(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】力測定装置に試料ホルダを取り付けるための取付けアセンブリ、このような取付けアセンブリのための試料ホルダおよび対応ホルダならびにこのような取付けアセンブリを備えた力測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 3/04 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
G01N3/04 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532392
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(85)【翻訳文提出日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2019083946
(87)【国際公開番号】W WO2020120304
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】102018221334.8
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513220920
【氏名又は名称】フェッター ファルマ-フェルティグング ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA02
2G061AB03
2G061BA04
2G061CB09
2G061CC01
2G061EA01
2G061EB05
(57)【要約】
本発明は、力測定装置(1)に試料ホルダ(7)を取り付けるための取付けアセンブリ(3)であって、試料ホルダ(7)と、力測定装置(1)に形成または配置されているか、または力測定装置(1)に固定的に結合可能である、力測定装置側の対応ホルダ(5)であって、少なくとも1つの試料ホルダ収容部(19,21)を有している対応ホルダ(5)とを備え、試料ホルダ(7)が、平坦な当接面(39)を有しており、試料ホルダ収容部(19,21)が、平坦な対応当接面(23)を有しており、試料ホルダ(7)が、少なくとも1つの位置決め要素(41,43)および位置固定要素(45)をさらに有しており、試料ホルダ収容部(19,21)が、少なくとも1つの対応位置決め要素(25,27)および対応位置固定要素(29)を有しており、位置決め要素(41,43)および対応位置決め要素(25,27)が、当接面(39)および対応当接面(23)と一緒に、試料ホルダ(7)と対応試料ホルダ(5)との間の相対位置を明確に規定するように構成されており、位置固定要素(45)および対応位置固定要素(29)が、試料ホルダ(7)と対応ホルダ(5)とを互いに接触させて保持し、当接面(39)と対応当接面(23)とを互いに押し合わせるように構成されている、取付けアセンブリ(3)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力測定装置(1)に試料ホルダ(7)を取り付けるための取付けアセンブリ(3)であって、
-試料ホルダ(7)と、
-前記力測定装置(1)に形成または配置されているか、または前記力測定装置(1)に固定的に結合可能である、力測定装置側の対応ホルダ(5)であって、少なくとも1つの試料ホルダ収容部(19,21)を有している対応ホルダ(5)と
を備え、
-前記試料ホルダ(7)が、平坦な当接面(39)を有しており、前記試料ホルダ収容部(19,21)が、平坦な対応当接面(23)を有しており、
-前記試料ホルダ(7)が、少なくとも1つの位置決め要素(41,43)および位置固定要素(45)をさらに有しており、
-前記試料ホルダ収容部(19,21)が、少なくとも1つの対応位置決め要素(25,27)および対応位置固定要素(29)を有しており、
-前記位置決め要素(41,43)および前記対応位置決め要素(25,27)が、前記当接面(39)および前記対応当接面(23)と一緒に、前記試料ホルダ(7)と前記対応試料ホルダ(5)との間の相対位置を明確に規定するように構成されており、
-前記位置固定要素(45)および前記対応位置固定要素(29)が、前記試料ホルダ(7)と前記対応ホルダ(5)とを互いに接触させて保持し、前記当接面(39)と前記対応当接面(23)とを互いに押し合わせるように構成されている、
取付けアセンブリ(3)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの位置決め要素(41,43)と前記少なくとも1つの対応位置決め要素(25,27)とから選択された少なくとも一方の要素が、位置合わせピンとして形成されており、前記少なくとも1つの対応位置決め要素(25,27)と前記少なくとも1つの位置決め要素(41,43)とから選択された他方の要素が、位置合わせ孔として形成されている、請求項1に記載の取付けアセンブリ(3)。
【請求項3】
前記試料ホルダ(7)が、前記少なくとも1つの位置決め要素として第1位置決め要素(41)と第2位置決め要素(43)とを有しており、前記対応ホルダ(5)が、前記少なくとも1つの対応位置決め要素として第1対応位置決め要素(25)と第2対応位置決め要素(27)とを有しており、
a)前記第1位置決め要素(41)が、丸ピンとして形成されており、前記第2位置決め要素(43)が、ダイヤ形ピンまたはフラットピンとして形成されており、前記第1対応位置決め要素(25)が、位置合わせ孔として形成されており、前記第2対応位置決め要素(27)が、位置合わせ孔として形成されている、または
b)前記第1位置決め要素(41)が、丸ピンとして形成されており、前記第2位置決め要素(43)が、位置合わせ孔として形成されており、前記第1対応位置決め要素(25)が、位置合わせ孔として形成されており、前記第2対応位置決め要素(27)が、ダイヤ形ピンまたはフラットピンとして形成されている、または
c)前記第1位置決め要素(41)が、位置合わせ孔として形成されており、前記第2位置決め要素(43)が、ダイヤ形ピンまたはフラットピンとして形成されており、前記第1対応位置決め要素(25)が、丸ピンとして形成されており、前記第2対応位置決め要素(27)が、位置合わせ孔として形成されている、または
d)前記第1位置決め要素(41)が、位置合わせ孔として形成されており、前記第2位置決め要素(43)が、位置合わせ孔として形成されており、前記第1対応位置決め要素(25)が、丸ピンとして形成されており、前記第2対応位置決め要素(27)が、ダイヤ形ピンまたはフラットピンとして形成されている、
請求項1または請求項2に記載の取付けアセンブリ(3)。
【請求項4】
前記位置固定要素(45)と前記対応位置固定要素(49)とから選択された一方の要素が、引張フックとして形成されており、前記対応位置固定要素(29)と前記位置固定要素(45)とから選択された他方の要素が、係止切欠きとして形成されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)。
【請求項5】
前記係止切欠きが、係止位置に向かって予荷重を加えられた係止要素(31)を有している、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)。
【請求項6】
前記試料ホルダ(7)が、少なくとも1つの試料収容部(57)、好適には3つの試料収容部(57)を有している、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの試料収容部(57)が、
(a)医薬用の中空体(59)用のクリップ収容部、または
(b)ロードセル(73)用の受け部(71)
として形成されている、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)。
【請求項8】
前記対応ホルダ(5)に、液体用の捕集リザーバ35)が形成されている、および/または配置されている、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)。
【請求項9】
前記対応ホルダ(5)が、前記少なくとも1つの試料ホルダ収容部(19,21)として2つの試料ホルダ収容部(19,21)を有している、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)。
【請求項10】
前記取付けアセンブリ(3)が、前記対応ホルダ(5)の前記少なくとも1つの試料ホルダ収容部(19,21)に取り付けるように構成された受け部材(67)を有している、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)。
【請求項11】
前記試料ホルダ(7)の、クリップ収容部として形成された前記少なくとも1つの試料収容部(57)が、射出成形により、またはジェネレーティブな製造法、特に3D印刷法により製造されている、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)。
【請求項12】
前記当接面(39)が、前記試料ホルダ(7)に取り付けられている当接プレートに形成されている、および/または前記対応当接面(23)が、前記対応ホルダ(5)に取り付けられている対応当接プレート(37)に形成されている、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)を備えた力測定装置(1)。
【請求項14】
医薬用の中空体(59)に対する引張力および/または押圧力を測定するために構成されている、請求項13に記載の力測定装置(1)。
【請求項15】
試料ホルダ(7)であって、平坦な当接面(39)と、少なくとも1つの位置決め要素(41,43)と、位置固定要素(45)とを備え、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)の試料ホルダ(7)として使用するように構成されている、試料ホルダ(7)。
【請求項16】
対応ホルダ(5)であって、少なくとも1つの試料ホルダ収容部(19,21)を備え、該試料ホルダ収容部(19,21)が、平坦な対応当接面(23)と、少なくとも1つの対応位置決め要素(25,27)と、対応位置固定要素(29)とを有しており、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の取付けアセンブリ(3)の対応ホルダ(5)として使用するために構成されている、対応ホルダ(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力測定装置に試料ホルダを取り付けるための取付けアセンブリ、このような取付けアセンブリを備えた力測定装置ならびにこのような取付けアセンブリのための試料ホルダおよび対応ホルダに関する。
【0002】
本明細書において扱われる種類の力測定装置は特に、医薬用の中空体において引張試験および/または押圧試験を実施するために使用される。したがって、このような力測定装置により、たとえば医薬用の中空体内において移動可能なピストンの滑り力および/または密閉性を、特にピストンの移動のために必要とされる押圧力に基づいて測定することができ、その際に特に、十分な量のシリコーンまたは別の滑材が塗布されているか、または場合によっては過多のシリコーンまたは別の滑材が塗布されていないかを検査することができる。さらに、特に医薬用の中空体における安定性、組付け力、破砕強度、ねじり耐性および別の特性を検査することができる。このような力測定装置は、一般的には、特にベースプレートを備えた基体と、基体に、特にベースプレート上に配置された力測定タワーとを有しており、試料ホルダは、基体に、特にベースプレート上に位置固定的に配置することができ、試験要素は、力測定タワーの高さに沿って移動可能なスライダに配置可能である。力測定、特に引張力測定/押圧力測定のためには、スライダ上の試験要素は、試料ホルダ、特に試料ホルダに配置された試料に対して相対的に、力測定タワーの高さ方向に沿って移動させられるか、または少なくとも移動方向で、つまり引張方向または押圧方向で試料に力を加える。この力は、特に時間に応じて検出される。これにより、時間的な力経過および/またはスライダの移動区間にわたってプロットされる力経過に基づいて、試料に関する情報を得ることができる。
【0003】
再現可能で重要な結果を得るためには、試料と、スライダの移動経路、つまり特に力測定タワーの高さ方向とが、互いに正確に平行に位置調整されていることが必要である。特に、測定結果に説得力をもたせたい場合には、試験要素と試料との間で平行性のずれも角度のずれも存在していてはならない。
【0004】
現在、商業的に入手可能な試料ホルダおよびこの試料ホルダのための取付け部は、特別に医薬用の中空体に合わせて構成されておらず、力測定タワーの鉛直軸線に対するその配向を高い精度と再現性をもって保証することもできない。このことは、特に、試料または試料ホルダの交換時に重要である。真っすぐな注射器またはカープルは、その細長い形状に基づいて特に高い精度を要求し、この精度で、真っすぐな注射器またはカープルの長手方向軸線は力測定タワーの高さ方向に対して平行に配向されていなければならない。このことは、複数の試料が1つの同一の力測定装置において相並んで試験されることが望ましい場合にいっそう重要である。
【0005】
さらに、医薬用の中空体の分野では、種々異なる中空体を1つの力測定装置により検査することができる可能性に対する需要がある。種々異なる種類間の医薬用の中空体の交換も、同一の中空体の種々異なる試料間の交換も、迅速で簡単に、それにもかかわらず高い精度で行われることが望ましい。同時にこのようなアセンブリは標準化可能であることが望ましい。
【0006】
したがって、本発明の根底にある課題は、上述の欠点が発生しない、力測定装置に試料ホルダを取り付けるための取付けアセンブリ、このような取付けアセンブリを備えた力測定装置ならびにこのような取付けアセンブリのための試料ホルダおよび対応ホルダを提供することにある。
【0007】
この課題は、独立請求項に記載の対象を提供することにより解決される。有利な構成は、従属請求項から明らかである。
【0008】
この課題は特に、試料ホルダと力測定装置側の対応ホルダとを有している、力測定装置に試料ホルダを取り付けるための取付けアセンブリを提供することにより解決される。対応ホルダは、力測定装置に形成または配置されているか、または力測定装置に固定的に結合可能である。さらに対応ホルダは、少なくとも1つの試料ホルダ収容部を有している。試料ホルダは、平坦な当接面を有している。試料ホルダ収容部は、平坦な対応当接面を有している。特に、平坦な当接面と、平坦な対応当接面とは、互いに面接触するように、特に全面接触するように構成され、かつ特に互いに適合させられている。試料ホルダは、少なくとも1つの位置決め要素と、位置固定要素とをさらに有している一方で、試料ホルダ収容部は、少なくとも1つの対応位置決め要素と、対応位置固定要素とを有している。位置決め要素と対応位置決め要素とは、特に当接面が対応当接面に接触している場合に、試料ホルダと対応ホルダとの間の相対位置を、当接面および対応当接面と一緒に明確に規定するように構成され、かつ特に互いに適合させられている。位置固定要素と対応位置固定要素とは、試料ホルダと対応試料ホルダとを互いに接触させて保持し、当接面と対応当接面とを互いに押し合わせるように構成され、かつ特に互いに適合させられている。これにより、対応試料ホルダへの試料ホルダの、高精度で再現可能なかつ迅速に着脱可能な結合部を提供することができる。特に、力測定装置側の対応ホルダひいては力測定装置、特に力測定装置の力測定タワーの鉛直軸線に対して相対的な、試料ホルダに保持された試料の相対位置が、一方では、対応当接面への当接面の当接を介して達成され、他方では、位置決め要素と対応位置決め要素との協働を介して達成される。位置固定要素と対応位置固定要素とが、試料ホルダと対応ホルダとを互いに接触させて保持することにより、互いの相対姿勢が位置固定される。
【0009】
当接面および対応当接面は、特に互いに対応して、および/または互いに相補的に形成されているので、当接面と対応当接面とは、完全に互いに全面接触することができる。
【0010】
位置決め要素と対応位置決め要素とは、好適には、位置決め要素と対応位置決め要素とが互いに対応し、特に互いに相補的に形成されているように、互いに適合させられている。
【0011】
位置固定要素と対応位置固定要素とは、好適には、位置固定要素と対応位置固定要素とが互いに対応しているように、互いに適合させられている。特に位置固定要素と対応位置固定要素とは、好適には互いに相補的に形成されている。
【0012】
位置固定要素と対応位置固定要素とは、特に、当接面と対応当接面とを固定的に、特にギャップなしに互いに押し合わせ、これにより当接面と対応当接面とが完全に、特に互いに全面接触するように構成されている。
【0013】
位置固定要素と対応位置固定要素とは、特に、試料ホルダと対応ホルダとを明確に規定された相対位置に保持するために構成されている。
【0014】
相対位置とは、本明細書では、特に、試料ホルダおよび対応ホルダが互いに占めている、空間における3次元の位置であると理解される。特に、明確に規定された相対位置は、全ての運動自由度が規定されており、これにより対応ホルダと試料ホルダとの間での並進的な相対運動も回転的な相対運動ももはや不可能である空間における相対的な姿勢であると理解される。むしろ空間における対応ホルダと試料ホルダとの互いの相対姿勢は、明確に規定されている。
【0015】
特に、当接面と対応当接面との互いの平坦な、好適には全面的な当接により、特に当接面および対応当接面に対して垂直方向の並進自由度と、2つの回転自由度が規定される。位置決め要素と対応位置決め要素との協働により、好適には残りの回転自由度ならびに残りの両方の並進自由度が規定される。
【0016】
好適には、位置固定要素と対応位置固定要素とは、少なくとも主として自由度を規定するために働くのではなく、規定された相対位置における試料ホルダと対応ホルダの配置を位置固定またはロックするために働く。当接面、対応当接面、少なくとも1つの位置決め要素および少なくとも1つの対応位置決め要素を介した相対位置の定義と、位置固定要素および対応位置固定要素による位置固定/ロックとの間の機能分離は、相対姿勢の特に正確かつ再現可能な規定を可能にし、同時に対応ホルダにおける試料ホルダの簡単な着脱性およびロック性、ひいては種々異なる試料ホルダの迅速な交換性が保証される。
【0017】
対応ホルダは、好適には、固定的に、特に位置固定的に、特に好適には持続的に力測定装置に結合されている。特に、対応ホルダは、好適には固定的に、特に位置固定的に、好適には継続的に基体に結合されており、特にベースプレート上に配置されている。したがって、特に対応ホルダと力測定タワーとの間の相対姿勢が定義され、かつ正確に規定されており、この場合、試料ホルダも、正確かつ再現可能に対応ホルダに配置することができるので、力測定タワーに対する試料ホルダの相対姿勢も再現可能かつ高い精度で規定可能である。
【0018】
試料ホルダとは、本明細書では、狭義の試料、たとえば医薬用の中空体を保持するために構成されているホルダであると理解され、他方では試料ホルダは、較正装置、または較正装置のためのホルダであってもよく、較正装置は、力測定装置を較正するために構成されている。したがって、このような較正装置は、再現可能かつ簡単な形式で、試料の代わりに対応ホルダに配置することができるので、力測定装置の、再現可能かつ簡単、迅速な較正が可能である。
【0019】
特に好適には、試料ホルダと対応試料ホルダ、特に平坦な当接面と平坦な対応当接面、少なくとも1つの位置決め要素と少なくとも1つの対応位置決め要素および位置固定要素と対応位置決め要素とは、一方向での単純な運動により、特に一次元の運動により、試料ホルダを対応ホルダに結合することができるように、互いに適合させられている。特に、単純な一次元の運動により、対応ホルダにおける試料ホルダの係止またはクリップ止めが可能であるので、位置固定要素と対応位置固定要素とは、試料ホルダを対応ホルダにおいて保持するために、互いに係合するか、または互いにロックされる。対応ホルダからの試料ホルダの取外しも、好適には単純な、特に一次元の運動で行うことができる。これにより、対応ホルダにおける試料ホルダの特に迅速な配置と、対応ホルダからの試料ホルダの迅速な取出しとが可能であるので、特に種々異なる試料および/または較正装置を相前後して対応ホルダ内に配置し、したがって交換することができる。
【0020】
本発明の1つの改良形によれば、少なくとも1つの位置決め要素が、位置合わせピンであり、少なくとも1つの対応位置決め要素が、位置合わせ孔であることが規定されている。これにより位置合わせピンとして形成された位置決め要素は、位置合わせ孔として形成された対応位置決め要素内に係合する。逆の構成も可能であり、つまり位置決め要素が、位置合わせ孔として形成されていて、対応位置決め要素が、位置合わせピンとして形成されている。位置合わせピンが位置合わせ孔内に係合することにより、位置合わせ孔内への位置合わせピンの延在方向に対して垂直な2つの並進自由度を規定することができる。位置決め要素と対応位置決め要素とは、好適には、特に位置固定要素および/または対応位置固定要素に対して偏心的に、試料ホルダもしくは対応ホルダに配置されているので、位置合わせ孔内への位置合わせピンの係合により回転自由度も規定可能である。
【0021】
本発明の1つの改良形によれば、試料ホルダが、少なくとも1つの位置決め要素として、第1位置決め要素と第2位置決め要素とを有していることが規定されている。試料ホルダ収容部は、好適には少なくとも1つの対応位置決め要素として、第1対応位置決め要素と第2対応位置決め要素とを有している。1つの構成によれば、好適には、第1位置決め要素が、丸ピンとして形成されており、第2位置決め要素が、フラットピンまたはダイヤ形ピン(Schwertstift)として形成されている。この場合、好適には両方の対応位置決め要素が位置合わせ孔として形成されており、位置合わせ孔は、特に、位置合わせ孔にそれぞれ対応配置された位置決め要素が、正確に嵌合してそれぞれの位置合わせ孔内に係合することができるように構成されている。第1対応位置決め要素が、丸ピンとして形成されており、第2対応位置決め要素が、ダイヤ形ピンまたはフラットピンとして形成されていることも可能であり、したがって対応して、好適には位置決め要素が、それぞれ対応する位置合わせ孔として形成されている。しかし、両位置決め要素のうちの一方の位置決め要素が、丸ピンとして、またはダイヤ形ピンまたはフラットピンとして形成されており、位置決め要素のうちの他方の位置決め要素が、位置合わせ孔として形成されていることも可能である。したがって対応して、対応している位置決め要素がどのように形成されているかに応じて、対応位置決め要素のうちの一方の対応位置決め要素が、位置合わせ孔として形成されていて、対応位置決め要素のうちの他方の対応位置決め要素が、ダイヤ形ピンまたはフラットピンとして形成されている。対応する位置決め要素が、丸ピンとして形成されていると、対応位置決め要素は、フラットピンまたはダイヤピンとして形成されており、反対に位置決め要素がダイヤピンまたはフラットピンとして形成されている場合、対応する対応位置決め要素は、丸ピンとして形成されている。いずれの場合も、これにより、第1位置合わせ孔内に係合する丸ピンと、第2位置合わせ孔内に係合するフラットピンまたはダイヤ形ピンとが、互いに組み合わせられ、これにより試料ホルダと対応ホルダとの間の相対位置を規定することができる。
【0022】
丸ピンとは、円筒形の軸部を有するピンであると理解される。丸ピンが、位置合わせ孔内への容易な導入のために円錐形または斜めにされた導入区分を有していることも可能である。ダイヤ形ピンまたはフラットピンとは、差込方向に対して垂直な第1方向に沿った延在長さが、第1方向に対して垂直に配置され、同様に差込方向に対して垂直方向に配向されている第2方向に沿った延在長さよりも大きいピンであると理解される。したがって、丸ピンによって、差込方向に対して垂直な2つの並進自由度を規定することができる一方で、ダイヤ形ピンまたはフラットピンにより並進自由度を規定することができる。特に位置固定要素および/または対応位置固定要素に対して好適には偏心して配置された両方の位置決め要素は、対応する対応位置決め要素と一緒に回転自由度を規定する。ダイヤ形ピンまたはフラットピンが、一方向で面取りされており、したがってこの方向で位置合わせ孔の内壁に対して間隔を空けていることは、特に試料ホルダと対応ホルダとの間の相対姿勢の過剰決定を回避することを支援する。
【0023】
好適には、ダイヤ形ピンまたはフラットピンも、対応する位置合わせ孔内への導入を容易にするために、導入斜面または円錐形の導入区分を有している。位置合わせ孔は、好適には、円筒孔として形成されている。特に、ダイヤ形ピンまたはフラットピンのための位置合わせ孔は、丸ピンのための位置合わせ孔と、そのサイズに関して同一に形成されていてよい。したがって、一方向に沿った面取りに基づいて、フラットピンまたはダイヤ形ピンは、円形ピンとは異なり、一方向または一軸線に沿ってのみ位置合わせ孔の内壁に接触する。
【0024】
本発明の1つの改良形によれば、位置固定要素が引張フックとして形成されており、対応位置固定要素が係止切欠きとして形成されていることが規定されている。反対に、対応位置固定要素が引張フックとして形成されており、位置固定要素が係止切欠きとして形成されていることも可能である。係止切欠き内に係合する引張フックにより、対応ホルダにおける試料ホルダの簡単かつ迅速な位置固定およびロックが可能である。
【0025】
引張フックは、好適には、係止切欠き内への引張フックの容易な導入のために、導入斜面、特に好適には円錐形の導入区分を有している。代替的または付加的には、引張フックは好適には、滑動斜面を有しており、この滑動斜面は、楔伝動装置と同一の機能形式で、引張フックを係止切欠き内に引き込むために働く。
【0026】
本発明の1つの改良形によれば、係止切欠きが、係止位置へと予荷重を加えられた係止要素を有していることが規定されている。引張フックの導入斜面は、好適には、引張フックが係止切欠きに導入されると、係止要素を予荷重に抗して解除位置へと押圧するように適合させられている。係止位置では、引張フックが係止切欠き内に導入されている場合、係止要素は好適には引張フックのロック切欠きに係合する。引張フックの滑動斜面は、係止要素がその移動時に係止位置にその予荷重に基づいて滑動斜面を進み、引張フックを係止切欠き内に引き込むように、好適にはロック切欠きの壁部に構成されている。
【0027】
係止フックを解除するために、係止要素を、好適には予荷重に抗して、係止位置から解除位置へと移動させることができる。次いで引張フックを係止切欠きから取り出すことができる。
【0028】
本発明の1つの改良形によれば、試料ホルダが少なくとも1つの試料収容部、好適にはまさに1つの試料収容部または複数の試料収容部を有していることが規定されている。試料収容部は、試料、特に医薬用の中空体または較正装置を保持するために構成されているか、または較正装置を力測定装置の較正のために使用することができるように、較正装置と協働するように構成されている。特に、較正装置を、試料収容部により支持されるように、試料ホルダに配置可能であることが可能である。
【0029】
好適には、試料ホルダが、3つの試料収容部を有している。本明細書において提案される取付けアセンブリにより、複数の試料も、特に互いに並列して、再現可能かつ力測定装置において正確な位置で配置し、特に同時に検査することができる。
【0030】
本発明の1つの改良形によれば、少なくとも1つの試料収容部が、医薬用の中空体用のクリップ収容部として形成されていることが規定されている。これにより、極めて簡単かつ迅速に医薬用の中空体を試料収容部にまたは試料収容部内に、特にクリップ係止により配置することができる。このようなクリップ収容部は、たとえば、試料ホルダのベースプレートにねじ止めすることができる。しかし、別の力結合式、形状結合式および/または材料結合式の結合部も可能である。クリップ収容部は、試料ホルダと一体的に形成されていてよい。
【0031】
代替的または付加的には、少なくとも1つの試料収容部が、好適にはロードセルのための受け部として形成されていてよい。これにより、較正装置としてのロードセルを試料収容部に支持することができる。特に、力測定装置の較正のために、好適には、力測定装置の精度よりも特に高い精度を有する少なくとも1つの高精度のロードセルが、試料の代わりに試料収容部に配置される。受け部は、特に、ロードセルまたはロードセルに接続された差込要素が差込可能または押付け可能であるプッシュオンピンとして形成されていてよい。
【0032】
試料ホルダが複数の試料収容部を有している場合、これらの試料収容部は好適にはそれぞれ互いに、かつ力測定装置に対して位置調整されており、特に互いに同一の高さに配置されていることが好ましい。これにより、正確で再現可能な測定を、試料収容部の全ての位置において同時に行うことができる。
【0033】
本発明の1つの改良形によれば、対応ホルダに、液体用の捕集リザーバが形成されている、および/または配置されていることが規定されている。このことは、予め充填された医薬用の中空体の試験時に特に有利であり、特にエラーが発生した場合、または医薬用の中空体が開いている場合に医薬用の中空体内のピストンの移動が意図したとおりに検査された場合に、試験中に、このような医薬用の中空体から流出する液体を捕集リザーバ内に受けることができる。
【0034】
本発明の1つの改良形によれば、対応ホルダは、少なくとも2つ、好適にはまさに2つの試料ホルダ収容部を有していることが規定されている。これにより、互いに異なる2つの試料ホルダ、または試料ホルダと別の要素とを対応ホルダに同時に取り付けることができる。試料ホルダ収容部は、特に、少なくとも1つの軸線、特に力測定タワーの高さ方向に沿って互いに相対的に位置調整されている。好適には、試料ホルダ収容部は、力測定タワーの高さ方向に対して垂直な方向で互いにずらされて配置されている。特に好適には、試料ホルダ収容部は、互いに同一に形成されている。このことは、一方では製造において、他方では操作において、取付けアセンブリの特別な単純性をもたらす。
【0035】
本発明の1つの改良形によれば、取付けアセンブリは、対応ホルダの少なくとも1つの試料ホルダ収容部に取り付けるように構成された受け部材を有していることが規定されている。受け部材は、特に支持力を提供するために働く。受け部材は、好適には、試料ホルダと同じ取付け要素、つまり特に平坦な当接面、少なくとも1つの位置決め要素および位置固定要素を有しているので、試料ホルダの代わりに試料ホルダ収容部に配置することができる。
【0036】
受け部材は、特に、試験中に、たとえば医療用の中空体のような試料を支持するために働くが、較正のためのロードセル用の受け部を提供するためにも働くことができる。
【0037】
好適には、受け部材は、少なくとも1つの受け部または複数の受け部、特に好適には、特に、試料ホルダの3つの試料収容部に対応する3つの受け部を有している。
【0038】
受け部材が、少なくとも1つの試料、好適には3つの試料を支持するために設けられている場合、好適には上側の第1試料ホルダ収容部に試料ホルダが配置されており、下側の第2試料ホルダ収容部に受け部材が配置されている。受け部材により、検査のために試料に導入される押圧力を支持することができる。
【0039】
これに対して、受け部材が、ロードセルのための少なくとも1つの受け部を提供するために設けられている場合、好適には、対応ホルダの両方の試料ホルダ収容部のうちの1つの試料ホルダ収容部は空のままであり、受け部材は、他方の試料ホルダ収容部に配置される。特に、受け部材が、両試料ホルダ収容部のうちの下側の試料ホルダ収容部に配置される一方で、上側の試料ホルダ収容部は空のままであることが可能である。
【0040】
本発明の1つの改良形によれば、少なくとも1つのクリップ収容部が射出成形または印刷されていることが規定されている。特に、クリップ収容部は、射出成形部材として、特に一成分または多成分の射出成形部材として形成されてもよい。しかし、クリップ収容部は、ジェネレーティブな方法、特に3D印刷法によって製造されていてよい。好適には、クリップ収容部は、少なくとも1つの弾性的な領域を有しており、および/または、弾性材料、特にプラスチックから形成されているので、試料は簡単にクリップ収容部に係止可能である。これにより、クリップ収容部を簡単かつ廉価に製造することができる。
【0041】
好適には、クリップ収容部は、少なくとも1種のプラスチック材料を有しているか、または1種のプラスチックから成っている。
【0042】
代替的または付加的には、試料ホルダは、好適には金属または金属合金から形成されている。
【0043】
本発明の1つの改良形によれば、当接面が、試料ホルダに取り付けられている当接プレートに形成されていることが規定されている。これにより、当接面を特に正確に、かつ特に平坦に製造することができ、当接プレートを試料ホルダに高精度に配置することができる。代替的または付加的には、対応当接面が、対応ホルダに取り付けられている対応当接プレートに形成されている。これにより、対応当接面を特に平坦かつ正確に形成し、対応ホルダに簡単に取り付けることができる。
【0044】
特に、当接プレートおよび/または対応当接プレートを精密部材として製造することが可能である。したがって、このようなプレートは、簡単で迅速かつ再現可能に、試料ホルダおよび/または対応ホルダにねじ締結することができるか、また別の形式で試料ホルダおよび/または対応ホルダに取り付けることができる。
【0045】
この課題は、本発明による取付けアセンブリまたは上述の実施例のうちのいずれか1つの実施例による取付けアセンブリを有する力測定装置を提供することによっても解決される。力測定装置に関して、特に、取付けアセンブリに関連して説明された利点が生じる。
【0046】
本発明の1つの改良形によれば、力測定装置は、医薬用の中空体における引張力および/または押圧力を測定するために構成されていることが規定されている。この場合、すでに説明したように、本明細書に記載されている利点が特定の形式で実現する。
【0047】
この問題は、平坦な当接面、少なくとも1つの位置決め要素および位置固定要素を有する試料ホルダを提供することによっても解決される。試料ホルダは、本発明に係る取付けアセンブリまたは上記で説明した実施例のうちのいずれか1つの実施例による取付けアセンブリの試料ホルダとして使用するために構成されている。試料ホルダに関連して、特に、取付けアセンブリに関連して説明された利点が生じる。
【0048】
平坦な当接面は、特に、取付けアセンブリの試料ホルダ収容部の平坦な対応当接面と協働するように構成されている。少なくとも1つの位置決め要素は、試料ホルダの収容部の対応位置決め要素と協働するように構成されている。位置固定要素は、好適には、試料ホルダ収容部の対応位置固定要素と協働し、特に、試料ホルダを対応ホルダにおいて保持し、当接面と対応当接面とを互いに押し合わせるように構成されている。
【0049】
特に、試料ホルダは、好適には、本発明に係る取付けアセンブリまたは上記で説明した実施例のうちのいずれか1つの実施例による取付けアセンブリの試料ホルダに関連して説明されたように構成される。
【0050】
この課題は、少なくとも1つの試料ホルダ収容部を有する対応ホルダを提供することによっても解決され、試料ホルダ収容部は、平坦な対応面、少なくとも1つの対応位置決め要素および対応位置固定要素を有している。この対応ホルダは、本発明に係る取付けアセンブリまたは上述した実施例のうちのいずれか1つの実施例による取付けアセンブリの対応ホルダとして使用するために構成されている。対応ホルダに関連して、特に、取付けアセンブリに関連して説明された利点が特に生じる。
【0051】
平坦な対応当接面は、特に、取付けアセンブリの試料ホルダの平坦な当接面と協働するように構成されている。少なくとも1つの対応位置決め要素は、特に、取付けアセンブリの試料ホルダの位置決め要素と協働するように構成されている。対応位置固定要素は、特に、取付けアセンブリの試料ホルダの位置固定要素と協働し、位置固定要素および対応位置固定要素は、特に、試料ホルダと対応ホルダとを互いに接触させて保持し、当接面と対応当接面とを互いに押し合わせるように協働するように構成されている。
【0052】
対応ホルダは、好適には、本発明に係る取付けアセンブリまたは上記で説明した実施例のうちのいずれか1つの実施例による取付けアセンブリの対応ホルダに関連して説明したように形成されている。
【0053】
本発明を以下に図面を参照しながらより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】力測定装置の実施例を取付けアセンブリの実施例を含めて示す図。
【
図2】
図1に示した取付けアセンブリの対応ホルダを示す図。
【
図3】
図1に示した取付けアセンブリの試料ホルダを示す図。
【
図6】
図1~
図5に示した取付けアセンブリの、受け部として形成された試料収容部を有する別の試料ホルダを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、力測定装置1の実施例を示す図であり、力測定装置1は、取付けアセンブリ3を有している。この取付けアセンブリ3のうち、
図1には対応ホルダ5のみが図示されており、取付けアセンブリ3は、たとえば
図3に図示されている試料ホルダ7を取り付けるために働く。対応ホルダ5は、本実施例では、基体9に位置固定的に結合されており、特に基体9のベースプレート11上に位置固定的に配置されている。対応ホルダ5は、たとえばベースプレート11にねじ締結されていてよい。
【0056】
力測定タワー13が、同様に位置固定的に、特に対応ホルダ5に対して位置固定的に位置調整されて、基体9に、特にベースプレート11上に配置されており、この力測定タワー13には、スライダ15が力測定タワーの高さ方向で移動可能に保持されている。スライダ15には、少なくとも1つの試験要素、本実施例では3つの試験要素17が結合されており、これらの試験要素17は、試料ホルダ7に配置された試料、本実施例では特に3つのこのような試料の引張試験および/または押圧試験のために構成されている。引張試験および/または押圧試験は、自体公知の形式で、特に高さ方向での力測定タワー13におけるスライダ15の移動により行われる。
【0057】
図2は、取付けアセンブリ3の対応ホルダ5の詳細図を示している。対応ホルダ5は、本実施例では2つの試料ホルダ収容部、すなわち上側の第1試料ホルダ収容部19と、下側の第2試料ホルダ収容部21とを有している。したがって、試料ホルダ収容部19,21は、特に高さ方向で互いにずらされて配置されている。同時に試料ホルダ収容部19,21は、
図2に図示された実施例では高さ方向に対して垂直方向で互いにずらされている。その他の点において、試料ホルダ収容部19,21は好適には同一に形成されている。
【0058】
各試料ホルダ収容部19,21は、平坦な対応当接面23と、少なくとも1つの対応位置決め要素、本実施例ではそれぞれ1つの第1対応位置決め要素25と、第2対応位置決め要素27とを有している。対応位置決め要素25,27は、本実施例では、それぞれ位置合わせ孔として形成されている。
【0059】
試料ホルダ収容部19,21は、それぞれ1つの対応位置固定要素29をさらに有している。
図2に図示された実施例では、対応位置固定要素29は、係止切欠きとして形成されている。係止切欠き29内に、
図2に図示された係止位置に向かって予荷重を加えられたそれぞれ1つの係止要素31が配置されている。この係止要素31は、予荷重に抗して、
図2で下方に向かって、特にスライダ33の操作により、係止位置から解除位置へと移動可能である。
【0060】
対応ホルダ5には、液体用の捕集リザーバ35が形成されている、および/または配置されている。
【0061】
対応当接面23は、本実施例では、それぞれ対応当接プレート37に形成されており、対応当接プレート37は、本実施例ではねじ締結により、対応ホルダ5に取り付けられている。
【0062】
図3は、取付けアセンブリ3の試料ホルダ7を示している。この試料ホルダ3は、試料ホルダ収容部19,21のうちの1つの試料ホルダ収容部に取り付けられ、特に位置固定されるように構成されている。
【0063】
試料ホルダ7は、平坦な当接面39を有している。この当接面39は、平坦な対応当接面23と協働し、特に試料ホルダ収容部19,21に試料ホルダ7が組み付けられた状態において、対応当接面23に全面接触するように構成されている。
【0064】
さらに、試料ホルダ7は、少なくとも1つの位置決め要素、本実施例では2つの位置決め要素、すなわち第1位置決め要素41と第2位置決め要素43とを有している。さらに、試料ホルダ7は、位置固定要素45を有している。位置決め要素41,43は、試料ホルダ収容部19,21の対応位置決め要素25,27と協働するように構成されている。位置固定要素45は、試料ホルダ収容部19,21の対応位置固定要素29と協働し、試料ホルダ7を試料ホルダ収容部19,21に固定するために構成されている。
【0065】
特に、位置決め要素41,43と対応位置決め要素25,27は、当接面39および対応当接面23と一緒に、試料ホルダ7と対応ホルダ5との間の相対位置を明確に規定するために構成されている。位置固定要素45と対応位置固定要素29とは、試料ホルダ7と対応ホルダ5とを互いに接触させて保持し、かつ当接面39と対応当接面23とを互いに押し合わせるように構成されている。
【0066】
図3に図示された実施例では、位置決め要素41,43は、それぞれ位置合わせピンとして形成されており、位置合わせピンは、対応ホルダ5の位置合わせ孔内に係合するように構成されている。本実施例では、第1位置決め要素41が、丸ピンとして形成されており、第2位置決め要素43がダイヤ形ピンとして形成されている。丸ピンは、円筒形の軸部47と、円錐形の導入領域49とを有している。ダイヤ形ピンは、一方向で面取りされた軸部51と、斜めにされた、好適には円錐形の斜めにされた導入領域53とを有している。
【0067】
位置固定要素45は、試料ホルダ7において中心に配置されている。位置決め要素41,43は、偏心して、しかし好適には位置固定要素45と同一の高さかつ1つのライン上に配置されている。
【0068】
当接面39は、本実施例では、試料ホルダ7のベースプレート55と一体的に形成されている。しかし代替的には、当接面39が、当接プレートに形成されていることも可能であり、当接プレートは、この場合試料ホルダ7に取り付けられ、好適にはベースプレート55にねじ締結されている。
【0069】
試料ホルダ7は、少なくとも1つの試料収容部、本実施例では3つの試料収容部57を有している。試料収容部57は、特に注射器またはカープルとして形成されていてよい医薬用の中空体59を収容するように構成されている。特に、試料収容部57は、本実施例では医薬用の中空体59用のクリップ収容部として構成されており、医薬用の中空体59を簡単にクリップ収容部内にクリップインすることができる。試料収容部57は、好適には少なくとも1種のプラスチックから製造されている。試料収容部57は、射出成形、特にプラスチック射出成形により、またはジェネレーティブな製造法、特に3D印刷法により製造されていてよい。
【0070】
図4は、丸ピンとして形成された第1位置決め要素41の高さの横断面に沿った試料ホルダ7の断面図を示している。
【0071】
同一および機能同一の要素は、基本的に全ての図面において同一の参照符号を備えているので、その限りではそれぞれ上述の説明部分が参照される。
【0072】
図4につき、特に、位置固定要素45が引張フックとして形成されていることが明らかである。位置固定要素45は、特に、好適には、円錐形の導入領域の部分として導入斜面61を有しており、導入斜面61は、対応位置固定要素29の係止切欠き内への位置固定要素45の導入時に係止要素31を予荷重に抗してその解除位置へと押圧するように構成されている。導入方向で導入斜面の背後には、位置固定要素45にロック切欠き63が形成されている。このロック切欠き63内に、係止要素31は、導入斜面61の通過後に係止し、予荷重を加えられながら再びその係止位置へと押圧される。位置固定要素45は、ロック切欠き63内で、導入斜面61に面した側に滑動斜面65を有している。この滑動斜面65において、係止要素31が、その係止位置への移動時に進み、係止要素31は、楔形伝動装置の形式で、位置固定要素45を再び対応位置固定要素29の係止切欠き内に引き込み、これにより同時に試料ホルダ7を対応ホルダ5に向けて引っ張る。したがって、当接面39と対応当接面23とは密に、好適にはギャップなしに全面的に互いに押し合わされる。
【0073】
図5は、受け部材67を示している。この受け部材67は、対応ホルダ5の試料ホルダ収容部19,21のうちの一方の試料ホルダ収容部における取付けのために構成されている。受け部材67は、まさに試料ホルダ7と同様に、平坦な当接面39、位置決め要素41,43および位置固定要素45を有していて、その点では試料ホルダ7と同様に構成されているので、その限りでは試料ホルダ7の説明が参照される。特に、受け部材67は、試料ホルダ7の代わりに、対応ホルダ5の試料ホルダ収容部19,21に配置することができる。好適には、医薬用の中空体59を試験するために、対応ホルダ5の上側の第1試料ホルダ収容部19に試料ホルダ7が配置されており、下側の第2試料ホルダ収容部21に、受け部材67が配置される。受け部材67は、受け部69を含んでおり、受け部69は、この医薬用の中空体59が、力測定装置1により医薬用の中空体59において引張力および/または押圧力を測定する場合に、受け部69内または受け部69において支持されるように構成され、かつ医薬用の中空体59に適合させられている。したがって、医薬用の中空体59における引張力および/または押圧力を特に定義し、再現可能に測定することができる。
【0074】
図6は、試料ホルダ7の別の実施例の図を示しており、本実施例では、少なくとも1つの試料収容部が、医薬用の中空体59のための収容部としてではなく、むしろロードセル73のための受け部71として形成されている。試料ホルダ7は、本実施例では、3つのロードセル73のためにこのような3つの受け部71を有しているが、わかりやすくするために、単に1つのロードセル73しか図示していない。ロードセル73のための受け部71は、本実施例ではプッシュオンピン75として形成されている。ロードセル73の延長部77は、好適には形状結合式にプッシュオンピン75に押し付けることができる。その他の点において、特に対応ホルダ5における試料ホルダ7の取付けに関して、
図6に図示した試料ホルダ7は、上記で説明した、
図3および
図4に図示されている試料ホルダ7と同一に形成されている。つまり、試料ホルダ7を、特に試料ホルダ7のこの実施例の代わりに、試料ホルダ収容部19,21のうちの1つの試料ホルダ収容部に、特に対応ホルダ5の第2試料ホルダ収容部21に取り付けることができる。
図6に図示された試料ホルダ7が対応ホルダ5に取り付けられる場合、特に下側の第2試料ホルダ収容部21に取り付けられる場合、好適には上側の第1試料ホルダ19は空いたままである。
【0075】
図6に示した試料ホルダ7の第2実施例に結合可能なロードセル73は、好適には力測定のために特に高い精度を有しており、特に標準的に力測定装置1の引張力および/または押圧力の測定のために使用される測定装置よりも高い精度を有している。したがって、力測定装置1を
図6による試料ホルダ7とロードセル73とにより較正することが可能である。ロードセル73はいわば較正試料として使用される。
【0076】
全体的に、本明細書において提案した取付けアセンブリ3、試料ホルダ7および対応ホルダ5により、試料/較正試料/較正装置および別の装置の高精度で迅速かつ再現可能な取付けならびに試料/較正試料/較正装置および別の装置、特に種々異なる試料間の迅速な交換も可能である。
【国際調査報告】