(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】聴覚バイオマーカーを検出するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
A61B10/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533611
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 US2019066071
(87)【国際公開番号】W WO2020123866
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517038981
【氏名又は名称】キュアレーター, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】カブレラ タケイチ カンザキ
(72)【発明者】
【氏名】ドノヒュー ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ミアン アレック
(57)【要約】
開示されるシステム及び方法は、様々な強度レベルで複数のサウンドを提供することと、ユーザによって知覚される複数のサウンドの知覚される音量レベルを示す入力を受け取ることと、を含む。開示されたシステム及び方法は、受け取った入力に基づいて、ユーザの聴覚感度を示す複数のユーザ音量レベルを決定することを含む。開示されるシステム及び方法は、バックグラウンドサウンドを提供することと、同時にバックグラウンドサウンドを提供すると同時に刺激サウンドを提供することと、を含む。開示されたシステム及び方法は、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示を受け取ることを含む。開示されるシステム及び方法は、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示を受け取ることに基づいて、ユーザの聴覚感度の変化を決定することと、ユーザの聴覚感度の変化を決定することに基づいて、ユーザの片頭痛発作の発症を予測することと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ出力デバイスによって、様々な強度レベルで複数のサウンドを提供することと、
ユーザインターフェースを介して、ユーザによって知覚された前記複数のサウンドの知覚された音量レベルを示す入力を受け取ることと、
前記受け取った入力に基づいて、複数のユーザ音量レベルを決定することと、
を含む方法であって、
前記複数のユーザ音量レベルは、(i)前記ユーザの可聴音量閾値、(ii)前記ユーザの快適音量レベル、及び(iii)前記ユーザの最大快適音量レベルを含み、前記複数のユーザ音量レベルが前記ユーザの聴覚感度を示し、
前記方法が更に、
前記オーディオ出力デバイスによって、バックグラウンドサウンドを提供することと、
同時に前記バックグラウンドサウンドを提供しながら、前記オーディオ出力デバイスによって刺激サウンドを提供することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記ユーザが前記刺激サウンドを知覚したという指示を前記ユーザから受け取ることと、
前記ユーザが前記刺激サウンドを知覚したという前記指示を受け取ったことに基づいて、前記ユーザの聴覚感度の変化を決定することと、
前記ユーザの聴覚感度の変化を決定することに基づいて、前記ユーザの片頭痛発作の発症を予測することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のユーザ音量レベルを決定することは、
前記ユーザ音量レベルの各々を定義するための前記様々な強度レベルに対応する複数の入力プロンプトを提供することと、
前記複数の入力プロンプトに対する応答を受け取ることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のユーザ音量レベルを決定することは、前記ユーザの左耳及び右耳に対して独立して前記複数のユーザ音量レベルを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バックグラウンドサウンドを提供する前に、バックグラウンドデータベースから前記バックグラウンドサウンドを選択し、刺激データベースから前記刺激サウンドを選択することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バックグラウンドサウンドを提供する前に、バックグラウンド音量レベル及びオーディオ刺激レベルを設定することを更に含み、前記バックグラウンドサウンドを提供することは、前記バックグラウンド音量レベルで前記バックグラウンドサウンドを提供することを含み、前記刺激サウンドを提供することは、刺激音量レベルで前記刺激サウンドを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザの前記聴覚感度の変化を決定することは、前記バックグラウンド音量レベル及び前記刺激音量レベルに基づいて前記ユーザの聴覚感度の変化を決定することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記バックグラウンド音量レベル及び前記オーディオ刺激レベルを設定することは、前記複数のユーザ音量レベルに基づいて前記バックグラウンド音量レベル及び前記オーディオ刺激レベルを設定することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記刺激サウンドを提供する前に、
前記ユーザが最初の刺激サウンドを知覚しなかったと決定することと、
前記ユーザが前記最初の刺激サウンドを知覚しなかったという決定に基づいて、前記刺激サウンドの音量レベルを変更することと、
を更に含み、
前記刺激サウンドを提供することは、前記変更された音量レベルで前記刺激サウンドを提供することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記バックグラウンドサウンドを提供することと、前記刺激サウンドを提供することとの間に第1の遅延を実施することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記刺激サウンドを提供することは、ランダムな時間期間の間、前記刺激サウンドを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記バックグラウンドサウンドは、前記ユーザに対して再生される複数のバックグラウンドサウンドのうちの1つであり、前記刺激サウンドは、前記ユーザに対して再生される複数の刺激サウンドのうちの1つであり、
前記方法が更に、前記複数のバックグラウンドサウンド及び前記複数の刺激サウンドを特徴付けるサウンド、周波数、期間、強度、及び他のデータを追跡することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記刺激サウンドは、複数の刺激サウンドのうちの最後の刺激サウンドであり、
前記方法は、
前記最後の刺激サウンドを提供する前に、前記複数の刺激サウンドの刺激サウンドを連続して提供し、前記ユーザに対して、前記ユーザに提供される各刺激サウンドの刺激音量レベルを変更することと、
前記最後の刺激サウンドの前に連続して提供された前記刺激サウンドの何れも前記ユーザが知覚しなかったと決定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
複数のユーザ音量レベルを前記ユーザの片頭痛発作の事例と相関させることを更に含み、
前記ユーザの片頭痛発作の発症を予測することは、前記複数のユーザ音量レベルを前記ユーザの片頭痛発作の事例と相関させることに基づいて、前記ユーザの片頭痛発作の発症を予測することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ユーザが前記刺激サウンドを知覚したという指示を受け取ることに基づいて、前記ユーザの聴覚感度の変化を決定することは、前記ユーザによって知覚される以前の刺激ノイズレベルとは異なる刺激ノイズレベルで前記ユーザが前記刺激サウンドを知覚したと決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ユーザが前記刺激サウンドを知覚したという指示を受け取ることに基づいて、前記ユーザの聴覚感度の変化を決定することは、前記ユーザの聴覚感度が閾値量だけ変化したことを決定することを含み、
前記ユーザの聴覚感度の変化を決定することに基づいて、前記ユーザの片頭痛発作の発症を予測することは、前記ユーザの聴覚感度が閾値量だけ変化したことを決定することに基づいて、前記片頭痛発作の発症を予測することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに1又は2以上の機能の実行を引き起こすコンピュータ実行可能プログラムコードが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記機能が、
オーディオ出力デバイスによって、様々な強度レベルで複数のサウンドを提供することと、
ユーザインターフェースを介して、ユーザによって知覚された前記複数のサウンドの知覚された音量レベルを示す入力を受け取ることと、
前記受け取った入力に基づいて、複数のユーザ音量レベルを決定することと、
を含む方法であって、
前記複数のユーザ音量レベルは、(i)前記ユーザの可聴音量閾値、(ii)前記ユーザの快適音量レベル、及び(iii)前記ユーザの最大快適音量レベルを含み、前記複数のユーザ音量レベルが前記ユーザの聴覚感度を示し、
前記方法が更に、
前記オーディオ出力デバイスによって、バックグラウンドサウンドを提供することと、
同時に前記バックグラウンドサウンドを提供しながら、前記オーディオ出力デバイスによって刺激サウンドを提供することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記ユーザが前記刺激サウンドを知覚したという指示を前記ユーザから受け取ることと、
前記ユーザが前記刺激サウンドを知覚したという前記指示を受け取ったことに基づいて、前記ユーザの聴覚感度の変化を決定することと、
前記ユーザの聴覚感度の変化を決定することに基づいて、前記ユーザの片頭痛発作の発症を予測することと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記機能が、
前記刺激サウンドを提供する前に、
前記ユーザが最初の刺激サウンドを知覚しなかったと決定することと、
前記ユーザが前記最初の刺激サウンドを知覚しなかったという決定に基づいて、前記刺激サウンドの音量レベルを変更することと、
を更に含み、
前記刺激サウンドを提供することは、前記変更された音量レベルで前記刺激サウンドを提供することを含む、請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記機能が、
複数のユーザ音量レベルを前記ユーザの片頭痛発作の事例と相関させることを更に含み、
前記ユーザの片頭痛発作の発症を予測することは、前記複数のユーザ音量レベルを前記ユーザの片頭痛発作の事例と相関させることに基づいて、前記ユーザの片頭痛発作の発症を予測することを含む、
請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記ユーザが前記刺激サウンドを知覚したという前記指示を受け取ることに基づいて、前記ユーザの聴覚感度の変化を決定することは、前記ユーザが、前記ユーザによって知覚された以前の刺激ノイズレベルとは異なる刺激ノイズレベルで前記刺激サウンドを知覚したことを決定することを含む、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記ユーザが前記刺激サウンドを知覚したという前記指示を受け取ることに基づいて、前記ユーザの聴覚感度の変化を決定することは、前記ユーザの聴覚感度が閾値量だけ変化したことを決定することを含み、
前記ユーザの聴覚感度の変化を決定することに基づいて前記ユーザの片頭痛発作の発症を予測することは、前記ユーザの聴覚感度が前記閾値量だけ変化したことを決定することに基づいて前記片頭痛発作の発症を予測することを含む、
請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年12月12日に提出された米国仮出願第62/778,623号に対する優先権を主張し、引用によりこの内容全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
患者が病気の症状を管理するための現行の幾つかの技法は、病気の症状が発生する時間、及び患者が潜在的な誘発(及びおそらく緩和)活動に従事する時間を文書で記録することを含む。他の現在の技術は、患者が病気の症状の電子日記をつけていること、病気の誘発/軽減活動、並びにおそらくは他の病気の監視及び関連データ、恐らくはアプリケーションを含むことができる。病気の症状を追跡する際に考慮することができるデータの種類は、患者に聞こえるサウンドに関連する閾値レベルなど、患者の感覚閾値に関連している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第15/502,087号明細書
【特許文献2】国際特許出願PCT/US15/43945
【特許文献3】米国特許仮出願第62/034,408号明細書
【特許文献4】米国特許仮出願第62/120,534号明細書
【特許文献5】米国特許仮出願第62/139,291号明細書
【特許文献6】米国特許仮出願第62/148,130号明細書
【特許文献7】米国特許仮出願第62/172,594号明細書
【特許文献8】国際特許出願PCT/US14/13894
【特許文献9】米国特許仮出願第61/860,893号明細書
【特許文献10】米国特許仮出願第61/762,033号明細書
【特許文献11】米国特許仮出願第61/759,231号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一部の片頭痛患者は、片頭痛の発現に至るまでの(場合によってはその間の)数日及び数時間の会話の理解及び/又は他のサウンドの識別が困難であることが報告されている。この聴覚能力の短期的な変化を経験する片頭痛患者にとって、この変化は、片頭痛の発現に至るまでの数日及び数時間にて発生する生物学的変化の測定可能な指標であるので、片頭痛のバイオマーカーを提供する。片頭痛のバイオマーカーを検出する能力は、片頭痛発現の発症を予測し、片頭痛の影響を予防又は少なくとも改善するための早期治療介入の機会を片頭痛患者に与えるだけでなく、臨床試験並びに創薬及び開発にも役立つ。
【0005】
本出願は、片頭痛患者の聴覚片頭痛バイオマーカーを検出するためのシステム及び方法を開示している。患者(より一般的には「ユーザ」と呼ばれる)は、片頭痛の聴覚バイオマーカーを検出する目的で、ソフトウェア申請者(恐らく医療管理アプリケーション)と対話することができる。本明細書に記載され記載事項の特定の実施形態及び用途において、ユーザはまた、疾患、障害、又は病状、特に片頭痛を患っている患者又は個人である。従って、本明細書において「患者」という用語が言及される範囲では、記載される動作は、ユーザ(例えば、ソフトウェアアプリケーションに関連して急性治療を受けていない個人)にも同様に適用できることを理解されたい。これらのシステム及び方法は、片頭痛発作の発症を予測するための聴覚能力の変化を対象としているが、本明細書に記載される開示されたシステム及び方法は、聴覚能力の変化がそのような他の疾患の発症及び/又は存在を示し及び/又は症状の発現又は悪化期間の発生を予測することができる他の疾患にも適用可能である。例えば、これらのシステム及び方法の多くの態様は、てんかん、うつ病及びその他などの一時的な発作を伴う他の神経疾患におけるバイオマーカーの検出に適用することができる。本明細書に記載の実施例の中で、ユーザは、サウンド信号を「知覚する」と呼ぶことができる。「知覚される」という用語は、人間の感覚、特に聴覚を包含することを意図している。従って、本明細書で提供される実施例の中で、ユーザ及び/又は患者がサウンドを「聞く」と記載される場合、これは、ユーザ及び/又は患者がサウンドを知覚することとして理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、オーディオ出力デバイスによって、様々な強度レベルで複数のサウンドを提供するステップを含む方法が提供される。本方法は、ユーザインターフェースを介して、ユーザによって知覚された複数のサウンドの知覚された音量レベルを示す入力を受け取ることを含む。本方法は、受け取った入力に基づいて、複数のユーザ音量レベルを決定することを含む。複数のユーザ音量レベルは、(i)ユーザの可聴音量閾値、(ii)ユーザの快適音量レベル、及び(iii)ユーザの最大快適音量レベルを含む。複数のユーザ音量レベルは、ユーザの聴覚感度を示す。本方法は、オーディオ出力デバイスによってバックグラウンドサウンドを提供することを含む。本方法は、バックグラウンドサウンドを提供すると同時に、オーディオ出力デバイスによって刺激サウンドを提供することを含む。本方法は、ユーザインターフェースを介して、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示をユーザから受け取ることを含む。本方法は、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示を受け取ったことに基づいて、ユーザの聴覚感度の変化を決定することを含む。本方法は、ユーザの聴覚感度の変化を決定することに基づいて、ユーザの片頭痛発作の発症を予測することを含む。
【0007】
第2の態様では、非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。非一時的なコンピュータ可読媒体は、1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、1又は2以上の機能の実行を引き起こすコンピュータ実行可能プログラムコードを格納している。機能は、オーディオ出力デバイスによって、様々な強度レベルで複数のサウンドを提供することを含む。機能は、ユーザインターフェースを介して、ユーザによって知覚された複数のサウンドの知覚された音量レベルを示す入力を受け取ることを含む。機能は、受け取った入力に基づいて、複数のユーザ音量レベルを決定することを含む。複数のユーザ音量レベルは、(i)ユーザの可聴音量閾値、(ii)ユーザの快適音量レベル、及び(iii)ユーザの最大快適音量レベルを含む。複数のユーザ音量レベルは、ユーザの聴覚感度を示す。機能は、オーディオ出力デバイスによってバックグラウンドサウンドを提供することを含む。機能は、バックグラウンドサウンドを提供すると同時に、オーディオ出力デバイスによって刺激サウンドを提供することを含む。機能は、ユーザインターフェースを介して、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示をユーザから受け取ることを含む。機能は、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示を受け取ったことに基づいて、ユーザの聴覚感度の変化を決定することを含む。機能は、ユーザの聴覚感度の変化を決定することに基づいて、ユーザの片頭痛発作の発症を予測することを含む。
【0008】
第3の態様では、コンピューティングデバイスを含むシステムが提供される。コンピューティングデバイスは、1又は2以上の機能を実行するように構成されている。機能は、オーディオ出力デバイスによって、様々な強度レベルで複数のサウンドを提供することを含む。機能は、ユーザインターフェースを介して、ユーザによって知覚された複数のサウンドの知覚された音量レベルを示す入力を受け取ることを含む。機能は、受け取った入力に基づいて、複数のユーザ音量レベルを決定することを含む。複数のユーザ音量レベルは、(i)ユーザの可聴音量閾値、(ii)ユーザの快適音量レベル、(iii)ユーザの最大快適音量レベルを含む。複数のユーザ音量レベルは、ユーザの聴覚感度を示す。機能は、オーディオ出力デバイスによってバックグラウンドサウンドを提供することを含む。機能は、バックグラウンドサウンドを提供すると同時に、オーディオ出力デバイスによって刺激サウンドを提供することを含む。機能は、ユーザインターフェースを介して、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示をユーザから受け取ることを含む。機能は、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示を受け取ったことに基づいて、ユーザの聴覚感度の変化を決定することを含む。機能は、ユーザの聴覚感度の変化を決定することに基づいて、ユーザの片頭痛発作の発症を予測することを含む。
【0009】
第4の態様では、システムが提供される。システムは、1又は2以上の機能を実行するための手段を含む。機能は、オーディオ出力デバイスによって、様々な強度レベルで複数のサウンドを提供することを含む。機能は、ユーザインターフェースを介して、ユーザによって知覚された複数のサウンドの知覚された音量レベルを示す入力を受け取ることを含む。機能は、受け取った入力に基づいて、複数のユーザ音量レベルを決定することを含む。複数のユーザ音量レベルは、(i)ユーザの可聴音量閾値、(ii)ユーザの快適音量レベル、(iii)ユーザの最大快適音量レベルを含む。複数のユーザ音量レベルは、ユーザの聴覚感度を示す。機能は、オーディオ出力デバイスによってバックグラウンドサウンドを提供することを含む。機能は、バックグラウンドサウンドを提供すると同時に、オーディオ出力デバイスによって刺激サウンドを提供することを含む。機能は、ユーザインターフェースを介して、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示をユーザから受け取ることを含む。機能は、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示を受け取ったことに基づいて、ユーザの聴覚感度の変化を決定することを含む。機能は、ユーザの聴覚感度の変化を決定することに基づいて、ユーザの片頭痛発作の発症を予測することを含む。
【0010】
本明細書に開示されるシステム及び方法の幾つかの実施形態は、スマートフォン又は他のコンピューティングデバイスで実施される聴力試験を含む。作動時には、片頭痛患者は、スマートフォンに接続されたヘッドホンを介して、スマートフォンで実行されているソフトウェアアプリケーションによって生成される聴覚信号を聴く。このようなソフトウェアアプリケーションは、片頭痛のバイオマーカーを検出するための特定の方法で聴覚信号の態様を変えることができる。
【0011】
幾つかの実施形態では、患者のスマートフォン上のソフトウェアアプリケーションは、最初に、特定の音量レベルでバックグラウンドサウンド(限定ではないが、ガウスホワイトノイズなど)を生成する。このバックグラウンドサウンドは、本明細書では「バックグラウンド」と呼ばれることもある。次いで、バックグラウンドを再生している間、ソフトウェアアプリケーションは、右及び左チャンネルを介してモノラル及び/又はステレオで様々な音量レベル及び様々な間隔でオーディオ刺激サウンド(限定ではないが、離散的トーン、サウンド、又は単語など)を生成する。このオーディオ刺激サウンドは、本明細書では「刺激」と呼ばれることもある。幾つかの実施形態では、刺激の音量レベルは、最初は低く設定されるが、システムは、本明細書で更に説明されるように、時間と共に刺激の音量レベルを増加させる。幾つかの実施形態では、ソフトウェアアプリケーションは、「左」及び「右」ボタンを含むユーザインターフェース画面を生成して、患者が刺激を聴く耳(左又は右)に対応するボタン(左又は右)をタップするように患者に指示する。
【0012】
幾つかの実施形態では、バックグラウンドは、(i)ランダム又は特定の強度での静的又は動的な特定の周波数のセット、(ii)ランダム又は特定の強度での静的又は動的なランダム周波数のセット、(iii)限定ではないが、ランダムもしくは特定の強度でのホワイト、ピンク、ブラウン、ブルー、バイオレット、グレイ、又は他のタイプのランダムノイズなど、特定のタイプのランダムノイズ、(iv)ランダム又は特定の強度での単一の静的又は動的なランダムトーン、(v)ランダム又は特定の強度での単一の静的又は動的なランダムトーン、(vi)限定ではないが、ランダム又は特定の強度でのコーヒーショップ、カフェ、交通、列車、雨、波などの録音など、事前に録音されたバックグラウンドノイズ、及び/又は(vii)前述の任意の組み合わせ、のうちの1又は2以上を含む。幾つかの実施形態では、バックグラウンド強度は、時間と共に変化する可能性がある。幾つかの実施形態では、バックグラウンド強度は、約0dBから120dBの音圧レベル(SPL)の間の時間の関数として変化する。幾つかの実施形態では、バックグラウンド強度は、数時間又は数日にわたって実行される聴覚バイオマーカー検出試験のセットに対して一定のままであるが、バックグラウンドがより高い又はより低い強度(音量)レベルに設定されているときに、患者がバックグラウンドから刺激を識別することができる程度に関してより良好なデータを提供するために、バックグラウンド強度は、適宜変更することができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、バックグラウンドは、患者の最大快適レベル、すなわち、患者がバックグラウンドを不快であるとみなす直前の強度(音量)レベルに設定される。幾つかの実施形態では、バックグラウンドは、患者の閾値レベルのすぐ上に、すなわち、患者が聴くのに過不足のない高い強度(音量)レベルに設定される。幾つかの実施形態では、バックグラウンドは、患者の快適レベル内、すなわち、患者の閾値レベルよりも高いが患者の最大快適レベルよりも低い強度(音量)レベルに設定される。一部の実施形態は、バックグラウンドを含まないか、又は使用しない。バックグラウンドの不在、存在、及び/又は強度レベルに関係なく、幾つかの実施形態では、少なくとも数時間又は数日の間に実行される複数の聴覚バイオマーカー検出試験のセットについて特定の患者の同じ(又は少なくとも実質的に同じ)音量レベル(すなわち、患者の最大快適レベル、患者の閾値レベル、及び患者の快適レベル/範囲)を使用することが望ましい。
【0014】
幾つかの実施形態では、刺激は、(i)患者の名前、(ii)ランダム化された単語、(iii)周波数及び強度が変化するランダム化されたトーン、(iv)他の単語及び/又はトーン、及び/又は(v)上述の任意の組み合わせのうちの1又は2以上を含む。幾つかの実施形態では、刺激の内容に関係なく、刺激の周波数及び/又は強度は、時間と共に変化する可能性がある。幾つかの実施形態では、刺激強度は、定義された増分内で試験セッション中に増加又は減少することができる。例えば、幾つかの実施形態では、刺激強度は、約1~6dBの間の増分で増加及び/又は減少する。
【0015】
幾つかの実施形態では、刺激は、時間間隔内で連続的又はパルス化することができる。幾つかの実施形態では、刺激は、一定の時間間隔にわたってパルス化される。幾つかの実施形態では、刺激は、時間と共にランダムに又は特定のパターンに従って変化する時間間隔にわたってパルス化される。例えば、幾つかの実施形態では、連続する刺激サウンド間の時間間隔は、約1~10秒の間で変化する。パルス刺激を使用する幾つかの実施形態では、刺激は、約1~10秒の間の単一の時間間隔の間に送達される約3から1000のパルスを含む。幾つかの実施形態では、聴覚バイオマーカー検出試験の複数の反復を含む単一の試験セッションは、約2~15分間続く。
【0016】
幾つかの実施形態では、刺激及び/又はバックグラウンドの一方又は両方は、カスタマイズされたサウンドトラックを含むことができる。刺激及び/又はバックグラウンドとしてシステムによって使用できる幾つかのサウンドトラックの実施例としては、(i)「オデッセウスのサイレン」サウンドトラック、ここでバックグラウンドは、荒ぶる波濤と狭い強度範囲で変動するハウリング風の音を含み、刺激は、様々な強度(ラウドネス)及び/又は周波数で断続的に呼ばれる患者の名前を含み、(ii)「ジャングルで迷う」サウンドトラック、ここでバックグラウンドは、木の葉の擦れる音、ジャングルノイズ、水の流れる音、及び/又は狭い強度範囲内で変動する他のジャングルサウンドを含み、刺激は、様々な強度(ラウドネス)及び/又は周波数で断続的に呼ばれる「ターザン」という名前を含み、及び/又は(iii)「暴風雨」サウンドトラック、ここでバックグラウンドは、降る雨及び風の安定した音を含み、刺激は、様々な強度(ラウドネス)/又は周波数で断続的に呼ばれるユーザの名前(又は恐らく他の何らかの単語)である。動作中、バイオマーカー検出システムは、片頭痛発作に至るまでの数日及び数時間以内に発生する聴覚能力の一時的な変化を識別することを目的としているので、上記のサウンドトラックの実施例及び他のサウンドトラックは、数日又は恐らく数時間の期間にわたる個人内変動の分析に効果的である。幾つかの実施形態では、バイオマーカー検出システムは、何週間、何ヶ月、又は何年にもわたって、患者の聴覚能力の一時的な変化の変動を識別及び追跡することができる。
【0017】
患者がバックグラウンドサウンドから刺激サウンドを識別する方法を学習し、繰り返しに基づいて刺激サウンドのシステムの再生を予測することを防ぐために、幾つかの実施形態では、刺激サウンド及び/又はバックグラウンドサウンドの内容、強度、周波数、及び/又はパルス速度は、(i)システムが片頭痛バイオマーカー検出手順を実行する単一の試験セッション、及び(ii)様々な試験セッションに使用されるバックグラウンドサウンド及び/又は刺激サウンド属性をシステムが変化させる異なる試験セッションの一方又は両方内で変化するのが有利である。幾つかの実施形態では、バックグラウンド信号及び/又は刺激サウンドの内容、強度、及び/又は期間の1又は2以上をシステムが変化させる範囲及び程度は、患者の年齢、性別、又は患者間の他の顕著な特徴のうちの1又は2以上に基づいて変化する。
【0018】
幾つかの実施形態では、システム及び方法は、患者の個人的な聴力範囲内に初期音量レベルを設定することによって、患者に対して開始する。幾つかの実施形態は、患者に対して1又は2以上の試験サウンドを再生し(限定ではないが、患者のスマートフォンに接続されたヘッドホンを介するなど)、試験サウンドを聞いた(又は聞いていない)患者から1又は2以上の確認を受け取ることによって(限定ではないが、ユーザインターフェースを介して)初期音量レベルを決定することを含む。幾つかの実施形態は、更に、オーディオ出力デバイスによって、様々な強度レベルで(例えば、患者のスマートフォンに接続されたヘッドホンを介して)複数のサウンドを提供して、(i)患者が聞いた最小音量の試験サウンドと(ii)患者にとって音量が不快なほど大きくなる前に患者が聞いた最大音量の試験サウンドの両方についての複数の確認(例えば、ユーザインターフェースを介して)を患者から受け取ることによって、複数の試験サウンドを再生することにより、患者の聴力範囲を決定することを含むことができる。幾つかの実施形態では、システム及び方法は、患者の閾値音量レベル及び患者の最大快適レベルによって定義される、個々の患者の聴力範囲を保存することを含む。
【0019】
幾つかの実施形態では、システムは次に、患者の閾値ボリュームレベルより下から患者の最大快適レベルまでの強度にわたるランダムな強度レベル(音量)にて(バックグラウンドの有無にかかわらず)刺激サウンドの第1のセットを再生する。システムは、患者が刺激を聞いたという確認をシステムが受け取ったかどうかに基づいて、刺激サウンドの第1のセットにおいて患者が各刺激を聞いたかどうかを追跡する。次に、幾つかの実施形態では、システムは、刺激サウンドの第1のセットの再生に応答して患者から受け取った確認の第1のセットを使用して、刺激サウンドの第2のセットを再生する。刺激サウンドの第2のセットは、刺激サウンドの第1のセットと比較して、狭い強度範囲内にある強度レベルを有し、この狭い強度範囲は、刺激サウンドの第1のセットに応答して患者によって確認された最低検出強度(音量)のすぐ下から、刺激サウンドの第1のセットの最初に検出された刺激サウンドの音量のすぐ上の音量レベルまでの範囲である。第1セットの刺激サウンドに比べて狭い強度範囲を有することに加えて、刺激サウンドの第2のセットにおける個々の刺激サウンド間の強度レベルの差はまた、刺激サウンドの第1セットにおける個々の刺激サウンド間の強度レベルの差よりも小さい。従って、幾つかの実施形態では、刺激サウンドの第1のセットは、刺激サウンドの第2のセットでより焦点を絞った試験セッションを実施するためのより狭い範囲を識別するように機能することができる。
【0020】
本明細書で記載される試験は、患者の聴覚感度及び/又は刺激をバックグラウンドから毎日(又は恐らくは1日に数回)識別して個々の患者の経時的変化を測定する能力の評価を可能な限り正確に得ることを目的としている。幾つかの実施形態では、個々の患者及び/又は個々の患者のセットからの結果は、編集して、患者及び/又は患者のセットに対する片頭痛発作の事例と相関させて、個々の患者及び/又は恐らくは同様の患者特性を共有する患者のグループに対しての個々の聴覚バイオマーカーを特定するのを助けることができる。信頼できる聴覚バイオマーカー(例えば、特定の強度、周波数、持続時間などでの刺激サウンドとバックグラウンドサウンドの組み合わせ)が個々の患者に対して特定されると、本明細書で開示及び記載されるシステム及び方法は、その患者の特定された信頼できる聴覚バイオマーカーを用いることに焦点を当てることができ、これにより、この患者のより高い信頼性の片頭痛予測を提供することになる。
【0021】
ノイズ感度は一部の片頭痛患者の前駆兆候でもあるので、幾つかの実施形態は、更に、(i)患者が刺激サウンドとバックグラウンドサウンドを識別できる場合、及び/又は(ii)刺激サウンドが個別に又はバックグラウンドサウンドと組み合わせて、患者にとって不快な大きさ又はイライラ又は煩わしくなる場合の1又は2以上について、患者から(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介して)1又は2以上の指示を受け取ることを含むラウドネス/不快感試験を含むことができる。
【0022】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示及び記載されるシステム及び方法は、単独で、又は機械学習及び/又は人工知能技術を含む、様々なアルゴリズムを使用して、恐らくは他の同様の感知識別試験(例えば、視覚、触覚など)及び他の前駆兆候及び/又は潜在的リスク要因の存在と組み合わせて使用することができる。場合によっては、開示された聴覚バイオマーカー試験を1又は2以上の他の感知識別試験と組み合わせて使用すると、発作の発症を確認し、偽陽性の結果の可能性を低減するのに役立つことができる。
【0023】
例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に開示及び記載されるシステム及び方法は、
(1)2017年2月6日に出願され、(a)2015年8月6日に出願された「慢性疾患の発見及び管理システム(Chronic Disease Discovery and Management System)」と題されたPCT出願PCT/US15/43945、
(b)2014年8月7日に出願された「病徴トリガーマップ(Disease symptom Trigger Map)」と題された米国仮出願第62/034,408号、
(c)2015年2月25日に出願された「慢性疾患管理システム(Chronic Disease Management System)」と題された米国仮出願第62/120,534号、
(d)2015年3月27日に出願された「慢性疾患の発見及び管理システム(Chronic Disease Discovery and Management System)」と題された米国仮出願第62/139,291号、
(e)2015年4月15日に出願された「慢性疾患の発見及び管理システム(Chronic Disease Discovery and Management System)」と題された米国仮出願第62/148,130号、
及び(f)2015年6月8日に出願された「慢性疾患の発見及び管理システム(Chronic Disease Discovery and Management System)」と題された米国仮出願第62/172,594号に対する優先権を主張する、「慢性疾患の発見及び管理システム(Chronic Disease Discovery and Management System)」と題された米国出願第15/502,087号、
及び/又は
(2)(a)2013年7月31日に出願された「患者の行動と病気の症状との相関関係を決定するための方法及びシステム(Methods and Systems for Determining a Correlation Between Patient Actions and Symptoms of a Disease)」と題された米国仮出願61/860,893、(b)2013年2月7日に出願された「患者の行動と病気の症状との相関関係を決定するための方法及びシステム(Methods and Systems for Determining a Correlation Between Patient Actions and Symptoms of a Disease)」と題された米国仮出願61/762,033、
(c)2013年1月31日に出願された「患者の行動と病気の症状との相関関係を決定するための方法及びシステム(Methods and Systems for Determining a Correlation Between Patient Actions and Symptoms of a Disease)」と題された米国仮出願61/759,231に対する優先権を主張する、「患者の行動と病気の症状との相関関係を決定するための方法及びシステム(Methods and Systems for Determining a Correlation Between Patient Actions and Symptoms of a Disease)」と題されたPCT出願PCT/US14/13894、
の一方又は両方に開示及び説明されるシステム及び方法と組み合わせて使用することができる。上記にリストした出願の全ては、Curelator、Inc.,により保有され、本出願は、上記の出願全ての内容全体を引用により組み込む。
【0024】
例示的な方法及びシステムが本明細書に記載されている。本明細書では、「実施例」、「例示」、及び「例証」という用語は、「実施例、例示、又は例証としての役割を果たす」ことを意味するのに使用される点を理解されたい。「実施例」である、「例示的」である、又は「例証」であるとして本明細書に記載される何れかの実施形態又は特徴は、必ずしも他の実施形態又は特徴よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。本明細書に記載される例示的な実施形態は、限定を意味するものではない。本開示の態様は、本明細書で一般的に説明されるように、多種多様な異なる構成で配置、置換、結合、分離、及び設計することができ、そのすべてが本明細書で明示的に企図されることが容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本明細書で開示される聴覚バイオマーカーを検出するためのシステム及び方法の様々な例示的な実施形態で採用される第1の方法を示す図である。
【
図2】本明細書で開示される聴覚バイオマーカーを検出するためのシステム及び方法の様々な例示的な実施形態で採用される第2の方法を示す図である。
【
図3】本明細書で開示される聴覚バイオマーカーを検出するためのシステム及び方法の様々な例示的な実施形態で採用される第3の方法を示す図である。
【
図4】本明細書で開示される聴覚バイオマーカーを検出するためのシステム及び方法の様々な例示的な実施形態で採用される第4の方法を示す図である。
【
図5】本明細書で開示及び記載される聴覚バイオマーカー検出方法の特徴及び機能を実行するように構成された例示的なコンピューティングデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1~4は、4つの方法100、200、300、及び400を例証している。幾つかの実施形態では、本明細書に開示及び記載されるシステム及び方法は、4つの方法のうちの1又は2以上(或いは全て)において特徴及び機能を実装又は他の方法で含む。これらの特徴及び機能をここに示される4つの方法に区分化するのは、単に便宜上説明を容易にするためである。幾つかの実施形態は、より多くの又はより少ない特徴及び機能を含むことができるが、これらの特徴及び機能は、より多くの又はより少ない方法に編成及び配置されるか、或いは恐らくは複数の方法には分割されない。
【0027】
図1は、本明細書で開示される聴覚バイオマーカーを検出するためのシステム及び方法の様々な例示的な実施形態で採用される第1の方法100を示す。
【0028】
方法100は、開始点102から始まり、ここではスマートフォン又は他のコンピューティングデバイス(本明細書では総称してコンピューティングデバイスと呼ばれる)が、聴覚片頭痛バイオマーカーを検出するためのソフトウェアアプリケーションを起動する。幾つかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、患者から(例えば、ユーザインターフェースを介して)受け取った要求に応答してアプリケーションを起動し、例えば、スマートフォンは、患者がユーザインターフェースを介してアプリケーションを選択することに応答してアプリケーションを起動する。
【0029】
次に、方法100は、ブロック104に進み、ここで、アプリケーションは、ヘッドホンがコンピューティングデバイスに接続されているかどうかを決定する。動作中、ヘッドホンは、標準のアナログオーディオジャック、Bluetooth(商標)、Lightning(商標)、又は他のタイプの接続など、現在知られているか又は今後開発される有線もしくは無線接続を介して、コンピューティングデバイスに接続できる。ヘッドホンがコンピューティングデバイスに接続されていない場合、方法100は、ブロック106に進み、ここでアプリケーションは、ヘッドホンをコンピューティングデバイスに接続するように患者に促す。ブロック104で、ヘッドホンがコンピューティングデバイスに接続されていると、アプリケーションが判断した場合、幾つかの実施形態では、アプリケーションは更に、片方又は両方のイヤホンを介して確認サウンドを再生することによって、「右」イヤホンが患者の右耳の中/上にあり、「左」イヤホンが患者の左耳の中/上にあることを確認するよう患者に促す。
【0030】
例えば、アプリケーションは、患者がイヤホンを正しく着用していることを確認する旨のプロンプトをユーザインターフェース画面に表示しながら、「このイヤホンが左耳にあることを確認してください」などのフレーズを「左」イヤホンを介して再生することができる。或いは、「このサウンドは右耳で聞こえますか、それとも左耳で聞こえますか?」などのサウンド又はフレーズを1つのイヤホンを介して再生し、患者がどちらの耳でサウンドを聴いたかを確認する旨のプロンプトをユーザインターフェース画面を介して表示することができる。また、患者がどちらの耳でサウンドを聞いたことを確認したかに応じて、アプリケーションは、残りの試験全体にわたってサウンドの再生方法を調整することができる。例えば、アプリケーションが、「このサウンドは右耳で聞こえますか、それとも左耳で聞こえますか?」というフレーズを右イヤホンを介して再生した場合、且つ患者が右耳でサウンドを聞いていることを確認した場合、アプリケーションは、患者がイヤホンを正しく装着していることを確認し、アプリケーションが右及び左チャンネルを介してサウンドを再生する方法を変更することなく、試験を続行することができる。しかしながら、アプリケーションが、「このサウンドは右耳で聞こえますか、それとも左耳で聞こえますか?」というフレーズを右のイヤホンを介して再生した場合、且つ患者が左耳でサウンドを聞いていることを確認した場合、アプリケーションは、患者が間違った耳にイヤホンを装着していることを確認し、アプリケーションは、患者にイヤホンを正しく装着するように指示することができ、又はアプリケーションは、試験のために耳を逆にして、左のイヤホンを介して右チャンネルを再生し、右のイヤホンを介して左チャンネルを再生して、患者がイヤホンを逆に装着しているとみなすことができる。
【0031】
患者がイヤホンを正しく装着しているという確認を受け取った後、方法100は、ブロック108に進む。
【0032】
ブロック108で、方法100は、1又は2以上のボリュームレベルが患者に対して定義されているかどうかを決定する。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの音量レベルは、患者の閾値レベルより高く、患者の最大快適レベルより低いレベルである。
【0033】
患者の音量レベルが定義されていない場合、方法100は、ブロック110に進み、ここで患者の音量レベルが定義される。幾つかの実施形態では、患者の音量レベルを定義することは、方法100のコメントブロック112に要約されているように、オーディオ出力デバイスによって(例えば、患者のスマートフォンに接続されたヘッドホンを介して)、様々な強度レベルで複数のサウンドを再生し、快適音量、最小可聴(又は閾値)音量、及び/又は不快な(又は恐らくは最大快適)音量レベルのうちの1又は2以上を定義するよう患者に尋ねることを含む。患者の聴力及び感度は、左耳と右耳で異なる可能性があるので、幾つかの実施形態は、各耳についての快適音量、閾値音量、及び/又は最大快適音量レベルを個別に定義することを含む。ブロック110において患者の音量レベルを定義した後、方法100は、ブロック114に進み、ここでアプリケーションは患者の決定された音量レベルを保存する。幾つかの実施形態では、ブロック114は、患者の決定された音量レベルに基づいて、聴覚バイオマーカー試験を実行するようにアプリケーションを構成することを更に含むことができる。ブロック114で患者が決定した音量レベルを保存した後(及び恐らくは患者が決定した音量レベルでアプリケーションを構成する)、方法100はブロック116に進み、ここでアプリケーションは、グラフィカルユーザインターフェースを介して「開始」(又は同様の)アイコンを表示する。
【0034】
ブロック108で、患者の音量レベルが既に定義されているとアプリケーションが判断した場合、本方法は、ブロック120に進み、ここでアプリケーションは、患者の事前定義された音量レベルに基づいて聴覚バイオマーカー試験を実行するように構成される。幾つかの実施形態では、コメントブロック122に要約されているように、定義された期間内の個々の聴覚バイオマーカー検出試験に同じ(又は実質的に同じ)患者音量レベルをアプリケーションが使用することを保証することが望ましい。例えば、幾つかの実施形態では、アプリケーションは、数時間から数日の間に実行される複数の聴覚バイオマーカー検出試験の各々に対して同じ(又は実質的に同じ)患者音量レベル(閾値、最大快適性、及び対応する快適範囲)を使用して、数時間から数日の間にバックグラウンドから刺激を識別する患者の能力の僅かな変化を測定及び追跡できるようにすることが望ましい。前述のように、幾つかの実施形態では、アプリケーションは、数週間、数ヶ月、又は数年にわたる患者の聴覚能力の一時的な変化の変動を識別及び追跡することができる。
【0035】
ブロック120で、アプリケーションが聴覚バイオマーカー試験を実行するように構成された後、方法100は、ブロック116に進み、ここでアプリケーションは、グラフィカルユーザインターフェースを介して「開始」(又は同様の)アイコンを表示する。ブロック116において「開始」(又は同様の)アイコンを表示した後、方法100は、点118で終了し、これは方法200の開始点でもある。
【0036】
図2は、本明細書で開示される聴覚バイオマーカーを検出するためのシステム及び方法の様々な例示的な実施形態で採用される第2の方法200を示す。方法200は、開始点118から開始し、ここでアプリケーションは、方法200を開始するための患者入力の受け取りを待機する。幾つかの実施形態では、ブロック118で、アプリケーションは、聴覚バイオマーカー検出試験を実行するときに、アプリケーションが使用する1又は2以上のパラメータを構成するための指示を患者に提供することができる。
【0037】
ブロック202で、アプリケーションは、患者から入力を受け取り、聴覚バイオマーカー検出手順を実行するようにアプリケーションを構成する。例えば、幾つかの実施形態では、アプリケーションは、グラフィカルユーザインターフェースを介してアプリケーション構成手順を開始するコマンドを受け取る。
【0038】
アプリケーション構成手順を開始するコマンドを受け取った後、方法200は、ブロック204に進み、ここで、アプリケーションは、入力を受け取り(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介して)、1又は2以上のバックグラウンドサウンド及び/又は刺激サウンドを選択する。幾つかの実施形態では、1又は2以上のバックグラウンド及び/又は刺激サウンドは、それぞれバックグラウンドデータベース210及び刺激データベース206から選択される。幾つかの実施形態では、バックグラウンドデータベース210は、バックグラウンドとして使用するための多くの異なるバックグラウンドサウンドを含み、これには、方法200のコメントブロック212に要約されているように、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウニアンノイズ、ブルーノイズ、バイオレットノイズ、グレイノイズ、グリーンノイズ、ブラックノイズ、レッドノイズ、会話する人々、鳴いている鳥、本明細書で開示される他のバックグラウンドサウンドの何れか、及び/又は聴覚バイオマーカー検出試験のバックグラウンドサウンドとして使用するのに好適な現在知られている又は後で開発される他の何れかのバックグラウンドサウンドが含まれるが、これらに限定されない。同様に、幾つかの実施形態では、刺激データベース206は、コメントブロック208に要約されているように、様々なタイプのビープ音、鐘の音、単語、フレーズ、数字、文字、名前、動物のサウンド、及び/又は他の何れかのタイプのサウンド、聴覚バイオマーカー検出試験のための刺激サウンドとして使用するのに適している、現在知られている又は後で開発される他の何れかのタイプのサウンドを含むがこれらに限定されない、刺激として使用するための多くの異なる刺激サウンドを含む。
【0039】
ブロック204で、バックグラウンドサウンド及び/又は刺激サウンドが選択された後、方法200は、ブロック210に進み、ここでバックグラウンド音量が設定される。幾つかの実施形態では、アプリケーションは、聴覚バイオマーカー検出試験が実行されるたびに、バックグラウンド音量を同じレベルに設定する。幾つかの実施形態では、バックグラウンド音量は、方法100で決定された、例えば、ブロック110で決定された及び/又はメモリから検索された患者音量レベル(閾値、最大快適性、及び対応する快適範囲)に少なくとも部分的に基づく。
【0040】
ブロック210にてバックグラウンド音量を設定した後、方法200はブロック218に進み、ここでアプリケーションは、1又は2以上の対応する刺激サウンドに対して1又は2以上の音量レベルを設定する。幾つかの実施形態では、刺激サウンド音量は、方法100で決定された、例えば、ブロック110で決定された及び/又はメモリから読み出された患者の音量レベル(閾値、最大快適性、及び対応する快適範囲)に少なくとも部分的に基づく。幾つかの実施形態では、アプリケーションは、試験セッション中の聴覚バイオマーカー検出試験の各反復の患者の閾値音量レベル付近(例えば、約+/-1dBから6dB以内)である異なるランダム音量レベルで1又は2以上の刺激サウンドの各々について1又は2以上の音量レベルの各々を設定する。
【0041】
ブロック218で1又は2以上の刺激サウンド音量レベルを設定した後、方法200は点222で終了し、これは、方法300の開始点でもある。
【0042】
図3は、本明細書で開示される聴覚バイオマーカーを検出するためのシステム及び方法の様々な実施形態で採用される第3の方法300を示す。方法300は、開始点222から始まり、ここで、アプリケーションは、方法200を開始するための患者入力の受け取りを待機する。幾つかの実施形態では、ブロック222で、アプリケーションは、聴覚バイオマーカー検出試験を実施するための指示を患者に提供することができる。
【0043】
次に、方法300は、ブロック302に進み、ここで、アプリケーションは、バックグラウンドサウンドを再生する。幾つかの実施形態では、アプリケーションは、方法200のブロック214で選択又は設定されたバックグラウンド音量で、方法200のブロック204で選択されたバックグラウンドサウンドを再生する。
【0044】
バックグラウンドサウンドを再生し続けている間、方法300は、ブロック304に進み、ここで、第1の遅延が実施された後でブロック308に進み、ここで、アプリケーションは刺激サウンドを再生する。幾つかの実施形態では、ブロック308において、アプリケーションは、方法200のブロック218で設定された1又は2以上の刺激サウンド音量レベルの第1のレベルで、方法200のブロック204で選択された刺激サウンドを再生する。幾つかの実施形態では、アプリケーションは、固定又はランダムな時間期間でブロック308で刺激サウンドを再生する。
【0045】
ブロック308で刺激サウンドを再生した後で、バックグラウンドサウンドを再生し続けている間、方法300はブロック310に進み、ここで第2の遅延が実施された後、ブロック312に進む。幾つかの実施形態では、ブロック304で実施された第1の遅延及びブロック310で実施された第2の遅延の一方又は両方は、固定又はランダムな時間期間とすることができる。同様に、ブロック304で実施される第1の遅延と、ブロック310で実施される第2の遅延は、コメントブロック306にて要約されるように、固定又はランダムである同じ時間期間又は異なる時間期間とすることができる。
【0046】
ブロック310で第2の遅延を実施した後、バックグラウンドサウンドの再生を継続しながら、方法300はブロック312に進み、ここでアプリケーションは、患者が刺激サウンドを聞いたかどうかを患者に尋ねる。例えば、アプリケーションは、患者が刺激サウンドを聞いたかどうかに基づいて患者が選択する「はい」及び「いいえ」(又は同様の)アイコンを使用して、ユーザインターフェース上にプロンプトを生成及び表示することができる。
【0047】
アプリケーションが、患者が刺激サウンドを聞いていないという指示を患者から受け取った場合(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介した「いいえ」入力)、方法300はブロック314に進み、ここでアプリケーションは、刺激サウンドの音量を変更し、コメントブロック316に要約されるように、刺激サウンドの音量を変更することは、音量を増分させることを含む。幾つかの実施形態では、ブロック314で刺激サウンドの音量を変更することは、追加的又は代替的に、刺激サウンドの音量レベルを減分させることを含む。幾つかの実施形態では、刺激サウンドの音量を追加的又は代替的に変更することは、刺激サウンドの音量を、方法200のブロック218で設定された1又は2以上の刺激サウンドの音量レベルの第2の音量に設定することを含む。
【0048】
ブロック314で刺激サウンドの音量を変更した後で、バックグラウンドサウンドを再生し続けている間、方法300はブロック304に戻り、ここでアプリケーションは、第1の遅延(以前のアプリケーションがブロック304で第1の遅延を実施したときと同じ又は異なる期間とすることができる)を実施する。次いで、ブロック304での第1の遅延の満了後、方法300は再びブロック308に進み、ここでアプリケーションは、ロック314で設定された変更された音量レベルで、刺激サウンドを再度再生する。幾つかの実施形態では、アプリケーションは、固定又はランダムな時間期間でブロック308で刺激サウンドを再度再生し、この時間期間は、アプリケーションが以前にブロック308で刺激サウンドを再生したときと同じ又は異なる期間とすることができる。
【0049】
ブロック308で刺激サウンドを再生した後、方法300は再びブロック310に進み、ここでアプリケーションは、第2の遅延を実施する(これは、アプリケーションが以前にブロック310で第2の遅延を実施したときと同じ又は異なる期間とすることができる)。
【0050】
ブロック310での第2の遅延の満了後、方法300は再びブロック312に進み、ここでアプリケーションは、患者が刺激サウンドを聞いたかどうかを再び患者に尋ねる。例えば、アプリケーションは、患者が刺激サウンドを聞いたかどうかに基づいて患者が選択するための「はい」及び「いいえ」(又は同様の)アイコンを使用して、ユーザインターフェースにプロンプトを再度生成及び表示することができる。
【0051】
アプリケーションが、患者が再び刺激サウンドを聞いていないという指示を患者から受け取った場合(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介した「いいえ」入力)、方法300は、ブロック314に戻り、方法300は、
(i)アプリケーションが、患者が刺激サウンドを聞いたという指示を患者から受け取る(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介した「はい」入力)、又は(ii)アプリケーションは、患者が刺激サウンドが聞こえなかったという一定量の「いいえ」の指示を患者から受け取る(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介した「いいえ」の入力)、の何れかになるまで、ループ状の反復的な方法でブロック304、308、310、及び312を横断し続ける。例えば、幾つかの実施形態では、数回の反復(例えば、約7~15の間)後、患者が依然として刺激サウンドを聞くことができない場合、方法300は停止し、恐らくは、患者のスマートフォンを再較正する、及び/又は聴覚バイオマーカー検出試験のサウンド生成パラメータを再構成する方法100及び/又は200の1又は2以上の態様を実行するように患者に指示する。
【0052】
幾つかの実施形態では、方法300は、代替的に、方法300が上述のループ横断ブロック304、308、310、312、及び314を実施している間、ブロック302と304との間にブロック312を実施し、アプリケーションが、「はい」及び「いいえ」(又は同様の)アイコンでユーザインターフェース上にプロンプトを表示するようにする。幾つかの実施形態では、プロンプトは、代わりに、患者がどの耳で刺激サウンドを聞いたかを示すために患者の「右」及び「左」を表示することができ、ここで「右」又は「左」アイコンをアクティブにすると、患者のそれぞれ右耳又は左耳を介して患者が刺激サウンドを聞いたことをアプリケーションに示し、「右」又は「左」アイコンをアクティブにしないと、患者のそれぞれ右耳又は左耳から患者が刺激サウンドを聞かなかったことをアプリケーションに示す。
【0053】
ブロック312の実施の何れかの下で、アプリケーションが、ブロック312で、患者が刺激サウンドを聞いたという指示(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介した「はい」入力)を受け取った場合、方法300はポイント318に進み、これは方法300の終わりであり、方法400の始まりでもある。幾つかの実施形態では、方法300は、アプリケーションがブロック312にて、右耳と左耳の両方で患者が刺激サウンドを聞いたという指示を患者から受け取った後にのみ、ポイント318に進む。例えば、このような実施形態では、患者が左耳ではなく右耳で刺激サウンドを聞いたことを確認した場合、方法300は、ループ状に反復的な方法でブロック304、308、310、及び312を横断し続けて、患者が左耳を介して刺激サウンドを聞いたことを確認するまで、左ヘッドホンから再生される刺激サウンドに対して調整を行う。次に、患者が右耳と左耳の両方で刺激サウンドを聞いたことを確認した後、方法300はポイント318に進み、ここは方法300の終わりであり、方法400の始まりである。
【0054】
図4は、本明細書で開示される聴覚バイオマーカーを検出するためのシステム及び方法の例示的な実施形態で採用される第4の方法400を示す。方法400は、方法300の終了時にポイント318から始まる。
【0055】
方法400は、方法300のステップと同様のステップを実施する高解像度ルーチン402を含む。ルーチン402は任意選択であり、実装する必要はないが、実装する場合は、コメントブロック404に要約されているように、複数回繰り返し実行することができる。ルーチン402の目標は、コメントブロック404に要約されているように、患者が刺激サウンドを聞くことができる最低音量レベルをより適切に特定することである。動作中、アプリケーションは、ルーチン402の期間中バックグラウンドサウンドを再生し続ける。
【0056】
ルーチン402を実施しない実施形態では、方法400はブロック418に進み、ここでアプリケーションは方法300の結果をメモリに保存する。幾つかの実施形態では、方法300の結果は、方法300の間に使用されるバックグラウンドサウンド及び刺激サウンドに関する情報、例えば、特定のサウンド、周波数、持続時間、強度、及び/又はバックグラウンドサウンド及び刺激サウンドを特徴付ける他のデータ、並びに各刺激サウンドについて患者がサウンドを聞いていると報告しているかどうかについての情報を含む。
【0057】
方法400のルーチン402を実施する実施形態では、ルーチン402は、ブロック406で始まり、ここで、アプリケーションは、方法300のブロック312において患者がバックグラウンドサウンドを聞いたことを示した、方法300からの刺激サウンドの音量設定を僅かに(例えば、+/-1dB)増加又は減少させる。幾つかの実施形態では、ルーチン402は、方法300で使用されたアプリケーションと同じバックグラウンドサウンド及び同じ刺激サウンドを使用する。幾つかの実施形態では、ルーチン402は、アプリケーションが方法300で使用したものとは異なるバックグラウンドサウンド及び/又は異なる刺激サウンドを使用する。幾つかの実施形態では、ブロック406において、アプリケーションは、追加的又は代替的に、刺激サウンドの周波数、持続時間、等化、又は他の設定のうちの1又は2以上を変更することができる。幾つかの実施形態では、ルーチン402の連続的な反復中に、アプリケーションが刺激サウンドの強さを増加又は減少させる程度は、予測できない方法で、患者がバックグラウンドと刺激を識別できる閾値レベルに近づくように上下にランダム化される。
【0058】
ブロック406で刺激サウンドの音量設定を僅かに増減する(又は恐らく他の方法で変更する)後、バックグラウンドサウンドを再生し続けている間、ルーチン402は、ブロック408に進み、ここで第1の遅延が実施された後、ブロック412に進み、ここで、アプリケーションは、ブロック406から僅かに変更された音量設定で刺激サウンドを再生する。幾つかの実施形態では、アプリケーションは、固定又はランダムな時間期間で、ブロック412で刺激サウンドを再生する。
【0059】
ブロック412で刺激サウンドを再生した後で、バックグラウンドサウンドを再生し続けている間、ルーチン402はブロック414に進み、第2の遅延が実施された後、ブロック416に進む。幾つかの実施形態では、第1の遅延408及び第2の遅延414の一方又は両方は、固定又はランダムな持続時間とすることができる。同様に、ブロック408で実施される第1の遅延とブロック414で実施される第2の遅延は、コメントブロック410に要約されるように、固定又はランダムである同じ時間期間又は異なる時間期間とすることができる。
【0060】
ブロック414で実施された第2の遅延を実施した後で、バックグラウンドサウンドの再生を継続している間、ルーチン402はブロック416に進み、ここでアプリケーションは、患者が刺激サウンドを聞いたかどうかを患者に尋ねる。例えば、アプリケーションは、患者が刺激サウンドを聞いたかどうかに基づいて選択するための「はい」及び「いいえ」(又は同様の)アイコンを使用して、ユーザインターフェースにプロンプトを生成及び表示することができる。
【0061】
アプリケーションが、刺激サウンドを聞いたという指示を患者から受け取った場合(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介した「はい」入力)、ルーチン402は、ブロック406に戻り、ここでルーチン402は再び、刺激サウンドの音量設定を変更し、コメントブロック410に示されるように、刺激サウンドの音量を変更することは、音量を増分又は減分させることを含む。
【0062】
ブロック406で、刺激サウンドの音量設定を変更した後で、バックグラウンドサウンドを再生し続けている間、ルーチン402はブロック408に進み、ここでアプリケーションは、第1の遅延(アプリケーションがブロック408で第1の遅延を実装したときに前回と同じ又は異なる期間とすることができる)を実施する。次いで、ブロック408での第1の遅延の満了後、ルーチン402はブロック412に進み、ここでアプリケーションは、ブロック406で設定された修正された音量レベルで刺激サウンドを再度再生する。幾つかの実施形態では、アプリケーションは、固定又はランダムな時間期間でブロック412で刺激サウンドを再度再生し、この時間期間は、ルーチン402の実行中にアプリケーションがブロック412で刺激サウンドを再生したときと同じ又は異なる期間とすることができる。
【0063】
ブロック412で刺激サウンドを再生した後、ルーチン402はブロック414に進み、ここでアプリケーションは、第2の遅延を実施する(これは、アプリケーションがブロック414で第2の遅延を実施した前回と同じ又は異なる期間とすることができる)。
【0064】
ブロック414での第2の遅延の満了後、ルーチン402はブロック416に進み、ここでアプリケーションは、患者が刺激サウンドを聞いたかどうかを再び患者に尋ねる。例えば、アプリケーションは、患者が刺激サウンドを聞いたかどうかに基づいて選択するための「はい」及び「いいえ」(又は同様の)アイコンを使用して、ユーザインターフェースにプロンプトを再度生成し表示することができる。
【0065】
患者が刺激サウンドを再び聞いたという指示をアプリケーションが患者から受け取った場合(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介した別の「はい」入力)、ルーチン402はブロック406に戻り、ルーチン402は、:(i)アプリケーションは、患者が刺激サウンドを聞いていないという指示を患者から受け取る(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介した「いいえ」入力)、又は(ii)アプリケーションは、患者が刺激サウンドを聞いたという一定量の「はい」の指示を患者から受け取る(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介した「はい」入力)、の何れかになるまで、ループ状の反復的な方法でブロック406、408、412、414、及び416を横断し続ける。例えば、幾つかの実施形態では、数回の反復(例えば、約7~15回の反復の間)の後、患者が刺激サウンドを聞き続ける場合、ルーチン402は停止し、恐らくは方法100、200、及び/又は300の1又は2以上の態様を再度実行し、方法100に従って患者のスマートフォンを再較正し、方法200に従って聴覚バイオマーカー検出試験の音生成パラメータを再構成し、及び/又は方法300に従って初期聴覚バイオマーカー検出試験を再度実行するために、を再度実行するように患者に指示することになる。
【0066】
幾つかの実施形態では、ルーチン402は、代替的に、ブロック406と414との間にブロック416を実装し、ルーチン402が上記ループ横断ブロック406、408、412、及び414を実施している間、アプリケーションが「はい」及び「いいえ」(又は同様の)アイコンでユーザインターフェースにプロンプトを表示するようにする。幾つかの実施形態では、プロンプトは、代わりに、患者がどの耳で刺激サウンドを聞いたかを示すために患者の「右」及び「左」を表示することができ、ここで「右」又は「左」アイコンをアクティブにすると、患者がアプリケーションにそのことを示す。患者のそれぞれ右耳又は左耳を介して患者が刺激サウンドを聞いたことをアプリケーションに示し、「右」又は「左」アイコンをアクティブにしないと、患者の右耳又は左耳のどちらでも患者が刺激サウンドを聞いていないことをアプリケーションに示す。
【0067】
ブロック416の実施の何れかの下で、アプリケーションが、ブロック416で、患者から刺激サウンドを聞いた又は聞いていないという指示を受け取った場合(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介した「はい」又は「いいえ」入力)、ルーチン402は、ブロック418に進み、ここで、アプリケーションは、ルーチン402の結果を格納し、アプリケーションが以前に保存していなかった場合は、恐らくは方法300の結果も格納する。幾つかの実施形態では、ルーチン402の結果は、ルーチン402中に使用されるバックグラウンドサウンド及び刺激サウンドに関する情報、例えば、特定のサウンド、周波数、持続時間、強度、バックグラウンドサウンド及び刺激サウンドを特徴付ける他のデータ、並びに各刺激サウンドについて患者がサウンドを聞いていると報告しているかどうかについての情報を含む。
【0068】
ブロック418での結果を保存した後、ルーチン402はブロック420に進み、ここでアプリケーションは、患者がルーチン402を再度実行したいかどうかを患者に尋ねる。幾つかの実施形態では、患者がルーチン402を再度実行したいかどうかを患者に尋ねるのではなく、代わりに、アプリケーションは、ルーチン402を数回(例えば、恐らく3~7回)実行してより多くの結果を得るように構成することができる。或いは、幾つかの実施形態では、アプリケーションは、ルーチン402を1日に限られた回数だけ、例えば、約1回又は3回、或いは恐らくは1日に1回だけ実行するように構成することができ、このような実施形態では、アプリケーションは、ルーチン402を再度実行するかどうかを患者に尋ねない。
【0069】
ブロック420で、患者がユーザインターフェースプロンプトに応答してルーチン402を再度実行したいことを確認することに起因して、或いはアプリケーションがルーチン402を少なくとももう一度自動的に実行するように構成されている理由から、ルーチン402を再度実行することになる場合、方法400は、ブロック406に戻り、ここで、アプリケーションは、上記のループ状の反復的な方法でルーチン402を実行する。
【0070】
しかしながら、ブロック420で、患者がユーザインターフェースプロンプトに応答し、ルーチン402を再度実行したくないことを示したことに起因して、ルーチン402が再度実行されず、アプリケーションが、その構成された回数だけルーチン402を既に自動的に実行しているか、又はアプリケーションが1日に1回だけルーチンを実行するように構成されている場合、方法400はポイント422に進み、ここで方法400が終了する。
【0071】
上記のように、片頭痛の症状を経験している患者に対する聴覚バイオマーカーを決定するために、アプリケーションの1又は2以上のルーチンを実施することができる。例えば、方法100、200、300、及び400を使用すると、患者を試験して、これにより所与の患者が特定の時間枠内に片頭痛を生じる可能性があるかどうかを判断することができる。このようにして患者の母集団を試験すると、(i)聴覚感度、(ii)バックグラウンドノイズに対する識別、及び(iii)患者のノイズ耐性レベルのうちの1又は2以上と、特定の時間枠内で片頭痛症状を経験していることとの間の統計的関連性(例えば、相関性)を明らかにすることができる。例えば、所与の患者についてのバックグラウンドノイズから試験信号を識別するための閾値音量の増加は、特定の時間枠内(例えば、頭痛が始まる48時間前)に片頭痛が発生する可能性が高いことを示す可能性がある。別の実施例として、所与の患者の閾値音量レベルの増加又は減少は、特定の時間枠内で片頭痛が発生する可能性が高いことを示す可能性がある。更に別の例として、患者の最大快適レベルの低下はまた、特定の時間枠内に片頭痛が発生する可能性が高いことを示す可能性がある。試験信号の知覚方法のこのような変化のタイミングは患者ごとに異なる可能性があるので、試験信号の知覚方法の変化を追跡する患者ごとのプロファイルを生成することができる。(i)所与の患者のプロファイルを決定すること、及び(ii)プロファイルに一致する入力をアプリケーションを介して受け取ることの後、アプリケーションは、所与の患者に関連付けられた時間枠内に片頭痛の発作が差し迫っているという表示を提供し、場合によっては片頭痛を緩和するための治療介入のタイプを推奨することができる。これにより、片頭痛発作の前に緩和治療を行う時間を確保することができる(例えば、急性投薬、デバイスの使用、治療処置、その他)。
【0072】
片頭痛発作が差し迫っていることの表示を提供することは、所与の患者の聴覚過敏の閾値変化に基づくことができる。例えば、アプリケーションは、最初に、所定の聴覚感度、バックグラウンドノイズに対する識別、及び/又は所与の患者のノイズ耐性レベルが閾値だけ変化したことを決定することができる。例えば、聴覚感度の中央値、バックグラウンドノイズに対する識別の中央値、及び/又はノイズ許容レベルの中央値からの標準偏差を超える差異は、片頭痛発作が差し迫っていることを示している可能性がある。これらの閾値レベルは、時間の経過と共に各患者により提供される入力に基づいて、様々な患者に固有とすることができる。更に、閾値及び/又は事前に決定されたレベルは、時間の経過と共に所与の患者に対して変化する可能性がある。更に、異なる音量レベルは患者ごとに異なる影響を受けることができ、1つの音量レベル(例えば、聴覚感度レベル)が他の音量レベルよりも差し迫った片頭痛をより予測できるようになる。従って、各患者は、アプリケーションが差し迫った片頭痛の表示を提供する固有の状況を有する可能性がある。
【0073】
方法100、200、300、及び400の態様は、1又は2以上の患者の聴覚バイオマーカーを検出し、これらの聴覚バイオマーカーの検出に基づいて病気又は疾患の症状を予測するためのプロセスの一部として組み合わせることができる。実施例の中で、方法100、200、300、及び400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、オーディオ出力デバイス(例えば、ヘッドホン)によって、様々な強度レベルで複数のサウンドを提供することを含む。例えば、これは、ブロック110に従って実行することができる。実施例の中で、方法100、200、300、400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、ユーザインターフェースを介して、ユーザによって知覚される複数のサウンドの知覚される音量レベルを示す入力を受け取ることを含む。例えば、これは、ブロック110に従って実行することができる。実施例の中で、方法100、200、300、及び400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、受け取った入力に基づいて、複数のユーザ音量レベルを決定することを含み、複数のユーザ音量レベルは、(i)ユーザの可聴音量閾値、(ii)ユーザの快適音量レベル、及び(iii)ユーザの最大快適音量レベルであり、複数のユーザ音量レベルは、ユーザの聴覚感度を示す。例えば、これは、ブロック110に従って実行することができる。実施例の中で、方法100、200、300、及び400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、音声出力装置によってバックグラウンドサウンドを提供することを含む。例えば、これは、ブロック302に従って実行することができる。実施例の中で、方法100、200、300、400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、バックグラウンドサウンドを提供すると同時に、オーディオ出力デバイスによって刺激サウンドを提供することを含む。例えば、これは、ブロック308に従って実行することができる。実施例の中で、方法100、200、300、及び400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、ユーザインターフェースを介して、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示をユーザから受け取ることを含む。例えば、これは、ブロック312に従って実行することができる。実施例の中で、方法100、200、300、400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、ユーザが刺激サウンドを知覚したという表示を受け取ることに基づいて、ユーザの聴覚感度の変化を決定すること、及びユーザの聴覚過敏の変化を決定することに基づくユーザの片頭痛発作の発症を予測することを含む。
【0074】
実施例の中で、複数のユーザ音量レベルを決定することは、ユーザ音量レベルの各々を定義するための様々な強度レベルに対応する複数の入力プロンプトを提供すること、及び複数の入力プロンプトに対する応答を受信することを含む。
【0075】
実施例の中で、複数のユーザ音量レベルを決定することは、ユーザの左耳及び右耳に対して独立して複数のユーザ音量レベルを決定することを含む。
【0076】
実施例の中で、方法100、200、300、及び400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、バックグラウンドサウンドを提供する前に、バックグラウンドデータベースからバックグラウンドサウンドを選択し、刺激データベースから刺激サウンドを選択することを更に含む。
【0077】
実施例の中で、方法100、200、300、及び400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は更に、請求項1に記載の方法が、バックグラウンドサウンドを提供する前に、バックグラウンド音量レベル及びオーディオ刺激レベルを設定することを更に含む。バックグラウンドサウンドを提供することは、バックグラウンド音量レベルでバックグラウンドサウンドを提供することを含むことができ、刺激サウンドを提供することは、刺激音量レベルでの刺激サウンドを提供することを含むことができる。これらの実施例の中で、ユーザの聴覚感度の変化を決定することは、バックグラウンド音量レベル及び刺激音量レベルに基づいてユーザの聴覚感度の変化を決定することを含むことができる。これらの実施例の中で、バックグラウンド音量レベル及びオーディオ刺激レベルを設定することは、複数のユーザ音量レベルに基づいてバックグラウンド音量レベル及びオーディオ刺激レベルを設定することを含むことができる。
【0078】
実施例の中で、方法100、200、300、及び400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、刺激サウンドを提供する前に、(i)ユーザが最初の刺激サウンドを知覚しなかったと決定すること、及び(ii)ユーザが最初の刺激サウンドを知覚しなかったという決定に基づいて、刺激サウンドの音量レベルを変更することを更に含むことができ、これらの実施例の中で、刺激サウンドを提供することは、変更された音量レベルで刺激サウンドを提供することを含むことができる。
【0079】
実施例の中で、方法100、200、300、及び400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、バックグラウンドサウンドを提供することと刺激サウンドを提供することとの間の第1の遅延を実施することを更に含む。
【0080】
実施例の中で、刺激サウンドを提供することは、ランダムな時間期間にわたって刺激サウンドを提供することを含むことができる。
【0081】
実施例の中で、バックグラウンドサウンドは、ユーザに対して再生される複数のバックグラウンドサウンドのうちの1つとすることができ、また、刺激サウンドは、ユーザに対して再生される複数の刺激サウンドのうちの1つである。これらの実施例の中で、方法100、200、300、及び400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、追跡サウンド、周波数、持続期間、強度、及び複数のバックグラウンドサウンド及び複数の刺激サウンドを特徴付ける他のデータを更に含むことができる。
【0082】
実施例の中で、刺激サウンドは、複数の刺激サウンドの最後の刺激サウンドとすることができる。これらの実施例の中で、方法100、200、300、400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、最後の刺激サウンドを提供する前に、複数の刺激サウンドの刺激サウンドを連続して提供し、ユーザに提供された各刺激サウンドのユーザについての刺激音量レベルを変更し、最後の刺激サウンドの前に連続して提供された刺激サウンドの何れもユーザが知覚しなかったことを決定することを更に含むことができる。
【0083】
実施例の中で、方法100、200、300、及び400のうちの1又は2以上の方法からのステップを含む方法は、複数のユーザ音量レベルをユーザの片頭痛発作の事例と相関させることを更に含むことができる。これらの実施例の中で、ユーザの片頭痛発作の発症を予測することは、複数のユーザ音量レベルをユーザの片頭痛発作の事例と相関させることに基づいて、ユーザの片頭痛発作の発症を予測することを含むことができる。
【0084】
実施例の中で、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示を受け取ることに基づいてユーザの聴覚感度の変化を決定することは、ユーザによって以前に知覚された刺激ノイズレベルとは異なる刺激ノイズレベルで刺激サウンドをユーザが知覚したことを決定することを含むことができる。
【0085】
実施例の中で、ユーザが刺激サウンドを知覚したという指示を受け取ることに基づいてユーザの聴覚感度の変化を決定することは、ユーザの聴覚感度が閾値量だけ変化したことを決定することを含むことができ、ユーザの聴覚感度の変化を決定することに基づいてユーザの片頭痛発作の発症を予測することは、ユーザの聴覚感度が閾値量だけ変化したと決定することに基づいて片頭痛発作の発症を予測することを含むことができる。
【0086】
図5は、本明細書に開示及び記載される聴覚バイオマーカー検出方法の特徴及び機能の1又は2以上(又は全て)を実行するように構成された例示的なコンピューティングデバイス500を示す。コンピューティングデバイス500は、スマートフォン、タブレット、デスクトップもしくはラップトップコンピュータ、又は本明細書で開示及び記載されるバックグラウンドサウンド及び刺激サウンドを患者に対して生成及び再生し並びに本明細書に開示及び記載されている聴覚バイオマーカー検出方法の効果的な実施に必要とされる可能性がある何れかの補助機能を実行する能力を備えた他の何れかのタイプのコンピューティングデバイスとすることができる。
【0087】
コンピューティングデバイス500は、(i)1又は2以上のプロセッサ(例えば、セントラルプロセッシングユニット又はCPU及び/又はグラフィックスプロセッシングユニット又はGPU);(ii)有形の非一時的なコンピュータ可読メモリ;(iii)入力/出力構成要素(例えば、スピーカー、センサ、ディスプレイ、ヘッドフォンジャック、又は他のインターフェース);(iv)通信インターフェース(無線及び/又は有線)を備えたハードウェア506を含む。コンピューティングデバイス502のハードウェア506構成要素は、コンピューティング技術で知られている、オペレーティングシステム504(又は同様のもの)及び1又は2以上のアプリケーション502a、502b(又は同様のもの)を含む、ソフトウェアを実行するように構成される。アプリケーション502a及び502bの1又は2以上は、1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、限定ではないが、方法100、200、300、及び/又は400の特徴及び機能の何れか(又は全て)、並びにこのような補助的特徴及び/又は機能が本明細書に明示的に開示されていない場合でも、方法100、200、300、及び/又は400の特徴及び機能の効果的な実施には必要とされ、又は少なくとも望ましいとすることができる、コンピューティング技術の当業者には知られている他の補助的な特徴及び機能を含む、コンピューティングデバイス500に本明細書に記載の1又は2以上の機能及び特徴を実行させるコンピュータ実行可能プログラムコードに対応することができる。
【0088】
特定の態様及び実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様及び実施形態は、上述の教示を考慮して当業者には明らかであろう。例えば、片頭痛に関して実施形態及び実施例が記載されているが、開示されるシステム及び方法は、これに限定されず、広範囲の病徴及び関連する疾患因子及び疾患トリガーに適用可能とすることができる。本明細書で開示される様々な態様及び実施形態は、例示の目的に過ぎず、限定を意図しておらず、その真の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】