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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】自殺遺伝子
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/28 20060101AFI20220131BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/26 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220131BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20220131BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20220131BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20220131BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220131BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20220131BHJP
   C07K 14/525 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 15/867 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 15/864 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 15/861 20060101ALN20220131BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20220131BHJP
   C07K 14/725 20060101ALN20220131BHJP
   C07K 14/715 20060101ALN20220131BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N15/28
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/26
C12N15/24
C12N5/10
C12N15/63 Z
A61K48/00
A61K38/19
A61K38/00
A61K35/17 Z
A61K35/28
A61P35/00
A61K39/395 T
A61K47/68
A61K35/761
A61K35/76
A61P37/00
A61P25/02
A61K39/395 N
C07K14/525 ZNA
C12N15/867 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/861 Z
C07K19/00
C07K14/725
C07K14/715
C07K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527926
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 US2019062009
(87)【国際公開番号】W WO2020106619
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/769,405
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/773,372
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/791,464
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レズヴァニ、ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】シュポール、エリザベス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE59
4C084AA13
4C084BA44
4C084DA14
4C084DA25
4C084DA45
4C084NA06
4C084ZA201
4C084ZB131
4C084ZB261
4C084ZC022
4C085AA14
4C085CC23
4C087BB65
4C087CA12
4C087NA06
4C087ZA20
4C087ZB13
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA22
4H045DA50
4H045DA51
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】 細胞療法のための安全機構の解決策を提供する。
【解決手段】 本開示の実施形態は、非分泌型かつ膜結合性であり、それにより、突然変異体を発現する細胞における阻害のための標的を提供する、特定のTNF-α突然変異体を包含する。特定の実施形態では、TNF-α突然変異体は、個体に対する養子細胞療法に使用される細胞において自殺遺伝子として利用され、所望の時点で、膜結合TNF-αに結合し、細胞に対する補体依存性細胞傷害性を誘発する1つ以上の抗TNF-α抗体が個体に提供される。TNF-α突然変異体は、形質導入された細胞をインビボで追跡する方法としても使用され得る。
【選択図】 図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の改変非分泌型腫瘍壊死因子(TNF)-α突然変異ポリペプチドをコードする核酸及び1つ以上の治療用遺伝子産物をコードする核酸を含む形質導入細胞を含む、組成物。
【請求項2】
前記TNF-α突然変異ポリペプチドが、配列番号8と比較して以下の:
アミノ酸残基1及びアミノ酸残基12;
アミノ酸残基1及びアミノ酸残基13;
アミノ酸残基1~12;
アミノ酸残基1~13;又は
アミノ酸残基-1~13
の欠失を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記治療用遺伝子産物が改変受容体である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記改変受容体が、T細胞受容体、キメラ抗原受容体(CAR)、サイトカイン受容体、ホーミング受容体又はケモカイン受容体である、請求項1、2又は3の何れか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記改変受容体が癌抗原を標的とする、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
前記改変受容体が、1つ以上の同時刺激ドメインを含むCARである、請求項3~5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記1つ以上の同時刺激ドメインが、CD28、DAP12、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)、Dap10、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40又はそれらの組み合わせの同時刺激ドメインを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記TNF-α突然変異ポリペプチドをコードする核酸及び前記治療用遺伝子産物をコードする核酸が同じ核酸分子である、請求項1~7の何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記TNF-α突然変異ポリペプチドをコードする核酸及び前記治療用遺伝子産物をコードする核酸が異なる核酸分子である、請求項1~7の何れか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記核酸分子がベクターである、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ベクターがウイルスベクター又は非ウイルスベクターである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記非ウイルスベクターが、プラスミド、脂質又はトランスポゾンである、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記細胞が免疫細胞又は幹細胞である、請求項1~13の何れか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記免疫細胞が、T細胞、NK細胞、NKT細胞、iNKT細胞、B細胞、制御性T細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞又は間葉系間質細胞である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記TNF-α突然変異ポリペプチドが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号39又は配列番号41を含む、請求項1~15の何れか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記TNF-α突然変異ポリペプチドが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号38又は配列番号40を含む配列によってコードされる、請求項1~16の何れか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記細胞が、外来から提供されるサイトカインを発現する、請求項1~17の何れか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記サイトカインが、IL-7、IL-2、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21又はそれらの組み合わせである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記サイトカインが、前記TNF-α突然変異体遺伝子と同じベクターからコードされる、請求項18又は19に記載の組成物。
【請求項21】
前記サイトカインが、前記TNF-α突然変異体とは別個のポリペプチド分子として、及び前記細胞の改変受容体とは別個のポリペプチド分子として発現される、請求項18~20の何れか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記TNF-α突然変異ポリペプチドが、TNF受容体への前記TNF-α突然変異ポリペプチドの結合を妨げる1つ以上のさらなる突然変異を欠く、請求項1~21の何れか1項に記載の組成物。
【請求項23】
改変非分泌型TNF-α突然変異ポリペプチドを発現する形質導入細胞に対して死を誘導する方法であって、前記形質導入細胞上の前記TNF-α突然変異体に結合する少なくとも1つの薬剤の有効量を提供する段階を含む、方法。
【請求項24】
TNF-αに結合する薬剤が、抗体、小分子、ポリペプチド、核酸又はそれらの組み合わせである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞が改変受容体をさらに発現する、請求項23~25の何れか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記改変受容体がT細胞受容体又はCARである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記改変受容体が癌抗原を標的とする、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
医学的状態を有する個体においてインビボで行われ、前記個体に、複数の形質導入細胞を含む前記医学的状態のための治療が提供される、請求項23~28の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記医学的状態が癌である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記薬剤が、前記治療からの1つ以上の有害事象の発症時に前記個体に提供される、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記個体が、サイトカイン放出症候群、神経毒性、アナフィラキシー/アレルギー及び/又はオンターゲット/オフ腫瘍毒性の1つ以上の症状を示す、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記個体に、前記医学的状態のためのさらなる治療が提供されたことがある、提供されている、及び/又は提供されるであろう、請求項29~32の何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記TNF-α突然変異ポリペプチドが、TNF受容体への前記TNF-α突然変異ポリペプチドの結合を妨げる、又は逆シグナル伝達を妨げる1つ以上のさらなる突然変異を欠く、請求項23~33の何れか1項に記載の方法。
【請求項35】
非分泌型TNF-α突然変異体を発現する細胞を用いた細胞療法を受けたことがある及び/又は受けている個体におけるサイトカイン放出症候群の影響を軽減する方法であって、前記突然変異体に結合して、前記個体において、(a)前記細胞療法の細胞の少なくとも一部の排除;及び(b)可溶性TNF-αのレベルの低下を引き起こす1つ以上の薬剤の有効量を提供する段階を含む、方法。
【請求項36】
個体に対する細胞療法の毒性のリスクを低下させる、方法であって、非分泌型TNF-α突然変異体を発現するように前記細胞療法の細胞を修飾する段階を含む、方法。
【請求項37】
前記細胞療法が癌のためである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記細胞療法が、抗原を標的とする改変受容体を含む、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
非分泌型TNF-α突然変異体をコードし、そして改変受容体をコードする配列を含む、ベクター。
【請求項40】
請求項39に記載のベクターであって、前記非分泌型TNF-α突然変異体及び前記改変受容体が、別個のポリペプチドとして前記ベクターからコードされる、ベクター。
【請求項41】
前記非分泌型TNF-α突然変異体をコードするベクターの配列及び前記改変受容体をコードするベクターの配列が、2Aエレメント又はIRESエレメントによって前記ベクター上で分離される、請求項39又は40に記載のベクター。
【請求項42】
前記改変受容体がCARである、請求項39~41の何れか1項に記載のベクター。
【請求項43】
サイトカインをさらにコードする、請求項39~42の何れか1項に記載のベクター。
【請求項44】
前記サイトカインが、IL-7、IL-2、IL-15、IL-12、IL-18又はIL-21である、請求項43に記載のベクター。
【請求項45】
請求項43又は44に記載のベクターであって、前記サイトカインが、TNF-α突然変異体及び前記改変受容体とは別個のポリペプチドとして前記ベクターから発現される、ベクター。
【請求項46】
組成物として、配列番号15を含む核酸配列。
【請求項47】
組成物として、配列番号16を含む核酸配列。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年11月19日出願の米国仮特許出願第62/769,405号;2018年11月30日出願の米国仮特許出願第62/773,372号;及び2019年1月11日出願の米国仮特許出願第62/791,464号の優先権を主張し、これら出願は全て、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。
(配列表)
本願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含有し、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる。2019年11月13日作成のASCIIコピーの名称はUTFC_P1151WO_SL.txtであり、サイズは108,130バイトである。
(技術分野)
【0002】
本開示の実施形態は、少なくとも細胞生物学、分子生物学、免疫学、細胞療法及び医学の分野を包含する。
【背景技術】
【0003】
キメラ抗原受容体(CAR)操作及びT細胞受容体(TCR)形質導入T細胞を用いた養子細胞療法は、サイトカイン放出症候群及び神経毒性、並びにオンターゲット/オフ腫瘍毒性などの重篤な有害事象の報告に関連している。養子細胞療法で処置を受ける患者数が増加しているので、毒性に直面する養子注入された細胞の選択的欠失を可能にする安全機構の組み込みは有用である。
【0004】
本開示は、細胞療法のための安全機構の技術分野における長年にわたるニーズ対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、細胞療法を制御するための安全機構を含む、細胞療法に関連する系、方法及び組成物に関する。特定の実施形態では、その使用を制御し、所望の事象及び/又は時間での細胞療法の制御可能な終了を可能にするために、何らかの種類の細胞療法とともにユニークな自殺遺伝子を利用する。自殺遺伝子は、必要に応じて形質導入細胞に対して死を誘導する目的で形質導入細胞において使用される。特定の実施形態では、自殺/枯渇遺伝子は、TNF-α変換酵素(TACEとも呼ばれる)などの自然界でTNFを切断する標準的な酵素によって切断不可能な腫瘍壊死因子(TNF)-α変異体である。従って、TNF-α変異体は、特定の実施形態では、膜結合型であり、不活性であり、非分泌型である。本開示のTNF-α変異体は、細胞の表面上のTNF-α変異体への薬剤の結合後に細胞が死滅するように、少なくとも1つの抗体を含む変異体に結合する1つ以上の薬剤によって標的化可能である。本開示の実施形態によって、TNF-α変異体を、それを発現する細胞に対するマーカーとして利用することが可能になる。
【0006】
本開示の実施形態は、1つ以上の改変非分泌型腫瘍壊死因子(TNF)-α変異ポリペプチドをコードする核酸及び1つ以上の治療用遺伝子産物をコードする核酸を含む形質導入細胞を含む組成物を含む。特定の実施形態では、TNF-α変異ポリペプチドは、配列番号8に対して以下の欠失を含む:アミノ酸残基1及びアミノ酸残基12;アミノ酸残基1及びアミノ酸残基13;アミノ酸残基1~12;アミノ酸残基1~13;又はアミノ酸残基1~14。本組成物の治療用遺伝子産物は、T細胞受容体、キメラ抗原受容体(CAR)、サイトカイン受容体、ホーミング受容体又はケモカイン受容体などの改変受容体であってもよいし、又はそうでなくてもよい。改変受容体の何れも、癌抗原などの抗原を標的としてもよいし、又はしなくてもよい。改変受容体がCARである場合、CARは、CD28、DAP12又はその両方などの1つ以上の同時刺激ドメインを含んでもよいし、又は含まなくてもよい。
【0007】
TNF-α変異ポリペプチドをコードする核酸及び治療用遺伝子産物をコードする核酸は異なる核酸分子であり得るものの、特定の実施形態では、TNF-α変異ポリペプチドをコードする核酸及び治療用遺伝子産物をコードする核酸は同じ核酸分子である。何れの場合も、核酸分子は、ウイルスベクター(レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクター)又は非ウイルスベクター、例えばプラスミド、脂質、トランスポゾン又はそれらの組み合わせを含むものなど、を含むベクターであり得る。
【0008】
本開示の組成物の形質導入細胞は、例えば免疫細胞又は幹細胞であり得る。免疫細胞の例としては、T細胞、NK細胞、NKT細胞、iNKT細胞、B細胞、制御性T細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞又は間葉系間質細胞が挙げられる。細胞は、IL-15、IL-12、IL-18、IL-21又はそれらの組み合わせなどの1つ以上の外から提供されるサイトカインを発現してもよいし、又はしなくてもよい。サイトカインは、TNF-α変異遺伝子と同じベクターからコードされてもよいし、又はコードされなくてもよい。特定の場合には、サイトカインは、TNF-α変異体として、及び細胞の改変された受容体として、別個のポリペプチド分子として発現される。
【0009】
本開示の特定の実施形態では、TNF-α変異ポリペプチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5又は配列番号39を含む。TNF-α変異ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6又は配列番号38を含む配列によってコードされ得る。特定の態様では、TNF-α変異ポリペプチドは、TNF受容体へのTNF-α変異ポリペプチドの結合を妨げる1つ以上のさらなる変異を欠く。
【0010】
本開示の実施形態は、少なくとも改変非分泌型TNF-α変異ポリペプチドを発現し、任意選択により、改変受容体などの治療用遺伝子を発現する形質導入細胞に対して死を誘導する方法であって、形質導入細胞上のTNF-α変異体に結合する有効量の少なくとも1つの薬剤を提供する段階を含む方法を含む。TNF-αに結合する薬剤は、例えば、抗体、小分子、ポリペプチド、核酸又はそれらの組み合わせであり得る。薬剤が抗体である場合、抗体は、少なくともモノクローナル抗体を含むあらゆる種類のものであり得る。本方法では、細胞は、T細胞受容体、キメラ抗原受容体(CAR)、サイトカイン受容体、ホーミング受容体又はケモカイン受容体を含む、改変受容体をさらに発現し得る。改変受容体の何れも、癌又は他の抗原に結合し得る。具体的な場合において、本方法は、医学的状態を有する個体において、また、個体に、複数の形質導入細胞を含む医学的状態のための治療剤が提供されている場合、インビボで行われる。医学的状態はあらゆる種類であり得るが、特定の場合には、医学的状態は癌である。本薬剤は、治療からの1つ以上の有害事象の発症時、又は有害事象の発生が疑われるときに、個体に提供され得る。個体は、サイトカイン放出症候群、神経毒性、アナフィラキシー/アレルギー及び/又はオンターゲット/オフ腫瘍毒性の1つ以上の症状を示し得る。いくつかの場合において、個体には、医学的状態のためのさらなる治療剤が提供されたことがある、提供される及び/又は提供されるであろう。本開示の特定の態様では、TNF-α変異ポリペプチドは、TNF受容体へのTNF-α変異ポリペプチドの結合を妨げるか又は逆シグナル伝達を妨げる、1つ以上のさらなる変異を欠くか又は含む。
【0011】
本開示の実施形態は、非分泌型TNF-α変異体を発現する細胞を用いた細胞療法を受けたことがある及び/又は受けている個体におけるサイトカイン放出症候群の影響を軽減する方法であって、変異体に結合して、個体において(a)細胞療法の細胞の少なくとも一部の排除;及び(b)可溶性TNF-αレベルの低下を引き起こす、有効量の1つ以上の薬剤を提供する段階を含む方法を含む。
【0012】
本開示の実施形態は、非分泌型TNF-α変異体を発現するように細胞療法の細胞を修飾する段階を含む、個体に対する細胞療法の毒性リスクを低下させる方法を含む。細胞療法は、例えば癌に対するものであり得る。細胞療法は、抗原を標的とする改変受容体を含み得る。
【0013】
特定の実施形態は、非分泌型TNF-α変異体をコードする、及び改変受容体をコードする配列を含むベクターを含む。非分泌型TNF-α変異体及び改変受容体は、別個のポリペプチドとしてベクターからコードされてもよいし、又はコードされなくてもよい。特定の場合には、非分泌型TNF-α変異体をコードするベクターの配列及び改変受容体をコードするベクターの配列は、2Aエレメント又はIRESエレメントによってベクター上で分離される。ベクターは、IL-15、IL-12、IL-18、IL-2、IL-7又はIL-21などのサイトカインをさらにコードしてもよいし、又はコードしなくてもよい。サイトカインは、TNF-α変異体及び改変受容体として別個のポリペプチドとしてベクターから発現され得る。
【0014】
本開示の実施形態は、配列番号15又は配列番号16を含む核酸配列を含む物質の組成物を含む。
【0015】
本発明の一実施形態に関して論じられる何らかの限定は、本発明の何らかの他の実施形態に適用され得ることが特に企図される。さらに、本発明の何れの組成物も、本発明の何れかの方法で使用され得、本発明の何れの方法も、本発明の何れかの組成物を作製又は利用するために使用され得る。実施例で記載される実施形態の態様はまた、要約、詳細な説明、特許請求の範囲及び図面の簡単な説明など、異なる実施例の他の場所又は本願の他箇所で論じられる実施形態の文脈で実施され得る実施形態でもある。
【0016】
続く発明を実施するための形態がより良好に理解され得るように、前述の説明で本開示の特性及び技術的な長所をかなり広く概説してきた。本明細書中の特許請求の範囲の主題を形成するさらなる特性及び利点を以下で説明する。当業者により当然認識されるはずであるが、開示される概念及び具体的な実施形態は、本設計の同じ目的を遂行するための他の構造を修飾又は設計するための基礎として、容易に利用され得る。当業者によりまた理解されるはずであるが、このような同等の構築は、添付される特許請求の範囲に記載のような精神及び範囲から逸脱しない。添付の図面と関連付けて考える場合、次の記載から、さらなる目的及び長所と一緒に、操作のその機構及び方法の両方に関して、本明細書中で開示される設計の特徴であると考えられる新規特性がより良好に理解されよう。しかし、例示及び記載の目的でのみ、図面のそれぞれが提供され、本開示の制限の定義として意図するものではないことが明らかに理解されるはずである。
【0017】
本開示のより完全な理解のために、ここで、添付の図面と組み合わせて解釈される次の記載を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、膜切断部位を除去するためにTNF-αを変異させる実験計画の一例である。Perez et al.(1990)は、TNF-αの細胞外部分の1位のバリン及び12位のプロリンの欠失の結果、生物学的に活性であるが切断不可能なTNF-αをもたらすことを報告した。左パネルの下線付きヌクレオチドは、ヌクレオチド配列の229~279位に対応する変異誘発中の欠失ヌクレオチドを示す。野生型プライマーTCGAGAAGATGATCTGACTGCCTGGGCCAGAGGは配列番号42であり、Del VAL1変異プライマーTCG AGA TGA TCT TGC CTG GGC CAG AGG-3は配列番号43であり、CP496オリゴヌクレオチドTGA TCT TGC CTGは配列番号44である。野生型プライマーTAC AAC ATG GGC TACAGGCTTGTCACTCGGGGTは配列番号45であり、Del PRO 12変異プライマーTAC AAC ATG GGC TAC CTT GTC ACT CGG GGTは配列番号46であり、CP498オリゴヌクレオチドGGC TAC CTT GTCは配列番号47である。Perez et al.(1990)配列CAGGCAGTCAGATCATCTTCTCGAACCCCGAGTGACAAGCCTGTAGCCは配列番号48であり、配列QAVRSSSRTPSDKPVAは配列番号49である。
【0019】
図2A図2Aは、TNF-α変異体(delVal1及びdelProl12)を別個にコードするベクターの一例及びCD19特異的キメラ抗原受容体(CAR)の一例を示す(左パネル)。右パネルは、変異TNF-αがCAR分子及びサイトカインの両方とは別個のポリペプチドとしてコードされているベクター構成の例を示す。
図2B図2Bは、TNF-α変異体(delVal13)を別個にコードするベクターの一例、CARの一例、及びサイトカインを示す。
図2C図2Cは、TNF-α変異体(delVal1及びdelVal13)を別個にコードするベクターの一例及びCARの一例を示す。
図2D図2Dは、TNF-α変異体(Val1~Val13に及ぶ13個のaaが欠失しているもの)を別個にコードするベクターの一例及びCARの一例を示す。
図2E図2Eは、TNF-α変異体(Ala-1~Val 13に及ぶ14個のaaが欠失したdelAla-1~delVal13)を別個にコードするベクターの一例及びCARの一例を示す。
【0020】
図3図3は、TNF-α変異体及びCARの両方を別個にコードするコンストラクトを有するベクターで形質導入されたNK細胞が、それらの表面上でCAR及びTNF-αの両方を発現することを示す。
【0021】
図4A図4Aは、TNF-α阻害剤の例を示す。
【0022】
図4B図4Bは、TNF-α変異体及びCARの両方を別個にコードするコンストラクトを有するベクターで形質導入されたNK細胞が、TNF-αアンタゴニストによって標的化され、補体依存性細胞傷害(CDC)によって排除されることを実証する。変異TNF-αを発現するNK細胞の70%超が、インフリキシマブによる処置の90分以内にCDCによって排除される。
【0023】
図5A図5Aは、TNF-α変異体及びCARの両方を別個にコードするコンストラクトを有するベクターで形質導入されたNK細胞が、Raji標的に応答してCAR19-NK細胞よりも多くのエフェクターサイトカインを産生し、より効率的に脱顆粒することを示す。
図5B図5Bは、TNF-α変異体及びCARコンストラクトの両方を別個にコードするコンストラクトを有するベクターで形質導入されたNK細胞がRaji標的を効率的に死滅させることを示す。
【0024】
図6図6は、CD19特異的CAR及びTNF-α変異体を別個に発現するベクターで形質導入されたNK細胞がオフターゲット活性を示さないことを実証する。
【0025】
図7図7は、CD19特異的CAR及びTNF-α変異体を別個に発現するベクターで形質導入されたNK細胞がオフターゲット活性を示さず、TNF-αを非特異的に分泌しないことを実証する。
【0026】
図8図8は、TNF-α抗体インフリキシマブ及びアダリムマブに対するTNF受容体1及び2に対するTNF-α受容体結合部位が異なることを示す。図中の配列は配列番号50である。
【0027】
図9図9は、注目されるドメインを有するTNF-αの構造を提供する。図中の配列は、出現順に、それぞれ配列番号17、54~59、51、18及び18~21である。
【0028】
図10図10は、TNF受容体1及びTNF受容体2への結合を妨害するさらなる変異の6つの例(このような変異配列には二重下線を付す)に加えて、細胞質ドメイン中のカゼインキナーゼI(CKI)コンセンサス配列における変異(下線を付す)をAla-3及びGln-2の欠失(示されていないAla-1の欠失~Val13の欠失までに加えて)と組み合わせるTNFα変異を示す。図中のヌクレオチド配列は配列番号52であり、図中のポリペプチド配列は配列番号53である。
【0029】
図11A図11Aは、TNF-α変異体-CAR19-IL15コンストラクトで形質導入されたNK細胞の抗腫瘍活性が、iC9-CAR19-IL15コンストラクトよりも優れていることを実証する。図11Aでは、Raji腫瘍を有するNSGマウスに、TNF-αmut-CAR19-IL15コンストラクト又はiC9-CAR19-IL15コンストラクトで形質導入された3x10e6個のCAR臍帯血NK細胞を与えた。
図11B図11Bは、TNF-α変異体-CAR19-IL15コンストラクトで形質導入されたNK細胞の抗腫瘍活性が、iC9-CAR19-IL15コンストラクトよりも優れていることを実証する。図11Bは経時的なパーセント生存を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、2018年11月19日出願の米国仮特許出願第62/769,414号明細書;2018年11月30日出願の米国仮特許出願第62/773,394号明細書;及び2019年1月11日出願の米国仮特許出願第62/791491号を参照により本明細書中に組み込む。
【0031】
本明細書中で使用される場合、「a」又は「an」という特定は1つ以上を意味し得る。特許請求の範囲において本明細書中で使用される場合、「含む」という語と組み合わせて使用するとき、「a」又は「an」という語は1つ又は複数を意味し得る。本明細書中で使用される場合、「別の」は少なくとも第2又はそれを超える意味であり得る。具体的な実施形態では、本開示の態様は、例えば本開示の1つ以上の配列「から本質的になり」得るか又はそれら「からなり」得る。本発明の一部の実施形態は、本開示の1つ以上の要素、方法段階及び/若しくは方法からなり得るか又はそれらから本質的になり得る。本明細書中に記載のあらゆる方法又は組成物が本明細書中に記載の何らかの他の方法又は組成物に関して実行され得ることが企図される。本願の範囲は、本明細書中に記載の工程、機構、製造、組成物、手段、方法及び段階の特定の実施形態に限定されるものではない。本明細書で使用される場合、「又は」及び「及び/又は」という用語は、互いに組み合わせて又は排他的に複数の構成要素を説明するために利用される。例えば、「x、y及び/又はz」は、「x」単独、「y」単独、「z」単独、「x、y及びz、」「(x及びy)若しくはz」、「x若しくは(y及びz)」又は「x若しくはy若しくはz」を指し得る。x、y又はzは、実施形態から具体的に除外され得ることが特に企図される。
【0032】
本願を通して、「約」という用語は、値が値を決定するために使用されている装置又は方法に対する誤差の標準偏差を含むことを示すために、細胞及び分子生物学の領域におけるその明白であり通常の意味に従って使用される。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「改変される」という用語は、細胞、核酸、ポリペプチド、ベクターなどを含む、人の手によって作製される実体を指す。少なくともいくつかの場合、改変実体は合成であり、天然には存在しないか、又は本開示で利用されるように構成されていない要素を含む。
【0034】
本明細書を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「ある特定の実施形態」、「追加の実施形態」若しくは「さらなる実施形態」又はそれらの組み合わせへの言及は、実施形態に関連して記載される特定の特性、構造又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体の様々な箇所における前述の語句の出現は、必ずしも全て、同じ実施形態に言及するわけではない。さらに、特定の特性、構造又は特徴は、1つ以上の実施形態において何らかの適切な形式で組み合わせられ得る。
【0035】
I.一般的な実施形態
【0036】
本開示の実施形態は、細胞療法の終了をもたらす方法及び組成物に関する。本開示は、26kdのTNF-αの切断不可能な変異体に基づいて、細胞療法のためのマーカー部分及び自殺/枯渇部分の両方を提供する。TNF-α変異体は切断不可能であり、膜に結合したままであり、分泌不可能である。切断不可能なTNF-α変異体を発現する細胞は、例えば、病院で現在、エタネルセプト、インフリキシマブ又はアダリルマブなどの、FDA承認済みTNF-α抗体を使用することを含む、選択的欠失を標的とし得る。変異TNF-αポリペプチドは、TCR又はCARをコードする遺伝子などの1つ以上の治療導入遺伝子と同時発現され得る。さらに、TNF-α変異体発現細胞は、膜結合TNF-αタンパク質の生物学的活性が介在する腫瘍標的に対して優れた活性を有する。
【0037】
II.TNF-α変異体
【0038】
本開示は、特定の細胞におけるその発現が、変異体に結合する薬剤により変異TNFが標的化されるようになることを可能にし、それにより、特定のTNF-α変異体を有する細胞に対して死滅を引き起こす、TNF-αの変異体を包含する。特定の実施形態では、変異TNF-αポリペプチドは、1つ以上の変異のために切断不可能かつ分泌不可能であり、そのような切断不可能かつ分泌不可能なポリペプチドは、変異TNF-αを膜結合型にする。細胞における膜結合TNF-αの会合は、膜結合TNF-αが、阻害剤を含む、それに直接又は間接的に結合する薬剤によって標的化される場合に、細胞を死滅させることを可能にする。TNF-α阻害剤が抗体である実施形態では、細胞は補体依存性細胞傷害によって死滅し得、TNF-α阻害剤が抗体ではない実施形態では、細胞はアポトーシスなどの別の機序によって死滅し得る。
【0039】
従って、変異体の特定の実施形態では、膜切断部位が除去され、それによって細胞上の表面発現が保持され、細胞が破壊に対する標的となることが可能になる。従って、本開示は、形質導入された細胞の選択的欠失のための自殺遺伝子としての変異体膜結合TNF-αを企図する。
【0040】
TNF-αは、26kDの膜貫通形態及び17kDの分泌成分を有する。本明細書中の図1(Perez et al.(1990)からの右パネル)は、本開示により包含されるいくつかの変異体を示す。特定の実施形態では、本開示のTNF-α変異体の例は、17kDのTNFに対して少なくとも以下を含む:(1)Val1の欠失及びProl12の欠失;(2)Val13の欠失;(3)Val1の欠失及びVal13の欠失;(4)Val1~Prol12までの欠失及びまたVal13の欠失(13個のaa欠失);(5)Ala-3~Val13までの欠失(16個のaa欠失);(6)Ala-1~Val13までの欠失(14個のaa欠失)。特定の実施形態では、TNF-α変異体は、-3、-2、-1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又はそれらの組み合わせの位置の個々のアミノ酸の欠失を含む。特定の組み合わせには、-3~13まで;-3~12まで;-3~11まで;-3~10まで;-3~9まで;-3~8まで;-3~7まで;-3~6まで;-3~5まで;-3~4まで;-3~3まで;-3~2まで;-3~1まで;-3~-1まで;-3~-2まで;-2~13まで;-2~12まで;-2~11まで;-2~10まで;-2~9まで;-2~8まで;-2~7まで;-2~6まで;-2~5まで;-2~4まで;-2~3まで;-2~2まで;-2~1まで;-2~-1まで;-1~13まで;-1~12まで;-1~11まで;-1~10まで;-1~9まで;-1~8まで;-1~7まで;-1~6まで;-1~5まで;-1~4まで;-1~3まで;-1~2まで;-1~1まで;1~13まで;1~12まで;1~11まで;1~10まで;1~9まで;1~8まで;1~7まで;1~6まで;1~5まで;1~4まで;1~3まで;1~2までなどの位置での欠失が含まれる。
【0041】
TNF-α変異体は、何らかの適切な方法によって作製され得るが、特定の実施形態では、これらは部位特異的変異誘発によって作製される。いくつかの場合、TNF-α変異体は、タンパク質を切断不能にする変異以外の変異を有し得る。特定の場合において、TNF-α変異体は、Val1、Pro12及び/若しくはVal13又はそれらの間の領域における欠失以外の1、2、3個又はそれを超える変異を有し得る。変異体を分泌不可能にするもの以外の変異は、アミノ酸置換、欠失、付加、逆位などのうち1つ以上であり得る。さらなる変異がアミノ酸置換である場合、置換は、例えば保存的アミノ酸に対するものであってもよいし又はそうでなくてもよい。いくつかの場合、1、2、3、4、5個又はそれを超えるさらなるアミノ酸が、タンパク質のN末端及び/又はC末端に存在し得る。いくつかの場合、TNF-α変異体は、(1)変異体を非分泌型にする1つ以上の変異;(2)変異体に対するアウトサイドインシグナル伝達を妨げる1つ以上の変異;並びに/又は(3)変異体のTNF受容体1及び/若しくはTNF受容体2への結合を妨害し、それらを不活性にする1つ以上の変異を有する。
【0042】
TNF-α変異体delVal1 delProl12アミノ酸配列
【0043】
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQARSSSRTPSDKVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号1)
【0044】
TNF-α変異体delVal1 delProl12核酸配列
【0045】
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcaagatcatcttctcgaaccccgagtgacaaggtagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号2)
【0046】
TNF-α変異体delVal1 delProl13アミノ酸配列(13アミノ酸欠損)
【0047】
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号3)
【0048】
TNF-α変異体delVal1 delProl13(13アミノ酸欠損)核酸配列
【0049】
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号4)
【0050】
TNF-αdelVal1 delProl13アミノ酸配列
【0051】
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQARSSSRTPSDKPAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号5)
【0052】
TNF-αdelVal1 delProl13核酸配列
【0053】
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcaagatcatcttctcgaaccccgagtgacaagcctgcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号6)
【0054】
TNF-αdelAla-3からVal13核酸配列
【0055】
TCGAGTCGAGATGAGCACTGAAAGCATGATCCGGGACGTGGAGCTGGCCGAGGAGGCGCTCCCCAAGAAGACAGGGGGGCCCCAGGGCTCCAGGCGGTGCTTGTTCCTCAGCCTCTTCTCCTTCCTGATCGTGGCAGGCGCCACCACGCTCTTCTGCCTGCTGCACTTTGGAGTGATCGGCCCCCAGAGGGAAGAGTTCCCCAGGGACCTCTCTCTAATCAGCCCTCTGCAGGCAGCCCATGTTGTAGCAAACCCTCAAGCTGAGGGGCAGCTCCAGTGGCTGAACCGCCGGGCCAATGCCCTCCTGGCCAATGGCGTGGAGCTGAGAGATAACCAGCTGGTGGTGCCATCAGAGGGCCTGTACCTCATCTACTCCCAGGTCCTCTTCAAGGGCCAAGGCTGCCCCTCCACCCATGTGCTCCTCACCCACACCATCAGCCGCATCGCCGTCTCCTACCAGACCAAGGTCAACCTCCTCTCTGCCATCAAGAGCCCCTGCCAGAGGGAGACCCCAGAGGGGGCTGAGGCCAAGCCCTGGTATGAGCCCATCTATCTGGGAGGGGTCTTCCAGCTGGAGAAGGGTGACCGACTCAGCGCTGAGATCAATCGGCCCGACTATCTCgACTTTGCCGAGTCTGGGCAGGTCTACTTTGGGATCATTGCCCTGTCGTCG(配列番号38)
【0056】
TNF-αdelAla-3およびdelVal1からVal13 アミノ酸配列(del-3およびdel1-13(ここで、-2および-1の欠損はない)):
【0057】
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号39)
【0058】
outside-in シグナリングを阻害するCIKモチーフ変異の一例とTNFαのTNF受容体1およびTNF受容体2への結合を干渉する変異に加えてTNF-α 変異体del Ala-3からVal13核酸配列(図10参照)
【0059】
ATGAGCACTGAAATGCATCCCGGAAGGGGGTCCTGGCACGAGGAGGCGCTCCCCAAGAAGACAGGGGGGCCCCAGGGCTCCAGGCGGTGCTTGTTCCTCAGCCTCTTCTCCTTCCTGATCGTGGCAGGCGCCACCACGCTCTTCTTCCTGCTGCACTTTGGAGTGATCGGCCCCCAGAGGGAAGAGTTCCCCAGGGACCTCTCTCTAATCAGCCCTCTGGCCCATGTTGTAGCAAACCCTCAAGCTGAGGGGCAGCTCCAGTGGCTGAACCGCCGGGCCAATGCCCTCCTGGCCAATGGCGTGGAGCTGAGAGATAACCAGCTGGTGGTGCCATCAGAGGGCCTGTACCTCATCTACTCCCAGGTCCTCTTCAAGGGCCAAGGCTGCCCCTCCACCCATGTGCTCCTCACCCACACCATCAGCCGCATCGCCGTCTCCCACCAGACCAAGGTCAACCTCCTCTTCGCCATCAAGAGCCCCTGCCAGAGGGAGACCCCAGAGGGGGCTGAGGCCAAGCCCTGGTATGAGCCCATCTATCTGGGAGGGGTCTTCCAGCTGGAGAAGGGTGACCGACTCATCGCTGAGATCAATCGGCCCGACTATCTCTACTTTGCCGAGTATGGGCAGGTCTACTTTGGGATCATTGCCCTGTCG (配列番号40)
【0060】
配列表の配列番号40でコードされるTNF-α変異体del Ala-3からVal13アミノ酸配列
【0061】
MSTEMHPGRGSWHEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFFLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSHQTKVNLLFAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLIAEINRPDYLYFAEYGQVYFGIIALS(配列番号41)
【0062】
特定の実施態様において、TNF-α変異体は、Ala-3からVal13の欠損を含みうるが、CIKモチーフ変異および受容体1および/またはTNF受容体2との結合を干渉する変異を含まない。
【0063】
参考のために、TNF野生型、26kD版アミノ酸配列
【0064】
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAVRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号7)
【0065】
参考のために、TNF野生型17kD版アミノ酸配列
【0066】
VRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号8)
【0067】
細胞内TNFシグナル伝達能力又はTNF-受容体結合能力を欠くTNF-α変異体
【0068】
これらの変異体は、細胞質シグナル伝達ドメインおよび/またはTNF受容体結合領域に変異を有し、したがって、それぞれ、逆シグナル伝達能力および/またはTNF受容体に結合する能力を欠くため、生物学的活性を発揮しない。これにより、コンストラクト内のTNF-αをTNF阻害剤の標的にすることができるが、生物学的活性は発揮されない。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態において、TNF-α変異体は、TNF-α変異体が細胞内シグナル伝達(逆シグナル伝達)を発揮できないように、TNF-αの細胞質内ドメインの一部または全部を欠いている。分泌不可能なTNF-α変異体は、細胞質内ドメインの一部または全部を欠くように変異している場合と変異していない場合がある。
【0070】
図9は、TNF-αのいくつかの構造を提供する。図9に示すように、細胞質内ドメインは、MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFL(配列番号17)を含む。カゼインキナーゼI(CKI)部位はSTES(配列番号18)である。膜貫通ドメインはFSFLIVAGATTLFCLLHFGVI(配列番号19)である。SPPL2b切断部位はSL/LIである。リンカーは、GPQREEFPRDLSLISPLAQA(配列番号20)を含む。TACEの切断部位はVRSSSRTPSDKPV(配列番号21)である。P01375は、タンパク質のUniProt番号を示す。図9の配列は、TNFタンパク質の一部のみを指す。
【0071】
それぞれ、CKIモチーフ(下線が引かれた変異配列)のTNF-α変異体の核酸およびアミノ酸の特定の例は以下の通りである:
【0072】
atgagcactgaaaTGCATCCCGGAAGGGGGTCCTGGCACgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgcg(配列番号22)
【0073】
MSTEMHPGRGSWHEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAVRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号23)
【0074】
細胞質内配列のM-71Kに変異があり、Y87Hに別の変異(変異配列に下線が引かれている)があるTNF-α変異体のそれぞれ核酸とアミノ酸の一例は次のとおりである。
【0075】
atgagcactgaaagcaAgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctccCaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号24)
【0076】
MSTESKIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSHQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号25)
【0077】
それぞれS95FおよびC-28F(下線が引かれた変異配列)に変異を有するTNF-α変異体の核酸およびアミノ酸についての一例は、以下の通りである。
【0078】
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctTcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctTCgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg (配列番号26)
【0079】
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFFLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLFAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号27)
【0080】
S133IおよびS147Y(下線が引かれた変異配列)に変異を有するTNF-α変異体の核酸およびアミノ酸についてそれぞれの一例は、以下の通りである:
【0081】
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcaTcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtAtgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号28)
【0082】
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLIAEINRPDYLDFAEYGQVYFGIIAL (配列番号29)
【0083】
Asp143Tyrに変異があり、1位にAlaが欠失しているTNF-α変異体(下線が引かれた変異配列および取り消し線で示される欠失配列)の核酸およびアミノ酸について、それぞれ、一例は次のとおりである。
【0084】
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcTactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg (配列番号30)
【0085】
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLYFAESGQVYFGIIAL (配列番号31)
【0086】
欠損した配列を欠く配列番号30および配列番号31の版は、それぞれ以下の通りである(変異した配列にはまだ下線が引かれている)
【0087】
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctgcaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcTactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号32)
【0088】
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLYFAESGQVYFGIIAL(配列番号33)
【0089】
CIKモチーフ変異と上記の変異の組み合わせを有するTNF-α変異体の一例は以下の通りであり、変異には下線が引かれている。
【0090】
ATGCTCGAGtcgagatgagcactgaaaTGCATCCCGGAAGGGGGTCCTGGCACgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctTcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctccCaccagaccaaggtcaacctcctctTCgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcaTcgctgagatcaatcggcccgactatctcTactttgccgagtAtgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号34)
【0091】
MSTEMHPGRGSWHEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFFLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSHQTKVNLLFAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLIAEINRPDYLYFAEYGQVYFGIIAL (配列番号35)
【0092】
治療遺伝子
【0093】
場合によっては、TNF-α変異体を発現する細胞は、1つまたは複数の治療遺伝子も発現し得る。複数の治療遺伝子が使用される場合、治療遺伝子は同じタイプの分子である場合とそうでない場合がある。例えば、TNF-α変異体に加えて、単一の細胞はまた、改変された受容体、サイトカイン、サイトカイン受容体、ホーミング受容体、ケモカイン受容体、またはそれらの組み合わせを発現し得る。ここに含まれるのは、治療用遺伝子核酸;ポリペプチドを含む治療用遺伝子産物;治療遺伝子核酸を含むベクター;およびそのいずれかを収容する細胞である。
【0094】
特定の実施形態では、変異体は、治療用導入遺伝子を含む少なくとも1つの治療用遺伝子と同時発現される。治療用導入遺伝子はあらゆる種類のものであり得るが、特定の実施形態では、これは改変受容体をコードする。改変受容体の例としては、少なくともT細胞受容体、キメラ抗原受容体(CAR)、ケモカイン受容体、サイトカイン受容体、ホーミング受容体又はそれらの組み合わせが挙げられる。何らかの改変受容体は、癌抗原(腫瘍抗原など)を含む抗原などの何らかの特定のリガンドを標的とし得る。癌抗原は、処置しようとする特定の癌に関連し、癌の特異的排除のために標的化されることが望ましいものを含む、あらゆる種類のものであり得る。
【0095】
治療用遺伝子産物が改変受容体である場合、受容体は、腫瘍抗原などの何らかの抗原を標的とし得る抗原結合ドメインを含む。抗原結合ドメインは、例えばscFvを含み得る。抗原性分子は、例えば、感染性病原体、自己(auto)/自己(self)抗原、腫瘍/癌関連抗原又は腫瘍ネオアンチゲンに由来し得る。標的とされ得る抗原の例としては、B細胞上で発現される抗原;癌腫、肉腫、リンパ腫、白血病、生殖細胞腫瘍及び芽細胞腫上で発現される抗原;様々な免疫細胞上で発現される抗原;並びに様々な血液疾患、自己免疫疾患及び/又は炎症性疾患に関連する細胞上で発現される抗原が挙げられるが限定されない。標的とするための特異的抗原の例としては、CD19、CD5、CD99、CD33、CLL1、CD123、4-1BB、5T4、腺癌抗原、α-フェトプロテイン、BAFF、Bリンパ腫細胞、C242抗原、CA-125、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、C-MET、CCR4、CD152、CD20、CD200、CD22、CD221、CD23(IgE受容体)、CD28、CD30(TNFRSF8)、CD33、CD4、CD40、CD44 v6、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CEA、CNTO888、CTLA-4、DRS、EGFR、EpCAM、CD3、FAP、フィブロネクエクストラドメイン-B、葉酸受容体1、GD2、GD3ガングリオシド、糖タンパク質75、GPNMB、HER2/neu、HGF、ヒト散乱因子受容体キナーゼ(human scatter factor 受容体 kinase)、IGF-1受容体、IGF-I、IgG1、L1-CAM、IL-13、IL-6、インスリン様成長因子I受容体、インテグリン-α5β1、インテグリンαvβ3、MORAb-009、MS4A1、MUC1、ムチンCanAg、N-グリコリルノイラミン酸、NPC-1C、PDGF-Rα、PDL192、ホスファチジルセリン、前立腺癌細胞、RANKL、RON、ROR1、SCH 900105、SDC1、SLAMF7、TAG-72、テネイシンC、TGF β2、TGF-β、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、VEGF-A、VEGFR-1、VEGFR2、ビメンチン及びそれらの組み合わせが挙げられる。本開示の方法及び組成物で利用され得るあらゆる抗原受容体は、上記の抗原の何れか1つ、又は1つ以上の他のものを標的とし得、このような抗原受容体はCAR又はTCRであり得る。治療用の同じ細胞は、特定の実施形態では、CARとTCRの両方を利用し得る。
【0096】
治療用遺伝子がCARをコードする場合、CARは、例えば、第1世代、第2世代又は第3世代若しくはそれ以降の世代であり得る。CARは、2つ以上の異なる抗原に対して二重特異性であってもよいし又はそうでなくてもよい。CARは、1つ以上の同時刺激ドメインを含み得る。各同時刺激ドメインは、例えば、TNFRスーパーファミリーのメンバー、CD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)、Dap10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40又はそれらの組み合わせの何れか1つ以上の同時刺激ドメインを含み得る。特定の実施形態では、CARはCD3ζを含む。ある特定の実施形態では、CARは、1つ以上の特異的同時刺激ドメインを欠き;例えば、CARは4-1BBを欠き得る。
【0097】
特定の実施形態では、CARは同時刺激ドメインとして少なくともDAP12を含み、特定の態様では、CARポリペプチドは特定のDAP12アミノ酸配列を含むか、又は特定のDAP12核酸配列によってコードされる。例は以下の通りである。
【0098】
DAP12アミノ酸配列
【0099】
MGGLEPCSRLLLLPLLLAVSGLRPVQAQAQSDCSCSTVSPGVLAGIVMGDLVLTVLIALAVYFLGRLVPRGRGAAEAATRKQRITETESPYQELQGQRSDVYSDLNTQRPYYK (配列番号9)
【0100】
DAP12核酸配列
【0101】
ATGGGGGGACTTGAACCCTGCAGCAGGCTCCTGCTCCTGCCTCTCCTGCTGGCTGTAAGTGGTCTCCGTCCTGTCCAGGCCCAGGCCCAGAGCGATTGCAGTTGCTCTACGGTGAGCCCGGGCGTGCTGGCAGGGATCGTGATGGGAGACCTGGTGCTGACAGTGCTCATTGCCCTGGCCGTGTACTTCCTGGGCCGGCTGGTCCCTCGGGGGCGAGGGGCTGCGGAGGCAGCGACCCGGAAACAGCGTATCACTGAGACCGAGTCGCCTTATCAGGAGCTCCAGGGTCAGAGGTCGGATGTCTACAGCGACCTCAACACACAGAGGCCGTATTACAAATGA (配列番号10)
【0102】
特定の実施形態では、CARは、共刺激ドメインとして少なくともCD28を含み、特定の態様では、CARポリペプチドは、特定のCD28アミノ酸配列を含むか、または特定のCD28コード配列によってコードされる。それらの例は次のとおりである。
【0103】
CD28 アミノ酸配列
【0104】
KFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRG (配列番号11)
【0105】
CD28核酸配列
【0106】
ATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCG (配列番号12)
【0107】
特定の実施形態では、CARポリペプチドは、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとを連結する細胞外スペーサードメインを含む。細胞外スペーサードメインには、抗体のFcフラグメントまたはそのフラグメントまたは誘導体、抗体のヒンジ領域またはそのフラグメントまたは誘導体、抗体のCH2領域、抗体のCH3領域、人工スペーサー配列またはそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。細胞外スペーサードメインの例には、CD8-αヒンジ、Gly3などのポリペプチドで作られた人工スペーサー、またはIgGのCH1、CH3ドメイン(ヒトIgG1またはIgG4など)が含まれるが、これらに限定されない。特定の場合において、細胞外スペーサードメインは、(i)IgG4のヒンジ、CH2およびCH3領域、(ii)IgG4のヒンジ領域、(iii)IgG4のヒンジおよびCH2、(iv)CD8-αのヒンジ領域、(v)IgG1のヒンジ、CH2およびCH3領域、(vi)IgG1のヒンジ領域、または(vi)IgG1のヒンジおよびCH2、またはそれらの組み合わせを含みうる。
【0108】
特定の実施形態では、ヒンジはIgG1に由来し、特定の態様では、CARポリペプチドは、特定のIgG1ヒンジアミノ酸配列を含むか、または特定のIgG1ヒンジ核酸配列によってコードされる。例は次のとおりである。
【0109】
IgG1 ヒンジアミノ酸配列
【0110】
SYVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPK (配列番号13)
【0111】
IgG1 ヒンジ核酸配列
【0112】
GTACGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATC (配列番号14)
【0113】
IV. ベクター
【0114】
TNF-α変異体は、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターを含む任意の適切なベクターによってレシピエント細胞に送達され得る。ウイルスベクターの例には、少なくともレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、またはアデノ随伴ウイルスベクターが含まれる。非ウイルスベクターの例には、少なくともプラスミド、トランスポゾン、脂質、ナノ粒子などが含まれる。
【0115】
細胞がTNF-α変異体をコードするベクターで形質導入され、治療遺伝子産物などの別の遺伝子の細胞への形質導入も必要とする場合、TNF-α変異遺伝子および治療遺伝子は、同じベクターに含まれる場合と含まれない場合がある。場合によっては、TNF-α変異遺伝子と治療遺伝子は、同じウイルスベクター分子などの同じベクター分子から発現される。このような場合、TNF-α変異遺伝子と治療遺伝子の発現は、同じ調節要素によって調節される場合とされない場合がある。TNF-α変異遺伝子と治療遺伝子が同じベクター上にある場合、それらは別々のポリペプチドとして発現される場合とされない場合がある。それらが別個のポリペプチドとして発現される場合、それらは、例えば、2AエレメントまたはIRESエレメントによってベクター上で分離され得る。いくつかの実施形態では、TNF-α変異体および治療用遺伝子産物は、融合タンパク質として産生される。
【0116】
特定の実施形態では、TNF-α変異遺伝子は、マルチシストロン性ベクターから発現される。マルチシストロン性ベクターは、TNF-α変異遺伝子に加えて、少なくとも1つの治療遺伝子をコードし得る。特定の実施形態において、マルチシストロン性ベクターは、TNF-α変異体、およびT細胞受容体および/またはCARなどの少なくとも1つの改変された受容体をコードする。場合によっては、マルチシストロン性ベクターは、少なくとも1つのTNF-α変異体、少なくとも1つの操作された受容体、および少なくとも1つのサイトカインをコードする。サイトカインは、ヒトまたはマウスまたは任意の種などの特定のタイプのサイトカインであり得る。特定の場合、サイトカインはインターロイキン(IL)15、IL12、IL2、IL18、および/またはIL21である。
【0117】
TNF-α変異体delVal1delPro12をコードし、IgG1ヒンジ、CD28、およびCD3zetaを備えたCD19特異的CARを個別にコードし、IL15を個別にコードするベクターの核酸配列の一例は次のとおりである。
【0118】
AATGAAAGACCCCACCTGTAGGTTTGGCAAGCTAGCTTAAGTAACGCCATTTTGCAAGGCATGGAAAAATACATAACTGAGAATAGAAAAGTTCAGATCAAGGTCAGGAACAGATGGAACAGCTGAATATGGGCCAAACAGGATATCTGTGGTAAGCAGTTCCTGCCCCGGCTCAGGGCCAAGAACAGATGGAACAGCTGAATATGGGCCAAACAGGATATCTGTGGTAAGCAGTTCCTGCCCCGGCTCAGGGCCAAGAACAGATGGTCCCCAGATGCGGTCCAGCCCTCAGCAGTTTCTAGAGAACCATCAGATGTTTCCAGGGTGCCCCAAGGACCTGAAATGACCCTGTGCCTTATTTGAACTAACCAATCAGTTCGCTTCTCGCTTCTGTTCGCGCGCTTATGCTCCCCGAGCTCAATAAAAGAGCCCACAACCCCTCACTCGGGGCGCCAGTCCTCCGATTGACTGAGTCGCCCGGGTACCCGTGTATCCAATAAACCCTCTTGCAGTTGCATCCGACTTGTGGTCTCGCTGTTCCTTGGGAGGGTCTCCTCTGAGTGATTGACTACCCGTCAGCGGGGGTCTTTCATTTGGGGGCTCGTCCGGGATCGGGAGACCCCTGCCCAGGGACCACCGACCCACCACCGGGAGGTAAGCTGGCCAGCAACTTATCTGTGTCTGTCCGATTGTCTAGTGTCTATGACTGATTTTATGCGCCTGCGTCGGTACTAGTTAGCTAACTAGCTCTGTATCTGGCGGACCCGTGGTGGAACTGACGAGTTCGGAACACCCGGCCGCAACCCTGGGAGACGTCCCAGGGACTTCGGGGGCCGTTTTTGTGGCCCGACCTGAGTCCTAAAATCCCGATCGTTTAGGACTCTTTGGTGCACCCCCCTTAGAGGAGGGATATGTGGTTCTGGTAGGAGACGAGAACCTAAAACAGTTCCCGCCTCCGTCTGAATTTTTGCTTTCGGTTTGGGACCGAAGCCGCGCCGCGCGTCTTGTCTGCTGCAGCATCGTTCTGTGTTGTCTCTGTCTGACTGTGTTTCTGTATTTGTCTGAAAATATGGGCCCGGGCTAGCCTGTTACCACTCCCTTAAGTTTGACCTTAGGTCACTGGAAAGATGTCGAGCGGATCGCTCACAACCAGTCGGTAGATGTCAAGAAGAGACGTTGGGTTACCTTCTGCTCTGCAGAATGGCCAACCTTTAACGTCGGATGGCCGCGAGACGGCACCTTTAACCGAGACCTCATCACCCAGGTTAAGATCAAGGTCTTTTCACCTGGCCCGCATGGACACCCAGACCAGGTGGGGTACATCGTGACCTGGGAAGCCTTGGCTTTTGACCCCCCTCCCTGGGTCAAGCCCTTTGTACACCCTAAGCCTCCGCCTCCTCTTCCTCCATCCGCCCCGTCTCTCCCCCTTGAACCTCCTCGTTCGACCCCGCCTCGATCCTCCCTTTATCCAGCCCTCACTCCTTCTCTAGGCGCCCCCATATGGCCATATGAGATCTTATATGGGGCACCCCCGCCCCTTGTAAACTTCCCTGACCCTGACATGACAAGAGTTACTAACAGCCCCTCTCTCCAAGCTCACTTACAGGCTCTCTACTTAGTCCAGCACGAAGTCTGGAGACCTCTGGCGGCAGCCTACCAAGAACAACTGGACCGACCGGTGGTACCTCACCCTTACCGAGTCGGCGACACAGTGTGGGTCCGCCGACACCAGACTAAGAACCTAGAACCTCGCTGGAAAGGACCTTACACAGTCCTGCTGACCACCCCCACCGCCCTCAAAGTAGACGGCATCGCAGCTTGGATACACGCCGCCCACGTGAAGGCTGCCGACCCCGGGGGTGGACCATCCTCTAGACTGCCATGCTCGAGATGAGCACTGAAAGCATGATCCGGGACGTGGAGCTGGCCGAGGAGGCGCTCCCCAAGAAGACAGGGGGGCCCCAGGGCTCCAGGCGGTGCTTGTTCCTCAGCCTCTTCTCCTTCCTGATCGTGGCAGGCGCCACCACGCTCTTCTGCCTGCTGCACTTTGGAGTGATCGGCCCCCAGAGGGAAGAGTTCCCCAGGGACCTCTCTCTAATCAGCCCTCTGGCCCAGGCAAGATCATCTTCTCGAACCCCGAGTGACAAGGTAGCCCATGTTGTAGCAAACCCTCAAGCTGAGGGGCAGCTCCAGTGGCTGAACCGCCGGGCCAATGCCCTCCTGGCCAATGGCGTGGAGCTGAGAGATAACCAGCTGGTGGTGCCATCAGAGGGCCTGTACCTCATCTACTCCCAGGTCCTCTTCAAGGGCCAAGGCTGCCCCTCCACCCATGTGCTCCTCACCCACACCATCAGCCGCATCGCCGTCTCCTACCAGACCAAGGTCAACCTCCTCTCTGCCATCAAGAGCCCCTGCCAGAGGGAGACCCCAGAGGGGGCTGAGGCCAAGCCCTGGTATGAGCCCATCTATCTGGGAGGGGTCTTCCAGCTGGAGAAGGGTGACCGACTCAGCGCTGAGATCAATCGGCCCGACTATCTCGACTTTGCCGAGTCTGGGCAGGTCTACTTTGGGATCATTGCCCTGTCGCGAGCCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGGCCCATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAGACATCCAGATGACACAGACTACATCCTCCCTGTCTGCCTCTCTGGGAGACAGAGTCACCATCAGTTGCAGGGCAAGTCAGGACATTAGTAAATATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGATGGAACTGTTAAACTCCTGATCTACCATACATCAAGATTACACTCAGGAGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGAACAGATTATTCTCTCACCATTAGCAACCTGGAGCAAGAAGATATTGCCACTTACTTTTGCCAACAGGGTAATACGCTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGTGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCGAGGTGCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGGCCTGGTGGCGCCCTCACAGAGCCTGTCCGTCACATGCACTGTCTCAGGGGTCTCATTACCCGACTATGGTGTAAGCTGGATTCGCCAGCCTCCACGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTAATATGGGGTAGTGAAACCACATACTATAATTCAGCTCTCAAATCCAGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTAAAAATGAACAGTCTGCAAACTGATGACACAGCCATTTACTACTGTGCCAAACATTATTACTACGGTGGTAGCTATGCTATGGACTACTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACTGTCTCCTCGTACGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCA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(配列番号15)
【0119】
TNF-α変異体delVal1 del Pro12をコードし、IgG1ヒンジ、CD28、およびCD3zetaを備えたCD19特異的CARを個別にコードし、IL15を個別にコードするベクターのアミノ酸配列の一例は次のとおりである。
【0120】
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQARSSSRTPSDKVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIALSRAEGRGSLLTCGDVEENPGPMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLELKRGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLQQSGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTTVTVSSYVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列番号36)
【0121】
TNF-α変異体delVal1 del Pro12をコードし、IgG1ヒンジ、DAP12、およびCD3zetaを備えたCD19特異的CARを個別にコードし、IL15を個別にコードするベクターの核酸配列の一例は次のとおりである。
【0122】
AATGAAAGACCCCACCTGTAGGTTTGGCAAGCTAGCTTAAGTAACGCCATTTTGCAAGGCATGGAAAAATACATAACTGAGAATAGAAAAGTTCAGATCAAGGTCAGGAACAGATGGAACAGCTGAATATGGGCCAAACAGGATATCTGTGGTAAGCAGTTCCTGCCCCGGCTCAGGGCCAAGAACAGATGGAACAGCTGAATATGGGCCAAACAGGATATCTGTGGTAAGCAGTTCCTGCCCCGGCTCAGGGCCAAGAACAGATGGTCCCCAGATGCGGTCCAGCCCTCAGCAGTTTCTAGAGAACCATCAGATGTTTCCAGGGTGCCCCAAGGACCTGAAATGACCCTGTGCCTTATTTGAACTAACCAATCAGTTCGCTTCTCGCTTCTGTTCGCGCGCTTATGCTCCCCGAGCTCAATAAAAGAGCCCACAACCCCTCACTCGGGGCGCCAGTCCTCCGATTGACTGAGTCGCCCGGGTACCCGTGTATCCAATAAACCCTCTTGCAGTTGCATCCGACTTGTGGTCTCGCTGTTCCTTGGGAGGGTCTCCTCTGAGTGATTGACTACCCGTCAGCGGGGGTCTTTCATTTGGGGGCTCGTCCGGGATCGGGAGACCCCTGCCCAGGGACCACCGACCCACCACCGGGAGGTAAGCTGGCCAGCAACTTATCTGTGTCTGTCCGATTGTCTAGTGTCTATGACTGATTTTATGCGCCTGCGTCGGTACTAGTTAGCTAACTAGCTCTGTATCTGGCGGACCCGTGGTGGAACTGACGAGTTCGGAACACCCGGCCGCAACCCTGGGAGACGTCCCAGGGACTTCGGGGGCCGTTTTTGTGGCCCGACCTGAGTCCTAAAATCCCGATCGTTTAGGACTCTTTGGTGCACCCCCCTTAGAGGAGGGATATGTGGTTCTGGTAGGAGACGAGAACCTAAAACAGTTCCCGCCTCCGTCTGAATTTTTGCTTTCGGTTTGGGACCGAAGCCGCGCCGCGCGTCTTGTCTGCTGCAGCATCGTTCTGTGTTGTCTCTGTCTGACTGTGTTTCTGTATTTGTCTGAAAATATGGGCCCGGGCTAGCCTGTTACCACTCCCTTAAGTTTGACCTTAGGTCACTGGAAAGATGTCGAGCGGATCGCTCACAACCAGTCGGTAGATGTCAAGAAGAGACGTTGGGTTACCTTCTGCTCTGCAGAATGGCCAACCTTTAACGTCGGATGGCCGCGAGACGGCACCTTTAACCGAGACCTCATCACCCAGGTTAAGATCAAGGTCTTTTCACCTGGCCCGCATGGACACCCAGACCAGGTGGGGTACATCGTGACCTGGGAAGCCTTGGCTTTTGACCCCCCTCCCTGGGTCAAGCCCTTTGTACACCCTAAGCCTCCGCCTCCTCTTCCTCCATCCGCCCCGTCTCTCCCCCTTGAACCTCCTCGTTCGACCCCGCCTCGATCCTCCCTTTATCCAGCCCTCACTCCTTCTCTAGGCGCCCCCATATGGCCATATGAGATCTTATATGGGGCACCCCCGCCCCTTGTAAACTTCCCTGACCCTGACATGACAAGAGTTACTAACAGCCCCTCTCTCCAAGCTCACTTACAGGCTCTCTACTTAGTCCAGCACGAAGTCTGGAGACCTCTGGCGGCAGCCTACCAAGAACAACTGGACCGACCGGTGGTACCTCACCCTTACCGAGTCGGCGACACAGTGTGGGTCCGCCGACACCAGACTAAGAACCTAGAACCTCGCTGGAAAGGACCTTACACAGTCCTGCTGACCACCCCCACCGCCCTCAAAGTAGACGGCATCGCAGCTTGGATACACGCCGCCCACGTGAAGGCTGCCGACCCCGGGGGTGGACCATCCTCTAGACTGCCATGCTCGAGATGAGCACTGAAAGCATGATCCGGGACGTGGAGCTGGCCGAGGAGGCGCTCCCCAAGAAGACAGGGGGGCCCCAGGGCTCCAGGCGGTGCTTGTTCCTCAGCCTCTTCTCCTTCCTGATCGTGGCAGGCGCCACCACGCTCTTCTGCCTGCTGCACTTTGGAGTGATCGGCCCCCAGAGGGAAGAGTTCCCCAGGGACCTCTCTCTAATCAGCCCTCTGGCCCAGGCAAGATCATCTTCTCGAACCCCGAGTGACAAGGTAGCCCATGTTGTAGCAAACCCTCAAGCTGAGGGGCAGCTCCAGTGGCTGAACCGCCGGGCCAATGCCCTCCTGGCCAATGGCGTGGAGCTGAGAGATAACCAGCTGGTGGTGCCATCAGAGGGCCTGTACCTCATCTACTCCCAGGTCCTCTTCAAGGGCCAAGGCTGCCCCTCCACCCATGTGCTCCTCACCCACACCATCAGCCGCATCGCCGTCTCCTACCAGACCAAGGTCAACCTCCTCTCTGCCATCAAGAGCCCCTGCCAGAGGGAGACCCCAGAGGGGGCTGAGGCCAAGCCCTGGTATGAGCCCATCTATCTGGGAGGGGTCTTCCAGCTGGAGAAGGGTGACCGACTCAGCGCTGAGATCAATCGGCCCGACTATCTCGACTTTGCCGAGTCTGGGCAGGTCTACTTTGGGATCATTGCCCTGTCGCGAGCCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGGCCCATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAGACATCCAGATGACACAGACTACATCCTCCCTGTCTGCCTCTCTGGGAGACAGAGTCACCATCAGTTGCAGGGCAAGTCAGGACATTAGTAAATATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGATGGAACTGTTAAACTCCTGATCTACCATACATCAAGATTACACTCAGGAGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGAACAGATTATTCTCTCACCATTAGCAACCTGGAGCAAGAAGATATTGCCACTTACTTTTGCCAACAGGGTAATACGCTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGTGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCGAGGTGCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGGCCTGGTGGCGCCCTCACAGAGCCTGTCCGTCACATGCACTGTCTCAGGGGTCTCATTACCCGACTATGGTGTAAGCTGGATTCGCCAGCCTCCACGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTAATATGGGGTAGTGAAACCACATACTATAATTCAGCTCTCAAATCCAGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTAAAAATGAACAGTCTGCAAACTGATGACACAGCCATTTACTACTGTGCCAAACATTATTACTACGGTGGTAGCTATGCTATGGACTACTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACTGTCTCCTCGTACGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGGCGTGCTGGCCGGAATCGTGATGGGCGACCTGGTGCTGACAGTGCTGATCGCCCTGGCTGTGTACTTCCTGGGCAGACTGGTGCCCAGAGGAAGAGGCGCTGCCGAAGCCGCCACCCGGAAGCAGAGAATCACCGAGACAGAGAGCCCCTATCAGGAACTGCAGGGCCAGCGGAGCGACGTGTACAGCGACCTGAATACCCAGCGGCCCTACTACAAACGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGACAATTGCGCGTCATCATCGATCCGGATTAGTCCAATTTGTTAAAGACAGGATATCAGTGGTCCAGGCTCTAGTTTTGACTCAACAATATCACCAGCTGAAGCCTATAGAGTACGAGCCATAGATAAAATAAAAGATTTTATTTAGTCTCCAGAAAAAGGGGGGAATGAAAGACCCCACCTGTAGGTTTGGCAAGCTAGCTTAAGTAACGCCATTTTGCAAGGCATGGAAAAATACATAACTGAGAATAGAGAAGTTCAGATCAAGGTCAGGAACAGATGGAACAGCTGAATATGGGCCAAACAGGATATCTGTGGTAAGCAGTTCCTGCCCCGGCTCAGGGCCAAGAACAGATGGAACAGCTGAATATGGGCCAAACAGGATATCTGTGGTAAGCAGTTCCTGCCCCGGCTCAGGGCCAAGAACAGATGGTCCCCAGATGCGGTCCAGCCCTCAGCAGTTTCTAGAGAACCATCAGATGTTTCCAGGGTGCCCCAAGGACCTGAAATGACCCTGTGCCTTATTTGAACTAACCAATCAGTTCGCTTCTCGCTTCTGTTCGCGCGCTTCTGCTCCCCGAGCTCAATAAAAGAGCCCACAACCCCTCACTCGGGGCGCCAGTCCTCCGATTGACTGAGTCGCCCGGGTACCCGTGTATCCAATAAACCCTCTTGCAGTTGCATCCGACTTGTGGTCTCGCTGTTCCTTGGGAGGGTCTCCTCTGAGTGATTGACTACCCGTCAGCGGGGGTCTTTCACACATGCAGCATGTATCAAAATTAATTTGGTTTTTTTTCTTAAGTATTTACATTAAATGGCCATAGTACTTAAAGTTACATTGGCTTCCTTGAAATAAACATGGAGTATTCAGAATGTGTCATAAATATTTCTAATTTTAAGATAGTATCTCCATTGGCTTTCTACTTTTTCTTTTATTTTTTTTTGTCCTCTGTCTTCCATTTGTTGTTGTTGTTGTTTGTTTGTTTGTTTGTTGGTTGGTTGGTTAATTTTTTTTTAAAGATCCTACACTATAGTTCAAGCTAGACTATTAGCTACTCTGTAACCCAGGGTGACCTTGAAGTCATGGGTAGCCTGCTGTTTTAGCCTTCCCACATCTAAGATTACAGGTATGAGCTATCATTTTTGGTATATTGATTGATTGATTGATTGATGTGTGTGTGTGTGATTGTGTTTGTGTGTGTGACTGTGAAAATGTGTGTATGGGTGTGTGTGAATGTGTGTATGTATGTGTGTGTGTGAGTGTGTGTGTGTGTGTGTGCATGTGTGTGTGTGTGACTGTGTCTATGTGTATGACTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTTGTGAAAAAATATTCTATGGTAGTGAGAGCCAACGCTCCGGCTCAGGTGTCAGGTTGGTTTTTGAGACAGAGTCTTTCACTTAGCTTGGAATTCACTGGCCGTCGTTTTACAACGTCGTGACTGGGAAAACCCTGGCGTTACCCAACTTAATCGCCTTGCAGCACATCCCCCTTTCGCCAGCTGGCGTAATAGCGAAGAGGCCCGCACCGATCGCCCTTCCCAACAGTTGCGCAGCCTGAATGGCGAATGGCGCCTGATGCGGTATTTTCTCCTTACGCATCTGTGCGGTATTTCACACCGCATATGGTGCACTCTCAGTACAATCTGCTCTGATGCCGCATAGTTAAGCCAGCCCCGACACCCGCCAACACCCGCTGACGCGCCCTGACGGGCTTGTCTGCTCCCGGCATCCGCTTACAGACAAGCTGTGACCGTCTCCGGGAGCTGCATGTGTCAGAGGTTTTCACCGTCATCACCGAAACGCGCGAGACGAAAGGGCCTCGTGATACGCCTATTTTTATAGGTTAATGTCATGATAATAATGGTTTCTTAGACGTCAGGTGGCACTTTTCGGGGAAATGTGCGCGGAACCCCTATTTGTTTATTTTTCTAAATACATTCAAATATGTATCCGCTCATGAGACAATAACCCTGATAAATGCTTCAATAATATTGAAAAAGGAAGAGTATGAGTATTCAACATTTCCGTGTCGCCCTTATTCCCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGGTGAAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCGGTAAGATCCTTGAGAGTTTTCGCCCCGAAGAACGTTTTCCAATGATGAGCACTTTTAAAGTTCTGCTATGTGGCGCGGTATTATCCCGTATTGACGCCGGGCAAGAGCAACTCGGTCGCCGCATACACTATTCTCAGAATGACTTGGTTGAGTACTCACCAGTCACAGAAAAGCATCTTACGGATGGCATGACAGTAAGAGAATTATGCAGTGCTGCCATAACCATGAGTGATAACACTGCGGCCAACTTACTTCTGACAACGATCGGAGGACCGAAGGAGCTAACCGCTTTTTTGCACAACATGGGGGATCATGTAACTCGCCTTGATCGTTGGGAACCGGAGCTGAATGAAGCCATACCAAACGACGAGCGTGACACCACGATGCCTGTAGCAATGGCAACAACGTTGCGCAAACTATTAACTGGCGAACTACTTACTCTAGCTTCCCGGCAACAATTAATAGACTGGATGGAGGCGGATAAAGTTGCAGGACCACTTCTGCGCTCGGCCCTTCCGGCTGGCTGGTTTATTGCTGATAAATCTGGAGCCGGTGAGCGTGGGTCTCGCGGTATCATTGCAGCACTGGGGCCAGATGGTAAGCCCTCCCGTATCGTAGTTATCTACACGACGGGGAGTCAGGCAACTATGGATGAACGAAATAGACAGATCGCTGAGATAGGTGCCTCACTGATTAAGCATTGGTAACTGTCAGACCAAGTTTACTCATATATACTTTAGATTGATTTAAAACTTCATTTTTAATTTAAAAGGATCTAGGTGAAGATCCTTTTTGATAATCTCATGACCAAAATCCCTTAACGTGAGTTTTCGTTCCACTGAGCGTCAGACCCCGTAGAAAAGATCAAAGGATCTTCTTGAGATCCTTTTTTTCTGCGCGTAATCTGCTGCTTGCAAACAAAAAAACCACCGCTACCAGCGGTGGTTTGTTTGCCGGATCAAGAGCTACCAACTCTTTTTCCGAAGGTAACTGGCTTCAGCAGAGCGCAGATACCAAATACTGTTCTTCTAGTGTAGCCGTAGTTAGGCCACCACTTCAAGAACTCTGTAGCACCGCCTACATACCTCGCTCTGCTAATCCTGTTACCAGTGGCTGCTGCCAGTGGCGATAAGTCGTGTCTTACCGGGTTGGACTCAAGACGATAGTTACCGGATAAGGCGCAGCGGTCGGGCTGAACGGGGGGTTCGTGCACACAGCCCAGCTTGGAGCGAACGACCTACACCGAACTGAGATACCTACAGCGTGAGCTATGAGAAAGCGCCACGCTTCCCGAAGGGAGAAAGGCGGACAGGTATCCGGTAAGCGGCAGGGTCGGAACAGGAGAGCGCACGAGGGAGCTTCCAGGGGGAAACGCCTGGTATCTTTATAGTCCTGTCGGGTTTCGCCACCTCTGACTTGAGCGTCGATTTTTGTGATGCTCGTCAGGGGGGCGGAGCCTATGGAAAAACGCCAGCAACGCGGCCTTTTTACGGTTCCTGGCCTTTTGCTGGCCTTTTGCTCACATGTTCTTTCCTGCGTTATCCCCTGATTCTGTGGATAACCGTATTACCGCCTTTGAGTGAGCTGATACCGCTCGCCGCAGCCGAACGACCGAGCGCAGCGAGTCAGTGAGCGAGGAAGCGGAAGAGCGCCCAATACGCAAACCGCCTCTCCCCGCGCGTTGGCCGATTCATTAATGCAGCTGGCACGACAGGTTTCCCGACTGGAAAGCGGGCAGTGAGCGCAACGCAATTAATGTGAGTTAGCTCACTCATTAGGCACCCCAGGCTTTACACTTTATGCTTCCGGCTCGTATGTTGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGCTATGACCATGATTACGCCAAGCTTTGCTCTTAGGAGTTTCCTAATACATCCCAAACTCAAATATATAAAGCATTTGACTTGTTCTATGCCCTAGGGGGCGGGGGGAAGCTAAGCCAGCTTTTTTTAACATTTAAAATGTTAATTCCATTTTAAATGCACAGATGTTTTTATTTCATAAGGGTTTCAATGTGCATGAATGCTGCAATATTCCTGTTACCAAAGCTAGTATAAATAAAAATAGATAAACGTGGAAATTACTTAGAGTTTCTGTCATTAACGTTTCCTTCCTCAGTTGACAACATAAATGCGCTGCTGAGCAAGCCAGTTTGCATCTGTCAGGATCAATTTCCCATTATGCCAGTCATATTAATTACTAGTCAATTAGTTGATTTTTATTTTTGACATATACATGTG (配列番号16).
【0123】
TNF-α変異体delVal1 del Pro12をコードし、IgG1ヒンジ、DAP12、およびCD3zetaを備えたCD19特異的CARを個別にコードし、IL15を個別にコードするベクターのアミノ酸配列の一例は次のとおりである。
【0124】
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQARSSSRTPSDKVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIALSRAEGRGSLLTCGDVEENPGPMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLELKRGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLQQSGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTTVTVSSYVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWGVLAGIVMGDLVLTVLIALAVYFLGRLVPRGRGAAEAATRKQRITETESPYQELQGQRSDVYSDLNTQRPYYKRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列番号:37)
【0125】
V.細胞
【0126】
本開示の実施形態は、本明細書中に包含される1つ以上のTNF-α突然変異体を発現する細胞を包含する。細胞は、特定の実施形態では、1つ以上の改変非分泌型膜結合TNF-α突然変異ポリペプチドをコードする組み換え核酸を含む。特定の実施形態では、1つ以上のTNF-α突然変異ポリペプチドを発現させることに加えて、細胞はまた、1つ以上の治療用遺伝子産物をコードする核酸も含む。核酸は、あらゆる種類のベクターであり得る。1つ以上のTNF-α突然変異ポリペプチドをコードする核酸は、1つ以上の治療用遺伝子産物をコードする同じ核酸分子であってもよいし又はそうでなくてもよい。
【0127】
本開示の細胞は、少なくともT細胞、NK細胞、NKT細胞、iNKT細胞、マクロファージ、B細胞、MSC又は少なくとも造血幹細胞、多能性胚性幹細胞若しくは胚性幹細胞を含むあらゆる種類の幹細胞を含む、あらゆる種類のものであり得る。
【0128】
細胞は、個体から直接得られ得るか、又は保管場所若しくは他の貯蔵施設から得られ得る。治療としての細胞は、治療として細胞が提供される個体に関して自己又は同種であり得る。
【0129】
細胞は、医学的状態のための治療を必要とする個体に由来し得、(例えば、養子細胞療法のための形質導入及び増殖のための標準的技術を使用した)TNF-α突然変異体及び治療用遺伝子産物を発現させるためのそれらの操作の後、それらが最初に供給された個体に戻され得る。いくつかの場合では、細胞は、個体又は別の個体に後で使用するために保存される。
【0130】
1つ以上の改変受容体を有し、常在TNF-α自殺遺伝子によって排除される必要があり得る細胞は、あらゆる種類のものであり得る。特定の実施形態では、細胞は、例えば養子細胞療法に利用されているものを含め、免疫細胞又は幹細胞である。免疫細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、iNKT細胞、B細胞などであり得る。細胞は、細胞の集団に含まれ得、その集団は、大部分が1つ以上のTNF-α突然変異自殺遺伝子、又は1つ以上の改変受容体及び1つ以上のTNF-α突然変異自殺遺伝子の両方で形質導入されているものであり得る。細胞集団は、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の、1つ以上のTNF-α突然変異自殺遺伝子及び任意選択的に1つ以上の改変受容体により形質導入される細胞を含み得る。TNF-α突然変異体及び改変受容体は、別個のポリペプチドである。
【0131】
細胞は、特定の目的に関してモジュール性であることを意図してTNF-α突然変異体自殺遺伝子とともに産生され得る。例えば、商業的流通用を含め、TNF-α突然変異体を発現する(又はその後の形質導入のために突然変異体をコードする核酸とともに分配される)細胞が作製され得、使用者は、それらの意図される目的に応じて1つ以上の関心のある治療遺伝子を発現するようにそれらを修飾し得る。ほんの一例として、CD5陽性癌の処置に関心のある個体は、TNF-α突然変異体発現細胞を得るか又は生成させ、それらがCD5特異的scFvを含むCARを発現するように修飾し得る。或いは、CD5陽性癌の処置に関心のある個体は、形質導入しようとする細胞を得て、TNF-α突然変異体をコードするベクターを得て、CD5特異的CARもコードするようにベクターを修飾し、続いてその後、細胞の形質導入を行い得る。これらの実施形態は何れも、CD5以外の癌抗原に適用され得る。
【0132】
特定の実施形態では、TNF-α突然変異体を発現する形質導入細胞のゲノムが修飾され得る。ゲノムは、あらゆる方式で修飾され得るが、特定の実施形態では、ゲノムは、例えば、CRISPR遺伝子編集によって修飾される。細胞のゲノムは、自殺遺伝子としてのTNF-α突然変異体の有効性を高めるために、治療用遺伝子産物の使用の有効性を高めるために、又は別の目的のために修飾され得る。細胞において修飾され得る遺伝子の具体例としては、次のもの:ADAM13/TACEのノックアウト、TGF-β受容体1又は2などの腫瘍微小環境に対するTNF-α突然変異体発現細胞の耐性の上昇、IDO、チェックポイント分子、例えばPD1、TIGIT、KLRG1、TIM3などが挙げられる。
【0133】
VI.自殺遺伝子としてのTNF-α突然変異体の使用
【0134】
特定の実施形態では、TNF-α突然変異自殺遺伝子が使用される細胞は、例えばインビボで細胞に曝露された個体にとって有害である可能性を有する細胞である。細胞は、送達時又はその後に個体にとって毒性であり得、従って、細胞を排除可能であることの必要性は、細胞に対して一貫して存在し得る。例えば、インビボで個体において使用するための何らかのタイプの細胞療法は、細胞において開示されるTNF-α突然変異体を使用可能であり、必要に応じて細胞療法を終了させることが可能になる。細胞療法を受けている、及び/又は細胞療法を受けたことがある個体が、サイトカイン放出症候群、神経毒性、アナフィラキシー/アレルギー、及び/若しくはオンターゲット/オフ腫瘍毒性(例として)などの1つ以上の有害事象の1つ以上の症状を示すか、又は切迫していることを含め、1つ以上の症状を有するリスクがあると考えられる場合、細胞療法に対してTNF-α突然変異自殺遺伝子を利用し得る。自殺遺伝子としてのTNF-α突然変異体の使用は、治療のための計画されたプロトコールの一部であり得るか、又はその使用に対して認められた必要性がある場合にのみ使用され得る。いくつかの場合では、細胞療法がもはや必要とされないので、TNF-α自殺遺伝子を標的とする薬剤の使用によって終了される。
【0135】
TNF-α自殺遺伝子が利用される細胞は、特定の実施形態では、哺乳動物のための細胞療法用に改変された細胞であり得る。このような場合、細胞療法はあらゆる種類のものであり得、細胞はあらゆる種類のものであり得る。特定の実施形態では、細胞は、1つ以上の治療用遺伝子産物を発現するように改変された免疫細胞又は幹細胞である。特定の実施形態では、細胞は、細胞に対する1つ以上の改変受容体で形質導入される細胞である。改変受容体は、受容体に対するリガンドに結合することなどにより、標的化時に治療特性を細胞に付与し得る。特定の実施形態では、改変受容体は非天然であり、人工的に作製される。改変受容体は、T細胞受容体、キメラ抗原受容体(CAR)、ケモカイン受容体、サイトカイン受容体、ホーミング受容体、遺伝子編集細胞又はそれらの組み合わせを含むあらゆる種類のものであり得る。改変受容体は、一例として、少なくとも腫瘍抗原を含め、標的、特異的な抗原などに結合可能なように、改変され得る。改変受容体は、複数の抗原に対して二重特異性又は多重特異性であり得、いくつかの場合、形質導入された細胞が改変受容体を通じて複数の抗原を発現する細胞に結合することを可能にする。
【0136】
特定の実施形態では、TNF-α突然変異体発現細胞に結合するために有効な量の1つ以上の薬剤を送達すると、TNF-α突然変異体発現細胞の大部分が排除される。特定の実施形態では、TNF-α突然変異体を発現する50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%超の細胞が個体において排除される。細胞を排除する必要性が認められた後、個体への薬剤の送達は、1つ以上の症状がもはや存在しなくなるまで、又は十分な数の細胞が排除されるまで継続し得る。個体における細胞数は、TNF-α突然変異体をマーカーとして使用して監視され得る。
【0137】
本開示の方法の実施形態は、有効量の細胞療法を、それを必要とする個体に提供する第1の段階(ここで、細胞は、1つ以上の非分泌型TNF-α突然変異体を含む);及び(何らかの機構による細胞死を通じて直接的又は間接的に)TNF-α突然変異体を自殺遺伝子として使用して細胞を排除する第2の段階を含み得る。第2の段階は、個体に対する少なくとも1つの有害事象の発症時に引き起こされ得、その有害事象は、細胞療法の開始から継続的であってもよいし又は継続的でなくてもよい日常的監視を含む何らかの手段によって認識され得る。有害事象は、検査及び/又は試験時に検出され得る。個体がサイトカイン放出症候群(サイトカインストームとも称され得る)を有する場合、この個体は、例えば、炎症性サイトカイン増加(単に例として:インターフェロン-γ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、IL-10、IL-6及びTNF-α);発熱;疲労;低血圧;低酸素、頻脈;悪心;毛細管漏出;心/腎/肝機能障害;又はそれらの組み合わせを有し得る。個体が神経毒性を有する場合、その個体は、錯乱、せん妄、形成不全及び/又は発作を有し得る。いくつかの場合では、サイトカイン放出症候群の発症及び/又は重症度に関連するマーカー、例えば、C反応性タンパク質、IL-6、TNF-α及び/又はフェリチンなどについて個体を試験する。
【0138】
さらなる実施形態では、サイトカイン放出症候群又は神経毒性の期間中の非分泌型TNF-αに結合する1つ以上の薬剤の投与は、例えば、治療の毒性に寄与する高レベルの可溶性TNF-αを中和するというさらなる利点を有する。可溶性TNF-αは、サイトカイン放出症候群の間に高レベルで放出され、CAR-T細胞療法との毒性のメディエーターである。このような場合、本明細書中で包含されるTNF-α抗体の投与は、TNF-α突然変異体発現細胞の二重の有益な効果、即ち選択的な欠失、並びに毒性を引き起こす可溶性TNF-αの中和を有する。従って、本開示の実施形態は、細胞が非分泌型TNF-α突然変異体を発現する養子細胞療法を受けているか、又は受けたことがある個体において、サイトカイン放出症候群を排除又はその重症度を軽減する方法であって、非分泌型TNF-α突然変異体に結合する有効量の薬剤を提供する段階を含み、前記薬剤が、個体において、(a)細胞療法の細胞の少なくとも一部の排除及び(b)可溶性TNF-αのレベル低下を引き起こす方法を包含する。
【0139】
本開示の実施形態は、非分泌型TNF-α突然変異体を発現する細胞を用いた細胞療法を受けたことがあるか又は受けている個体におけるサイトカイン放出症候群の影響を軽減する方法であって、突然変異体に結合して個体において(a)細胞療法の細胞の少なくとも一部の排除;及び(b)可溶性TNF-αのレベル低下を引き起こす、有効量の1つ以上の薬剤を提供する段階を含む方法を含む。
【0140】
TNF-α自殺遺伝子を利用する必要性が生じる場合、細胞の表面上のTNF-α突然変異体に直接結合することなどにより阻害可能な有効量の1つ以上の阻害剤が個体に提供される。いくつかの実施形態では、阻害剤は、個体に全身的及び/又は局所的に提供され得る。阻害剤は、ポリペプチド(抗体など)、核酸、小分子(例えばキサンチン誘導体)、ペプチド又はそれらの組み合わせであり得る。特定の実施形態では、抗体はFDA承認されている。阻害剤が抗体である場合、少なくとも一部の場合において、阻害剤はモノクローナル抗体であり得る。抗体の混合物が使用される場合、混合物中の1つ以上の抗体はモノクローナル抗体であり得る。小分子TNF-α阻害剤の例としては、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第5,118,500号明細書に記載されているような小分子が挙げられる。ポリペプチドTNF-α阻害剤の例としては、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第6,143,866号明細書に記載されているものなどのポリペプチドが挙げられる。
【0141】
特定の実施形態では、TNF-α突然変異体を標的化して自殺遺伝子としてのその活性を引き起こすために、少なくとも1つの抗体が利用される。抗体の例としては、例えば、少なくともアダリムマブ、アダリムマブ-atto、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、ゴリムマブ、インフリキシマブ、インフリキシマブ-dyyb又はそれらの混合物が挙げられる。
【0142】
本開示の実施形態としては、細胞療法の細胞を非分泌型TNF-α突然変異体を発現するように修飾することによって、個体に対する細胞療法の毒性リスクを低下させる方法が挙げられる。細胞療法は、特定の実施形態では、癌のためのものであり、癌抗原を含む抗原を標的とする改変受容体を含み得る。
【0143】
特定の実施形態では、本開示の本発明の細胞療法に加えて、医学的状態のためのさらなる療法が個体に提供されたことがあり得る、提供され得る、及び/又は提供され得るであろう。医学的状態が癌である場合、個体には、手術、放射線、免疫療法(本開示の細胞療法以外)、ホルモン療法、遺伝子療法、化学療法などのうち1つ以上が提供され得る。
【0144】
本開示の細胞療法で処置されている個体が癌を有する場合、あらゆる種類の癌を有し得る。個体は、白血病、リンパ腫、骨髄腫、脳の癌、肺癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、卵巣癌、精巣癌、骨癌、皮膚癌、腎臓癌、肝臓癌、胃癌、脾臓癌、甲状腺癌、頭頸部癌、胆嚢癌などを有し得る。
【0145】
VII.本開示のキット
【0146】
本明細書中に記載の組成物は何れもキットに含まれ得る。非限定例では、細胞、細胞を作製するための試薬、ベクター、並びにベクター及びその構成成分を作製するための試薬がキットに含まれ得る。一定の実施形態では、α-βT細胞、γ-δT細胞、NK細胞、NKT細胞、iNKT細胞、B細胞又は幹細胞がキットに含まれ得る。このようなキットは、細胞の操作のための1つ以上の試薬を有してもよいし、又は有していなくてもよい。このような試薬としては、例えば、小分子、タンパク質、核酸、抗体、緩衝液、プライマー、ヌクレオチド、塩及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。1つ以上のTNF-α突然変異体、改変受容体又はサイトカインをコードするヌクレオチドがキットに含まれ得る。モノクローナル抗体を含むサイトカイン又は抗体などのタンパク質がキット中に含まれ得る。キメラ抗原受容体又はT細胞受容体などの改変受容体の構成成分をコードするヌクレオチドは、それを作製するための試薬を含むキットに含まれ得る。
【0147】
特定の態様では、本キットは、本開示の細胞療法及びまた別の癌療法も含む。いくつかの場合では、本キットは、細胞療法の実施形態に加えて、例えば化学療法、ホルモン療法及び/又は免疫療法などの第2の癌治療も含む。本キットは、個体に対する特定の癌に合わせて調整され得、個体に対する個々の第2の癌治療を含み得る。
【0148】
本キットは、本開示の適切に分注された組成物を含み得る。本キットの構成成分は、水性媒体又は凍結乾燥形態の何れかで包装され得る。本キットの容器手段は、一般的に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ又は他の容器手段を含み、その中に構成成分が入れられ得、好ましくは適切に分注され得る。本キット中に複数の構成成分がある場合、本キットはまた、一般に、さらなる構成成分が個々に入れられ得る第2、第3又は他のさらなる容器も含有し得る。しかし、構成成分の様々な組み合わせが1本のバイアルに含まれ得る。本発明のキットはまた、典型的には、市販のために組成物及び何らかの他の試薬容器を厳重に閉じ込めて含有するための手段も含む。このような容器としては、所望のバイアルが保持される射出又はブロー成形プラスチック容器が挙げられ得る。
【実施例
【0149】
以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態を明らかにするために含まれる。以下の実施例で開示される技術は、本開示の実施において良好に機能するように発明者により発見された技術を表し、従ってその実施のための好ましい方式を構成すると考えられ得ることが当業者により理解されるはずである。しかし、当業者は、本開示に照らして、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、開示される具体的な実施形態において多くの変更をなし得、同様又は類似の結果を依然として得ることができることを理解すべきである。
【0150】
実施例1
TNF-α自殺遺伝子
本開示は、通常17kDの構成成分にプロセシングされる26kdの腫瘍壊死因子α(TNF-α)の切断不可能な突然変異体に基づく、細胞療法のためのマーカー部分及び自殺部分を提供する。このアプローチを使用することにはいくつかの利点がある。図1は、膜切断部位を切除するためにTNF-αに対して突然変異誘発を行うための実験計画の一例を示す。Perez et al.(1990)によって記載されるように、図1の右側パネルは、TNF-α突然変異体を切断不可能にする3つの典型的なTNF-α突然変異体を例示する:(1)17kDのTNFのアミノ酸残基1~12の欠失;(2)17kD TNFのアミノ酸残基1及び12の欠失;及び(3)17kD TNFのアミノ酸残基1及び13の欠失。図1の左パネルは、突然変異体を生成させるための一例として部位特異的突然変異誘発のためのプライマーの例を提供する。
【0151】
図2A図2B図2C図2D及び図2Eは、TNF-α突然変異体をコードし得るベクターの例を提供する。図2Aは、一例として、アミノ酸Val1及びPro12の欠失を有するTNF-α突然変異体のベクターマップの例を示し、この突然変異体は、全て別個のポリペプチドとして、CD19特異的CARと同時発現され、またIL-15とも同時発現される。図2Bは、一例として、バリン13に欠失を有するTNF-α突然変異体のベクターマップの例を示し、この突然変異体はCD19特異的CARと別個に同時発現され、IL-15と別個に同時発現される。図2Cは、一例として、アミノ酸Val1及びVal13の欠失を有するTNF-α突然変異体のベクターマップの例を示し、この突然変異体は、CD19特異的CAR及びIL-15と別個に同時発現される。図2Dは、一例として、アミノ酸Val1~Val13までの欠失(13個のaa欠失)を有するTNF-α突然変異体のベクターマップの例を示し、この突然変異体は、CD19特異的CAR及びIL-15と別個に同時発現される。図2Eは、一例として、アミノ酸Ala-1~Val 13までの欠失(14個のaa欠失)を有するTNF-α突然変異体のベクターマップの例を示し、この突然変異体はCD19特異的CAR及びIL-15と別個に同時発現される。
【0152】
突然変異した切断不可能なTNF-α(例として、Val1及びPro12に欠失を有するTNF-α突然変異体及びCD19特異的CARの両方をコードするベクターで形質導入された細胞において)は、例えば、そのコード配列のウイルス形質導入又はエレクトロポレーション後に細胞表面上で安定して発現される(図3)。
【0153】
切断不可能なTNF-α突然変異体を発現する細胞は、FDA承認のTNF-α抗体(例えば)エタネルセプト、インフリキシマブ又はアダリルマブなど、を使用して選択的欠失に対する標的とし得る。図4Aは抗TNF抗体の例を示す。図4Bは、突然変異TNF-αを発現するNK細胞の70%超が、インフリキシマブによる処置の90分以内に補体依存性細胞傷害(CDC)によって排除されることを明らかにする。
【0154】
図5Aは、Raji標的に応答して、TNF-α突然変異体及びCD19特異的CARを同時発現するベクターで形質導入されたNK細胞が、抗CD19 CARのみを発現するNK細胞と比較した場合、より多くのエフェクターサイトカインを産生し、より効率的に脱顆粒することを明らかにする。図5Bでは、Raji標的は、TNF-α突然変異体(一例として、Val1及びPro12の欠失)及びCD19特異的CARを別個に同時発現するベクターで形質導入されたNK細胞によって効率的に死滅させられる。1位のバリン、12位のプロリンが欠失したTNF-α突然変異体タンパク質は、生物学的に活性であり、直接的な細胞-細胞接触時に強力な抗腫瘍応答を媒介し、形質導入細胞の抗腫瘍活性にさらに寄与する。
【0155】
CD19特異的CAR及びTNF-α突然変異体を別個に発現するベクターを有する形質導入NK細胞は、オフターゲット活性を示さない(図6)。図7は、CD19特異的CAR及びTNF-α突然変異体を別個に発現するベクターで形質導入されたNK細胞がオフターゲット活性を示さず、TNF-αを非特異的に分泌しないことを実証する。図8は、TNF受容体1及び2とTNF-α抗体インフリキシマブ及びアダリムマブに対して、TNF-α受容体結合部位が異なることを示す。これにより、TNFα遺伝子における突然変異が、TNFα抗体がTNFα突然変異体タンパク質を認識する能力に悪影響を及ぼさない、即ち、TNFα突然変異体が依然として自殺遺伝子として使用され得、抗体によって標的化され得ることが明らかになる。
【0156】
さらなる安全性研究を使用し得る。例えば、CD19特異的CAR NK細胞を用いたインビボマウス毒性試験を行い得る。例えば、確立されたRaji NSGマウスモデルにおいて、TNF-αWTと、TNF-α突然変異体を比較し得、CD19特異的CAR NK細胞はIL15も発現する。しかし、これらの突然変異体はマウスで以前に試験され、それらの安全性が実証された(Karp et al.,1992)。
【0157】
TNF-α突然変異体対TNF-α野生型対外因性TNF-αとTNF-α受容体1(TNF-R1)及びTNF-α受容体2(TNF-R2)との相互作用の特徴を調べるために、シナプス及びシグナル伝達研究を使用し得る。このような研究は、Ramos細胞(TNFR1を発現するがTNFR2を発現しない)におけるアポトーシス誘導及びカスパーゼ(TNF-R1の下流)の測定を組み込み得る。さらに、又は或いは、TNFR2及びTNFR1の両方を発現するJurkat細胞においてNFカッパBを測定し得る。
【0158】
実施例2
TNFAMUT-CAR19-IL15で形質導入したCAR-NK細胞とIC9-CAR19-IL15コンストラクトで形質導入したCAR-NK細胞の抗腫瘍活性の比較
図11は、TNF-αmut-CAR19-IL15コンストラクト又は誘導性カスパーゼ9(iC9)-CAR19-IL15コンストラクトの何れかで形質導入された臍帯血由来のCAR-NK細胞の抗腫瘍活性の比較を提供する。図11Aでは、Raji腫瘍を有するNSGマウスに、TNF-αmut-CAR19-IL15コンストラクトで形質導入されたか又はiC9-CAR19-IL15コンストラクトで形質導入された3x10e6個のCAR臍帯血NK細胞を投与した。図11Bは経時的にパーセント生存を示す。TNF-αmut-CAR19-IL15コンストラクトで形質導入されたマウスは、対照マウス及びiC9-CAR19-IL15コンストラクトで形質導入されたマウスよりも寿命が長かった。
【0159】
参考文献
本明細書中で言及される全ての特許及び刊行物は、本開示の実施形態が属する熟練者のレベルを示す。全ての特許及び刊行物は、それぞれ個々の刊行物が参照により組み込まれることが具体的かつ別個に示されている場合と同程度に、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる。
【0160】
特許文献
米国特許第5,118,500号明細書
【0161】
米国特許第6,143,866号明細書
【0162】
刊行物
Karp,Stephen E.,Hwu,Patrick et al.(1992)In vivo Activity of Tumor Necrosis Factor(TNF)Mutants:Secretory but non Membrane-Bound TNF Mediates the Regression of Retrovirally Tranduced Murine Tumor.J.Immunol.,vol.149(6):2076-2081.
【0163】
Perez,C.,Albert,I.et al.(1990)A Nonsecretable Cell Surface Mutant of Tumor Necrosis Factor(TNF)Kills by Cell-to-Cell Contact.Cell,vol.63,251-258.
【0164】
本開示及びその長所を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本計画の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書中で様々な変更、置換及び調整がなされ得ることを理解されたい。さらに、本願の範囲は、本明細書に記載の工程、機構、製造、組成物、手段、方法及び段階の特定の実施形態に限定されるものではない。当業者が本開示から容易に認識するであろうように、本明細書中に記載の対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすか又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか、又は後に開発されるはずである、工程、機構、製造、組成物、手段、方法又は段階を本開示に従い利用し得る。従って、添付の特許請求の範囲は、このような工程、機構、製造、組成物、手段、方法又は段階をそれらの範囲内で含むものとする。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図5A-1】
図5A-2】
図5A-3】
図5A-4】
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
【配列表】
2022513099000001.app
【国際調査報告】