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特表2022-513179ナノニードルを使用したペイロードのアプタマーベースの細胞内送達のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ナノニードルを使用したペイロードのアプタマーベースの細胞内送達のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/87 20060101AFI20220131BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20220131BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/115 20100101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N15/87 Z
C12M1/00 A
C12M1/26
C12N15/115 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531451
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(85)【翻訳文提出日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 US2019045130
(87)【国際公開番号】W WO2020033320
(87)【国際公開日】2020-02-13
(31)【優先権主張番号】62/715,074
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521056216
【氏名又は名称】メコノス,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ナラシンハ,アニル
(72)【発明者】
【氏名】ベルトッツィ,キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】バネルジー,アルナヴァ,スティーヴン
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029AA23
4B029BB15
4B029BB20
4B029HA10
(57)【要約】
アプタマーベースのアプローチを使用して、細胞へのペイロードのex vivo送達のための方法、チップ、及びシステムが提供される。ペイロードを細胞に送達するための方法であって、
ナノニードル及びポリヌクレオチドを提供すること、ここで、前記ポリヌクレオチドの第1の末端が、細胞に内因性の分子に結合することができるアプタマーを含み、ここで、前記ポリヌクレオチドの前記第1の末端が前記ナノニードルにコンジュゲートされており、且つここで、前記ポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含むこと;
前記ペイロードを前記ポリヌクレオチドと接触させること、ここで、前記ペイロードは、前記オリゴヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含有すること;及び
前記ナノニードルを細胞に挿入すること、ここで、前記ナノニードルが前記細胞に挿入されると、前記ペイロードが前記ポリヌクレオチドから放出されること;
を含む方法が提供される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞にペイロードを送達する方法であって、
a. ナノニードル及びポリヌクレオチドを提供すること、
ここで、前記ポリヌクレオチドの第1の末端が、細胞に内因性の分子に結合することができるアプタマーを含み、
ここで、前記ポリヌクレオチドの前記第1の末端が前記ナノニードルにコンジュゲートされており、且つ
ここで、前記ポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含むこと;
b. 前記ペイロードを前記ポリヌクレオチドと接触させること、ここで、前記ペイロードは、前記オリゴヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含有すること;及び
c. 前記ナノニードルを細胞に挿入すること、ここで、前記ナノニードルが前記細胞に挿入されると、前記ペイロードが前記ポリヌクレオチドから放出されること;
を含む方法。
【請求項2】
前記アプタマーがアデノシン三リン酸に結合することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペイロードがヌクレオチドベースの分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ペイロードが、前記細胞のゲノムに安定して組み込まれることができる遺伝物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ペイロードが、所望の標的タンパク質を一時的に発現することができる遺伝物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ペイロードが標的遺伝子の発現を阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ペイロードがタンパク質を機能的に阻害することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ペイロードが、所望の標的を機能的に阻害することができるタンパク質を発現する遺伝物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ペイロードがタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ペイロードが小分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ペイロードが、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる固有のヌクレオチド配列にコンジュゲートされている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞を収容するように構成されたウェルの内部容積に前記ナノニードルを挿入すること、ここで、前記ナノニードルは、前記ナノニードルが前記細胞に挿入されると、前記ペイロードが前記ポリヌクレオチドから放出されるように構成されること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ペイロードを、細胞に送達するためのチップであって、前記チップは、
固体支持体と、
前記固体支持体に取り付けられ、且つポリヌクレオチドを受容するように構成されたナノニードルと、を含み、
ここで、前記ポリヌクレオチドの第1の末端は、細胞に内因性の分子に結合することができるアプタマーを含み、
ここで、前記ポリヌクレオチドの前記第1の末端は、前記ナノニードルにコンジュゲートすることができ、且つ、
ここで、前記ポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードの複数の分子のうちの1つとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含む、チップ。
【請求項14】
当該チップがケイ素から構成される、請求項13に記載のチップ。
【請求項15】
前記アプタマーがアデノシン三リン酸に結合することができる、請求項13に記載のチップ。
【請求項16】
前記ペイロードがヌクレオチドベースの分子である、請求項13に記載のチップ。
【請求項17】
前記ペイロードが、前記細胞ゲノムに安定して組み込まれることができる遺伝物質を含む、請求項13に記載のチップ。
【請求項18】
前記ペイロードが、所望の標的タンパク質を一時的に発現することができる遺伝物質を含む、請求項13に記載のチップ。
【請求項19】
前記ペイロードが標的遺伝子の発現を阻害する、請求項13に記載のチップ。
【請求項20】
前記ペイロードがタンパク質を機能的に阻害することができる、請求項13に記載のチップ。
【請求項21】
前記ペイロードが、所望の標的を機能的に阻害することができるタンパク質を発現する遺伝物質を含む、請求項13に記載のチップ。
【請求項22】
前記ペイロードがタンパク質である、請求項13に記載のチップ。
【請求項23】
前記ペイロードが小分子である、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記ペイロードが、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる固有のヌクレオチド配列にコンジュゲートされている、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記固体支持体に取り付けられた複数のナノニードルをさらに含み、ここで、前記複数のナノニードルのそれぞれがポリヌクレオチドを受容するように構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項26】
複数の分子から構成されるペイロードを、細胞に送達するためのシステムであって、
a. 複数のナノニードル、及び複数のポリヌクレオチド、
ここで、ポリヌクレオチドのうちのそれぞれの1つのそれぞれのポリヌクレオチドの第1の末端は、前記細胞に内因性の分子を結合することができるアプタマーを含み、
ここで、前記それぞれのポリヌクレオチドの前記第1の末端は、前記複数のナノニードルのうちの1つにコンジュゲートされ、且つ、
ここで、前記それぞれのポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードの複数の分子のうちの1つとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含む;
b. 複数のウェル;及び
c. その上に複数のナノニードルを収容し、且つ前記複数のナノニードルを前記複数のウェル内に移動させるように構成された注入装置;
を含むシステム。
【請求項27】
前記アプタマーがアデノシン三リン酸に結合することができる、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記ペイロードがヌクレオチドベースの分子である、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記ペイロードが、前記細胞ゲノムに安定して組み込まれることができる遺伝物質を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
前記ペイロードが、所望の標的タンパク質を一時的に発現することができる遺伝物質を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
前記ペイロードが標的遺伝子の発現を阻害する、請求項25に記載のシステム。
【請求項32】
前記ペイロードがタンパク質を機能的に阻害することができる、請求項25に記載のシステム。
【請求項33】
前記ペイロードが、所望の標的を機能的に阻害することができるタンパク質を発現する遺伝物質を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項34】
前記ペイロードがタンパク質である、請求項25に記載のシステム。
【請求項35】
前記ペイロードが小分子である、請求項25に記載のシステム。
【請求項36】
前記ペイロードが、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる固有のヌクレオチド配列にコンジュゲートされている、請求項25に記載のシステム。
【請求項37】
前記複数のウェルのそれぞれは、ナノニードルが貫通する細胞を収容するように構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項38】
前記注入装置は、前記複数のナノニードルを前記複数のウェル内に移動させるように構成される、請求項25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、「ナノニードルを使用したペイロードのアプタマーベースの細胞内送達」と題され、2018年8月6日に提出された、米国仮特許出願第62/715,074号の優先権及び利益を主張し、その全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本明細書に開示される実施形態は、一般に、ペイロードを細胞に送達するアプタマーベースのシステム及び方法に向けられている。より具体的には、いずれのタイプのペイロードをいずれのタイプの細胞に配送するためのユニバーサルプラットフォームが必要である。
【背景技術】
【0003】
バックグラウンド
生物学的研究及び治療用途におけるその本質的な役割にもかかわらず、外因性化合物及び高分子カーゴの効率的な細胞内送達は、長年の課題のままである。確立されたデリバリー技術の限界は、刺激的な新素材の可能性、病気のメカニズムへの洞察、細胞療法へのアプローチがデリバリーのハードルのために完全に実現されていないため、複数の分野で進歩を妨げてきた。この課題は、例えば、細胞タイプとターゲット材料という2つの広いパラメータのレンズを通して見ることができる。既存の技術は、主に組み合わせのサブセット、特に不死化細胞株及び特定の一次細胞への核酸送達(つまりトランスフェクション)に取り組むことに焦点を合わせている。幹細胞や免疫細胞など、最も刺激的な標的細胞タイプのいくつかも、対処するのが最も困難である。ほぼすべてのカーゴ分子をいずれの細胞タイプに送達するための多用途で堅牢な方法が大いに必要とされている。したがって、本明細書に記載されるような普遍的な送達システム及び方法が必要である。
【0004】
したがって、本明細書に記載されるような普遍的な送達システム及び方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
概要
一態様では、ペイロードを細胞に送達する方法が提供され、当該方法は、ナノニードル及びポリヌクレオチドを提供することを含み、ここで、ポリヌクレオチドの第1の末端は、細胞に内因性の分子を結合することができるアプタマーを含む。さらに、ポリヌクレオチドの第1の末端はナノニードルにコンジュゲートされており、且つ、ポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含む。当該方法は、ペイロードをポリヌクレオチドと接触させることをさらに含み、ここで、ペイロードは、オリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含有する。当該方法は、ナノニードルを細胞に挿入することをさらに含み、ここで、ナノニードルを細胞に挿入すると、ペイロードがポリヌクレオチドから放出される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
別の態様では、ペイロードを細胞に送達するためのチップが提供され、チップは、固体支持体と、固体支持体に取り付けられ、ポリヌクレオチドを受容するように構成されたナノニードルとを含む。ポリヌクレオチドの第1の末端は、細胞に内因性の分子に結合することができるアプタマーを含む。ポリヌクレオチドの第1の末端は、ナノニードルにコンジュゲートすることができる。ポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードの複数の分子のうちの1つとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含む。
【0007】
さらに別の態様では、ペイロードを細胞に送達するためのシステムが提供され、当該システムは、複数のナノニードル、及び複数のポリヌクレオチドを含み、ここで、複数のポリヌクレオチドのそれぞれのそれぞれのポリヌクレオチドの第1の末端は、細胞に内因性の分子を結合することができるアプタマーを含む。それぞれのポリヌクレオチドの第1の末端は、複数のナノニードルのうちの1つにコンジュゲートされている。それぞれのポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードの複数の分子のうちの1つとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含む。当該システムは、複数のウェルと、その上に複数のナノニードルを収容する注入デバイスとをさらに含み、注入デバイスは、複数のナノニードルを複数のウェル内に移動させるように構成される。
【0008】
以下の詳細な説明、ならびに本明細書に添付された特許請求の範囲及び図面から、追加の態様が明らかになるであろう。
【0009】
図面の簡単な説明
本明細書に開示される原理及びその利点をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A-1B】図1A乃至1Dは、様々な実施形態による、ペイロードを細胞に送達する方法を示している。
図1C-1D】図1A乃至1Dは、様々な実施形態による、ペイロードを細胞に送達する方法を示している。
図2図2は、様々な実施形態による、ペイロードを細胞に送達するためのチップを示している。
図3図3は、様々な実施形態による、ペイロードを細胞に送達するためのシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、また、図中のオブジェクトは、必ずしも相互に関連して一定の縮尺で描かれているわけではないことを理解されたい。これらの図は、本明細書に開示される方法、装置、及びシステムの様々な実施形態に明確さと理解をもたらすことのみを目的とした描写である。可能な限り、同じ又は同様の部品を参照するために、図面全体で同じ参照番号が使用される。さらに、図面は、いかなる形であれ、本教示の範囲を制限することを意図するものではないことを理解されたい。
【0012】
詳細な説明
本明細書は、本開示の例示的な実施形態及び用途を説明する。しかしながら、本開示は、これらの例示的な実施形態及び用途、あるいは例示的な実施形態及び用途が動作するか、又は本明細書に記載される方法に限定されない。本教示の様々な実施形態、特徴、目的、及び利点は、説明及び添付の図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。さらに、図は簡略化された又は部分的なビューを示している場合があり、図の要素の寸法は誇張されているか、そうでなければ比例していない場合がある。さらに、「オン」、「接続された(attached to)」、「接続された(connected to)」、「結合された(coupled to)」、又は同様の用語が本明細書で使用されるので、1つの要素(例えば、材料、層、基板、トレイ、ベースプレート、別の金属構造など)は、1つの要素が直接オン、接続、接続、又は接続されているかどうかに関係なく、別の要素に「オン」、「接続される(attached to)」、「接続される(connected to)」、又は「結合される(coupled to)」ことができる。他の要素に結合されているか、1つの要素と他の要素の間に1つ以上の要素が介在している。さらに、要素のリスト(例えば、要素a、b、c)が参照される場合、そのような参照は、リストされている要素のいずれか1つだけで、リストされているすべての要素よりも少ない要素のいずれの組み合わせ、及び/又はリストされたすべての要素の組み合わせを包含することを目的としている。明細書のセクション分割は、レビューを容易にするためだけのものであり、説明されている要素の組み合わせを制限するものではない。
【0013】
本明細書で使用される場合、「comprise」、「comprises」,「comprising」、「contain」、「contains」、「containing」、「have」、「having」、「include」、「includes」及び「including」という用語、並びにそれらの変形は、限定することを意図しておらず、包括的又は制限がなく、追加の、記載されていない添加物、成分、整数、要素、又は方法のステップを除外しない。例えば、特徴のリストを含むプロセス、方法、システム、組成物、キット、又は装置は、必ずしもそれらの特徴だけに限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、システム、組成物、キット、又は装置に明示的に記載されていない、又は固有ではない他の特徴を含み得る。
【0014】
本明細書で使用される「核酸」という用語は、ピリミジン及びプリン塩基、好ましくはそれぞれシトシン、チミン、及びウラシル、ならびにアデニン及びグアニンのいずれのポリマー又はオリゴマー(オリゴヌクレオチド)を包含し得る。Albert L. Lehninger, PRINCIPLES OF BIOCHEMISTRY, at 793-800 (Worth Pub. 1982)を参照。本開示は、いずれのデオキシリボヌクレオチド(DNA)、リボヌクレオチド(RNA)又はペプチド核酸成分、ならびにこれらの塩基のメチル化、ヒドロキシメチル化又はグルコシル化形態などのそれらのいずれの化学的変異体を企図する。ポリマー又はオリゴマーは、組成が不均一又は均一であり得、且つ天然に存在する供給源から単離することができ、又は人工的又は合成的に製造することができる。さらに、核酸は、DNA又はRNA、あるいはそれらの混合物であり得、且つ、一本鎖、又はホモ二本鎖、ヘテロ二本鎖、及びハイブリッド状態を包含する、二本鎖の形で恒久的又は過渡的に存在する可能性がある。
【0015】
本明細書で使用される「アプタマー」という用語は、意図された標的物質と複合体を形成することができるオリゴヌクレオチドを指す。
【0016】
本明細書で使用される「ナノニードル」という用語は、ペイロードを送達するための貫通装置として機能する物体を指すことができる。ペイロードは、例えば、物体の外面を介して、又は物体の流路を介して送達することができる。オブジェクトは通常、ナノメートルのサイズ範囲にある。オブジェクトは、意図されたいずれの形状を有するオブジェクトを備えた構造で中実であり得る。物体は、例えば、円錐形、管状、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、又は楕円形を有することができるが、ペイロードの送達を可能にするいずれの形状が本明細書で企図される。オブジェクトはまた、又は代わりに、ペイロードが通過する流路を所有することができる。流路は、いずれの企図された形状を有することができる。流路は、例えば、円錐形、管状、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、又は楕円形を有することができるが、ペイロードの送達を可能にするいずれの形状が本明細書で企図される。
【0017】
別段の定義がない限り、本明細書に記載の本教示に関連して使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。
【0018】
本開示は、標的細胞への任意のサイズ及びタイプのペイロードの正確なex vivo送達を可能にする普遍的なプラットフォームに関する。本開示は、ペイロードを細胞に送達する方法を提供し、これは、細胞内に見られる分子に結合することができるアプタマーと、アプタマーを認識することができるオリゴヌクレオチドの両方を含有するポリヌクレオチドにコンジュゲートされた制御可能なナノニードルのアレイを利用する。
【0019】
様々な実施形態によれば、ペイロードを細胞に送達する方法は、例えば、図1aから1dに示されるように提供される。図1aに示すように、ナノニードル100及びポリヌクレオチド110を提供することができ、ここで、ポリヌクレオチドの第1の末端は、細胞150(図1c~dを参照)に内因性の分子160(図1c~dを参照)に結合することができるアプタマー120を含む。ポリヌクレオチドの第1の末端は、ナノニードル100上にコーティングされた結合粒子170への付着を介してナノニードル100にコンジュゲートすることができ、且つポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロード140とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド130を含むことができる。図1bに示すように、当該方法は、ペイロード140をポリヌクレオチド110と接触させるステップを含むことができる。ここで、ペイロード140は、オリゴヌクレオチド130に相補的なヌクレオチド配列を包含することができる。図1c-dに示されているように、当該方法はまた、ナノニードル100をセル150に挿入するステップを含み得る。ここで、ナノニードル100を細胞150に挿入すると、ペイロード140がポリヌクレオチド110から放出され、細胞150に送達される。
【0020】
チップ及びシステムに関連する実施形態と同様に、さらなる方法が以下で議論される。本明細書で提供される方法、チップ、及びシステムの先行及び後続の実施形態のすべてにおいて、本明細書で論じられるすべての特徴は、例えば、ナノニードル及び関連材料、ウェル機能及びウェルタイプ、チップ機能及びチップタイプ、ポリヌクレオチド及び対応する付着及びカップリング機能、ナノニードルコーティング、アプタマー、オリゴヌクレオチド、ペイロード及びペイロードタイプ、ならびに標的化するペイロード送達技術(例えば、細胞)、細胞の特徴と細胞の種類、スケーラブルなシステム、及び農業用途に関連し、本明細書で説明されるありとあらゆる実施形態に適用される(例えば、本明細書で提供されるありとあらゆる方法、チップ、及びシステムの実施形態を包含する)。
【0021】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ナノニードルの先端は、一般に、ペイロードを細胞又は細胞内の特定の細胞小器官(例えば、核)に送達するようなサイズにすることができる。様々な実施形態において、ナノニードルの先端は、約10nmから200nmの間の直径を有することができる。様々な実施形態において、約50nmの直径は、ほとんどすべての細胞型について、ペイロードを細胞細胞質及び細胞核の両方に送達するのに十分であり得る。様々な実施形態において、ナノニードルの直径は、標的細胞又は細胞小器官のサイズに部分的に依存し得る。様々な実施形態において、直径は1μm未満である。
【0022】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ナノニードルのより具体的な直径には、約10nm、約15nm、約16nm、約17nm、約18nm、約19nm、約20nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約45nm、約50nm、約55nm、約60nm、約65nm、約70nm、約75nm、約80nm、約85nm、約90nm、約95nm、約100nm、約110nm、約120nm、約130nm、約140nm、約150nm、約160nm、約170nm、約180nm、約190nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、約800nm、約850nm、約900nm、約950nm、約1μm、又は、これらの値のいずれか2つの間の範囲が含まれる。
【0023】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ナノニードルは、細胞内の特定の区画(例えば、核、ミトコンドリアなど)にペイロードを送達するために使用することができる。ナノニードルの直径及び長さは、例えば、標的とされる細胞型及び細胞小器官の相対的なサイズを包含する多くの要因によって変化し得る。例えば、人工多能性幹細胞(iPS細胞)及び同様の細胞タイプの直径範囲は約6~10μmである。他の細胞タイプは、より大きな又はより小さな寸法を持っているかもしれず、及びしたがって、上記で詳細に説明したように、対応して異なるサイズのナノニードルを有する。
【0024】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ナノニードルのより具体的な長さには、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14 μm、約15μm、約16μm、約17μm、約18μm、約19μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、又は、これら2つの値のいずれかの間を含めることができる。
【0025】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ナノニードルはケイ素で構成することができる。シリコンナノニードルは、ポリヌクレオチドのナノニードルへのコンジュゲーションを助けるために様々な物質でコーティングされ得る。様々な実施形態において、ナノニードルは金原子でコーティングされている。金ナノ粒子コーティングは、その独特の表面、化学的不活性、高い電子密度、及び強力な光吸収により、生体分子の付着に役立つ。
【0026】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ナノニードルは、ナノニードルへの核酸のコンジュゲーションを可能にするのに適した他の材料でコーティングされているか、又はそれらから構成され得る。例えば、ナノニードルは、ラングミュア-ボジェットフィルム、官能化ガラス、ゲルマニウム、PTFE、ポリスチレン、ガリウムヒ素、銀、膜、ナイロン、PVP、酸化ケイ素、金属酸化物、セラミック、又は、例えば、アミノ、カルボキシル、ディールス・アルダー反応物、チオール又はヒドロキシルなどの官能基をその表面に組み込むことができる、当技術分野で知られている他のいずれの材料、を含み得る。そのような材料は、ナノニードルからの妨害なしに、核酸の付着及び標的分子とのそれらの相互作用を可能にする。
【0027】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ポリヌクレオチドは、さまざまな方法でナノニードルに付着させることができる。様々な実施形態において、ポリヌクレオチドは、共有結合を介してナノニードルにコンジュゲートされる。様々な実施形態において、チオール(SH)修飾因子は、ポリヌクレオチドの末端に付着している。チオール(SH)修飾因子は、ポリヌクレオチドのさまざまな表面への共有結合を可能にする。SH修飾因子は、ポリヌクレオチドの5‘末端又は3’末端のいずれかに配置できる(ポリヌクレオチド110/210の5‘及び3’末端の相対位置については、図2を参照)。SH修飾剤は、金ナノ粒子を含むさまざまな表面との共有結合を可能にする。
【0028】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ポリヌクレオチドは、アビジン/ビオチンカップリング化学を使用してナノニードルにカップリングすることができる。様々な実施形態において、アビジンは静電相互作用を介してナノニードルに固定化でき(ナノニードルはシリコンなどの負に帯電した材料で構成できる)、次に複雑なビオチン化ヌクレオチドを固定化したアビジンに固定化できる。様々な実施形態において、ビオチン化ポリヌクレオチドは、ビオチンアミドカプロン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(BCHS)を5‘アミノ基を含む修飾ポリヌクレオチドにカップリングすることによって調製される。ポリヌクレオチドの5’末端とビオチン部分の間に6炭素スペーサを提供するために、BCHS誘導体を使用することができる。スペーサは、オリゴヌクレオチドに他のヌクレオチドとのハイブリダイズにおいてよりコンフォメーションの柔軟性を提供すると考えられている。アビジンは、例えば、物理吸着によってシリカ表面に固定化することができる。
【0029】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ及びシステムの実施形態)によれば、ポリヌクレオチドは、メディエーターリンカー分子を介してナノニードルに付着され得る。メディエーターリンカーを使用して、アプタマーをナノニードル上の結合粒子に接続することができる。例えば、メディエーターリンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレンイミン(PEI)であり得る。様々な実施形態によれば、PEG又はPEIリンカーは、ポリヌクレオチドをナノニードルの表面をコーティングする金ナノ粒子に接続するためのリンカーとして使用できるようにチオール化されている。メディエーターリンカーは、非特異的相互作用を減少させ、コンジュゲートの生体適合性と安定性を高めるように機能することができる。PEGやPEIなどの仲介リンカーも、ペイロードの親水性を高める可能性がある。様々な実施形態において、PEG又はPEIなどの仲介リンカーは、容易に溶解されない非常に疎水性のペイロード又は非常に不規則な形状のペイロードに使用され得る。
【0030】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ナノニードルは、図1a乃至d(結合粒子170)に示されるように、結合粒子(例えば、金ナノ粒子)でコーティングされ得る。様々な実施形態において、金でコーティングされたナノニードルはまた、抗体にコンジュゲートすることができる。物理的及び化学的相互作用は、金原子に抗体を結合するために使用される。抗体と金原子間の物理的相互作用は、例えば(a)負に帯電した金と正に帯電した抗体の間のイオン引力、(b)抗体と金表面の間の疎水性引力、及び(c)金伝導電子と抗体のアミノ酸硫黄原子との間の供与結合(dative binding)などのさまざまな現象に依存する可能性がある。抗体と金ナノ粒子の間の化学的相互作用は、例えば、(i)チオール誘導体を介した化学吸着、(ii)二官能性リンカーの使用、及び(ii)ストレプトアビジンやビオチンなどのアダプター分子の使用、などの多くの方法で達成することができる。抗体のコンジュゲーションには、共有結合及び/又は非共有結合による方法が含まれる。
【0031】
図1a乃至1dを参照して上で論じたように、ポリヌクレオチド110は、少なくとも1つのアプタマー120及び少なくとも1つのオリゴヌクレオチド130を構成されることができる。アプタマー及びオリゴヌクレオチドは、ナノニードル100にコンジュゲートされるようにいずれの順序で配置することができる。様々な実施形態において、アプタマーの5‘末端は、ナノニードル100にコンジュゲートすることができ、アプタマーの3’末端は、オリゴヌクレオチドの5‘末端に結合する(例えば、図2のポリヌクレオチド210を参照)。様々な実施形態によれば、アプタマーの3’末端をナノニードルにコンジュゲートすることができ、アプタマーの5‘末端をオリゴヌクレオチドの3’末端に融合させることができる。様々な実施形態において、オリゴヌクレオチドは、一端でナノニードルにコンジュゲートされ得、そして他端でアプタマーにコンジュゲートされ得る。コンジュゲーションは、ハイブリダイズする核酸テンプレートの能力又はその後のPCR増幅に影響を与えないように行うことができる。そのような技術は従来のものであり、当技術分野でよく知られている。
【0032】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ及びシステムの実施形態)に従って論じられるものなどのアプタマーは、特定の標的分子に結合するように設計することができる。一般的に、アプタマーは核酸から構成される高分子である。核酸の典型的なものとして、特定のアプタマーは、ヌクレオチドの線形配列(A、U又はT、C及びG)によって記述され得る。アプタマーは、RNA又はDNAで構成することができる。アプタマーの長さに物理的な制限はない。アプタマーの長さを長くすると、アプタマー自体の安定性を高めることができる。アプタマーの形状は、その標的分子の表面にしっかりと結合する能力に寄与することができます。ヌクレオチド配列の可能性の中には非常に幅広い分子形状が存在するため、さまざまな分子標的に対してアプタマーを取得することができる。
【0033】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ及びシステムの実施形態)によれば、細胞内に存在する分子に結合することができるアプタマーを提供することができる。そのような分子は、ペイロードが送達される細胞タイプに依存する可能性がある。様々な実施形態において、アプタマーは、アデノシン三リン酸(ATP)に結合することができる。ATPは細胞内に豊富に存在するため、ペイロードが細胞に送達されると、様々な実施形態において、ATPはアプタマーに結合し、ポリヌクレオチドのコンフォメーションを変化させ、ペイロードを細胞に放出させる。細胞内に見られる他のタンパク質又は分子にも結合する他のアプタマーを設計することができる。例えば、様々な実施形態において、アプタマーは、GTP、AKT又はRasなどの分子を認識する。ポリヌクレオチドへの結合についてペイロードと競合するのに十分な濃度で細胞(又は標的細胞小器官)に存在するいずれの分子は、本明細書で提供される様々な実施形態に従って好適であり得る。様々な実施形態において、細胞内のアプタマー(又は標的細胞小器官)に結合する分子の濃度は、約0.01mM、約0.5mM、約0.1mM、約0.2mM、約0.4mM、約0.6mM、約0.8mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約20mM、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である可能性がある。細胞内の標的の相対的な存在量及びアプタマーに対するその親和性は、ペイロードの放出の効率に影響を与える可能性がある。様々な実施形態において、突然変異は、標的分子へのその親和性を増加又は減少させるアプタマーに導入され得る。
【0034】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、複数のタイプのポリヌクレオチドがナノニードルにコンジュゲートされている。様々な実施形態において、ナノニードルは、一度に複数のペイロードを細胞に送達することができる。これは、例えば、ナノニードルに複数のタイプのポリヌクレオチドを付着させることによって達成することができる(すなわち、固有のオリゴヌクレオチド配列を有する2つのペプチド)。様々な実施形態において、2つの固有のポリヌクレオチドは、2つの固有のアプタマー及び2つの固有のオリゴヌクレオチドを含有する。様々な実施形態において、2つの固有のポリヌクレオチドは、2つの固有のオリゴヌクレオチドを含むが、同じアプタマーを含有する。ナノニードルに結合される特定の数の固有のポリヌクレオチドに制限はなく、細胞に送達される特定の数の別個のペイロードに限定されない。様々な実施形態において、約2、約3、約4、約5、約6、約8、又は約10の固有のポリヌクレオチド配列、又はこれらの値のうちのいずれの2つの間の範囲が提供される。
【0035】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ及びシステムの実施形態)によれば、オリゴヌクレオチド(複数可)はまた、可変長であり得る。様々な実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド長であり得る。様々な実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、少なくとも8ヌクレオチド(nt)の長さであり得る。様々な実施形態において、オリゴヌクレオチドの長さは、約4nt、約5nt、約6nt、約7nt、約8nt、約9nt、約10nt、約11nt、約12nt、約13nt、約14nt、約15nt、約16nt、約17nt、約18nt、約19nt、約20nt、約21nt、約22nt、約23nt、約24nt、約25nt、約26nt、約27nt、約28nt、約29nt、約30nt、約35nt約40nt、約45nt、約50nt、約55nt、約60nt、約65nt、約70nt、約75nt、約80nt、約85nt、約90nt、約95nt、約100nt、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であり得る。オリゴヌクレオチドは、DNA又はRNAで構成することができる。オリゴヌクレオチドは、ペイロードにあるヌクレオチド配列に100%相補的である必要はない。様々な実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ペイロードが細胞にペイロードを送達するのに十分な強度でポリヌクレオチドとハイブリダイズするように、ペイロード上に見出される塩基に相補的な十分な数の塩基を含み得る。様々な実施形態において、
ペイロード上の相補的塩基に対応するオリゴヌクレオチド上のヌクレオチド塩基のパーセンテージは約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、又はいずれの2つの値の間の範囲である。
【0036】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ペイロードは、ヌクレオチドベースの分子であり得る。例えば、様々な実施形態において、ペイロードは、例えば、ウイルスDNA又はRNA粒子などのDNA又はRNAのいずれかから構成される。様々な実施形態において、ペイロードの一部は、ペイロードがオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするように、オリゴヌクレオチドに相補的な配列を含む。ペイロードが細胞に送達されるのに十分な強度でオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる限り、ペイロードがオリゴヌクレオチドに対して100%相補的である必要はない。例えば、ペイロードの8~12ヌクレオチドはオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる。様々な実施形態において、ペイロード長は、約4nt、約5nt、約6nt、約7nt、約8nt、約9nt、約10nt、約11nt、約12nt、約13nt、約14nt、約15nt、約16nt、約17nt、約18nt、約19nt、約20nt、約21nt、約22nt、約23nt、約24nt、約25nt、約26nt、約27nt、約28nt、約29nt、約30nt、約35nt約40nt、約45nt、約50nt、約55nt、約60nt、約65nt、約70nt、約75nt、約80nt、約85nt、約90nt、約95nt、又は約100nt、又はオリゴヌクレオチドをハイブリダイズする(と相補的)ことができるこれらの値の任意の2つの間の範囲であり得る。オリゴヌクレオチドとハイブリダイズするペイロードのヌクレオチドは、ペイロードが細胞に送達されるのに十分な強度でハイブリダイズすることができる限り、ヌクレオチドベースのペイロード上のどこにでも存在し得る(3‘末端、5’末端、又はその間のいずれの場所)。様々な実施形態において、ペイロードは、環状ヌクレオチド配列であり得る。様々な実施形態において、ペイロードは、線形ヌクレオチド配列であり得る。様々な実施形態において、ペイロードは一本鎖ヌクレオチドである。様々な実施形態において、ペイロードは、環状DNA(すなわち、プラスミド)である。ペイロードは線形DNAにすることもできる。ペイロードは、ハイブリッドDNA-RNA分子にすることもできる。
【0037】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、本明細書で提供される様々な実施形態を使用して、いずれのタイプの細胞へのいずれの種類のペイロードを送達することができる。様々な実施形態において、タンパク質、ペプチド、代謝物、ウイルス、キャプシドナノ粒子、膜不透過性薬物、外因性オルガネラ、分子プローブ、ナノデバイス、及びナノ粒子はすべて、細胞内送達の潜在的なペイロードである。そのような分子が「ヌクレオチドベース」でない場合(すなわち、DNA又はRNAから構成されていない場合)、ペイロードは、オリゴヌクレオチド鎖に相補的な塩基を有する短いヌクレオチド配列にコンジュゲートされ得る。様々な実施形態において、短いヌクレオチド配列長は、約4nt、約5nt、約6nt、約7nt、約8nt、約9nt、約10nt、約11nt、約12nt、約13nt、約14nt、約15nt、約16nt、約17nt、約18nt、約19nt、約20nt、約21nt、約22nt、約23nt、約24nt、約25nt、約26nt、約27nt、約28nt、約29nt、約30nt、約35nt、約40nt、約45nt、約50nt、約55nt、約60nt、約65nt、約70nt、約75nt、約80nt、約85nt、約90nt、約95nt、約100nt、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であり得る。
【0038】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ及びシステムの実施形態)によれば、阻害抗体及び刺激性転写因子などの生細胞へのタンパク質生物学的製剤の体系的な送達のための方法、チップ及びシステムが提供される。様々な実施形態において、方法、チップ、及びシステムは、DNAをサイレンシングするために提供される。例えば、ペイロードは、siRNA、HDAC阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、又は遺伝子発現を増加又は減少させることができる他の分子を含み得る。様々な実施形態において、ペイロードは、特定の細胞内シグナル伝達経路を阻害又は増強することができるタンパク質(抗体又は酵素など)又は小分子薬物である。様々な実施形態において、方法、チップ、及びシステムは、細胞内の物理的及び化学的特性を測定するためのナノデバイス、センサー、及びプローブの細胞内送達のために提供される。様々な実施形態において、プローブは、ナノプラズモニック光スイッチ、カーボンナノチューブ及び量子ドットなどの機能性材料から生成することができる。様々な実施形態において、本明細書で提供される方法、チップ及びシステムは、特定の機能(例えば、細胞の幹細胞への再プログラミング)の有効性に不可欠なタンパク質を送達するために使用され得る。様々な実施形態において、ペイロードは、Oct4及びSox2などの転写因子である。様々な実施形態において、ペイロードは、転写因子を核に直接送達する。このような送達は、細胞を人工多能性幹細胞(iPS細胞)に再プログラミングする効率を高めることができる。タンパク質の送達は、特定の状況では、再プログラミングの効率を実際に制限する可能性のあるタンパク質の転写/翻訳を控える(forego)ために必要な場合がある。様々な実施形態において、本明細書で提供される方法、チップ及びシステムは、異常な表現型を与える変異又は非機能性細胞質タンパク質を有する細胞にタンパク質を直接送達することを包含することができる(例えば、ドミナントネガティブRasを有する細胞型に機能性Ras分子を加えること)。
【0039】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ペイロードは、細胞のゲノムに安定して組み込まれることができる遺伝物質を含む。様々な実施形態において、CRISPRベースの技術を利用することができる。例えば、様々な実施形態において、
ペイロードは、crRNAと細胞内のCasタンパク質(例えば、Cas9、Cas 12、Cas13a、又はその他のCas分子)と複合体を形成してgRNAの任意の20ヌクレオチドに相補的な標的DNA部位の切断を仲介することができるtracrRNAで構成されるgRNA分子である(CRISPR-CASシステム)。様々な実施形態において、このgRNAは、Cas発現細胞に送達される。様々な実施形態において、Cas発現細胞は、例えば、Cas又はCas類似体又は誘導体を発現するレンチウイルスベクターで最初に細胞をトランスフェクトすることによって、最初に作成される。様々な実施形態において、Casは、様々な実施形態に従って、細胞に送達され得、ここで、Casタンパク質(又はCasを発現するプラスミド)は、ペイロードである。様々な実施形態において、Casを発現するための遺伝子及びgRNAを発現するための遺伝子は、単一のベクターに配置される。様々な実施形態において、Cas遺伝子及びgRNA遺伝子は、2つの異なるプロモーターの制御下に置かれる。様々な実施形態によれば、少なくとも2つの固有のポリヌクレオチド、gRNAとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含む第1のポリヌクレオチド、及びCas又はCas類似体又は誘導体とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含む第2のポリヌクレオチド、がナノニードルにコンジュゲートされている。様々な実施形態によれば、第3の固有のポリヌクレオチドをナノニードルにコンジュゲートすることができ、これは、CRISPR-CASシステムを使用して細胞のゲノムに挿入するためにドナーDNAの断片とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含むことができる。
【0040】
他のゲノム編集技術もまた、様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)に従って細胞に送達され得る。例えば、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又はジンクフィンガーヌクレアーゼは、ペイロードとして細胞に送達され得る。TALENとジンクフィンガーヌクレアーゼはどちらも、特定のDNA配列を認識し、DNA切断とそれに続くゲノム編集を誘導できるタンパク質である。TALEN又はジンクフィンガーヌクレアーゼのいずれかを、オリゴヌクレオチドとハイブリダイズできる固有のDNA配列に結合させることができる。様々な実施形態において、少なくとも2つの固有のポリヌクレオチド、1)細胞のゲノムDNAを正確な配列で切断するためにTALEN又はジンクフィンガーヌクレアーゼタンパク質にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含む第1のポリヌクレオチド;及び2)細胞のゲノムに挿入するためにドナーDNAの一部にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含む第2のポリヌクレオチド;が提供される。様々な実施形態において、両方のポリヌクレオチドは、同じナノニードルにコンジュゲートすることができる。
【0041】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ及びシステムの実施形態)によれば、遺伝子発現の一過性の変化が望ましい場合がある。例えば、様々な実施形態において、ペイロードは、細胞療法の製造のためのex vivoスビボ分化を可能にする遺伝物質を含み得る。ただし、目的の細胞タイプが作成されて患者に展開されると、遺伝物質の発現は治療への応用に必要でなくなる可能性があり、悪影響を与える可能性さえある。そのような場合、遺伝子発現の一過性の変化が適切である可能性がある。様々な実施形態において、ペイロードは、標的細胞において一過性に発現されるが、細胞のゲノムに安定して組み込まれていない遺伝物質から構成され得る。
【0042】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ及びシステムの実施形態)によると、いずれの細胞型に適用可能であり得る。例えば、様々な実施形態において、標的細胞は、免疫細胞(例えば、B細胞又はT細胞)である。様々な実施形態において、標的細胞は、幹細胞(例えば、造血幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞)である。標的細胞は、特定の細胞タイプ又は生物に限定されない。細胞は、例えば、真核生物又は原核生物;植物又は動物又は細菌細胞;であり得る。細胞型はまた、例えば、HeLa、293s、癌/形質転換細胞、及び一次細胞などの操作に使用された細胞株であり得る(いずれの器官由来の細胞型が使用され得る)。細胞はモデル生物、例えば、ショウジョウバエ、C.elegans、ゼブラフィッシュ、アフリカツメガエル、酵母など、からのものでもよい。細胞は、他の植物モデル生物、例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis)など、に由来することもある。
【0043】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)は、細胞ベースの治療のためのスケーラブルなシステムを提供することができる。様々な実施形態(例えば、方法、チップ及びシステムの実施形態)によれば、癌治療のために遺伝物質を自己複製造血幹細胞及びT細胞に送達するための方法、チップ及びシステムを提供することができる。様々な実施形態(例えば、方法、チップ及びシステムの実施形態)によれば、方法、チップ、及びシステムは、CAR-T細胞療法、免疫療法、自己複製造血幹細胞、及び免疫療法用のT細胞などのex vivo細胞ベースの遺伝子治療に使用できる。例えば、造血幹細胞では、ex vivo遺伝子治療は、複合免疫不全症(SCID)-X1、ウィスコット・アルドリッチ症候群、β-サラセミアなどの単一遺伝子疾患の変異を修正するために使用できる。T細胞の場合、腫瘍標的に対する新規機能は、特定のT細胞受容体及びキメラ抗原受容体の誘導発現とそれに続く養子細胞移植によってex vivoで指示することができる。様々な実施形態において、固体組織はまた、本明細書で提供される方法、チップ及びシステムを使用してex vivoで操作され得る。例えば、本明細書で提供される様々な方法、チップ及びシステムの実施形態は、表皮幹細胞、骨、脾臓、肺、結腸又はいずれの他の固形組織細胞タイプのex vivo形質導入を通じて、組織工学を容易にするために使用され得る。様々な実施形態において、サイトカインの誘導された分泌又はプログラムされた薬剤耐性及び安全スイッチは、ex vivo操作によってこれらの細胞型に操作され得る。
【0044】
本明細書で提供される様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)は、農業ベースの方法にも使用することができる。例えば、本明細書で提供される様々な方法、チップ及びシステムの実施形態は、植物機能の根底にある分子メカニズムを研究し、病気と戦い、そして植物の生産性を高めるために使用され得る。植物の遺伝子工学は急速に成長している分野になりつつあり、植物のゲノムを操作することで、植物の育種、植物の安定性、有害なウイルス/細菌への耐性などの分野を強化できる。CRISPR/Casシステムは、イネの草丈を変更したり、大豆植物の遺伝子に突然変異を導入して植物のサイズを大きくしたりするなど、さまざまな結果を生み出すために提供できる。これらのペイロードを送達することは、細胞壁を持っているため、植物細胞ではさらに困難な場合があります。これは、定義上、浸透するのが困難である。本明細書の様々な実施形態によって提供されるようなナノニードルアプタマーベースのアプローチを使用して、細胞壁を横断し、より高い効率でペイロードを送達することができる。
【0045】
様々な実施形態において、ペイロードを細胞に送達する方法は、ナノニードル及びポリヌクレオチドを提供することを含むように提供される。ポリヌクレオチドの第1の末端は、細胞に内因性の分子に結合することができるアプタマーを含むことができる。ポリヌクレオチドの第1の末端は、ナノニードルに結合させることができる。ポリヌクレオチドの第1の末端は、ナノニードルに結合させることができる。ポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含むことができる。この方法は、ペイロードと接触するように配置されるように設計及び構成されるようにナノニードルを配向することをさらに含むことができる。当該方法は、細胞を収容するように設計及び構成されたウェルの内部容積にナノニードルを挿入することをさらに含むことができる。ここで、ナノニードルは、ナノニードルが細胞に挿入されると、ペイロードがポリヌクレオチドから放出され、細胞に送達されるように設計及び構成されている。
【0046】
様々な実施形態(例えば、方法、チップ及びシステムの実施形態)によれば、ナノニードルを細胞に挿入してペイロードを送達することができるように、細胞を保持するためのウェルを提供することができる。ウェルは、単一のセルを収容できる限り、いずれのサイズ、形状、又は材料にすることができる。様々な実施形態において、ウェルは、細胞がウェルに付着することを可能にする物質(例えば、ポリリジン)でコーティングすることができる。様々な実施形態において、ウェルはパーティションであり得る。様々な実施形態において、ウェルはチャンバであり得る。様々な実施形態において、ウェルは、マイクロ流体チャンバであり得る。様々な実施形態において、ウェルはチューブである。様々な実施形態において、ウェルはマイクロアレイであり得る。様々な実施形態において、ウェルは、レーン(例えば、フローセル上のレーン)であり得る。様々な実施形態において、ウェルは、細胞捕捉デバイスであり得る(例えば、誘電泳動を介して)。様々な実施形態において、複数のウェルをマイクロプレート上に配置することができる。
【0047】
上で論じたように、本明細書で提供される方法、チップ、及びシステムの先行及び後続の実施形態のすべてにおいて、本明細書で論じられるすべての特徴は、例えば、ナノニードル及び関連する材料、ウェル機能(features)とウェルタイプ、チップ機能とチップタイプ、ポリヌクレオチドと対応するアタッチメントとカップリング機能、ナノニードルコーティング、アプタマー、オリゴヌクレオチド、ペイロードとペイロードタイプ、及びターゲット(例えば細胞)へのペイロー送達技術、細胞機能と細胞タイプ、スケーラブルシステム、及び農業用途、に関連し、本明細書に記載のありとあらゆる実施形態(例えば、本明細書で提供されるありとあらゆる方法、チップ、及びシステムの実施形態を包含する)に適用される。
【0048】
様々な実施形態によれば、ペイロードを細胞に送達するためのチップ260は、例えば、図2によって示されるように提供される。チップ260は、ポリヌクレオチド(又は図示のように複数のポリヌクレオチド210を受け取るように構成されたナノニードル(又は図示の場合は複数のナノニードル200)を含み得、ここで、各ナノニードルは関連するポリヌクレオチドを受容するように構成される。さらに、各ポリヌクレオチドの第1の末端は、細胞に内因性の分子に結合することができるアプタマー220を含むことができる。さらに、各ポリヌクレオチド210の第1の末端は、関連するナノニードル200にコンジュゲートすることができる。さらに、各ポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロード240とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド230を含むことができる。様々な実施形態において、チップは、単一のナノニードルを含むことができる。様々な実施形態では、チップ260は、ナノニードル(又は図示のように複数のナノニードル)が取り付けられた固体支持体270を含むことができる。
【0049】
様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、チップは、ニードル又は複数のナノニードルを取り付けるための固体支持体270を提供することができるいずれの材料で作ることができる。様々な実施形態では、チップはケイ素でできている。様々な実施形態では、チップはガラスでできている。様々な実施形態では、チップはポリマーから構成される。様々な実施形態では、チップは、複数の基板で構成される。
【0050】
様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、複数のナノニードルがチップに取り付けられている。様々な実施形態において、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、約3000、約3100、約3200、約3300、約3400、約3500、約3600、約3700、約3800、約3900、約4000、約4100、約4200、約4300、約4400、約4500、約4600、約4700、約4800、約4900、約5000、約5100、約5200、約5300、約5400、約5500、約5600、約5700、約5800、約5900、約6000、約6100、約6200、約6300、約6400、約6500、約6600、約6700、約6800、約6900、約7000、約7100、約7200、約7300、約7400、約7500、約7600、約7700、約7800、約7900、約8000、約8100、約8200、約8300、約8400、約8500、約8600、約8700、約8900、約9000、約9100、約9200、約9300、約9400、約9500、約9600、約9700、約9800、約、9900、約10000、約100万、約200万、約3百万、約400万又は約500万ナノニードルが存在し、又は、これらの値のいずれか2つの間の範囲がチップに取り付けられている。
【0051】
様々な実施形態(例えば、方法、チップ、及びシステムの実施形態)によれば、ウェルは、ナノニードルを細胞に挿入してペイロードを送達することができるように、細胞を保持するように提供することができる。ウェルは、単一のセルを収容できる限り、いずれのサイズ、形状、又は材料にすることができる。様々な実施形態において、ウェルは、細胞がウェルに付着することを可能にする物質(例えば、ポリリジン)でコーティングすることができる。様々な実施形態において、ウェルはパーティションであり得る。様々な実施形態において、ウェルはチャンバであり得る。様々な実施形態において、ウェルは、マイクロ流体チャンバであり得る。様々な実施形態において、ウェルはチューブである。様々な実施形態において、ウェルはマイクロアレイであり得る。様々な実施形態において、ウェルは、レーン(例えば、フローセル上のレーン)であり得る。様々な実施形態において、ウェルは、細胞捕捉デバイスであり得る(例えば、誘電泳動を介して)。様々な実施形態において、複数のウェルをマイクロプレート上に配置することができる。
【0052】
上で論じたように、本明細書で提供される方法、チップ、及びシステムの先行及び後続の実施形態のすべてにおいて、本明細書で論じられるすべての特徴は、例えば、ナノニードル及び関連材料、ウェル機能とウェルタイプ、チップ機能とチップタイプ、ポリヌクレオチドと対応するアタッチメントとカップリング機能、ナノニードルコーティング、アプタマー、オリゴヌクレオチド、ペイロードとペイロードタイプ、及びターゲット(例えば細胞など)へのペイロード送達技術、細胞機能と細胞タイプ、スケーラブルシステム、及び農業用途、に関連し、本明細書に記載のありとあらゆる実施形態(例えば、本明細書で提供されるありとあらゆる方法、チップ、及びシステムの実施形態を包含する)に適用される。
【0053】
様々な実施形態によれば、ペイロードを細胞に送達するためのシステムが、図3に示されるように提供される。当該システムは、複数のナノニードル300、及び複数のポリヌクレオチド310を含むことができる。それぞれのポリヌクレオチドの第1の末端は、細胞に内因性の分子に結合することができるアプタマーを含むことができる(図1a乃至1dに関連する上記の議論を参照)。それぞれのポリヌクレオチドの第1の末端は、複数のナノニードルの関連する1つにコンジュゲートすることができる。さらに、ポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含むことができる(図1a乃至1dに関連する上記の議論を参照のこと)。システムは、複数のウェル320をさらに含むことができ、ここで、各ウェルは、複数のナノニードルのうちのそれぞれの1つが貫通される細胞330を収容するように構成することができる。システムは、複数のナノニードルを複数のウェルの定義された範囲内に移動するように構成することができる注入装置340をさらに含むことができる。様々な実施形態において、システムは、単一のナノニードル及び単一のウェルを含み得る。ナノニードル、又は複数のナノニードルは、注射装置340の中又は上に収容することができる。例えば、図3に示されるように、複数のナノニードル300が、注入装置340上に提供される。
【0054】
上記のように、本明細書で提供される方法、チップ、及びシステムのすべての実施形態において、本明細書で論じられるすべての特徴は、例えば、ナノニードル及び関連材料、ウェル機能とウェルタイプ、チップ機能とチップタイプ、ポリヌクレオチドと対応するアタッチメントとカップリング機能、ナノニードルコーティング、アプタマー、オリゴヌクレオチド、ペイロードとペイロードタイプ、及びターゲット(セルなど)へのペイロード配信技術、セル機能とセルタイプ、スケーラブル システム、及び農業用途、に関連し、本明細書に記載のありとあらゆる実施形態(例えば、本明細書で提供されるありとあらゆる方法、チップ、及びシステムの実施形態を包含する)に適用される。
【0055】
本発明の特定の実施形態及び用途が本明細書に記載されているが、これらの実施形態及び用途は単なる例示であり、多くの変形が可能である。
【0056】
実施形態の列挙
実施形態1
細胞にペイロードを送達する方法であって、
ナノニードル及びポリヌクレオチドを提供すること、ここで、前記ポリヌクレオチドの第1の末端が、細胞に内因性の分子に結合することができるアプタマーを含み、ここで、前記ポリヌクレオチドの前記第1の末端が前記ナノニードルにコンジュゲートされており、且つここで、前記ポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含むこと;
前記ペイロードを前記ポリヌクレオチドと接触させること、ここで、前記ペイロードは、前記オリゴヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むこと;及び
前記ナノニードルを細胞に挿入すること、ここで、前記ナノニードルが前記細胞に挿入されると、前記ペイロードが前記ポリヌクレオチドから放出されること;
を含む方法。
【0057】
実施形態2
前記ナノニードルが金原子でコーティングされている、実施形態1に記載の方法。
【0058】
実施形態3
チオール基が前記ポリヌクレオチドの前記第1の末端に結合され、前記ポリヌクレオチドが前記金原子でコーティングされたナノニードルにチオール化される、実施形態2に記載の方法。
【0059】
実施形態4
前記アプタマーがアデノシン三リン酸に結合することができる、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0060】
実施形態5
前記ペイロードがヌクレオチドベースの分子である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0061】
実施形態6
前記ペイロードがDNAを含む、実施形態5に記載の方法。
【0062】
実施形態7
前記ペイロードがRNAを含む、実施形態5に記載の方法。
【0063】
実施形態8
前記ペイロードが、前記細胞のゲノムに安定して組み込まれることができる遺伝物質を含む、実施形態5に記載の方法。
【0064】
実施形態9
前記ペイロードが、所望の標的タンパク質を一時的に発現することができる遺伝物質を含む、実施形態5に記載の方法。
【0065】
実施形態10
前記ペイロードが標的遺伝子の発現を阻害する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0066】
実施形態11
前記ペイロードがsiRNAからなる、実施形態10に記載の方法。
【0067】
実施形態12
前記ペイロードがタンパク質を機能的に阻害することができる、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0068】
実施形態13
前記ペイロードが、所望の標的を機能的に阻害することができるタンパク質を発現する遺伝物質を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0069】
実施形態14
前記ペイロードが環状である、実施形態1から13のいずれかに記載の方法。
【0070】
実施形態15
前記ペイロードが線形ヌクレオチド配列である、実施形態1から13のいずれかに記載の方法。
【0071】
実施形態16
前記ペイロードが一本鎖である、実施形態1から13のいずれかに記載の方法。
【0072】
実施形態17
前記ペイロードがRNAプラスミドである、実施形態7に記載の方法。
【0073】
実施形態18
前記ペイロードがタンパク質である、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施形態19
前記ペイロードが小分子である、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態20
前記ペイロードが、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる固有のヌクレオチド配列にコンジュゲートされている、実施形態18又は19に記載の方法。
【0076】
実施形態21
ペイロードを細胞に送達する方法であって、
ナノニードル及びポリヌクレオチドを提供すること、ここで、前記ポリヌクレオチドの第1の末端が、細胞に内因性の分子に結合することができるアプタマーを含み、ここで、前記ポリヌクレオチドの前記第1の末端が前記ナノニードルにコンジュゲートされており、且つここで、前記ポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含むこと;
ペイロードと接触するように配置されるように構成されるようにナノニードルを配向すること;及び
細胞を収容するように構成されたウェルの内部容積に前記ナノニードルを挿入すること、ここで、前記ナノニードルは、前記ナノニードルが前記細胞に挿入されると、前記ペイロードが前記ポリヌクレオチドから放出されるように構成されること;
を含む方法。
【0077】
実施形態22
前記ナノニードルが金原子でコーティングされている、実施形態21に記載の方法。
【0078】
実施形態23
チオール基が前記ポリヌクレオチドの前記第1の末端に結合され、ここで、前記ポリヌクレオチドが前記金原子でコーティングされたナノニードルにチオール化される、実施形態22に記載の方法。
【0079】
実施形態24
前記アプタマーがアデノシン三リン酸に結合することができる、実施形態21から23のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態25
前記ペイロードがヌクレオチドベースの分子である、実施形態21から24のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
実施形態26
前記ペイロードがDNAから構成される、実施形態25に記載の方法。
【0082】
実施形態27
前記ペイロードがRNAから構成される、実施形態25に記載の方法。
【0083】
実施形態28
前記ペイロードが、細胞ゲノムに安定して組み込まれることができる遺伝物質を含む、実施形態25に記載の方法。
【0084】
実施形態29
前記ペイロードが、所望の標的タンパク質を一時的に発現することができる遺伝物質を含む、実施形態25に記載の方法。
【0085】
実施形態30
前記ペイロードが標的遺伝子の発現を阻害する、実施形態21から29のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
実施形態31
前記ペイロードがsiRNAから構成される、実施形態30に記載の方法。
【0087】
実施形態32
前記ペイロードがタンパク質を機能的に阻害することができる、実施形態21から31のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態33
前記ペイロードが、所望の標的を機能的に阻害することができるタンパク質を発現する遺伝物質を含む、実施形態21から32のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態34
前記ペイロードが環状である、実施形態21から33のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態35
前記ペイロードが線形ヌクレオチド配列である、実施形態21から33のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態36
前記ペイロードが一本鎖である、実施形態21から33のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
実施形態37
前記ペイロードがRNAプラスミドである、実施形態27に記載の方法。
【0093】
実施形態38
前記ペイロードがタンパク質である、実施形態21から24のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
実施形態39
前記ペイロードが小分子である、実施形態21から24のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
実施形態40
前記ペイロードが、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる固有のヌクレオチド配列にコンジュゲートされている、実施形態38又は39に記載の方法。
【0096】
実施形態41
複数の分子を含むペイロードを、複数のナノニードル及び複数のポリヌクレオチドを含む細胞に送達するためのチップであって、
ここで、前記ポリヌクレオチドの第1の末端は、細胞に内因性の分子を結合することができるアプタマーを含み、
ここで、前記ポリヌクレオチドの前記第1の末端は前記ナノニードルにコンジュゲートされており、且つ、
ここで、前記ポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードの複数の分子のうちの1つとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含む、チップ。
【0097】
実施形態42
当該チップがケイ素から構成される、実施形態41に記載のチップ。
【0098】
実施形態43
前記ナノニードルが金原子でコーティングされている、実施形態41に記載のチップ。
【0099】
実施形態44
チオール基が前記ポリヌクレオチドの前記第1の末端に付着し、前記ポリヌクレオチドが前記金原子でコーティングされたナノニードルにチオール化されている、実施形態43に記載のチップ。
【0100】
実施形態45
前記アプタマーがアデノシン三リン酸に結合することができる、実施形態41から44のいずれか1つに記載のチップ。
【0101】
実施形態46
前記ペイロードがヌクレオチドベースの分子である、実施形態41から45のいずれか1つに記載のチップ。
【0102】
実施形態47
前記ペイロードがDNAから構成される、実施形態46に記載のチップ。
【0103】
実施形態48
前記ペイロードがRNAから構成される、実施形態46に記載のチップ。
【0104】
実施形態49
前記ペイロードが、前記細胞ゲノムに安定して組み込まれることができる遺伝物質を含む、実施形態46に記載のチップ。
【0105】
実施形態50
前記ペイロードが、所望の標的タンパク質を一時的に発現することができる遺伝物質を含む、実施形態46に記載のチップ。
【0106】
実施形態51
前記ペイロードが標的遺伝子の発現を阻害する、実施形態41から50のいずれか1つに記載のチップ。
【0107】
実施形態52
前記ペイロードがsiRNAから構成される、実施形態51に記載のチップ。
【0108】
実施形態53
前記ペイロードがタンパク質を機能的に阻害することができる、実施形態41から52のいずれか1つに記載のチップ。
【0109】
実施形態54
前記ペイロードが、所望の標的を機能的に阻害することができるタンパク質を発現する遺伝物質を含む、実施形態41から53のいずれか1つに記載のチップ。
【0110】
実施形態55
前記ペイロードが環状である、実施形態41から54のいずれか1つに記載のチップ。
【0111】
実施形態56
前記ペイロードが線形ヌクレオチド配列である、実施形態41から54のいずれか1つに記載のチップ。
【0112】
実施形態57
前記ペイロードが一本鎖である、実施形態41から54のいずれか1つに記載のチップ。
【0113】
実施形態58
前記ペイロードがRNAプラスミドである、実施形態48に記載のチップ。
【0114】
実施形態59
前記ペイロードがタンパク質である、実施形態41から45のいずれか1つに記載のチップ。
【0115】
実施形態60
前記ペイロードが小分子である、実施形態41から45のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
実施形態61
前記ペイロードが、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる固有のヌクレオチド配列にコンジュゲートされている、実施形態59及び60のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
実施形態62
複数の分子から構成されるペイロードを、複数のナノニードル、及び複数のポリヌクレオチドを含む細胞に送達するためのシステムであって、
ここで、前記複数のポリヌクレオチドのうちのそれぞれの1つのそれぞれのポリヌクレオチドの第1の末端は、前記細胞に内因性の分子を結合することができるアプタマーを含み、

ここで、前記それぞれのポリヌクレオチドの前記第1の末端は、前記複数のナノニードルのうちの1つにコンジュゲートされ、且つ、
前記それぞれのポリヌクレオチドの第2の末端は、ペイロードの複数の分子のうちの1つとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド;複数のウェル;前記複数のナノニードルを前記複数のウェル内に移動させるように構成された注入装置;を含むシステム。
【0118】
実施形態63
前記ナノニードルが金原子でコーティングされている、実施形態62に記載のシステム。
【0119】
実施形態64
チオール基が前記ポリヌクレオチドの5‘末端に結合し、前記ポリヌクレオチドが前記金原子でコーティングされたナノニードルにチオール化されている、実施形態63に記載のシステム。
【0120】
実施形態65
前記アプタマーがアデノシン三リン酸に結合することができる、実施形態62から64のいずれか1つに記載のシステム。
【0121】
実施形態66
前記ペイロードがヌクレオチドベースの分子である、実施形態62から65のいずれか1つに記載のシステム。
【0122】
実施形態67
前記ペイロードがDNAから構成される、実施形態66に記載のシステム。
【0123】
実施形態68
前記ペイロードがRNAから構成される、実施形態66に記載のシステム。
【0124】
実施形態69
前記ペイロードが、前記細胞ゲノムに安定して組み込まれることができる遺伝物質を含む、実施形態66に記載のシステム。
【0125】
実施形態70
前記ペイロードが、所望の標的タンパク質を一時的に発現することができる遺伝物質を含む、実施形態66に記載のシステム。
【0126】
実施形態71
前記ペイロードが標的遺伝子の発現を阻害する、実施形態62から70のいずれか1つに記載のシステム。
【0127】
実施形態72
前記ペイロードがsiRNAから構成される、実施形態71に記載のシステム。
【0128】
実施形態73
前記ペイロードがタンパク質を機能的に阻害することができる、実施形態62から72のいずれか1つに記載のシステム。
【0129】
実施形態74
前記ペイロードが、所望の標的を機能的に阻害することができるタンパク質を発現する遺伝物質を含む、実施形態62から73のいずれか1つに記載のシステム。
【0130】
実施形態75
前記ペイロードが環状である、実施形態62から74のいずれか1つに記載のシステム。
【0131】
実施形態76
前記ペイロードが線形ヌクレオチド配列である、実施形態62から74のいずれか1つに記載のシステム。
【0132】
実施形態77
前記ペイロードが一本鎖である、実施形態62から74のいずれか1つに記載のシステム。
【0133】
実施形態78
前記ペイロードがRNAプラスミドである、実施形態68に記載のシステム。
【0134】
実施形態79
前記ペイロードがタンパク質である、実施形態62から65のいずれか1つに記載のシステム。
【0135】
実施形態80
前記ペイロードが小分子である、実施形態62から65のいずれか1つに記載のシステム。
【0136】
実施形態81
前記ペイロードが、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる固有のヌクレオチド配列にコンジュゲートされている、実施形態79又は80に記載のシステム。
【0137】
実施形態82
前記複数のウェルのそれぞれが、ナノニードルが貫通する細胞を収容するように構成される、実施形態62から81のいずれか1つに記載のシステム。
【0138】
実施形態83
前記注入装置が、前記複数のナノニードルを前記複数のウェル内に移動させるように構成される、実施形態62から82のいずれか1つに記載のシステム。
【符号の説明】
【0139】
200 ナノニードル
210 ポリヌクレオチド
220 アプタマー
230 オリゴヌクレオチド
240 ペイロード
260 チップ
270 固体支持体
図1A-1B】
図1C-1D】
図2
図3
【国際調査報告】