(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】キャリア付金属箔及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/01 20060101AFI20220131BHJP
B32B 15/04 20060101ALI20220131BHJP
C25D 1/00 20060101ALI20220131BHJP
C25D 1/04 20060101ALI20220131BHJP
C25D 7/06 20060101ALI20220131BHJP
H05K 1/03 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
B32B15/01 K
B32B15/04 A
C25D1/00 311
C25D1/04 311
C25D7/06 A
H05K1/03 670
H05K1/03 630H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532304
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(85)【翻訳文提出日】2021-06-07
(86)【国際出願番号】 CN2019116088
(87)【国際公開番号】W WO2020119339
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】201811514702.6
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521204482
【氏名又は名称】広州方邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU FANGBANG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】6/F,Building A5,11 Kaiyuan Avenue,New and Hi-tech Industrial Development Zone,Guangzhou,Guangdong 510660(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】蘇 陟
【テーマコード(参考)】
4F100
4K024
【Fターム(参考)】
4F100AB01D
4F100AB10A
4F100AB10D
4F100AB11C
4F100AB12B
4F100AB12C
4F100AB13B
4F100AB15B
4F100AB16B
4F100AB16C
4F100AB16E
4F100AB17A
4F100AB17D
4F100AB18E
4F100AB19B
4F100AB20B
4F100AB20C
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4F100AB31E
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4F100AD11B
4F100AD11C
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4F100AK01C
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4K024AA09
4K024AB03
4K024AB04
4K024AB15
4K024BB11
4K024BC02
4K024DB01
4K024GA01
(57)【要約】
【要約】
キャリア付金属箔及びその製造方法である。このキャリア付金属箔は、キャリア層(1)と、バリア層(2)と、剥離層(3)と、金属箔層(4)とを備え、キャリア層(1)、バリア層(2)、剥離層(3)及び金属箔層(4)がこの順で積層配置されるか、或いは、キャリア層(1)、剥離層(3)、バリア層(2)及び金属箔層(4)がこの順で積層配置され、20~400℃の温度において、キャリア層(1)から金属箔層(4)への拡散深さは3μm以下であり、かつ金属箔層(4)からキャリア層(1)の方向への拡散深さは3μm以下であり、バリア層(2)が設けられていることで、キャリア層(1)と金属箔層(4)とが高温時に相互拡散して接着することを回避するため、キャリア層(1)と金属箔層(4)との剥離が容易となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア層と、バリア層と、剥離層と、金属箔層とを備え、
前記キャリア層、前記バリア層、前記剥離層及び前記金属箔層がこの順で積層配置されるか、或いは、
前記キャリア層、前記剥離層、前記バリア層及び前記金属箔層がこの順で積層配置され、
20~400℃の温度において、前記キャリア層から前記金属箔層への拡散深さは3μm以下であり、かつ前記金属箔層から前記キャリア層の方向への拡散深さは3μm以下である、ことを特徴とするキャリア付金属箔。
【請求項2】
前記キャリア層から前記金属箔層への拡散深さは1μm以下であり、かつ前記金属箔層から前記キャリア層の方向への拡散深さは1μm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のキャリア付金属箔。
【請求項3】
前記キャリア層、前記剥離層、前記バリア層及び前記金属箔層がこの順で積層配置され、
前記金属箔層と前記バリア層との剥離強度は、前記剥離層と前記バリア層との剥離強度よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のキャリア付金属箔。
【請求項4】
前記バリア層は、耐高温層を含み、
前記耐高温層は、有機耐高温層であるか、或いは、
前記耐高温層は、タングステン、クロム、ジルコニウム、チタン、ニッケル、モリブデン、コバルト及びグラファイトのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のキャリア付金属箔。
【請求項5】
前記耐高温層は、合金の単層構造、又は単金属層からなる多層構造、又は合金層と単金属層とからなる多層構造である、ことを特徴とする請求項4に記載のキャリア付金属箔。
【請求項6】
前記キャリア層、前記バリア層、前記剥離層及び前記金属箔層がこの順で積層配置され、
前記バリア層は、前記キャリア層と前記耐高温層との間に設けられた金属接着層をさらに含む、ことを特徴とする請求項4に記載のキャリア付金属箔。
【請求項7】
前記キャリア層、前記剥離層、前記バリア層及び前記金属箔層がこの順で積層配置され、
前記バリア層は、前記耐高温層と前記金属箔層との間に設けられた金属接着層をさらに含む、ことを特徴とする請求項4に記載のキャリア付金属箔。
【請求項8】
前記金属接着層は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成されるか、或いは、
前記金属接着層は、銅又は亜鉛のうちのいずれか1種の材料とニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種の材料とから構成される、ことを特徴とする請求項6又は7に記載のキャリア付金属箔。
【請求項9】
前記剥離層は、ニッケル、シリコン、モリブデン、グラファイト、チタン及びニオブのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成されるか、或いは、
前記剥離層は、有機高分子材料から構成される、ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項10】
前記金属箔層の厚さは9μm以下である、ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項11】
前記金属箔層は銅箔又はアルミニウム箔であり、及び/又は、前記キャリア層は銅又はアルミニウム又は有機薄膜である、ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項12】
前記キャリア層の前記金属箔層に近い側の面の粗さRzは5μm以下であり、及び/又は、前記金属箔層の前記キャリア層から遠い側の面の粗さRzは3.0μm以下である、ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項13】
前記キャリア層の前記バリア層に近い側に第1酸化防止層が設けられ、及び/又は、前記金属箔層の前記バリア層から遠い側に第2酸化防止層が設けられている、ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項14】
請求項1~13のうちいずれか一項に記載の金属箔の製造方法であって、
(1)
キャリア層(1)を形成するS11と、
前記キャリア層(1)の一方の側にバリア層(2)を形成するS12と、
前記バリア層(2)上に剥離層(3)を形成するS13と、
前記剥離層(3)上に金属箔層(4)を形成するS14と、
を含むソリューションA、或いは、
(2)
キャリア層(1)を形成するS21と、
前記キャリア層(1)の一方の側に剥離層(3)を形成するS22と、
前記剥離層(3)上にバリア層(2)を形成するS23と、
前記バリア層(2)上に金属箔層(4)を形成するS24と、
を含むソリューションB、を含み、
20~400℃の温度において、前記キャリア層(1)から前記金属箔層(4)への拡散深さは3μm以下であり、かつ前記金属箔層(4)から前記キャリア層(1)の方向への拡散深さは3μm以下である、ことを特徴とする製造方法。
【請求項15】
前記キャリア層(1)から前記金属箔層(4)への拡散深さは1μm以下であり、かつ前記金属箔層(4)から前記キャリア層(1)の方向への拡散深さは1μm以下である、ことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記バリア層(2)は、積層配置された金属接着層(22)及び耐高温層(21)を含み、
前記耐高温層(21)は、前記剥離層(3)に近づいて配置されている、ことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
前記金属接着層(22)、前記耐高温層(21)、及び前記剥離層(3)をそれぞれ独立してスパッタリングによって形成するステップを含み、
好ましくは、各前記スパッタリング過程の電流はそれぞれ独立して6~12Aから選ばれ、電圧はそれぞれ独立して300~500Vから選ばれる、ことを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
キャリア層(1)を形成する前記ステップは、
第1電気めっきプロセスを行って第1金属層を生成するS111と、
前記第1金属層の表面に第2電気めっきプロセスを行って第2金属層を生成するS112であって、前記第1金属層及び前記第2金属層により前記キャリア層(1)が構成されるS112と、を含み、
好ましくは、前記第1電気めっきプロセスに用いる第1めっき液は、硫酸銅溶液を含み、かつ、銅含有量が15~25g/L、PH値が6~9であり、前記第2電気めっきプロセスに用いる第2めっき液は、硫酸銅溶液、質量分率が0.1~2g/Lであるスルホン酸ナトリウム、質量分率が0.01~1g/Lであるチオ尿素、及び、質量分率が0.1~5g/Lであるポリエチレングリコールを含み、かつ、銅含有量が70~80g/L、酸含有量が90~100g/Lである、ことを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
キャリア層(1)を形成する前記ステップの後、前記製造方法は、
前記キャリア層(1)を粗化し、粗化されたキャリア層(1)を得るS113と、
粗化されたキャリア層(1)上に第1酸化防止層を形成するS114と、
をさらに含み、
好ましくは、前記粗化処理プロセスは酸性電気めっきによって行われ、
より好ましくは、前記酸性銅めっきプロセスに用いるめっき液は、硫酸銅溶液を含み、かつ、銅含有量が10~15g/L、酸含有量が90~100g/L、モリブデン含有量が600~800PPMである、ことを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記キャリア層(1)を形成した後、前記キャリア層(1)をアニール処理するステップをさらに含み、
好ましくは、前記アニール処理プロセスの温度が200~300℃、加熱時間が30~300minである、ことを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
金属箔層(4)を形成する前記ステップは、
前記ソリューションAの前記剥離層(3)又は前記ソリューションBの前記バリア層(2)上に第3金属層をスパッタリングするステップと、
前記第3金属層上に第3電気めっきプロセスを行って第4金属層を生成するステップであって、前記第3金属層及び前記第4金属層により前記金属箔層(4)が構成されるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項22】
前記第4金属層を形成した後、前記製造方法は、
前記第4金属層の表面に第4電気めっきプロセスを行って第5金属層を形成するステップであって、前記第4金属層及び前記第5金属層により前記金属箔層(4)が構成されるステップをさらに含み、
前記第3電気めっきプロセスの第3めっき液は、硫酸銅溶液を含み、かつ、銅含有量が15~25g/L、PH値が6~9であり、前記第4電気めっきプロセスの第4めっき液は、硫酸銅溶液、質量分率が0.1~2g/Lであるスルホン酸ナトリウム、質量分率が0.01~1g/Lであるチオ尿素、及び、質量分率が0.1~5g/Lであるポリエチレングリコールを含み、かつ、銅含有量が70~80g/L、酸含有量が90~100g/Lであり、
好ましくは、前記第1めっき液、前記第2めっき液、前記第3めっき液、及び前記第4めっき液を同一にする、ことを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の技術分野に関し、特にキャリア付金属箔及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板は、フレキシブルプリント回路基板(Flexible Printed Circuit board、FPC)の加工材料として、可撓性絶縁ベースフィルムとキャリア付金属箔とから形成されるのが一般的である。従来技術による基板の製造時、通常、まずキャリア付金属箔(キャリア層及び金属箔層を含む)の金属箔層が設けられた側を可撓性絶縁ベースフィルムと圧着することで、基板を得、基板の使用時は、キャリア層を剥離する必要がある。しかし、キャリア付金属箔と可撓性絶縁ベースフィルムとの圧着は高温条件下で行われることが要求され、一方、キャリア層と金属箔層とが高温条件下で相互拡散しやすいため、キャリア層と金属箔層とが接着し、キャリア層と金属箔層との間で剥離しにくくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施態様の目的は、キャリア付金属箔のキャリア層とキャリア付金属箔の金属箔層とが高温時に相互拡散して接着することを回避することができ、キャリア層と金属箔層との剥離が容易となるキャリア付金属箔及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の実施態様は、キャリア付金属箔を提供し、前記キャリア付金属箔は、キャリア層と、バリア層と、剥離層と、金属箔層とを備え、
前記キャリア層、前記バリア層、前記剥離層及び前記金属箔層がこの順で積層配置されるか、或いは、
前記キャリア層、前記剥離層、前記バリア層及び前記金属箔層がこの順で積層配置され、
20~400℃の温度において、前記キャリア層から前記金属箔層への拡散深さは3μm以下であり、かつ前記金属箔層から前記キャリア層の方向への拡散深さは3μm以下である。
【0005】
好ましい態様として、前記キャリア層から前記金属箔層への拡散深さは1μm以下であり、かつ前記金属箔層から前記キャリア層の方向への拡散深さは1μm以下である。
【0006】
好ましい態様として、前記キャリア層、前記剥離層、前記バリア層及び前記金属箔層がこの順で積層配置され、前記金属箔層と前記バリア層との剥離強度は、前記剥離層と前記バリア層との剥離強度よりも大きい。
【0007】
好ましい態様として、前記バリア層は、耐高温層を含み、前記耐高温層は、有機耐高温層であるか、或いは、タングステン、クロム、ジルコニウム、チタン、ニッケル、モリブデン、コバルト及びグラファイトのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成される。
【0008】
好ましい態様として、前記耐高温層は、合金の単層構造、又は単金属層からなる多層構造、又は合金層と単金属層とからなる多層構造である。
【0009】
好ましい態様として、前記キャリア層、前記バリア層、前記剥離層及び前記金属箔層がこの順で積層配置され、前記バリア層は、前記キャリア層と前記耐高温層との間に設けられた金属接着層をさらに含む。
【0010】
好ましい態様として、前記キャリア層、前記剥離層、前記バリア層及び前記金属箔層がこの順で積層配置され、前記バリア層は、前記耐高温層と前記金属箔層との間に設けられた金属接着層をさらに含む。
【0011】
好ましい態様として、前記金属接着層は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成されるか、或いは、前記金属接着層は、銅又は亜鉛のうちのいずれか1種の材料とニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種の材料とから構成される。
【0012】
好ましい態様として、前記剥離層は、ニッケル、シリコン、モリブデン、グラファイト、チタン及びニオブのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成されるか、或いは、前記剥離層は、有機高分子材料から構成される。
【0013】
好ましい態様として、前記金属箔層の厚さは9μm以下である。
【0014】
好ましい態様として、前記金属箔層は銅箔又はアルミニウム箔であり、及び/又は、前記キャリア層は銅又はアルミニウム又は有機薄膜である。
【0015】
好ましい態様として、前記キャリア層の前記金属箔層に近い側の面の粗さRzは5μm以下であり、及び/又は、前記金属箔層の前記キャリア層から遠い側の面の粗さRzは3.0μm以下である。
【0016】
好ましい態様として、前記キャリア層の前記バリア層に近い側に第1酸化防止層が設けられ、及び/又は、前記金属箔層の前記バリア層から遠い側に第2酸化防止層が設けられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施態様によるキャリア付金属箔は、前記キャリア層、前記バリア層、前記剥離層及び前記金属箔層がこの順で積層配置されるか、或いは、前記キャリア層、前記剥離層、前記バリア層及び前記金属箔層がこの順で積層配置され、20~400℃の温度において、前記キャリア層から前記金属箔層への拡散深さは3μm以下であり、かつ前記金属箔層から前記キャリア層の方向への拡散深さは3μm以下である構成とすることにより、剥離層が設けられていることでキャリア層を剥離しやすく、バリア層が設けられていることで、キャリア層と金属箔層とが高温時に相互拡散して接着することを回避するため、キャリア層と金属箔層との剥離が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明によるキャリア付金属箔の一態様におけるキャリア層、バリア層、剥離層及び金属箔層がこの順で積層配置される構造を示す模式図である。
【
図2】本発明による金属接着層及び耐高温層を含み、かつキャリア層、バリア層、剥離層及び金属箔層がこの順で積層配置されるキャリア付金属箔の構造の一態様を示す模式図である。
【
図3】本発明による金属接着層及び耐高温層を含み、かつキャリア層、バリア層、剥離層及び金属箔層がこの順で積層配置されるキャリア付金属箔の構造の他の一態様を示す模式図である。
【
図4】本発明によるキャリア付金属箔の一態様におけるキャリア層、剥離層、バリア層及び金属箔層がこの順で積層配置される構造を示す模式図である。
【
図5】本発明による金属接着層及び耐高温層を含み、かつキャリア層、剥離層、バリア層及び金属箔層がこの順で積層配置されるキャリア付金属箔の構造の一態様を示す模式図である。
【
図6】本発明による金属接着層及び耐高温層を含み、かつキャリア層、バリア層、剥離層及び金属箔層がこの順で積層配置されるキャリア付金属箔の構造の他の一態様を示す模式図である。
【
図7】本発明によるキャリア付金属箔の一態様におけるキャリア層、バリア層、剥離層及び金属箔層がこの順で積層配置される剥離模式図である。
【
図8】本発明によるキャリア付金属箔の他の一態様におけるキャリア層、バリア層、剥離層及び金属箔層がこの順で積層配置される剥離模式図である。
【
図9】本発明によるキャリア付金属箔の一態様におけるキャリア層、剥離層、バリア層及び金属箔層がこの順で積層配置される剥離模式図である。
【
図10】本発明によるキャリア付金属箔の他の一態様におけるキャリア層、剥離層、バリア層及び金属箔層がこの順で積層配置される剥離模式図である。
【
図11】本発明によるキャリア付金属箔の製造方法の流れの一態様を示す図である。
【
図12】本発明によるキャリア付金属箔の製造方法の流れの他の一態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施態様の図面を参照しながら、本発明の実施態様の技術態様を明瞭かつ完全に説明する。説明する実施態様は本発明の一部の実施態様に過ぎず、全部ではないことは、言うまでもない。当業者が本発明の実施態様に基づいて、創造的な労働を必要とせずに得られる他の一態様も、全て本発明の保護範囲内に含まれる。
【0020】
図1に示されるように、本発明の好適な実施態様のキャリア付金属箔は、キャリア層1と、バリア層2と、剥離層3と、金属箔層4と、を備え、
前記キャリア層1、前記バリア層2、前記剥離層3及び前記金属箔層4がこの順で積層配置されるか、或いは、
図4に示されるように、前記キャリア層1、前記剥離層3、前記バリア層2及び前記金属箔層4がこの順で積層配置され、
20~400℃の温度において、前記キャリア層1から前記金属箔層4への拡散深さは3μm以下であり、かつ前記金属箔層4から前記キャリア層1の方向への拡散深さは3μm以下である。
【0021】
本発明の実施態様において、前記キャリア層1、前記バリア層2、前記剥離層3及び前記金属箔層4がこの順で積層配置されるか、或いは、前記キャリア層1、前記剥離層3、前記バリア層2及び前記金属箔層4がこの順で積層配置され、20~400℃の温度において、前記キャリア層1から前記金属箔層4への拡散深さは3μm以下であり、かつ前記金属箔層4から前記キャリア層1の方向への拡散深さは3μm以下である構成とすることにより、剥離層3が設けられていることでキャリア層1を剥離しやすく、バリア層2が設けられていることで、キャリア層1と金属箔層4とが高温時に相互拡散して接着することを回避するため、キャリア層1と金属箔層4との剥離が容易となる。
【0022】
好ましくは、前記キャリア層1から前記金属箔層4への拡散深さは1μm以下であり、かつ前記金属箔層4から前記キャリア層1の方向への拡散深さは1μm以下である。
【0023】
図4及び
図10に示すように、前記キャリア層1、前記剥離層3、前記バリア層2及び前記金属箔層4がこの順で積層配置される場合、前記金属箔層4と前記バリア層2との剥離強度は、前記剥離層3と前記バリア層2との剥離強度よりも大きいことが好ましい。前記キャリア層1、前記剥離層3、前記バリア層2及び前記金属箔層4がこの順で積層配置される場合、前記金属箔層4と前記バリア層2との剥離強度が前記剥離層3と前記バリア層2との剥離強度よりも大きいことで、前記キャリア付金属箔の使用時、前記バリア層2が前記金属箔層4に残ったままで前記剥離層3と前記バリア層2との間で剥離が生じるため、前記バリア層2は前記金属箔層4に対する酸化防止機能を果たすことができ、前記金属箔層4を保護する。もちろん、前記金属箔層4と前記バリア層2との剥離強度は、前記剥離層3と前記バリア層2との剥離強度以下であってもよく、これにより、前記キャリア付金属箔を剥離する際に、前記バリア層2は、その一部又は全部が前記剥離層3に残り、前記キャリア層1及び前記剥離層3とともに前記金属箔層4から剥離されることができる。
図4及び
図9を参照することができ、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0024】
図1及び
図8に示すように、前記キャリア層1、前記バリア層2、前記剥離層3及び前記金属箔層4がこの順で積層配置される場合、前記剥離層3と前記金属箔層4との剥離強度は、前記剥離層3と前記バリア層2との剥離強度以上である。前記剥離層3と前記金属箔層4との剥離強度が前記剥離層3と前記バリア層2との剥離強度以上であることで、前記キャリア付金属箔を剥離する際に、前記剥離層3は、その一部又は全部が前記金属箔層4に残ることができるため、前記金属箔層4の酸化を防止し、さらに前記金属箔層4を効果的に保護することができる。もちろん、前記剥離層3と前記金属箔層4との剥離強度は、前記剥離層3と前記バリア層2との剥離強度よりも小さくてもよく、これにより、前記キャリア付金属箔を剥離する際に、前記剥離層3は、その一部又は全部が前記バリア層2に残り、前記キャリア層1及び前記バリア層2とともに前記金属箔層4から剥離されることができる。
図1及び
図7に示すようなものを参照することができ、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0025】
図2、
図3、
図5及び
図6に示すように、前記バリア層2は、耐高温層21を含み、前記耐高温層21は、有機耐高温層21であるか、或いは、前記耐高温層21は、タングステン、クロム、ジルコニウム、チタン、ニッケル、モリブデン、コバルト及びグラファイトのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成される。前記耐高温層21は、合金の単層構造、又は単金属層からなる多層構造、又は合金層と単金属層とからなる多層構造であることが好ましい。具体的には、前記合金の単層構造は、合金材料から構成される単層構造であり、例えば、タングステン-クロム合金から構成される単層構造である。前記単金属層からなる多層構造は、それぞれ1種の金属から構成される複数の単層構造からなる多層構造であり、例えば、タングステン金属層とクロム金属層とからなる多層構造である。前記合金層と単金属層とからなる多層構造は、それぞれ1種の金属若しくは合金材料から構成される複数の単層構造からなる多層構造であり、例えば、ジルコニウム金属層とタングステン-クロム合金層とからなる多層構造である。
【0026】
上記有機耐高温層に用いる有機耐高温材料は、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸のうちの1種又は複数種から構成される単一材料層から選ばれるか、或いは複数の単一材料層で形成される。
【0027】
図2及び
図3に示すように、前記キャリア層1、前記バリア層2、前記剥離層3及び前記金属箔層4がこの順で積層配置される場合、前記バリア層2と前記キャリア層1の間の剥離やデラミネーションを防止するために、本実施態様における前記バリア層2は、前記キャリア層1と前記耐高温層21との間に設けられた金属接着層22をさらに含む。例えば、前記バリア層2に、前記キャリア層1と接着可能な金属A及び/又は前記耐高温層21と接着可能な金属Bが含まれていることで、前記キャリア層1と前記バリア層2の間の剥離を防止する。例えば、金属Aは銅又は亜鉛であり、金属Bはニッケル、鉄又はマンガンである。前記金属接着層22は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成されるか、或いは、前記金属接着層22は、銅又は亜鉛のうちのいずれか1種の材料とニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種の材料とから構成されることが理解されるだろう。前記金属接着層22の構造は、次の場合が含まれ得るが、これらに限定されるものではない。(1)前記金属接着層22は、銅又は亜鉛である金属Aからなる単金属層である。(2)前記金属接着層22は、ニッケル又は鉄又はマンガンである金属Bからなる単金属層である。(3)前記金属接着層22は、金属A及び金属Bからなる合金の単層構造、例えば、銅-ニッケル合金からなる合金の単層構造である。(4)前記金属接着層22は、合金層と単金属層とから構成される多層構造を含み、前記金属接着層22の合金層は、金属A及び金属Bからなり、前記金属接着層22の単金属層は、金属A又は金属Bからなり、例えば、銅-ニッケル合金からなる合金層及びマンガンからなる単金属層が挙げられる。(5)前記金属接着層22は、金属Aの単層構造と金属Bの単層構造とから構成される多層構造であり、例えば、銅金属層とニッケル金属層とから構成される多層構造である。前記金属接着層22が金属Aの単層構造と金属Bの単層構造とから構成される多層構造である場合、前記金属Aの単層構造は、前記キャリア層1と前記金属Bの単層構造との間に設けられており、金属Aと前記キャリア層1との間の接着力が比較的強く、金属Bと前記耐高温層21との間の接着力が比較的強いため、前記金属Aの単層構造が前記キャリア層1と前記金属Bの単層構造との間に設けられていることで、前記バリア層2が前記キャリア層1から分離しにくくなる。前記金属接着層22が設けられていることで、前記バリア層2は前記キャリア層1にしっかりと接続されることができ、前記バリア層2と前記キャリア層1との間で剥離が生じることを防止する。また、前記バリア層2の厚さは10Å以上であり、好ましくは、前記バリア層2の厚さは10~500Åである。
【0028】
本実施態様では、前記金属箔層4の厚さは9μm以下である。配線板における微細配線の作製要求を満たすために、前記金属箔層4の厚さは、6μm、5μm、4μm又は2μm等であることが好ましく、これにより、微細配線を持つ配線板の形成に有利な極薄の金属箔層4が得られる。また、ピンホールが少なくかつ完全な極薄の金属箔層4(特に、厚さが2μm、4μm等である金属箔層)をキャリア層1から剥離し取得できるように、本実施態様では、金属接着層22が設けられていることで、金属接着層22によりバリア層2とキャリア層1との間に強い剥離強度を与え、キャリア層1を金属箔層4から安定して剥離できることを効果的に確保し、そのうえ、完全な極薄の金属箔層4を得るだけでなく、金属接着層22によりキャリア層1の表面を処理することで、キャリア層1の表面全体をより均一で緻密にし、ピンホールが少ない極薄の金属箔層4をキャリア層1から剥離し取得することに寄与し、そのうえ、後続の回路の作製が容易となる。また、前記金属箔層4は銅箔又はアルミニウム箔である。前記キャリア層1は、銅、アルミニウム又は有機薄膜等であってもよく、キャリア層1は主として支持機能を果たすため、一定の厚さが必要である。前記キャリア層1が銅又はアルミニウムである場合、前記キャリア層1の厚さは9~50μmであることが好ましい。前記キャリア層1が有機薄膜である場合、前記キャリア層1の厚さは20~100μmであることが好ましい。
【0029】
図5及び
図6に示すように、同様に、前記キャリア層1、前記剥離層3、前記バリア層2及び前記金属箔層4がこの順で積層配置される場合、前記キャリア付金属箔を剥離する際に、前記バリア層2が前記金属箔層4に残り、前記金属箔層4の酸化を防止することができるように、前記バリア層2は、前記耐高温層21と前記金属箔層4との間に設けられた金属接着層22をさらに含んでもよい。例えば、前記バリア層2に、前記金属箔層4と接着可能な金属A及び/又は前記耐高温層21と接着可能な金属Bが含まれていることで、前記金属箔層4と前記バリア層2の間の剥離を防止する。例えば、金属Aは銅又は亜鉛であり、金属Bはニッケル、鉄又はマンガンである。前記金属接着層22は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成されるか、或いは、前記金属接着層22は、銅又は亜鉛のうちのいずれか1種の材料とニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種の材料とから構成されることが理解されるだろう。前記金属接着層22の構造は、次の場合が含まれ得るが、これらに限定されるものではない。(1)前記金属接着層22は、銅又は亜鉛である金属Aからなる単金属層である。(2)前記金属接着層22は、ニッケル又は鉄又はマンガンである金属Bからなる単金属層である。(3)前記金属接着層22は、金属Aと金属Bとからなる合金の単層構造であり、例えば、銅-ニッケル合金からなる合金の単層構造である。(4)前記金属接着層22は、合金層と単金属層とから構成される多層構造を含み、前記金属接着層22の合金層は、金属A及び金属Bからなり、前記金属接着層22の単金属層は、金属A又は金属Bからなり、例えば、銅-ニッケル合金からなる合金層及びマンガンからなる単金属層が挙げられる。(5)前記金属接着層22は、金属Aの単層構造と金属Bの単層構造とから構成される多層構造であり、例えば、銅金属層とニッケル金属層とから構成される多層構造である。前記金属接着層22が金属Aの単層構造と金属Bの単層構造とから構成される多層構造である場合、前記金属Aの単層構造は、前記金属箔層4と前記金属Bの単層構造との間に設けられており、金属Aと前記金属箔層4との間の接着力が比較的強く、金属Bと前記耐高温層21との間の接着力が比較的強いため、前記金属Aの単層構造が前記金属箔層4と前記金属Bの単層構造との間に設けられていることで、前記バリア層2が前記金属箔層4から分離しにくくなる。前記金属接着層22が設けられていることで、前記バリア層2は前記金属箔層4にしっかりと接続されることができ、前記バリア層2と前記キャリア層1との間で剥離が生じることを防止するため、前記キャリア付金属箔を剥離する際に、前記バリア層2が前記金属箔層4に残ることができ、前記金属箔層4の酸化を防止し、さらに、前記金属箔層4を保護する。また、前記バリア層2の厚さは10Å以上であり、好ましくは、前記バリア層2の厚さは10~500Åである。
【0030】
本発明の実施態様において、前記剥離層3は、ニッケル、シリコン、モリブデン、グラファイト、チタン及びニオブのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成されるか、或いは、前記剥離層3は、有機高分子材料から構成される。前記剥離層3の厚さは、10~500Åであることが好ましい。前記剥離層3が厚すぎると、均一な金属箔層4を形成することが困難となるため、金属箔層4にピンホールが多数発生しやすくなる(金属箔層4にピンホールがあると、配線となるようにエッチングされた後、断線現象が発生しやすくなる)。前記剥離層3が薄すぎると、金属箔層4との間で剥離しにくくなる。このため、前記剥離層3の厚さを好ましくは10~500Åとすることで、均一な金属箔層4を形成できることを確保し、金属箔層4にピンホールが多数発生することを回避するとともに、前記剥離層3と前記金属箔層4との間で剥離しやすくなる。
【0031】
本発明の実施態様において、前記キャリア層1の前記金属箔層4に近い側の面の粗さRzは5μm以下であり、及び/又は、前記金属箔層4の前記キャリア層1から遠い側の面の粗さRzは3.0μm以下である。金属箔層4が銅箔である場合、銅箔の粗さが大きいほど、他の材料との間の接着力が大きくなるが、銅箔の粗さが大きすぎれば、高周波信号伝送用配線板に適用できないため、銅箔の粗さRzは一般的には0.5~3.0μmである。銅箔が高周波に適用される場合、銅箔の粗さを0.5μm未満とすることで、銅箔と他の材料との間の接着力を確保することを前提として、銅箔を高周波信号伝送用配線板に適用可能にする。
【0032】
なお、本発明の実施態様において、粗さRzは、輪郭の山頂線と谷底線との距離である輪郭の最大高さを表す。サンプリング長さは、表面粗さを評価するために定められた基準線の長さであり、サンプリング長さとしては、実際の部品表面の形成様子及びテクスチャ特徴に応じて、表面粗さ特徴を反映できる長さを選び、サンプリング長さの測定時は、実際の表面輪郭の全体的な傾向に応じて行われる。
【0033】
本発明の実施態様において、前記キャリア層1の酸化を防止するために、本実施態様における前記キャリア層1の前記バリア層2に近い側には第1酸化防止層が設けられている。前記キャリア層1の前記バリア層2に近い側に第1酸化防止層が設けられていることで、前記キャリア層1の酸化を防止し、前記キャリア層1を保護する。前記金属箔層4の酸化を防止するために、前記金属箔層4の前記バリア層2から遠い側には第2酸化防止層が設けられている。前記金属箔層4の前記バリア層2から遠い側に第2酸化防止層が設けられていることで、前記金属箔層4の酸化を防止し、前記金属箔層4を保護する。
【0034】
図11及び
図12に示すように、同じ課題を解決するために、本発明の実施態様は、前記キャリア付金属箔を製造するための製造方法をさらに提供し、以下のステップを含む。
S11では、キャリア層1を形成する。
S12では、前記キャリア層1の一方の側にバリア層2を形成する。
S13では、前記バリア層2上に剥離層3を形成する。
S14では、前記剥離層3上に金属箔層4を形成する。
或いは、
S21では、キャリア層1を形成する。
S22では、前記キャリア層1の一方の側に剥離層3を形成する。
S23では、前記剥離層3上にバリア層2を形成する。
S24では、前記バリア層2上に金属箔層4を形成する。
20~400℃の温度において、前記キャリア層1から前記金属箔層4への拡散深さは3μm以下であり、かつ前記金属箔層4から前記キャリア層1の方向への拡散深さは3μm以下である。
【0035】
好ましくは、前記キャリア層1から前記金属箔層4への拡散深さは1μm以下であり、かつ前記金属箔層4から前記キャリア層1の方向への拡散深さは1μm以下である。
【0036】
図4及び
図10に示すように、前記キャリア層1、前記剥離層3、前記バリア層2及び前記金属箔層4がこの順で積層配置される場合、前記金属箔層4と前記バリア層2との剥離強度は、前記剥離層3と前記バリア層2との剥離強度よりも大きいことが好ましい。前記キャリア層1、前記剥離層3、前記バリア層2及び前記金属箔層4がこの順で積層配置される場合、前記金属箔層4と前記バリア層2との剥離強度が前記剥離層3と前記バリア層2との剥離強度よりも大きいことで、前記キャリア付金属箔の使用時、前記バリア層2が前記金属箔層4に残ったままで前記剥離層3と前記バリア層2との間で剥離が生じるため、前記バリア層2は前記金属箔層4に対する酸化防止機能を果たすことができ、前記金属箔層4を保護する。もちろん、前記金属箔層4と前記バリア層2との剥離強度は、前記剥離層3と前記バリア層2との剥離強度以下であってもよく、これにより、前記キャリア付金属箔を剥離する際に、前記バリア層2は、その一部又は全部が前記剥離層3に残り、前記キャリア層1及び前記剥離層3とともに前記金属箔層4から剥離されることができる。
図4及び
図9を参照することができ、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0037】
本発明の実施態様において、前記キャリア層1の一方の側にバリア層2を形成する前記ステップは、具体的には、次のように行われる。
S131では、前記キャリア層1の一方の側に金属接着層22を形成する。
S132では、前記金属接着層22上に耐高温層21を形成する。
【0038】
本発明の実施態様において、前記剥離層3上にバリア層2を形成する前記ステップは、具体的には、次のように行われる。
S231では、前記剥離層3上に耐高温層21を形成する。
S232では、前記耐高温層21上に金属接着層22を形成する。
【0039】
本発明の実施態様において、前記金属接着層22及び前記耐高温層21をスパッタリングによって形成することができ、スパッタリング法の電流を6~12A、電圧を300~500Vとすることが好ましい。前記金属接着層22は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成されるか、或いは、前記金属接着層22は、銅又は亜鉛のうちのいずれか1種の材料とニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種の材料とから構成されることができる。前記耐高温層21は、有機耐高温層21であってもよいし、或いは、前記耐高温層21は、タングステン、クロム、ジルコニウム、チタン、ニッケル、モリブデン、コバルト及びグラファイトのうちのいずれか1種又は複数種の材料からなるものであってもよい。前記耐高温層21は、合金の単層構造、又は単金属層からなる多層構造、又は合金層と単金属層とからなる多層構造であってもよい。
【0040】
本発明の実施態様において、キャリア層1を形成する前記ステップは、具体的には、以下のステップを含む。
S111では、第1電気めっきを行って第1金属層を生成する。
S112では、前記第1金属層の表面に第2電気めっきを行って第2金属層を生成し、前記第1金属層及び前記第2金属層によりキャリア層が構成される。
【0041】
本発明の実施態様において、キャリア層1を形成する前記ステップの後、以下のステップをさらに含む。
S113では、前記キャリア層1を粗化し、粗化されたキャリア層1を得る。
S114では、粗化されたキャリア層1上に第1酸化防止層を形成する。
【0042】
前記キャリア層1は、銅又はアルミニウムであってもよい。前記キャリア層1が銅である場合、前記第1金属層及び前記第2金属層がともに銅金属層であり、前記キャリア層1がアルミニウムである場合、前記第1金属層及び前記第2金属層がともにアルミニウム金属層である。前記第1電気めっきに用いるめっき液は、硫酸銅溶液を含み得る。前記第1電気めっきに用いるめっき液は、銅含有量が15~25g/L、PH値が6~9である。第2電気めっきに用いるめっき液は、硫酸銅溶液を含み得る。前記第2電気めっきに用いるめっき液は、銅含有量が70~80g/L、酸含有量が90~100g/Lである。第2電気めっきに用いるめっき液は添加剤をさらに含み、前記添加剤は、光沢剤としてのスルホン酸ナトリウム、レベラーとしてのチオ尿素、及び湿潤剤としてのポリエチレングリコールを含み、前記光沢剤としてのスルホン酸ナトリウムの質量分率は0.1~2g/L、前記レベラーとしてのチオ尿素の質量分率は0.01~1g/L、前記湿潤剤としてのポリエチレングリコールの質量分率は0.1~5g/Lであることが好ましい。前記キャリア層1は、酸性電気めっきによって粗化され得る。酸性銅めっきに用いるめっき液は、硫酸銅溶液を含み得る。前記酸性銅めっきに用いるめっき液は、銅含有量が10~15g/L、酸含有量が90~100g/L、モリブデン含有量が600~800PPMである。前記第1酸化防止層は、亜鉛-ニッケル合金めっきによって形成され得る。また、粗化されたキャリア層1上に第1酸化防止層を形成した後、前記第1酸化防止層のプラズマ洗浄(plasma)を行ってもよく、プラズマ洗浄を行う際の電圧を1500~2500V、電流を0.1~1.5Aとすることが好ましい。
【0043】
本発明の実施態様において、キャリア層1と金属箔層4との間に接着が発生することをさらに防止するために、本実施態様では、キャリア層1を形成する前記ステップの後、以下のステップS115をさらに含む。
S115では、前記キャリア層1を熱処理条件でアニール処理する。前記熱処理条件としては、熱処理温度が200~300℃、加熱時間が30~300分間である。前記加熱時間は1時間であることが好ましい。前記キャリア層1を熱処理条件でアニール処理することで、加熱工程におけるキャリア層1の結晶成長を抑制し、加熱工程におけるキャリア層1の拡散を遅延させ、そのうえ、キャリア層1と金属箔層4との間に接着が発生することをさらに防止する。
【0044】
本発明の実施態様において、前記剥離層3は、ニッケル、シリコン、モリブデン、グラファイト、チタン及びニオブのうちのいずれか1種又は複数種の材料で形成され得る。また、前記バリア層2上に剥離層3を形成する前記ステップ、又は、前記キャリア層1の一方の側に剥離層3を形成する前記ステップは、具体的にはスパッタリングによって行われることができ、剥離層3をスパッタリングによって形成するスパッタリング条件としては、電流を6~12A、電圧を300~500Vとすることが好ましい。
【0045】
電気めっき方式を採用することによって、前記バリア層2及び前記剥離層3の粗さが電気めっき時の電流の影響を受けやすくなり、形成された前記バリア層2及び前記剥離層3の表面粗さが非常に不均一になるため、後に形成される前記金属箔層4の表面粗さも不均一であり、優れた剥離安定性及びピンホール数の形成に不利となるとともに、後続の回路の作製にも不利となる。これに基づいて、本発明の実施態様において、前記金属接着層22、前記耐高温層21及び前記剥離層3はスパッタリングによって形成されることが好ましく、スパッタリング法の電流を6~12A、電圧を300~500Vとすることが好ましい。スパッタリングによって形成された前記金属接着層22及び前記耐高温層21により前記バリア層2が構成され、均一かつ緻密なバリア層2を得ることを確保し、また、均一かつ緻密な剥離層3をスパッタリングによって形成することにより、キャリア付金属箔の剥離安定性の向上に寄与するとともに、ピンホールの数を効果的に小さくすることができる。また、前記金属箔層4は、電気めっきによって形成されることが好ましく、前記金属箔層4を形成する前に、均一かつ緻密なバリア層2及び剥離層3をスパッタリングによって形成することにより、前記金属箔層4の均一な電気めっきが容易になり、形成された前記金属箔層4の表面粗さが比較的均一であり、さらに後続の回路の作製に有利となるとともに、前記金属箔層4をより薄くすることに寄与する。
【0046】
本発明の実施態様において、前記剥離層3上に金属箔層4を形成する前記ステップは、具体的には、次のように行われる。
S141では、前記剥離層3上に第3金属層をスパッタリングする。
S142では、スパッタリングされた第3金属層上に第4金属層を電気めっきし、前記第3金属層及び前記第4金属層により前記金属箔層が構成される。或いは、
【0047】
前記バリア層2上に金属箔層4を形成する前記ステップは、具体的には、次のように行われる。
S241では、前記バリア層2上に第3金属層をスパッタリングする。
S242では、スパッタリングされた第3金属層上に第4金属層を電気めっきし、前記第3金属層及び前記第4金属層により前記金属箔層が構成される。
【0048】
前記金属箔層4は、銅箔又はアルミニウム箔であってもよい。前記金属箔層4が銅箔である場合、前記第3金属層及び前記第4金属層がともに銅金属層である。前記金属箔層4がアルミニウム箔である場合、前記第3金属層及び前記第4金属層がともにアルミニウム金属層である。剥離層3が剥離性を有するため、単純に電気めっき方式を採用すると、電気めっきした金属層が不均一になりやすい。表面が均一な金属箔層4を得るために、本実施態様では、まず第3金属層をスパッタリングし、それから第4金属層を電気めっきすることにより、金属箔層4にピンホールが発生することを回避し、表面が均一な金属箔層4を得る。前記剥離層3上に第3金属層をスパッタリングするか、或いは、前記バリア層2上に第3金属層をスパッタリングするスパッタリング条件としては、電流を6~12A、電圧を300~500Vとすることが好ましく、真空度は0.1~0.5Pa、スパッタリング速度は4~10m/min、巻出し/巻取り張力は60~150Nであることが好ましい。
【0049】
本発明の実施態様において、スパッタリングされた第3金属層上に第4金属層を電気めっきする前記ステップは、具体的には、以下のステップを含む。
S31では、第3電気めっきを行って第5金属層を生成する。
S32では、前記第5金属層の表面に第4電気めっきを行って第6金属層を生成し、前記第5金属層及び前記第6金属層により前記第4金属層が構成される。
【0050】
前記第3電気めっきに用いるめっき液は、硫酸銅溶液を含み得る。前記第3電気めっきに用いるめっき液は、銅含有量が15~25g/L、PH値が6~9である。第4電気めっきに用いるめっき液は、硫酸銅溶液を含み得る。前記第4電気めっきに用いるめっき液は、銅含有量が70~80g/L、酸含有量が90~100g/Lである。第4電気めっきに用いるめっき液は添加剤を含み、前記添加剤は、光沢剤としてのスルホン酸ナトリウム、レベラーとしてのチオ尿素、及び湿潤剤としてのポリエチレングリコールを含み、前記光沢剤としてのスルホン酸ナトリウムの質量分率は0.1~2g/L、前記レベラーとしてのチオ尿素の質量分率は0.01~1g/L、前記湿潤剤としてのポリエチレングリコールの質量分率は0.1~5g/Lであることが好ましい。前記金属箔層4は、銅箔又はアルミニウム箔であってもよい。前記金属箔層4が銅箔である場合、前記第5金属層及び前記第6金属層がともに銅金属層であり、前記金属箔層4がアルミニウム箔である場合、前記第5金属層及び前記第6金属層がともにアルミニウム金属層である。本発明の実施態様において、キャリア付金属箔の反りを回避するために、本実施態様では、前記キャリア層1及び前記金属箔層4を製造するめっき液(第1電気めっきに用いるめっき液、第2電気めっきに用いるめっき液、第3電気めっきに用いるめっき液及び第4電気めっきに用いるめっき液を含む)を同一にして、前記キャリア層1と前記金属箔層4との応力作用及び引張力作用を同一にすることで、前記キャリア層1と前記金属箔層4の曲げ度を同一にし、キャリア付金属箔の反りを回避する。
【0051】
本発明の実施態様において、前記キャリア付金属箔の製造方法は、以下のステップをさらに含む。
S41では、前記金属箔層4の前記キャリア層1から遠い側の面を粗化処理する。
S42では、粗化された前記金属箔層4の前記キャリア層1から遠い側の面に第2酸化防止層を形成する。
【0052】
前記金属箔層4の前記キャリア層1から遠い側の面を粗化処理することは、酸性電気めっきによって行われることができ、酸性銅めっきに用いるめっき液は、銅含有量が10~15g/L、酸含有量が90~100g/L、モリブデン含有量が600~800PPMである。前記第2酸化防止層は、亜鉛-ニッケル合金めっきによって形成され得る。また、第2酸化防止層を形成した後、前記第2酸化防止層のプラズマ洗浄(plasma)を行ってもよく、プラズマ洗浄を行う際の電圧を1500~2500V、電流を0.1~1.5Aとすることが好ましい。
【0053】
以下の実施例を用いてキャリア付金属箔の製造方法について説明する。具体的には、次の通りである。
【0054】
(実施例1)
S51では、キャリア層1を形成した。具体的には、まず、第1電気めっきを行って第1金属層を生成した。それから、前記第1金属層の表面に第2電気めっきを行って第2金属層を生成し、前記第1金属層及び前記第2金属層によりキャリア層が構成された。次に、前記キャリア層1を粗化し、粗化されたキャリア層1上に第1酸化防止層を形成した。前記キャリア層1を熱処理条件でアニール処理した。前記熱処理条件としては、熱処理温度が250℃、加熱時間が1時間である。前記キャリア層1が銅であり、前記第1電気めっきに用いるめっき液は硫酸銅溶液を含み、前記第1電気めっきに用いるめっき液は、銅含有量が20g/L、PH値が7である。第2電気めっきに用いるめっき液は硫酸銅溶液を含んでもよく、前記第2電気めっきに用いるめっき液は、銅含有量が75g/L、酸含有量が95g/Lである。第2電気めっきに用いるめっき液は添加剤をさらに含み、前記添加剤は、光沢剤としてのスルホン酸ナトリウム、レベラーとしてのチオ尿素、及び湿潤剤としてのポリエチレングリコールを含み、前記光沢剤としてのスルホン酸ナトリウムの質量分率が0.8g/L、前記レベラーとしてのチオ尿素の質量分率が0.5g/L、前記湿潤剤としてのポリエチレングリコールの質量分率が3g/Lである。また、前記キャリア層1を酸性電気めっきによって粗化し、酸性銅めっきに用いるめっき液は硫酸銅溶液を含み、前記酸性銅めっきに用いるめっき液は、銅含有量が13g/L、酸含有量が95g/L、モリブデン含有量が700PPMである。前記第1酸化防止層は亜鉛-ニッケル合金めっきによって形成された。
【0055】
S52では、前記キャリア層1の一方の側にバリア層2をスパッタリングによって形成した。具体的には、まず、前記キャリア層1の一方の側に金属接着層22をスパッタリングによって形成し、それから、前記金属接着層22上に耐高温層21をスパッタリングによって形成した。前記金属接着層22は、銅金属層とニッケル金属層とからなる構造であり、銅金属層が前記キャリア層1に接続され、ニッケル金属層が前記耐高温層21に接続される。前記耐高温層21は、タングステン-チタン合金から構成される合金の単層構造である。
【0056】
S53では、前記バリア層2上に剥離層3をスパッタリングによって形成した。前記剥離層3がグラファイト層である。
【0057】
S54では、前記剥離層3上に金属箔層4を形成した。具体的には、まず、前記剥離層3上に第3金属層をスパッタリングし、それから、スパッタリングされた第3金属層上に第4金属層を電気めっきし、前記第3金属層及び前記第4金属層により前記金属箔層が構成された。前記金属箔層4が銅箔であり、前記第3金属層及び前記第4金属層がともに銅金属層であり、前記剥離層3上に第3金属層をスパッタリングするスパッタリング条件としては、電流を9A、電圧を400Vとすることが好ましく、真空度は0.3Pa、スパッタリング速度は7m/min、巻出し/巻取り張力は100Nであることが好ましい。本実施例では、前記キャリア層1及び前記金属箔層4を製造するめっき液(第1電気めっきに用いるめっき液、第2電気めっきに用いるめっき液、第3電気めっきに用いるめっき液及び第4電気めっきに用いるめっき液を含む)を同一にした。
【0058】
S55では、前記金属箔層4の前記キャリア層1から遠い側の面を粗化処理し、粗化された前記金属箔層4の前記キャリア層1から遠い側の面に第2酸化防止層を酸性電気めっきによって形成した。酸性銅めっきに用いるめっき液は、銅含有量が13g/L、酸含有量が95g/L、モリブデン含有量が600~800PPMである。また、前記第2酸化防止層は亜鉛-ニッケル合金めっきによって形成された。
【0059】
(実施例2)
本実施例において、前記耐高温層21はタングステン-ニッケル合金からなる合金の単層構造である点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0060】
(実施例3)
本実施例において、前記耐高温層21はタングステン-モリブデン合金からなる合金の単層構造である点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0061】
(実施例4)
本実施例において、前記耐高温層21はクロム-ニッケル合金からなる合金の単層構造である点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0062】
(実施例5)
本実施例において、前記耐高温層21はジルコニウム-チタン合金からなる合金の単層構造である点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0063】
(実施例6)
本実施例において、前記耐高温層21はチタン-ニッケル合金からなる合金の単層構造である点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0064】
(実施例7)
本実施例において、前記耐高温層21はチタン-モリブデン合金からなる合金の単層構造である点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0065】
(実施例8)
本実施例において、前記耐高温層21はチタン-コバルト合金からなる合金の単層構造である点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0066】
(実施例9)
本実施例において、前記耐高温層21はニッケル-モリブデン合金からなる合金の単層構造である点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0067】
(実施例10)
本実施例において、前記耐高温層21はモリブデン-コバルト合金からなる合金の単層構造である点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0068】
(実施例11)
本実施例において、前記耐高温層21はタングステン金属層とグラファイト層とからなる構造であり、タングステン金属層が前記金属接着層22に接続され、グラファイト層が前記剥離層3に接続される点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0069】
(実施例12)
本実施例において、前記耐高温層21はクロム金属層とグラファイト層とからなる構造であり、クロム金属層が前記金属接着層22に接続され、グラファイト層が前記剥離層3に接続される点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0070】
(実施例13)
本実施例において、前記耐高温層21はニッケル金属層とグラファイト層とからなる構造であり、ニッケル金属層が前記金属接着層22に接続され、グラファイト層が前記剥離層3に接続される点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0071】
(実施例14)
本実施例において、前記耐高温層21はタングステン-ニッケル合金とクロム金属層とからなる構造であり、タングステン-ニッケル合金が前記金属接着層22に接続され、クロム金属層が前記剥離層3に接続される点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0072】
(実施例15)
本実施例において、前記耐高温層21はニッケル-モリブデン合金とクロム金属層とからなる構造であり、ニッケル-モリブデン合金が前記金属接着層22に接続され、クロム金属層が前記剥離層3に接続される点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0073】
(実施例16)
本実施例において、前記耐高温層21はモリブデン-コバルト合金とクロム金属層とからなる構造であり、モリブデン-コバルト合金が前記金属接着層22に接続され、クロム金属層が前記剥離層3に接続される点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0074】
(実施例17)
本実施例において、前記耐高温層21はチタン-ニッケル合金とクロム金属層とからなる構造であり、チタン-ニッケル合金が前記金属接着層22に接続され、クロム金属層が前記剥離層3に接続される点で、実施例1と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0075】
(実施例18)
S51では、キャリア層1を形成した。まず、第1電気めっきを行って第1金属層(厚さが1μm)を生成した。それから、第1金属層の表面に第2電気めっきを行って第2金属層(厚さが35μm)を生成し、第1金属層及び第2金属層によりキャリア層が構成された。次に、キャリア層1を粗化し、粗化されたキャリア層1上に第1酸化防止層を形成した。キャリア層1を熱処理条件でアニール処理した。熱処理条件としては、熱処理温度が250℃、加熱時間が1時間である。キャリア層1が銅であり、第1電気めっきプロセス及び第2電気めっきプロセスに用いるめっき液はいずれも硫酸銅溶液、スルホン酸ナトリウム、チオ尿素及びポリエチレングリコールを含み、めっき液における銅含有量が75g/L、酸含有量が95g/L、スルホン酸ナトリウムの質量分率が0.8g/L、チオ尿素の質量分率が0.5g/L、ポリエチレングリコールの質量分率が3g/Lである。また、キャリア層1を酸性電気めっきによって粗化し、酸性銅めっきに用いるめっき液は硫酸銅溶液を含み、酸性銅めっきに用いるめっき液における銅含有量が13g/L、酸含有量が95g/L、モリブデン含有量が700PPMである。第1酸化防止層は亜鉛-ニッケル合金めっきによって形成された。
【0076】
S52では、キャリア層1の一方の側にバリア層2をスパッタリングによって形成した。具体的には、次の通り行われた。
【0077】
まず、キャリア層1の一方の側に金属接着層22(厚さが60Å)をスパッタリングによって形成し、それから金属接着層22上に耐高温層21(厚さが200Å)をスパッタリングによって形成した。金属接着層22は、銅金属層とニッケル金属層とからなる構造であり、銅金属層がキャリア層1に接続され、ニッケル金属層が耐高温層21に接続される。耐高温層21はタングステン-チタン合金からなる合金の単層構造である。
【0078】
S53では、バリア層2上に、グラファイト層である剥離層3をスパッタリングによって形成した。
【0079】
S54では、剥離層3上に金属箔層4を形成した。具体的には、次の通り行われた。
【0080】
まず、剥離層3上に第3金属層(厚さが200Å)をスパッタリングし、それからスパッタリングされた第3金属層上に第3電気めっきプロセスを行って第4金属層(厚さが4μm)を形成し、第3金属層及び第4金属層により金属箔層が構成された。金属箔層4が銅箔であり、第3金属層及び第4金属層がともに銅金属層であり、剥離層3上に第3金属層をスパッタリングするスパッタリング条件としては、電流を9A、電圧を400V、真空度を0.3Pa、スパッタリング速度を7m/min、巻出し/巻取り張力を100Nとした。本実施例では、キャリア層1及び金属箔層4を製造するめっき液(第1電気めっきに用いるめっき液、第2電気めっきに用いるめっき液、第3電気めっきに用いるめっき液を含む)を同一にした。
【0081】
S55では、金属箔層4のキャリア層1から遠い側の面を粗化処理し、粗化された金属箔層4のキャリア層1から遠い側の面に第2酸化防止層を酸性電気めっきによって形成した。酸性銅めっきに用いるめっき液における銅含有量が13g/L、酸含有量が95g/L、モリブデン含有量が700PPMである。また、第2酸化防止層は、亜鉛-ニッケル合金めっきによって形成された。
【0082】
(実施例19)
本実施例において、金属接着層22は銅金属層である点で、実施例18と異なる。本実施例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0083】
(実施例20)
本実施例において、キャリア層1及び金属箔層4を形成するめっき液が異なる点で、実施例18と異なる。具体的には、次の通りである。
【0084】
キャリア層1を形成するめっき液における銅含有量が20g/L、PH値が7であり、添加剤は、光沢剤としてのスルホン酸ナトリウム、レベラーとしてのチオ尿素、及び湿潤剤としてのポリエチレングリコールを含み、光沢剤としてのスルホン酸ナトリウムの質量分率が0.8g/L、レベラーとしてのチオ尿素の質量分率が0.5g/L、湿潤剤としてのポリエチレングリコールの質量分率が3g/Lである。
【0085】
金属箔層4を形成するめっき液における銅含有量が10g/L、PH値が9であり、添加剤は、光沢剤としてのスルホン酸ナトリウム、レベラーとしてのチオ尿素、及び湿潤剤としてのポリエチレングリコールを含み、光沢剤としてのスルホン酸ナトリウムの質量分率が2g/L、レベラーとしてのチオ尿素の質量分率が1.5g/L、湿潤剤としてのポリエチレングリコールの質量分率が3g/Lである。
【0086】
(実施例21)
本実施例において、アニール処理の温度が150℃、加熱時間が120分間である点で、実施例18と異なる。
【0087】
(比較例1)
本比較例において、前記キャリア層1を形成した後、前記バリア層2を作製せず、前記キャリア層1上に剥離層3を直接形成する点で、実施例1と異なる。本比較例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0088】
(比較例2)
本比較例において、前記金属接着層22を形成した後、前記耐高温層21を作製せず、前記金属接着層22上に剥離層3を直接形成する点で、実施例1と異なる。本比較例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0089】
(比較例3)
本比較例において、前記キャリア層1を形成した後、前記金属接着層22を作製せず、前記キャリア層1上に耐高温層21を直接形成する点で、実施例1と異なる。本比較例の他のプロセス及びステップは実施例1と同様であり、これ以上詳細に説明することは省略する。
【0090】
表1は、実施例1~21で製造されたキャリア付金属箔をそのまま常温条件下(例えば16~27℃であり、25℃を例とする)で複数回のテストを行い、或いはそれぞれ異なる温度(200℃及び340℃)で可撓性絶縁ベースフィルムと圧着してから、常温条件下で複数回のテストを行ったテスト結果であり、測定された前記キャリア層1から前記金属箔層4への拡散深さ及び前記金属箔層4から前記キャリア層1の方向への拡散深さは次の通りである。
【0091】
【0092】
前記キャリア層1と前記金属箔層4とが高温条件下ではある程度相互拡散するため、前記キャリア層1と前記金属箔層4とがある程度接着するようになる。表1から分かるように、前記キャリア層1から前記金属箔層4への拡散深さ及び前記金属箔層4から前記キャリア層1の方向への拡散深さは温度の上昇に伴って増大した。実施例1乃至17で製造されたキャリア付金属箔は、常温条件下でも高温条件下でも、前記キャリア層1から前記金属箔層4への拡散深さ及び前記金属箔層4から前記キャリア層1の方向への拡散深さがいずれも3μmよりも小さいため、前記キャリア付金属箔の使用時、キャリア層1と金属箔層4が高温時に相互拡散することによって接着することを回避し、キャリア層1と金属箔層4との剥離が容易となる。実施例18乃至21の比較により、金属箔の製造中のプロセス条件を本願の好ましい範囲内とすることで、金属箔の総合性能の向上に寄与することが分かった。比較例1及び2で製造されたキャリア付金属箔は高温条件下では相互拡散が深刻であるため、前記キャリア層1と前記金属箔層4とが大きく接着し、前記キャリア付金属箔の使用時、前記キャリア層1、前記バリア層2及び前記剥離層3を同時に前記金属箔層4から剥離しにくい。また、比較例3で製造されたキャリア付金属箔は、前記耐高温層21を備えるため、高温条件下で、前記キャリア層1から前記金属箔層4への拡散深さ及び前記金属箔層4から前記キャリア層1の方向への拡散深さはいずれも3μmよりも小さかったが、比較例3で製造されたキャリア付金属箔が前記金属接着層22を備えないため、その拡散様子は実施例1~21で製造されたキャリア付金属箔の拡散様子よりも深刻であった。
【0093】
上述のように、本発明の実施例で提供されるキャリア付金属箔及びその製造方法によれば、キャリア付金属箔は、前記キャリア層1、前記バリア層2、前記剥離層3及び前記金属箔層4がこの順で積層配置されるか、或いは、前記キャリア層1、前記剥離層3、前記バリア層2及び前記金属箔層4がこの順で積層配置され、20~400℃の温度において、前記キャリア層1から前記金属箔層4への拡散深さが3μm以下であり、かつ前記金属箔層4から前記キャリア層1の方向への拡散深さが3μm以下である構成となる。剥離層3が設けられていることでキャリア層1を剥離しやすく、バリア層2が設けられていることで、キャリア層1と金属箔層4とが高温時に相互拡散して接着することを回避するため、キャリア層1と金属箔層4との剥離が容易となる。
【0094】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定することは意図していない。当業者であれば、本発明に様々な変更や変形が可能である。本発明の思想や原則内の如何なる修正、均等の置き換え、改良なども、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0095】
1…キャリア層、2…バリア層、21…耐高温層、22…金属接着層、3…剥離層、4…金属箔層。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア層と、バリア層と、剥離層と、金属箔層とを備え、
前記キャリア層、前記バリア層、前記剥離層及び前記金属箔層がこの順で積層配置されるか、或いは、
前記キャリア層、前記剥離層、前記バリア層及び前記金属箔層がこの順で積層配置され、
20~400℃の温度において、前記キャリア層から前記金属箔層への拡散深さは3μm以下であり、かつ前記金属箔層から前記キャリア層の方向への拡散深さは3μm以下である、ことを特徴とするキャリア付金属箔。
【請求項2】
前記キャリア層から前記金属箔層への拡散深さは1μm以下であり、かつ前記金属箔層から前記キャリア層の方向への拡散深さは1μm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のキャリア付金属箔。
【請求項3】
前記キャリア層、前記剥離層、前記バリア層及び前記金属箔層がこの順で積層配置され、
前記金属箔層と前記バリア層との剥離強度は、前記剥離層と前記バリア層との剥離強度よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のキャリア付金属箔。
【請求項4】
前記バリア層は、耐高温層を含み、
前記耐高温層は、有機耐高温層であるか、或いは、
前記耐高温層は、タングステン、クロム、ジルコニウム、チタン、ニッケル、モリブデン、コバルト及びグラファイトのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のキャリア付金属箔。
【請求項5】
前記耐高温層は、合金の単層構造、又は単金属層からなる多層構造、又は合金層と単金属層とからなる多層構造である、ことを特徴とする請求項4に記載のキャリア付金属箔。
【請求項6】
前記キャリア層、
前記キャリア層と前記耐高温層との間に設けられた金属接着層をさらに含む前記バリア層、前記剥離層
、及び前記金属箔層がこの順で積層配置され
るか、或いは、
前記キャリア層、前記剥離層、
前記耐高温層と前記金属箔層との間に設けられた金属接着層をさらに含む前記バリア層
、及び前記金属箔層がこの順で積層配置され
る、ことを特徴とする請求項4に記載のキャリア付金属箔。
【請求項7】
前記金属接着層は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成されるか、或いは、
前記金属接着層は、銅又は亜鉛のうちのいずれか1種の材料とニッケル、鉄及びマンガンのうちのいずれか1種の材料とから構成される、ことを特徴とする請求項
6に記載のキャリア付金属箔。
【請求項8】
前記剥離層は、ニッケル、シリコン、モリブデン、グラファイト、チタン及びニオブのうちのいずれか1種又は複数種の材料から構成されるか、或いは、
前記剥離層は、有機高分子材料から構成される、ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項9】
前記金属箔層の厚さは9μm以下である、ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項10】
前記金属箔層は銅箔又はアルミニウム箔であり、及び/又は、前記キャリア層は銅又はアルミニウム又は有機薄膜である、ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項11】
前記キャリア層の前記金属箔層に近い側の面の粗さRzは5μm以下であり、及び/又は、前記金属箔層の前記キャリア層から遠い側の面の粗さRzは3.0μm以下である、ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項12】
前記キャリア層の前記バリア層に近い側に第1酸化防止層が設けられ、及び/又は、前記金属箔層の前記バリア層から遠い側に第2酸化防止層が設けられている、ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項13】
請求項1~
12のうちいずれか一項に記載の金属箔の製造方法であって、
(1)
キャリア層(1)を形成するS11と、
前記キャリア層(1)の一方の側にバリア層(2)を形成するS12と、
前記バリア層(2)上に剥離層(3)を形成するS13と、
前記剥離層(3)上に金属箔層(4)を形成するS14と、
を含むソリューションA、或いは、
(2)
キャリア層(1)を形成するS21と、
前記キャリア層(1)の一方の側に剥離層(3)を形成するS22と、
前記剥離層(3)上にバリア層(2)を形成するS23と、
前記バリア層(2)上に金属箔層(4)を形成するS24と、
を含むソリューションB、を含み、
20~400℃の温度において、前記キャリア層(1)から前記金属箔層(4)への拡散深さは3μm以下であり、かつ前記金属箔層(4)から前記キャリア層(1)の方向への拡散深さは3μm以下である、ことを特徴とする製造方法。
【請求項14】
前記キャリア層(1)から前記金属箔層(4)への拡散深さは1μm以下であり、かつ前記金属箔層(4)から前記キャリア層(1)の方向への拡散深さは1μm以下である、ことを特徴とする請求項
13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記バリア層(2)は、積層配置された金属接着層(22)及び耐高温層(21)を含み、
前記耐高温層(21)は、前記剥離層(3)に近づいて配置されている、ことを特徴とする請求項
13に記載の製造方法。
【請求項16】
前記金属接着層(22)、前記耐高温層(21)、及び前記剥離層(3)をそれぞれ独立してスパッタリングによって形成するステップを含み、
好ましくは、各前記スパッタリング過程の電流はそれぞれ独立して6~12Aから選ばれ、電圧はそれぞれ独立して300~500Vから選ばれる、ことを特徴とする請求項
15に記載の製造方法。
【請求項17】
キャリア層(1)を形成する前記ステップは、
第1電気めっきプロセスを行って第1金属層を生成するS111と、
前記第1金属層の表面に第2電気めっきプロセスを行って第2金属層を生成するS112であって、前記第1金属層及び前記第2金属層により前記キャリア層(1)が構成されるS112と、を含み、
好ましくは、前記第1電気めっきプロセスに用いる第1めっき液は、硫酸銅溶液を含み、かつ、銅含有量が15~25g/L、PH値が6~9であり、前記第2電気めっきプロセスに用いる第2めっき液は、硫酸銅溶液、質量分率が0.1~2g/Lであるスルホン酸ナトリウム、質量分率が0.01~1g/Lであるチオ尿素、及び、質量分率が0.1~5g/Lであるポリエチレングリコールを含み、かつ、銅含有量が70~80g/L、酸含有量が90~100g/Lである、ことを特徴とする請求項
16に記載の製造方法。
【請求項18】
キャリア層(1)を形成する前記ステップの後、前記製造方法は、
前記キャリア層(1)を粗化し、粗化されたキャリア層(1)を得るS113と、
粗化されたキャリア層(1)上に第1酸化防止層を形成するS114と、
をさらに含み、
好ましくは、前記粗化処理プロセスは酸性電気めっきによって行われ、
より好ましくは、前記酸性銅めっきプロセスに用いるめっき液は、硫酸銅溶液を含み、かつ、銅含有量が10~15g/L、酸含有量が90~100g/L、モリブデン含有量が600~800PPMである、ことを特徴とする請求項
17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記キャリア層(1)を形成した後、前記キャリア層(1)をアニール処理するステップをさらに含み、
好ましくは、前記アニール処理プロセスの温度が200~300℃、加熱時間が30~300minである、ことを特徴とする請求項
18に記載の製造方法。
【請求項20】
金属箔層(4)を形成する前記ステップは、
前記ソリューションAの前記剥離層(3)又は前記ソリューションBの前記バリア層(2)上に第3金属層をスパッタリングするステップと、
前記第3金属層上に第3電気めっきプロセスを行って第4金属層を生成するステップであって、前記第3金属層及び前記第4金属層により前記金属箔層(4)が構成されるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項
17に記載の製造方法。
【請求項21】
前記第4金属層を形成した後、前記製造方法は、
前記第4金属層の表面に第4電気めっきプロセスを行って第5金属層を形成するステップであって、前記第4金属層及び前記第5金属層により前記金属箔層(4)が構成されるステップをさらに含み、
前記第3電気めっきプロセスの第3めっき液は、硫酸銅溶液を含み、かつ、銅含有量が15~25g/L、PH値が6~9であり、前記第4電気めっきプロセスの第4めっき液は、硫酸銅溶液、質量分率が0.1~2g/Lであるスルホン酸ナトリウム、質量分率が0.01~1g/Lであるチオ尿素、及び、質量分率が0.1~5g/Lであるポリエチレングリコールを含み、かつ、銅含有量が70~80g/L、酸含有量が90~100g/Lであり、
好ましくは、前記第1めっき液、前記第2めっき液、前記第3めっき液、及び前記第4めっき液を同一にする、ことを特徴とする請求項
20に記載の製造方法。
【国際調査報告】