してラベル付けするのに十分なものである。プローブ放射線のビームは、変調する対象の入射した放射線から直線的に変位され、1つの位置指標が占める領域以下の領域に集束される。各位置指標から透過または反射されたプローブ放射線は、検出器に方向付けられるが、この検出器は、例えばフォトダイオードであってもよい。プローブビームと第1の位置指標が一致したときは、第1の種類の位置マーカのプローブビームの強度特性の分率が検出器に入射する。基板が第1の位置指標に対して相対的に変位されると、検出器に戻るプローブビームの分率が0に低下し、その後、第2の位置指標と一致する状態に近づくと、第2の種類の位置マーカの分率特性が上昇する。それゆえ、検出器で受信した強度は、各位置マーカと一致した状態では、特性値が周期的に上昇し、位置マーカの間にある中間地点では、0に低下する。検出器に戻るプローブビームの強度は、線周波数νLより少なくとも4倍高いサンプリング周波数νsで、時間的にサンプリングされる。好ましくは、νs/νL>20である。検出器によって測定された強度は、デジタルプロセッサに伝送され、デジタルプロセッサは、変調する対象の入射した電磁放射線の中心に対して相対的に基板の位置を計算する。
【0013】
異なる種類の各光学素子は、その素子に入射した電磁放射線を、異なる種類の光学素子に入射した電磁放射線とは異なる状態でその素子から出させる。異なる状態とは、伝搬方向、位相、または偏光に関するものであってもよい。如何なる瞬間であったとしても、整列された配列は、変調する対象の入射した電磁放射線の少なくとも一部をそこに衝突させる光学素子の集合を含む活性領域と、測定する対象の電磁放射線が一切衝突しない光学素子の集合を含む不活性領域とに分割される。
【0014】
1つ目の種類の光学素子は、開口型である。この場合は、開口端部の回析効果を除き、入射した電磁放射線は変更されることなく、この種類の光学素子から出ていく。
【0015】
2つ目の種類の光学素子は、透過型である。この場合は、入射した電磁放射線は、透過媒体の光学厚みに比例した位相変化を伴って、透過媒体を通過する。異なる各光学厚みが、異なる位相変化を生じさせ、それゆえ、異なる種類の光学素子に相当する。
【0016】
3つ目の種類の光学素子は、反射型である。この場合は、入射した電磁放射線は、入射角と等しい大きさの反射角で光学素子を出ていく。異なる入射角をもたらすために、反射型素子の配向は、入射した電磁放射線の方向に対して相対的に回転可能である。異なる各入射角によって、入射した放射線が異なる方向に反射されるので、それゆえ、異なる種類の光学素子に相当する。さらに、反射型光学素子は、入射した電磁放射線の方向に対して垂直な平面にあってもよく、平均基板表面からの距離のみにおいて異なってもよい。この場合は、平均基板表面からの各距離が、異なる位相変化を生じさせるので、それゆえ、異なる種類の光学素子を構成する。
【0017】
4つ目の種類の光学素子は、屈折型である。この場合は、入射した電磁放射線は、1つ目とは異なる屈折率で部材に衝突し、入射角と前記屈折率に応じた角度で光学素子から出ていく。電磁放射線が出ていく角度を変更するために、入射角と屈折率の両方を変更することができ、屈折率と入射角の各組み合わせによって異なる種類の光学素子を構成する。
【0018】
5つ目の種類の光学素子は、回折型である。この場合は、入射した電磁放射線は、ピッチと配向が違い得る回析格子線の集合に衝突する。ピッチと配向の各違いによって、入射した電磁放射線が回析され、異なる方向に建設的に干渉するので、それゆえ、各組み合わせによって異なる種類の光学素子を構成する。
【0019】
6つ目の種類の光学素子は、偏光型である。この場合は、入射した電磁放射線は、配向が違い得る偏光光学部品に衝突し、各配向によって、入射した電磁放射線は異なる偏光状態を伴って出ていく。それゆえ、各偏光子の配向によって異なる種類の光学素子を構成する。
【0020】
以上に列挙された異なる種類の光学素子は、入射した放射線の少なくとも1つの特性を変えるさらなる種類の光学素子を生成するために組み合わされてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、光学素子は平面であり、他の実施形態では、光学素子は曲面を有する。具体的には、曲面を備えた光学素子は、前記面に入射した放射線を検出器の場所に集束するために使用されてもよい。
【0022】
最も好ましい実施形態では、移動可能な基板は、閉ループにある光学素子の配列を平行移動させる可撓性テープであり、ここで、テープは、閉ループに沿って少なくとも1つの領域が実質的に平坦である。好ましくは、テープループは、2つ以上のスプロケットによって硬く形状保持され、このスプロケットは、制御された速度でテープを平行移動させるように、駆動開口を介してテープに係合する。実質的に平坦という用語は、公差2度以内で、テープの表面がスプロケットのうちの2つの間の線に平行であることを意味する。このように規定された平坦な基板の表面は、入射した電磁放射が光学素子の配列と相互作用する活性領域に相当してもよい。各種類の光学素子は、共通の方向に電磁放射線を方向付けるように機能する。HEMS用途では、各種類の光学素子は、その種類専用の検出器に電磁放射線を方向付ける。光学素子は、典型的には、基板表面の標準偏差より大きな平坦の基板に対して法線方向に機能を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、テープは、違った光学厚みの領域を含有し、この違った光学厚みの領域は、干渉パターンを作成するために、互いに近接して配置され、入射した放射束の位相変化を実施する。
【0024】
いくつかの実施形態では、回析機能のピッチは、テープの長さに沿って違う。この機能は、例えば、低いスペクトル分解能で広範なスペクトルを探索することと、高いスペクトル分解能で対象となるスペクトル領域をスキャンすることの間を交互に繰り返す回析システムの自由スペクトル領域を変えるために使用することができる。
【0025】
好ましい実施形態では、移動可能な基板は、ディスクであり、光学素子の配列は、回転の中心の周りにあるディスクの周辺部に近接するトラックに配置され、光学素子の配列に近い、同心円をなす2つ目のトラックは、光学素子と同じ角度間隔を備えた位置マーカの配列を含有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、移動可能な基板は、入射した放射線に対して相対的に調和振動を行う円弧であり、光学素子の配列は、円弧の外端部に沿って配置される。
【0027】
いくつかの実施形態では、光学素子は、少なくとも2つの異なる種類の間で遷移し、前記遷移は、光学素子が不活性領域にある期間中に生じる。この機能によって、本発明の空間変調器は、遷移時間に起因するデューティ比の損失なしに、変調スキームを動的に変更することができる。例えば、マイクロミラーは、不活性区間において、第1の固定角度から第2の固定角度に変更する。
【0028】
いくつかの実施形態では、空間変調器上のマイクロミラーなどの光学素子は、配向を変更することができる。配向の変更は、素子が不活性領域にあるときに生じる。例えば、0~10度の活性領域を備えた、回転ディスクの空間変調器では、光学素子の配向は、0~10度の範囲にある間は固定される。遷移は、10~360度の範囲で生じる。この例では、必要とされる変調速度は36分の1に減る。この構成は、平行移動する変調器の高い線周波数と、動的に調節可能なマイクロミラーの配列の適応性とを組み合わせる。
【0029】
いくつかの実施形態では、光学素子の少なくともいくつかは、電気光学効果に応じた部材で構成され、種類の変更は、光学素子全体にわたって電圧を印加することによってもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の好ましい実施形態の拡大部分の斜視図である。
【
図2】閉ループを示した、
図1の実施形態の概略図である。
【
図3】動的に変更が行われる光学素子を示した、好ましい実施形態の他の概略図である。
【
図4a】本発明の振り子の実施形態の概略図である。
【
図4b】本発明のディスクの実施形態の斜視図である。
【
図5】異なる種類の位置マーカを示した、本発明のディスクの実施形態の概略図である。
【
図6】位置マーカの順序から理論波形と雑音波形をプロットしたものである。
【
図7】位置を測定する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の好ましい実施形態の斜視図である。テープ(10)の形状である移動可能な基板は、構成部品(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(19)を含む光学素子(111)の配列(40)を領域(200)を介して担持しながら、速度vで左から右に、(30)で表される方向に平行移動し、ここで、入射した電磁放射線は、基板(10)に入射する。領域(200)は、活性領域と指定され、隣接する領域(201)は、非活性領域と指定される。活性領域(200)内の光学素子は、入射した電磁放射線を「オン」の状態に変調する。非活性領域(201)内の光学素子は、入射した電磁放射線を「オフ」の状態に変調する。図示されている部分は、好ましくは、全長Lの閉ループの一部である。活性領域(200)は、長さAである。活性領域の光学素子は、繰り返し期間L/vを設けた時間A/v中に、入射したEM放射線を、光学素子の種類によって特定された方向に方向付ける。
【0032】
光学素子(11)は、開口端部の回析効果を除き、入射したEM放射線が実質的に変更されることなく通過できる開口である。開口の辺が、入射したEM放射線の波長よりはるかに大きい場合は、回析効果は最小になる。開口(11)は非活性領域(201)内にあり、それゆえ、図示されている瞬間には、EM放射線が一切通過しない。しかし、その後、基板(10)が方向(30)に平行移動すると、開口(11)は活性領域(200)に入る。開口(11)が活性領域(200)にあるときのみに、開口(11)を通して透過が生じるので、変調が実現される。
【0033】
光学素子(12)、(13)は、異なるピッチの回析格子である。各波長では、入射したEM放射線は、複数の次数に回折される。次数0については、EM放射線は、回析格子(12)、(13)によって同じ方向に反射される。0以外の次数(つまり、+/-1)については、回析格子(12)、(13)は、入射したEM放射線を異なる角度に回折する。回析格子(12)はすべて、非活性領域(201)にあり、それゆえ、回析格子(12)のピッチによって決定された角度では、EM放射線は一切観察されない。回析格子(13)は、部分的には活性領域(200)にあり、それゆえ、回析格子(13)が活性領域(200)内にとどまる限りは、入射したEMを、格子のピッチによって決定された角度に方向付ける。光学素子(12)、(13)は、不活性領域(201)にある間にマイクロミラーの列の配向を変更することによってピッチを変更することができる動的に調節可能なマイクロミラーの配列で構成された回析格子であってもよい。
【0034】
光学素子(14)、(15)は、入射したEM放射線(100)に対して異なる角度で傾斜したミラーであり、その結果、ミラー(14)、(15)が活性領域(200)内にある間は、前記EM放射線は異なる角度に反射される。各々適切な反射角度で配置された検出器は、反射したEM放射線を観察し、単に存在する場合は、例えば2値のうちの「1」を表す。基板テープ(10)が方角(30)に平行移動すると、光学素子(15)は非活性領域(201)に入り、暫くすると、光学素子(15)は非活性領域(201)に入る。反射したEM放射線が存在しない場合は、例えば2値のうちの「0」を示す。いくつかの実施形態では、ミラー要素(14)、(15)が非活性領域(201)にある間は、前記要素の傾斜角度は変更することができる。
【0035】
光学素子(16)、(17)は、基板の表面と平行な反射ミラーである。入射したEM放射線は、各々によって同じ角度で反射されるが、平均基板平面よりも上の高度の差により、異なる位相を備える。光学素子(16)、(17)は、例えばファブリペローフィルタまたはファブリペロー干渉計の一部であってもよい。光学素子(16)、(17)は、例えばステップスキャン型マイケルソン干渉計の一部であってもよい。図示されているように、光学素子(16)、(17)は、活性領域(200)にある。光学素子(16)、(17)は、方向(30)に平行移動するのに伴って、非活性領域(201)に入るが、いくつかの実施形態では、素子L/vの次の繰り返し期間で異なる位相偏移をもたらすために、ミラーの表面の高度を変更することができる。
【0036】
光学素子(19)は、隣接するバッファ領域(18)を備えた分散プリズムであり、この両方は、非活性領域(201)内に位置する。プリズムが活性領域(200)にあるときは、入射したEM放射線は、プリズム幾何学とプリズムの屈折率によって決定された角度に屈折する。いくつかの実施形態では、バッファ領域(18)は、隣接する光学素子に妨げのない光路を設けるために使用される。いくつかの実施形態では、光学素子は、バッファ領域と一切当接しない。
【0037】
位置指標の配列は、光学素子(40)の配列と近接かつ平行に、(20)で示されている。図示されているように、位置指標は、開口の一部がプローブビームと交差するときに、プローブビーム(図示せず)を透過する開口である。検出器(図示せず)は、透過したプローブビームの強度を測定し、演算装置は、プローブビームに対して相対的な基板の位置を計算する。
【0038】
図1に示される例は、例えば、上記で引用されているHEMS用途で記載されているように、多重分光器で使用することができる。
【0039】
図2は、
図1で示されている構成の概略上面図である。テープ基板(10)は、スプロケット(51)、(52)、(53)の周りに閉ループを形成する。テープは、傾斜角度が異なる、(14)、(15)で示されているミラーと、開口(11)とを含む光学素子を担持する。変調する対象の入射したEM放射線(100)は、スプロケット(51)、(53)の間にある実質的に平坦な活性領域(200)に入射する。入射したEM放射線は、例えばHEMS用途では、波長によって活性領域(200)にわたって分散されてもよい。開口要素(11)からの変調されたEM放射線は、方向(31)に進み、検出器(41)で観察される。ミラー要素(14)からの変調されたEM放射線は、方向(34)に進み、検出器(44)で観察される。ミラー要素(15)からの変調されたEM放射線は、方向(35)に進み、検出器(45)で観察される。例示の目的で、検出器(44)、(45)は、テープ基板(10)の平面に描かれている。好ましい実施形態では、ミラー(14)、(15)は、ベルトの運動方向に対して垂直な方向に傾斜し、検出器(44)、(45)は、図面の平面の上下にある。プローブビーム(101)は、光源(80)によって生成され、位置指標の開口(図示せず)を介して透過した部分は、ビーム(102)を生成し、ビーム(102)は、フォトダイオード(81)によって受光され、アナログ-デジタル変換器(82)によってデジタル振幅に変換される。デジタル振幅の順序は、演算装置(83)によって解析され、演算装置(83)は、ユーザに伝送する、基板テープの位置(84)のデジタル表現を出力する。位置情報は、本明細書の構成の空間変調器に基づいて光学機器を作動するのに重要である。なぜなら、作動可能な厳密な空間変調器の構成は、位置情報と空間変調器の幾何学の知識から計算できるからである。HEMS用途では、例えば、開口(11)とミラー(14)、(15)の幅は、テープの進む方向に沿って50ミクロンであり、変調速度を1MHzにするために、テープ基板の速度は、50m/秒である。この例の構成を用いて、1000本の波長チャネルを備えたスペクトルは、1msで測定することができる。より高い変調速度やより低い変調速度は、
図2の構成によって生成される。
【0040】
図3は、
図1で示されているテープ基板の概略図である。(異なる陰影を付けた)3つの種類の光学素子(13)、(14)、(15)は、方向(30)に移動するテープ軸に沿って一列に配列される。活性領域は、(200)で表されている。光学素子(14)は、(24)で拡大して示されている非活性領域(201)にある移動可能なミラーであり、ピボット(25)を中心として新しい位置へと回転する。位置指標(20)は、光学素子(40)の配列と平行に一列に位置する。テープ基板(10)を平行移動させるために、
図3に示されている開口(21)の2つの列は、
図2に示されているスプロケット(51)、(52)、(53)と係合する。
【0041】
図4aは、
図1に最もよく示されている光学素子(111)の配列が、調和振動を行う振り子または棒(300)に担持される基板(301)に取り付けられる、代替の構成を示す。棒は、例えば、MEMS装置の共振周波数で励振され、振動するものであってもよい。サブミリメートル規模のMEMS装置については、振動は直線状の平行移動より達成するのが技術的により簡単である。光学素子は、振り子の腕によって振り出される平面の円弧に沿って取り付けられてもよく、または、振り子の軸に対して垂直な平面の円弧に取り付けられてもよい。
図4aに示されている例は、例えば、HEMS用途で記載されているように、多重分光器で使用することができる。
【0042】
図4bは、光学素子(111)の配列が、ディスクの平面に対して垂直なディスク(112)の円周の周りに取り付けられる実施形態の斜視図を示す。この構成では、光学素子は、入射した放射線に対して、一定の半径で、予め設定された一定の幅である。ディスクの平面の空間を満たすように配置された光学素子は、概して楔状であり、HEMS分光器の分解能を歪める。歪みは、光学素子が位置する半径を大きくすることによって、閾値以下に減らすことができる。
【0043】
図5は、回転方向(31)の回転軸(27)を備えたディスク(28)の形状の基板(10)の上面図である。活性領域は、(200)で表されている。ディスク基板(10)は、活性領域(200)に長さ10の符号列を形成するように配置された、異なる様式で陰影を付けた3つの種類の光学素子(13)、(14)、(15)を担持する。3つの異なる種類の位置指標は、異なる径方向寸法を備え、(74)、(75)、(76)で示されている。位置マーカ(74)、(75)、(76)は、
図2に最もよく示されているプローブビームの異なる振幅を伝送する。図示されている例では、最も大きな径方向寸法を備えた位置マーカ(75)は、符号列の始まりを表し、位置マーカ(74)、(76)は、符号列の各セクタをラベル付けするのに使用される2値のうちの「0」と「1」をそれぞれ表す。位置マーカ(76)は、径方向長さがより大きいことによって、位置マーカ(74)と識別される。異なる長さの位置マーカに割り当てられる値は、入れ替え可能であり、複数の値を表す複数の長さが存在していてもよい。騒音が多い環境では、図示されているような2値レベルは、ロバスト性が最も高い。図示されている例では、活性領域のセクタラベルは、位置指標(76)、(77)によって2値の「11」として表される。図示されている例では、全セクタを固有にラベル付けするには、2桁の2値数で十分である。より多くの2値数が使用されてもよい。セクタラベルの始まりと終わりは、指標のピーク(75)に対して相対的な変位によって参照される。図示されているようなセクタラベルは、指標のピーク(75)に隣接しているが、指標のピークの間におけるいかなる場所でも生じ得る。1つ目の指標のピークと2つ目の指標のピークの間にあるセクタラベルの領域は、好ましくは、1つ目の指標のピークにより接近し、その場合は、平行移動方向または回転移動方向を割り出すことができる。
図5に示されている例は、例えば、HEMS用途で記載されているように、多重分光器で使用することができる。
【0044】
図6は、
図2の検出器(81)によって受信した理論波形(下の曲線)と、それに対応する、雑音を追加した波形(上の曲線)とを示す。主ピークは、(75)として
図5に最もよく示されている、符号列の始まりをマーク付ける位置指標に対応し、主ピークは、指標のピークに指定される。残りのピークは、
図5の位置指標(74)に対応する。位置マーカ(74)のうちのいくつかは、セクタ識別子として使用することができ、その場合は、すべて同じ値である。先行技術のコンパレータで解析されたときに、騒音によりピーク位置の周期性は変動する。閾値に達したときに、コンパレータが始動する。信号の雑音は、閾値の位置を偏移させ、コンパレータの雑音は、閾値自体を偏移させてもよい。本発明では、波形の周波数よりはるかに高い周波数で位置指標の波形をサンプリングして、ピーク当たり少なくとも4つ、好ましくは20を超えるポイントを取得することによって、雑音によって生じた位置ジッタが大幅に減らされる。シミュレーションでは、サンプリングレートがより高ければ、測定された位置と実際の位置の間の差が減り、雑音の影響に対する耐性を向上することができる。ピークは、指標のピークから始めて、連続して番号付けされる。
【0045】
図7に示されているように、波形の近似の周波数と位相がわかると、指標のピークに対して相対的な波形の近似の最小値の位置が計算でき、ピークの面積と瞬間を計算するための積分の上限として使用することができる。ピークの瞬間は、指標のピークからの変位(ピーク幅の端数単位)に、近似の最小変位の間における各変位で測定されたピークの振幅で乗じた合計として計算される。ピークの面積は、近似の最小変位の間のピークの振幅の合計である。ピークの中央は、ピークの瞬間を面積で除したものとして計算される。Nのピークの中央の場所が取得され、その後、ピークの数とピークの中央を相関させるために、最小二乗回帰が行われる。回帰の傾きと切片によって、周波数と位相をそれぞれ呈する。向上した、これらの周波数と位相の近似値は、次の最小値の集合を計算するために使用される。すなわち、アルゴリズムの各反復、雑音被りがある状態で測定されたピークの位置から実際のピークの位置までに対してである。基板の位置は、直近の指標のピーク以降の周波数、位相、およびクロックティックの数(ADCにて測定)から計算することができる。達成した精度は、線期間当たり20の測定で光学素子の大きさの約1%まで平行移動する、ADCの測定の間における平行移動の約20%である。
【国際調査報告】