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特表2022-513102ヒト抗ミュラー管ホルモンに対する特異抗体およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ヒト抗ミュラー管ホルモンに対する特異抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220131BHJP
   C12N 15/06 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220131BHJP
   C07K 16/26 20060101ALI20220131BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20220131BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220131BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220131BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/06 100
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C07K16/26
C07K16/46
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
G01N33/53 F
C12P21/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527973
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(85)【翻訳文提出日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 CN2019115998
(87)【国際公開番号】W WO2020103691
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】201811382047.3
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520192784
【氏名又は名称】シァメン・イノドックス・バイオテック・カンパニー・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519326323
【氏名又は名称】シァメン・ユニヴァーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】シオン、チュンホイ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、チミン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、ウェイリン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ロン
(72)【発明者】
【氏名】コー、チーシェン
(72)【発明者】
【氏名】リー、リホア
(72)【発明者】
【氏名】ソン、リウウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スン、シュイドン
(72)【発明者】
【氏名】コー、ションシアン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CA20
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA13
4B065AA91X
4B065AB01
4B065AB05
4B065AC14
4B065BA02
4B065BA08
4B065CA25
4B065CA46
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、生物医学検査学の分野に属し、AMHに対する特異抗体およびその使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト抗ミュラー管ホルモンに特異的に結合するモノクローナル抗体であって、
CCTCC番号C2018183のアクセス番号を有するハイブリドーマにより産生される抗体C9F2-2が結合するものと同一である抗ミュラー管ホルモンのエピトープに特異的に結合する、モノクローナル抗体。
【請求項2】
ヒト抗ミュラー管ホルモンに特異的に結合するモノクローナル抗体であって、
CCTCC番号C2018183のアクセス番号を有するハイブリドーマにより産生される抗体C9F2-2の軽鎖可変領域相補性決定領域(CDR)および重鎖可変領域CDRを含んでなる、モノクローナル抗体。
【請求項3】
ヒト抗ミュラー管ホルモンに特異的に結合するモノクローナル抗体であって、
軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含んでなり、前記軽鎖可変領域が、配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR3を含んでなり、前記重鎖可変領域が、配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR3を含んでなる、モノクローナル抗体。
【請求項4】
(a)配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含んでなる、請求項3に記載のモノクローナル抗体。
【請求項5】
ヒト抗ミュラー管ホルモンに特異的に結合するモノクローナル抗体であって、
抗原結合領域を含んでなり、前記抗原結合領域が、CCTCC番号C2018183のアクセス番号を有するハイブリドーマにより産生される抗体C9F2-2の軽鎖および重鎖可変領域に由来する、モノクローナル抗体。
【請求項6】
抗原結合フラグメント、一本鎖抗体、キメラ抗体、一価抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、またはFabフラグメントである、請求項1~5のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項7】
ヒト抗ミュラー管ホルモンに特異的に結合するモノクローナル抗体であって、
CCTCC番号C2018183のアクセス番号を有するハイブリドーマから得られる、モノクローナル抗体。
【請求項8】
抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基38~45に及ぶ配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、ヒト抗ミュラー管ホルモンに対するモノクローナル抗体。
【請求項9】
CCTCC番号C2018183のアクセス番号を有する、ハイブリドーマ細胞株。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗ミュラー管ホルモンに対する抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項11】
請求項10に記載のポリヌクレオチドを含んでなる、ベクター。
【請求項12】
請求項11に記載のポリヌクレオチドまたは請求項11に記載のベクターを含んでなる、宿主細胞。
【請求項13】
サンプル中のヒト抗ミュラー管ホルモンの存在またはレベルを検出する方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを使用する工程を含んでなる、方法。
【請求項14】
サンプル中のヒト抗ミュラー管ホルモンの存在またはレベルを検出するためのキットの製造における、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの使用。
【請求項15】
生体サンプル中のAMHまたはそのフラグメントを検出する方法であって、前記方法が、
サンプルを、抗ミュラー管ホルモンの異なるエピトープに対する少なくとも2つの抗体またはそれらの抗原結合フラグメントと接触させること、および抗ミュラー管ホルモンまたは前記フラグメントに対する前記少なくとも2つの抗体の結合を定性的または定量的に検出することを含んでなり、ここで、前記結合は、サンプル中の抗ミュラー管ホルモンまたは前記フラグメントの存在または濃度を示し;
ここで、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基38~45の配列に含まれるエピトープに対して指向する、方法。
【請求項16】
1つの抗体またはその抗原結合フラグメントが、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基38~45の配列に含まれるエピトープに対して指向し、別の抗体またはその抗原結合フラグメントが、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基358~369の配列に含まれるエピトープ、または抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基491~502の配列に含まれるエピトープ、または抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基260~271の配列に含まれるエピトープ、または抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基330~343の配列に含まれるエピトープに対して指向する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つの抗体またはそれらの抗原結合フラグメントのうち少なくとも1つが、固体表面上に固定化され、好ましくは、別のまたは他の抗体のうち少なくとも1つが標識され、前記標識が、好ましくは、化学発光色素または蛍光色素を共有結合で付着することにより行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基38~45に及ぶ配列に含まれるエピトープに対する抗体またはその抗原結合フラグメントが、固体表面上に固定化され、別の抗体またはその抗原結合フラグメントが、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基260~271の配列に含まれるエピトープに対して指向する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項19】
二抗体サンドイッチ酵素結合免疫測定法のための第1のモノクローナル抗体、すなわち、コーティング抗体および二抗体サンドイッチ酵素結合免疫測定法のための第2のモノクローナル抗体、すなわち、酵素標識抗体として使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含んでなる、サンプル中の抗ミュラー管ホルモンの存在またはレベルを検出するためのキットであって、前記コーティング抗体および前記酵素標識抗体は、それぞれ抗ミュラー管ホルモンの異なる抗原決定基に対して指向し;
好ましくは、前記酵素標識抗体は、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基260~271の配列に含まれるエピトープに対して指向する、キット。
【請求項20】
酵素結合プレート、コーティング緩衝液、ブロッキング溶液、発色基質、停止液、抗ミュラー管ホルモン標準品のうち1つ以上をさらに含んでなる、請求項19に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学的検査の分野に属し、主に、ヒト抗ミュラー管ホルモンに対する特異抗体およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗ミュラー管ホルモン(AMH)は、精巣の未成熟セルトリ細胞および発育卵胞の顆粒細胞により分泌される単糖タンパク質の一種であり、トランスフォーミング成長因子βスーパーファミリーに属し、雄のミュラー管の発達を阻害し、雄および雌の生殖細胞および生殖腺の発達を調節するという重要な機能を有する。近年、様々な国の学者が、雌の生殖の分野におけるその役割に関する広範な研究を実施している。女性において、AMHは、卵胞発達を調節し、卵巣予備機能を反映し、過剰排卵に対する卵巣の反応性を予測することができ、生殖内分泌疾患の研究に関して特定の価値を有する。現在、免疫測定法によるAMHの検出に関する記録が多数存在する。例えば、米国特許第7,897,350号は、組成物およびサンプル中のAMHを検出する方法であって、抗体がAMHの成熟領域またはC末端領域に結合する方法を記載している。欧州特許EP2161579Aは、サンプル中のAMHの少なくとも1つの生物学的活性型、例えば、切断AMHまたはC末端AMH、およびそれに結合した抗体を検出または定量化する方法を記載している。
【0003】
さらに、AMHのN末端領域に対する抗体を開示しているいくつかの他の刊行物も存在する。例えば、Hudson et al. (1990) J. Clin. Endocrin. Metab. 70: 16-22は、2つのモノクローナル抗体が、それぞれAMHの前駆体およびN末端領域に対して指向する免疫測定技術を記載している。Long et al. (2000) J. CIin. Endocrin. Metab. 85:540-544は、一方がAMHのN末端エピトープに結合し、他方がAMHのC末端領域に結合する、2つのモノクローナル抗体も使用する免疫測定技術を記載している。さらに、WO2014204327A1も、AMHのN末端領域に対する抗体であって、前記N末端領域が、ヒトプロペプチドの残基1~451またはリーダー配列を除去した場合は残基25~451を指向する抗体を開示している。しかしながら、抗原を検出するために前述の抗AMH抗体を使用する場合、不十分な検出安定性および低感度という問題がある。
【0004】
したがって、ヒト抗ミュラー管ホルモンに対する特異抗体を開発する必要性が、当技術分野において存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様は、ヒト抗ミュラー管ホルモンに対するモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト抗ミュラー管ホルモンのエピトープに特異的に結合し、前記エピトープは、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基26~85に及ぶ配列に含まれるエピトープ、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基38~45に及ぶ配列に含まれるエピトープ、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基40~46に及ぶ配列に含まれるエピトープ、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基37~44に及ぶ配列に含まれるエピトープ、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基39~45に及ぶ配列に含まれるエピトープ、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基36~47に及ぶ配列に含まれるエピトープ、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基37~46に及ぶ配列に含まれるエピトープからなる群から選択される。好ましくは、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基38~45に及ぶ配列に含まれるエピトープに特異的に結合する。
【0006】
本発明のモノクローナル抗体は、ヒト抗ミュラー管ホルモンのエピトープを特異的に認識し、ヤギ抗ミュラー管ホルモン、フクロウ抗ミュラー管ホルモン、ウシ抗ミュラー管ホルモン、ウマ抗ミュラー管ホルモン、サル抗ミュラー管ホルモン、イヌ抗ミュラー管ホルモン、シカ抗ミュラー管ホルモン、マウス抗ミュラー管ホルモン、モルモット抗ミュラー管ホルモンなどを含む他の種に由来する抗ミュラー管ホルモンと交差反応しない。特定の複数の好ましい実施形態において、本発明の抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体である。特定の複数の好ましい実施形態において、本発明の抗原結合フラグメントは、scFv、Fab、Fab’、(Fab’)、Fvフラグメント、ダイアボディから選択される。
【0007】
特定の実施形態において、本発明は、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基38~45に及ぶ配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、ヒト抗ミュラー管ホルモンに対するモノクローナル抗体を提供する。
【0008】
好ましくは、前記抗体は、それぞれ配列番号1~3において示される重鎖CDR配列CDR1 GFAFSTYD、CDR2 ISPGGGAT、CDR3 AGRRDYYGMDY;およびそれぞれ配列番号4~6において示される軽鎖CDR配列CDR1 QSLVHSNGNTY、CDR2 KVS、CDR3 SQSTHVPWTを含んでなる。
【0009】
より好ましくは、前記抗体は、配列番号7
【化1】
において示される重鎖可変領域配列、および配列番号8
【化2】
において示される軽鎖可変領域配列を含んでなる。
【0010】
好ましい実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、2018年8月19日にChina Center for Type Culture Collection(武漢大学、武漢、中国)に寄託されたハイブリドーマ細胞株C9F2-2により分泌されるモノクローナル抗体であり、前記ハイブリドーマ細胞株は、CCTCC番号C2018183の寄託番号を有する。
【0011】
別の態様において、本発明は、本発明に係る抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたはその重鎖可変領域および/もしくは軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離核酸分子を提供する。特定の複数の好ましい実施形態において、前記単離核酸分子は、本発明に係る抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたはその重鎖可変領域および/もしくは軽鎖可変領域をコードする。
【0012】
別の態様において、本発明は、本発明の単離核酸分子を含んでなる、ベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター)を提供する。特定の複数の好ましい実施形態において、本発明のベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ファージなどである。特定の複数の好ましい実施形態において、前記ベクターは、対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)において本発明に係る抗体またはその抗原結合フラグメントを発現することができる。
【0013】
別の態様において、本発明は、本発明の単離核酸分子または本発明のベクターを含んでなる宿主細胞を提供する。このような宿主細胞としては、限定されるものではないが、原核細胞、例えば、大腸菌細胞、ならびに真核細胞、例えば、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞および動物細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、マウス細胞、ヒト細胞など)が挙げられる。特定の複数の好ましい実施形態において、本発明の宿主細胞は哺乳動物細胞である。
【0014】
本発明に係る抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト抗ミュラー管ホルモンに特異的に結合することができ、サンプル中のヒト抗ミュラー管ホルモンの存在またはレベルを検出するために使用することができる。
【0015】
したがって、別の態様において、本発明は、本発明に係る抗体またはその抗原結合フラグメントを含んでなるキットを提供する。特定の複数の好ましい実施形態において、本発明に係る抗体またはその抗原結合フラグメントは、検出可能な標識を有する。本発明において、前記検出可能な標識は、蛍光、分光法、光化学、生化学、免疫学、電気的、光学的または化学的手段により検出することができる任意の物質であってよい。このような標識が免疫学的検出(例えば、酵素結合免疫測定法、放射免疫測定法、蛍光免疫測定法、化学発光免疫測定法など)に適用され得ることが、特に好ましい。このような標識は、当技術分野で周知であり、限定されるものではないが、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼなど)、放射性核種(例えば、H、125I、35S、14Cまたは32P)、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フルオレセイン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、フィコエリトリン(PE)、テキサスレッド、ローダミン、量子ドットまたはシアニン色素誘導体(例えば、Cy7、Alexa 750)、発光物質(例えば、化学発光物質、例えば、アクリジニウムエステル化合物)、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(登録商標))、熱量測定標識、例えば、コロイド金または色ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズ、および上記の標識により修飾されたアビジン(例えば、ストレプトアビジン)に結合するために使用されるビオチンが挙げられる。このような標識の使用を教示する特許としては、限定されるものではないが、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号(総て引用することにより本明細書の一部とされる)が挙げられる。本発明において網羅される標識は、当技術分野で公知の方法により検出することができる。例えば、放射性標識は、写真フィルムまたはシンチレーション計数器を用いて検出することができ、蛍光標識は、放射光を検出するための光検出器を用いて検出することができる。酵素標識は一般に、基質を酵素に与え、基質に対する酵素の作用により産生される反応生成物を検出することにより検出され、熱量測定標識は、呈色標識を単に可視化することにより検出される。特定の複数の実施形態において、上記の検出可能な標識は、異なる長さのリンカーを介して、本発明に係る抗体またはその抗原結合フラグメントに結合させ、潜在的な立体障害を低減させることができる。
【0016】
別の態様において、本発明は、サンプル中のヒト抗ミュラー管ホルモンの存在またはレベルを検出する方法であって、本発明に係る抗体またはその抗原結合フラグメントを使用する工程を含んでなる方法を提供する。好ましい実施形態において、本発明に係る抗体またはその抗原結合フラグメントはまた、検出可能な標識を有する。別の好ましい実施形態において、前記方法は、本発明に係る抗体またはその抗原結合フラグメントを検出するために検出可能な標識を有する試薬を使用することをさらに含んでなる。前記方法は、診断目的、または非診断目的(例えば、サンプルが患者由来のサンプルではなく、細胞サンプルである)のために使用することができる。
【0017】
別の態様において、サンプル中のヒト抗ミュラー管ホルモンの存在またはレベルを検出するためのキットの製造における、本発明に係る抗体またはその抗原結合フラグメントの使用が提供される。
【0018】
特定の実施形態において、本発明は、ヒト体液由来の生体サンプル中のAMHおよびそのフラグメントを検出する方法であって、前記方法が、
サンプルを、抗ミュラー管ホルモンの異なるエピトープに対する少なくとも2つの抗体またはそれらの抗原結合フラグメントと接触させること、および前記抗ミュラー管ホルモンまたは前記フラグメントに対する前記少なくとも2つの抗体の結合を定性的または定量的に検出することを含んでなり、ここで、前記結合は、サンプル中の抗ミュラー管ホルモンまたは前記フラグメントの存在または濃度を示し;
ここで、前記抗体またはそれらの抗原結合フラグメントのうち少なくとも1つは、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基37~46の配列に含まれるエピトープに対して指向する、方法を提供する。
【0019】
好ましい実施形態において、前記抗体またはそれらの抗原結合フラグメントのうちの1つは、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基38~45の配列に含まれるエピトープに対して指向し、他の抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基358~369の配列に含まれるエピトープ、または抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基491~502の配列に含まれるエピトープ、または抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基260~271の配列に含まれるエピトープ、または抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基330~343の配列に含まれるエピトープに対して指向する。
【0020】
本発明の方法の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの抗体またはそれらの抗原結合フラグメントのうち少なくとも1つは、固体表面上に固定化される。好ましくは、他の抗体または前記他の抗体のうち少なくとも1つは、標識され、好ましくは、共有結合を介して化学発光または蛍光色素で標識される。
【0021】
本発明の方法の特定の実施形態において、抗ミュラー管ホルモンのアミノ酸残基38~45に及ぶ配列に含まれるエピトープに対する抗体またはその抗原結合フラグメントは、固体表面上に固定化される。
【発明の具体的説明】
【0022】
用語の定義
本発明において、特に断りのない限り、本明細書で使用する科学技術用語は、当業者により一般に理解される意味を有する。さらに、文脈において使用される細胞培養、生化学、核酸化学、免疫学実験室などの操作工程は総て、対応する分野において広く使用される慣例的な工程である。同時に、本発明をよりよく理解するために、関連用語の定義および説明を以下に示す。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、2対のポリペプチド鎖(各対は、軽鎖(LC)および重鎖(HC)を有する)から通常構成される免疫グロブリン分子を指す。抗体軽鎖は、κ(カッパ)およびλ(ラムダ)軽鎖に分類され得る。重鎖は、μ、δ、γ、α、またはεに分類され得、抗体のアイソタイプは、それぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEと定義される。軽鎖および重鎖内において、可変領域および定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域により接続され、重鎖は、約3個以上のアミノ酸の「D」領域も含んでなる。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)から構成される。重鎖定常領域は、3個のドメイン(CH1、CH2、およびCH3)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)から構成される。軽鎖定常領域は、ドメインCLから構成される。定常ドメインは、抗体および抗原の結合に直接関与しないが、免疫グロブリンおよび宿主組織または因子、例えば、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)の結合を媒介するなど、複数のエフェクター機能を示す。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存的な領域が散在する、高変性を有する領域(相補性決定領域(CDR)と呼ばれる)にも細分され得る。各VおよびVは、以下の配列:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端にかけて配置されている3個のCDRおよび4個のFRから構成される。各重鎖/軽鎖対の可変領域(VHおよびVL)はそれぞれ、抗原結合部位を形成する。各領域またはドメインにおけるアミノ酸の割当は、Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987および1991))、またはChothia & Lesk (1987) J. Mol. Biol. 196 :901-917; Chothia et al. (1989) Nature 342:878-883の定義に従うことができる。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「相補性決定領域」または「CDR」は、抗原結合の役割を担う抗体の可変領域におけるアミノ酸残基を指す。これらのアミノ酸残基の正確な境界は、例えば、Kabatナンバリングシステム(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1991)、Chothiaナンバリングシステム(Chothia & Lesk (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917; Chothia et al. (1989) Nature 342:878-883)またはIMGTナンバリングシステム(Lefranc et al., Dev. Comparat. Immunol. 27 :55-77, 2003)の定義に従って、種々の周知のナンバリングシステムにより定義され得る。特定の抗体に関して、当業者は、各ナンバリングシステムにより定義されるCDRを容易に同定するであろう。さらに、異なるナンバリングシステム間の対応は、当業者にとって周知である(例えば、Lefranc et al., Dev. Comparat. Immunol. 27:55-77, 2003参照)。
【0025】
本発明において、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントに含まれるCDRは、当技術分野で公知の種々のナンバリングシステムに従って決定することができる。特定の複数の実施形態において、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントに含まれるCDRは、好ましくは、Kabat、Chothia、またはIMGTナンバリングシステムにより決定される。特定の複数の実施形態において、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントに含まれるCDRは、好ましくは、Kabatナンバリングシステムにより決定される。
【0026】
本明細書で使用する場合、用語「フレームワーク領域」または「FR」残基は、上記で定義されるCDR残基以外の抗体の可変領域におけるそれらのアミノ酸残基を指す。
【0027】
用語「抗体」は、抗体を産生する任意の特定の方法により限定されない。例えば、抗体は、組換え抗体、モノクローナル抗体、およびポリクローナル抗体を含んでなる。抗体は、異なるアイソタイプの抗体、例えば、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブタイプ)、IgA1、IgA2、IgD、IgEまたはIgM抗体であってもよい。
【0028】
本明細書で使用する場合、抗体の「抗原結合フラグメント」という用語は、全長抗体が結合する同じ抗原に特異的に結合する能力を保持し、かつ/または抗原に対する特異的結合に関して全長抗体と競合し、「抗原結合成分」とも呼ばれる、全長抗体のフラグメントを含んでなるポリペプチドを指す。一般に、Fundamental Immunology, 第7章(Paul, W., ed., 第2版, Raven Press, NY (1989)を参照(これは、総ての目的のために、引用することによりその全体が本明細書の一部とされる)。抗体の抗原結合フラグメントは、組換えDNA技術またはインタクト抗体の酵素的もしくは化学的切断により作製することができる。抗原結合フラグメントの限定されない例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fv、dAbおよび相補性決定領域(CDR)フラグメント、一本鎖抗体(例えば、scFv)、キメラ抗体、ダイアボディ、直鎖状抗体、ナノボディ(その技術はDomantis社による)、ドメイン抗体(その技術はAblynx社による)、プロボディ、およびポリペプチドに対して特異的抗原結合能力を付与するのに十分な抗体の少なくとも一部を含むこのようなポリペプチドが挙げられる。改変抗体バリアントは、Holliger et al., 2005; Nat Biotechnol, 23: 1126-1136によりレビューされている。
【0029】
当業者に公知の従来の技術(例えば、組換えDNA技術または酵素的もしくは化学的断片化)を使用して、特定の抗体(例えば、本発明により提供される抗体)から抗原結合フラグメント(例えば、上記の抗体フラグメント)を得ることができ、また、インタクト抗体に使用するのと同じ様式で、抗体の抗原結合フラグメントに関して特異的にスクリーニングすることができる。本明細書において、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、用語「抗体」に言及する場合、それは、インタクト抗体だけでなく、抗体の抗原結合フラグメントも含んでなる。
【0030】
本明細書で使用する場合、用語「モノクローナル抗体」、「McAb」および「mAb」は、同じ意味を有し、互換的に使用され、高度に相同な抗体分子の群、すなわち、自然に生じ得る自然変異を除き同一の抗体分子の群のうちの1つの抗体または抗体の1つのフラグメントを指す。モノクローナル抗体は、抗原上の単一エピトープに対する高い特異性を有する。ポリクローナル抗体は、モノクローナル抗体と相対的なものであり、通常、少なくとも2つ以上の異なる抗体を含んでなり、これらの異なる抗体は通常、抗原上の異なるエピトープを認識する。さらに、修飾語「モノクローナル」は、抗体が、高度に相同な抗体の群から得られると特徴付けられることを示すにすぎず、抗体を調製する任意の特別な方法を必要とするものと理解するものではない。
【0031】
本発明のモノクローナル抗体は、様々な技術、例えば、ハイブリドーマ技術(例えば、Kohler et al. Nature, 256:495, 1975参照)、組換えDNA技術(例えば、米国特許出願第4,816,567号参照)、またはファージ抗体ライブラリー技術(例えば、Clackson et al. Nature 352:624-628, 1991、またはMarks et al. J. Mol. Biol. 222:581-597, 1991参照)により調製することができる。
【0032】
抗体は、公知の技術、例えば、プロテインAまたはプロテインGを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。その後にまたはその代わりに、特異抗原(抗体により認識される標的分子)またはそのエピトープをカラム上に固定化することができ、免疫特異抗体を免疫アフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。免疫グロブリンの精製に関する言及は、例えば、D. Wilkinson (The Scientist, The Scientist, Inc., Philadelphia Pa.出版, 第14巻, 第8号(2000年4月17日), pp. 25-28)に確認することができる。
【0033】
本明細書で使用する場合、用語「特異的結合」は、2分子間の非ランダムな結合反応、例えば、抗体とそれが標的とする抗原との間の反応を指す。特異的結合相互作用の強さまたは親和性は、相互作用の平衡解離定数(K)により表され得る。本発明において、用語「K」は、抗体と抗原との間の結合親和性を説明するのに使用される、特異的抗体抗原相互作用の解離平衡定数を指す。平衡解離定数が小さい程、抗体抗原結合が密着しており、抗体と抗原との間の親和性が高い。いくつかの実施形態において、特定の抗原に特異的に結合する抗体(または特定の抗原に特異的である抗体)は、抗体が、抗原と結合した場合、約10-9M未満、例えば、約10-9M、10-10M、10-11M未満または10-12M以下の親和性(K)を有することを意味する。2分子間の特異的結合特性は、当技術分野で公知の方法により測定することができ、例えば、BIACORE機器における表面プラズモン共鳴(SPR)により測定することができる。
【実施例
【0034】
本発明の実施形態を、実施例とともに以下に詳細に説明する。しかしながら、当業者は、以下の実施例は本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないと理解するであろう。以下の好ましい実施形態の詳細な説明によれば、本発明の種々の目的および有利な態様が、当業者にとって実施可能となるであろう。
【0035】
実施例1.ヒト抗ミュラー管ホルモンに対する特異抗体の作製
1. 6匹の雌BALB/cマウスを選択し、完全フロイントアジュバント(CFA)(Sigma社、セントルイス、ミズーリ州)により乳化したAMH抗原で皮下免疫し、次いで、2週後に、不完全フロイントアジュバント(IFA)(Sigma社、セントルイス、ミズーリ州)により乳化した同じ抗原で免疫し、免疫化を2週間隔で2回の注射で継続した。
【0036】
2. 最初の免疫化の6および8週後ならびに屠殺の時点で、眼後部の毛細血管から血液サンプルを得、9週後に屠殺を行い、同時に脾臓を取り出した。脾臓細胞をSP2/0骨髄腫細胞と融合させ、COインキュベーター中で7日間培養し、細胞上清を交換した。2日後、産生されたハイブリドーマ細胞株を試験した。
【0037】
3. 間接的スクリーニング法を使用した。具体的には、AMH抗原を炭酸緩衝液(20mmol/L CB pH9.6)で希釈し、次いで、ポリ塩化ビニルプレート上にコーティングし、次いで、試験するサンプルを加え、最後に、HRP標識ヤギ抗マウス二次抗体(20mmol/L PBS pH7.4中で保存)を加え、細胞株を、固定化組換えヒトAMH(抗ミュラー管ホルモン)に結合した抗体を分泌するそれらの能力に応じてスクリーニングした。
【0038】
4. 細胞を安定なクローニングに3回供した後、安定な細胞株を得、それを多数培養し、いくつかの細胞を品種保存のために凍結保存した。マウスを、腹水を生じるように誘導し、腹水をアフィニティーカラム精製に供して、90%超の純度の5個のモノクローナル抗体、C8H3-2、C9F2-2、7D11-1、C17B10、G8B11を得、それらを20mmol PBS溶液中で保存した。モノクローナル抗体C9F2-2を2018年8月19日にChina Center for Type Culture Collectionに寄託し、ハイブリドーマ細胞株C9F2-2のアクセス番号は、CCTCC番号C2018183であった。
【0039】
実施例2:
モノクローナル抗体の評価およびトランケート抗原の同定:
1. AMH抗原を炭酸緩衝液(20mmol/L CB、pH9.6)で希釈し、次いで、ポリ塩化ビニルプレート上にコーティングした。前処置において、プロテインAカラムにより精製された抗体および合成AMHトランケート抗原配列(各合成配列については、最後の補足を参照)を、(100ng/ml抗体:50ug/mlトランケート抗原)の割合でインキュベーションに30分間供し、これらを試験サンプルとし、対照サンプルは100ng/ml抗体:PBSとし、30分間インキュベートした。インキュベーション後の試験サンプルおよび対照サンプルをAMH抗原プレートに加え、30分間インキュベートした。プレートを5回洗浄し、GAM-HRP(1/5000希釈)を加え、30分間インキュベートした。プレートを5回洗浄し、基質を加え、15分間インキュベートした。450/620の波長下の値をマイクロプレートリーダーで読み取り、検出OD値を最終的に計算し、分析した。計算式は、(対照サンプルOD値-試験サンプルOD値)/対照サンプルOD値であり、判定基準は以下の通りであった:90%超、これは良好な競合効果を示したものであり、抗体がエピトープを認識するはずであることを示す。データを以下の表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
各トランケート抗原の配列は、以下の通りである:
【化3】
【0042】
2. 同定後、全長AMHの点での強い反応性および26-85トランケート抗原の点での強い反応性を示した5個のモノクローナル抗体が存在した。
【0043】
実施例3:
モノクローナル抗体エピトープの同定:
1. AMH抗原を炭酸緩衝液(20mmol/L CB、pH9.6)で希釈し、次いで、ポリ塩化ビニルプレート上にコーティングした。前処置において、プロテインAカラムにより精製された抗体および合成AMHトランケート抗原配列(各合成配列については、表3を参照)を、(100ng/ml抗体:50ug/mlトランケート抗原)の割合でインキュベーションに30分間供し、これらを試験サンプルとし、対照サンプルは100ng/ml抗体:PBSとし、30分間インキュベートした。インキュベーション後の試験サンプルおよび対照サンプルをAMH抗原プレートに加え、30分間インキュベートした。プレートを5回洗浄し、GAM-HRP(1/5000希釈)を加え、30分間インキュベートした。プレートを5回洗浄し、基質を加え、15分間インキュベートした。450/620の波長下の値をマイクロプレートリーダーで読み取り、検出OD値を最終的に計算し、分析した。計算式は、(対照サンプルOD値-試験サンプルOD値)/対照サンプルOD値であり、判定基準は以下の通りであった:90%超、これは良好な競合効果を示したものであり、抗体がエピトープを認識するはずであることを示す。データを以下の表2に示した。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
1. 実験データの解析を通じて、モノクローナル抗体エピトープをC8H3-2(41-55)、C9F2-2(31-45)、7D11-1(31-45)、G8B11(31-45/41-55)、C17B10(31-45)において最初に実証した。
【0047】
2. 実験データの解析を通じて、モノクローナル抗体エピトープをC8H3-2(40-46)、C9F2-2(38-45)、7D11-1(37-44)、G8B11(40-46/41-48/39-45)、C17B10(39-45)において実証した。
【0048】
実施例4
1. AMH抗原を炭酸緩衝液(20mmol/L CB、pH9.6)で希釈し、次いで、ポリ塩化ビニルプレート上にコーティングした。前処置において、プロテインAカラムにより精製された抗体および異なるヒトAMH36-47アミノ酸変異を有する合成短鎖ペプチドを、(100ng/ml抗体:50ug/mlトランケート抗原)の割合でインキュベーションに30分間供し、これらを試験サンプルとし、対照サンプルは(100ng/ml抗体:PBS)とし、30分間インキュベートした。インキュベーション後の試験サンプルおよび対照サンプルをAMH抗原プレートに加え、30分間インキュベートした。プレートを5回洗浄し、GAM-HRP(1/5000希釈)を加え、30分間インキュベートした。プレートを5回洗浄し、基質を加え、15分間インキュベートした。450/620の波長下の値をマイクロプレートリーダーで読み取り、検出OD値を最終的に計算し、分析した。計算式は、(対照サンプルOD値-試験サンプルOD値)/対照サンプルOD値であり、判定基準は以下の通りであった:90%より低い値、これは、対応するアミノ酸が重要なアミノ酸であったこと、および変異は抗体の反応に対して大きな影響を及ぼすことを示したものである。データを以下の表4に示した。
【0049】
【表4】
【0050】
2. 解析の結果から、以下のことが確認できた:
C8H3-2の重要な影響部位は、42、45位であった;
C9F2-2の重要な影響部位は、39、41、44位であった;
7D11-1の重要な影響部位は、38、42、45位であった;
C17B10の重要な影響部位は、42、45、46位であった;
G8B11の重要な影響部位は、39、45位であった;
これらは、上記のエピトープ同定結果と一致していた。
【0051】
実施例5
モノクローナル抗体種特異性の評価:
1. AMH抗原を炭酸緩衝液(20mmol/L CB、pH9.6)で希釈し、次いで、ポリ塩化ビニルプレート上にコーティングした。前処置において、プロテインAカラムにより精製された抗体および異なるヒトAMH36-47アミノ酸変異を有する合成短鎖ペプチド(各合成配列については、表6参照)を、(100ng/ml抗体:50ug/mlトランケート抗原)の割合でインキュベーションに30分間供し、これらを試験サンプルとし、対照サンプルは(100ng/ml抗体:PBS)とし、30分間インキュベートした。インキュベーション後の試験サンプルおよび対照サンプルをAMH抗原プレートに加え、30分間インキュベートした。プレートを5回洗浄し、GAM-HRP(1/5000希釈)を加え、30分間インキュベートした。プレートを5回洗浄し、基質を加え、15分間インキュベートした。450/620の波長下の値をマイクロプレートリーダーで読み取り、検出OD値を最終的に計算し、分析した。計算式は、(対照サンプルOD値-試験サンプルOD値)/対照サンプルOD値であり、判定基準は以下の通りであった:90%以上、これは、交差反応があったことを表したものである。データを以下の表5に示した。
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
2. 実験データの解析を通じて、本発明者らのC9F2-2エピトープ38-45モノクローナル抗体は、種特異性の点でラクダ、フクロウ、ウシ、サル、ウマ、マウス、イヌおよびヒツジ配列と交差反応を示さなかった。
【0055】
実施例7
モノクローナル抗体ペア酵素免疫の評価:
1. モノクローニング抗体用のリン酸緩衝液(20mmol/LPB、pH7.4)を希釈し、ポリ塩化ビニルプレート上にコーティングし、モノクローナル抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識した(標識モノクローナル抗体は、F10G7-2、Xiamen Wantaikairui Biotechnology Co.,Ltd.、カタログ番号M3382であり、AMHエピトープのアミノ酸260~271に特異的に結合したものであった)。AMH品質管理物質を希釈液で希釈し、特定の希釈値とした(20ng/ml、10ng/ml、5ng/ml、2.5ng/ml、1.25ng/ml、0.5ng/ml、0.1ng/ml、0.05ng/ml、0.01ng/ml)。40ulの容量のサンプル血清、陽性対照、ブランク対照をそれぞれ対応するウェルに加え、37℃で40分間インキュベートした。プレートを5回洗浄し、F10G7-2-HRP(1/500希釈)を加え、40分間インキュベートした。プレートを5回洗浄し、基質を加え、15分間インキュベートした。450~620の波長下の値をマイクロプレートリーダーで読み取り、データ解析を以下の表7に示した。
【0056】
【表7】
【0057】
2. 38個の血清の相関を酵素免疫ペアリングにより実証し、上記に示すように、特異的モノクローナル抗体C9F2-2ペアリングは、良好な相関を示した。
【0058】
実施例8
モノクローナル抗体ペアリング発光の評価:
1. 以下の実施例におけるAMH検出キットは、以下の成分を含んでなることを特徴とする:第1の抗体でコーティングされた0.5~1mg/mlの磁性粒子を含有するM試薬、ここで、第1の抗体(C9F2-2)は、コーティング量20~80ug/mlの磁性粒子を有していた。上記の磁性粒子は、Thermo Fisher Scientific社から購入し、この試薬の調製方法は、以下の工程を含んでなるものであった:第1の抗体および磁性粒子をpH=5.0~6.0の2-モルホリン/エタンスルホン酸緩衝液中で混合し、コーティングを25℃~37℃で1~3時間行った。次いで、pH=8.0~9.0のリン酸緩衝液中0.1%~0.5%ウシ血清アルブミンを加え、停止反応を1~3時間行った。コーティングされた磁性粒子を分離し、pH7.0~8.0のリン酸緩衝液に分散させ、次いで、カゼインおよびウシ血清アルブミンを加えた。R1試薬は、現在加えられた系であった。R2試薬は、二次抗体(モノクローナル抗体F10G7-2、Xiamen Wantaikairui Biotechnology Co.,Ltd.、カタログ番号M3382)でコーティングされたアクリジニウムエステル、0.5~1%カゼインおよび0.5~1%ウシ血清アルブミンを含んでなり、ここで、溶媒はpH=7.0~8.0のリン酸緩衝液であり、第2の抗体は、コーティング量5~15ug/mlのアクリジニウムエステルを有しており、この試薬の調製方法は、以下の工程を含んでなるものであった:第2の抗体およびアクリジニウムエステルをpH=8.0~9.0のリン酸緩衝液中で混合し、コーティングを25℃~37℃で1~3時間行った。次いで、0.1%~0.5%ウシ血清アルブミンを含有するpH=8.0~9.0のトリス緩衝液を加え、停止反応を1~3時間行った。母液を得、それゆえ、その母液をpH=7.0~8.0のリン酸緩衝液で1~500倍に希釈して使用した。前励起液は、1%(w/v)過酸化水素溶液であった。励起液は、1mol/L水酸化ナトリウム溶液であった。
【0059】
2. 上記AMHアッセイキットの検出方法は、以下の工程を含んでなるものであった:容量比1:1の100ulのサンプルR1試薬を各反応ウェルに加え、15~20分間インキュベートした。インキュベーション後、0.05~0.08%ツイーン20リン酸緩衝液を使用して洗浄し、次いで、20~25ulのR2試薬を加え、10~15分間インキュベートした。インキュベーション後、0.05~0.08%ツイーン20リン酸緩衝液を使用して洗浄し、次いで、100~200ulの前励起液を加え、前励起を行った。前励起液を除去し、100~200ulの励起液を加え、その後、励起および検出を行った。ここで、(100個の)サンプルを試験し、相関は以下の通りであった:
【0060】
【表8】
【0061】
3. 100個の血清サンプルを発光キットにより検出し、対照試薬との相関R2は、0.93に達した。
【配列表】
2022513102000001.app
【国際調査報告】