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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】装着可能な装置および方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/00 20060101AFI20220131BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20220131BHJP
   F21V 21/04 20060101ALI20220131BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20220131BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220131BHJP
【FI】
F16B19/00 Z
F21S8/02 420
F21V21/04 310
H04R1/02 102A
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527974
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 GB2019053276
(87)【国際公開番号】W WO2020104791
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】1818840.9
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1902952.9
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519170025
【氏名又は名称】ズマ・アレイ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZUMA ARRAY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,エド
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン,モートン
(72)【発明者】
【氏名】デ・ソールズ,スティーブン
【テーマコード(参考)】
3J036
5D017
【Fターム(参考)】
3J036AA01
3J036CA10
3J036DA08
3J036DB06
5D017AE02
(57)【要約】
天井の天井開口に装着するのに適した装置(200)が提供される。装置は、前端を有し、前端に垂直な長手方向軸を規定する本体を備える。装置は、前端において本体を越えて側方に延在するフランジ(204)をさらに備える。装置は、本体に装着される1つ以上の弾性部材(208)をさらに備え、各弾性部材(208)は拘束位置および係合位置において構成可能である。装置は、各弾性部材(208)に対応付けられた本体上のそれぞれのガイド(206)をさらに備え、各ガイド(206)は拘束部材(202)を受けるように構成され、拘束部材(202)は、ガイド(206)に挿入されると、それぞれの弾性部材(208)を拘束位置に付勢し、拘束部材(202)がガイド(206)から取り外されるとそれぞれの弾性部材(208)は係合位置に解放され、各弾性部材(208)は係合位置において本体を越えて側方に延在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井の天井開口に装着するのに適した装置であって、前記装置は、
前端を有し、前記前端に垂直な長手方向軸を規定する本体と、
前記前端において前記本体を越えて側方に延在するフランジと、
前記本体に装着される1つ以上の弾性部材とを備え、各弾性部材は拘束位置および係合位置において構成可能であり、前記装置はさらに、
各弾性部材に対応付けられた前記本体上のそれぞれのガイドを備え、各ガイドは拘束部材を受けるように構成され、前記拘束部材は、前記ガイドに挿入されると、それぞれの弾性部材を前記拘束位置に付勢し、前記拘束部材が前記ガイドから取り外されるとそれぞれの弾性部材は前記係合位置に解放され、各弾性部材は前記係合位置において前記本体を越えて側方に延在する、装置。
【請求項2】
各弾性部材は、前記拘束位置において前記拘束部材を越えて側方に延在しない、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各ガイドは前記本体に沿ったチャネルを備え、各チャネルは前記本体の前記前端から長手方向に延在し、各チャネルはそれぞれの拘束部材を受けるように構成され、各弾性部材はそれぞれのガイドの前記チャネル内に装着され、各弾性部材は、前記拘束位置において前記本体を越えて側方に延在しないようにそれぞれのチャネル内に位置する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
各ガイドは前記本体に沿った一対のチャネルを備え、各チャネルは前記本体の前記前端から長手方向に延在し、各対のチャネルにおける前記チャネルは、それぞれの弾性部材の両側に位置し、各対のチャネルの各チャネルは、それぞれの拘束部材の一部を受けるように構成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
各チャネルは、前記チャネルの片側または両側に張り出し部を備える維持チャネルであり、前記張り出し部は、前記拘束部材が前記チャネルに挿入されると前記拘束部材を前記チャネル内に維持するように構成される、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
各チャネルは前記装置の前記本体の一体部分として形成される、請求項3から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
各チャネルは前記装置の前記本体の外部にある、請求項3から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
各ガイドは、前記装置の前記本体上に1つ以上の磁性部分を備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項9】
各ガイドは、1つ以上の磁石を備える拘束部材を受けるように構成され、前記拘束部材が前記ガイドに挿入されると、前記磁性部分の各々がそれぞれの磁石に引き寄せられる、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、使用時に、前記装置の前記本体が前記天井開口に挿入されて各拘束部材がそれぞれのガイドから取り外されると、
各弾性部材が前記天井の後側に係合し、前記長手方向において前記天井に対して力を及ぼすように、かつ、
前記フランジが、前記天井開口を越えて側方に延在して前記天井の前側に係合し、前記弾性部材によって加えられる前記力の方向と反対方向において前記天井に対して力を及ぼすことにより、前記装置を前記天井に固定するように構成される、いずれかの先行する請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、2つ以上の弾性部材とそれぞれのガイドとを備える、いずれかの先行する請求項に記載の装置。
【請求項12】
各弾性部材は定荷重ばねである、いずれかの先行する請求項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、照明要素を含む照明装置である、いずれかの先行する請求項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、ラウドスピーカーを含むオーディオ装置である、いずれかの先行する請求項に記載の装置。
【請求項15】
各弾性部材を前記本体に締結するために用いられるそれぞれのねじ、リベット、ピン、またはファスナをさらに備える、いずれかの先行する請求項に記載の装置。
【請求項16】
各ねじ、リベット、ピン、またはファスナは、前記本体の前記前端にまたは前記前端の近くに位置する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
いずれかの先行する請求項に記載の装置と、1つ以上の拘束部材とを備える、部品のキット。
【請求項18】
部品のキットであって、
装置を天井の天井開口に装着するためのマウントを備え、前記マウントは、
フランジと、
前記フランジ上の1つ以上のガイドと、
各ガイドに対応付けられたそれぞれの弾性部材とを備え、各弾性部材は拘束位置および係合位置において構成可能であり、前記部品のキットはさらに、
ガイドごとにそれぞれの拘束部材を備え、
各ガイドはそれぞれの拘束部材を受けるように構成され、前記拘束部材は、前記ガイドに挿入されると、それぞれの弾性部材を前記拘束位置に付勢し、前記拘束部材が前記ガイドから取り外されるとそれぞれの弾性部材は前記係合位置に解放され、
各ガイドおよびそれぞれの拘束部材は相補的な係合手段を備え、前記係合手段は、前記拘束部材が前記ガイドに挿入されると、前記フランジに直角な軸における相対運動を可能にし、他の軸における相対運動を制限し、相対回転を制限する、部品のキット。
【請求項19】
装置を開口に装着する方法であって、前記方法は、
前記装置の本体を前記開口に挿入することを備え、前記装置の前記本体は、前端を有し、前記前端に垂直な長手方向軸を規定し、前記装置は、前記前端において前記本体を越えて側方に延在するフランジを備え、前記方法はさらに、
前記本体に設けられた1つ以上のそれぞれのガイドから1つ以上の拘束部材を取り外すことを備え、各拘束部材は、前記ガイドに挿入されると、前記本体に装着されたそれぞれの弾性部材を拘束位置に付勢し、前記ガイドから前記拘束部材を取り外すとそれぞれの弾性部材が係合位置に解放され、各弾性部材は前記係合位置において前記本体を越えて側方に延在する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、装置を装着するための機構を含む当該装置、およびそのような装置の装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
埋め込み式の天井取付器具(LED器具など)は、一般に、何らかの形態のねじりばね、一対の傾斜ブレード、またはその他の付勢手段を用いて天井の空間に装着される。
【0003】
図1は、先行技術の天井取付器具を図示している。図1から分かるように、取付器具には、本体と、取付器具の両側の定荷重ばねとが設けられている。一般に、原則として、設置者は、取付器具の本体が先細りになる点まで、自分の指でこれら2つのばねを部分的に広げる。それによって取付器具およびばねの全幅が減少する。ユーザは次いで、取付器具の本体および両方のばねを天井の穴から挿入する。ばねは、解放されると、ばね自体の付勢を受けて巻き上がり、取付器具を所定位置に保持する。ばねは軽量ランプを維持するだけでよいのでばね力が軽いため、このようにばねを手動で開くことができる。
【0004】
軽量ランプよりも大きな力で所定位置に保持しなければならない天井装着型装置もある。その理由は、装置自体が重いためであり得る。振動する装置を保持するためにも、さらなる力が必要であり得る。先行技術のシステムが、より大きな力を加える定荷重ばねを含むように適合されている場合は、ユーザは指でばねを広げることができない場合がある。広げようとすると、けがをする恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、装置を所定位置に保持するためにより大きな力を加えることができる、装置を天井内に装着するための改善されたシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本発明の範囲は特許請求の範囲に定義されている。また、いくつかの例示的な実施形態を以下に提供する。
【0007】
一例では、天井の天井開口に装着するのに適した装置が提供される。装置は、前端を有し、前端に垂直な長手方向軸を規定する本体を備える。装置は、前端において本体を越えて側方に延在するフランジをさらに備える。装置は、拘束位置および係合位置において構成可能な、本体に装着される1つ以上の弾性部材をさらに備える。装置は、各弾性部材に対応付けられた本体上のそれぞれのガイドをさらに備える。各ガイドは拘束部材を受けるように構成され、拘束部材は、ガイドに挿入されると、それぞれの弾性部材を拘束位置に付勢する。拘束部材がガイドから取り外されるとそれぞれの弾性部材は係合位置に解放される。各弾性部材は係合位置において本体を越えて側方に延在する。
【0008】
拘束部材で拘束される1つ以上の弾性部材を設けることにより、装置を天井開口に容易に挿入することができる。この理由は、弾性部材は、拘束部材によって拘束位置に保持されると、輪郭が小さくなるためである。装置が天井開口に挿入されると、拘束部材を解放することができ、弾性部材が天井に係合して装置を開口内に保持する。ユーザは弾性部材を手動で操作する必要はない。ユーザはガイドから1つ以上の拘束部材を取り外すだけでよい。したがって、装置を容易かつ安全に設置することができる。さらに、拘束部材をガイドに挿入し直すことによって装置を容易に取り外すことができる。
【0009】
有利なことに、本発明は、開口とほぼ同じ寸法の平行側面を有する本体を開口内に維持することができるシステムを提供する。装置の本体は(天井の空間に収まる限り)どのような深さであってもよい。これにより、先行技術のシステムで可能であったよりもはるかに大きな装置を天井内に装着することができるので、先行技術に対する大きな利点が提供される。
【0010】
弾性部材は、拘束位置において拘束部材を越えて側方に延在しなくてもよい。したがって、拘束部材および弾性部材は、弾性部材が拘束位置にあるときは本体上の輪郭が小さくなる。したがって、装置を、装置の本体よりもそれほど大きくない天井の開口に挿入することができる。
【0011】
各ガイドは、本体に沿ったチャネルを備えてもよい。各チャネルは、本体の前端から長手方向に延在してもよい。各チャネルは、それぞれの拘束部材を受けるように構成されてもよい。各弾性部材は、それぞれのガイドのチャネル内に装着されてもよい。各弾性部材は、拘束位置において本体を越えて側方に延在しないようにそれぞれのチャネル内に位置してもよい。
【0012】
各ガイドは、本体に沿った一対のチャネルを備えてもよい。各チャネルは、本体の前端から長手方向に延在してもよい。各対のチャネルにおけるチャネルは、それぞれの弾性部材の両側に位置してもよい。各対のチャネルにおける各チャネルは、それぞれの拘束部材の一部を受けるように構成されてもよい。
【0013】
各チャネルは、チャネルの片側または両側に張り出し部を備える維持チャネルであってもよい。張り出し部は、拘束部材がチャネルに挿入されると拘束部材をチャネル内に維持するように構成されてもよい。たとえば、維持チャネルは「Tスロット」であってもよい。この輪郭付けられた維持チャネルは、拘束部材が弾性部材に力を加えて弾性部材を拘束位置に移動させながら(および弾性部材を拘束位置に保持しながら)本体に維持されるように、拘束部材に支持を提供する。
【0014】
各チャネルは装置の本体の一体部分として形成されてもよい。あるいは、各チャネルは装置の本体の外部にあってもよい。各チャネルが本体の一体部分として形成され、各弾性部材がチャネル内に締結される場合は、装着システムは、弾性部材が拘束位置にあるときに装置の本体から側方にまったく突出しなくてもよい。しかし、これは必須ではなく、チャネルは別々に(たとえば薄い外部トラックとして)形成されて装置の本体の外側に取り付けられてもよい。そのようなシステムでは、装置の幅がわずかに増加するが、係合位置にある弾性部材と比べると依然として輪郭が小さい。したがって、弾性部材を拘束位置に配置することにより、装置を天井開口に容易に挿入することができる。
【0015】
各ガイドは、装置の本体上に1つ以上の磁性部分を備えてもよい。
各ガイドは、1つ以上の磁石を備える拘束部材を受けるように構成されてもよい。拘束部材がガイドに挿入されると、磁性部分の各々がそれぞれの磁石に引き寄せられてもよい。
【0016】
装置は、使用時に、装置の本体が天井開口に挿入されて各拘束部材がそれぞれのガイドから取り外されると、各弾性部材が天井の後側に係合して長手方向において天井に対して力を及ぼすように構成されてもよい。フランジは、天井開口を越えて側方に延在して天井の前側に係合し、弾性部材によって加えられる力の方向と反対方向において天井に対して力を及ぼすことにより、装置を天井に固定してもよい。
【0017】
装置は、2つ以上の弾性部材とそれぞれのガイドとを備えてもよい。装置が2つ以上のガイドを備える場合、弾性部材は装置の周りに対称に(または均等に)配置されてもよい。あるいは、弾性部材は、維持された本体内の任意の潜在的な偏心質量に対応するように、非対称に分布していてもよい。これにより、装置が天井開口内にしっかりと保持されるようにバランスのとれた装置の支持が提供される。装置は3つまたは4つの弾性部材を備えてもよく、これらは側面ごとに複数の向きに分布していてもよい。
【0018】
各弾性部材は定荷重ばね(CFばね)であってもよい。たとえば、弾性部材は伸縮型の定荷重ばねであってもよい。CFばねは、ばねの変位に関わらず、定荷重を有益に提供することができる。したがって、装置を所定位置に保持するために用いられる力は、ばねの特性のみによって決まる。天井の厚みは、ばねによって加えられる力に影響を及ぼさない。
【0019】
さらに、定荷重ばねを、定荷重ばねの輪郭が小さくなる拘束位置に開くことができる。これにより、装置を、維持すべき本体よりもわずかに大きいだけの開口に挿入することができる。定荷重ばねは、解放されると、定荷重ばね自体の付勢を受けて巻き上がる。つまり、ばねは、ばねが装着される装置よりも盛り上がることになる。そのため、定荷重ばねは使用時に天井の上面に係合する。
【0020】
装置は、照明要素を含む照明装置であってもよい。装置は、ラウドスピーカーを含むオーディオ装置であってもよい。オーディオ装置は使用時に振動するので、そのような装置を天井内に装着するためにはさらに大きな力が必要となる場合がある。特に、装置内の振動要素または可動要素に起因する動きまたは振動にもかかわらず、装置の本体を、装置の本体が装着されるパネルに対して静止させ続けることが望ましい。典型的には、装置の重量の2~3倍以上の力が望ましい。理想的には、この力は、振動および/または共振に耐える剛性クランプ締め付け力を提供するために、実用的であるのと同じくらい高い。
【0021】
有利なことに、弾性部材を用いて装置を装着することによって、振動を減衰させることができる。これは、装置上の物理的な静止固定具の緩みを減らすのを助けることができる。たとえば、スピーカー内のねじがスピーカーの振動によって緩む場合がある。装置の振動を減衰させることによって、弾性部材は、装置内の部品が緩まないようにするのを助けることができる。
【0022】
装置は、弾性部材を本体に締結する(すなわち、維持または固定する)ために用いられるそれぞれのねじ、リベット、ピン、またはファスナをさらに備えてもよい。いくつかの例では、弾性部材はチャネル内に締結される。ねじ(またはリベット等)は、本体の前端にまたは前端の近くに位置してもよい。弾性部材を装置の前部に近接して装着することにより、拘束部材をガイドに容易に挿入することができる。さらに、CFばねに対して「増強」力がある場合があり、それによって(すなわち、ばねの小さい変位で)最初の広がりが必要とする力はわずかに小さくなる。ばねをフランジに非常に近接して取り付けることによって、ばねは、最も薄い従来の天井厚で効果的に全力に達することができる。たとえば、ばねは、約10mmの変位で定荷重モードで動作してもよい。
【0023】
別の例では、部品のキットが提供される。部品のキットは、上述の例のうちの1つに記載の装置と、1つ以上の拘束部材とを備える。各拘束部材はそれぞれのチャネルに挿入されて、そのチャネル内に装着された弾性部材を拘束位置に付勢してもよい。
【0024】
別の例では、部品のキットが提供される。部品のキットは、装置を天井の天井開口に装着するためのマウントを備える。マウントは、フランジと、フランジ上の1つ以上のガイドと、各ガイドに対応付けられたそれぞれの弾性部材とを備える。各弾性部材は、拘束位置および係合位置において構成可能である。部品のキットは、ガイドごとにそれぞれの拘束部材をさらに備える。各ガイドはそれぞれの拘束部材を受けるように構成され、拘束部材は、ガイドに挿入されると、それぞれの弾性部材を拘束位置に付勢する。拘束部材がガイドから取り外されるとそれぞれの弾性部材は係合位置に解放される。各ガイドおよびそれぞれの拘束部材は相補的な係合手段を備え、当該係合手段は、拘束部材がガイドに挿入されると、フランジに直角な(フランジに垂直な)軸における相対運動を可能にし、他の軸における相対運動を制限し、相対回転を制限する。
【0025】
部品のキットは装置をさらに備えてもよく、マウントおよび装置は相補的な締結手段を備える。たとえば、装置はねじを用いてマウントのフランジに締結されてもよい。
【0026】
拘束部材で拘束される1つ以上の弾性部材を設けることにより、マウントを天井開口に容易に挿入することができる。この理由は、弾性部材は、拘束部材によって拘束位置に保持されると、輪郭が小さくなるためである。マウントが天井開口に挿入されると、拘束部材を解放することができ、弾性部材が天井に係合してマウントを開口内に保持する。ユーザは弾性部材を手動で操作する必要はない。ユーザはガイドから1つ以上の拘束部材を取り外すだけでよい。したがって、マウントを容易かつ安全に設置することができる。さらに、拘束部材をガイドに挿入し直すことによってマウントを容易に取り外すことができる。
【0027】
弾性部材は、拘束位置において拘束部材を越えて側方に延在しなくてもよい。したがって、拘束部材および弾性部材は、弾性部材が非拘束位置にあるときと比べて弾性部材が拘束位置にあるときは、輪郭が小さくなる。したがって、マウントを、適切な寸法を有する天井の開口に挿入することができる。拘束部材が取り外されると、マウントは弾性部材によって所定位置に保持され、開口から取り外すことはできない。
【0028】
マウントは、使用時に、マウントが天井開口に挿入されて各拘束部材がそれぞれのガイドから取り外されると、それぞれの弾性部材が天井の後側に係合してフランジに直角な方向において天井に対して力を及ぼすように構成されてもよい。フランジは、天井開口を越えて側方に延在して天井の前側に係合し、弾性部材によって加えられる力の方向と反対方向において天井に対して力を及ぼすことにより、マウントを天井に固定してもよい。
【0029】
マウントは、2つ以上の弾性部材とそれぞれのガイドとを備えてもよい。マウントが2つ以上のガイドを備える場合、弾性部材はマウントの周りに対称に(または均等に)配置されてもよい。あるいは、弾性部材は、マウントが維持すべき装置内の任意の潜在的な偏心質量に対応するように、非対称に分布していてもよい。これにより、装置が天井開口内にしっかりと保持されるようにバランスのとれた装置の支持が提供される。マウントは3つまたは4つの弾性部材を備えてもよく、これらは側面ごとに複数の向きに分布していてもよい。
【0030】
各弾性部材は定荷重ばね(CFばね)であってもよい。たとえば、弾性部材は伸縮型の定荷重ばねであってもよい。CFばねは、ばねの変位に関わらず、定荷重を有益に提供することができる。したがって、装置を所定位置に保持するために用いられる力は、ばねの特性のみによって決まる。天井の厚みは、ばねによって加えられる力に影響を及ぼさない。
【0031】
さらに、定荷重ばねを、定荷重ばねの輪郭が小さくなる拘束位置に開くことができる。定荷重ばねは、解放されると、定荷重ばね自体の付勢を受けて巻き上がる。つまり、ばねは、拘束位置にあるときと比べて非拘束位置にあるときに輪郭の幅が広くなる。そのため、定荷重ばねは、拘束部材が各自のガイドから取り外されると天井の上面に係合する。
【0032】
マウントを用いて、装置を天井の天井開口に装着してもよい。装置は、照明要素を含む照明装置であってもよい。装置は、ラウドスピーカーを含むオーディオ装置であってもよい。オーディオ装置は使用時に振動するので、そのような装置を天井内に装着するためにはさらに大きな力が必要となる場合がある。特に、装置内の振動要素または可動要素に起因する動きまたは振動にもかかわらず、装置の本体を、装置の本体が装着されるパネルに対して静止させ続けることが望ましい。典型的には、装置の重量の2~3倍以上の力が望ましい。理想的には、この力は、振動および/または共振に耐える剛性クランプ締め付け力を提供するために、実用的であるのと同じくらい高い。
【0033】
有利なことに、1つ以上の弾性部材を用いて装置を装着することによって、振動を減衰させることができる。これは、装置上の物理的な静止固定具の緩みを減らすのを助けることができる。たとえば、スピーカー内のねじがスピーカーの振動によって緩む場合がある。装置の振動を減衰させることによって、弾性部材は、装置内の部品が緩まないようにするのを助けることができる。
【0034】
別の例では、装置を開口(たとえば、天井の天井開口)に装着する方法が提供される。方法は、装置の本体を開口に挿入することを備え、装置の本体は、前端を有し、前端に垂直な長手方向軸を規定し、装置は、前端において本体を越えて側方に延在するフランジを備える。方法は、本体に沿った1つ以上のチャネルから拘束部材を取り外すことをさらに備え、チャネルの各々は本体の前端から長手方向に延在し、拘束部材は、チャネル内にあるとき、チャネル内に装着された弾性部材を拘束位置に付勢し、チャネルから拘束部材を取り外すと弾性部材が係合位置に解放され、それぞれの弾性部材は係合位置においてチャネルを越えて側方に延在する。
【0035】
本発明はさまざまな形で実用化されてもよく、ここで、いくつかの具体例について以下の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図2A】具体例の装置の操作を示す図である。
図2B】具体例の装置の操作を示す図である。
図2C】具体例の装置の操作を示す図である。
図2D】具体例の装置の操作を示す図である。
図3】拘束位置にある装着機構の詳細な破断等角図である。
図4】係合位置にある装着システムを含む例示的な装置の等角破断図である。
図5】係合位置にある装着システムを含む例示的な装置の等角図である。
図6】別の具体例としてのプロトタイプ(デモンストレーション)リグのイメージを示す図である。
図7A】代替例の装置を示す図である。
図7B】代替例の装置を示す図である。
図8】装置を装着するためのマウントを示す図である。
図9】装置を装着するための代替のマウントを示す図である。
図10】装置を開口に装着する方法を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
上述のように、先行技術の装置は、定荷重ばねを手動で広げ、部分的に開いたばねを天井の穴に通すことによって、天井内に装着される。これは図1にも示されている。具体的には、ばねを部分的に広げてばねの円筒部を本体の主直径よりも上に持ち上げることにより、ばねが本体の中心軸に近づいて天井に通すことができる。ユーザが部分的に広げたばねを解放すると、ばねは巻き上がって天井に対して力を及ぼすことにより、装置を所定位置に固定する。これは面倒な作業であり得るが、関与する力が比較的小さいのでユーザを重大な危険にさらすことはない。さらに、ユーザはばねを完全には広げていないので、手動での挿入が容易になる。しかし、この装着設計では、本体の形状またはその高さのいずれかが損なわれる。また、装置の本体は、正面から見たときに緩やかな/大きな頂部半径を有する必要がある(すなわち、装置は後部に向かって滑らかに先細りになる)。この理由は、CFばねが狭い角部の周りで強く再び変形すると、CFばねが永久歪みを受け、損傷することにより維持力が低下するからである。
【0038】
スピーカーを含む装置を天井内に装着するためには、装置の重量の2~3倍にほぼ等しい力でユニットを所定位置に保持しなければならない。これは、スピーカーの駆動ユニットによって生じる振動に少なくとも部分的に起因する。
【0039】
そのような装置に十分な力を提供することができる定荷重ばねを、先行技術に関連して上記に説明したようにユーザが広げることは困難であろう。ユーザがこのようにばねを部分的に広げてコイルを天井開口に通そうとすると、けがをする恐れがある。
【0040】
先行技術のシステムの場合、けがのリスクは装置を取り外す際により顕著である。ユニットは、ばねが広がった状態で天井から簡単に引き抜くことができる。広がり動作の間、CFばねの円筒部は回転している。したがって、それは、穴の縁に向かって、かつ穴の縁の上で、移動する傾向がある。この点で、CFばねのシリンダ部は、ユーザの手で拘束されていない限り、フランジを引っ張っているユーザのもう片方の手に向かって高速で移動する。この作業を行うにはかなりの器用さが必要である。本体の直径が大きすぎて、維持CFばねの両方(またはすべて)を片手で同時に拘束できない場合は、補助が必要となり得る。
【0041】
フランジ/ベゼル要素の内部には、精巧な化粧部品または機能部品(典型的にはスマートスピーカー内のアンテナ、マイク、光センサ等)が収容されてもよい。これらの部品は、CFばねのこの制御されない高速の引き込みによって損傷するリスクがある。特に、CFばねが(薄型パネルに装着される装置に必要であるように)フランジ/ベゼルに非常に近接して取り付けられる場合、このリスクはより顕著である。
【0042】
先行技術のシステムのこれらの問題に対処するために、具体例では、装置を所定位置に保持する定荷重ばねと、定荷重ばねを操作するブレードとを有する装置が提供される。ブレードを取り外して、装置を天井内に装着する。したがって、もたらされる装置は、容易かつ安全に使用できる、輪郭が非常に小さい装着解決策を提供する。
【0043】
図2A図2Dは例示的な装置の操作を示す。
図2Aは、具体例に係る装置(またはユニット)200の等角図を示す。装置は、天井の開口(または穴)に装置200を装着するために用いられる2つの取り外し可能なブレード(または拘束部材)202を含む。装置は、装置の前端にフランジ204をさらに含む。装置が天井開口に装着されると、フランジ204は天井と面一に位置する。装置は、ブレードが挿入された状態で天井開口に容易に挿入することができる。
【0044】
図2Bに示されるように、ブレード202の各々は、装置の本体のそれぞれのチャネル(またはスロットまたはガイド)206内に保持される。各チャネル206は、それぞれの定荷重ばね(または弾性部材)208をさらに含む。定荷重ばねはチャネル(またはガイド)内に保持される(たとえば装着される)。ブレード202がチャネル206に完全に挿入されると、図2Aに示されるように、定荷重ばね208は広げられた位置でチャネル206内に完全に拘束される。ブレード202の端のタブが装置の前側ベゼルから突き出る。
【0045】
ブレード202をそれらのチャネル206から引き抜く(摺動して出す)と、定荷重ばね208が解放される。したがって、荷重ばねは広げられた(拘束された)位置で拘束されないようになり、係合位置に巻き上がる。ブレードを取り外すと、ばねが展開してユニットを天井内にクランプ締めする。
【0046】
図2Cに示されるように、ブレード202が各自のチャネル206から取り外されると、定荷重ばね208が係合位置に巻き上げられる。この位置では、CFばねの巻かれた部分の外径が天井の頂部(図示せず)に係合する。
【0047】
ブレード202が完全に取り外されると、化粧カバー210がフランジ204の上に配置されてもよい。これは、たとえば、クリップおよび/または磁気機構を用いて達成されてもよい。フランジ/ベゼル自体が化粧用であってもよい。この部分は、所望であれば、目に見えるスロット、または取り外しスロットを隠すエラストマー要素もしくは可動要素を有してもよい。
【0048】
図3は、装置の詳細な破断等角図を示す。図3に示されるように、装着機構は拘束位置にある。この構成では、ブレード302はチャネル306に挿入されている。チャネル306内にブレード302が存在しているため、定荷重ばね308は開いた(または荷重がかかった)位置でチャネルの内部に完全に拘束される。その結果、装置を天井の穴に容易に挿入することができる。装置が所定位置にあるとき、図4に示されるように、ブレードは取り外されてもよく、ばねは巻き上がって天井を捕らえる。
【0049】
ユーザは、ユニットを天井から取り外したい場合は、ブレードを再挿入してばねを片付けることができる。次いで、装置を、非拘束のばねによるけがのリスクなしに、装置の挿入時と同じように摺動させて開口から出すことができる。
【0050】
図4は、具体例に係る装置400の等角破断図を示す。装着システムは係合位置で示されている。図4から分かるように、ブレード402はチャネル406から取り外されており、フランジ404は天井412と面一である。定荷重ばね408は係合位置にあり、天井412のフランジ404と反対側に力を加えている。それによって装置は十分な力で所定位置に保持される。
【0051】
定荷重ばね408は、装着ねじ414によってチャネル内の所定位置に保持される。
図5は、具体例に係る装置の等角図を示す。装着システムは係合位置で示されている。この図では、拘束部材(取り外しブレード)はスロット(図示せず)から完全に取り外されている。
【0052】
図6は、本発明の具体的な実施形態に従うプロトタイプ(デモンストレーション)リグのイメージを示す。
【0053】
図6から分かるように、チャネルは装置の本体に一体化されるのではなく、装置の本体の外部にあり本体に付けられてもよい。
【0054】
上記で説明および図示した例は、チャネル内に装着された弾性部材を含む。チャネルは、拘束手段を維持できるようにするために、かつ弾性部材が拘束位置にあるときに着座する空間を提供するために、「Tスロット」の形態である。このように、チャネルは拘束部材を誘導および支持することができる。チャネルは、拘束部材が比較的薄い材料で作られつつも弾性部材を拘束する(弾性部材の力を克服する)のに十分な剛性を有するように、拘束部材に支持を提供する。しかし、弾性部材はチャネル内に装着されなくてもよい。図7Aは代替の解決策を示す。この例では、CFばね708は、チャネルの内部ではなく、本体の外側に装着される。より小さい2つのチャネル706がCFばね708の両側に設けられて、拘束手段(取り外しツール)702を維持する。図7Aに示される例では、これらは「L」字型チャネルであり、取り外しツール/ブレードは「シルクハット」型の断面輪郭を有する。チャネルの各々が、取り外しツールの一部を受け、ツールをチャネルに挿入してCFばねを拘束するために用いることができるように支持を提供する。
【0055】
図7Bはさらなる代替例を示す。この例では、ガイドとして働くチャネルは存在しない。ガイドは、本体および/または取り外しツール上の磁性部品750と、ツールが挿入されるベゼルの開口部とによって提供される。たとえば、装置は、本体752上に鋼体もしくはフェライト体または局所的なフェライト片を有してもよい。取り外しツール(拘束手段)は、ブレード部の両側に磁石750を有してもよい。磁石によって与えられる力は、ツールを本体に固定してCFばねを拘束するのに十分である。
【0056】
上述の例では、ばねごとに別個の取り外しツール(拘束部材)を示している。さらなる代替例として、すべてのブレードが装置の前端で互いに接続された状態で、1つのツールを用いて弾性部材(ばね)を広げてもよい。たとえば、CFばねが2つ(装置の両側に1つずつ)ある場合、取り外しツールは「U」字型であってもよい。この場合、ばねを拘束するのに必要な力は互いにほぼ等しく反対であるため、取り外しツールを装置の本体に固定するためのチャネルは不要な場合がある。しかし、CFばねの各々によって取り外しツールの各ブレードに加えられる曲げモーメントに対抗するために、拘束部材を厚くして、拘束部材に剛性を提供しなければならない。
【0057】
本願に開示されている例は、輪郭が小さい装着解決策を有利に提供する。したがって、この装着システムを適用しても装置の物理的体積は大幅には増加しない。装置がスピーカー装置である場合、音響性能は装置の筐体(本体)の物理的体積に依存する。したがって、この解決策を用いて搭載されたスピーカーの音響性能を、天井の穴のサイズを著しく増加させることなく維持することができる。また、化粧カバーのサイズ増加も回避される。
【0058】
図8は、装置を天井の天井開口に装着するための装着システム800を示す。この具体例は、2つのスロット806を有するフランジ804を含む。スロットは拘束部材802を受けるように配置される。拘束部材の各々がチャネル860を備える。スロットに隣接して支持部材862がある。支持部材を用いて弾性部材を装着する。
【0059】
拘束部材がそれぞれのスロットに挿入されると、支持部材が拘束部材のチャネルの内部に保持される。スロットおよび支持部材は、拘束部材が摺動してスロットに出入りできるように拘束部材の動きを制限するが、支持部材がチャネルの内部にあるときは拘束部材が他の方向に移動しないようにまたは回転しないようにする。このように、拘束部材を用いて、拘束部材がスロット内に摺動して支持部材がチャネル内に摺動すると弾性部材を係合位置から拘束位置に付勢することができる。
【0060】
具体例では、ツール(拘束部材)は、定荷重ばねを広げるのに必要な誘導チャネルおよび端縁維持を提供する。ツールは細長い「C」断面チャネルの形態であるため、定荷重ばねの端縁におけるツール係合によって維持が提供され、これに対して「C」の反対側の平坦部が作用してばねを開くことができる。他の例と同様に、ツールは、定荷重ばねごとに別個/個々であってもよく、あるいは、前端/近端で互いに接合されてシングルアーム、ダブルアーム、またはマルチアームのツールを作製してもよい。
【0061】
この例は、装置(たとえば、照明器具またはスピーカー)が誘導チャネルを保持する本体または缶を有する必要なしに、自由空間で効果的に操作可能である。マウントを用いて、マウントに取り付けられる任意の装置を装着することができる。たとえば、装置はマウントのフランジに締結されてもよい。
【0062】
図9は、装置を天井の天井開口に装着するための装着システム900を示す。この具体例は、2つのスロット906を有するフランジ904を含む。スロットは拘束部材902を受けるように配置される。拘束部材の各々が切り欠き端970を備える。スロットに隣接して支持部材962がある。支持部材を用いて弾性部材を装着する。
【0063】
拘束部材がスロットに挿入されると、CFコイルばねが拘束部材の切り欠きの内部に保持される。切り欠きおよびCFコイルばねは、拘束部材が摺動してスロットに出入りできるが、スロットの内部にあるときは他の方向に移動しないようにまたは回転しないように、拘束部材の動きを制限する。このように、拘束部材を用いて、拘束部材がスロット内に摺動するとCFコイルばねを開くことができる。
【0064】
具体例では、ツール(拘束部材)は、ツールの上縁の上のCFばねよりもわずかに幅広の切り欠きを用いて、定荷重ばねに誘導を提供する。
【0065】
この変形例では、ツール先端は、巻き上がったままの円筒部によって、ばねの広がった部分に効果的に保持される。したがってツールは、「深さ止め」がツールの挿入を常に制限することにより、ツールの頂部の上に巻かれたばねの「巻き」の約半分を残してツールを伸長状態に維持するように、ばねと長さが一致していなければならない。深さ止めを有さないツールを挿入し過ぎると、ツール先端においてばねの維持が緩み、ばねが制御されない態様で跳ね返ることになる。
【0066】
ツールは、ばねの端に達するまでこの「ロール」によって誘導/維持される。この点で、ばねのコイルはツールの端の上を滑り、維持されなくなる。したがって、ツール挿入の深さは、ばねが完全には開かない点に(たとえばツールの長さによって)制限される。したがって、この例では、側面ごとにまだ「ばねロール」があるので、どのような缶等であれ、その直径に数ミリメートル超が追加される。
【0067】
図8の例と同様に、図9の例は、装置(たとえば、照明器具またはラウドスピーカー)が誘導チャネルを保持する本体または缶を有する必要なしに、自由空間で効果的に操作可能である。マウントを用いて、マウントに取り付けられる任意の装置を装着することができる。たとえば、装置はマウントのフランジに締結されてもよい。
【0068】
当業者によって理解されるように、装着可能な装置に関して説明した特徴の多くは、図8または図9の装着システムに等しく適用可能である。さらに、装置に関して説明した変形例は、装着システムに等しく適用可能である。たとえば、装着システムは2つのスロットを有するものとして説明されているが、3つ、4つまたはそれ以上のスロットを含む変形例も可能である。
【0069】
図10は、装置を開口に装着する方法を示すフローチャートである。ステップ1において、装置の本体が開口に挿入される。装置の本体は、前端を有し、前端に垂直な長手方向軸を規定する。装置は、前端において本体を越えて側方に延在するフランジを備える。ステップ2において、本体に設けられた1つ以上のそれぞれのガイドから1つ以上の拘束部材が取り外される。各拘束部材は、ガイドに挿入されると、本体に装着されたそれぞれの弾性部材を拘束位置に付勢する。拘束部材をガイドから取り外すと、それぞれの弾性部材は係合位置に解放される。各弾性部材は係合位置において本体を越えて側方に延在する。
【0070】
代替例および変形例
このシステムは、(たとえば、搭載されたスピーカー装置、および照明兼スピーカー装置などにおける)標準的な照明器具において見られるものよりも大きな力を加える弾性部材が必要な場合に特に有用である。しかし、当該システムは、より小さい力を加える弾性部材を有する標準的な照明器具(および天井内に装着される他の装置)の設置を簡素化するのにも有用であり得る。弾性部材の種類および数は、装着すべき装置に応じて適切な力を加えるように選択され得る。
【0071】
上記の説明では装置を天井開口に装着することについて説明しているが、当該システムを用いて、壁の開口または後ろが空洞の一般にいずれの平面パネルにも装置を装着することができる。装置を壁内に装着する場合は、装置を所定位置(たとえば装置の上部)に固定するのに1つのばねで済む場合がある。装置を天井内に装着する場合は、荷重をより均一に分布させるために2つ以上のばねが必要な場合がある。
【0072】
上述の具体例は定荷重ばねを含むが、他の種類の弾性部材を用いてもよい。
上述の具体例は、2つのブレード、チャネル、およびばねを含む。しかし、より多くのブレード、チャネル、およびばねを有する変形例が可能である。追加のばねを設けて、装着システムによって提供される力を増加させてもよい。装置によっては、1つのばねで済む場合がある。ばねが装置の周りに対称に装着されることによって安全な装着システムを提供することができるように、2つ以上のばねを設けることが有利である。
【0073】
ブレードは、鋼鉄、プラスチック、または他の好適な剛性材料で製造されてもよい。
装置の本体(装置の外側ケーシングまたは筐体)に沿ったチャネルは、装置の本体に押出成形されてもよい。あるいは、チャネルは、装置の本体に付けられた外部構造によって形成されてもよい。
【0074】
ばねは、1つのねじを用いて各自のチャネル内に装着された状態で示されている。しかし、2つ以上のねじを用いて各ばねを装着してもよい。チャネル内にばねを装着する他の方法(たとえば、接着、リベット付け、溶接、クリップ留め、またはクランプ締め)を用いてもよい。
【0075】
説明は一般に照明およびラウドスピーカー装置に関するが、装着システムは任意の装置に適用可能である。システムは、一般に、天井、壁、またはその他の平面パネルに装着すべき任意の装置に適用可能である。たとえば、装置は、照明部品、オーディオ部品およびその他の電子部品のさまざまな組み合わせを含み得る。システムはまた、アラーム、煙アラーム、CO検出器、温度センサ、セキュリティカメラなどを装着するのにも適している。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
【国際調査報告】