(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤
(51)【国際特許分類】
C10M 159/24 20060101AFI20220131BHJP
C10M 135/10 20060101ALI20220131BHJP
C10M 137/10 20060101ALI20220131BHJP
C10M 133/16 20060101ALI20220131BHJP
C10N 40/25 20060101ALN20220131BHJP
C10N 40/04 20060101ALN20220131BHJP
C10N 40/08 20060101ALN20220131BHJP
C10N 40/02 20060101ALN20220131BHJP
C10N 30/02 20060101ALN20220131BHJP
C10N 30/06 20060101ALN20220131BHJP
C10N 30/04 20060101ALN20220131BHJP
C10N 10/02 20060101ALN20220131BHJP
C10N 10/04 20060101ALN20220131BHJP
C10N 10/06 20060101ALN20220131BHJP
C10N 10/08 20060101ALN20220131BHJP
C10N 10/12 20060101ALN20220131BHJP
C10N 10/10 20060101ALN20220131BHJP
C10N 10/14 20060101ALN20220131BHJP
C10N 10/16 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C10M159/24
C10M135/10
C10M137/10 A
C10M133/16
C10N40:25
C10N40:04
C10N40:08
C10N40:02
C10N30:02
C10N30:06
C10N30:04
C10N10:02
C10N10:04
C10N10:06
C10N10:08
C10N10:12
C10N10:10
C10N10:14
C10N10:16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526560
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 US2019061708
(87)【国際公開番号】W WO2020102672
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591131338
【氏名又は名称】ザ ルブリゾル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】デルブリッジ, イワン イー.
(72)【発明者】
【氏名】バーリントン, ジェイムズ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】モージャー, パトリック イー.
(72)【発明者】
【氏名】パッケース, ジェイムズ エス.
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA02A
4H104BA07A
4H104BE11C
4H104BG06C
4H104DA02A
4H104DB07C
4H104FA01
4H104FA02
4H104FA03
4H104FA04
4H104FA05
4H104FA06
4H104FA07
4H104FA08
4H104LA02
4H104LA03
4H104LA05
4H104PA01
4H104PA03
4H104PA05
4H104PA41
(57)【要約】
本開示は、ヒドロカルビル-(例えば、アルキル-)ベンゼンスルホネート洗浄剤およびそれらの塩に関し、ヒドロカルビル基は、5~10個の炭素分岐ポリエン化合物と同等の部分を含む。このような化合物およびそれらの塩は、潤滑油添加剤として有用である。本明細書に開示される洗浄剤は、耐摩耗性能、摩擦性能、酸化性能、粘度性能、および洗浄力を提供するという少なくとも1つの問題を解決し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物であって、
ベンゼンスルホネート部分にヒドロカルビル基が結合している少なくとも1つのベンゼンスルホネート部分であって、前記ヒドロカルビル基が、5~10個の炭素原子分岐オレフィンと同等のモノマーを有する少なくとも1つのオリゴマーを含む、少なくとも1つのベンゼンスルホネート部分を含む、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記モノマーが、5~10個の炭素原子分岐ポリエンと同等である、請求項1に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記モノマーが、イソプレンと同等である、請求項2に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記オリゴマーが、テルペンである、先行する請求項のいずれか一項に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記オリゴマーが以下の式の少なくとも1つと同等である、先行する請求項のいずれか一項に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【化13】
【請求項6】
前記オリゴマーが、部分的または完全に水素化された形態のテルペンと同等である、先行する請求項のいずれか一項に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項7】
前記オリゴマーが以下の式のいずれかと同等である、請求項5に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【化14】
【請求項8】
前記ヒドロカルビル基が15~60個の炭素原子を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項9】
前記洗浄剤が以下の式のいずれか1つを含み、
【化15】
式中、
Mが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第3族~第12族の遷移金属、主族金属、およびNR
4
+X
-(式中、各Rが、独立してヒドロカルビル基である)で表される第四級アンモニウム化合物から選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項10】
前記洗浄剤が、1つ以上のアルカリ金属、1つ以上のアルカリ土類金属、またはそれらの混合物を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項11】
前記アルカリ土類金属がマグネシウムおよびカルシウムから選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項12】
前記洗浄剤が過塩基性である、先行する請求項のいずれか一項に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項13】
前記過塩基性洗浄剤が、少なくとも1.5、少なくとも5、または少なくとも7の金属比を有する、請求項12に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項14】
前記洗浄剤が中性である、請求項1~11のいずれか一項に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項15】
前記アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤が、少なくとも400のTBNを有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物。
【請求項16】
潤滑組成物であって、
(a)潤滑粘度の油と、
(b)先行する請求項のいずれか一項に記載の前記アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物と、を含む、潤滑組成物。
【請求項17】
前記アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤が、前記潤滑組成物の約0.01~約2重量%、または約0.1~約1.75重量%、または約0.2~約1.5重量%で存在する、請求項16に記載の潤滑組成物。
【請求項18】
耐摩耗剤をさらに含む、請求項16~17のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項19】
前記耐摩耗剤が、ジアルキルジチオリン酸亜鉛である、請求項18に記載の潤滑組成物。
【請求項20】
前記耐摩耗剤が、0.1~15重量%、または0.1~10重量%、または0.3~5重量%、または0~5.0重量%、または0.001~2重量%、または0.1~1.0重量%の量で前記潤滑組成物中に存在する、請求項18~19のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項21】
分散剤をさらに含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項22】
前記分散剤が、0.1~5重量%、または0.3~4重量%、または0.5~3重量%、または1~2.5重量%もしくは3重量%、または1.5~4重量%、または1.5~3重量%、またはさらに0.1~3重量%、または0.1~2.5重量%、または0.2~2重量%で存在する、請求項21に記載の潤滑組成物。
【請求項23】
前記分散剤がポリイソブチレンスクシンイミド分散剤である、請求項21~22のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項24】
(i)ヒドロカルビルホスファイトであり得る非イオン性リン化合物、または(ii)リン化合物のアミン塩から選択されるリン含有耐摩耗剤をさらに含む、請求項16~23のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項25】
機械装置を潤滑する方法であって、請求項16~24のいずれか一項に記載の潤滑組成物を前記装置に供給することを含む、方法。
【請求項26】
前記機械装置が、ドライブライン装置、内燃機関、および油圧システムから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記内燃機関が、高負荷ディーゼル圧縮点火内燃機関、および火花支援圧縮点火内燃機関から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記内燃機関が、3000rpm未満での12バールの正味平均有効圧力よりも大きな圧力で作動するターボチャージャーを備えた直噴ガソリンエンジンである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記機械装置が自動変速機である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記機械装置が手動変速機である、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記機械装置が自動車の車軸である、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記機械装置がオフハイウェイ車両である、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤のヒドロカルビル基が、少なくとも25重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%、または100重量%の生物再生可能内容物を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒドロカルビル-(例えばアルキル-)ベンゼンスルホネート洗浄剤、および分岐オレフィンのオリゴマーを有するそれらの塩(テルペンなどの分岐ポリエンを含む)に関する。このような化合物およびそれらの塩は、潤滑油添加剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
現代の車両は、より高い効率およびより良い排出量を要求する。その結果、清浄度および排出物の品質を犠牲にすることなく、向上した燃費を提供するために、潤滑油への注目が高まっている。加えて、リソーシングおよび持続可能性は、潤滑技法の主要な推進力であり続けている。したがって、性能レベルを提供し、かつより持続可能な、例えば、生物再生可能なプロセスを介して供給され得る改善された洗浄剤が望まれている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、アルキルベンゼンスルホネート材料またはその塩に適切な油溶解性を提供し、耐摩耗性能、摩擦性能を提供し、酸化性能、粘度性能、および洗浄力(中程度の鎖長のアルキル基の特徴)を提供するという少なくとも1つの課題を解決し得る。
【0004】
本開示の一態様は、少なくとも1つのベンゼンスルホネート部分であって、ベンゼンスルホネート部分にヒドロカルビル基が結合している少なくとも1つのベンゼンスルホネート部分を含む、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物に関する。ヒドロカルビル基は、いくつかの実施形態では5~10個の炭素原子分岐オレフィン、いくつかの実施形態では、より具体的には5~10個の炭素原子分岐ポリエンと同等のモノマーを有する少なくとも1つのオリゴマーを含み得る。実施形態では、オリゴマーを構成するモノマーは、イソプレンと同等であり得る。オリゴマー自体はテルペンと同等であり得、より具体的には、(2E、5E、7E、10E)-3,6,10-トリメチルドデカ-2,5,7,10-テトラエン、(3E、7E、10E)-2,7,10-トリメチルドデカ-1,3,7,10-テトラエン、(E)-2,9-ジメチル-5-(プロプ-1-エン-2-イル)デカ-1,3,8-トリエン、(3E,6E,10E)-2,6,10-トリメチルドデカ-1,3,6,10-テトラエン、(E)-7,11-ジメチル-3-メチレンドデカ-1,6,10-トリエン、(6E,10E)-7,11,15-トリメチル-3-メチレンヘキサデカ-1,6,10,14-テトラエン、(3E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-1,3,6,10,1-ペンタエン、(6E,10E,14E)-7,11,14-トリメチル-3-メチレンヘキサデカ-1,6,10,14-テトラエン、(3E,9E,13E)-2,10,13-トリメチル-6-(プロプ-1-エン-2-イル)ペンタデカ-1,3,9,13-テトラエン、および3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-1-エンのいずれかと同等であり得る。
【0005】
オリゴマーはまた、例えば、3,7,11-トリメチルドデカ-1-エン、2,6,10-トリメチルドデカ-2-エン、(E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2-エン、2,6-ジメチル-10-メチレンドデカン、(E)-2,6,10-トリメチルドデカ-6-エン、(E)-3,7,11-トリメチルドデカ-3-エン、(E)-2,6,10-トリメチルドデカ-5-エン、3,7,11-トリメチルドデカ-1,10-ジエン、および3,7,11,15-テトラメチルヘキサデ-1-エンのいずれかなどの、水素化された(部分的または完全な)形態のテルペンと同等であり得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤のヒドロカルビル単位は、15~60個の炭素原子を含むことができる。
【0007】
一実施形態では、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、少なくとも1.5の金属比を有する過塩基性洗浄剤であり得る。
【0008】
一実施形態では、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、中性または過塩基性の塩であり得る。
【0009】
別の実施形態は、(a)潤滑粘度の油、および(b)本明細書に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物を有する潤滑組成物に関する。潤滑組成物はまた、例えば、本明細書に記載のインスタントアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤以外の他の洗浄剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、分散剤、耐摩耗剤、極圧剤、腐食防止剤などの他の添加剤を含むことができる。
【0010】
さらなる実施形態は、例えば、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤を含有する本明細書に記載の潤滑組成物を装置に供給することによって、機械装置を潤滑する方法に関する。機械装置は、例えば、内燃機関、変速機または車軸などの自動車のドライブライン装置、またはオフハイウェイ車両であり得る。この技法は、産業用油圧などの産業用途にも使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
様々な好ましい特徴および実施形態が、非限定的な例示として以下に説明される。
【0012】
本開示は、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物、アルキルベンゼンスルホネートを含有する潤滑組成物、アルキルベンゼンスルホネートを含有する潤滑組成物で機械装置を潤滑するための方法、およびアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤の使用を含み、これらはすべて、より具体的に本明細書に記載されることになる。アルキルベンゼンスルホネートのみへの言及は、本明細書では、開示されたアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤を意味するものとする。
【0013】
一実施形態は、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物に関する。アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、アルキルベンゼンスルホネート部分であって、ベンゼンスルホネート部分に少なくとも1つのヒドロカルビル基が結合しているアルキルベンゼンスルホネート部分を含むことになる。当業者は、化学組成を観察し、組成が誘導され得る部分を容易に想像することができる。本明細書で使用される場合、ベンゼンスルホン酸部分への言及は、当業者が確認できるアルキルベンゼンスルホン酸洗浄剤組成物の部分が、ベンゼンスルホン酸またはその適切な誘導体、すなわち式Iから誘導されるであろうことを意味する。
【化1】
式中、Mは、H、アンモニウム、または適切な原子価の金属である。そのような金属の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびリチウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、第3族~第12族遷移金属(例えばマンガン、鉄、銅、または亜鉛)、および他の主族金属(例えば、アンチモン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
ベンゼンスルホネートはまた、ヒドロカルビル基を含む。本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル基」という用語は、通常の意味で使用され、これは当業者に周知である。具体的には、それは、分子の残りの部分に直接結合した炭素原子を有し、主に炭化水素の性質を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には、例えば、脂肪族、脂環式、および芳香族置換基を含む炭化水素置換基;置換炭化水素置換基、すなわち、本発明の文脈において、置換基の主に炭化水素の性質を変えない非炭化水素基を含む置換基;ならびにヘテロ置換基、すなわち、同様に主に炭化水素特性を有するが、環または鎖に炭素以外を含む置換基が挙げられる。
【0015】
ヒドロカルビル基は、非炭化水素特性の元素(すなわち、窒素、ハロゲンなど)を含むことができるが、多くの実施形態では、ヒドロカルビル基は、実質的に、または完全にさえ、炭化水素特性のものであり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロカルビル基は、実質的または完全に脂肪族特性のものであり得る。
【0016】
ヒドロカルビル基は、少なくとも1つのオリゴマーを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなり得、そして少なくとも1つのオリゴマー自体は、5~10個の炭素原子分岐オレフィンと同等のモノマーを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなり得る。「と同等」という用語を使用することにより、参照される化合物、この場合はオリゴマーのモノマーが、最終状態で元の状態からわずかに変化する(例えば、オリゴマー化されたモノマーと単独のモノマー)ことが認識される。言い換えれば、ヒドロカルビル基は、目立たない単位で見ると、識別可能なオリゴマー単位を含有し、識別可能なオリゴマー単位は、モノマーとして5~10個の炭素原子の分岐オレフィンと見なされる識別可能なアルキル単位にさらに分解することができる。
【0017】
本明細書で使用される分岐オレフィンは、少なくとも1つの二重結合および少なくとも1つの第三級炭素原子を有するアルキル鎖を指す。分岐オレフィンを制限することなく、そのような分岐オレフィンの例は、以下の例示された分岐オレフィン式によって表すことができる。
【化2】
式中、Ra、Rb、およびRcは、Hまたはより低いC
1~C
5のアルキル基であり得、nおよびmは、独立して0~6の整数であり得る。ただし、n+mは、1~6であり、オレフィンは、5~10個の炭素原子を有する。そのような分岐オレフィンのオリゴマーは、例えば、以下の式のオリゴマーであり得る。
【化3】
式中、Ra、Rb、Rc、m、およびnは上記のとおりであり、yは、2~18、または2~15、または2~12の整数である。
【0018】
分岐オレフィンはまた、ポリエンであり得る。すなわち、ヒドロカルビル基は、少なくとも1つのオリゴマーを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなり得、そして少なくとも1つのオリゴマー自体は、5~10個の炭素原子分岐ポリエン化合物と同等のモノマーを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなり得る。本明細書で使用される場合、ポリエンは、少なくとも2つの二重結合(ジエンとしても知られる)、および場合によっては3、4、または5つの二重結合を有するポリ不飽和アルキレン化合物である。
【0019】
分岐ポリエン化合物は、鎖内に少なくとも2つの二重結合、および少なくとも1個の第三級炭素原子を有する、アルキル鎖として説明することができる。ポリエン化合物は3つ以上の二重結合を含み得るが、例示的な分岐ポリエン化合物は、以下の式で表される分岐共役ジエンであり得る。
【化4】
式中、R
1、R
2、R
3、およびR
4は、独立して、H、またはより低いC
1~C
5のアルキル基である。ただし、R
1、R
2、R
3、およびR
4のうちの少なくとも1つはアルキル基であり、共役ジエンを合わせると合計5~10個の炭素原子を有する。
【0020】
ヒドロカルビル基中の少なくとも1つのオリゴマーは、5~10個の炭素原子分岐オレフィン/ポリエンからオリゴマー化することができ、またはオリゴマーは、他の何らかの方法で調製され得る。例えば、オリゴマーは、1,2-モノマーの添加または1,4-モノマーの添加によって形成され得る。一実施形態では、5~10個の炭素原子分岐ポリエンのオリゴマーは、モノマーの1,4-付加、続いて結果として得られた材料の部分水素化によって形成されて、モノオレフィン性アルキル化剤を形成し得る。別の実施例では、オリゴマーはまた、所望の分岐オレフィン/ポリエンを生成することができる細胞培養系、または5~10個の炭素原子分岐オレフィン/ポリエン化合物と同等のモノマーを含有するオリゴマーの外観を有する組成物などの発酵を通してなど、生物学的活性を介して生成され得る。例えば、WO2011/160081は、イソプレンを生成するための生物学的経路、およびオリゴマー(テルペンとも呼ばれる、すなわち、(C5H8)nの式を有する、式中、nが2、3、4、5以上))を生成するためのそのように生成されたイソプレンの使用を提供する。他の生物学的経路は、それ自体でオリゴマー(例えば、テルペン)を生成することが知られている。
【0021】
5~10個の炭素原子分岐オレフィンと同等のモノマーを含有するオリゴマーは、例えば、以下の式のオリゴマーであり得る。
【化5】
式中、R1、R2、R3、およびR4、ならびにyは、上記で定義したものと同じである。
【0022】
5~10個の炭素原子を含有する分岐ポリエン化合物は、式IVのイソプレンモノマーを含み得る。
【化6】
イソプレンに加えて、適切な分岐オレフィンは、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、2-メチル-1-ヘキセン、3-メチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、2-メチル-1-ヘプテン、2.3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,4-ジメチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、およびそれらの混合物である。
【0023】
一実施形態では、オリゴマーは、イソプレンと同等の単位を含有する。15~60個の炭素原子を含有するイソプレンオリゴマーは、3~12個のイソプレンモノマー単位を含有するであろう。15~30個の炭素原子を含有するイソプレンポリマーまたはオリゴマーは、3または6つのイソプレンモノマー単位を含有するであろう。
【0024】
一実施形態では、オリゴマーは、イソプレンの三量体であり得、これは以下の形態で想定され得る。
【化7】
【0025】
イソプレンの四量体もオリゴマーに使用することができ、以下の形態で想定することができる。
【化8】
【0026】
一実施形態では、アルキルベンゼンスルホネート界面活性剤のヒドロカルビル基は、イソプレンと同等の少なくとも50モル%のモノマー、イソプレンと同等の少なくとも75モル%のモノマー、またはイソプレンと同等の少なくとも90mol%のモノマーを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなるオリゴマー化合物を含み得る。一実施形態では、アルキルベンゼンスルホネート界面活性剤中のヒドロカルビル基は、イソプレンのオリゴマーからなる。
【0027】
いくつかの実施形態では、オリゴマーは水素化することができる。水素化は、例えば、当業者に知られている任意の水素化剤によって実施され得る。例えば、ポリエン化合物の飽和オリゴマーは、触媒の存在下での水素などの水素化試薬の存在下でオリゴマー中の二重結合の少なくとも一部分を水素化することによって、または触媒の存在下でヒドラジンで処理することによって調製することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、オリゴマーのC=C結合の少なくとも一部分は、水素化によって対応するC-C結合に還元される。いくつかの実施形態では、オリゴマーのC=C結合のすべては、水素化によって対応するC-C結合に還元される。一実施形態では、オリゴマーは、以下の構造のいずれかの形態のものを含む、本明細書に開示されるような水素化形態のオリゴマーを含むことができる。
【化9】
【0029】
目立たない単位などのオリゴマー化から調製されるかどうかにかかわらず、当業者は、ヒドロカルビル基内の5~10個の炭素原子分岐ポリエンと同等のその中のオリゴマーおよびモノマーの存在を認識するであろう。
【0030】
ヒドロカルビル基は、10~200個の炭素原子、またはいくつかの実施例では、12~100個の炭素原子、またはさらに15~80個の炭素原子を含有することができる。いくつかの実施形態では、ヒドロカルビル基は、15~60個の炭素原子、または場合によっては、15~30個または45個の炭素原子、または20~30個の炭素原子を有することができる。
【0031】
ベンゼンスルホネート部分およびヒドロカルビル基を含むアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、以下の式で表される構造を含み得る。
【化10】
式中、Rは10~200個の炭素原子、またはいくつかの例では12~100個の炭素原子、さらには15~80個の炭素原子を含有するヒドロカルビルを表し、Mは、H、アンモニウム、または適切な原子価の金属である。そのような金属の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびリチウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、第3族~第12族遷移金属(例えば、マンガン、鉄、銅、または亜鉛)、および他の主族金属(例えば、アンチモン)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Rヒドロカルビル基は、15~60個の炭素原子、または場合によっては、15~30個または45個の炭素原子、または20~30個の炭素原子を有することができる。いくつかの実施形態では、アルキルベンゼンスルホネートは、以下の式のいずれか1つに示される構造を含むことができる。
【化11】
式中、Mは上記で定義されている。一実施形態では、Mは水素である。別の実施形態では、Mは、カルシウム、マグネシウム、またはそれらの混合物を含むアルカリ土類金属である。
【0032】
別の実施形態では、Mは、アンモニウム、第四級アンモニウム、またはそれらの混合物である。第四級アンモニウム(窒素)化合物が知られている。通常、窒素は、アンモニアまたはアミンの水素または炭素原子に3個の共有結合を形成する、三価元素であるNHxR3-xであって、Rは、R基の炭素原子を介して窒素原子に連結する基である。一方、第四級窒素化合物は、第四級アンモニウムイオンおよび対イオン(水酸化物、ハロゲン化物など)を含み、次の一般式で表される。
NR4
+X-
式中、各Rは、独立して、好適なヒドロカルビル基を表し、X-は、本発明のスルホネートを表し、ポリアニオン種の分別当量(例えば、カーボネートの半モル、すなわち1/2CO2-を含み得るアニオン性対イオンの1当量を含み得る)。
【0033】
一実施形態では、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤のアルキル基(またはアルキレート)(すなわちR基)は、少なくとも25重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%の生物再生可能内容物を含む。別の実施形態では、アルキル基(またはアルキレート)は、100重量%の生物再生可能内容物を含む。「生物再生可能」とは、記載されている生物再生可能要素が、本明細書に記載されているように、生物によって作製された原料から生成されることを意味する。
【0034】
本明細書に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、金属含有洗浄剤であり得る。金属含有洗浄剤は、中性、またはほぼ中性、または過塩基性であり得る。過塩基性洗浄剤は、化学量論的に過剰な、酸性有機基質用の金属塩基を含有する。これは金属比とも称される。「金属比」という用語は、金属の総等量(またはアンモニウムなどの等量カウンターカチオン)と酸性有機化合物の等量との比である。中性金属塩は、1の金属比を有する。通常の塩に存在する金属の4.5倍の金属を有する塩は、3.5等量の金属過剰、または4.5の比を有する。「金属比」という用語は、“Chemistry and Technology of Lubricants”,Third Edition,Edited by R.M.Mortier and S.T.Orszulik,Copyright 2010,page 219,sub-heading 7.25という標準テキストでも説明されている。
【0035】
代替的に、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、油フリーベースで計算された合計塩基数(「TBN」)を有すると説明され得る。いくつかの実施形態では、TBNは、25~800mgのKOH/g、または115~650mgのKOH/g、または180~550mgのKOH/gの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、TBNは少なくとも400である。別の実施形態では、TBNは少なくとも425である。さらに別の実施形態では、TBNは少なくとも450である。一実施形態では、TBNは少なくとも490である。一実施形態では、過塩基性アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、480~700のTBNを有する。潤滑剤組成物中に存在するアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤の量は、ある量または量の範囲のTBNを潤滑剤組成物に送達するのに必要な量として定義され得る。特定の実施形態では、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、組成物に0.5~10TBN、または組成物に1~7TBN、または1.5~5TBNを送達する量の潤滑剤組成物中に存在し得る。
【0036】
過塩基性洗浄剤はまた、洗浄剤石鹸とも称される中性洗浄剤塩と洗浄剤灰との比率として定義され得る。過塩基性洗浄剤は、灰と石鹸の重量比が3:1~1:8、または1.5:1~1~4.1、または1.3:1~1:3.4であり得る。
【0037】
アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤の塩基性金属塩を製造するのに有用な金属化合物は、一般に、任意の第1族または第2族金属化合物(元素周期表のCASバージョン)である。金属化合物の第1族金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの第1a族アルカリ金属、ならびに銅などの第1b族金属が挙げられる。第1族金属は、ナトリウム、カリウム、リチウムおよび銅であり得、一実施形態ではナトリウムまたはカリウムであり、別の実施形態ではナトリウムであり得る。金属系の第2族金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどの第2a族アルカリ土類金属、ならびに亜鉛またはカドミウムなどの第2b族金属が挙げられる。一実施形態では、第2族金属は、マグネシウム、カルシウム、バリウム、または亜鉛であり、別の実施形態では、マグネシウムまたはカルシウムである。特定の実施形態では、金属は、カルシウムもしくはナトリウム、またはカルシウムおよびナトリウムの混合物である。一般に、金属化合物は金属塩として送達される。塩の陰イオン部分は、水酸化物、酸化物、炭酸塩、ホウ酸塩、または硝酸塩であり得る。一般的に使用される塩基性金属化合物としては、酸化カルシウムと水酸化カルシウムが挙げられる。
【0038】
過塩基性は、中性アルキルベンゼンスルホネート塩を、化学量論的に過剰の塩基性化合物(例えば、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムなどの塩基性金属化合物、または代替的に、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、または酸化ナトリウムなどの化合物、または代替的に、アンモニアまたはアミンなどの塩基性窒素化合物)を、典型的には無機油などの溶媒中、そして典型的にはアルコールなどの1つ以上の促進剤の存在下で、混合することを含む。典型的なアルコール促進剤としては、メタノール、イソブチルアルコール、および/またはアミルアルコールの様々な比率の混合物が挙げられる。必要に応じて、少量の分散剤または別の洗浄剤が存在し得る。混合物は、典型的にはCO2などの酸性ガスで処理され、これは、過剰の塩基性化合物の少なくとも一部分を、CaCO3などの塩に変換する。塩基性化合物の添加およびその後の酸性ガスによる処理は、いくつかの部分または反復で実施することができ、これにより、より高い金属比および合計塩基数を有する材料の形成を許容し得る。反応が完了した後、揮発性成分は除去され得る。
【0039】
一実施形態では、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、金属比が1~40のカルシウムまたはマグネシウムアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤を含み得る。別の実施形態では、金属比は、1対3、3対30、または4対25、または5対20、または6対15、または8対12、または8対24である。他の実施形態では、金属比は、少なくとも1、少なくとも3、少なくとも5、または少なくとも7、または少なくとも10である。特定の実施形態では、過塩基性カルシウムアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、1.5対25、2.5対20、または5対16の金属比を有し得る。
【0040】
一実施形態では、過塩基性アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、中性洗浄剤または実質的に中性の洗浄剤であり得る。いくつかの実施形態では、過塩基性アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、0~120のTBNを有する。別の実施形態では、過塩基性アルキルベンゼン洗浄剤は、5~80のTBNを有する。さらに別の実施形態では、過塩基性アルキルベンゼン洗浄剤は、10~40のTBNを有する。
【0041】
過塩基性アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、潤滑剤中の添加剤として使用され得る。潤滑剤中のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤の量は、オイルフリーベースで0.1~8重量パーセントであり得るが、過塩基性組成物中に存在する炭酸カルシウムおよび他の塩を含む。船舶用ディーゼル潤滑剤組成物において、過塩基性アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、1~25、または5~15、または10~20重量パーセントの量で存在し得る。ガソリンまたは高負荷ディーゼルエンジン(船舶用ではない)の潤滑油に使用される量は、0.1~10重量パーセント、0.5~5重量パーセント、または1~3重量パーセントの範囲の量で使用され得る。
【0042】
特定の実施形態では、潤滑剤中のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤の量は、任意の過塩基性に関係なく、潤滑剤組成物に提供されるアルキルベンゼンスルホネート含有石鹸の量として測定され得る。一実施形態では、潤滑剤組成物は、0.05重量パーセント~1.5重量パーセントのアルキルベンゼンスルホネート含有石鹸、または0.1重量パーセント~0.9重量パーセントのアルキルベンゼンスルホネート含有石鹸を含有し得る。一実施形態では、アルキルベンゼンスルホネート含有石鹸は、潤滑組成物中の全洗浄剤石鹸の少なくとも20重量パーセント、または少なくとも40重量パーセント、または少なくとも70重量パーセント、または少なくとも90重量パーセントを提供する。一実施形態では、アルキルベンゼンスルホネート含有石鹸は、潤滑組成物中の全洗浄剤石鹸の20重量パーセント~100重量パーセントを提供する。一実施形態では、アルキルベンゼンスルホネート含有石鹸は、全洗浄剤石鹸の30重量パーセント~80重量パーセント、または潤滑組成物の全洗浄剤石鹸の40重量パーセント~75重量パーセントを提供する。
【0043】
潤滑剤組成物は、本明細書に開示されるアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤とは異なるアルキルスルホネート含有洗浄剤を含有し得る。一実施形態では、潤滑剤組成物は、本明細書に開示されるアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤を、0.1~25重量パーセント、または0.2~23、または0.3~20、または0.5~15重量パーセントの量で含み得、他のアルキルスルホネート含有洗浄剤を含まないか、または実質的に含まない。この場合の「実質的に含まない」とは、0.01重量パーセント以下、または汚染または他の意図しない手段によって生じると考えられる量を意味する。いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、アルキルスルホネート含有洗浄剤を、約0.01~約2重量%、または約0.1~約1.75重量%、または約0.2~約1.5重量%の潤滑剤組成物で含むことができる。
【0044】
潤滑粘度の油
この技法の別の態様は、アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤組成物を含有する潤滑剤である。潤滑組成物は、潤滑粘度の油を含む。そのような油には、天然油および合成油、水素化分解、水素化、および水素化仕上に由来する油、未精製油、精製油、再精製油、またはそれらの混合物が含まれる。未精製油、精製油、および再精製油のより詳細な記載は、国際公開第WO2008/147704号の段落番号[0054]~[0056]に提供されている(同様の開示は、米国特許出願第2010/197536号の[0072]~[0073]に提供されている)。天然および合成潤滑油のより詳細な記載は、WO2008/147704の段落[0058]~[0059]にそれぞれ記載されている(同様の開示は、米国特許出願第2010/197536号の[0075]~[0076]に提供されている)。合成油はまた、フィッシャー・トロプシュ反応によっても生成され得、典型的には、水素化異性化されたフィッシャー・トロプシュ炭化水素またはワックスであり得る。一実施形態では、油は、フィッシャー・トロプシュのガスから液体への合成手順、ならびに他のガスから液体への油により調製され得る。
【0045】
潤滑粘度の油は、American Petroleum Institute(API)Base Oil Interchangeability Guidelines(2011)で指定されているように定義することもできる。5つの基油グループは次のとおりである。グループI(硫黄含有量>0.03重量%、および/または<90重量%飽和成分、粘度指数80~120未満)、グループII(硫黄含有量<0.03重量%、および>90重量%飽和成分、粘度指数80~120未満)、グループIII(硫黄含有量<0.03重量%、および>90重量%飽和成分、粘度指数>120)、グループIV(すべてのポリアルファオレフィン(PAO))、ならびにグループV(グループI、II、III、またはIVに含まれない他のすべて)。潤滑粘度の油は、グループII+基油であってもよく、これは、SAE刊行物「Design Practice:Passenger Car Automatic Transmissions」、第4版、AE-29、2012、12-9頁、およびUS8,216,448、カラム1行57に記載されているように、110以上120未満の粘度指数を有するグループII基油を指す非公式APIカテゴリーである。潤滑粘度の油はまた、グループIII+基油であってもよく、これもまた、130より大きい粘度指数、例えば130~133またはさらに135~145等、135よりも大きい粘度指数を有するグループIII油を指す非公式APIカテゴリーである。ガスから液体(「GTL」)への油は、グループIII+基油とみなされる場合がある。
【0046】
潤滑粘度の油は、APIグループIVの油、またはそれらの混合物、すなわちポリアルファオレフィンであり得る。ポリアルファオレフィンは、メタロセン触媒プロセスによって、または非メタロセンプロセスから調製することができる。潤滑粘度の油はまた、APIグループI、グループII、グループIII、グループIV、グループVの油またはそれらの混合物を含んでもよい。多くの場合、潤滑粘度の油は、APIグループI、グループII、グループII+、グループIII、グループIVの油、またはそれらの混合物である。あるいは、潤滑粘度の油は、多くの場合、APIグループII、グループII+、グループIII、もしくはグループIVの油、またはそれらの混合物である。あるいは、潤滑粘度の油は、多くの場合、APIグループII、グループII+、グループIIIの油、またはそれらの混合物である。
【0047】
潤滑粘度の油、または基油は、ASTM D445で測定して、全体的に100℃で2~10cSt、またはいくつかの実施形態では2.25~9または2.5~6もしくは7もしくは8cStの動粘度を有する。100℃で約3.5~6または6~8cStの基油の動粘度も好適である。
【0048】
存在する潤滑粘度の油の量は、典型的には、組成物中の性能添加剤の量の合計を100重量%から差し引いた後に残る残余である。例示的な量は、50~99重量パーセント、または60~98、または70~95、または80~94、または85~93パーセントを含み得る。
【0049】
潤滑組成物は、濃縮物および/または完全に配合された潤滑剤の形態であり得る。本発明の潤滑組成物が濃縮物の形態である場合(追加の油と組み合わせて、全体または一部が完成潤滑剤を形成し得る)、本発明の成分の潤滑粘度の油に対する比率、および/または希釈油に対する比は、重量で1対99~99対1、または重量で80対20~10対90の範囲が含まれる。
【0050】
潤滑組成物は、任意に他の性能添加剤の存在下で(本明細書で後述するような)、本明細書に記載の方法の生成物を潤滑粘度の油に添加することにより調製され得る。
【0051】
他の性能添加剤
他の性能添加剤としては、金属不活性化剤、粘度調整剤、洗浄剤(本明細書に開示されるアルキルベンゼンスルホネート以外の)、摩擦調整剤、耐摩耗剤、腐食抑制剤、分散剤、極圧剤、酸化防止剤、発泡抑制剤、抗乳化剤、流動点降下剤、シール膨張剤、およびそれらの混合物のうちの少なくとも1つが挙げられる。典型的には、完全に配合された潤滑油は、これらの性能添加剤のうちの1つ以上を含む。
【0052】
一実施形態では、本発明は、本発明のアルキルベンゼンスルホネート含有洗浄剤に加えて、過塩基性金属含有洗浄剤をさらに含む潤滑組成物を提供する。金属含有洗浄剤の金属は、亜鉛、ナトリウム、カルシウム、バリウム、またはマグネシウムであり得る。典型的には、金属含有洗浄剤の金属は、ナトリウム、カルシウム、またはマグネシウムであり得る。
【0053】
過塩基性金属含有洗浄剤は、スルホネート、非硫黄含有フェネート、硫黄含有フェネート、サリキサレート、サリチラート、およびそれらの混合物、またはそれらのホウ酸塩同等物から選択される。過塩基性洗浄剤は、ホウ酸などのホウ素化剤でホウ素化され得る。
【0054】
過塩基性金属含有洗浄剤には、例えば、米国特許第6,429,178号、同第6,429,179号、同第6,153,565号、および同第6,281,179号に記載されている、フェネートおよび/またはスルホネート成分、例えば、フェネート/サリチレート、スルホネート/フェネート、スルホネート/サリチレート、スルホネート/フェネート/サリチレートを含む混合界面活性剤系で形成された「ハイブリッド」洗浄剤も含まれ得る。例えば、ハイブリッドスルホネート/フェネート洗浄剤が用いられる場合、「ハイブリッド」洗浄剤は、それぞれ同様の量のフェネートおよびスルホネート石鹸を導入する別個のフェネートおよびスルホネート洗浄の量と等量であると考えられる。
【0055】
典型的には、過塩基性金属含有洗浄剤は、スルホネート、フェネート、硫黄含有フェネート、サリキサレート、またはサリチレートの亜鉛、ナトリウム、カルシウム、またはマグネシウム塩であり得る。過塩基性スルホネート、サリキサレート、フェネート、およびサリチレートは、典型的には、120~700TBNの合計塩基数を有する。
【0056】
典型的には、過塩基性金属含有洗浄剤は、カルシウムまたはマグネシウム過塩基性洗浄剤であり得る。
【0057】
別の実施形態では、潤滑組成物は、120~700のTBNを有するスルホン酸カルシウム過塩基性洗浄剤をさらに含む。過塩基性スルホネート洗浄剤は、12~20未満、または12~18、または20~30、または22~25の金属比を有し得る。
【0058】
過塩基性スルホネートは、典型的には、120~700、または250~600、または300~500(オイルフリーベースで)の合計塩基価を有する。過塩基性洗浄剤は、当該技術分野において既知である。一実施形態では、スルホネート洗浄剤は、米国特許出願第2005/065045号(およびUS7,407,919として付与)の段落[0026]~[0037]に記載されているような少なくとも8の金属比を有する主に直鎖アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤であり得る。直鎖アルキルベンゼンは、直鎖のどこか、通常、2、3、または4位で結合しているベンゼン環、またはこれらの混合物を有し得る。主に直鎖アルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、燃料経済性の改善を支援するのに特に有用であり得る。一実施形態では、スルホネート洗浄剤は、米国特許出願第2008/0119378号の段落[0046]~[0053]に開示されている1つ以上の油溶性アルキルトルエンスルホネート化合物の金属塩であり得る。
【0059】
一実施形態では、潤滑組成物は、開示された技法のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤とは異なる0.01重量%~2重量%、または0.1~1重量%の洗浄剤をさらに含み、さらなる洗浄剤は、スルホネート、非硫黄含有フェネート、硫黄含有フェネート、スルホネート、サリキサレート、サリチラート、およびそれらの混合物、またはそれらのホウ酸塩同等物から選択される。
【0060】
一実施形態では、潤滑組成物は、本明細書に開示されるアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤のそれとは異なるアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤を含まない、すなわち、0重量パーセントを含有する。
【0061】
一実施形態では、潤滑組成物は、フェネートおよび/またはスルホネート成分、例えば、フェネート/サリチレート、スルホネート/フェネート、スルホネート/サリチラート、またはスルホネート/フェネート/サリチラートを含む混合界面活性剤系で形成される「ハイブリッド」洗浄剤をさらに含む。
【0062】
さらなる実施形態では、潤滑組成物は、酸化防止剤を含み、酸化防止剤は、フェノール系もしくはアミン系の酸化防止剤、またはそれらの混合物を含む。酸化防止剤は、ジアリールアミン、アルキル化ジアリールアミン、ヒンダードフェノール、またはそれらの混合物を含む。存在する場合、酸化防止剤は、潤滑組成物の0.1重量%~3重量%、または0.5重量%~2.75重量%、または1重量%~2.5重量%で存在する。
【0063】
ジアリールアミンまたはアルキル化ジアリールアミンは、フェニル-α-ナフチルアミン(PANA)、アルキル化ジフェニルアミン、もしくはアルキル化フェニルナフチルアミン、またはそれらの混合物であり得る。アルキル化ジフェニルアミンには、ジノニル化ジフェニルアミン、ノニルジフェニルアミン、オクチルジフェニルアミン、ジオクチル化ジフェニルアミン、ジデシル化ジフェニルアミン、デシルジフェニルアミン、およびそれらの混合物が含まれ得る。一実施形態では、ジフェニルアミンには、ノニルジフェニルアミン、ジノニルジフェニルアミン、オクチルジフェニルアミン、ジオクチルジフェニルアミン、またはそれらの混合物が含まれ得る。別の実施形態では、アルキル化ジフェニルアミンには、ノニルジフェニルアミン、またはジノニルジフェニルアミンが含まれ得る。アルキル化ジアリールアミンには、オクチル、ジオクチル、ノニル、ジノニル、デシル、またはジデシルフェニルナフチルアミンは含まれ得る。
【0064】
ヒンダードフェノール抗酸化剤は、多くの場合、立体障害基として第2級ブチルおよび/または第3級ブチル基を含む。フェノール基は、ヒドロカルビル基(典型的には、直鎖または分岐アルキル)および/または第2の芳香族基に結合する架橋基でさらに置換されていてもよい。好適なヒンダードフェノール抗酸化剤の例としては、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4-エチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4-プロピル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノールもしくは4-ブチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、または4-ドデシル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノールが挙げられる。一実施形態では、ヒンダードフェノール酸化防止剤は、エステルであってもよく、例えば、CibaからのIrganox(商標)L-135を含み得る。好適なエステル含有ヒンダードフェノール抗酸化剤化学のより詳細な記載は、米国特許第6,559,105号に見出される。
【0065】
さらなる実施形態では、潤滑組成物は、分散剤またはそれらの混合物を含み得る。分散剤は、スクシンイミド分散剤、マンニッヒ分散剤、スクシンアミド分散剤、ポリオレフィンコハク酸エステル、アミド、もしくはエステルアミド、またはそれらの混合物であり得る。一実施形態では、分散剤は、単一の分散剤として存在し得る。一実施形態では、分散剤は、2つまたは3つの異なる分散剤の混合物として存在し得、少なくとも1つは、スクシンイミド分散剤であり得る。
【0066】
スクシンイミド分散剤は、脂肪族ポリアミンまたはそれらの混合物から誘導され得る。脂肪族ポリアミンは、エチレンポリアミン、プロピレンポリアミン、ブチレンポリアミン、またはそれらの混合物などの脂肪族ポリアミンであり得る。一実施形態では、脂肪族ポリアミンは、エチレンポリアミンであり得る。一実施形態では、脂肪族ポリアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラ-エチレン-ペンタミン、ペンタエチレン-ヘキサミン、ポリアミン蒸留残液、およびこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0067】
一実施形態では、分散剤は、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエーテルアミン、脂肪族ポリエーテルポリアミン、またはそれらの混合物から誘導され得る。典型的なポリエーテルアミン化合物は、少なくとも1つのエーテル単位を含み、少なくとも1つの水酸基またはアミン部分で連鎖停止されるであろう。ポリエーテルは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびブチレンオキシドなどのC2-C6エポキシドから誘導されたポリマーに基づくことができる。ポリエーテルポリアミンの例は、Jeffamine(登録商標)ブランドで販売されており、Hunstman Corporation(Houston,Texas)から市販されている。
【0068】
一実施形態では、分散剤は、ポリオレフィンコハク酸エステル、アミド、またはエステルアミドであり得る。例えば、ポリオレフィンコハク酸エステルは、ペンタエリスリトールのポリイソブチレンコハク酸エステル、またはそれらの混合物であり得る。ポリオレフィンコハク酸エステル-アミドは、上記のアルコール(ペンタエリスリトールなど)およびポリアミンと反応したポリイソブチレンコハク酸であり得る。
【0069】
分散剤は、N置換長鎖アルケニルスクシンイミドであり得る。N-置換長鎖アルケニルスクシンイミドの一例は、ポリイソブチレンスクシンイミドである。典型的には、ポリイソブチレン無水コハク酸が由来するポリイソブチレンは、350~5000、または550~3000、または750~2500の数平均分子量を有する。スクシンイミド分散剤およびそれらの調製は、例えば、米国特許第3,172,892号、同第3,219,666号、同第3,316,177号、同第3,340,281号、同第3,351,552号、同第3,381,022号、同第3,433,744号、同第3,444,170号、同第3,467,668号、同第3,501,405号、同第3,542,680号、同第3,576,743号、同第3,632,511号、同第4,234,435号、同第Re26,433号、および同第6,165,235号、同第7,238,650号、ならびにEP特許出願第0355895A号に開示されている。
【0070】
分散剤は、様々な薬剤のいずれかとの反応による従来の方法により後処理され得る。これらの中でもとりわけ、ホウ素化合物(ホウ酸など)、炭酸化合物(炭酸エチレン)、尿素、チオ尿素、ジメルカプトチアジアゾール、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、例えば、テレフタル酸、炭化水素置換無水コハク酸、無水マレイン酸、ニトリル、エポキシド、およびリン化合物がある。一実施形態では、後処理された分散剤は、ホウ素化される。一実施形態では、後処理された分散剤は、ジメルカプトチアジアゾールと反応する。一実施形態では、後処理された分散剤は、リン酸または亜リン酸と反応する。一実施形態では、後処理された分散剤は、テレフタル酸およびホウ酸と反応する(米国特許出願第US2009/0054278号に記載されているように)。
【0071】
存在する場合、分散剤は、潤滑組成物の0.01重量%~20重量%、または0.1重量%~15重量%、または0.1重量%~10重量%、または1重量%~6重量%、または1~3重量%、または2重量%~4重量%で存在し得る。
【0072】
一実施形態では、潤滑組成物は、無灰摩擦調整剤をさらに含む。好適な摩擦調整剤は、アミンの長鎖脂肪酸誘導体、長鎖脂肪エステル、または長鎖脂肪エポキシドの誘導体;脂肪イミダゾリン;アルキルリン酸のアミン塩;脂肪アルキルタルトレート;脂肪アルキルタルトリミド;脂肪アルキルタルトラミド;脂肪グリコレート;および脂肪グリコールアミドから選択され得る。摩擦調整剤は、潤滑組成物の0重量%~6重量%、または0.01重量%~4重量%、または0.05重量%~2重量%、または0.1重量%~2重量%、または0.15重量%~1.5重量%で存在し得る。
【0073】
本明細書で使用する場合、摩擦調整剤に関する用語、「脂肪アルキル」または「脂肪」は、10~22個の炭素原子を有する炭素鎖、典型的には、直鎖炭素鎖を意味する。
【0074】
好適な摩擦調整剤の例には、アミンの長鎖脂肪酸誘導体、脂肪エステル、もしくは脂肪エポキシド;脂肪イミダゾリン、例えば、カルボン酸とポリアルキレン-ポリアミンとの縮合生成物;アルキルリン酸のアミン塩;脂肪アルキルタルトレート;脂肪アルキルタルトリミド;脂肪アルキルタルトラミド;脂肪ホスホネート;脂肪ホスファイト;ホウ酸化リン脂質、ホウ酸化脂肪エポキシド;グリセロールエステル;ホウ酸化グリセロールエステル;脂肪アミン;アルコキシル化脂肪アミン;ホウ酸化アルコキシル化脂肪アミン;ヒドロキシルおよび第三級ヒドロキシ脂肪アミンを含むポリヒドロキシ脂肪アミン;ヒドロキシアルキルアミド;脂肪酸の金属塩;アルキルサリシレートの金属塩;脂肪オキサゾリン;脂肪エトキシル化アルコール;カルボン酸とポリアルキレンポリアミンとの縮合生成物;または脂肪カルボン酸とグアニジン、アミノグアニジン、尿素、もしくはチオ尿素、およびそれらの塩との反応生成物が含まれる。
【0075】
摩擦調整剤はまた、硫化脂肪化合物およびオレフィン、モリブデンジアルキルジチオホスフェート、モリブデンジチオカルバメート、ポリオールおよび脂肪族カルボン酸のヒマワリ油または大豆油モノエステル等の材料も包含し得る。
【0076】
別の実施形態では、摩擦調整剤は、長鎖脂肪酸エステルであり得る。別の実施形態では、長鎖脂肪酸エステルは、モノエステルであってもよく、別の実施形態では、長鎖脂肪酸エステルは、トリグリセリドであってもよい。一実施形態では、摩擦調整剤は、グリセロールのモノエステル(例えば、グリセロールモノオレエート)であり得る。
【0077】
潤滑組成物は、任意選択的に、少なくとも1つの耐摩耗剤をさらに含む。適切な耐摩耗剤の例としては、チタン化合物、酒石酸塩、タルトリミド、リン化合物の油溶性アミン塩、硫化オレフィン、金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート(ジアルキルジチオリン酸亜鉛など)、ホスファイト(ジブチルホスファイトなど)、ホスホネート、ならびにチオカルバメート含有化合物(チオカルバメートエステル、チオカルバメートアミド、チオカルバミックエーテル、アルキレン結合チオカルバメート、およびビス(S-アルキルジチオカルバミル)ジスルフィド)が挙げられる。
【0078】
耐摩耗剤は、一実施形態では、国際公開第WO2006/044411号またはカナダ特許第CA1183125号に開示されているようなタルトレートまたはタルトリミドを含み得る。タルトレートまたはタルトリミドは、アルキル基の炭素原子の合計が少なくとも8個であるアルキルエステル基を含有し得る。一実施形態では、耐摩耗剤は、米国特許出願第2005/0198894号に開示されているように、シトレートを含み得る。
【0079】
別のクラスの添加剤には、US7,727,943およびUS2006/0014651に開示されているような油溶性チタン化合物が含まれる。油溶性チタン化合物は、耐摩耗剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、堆積制御添加剤、またはこれらの機能の1つ超えるものとして機能し得る。一実施形態では、油溶性チタン化合物は、チタン(IV)アルコキシドである。チタンアルコキシドは、一価アルコール、ポリオール、またはそれらの混合物から形成される。一価アルコキシドは、2~16個、または3~10個の炭素原子を有し得る。一実施形態では、チタンアルコキシドは、チタン(IV)イソプロポキシドである。一実施形態では、チタンアルコキシドは、チタン(IV)2エチルヘキソキシドである。一実施形態では、チタン化合物は、ビシナル1,2-ジオールまたはポリオールのアルコキシドを含む。一実施形態では、1,2-ビシナルジオールは、グリセロールの脂肪酸モノエステルを含み、多くの場合、脂肪酸はオレイン酸である。
【0080】
一実施形態では、油溶性チタン化合物は、チタンカルボキシレートである。さらなる実施形態では、チタン(IV)カルボキシレートは、チタンネオデカノエートである。
【0081】
一実施形態では、潤滑組成物は、リン含有耐摩耗剤をさらに含み得る。典型的には、リン含有耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ホスファイト、ホスフェート、ホスホネート、およびアンモニウムホスフェート塩、またはこれらの混合物であり得る。ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDPまたはZDP)は当技術分野で知られている。ZDDPは、第一級脂肪族アルコール、第二級脂肪族アルコール、芳香族アルコール、およびそれらの混合物に由来し得る。一実施形態では、潤滑組成物は、少なくとも25重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%の第二脂肪族アルコールに由来するZDDP耐摩耗剤をさらに含む。耐摩耗剤は、潤滑組成物の0重量%~3重量%、または0.1重量%~1.5重量%、または0.5重量%~0.9重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、耐摩耗剤は、潤滑組成物に、0~0.12重量%のリン、または0.01~0.08重量%、または0.03~0.08重量%、さらには0.025~0.06重量%のリンを提供するのに十分な量で存在し得る。
【0082】
油に可溶性である極圧(EP)剤には、硫黄およびクロロ硫黄含有EP剤、分散剤のジメルカプトチアジアゾールまたはCS2誘導体(典型的には、スクシンイミド分散剤)、塩素化炭化水素EP剤およびリンEP剤の誘導体が含まれる。そのようなEP剤の例には、塩素化ワックス;硫化オレフィン(硫化イソブチレンなど)、ヒドロカルビル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、またはそれらのオリゴマー、有機スルフィドおよびポリスルフィド、例えば、ジベンジルジスルフィド、ビス-(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、オレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化テルペン、および硫化Diels-Alder付加物;リン硫化炭化水素、例えば、硫化リンとオレイン酸テルペンチンまたはオレイン酸メチルとの反応生成物;リンエステル、例えば、ジ炭化水素ホスファイトおよびトリ炭化水素ホスファイト;例えば、ジブチルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジシクロヘキシルホスファイト、ペンチルフェニルホスファイト;ジペンチルフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、ジステアリルホスファイト、およびポリプロピレン置換フェノールホスファイト;金属チオカルバメート、例えば、ジオクチルジチオカルバミン酸亜鉛およびヘプチルフェノール二酸バリウム;アルキルおよびジアルキルリン酸または誘導体のアミン塩、例えば、P2O5とのさらなる反応が続く、ジアルキルジチオリン酸とプロピレンオキシドとの反応生成物のアミン塩;ならびにそれらの混合物(US3,197,405に記載されている)が含まれる。
【0083】
開示される技術の潤滑剤組成物において有用であり得る発泡抑制剤は、ポリシロキサン、エチルアクリレートと、2-エチルヘキシルアクリレートと、任意にビニルアセテートとのコポリマー;フッ素化ポリシロキサン、トリアルキルホスフェート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、および(エチレンオキシド-プロピレンオキシド)ポリマーを含む抗乳化剤を含む。
【0084】
一実施形態では、潤滑組成物は、粘度調整剤(VM)、分散剤粘度調整剤(DVM)、またはそれらの混合物をさらに含み得る。粘度指数向上剤とも呼ばれる粘度調整剤は、当該技術分野でよく知られている。粘度調整剤としては、ポリマー粘度調整剤が挙げられる。分散剤粘度調整剤は、一般に、ポリマー粘度調整剤と同様の、官能化された、すなわち誘、導体化された形態のポリマーであると理解され得る。
【0085】
ポリマー粘度調整剤は、オレフィン(コ)ポリマー(OCP)、ポリ(メタ)アクリレート(PMA)、またはそれらの混合物であり得る。一実施形態では、ポリマー粘度調整剤は、オレフィン(コ)ポリマーである。
【0086】
オレフィンポリマーは、イソブチレンまたはイソプレンから誘導され得る。一実施形態では、オレフィンポリマーは、エチレン、およびC3-C10アルファ-モノ-オレフィンの範囲内の高級オレフィンから調製され、例えば、オレフィンポリマーは、エチレンおよびプロピレンから調製され得る。
【0087】
一実施形態では、オレフィンポリマーは、15~80モルパーセントのエチレン、例えば、30molパーセント~70molパーセントのエチレン、20~85モルパーセントのC3~C10モノオレフィン、例えば、プロピレン、例えば、30~70molパーセントのプロピレンまたはそれ以上のモノ-オレフィンのポリマーであり得る。オレフィンコポリマーのターポリマー変形形態も使用され得、最大15molパーセントの非共役ジエンまたはトリエンを含有し得る。非共役ジエンまたはトリエンは、5~約14個の炭素原子を有し得る。非共役ジエンまたはトリエンモノマーは、構造内のビニル基の存在により特徴付けられ得、環式および二環式化合物を含み得る。代表的なジエンには、1,4-ヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチルジエン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、1,5-ヘプタジエン、および1,6-オクタジエンが含まれる。
【0088】
有用なオレフィンポリマー、特に、エチレン-α-オレフィンコポリマーは、4500~500,000、例えば、5000~100,000、または7500~60,000、または8000~45,000の範囲の数平均分子量を有する。
【0089】
一実施形態では、DVMは、ヒドロカルビルアミン、ヒドロカルビルアルコール基、アミノまたはヒドロキシ末端ポリエーテル化合物、およびそれらの混合物でさらに官能化されたアシル基でグラフト化された官能化エチレン-α-オレフィンコポリマーを含む。
【0090】
一実施形態では、潤滑組成物は、ポリ(メタ)アクリレートポリマー粘度調整剤を含み得る。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリレート」という用語、およびその同族語は、容易に理解されるように、メタクリレートまたはアクリレートのいずれかを意味する。
【0091】
一実施形態では、ポリ(メタ)アクリレートポリマーは、様々な長さのアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマー混合物から調製される。(メタ)アクリレートモノマーは、直鎖または分岐鎖基であるアルキル基を含み得る。アルキル基は、1~24個の炭素原子、例えば、1~20個の炭素原子を含み得る。
【0092】
一実施形態では、ポリ(メタ)アクリレートポリマーは、線状、分岐、超分岐、架橋、星形(「放射状」とも呼ばれる)、またはそれらの組み合わせから選択される構造を有し得る。星形または放射状は、マルチアームポリマーを指す。そのようなポリマーには、いくつかの実施形態では、少なくとも約20、または少なくとも50、または100、または200、または350、または500、または1000個の炭素原子を含有する、3本以上のアームまたは分岐を含む(メタ)アクリレート含有ポリマーが含まれる。アームは、一般に、「コア」または「カップリング剤」として機能する多価有機部分に結合する。マルチアームポリマーは、放射状もしくは星形ポリマー、もしくはさらに「櫛」ポリマー、またはそうでない場合は本明細書に記載のマルチアームもしくは分岐を有するポリマーと呼ばれ得る。
【0093】
直鎖状ポリ(メタ)アクリレートは、ランダムポリ(メタ)アクリレート、ブロックポリ(メタ)アクリレート、または他のポリ(メタ)アクリレートは、1000~400,000ダルトン、1000~150,000ダルトン、または15,000~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有し得る。一実施形態では、ポリ(メタ)アクリレートは、5,000~40,000ダルトン、または10,000~30,000ダルトンのMwを有する直鎖状ブロックコポリマーであり得る。
【0094】
ラジカル、架橋、または星形コポリマーは、上記の分子量を有する直鎖状ランダムまたはジブロックコポリマーから誘導され得る。本発明の星形ポリマーは、10,000~1,500,000ダルトン、または40,000~1,000,000ダルトン、または300,000~850,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。
【0095】
他の粘度調整剤は、(i)ビニル芳香族モノマーブロックおよび(ii)共役ジエンオレフィンモノマーブロック(水素化スチレン-ブタジエンコポリマーまたは水素化スチレン-イソプレンコポリマーなど)を含むブロックコポリマー、またはそれらの混合物を含み得る。
【0096】
潤滑組成物は、0.05重量%~10重量%、または0.3重量%~8重量%、または0.5~5重量%、または1重量%~3重量%の本明細書に記載の1つ以上のポリマー粘度調整剤および/または分散剤粘度修飾剤を含み得る。
【0097】
本開示技法の潤滑組成物において有用であり得る流動点降下剤は、ポリアルファオレフィン、無水マレイン酸-スチレンコポリマーのエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリレート、またはポリアクリルアミドを含む。
【0098】
抗乳化剤は、トリアルキルホスフェート、ならびにエチレングリコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはそれらの混合物の様々なポリマーおよびコポリマーを含む。
【0099】
金属不活性化剤は、ベンゾトリアゾール(典型的には、トリルトリアゾール)、1,2,4-トリアゾール、ベンズイミダゾール、2-アルキルジチオベンズイミダゾール、または2-アルキルジチオベンゾチアゾールの誘導体を含む。金属不活性化剤は、腐食防止剤とも記載され得る。
【0100】
シール膨潤剤には、Exxon Necton-37(商標)(FN1380)およびExxon Mineral Seal Oil(商標)(FN3200)のスルホレン誘導体が含まれる。
【0101】
一実施形態では、潤滑組成物を使用して、機械装置を潤滑することができる。機械装置は、自動車に関連付けることができる。例えば、機械装置は、ドライブライン装置であり得る。
【0102】
ドライブライン装置としては、オートマチック変速機、マニュアル変速機、デュアルクラッチ変速機、または車軸またはディファレンシャルが挙げられる。異なる実施形態におけるドライブラインデバイスの潤滑組成物は、以下の表に開示されるような組成物を有し得る。
【表A】
【0103】
本明細書に開示される潤滑組成物で潤滑される機械装置は、例えば、火花点火内燃機関または圧縮点火内燃機関などの内燃機関であり得る。一実施形態では、内燃機関は、1つ以上の直噴ガソリン(GDI)エンジンであり得るか、またはターボチャージャーまたはスーパーチャージャーを備え得る。ガソリンエンジンは、低速、つまり、3000rpm未満、および高圧、つまり、12バール超の正味平均有効圧力(BMEP)で動作する場合がある。異なる実施形態におけるエンジン潤滑組成物は、以下の表に開示されるような組成物を有し得る。
【表B】
【0104】
機械装置は、油圧システム内にあり得る。油圧潤滑剤はまた、以下の表に定義された配合物を含むことができる。
【表C】
【0105】
開示された技術は、循環油システムを潤滑する方法をさらに提供する。
【0106】
開示された技術は、タービンシステムを潤滑する方法をさらに提供する。
【0107】
本明細書に記載のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、前述の潤滑組成物を機械装置および/または内燃機関に供給することによって、前述の機械装置および/または内燃機関のいずれかを潤滑するために使用することができる。
【実施例】
【0108】
本発明は、特に有利な実施形態を説明する以下の実施例によりさらに説明される。本発明を例示するために実施例を提供するが、これらは本発明を限定することを意図するものではない。
【0109】
本発明の態様による一連のアルキルベンゼンスルホネート洗浄剤は、標準的な方法によって調製され得る。これらの材料の実施例は、次の式で表され、
【化12】
表1に要約されている。
【表1】
【0110】
上記の洗浄剤添加剤、ならびに高分子粘度調整剤、他の過塩基性清浄剤、酸化防止剤(フェノールエステルとジアリールアミンとの組み合わせ)、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)、ならびに次のような(表2)他の性能向上添加剤を含む、潤滑粘度のグループII~グループIII基油における一連の5W-20のエンジン潤滑剤を調製する。例の各々のカルシウム、マグネシウム、リン、亜鉛、および灰含有量も一部表に表されており、各例がこれらの材料の同様の量を有することを示し、それにより比較例と発明例との適切な比較を提供する。
【表2】
【0111】
エンジン潤滑剤組成物の評価
エンジン潤滑剤組成物は、潤滑剤、したがって洗浄剤の能力を評価するように設計されたベンチおよびエンジン試験の対象となり、堆積物の形成を防ぎ、清浄度を提供し、酸媒介摩耗または潤滑剤の劣化を低減または防止し、スラッジ処理を提供し得る。エンジン試験としては、Caterpillar 1K(ASTM D6750)単気筒エンジン試験、Volkswagen TDI試験(VW TDI CEC-L-78-T-99試験、PV1452としても知られている)(これは、エンジン潤滑油の堆積物制御性能を測定する)、API SNスラッジ試験(Sequence VG)、およびMB M271 SLスラッジエンジン試験(この試験は、内燃機関のスラッジを軽減するための潤滑組成を評価するための業界標準である)が挙げられる。
【0112】
適切なベンチ試験としては、MHT TEOST(ASTM D7097B);TEOST 33C(ASTM D6335);油サンプルを高温(通常280°C)で一定時間(通常16時間)ガラス管と接触させ、すすぎ、管の清浄度を評価するホットチューブ試験(例:Komatsu Hot TubeまたはKHT);およびパネルコーカー試験(油サンプルを325°Cに保持された金属パネルに3.5時間のスプラッシュとベーキングのサイクルでスプラッシュし、パネルの重量を測定して堆積物の形成量を測定し、目に見える評価を行う)が挙げられる。
【0113】
洗浄剤添加剤を含有する一連のドライブライン潤滑剤が調製される。実施例6、7、および8は、それぞれ、自動変速機、農業用トラクター、および手動変速機で使用するための流体である。これらの流体組成物は、表3に列挙されているレシピに従って調製される。
【表3】
【0114】
ドライブライン装置の摩擦および摩耗性能は、多くの場合、流体の最終的な最終用途に応じて、様々な試験を使用して測定できる。FZG試験では、減速機、ハイポイドギア、オートマチック変速機ギアなどの油のスカッフィング防止特性を測定する。FZG試験と結果の意味との説明は、「Scuffing Tests on Gear Oils in the FZG Apparatus” by G. Niemann, H. Rettig and G. Lechner in ASLE Transactions, 4 71-86 (1961)」の記事に見つけられる。試験手順DIN51354が利用され、これは、1970年1月のPrufung von Schmierstoffen: Mechanische Prufung von Gebriebeolen in der FZG-Zahnrad-Verspannungs-Prufmaschine, January 1970で議論されている。報告される結果としては、負荷段階の障害が挙げられる。通常、より高い負荷段階の障害を報告する潤滑剤の場合、より良い結果が得られる。
【0115】
摩擦性能は、VSFT試験手順、SAE#2、および/または「耐久性試験」におけるシンクロナイザー試験リグを使用して測定され得る。VSFT試験手順は、金属、または金属表面に対して回転する別の摩擦材料であり得るディスクからなる。特定の試験で使用される摩擦材料は、自動変速機クラッチで一般的に使用される様々な市販の摩擦材料である。試験は、3つの温度および2つの負荷レベルで実行される。VSFTによって測定された摩擦係数は、一定の圧力で数回の速度掃引にわたってスライド速度に対してプロットされる。
【0116】
記載される各化学成分の量は、特に指示がない限り、市販の材料に通常存在し得るあらゆる溶媒または希釈油を除いて、つまり活性化学物質に基づいて示される。しかしながら、特に指示がない限り、本明細書で言及する各化学物質または組成物は、異性体、副生成物、誘導体、および商業グレードに存在すると通常理解される他のそのような材料を含み得る、商業グレードの材料であると解釈されるべきである。
【0117】
上記の物質のいくつかは、最終的な配合において相互作用し得ることが既知であるため、最終的な配合の成分は最初に添加されるものと異なり得る。例えば、金属イオン(例えば、洗浄剤の)は他の分子の他の酸性またはアニオン性部位に移動する可能性がある。それにより形成された、本発明の組成物をその意図する用途において使用して形成された生成物を含む生成物は、簡単に説明されない場合がある。それにもかかわらず、そのような修飾物および反応生成物は全て、本発明の範囲内に含まれ、本発明は、上記の成分を混合することにより調製される組成物を包含する。
【0118】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の量の値が表示値の±20%以内であることを意味する。他の実施形態において、値は、表示値の±15%以内である。他の実施形態において、値は、表示値の±10%以内である。他の実施形態において、値は、表示値の±5%以内である。他の実施形態において、値は、表示値の±2.5%以内である。他の実施形態では、値は、表示値の±1%以内である。
【0119】
さらに、本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、所定の量の値が表示値の±10%以内であることを意味する。他の実施形態では、値は、表示値の±5%以内である。他の実施形態において、値は、表示値の±2.5%以内である。他の実施形態では、値は、表示値の±1%以内である。
【0120】
上記で言及された文書の各々は、上記に具体的に列挙されているかどうかにかかわらず、優先権が主張されるあらゆる先行出願を含んで参照により本明細書に組み込まれる。いずれの文書の言及も、あらゆる権限において、そのような文書が先行技術としての資格を有すること、または当業者の一般知識を構成することの承認ではない。実施例を除き、または特に明示的に示されている場合を除き、物質の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを指定するこの説明の全ての数量は、「約」という単語により修正されるものとして理解されたい。本明細書に記載の量、範囲、および比率の上限および下限は、独立して組み合わせることができることを理解されたい。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、任意の他の要素の範囲または量と共に使用され得る。
【0121】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、または「を特徴とする(characterized by)」と同義である「含む(comprising)」という移行句は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。しかしながら、本明細書の「含む(comprising)」の各列挙において、この用語は、代替実施形態として、「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」という語句も包含することを意図しており、ここで、「からなる」は、指定されていない任意の要素またはステップを除外し、「から本質的になる」は、考慮されている組成物または方法の本質的または基本的および新規の特徴に実質的に影響を与えない追加の列挙されていない要素またはステップを含むことを許容する。
【0122】
主題の発明を説明する目的で、特定の代表的な実施形態および詳細を示してきたが、主題の発明の範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。これに関して、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によりのみ制限されるものとする。
【国際調査報告】