(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】アルカロイドを含有する材料のシートを製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A24B 3/14 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
A24B3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534805
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2019086097
(87)【国際公開番号】W WO2020127586
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】デル ボレロ ミケーレ
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB01
4B043BB11
4B043BB17
4B043BB25
4B043BC01
4B043BC15
4B043BC18
4B043BC24
4B043BC26
4B043BC31
(57)【要約】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のシートを製造するための方法に関し、方法は、-アルカロイドを含有する材料を水(6)と混合して、スラリー(11)を形成することと、-スラリー(11)からシート(10)を形成することと、-シート(10)を第一(307)のローラーと第二(308)のローラーとの間で圧縮することであって、前述のローラー(307、308)がその間に、シート(10)が挿入される間隙(311)を形成し、所望の厚さ(t)を有する圧縮シート(10)を形成することと、-圧縮シート(10)の所望の厚さ(t)を変更するために、第一のローラー(307)の直径(17)を変更することと、を含む。本発明はまた、アルカロイドを含有する材料のシート(10)を製造するための装置に関する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカロイドを含有する材料のシートを製造するための方法であって、前記方法が、
・ アルカロイドを含有する材料を水と混合して、スラリーを形成することと、
・ 前記スラリーからシートを形成することと、
・ 第一のローラーと第二のローラーとの間で前記シートを圧縮することであって、前記第一のローラーと第二のローラーとがその間に、前記シートが挿入される間隙を形成して、所望の厚さを有する圧縮シートを形成することと、
・ 前記圧縮シートの前記所望の厚さを変更するために、前記第一のローラーの直径を変更することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第一のローラーの前記直径を変更することが、前記間隙の幅を変更することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一のローラーの前記直径を変更することが、前記第一のローラーを膨張または収縮させることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記シートを圧縮する工程の開始時に、前記シートの含水量が、前記シートの総重量の約60パーセント~約85パーセントである、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
・ 前記第一のローラーまたは前記第二のローラーの前記直径を、前記アルカロイドを含有するシートの所望の厚さに応じて変更する工程を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
・ 前記第一のローラーと第二のローラーとの間の前記圧縮工程の間に前記シートを乾燥する工程を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
・ 前記第一のローラーの、または前記第二のローラーの温度を調節する工程を含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
・前記第一のローラーと第二のローラーとによって圧縮された前記シートを、第三のローラーと第四のローラーとの間でさらに圧縮する工程を含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
・ 前記第一のローラーと前記シートとの間に剛性要素を挿入する工程を含み、
前記第一のローラーの前記直径を変更する前記工程が、
・ 前記第一のローラーによって前記剛性要素上に及ぼされる圧力を変えることを含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
アルカロイドを含有する材料のシートを製造するための装置であって、
・ アルカロイドを含有する材料と水とによって形成されるスラリーを収容するよう適合されたタンクと、
・ 前記スラリーからシートを形成するためのシート形成装置と、
・ 第一のローラーおよび第二のローラーであって、前記第一のローラーと第二のローラーとがその間に、前記シートが挿入される間隙を形成して、前記シートを圧縮する、第一のローラーおよび第二のローラーと、
・ 前記第一のローラーの直径を変更するための直径変更装置と、を備える、装置。
【請求項11】
前記直径変更装置が加圧流体供給を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記シート形成装置が、キャスティング装置または押出成形装置を備える、請求項10または11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
間に第二の間隙を形成しその間隙に前記シートを挿入することができる、第三のローラーおよび第四のローラーであって、前記シートの移動の方向において前記第一および第二のローラーの下流に位置する、前記第三のローラーおよび第四のローラー、を備える、請求項10~12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記シートの厚さを測定する厚さセンサーを備え、前記直径変更装置が、前記厚さセンサーの出力信号に基づいて、前記第一のローラーの、または前記第二のローラーの前記直径を変更する、請求項10~13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記第一のローラーと第二のローラーとの間の前記間隙に位置付けられた剛性要素を含み、そのことにより、前記シートが前記第二のローラーと前記剛性要素との間に挿入される、請求項10~14のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のキャストウェブを製造するためのキャスティング装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、アルカロイドを含有する材料は均質化したたばこ材料であり、例えば、紙巻たばこ、または「燃やさない加熱式」タイプのたばこを含有する製品などのエアロゾル発生物品で使用されることが好ましい。
【0003】
今日では、たばこ製品の製造において、たばこ葉以外に、均質化したたばこ材料も使用されている。この均質化したたばこ材料は典型的に、カットフィラーの製造にあまり適していないたばこ植物の部分(例えば、たばこ茎またはたばこダスト)から製造される。典型的に、たばこダストは製造中に、たばこ葉の取り扱い中に副産物として作り出される。
【0004】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである(TCLはたばこキャストリーフの頭字語である)。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してたばこスラリーを形成する工程を含む。次にスラリーは、例えばいわゆるキャストリーフを製造するために、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルトの上へとキャストすることによって、たばこウェブを作り出すために使用される。別の方法として、再構成たばこを作り出すために、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを、製紙と似たプロセスで使用することができる。均質化したたばこウェブは調製されると、紙巻たばこおよび他の喫煙物品のために適切なたばこカットフィラーを製造するために、カットされていないそのままの葉たばこと類似した様式で切断されてもよい。このような均質化したたばこを作成するプロセスは、例えば、欧州特許第EP0565360号に開示されている。
【0005】
「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品において、エアロゾル形成基体はエアロゾルを形成するがたばこ材料の燃焼を防止するために、比較的低い温度に加熱される。さらに、均質化したたばこ材料中に存在するたばこは、典型的には、たばこのみであるか、または大部分がこのような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品の均質化したたばこ材料中に存在するたばこを含む。これは、このような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾル組成が実質的に均質化したたばこ材料のみに基づくことを意味する。従って、例えば、エアロゾルの味わいの制御のためには、均質化したたばこ材料の組成にわたる良好な制御を有することが重要である。
【0006】
例えば、スラリーの濃度、粘度、繊維のサイズ、粒度(粒子のサイズ)、水分、または経時変化などのスラリーの物理的特性の変化に起因して、均質化したたばこのウェブのキャスト中に、標準的なキャスティング方法およびキャスティング装置は、支持体上のスラリーの塗布において意図しない変化をもたらす場合がある。最適ではないキャスティング方法およびキャスティング装置は、均質化したたばこのキャストウェブの不均質性および欠陥につながる可能性がある。
【0007】
キャストシートの重要なパラメータはその厚さであり、ユーザーの喫煙の体験が、キャストシートを包埋して得られた任意の最終製品を使用するのと実質的に同一でありうるように、厚さは可能な限り均質であることが好ましい。厚さの変動は、たとえ最小の変動であっても、廃棄する必要のある製品をもたらし、コストと製造時間を引き上げる可能性がある。
【0008】
周知のプロセスでは、シートの厚さはキャスティングブレードによって決定され、このキャスティングブレードがシートをコンベヤーベルト上にキャストし、ブレードとベルトとの間の距離がシートの厚さを実質的に決定する。ブレード、コンベヤーベルト、またはそれらの整列におけるあらゆる欠陥が、不均一なシートの製造を引き起こしうる。
【0009】
さらに、キャストシートの所望の厚さの変更は、キャスティングブレードの注意深くゆっくりとした再整列および移動を必要とするが、これは時間がかかり、またしばしば所望の新しい厚さに到達する前に機械停止を引き起こす。
【0010】
したがって、比較的迅速な厚さの変更をも可能である、実質的に均一な厚さを有するアルカロイドを含有する材料のキャストシートを得るための方法および装置の必要性がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のシートを製造する方法に関し、方法は、アルカロイドを含有する材料を水と混合して、スラリーを形成することと、スラリーからシートを形成することと、第一のローラーと第二のローラーとの間でシートを圧縮することと、前述の第一のローラーと第二のローラーとがその間に、シートが挿入される間隙を形成し、所望の厚さを有する圧縮シートを形成することと、圧縮シートの所望の厚さを変えるために、第一のローラーの直径を変更することと、を含む。
【0012】
本発明の方法では、シートの厚さは、ローラー間の圧縮工程によって制御される。シートが形成されるとすぐに、例えば、キャストすることによって、または押出成形によって、シートは、第一の対のローラー間で圧縮されて、シートの所望の厚さを得る。シートの厚さを変更することが望ましい場合、または得られた測定された厚さが所望の厚さでない場合、装置は、シートに影響を及ぼす圧縮が変わるように第一のローラーの直径を変えて、新しい所望の厚さに迅速に調整することができる。両方のローラーの直径も同様に変えることができる。プロセスは比較的単純であるが、厚さの正確な制御が得られ、これはまた、オンライン変更も可能にする。
【0013】
本明細書で使用される場合、「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。シートの幅は、約10ミリメートルより大きいことが好ましく、約20ミリメートルまたは約30ミリメートルより大きいことがより好ましい。連続的な「シート」は、本明細書では「ウェブ」と呼ばれる。アルカロイドを含有する材料のシートの幅は、約60ミリメートル~約2500ミリメートルであることが、なおより好ましい。本明細書で使用される「キャスティングブレード」という用語は、その長軸方向延長部の主要部に沿って本質的に一定の断面を有しうる長軸方向の形状に形作られた要素を意味する。これは少なくとも一つの縁部を示し、この縁部は、前述の縁部による影響を受けることになるペースト状の、粘性のある、または液体様の物質(スラリーなど)と接触することが意図されている。前述の縁部は鋭利なナイフ様の縁部を有してもよい。別の方法として、縁部は長方形または丸みのある縁部を有してもよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、「移動可能な支持体」という用語は、少なくとも一つの長軸方向に移動することができる表面を含む任意の手段を意味する。移動可能な支持体は、一つの方向に途切れることのない搬送を提供するように、閉ループを形成してもよい。移動可能な支持体は、コンベヤーベルトを含んでもよい。移動可能な支持体は本質的に平坦であってもよく、また構造化された表面または構造化されていない表面を示してもよい。移動可能な支持体は、その表面に開口部を有しなくてもよく、または、好ましくはその上に堆積されるスラリーが貫通することができないようなサイズのオリフィスを含んでもよい。移動可能な支持体は、シート様の移動可能でかつ曲げることができるバンドを含んでもよい。バンドは、鋼、銅、鉄合金、および銅合金が挙げられるがこれらに限定されない金属材料、またはゴム材料で作製されてもよい。バンドは、加熱されるとスラリーの乾燥プロセスを加速させることができるように、耐温性材料で作製されてもよい。
【0015】
本明細書で使用される場合、「スラリー」という用語は、異なる液体様の、粘性のある、またはペースト状の材料の乳濁液であって、ある特定の量の固体状態の粒子を含有してもよく、但しスラリーが依然として液体様の、粘性のある、またはペースト状の挙動を示す、乳濁液を含んでもよい、液体様の、粘性のある、またはペースト状の材料を意味する。
【0016】
「アルカロイドを含有する材料」は、一つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドはニコチンを含んでもよい。ニコチンは、例えばたばこの中に見いだされうる。
【0017】
アルカロイドは、塩基性の窒素原子を主に含有する天然の化学化合物の群である。この群はまた、中性特性を有する一部の関連する化合物、および弱酸性特性を有する一部の関連する化合物さえも含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素、および窒素に加えて、アルカロイドはまた、酸素、硫黄、およびより稀には塩素、臭素、リンなどのその他の元素も含有する場合がある。
【0018】
アルカロイドは細菌、真菌、植物、および動物を含む多種多様な生物体によって生成される。アルカロイドは酸塩基抽出によって、これらの生物体の粗抽出物から精製することができる。カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンがアルカロイドの例である。
【0019】
本明細書で使用される場合、「均質化したたばこ材料」という用語は、アルカロイドニコチンを含有する、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を意味する。それ故に、アルカロイドを含有する材料は、均質化したたばこ材料とすることができる。
【0020】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。その後、たばこウェブを作り出すためにスラリーが使用される。例えば、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルトの上にキャストすることによって、いわゆるキャストリーフを製造する。別の方法として、再構成たばこを作り出すために、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを、製紙と似たプロセスで使用することができる。
【0021】
本発明の方法では、スラリーが形成される。スラリーは、アルカロイドを含有する材料と水とを含有する。また、好ましくは、結合剤およびエアロゾル形成体も含んでもよい。また、アルカロイドを含有する材料に含まれるものに加えて、セルロース繊維も含んでもよい。
【0022】
このスラリーは、多くのさらなる異なる構成要素または成分を含んでもよい。これらの構成要素は、アルカロイドを含有する材料のキャストウェブの特性に影響を与えうる。第一の成分は、例えば粉末形態のアルカロイドを含有する材料である。この材料は例えば、たばこ粉末ブレンドとすることができ、これはスラリー中に存在するたばこの大部分を含有することが好ましい。たばこ粉末ブレンドは均質化したたばこ材料中のたばこの大部分の供与源であり、それ故に、例えば、均質化したたばこ材料を加熱することによって生成されるエアロゾルなどの最終製品に風味を与えるものである。アルカロイド材料ウェブの引張強さを増加するために、強化剤として作用する、セルロース繊維を含有するセルロースパルプがスラリーに添加されることが好ましい。
【0023】
均質化したシートの引張特性を強化するために、結合剤も添加されることも好ましい。エアロゾル形成体を添加して、エアロゾルの形成を促進しうる。さらに、アルカロイドを含有する材料のウェブをキャストするために最適なある一定の粘性および水分に達するために、水をスラリーに添加してもよい。
【0024】
スラリーに添加される結合剤の量は、スラリーの乾燥重量で約1パーセント~約5パーセントから成ってもよい。結合剤の量は、約2パーセント~約4パーセントから成ることがより好ましい。スラリーで使用される結合剤は、本明細書に記載のガムまたはペクチンのうちのいずれかであってもよい。結合剤は、アルカロイドを含有する材料の粉末が、均質化したウェブ全体を通して実質的に分散したままであることを確実にしうる。任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアー、ヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0025】
スラリー内へのセルロース繊維の導入は典型的に、アルカロイドを含有する材料のウェブの引張強さを増大し、強化剤として作用する。従って、セルロース繊維を添加することは、アルカロイドを含有する材料のウェブの弾性を増大する場合がある。アルカロイドを含有する材料のウェブのためのスラリーの中に含むためのセルロース繊維は当業界において周知であり、これには例えば、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。セルロース繊維は、パルプ化に加えて、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切な加工に供されてもよい。セルロース繊維は、たばこ茎材料、葉柄、または他のたばこ植物材料を含んでもよい。木材繊維などのセルロース繊維はリグニン含有量が低いことが好ましい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには麻および竹が含まれる。セルロース繊維の長さは有利なことに、約0.2ミリメートル~約4ミリメートルである。セルロース繊維の重量当たりの平均長さは、約1ミリメートル~約3ミリメートルであることが好ましい。さらに、セルロース繊維の量は、スラリー(または均質化したたばこシート)の総重量の乾燥重量基準で約1パーセント~約7パーセントから成ることが好ましい。
【0026】
繊維の平均長さは、Techpap SASによって商品化されたMORFI COMPACTによって測定される、それらの真の長さ(それらがカールしているか、またはよれているかにかかわらず)を指す。平均長さは、N本の繊維(N>5)の測定値に対して、MORFI COMPACTによって測定された繊維の長さの数学的平均である。MORFI COMPACTは、繊維の構造に従って繊維の長さを測定する繊維分析器であるので、繊維の真の開発された長さを測定する。測定された物体は、その長さが200マイクロメートル~10000マイクロメートルであり、その幅が5マイクロメートル~75マイクロメートルである場合、繊維とみなされる。繊維の長さは、脱イオン水が繊維に添加され、かつMorfiソフトウェアが使用されている時に測定される。
【0027】
均質化したたばこ材料などの、アルカロイドを含有する材料のシートのためのスラリー中に含めるのに適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、一価アルコール(メントールのような)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これに限定されない。
【0028】
好ましいエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0029】
スラリーは、乾燥質量基準で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有してもよい。スラリーは、乾燥質量基準で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。エアロゾル形成体は、スラリーの乾燥重量の約10パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。エアロゾル形成体は、スラリーの乾燥重量の約15パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。
【0030】
結合剤およびセルロース繊維は、約1:7~約5:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびセルロース繊維は、約1:1~約3:1から成る重量比を含むことがより好ましい。
【0031】
結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:30~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:20~約1:4から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0032】
アルカロイドを含有する材料は、たばこであることが好ましい。結合剤およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびたばこ粒子は、約1:50~約1:15から成る重量比で含まれることがより好ましく、約1:30~1:20から成ることがなおより好ましい。
【0033】
エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:20~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:6~約1:2から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0034】
エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約1:1~約30:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約5:1~約15:1から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0035】
セルロース繊維およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。セルロース繊維およびたばこ粒子は、約1:50~約1:20から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0036】
さらに、スラリーからシートが形成される。シートを形成するために、シート形成機(sheet former)を使用することが好ましい。シートを形成するために、スラリーは、例えば、キャスティング方向に沿って、好ましくは移動可能な支持体上にキャストされうる。スラリーは、底部に開口部があり、キャスティングブレードを有するキャスティングボックスに含まれてもよい。キャスティングボックスは、ボックス形状であることが好ましい。
【0037】
キャスティングについては、シート形成機として、キャスティングブレードが使用されてもよい。キャスティングブレードは、キャスティング方向に垂直に配設されていることが好ましい。材料のウェブは、キャスティングボックス中に存在するスラリーをキャストするキャスティングブレードによって形成されてもよい。スラリーは例えば、キャスティングボックスから重力によって落下し、キャスティングブレードと接触する。キャスティングブレードの縁部は、移動可能な支持体の表面との間隙を形成し、スラリーは、前述の間隙によって画定された開口部を通過する。
【0038】
スラリーは、シートを形成するために押出されうる。従って、シート形成機は押出成形機であってもよい。したがって、シートは押出成形機で好ましくは圧縮および加熱されて、押出成形機を出る。また、この場合、スラリーは、好ましくは、移動可能な支持体上に押し出される。シートを形成するための任意のプロセスが本発明で使用されうる、すなわち、任意のシート形成装置を考慮することができる。
【0039】
シートが押し出される、またはキャストされる方向は、シートの搬送方向を画定する。アルカロイドを含有する材料の連続的なシートまたはウェブを形成するためには、ウェブを作り出しながらシートを連続的に形成することができるように、シートは、形成されている間、移動することが好ましい。好ましくは、シートは、移動可能な支持体によって搬送方向に沿って移動される。
【0040】
形成されたシートはその後、ローラーの第一の対またはペアを形成する二つのローラー間で圧縮される。第一の対のローラーは、第一のローラーおよび第二のローラーと呼ばれる。第一のローラーおよび第二のローラーはその間に第一の間隙を形成し、その間隙にシートが挿入され、圧縮される。好ましくは、第一の対のローラーによって圧縮された後のシートの厚さは、第一の対のローラーによって圧縮される前にシートが有していた厚さよりも小さい。
【0041】
第一のローラーおよび第二のローラーは円筒形の形状を有し、第一の回転軸および第二の回転軸を有することが好ましい。第一の回転軸および第二の回転軸は、相互に平行であることが好ましい。第一の回転軸および第二の回転軸は、シートの搬送方向と直角を成すことが好ましい。例えば、第一の回転軸および第二の回転軸は、シートの幅に平行である。
【0042】
第一の対のローラーによる圧縮の前に、シート(実質的に形成されたばかりのシート)の湿度が比較的高いことが好ましい。第一の対の第一のローラーと第二のローラーとの間の圧縮の直前のシートの含水量は、シートの総重量の約60パーセント~約85パーセントであることが好ましい。第一のローラーと第二のローラーとの間の圧縮の直前のシートの含水量は、シートの総重量の約65パーセント~約80パーセントであることが好ましい。結合剤の量は、約70パーセント~約78パーセントから成ることがより好ましい。第一の対のローラーは、押出成形機またはキャスティングブレードなどのシート形成機の直前に、間に他のいかなる要素も伴わずに配置されることが好ましい。
【0043】
第一の対のローラーによるシートの圧縮の前に、シートは、第一の厚さとも呼ばれる初期の厚さを有する。初期の厚さは、約0.2ミリメートル~約2ミリメートルから成ることが好ましい。初期の厚さは、約0.4ミリメートル~約1ミリメートルから成ることがより好ましい。初期の厚さは、約0.5ミリメートル~約0.8ミリメートルから成ることが、さらにより好ましい。
【0044】
第一の対のローラーによる圧縮後、シートの初期の厚さは好ましくは減少し、シートの初期の厚さは、第一の対のローラーの後の第二の厚さとなる。
【0045】
例えばプロセス全体のパラメータの変化(例えば、より密度の低いスラリー、または異なるスラリー組成が使用される、など)のせいで、異なる第二の厚さのシートを有することが望ましい場合、または第二の厚さが所望の厚さでない場合、第一のローラーと第二のローラーとの間の間隙のサイズは変更される。この変更は、第一の対の第一のローラーの直径の寸法を変えることによって実施される。第一のローラーおよび第二のローラーの両方の直径も同様に変更されうる。
【0046】
第一のローラーの直径の変更は、任意の手段により、第一のローラーの直径を変えることで第一のローラーと第二のローラーとの間の間隙が変化しうることを意味する。第一のローラーは同じままであり、その直径のみが変化する。直径変化の工程では、第一のローラーは装置に回転可能に固定されたままである。これにより、シートの圧縮が実施される間も直径を変更することが可能になる。したがって、第一のローラーと第二のローラーとの間の間隙のオンライン変更が可能である。
【0047】
第一のローラーの直径を変更する工程は、第一のローラーを回転させながら、第一のローラーの直径を変更することを含むことが好ましい。製造は中断されない。
【0048】
直径が変更される第一のローラーはまた、シートに直接接触しなくてもよい。シートは、第一のローラーと第二のローラーとの間で圧縮することができるが、第一のローラーとシートとの間には、さらなる要素が挿入される。このさらなる要素は、さらなるローラーとすることができる。
【0049】
第一のローラーの直径の変更が、ローラーの変更も製造のいかなる中断も必要としない場合があるため、この変更は、製造を停止させる必要なくオンラインで実施されうる。直径の変更は、シートが圧縮されている間に実施されうる。第一の対の二つのローラー間の間隙の減少または増加は、それぞれ、シートの第二の厚さの減少または増加をもたらす。
【0050】
本発明の方法によれば、シートの厚さの簡単で迅速な変化を、機械の停止なしに得ることができる。さらに、変化は任意の方向であってもよく、すなわち、この直径の変更により、シートをより厚くまたはより薄くすることができる。変更はまた自動的であることもでき、唯一の手動操作は、フィードバックシステムに異なる第二の厚さの値を入力することだけである。センサーは、第一の対のローラーの後のシートの第二の厚さを点検しうる。測定された第二の厚さと所望の厚さとを比較することができる。測定された第二の厚さが所望の厚さと合致しない場合、第一のローラーの直径を変更してローラー間の間隙を変える。第一のローラーの直径および第二のローラーの直径も同様に変更することができる。
【0051】
第一のローラーの直径を変更することは、間隙の幅を変更することを含むことが好ましい。好ましくは、第一のローラーの直径を変更することは、間隙の幅の変化を意味し、変更前の間隙の幅よりも大きくなりうるか、または小さくなりうる。このようにして、より厚いまたはより薄いシートを形成することができる。
【0052】
好ましくは、第一のローラーの直径を変更することは、第一のローラーを膨張させる、または収縮させることを含む。「膨張させる」とは、ローラーの内側を充填する流体によってローラーのサイズを増大させるプロセスを意味する。流体は、加圧空気であってもよい。ローラーは、例えば、加圧流体を使用して、膨張または収縮された場合に変形を可能にする材料で形成されうる。第一のローラーが形成される材料は、弾性材料であってもよい。ローラーは、その内部圧力を増加または減少させることによって直径の変更が可能であるように、「タイヤ様」とすることができる。このように、間隙の幅の非常に効率的な変更、特に比較的速い変更を達成することができる。
【0053】
第一のローラーの直径を変更することは、第一のローラーの温度を変更することを含むことが好ましい。周知のように、いくつかの材料は、温度と共に寸法を変化させうる。一般的には、温度が高いほど、その材料によって占有される体積が高い。好ましくは、第一のローラーが形成される材料は、高熱膨張を有する。好ましくは、温度が高いほど、第一のローラーの直径が大きくなる。
【0054】
シートを圧縮する工程の開始時に、シートの含水量は、シートの総重量の約60パーセント~約85パーセントであることが好ましい。第一のローラーと第二のローラーとの間のシートを圧縮する工程は、シートが、「形成されたばかり」、例えば、キャストされたばかりで、したがって高い水分含有量を有する時に実施されることが好ましい。このように、スラリーがまだ順応性に富み、軟質であり、圧縮が容易であるので、キャストシートの厚さはより良好に調節されうる。
【0055】
好ましくは、方法は、アルカロイドを含有するシートの所望の厚さに応じて、第一のローラーの直径を変更する工程を含む。好ましくは、シートの実際の厚さと所望の厚さとの間に一定の比較があるように、本発明の装置内にフィードバックループが存在する。厚さの変動が起こるとき、ローラーの直径は、所望の厚さを得続けるために変更される。例えば、第一の対のローラーの後のシートの厚さが測定されてもよく、測定された厚さが所望の厚さと異なる場合、第一のローラーの直径は変更されてもよい。より好ましくは、測定された厚さが所定の厚さの範囲外である場合、第一のローラーの直径は変更されてもよい。所定の厚さの範囲は、所望の厚さを中心に据えた範囲であってもよい。
【0056】
さらに、所与の時点で製造されるのとは異なる厚さを有するシートが望まれる場合、単に第一のローラーの直径を変更するだけで、一切の機械の中断なしに新しい所望の厚さを得るように、第一のローラーと第二のローラーとの間の間隙のサイズを修正することが可能である。好ましくは、方法は、第一のローラーと第二のローラーとの間の圧縮工程の間にシートを乾燥する工程を含む。シートの厚さが圧縮によって調節されつつ、シートが乾燥もされることが好ましい。したがって、第一の対のローラーが乾燥機内に含まれることが好ましい。好ましくは、乾燥は、シートに直接接触する高温ローラー表面と高温空気との組み合わせによって達成される。第一のローラーおよび第二のローラーは、外部表面を画定する。第一のローラーまたは第二のローラーのうちの一つ、または両方が、その外部表面が高温になるようにスチームまたは蒸気などの高温流体によって加熱されることが好ましい。乾燥シートと接触する高温ローラー表面の温度、および高温空気の温度の両方が、約40℃~約250℃であることが好ましい。
【0057】
好ましくは、第一の対のローラーによる圧縮工程はまた、乾燥工程の効率を改善する。概して、乾燥は高温流体によって行われる。圧縮は、シートからいくらかの水を絞り出しうるため、全体的な乾燥はより短時間で済むか、またはより低温の高温流体を乾燥に使用することができる。
【0058】
好ましくは、方法は、第一のローラーまたは第二のローラーの温度を調節する工程を含む。乾燥は、ローラーを加熱することによって効率においてさらに改善されうる。あるいは、ローラーを冷却することができ、例えば、乾燥機の出口に近い対のローラーの温度を低減することができる。熱するまたは冷却するためのローラーの温度は、約10℃~約-250℃であることが好ましい。
【0059】
好ましくは、本方法は、第一のローラーと第二のローラーとによって圧縮されたシートを、第三のローラーと第四のローラーとの間でさらに圧縮する工程を含む。好ましくは、第一の圧縮の後、本発明に従って第二の対のローラーによる第二の圧縮が行われる。第二の圧縮は第三のローラーと第四のローラーとによって行われ、好ましくは、第三のローラーと第四のローラーとの間に第二の間隙を形成し、その間隙でシートが第二の対のローラーによって導入および圧縮される。
【0060】
第二の圧縮は、シートの搬送方向における第一の圧縮の下流で行われることが好ましい。
【0061】
第三のローラーおよび第四のローラーは円筒形の形状を有し、第三の回転軸および第四の回転軸を有することが好ましい。第三の回転軸および第四の回転軸は、相互に平行であることが好ましい。第三の回転軸および第四の回転軸は、シートの移動方向と直角を成すことが好ましい。例えば、第三の回転軸および第四の回転軸は、シートの幅に平行である。したがって、好ましくは、第一の回転軸、第二の回転軸、第三の回転軸、および第四の回転軸はすべて相互に平行である。
【0062】
第二の対のローラーによる圧縮の後、シートの厚さは、第二の厚さから第三の厚さへとさらに減少する。第二の対のローラーの後、すなわち、第二の対のローラーによる第二の圧縮の後、シートの第三の厚さは、約0.5ミリメートル~約0.05ミリメートルであることが好ましい。シートの第三の厚さは、約0.3ミリメートル~約0.1ミリメートルであることがより好ましい。第三の厚さは、シートの最終的な所望の最終の厚さである。したがって、シートの最終の厚さ、第三の厚さは、多工程プロセスにおいて得られることが好ましい。任意の数の対のローラーを使用することができる。したがって、ローラー寸法を容易に制御することができ、第一の圧縮で得られるさらなる「小さな」不均一さが第二の圧縮で補正されうるため、最終の厚さのより良い制御が得られる。
【0063】
本発明の方法では、三つ以上のローラーの対を考慮することができる。シートの最終の厚さのさらにより正確な制御を得ることができる。したがって、形成時の第一の厚さから第三の最終の厚さまで、シートは多くの中間の厚さを有してもよい。いくつかの工程で最終の厚さに到達すると、シート自体の均質性を非常に正確に制御することができる。以下では、N対のローラー(N≧2)が考慮される。第一の対のローラーはシート形成機に最も近いとみなされる一方、第二の対のローラーは最後の対のローラーであり、第一の対と第二の対の間に、追加のN-2対のローラーが配置される。
【0064】
好ましくは、N対のローラーの場合、対のローラーによってシートに印加される圧力は、第一の対のローラーから第二の対のローラー(=列中の最後の対のローラー)まで増加し、シートの移動の方向に沿ってその間に位置するN-2対のローラーにおいて単調に増加する。
【0065】
シートを形成する工程は、シートをキャストする工程を含むことが好ましい。シートを形成する工程は、シートを押出成形する工程を含むことが好ましい。シートは、任意の周知の方法によって形成することができる。本発明は、スラリーからシートを形成するための任意の形成システムまたは方法に適用することができる。
【0066】
好ましくは、方法は、第一の対のローラーの間での圧縮工程中に、または第二の対のローラーの間での圧縮工程中に、または第一の対のローラーの間での圧縮工程と第二の対のローラーの間での圧縮工程との間に、シートを乾燥する工程を含む。シートの厚さがいくつかの工程の圧縮によって調節されつつ、シートが乾燥もされることが好ましい。したがって、N対のローラーが乾燥機内に含まれることが好ましい。好ましくは、乾燥は、シートに直接接触する高温ローラー表面と高温空気との組み合わせによって達成される。ローラーは、スチームまたは蒸気などの高温流体によって加熱される。乾燥シートと接触する高温ローラー表面の温度、および高温空気の温度の両方が、約40℃~約250℃であることが好ましい。N対のローラーの場合、すべてのローラーが乾燥機内に含まれることが好ましい。したがって、好ましくは、乾燥工程は、N個の圧縮工程のそれぞれの間に、およびシートが一つの対またはローラーから次の対のローラーまで移動する間にも起こる。
【0067】
好ましくは、対のローラーによる圧縮工程はまた、乾燥工程の効率を改善する。概して、乾燥は高温流体によって行われる。圧縮は、シートからいくらかの水を絞り出しうるため、全体的な乾燥はより短時間で済むか、またはより低温の高温流体を乾燥に使用することができる。
【0068】
好ましくは、本方法は、前述の第一のローラーとシートとの間に剛性要素を挿入する工程を含み、第一のローラーの直径を変更する工程は、第一のローラーによって剛性要素上に及ぼされる圧力を変更することを含む。第一のローラーは、シートに直接接触しなくてもよい。ローラー、およびより好ましくは直径が固定されかつ変化しないローラーなどの剛性要素は、シートと第一のローラーとの間に置かれてもよい。第一のローラーは、直径を変化させて、シートに向かってまたはシートから離れるように剛性要素を押し、そのことによりシート上の圧縮が変化する。第一のローラーとシートとの間に剛性要素を挿入して、シートと接触する局所的に平坦な表面を絶えず保つことが好ましい。第一のローラーが膨張または収縮するとき、その外表面は円筒状の表面から変形しうる。したがって、剛性要素を介在させることにより、シートと接触する表面が常に同じであり、印加された圧力のみが変化することを確実にする。
【0069】
本発明はまた、アルカロイドを含有する材料のシートを製造するための装置に関し、装置は、アルカロイドを含有する材料と水とによって形成されたスラリーを収容するよう適合されたタンクと、スラリーからシートを形成するためのシート形成装置と、第一のローラーと第二のローラーであって、前述の第一のローラーと第二のローラーがその間に、シートが挿入される間隙を形成してシートを圧縮する、第一のローラーと第二のローラーと、第一のローラーの直径を変更するための直径変更装置と、を含む。
【0070】
本発明の多くの利点は、以前に記載されており、ここでは繰り返さない。本発明の装置は、例えば乾燥機に含まれる、第一の対のローラーを含む。ローラー間でのシートの圧縮は、シートの厚さを変化させうる。したがって、第一のローラーの直径の変更は、シートの厚さを変化させうる。両方のローラーの直径の変更も想定されうる。この場合、各ローラーが直径変更装置を含むか、または同一の直径変更装置が第一および第二のローラーの両方で稼働する。
【0071】
好ましくは、前述の直径変更装置は、加圧流体供給を含む。好ましくは、前述のローラーは、タイヤのように膨張可能で、外部の変形可能なシェルを含み、したがって、加圧流体供給を使用してシェルを膨らませて直径を変更することができる。
【0072】
前述の第一のローラーまたは第二のローラーの幅は、前述のタンクの幅の少なくとも二倍であることが好ましい。第一のローラーまたは第二のローラーの幅は、その回転軸に沿った第一のローラーまたは第二のローラーの寸法として定義される。タンクの幅は、同じ回転軸に沿ったタンクの寸法である。回転軸は、シートの搬送方向と直角を成すことが好ましい。ローラーの直径の変更が、ローラーの形状、特にその平坦性をわずかに変化させうるという事実が理由となり、一般的に中央部分であるローラーの最も平坦な部分においてシートを圧縮できるように、ローラーの幅はシートの幅(しばしばタンクの幅に対応するか、またはそれはタンクの幅の関数である)よりも「はるかに大きい」ことが好ましい。したがって、シートの幅を画定するスラリー用のタンクよりもはるかに大きな第一のローラーまたは第二のローラーを有することが好ましく、そのことにより第一のローラーまたは第二のローラーの中央部分においてシートを圧縮することが可能である。
【0073】
好ましくは、シート形成装置は、キャスティング装置を含む。好ましくは、シート形成装置は、押出成形装置を含む。任意のシート形成装置を本発明において使用することができ、キャスティングおよび押出成形は、アルカロイドを含有する材料のシートを得るために最も使用され、最適である。
【0074】
好ましくは、装置は、間に第二の間隙を形成し、その間隙にシートを挿入することができる第三のローラーおよび第四のローラーを含み、第三のローラーおよび第四のローラーは、シートの移動の方向において第一のローラーおよび第二のローラーの下流に位置する。
【0075】
第二の間隙は、第一の間隙よりも小さいことが好ましい。N対のローラーの場合、形成装置に最も近い第一の対のローラーの第一の間隙は、幅が最大であり、第二の対のローラーの第二の間隙は最小である。N-2対の残りのローラーは、その幅が第一の間隙と第二の間隙との間に含まれるような間隙を有する。
【0076】
好ましくは、第一の対のローラーは、第一のローラーおよび第二のローラーを含み、第二の対のローラーは、第三のローラーおよび第四のローラーを含み、第一のローラーの直径は、第三のローラーの直径よりも大きい。Nローラーの場合、好ましくは、ローラーの直径は、シートの移動の方向に沿って減少する。シートの厚さのより良い制御が得られる。好ましくは、ローラーの直径の減少は、ローラーとシートとの間の接触面の減少を決定することにつながり、より正確な厚さ調節および制御が達成される。
【0077】
ローラーを相互に近付くように移動させて、ローラー間の間隙の幅が減少することが好ましい。
【0078】
好ましくは、第一の対のローラーは、第一のローラーおよび第二のローラーを含み、第二の対のローラーは、第三のローラーおよび第四のローラーを含み、第三のローラーの外部表面は、第一のローラーの表面よりも高い硬度を有する。硬度は、機械的へこみまたは摩耗のいずれかによって誘発される局所的な塑性変形に対する抵抗力の尺度である。材料によっては他より硬いものもある。材料に応じて、ローラーは異なる硬度を有しうる。鋼製ローラーの場合の硬度は、好ましくは、約1~約50HRC(ロックウェルスケール)の間に含まれ、プラスチックローラーの場合の硬度は、好ましくは、約D10~約D100(ショアデュロメーター)の間に含まれ、ゴムローラーの場合の硬度は、好ましくは、約A10~約A100(ショアデュロメーター)の間に含まれる。ローラーは、金属、プラスチック、またはゴムで形成されうる。ローラーの表面は、異なる硬度を有する異なる材料の層で被覆されうる。好ましくは、N対のローラーの場合、対のローラーの硬度は、シートの移動の方向に(搬送方向)において、第一の対のローラーから第N番目の対のローラーに向かって増加する。
【0079】
好ましくは、装置は、シートの厚さを測定する厚さセンサーを含み、前述の直径変更装置は、前述の厚さセンサーの出力信号に基づいて、第一のローラーまたは第二のローラーの直径を変更する。センサーから来る信号を合成し、それに応じてローラーの直径を変化させるために、フィードバックループが存在することが好ましい。
【0080】
好ましくは、装置はまた、移動可能な支持体を備え、移動可能な支持体は、第一の対のローラーの第一または第二のローラーによって駆動される。移動可能な支持体は、搬送方向に沿ってシートを搬送するために存在することが好ましい。ベルトは、第一の対のローラーのうちの一つによって駆動されることが好ましい。移動可能な支持体は、第一の対のローラーの後に終了することが好ましい。ローラーのN個の対の場合、移動可能な支持体は、所与の数のローラーを通過するシートの搬送方向に延在することが好ましい。好ましくは、第一の対のローラーまたは第二の対のローラーの後、シートは「硬質」であり、したがってシートは自立的で、電動式の対のローラーによって駆動され次のローラーを通りうる。移動可能な支持体は、第一および第二の対のローラーの間で終了することが好ましい。
【0081】
好ましくは、装置は、第一のローラーと第二のローラーとの間の間隙内に位置付けられた剛性要素を含み、そのことによりシートが第二のローラーと剛性要素との間に挿入される。第一のローラーと第二のローラーとの間の間隙は、追加のローラーなどの別の要素を間に置くことができるように、「大きい」。第一のローラーの直径の変更は、剛性要素によってシート上に及ぼされる圧力を変える。
【0082】
具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】
図1は、本発明による均質化したたばこ材料のためのスラリーを製造する方法の流れ図を示す。
【
図3】
図3は、本発明による均質化したたばこ材料の製造方法のブロック図を示す。
【
図7】
図7は、
図3の方法を実施するための装置の概略図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の装置の詳細の異なる実施形態の概略正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
最初に
図1を参照すると、本発明によるスラリーからの、アルカロイド含有材料のシート、本実施例では均質化したたばこシート、の製造方法が表される。本発明の方法の第一の工程は、均質化したたばこ材料を製造するためのたばこブレンドに使用されるたばこタイプおよびたばこ等級の選択100である。本方法で使用されるたばこタイプおよびたばこ等級は、例えばブライトたばこ、ダークたばこ、アロマティックたばこ、およびフィラーたばこである。
【0085】
均質化したたばこ材料の製造での使用が意図されている選択されたたばこタイプおよびたばこ等級のみが、本発明の方法の以下の工程による処理を受ける。
【0086】
方法は、選択したたばこを設置するさらなる工程101を含む。この工程は、例えば製品追跡およびトレーサビリティのためにバーコードリーダーによって検証することができる等級および量などのたばこの完全性を点検する工程を含んでもよい。たばこの葉は、収穫および乾燥処理の後、葉柄位置、品質、および色を記述する等級が与えられる。
【0087】
さらに、均質化したたばこ材料の製造のためにたばこを製造施設に発送する場合には、設置する工程101は、たばこ箱を再度箱詰めする工程またはたばこ箱のケースを開ける工程も含んでもよい。次に、再度箱詰めされたたばこは、たばこを計量するために計量ステーションに供給されることが好ましい。
【0088】
さらに、たばこを設置する工程101は、通常たばこ葉は箱詰めされて移送される時にベール梱包内で搬送されるので、必要に応じてベール梱包を開く工程を含んでもよい。
【0089】
たばこのベール梱包はたばこタイプに応じて分離される。例えば、各たばこタイプのための処理ラインがあってもよい。従って、以下に詳細に述べるように、各たばこタイプに対して以下の工程が実施される。その後これらの工程は等級毎に実施されてもよく、その結果一つの製造ラインのみを必要とする。別の方法として、異なるたばこタイプは分離したラインで処理されてもよい。一部のたばこタイプに対する処理工程が異なる場合、これは有利である場合がある。例えば、従来の主なたばこプロセスでは、ダークたばこはさらなるケーシングを受けることが多く、ブライトたばことダークたばこは少なくとも部分的に、別個のプロセスで処理される。ところが、本発明によると、均質化したたばこウェブの形成の前にブレンドされたたばこ粉末にケーシングを添加しないことが好ましい。
【0090】
さらに、本発明の方法はたばこ葉を粗く粉砕する工程102を含む。
【0091】
本発明の方法の異形によると、図示されていないが、たばこを設置する工程101の後で、かつたばこを粗く粉砕する工程102の前に、さらに細断する工程が実施される。細断する工程では、たばこは、平均サイズが約1ミリメートル~約100ミリメートルである細片へと細断される。
【0092】
細断する工程の後、細片から非たばこ材料を取り除く工程を実施することが好ましい(
図1に図示せず)。
【0093】
その後、細断されたたばこは、粗く粉砕する工程102に向かって搬送される。たばこ葉の細片を粗く粉砕するためのミルへのたばこの流量を制御および測定することが好ましい。
【0094】
粗く粉砕する工程102では、たばこ細片は約0.25ミリメートル~約2ミリメートルの粒子サイズまで減少する。この段階では、たばこ粒子はその細胞がまだ実質的に損傷されておらず、また結果として得られる粒子はこれに関連する搬送問題をもたらさない。
【0095】
アルカロイドを含有する材料の粒子のサイズは、Dv95サイズを意味する。上記に列挙された値の各々は、粒子サイズのDv95を示す。Dv95の「v」は、体積分布が考慮されることを意味する。体積分布の使用は、等価球の概念を導入する。等価球は、我々が測定している特性における実粒子と等しい球である。したがってそれは、光散乱法では、実粒子と同じ散乱強度を生成する球である。これは、実質的に同一の体積の粒子を有する球である。さらに、Dv95の95は直径であって、分布の95パーセントがより小さい粒子サイズを有し、5パーセントがより大きい粒子サイズを有することを意味する。それ故に粒子サイズは、粒子の95パーセントが述べられた値よりも小さい直径(実質的に同一の体積の粒子を有する対応する球の)を有するような体積分布によるサイズである。60マイクロメートルの粒子サイズとは、粒子の95パーセントが60マイクロメートルより小さい直径を有することを意味し、この直径は粒子よりも対応する体積を有する球の直径である。
【0096】
粗く粉砕する工程102の後、たばこ粒子は、ブレンドする工程103に(例えば、空気式移送によって)搬送されることが好ましい。別の方法として、ブレンドする工程103は、粗く粉砕する工程102の前に、または存在する場合には、細断する工程の前に、あるいは別の方法として、細断する工程と粗く粉砕する工程102との間に実施することが可能である。
【0097】
ブレンドする工程103で、たばこブレンドのために選択された異なるたばこタイプのすべての粗く粉砕されたたばこ粒子はブレンドされる。従って、ブレンドする工程103は、すべての選択されたたばこタイプに対して単一の工程である。これは、ブレンドする工程の後は、すべての異なるたばこタイプに対して単一のプロセスラインのみが必要であることを意味する。
【0098】
ブレンドする工程103において、粒子状の様々なたばこタイプの混合を実施することが好ましい。
【0099】
ブレンドする工程103の後、たばこ粉末サイズ約0.03ミリメートル~約0.12ミリメートルにまで細かく粉砕する工程104が実施される。この細かく粉砕する工程104は、たばこのサイズをスラリーの調製のために適切な粉末サイズまで小さくする。この細かく粉砕する工程104の後、たばこの細胞は少なくとも部分的に破壊され、たばこ粉末が粘着性になる場合がある。粉末サイズは、上記に詳述するDv95サイズである。
【0100】
このようにして得られたたばこ粉末は、たばこスラリーを形成するためにすぐ使用することができる。別の方法として、例えば適切な容器内でのたばこ粉末の保存のさらなる工程を挿入してもよい(図示せず)。
【0101】
ここで
図2を参照すると、均質化したたばこウェブの製造のための本発明の方法が示されている。細かく粉砕する工程104から、たばこ粉末がその後のスラリー調製工程105で使用される。スラリー調製工程105の前またはその間に、本発明の方法は、二つのさらなる工程を含む。すなわち、繊維を水中に均一に分散して精製するためにセルロース繊維5と水6をパルプ化するパルプ調製工程106と、エアロゾル形成体7と結合剤8を予混合する懸濁液調製工程107である。エアロゾル形成体7はグリセロールを含み、結合剤8はグアーを含むことが好ましい。有利なことに、懸濁液調製工程107は、水を導入することなくグアーとグリセロールを予混合することを含む。
【0102】
スラリー調製工程105は、エアロゾル形成体および結合剤の予混合溶液をスラリー混合タンクに移送することと、パルプをスラリー混合タンクに移送することとを含むことが好ましい。さらに、スラリー調製工程は、パルプを有するスラリー混合タンクの中にたばこ粉末ブレンドを投与し、グアーとグリセロールの懸濁液を投与する工程を含む。この工程はまた、スラリーの均一性および均質性を確保するために高剪断ミキサーを用いてスラリーを加工することを含むことがより好ましい。
【0103】
スラリー調製工程105はまた、水を添加する工程を含むことが好ましく、望ましい粘性および水分を得るためにスラリーに水が添加される。
【0104】
均質化したたばこウェブを形成するために、工程105によって形成されたスラリーはキャスティングボックスへ搬送され、ここでスラリーは混合され、キャスティング工程108でキャストされることが好ましい。このキャスティング工程108は、キャスティングステーションにスラリーを搬送することと、支持体上のウェブへとスラリーをキャストすることとを含むことが好ましい。キャスティング工程中、キャストウェブの厚さ、水分、および密度がキャスティングの直後に制御されることが好ましく、またプロセス全体にわたりスラリー測定装置を使用して連続的にモニターしてフィードバック制御することもより好ましい。
【0105】
シートの所望の厚さが好ましくは選択される。
【0106】
次に、均質化したキャストウェブは、例えば無限ステンレス鋼製ベルトでキャストウェブを均一かつ穏やかに乾燥することを含む、乾燥工程111で乾燥される。無限ステンレス鋼製ベルトは、個別の制御可能ゾーンを備えてもよい。乾燥工程は、各乾燥ゾーンで穏やかな乾燥プロファイルを確保するために各乾燥ゾーンにおけるキャストリーフ温度をモニターすることと、均質化したキャストウェブが形成される支持体を加熱することとを含むことが好ましい。乾燥プロファイルは、いわゆるTLC乾燥プロファイルであることが好ましい。
【0107】
乾燥工程111の間、第一の圧縮工程109が行われる。第一の圧縮工程は、シートがベルト上にある時に行われる。圧縮は、間に第一の間隙を形成する第一の対のローラーの間で実現され、この第一の間隙にシートが挿入および圧縮される。第一の圧縮後、シートがその後自立するように、シートをベルトから取り外してもよい。圧縮工程109の後、得られたシートの厚さが所望の厚さでない場合、ローラー間の間隙を修正することができる。したがって、ローラーのうちの一つまたは両方の直径が変更される工程、すなわち工程110が行われる。
【0108】
好ましい実施形態では、シートはまた、第一の工程109に続いて、工程110aで、同様に第二の間隙をその間に形成する二つのローラーの間で第二の圧縮工程を受ける。第二の間隙は第一の間隙よりも小さいことが好ましい。この第二の圧縮は、乾燥もまた行われる間に実施されることが好ましい。圧縮工程の終了時に、シートの所望の厚さを得る。第二の対のローラーの直径を変えて、第二の間隙も変更できることが好ましい。シートのこの厚さは、乾燥プロセスによってさらに変化しうる。
【0109】
ウェブ乾燥工程111の最後に、乾燥したウェブ中の水分含有量および存在する欠陥の数を測定するために、モニターする工程(図示せず)が実行される。
【0110】
標的とされた水分含有量まで乾燥した均質化したたばこウェブは、次に、例えば、単一のマスターボビンを形成するために、巻き取り工程112で巻き取られることが好ましい。次に、小さいボビンを形成するプロセスで切り込みを入れることによってより小さいボビンの製造を実施するために、このマスターボビンを使用してもよい。次に、エアロゾル発生物品(図示せず)の製造のためにより小さいボビンを使用してもよい。
【0111】
さらなるプロセスで異なる厚さを有するシートが望ましい場合、第一の圧縮工程、第二の圧縮工程、および第三の圧縮工程で使用されるローラー間の距離は、変更されてもよく、すなわち、第一の間隙、第二の間隙、または第三の間隙の幅は、乾燥工程111後のシートの厚さを変えるために変更されてもよい。
【0112】
図1による均質化したたばこ材料のためのスラリーの製造の方法が、
図3に概略的に図示したスラリー製造のための装置200を使用して実施される。装置200は、異なるたばこタイプの積み重ね、積み替え、計量、および検査が行われるたばこ受容ステーション201を含む。随意に、たばこがカートンの中に入れられて発送されている場合には、たばこを収容するカートンの取り出しが受容ステーション201で実施される。随意に、たばこ受容ステーション201は、たばこベール梱包分割ユニットも備える。
【0113】
図3では、一つのタイプのたばこのための製造ラインのみを示すが、ブレンドする工程が実施される時期によっては、本発明による均質化したたばこ材料ウェブで使用される各たばこタイプのために同一の設備が存在してもよい。さらにたばこは、細断する工程のためにシュレッダー202内に導入される。シュレッダー202は、例えばピンシュレッダーとすることができる。シュレッダー202は、たばこ細片を解いて細片をより小さい葉片へと細断するように、すべてのサイズのベール梱包を取り扱うように適合されることが好ましい。各製造ライン内の細断されたたばこは、例えば空気式搬送203によって、粗く粉砕する工程102のためにミル204に搬送される。細断されたたばこの中の異物が取り除かれるように、搬送中に制御がなされることが好ましい。例えば、細断されたたばこの空気式搬送に沿って、ストリング除去コンベアシステム、重粒子分離装置、および金属検出器が存在してもよく、添付図ではこれらすべてが205で示されている。
【0114】
ミル204は、たばこ細片を約0.25ミリメートル~約2ミリメートルのサイズにまで粗く粉砕するように適合されている。ミルのローターの速さは制御することができ、またたばこ細断片の流量に基づいて変化させることができる。
【0115】
均一なマスフロー制御のためのバッファサイロ206を粗い粉砕機ミル204の後に位置させることが好ましい。さらに、ミル204は安全上の理由から、スパーク検出器および安全停止システム207を装備していることが好ましい。
【0116】
たばこ粒子が、例えば空気式搬送208によって、ミル204からブレンダー210に搬送される。ブレンダー210は、その中に適切な弁制御システムが存在するサイロを含むことが好ましい。所定のブレンドのために選択されたたばこのすべての異なるタイプのすべてのたばこ粒子がブレンダー内に導入される。ブレンダー210内でたばこ粒子は均一なブレンドに混合される。たばこ粒子のブレンドは、ブレンダー210から微粉砕ステーション211に搬送される。
【0117】
微粉砕ステーション211は例えば、正しい仕様通りの細かいたばこ粉末、すなわち約0.03ミリメートル~約0.12ミリメートルのDv95サイズを有するたばこ粉末を製造するために適切に設計された補助設備を有する衝撃分類ミルである。スラリー調製プロセスが行われる下流のスラリーバッチ混合タンク214に連続供給するためのバッファ粉末サイロ213に細かいたばこ粉末を搬送するために、微粉砕ステーション211の後に、空気式移送ライン212が適合されている。
【0118】
本発明の方法の工程100~105に上述されるたばこ粉末を使用して調製されたスラリーは、
図4に示すキャスティングステーション300でキャストもされることが好ましい。
【0119】
バッファタンクからのスラリー(図示せず)は、精密流量制御測定付きの適切なポンプによってキャスティングステーション300に移送される。キャスティングステーション300は、以下のセクションを備えることが好ましい。スラリーが、適切なウェブ形成のために必要とされる均質性および厚さを有して、ステンレス鋼製ベルトなどの支持体303の上へキャストされる精密スラリーキャスティングボックスおよびナイフアセンブリ301は、ポンプからスラリーを受ける。キャストたばこウェブを乾燥するために、乾燥ゾーンまたは乾燥セクションを有する主ドライヤー302が提供されている。個別の乾燥ゾーンは、支持体上方の加熱空気および調節可能な排気制御とともに、支持体の下側に蒸気加熱を有することが好ましい。主ドライヤー302の中では、均質化したたばこウェブが支持体303上で望ましい最終的水分まで乾燥される。
【0120】
ここでさらに詳細な
図5を参照すると、移動可能な支持体303は、ドラム組立品を含む連続的なステンレス鋼製ベルトを備える。精密スラリーキャスティングボックスおよびナイフアセンブリ301は、キャスティングブレード304およびキャスティングボックス305を備える。鋼製ベルト303は、一対の対向するドラム306、307の周りに巻かれていることが好ましい。スラリーは、キャスティングブレード304を通して鋼製ベルト(ドラム306における)上にキャストされ、これは均質化したたばこ材料の連続的なシート10を作り出す。
【0121】
キャストされたスラリー10は、
図5の矢印24で示すキャスティング方向に沿って鋼製ベルト303によって駆動され乾燥機302に入り、ここで徐々に加熱され、かつ均一に乾燥される。
図5では、乾燥機302は部分的にのみ示されている。
【0122】
入ってくるスラリー11は、特にパイプで、キャスティングボックス305の側壁14に接続された入口(図示せず)からキャスティングボックス305の中へと導入され、これにより、この入ってくるスラリー11はキャスティングボックス305の底部に近接して置かれる。
【0123】
バッファタンク(図面に示されていない)からのスラリー11は、通常はポンプ(図面に示されていない)によってキャスティングボックス305内へと移送される。ポンプは、キャスティングボックス305内に導入されるスラリー11の量を制御するために、流量の制御(図面では不可視)を備えることが好ましい。ポンプは有利なことに、スラリーの移送時間が必要最小限に短く保たれることを確実にするように設計されている。
【0124】
キャスティングボックス305内のスラリー11の量は、所定のレベルを有し、これは実質的に一定に、または所与の範囲内に保持されることが好ましい。スラリー11の量を実質的に同一のレベルに保持するために、ポンプは、スラリー11のキャスティングボックス305への流れを制御する。
【0125】
キャスティングブレード304は、スラリーをキャストするためにキャスティングボックス305と関連付けられる。キャスティングブレード304は、その長軸方向の幅である主寸法を有する。キャスティングブレードは、その長軸方向に沿って位置付けられる第一の軸を画定する。
【0126】
キャスティングブレード304と鋼製ベルト303との間には間隙が存在し、その寸法は、とりわけ、キャスティングで、初期の厚さと呼ばれる、均質化したたばこ材料のキャストウェブ10の初期の厚さを決定する。この初期の厚さは、例えば、キャスティングブレード304を有するフィードバックループを好ましくは有する適切なセンサー15(
図4を参照)によって点検される。キャスティングブレードと鋼製ベルトとの間に形成される間隙は、センサー15によって出力される信号に基づいて修正されてもよい。
【0127】
キャスティングブレード304およびベルト303は相互に面し、ベルトはキャスティングブレード304の下方に部分的に位置付けられている。ドラム306は、ベルト303を搬送し、好ましくは、矢印24および26によって描写される方向に回転する。
【0128】
キャスティングステーション300はまた、第一のローラーとしての第二のドラム307と第二のローラー308とによって形成される、第一の対のローラー310も備える。第一のローラー307と第二のローラー308は、その間に第一の間隙311を形成する。キャスティングステーション300はまた、制御ユニット400および、その間に形成された間隙311を変化させるために第一の対のローラー310に接続されたアクチュエータ19を備える。
【0129】
ベルトはまた、直径17を有する第二のドラム307の周りに巻かれる。第二のドラム307は、第一の対のローラー310の一部を形成し、第一のローラー307は第二のドラムであり、第二のローラー308は直径18を有し、第一のローラー307の上方に垂直に位置する。二つのローラーはその間に、変更可能な厚さを有する第一の間隙311を形成する。第一の対のローラー310は、乾燥機302内に配置される。シートは、間隙311に挿入され、圧縮され、その結果、水がシートから除去される。第一の対のローラー310の後のシートの厚さは第一の厚さと呼ばれ、t1で示されている。
【0130】
第一のローラー307の直径17、または第一および第二のローラー307、308の両方の直径17、18のいずれかのローラーの直径を修正して、間隙311を変更することができる。直径17または18を修正するために、好ましくは、センサー16は、シートの搬送の方向において第一の対のローラー310の下流のシートの厚さを検出し、厚さが所望の厚さと一致しないか、または厚さの変更が望ましい場合、フィードバックループはアクチュエータ19を起動して直径17または18を変更する。
【0131】
例えば、制御ユニット400は、シート10の厚さに関するセンサー16からの信号を受信し、厚さ測定値が所望のものでない場合にアクチュエータ19を起動することができる。あるいは、厚さの変更が所望される場合、アクチュエータ19は、制御ユニット400によって起動されうる。
【0132】
直径の変化を
図7に示す。ローラー307はその直径を変化させ、例えば、直径17から直径17’にその直径を増大させ、第一のローラー307’となる。矢印20は、例えば、ローラー307の内部に導入された加圧流体によって引き起こされる、ローラーの表面の均一な膨張を示す。
【0133】
第一の対のローラー310は、一連のN対のローラーの第一番目であってもよい(N≧2)。
図6では、N=3の実施例があり、ここで、第一の対のローラー310、第二の対のローラー312(シートが乾燥機を出る前の最後の対のローラー)、および第一の対のローラーと第二の対のローラーとの間に位置する第三の対のローラー313がある。第二の対のローラーは、第三のローラー314と第四のローラー315とによって形成され、その間に第二の間隙316を形成する。第三のローラー314は直径24を有し、第二のローラー315は直径25を有する。第二の対のローラーの後のシートの厚さは、第二の厚さと呼ばれ、t
2で示される。第一の対のローラー310と第二の対のローラー312との間に置かれた第三の対のローラーは、第五のローラー317および第六のローラー318によって形成され、その間に第二の間隙319を形成する。第五のローラー317は直径27を有し、第六のローラー318は直径28を有する。第三の対のローラーの後のシートの厚さは、第三の厚さと呼ばれ、t
3で示される。ローラーの各対は、対を形成するローラー間に間隙を画定する。対のローラー間の間隙の幅は、第一の対のローラーから第二のローラーまで単調に減少する。これは、第一の間隙311が第三の間隙319よりも広く、次に第三の間隙319は第二の間隙316よりも広いことを意味する。同様に、シート10の第一の厚さは、第一の対のローラー310の後の最も厚いt
1から、第二の対のローラー312の後の最も薄いt
2まで減少する。
【0134】
言い換えれば、t1>t3>t2である。好ましくは、すべての対310、312、313の、シート10の下に位置付けられたすべてのローラーは、その直径を変更することができる。第一のローラー317の直径17は、変更されてもよい。第五のローラー317の直径27は変更されてもよく、第三のローラー314の直径24は変更されてもよい。
【0135】
ローラーの直径はまた、第一の対のローラー310から、第二の対のローラー312(最小の直径を有する)まで減少することが好ましい。第三の対のローラー313は、第一の対のローラーの直径と第二の対のローラーの直径との間の中間の直径を有する。
【0136】
第二の対のローラー312の後のシートの厚さt
2は、例えば、ベルト303の移動の方向において乾燥機302の下流に位置する適切なセンサー16(
図4および
図5を参照)によって点検されることが好ましい。フィードバックループは、好ましくは、厚さt
2を点検するセンサー16と、第一の対のローラー310、第二の対のローラー312、および第三の対のローラー313のそれぞれの間である第一の間隙311との間、第二の間隙316との間、および第三の間隙319との間に存在する。これらの間隙311、316、319は、センサー16によって送信される信号に従って調整されうる。シートの厚さは、異なる位置で監視されてもよい。
図8では、本発明の異なる実施形態が示されている。第一の対のローラー310は、第一のローラー307および第二のローラー308だけでなく、シート10と接触する追加の剛性ローラー500も含む。したがって、シート10は、追加の剛性ローラー500および第二のローラー308と接触する。第一のローラー307が、例えば膨張または収縮することによって、その直径を変化させるとき、剛性ローラー500によってシート10上に加えられる圧力もまた変化する。剛性ローラー500は、第一の間隙311の内側に位置する。
【0137】
乾燥機302の下流で、乾燥シートは、貯蔵されるボビン(図示せず)に巻かれ、さらにエアロゾル発生物品を製造するために使用されうる。
【国際調査報告】