(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】接着パッド
(51)【国際特許分類】
A61F 5/56 20060101AFI20220131BHJP
A61C 19/06 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
A61F5/56
A61C19/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021533363
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(85)【翻訳文提出日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 AU2019051352
(87)【国際公開番号】W WO2020118358
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521254258
【氏名又は名称】マイオスポッツ・オーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム・ムスタファ・エル-ディーブ
(72)【発明者】
【氏名】シェハブ・ファラガッラー
【テーマコード(参考)】
4C052
4C098
【Fターム(参考)】
4C052MM05
4C052MM06
4C098AA02
4C098BB15
4C098BC08
(57)【要約】
本発明は、カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属誘導体と、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドと、を含む、筋機能トレーニングのための接着パッドに関する。接着パッドは、異常な舌の姿勢及び/または移動に関連する問題を軽減し得る。
[
図2]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースと、
澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドと、
を含む、筋機能トレーニングのための接着パッド。
【請求項2】
前記セルロースが、カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属誘導体である、請求項1に記載の接着パッド。
【請求項3】
前記接着パッドが、2つ以上の親水コロイドを含んでいる、請求項1または2に記載の接着パッド。
【請求項4】
前記澱粉が、カルボキシメチル澱粉である、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着パッド。
【請求項5】
前記多糖が、かんてん及び/またはペクチンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着パッド。
【請求項6】
前記ガムが、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、アカシアガム、アラビアガム、及びローカストビーンガムからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着パッド。
【請求項7】
溶媒をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の接着パッド。
【請求項8】
前記溶媒が、水、油、及びアルコールからなる群から選択される、請求項7に記載の接着パッド。
【請求項9】
着色剤、風味付け剤、甘味料、保存料、油、及び/または活性物質の1つまたは複数をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の接着パッド。
【請求項10】
筋機能トレーニングにおいて使用される、請求項1~9のいずれか一項に記載の接着パッド。
【請求項11】
前記接着パッドの厚さが、0.1mm~5mmである、請求項1~10のいずれか一項に記載の接着パッド。
【請求項12】
固形パッド、ペースト、またはパウダーの形態の、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着パッド。
【請求項13】
前記ペーストが、半固形のペーストである、請求項12に記載の接着パッド。
【請求項14】
患者の筋機能トレーニング方法であって、
前記患者の筋機能をトレーニングするための、以下のステップ:
a.セルロース、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドを含む接着パッドを準備するステップ;及び
b.前記接着パッドを前記患者の口腔内の表面に接着するステップ
を含む、方法。
【請求項15】
薬剤の製造における、セルロース、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドを含む組成物の使用。
【請求項16】
前記薬剤が、筋機能トレーニングのためのものである、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記薬剤が、活性物質の送達のためのものである、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
前記接着パッドまたは前記組成物が、活性物質をさらに含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項19】
患者の筋機能トレーニング方法であって、
a.セルロース、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドを含む接着パッドを準備するステップ;及び
b.前記接着パッドを口腔内装置またはデバイスの表面に接着するステップ
を含み、それによって前記患者の筋機能をトレーニングする、方法。
【請求項20】
前記接着パッドを成形するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療の分野に関する。より詳細には、本発明は、接着パッドに関する。もっとも詳細には、本発明は、筋機能トレーニングで使用するための接着パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書における背景技術に対するあらゆる参照は、そのような技術がオーストラリアまたは他の場所における通常の一般的な知識を構成することの承認としては解釈されないものとする。
【0003】
舌は、我々の日々の生活において重要な要素を成す。舌は、味見、嚥下、及び明瞭なスピーチのために使用される。しかし、異常な舌の姿勢及び/または移動は、不正咬合、歯の変位、嚥下困難、いびき、及びスピーチにおける問題などの、著しい問題にも繋がり得る。
【0004】
舌の位置決め、姿勢、及び/または移動が重要である。口蓋に対する舌の位置が、上顎の成長において重要であり、嚥下の間に表情筋が移動することを防止する。さらに、嚥下または休息の間にこれら筋肉を過度に使用することは、口の不正咬合の一因となり得る。所望の姿勢から逸脱した舌が、後の著しい問題に繋がり得ると考えられる。これに関し、筋機能異常が、休息、嚥下、及び/またはスピーチの間の、異常な舌の位置から生じ得る。
【0005】
筋機能異常は、後の複数の問題に繋がり得る。たとえば、舌の突出しは、下顎の歯と上顎の歯との間に舌が置かれ、前歯をこえて唇のエリアに突出する場合におけるものである。このことは、前歯の開咬の不正咬合に繋がり得る。
【0006】
さらに、筋機能異常は、過度な口呼吸に繋がり得る。これに関し、口呼吸は、多くの健康上の結果に繋がり得る。たとえば、口呼吸は、喘息において重要な役割を果たし、口及び喉の感染のリスクを増大させ得る。さらに、口呼吸は、汚染物質及び病原菌が肺に直接吸い込まれることに繋がり得る。いびき及び睡眠中無呼吸も、口呼吸に関連する。これに関し、睡眠中に、口が開いたままである場合があり、下顎骨によって軟組織(舌を含む)が空気の通路をつぶすことに繋がる。睡眠中の舌の位置は、口呼吸の促進及び軽減において重要な役割を果たし得る。
【0007】
舌の運動は、上述の課題の根本的な原因の多くを治すと考えられており、これら舌の運動は、筋機能治療またはトレーニングとして知られている。したがって、筋機能トレーニングは、上述の問題を軽減することにおいて重要な役割を果たし得る。所望の姿勢を取るように舌をトレーニングすることにより、上述の問題の多くを軽減させることができる。
【0008】
筋機能トレーニングは、前側の開咬の治療をも補助し得る。これに関し、舌が口蓋上に置かれている場合、舌は、ゆっくりとした一定の力を歯の舌側の表面に印加することにより、上顎を広げ得、また、このことは、歯の湾曲の治療を補助し得る。
【0009】
上述の問題を軽減することが有利であることを理解されたい。たとえば、所望の位置、姿勢、及び/または移動から逸脱した舌の問題を軽減することが有利である。あるいは、現在利用可能な治療方法に対する、商業利用可能な代替形態を提供することが有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
一形態では、唯一の形態である必要はなくむしろもっとも広い形態であるが、本発明は、
セルロースと、
澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドと、
を含む、筋機能トレーニングのための接着パッドにある。
【0011】
第2の形態では、本発明は、患者の筋機能トレーニング方法であって、
患者の筋機能をトレーニングするための以下のステップ:
a.セルロース、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドを含む接着パッドを準備するステップ;及び
b.接着パッドを患者の口腔内の表面に接着するステップ
を含む、筋機能トレーニング方法にある。
【0012】
一実施形態では、接着パッドは、セルロースと、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドと、を含んでいる。
【0013】
一実施形態では、セルロースは、カルボキシルメチルセルロースまたはカルボキシルメチルセルロースのアルカリ金属誘導体である。
【0014】
第3の形態では、本発明は、患者の筋機能トレーニング方法であって、
a.セルロース、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドを含む接着パッドを準備するステップ;及び
b.接着パッドを口腔内装置またはデバイスの表面に接着するステップ
を含み、それによって患者の筋機能をトレーニングする、筋機能トレーニング方法にある。
【0015】
一実施形態では、接着パッドは、セルロースと、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドと、を含んでいる。
【0016】
一実施形態では、セルロースは、カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属誘導体である。
【0017】
上述の個別のセクション、及び、以下の記載で参照する本発明の様々な特徴及び実施形態は、必要に応じて、必要な変更を加えて他のセクションに適用される。したがって、1つのセクションで特定された特徴は、必要に応じて他のセクションで特定された特徴と組合せられる場合がある。
【0018】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0019】
本発明の理解を補助するため、及び、当業者が本発明を実際に有効にすることを可能にするために、本発明の好ましい実施形態が、添付図面を参照して、例としてのみ記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】接着パッドの選択された実施例(実施例1、3、4、及び6)を示す図である。
【
図2】1分後及び30分後の、患者の口蓋に適用された
図1の実施例3及び実施例4を示す図である。
【
図3】患者の口蓋への適用の1分後、72分後、及び104分後における実施例7を示す図である。
【
図4】患者の口蓋への適用の1分後、58分後、及び93分後における実施例8を示す図である。
【
図5】口腔デバイスに接着された接着パッドを示す図である。
【
図6】別の口腔デバイスに接着された接着パッドを示す図である。
【
図7】従来型のタブレットマシンによって提供された、(様々に色付けされた)円形接着パッドを示す図である。
【
図8a】接着パッドを硬い口蓋に適用するステップを示す図である。
【
図8b】接着パッドを硬い口蓋に適用するステップを示す図である。
【
図8c】接着パッドを硬い口蓋に適用するステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態は、基本的に接着パッドにある。したがって、物品及び方法のステップは、図面の簡潔な概略的形態に図示されており、本発明の実施形態を理解するために必要である、それらの特定の詳細のみを示している。それにより、本記載の利益を有する当業者には容易に明らかとなるであろう詳細を過度に伴うことにより、本開示を不明瞭にしないようにしている。
【0022】
本明細書では、1つまたは複数、少なくとも、頂部、底部、側部などの形容詞は、もっぱら、1つの要素または動作を、実際のそのような関係または順番を不必要に要求するか暗示することなく、別の動作または動作と区別するために使用される場合がある。
【0023】
「備える(comprises)」または「含む(includes)」などの用語は、排他的ではない包含を規定することが意図されており、それにより、要素のリストを備える物品または方法は、それら要素のみを含むものではなく、明示的に列挙されていない他の要素を含む場合があり、そのような物品または方法に本来備わっている要素を含むようになっている。
【0024】
本明細書で使用される場合、「約」との用語は、量が、名目上は、「約」の用語の後の数であるが、実際の量はその正確な数から重要ではない程度まで変化し得ることを意味している。
【0025】
本明細書で使用される場合、「口腔」との用語は、口の腔に言及する。「口腔」には、限定ではないが、口前庭、口蓋表面(口の頂部)、口のフロア、歯肉、チェック、切歯乳頭、及び唇が含まれる。
【0026】
本発明は、接着パッドにある。本発明は、第1の態様の接着パッドが、口腔などの湿潤した身体の表面に有利に接着できることの発見を少なくとも基礎に置いている。接着パッドは、口腔内で使用される場合がある。接着パッドは、口蓋上、上側歯肉または下側歯肉上、歯肉と頬との間、歯肉と唇との間、または患者の舌の下に適用される場合がある。本接着パッドは、経時的にゆっくりと溶解させることもできる。さらに、接着パッドは、容易に製造することができ、かつ比較的安価である。
【0027】
第1の態様では、本発明は、
セルロースと、
澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドと、
を含む、筋機能トレーニングのための接着パッドにある。
【0028】
接着パッドは、好ましくは、人体内での使用に関して安全である。したがって、接着パッドの構成要素は、好ましくは毒性ではなく、かつ、患者に対するあらゆる不利な影響を有していない。一実施形態では、接着パッドは毒性ではない。一実施形態では、接着パッドは生物分解性である。
【0029】
本明細書で使用される場合、「セルロース」との用語は、セルロース及び半合成のセルロース、及びそれらの誘導体を含んでいる。セルロースの非限定的な実施例には、カルボキシメチルセルロース、アルキルセルロース、及び/またはそれらのアルカリ金属誘導体が含まれる。アルキルセルロースの非限定的な実施例には、ヒドロキシアルキルセルロースが含まれる。ヒドロキシアルキルセルロースの非限定的な実施例には、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースが含まれる。アルキルセルロースの非限定的な実施例には、メチルセルロース及びエチルセルロースが含まれる。
【0030】
アルカリ金属は、適切には、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択される場合がある。一実施形態では、カルボキシメチルセルロースは、ナトリウムカルボキシメチルセルロースである。
【0031】
接着パッド内のセルロースの重量での%は、適切には約5%から約50%の間、より適切には約10%から約40%の間、好ましくは約15%から約35%の間、もっとも好ましくは約15%、約20%、約25%、約30%、及び約35%から選択される。
【0032】
一実施形態では、セルロースは、カルボキシルメチルセルロースまたはカルボキシルメチルセルロースのアルカリ金属誘導体である。
【0033】
一実施形態では、接着パッドは、2つ以上の親水コロイドを含んでいる。
【0034】
一実施形態では、澱粉は、適切にはカルボキシメチル澱粉である。
【0035】
一実施形態では、多糖は、かんてん及びペクチンで構成されたグループから適切に選択される。
【0036】
一実施形態では、ガムは、適切には、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、アカシアガム、アラビアガム、及びローカストビーンガムからなる群から選択される。好ましくは、ガムは、グアーガム及び/またはキサンタンガムである。
【0037】
接着パッド内の親水コロイドの重量での%は、適切には約5%から約80%の間、より適切には約10%から約70%の間、好ましくは約30%から約70%の間、より好ましくは約35%から約70%の間、もっとも好ましくは約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、及び約70%から選択される。一実施形態では、接着パッド内の親水コロイドの量は、約30%から約33%の間である。
【0038】
接着パッドは、溶媒をさらに含む場合がある。溶媒は、適切には、水、油、及びアルコールからなる群から選択される場合がある。アルコールは、適切には、アルキルアルコールまたはポリヒドロキシアルコールである場合がある。ポリヒドロキシアルコールは、適切には、グリセロール及びプロピレングリコールからなる群から選択される場合がある。好ましくは、溶媒は、水、グリセロール、及び/またはプロピレングリコールである。
【0039】
一実施形態では、溶媒は、水中の油のエマルジョンである。水中の油のエマルジョンは、中内に分散された、飽和しているか飽和していない油を含んでいる。水中の油のエマルジョンは、モノグリセリド、糖脂質、脂肪族アルコール、及びレシチンなどの界面活性剤をも含む場合がある。
【0040】
溶媒は、適切には、水とアルコールとの混合物である場合がある。溶媒は、50%以下か、60%以下か、70%以下か、80%以下か、または90%以下のアルコール及び/またはポリヒドロキシアルコールを含む場合があり、残りの量は水で構成される。一実施形態では、溶媒は、最高で100%までの水を含む場合がある。
【0041】
好ましい実施形態では、接着パッドは、カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属誘導体と、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される2つ以上の親水コロイドと、を含んでいる。
【0042】
好ましい実施形態では、接着パッドは、カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属誘導体と、ガム及び多糖とを含んでいる。
【0043】
一実施形態では、多糖は、かんてん及びペクチンから選択される。
【0044】
一実施形態では、接着パッドは、カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属誘導体と、かんてん、ペクチン、及び/またはゼラチンと、ガムとを含んでいる。
【0045】
特に好ましい実施形態では、接着パッドは、カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属誘導体と、かんてんと、ガムとを含んでいる。別の好ましい実施形態では、接着パッドは、カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属誘導体と、ペクチンと、ガムとを含んでいる。さらに別の好ましい実施形態では、接着パッドは、カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属誘導体と、ゼラチンと、ガムとを含んでいる。
【0046】
一実施形態では、接着パッドは、
接着パッドの重量で、約10%から約30%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約10%から約30%の量のかんてんと、約10%から約30%の量のキサンタンガムと、約30%から約50%の量のグリセロールと、を含むか、
接着パッドの重量で、約20%から約40%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約25%から約45%の量のペクチンと、約25%から約45%の量のグアーガムと、を含むか、
接着パッドの重量で、約25%から約45%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約25%から約45%の量のゼラチンと、約20%から約40%の量のキサンタンガムと、を含むか、
接着パッドの重量で、約20%から約40%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約5%から約25%の量のかんてんと、約5%から約25%の量のペクチンと、約10%から約30%の量のキサンタンガムと、を含むか、
接着パッドの重量で、約20%から約40%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約25%から約45%の量のかんてんと、約25%から約45%の量のグアーガムと、を含むか、
接着パッドの重量で、約5%から約25%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約10%から約30%の量のかんてんと、約5%から約25%の量のキサンタンガムと、約35%から約55%の量のグリセロールと、を含んでいる。
【0047】
一実施形態では、接着パッドは、
接着パッドの重量で、約20%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約20%の量のかんてんと、約20%の量のキサンタンガムと、約40%の量のグリセロールと、を含むか、
接着パッドの重量で、約30%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約35%の量のペクチンと、約35%の量のグアーガムと、を含むか、
接着パッドの重量で、約35%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約35%の量のゼラチンと、約30%の量のキサンタンガムと、を含むか、
接着パッドの重量で、約30%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約15%の量のかんてんと、約15%の量のペクチンと、約20%の量のキサンタンガムと、を含むか、
接着パッドの重量で、約30%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約35%の量のかんてんと、約35%の量のグアーガムと、を含むか、
接着パッドの重量で、約15%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約20%の量のかんてんと、約15%の量のキサンタンガムと、約45%の量のグリセロールと、を含むか、
接着パッドの重量で、約30%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約30%の量のかんてんと、約30%の量のキサンタンガムと、を含むか、
接着パッドの重量で、約31.5%の量のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、約31.5%の量のかんてんと、約31.5%の量のキサンタンガムと、を含んでいる。
【0048】
接着パッドは、この接着パッドに所望の特性を与えるさらなる構成要素を含む場合がある。これに関し、接着パッドは、着色剤、風味付け剤、油、滑剤、及び保存料の1つまたは複数をさらに含む場合がある。
【0049】
着色剤は、所望の視覚的表示を接着パッドに与える。色は、適切には、天然着色剤であるか、合成着色剤である。着色剤は、当該技術で既知であり、適切な着色剤は、当業者には明らかとなるであろう。たとえば、着色剤は、適切には、レッド、ブルー、グリーン、またはイエローである場合がある。当業者には、2つ以上の着色剤を利用できることを理解されたい。着色剤は、約0.1%から約10%の間、約0.5%から約5%の間、約0.5%から約5%の間、約1%から約3%の間、約1%から約2%の間、または約1.2%の量で存在する場合がある。
【0050】
風味付け剤は、接着パッドに所望の風味を与え、それにより、使用中に、患者は所望の風味の感覚を経験することになる。風味付け剤は、適切には、天然の風味付け剤であるか、合成風味付け剤である。風味付け剤は、当該技術で既知であり、適切な風味付け剤は、当業者には明らかとなるであろう。風味付け剤は、適切には、甘味料である。風味付け剤は、ステビア、スクラロース、キシリトール、ラズベリーの風味、パッションフルーツの風味、及びライムの風味からなる群から選択される場合がある。当業者は、2つ以上の風味付け剤を利用できることを理解されたい。風味付け剤は、約0.1%から約20%の間、約0.5%から約10%の間、約1%から約7.5%の間、約1%から約5%の間、約2%から約3%の間、または約2.5%、または約3.1%の量で存在する場合がある。
【0051】
油は、接着パッドの弾性を有利に向上させるように添加される。油は、接着パッドの溶解速度を変更もする。油は、適切には、ココナッツオイル、アーモンドオイル、オリーブオイル、及びアロエベラオイルからなる群から選択される。油は、接着パッドに風味付けを有利に与える場合もある。当業者は、2つ以上の油を利用できることを理解されたい。
【0052】
滑剤は、パウダーの流動性を向上させるために添加される。滑剤は、パウダーの流れを向上させ、粒子間の摩擦を低減させることができる。滑剤の非限定的な実施例は、グリセリルジベヘネートである。滑剤は、約0.1%から約10%の間、約0.5%から約5%の間、約0.5%から約3%の間、約0.5%から約2%の間、約0.5%から約1.5%の間、または約1%の量で存在する場合がある。
【0053】
保存料は、接着パッドの耐用年数を延ばす。保存料は、当該技術で既知であり、適切な保存料は、当業者には明らかとなるであろう。保存料は、適切には、プロピオン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、二酸化硫黄、ソルビン酸カリウム、及びソルビン酸ナトリウムからなる群から選択される。好ましくは、保存料は、ソルビン酸カリウムを含むか、ソルビン酸カリウムである。保存料は、約0.01%から約10%の間、約0.01%から約5%の間、約0.01%から約3%の間、約0.01%から約1%の間、約0.1%から約0.5%の間、約0.1%から約0.3%の間、または約0.2%の量で存在する場合がある。
【0054】
接着パッドは、複数の形態で提供される場合がある。接着パッドは、固形パッドとして提供される場合がある。固形パッドは、適切には、いつでも使えるものである場合がある。
【0055】
一実施形態では、接着パッドは、ペーストの形態で提供される場合がある。好ましくは、接着パッドは、半固形のペーストの形態で提供される場合がある。ペーストは、消費者の好みに応じて、結果としてのパッドの形状及びサイズを設定するように、消費者によって利用され得る。
【0056】
一実施形態では、接着パッドは、固形の形態で提供される場合がある。好ましくは、接着パッドは、パウダーの形態で提供される場合がある。パウダーは、液体内に溶かすことができる。液体は、適切には、上述したような溶媒である。好ましくは、液体は、水、水/アルコールの混合物、または水/油のエマルジョンから選択される。溶かされると、接着パッドはペーストを形成することができ、それにより、消費者は、結果としてのパッドの形状及びサイズを調整することができる。
【0057】
接着パッドは、活性物質または薬剤を患者に送達するために利用される場合もある。これに関し、接着パッドは、活性物質をさらに含む場合がある。
【0058】
活性物質は、接着パッドの溶解の間、患者に放出される場合がある。これに関し、活性物質は、接着パッド内に均一に分散されている場合があり、それにより、溶解の間、活性物質が一様に、及び/または絶えず放出されるようになっている。
【0059】
代替的には、活性物質は、接着パッドの特定の局所的な領域に凝縮される場合があり、それにより、活性物質の放出が遅れるようになっている。これに関し、接着パッドの溶解がされる際に、最初に放出される活性物質がないか、非常に少なく、より大量の活性物質が、接着パッドが溶解されるにつれて放出される。
【0060】
活性物質は、患者に投与することが必要とされる薬剤である場合がある。活性物質は、ビタミン、ミネラル、及びグルコン酸塩からなる群から選択される場合がある。ビタミンは、適切には、ビタミンD、ビタミンBの複合材、ビタミンE、ビタミンK、及び/またはビタミンCである。ミネラルは、適切には、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、セレニウム、モリブデン、クロム、及びフッ化物などの基本的な要素のいずれかから選択され得る。グルコン酸塩は、適切には、グルコン酸亜鉛である。活性物質の他の非限定的な実施例には、抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、鎮痛剤、喘息のための薬剤などの浸透性薬剤、中央神経系(CNS)に作用する薬剤、心臓血管の薬剤、ホルモン、及び酵素が含まれる。
【0061】
活性物質の非限定的な実施例には、ニコチン及びカフェインが含まれる。接着パッドを、禁煙を補助する目的のために、ニコチンの持続性の放出及び/または送達のために利用することができることが要求される。接着パッドを、カフェインの持続性の放出及び/または送達のために利用して、即応性を向上させるとともに身体的活動を向上させることができることも要求される。
【0062】
上のリストが、接着パッドに使用することができる構成要素のいくつかを単に例示したものであることを理解されたい。また、当業者は、本明細書に明示的には列挙されていない他の物質を接着パッドに利用できることを容易に理解するであろう。
【0063】
上述したように、接着パッドは、複数の形態で提供される場合がある。これに関し、接着パッドは、固形パッド、ペースト、またはペーストの形態に再構成することができるパウダーとして提供される場合がある。消費者は、次いで、ある量のペーストを利用して、所望のサイズ及び/または形状のパッドを形成することができる。接着パッドは、圧縮された微粒子タブレットとして提供される場合がある。
【0064】
接着パッドは、ある形状の形態である場合がある。接着パッドは、正方形、正方形と円形の中間、円形、矩形、卵形、星形、または任意の他の形状である場合がある。接着パッドの厚さは、適切には0.1mmから10mmの間、より適切には1mmから約5mmの間、好ましくは約2mmから4mmの間、もっとも好ましくは約2mmまたは約3mmの間である場合がある。
【0065】
上述のように、接着パッドは、口内及び口腔内で使用され得る。接着パッドは、適切には、筋機能トレーニングで使用され得る。接着パッドは、口腔内に置くことができ、また、接着パッドの位置に応じて数時間にわたってゆっくりと溶解する場合がある。完全に溶解するのに必要な時間は、組成と、適用位置との両方によって影響される。
【0066】
接着パッドは、好ましくは、固形テクスチャ、または柔らかい半固形テクスチャを有する。接着パッドは、適切には、湿潤表面と接触すると、粘着性またはねばねばするようになる接着表面を有している。これら接着表面は、湿潤体の表面に接着する。
【0067】
第2の態様では、本発明は、患者の筋機能トレーニング方法であって、
患者の筋機能をトレーニングするための以下のステップ:
a.セルロース、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドを含む接着パッドを準備するステップ;及び
b.接着パッドを患者の口腔内の表面に接着するステップ
を含む、筋機能トレーニング方法にある。
【0068】
接着パッドの特徴及び構成要素は、第1の態様に関して実質的に記載したようになっている。具体的には、接着パッドは、セルロースと、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドと、を含んでいる。
【0069】
一実施形態では、セルロースは、カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属誘導体である。
【0070】
口腔内での接着パッドの完全な溶解は、適切には30分より長い時間、適切には1時間より長い時間、より適切には2時間より長い時間、好ましくは3時間より長い時間、より好ましくは4時間より長い時間、もっとも好ましくは5時間より長い時間で達成される。一実施形態では、口腔内での接着パッドの完全な溶解は、30分から2時間の間に達成される。一実施形態では、筋機能の治療の間の接着パッドは、口腔内での接着パッドの完全な溶解が、約1時間で達成される。薬剤の送達の目的のためには、より長い時間が望ましい場合がある。
【0071】
接着パッドは、口蓋、上側歯肉または下側歯肉、歯肉と頬との間、歯肉と唇との間、または患者の舌の下に接着させることができる。接着パッドをこれら位置に置くことにより、患者の舌を、接着された接着パッドにタッチするようにトレーニングして、所望の舌の位置、姿勢、及び/または動きを維持するように、所望の筋肉を強化することができる。これに関し、被験体の舌は、パッドが溶解するまで継続的にパッドにタッチして、それにより、舌内の所望の筋肉を強化する場合がある。一実施形態では、本方法は、患者に、患者の舌で接着された接着パッドにタッチさせるステップをさらに含んでいる。接着パッドの存在は、舌が接着パッドにタッチすることを、潜在意識下で促進させることができる。代替的には、患者は、意識的かつ故意に、患者の舌で接着パッドにタッチする場合がある。この舌のトレーニングは、異常な舌の位置、姿勢、及び/または動きを有することの問題、そしてひいては前述の問題を軽減する。接着パッドは、舌の所望の部位をトレーニングするように、口または口腔の任意の位置に置かれる場合がある。接着パッドが筋機能トレーニングで使用され得ることは、明確であるものとする。ステップ(c)は、舌で接着パッドに繰り返しタッチするステップを含み得ることを理解されたい。
【0072】
筋機能トレーニングは、舌をトレーニングするために利用され得、このことは、このため、複数の病気を軽減させ得る。これに関し、接着パッドは、舌刺激、開咬不正咬合、口腔不正咬合、慢性的な指の吸引、睡眠時無呼吸、いびき、及び嚥下困難の治療を補助するために使用することができる。さらに、接着パッドは、鼻呼吸を促し、小舌の除去の後の舌小帯の再発を防止するために使用され得、また、唾液の分泌を引き起こす。一実施形態では、本発明は、舌刺激、開咬不正咬合、口腔不正咬合、慢性的な指の吸引、睡眠時無呼吸、いびき、及び嚥下困難を、治療及び/または防止及び/または軽減する方法にある。特定の実施形態では、本発明は、鼻呼吸を促し、小舌の除去の後の舌小帯の再発を防止し、また、唾液の分泌を引き起こす方法にある。
【0073】
各実施形態では、筋機能トレーニングは、口顔の筋機能トレーニングである場合がある。
【0074】
接着パッドの主要な用途の1つは、持ち上げ、下顎骨の歯と上顎の歯との間に置く代わりに、口蓋(より正確には、上の中央の切歯の中間線の後方の切歯乳頭)に対して置くように舌をトレーニングすることと、さらに、後方の舌を口の頂部に対して持ち上げるようにトレーニングすることと、である。このことは、口蓋のさらに後方にパッドを配置することによって行うことができる。この筋機能トレーニングは、舌を刺激して持ち上げ、パッドが溶解するまで繰り返しパッドにタッチする口内の位置(たとえば、口蓋)に接着パッドを適用することを通して、達成することができる。ある期間にわたってそのような動作を繰り返すことは、ある範囲の利益を有することができる。そのような動作を一日に2から4サイクル(各サイクルは1時間までの間継続する)、3ヶ月から4ヶ月の間繰り返すことは、治療に関して重要な利益の範囲を有することができる。
【0075】
接着パッドを口蓋に適用することにより、舌を刺激して持ち上げ、パッドが完全に溶解するまでパッドに繰り返しタッチさせる。したがって、舌は、口の口蓋上に置くようにトレーニングされ、このことは、前側の開咬及び舌刺激を軽減することができる。さらに、舌が口蓋上に置かれている場合、舌は、ゆっくりとした一定の力を歯の舌側の表面に印加することにより、上顎を広げ得、また、このことは、歯の湾曲の治療を補助し得る。このことは、歯を開くこと、及びこれら歯を整列するように動かすことによって達成される。
【0076】
接着パッドを口蓋に適用することは、習慣的な指の吸引、及び、おしゃぶりの使用が長引くことにおいて有効に干渉することにもなり得る。口の口蓋上で接着パッドを使用することは、口の頂部に舌を持ち上げること、及び口を閉じることを促す。したがって、舌は、指またはおしゃぶりが口に入ることを防止する。さらに、口の頂部に舌が置かれると、口を通して呼吸することが困難となり、そのため、患者は、鼻を通して呼吸するように促されることになる。このことは、睡眠時無呼吸及びいびきを、同様の理由のために軽減することになる。
【0077】
嚥下困難も、接着パッドによる筋機能トレーニングを通して軽減させることができる。これに関し、嚥下困難は、嚥下の困難性を記載するために使用される用語である。このことは、舌の筋肉が弱いこと、または疲労に起因して生じ得る。接着パッドによる筋機能トレーニングは、舌の筋肉の緊張及び強さを向上させて、この問題を軽減させることができる。
【0078】
小舌を除去した後に、患者は概して、治癒期の間の小舌の再形成を防止するために、舌の運動を指示される。接着パッドは、小舌の再形成を防止するために、口の頂部への舌の移動を刺激するように外科手術の後に使用され得る。
【0079】
唾液は、口腔の健康を維持することにおいて重要である。唾液は、歯及び口咽頭の粘膜を保護するのみならず、スピーチの明瞭化を促し、また、咀嚼及び嚥下には重要である。多数の病気及び投薬は、異なるメカニズムを通して、唾液の分泌に影響し、唾液腺の機能不全、ならびに、口腔乾燥症、齲蝕、及び真菌感染などの関連する口腔の問題に繋がり得る。接着パッドは、延長された期間にわたって唾液の生成を促すことができ、このことは、上述の問題を軽減することになる。
【0080】
接着パッドが口蓋上にあり、舌が口の頂部に持ち上げられる間、食事が妨げられることになり、このため、本発明の接着パッドを使用して食事習慣に対して治療することができることが要求されている。
【0081】
接着パッドは、筋機能トレーニングを通して、スピーチ治療にも使用することができる。舌の移動、及び、口蓋との舌の接触ポイントは、異なる単語及び/または文字の発音においては異なっている。舌の移動は、舌の不調によって影響され得る。これに関し、接着パッドによる筋機能トレーニングは、特定の舌の筋肉をトレーニングするために使用することができ、こうして、この課題に対処するか軽減する。たとえば、接着パッドは、正確な発音のための口内の正確なエリアに舌をガイドするように、口の特定のエリアに置くことができる。
【0082】
最後に、接着パッドは、局所的または体系的な活性物質の放出を達成するために最適化することができる、口内の活性物質の送達のために使用することができる。接着パッドは、局所化され、維持された活性物質の放出のために利用することができる。活性物質が頬の粘膜から血流に直接吸収される、口腔での投与は、生物学的利用能を提供するとともに、浸透性薬剤の作用を迅速に開始する。ここで、吸収された薬剤は、肝臓で代謝されることなく、循環する血液に吸収される。これに関し、接着パッドは、口腔に特に適用され、特定の実施形態では、このことは、口前庭及び/または口蓋である場合がある。口腔内、いくつかの実施形態では、口前庭及び/または口蓋に接着パッドを配置することは、活性物質をゆっくりと放出するために適切である。したがって、接着パッドは、活性物質の放出の維持のための送達手段として利用することができる。
【0083】
接着パッドを、舌に関する病気の処置及び活性物質の送達のために使用することができることを、当業者には理解されたい。
【0084】
上述の接着パッドを、口腔内装置またはデバイスと組み合わせて使用することができることを理解されたい。本明細書で使用される場合、「口腔内装置またはデバイス」は、口腔内に置かれるように設計されたデバイス及び/または装置に言及する。
【0085】
接着パッドと、口腔内装置またはデバイスとの組合せが、筋機能トレーニングにおけるシナジー効果を有することができることが要求される。これに関し、接着パッドは、舌の位置を適切にするために、口腔内で使用するための装置またはデバイスの表面に接着される場合がある。接着パッドがない、装置またはデバイス自体は、歯を直線状にするためなど、口腔内の別の機能のために設計されている場合がある。
【0086】
一態様では、本発明は、筋機能トレーニングにおいて、口腔内装置またはデバイスと、セルロース、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドを含む接着パッドと、の組合せの使用にある。
【0087】
別の態様では、本発明は、口腔内装置またはデバイスであって、口腔内装置またはデバイスの表面に接着された、セルロース、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドを含む接着パッドを有する、口腔内装置またはデバイスにある。
【0088】
さらに別の態様では、本発明は、患者の筋機能トレーニング方法であって、
a.セルロース、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドを含む接着パッドを準備するステップと、
b.接着パッドを口腔内装置またはデバイスの表面に接着するステップと、
を含み、それによって患者の筋機能をトレーニングする、筋機能トレーニング方法にある。
【0089】
上述の態様に関する、接着パッド及びその構成要素は、実質的に上述されているもののようになっている。具体的には、接着パッドは、セルロースと、澱粉、多糖、ゼラチン、及びガムからなる群から選択される1つまたは複数の親水コロイドと、を含んでいる。
【0090】
一実施形態では、セルロースは、カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属誘導体である。
【0091】
一実施形態では、本方法は、口腔内装置またはデバイスを患者の口腔内に配置するステップc.をさらに含んでいる。
【0092】
別の実施形態では、ステップb.は、口腔内の口腔内装置またはデバイスで行われる。
【0093】
非限定的な一実施例では、接着パッドは、予め形成されたマイオブレースに接着される場合がある。接着パッドは、マイオブレース(
図5及び
図6に示す)の異なる表面に適用される場合がある。一実施形態では、接着パッドは、マイオブレースの舌のタグに接着される。マイオブレースの舌のタグは、舌を口の頂部に持ち上げて、それにより、患者の筋機能をトレーニングするように誘導する目的を有している。したがって、接着パッドとマイオブレースとの組合せは、マイオブレースのみを使用することに比べ、筋機能トレーニングの効率を向上させる場合がある。口腔内装置またはデバイスの他の非限定的な実施例には、歯科矯正の装置及びデバイス、ならびにカスタムメイドの口腔内装置が含まれる。歯科矯正の装置の非限定的な実施例には、取外し可能な歯科矯正の装置が含まれる。取外し可能な歯科矯正の装置の非限定的な実施例には、bioblocs、TwinBlocs、及びInvisalignが含まれる。他の口腔内装置またはデバイスには、限定ではないが、Myobrace及びMyo muncheeが含まれる。接着パッドは、マウスガード及び/または口腔筋トレーニング装置などの、歯科矯正用ではない装置またはデバイスにも適用することができることを理解されたい。
【0094】
接着パッドがパウダーの形態で提供される場合、患者の筋機能トレーニングの方法は、パウダーを液体で溶かすステップをさらに含むことを理解されたい。溶かされたパウダーは、概してペーストである。
【0095】
上記に加え、接着パッドがペーストの形態である場合、本方法は、接着パッドを成形するステップをさらに含むことになることを理解されたい。接着パッドは、消費者の好むように成形される場合がある。成形は、消費者がペーストを所望の寸法に形作ることに関連する。
【実施例】
【0096】
実施例1-例示的組成
接着パッドを、表1に示す構成要素の相対的な量を含むように準備した。接着パッドを、実施例2、2A、2B、及び2Cに記述するプロセスによって準備した。
【0097】
【0098】
実施例2-いつでも使える接着パッドの例示的製造プロセス
以下の作業ステップを、表1に説明した相対的量の、いつでも使える接着パッドを提供するために行った。
a.溶媒を適切なサイズの容器に添加する。
b.溶媒を約60℃に加熱する。
c.表1に示す構成要素の相対的な量を溶媒に添加する。
d.60℃で約20分混合する。
e.約140℃に加熱された2つのプレート間に混合物を配置して、シートを形成する。
f.シートを所望の寸法にカットする。
【0099】
実施例1、3、4、及び6で記述した接着パッドの実施例を、
図1に示す。
【0100】
実施例2A-いつでも使える接着パッドの代替的製造プロセス
以下の作業ステップは、表1に説明した相対的量の、いつでも使える接着パッドを提供するために行った。
a.固形構成要素を適切なサイズの容器に添加する。
b.固形構成要素を混合して、固形混合物を形成する。
c.液体構成要素を異なる適切なサイズの容器に添加する。
d.液体構成要素を混合して、液体混合物を形成する。
e.湿式造粒設備で固形混合物と液体混合物とを搬送及び混合して、細粒を形成する。
f.従来型のタブレットプレスを使用して、所望の寸法に細粒を圧縮する。
【0101】
従来型のタブレットプレスを使用することにより、いつでも使える接着パッドの形成が可能になる。この方式で形成された接着パッドの実施例を
図7に示す。
【0102】
実施例2B-固形の形態の接着パッドに関する製造プロセス
以下の作業ステップは、表1に説明した相対的量の、固形の形態の接着パッドを提供するために行った。
a.固形構成要素を適切なサイズの容器に添加する。
b.固形構成要素を混合して、固形混合物を形成する。
c.タブレットプレスを使用して、固形の混合物を固形のタブレットに圧縮する。
【0103】
実施例2C-いつでも使える接着パッドの製造プロセス
以下の作業ステップは、表1に説明した相対的量の、いつでも使える接着パッドを提供するために行った。
a.溶媒を適切なサイズの容器に添加する。
b.溶媒を約60℃に加熱する。
c.表1に説明された構成要素の相対的な量を溶媒に添加する。
d.60℃で約20分混合する。
e.2つの圧縮プレート間でプレートを圧縮して、薄いシートを形成する。
f.約60℃で約2時間から3時間シートを乾燥させる。
g.シートを所望の寸法にカットする。
【0104】
実施例3-接着パッドの適用
図8aに示すように、接着パッドは、最初に手指または指に置かれる場合がある。接着パッドは次いで、治療される患者の口蓋上に置かれる場合がある(
図8b)。接着パッドは、こうして、この接着パッドが完全に溶解するまで、(
図8cに示すように)口蓋に接着したままとなる。
【0105】
実施例4-さらなる例示的組成
接着パッドは、表2に示す構成要素の相対的な量を含むように準備した。
【0106】
【0107】
表2に従うこの組成を、接着パッドの製造において使用した。製造プロセスでは、湿式造粒及びタブレットプレスを利用した。パウダーは、水/アルコールスプレーと共にパウダー混合物を噴霧することにより、細粒に変換した。その後に、結果として得られた細粒を乾燥させ、次いで、タブレットプレス内で圧縮して接着パッド(たとえば、円形パッド)を形成した。
【0108】
溶解性試験
本明細書に記載の接着パッドの実施例のいくつかの溶解性を試験した。
【0109】
上述の実施例3及び実施例4の接着パッドを、患者の口蓋に適用し、適用後1分と、適用後30分とで監視した。
図2は、これら時点における実施例3及び実施例4の接着パッドの溶解量を示している。
図2に見られるように、実施例3及び実施例4の接着パッドは、適用後30分では完全には溶解しなかった。実施例3の接着パッドの完全な溶解は、78分後に達成された。実施例4の接着パッドの完全な溶解は、62分後に達成された。
【0110】
ビタミンCを含む実施例7の接着パッドの溶解も試験した。接着パッドを、患者の口蓋に適用し、適用後1分と、適用後72分と、適用後104分とで監視した。
図3は、これら時点における実施例7の接着パッドの溶解量を示している。
図3に見られるように、実施例7の接着パッドは、適用後104分では完全には溶解しなかった。実施例7の接着パッドの完全な溶解は、123分後に達成された。
【0111】
グルコン酸亜鉛を含む実施例8の接着パッドの溶解も試験した。接着パッドを、患者の上側の歯肉と頬との間に適用し、適用後1分と、適用後58分と、適用後93分とで監視した。
図4は、これら時点における実施例8の接着パッドの溶解量を示している。
図4に見られるように、実施例8の接着パッドは、適用後93分では完全には溶解しなかった。実施例8の接着パッドの完全な溶解は、5時間30分後に達成された。
【0112】
ペーストの形態で提供される接着パッドに関する例示的製造プロセス
以下の作業ステップは、表1に説明した相対的量の、ペーストの形態の接着パッドを提供するために行った。
a.溶媒を適切なサイズの容器に添加する。
b.溶媒を約60℃に加熱する。
c.表1に説明した構成要素の相対的な量を溶媒に添加する。
d.60℃で約20分混合する。
【0113】
持続される薬剤の放出
実施例6、実施例7、及び実施例8では、活性物質を含む接着パッドを準備した。実施例6では、ビタミンDを接着パッドの固形マトリクス内に入れた。ここで、各接着パッドは、約500IUのビタミンを含むものとした。実施例7では、ビタミンC(アスコルビン酸ナトリウム)を、接着パッドの重量の約5%入れた。実施例8では、グルコン酸亜鉛を、接着パッドの重量の約5%入れた。
【0114】
実施例7及び実施例8の接着パッドは、約15mgの活性物質(それぞれ、実施例7のビタミンC及び実施例8のグルコン酸亜鉛)を含むものとした。接着パッドの溶解の割合、そしてひいては、活性物質の放出の割合は、口腔内の様々な場所で試験した。接着パッドが口蓋に置かれた場合、完全な溶解は2時間で達成された。より持続し、延ばされた放出の割合は、接着パッドを歯肉と頬との間に置くことによって達成された。ここで、接着パッドは、5時間30分の期間にわたって溶解した。
【0115】
接着パッドを、様々な天然活性物質、合成活性物質、及び半合成活性物質の、維持された活性物質の送達のための運搬手段として使用できることが明らかであるものとする。活性物質は、固形状態または(液体はパッドの固形マトリクス内に入れることができることから)液体状態のいずれかとすることができる。活性物質(複数可)を含む接着パッドでは、口腔を介した薬剤の局所的送達、または頬の粘膜からの吸収を介する全身的な作用のいずれかが意図され得る。
【0116】
本発明の様々な実施形態の上述した記載は、当業者に対して記述する目的で提供されている。上述した記載は、排他的であるか、単一の開示の実施形態に本発明を限定することは意図していない。上述したように、本発明に対する多くの変形形態及び変更形態が、上述の教示の分野の当業者には明らかとなるであろう。したがって、いくつかの代替的実施形態が具体的に論じられていても、他の実施形態は、当業者には明らかとなるか、当業者によって比較的容易に開発されることになるであろう。したがって、本発明は、本明細書に論じられてきた本発明の代替形態、変形形態、及び変更形態、ならびに、上述の発明の精神及び範囲内にあるものとなる他の実施形態のすべてを包含することが意図されている。
【国際調査報告】