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特表2022-513146ポリウレタンフォーム配合物、及びそれに基づくフォームによる遮音材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム配合物、及びそれに基づくフォームによる遮音材
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/40 20060101AFI20220131BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20220131BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20220131BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20220131BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20220131BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C08G18/40 018
C08G18/42
C08G18/48 004
C08G18/76 057
C08G18/10
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530087
(86)(22)【出願日】2019-11-11
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2019080857
(87)【国際公開番号】W WO2020108971
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】102018130176.6
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513044337
【氏名又は名称】アドラー ペルツァー ホルディング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Adler Pelzer Holding GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー、ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ、フォルクマー
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DC25
4J034DF01
4J034DF20
4J034DF22
4J034DF24
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG06
4J034DG08
4J034DG10
4J034DG12
4J034DG23
4J034DG29
4J034EA11
4J034EA12
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HB07
4J034HC12
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034JA42
4J034NA03
4J034QA01
4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034QB01
4J034QB14
4J034QC01
4J034QC08
4J034RA12
4J034RA15
(57)【要約】
本発明の主題は、好ましくは粘弾性PUR成形フォームの製造のための、特にMDIと、従来のポリエーテル及び再生可能な原材料をベースとしたポリエステルポリオールに基づくポリウレタンフォーム配合物、及びそれに基づくフォームの遮音材である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘弾性PUR成形フォームを製造するためのポリウレタンフォーム配合物であって:
a)ヒドロキシル官能価が2、ヒドロキシル価が50~150mgKOH/gの範囲であるポリエステルポリオールと、
b)任意で、ヒドロキシル官能価が3、ヒドロキシル価が180~250mgKOH/gの範囲であるポリエーテルポリオールと、
c)ヒドロキシル官能価が3、ヒドロキシル価が20~40mgKOH/gの範囲であるポリエーテルポリオールと、
d)ヒドロキシル価が25~45mgKOH/gの範囲であるブロック/共重合体と、
e)触媒添加剤と安定化添加剤との組み合わせとを含む、ポリウレタンフォーム配合物。
【請求項2】
前記成分(a)の割合が、前記ポリオール成分に対して5~45重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
前記成分(b)の割合が、前記ポリオール成分に対して0~55重量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項4】
前記成分(c)の割合が、前記ポリオール成分に対して40~95重量%であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の配合物。
【請求項5】
前記成分(d)の割合が、前記ポリオール成分に対して2~10重量%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の配合物。
【請求項6】
前記ポリエステルジオールがCNSLベースであることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の配合物。
【請求項7】
前記成分(b)及び/又は成分(c)のポリエーテルポリオールが、グリセロールに由来することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の配合物。
【請求項8】
エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのブロック/共重合体がグリセロールに由来することを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の配合物。
【請求項9】
前記触媒活性添加剤が少なくとも1つの反応性(アジ化水素)基を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の配合物。
【請求項10】
軟質弾性及び粘弾性成形フォームの製造方法であって、
A)(ポリ)イソシアネート成分と、
B)請求項1~9のいずれかに記載の配合物と、
C)水と、
D)1つ以上の触媒と、
E)適切な、他の賦形剤、充填剤、安定剤、及び/又は発泡剤とが反応されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
MDI、又はNCO含有量が22~33%、好ましくは28~32%の範囲のMDIをベースとするプレポリマーが使用されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
MDIインデックスが、50~100の範囲にあることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
反応射出成形によって、鋳造によって、又はスラブストックフォームとして得られる粘弾性フォームであって、請求項1~12のいずれかに記載の配合物を含む、粘弾性フォーム。
【請求項14】
請求項13に記載の粘弾性フォームを含む成型品。
【請求項15】
遮音材としての請求項14に記載の成形品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、好ましくは粘弾性ポリウレタン(PUR)成形フォームの製造のための、特にMDIと、従来のポリエーテル及び再生可能な原材料をベースとしたポリエステルポリオール(ハイブリッド配合物)に基づくポリウレタンフォーム配合物、及びそれに基づくフォームによる遮音材に関する。
【背景技術】
【0002】
軟質弾性及び粘弾性ポリウレタン成形フォームは、車両音響の分野で広く使用されている。一般的な軟質弾性フォームは、一般的に「高弾性」型に分類され、自発的又は早い回復挙動を示す顕著なバネ特性を有する。これは、圧力変形後の遅れた回復挙動によって軟質弾性フォーム型とは区別される粘弾性フォーム型と対照的である。「高弾性」フォームと比較して、粘弾性フォームは一般的に著しく良好な減衰特性を達成する。
【0003】
マットレス又は室内装飾品業界で使用されるスラブストックフォーム法で典型的に製造される軟質弾性又は粘弾性フォームとは対照的に、車両音響の分野における音響効果の高い部品は、所望の部品形状を有する成形部品として直接製造されることが好ましい。一般に、この目的のために2成分系が使用され、反応系の第1成分が、種々の(ポリ)イソシアネートであり、第2成分が、主に異なるポリオール、発泡剤、触媒、安定剤及び場合によってはさらなる添加物の複合混合物で構成されている。
【0004】
これらのフォームの典型的な材料特性は、主に、使用されるポリオールの種類、それらの量の分布、架橋度、及び選択された密度によって決定される。意図される使用に関しては、しかしまた、しばしば起こる不相溶性を考慮して、ポリエステル又はポリエーテルポリオールのいずれかが使用される。遮音分野では、ポリエーテルポリオールとMDIをベースとするフォームが主流である。
【0005】
それぞれのポリオールは、官能価、反応性、及び分子量の点で本質的に異なり、官能価と基本構造は、使用するスターター分子によって直接決定される。化学発泡剤として、通常、ポリオール成分に水が添加されることで、水が(ポリ)-イソシアネートと反応して二酸化炭素が発生し、これが実際の発泡剤として作用する。
【0006】
軟質弾性フォームは、同様に異なる音響用途のために異なる設計で使用される。用途は、純粋な吸収体からバネ質量構造にまで多岐にわたる。絶縁効果は、密度又は結合質量層に依存して増大する。軟質弾性の「高弾性」タイプと比較して、粘弾性成形フォームは、通常、より優れた減衰特性を特徴とするため、特にプレミアム分野において好ましい。この特別な粘弾性材料の挙動は、空気圧効果と構造特性に分けることができ、ほとんどの場合、両方の組み合わせを表す。いわゆる空気圧(「喘息」)効果は、非常に小さい細孔サイズに基づいており、多くの場合、完全に開放されていない気泡構造と組み合わせで、圧縮時と回復時の空気交換を遅らせる。構造特性は、ポリマーマトリックス内のソフトセグメントとハードセグメントの組み合わせから生じ、異なる官能性ポリオールの量分布、前述の主要なパラメーターによって制御することができる。
【0007】
軟質弾性又は粘弾性成形フォームを製造するための、ポリエーテルポリオールの多くの異なる組み合わせが知られている。軟質弾性から粘弾性への移行は滑らかである。これは、一見すると明らかにバネのような弾性フォームが、既に測定可能な粘弾性材料特性を発現することができることを意味する。振動計法に従って測定された損失係数は、測定可能な変数としてそれ自体が確立している。経験則上、損失係数が大きいほど、典型的な粘弾性材料挙動も触覚的に認識できる可能性が高くなる。遮音用途では、損失係数が大きいほど、通常、減衰特性も向上する。
【0008】
損失係数に加えて、対応する弾性係数が決定的な役割を果たす。従って、損失係数が高いにもかかわらず、比較的硬いフォームは、損失係数が低く硬度が大幅に低いフォームよりも防音特性が悪い可能性がある。異なるポリエーテルポリオールの公知の材料組成物は、粘弾性フォームに使用するために特に市販されることが多く、弾性係数、損失係数、及びMDIインデックスへの予想される依存性を示す。粘弾性フォームの場合に十分な数のハードセグメントを得るためには、それに対応して高い架橋度、すなわち高いMDIインデックスが必要である。しかし同時に、これはより高い強度又は弾性率の増加につながる傾向がある。
【0009】
発泡され、音響的に効果的な自動車用トリム部品の有効性は、全体としてのそれぞれの構成部品コンセプトによって、特に使用されるフォームシステムの特別な特性によって決定される。音響効率は、基本的に吸収と絶縁の2つのカテゴリーに分けられる。成形フォーム部品の吸収の程度は、主に、音に開放された表面の多孔度とサイズ、及び内部の気泡形態(気泡サイズと分布、オープンな気泡と閉じた気泡の数と比率)に依存する。これらは、流動抵抗及び屈曲性の性能決定特性に有意に影響する。
【0010】
比較すると、成形フォームの絶縁特性は、それらの密度と弾性バネ特性によって決定される。フォームの硬度、この場合はフォームの柔らかさに加えて、弾性挙動が決定的な役割を果たす。弾性及び粘弾性フォームの両方のタイプが知られており、特に粘弾性バージョンは、硬度と成形密度に関して同等の設定の弾性フォームよりも高い絶縁(損失係数として表される)を有するため、柔らかい設定では著しく良好な絶縁効果が得られる。このようなフォームの(シート)減衰特性を高めるために、対応する質量層は、通常、高弾性フォームと同様に使用され、いわゆるバネ質量要素に組み合わされてバックフォームされる。全体的な構造の音響効果は、上記のバネの特性(成形フォーム)によって決定されるが、加えて、質量層の特性(単位面積当たりの重量、曲げ柔軟性)によっても決定される。この組み合わせでは、同じバックフォームを有する単位面積当たりのより高い重量が、一般に、自動車分野では通常メタルシートである振動要素の減衰が向上する。多くの場合、シート自体が構造的に評価され、さらに音響挙動を向上させるために、(重い)減衰フォイルが装備される。しかし、この方法は車両重量の増加に直結する。同じことが、バネ質量構造における質量層の単位面積当たりの重量の増加にも当てはまり、この場合、質量だけがシートメタルから音響部品にシフトする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、ポリエーテルポリオールと植物由来のポリエステルポリオールを用いた特別な配合物の使用により、フォームを硬化させることなく、成形されたフォームの損失係数に関する性能を大幅に向上させることで、この欠点を解決することができる。フォームの絶縁効果が最適化されることで、前述のシートメタルダンピングの大幅な低減又は排除、及び/又はバネ質量要素の単位面積当たりの重量の低減が可能になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前述の問題は、以下を含む粘弾性PUR成形フォームを製造するためのポリウレタンフォーム配合物による本発明の第1の実施形態により解決される:
a)ヒドロキシル官能価が2、ヒドロキシル価が50~150mgKOH/g、特にヒドロキシル価が65~90mgKOH/gの範囲であるポリエステルポリオールと、
b)任意で、ヒドロキシル官能価が3、ヒドロキシル価が180~250mgKOH/g、特にヒドロキシル価が220~240mgKOH/gの範囲であるポリエーテルポリオールと、
c)ヒドロキシル官能価が3、ヒドロキシル価が20~40mgKOH/g、特にヒドロキシル価が30~35mgKOH/gの範囲であるポリエーテルポリオールと、
d)ヒドロキシル価が25~45mgKOH/g、特にヒドロキシル価が30~40mgKOH/gの範囲であるブロック/共重合体と、
e)触媒活性添加剤と安定化添加剤との組み合わせ。
【0013】
上記のポリオールを特定できるようにするために、前述の異なるパラメータが従来技術で確率されている:
i)ポリエーテルポリオールを合成する際のスターター分子に依存するヒドロキシル官能価;
ii)ヒドロキシル基含有量の指標であり、mgKOH/gで示されるヒドロキシル又はOH数、これはDIN 53240により決定される;
iii)ポリエーテルポリオールのポリオキシアルキレン鎖の長さの指標である分子量(Mw)。
【0014】
上記の量は、以下の式で相互に関連付けることができる:
56100=OH数-(Mw/ヒドロキシル官能価)。
使用されるポリオールは、使用するスターター分子、結果として生じる官能価、分子量、及び反応性が異なる。さらに、例えば、プレポリマーを使用することにより、イソシアネート成分を介して材料挙動に特定の変更をすることも可能である。
【0015】
本発明の目的は、より適切な成分を使用することにより、所望の音響効果の観点から損失係数と架橋度の負の依存性を逆転させること、特に、このようにして製造された成形フォームの損失係数を大幅に増加させることである。大幅に改善された成形フォームの絶縁効果は、それから作られた遮音の機能的基準を示す。ポリエーテル又はポリエステルポリオールのいずれかのみを使用した既知の反応系とは対照的に、本発明では、従来の石油ベースのポリエーテルポリオールを、再生可能な原材料(この場合はCNSL(カシューナッツ殻液)に基づくポリエステルジオールと任意に組み合わせられ、その結果、著しく良好な音響的に有効な材料特性をもたらす、ハイブリッド配合物を使用する。
【0016】
第一に、CNSLベースのポリエステルジオールの特殊な構造(特に水酸基が直接アクセス可能な芳香環の形をしたハードセグメントが特徴的に天然に存在し、また、これらのポリエステルポリオールの比較的高い反応性)は、低いMDIインデックスでも、比較的低い弾性率と組み合わせて、比較的著しく高い損失係数を達成することができることを意味する。これにより、従来の純粋システムを使用した場合と比較して、システム全体の調整、すなわちMDIインデックスや成形密度が同じであっても、音響的材料特性が大幅に向上する。これにより、例えば、少なくとも同じ音響挙動を有する典型的なバネ質量要素において、全ての減衰フォイルや大幅に軽量化された質量層を排除する点まで、単位面積当たりの重量を減らすことが可能になり、また、騒音の快適性が特に重視され、構造上の重量がむしろ重要な役割を果たすハイエンド用途において、性能を大幅に向上させることができる。
【0017】
同時に、出発原料が再生可能な原材料に基づいているため、使用の持続可能性に貢献することができる。ただし、植物油をベースにした他の多くの製品とは異なり、食料調達と競合するものではなく、自然の副産物として得られるものである。
【0018】
本発明による配合物は、ポリエーテルポリオールに基づく。CNSLベースのポリエステルポリオールとブレンドすることで、前記ハイブリッド配合物が得られる。自動車分野の音響部品の応用分野では、純粋なタイプの配合物、すなわちポリエーテル組成物又はポリエステル組成物のいずれかを使用するのが通例であり、意図された用途に応じて典型的な利点と欠点がある。
【0019】
ハイブリッド配合物の調製に使用されるポリエステルポリオールは、CNSL(カシューナッツ殻液)から得られるポリエステルジオールであることが好ましい。型名カルドライト(登録商標)NX-9203(Cardolite Corporationの製品)、二官能性、ヒドロキシル価98mgKOH/g、25℃での粘度2650cps、再生可能な原材料の計算による含有率69%。
【0020】
本発明によるポリエーテルポリオールb)c)及びd)は、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、又はエピクロロヒドリンなどのエポキシドをそれ自体で重合するか、又は、これらのエポキシドを、任意に混合物で、または次々に、水、アルコール、アンモニア、又はアミンなどの反応性水素原子を有する出発成分に添加することによって、調製される。
【0021】
上記エポキシドの中で特に好ましいのは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドである。非常に好ましくは、使用されるポリエーテルポリオールは、エポキシド成分としてのプロピレンオキシドのみから構成される。
【0022】
ポリエーテルポリオールの合成に複数のエポキシドを使用する場合、後者は、オキシアルキレン単位の任意の所望の配列を有することができる。従って、ホモポリマー(1つのエポキシドのみが使用される場合)、コポリマーd)、「ランダム」コポリマー、「キャップされた」ポリマー、又は、第一級ヒドロキシル基の所望の含有量を達成するために、異なるエポキシドの混合物と「チップ」されたポリマーであることができる。
【0023】
本発明の意味の範囲内の再生可能な原材料は、自然界に存在する化合物であり、この形態で単離することもできると理解される。
【0024】
本発明の目的において、再生可能な原材料に由来しないということは、当該再生可能な原材料の炭素骨格が、成分(b)のポリエーテルポリオール内にもはや含まれていないことを意味する。特に、これは、当該ポリエーテルポリオールが、例えば、再生可能な原料をエポキシドと反応させてポリエーテルポリオールを形成することによって得られたものではないことを意味する。
【0025】
再生可能な原材料としては、ヒマシ油、ポリヒドロキシ脂肪酸、リシノール酸、ブドウ種子油、ブラッククミン油、カボチャ種子油、ルリジサ種子油、大豆油、小麦胚芽油、菜種油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、杏仁油、ピスタチオ油、アーモンド油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、アボカド油、シーバックソーン油、ゴマ油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、月見草油、ワイルドローズ油、サフラワー油、クルミ油などの水酸基で変性したオイル、ミリスチン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸及びリノレン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、クルパノドン酸、セルボン酸をベースとした水酸基で変性した脂肪酸と脂肪酸エステルを挙げることができる。
【0026】
上記の再生可能な原材料には、化学的に修飾された化合物も含まれるが、その場合、炭素骨格自体の連結性は変化しない(例えば、化合物のヒドロキシル化や水素化製品などにより作られた、ヒドロキシル基で修飾された再生可能な原材料など)。
【0027】
可能なスターター化合物としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、及びテレフタル酸などのジカルボン酸を挙げることができる。
【0028】
他の使用可能なスターター化合物としては、例えば、アンモニア、又は、脂肪族及び/又は芳香族アミンが挙げられ、これらは任意に置換されていてもよく、例えば、N-モノアルキル-、N,N-ジアルキル-及び/又はN,N’-ジアルキル置換ジアミンなどが挙げられる。それらは、第1級又は第2級アミノ基を少なくとも1つ有しており、例えば、1,2-ジアミノエタン、1,2-ジアミノエタンのオリゴマー(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、又はペンタエチレンヘキサミンなど)、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノブタン、1,4-ジアミノブタン、1,2-ジアミノヘキサン、1,3-ジアミノヘキサン、1,4-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノヘキサン、1,6-ジアミノベンゼン、2,3-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノトルエン、3,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、2,2’-ジアミノジフェニルメタン、2,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、又はアニリンとホルムアルデヒドを酸触媒で縮合して得られる芳香族アミンなどが挙げられる。さらに適したスターター分子としては、エタノールアミン、N-メチル-及びN-エチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、ジエタノールアミン、N-メチル-及びN-エチルジエタノールアミンなどのジアルカノールアミン類、トリエタノールアミンなどのトリアルカノールアミン類などを挙げることができる。
【0029】
さらに適切なスターター化合物は、2つ以上のヒドロキシル基を有するものであり、例えば、水、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及び、ショ糖、ヒマシ油、変性大豆油などを挙げることができる。スターター化合物は、単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
【0030】
好ましくは、成分(a)~(d)の質量分率(任意で、互いに独立して)は、以下の量である:(a)10~45重量%、特に好ましくは20~30重量%;(b)0~55重量%、特に好ましくは5~20重量%;(c)40~75重量%、特に好ましくは50~70重量%、及び(d)5~50重量%、特に好ましくは5~20重量%。重量パーセントのデータは、それぞれの場合において、ポリオール組成物の総質量を示す。これらの重量比率は、本発明によるポリウレタンフォームの高粘弾性性をもたらすという点で好ましい。
【0031】
特に好ましくは、成分(b)及び(c)のスターター分子としてトリオールが使用され、特にグリセロールが使用される。成分(d)の場合、スターター分子として1,2-ジオールが好ましく使用され、特にプロピレングリコールが好ましい。
【0032】
成型品の製造:
床被覆絶縁材:
絶縁要求が高まった領域/省略又は防音フィルムの単位面積当たりの重量軽減
音響効果-利用可能な設置スペース/重量/足元の抵抗の関係を考慮して、ここではフォームの特性を調整する。フォーム表面の粘着力を調整する際には、床パネルの設置条件を考慮する必要がある。
【0033】
インテリアバルクヘッド:
エンジンの高性能化に伴い、騒音の発生量も増加している。この騒音は、内部で、特にバルクヘッドクラッドで遮断する必要がある。そのためには、より強力な部品が必要となり、これはバネ質量構造、特に質量層の単位面積当たりの重量が大きいもので効率的に表すことができる。同時に、自動でスマートなコンセプトにしようとしてネットワークがますます複雑化し、そのために必要な部品が増える傾向にあり、実際のバルクヘッド絶縁のために利用可能な設置スペースがますます小さくなっている。その結果、これらの部品はますます薄くなり、(この場合はフォーム)体積や層の厚さが不足は、(音響的に)特に効果的なフォーム系を必要とする。記載されているハイブリッド配合物に基づく粘弾性フレキシブルフォームは、非常に高い損失係数のために不足している絶縁体積を補い、従来のシステムでは実現できない比較的コンパクトな絶縁コンセプトを可能する。さらに、同じサイズのフォーム絶縁材でも質量層を大幅に軽量化できるコンセプトを実現することができる。
【0034】
(e)モーターカプセル:
例えば、Tesla、Model Sのようなeモータ用の音響的に効果的なモータカプセルが知られており、これはPUR軟質フォーム及びヘビーホイルからなる。バネ-質量構造に要求される有効性を達成するために、ヘビーホイルの単位面積当たりの重量が大きいことが必要である。特に、水素化物配合物の損失係数は、比較して非常に高いレベルに設定できるため、音響効果の大幅な改善が達成される。同時に、電気自動車に限らず重要な要件であるヘビーホイル部分の軽量化も実現している。CNSL系ポリエステルジオールとその環状構造は、温度安定性を高め、安全性に関連する燃焼挙動を改善する。
【0035】
調主に選択されたポリエステルジオールであるカルドライト(登録商標)NX-9203が粘弾性挙動をモデル化するために使用される、整可能な材料特性の高度な変動。
【0036】
調整可能なフォーム特性 粘性改変 高粘弾性
密度 45~120kg/m 45~75 70~110
貯蔵弾性率 40~600kN/m 60~90 100~600
散逸率 0.1~0.8 0.1~0.26 0.4~0.6
【0037】
構成要素全体のコンセプトに基づく軽量化、軽量化によるCO削減、再生可能な原料の(部分的な)使用、コンパクトな絶縁、燃焼挙動の改善により、追加の難燃剤の削減/排除が可能になる。
【0038】
従来のポリエーテルとポリエステルポリオール、特に粘弾性成形軟質フォーム用に最適化されたCNSLベースのポリエステルジオールの両方を含む混合(ハイブリッド)システムの使用と、使用されるポリエステルジオール(Cardolite(登録商標)NX-9203)によって決定される特殊な粘弾性材料の特性。このようにして得られた軟質フォームは、従来の「純粋な」のシステムによる解決策と比較して、損失係数が高い、あるいは極めて高いという特徴があり、特にバネ質量要素に使用する場合には、必要な質量層を大幅に減らすことができる。設計例
【0039】
ベースポリオールは、分子量6000g/mol、OH官能価=3、ヒドロキシル価28~32mgKOH/g、グリセロールをベースとしたエトキシル化/プロポキシル化ポリエーテルポリオールであるVoranol(登録商標)CP6001(DOW Chemicals社製)であった。
【0040】
さらに、粘弾性材料特性を示すために、従来の純ポリエーテルポリオール系粘弾性システムでよく使用されている、グリセリン系ポリオキシアルキレントリオール(商品名Rokopol(登録商標)V700(PCC Ro-kita社製)、OH官能価=3、ヒドロキシル価225~250mgKOH/g、分子量700g/mol)を使用した(実施形態による)。
【0041】
セルオープナーとして、グリセロールをベースにしたエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であるRokopol(登録商標)Ml 170(PCC Rokita)を使用した。
【0042】
MDI成分として、Specflex(登録商標)NS540(DOW Chemicals社製、NCO含有量31.36~32.57%、酸価130~170mg/kg、25℃における粘度38~60mPa・s)を用いた。
【0043】
RZETA(登録商標)(東ソー株式会社)は、TEDAに由来したアミン系の反応性ゲル触媒で、存在するOH基を介してPURマトリックスに積極的に取り込まれる。
【0044】
Dabco(登録商標)NE300(Evonik, formerly Air Products)は、いわゆる発泡触媒又は推進触媒として水-イソシアネート反応をサポートし、水素-酸NH基を介して受動的に取り込まれた。
【0045】
Tegostab(登録商標)B8736LF2は、主に気泡の安定化のために使用される低フォギング性シリコーン界面活性剤の代表的な製品で、気泡のサイズや分布にも影響を与え、使用する成分の混和性を向上させる。
【0046】
Concentrol(登録商標)STB-PU1259PFは、Productos Concentrol社の排出ガスに最適化された安定剤でもある。
【0047】
実施例1:
本発明の高粘弾性成形フレキシブルフォームの実施形態の例(量は重量部)
ポリオール成分(ハイブリッド配合物)
Voranol(登録商標)CP6001 50
Rokopol(登録商標)V700 30
Cardolite(登録商標)NX-9203 20
Rokopol(登録商標)Ml 170 5.5
水 3.5
Tegostab(登録商標)B8736LF2 0.4
RZETA(登録商標) 1.4
Dabco(登録商標)NE300 0.4
【0048】
イソシアネート成分(Specflex(登録商標)NS540)、ポリオール:MDIの混合比=100:46、成形密度82kg/m
【0049】
実施例2
本発明の意味において、粘弾性的に改質された成形フレキシブルフォームのための実施形態の例(同じ密度でより高い損失係数による改善された減衰挙動/音響的な観点から望ましくないフォームの硬度の増加の回避)。
ポリオール成分:
Voranol(登録商標)CP6001 70
Cardolite(登録商標)NX-9203 30
Rokopol(登録商標)Ml 170 5
水 5
Concentrol(登録商標)STB-PU1259PF 0.3
RZETA(登録商標) 1.25
Dabco(登録商標)NE300 0.35
【0050】
イソシアネート成分(Specflex(登録商標)NS540)、ポリオール:MDIの混合比=100:53
【国際調査報告】